刑務官「所持品の確認だ、これで全部か」

元893「ああ」

刑務官「もう来ることがないといいな」

元893「ああ」

バタン

カチッカチッ

元893「流石にオイルがやられてら」

元893「今更組に戻れねぇし」

元893「……真面目に働くか」

どこで働くか 安価下1

元893「仕方ねぇ、とりあえず自宅に帰るか」

元893「……遠いな」

スタスタ

元893「ただいまーっと…おいおい、何もねぇじゃねぇか。家賃払ってねぇから立ち退きか。クソッタレ」

元893「…ったく、しゃーねぇな」

少々お待ちを

不動産屋

男「いらっしゃ……ひぃ」

元893「あからさまに悲鳴挙げねぇでくれるかな、せっかくの娑婆でよ」

男「出所なさったんですね…えっとお勤めお疲れ様でした」

元893「おう、それより俺の家具はどうした」

男「いえ、随分払込が遅れていたのでえっと」

元893「あぁ？」

男「ひぇ」

元893「俺はこれから真面目にはたらくんだからよ、その辺便宜図ってくれや、な？」

男「え？ええ、畏まりました」

元893「住所はこれでよしと」

スタスタスタ…

元893「そういやここの旦那、元気かな。久々に挨拶すっか」



従業員「いらっしゃいませ」

元893「ここの支配人いるかな」

従業員「はい、いますが…」

元893「あー、知り合いでよ、挨拶してえんだわ」

従業員「少々お待ちください」

元893「久し振りだな」

パチ「あー、どもども」

元893「相変わらず儲かってんな」

パチ「いえ、もうボチボチで。それより最近見かけんでしたね」

元893「あーまぁ、ちと面倒だから聞かんでくれるか」

パチ「はあ」

元893「ところでよ、働くとこねぇか」

パチ「は、はい？」

元893「ん、いやだからよぉ、働くとこねぇかと聞いとんだ」

パチ「戻らないんですか」

元893「戻れんのよ」

パチ「んー、仕事ですか」

……

元893「いっそここで働くか、俺を雇え」

パチ「は？いやいや」

元893「立ち退きから救ってやったのは誰だっけか、ええ？」