菫「松実宥が病気?」(181)
____ ?
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/: : : : : : ヽ: : : ヽ
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Vi八'' 、_,_, ''人|
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(/∨))-<天介^V))
. /:::/ ムイ ∨ しヘ::::\
. く__rく/bノ┐ o┌〉 d\丿
※菫×宥注意
※シリアス寄り
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
イケヌマイレヴン
(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)(^p^)
恒子「インターハイ次鋒戦もついにオーラス!現在1位は王者白糸台!14万9500点!王者の貫禄を見せつける!」
恒子「その王者を追うのは2位臨海女子!107600点!3位清澄7万5300点!」
恒子「そして現在4位の阿知賀女子!6万9600点!トップに倍近く差を広げられてしまったが挽回なるでしょうか!」
東家 清澄高校
まこ(弘世菫がヤバイ。準決では調子落としてたように思えたんじゃが。)
まこ(この親で少しでも取り返して次に繋げたいのう……)
西家 臨海女子高校
ハオ(一位捲りたかったんですが、流石王者というとこですね。)
ハオ(これが噂に聞いた3年ブーストというやつでしょうか。)
南家 白糸台高校
菫(準決勝では阿知賀にやられたが、そのおかげで癖を修正することができた。)
菫(更にリードを広げさせてもらう!)
北家 阿知賀女子学院
宥(自摸っても弘世さんから直撃を狙われて全く稼げなかった。)
宥(どうしよう……このままじゃ……)
インターハイ決勝戦次鋒戦 後半戦オーラス 0本場 ドラ中
七巡目
宥(よしっ)
一二三四六七八九九中中中赤⑤ 自摸 五萬 打 赤⑤
穏乃「宥さんいい手張った!」
憧「メンホン中ドラ3でダマで跳満、自摸か高めイッツーで倍満」
灼「ここ和了れるといいけど……」
玄(神様お願い!お姉ちゃんに和了らせてください!)
八巡目
まこ
123466七八①①②發發 自摸 3索
まこ(場見た感じ阿知賀と白糸台には萬子きりたくない)
まこ(鳴いて場を乱したいんじゃが鳴くこともできん)
まこ(ここはオリ気味に筒子落としていかせてもらおうか)
打 ②筒
菫
二三四四四五六六六七八白白 自摸 白
菫(これで阿知賀に止めを刺す!)
打 五萬
恒子「おーっと白糸台の弘世菫ここで阿知賀の和了り牌をとめて聴牌!」
健夜「一四六九待ち。メンホン白で満貫ですね。」
ハオ
②③④⑤⑤67二三西西東東 自摸 三萬
ハオ(白糸台張った気がしますね……)
ハオ(阿知賀からも高い気配感じますし)
ハオ(差を縮められないのは悔しいところですがここは店じまいですね)
打 ②筒
宥
一二三四五六七八九九中中中 自摸 一萬
憧「うわ……いきなり弘世菫の当たり牌」
晴江「癖直されて今の宥には気付けない。振り込んでも仕方ない。」
宥(自摸切りかあるいは九萬きるか…)
宥(場に一萬と九萬は一枚ずつ出てる、どっちを切ってもあまり変わらない)
宥(けどここでどっちか捨てるのに寒気がする……)
宥(それなら……)
打 中
菫(かわされた!?)
菫(いや、癖は修正したしここまでの局では射抜けた……)
菫(仮にオリられたとしてもそれならいずれ自摸で和了るだろう)
菫(このまま待たせてもらうか)
宥(このまま降りるだけじゃダメ)
宥(もっとあったかいの……もっとあったかいの来て!!!)
ゴッ!!!
バッ 宥の方へ振り向く三人
まこ(何じゃ!?阿知賀の空気が変わった?!)
ハオ(阿知賀に熱が集まっていく……?)
菫(この感じ、照や淡から感じる気配に近い……
九巡目
宥
一一二三四五六七八九九中中 自摸 九萬 打 中
十巡目
宥
一一二三四五六七八九九九中 自摸 一萬 打 中
恒子「なんと、阿知賀の松実宥!ドラ中暗刻を落として純正九蓮宝燈をテンパったー!!!」
健夜「途中から松実さんの空気が変わりましたね。今の彼女は去年の神代さんと似たものを感じます。」
十一巡目
菫
二三四四四六六六七八白白白 自摸 五萬
菫(阿知賀にはもうかわされたか……)
菫(ここで深追いをすると準決勝と同じことになるかもしれない)
菫(ここは引かせてもらう)
打 白
宥(あったかいの……あったかいのきて!!!!!!)
宥
一一二三四五六七八九九九 自摸 赤五萬
宥「……自摸。8000、16000です」
恒子「次鋒戦終了ー!!!阿知賀松実宥の九蓮宝燈が炸裂し、阿知賀ダンラスから2位に浮上ー!!!」
菫「お疲れ様でした」(危なかったか……)
ハオ「お疲れ様です」(親じゃなくてラッキーでしたね。)
まこ「お疲れ様……」(また役満親被りかい……)
宥「お疲れ様……でした」バタッ
倒れこむ宥を抱きかかえる菫
菫「おい!大丈夫か?」
菫「異常に冷たい……誰か!早く医務室に連絡しろ!!」
阿知賀控え室
玄「お姉ちゃん!」
すごい勢いで駆け出す玄
憧「え?宥姉どうしたの?」アワアワ
灼「様子がおかしい……」
穏乃「私たちも行くよ憧、灼さん!」
病室
宥「――ここ……は?」
菫「おい!目覚めたのか!?」
宥「……弘世さん?///」アタフタッ
玄「おねえちゃん!!よかったよー目が覚めて!」ボロ泣き抱きつき
宥「玄ちゃん……どうしたの?泣かないで」ナデナデ
菫「姉妹水入らずのところすまなかった。私はたまたま見舞いにきたんだ。また改めて出直す。」
宥「え……そんな。ゆっくりしていってください。」
菫「とりあえず失礼するよ。お大事に」
弘世さんが立ち去るとお医者さんと看護師さんが来て色々診察や検査があった。
私はどうやら決勝戦の次鋒戦終了後に倒れてしまい入院しているようだ。
決勝戦から一週間が経ってるみたいで私はその間ずっと眠っていたと聞かされた。
そして病気についても説明があった。
適切な温度下でないと自分の体温を維持できないと。
そのためには適温を保った空間から出てはいけないとのことだった。
病室
宥「みんな迷惑かけてごめんね……」
玄「お姉ちゃんは迷惑なんてかけてないよ!」
憧「そうよ!団体戦だって宥姉が頑張って持ちこたえてくれたおかげですごくいい試合だったんだから!」
灼「宥さんのおかげでここまでこれた。私たちにも恩返しさせて。」
穏乃「宥さんを助けることを迷惑と思う人なんていませんよ?」
晴江「まーそういうことだから!私たちを思うなら宥は療養に専念して早く元気になりなさいって!」
宥「……はい!私早く元気になりますね!」
病院 別室
医者「松実宥さんのご家族の方に伝えておかなければいけないことがあります。」
玄「伝えなければいけない……ことですか?」
医者「はい。宥さんは……現在の医学では治すことができません。」
玄「!?」
医者「そして、このまま病が進行すると……亡くなられます。」
玄「そんな……」
医者「治すことは今はできませんが、延命することはできます。」
医者「ですから今すぐ亡くなられるということはありません。」
玄「それじゃあ姉はあとどのくらい生きられるんですか?」
医者「3年……。もって5年というところでしょうか。」
玄「……おねえ…ちゃん……」
玄は顔を両手で覆い涙を流した。
宥 病室前
玄(お姉ちゃんに感づかれちゃいけない!)
玄(だからとにかく笑顔でハイテンションでお姉ちゃんに接する!)
玄(絶対に泣いちゃダメ!)
玄「お姉ちゃん!調子はどう?」ガチャ
宥「玄ちゃん。うん、今は調子いいよ。この調子なら外に出ても大丈夫じゃないかな?」
玄「絶対ダメ!!!」
宥「……玄ちゃん?」
玄「あ……えと……ほら。また倒れちゃったらお医者さんに怒られちゃうよ?」
宥「そうだね……また倒れちゃうかもしれないよね。」
玄「うん、だからお医者さんから許可もらうまではしっかり療養に専念しよ?」
宥「はい、わかりました。」
玄(よかった……怪しまれてないよね?)
宥「そうだ、玄ちゃん。弘世さんにお礼とお詫び言っておいてくれないかな?」
玄「弘世さんにお礼とお詫び?」
宥「うん、わざわざお見舞いに来てくれたのに何もお構いせずに帰らせちゃったから。」
玄「おまかせあれ!ちゃんと弘世さんに伝えてきます!」
宥「ありがとう、玄ちゃんお願いね。」
玄「というわけで白糸台高校に来てみたのです。」
玄(誰かの連絡先知ってたらよかったのに……知らないから直接乗り込むしかないよね)
玄「いざ!」
淡「あれーうちの生徒じゃない人がいるー。どうしたの?」
玄「は、はい!え、えと、怪しいものじゃないですよ?」
玄(どうしよう……テンパッて何言ったらいいのかわからなくなったのです)
淡「すっごく怪しい……あれ?どっかで見たことある気がするんだけど?」
玄「あ……えと」
菫「淡!何をしている!そこにいるのは……阿知賀の松実さんか?」
淡「あ!阿知賀の先鋒の人だ!思い出した!」
玄「弘世さん!ちょうどいいところに!」
菫「ん?私に用だったのか?」
玄「はい!あの、お姉ちゃんがこの前は何もお構いもせずに帰してしまってすみません、それからお見舞いに来ていただいてありがとうございましたとのことです!」
菫「そうか、彼女は無事なようだな。」
玄「……」(ウルッ)
菫「ん?どうした?」
玄「な、なんでもないですよ!」アタフタッ
菫「そうだ松実さん、これからお見舞いに行かせてもらってもいいかな?」
玄「え、えと来ていただければお姉ちゃんは喜ぶと思います。」
菫「そうか、それじゃあ行くとしようか。淡、私が休む旨伝えておいてくれ」
淡「りょーかい!いってらっしゃいすみれー」
玄「お姉ちゃん、ただいま!」
宥「玄ちゃんおかえりなさい。」
菫「失礼するよ、松実さん」
宥「弘世さん!?///」アワアワ
玄「弘世さんに伝えたらお見舞いにきてくれたのです!」
菫「意識が戻ったようで何よりだよ。倒れたときは本当に辛そうだったからな。」
宥「ご心配してくださってありがとうございます。」
菫「そんなに固くならないでくれ、同学年なんだから」
宥「そう、だね。わざわざきてくれてありがとう弘世さん」
玄「弘世さんお姉ちゃんが倒れたときにすぐ応急処置してくれたり色々看病してくれたんだよ!」
宥「本当!?そんな大切なこと、もっと早く教えてよー玄ちゃん」
菫「大したことなどしていない。人として当然のことをしたまでだよ。」
宥「それでもありがとうございます。」ニコッ
菫(ドキッ)
菫「ところで、松実さん。」
宥「はい?」
玄「はい?」
菫「ああ、そうか。2人いると呼称を区別しないといけないか。」
宥「どうぞ名前で呼んでください。」
玄「なのです!」
菫「そうか、じゃあ私のことも名前で呼んでくれ、宥。玄。」
宥「うん、菫ちゃん。」
玄「はい、菫さん!」
菫「宥たちはいつまでこっちにいるんだ?」
宥「私は入院してて移送も大変だからしばらくここにいるかもしれません。けど……玄ちゃんどうしてるの?」
玄「私はお姉ちゃんが退院するまではこっちにいます」
宥「どうしてるの?」
玄「えと……その、今はホテルに泊まってます。」(阿知賀のみんなから援助を受けて)
宥「玄ちゃん……私が心配かけてるのはわかるけど、そんなに長く滞在できないでしょ?」
玄「でも、お姉ちゃんをおいて帰れないよ!」
菫「それなら、私の家に泊まるか?」
玄「!?」
宥「菫ちゃん、けどお家の方にご迷惑が……」
菫「私の家ならば問題ない。玄さえよければ、夏休み一杯いてくれて構わない。」
玄「ありがとうございます!お言葉に甘えさせてもらっていいですか!?」
宥「玄ちゃん!菫ちゃん本当にいいの?」
菫「ああ。ここまできたら乗りかけた船だ。姉妹が離れ離れになることはないさ。」
宥「菫ちゃん……ありがとう!」
玄「菫さん、ありがとうございます!」
菫「ここが私の住んでいる家だ。」
玄(うわー豪邸!)
玄「すごく立派なお家ですね!」
菫「ああ。私1人には身が余る家だ。」
玄「1人なんですか?」
菫「ああ。訳あってな。」
玄(ここは複雑な家庭の事情かもしてません……突っ込まないほうがいいですね。)
菫「余った部屋があるからそこを自分の部屋にしてくれ。家にあるものは自由に使ってくれて構わない。」
玄「ありがとうございます!」
玄「菫さん、よかったら夕食を用意させてもらえませんか?せめてもの恩返しをしたいのですが」
菫「別に気にしなくていいが、そういうことならご相伴に預からせてもらおう。」
玄「おまかせあれ!」
玄「どうぞなのです!」
菫「(ずいぶん料理手慣れてるな。)いただきます。」
菫「……美味しい。」
玄「ありがとうございます!」
菫「ずいぶん手馴れてる様子だったが、普段から作っているのか?」
玄「家が旅館を経営してて、それで料理を手伝っていたんです。」
菫「なるほど、私も嗜む程度には料理をするが玄には勝てないな」
玄「もしよければこれからも食事を用意させてもらえませんか?」
菫「それは助かる。これからも玄に任せよう。」
玄「おまかせあれ!」
病室
宥「玄ちゃん、菫ちゃんに粗相はしなかった?」
玄「大丈夫だよー。むしろ食事当番に任命されたのです!」
宥「玄ちゃんのご飯美味しいもんね。菫ちゃんに合ってよかった。」
玄「お姉ちゃん、菫さんのことにやけに気にしてない?」
宥「え!?それは、こんなに優しくしてくれる人に気向けるのは当然じゃない?///」アタフタ
玄「それもそうだね。」
宥(ホッ)
玄(ほっと思ってるけど私にはバレバレなのです)
玄「あ、今日も菫さんお見舞い来てくれるって。」
宥「本当!?どうしよう……ちゃんと身だしなみ整えたいけど、部屋から出られないし……」アタフタ
玄(アタフタするお姉ちゃんかわいいのです!)
一週間後
玄「菫さん、おはようございます!」
菫「おはよう玄、エプロン姿が今日もよく似合っているな」
玄「エプロン着るとやっぱり気合が入りますね!」
菫「ああ、玄に着てもらえるならそのエプロンも光栄だろう。」
玄「えへへ、あ、朝食できてますよー。」
菫「ああ、じゃあいただきます。」
玄「いただきます!」
・
・
・
菫「私は部活に顔を出してくるが玄はどうする?」
玄「お姉ちゃんとずっといます!」
菫「そうか。私も終わったらまたお見舞いにいかせてもらうよ。」
玄「わかりました!部活がんばってください!」
菫「ありがとう、じゃあまた。」
白糸台部室
菫(松実宥……松実玄……)
照「菫どうしたの?」
菫「ん?別にどうもしてないぞ」
淡「そんなことないよー今のスミレ先輩、恋する乙女の顔してた!」
照「恋する乙女かわからないけど何か悩んでそうだった。」
菫「別に悩んでもいないが、今阿知賀の松実玄を家に泊めててな」
照「阿知賀の……あのドラに愛された子か」
淡「何で泊めてるのー?」
菫「成り行きだ。松実宥が入院しててそのお見舞いに行ってからな」
照「ああ、あの赤牌を引き寄せる人。」
淡「あの人最後凄かったねーモニタ越しでもオーラを感じたよ!」
菫「まあその姉妹と縁ができたんだ、阿知賀と練習試合でもできないかと考えていた。」
淡「やりたいやりたい!あの2人特殊だから面白そう!それにシズともまたやりたいし!」
病室
菫「失礼。」
宥「あ、菫ちゃん。いらっしゃい。」ニコッ
菫(ドキッ)
玄「菫さん、いらっしゃいなのです!」
菫「これ、見舞いの品だ。よかったら受け取ってくれ」
宥「いつもわざわざ来てくれるだけで十分嬉しいのに。でもありがとう。これはお茶っ葉?」
菫「後輩にお茶に詳しい子がいて、その子に体が温まるお茶を教えてもらったんだ。」
玄「ちょっとおもちの人ですね!」
宥「そうなんだー。ありがとう。大切に飲ませてもらうね。その後輩の子にも伝えておいて?」
菫「ああ。わかった。」
菫「あと、折角2人がこっちにいるんだ。阿知賀とうちで練習試合でもできないか?」
宥「練習試合……」
玄「まさか、王者白糸台に申し込まれるなんて……」アワアワ
菫「他のメンバーはもう奈良に帰っているのか?」
玄「はい、お姉ちゃんが目覚めてとりあえず一回帰ってます。けど話もちかけたらすぐ集まってくれますよ!」
菫「そうか、私としては宥とまた打ちたいんだ。」
宥「私と?」
菫「ああ。君は私が射抜けなかった初めての対戦相手だ。」
宥「そんな……準決勝は赤土さんのおかげだし、決勝戦では散々だったのに」
菫「いや、最後の君は魔物クラスだった。ぜひまた打たせて欲しい。」
玄「それはダメです!!!」
宥「玄ちゃん!?」
玄「お姉ちゃんが倒れたのはあのときに無理したからです!お姉ちゃんに麻雀はもう……しないでほしいのです。」
宥「玄ちゃん……」
菫「……そうだな。悪かった。今の提案はなかったことにしてくれ。」
菫家
菫「玄、聞きたいことがある」
玄「菫さん、どうかしましたか?」
菫「宥の容態についてだ」
玄「!?」
菫「君は宥の容態について医者から聞かされているんじゃないか?」
玄「……菫さんには関係のないことです。深入りしないでください。」
菫「友人として聞くこともダメなのか?」
玄「……お姉ちゃん、このままじゃ死んじゃうんです。今の医学じゃ治せないって」
菫「……そうだったのか。」
玄「うぅ……菫さん、私どうすればいいんですか?お姉ちゃん死んじゃったら私……」
菫「玄、1人で抱え込まないほうがいい。私にもその荷背負わせてくれ。」
玄「菫さん、う、うわああああああああああああああん」
菫「落ち着いたか、玄」
玄「はい……けど菫さんどうして見ず知らずの私たちにこんなにやさしくしてくれるんですか?」
菫「それは……」
玄「それは?」
菫「宥に一目惚れしたんだ」
玄「えっ!?」
菫「ああ、準決勝で戦ったときから気になっていた。お見舞いしてる過程でも更に好きになるばかりだった。」
玄「そうだったんですか……全く気づきませんでした。」
菫「ポーカーフェイスには自信あるからな。」
玄「お姉ちゃんから菫さんにも脈あると思いますよ?」
菫「本当か!?」
玄「はい!だって菫さんの話するとすごくニコニコして聞いてきますし、菫さんがお見舞いにくるって知ってすごく喜んでましたし」
菫「そうか……。よかった。」
玄「私も応援します!大船に乗ったつもりでいてください!」
菫「頼もしいな。ありがとう玄」
菫「――お礼に宥を救ってみせるから。」
玄「え?」
菫「今の医学で治せないなら、私が治療法を発見すればいいだけさ。」
白糸台高校
淡「菫が麻雀での大学推薦蹴ったって噂本当!?」
尭深「本当みたい……今宮永先輩が弘世先輩と話してる……」
照「菫……本当に麻雀やめるの?」
菫「ああ。医学部へ進学して私は医者になる。大学で麻雀部には所属しないだろう。」
照「そう……寂しくなるね」
菫「別に麻雀を全くやらない訳じゃないさ。麻雀は好きだしな。」
菫「淡や尭深や亦野たちも呼んでまた打とうじゃないか。」
菫「だから照、お前はプロで頑張ってくれよ。」
照「――わかった。菫の分も私が打つ。」
菫「ああ。応援してるぞ。」
――そして瞬く間に月日は経った。
夏休みが終わると、玄は奈良に帰り、宥も程なくして奈良の病院に移送された。
私は宥と玄とはメールや電話でやり取りを続ける傍ら受験勉強に励んだ。
その結果PS細胞研究の権威のいる奈良の大学に合格した。
修正 PS細胞→iPS細胞
3月中旬
玄「あ、菫さん!お久しぶりです!」
菫「玄、久しぶり。少し大人っぽくなったな。」
玄「菫さんは相変わらず美人ですねー。」
菫「宥は元気にしているか?」
玄「はい!けど菫さんにしばらく会えてなかったから寂しがってはいます。」
菫「そうか、私も早く逢いたい。松実旅館に早く行こう」
玄「はい!それじゃ行きましょう!」
宥の部屋
菫「宥、久しぶり。」
宥「菫ちゃん、久しぶり。来てくれて本当にありがとう。」
玄(そう言ってそっと抱きしめ合う2人!)
玄(私は空気を読んで空気になるのです)
菫「ずっと会いたかった……」
宥「私も会いたかった。」グスッ
菫「泣かないでくれ、これからはずっと一緒にいられるさ」
宥「うん、嬉しいよ。菫ちゃん」
玄(そう言って顔を近づける2人!)
玄(2人は幸せな熱いキ――)
宥「……玄ちゃん!ごめん!おかえりなさい!」アタフタ
菫(空気を読むならそこで見つかるな)ジロッ
玄「(菫さんごめんなさい!)ただいまお姉ちゃん!」
4月初旬
玄「やっぱりチャンピオンはすごいねー。プロデビュー戦でいきなり優勝しちゃうんだもん」
宥「玄ちゃんそんな人と戦ってたんだよね。」
玄「あのときは何がなんだかわかんなかったよー」
菫「照も玄のお陰でドラが使えずかなり手こずっていたからな。」
照はプロ入りし早速大会で優勝した。
ずっと側で見守っていた親友がプロとしてテレビに映り活躍している姿を見るのは新鮮だった。
宥は松実旅館の空調管理された部屋で療養中。
宥の身の回りの世話は玄が献身的に行なっている。
私は今大学生として松実旅館に下宿させてもらっている。
大学に入学してからもひたすら勉強に打ち込んだ。
本来医者になるには六年間かかるが宥のタイムリミットは待ってくれない。
私は飛び級を駆使するためにも寝食を惜しんで勉強に励んだ。
宥と過ごす時間は短かったが、それでも幸せだった。
12月中旬 菫部屋 菫勉強中
菫(これは難しいな……もっと読み直さないと理解できない)
玄「菫さん、ちょっといいですか?」
菫「どうした玄?」
玄「お姉ちゃんのことなんですけど……」
菫「宥のこと……何か身体に異変があったのか!?」
玄「いえ、病気はわからないんですけど」
菫「そうか……それならよかった」
玄「よくないですよ!菫さん!」
菫「!?」
玄「もっとお姉ちゃんと過ごしてあげてください!お姉ちゃんすごく寂しそうなんです!」
菫「宥が……しかし宥とは毎日朝食と夕食は共にしてるぞ?」
玄「それだけじゃないですか!」
玄「……菫さんがお姉ちゃんのために勉強してるのも知ってます。けど……このままじゃお姉ちゃん精神的に病んじゃいます。」
菫「そうか……」
玄「だからもう少しお姉ちゃんとの時間を作ってくれませんか?お願いします。」
菫「いや。私が悪かった。宥を救おうとしていたのに苦しめていたら本末転倒だ。玄、ありがとう。」
玄「いえ、わかってくれればいいのです。」
菫「早速、宥に会ってくる。」
玄「いってらっしゃいです!」
宥部屋
宥「はぁ……」
宥(今日も菫ちゃん勉強中……)
宥(寂しいなんて思っちゃダメ。知られちゃったら菫ちゃんに迷惑かけちゃう)
菫「宥、入ってもいいか?」
宥「菫ちゃん!?えと、うん。どうぞ入って!」アタフタ
菫「ちょっと勉強に熱をいれすぎてね。宥の顔を見て一息いれにきたんだ」
宥「私の顔を見に?」
菫「ああ。宥は私を癒してくれるからな。」
宥「そんな、私何もしてあげれてないのに……」
菫「宥とこうして一緒にいるだけでいいんだ。」
宥「……ごめんね菫ちゃん」
菫「何で謝るんだ?」
宥「何か玄ちゃんに言われたんじゃない?」
菫「……宥はもっと欲を出していいんだぞ?」
宥「え?」
菫「もっとしたいことやして欲しいこと何でも言ってくれ。」
宥「でも……菫ちゃんに迷惑が」
菫「本当はクリスマスに言うつもりだったんだが」
宥「?」
菫「私は宥を愛している。」
宥「え!?え!?」
菫「これを受け取ってくれないか?」つ指輪
宥「え!?これって婚約指輪……?」
菫「そうだ。」
宥「……ゴメン。受け取れないよ」
菫「!?」
宥「私……もう先の短い命だから。」
菫「!?知っていたのか……」
宥「え?知っていたのかって……」
菫「宥の病気のことは玄から聞いた。玄から宥は知らされていないと聞いていたんだが」
宥「玄ちゃんの様子見てたら気づいちゃった。それでお医者さんに直接聞いたの。」
宥「菫ちゃんこそ知ってたならどうして私にこんなプレゼントを用意したの?」
菫「私が医者を目指すのも今勉強をしているのも全て宥を救うためなんだ。」
宥「!?」
菫「宥が知ったら止めるだろうと思って知らせてなかった。」
宥「止めるよ!すぐ死ぬ私のために菫ちゃんの大切な進路決めるなんて!」
菫「すぐ死ぬなんて言わないでくれ。玄がどれほど悲しむかわかっているだろう?」
宥「……」
菫「そして私もだ。宥がいなくなることに私は耐えられない。」
菫「だから、宥。生きてくれ。」
宥「……でも」
菫「私は君を救う覚悟を決めている。宥も生きる覚悟をもってくれ」
宥「……わかった。私も絶対生きるよ。」グスッ
菫「それじゃあもう一度繰り返すよ。私は宥のこと愛している。だからこれを受け取ってくれ」
宥「私も菫ちゃんを愛しています。ずっとそばにいさせてください」
そして2人は幸せで熱いキスを交わした。
キス後
宥「菫ちゃん、早速したいこと言ってもいいかな?」
菫「ん?何でも言ってくれ」
宥「私ね、菫ちゃんとあったかいこと、したいな。」
菫「!?」
菫(ここで言うあったかいことってそういうことでいいんだろうか?)
菫(いや待て!勘違いだったら嫌われる。ここは冷静に様子を)
宥「ずっと、私待ってたんだよ?///」
菫「寂しい思いさせてすまない宥」
宥「ん……恥ずかしいから電気消してもいい?」
菫「宥、優しくするから……」
宥「うん、あったかくして……」
(省略されました。わっふるわっふる)
玄「昨夜はお楽しみでしたね!」
宥「!?」
菫「!?」
私は大学を4年で早期卒業し、晴れて研究医となった。
宥がここまで耐えてくれたのは、玄が献身的に支えたことや宥自信の精神の強さによるものだ。
しかし着実に宥の身体は死へ近づいていた。
そしてずっと研究した宥の治療手術をすぐ行うことにした。
宥「iPS細胞移植?」
菫「ああ。宥の身体で異常のある場所に宥のiPS細胞を移植する。そうすれば今の病気は治るはずだ。」
玄「菫さん!ついにお姉ちゃんの治療法が完成されたんですか!?」
菫「理論上はな。だが、前例がない。術後の保証はない。」
宥「それでも……しないと私は死ぬ……そうだよね?」
菫「……ああ。ここまで保ってくれているのが奇跡みたいなものだ。」
宥「うん。手術受けるよ私。菫ちゃんのこと信じてるから。」
玄「菫さんがここまで頑張ってきたんです、絶対大丈夫です!」
手術室
菫(理論上は大丈夫。実験も何百回とした。これが成功すれば宥を救えるはずだ)
菫(信じろ……自分を。そして宥を)
・
・
・
手術後
玄「菫さん!手術は……お姉ちゃんはどうですか!?」
菫「大丈夫だ。宥の容態は安定、手術も成功したとみていいだろう。」
玄「本当ですか!?よかったーお姉ちゃん」ウルウル
菫「楽観視はできないがな。前例のない手術だ。今後何が起こるかわからない。」
玄「でも菫さんがついていれば大丈夫ですよね?」
菫「ああ。宥は私が救う。」
玄「なら安心なのです!」
病室
宥「――ここ……は?」
菫「宥。おはよう」
宥「……菫ちゃん?」
菫「まだ麻酔が残っている。もう少し寝ていたほうがいい。」
宥「麻酔……手術はどうなったの?」
菫「手術は成功した。君はまた外へ出られるようになるだろう。」
宥「そう……。ありがとう、菫ちゃん。」
菫「宥ががんばってくれたからだ。とりあえずおやすみ。」
宥「うん……おやすみなさい。」
それから宥は何回かの検査を経て無事退院した。
これからは宥と玄、3人で幸せな時間が続いてく。
――そう思っていた。
手術から1ヶ月後
菫「子どもを産みたい?」
宥「うん。ダメかなぁ?」
菫「ダメだ。」
宥「えっ」ガーン
菫「当たり前だ。母体にどれだけ負担がかかると思ってる。」
菫(それに宥を男に抱かせるなんてこと絶対できないに決まってる)
宥「それは……そうかもしれないけど、私は菫ちゃんとの子供を産みたい!」
菫「私とのだと?」
宥「うん、菫ちゃんの研究しているiPS細胞で同性同士の子供が誕生したってニュースこの前見たの。」
菫(確かに女性のiPS細胞からでも精子を作り出し受精させることはできるが……)
菫「宥が私の子を産みたいという気持ちはわかった。そう思ってくれることは嬉しいが」
菫「子を成したいのならば私が産む。宥に負担をかけさせる訳にはいかない。」
宥「それでも私が産みたい。」
菫「絶対にダメだ。」
宥「私ね、夢だったの。」
菫「夢?」
宥「お母さんになることがずっと夢なの。愛する人とあったかい家庭を築きたい。」
宥「子供を産みたいのは私のエゴだと思う。それでもお願い菫ちゃん!」
宥「私はお母さんになりたい!」
菫(宥はこう見えて譲れないところでは全く折れてくれないのはわかってる。)
菫(その心の強さをもつ君だから私は好きになったんだ。)
菫「――わかったよ。」
宥「菫ちゃん!ありがとう!」
それから私は教授にお願いして同性間のiPS細胞を用いた受精実験の被験者にしてもらった。
私のiPS細胞から生成された精子は宥の卵子に着床し宥は無事妊娠することができた。
妊娠1ヶ月後
入浴中
菫「宥、少しお腹が大きくなってきた気がするな。」
宥「うん、赤ちゃんが成長してるって私も感じる。」お腹さすさす
菫「私にも赤ちゃんを感じさせてくれ」お腹さすさす
宥「菫ちゃん……その……恥ずかしい……よ?」
菫「もっと赤ちゃんと宥を感じさせてくれ」
宥「もう……甘えん坊さん。」
菫「宥にはついつい甘えてしまうな。」
宥「あ、そこは……///」
(省略されました。わっふるわっふる)
妊娠3ヶ月後
菫「宥。体調はどうだ?」
宥「うん、大丈夫……だよ?」
玄「お姉ちゃん、ずっと調子悪そう……」
菫「この次期つわりで一番妊婦にとって辛い時期だそうだからな……」
宥「お腹の中にね……赤ちゃんがいるのがわかるから……だから辛くなんてないよ?」
玄「おねえちゃん……」
菫「何かしてあげられることはないか?」
宥「それじゃあ、手をつないでくれる?」
菫「それくらいいくらでもしてあげれるさ」
宥「玄ちゃんも手、つなご?」
玄「うん、お姉ちゃん」
宥「ありがとう、赤ちゃんともつながって、玄ちゃんとも菫ちゃんともつながってる……。こうしてると落ち着くの。」
妊娠5ヶ月後
玄「おねえちゃーん、しずちゃんとあこちゃんが来てくれたよー」
穏乃「宥さん元気ですかー?」
憧「宥姉お見舞いにきたよー」
宥「しずちゃん、あこちゃんいらっしゃい。」
憧「赤ちゃんにもご挨拶しようかな」
宥「え?え?」
憧「こんにちはー憧お姉ちゃんだよー」宥のお腹に呼びかける
穏乃「あ、私も挨拶しなきゃ!穏乃だよーこんにちはー」
宥「あ、今動いた。ふふっ、喜んでるみたい」
憧「流石宥姉と弘世さんの子ね。賢い賢い♪」
穏乃「きっとスゴイかわいくて美人で綺麗で頭よくて優しい子なんだろうなー」
宥「菫ちゃんの子供だから菫ちゃんに似てきっとスゴイ美人さんだよ」
憧「宥姉に似ても十二分にかわいいと思うけどね……」
玄「なのです!」
憧「玄は叔母さんになるんだねー、玄叔母さん!」
玄「オバさん!?」
憧「あれ?今気づいたの?」
宥「玄ちゃん、叔母さんってのはその、血縁上そういう関係ってだけだから……」
穏乃「だから玄さんはオバサンではないですよ!」
玄「うぅ……子供にオバさんって呼ばれないようにしつけないと」
妊娠7ヶ月後
菫「宥、子供の性別がわかったぞ」
宥「え、本当菫ちゃん。男の子?女の子?」
菫「女の子だそうだ。」
宥「女の子……」
菫「ん?男の子のほうがよかったか?」
宥「ううん、女の子のほうがどう接したらいいかわかるし女の子でよかったよ。」
菫「妹もいるしそうだろうな。小さい頃は玄の面倒をみてたのか?」
宥「ううん。玄ちゃんの方がしっかりしてて、私が玄ちゃんに守られてた。違う、今も守られてる、だね。」
菫「そうか、けど玄もまた宥に守られてるぞ」
宥「玄ちゃんが?」
菫「ああ、宥と玄は本当にいい姉妹だ。一人っ子の私としては君たちみたいな姉妹が欲しかったな」
宥「玄ちゃんは私の自慢の妹ですから。」
宥「それから私と結婚すれば玄ちゃんは菫ちゃんの妹にもなるよ?」
菫「そうか。私にも妹ができるのか……」
玄「何か噂された気がしますが、何話してたんですか?」
菫「玄か。君たちはいい姉妹だなって話だよ。」
玄「お姉ちゃんは自慢の姉ですから!」
菫「本当いい姉妹だな。ふふっ」
妊娠9ヶ月後
宥「うぅ……」
菫「予定より早く陣痛が始まったか……玄!病院に連絡してくれ!」
玄「おまかせあれ!」
・
・
・
病院
菫(まずい……胎児にへそのおが絡まって身動きが取れなくなっている……)
菫(帝王切開か……?)
菫(しかし宥の出血が激しい、これ以上は母体も危険だ)
菫(母と子両方無事にすますのは困難……どうする……)
玄「お姉ちゃん、しっかり!がんばって!!」
宥「……うん……絶対に……赤ちゃんを……」
出産翌日
宥「……」
玄「お姉ちゃん……」
菫(宥の出産は死産に終わった。)
菫(母体と胎児を天稟にかけた結果私は母体を優先した。)
菫(私が私たちの子を殺した。)
菫「宥は何も悪くない。宥が無事でよかった。」
宥「でも……私たちの……赤ちゃん……」
私は宥を抱きしめた。かける言葉がなかった。
それからしばらくの間悲しみに耽る日々が続いた。
宥の死産から半年が経った。
宥は少しずつまた笑顔をみせるようになった。
心の傷はまだ癒えていないだろうが、少しずつ立ち直ろうと努めている。
遊園地
菫「宥、大丈夫か」
宥「うん……少し酔っちゃって」
玄「さっきのジェットコースターはお姉ちゃんには酷だったのです。お姉ちゃんゴメンね。」
宥「ううん、私も楽しかったよ」
菫「少し休もう」
宥「もう大丈夫だよ?折角来たんだから次急がないと」
菫「私が酔ったんだ。ちょっと休ませてくれ。」
宥「……ありがとう菫ちゃん。」
玄「お姉ちゃん、菫さん。ジュース買ってきたよー」
私たちは遊園地に来ている。初めての遊園地デートだ。
玄「次はどこにいきますか?」
菫「宥はどこがいい?」
宥「うーん、それじゃあメリーゴーランドはどう?」
菫(この年でそれは恥ずかしいな……)
宥「ダメかなぁ?」ウルウル
菫「いや私も乗りたかったところだ。行こう」
玄「それじゃあレッツ、メリーゴーランドです!」
菫「このメリーゴーランド二人乗りか。」
玄「それじゃ菫さんとお姉ちゃんどうぞ!」
宥「玄ちゃんはどうするの?」
玄「私は外で写真撮ってますので!ごゆっくり!」
宥「あ、玄ちゃん!も~」
菫「乗るぞ、宥」
宥「あ、うん。菫ちゃん」
玄「お姉ちゃんと菫さん、そうやって白馬にまたがってると王子様とお姫様みたいなのです!」
宥「そんなことないよー、菫ちゃんは王子様みたいだけど」
菫「私は宥こそお姫様にふさわしいと思うぞ」
宥「菫ちゃんまで~///」
玄(リア充末永く爆発するのです)パシャパシャッ
それからもアトラクションを回りながら、3人の時間を楽しんだ。
・
・
・
閉園時間間近
菫「もうこんな時間か……」
宥「あっという間だったね。」
玄「最後に行きたいとこがあるんです!」
菫「それじゃ玄の行きたいところに行こうか」
宥「うん。玄ちゃんどこ行きたいの?」
玄「遊園地の締めと言ったら観覧車なのです!」
宥「二人っきりだね……菫ちゃん」
菫「ああ。玄のやつ最初からこれが狙いか」
玄は乗る直前で並んだ列を離脱した。
宥「今日はすっごく楽しかったよ。」
菫「それならよかった。」
宥「……亡くなった赤ちゃんのこと思うと、今も悲しいけれど。菫ちゃんと玄ちゃんがいるから私立ち直れた。」
菫「そうか。宥の笑顔は私にとって何より大切なものだからな。ずっと笑顔でいてくれ。」
宥「……うん。菫ちゃんのこと愛してるよ」
菫「宥、愛してる」
宥はそっと目を瞑り、私はその唇にキスをした。
宥はあれから玄と一緒に旅館の女将として働いていた。
死産という悲しいことはあったけれども私と宥と玄で幸せな生活をしていた。
――だがそれは唐突に訪れた。
病院
菫(今日の診察も終わったか……)
菫(帰りに何か体があったまるお土産でも買っていこうか)
菫(宥なら喜んでくれるだろう)
携帯「ヒダマリイッパイノブカツビヨリー♪」
菫(玄から電話か)
菫「もしもし」
玄「菫さん!!!お姉ちゃんが!お姉ちゃんが……」
菫「(ただごとじゃないな)落ち着け。宥がどうした?」
玄「お姉ちゃんが急に倒れたんです!今意識もなくて」
菫「わかった。玄、まず落ち着いて119番に連絡をいれろ。できるな?」
玄「は、はい!」
菫「その後また私に連絡してくれ。私は病院で待つ。」
玄「わかりました!」
救急車「ピーポーピーポー」
菫(やっときたか)
玄「菫さん!お姉ちゃんが!」
菫「任せておけ。宥は絶対に私が救う。」
宥の応急処置と検査は迅速に行われた。
iPS細胞移植でなぜか突然拒絶反応が起き宥はそのショックで気を失ったようだ。
今までに前例がないことだ。
菫(何がいけなかった……どうすればいい……)
寝る間を惜しみ四六時中必死に解決策を探った。
しかし何一ついい考えはなく、ただ弱っていく宥を見ていることしかできなかった。
病院 別室
菫(なんとか意識を取り戻すことはできた)
菫(でもダメだ……いくら調べても処方が思いつかない)
菫(このままじゃ宥が……)
憩「弘世先生!例の患者さんが先生呼んでます!」
菫「わかった。すぐ向かう」
病室
菫「宥、何かあったか?」
宥「菫ちゃん。意識があるうちに話しておきたいことがあるの」
菫「……縁起の悪いことを言うな。」
宥「それでも、聞いて。」
衰弱しきった中、それでもしっかり言葉を紡ぐ宥。
宥「私、本当に幸せ。こんなにあったかい人たちに囲まれてすごく幸せだった。」
宥「ありがとう、菫ちゃん。」
菫「……」
宥「玄ちゃんのこと、見守ってあげて?」
菫「……ああ、任せておけ。」
宥は最期に笑顔を浮かべると意識を失った。
そして数日後彼女は亡くなった。
熱い初夏の日のことだった――――
宥の通夜はしめやかに行われた。
多くの訪れた人が涙を流した。
その間、玄は涙を流すことはなかった。
通夜後
玄「……」
喪服で佇む玄に声をかけた。
菫「すまない。宥を救う約束守れなかった。」
玄「菫さんは悪くないです……菫さんがずっとお姉ちゃん助けるために頑張ってたのずっと側で見てきたんですから。」
玄「責めるなんて……できるわけっ…ないじゃ…ないですか」
そう言うと玄は私の胸にもたれ今まで我慢してきた思いを吐き出すように大声で泣いた。
玄を抱きしめ、私もまた涙を流した。
玄「菫さん……お願いがあります。」
菫「どうした玄?」
玄「私、お姉ちゃんの夢を叶えてあげたいんです。」
菫「夢?」
玄「お姉ちゃんと菫さんの子どもを産みたいんです。」
わたしのうちにはお父さんがいません
でもすみれさんがいるのでへいきです
お母さんはおかみさんでいそがしいので
わたしはいつもすみれさんとあそびます
お母さんもすみれさんもいつもわらってます
わたしはお母さんもすみれさんも大すきです
あとうちではへんなしゅうかんがあります
なぜか夏になるとさむくないのにこたつをだします
おかしをくれるのでわたしはうれしいです
でもお母さんとすみれさんはあんまりしゃべりません
いつもわらってるのに、へんなの
おわり
補足
玄は菫iPS精子と宥iPS卵子の子を代理出産
本スレにあった>>169のレスから妄想した結果こんなSSになりました
途中これ宥菫じゃなくて玄菫じゃね?って思ったけど気にしない
夜遅くここまで読んでくれた方乙
宥菫大好きだ
http://i.imgur.com/CUEUv4O.png
http://i.imgur.com/30tgO3U.jpg
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