男「またあの娘か……」(278)
ガタンゴトンガタンゴトン
男(4月からもうずっとだな)
少女「……」
男(話しかけて見たいけど、ちょっと……)
少女「……」
友「おっす男! どうした? 何か難しい顔してるが」
男「うん、ちょっと気になることがあってね」
友「ほほう? さては女か」
男「よく分かったね、そうだよ」
友「かぁ~! 男もついにそういうことに興味を持つようになったか、変わるね人は!」
男「何か勘違いしてるようだけど、恋愛とかそういうことは関係ないよ」
友「なんだ違うのかよ、それじゃあどうしたっていうんだよ」
男「それがね……」
友「へえ、それでその暗い雰囲気の娘のことが気になってると」
男「うん」
友「で、それは恋愛には関係ないと」
男「うん」
友「それは単にお前が自分に鈍いだけじゃないのか?」
男「え?」
友「いや、なんでも。それで男はその娘と話したいんだろ? なら簡単、何でもいいからとにかく話しかけてみればいいじゃねえか」
男「簡単て……それが出来たら苦労してないんだけど」
友「雰囲気とか気にすんなよ。それに多分その娘一年だろ。先輩が気兼ねすることない」
男「……じゃあ、頑張って見る」
友「まあ、気楽にやれや」
ガタンゴトンガタンゴトン
男「……」
少女「……」
彼女は相変わらず暗いオーラを纏ったままだったが、僕は友の言うとおり勇気を振り絞って隣の席を陣取り、思い切って話しかけてみた。
男「風が吹くと寒い」
少女「……え?」
その娘は弾かれたように顔をあげた。
とても驚いたような、困ったような顔をしていた。
男「えと……その……」
男(ど、どうしよ。こんな反応されるとは……いや、当たり前か)
少女「どうかしましたか?」
男「君と話がしたいなと思ってさ」
少女「そうですか。それではその前に聞かせてください」
男「ん?」
少女「私をみてどう思いますか?」
男(……なにこの質問)
男「ちっちゃくて可愛いなって」
少女「……」
男(ハッ、何言ってるんだ僕は)
男「あ、いや、その……別に変な意味じゃなくてね」
少女「いいんです、なんとなく分かってましたから」
男「分かってたの!? そんなにロリコン変質者みたいな顔してるかな僕!」
少女「ええ、とても」
男「なんだと……」
少女「冗談ですよ、そういう意味で言ったんじゃないです」
男「そっか、よかった」
それから毎日のように、電車の中でいろんな話をした。
その娘は意外にも人見知りしないようで、すぐに仲良くなれた。
名前は少女と言うらしい。
そんな中、一つ気になることがあった。
電車が小高い山の下のトンネルを通過する時、少女の負のオーラが何倍にも増加するような気がしたんだ。
理由は聞けなかった。
地の文修正前の奴投下してしまった……
死ぬほど恥ずかしいけど次から地の文消して修正した方の書き溜め投下しますごめんなさい
男「おはよう友」
友「おっす、少女ちゃんとはどうだ。上手くいってる?」
男「おかげさまで。相変わらず暗いオーラを漂わせてるけど」
友「ふぅん、それが素なんじゃねえの?」
男「そうかな。でも、なんとなくそうじゃない気がするんだよ」
友「そうかい、先輩に話しかけられて緊張してるとかそういうことなんだろ」
男「うーん、そうなのかな」
女「何のはなし?」
友「ん、女か。それがな……」
女「暗い女の子?」
男「うん。見た目は凄く可愛らしいんだけどね。少女ちゃんって言うんだけど」
女「……」
男「どうかした?」
友「聞いてやるなよ男。ヤキモチだよヤキモチ。お前が可愛いなんて言うから」
女「はぁぁ!? 違うし! そんなんじゃないし!」ポカポカ
友「いてて、まあそう怒るなって」
男「本当、2人は仲いいなあ」
ガタンゴトンガタンゴトン
男「……ってことがあってね」
少女「仲がいいんですね」
男「うん。友とは幼稚園からの幼馴染だしね。腐れ縁ってやつ」
少女「幼馴染……ですか」
男「ん? どうかした? 少女ちゃん」
少女「……いえ、なんでもなかったです」
男「何か悩んでることがあるなら遠慮なく言ってね。できる限り力になるよ」
少女「そうですか、ありがとうございます。でも悩んでることなんてないですよ」
男「……そう?」
少女「はい」
男「少女ちゃんに距離おかれまくってる気がするんだ」
友「前にも言ったろ。歳上だし気使ってるんだよ」
男「気使ってるようには見えないんだけどなぁ。むしろ言いたいことはバリバリ言ってきてくれてると思うんだ。よく罵られるし」
友「へえ?」
男「でも時々、ホント時々だけど話してる最中に突然暗くなって、なにも答えてくれなくなることがあってね。普段も暗いんだけど」
友「誰にでも言いたくないことの一つや二つはあるだろうし、そんなに気にするようなことじゃないと思うぞ」
男「んー……そうかな……」
ガタンゴトンガタンゴトン
男「どう? もう一ヶ月になるけど、学校には慣れた?」
少女「はい、新しい環境に対応するのは早い方ですので」
男「そっか、それならいいんだけど」
少女「先輩は部活とかされてないんですか?」
男「やってないよ、だから毎日が暇で暇で。少女ちゃんは?」
少女「私もです。毎日帰るのが早いようなので気になったのですが、意外ですね。運動とかしてそうに見えますが」
男「そう? 嫌いじゃないけど自ら進んでやろうとは思わないかな」
少女「そうですか」
男「少女ちゃんは普段学校でどんなことしてる? 昼休みとか」
少女「昼休みですか。そうですね、友達と話したり特に変わったことはしてないですが」
男「そう、それじゃ……さ」
少女「はい?」
男「今度一緒に昼ご飯食べない? 少女ちゃんの都合があうときでいいからさ」
少女「え、それはどうして」
男「もうちょっと少女ちゃんと仲良くなりたいなあって思って」
少女「……そうですか。分かりました。明日は大丈夫ですか?」
男「いいの? よかった! じゃあ、昼休みになったら教室まで迎えに行くから。えと……何組だっけ」
少女「3組です。食堂で食べますか」
男「そのつもりだよ。流石に他学年の教室で食べるのは気が引けるしね」
書き溜めはここまでです
最初に言うべきだったんですが原因不明の不思議な話とかを物語の中心に入れて行く予定なのでそういうのが苦手な方はごめんなさい
後、友が多く出てきますがホモではありませんのでご注意ください
二日に一回投下以上のペースで行きたいと思います
少し書き溜めたので投下
あと原因不明の不思議な話って日本語になってなかった
超常現象に修正
友「いやー、まさかここまで仲良くなってるとはなあ。びっくりびっくり」
少女「……」
男「はじめは僕もここまで仲良くなれるとは思わなかったよ。よかったよか、いたあぁ!?」
少女「どういうことですか。どうして先輩の友達がいるんですか。2人きりで仲を深めたいんじゃなかったんですか。これじゃ昨日期待して眠れなかった私が馬鹿見たい――」ヒソヒソ
男「あ、あれ、まずかった? 二人でとは言ったつもりはないんだけど……。え? 期待した?」ヒソヒソ
少女「いえ、やっぱりなんでもありませんでした。気のせいです、忘れてください」
男「あの、なんで拗ねてるの?」
少女「何を言ってるんですか。全くぜんぜんこれっぽっちも拗ねてないですよ」
男「いや、絶対拗ねてるでしょ。理由言ってくれないとわからないよ。ねえ」
少女「分からない人ですね。拗ねてません」
男「ええ……」
友「おいおい仲良くなりすぎだろ……」
友「お前さん、どうやってあそこまで仲良くなったんだよ。羨ましすぎるぞ、おい」
男「友に言われたように遠慮せずに話しかけて見たら意外に気さくな子でね。まるで昔から友達だったかのように、すぐに仲良くなれたよ」
友「そうかい。女といい少女ちゃんといいお前ってやつは……」
男「ん? 女? なんで女が出てくるの」
友「あぁもう知らね。知ってても教えねえよ、ちくしょう」
男「えぇ……その顔は絶対何か知ってるでしょ友、別に教えてくれたって……」
友「んなこと言われたって俺もそんな経験は皆無だからな。テキトーなことは言えねえよ」
男「たまに友の言ってることがわからない時があるよ」
友「……えっと、お前も気づいてるだろ? 女がお前をどう思ってるのか」
男「女が? ……あぁ」
友「それだよ、そういう話」
男「でも少女ちゃんは違うでしょ」
友「いやぁ、ありゃどう見ても……」
男「ないない。だって話し始めてまだ10日くらいだよ? 一ヶ月くらいたってるならまだしも」
友「うーん、時間は関係ないと思うが……っていうか女の気持ち気づいてんじゃん! だったら早く何とか言ってやれよ、可哀想だろ!」
男「でもさ友、告白してもないのに突然フラれたらどう思う? 突然あなたとは付き合えませんとか言われたら」
友「うぉ、そりゃ確かに酷いな……。っつーか断るのかよ、いいじゃん女」
男「いやあ、なんとなく」
友「なんとなくって……。まあその辺はお前の自由だしな。俺は何も言わねえよ。それと」
男「それと?」
友「……確かに少女ちゃん暗いな。話してるだけじゃ何ともない気がするが、ありゃ普通じゃない」
男「……うん」
ガタンゴトンガタンゴトン
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「……あの、まだ拗ねt少女「ないです」
男「……」
少女「……」
男「あのさ……よかったらまた今度昼休みに」
少女「……」
男「今度はさ! 二人だけで! 友や他の人は呼ばないから!」
少女「……考えておきます」
女「おーとこ! 弁当作ってきたよ!」
男「……おお、いつも悪いね」
女「昨日も作ってきたのに、男すぐにいなくなっちゃってて。もう、どこ行ってたのよ」
男「うわゴメン、なんか悪いことしちゃったね。昨日は食堂で食べたんだ」
女「もう、これから食堂で食べる時は前日に言ってね」
男「いや、別に作ってくれなくても」
女「一人分作るのも二人分作るのもそんなに変わらないから大丈夫よ!」
男「僕の精神衛生的によくないんだけど……」
女「……え? そんなに嫌だった……?」
男「あ、いや。申し訳ないなって意味でね! 嫌じゃないよ! むしろ嬉しいよ!」
女「ほんと!? それならよかった! もう、そんなに遠慮しなくても大丈夫だって毎日言ってるのに」パァァ
男「あ……」
女「じゃあ明日も作ってくるから! 弁当とか持ってこないでよね!」
男「そんな、連日悪いよ……」
女「いいって何度言えばわかるの。男は何も気にしなくていいの! 私が好きでやってるんだから」
男「……むぅ」
友「お前……やっぱ早いうちになんとかしといた方が……」
男「うん……僕もそう思い始めたところ……」
取り敢えずここまで
gwの間は毎日投下するかもです
っていうかその間に終わるかも
友「しかし、もったいねえなあ」
男「んー? 何が?」
友「女だよ。なかなか無いぜ。あんな可愛い子にあそこまで好かれるなんてこと。俺なら喜んで突き合うが」コシフリ
男「動きが卑猥過ぎる!? いやぁ、やっぱり友はエロいなあ」
友「なんだよ、お前だって似たようなもんだろ。昔よく一緒にエロ本見た仲じゃねえか」
男「無理矢理見せつけられた思い出なら。友は生まれながらにして変態だったね」
友「おうよ! なんつったって男のロマンスだからな。本能には抗わない主義なんだ」
男「はは、友らしいね」
友「あぁ、それとさ。男」
男「うん?」
友「少女ちゃんの事なんだが。あれは大丈夫なんだろうか」
男「少女ちゃん? えと、あれって?」
友「あれっつったらあれだよあれ。暗いオーラのこと。話してみれば普通の女の子みたいだけど、あの雰囲気で友達とかできるのかね」
男「……なんだと…………」
友「いや、俺の考えすぎかもしれねえよ? ただ予想以上のオーラだったし、あり得ない話でもないかなってな」
男「十分あり得るよ! 僕だって友に後押しされなきゃ一生話しかけられなかったかもだし! これはこうしちゃいられない!」
友「おいおい待て待て。何するつもりだよ。……っておいこら待てってちょっと落ち着け」
男「1年生のみんなに少女ちゃんの魅力をお届けしないと! 一人ぼっちの少女ちゃんなんて僕は見たくないよ!」
友「はいはい分かった。分かったからちょっと待て。その前にその手段を考えないとかえって少女ちゃんの迷惑になるかもしれんだろ」
男「策ならあるよ! だからちょっと職員室に」
友「こらこらほんと落ち着けって。まずその策を説明しろよ」
男「ビラ配りだよ! 少女ちゃんの魅力をびっしり書き詰めた紙を1年生のみんなに配って回るんだ!」
友「迷惑過ぎる!? それは少女ちゃんに人がよりつかなるどころか肝心の少女ちゃんが学校にこれなくなる可能性があるぞ!」
男「そうだけど……じゃあ、どうしろっていうのさ」
友「分かってたんかい。分かっててそれしか思いつかなかったとかどんな思考回路してんだよお前」
男「そんなことよりさ。事態は一刻を争うんだ! どうすれば少女ちゃんの魅力をみんなに知らせることができるか考えないと!」
友「そうだな……じゃあさ」
男「何か思いついたの友」
友「お前が少女ちゃんの教室に行って二人でわいわい話してみるってのはどうだ。出来るだけ明るく賑やかに。何人か寄ってくるかもしれんぞ。それにお前顔いいしいけそうかも」
男「おお、いいね! よしじゃあ行ってくる!」
友「くれぐれもやり過ぎんなよ」
男(出来るだけ明るく、よし)
ガララッッ
男「少女ちゃんはいるかな!!!僕だよ! 変態だよ! ……おっと噛んじゃった。先輩だよ! 男だよ!」
クラスメイト一同「……」
少女「……」
男「えと……あ! いた! 少女ちゃん!! 少女ちゃん? あ、ねえちょっと待ってよどこいくの」
少女(誰ですかあなたは。近寄らないでください不審者。関わらないでください変質者。帰ってください変態)
男「……あれ不思議だな。少女ちゃんの心の声が聞こえてきたよ。これも僕らの信頼の証だよね。でもなんでだろう、涙が出ちゃう」
少女「……」スタスタ
男「あっ、待ってよ待っぐえっ!」グイッ
男「ん……?」
クラスメイト女1「少女に何するつもりですか?」
クラスメイト男1「おい……どうするよ……」ヒソヒソ
クラスメイト男2「どうするったって……先生呼ぶくらいしか……」ヒソヒソ
クラスメイト女2「じゃあ、私呼んで来るよ」ヒソヒソ
クラスメイト男1「待てよ。このタイミングで教室から出るとか何されるか分からんぞ……。俺が行く」ヒソヒソ
クラスメイト女2「クラスメイト男1くん……」キュン
男「ちょっと!? 待ってよ! 何か誤解があるよ!」
クラスメイト女2「きゃぁああああ!!!」
クラスメイト男2「くっ……ここは俺が食い止める! お前はその隙に行け!」
クラスメイト男1「クラスメイト男2……お前のことは忘れないぜ……。死ぬなよ」
クラスメイト男2「ああ。この戦いが終わったらクラスメイト女1ちゃんに告白するんだ……」
男「ぎゃああああ!! なんか大変なことになってるー!! 助けて少女ちゃん!」
クラスメイト女1「大丈夫? あいつに変なことされてない?」ヨシヨシ
少女「それはもうこの場で語ることはできないくらい色々と」
クラスメイト女1「やっぱり……。こいつ……!」
男「いやああああああ! 僕はそんなことしないよ! 誰か僕の無実を証明したげて!」
少女「なんて冗談だよ。離してあげて」
クラスメイト女1「ホントにー? こいつに脅されてるんじゃない? 潰すなら今だよ」
男「潰すってなに! せっかく少女ちゃんが無実を証明してくれたっていうのに!」
少女「ホントだよ。先輩はそんなことする人じゃない。多分」
男「そこは言い切って欲しかったな」
クラスメイト女1「うーん……少女がそこまで言うなら……」
男「はあ……助かった……」
少女「で、何の用だったんですか? あんなへんた……ハイテンションで」
男「ああそれがね、少女ちゃんちゃんと友達いるのかなあって思ってさ。いなかったら僕がなんとかしてあげようかと」
少女「友達くらいいますよ。なんでそんなまた……」
男「だって、あ……」
少女「はい?」
男「いや……なんとなく……」
少女「……ああ。そのことなら大丈夫ですよ。自分から話しかけたらみんな優しくしてくれますし」
男「うん。それが確認できたからいいんだ。じゃあ僕はこれで」
少女「はい。わざわざありがとうございました」
男「そんな、僕は迷惑かけただけだったし」
少女「そんなことないですよ。とても嬉しかったです」
男「嬉しかった?」
少女「………クラスのみんなが歳上の変質者から助けてくれたことがです」ギュィッ
男「いたあっ! なんでつねるの!」
少女「……」フイッ
友「お前やらかしたらしいな」
男「言わないで」
今日はここまで
最後まで物語の簡単なフローチャートみたいなものを作ってるのでサクサクいけそうです
gw中に最後まで行きたいと思います
男「あっ、少女ちゃん。今帰り?」
少女「はい。一緒に帰りますか」
女「待って男! 駅まで一緒に帰ろ。……っ」
少女「……っ!?」
男「……うん? 二人ともどうしたの? もしかして知り合いだったとか」
少女「……いえ。勘違いでした。始めまして、少女です。男先輩とは仲良くさせていただいてます」ペコリ
女「……そ、そう………ごめんね、びっくりさせちゃったかしら。ちょ、ちょっと用事思い出しちゃった。私、先帰るね」タタッ
男「あ、女。どうしちゃったんだろ……。少女ちゃん? どうしたの、具合悪い?」
少女「いえ……大丈夫です。帰りましょう」
男「……ってことがあってね」
友「お前それヤバイよ。やっぱりそろそろ女との関係ははっきりさせとくべきだ。このままじゃ傷つけることになる」
男「そうかも……」
友「お前と少女ちゃんの仲のよさ見たらそうなるのも無理ないよ」
男「……」
友「とにかく。出来るだけ早めになんとかした方がいいぞ」
男「……うん」
ガタンゴトンガタンゴトン
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男(……あれ以来話しかけづらいな。まるであの時に戻ったみたい……)
男「……」
少女「……」
男「少女ちゃんとの縁が危ないかもしれない」
友「……は?」
男「あれから妙に話しかけづらいんだよね。なんだかんだでほんの少しは暗い雰囲気も薄れてきた気がしてたんだ。でもそれが元に戻ったみたいっていうか……」
友「それで、一度も話してないのか。それから」
男「……うん」
友「お前なあ。然程重要じゃない時はすげえ行動的だけど、肝心の時だけは何もできねえな。女のことといいそのことといい。まあ昔からの仲だし分かってるが」
男「……」
ガタンゴトンガタンゴトン
男(それでも同じ車両に乗ってくれるし嫌われたわけではないんだろうけど……)
少女「……」
男(本当、僕は肝心な時に何もできない)
dqn1「お? この娘可愛くね?」
dqn2「マジじゃん、やっべ俺たちロリコン」
dqn3「よく見ろよ。これ近所の高校の制服だぜ。ギリギリセーフだろ」
dqn2「へへへ、嬢ちゃん俺たちと遊ばね? 別に怪しいモンじゃねえからさ」
少女「……」
dqn1「あれ? 無視? ねえねえ無視?」
dqn3「お前たちがガラ悪いから緊張してんだよ。ここは俺が」
dqn2「お前はガラがどうこう以前に顔がゴミだから論外」
dqn3「んだと、てめぇこら!」
dqn1「まあまあ、落ち着けって。な? いいだろ? ちょっと付き合ってもらうだけだから」
少女「……」
dqn1「チッ……おらこい!」グイッ
男(………)
マモナクージヒョウエキー
オオリノカタハムカッテヒダリガワ…
ガララッ
男「少女ちゃん!」ダダッ
少女「……!」グッ
dqn1「あ! ちょ、こら待て!!」
男「うわ、追ってくるよ。どうしよ……」タッタッタッ
少女「……はぁ……はぁ……」タッタッタッ
男(少女ちゃんも限界みたいだし、こうなったら……)
男「ちょっとごめんよ!」ダキッ
少女「ふぇっ!? ちょ……」
dqn2「くそ……見失った……」ハァハァ
dqn3「いや……見つけた。あの道路の向かい側」
dqn1「おい、あいつらバスで逃げようとしてんじゃ……」
男(……と見せかけて。バスであいつらの死角に入った隙に物陰に隠れる)
少女「ちょっ、せんぱ、どこさわっ」ジタバタ
dqn1「おい、バスもう着いちまうぞ!」
dqn3「俺たちが必死に急ぐそぶり見せたらまだ停車する可能性はある」
dqn2「……よし、止まった!」
ブロロロー
男「……ふぅ、ドキドキしたね」
少女「……いい加減離してください。叫びますよ」
男「いいね。聞いてみたいな少女ちゃんの叫び声」
少女「……この状態で私が叫んだらどうなるか、分かりますね」
男「ん……? あれ? なんかすごい注目されてる?」
ヒソヒソヒソヒソヒソヒソ
少女「無自覚変質者でしたか。最低です。もう口も聞きたくないです。ついでに110番もしておきましょうか」
男「変質者!? どうして、僕は君を助けたんだよ!? そんな僕を……ちょっと、携帯を手に取るのはやめてもらえるかな」
少女「……はぁ」
取り敢えずここまで
夜にまた投下するかもです
暇すぎてどんどん進んじゃう
取り敢えず今から投下するのをターニングポイント?にして明日別の話でワンテンポ置いてそれから2回投下して終わりにします
男「やったよ友。なんとか少女ちゃんと話せた」
友「ほお、あのウジウジしてたお前がね。やるな」
男「なんか流れに任せる感じになっちゃったけど結果オーライだしいいや」
友「そうかいそうかい。それより来週から夏休みだろ。どうだ、久々に二人でどっか遠くにでも」
男「おおいいね。いつにする? 7月は少女ちゃんと遊びに行く予定だから無理かも」
友「おう、そうだった。それなら旅行は無理だな。そういや女もお前と遊びたがってたし」
男「え……でもそんな……」
友「いいって、いいって、気にすんな。代わりにどっかその辺のゲーセンとかにでも行こうぜ」
男「友……」
友「その代わり女のこと、夏休み中にちゃんとなんとかしとけよ」
男「うん……頑張るよ、友」
友「それにしても仲直りしたそばから遊ぶ約束か。どんだけ仲いいんだお前ら」
男「ああそれはね」
友「ん?」
男「相変わらず少女ちゃん暗いじゃん? あれには何か理由があると思うんだよね」
友「理由? ……いじめらてた、とか?」
男「そこまでは分からないけど、あれは素の少女ちゃんじゃ無いと思うんだ。本当はもっと、人一倍明るい子なんだよ。きっと」
友「自信ありげだな。……で、一緒に遊ぶことで少女ちゃんを素の状態に戻そうということか」
男「まあ一応それもあるけど、それだけじゃ多分ダメなんだ」
友「何でだよ。それにお前は気づいてないかもしれないが………いや、やっぱいいや」
男「僕といる時はちょっとだけ暗いオーラが薄れてる、って言いたかったんでしょ? でも僕がどうかするだけじゃ多分ダメなんだよ」
友「おおう……自分で言っちまいやがったよ。自慢にしか聞こえん……」
男「ああ、それとね」
友「ん?」
男「さっき、少女ちゃんのあれには何か理由があると思うって言ったけど、一つだけ心当たりがあるんだ」
友「へえ」
男「この学校の前の通りをずっと行ったところに小さな山があるでしょ。ほら、下に電車が通るトンネルが掘られてる奴」
友「ああ、あの小高い山か。あれがどうかしたのか」
男「毎日少女ちゃんと一緒に電車で帰ってるんだけど、あのトンネルを通る時だけ雰囲気が違いすぎるんだ。もうびっくりするくらい暗い」
友「あの山に何か理由があるかもしれないってことか……」
男「そういうこと。何かあの山について知らない?」
友「知ってるも何もあの山はそうとうの曰く付きだよ。何でも神隠しがどうとか……ってか昔もしなかったか、この話」
男「あんな小さい山で神隠し? 僕もちょっと前まではよく遊びに行ってたけど知らなかったな」
友「お前も知ってるだろ? 一年前くらいにこの辺で行方不明事件があったの。あれがあの山だって噂がある。まあ神隠しの噂はもっと前からあったみたいだけどな」
男「それで人がいなかったのか。春は頂上の桜がすごく綺麗なのに」
友「まあ所詮噂だけどな」
男「まあいいや、ありがとう」
友「ああ。……そういや俺もあの山嫌ってる奴見たことあるな……誰だったか……」
男「ふぅん」
少女「先輩から誘っておいて1時間も遅刻するとはどういうことですか。忘れられたのかと思いましたよ」
男「本当にごめん! 途中で女に捕まっちゃって……」
少女「…………女さんと一緒に遊びたかったのですか。なるほどなるほど」
男「いやいや違うよ!? 本当は直ぐにでも少女ちゃんの所に行きたかったよ! でも女、ちょっと困ってたみたいだったから」
少女「そうですね、女さん美人ですしね。わかりますよ。ええ」
男「話聞いてないよね!? なにか誤解があるよ」
少女「大丈夫です。全て分かってますよ」
男「わかってない! その顔は絶対わかってない!」
少女「ちょっと用事を思い出したので帰ります。先輩は女さんと楽しくやってればいいんじゃないですか」
男「なんでそうなるの! 遅れたことは謝るからさ! 機嫌直してよ」
少女「私のどこが機嫌が悪いと言うのですか。先輩は時々変なことを言いますね」
男「僕の足を踏みながら言っても説得力皆無だからね。それにこんなこと言うのもなんだけど、今は少女ちゃんのことの方が大事だよ! だから少女ちゃんが一緒に出かけてくれる気になるまでこの大通りで全力で土下座し続ける覚悟もできてるよ」
少女「恥ずかしいのでやめてください。それじゃ本当に変質者じゃないですか。先輩はそういう性壁の持ち主だったのですか」
男「違うからね!」
少女「まあいいです。先輩が警察に捕まってしまうのもアレなので帰るのはやめてあげます」
男「そっか、よかった。機嫌もなおったようで」
少女「で、どこに行く予定なんですか?」
男「うーん、女の子と一緒に遊んだ経験なんてほとんどないからわかんないや。少女ちゃん決めてくれないかな?」
少女「全くの無計画で誘っちゃったのですか。何がしたいのかさっぱり分かりません」
男「えと……少女ちゃんと一緒にいたいっていうか。もっと親しくなりたいな……なんて……」
少女「……」
男「……」
少女「……そうでしたか。じゃあ、映画館にでも行きますか。最近凄く流行ってるのがあるみたいですが」
男「ああ、いいね! そうしよう」
男「いやあ意外だったな。少女ちゃんがあんなアクションものに興味があったとは」
少女「よく言われます。そういう先輩は興味なかったんですか?」
男「大ありだよ。憧れるよね、ああいうヒーロー。昔は本気でヒーロー目指したこともあったくらいだよ」
少女「微笑ましいですね。ちょっと詳しく聞きたいです」
男「恥ずかしいので無理です。やめてください」
少女「これは一日かけてでも問い詰める必要があるようですね」
男「そこまでする!? やめてよ! もし気が向いたらいつか話すからさ! 気が向いたら!」
少女「すごい拒否様ですね。そこまで言われると余計聞きたくなっちゃうんですが。しょうがないですね。また今度にしてあげます。」
男「……話すんじゃなかった」
男「さて、次はどうしようか」
少女「もうこんな時間ですしお昼ご飯でも食べませんか」
男「えっ、もうそんな時間か。じゃあ適当にその辺の喫茶店で食べようか」
少女「そうですね、それではあそこなんてどうでしょうか。人少なそうですし待たなくて良さそうなので」
男「うん」
ガラガラ
女「あ、いらっしゃ……え!? お、男!?」
男「おお奇遇だね。バイト?」
女「えと、そういうわけじゃないんだけど……なんて言えばいいのか……」
男「入ってみると良い雰囲気の店だね。今度は友も誘ってこようかな」
女「て、てゆうか! なんでこんな店に!? 私が言うのもなんだけど、外装最悪だと思うんだけど!」
マスター「おいおい、酷い言いようだな」
女「!? いつの間に帰ってきたの!? ごめんなさい!」
マスター「はは、それにしてもお客さんが二人も。こんな時間に珍しいな。しょ…女の友達かい?」
男「はい。それにしても女バイトしてたのか。それで急いで帰ったりする時があったのかな」
マスター「いや、それはね……」
女「そ、それより男も、そんなに平然としてないでもうちょっと驚いたりしてもいいんじゃないかしら! 私だけ動揺してて恥ずかしいんだけど!」
男「そういえば女がそこまで動揺するなんて珍しいな。これは目に焼き付けておかないと」
女「な、なななななっ///」
男「それにね、僕だって一応驚いてるんだよ。諸事情で動けないだけ。ちょっとでも動くと今にも背中の肉が抉り取られそうで」
女「背中……? ……っ!?」
オーナー「……」
男「あの、少女ちゃん。そろそろ僕の背中の肉を虐めるのはやめてあげてくれないかな。そろそろ千切れそうなんだけど」
オーナー「……ここにずっと立ってるのもなんだし取り敢えずカウンターに座ってなさい」
女「……そ、そうだった! 注文はどうする? いろいろあるけど」
男「あんまりお腹空いてないし、サンドイッチ2つでいいや。少女ちゃんはどうする? ………少女ちゃん?」
少女「…………」
女「……」
男「あ……えっと、じゃあサンドイッチ二つだけお願い」
女「……かしこまりました、少々お待ちください」
女「はい、お待たせしました」コト
男「ありがと。ほら少女ちゃん、サンドイッチだよ、おいしいよ」
少女「……ありがとうございます」
男「…………」
女「……」
マスター「……」
男「……じゃ、そろそろ出ようかな。なんかいろいろごめん」
女「い、いえいえ。気をつけてね」
男「少女ちゃん大丈夫? 抱っこして帰ろうか?」
少女「……」ブンブン
男「なんという素早い反応。それだけ元気があれば大丈夫だね」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「………ねえ」
少女「………」
男「………」
少女「……なんですか」
男「……僕不器用だからさ、単刀直入に聞くけどいい?」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「……」
少女「……」
男「……どうしt少女「先輩は」
男「ん?」
少女「先輩はもし、先輩の一番の親友を自分の手で殺してしまった時、どんな気持ちになりますか」
男「……え?」
少女「もちろん先輩はそんなことしないでしょう。でももし、自分の行動が結果的ににその親友を殺すことに繋がってしまったとしたら」
男「ま、待って待って、どういうこと? 何をいきなり……」
少女「……先輩は私が今のようになってる理由を聞きたかったんですよね」
男「……そうだけど、それと何の関係が……」
少女「ちょっと昔の話になりますが、いいですか」
男「……うん」
少女「………少し長くなるかもしれませんが」
男「……あの……話したくないなら無理しなくても……」
少女「……いえ、大丈夫です」
男「でも……」
少女「去年の春のことです」
今日はここまで
ごめんなさい上手く行けば今日投下しようと思いましたが中途半端になるのでまた明日にします
今日を入れずあと2、3日で終わります
果たして>>191まで進むのか
今日は過去編やります
少女が今から話そうとしてることとは違うので注意
ガタンゴトンガタンゴトン
男「ねえ友」
友「ん?」
男「友はどうしてあの高校を選んだの? 友みたいなお金持ちなら、あんな所よりもっといい私立だってあっただろうに」
友「あんな高校て。今まさに下見に行こうとしてるとこに酷い言い様だな」
男「なにか理由があったんじゃない?」
友「んー、まあ強いて言うなら女の子の評判が良かったからとかかな」
男「……」
友「おい、そんな顔で見てくるのはよせ」
男「さっき通った山のことなんだけどさ」
友「いきなり話題変えてきたな。さっきの小高い山がどうした」
男「毎年春になると頂上の桜が綺麗だよね」
友「そうだな。下から見ただけで頂上まで登ったことはないけどな」
男「帰りに花見に行ってみない?」
友「花見って……まだ全然咲いてねえじゃねえか。蕾だけ見てどうすんだよ」
男「今年は開花時期がかなり遅れてるみたいだね」
友「それにこの後用事あるからさ、また今度にしようぜ。俺が覚えてたらの話だがな」
男「えー」
友「結構いいところだったな」
男「そうだね」
友「それに可愛い女の子もたくさん見つけたし」
男「…………」
友「ほらほら、特にあの娘とか。 女って名前らしいんだけどさ。すっげえ美人だろ」
男「友……」
友「皆も帰り始めたしそろそろ出るか」
男「あ、僕はちょっとあの山によってくから先帰ってていいよ」
友「マジで行く気だったのかよ。やめといた方がいいと思うが」
男「なんでさ、蕾見るのも楽しいよ。まるで我が子の成長を眺めてるみたいで」
友「いや、そういうことじゃなくて……なんかいろいろ悪い言い伝えがあるんだよ。あそこには」
男「言い伝えとかそういうのは信じない主義なんだ」
友「……まぁ、一応注意したからな。気をつけろよ、マジで行くならだが」
男「はいはい」
男(友はああ言ってたけど、全然そんな雰囲気ないな)
男(ちょっと途中でちいさなお社を見かけたくらいで他には何もないし)
男「頂上にはあの桜以外木が一本もないのか。それで下からも見えたのかな」
男「それに人が一人もいない。結構いい場所だと思うんだけどな」
男(風が気持ちいい。……ああ、なんか眠くなってきた)
ガサガサ
男「!?」
男(……何だ今の音……まずい友があんなこというから余計に怖い……)
ガサガサガサガサ
男(言い伝えなんか信じてないつもりだったんだけどな……でも怖いものは怖いよね)
ガサガサガサガサガサガサ
男(うわ、もうダメ。必死になって目つむったけどもうすぐ側まで来てるよこれ。助けて誰か)
??「何してるんですか?」
男「ぎゃあああああああああああ!!!!!!!」
??「ひゃっ!!?」
男「誰か助けて!!」
??「ちょっ、どうしたんですかいきなり! 落ち着いて! 落ち着いてください!」ガシッ
男「うわっ! やめて掴まないで殺さないで! 僕は何もしてないよ!」
??「いたっ、暴れないでください!」
男「友……ごめんよ。君の忠告を無視したばかりに……」
??「何言ってるんですか」
男「でも最後まで諦めるわけにはいかないな。友、僕は戦うよ」
??「ちょ、ちょっと」
男「うおおおおおお!! ………へ?」
??「きゃああ!!」
男「…………」
??「……」
男「……怪物はどこへ行ったの……? どうして小さな女の子が泣きそうになってるの? 怪物にやられたのかな……」
??「………」
男「き、君も気をつけた方がいいよ。ここにはいろいろ良くない言い伝えがあるみたいだからね。じゃ、じゃあ僕はお先に……」
??「待ってください」ガシッ
男「……」
男「ごめんなさい……」
??「全くもう、何が怪物ですか。こんな街中の小さな山に怪物も幽霊も住み着いてないですよ」
男「だって友が……」
??「……はぁ」
男「それにしても君はどうしてここに? まだ桜咲いてないけど」
??「昔からたまに来るんですよ。なんとなく落ち着けますから。それに桜が咲いてても殆ど人は来ないと思いますよ」
男「え、どうして」
??「私も詳しくは知りませんが神隠しがどうとか……ああ、あなたはそれであんなに怖がってたんですか」
男「神隠し?」
??「私は信じてないですけどね。今まで何度もここに来てますが何も起こってないですし」
男「へえ」
男「でも確かにいい場所だよね。これなら毎日通いたいくらいだよ」
??「それは嬉しいですね。流石に一人だと寂しかったので」
男「友達とか誘って来ればいいのに」
??「一応誘ってはみたんですが、皆気味悪がっちゃって……」
男「皆? そんなに有名な言い伝えだったのか」
??「この辺の人なら多分皆知ってます。その制服はそこの高校のものですよね。いつか噂くらいは聞くと思いますよ」
男「君はこの辺に住んでるの?」
??「少し遠いですよ。五駅分くらい離れてます。昔は近くに住んでたのですが」
男「へえ、引っ越したんだ」
??「はい。でもどうしても別れたくない友達がいて、無理言ってこっちの中学に通わせてもらってます」
男「おお、いいねそういうの。好きだよ、厚い友情」
??「幼稚園からずっと一緒で、幼馴染みたいなものでしょうか」
男「幼馴染かあ、僕にも小さい頃からずっと一緒の幼馴染がいるんだけどね。凄い良い奴なんだけど、なかなかの変態で女の子を見る時だけ目付きがおかしいんだ。君も奴にあったら気をつけた方がいいよ」
??「ふふっ、仲が良いんですね」
男「まあ仲は良いかな。ってもうこんな時間か……」
??「もう帰りますか?」
男「ん、そうしようか」
男(いやあ、本当にいい場所だなあ)
ガサガサ
男「ぎゃあああ!!! 出たあああああ!!!」
??「ふふっ、昨日と何も変わってないですね。まさか全く同じ反応をされるとは思いませんでした」
男「なんだまた君か」
??「なんだとは何ですか、失礼ですね」
男「いや、そういう意味で言ったんじゃないよ! 安堵みたいな意味で言ったんだよ!」
??「本当ですか。『ちっ、また昨日のガキか。俺は一人がいいんだよ。早く消えてくんねえかなあ』みたいな意味は本当に含まれてませんか。信じて良いですか」
男「なんという破滅的な思考! 常に明るいオーラ振りまいてる君からは想像もできないような考え方だな! 心配しなくてもそんなこと1ミリも考えてないよ!」
??「そうですか。それは安心しました」
男「まあマイナス思考僕も同じなんだけどね」
??「そうなんですか? 全然そうは見えませんが。とても明るそうに見えますよ」
男「昔からよく幼馴染にウジウジしてる所を注意されるんだ。優柔不断っていうか。相手の出方をつい意識し過ぎちゃうんだよね」
??「ああ、分かります分かります! まず相手から動いてもらわないと何もできないんですよね! 私もですよ!」
男「そうそう! なんか僕たち似てるね。皆こんな感じなのかな」
??「少なくとも私の幼馴染は違いますね。それはもう積極的で」
男「友はどうなのかな……」
男(なんだかんだであれから最近通うようになったな……なんか魔力的なものが働いてるのか……ん?)
ガサガサ
男(……ふむ)
??「あれ、さっき人影が見えたような気がしたんだけど……」
??(約束もしてないのに毎日こんな所まで来てくれるわけないか。なんだかんだで昨日までは毎日会えてたけど……)
男「………わっ!!!」
少女「ひゃああああ!!!!!」
??「なっ、ななな! なんですか! 何事ですか!」
男「最初の頃散々驚かされたからね。ちょっと仕返しをと思って」
??「酷いです! 何ですかそれ! 私はおどかす気なんてなかったのに!」
男「怒ってる所も可愛いね。大人っぽいのが好みの友には受けそうにないけど」
??「かっ、かわ!? ってどういう意味ですかそれ! 私が子供っぽいとでも?」
男「ん? 違ったの?」
??「いつもながら酷すぎます! あなたはもう少し言葉を選んだ方が良いです!」
男「ああ、自覚はあったんだね。安心したよ」
??「なんですか、もしかして死にたいのですか」
男「君の口からそんな言葉を聞くことになろうとは……」
??「このっ! えいっ! えいっ!」ゲシッゲシッ
男「な、なかなか力あるね……まさか本気で殺しにくるとは……」
??「全くもう、今日はこれくらいで許してあげます」
男「……はい」
うわあああああああああ
少女って書いちゃったよ
もういいやどっちにしてもなんとなく分かりましたよねもう??ってするのも馬鹿らしくなってきた
一応男は少女って名前は聞かなかったということでお願いします
男「桜、満開になったね。相変わらず僕たち以外誰もいないけど」
??「ですね。こんなに綺麗なのにもったいない」
男「まあ僕はこうやって君と二人でいる方が好きだけどね」
??「なっ……」
男「たまにそうやって凄く赤くなるの可愛らしいね。つい撫でたくなっちゃう」ナデナデ
ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
男「すごい風だ」ナデナデ
??「何をするんですか。やめてください」
男「…………え?」
男「ご、ごめん。まさかそんなに嫌だったとは」
??「べ、べべ別に嫌じゃないですか……」
男「……あれ?」
??「どうしたんですか? い、嫌じゃないってそういう意味じゃないですよ! 勘違いしないでください!」
男「だって今……」
??「……どうしたんですか?」
男「……気のせい、かな」
??「……?」
男「じゃあ今日はそろそろ帰ろうかな、またね」
??「……」
男「どうしたの? 何か変なこと言ったかな。顔赤いよ」
??「……いえ、なんでも」
男「君は嬉しいと顔が赤くなるよね。すごく分かりやすくていいよ」
??「よく言われます……って、今赤くなってました!? 忘れて! 忘れてください!」
男「はっはっは、じゃあ帰るから」
??「もー! ……また明日!」
男(………って言ってたのに)
男「あれから一度もこないってどういうことだ……もう桜も散っちゃったよ……」
男「それに何故か人も増えて来たし……」
男「………」
男「………帰るか」
今日はここまで
ミスがいけなかった
なんのために書き溜めたのかと
>>152も訂正
??「べ、べべ別に嫌じゃないですが……」
いかん
ワロタ
でも言われるまで気づかなかったわ
>>162
気づかなかったって??が少女がってことですか?
それなら嬉しい反面なおさらミスが悔やまれてもうあああああああああああああ
しかも何故か思ったように書けなくなってしまい遅れてしまいましたごめんなさい
少女「私にはとても大切な親友がいました。同い年で幼稚園の時からずっと一緒の」
男「へえ、いいね。憧れるよ、そういうの」
少女「とても積極的でプラス思考の良い子でした。………でも、去年の春、彼女は行方不明になりました」
男「え……それって……」
少女「はい。去年あの山で行方不明事件がありましたよね、そのことです」
男「そんな……」
少女「先輩も知ってると思いますが、あの山には神隠しの言い伝えがあります」
男「でも、そんなことあるわけないよ」
少女「私もそう思ってました。そんなことあり得ないって。だから、彼女をあの山に連れて行きました。それまでは、とてもいい場所だと思ってましたので、とても仲の良かった彼女にもあの場所を知って欲しかったのです」
男「……そこで居なくなったと」
少女「はい。頂上で満開の桜を眺めてる時でした。私が目を離した途端、彼女は、少女友は行方不明になりました」
男「……でも、神隠しとかそんなのあるわけないよ。多分その噂に便乗した誘拐犯の仕業とか……だからまだきっとどこかに……」
少女「そうかもしれません。でもそうだったとしても、もう1年も見つかってません。だから彼女はもう……」
男「………それであのトンネルを通る時……」
少女「そうです。私が彼女を殺したも同然ですから。あのトンネルを通ると当時の事を思い出します。顔にも出てかもしれませんね」
男「そんな! 少女ちゃんが殺したんじゃないよ!」
少女「先輩は優しいですね。でも悪いのは私です。私があんな場所に連れていかなければ、少女友は……噂も知ってたのに」
男「違う、少女ちゃんは悪くない!」
少女「…………」
男「まさか、それで周りの人に何かされたんじゃ……」
少女「…………」
男「そんな……」
少女「でも本当に、悪いのは私なので」
男「違うって言ってんだろ!!」
少女「!」
男「少女ちゃんは何も悪くない、悪くないよ」ガシッ
男「あれから少女ちゃんに話しかけづらい……」
友「なんだまたかよ、何があったか知らんが普通に話しかければいいんだよ」
男「そう思ってあれから何度か遊びに誘ったんだけど、全部断られちゃって」
女「おーとこ!」
男「うあっ! 女? 意外だな、ゲーセンで会うなんて」
女「男たちがここに入ってくの見えたから追ってきただけよ。それよりどうしたの暗い顔しちゃって」
男「いろいろあってね……あれ、そう言えばあの時肝心なこと聞き忘れたような……」
女「?」
友「……あー、俺ちょっと用事思い出した。すぐに帰らなくちゃいけねえから後は二人でやってくれや。じゃな」
男「え!? どうしたの友、っていうかなに、何でウインクしてるの」
女「??」
男「あー、本当に行っちゃった」
女「え、えと……」
男(そういえば友、夏休み中に女のことなんとかしとけよとか言ってたな……これはそういうことなのか)
女「あの……これからどうする……?」
男「そうだな……女は行きたいとこある? 女の子と遊んだ経験なんてほとんどないから分からないんだよね。あれ、なんかデジャヴ」
女「えー、そういうのは男が決めてくれなきゃ」
男「うーん、前にああ言った時は確か…………そうだ、映画館とかどう?」
女「いいね! 丁度見たいものがあったの!」
男「へえ、何?」
女「ほら、最近流行ってるあのアクションものの」
男「あの子と同じもの選ぶんだね。そんなに流行ってるのか」
女「あの子?」
男「いや、なんでも。じゃあ行こっか」
女「あー、楽しかった!」
男「やっぱ流行ってるだけあって何度見ても面白いな」
女「何度? 見たことあったなら言ってくれたら良かったのに」
男「いやいや、それ以外に見たいものもなかったから。いいんだよ」
女「……なんか男ってさ、私に対して遠慮し過ぎじゃない……?」
男「そんなことないよ。少なくとも今のは」
女「少なくともって……」
男「あ……」
女「まずはあそこ行こ!」
男「へえ、あんな所があったのか」
女「ねえねえ! 次はこっち!」
男「ははっ、ちょっと落ち着こうよ」
女「わぁ! 何かしらあれ! あっちにも行ってみない!?」
男「はっはっは、女は元気だなあ」
女「あれも楽しそう! あっちにも行ってみようよ!」
男「え……でもあれかなり並んでるし……」
女「良いから良いから!」
男「う、うん」
女「次はあっち!」
男「ちょ、ちょっと待って……休憩させて……」
女「えー、もう休憩? そんなんじゃ生きてけないよ男」
男「もうって……」
女「じゃあじゃあ! 休むのも兼ねてあれ乗ろうあれ! 観覧車!」
男「うん、それなら」
男「ああ……疲れた」
女「もー、情けないよ男」
男(っていうか、これは友との約束を果たす絶好のチャンスだな。今のうちに女になんとか言わないと……)
女「男?」
男「えと……あのね、女」
女「どうしたの?」
男「えっと……その……」
女「?」
男(……何て言えばいいんだ……。『ごめん、君とは付き合えない』? いやいや、何の脈略もなくこれを言うのは意味不明すぎる……)
女「男……?」
女「今日の男、なんか変だよ」
男「………え?」
女「どこか上の空というか……何か考え事でもしてるみたいな」
男(確かに、あれから少女ちゃんのことが頭から離れない。そのことか)
男「……ごめん」
女「何か悩んでることがあるなら言ってよ。私にできることなら力になるよ」
男「いや……これは女には関係ないから……」
女「……そう。あ、もう一周したね、降りよっか」
男「……うん」
男(結局何も言えなかった……)
女「んー! 今日は楽しかったよ! ありがとね男!」
男「あ、うん。そうだね、こちらこそ」
女「出来ればまた今度、男の悩みが解決した時に誘って欲しいかな! なんちゃって! えへへ!」
男「うん」
男(夏休み、長かったな……)
友「おっす男! こないだはどうだったよ」
男「……それが………」
友「……は? それで、ただ一緒に遊んだだけで、何もできなかったって言うのか?」
男「……うん」
友「その観覧車でのタイミングのがしても、また夏休み中の他の日に誘うこともできただろ」
男「………」
友「女がどんな気持ちでいるのか分かってんのか?」
男「……」
友「煮え切らねえ野郎だな。お前はいつもそうだ。昔から何も変わらない、何も成長しない」
男「……」
友「もう知らね、付き合ってらんねえわ。勝手にしろ」
男「友……」
ここまで
著しくペースが落ちましたがなんとか今日中に終わらせる予定です
乙
ごめんなさい非常に分かりにくかったですね
読み直して見ても次第にいろいろ酷くなってきてるしこれはまずい
23時ごろ投下するのでそれが終わって疑問があったら答えさせてもらいます
なんとか間に合った
この投下で最後になります
女「あっ、男! ……あれ友は?」
男「……うん、ちょっと喧嘩しちゃってね」
女「二人が? 珍しいね。早く仲直りしなきゃダメだよー」
男「……うん」
女「……ってことは、今男は一人なんだ」
男「そうだけど」
女「…………じゃ、じゃあ。昼休み、屋上に来てくれないかな。大事な話があるの」
男「………分かった」
少女(あれから、私と通りすがる人皆振り返ってくるな……そんなにまでなっちゃってるのかな)
少女(これじゃ、昼休み教室に居づらいし屋上にでも行こう)
男「お待たせ。話ってなに?」
女「えっと……私ね……」
男「……」
女「………」
男「………」
女「……本当は今すぐにでも言いたいことがあるんだけどね。相変わらず男は悩んでるみたいだし、少しはそれを晴らしてからにしようと思うの」
男「僕の悩みを晴らす……?」
女「ええ、少しは晴れると思うわ。今から話すことを聞けば」
男「……どういうこと?」
女「……信じられないかもしれないけど、私ね、この世界の人間じゃないの」
男「……はい?」
女「って言うと語弊があるかもしれないわね。もちろんこの地球で生まれこの地で育ってきたのよ。でも今、本当の私はいないことになってるの」
男「ちょっと……何言ってるのかさっぱり……」
女「戸籍にはもちろん本当の私の名前はあるんだけどね」
男「……できれば回りくどい話し方しないで、結論から話してくれないかな」
女「まあそう焦らないで。去年、そこの山で行方不明事件があったのは知ってる?」
男「……!」コクッ
女「あれの被害者が私」
男「……え?」
男「いや、そんな訳……」
女「信じられない? まあそうよね。事件が起きたのは私たちが1年の時の春。1年の頃は最初から同じクラスだったもの」
男「だってそれに……あ、いや」
男(行方不明になったのは少女ちゃんの友達のはず……そしてその友達は少女ちゃんの同級生……だから女がその被害者な訳ないんだけど、これを勝手に言うのは少女ちゃんに悪いな)
女「あ、もしかして少女から話聞いた? それなら話が早い」
男「!!」
女「私が行方不明になった少女の友達。だからこの間、ウチの店に来た時、あんなになってたんでしょうね」
男「で、でも、少女ちゃんは友達のことを同い年だって言ってた。女は当てはまらない」
女「私ね、誰かにさらわれたり、神隠しにあったわけじゃないの」
男「……」
女「あの山の噂は間違ってるわ。不思議な力が働いてるのは本当だけど、神隠しじゃない」
男「……」
女「私は過去に飛ばされたの。あの山に」
男「と、唐突過ぎて、意味が分からないよ」
女「そうね、私も分からないわ。でもこれであなたの考えてること、少しは解決したんじゃない? あの時の少女の雰囲気について悩んでたんでしょ?」
男「そうだけど……」
女「ならよかった。それじゃあ本題に入るね」
男「でも」
女「ん?」
男「……でも、過去に飛ばされた後、家に戻らなかったの? それにどれくらい過去に飛ばされたの?」
女「飛ばされた期間は丁度1年。それに家に戻れるわけないじゃない。その時はもう一人の私がいたんだから」
男「そうか……」
女「そんな時、路頭に迷っていた私を叔父が拾ってくれたの」
男「叔父ってまさか、あの喫茶店のマスター?」
女「そう。あの時は藁をもつかむような気持ちで全て叔父に話したわ。叔父はちゃんと信じてくれたし、家族にも内緒にしてもらってるの。私はもう少女友じゃなくて女として生きて行くことに決めたから。叔父も賛成してくれたわ」
男「でも少女ちゃんくらいには話してあげても……そうすればきっとあの雰囲気は……」
女「……いつか心の準備が出来たら話すつもり。でもきっと少女が必要としてるのは私だけじゃくて……」
男「?」
女「話が長くなっちゃったね。そろそろ本題に入ってもいいかしら……ってもうそんな雰囲気じゃなくなっちゃったか」
男「……」
女「でも言わせて。この機会を逃したらもう二度と伝えられない気がするから」
男「……うん」
少女(あれ、誰かいる? どうしよう、どこでお昼ごはん食べれば……)
少女(……ん? この声は……先輩?)
女「1年の時からずっと好きでした。こんな私でよければ付き合ってください」
男「……ごめん」
ガタッ
女・男「!?」
少女「………」
男「あ……えっと……少女ちゃん」
少女「……っ」ダッ
男「ちょ、待って少女ちゃん!」
女「あはは……とことんついてないな、今日は。男には振られるし、少女には告白してるところ見られるなんて」
女「……まあ分かってたんだけどね。振られることくらい。追ってあげて、これ以上少女に負担かけると本当に自爆しかねないから」
男「女……」
女「ほらウジウジしないの! 早くしないと見失っちゃうよ!」
男「……うん!」
女「……頑張ってね、少女」
男「少女ちゃん!」
少女「……」タッタッタッ
ザワザワ
オイオイナンダナンダ? オイカケッコ?
クラスメイト女1「ん? あれは……少女?」
クラスメイト女2「ものすごい勢いで走ってるね。まるで誰かから逃げてるみたい」
クラスメイト女1「後ろに誰か…………あれは……」
クラスメイト女2「あっ、あの時の変態! これは大変だ! 早く先生、いや警察に通報しないと!」
クラスメイト女1「待って、ちょっと様子が……」
クラスメイト女2「なになに! 早くしないと少女ちゃんが変態に食べられちゃうよ!」
クラスメイト女1「………いえ、大丈夫。通報の必要はないわ」
クラスメイト女2「えええ!? なに! 少女ちゃんが食べられちゃってもいいって言うの!?」
クラスメイト女1「何言ってるのよ。あれはそんなのじゃないわ」
クラスメイト女2「?」
少女「はぁ、はぁ…………ここまで来れば……」
男「いやぁ、早いな少女ちゃんは」
少女「!?」
少女「……どうして追いかけてくるんですか」
男「逃げる小動物見ると追いかけたくならない?」
少女「どういう意味ですか。誰が小動物ですか」
男「まあそれは冗談として、さっきの誤解を解いておかなくちゃと思ってさ」
少女「先輩が女さんと結婚されることですか」
男「話が飛躍し過ぎてるね。想像を絶する誤解様だな」
少女「誤解じゃないです。あんな美人な女さんに告白されて断る男の人なんていません」
男「そうなの? 僕は断ってきたけど」
少女「またまたご冗談を。二人はすごくお似合いですし、そんなことある訳が……」
男「お似合い? そう見える? でも、正直僕もなんで断ったのかイマイチ分からないんだよね」
少女「……本当に断っちゃったのですか。しかもそれで私を追いかけてきたと……」
男「そうだね」
少女「そんなのダメです」
男「え?」
少女「私なんかのせいで、女さんが悲しい思いをするなんて、そんなことはあってはダメです。きっと女さんは私なんかとは比べもにならないくらいずっと、ずっと凄くて良い人ですから」
男「…何を言ってるの? 僕は少女ちゃん関係なく自分の意思で断ったんだから少女ちゃんは気にすることないよ」
少女「そんなこと分かってます。でも振られて、それに他の女の人を追いかけるところを見てしまった女さんは、どんなに悲しむか……」
男「僕もそれは本当に悪いと思ってる。今度ちゃんと謝らないといけないね。でもそれと少女ちゃんのことは別問題だよ」
男「どうして、あれから僕を避けるようになったの?」
少女「……」
男「言葉にしてくれなくちゃ分からないよ。僕のことが嫌いになったの?」
少女「違います。そんなことあり得ません。……ただ」
男「ただ?」
少女「醜い私を知られてしまったので……もう先輩に合わせる顔が……」
男「なんだ、まだそんなこと言ってるの。うーん…………そうだ、今度の日曜空いてる?」
少女「空いてますが……いきなりどうして」
男「少女ちゃんを連れて行きたいところがあるんだ。とても落ち着けて、悩みなんかすぐ忘れられるような場所知ってるんだ」
少女「…………そうですか」
男(さて、どうするか……)
友「おっす、男!」
男「……! 友」
友「いやいや、ついに女のこと解決したんだってな。聞いたぜ」
男「向こうから告白してきたのを断っただけだけどね。やっぱり僕は自分からは何もできない臆病者だ」
友「成り行きだろうがなんだろうが取り敢えず上手く行ったんだからいいじゃねえか、胸はれや。ったく、あの時は本当にぶっ飛ばそうかと思ったぜ」
男「……うん」
男(……でも、このままじゃ……)
女「……よりによってあんな事があった直後に私に頼みごと?」
男「女じゃないとダメなんだ。お願い」
女「……はぁ。しょうがないなあ。私にできる事なら」
男「ありがとう女! それで頼みっていうのはね……」
少女「またですか。またなのですか。どうしていつも遅れるんですか。先輩は私とは違う時間を生きてるのですか」
男「ごめんごめん。ちょっと、お……大事な用があって」
少女「ちょっと、お? ちょっと、お、なんですか。また女さんですか」
男「まあまあ。じゃ、行こうか」
少女「む……」
なんかトントン拍子で面白さが落ちたな。
少女「先輩、今日はどこに行くんですか。そろそろ教えてくれても」
男「すぐ近くだよ。少女ちゃんもよく知ってるところ」
少女「……? どこでしょう、分かりません。まさかあの女さんの喫茶店ですか。もしそうなら今すぐ帰りますが」
男「それは困るな。逃げられないようにしっかり手を握っておかないと」ギュッ
少女「……!」
少女「こ、こんなことしてもダメですよ。本当にあの喫茶店に行くつもりなら私は……」
男「あの店ではないよ」
少女「ならどうしてこんなこと……」
男「今にわかるよ」
少女「……先輩まさか………」
男「そのまさかだよ」
少女「帰ります。何のつもりですか。絶対嫌です、行きたくありません。離してください」
男「ダメ。絶対に離さないよ」
少女「どうして、どうしてこんなことするんですか。先輩もよく知っているでしょう。私にはこれ以上は進めません」
男「このままじゃ、少女ちゃんがダメになるから。逃げてばかりじゃなくて、ちゃんと自分から立ち向かわなきゃ」
少女「放っておいてください。これは私の問題です。先輩には関係ありません」
男「それでも抱きかかえてでも連れていくよ。僕も出来れば手荒な真似はしたくないんだ。おとなしくしててくれないかな」
少女「発言が犯罪者です。ふざけないでください。もう帰りますので」
男「えいっ!」ギュッ
少女「!?」
少女「ちょ、せんぱ、なにを……」
男「悪いけど、このまま走らせてもらうよ」
少女「どうしてそこまで……」
男「……」
男「はぁ……はぁ……やっと着いた……」
少女「……」
男「ここ、春になると桜がすごく綺麗なんだ。よかったら今度一緒にどうかな」
少女「………」
男「………」
少女「………」
男「……じゃ、僕は帰るから。後はごゆっくり」
少女「え……?」
ガサガサ
少女「!!」
少女「……あぁ、その制服は、女さんですか」
女「酷いなあ。昔の親友の顔を忘れるなんて」
少女「え……」
女「なに? まさか本当に忘れちゃった? それは傷つくな、立ち直れないくらいかも」
少女「少女友……なの……?」
女「ふふっ、なんだ覚えてるじゃん。もう、それならそうと早く言ってくれないと心に深い傷を負うとこだったよ」
少女「ほ、本当に? 本当に少女友なの?」
女「あはは、何言ってんの少女。当たり前でしょ。見て分からないの?」
少女「でも歳が……」
女「ああ、それはね………」
少女友「……と言うわけで」
少女「そんな……」
少女友「あはは、相変わらず少女は優しいなあ。そんな顔してくれるなんて」
少女「私のせいで……そんな……」
少女友「……少女?」
少女「私がこんなとこに連れて来なかったら……」
少女友「……ん? なになに、まさか私がこうなっちゃったのが少女の所為だっていうの?」
少女「だってあの日私が……」
少女友「ははっ、何も変わってないなあ、少女は。なんでもかんでも自分の責任にしちゃう癖、治した方がいいってずっと言ってたのに」
少女「でも……」
少女友「でもじゃない。私がこうなっちゃったのは誰の責任でもないんだから」
少女「……」
少女友「いやぁ、しかしそうかあ。まあ少女らしいって言えば少女らしいかな」
少女友「どうしてもっと早く言ってくれなかったの! ってな感じで怒られるかと思ってたけど、まさかそんな反応されるとはね」
少女「少女友……」
少女友「とにかく、少女は全く、何も悪くないから、何も気にすることはないんだよ」
少女「……」
少女友「……だからほら、そんな泣きそうな顔しないで、ってもう泣いてるじゃん。まったく、泣き虫なとこまで変わってないんだね」
少女「だっ、だって……」グスッヒック
少女友「こんな湿っぽい感じじゃなくてさ。もっとほら、こう、親友との再開なんだから明るくできないかな」
少女「そんなこといったって……」グスッヒック
少女友「ほら、もう泣かないの」ギュッ
少女「少女友ぉ……」
少女友「……ヨシヨシ」ナデナデ
少女「……」
男「女……」
少女友「えっ、もしかして見てたの? 最低」
男「少女ちゃんが逃げたら大変かなと思ってね」
少女友「そう」
男「それにしても少女友は……いや、女はもっと積極的でプラス思考な人だってこの間少女ちゃんから聞いたんだけど、いつでもそうって訳じゃなかったんだね」
少女友「小さい頃から少女の前だけではそうしてたからね」
男「へえ、それはまたどうして」
少女友「別に少女の手本になろうとしたとか、そういう訳じゃないのよ。単に少女になら本当の自分をさらけ出せたっていうか……」
男「本当に仲よかったんだね。それは少女ちゃんも同じみたいだし。クラスの友達と話してる時とは全然違ってたよ」
少女友「それは嬉しいな………って、なんで男が少女とクラスメイトの会話の内容知ってるの」
男「え? そりゃ、暇があればよく覗き行ってし。少女ちゃんの素の学校生活が見たかったから僕は隠れて見守ってただけなんだけどね」
少女友「……」
男「……ん?」
少女友「……」
男「……」
少女友「……」
男「ねえ、突然携帯握りしめてどうしたの。なんかすごく嫌な予感がするんだけど」
男「少女ちゃん、ちょっとだけ明るくなったね」
友「そうか? 今日見かけたけどそんな感じはなかったぞ」
男「ほんの少しの変化だけど、確かに明るくなってるんだ。ずっと先になるかもしれないけど、とても明るい少女ちゃんを見れる日が来るはずだよ」
友「ふぅん、なんかあったのか?」
男「ちょっとね。でもやっぱり一度変わっちゃった雰囲気はすぐには戻らないね。当たり前のことだけど」
友「……? よく分からんが少女ちゃんの悩みの原因を解決できたってことか?」
男「うん。あれから何度も少女ちゃんと女が仲良く遊んでるところ見たし完璧だね」
友「なんで女が出てくるんだ。まあいいや、お前も成長したみたいだしな」
男「そう? 僕は何も変わってないけど」
友「そんなもんなんじゃねえの。人間、本当に成長した時は自分では気づかない」
男「あれからどう? よく一緒に遊んでるみたいだけど」
少女友「昔に戻ったみたいで本当に楽しいよ。出来ればあの雰囲気を治してあげたいけど」
男「時間に任せるしかないのがもどかしいよね。僕らがまだ高校生でいる間に治ってくれるといいな」
少女友「なに? 高校卒業したらもう少女には会わないつもり?」
男「どうかな、どうだろ」
少女友「相変わらず煮え切らない性格ね。自分の気持ちに疎すぎるのが問題なんじゃないかな」
男「友には成長したって言われたのに……」
少女「お待たせー。あれ、先輩じゃないですか。こんにちは」
少女友「おっ、来たか。じゃあ早速だけど食べよっか。男も一緒にどう?」
男「僕は遠慮しとくよ。昼休みは友と約束があるし、二人の中に入り込むのはちょっと気が引けるしね」
少女友「そんなこと気にしなくていいのに」
少女「どうして私が来た途端逃げるように立ち去るのですか。私のことが嫌いなのですか」
男「いやいや、そんな馬鹿な」
少女「そうですか。それなら、私の親友と二人きりで私には聞かれたくないような話をしていたのですね。二人きりで」
男「……なんで二人きりって二回言ったの?」
少女「そんなことはどうでもいいです。取り敢えずそこに座ってください。これは昼休みをかけて問い詰める必要がありそうですので」
男「でも僕には友との約束が……」
少女友「あはは、少女は男と居たいからそう言ってるんだよ。それくらい察してあげて」
少女「ちょ、な、何言ってるの少女友。わわわ私はただ先輩に尋問しようと」
少女友「焦りすぎだよー」
少女「あう……」
男「感激だな、少女ちゃんが僕と一緒に居たいだなんて」
少女「ち、ちが……」
少女友「もー、素直になりなって!」
男「これは友の相手してる場合じゃないな。やっぱり僕も混ぜてもらうことにするよ」
男「ちょっと教室から弁当とってくるね」
少女友「いってらー」
少女「そんなこと言って逃げる気では」
男「疑いすぎでしょ……」
少女友「ねえ、少女は男誘ってどっか遊びに行ったりしないの?」
少女「結構よく行くよ。なんで?」
少女友「へえそうなんだ。例えばどんな所に?」
少女「どんな所って言われても……映画館とか遊園地とか?」
少女友「ふぅん、そっか、あの山には行ったりしないの?」
少女「え、それはどうして」
少女友「ほらほら、昔少女が話してた人がいたじゃん。あの山で会ったっていう……その人、男なんでしょ?」
少女「すごい、なんでわかったの」
少女友「で、男の方はそれを覚えてないと」
少女「……うん」
少女「でもしょうがないよね。一年前のことだったし、会ってた日数もそんなに長くなかったから」
少女友(それにあの雰囲気の変わりよう、普通気づかないか)
少女友「でもさ、二人であの山に行けば男も思い出すかもしれないじゃん?」
少女「……実はね、この前先輩にあの山まで無理矢理連れて行かれたとき、拒絶しながらもちょっとだけ期待したんだ。もしかしたら思い出してくれるかもしれないって」
少女友「あ、ああ。そっか………そう言えばもう二人で行ってたね」
少女「それでね、春に桜が満開になった時、もう一度先輩と一緒にあの山まで行こうと思うんだ」
少女友「おおなるほど、あの時と時期を合わせるわけね。それはいけそうかも」
少女「これで思い出してもらえなかったら諦めるよ」
男「ただいまー」
少女「あ、先輩。おかえりなさい」
少女友「あー、なんか急にお手洗い行きたくなってきたなー。ちょっと失礼ー」
少女「? 行ってらっしゃい」
男「……避けられた?」
少女(どうして去り際にウインクしてたのかな……今から誘えってことかな)
男「どうする? 少女友が帰ってくるまで食べるの待つ?」
少女「……先輩」
男「ん?」
少女「今度桜の咲く季節になったら、あの山に花見に行きませんか」
男「まだ冬なのになんで今それを。僕はいいけど、少女ちゃんは大丈夫なの?」
少女「はい。今後あの山に行くのはその一回きりだけにしようと思うので」
男「そっか、ならいいんだけど。それにしても花見かー。なんかちょっとだけ懐かしい気がする」
友「おいこら」
男「ん? ああ、なんだ友か。どうしたの」
友「どうしたもこうしたもねえよ。なんで俺との約束放り出して少女ちゃんと弁当食ってんだよ。デキてんのか? デキてるんだなちくしょう」
少女友「あら、なんか一人増えてるわね」
友「おう、女もか。確かにこんなにいちゃあ俺との約束放り出したくなるのも分かるな」
少女友「友も一緒に食べる?」
友「おう、言われなくてもそのつもりだぜ。男一人をこんな天国に置いておけねえからな」
少女「先輩、このハンバーグ食べますか。昨日の夕飯のあまりものですが結構上手くできたので」
男「いいの? じゃあお言葉に甘えて」
少女「あ、あーん」
男「!?」
少女友「ほう」
少女「いらないんですか。早く食べないと私が食べちゃいますよ」
男「あ、あわわ。えっと……」
少女「いらないんですね。先輩に食べていただきたかったのですが残念です。ではこれは私が」
男「ああっ! ちょ、ちょっと待って! 食べる! 食べるから!」
少女「……では、口を開けてください」
男「は、はい」
少女「………」ソーッ
男「………」ドキドキ
少女「……」
男「……」パクッ
少女「………」
男「……」モグモグ
少女「……どうですか」
男「す、すごくおいしいよ」
少女「そうですか。それはよかったです」
少女友「自分からあんなことしといて顔真っ赤だねー」
少女「!? そっ、そんなこと……!」
少女友「あはは、別に私には隠さなくてもいいのにー」
少女「先輩。今こっち向いたらどうなるか、分かりますね」
男「はい」
春
男(この間みたいに学校の前で待ち合わせすればよかったのに、どうして山の上にしたんだろ)
男「……」
男(それにしても、ここでくつろぐのも久し振りだなあ。あの時は確かここでこうしてると……)
ガサガサ
男「!?」
少女「すみません。少し遅れてしまいました」
男「な、なんだ少女ちゃんか」
少女「む、なんだとはどういうことですか」
男「別に深い意味はないよ」
少女「そうですか」
男(あれから結構時間経つけど、この雰囲気はまだまだ抜けないな。もう僕が高校にいる間には治らないかも)
少女「……桜、綺麗ですね」
男「そうだね」
少女「………何も、思い出しませんか」
男「え?」
少女「別に深い意味はないです」
男「そう?」
少女「……」
男「ど、どうして小さくなるの? 大丈夫?」
少女「………大丈夫です。何でもありません」
男「そっか」
少女「はい」
男「どうでもいいけどさ。目の前に小さい娘がいたら無性に撫でたくなってくるよね。ただでさえ小さい娘が更に小さくなってるなら尚更」
少女「……?」
男 ナデナデ
少女「なっ……」
ビュオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ
男「うわっ、すごい風」
男「…………ああ」
少女「?」
終わり
過去編以降がなんだかもう……
シリアス?な話をもうちょっと読んでおくんでした
過去編書いてる時はノリノリだったのに……
>>220
全くその通りです
女の説明場面悩みまくった末結局これです
真面目?な話は向いてないことが判明
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