妹「もういいですから」 (328)
兄「で、でもさ……」
妹「もういいって言ってるでしょ!」
兄「う、うん」
妹「明日からあんた来なくていいから」
兄「わかりました……」
兄「はぁ、『お兄ちゃん』クビになっちゃったなぁ」
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兄「せっかく一流家庭に就職出来たのに……」
兄「僕が童顔で弟にしか見えないなんて理由で解雇された」
兄「でも、しょうがないかな」
兄「『お兄ちゃん』は妹に気に入られないと成り立たない職業だもんね」
兄「……はぁ、これからどうしよう」
兄「頼れるような友達も親戚もいないし」
兄「お金だって……」ヤァ50エンダマダヨ
兄「こんなことなら前の仕事の方がよかったかなぁ」ハァ
兄「とりあえず今日は野宿だ」
兄「幸い今は夏。凍え死ぬことなんてないはずだ」
兄「仕事は明日から探そう!」
公園
兄「さて、公園に着いたのはいいけれど野宿の準備なんて当然してるはずもないし、どうしようか」
兄「テントとかを買ってくる?」
兄「……そんなお金なかったや」50エンダマダヨマタアッタネ
兄「……」
兄「贅沢は敵! ここにあるものでどうにかしよう!」
兄「まず寝る場所を確保しようかな」
兄「うーん」キョロキョロ
兄「公園っていっても、そこまで大きくなくて遊具も少ない」
兄「眠れる場所っていったら……」
滑り台「」
ブランコ「」
砂場「」
回るやつ「」
兄「」
兄「い、いや、ほら滑り台の下なら眠れるよね!」キョドキョド
兄「そこに落ちてた新聞紙を敷いてっと」シキシキ
兄「……よしっ! 完成だ!」
兄「……」
兄「妹の家のベッド大きかったな……」
兄「っ! いやいやいや、もう僕は兄じゃないんだ!」
兄「僕は無職! 僕は無職! 僕は無職!」
兄「……寝よ」ゴロン
兄「おやすみなさい」
―――――――
妹「お兄ちゃん
妹「何してるの、お兄ちゃん?
妹「もう、ドジだなぁ、お兄ちゃんは
妹「お兄ちゃんがお兄ちゃんでよかった!
妹「ねぇ、お兄ちゃん?
妹「なんでなの、お兄ちゃん
妹「なんであんな――
妹「お兄ちゃんなんて大嫌い
――――――
兄「妹っ!」バッ
兄「っ! あ、あれ? 妹は……」キョロキョロ
兄「……」
兄「ゆ、ゆめ?」
?「あ、起きたみたいですね」
兄「! き、きみは……」
?「こんばんは、お兄さん」
兄「確か、妹友ちゃん?」
妹友「はい! 覚えててくれたんですね」
兄「う、うん。妹とよく遊んでいたから」
妹友「嬉しいですっ! お兄さんに覚えててもらえたなんて」キャピ
兄「あ、えっと……うん」
妹友「それはそうと、お兄さんこんなとこでどうしたんですかぁ?」
妹友「暑いからって、こんなところで寝てたら風邪引きますよぉ?」クスクス
兄「あ、その」ウツムキ
妹友「んん? どうしたんですか、お兄さん?」
妹友「あ、もしかしてぇ……」
妹友「もう『お兄さん』じゃなくなった、とか?」
兄「っ!」
妹友「あ! 当たりみたいですね」クスクス
兄「妹、から……聞いたの?」
妹友「はい! 解雇したってさっきメールで聞いたんですよぉ」
兄「……」
妹友「ほんと、お兄さん可哀想ですね」
妹友「お兄さんが童顔で、妹ちゃんの方が年上に見えるとかいう理由で解雇されたんですよね?」
兄「……っ」
妹友「ほんと不憫です、そんな理由で……」ウツムキ
妹友「ほんと不憫すぎて――
妹友「笑っちゃいますね♪」クスクス
兄「っ! なに? 君は僕を笑いに来たの?」キッ
妹友「わっ、怖いですよぉ、お兄さん」
妹友「あ、もう『お兄さん』じゃないんでしたね」アハッ
兄「こ、このっ!」ガッ
妹友「落ち着いてください、お兄さん。別に私は貴方を笑いに来た訳じゃありませんよ?」
妹友「私もそんなに暇じゃないですし♪」
兄「じゃあ、なにをっ!」
妹友「私の『お兄さん』になりませんか?」
兄「…………え?」
妹友宅
妹友「ほらほら、上がってください!」グイグイ
兄「ひ、引っ張らないでよ」アセアセ
妹友「まま、座ってくださいよぉ」
兄「う、うん」
妹友「はい、というわけで! ここが今日からお兄さんの家ですよ」
妹友「妹ちゃんの家に比べると小さいかもしれないですけどね」
兄「ううん、ここに置いてくれるだけでありがたいよ……」
妹友「むぅ!」ムクレ
兄「え? な、なに?」
妹友「置いてくれるぅとか、ありがたいぃとかそういうの止めてください!」
妹友「私とお兄さんはもう兄妹、家族なんですから!」
妹友「そういう他人みたいなのいやです」
兄「う、うん。分かったよ、妹友ちゃん」
妹友「あ、私のこともちゃん付け禁止です! 妹友って呼んでくださいね♪」
兄「え、うん。妹友」
妹友「うんうん! よろしいです」クスクス
妹友「じゃ、お兄さん、ちょっとここで待っててくださいね?」
妹友「ちょっとお兄さんの部屋を片付けてきますから」タタタタ
兄「あ、うん」
兄「……」チョコン
兄(う、うーん? なんだか成り行きでここまで来ちゃったけどよかったのかな?)
兄(えっと、僕は『お兄ちゃん』として妹友ちゃ――妹友に雇われたってことでいいんだよね?)
兄(特別認定お兄ちゃん)
兄(兄弟がいない子の面倒を見たり、もしくは単純に兄が欲しかったりといった需要に答えるための職業だ)
兄(雇用主は子供が最低一人以上いる夫婦)
兄(雇用主が条件や給与を提示した上で応募し、それに応募してきた人物を面談をする)
兄(そして、妹になる子と何度か顔を合わせて相性が良さそうならば、役場へ届け出をだして、その家の子の『お兄ちゃん』になる)
兄(今回の場合、妹友の両親が僕を雇うって形だから手続きが必要なんだけど)
兄(そこら辺は妹友のご両親が帰ってきてから話をするようにすればいいのかな?)
兄「……それにしても、広い家だなぁ」
兄(妹友の言っていた通り、妹の家に比べれば小さい)
兄(だけど、一般的な家庭と比べるとかなり広い部類に入るだろう)
兄(これなら、僕を雇う余裕もあるかな?)
妹友「お待たせしましたぁ♪」タタタタ
兄「あ、うん」
妹友「準備できましたよぉ!」
兄「え、えっと、準備?」
兄(……もしかして僕を雇うためのってことかな?)
妹友「はい♪ じゃ、行きましょう! ほら、立って立って」
兄「えっと、どこに行くの? ご両親のところ?」
妹友「なに言ってるんですかぁ」クスクス
兄「え?」
妹友「もう夜遅いです。良い子は寝る時間です♪」
兄「えっと、じゃあ、僕の部屋に案内してくれるってこと、かな?」
妹友「惜しいですっ! 寝る前にお兄さんにはしてもらわなきゃならないことがあります」
兄「う、うーん? そ、それって?」
妹友「お風呂です♪」
お風呂
――――カポーン――――
兄(さっきまで外で寝てたんだから当然といえば当然かぁ)
兄(それ以前に夏にシャワーも浴びず寝るってことが嫌だもんな)
兄(……うん、それはいいんだ)
兄(だけど……)
兄「な、なななんで妹友ちゃんも一緒に入るのっ!? しかも、裸!」
妹友「私も汗かいちゃって!」
兄「だ、だからって、別に一緒に入らなくてもさっ!」アセアセ
妹友「いいじゃないですかぁ。兄妹ですから普通ですよ、ふ・つ・う♪」
妹友「それともぉ、お兄さんには妹と一緒にお風呂に入れない理由でもあるんですかぁ?」クスクス
兄「そ、それは、そのっ……」ウツムキ
兄(僕だって男な訳で、妹友ちゃんは女の子でっ!)
兄(なんか肌色が見えるし、なんかたまに触る肌触りとかがぁぁ!)
兄(さっきまで他人だったわけだしっ、その心の整理がつかないって言うか!)
妹友「お兄さぁん?」
兄「は、はいっ!」
妹友「ふふっ、どうしたんですかぁ?」
兄「えっと、その」アセアセ
妹友「ま、いいですけど♪」クスッ
妹友「私、先にからだ洗っていいですかぁ?」
兄「……どうぞ」
妹友「ありがとうございます♪」
兄「う、うん」セヲムケル
妹友「??♪」ゴシゴシ
兄「……」メヲツブリ
妹友「やっぱりからだ洗うのいいですよねぇ。キモチイです♪」クスクス
兄「……」ミミフサギ
妹友「……お兄さん?」
兄「……」
妹友「お兄さんっ!」フリカエリ
兄「……」
妹友「むぅ」
妹友「……えいっ!」ムギュッ
兄「ふええぇぇぇい!?!?」
妹友「あ、やっと気づいた♪」クスクス
兄「な、なななななんでありますか!?」
妹友「あはっ、お兄さん面白い口調になってるぅ!」
兄「な、なに? 妹友ちゃん?」オドオド
妹友「だって、お兄さんのこと呼んでも気づいてくれないんだもん」
兄「ごご、ごめん。目閉じて耳塞いでてさ」
妹友「んー? なんで目閉じて耳塞いでたの?」
兄「え? そ、それは……」オドオド
妹友「んー?」ニタニタ
兄「べ、別に……」ウツムキ
妹友「ふーん? ま、いいや♪」
兄「そ、それでなにかな? 妹友ちゃん」
妹友「…………」
兄「えっと、なに?」
妹友「……ちゃん付け」
兄「あっ! ごめん、妹友」
妹友「うん! よろしい! それじゃ――
妹友「私のからだ洗って♪ お・に・い・さ・ん」アハッ
8ありがとう
私は寝るので
保守?だっけ?
してくれると嬉しいですよ。
というか
これ需要あるのかなー?
たぶん今後えろはないです。
それだけはハッキリしておりまする。
兄の部屋
兄(もちろん洗わなかった)
兄(R指定のかかるようなことは一切していない!)
兄(というか犯罪だし……)
兄「……これからどうなっちゃうんだろう」ハァ
兄(夜遅いから詳しいことは明日と妹友には言われた)
兄(今日は早く寝てね、とも)
兄(けど、寝れるわけない。色々ありすぎて逆に頭が覚醒してしまったんだ)
兄(だから、考えてしまう。今日のことや明日のこと、これからのこと。そして、なにより……)
妹「お兄ちゃん
兄「…………妹」
兄(妹は今頃どうしてるだろう? いつものように眠れないで困っていやしないだろうか? 寂しさで泣いてないだろうか?)
兄(そんなことを考えてしまう)
兄(分かってる、考えても無駄だってことは)
兄(僕はもう解雇された。つまり、妹の『お兄ちゃん』ではないんだ)
兄(だから、こんなこと考えたって……)
妹「もういいですから
兄「っ!」
兄「……妹、妹、妹っ!」
15ありがとうございます
今度こそ寝ますねー
兄「妹、いも、と……いもう……」
兄「……」zzzz
妹友「しつれーしまーす」コソコソ
妹友「おー、寝てます寝てます♪」
妹友「お風呂上がりの紅茶に入れた薬がなかなか効かなくて焦りましたよぉ」
妹友「……可愛い寝顔です♪ 女の子みたい」クスクス
妹友「これは確かに妹ちゃんのお兄さんには見えませんね。妹ちゃんは大人っぽいですしぃ」
妹友「童顔な上に女顔、ふふっ、確かに『お兄ちゃん』って呼ぶのは違和感ありますよね」
妹友「…………」
妹友「ま、今は私のお兄さんですからもう妹ちゃんは関係ないですけどね」クスクス
妹友「でも、やっぱりお兄さんの中にはまだ妹ちゃんがいるんですよね……」
妹友「わかってます、しかたないんです」
妹友「お兄さんは妹ちゃんのこととっても大切にしてましたもんね」
妹友「……お兄さん、大丈夫ですよ?」
妹友「私が妹ちゃんのことちゃんと忘れさせてあげますからね♪」
朝
兄「んっ、ふわぁ、朝か……」
兄「今日は妹来なかったんだな」
兄「…………」キョロキョロ
兄「あっ、そうだ。僕、解雇されたんだっけか」
兄(それで確か、妹友ちゃんが……)
兄「そっか、そうだった。僕は妹友ちゃ、妹友の『お兄さん』になったんだった」
兄「と、とりあえず妹友のところに行こう!」
兄「ご両親とも話をしないと!」
リビング
妹友「♪」
兄「お、おはよう、妹友」
妹友「あ、おはようございます♪ もう少しで朝ごはんできますから、座っていてください」
兄「あ、ありがとう」
妹友「♪」
兄「……」
妹友「♪」
兄「あのさっ!」
妹友「? どうしました、お兄さん?」
妹友「朝からそんなに大きな声を出すとびっくりしますよぉ」クスクス
兄「えっと、ご両親はどこから? ほら、僕のこと雇うなら話をして手続きをしないと……」
妹友「あぁ! 忘れていました」
妹友「ここ私の独り暮らし用の家なんです♪ だから、両親いませんよ」アハッ
兄「え、えっ?」
妹友「それに両親は今、遠くにいますからどちらにしろ話はできませんねぇ」
兄「え、それじゃ僕を雇うって話はっ!」
妹友「あ、心配はしないでください! ちゃんとお金も払えますし、役場へは私が届けておきますから♪」
兄「で、でも!」
妹友「大丈夫です」キッ
兄「っ!」ビクッ
妹友「私に任せてくださいよぉ」アハッ
兄「……わ、わかったよ」
妹友「はいっ♪ 任せておいてください!」
兄「……」
兄(さっきの妹友、なんだか雰囲気が違かったよね)
兄(なんだか少し怖かった)
妹友「よしっ! 朝ごはんできましたよぉ」
妹友「一緒にたべましょー♪」
兄「う、うん」セキニスワリ
妹友「はい、トーストとベーコンエッグ、それにオニオンスープです!」コトッ
兄「ありがとう」
妹友「お兄さんは朝ごはんは洋食派でしたよね?」
兄「うん。妹は和食派だったんだけどね」アハハ
妹友「むぅ」
兄「え?」
妹友「マイナスですよぉ?」
兄「あの……?」
妹友「せっかく私がお兄さんのために朝ごはん作ったんですから、今は妹ちゃんのこと考えないでください」
妹友「それに、今は私がお兄さんの『妹』なんですからね?」
兄「う、うん。ごめんね、妹友」アセアセ
妹友「ん、分かればよろしいです♪」クスクス
妹友「それじゃあ食べましょうか♪」
兄「うん、いただきます」
妹友「はい、いただきます♪」
兄「んっ、あ」
妹友「んー? どうしましたぁ?」クビカシゲ
兄「……美味しい」
妹友「え?」
兄「美味しいよ、妹友! 僕、この味付け好きだ」ニコッ
妹友「…………そ、そですか」
兄「うん、ベーコンエッグもベーコンはカリカリなのに卵はちょっと半熟で!」
兄「僕の一番好きな焼き加減だよ!」
妹友「そ、それは……よかったですぅ」モジモジ
兄「ん? 妹友?」
妹友「……その、お兄さんのお口にあってよかったです♪」アハッ
兄「なんか顔、赤くない? もしかして、熱が!」
妹友「な、ないですよ! ほら、早く行きましょう、学校遅れますよ?」パクパクパクパク
兄「あ、うん……?」パクパク
学校
休み時間
兄「……ほっ」
兄(学校だと妹友とも妹とも学年違うから少しは気が楽かな……)
兄(それに、クラスの皆からもなにも言われないから僕のことまだ知られていないみたいだし)
兄(よし、とりあえずいつも通りにしよう!)
女「兄くーん」フラフラ
兄「あ、女さん」
女「こんにちはぁ」
兄「こんにちは。今日も遅刻?」
女「朝起きれなくてねー」アハハ
兄「夜更かしは?」
女「してなーい」
兄「なのに、起きれないんだ……」
女「うん。なんでだろーね」
兄「うーん、不思議だねぇ」
女「七不思議だねー」
兄「七不思議ではないねぇ」
女「あ、兄くん、そういえば昨日のこと聞いたよー」
兄「き、昨日のことって?」
女「解雇されちゃったんだねー」
兄「う、うぐっ!」
兄(思い出さないようにしてたのに……)
兄(皆もなにも言ってこないからまだ知られてないと思ったんだけどなぁ)
兄「そ、そうだけど。誰から聞いたの?」
女「ん? えっとねー……あれ?」クビカシゲ
兄「また忘れちゃったの?」
女「うん、ごめんねー」アハハ
兄「ううん、大丈夫。いつものことだし」
兄(クラスメートの女さん)
兄(彼女は見ての通りどこかゆるい)
兄(規則に対しても人に対してもゆるく、それでいて基本的にどんな言動も許されてしまう)
兄(なかなか不思議な女の子だ)
女「それで、大丈夫ー?」
兄「え、なにがかな?」
女「学費とかー、住む場所とかー」
兄「あ、うん」
兄「失業してすぐに妹友が僕を雇ってくれたんだ」
兄「私のお兄さんになってください、ってね」
女「へぇ」ポカーン
兄「まだ妹友のご両親には挨拶していないけど、たぶん当分は大丈夫だと思うよ」
女「なーんだぁ。もう拾われちゃったのかー」
兄「……? 女さん?」
女「もし就業先が決まってないなら、ボクの家に来てほしかったのになー」アハハ
兄「えっと、それは……ごめんね」ウツムキ
女「兄くん?」ノゾキコミ
兄「…………」
女「…………」
兄「…………」
女「なんて、ジョーダンだよー」
兄「え、え?」
女「ジョーダンジョーダン」クルクル
兄「えっと、お、女さん?」アセアセ
女「だから、気にしないでー」アハハ
兄「う、うん」
――キーンコーンカーンコーン――
女「あら、もう休み時間終わりですかー」
兄「そ、そうだね」
女「残念残念」
兄「って、女さん、今来たばかりじゃないか」
女「はっ! そうでしたー」アハハ
兄「まったく女さんは……」ハハッ
女「それじゃー、勉強頑張ろうねー」テヲフリフリ
兄「うん、またね」
女「あでゅー」タタタ
兄(あ、焦った……)
兄(女さん、いきなりあんなこと言ってどうしたんだろう?)
兄(僕を女さんの家で、なんて)
兄(……やっぱり冗談だよね?)
兄「…………」
兄「それにしても、女さんどこで僕が解雇されたの聞いたんだろう?」
妹のクラス
昼休み
妹「……」イライライライラ
妹友「……」
妹「……」イライライライラ
妹友「妹ちゃん、どうしたの?」
妹「別に、なんでもない」プイッ
妹友「そっかぁ。なんでもないんだぁ♪」クスクス
妹「……な、なに? なんか言いたげじゃない」
妹友「べつにぃ♪」
妹「っ! 言いたいことあるならはっきり言ってよっ!」ドンッ
クラスメート「…………!?」ビクッ
妹友「んー、場所変えよっか」
妹「う、うん」
空き教室
妹「……それで?」
妹友「んー?」
妹「なにか言いたいことあるんじゃないのっ?」
妹友「別に私はないよ? あるのは妹ちゃんじゃない?」クスクス
妹「…………」
妹「妹友にはメールしたよね」
妹友「なにをぉ?」
妹「……お兄ちゃ――あの人のこと」
妹友「お兄さん?」
妹「……」コクン
妹友「童顔で年下にしか見えなくてムカつくから解雇したぁ、ってやつ?」
妹「……」コクン
妹友「うん、メールもらったよ♪ それでそれがどうかしたの?」
妹「……」
妹「あいつ、荷物も全部うちに置いて出てったから昨日片付けしてたの」
妹友「うん」
妹「雇い主の私がよっ!?」
妹友「まぁまぁ」
妹「……それで、その荷物のなかに、なんか私があいつの誕生日にあげたやつとか見つけて」
妹「そしたら、そういうのも置いて出てったって思ったら、なんか……」
妹友「イライラした?」
妹「う、うん」
妹友「ふーん」クスクス
妹「ちょっ、なにがおかしいのよっ!」ドンッ
妹友「べつにぃ♪」
妹「っ! だから、なにっ! 教えて!」
妹友「……」
妹友「んー、ただ」
妹友「妹はお兄さんが大好きなんだなって♪」クスクス
妹「なっ! そんなわけないでしょ!」
妹「い、いつ私がそんなこと言ったっ!?」
妹友「えー、だって、昔はお兄ちゃん大好きとか言ってたんじゃないの?」クスクス
妹「そ、そんなわけ……///」カァァァ
妹友「イライラしたのだって、自分との思い出を大切にされてないと思ったからでしょ?」
妹友「それって、妹ちゃんはお兄さんのこと大切に思ってるからじゃない?」
妹「……」ウツムキ
妹友「童顔で年下にしか見えなくてとかいうのもただの建前だよね?」
妹友「なにか気に入らないことがあったんじゃない?」
妹友「例えば、自分との約束より他の女の子との約束を優先したとか?」
妹「っ!」ビクッ
妹友「お兄さんは誰にでも優しいからねぇ♪ それにカチンときちゃった、とか?」クスクス
妹「…………」ウツムキ
妹友「それで、もういいから、とか言っちゃった?」クスクス
妹「……そんなんじゃない」
妹友「ふーん、そっかぁ♪」
妹「……そう、よ」
妹友「それじゃあ、私の勘違いかぁ」
妹「うん」ウツムキ
妹友「…………」
妹友「お兄さん、学校来てるよぉ?」
妹「えっ?」
妹友「なんでかは知らないけどねぇ」クスクス
妹「っ! ご、ごめん、妹友! 私、用事を思い出したから」タタタ
妹友「はーい」クスクス
妹友「お兄さんと上手くいくといいよね」
妹友「まぁ、上手くなんていくわけないけどぉ」クスクス
妹「っ!」タタタ
妹(あいつ、どこ?)タタタ
妹(今の時間なら屋上? 屋上でお弁当食べてる頃だけど……)タタタ
妹(でも、なんであいつ、学校に来れたんだろう? 学費とか住む場所とか、一体……)タタタ
妹(ううん、今はそんなのいいや)タタタ
妹(今はあいつを探さなきゃ! 探して……)タタタ
妹(とりあえず、屋上!)タタタ
屋上
兄「はぁ」
女「またため息ー?」
兄「あ、ごめん」
女「ダメだよー? ため息をつくとねー、逃げてくんだってさー」
兄「なにが?」
女「んー? なんだっけー? 地縛霊とかぁ?」クビカシゲ
兄「それは……積極的にため息ついた方が良さそうだね」
女「そだねー」アハハ
兄「…………」
女「…………」
兄「……あのさ」
女「ん? どしたのー?」
兄「ありがとう、昼御飯誘ってくれて」
女「えー? いつものことじゃーん」アハハ
兄「そ、そうだね」アハハ
兄「……」
女「……」
兄「それでも、助かったよ」
女「うん?」クビカシゲ
兄「やっぱりちょっと堪えてたからさ。昨日、色々あって、いつも通りがひとつもなくなって……」
女「うん」
兄「だから、そんななかで女さんがいつも通りにしてくれて、とっても安心した」
女「そっかー」
兄「そうだよ。だから、僕頑張る――
女「ううん、がんばんなくていーよー」ナデナデ
兄「え? お、女さん?」アセアセ
女「がんばんなくていーのだよー」ナデナデ
兄「で、でもさ……」
女「兄くんはねー、色々がんばろーとしすぎですよー」ナデナデ
女「この年で働かなきゃいけないことだって、ほんとは文句言っていいのにさー」ナデナデ
女「妹ちゃんにもひどいこと言われたときだって我慢してさー」ナデナデ
女「だからねー」
女「ボクの前ではがんばんなくていーよー?」ナデナデ
兄「……うん」ウツムキ
女「よーしよしよし」ナデナデ
兄「ありがと、女さん」ボソッ
女「どーいたしましてー」ナデナデ
妹(……な、なによ、あれ……?)
妹(なんかいい雰囲気なんだけど)
妹(な、なんでよ……)
妹(せっかく、謝ろうとしたのに)
妹(なんでっ!)タタタタ
妹友宅
兄「た、ただいま」
妹友「あ、おかえりなさい♪」
兄「ごめん、遅くなっちゃって」
妹友「いいですよぉ♪ 女さんと遊んできたんですよね?」
兄「え、えっと、その!」アセアセ
妹友「いいですよぉ、隠さなくても」クスクス
妹友「別に他の女の子と遊ばないでなんてこと言いませんから♪」アハッ
兄「う、うん」
妹友「あ、ご飯にしますかぁ? お風呂にしますかぁ? それとも、わ・た・し♪」
兄「ご、ごはんでっ!」アセアセ
妹友「むぅ、ここは私って言ってくださいよぉ」
兄「えっと……」
妹友「ふふっ、なんて冗談ですよ♪」クスクス
妹友「それじゃご飯にしましょう? 着替えたらリビングに来てくださいね?」タタ
兄「う、うん。あっ、妹友!」
妹友「はい? なんですかぁ?」クルッ
兄「お弁当、ありがとう。美味しかったです」
妹友「……」
妹友「それはよかったです♪」アハッ
兄の部屋
夜
兄「えっと、妹友さん?」
妹友「なんですかぁ、お兄さん?」ベタベタ
兄「なんだかこの距離感はおかしいと思うんですけど」アセアセ
妹友「そんなことないですよぉ♪ 兄と妹のスキンシップです」ベタベタ
兄「うぅぅ///」ウツムキ
妹友「兄妹ならこのくらい普通ですよぉ?」
兄「い、妹はこんなこと――
妹友「あっ! また!」
兄「え、えっ? ……あ、ごめん」
妹友「ん、分かればいいです♪ 今は私のことだけ、ね?」ウワメヅカイ
兄「う、うん」
妹友「……」ベタベタ
兄「……」オドオド
妹友「……」ベタベタ
兄「……」オドオド
妹友「お兄さぁん♪」ピタッ
兄「え、なにっ?」ビクッ
妹友「いえ、なんでもないです」クスクス
兄「そ、そっかぁ」
妹友「……」ベタベタ
兄「…………ん」ウトッ
妹友「お兄さん?」
兄「な、に?」ウツラウツラ
妹友「眠くなっちゃいました?」
兄「……う、ん」ウツラウツラ
妹友「そうですかぁ。それじゃあ、おやすみなさい♪」クスクス
兄「…………」
兄「……」zzzz
妹友「私にもたれかかって眠っちゃいましたね」クスクス
妹友「今日は、早く効いたみたいですね♪」
妹友「お兄さん、お兄さん、お兄さん」
妹友「お兄さんは……もう自由なんですよ?」
妹友「早く、妹ちゃんのこと忘れちゃってくださいね♪」クスクス
妹友「それじゃあ……」ゴソゴソ
妹友「今日も始めましょうか♪」
――――――――
妹宅
リビング
妹「はぁ……」
妹母「どうしたの、妹ちゃん?」
妹母「せっかく家族3人で久しぶりの夕食なのに。ため息なんてついて」
妹「なんでもない、わ」
妹父「……兄のことか?」
妹「っ! ち、違うわよっ!」ドンッ
妹父「妹、落ち着きなさい」
妹「は、はい」シュン
妹父「彼は妹と合わなかった。ただそれだけだろう?」
妹父「私や母さんはあまり家にいれないからな。助かってはいたが、妹が直接解雇すると言ったんだ。きっと合わなかったんだろう」
妹「……」ウツムキ
妹父「それに、彼は本来、ここにいていいような人間ではない」ボソッ
妹「っ! ごちそうさまでしたっ!」ダッ
妹母「あ、妹!」
妹父「放っておきなさい」
妹母「けれど、長いことお兄さんとして働いてた人を失ったんだもの、やっぱり……」
妹父「妹自身がしたことだ」
妹母「……」
妹父「気持ちの整理も一人の方が出来るだろう」
妹の部屋
妹「なによ、お父さんもお母さんも!」
妹「家族3人とかあいつがここにいるような人間じゃないとか!」
妹「二人とも仕事でいつもいないから、私のこと見てくれてたのあいつじゃないっ!」
妹「それを……」
妹「まるであいつがこの家に要らないみたいに……」
妹「…………」
妹「……わかってるわよ」
妹「あいつを追い出したの、私だってことくらい……わかってるわよ!」
妹「でも、だって……」
――――
兄「妹
兄「妹、大丈夫?
兄「僕はお兄ちゃんだからね
兄「う、うん
兄「妹は可愛いなぁ
兄「妹
兄「ご、ごめん
兄「約束、破っちゃった
兄「ごめん、なさい
――――
妹「なんで、約束破ったのよ……」
妹「よりによってあの日に」
妹「ずっと私のこと大切にしてくれてたのに」
妹「お兄ちゃんのばか」ボソッ
屋上
昼休み
女「兄くんってさー、可愛いよねー」ノホホン
兄「えっと?」
女「なんかいっつもおどおどしてるしー、可愛い顔してるしー」
兄「あれ? なんか貶されてない?」
女「気のせいだよー?」アハハ
兄「そ、そう?」
女「ところでさー、兄くん」
兄「今度は、なに?」
女「なんで妹友ちゃんがいるのー?」
妹友「どうぞ、お構い無く♪」アハッ
女「かまうよー」
兄「えっと……」
妹友「いいじゃないですか♪ 私もたまにはお兄さんとお昼を食べたかったんですよぉ」クスクス
女「そっかー、それならしかたないねー」ノホホン
兄「えっと、それで、いいかな?」アセアセ
女「いいんじゃないかなー?」
妹友「ありがとうございますぅ♪」
兄「妹友、妹友」ボソッ
妹友「ん? なんですかぁ?」ボソッ
兄「その、妹はいいの? いつも一緒に食べてたじゃない?」ボソッ
妹友「いいんですよぉ、今日は別に友達と食べるっていってましたから♪」ボソッ
兄「そっか……なら、いいんだけどさ」ボソッ
女「んー? なに話してるのー?」
兄「あっ! えっと……」
妹友「政治についてですよぉ♪」
女「せ、せいじ……難しい話は聞きたくないです」ウムム
妹友「あ、ごめんなさい、女さん」
妹友「じゃあ、昨日のテレビの話でも――
兄「……」
兄(妹)
保健室
昼休み
妹「はぁ」
?「さっきからどうしたんだい?」
?「せっかく二人きりなのに……」
妹「うるさい、なんでもない……」
?「うーん、いつもの覇気がないよ」
?「これは重症だね」
?「こういうときは……んー」カオヲチカヅケ
妹「っ! 顔近づけてくんな!」バシッ
?「うぅ! 酷いじゃないか」イテテ
妹「酷いのはあんたよ、病弱娘!」
妹「人が落ち込んでる隙にキスしようとすんなっ!」
病弱「ごめんごめん」ハハハ
病弱「でも、ほら!」
妹「ん? なによ?」
病弱「落ち込んでるって」フフ
妹「……あ」
病弱「君はわかりやすいんだから嘘なんてついても無駄だよ」
妹「……」ムスッ
病弱「君の嘘に気づかないのなんて、君のお兄さんくらいしかいないよ」フフ
妹「っ!」
病弱「……やっぱりお兄さんのことかい?」
妹「…………」コクン
病弱「話してみてよ、少しは役に立てるかもしれないよ?」
――――
病弱「なるほど、それでお兄さんをクビにした、と」
妹「うん」ウツムキ
病弱「まぁ、約束を破ったお兄さんは悪い。怒る君の気持ちもわかるよ」
妹「だ、だよねっ!」
病弱「けれど、それでクビにしてしまったことは君の過ちだ」
妹「っ! だって、大事な、大事なことだったのに破ったんだよ!」
病弱「…………」
病弱「いいかい? 君とお兄さんは雇用契約だけで成り立っている家族関係だった」
病弱「もちろん、それは現代において珍しいことではない。よくあることだ」
病弱「けれど、君とお兄さんは実の家族より家族らしい付き合いをしていた」
病弱「君のご両親はお忙しい方だからね。お兄さんとの時間が長くなるのは必然だろう」
病弱「だから、君は甘えていた。お兄さんに。お兄さんの優しさに」
病弱「雇用契約だけで成り立っていることを忘れ、ただの兄妹喧嘩のようなノリで解雇してしまった」
病弱「その結果として、君とお兄さんは赤の他人になったわけだ」
妹「……」ウツムキ
病弱「なにか反論はあるかい?」
妹「……私、だって」
妹「後悔したわよっ!」
妹「あいつが出てった後、あいつのこと探した!」
妹「走って探して転んで探して!」
妹「でも、みつかん、なくて」ポロッ
妹「どうして、いいの、かっ……わかんなくて」ヒックグスッ
妹「でもっ!」キッ
妹「次の日学校来たらなんでもない顔でいるし、クラスの女さんと普通にお弁当、たべてるしっ!」
妹「だから、私、あいつに話しかけられなかったのっ!」
妹「だって……」
妹「わたし、いなくても、お兄ちゃんはたのしそうに、してたから……」グスッポロポロ
病弱「……そんなことないんじゃないかな?」
妹「えっ」ヒック
病弱「お兄さんはきっと君のことを待ってるよ」ナデナデ
妹「……そんなの、わかんないじゃない!」
病弱「うん、お兄さんの気持ちはお兄さんにしか分からない」
病弱「なら、お兄さんに聞いてみるしかないよ」ナデナデ
病弱「お兄さんが妹の『お兄ちゃん』でいたいのかどうかを、ね?」
病弱「今度はちゃんとそれが当たり前に成り立ってるものじゃないことを頭に置いてさ」
妹「…………」ヒック
病弱「……」ナデナデ
病弱「今日の放課後にでも話してみたら?」
妹「うん」ウツムキ
病弱「もしフラれたら私が慰めてあげよう」ハハハ
妹「うるさい」
病弱「はいはい」フフ
兄の教室
放課後
兄「やっと終わった……」
女「……」zzzz
兄「女さん、机に突っ伏して寝てる」
兄「おーい、起きて」ユサユサ
女「ん、んー」
兄「授業終わったよ、女さん」ユサユサ
女「ん、いーやー」クビフリ
兄「起きてるじゃないか……」
兄「僕、帰るからね?」
女「んー? はいはーい」テヲヒラヒラ
兄「もう……」タタ
――――
兄「あ、あれ?」
兄「こんなところで、ど、どうしたの?」
兄「妹友ちゃん」
妹友「迎えに来ちゃいました♪」アハッ
兄「そ、そっか」
妹友「ささ、早く帰りましょうよぉ♪」テヲツナギ
兄「え、あっ、うん///」アセアセ
妹友「ほら、早く!」クスクス
兄「ま、待ってよっ」タタタタ
――――
妹「あれ? お兄ちゃ――あいつは?」
女「んー、よくねたー」フワァ
妹「あ、あの女さん!」
女「んー? あ、妹ちゃん、ひさしぶりー」ヒラヒラ
妹「あ、はい。お久しぶりです」ペコリ
妹「あの、あいつは……」
女「んー? 兄くん? さっきまでそこに……あれぇ?」クビカシゲ
女「おいてかれたー、ショックー」ウナダレ
妹「そ、そうですが……失礼しました」タタタ
ありがとう
やる気がでる
兄の部屋
夜
兄「ふぅ、さっぱりしたぁ」
妹友「おかえりなさい、お兄さん♪」
兄「……」
妹友「?」クビカシゲ
兄「今日もですか?」
妹友「今日もです♪」
兄「……わかったよ」ハァ
妹友「物分かりがよくなりましたね」クスクス
兄「そりゃあ、ね」
妹友「よろしい、じゃあ、ベットに座ってください♪」
兄「う、うん」スッ
妹友「おにいさぁん♪」ギュッ
兄「な、なに? 妹友」
妹友「なんでもないですぅ」ベタベタ
兄「……///」
妹友「んー? あれぇ?」ベタベタ
兄「えっと、なに?」ウツムキ
妹友「お兄さん」
妹友「おっきくなってますよぉ♪」アハッ
兄「っ!///」
兄「こ、これはっ! そのっ!」
妹友「可愛いですねぇ、お兄さん」クスクス
兄「うぅぅ///」
妹友「これ、どうしましょうかぁ?」クスクス
兄「……っ! お、おやすみ!」フトンカブリ
妹友「えー、おにいさーん」ベタベタ
兄「…………」
妹友「お兄さんってばぁ♪」ユサユサ
兄「…………」
妹友「あれぇ?」
兄「…………」zzzz
妹友「あら、ほんとに寝ちゃいましたね」クスクス
妹友「効きが早くて助かります♪」
妹友「さ、今日も――
――prprpr――
妹友「電話? えっと……」ゴソゴソ
妹友「あ、妹ちゃんから♪」
妹友「……」クスクス
――prprprp
妹友「もしもしぃ? どうしたの?」
「あのさ、あいつのことなんだけど……」
妹友「あいつ――お兄さん?」
「う、うん」
妹友「お兄さんがどうかしたのぉ?」
「あいつ、さ。今、どこに住んでるかとか……知らない?」
妹友「えっと……」チラッ
兄「…………」zzzz
妹友「私に聞かれてもわかんないよ?」クスクス
「だよね……」
妹友「あ、そういえばお兄さん、なぜか学校に来てるもんね」
妹友「どうしてだろう、不思議だねぇ」
「う、うん……」
妹友「女さんも知らないみたいだし、やっぱり直接お兄さんと話さないとじゃないかな?」
「うん、わかってる」
妹友(あれ? もしかしてもう……?)
「なにか分かったり、校外であいつを見かけたら教えて!」
妹友「……」
「……妹友?」
妹友「ん、あごめんねぇ♪ とりあえずわかったよぉ」
妹友「私もそれについて聞いてみるね♪」
「ありがと。それじゃまた明日」
妹友「うん、また明日ぁ♪」アハッ
――――
妹友「そっか、もう立ち直ったんだぁ……」
妹友「女さんには口止めしてあるし」
妹友「とりあえず今はお兄さんと妹ちゃんを会わせないようにしなきゃな」クスクス
妹友「あともうちょっとかかるから……」クスクス
兄「……」zzzz
妹友「それじゃあ」
妹友「今日も始めましょっか、お兄さん♪」アハッ
兄(あれから……)
兄(僕が妹友の『お兄さん』になってから2週間が過ぎた)
――――
兄の教室
休み時間
女「兄くーん」ユラー
兄「あ、おはよう。女さん」
女「おはよー。っていってももうお昼だけどねー」アハハ
兄「それは女さんが今来たところだから、だからおはようだよ」
女「んー? そだねー、おはよー」ヒラヒラ
兄「宿題やってきた?」
女「んー? なんだっけ、それー?」クビカシゲ
兄「数学?のやつだよ、もしかして……」
女「もしかしなくてもー!」アハハ
兄「はぁ、見せてあげようか?」
女「おー! ありがてーありがてー」
兄「……はい」テワタシ
女「ありがとー……そういえばさー」
兄「なに?」
女「妹ちゃんとはその後どうなのー?」
兄「? 妹ちゃん?」キョトン
女「?」
兄「あ、あぁ。うん、大丈夫だよ。気にしないで」アセアセ
女「???」
女「妹ちゃんとなにか――
――キーンコーンカーンコーン――
兄「あ、鐘が鳴ったね」アセアセ
女「うん」
兄「じゃ、昼休みに返してね」アセアセ
女「はいはーい」ヒラヒラ
女「…………?」
女(なんだか、兄くんのようすが変だったなー)
女(ボクの気のせいかなぁ?)
屋上
昼休み
兄「……」パクパク
女「……」パクパク
兄「……」パクパク
女「……ねぇ、兄くん?」
兄「な、なに?」
女「さっきのことなんだけど……」
妹友「こんにちはぁ♪」ガチャッ
兄「あ、妹友」
女「……」
妹友「あれぇ? もしかしてお邪魔でしたかぁ?」クスクス
兄「え、いや、大丈夫だよ! ね、女さん?」
女「うんー、妹友ちゃん、おいでー」ヒラヒラ
妹友「はーい♪」タタタ
妹友「えへー、お兄さん♪」ピタッ
兄「わっ!? い、妹友!?」アセアセ
女「兄くん、焦ってる焦ってるー」アハハ
妹友「えへぇ」ベタベタ
兄「ちょっ、ちょっとっ!」アセアセ
――――――――
保健室
昼休み
病弱「それで、まだ言えてないんだね?」
妹「う、うん」
病弱「うーん、また君が逃げているってわけでもなさそうだね」
妹「何回も会いに行った!」
妹「でも、なぜかいなかったり……」ウツムキ
病弱「たり? なんだい?」
妹「会ったとしても、すぐ離れていっちゃうんだ……」シュン
病弱「離れていく、というと?」
妹「話をしだすと、すぐ用事があるとか言ってどっかに行く」
妹「やっぱり私、避けられてるのかな?」ウルッ
病弱「よしよし」ナデナデ
妹「うぅぅ」グスッ
病弱「なぜかは分からないけれど、2週間ずっと会えないとか用事があるとか言うのは明らかにおかしい」
病弱(避けられている可能性ももちろんあるけれど)
病弱「何かの意志が働いてるのかもしれない」
妹「……いし?」グスッ
病弱「あぁ、例えば誰かが君たち二人を会わないように仕向けているとかね?」
妹「っ! 誰かって、一体だれよっ!」ガッ
病弱「っ! く、くるしいよ、妹ちゃん」
妹「あっ!? ごめんっ!」パッ
病弱「……いや、大丈夫」ケホッ
妹「でも、それって……」
病弱「分からない。それにあくまでも仮定の話だから」
妹「…………」ウツムキ
病弱「まぁ、とりあえず調べてみようか?」
病弱「君もいい加減お兄さんの真意を知りたいだろう?」
妹「う、うん!」
病弱「その覇気、その方が君らしい」フフ
妹「……うるさい」ボソッ
病弱「じゃあ、放課後またここに来てくれ」
妹「えっと、お兄ちゃんの後をつけなくてもいいの?」
病弱「別に本人だけからしか情報が得られない訳じゃないさ」フフ
妹「わ、わかった……」
病弱「あ、あと……このことは誰にも言わないでくれ」
妹「えっ? 誰にも?」
病弱「あぁ、誰にもだ」
妹「…………わかった」
――――――
保健室
放課後
妹「来たけど」
病弱「ふむ、放課後の保健室ってなんかいいね」
妹「は?」
病弱「……放課後の保健室に妹ちゃんと二人っきり」フフ
妹「ちょっと?」
病弱「ふ、ふふ、興奮してきたよ」ハァハァハァハァ
妹「うわっ……帰ろっかな」
病弱「ま、待ってくれ!」ハァハァハァハァ
妹「……なによ?」
病弱「水を取ってくれ、発作が……」ハァハァハァハァ
妹「っ! って、発作!? 紛らわしいのよ!」ミズワタシ
病弱「あ、ありがとう……」ハァハァ
病弱「っ」グビッ
病弱「……ふぅ」
妹「大丈夫?」カオノゾキコミ
病弱「あぁ、悪いね」フフ
妹「大丈夫だけど。というか、あんたこそ大丈夫なの?」
病弱「ん? なにがだい?」キョトン
妹「だって、今から聞き込み?行くんでしょ? 発作起こったんじゃ……」
病弱「あぁ、大丈夫。情報はもう集まっているからさ」
妹「え?」
病弱「知らないのかい? 保健室というのは生徒の本音や裏の情報を知ることができる場所なんだよ」フフ
妹「は、はぁ?」
病弱「はい、これが君たちに関する噂やその他雑多な情報だ」
妹「2週間前に解雇されたとかしたとか」
妹「あとはあいつの授業中の様子や休み時間の行動?」
妹「こんなの分かりきってるんだけど?」
病弱「ほぅ、じゃあ、説明してくれ。僕は君の元お兄さんのことはそこまで詳しい訳じゃないからね」
妹「まず、最初のこれ」
妹「2週間前に私があいつを解雇したって噂」
妹「これは事実。これ以上でもこれ以下でもないわ」
病弱「まぁ、尾ひれはついてるみたいだけど、大体はその通りだね」
病弱「ちなみにその理由は?」
妹「……あ、あいつが私との大事な約束破って、それでカッとなって」ボソッ
病弱「うんうん、そうだったね」
妹「じゃ、次!」
妹「あいつの授業中の様子だけど」
妹「これはまぁ、特に言うこともないわ」
妹「真面目に受けてるようだし、まぁ、あいつの性格を考えれば当然ね!」
病弱「……ふむ」
妹「なに? なにか気になることでも?」
病弱「いや、あまりにも真面目すぎないかい?」
妹「は? そんなのあいつが授業で寝る度胸がないってだけでしょ?」
病弱「確かにそう考えれば、説明はつくよ」
病弱「けれど、ここ、古典の授業に注目してほしい」
妹「古典?」
病弱「古典の先生は知っているだろう?」
妹「声の無駄にいいおじいちゃん先生でしょ?」
病弱「そう。この2週間、お兄さんはあの先生の授業で一回も寝ていない」
妹「え、うっそ!?」バッ
妹「ほんとだ……」
病弱「なぜだろうね? まぁ、誰かの家でよっぽどグッスリ眠ったのかな?」フフ
妹「で、でも、これがどういう……」
病弱「さぁ? ただ気になっただけさ。さぁ、次にいこうか!」
病弱「さて、次は休み時間の行動だが……」
妹「……休み時間はどうせ女さんと話して、昼休みも女さんと一緒に屋上でお弁当でしょ?」
病弱「お、流石元妹。よく知ってるね」
妹「ふんっ」プイッ
病弱「ただ、この2週間で一回だけ昼休みに教室で食べていたことがあったらしい」
病弱「どうやら雨だった日のようだね」
妹「へぇ、で、それが?」
病弱「その日は女さんが休みだったそうなんだが、その時にお兄さんは『ある人』と一緒に食べていたらしい」
妹「……『ある人』?」
病弱「当ててごらんよ?」フフ
妹「…………男友達とか?」
病弱「正解は……」ペラッ
妹「え? ……妹友?」
病弱「そのようだね」
病弱「それ以外にも放課後に二人でどこかに行く姿も目撃されているようだ」
妹「え、どういうこと?」
妹「妹友がなんでお兄ちゃんと?」
妹「別にそんなに仲いい訳じゃないのに……」
病弱「おや? そうなのかい?」
妹「え?」
病弱「僕はてっきりお兄さんと妹友ちゃんは君を通さなくても、仲がいいものかと思っていたが」
妹「そんなに仲よくないわよ! お兄ちゃんは家に来た妹友ちゃんとたまに顔会わせるくらいだし」
病弱「へぇ。じゃあ、なんで彼女が度々お兄さんと一緒なのを目撃されているんだろうね?」
妹「…………」
病弱「どうやら最近の君はお兄さんのことしか考えていなくて、友達に目がいっていなかったようだね」
妹「…………」
病弱「ここから先はどうする? 私の助けは――
妹「大丈夫」
病弱「そうかい」
妹「それじゃあ、行ってくる!」
病弱「? 一体どこに行くつもりなんだい?」
妹「……妹友の家」
妹「ううん」
妹「お兄ちゃんのところ」
――――――
妹友宅前
妹「っ、はあっ、はっ」
妹「つ、ついた!」
妹「……すぅ、はぁ、すぅ」シンコキュウ
妹「よしっ!」
――ピンポーン――
妹「……?」
――ピンポーン――
妹「妹友? お兄ちゃん?」ドンドン
妹「妹友! ちょっと、妹友!」ドンドンドンドン
妹「……いないの?」
妹「……」
妹「……鍵は閉まって、ない?」ガチャッ
妹「開いた……よしっ!」ゴクッ
――――――
妹「おじゃま、します」ボソッ
妹「って、え?」
妹「なんで」
妹「なんで、物がなにもないの?」
妹「え? えっ?」
妹「これじゃ、まるでここに誰もすんでなかったみたいじゃないっ!」
妹「あれ、ここ妹友の家じゃ……」
妹「え、一体なにが?」
妹「……」ボーゼン
妹「っ! そうだ、ケータイ!」ゴソゴソ
――prprpr――
妹「……」
――ガチャッ
妹「あ、妹友! 今――
――オカケニナッタデンワハゲンザイ……
妹「……な、なんで?」ガクッ
妹「なんでいないの、なんで……」
妹「お兄ちゃん……」ヒックグスッ
妹の教室
朝
妹「…………」
クラスメート(妹ちゃんどうしたんだろう?)
妹友「やっほ、妹ちゃん♪」ポンッ
妹「っ! あ、あんたっ!」ガッ
妹友「わっ!? な、なんですかなんですか?」アセアセ
妹「お兄ちゃんをどこにやったの!?」
妹友「へ? お兄さん、ですかぁ?」キョトン
妹「そうよっ! 私のお兄ちゃん、返してっ!」
妹友「…………?」
妹「と、とぼけんじゃないわよっ!!!」ガシッ
妹友「えっと、なにを言ってるのか……」
妹「はぁ!? あんたがお兄ちゃんをさらったんでしょうがっ!!」キッ
妹友「なにがなんだか……?」キョトン
妹「っ!? このっ――
?「止めろっ!!」
妹「っ! えっ?」フリカエリ
兄「なにやってるんだよ」タタ
妹友「あ、お兄さん♪」
妹「お、お兄ちゃん?」
兄「? 妹友、何があったの?」
妹友「えっと、妹ちゃんがいきなり掴みかかってきたんですよぉ」
兄「えっと……妹ちゃん、それはほんと?」
妹「…………」
兄「……妹ちゃん?」
妹「っ! お兄ちゃんっ!」ダキッ
兄「わっ!?」ダキツカレ
妹「お兄ちゃん、お兄ちゃん、お兄ちゃんっ」ギュー
妹「ごめんねっ! 私、お兄ちゃんにひどいことしちゃって!」ギュー
妹「本当にごめんなさいっ!」ギュー
妹「私、お兄ちゃんに甘えてた。お兄ちゃんは私のことずっと見ててくれるって」ギュー
妹「だから、お兄ちゃんの優しさに甘えて、わがまま言ってばっかりで……」ギュー
妹「お兄ちゃんのことなにも考えてないで……約束のことだって、なにか理由があったんだよねっ!」ギュー
妹「ほんとにごめんなさいっ! 私、いい子にするから! 帰ってきて! また私の『お兄ちゃん』になってくださいっ!」ギュー
クラスメート「…………」
妹友「…………」
兄「…………あのさ、妹『ちゃん』」
妹「なに、お兄ちゃん」ギュー
兄「離れてくれないかな?」
妹「えっ?」
兄「いや、えっと、ほら。ここ、人前だし……」オドオド
兄「妹『ちゃん』にも変な噂がたっちゃうよ?」
妹「いもうと、『ちゃん』?」
兄「ね? 流石に『妹』の前でその友達と抱き合うのはさ///」アハハ
妹「おにい、ちゃん?」
兄「ご、ごめんね? えっと、今度また家に来たら甘えてもいいから、ね?」ボソッ
妹「なに、言って……?」
妹友「むぅ、お兄さん! いつの間に私の友達とそんな仲になったんですかっ!」
兄「違うって、『妹』の妹友の友達に手なんて出さないよ」アセアセ
妹「……っ」フラッ
クラスメート1「あ、妹ちゃんがっ!」
クラスメート2「誰か先生読んできて!」
クラスメート3「ちょっと、妹ちゃん!」
兄「妹『ちゃん』!? 妹『ちゃん』!!」
妹(お兄、ちゃん。私のこと『ちゃん』なんて付けて呼ばないで……)
――――――
保健室
放課後
病弱「それで、倒れてしまったと言うわけかい?」
妹「う、うん」
病弱「ふむ、それにしてもおかしな話だね?」
妹「信じてもらえないかな?」
病弱「うむ、あまりにも根拠が乏しいな」
病弱「兄先輩が君のお兄さんだという話にはね」
妹「やっぱり病弱娘も覚えてないんだ……」
病弱「覚えていないもなにも、元々兄先輩は妹友ちゃんのお兄さんだろう?」
妹「っ! 違うっ!」キッ
病弱「という問答を何度繰り返しただろうか」
妹「……ごめん」シュン
病弱「いや、君が謝ることではないさ」ハハハ
病弱「ともかく君は妹友ちゃんと話すことだ。そうしなければ話は進まない」
妹「やっぱり、そう……だよね」
病弱「億劫そうだね?」
妹「そりゃ教室で掴みかかっちゃったし」
病弱「まぁ、大丈夫だろう。君と妹友ちゃんなら」ハハハ
妹「なによ、それ。根拠が足りないんですけど……」
病弱「私を信じてみなよ」
―――――――
妹の教室
放課後
妹「…………」トボトボ
妹友「あ、妹ちゃんっ!」タタタ
妹「あ、妹友」
妹友「大丈夫だったぁ? だから、今まで寝てたって聞いたから心配したよぉ」
妹「あ、うん」
妹友「んー?」クビカシゲ
妹「……」ウツムキ
妹友「あ、もしかして今朝のこと気にしてるの?」
妹「あ、その……」
妹友「それなら気にしないでよ♪ なんか理由があったんでしょ?」
妹「う、うん」ウツムキ
妹友「だから、気にしないで♪ ね?」
妹友「ほら、一緒に帰ろう!」
妹「あ、あのさ……お兄ちゃんは?」
妹友「?」
妹友「あぁ、私の『お兄さん』のこと?」
妹「っ! う、うん」
妹友「先に帰っててもらったよぉ。 なに、やっぱりお兄さんのこと好きなの?」クスクス
妹「……そんなんじゃ、ないわよ」
妹友「ふふふ、可愛いなぁ、妹ちゃんは♪」
妹「…………」
妹友「ほら、帰ろ♪」
妹「……うん」
――――――
妹(前兆もなにもなかった)
妹(まるで事務的な作業かなにかのように自然になんの感慨もなく)
妹(私の世界は狂ってしまった)
妹(ううん)
妹(もしかしたら狂ったのは)
妹(私だけなのかもしれない)
67ありがとう
皆さんに参考までに聞きたいのですが
happyとbadどちらが好き?
70 71レス感謝です
とりあえずボチボチ書きますかね
妹友宅リビング
夜
妹友「美味しかったですか、お兄さん?」
兄「うん、妹友は料理上手だよね」
妹友「えへー、お兄さんに誉められると嬉しいですぅ」アハッ
妹友「……お兄さん」ピタッ
兄「え、えっと、おいで?」
妹友「♪」ピタッベタベタ
兄「……」ナデナデナデナデ
妹友「お兄さん、幸せですね♪」
兄「……うん」ナデナデ
――――――
兄の部屋
兄「ふぅ」ドサッ
兄(今日も1日疲れたな)
兄「…………」
兄(そういえばあの子、えっと妹ちゃんだったよね。妹友の友達の)
兄「なんだったんだろうな、朝のあれ……」
兄「いきなり抱きついてきて……///」
兄「もしかして、僕のことが好き、とか?」
兄「いやいやいやいや、あり得ないよ!」
兄(さっきから余計なこと考えすぎだ! 寝よう!)バサッ
兄「…………おやすみ」ボソッ
――――――
妹友「失礼しまぁす♪」ボソッ
妹友「あ、寝ちゃってますね、お兄さん」
妹友「本当に可愛い寝顔ですねぇ」ツンツン
兄「ん、んー」zzzz
妹友「可愛いなぁ可愛いなぁ♪」クスクス
妹友「…………」ツンツン
妹友「…………」
妹友「まずはここまで来ましたよ、『兄さん』」ボソッ
72 73感謝
参考にしまする
両方、書けるかな…
兄の教室
休み時間
妹友「お兄さん♪」ギュ
兄「っ! わあっ!?」アセアセ
妹友「ぎゅぅぅぅ!」ギュゥゥ
兄「ちょ、ちょっと、妹友!?」アセアセ
女「おー、またやってるー」アハハ
妹友「あ、女さんこんにちはぁ♪」アハッ
女「こんにちはぁ」
兄「あ、あいさつはいいから、早く離してよっ」オドオド
女「聞き捨てなりませんなー、あいさつはじゅーよーだよ?」ビシッ
妹友「そうですよぉ♪ 大切です」クスクスギュゥゥ
兄「うぅぅぅ、あっ!」
兄「妹ちゃん! 見てないで助けてよ」アセアセ
妹「……う、うん」タタ
妹「……」バシッ
妹友「いたっ!?」
妹「お、お兄ちゃんを困らせたらダメ……」ボソッ
妹友「むぅ」ジトー
女「しっとですか、しっとですなー?」アハハ
妹「っ! ち、違うわ!」
妹友「赤くなってるぅ♪ 図星?」クスクス
妹「そ、そんなんじゃっ!」
兄「ほらほら、そこまで!」
兄「ごめんね、妹ちゃん。二人には僕から言っておくからさ?」ニコッ
妹「あ、ううん……大丈夫///」
妹友「むぅ」
女「ぶーぶー」
――キーンコーンカーンコーン――
妹友「あ、鐘が! それじゃあ、また昼休みに、お兄さん♪」
妹「……また、ね」ウツムキ
兄「うん、また昼に」ニコッ
女「じゃねー」ヒラヒラ
――――――
1週間後
保健室
放課後
病弱「それで君がウジウジしている間に、1週間が過ぎたわけだけど?」
妹「うぅぅ……」
病弱「私からしてみればどうでもいいのだけれどね」ハハハ
妹「そう言わないでよ……それに分かったことも少しはあったし」
病弱「ふぅん、例えばどんなことかな?」
妹「えっと」
妹「まずは、お兄ちゃんの周りの人間関係は私と妹友以外は変わってないこと」
病弱「ふむ、君が他人に、妹友ちゃんが妹にということだったかな?」
妹「うん。ただ私との繋がりだけでお兄ちゃんと知り合いだった人は完全に他人になってるみたい」
病弱「なるほど」
妹「次に記憶があるのは多分私だけだってこと」
病弱「確か、私も中々に深入りしていたんだったかな?」
妹「うん。皆、記憶が置き換わってるんだと思う。女さんもお兄ちゃんのクラスの人もそうだったし」
病弱「他にはないのかい?」
妹「あとは……」
病弱「ふむ、どうやらないようだね」
妹「うん」シュン
病弱「なら、私からも情報提供だ」ペラッ
妹「……なにこれ?」
病弱「ネットで調べたものだ。まぁ、眉唾なものしかないけれどね」
妹「パラレルワールド、ねぇ」
病弱「まぁ、そういう反応になるよね」ハハハ
妹「……でも、ありがとう。私も色々とまたしらべてみるね」タタ
病弱「あぁ」
病弱「あ、そうだ、妹ちゃん」
妹「ん、なに?」フリカエリ
病弱「頑張って」ニコッ
妹「……ありがと」ボソッ
――――――
妹宅リビング
夜
妹「お父さん」
妹父「ん? どうした?」
妹「あのさ、変なこと聞くんだけど、私にお兄ちゃんっていた?」
妹父「お兄ちゃん? 何を言ってるんだ?」
妹「いいから! いた? いなかった?」
妹父「いるわけないだろう?」
妹「そっか……」シュン
妹母「あら? どうしたの?」
妹父「あぁ、妹が自分にお兄ちゃんはいなかったのかと聞いてきてな」
妹母「? お兄ちゃん?」
妹「…………ごめん、なんでもないよ」
妹母「もしかして、妹ちゃん、お兄ちゃんがほしいの?」
妹「……べつに」
妹「ごめん、もう寝るね。おやすみなさい」トボトボ
妹母「どうしたのかしら?」
妹父「疲れているんだろう。休ませてあげよう」
――――――
妹の部屋
妹「はぁ、やっぱりダメか……」
妹「やっぱり私以外は覚えてないんだ」ハァ
妹「病弱娘から貰ったこれも難しいことばっかり書いてて、あんまり参考にならなかったし」
妹「…………」ゴロンッ
妹「せめて、世界が変わる前にお兄ちゃんがどこで生活してたかさえ分かればなぁ」
妹「…………」
妹「んーー!! あーもう! 寝よっ!」バサッ
妹「…………お兄ちゃん、おやすみ」ボソッ
妹の教室
朝
妹「ふわぁ」
妹「うぅぅ、眠い」ゴシゴシ
妹(結局、昨日はあまり眠れなかったなぁ)
妹友「おはよー♪」
妹「ん、おはよ」
妹友「んー? 眠そうだねぇ」
妹「おかげさまで」フワァ
妹友「あ、さてはぁ」クスクス
妹「ん? なによ?」
妹友「昨日の夜、お兄さんでしちゃったぁ?」クスクス
妹「んなっ!?」
妹友「だから、眠いんですねぇ♪ あらあら」クスクス
妹「ち、ちがうわよっ! な、なんで私があいつでっ! …………///」
妹友「その顔は想像してる顔?」クスクス
妹「っ!! 違うってば!!」
――――――
――――――
妹(そんな感じで時間は過ぎていく)
妹(私の世界が狂ってから早くも1ヶ月が経とうとしていた)
妹(病弱娘とも情報交換や考察はするし、私もパラレルワールドとかについて勉強もした)
妹(けれど、なんとなく心の中では察していた)
妹(世界は最初からこのままだったんじゃないか、と)
妹(そんな時だった)
妹(あの人がこの町に帰ってきたのは……)
――――――
?「久しぶり……元気かな、兄」
――――――
今日はこんなところで
終わらせていただきます。
お付き合い頂きありがとうございます。
また明日もお願いします。
兄(彼女は突然やって来た)
兄(なんの前触れもなくやって来た)
――――――
兄の教室
朝
?「両親の都合でこちらに参りました転校生と申します」
転「よろしくお願いいたします」ペコリ
クラスメート「おぉぉぉ」パチパチパチパチ
先生「じゃあ、席は……窓際の一番後ろね」
転「はい、わかりました」
転「お隣よろしくお願いしますね?」ボソッ
兄「う、うん。よろしく」
――――――
妹の教室
休み時間
妹「転校生?」
妹友「うん、お兄さんのクラスに。しかも、かなりの美人さんらしいよぉ?」
妹「へ、へぇ」ソワソワ
妹友「気になっちゃう?」クスクス
妹「……別に」
妹友「もうっ、わかりやすいなぁ♪」アハッ
妹「…………ちょっと出かけてくる」タタタ
妹友「行っちゃったぁ」クスクス
――――――
兄の教室
休み時間
兄「えっと、転校生さん?」
転「はい? なんでしょうか?」ニコニコ
兄「な、なんで、さっきから僕の顔をずっと見てるんですか?」オドオド
転「なんででしょう?」ニコニコ
兄「う、うぅぅぅ///」
転「……」ニコニコ
女「転校生さーん?」
転「あ、はい? なんでしょうか?」
女「その辺にしてあげてー。兄くん、こう見えて恥ずかしがりやさんだからさー」アハハ
転「あ、すみません。つい……」ニコッ
女「それに……」
――タタタタ
妹「お兄ちゃんっ!」バッ
女「あー、やっぱり来たー」アハハ
兄「あ、妹ちゃん」
妹「お兄ちゃん、大丈夫?」
兄「いや、大丈夫もなにもないから」
妹「でも、美人の転校生が来たって聞いたから……」
兄「また妹友から聞いたんだね、全く妹友は」ハァ
女「いやぁ、ほんとに兄くんが好きなんだねー、妹ちゃんは」アハハ
妹「そんなんじゃ――
転「あら?」
妹「えっ? あ、この人が?」
兄「うん、転校生さんだよ」
女「美人さんだよねー、いいなー」ノホホン
妹「あ、はじめまして。えっと私、妹って言います! お兄ちゃん……じゃなかった兄さんと女さんの後輩で――
転「妹、ちゃん?」
兄妹女「え?」
転「やっぱりそうです」
転「はじめまして、なんてひどいですよ? 私です、分かりませんか?」
妹「え、えっと?」
転「ほら、昔、お家が隣だった幼馴染みです」
妹「え……幼馴染みちゃん?」
転→幼「はい」ニコッ
妹「えぇぇぇ!?」
兄女「??」
妹「あの、幼馴染みちゃん? 小学校の頃に引っ越しちゃった?」
幼「はい、両親の都合でやっとこちらに帰ってこれたんです」
妹「そ、そうなんだ」ビックリ
幼「というわけで……」クルッ
兄「えっ?」
幼「兄くんもお久しぶりです。ひどいですよ。気付いてくれないんですから」ニコッ
兄「え、えっと? 僕は……」
幼「? どうしたんですか? まさか本当に忘れてしまったんですか?」フアンゲ
幼「昔、3人でよく遊んでいたじゃないですか」
兄「3人で、って?」
妹「…………え? そ、それって」
幼「?」
幼「勿論、私と妹ちゃんと兄くんでですよ?」
幼「ほら、お二人のお家で一緒に」ニコッ
兄「二人の家?」
幼「??」
幼「お二人は『ご兄妹』なのですから、お二人の家で合っているでしょう?」
妹「っ!」ガタッ
――キーンコーンカーンコーン――
幼「あら、鐘が鳴ってしまいましたね」
女「そだねー、ほら、妹ちゃーん」ノホホン
妹「…………」
兄「い、妹ちゃん?」
妹「あ、うん」ハッ
妹「ま、また来るっ!」
妹「幼馴染みちゃん! 後で話したいことがあるからっ!」タタタ
幼「はい」ニコッ
女「じゃねー」ヒラヒラ
幼「さ、席に着きましょうか」
女「そだねー、って、兄くーん?」カオヲノゾキコミ
兄「…………あ、うん。ごめん」
――――――
84 85に感謝を
92は??
少しずつ書いてきます
妹の教室
放課後
幼「お邪魔いたします」ペコリ
妹「……幼馴染みちゃん」
幼「こちらにいると伺ったので」ニコッ
妹「うん、わざわざありがとう」
幼「それでお話ってなんでしょうか?」クビカシゲ
妹「うん、その……」
――――――
妹(私は幼馴染みちゃんに事情を簡単に話した)
妹(私とお兄ちゃんの兄妹関係が無くなっていること)
妹(今は妹友ちゃんとお兄ちゃんが兄妹になっていること)
妹(私以外は、元々妹友とお兄ちゃんが兄妹だという記憶を持っていること)
――――――
幼「それは……不思議な話ですね」コンワク
妹「うん、正直私がおかしくなったんだって思い始めてた」
妹「けど!」
妹「幼馴染みちゃんは覚えてるんだよね!?」
幼「……はい」コクッ
幼「もう10年も前になりますが、妹ちゃんと兄くんの二人、兄妹と遊んだ記憶は確かにあります」
幼「妹ちゃんと知り合った時のことも」
幼「兄くんが妹ちゃんの兄になったときのことも」
妹「うん」
妹「ん? あ、あれ?」
幼「? どうしたんですか?」
妹「あ、あのさ、幼馴染みちゃん」
幼「は、はい?」
妹「この世界に――
妹「特別認定お兄ちゃん制度ってある?」
幼「はい、ありますよ?」キョトン
幼「それで兄くんが妹ちゃんのお兄さんになったんじゃないですか」
――――――
妹(そうだ)
妹(周りの変化ばかりに目がいっていて気づかなかった)
妹(誰かを誰かの『お兄ちゃん』にする)
妹(そんなの簡単なことだ! あの制度を使えばいい)
妹(私もそうやってお兄ちゃんと出会って兄妹になったんだったっ!)
妹(元はと言えば、全ては私がお兄ちゃんを解雇したところから始まってた)
妹(…………)
妹(勿論、それだけじゃ今の状況の説明はつかない)
妹(だからっ!)
――――――
保健室
放課後
妹「病弱娘っ!」ガラッ
病弱「び、ビックリしたなぁ……なんだい? なにか分かったことでも?」
妹「特別認定お兄ちゃん制度について教えてっ!」バンッ
病弱「あ、あぁ」チョットヒキ
―――セツメイチュウ―――
妹(病弱娘が説明した制度は、私が知ってるものと同じものであった)
妹(面談や書類提出などや年齢についての規定、特記事項など)
妹(特に目新しいものはなかった)
病弱「……そのくらいかな」
妹「うーん……」
病弱「知りたいことは分かったかい?」
妹「うん、だけど、これじゃまだ繋がらないよ」
病弱「ふむ」
病弱「あ、こんなのもあるけれど……」スマホヲサシダシ
妹「? 制度の正式書類?」
――――
『特別認定お兄ちゃん制度申請書』
『申請日 月 日』
『以下の者を戸籍上の兄とする』
『 』
『以下の者を上記の者の妹とする』
『 』
『申請者名』
『 』
『尚、この書類が正式に受理されるのは、申請日の15日後とする』
――――――
妹「……初めて見たわね」
病弱「他にも書類はあるようだけれど……」
妹「……あ、えっ?」
病弱「ん? どうかした?」
妹「ここ」ユビサシ
病弱「ええと、『尚、この書類が正式に受理されるのは、申請日の15日後とする』?」
妹「うん」
妹「この世界が、というかお兄ちゃんが妹友の『お兄ちゃん』になったのって、私がお兄ちゃんを解雇した2週間後、正確には15日後なんだっ!」
病弱「ふむ。つまり、この書類が受理されたことによって世界が変わった、と?」
妹「うん」
病弱「……にわかには信じられないけれど」
妹「でも、これで1つ辻褄はあった」
妹「他の書類は……」カチャカチャ
妹「………………あった!」
――――――
『特別認定お兄ちゃん制度における但し書き』
『1、この制度によって受ける訴訟、損失等は個人の責任とする。国及び地方公共団体は一切の責任を持たない』
『2、申込者の申し出により、第三者の記憶を修正をすることができる。その場合、別紙1に詳細を記入し提出すること』
――――――
妹「っ! こ、これだっ!」
病弱「なるほど」
妹「別紙ってやつはっ!?」
病弱「ふむ……これだね」スマホヲサシダシ
――――――
『別紙1』
『記憶の修正に関して』
『記憶の修正をする範囲を選び、下記の番号に丸をつけてください』
『1、申請者を除くすべて』
『2、過去5年間で兄妹に交友のある者すべて(申請者を除く)』
『3、過去10年間で兄妹に交友のある者すべて(申請者を除く)』
『尚、以前に特別認定お兄ちゃん制度を利用し、当該兄と兄妹関係にあった者の記憶は修正されませんのでご了承下さい』
――――――
妹「っ! 見つけた、やっと……」
病弱「なるほどね、恐らく申請者は2番を選んだ。だから、幼馴染みちゃんの記憶は維持されたままだったというわけだね」
妹「うん。そして、私が記憶修正されなかった理由もこれで分かった」
病弱「ふむ、となると申請者は……」
妹「…………」
――――――
1、妹「…………妹友」
2、妹「…………お兄ちゃん」
3、妹「…………分からない」
さて、ここまで見てくださった方ありがとうございます。
稚拙で乱雑な文章・展開にも関わらず見てくださり
本当にありがたいです。
と、それはさておき3択です。
私は恐らく寝ますので
希望の番号をレスしてください。
では、おやすみなさい。
とりあえず多かったやつから書こうかと思います
???
レス感謝です。
とりあえず2から行きたいと思います。
√2
――――――
妹「…………お兄ちゃん」ボソッ
病弱「え? なぜここで兄先輩の名前が出てくるんだい?」キョトン
妹「申請者が本当にお兄ちゃんかどうかは分かんない。だけど、そんな気がするんだ」
病弱「根拠に乏しいけれど、あれかい? 女の勘ってやつかな?」
妹「ううん」
妹「『妹』の勘よっ!」
病弱「……」フフ
妹「……な、なによ?」
病弱「いや? やっぱり君は面白いなと思ってね」フフフ
妹「わ、わらうなっ」
病弱「ともかくだ」
病弱「兄先輩を呼び出してみたらどうかな? 善は急げというだろう?」
妹「うん、そうする」
病弱「明日の放課後にでもしようか」
妹「……って、え? もしかしてあんたもついてくるつもり?」
病弱「ん? ダメかい?」キョトン
妹「うーん?」
病弱「ここまで巻き込まれたんだ。結末を見守らせてくれ」
妹「…………分かった」コクッ
病弱「じゃあ、明日の放課後に兄先輩をここに……いや、君の教室に呼び出そう」
妹「うんっ!」
――――――
妹友宅兄の部屋
夜
妹友「お兄さん♪」ピタッ
兄「い、妹友っ」アセアセ
妹友「そんなに慌てて、なにしてたんですかぁ?」クスクス
兄「ううん、なにもちょっと勉強してたんだ」
妹「……むぅ」
兄「なに?」オドオド
妹友「勉強はいいから私と遊んでください♪」アハッ
兄「え、えっと……わかったよ」
妹友「やった♪ それじゃあ、部屋から何か遊べるもの持ってきますね」タタタ
兄「うん」ニコッ
――prprpr――
兄「この音、メール?」
兄「…………」ゴソゴソ
兄「…………」ジー
兄「…………」スマホヲソウサチュウ
兄「…………」ソウシン
兄「…………」スッ
――――――
妹友「お待たせしましたぁ♪」タタタ
妹友「って、あれ?」
妹友「おにい、さん?」
公園
夜
兄「……」
妹「こんばんは」
妹「来てくれたんだ、お兄ちゃん」
兄「う、うん。これ見たから」スマホヲサシダシ
妹「ごめんね、こんな時間に呼び出して」
兄「ううん。でも、夜遅くに公園で待ち合わせなんて危ないよ? 言ってくれれば迎えに行ったのに」
妹「メールにも書いたじゃん。大事な話があるってさ」
兄「……うん」
妹「迎えに来られたんじゃ心の準備が出来ないし」ボソッ
妹「ほんとは明日の放課後の予定だったんだけど、なんかいてもたってもいられなくて」ウツムキ
兄「……それで」
兄「大事な話ってなに? 妹ちゃん?」
妹「……単刀直入に言うよ?」
妹「お兄ちゃん、あなたが申請したんでしょ?」
兄「……え、えっと、申請? なんのこと?」
妹「特別認定お兄ちゃん制度」
妹「お兄ちゃんが解雇された後、自分を妹友の『お兄ちゃん』にするよう申請した」
妹「それと同時に記憶の修正をした」
妹「違う?」
兄「ほ、ほんとに分からないんだけどっ」アセアセ
兄「なんでそんな話になるの?」アセアセ
兄「まず、なんで僕なの?」アセアセ
妹「そんなの……」
妹「『妹』の勘よっ!」
兄「…………」キョトン
妹「……なによ?」
兄「…………」
妹「なんか言ってよっ!」カァァ
兄「……はは」
妹「え? ちょっと?」
兄「あははははっ」
妹「ね、ねぇ!」アセアセ
兄「あははははははははははは!」
兄「やっぱり、妹は変わらないなぁ」ニコッ
妹「あ、あんた、今、わたしのことちゃん付けしないで……」
兄「うん」
妹「じゃあ、やっぱり……」
兄「そうだよ」
兄「僕が申請したんだ」ニコッ
妹「……」
兄「なんでって、顔してるね?」
兄「そんなの簡単だよ」
兄「妹が嫌いだから」
妹「っ!?」
兄「ずっとね、嫌いだったんだ」
兄「僕が孤児院から妹の家に来たときも」
兄「僕が君のお兄ちゃんになったときも」
兄「僕が君に解雇されたときも」
兄「最初から最後まで」
兄「ずっとずっと、ね」ニコッ
妹「っ!」
妹「た、確かに私はわがままで……お兄ちゃんの優しさに甘えてた……」ウツムキ
妹「けど、もうやめるって決めたのっ」キッ
妹「ちゃんと、ちゃんとするって!」
兄「そっか、それはよかったよ」ニコッ
妹「……えっ?」
兄「それだけが気がかりだったんだ」
兄「妹は知らないだろうね。僕はずっと君のお父さんに言われてきたんだ」
兄「お前がここにいるのは妹を立派にするため、そのためだけにいるんだってね?」
妹「え? な、なにそれ? 私、そんなのっ――
兄「うん、知らないでしょ?」
兄「けど、僕はずっとそうやってこの10年間を生きてきたんだ」
兄「君が何食わぬ顔で生活している陰で」
兄「妹がなにかする度にお兄ちゃんの僕が怒られた」
兄「なんで妹の成績が悪いんだ。勉強を怠らせたんだろ」
兄「妹が口答えしてきた。お前が何か吹き込んだんだろ」
兄「喧嘩をしたときも、なんで妹に謝らないんだ。早く謝れって」
兄「一から十まで僕のせいにされた」
兄「そして、君は僕のそんな状態に気付きすらしなかった」
妹「そ、そんなのって……」
兄「ひどいよね? でも、それは今の君だから言えるんだよ」
妹「っ!?」ビクッ
兄「少し前の君は、僕をぞんざいに扱っていた」
兄「まるでお姫様か何かのように、僕を使うのは当たり前みたいな顔でさ」ハハ
妹「っ」ウツムキ
兄「でも、僕は君のことだけ考えてこの10年を生きてきたからさ」
兄「僕が妹友ちゃんの兄になった後でも、妹が立派になってくれるかそれがどうしても気になってしまったんだ」
妹「……おにい、ちゃん」
兄「せっかく周りの記憶も修正して新しい生活を始めようとしたのに、皮肉なものだよ」ハハ
妹「……」ウツムキ
兄「けど、今日君から『ちゃんと』するって聞けてよかったよ」ニコッ
兄「これでやっと――
兄「君を忘れられる」
妹「お兄ちゃんっ!」
兄「君との生活は楽しくはなかった」
兄「君と兄妹になれてよくなかった」
兄「君と出会えて本当によくなかった」
妹「おに、ちゃ……」ポロッ
兄「じゃあね、妹『ちゃん』。これからも僕の『妹』と仲良くしてあげてね」
妹「っ、うぅ」ヒックグスグスッ
兄「…………」
兄「……」クルッ
妹「お、にぃちゃ、んっ!!」グスッ
兄「…………なに?」
妹「やく、そっく! あのひ、のっ『やくそく』は……!」
兄「……『約束』? そんなのした覚えはないよ」
妹「っ!? うぅ……」ガクッ
兄「じゃあね、もう二度と話しかけないでください」スタスタスタスタ
妹「っ」グスグスッ
妹「うっ、うぅぅ……うわぁぁぁぁぁぁぁん」
――――――
こうして1つの結末を迎えた。
兄先輩と妹友ちゃんは晴れて普通の兄妹に。
兄先輩と妹ちゃんは赤の他人に。
そんな風に関係性を変えて、終わりを迎えた。
それが、私こと病弱娘が聞いた事の顛末だ。
この後、妹ちゃんは一時不登校となった。
私や女先輩、幼馴染み先輩が妹ちゃんの家に通って、どうにか学校に来させられたんだけれど……。
――――――
妹「それでね、おにいちゃんがねっ!」ニコニコ
病弱「……うん」
妹「わたしのことだいすきだっていってくるんだよ」アハハ
病弱「……そうか、よかったね」
妹「うんっ! わたしもおにいちゃんだいすき!」ニコニコ
――――――
妹ちゃんは壊れてしまった。
自分を責めて責めて責めて責めて。
それに疲れてすり減って。
そして、彼女は壊れ、今は兄先輩の幻に想いを向けている。
…………。
この結末に導いた運命を、私は呪う。
――――――
End1 『兄の幻』
――――――
Badendになっちゃった……(´・ω・`)
私はhappyが好きなのにな…。
ちょっと休憩してから
次を書くことにしまする。
√1
――――――
妹「…………妹友」ボソッ
病弱「まぁ、そうなるだろうね。君の話を聞くと彼女が一番怪しい」
妹「……うん。でも、なんでなんだろう」
病弱「まぁ、思い付くこととしては兄先輩が好きだったとかかな?」
妹「うーん? でも、それなら制度を使う意味がないと思うんだけど」
病弱「まぁ、そうだね……」ウーン
妹「……」ウーン
病弱「とにかく、妹友ちゃんと話してみることだね」
妹「うん。明日、聞いてみるよ」
病弱「……あぁ」
妹「じゃ、またね! 結果はちゃんと教えるから」タタタガラッ
病弱「お、おいっ!」
病弱「……行ってしまった」
病弱「……大丈夫かな?」
――――――
妹友宅妹友の部屋
夜
妹友「お兄さん♪」スリスリ
兄「……/// は、恥ずかしいよ、妹友」
妹友「お兄さん、顔真っ赤ですよぉ?」ベタベタ
兄「うぅぅ///」
妹友「お兄さぁん♪」クスクス
――――――
兄「……」zzzz
妹友「ふふっ、お兄さんには効きやすくてありがたいです♪」スリスリ
妹友「さ、今日も始めましょうね?」スリスリ
妹友「」ゴソゴソ
妹友「よしっ♪」
妹友「これをお兄さんの耳につけて、っと♪」
兄「っ、うぅぅ……」ウメキゴエ
妹友「……ごめんなさい、『兄さん』」
妹友「でも、これは大切なことなんですよぉ?」
妹友「『兄さん』が私のところに行かないために……」
妹友「ふふっ」ナデナデ
妹友「……おやすみなさい♪」スリスリ
妹の教室
朝
妹「妹友!」
妹友「? どうしたの?」
妹「今日の放課後、時間あるかな?」
妹友「今日の放課後?」キョトン
妹「……うん。大事な話があるんだ」
妹友「…………」
妹「妹友? どうかした?」
妹友「ううん、なんでもない」クスクス
妹友「今日の放課後は、ちょっと用事があるんの。だから、明日の放課後でいいかな?」
妹「……わかった」
妹友「あ、あと1つお願いしていい?」
妹「う、うん?」
妹友「話をする前に、私とデートしよ♪」アハッ
妹「……はぁ?」
――――――
保健室
休み時間
妹「――って訳なんだけど」
病弱「ふむ」
妹「ど、どう思う?」
病弱「分からないな。妹友ちゃんが何を考えているのか……」ウーン
妹「うーん? あーもうっ! なんなのよっ!」
病弱「……とにかく約束は取り付けたんだろう?」
妹「うん」
病弱「なら、覚悟を決めるしかないだろう? 正直、私は妹友ちゃんの事はよく分からない。だから、あとは君がどうにかするんだ」
妹「…………うん」ウツムキ
病弱「……あと、さ」
妹「なによ?」
病弱「時間が少しできたようだから聞いておくけれど――
病弱「君は妹友のことを暴き出して、何がしたいんだい?」
病弱「どんな結末を望むんだい?」
――――――
下校途中
妹「何がしたい、かぁ……」
妹(私はお兄ちゃんに謝りたかった)
妹(けど、私が謝っても今のお兄ちゃんには届いてない。だって、記憶が修正されちゃってるんだから)
妹(だから、こうなった理由を知って……)
妹(……知って、どうするんだろう?)
妹(また謝る? そして……)
――Booooo――
兄「妹ちゃんっ!」バッ
妹「えっ?」ドサッ
――アブナイダロシニテェノカ――
妹「お、おにいちゃん?」ボーゼン
――――――
公園
兄「危ないよ、下手したら車に轢かれてた」
妹「……ごめんなさい」ウツムキ
兄「あ、えっと……気をつけてね?」
妹「うん」コクッ
兄「…………」テクテク
妹「…………」テクテク
兄「あ、あのさ」
妹「……?」
兄「悩み事? えっと、僕でよかったら聞くけど……」ニコッ
妹「っ!」
妹「お兄ちゃんっ」ギュッ
兄「え、えぇ? い、妹ちゃん?」アセアセ
妹「……ごめん、ごめんね」ギュゥゥ
兄「え、えぇぇぇ……その……」
――――憎い――――
兄「っ!?」バッ
妹「え、おにい、ちゃん?」ボーゼン
兄「ご、ごめん。なんか体が勝手に……あはは、女の子に抱きつかれ慣れてないからかな」アセアセ
妹「……こ、こちらこそごめんなさい。いきなり抱きついたりして」シュン
兄「あ、えっと、気にしないで? ね?」カオヲノゾキコミ
妹「……う、うん」
兄「えっと、それじゃあ気をつけてね?」
妹「……はい」ウツムキ
兄「…………」
妹「…………」
――ナデナデ――
妹「……え?」カオヲアゲ
兄「えっと」
兄「なにかあったら、遠慮なく言って?」ナデナデ
兄「僕でよければ聞くから、ね?」ニコッ
妹「…………うん、お兄ちゃん」
兄「そ、それじゃあね」テヲフリタチサル
妹「……お兄ちゃん、ありがとう」ボソッ
――――――
兄「っ、なんだろうこの気持ち」タタタ
憎い
憎い憎い
憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い
兄(止めてよ、なんなんだ、さっきから……)タタタ
兄(この声は、なんなんだよ)タタタ
――――――
多忙につき遅れ気味です。
ご容赦を
妹宅妹の部屋
夜
妹「……はぁ」
妹(やっぱり今のお兄ちゃんに謝っても意味がない)
妹(記憶が変わってるんだから当然かぁ)ハァ
妹(……でも、お兄ちゃんやっぱり優しかった)オモイダシ
妹(…………)キュン
妹「私、お兄ちゃんと一緒にいたい」ボソッ
妹「どんな結末を、かぁ」
妹「……これが答えなのかな?」
妹「お兄ちゃん」ボソッ
妹(……それにしても、なんで妹友は……)
妹(そればっかりは本人に聞かないと分かんないか)
妹(とにかく明日、妹友から聞こう。妹友があの制度を使った理由も、なんでお兄ちゃんなのかも!)
妹(聞いて……どうするんだろう?)
妹「あーもう! 考えるのやめた!」グシャグシャ
妹「よしっ! 今日は寝る!」バサッ
妹「おやすみなさい」ボソッ
――――――
妹友宅リビング
夜
妹友「♪」
兄「妹友、ご機嫌だね? 何かあったの?」
妹友「あ、お兄さん♪ 明日、妹ちゃんとデートするんですよぉ♪」アハッ
兄「へぇ、それは楽しみだね」ニコッ
妹友「はい♪ 久しぶりのお出かけですし……」
妹友「これが最後になるかもしれませんから」クスクス
兄「……? え、えっと」
妹友「なんでもないですから、気にしないでください」
兄「あ、うん?」
妹友「それよりもお兄さん♪」
兄「え、えと、なに?」
妹友「今日は一緒にお風呂入りましょ♪」アハッ
兄「えっ!? なに、と、唐突に!?」アセアセ
妹友「いいじゃないですかぁ? たまには裸の付き合いも大切ですよ♪」クスクス
兄「え、えぇぇぇ!? そ、それは」
妹友「さ、行きましょう!」グイグイ
兄「ひ、引っ張らないでよぉ!?」アセアセ
妹友「ふふっ」クスクス
――――――
支援
>>100
但し書きの意味が違う
>>124
BADEND→HAPPYENDの展開は王道だから良いと思った
妹の教室
朝
妹友「妹ちゃん♪」ギュッ
妹「っ!? 妹友」ビクッ
妹友「おはよっ!」アハッ
妹「……おはよう。いきなりどうしたの?」
妹友「んー? ちゃんと放課後の予定空けてるかなぁって心配になって」クスクス
妹「大丈夫。私から言い出したことだし」
妹友「そっかぁ、それならよかった♪」
妹「……うん」
妹友「あ、妹ちゃん。今日の昼休み、用事があって一緒にお昼食べられないってお兄さんに伝えてくれないかな?」
妹「……え、うん。分かったわ」
妹友「ありがとっ! じゃ、また放課後にね?」
妹「分かった」
――――――
屋上
昼休み
妹「――というわけで、妹友は今日、一緒にお昼食べられないって」
女「んー? そなのー?」
妹「うん」
兄「伝えてくれてありがとう。妹友に友達を使うなって注意しとかなきゃ」
妹「……それじゃ私はこれで」クルッ
幼「? 妹ちゃん、一緒に食べていかないんですか?」
妹「え?」キョトン
女「わざわざ来てくれたんだからいっしょたべよーよー! ね、兄くん?」
兄「……あ、うん。そう、だよ」
妹「…………えぇと」
幼「妹ちゃん」ヒソヒソ
妹「えっと、なに? 幼馴染みちゃん」ヒソヒソ
幼「せっかくのチャンスなんですからここは誘いに乗ってはどうでしょう?」ヒソヒソ
妹「チャ、チャンスって?」ヒソヒソ
幼「兄くんと仲良くなれるチャンスですよ」ヒソヒソ
妹「仲良く……」ボソッ
幼「昔はあんなに仲良かったんですから、兄妹じゃなくなったってきっと大丈夫ですよ」ニコッ
妹「…………うん」
妹「……えっと、それじゃお昼一緒させてもらいます//」ボソッ
女「うんうん、そうこなきゃねー」ノホホン
兄「…………っ」イモウトヲミテ
幼「どうかしました、兄くん?」クビカシゲ
兄「う、ううん。なんでもないよ」アセアセ
――――――
あれ、投稿されてる?
されてた
続き書きます
兄の教室
休み時間
兄「…………はぁ」
幼「兄くん? どうしたんですか、ため息なんてついて」カオヲノゾキコミ
兄「あ、幼馴染みさん」
幼「幼馴染みでいいですよ? 昔はそう呼んでくれてたじゃないですか」ニコッ
兄「……えっと」
幼「あ、記憶がないんでしたよね」ハッ
兄「…………記憶」ボソッ
兄「ねぇ、幼馴染みさん」
幼「はい、なんですか?」
兄「幼馴染みさんはどうして僕を知ってたの?」
幼「それは、昔一緒に遊んでいたからです。私と兄くん、それに妹ちゃんの三人で」
兄「……僕の記憶にはそんなことなかったよ」ボソッ
幼「そう、みたいですね」コマリガオ
兄「三人で遊んでたっていうのは、僕と幼馴染みさんと妹ちゃん……妹友じゃなくて?」
幼「はい。妹ちゃんです。それは妹ちゃんも覚えてるはずです」
兄「……」ウツムキ
幼「兄くん?」
兄「…………幼馴染みさん」
幼「はい」
兄「僕の記憶と幼馴染みさんの記憶、どっちが本物なのかな?」
幼「……それは、わかりません」ウツムキ
幼「私の記憶はあくまでも主観としてのものです。その上、10年も昔のものです。ですから、一概に兄くんの記憶が間違っているとは私には言えません」
兄「……そっか」ウツムキ
幼「けれど、お二人が仲の良い兄妹だったことは確かですよ」
兄「きょう、だい……」
幼「妹ちゃんは兄くんにべったりなお兄ちゃん子でした」
幼「兄くんは妹思いのとてもいいお兄ちゃんでした」
幼「お二人は誰が見ても仲のいい兄妹だったんですよ? 羨ましくなるくらい」フフ
兄「……そう、なんだ」
兄「…………」ウツムキ
幼「なぜ今、妹ちゃんと兄くんが兄妹ではないのかは私にはわかりません。妹ちゃんにもその後聞けていませんし……」
幼「けれど、兄くん」
幼「兄くんなら、なにか気がついているんじゃないですか?」
兄「ぼ、僕が?」オドオド
幼「……」コクッ
幼「兄くんはそうは思っていないかもしれませんが、兄くんは聡い人だと私は思います」
幼「それに、兄くんは妹ちゃんのことをよく見ていました。私の記憶では、ですけど……」
幼「だから、もし兄くんが私の知っている兄くんなら、少なくとも妹ちゃんが言っていることが本当か嘘かくらいは見抜けているんじゃないですか?」
幼「いつも妹ちゃんを気にしていた兄くんなら……」
兄「っ!」
――――――
なんで妹が怪我をしたんだ!
お前が見ていないからだろうっ!
お前が、お前がっ!
ごめんね、私にはどうにもできないの……。
だから、妹ちゃんのことお願い、お兄ちゃん。
――――――
兄「痛っ!?」アタマオサエ
幼「あ、あにくん!?」カケヨリ
兄「くっ、うぅぅぅ……」
幼「だ、大丈夫ですか!? 保健室に――
兄「だ、大丈夫、だから」
幼「兄くん?」
兄「大丈夫、ちょっと頭痛がさ」アハハ
幼「本当に……大丈夫なんですか?」フアンゲ
兄「う、うん」ニコッ
幼「なら、いいんですけど……」
幼「と、とにかく、1度妹ちゃんや妹友さんと話してみるといいかもしれません」
兄「うん、そうしてみるね」
幼「私もできることはしますから!」
兄「ありがとう、幼馴染みさん」ニコッ
兄(……さっきのはなんなんだろう?)
兄(それに、少し前からする『憎い』って言う声。妹ちゃんに近づくとたまにするんだよね……)
兄(うーん?)
兄(どっちもどこかで聞いたことある声のような気がするんだけど)
兄(……分からない)
兄(幼馴染みさんの言う通り1回妹友や妹ちゃんと話す必要があるかもしれない)
兄(…………)
兄(よし! 今日の夜にでも、妹友と少し話してみよう!)
――――――
ショッピングモール
放課後
妹友「よしっ♪ さっそく回ろっか♪」
妹「う、うん。どこ見る?」
妹友「あ、あそこの店の新作が出たらしいから見に行きたい!」
妹「分かったわ。行きましょ?」
妹友「うん♪」
――――――
妹友「次っ!」
妹「あ、私、冬物見たいんだった!」ハッ
妹友「あ、私も♪」
妹「よし、じゃ、向こうから!」タタ
妹友「♪」
――――――
妹「妹友にはこっちの方が似合うと思う」
妹友「そうかなぁ?」
妹「妹友、結構スタイルいいから」
妹友「えーそう? 誉めてもなにも出ないよぉ?」クスクス
妹「別に出なくていいわよ」
妹友「ふふっ、そう?」
――――――
妹友「んー♪ ここのパフェは最高ぅ♪」アハッ
妹「……それ、3つ目よね?」アキレ
妹友「んー? 別バラ別バラぁ」
妹「太るわよ?」ジトー
妹友「私は太らない体質ですからぁ♪ 妹ちゃんと違ってね♪」クスクス
妹「なっ!」ガタッ
妹友「ほら、妹ちゃん、あーん♪」
妹「い、いらないわよっ!」プイッ
妹友「あらら」クスクス
――――――
妹「ふぅ! 楽しかった!」ノビー
妹友「久しぶりだったねぇ」
妹「……うん」
妹「…………」テクテク
妹友「…………」テクテク
妹「…………」テクテク
妹友「…………ねぇ、妹ちゃん?」
妹「うん……公園でいい?」
妹友「いいよぉ」クスッ
――――――
公園
妹友「それで、大事な話ってなに?」
妹「……うん」
妹友「……」
妹「……」
妹友「言わないの?」
妹「えっと……」
妹友「ふふっ、当ててあげよっかぁ?」クスクス
妹「えっ?」
妹友「お兄さんのことでしょ?」アハッ
妹「っ! う、うん」
妹友「やっぱり♪ 妹ちゃんは分かりやすいなぁ」クスクス
妹「…………それで」
妹友「なにかな? お兄さんの趣味がなにかとか? それともお兄さんは家で何をしてるか? もしくは、お兄さんに好きな人はいるのかとか?」アハッ
妹「えっと、そういうんじゃなくてっ!」
妹友「それとも――
妹友「お兄さんの記憶のこと?」クスクス
妹「……え?」
妹友「あ、お兄さんだけじゃないね。女さんや病弱娘さん、あとはクラスの皆や先生もかな?」クスッ
妹「っ! やっぱり妹友、あんたがっ!」キッ
妹友「うん♪ そうだよ?」
妹友「特別認定お兄ちゃん制度を使って、お兄さんを私の『お兄ちゃん』にして、皆の記憶を修正したのは……」
妹友「私、だよ?」クスクス
妹「…………」
妹友「その顔は、なんとなく分かってたって顔かなぁ?」
妹「うん。妹友が一番怪しかったから」
妹友「そりゃそだよねぇ」アハッ
妹友「結果的に私は妹ちゃんからお兄さんを奪ったことになるんだし?」
妹友「疑われるのは当然かな」クスッ
妹「…………」
妹友「それで?」ニコッ
妹「えっ?」
妹友「それを知ってどうするのぉ?」
妹友「あの制度を使って、私からお兄さんを奪い返してみる?」クスッ
妹「…………」ウツムキ
妹友「んー? もしかして、考えてなかったの?」
妹「…………」
妹友「ダメだよ? 行き当たりばったりで動いちゃ…………って、妹ちゃん?」
妹「……うん」
妹友「え?」キョトン
妹「私は……」
妹「あんたからお兄ちゃんを奪い返す!」
妹友「…………」
妹友「……ふーん?」
妹「私はお兄ちゃんにちゃんと今までのこと謝りたい!」
妹「今まで辛く当たってきたこと。お兄ちゃんの優しさに甘えてたこと。これからは私もお兄ちゃんを支えたいってこと」
妹「それには今のままじゃダメなのよ!」
妹「だから……!」
妹友「……40点」
妹「……は?」
妹友「だから、それじゃ40点しかあげられないよ?」クスッ
妹「な、なんなのよっ!」キッ
妹友「そんなんじゃダメ。落第しちゃうよぉ?」クスクス
妹「っ! ふざけて――
妹友「るのは妹ちゃんでしょ?」
妹「っ!? わ、私、ふざけてなんかない!」
妹友「ふざけてるよ。その程度で私から『兄さん』を奪えると思ってるの?」
妹「な、なに言って……」
妹友「私のことも知らない。『兄さん』のことも知らない。自分の置かれてる環境のことすら知らない。そんな浅いあんたに奪えるわけないっ! 私はずっと準備してきた。あんたを見て、あんたに共感して、あんたを励まして、あんたの一番の友達になった。そうして、綻びを探して待って、ようやくここまで来たの。だから、ダメっ! あんたになんか『兄さん』は渡さないっ!!!」キッ
妹「っ!?」
妹友「…………」
妹「妹友、一体?」
妹友「……その様子じゃやっぱり分かってないんじゃない」クスクス
妹友「問1 なぜ私はお兄さんを制度を使って『お兄ちゃん』にしたのでしょう?」
妹友「問2 なぜ私はお兄さんを『兄さん』と呼ぶのでしょう?」
妹友「問3 なぜお兄さんは――
妹友「妹ちゃんとの約束を破って、妹ちゃんの誕生祝いに参加しなかったのでしょう?」クスクス
妹「なんで、あんたがそれを……!」
妹友「それ、教えてほしい?」クスッ
妹友「んー? しょうがないなぁ♪ 親友のよしみで教えてあげよう♪」
妹友「あの日、妹ちゃんの誕生日、私はお兄さんと一緒にいたの」
妹友「妹ちゃんの誕生日プレゼントを一緒に選んでほしいって言われてね」
妹友「プレゼントを無事買って、その帰り道のことだった」
妹友「私ね、わざと車の前に飛び込んだの」
妹「っ!? なんで!?」
妹友「怪我をするために」
妹友「怪我をして、その日、お兄さんを私のところに拘束するために♪」ニコッ
妹「な、なによ、それ……」
妹友「その時ね、ちょうどよくプレゼントも轢かれてくれたんだぁ♪ あれは嬉しい誤算だったなぁ。おかげで、お兄さんが妹ちゃんにプレゼントを渡すことを遅らせることができたんだ」クスクス
妹友「ま、それで私は怪我で痛がるふりをして、お兄さんにそばにいてもらったのぉ♪」
妹友「お兄さん優しかったぁ♪」テレテレ
妹「じゃ、じゃあ、あの日、お兄ちゃんが家に帰ってこなかったのは……」
妹友「そ♪ 私を看病してくれてたから」クスッ
妹友「そして、その数日後だったね?」
妹友「あんたが『兄さん』を解雇したのは」
妹友「本当に読み通り」クスクス
妹友「妹ちゃん、毎年楽しみにしてたもんね? お兄さんが祝ってくれるの」
妹「っ! 妹友っ!!」キッ
妹友「妹ちゃんのそういうところも私知ってたから」
妹友「ほんと、親友でよかったぁ♪」
妹「くっ!」ギリッ
妹友「怖いよぉ、そんなに睨まないで」クスクス
妹「……」キッ
妹友「それに、睨んだってもう……」
妹友「無駄だから♪」
妹「っ」フラッ
妹友「あ、聞いてきたぁ」クスッ
妹「な、にを……」フラフラッ
妹(ね、眠い……こんなときなのに)
妹友「……」
妹友「追加問題 なんで私は妹ちゃんとデートしたのでしょうか?」クスクス
妹「…………っ、うっ」クラッ
妹友「正解は、これを使うためだよぉ」ヒラヒラ
妹(……薬?)
妹友「大丈夫♪ ただの睡眠薬だからぁ」
妹(すいみん、や、く?)フラフラッ
妹友「お兄さんにも何度も使って効果は実証済みだから、安心して♪」
妹(…………っ)
妹友「ね? 安心して、おやすみなさい?」クスッ
妹(……)グラリッドサッ
妹友「またね、妹ちゃん♪」クスクス
ちょい朝マックしてきます。
いい天気なので
保健室
朝
病弱「それで、そのまま逃げられてしまったってことだね?」
妹「そうよ、あーもうっ!」
病弱「ふむ。予想以上だ」
妹「予想以上って?」
病弱「何かあるとは思っていたけれど、睡眠薬の件といい、妹ちゃんの誕生日のことといい、彼女は思っていた以上に打算的な性格みたいだね」
妹「うん、完全にあの剣幕に圧された……」ウツムキ
病弱「……」ウーン
病弱「それで妹友ちゃんは? 今日、学校には来ているのかい?」
妹「ううん、さっき先生に確認してきたけど、今日は休むって連絡があったらしいわ」
病弱「それじゃあ、少し休戦なのかな?」
妹「……そう、だといいんだけど」
病弱「まぁ、昨日のこともあるしね」ニガワライ
妹「うん」
病弱「とにかくまずは教室に行くことかな。教室には寄らずにここに来たんだろう?」
妹「うん、話さないとっておもったから」
病弱「相当の進展だったからまぁ、気持ちは分かるよ」
妹「ま、放課後にでも妹友の家に押しかけてみる」スッ
病弱「……あまり無茶はしない方がいい」
妹「わかってる! けど……」
病弱「まぁ、消化不良だろうし、もし押し掛けるときは声をかけてくれ」
妹「……? あんたもついてくるの?」キョトン
病弱「あぁ、君だけじゃあ手に負えなさそうな人柄のようだからね、彼女」ハハ
妹「ん、わかった。じゃあ、また後で」タタタ
――――――
病弱「『兄さん』、か」ボソッ
病弱「…………」
病弱「彼女と兄先輩」
病弱「もしかしたら、二人には何か、妹ちゃんの知らない繋がりがあるのかもしれない……」
病弱「一体……」
――――――
妹の教室
――ザワザワザワザワ――
妹「あれ? なんか、騒がしい……?」タタタ
クラスメート「あ、妹さん!」
妹「えっと、どうしたの? 何かあったの?」
クラスメート「う、うん。妹友さんのお兄さんが」オロオロ
妹「え、お兄ちゃん?」
クラスメート「なんかすごい形相で」
兄「――――――だよっ!」バンッ
クラスメート「落ち着いてください」アセアセ
兄「っ!」イモウトヲミツケ
妹「えっ?」
兄「っ! おまえっ!」キッ
クラスメート「あっ!?」
妹「おにい――
兄「妹友になにしたんだっ!!」ムナグラツカミ
妹「ひっ!?」ビクッ
――キャー!?――
兄「妹友がっ! 妹友が!!」フーフー
クラスメート「誰か兄先輩止めてっ!」
クラスメート「先生を呼んでくる!」タタタ
兄「なんで、あんなことっ!」
妹「おにいちゃ、やめっ、て」
兄「お前のせいで、妹友がっ」クビヲシメ
妹「な、にを……」
妹「か、はっ――」ゴホッ
教師「おい、なにしてるんだっ!!」ガラッ
クラスメート「っ! 先生、いきなり兄先輩が!」
教師「説明聞くのは後だ! 男子、引き離すの手伝えっ!」
クラスメート「は、はいっ」ダッ
――――――
職員室
教師「えぇ。興奮しているようで、今は会話が成り立ちません」
教師「はい、はい。兄は、落ち着くまで指導室で様子を見ています」
教師「……はい」
妹「…………」ボーゼン
教師「……妹、大丈夫か?」
妹「…………は、い」ボソッ
教師「…………保健室に行ってなさい」
教師「怪我はないようだが……保健室の先生にな話しておくから、な?」
妹「……」コクッ
――――――
保健室
妹「……」ガラガラ
病弱「妹ちゃんっ!!」ダッ
妹「っ!?」ビクッ
病弱「あ、ごめん。大きな声出して」
妹「…………病弱娘」
病弱「だ、大丈夫かい? えっと、話聞いたからさ……」
妹「…………」ウツムキ
病弱「……妹、ちゃん?」
妹「……んで」ボソッ
妹「なんで、おに、ちゃん……」ポロポロッ
病弱「っ、妹ちゃん」ダキッ
妹「う、うぅぅ、うぇぇぇぇぇぇぇん」ボロボロ
病弱「よしよし、大丈夫だから。きっと何かの間違いだよ」ナデナデ
妹「おにい、ちゃぁぁぁん」ボロボロ
――――――
明日も早いので寝ます。
更新遅くてスミマセン。
ええと
まだ見てくださってる方いらっしゃいますかね?
もう少し長くなってしまうと思います。
もし見てくださってる方いたら
もう少しだけお付き合い下さい。
妹友宅
前日
兄「妹友、まだかな?」
兄(……妹ちゃんと出かけてるんだっけ?)
兄(僕と妹ちゃんのこと聞こうと思って待ってるんだけど……遅いな)
――ガタガタッ――
兄(? 玄関から音がする。もしかして、妹友帰ってきたのかな?)タタタ
兄「おかえり、妹友――
妹友「お、にいさ……ん」ボロボロ
兄「妹友!?」ダッ
妹友「……」フラッ
兄「っ! 妹友!」ダキカカエ
兄「と、とりあえず怪我の手当てしないとっ!」
兄「リビングに移動するよっ!」
妹友「は、ぃ」
――――――
兄「ふぅ、ひとまずこれで大丈夫かな」
妹友「ありがとうございます」ウツムキ
兄「……なにがあったの?」
妹友「…………妹、ちゃん」ボソッ
兄「い、妹ちゃん? 妹ちゃんがどうかしたの?」
妹友「妹ちゃんにっ」ポロッ
兄「えっ?」
妹友「妹ちゃんに、やられたっ! き、きにいらないってっ……言われてっ」ヒックグスッ
兄「っ!? そんなことっ!」
妹友「私も、信じられないですっ!でも……」ボロボロ
兄「……そんな、こと」
妹友「うぅぅっ」ボロボロ
兄「妹友……」
妹友「信じてたのにっ! 友達だと思ってたのに、妹ちゃんっ!」ボロボロ
兄「っ!」
――――――
なんで『妹』を泣かせたんだ!
おまえが悪い、お前がしっかり見ていなかったから!
『妹』が怪我をしたんだぞ!
お前がっ! お前がっ!
――――――
憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い
――――――
『妹』が泣いてる。
誰のせい?
それは、僕のせい?
ちがう、それは……
兄「妹ちゃんのせい」ボソッ
兄「妹ちゃんが、妹ちゃんの、妹ちゃんは、妹ちゃんと、妹ちゃんに、妹ちゃんで、妹ちゃん、妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹妹憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い」ブツブツブツブツ
妹友「」クスッ
――――――
妹より前に妹友が妹だった可能性もあったり?
妹友「……お兄さん?」グスッ
兄「えっ?」
妹友「……大丈夫、ですかぁ?」ヒック
兄「あ、ごめん。ちょっと取り乱しちゃって」オドオド
兄「って、僕のことはいいよっ! 妹友、今日は休もう?」カオヲノゾキコミ
妹友「……は、はい」
妹友「あっ」
兄「ん? どうしたの?」
妹友「あのっ、今日は一緒に寝てもらえませんか?」
兄「えっ!?」
妹友「その、やっぱり不安で……」ウツムキ
兄「…………うぅぅ」アセアセ
妹友「ダメですかぁ?」ウワメヅカイ
兄「わ、わかった!」
妹友「ほ、ほんとですかぁ?」パァァァ
兄「うん、今日は一緒に寝よう?///」
妹友「はいっ♪」ニコッ
――――――
兄「……すぅ」zzzz
妹友「…………」
妹友「ありがとうございます、お兄さん♪」クスッ
妹友「これで、もうおしまいです」
妹友「長かったなぁ……」
妹友「あの日から今まで」
妹友「妹ちゃんに近づいて、親友になって、お兄さんともまた知り合いになって、お兄さんと妹に亀裂を作って、お兄さんと兄妹になって、皆の記憶を修正して、お兄さんに睡眠薬を使って、妹ちゃんにネタバラしして」
妹友「ほんとに色々したなぁ」クスクス
妹友「あ、それにこれも……」ゴソゴソ
ウォークマン「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い……」リピート
妹友「眠ってるお兄さんの耳元でこれ流すのが、日課になってたっけ」クスクス
妹友「でも、もうこれも必要ない♪」ツクエニシマウ
妹友「あとは全部、お兄さんがやってくれるから」
妹友「そうしたらやっと……」
妹友「普通の兄妹になれるよ、『兄さん』♪」ピタッ
――――――
妹友宅前
放課後
兄「…………」ボー
兄「…………」テクテク
?「兄くん」
兄「?」フリカエリ
兄「あぁ、幼馴染みさん」
幼「今、お帰りですか?」
兄「うん。なぜか先生に怒られてね……」ハハ
幼「……聞きましたよ」
兄「え?」
幼「妹ちゃんに暴力をふるったという話」
兄「あ、うん。それがどうかしたの?」
幼「っ! 兄くん、あなた何をしたかわかってるんですか!?」キッ
兄「??」キョトン
幼「女の子に、妹ちゃんに暴力を振るったんですよっ!!」
兄「……やだな、幼馴染みさん」
兄「あの子は……」
兄「僕の『妹』を傷つけたんだよ?」ウツロナメ
幼「っ! あ、兄くん……?」
兄「だからね? 当然のことなんだよ?」
幼「兄くん、変ですよ……」
兄「?? 変なのは皆だよ。なんで僕を止めたのかな? そのせいで」
兄「○せなかったじゃないか」ニコッ
幼「」アトズサリ
兄「……話はそれだけ?」
幼「……あに、くん」
兄「『妹』が待ってるから」テクテク
幼「………………」
――――――
妹友宅
妹友の部屋
妹友「おかえりなさい、『兄さん』♪」ニコッ
兄「ただいま、妹友」ニコッ
兄「ごめんね、あいつ○せなかったよ」シュン
妹友「気にしないでください。そんなことどうでもいいんです♪」ギュ
兄「……妹友」
妹友「私は『兄さん』が側にいてくれればそれだけで……」ギュゥゥ
兄「うん」ギュゥゥ
妹友「……『兄さん』?」ギュゥゥ
兄「なに?」ギュゥゥ
妹友「私のお願い聞いてくれますかぁ?」ウワメヅカイ
兄「なんでもいって?」
妹友「……私と一緒に遠いところに行きませんかぁ?」
兄「遠いところ?」
妹友「はい♪ 誰もいない。私たちだけしかいない。そんなところに」ギュ
兄「…………」ギュ
兄「……うん、いいよ」ギュ
――――――
――――――
あの事件の次の日から。
妹友とお兄ちゃんは私たちの前から姿を消した。
妹友の家に行ってみても誰もいなくて、どこに行ったのかわかるようなものは何一つ残されていなかった。
私は二人の捜索願いを警察に届け出た。
身内ではないことで少しややこしいことにはなったけど、そっちにコネがあるお父さんの口添えでどうにかなったみたい。
けれど、二人がいなくなって2週間が経った今日に至っても、何の手がかりも見つからない。
それに結局、
あの日のお兄ちゃんの奇行の理由も。
妹友がなぜお兄ちゃんを『兄さん』と呼ぶのかも、分からないままだった。
――――――
病弱「……妹ちゃん、大丈夫?」
妹「……うん。二人を絶対見つけてみせるから」
病弱「…………」
――――――
私はあの日、大切な人を二人失った。
大切な友達と大切なお兄ちゃんを。
私の心は今日もそんな辛い現実に押し潰されそうになっている。
強がって強がって強がって強がって
どうにかそれに耐えてる毎日だ。
正直、この強がりもいつ崩れてしまうか分からない。
ほんとに私、なにも分かんないままだったな。
…………。
もし。
もし、二人にまた会えたのなら。
今度はちゃんと二人のことを知りたい。
だから、
妹「早く帰ってきてよ、二人とも……」
――――――
End2 『帰ってこない二人』
――――――
はい。
そんなわけで
二つ目のエンドが終わりました。
ハッピーエンドを期待してた方スミマセン。
バッドになりました。
私もハッピーエンドにしたかったんですが……。
指が勝手に、ね?
というわけで
次こそ、誰も選ばなかった
3、「…………分からない」の√で完結させたいと思います。
あともう少しだけ
ダメな妹とクズな兄と黒い妹友と
どうしようとない作者にお付き合い下さい。
おつー
ここ数日急に増えたような気がするが」のあとの半角カタカナを擬音以外の用途に多用するのは頂けないね
それならまだ地の文を併用した方がマシ
乙。
兄貴はクズだとは思わないというか、ヘタレだとは思う。むしろ、妹の家族と妹に問題が…。
とにかく、はよう次!
>>161
そこら辺も次で!
>>168
ss書くの自体初めてなので
そういうご指摘は本当にありがたいです!
ただ今作はここまで来たのでこの書式?で統一したいと思います。
ご容赦を。
>>169
感謝です。
遅れぎみですが
すぐあげられるよう頑張ります!
√3
――――――
妹「…………分からない」
病弱「……」
妹「まだ、分からないわ」
病弱「本当にそれを言ってるのかい?」イラッ
妹「……な、なによ?」
病弱「君が話してくれた前の世界、いや、記憶が修正される前のこと」
病弱「それを聞いて、私が気づかないわけないだろう?」
病弱「当事者の君なら尚更だ」
妹「……なにが言いたいの?」
病弱「申請者は妹友ちゃんしかいないだろう?」
病弱「君が兄先輩を解雇したその途端に先輩に近づいたという妹友ちゃん」
病弱「今までそこまで仲のよくなかった妹友ちゃんと兄先輩が一緒に昼食を食べていたこともあったんだろう?」
病弱「その上、記憶が修正された後はその二人が兄妹になっていたんだ」
妹「っ、そんなのただの――」
病弱「偶然? 確かにそんな偶然もあるかもしれない」
病弱「第一、この制度は兄妹になる本人達以外が申請したところで通るものではないしね?」
妹「それはっ! ……そうだけど」シュン
病弱「君は怖いんだよ」
妹「っ!」ビクッ
病弱「もし妹友ちゃんが本当に申請者で、君から『お兄ちゃん』を盗ったのだとしたら?」
病弱「まぁ、元々君が兄先輩を感情に任せて解雇したのが原因なのだけれど」
病弱「それを差し置いても、彼女は君になにも言わず相談に乗るふりをしながら、その制度を使って」
病弱「君から『お兄ちゃん』を奪った」
病弱「裏切られた」
病弱「それを認めるのが怖いんだ、そうだろう?」
妹「……」
病弱「……」
妹「っ! そ、そうよっ!」
妹「だ、だって、もしそれがほんとなら、私、親友に裏切られたことになるのよっ!」
妹「親友に大切なお兄ちゃんを奪われて……」
妹「もしかしたら、大切な人を二人も……」
妹「それを暴いて……どうするのよ……」ウツムキ
病弱「妹、ちゃん」
妹「どうしろって、いうのよ……」ボソッ
病弱「…………はぁ」
妹「な、なによ、ヘタレだって言いたいの?」
病弱「そうだね、君はまったくわがままで素直じゃなくて、そのくせヘタレだ」ハハハ
妹「なっ!」
病弱「でも、私は――
――回想―――
廊下
病弱「うっ」フラッ
病弱「…………一人で教室に行くこともできないのか」
病弱「ふふっ、全くどうしようもないな、私は」
妹「……あんた」
病弱「えっ? あ、君は同じクラスの妹さん?」
妹「ん。で、あんたはなにしてんのよ?」
病弱「あぁ、教室に行って、授業に出ようかと思ったんだけどね。やはりダメなようだよ」ハハハ
妹「……ふぅん」
病弱「気にしないでくれ。大人しく保健室に戻るから」ニコッ
妹「…………」タタタ
病弱(……行ってしまった。参ったな)
病弱(遠回しに断ったとは言え、一瞥もせず走り去るとは、あの子なかなかひどいことするな)
兄「……えっと? 病弱娘さん?」
病弱「えっ?」
兄「あ、君が病弱娘さんだね。大丈夫? 体調悪そうだったって聞いたからさ」ニコッ
病弱「えぇと、失礼ですが、どなたですか?」
兄「え? あ、あぁ。やっぱり話してなかったんだ」クショウ
兄「僕は兄。妹のお兄ちゃんをやってます」
病弱「妹? あぁ」
病弱(さっきの子か。それにしてもなぜそのお兄さんが?)
兄「あ、やっぱり困ってるよね」アハハ
病弱「えぇと……」
兄「えっと、妹に頼まれたんだ。クラスメートが困ってるから助けてあげて、ってね?」
――――――
病弱「そんな君が好きで友達になったんだった」ニコッ
すまん、上のやつミスです
兄は来ない。
妹が来る。
そろそろ寝ます
次は訂正してから始めます。
おやすみなさい
おつー
まさかのバッド続きには驚いた
――回想―――
廊下
病弱「うっ」フラッ
病弱「…………一人で教室に行くこともできないのか」
病弱「ふふっ、全くどうしようもないな、私は」
妹「……あんた」
病弱「えっ? あ、君は同じクラスの妹さん?」
妹「ん。で、あんたはなにしてんのよ?」
病弱「あぁ、教室に行って、授業に出ようかと思ったんだけどね。やはりダメなようだよ」ハハハ
妹「……ふぅん」
病弱「気にしないでくれ。大人しく保健室に戻るから」ニコッ
妹「…………」タタタ
病弱(……行ってしまった。参ったな)
病弱(遠回しに断ったとは言え、一瞥もせず走り去るとは、あの子なかなかひどいことするな)
病弱(さ、保健室に……)フラッ
妹「っ!」ダキトメ
病弱「え?」
妹「……危ないじゃない」
病弱「え、えぇと?」
妹「今、先生呼んできたから……」ボソッ
病弱「???」
妹「だ、だから!」
妹「これ以上歩けないのに強がりとか意味分かんないから!」アセアセ
妹「とっとと誰かに助け求めなさいよ! ふんっ」プイッ
病弱「ふふっ」
妹「な、なによ?」
病弱「優しいんだなと思ってね?」ニコッ
妹「うっさい! 黙ってなさいよ」
――――――
病弱「そんな君が好きで友達になったんだ」ニコッ
妹「い、いきなりなんなのよ///」
病弱「いやいや、ちょっと昔のことを思い出してね」ハハハ
妹「??」
病弱「まぁ、気にしないでくれ。さっきは私も少し感情的になりすぎたよ」
病弱「とにかく、分からないという君の答えもあながち間違っていない」
妹「さっきと言ってることが違うんだけど?」
病弱「あぁ。状況から判断するに、妹友ちゃんが最も怪しいというのは変わらないよ」
病弱「ただ確定しているわけでもないし、もし彼女が申請者だったとしても、その目的や真意は分からない」
病弱「だから、君が言ったように『まだ』分からないというわけだよ」
妹「…………あんたって、ほんと」
病弱「ん? なんだい?」
妹「理屈っぽくてめんどくさい」ボソッ
病弱「自覚はあるよ」フフフ
病弱「そういう君だって、素直じゃなくてめんどくさい」
妹「……自覚はしてるわよ」プイッ
病弱「ふふっ」
皆さんのご意見尤もです。
色々とご不満もあるかと思いますが
あともう少しだけお付き合いくださいませ。
妹「それで? これからどうすんのよ? 言っとくけどすぐに妹友に確認していくのはなしだから!」
病弱「分かっているさ。まだ知らないことが多すぎる中、いきなり確認しにいくようなことはやめた方がいいからね」
妹「じゃあ?」
病弱「まずは妹友ちゃんのことを調べようか。それに兄先輩のことも」
妹「妹友はわかるけど、なんでお兄ちゃんも?」キョトン
病弱「念のため、さ」
妹「……?? まぁ、わかったけど」
病弱「私も色々と調べてみるよ。だから」
妹「うん、わかってる。私も調べてみるわ」
――――――
保健室
昼休み
妹「というわけで、幼馴染みちゃん連れてきた」
幼「え、えぇと、私はなぜここに連れてこられたのでしょう?」コンワク
病弱「いや、妹ちゃん。説明してから連れてきなよ」ハァ
幼「えぇと??」
――説明中――
幼「な、なるほど。妹友さんと兄くんのことについて知りたいということですか」
妹「うん、そういうこと」
病弱「幼馴染み先輩は、兄妹だったころの兄先輩と妹ちゃんを知っている人物だと伺いましたが……」
幼「そうですね。というより、私にとってはそれが自然なことなんですけれど」
病弱「とにかく、教えて頂けませんか? 当時の、特に兄先輩についてのことを」ニコッ
幼「はい。私でよければ協力させてください」
妹「ありがと、幼馴染みちゃん」
幼「いえ、気にしないでください」
妹「それで、お兄ちゃんのことなんだけど……」
幼「はい。と言っても、私が知っている兄くんのことなんて、妹ちゃんに比べれば少ないと思いますよ」
妹「そ、そう?」
幼「……私は10年前に引っ越したから」シュン
妹「あ、うん」
病弱「では、幼馴染み先輩」
病弱「昔、幼馴染み先輩と兄先輩と妹ちゃん、三人でよく遊んでいたと聞きました」
幼「えぇ、そうですね。私が二人に誘われて遊ぶようになったんです」
病弱「それはいつも一緒でしたか?」
幼「え、えぇと……」チラッ
妹「?」
病弱「妹ちゃんには構わずに言ってください」ニコッ
幼「えぇと、たまに私と兄くんだけで遊ぶこともありました」
妹「え、なにそれ! 私、知らないわよ?」ビックリ
病弱「はいそこ、口はさまないで」
妹「むっ!」
幼「兄くんがたまには妹から離れて遊びたい。そう言ってたんです」
病弱「ふむ。まぁ、思春期の男の子にはよくありがちなことですね」
幼「あ、私も始めはそう思ってたんですけど……」
妹「けど?」
幼「なんだかそんな簡単なことじゃないみたいでした」
病弱「? それは一体?」
幼「……二人で遊んでいたある日、兄くん急に泣き出したんです」
妹「な、泣き出した? あのお兄ちゃんが?」キョトン
幼「はい。私も兄くんの泣いたところを見たことありませんでしたから、驚きました。兄くんにどうしたのと聞いたら、ポツポツと話してくれました」
幼「お父さんが、妹のことを全部僕のせいにして辛いって」
妹「え、お父さんが?」
幼「僕がちゃんとして、妹のこと守らないとって。私はそんなに気負わなくても大丈夫だと言ったのですが……」
妹「…………」
幼「僕はお兄ちゃんだから、と頑なにそういい続けていました」
病弱「ふむ。ある種の強迫観念だろうね。親御さんから叱責を受けて、兄先輩としては妹ちゃんから離れたくても離れられない。そんな状況に陥っていたのかもしれない」
妹「…………お兄ちゃん」クチビルカミシメ
幼「たぶんそんな感じだと思います」
病弱「ふむ」
妹「幼馴染みちゃん、他に! 他にお兄ちゃんのことで何かあったりしない?」バッ
幼「えぇと、特には……」
妹「そ、そっか」シュン
病弱「ありがとうございます、幼馴染み先輩」
幼「あまり力になれませんでしたが……」ウツムキ
妹「ううん、私の知らないところでのお兄ちゃんを知れただけで十分よ!」テヲギュ
幼「は、はい……///」
病弱「……それじゃあ、妹ちゃん」
妹「うん、幼馴染みちゃんを送ってくるわ」
幼「あ、気にしないでくだ――
妹「いいから、ささ!」
幼「い、妹ちゃん!?」
――――――
廊下
幼「妹ちゃん」
妹「ん? どうかした?」
幼「……頑張ってくださいね」ニコッ
妹「うん、ありがと」ニコッ
幼「あ、ここでいいですよ」
妹「あ、うん。わかった」
幼「……あ、そうでした!」ポンッ
妹「え? なに?」
幼「もうひとつ、兄くんから聞いたことがあります」
妹「えっ! なに、何を言ってたの!?」
幼「会わなきゃいけない子がいるって」
保健室
放課後
妹「というわけで、女さん連れてきた」
女「やっほー」ヒラヒラ
病弱「……説明は?」
妹「一応したけど……」ハァ
女「百合子ちゃんのことなら、ボクに任せてー」
病弱「百合子? だ、誰のことでしょうか?」
女「あれー?」クビカシゲ
女「あ、妹友ちゃんのことだったねー、うっかりうっかりー」アハハ
妹「……大丈夫かしら」ボソッ
――――――
女「うん、だいたい毎日屋上で三人でおべんと食べてるよー」
病弱「その時の妹友ちゃんの様子はどうでした?」
女「様子ー? うーん?」クビカシゲ
妹「なんでもいいんですけど……」
女「あー! うんとねー、はしゃいでたよー」
病弱「はしゃいでた?」
女「そー、なんだかねー、ベタベタしてたよ?」
妹「……ベタベタ」
病弱「ふむ。それじゃあ、気になることとかありませんでしたか?」
女「ちょっと待ってねー、思い出すから」ウムム
妹「……」
病弱「……」
女「あー」
妹「な、なにか思い出した?」
女「キャラが安定してないよー」
病弱「キャラ? 彼女のですか?」
女「そう! 妹友ちゃんのキャラー」
妹「……えっと、つまり?」
女「んとねー、いつもはニコニコしてるでしょー?」
妹「えっと、まぁ?」
女「でもねー、たまになんかちがくなるんだよね」
病弱「違う、というのは? どんな風に……」
女「んー、よくはわかんないけど、キリッとしてた」
妹「…………」
病弱「…………」
病弱妹(抽象的すぎて、よくわからない!)
病弱「ま、まぁ。わかりました」
女「あ、あとねー」
妹「?」
女「たまに兄くんを『兄さん』って呼ぶよー」ノホホン
――――――
少しだけ更新します。
病弱「ふむ。先輩方に聞いたことを少し整理してみようか」
妹「そうね」
病弱「まず兄先輩のことだ」
妹「幼馴染みちゃんに聞いたやつね」
病弱「あぁ。主に、10年前のこと。君抜きで兄先輩と幼馴染み先輩で遊んでた時のことを聞いたわけだけれど」チラッ
妹「……うん。お父さんが私のことでお兄ちゃんを責めてたってこと知った」
病弱「らしいね。それで、たまには妹のことを考えずに遊びたい。そう幼馴染み先輩に愚痴っていたと」
妹「……お父さん。お兄ちゃんじゃなくて、私のこと怒ればいいのに」ボソッ
病弱「確かにそうだけれど、そんなことはよくあるんじゃないかな? ほら、『お兄ちゃん』だから我慢しなさいというやつさ」
病弱「兄や姉という立場の人間なら一度は経験することさ。私も例外ではなく母に言われたものだしね」
妹「だ、だれどさっ!」
病弱「気持ちは分かるさ。下のなにもかもを上のせいするのは、理不尽だからね」
妹「……うん」
病弱「そんなことをここで言っても仕方ない。まぁ、君のご両親も記憶は修正されているだろうから文句の言いようもないけれど」
妹「そう、よね……」
病弱「…………」
病弱「妹ちゃん、切り替えよう。問題は次なんだ」
妹「……わかったわ。会わなきゃいけない子がいるってやつよね?」
病弱「そうだ。それがどうも引っ掛かる……」ウーム
妹「でも、それがどう繋がるわけ?」
病弱「さぁ? だが、知っていて損はないだろう? 君にとっては愛しいお兄さんのことだからね」フフフ
妹「いとっ!? う、うるさいわよっ!」カァァァ
病弱「ふふっ、まぁ、それだけでは今は何も分からないのだけれどね」
病弱「まぁ、兄先輩についてはこんなところかな?」
妹「そうね。あとでまた少し調べてみるけど」
病弱「あぁ、そうした方がいいだろうね」
病弱「さて、次だが……」
妹「妹友ね?」
病弱「あぁ!女先輩から聞いたことだ」コクッ
妹「あんまり有益なのはなかったけどね」
病弱「まぁ、仕方ないよ。分かったのは、妹友ちゃんは兄先輩にベタベタしていることとたまに彼女の雰囲気が変わること、そして……」
妹「お兄ちゃんの呼び方がたまに『兄さん』になること、でしょ?」
病弱「あぁ。呼び方が変わるというのは別に珍しいことではないよ。心境の変化や環境の変化。そういったもので呼称なんていくらでも変わるからね」
妹「まぁ、確かに……」
病弱「例えば、ママと呼んでいたのがお母さんという呼称に変わるというのが代表的だ」
病弱「しかし、妹友ちゃんの場合、お兄さんという呼び方から兄さんに変わるというのは……」
妹「距離が近づいた感じがする」ボソッ
病弱「……可能性の話だが、彼女も関係性の変化によって呼称が変わったとするなら」
妹「?」
病弱「関係性が変わったことを自覚しているということ」
病弱「つまり、兄妹ではなかった頃のことを覚えているということになるのではないかな?」
妹「! それって!」
病弱「」コクッ
病弱「そうとするなら、やはり彼女が申請者という線が濃厚になるね」
妹「……っ」
病弱「あくまでも可能性の話だ。まあ、その可能性は高いとは思うけれどね」
妹「…………」
病弱「しかし、理由がはっきりしないな」ウーム
妹「理由、か」
病弱「私も私で、保健室にくる生徒に話は聞いてみたんだ。同学年の子達にね」
妹「そうなんだ。でも……?」
病弱「あぁ、ご想像の通りだよ。妹友ちゃんのことを詳しく知る人は誰一人いなかった」
病弱「簡単な家族構成から趣味嗜好、小学校や中学校での話。どれを聞いても分からないという返答しか返ってこなかったよ」ヤレヤレ
妹「確かに、妹友はあんまり友達多く作る方じゃないからなぁ」
病弱「妹ちゃんは彼女のことをどこまで知ってるんだい?」
妹「うーん、あんまり知らないわよ?」
妹「家族は両親と妹友とお兄さんが一人。三人ともあまり家にいないってこととか、あとたぶん人をバカにするのが趣味だってことくらい」
病弱「……? お兄さん? 兄先輩のことかい?」
妹「違うわよ。ずっと前に言ってたの、兄さんが一人いる、ってね」
病弱「ふむ」ウーム
妹「どしたの?」
病弱「いや、何でもないよ」ニコッ
妹「? まぁ、いいけど……とりあえずこんな感じかな?」
病弱「あぁ。また明日も少し、特に、妹友ちゃんのことについて調べてみようか」
妹「……うん。じゃあ……」
病弱「じゃあ、気を付けて」ヒラヒラ
――――――
――――――
妹(そのあと、妹友のことについて調べた)
妹(担任やクラスメート、あとは中学時代の同級生)
妹(色々なところに聞いて回ったけど、やっぱりあんまり収穫はなかった)
妹(そして、1週間が過ぎたある日)
――――――
妹の教室
放課後
妹友「妹ちゃん♪」
妹「あ……妹友」アセアセ
妹友「そんなに慌ててどうしたのぉ?」クスクス
妹「べ、べつに」
妹友「もしかして、用事あったりする?」
妹「え?」
妹友「例えば――
妹友「私のことを調べる、とか♪」アハッ
妹「っ!」ビクッ
妹友「あー、当たりかなぁ?」クスクス
妹友「でも、残念ながら無駄だよぉ? 私、あんまり人に自分のこと話してないからね♪」アハッ
妹「……あんた、やっぱり」
妹友「ん? 聞きたいの、私のこと?」
妹「…………」
妹友「妹、ちゃん?」クスクス
妹「…………うん」
妹「聞かせて、妹友のこと」
妹友「ふぅん?」
妹「な、なによ?」
妹友「覚悟だけは出来てるみたいだなぁって……」
妹友「何をしたいかもわかってないのに♪」アハッ
妹「っ!」
妹友「なんで分かるかぁ? そんなの『親友』のことだからねぇ♪ そりゃだいたいわかるよぉ? 妹ちゃんと違って、ね?」クスクス
妹「…………」ウツムキ
妹友「…………」
妹友「じゃ、明日の放課後、ここで待ってて。そうしたら、私のこと、妹ちゃんが知りたいこと教えてあげる♪」アハッ
妹友「……じゃあね♪」タタタ
妹「……明日」ボソッ
兄の教室
放課後
兄「…………はぁ」
幼「兄くん? どうしたんですか、ため息なんてついて」カオヲノゾキコミ
兄「あ、幼馴染みさん。まだ残ってたんだね」
幼「はい。先生に呼ばれていまして」
幼「……って、幼馴染みでいいですよ? 昔はそう呼んでくれてたじゃないですか」ニコッ
兄「……えっと」
幼「あ、記憶がないんでしたよね」ハッ
兄「…………記憶、か」ボソッ
兄「ねぇ、幼馴染みさん」
幼「はい、なんですか?」
兄「幼馴染みさんはどうして僕を知ってたの?」
幼「それは、昔一緒に遊んでいたからです。私と兄くん、それに妹ちゃんの三人で」
兄「……僕の記憶にはそんなことなかったよ」ボソッ
幼「そう、みたいですね」コマリガオ
兄「三人で遊んでたっていうのは、僕と幼馴染みさんと妹ちゃん……妹友じゃなくて?」
幼「はい。妹ちゃんです。それは妹ちゃんも覚えてるはずです」
兄「……」ウツムキ
幼「兄くん?」
兄「…………幼馴染みさん」
幼「はい」
兄「僕の記憶と幼馴染みさんの記憶、どっちが本物なのかな?」
幼「……それは、わかりません」ウツムキ
幼「私の記憶はあくまでも主観としてのものです。その上、10年も昔のものです。ですから、一概に兄くんの記憶が間違っているとは私には言えません」
幼「現に今、妹友さんが兄くんの妹さんですし」
兄「……そっか」ウツムキ
幼「けれど、私の記憶の中で、お二人が仲の良い兄妹だったことは確かですよ」 ニコッ
兄「きょう、だい……」
幼「妹ちゃんは兄くんにべったりなお兄ちゃん子でした」
幼「兄くんは妹思いのとてもいいお兄ちゃんでした」
幼「お二人は誰が見ても仲のいい兄妹だったんですよ? 羨ましくなるくらい」フフ
兄「……そう、なんだ」
兄「…………」ウツムキ
幼「なぜ今、妹ちゃんと兄くんが兄妹ではないのかは私にはわかりません」
幼「けれど、兄くん」
幼「兄くんなら、なにか気がついているんじゃないですか?」
兄「ぼ、僕が?」オドオド
幼「……」コクッ
幼「兄くんはそうは思っていないかもしれませんが、兄くんは聡い人だと私は思います」
幼「それに、兄くんは妹ちゃんのことをよく見ていました。私の記憶では、ですけど……」
幼「だから、もし兄くんが私の知っている兄くんなら、少なくとも妹ちゃんが言っていることが本当か嘘かくらいは見抜けているんじゃないですか?」
幼「いつも妹ちゃんを気にしていた兄くんなら……」
兄「っ!」
――――――
なんで妹が怪我をしたんだ!
お前が見ていないからだろうっ!
お前が、お前がっ!
ごめんね、私にはどうにもできないの……。
だから、妹ちゃんのことお願い、お兄ちゃん。
――――――
兄「痛っ!?」アタマオサエ
幼「あ、あにくん!?」カケヨリ
兄「くっ、うぅぅぅ……」
幼「だ、大丈夫ですか!? 保健室に――
兄「だ、大丈夫、だから」
幼「兄くん?」
兄「大丈夫、ちょっと頭痛がさ」アハハ
幼「本当に……大丈夫なんですか?」フアンゲ
兄「う、うん」ニコッ
幼「…………本当に? なにかあったんじゃないですか?」グッ
兄「…………えっと」
幼「私の目を見てください」ググッ
兄「わ、わかったよ! 話すから!」アセアセ
幼「」ニコッ
――――――
兄「最近、僕、不思議な声が聞こえることがあるんだ」
幼「声、ですか?」クビカシゲ
兄「う、うん。男の人と女の人の声」
兄「男の人の声は僕を叱りつけるような怒鳴り声で、女の人は申し訳ないような悲しそうな声で僕に話しかけてくるんだ」
兄「『妹』がどうのって」
幼「…………」
兄「幼馴染みさん?」
幼「もしかして、ご両親じゃないでしょうか?」
兄「両親? えっと、僕と妹友の両親ではないと思うけど……声が違うし?」
幼「いえ、そうではなくて」
幼「妹ちゃんのご両親です」
兄「? 妹ちゃんの?」キョトン
幼「はい。兄くんと妹ちゃんが兄妹だったっていうのは何度もいっていると思いますけれど、昔、私は何度か兄くんの相談に乗ったことがあるんです」
兄「えっと、それは幼馴染みさんの記憶の中で?」
幼「はい。その時、兄くんは、お父さんが妹のことで僕を叱る。それが辛いんだって言っていました」
兄「そうなんだ……」
幼「安直かとはおもいますが、兄くんが聞いたその男の人の声はお父さんで、女の人はお母さんなんではないでしょうか?」
幼「妹のことで何か言われたということですし、もしかしたら、昔のことをまだ覚えているのかも、とそう思ったんです」
兄「…………昔の、妹ちゃんとの記憶?」
兄「……でも、よくそんなこと覚えていたね?」
幼「私も最近までその話を忘れていたんですけど、ある方から昔のことを聞かれて思い出したんです」フフ
兄「ある方? それって?」
幼「えぇと、もしかしたら、近いうちに直接お話しされることがあると思いますし……その時に直接聞いてください」ニコッ
兄「あ、うん……?」
幼「他に何か、お話ししたいことありますか?」
兄「えっと、大丈夫かな?」
兄(妹ちゃんを見ると、なんだか複雑な気分になるってことは、別に言わなくてもいいよね?)
幼「……そうですか」
兄「えっと、ありがとう、幼馴染みさん。おかげで少しスッキリしたよ」ニコッ
幼「それはよかったです」
兄「うん。あ、お礼と言ってはなんだけど、家まで送るよ?」
幼「い、いえ、気にしないでください//」
兄「? 遠慮しないでいいよ?」
幼「あ、わ、わかりましたから、あんまり近づかないでください……」ボソボソ
兄「?? 幼馴染みさん?」カオノゾキコミ
幼「っ!? は、はやくいきましょうか!」タタタ
兄「あ! ま、まってよ!」タタタ
――――――
今日はここまでです。
明日も更新できるよう頑張ります。
見てくれている方に感謝を!
おやすみなさいませ
少しだけ更新します
妹の部屋
夜
妹「明日かぁ」ハァ
妹(たぶん明日、申請者が分かる)
妹(あの様子だとやっぱりそうなのよね、妹友……)
妹「でも、まだ何も分からない。なんで妹友がお兄ちゃんを? そもそも記憶を変える必要も……」
妹「あー! 分かんないわよっ!」ドサッ
妹「このまま、寝ちゃおっかな。どうせ明日になれば分かることだし……」メヲツブリ
妹「…………」
――――――
兄「妹? えっと、こんな遅くにどうしたの?
兄「えっと、なんで無言、なのかな?
兄「……そっか。
兄「……無理には聞かないよ。
兄「好きなだけここにいていいからね?
――――――
妹(こんなときに浮かぶのはお兄ちゃんのこと)
妹(私が今みたいになにか悩んでる時、部屋にいくと必ず側にいてくれた)
妹(何も聞かないで、ただ側にいてくれて、私が話したければちゃんと聞いてくれて……)
妹「私にはもったいないいいお兄ちゃんだったのよね……」ボソッ
妹(ほんとに、あの優しさに甘えてたんだなぁ)
妹「……ん?」
妹(なにか今、引っ掛かった? 何に? 回想の中のこと? お兄ちゃんのなに?)
妹「………………あっ」
妹「お兄ちゃんの部屋だっ!」バッ
――――――
――――――
妹(そう。私が思い出したのはあの制度のこと)
妹(特別認定お兄ちゃん制度)
妹(あれは確かに人の記憶を修正することができる。それは私も身を持って実感してる)
妹(ただし、それはあくまでも記憶の修正のみ。起こった事実は変わらないはず)
妹(つまり、私とお兄ちゃんは確かにこの家で暮らしていた。お父さんとお母さんが仕事でなかなか帰らないこの家に、二人で)
妹(なら、まだあるはず!)
――――――
妹宅兄の部屋?
妹「やっぱり……」
妹(結論から言うと、お兄ちゃんの部屋はあった)
妹(私がお兄ちゃんを解雇したあの時と変わらないままの状態で存在していた)
妹「なんで今まで思い付かなかったんだろう?」
妹(お兄ちゃんのことを知るなら、ここが一番いいって言うのに……)
妹「……まぁ、いいわ! とにかく今は妹友のことは後回し! なんでもいいから探す。少しでも多くの知らないといけないんだから」
妹「よし! 捜索開始!」ウデマクリ
―――10分後―――
妹「エロ本が出てきた……」
妹「……」ゴクリ
妹「見てもいいわよね?」
妹「っ! いやいやいや、今はそれどころじゃ!」
妹「…………」ゴクリ
――30分後――
妹「あ、これ、なつかしい」
妹「昔、お兄ちゃんにあげた栞だぁ」
妹「……まだ大切にしててくれたのね」
妹「あっ! こっちはあのときの……」ゴソゴソ
――1時間後――
妹「なにやってんのよ、私は」ハッ
妹「もう! 色々あるのがいけないのよっ!」
妹「そして、たいした収穫なかったし」
妹(分かったのは、お兄ちゃんが確かにここにいたってことと……お兄ちゃんは巨乳派だってこと)
妹「……」ペタン
妹「いや、そうじゃなくて!」バンッ
――ゴトッ――
妹「ん? これって」ヒロイアゲ
妹「日記?」
――――――
あと1週間で人生が決まるというのに、ここに来る私……。
うーむ。
というわけで更新します。
就活中か?
○月○日
これで何冊目の日記だろう。
ここに来てからつけ始めたから……。
わからないや。
とにかくこれからもこの習慣を続けよう!
あ、あと1ヶ月で妹の誕生日だ!
なにがいいかな……。
その資金も調達しないとなぁ。
短期のバイト探そう。
妹「やっぱり! ここは修正されてない! そっか、記憶は修正されても記録は修正されないんだ……」
妹「と、とにかくこれ、読もう。きっとなにか分かるはず!」
○月△日
今日は臨時のバイトを入れた。
早朝からだったから辛かったけど、1週間後のためだ!
頑張るぞ!
○月□日
今日もバイト。
そろそろ体にも疲れが溜まってきたかな?
でも、妹の喜ぶ顔を見れるならなんてことない!
明日はバイト休みだから体を休めることに専念しよう!
妹「お兄ちゃん、私のために頑張ってたんだ……」キュッ
妹「……でも、じゃあなんで、当日来なかったんだろ」
○月☆日
ついに明日、妹の誕生日だ!
誕生会をするから、それに合わせてプレゼント渡そうかな。
プレゼントは明日の昼に買おう。
妹友ちゃんも付き合ってくれるって言ってたし。
何を買ったらいいか迷ってたから、誘ってくれたのはありがたかったな。
妹友ちゃんに感謝しないとね。
妹「っ! 妹友!?」
妹「え、じゃあ、あの日お兄ちゃんは妹友と一緒にいたってこと?」
妹「…………」
△月○日
妹、ごめん。
せっかく楽しみにしてくれてたのに……。
必ず一緒に祝うって約束したのに……。
一緒にプレゼントを買って、その帰り道で妹友ちゃんが怪我をしたんだ。
さすがに放っておけなくて……。
なんて、言い訳なんてカッコ悪いよね。
それにこれが誰に見られるでもないのにね。
本当にごめん、妹。
約束守れなくてごめん、妹。
不甲斐ないお兄ちゃんでごめん。
妹「これ、あの日の……」
妹「そうだったんだ。お兄ちゃん、私との約束忘れてた訳じゃなかったんだ」
妹「それなのに、私は……最低」ギリッ
妹「……そして、これが最後」
△月△日
今日、僕は『お兄ちゃん』じゃなくなった。
妹に解雇されたから。
ごめんね。
もう妹しか見ないから!
妹のことだけ考えるから!
…………。
そう言ってもダメだよね。
ははは。
『お兄ちゃん』じゃなくなったら僕は何になるんだろう?
生まれたときから一人きりで親の顔も知らない僕にとって、妹がいてくれたことはなにより幸せなことだったのに。
そんなことに今気づくなんて、僕は本当にダメだなぁ。
ごめん、妹。
これを書いたら出てくよ。
じゃあ、さよなら。
妹「……お兄ちゃん」ウツムキ
妹「……ごめん、ごめんね」ポロッ
――――――
妹「ひっく……っ!」グスッ
妹「っ、いつまでも泣いていられない!」バッ
妹「まだ、前の日記が残ってる。これもちゃんと読んで、お兄ちゃんのこと知らないと……ううん、知りたい」
――――――
妹「…………」モクモク
妹「……」ペラッ
妹「……お兄ちゃんったら」クスッ
妹「……こんなこと思ってたんだ」
妹「……」
――――――
妹「それが最後、というか最初の日記ね」
妹「本当にボロボロ……時期的にはここに来たときだから、10年前の日記かぁ」
妹「……よし」
□月○日
なんでぼくはここにいるんだろう?
とくべつにんてい……?
むずかしくてよく分からない。
けど、わかったことはぼくは、もうあの家に帰れないってこと。
だから、もう会えないんだ。
『あの子』にも。
妹「あ、これ!」
妹「この『あの子』って、もしかして幼馴染みちゃんから聞いた、会わなきゃいけない子っていうのと同じ……?」
妹「……」ゴクッ
□月☆日
もうやだよ。
なんで全部ぼくのせいにするんだよ。
ぼくはわるくない。
だから、ぼくをおこらないで……。
妹「…………」ペラッ
□月□日
妹ちゃんはいい子だ。
ぼくをなぐさめてくれた。
でもね、やっぱりここはいやだよ。
前の家に帰りたい。
☆月○日
ぼくはなんで帰れないんだろう。
たしかに妹ちゃんいい子だ。
けど、やっぱり小さなことでぼくは妹ちゃんのお父さんにおこられる。
こわい、こわいよ。
ねぇ、助けて。
『 』ちゃん。
妹「……」ピタッ
妹「そういうこと、だったんだ」
妹「だから……」
妹「……」ウツムキ
妹「……よし、決めた。私は――
――――――
>>211
似たようなものです。
そして、今日はこれで力尽きます。
見てくださっている方には申し訳ないのですが
1日机とかその他もろもろと向き合っていたのでもう限界なんです(泣
見てくださっている方に感謝を。
おやすみなさい。
皆さんもよい夢を見てください。
少しずつ書いてきます。
妹の教室
朝
妹友「妹ちゃん、おはよ♪」アハッ
妹「……おはよ、妹友」ウツムキ
妹友「ん? なんでこっち見ないのぉ?」クスッ
妹「なんでもない、けど……」
妹友「ふーん?」
妹「……放課後、開けてあるから」
妹友「うん♪」クスッ
――――――
兄の教室
休み時間
兄「……」ボー
女「兄くーん?」ヒラヒラ
兄「……」
幼「……兄くん?」
兄「……あ、なにかな?」アセアセ
幼「どうかしたんですか? なんだか上の空ですけれど」
女「ボクも呼んだのに返事しないしさー」 ムウ
兄「あ、うん。なんでもないよ」
幼「本当、ですか?」
兄「うん、ただちょっと昨日寝付きが悪くてさ」アハハ
幼「そうですか。なら、いいんですが……」
女「…………」
――――――
保健室
昼休み
病弱「なるほどね。これで大体全部見えたわけだね」
妹「うん」コクッ
病弱「兄先輩の過去のこと。それに、君の誕生日の約束のこと」
病弱「そして、妹友ちゃんのことも」
妹「うん、昨日見つけたんだ。お兄ちゃんの10年間の日記を」
病弱「そうかい。それで……」
妹「」コクッ
病弱「そう、決めたんだね。自分がどうしたいか?」
妹「うん。もう大丈夫」
病弱「……」
病弱「ふふっ、これなら大丈夫かな」
妹「なによ」ジトッ
病弱「いやいや、目の色が変わったからね。迷いがなくなったよ」ハハ
妹「あっそ」プイッ
病弱「……放課後はついていこうか?」
妹「……大丈夫」
病弱「そうかい、それじゃあ放課後頑張ってね」ニコッ
――――――
妹の教室
放課後
妹「妹友」
妹友「じゃ、行こっか♪」アハッ
妹「うん」
――――――
公園
妹「……」
妹友「それで、聞きたいんだっけ? 私のこと」アハッ
妹「……」
妹友「んー? どしたのぉ?」カオヲノゾキコミ
妹「ひとつだけ」ボソッ
妹友「?」
妹「ひとつだけ聞かせて」
妹友「ひとつだけ? そんなこと言わないで――
妹「申請をしたの、妹友、あんたよね?」
妹友「……」
妹「……」
妹友「ふふっ、やっぱり分かってたんだぁ♪」クスクス
妹「うん、分かってた」
妹友「そっかぁ、まぁ、ばれちゃったんじゃしょうがないよね♪」クスッ
妹友「そ、私が妹ちゃんからお兄さんを奪ったんだよ♪」アハッ
妹「……」ウツムキ
妹友「私が憎い?」
妹「……」
妹友「それはそうだよね。大好きなお兄さんを奪ったんだもんねぇ♪」クスクス
妹「…………のね」
妹友「……え?」キョトン
妹「『兄さん』って呼ばないのね」
妹友「!?」
妹友「……ふぅん、そのこと知ってるんだぁ。誰から聞いたのぉ? 女さんかなぁ?」
妹「うん」
妹友「そっかぁ、でも、それだけで――
妹「10年前」
妹友「え?」
妹「10年前のこと、私、知ったんだ」
妹友「…………どこで?」ボソッ
妹「お兄ちゃんの日記。お兄ちゃんの部屋にそれが残ってたの」
妹「あの制度って人の記憶は置き替えることができるけど、記録は代えられないみたいよ?」
妹友「…………」
妹「そこから私は知ったんだ。お兄ちゃんが私の家に来たときのこと、そして、その前のこと」
妹友「へぇ」
妹「お兄ちゃんが私のお兄ちゃんになる前にいた孤児院」
妹「そこに、お兄ちゃんと仲のいい子がいたんだって」
妹「お兄さんは私の家に来た後も、しばらくはその子のことを思い続けてたみたい」
妹「幼馴染みちゃんにもそのことは話してたって、会わなきゃいけない子がいるって」
妹友「……それが、なに?」ボソッ
妹「その子の名前も、日記に書いてあった。その子の名前は――
妹「『妹友』」
妹「あんたの名前よね? 名字は変わったみたいだけど『妹友』なんて名前、なかなかないわ」
妹友「……」
妹「その『妹友』って子は、お兄ちゃんのことを『兄さん』って呼んでたってさ」
妹「……それが出ちゃったんでしょ? その頃の癖で『兄さん』って」
妹友「……」ウツムキ
妹「妹友」スッ
妹友「触んなっ!」バシッ
妹「!?」
妹友「そうよ! あんたの言う通りっ!」バンッ
妹友「私が兄さんと同じ孤児院にいたことも! 私が兄さんをそう呼んでたことも! 兄妹みたいに育ってきたことも!」
妹友「それに、あんたが、私から兄さんを奪ったこともっ!!」キッ
妹「……っ」ビクッ
妹友「それも、分かってるのっ!? あのまま順調に行けば私たちは二人で一緒にいれた! 裕福とはお世辞でも言えなかったけど、それでも幸せだったっ!」
妹友「……それをあんたとその家族が奪った。兄さんを連れ去ったって……」ギリッ
妹友「あんたの兄が欲しい。ただそれだけの理由でっ!」バンッ
妹友「いっそ、その時に記憶を修正してくれれば良かったのに、それもしなかった」
妹友「兄さんに一線をわきまえさせるため? あんたのために兄さんがいることを自覚させるため?」
妹友「下らないっ」
妹友「そのせいで、私も兄さんも苦しんだんだっ!!」ギリッ
妹友「だから、奪った。あんたに記憶が残るのもそれに苦しんで後悔するのも、全部計画のうち」
妹「……妹、友」
妹友「ふふっ、私と同じ苦しみを味わわせることができてよかった」クスクス
妹友「あんたみたいに、兄さんの優しさに甘えてそれが当たり前みたいに思ってたんだもん。罰が下るのは当然だよね」アハッ
妹「…………」
妹友「なんで、黙ってるの?」
妹「……」ウツムキ
妹友「あ、わかった♪ 怒る? 怒るんだよねぇ? そうだよね、私もそうだったもん」クスクス
妹「……」ウツムキ
妹友「ほら、ね? 怒ってよ? ……私のこと憎んでよっ!」
妹「…………ね」
妹友「……は?」
妹「ごめん」バッ
妹友「え?」キョトン
妹「ごめん、妹友」
妹友「……わ、ワケわかんない! あんたなら、絶対怒るはずでしょ!? いつもなら、絶対ふざけないでってそう言うじゃないっ!」
妹「…………」
妹友「なんで、なんで頭なんて下げてるの……?」オロオロ
妹「謝っても、妹友の10年が戻ってくるわけでも、私やお父さんのお兄ちゃんへの行いが許されるわけでもないのは分かってる」
妹「でも、今の私には謝ることしか出来ないから……」
妹「だから、ごめんなさい」スッ
妹友「…………な、によ、それ」
妹友「そんなのあんたじゃない。私がずっと見た来た、復讐するために見てきた妹じゃないっ!」
妹「……」
妹友「あんたが私を憎んで、それで追い討ちかけて終わるはずだったのに……」ボソボソ
妹「……」
妹友「っ!」バッ
妹「妹友!」
妹「……ダメだったのかな」
妹「……」
妹「でも、もう決めたんだ。私の望む結末を……」
妹「だから――
妹「これで最後だから」ウツムキ
妹「……妹友」キュッ
――――――
妹友宅前
夜
妹友「は、はっ……」タタタ
妹友「……っ」ハァハァ
妹友「こんな、のっ……私の計画と全然違うっ」ギリッ
妹友「……なんでっ?」
妹友「…………こうなったら」ゴソゴソ
妹友「……ふふっ」ナイフヲトリダシ
――スパッ――
兄「妹友? 帰ったの?」ガチャッ
妹友「にい、さん……」
兄「その、ケガっ!? なにがあったのっ!?」バッ
妹友「……妹ちゃんに」ボソッ
妹友「妹ちゃんにやられました……」ポロッ
――――――
とりあえず今日はここまでかと。
あと数日したら一気にあげられると思いますので、それまではスローペース更新をご了承ください。
では。
気体
更新まっとるよ
やったー
楽しみに待ってるよ
更新します。
妹の教室
朝
妹「……妹友、まだ来てないな」
妹(結局、あの後、私も家に帰った。妹友の様子は気になったけど、やらなきゃいけないことがあったから)
妹「……」
妹(私のしようとしてることはまだ妹友に話せてない。だから、今日学校でって思ったんだけど……)
妹「お兄ちゃんのとこに行ってみよ……」
――――――
兄の教室前
―――ドンッ―――
クラスメート「……て!」
クラスメート「――くん!」
幼「――っ!」
妹「……なんか、騒がしい?」ガラッ
クラスメート「!」
幼「妹、ちゃん?」
兄「! おまえっ!」ダッ
妹「えっ?」
クラスメート「あっ!」
兄「妹友になにしたんだっ!!」ドンッ
妹「っ!?」ビクッ
兄「おまえが、おまえが妹友をっ!」ムナグラツカミ
妹「く、うぅぅ、おにい、ちゃ……」ゴホッ
クラスメート「きゃぁぁぁ!?」
クラスメート「だ、だれか先生を!」
クラスメート「わ、わかった!」ダッ
妹「や、やめ……」
兄「うぅぅぅぅぅぅ!!!」ギリギリギリ
幼「! 兄くん!」ドンッ
兄「うっ!」ヨロッ
妹「!?」ドサッ
幼「妹ちゃん! ……大丈夫ですか?」カケヨリ
妹「ごほっ、っ……だ、だいじょぶ」
幼「よかったです」
兄「……幼馴染みさん、なんのつもり」ギロッ
幼「それは、こちらが聞きたいです。兄くん、なんのつもりで、妹ちゃんに暴力を?」キッ
妹「……」
兄「……そいつが」
兄「そいつが、妹友を傷つけたんだっ!」ユビサシ
幼「!?」
妹「…………えっ?」
兄「昨日、妹友が傷だらけで家に帰ってきたっ! 妹に――そいつにやられたって!!」キッ
妹「いったい、なんの……?」オロオロ
兄「しらばっくれるなっ!」バンッ
妹「っ!?」ビクッ
兄「おまえが、おまえがっ!!」ザッ
幼「……」スッ
兄「邪魔しないでよ……。幼馴染みさんっ!」
幼「落ち着いてください、兄くん」
兄「落ち着いてなんていられないっ! 僕の『妹』が傷つけられたんだっ!!」ドンッ
幼「…………」メヲミツメ
兄「ど、どいてっ!」
幼「……兄くん」
兄「な、なに?」
幼「兄くん、妹ちゃんがそんなことをするように見えますか?」
兄「そんなのっ!」
幼「妹ちゃんは――」
幼「兄くんが大切に思ってた『妹』はそんなことをする子でしたかっ!!」
兄「なにをっ!?」
兄「僕の『妹』は、妹友だっ!」
――ズキッ――
なんで妹が怪我をしたんだ!
お前が見ていないからだろうっ!
お前が、お前がっ!
ごめんね、私にはどうにもできないの……。
だから、妹ちゃんのことお願い、お兄ちゃん。
――――――
兄「っ!?」ウズクマリ
兄「また、この声っ! 一体誰なんだよ……」
幼「……」
妹「おにい、ちゃん?」
兄「ぼ、くは……『妹』を……」
幼「……兄くん、また声がするんですか?」
兄「…………」コクッ
幼「その声に、なんて、言われるんですか?」
兄「おとこの人は僕を責めてる」
兄「……僕のせいで、『妹』が怪我をしたって」
兄「女の人は……泣いてる」
兄「ごめんねって言ってる」
兄「『妹』……『妹ちゃん』をお願いって言ってる」
兄「そうだよ、僕は守らないといけないんだ。『妹』を」ボソボソ
兄「妹を、『妹』?」
兄「『妹ちゃん』? い、いもうと?」ボー
妹「……お兄ちゃん?」
妹「もしかして、私のことっ!」ダッ
幼「あ、妹ちゃん。まだ近づかないでくだ――
兄「っ! お前は、僕の『妹』じゃないっ!!」バッ
妹「っ!?」ビクッ
幼「妹ちゃん!!」ダッ
幼(間に合わないっ!?)
女「とぉぉぉぉぉぉ!!!」
兄「痛っ!?」ドサッ
女「ふー」
妹「え、あれ?」ボーゼン
幼「お、女さんっ?」
女「かんいっぱつだったねー」ヒラヒラ
幼「…………」
クラスメート「…………」ボーゼン
妹「???」ボーゼン
女「妹ちゃん、どう? かっこいいー?」ノホホン
妹「えぇと?」
女「かっこよくて声も出ないようだねー」フフフ
幼「いえ、たぶん状況を把握できていないだけだと思いますが……」
女「んー?」クビカシゲ
幼「えぇと、ですね……」
女「んー、まーいいやー」ヒラヒラ
女「それよりもー」アニノホウヲミル
兄「……なにするの、女さん」キッ
女「……」テクテク
兄「……おんな、さん?」
女「…………」テクテク
兄「えっと、え?」オドオド
女「………………」テクテクテクテク
兄「な、なんで近づいて――
――――バチンッ――――
――――チュッ――――
兄「!?」ンー
女「んー、ちゅ、ちゅっ――」
クラスメート「なっ!」
妹「なっ!?」
幼「ななななにしてるんですかぁぁ!!??」
女「ふはぁ!」
幼「ふはぁ!じゃありませんっ!」
女「? なにって……」
女「ビンタとキスだよー」アハハハ
幼「ビンタとキスだよー、じゃないです!!」
幼「この修羅場になにをしてるんですかってきいてるんですよっ!」アセアセ
幼「ビンタはまだわかりますけど、キキ、キスって!」バンッ
女「んー? まぁ、ノリでー」アハハ
幼「ノリって……ノリであんな深いキスしないでください! 私もまだ兄くんとしたことないのに……」ボソボソ
女「きもちよくなっちゃってー」ノホホン
女「あ、それにさー、ほら」ユビサシ
兄「あわわ!? キキキ、キスされたっ!? 女さんに!? なんで!?」アセアセアセアセ
女「元に戻ったよー」ドヤッ
幼「…………」
兄の教室
放課後
幼「……落ち着いたみたいですね」ジー
兄「う、うん」ウツムキ
妹「……あの、お兄ちゃん?」オソルオソル
兄「あ、妹ちゃん……その、朝はごめんなさい」ザッ
妹「ど、土下座なんてしないで! 私は大丈夫だったし……」アセアセ
兄「で、でもっ!」
妹「ほら、幼馴染みちゃんがごまかしてくれたお陰であれ以上大事にならなかったし!」
兄「それでも、僕は、なんてことを……」
妹「……お兄ちゃん」
幼「…………」
女「妹ちゃんがだいじょぶって、いってるならいいんじゃないでしょーか」キリッ
妹「そ、そうよっ」コクコクッ
兄「…………う、うん」
女「それより今は……」
女「もう一回キスしよーよー」ノホホン
兄「えっ!?」
妹「!?」
幼「それはだめですからっ!!」バンッ
女「うわ、ビックリした! いきなり大声ださないでよー」
幼「それは女さんがおかしなこと言うからですよ! 今はそんなことよりも兄くんがなぜあのような行動をとったのか聞くことが先決です!」
女「えー? キスきもちいよ? ね、兄くん?」クビカシゲ
兄「……///」
妹「お、お兄ちゃん! なに照れてるのよっ」バシッ
兄「痛っ! ご、ごめん」オドオド
幼「まったく!」
女「むー!」
幼「ごほんっ! それで、兄くん」
兄「う、うん」
幼「なんで朝、あんなことをしたんですか?」
女「あ、それはボクも聞きたいかなー。普段あんなにやさしい兄くんがいきなりあばれてたんだからそこは気になるよー」
兄「…………うん、その――」
――説明中――
女「ふーん」
幼「妹ちゃんはそんなことしていませんよね?」
妹「うん」コクッ
女「兄くん、それもしかしたらさー」
兄「……わかってる。妹友の嘘、なんだよね」
幼「恐らくそうだと思います。でも、それだけで兄くんがあそこまで暴れるのは……」
兄「……声がしてたんだ」
幼「声? 前に話してくれた声ですか?」キョトン
兄「ううん、そうじゃなくて……『憎い』って声がずっと僕の頭の中でしてたんだ」
兄「妹ちゃんが憎い憎い憎い、って」
幼「それは……」
兄「……自分でもわからない。僕に妹ちゃんを憎む理由なんてないし」
妹「……」ウツムキ
妹(お兄ちゃんが、私を憎む理由、か……)
兄「? 妹ちゃん?」
妹「……え?」
兄「大丈夫?」カオヲノゾキコミ
妹「あ、うん。大丈夫」ニコッ
――――――
あのまま順調に行けば私たちは二人で一緒にいれた! 裕福とはお世辞でも言えなかったけど、それでも幸せだったっ!
……それをあんたとその家族が奪った
あんたの兄が欲しい。ただそれだけの理由でっ!
いっそ、その時に記憶を修正してくれれば良かったのに、それもしなかった。
兄さんに一線をわきまえさせるため? あんたのために兄さんがいることを自覚させるため?
下らないっ!
そのせいで、私も兄さんも苦しんだんだっ!!
――――――
妹(お兄ちゃん)
妹(私を憎む理由、本当はあるんだよ)
妹(ただ記憶が変わってるから、思い出せないだけ)
妹(……もう少し、もう少しだから)
妹(もう少しで全部終わるから)
妹(だから、もう少し待ってて。お兄ちゃん、それに……妹友)
――――――
乙!
エタらずに書き続けてくれて嬉しい
頑張って書ききってくれ
乙
乙なのさ
妹友の部屋
朝
――コンコン
兄「僕だけど、妹友起きてる?」
妹友「……起きてる」ボソッ
兄「えっと、朝ごはん作ったからリビングに置いておくね?」
妹友「ありがとうございます、兄さん」
兄「ううん、気にしないで」
妹友「……」
兄「……」
兄「えっと、それじゃあ学校行ってくるね」
妹友「……」
兄「……行ってきます」タタタ
――――――
妹友「……なんで、兄さん、なんともないの?」
妹友「私が傷つけられたんだよ? 兄さんなら、妹ちゃんをどうにかしようとするはずでしょう?」
妹友「そのためにずっと兄さんが眠ったあとでこれ、聞かせてたんだから……」ゴソゴソ
ウォークマン「憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い……」リピート
妹友「…………」
妹友「あの日、私が自分で自分を刺した日、あの時は確かに兄さんの目の色変わってたのに、なんで今は……」ブツブツ
妹友「ううん、兄さんならやってくれる。だって、兄さんも私と同じでほんとはあいつを憎んでるはずだもん」ブツブツ
妹友「だから、早く――
妹友「あいつを壊してよ」
保健室
休み時間
病弱「ふむ。今日で妹友ちゃんが学校に来なくなって1週間だね」
妹「そうね」
病弱「原因は分かっているのかい?」
妹「うん」コクッ
妹「たぶんこの前のことだと思う」
病弱「妹友ちゃんが申請者だと分かってからのことだったね」
妹「そう。私が妹友とお兄ちゃんの過去を知って、それを話した。そして、謝ったの」
病弱「いやぁ、改めて聞いても意外だね」
妹「意外? なにがよ?」
病弱「謝ったことがだよ。てっきり君のことだから奪い返すとか血気盛んでわがままな結論を下すものだと思ってたからね」ハハハ
妹「…………私って、あんた達の中でどんな評価なわけ?」ジトー
病弱「素直じゃなくて短絡的でわがままな世間知らずな女の子」サラッ
妹「うっ!?」
病弱「否定はできないだろう?」ハハハ
妹「まぁ……うん」
病弱「それより、だ」
妹「……ん? なによ?」
病弱「あんた達の中で、というからには、私以外にもそんなことを言われたんだね?」
妹「あー、うん。妹友にも似たようなこと言われたわ」
――――――
ごめん、妹友。
……わ、ワケわかんない!
あんたなら、絶対怒るはずでしょ!?
いつもなら、絶対ふざけないでってそう言うじゃないっ!
なんで、なんで頭なんて下げてるの……?
――――――
妹「…………」
病弱「……やっぱり妹友ちゃんも君のことよく知っているんだね」
妹「そりゃね。なんだかんだで妹友とも付き合い長いし、たぶん家族以外だと一番長い時間一緒にいたわよ」
病弱「私より?」
妹「うん。比にならないくらい」
病弱「即答だね。妬けてしまうよ」ハハハ
妹「あっそ」プイッ
――――――
――――――
病弱「それで?」
妹「それでって?」
病弱「君の望む結末はこれなのかい?」
病弱「君は兄先輩との関係を修復できず、妹友ちゃんとも仲違いをしたまま」
病弱「なあなあで過ぎる日常」
病弱「これが君の望んだ未来の形かい?」
妹「…………」
病弱「妹ちゃん」
妹「……あんた」ボソッ
病弱「ん?」
妹「あんた、唐突すぎ。文脈とか考えなさいよ」ボソッ
妹「いきなりそんなシリアスになるとかワケわかんないわよ?」ハァ
病弱「生憎、空気を読んだり、話を降ったりすることは苦手なんだよ」クショウ
病弱「それで、どうなんだい?」
病弱「あんなに意気込んで行った割には成果の少ない結末だったように思うのだけれど。少なくとも私には、ね?」
妹「…………」
病弱「…………」
妹「これで――
妹「いいわけないでしょ?」
病弱「ふむ? ということは、これからまたなにかをするつもりなのかな?」
妹「そういうこと」
病弱「兄先輩を奪い返すつもりかい?」
妹「さぁ?」
病弱「妹友ちゃんと決別するつもりかい?」
妹「さぁ?」
病弱「それとも、妹友ちゃんを救うつもりかい?」
妹「さぁ?」
病弱「なるほど。黙って見てろと、そういうわけだね」フフフ
妹「ん」コクッ
病弱「じゃあ、傍観を決め込むことにしようかな」
妹「そうするといいわ」
妹「あと1週間後、それですべてを終わらせるから!」
――――――
1週間後
妹の教室
朝
妹「妹友、今日もやっぱり来てない」
妹「…………」
妹「……今日、かぁ」
妹「あとでお兄ちゃんのところに行ってみよう。きっと、もう始まってるはずだから」
――――――
兄の教室
昼休み
幼「……兄くん?」
兄「……え?」
幼「どうかしたんですか? 午前中ずっと様子がおかしかったですけど」フアンゲ
兄「あ、うん……」ウツムキ
幼「??」
兄「ちょっと、なんかモヤモヤしてるんだよ」
幼「モヤモヤ、ですか?」
兄「うん、これがなんなのかはわからないんだけどね」
幼「…………?」
――――――
兄の教室
放課後
女「兄くーん、いっしょ帰ろー」ヒラヒラ
幼「私も途中までご一緒してもいいでしょうか?」
兄「あ、うん。ちょっと待ってて、今帰る準備するから」
――ガラッ――
妹「……お兄ちゃん」
幼「あ、妹ちゃん」
女「妹ちゃん、やほー」ヒラヒラ
兄「……あ」
妹「…………」
幼「妹ちゃん? どうしたんですか?」
妹「ねぇ、お兄ちゃん」アニヲミツメ
妹「もう、思い出してる?」
妹「あんたの『妹』のこと」
兄「…………うん」
兄「思い出してるよ、君のこと」
幼「……え? それって?」
女「? どしたのー?」クビカシゲ
妹「そっか、思い出したのね」
兄「うん。久しぶり、妹」
妹「えっと、話したいこと沢山あるんだけど……」ウツムキ
兄「うん、聞くよ」ニコッ
妹「……ありがと」ボソッ
幼「ちょ、ちょっと待ってください!」アセアセ
兄「幼馴染みちゃん?」
幼「えぇと……兄くんの『妹』って、今は妹友さんなんですよね?」
兄「あ、えっと……」
妹「幼馴染みちゃん、お兄ちゃんの『妹』は――
妹「――私になったの」
――――――
上をちょい訂正
兄の教室
放課後
女「兄くーん、いっしょ帰ろー」ヒラヒラ
幼「私も途中までご一緒してもいいでしょうか?」
兄「あ、うん。ちょっと待ってて、今帰る準備するから」
――ガラッ――
妹「……お兄ちゃん」
幼「あ、妹ちゃん」
女「妹ちゃん、やほー」ヒラヒラ
兄「……あ」
妹「…………」
幼「妹ちゃん? どうしたんですか?」
妹「ちょっとお兄ちゃんに確認したいことがあって」
女「んー? わざわざここまで来たのー?」キョトン
妹「うん。今聞いておきたかったから」
兄「…………それで、なにかな?」
妹「ねぇ、お兄ちゃん」アニヲミツメ
妹「もう、思い出してる?」
妹「あんたの『妹』のこと」
兄「…………うん」
兄「思い出してるよ、君のこと」
幼「……え? それって?」
女「? どしたのー?」クビカシゲ
妹「そっか。思い出したの、ね」
兄「うん。久しぶり、妹」 ニコッ
妹「えっと、さ」
妹「話したいこと沢山あるんだけど……」ウツムキ
兄「うん、聞くよ。いつもみたいに、僕の部屋においで」ニコッ
妹「……ありがと」ボソッ
幼「ちょ、ちょっと待ってください!」アセアセ
兄「幼馴染みちゃん?」
幼「えぇと……兄くんの『妹』って、今は妹友さんなんですよね?」
兄「あ、えっと……」 イモウトヲミテ
妹「あ、そっか。幼馴染みちゃんは前のことも覚えているんだね。じゃあ、話しておかないとよね……」
妹「幼馴染みちゃん、あのね?」
幼「はい」
妹「お兄ちゃんの『妹』は――
妹「――私になったの」
――――――
妹友宅
妹友「……遅い」
妹友「もう学校は終わってる時間のはずでしょ? 兄さんは何してるの?」イライラ
妹友「お昼分までは作り置きあったけど……」
妹友「…………」
妹友「なんで、帰ってこないの、兄さん」ウツムキ
―――ピンポーン―――
妹友「!」
妹友「兄さんっ!」タタタ
妹友「もうっ、遅いですよぉ、兄さ――
病弱「こんばんは」ニコッ
妹友「あなたは……」
病弱「同じクラスだけれど、君とはあまり話したことはなかったね。私は病弱娘。妹ちゃんの親友だよ」
妹友「……」
妹友「私になにか用事ですかぁ?」アハッ
病弱「猫被らなくてもいいよ。私は君の本性も知っているからね」ハハ
妹友「…………なんのようですか? あいつの親友が、私に」ムスッ
病弱「ふふっ」
妹友「? なんですか?」
病弱「いやいや、失礼。猫を被っているときとの落差が激しいことに驚いてしまってね」フフ
妹友「……それで、結局なんのようですか?」
病弱「あぁ、そうだった。今日は君に伝えに来たんだよ」
病弱「君の復讐はもう終わりだってね」
妹友「……は?」
病弱「ん? 聞こえなかったかい? 君の復讐は終わりだって言ったんだけれど?」
妹友「!? な、なにを?」
病弱「ふむ、復讐というのがピンとこないのかな? なら、こう言い換えようか」
病弱「君が妹ちゃんからお兄さんを奪い、そのお兄さんに妹ちゃんを消させる計画」
病弱「それはもうおしまいだ」ニコッ
妹友「な、なんであなたがそれを!?」
病弱「さっき言っただろう? 私は妹ちゃんの親友だからね。お兄さんが君に奪われていた時も妹ちゃんにお兄さんが襲いかかったときも話を聞いていたんだよ」
病弱「そこから物語の全体像を推理しただけのことだ」フフフ
妹友「……」キッ
病弱「そんなに睨まないでくれるかい?」
病弱「私は体が弱くてね。動けない分、頭のなかであれこれと考えることが得意なんだ」
妹友「それで、私の考えを推理したって?」
病弱「あぁ、と言っても、大体の話の筋は妹ちゃんから聞いていたことで掴めていたよ」
びまぁ、鈍い妹ちゃんは君の計画なんてお兄さんを奪うことまでだとしか分からなかったようだけれどね」フフフ
病弱「ここまでだって、数年分の体力を消費して動かない体を引きずってきたんだよ?」
上訂正
最近間違えが多いです。
すみません。
妹友「……は?」
病弱「ん? 聞こえなかったかい? 君の復讐は終わりだって言ったんだけれど?」
妹友「!? な、なにを?」
病弱「ふむ、復讐というのがピンとこないのかな? なら、こう言い換えようか」
病弱「君が妹ちゃんからお兄さんを奪い、そのお兄さんに妹ちゃんを消させる計画」
病弱「それはもうおしまいだ」ニコッ
妹友「な、なんであなたがそれを……」
病弱「さっき言っただろう? 私は妹ちゃんの親友だからね。お兄さんが君に奪われていた時も妹ちゃんにお兄さんが襲いかかったときも話を聞いていたんだよ」
病弱「そこから物語の全体像を推理しただけのことだ」フフフ
妹友「……」キッ
病弱「そんなに睨まないでくれるかい?」
病弱「私は体が弱くてね。動けない分、頭のなかであれこれと考えることが得意なんだ」
妹友「それで、私の考えを推理したって?」
病弱「あぁ、と言っても、大体の話の筋は妹ちゃんから聞いていたことで掴めていたよ」
病弱「まぁ、鈍い妹ちゃんは君の計画なんてお兄さんを奪うことまでだとしか分からなかったようだけれどね」フフフ
妹友「…………」
病弱「申し訳ないけれど、家に上げてもらえないかな? ただでさえない体力を消費してここまで来たから、体が動かなくてね」ハハハ
妹友「……上がってください」スッ
病弱「ありがとう」ニコッ
――――――
リビング
妹友「それで、結局どういうことなんですか」
病弱「ん? どういうこととは?」キョトン
妹友「なんで、私の計画がおしまいとか言ったのか聞いてるんですっ!」イラッ
病弱「あぁ、そのことかい?」
妹友「そのこと以外に何があるのっ!!」バンッ
病弱「ふふっ、そうだね」
妹友「っ! 馬鹿に――
病弱「してないしてない」
病弱「……君の計画が終わる理由、それを簡潔に答えようか?」
妹友「……なに?」
病弱「お兄さんが、妹ちゃんの『お兄ちゃん』に戻ったからだよ」
妹友「は、はぁ? なに言ってるの?」
病弱「ん? だって、そうだろう? お兄さんが妹ちゃんの『お兄ちゃん』に戻れば、君の計画は失敗に終わる。だって、妹ちゃんからお兄さんを奪うことすらできていないことになるんだからね」
妹友「そうじゃなくて! 兄さんは今、私の『兄さん』なのよ? だから、兄さんがあいつの『お兄ちゃん』に、なんてことあり得ないっ」
病弱「ふむ。その根拠は?」
妹友「根拠?」
妹友「……だって、兄さんは私があの制度――特別認定お兄ちゃん制度で、私の『兄さん』にしたのよ?」
病弱「……それで?」
妹友「それで、受理された。正式に私と兄さんは兄妹になったの」
妹友「正式に申請が受理された時点で、申請者がそれを破棄しなければ、兄妹関係が解消されることなんてまずないっ!」
妹友「だから、兄さんがあいつの『お兄ちゃん』に戻るなんて絶対ないっ!」バンッ
病弱「まぁ、そうだね。それが普通だ」
妹友「そうよ、だから!」
病弱「それじゃあ――
病弱「――なんで私は、お兄さんと妹ちゃんが兄妹に『戻った』なんて言えたんだろうね?」
妹友「…………あ」
病弱「気づいたかい? 私は二人が兄妹に『戻った』と言った。『戻った』なんて、兄妹だった頃の二人を覚えてなければ言わないはずだ」
病弱「君の言うように、私たちの記憶が修正されているままなら、言えないはずだよね?」ニコッ
妹友「そ、それじゃあ……」
病弱「どうやらその結論に思い至ったようだね」
病弱「そう。私たちがその記憶を覚えていると言うことは、申請が取り消されたんだよ」
病弱「つまり、君とお兄さんの兄妹関係は解消されたんだ」
妹友「…………」
病弱「もし信じられないなら他の人にも聞いてみるといいさ。お兄さんの『妹』は君ではないことが簡単に証明できるだろうからね」
妹友「…………」
病弱「ほら、スマホ使うかい?」スマホヲサシダシ
妹友「いい。理解したから」ボソッ
病弱「ふふっ、君は妹ちゃんと違って頭の回転が早いから話をする側としても助かるよ」ハハハ
妹友「……でも、なんで? 普通、あの制度で認定された兄妹関係が解消されることなんて――
病弱「普通じゃないのさ」
妹友「は?」
病弱「普通じゃない手段を使ったんだ。妹ちゃんは」
妹友「普通じゃない手段……?」
病弱「あぁ。あの制度で兄妹関係を認定しているのはお役所だろう?」
妹友「」コクン
病弱「お役所っていうのは結局上の圧力には逆らえないものだ」
妹友「……っ!? まさか、あいつはっ!」キッ
病弱「そう、そのまさかだよ」
病弱「妹ちゃんは、自分の親の――大物政治家の力で君の申請を取り消したんだ」
妹友「あ、あいつっ!?」ギリッ
病弱「いやぁ、ひどい話だよね」ハハハ
病弱「妹ちゃんはどうやら、親のことを脅したらしいよ?」
病弱「それをしてくれないと、自分の体を売って、それを新聞社に告発するってね。大物政治家の娘は援交していたと」
妹友「っ!?」
病弱「家にいないご両親の代わりに妹ちゃんを世話する『お兄ちゃん』を雇ってくれたのも、そのご両親だと言うのにね」
病弱「とんだ親不孝者だよ」ハハハ
妹友「……最低」ギリッ
病弱「…………かもね」
妹友「そうまでして、兄さんを私から奪い返したかったの!? あの時、私に謝ったのはなんだったのよっ!?」バンッ
病弱「…………」
妹友「っ」ギリギリッ
病弱「まぁ、それだけなら、私も妹ちゃんを見放していたんだけどね」クスッ
妹友「……え?」
病弱「私が今ここにいるのも、君に説明をしているのも、妹ちゃんを見捨てられなかったからなんだ」ハハハ
病弱「……」
病弱「彼女の真意はね、君からお兄さんを奪い返すことじゃあない」
妹友「は、はぁ? だって、親の力を使って、そんな汚いことしてまで私の申請を取り消した」
妹友「私から兄さんを奪う以外に、どんな目的があるのっ!?」
病弱「ふむ。私からそれを話すのもやぶさかではないのだけれど」ウーム
病弱「……それは私じゃなくて、本人から直接聞いた方がいいんじゃないかな?」
妹友「本、人?」
病弱「ちょうど、来たようだよ?」
――ピンポーン――
とりあえず今日はここまでです。
毎回少ししか更新できなくてすみません。
見てくださってる方には
色々とストレスを感じさせてしまってることかと思います。
(内容的にも分量的にも)
もう少しだけ付き合ってくださるとありがたいです。
今度はバッドエンドを振り切るつもりです。
というわけで
今日はおやすみなさい。
――少し時は戻り
妹宅
玄関
妹「……よしっ!」ガチャッ
兄「…………」
妹「お兄ちゃん、もういいよ。私から話すことは全部話したから」
妹「お兄ちゃん、ただいま、は?」
兄「あ、えっと……」
兄「ただいま」
妹「うん、おかえり!」ニコッ
――――――
リビング
妹母「……兄くん」
妹父「………………」
兄「……」ウツムキ
妹「お父さん」
妹父「……」
妹「お母さん」
妹母「」コクッ
兄「……あ、あのっ」
妹母「なに? 兄くん」
兄「僕は、ここにいてもいいんですか?」オロオロ
妹父「兄」
兄「っ! は、はいっ!?」ビクッ
妹父「すまなかった」
兄「えっ?」
妹父「記憶が戻って、真っ先に妹に言われたよ」
妹父「『お兄ちゃんを見てあげて』ってな」
兄「……」
――回想――
妹「お父さん」
妹父「……妹? なんだ?」
妹「記憶戻った?」
妹父「……あぁ」
妹「それじゃあ、お兄ちゃんのことも?」
妹父「…………あぁ」
妹「そっか、よかった……」
妹父「……妹」
妹「なに?」
妹父「お前は兄をこの家に連れ戻したかったのか?」
妹「うん、そうだよ」
妹父「……だが、兄を解雇したのは、妹だろう?」
妹「……うん」
妹父「じゃあ、なぜだ?」
妹「……私はね、お父さん」
妹「子どもだったんだよ」
妹「お兄ちゃんの優しさに甘えて、ずっとわがままをきいてもらって」
妹「それが当たり前だと思ってた」
妹「だから思い通りにいかなくなって、お兄ちゃんを解雇した」
妹父「それが当然だろう。兄はお前のためにこの家にいる。そのために雇っていたんだ」
妹「私の面倒を見るために?」
妹父「そうだ」
妹「そのために、お兄ちゃんに暴力まで振るったの?」
妹父「っ!? どこでそのことをっ!?」
妹「…………」ジッ
妹父「……そうだ。兄が役目を果たさなかったからな」
妹「……」
妹父「私を責めるか?」
妹「ううん、私にそんな資格ないから」
妹父「……結局、お前はどうしたいんだ? 兄を連れ戻してどうするんだ?」
妹「私は……ただ、お兄ちゃんに謝りたいだけ」
妹「お兄ちゃんの記憶を戻して、今までのこと全部全部謝る。それで、伝えるんだ」
妹「これからはちゃんとするって。……たぶんいきなりはできないと思う」
妹「だけど――
妹「お兄ちゃんが今まで私に優しくしてくれた分、私は成長しなきゃいけない」
妹「ううん、成長した姿をお兄ちゃんに見せたいっ!」
妹父「…………そうか」ボソッ
妹「うん。それにね、お父さん」
妹「お父さんは私を怒らないで、いつもお兄ちゃんを怒ってたんだよね?」
妹父「……」
妹「でも、私、お父さんに叱られたかったよ? 叱られるってことはそれだけ思われてるってことだもん」
妹「それに、私がダメなのは私のせい。お兄ちゃんのせいなんかじゃない」
妹「だから、お父さんはお兄ちゃんと向き合ってあげて」
妹「私のこと抜きで、お兄ちゃんと向き合って!」
妹「そして――
妹「私のこともちゃんと叱ってね?」ニコッ
――――――
――――――
兄「……」
妹「……」
妹父「妹に言われて気づいたよ。私がしてきたことはしつけでもなんでもない」
妹父「自分の上手くいかないことに腹を立て、力でどうにかしようとする、まるで子どものような行為だったな」
妹父「兄、お前に全てを押しつけ、私は責任から逃げようとしていたんだ」
妹父「妹のことを全て押しつけたこと。そして、お前を殴ってしまったこと」
妹父「……私のしてきたことは決して許されることじゃない」
妹父「許してくれとも言えない」
妹父「ただ、謝りたかったんだ」
妹父「……すまなかった。本当に……すまなかったっ!」
妹「お父さん」
妹母「あなた……」
兄「……」
兄「もう、いいよ……」
妹父「っ」
兄「もういいから、父さん。頭下げないでよ」アセアセ
妹父「……兄、だがっ!」
兄「確かに痛いことは嫌だったよ?」アハハ
兄「でもさ」
兄「妹が困っていたら助けてあげたいし」
兄「妹が喜んでいたら一緒に喜びたい」
兄「妹が悲しんでいたらその理由を知って解決したいし」
兄「妹が笑っていたらその笑顔を守りたいんだ」
兄「だって、僕は『お兄ちゃん』なんだから」ニコッ
兄「だから、僕が妹のためにっていうのも案外外れてないし」
兄「僕は、父さんが暴力を謝ってくれただけで、もう満足だから」ニコッ
妹父「兄……すまないっ、すまない……」
――――――
――――――
妹母「それじゃあ、久しぶりに家族四人で出かけましょうか?」ニコッ
妹父「あぁ。兄、妹、どこか行きたいところはあるか? 今日はあまり時間がないが、近場なら行けるだろうしな」
兄「……あ、えっと……どうしよう、妹?」イモウトヲミテ
妹「…………」
兄「…………妹?」
妹「お父さん、お母さん」
妹父「ん? なんだ?」
妹「……話しておきたいことがあるの」
――――――
妹友宅
――ピンポーン――
病弱「出たらどうだい?」ニコッ
妹友「……」スクッ
――ガチャッ――
妹「久しぶりね、妹友」
妹友「……妹」
妹「入っていいかな? お兄ちゃんもいるけど……」
兄「え、えっと」アセアセ
妹友「」コクッ
――――――
妹「……って、なんであんたがいるのよ?」ジトッ
病弱「細かいことはいいじゃないか」ハハハ
妹友「この人から色々聞いた」
妹「は? なに、勝手に話してんのよ!?」キッ
兄「ま、まぁまぁ。落ち着いて、妹」アセアセ
病弱「お兄さんの言う通りだ。あまり怒ると血圧上がるよ」
妹「くっ、こいつ……」
妹友「…………」
妹友「それで、なんであんたは私の『兄さん』を勝手に奪ってるわけ?」
妹「……ごめん」
妹友「っ! ごめんっ? それで済むわけないでしょ!?」バンッ
妹友「私はまた『兄さん』を失ったのよっ! 10年前のあの日と今っ! 2回も私はっ!?」ギリッ
病弱「ま、まぁ、少し落ち着いて――
妹友「あんたは黙ってろっ!!」キッ
病弱「っ!」ヒキッ
妹友「……どういうつもりなわけ? なんで親の力まで使って? そんなに私から『兄さん』を奪い返したかったの?」
妹「…………」ウツムキ
妹友「っ! 黙ってるなよっ!」バンッ
妹「……私は、けじめをつけたかったのよ」イモトモヲミツメ
妹友「は?」
妹「私は謝りたかったの、今までのこと」
妹「前に妹友に言われたよね? 私はお兄ちゃんに甘えてるって。その関係性に甘えてるって」
妹友「……だから?」
妹「だから、それをお兄ちゃんに謝りたかった」
妹「ただ記憶がないんじゃ意味がないから、直接お兄ちゃんに届けたかったから」
兄「……妹」ボソッ
妹「ただ、それだけ」
妹友「それ、だけっ?」イラッ
妹友「それだけで私はまた『兄さん』を失ったの? それだけの、下らない、あんたの都合でまたっ!」
妹「…………うん、そうだね」
妹友「ふざけんなっ!!」バンッ
妹友「あんたは、いつもそうだっ!」
妹友「いつもわがままで、自分勝手で、素直じゃなくて、いつも私を振り回した! ずっとずっとずっとずっと!」キッ
妹「……うん」
妹友「今度もそうだ」
妹友「なんでそんな理由で、私から奪う! また力のない私からっ! あんたはっ!」ギリッ
妹「…………」
病弱「…………」
妹友「今度は失敗しないって……っ!」
妹友「ちゃんと『兄さん』を取り返すって、取り返すってぇ」ホロッ
妹友「決めた、のにぃ」ヒックグスッ
妹友「なのに、なんで、またぁ……」グスッ
妹友「ふざけんな! ふざけんなっ! ふざけんなぁぁぁ!!」ボロボロ
妹「…………」
兄「……妹、友ちゃん」スッ
妹友「っ!? 私を呼ぶなっ!!」グスッ
兄「っ!」ビクッ
妹友「にい、さん……私を裏切るんでしょ?」ヒック
妹友「お金持ちで、なんでも持ってる妹の家の方がいいもんね!?」グスッヒック
兄「そんな、ことないっ! 僕もちゃんと覚えてるから、ちゃんと思い出したから! 僕もずっと『妹友』ちゃんと会いたかった! 今までは気付けなかったけど、あの『妹友』ちゃんだって分かったからっ!」
妹友「…………じゃあ――
妹友「……そいつを○してよっ」ボソッ
兄「……えっ?」
妹「…………」
妹友「ほら、これ、あげるから」ナイフヲサシダシ
兄「っ!?」
妹友「……そうすれば私と兄さんは一緒に居れるんですよぉ?」クスッ
兄「そ、それは……」ヒキッ
妹友「ね? 一緒に暮らしましょうよぉ、そいつを○して」クスクス
兄「っ!」バッ
――カランッ――
妹友「…………」
兄「そ、そんなことはできないよっ! 妹友ちゃんは僕にとって大切な娘だ。だけど、妹も僕の大切な『妹』なんだっ!」
妹友「…………」
兄「い、妹友ちゃん?」
妹友「は、はははははははははっ!!」
妹友「やっぱり、こうなっちゃうんですねっ」アハッ
兄「妹友ちゃん……」
病弱「妹友ちゃん」
妹友「やっぱり『兄さん』と私はいっしょにはいられないんだぁ」
妹友「あんなに、頭をつかって、兄さんをとりかえそうとしたのにぃ」クスクス
妹友「ね? やっぱり私なんかじゃダメなんだよね?」アハッ
妹友「私みたいななんにもない人間じゃあ、兄さんもてにはいらないんだぁ」クスッ
妹友「あーあ♪ もうなんかもうどうだっていいや♪」
妹友「もう、私なんてっ!」カッターヲトリダシ
兄「妹友ちゃんっ!」
病弱「っ!?」
妹「っ!!」バッ
――――ザクッ――――
妹「…………痛っ」ギリッ
妹友「――え?」
兄「妹っ!」
病弱「妹ちゃんっ!?」
妹「だいじょうぶよ、カッター掴んだだけだし」ポタポタ
――カランッ――
妹友「なに、やってんの……?」ボーゼン
妹「それは、痛っ……こっちの、台詞だって」ハハハ
妹友「わ、わたしはっ、もう死んじゃおうかとっ」
妹「早とちり……しすぎっ」
妹友「……え?」
妹「私、お兄ちゃんを奪い返すのが目的だって言った?」
妹友「……」
妹「私、謝りたいって言っただけ。それに、前に言ったでしょ?」
妹「私は、お兄ちゃん離れしなきゃなの」ニコッ
妹友「き、きいてないっ!」
妹「あれ? そうだった?」
妹「でもね、私は決めたの。お兄ちゃんがいたらきっと甘えちゃうから、だから――
――ドンッ
兄「えっ?」ヨロッ
妹友「っ!?」
――ギュッ――
兄妹友「っ!?///」ダキアイ
病弱「ふぅ、いい仕事した」
妹「ん、あんがと」ボソッ
病弱「ふふっ」
妹友「ちょ、ちょっと!」マッカ
兄「妹ちゃん、病弱娘さん!?」アセアセ
妹「妹友」
妹「何回もお兄ちゃんをあなたから奪ってごめんなさい」
妹「お兄ちゃん」
妹「今まで私を見守ってくれてありがと」
妹「…………」
妹「『兄』さん」
妹「ただいまを以て、あなたを解雇します」
兄「っ!? な、なんでっ!」
病弱「…………」
妹友「妹、なにいってるの!?」
妹「二人とも――
妹「もういいですから」ニコッ
――――――
――――――
こうして兄妹の物語は終わった。
兄は、他の娘の兄として生き
妹は、その兄から離れることで成長した姿を見せるという形で。
そう。
これが妹ちゃんの望んだ結末らしい。
確かに、これも一つの理想系なのかもしれない。
お兄さんは
今までずっと縛られてきたものから解放された。
妹ちゃんは
お兄さんがいなくなったことでやっと成長できるだろう。
ふむ。
近親者でウダウダとやっているよりも建設的ではあるね。
実際、妹ちゃんもお兄さんも生き生きとして日々を過ごしているようだし。
落とし所としては及第点だろう。
さて。
物語の結末を語ったところで
私もそろそろお暇するとしようかな?
またなにかあったら報告でもするとしよう。
じゃあ、また。
――――――
――――――
まぁ?
これで終わるわけはないよね。
私だって、不満はあったからね。
だから、私たちは動いたんだ。
あのわがままな彼女を出し抜くために、ね?
物語が動き出すのは、それから1か月後のことだ。
――――――
妹の教室
妹「はぁ……」
病弱「ふぅぅぅ」ミミニイキフキカケ
妹「ひゃぁぁぁぁっ///」ビクンッ
病弱「ふふっ、相変わらずのいい反応だね」
妹「あ、あんたねぇ……」イラッ
病弱「おっと、暴力は止めてくれよ? 私は病人だよ?」
妹「くっ、保健室から出てきたと思ったらこれかっ!」キッ
病弱「毎日教室に来ている私を敬っても構わないよ」ハハハ
妹「毎朝、誰があんたをここまで支えて来てるか分かってる?」ニコニコ
病弱「ん? 妹ちゃんだね」シレッ
妹「しれっと言ったわね……はぁ。まぁ、あんたがそんな奴だってことは分かってたからいいけど」
病弱「ふふっ、流石私の妹ちゃんだ」
妹「誰が、あんたのだっ!」バシッ
病弱「あうっ!?」
妹「はぁ、まったく……」
――――――
妹(あの日から1か月)
妹(変わらない日常が流れていく)
妹(まぁ、保健室から出てきた病弱娘とか、部活に入った私とか多少の変化はあるけど、変わらない)
妹(病弱娘や幼馴染みちゃん以外にも友達も増えたし、部活の先輩にも仲良くしてもらってる)
妹(たぶん、少しはましになったかな?)
妹(ただ、妹友とは少し距離ができてしまった)
妹(目が合うと反らされるし、話すことだってほとんどない)
妹(こればっかりは……)
――――――
妹「しょうがないのかな……」ボー
先輩「お、妹、どうした?」
妹「あ、先輩」
先輩「なんかボーッとしてたみたいだが?」
妹「なんでもないですよ?」
先輩「そうか? 俺にはそうは――」
妹「私のこと気にする余裕があるなら、その男勝りな所を気にした方がいいんじゃないですか?」フフ
先輩「なっ!? 俺はいいんだよ! 彼氏だってこれがいいっていってくれてるから……///」テレテレ
妹「……ゴチソウサマデス」
――――――
妹(私の毒舌というか、口が悪いのも今じゃすっかり受け入れられてる)
妹(前は、こんなの妹友と病弱娘の前でしか出さなかったのに……)
妹(…………)
妹(あとは、お兄ちゃん、か……)
――――――
妹「ダメだダメだ!」フルフル
幼「どうかしました?」
妹「あ、べつになんでもないっ」アセアセ
女「今日も白米がうまいっ!」クワッ
妹幼「…………」
女「…………?」キョトン
幼「と、とにかくあまり溜め込まないでくださいね?」
妹「ん、ありがと」
幼「いえいえ」ニコッ
女「んー、なんか最近、兄くんとごはんたべてないなー」ノホホン
幼「げっ!?」
妹「…………」
幼「お、女さんっ!!」コソコソ
女「んー? なにー?」
幼「その話題はまだデリケートなところですからっ!」コソコソ
女「あー、忘れてた」アハハ
妹「女さん」
女「なにー? 妹ちゃん?」
妹「兄……先輩とご飯食べたいですか?」
幼「い、妹ちゃん?」
女「そりゃあねー、ボク、兄くんのこと好きだしー」ノホホン
幼「な、やややや、やっぱりっ!?」
女「ん? どしたの、幼馴染みちゃん?」クビカシゲ
幼「やっぱりそうなんですね!? 女さんも兄くんのこと――
妹「…………」
――――――
妹(好き、かぁ)
妹(私のそれとは勿論違うけれど、素直に好きって言える女さんは羨ましい)
妹(…………)
妹(やっぱりまだ兄離れ出来てない)
妹(ちゃんと、しないと……)
――――――
今日は申し訳ないですが落ちます
明日完結予定なので
もう少しだけ付き合ってくださいm(__)m
なんか期待してたのにガッカリ…
ゴメン、中途半端で面白くないな
おもしろいぜ
まぁ一応完結はして、これは後日談って感じだし、多少はね?
>>286
期待させて申し訳ない
気に入らなかったらそっとこのスレを閉じてください。
>>287 >>288
ありがとう
期待してくださったかたには申し訳ないのですが、今日は書けなさそうです。
少し間をおいて更新します。
申し訳ない…。
ずいぶんと間を空けてしまいました
今日、更新しようと思います。
お付き合いください。
通学路
夕方
兄「……こんにちは」
妹「あ、兄、先輩」
兄「……」
妹「……」
兄「えっと、元気?」
妹「……はい、元気ですよ」
兄「そっか」
妹「……」
兄「あ、その……」オドオド
妹「?」クビカシゲ
兄「ぶ、部活、頑張ってるんだってね」
妹「っ! ……はいっ」ウツムキ
兄「先輩さんから聞いてるよ。この間も――
妹「す、すいません……今、急いでるのでっ」タタタ
兄「あっ!?」
兄「妹、行っちゃった」
兄「…………妹」ボソッ
妹宅
妹の部屋
妹「あー、もうっ!!」バンッ
妹「なんで、あんな態度とってるの、私!」
妹「ちゃんとするって言ったのに! 普通に接するって決めたのに!」
妹「あれじゃ、お兄ちゃ――兄先輩も気まずくなるじゃない!」
妹「ほんと、アホだぁ」
妹「…………」
妹「あー、もうっ!」ベットニダイブ
妹「うぅぅぅ、だってしょうがないじゃん……」
妹「ちゃんと、兄先輩が見ててくれてるって言ってくれて、なんか泣きたくなったのっ!」
妹「ちゃんとするっていった手前、なんかやじゃん……泣いてるの見せるのなんて」ボソボソ
妹「うぅぅぅぅぅぅ」ゴロゴロゴロゴロ
――prprprpr――
妹「電話? あ、妹友から?」
妹「……」ガチャ
妹「もしもし?」
「……ん、私だけど」
妹「どうかした? えっと……」
「明日、放課後」
妹「え?」
「明日の放課後空けていて」
妹「え、な、なんで?」アセアセ
「……いいから」
妹「……う、うん。わかったけど」
「ん、じゃあ」ブツンッ
妹「……???」
――――――
妹友宅
妹友「……」ケイタイヲミツメ
兄「電話したんだね?」
妹友「」コクッ
兄「そっかぁ……」
妹友「……兄さんは今に満足してますか?」
兄「え、うーん……」カンガエコム
妹友「私は満足」
妹友「兄さんがいるから」
妹友「……うん、それだけでいい」ギュッ
妹友「そう、気づいた」ギュゥゥ
兄「……妹友」ナデナデ
妹友「兄さん、もう少しこのまま」ギュッ
兄「……うん」ナデナデ
――――――
妹の教室
休み時間
妹「妹友、ほんとに休みかなぁ」ボソッ
病弱「まぁ、朝に先生も休みだと言っていたからね」
妹「でも、じゃあなんで、放課後空けといてなんて……」
病弱「ふむ、本当に約束したのかい?」
妹「した! 昨日の夜に電話で! というか、向こうから一方的にしてきた約束だし」
病弱「それは興味深いね。二人とも、ここ1ヶ月ほどは、とてつもなくギクシャクしていたというのに」フーム
妹「ま、そりゃね」
病弱「……もう、お兄さんのことはいいのかい?」
妹「…………なにが?」
病弱「いや、あんな終わり方でよかったのかな、ってね?」
妹「いいのよ、あれで。っていうか唐突すぎ! いきなり兄先輩の話題なんて」ギロッ
病弱「……ごめんごめん、気になったら突っ込んでしまう性格でね」フフフ
妹「あっそ」
――――――
病弱「あ、話は変わるけど、男先輩の件はどうなったんだんだい?」
妹「あー、あの……」ハァ
病弱「ため息、ということはあまりうまくいっていないのかな?」
妹「うん」
病弱「まぁ、あんな評判のいい先輩の告白を断ったんだ。色々あるだろうね」ハハハ
妹「笑い事じゃないって……昨日だって、部活終わりに待ち伏せされたし」ゲッソリ
病弱「周りからチヤホヤされているような人だからね。君が自分の思い通りにならないことが気に入らないんだろう?」
妹「たぶんそう。それにあの人のファンも色々うるさいわ……」ハァ
病弱「ふむ、当分は我慢だね……って、話をすればかな?」チラッ
妹「えっ?」
男「こんにちは、妹くんはいるかな?」ニコッ
クラスメート「キャー! 男先輩よっ!」
クラスメート「今日も爽やかねっ」
男「ごめんね、今日は妹くんに話があって来たんだよ。通してくれるかな?」キラッ
クラスメート「は、はいっ!」スッ
妹「うわっ、来た」ボソッ
病弱「みたいだね」フフフ
男「やぁ、妹くん。奇遇だね」ニコッ
妹「こんにちは、男先輩」ペコッ
男「今日も一段と可愛いね」キラッ
妹「は、はぁ」
妹(奇遇って……わざわざここまで来といて白々しい)
妹(可愛いとか、あんたから言われても嬉しくないし)
病弱(とか、思ってるんだろうなぁ)フフフ
男「それで、昨日の件は考えてくれたかな?」ニコッ
妹「……昨日の件?」クビカシゲ
男「ほら、今日の放課後、僕とデートをしてくれるって約束だよ」ニコッ
妹「……は?」
男「忘れてしまったのかい? ははは、困ったなぁ」
妹「…………」
妹(身に覚えが全くないんだけど……)
妹「すみません……」ペコッ
男「ふふっ、まぁいいよ。とりあえず今日の放課後、僕の教室に来てくれるかな?」
妹「あ、今日の放課後は大事な友達と予定が入っていて……」
男「え?」
妹「なので、すみません」ペコッ
男「そ、そっか……」
ファン「え、男先輩との約束破るの?」ボソボソ
ファン「なにあれ、最悪!」ボソボソ
ファン「信じられない」ボソボソ
妹「…………」
男「えぇと、それじゃあ次の機会に――
妹「あの、私、先輩からの告白は断ったはずなんですけど……」
男「そうだったかな?」ニコッ
妹「はい」
男「……そう、だね。そうだったかもしれないね」
男「…………」
妹「…………」
男「じゃあ、僕は帰るとするよ」ニコッ
男「またね、妹くん」
妹「……はぁ」
病弱「こっちとは約束したのかい?」
妹「するわけない」
病弱「だろうね」フフフ
妹「笑うな!」キッ
病弱「ふふっ、ごめんごめん」
妹「はぁ……ほんと嫌」
――――――
屋上
昼休み
幼「男くんが、ですか?」
妹「うん、困ってる……」ハァ
女「男くん? どんな人だっけー?」
幼「隣のクラスの方なのでよく知りませんけど、人気は高いらしいですよ?」
妹「でも、実際は話を聞かなくてしつこい男」
幼「そ、そうなんですか」
妹「どうにかできないかなぁ……」
女「ひっぱたくとか、どうー?」ノホホン
幼「却下です!」
女「えー、なんでー?」クビカシゲ
幼「そんな野蛮なことダメですよ!」
女「だって、話きかないなら体に覚えさせるしかないとおもうけどー?」ノホホン
幼「のほほんと恐ろしいこと言わないでくださいよ……」ヒキッ
妹「……うーん、ほんとどうしよっかな」
――――――
妹の教室
夕方
妹「結局、放課後……」
妹「せっかく先輩に色々言われてまで部活休んだのに」ハァ
妹「妹友……一体なんだったのよ」
妹「病弱娘も帰っちゃったし」
妹「もうっ!」
男「あれ? 妹くん?」
妹「うっ!?」
男「こんな時間に、どうしたのかな?」ニコッ
妹「あ、えぇと……」
男「もしかして、僕を待っていてくれたのかな?」キラッ
妹「え、いや――
男「そうならそう言ってくれればよかったのに!」ハハハ
妹(ほ、ほんとに話聞かない……)
男「じゃあ、これからどこかに、と言いたいところだけれど、今日はもう遅いからね。一緒に帰ろうか?」ニコッ
妹「…………はぁ」
――――――――
――――――
妹(成り行きで一緒に帰ることになったけど……)
男「それで、その時僕がね!」
妹「…………」
妹(自慢話しかしない……)
妹(ほんと、この人いや……)ハァ
男「妹くん?」
妹「はい?」
男「具合でも悪いのかい?」
妹「いえ」
妹「男先輩、ここでいいですから。というか私に構わないでください」キッパリ
男「遠慮なんてしなくていいよ?」ニコッ
妹「…………」ハァ
男「妹くん?」
妹「私に関わらないでください。もう一度言いますけど、先輩と付き合う気はないですから!」
男「…………」
妹「……じゃあ」
男「…………がって」ボソッ
妹「え?」
男「僕に恥をかかせやがってっ!」バッ
妹「!?」
――――――
――――――
妹「……あ、れ?」
妹(ここ、どこ?)
男「目が覚めたみたいだね」ニコッ
妹(男、先輩?)
男「まだ、声が出ない? 仕方ないか。薬がまだ効いてるみたいだし」ニコッ
妹(薬? この人、なにを……?)
男「…………」
男「……君が悪いんだよ? 僕の告白を断ったり、約束を皆の前で断ったり」
男「挙げ句の果てには、関わらないで? 僕と付き合う気はない?」
男「なにをいっているんだい? 君は僕の言うことを聞いていればいいんだよ」
男「この僕が付き合ってあげると言っているんだ!」
妹(うわっ、この人『こういう』タイプの人だったの!?)
妹(ヤバイヤバイヤバイヤバイっ!?)
男「暴れても無駄だよ? 薬で上手く動けないだろう? そういう薬を使ったんだから当然だろう?」ニコッ
妹(っ!)
男「だから、無駄だって!」
――バシッ――
妹「っ!!」バタッ
男「これも君が悪いんだ。君が言うことを聞かないからこうして叩くしかない」ニコッ
妹(……こいつ、最悪!)キッ
男「…………なんでまだそんな目をしてるの?」
妹「」キッ
男「これはもう、体に覚えさせるしかないかな?」ハハハ
妹(っ!? こいつ、何いってるの?)
男「ん? 何をするか知りたい?」
男「そんなの簡単さ」
男「妹くんを犯すんだよ」キラッ
妹「っ!?」
男「僕に逆らわないように、僕の思い通りになるように、犯してあげるよ」ニコッ
男「最初は痛いかもしれないけど、大丈夫。すぐに僕がいないとダメな体にしてあげるから!」
妹(そ、そんなのっ! いやっ!?)ビクッ
男「あ、やっと怖がったね。今、謝れば僕の彼女にしてあげるけど」ニコッ
妹(そ、それもいやよっ! こんな最悪な男の彼女なんて死んでも嫌っ!)キッ
男「…………本当に」
男「自分の立場が分かってないんだね」
――ビリッ――
妹(服を、破いてっ!?)
男「はい、可愛いブラが丸見えだ」ニコッ
男「…………分かった? 僕が上なんだよ?」
妹「…………」キッ
男「へぇ、まだそんな目ができるんだ。……その余裕がいつまで続くか――
男「楽しみだっ!!!」バッ
妹(こんなのっ……嫌っ!)
妹(誰か……)
――――――
「なにをしてるんですかぁ?」
――――――
男「……だれ?」
妹(あ、あれって……)
妹友「通りすがりの女の子ですよぉ」クスクス
男「……なにか、用かな?」ニコッ
妹友「いえ、べつにぃ? その子に用事があったんですけど、お取り込み中みたいですね」アハッ
男「うん、そうだよ。それで? 君は僕を止めに来たのかな?」
妹友「別にそのつもりはないですよぉ? 私は妹ちゃんに散々裏切られてますから」クスクス
男「そうかい? なら、僕はこのまま続けることにするよ」ニコッ
妹「い、も……」
男「あれ? 薬が切れ始めたかな? まぁ、いいか」
男「…………」
男「もう一度確認するけれど、君は僕を止めないんだよね?」
妹友「止めません♪」
男「なら、よかった。安心して犯せるよ」ニコッ
男「さぁ、楽しもうか! 妹くん」
妹(……妹友っ!)
――――――
妹友「『私』は止めませんけどね」クスッ
――――――
?「やぁぁぁぁ」
――バキッ――
男「うっ!?」フラッ
兄「は、はっ……」
男「っ!」バタッ
妹友「奇襲作戦大成功♪」アハッ
男「いったい、なんのつもり……」
妹友「なんのつもり? そんなの決まってるじゃないですかぁ? ね、兄さん?」
兄「ぼ、僕の『妹』に手を出すなっ!」
妹「おに、ちゃ……」
妹友「そういうわけですよ、変態さん♪」クスクス
妹友「私としても困るんです♪ 妹ちゃんは大事な大事な『家族』なんですから」
妹「…………え?」
男「だから、といって、僕を殴っていい理由には……」ギリッ
妹友「……何を怒ってるんですかぁ?」
男「僕を殴って、地面に這いつくばらせたことだよっ!? 僕がなぜ殴られないといけないんだっ!」
妹友「倒れたままで怒っても怖くないですね!♪」アハッ
男「お、おまえっ!」キッ
妹友「……むしろこれだけで終わってあげることに感謝してほしいくらいです」クスクス
男「な、なにを言って――
妹友「本当だったら、その粗末なモノ切り取って、学校の黒板に張り付けて、実名とともに公開してもいいんですよぉ?」カッターヲトリダシ
妹友「あ、それに今日のことも噂で流しちゃいましょう」
妹友「これで、先輩、終わりですよぉ?」クスクス
男「ひっ!?」
妹友「ひっ? それが先輩の感謝の言葉なんですかぁ?」
妹友「ごめんなさい、私、日本語と英語くらいしかわからないんですぅ♪」クスクス
妹友「ゲスみたいな人間の話す言語は分からないので、日本語で言ってもらえますかぁ?」
妹友「ありがとうございます、ですよ?」
男「ひいっ!?」ビクッ
妹友「ほら、ありがとうございます、は?」カッターヲモノニオシツケ
男「――――!?!?」
妹友「あらら、気絶しちゃいました」クスクス
兄「や、やりすぎだよ」アセアセ
妹友「いいじゃないですか、兄さん。兄さんだってその先輩のこと木材で殴ってるじゃないですか♪」
兄「え、えっと、それは……」
妹「……妹、友。兄、せんぱ、い……」ヨロヨロ
妹友「あ、忘れてた」
兄「妹、大丈夫!? まだフラフラする?」
妹「」コクッ
兄「ほら、おんぶするから! ここ、乗れる?」セナカヲムケ
妹「…………」キュッ
妹友「あ、ずるい! 兄さん、今度私にもしてくださいね♪」
兄「え、えぇ!? は、恥ずかしいよ……」テレテレ
妹友「むぅ」
――――――
――――――
兄「もう、話せる?」セナカゴシニ
妹「う、うん」
兄「そっかぁ、よかったぁ」ホッ
妹「でも、兄先輩、なんであそこが分かったの?」
兄「えっと……」
妹友「なんか、病弱娘?って言ったっけ? あの娘が妹ちゃんの制服に発信器を着けてたから、それで分かったの」フキゲン
妹「はぁ!? あいつ、なんてもの私に着けてくれてんのよ!」
兄「ま、まぁまぁ。今日はそれで助かったんだから、ね?」アセアセ
妹「そ、そうだけど……」ウゥゥ
妹友「……」ジトー
妹「な、なに?」
妹友「兄さんにおんぶしてもらってる……」ジトー
妹「いや、これは、しょうがないじゃん!?」アセアセ
妹友「むぅ、私の兄さんなのに……」
兄「妹友」
妹友「…………わかってる」
妹「? えっと、兄先輩?」
兄「それ、やめよう」
妹「え?」
兄「僕のことは『お兄ちゃん』って呼んで?」
妹「…………え?」
兄「だから、『お兄ちゃん』って呼んでよ、妹」ニコッ
妹「っ! ダメッ!」
兄「……なんで?」
妹「だ、だって、私はあんたを解雇したし……」
兄「うん」
妹「それに、私は、ちゃんとしないといけないの! お兄ちゃん離れして、ちゃんとしてることをみせないとっ!」
兄「うん」
兄「だから、1ヶ月見せてもらったよ」ニコッ
兄「妹、頑張ってた」
妹「なら、もう!」
兄「うん、安心した。僕なしでもやっていけるんだってね」
妹「だったら、今更そんなことっ」
兄「でもさ、そんな妹を見ていくうちに思ったんだ」
兄「可愛い妹が頑張る姿を、成長していく姿を近くで見られない」
兄「そんなの嫌だなって」
妹「そんなの――
兄「妹、僕のこと避けてたよね?」
妹「そ、それは……」
兄「やっぱり気まずかったんだなって思う。その気持ちは分からないでもないよ」
兄「でも、このままじゃ妹が頑張る姿を見てあげられない」
兄「だから――
兄「だからね、妹。僕はまた君の『お兄ちゃん』になりたいんだ」ニコッ
妹「でも、それじゃ、妹友がっ!」
妹友「なに? 私が兄さんのその気持ちを知らないとでも?」
妹「え、じゃあ……」
妹友「私も了承済み」
妹「な、なんでっ!?」
妹友「……あんた、ほんとバカ?」ハァ
妹「は、はぁ?」
妹友「あのさ、あんな終わり方で私が納得するとでも思ってた?」
妹友「復讐するつもりだった相手にあんな風に兄さんを譲る形で渡されて!」
妹友「あの時は……まぁ、よかったけど? 後から怒りがこみ上げてきた!」
妹友「なんで、私、こんな結末で満足してるのって!」
妹友「全部、あんたに出し抜かれてそのままでいいのかって!」
妹友「だ、か、ら!」
妹友「私は決めたの!」
――ペラッ――
妹「これって……?」
妹友「これに書いてあるとおりよ? なにか問題は?」
妹「え、えっと……?」
妹友「あんた、一生かけて私に償うといいわっ! こきつかってあげるから♪」
妹「………………」
兄「……妹?」
妹「ほんとに、いいの?」
兄「……うん」ニコッ
妹「妹友も?」
妹友「……さっきも言ってでしょ? これで一生かけて償わせるの。これが私の復讐♪」クスクス
妹「…………」
妹「私、わがままだよ?」
兄「知ってる」
妹「私、口悪いよ?」
妹友「知ってる」クスッ
妹「私、いっぱいひどいことしたよ?」グスッ
兄「そうかもね」
妹友「ん、された」
妹「なのに、二人はわたしを」
――――――
妹「好きでいてくれるの?」
――――――
兄「もちろん」ニコッ
妹友「一応ね」クスッ
妹「っ! あ、ありが、とう……」ヒックグスッ
兄「妹がわがままでも口が悪くても僕らにひどいことをしても
兄「僕たちは『兄妹』だから」
兄「僕たちはいつだって妹の味方でいるし、好きでいる」
妹「う、うん」ポロポロ
兄「妹、僕は童顔で頼りないけどさ」
兄「僕を妹の『お兄ちゃん』にしてくれるかな?」ニコッ
妹「うんっ!」ニコッ
兄「ありがとう」
妹友「………………」
兄「……妹友」
妹友「……うん」
妹友「妹」
妹「うん……なに? 妹友」
妹友「これは復讐だからっ! あんたに情が湧いたとか、兄さんから離れたあんたが元気なくて可哀想だったとか、そんなんじゃなくて復讐!」
妹「うん」クスッ
妹友「私の『家族』を勝手に奪って、私の『家族』を勝手に返した復讐っ!」
妹友「あんたに『家族』を勝手に増やしてやるからっ」
姉「だから、私を『家族』にしなさいっ!」
妹「うんっ! よろしく、『お姉ちゃん』」ニコッ
――――――
『特別認定お兄ちゃん制度申請書』
『申請日 ○月 ○日』
『以下の者を戸籍上の兄とする』
『 兄』
『以下の者を上記の者の妹とする』
『妹 妹友』
『申請者名』
『兄 妹友』
――――――
『特別認定お姉ちゃん制度申請書』
『申請日 ○月 ○日』
『以下の者を戸籍上の姉とする』
『 妹友』
『以下の者を上記の者の妹とする』
『妹』
『申請者名』
『妹友』
――――――――
End3 『3人の関係』
――――――――
というわけで
これにて終わりです。
どうにか完結させることが出来ました。
期待を裏切ってしまったり
不快にさせてしまったりしてしまったかもしれません。
初SSということで色々と至らぬ点も多かったと思います。
読んでくださった方
応援してくださった方
批判してくださった方
皆様に感謝を!
もっと文章力や構成力を高めて
また出直してきたいと思います。
またどこかでお会いできたら、と思います。
では!
このSSまとめへのコメント
やばい泣ける…
イッチはバットエンドが好きなのか?
バットエンドしか書いてねえじゃねえか力不足すぎるんだよ、本心ではハッピーエンドなんて書きたくなかったんだろ?知ってんだよもう帰ってくんな
↑うるせぇ黙ってろそんな事言うならお前が書けよ
いい話だった(´;ω;`)
3”五月蝿え良いやつかけない奴がなにいってんだ?