エルフ「見張りの人間もいないみたいだし」ドキドキ
エルフ「これはもしかして逃げるチャンス…」
エルフは牢屋の扉を恐る恐る押してみた
静まり返った地下牢に扉のきしむ音が響いてエルフは心臓が止まりそうになった
エルフ「気付かれて…ない…」
エルフ「廊下の突きあたりに扉があってその先が牢屋番の詰所になっているはず」
エルフ「そこさえ抜けられれば…」
エルフは左右に牢屋が並ぶ廊下を音をたてぬよう静かに歩いていく
牢屋の中からはエルフの女奴隷たちが無言で脱獄者を見つめている
エルフ(誰も声を出さないでくれるのはありがたいけど…)
エルフがちらりと牢屋を見ると中にいる奴隷の一人と目が合った
怖れと悦びのまじりあった暗い瞳
エルフ(何だろう…なんだか違和感が…)
エルフ(まあいいわ、問題は詰所をどう突破するかね…)
エルフは詰所の扉に耳を押し当てて中の様子を伺った
詰所の中からは物音一つしない
エルフ(誰もいないみたいね…たぶん)
エルフ(外に出て休憩してるのかしら?なんにしろ好都合だわ)
エルフは詰所の扉を開けて中に入った
エルフ(良かった…誰もいない)
エルフ「あとはこの部屋を抜けて階段を上がれば外に出れるはず…」
エルフ「この奴隷商人に捕えられてからまだ半月だけど、誰かに買われてしまう前に脱走する機会が巡ってくるなんて本当に運がいいわ」
エルフ「そうだ、外に出る前に何か着ないと…」
エルフは壁にかかっているフード付きのローブを貰っていくことにした
男物でエルフには大きすぎたがえり好みしている場合ではないし、顔と体が隠せればそれで十分だ
エルフ「見張り番が戻ってくる前にここから逃げなきゃ」
エルフは階段に通じる扉のノブを回した
エルフ「あれ…?」
エルフ「嘘・・・なんで開かないの・・・」ガチャガチャ
エルフ「お願い…開いて…」ガチャガチャ
エルフの言葉を聞いたかのようにカチャリと鍵のはずれる音がして扉が開いた
エルフ「やった!・・・あとは外に出るだけ
見張り番「おやおや、脱獄ですかいお嬢さん」ニヤニヤ
エルフ「あ…」ガタガタ
見張り番「おまけに窃盗か、これはきつい罰を与えんとなぁ」
脅えるエルフをの体を見て見張り番は舌なめずりした
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