凛「お、横暴にゃー！　独裁はんたーいっ！」

穂乃果「そうだよ！　私達だってアイドルである前に花の女子高生なんだから、恋愛くらい……！」

にこ「その考えが甘いって言ってんのよ！」

穂乃果「う……」

にこ「あんた達だって交際が発覚して大変なことになったアイドルを何人も知ってんでしょ」

凛「でも凛達はスクールアイドルだし……」

にこ「アイドルはアイドルよ。それともあんた達、頭丸めて謝罪するハメになってもいいわけ？」

穂乃果「それは……」

凛「イヤだにゃー……」

にこ「わかったみたいね。これからは常にアイドルとしての自覚を忘れちゃダメよ」

ことり「でも、恋愛禁止って具体的にどうすれば……」

花陽「やっぱり別れなきゃダメ……ですか？」

にこ「にこもそこまで鬼じゃないわよ。そこら中で抱き合ったりキスするのをやめなさいってこと」

穂乃果「ほっ……」

にこ「そういうことするのは自分達の部屋の中だけにするのよ！　いい？　わかった？」

凛「りょーかいにゃー！　かよちーん、今日かよちんの家泊まっていーい？」

花陽「え、今日？　だ、大丈夫だと思うけど」

凛「わーいっ！」

にこ「はぁ……やっぱり不安だわ」

にこ「でもまだグループ内でよかったわ」

絵里「そうね、外部にバレにくいもの。幸いネット上でもそういう話は見かけないし」

にこ「不幸中の幸いね。もしファンの子に手を出したりしてたら──」

海未「ひっ……！？」ｶﾞﾀｶﾞﾀｯ

にこ「……」

穂乃果「海未ちゃん……？」

凛「海未ちゃん、冷や汗だらだらー」

ことり「もしかして海未ちゃん……」

海未「な、なんでもありません！　あ、そういえば私は弓道部の方に少し用事がありました！　それでは……」

にこ「待ちなさい」ｶﾞｼｯ

にこ「海未、あんたまさかとは思うけど……」

海未「な、なんの話ですか！？　ファンの子と交際するなんて、そんなふしだらなことをこの私がするはずないでしょう！？」

絵里「そういえば……最近亜里沙の帰りがやけに遅いのよね」

海未「そ、それはまずいですね！　しっかり注意するべきです！」

穂乃果「そういえば……海未ちゃん、最近私達と一緒に帰らないよね」

海未「弓道部の方に顔を出しているんです！」

希「ウチ、この前亜里沙ちゃんが裏門で待ってるの見かけたで」

海未「そ、そんなはずありません！　亜里沙には公園で待つように言って……あっ」

希「もちろんウソやで♪」

にこ「ナイスよ、希」

にこ「まさかノーマークだった海未がねぇ……しかもファンの子なんて」

海未「変な言い方はやめてください！　私達はあくまで清い交際をしているだけです！」

にこ「問題はそこじゃないのよ！　アイドルが特定のファンとプライベートで会うのがどれだけまずいことだと思ってんの！？」

海未「で、ですが亜里沙は絵里の妹ですし……普通のファンとは少し違うような……」

にこ「ファンはファンよ。しかも下校デートなんて……間違いなくウチの生徒には見られてるわね」

凛「海未ちゃんだいたーん」

海未「凛と花陽も毎日下校デートしてるようなものでしょう！」

凛「下校だけじゃないもーん。登校するときもデートだにゃー」

海未「くっ……なんて羨ましい……！」

ことり「海未ちゃん……」

希「まるで反省してないね」

にこ「海未、あんたには辛いと思うけど……別れなさい」

海未「ど、どうして私達だけ……！」

にこ「穂乃果や凛はグループ内だからまだ監視もできるけど、あんたの場合はファンの子だからよ」

海未「そんな……え、絵里！　絵里はどう思いますか！？」

絵里「残念だけど……しっかり説明すれば亜里沙もわかってくれると思うわ」

海未「あ、亜里沙が泣いてもいいと言うのですか！？」

絵里「亜里沙ならきっと大丈夫よ。海未が引退するまで待っててくれるわ」

海未「……」

にこ「海未……ごめんね」

海未「……納得できません」

にこ「にこ達はアイドルなの。わかってよ」

海未「そういうにこはどうなんですか？」

にこ「へ？」

海未「私達が気づいてないと思ってるんですか？　にこと真姫の関係に」

にこ「別に……にこと真姫ちゃんは付き合ってないし」

海未「見え透いたウソですね。キスだってしてたでしょう」

にこ「……覗き見は趣味悪いわよ、海未」

海未「私達には別れろと言うくせに、自分達だけのうのうと付き合い続けるつもりですか？」

にこ「だからぁ、にこと真姫ちゃんは付き合ってないの」

凛「キスまでしといてそれはちょっとひどくないかにゃー」

にこ「……」

穂乃果「にこちゃんも真姫ちゃんと付き合ってるんだし、やっぱり恋愛禁止なんてルールはない方がいいよ！」

凛「さんせーい！　にこちゃんも気兼ねなく真姫ちゃんとイチャイチャすればいいにゃ！」

海未「どこでも、というわけではありませんよ。やはりにこの言うとおりTPOはわきまえるべきです」

穂乃果「それもそうだね！　じゃあイチャイチャするのはやっぱり部屋だけで！」

海未「これでいいですか？　にこ」

にこ「……んでしょ」

海未「はい？」

にこ「だからっ！　あたし達は付き合ってないって言ってんでしょ！」

はよ
http://i.imgur.com/qKEugmi.jpg

海未「あの、にこ……？」

にこ「わかった。海未も別れなくていいわ。そのかわり部屋の中だけってルールは守りなさいよ」

穂乃果「う、うん！」

凛「りょ、了解」

にこ「じゃあこの話はここまでね。今日は……もう練習って空気じゃないわね。解散しましょ」

海未「にこ、まだ話は終わってませんよ！」

にこ「にこはもう話すことないから。じゃあね」

保守

凛「もしかして凛達、地雷踏んじゃった……？」

穂乃果「たぶん……」

花陽「凛ちゃん、あんまりにこちゃんをからかっちゃダメだよ」

凛「こ、今回はからかったわけじゃないよ！」

海未「絵里達はなにか知っていますか？」

絵里「いいえ……私達もなにも聞いてないわ」

希（だいたい想像はできるけど）

海未「はぁ……こうなったらもう1人の当事者に聞くしかありませんね」

ことり「それは……いいのかな？」

海未「ずっと不思議に思ってはいたんです。どうしてなにも言わないのか……真姫」

真姫「……」

海未「そもそも、にこが恋愛禁止と言い出したときに真っ先に反対するべきは真姫です」

穂乃果「そうだよね、付き合ってるんだもん」

凛「うんうん。真姫ちゃんの立場がないにゃー」

花陽「あ、あの……この話はまた今度にした方が……」

希「せやね。ウチもそう思う」

海未「私は理不尽に別れさせられるところだったんですよ。しっかり説明してもらわないと納得できません」

希「けど海未ちゃん、実はもう予想ついとるんやない？」

海未「まあ……」

希「じゃあええやん。無理に真姫ちゃんから訊き出さんでも」

真姫「……希、別にいいわよ。気をつかってもらわなくても」

希「だけど……」

真姫「難しいことなんて1つもないから。みんなももうわかってると思うけど、別れたの。それだけよ」

海未「真姫、その……申し訳ありません」

凛「真姫ちゃん、ごめん……」

真姫「別に怒ってないから謝られても困るわよ。もう終わった話だから。私にとっても、にこちゃんにとっても」

ことり「やっぱり、アイドルとしての体面を気にして別れることにしたの……？」

真姫「そうみたいよ。下級生のファンの子になにか言われたみたい。たぶん私のことで」

穂乃果「真姫ちゃん、フラれちゃったんだ……」

絵里「穂乃果！」

穂乃果「あ、ごめ……」

真姫「気にしないでって言ってるでしょ。それよりもみんなが別れずに済んでよかったわ」

海未「真姫、もう1度にこと付き合う気はないんですか？」

真姫「ええっ？　なんで今さら……」

海未「恋愛禁止のルールは結局取り止めになったのですし、真姫とにこが別れる理由もないはずです」

凛「そうにゃ！　真姫ちゃん達もTOP……だっけ？」

花陽「TPOだよ、凛ちゃん」

凛「それ！　TPOだけ気をつければ大丈夫にゃ！」

穂乃果「海未ちゃんの言うとおりだよ、真姫ちゃん！」

真姫「別にいいわよ……にこちゃんもその気はないと思うから」

海未「そうでしょうか？　私にはまだ未練があるように見えましたが」

真姫「にこちゃんからフッたのにそんなのあるはずないでしょ」

穂乃果「にこちゃんだって別れたくて別れたわけじゃないんだから、絶対まだ真姫ちゃんのこと好きだよっ」

絵里「それは間違いないと思うけど、にこがまた付き合うかは別の話よ」

穂乃果「え、なんで？　好きだったら普通付き合うよ」

絵里「あくまで私の予想だけど、にこが別れようと決断した理由はアイドルだからというだけではないと思うの」

希「かもねぇ。にこっちのことやから、真姫ちゃんのためなんて思いながら空回ってしまったんよ」

真姫「どういうこと？　教えて」

俺「早く教えなさいよ」

絵里「実はね、にこは……」

希「えりち」

絵里「希、これは真姫は知っておくべきだと思うの」

真姫「？？」

絵里「にこはもう……長くないの」

真姫「え？ちょっと意味わかんないんだけど」

希「……」

穂乃果「絵里ちゃん、にこちゃんが長くないって……？」

絵里「……」

穂乃果「絵里ちゃん！！」

りっぴー「黙ってちゃわかんないニャー ！！」

絵里「一週間前だったかしら……」


にこ『にっこにっこにー、にっこにっこにー』

絵里『今日も元気ね、にこ』

にこ『当たり前でしょ、にこはみんなのアイドルなんだから』

にこ『にっこにっこにー、にっこに……げほっげほっ……！！』

にこ『げほっげほっ……！！あ……ぐっ、 あっ……うっ……』
ﾊﾞﾀｯ

絵里『にこ？どうしたの？にこっ！！』

にこたん！！！

穂乃果「そんなことが……」

花陽「そ、それでお医者さんは何て ！！」

絵里「専門医が言うにはにこは重度の精神的な外資系ストレス障害、危険度AAA に達しているらしいわ」

真姫「……っ！！」

りっぴー「真姫ちゃん」

真姫「私のせい……？私がにこちゃんのことちゃんと気にかけてあげてなかったから……」

絵里「真姫、それは違うわ」

真姫「で、でも！！」

希「この問題はとてもスピリチュアルやからね」

絵里「えぇ、こうなったのも全部花陽のせいよ」

花陽「え゛え゛え゛え゛ぇぇぇぇ！？！ 」

俺「ええええええええっ！？！？！？」

花陽「わ゛た゛し゛の゛せ゛い゛ぃぃ ！？」

絵里「というのは冗談よ」

花陽「ふぅ～、ハラハラさせないでよ、絵里ちゃん」

りっぴー「凛はかよちんのこと信じてた ニャ」

絵里「ごめんごめん、暗い雰囲気になっちゃってたからつい」

海未「まったく絵里は困ったものです」

真姫「そんなことより、ってあれ？さっきまで何の話してたっけ？」

ことり「う～ん、次のライブの話？」

海未「そうです、しっかりしてください二人とも」

穂乃果「えっと、じゃあセンターどうしよっか？」

「「「…………」」」

絵里「穂乃果でいいんじゃないかしら？ 」

穂乃果「う、うん……」

りっぴー「んー……？ニャ？」

花陽「どうしたの？凛ちゃん」

希「凛ちゃん、センターやりたいん？」

りっぴー「そうじゃないけど、何て言うかいつもこういう時センターやりたがる子がいたような……」

絵里「？？」

海未「そうでしたか？私たちμ's八人の中にはそういったタイプはいないかと」

りっぴー「凛の気のせいかなぁ？」

絵里「センターも決まったことだし次は ……」

ことり「あ、衣装完成したよー」

穂乃果「本当！？うわぁ今回も可愛い～ ！！」

りっぴー「ニャ？ことりちゃん、一つ余ってるけどこれは誰の？」

ことり「え？ちゃんと人数分作ったはずたけど」

希「確かに一着多いみたいやね」

花陽「ピンク色で可愛いけどサイズは凛ちゃんと同じくらい？」

りっぴー「これ凛のなの？」

ことり「違うよ、凛ちゃんのは別にあるし」

海未「まったく……しっかりしてください、ことり」

ことり「おかしいなぁ……？まっいっか」

穂乃果「もしかしてそれ矢澤先輩の分じゃない？」

海未「矢澤先輩？あぁアイドル研究部の部長だった方ですか」

りっぴー「凛たちが入ってすぐ辞めちゃ ったよね」

絵里「あの子にはちょっと悪いことしたわよね」

希「最近のにこっち、卒業の話になるたびにため息吐いてたんよ」

穂乃果「ああ、なるほど」

海未「恋人を残して卒業しなければならない辛さは想像に難くないですね」

希「挙句、留年もアリかもなんて呟いたり」

ことり「にこちゃんの場合、アリっていうか……」

凛「普通に留年しそうだにゃ」

絵里「きっと悩んでたのよ、真姫との関係をどうしていくか」

希「にこっちはちょっと頭の足りてないところがあるから、別れた方が真姫ちゃんのためになるとか思ったんやない？」

凛「にこちゃんはギネス級のおバカさんだにゃー」

絵里「憶測だけどね。けど別れた理由がアイドルとしての体面だけとは思えないわ。むしろそれは建前というか、きっかけに過ぎないと思うの」

帰ってキターッ！

穂乃果「にこちゃんって本当に……」

海未「つくづくバカですね」

ことり「でもそれなら真姫ちゃんがにこちゃんにまた付き合いたいって言えば済むんじゃゃないかな」

絵里「どうかしら……1度別れたってことはそれだけにこの決心が強いってことよ」

希「真姫ちゃん、別れ話されたとき食い下がったん？」

真姫「当たり前じゃない……何度も別れたくないって言ったわよ、でも、自分はアイドルだからって……にこちゃんの夢、邪魔したくなかったから、私、仕方なく……ぐすっ」

花陽「ま、真姫ちゃん。泣かないで、真姫ちゃん」ﾅﾃﾞﾅﾃﾞ

真姫「ひぐっ……花陽ぉ……」ｷﾞｭｯ

凛「にこちゃん、最低……」

絵里「そういう言い方は良くないわ。にこだって悩み抜いて出した結論でしょうし」

凛「でも！　真姫ちゃんのことを本当に想ってるなら絶対に別れるなんて言えないよ！　真姫ちゃん泣いてるのに……」

穂乃果「……やっぱりもう1回にこちゃんと話すしかないよ！」

海未「なにをですか？　ただ付き合ってと言うだけでは無意味ですよ」

穂乃果「真姫ちゃんのためににこちゃんがどうすべきかだよっ！」

海未「それをにこなりに考えた結果が今の状況でしょう？　私達の意見を押し付けるのは簡単ですが、それでなにか変わるとは思えません」

穂乃果「むむむ……海未ちゃん手厳しいよぉ～」

希「とりあえずにこっちと話すくらいならええんやない？　にこっちの本心も知りたいし」

穂乃果「だよね、希ちゃん！　話さないことにはなにも始まらないよね！」

海未「はぁ……わかりましたよ。それで？　誰がにこと話すんですか？」

穂乃果「それはもちろん、真姫ちゃんしかいないよ！　真姫ちゃんが自分の気持ちを全部ぶつけて──」

海未「今の真姫がまともににこと話せるとは思えませんが」

穂乃果「私がついて行く！」

凛「凛も行くにゃー！」

海未「却下です」

穂乃果「どうしてっ！？」

海未「余計話が拗れるのが目に見えているからです」

>>57
何故りっぴーだけりっぴーなのか

海未「そもそも今日じゃなくてもいいでしょう。明日とか、真姫が落ち着いてからで──」

真姫「ううん、今行くわ」

海未「真姫……！？」

真姫「大丈夫よ、花陽のおかげでスッキリしたから。今ならきっと、にこちゃんの前でも泣いたりしないわ」

海未「ただの強がりにしか見えませんよ……」

真姫「卒業までにはもう1度告白するつもりだったし、それが今日になっただけよ」

海未「絵里、どう思いますか？」

絵里「真姫が行くって言うのなら、私達が止めても仕方ないわ」

海未「……わかりました。私ももうなにも言いません」

お前が来るまで俺がスレを繋ぎ止めてやったぞ

希「じゃあウチがお供する」

真姫「……希？」

希「久々にええやろ？　この組み合わせ」

真姫「もう……心配症なんだから」

希「決定やね」

穂乃果「ええーっ！？　希ちゃんが行くなら私も──」

海未「穂乃果？」

穂乃果「……お留守番してまーす」

真姫「みんな、ありがとう……じゃあ行くわ」

海未「真姫……ご武運を」

凛「真姫ちゃん、ファイトにゃー！」

花陽「頑張ってね、真姫ちゃん！」

海未「はぁ……本当に大丈夫でしょうか？」

ことり「希ちゃんがいるから変なことにはならないと思うよ」

穂乃果「うーっ、うーっ……」ｿﾜｿﾜ

絵里「穂乃果は少し落ち着いて」

花陽「私達はなにしよっか」

凛「練習しかすることがないにゃー」

絵里「そうね。体を動かした方が気も紛れるだろうし……ところで、海未？」

海未「はい？」

絵里「妹のことで話があるんだけど……もちろん付き合ってくれるわよね？」

海未「……」

俺｢･････」