淡「なんです、照隠しって?」(325)

あなたは今どこで何をしてますか?

まだオチまでできてないけど




淡「あれ、菫先輩じゃないですか?」

渋谷「…ご無沙汰してます」

亦野「連絡頂ければお茶の用意ぐらいしましたのに。どうされたんですか?」

菫「ああ、急にすまんな。 …ふん、やはりいないか」

淡「え? どなたかお探しですか」

菫「いや、照なんだがここに来ていないよな?」


渋谷「…いえ、お見えになっていませんが」

亦野「どうされたんですか? お急ぎなら携帯にでも…」

菫「…最近、アイツがこっちに姿を見せたことないか?」

淡「……?」

渋谷「いいえ、ご卒業後は一度も…」

菫「そうか… じゃあメールや電話で連絡した者はいないか?」

渋谷「…いいえ、私は」

亦野「…私もご卒業後は連絡していませんでした」


淡「…弘世先輩、もしかして宮永先輩と連絡とれないんですか?」

菫「…私だけじゃない。大学の者もだ」

渋谷「あの… 何時ごろから連絡が?」

菫「…この前の連休ぐらいからだ」

亦野「えっ、それじゃあもう2か月近いじゃないですか!?」

淡「…あの、確か宮永先輩は長野のご実家から通ってるんじゃ?」


菫「…とっくに家にも連絡したさ」

渋谷「御実家にもいらっしゃらないのですか?」

菫「…いや、いるにはいるらしい」

淡「…らしい?」

菫「部の顧問や教職員の話では、毎朝家を出ているそうだ」

亦野「…あの、もしかして大学で何かあって登校拒否みたいなのって…?」

菫「いや、私の知る限りでは思い当たる節はないな」


淡「まぁその辺りは本人じゃないとわかりませんもんね」

亦野「…それじゃあ、あの妹さんに様子を聞いてみたら?」

菫「…宮永、咲か」

渋谷「…そうですね、彼女なら宮永先輩のことを」

菫「顧問や先輩に言われてな、『宮永はどうしたんだ?』と」

淡「…はい」

菫「それで私もあの妹を思い出し、連絡を取ろうとしたんだがな…」

ちょっと待って、あのバレってコラ…でしょ…?




亦野「…どうされたんですか?」

菫「いや、直接の連絡先が分からんので学校に電話をしたが麻雀部はもうない、と…」

渋谷「…麻雀部がない?」

菫「ああ。 部がなければ口実すらできん。家族でもないから妹を電話口に出さす訳にもいかんしな…」

淡「そうだったんですか… 困りましたね」

菫「このままだと除籍もあり得る… こうなったら今度の休みにでも長野に行くしかないかな」

渋谷「…わかりました。 もし宮永先輩から連絡があったらご一報します」

菫「ああ、頼む… 全く世話がかかる奴だよ」

ま、まだ慌てる時間いzじゃななに




~で~


渋谷「…昨日の弘世先輩の話」

亦野「うん。試しに宮永先輩に連絡したけど返事なかった」

渋谷「…私も。宮永先輩どうしたんだろう?」

亦野「心配だね。 …あれ、大星からメールがきた」

渋谷「…こっちもきた。 欠席のお知らせ?」

『先輩こんにちわ。宮永先輩探しにちょっと長野行ってきますので淡はお休みします ☆(ゝω・)v』

亦野「…まぁ、あの淡があんな話聞いたらこうなるかなぁ、って予想はしてた」

渋谷「…あの馬鹿。帰ってきたらセッキョー決定」


淡(…なんて先輩たち怒ってるんだろうなぁ~ ま、しちゃったことは仕方ないもんね)

淡(…にしても田舎って本当に不便。電車が1時間に1本ってどういうこと?)

淡(清澄に着くの、もうちょっと早い予定だったんだけどな~)

淡(…って、駅前に自販もないってどんだけ田舎なの、ここ? ええっと清澄高校は…)

淡(うわ、アンテナ1本しか立ってないし! う”、高校もけっこう駅から遠いじゃん)

淡「…はぁ、タクシーも拾えないし歩いていくしかないのかなぁ」

バレ画像で絶賛動揺中のため、書き溜め完全ストップ。




淡「景色はいいんだけど… ここ何処ぉ~?」トボトボ

※「…あ~、ちょっといいかな? 君、清澄の子じゃないよね?」

淡「…え? あ、はいそうですけど」

※「学生さんだよね? こんな時間に何しているのかな?どこの生徒さん?」

淡「はぁ、白糸台の者ですけど… あの、どなたです?」

※「あ、はいこういう者ですけどこんな時間に学生さんが何してるのかな?」

淡(ヤバッ、これってもしかして補導ってヤツ?)

?「……!?」


※「ねぇ君、今日は学校どうしたのかな? この辺の子じゃないみたいだし」

淡「え? ええっとですね、あの今日はちょっとですね…」

※「ん、どうしたのかな? ちょっとお話し聞きたいから一緒に署まで…」

?「おい淡、一人でフラフラ出歩くなと言っただろ!」

淡「あ、弘世先輩!?」

菫「全く…、どこ行ったかと探したじゃないか! …ん、この人たちは?」

※「…あ、警察の者ですが君も学生さん? この子のお知り合いみたいだけど」


菫「ああ、警察の方でしたか。 この子は私の後輩ですが何か?」

※「ええ、こんな時間に見慣れない制服の子がいたので職務質問を。それで君は?」

菫「なるほど。私はこの子たちのOBとして部活動の遠征を手伝って… あ、これ身分証です」スッ

※「…ふむ、大学生ですか。 …わかりました。お引止めして失礼しました」

菫「あ、いえ。 …さぁ行くぞ淡。みんな心配してたんだぞ」

淡「は、はい!? ごめんなさい、景色がよくってついつい…」


淡「ありがとうございます弘世先輩。 免許、いつ取ったんです?」

菫「…入学前の春だよ。 こんな時間に制服でふらついてたら補導してくださいって言ってるような物だぞ」

淡「ほら、私いい子でしたからそういうの知らなくって」

菫「…フン、いい子が学校さぼってこんな所に来るか。 渋谷たちから連絡が来てた」

淡「ありゃ~、やっぱ先輩たち怒ってましたよね?」

菫「当然だ。部に戻ったら覚悟するんだな… さぁ、到着したぞ」

淡「…えっ、ここは?」

菫「…清澄高校だ」


淡「清澄? あ、そう言われたらどこか見覚えある制服ですね」

菫「…ん、警備員? ついてない、余所者が入るのは難しそうだな」

淡「今時はどこの学校でも警備員ぐらいいますからね」

菫「…ふぅん、そういうものかな。 …おい淡、麻雀部について生徒に聞いてこい」

淡「あれ、確かここの麻雀部って廃部になったんじゃ?」

菫「ああ、だがどうも腑に落ちん。 IHの決勝に進出したんだぞ?普通なら入部希望者が殺到しそうだがな」

淡「…まぁ確かに。 確か清澄って控えもいなかったし、この辺は麻雀の人気ないんじゃないですか?」

菫「無い話ではないが… まぁいい。お前は早く聞いてこい」

淡「はぁい。じゃあちょっと行ってきま~す」バタン


淡「たっだいま~ ふぅ、やっぱ車の中は涼しくていいですね~」バタン

菫「ん…、それでどうだった、麻雀部は?」

淡「やっぱり廃部になったそうです。 …あ、それと原村和。あの子が春に転校したそうで」

菫「ああ、それは知っていた。 …この前、雑誌の記者に聞いた。確か東京の臨海だとか?」

淡「あ、なんだもう知ってたんですか? 臨海ねぇ。あの子と関東大会とかで遭うの面倒だなぁ」

菫「他には何か?」

淡「他ですか?ん~、特には。 …あ、そうそう麻雀部自体、夏には壊しちゃうとか」


菫「麻雀部を壊す? …言ってることがよくわからんのだが」

淡「麻雀部って向こうの、ほらあそこ! あそこの旧校舎にあったそうで校舎ごと取り壊しらしいですよ」

菫「…旧校舎ねぇ。学校にも入れなさそうだし、ちょっと行ってみるか」

淡「はぁ、別にいいですけど」

菫「あそこまで車で回るのも面倒だな。 …よし、淡歩いていくぞ」バタン

淡「えっ、車で行かないんですか? もぅ、こんな暑いのに歩いたら汗かいちゃいますよ~」バタン



菫「…ふむ、確かに旧そうな建物だな」

淡「聞いた話だと一番上の部屋を部室にしてたそうです」

菫「電気も点いてないか。 ここ自体、立ち入り禁止なら当然か」

淡「なんか薄暗くて気持ち悪い場所ですね…」

菫「人気がない校舎なんてこんな物だろう。 さぁ、行くぞ淡」

淡「あ、どこに行くんですか弘世先輩! …あれ?」

菫「移動するぞ。校門前で妹の下校を待っていても仕方ない… どうかしたか?」

淡「あ、いえなんでもないです。 …気のせいか」


淡「それで今度はどこに行くんですか?」

菫「…去年のIHに出場していた次鋒のとこだ」

淡「ああ、あのメガネかけた弘世先輩と戦った… ええっと、確か」

菫「…染谷まこ。 2年生だったからな。たぶんまだ在校はしているはずだ」

淡「お知り合いだったんですか? それなら最初からその人に連絡すれば…」

菫「…いや、知り合いではない。 お前が聞き込みに言ってる間、検索しててな」

淡「…はぁ。それで何か?」

菫「どうも実家で雀荘を経営してるそうだ。 地図だとそんな遠くはないようなので行ってみよう、と」

淡「なるほど、その方が確実に宮永先輩の妹さんに連絡とれますもんね」

気のせいです ←気のせいじゃない

>>34
紳士ならそういうのは生暖かい目でスルーしよう




淡「…ねぇ、弘世先輩。本当にここなんですか?」

菫「…検索した住所が正しければ、ここで間違いないはずだ」

淡「潰れちゃったのかな…」

菫「そうみたいだな… 淡、近所の家に行ってここが雀荘だったか聞いてこい」

淡「え、また聞いてくるんですか~ もぅ、刑事でもないのに何でこんなこと…」ブツクサ

菫「…偶然、なのかな?」

?「…あの、もしかして白糸台にいた弘世さん?」


菫「……ッ!?」ガタッ

西田「あ、やっぱり!ねぇ弘世さんよね? ご無沙汰してます、WEEKLY麻雀TODAYの…」

菫「ああ、西田…さん。 こんにちは。こんなとこでどうして?」

西田「それはこっちの台詞よ。私たちは清澄の取材の帰り」

菫「清澄の取材? 確かあそこの麻雀部は廃部になったんじゃ?」

西田「…あら、なんで貴女も知ってるの? そう、廃部になった話は聞いてたんだけどね」

山口「…去年活躍した宮永咲選手。 あの子、個人戦には出場するのかと聞きにきたんですけどね」

西田「…結局空振り。 で、弘世さんこそこんなとこで何してたの?」

淡「せんぱ~い、やっぱそこが雀荘だったみた… あれ、どなたですか?」


山口「…あれ、あの子は確か白糸台の大星、淡…?」

菫(……チッ)

西田「あら、弘世さんだけじゃなくって大星さんまで一緒なんて。ますます珍しいわね」

淡「…ええっと、確か麻雀の雑詩の記者さんで、確かお名前は…」

西田「…西田よ。 春季大会の取材以来だったかしら。お元気?」

淡「あ~、西田さん。 ごめんなさい、淡もの覚え悪くって」

菫「…あ、大星と私はその、こっちに観光に来ていて。 それでちょっと寄ってみただけで」

西田「…ふぅん、そうだったの」


淡「え、何を言ってるんですか。私たちは宮永先p …!?」モゴッ

菫(…余計なことを言うな、この馬鹿ッ!! 照のことバレたらマズいだろうが!!)ボソッ

淡(モゴモゴモゴッ~!! …はぁ、苦しかったぁ。別にいいじゃないですかバレだって~)ボソッ

菫(照が2か月近く連絡取れない、なんて知られたら記事にされて大事になるだろッ!)ボソ

淡(え~、記者さんなんし色々聞けば教えてくれるかもしれませんよぉ)ボソ

山口「…まぁ、君達二人だけなら暗くならない内に早く帰った方がいいよ。物騒だからね」

淡「…あ、はい」

山口「…嫌な事件だったね。まだ足しか見つかってないんだろ?」

菫「……!?」


西田「…ッッ!? ちょっとこの馬鹿ッ、何を言ってんのよッ!!」

淡「…えっ、足?」

菫「……西田さん、どういうことですか?」

西田「あ、これはそのコイツの冗談よ、冗談! 可愛い子をこうして脅かす…」

菫「……西田さん?」

西田「………貴女たち、どこまで知っているの?」

菫「……いえ、特には何も」

西田「……じゃあ、貴女たちがここにいるのも本当にただの偶然なの?」

菫「…偶然、と言うにはちょっと語弊がありますね」

西田「…ふぅん。 …もしかして宮永、照さん。何か関係あるのかしら?」

淡「……」ギロッ

西田「…ビンゴ、か。 …弘世さん、大星さん。ちょっとお話しましょうか?」


菫「…と、言う訳で照と2か月弱ほど連絡がとれていないんです」

淡「…それで私たち、宮永先輩の妹さん。…咲って子と連絡を取ろうと」

西田「…なるほどね。それで麻雀部にいた染谷さんの雀荘だったココにいたって訳か」

山口「まさか姉の宮永照まで消息が途絶えていたなんて… なんかマズそうな話っすね」

淡「…西田さん、先輩“まで”ってどういうことですか?」

西田「…妹の宮永咲さん。 あの子もちょうど同じ頃から学校お休みしてるみたいなの」

菫「…宮永、咲まで?」

西田「ええ、染谷さんや片岡さんから聞いた話。あの子たちも心配していたわ」

ちょっと書き溜め分に集中するよー




淡「あの、染谷って人は確かこの雀荘の…」

西田「ああ、彼女なら在学してるわよ。良い物件が見つかったとかで街の方に引っ越したって」

菫「…引っ越し、ですか。 それで西田さん、そのさっきの“足”ですが…」

西田「…これから話すことは他言無用でお願い。 …弘世さん、こっちに来て何か気づいた?」

菫「普段を知らないので何とも言えませんが、何となく視線を…」

西田「さすがね。 まず、最近この辺りで事件があったの。報道協定を結ぶような」

淡「…はい」

西田「それでいたるところに制服、私服警官が配置されてるわ」

この時間帯って10分おきぐらいで大丈夫かな?




淡「じゃあ昼間、淡が受けた職務質問って…」

菫「…こんな田舎町に補導員とは珍しい、とは思っていたよ」

山口「ボクたちもココに来るまで何度も検問に引っかかりました」

菫「…足だけ、ってバラバラ殺人でも?」

西田「…まぁ似たような事件があった。いえ、正確にはあったらしい、ね」

淡「微妙にあやふやですけど、もしかして噂とかですか?」

西田「…報道の知り合いから直接聞いた話だからソースは確か。裏も取れてるわ」

10分弱かな

>>62
なるほど。気をつけないと



淡「…それじゃあ何でそんな微妙な言い回しを?」

西田「…まだ警察が発表してないから。 まぁ、被疑者を確保次第発表するでしょうけどね」

菫「…変ですね。そんな事件があったなら逃走を防ぐためにすぐにでも発表しませんか?」

西田「そうね。普通ならそうなんでしょうけど…」 

淡「…って話だと、つまり普通じゃないってことなんですね」

西田「…ええ、ここからは不確か。 報道関係者内でも噂レベルの話になるのだけど、いい?」


菫「…淡、いいのか?」

淡「…はい。宮永先輩が一体どう関係しているんですか?」

西田「…貴女たち、何で?」

菫「西田さんからお話を伺ってる最中に何となく、ですが」

淡「報道協定を結ぶような話を雑誌のライターが知ってる自体おかしいですもん」

西田「さすがに鋭いわね… 貴女たちには愉快な話じゃないけど本当に構わないのね?」

菫「……」コクッ


西田「…そう、あれは一か月ほど前。事件前後の話らしいんだけど宮永、照さん。彼女が目撃されてるの」

淡「……」

西田「…清澄高校付近でナタを持った姿をね」

菫「…ナタ?」

西田「ええ、この話が事実なら当然警察も照さんのことを重要参考人としてるでしょうね…」

淡「…それじゃあ、宮永先輩が殺人の容疑者? そんなのって!?」


菫「…落ち着け、淡。 …仮に、仮に照が容疑者だとしてもこの話はおかしい」

淡「えっ?」

菫「…考えてみろ。 照が容疑者だったならとっくに身柄を確保して事件の発表をしているはずだ」

西田「…確かにその通りね。報道の話によると事情聴取を受けた中に照さんらしき人はいないそうよ」

菫「未だ発表してない、普通じゃない理由… そろそろ聞かせてくれませんか?」

西田「……あまり年頃の女の子に聞かせるような話じゃなのだけど、いいのね?」

淡「…はい」

菫「西田さん、お願いします」



西田「事件なんだけど話によると普通の殺人、まともな死体じゃないらしいの」

菫「でも『普通の』と言葉にすると変ですけど、ただのバラバラ殺人だったら報道されませんか?」

淡「…そうですね。淡、そういったニュース見たことありますよ」

西田「まず被害者がいないらしいのよ、この事件は」

菫「…被害者がいない? 死体から身元がわからないなんて初期捜査ではよくある話なんじゃ?」

山口「まぁ普通はそうだよね。 …話だと発見された足は焼け焦げて捜査が難航してるとか」

淡「…うっ、やっぱグロいんだ」


菫「それに映画や漫画じゃないですけど外部の暴力団が口封じで山奥に、みたいな話だって…」

西田「そうね。私も詳細はわからないけど、弘世さんの話した通りなら公開してると思う」

淡「…じゃあ、なんで秘密にしてるんですか?」

西田「…報道、そしておそらく警察も間違いなく地元関係者の犯行と見ているからでしょうね」

菫「…そう思う理由は?」

西田「この町に清澄神社ってあるの。 …そこにね、橋がかりって行事があってね」

淡「橋がかり…?」

ギャグかと思ったら…

>>78
まぁたまにはこんなのも




西田「うん。 そこには悪霊を川に流すため、獅子舞姿の若者を橋から逆さに吊るす神事があるのよ」

淡「変わった行事ですね…」

西田「そして一か月ほど前、その橋で人間の足と見られるモノが吊るされてるのが発見されたらしいの…」

菫「……ッ」

淡「……!?」

山口「報道協定を結んでいるのは多分猟奇的な犯行のため、模倣犯を防ぐためなんじゃないかな?」

西田「まぁ、地元の人間からしたらそれだけじゃないでしょうけどね…」


菫「…どういうことです?」

西田「ああ、どうも今年は特別らしいのよ。数年に一度のお祭りが重なる年だって」

山口「長野って神社がやたら多いですもんね。確か今年は24年に一度のお祭りとか?」

淡「24年に一度のお祭りって凄いですね。そんなレアに年にこんな事件なんて」

西田「あ、8年に一度のお祭りと12年に一度のお祭りが重なる年、ってことよ」

菫「…なるほど、それで24年に一度、ということでしたか」

西田「うん、12年に一度の清澄神社。そして8年に一度の龍門淵神社ってことらしい」


西田「さぁ、だいぶ暗くなったし帰りましょうか? しつこいようだけどこの話は…」

菫「ええ、間違いなく。 …そちらも照の件は当分ご内密に」

西田「…約束するわ。 貴女たち、帰るのだったら駅まで車で送るけど?」

菫「いえ、私も車で来ているのでお構いなく。淡、お前はどうする?送ってもらうか」

淡「…いえ、私はもうちょっと弘世先輩と一緒にいたいなって…」ボソッ

菫「そうか。まぁ、色々あったし無理は言わんさ… あ、西田さん、大星もいいそうです」

西田「そう。それじゃあ、また何かあったら連絡ちょうだいね」

菫「はい。西田さんも照のことで何かあったらお願いします」


~~~

菫「…落ち着いたか、淡?」

淡「…私は大丈夫です。弘世先輩こそ元気ないですよ」

菫「私は別に、普段通りさ…」

淡「嘘。すごく落ち込んでるように見えます」

菫「…気のせいだ。こっちは終電が早い、そろそろ駅まで送ってやる」

淡「弘世先輩は? 車なんだから東京まで送ってってくださいよ~」

菫「厚かましいな… 私は明日も休みだからな、適当に流して帰るつもりだ」

淡「…普段は何考えてるのかわからないのに、ここって時は顔にでちゃいますよね、弘世先輩って」



菫「ふん、知ったような口を叩く… お前は週末も練習があるだろ?」

淡「淡は練習なんかより宮永先輩の方が大事です!」

菫「…別に私といたって何もないぞ。探偵ごっこをするつもりはない」

淡「…それでも何もしないと不安でしかたない。淡もいっしょですよ」

菫「…このまま駅まで行ってお前を叩き出したらいいのかな?」

淡「無駄ですよ。 淡、カラオケ屋か漫画喫茶にでも行ってお泊りしますもん」

菫「…まぁ、お前はそういう性格だったよな」

淡「そうです! …こんな物騒なとこに可愛い後輩置いてどっか行っちゃうなんて酷いこと、しませんよね?」チラッ

菫「…わかった。 ただし、直接お前から家と渋谷たちに連絡するんだ。わかったな?」

淡「はぁ~い。 弘世先輩は案外甘いから大好きなんです」

そろそろ眠さ限界かも




菫「…さて、そうと決まったらそろそろ動くか」

淡「はぁ。それで次はどこに?」

菫「…ホテルだ」

淡「えっ!? その、さっきの大好きってのは言葉のあやって言うか、いえ弘世先輩が好きなのは嘘じゃn

菫「…お前は何を言ってるんだ?」

淡「いえ、だからそういうのは心の準備というか、今日のブラとかあんま可愛くないのだし…」///

菫「……おい、淡?」

淡「わかりました! 優しくしてくれるなら淡は弘世先輩でも全然いいですッ!!」///

菫「…着いたぞ」


淡「えっ?」

菫「…ホテル」

淡「…ここ、ですか?」

菫「ああ、さっき予約していた」

淡「…なんか想像より地味なんですけど、こういう物なんですか?」

菫「まぁ都会のと比べたら地味かな? お前だって遠征とかでこういうのは慣れてるだろ」

淡「えっ」

菫「ん?」

まったくあわあわ……
生娘でもあるまいに

>>101
・・・よぅ、ここじゃ他の迷惑になる。表行こうか?



淡「淡はこういう所、初めてですけど…」

菫「何を寝ぼけたこと言ってる? 合宿の時だって泊りがけがあったろ」

淡「…もしかして、ここ普通のホテルですか?」

菫「だからお前はさっきから何を言ってる… 普通じゃないホテルなんて、…あr」

淡「…ええっと、それじゃあチェックインしてきますね」ニッコリ

菫「……ああ、頼む」///


~で~


淡「…弘世先輩、もう寝ちゃいましたか?」

菫「…いや、まだ起きてる」

淡「…どう思います? 今日のこと」

菫「アイツは、そんなことする訳がない。できる訳がない」

淡「…淡も信じてます。でも…」

菫「客観的に見ればアイツが何かしら関係がある。そう思わざるをえないな」

淡「それでも先輩は…?」

菫「ああ。 …こんな訳がわからんことでも直接話を聞けばすぐに済む話さ」


淡「そうだといいですけどね… あの、今日清澄高校に行ったじゃないですか?」

菫「…ああ、それがどうかしたか?」

淡「あそこの旧校舎行った時、気のせいかもしれないんですけど淡、見たんです」

菫「…見たって何をだ?」

淡「…一番上の階の部屋。カーテンがほんのちょっと揺れて、人影みたいのが」

菫「…気のせい、じゃないのか?」

淡「ほんのちょっとだからそこまで自信は…」

菫「そうか… 清澄高校、か…」


チュンチュン



菫「……んッ、もう朝か。 …おい淡、そろそろチェックアウトの時間だ起きろ」

淡「ンッ… ダメです弘世先輩、そんなとこ恥ずかしいから… ムニャムニャ」

菫「…こいつの能天気さと言うかタフさだけは認めないとな。 TVでも見るか」ポチッ

※『続いてのニュースです。昨夜未明、岐阜県境で発見されました…』

菫「おい淡、いいかげん起きろ! 早くしないとシャワー浴びずにチェックアウトする羽目になるぞ」

淡「…ええっ、そんなの嫌ですよ~ って、今何時です?なんか背中痛いし」

※『焼死体は雑誌記者の西田順子さんとカメラマン山口大介さんと判明し、警察は…』

菫「……?!」

犯人は西田か!

>>109
秘密結社白糸台なんて出ないよ!出ないよ!!



~~~



淡「……ニュースサイト見ましたけど、本当みたいですね」

菫「…ああ」

淡「…どうします、これから?」

菫「……」

淡「淡は怖いです。 昨日まで普通に喋ってた人がこんなことになるなんて…」

菫「…私だって怖いさ。 さっきから震えが止まらない」

淡「警察に行って事情話しませんか? そしたらきっと…」

菫「…きっと何だ? 実は昨日、西田さんたちと話して事件の噂を聞きました、とでも?」

淡「それは…」



菫「警察だって馬鹿じゃない。私たちが西田さんたちと昨日話してたことなんてとっくに知ってるさ!」

淡「……」

菫「それで照とは連絡が取れてませんと話してどうする? そんなことだって知ってるに決まってるだろッ!!」

淡「…弘世先輩ッ!!」

菫「…ッ?! …済まん淡、取り乱した」

淡「いえ、誰だってこんなことになったら仕方ないですよ…」


菫「…なぁ淡、お前はどうしたい?」

淡「…淡は。 …なんだろう、いろんなことがこんがらがっちゃって上手く考えれないです」

菫「そうか。 私は…、怖い。 けど、もしアイツが何かしら関係あるなら、まだ間に合うなら…」

淡「……」

菫「元に戻れるよう手助けをしたい… そう思ったら怖さも少し治まった気がした」

淡「…弘世先輩」

菫「…でも、まだちょっと怖い。 だから、よかったらいっしょに行ってくれないか、淡?」

淡「…はい、わかりました。 …あの、ところで行くってどこにですか?」

菫「寝る前にお前が言っただろ? 清澄高校、旧校舎だ」

~~~

ウーウー ウーウー

※「はい下がって下がって、危ないから!! おい、救急車入れるとこ確保して!!」

菫「……おい、どういうことだ」

淡「…冗談にしても酷すぎますよね、これ」


『つかさ、もう誰もいないんだろ旧校舎って? なんで火事起きんの?』ワイワイ

『3年のいるじゃん、例の? あの辺がタバコでも吸ってたんじゃね?』ガヤガヤ


菫「…これでとっかかりも無くなった、か」

※「…ええっと君、弘世菫さんですよね?」

菫「…え? あ、そうですが」

※「そちらは大星淡さん、ですよね? こういう者ですがちょっとお話を伺えますよね?」

淡「……あ、はい」


~そして~



菫「…おい、淡」

淡「あ、弘世先輩。お疲れ様です…」

菫「…ああ、どうだった事情聴取?」

淡「別に…、隠すこともありませんし、知ってることをただ話しただけです。弘世先輩は?」

菫「私もいっしょさ。 嘘を吐く必要なんてない、ありのまま話しただけさ」

淡「…そうですよね。 警察から家に連絡したみたいで親が迎えに来るそうです」

菫「そうか… 私は部の顧問がこっちに来るそうだ」


淡「そうですか… あの弘世先輩、火事の話は聞きましたか?」

菫「…簡単にはな。 …もう私には何が何だかさっぱりだ」

淡「…ええ。 こうなっちゃったらもう宮永先輩…」

菫「言うな淡! …私だって、まだ信じたくない」



『おい、記者会見って何時からだよ? 協定ってこっちの記者クラブがだろ?』ワイワイ

『…はい、それで昨日の焼死体と今朝の火事、関連性ある可能性があるからって!』ガヤガヤ

『…そうです、DNA鑑定と遺留品から死体は在校生で』ワイワイ

『…え?そうそう、宮永。宮永、咲だと』

ごめん、もう無理

残ってたら明日ここで続きするね

あ、すまない。時間は今日と同じくらいになるかと

落ちてたら立てるし保守なんていらないよ。リンクどうするかまだわかんないけど

新・保守時間目安表 (休日用)
00:00-02:00 10分以内
02:00-04:00 20分以内
04:00-09:00 40分以内
09:00-16:00 15分以内
16:00-19:00 10分以内
19:00-00:00 5分以内

新・保守時間の目安 (平日用)
00:00-02:00 15分以内
02:00-04:00 25分以内
04:00-09:00 45分以内
09:00-16:00 25分以内
16:00-19:00 15分以内
19:00-00:00 5分以内

ただいま。 9時くらいに再開できるかな?

保守ありがとー



淡「あの宮永先輩が人殺しなんて、淡は信じられません…」

菫「…別にまだ照が犯人だなんて決まったわけじゃないだろ。 そんなこと、口にするな!」

淡「でも、妹さんに西田さんたち… 明らかに宮永先輩に近い人ですよ! それが偶然とでも!?」

菫「じゃあ吊るされた足ってのも照に関係する者なのか? そんな推理小説みたいな馬鹿な話あr…?」

淡「…どうしたんです、弘世先輩?」

菫「…ああ、確かにこれは馬鹿な話だ。 もし、照が犯人だとしたら…、有り得んよな?」ブツブツ


淡「…急にブツブツ言い始めて、どうしちゃったんです弘世先輩?」

菫「…なぁ淡、もしお前がトップでオーラスを迎え、逃げ切りたい時はどうする?」

淡「淡だったらそんなことになる前に飛ばしちゃいます、って答えはダメですよね?」

菫「…ああ、ごく普通の考え方でいい。 拮抗した点差で是が非でも勝たなくてはならない、そういうケースだ」

淡「…セオリー通りだったらまず速度重視。どんな安手でも上がることが最優先ですね」

菫「そうだな。…ではそういった時に自分が張ったらどうする?」

淡「そうですね、そうしたら当然ダマで行きますけど… こんな時に麻雀の話なんて何か意味あるんですか?」

あ、修正したのに入れ替えてなかった


菫「いや、私もお前といっしょだ。そんな状況で立直するほど馬鹿ではない、…そうだろ?」

淡「…はぁ、そうですけどだからその話が …あれっ?」

菫「…そうだ、照でも同じ答えになるだろう。 …いや、通常の思考ができるなら誰でも同じだ」

淡「わざわざ人を殺したと知らせる必要なんてない…」

菫「…ああ、ここで雀卓をひっくり返すぞ。 …そう、逆に考えれば知らせる意味がある。ということだろうな」

淡「でも突発的な… カッってなってつい殺しちゃって…、怖くなったから逃げた。なんてことは?」

菫「…まぁそういったことも実際はあるのかもしれん。 だが、今回の話にはあてはまらないんじゃないか?」

前にストパンでエイラが犯人のヤツ書いた人か?

>>218
ちがうよー



淡「どういうことです?」

菫「西田さんたち、そして妹さんについてはお前が言うように突発的な物かもしれん…」

菫「…だが、西田さんの言っていた“足”はどうだ? 聞いた話が事実だとしたら矛盾しないか?」

淡「そうですね、橋からそんな物を吊るすなんて見つけてくださいって言ってるような物ですからね」

菫「ああ、ましてや地元の神事を模したとなれば真っ先に疑われるのは地元の人間だからな」

淡「ええっと、確か清澄神社の… 橋がかりでしたっけ?」

菫「ああ、そんな名前だったな… 神社?そんなことがあるのかな…」ゴソゴソ


淡「今度は何です、弘世先輩? 話してたら急に携帯見始めて?」

菫「…ふむ、そこまで虫のいい話はないか。だが、全くの見当違いでもなさそうだが…」

淡「ねぇ弘世先輩、ちゃんと人の話を聞いてます? …って何です、これ?」

菫「見ての通り地図だ。 この地名と距離、お前はどう見る?」

淡「えっ、どういうことです? これは…、長野の地図みたいですけどこれが何か」

菫「案外お前も鈍いんだな。 …ここだ、ここ。長野と岐阜の県境付近だ」

淡「県境…? あ、西田さんたちの死体が発見されたとこ…!?」


菫「そうだ、ここ清澄からはそれなりに距離があるな。 …そして、清澄と県境とのライン上に?」

淡「…龍門淵 …でも龍門淵ってそんなに岐阜寄りじゃないし、正確なライン上って訳じゃないですよ?」

菫「まぁこじつけのような物さ。 …だが、まるっきり無視していいものかな?」

淡「西田さんが話していた清澄神社と龍門淵神社の話ですか? まぁ、地域として関係はあるのかもしれませんけど…」

菫「“足”だ…」

淡「足…?」


菫「橋に吊るされた足。 …あの話が事実だとしたら一連の中でこれが余りにも異彩すぎる」

淡「…あえて知らせるため、知らせるために『橋がかり』を模した…」

菫「…もし私が犯人で、目立たせるためだけなら人通りの多い所にでも置くがな」

淡「…そんなことしたら捕まっちゃいますよ。 …じゃあ、他にも意味が?」

菫「まぁこの辺りは想像だが、『橋がかり』に模したこと自体に意味があるとしたら?」

淡「そんなマイナーな行事、地元の人しか知らないでしょうし…」


菫「そう考えれば1つ仮説ができるだろ? 地元民による、地元民に知らしめる行為だった、と…」

淡「でも、まるっきり秘密のお話じゃないんだし、ある程度調べれば外部の人だって…」

菫「まぁな。そういった行動で捜査を攪乱、初動捜査を遅らせる… そういう可能性だってあるだろうしな」

淡「だけどその仮説を期待値に含めたら龍門淵、という場所は無視できない…」

菫「ああ… 一連の事件がもし関係あるのなら、龍門淵に行くことで何か分かるのかもな」

淡「らしくないですね。 デジタル打ちなのにそんな不確定要素を期待値に入れちゃうなんて」

菫「…こんな状況だ。オカルトめいたことだって信じたくなるさ」


淡「…じゃあ、行くんですね龍門淵に」

菫「ああ、後のことを考えると頭が痛くなるがな。 それで淡、お前はここに…」

淡「嫌ですよ。淡もいっしょに行きます」

菫「お前な… もうこれは実際に人が死んでる、正真正銘の事件なんだ。何があってもおかしくないんだぞ?」

淡「…それでも、宮永先輩に会えるのならば構いません」

菫「…言い聞かせても無駄だよな? わかった。家族の方にはちゃんと連絡しておけよ」


~~~


淡「…警察、発表しましたね。 西田さんの言う通りでした。微妙にぼやかしてますけど」ポチポチ

菫「…そうか。まぁありのまま発表したら無用に騒ぎ立てる輩もいるだろうしな」

淡「たぶん、地元の人なんでしょうけど噂ってことで”足”の件、ネットに出てますね」

菫「…そうだろうな。 都会と違えどそれなりに人はいるんだ。住民全ての口には戸は立てられん」

淡「…宮永先輩の妹さんの名前も出てますね。警察、氏名まで発表してないのに…」

菫「あれだけIHで活躍したんだ。さぞ騒ぎ立てているのだろうな…」

淡「ええ… これで警察も正式発表したら大変なことになりそうですね」



淡「……あの、弘世先輩? 今から行く龍門淵って、あの龍門淵なんですか?」

菫「…どういう意味だ?」

淡「だから、あの“天照大神”の天江衣のいる…」

菫「…ああ、去年のIHの頃にそんな記事あったな。 そう言えばあれも西田さんだったか…」

淡「私、その天江って子のことあまりよく知らないんですよ」

菫「…そうか、去年のIHに天江は出場していなかったな」

あ、一人称間違えた


淡「…ええ、宮永先輩や淡は当然ですし、まぁ永水の神代小蒔もそこそこでしたから記事になるのもわかりますよ」

菫「…フッ、大した自信だな」

淡「でも予選なんかで負けた子が、何で淡たちと同格扱いされてたのか訳わかんなかったです!」

菫「まぁ、実際に天江の麻雀を見たことないお前なら仕方ないか」

淡「…その天江って子、そんなに凄かったんですか?」

菫「…ああ、私のような才能では届かない、照と同じ領域にいる者だろうな…」


淡「…ふぅん。でも何か納得いかないなぁ。 あのIHで活躍した選手ならまだわかるんだけど…」

菫「…まぁ、ただ記事の為に語呂を合わせただけかもしれんしな」

淡「……もう、書いた本人に確かめることもできないんですね」

菫「…ああ、そうだな。  …さて、もうこの辺りからは龍門淵のはずなんだが」

淡「…あれ? 先輩、道路の先… 誰か立っていませんか?」



菫「…ん、何かいるな? 動物…、ではなさそうだな?」プップー

淡「…あ、どかない? 先輩、危ないです!」

菫「ええい、わかってる!大きな声を出すなッ!!」キキーッ

淡「……もしかして轢いちゃいました?」

菫「大丈夫、だったはずだが… 人がいない?」

淡「…もしかして、今のってオバケ?」

菫「…そんなオカルトあってたまるか」

?「手荒なお呼び立てにて大変申し訳ございません。弘世菫様、大星淡様…」

ちょっと間おくよ



菫「……ッ?!」

ハギヨシ「…私、龍門淵家にお仕えしています、執事のハギヨシと申します」

淡「龍門淵家…?」

ハギヨシ「左様でございます。 衣様の命によりお二人がお越しになるのをお待ちしておりました」

菫「衣…? アンタの主人はあの天江衣、なのか?」

ハギヨシ「はい、お二人に火急のご用件があるとのことで。 恐れ入りますがご同行をお願いできますでしょうか?」




淡「…あの、すいませんけど何で淡たちが来るって知ってたんです?」

菫「…そうだな。 正直胡散臭くて『はい、わかりました』とついていく気にはならんな」

ハギヨシ「はい、お二人の言われることはごもっともでございます」

菫「…ならば説明してくるかな? その理由を」

ハギヨシ「はい。 …ですが、私めに衣様の御深謀を計るなどできかねます」

淡「何の説明にもなってないですよ~」

ハギヨシ「私は全て衣様の御指示にてお待ちしていた次第ですので、詳細は衣様からお伺いください」


淡「……弘世先輩、どうします?」

菫「……さて、どうしたものかな」

ハギヨシ「……」

淡「ええっとハギヨシさん、でしたっけ? …もし淡たちが断ったどうします?」

ハギヨシ「私はあくまでもお二人にお願いする立場でございます。 お断りになられましたら、その旨ご報告するだけです」

菫「…わかった。 どうせ当てもなく来たのだからな。流れが向いているのなら乗るだけだ」

淡「…全く、弘世先輩ったらすっかりオカルト打ちに宗旨替えしちゃって」

ハギヨシ「ありがとうございます。 …それでは、私が御案内させていただきます」


~~~


透華「…ようこそお越しくださいました。 私、龍門淵家次期頭首の龍門淵透華でございます」

菫「ああ、弘世菫だ。 …やっぱり君か、一昨年のIHのことはよく覚えてるよ」

淡「大星淡です。 …龍門淵さん、早速ですけどそこの執事さんに淡たちを連れてこさせた訳、聞かせてもらえます?」

透華「申し訳ございませんが貴女がたを連れてこさせるよう命じたのは衣なので私は何も…」

菫「じゃあ君も理由については分からない。そういうことなのかな?」

透華「ええ… 以前からあの子の言葉はわかりかねることもありましたけど、ここ最近は特に酷いですわね」


透華「ええ。それにしても衣は…」

淡「天江さん、どうかしたんですか?」

透華「…私なんかよりも遥かにあの子の方が宮永咲と親しかったはずですのに、全く驚きもしませんでしたわ…」

菫「まさか私たちが来ることの様に、宮永咲のことも予見してたとでも?」

淡「未来予知なんて去年話題になった園城寺じゃあるまいし… そんな非科学的な話、有り得ません」

透華「まぁ貴女の言うことは尤もですけど、衣が身近にいましたらそんな馬鹿げたことも信じたくなりますわ」


ハギヨシ「…透華お嬢様、そろそろお二人には」

透華「わかりましたわ。 …ハジメたちにはこちらに来ない様、伝えましたわね?」

ハギヨシ「…はい」

透華「よろしいですわ。 …それではお二人とも、私の後についてきてください」

淡「やっと天照大神の一人、天江衣とご対面ですか…」


~~~


ハギヨシ「…こちらになります。どうぞお入りください」ギイィイー

衣「…遠路大義であった。弘世菫、大星淡。 私が天江衣だ……」

淡「~~ッ?!」

菫(噂以上だな、実際間近で受ける圧迫感は…)

透華「…お止めなさい、衣。 貴女の招いたお客様でしてよ」

衣「…そうであったな。 待ち侘びていたので遂々、戯れてしまった。許せ」

菫「弘世菫だ…」(…龍門淵透華、こいつ会った時と微妙に雰囲気が変わったか?)

淡「…大星淡です。 お招きいただきありがとうございます。こんなご挨拶でよろしいですか?」


衣「…ふむ、お前が大星か」ギロッ

菫(ん…? 天江が淡に興味を示しているようだが…)

衣「衣も諧謔を嗜わぬ訳ではない。お前とはもう少し言葉を交わしたき所だが、事は火急を要するのでな…」

淡「ねぇ、こっちは訳もわからずこんな所に連れてこられたんですよ?」

衣「…何か支障でもあったのか?」

淡「わざわざお招き頂いた理由ぐらい、聞かせてもらってもいいんじゃない?」

衣「ふむ、確かにお前の言う事も尤もだ。心して聞くが良い」

菫(まぁ性格も話には聞いていたが予想以上に仰々しい奴だな…)

うん、あわあわは間違いなくオカルトな人だと思う



衣「……四柱は既に打ち廃れている」

淡「…は? 言ってることぜん~ぜんッ、わかんないですけど??」

衣「ふん、己の役目を忘却した血族に説いた所で詮無き事よ…」

菫「…おい天江、私もお前の言ってることがさっぱりわからん。もう少しわかるように説明してくれ?」

衣「…いいだろう。ならば単刀直入に申しつけよう」


衣「・・・お前たち、 東京に帰れ」


淡「……ッ!?」

透華「……」

菫「お、おい天江、一体どういう…」

衣「お前達の希求は既に尽きている。 遅すぎたのだよ、我等の巡りは…」

淡「人を呼びつけておいて今度は帰れ? 訳がわかんなすぎなんだけど??」

衣「彼の者が抱えし物を推し量れなかった衣の不覚でもある… 許せよ」

菫「…彼の者?」


衣「もう既に事は掉尾を迎えている。お前たちに出来ることは何もない…」

衣「…だから、せめてその身を毀つ前に立ち去るがいい」

菫「おい天江、何が遅かったんだ?何が終わっているんだ? 知っているのなら教えろッ!!」

衣「……ハギヨシ、客人にお引き取りを願え」

ハギヨシ「……はっ」

菫「おい、天江ッッ!!!」

~~~


淡「…龍門淵さん、これは一体どういうことなんです?」

透華「申し訳ございませんわ。 あの子の非礼、私からお詫びさせて頂きます…」

菫「…非礼などはどうでもいい。 天江は一体何を知っている?何を言っていたんだ?」

透華「私にもさっぱり… 最近はずっとこの調子で私が聞いてもあんな感じですわ…」

淡「わざわざ帰れ、なんて言われなくったってこっちから帰らせてもらいますって!」

菫「…少しは落ち着け、淡」

透華「…ですけど、あの子の顔」

菫「……?」


透華「衣があのように思いつめた顔をするの、初めて見たかもしれませんわ…」

淡「…ふぅん。淡にはただあの子に脅かされただけにしか思えませんけどね」

ハギヨシ「…いいえ、お言葉ではございますが衣様はお二人を案じた上でのあのような振る舞いをしたかと」

透華「…ええ、私もそのように感じましたわ」

菫「…おい龍門淵、天江と宮永…、照と交流はあったのか?」

透華「いいえ、彼女がこの春からこちらに帰郷している。そういった話は聞いてますけど…」

ハギヨシ「私の知る限りでも衣様とそのような方に接点があった憶えはございません」

菫「…そうか」(では、照が“彼の者”である可能性は低い、ということか…?)

すまないが明日早番なんで、もうちょっとしたら止めるよー


透華「夜も更けてまいりましたが貴女がた、どうされますの?」

淡「…あ、もうこんな時間なんだ。 何か時間が経つの早いですね」

透華「ええ、お疲れでしょうし宜しければお部屋を用意させますが?」

菫「いや、気持ちだけ貰っておこう。 我々はこの辺りでお暇させていただく」

淡「弘世先輩、もしかして天江衣の言葉を真に受けてるんですか?」

菫「別にそういう訳ではないが、気にしていないとは言えないな…」


透華「…貴女たちを無理にお引止めすることなどできませんが、このまま見送るのも気が引けますわね」

菫「…いや、別に気にしなくていい。気分を害したわけでもないさ」

透華「そうですか。何のおもてなしもせず申し訳ございませんわ」

菫「ああ、本当に気にしないでくれ… あ、そうだ聞いておきたいことがあったな」

透華「あら、何かしら?」

菫「君の名前にも龍門淵とあるが、それはこの地域に由来するものなのか?」

淡「あ、そういえばここも龍門淵って場所でしたよね」

透華「…はぁ。 あまり詳細は存じませんが先祖代々、この土地にいたと聞いていますが」

ハギヨシ「左様でございます。龍門淵家は古来は氏神と称される頃に土着していたと伺っております」


菫「ふむ、なるほど。 …じゃあ龍門淵神社というのは知っているのかな?」

透華「ええ、それは存じておりますわ。 何の変哲もない、普通の神社ですけど?」

菫「そうか。 では、今年はその龍門淵神社と清澄神社。その二つの祭が重なる特別な年であることを知っていたか?」

透華「…あら、ずいぶんお詳しいですのね。 言われてみたら何となくそんな年だったような気も…」

ハギヨシ「…透華お嬢様、次期頭首におなりになるのですから、もう少しご興味をお持ちくださいませ…」

菫「まぁ聞きたいことはそんなものかな。 詰まらないことを聞いて済まなかったな」

透華「はぁ、こんなことでお役に立ったのでしたら何よりですわ」



ハギヨシ「…本当に清澄までお送りしなくてもよろしいのでしょうか?」

菫「ああ、一応カーナビが付いている。そう迷うことはないだろう」

ハギヨシ「左様でございますか? 弘世様がそうおっしゃるのでしたら無理強いも失礼ですので…」

菫「気持ちだけ頂いておくよ。 …あ、そうそう、さっき話した龍門淵神社ってここから近いのかな?」

ハギヨシ「はい、ここからバイパスに出る道沿い近くにございます」

淡「…なんか弘世先輩、急に神社マニアになってますけどどうしたんです?」

菫「いや、特に理由もないがせっかくここまで来たんだ。近所なら覗いていこうかな、と」



ハギヨシ「なるほど。ナビゲーションがございましても恐らく土地勘がないと多少迷うかと」

菫「ほぅ、そういう場所なのか。 確かに夜道だし少し面倒かもな」

ハギヨシ「差し出がましいようですが、宜しければ神社までご案内致しましょうか?」

菫「ああ、それは助かるな。じゃあよろしく頼む」

ハギヨシ「はい。それではすぐに支度して参りますので少々お待ちくださいませ」


~~~


淡「…なんか夜の神社って薄気味悪いですね」

菫「おい、あまりひっつくな淡。歩きにくい…」

ハギヨシ「境内に上がりましたら月明りで足元も見やすくなるかと」

淡「多少大きいかなぁって気はするけど、見たところ普通の神社みたいですよ?」

ハギヨシ「そうですね。古くからの由来はございますが、これといって変わった所はございません」

菫「…由来か。 ハギヨシさん、ここはどんな神様を祀っているのですか?」

ハギヨシ「はい、ここは天祖神社でございますので主祭神は天照大神になるかと」


淡「……天照大神?」

ハギヨシ「はい。天祖神社、神明神社と呼ばれる物は比較的一般的な、そう珍しい物ではございませんが何か?」

淡「…あ、いえくだらないことですから気にしないでください」

菫「天照大神か… あの神話にある天岩戸の伝説も長野の、…確か戸隠でしたよね?」

ハギヨシ「左様です。この龍門淵はその戸隠からこの地を治めるために遣わされた一族、そんな伝承もございます」

淡「へぇ、わざわざ離れた土地を治めるためにですか?」


ハギヨシ「ええ、本来戸隠で治めるべき九頭龍がこの地の淵に逃げ込んだ…」

ハギヨシ「それを治めるため、異能の能力を持つ者がこの地に遣わされた。そんな内容だったかと」

淡「なるほど、それで龍門淵って名前になったんですね」

ハギヨシ「はい。恐らくはそのような由来でこのような名称がついたのではないのかと思われます」

菫「…それじゃあ清澄神社もここと同じ、天照大神の天祖神社なんですか?」

ハギヨシ「…いえ、確か清澄は木花咲耶姫命が主祭神だったかと」

菫「…コノハナノサクヤビメ?」

…うう、思ったより時間がかかったー ここでおしまいです


残ってたら続けるし、なかったら立て直すから保守なんていらないよー ではー

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