穂乃果「μ'sの雨の日」 (24)

・時間や設定はバラバラで短いのをいくつか





サァァァァァ―――――

希「エリち、こっち終わったよ」

絵里「お疲れさま。私の方もすぐ片付くわ」

希「今日は雨のせいか生徒会室も冷えるなあ」

絵里「私達以外に人が居ないのもあるわね。この時期になると会長の承認が要る書類しか残らないし…」

希「ここ最近はμ'sの活動でバタバタしてたから、こう静かなのも久しぶりやね」

絵里「静かなのも嫌いじゃないけどね。雨音を聴いていると感覚が鋭敏になるというか、集中できるし」

希「仕事もテキパキ進むしなー」

絵里「…副会長がしょっちゅう仕事をサボらなければもっと早く進むのよ?」

希「まあまあ、もう仕事もあんまり残ってないんやし…」

絵里「まあ、ね。これがまとまればあとは次期生徒会長の推薦と引継ぎ」

絵里「こうしてあなたと書類の整理に追われる日も、もうそんなにないのかしら…」

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希「…エリち」ピト

絵里「ち、ちょっと、どうしたのよ、そんなにくっついて…」

希「んー……いいやん。寒いし、二人きりやし」

希「せっかくの雨なんやから楽しまないと。こうして寄り添って、雨音と体温を感じて……」

絵里「……」

希「……」

サァァァァァ―――――

希「…いい雰囲気?」

絵里「何言うのよもう…大体、口に出したら台無しじゃない」

希「……」

絵里「……」

サァァァァァ―――――

絵里「…いい雰囲気ね」

希「なー♪」

ことり「…あれ?花陽ちゃんひとり?」

花陽「うん、凛ちゃんは教室のお掃除当番、真姫ちゃんは音楽室で少しピアノを弾いてから来るって」

花陽「花陽は…お腹が空いちゃって。先に部室に来て、おにぎり食べてようかなって。えへへ…」

ことり「ふふっ、そっかぁ。…わっ、海苔のいい香り!」

花陽「良かったら、ことりちゃんもおひとつどうぞ」

ことり「いいの?」

花陽「もちろん!雨の日は海苔をたくさん巻いてラップで包んでおくと、ちょっと湿気っておいしいの」

ことり「じゃあ遠慮無く…いただきますっ!」パクッ

ことり「…おいしい!」パアァ

花陽「ちょっとだけ、ご飯を固めに炊くのがコツなの。水気でお米もやわらかくなるから…」

ことり「…もしかして花陽ちゃん、その日の天気でおにぎりの作り方変えてるの?」

花陽「うん。具のおこぶの炊き方も変えたりするよ」

ことり「こだわりの一品なんだねぇ…」パクッ




花陽「……」モギュモギュ

ことり「……」モグモグ


花陽「……」ゴキュ

ことり「……」ゴクン







ことり「ふふ~~~♪」

花陽「ふふ~~~♪」

にこ「あら…なによ、真姫ちゃんしかいないの?」ガチャ

真姫「凛は午後の授業で爆睡して先生のお説教、花陽はアルパカのお世話よ」

にこ「2年生は?」

真姫「さっき衣装の材料の買い出しに出かけたわ。…3年生は?」

にこ「生徒会よ。途中まで希と一緒だったんだけど、絵里に見つかって引きずられていったわ…」

にこ「ところで、なんで真姫ちゃんは買い出しについて行かなかったの?」

真姫「…別に。この雨の中を手芸屋さんまで歩く気分じゃなかっただけよ」

にこ「…ふ~ん。さてはこのにこにーに会いたかったにこ?」

真姫「なっ…なんでそうなるのよ!何が悲しくてにこちゃんなんか!」

にこ「あっ、ひっどぉい!にこは真姫ちゃんと二人きりになりたくて急いで来たのにぃ…」グス

真姫「ふ、ふたっ!?な、なっ…」カアア

にこ「にこはぁ、こんなに真姫ちゃんの事が大好きなのに、真姫ちゃんはにこの事、嫌い…?」ウルウル

真姫「べべ別に嫌いなんて一言も言ってな…」ハッ

真姫「よく考えたらにこちゃん私が部室にひとりなの知らなかったじゃない!騙されないわよ!!」

にこ(この子こんなにちょろくて大丈夫かしら……)

ドザアアァァァ

穂乃果「雨だぁ――――っ!!」

凛「雨にゃぁ――――っ!!」

穂乃果「うひゃあ~~~!」バシャバシャ

凛「にゃあ~~~!!」バシャバシャ

穂乃果「ふふっ、あはは!」

凛「うにゃ―――っ!あはははは!」

―――
――


凛「お風呂も服も借りちゃってごめんね」

穂乃果「そんなの気にしないでいいよー。雨も風も凄いことになってるし、今日泊まってく?」

凛「ううん、大丈夫。そんなにお世話になる訳にもいかないよ」

穂乃果「ちなみに制服は今日中には乾きません」

凛「…むむむ」

穂乃果「明日はお休みだし…ね?」

凛「…お世話になります」ススス

穂乃果「あはは、かしこまっちゃって」

凛「じゃあ、家に連絡入れてくるね」

―――
――


凛「穂乃果ちゃん、漫画読んでもいい?」

穂乃果「好きなの読んでいいよ!あ、凛ちゃんのプレイヤー聴かせてね」

凛「どうぞー」ペラ

穂乃果「…ほほう」

凛「にゃ?」

穂乃果「いや、女の子らしい服で少女漫画読んでる凛ちゃんがすごくかわいくて」

凛「…またまた~、穂乃果ちゃんの服がかわいいだけだよ。凛かわいくないもん」

穂乃果「ほんのり赤くなったお耳で言われても説得力がないですな~」

凛「知らない知らない…」ペラ

穂乃果「あっ、ラブソングオンリーのプレイリスト発見」

凛「」ビクッ

穂乃果「かわいい~」ニヤニヤ

凛「…凛おうちかえるにゃ」スク

穂乃果「待って!褒めてる!褒めてるの!」ヒシッ

園田母「…はい、お疲れ様でした、海未さん。急な稽古でごめんなさいね」

海未「いえ、ありがとうございました。この雨ですし、部活動の練習もありませんでしたので」

園田母「すっかり梅雨ですからね…そう、梅雨といえば……玄関先と庭の裏手に、紫陽花が咲いたでしょう」

海未「ええ」

園田母「最近、雨の日になるとね、髪を明るく染めた若い子が紫陽花を見に来るんです」

園田母「慈しむようにしばらく眺めて、帰っていくの。紫陽花が珍しいのかしら?」

海未「花の美しさに心を打たれるとは、感性の豊かな方なのでしょうね…」

―――
――


海未(あら、門のところに誰か…例の方でしょうか?)

海未「もし、そこのお方。裏にも綺麗な紫陽花が咲いているんです。よろしければ…」ヒョコ

亜里沙「本当ですか?ありがとうござ…えっ!?」

海未「えっ!?」

アルパカ1号「メェ~」

花陽「学校お休みだけど、心配で来ちゃった…」

花陽「雨、すごいね…大丈夫?寒くない?」

アルパカ2号「メェ~」

花陽「あれ…?休みの日はいつも寂しそうなのに、今日は平気そうだね」

花陽「成長したって事なのかな…えらい、えらい」ナデナデ

アルパカ2号「メエ~」

花陽「明日、また来るからね」

―――
――


【翌日】

アルパカ1号「メェ~」

ことり「めぇ~♪」ナデナデナデナデ

アルパカ2号「メェ~」

花陽「あっ…なるほど……」

サァァァァァ―――――

にこ「…海未?まだ残ってたの?」

海未「歌詞の推敲を少し…にここそ、どうしたんですか」

にこ「部室の備品の整理よ。最近穂乃果が雑誌読み荒らすから…ほら、号の並びがバラバラ。まったく」

海未「備品…というより、にこの私物ですよね」

にこ「何よ、資料として充分役に立ってるじゃない。海未だって熱心に読んでるでしょ」

海未「い…いえ、私は」

にこ「…雑誌の読み方って人によって結構クセが出るのよね。ページに付ける付箋とか」

海未「は、はぁ」

にこ「ポージングのページに丁寧にぴしっと…無意識に水色ばかり使ったり」

海未「…………いや、その…それは……」

にこ「恥ずかしがることないわよ。ライブの時の動きは評価してるんだから」

海未「恥ずかしいものは恥ずかしいんです…」

―――――

にこ(これはこっち、と…なんで場所が変わってんのよ。時々希がカメラ仕込んだりするから油断ならない…)

海未「…」カリカリ

にこ(雨の日はテールが膨らんで邪魔ね…)シュル

海未「髪を下ろすのは珍しいですね」

にこ「ストレートのにこにーを独り占め出来るなんて幸運よ。目に焼き付けておきなさい」サラ

海未「……」ジッ

にこ「…珍しく熱心ね」

海未「あ、いえ。…前から思っていたのですが」

海未「にこって髪綺麗ですよね」

にこ「…………あんた、それは嫌味で言ってんの…?」

海未「……」

にこ「……」

海未「?」サラァ

にこ「うわ、無自覚!だいたいなんであんたはこのジメジメした日にそんなシュっとしてるのよ!」

海未「なんでと言われても…というか、にこだって綺麗じゃないですか」

にこ「にこのは湿気ですぐ広がるのよ」

海未「少し手櫛で梳かせば戻りますよ、ほら」サワ

にこ「っ…も、もう結び直しちゃうわよ」バッ

海未「…もったいない。私は好きですよ」

にこ「……海未って時々、絵里よりはっきりした物言いするわよね」

海未「褒めてるんですよ?」

にこ「とにかくおしまい。ストレートのにこはそう簡単にお目にかかれないのよ」キュ

海未「あの、にこ」

にこ「何よ」

海未「さっき、目に焼き付けておきなさいって」

にこ「…………」


サァァァァァ―――――


海未「…………」






にこ「……もう少しだけだからね」シュル

海未「ありがとうございます。ついでに髪も梳かしてあげますね」パァ

凛「あっ、傘忘れちゃった…かよちん!傘入ーれて!」

花陽「うん、帰りに本屋さんに寄っていくけど、大丈夫?」

凛「いいよー。ついでにラーメン食べて帰るにゃ!れっつごー!」グイッ

花陽「あ、り、凛ちゃん!そんなに急いだら濡れちゃうよ!」タタッ


絵里「姉妹みたいね、あの二人」

希「どっちがお姉ちゃん?」

絵里「んー……花陽かな。やんちゃな妹と優しいお姉さんって感じ」


穂乃果「海未ちゃん!傘入ーれて!」

海未「もう!どうしてあなたはいつも傘を持ってこないんですか!」

穂乃果「わ、わざとじゃないよ!忘れたり失くしたりしちゃうだけで…」

海未「…………」ゴゴ

穂乃果「…面目ない……」

海未「はぁ…まったく、仕方がないですね……」

穂乃果「やったー!海未ちゃん大好きっ!」ダキッ

海未「お、大人しくしていてください。濡れますよ」

絵里「…夫婦ね」

希「夫婦やね」ゴソゴソ

希「ところでな、エリち。実はウチも傘忘れてしもてん」

絵里「……今鞄にしまい込んだのは折り畳み傘だったように見えたのだけど」

希「スピリチュアルなパワーでたった今壊れちゃいました」テヘ

絵里「私の傘なんて入ってもつまらないわよ?」

希「ウチは楽しいからいいの♪入れて入れてー」

絵里「仕方ないわね…本屋には寄らないからね」

希「ウチらはどっちに見えるんやろね?」

絵里「姉妹か夫婦かって話?」

希「うん」

絵里「…キツネとタヌキ、かしら」

希「化かし合い?」

絵里「そんなところね」






穂乃果「雨止め―――――っ!!」




おしまいです。読んでくれた方が居ましたらありがとうございました
もうすぐ梅雨ですね。少しでも雨の日っぽさを感じて頂けたら幸いです。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年06月07日 (土) 04:01:25   ID: va4Q1KR7

こういう雰囲気のssもっと増えてほしいね

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