木場真奈美「プロミネンス」 (143)



モバマスお姉さんシリーズです。

前回

高橋礼子「絶対女王政」




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―LIVEバトルから一週間後・オランダにて―


レナ「よし!50個達成!あいたたた、ずっとしゃがんでいると腰が……」ポンポン

惠「ふふ…… 今は土の中だけど、春には明るい太陽の下で綺麗な花を咲かせてくれる
  かしら……?その頃にまたここに来たら会いに来るわ……」ナデナデ

レナ「チューリップの球根とおしゃべりしてないで埋めなさいよ。今夜の飲み代はこの
   バイトの出来次第なんだからね」ジロ





―LIVEバトルから一週間後・オランダにて―



レナ「よし!50個達成!あいたたた、ずっとしゃがんでいると腰が……」ポンポン

惠「ふふ…… 今は土の中だけど、春には明るい太陽の下で綺麗な花を咲かせてくれる
  かしら……?その頃にまたここに来たら会いに来るわ……」ナデナデ

レナ「チューリップの球根とおしゃべりしてないで埋めなさいよ。今夜の飲み代はこの
   バイトの出来次第なんだからね」ジロ





芽以子「二人とも~!そろそろ休憩入れようよ!近くに良い店あるんだって!」

惠「いいわね。風車でも眺めながらゆっくりランチでもしましょう」スタスタ

レナ「ホントにマイペースねあんた達って。私がセコセコしすぎなのかしら……?」




兵藤レナ(27)
http://imgur.com/PYuGNaC


伊集院惠(21)
http://imgur.com/bs9JsF8


並木芽以子(22)
http://imgur.com/m7maWkA





兵藤レナ(27)
http://i.imgur.com/PYuGNaC.jpg

伊集院惠(21)
http://i.imgur.com/bs9JsF8.jpg

並木芽以子(22)
http://i.imgur.com/m7maWkA.jpg






―カフェ―



レナ「へえ、それじゃ芽以子は来週には日本に帰っちゃうの?」パクパク

芽以子「うん!そろそろ帰らないと貯金もヤバいしね。またバイトしなくちゃ♪」モグモグ

レナ「自由ねあんたは。惠はどうするの?」

惠「特に決めてないわ。まだオランダも行ってない所が沢山あるしね。元々自由気ままな
  一人旅だし、日本に戻るのはもう少し先ね」パク





芽以子「ねえねえ二人とも、日本に戻ったら和歌山に来ない?私の故郷なんだけど、いい
    ところなんだよ。あったかい温泉もおいしいクエ鍋もあるよ!」

レナ「和歌山ねえ。楓の地元だったかしら。行った事ないわね」パク

惠「レナさんって旅慣れしてる感じはしないわね。外国は行き慣れてるみたいだけど、
  旅行はあまりした事ないんじゃない?」

レナ「そうね。ディーラーになる前はあちこちの国のカジノに行って修行していたけど、
   こんな風に観光した事はなかったかしら。とにかく毎日必死で稼いでいたし」

芽以子「まさにギャンブラーって感じだよね!カッコいいな~!」キラキラ

レナ(ちょっとだけアイドルもやってたんだけどね…… でも二人とも私の事を知らない
   みたいだし、自分から言うのもカッコ悪いから黙ってよっと)パク




惠「どうしてオランダに来たの?ヨーロッパだったら、イタリアとかフランスとかの方が
  旅行先としてはメジャーだと思うけど」モグモグ

レナ「昔カジノに来たお客さんにチューリップが好きな人がいてさ。それでどんな国で
   咲いてるのか興味があったから来てみたの」

芽以子「はは~ん♪ さてはレナさん、そのお客さんの事が好きだったんだね?」キラン☆

レナ「え!? そ、そそそそそんな事ないわよ!大体その人結構オジサンだったし、それに
   奥さんもいたみたいだし……」アセアセ

惠「不倫の果てに失恋して傷心旅行というわけね。次は良い恋が出来るといいわね」フッ…

レナ「違うわよ!! なんでそうなるのよ!? 私そんなに惨めな女に見えるの!? 」グワッ!!




芽以子「でもワケありっぽくは見えたよ?最初にレナさんを街で見かけた時に、レナさん
    ちょっと寂しそうな目をしてたし」ジロ

惠「LIVEバトルのオープニングはとても楽しそうにやっていたのにね……」ニヤリ

レナ「あ、あんた私の事知ってたの!? 」ギョッ!!

惠「ふふ…、私の親戚にレナさんと同じ業界で働いている子がいるのよ。最近事務所を
  辞めたみたいだから、まだ活動しているかどうかは知らないけどね」




芽以子「ん?惠ちゃんの親戚にカジノで働いてる人がいるの?」キョトン

惠「似たような業界ではあるわね。もしかしてあの子あなたにも迷惑をかけたかしら?
  結構プレイボーイみたいだし、20歳なのに恋愛経験豊富みたいだから」

レナ「だから違うって言ってるでしょうが!! あんたの親戚がどこの誰だか知らないけど、
   ハタチそこらのガキには興味ないわよ!! 」ガタッ!!

芽以子「じゃあ友達とケンカでもしたの?それで気まずくなって逃げてきたとか?」



レナ「あんたはさっきから遠慮がないわね…… でもあながち間違ってはいないかしら。
   失恋もケンカも、ちょっとづつかすっているわ」フウ





惠「旅の恥はかきすてよ。私達に話して楽になったら?」フフッ

芽以子「そうそう♪ ここで知り合ったのも何かの縁だしね♪」ニコッ

レナ「あんた達が聞きたいだけでしょ。悪いけどそんなに面白い話じゃないわよ。どう
   しても知りたいなら飲み会の時に教えてあげるわ。ほら休憩おしまい!さっさと
   午後の分働くわよ!」パンパン





***



―同日夜日本・真奈美のマンションにて―



早苗「さぁ真奈美ちゃん!ネタはあがってんのよ!さっさと白状してレナちゃんと仲直り
   しなさい!ケンカしたままなんてお姉さん許さないからね!」バンッ!!

真奈美「いきなり3人で押しかけて来たかと思えば、何の事だ?」キョトン

ベテトレ「すまん夜分に。私は明日にしようと言ったのだが……」





夏美「あんたも聞いたでしょ?私達はプロデューサーからレナさんが辞表出したって
   聞いたから、あんたがレナさんとケンカでもしたんじゃないかって思って来た
   のよ。私達の知らない所で何かあったんじゃないの?」ジロリ

早苗「真奈美ちゃんがLIVEバトルに来てなかったのが何よりの証拠よ!」ビシッ!!

真奈美「心外だな。私はレナがベガスに渡ってから一度も会ってないし、連絡も取って
    いないぞ。LIVEバトルに行かなかったのは他に用があったからだ」プイ

夏美「瞳子の応援をしようとか思わなかったの?この薄情者」ジト

真奈美「瞳子にも怒られたよ。ちゃんとLIVEが終わった後にあいつにメールを入れた
    のだが。結果は分かりきっていたし、LIVEバトルはトレーナーの時に飽きる
    ほど見たから大して興味もなかったのだが」ポリポリ




木場真奈美(25)
http://i.imgur.com/LuGmw5E.jpg

片桐早苗(28)
http://i.imgur.com/4NUGV2n.jpg

相馬夏美(25)
http://i.imgur.com/9UpeHkh.jpg

ベテラントレーナー(26)
http://i.imgur.com/q7CTIRb.jpg





真奈美「ベテ、お前はレナとあいと一緒にCGカンパニーに居たのだろう?ならば大体
    事情は聞いているのではないのか?少なくともマスは知ってるぞ」ジロリ

ベテトレ「お前とCGカンパニーのつながりは聞いたが、お前とレナさんのつながりは知ら
    ないぞ。姉さんは全て知ってるみたいだが、真奈美の口から聞いた方がいいと
    言われて教えてくれなかった。姉さんはMBプロにも言ってないはずだ」



真奈美「そうか。あいつも妙な所で気を遣うのだな。話してくれても良かったのだが」フッ





ベテトレ「姉さんはお前だけじゃなくて、レナさんの事も気遣っていると思うぞ。私達姉妹は
    お前がトレーナーの頃から親交があるが、今は1人のアイドルとして公平な立場で
    接する事を心がけているからな。それに私も今回はレナさんに助けてもらって
    大きな借りがあるし、出来るならあの人の力になりたい」

真奈美「どこが公平だ。随分私に分が悪い気がするのだが?だが堅物のお前がそこまで
    干渉するのは珍しい。お前もすっかりレナの虜になったという事か」ジロ

ベテトレ「いや、だから私はあくまで公平な立場でだな…… それにお前にも私がいない間に
    トレーナーをしてもらったし、二人が仲違いしているのは心苦しい……」アセアセ





真奈美「ふふっ、少し意地悪をしてしまったな。安心しろ、私もこのままにするつもりは
    ない。ケンカをしているわけではないが、レナとは少々因縁があってな」フッ



早苗「よく分からないけど、真奈美ちゃんもレナちゃんと仲直りする意志はあるのね?
   だったら私達も協力するわよ。レナちゃんも逃がさないんだから!」ニコッ

夏美「ちょっと先走りしすぎですよ早苗さん。まず二人に何があったのかを聞かないと。
   あのレナさんがしっぽ巻いて逃げるくらいだし、単純な話じゃないでしょ?」

ベテトレ「……」ゴクリ





真奈美「確かにややこしい話かもしれんな。見方によっては男女間の三角関係みたいな
    ものだし、レナを連れ戻しても簡単には解決しないだろう」フム

夏美「え!? なにそれ!! あんたレナさんと男を奪い合ったの!? 」ガバッ!!

早苗「がっつき過ぎよ夏美ちゃん。ちょっと落ち着きない」ドウドウ



真奈美「いや、私とレナではない。『私の母』とレナだ」サラリ



夏美「は?」ピタ



早苗「え?」キョトン





ベテトレ「あの噂は真実だったのか。まさか『師匠』がそんな事を……」クラクラ…

夏美「ちょ、ちょっと聞こえなかったんだけど、もう一度話してくれない……?」オロオロ

早苗「そ、そうね。私も最近耳が遠くて、聞き間違える事が結構あってさ……」アタフタ



真奈美「身内の恥を晒す様であまり言いたくないのだが。レナは『私の父』の浮気相手だ。
    娘ほど歳の離れた女に走るなど、父も正気の沙汰ではないな」



夏美・早苗「「ええええええぇぇぇぇぇぇっっっっっっ~~~~~~!!!??? 」」ガタタッ!!






―――



真奈美「私の父はマスと同じで、マスターレベルのトレーナーだった。世界中に生徒と
    弟子を持っていて、マスとベテは父の元弟子だ。私がトレーナーになった時は
    既に引退していたが、この業界にいると今でも父の名は耳にするよ」ゴクゴク

ベテトレ「師匠は姉さん以上の伝説のマスタートレーナーだったからな。世界中を飛び回って
    数多くのトップスターを育て上げたし、姉さんの様な優秀な弟子も世に輩出した。
    今でも私達トレーナーの憧れだし、引退したのが悔やまれるよ」グビッ

真奈美「ふんっ、伝説の男か知らんが、家族の私に言わせてもらえば迷惑な父親だったよ。
    家にはほとんどいなかったし、帰って来たと思えば無理矢理アメリカに連れて
    行かれた事もあった。仕事一筋で、母もよくついて行ったと思うよ」ムスッ





早苗「真奈美ちゃんはあまりお父さんと仲良くなかったの?」グビッ

真奈美「父と娘の関係というよりは、ベテと同じで師匠と弟子の関係だったな。父との
    思い出と言えばレッスンをしていた記憶しかない。そんな父に反発して上京し、
    スタジオボーカリストになってからは疎遠になった」ゴクッ

ベテトレ「しかしまさかお前が師匠の実の娘だったとはな。CGカンパニーで聞かされた時は
    驚いたぞ。私には自分も弟子の1人だと言ってたのに何故隠していたんだ?」

真奈美「父の名前で仕事をすると、色々と余計なしがらみが多そうだったからな。それに
    父が若い女ディーラーと浮気をしているという噂が流れた後だったし、娘として
    恥ずかしくて名乗れるか。木場は母の旧姓だ」フンッ




ベテトレ「だがあの噂は師匠を貶めようとする連中の謀略だと業界では半信半疑だったぞ。
    私も師匠がそんな人間ではないと信じていたし……」

真奈美「弟子として信じたくない気持ちも分かるが、浮気をしていた女ディーラーが
    実在しているのが何よりの証拠だ。それに父も認めている」ゴクッ

夏美「ちょ、ちょっとタンマ…… みんなもうちょっとペースを抑えてよ…… ただでさえ
   ぶっ飛んでる話なのに、ウォッカをガブガブ飲みながら話せないって……」ウップ

真奈美「父の浮気話など馬鹿馬鹿しくてシラフで話せるか。絶対に誰にも言うなよ?
    ベッドなら貸してやるから、遠慮なく酔い潰れていいぞ」ゴクッ

夏美「あ、あんた最初から、強いお酒で私達の記憶を消すつもりじゃないの……?」ジロ





真奈美「父とレナの出会いだが、CGカンパニーが関係している。今から3年前の話だ。
    当時父はハリウッドのCGカンパニーと契約をしていた。映画製作が専門の
    CGカンパニーが新たに歌手部門を立ち上げ音楽業界に参入する計画を立て、
    そのプロジェクトの責任者が父だった」



早苗「へえ~、じゃあ真奈美ちゃんのお父さんってCGカンパニーの大恩人じゃないの。
   もしかして今回CGカンパニーがMBプロを助けてくれたのは、真奈美ちゃんが
   MBプロにいたから?」





真奈美「CGのボスは義理堅い男だからな。父は最先端のステージやパフォーマンスを見学
    する為に、ショーの聖地であるラスベガスに度々出張していたそうだ。その時に
    カジノでディーラーをしていたレナと知り合ったらしい」

ベテトレ「最初は客とディーラーとしてか。しかしあの仕事人間の師匠がカジノで遊ぶ姿など
    想像がつかないな。ましてやレナさんと浮気なんて……」ウ~ム



真奈美「父の肩を持つつもりは毛頭ないが、レナとカジノに行った今のお前なら多少は
    理解出来るのではないか?カジノにいる時のあいつは女の私から見ても魅力的
    だったし、父も見蕩れたのかもしれないな―――――」






***



―オランダ・夜のパブにて―



レナ「もう3年くらい前になるかしら。私がベガスのパーティー会場内のカジノで仕事を
   してたら、50ちょい過ぎのダンディな日本のオジサンが来たの。背がとても高くて
   スーツが決まっていたから、最初は俳優かと思ったわ」グビッ

芽以子「運命の出会いみたいな?それでレナさんは一目惚れしちゃったんだね♪」ニヤニヤ

レナ「私はそんなに安い女じゃないわよ。俳優やモデルはよくカジノに来るから見慣れて
   いるし、カッコ良いだけの男は興味ないわよ。オジサンは私のテーブルに座ると、
   『一緒に踊ってくれないか?』って私に頼んだの」





惠「ダンスのお誘いね。いかにも恋が始まりそうな雰囲気じゃない」ニヤニヤ

レナ「始まらないわよ。私はディーラーの仕事があるし、悪いけど断ったのね。だけど
   オジサンは引き下がらなかったの。このままだと埒があかないと思った私は、
   『じゃあ私に勝ったら一曲踊ってあげますよ』って条件を出したわ」

芽以子「わおっ♪ カッコいいねレナさん。まるで映画みたい♪」ケラケラ

惠「で、オジサンは勝負を受けたの?」

レナ「ええ。『わかった。約束は守ってくれよ』って自信満々にね。正直ムカっと来たわ。
   ベガスのディーラーにポーカー勝負を挑むなんていい度胸してるじゃない、丸裸に
   してやる!と思ってチップを相場の10倍くらいふっかけたの。でもオジサンは
   涼しい顔して、チップをテーブルに山積みにしたわ」グビッ





芽以子「もちろんレナさんが勝ったんだよね?なんたって天下のベガスのディーラー
    なんだし、負けたらカッコ悪いもんね♪」グビッ



レナ「」ピタ



惠「芽以子ちょっと黙ってなさい。こういう展開って大体は……」





レナ「ええ!負けたわよ!天下のベガスのディーラーの私は瞬殺されたわよ!何か文句
   ある!? そのオジサンは私のプレーをずっと見ていたみたいで、私のクセとか全部
   把握していて全く歯が立たなかったわよ!! 」グワッ!!

芽以子「ちょ、ちょっと落ち着いてレナさん……」ドウドウ

惠「という事は、そのオジサンと踊ったの?」

レナ「約束だったしね…… あれこれ言い訳するのもカッコ悪かったし、一曲くらいなら
   別にいいかと思って。でもいざ踊ると『足を出せ』だの『腰が引けてる』だの、
   あれこれ注文つけてきて、挙句に『君は全く成長しないな』って呆れられたわ。
   今思い出してもムカつく……」イライラ





惠「そのオジサンはダンスの先生だったのかしら?それともダンサー?」

レナ「ショービジネス業界で有名なトレーナーだったの。『上客だから絶対逃すなよ!』
   ってカジノのチーフに言われたけど、どうしてディーラーの私がダンスレッスンを
   されなくちゃいけないのよ!ってチーフとケンカしたわ。それでパーティー会場の
   ディーラーを外されて、オジサンとはそれっきりになるはずだったんだけど……」



レナ「オジサンはまた私の前に現れたのよ。真っ赤なチューリップの花束を持ってね。
   ダンスの次はデートのお誘いだったわ―――――」






***



ベテトレ「師匠の観察眼と記憶力は異常だったな。一度見た振付けや聴いた歌声は完全に記憶
    していたし、どんな些細な失敗や手抜きも決して見逃さなかった。逆に少しでも
    成長していると、それを見つけて最大限伸ばしてくれた。まさにトップアイドル
    を生み出すために存在しているような人間だったよ」ウットリ

真奈美「重箱の隅をつつくようにちまちま細かい部分を指摘してきて、あまり気分のいい
    ものではなかったがな。『お前は全く成長していないな』と、まるで口癖のように
    よく言われたよ。今思い返しても腹が立つ……」ムカムカ

早苗「あはは!真奈美ちゃんがきっちりしてるのはお父さん譲りじゃないの?」ケラケラ





真奈美「実に癪だが否定出来ないな。だが父のアドバイスは的確で成果も出ていたから、
    仕事面だけは尊敬していたよ。仕事面だけだがな」ゴクゴク

夏美「ふにゃ~…… もうダメ~……」ヒック

ベテトレ「夏美はそろそろ限界だな。ベッドに運んでくるよ」ヒョイ

夏美「さなえさ~ん…… あとはよろしく~……」ウ~ン

早苗「はいはいおやすみ~」ヒラヒラ





 <ホラ、シッカリシロ <シルキーランディングプリーズ… 



真奈美「だらしない奴だ。もう少しいけるクチだと思っていたが」ゴク

早苗「夏美ちゃんはお酒というよりは、真奈美ちゃんのお話に酔っちゃったのよ。ほら、
   真奈美ちゃんも前に楓ちゃんの精神攻撃(ダジャレ)で悪酔いしちゃったでしょ?
   あれと同じみたいなものよ」グビ



真奈美「なるほどな。確かに自分の父親の浮気相手と一緒に仕事するなど、普通では考え
    られないか。私も自分が何をしたいのか時々分からなくなる事がある」フム






早苗「無理に答えを求めなくてもいいんじゃない?参考程度に聞いて欲しいんだけどさ、
   私は真奈美ちゃんは真奈美ちゃんとして、レナちゃんと付き合っていけばいいと
   思うわよ。真奈美ちゃんももう大人だし、親の問題に子は無関係でしょ」

真奈美「そうだな。私もこのまま素知らぬ顔をしていても良かったのだが、今回の騒動で
    レナがCGカンパニーに逃げ込んだから全てバレてしまった。まったく、よりに
    よってどうしてあそこに助けを求めたんだあいつは……」ブツブツ

早苗「ふふっ、それを言ったらレナちゃんは真奈美ちゃんをアイドルに誘った時点で地雷
   踏んだも同然よ。ホントにあの子は『持ってない』子ね」ニヤリ

真奈美「そうだな。茄子ほどの幸運はなくても、よく今まで勝負の世界で生きて来られた
    ものだと逆に感心するよ……」フッ





ベテトレ「待たせたな。夏美はしっかり寝かせて来たぞ」スタスタ



真奈美「ご苦労だったな。それでは続きを話そうか。いよいよお待ちかねのレナの登場だ」

早苗「よっ!待ってました!……って、喜んでいいのか複雑な気分ね。レナちゃんが出て
   来るって事は真奈美ちゃんのお父さんがクロって事になるし……」

ベテトレ「私は信じないぞ。師匠は浮気するようないい加減な人ではない……」ブツブツ



真奈美「弟子のお前にそこまで信頼されているとは、父は幸せ者だな―――――」






***



レナ「パーティー会場から一番遠いホテルの小さなカジノにいたのに、オジサンは迷わず
   まっすぐに私の所に来たわ。どうやらベガスの上層部に聞いたみたいで、私は最初
   から逃げられなかったの」ハア

芽以子「厄介な人に目を付けられちゃったね。でもその人、奥さんいたんだよね?」

レナ「ええ、それどころか私と同じ歳くらいの娘がいるって言ってたわ。言いたい事は
   いっぱいあったけど、とりあえず『どうしてバラじゃなくてチューリップなの?』
   って聞いてみたら『長崎の生まれだからだ』ってイマイチかみ合ってない返事が
   返ってきたわ。ついでに『妻と娘が好きでな』とも言ってたっけ」






惠「変わった人ね。それとも長崎の男の人ってチューリップの花束を女に渡すの?」



レナ「それ以前に奥さんと娘さんの名前出して、しかも二人の好きな花を私に渡して誘う
   時点でありえないわよ。面と向かって『不倫しませんか?』って言ってる様なもの
   じゃない。そんなヤバそうなデート誰が行くのよ」グビッ








芽以子「確かにそれはナシね。でもベガスに顔が利くダンディかあ。デートするくらい
    いいじゃん。あちこち楽しい所に連れて行ってくれそう♪」アハハ

レナ「あんたは旅行が出来たら二号さんでもいいの?もっと後の事をよく考えなさいよ。
   で、私はもちろん断ったけど、そしたらオジサンは『ではポーカーで勝負をして、
   私が勝ったらデートしてくれ』って言って来たの」



惠「あ、この展開は……」





レナ「あともうちょっとだったのよ!あともうちょっとで勝てたのよ!オジサンも『次は
   私が負けるかもしれないな』って言ってたし!」ドンッ!!

芽以子「そ、それで結局オジサンとデートに行ったの?」

レナ「約束だったしね…… チューリップの花束持ってベガスで一番高い劇場のショーを
   見に行ったわよ。正直最初は全然興味なかったけど、でも高いだけあってすっごく
   面白かったわ。その後は高級レストランに行って、ディナーのフルコースをご馳走
   して貰ったわ。あの時のステーキ美味しかったなあ……」ジュルリ



芽以子「がっつり浮気デート楽しんでるじゃん……」ジト



レナ「しょ、しょうがないじゃない!心の中では奥さんと娘さんに死ぬほど謝ったわよ!
   それにデートに連れて行かれてその日のギャラはパーになったんだし、どうせなら
   楽しまなきゃ損でしょ!その後はアパートまで送ってもらって何もなかったから、
   ノーカンよノーカン!」アセアセ






惠「でもそれだけで泥沼に飛び込むのはリスクが高すぎると思うわよ」グビッ



レナ「私も『これは浮気じゃないから!罰ゲームで仕方なくデートしてるだけだから!』
   ってオジサンに何度も言ったわ。オジサンも笑いながら『私もそんなつもりはない。
   私が愛しているのは妻と娘だけだ』って言ってたし。それにオジサンは私とデート
   するよりも、私にショーを見せるのが目的だったみたい」グビッ






惠「もしかして自分の業界に誘っていたのかしら。前はダンスのレッスンだったのよね?」



レナ「私もそうじゃないかなって薄々思っていたけど、でもその時の私はディーラーが
   一番楽しかったし、転職なんて全く考えてなかったわ」



惠「でも今は……?」ニヤリ



レナ「……まぁ転職しちゃったけど、でもギャンブラーって生き方は変わってないわよ。
   どこに行っても私は私だから!」フンッ!!





芽以子「え?レナさんってディーラーさんじゃなかったの?ていうかさっきから私だけ、
    な~んか二人の会話から微妙にズレてない?」

惠「気のせいよ。それにあなたがずれているのは最初からよ」グビッ

芽以子「ひどくない!? なになに教えてよ!2人で何を隠してるのよ!? 」ブーブー!!



レナ「面白いわねあんた達。アイドルやったら人気出るかもね―――――」






***



真奈美「父は若い日本の女ディーラーに勝負をふっかけては、そのディーラーをあちこち
    連れ回したり色々やらせたりしていたらしい。当人達は否定していたみたいだが、
    彼女は父の愛人ではないかと噂されていたそうだ」ゴクッ

早苗「真意は分からないけど、真奈美ちゃんのお父さんがレナちゃんを気に入ってた事
   だけは確かみたいね。そうじゃないとそんな事しないでしょ」グビッ

ベテトレ「似たような噂は私も聞いていた。しかし私はそのディーラーは師匠のレッスン生か
    弟子だと思っていたよ。姉さんも昔師匠の助手として2人で1ヶ月くらい外国に
    出張した事があったし、私も食事に連れて行ってもらった事がある。だが師匠は
    もちろん、私達にもそんな噂は一度も立たなかったぞ」グビッ






早苗「なるほどなるほど…… つまり真奈美ちゃんのお父さんは、浮気をしようと思えば
   いつでも出来る状況にあったわけね?まるで今のP君みたいね」フムフム



真奈美「ふっ、P君も苦労しているようだな。今は独り身だが、もし彼が結婚でもしたら
    胃に穴が空くのではないかと心配になるよ。だがP君を見れば分かると思うが、
    そういう状況で働く人間は細心の注意を払っている。噂が立つだけでも致命傷に
    なりかねないからな。業界の長い父もそれはよく分かっていたはずだ」



早苗「真奈美ちゃんのお父さんがそんなミスをするはずないから、噂が立つこと自体が
   ありえないし異常だったって事ね?」ギラリ



ベテトレ「そう言われると確かにそうだが……」グヌヌ…






真奈美「そういう事だ。一応彼女は勝負に負けて渋々付き合わされているという体面を
    保っていたが、天下のベガスのディーラーが簡単に負けるので最初からわざと
    負けているのではないかと言われてたらしい。稀に彼女の方が勝つ事もあった
    そうだが、それすらも演技ではないかとな」フフッ



早苗「真奈美ちゃんのお父さんってそんなにポーカー強かったの?」



真奈美「さっきベテが言ってただろう。父は一度見た振付けや聴いた歌声は忘れないし、
    完全に記憶する男だ。おそらくそれを応用したのだろう。レナの動作や声の調子
    から手札を読み取る事くらい父には造作もない」ゴクッ






ベテトレ「だ、だが私とあいとベガスに行った時のレナさんは鬼の様に強かったぞ。どんなに
    窮地に立たされても絶対に笑顔を崩さなかったし、必ず逆転勝利をしてチップの
    山を築いていた。あの人が簡単に負けるはずがないと思うが。あ、でもそうだと
    すればレナさんはわざと負けて師匠と浮気をしていた事に……」ウ~ム



真奈美「良い所に気が付いたな。レナには『ディーラー』と『ギャンブラー』の二つの顔
    がある。お前が見たのはギャンブラーのレナだろう。普段のレナはディーラーの
    顔をしているから、貴重なものを見たのかもしれないぞ。あいつは普段は飄々と
    しているが、本性はもっと危険な女だ―――――」フッ






***



レナ「それから3ヶ月くらい私は勝負に負けて色々やらされたわ。ショーの前座にMCを
   させられたり、ダンスパーティーで踊らされたりね。ショーの偉い人達の食事会に
   連れて行かれて、まるでオジサンの愛人みたいに扱われた事もあったし」ハア

芽以子「いやもうそれ愛人でしょ。それとも有力なパトロンをゲットした感じ?」

レナ「ディーラー仲間から『ディーラー辞めてショーに転職するのか?』とか言われるし、
   愛人になって仕事をもらっているって噂も立ったし。下手なMCよりお客さんに
   ウケたから、ショーの人達はいつでも私を歓迎するって言ってくれたけどね」





惠「だからこの前LIVEバトルのオープニングセレモニーであんなに堂々としてたのね。
  本場仕込みのMCが出来るアイドルなんていないわよ」グビッ

芽以子「私も見たかったなあ。レナさんそういうの似合いそうだし、次のLIVEバトルは
    もちろんアイドルとして出場するんだよね?」キラキラ

レナ「どうかしらね。ウチの事務所は他にもアイドルがいっぱいいるし。それにこの先
   アイドルを続けるかも未定よ。今後の事もゆっくり考えるつもり」グビッ




惠「レナさんがいたのはMBプロだったかしら。ハリウッドのCGカンパニーが買収
  しようとしているとか風の噂で聞いたけど……」

レナ「その話は白紙になったわ。それにもし買収されていたとしても、CGカンパニーに
   悪いようにされなかったわよ。CGのボスとはオジサンつながりで顔見知りだけど、
   あの人とっても良い人だしね」

惠「へえ…、それはどういうきっかけで?」ジロ




レナ「このままじゃ本当にディーラーを辞めさせられてしまうって思った私は、ある日
   オジサンに怒ったのよ。私はショーの人間に転向する気はないし、ディーラーの
   仕事に誇りを持ってるって。だからあまりおかしな事やらせないでって頼んだの。
   オジサンは少し考えてから『わかった』って言ったわ」



芽以子「そんなに嫌ならそもそも勝負しなきゃよかったのに」グビッ



レナ「それは出来ないわ。私はディーラーだから断れないし、それに勝負から逃げるのは
   嫌だったのよ。もちろん私も色々と手を打っていたんだけど、オジサンはベガスの
   上層部とつながっていたからムダだったわ。じゃないと只のディーラーがショーに
   出るなんてありえないわよ」グビッ





惠「権力って怖いわね。それでどうなったの?」

レナ「抗議をした次の日に、私はカジノのチーフに呼び出されたのよ。ハリウッドにある
   CGカンパニーがパーティーをするらしくて、ディーラーを派遣してくれと依頼が
   来たって。ギャラも良かったし、ハリウッドまで社用のセスナを出してくれるって
   言うから私は引き受けたのよ」

芽以子「ディーラーって出張もするんだ。大変なんだね」グビッ



レナ「カジノがあるのはベガスだけじゃないからね。それでパーティー会場に到着して
   CGのボスに挨拶に行ったら、オジサンがCGのボスと待ってたのよ。『よく来て
   くれた。CGカンパニーにようこそ』って言われて私はやられたと思ったわ」





惠「仕組まれていたのね。彼はCGカンパニーの人だったのかしら?」



レナ「新規事業の立ち上げに協力していたんだって。私はまた変な事をさせられるかも
   しれないって警戒したけど、CGのボスに『今日はディーラーとして思う存分腕を
   振るってくれ』って言われて安心したわ。オジサンも『今日は忙しいから君と
   あまり遊べない』って残念そうに言ったし。私はありがたかったけど」



芽以子「今までの罪滅ぼしのつもりだったのかな。レナさんに怒られて、オジサンも
    少しは反省したんじゃない?」

惠「それならもっと早くにそうしてるでしょう。きっと別の狙いがあったのよ」





レナ「私も裏があるんじゃないかって疑ったけど、仕事モードに切り替えて思いっきり
   楽しもうって開き直ったの。おかげでカジノは大盛況だったわ」

芽以子「罠に嵌められて敵の本陣に飛ばされたのに?おまけにホームのベガスじゃない
    のによくやるね。私だったら目立たないように大人しくしてるよ」グビッ



レナ「ギャンブラーは自分の腕1本で生きているからね。カジノさえあれば私は世界の
   どこでも暮らせるわよ。日本にないのが本当に残念ね」グビッ






惠「ふふ…、逞しいわね。それでオジサンは何かしてきたの?」



レナ「いいえ。そもそもパーティーに出席してなかったしね」グビッ



芽以子「なんで?オジサンどこいっちゃったの?」



レナ「病院よ。パーティーが始まる前に血をいっぱい吐いて倒れたらしいのよ」



惠「な……っ!? 」ギョッ!!



レナ「オジサンは末期ガンだったの。もう長くなかったんだって―――――」




折り返し地点です。今で大体半分くらいです。
序盤に少々もたついてお見苦しい所を見せました。ただでさえ今回重いテーマなのにorz
一応あまり暗くならないように作りましたので、最後までお付き合い戴けると幸いです。

では私用で少々抜けますので、続きは20時以降に。

おっつおっつ、前作見てないですが見入ってた。探してみるか・・・

一つ気になったのが名前、並木芽以子じゃなくて芽衣子では?仕様だったらすみません

待ってた!木場さんだったかー


>>56
ぐは、やっちまった。最後の最後で名前間違いをするとは……死にたいorz
全国の並木芽衣子さんのファンの皆様、本当に申し訳ございませんでした。
100回紙に書いて覚えます。芽衣子芽衣子芽衣子芽衣子芽衣子芽衣子芽衣子

>>57
お待たせしました。少々設定が強いですが、木場さんの魅力を引き出せる
ように頑張ります。最後までお付き合いください。

それでは続きをどうぞ。




***



レナ「パーティーが終わって帰り支度をしていたら、CGのボスが私の所に来たのよ。
   私は今日のお礼を言って、ついでにパーティーの間ずっと見なかったオジサンが
   どこにいるか聞いたの。何も言わずに帰るのも悪いと思ったしね」



レナ「CGのボスは少し迷ってから、私に事情を話して病院に連れて行ってくれたわ。
   オジサンはベッドで寝てたけど、私が来たら体を起こして『みっともない所を
   見られてしまったな』って気まずそうに笑ったわ」






レナ「オジサンは私にこれまでの事を説明してくれたわ。ある程度CGのボスから聞いて
   いたけど、オジサンが私に近づいたのはCGカンパニーの為だったの」



レナ「今回のパーティーはCGカンパニーが新しく歌手部門を設立したお祝いだったわ。
   オジサンの仕事はCGカンパニーで歌手を育成して、ベガスに送り込む事だった。
   でもいくらオジサンがベガスに顔が利いても、新参者のCGの歌手をステージに
   立たせる事は簡単じゃない。そこでオジサンは私に目をつけた」






レナ「ベガスのショー関係者は、ハリウッド大手のCGカンパニーがベガスを乗っ取る
   つもりじゃないかって警戒していた。そこでオジサンはショー側からじゃなくて、
   カジノ側からアプローチを考えた。ディーラーの私をステージに立たせて、私を
   突破口にしてCGの歌手を送り込むつもりだったみたい」



レナ「でも私は骨の芯までディーラーで、どれだけショーの仕事をやらせてもテコでも
   動かなかった。自分はディーラーだからってギャラも受け取らなかったし、最後
   まで『お客さんとの勝負に負けたから』って理由でショーの仕事をこなしていた
   しね。オジサンの計画はことごとく失敗したの」






レナ「今回私をハリウッドに呼んだのは、私をベガスから連れ出して自分達のホームで
   誘えば、多少強引だけど私を落とせるかもしれないって計算があったらしいの」



レナ「でもパーティーが始まる前にオジサンは倒れて、自分の代わりにCGのボスに私の
   勧誘を頼んだの。だけどCGのボスは、会場でディーラーの仕事を楽しむ私を見て
   諦めたみたい。CGのボスが言うには『私の周りだけベガスだった』らしいわ」





レナ「オジサンはCGのボスと2人で私に謝ったわ。今までディーラーの君の仕事を邪魔
   して済まなかったって。今日を限りにCGカンパニーは君から手を引く。今後一切
   君に迷惑をかけないと約束するって、大の男二人が並んで頭を下げてね」

レナ「私は話を聞いてから、CGのボスにオジサンと2人にしてって頼んだの。オジサンは
   明日にでも日本に帰るって言ったわ。私のスカウトは出来なかったけど仕事は一応
   終わったし、残り少ない余生を故郷で過ごしたいってね」



レナ「でも私はこのままオジサンを日本に帰すつもりはなかった。自分の都合で人を散々
   振り回しといて、そのままサヨナラなんて許せないわよね?仕返しのひとつくらい
   してもバチあたらないでしょ―――――」



   


***



レナ『ねえ、どうして私に目を付けたの?私の他にも女のディーラーはカジノにいっぱい
   いたでしょ。たまたま同じ日本人だったから?』



―――君がディーラーの中で一番楽しそうにゲームをしていたからだ。客からの人気も
   高かったし、君ならカジノだけでなくショーのステージにも順応出来ると思った







レナ『ひどい人ね。ディーラーを楽しんでいる私を無理やりカジノから連れ出そうと
   するなんて。私の気持ちはどうでもよかったの?



―――そう言うなら私に勝てば良かったではないか。ならば君は私の出した条件に従う
   事もなく、心おきなくディーラーが出来ただろう?



レナ『私が勝った時だってあったでしょ!たまにだけど……』



―――君はベガスのディーラーのわりには脇が甘いな。表情もわかりやすかったし、
   パターンを掴んでしまえば勝つのは難しくなかったよ






レナ『あんたの観察力と記憶力が異常なのよ。一度使った手は二度と使えないし、私が
   毎回どれだけ苦労してあんたの為だけの作戦を考えていたと思っているのよ』



―――それが君の仕事だろう。怒られても困るな



レナ『それはそうだけど……』



―――それに君がその気にさえなれば、もっと容易く私に勝てたのではないか?






レナ『それって嫌味?私は毎回ディーラーとして本気であんたと勝負をしていたわよ』



―――ああ、『ディーラー』としてな。だが君の本性は違うだろう?君の正体はもっと
   非情で計算高く、相手に容赦のない『ギャンブラー』のはずだ



レナ『誰かと間違えているんじゃない?私はただのディーラーよ』



―――君の事は調べさせてもらったよ。ラスベガスのディーラーになる前は、世界中の
   カジノで荒稼ぎした『アーテー』という名の凄腕のプレーヤーだったそうだな。
   ギリシャ神話の破滅と狂気の女神の名を冠するとは物騒な女だ






レナ『ああ、聞いたことがあるわねその人。確か裏カジノで下手うって殺されたって話
   だけど。もし生きていたら一度勝負してみたかったわね』



―――君がそう言うならそれでいい。だが本気で勝負をしていないのは分かっているぞ。
   君はいつも勝ち負けよりゲームを楽しむ事を優先していた。うまく演技が出来て
   いたつもりかもしれないが、私の目はごまかせないぞ






レナ『ディーラーがお客さんを楽しませるのは当然でしょ?それも含めて実力なのよ。
   それにベガスでは勝つ事よりも楽しむ事の方が大事なの。ベガスの街はそうして
   今まで大きくなってきたのよ。私はそのルールに従っているだけよ』



―――ふっ、この私とした事が、どうやら君という人間を見誤っていたようだ。CGの
   ボスも言っていたが、君はまさにベガスという街そのものだな



レナ『どんな勝負でも遊び心を忘れたら楽しくないし、その時点で負けたも同然よ。
   命を削るような真剣勝負の最中でも、余裕で笑えるのが一流のギャンブラー
   だと私は思っているわ。勝敗だけに囚われているようではまだまだね』



―――CGカンパニーがベガスに進出するのは骨が折れそうだな。君のように真の実力を
   隠されてしまっては底が見えないよ。CGの歌手には日本に帰る前にしっかり言い
   聞かせておこう。これが私から彼らに教える最後の言葉になるな






レナ『ちょっと待ちなさい。何勝手に綺麗に終わらせようとしてるのよ。私はあんたの
   せいで散々な目に遭ったのよ?ディーラーの仕事は全然出来なかったし、愛人の
   噂まで立ったんだから。一体どう責任を取ってくれるのよ?」



―――もちろん賠償はさせてもらう。君がこの先ディーラーの仕事を続けるにあたって
   不都合が生じないようにCGカンパニーもバックアップするし、ベガスの方にも
   よく言っておくよ。愛人の噂も私がいなくなって時間が経てば……



レナ『そうじゃないでしょうが!! あんた本当にバカじゃないの!? それで私が許すとでも
   思ってるの!? 私はあんたをこのままカッコよく死なせなてやらないわよ!! 』



―――うおっ!? ま、待て、落ち着け。では一体どうすれば……






レナ『こうしてやるのよ!! 日本に帰ってからせいぜいもがき苦しむ事ね!! 』



―――ちょ、ちょっと待て!やめろ!ぐあああぁぁぁっ……






***



真奈美「帰国した父がそのまま地元の病院に入院したと聞いて、私は東京からすぐに
    長崎に帰ったよ。病室に入るとそこには点滴を打ってベッドに横になる父と、
    寄り添う母がいた。私はその時、初めて父が長くない事を知った。母は私が
    知るもっと以前に父が末期ガンである事を聞かされていたらしい」



真奈美「父にも母にも言いたい事は山ほどあったが、それよりも前に私は父の首筋の
    一番目につく所に、くっきりとついていたキスマークに目が釘付けになった。
    キスマークはかなりの力でつけられていて、まるで火傷の様になっていた。
    父の浮気相手が強烈にアピールしているように感じたな」






真奈美「母は冷めた目で『私はあなたが仕事を残したままでは死んでも死にきれないと
    言ったから、じっと我慢をしてあなたの帰りを待っていました。ですが浮気を
    許した憶えはありませんよ』と言った。父はベッドの上で母と私に頭を下げ、
    『お前達を裏切るような事をしてすまない』と謝ってから全てを話した」



真奈美「父曰く、このキスマークは例の女ディーラーの復讐だそうだ。私の気持ちを散々
    もてあそんでおいて、何事もなかったかの様に日本に帰るなんて絶対許さない。
    せいぜい死ぬまで奥さんと娘さんにカッコ悪く謝り続けなさいと、触れたら火傷
    してしまいそうな笑顔で言われたそうだ」






真奈美「私はそれを聞いてなんてひどい女だと驚いたが、母は腹を抱えて大笑いしたよ。
    そして涙を拭って『では私も簡単に許すわけにはいきませんね』と言い、病室の
    窓から外を見て『来年の春、私と真奈美と一緒にこの窓からチューリップを見て
    下さい。そうすれば許してあげます』と言って父に微笑んだ」



真奈美「父の余命は長くて2ヶ月だと言われていた。チューリップが咲くのは早くても
    2月下旬から3月。母が条件を出したのは11月初め。つまり最低でも4ヶ月は
    生きなければならない。私は無茶だと思ったが、父は『頑張るよ』と苦笑いを
    しながら何も咲いてない病院の庭の花壇を見た」








真奈美「結論を言えば、父は4月まで5ヶ月近く生きた。最後の1ヶ月はほぼベッドで
    寝たきり状態だったが、病院の花壇がチューリップで満開になるのを見届けて
    笑って息を引き取った。葬儀は父の遺言に従って身内だけで行い、私はその後
    すぐにハリウッドのCGカンパニーに飛んだ」



真奈美「私はCGのボスに会い、父が亡くなった事を伝えた。父が病気に気付いたのは
    プロジェクトの最中だったらしく、CGカンパニーには黙って仕事をしていた。
    CGのボスは父の病気に気付けなかった事をずっと後悔していて、父が帰国して
    からも度々連絡を寄越してくれた。彼は父の死を知って号泣したよ」







真奈美「近日中に来日して、母に謝罪して父の墓前に手を合わせたいと申し出た彼に気に
    しないようにと言った後で、私はCGのボスに父の浮気相手の事を聞いた。父は
    母に気を遣って最期まで相手の事を話さなかったし、母も追及しなかった。だが
    私は気になっていた。憎んでいたわけではないが、どんな女か知りたかった」

真奈美「CGのボスは少し悩んだ後に教えてくれた。彼女はどこのカジノにも1人はいる
    明るくてフランクなディーラーらしい。ベガスのディーラーだから腕は悪くない
    はずなのに勝率は並で、クールな二枚目にもお茶目な三枚目にもなれる器用さを
    持ち、勝っても負けても楽しませてくれるからファンは多いそうだ」



真奈美「だがそれは彼女の仮の姿で、その正体は炎のような激しい気性の持ち主らしい。
    非常に好戦的で相手に容赦がなく、見た目に騙されて勝負を仕掛けようものなら
    大火傷をするとギャンブラー時代の彼女を知る人間は恐れていたそうだ」






真奈美「父は『私はどうやら彼女の隠していた素顔を暴いてしまったらしい』と言って、
    首筋を抑えながら冷や汗をかいていたそうだ。CGのボスも『どこの国の女も、
    怒らせると怖いな』と苦笑いしていたよ」



真奈美「日本に帰る前に、私はベガスのカジノに寄った。CGのボスは『君は彼の娘だから
    見ればきっと分かるだろう』と言った。彼の言った通りすぐ分かったよ。直感
    だろうか、不思議と私もレナに惹かれたからな」






真奈美「私はレナを遠目に見ただけで、声をかけずに帰った。父が散々迷惑をかけたと
    聞いていたから、仕事の邪魔をするのは申し訳ないと思った。かと言って父の
    浮気相手に娘の私が謝罪するのも変だし、その後も何度かベガスを訪れたが
    レナを見かけても声はかけなかった」



真奈美「もう全て終わった事だ。母も最後は父を許してあの世へ見送った。ならば私も母の
    意志を尊重しよう。私達は見ず知らずの他人だ。3年後レナに話しかけられるまで、
    私はそう思っていた―――――」







***



ベテトレ「ううぅ…… 師匠おぉぉ…………」グスッ、ヒック



真奈美「これが私とレナの因縁だ。父の一番弟子だったマスには全て話したからあいつは
    全部知っているのだが、父の名誉を守る為に黙ってくれていたみたいだな。いや、
    それともレナの為か?あいつはレナを気に入ってるからな」フフッ

早苗「そんな事があったのね。私はそれは浮気にカウントしなくていいんじゃないって
   思うけど、真奈美ちゃんのお父さん本人が認めちゃったらねぇ……」







真奈美「父はレナに本気だったと思う。CGのボスの話によると、レナの勧誘は父の独断
    だったそうだ。一応それらしい理由はあったものの、父はそういう手段を嫌って
    いた。自分の立場や力を使って従わせるような事もしなかった。だがレナの為に
    父はそれを惜しげもなく使った。だから浮気を疑われたのだ」ゴクッ



早苗「本気かどうかくらい一目見れば分かるわよね。特に女はそういうの鋭いんだから」



真奈美「レナとの勝負の為に、父は寝る間も惜しんでポーカーの勉強をしていたそうだ。
    専門書を読み漁り大会のビデオを何度も見る父の顔はとても楽しそうで、まるで
    少年の様だったらしい。末期ガンを宣告された人間のする事ではないな」フンッ



早苗「レナちゃんに会う事が、病気で弱っていたお父さんの心の支えになっていたんじゃ
   ないのかしら?だからと言って浮気が許されるわけじゃないけどさ」グビッ





ベテトレ「な、なぁ真奈美、身内でもない私が、こんな事を言う資格はないが、やはり私は
    師匠はシロだったと思うぞ。あのな、そのな、なんていうかだな、2人の間には
    男女というか、肉体というか、そういう関係はなかったんだし……」カアア

早苗「顔が真っ赤よベテちゃん。大丈夫?」ケラケラ

真奈美「慣れない言葉で慣れないフォローをするなよ。そういう関係があったかどうか
    私達には分からないだろう?それに母も私も別に怒っていないさ。ただ呆れて
    いるだけだ。良い歳して何をやっていたんだとな」フフッ




ベテトレ「だ、だって私が味方にならないと師匠の名誉が守られないし、しかしだからと
    いって、レナさんが師匠を誘惑したとも思ってなくて、だ、だいたい実の娘の
    お前が信じないから、私がフォローを、えっと、それから……」クラクラ



ベテトレ「もうダメだ…………」バタン



早苗「ありゃ?ちょっとからかいすぎちゃったかしら。意外とウブねこの子」アハハ

真奈美「酒に強いベテが潰れるとは珍しいな。夏美の隣に寝かせてくるよ」スクッ





早苗「でもベテちゃんがここまで必死になって庇おうとするんだし、私も真奈美ちゃんの
   お父さんに会ってみたかったなあ。レナちゃんもちょっとはその気があったんじゃ
   ない?そうじゃないと3ヶ月も罰ゲームに付き合わないでしょ」ケラケラ

真奈美「まったく、どいつもこいつもあんな男のどこが良かったのだ?娘の私から見れば
    ワーカーホリックで、ちまちまと嫌味な男だったのだが……」ヒョイ

早苗「いいじゃない。自分のお父さんが嫌われるよりは慕われる方が真奈美ちゃんもいい
   でしょ?真相はレナちゃんからも聞かないといけないわね。レナちゃんも共犯だし、
   一方の証言で全てを判断するのは危険だわ」



真奈美「あまりあいつをいじめてやるなよ。また逃げてしまうかもしれないぞ」スタスタ



早苗「ふふっ、レナちゃんを守ってあげるなんて真奈美ちゃんもお人好しねぇ?」ニヤニヤ






真奈美「そんなつもりはない。ただ私はレナに、母と私が父を奪われた惨めな妻と娘だと
    思われるのが我慢出来ないだけだ。あいつが逃げたという事はつまりそういう事
    だろう?思い上がりも甚だしいという事を分からせてやる……」メラメラ…



ベテトレ「うう~ん…… あつい~……」ジタバタ

早苗「はいはいそうね。で、いつレナちゃんを捕まえに行くの?」

真奈美「明後日だ。居場所はもう分かっている。早苗さんも一緒に来るか?」






早苗「もっちろん!レナちゃんがいなくなったから瞳子ちゃんのグランプリのお祝いも
   延期したままだし、捕まえていっぱい飲ませてあげるんだから!」フンス!!



真奈美「そうだったな。礼子さんと志乃さんもイライラしてるし、事務所に持ち込んだ
    鏡割り用の酒樽とワイン樽もいい加減にどけないとな―――――」






***



―3日後オランダ朝・レナが滞在しているホテルにて―



 チュンチュン… チュンチュン…



レナ「ふわぁ~、良い朝ね。今日は良い事がありそうだわ♪」ノビー

レナ「芽衣子達はまだこの辺りにいるかしら。モーニングにでも誘おうかな」ピッピッ






 コンコン



レナ「あら?誰かしらこんな朝早くに。は~い、ちょっとまってね~」パタパタ



レナ「どちら様?」ガチャ



茄子「レナさ~~~~~ん!」ダキッ!!



レナ「ちょっ!? 茄子!? どうしてあんたがここにいるのよ!? 」ギョッ!!




鷹富士茄子(20)
http://i.imgur.com/yppTVWt.jpg





茄子「ひどいじゃないですかレナさん!! 私をおいていなくなっちゃうなんて!! 」グスグス



レナ「何ワケわかんない事言ってるのよ!苦しいからさっさと離れなさいよ!」グイグイ





P「茄子、そのへんにしておけ。レナさんが困っているだろう」スタスタ

レナ「Pさん助けて!運気が吸われる!私ディーラーに戻れなくなっちゃう!」ジタバタ



P「……茄子、やっぱり気が済むまで抱き着いとけ。どうやらレナさんはまだ日本に帰る
  つもりはないみたいだ。下のロビーで待ってるからな」クルッ←Uターン



レナ「ギャ―――――ッ!! 帰る!! 帰るから助けて―――――っ!! 」ヘルプミー!!






***



―ロビー・ホテル内のカフェにて―



P「それじゃあ茄子、俺はレナさんと二人で大事な話があるからお前は朝食食べて来い。
  旅先だからといってハメ外して食べ過ぎるなよ」ヒラヒラ

茄子「もうPさん!私そんなに子供じゃありませんよ!いってきま~す♪」スタスタ

P「さてと。久しぶりですねレナさん、お元気そうで何よりです」ニコニコ

レナ「どうして茄子を連れてきたのよ……?」ゲッソリ



P「ちひろさんのアイデアです。レナさんが日本に戻らないと言ったら茄子をオランダの
  カジノで遊ばせて営業停止に追い込め、それでもレナさんが拒めばベガスのカジノを
  干上がらせるぞと脅せと言われています」ニヤリ



レナ「鬼!悪魔!ちひろ!お願いやめて!それだけはリアルにやめて!」ブワッ!!





P「ははは、冗談ですよ。俺もレナさんをスカウトした時、ベガスのステージにあなたを
  連れて行くと約束しましたからね。だからベガスがなくなっては困ります」

レナ「そういえばそんな事も言ったわね。本気にしていたとは思わなかったわ……」ハア



P「俺は最初から本気ですよ。LIVEバトルのオープニングは見事でしたし、レナさんの
  ポテンシャルはあの伝説のトレーナーが太鼓判を押していますからね」



レナ「……真奈美から聞いたの?」






P「いえ、CGのボスから聞きました。例の噂は俺も知っていました。俺は信じてません
  でしたけどね。昔一度だけ、彼に礼子のレッスンを頼んだ事がありました。丁寧で
  的確な指導で、あのワガママな礼子が珍しく素直に従っていたので覚えています。
  真奈美さんのお父さんだとは知りませんでしたが」



レナ「私もCGカンパニーに行くまで知らなかったのよ。でも私が真奈美のお母さんと
   真奈美を傷つけた事は変わりないわ。事務所にも迷惑かけてごめんなさい」ペコリ





P「事務所としましては、その件は当人同士の問題ですので直接立ち入る事は出来ません。
  俺が出来るのは2人のプロデューサーとして、話し合いの場を設けるのが精一杯です。
  レナさんには事務所を救って戴きましたし、これからもMBプロのアイドルとして
  活躍してもらいたいのですが……」

レナ「それは真奈美の気持ち次第でしょうね。でももう答えは出ているわ。あの子はLIVE
   バトルにもここにも来なかった。今までどうして何も言わないで一緒にアイドルを
   やってたのかは知らないけど、もう私も前みたいな関係に戻れないわ……」



P「いえ、オランダに来てますよ?今頃早苗さんと夏美さんと、運河クルーズを楽しんで
  いると思います。あ、ついでに泰葉も一緒ですね。オランダ村じゃなくてオランダに
  一度行ってみたかったとか」ケロリ



レナ「え!? 来てるの!? ていうか何で旅行を楽しんでいるのよ!? 私は礼子さんがその気に
   なれば絶対逃げられないって分かってたから、いつか日本に連れ戻されて真奈美の
   前に突き出されると思ってすっごく怖かったんだけど!? 」ギョッ!!





P「それからLIVEバトルに来てなかったのは、欲しい物があったから買いに行ってたそう
  です。どうしてもあの日にしか手に入らなかったみたいで、そちらを優先したとか。
  おかげで良い買い物が出来たとご満悦でした」

レナ「何よそれ!? 駅地下で限定プロテインでも売ってたの!? 私がどんな気持ちで辞表を
   書いて事務所に送ったと思ってるのよ!! 」グワッ!!

P「すみません。レナさんの辞表ですが、俺が少し目を離した隙に茄子が隠し芸の練習に
  使ってしまいました。手頃な封筒を探していたみたいで、中に入っていた辞表ごと
  一瞬で燃え尽きて白いハトがバサバサと……」ポリポリ

レナ「茄子―――――っ!! あんたって子は本当に―――――っ!! 」フンガーッ!!



茄子「呼びましたか~?美味しいですねオランダ料理。ワッフルはベルギーの食べ物だと
   思っていましたけど、オランダにもあるんですね~♪」パクパク






***



夏美「レナさ~ん!こっちこっち!」ブンブン



早苗「いや~良い所だねオランダ!てっきりド○ッグが蔓延してるロクでもない国だと
   思ってたけど、行ってみないとわからないものだね~♪」アハハ



レナ「すっかり観光客ね二人とも…… 私が言うのもおかしい話だけどさ、もっと感動の
   再会というか、友情を確かめ合うようなイベントはないの……」ゲンナリ





夏美「そんなの10代の若い子に任せておけばいいんですよ~!私達はオトナの女だし、
   もっとサバサバしたものでしょ♪」ウィンク☆

早苗「10代の若い子なら泰葉ちゃんがいるわよ。泰葉ちゃん、レナちゃんが感動の再会
   シーンをやりたいって言ってるからちょっとお願い出来ない?」オイデオイデ



泰葉「れなさんわたしたちにだまってやめちゃうなんてひどいじゃないですか~(棒読み)」



レナ「あんた元子役でしょっ!? 亜里沙のウサちゃんの方がマシな演技するわよ!! 」グワッ!!

泰葉「私はもう大人達の人形じゃありませんっ!!(迫真)」グワッ!!

夏美「かわいそうじゃないですかレナさん!泰葉ちゃんは最近ようやく過去の辛い経験を
   乗り越えて新しくアイドルとして歩き始めたんですよ!! 」ヨシヨシ

泰葉「しくしくしくしく(棒読み)」




岡崎泰葉(16)
http://i.imgur.com/t8IXkHS.jpg


これは先輩ですわ


   
レナ「岡崎先輩ってそんなにノリ良かったっけ……? もういいわよ、そもそも最初から
   期待してなかったし。それで真奈美はどこにいるの?」ゲンナリ

早苗「あっちの風車の下よ。チューリップ畑を見たいって言ってたわ。そっちはP君と
   茄子ちゃんは一緒じゃないの?」キョロキョロ



レナ「あれ?さっきまで私の後ろにいたんだけど……?」クルッ






P「すみませ~んレナさん。街を眺めていたら素敵な女性を2人も見かけたので、思わず
  まとめてスカウトしちゃいました!」バタバタ



芽衣子「はじめまして並木芽衣子で~す♪ ……って、あれれ~?レナさん?もしかして
    レナさんもプロデューサーのアイドルだったの?」キョトン



惠「薄々そんな気はしていたけどね。わざわざレナさんを追いかけてオランダまで来て
  くれるなんて、素敵なプロデューサーさんじゃない……」クスクス





レナ「Pさんもオランダまで来てスカウトしてるんじゃないわよ…… 結局茄子しか本気で
   私の事を心配して迎えに来てくれなかったのね……」ガクッ

泰葉「ふふ、そんな事ありませんよレナさん。レナさんがいなくなってからMBプロは
   すっかり静かになってしまいましたし、みんな心配してますよ」クスクス

レナ「気遣ってくれなくてもいいのよ岡崎先輩。どうせ悪いのは私だし……」イジイジ

泰葉「まあまあそう卑屈にならずに。この業界は辛い事が沢山ありますけど、楽しい事も
   少しはありますから。レナさんはまだアイドルになったばかりじゃないですか。
   ここで辞めてしまうのはもったいないですよ」ヨシヨシ

レナ「あんたが言うと妙に説得力があるけど生々しいわね…… でもありがと。オランダ
   観光楽しんでる?少しは故郷を思い出して穏やかな気持ちになったかしら?」





泰葉「はい。真奈美さんもいつもより表情が緩んでいましたよ。私達の故郷に縁のある
   国を逃亡先に選んだのは正解でしたね。仲直りするなら今がチャンスですよ」ニコッ



レナ「……やっぱり可愛くないわねあんた。だから先輩なんて呼ばれるのよ」イラッ





P「レナさん、申し訳ありませんが俺は今から芽衣子さんと惠さんに仕事内容の説明を
  しなくてはいけないので、後は真奈美さんと二人でお任せしていいですか?」

レナ「え!? 話し合いの場をセッティングしてくれるんじゃないの!? 」ギョッ!!

夏美「私達も芽衣子ちゃんと親睦を深めてきますね~♪ 初対面だけど芽衣子ちゃんとは
   不思議と気が合いそうな気がするんですよ!」アハハ

芽衣子「よろしくお願いします夏美さんっ!おいしいカフェに案内しますよ♪」スタスタ




茄子「惠さんもよろしくお願いしますね~♪ ナスじゃなくてカコですよ~♪」ニコニコ

惠「可愛らしい人ね。北斗が手を出さないか心配だわ……」スタスタ

早苗「ほらほら泰葉ちゃんも行くわよ!レナちゃんも真奈美ちゃんもしっかりした大人
   なんだから、私達がいなくても大丈夫だって!」オイデオイデ





泰葉「ではレナさんご武運を。ラスベガスで世界中のギャンブラー相手に戦ったレナさん
   なら、真奈美さんとの勝負にもきっと勝てますよ」ニッコリ



レナ「私はただのディーラーよ。ゲームでは勝ててもケンカは専門外だわ。真奈美は
   私以上のポーカーフェイスだし、強敵でしょうね―――――」






***



 ブォン… ブォン… ブォン… ブォン……



真奈美「…………」ジー



レナ「何ボーっとしてるのよ。らしくないわね」スタスタ



真奈美「ああ、風車を見ていた。チューリップはまだ咲いていないからな」





レナ「そんなの来る前から分かってたでしょ。でも土の下にはいっぱい埋まってるわよ。
   3日くらい前にチューリップの球根埋めのバイトしたから。大変だったわ」

真奈美「お前が園芸?似合わないな」



レナ「何となくチューリップを咲かせてみたくなったの。あんたのお父さんが好きだった
   真っ赤なやつをこのあたり一面にね」



真奈美「それは父も喜ぶだろうな。父は花といえばチューリップだったからな。バラなら
    恰好がついたものの、いまいち締まらないと母もよく笑っていたよ」フフッ



レナ「…………」






真奈美「どうした?今日はやけに大人しいじゃないか。具合でも悪いのか?」



レナ「……ホントにあんたは何を考えてるのか分からないわね。全く心が読めないわ」ハア



真奈美「あえて言うなら何も考えてない。私はいつも通り自然に振る舞っている」フッ



レナ「あんたみたいなのがカジノでも一番厄介なのよ。自然に超然としているみたいな。
   作戦も立てられないし、勝つビジョンが見えないのよね……」





真奈美「何の勝負をするつもりだお前は。それとも母と勝負をしたいのか?お前と一緒に
    アイドルになったと母に報告した時、母に一度長崎に連れて来なさいと言われた
    事があるがセッティングしてやろうか?」ジロ

レナ「それだけは勘弁して下さいお願いします私の負けでいいです」ドゲザー



真奈美「冗談だ。私もそんな修羅場は御免だ。母は表面上平静を装っているが、内心は
    今でもお前に複雑な感情を持っていると思うからな。お前が悪くない事は母も
    分かっているはずだが、女心というのは厄介なものだな」ヤレヤレ





レナ「何を他人事みたいに言ってるのよ。あんたも女でしかも実の娘でしょ?私が言う
   のもおかしな話だけど、ビンタのひとつくらいしてやろうとか思わないの?」

真奈美「あいにく私にファザコンの気はなくてな。それよりも私は、父がお前に迷惑を
    かけた事を申し訳なく思っている。本当にすまなかったな」ペコリ

レナ「な、なんであんたが謝るのよ!? 100パーセント私が悪いでしょうが!! 」アセアセ





真奈美「お前と一緒にアイドルになって、近くでずっと観察をして出した結論だ。お前は
    ギャンブラーのわりには小心者だから浮気が出来る人間ではないだろう」キッパリ



レナ「許してもらって嬉しいはずなのに腹立つわ。私だって昔はモテたのよ?プロポーズ
   してきた男を全員まとめてホールデムで倒した事もあるし」フンス

真奈美「ほほう?では父と肉体関係があったのか?浮気ではなく不倫という事になれば、
    私も事情はまた変わってくるが……」ギロリ

レナ「あ、あるわけないでしょそんなもん!あんたもハッキリ言いすぎよ!一緒にご飯を
   食べたりショーを見たりダンスを踊ったくらいよ!」カアア






真奈美「どうやら随分楽しんでいたみたいだな。これは一度母を東京に招いて、2人で
    じっくり話を聞く必要がありそうだな」ニヤリ



レナ「だから嫌だって!もしあんたのお母さんが来たら私今度は月まで逃げるわよ!」






―――



真奈美「この際だから言わせてもらうが、私もお前に聞きたい事がある」



レナ「何よ」



真奈美「どうしてお前は馬鹿で愚かなディーラーを演じているんだ?ギャンブラーの時の
    お前はもっと鋭くて、うかつに近寄れない印象だったとベテは言ってたぞ」



レナ「馬鹿で愚かじゃなくて、明るく楽しいディーラーって言ってくれない?勝負は
   楽しむ事が私のポリシーなの。だから相手も楽しませないとね。そうしないと
   お客さんもチップ落としてくれないでしょ?」






真奈美「なるほど、お前が元ホステスの礼さんと気が合う理由が分かった気がするよ。
    だがその為に本当の実力を出せないというのは、ギャンブラーとして不本意
    ではないのか?お前はもっと勝負にこだわる女だと思っていたが」



レナ「あんた『勝負にこだわる』って聞いて『勝ちにこだわる』だけだって思ってない?
   それは大きな誤解よ。私は『負けにもこだわる』の。どうやって負けるかとか、
   どうやって負かすかとか。一発勝負ならそんな悠長な事を考える余裕はないけど、
   勝負全体にこだわればゲームで負け越す事なんてまずないわ」フンッ



真奈美「そういう見方もあるのか。お前はギャンブラーというよりゲームマスターだな」



レナ「ディーラーは元々ゲームマスターよ。私も昔はただ勝ちだけにこだわってゲームを
   していた時期もあったけど、あまり楽しくなかったのよね。ギャンブラーとしての
   腕は上がったけど、自分のなりたかった理想像から離れていく気がしてさ。それに
   ヤバい人を怒らせて怖い思いもいっぱいしたしね」フウ





真奈美「今回はCGカンパニーという避難場所があったから、思いきり荒稼ぎをする事が
    出来たのか。だがそれでまたお前のベガス復帰は遠のいたのではないか?」

レナ「そうなのよね。ようやくイカサマの件が収まってきたのに。私がベガスに戻れる
   日が来るのはいつなのかしら……」ガックシ

真奈美「ギャンブルがしたいならマカオでもいいじゃないか。カジノは世界中にあるし、
    ベガスだけにこだわらなくてもいいだろう」

レナ「ベガスじゃないと嫌なの~!私にとってベガスは特別なの~!」ジタバタ

真奈美「やはりお前は馬鹿で愚かな女だな。ディーラーのお前とギャンブラーのお前、
    一体どっちが本当のお前なのか分からないよ」ヤレヤレ




レナ「どっちも私よ。でもどうしてこの私がキュートのアイドルになったのか謎よね。
   どう見てもクールな二枚目のはずなのに、Pさんに文句を言いたいわ」ムスッ

真奈美「いや、悪いがこっちに来ないでくれ。クールのアイドルのイメージがこれ以上
    下がるのは困る。今でも茄子とかのあとかヘレンが危ういのに」ノーサンキュー

レナ「どうしてよ!? 私1人くらい移籍しても大丈夫でしょ!? アイドルの私ってクールの
   聖來ちゃんみたいなポジションだと思うんだけど……」

真奈美「あいつはマスターレベルのダンスをフルで踊れるぞ。歌はまだまだ特訓中だが、
    踊っている時の聖來は最高にクールだ。お前は出来るか?」ジロリ

レナ「う…… は、半分くらいなら私だって……」タラリ




真奈美「意地を張るなよ。お前は菜々さんと一緒に年齢のわりにイタいキャラで頑張れ。
    ウサミン星人もアーテーも似たようなものだろう?」ニヤリ

レナ「全然違うわよ!! それに私は自分から名乗ってないし、周りが勝手にそう言ってた
   だけだから!! 私の黒歴史をこれ以上思い出させないで!! 」グワッ!!



真奈美「本当に愉快な奴だなお前は。父が夢中になったのもわかるよ―――――」



なんでや菜々さんじゅうななさいやろ!




―――



真奈美「さて、そろそろP君達の所へ行こうか。私も空腹だ。午前中は観光ばかりだった
    から、オランダの料理というものを食べてみたい」スタスタ



レナ「ね、ねえ、もう一度だけ確認したいんだけど、あんた本当に私と一緒にこれからも
   アイドルやってくれるの?ホントのホントに怒ってないの……?」オソルオソル



真奈美「お前もくどいな。あまりしつこいと怒るぞ?」ジロ



レナ「だ、だってやっぱり納得出来ないわよ!あんたが変わってるのは知ってるけど、
   ここまで来ると感情の何かが欠落してるとしか思えないわよ!」ビクビク





真奈美「ひどい言われ様だな。今の言葉の方が腹が立つぞ。だがよく考えてみろよレナ、
    太陽が自分の炎で燃え尽きるか?たとえ私が怒っていたとしても、自分の体を
    燃やして滅するなんてありえないだろう」

レナ「な、何が言いたいのよ……?」



真奈美「私も昔は確かにお前を恨んだ事もあった。父の首筋についたキスマークを見て、
    ベガスに乗り込んでお前の首筋にハンダゴテでも当ててやろうかと考えた事も
    ある。あんな男でも私の父だったからな」ギロリ



レナ「 !? 」ビクッ!!






真奈美「だがその一方で、お前には感謝もしていたんだ。父はハリウッドからベガスまで
    通ってお前と遊んで、病気の事を束の間でも忘れられた。死の恐怖に負けそうに
    なっていた父の心を救ったのは紛れもなくお前だろう」



レナ「…………」



真奈美「人間が単純な生き物ではない事くらい人間相手に勝負をしていたお前なら分かる
    だろう?お前もディーラーとギャンブラーの2つの顔を持っているではないか。
    母も色々な感情を抱えながらも元気に過ごしている。それでいいじゃないか」






レナ「太陽みたいに燃えながら……って事?」



真奈美「そういう事だ。レナ、お前は『プロミネンス』を知ってるか?太陽の表面から
    噴き出す高温ガスの事で、特殊なフィルターを通して観測すると鮮やかな赤い
    火柱に見えてとても美しいんだ。燃えながら生きるのも悪くないぞ」






真奈美「抽象的な話になったが、父に真っ赤なチューリップを贈られたお前には言って
    おこうと思ってな。真っ赤なチューリップは父が母と私に持っているイメージ
    だった。一見可愛らしい見た目をしているが、炎の様に真っ赤な色をしている。
    父はお前の中にも、母や私と同じ真っ赤な炎を見たのかもな」



真奈美「―――――ちなみにそのチューリップの品種の名も『プロミネンス』だ」



END



久々にリアルタイムで読めたぜ
乙です




―おまけ―



レナ「ところであんた、LIVEバトルの日はどこに行ってたのよ?あの日にだけしか買え
   なかった物を買いに行ってたって聞いたけど。限定のダンベルとか?」ジト



真奈美「いや、ビルだ」サラリ



レナ「……は?」キョトン





真奈美「正確には961プロのビルだな。最近主力のユニットが事務所を辞めたとかで、
    事業の見直しも含めて本社を移転すると聞いていたので譲ってもらった。業界
    関係者が全員LIVEバトルに注目しているあの日が絶好のタイミングだった。
    スムーズに交渉が進んでよかったよ」

レナ「ちょ、ちょっと待ってよ、961プロってあのどでかいビルよね?そんなのもらって
   どうするのよ。新しくアイドル事務所でも立ち上げるの……?」ポカーン



真奈美「いや、CGカンパニーの日本支社を誘致する。CGのボスに私をトレーナーとして
    迎えたいと言われたが、今は日本を離れる気はないので来てくれないかと言った。
    そうすれば私はアイドル業とトレーナー業を同時に行えるし、CGカンパニーも
    私のレッスンを優先的に受けられる。MBプロにはまだ話していないが」ニヤリ





レナ「は、話がぶっとび過ぎていて理解が追いつかないんだけど…… あんた何を企んで
   いるの?CGカンパニーを使ってMBプロを支配でもする気……?」ゾクッ

真奈美「あくまで業務提携だ。私が元はスタジオボーカリストだった事は前に話したな。
    父が亡くなった後、私は父の遺志を継いでやろうと思いトレーナーに転向した。
    マスターレベルのトレーナーになる事を目標にして、お前に誘われる前までは
    アメリカと日本を行ったり来たりして腕を磨いていたんだ」

レナ「そうだったの…… じゃあ今はどうなの?アイドルになっちゃったけど……」



真奈美「変わらないさ。目標が増えただけだ。トップアイドルになってマスターレベルの
    トレーナーにもなる。お前がCGカンパニーとMBプロの橋渡しになってくれた
    おかげで、私の目標はより実現に近づいた。感謝しているぞ」ニヤリ






レナ「あんたの自信家ぶりはお父さん以上だわ…… でもそんな話を勝手に進めちゃって
   いいの?CG側はともかくMBプロは今の体制を変えるつもりはないわよ。提携から
   合併する可能性も十分考えられるし、MBの社長がOKを出すかしら?」



真奈美「近いうちにCGのボスとMBの社長で一席設ける。今回の件で顔合わせは済んで
    いるし、互いに好印象らしかったからきっと上手くいくさ。MBプロはアイドル
    事務所で、アイドルの仕事は強いが舞台・役者方面は専門外だ。P君はそれでも
    専門外の仕事を無理して取ってくれるが、彼の負担を減らす狙いもある」





レナ「確かにCGカンパニーは申し分ないわね。元々映画製作と役者の育成が専門だし。
   じゃあ舞台や役者の仕事をする時はCGカンパニーに手伝ってもらうのね?」

真奈美「そういう事だ。それに実際問題、私達大人組が若い子達と同じ様にいつまでも
    アイドルを続けるのは厳しいだろう。将来の事も見据えて、女優や役者の道も
    確保したい。今思い描いているのはアイドルの仕事はMBプロが行い、女優や
    舞台の仕事はCGカンパニーが協力する形だ。道のりは長いがな」フフッ

レナ「すっかり経営者の視点ね。あんたが事務所を立ち上げた方が早いんじゃない?」

真奈美「961プロの社長にも同じ事を言われたよ。黒井社長とはトレーナー時代によく
    仕事をさせてもらった仲でな。業界では黒い噂の絶えない人物だが、私は彼を
    経営者としては尊敬している。彼に『お前にならこのビルをくれてやる。どう
    使うのか楽しみにしているぞ』と言われたよ。期待には応えないとな」





レナ「でもあんたがいくらこの業界に強力なパイプや実力があっても、MBプロはそう
   簡単に落とせないわよ。あの『キング』がいるしね……」



真奈美「もちろん心得ている。礼子さんの弱点はP君だ。P君の負担を減らしていく事を
    前面に押し出せば、彼女はそれほど脅威ではないぞ。厄介なのは志乃さんだな。
    MBプロのスポンサーだし、交渉の席で大量の酒を飲まされる事は決定事項だ。
    酔った頭でどこまで説得出来るか……」ウムム





レナ「その時は私も付き合ってあげるわよ。CGカンパニーの買収話を持ってきたのは
   私だし、志乃さんも少しは私の言う事を聞いてくれるわよ」

真奈美「いや、むしろお前は来ない方がいい。LIVEバトルの後にお前が失踪したせいで
    瞳子の優勝祝いをまだやってないんだ。礼子さんも志乃さんも祝い酒が飲めずに
    爆発寸前だから、日本に戻ったら覚悟しておけよ」サラリ

レナ「なっ!? 何でやってないのよ!? 私の事なんてほっといてやりなさいよ!! 」ギョッ!!



真奈美「仕方ないだろう。瞳子がお前がいないとやらないって言うんだから。瞳子の為の
    お祝いだし、主役のあいつが嫌だって言ったら誰も何も言えないさ」ヤレヤレ





レナ「ホントにあの子はクソ真面目で不器用ね…… そう言ってくれるのは嬉しいけど、
   逆に私が日本に帰り辛くなっている事に気付いてないのかしら……?」ハア…

真奈美「まずはあの二人に全身全霊をかけて謝罪だな。私も付き合ってやるよ。ついでに
    ベテにも頭を下げさせよう。姉妹の不始末という事で、マス達もついてくるかも
    しれん。そういえばあいも共犯だったな。ハリウッドから呼び戻すか。それでも
    足りなければ早苗さんと夏美も追加すれば何とかなるさ」



レナ「最後の2人は同じ強制送還組ってだけで、とばっちりみたいな気がするけど……
   頼もしいパートナーを持って私は幸せよ。よろしく頼むわね真奈美」フフッ



真奈美「ああ、任せておけレナ。まぁ、こなしてみせるよ。見てな―――――」



おわり




ここまで。これにてお姉さんシリーズはひとまず終了です。最後までお付き合い
戴きありがとうございました。最後は木場さんというか、木場さんのお父さんと
レナさんの話になってしまいましたが。勝手に死なせてすみません木場パパ。
木場さんは男らしい思考を持った方だと思います。男はもちろん女も惚れる女の
イメージで。身長とか自信とか色々大きい方なので、男はしっかりしないと萎縮
してしまいそうですがw

では残り番外編を人気急上昇の麻理菜お姉さんで1本、それからお姉さん全員集合
(酒豪?)で1本何とか年内に書けるように頑張ります。ありがとうございました!


乙乙!ずっとみてて良かった。ロリ好きでモバマス始めたけど、このシリーズのおかげでお姉さんに目覚めたわ。木場さんがSRになったときはものすごく嬉しかったの覚えてる。
番外編も楽しみにしてる!

今回も面白かった!
終わりが来るとはわかってたけどやっぱり寂しいわ…

ほんとにずっと追いかけてきて最後にリアルで遭遇できて良かった。

最後まで良いSSだった


>>99 >>119
合いの手で笑ったのは初めてですww またいいタイミングで頂戴してありがとうございましたww

>>125
今回は従来の1.5~2倍くらいの文章量だったので、長い時間お付き合い戴きありがとうござい
ました。一作目のレナさんは今回の半分くらいしかなかったのになあ。

>>135
まさかこんなに続くとは作者も思いませんでしたww このシリーズは基本レナさんを主役にして
書いてましたが、木場さんはもう1人の主役ですね。最後は木場さんに〆てもらおうと決めて
いました。SRは作者も嬉しかったです。番外編もお楽しみに。

>>136
最後までお付き合い戴きありがとうございました。後は最近よく見る麻理菜さんだけですね。
しかし麻理菜さんで書ける日が来るとは思わなかったなあ。礼さんの時も大変だったけどww

>>137
そう言って戴けると書いて良かったなあと思います。6~10月まで奈緒とふ○っしーに手こずって
中断してしまいましたが、一段落出来てほっとしています。番外編は早く軽く面白く書きたいと
思っていますので、また読んで戴けると嬉しいです。では。


>>138
もしかしてアイドルメーカー書いたのあなただったんですか!?

まさかアイドルメーカーの人だったとは・・・
あなたの長編はとても読み応えがあって楽しかったです。次回作も期待してます


>>139 >>140
アイドルメーカーはお姉さんシリーズの構想に悩んだ時に気分転換に書いていた
のですが、いつの間にかあっちがメインになり、そしてあっちも展開に悩んで
危うく両方ともエタる所でしたw 同時進行は自分には無理だと痛感しました。
それともふ○っしーを書こうとしたのがいけなかったのか……?


【短編】
・真美「ニセミキミキ」
・まゆ「付き添って、付き添われて」
・モバP「シャッフルディーバ」
・佐久間まゆ「紫色のリボン」

【中編】
・モバマスお姉さんシリーズ12本

【長編】
・モバP「凛とありすって仲悪いのか?」
・神谷奈緒「アイドルメーカー」


終了記念に一覧出しておきます。参考程度にどうぞ

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