……モバＰさん、ま、まだかな？

今日は千枝の学校が終わったらお迎えに来てくれるってお約束だったんだけど……

ちょっと、……遅れてるのかな？

なにか、あったのかな？

心配、かも…

……うーん

……

…


――あ、あの車だ！

こ、こんにちはモバＰさん！

い、いえいえ…あの、全然待ってないです。千枝もちょっと遅れちゃって、あの…


え、渋滞？　途中で交通事故が…こ、怖いですね？

……安全運転、ですか？

そうですよね、千枝はモバＰさんなら安心して任せられます！

あ、そういえばモバＰさんが千枝の学校に来てくれたのは初めてでしたね！

千枝…お仕事でこっちに転校してきてから、いっぱいお友達ができたんですよ♪

最初は、その…不安でしたけど…

でも…モバＰさんのおかげで千枝、色んな人と話しても怖くなくなったんです。


そ、そんな…千枝は別に偉くないです、全然ですよ。えへへ…♪

事務所のお友達もそうですけど、千枝がこんなにたくさんの人と仲良くできるのは…全部、モバＰさんのおかけですから…

えっ、今日の格好……似合ってますか？

あの…そ、それって…千枝が子供っぽいってことですか？

……違う？　だ、だって千枝、今はランドセルもしょってますし…


ら、ランドセルはむしろ良い…？　それはどういう…え、忘れろ？

は、はい…モバＰさんがそう言うなら…


むぅ…大人ってむずかしいです…

あの…今日はどんなお仕事をするんでしたっけ？

……取材、ですか？　ち、千枝のこと…色々と聞かれちゃうんですね…

よーし、大人な千枝を見せられるよう、頑張っちゃいますね！


……取材の後は、テレビ番組のゲスト出演？　う、うまくできるかな…

い、いえ…別に、不安とかではないです、はい…ホントです。

大丈夫です！　千枝は…モバＰさんと一緒なら、なんだって出来るんです！


えへへ、モバＰさん♪　今日もよろしくお願いします！

ふぅ…無事にお仕事終わりましたね！

今日の千枝はどうでしたか？

ちゃんと…その、モバＰさん好みの千枝でしたか？


……え、その言い方はちょっと？　…だ、ダメですか？　

でも、千枝はその…モバＰさんに喜んでもらいたいんです！

そのためには、千枝はもっと…大人になって、モバＰさんと…あっ、いえ、何でもないんです…

それで、あの…今日の千枝は、どうでしたか？


……むぅ、可愛いって言われるのは嬉しいですけど…

千枝はその…キレイって言われたいなあ


い、いえ…なんでもないんです、ホントです…！

うぅ…やっぱり大人になるって難しいなあ…

あ、もう…女子寮に着いちゃいましたね…

はい、ランドセルも忘れてません。大丈夫です！

……えへへ、ちゃんと安全運転でしたね！　流石は千枝のプロデューサーさんです！


あの…でも、もう少し一緒にいたいんですけど…ダメ、ですか？

だ、大丈夫です、疲れてないです！　まだ眠くないです！


……ホント、ですか？

えへへ、じゃあ…お話しましょう♪


あ、そうだ！　この近くに千枝がよく遊んでいる公園があるんですよ

そこに、……行ってみませんか？

あの…手をぎゅってしても、いいですか？

……えへへ♪　じゃあ…ぎゅー、です！


大人の男の人の手って…大きいです。

とっても温かくて、……ぽかぽかです。


じゃ、じゃあ…このまま公園に行きましょう！

……夜の公園って、ちょっと怖いですよね。

でも、今はモバＰさんがいるから安心です！

それに、その…夜更かしってなんだか大人っぽいです…！


……え、まだ７時？　ホントですか？　

…で、でも夜更かしなんです、そういうことにしましょう！

あっ、……ランドセル、車に置いてくれば良かったですね…

つい背負ったまま来ちゃいゃいました、うぅ…


……いえ、あの…重くないです、今日は宿題もなかったですから！

ええと…その、じゃあ、あそこにベンチがありますから…座ってお話しましょう？

……えっこれですか？　ウサギさん、可愛いですよね！

これはですね、防犯ブザーです！

学校で配ってくれたんですけど、元のままだとちょっと可愛くなかったので…

そ、そうです…自分で作ったんですよ？　あ、あの…亜里沙先生と一緒に…ですけど…


……す、すごいですか？　そんなことないですよ、えへへ…♪

あ、そうだ…モバＰさん、知ってますか？　防犯ブザーって、どんな時に使うものか…


……そ、そうですよね…知ってますよね。怖い人が来た時に、このヒモを引っ張るんです！

そうすると…ここからとっても大きな音が出て、周りの人や警察の方に危険を知らせてくれるんです。

あと、その…よくわからないんですけど、じーぴーえす機能っていうのもついてて…

はい、だからとっても安心なんです！

……、……。

……

…


あの…でも、もしも…なんですけど…

い、今これを千枝が使ったら、――モバＰさんは、大変なことになっちゃいますよね？

――な、なんちゃって…♪

えへへ…冗談ですよ？


……びっくり、しましたか？　千枝、演技のお勉強も頑張ってるんですよ？


心臓に悪いから止めて欲しい？　それって、あの…もしかして、病気？

……違うんですか？　…そ、そうですか、それは良かったです！

そ、それで…ですね。……千枝、モバＰさんにお願いがあって。

あの、……今日の千枝は、頑張ってましたよね？

ちゃんと…お仕事できてたって…

だから、その…ご、ご褒美が欲しいんです！


……わ、わがままですか？

そ、そんなことない？　よ、良かった…

じゃあ、その…千枝、――モバＰさんに、大人のキスをして欲しいです

……。

……。

……いえ、あの…違います、美嘉さんの雑誌なんて見てませんよ？　ほ、ホントです…

梨紗ちゃん…とは、まあ…あの、確かにお話しますけど…

ありすちゃんのタブレット？　そ、そっか…そういう手も…いえ、何でもないんです！

と、とにかく…あの、千枝…モバＰさんからご褒美が…欲しいんです！

――ほ、本気です！　千枝はホントに、あの…


……良い子だから、言うこと聞いて？

だ、だめです！　どうしてもです！　それに、……今日の千枝は…ちょっと悪い子ですから



……ほら、これ…何だかわかりますよね？

い、今これを千枝が使ったら、――モバＰさんは、大変なことになっちゃうんですよ？