まどか「森小屋を見つけました」 (41)
短編です。
2回に分けて投下します、まどほむまど。
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私たちは春休みを利用して隣県にキャンプに来ていました、ですが……
まどか「ひぐっ、えぐっ……ほむらちゃぁん……」
ほむら「大丈夫よ、きっと…… あっ、あれ見て!」
まどか「なぁに……?」グスッ
ほむら「まどか、森小屋よ」
バタン
ほむら「とりあえずは一安心、かしら」
まどか「ごめんね、私が迷子になっちゃったばっかりに……」
ほむら「あなたが謝る必要は無いわ、私も変な道に入っちゃったみたいだから……」
ほむら「それに迷っていた中、あなたを見つけれたのは幸運だった」
まどか「ありがとう、ほむらちゃん……」
ほむら「礼には及ばないわ」
まどか「私たち、どうしたらいいのかな……携帯も圏外だし……」
ほむら「下手に動くともっと迷ってしまうかも……暫くここに」
まどか「う、うんっ」
ほむら「それに小屋に入っていれば、きっと助けがくるのは早いはず」
まどか「なら安心、かな……」
ほむら「にしてもこの小屋何もないわね……、古びた毛布1枚と本棚に本と雑誌が数冊あるだけなんて」
まどか「時計は止まったままだね……懐中電灯、電池ないみたい」
ほむら「日が暮れるまで時間はたくさんあるわ、気長に待ちましょう」
まどか「うん、それとほむらちゃんがいるから安心だよ……」
ほむら「……ありがとう」
まどか「待ってるって、暇だね」
ほむら「あの本棚に本と雑誌が数冊入ってるわ、内容を確認してみるのはどうかしら」
まどか「面白いのあるかなぁー」
まどか「ぁ……」
ほむら「……どうしたの?」
まどか「全部ね、都市伝説とか恐怖体験談とかの本だった……」
ほむら「……もし良かったら、一緒に読む?」
まどか「えー?」
ほむら「……机の下から、冷気を感じるのです」
ほむら「夏場なのにおかしいなーと思い、私が視線を下に移したら……」
まどか「……」ドキドキ
トンッ
まどか「ひっ」
ほむら「ふふ」
まどか「もう、驚かさないでよー」
ほむら「退屈しのぎにはなるでしょう?」
まどか「……いじわる」
ほむら「楽しませてあげただけよ」
まどか「……ほむらちゃんの手、握っていいかな……」
ほむら「怖くなったの?」
まどか「ちょっとね……」ぎゅ
ほむら「私の手、冷たい……?」
まどか「あたためてあげるから大丈夫だよー」
ほむら「佐倉杏子から飴を貰ったのだけど、どうかしら」
まどか「えへへ、いただきます」
まどか「あれ?……雨、降ってる?」
ほむら「本当ね、天気予報では快晴と発表されてたはずなのに……」
まどか「天気が変わり易いーとか」
ほむら「それは山よ」
まどか「なんか、寒くなってきちゃった」
ほむら「あそこに毛布があるけれど……古びてて使い物にならないわよね」
まどか「如何にもカビてますよーって感じだもんね」
ほむら「……昔の人は肌をくっつけ合って暖を取ったのよ」ぎゅ
まどか「わ、わ、わ、」
ほむら「あたたかい?」
まどか「えへへ、あたたかい……」
ほむら「ふふ……続きする?」
まどか「何の?」
ほむら「恐怖体験談のお話」
まどか「えー」
ほむら「そういえば喉が渇いてきたわ」
まどか「ここに来てから結構経ったよね……飲み物は持ってるの?」
ほむら「スポーツ飲料水があるわよ、まどかも飲む?」
まどか「うん」
ほむら「雪山で遭難した人はね、喉の渇きを癒すために口内で雪を溶かし、温めてから飲んだそうよ」
まどか「温めてから?」
ほむら「冷たい水を飲むと体温が奪われちゃうから」
まどか「なら今のほむらちゃんは冷たい水飲んでも大丈夫だね」
ほむら「……どうして?」
まどか「私が温めてあげるからー」
ほむら「ふふ、まどかにくっついてない右半身が寒くなってきちゃったわ」
まどか「私もほむらちゃんにくっついてない左側が……」
ほむら「……」チラ
まどか「……」チラ
まどか「こう抱き合うのは恥ずかしいなーって」
ほむら「し、心臓の鼓動が聞こえちゃってるのだけど……」
まどか「それはお互い様だよー」
ほむら「もう…… ちょっと飲料水飲んでもいいかしら」
まどか「いいよ ……あ、流れてる流れてる」
ほむら「それは言わないで……」
まどか「……遅いね」
ほむら「本当に遅いわね…… 雨も止まないみたいだし今晩はここでお泊りになりそう……」
まどか「えー、折角のキャンプなのに」
ほむら「まどかが迷子になっちゃうからよ」
まどか「えへへ、反省してます……」
ほむら「今晩はカレーを作る予定だったわよね」
まどか「そうだよ、人参を切ってー」
ほむら「玉ねぎを切って……、そういえば美樹さやかが対策としてゴーグル持ってきてたわね」
まどか「あたしの包丁さばきを見せてやるー!って張り切ってたよ」
ほむら「張り切り過ぎて怪我しないのかしら……」
ほむら「巴マミは料理に関してはオールラウンダーだから心配は要らないわね」
まどか「なぎさちゃんはチーズカレーにしようと画策してたよー」
ほむら「……チーズ分けて貰おうかしら」
まどか「杏子ちゃんは……」
ほむら「味見役ね」
まどか「杏子ちゃん、料理上手なのかな?」
ほむら「どうかしら……美樹さやかが言うには普通だそうよ」
まどか「杏子ちゃんの料理食べてみたいなぁー」
ほむら「私はまどかの手料理が食べたいわ」
まどか「お家にきたらいつでも食べさせてあげるよー」
ほむら「あ……」
まどか「どうしたの?」
ほむら「さっきの言葉、録音しておけばよかったわ」
まどか「もー」
ほむら「……そろそろ日が暮れる時間かしら」
まどか「お腹減ったなぁ」
ほむら「飴だけはキツイわね……」
まどか「ほむらちゃん、ソウルジェム出して」
ほむら「?」
まどか「今日はほむらちゃんのソウルジェムが私たちの灯りだよ」
ほむら「まどかのソウルジェムは?」
まどか「今日はおやすみー」
ほむら「私の魔力が尽きちゃうわ……」
まどか「見てみて、蝶々さんだよー」
ほむら「影絵ね、なら私は」
まどか「かにさん?」
ほむら「当たり」
まどか「これは、どう……かなっ?」
ほむら「……うさぎ?」
まどか「すごい!当たりだよー」
ほむら「ふふ、指の長さが少し足りてなかった気がするけれど……」
まどか「せ、成長するもんっ」
ほむら「にしても雨、止まないわね……」
まどか「マミさん達大丈夫かなぁ……」
ここまで、さていってきまーす!
まどか「こう全身を擦りあわせると……」ゴソゴソ
ほむら「きゃ、ふふ」
まどか「エネルギー問題解決しそうだよね」
ほむら「きっと私たちだけがこのエネルギーを活用できるから意味ないわ」
まどか「えー?キュゥべぇにエネルギーわけてあげたいなぁ」
ほむら「観測されながらになっちゃうわよ」
まどか「あ、それは恥ずかしいかも……」
ザアアアア…………
ほむら「夜、ね……」
まどか「うん……」
ほむら「……」
まどか「本当にここで一晩……?」
ほむら「そうするしかない、外は大雨だし……時間経過を待って助けが来るのを……」
まどか「魔力の波動でお互いの位置がわかると思うんだけどな」
ほむら「向こうが気付かないのか、私たちが奥深くへと入ってしまったのか……私にもわからない」
まどか「……私一人でここにいた可能性もあるんだよね」
ほむら「そういうのは考えちゃ駄目、……暇なら絵しりとりでもする?」
まどか「うん」
トントン
ほむら「!」
まどか「あ、助かったのかな……」
トントン
まどか「……? ちょっと、出てみるね んん、寒い……」
ほむら(……おかしい、人の気配が全く)
トントン
ほむら『まどか、駄目』テレパシー
まどか『えっ、と……なんで?』
ほむら『……念のためそこにある靴、持ってきて頂戴』
トントントン
まどか『う、うん……』
トントントントン
まどか『ほむらちゃん……』ぎゅ
ほむら『静かに……』
トントントントン
……ガ、チャ
まどか「……えっ?」ドキドキ
ほむら「……」
………ガチャ
まどか「な、なぁに……?」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
まどか「ひっ!」
ほむら「な、なに!?」
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャガチャ
ガチャガチャガチャガチャガチャガチャ…………
まどか「ほむらちゃああああん……」
ほむら「大丈夫、きっと」
ほむら(魔獣でも無いみたいだけれど、一体何……?)
バン!!!!バン!!!!バン!!!!
まどか「きゃっ!……窓ぉ……」ガクガク
ほむら「まどかは、目を瞑ってて」
まどか「んっ……」
ほむら(複数の手形…… まさか、この相手は)
ガチャ…… ガチャ……
ほむら(霊……だと言うの?)
ガチャ ギイイイ
ほむら「っ!」バシュッ
ほむら(追尾する筈の矢を躱された……?いえ……)
まどか「ほむらちゃん、大丈夫……?」
ほむら「大丈夫、ちょっと我慢して……」
ヒタ…… ヒタ…… ヒタ……
ほむら「っ……」
ニタァ……
ほむら(どうにかしないと……!)
ヒタヒタヒタ……
ほむら(身を守る、障壁……)
ほむら(そういえば毛布があったわね、この毛布で部屋の隅に結界を作れば……)
ばさぁっ シュシュッ
ほむら(魔法の矢で毛布を固定)
ほむら(そして気休め程度だけど魔力を流す)
ヒタ…… ヒタ…… ……ヒタ……ヒタ
ほむら「まどか、大丈夫?」
まどか「うんっ……」ぎゅ
ほむら「ごめんなさい、私がこの小屋に入ろうと」
まどか「ううん、違うの、私が、私が迷子になっちゃった、から……」ポロポロ
ほむら「あなたはひとつも悪くない……だから、安心して」なで
まどか「うんっ、うんっ……」ぎゅ
チュンチュン……
ほむら「……起きてる?」
まどか「うん……」グスッ
ほむら「昨日、何があったか……」
まどか「言わないでぇっ……」
ほむら「……ごめんなさい」
ガチャ……
まどか「ひっ!」
杏子「おーい、お前ら大丈夫かー? ……ってなんだこれ!!」
……朝、私たちは杏子ちゃんに発見されました。最初に私の魔力の波動が突然と消え、後を追うようにほむらちゃんのも消えたそうです。
昨日、雨なんて何処にも降っておらず、地図に載ってる筈のこの小屋も無かった、らしいです……。
そしてこの小屋の周りと部屋の中に無数の足跡、手形、そして手形まみれの引き裂かれた毛布だけが残っているだけでした。
さやか「うっわぁ……、これは酷い」
マミ「天井にも手形と足跡が……」
なぎさ「本当に霊……なんですか?」
ほむら「私は見た、ソウルジェムの光が謎の影を……」
杏子「にしてもほむらのソウルジェムに穢れが、全くねえんだけど……本当に1晩中結界張ってたのか?」
ほむら「張った、筈……」
まどか「私はずっと目瞑ってたから……」
杏子「ふーん……?」
さやか「あんたらよく耐えたよホント……」
マミ「この不気味な小屋は封印しましょう、魔法で絶対に入れないように……」
マミさんの提案でこの小屋は魔法で封印されました。
けど、最後に小屋の窓から……
???「………」ジーーーーーーッ
ほむら「まどか、見ては駄目」
まどか「うん……」
おわり
おまけ
ほむら「キュゥべえ、あの小屋の調査終わったかしら」
QB「終わったも何も、観測自体出来ずにいるよ、本当にいるのかい?」
ほむら「……」
QB「……よくわからないが、現在も別の個体がその小屋に滞在している」
QB「魔力も何も感知出来ずにいるんだけど…… 雑誌が数冊あるだけで――――
QB「…………」
QB「…………」
QB「…………」
ほむら「……どうしたの?」
QB「…………ニヤァ」
ほむら「……」
バシュン グチャ
ホラーが書きたかった、けど書けなかった……折角書き溜めたのだからと思い投下しました。
QBが霊に憑かれたらどうなるんでしょうね。
駄文観覧ありがとうございました。
このSSまとめへのコメント
良いと思います