兄「ボクはいもうとの事が好きじゃない」(20)

~・~・~

ボクはなんでもボクのマネをする、妹が好きじゃない

ボクがブロックで遊んでいると、それをよこどりしてボクの作ってたロボットをこわすし

ボクが絵をかいてると、ボクの絵の上に変なラクガキをするし

習字をやりたいってボクが言ったのに、妹もマネしてやりたいって泣くし

ピアノもそろばんも、みんなみんなボクのマネばっかりするんだ。


……でもお母さんは妹に優しくしなさいって言う。お兄ちゃんなんだからって。

お兄ちゃんなんかなりたくなかったし、妹なんか欲しくなかった。

妹なんかいなければ良かったのに

~・~・~

父「そしたら夏休みは約束してた通り、新潟のお爺ちゃんの家まで一人で行くか!」

兄「うん!お爺ちゃんの家まで、言われたとおり"じこくひょう"で調べたよ!」

父「どれどれ……うん!乗り換え駅も大丈夫そうだな!ちょっと気を付けなければいけない駅が有るからそれだけ、父さんがメモしておこう!」

母「あなた……大丈夫なの?小3とはい子どもだけで」

父「大丈夫!俺だって子供時分には爺さんに頼んで電車で遠くまで行ったもんさ!」

母「でも、あなたの時代とは違うのよ?もし何かあったら……」

兄「お母さんだいじょぶ!お父さんにキップの買いかたも教わったよ!スマホだってあるし一人で行けるって!」

父「そうだ!良く言った!……本人が言ってるんだから大丈夫だって」

母「でも――」

妹「……おみずのみたい~」

母「あら、妹起きたの?お水ね、ちょっと待ってなさい」

妹「……おにーちゃんとおとーさん。なにやってるの?」

兄「妹は知らなくて良いの!」

父「こらっ!妹にそんな事言うもんじゃない!……お兄ちゃんは夏休みにお爺ちゃんのウチに電車で行くんだよ。そのお話をしてたんだ」

妹「おにーちゃんお爺ちゃんのウチに行くの?」

母「そうよー。お爺ちゃん夏休み楽しみにしてたんだから」

妹「アタシはー?アタシもおじぃちゃんのウチいくー!」

母「妹もお父さん達と一緒に車で行くんだよー。お母さんも一緒よ!」

妹「……おにーちゃんは?」

父「おにーちゃんは電車で行くんだよー。ちょっと大人になったから特別だ」

妹「……アタシも電車がいい」


――ホラ。また始まった
――ボクが楽しみにしてた事はいつも妹が邪魔をするんだ

妹「アタシもいく~!電車でいく~!」

兄「泣くなよ!妹は小さいからダメなんだ!」

妹「いやいや~ッ!アタシも電車がいい~ッ!!」

父「ホラ、妹はお父さん達と一緒だぞ~。車でいろんな所遊びに行ってお爺ちゃんのウチ行こうな~?」

妹「い~や~だ~!アタシもおにーちゃんと電車がい~い~!!」

兄「妹!ワガママ言うな!おまえは小さいからダメなの!」

母「兄!妹に優しくしないと駄目でしょ!……ねぇ、アナタ?この際二人でって言うのはどうかしら?子ども一人よりも二人の方が安心じゃない?」

兄「え?いやだよ!妹と一緒なんて!」

父「そうだなー。……確かにそうかもな、兄ならしっかりしてるし二人でも大丈夫だろ?」

兄「いやだって!ひとりが良いよ!お父さん!」

母「兄。子ども一人って貴方が思ってるより危険なのよ。……でも妹と二人なら大丈夫だとお母さん思うの」

妹「え"~ん"……お"にーぢゃんどいっしょがい~い~!」

母「妹、大丈夫よ。貴方もお兄ちゃんと一緒に電車で行こうね?」


――泣きたいのはボクのほうだ。と妹のことを少しうらめしく思う。なんかいやな気分だった

~~~~~~
父「兄。そしたら気を付けてな?メモは持ったか?」

兄「うん、財布もあるしキップは首にかけてるからだいじょうぶ!」

母「いい、妹?お兄ちゃんの言うことちゃんと聞くのよ?……兄、くれぐれも気を付けてね?」

妹「はーいっ!」

父「大宮からはとりあえず高崎線に乗ってるだけだからな?籠原で前の5両はその先に行かないから乗る車両に気を付けろよ?」

兄「分かってるよ!水上と宮内!長岡でのりかえ!お爺ちゃんの加茂着いたら、駅の電話でお爺ちゃんのウチに電話する!」

父「よし!大丈夫そうだな!……妹。お兄ちゃんとお手々繋いでるんだぞ?」

妹「はーい!おにーちゃんおてて!」

兄「まだ繋がなくていいの!」



母「……やっぱり心配よ、あなた」

父「大丈夫。兄を信じるんだよ」

兄「じゃあいってきます!妹、行くよ!」

妹「いってきまーす!」

母・父「行ってらっしゃい!」

~~~~~~

兄「妹。ちゃんとお兄ちゃんの言うこときくんだぞ?良い子に出来る?」

妹「できるー!アタシ良い子だもん!」

兄「電車の中は騒いじゃダメだからね?うるさくするなよ?」

妹「しないよー!……あー!みてみて、ちょうちょがいるよー!つかまえたい!」

兄「つかまえないの。電車に遅れちゃうでしょ?」

兄「妹、そしたらキップをここに入れて」

妹「キップー?」

兄「くびのプリキュアに掛かってるでしょ?……はい、これ持ってお兄ちゃんのマネしてね」

妹「キップ出たー!もう一回やりたい!」

兄「一回だけ!入るときだけなの!」

妹「いーやーだ!もう一回やりたい~ 」

兄「ダメだってば!……ほらプリキュアの中に入れて、ほらプリキュアに入ったよー」

妹「い"~や~だ~!もう一回やりたい"~」

兄「もう、ボクが泣きたいよ」

妹「でんしゃー!人たくさん!」

兄「そうだねー。迷惑にならないようにしずかにしようね?」

妹「でも、あのおねーさんおおきい声で電話してるよ?」

DQNJK「……なんかウチの事、子供に言われてるんだけどー?」

兄「……ごめんなさい。妹、静かにね?」

妹「はーい!」

兄「しずかにするの!!」

妹「でんしゃ楽しいねー!」

兄「妹、イスに座っておそと見るなら靴脱ぐよ?」

妹「あー!大きなお家があるよー」

兄「ほんとだ、大きいねー」

妹「♪やねよーりかーたい!こいのーぼーりー!♪」

兄「もう鯉のぼりないよ。それにやねよりたかいでしょ?」

妹「かたい?」

兄「たかい!」

妹「まだつかないのー?」

兄「もーとたくさん電車乗るんだよー」

妹「いっぱい?」

兄「そう、いーっぱい!」

妹「いっぱい電車乗ったら、トラックになる?」

兄「ぶッwww」

妹「電車のつぎはトラックに乗るー!」

兄「トラックにはならない!電車だけ!」

兄「……人少なくなったなー」

妹「みんなどこにいったの?」

兄「どこだろうねー。おしごとか、学校か」

妹「おにーちゃんは学校に電車で行かないよー?」

兄「小学校はあるいていくの」

妹「ちゅう学校は?」

兄「歩いていくよー。高校とか大学は電車で行くんだよ」

妹「なんでー?」

兄「歩いていけないから、遠いんだよ」

妹「高校とおいのー?おじいちゃんのウチもとおいよー」

兄「そうだねー。遠いよねー」

妹「……zz」コックリ

兄「……妹、寝ちゃだめ。座わってねて」

妹「……zz」グラグラ

兄「しょうがないな……」ヒザマクラ

妹「……zz」

兄「吹上駅かー。籠原までもうすぐかな?」

妹「……zz」

兄「……」頭ポンポン

妹「もうおじいちゃんのウチ?」

兄「まだだよ。今は籠原駅、おしっこ行こうか?」

妹「おしっこでないー!」

兄「そう?そしたら電車出るまで少し良い子にしてようね」

妹「電車止まっちゃったの?」

兄「前の電車はこの先行かないんだよ」

妹「どうしてー?」

兄「一番前でみんな引っ張って、疲れちゃったんだって」

妹「ねむねむするのー?」

兄「そうだよー。ここまでありがとーって」

妹「ありがとー!!」

兄「もうすぐさいたま県からぐんま県に入るよー!」

妹「ぐんまー?」

兄「そう、ボクたちは埼玉にすんでるの。隣の県に来たんだよ!」

妹「おじいちゃんのウチ来たの?」

兄「おじいちゃんのウチはまだだよ。もっともーっと先!」

妹「もっとー?」

兄「そうだよー。もっとたくさん電車に乗るんだよ!」

妹「たくさん電車!やったー!」

兄「ほら、妹!たくさん電車があるよ!かもつ列車だ!」

妹「電車だー!たくさんあるね!」

兄「ねー!凄いよね!」

妹「どうしてたくさん電車があるの?電車さんのおうちー?」

兄「そうだねー。ここで電車が休んだりするんだよ」

妹「そしたらみんな電車の家族だね!……あれがねー!電車のお父さん!」

兄「お母さんは?」

妹「あかい電車がお母さん!!」

兄「たかさきに着いたー!」

妹「ついたー!」

兄「ええと、じょうえつ線に乗り換えるんだから。……あっちかな?」

妹「かいだんのぼるー!」

兄「走ったらダメだよ!……あっ!」

妹「……う"ぇ"ぇ"ーん"!!」

兄「もう。……痛いのいたいのとんでけー!」

妹「い"~だ~ぃ"~よ~!!」

兄「泣かないの。大丈夫、いたくないよ」

妹「い~だ~い~~!」

妹「でんしゃこないねー」

兄「こないねー。今のうちにトイレ行こうか?」

妹「ううん、だいじょうぶ!」

兄「そう?みず飲む?あそこに冷水器あるよ」

妹「飲むー!」

兄「そしたら抱っこするよー」

妹「わー!顔にみずがバシャってなったー!」

兄「ごめんごめん、だいじょうぶ?」

妹「もっかーい!もういっかーい!」

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