P「正直、真美のことは性的な目で見ている」(131)

P「亜美はそうでもない」

律子「……」

P「どっちの方が好きとかじゃないんだ。どっちも同じくらい大好きだよ」

P「でもどちらかと言えば、真美と愛のあるセックスをしたい。わかるかな、この気持ち……」

小鳥「わかります」

P「音無さん」

小鳥「真美ちゃんを見てると、こう……、心のペニスがうずくんです」

小鳥「亜美ちゃんと真美ちゃん、そこに優劣はありません。
   それでも、やっぱり、真美ちゃんとしっぽりしたい。亜美ちゃんは汚しちゃいけないような気がして……」

P「わかります。亜美は765プロ最後のロリキャラですから」

律子(なんだこいつら……)

P「『真美は合法』という言葉をご存知ですか?」

小鳥「もちろん。最近、真美ちゃんは髪を伸ばしました。
   半年前には髪を結ぶ位置以外瓜二つだったふたりも、今では一目で見分けがつきます」

小鳥「でも、変わったのは髪型だけじゃない。
 性格的な面でも、真美ちゃんのほうが少しだけお姉ちゃんになったんです」

P「そのとおり。もちろん今でも悪戯好きな子供という部分では変わりませんが、
 自分から反省したり、気を使えるようになったり……精神的な部分でも成長が見られる」

P「じゃあもう、真美はいいんじゃね? OKなんじゃね? ということで真美は合法という言葉が生まれました」

小鳥「ファンの皆さんが言うような大げさな違いは二人の間にはありません。
   でも、間違いなく、真美ちゃんはほんのちょっぴりお姉ちゃんになりました。
   穴が開くほどふたりを見つめてきた私が言うんだから間違いありません」

P「一方、亜美はまだ天真爛漫なままですね。
 良い意味でも悪い意味でも素直なお子ちゃまのまm

律子「だがそれが良い」

P・小鳥「え?」

律子「……」

P・小鳥「律子(さん)……?」

律子「さっきから聞いてればなんですか? 真美ばっかり持ち上げて、亜美は全然成長してないって言うんですか?」

P「そんなつもりはないよ。さっきから言ってるだろ、亜美と真美の間に優劣は無いって」

小鳥「私達が言ってるのは、あくまで、二人の間に異なる個性が生まれてきたということですよ。
   どっちの方がすごいとかいうことを言ってるんじゃありません」

律子「……その個性の違いというのが、性的な目で見ることに繋がったと?」

P「うん! クーラーもきいてないような暑い部屋の中で汗だくで真美とセックスがしたい!」

律子「わかってない!」ドンッ

小鳥「ひぃっ、壁ドンやめてください! トラウマが!」

律子「す、すみません……」

P(音無さんの過去になにがあったんだろうか)

律子「……おほん。確かに、お二人が言ってるような違いが生まれてきたということは認めましょう。
   亜美に比べれば、真美の方が少しだけお姉さんになりました」

律子「でも、プロデューサーたちは、大切な部分を見落としています。
   その部分の変化が最も大事なことだって言うのに」

P「それは、つまり……?」

律子「見た目と中身のギャップよ!」

P・小鳥「!!!」

P「ギャップ……」

律子「はっきり言って、亜美も真美も、中学生にしてはありえないほど素晴らしいプロポーションの持ち主です。
   背も高くなったし、出るとこ出てるし。超中学生級、高校生レベルと言ったっていいかもしれない」

小鳥「美希ちゃ

律子「美希は論外。あれはもう神様に祝福された奇跡の体型ですから」

律子「とにかく、そこで大切になってくるのが、さっきから言ってる内面の変化。
   身体が成長するつれて中身も成長するなんて、当たり前のことなんですよ」

P「……亜美が性格的な面ではあまり変化していないとすると、
 その『見た目と中身のギャップ』に関して言えば、真美より大きいということになる」

律子「そう!」

P・小鳥「なるほど……」

P「じゃあ律子は、亜美のことを性的な目で見ているのか?」

律子「あなた達と一緒の物差しではからないでください。
   私はアイドル達をそんな目で見たことはないわよ」

律子「そもそも私は女ですから。なんですか心のペニスって」

小鳥「……」

律子「……でも、まぁ、ひとつだけ」

P・小鳥「……?」

律子「レッスン後の亜美はいつも、汗だくになりながら、
   『律っちゃんおわったよーん!』みたいなことを言って元気いっぱいに抱きついてくるんです。
   汗がつくからやめさないよって言ってもおかまいなし」

律子「そのときの亜美ってば……ふふ」

P「亜美ってば……?」

律子「……良い匂いがするんです」

P・小鳥「!!!」

律子「汗がじっとりとシャツに染み込んでるから、
   身体の柔らかさも熱もそのまま私に伝わってくる。
   つられて私の体温も上がって、思わず眼鏡が曇りそうになるわ」

P「おいおい……マジか」

律子「真美にそんなことされたことありますか?」

P「い、いや……」

小鳥「亜美ちゃんの汗……」

律子「ふふ……」

P「……なんで俺は、亜美をプロデュースすることが出来ないんだろうな」

律子「プロデューサーが765プロに入社する頃にはもう、
   亜美は竜宮小町に所属してましたからね」

P「こんな運命にした神が憎い。坂神が憎い」

律子「まぁ、あなたみたいな下心丸出しな人には、
   たとえ亜美をプロデュース出来たとしても抱きついてはこないと思いますけど」

P「ははっ、ちげぇねぇ!」

小鳥「……私、なんとなくわかった気がします」

P・律子「え?」

小鳥「私とプロデューサーさんが、真美ちゃんを性的な目で見ている理由です。
   それはもしかすると、さっき私達が言ったようなことは全然関係なかったのかもしれません」

P「というと?」

小鳥「私とプロデューサーさんは、中学生になった亜美ちゃんと過ごしている時間が少ないんですよ。
   もちろん、あくまで真美ちゃんと比べるとですけど……」

小鳥「律子さん達はいつも、トップアイドル目指して営業を頑張ってます。
   だからその分、事務所にいる時間が少なくなっちゃうけど……」

P「一方俺は、暇を捻り出しては担当アイドルと事務所で遊んでる……」

律子「遊んでる?」

P「し、仕事もレッスンもちゃんとしてるよ。
 でもそういう時間も大切じゃないか、絆を深めるためにさ。
 それに音無さんだって一緒になってるし」

小鳥「私を売りましたね!?」

律子「……まぁ今はいいでしょう」

律子「つまり何が言いたいかって言うと、亜美は事務所にあまりいないから、
   おふたりは中学生になった亜美の魅力をあまり実感できていないということですか?」

小鳥「そうです」

P「……一理あるかもしれないな。なんだかんだ言ってやっぱり、
 亜美と過ごす時間は真美のそれに比べると圧倒的に少ないですから」

P「一緒にいる時間が多ければ多いほど、その人の本質的な部分に深く触れ合える。
 そして、こういう言い方はふさわしくないかもしれないけど、真美に感情移入してしまっているのかもしれない。
 客観的な目になりきれず、ひいきしてしまっていたのかも……」

小鳥「そして、性的な目で……」

P「……特定のアイドルをひいきするなんて、プロデューサー失格ですね、俺」

P「ついさっき『どっちも同じくらい大好きだよ』とか言っておきながら心のどこかで俺は……」

小鳥「プロデューサーさん……」

P「……俺、決めたよ」

律子・小鳥「え?」

P「今日一日、亜美を──竜宮小町をプロデュースする!」

律子「はぁ!?」

P「俺は思ったんだ。このままじゃいけない。
 765プロのプロデューサーである以上、誰かだけをひいきするわけにはいかないってさ」

P「仲間との団結、絆……それが765プロ最大の武器だ。
 それは色んな作品で言われている。でも今のままの俺じゃだめなんだ!
 変わらなくちゃ! そして亜美も、性的な目で見れるようにならなくちゃ!」

律子「いや、あの、こちらの都合は」

P「律子!」

律子(まっすぐな目……動機は不純そのものだけど、熱意と真剣さは本物みたいね)

律子「……わかりました。そこまで言うなら、今日限定で、竜宮小町のプロデュースをお願いします」

P「ありがとう! 俺、頑張るよ!」

P(やったぞ! これでいおりんを近くでクンカクンカ出来る!)

P「ということで、三人とも、よろしく頼む」

伊織「……何が、というわけなのよ」

P「言っただろ? 親睦を深めるためだってさ」

伊織「親睦ぅ~? そんなの必要なわけ?」

P「ああ。竜宮小町だって俺の担当アイドル達とステージで共演することもあるし、その逆もある。
 そんなときに、お互いのことをまったく知らないままじゃ、うまくコミュニケーションが取れないじゃないか」

伊織「あんたとコミュニケーションを取ることで、ステージがよりうまくいくなんて思えないんだけど」

P「俺と仲良くしてくれって言ってるわけじゃない。細々とした連絡ひとつ取るにも、仲が良いに越したことはないだろ?
 あくまでも、仕事の円滑化に繋げるため……、それが一番の目的だから」

P「……もちろん、君達のことをより理解したいという気持ちもあるけどね」

伊織「うげっ、何それ」

P「竜宮小町は俺達より早くデビューした、いわば先輩アイドルだ。それに確かな人気もある。
 今最も輝いている魅力的な三人から、盗めるものは盗んでおきたいということだよ」

伊織「……ふーん」

P(いけるか……?)

伊織「……まぁ、なんでもいいけど。私達の活動に余計な口出しだけはしないでよね!」

P(よし! ちょろいぜ!)

P(いおりん)

P(ああいおりん……かわいいよ)

P(髪をふわってするしぐさをするたび、良い匂いが広がる……ああ)

P「っと、いかんいかん……それじゃあ、あとの二人が事務所に来たらさっそく」

伊織「あら、あんた知らないの?」

P「え? 知らないって、何が?」

伊織「亜美はそのうち来るだろうけど、あずさは事務所に来ないわよ」

P「な、なんだって? もしかしてあずささん、体調でも崩してるのか?」

伊織「ちがうわよ。最初のうちはあずさも普通に事務所に来させてたんだけどね、
   あまりにも迷子になる確率が高いから、あずさのことは律子が家まで迎えに行くことになったの」

P「ああ、なるほど……ってことは」

伊織「そう。今日その役目を負うのは、あんたってわけ」

P(竜宮小町のプロデューサーがするべき朝の最初の仕事、それはあずささんを迎えに行くことなのか)

P(正直、ここでいおりんの匂いを嗅いでいたいって気持ちはあるけど、
 やると決めた以上、ちゃんと仕事はこなさないとな!)

小鳥「っていうか、今事務所にいる竜宮小町のメンバーは伊織ちゃんだけだったんですね」

P「ええ、そうですよ。ついさっき伊織が事務所にやってきたから」

小鳥「プロデューサーさんが第一声で『三人とも、よろしく頼む』って言ったから、
   てっきり三人とも揃っているのかと思いました」

P「はは、幻覚を見ちゃいました」

伊織「これも私が三人分のオーラを持ってるせいかしらね♪」

P「そうだな。伊織はとっても可愛いから、それもあながち間違ってないかもしれない」

伊織「はぁ!? ちょ、ちょっとあん……」

P「それじゃあ、行ってきます!」

バタン

小鳥「……」

伊織「……」

小鳥「伊織ちゃん、冷房強くする?」

伊織「いらないわよ!」

~あずささんの家の前~

P「ここがあずささんのマンションか……」

P(朝が弱いあずささんを起こすために必要だからということで、律子はあずささんの部屋の鍵を持っていた。
 俺は律子からその鍵を受け取り、マンションの入り口のセキュリティを突破しここまで潜入することは出来たが……)

P「ま、さすがにいきなりドアを開けるのは非常識だな。
 普通にチャイムを押そう」

ピンポーン

P「……」

ガチャッ

あずさ「はぁーい、律子さん、おはようござ……」

P「おはよございます、あずささん」

あずさ「ぷ、プロデューサーさん!?」

P(あずささん)

P(今日も朝から美しい……)

P「実は……」

あずさ「まぁ……そういうことだったんですね。ふふっ、それならプロデューサーさん、
    不束者ではありますが、よろしくお願いしますー」ペコリ

P「ええ、よろしくお願いします。もう準備は出来ていますか?」

あずさ「あ、あの、それが……朝ごはん、作っちゃって」

P「朝ごはん?」

あずさ「ええ。こんな風に律子さんが迎えに来てくれるようになってから、
    私、ときどき、律子さんと一緒に朝ごはんを食べるんですよ。
    今日もそのつもりだったんですけど……」

P「へぇ……あれ、それじゃあまだ、朝ごはんを食べてないんですか?」

あずさ「は、はい……でも、もう出発しなきゃいけないということでしたら……」

P「そういうわけにはいきません。やよいも言っていました、朝ごはんを食べないとパワーが出ないって。
 どんなにつらいことがあったって、父親がまた仕事をやめてしまったって、
 美味しい朝ごはんがあれば私は笑顔になれるって……」

P「朝ごはんはそれくらい大切なものなんです。
 それほど急ぎと言うわけではありませんから、食べてからでいいですよ」

あずさ「わ、わかりました」

あずさ(やよいちゃん……)

あずさ「……あの、プロデューサーさん」

P「え?」

あずさ「私が食べている間、ずっと待たせてしまうのもなんですから……
    よろしければ、一緒に食べていかれますか?」

P「いいんですかァ!!?!? へへっ、やーりぃっ!!」ピョンッ

P(計算どおりだ! これであずささんの家に合法的に入ることが出来る!)

P「あずささんの手料理が食べられるなんて夢のようですよ!」

あずさ「うふふっ、そこまで喜んでいただけると、私まで笑顔になっちゃいますー。あ、でも……」

P「お邪魔しまーす!」トテテ

あずさ「ちょ、ちょっとまってくださいー!」

P(ここがあずささんの部屋か)

P(シンプルだけど、ひとつひとつの家具にこだわりを持っている……ように見える。
 俺はその方面には明るくないから、適当な感想だけど……とにかく、お洒落な大人の女性の部屋って感じだ。
 二十一歳でここまで大人びている女性も珍しい……)

P「スゥーハァー」

P(良い匂いがする。ここであずささんが生活してるって思うと、胸と股間に熱い物がこみ上げてくるな)

あずさ「プロデューサーさん?」

P「あ、いえ……これが朝ごはんですか?」

あずさ「はい♪」

P(朝ごはんも、なんていうかお洒落だった。
 白い器に入ったサラダ、バスケットの中のバゲット、ミルクとスープ……オレンジジュースまである。欧米か)

P「随分豪華なんですね」

あずさ「……ええ、これも律子さんのおかげです」

P「え?」

あずさ「さ、そちらの椅子におかけになってください~」

P「は、はい……」

P「もぐもぐ……」

P(美味しいごはんに、目の前のあずささん。最高の朝食だ……)

P「……あの、あずささん」

あずさ「?」

P「律子のおかげっていうのは、どういうことですか?」

あずさ「……」

カチャ…

あずさ「……私、実は、朝がすごく弱いんです。今日も目覚まし時計を五個セットしてやっと起きることができたくらいで……
    ふふっ、美希ちゃんのことを馬鹿にできないくらい、ねぼすけなんですよ」

P「へぇ……」

あずさ「だから昔は、朝ごはんをついつい適当に済ませちゃっていたんです。
    トーストを焼いて、その上にバターやハチミツを塗って、コーヒーを飲んで、それでおしまい。
    ギリギリまで寝ちゃうから、朝ごはんを時間をかけて作る余裕もなかったんです」

P「……それが、今では律子が迎えに来てくれるようになったから」

あずさ「……はい。あの、プロデューサーさん」

P「なんですか?」

あずさ「誰かと一緒に食卓を囲むって、素敵なことですよね」

あずさ「こうして律子さんに迎えに来てもらうようになった頃、私、
    最初は申し訳ない気持ちでいっぱいだったんです」

あずさ「私が迷子になっちゃうから、そのせいで律子さんに負担をかけさせてしまって、
    亜美ちゃんや伊織ちゃんにも迷惑をかけて……私はユニットの中で年長者なのに、情けないって」

P「……」

あずさ「ふふっ、ここだけの話、そのことでひどく落ち込んでしまうこともあったんです。
    でも、そんなとき、律子さんが……」

──────
────
──

~回想~

あずさ「……律子さん、ごめんなさい」

律子「……あずささん。そんなこと気にしないでください」

あずさ「でも……!」

律子「そんなことより! 朝ごはん、食べませんか?」

あずさ「朝ごはん?」

律子「ええ。実は私、今日起きるのがギリギリで、朝抜いてきちゃったんです。
   あはは、もうさっきからお腹鳴りっぱなしで……」

ぐ~ぎゅるぎゅる

あずさ「……わかりました」

律子「いただきまーす」

もぐもぐ

律子「……美味しい」

あずさ「う、うそです!」

律子「うそじゃありません」

あずさ「だって……、時間もなかったから簡単なものしか作れなかったし、
    こんなの、誰が作ったって……!」

律子「誰でもは作れませんよ。あずささんだから、この朝ごはんが出来たんです」

あずさ「え……?」

律子「これを用意してる間、あずささんはずっと、あれのほうがいいかこれのほうがいいかって悩んでましたよね?
   まぁ、普段から優柔不断っていうこともあるでしょうけど……
   なにより、『どんな朝ごはんなら私が喜ぶのか』っていうことが頭にあったからなんだと思います」

あずさ「……」

律子「……それくらい、私にはわかりますよ。プロデューサーですから」

律子「あずささん。あなたは、そのままでいいんですよ。
   あなたのそんな優しさに、心の大きさに、私はとても助けられてる。
   右も左もわからないプロデュース業の中で、あずささんの笑顔に救われたことは一度や二度じゃありません」

律子「迷子になるのは、確かに迷惑をかけてしまうこともあるわ。
   でもそれなら、誰かに頼ればいい。こんな風に、私がいつだってあなたのそばにいればいい」

あずさ「律子、さん……」

律子「これくらいのこと、なんてことありませんよ。亜美や伊織だって、きっとこう思っています。
   迷子になるのも含めて、少し抜けているところも含めて、あずささんなんだって」

律子「そして私は、いえ、私達は……そんなあずささんのことが、大好きなんですから!」

~回想おわり~

あずさ「……それから、かな。たまにこうやって、律子さんと朝ごはんを食べるようになったんです」

あずさ「それで私は、一生懸命、朝決まった時間に起きるようにしました。
    適当に済ませていた朝ごはんもやめて、ちゃんとしたものを作るようにして……」

P「律子に、喜んで欲しくて?」

あずさ「うふふっ、もちろんそれもありますけれど……、
    なにより、自分に自信が持てるようになりたかったんです」

あずさ「私のプロデューサーさん──律子さんは、私のことを本当に大切に思ってくださっている。
    だから私は、昔から憧れていた強く凛とした女性になって、
    『私はこんなにも素晴らしいプロデューサーさんの担当アイドルなんだ』って、胸を張って言えるようになりたかったんです」

あずさ「こんな風にしっかりとした生活を送るようにしたのは、その第一歩。
    もちろん、その目標を達成できる日はまだ遠いでしょうけどね」

P「……あずささんは、もう十分、素敵な女性ですよ」

あずさ「まぁ……ふふっ、ありがとうございます~」

P「冗談だと思っていますね?」

あずさ「ええ。プロデューサーさんはそういう冗談をよく言う方だって、真美ちゃんから聞いていますから」

P「……それなら、証拠を見せてあげますよ」ガタッ

あずさ「え──……?」

P「あずささん!」ガシッ

あずさ「きゃっ!」

P「俺の目を見てください……!」

あずさ「め、目ですか?」

あずさ(まっすぐな瞳……)

P「俺が今、どんな気持ちでいるかわかりますか?」

あずさ「い、いえ……わからない、です」

P「……俺は今!」


P「あなたと、セックスがしたいと考えているんです……!」

あずさ「」

P「勘違いしないでください。これは、決していやらしい意味じゃない」

あずさ「い、いい、いやらしい意味以外にどう取ればいいんですかっ!?」

P「あなたの話を聞いているうちに、俺は、あずささんの人となりに触れることが出来ました。
 それで、こう思ったんです」

P「俺の運命の人は、あずささんなのかもしれないなって……」

あずさ「運命の人……?」

P「そう──……俺の運命を変えた人」

P「俺は今まで、アイドルのことを性的な目では見れど、決して手を出してはきませんでした。
 手を出すどころか、セクハラ発言をしたこともありません。
 担当アイドルであり今俺の中で最もアツい真美にだって、常に紳士に振舞ってきたんですよ」

あずさ「……色々と言いたいことはあるんですけど、とりあえず……
    真美ちゃんは以前、プロデューサーさんに身体をまさぐられたって言っていましたよ……?」

P「あれはそう、手が滑ったんです」

あずさ「手が滑った……それなら仕方ありませんね」

P「とにかく、プロデューサーである以上、いつだって俺は一線を守ってきました。
 それでも俺は今、こうして、あなたとセックスがしたいと発言した……」

P「初めてなんですよ、ここまで気持ちが高ぶったのは……!
 俺の運命は今、あずささんのほうをまっすぐに向いているんです!!!」

あずさ「プロデューサーさん……」

あずさ(言っていることはとんでもないけど、嘘をついているようにも見えないわ……
    こ、これってもしかして、本当に告白されているのかしら? でも……)

あずさ「つ、つまりその……プロデューサーさんは、私のことをどう思ってくださっているんですか?」

P「セックスがしたいと思っています!
 凍えそうな季節にあなたが愛をどーこー云っていたら、
 そんなんどーだっていいから冬のせいにして抱きしめあいたいんです!」

あずさ「そうじゃなくて! あの……好き、とか、嫌いとか」

P「え? そんなのもちろん、好きに決まってるじゃないですか」

あずさ「!」

P「……でも、わかってます」

あずさ「え……?」

P「プロデューサーである俺があなたを傷物にするわけにはいかない。
 だから、実際にセックスなんてしません」

あずさ「も、もう! せ、せ……なんて、誘われたからと言って、
    はいはいって簡単にするわけありません!」

あずさ「……プロデューサーさんが何をおっしゃりたいのか、よくわからないです。
    突然そんなことをしたいと言ってきたり、でもしないと言ってきたり……」

P「最初に言ったでしょう? 俺は、あずささんを素敵な女性だと思ってるっていう証拠を見せたかったんですよ。
 冗談でもなんでもなく、本気で……!」

あずさ「……」

P「気持ち、伝わりましたか?」

あずさ「……伝えるにしても、もう少し、言い方があるんじゃないかしら?」

P「アハハ! つまり、伝わったってことですよね!」

あずさ「……まぁ、その……はい」


P(それから俺達は、少し気まずい空気の中あずささんの手料理を平らげた)

P(実際俺が言ったことはとんでもないことだろうけど、
 俺の中の真剣で純粋な気持ちが伝わったのか、あずささんは俺を追い出そうとはしなかった)

P(──このやり取りの中で、あずささんのことを少しだけ理解できた気がする。
 竜宮小町のプロデューサーとして、ようやく第一歩を踏み出せたといったところかな)

パーフェクトコミュニケーション!

~765プロ事務所~

ガチャッ

P「ただいま戻りました」

小鳥「プロデューサーさん、大変です!
   ちょうど今、○×っていうイベント会場から人手が足りないからヘルプが欲しいって連絡があって、
   緊急だからということでちょうど事務所にいた亜美ちゃんと伊織ちゃんをそちらに向かわせたんです!
   いまプロデューサーさんにも連絡しようとしたんですけど、こうして戻ってきてくれたならいいですね。
   とにかく、伊織ちゃんがいればなんとかなるとは思いますけど、一応プロデューサーさんもそちらに向かってください。
   あ、元から入っていた竜宮小町の仕事は午後からなので時間的にはなんとかなると思います。
   とにかく、よろしくお願いしますね! プロデューサーさんは今、竜宮小町の担当なんですから!」

P「わかりました! それじゃあ、行ってきます!」

~イベント会場~

P「おや、あれは……」

伊織「ああもう、亜美ったら……」ウロウロ

P「伊織! いおりんじゃないか!」

伊織「あ、プロデューサー……ようやく来たのね。それにあずさも」

あずさ「伊織ちゃん、何か探してるみたいだったけど、どうかしたの?」

伊織「それがね……」


P「亜美が、いなくなった?」

伊織「そうなのよ。空いた時間にちょっとトイレに行って来るって言ったきり、戻ってこないの。
   本番はもうすぐだって言うのに……」

P「女子トイレだって!? それはいかん! 探してくるよ!」タッ

伊織「あ、もう……」

P「あずささんは一応、亜美の代わりとして出番を貼れるように準備しておいてください!」

あずさ「はーい」

P(まずは……女子トイレを探すか!)

P(女子トイレの個室の中まで来たはいいけど、亜美、いないな……)

タッタッタ……

ガチャッ

P(誰かが隣の個室に入ってきたみたいだ。
 ここは関係者だけが使えるトイレだから、もしかしたら今回のイベントに参加してるアイドルかもしれないな。
 うーん、となると今はここを出るわけにはいかなくなってしまったぞ)

P(見つかるわけにもいかないし、しばらく息を潜んでいるとするか……)


「ふぅ~……間に合ったぁ」


P(あれ? この声って……)


春香「もう少しで決壊するところだったよ……」


P(春香か!)

P(そういえば事務所を出る前に音無さんが言ってたな、
 亜美と伊織だけじゃなくて、他にも何人か会場に向かわせたって)

P(こいつはいいや! へへ)

 
ジー……カチャカチャ……


春香「この衣装、脱ぎにくい……いしょ、っと」

P「……」

春香「……んっ」


ちょろ……


P「!」


ちょろ……ちょろろろろろろ


春香「ふぅ……」

P「ハァ……ハァ……!」

P(春香、春香!)

P(薄い壁の向こうから音が聞こえる! すごい、初めて聞いた! なんだこれ!)

P(俺はなんてツイてるんだ! と、とにかく携帯で録音しておくか……!)

 
ちょろろろろろろ


P(女の子のおしっこって、意外と勢いあるんだな! 興奮してきたァ……!)

P(あの天使の春香も、おしっこするんだな! って、当たり前か、はは)


P「ンー……! ンフー……!」

春香「……? なんだろ、隣の個室から音?」


P(いかんいかん、興奮のあまり鼻息が荒くなってしまった)

P(プロデューサーたるもの、アイドルの放尿は静かに聞いていないとな)


春香「……気のせいかな」


P(……春香、今、どんな顔してるのかなぁ)

 
ちょろっ、ちょろろろ……


P(ずっとガマンしてきたおしっこを出して、うっとりしてるのかなぁ)

P(それとも、隣の個室から出されている面妖なオーラを感じて、
 落ち着いていられなくなっているのかなぁ)

P(それでもおしっこは止まらなくて……)


P「……スゥー……」


P(ああ)

P(とても良い香りがする。あたたかくて柔らかい陽だまりを連想させる、春の香りだ)

P(素敵だよ、春香……)

 
カラカラ……


P(トイレットペーパーがまわる音が聞こえる。
 永遠に続くかと思われた春香のおしっこも、終わりを告げようとしているのか)

P(それを拭くなんてとんでもない。出来ることなら、この舌で舐め取ってあげたい。
 ああそれとも、こういうのがいいかな──……)


P(おしっこをしている途中の春香の目の前に、俺が突然現れるんだ。
 状況がつかめず困惑する春香。目の前には汗だくになった裸の俺。
 それでもおしっこは止まらない。止まらない)

P(俺はふいに春香に近づき、その身体を持ち上げる。
 そこで俺は見るんだ、春香のおまたからぽたぽたとしたたり落ちる聖水を)

P(春香はだんだんと状況を理解し始め、大声を出して助けを呼ぼうとする。
 でも俺は突然無理やりに春香の唇を奪い、何も言わせない。さらに混乱する春香)

P(そして……黄金水によってぐちょぐちょになった春香のおまたに、
 俺の股間の猛る極太の黒サイリウムを突き刺すんだ。深く、深く。
 春香がいやがるのも関係なく、どこまでも二人で汚れていく……)

P(春香とは、そういうセックスがしたい。
 わかってくれる人は、きっといるはずだ)

 
P「……ふぅ」テクテク

あずさ「あ、プロデューサーさん~。おかえりなさい」

伊織「亜美は見つかった?」

P「え? ……あ、ああ、いや、見つからなかった」

伊織「そう……まぁ、私があれだけ探しても見つからないんだから、あんまり期待もしてなかったけど」

P「……」

P(忘れてたぜ)

春香「えへへ、プロデューサーさん、おはようございます♪」

P「は、春香ッ!? どうしてここに!?」

伊織「小鳥から聞いてなかったの? 今日この会場に来てるのは私達だけじゃないのよ」

P「そ、そうか……」

春香「どうしたんですか? なんだか顔色が悪いみたいですけど……」

P「いや……なんでもないよ」

P(あんな妄想をしたあとにこうして現実の春香を目の前にしてみると、なんていうか、アレだな)

P(アレだよ。俺の言いたいこと、なんとなくわかるだろ?)

P「……とにかく、亜美の代わりとしてあずささんに出てもらおう。
 この仕事は突然入ってきたものだし、代役を立てたからってイベント主催者側も文句は言わないだろう」

P「あずささん、いけますか?」

あずさ「はい、まかせておいてください!」

伊織「……ねぇ、プロデューサー。あんた、亜美がいなくなった原因に心当たりないの?」

P「心当たり?」

伊織「あんたが探しに言ってる間、亜美からこんなメールが来たのよ」スッ

P「どれどれ……」


『兄(C)が来るなら亜美はダメっぽいYO→><』


P「……俺、亜美に嫌われるようなこと、何かしたかな?」

P(真美なら嫌われる心当たりが多すぎて見当もつかないくらいだけど、
 亜美に対してはまだナニもしてないし……)

伊織「私にはわからないけど……とにかく、この文面から察するに、
   亜美は、あんたがここにいることがいやだから消えちゃったってことでしょ?」

P「……」

伊織「……あんたがいるのがいやだからって仕事を放り出すなんて、もちろん亜美にも非はあると思う。
   私達はプロなんだから、気に食わない人との仕事でも割り切ってやっていかなきゃならないもの」

伊織「だけどもし、このメールの言うとおり、亜美が仕事から逃げ出したくなる原因があんたにあるとするなら……、
   竜宮小町のリーダーとして、そして亜美の友人のひとりとして、こう言わせてもらうわ」

P「な、なんだ?」

伊織「私は、あんたを許さない」

P「……!」

伊織「……仕事はプロデューサー抜きでもちゃんとやるわ。
   だからあんたは、なんとしてでも亜美を連れ戻してきて」

P「……ああ、わかった」

P(……とは言っても、一体どこを探せばいいんだ?)

P(女子トイレにはいなかった。まぁそもそも、あのメールから察するに、
 亜美は自分の意思で消えたわけだから、本当にトイレに行ったのかどうかも怪しい)

P(会場にいるのか?)

P(それとも、もうどこか遠いところに……?)


P「……」


P(考えろ)

P(考えるんだ……!)

P(伊織の言うとおり、なんとしてでもここで亜美を見つけ出さないと、
 きっと俺は、大切なものを失ってしまう)

P(765プロのプロデューサーとして、何か大切なものを……)


P「……」

P「……そうだ!」

 

ワーワー……!


P「……」

亜美「……」



伊織『みんなー! 今日は伊織ちゃんのステージ集まってくれてありがとー!』

ウォォォォ!

春香『い、伊織! 伊織だけのステージじゃないってば!』




P「……亜美、見つけたぞ」

亜美「……兄ちゃん」

P「伊織がいくら探しても見つからなかったわけだ。
 伊織は、関係者だけが通れる場所を探していたんだからな」

P「まさか、こんな……客席にいるとは、思わなかったんだろう」

亜美「なんでわかったの?」

P「わからなかったよ」

亜美「え?」

P「さっき、真美に電話で聞いたんだ。
 もし真美が俺のことを大嫌いになって、突然仕事をしたくなったとしたら、
 どこに逃げる? ってさ。そしたら、真美、こんなことを言ったんだよ」


真美『んー……真美が兄ちゃんのこと大キライになるなんてゼッタイないと思うけど、
   でもでも、もしそうなっちゃっても、きっと真美は、みんなのことが気になっちゃうんじゃないかな~』

真美『みんなって言ったら、ユニットのみんなに決まってるっしょ!
   真美のせいでみんなのお仕事がボロボロになってカナしい気持ちになるなんて、真美だってやだもん』

真美『だから、きっと……』


P「だからきっと、みんなのことを自分の目で見ることが出来る場所にいる。
 でも関係者の通れる場所だと見つかっちゃうから、
 アイドルが絶対いかなそうな場所──お客さんのところに行くんだって」

亜美「……」

P「やっぱり双子だな。精神的な傾向がいくら変わろうとも、思いつくアイデアは同じなんだ」

亜美「……真美のばか」

亜美「兄ちゃん、亜美のこと怒りにきたの?」

P「……ちがうよ。怒りに来たんじゃなくて、亜美と仲直りしにきたんだ」

亜美「ケンカもしてないのに?」

P「それでも、悲しませた」

亜美「なんで悲しいってわかるの?」

P「俺が今朝、亜美のことを性的な目で見れないって言ったから」

亜美「……なんで、それを亜美が聞いてたって、わかるの?」

P「それも、真美から電話でヒントをもらった。
 亜美、真美にメールしただろ? 俺と音無さんは亜美より真美のほうが好きなんだーってさ」

亜美「……」

P「……俺と音無さんが亜美より真美をひいきするなんて、今朝のやり取り以外に考えられない。
 亜美はきっと、俺達の朝の会話をどこかでこっそり聞いていたんだろう」

亜美「……なんのお話をしてるかって、ホントはほとんどわかんなかったんだ」

P「それでも、真美の方が成長してるって言われていることだけはわかった。
 真美と比べられて、自分のほうがダメって言われている気がした」

亜美「……うん。だから亜美、イタズラもしないで逃げちゃったんだ」

亜美「ねえ、兄ちゃん」

P「ん?」

亜美「亜美のこと、セー的な目で見てる?」

P「意味、わかって言ってるのか?」

亜美「よくわかんない。でも、トクベツな目だってことはわかるよ。
   真美はもらえて、亜美はもらえない、兄ちゃんのトクベツな気持ち……」

P「……」

P「正直、亜美のことは──……」


──────
────
──

 
お仕事終了後……


タッタッタ……

亜美「いおりーん! あずさおねえちゃーん! はるるぅ~ん!」

あずさ「あら~、亜美ちゃん!」

春香「もう、どこに行ってたの? みんな心配してたんだからね」

亜美「えへへ、ごめんね!」


P「……」

伊織「……ねぇ、あんた」

P「なんだ?」

伊織「亜美、可愛いでしょう?」

P「……伊織がそんなことを言うなんて、珍しいな」

伊織「本人が聞いてないからね」

伊織「私達竜宮小町はね、あんたが765プロに入社する前からユニットを結成して、
   私とあずさと亜美、そして律子……ずっと四人でやってきたの」

伊織「経営が傾きかけていた765プロの今後を左右する、勝負のユニット。
   当時あるだけのお金のほとんどを竜宮小町に費やして、出来うる限りのPRをしてもらったのよ」

伊織「……私達が売れなければ、他のみんなを養うことだって出来なくなる。
   逆に売れれば、新しいプロデューサーを雇って、他のアイドル達を活躍させることも出来る。
   正直言って、プレッシャーは大きかったわ」

P「……だからその分、乗り越えてきた壁の数は多い」

伊織「そうよ。他の誰にも負けないくらい」

伊織「だから私はね、亜美が悲しむ姿は見たくないのよ。
   こんなこと、本人にはいえないけどね」

P「……亜美は、可愛いよ」

伊織「でしょ? 精神的には、まだまだ子供。
   でもだからこそ、私達はいつだって、亜美の『亜美らしさ』に助けられてきたの」

伊織「いつだってマイペースで、笑いたいときには笑って、泣きたいときには泣いて。
   時間が経って身体は大きくなっても、亜美のその心だけは変わらない。
   それは、ユニット結成当時の私達にとっては、大きな支えになったわ」

P「……俺、やっぱり律子には敵わないな。
 律子はやっぱり、いつまで経っても、年齢なんて関係なく、俺の先輩プロデューサーなんだ」

伊織「どうしたのよ、急に」

P「あずささんも伊織も、竜宮小町のことを本当に大切に思っている。
 でもさ、俺、俺の担当アイドル達がそう思ってくれているかどうか、少し自信ないよ」

伊織「どうして?」

P「言われたことないから」

伊織「私だって別に、律子に対してこんなこと言ったことはないわよ。
   まぁ、言わなくてもわかってもらってないと困るけどね」

P「……」

伊織「……でも、自信が無いなら、やることはひとつでしょ?」

P「……そうだな。あずささーん! 亜美!」

あずさ「はーい」

亜美「兄ちゃん、どったの~?」

P「突然だけど、俺が竜宮小町についていくのは、ここまでにしておくことにした。
 午後からはいつも通り律子がお前達の担当になるから、よろしく頼む」

亜美「えっ!? な、なんでー!?」

あずさ「プロデューサーさん……」

P「……」コクン

あずさ「……ふふっ、わかりました」

亜美「兄ちゃん、なんでー!? さっきはあんなこと言ってくれたのに、
   もう亜美のことキライになっちゃったの!?」

P「ちがうよ。もう十分だって思っただけ」

亜美「十分?」

P「たった数時間だけだったけど、これまで過ごしてきた時間よりもずっと濃く、
 竜宮小町のみんなのことを知ることが出来た。今の俺には、これで十分さ」

亜美「……ねぇ兄ちゃん、今度、遊んでくれる?」

P「ああ、もちろん。亜美が望むなら、いつだって」

亜美「セックス、してくれる?」

P「ああ、もちろ

伊織「ウェイト! ウェイトよあんた達!!」

P「な、なんだよ」

伊織「ちょっとあんた!! 亜美になんて言ったの!!?!?」

P「何って……そんなこと、言えるわけないだろ? 照れくさいじゃないか」

亜美「んっふっふ~! 亜美と兄ちゃんのひみつだもんね!」

伊織「……」

あずさ「うふふっ、亜美ちゃん、おそろいね♪」

伊織「な、何が……いや、もういいわ。
   あんた達にまともに話を合わせようとする私の方がバカだったのよね」


アハ、アハハハ……


春香「……」

春香(どうして私はここにいるんだろう)

春香(空気ですよ空気)

P(──こうして俺は、竜宮小町の担当を離れ、再び自分の担当アイドルのもとへと戻っていった)

P(真美と亜美、彼女達にはほんの少しだけ違う個性が芽生え始めている。
 でもやっぱり、どちらの方が優れているとかいうことはないんだ)

P(亜美は亜美の、真美は真美の可愛らしさがある。
 そして俺は、彼女達の個性を両方ともまとめて愛そうと思う……)

P(それが、プロデューサーとしてのあるべき姿だから)


真美「……ねー、兄ちゃん」

P「ん?」

真美「……んーん、なんでもない。えへへ」

P「……? ちょっと嬉しそうじゃないか、なんか良いことでもあったのか?」

真美「良いこと、二個あったんだ~! 当ててみて!」

P「二個か、なんだろうな……」

P「一個は……ああそうだ、亜美が元気になったこと?」

真美「おー、ぴんぽーんぴんぽーん!」

P「よしよし。あとは……」

真美「んっふっふ~……なんでしょね、なんでしょな♪」

P「なにその歌」

真美「真美が今作ったんだ~」

P「あはは……なんだろ、でも思いつかないな。亜美にヒント聞いてもいいか?」

真美「うあうあー! 亜美に聞くのはゼッタイダメっ!」

P「な、なんで?」

真美「亜美だと答え言っちゃうし、それに、余計なことも言いそうだもん……」

P「余計なこと?」

真美「なな、なんでもないっぽいよ~! とにかく、亜美に聞いたら兄ちゃんの負け!」

P「……別に、負けてもいいんだけどな」

P「……ギブアップ。答えを教えてくれ」

真美「えー」

P「ギブアップの罰としてケーキおごってあげるからさ」

真美「ホント!? んっふっふ~、もーしょーがないな~兄ちゃんは……
   それじゃあ、教えてあげるね! 耳貸して!」

P「耳? こうか?」スッ



P(……まぁ、でも)

P(今のところはやっぱり……)



真美「……兄ちゃんが、思ったより早く戻ってきたから」ヒソヒソ

P「……」

真美「亜美に取られなくてよかった、って、安心してるんだよ~……」



P(担当アイドルが可愛すぎて、やっぱり少し、ひいきしちゃうかもしれない)

おわり

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年02月13日 (金) 22:00:01   ID: Uzb3_cnd

真美は百合豚のおもちゃになったから嫌いになった

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