一ノ瀬志希「ギフテッドパフューム」(53)




―岩手・及川牧場併設の喫茶スペースにて―



雫母「はいお待ちどうさん。及川牧場自家製アイスクリームだよ」コト

志希「ありがと~♪ う~んいい匂い♪ 」スンスン

雫母「面白い子だねえ。アイスクリームの匂いを嗅ぐ子はあまり見かけないよ」フフッ

志希「そお?こーんなに牛乳のイイ匂いがするのにみんなわかんないのかな~?
   いっただっきま~す!」パクパク





雫母「今日は平日だしお客さんもあまり来ないから、ゆっくりしていくといいよ」

志希「あ、そっか。世間はお仕事してるんだ。みんなタイヘンだねー」パクパク

雫母「お嬢ちゃんは学校お休みなのかい?制服着てるけど……」

志希「ああこれ?これはコスプレみたいな?あたし海の向こうで大学まで出ちゃったから、
    一度日本の女子高生になってみたかったの♪」ニャハハ





雫母「へえ、賢いんだねえ。じゃあ岩手にはお仕事で来たのかい?」

志希「うんにゃ、里帰りってヤツ?あたしの実家もこのあたりだからねー。及川牧場の
   牛乳が飲みたくなったから、アメリカから帰って来たの♪」ニコッ

雫母「それは嬉しいねえ。ウチの父ちゃんも喜ぶよ。じゃあせっかく来てくれたんだし、
   パンとバターもおまけしてあげようか。それともヨーグルトの方が好きかい?」

志希「あ、バターでおねがいしまーす♪ そっちの方がいい匂いするから♪」






雫「ただいまー」ガチャ

P「ごめんくださーい」スタスタ

美優「お邪魔します……」スタスタ



雫母「雫?どしたの急に帰ってきて?」キョトン

雫「あれー?お母さん知らないのー?今度の美優さんのお仕事でうちの牛乳を宣伝する
  から、今日打ち合わせに来るってお父さんに言ったよー?」キョトン





雫母「まーた父ちゃんはそういう大事な事を言わないんだから。美優ちゃんが来るって
   聞いてすっかり舞い上がっちゃったのかねえ」ハア

雫「お父さん美優さんのファンだからねー。さっき牛舎にも顔を出してお父さんに会った
  けど、お父さんすっごく嬉しそうだったよー。ねー美優さん?」ニコニコ

美優「きょ、恐縮です……」カアア

雫母「いいのいいの気にしないで!美優ちゃんみたいなめんこい子が来たら仕方ないよ。
   ウチに息子がいたらぜひお嫁さんに欲しかったからね!」アハハ

美優「ありがとうございます……」モジモジ





P「ご主人に20分ほどここで待っててくれと言われましたので、少し待たせて戴いても
  よろしいでしょうか?」

雫母「いいよいいよー。今日は泊まっていくのかい?3人分お布団準備しとくよ」

P「雫は一泊する予定ですが、僕と美優さんは東京に戻らないといけないので……」

雫「あれまあ、プロデューサーさんは相変わらず忙しいんだねえ」






 <アハハ… <ウフフ…



志希(どういう人達なんだろ?1人はこの牧場の娘さんっぽけど、後の2人はお仕事の
    カンケイ?そういえば牛乳の宣伝とか言ってたっけ。今日中に東京に戻らないと
    とか言ってたし、食品会社の人なのかなー?)ジー

美優「あ…… こ、こんにちは……」ペコリ

志希「どもー♪」ペコリ

雫「あれー?お客さんいたんだー?気付きませんでしたー」クルッ





P「本当だ。すみません騒がしくしてしまって……」クルッ



 フワ……



志希「 っ!? 」ギョッ!!

P「?どうかされましたか?」キョトン

志希「お兄さん、ちょっとソコでじっとしてもらってていいかな?」スタスタ

P「な、なんだい……?(うわ、この子近くで見ると美人だな……)」ドキッ






志希「ん。アリガト。そんじゃ………… 失礼!」ダキツキッ!!



P「 んなっ!? 」ギョッ!!

美優「ええっ!? 」ギョッ!!

雫「あらー……」ポカン

志希「くんくんくんくんくんくんくんくん……」スンスンスンスン…

P(女子高生にいきなり抱き着かれて、鼻をくっつけられて犬みたいに嗅がれまくって
  いるわけだが、これは一体どういう状況なんだ……?)ドキドキ





美優「Pさん、公衆の面前でそんな破廉恥な……」ジト…

雫「事務所に帰ったらちひろさんと早苗さんに報告ですねー♪」ニコニコ

P「お、俺は何もしてませんよ!それから雫!冗談でもやめてくれ!」アセアセ

志希「ん、間違いない。ありがとお兄さん、ご協力感謝でーす♪」パッ

P「も、もういいのかい?ていうか今のは何だったんだい……?」オソルオソル





志希「あ、ごめーん♪ イキナリで驚いたよね?あたしイイ匂いがすっごくスキでさ♪
   お兄さんからおもしろい匂いがしたから、つい確かめたくなったの~♪」

P「に、匂い……? 俺って臭いですか?」

美優「そ、そんな事はないと思いますけど……」

雫「牛さんよりはマシだと思いますよー?」ニコニコ

志希「ああ、フツーのヒトにはきっとわからないくらいのかすかな匂いだと思うよー♪
   匂いっていうかフェロモンかな?あたし鼻がよくてさ、向こうの大学でも動物が
   発生させるフェロモンの研究とかずーっとやってたし」ニャハハ♪





P「フェロモン?俺の体からそんなものが出てるのか……?」スンスン

志希「動物は元々みんな出してるよ。もうちょい詳しく言うと、お兄さんの体にあたしの
   知り合いっぽい女の人の香水とフェロモンがついてたからさ♪」

美優「Pさん、もしかしてアイドルの子達とそういう行為を……」ジト…

雫「おかあさーん!おまわりさん呼んでー!」タッタッタッ…

P「ちょっ!? やましい事はしてませんよ!雫はさっきからひどくないか!? 」ギョッ!!





志希「ねね♪ お兄さん達今日中に東京に帰るんだよね?」ズイッ

P「あ、ああ、そうだけど……」

志希「あたしもついて行っていいかな?あ、あたし一ノ瀬志希。こんなカッコしてるけど
    学生じゃないから。ヨロシクね!」ニコッ



P(そう笑った彼女からは、ほんのりと香水の香りがした。アイドルのプロデューサーと
  いう職業柄、香水の匂いにはある程度慣れているが、彼女の香水は不思議と魅惑的で
  抗いがたく、業界が長い俺もくらりと引き込まれてしまった―――――)







***



―東京・事務所にて―



礼「レナ、あんた最近香水使ってるの?」スンスン

レナ「ええ。荷物を整理してたらディーラー時代に買ったのが出て来たから、ついつい
   懐かしくなっちゃってさ。良い香りでしょ♪」サッ

礼「結構高いやつじゃないのこれ。ほとんど使った形跡がないけど、もったいなくて
  使えなかったとか?」マジマジ





レナ「違うわよ。給料を奮発して買ったのに、買った直後に厄介なお客さんが来て色々
   あって使えなかったのよ。あの時の事を思い出すと今でも腹立つわ……」ムカムカ

ちひろ「香水が嫌いなお客さんだったんですか?そんなにきつい香りでもないのに」スンスン

礼「ダメな人はダメだけどね。でもカジノに来るような遊び人なら、ある程度は香水の
  匂いにも慣れてるんじゃないの?舞台のダンサーも使ってるだろうし」

レナ「いや、香水が嫌いなお客さんじゃなくてね……」






P「ただいま戻りました」ガチャ

美優「戻りました…… あ、レナさんと礼さん、おはようございます……」ペコリ



ちひろ「お帰りなさい。お疲れ様でした」

礼「おはよう美優ちゃん。もう夜だけどね。Pさんと日帰りで旅行なんて羨ましいわ」クス

レナ「行きは雫も一緒だったんでしょ。お疲れ美優さん、今夜飲みに行く?」





美優「フェロモン……」ジー…

礼「どうかしたの?」ドタプーン

レナ「め、目つきが怖いわよ美優さん……?」ドタプーン

美優「い、いえ、何でもありません……」カアア






P「あ、そういえばレナさん。レナさんの知り合いだって子が来ているんですけど……」



レナ「私に?誰かしら?」キョトン



P「レナさんにはベガスでとってもお世話になったって言ってましたけど。お~い、もう
  入って来てもいいぞ~」クルッ







志希「こ~んに~ちは~♪」ガチャ



レナ「げっ!? 志希!? 」ガタッ!!

志希「やっぱりレナちゃんだー!お・ひ・さ♪」ダキッ!!

レナ「抱きつかないでよ!いいからさっさと離れなさいよ!」ジタバタ

志希「やっぱりレナちゃんってイイ匂いするー♪ この香水もなつかし~♪」スンスン






ちひろ「え~と……、その子が電話で言ってたアイドル候補生の子ですか?」

P「はい。俺も気付かないうちにいつの間にかそうなってまして……」ポリポリ

レナ「はぁ!? この子アイドルになるの!? 」ギョッ!!

礼「でもルックスは抜群にいいわね。所属はウチ(クール)かしら?」マジマジ





志希「あたしはレナちゃんと同じところがいいなー♪」スンスン

レナ「嗅ぐな!Pさん正気なの?志希はベガスのブラックリストに載ってるのよ?」

ちひろ「ええっ!? こんな若い子がですか!? 」ギョッ!!

P「ある程度は俺も話を聞きましたが、ここは日本ですし……」

志希「ベガスに行かなかったら問題ないよねー?それにレナちゃんがいないと、あたしも
   楽しく遊べないしー♪」ニャハハハ♪

レナ「あームカつく!はっ倒すわよこのクレイジーケミカリスト!」グワッ!!






―――



レナ「『ラスベガスをぶっつぶせ』って映画知ってるかしら?」

礼「確かMITの天才大学生集団が、ブラックジャックでカードカウンティングを使って
  カジノで大儲けする話だったかしら?実話らしいわね」

レナ「そうよ。最後はバレちゃってその学生達はカジノから追い出されちゃうんだけど、
   志希はあの映画と同じ事を大学の仲間とやったのよ」ジロ

志希「あの映画チョーおもしろくてさー♪ あたし達にも出来そうかなーって思ったから、
   研究費稼ぐためにチャレンジしてみたの♪ 」ニャハハ♪

P「俺も映画を見ました。でもあの事件の後は、カジノ側もチェックがかなり厳しくなって
  そういう行為は簡単に出来なくなったと聞きましたけど……」






レナ「カードカウンティングなんてわかりやすいもんじゃないわよ。志希達がやったのは
   ディーラーの『匂い』を嗅ぎ分ける作戦だったの。プロでも見抜けないわよ」

ちひろ「ディーラーの匂いって…… 体臭って事ですか?」

志希「例えばだけどさ、緊張すると汗かくじゃん?それで体から出るニオイも変わるの。
   リラックスしてる時とか、落ち着きがない時とか、元気な時とかそうでない時とか
   同じ人のニオイでも気分によってちょーっとづつ違うんだよ?」

美優「志希ちゃんはそんなに細かくわかるの……?」

志希「うん♪ あたしとっても鼻がいいから♪」ニコッ





レナ「いいなんてもんじゃないわ。音葉ちゃんが音の流れが視える子なら、志希は匂いで
   相手の事が手に取るようにわかる子なのよ。志希は自分と同じような鼻の良い子や
   大学で匂いを研究してる仲間とベガスに乗り込んできて、カジノの客やディーラー
   相手に散々荒稼ぎしてくれたわ」ジロ

P「つまりこの子は相手が発する匂いから心理状態を読み取って、勝負所やタイミングを
  見極めていたというわけですか。にわかには信じられませんが……」

志希「そうでもないよ?カジノみたいないろんな匂いが混じってる場所でも、香水とか
   つけてると匂いが強くなったり弱くなったりするのがわかるしね~♪」ニヤリ





礼「ああ、それであんた買ったばかりの香水を使えなかったのね」ポン

レナ「そうなのよ!この子達は香水をつけてる女の客やディーラーばかりを狙って勝負を
   してたから、私もカラクリに気付くまで散々カモられたわ!1ヶ月のギャラが丸々
   吹っ飛んだ事もあったしね!」バンッ!!

志希「にゃはははは♪ でもあんなに早くバレるとは思わなかったなー。レナちゃんが
   いなかったら、もうちょっとお小遣い稼ぎが出来たんだけどね~♪」ニャハハ♪

レナ「こっちは生活かかってたのよ!あの時はあんたのせいで私もディーラのみんなも
   しばらくジャガイモしか食べられなかったんだからね!」グワッ!!

志希「いいじゃんジャガイモ美味しいじゃん。研究に犠牲はつきものなのだ♪ 」キリッ





P「あの~、それでレナさん、お願いがあるんですけど……」オズオズ

レナ「なによ!? 」ギロッ!!

礼「落ち着きなさいよレナ。まだPさん何も言ってないわよ」ドウドウ

P「それがですね、志希が来たのは事務所の予定外でしたので寮の手配がまだでして。
  本人はホテルでも借りて泊まると言ってますが、やはり未成年の女の子ですので
  今日だけでもレナさんのマンションに泊めて戴けないかと……」ポリポリ





ちひろ「プロデューサーさんも最悪のタイミングで言いますね……」ハア…

美優「で、でも志希ちゃんも知り合いのいない東京で1人でいるよりは、仲の良い
   レナさんと一緒にいた方が……」オロオロ

レナ「仲良くないわよ!それにベガスにケンカ売ったような子が東京で心細い気持ちに
   なるわけないでしょうが!この子を泊めるなら愛海を泊めた方がマシよ!」ムキー!!






***



―事務所外―



志希「ねーねーレナちゃん、あたしどうなるのー?」ブラブラ

レナ「黙ってなさい。それからちゃんと服着なさいよ。風邪引くわよ」ピポパ

志希「えー?こういうファッションが東京の女子高生の間では流行ってるんじゃないの?
   ヘソ見せチラリズム♪ 的な?」ヒラヒラ

レナ「夏でもないのにそんなカッコしてるバカいないわよ。大体あんた高校生じゃない
   でしょうが。ちょっと電話かけるから静かにしてて」プルルルル…プルルルル…





夏美『レナさん?どうしたんですか?』ハア…ハア…

レナ「あ、ごめんね夏美ちゃん急に電話して。……息荒いけど今大丈夫?」

夏美『ええ、いつもの居酒屋で飲んでるんですけど… ちょっ!? 麻理菜さん落ち着いて!
   佐藤さんもストップストップ!』バタバタ!!

心『佐藤さんじゃなくて『しゅがーはぁと』って呼べって言ってるだろ☆』キャルーン☆

麻理菜『だから26でそのキャラはキツいって言ってるでしょ!おじさんとおばさんが
     泣くわよ!ていうか私も泣きたいわよ!』ギャーギャー

早苗『あはは最高じゃん!ナナちゃんも呼べば良かったわ!』ゲラゲラ





夏美『笑い事じゃないですよ!……すみませんレナさん、何の話でしたっけ?』ゼエゼエ

レナ「な、何だかそっち大変そうね…… 佐藤さんって誰なの?」

夏美『麻理菜さんの高校の同級生らしいんですけど、アイドルになった麻理菜さんを見て
   長野から東京まで出て来られたみたいです。それ自体は構わないんですけど、少し
   アイドルとしての方向性がパッションを通り越してビッグバンというか……』




心『シュガシュガスウィート☆ しゅがーはぁとでーす☆ アナタのはぁとをシュガシュガ
  スウィート☆ さぁ、みんなも一緒に~♪』

麻理菜『それ以上寝言ほざいたらビール瓶で頭カチ割るわよ!』ガタタッ!!

早苗『ここまでぶっ飛んでるのはなかなかいないわよ!この子すごい逸材よ!』ゲラゲラ

夏美『だから笑ってないで止めて下さいってば!このままだと刑事事件になりますから!
   …………そ、それでレナさん、何の話でしたっけ?」ゼエ… ゼエ…

レナ「い、いや、やっぱりいいわ。ごめんね取り込み中に。みんなによろしく」ピッ





レナ「早苗さんはともかく、夏美ちゃんか麻理菜なら志希を預けても大丈夫かなって
   思ったんだけどそれどころじゃなさそうだったわね……」ハア…

志希「交渉シッパイってカンジかなー?」ニヤニヤ

レナ「うるさいわね。宿を探してあげてるだけありがたいと思いなさいよ」ジロリ

志希「別にあたしはホテルでもいーよ?あっちの大学にいた時は、研究室の床とかに
   ダンボール敷いてよく寝てたし♪」

レナ「あんたもアイドルやるんだったら、これからはもうちょっと美容とか健康とかに
   気を遣いなさい。言っとくけどアイドルの仕事はあんたが思ってるより大変よ?
   私もまだアイドルとしては新人だけど……」





志希「やっぱり優しいねレナちゃんは。そういう所もダイスキ♪」ダキッ

レナ「だからくっつくなって!……ああもう、私も寒いからちょっとだけよ」ポンポン

志希「レナちゃんはあたしのコトをわかってくれる…… あの時もあたし達の事を必死で
   調べてくれて、あたし達『ギフテッド』をわかってくれようとしたもんね。あたし
   レナちゃんに会えてとっても嬉しかったんだよ?」ニコッ

レナ「あのまま大損を出し続けてたら、私達がクビになってたかもしれないからそうした
   だけよ。それに手の内が分かってないのにあんた達を追い出したらベガスが負けを
   認めたようなものになるし、あんたにはちゃんとゲームで勝ちたかったわ。結局、
   上層部があんた達を全員出禁にしちゃったけどね」フン





志希「それが正しい判断だよ。あたし達はフツーの人には理解出来ない人種なんだから、
   無理に分かり合おうとしないで棲み分けるべきなんだよ。ゾーニングってやつ?
   君子危うきに近寄らずとも言うかな」ニャハハ

レナ「思い上がってんじゃないわよ。私に言わせれば、あんた達はただの薬品オタクで
   匂いフェチの集まりよ。私達一般人の事なんて何もわかろうとしなかったくせに、
   分かった気になって調子に乗ってたから見抜かれたのよ。ギフテッドだか何だか
   知らないけど、私はもう二度とあんたに負ける気はしないわよ」ニヤリ

志希「にゃはは~♪ あの時もレナちゃんにそう言われたよね~。あたし初めてカジノに
   行った時からレナちゃんの匂いダイスキだったよ♪ プロデューサーもイイ匂いが
   するけど、レナちゃんの匂いもスキかな~♪」スンスンスンスン

レナ「私は匂いを嗅がれて喜ぶ性癖は持ってないわよ!やめなさいっての!」ジタバタ!!





志希「確かにレナちゃんの言う通り、あたしはゴーマンになってたよ。それで研究室を
   出てフツーの子達とフツーの生活をしてみたら、それはそれで結構楽しかったの。
   昔はみ~んなあたしの事をわかってくれないのがイヤで日本を出て行ったのに、
   及川牧場の牛乳がまた飲みたくなったのもレナちゃんのおかげかな♪」

レナ「ああ、そういえばあんたの地元って岩手だったわね。確か雫ちゃんの牧場からも
   そんなに離れてなかったような……」ナデナデ

志希「やだ、レナちゃんってあたしのストーカー?」

レナ「ち、違うわよ!あんたの事はあの時に徹底的に調べ上げていたから、情報として
   たまたま知ってただけよ!それだけだから!」アセアセ





志希「照れんな照れんな~♪ あたしもレナちゃんダイスキだから♪ そんなレナちゃんが
   ディーラー辞めて転職したんだし、アイドルってすっごく面白いんだね?」

レナ「まあ退屈はしないわよ。大変な事も色々あるけど、ギャンブルよりもスリリングで
   刺激的な事もいっぱいあるしね。でも美優さんみたいに真面目に仕事をしてる人も
   いるから、あんまりフザけちゃダメよ?」

志希「だから美優ちゃんのマンションに泊めさせてくれなかったんだね。でも礼さんの
   マンションもダメだったのはどして?」

レナ「あんたが礼の影響を受けちゃうと、礼のフェロモンとか研究しそうでますます手が
   付けられなくなりそうだしね。出来るだけ普通で、かつ変人のあんたを受け入れて
   くれるような人となるとなかなか見つからないのよ」ウ~ン…





志希「あたしはレナちゃんが適任だと思うけどなー。それよりあたし、お昼アイスしか
   食べてないからお腹ペコペコなの。どこでもいいから早く宿見つけてよー」

レナ「仕方ないわね。じゃあ私の実家に行くわよ。あんたを私のマンションに入れるのは
   イヤだし、母さんがご馳走でも作ってくれるかもね」ヨイショット

志希「レナちゃんって東京の人だったんだ。でもいきなりお邪魔しちゃってもいいの?
   あたしは嬉しいけど迷惑じゃないかなー?」

レナ「いいのよ。ディーラーやってた時は無理だったけど、今は東京にいるからいつでも
   帰れるし私もたまには親孝行しないとね。あんたも付き合いなさい」スタスタ

志希「はーい♪ お世話になりまーす♪」スタスタ

レナ(真奈美がいればあの子のマンションに放り込むんだけど、長期ロケで出張だしね。
   帰って来るのは明後日だったかしら……?)フウ






***



―その頃・青森県大間のとある旅館にて―



『スペシャル特番・みくの魚嫌いを治せin大間 ~マグロ一本釣りからフルコースまで~』



みく「イヤにゃ~!もう魚を見るのはイヤにゃ~!」ジタバタ!!

のあ「往生際が悪いわよみく。アーニャ、みくの足を抑えなさい」ハガイジメ

アーニャ「ダー。おとなしくするのですみく」ガシッ






みく「真奈美チャン助けるにゃ―――――っ!! 愛海チャンよりこの2人の方がお仕置き
   されるべき悪の権化にゃ―――――っ!! 」

真奈美「すまないみく…… 私も助けてやりたいところだが、日中のマグロとの死闘で
    体力を使い果たしてしまった。悪いが自力で脱出してくれ……」グッタリ

みく「ふぎゃ―――――っ!! みくはもう猫アイドルやめるにゃー!にゃんにゃんにゃんは
   雪美ちゃんでも入れて活動すればいいにゃ―――――っ!! 」






七海「お待たせしました~。まずは1品目の『マグロのカブト煮』です~。ほほ肉と
   目のまわりがと~っても美味しいんれすよ~♪」スタスタ



カブト煮「」ギョロリ

みく「」カクン

のあ「急に静かになったわ。気を失ったのかしら」ペチペチ

七海「無理に起こすのもかわいそうれす~。サバオリくんを枕にしてあげましょう~」サッ






アーニャ「七海は優しいですね。私達と一緒にアイドルになりませんか?」ナデナデ

七海「え、ええ~!? 七海がアイドルですか~?そ、それよりも他のマグロ料理もたくさん
   お持ちしますから、いっぱい食べてくださいね~」テレテレ

真奈美(気絶したみくをかいがいしく介抱し、私達の為に美味しい料理を運んでくれる
    心優しい少女のはずなのに、鬼に見えるのは気のせいか……?)



―――結局みくがそのまま目を覚まさなかったのでにゃんにゃんにゃんの食事シーンは
    カットされ(のあとアーニャは美味しく戴きました)、番組は真奈美のマグロ一本
    釣りのシーンを編集した『マグロv.s.マナミ』に改編された



おわり






 新キャラ見てたらつい書きたくなってしまった。カッコいいですね志希。どの属性でも
いけそうなのによくキュートに来てくれた!と思いました。作者はCoPですがw
 ついでにみくにゃんひどいことしてごめんなさい。志希としゅがーはぁとを出したら、
七海も出さないといけない気がしたんだ。ファン続けるから頑張って下さい(他人事)。
しゅがーはぁとも色々と頑張れ。歳が歳だけに。では





一ノ瀬志希(18)
http://i.imgur.com/S5cgr4g.jpg





及川雫(16)
http://i.imgur.com/vtz3cAv.jpg

三船美優(26)
http://i.imgur.com/OKlQTVI.jpg




兵藤レナ(27)
http://i.imgur.com/IPqO1qZ.jpg

篠原礼(27)
http://i.imgur.com/7p2jB5v.jpg





相馬夏美(25)
http://i.imgur.com/Ji72J9w.jpg

佐藤心(26)
http://i.imgur.com/A1cCMjh.jpg

沢田麻理菜(26)
http://i.imgur.com/dEDJOxH.jpg

片桐早苗(28)
http://i.imgur.com/jgur7SW.jpg





前川みく(15)
http://i.imgur.com/LTOqyl5.jpg

高峯のあ(24)
http://i.imgur.com/1e5ML1x.jpg

アナスタシア(15)
http://i.imgur.com/AwJ76wg.jpg






木場真奈美(25)
http://i.imgur.com/zoLhnje.jpg

浅利七海(14)
http://i.imgur.com/TEizcj1.jpg




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