モバP「アイドルは社長に愚痴りたい」 (259)
◆モバマスSSです。
◆キャラが崩壊するかもしれません。
◆思い付きでやったので書き溜めがないです。遅筆になってしまいます。
◆コレジャナイ感が漂う可能性が有ります。生暖かい目で見守って下さい。
モバP「まゆのヤンデレを治す!」
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アッキー「わんわん!!」優「?」
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社長(昔から自分の会社を持つことが夢だった僕は、大手アイドルプロダクションでマネージャーとして働きながら先輩の千川ちひろさんに相談した。すると、なぜか数ヵ月後にアイドルプロダクションの社長になっていた。意味がわからなかった。ちひろさんは、なぜか事務員になってた)
社長(プロデューサーがいなかったため、同期のPを誘ってプロデューサーにすることした。業績が振るわず、会社からも厄介者扱いされていたPは迷わず誘いに乗った)
社長(プロデューサーにアイドルのスカウトを頼んだ。プロデューサーに無理やりしてしまった罪悪感もあって、自分が納得できるアイドルを育てて欲しかった)
社長(それが間違いだった。Pは半ばナンパのようなスカウトをし、170名くらいのアイドルをスカウトしてきたのだ。有給を使って、様々な地域へ行きスカウトを繰り返していたらしく様々な地域のアイドルが我がプロダクションになし崩し的に所属したのであった)
社長(そこからは地獄だった。親戚筋の社長や櫻井財閥等からお金を借りて運営し、社長兼マネージャーの僕とプロデューサーのP、事務員のちひろさんの三人体制で仕事を撮りまくった。レッスンは、前から親交の深かった青木さん姉妹にお願いした。数ヵ月後、プロデューサーのPの戦略が成功し、最大手の一つなったときは驚きを隠せなかった。大器晩成とはこんなことをいうのだろうか、と一人で勝手に納得していた)
社長(そして、僕は重大な過ちを犯していた)
社長(それは、社則を作り忘れていたのだ)
社長(言われるががまま、流されるがままに、運営を続けたのはいいが、恋愛スキャンダルに対しての対策を一切していなかった)
社長(気づいたら、あっという間にPに好意を抱くアイドルが続出し、恋愛面に関しては半ば冷戦気味のアイドルも出てきたくらいだった。若いやり手の社長と雑誌に取りざたされたが、蓋を開けば社則する作れないダメ社長である)
社長(それに輪をかけて悪いことがあった。Pは超鈍感だった。アイドルに何をされようが、妹や娘がじゃれついたくらいにしか感じないようなやつだった)
社長(しかし、Pにそんなことを直接言うわけにもいかず、結局は開け放された社長室に勝手に入ってきてアイドルが愚痴っったり、暇つぶししたりという様が日常茶飯事になっていくようになった)
社長(そんなこんなで今日もアイドルの愚痴を聞くのだ)
まゆ「社長さん、いますか?」
社長「ん、まゆか。どうしたんだ?」
まゆ「いえ、その……、Pさんのことについてなんですけど……」
社長「何か、またやらかしたの!?」
まゆ「い、いえ……」
社長「まあまあ、話は聞くから適当な椅子に座って」
まゆ「はい」
社長「で、どんなことがあったん?」
まゆ「はい。まゆがPさんの内湯に忍び込んだときの話なんですけど……」
社長「もう驚かないよ。続けて」
まゆ「はい。実は……」
まゆ「まゆ、いつもお風呂でお仕事とPさんのこと夢見るんです。けど…今日は貴方がいて…夢じゃない…うふ♪」
P「そうか、いつもお風呂で寝てるのか。溺れると危ないから、次から寝ないようにしような」
まゆ「あん…運んでくれるなら、Pさん、お姫様抱っこ…」
P「うーん、めんどくさいからそのまま歩けない?肩は貸すからさ」
まゆ「Pさんが来ると思って、支度して待ってたんです…そう、ずーっと♪うふふ…またふたりきりになれましたね…♪でも…アツすぎて…まゆ、ココロもカラダも溶けちゃいそう…」
P「うーん、次からは部屋で待っててね。ほら、水でビシャビシャになるから」
まゆ「独りきりじゃ寂しいでしょう?まゆがいますよぉ…ほらぁ…」
P「いや、これから社長含めた同期と飲み会行くからあまり寂しくないよ」
まゆ「今夜はまだまだ長いですよ?」
P「いやー、今日は飲み明かそっかな、とか思ってるからなぁ」
まゆ(計画…失敗しちゃった…、っていうレベルじゃない……)
まゆ「ひど過ぎると思いませんか!?乙女が柔肌を晒してるんですよ!!」
社長「ひでー話だ。掛け値なしに」
まゆ「もう、ああいう鈍感なところも好きなんですが……」
社長「あ、好きなんだ」
まゆ「でも、あそこまでしてああだと、私、魅力無いじゃないか、って……」
社長「そんなことはないよ。あいつがスカウトしたんだから、あいつもまゆに魅力は感じてるよ!!」
まゆ「そ、そうですか?あまり、信じられません……」
社長「あいつは鈍感なやつだけどさ、こう、ほら……、すまん、何も言えない」
まゆ「うう……」
社長「でも、まゆの可愛さを一番理解しているのはPだからさ。あいつの信じてるまゆの魅力を信じよう」
まゆ「そうですね。ありがとうございます。気が晴れました」
社長「それは何より」
まゆ「だから、Pさんのプライベートの電話番号をおし……」
社長「それはダメ」
まゆ「社長のケチ!!」
社長「ええー」
まゆ「いつか、聞き出してみせますからね。そのつもりで待っててください!!」
社長「その前にそんなん教えたら訴えられるからね!!」
まゆ(でも、社長がいたからまゆは立ち直れました。ありがとうございます。Pさんより大きくグレードは下がりますが、私の大切な人の一人です)
時子「下衆い目線でじろじろと…不躾な目で見るひとね。…は…アイドル?クックックック…アーッハッハッハ!!傑作だわ!この私が!アイドル?貴方、脳味噌は何グラム?面白い…いいわ!なってあげる!アイドルにね!」
社長「見えるかい?あれが傷んだ大人ってやつだよ」
光「かわいそうだな……」
麗奈「お、おお……」
時子「ふん」ビシッ
社長「ムチ痛っ!!」
時子「踏んであげるわ」
社長「ぐおえっ」ゴズッ
時子「そのまま床と仲よくしてなさい」
光「よくも社長を……、許せん!!」
麗奈「レイナサマの友人に手を出したことを後悔することね!!」
時子「え?」
麗奈「バズーカ発射!!」
時子「きゃあっ、このネット何なの!?絡まって動けな……」
光「縛るぞ、麗奈!!」
麗奈「ここにロープが……」
時子「何するの、ちょっ……、やめなさい!!いや、本当に……、謝るわ、だから……、って。いやああああああああああああああああああ!!」
光「正義は勝つ」
麗奈「これに懲りたらレイナサマに逆らわないことね。アーッハッハッ…ゲホゲホ」
P「ただいま戻りました……、って、財前さん何してるんですか?」
時子「その……、吊り下げられてんのよ!!アンタんところの悪ガキに!!悪い!?」
P「暴れると落ちますよ」
時子「早く降ろしなさい!!」
P「でも、社長は?」
時子「あそこでのびてるわ」
P「じゃあ、社長の方の介抱しますから自力で頑張ってください」
時子「豚のくせにいい加減にしなさ……、って、ちょっと、どこにいくのよ……、降ろしなさいよ……」
時子「人に優しくするって大切なことなのね。今日、一つだけ学んだわ」
ちひろ「あれ、財前さん。どうされたんですか?」
時子「降ろして欲しいの」
ちひろ「お金と引き換えに?」
時子「この際、それでも構わないわ」
ちひろ「じゃあ、下ろしますね」
時子「え、糸切ったら……」
時子「ぎゃいん!!」ビターン
ちひろ「降ろしましたよ。500モバコインです」
時子「払う、払うわよ、腹立つわね」
時子(いつか、こいつ地べたに這いつくばらせてやる)
ちひろ(できるんですか?)
時子(許してください。もう生意気言いません)
凛「社長、入るよ」
加蓮「社長、お疲れー」
奈緒「おーっす」
社長「トライアドプリムスが揃って一体何の用?」
奈緒「人狼やろうと思ったんだけど、人数足りなくてさ」
凛「社長なら暇かな、って」
社長「そんな訳ないだろ。アイドル全員のスケジュールを一括管理しているの誰だか知ってる?」
加蓮「泉ちゃんのプログラム」
社長「それ使って実際に業務しているのは?」
奈緒「そんなことはいいからさ、早く人狼やろうぜ」
社長「なんで、君は疑い合うゲームを純粋な瞳でやりたがるのかな?」
凛「いいからさ、やろう」
社長「まあ、仕方ないかな」
加蓮「やっぱり暇じゃん」
社長「忙しいの、これでも!!」
加蓮「人狼は私でした」
奈緒「また、負けか……」
凛「加蓮、本当に人狼強いね」
社長「腹黒いからね」
加蓮「社長……」
社長「痛い痛い痛い……」
奈緒「すごいブレインクローだ」
凛「痛そうだね」
社長「止めて、止めて!!」
凛「面白いから、もっとやってよ」
奈緒「だな」
社長「ちくしょう、社長だぞ」
加蓮「その冗談面白いね」
奈緒「いや、本当だから」
加蓮「え?」
奈緒「きょとんとすんなよ。かわいいな」
凛「もう一回みたいな。社長頑張って!!」
社長「……」
奈緒「返事がない。ただの屍のようだ」
社長「た……、助け……」
加蓮「社長、アタシね、社長には感謝してるよ。Pさんがアイドルやめた方がいいって言ったとき最後まで説得してくれたのは社長だったよね」
社長「まあ、そうだね。あの時の加蓮を病気でやめさせるのはもったいなかったから」
加蓮「だからさ、アタシ社長に恩を返したいな、って」
社長「今の今まで仇で返してたんだけど」
加蓮「気にしないで」
社長「気にするよ!!」
加蓮「だから、はい」
社長「なにこれ?」
加蓮「さっきもらったポケットティッシュ」
社長「君の恩ってそんなもんだったの!?」
凛「くすっ」
奈緒「ププッ……」
社長「君達、社長からかって楽しい?」
トライアド「はい!!とても!!」
社長「威厳ないのかな……、やっぱり」
加蓮(本当はみんな社長のことが大好き。だから、ちょっとひどいこともしちゃう。社長はみんなのお父さんみたいな人。気を許せる大人は社長くらいしかいないんだ。初めては、Pさんにしか許さないけどね)
奈緒(社長には素直に話せるのに、どうして……)
凛(うーん、社長にPさんはイヌ派かどうか聞きたかったけど、またの機会にしよう)
今日はここまでにします。千枝ちゃんを書こうかな、と思ってます。
千枝「社長さん、いますか?」
社長「いるよー。なんか用?」
千枝「あ、あの……、大人のことについて教えて欲しいんです」
社長「そういうことを考えることが大人なんだ」
千枝「大人はそんな風に質問を返すんですか?」
社長「そうだね。いつの間にか、心が冷たくなっていたのかもしれないね」
千枝「お願いします!!ネットで[この先が聴きたかったら『モバイルプロダクション秘密のお話』2500MC(税抜)をお買い求めください]や[この先が聴きたかったら『モバイルプロダクション秘密のお話 特別版』5500MC(税抜)をお買い求めください]をしたいし、やってあげたいんです!!」
社長「何、言ってんの!!」
千枝「ませてた方が可愛いって言われたので……」
社長「ませ過ぎだよ!!」
千枝「え、ええ!?」
千枝「うーん、どうしたらいいのでしょうか?もっと激しいのも……」
社長「君、本当に11歳?」
千枝「でも、Pさんにご奉仕とか……」
社長「一回、お口閉じよっか」
千枝「千枝、Pさんに[お買い求めやすい2枚セット 7200MCも用意しております]をして[お得な特典つきですから買ってくださいね]とかしてたくさんご奉仕したいんです!!」
社長「お願い、もう汚れないで!!」
千枝「せ……」
社長「汚れてるよ、ただれてるよ!!」
千枝「Pさんが教えてくれたんです!!やって欲しいと……」
社長「OK、奴の給料は減給だ」
千枝「それで傷ついた心を千枝が心と体でサービスすればいいんですね!!」
社長「どうにかしてくれよ……」
千枝「大人になりま……」
まゆ「うふ……、やらせると思ってるんですか?」
千枝「大丈夫です。全部、社長の仕業なんです」
まゆ「なら仕方ないですね」
社長「おい、僕の位置づけおかしいだろ、おい!!」
社長「あんなにいい子だった千枝がなんでこんなに汚れて……」
千枝「Pさんのせいえ……」
社長「前も止めたよね。そのネタを言おうとしたとき。何、そんなに好きなの?なんで、話に絡めるの?」
まゆ「Pさんとベッドで絡む的な下ネタは大好きですよ」
社長「やめろ!!千枝が真似す……」
千枝「Pさんの[数量限定!!お早めに]が喉に絡みつく的な下ネタも大好きです」
社長「真似っていうより、遥かに高いレベルで来たよ!!このピンク頭共!!」
美嘉「うん、何か言った?」
社長「あ、ごめん。君の事じゃないんだ」
千枝「美嘉さんはPさんに夜のご奉仕をしたいと思わないんですか?」
美嘉「え……、な、何言ってるのよ!?そ、そんなこと、おもってるわけないじゃん!!」
千枝「本当は?」
美嘉「す、すこ……、って何言わせるのよ!!」
社長(小学生に手玉にとられるカリスマJKギャルにフォローは必要かな?)
美嘉「とりあえず、アタシはもう帰るから」
千枝「カリスマJKの美嘉さんに色々教えてもらおうと思ったんですが……」
社長「君は黙ってていいから」
まゆ「まあ、これにて一件落着ですかね」
社長「落ちるの!?」
千枝「堕ちてます!!」
蘭子「!?」
社長「天使な堕天使は黙ってて。話がこじれるから」
千枝「千枝はいつか大人になってPさんと[アブノーマルな内容まで収録した『秘密のお話 Vol.2』2500MC(税抜)も発売予定]をしたいです!!」
社長「それを大声で言わないで!!」
早苗「ロリコンがいると聞いてやってきました」
社長「減給で許してやってください」
早苗「気分によるわ」
社長「今の気分は?」
早苗「最悪ね!!」
社長(Pの処刑は待ったなし!!)
~ブーブーエス~
社長「今日は、幸子の撮影か。何でだろう。幸子にはシンパシーに似た何かを感じるんだよなあ」
冬馬「お、マネさん久しぶりだな」
社長「もう、社長だけどね」
冬馬「マネさんやめてから、もう1年近くか……」
社長「5歳ほど老けたけどね」
冬馬「まあ、昔馴染みに会えて嬉しいぜ。じゃあ、今日はよろしくな」
社長「冬馬が入ってすぐやめたもんね」
冬馬「アンタには世話になりっぱなしだったからな」
社長「んで、何の用?」
冬馬「アンタに挨拶に来ただけだが」
社長「君のカバンから出てる幸子グッズがそれを嘘だと証明してるんだけど」
冬馬「べ、別に、幸子ちゃんにサインもらおうとか、そんなこと考えてねーし!!」
社長(目が泳ぎすぎなんだよなぁ)
幸子「社長、かわいいボクが戻りましたよ!!」
社長「お疲れ。リハどうだった?」
幸子「ふふん、言うに及ばずですよ」
社長「そうか、幸子は頼もしいな」
幸子「ふふん、もっと褒めてもいいんですよ」
社長「あ、冬馬来てるから挨拶して」
幸子「あ、ネプチューンの……」
冬馬「ジュピターだ」
幸子「北斗さんがリーダーやってる」
冬馬「リーダーは俺だ」
幸子「鬼ヶ島羅刹さんですよね!!」
冬馬「さっき社長が冬馬って言ってたよな!?なんで、何もかも違うんだよ!!」
幸子「ボクなりのジョークです」
冬馬「なら仕方ないな。許す!!」
社長(いつもは許さないくせに……)
幸子「今日はよろしくお願いしますね」
冬馬「おう、任せとけ」
社長「NG王、お前だったよな」
冬馬「そ、それは去年までの話だろうが!!今年こそは大丈夫だぜ」
社長「不安でいっぱいだ……」
幸子「今日はバラエティで使われるミニドラマの撮影ですから、すぐ終わりますよ」
社長「それを許さないのが、天ヶ瀬クオリティなんだよなぁ」
冬馬「絶対、大丈夫だって!!」
スタッフ「本番でーす」
冬馬「行ってくるぜ」
幸子「すぐに終わりますから、監督さんにでも挨拶してきてください」
社長「わかった、行ってらっさい」
=====ドラマ収録=====
幸子「お兄ちゃん!!」
冬馬「ダメだ、父さんの遺産は遺言通り俺にはそうぞきゅ……」
監督「カーット!!」
ディレクター「ワンシーンも入れてないですよ」
監督「NG王、絶好調だね」
冬馬「す、すいません」
幸子「早くやりましょう。ここの使用時間もありますし」
監督「そうだね、5TAKE よーい、スタート」
幸子「お兄ちゃん!!」
冬馬「ダメだ、父さんの遺産は遺言通り俺には相続できない……」
幸子「そんな……、血は繋がってなくても一緒に暮らしてきたじゃないですか!!」
冬馬「遺言は絶対なんだよ!!例え、チラシの裏にボールペンで書かれたような遺言でもな……」
監督「はい、OK。普通、1TAKEなんだけどね」
社長「耳が痛いです」
監督「元担当マネージャーでしたっけ?歌やダンス、トークの才能はピカイチなんですがドラマになると、ね」
社長「もう担当じゃないですし、嫌味を言われても知らぬ存ぜぬ決め込めますし」
監督「まったく、961プロはでかいだけだな。あんたんとこはイロモノだらけ。765や876は、お友達ごっこ。アイドルはどうにかならんもんですかねぇ?」
社長「あなたの頭よりかは手の施しようがありますよ」
監督「そ。じゃ、次のドラマはアイドルは呼ばないことにしようかね」
社長(こんなんだから、バラエティのミニドラマくらいしか呼ばれないんだよなぁ。撮るドラマも流行に乗ろうとして遅れてるし。普通、流行はつくるものなのに……)
冬馬「……」
社長「ん、どうした?」
冬馬「すまねぇ。俺、幸子ちゃんの目の前でいいとこ見せたくて。張り切ってやったのに……」
社長「いや、NGは誰でも出すさ」
冬馬「法律番組にゲスト出演することになって、このミニドラマに出ることになったのも俺が幸子ちゃんと共演したいって言ったからなんだ」
社長「そっか」
冬馬「なのに、結果マネさんの顔にまで泥を塗っちまった」
社長「気にしなくていいよ」
冬馬「俺が、幸子ちゃんと共演できて浮かれてたから……」
社長「気にするな。噛んだのはあの一回だけだ」
冬馬「でも、表情のつくり方とか……」
社長「完璧だったよ」
冬馬「え?」
社長「あれは監督のいちゃもんだ。見ててわかる。お前にNGを出させたかったんだろうなぁ」
冬馬「そう、なのか」
社長「お前は成長してるよ。少なくとも、前よりはな」
冬馬「そっか、ありがとな」
社長「で、謝罪が終わったなら帰っていいんだぞ」
冬馬「幸子ちゃんのサインが欲しい」
社長「うわあ、今までの雰囲気全部ぶち壊れだよ」
幸子「お疲れ様でした!!」
社長「お疲れ」
冬馬「あ、あのさ、こ、こ、輿水、え、えーと、ほら、共演の記念にさ、サインくれねぇか?」
幸子「いいですよ。ボクはカワイイ上に寛容ですからね」
冬馬「あ、ありがとな。家宝にするぜ」
幸子「え、そんな風に扱うんですか!?」
冬馬「あ、あ、それくらい大事にするって、意味だよ、ほら、共演した仲間だろ」
幸子「そ、そうですよね」
冬馬「あ、アハハハ……」
幸子「じゃあ、冬馬さんのサインもください」
冬馬「お、おう、いいぜ。もらいっぱなし、なのもな、あれだからな」
幸子(愛をこめて、って書かれてる……)
冬馬「どういうふうに扱っても構わないぜ」
幸子「ネットに流します」
冬馬「世知辛ぇ」
幸子「冗談ですよ。カワイイボクがそんなことするはずないじゃありませんか」
冬馬「そうだよな、カワイイ幸子ちゃんはそんなことしないよな」
社長「おい、素が出てんぞ」
冬馬「ありがとな」
社長「お、おう」
幸子「ふふん、当然のことをしたまでですよ」
冬馬「じゃあ、また機会があったら」
社長「そうだな」
冬馬「じゃあ、またな!!」
<うおおおおおおおおおおおおお!!幸子ちゃんのサイン!!
<冬馬くん……
<冬馬、お前ってやつは……
<うるせー。ぜってー渡さねーかんな!!
社長「幸子」
幸子「なんですか」
社長「聞かなかったことにしてくれない」
幸子「そう……、ですね」
冬馬(マネさんが楽しくやってるみたいで良かったぜ。俺も頑張っていつかマネさんに認められて、幸子ちゃんや輝子ちゃん、乃々ちゃんとか小梅ちゃんに尊敬されてちやほやされるようなアイドルになれるよう頑張るぜ!!)
社長「今日も忙しくて、朝に事務所に買った弁当置きっぱだな。もう昼の3時だし」
ガチャ
楓「」モグモグ
社長「高垣、何やってるん?」
楓「お弁当食べてます」
社長「見りゃ分かるよ。百歩譲って弁当食ってることは許そう。たださ、なんで酒持ち込んでんの?ここ、社長室で君が酒を置いてるのは僕のデスクだよ」
楓「あ、大丈夫ですよ。同じお弁当は買ってありますから」
社長「じゃあ、それ食えばいいじゃねーか!!」
楓「ふふ……、なんとういうか背徳感があって」
社長「罪悪感持てよ!!」
楓「嫌です」
社長「たぁ~かぁ~がぁ~きぃーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
楓「あ、逃げないと……」
社長「許さんぞ!!」
社長「高垣、座れ」
楓「はい」
社長「なあ、君さ、何やっとるん、え?」
楓「お弁当食べて、お酒飲んでました」ブスッ
社長「社長室で、が抜けてる」
楓「大体、私と社長の仲なのになんでこんなに怒るんですか?」
社長「あのね、親しき仲にも礼儀ありって言葉知らないの?」
楓「礼の例を上げてください」
社長「25にもなってわかるでしょ」
楓「わかりません」
社長「頭痛くなってきた」
P「社長、なんで楓さんが座ってるんですか、ソファーに」
社長「いや、もう、何でもいいよ」
P「もしかして、お弁当食べてて酒飲んでたんですか?」
社長「お前の入れ知恵かーーーーーーーーーーーーーーーーーーっ!!」
P「あの、出来心だったんです。社長なら笑って許してくれるかな、って」
社長「許さん」
楓「そうですよ、私も許しませんからね。社長があんなに怒るなんて思わなかったんですから」
社長「君は、なんで被害者面してるの。加害者だよ、共犯者だよ」
P「まあまあ、落ち着いて」
社長「お前が一番の原因なんだよ」
楓「そうですよ!!」
<だから何で君がそういうことを言えるんだよ!?
<社長、落ち着いて話し合いましょう
<そうですよ。距離を離しながら話す……、ふふふ……
まゆ「あの3人って仲いいんですねぇ」
ちひろ「3人とも、ここに来る前からの知り合いですから」
まゆ「その話を詳しくお聞かせ願いたいんですけど、いくらですか?」
ちひろ「私が金の亡者みたいな言い方やめてください。500MCです」
ちひろ「それは、社長がまだ敏腕マネージャーとか呼ばれて調子に乗っていた時まで遡らなければなりません」
社長「聞こえてるよ」
ちひろ「あの頃は、そうまだPさんはプロデューサーではなく広報担当の社員でした」
まゆ「そんなこと、まゆには全然教えてくれませんでした……」
ちひろ「社長は過去にトラウマを持っていますし、Pさんも厄介者扱いされていたときのことを思い出したくないんでしょうね」
まゆ「そうなんですか」
ちひろ「まあ、話しますけどね」
まゆ「うふ、分かりました」
P「はぁ~、またあの敏腕マネージャーか。社内紙で取り上げられるなんてよっぽどなんだろうな」
P(気に入らないな。俺と同じ年なのに、どっかの社長の親戚筋とかでちやほやされて、能力は一人前にあって……)
係長「ちょっとP君。君はずっと前から成績が右肩下がりだから、今やってる広報の担当を降りてもらうから」
P「え、そんな……」
係長「別の仕事についてもらう、というより君は仕事をしなくてもいい。あのマネージャーの下で働くことになった。グラビアアイドルやモデルを多数輩出しているプロダクションとの合同発行雑誌の担当に君の名を書いておく。別に打ち合わせに来なくてもいい。何もしなくていい。マネージャーから上がる報告書を私に手渡しすればいいんだ。どうだい、楽な仕事だろう?」
P「はい……」
P(つまり、首を切るからそのつなぎの仕事に就かせるってことか。くそっ……)
係長「せいぜい、頑張れよ。給料泥棒くん」
P「……」
マネ「では、今回もよろしくお願いします」
取引先「うん、よろしく頼むよ。で、新しい担当は?」
マネ「そうですね、係長があまりにも使えないから変えてくれ、とのご要求の通り別の人物に交代させたんですが……」
取引先「うむ、うちの高垣はそれなりに予定が立て込んでいるから早めに呼んでくれよ」
マネ「すいません、どうも……」
P「遅れました!!前任から場所を教えてもらっていなかったもので……」
取引先「そうか。でも、聞かなかった君のミスではないかね」
P「いえ、行く必要がないからとずっと言われてたもので……」
マネ「別ルートで情報を集めてきたのね」
P「はい、すいませんでした」
マネ「誠に申し訳ありませんでした」
取引先「頭を上げてください。係長があの冗談を本気に取るとは……。私の配慮不足でした」
P「失礼ですが、何とおっしゃられたんですか?」
取引先「君も会社の人も同レベルの人材であれば顔を見せなくてもいい、と」
P(俺はあいつに同レベル、いや、それより下だと思われていたのか……)
ちひろ「……と、ここまでが会うまでの回想です」
まゆ「その係長はさんは人間としてどうか、と疑いますね」
ちひろ「ただ、Pさんの業績が振るわなかったのも事実です」
まゆ「そう……、なんですか」
ちひろ「元々、合わなかったのか。それとも、職場が悪かったのか、まずPさんは短期的な戦略をしようとはしませんからね」
まゆ「なんで、Pさんの仕事のスタイルまで知ってるんですか?」
ちひろ「まあ、そういう間柄であるとしか言えません」
まゆ「そうなんですか。まゆとPさんの間にはまだまだ大きな溝がありますね」
ちひろ「それはこれから埋めていけばいいわ」
まゆ「そうですよね。まゆ頑張りますよ!!」
ちひろ「まあ、続きを話しましょう」
P「ということは、こういうことなんですね」
取引先「いいね、君、わかってるね」
P「ありがとうございます!!」
マネ(今回の人材はかなり使えそうだな。長期的なプラン組むのうまいし)
P「えーと、でなんで高垣さんはここに?」
取引先「ああ、彼女ね。見た目は清楚な美人だが、中身は普通のOLよりひどいものだ。ブログに居酒屋に行ったことを書き始めたり、寒いシャレを連発したりでね。ああやって、いろんなところに連れ出して猫を被せておく練習をさせているんだよ」
P「……、そうなんですか」
取引先「着る服のイメージに関わるからね。そういうところは締めないと」
マネ「では、今回はこれで」
取引先「うむ。それでは、またの機会に」
P「……」
楓「……」
P「よう、敏腕マネージャー殿」
マネ「ああ、あんたか。大変な奴の部下についたな」
P「まあな。どうせ、首切られるまでの一時しのぎよ」
マネ「そうかな。僕はそうは思わないけど」
P「そういうお世辞も上手くなりゃ俺にも敏腕がつくんですかね」
マネ「そうでもないさ。一日に8時間アイドルのことを考えていても、ミスは頻出する。僕はミスを無くすために能力がないから16時間は働くことにしてる。もちろん、残り時間は家で、だが」
P「そ、そんなもんなのか?」
マネ「案外、怖いものだよ。人の人生の一端を担うって」
P「そうか、いや、見直したよ。あんたはコネしか使ってないんじゃないかと」
マネ「僕についた敏腕っていう称号は人生を犠牲にしたものにつく蔑称みたいなもんだよ。まあ、実力だけじゃなくてコネも使うけどね」
P「やっぱり、コネは使うんだな……」
マネ「当たり前。使えるものは使わないと」
P「不公平だな、ただ、それだけだ」
マネ「いや、そんなことはないさ。僕も多分どこかで大切なものを失くしてる」
P「そうだな、お前だもんな」
マネ「ひでー言い方」
マネ「あ、そうだ。これ、渡しとくよ」
P「これは?」
マネ「高垣楓の電話番号。彼女は一線級のモデルほどの人気は無いが、準レギュラーのポジションにある。コネを作っておくといいよ」
P「おう、すまんな」
マネ「いいよ、別に。きちんと立場を弁えたお付き合いをすればね」
P「わかってるさ」
マネ「ずっと高垣の方見てるからさ、気があるのかと」
P「髪の毛にゴミ付いてたんだ」
マネ「教えてやれよ!!」
ちひろ「そこから、飲みに誘う形で3人の交流が始まりました」
マネ「高垣、おつまみ何がいい?」
楓「お酒に合うものだったら何でも」
P「じゃあ、俺は唐翌揚げ]
マネ「じゃあ、僕が頼んでおくから」
P「おう、すまんな」
マネ「じゃあ……」prrrrrrrrrrrr
マネ「電話か、ちょっと外に出るから待ってて」
P「先にとっておくからな」
マネ「はい、はーい」
楓「……」
P「……」
楓「……」
P「あ、あの……」
楓「なんでしょうか?」
ありがとうございます。以後気をつけます。
P「こういうところには、よく来られるんですか?」
楓「まあ、人並みには来ているとは思います」
P「何を飲まれるんですか」
楓「しょ……、カクテルを少々。ワインがあれば、それも」
P「そ、そうなんですか」
楓「はい」
P「……」
楓「……」
P「無理してませんか?」
楓「!?、そんなことは……」
P「見たらわかります。本当の自分を押し殺されて、ずっと何かに縛られてるような感じがしますよ」
楓「そんなことないです。私は元々こういう性格なんです」
P「そんなの嘘だ。取引先の人から聞きました。居酒屋とか制限されているんですよね」
楓「……」
P「でも、俺はそんな女の人好きですよ。焼酎を飲んで、ちょっと寒いギャグを言って、自分だけで笑ってるようなそんな人」
楓「そう、ですか……」
P「見せてください、本当のあなたを!!」ガシッ
楓(手を握って……)
P「俺は、あなたの本当の姿、きっと今の姿よりも好きです!!仲間なんですから、遠慮なく見せてください!!」
楓(この人、だったら本当の自分を見せてもいい。そんな気がする……)キュン
楓「で、ですね。そこであの人の内容がないような説教をですね……、ふふ……」
P「そうなんだ」
マネ「すまん、電話長引いたって大分入ってんなおい」
楓「ほら、マネージャーも座れ、飲み過ぎないように、マネージャーの真似じゃー」
P「ははははは」
マネ「けっこう打ち解けたみたいね」
P「そうだなー、こんな明るい人だとは思わなかったけど」
マネ「ああ……」
楓「はい、あーん」
P「あ……、あーん」
楓「あははははは、この3人でまた飲みましょう。宅飲みしましょうよ」
P「唐揚げ好きなんですよ」
楓「じゃあ、作りまーす!!」
P「じゃあ、3人で……」
マネ「あ、忙しいから無理だわ」
楓「それ、浴びるように飲めーーーー」
びしゃあああ
マネ「……、たぁ~かぁ~がぁ~きぃ~!!」
P「あはははははははは」
ちひろ「こうして、3人の交流は始まりました。その後出た雑誌では、宅飲み系女子として楓さんが表紙を飾り、過去4位タイの売上を誇ったそうです。これでPさんの首は繋がったらしいんですが……、って、まゆちゃん?」
まゆ「まゆは、Pさんにあーんをしたことがありませんし、家に上がって手料理を食べさせてあげられてもいません。それに楓さんはPさんとずっと一緒にいます。まゆは……」ウルウル
ちひろ「大丈夫。きっと、取り返せるわ。だって、まゆちゃんもPさんを好きな気持ち、負けてないんでしょ」
まゆ「はい!!」
ちひろ「なら、今から頑張って距離を詰めれば大丈夫よ。これ、Pさんの家の合鍵なんだけど25000MCなの」
まゆ「買いま……」
社長「ダメに決まってんでしょうが!!」
ちひろ「後輩のくせに……」
社長「関係ないでしょ!!二人おいて出てきたよ。多分、逃げられたよ。ちくしょう!!」
ちひろ「はいはい……」
楓(もし、あの時Pさんや社長がいなかったら……、私はずっと囚われの身だったかもしれません。でも、まだ私はPさんに本当の姿を見せられていません。彼が好きだという気持ちを……)
泰葉「し、失礼します」
社長「お、泰葉。こんなところに来るなんて珍しい」
泰葉「社長室に行くってことは怒られることと同じみたいな感じだったので……」
社長「普通そうだよ。誰も好き好んで社長室に入ったりしない」
泰葉「そうですよね」
社長「でも、アイドルの相談を聞くのもマネージャーの役目だからね。遠慮なく相談してよ」
泰葉「はい。私は、この先、ずっとここにいれるんでしょうか」
社長「それは難しいね。ご両親の裁量にもよるから」
泰葉「そうですよね……」
泰葉「私は、ずっとこの事務所にいたいです。今みたいにギスギスしていない事務所にはいたことがありませんし、みんな本当の仲間で……」
社長「ご両親は、結果を出さなければ来年にでも新しいプロダクションへの移籍を考えるみたいだね」
泰葉「あんな人たち知りません。子役じゃないんです。私はもう大人たちのお人形じゃない!!」
社長「ここにいたら、お人形よりもひどいことになるかもよ」
泰葉「物言わぬ人形より言葉のしゃべれる人間の方がいいです」
社長「最近の人形は喋るよ」
泰葉「それがなんだって言うんですか!?私は……、私は……」
社長「……、今の泰葉の意志。伝えておくよ」
泰葉「ありがとうございます」
泰葉「……、どうして私を自由にしたくないんでしょう……」
社長「それが愛だからさ」
泰葉「歪んでます、そんな愛」
社長「親は、常に子のことを考える。時として、自分の子どもに無限の可能性を感じざるを得ない」
泰葉「可能性って限られてるんですか?」
社長「人間、空を飛べと言われても翼を生やすことなんて出来やしない。それよりも程度は低くなるが向き不向きがある。しかし、親にはどうしてもその不向きに目を向けようとしない。そして、いつしか子どもを見なくなる。ついには、子どもは自分の最高傑作にしようとしてしまう。そんな話はよくありすぎて小説にもならないくらいに、ね」
泰葉「つまり、自分の子どもが期待に応えてくれなければ満足できない。そういう親がいるってことですか?」
社長「そうだよ」
泰葉「うちの親はもしかして……」
社長「一回泰葉とご両親が話し合ってから、話は始まる」
泰葉「私、伝えてみます!!ここにいたいって!!」
社長「こっちも出来るだけサポートするよ」
泰葉「はい、ありがとうございます!!」
社長(いい笑顔だ。ここに来た初めの頃は、笑うことすら少なかったのに)
周子「社長、おやつちょうだい」
社長「おい、ここに来て第一声がそれかよ」
周子「だって、社長とアタシの仲でしょ」
社長「そんなに近いわけないだろ、いい加減にしろ!!」
周子「泰葉ちゃん、なんとか言ってよ」
泰葉「え、ええ!?」
社長「泰葉にむちゃぶりするなよ……」
周子「まあまあ、いいじゃん。あ、ポッキー見っけ」
泰葉「あ、周子ちゃん勝手に食べちゃ……」
周子「いいの。ね、社長?」
社長「まあ、後で補充するから」
周子「泰葉ちゃんも遠慮なくね」
泰葉「は、はい」
周子「えっと、確か……」
泰葉「これ、おいしいなぁ」モグモグ
周子「今だ!!」カシャ
泰葉「な、何を撮ってるんですか!?」
周子「泰葉ちゃんの思い出だよー。ほら、社長も一緒に、さ」
社長「別に撮らなくても……」
泰葉「そ、そうですよね……」
社長「うーん、まあいいや。撮ろう!」
周子「さすが、社長。話がわかるね。ハイ、チーズ!」
泰葉(私は、ずっとここにいたいです。友達も頼りになるお父さんみたいな社長も、そして好きな人もみんなここにいますから。だから、私はここにずっとずっといたいです!!)
周子(社長なんてウチのとこみたいな感じか、と思ってたけど大分違った。もしも、社長がお父さんだったらアタシは家出なんてしなかったかも)
時子「帰ってきたわ。あの人を人とも思わないような緑の事務員に復讐して地面に這い蹲らせる日が来たわ!!」
社長「その原住民並みのブーメランについてのコメントをいただきたいのですが」
時子「私は、特別なのよ」
社長「やっぱり、あんたはゴーイングマイウェイを地で行く人やな」
時子「褒めなさい、賛えなさい、崇めなさい」
社長「やだ」
時子「ムチで叩かれたい?それとも、踏まれたい?もっとキツイことされたい?素直に従えば、何も危害は加えないわ」
社長「痛いのはやだ」
時子「でしょう、なら……」
社長「だが、断る。このモバイルプロの社長が最も好きなことは自分が強いと思っているやつにNOといってやることだ」
時子「ならば、その覚悟見せてもらいましょうか」
社長「ちょっ、何を、ダメ、鉄は、鉄は、金属的な角はいかん、いかんよ、だ、ヴェェェええええええええええええええ!!」
時子「千川ちひろ、これを見なさい!!」
ちひろ「社長、キリストごっこですか?」
社長「ちゃうわい!!」
時子「あなた方が以前からの仲だと聞いているわ。助けて欲しかったら……」
ちひろ「仕事の邪魔なんで」
時子「」
社長「この人はこういう人なの」
留美「あ、社長。って何やってるの?」
時子「磔にしてやったわ」
留美「これ、あなたなら何分で終わる?」
時子「なによ、この山のような書類。そうね、3時間は欲しいかしら」
留美「社長の20分間の仕事量よ。私でも4、50分はかかるわね」
時子「え?」
留美「とりあえず、社会では己の身の程に合わせて行動しないと痛い目を見るわよ。というわけであなたがこれを1時間以内に終わらせてね。もちろん、社長が書類を……」
時子「今すぐ下ろします!!」
時子(冷静に知的に怒られると辛すぎるわ……)
飛鳥「社長、いるかな?」
社長「いません」
飛鳥「ボクの目には見えているんだが……」
社長「目で見えるものだけが真実とは限らない」
飛鳥「確かに。でも、ボクは社長が現実にいないとちょっぴり寂しいかな」
社長「はいはい。あんまり時間はないけど話は聞くよ」
飛鳥「社長は物知りだと聞いてね。何か、人に自慢できるような話を教えてもらいたいんだ」
社長「うーん、そうはいっても……」
飛鳥「ボク個人の戦いなんだが、どうしても負けられなくてね」
社長「一体、何が起こったんだ?」
飛鳥「ありすとね、ちょっとしたいざこざで勝負することになってさ。その対決が……」
社長「雑学合戦なのね……」
飛鳥「ああ。彼女に検索すれば分からないことがない、って言われてさ。ムキになってしまったんだ。大人げないと思うが、今更引くに引けなくてね」
社長「仕方ないなぁ……」
飛鳥「恩にきるよ。プロデューサーだとありすに話しかねないからね」
飛鳥「それで、何を教えてくれるんだい」
社長「そのキラキラした目で見るのはやめてくれ。あまり大したことじゃないから」
飛鳥「す、すまない。子どもっぽかったかな」
社長「まあ、子どもですよ。僕からすれば」
飛鳥「確かにね」
社長「で、えーと……、どんな話がいいかな……」
飛鳥「できれば、覚えやすい話がいいな」
社長「えーと、シンデレラの靴が実はガラスじゃないってこととか?」
飛鳥「え……」
社長「あれは、誤訳から生まれた言葉でね。本来はリスの毛皮の靴だそうだ」
飛鳥「ロマンチックのようなそうでないような話だね」
社長「こんなので、どうかな?」
飛鳥「うーん、もっとないかな」
社長「ちょっと待って。今考えるから」
飛鳥「他には、どんな話があるんだい?」
社長「蝶は一頭、で数える」
飛鳥「いまいち、インパクトが弱いなぁ」
社長「黒猫を幸運の象徴として扱う国もあるそうだ」
飛鳥「ふーん、まあありすに勝てそうだからこれくらいでいいよ。ありがとう」
社長「あ、そうだ。誕生日忙しくてろくなもの渡せなかったから、これ」
飛鳥「これは?」
社長「開けてからのお楽しみってことで」
飛鳥「ありがとう。色々とためになったよ」
社長「はいはーい、じゃあまたね」
ありす「あ、二宮さん。社長室に行ってたんですか?」
飛鳥「ああ。彼のような人物ほど面白いものもないさ。わかるだろう、ありす?」
ありす「橘です。まあ、退屈はしないか、と」
飛鳥「で、だな……、その……」
ありす「あの件に関しては私も言いすぎました」
飛鳥「そうか、いや、こちらの方が年上だから先に謝らないといけないのにな……」
ありす「まあ、いいじゃないですか。あれ、それは?」
飛鳥「ああ、社長に遅ればせながらもらったプレゼントだよ」
ありす「そうなんですか」
飛鳥「開けてみようか」
ありす「何が入っているんでしょう」
飛鳥「蝶の髪飾りか……、いいセンスをしている」
ありす「いいですね、それ」
飛鳥「そうだね。そういえば、ありす。蝶の数え方はだね……」
ありす「へー、そうなんですか」
P「おーい、二人共早くしないと仕事に間に合わないぞ」
飛鳥「わかったよ、なるべく急ぐさ」
ありす「すぐに行きますから」
飛鳥(自分はけっこうそういうやつだ。と思っていたから、ボクの話をまともに聞いてくれる大人は新鮮だった。社長という理解者がいれば、プロデューサーという導きがあればボクの人生は光り輝くだろう。でも、最近プロデューサーに会うと胸がざわつくんだが、これはいったい……)
ありす(社長は私を子ども扱いしません。だから、ちょっとだけ寂しい感じを受けるときがたまにあります。自分から頼んだことなのにおかしいですよね。プロデューサーは甘えさせてくれるのに……。でも、それが社長なりの優しさなのかもしれませんね。プロデューサーに甘えたいなぁ・・・)
蘭子「女神を束ねる長よ。我、汝に宿命づけられし命題を聞かん!!」(社長、宿題教えてください!!)
社長「別によかばってん、自分でできんとね?プロデューサーは、どぎゃんしたと?きかんかったと?」
蘭子「プロヴァンスの風はとうに過ぎ去り、静寂だけが神殿を包む」(プロデューサーも誰も事務所にいないんです)
社長「ばってんさ、僕ができるばしんごつ言いよるけどあんまできんとばい。特に数学」
蘭子「心配など無用。汝が得意とする過去還りの術式だ」(大丈夫です。社長の得意な歴史ですよ)
社長「そんなら、なおんこつ教科書ば見れば済むんじゃなとね」
蘭子「そぎゃんこつできとるんならわざわざあんたにきかんどーもん」
社長「なんばいいよっつね。だいたい、おまえん宿題ばなんでやらんばいかんと?」
蘭子「そいやけん、ちょっとおしえてくるるだけでよかとに」
社長「教科書ば見ろ、って言いよろう」
蘭子「どうしようもなかけん、相談しとっとに」
幸子「……、ノート見せましょうか?」
蘭子「すまない、我としたことが魔界の言霊の暴走を引き起こしてしまったらしい」(すいません、方言が出てたみたいですね)
社長「もう遅いよ」
冬馬「天ヶ瀬冬馬、敵情視察だぜ!!」
社長「そのリュックいっぱいのグッズはなんだ」
冬馬「小梅ちゃんのCDに、幸子ちゃんのCDに……」
社長「もう口を開くな」
冬馬「ひどい!!」
社長「黒井社長泣いてるぞ」
冬馬「すぐに嬉し泣きに変えてみせるぜ」
社長「君を見る限りそうは思えないんだが」
冬馬「へっ、そんな口をたたけるのも今のうちだぜ」
蘭子「煩わしい太陽ね」(おはようございます)
冬馬「煩わしい太陽だぜ。闇に飲まれよ」
蘭子「闇に飲まれよ!!」
冬馬「で、だなマネさん……」
社長「今のお前の評価がガタ落ちだよ」
冬馬「黒井社長が少人数で170人ものアイドルを回す方法を盗んでこい、って言ってたんだが、ぶっちゃけ、泉ちゃんと晶葉ちゃんのおかげだろ」
社長「二人が入る前はプロデュースと経理関係以外は自分で回してたからね。やっぱり、僕は961体質と765体質を足して2で割った人だから。あんまり、苦にはならなかったよ」
冬馬「改めて聞くとあんたヤバイな」
社長「アイドル業界のメアリー・スーとまで言われてた男だからね。実際は違うけど」
冬馬「コクランちゃんは?」
社長「今日はオフです」
冬馬「そうか……、残念だな……」
社長「あ、そうそう。お前絶対イメージ壊すなよ。幸子引いてたからな」
冬馬「え……、この世の終わりだろ……、そんなの……」
乃々「む、むーりぃー」
冬馬「乃々ちゃんまで!!噂の机の下に!!入りたい、俺も入りたい!!輝子ちゃんとか入った机のしたで……」
社長「そういうのをやめろ、と」
乃々「だ、誰ですか!?急に来てもりくぼの大事な居場所を奪うんですか?」
冬馬「ち、違げーよ!!ほら、そこさ、そのー」
マキノ「まあ、あなたが生粋の変態であることは分かったわ」
冬馬「お、お前は!?」
マキノ「急に来たように見えたのかしら?残念ね、最初から隣の部屋であなたの失態を見せてもらったわ」
冬馬「うぐっ……」
マキノ「社長の元秘蔵っ子のあなたが、ねぇ……」
冬馬「な、なぜ、それを……」
マキノ「あなたが年下にしか興味ないようだから、手短に話すわね。私の趣味は諜報活動。あらゆる情報を手に入れることよ」
社長「ふ、不正アクセス禁止法は……」
マキノ「私はたまたま見てしまっただけよ」
社長「はい、そーですか。よく分かりましたよ、このやろう」
冬馬「あ、アンタも苦労してんだな」
社長「君の倍は、ね」
冬馬「こうなりゃ、ぶっちゃけるがオレは、幸子ちゃんや乃々ちゃんとかとのふれあいが目的で来たんだよ!!」
社長「ぶっちゃけたな」
冬馬「だから、お前には邪魔されたくねーんだよ。八神マキノ」
マキノ「!!」
冬馬「オレは常に他のアイドルの研究をしている。主に幸子ちゃんとか」
社長「それ、研究やない。観賞や」
冬馬「常に最新のアイドル事情を取り入れる。それがマネさんから教えてもらったことだ」
マキノ「あなたを見くびっていたようね、天ヶ瀬冬馬」
冬馬「ふっ」
マキノ「でもね、あなたに悲しいお知らせよ」
冬馬「負け惜しみは……」
幸子「あ、あの……」
小梅「……」
輝子「フ、フヒ……」
冬馬「社長、屋上から見える景色って綺麗かな」
社長「とても、綺麗だよ。でも、お前は立ち入り禁止だ」
レナ「マネージャーさん、でしたか。負け続きなら帰った方がいいよ」
マネ「いや、まだ残るよ」
レナ「な、なんで!?このまま行けば破滅よ!!」
マネ「そう思っているのはあんただけだよ」
レナ「そ、そんなことは……」
レナ(ブラックジャックでこの手札。対して相手は手札は6枚。負ける気がしない)
マネ「じゃあ、オープン」
レナ「10 10で20よ」
マネ「1 1 1 1 8 9で21。ブラックジャックだね」
レナ「え……」
マネ「今までの負け分におつりをもらって帰るよ。お疲れ様」
マネ「あ、あと一言。ギャンブルってクソだわ。運さえ良ければ誰でも勝てる」
レナ(私はただ、立ち尽くすしかなかった。負けたことよりも、人はあんな風に運を使うということが衝撃的だった)
レナ(で、何の因果があるか分からないけど、再びあの男と出会うこととなった。今度は雇い主という形で)
レナ「社長、暇潰しに来たわ」
社長「ここは、暇潰しの場所じゃないのに……」
レナ「他のアイドルは来てるのに、私はダメなのかしら」
社長「みんな異常だからね。普通、社長室なんて入ろうとは思わないよ」
レナ「さて、と……、本題はここからよ。クイズ億万長者への出演のことについて聞きたいんだけど」
社長「ぴったりだ、と思うよ」
レナ「私は博識とは言えないわ」
社長「でも、クイズは全部4択だから。いいギャンブルでしょ」
レナ「私だって、スイーツとかのロケやってみたいわよ……」
社長「善処しておきます」
レナ(結局、出ることになったわ……)
司会「では、100万円の問題。第二代総理大臣は誰?」
レナ「Cの黒田清隆」
司会「正解」
D「あ、どうも」
社長「あ、ディレクターさん。どうも」
D「いやー、アイドル枠ではいい方ですよ。ライフラインを3つも残しているなんて……」
社長「ええ、彼女も勉強してますからね」
D「まあ、分かっているとは思いますが……」
社長「何がです?」
D「芸能人が一千万とる訳にはいかないでしょ。せいぜい賑やかしですよ」
社長「なぜ?」
D「とぼけないでくださいよ。お約束で……」
社長「悪いけど、知らないなあ。」
D「なっ……」
社長「彼女にはこう言ってますよ。とってこい、ってね」
D「後悔するなよ、テレビ局を敵に回したことを」
社長「アイドルプロダクションに変えて、その言葉返しますよ」
レナ「D」
司会「正解!!」
レナ「もう、一千万の問題ですね」
司会「ええ。いやー、見事な答えっぷりですねー」
レナ「まあ、強運は茄子さんに負けるかもしれませんけどね」
司会「……、なるほど、次の問題が最終問題!!」
D「まだ、あんたには最後の回避術がある」
社長「何の冗談かな?」
D「あの大物司会者、日本で最もテレビに出ている司会者だ」
社長「この前、ギネスに載ったやつかな」
D「あの正当率で文句を言わないってことは、兵藤を狙っている」
社長「はいはい」
D「だから、差し出せ。もちろん、俺の顔を立てながらな。仕事は欲しいだろう?」
社長「断る。それがまかり通れば、テレビ局は単なる風俗施設だ」
D「今さら何を……」
社長「黙れ、次の問題が一千万だ」
D「ぐっ……」
司会「問題、ワトソンとクリックがDNAの二重らせん構造でノーベル賞を受賞した。その時、作成された論文の枚数は?
A.4枚
B.3枚
C.2枚
D.1枚」
レナ「こ、これは……」
司会「ライフラインは使い切っております。さあ、どう出ますか?」
レナ(ここでドロップアウトするのが正しい選択なのかもしれないわね)
司会「ふふ……」
レナ(でも、ここで降りたらあの社長に負けたようで腹立たしいわ)
司会「さあ、どうしますか!?」
レナ(今まではライフラインで晶葉ちゃんと泉ちゃんのコンビのテレフォン、50:50、オーディエンスがあったから何とかなった)
司会「さあさあ、降りたら賞金が持って帰れます」
レナ(でも、ここで引いたらこの先、後悔する……)
司会「時間はたっぷりあります」
レナ(4分の1くらい引き当ててみせる!!)
司会「さあ!!」
レナ「答えは……Cよ」
司会「ファイナルアンサー?」
レナ「ファイナルアンサー」
司会(ここで正解なんて……。しかし、まあ私には関係ない。ここで約束ごとを破ったとか何とかでごねればアイドルの一人くらい手に入るだろう)
レナ(私は、あの社長にだけは負けたくない!!運があるのをさも当たり前のことのように言う人間に負けたくない!!だから、お願い!!私に力を……)
司会「……」
レナ「……」
司会「……」
レナ「……」
司会「正解!!」
レナ「ふぅ、終わったわね」
司会「一千万、おめでとう!!」
レナ「ここまでに助けてくれた人に感謝します。ありがとうございました」
司会(さて、どう落とすか……)
レナ「よ、ようやく終わったわ……、あの社長に絶対に飲み代を奢らせてやる」
司会「いやー、レナちゃん」
レナ「あ、どうも」
司会「凄いね、一千万」
レナ「ありがとうございます」
司会「でも、残念だなー。やっぱり、ここにはここのお約束があるんだ」
レナ「?」
司会「アイドルがね、一千万とるなんてね。ある意味、暴挙なんだよ」
レナ「と、言いますと?」
司会「君はさ、このクイズがやらせっぽくなくなるためにはどうすればいいと思う?」
レナ「一般の方が適度な頻度で一千万を勝ちとる。芸能人は大物や知識人じゃないと……」
司会「ね、だからさ……」
レナ「なんですか?」
司会「ふふ……、分かっているくせに……」
レナ「触らないで」
司会「気が向いたら、ね。お仕事、欲しいでしょう。お世話になっているプロデューサーのためにも」
P「あ、どうも。お疲れ様です」
司会「あ、プロデューサーさん。凄かったよー、レナさん」
P「ありがとうございます」
司会「また、お仕事できるといいね」
P「ええ、そうですね」
司会「それじゃ、またね」
P「あ、そうそう」
司会「ん?」
P「次は許しませんよ」
司会「熱血なのはいいことだねー」
P「俺の大切なアイドルに手を出したら……」
司会「あっーはっはっは。君は仕事に質を求めるのかい?」
P「俺は質なんて求めてない。誠意を求めてます。本当にアイドルを大切に思ってくれる人と仕事をさせたいです」
司会「うるさいぞ、若造が!!」
レナ「わ、私が……、行けば……」
P「行かなくていいですよ。俺が守ってみせますから」
レナ「……、ありがとう」
P「それが俺の仕事ですから」
ちひろ「ちょっと、社長!!何、大型の契約のチャンス蹴ってるんですか!?」
社長「ああ。別にいらないかな、って」
ちひろ「はぁ!?」
社長「あの大型クイズ番組は最早赤字の垂れ流しだ。率のとれない割には出費が多すぎる」
ちひろ「大物司会者にもPさんがケンカ売ってるんですよ!!」
社長「あの司会者はもう終わりだ。あの人の番組ではもう率はとれない。スキャンダルがここ数年で出るだろう。事務所も握り潰せなくなるだろう。今のネット社会じゃね」
ちひろ「でも、局の人と……」
社長「今は芸人ブームが終わり、次のアイドルブームが始まる最中。一人がギャーギャー言ったところで何も変わらんさ」
ちひろ「……、結局、レナさんはあなたに踊らされただけなんですね」
社長「そうかな?」
レナ「そうよ。アンタのせいでひどい目にあったわ。何かおごってもらってもバチは当たらないわよ!!」
社長「ええー」
レナ「さあ、行くわよ。この辺においしいレストランがあるの」
社長「やっぱり、ギャンブルとか懲り懲りだー!!」
レナ(実力は本物だけど、アイドルにからかわれる社長と汚い手を使う社長。どちらが本当の社長なのかしら、ね。プロデューサー、か……。ちょっとドキドキしちゃったかな。この恋には、たくさんベットしちゃおうかな?なんて……、ガラじゃないわね)
歌鈴「うーん」
奈緒「だ、大丈夫か?」
社長「あれ、資料室でどうしたの?」
歌鈴「実は、チョコレートを作ろうとして……」
奈緒「で、ここに何かあるんじゃないかって教えてやったんだ」
社長「それくらいなら教えるのに」
歌鈴「えっ、社長作れるんでしゅか!?」
奈緒(噛んだな)
社長(噛んだな)
奈緒「社長って案外器用なんだな」
社長「ひどいなー。一人暮らしは長いからね。ちゃっ、と作れるよ」
歌鈴「た、頼もしいです」
社長「まぁ、溶かすだけだし……」
奈緒「言うなよ……」
社長「で、なんで奈緒まで?」
奈緒「べ、別にいーだろ」
歌鈴「よ、よろしくお願いします」
奈緒「まあ、よろしく頼むぜ」
社長「じゃあ、チョコレートを刻みます」
歌鈴「え?」
奈緒「え?」
社長「……」
社長「で、こうやって……」
歌鈴「うわあっ」
社長「」ベッチャア
歌鈴「す、すみません!!」
社長「チョコレート、洗ってくるから。さっき教えたところまでやってて」
歌鈴「は、はい。分かりましゅた!!」
奈緒「こうやって、こう、で、こうだ!!」
歌鈴「おお、凄いです。これならPさんも喜びますね」
奈緒「べ、別にあいつに渡すわけじゃねーし!!ほ、ほら、トライアドへの友チョコだよ」
歌鈴「そ、そうなんでしゅか!?」
奈緒「そ、そうだよ」
歌鈴「ここにハッピーバレンタインと書かれたハート型のチョコレートは……」
奈緒「おりゃああああ!!」
社長「帰……」パーン
奈緒「あ」
歌鈴「あ、ああ……」
社長「もう一回、洗ってくる……」
奈緒「まあ、すまんかった」
社長「チョコレートは投げないでね」
奈緒「善処する」
歌鈴「出来ました!!」
奈緒「あたしのも」
社長「お疲れー、主に自分」
奈緒「あはは…、あ、これ」
社長「おえ、ありがとう」
奈緒「今日のお礼だよ」
歌鈴「あ、私も」
社長「これ、テメ、失敗したやつじゃねーか!!」
歌鈴「す、すみません…、それしかなくて……」
社長「ありがとうね。本番が楽しみだなぁ」
凛「はい、これ」
P「ありがとう、凛」
加蓮「これ、私から」
P「おおっ、みんなありがとう」
奈緒(どうしよう。素直に渡せない……)
歌鈴「あ、Pさん、これ……」
P「お、歌鈴からも」
歌鈴「奈緒さんと一緒に作ったんです」
奈緒「ん、ああ……、ほら、あたしからだ」
P「奈緒もありがとうな」
奈緒「ま、まあ、事務所のみんなに配ってるからな、べ、別に、アンタのためなんかじゃ……」
P「ははは……」
友紀「プロデューサー!!受け取って!!」
P「友紀!!どこに投げ……」
社長「おはよう、みん……」ゴスッ
P「チョコレートから鳴っちゃいけない音がした……」
社長「事務所でチョコレート交換は禁止にすべきなのかもね……」
まゆ「うふ、そうですね。まゆがPさんを……、うふっ」
社長「君も原因の一端なんだよなぁ……」
P「凛、まゆ、ちょっと来い」
まゆ「なんですか?」
凛「プロデューサー、どうしたの?」
P「実はな、お前たちに言わなければならないことがある」
まゆ「けっこ……」
凛「さ、3人ではちょっと……」
P「定期テストの成績が異様に悪くなってるんだが」
凛「ま、まあ、私は大丈夫だよ」
まゆ「まゆも大丈夫ですよ」
P「親御さんがアイドルやめ……」
凛「勉強するよ。そして、トップになってみせる。だから見てて、プロデューサー」
まゆ「うふ、大丈夫です。黙らせますから」
社長「Pは知的な娘がタイプだって」
まゆ「うふっ」
P(やる気を出してくれて良かった……)
まゆ「と、とにかく、得意な分野を教えあいましょう」
凛「私は理数系。数学以外」
まゆ「まゆは文系ですね」
凛「数学の穴は多分加蓮で埋められるとして……」
まゆ「凛ちゃんは、何をとってるんですか?」
凛「その前にさ、まゆと私って学年違うよね」
まゆ「……」
凛「……」
凛「社長室に行こっか」
まゆ「そうですね」
凛「社長、お願い。トップになりたいからさ、ね?」
社長「仕事があるんですが、それは……」
まゆ「まゆ達アイドルやめさせられるかもしれないんです」
社長「何がそんなにあかんかったんや!!」
凛「アイドル活動をやりすぎた結果、かな」
まゆ「Pさんの行動だったら逐一把握しているんですけどね」
社長「まゆにいたっては自業自得の極みやないかい」
凛「お願い!!社長!!」
まゆ「お金をかけずに成績を上げる方法はもう社長しかいないんです!!」
社長「お金使ったら?勉強の大切さが身にしみるだろうから」
凛「ふーん、そうなんだ……」
まゆ「ここはこうやって……」
社長「そうそう、その調子」
まゆ「社長がいなかったらどうしようかと思いました」
凛「社長が勉強できるなんて意外だったけど」
社長「マネージャー時代にバカの相手をよくやったから」
961プロ
冬馬「ハックション!!うーん、冷えてきたか……」
北斗「なあ、いつまで幸子ちゃんのビデオ見てるんだ……」
翔太「休憩時間ずっとそれ見ててキモいよ、冬馬くん」
冬馬「う、うるさいな。ほら、念入りに研究してたんだよ」
北斗「そうか……、スカートがめくれている時にガン見してたのも研究のためなのか……」
冬馬「いや、でも、幸子ちゃんの……」
黒井「うるさい、黙れ。さっさとレッスンに行け!!」
冬馬「お、おう。分かったぜ」
黒井(これでは、お前も頭を抱えるしかないな……。未だに心配な理由がよく分かる……)
凛「ありがとう、社長。社長がいれば出来ないことなんてないんじゃない?」
まゆ「実際、Pさんはレッスンとかプロデュースのこと以外のことはからきしと言うか……」
社長「まあ、あいつもあいつでねー。器用なんだけどねー」
凛「ふーん」
まゆ「もっとPさんのことを教えてください。具体的には実家の住所とか」
社長「それはいかんよ」
凛「じゃあさ、ここにくる前の知り合いって楓さんだけ?」
社長「泰葉は顔合わせた程度だし、服部さんは、あいさつ程度かな」
まゆ「あ、あんなところに写真が……」
凛「もしかして、ここにくる前の写真かな」
まゆ「そうみたいですね」
社長「ん、あ!!これはダメなやつだ!!」
凛「よっ、と」
まゆ「あ、この人知ってますよ。日高舞さんじゃないですか?」
社長「……、そうだね」
凛(社長の顔が険しくなった……。こんな社長見たことない)
社長「ほら、Pの過去じゃないんだから、さ……」
凛「この社長の頭押さえてる人って……」
まゆ「社長のご兄弟でしょうか?」
社長「べ、別にいいでしょうが!!」
凛「お兄さんかな」
まゆ「あー、そう言われれば似てますねぇ」
社長「そ、そう。兄さんが日高舞に会って興奮して撮った写真なんだ」
まゆ「社長ってご兄弟がいらっしゃったんですね」
凛「驚いたよ」
社長「まあ、今まで言わなかったからね」
まゆ「Pさんにはいるんですか?」
社長「それは、言えない。個人情報だから」
まゆ「残念ですね。でも、まゆはあきらめませんよ」
社長「あきらめてもいいんだよ」
凛「冗談でもそんなこと言わないで」
社長「お、おう……、ごめん……」
???「面白いものを見つけたわ」
マキノ「あまり関心しないわね。事務所内で隠し事なんて」
マキノ「ふーん、ずいぶん厳重なロックなのね。でも、私の特製パス解析機なら……」
マキノ「最後はロボットで設定してないのね。まったく、嫌らしいわ……」
カタカタカタカタ
マキノ「あらゆるパスワードで検索してみたけど、全然ダメね。もう一回、調査が必要かしら……。って、あら?」
マキノ「これは!!」
マキノ「…………、っと」
マキノ「ふふ……、面白くなってきたわね」
マキノ「あなたの秘密を明かしてみせるわ、社長」
数日後
凛「トップ取れたよ、プロデューサー」
まゆ「まゆも頑張りましたよ」
P「おお、二人とも凄いじゃないか!!」
凛「ま、社長に聞いたかいがあったね」
まゆ「社長さんにお礼を言わないといけませんね」
P「そういえば、今日は社長室から出てこないな……」
凛「また誰かが相談か暇潰しに行ってるんじゃない?」
P「そうだな。二人ともごほうびは何がいい。特別に何かあげようじゃないか」
凛「首輪」
まゆ「合鍵」
P「チョーカーと鍵型のアクセサリーだな。分かった。用意しておくよ」
凛「……」
まゆ「……」
マキノ「社長、これ見てくれるかしら」
社長「どれどれ……、っ!!」
マキノ「日高舞と結婚した男性の姓、あなたと同じね」
社長「苗字がかぶるなんてよくあることだよ」
マキノ「そう……、なら……」
マキノ「この『招待客名簿』の意味を教えてもらえるかしら?」
社長「な、なぜ、それが……」
マキノ「日高舞の結婚披露宴パーティー。その出席者にあなたの名前があるのよ」
社長「……、何が言いたい」
マキノ「あなたが変わった社長になった理由。日高舞が原因なんじゃない?」
社長「……」
マキノ「あなたのお兄さんはテレビ関係者だったみたいね」
社長「ああ」
マキノ「結構、露出も多かったんじゃないかしら」
社長「ちょっとは、ね」
マキノ「日高舞フィーバーの際に特に多かったわね。日高舞のパシリとか思われてたみたいだけど」
社長「もう、いいでしょ……」
マキノ「事実は違った。本当は……」
社長「日高舞の婚約者であり、日高愛の父親……」
マキノ「当時はどんな感じだったのかしら?」
社長「思い出したくもないね」
社長「何がしたい?お金が……」
マキノ「ふざけないで!!どうして、あなたは…なぜ、私達に頼ってくれないの……」
社長「……」
マキノ「私達はこんなに優秀なのよ!!みんな、社長の役に立てるのよ!!なのに……、なぜ……」
社長「ごめん……」
マキノ「私は負けない。あなたが頼ってくれるのを待ってるから……」
バタン
P「社長……」
社長「いたのか……」
P「あなたは女性が、アイドルが信用できないんだ……」
社長「……」
P「あなたのお兄さんを捨てた日高舞への……」
社長「黙れ……」
P「復讐は……」
社長「いい加減に……」
P「やめてください」
社長「黙れと言っているんだ!!」
P「俺なら……、信用できますか?」
社長「な、何を……」
P「こういうことですよ」
社長「あ、何をするんだ、やめ……」
P「ずっとアンタのことが好きだったんだよ」
社長「そ、そんな趣味は……」
P「正直になれよ……」
社長「あっ……」
――――――――――――……
由里子「で、出来たじぇ……。P×社長本!!これはもはや傑作と言っても過言ではないね……」
比奈「見つかったらヤバいんじゃないでスか?」
由里子「このスリルがいいんだよ!!」
まゆ「そうですね」
凛「スリルを味わうってことはリスクを負う覚悟はあるんだね」
由里子「え……」
まゆ「うふっ」
凛「ちょっと許しがたいかな」
由里子「比奈ちゃん助けて欲しいんだじぇ!!」
比奈「諦めって大切なことでスよ……、というより私を巻き込まないでください」
由里子「出来心だから許して欲しいな、ね?」
まゆ「うふっ」
凛「ちょっと無理かな」
由里子「ごめんなさいだじぇー!!」
社長(見なかったことにしておこう……)
凛「そう言えばさ、由里子さんの同人誌で私達、テストが悪いって書かれてたじゃん」
社長「まあ、ちょっとだけ世間と感覚と離れるよね。だから、テスト悪かったりするんだけど」
まゆ「でも、まゆは苦手教科以外は……」
凛「まあ、私もきちんと採ってるよ」
社長「そうかー、なら、安心した」
まゆ「まあ、社長さんが教えてくれましたしね」
凛「そうそう」
社長「でも、不安だなー、って、あ。良いこと思いついた」
社長(こうして、チョコボールの傷が未だに癒えない社長はオリジナルテストを作るのであった!!)
社長「まあ、小学生でも解けるからやらせるのは……」
蘭子「煩わしい太陽ね」
社長「うん、決めた!!」
蘭子「?」
社長「実は蘭子。大切な話があるんだ」
社長「……、ということだからお願い」
蘭子「承知した。汝が考えはよく理解した。この課されし難題を解いてみせよう」(分かりました。テストやってみますね)
社長「ありがとう」
蘭子「気にすることはない」(気にしないで下さい)
社長(さて、後はあいつらに……)
数日後
社長「みんな、今日は会議室に集まってくれてありがとう」
蘭子「闇に飲まれよ」
幸子「一体、何の用ですか?」
愛海「社長が呼び出したから、お説教かと思ったんだけど……」
飛鳥「まあ、もしかしたらボクら5人の力を合わせた新しいユニットの話かもしれないね」
光「きっと戦隊を組むんだ!!」
社長「まあ、用っていうのはこの前のテストなんだけど……」
幸子「そんな、あんなテスト分からないわけないじゃないですか!?」
社長「いや、そのテストの誤答発表がDVDの特典映像になります」
蘭子「闇からの一撃か!?」(聞いてませんよ!!)
光「そ、そんな……、社長……、信じていたのに……」
P「じゃあ、テストの解答を見るぞー」
愛海「や、ヤバいよ……」
飛鳥「例え、答えが間違っていたとしても、それはボクらしさ、じゃないかな?」
社長「知らんよ」
社長「では、最も平均点の低い保険体育からいきまーす」
P「あ、俺の解いたやつも混じってるんですけど……」
社長「君のもやるよ」
P「横暴だ!!」
社長「アイドルのプロデューサーだから、きっとお手本になってくれるよね!!」
P「まあ、はい」
社長「えーと、時事問題。2014年のソチオリンピック。このオリンピックの開催国は?という問題。この程度の問題わかるよね」
P「はい!!」
社長「でもね、君の解答は南極って書いてあるんだけど!!」
幸子「ロシアでしょ!!」
蘭子「プロヴァンスの風よ……」(プロデューサー……)
愛海「常識でしょ」ゲラゲラ
P「うう……」
社長「次、インフルエンザ等で高熱が出たときの対処法を簡潔に書け。答えは色々あるけど、蘭子」
蘭子「な、何用か?」
社長「まあ、正しいんだけどさ、これ。解答読もうか?」
蘭子「闇の中に葬り去るべきもの」(読まないで下さいよー)
社長「答え、気合いで治さんばいかん!!」
蘭子「」
幸子「えーと、安静にしておいた方がいいとかですかね」
飛鳥「後は、汗をかくとか温かくするとかかな」
蘭子「は、恥ずかしい……」
社長「次の問題。立ってスタートするスタンディングスタート。それとは対になる体勢を低くした状態でスタートする方法をなんというか?二宮飛鳥」
飛鳥「何かな?」
社長「正答はPから聞こうか。答えは?」
P「シッティング……」
社長「クラウチングスタートだね」
光「ああ、この前の体育で習ったぞ」
飛鳥「ま、まあボクはそのとき休んでいたからさ……」
社長「解答、ジャッカルスタート」
飛鳥「体勢を低くしたあの姿勢。ボクは風を切り獲物に食らいつくジャッカルをイメージしたんだ。凛々しくて堂々としたジャッカルを……」
社長「まあ、次から覚えてねー」
飛鳥「……」グスッ
幸子「ま、間違いは誰にでもありますよ!!」
社長「保険体育最後の紹介となります」
幸子「全員分出さないんですか?」
社長「ミニコーナーなんで、時間使ってられなくてさ……」
光「まあ、私は得意分野だったから……」
社長「ああ、そうだな。最後は南条光。お前だ」
光「ば、バカな……」
愛海「私はセーフだね」
社長「問題、白血球の役目は?」
光「正しく書いたはずだぞ!!」
社長「解答、体の中のヒーロー」
幸子「ああ……」
飛鳥「自分の常識とは違う常識がある。そういうことだね」
蘭子「女神の長よ、いざ次の荊の道へ進まん」(社長、次の教科行きましょう)
社長「続いて国語。ごんぎつねより出題。なぜ、ごんぎつねは兵十さんに栗やブドウを持って来たのでしょうか?棟方愛海!!」
愛海「え!?」
社長「答え、とりあえず山の幸でごまかそうと思った」
蘭子「悠久なる時の流れの貴様の供物は偽りの贖罪のためであったのか!?」(いつものお詫びのお菓子ってこういうことだったんですか!?)
愛海「い、いや……、その……」
光「愛海……」
飛鳥「ちょっと軽蔑しちゃうかな……」
幸子「ごんが謝りたいという気持ちを、何だと思ってるんですか!?」
愛海「あ、あははは……」
P「説教だな」
社長「はい、続いての問題。初志貫徹を使った短文を作れ。輿水幸子」
幸子「え?」
社長「解答、ボクはカワイイ」
幸子「……、あ」
社長「使ってないよね、初志貫徹はしてるけど」
幸子「ま、間違いは誰にでもありますからね。ほら、ボクのカワイさが溢れ出てますよね」
P「幸子、テストではカワイさは採点されないんだぞ」
幸子「うわああああああああああ!!」
蘭子「共鳴せし心が哀しみに満たされる」(分かるよ、その気持ち)
社長「そして、P!!」
P「え?」
社長「問題 この仕事がテンショクになった。漢字を書く問題だね」
愛海「『天職』だね」
幸子「分からないことはないと思うんですけど……」
社長「解答、『十色』」
蘭子「……」
光「こ、これは、う、うわああああああ!!」
愛海「ちょっと、落ち着くために柔らかいモノをちょうだい!!」
幸子「笑えないですよ、Pさん……」
P「い、いや、個性を光らせる仕事だからさ……」
蘭子「プロヴァンスの風に偽りの詩が……」(プロデューサーの言い訳が……)
飛鳥「き、君について行っても本当に大丈夫なのかい!?」
社長「というわけで、前半が終了となります。お疲れさまでしたー」
P「あ、あははは……」
幸子「これはダメじゃないですか?」
社長「幸子、光、飛鳥、愛海、そして蘭子。これ、頒布出来ないかもしれないくらいひどい」
飛鳥「そ、そんな……。ボクらの意味は勉強で決まるものじゃないって社長も分かるだろう」
社長「いや、主にPのせいで」
光「私は、どうやったらPを助けられるだろうか……」
蘭子「天使の手は地獄の業火には触れられないほどに弱い……」(手遅れじゃないんですか……)
愛海「いや、私にあんなに怒ってるプロデューサーが、ねぇ……」
社長「まあ、次の教科いこうか」
社長「じゃあ、算数。分数の足し算引き算で行われる分母を揃える計算を何というか。飛鳥」
飛鳥「えっ……」
社長「解答、積分」
飛鳥「えっ、でも……」
社長「お前、中学生なのに高校生の教科書読むなよ」
飛鳥「だって、そっちの方がカッコいいじゃないか……。ΣとかΩとか……」
蘭子「共鳴の響きが伝わる」(すごく共感できます)
幸子「でも、通分ですよね」
社長「やらかすと思った、棟方愛海」
愛海「えっ!?」
社長「円周率を書け。正答は、3.14もしくは3、あとはπ」
愛海「ちゃんと書いたよ!!おっぱいとか書いてないって!!」
社長「解答『元』」
蘭子「クスッ」
幸子「あ、でも消し跡がある」
光「おっぱい……って、やっぱり愛海、お前……」
愛海「だって、考えちゃうじゃん!!ねえ、飛鳥ちゃん」
飛鳥「えっ!?あ、ま、まあ、母性の象徴である胸を表す言葉を連想してしまうのは事実じゃないかな?」
幸子「し、知りませんよ!!」
社長「同じ問題で飛鳥」
飛鳥「ボクは正解のはずだよ」
社長「解答、3.141592653589793…、で正解」
飛鳥「やっぱり合ってるじゃないか」ドヤッ
蘭子「誉めてやろう」(凄い!!)
幸子「ボクはπで書きましたが……」
光「面倒くさいもんな」
飛鳥「……、そうだね」
幸子(明らかに地雷踏んだ!!)
愛海「まあまあ、ご褒美にマッサージしてあげるよ」
飛鳥「あっ、何するんだ、やめっ……」
愛海「ここには早苗さんも真奈美さんも清良さんもいないからね、うへへ……」
光「やめるんだ、愛海!!」
愛海「あ、ちょっと引っ張らないで……、飛鳥ちゃんのブラが……」
飛鳥「今もずれて……」
社長「ちょっとカメラ止めて」
社長「最後の算数は、Pの誤答で終わります」
P「またですか!?」
社長「問題、台形の面積の求め方の公式を書きなさい」
幸子「これはカワイイボクが出来ましたよ。(上辺+下辺)×高さ÷2ですね!!」ドヤドヤッ
社長「Pの解答、縦×横×高さ×円周率」
蘭子「え、円周率……、聞き慣れぬ言霊だ……」(聞いたことありませんよ、円周率なんて!?)
飛鳥「非日常の恐ろしさを知ったよ……」
愛海「π……」ボソッ
幸子「ププッ……」
光「P、勉強してるのか?もし、していなかったら一緒にやろうじゃないか、な!」
P「ソウダネ」
社長「蘭子の独壇場、理科が始まりまーす」
蘭子「え、え、えぇ……」
愛海「蘭子ちゃんだけって……」
幸子「いじられないことに安心していいのか、友達を励ました方がいいのか……」
蘭子「うう……」
P「間違いは誰にでもあるぞ!!」
光「そうだ、自分を信じろ!!」
蘭子「ありがとう……、みんな……」
社長「何か僕がいじめてる雰囲気になってるけど、容赦しません」
蘭子「こ、心得た!!」
社長「問題、植物が水と光ででんぷん質を作り出すことを何というか」
幸子「こ、光合成ですよね……」
社長「解答、合成の儀」
飛鳥「なるほど……、確かに生命に必要なものを合成する大切な儀式という観点から行くと正し……」
社長「くないからね。じゃ、次はチョークや貝殻に塩酸をかけると二酸化炭素が発生しますが、このような2つの化学物質が反応を起こして別の物質に変わることをなんといいますか」
幸子「いや、ほぼ答えでしょ……、化学反応」
社長「答え、錬金術」
蘭子「不明な物の理は錬金術に違いないと……」(分からない問題だったので、錬金術だと思ったんです……)
光「でも、カッコいいよな!!錬金術って!!」
P「でもな、光。テストは……」
愛海「それ以上いけない」
P「愛海が……、ツッコミに回っただと……」
愛海「さすがにかわいそうだよ……。可愛い女の子が泣くのは、見たくないよ……」
社長「まだ行こうか……。問題、哺乳類であるクジラやイルカが水の中で生活出来るのはなぜか」
幸子「これは、肺活量が大きいから、とか、呼吸する時は海面に出るからですよね」
社長「解答、水属性だから」
蘭子「水の生物は全て自ら魔翌力を得ているものだと……」
社長「問題、夜の星座が移動するのはなぜか」
幸子「これは地球が自転しているからですよね」
社長「答え、星が占星術師に呼ばれたから」
光「星の戦士でもなかったのか……」
飛鳥「星はボクらを見守ってくれているからね。そういう勘違いもありじゃないかな」
P「なしだよ」
社長「それはPの頭に言ってやりたいかな」
愛海「いつか、乙女座の胸を……」
社長「問題、電流の単位はアンペア。電圧の単位はボルト。電力はワット。では、熱量は?」
幸子「ジュールですね。聞き慣れない単位ですが……」
社長「解答、ヴェルサス」
蘭子「響きが魔界のものに似ていたからな……」(響きがなんかこういう感じかなと……)
社長「これが最後。火が燃えるのは何を消費しているからか」
幸子「これは酸素ですね!!」
光(やる気って書いてしまった……)
社長「答え、『酷素』」
蘭子「……」
P「ケアレスミスは誰にでもあるさ」
愛海「そ、そうだよ!!胸揉むから元気出して!!」
蘭子「出せるわけないじゃない!!」グスッ
社長「最後にPの答えをやるの忘れてたね」
飛鳥「非日常はお腹いっぱいかな……」
社長「問題、草食動物の視野が広いのはなぜか」
幸子「えっ、肉食動物から逃げるためですよね」
社長「解答……」
P「あああああ……」
光「な、何が出ても驚くものか!!」
社長「異性を追いかけ……」
愛海「サイテーだ!!」
蘭子「欲望にまみれし者よ、恥を知れ!!」(欲望まみれじゃないですか!!反省してください!!)
P「π…」
愛海「笑えないよ……」
社長「最後の問題は、社会ですが。この教科で読む解答は一問のみです」
蘭子「それは一体どのような難題か?」
社長「問題、日本の社会はどのようにしたら良くなると思いますか?」
光「これは自信があるぞ!!」
社長「アイドル達の熱い日本への想いを聞いてください」
社長「では、読みます。輿水幸子」
幸子「……」
社長「不況が日本の経済成長を妨げ、それに消費税の増税で消費が冷え込んでいる。このようなときに活発なコンテンツが必要であり、アイドルがその一端を担えるようになりたい」
光「すごいな、幸子。まったく分からないけど、日本のことを思う気持ちが伝わったよ」
蘭子「日いづる国の未来に太陽が煌めき、我々の歌声が響き渡るよう共にあるこう」(日本の将来が明るく私達の歌声が届くように頑張りましょう!!)
飛鳥「現実的だが、この現実こそ非日常なのかもね」
愛海「幸子ちゃんの胸にはそんなことが詰まっていたんだね……」
社長「次、二宮飛鳥」
飛鳥「まあ、自信はあるかな」
社長「解答、日本は日常という毒に満たされている。人々は今ある平和に似た衰退を享受するために働いている。誰も非日常という口に苦い良薬を求めていない。だから、私達は非日常を追い求めていくべきだ」
蘭子「むむむ……」
幸子「クーデターを起こせ、ということなんでしょうか……」
光「日常だけじゃダメだけど、日常がないのもダメなんじゃないか?」
愛海「具体的に何をやればいいか分からないけど、私は女の子の胸という非日常を追い求めていくよ」
社長「次は、南条光」
光「おう!!」
社長「解答、日本には悪の組織がまだまだ沢山いる。そいつらを倒すヒーローが必要だ」
幸子「例えば、どういうところなんでしょうか……」
蘭子「虚偽の神により創り上げられし教団?」
P「それ以上いけない!!」
社長「次、棟方愛海」
愛海「……」
社長「今の女性はスキンシップに対して抵抗がある。特にボディタッチに対して表れていると思う。少し触るとセクハラという意識がついて回っているからだ。ボディタッチはいやらしい意味ではなく仲良くなりたいからするものだ。だから、もっと女性はボディタッチに対して寛容になって欲しい」
幸子「言ってることは分かりますが嫌です」
蘭子「断る!!」
光「そういうのは困るかな……」
飛鳥「そうだね。ボクらの胸はボクらの子どものためにあるからね」
愛海「そんな……」
P「ヤバイ、ちょっと気持ちが理解できる」
社長「最後に神崎蘭子」
蘭子「こ、心得た……」
社長「日本はもっといい政治家を選挙で選ばないといけない」
飛鳥「ん、これだけなのかい?」
光「もっとすごいものを予想していたのに……」
愛海「ちょっとびっくりだね」
蘭子「忌まわしき難題にはこのような解が良い……」(だって、こんなのこういう答えしか書けないじゃないですか……)
P「そうだね」
社長「とても大事なことなので、みんなが真面目に答えてくれたのを嬉しく思います」
P「そうですね」
社長「君は空欄だったけどね」
P「まことに申し訳ありません……」
社長「じゃあ、得点発表しましょうかね」
P「え!?」
社長「お前がリアクションするのか……、って、当たり前だな」
幸子「でも、これって罰ゲームとかは……」
社長「この上、罰ゲーム受けたい?Pにはあるけど」
幸子「早く済ませましょう!!」
社長「1位 輿水幸子 458点/500点
2位 棟方愛海 401点/500点
3位 二宮飛鳥 395点/500点
4位 神崎蘭子 384点/500点
5位 南条光 354点/500点
6位 P 142点/500点
という結果でした」
幸子「ふふーん、カワイイボクが一位ですね」
蘭子「姫君に教えを請おう……」(幸子ちゃんに勉強教えてもらおう……)
飛鳥「まだまだ、ボクは日常に縛られている。そう感じたね」
愛海「いや、意外と真面目にやったのにこの結果は悔しいなぁー」
P「次は頑張ります」
社長「じゃあ、次回は25歳オーバーでお送りする抜き打ちテストをお送りします」
ちひろ「ぜひ買ってくださいね」←全教科100点
カメラ外
社長「お疲れ様でしたー」
幸子「お疲れ様です」
飛鳥「なかなか楽しかったよ」
光「勉強のし直しだな……」
蘭子「科学の術式の理解を……」(理科をやらなきゃ……)
愛海「ううーん、結構自信あったのに残念だな」
社長「でも、今日はみんなのおかげでコーナーができたよ、ありがとう」
P「そうだな、お前たちももっと頑張らなくちゃな!!」
幸子「……」
P「ごめんなさい、私も一からやり直します」
社長「君はもう本当に、ねぇ!!」
P「すいませんでした……」
まゆ「まゆは不安になります。みなさん、まゆより先を行っていますから。楓さん、ちひろさん、そして、社長さん」
社長「僕は男ですが」
まゆ「社長さん以外はみんな私の大切な人たちばかり……。社長さんはいざとなったら死んでもらうとして……」
社長「聞こえてんだよ。社長室で言う独り言じゃないよね」
まゆ「ああ、まゆは一体どうしたらいいんでしょう。優しい誰かがPさんの個人情報を流してくれたなら……」
社長「……」カタカタ
まゆ「……」
社長「何?忙しいんだけど?」
まゆ「誰かが個人情報を……」
社長「ダメです!!」
まゆ「けち、ばか、ちひろ」
社長「ちひろは人に言う言葉じゃないだろ!!いい加減に……」
ちひろ「いい加減にしなさい、二人共」
社長「ごめんなさい。私のせいで婚期が遅れているいうのに、こんな過酷な労働を……」
ちひろ「人を怒らせて楽しいのならばほざいていてください」
社長「反省してます。心から」
まゆ「でも、Pさんはまゆのものです」
ちひろ「反省しなさい、社長!!」
社長「もう、何も言う気が起きないよ……」
まゆ(今日は久しぶりにPさんと二人きりになれる日。だから、目一杯オシャレしなくちゃ……)
P「お、まゆ。今日は気合入ってるな」
まゆ「今日は二人きりの日ですからね」
P「まあ、今日はモデルとしての撮影会だからな」
まゆ「表紙を飾れるなんて嬉しいですよ」
P「ははは、それだけまゆが頑張ったってことだよ」
まゆ「うふっ」
P「さて、今日も頑張るぞ!1」
まゆ「お願いしますね、Pさん」
まゆ(今日は二人きりですし、ちょっとだけ距離を詰めておきたいですね)
P「で、だな、まゆ。今日は早めに行っても仕方ないから、早足になる必要はないんだぞ」
まゆ(ついつい早足になってしまったみたいですね。でも、これくらいの勢いならいける気がしますよ)
P「ん、どうしたんだ、まゆ?」
まゆ「えいっ!!」
P「うおっ、いきなり腕に抱きつくんじゃない!!ふざけていたとしても、人が見ていたらどうするんだ!!」
まゆ「大丈夫ですよ。ここは人通りも少ないですし」
P「そうじゃなくて……、あ」
社長「あ」
P「か、買い物帰りですか?」
社長「うん……、そうだけど……」
まゆ「Pさん、誰もいませんよ」
P「いや、目の前に……」
まゆ「いませんよね」
P「うん、いないな」
社長「なぜ、こういう目にあわなければならないのか」
まゆ「うふ、冗談ですよ」
P「そうですよ。悲しい顔をしないでください」
社長「お前ら、上司いじりなんてやめろよ。というよりも社長だぞ!!偉いはずなんだぞ!!」
P「だが、あんたは違う」
まゆ「根拠はないですが」
社長「このやろう……」
P「あはははは」
まゆ「うふっ」
社長「もう、社長じゃなくてマネージャーでいいような気がしてきた」
まゆ「その通りですね」
Pまゆ「あはははははははは」
社長「くそぉ、くそぉ……」
???「僕のまゆちゃんを……、許せない……」
まゆ「あ、もうこんな時間ですね。急ぎましょうか」
P「お、そうだな」
社長「それじゃあ、また、後で……」
ダッダッダッ
P(誰かが走ってくる?マラソン中かな?)
社長「おい、P!!逃げろ!!」
P「え?」
「死ね!!よくも僕のまゆちゃんを!!」
まゆ「Pさん!!ナイフを持ってます!!」
P「まゆ、逃げろ!!」
「絶対許さない!!」
P(くっ、ここで終わりなのか……、逃げたいのに足が動かない……、こんなときに、俺って……、ダメだな……)
「死ねぇ!!」
社長「ぐおっ……」
P「社長……」
まゆ「嘘……」
「お前じゃないんだよ、殺したい奴は!!」
P「社長ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー!!」
社長「うぅっ、くそっ……」
P「しゃちょ……」
社長「早く…にげ……」
「ぐああああああああ、どけ、どけ、どけよ!!」
P(社長が殴られている……、叩きつけられているのに……、どうして俺は何もできないんだ……)
まゆ「け、警察に連絡しました……」
P「……、そうか」
P(なぜ、安心しているんだ!!社長が、上司が、親友が殺されるかもしれないんだぞ!!なのに、なぜ、アイドルに任せっきりなんだ、俺ってやつは、なぜだ、なぜなんだ!!)
P「は、離れろ……」
「あぁ!?」
P「その人から離れろて言ってるんだ!!」
「お前のせいなんだよ!!何もかも、全てが!!」
P「なら、俺にかかってこい!!俺はここだ!!」
「なら、遠慮なく殺してやるよ!!」
P(案外、決着はあっさりついた。社長が渾身の力で犯人の足首をつかみ転倒させた。そこを俺が押さえつけた)
「ちくしょうが、お前らみたいなやつがいるから……」
P「……」
「お前らみたいなやつがいつも俺たちから希望を持ち逃げしやがる……」
P「違う……、君の思っているような関係じゃない……」
「じゃあ、どういうことか説明しろよ!!」
P「それは……」
「結局、お前らは人を売って人を食って生きているんだ!!」
P「……」
「反論できないんだろ?」
P「違う……」
「俺たちの夢を返せよ」
P「……」
警官「警察だ!!大人しくしろ!!」
「離せ、コラ、まだ話は終わってないぞ!!」
警官「話は署で聞く」
「バカやろう、俺は勝つぞ、このやろう」
P(人を売っている、か……)
P(その後はなんだかバタバタしていた。記者会見も半分、上の空だった。記者も同情のような質問ばかりでもあまり慰めにはならなかった。よくある通り魔事件。そう解釈されたみたいだ)
社長「……」
P(社長はあの後から目を覚まさない。ひどく衰弱しているらしく、医者からは命の危険があるから覚悟をしておけ、と言われた)
まゆ「まゆがあの時に……」
P(まゆはずっとこの言葉を繰り返している。慰めたいけれども、なんだか、自分も心が空っぽでうまく何も言えない)
凛「まゆ、そんなことないよ。遅かれ早かれこうなるのは目に……、見えてたんだから……」
P(凛が涙をこらえながら、まゆを励ましている。俺は涙も出ないし、励ましてもやれない。自分が人間かどうかも怪しい)
まゆ「……」
P(沈黙が長く続いた。でも、俺は誰にもしゃべって欲しくなかったからちょうど良かったのかもしれない)
P(俺は屋上にいた。人を売って生きるという言葉が胸の中の夢とか希望とか、そんなものを食らいつくしていた。だから、何も考えたくなかった。風にあたりたかった。そうすれば、何かしらの慰めにはなるから)
ちひろ「Pさん」
P「ちひろさん……、その……」
ちひろ「私はあなたを責めません。みんなも責めません。自分しかあなたを責めていませんよ」
P「でも……」
ちひろ「ちょうど良かったです。私も言いたいことはあったので」
P「何ですか?」
ちひろ「社長……、いや、あの子の前から消えて頂けますか?」
P「なっ……」
ちひろ「冗談とかじゃないんです。本気なんです」
ちひろ「あの子と私は兄弟のようなものでした。小学校から高校まで一緒だったんです。でも、あの子は高卒で就職しました。会社の名前は961プロ。黒井社長は彼の親戚筋にあたります」
P「知っていますが、父のはとこの奥さんから血筋って聞いていたんでそこまで深いつながりはないと……」
ちひろ「はい。ただ、そのはとこは黒井社長が目をかけて育てていた人材です。そのはとことは近所であの子はよく遊びに行っていました」
P「はぁ……」
ちひろ「そこで、アイドル関係のノウハウを学びました。アイドルのマネジメントに関しては一流と呼ばれる人だったそうです」
P「高校を卒業後、就職したんですよね。出来過ぎてますね」
ちひろ「あの子は、大学に行って学者になる予定だったんです」
P「え!?」
ちひろ「しかし、そこで悲劇が起こります。高校が推薦書を書いてくれなかったんです。後に合法的に聞き出しましたが、黒井社長から多額の現金を渡されたそうです。生徒だった彼を適当にごまかして親には黒井社長の名前をちらつかせたらしいです」
P「それが本当なら……」
ちひろ「誰もこんなファンタジーは信じませんよ」
P「そうですね……」
ちひろ「あの子は、マネージメントの点で言えば最高の逸材でした。あまり言いたくありませんが、人の下に立って仕事をすらば非凡な才能を発揮できるんです。でも、逆はてんでダメです。いつも見ているとは思いますが、あなたになめられるだけなら、まだいいです。十代の子にすらなめられているんですよ」
P「いや、そんなこと……」
ちひろ「あの子の才能を潰したのはあなたですよ。あなたが一緒に会社を作ろうとあの子に言われたときに断らなかったあなたが悪いんです。大した能力もないくせに『魔法使い』気取りですか?あの子たちは確かに『シンデレラ』です。あなたとは違って、ね」
P「ええ、わかってます。社長こそ本当の『魔法使い』です。俺はずっと『王子様』をやらされていた。それはずっとわかってました」
ちひろ「そうですか。なら、話は早いです。『王子様』がいなければ『シンデレラ』はいないんです。『魔法使い』もいなくなるんです。だから、早く……」
P「でも、それは聞けません。社長が俺の一番の才能は諦めの悪さだ、と言ってくれました。だから、社長が信じた俺を俺は信じたいです」
ちひろ「そうですか。なら、何も言いません。責任をとってくださいね」
P「はい。きっと、『シンデレラ』にしてみせます」
ちひろ「なら、言うことはありません。ここでお別れしましょう。また事務所で。私は病院には来れませんので」
P「任されました。ただ、一つだけ聞いていいですか?」
ちひろ「なんでしょうか?」
P「ちひろさんは社長さんが好きなんですか?」
ちひろ「いいえ。あの子は弟みたいな存在、いえ、息子みたいな存在ですかね。それに私は諦めの悪い人が好きですし」
P「え?」
ちひろ「せいぜい頑張ってくださいね、『王子様』」
乃々「社長さんが起きません……、もりくぼは孤軍奮闘を強いられてしまいました……」
幸子「大丈夫ですよ!きっと目を覚ましますから、ね、楓さん」
楓「……、あ、ごめんなさい……」
まゆ「……」
乃々「うう……」
あやめ「社長殿は死にませんよ、絶対に……。忍者の勘がそう告げています……」
裕子「そうだよ。エスパーのパワーで……」
凛「みんな……、いい加減にしてよ……」
まゆ「凛ちゃん……」
凛「社長は戻ってこないんだよ、もう。だから、楓さんも黙っているし、まゆも……」
幸子「そっちこそいい加減にしてください!!社長さんは死にません、絶対に!!絶対に死ぬわけないじゃないですか!!」
凛「根拠もないのに……」
幸子「そっちもないじゃないですか……」
まゆ「二人共……」
楓「ただ、社長に帰ってきて欲しい。それだけなのに、みんなの心が乱れ始めてる……。こんなときこそ、Pさんにいて欲しいのにあの人は今どこに……」
時子「黙りなさい!!」
凛「!!」
幸子「!!」
時子「渋谷凛。あなたが何を聞いたかを知らないけど、医者の妄言に付き合うほど暇ではないはずよ」
凛「……」
時子「まあ、医者の見立てからすると今夜辺りに峠を迎える、と言ったところかしら」
凛「なら、話は早いよね」
時子「ええ。でも、この社長が神様にはいそうですか、と連れて行かれるタマには見えないわ。凛、悪役を買って出ろと言った奴でもいるのかしら?」
凛「いるわけないよ」
時子「なら、黙っていることね。あなたは悪役には向いていないわ。社長に甘えていた頃のあなたではもうないのだから」
凛「そう……」
幸子「り、凛さん……」
凛「今夜社長は峠を迎えると言ったけれども、それは正確じゃないよ。お医者さんは今夜亡くなる、って」
時子「ま、所詮医者の言うことよ。預言者ならまだしも未来のことなんて分かりっこないわ」
凛「そっか……」
幸子「信じましょう。ただ、それだけしかボクには言えません……」
P(社長の親御さんは現在入院中。だから、夜中は基本的に社長は一人である)
P(俺は仕事に追われ、ちひろさんも同じように仕事がある。無論、アイドル達にも。社長が取ってきてくれた仕事がある)
P(だから、俺たちは社長の側にいることが出来ない。仕事を休みたいのは山々だが、それすら出来ない。社長の最期はおそらく寂しく終わるだろう)
P(何も出来ない自分が堪らなく憎い。電話が鳴らないことを祈りながら社長の仕事を片付けていった)
P(アイドルのみんなには、休んでくれと伝えた。明日は大切な仕事があるから、と。社長が一番力を入れた感謝祭ライブを成功させなければならないから、と)
凛「社長……、返事はないか……」
凛(夜中にこっそり抜け出して来たけど……、やっぱり……、本当に最期なのかもしれない)
凛「社長、もし最期だとしたら聞いて欲しいことがあるんだ」
凛「私、社長には色々迷惑かけてきたね。本当の父親には出来ないようなことも沢山やってきたし、赤の他人でもやり過ぎたようなことをやってきたと思う」
凛「でも、それを許してくれる社長が大好きだった。加蓮も奈緒も卯月も未央も、みんなみんな社長のことを大好きだった」
凛「お父さんじゃなくて、もっと近い存在。でも、一番遠いような存在。それが社長だった。光の言葉を使えば、多分、この言葉が正しいと思う。ヒーローって言葉がね」
凛「でも、いつまでもヒーローに頼っちゃいけないと思うんだ。私達は私達の力で前を向いていかなけれぱならない。だから、社長にさよならを言いに来たんだ……」
凛「でも……、嫌だよ……、なんで社長が死なないといけないの……、まゆが自分を責めなければいけないの……、全部、あのストーカーが悪いのに、何で……、私の大事なものを奪われないといけないの……、嫌だ、嫌だよ……」
凛「社長……、早く戻って来てよ……」
~961プロ~
黒井「……」
冬馬「おっさん、マネさんが死にそうなんだ……」
黒井「そうか……」
冬馬「なあ、お見舞いとかさ……」
黒井「行くことは許さん」
冬馬「なんでだよ!!マネさんは……」
黒井「うるさい、貴様はこれにでも行っていろ」スッ
冬馬「これはマネさんのところの感謝祭ライブのチケット……、しかも関係者席のやつじゃねぇか……」
黒井「やつは生きている。この日までは必ずだ。今は行くだけ無駄だ。やつに肩透かしを食らわせられるだけだろう」
冬馬「……、わかったよ」
黒井「きっと、やつは来るさ。私がそう教育した」
冬馬「そうか……、おっさんが……」
黒井「さぁ、仕事に戻れ。やつに恥をかかさんためにもな」
冬馬「おう!!」
幸子「……、誰もいないみたいですね。まあ、こんな夜中に誰かと鉢合わせしてしまうのも気まずいですが……」
幸子「やっぱり、社長は起きてないんですね」
幸子「ボクはカワイくて完璧なんですが、スカイダイビングはとても怖かったんです」
幸子「でも、いざやってみたらなんとか出来ました。みんな褒めてくれました。プロデューサーもちひろさんもアイドルのみんなも……」
幸子「ボクはそれでも良かったんです。ただ、褒められただけでは何か、こう、満たされないというか、腑に落ちないところがあったんです」
幸子「でも、社長が大丈夫か、と聞いてくれたときが一番が嬉しかったんです」
幸子「ずっと怖かったんです。心配してくれる人がいないことが。みんながあまりにも褒めるから、さらにプレッシャーがかかって……」
幸子「ですけど、社長がいてくれた。心配を表に出してくれた。そのことがたまらなく嬉しかったんです」
幸子「けど、さようならなんですね」
幸子「泣き顔は見せたくありません。だから、失礼します」
幸子「また会いましょう……」
乃々「幸子ちゃんが見えました……」
幸子「」タッタッタッ
乃々「行ったみたいですね……」
乃々「こんな夜中にベッドの下で隠れる羽目になるなんて思ってみませんでした……」
乃々「社長さん……、もりくぼは小さな存在です。いつもプロデューサーさんに怒られるもりくぼを、かくまってくれて……、まぁ、結局バレましたけど……」
乃々「もりくぼは社長からもらった優しさを忘れません」
乃々「もりくぼは強く生きます。アイドルも頑張ります。だけど……、今回だけで良いです」
乃々「もりくぼを、みんなを……」
乃々「助けてください……」
すいません……、後の展開が思いつかなくなってしまったのでこのスレを落とします。
今まで読んでくださった方すいませんでした。
このSSまとめへのコメント
中途半端なら先に書いておいてくれよ
タグに未完が欲しい所だね