照「リッチしよ」(225)
照プロ二年目、菫大学二年生
菫「ふぅ……ただいま」
照「おかえり。今日は遅かったね」
菫「ああ……もうすぐ大会でな。ミーティングがやけに長引いて……」
照「お疲れ様。飲む?」
菫「ああ……ってビールじゃないかこれ。また飲んでるのか」
照「美味しいから」
菫「はいはい。私はお茶を飲む」
照「美味しいのに」
菫「美味しいのにじゃないよ……。お前、それ何本目だ?」
照「え?」
菫「何本目だよ」
照「……一つ目」
菫「一本目? それにしては顔赤すぎだろ。もっと飲んでるんじゃ……」
照「……美味しいなー」
菫「……おい、この空になってる五本はなんだ?」
照「え、えーと、昨日とか、前に飲んだやつじゃないかな?」
菫「………」
菫「これ、飲み口のとこまだ濡れてるぞ」
照「え、そんなはずない! さっきちゃんと拭いたのに。ちょっと貸して」
菫「ああ」
照「えーと……ほら、乾いてる。つまりこれは今日飲んだやつじゃない」
菫「へーそう……」
照「そう。だから今これ飲んでるのが、一本目」
菫「はぁ……。拭いたんだろ」
照「……な、なんの話?」
菫「いいよも誤魔化さなくて。全部今日飲んだんだろ?」
照「だ、だからこれは……」
菫「さっき拭いたって自分で言ってたろ」
照「え?……あ」
菫「なんで一々誤魔化すんだよ。別に私はな、飲むなって言ってないんだよ」
照「菫騙した」
菫「カマかけただけだ」
照「それが騙したって言うの。このー」ギュー
菫「ああもう離れろ。だから私が言ってるのは、飲んでもいいから自制をちゃんとしろってことで……暑いって」
照「騙した菫が悪い」
菫「最近飲みすぎだろ。ここんところ毎日じゃないか」
照「美味しいから」
菫「そんなんだとすぐに太るぞ」
照「私は太らないから大丈夫」
菫「言ってろ。というかそろそろ離れてくれ。ご飯食べるから」
照「はーい」
菫「まったく……」
照「ご飯、冷蔵庫に麻婆豆腐あるからそれ温めて」
菫「わかった」
照「あ、それとサラミとってきて」
菫「ああ」
照「ふんふふーん」
菫「えーと、一分くらいでいいか……」
照「らーららんら、らんららんらんらら、らんららんらんらら、ららんらら、らら」
菫「なんだそれ?」
照「金麦のcm」
菫「金麦?」
照「ビール」
菫「……ああ、あったなそんなの」
照「妙に頭に残って」
菫「まあわからないではないけど……うん、いい具合に温まってるな」
照「サラミは?」
菫「はいこれ」
照「うん」
菫「あ。箸、箸……あれ、ないぞ」
照「え、ないわけないよ」
菫「でもないぞ。この棚じゃなかったか?」
照「違うよ。前変えたじゃない。場所変えて……ここのスプーンとかと一緒にまとめたの」
菫「ああ、そうだったか」
照「はい」
菫「ありがとう」
照「いいえ」
菫「よし。それでは、いたただきます」
照「どうぞー」
菫「……お、今日の麻婆豆腐も美味しいな」
照「ありがと。頑張って作ったからね」
菫「うんうん、美味しい美味しい」
照「菫もサラミ食べる?」
菫「いやいい」
照「はーい」
菫「そういや照、明日試合だっけ?」
照「ううん、明日は休み」
菫「練習は?」
照「お昼から」
菫「だからそんなに酔ってられるのか……」
照「さすがに私も朝から練習だったらこんなに飲まない」
菫「そう言っても休みとか試合とか構わず毎日飲んでるじゃないか」
照「それは翌日に残らない量しか飲んでないから。子供じゃない」
菫「そうかい。私はそんなの構わず飲んでるようにしか見えなかったけど……」
照「ちゃんと考えてる」
菫「まあ支障きたしてないならいいけど」
照「菫も飲もうよ」
菫「いいよ。私弱いし」
照「いいから。私のもなくなっちゃったから、菫の分と一緒に取ってくるね」
菫「だからいいって。というかどんだけ飲むんだ」
照「とってきたよー」
菫「……はあ。ありがとう」
照「はい、どうぞ」
菫「ん」
照「あ……そうだ」
菫「どうした?」
照「ねえ菫」ズイ
菫「な、なんだよ。飲むんじゃないのか」
照「まあまあちょっと待って」ススス
菫「な、なんで近づいてくるんだ……」
照「……ねえ菫」
菫「なんだよ……」
照「リッチしよ」
菫「へ……な、な……」
照「ねえ……」
菫「な、なんだいきなり!」
照「私、早くしたいな……」
菫「酔いすぎだ! お、おい……ちょっと待てって……」
照「菫……」
菫「ダメだって。シャワーも浴びてないんだぞ……」
照「いいよそんなの」
菫「……せ、せめてベッド行かないか……?」
照「いいよ。ここでしよう」
菫「照……」
照「………」
菫「………」
照「……ふふっ、あはははは」
菫「……え?」
照「菫、ドキドキした?」
菫「は……?」
照「あはは、菫、私はね、『リッチ』しよって言ったんだよ?」
菫「り、リッチ?」
照「そう。つまり……このビールを飲もうって言ったわけ」
菫「………」
照「知らない? リッチしよってcm」
菫「いや……」
照「ふふっ、菫顔まっか。ねえねえ、菫はなんて聞こえたの?」
菫「な、なんでもないよ」
照「えー本当にー?」
菫「そうだよ」
照「ふふーん。そんなこと言ってー、本当はあ、エッチしよって聞こえたんでしょ? だから顔まっかにしちゃったんでしょ?」
菫「この……!」
照「もう菫ったらエッチなんだからー」
菫「………」
照「エッチエッチー……え? キャッ!」ドサッ
菫「ちゅ……んっ、ちゅむ」
照「ん……んふっ、ちゅ、れちゅっ、ちゅっ……」
菫「ちゅっ、ちゅぶ……んちゅ、ちゅ……」
照「ちゅっ、んっ、んんっ! んっ、んふっ、んっ」
菫「ちゅっ……っはあ……」
照「……はぁっ、はぁ……」
菫「ん、はぁ……まったく、からかうな」
照「……菫のエッチ」
菫「照に言われたくない」
照「はーい」
菫「……また後でするからな」
照「……うん」
初春「糞スレが伸びてる理由もわかりませんし」
初春「百番煎じのSSは、書いてる奴も読んでる奴も何考えてるんですかねぇ」
初春「独自性出せないなら創作やるんじゃないっつーの」
初春「臭過ぎて鼻が曲がるわ」
佐天「初春?」
初春「結果として面白くないのは許せます。許せるだけで面白くはないんですが」
初春「パクリ二匹目のドジョウ百番煎じは許せませんね。書いてて恥ずかしくないんですか?」
初春「ドヤ顔してる暇があればとっとと首吊って死ねよ」
初春「そうネットに書いてありました」
佐天「なあんだネットかあ」
初春「一番の害悪はそういったSSを持ち上げてる人たちなんですけどね」
佐天「ふーん」
照「はい、これ菫の」
菫「ああ、ありがとう。乾杯」
照「乾杯」
照「……んー、美味しい」
菫「……やっぱりビールはまだ慣れないな」
照「いずれ慣れるよ」
菫「だといいがな。しかしまったく……なにがリッチしようだよ」
照「ビールの話だもん」
菫「絶対狙ってただろ」
照「ぜんぜーん」
菫「……完全に酔ってるな」
照「リッチしよって言っただけなのに、襲っちゃってさあ」
菫「誘ってきたのは照だろ」
照「エッチの誘いじゃないもーん」
菫「……照」
照「なに?」
菫「一回ビール置いて」
照「なんで?」コト
菫「………」グイッ
照「キャッ!」
菫「照……」
照「な、なに……?」
菫「そんなにしたい?」
照「……べ、べつに」
菫「後でって言ったけど、照がしたいなら私は今からでもいいよ」
照「え……えと……」
菫「どうする?」
照「……ね、寝るときで……」
菫「……わかった」
照「……野獣」
菫「あ?」
照「な、なんでもなーい」
菫「……はあ」
照「ほら、いいから菫も飲んで」
菫「はいはい……んくっ、やっぱ苦いなあ」
照「文句言わない」
菫「……酔わそうとしてるのか?」
照「うん」
菫「なんでだよ」
照「冷静な菫はよくない」
菫「なんで」
照「隙あらば襲ってくる」
菫「それは照が挑発してくるからだろ」
照「前はもっとアタフタしてたのに……」
菫「私も成長したんだよ。去年とは違う」
照「ふーん。いいから飲んで。止まってる」
菫「飲んでるって」
照「私飲み終わったよ」
菫「はやっ!」
照「菫も飲んで」
菫「わかったってば……んくっ、んくっ……ぷはぁっ」
菫「えうう……これでいいか?」
照「うん」
菫「はあ……う、ああ……」クラッ
照「大丈夫?」
菫「ああ、大丈夫だ……」
照「本当菫は弱いね」
菫「うるさい」
照「飲み会大丈夫なの?」
菫「まあなんとかな。飲んでるフリしてるから」
照「そうだったんだ」
菫「ああ」
照「……飲まないほうがいいよ」
菫「私もそう思う」
照「お持ち帰りされちゃうもん」
菫「されないだろ」
照「されちゃうよ。エッチな先輩に」
菫「いないよ」
照「わかんないよ?」
菫「わかるって……ん、暑いな……」
照「わっ……ちょっと菫」
菫「なに」
照「い、いきなり脱ぐのはどうかと思う」
菫「別にいいだろ。全裸にはなってないんだし」
照「まあそうだけど。びっくりする」
菫「大体裸も見慣れてるんだから、今更どうってこともないだろ?」
照「たくさん見てるけど、それで慣れるってことはない」
菫「そうか?」
照「じゃあ菫……」シュル
菫「お、おいなんで脱ぐんだよ」
照「……どう?」
菫「……ああ、慣れるってことはないな」
照「でしょ?」
菫「だからって……上全部脱ぐなよ」
照「………」
菫「……もう眠の?」
照「……うん、もう……寝たいかなって」
菫「じゃあ……寝ようか」
照「うん……」
照「菫、布団先行っていいよ」
菫「いいよ。私が電気消すから」
照「……ダメ」
菫「なんで?」
照「菫が後から来たら、菫襲ってくるでしょ」
菫「……そんなことはない」
照「今日は私から攻める」
菫「……わかったよ」
照「うん。じゃあ消すね」
菫「ああ」
照「………」パチッ
照「……ふぅ」ドサッ
菫「いたっ! いきなり倒れてくるな」
照「ふふっ。すみれ~」ギュー
菫「……はいはい」ギュ
照「どっからかわいがってあげようかなー」
菫「どこからでもいいよ」
照「……本当にかわいげなくなった」
菫「元からこうだったよ」
照「嘘」
菫「変わったんだってば」
照「……まあいいや」
菫「うん」
菫「……なにもしないのか?」
照「もうちょっとこうしてたい」
菫「……そう」
照「……菫、汗の匂いするね」
菫「シャワー浴びてないからな」
照「そうだね……ぺろっ」
菫「んっ……」
照「……しょっぱい」
菫「当たり前だろ」
照「首筋からなめていこー」
菫「いいよ言わなくて……」
照「ぺろぺろ」
菫「………」
照「ぺろぺろ」
菫「……なんか犬みたいだな」
照「……え?」
菫「いや、そうやってなめてるのが」
照「……菫はムードがない」
菫「ムードがないってなんだよ」
照「せっかく今からしようとしてるのに……」
菫「だって……」グィッ
照「わっ!」ドサ
菫「やっぱり、私から攻めないとその気にならないから」
照「……今日は私が攻めるって言ったのに」
菫「上脱いで準備万端で言われてもな」
照「別にそういうわけじゃ……んっ」
菫「照、かわいいよ……」
照「……菫はずるい」
菫「いいか?」
照「……うん」
菫「ありがとう。……ちゅっ、んちゅ」
照「んっ……ちゅむ……んぅ……」
菫「ちゅ……なぁ照」
照「ん……なに?」
菫「愛してるよ」
照「……うん、私も」
照「私も菫のこと、愛してる」
菫「うん」
照「菫……して?」
菫「ああ、もちろん……」
翌朝
菫「いただきます」
照「いただきます」
菫「ん……美味い」
照「うん」
菫「それにしても……もう11時か」
照「菫が盛ってたからしょうがない」
菫「照だってよがってただろ」
照「大学はいいの?」
菫「今日は振り替えとかで休みなんだ」
照「ふーん」
菫「練習は何時から?」
照「1時から」
菫「まだけっこうあるな」
照「うん」
照「……あ、そうだ」
菫「ん?」
照「そういえば、土曜日に淡たちが来る」
菫「土曜って、今週の?」
照「そう」
菫「なんでまた」
照「わかんない。遊びに来たいんだと思う」
菫「ふーん」
照「いいでしょ?」
菫「もちろん。私も会いたいしな。淡たちってことは、他に誰かいるのか?」
照「誠子と尭深」
菫「やっぱりそうか。でも、尭深って静岡に行ったんじゃなかったか? 今こっちにいるのか?」
照「たしか尭深がこっちに戻ってくるから、だったらみんなで、みたいな感じだったと思う」
菫「そうか。それにしても懐かしいな」
照「そうだね」
菫「最後に会ったのはいつだ? 確か……去年の春にチラっと会ったくらいか?」
照「全員ではそうだけど、淡とは冬に会ったし、誠子とは3月に道端で会ったよ」
菫「ああそういえばそうだったな。大学生活楽しみですとか言ってたな」
照「それ以来だね」
菫「ごちそうさま」
照「お粗末さまでした」
菫「さげてくるよ」
照「ありがとう」
菫「土曜日って、お前試合なかったっけ?」
照「丁度その日は中日だからない」
菫「そうだったか」
照「それに来るのは夜みたいだし」
菫「何時に来るんだ?」
照「わかんない」
菫「そうか……」
照「菫は部活?」
菫「ああ。朝からだからそこまで遅くはならないと思うけど……」
照「7時とかには帰ってこれそう?」
菫「微妙だな……」
照「そっか……」
菫「……まあ遅くなりそうなら頼んでみるよ。私もあいつらとは久しぶりにゆっくり会いたいから」
照「それがいいよ」
菫「さて……これからどうする? もう行くか?」
照「もう少ししたら行く」
菫「わかった」
照「そうだ、菫練習は?」
菫「夕方から」
照「そっか……じゃあまた入れ違いだね」
菫「……仕方ないだろ。ちゃんと帰ってくるから」
照「当たり前」
菫「後3週間したら大会も終わるからさ。そのときはゆっくりしよう?」
照「うん」
菫「ほら、ダラダラするな」
照「いいでしょ別に」
菫「準備しなくていいのか?」
照「……する」
菫「照が練習行ってる間に少しだけ片付けておくよ。と言っても、ほとんど片付けるところないけどな」
照「うん、お願い」
菫「さて……そろそろシャキっとするか」
照「……菫、今日は何時くらいになりそう?」
菫「昨日と同じくらいかなあ。ミーティングはないが、その分今日からまたハードになるからな……」
照「……そう。今日は何が食べたい?」
菫「うーん……じゃあ、カルボナーラで」
照「わかった。また大学出るときに連絡して」
菫「ああ」
照「よし、じゃあ行ってきます」
菫「行ってらっしゃい」
照「うん」チュ
菫「ん……。じゃあ、練習頑張ってな」
照「菫も部活頑張って。じゃあ」
菫「ああ、気をつけて」
照「うん。じゃあ行ってきます」
土曜日
照「どうぞ、あがって」
淡「おじゃましまーす!」
誠子「おじゃましまーす」
尭深「おじゃまします……」
淡「へー……けっこう広いね!」
照「そう?」
淡「うん」
照「でも2DKしかないよ」
誠子「しかって言っても、このダイニングかなり広いですよね」
照「そう?」
誠子「はい……だってテーブルとベッドとソファがあって、それでもこの広さですから」
淡「あ、ここが照の部屋?」
尭深「淡ちゃん、勝手に開けたら……」
照「別にいいよ。特になにもないし」
淡「……本と机しかない」
照「うん」
誠子「ということはあっちが弘世先輩の部屋ですか?」
照「そう。そっちは開けないであげてね」
淡「えー……はーい」
尭深「あ、お茶の葉買ってきたので飲みませんか?」
照「あ、うん。飲みたい」
尭深「じゃあ淹れてきますね。台所入ってもいいですか?」
照「うん。やかんは流しの下にあるからそれ使って」
尭深「はい」
淡「いやー、それにしても久しぶりだねテルー」
照「そうだね」
誠子「実質2年ぶりくらいですもんね。一応こないだ道端で会いはしましたけど」
照「うん。あの時はゆっくり話せなかったもんね」
淡「どう、プロの人ってやっぱ強い?」
照「プロ?……ああうん。やっぱりみんな強い。一度流れを持っていかれると、どうしようもなくなることがよくある」
淡「テルーでもやっぱそうなんだあ」
誠子「それでも宮永先輩、今トップ率2割8分あるじゃないですか」
照「ううん。それでも私より強い人はたくさんいる」
誠子「そうなんですか」
淡「あれ、テルーって去年新人王だったんだっけ?」
照「うん」
淡「やっぱすごいなー」
照「淡もプロに入るの?」
淡「もちろん!」
誠子「はは、まあ淡なら入れるだろうね」
淡「当ったり前じゃーん! まあでもその前に今年はインターハイで優勝するけどね!」
淡「去年は咲にいいようにやられちゃったけど、今年は絶対負けないからね」
誠子「そうか……後しばらくでインターハイか」
淡「そうだよセイコー。大学入って平和ボケしちゃった?」
誠子「なんだよ平和ボケって……」
尭深「お茶入りました……」
照「あ、ありがとう」
誠子「これって静岡の?」
尭深「うん」
淡「へー。美味しいの?」
尭深「美味しいよ。飲んでみて」
淡「じゃあ一口。……あつっ!」
誠子「なんてありきたりな……」
照「あ……美味しい」
誠子「……あ、本当ですね。普段飲んでるのと全然違う」
尭深「よかったです」
淡「うー熱い」
照「舌大丈夫?」
淡「うん、舌は大丈夫だけど熱くて飲めない」
照「氷入れる?」
淡「あ、それいいかも!」
尭深「で、できれば自然に冷まして飲んでもらった方が……」
誠子「たしかに。味薄くなっちゃうもんね。だから大星、我慢しろ」
淡「うー……はーい」
照「ふふっ……あんまりみんな変わってないね」
誠子「まあ2年そこらじゃ変わりませんよ」
淡「えー、私は変わったよー」
尭深「そうなの……?」
淡「うん!」
誠子「どこが?」
淡「ブラックコーヒーが飲めるようになりました!!」
誠子「……へー」
照「砂糖入れなくても?」
淡「もちろん!」
照「すごい……!」
尭深「え」
誠子「他になんかないの? 最高学年になって責任感が芽生えたとか」
淡「いやいやそんなのは当然ありますよ。みんなのことバリバリ引っ張ってますから」
照「え、淡が部長なの?」
尭深「いえ、部長は別の娘です」
照「ああうん、そうだよね」
淡「ちょっとテルー、そうなんだよねってなにー」
誠子「いやそりゃそうでしょ」
尭深「うん」
淡「ま、部長の仕事なんて面倒くさくてやれないもんねー」
誠子「お前は……だから今の部長には感謝するんだぞ」
淡「はいはい。前部長さん」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
照「カレーできたよー」
淡「うわあ、いい匂い!」
誠子「ありがとうございます」
照「後2つすぐ持ってくるから待ってて」
尭深「美味しそう」
淡「うん!」
誠子「すごいなあ」
淡「ねえ、こっち私でいい?」
尭深「いいけど?」
誠子「なんで?」
淡「こっちのが量多いから」
尭深「そう?」
淡「うん!」
誠子「あんま変わんないと思うけど」
淡「ま、私は違いがわかる女だからね!!」
誠子「……さいですか」
照「持ってきたよ。はい……これね」
誠子「ありがとうございます」
照「あ、スプーンスプーン……」
誠子「本当なにからなにまですみません」
照「ううん、気にしないで。あと、おかわりもあるからおかわりしたかったら言って」
淡「ねえねえ、食べていい?」
照「うん。じゃあ食べようか」
4人「いただきます」
淡「……うまーい!」
尭深「あ、美味しい……」
誠子「美味しい」
照「うん。いい感じ」
尭深「料理っていつもされてるんですか?」
淡「うまうま」
照「料理? うん、私が全部作ってるよ」
誠子「え、全部ですか!?」
照「そうだけど、どうしたの?」
誠子「全部って、朝昼晩ですよね」
淡「うまうま」
照「うん」
誠子「そ、そんな暇あるんですか?」
照「まあプロと言っても1日中拘束されるわけでもないし、案外帰りも遅くないから作れるよ」
尭深「疲れて作らないとかないんですか?」
淡「うまうま」
照「うん、今まではないかなあ」
誠子「へえ……。弘世先輩は作ったりされないんですか?」
照「うん。ああ見えて菫、料理へたくそだから」
尭深「意外……」
淡「うまうま」
照「片付けとかはやってくれるけどね」
尭深「そうなんですね」
誠子「なんか、相変わらず仲良さそうで安心しました」
照「仲良くやってるよ」
淡「うまうま……照、おかわり!」
誠子「早いな食べるの」
淡「テルーこのカレーすっごく美味しいよ!」
照「ありがとう。どのくらい食べる?」
淡「最初と同じで!」
照「わかった」
誠子「弘世先輩ってなんでもそつなくこなせそうだったけど、料理できないって意外だったね」
尭深「そうだね。そういう誠子ちゃんはできるの?」
誠子「できるよ! こう見えても魚さばいたりできるんだから」
淡「なになに、なんの話?」
誠子「ああ。弘世先輩が料理できなくて意外だなって話」
淡「ほぇー、そうなんだ」
誠子「そう。だからいっつも宮永先輩が料理してるんだって」
淡「え、マジ? すごっそれ」
誠子「だよねー。私も頑張って作ろうと思ってもつい弁当買ったりしちゃうもん」
淡「てかそれって菫はいっつもテルーのご飯食べれるってこと? いいなー」
照「淡」
淡「あ、ありがとテルー」
照「菫先輩」
淡「え?」
照「菫じゃなくて、菫『先輩』」
淡「え、え?」
照「菫を呼び捨てはダメ」
淡「なんで? だって前だって……」
照「なんでも」
淡「えー……でも照にはテルーって呼んでるじゃん」
照「私はいいの」
淡「えー?」
照「わかった?」
淡「……はーい」
誠子・尭深「………」
照「そうだ、みんな飲み物とか大丈夫?」
誠子「え、あ、大丈夫です。尭深のお茶があるんで」
尭深「はい」
淡「なんかあるの?」
照「オレンジジュースがある」
淡「あ、じゃあ私それ飲みたい」
照「わかった。持ってくるね」
誠子「……案外宮永先輩って独占欲強いんだね」ヒソヒソ
尭深「うん……」ヒソヒソ
淡「どったのー?」
誠子「な、なんでもない」
淡「ふーん?」
照「はい、淡。それとこれ新しいコップね」
淡「ありがとテルー」
照「ん……? どうしたの、誠子、尭深?」
誠子「へ、なにがですか?」
照「なんかぼんやりしてるから」
誠子「い、いえなんでもありません」
淡「ごくごく。うまうま」
照「そう?」
誠子「はい」
尭深「そういえば、菫先輩はいつ頃帰宅されるんですか?」
照「もうすぐ帰ってくると思うよ。さっき連絡あったから」
誠子「あ、けっこう早いですね」
照「うん。多分みんなが来るから早めに帰らせてもらってるんだと思う」
誠子「そんなことが……ありがたい話です」
照「菫もみんなに会いたいんだと思う」
誠子「だと嬉しいです。……ん、ごちそうさまでした。ありがとうございます、美味しかったですとても」
照「よかった」
誠子「さげてきますね」
照「流しに置いといてくれればいいよ」
誠子「はい」
尭深「私も、ごちそうさまでした」
照「うん」
尭深「ありがとうございました」
照「どういたしまして」
誠子「シンクの中に置いてきましたけど、いいですか?」
照「うん、大丈夫」
尭深「じゃあ私も」
誠子「あ、尭深のもさげてこようか?」
尭深「え、大丈夫だよ」
誠子「いいよ、私立ってるからついでに置いてきてあげる」ヒョイ
尭深「あ……うん、じゃあお願い」
誠子「はいさー」
照「ふふっ、2人も仲いいね」
尭深「ええ……。久しぶりに会いましたけど、連絡はとったりしてるので」
淡「……ごちそうさまー! あー、食べたー」
照「もういらない?」
淡「うん。もうおなかいっぱい」
誠子「あれ、淡も食べ終わったの?」
淡「うん」
淡「すっごい美味しかったよテルー!」
照「ありがとう」
誠子「淡のもさげてくるよ」
淡「え、いいの?」
誠子「ついでだから」
淡「サンキュー、セイコー!」
誠子「まったく調子いいんだから」
照「ご苦労様、誠子」
誠子「いえ、別にいつものことですから」
ガチャ
菫「ただいまー」
照「あ、菫だ。おかえりー」
菫「ああ。それと……久しぶりだなみんな」
誠子「お久しぶりです、弘世先輩」
尭深「お久しぶりです」
淡「ひさしぶりー」
菫「みんな変わらないな……ところで、なんで誠子は皿持ってつったってるんだ……?」
誠子「え。あの、丁度さげるところに弘世先輩が帰ってきただけです」
菫「ああ、そうだったのか。餌でも待ってるのかと思ったよ」
誠子「違いますよ! えと、さげてきますね」
照「ごめんね」
淡「いってらっさーい」
誠子「もとは大星のだろ! まったく……」
菫「……誠子も変わらないな」
照「菫食べるでしょ?」
菫「ん? ああ、頼む。今日はカレーか?」
照「そう」
菫「カレーも久しぶりだなあ」
照「よそってくるね」
菫「ああ」
淡「なんか……」
誠子「2人での雰囲気、変わりましたね」
菫「そうか? 前とそんな変わりないと思うが」
誠子「いえ、なんと言うか、えーと……」
淡「2人だけの空間みたいな感じになってる」
誠子「ああそう! それを言いたかった」
菫「2人だけの空間ねえ」
照「持ってきたよ」
菫「お、ありがとう」
照「あ、ちゃんとスプーン用意してる。珍しい」
菫「まあな」
照「あ、そうだ。菫なに飲む?」
菫「ああ、じゃあ……麦茶で」
照「うん」
尭深「………」
誠子「や、やっぱりそうですって!」
淡「うんうん!」
菫「な、なにがだよ」
淡「2人だけの空間ってこと!」
菫「そんなこと言われてもなあ……」
照「2人だけの空間って?」コト
菫「ああ、ありがとう。いやなんかな、私と照の雰囲気が変わったとかなんとか」
照「ふーん?」
淡「2人の雰囲気じゃなくて、2人の関係の雰囲気!」
照「どういうこと?」
誠子「端的に申しますと以前より仲良くなりましたよねってことです」
淡「そうそう! なんか2人で話すとき、なんか違うし」
菫「そうかなあ?……って、照。お前ビール飲むのかよ」
照「ダメ?」
菫「いやだって、お前後輩たちの前だぞ? 今日くらい我慢しろ」
照「んー……」
誠子「あ、わ、私たちなら気にしなくて大丈夫ですよ! ねえ尭深?」
尭深「え、あ、はい。大丈夫です」
菫「そうは言ってもなあ……」
淡「というか照がお酒ってなんかあわない」
照「なんで?」
淡「えーだって照っていっつもお菓子だったじゃん」
誠子「あーたしかに。それにさらにビールってのが意外です」
淡「ビールって苦いんじゃないの?」
照「うん。苦いけど、なんかはまちゃった」
尭深「チューハイとかは飲まないんですか?」
照「うん。あんまり飲まないかな。最近はずっとビール」
淡「ふーん……」
照「どうしたの淡?」
淡「ねえ、ビールって美味しいの?」
照「どうだろう。私は美味しいと思うけど、嫌いな人は嫌いみたい。菫もそんな好きじゃないっていうし」
菫「苦味がな、まだダメだ」
淡「ねえ、飲んでみてもいい?」
菫「おい、ダメに決まってるだろ馬鹿」
淡「ちょっとくらいいいじゃーん」
菫「ダメだよ。お前未成年だろ」
淡「一口でいいからさあ。どんなものか飲んでみたい!」
誠子「おい、わがまま言うな」
照「淡、こういうのはね、しかるべきときに飲むから美味しいの。今飲んでも、淡にはなんの得にもならない」
淡「えー、今がしかるべきときだよ!」
誠子「なんでだよ。いいからお前はオレンジジュース飲んでろ」
淡「いいじゃん、全部って言ってるわけじゃないんだから」
誠子「はぁ……なあ大星」
淡「なに?」
誠子「大星、前たしか抹茶ムース買ってきたとき、苦くて食べられなかったよな?」
淡「え? うん」
誠子「言っておくけどな、ビールはその10倍は苦いぞ」
淡「そ、そんなに!?」
誠子「ああ、そうだ。だからな、悪いことは言わない。抹茶も食べられない大星がビールを飲めるわけないだろ?」
淡「う、うーん……」
誠子「私もな、意地悪で言ってるわけじゃないんだ。大星のためを思って」
淡「でもセイコ、そうやって何回も私のこと騙したよね?」
誠子「………」
菫「あー、まあ淡。誠子の言ってることもあながち間違いじゃない」
菫「本当にな、ビールって苦いんだ。多分、飲んだら後悔するぞ?」
淡「なんで?」
菫「将来な、淡がビールを飲める年齢になったときに、今ビールの嫌な記憶がうえつけられたらそのときに避けるだろ?」
菫「そしたら淡は一緒に照とビールを飲めなくなる。そんなの嫌じゃないか?」
淡「あー、たしかにそれは嫌かも」
誠子「そうそう! それに同期の人がビール飲んでる中1人チューハイなんてお子様感丸出しじゃないか!」
淡「そんなの絶対やだ! 私があいつらより子供とかありえないし」
尭深「そういう誠子ちゃんもビール飲めないけどね……」ボソッ
誠子「う、うるさいな」
菫「だからな、今ビール飲むのはやめておけ」
淡「……はーい」
照「ごめんね淡。いつか一緒に飲もうね」
淡「うん。約束だからねテルー」
照「うん」
菫「しかし……相変わらず淡は落ち着きないな」
淡「そんなことありませんよ!」
菫「いやそうだろ」
誠子「ま、まあこれでも大分落ち着いた方ですよ。一応下からもこれでけっこう慕われてますから」
淡「一応じゃなく慕われてるの」
菫「それならいいんだけどな」
淡「私だって上級生になってから色々考えるようになってるんですからね!」
菫「まあそこらへんは信頼してるさ。なあ照?」
照「うん。淡なら大丈夫」
淡「う、な、なにいきなり。恥ずかしいよ」
照「淡。前にも話したけど、勝つことはもちろんエースには必要だけど、それ以上に大切なのはチームにあなたがいれば大丈夫という自信を与えること」
照「覚えてる?」
淡「当たり前じゃん。忘れるわけないよ」
照「うん、なら大丈夫」
淡「んー?」
菫「まあ深く考えなくていいさ。淡がいつもどおり打てば、それがチームのためになるんだ」
淡「あー、そういうことね。ま、この大星淡がいる限り、今年の負けはありえませんから!」
尭深「あ、そういえば、菫先輩は大学でも麻雀部なんでしたっけ?」
菫「ん? ああ、そうだよ」
照「最近それで帰りが遅い」
菫「仕方ないだろ。もうすぐ大会なんだから」
誠子「インターハイの一ヶ月前が全国でしたっけ」
菫「ああ。というか、尭深と誠子もそうなんじゃないのか?」
淡「なんか2人とも麻雀そんなにやってないんだってー」
菫「そうなのか?」
尭深「はい。私は茶道部に入ったので」
誠子「一応私は麻雀部に入っているにはいるんですが、本格的なやつではないので大会とはあんまり関係ないんですよね」
照「誠子はヨット部にも入ってるんだよね?」
誠子「はい」
菫「ヨ、ヨット部?」
誠子「ええ。いずれはヨットで海に出て釣りをしたいと思っているので!」
菫「……とりあえず、死なないようにな」
淡「でもさー、尭深も茶道やりながら麻雀できたんじゃないの?」
尭深「できなくはなかったけど、茶道の方に集中したかったから」
淡「ふーん」
照「少し残念だけど、尭深が選んだ道なら応援してるよ」
尭深「あ、ありがとうございます」
誠子「まあでも、多分今宮永先輩と打ったらまったく歯がたたないんだろうなあ」
淡「えー何言ってるんですかあ、亦野先輩。昔だって全然だったじゃないですか」
誠子「うぐっ、うるさいなあ」
淡「ま、それに私も前より格段に強くなってますから、私と打っても歯がたたないと思いますけどね!」
誠子「はいはい」
淡「ふふっ、まー安心してください。この強くなった大星淡が今年は優勝旗を持って帰ってきますから!」
誠子「まったくお前は……。頼んだぞ」
尭深「……うん。頑張ってね、淡ちゃん」
淡「任せてください!」
菫「……なんか、頼もしくなったな、淡」
淡「ふふっ、どうですか。成長してるでしょ?」
菫「ああ。まあなんにせよ、油断はするなよ。インターハイを意識しすぎて県大会落ちなんて目もあてられないからな」
淡「それは大丈夫。うちの部長がしっかり対策してくれてるんで!」
淡「それに今年は、なんでも『ここ数年で最高』とか言われてるみたいですから!」
誠子「そんなのあったね。去年は『昨年同様いいチームの仕上がり』とか言われてたっけ」
尭深「先輩たちのときは『歴代最強』って言われてましたね」
菫「……こうやって聞くとボジョレー・ヌーヴォーみたいだな……」
照「ワインか……。明日飲もうかな」
淡「とにかく見ててください! 今年は私が優勝旗を白糸台に持って帰りますから!!」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
淡「ふわぁぁ……」
菫「ん……そろそろ寝るか?」
誠子「そうですね。いつの間にかいい時間ですし」
菫「しかし……どう寝る?」
照「あ、それなら大丈夫」
淡「私照と寝たい!」
菫「おい」
誠子「えと、なんですか宮永先輩?」
照「どうやって寝るかは考えておいたから」
菫「そうなのか?」
照「うん」
尭深「どう寝るんですか?」
照「まず、申し訳ないけど3人にはそのベッドで寝てもらおうと思う」
菫「おい、さすがにそれは……」
照「大丈夫。ちゃんとシーツは変えて」
菫「そ、そういうことを言ったんじゃない!!」
誠子「ど、どうしました?」
菫「いや、な、なんでもない」
淡「?」
菫「私が聞きたかったのは、狭いんじゃないかってことだよ」
照「多分、大丈夫」
誠子「まあけっこう大きいですから入れなくもなさそうですけど……」
尭深「1回入ってみますか? どんなものかたしかめるために」
菫「あーうん。それがいいかもな」
淡「ベッドに入ったらいいの?」
誠子「うん。えーと、どうやって寝るのがいいのかな」
淡「え、縦以外なくない?」
誠子「そうじゃなくて、配置だよ。ジグザグとか意味わかんないだろ」
淡「セイコが言ったんじゃん……」
尭深「うーん……淡ちゃん真ん中にする?」
誠子「あー」
淡「なんで?」
尭深「……1番小さいから」
淡「ちょっと、身長関係ないじゃん!」
誠子「いや関係あるって。真ん中が1番小さい人だと、両隣にもスペースがうまく空くんだよ」
淡「えー、そういうもんかなあ」
菫「決まったなら、とりあえず寝てもらっていいか?」
誠子「はい」
淡「なんか気が進まないなあ……」
照「……どう?」
尭深「……まあ寝れなくはないと思います」
誠子「思ったより狭くはないです」
淡「むー」
照「大丈夫そうだね」
誠子「ええ」
照「じゃあ悪いけど、今日はそこで寝て」
尭深「はい」
淡「……はーい」
菫「それで、私たちはどこで寝るんだ?」
照「ソファ」
菫「ソファ? ソファって、それか?」
照「うん」
菫「いや、どう見てもそれ1人しか寝れないだろ」
照「何言ってるの? これ……こうやって、ほら」バタン
菫「なんだと……?」
尭深「ソファベッドだったんですね」
淡「すごーい。一気にベッドみたいになった」
誠子「けっこう寝心地よさそうですね」
照「……知らなかったの菫?」
菫「ああ……」
照「まあいいや。菫、そっち持って」
菫「え? ああ……」
誠子「え、運ぶんですか?」
照「うん」
3人「………」
照「あ、ドア開けてもらっていい?」
尭深「あ、はい……」
照「ありがとう」
菫「意外にこいつ軽いな」
照「そうだね。よいせ、よいせ」
3人「………」
照「……よし、これでよし」
菫「じゃあ寝るとしよう」
照「みんなベッドに入っていいよ。電気消してあげるから」
誠子「あ、はい」
3人「………」イソイソ
誠子「はい、大丈夫です」
照「うん。じゃあお休みなさい」
3人「……おやすみなさい」
パチン
パタン カチャ
3人(鍵閉めた!?)
照『じゃあ私たちも寝よっか』
菫『ああ』
照『じゃあ電気消すね』
菫『うん』
3人「………」
淡「……ね、ねえ……」
誠子「ん?」
淡「なんであの2人、移動したのかな……?」
誠子「そ、それは……アレだよ」
淡「アレって……?」
誠子「う……アレは、アレだよ……」
淡「や、やっぱり……アレなのかな?」
尭深「さ、さすがにそんなことはないんじゃないかな……」
淡「で、でも普通移動しなくない? それに、鍵だって……」
尭深「そうだけど……」
誠子「あ、あれだよ、なんか、気分変えたくてとか……そんなんだよ、きっと」
尭深「そ、それか人がたくさん人がいると寝られないとか……」
誠子「ああ、かもかも」
淡「そうかなあ……」
誠子「そうだよ。いくら先輩たちが仲いいからって、私たちがいるのに、その、お、おっぱじめたりはしないでしょ」
尭深「誠子ちゃん、なんか言い方がちょっと卑猥……」
淡「わ、私、1時間くらい起きてる」
誠子「え、なんで?」
淡「2人がどうするのか、気になるから……」
尭深「……私も起きてようかな」
誠子「尭深まで……」
淡「よし、じゃあ3人で起きてるよ」
1時間後
淡「zzz」
誠子「寝とるやん」
尭深「なんで関西弁……?」
誠子「え。つ、ツッコミだから?」
尭深「そう……」
誠子「どうしよう……淡起こす?」
尭深「……いいんじゃないかな。疲れたみたいだし、寝かせてあげよう」
誠子「わかった」
誠子「……よし、じゃあ、聞き耳たててみようか」
尭深「うん……」
誠子「……なんか、すっごいドキドキするね……」
尭深「そうだね……」
誠子「ほ、本当にしてたらどうしよう……」
尭深「し、してないよきっと……」
誠子「………」ソー
尭深「………」ソー
誠子「……な、なんか聞こえる?」
尭深「……ううん」
誠子「………」
尭深「………」
誠子「……戻る?」
尭深「……うん」
誠子「………」ソー
尭深「………」ソー
誠子「……ふぅ」
尭深「……結局、なにもなかったね」
誠子「ま、まあそりゃそうでしょ。私は、その、ないって思ってたよ?」
尭深「嘘ばっかり」
誠子「で、でもよかったあ。本当にしてたらどうしようかと思ってたから」
尭深「そ、そうだね……」
誠子「………」
尭深「………」
誠子「……寝よっか」
尭深「……うん」
誠子「おやすみ、尭深」
尭深「おやすみ、誠子ちゃん」
淡「zzz」
2時間後
照「………」ユサユサ
菫「んん……んぅ……」
照「………」ユサユサ
菫「ん……ふぁ……照」
照「起きた?」
菫「う……うん、ああ。起きた」
菫「……今、何時だ?」
照「3時」
照「うん」
菫「……お前、今まで起きてたのか?」
照「ううん。さっき起きた」
菫「……そうか」
照「バイブの目覚ましを枕にいれてたから」
菫「なるほど……」
照「みんな寝たかな?」
菫「さすがに寝てるだろう」
照「ちょっと確認してくる」
菫「ああ」
カチャ キィ
照「………」キョロキョロ
パタン カチャ
照「……みんなぐっすり寝てた」
菫「だろうな」
照「ふぅ……」
菫「……なあ、本当にするのか?」
照「……誘ったのは菫じゃん」
菫「私は冗談で言っただけだ。しようって言ったのは照だろ」
照「……まあ、そうだけど」
菫「後輩たちがせっかく来てくれたっていうのに、露骨にソファ移動したもんな」
照「だって、他に方法ないし」
菫「まあな」
照「……菫が嫌ならやめるけど」
菫「……別に嫌なわけじゃない。ただ……」
照「ただ?」
菫「ただ……照が声抑えられるのかなって」クチュ
照「んんっ! ちょ、ちょっと菫っ」
菫「ふふっ、やっぱり。こんなに濡らして」
照「だ、だって……」
菫「まあ気持ちはわかるよ。私も、なんかすごくドキドキしてきた」
照「……でしょ?」
さるよけありがとうございます
菫「ああ。でも、だからって声出すなよ? さすがにバレたらまずい」
照「菫が不意打ちとかしなければいい」
菫「わかってるよ。でもな、なんかさっきから照を見てると抑えられないんだ」
照「え……?」
菫「さっきから照、期待してるだろ? その感じがいつもよりエロくて……なんかすごいそそるんだ」
照「……変態」
菫「マンネリ打破とか言って、後輩たちが来てるときにしようって誘ってきたやつに言われたくないな」
照「思いついた菫に言われたくない」
菫「まあ『とってもM』だからな照は」
照「……なにそれ?」
菫「イニシャルT・Mだろ?」
照「……ああ」
照「……馬鹿じゃない?」
菫「でもそうだろ? こんなに濡らして」クチュ
照「んっ!……だったら、菫は『変態なS』かしら」
菫「それでもいいよ。……するから、声あげるなよ」
照「あ……その前に、キスして……」
菫「わかった……ちゅ、ん……ちゅ……」
照「んちゅ……ちゅ、ちゅむ……」
菫「ちゅ、ちゅ……ん、ちゅ……」サワサワ
菫(本当……相変わらず照の肌は綺麗だな……)
菫(それにしても……ちょっと触ってるだけでこんなにぴくぴくして……)
菫(本当ドMだな照は……)
菫「……本当ドMだよな、照」
照「んっ……うるさい……」
菫(すごい……もう乳首立ってる……)
菫(もうこんなとろけた顔して……ああ、可愛いなあ本当に)
照「はぁ、はぁっ……菫っ」
菫「んっ……照……」
照(柔らかい……菫の胸)
照(ああ、まだ胸しか触られてないのにおかしくなりそう)
照(声あげたいけど、あげたらダメって、こんなに興奮するんだ……)
照「んっ、んんっ!」
菫「はぁっ、はぁ……もしかして、照、いっちゃった……?」
照「うん……」
菫(ああ……必死で声を抑えて……むちゃくちゃにしてやりたい……)
照(もういっちゃった……ダメ、このシチュエーション、すごく興奮する……)
菫「照……触るぞ」
照「……うん」
菫(すごい……さっきよりぐしょぐしょだ……)
照「んっ、んふっ……んんっ……」
照(も、もうダメ……頭おかしくなりそう……!)
菫「……照、声を出すなよ? 出したら、淡たちにばれるぞ?」
照「んっ……う、うん……」
菫「もし、あんまり大きい声だしたら、この痴態、見られるからな?」
菫「……だってお前、さっき鍵かけ忘れたろ?」
照「……え……そ、そんなはず、んっ!」
菫「いや……かけてないよ。だって、戻ってくるときかけた音聞こえなかったもん」
照(嘘……私鍵かけ忘れてた……?)
照(そんなことない……鍵は絶対閉めたはず……。え、でも……もし本当にかけてなかったら……)
照(ど、どうしよう……もし声あげちゃったら淡たちに見られちゃうのかな……?)
照(見られたら……ダメ、声あげたらダメ……だって、見られたら……見られたら……)
照「んっ、んんんっ!!」
菫(すごい……どんどん愛液があふれてくる……)
菫(まさか見られるっていう意識だけでこんなに変わるなんて……)
菫(本当私なんかよりよっぽど変態じゃないか)
菫「変態」ズニュ
照「んんんんんんっ!?」
照(う、嘘っ……まだ指入れられてなかったの!?)
照(ああ、あああああ。もうダメ、なんも考えらんない)
照(指入れられてなくてあんなだったのに、耐えられない)
照(菫の指……気持ちいい……)
照(こんなの……声出ちゃうよ……)
照「んっ……んんっ!!」
菫「……おい照、声大きくなってるぞ」
照「だっ……だってっ……んっ!」
菫「ほら、シーツ口にあてて……」
照「んっ、んんっ、んっ!」
菫(必死に抑えてる照、エロいな……)
照(声あげちゃダメ、声あげちゃダメ、声あげちゃだめ)
照「んっ、ふっ、んんっ! んっ、ん、んぅ、んんっ!」
菫「はぁはぁ……ふふっ、照、すごくかわいいよ」
照(ああ、ああ……気持ちいい……声あげない声あげない、気持ちいい気持ちいい!)
照「んっ、んっ、んっんんっ!」
菫(照……かわいい。照……)
照「んっ、はっ……んんっ、す、菫っ……キス……」
菫「ああ……ちゅっ、んちゅ……ちゅむ……」
照「んんっ、ちゅぶっ、ちゅっ……んぅ、れちゅ、んっ」
菫(照……照……!)
照(菫……!)
照「んちゅ……んっ、んんんんんんっ!!!」
菫「ちゅっ、んっ……ん、はぁっ……はぁはぁ……」
照「んっ、ふっ……はぁっ、はぁっ……」
菫「はぁ……照……」
照「はぁっ、はぁっ……はぁ、んっ……菫……」
菫「……好きだ」
照「はぁ、はぁ……んっ、うん……私も……」
照「好き……」
菫「ん……ふぁ……」
照「はぁ……はぁ……ん……」
翌朝
照「菫、起きて」ユサユサ
菫「ん……ああ……」
菫「………」
菫「……おはよう」
照「おはよう」
菫「ふわぁぁ……何時?」
照「8時」
菫「そうか……。もうそんな時間か……」
照「うん。そろそろ準備しないとまずい」
菫「そうだな……。とりあえず、あいつらは起きてるだろうか」
照「さっき見たけどみんな寝てた」
菫「そうか。じゃあさっさと着替えてしまうか」
照「うん。じゃあ菫、着替えたらみんな起こしてあげて。私朝ごはん作っとくから」
菫「わかった」
菫「おい淡、誠子、尭深。朝だぞ。起きろ」
3人「zzz」
菫「おい……誠子。朝だぞ」
誠子「んぅ……まだ眠いよお母さん……」
菫「………」
菫(お母さん……?)
菫「おい、私はお前のお母さんじゃないぞ。起きろ」
誠子「んぇ……? あ……」
誠子「………」
誠子「……お、おはようございます。菫先輩……」
菫「ああ、おはよう」
誠子「………」
菫「………」
誠子「あ、あのー……」
菫「あーまあ気にしてないから、隣の2人を起こしてやってくれ。私は皿の用意とかしてるから」
誠子「は、はい……」
誠子「うー、恥ずかしい……おーい、淡、尭深。もう起きなー」
誠子「って、んん!?」
誠子(こ、この2人、抱き合ってないか!? なな、なんで!?)
誠子「………」
淡「ん……? あさー?」
誠子「……はっ! あ、ああ、そうだぞ、朝だぞ」
淡「ねーむーいー」
誠子「ほ、ほら、起きなって」
淡「……んー」
誠子「おい」
淡「もー。うるさいセイコー」
誠子「うるさいじゃないよ……」
菫「おい、いい加減起きろ淡。……それと尭深」
誠子「そうだぞ。弘世先輩も宮永先輩も用事があるって昨日言ってたろ。起きろって」
淡「言ってない」
菫「小学生か……」
誠子「おーい」
照「料理できたよ。……まだ、起きてないの?」
誠子「あ、宮永先輩。すみません、中々2人が起きなくて……」
淡「いい匂い!!」
誠子「うおわっ!」ドサッ
淡「わっ、朝ごはんだー! テルーおはよー」
照「おはよう淡」
菫「すごいな、お前……」
淡「なにが?」
菫「……いや、起きたならいい」
誠子「いてて……もう、起きるならもっとゆっくり起きなよ……」
淡「起きたからいいじゃん。ね、テルー、食べていい?」
照「尭深は?」
尭深「zzz」
誠子「……起きる気配がありません」
菫「……仕方ない。先に食べていよう」
淡「前からずっとだよねー」
誠子「未だに朝弱いまんまなんだなあ……」
照「いただきます」
淡「いっただきまーす!」
菫「朝からその元気は一体どこから出てくるんだ……。いただきます」
誠子「はは……。いただきます」
淡「あ、そうそう。聞いて聞いて」
照「なに?」
淡「昨日すごい変な夢見ちゃってさあ」
誠子「夢?」
淡「うん。なんかあ、街歩いてたんだけど、どっかから女の人の苦しんでる声が聞こえてきて」
誠子「うん」
淡「私はその声を気にせずプラプラ歩いてたんだけど、その女の人がもっと苦しそうにしだして」
淡「なんか呼吸もし辛そうな感じ? で、その人がもう死んじゃうよみたいな感じになったら、なんでか急に私も苦しくなって!」
淡「さっきまで自由に歩けてたのにいきなり身動きとれなくなって、息も苦しくなって」
淡「もうだめだーってなってたら、息はすぐできるようになったの。その後は女の人の声も聞こえなくなって、終わっちゃった」
照「………」
菫「………」
誠子「へー」
淡「息できなくなったとき死んじゃうかと思ったよー」
誠子「なんか、大変だったね」
淡「もーあんなに夢で苦しかったの始めて。それに女の人どうなっちゃったんだろ」
誠子「大丈夫じゃない? 夢だし」
淡「そうかなあ。でもすっごい苦しそうだったんだよ。首絞められてるみたいで」
誠子「ふーん?」
淡「なんかね、くぐもった感じで。ずっと『んー、んー』って言ってた」
誠子「へー」
照「………」
菫「………」
淡「照は昨日なんか夢見た?」
照「……私?」
淡「うん」
照「ううん、見てないよ」
淡「そっかあ」
菫「……ごちそうさま。お前らも、早く食べろ。後少しで家出るから」
淡「はーい」
誠子「すみません」
菫「私はその間に尭深を起こすよ」
照「うん。よろしく」
~~~~~~~~~~~~~~~~~~~
尭深「すみません、遅くまで寝ててしまって」
照「ううん、大丈夫。それより、お腹大丈夫?」
尭深「はい、帰る際にどこかによって食べるので」
照「うん、そう」
淡「じゃあテルー、またねー!!」
誠子「また会いましょう!」
尭深「それでは、失礼します」
菫「お前たちも元気でな」
照「さようなら」
淡「じゃーねー!!」
菫「……ふぅ」
照「………」
菫「……なあ」
照「うん、わかってる」
菫「………」
照「……危なかったね」
菫「危なかったな」
数ヵ月後
菫「なあ照……」
照「なに?」
菫「……最近満足してるか?」
照「なんのこと?」
菫「えーと……あー……」
菫「その……情事の際にさ」
照「……朝からそんなこと話すなんて、菫は不健全」
菫「……まあ、そうだが。気になってな」
照「どうして?」
菫「その、さ。前に、淡たちが来ただろ?」
照「うん」
菫「そのとき、すごい気持ちよさそうだったじゃないか」
照「……うん」
菫「というより、いつもより感じてたというか」
照「言い直さなくていい」
菫「でもさ、最近するときは……そのときほど感じてるように見えないというか……」
照「あれは特殊な状況だったし、バレたらまずいとか、そういうのがあったからあんな風になってただけ」
菫「そうか?」
照「菫もそうだったでしょ?」
菫「……まあ」
照「それに菫だってあのときほど興奮した目してないし」
菫「そうかなあ」
照「うん」
照「それに、別にあのときほど感じてないからって、菫として満足しないわけない」
照「私は、菫に愛されてるって分かって、そして私が菫のことを愛せてる、ってだけで十分だから」
菫「照……」
照「菫も……そうでしょ?」
菫「まあ……そうだな」
照「だったらそれでいいでしょ?」
菫「……そうかな?」
照「そうだよ」
菫「……うん、そうだよな。そういうもんだよな……」
菫「ごめん、照。なんか、つまらないことで不安になってたみたいだ」
照「ううん。いいよ。お互いに思ったことはなんでも話そうって決めたでしょ?」
菫「ああ……」
照「お互い喋らない方だから、ちゃんと言葉にするの」
菫「うん」
照「……だからね、菫」
菫「ああ」
照「私、菫のこと、愛してる」
菫「……私も、愛してるよ、照」
照「……うん」
菫「………」
照「ねえ菫……」
菫「なに?」
照「今日って、大学も部活も休みなんでしょ?」
菫「そうだよ」
照「………」
菫「照?」
照「……朝だけど、さ」
照「……リッチ、する?」
菫「……リッチ? リッチ。……ああ。ふふっ。……リッチ、ね」
照「うん」
菫「……しようか」
照「久しぶりだね、朝からって」
菫「ビールはいらないのか?」
照「……菫。そういう冗談はいらない」
菫「そうかい?」
照「うん」
菫「……中々暇が合わなかったからな」
照「そうだね」
菫「だから、今日はたくさん……照を感じたいな」
照「……いっぱい、愛してね」
菫「……もちろん」
照「菫、好きだよ。愛してる」
菫「ああ」
照「……好き」
菫「うん……。照、愛してるよ」
照「じゃあ菫……」
照「リッチ、しよ」
カン!
以上です
長いことお付き合い、また支援・さるよけ、ありがとうございました
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません