凛「Linkラジオ、ずばずば続くよ」(161)
凛「こんにちは。今日でLinkラジオは16回だね」
凛「最近、ますます寒さが身にしみるよ」
凛「皆は風邪なんかにかかってないかな?」
凛「事務所でも、ストーブを焚いたりしてるんだけどさ」
凛「残念ながら、聖ちゃんが風邪を引いちゃってね……」
凛「いつも歌を歌ってくれるんだけど、その日はお休みだったんだ」
凛「他の人はお仕事入ってたからさ、私がお見舞いに向かったの」
凛「玄関のチャイム押して、一人でお留守番の聖ちゃんが出てきて」
凛『プロデューサーさん……お待たせ……あれっ?』
凛「あの人が来ること前提なのはちょっとどうなのかな」
凛「プロデューサーも後で来ることを伝えたら、慌てて中に入れてくれたんだけどね」
凛「聖ちゃんはもう大分良くなってて、自由に歩けるくらい回復してたんだ」
凛「部屋に初めてあがったけど……聖ちゃんって、意外と乙女チックな部屋に住んでるんだよ」
凛「写真がいたる所に貼り付けてて、ライブの楽屋とか、なんか見慣れた車内とか」
凛「お仕事中の写真が、アルバムにも載せてあるんだ」
凛「私も、たくさん写真を撮ってきたけど……」
凛「聖ちゃんには負けるなあ……」
凛「だって、街を歩いてる写真なんかも撮ってあって」
凛「何気ない日常が、いっぱいいっぱい、飾ってあったんだよ」
凛「そんな聖ちゃんを見てたら、つい羨ましくなっちゃって」
凛「彼女のカメラを借りて、二人で撮影会開いちゃった」
凛「ふふふ、あの子はね。とっても恥ずかしがりやなんだよ」
凛「ライブ中は圧倒的な存在感を放ってるのに、クッション抱いて縮こまるのは可愛かったな……」
凛「そんなこんなで、ベッドの上で二人して転がりまわってると」
凛「プロデューサーが到着して……いや、その到着の仕方だよ」
凛「まるで一大事のような慌しさで飛び込んできたの。とんでもない勢い」
凛「誰かさんの時を思い出すなあ……」
凛「あげく、お見舞いの品がプリンとか、スナック菓子なんだよ」
凛「ほんとあの人は、気が利かないんだから……」
凛「それでも笑顔で許しちゃう聖ちゃんは、天使みたいだったけどね」
凛「風邪も殆ど治ったことだし、三人で賑やかにお菓子祭り。楽しいひと時でした」
凛「それじゃあ、凛のアンコール。曲は、愛LIKEハンバーガー」
凛「ハンバーガーのような、恋人のような……」
凛「理想のダーリンは、そう、ハンバーガー!」
凛「小気味の良いテンポで、歌い上げてくれるよ」
凛「さあ、聞いてみて」
凛「理想の人がハンバーガーか……」
凛「私の場合、どちらかと言うと……」
凛「……コーラ?」
凛「うん、よくわからないな……」
凛「ほら、理想と現実は違うって、よく言うでしょ?」
凛「恋人の理想は高いけど、本当に好きになる人は、もっと駄目な人なんだよ」
凛「駄目な人を好きになって、それで、最高の恋をすれば良い」
凛「……なんて。言ってみたりして」
凛「私には早かったかな?」
凛「……なんだか、扉の向こうから、効果音が聞こえてきたような……」
凛「今か今かと待ってるみたいだね。もう入ってもらおっか」
凛「今日のゲストはこちら」
凛「じゃあ、川島瑞樹さん。こちらにどうぞ」
瑞樹「凛ちゃん……今の話、感動したわ!」
凛「え……そ、そうかな?」
瑞樹「ええ……理想が高すぎると、いつまでも大切な人とは出会えないの!」
凛「は、はあ」
瑞樹「私もアイドルになるまでは、それはもう理想との戦いだったわよ……」
凛「大変でしたね……」
瑞樹「もう大変だったわよ! 毎日毎日、白馬がやってこないかと願ったりしたもの」
凛「そ……そうなんだ」
瑞樹「あ、あらやだ。つい熱くなっちゃった……うふふ、ごめんなさい」
凛「あはは……別に、構わないよ」
瑞樹「年を取るとおばさんっぽくなってかなわないわ……凛ちゃんみたいな子が羨ましい」
凛「私たち子供からすれば、瑞樹さんみたいな、大人に憧れるよ」
瑞樹「あは、おだてたって何も出ないんだから!」
凛「ホントだよ。子供じゃできないこともいっぱいあるからね」
瑞樹「それもそうかもねぇ。家に帰った時のお酒は格別よ?」
凛「お酒は……まあ、おいといて。それより大きな事だよ」
瑞樹「そうね、魅力的に成長できるわね」
凛「それもあるけど。でも事務所の皆はそれぞれ魅力的だから」
瑞樹「ねー。周子ちゃんとか、どうやってお肌の手入れしてるのかしら……」
凛「あとでよく効くマッサージ教えようか?」
瑞樹「本当!? 助かるわよ、もー凛ちゃんってば、ちょべりぐ~」
凛「……」
瑞樹「あら。ちょっと古かったかしら?」
凛「し、死語じゃないの?」
瑞樹「い……いけないいけない。アイドルが流行に疎くては駄目ね」
凛「そういう問題じゃないような……」
瑞樹「それで、屋台で食べる焼き鳥の美味しさの話だったかしら?」
凛「誰もそんなこと聞いてません!」
瑞樹「もう怒っちゃだめ。怒るとしわが増えるって聞くわよ?」
凛「怒ってないよ。それより大人だからできる事を……」
瑞樹「そうそう。大人はね……大人の付き合い方が出来るのよ」
凛「そう、そこの辺り、詳しくお願いします」
瑞樹「えっと、そうね。女っていうのは、お酒が入ると素が出ちゃうものなのよ」
凛「そうなの?」
瑞樹「そういうものなの。凛ちゃんもいずれわかるようになるわ」
凛「へえー……」
瑞樹「それで、そんな時はね。つい誰かに甘えたくなっちゃうの」
凛「……寂しくなるの?」
瑞樹「ふふ。似てるけど、どこか違うわ。構って欲しいのとは違うわね」
凛「……私も、たまに誰かに甘えたくなるもん」
瑞樹「子供だから仕方ないわね。彼があんな頼れる人だから、余計に」
凛「……あの人にとは言ってないよ」
瑞樹「あら。凛ちゃんぐらいなら、家族に甘えるには照れるお年頃だって聞いたのだけれど?」
凛「だ、だからって、よりによってプロデューサーじゃなくても……」
瑞樹「大丈夫! 彼が嫌なら、私でも良いのよ!」
凛「嫌じゃないけど……」
瑞樹「じゃあ、甘えなさい?」
凛「そ、それは……まあ、そのうち。そのうちね」
瑞樹「うんうん。それでいいの」
瑞樹「大人だったら。甘えるとしたら、恋人にくらいのものよ」
凛「……そう?」
瑞樹「いい大人が、プロデューサーに甘えたりして。それはみっともないわ」
凛「そうでもないんじゃない? 少なくとも、プロデューサーは」
瑞樹「ええ、あの人は優しいもの。きっと、甘やかしてくれるわね」
凛「うん、想像できちゃうな。瑞樹さんも、たまには甘えちゃいなよ」
瑞樹「……いいのかしら。甘えたがりなのよ、私?」
凛「ええ、もちろん。プロデューサーも頷いてる」
瑞樹「あら。なら、早速甘えてくるわね!」
凛「今とは言ってないけど」
瑞樹「何だか……人肌が恋しいわ!」
凛「だから今じゃ……逃がさないよ!」
瑞樹「あん、凛ちゃんのいけず!」
凛「抜け駆けは許しませんから」
瑞樹「うふふふ……抜け駆けだなんて。とんでもないわ」
凛「……」
瑞樹「私だって甘えたーいー!」
凛「後にしてください。ほら、ダダこねないで……」
瑞樹「むむむ……」
瑞樹「あっ! プロデューサーが凛ちゃんの着替え漁ってるわ!」
凛「なっ!?」
瑞樹「今よ!」
凛「に、逃げた……っ!」
瑞樹「じゃあね凛ちゃん! 後で会いましょう!」
凛「くっ……やられた……」
凛「……あ、戻ってきた」
瑞樹「真面目に仕事しなさいって怒られたわ」
凛「そうだね。そうなるよ」
瑞樹「貴女だけを甘やかすわけにはいきません、だって……」
凛「ひいきはよくないもん。当然じゃないかな?」
瑞樹「あぁん……もぉ。甘えたい……」
凛「はいはい。私が代わりに甘えといてあげるから」
瑞樹「それじゃ意味が無いわ……あ、そうよ。一緒に甘えれば良いのよ!」
凛「ひ、ひいきが良くないとは言ったけどさ」
瑞樹「二人で一緒に甘えれば、ひいきも無いでしょ? そうと分かれば実行よ!」
凛「私は……別に」
瑞樹「なら私一人で甘えるわよ?」
凛「今怒られたんじゃ……」
瑞樹「……押せばどうにかなるわよ。彼、押しに弱いでしょう?」
凛「あ、ありえる……」
瑞樹「甘えたいんでしょ? 甘えてみたいでしょ!?」
凛「そ、それは……」
瑞樹「素直が一番よ! さぁ本音は!」
凛「……あ、あ……」
瑞樹「あ……?」
凛「あ…………甘え、たい……かな……」
瑞樹「じゃ、いきましょ?」
凛「それは……今はその、収録中だから……」
瑞樹「今甘えなくて、いつ甘えるの! 二人ならきっと上手くいくわ!」
凛「そう……かな。そうだよね……!」
瑞樹「ふふ……分かってくれると信じていたわ。それじゃ、いきましょう!」
凛「……うん!」
凛「……怒られたね」
瑞樹「おかしいわ……絶対、上手くいくと思ったのに」
凛「収録中だったね、つい我を忘れちゃったよ……」
瑞樹「うーん……どうすれば甘えられるのかしら……」
凛「まあ、収録のあとで考えましょう」
瑞樹「そうね……今日中には甘えたいわね」
凛「絶対。成功させよう」
瑞樹「もちろんよ。ウフフ……」
凛「フフ……」
凛「あんな人だけど、事務所ではちゃんとお姉さんなんだよね」
凛「年下からも、年上からも頼ってもらえる人は、中々居ないよ」
凛「私もそんな女の子だったら……」
凛「思いっきり甘えても……いいのかな」
凛「いつも通り、最後はお便り紹介のコーナー」
凛「一枚目は、っと。ペンネーム、てへぺろー!さんから」
凛「凛おねーちゃんにシールあげちゃうー☆今度は、アタシと遊ぼーね☆」
凛「一面にシールだらけだ、凄い……ふふ、今度は私も用意しておくね?」
凛「二枚目はペンネーム、ブロロンブロロンさんから」
凛「凛ちゃんのメンテって、一体誰がすればそんなステアリング効くんですかー!」
凛「く、車の話? ちょっと分かんないけど……」
凛「えっと、規則正しい生活、怠らない努力。あとは……」
凛「……頼れる人がいれば、それで十分じゃないかな?」
凛「最後はペンネーム、運命の赤い糸さんから」
凛「甘えるんじゃなくて甘えさせること……それが信頼できる相手ということですよぉ」
凛「……それもそうだったね。あは、これは一本取られたかな……」
凛「…………」
凛「……裏にも書いてあるね」
凛「Pさんを甘やかすことが出来るのは私だけ……」
凛「…………」
凛「たまには、私に甘えてもいいよ」
凛「うん、働きすぎてもどうだろう。やっぱり甘えるって大事だと思う」
凛「まあ続きは事務所で、ゆっくりと。遠慮は要らないから」
凛「……あ、時間がきたみたいだね。そろそろ、おしまいにしよっか」
凛「Linkラジオ、次回もよろしく。またね」
おしまい
支援ありがとうございます
フェスに備えつつお休み
このSSまとめへのコメント
このSSまとめにはまだコメントがありません