言峰「聖壺戦争」 (756)
サーヴァントが召喚されたままの平和な世界観
痛い地の文ありです
ご注意を
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1431792015
言峰「諸君、はるばるご足労頂き感謝する」
凛「珍しいじゃない、綺礼。あなたが私にお願いをするなんて」
士郎「俺や桜まで呼んで…一体何の用だ?」
言峰「実は…聖堂教会も最近は資金繰りに苦しんでいてな。新たな資金源を確保する必要に迫られているのだ」
凛「随分生々しい話じゃない…。ま、平和な世界だからもう存在意義もないものね」
士郎「まさか俺たちに金を貸せとか言う訳じゃないだろうな」
言峰「教会もそこまで落ちぶれてはいない。しかし、かなり切迫した状況なのも事実だ。従来の発想にとらわれずに資金を調達する必要がある」
言峰「そこで私が目を付けたものの一つがオンラインゲームだ。正直に話してしまえば最初はただの上の連中をからかうための冗談に過ぎなかったのだがね」
言峰「実際に提案したところ何故か食いつきがよく…あれよあれよという間にプロジェクトが進んでしまった」
アーチャー「聖堂教会には暇人しかいないのか…?」
言峰「無論、ただのゲームではない。参加するためには魔力が必要となる。当然、参加できるのは魔術師のみということになる」
言峰「ハッカーと魔術師が協力し、ネットワーク上に結界を作り出し、固着させた。いわば、人工的な固有結界のようなものだな」
士郎「無駄にすごいことしてるな…」
言峰「参加者は、PCを通じて魔力を流すことで、その空間内に肉体ごと取り込まれる。ヘッドマウントディスプレイでも実現し得ないほどの臨場感が味わえる仕組みだ」
桜(某SA○のような感じでしょうか…?)
言峰「そこから試行錯誤の末、出来上がったのが…ネットの世界で聖杯戦争の疑似体験ができるオンラインゲーム『聖壺戦争』だ」
言峰「モチーフにしたのは、ネット上で最大の掲示板サイト『2ちゃんねる』――お前たちも名前くらいは聞いたことがあるだろう」
士郎「まぁ、名前くらいは…あんまりいい印象はないけどな」
言峰「その『2ちゃんねる』上で有名になった人物、逸話を元にサーヴァントを召喚し、競い合わせるのがこのゲームの趣旨だ」
士郎「なんか…ろくでもないような奴が召喚されそうだな」
ライダー「そして最後まで生き残ったものが勝者となる…と?そう聞くと聖杯戦争と変わりありませんね」
言峰「その通りだ。基本的なルールは聖杯戦争と変わらない。が、これはあくまでゲームだ。ゲーム内で死亡しても影響はない。ただゲームの外に排出されるだけだ」
言峰「お前たちへの依頼というのはそのテストプレイだ。サーヴァントが戦うことによって生じる鯖への負荷等を検証したい」
セイバー「本来サーヴァントである私達が、マスターの気分を味わえるというのは面白いかもしれないですね」
アーチャー「…それに我々が参加するメリットはあるのか?教会の事情などこちらとしてはどうでもよいのだがね」
言峰「勿論、タダでとは言わん。謝礼は出す。食い扶持が増えた分の生活費にでも当ててくれたまえ」
アーチャー「くっ…」
言峰「せっかくだ。本気で競い合ってもらうために…生き残った順位によって謝礼の額も変えようか」
凛「――いいわ、引き受けましょう、アーチャー。たかがゲームよ、気にすることないわ。すぐにクリアして、謝礼を貰っちゃえばいいのよ」
アーチャー「君のことだ。当然狙うのは優勝だろう?」
凛「あら、よくわかってるじゃない」
士郎「…謝礼が出るなら、俺も受けよう。これ以上バイト増やすのはキツイしな…」
セイバー「士郎が参加するのなら、当然私も参加します」
桜「あ、あの私も…参加します!」
ライダー「桜が参加するのなら私も参加しましょう」
言峰「決まりだな。私を含めて、ちょうど7人。今ここに、『聖壺戦争』の開始を宣言する」
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士郎「あれ?さっきまで教会にいたはずなのに」
そこは無人の荒野だった。
周りには7人以外の人影はなく、静寂に包まれていた
辺りを見回すと、遠くの方にうっすらと森や、山の影が見えた
凛「ここがさっき言ってた結界…?すごいわね。本当に架空の世界を創りだすなんて…」
アーチャー「…肉体の再現度も完璧だ。ただし、サーヴァントとしての力は失われているようだがな」
言峰「お前たちに直接戦われては本末転倒なのでな。当然、調整してある。最も一般の魔術師程度の魔術行使は可能だ」
セイバー「それで…どうやってサーヴァントを呼ぶのですか?」
言峰「そうだな、ここらでゲームシステムの説明をするとしよう。サーヴァントを呼び出すためには『触媒』と呼ばれるアイテムが必要となる」
ライダー「『触媒』…ですか。セイバーに対するアヴァロン、アーチャーに対するペンダントに相当するものですね」
言峰「サービス開始時には『触媒』の奪い合いも実装予定だが…今回は戦闘データ収集がメインのためそこは割愛する」
言峰「各々に1つずつ『触媒』を割り当てている。場所は支給されている液晶端末で表示できる。確認してくれ」
桜「あ、本当だ…ポケットにいつの間にかスマートフォンのようなものが入ってます」
士郎「えっと方向は…ここから北にずっと行った場所だな」
凛「私は南西の方角…成程、ここで解散ってわけね?」
言峰「そういうことだ。各自、『触媒』を手に入れたらその場で召喚を行ってくれ。全員の召喚が完了したら、ゲームの開始だ。自由に殺しあってくれ給え」
言峰「どんなサーヴァントが出るかは…まぁ、お楽しみというわけだ」
セイバー「士郎とは別行動ですか…残念ですが仕方ありませんね」
凛「次会うときは、敵同士ってことね…覚悟しておきなさいよ、アーチャー。普段のいやみったらしい説教の恨み、ここで晴らしてあげるんだから」
アーチャー「おお、怖い怖い。せいぜい一抜けしないよう気をつけるとしよう」
ライダー「桜、気をつけてください。ゲームとはいえ、あの神父のことです。なにか企んでいるとも限りませんから」
桜「うん、ありがとう。ライダーも気をつけて」
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士郎「地図によるとここら辺だよな…」
士郎「お、なにか落ちてる。どれどれ」
士郎「…ネックレス?しかも指輪が通ってる」
士郎「うーん…?どんなサーヴァントなんだ?」
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セイバー「地図によると間違いなくここなのですが…」
セイバー「…まさかこれが触媒ですか?このお皿の中に入ったコレが…?」
セイバー「しかもこれは…食品じゃないですか。何故こんなものが触媒に?」
セイバー「たしか…以前大河の誕生日に振る舞われた食べ物の容器の中に、これと同じものが入っていましたね」
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凛「…世界の作り込みはすごいけど、肝心のシステムは雑じゃない?」
凛「まさかこのちゃっちいお守りが、触媒だっていうの…?」
凛「勝つためには最強のカードを引き当てないといけないっていうのに…」
凛「本当に性格悪いわねあのエセ神父!」
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桜「触媒らしきものを見つけたのはいいんですけど…」
桜「…紙?文字がびっしりと書かれていますね…」
桜「…わざとでしょうか。文字化けしてて内容がわかりません」
桜「雰囲気的には、何かの契約書のような気がしますけど…」
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ライダー「…まさかとは思いますが」
ライダー「この折れた木片が…触媒なのですか?」
ライダー「いや…ただの木片ではないですね。持ち手が存在する。何かの武器のようです」
ライダー「木刀…?いえ、棍棒でしょうか…?」
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アーチャー「――やれやれ、あの神父のことだ。どうせろくでもないことを考えているとは思ったが」
アーチャー「まさか触媒が紙切れ一枚とは…全く恐れ入る」
アーチャー「…いや、よく見ると端に線が印刷されている。これは…ノートの切れ端か?」
アーチャー「ますます持ってわからんな。この程度の触媒で呼び出せるサーヴァントがどれほどのものか。果たして戦いになるのかね」
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士郎「触媒を手に入れたから…いよいよ召喚か」
士郎「あっ…俺、自分でサーヴァント召喚したことないから、詠唱わかんないぞ…」
言峰『その点に関しては心配不要だ』
士郎「うわっ!今のは…端末からか?」
言峰『そうだ。今回はテストプレイということで、私が管理者としてこの端末を通じてある程度のサポートと監視を行う』
言峰『聖壺戦争に於いては、詠唱は不要だ。触媒に対しサーヴァントを召喚したいと念じれば良い。召喚の意思さえあれば、サーヴァントを呼び出すことができる』
言峰『ちなみに、この端末では一応私との通信が可能だが…余程のことがない限りはそちらからこちらへの通信は認められない』
言峰『それでは健闘を祈る』プツッ
士郎「…一方的に言って切りやがったな」
士郎「念じればいい、か。試してみるか」
士郎「…」スッ
その瞬間、触媒を中心に魔法陣が広がった
魔法陣は白く輝き、眩しさで一瞬視界を奪われた
士郎「…!?」
その一瞬の間に…魔法陣の中の触媒は消滅していた
触媒があったはずの場所には、一人の『騎士』が立っていた
全身に白き鎧を纏い、その手には黒く輝く剣が握られている
――間違いない。このサーヴァントは、セイバー…!
そう、確信した
「…」
その騎士もこちらに気づいたようだ
こちらに視線を向け…ある一点を見つめている
それは、腕に刻まれた『令呪』
サーヴァントと魔術師の契約の証である
目の前にいる男が、自分のマスターだと悟った騎士は
静かに、契約の言葉を口にした
「――お前がどうやって俺のマスターだって証拠だよ」
士郎「…はい?」
今日は以上です
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「アンタが、俺のマスターか?お嬢ちゃん」
凛「…ええ、そうよ。不本意だけどね」
「おいおい、不吉なこと言うなよ。せっかくの機会だ。仲良くやろうぜ」
――お守りを触媒として召喚されたこのサーヴァント
そいつは、明らかに異質だった
鎧を身にまとっているわけでも無ければ、法衣に身を包んでいるわけでもない
それどころか、武装の痕跡すら無い
その格好は…明らかに現代の日本人の私服であり
年齢も自分より少し上くらい
そう、こいつは明らかに『普通の人間』だった
少なくとも、見た目だけは
凛「一応聞いておくけど…あなた、クラスは何?会話ができるってことはバーサーカーではないでしょうけど、得物も何も持って無いみたいだし」
凛「ものすごい格闘の達人…ってわけでもないわよね」
「残念ながらな。まぁなんとなく察しはついてるかもしれんが」
「――俺は『キャスター』だ。よろしくな」
凛「…私の知っているキャスター像とは随分違うわね。アンタ、それで魔術師だって言うの!?」
壺キャスター「うーん…正確には違うな。俺の使うのは、魔術じゃない」
凛「じゃあ一体何なのよ!…そうだ、アンタの真名を」
壺キャスター「…待った、マスター。いきなりだが…客が来たみたいだぜ」
凛「…!」
凛(敵襲!?早すぎる!
セイバー「――迂闊ですよ、凛。言われていたでしょう。『サーヴァントが全員召喚完了したら、戦いの開始』だと」
凛「…!セイバー!?」
セイバー「支給された端末には、サーヴァントが召喚された履歴が情報として残るのですよ。召喚を行った場所も、ね」
凛(くそっ…!使い方がいまいちわからなかったから地図以外見てなかった…!)
凛「へぇ…それで、召喚直後の情報の少ない隙を狙って攻撃してきたってわけ?偉大なる騎士王が、随分姑息なことするじゃない」
凛(今はとにかく…時間を稼がないと)
セイバー「凛。あなたは間違いなくこの戦いにおいて脅威になる。早めに倒せるならそれに越したことはありません。そして…」
セイバー「我々に時間稼ぎは無駄ですよ。…ランサー、お願いします」
「承知した」
セイバーの背後から現れたのは、全身を鎧で武装したサーヴァントだった
しかし、その鎧は決して重装ではなく、機動性を重視しているように見える
手には長槍を握っている。成程、セイバーが言ったとおり『槍兵』のサーヴァントなのだろう
頭には特徴的な兜を装着している。これは真名特定の足がかりになるかもしれない…そんなことを考えた
次の瞬間――そのサーヴァントは視界から消えていた
凛「…へ?」
壺キャスター「上だ!マスター!」
キャスターに言われ咄嗟に上を見上げると
はるか上空まで飛翔したランサーが、凄まじい速度で落下してきていた
その槍の穂先は確実に自分を補足しており…すぐ目前に迫ってきていた
やられる…!
――だが
槍の穂先が体に触れる前に、体を発光する障壁が包み込んだ
槍は障壁に阻まれ、槍兵の体は弾き飛ばされた
弾き飛ばされた槍兵は、空中で体勢を立て直し、着地した
壺ランサー「ほう…なかなかいい結界じゃないか」
凛「へっ…な、何が…起きたの?」
脱力してその場に座り込むと懐から何かがポトッと落ちた
それは触媒に使ったものと同じ…お守りだった
凛「…まさか、キャスター。あなたがこれを…?」
壺キャスター「…チッ。一回攻撃を受けただけで使い物にならなくなったか。いくらサーヴァントの攻撃とは言え…まだまだ親父のものには及ばないな」
壺ランサー「キャスターと聞いてたから少し引け目があったが…その分だと十分に戦えそうだな」
壺キャスター「よく言うぜ。いきなりマスターを狙ってきたくせによ」
壺ランサー「いやいや、失礼した。マスターが短期決戦をお望みだったのでね。…お詫びと言っては何だが」
壺ランサー「――全力で君を打ち倒すと約束しよう」
壺キャスター「ほう…やってみろ」
凛(…始まる。サーヴァント同士の対決が…!)
一旦ここまで
既存鯖との区別のために名前の頭に壺をつけます
二人のサーヴァントは、間合いを図っていた
片方は、長槍。もう一方は素手。リーチの差は歴然だ
だが、ランサーはまだ仕掛けない。相手には何か隠し球がある。そう確信しているかのように
壺キャスター「…威勢のいいこと言った割には、随分臆病なんだな」
壺ランサー「慎重と言ってほしいな。先程の結界といい、君の実力もまだ未知数だからね」
壺ランサー「ただ…もう、その結界で私の攻撃を防げるなどと思わない方がいい」
言うが早いか、ランサーは先程と同じく大きく飛翔した
壺キャスター「へ、学習しないな!また同じ手か!」
ランサーの槍は、再び障壁に阻まれた
激突の衝撃で、槍の穂先は大きく火花を吹いた
先ほどと違うのは…ランサーは弾き飛ばされず
逆に障壁に綻びが生じ――吹き飛ばされたのはキャスターの方だった
凛「そんな…!」
壺キャスター「…!くそっ…」
壺ランサー「さっきは失礼した。人間相手だったために合わせて加減してしまったようだ」スタッ
壺ランサー「今はうまく槍をかわしたようだが…次は確実に君の体を貫いてみせよう」
凛(…マズい!このままじゃ…!)
壺キャスター『――聞こえるか、マスター』
凛『!?これは…念話?』
壺キャスター『そうだ。見ての通り、今俺たちは不利な状況だ』
壺キャスター『あの上空からの攻撃を防ぐ手段がない以上、敗北は時間の問題だ』
凛『…』
壺キャスター『だが、手がないわけじゃない。今から確実に、アイツにダメージを与えてみせる』
凛『…できるの?そんなことが』
壺キャスター『俺を信じてくれ。そして…俺の攻撃があいつに効いたら』
壺キャスター『急いで、西にある雑木林まで走ってくれ。大体200mくらいってところか』
凛『雑木林…?…成程、そういうことね。わかったわ』
壺キャスター『おそらく、同じ手は2度通じない。ラストチャンスだと思ってくれ』
凛『――頼んだわよ、キャスター』
セイバー「ランサー。相手にはあなたの攻撃を防ぐ手段がないようだ。トドメを」
壺ランサー「承知した。…ここまでのようだな」
壺ランサー「さよならだ、キャスター」ビュン
凛(お願い…!キャスター!)
壺キャスター「――こっちに向かって来るってことは…俺からも狙いやすいってことだ!」
壺ランサー「何…!?」
壺ランサー(まさかあれは…宝具…!?)
壺キャスター「喰らいやがれ…俺の宝具を…!」
壺キャスター「『破戎すべき全ての恐怖体験(破ぁ!!)』!!」
キャスターの両手から青白い光弾が、ランサーめがけて発射された
――ランサーの動揺は一瞬だった
この攻撃は通じない。恐るるに足りない。
そう気づくのに時間はかからなかった。
何故ならば…キャスターの攻撃はどう見ても魔術攻撃
三騎士クラスであるランサーには『対魔力』のスキルが備わっている
たとえ攻撃を食らったところで、大したダメージにはならない
避けるのは難しくない。だが、このまま攻撃を続行したところで何も問題はない
だからこそランサーは回避を捨て、自らキャスターの宝具に突っ込んでいった
これをかき消し、キャスターの体を貫く。どう転んでも勝利は揺るがない
――筈だった
壺ランサー「…!?な、にぃ!?」
キャスターの宝具は…確実にランサーの体にダメージを与えた
致命傷までには至らない。だが、一瞬でも意識を失いかけるような、強烈な一撃だった
自分が高速で落下して来たこともあり、反動で更に威力も増加しているようだ
ランサーは吹き飛び、地面に腹からたたきつけられた
セイバー「ランサー!?」
壺キャスター「走れ!マスター!」ダッ
凛「オッケー!」ダッ!
セイバー「凛!?一体どこに行こうと…!?」
セイバー(あちらには雑木林が…木々で覆われた閉ざされた空間)
セイバー(そこでランサーの機動力を封じようという作戦ですか…考えましたね、凛)
セイバー「だが、させない!ストライク・エ…あ…」シュウウ
セイバー「エクスカリバーが…消えた…!?」
言峰『説明したはずだぞ、セイバー。お前たちのサーヴァントとしての力は失われていると』
セイバー「――ですが!私は魔術師ではない!どうやって戦えばいいというのですか!?」
言峰『その質問には答えかねる。自らの手で答えを探せ』プツッ
セイバー「くっ…!ランサー!起きてください!キャスターと凛を追いましょう!」
壺ランサー「…悪いな、マスター。時間切れのようだ。キャスターもキャスターのマスターも、もう森に入ってしまった」
壺ランサー「流石にあの中じゃ、分が悪い。キャスターの宝具もあることだしな」
セイバー「…ランサー。宝具の開放を許可します。あなたの宝具は対軍宝具の筈。あの森の一部くらいは吹き飛ばせるでしょう」
壺ランサー「ほう…いきなりだな。承知した、マスター」
壺ランサー「…キャスターよ。認めよう、お前を侮っていた。この結果は当然のことだ」
壺ランサー「だが…お前は知っているのか?この私にとって最も屈辱的な行為…それは『地に這いつくばる』こと」
壺ランサー「――あまり私を怒らせない方がいい^ ^」
今日は以上です
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凛「はぁ…はぁ…なんとか無事に切り抜けられたみたいね」
壺キャスター「ああ。ランサーが素直に宝具に突っ込んでくれてよかったぜ」
凛「…教えてくれる?キャスター。あなたの攻撃が何故、ランサーに通じたの?」
壺キャスター「――確かに、三騎士クラスのランサーの持つ対魔力なら、通常の魔術攻撃は無効化されてしまうだろう」
壺キャスター「だけどな…俺の『破戎すべき全ての恐怖体験(破ぁ!!)』は純粋な魔術ではなく…霊体に対する絶対的な優位性を持つ『対霊』宝具だ」
凛「…!まさか…」
壺キャスター「そう、どれだけ強くとも、サーヴァントとは精霊の類であり、その肉体は霊核を中心とした仮初めの器。広義で『幽霊』と呼ばれる存在だ」
壺キャスター「相手が霊であるならば…防御の有無は関係なく確実に傷を負わせる事ができる」
壺キャスター「言ってみれば…サーヴァントにとっては天敵とも言える宝具ってことだな」
凛「――呆れた。そんな理不尽なルール無用の性能がまかり通っているなんて…。現実で行われている聖杯戦争のサーヴァントでも、あなたの宝具は防げないってこと?」
壺キャスター「俺が現実の聖杯戦争で呼ばれることはありえないから、その推測は無意味だな。それに…」
壺キャスター「さっきの戦いでわかったことだが…俺達の体はどうも普通のサーヴァントとは違うみたいだ」
凛「どういうこと?」
壺キャスター「『霊』という定義に当てはまる要素が薄いらしい。本来なら、さっきのでランサーは消滅していてもおかしくなかった」
壺キャスター「ここが現実世界では無いせいなのか、霊というよりは『データ』としての側面が大きい」
壺キャスター「ゲーム的に言うなら…防御力無視の固定ダメージを与えることはできるが、一撃で消滅させる程の大ダメージを与えることはできない…って感じだな」
凛「逆に言えば…相手が自分よりもはるかに強く、どんなに優れたサーヴァントだったとしても…当たりさえすれば一定のダメージは与えられるのね?」
凛「――十分よ、キャスター。ごめんなさい。私、あなたのこと正直ハズレサーヴァントだと思ってたわ」
壺キャスター「正直だな、マスター。気に入ったぜ。だが今はこの状況を切り抜ける方法を考えないとな」
凛「森の中に入ったはいいけど…この程度の木々なら、ランサーもさっきのジャンプ攻撃でなぎ倒しながら強引に攻撃してくるんじゃない?」
壺キャスター「その可能性もあるが…障害物を巻き込みながらの攻撃というのは精度に欠ける」
壺キャスター「それにやつは俺の宝具を喰らっている。うかつな行動はしてこないだろうさ」
壺キャスター「もっとも…もしあいつが、『ライダー』として召喚されてたら…こんな小細工は無意味だったろうな」
凛「…ランサーの真名に、心当たりがあるのね?」
壺キャスター「ああ。そもそも『2ちゃんねる』じゃ、槍に関する逸話を持った存在はほとんどいない」
壺キャスター「そして、あの竜を象った兜。上空に大きく飛翔する攻撃方法。思い浮かぶのは一人しかいない」
壺キャスター「…そいつは、とあるゲームの職業の一つがキャラクターとして具現化した姿」
壺キャスター「かつてその能力の低さが起因し、『ガリ』という蔑称が定着してしまった」
壺キャスター「“竜騎士”というジョブが人格を持った、ネ実が産んだ不遇の戦士…『リューサン』」
一旦ここまで
凛「リューサン…それがあいつの真名…」
壺キャスター「先に相手の真名を知れたのはラッキーだな。対策が立てやすい」
凛「そのリューサンってのは…ゲームの竜騎士と同じ技を使えるってこと?」
壺キャスター「いや…それは微妙なところだな。聖壺戦争で召喚されるサーヴァントは『2ちゃんねる』上でイメージが形成され、生み出された英雄たちだ」
壺キャスター「だから当然実在の竜騎士そのものではない。同じ技が使えるとは限らないし、逆に言えば」
凛「本来の竜騎士が使えない技を使えるかも知れない、ってことね」
壺キャスター「頭の回転が早いな、マスター。こりゃ本気で優勝狙えるかもな」
凛「ねぇ、キャスター。ついでに聞くけど…リューサンの逸話から、宝具になり得るものを推測できる?」
壺キャスター「ああ、大体は検討が付いている。恐らくはアレだろう。そう…」
キャスターはそこで言葉を切った
森の外から、強力な魔力の発生を感じたからだ
凛「この魔力…まさか宝具…!?」
壺キャスター「しまった…!あいつ…森ごと俺たちを吹き飛ばす気か!」
凛「ちょっ!?」
壺キャスター「ちっ…随分猪突猛進なマスターだな。魔力の消費も考えずここで高威力の宝具をぶっ放すとは」
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壺ランサー「この一撃で死ねば、それで良し。うまくかわしたところで…開けた場所ならキャスターに負ける道理も無し」
壺ランサー「どちらにしろ、君たちはここで終わりだ…キャスター!」
ランサーの持つ長槍に、魔力が集中する
槍は稲光のような強力な光を纏っており
今か今かと開放の時を待っていた
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凛「もう魔力だけじゃない…!こんな暗い森のなかでもはっきりと、外で何かが発光してるのがわかる…!」
壺キャスター「相手はどうあってもここで俺たちを潰したいらしい…!随分警戒されてるな、マスター」
凛「キャスター!防御の手段は無いの!?」
壺キャスター「ありったけのお守りと札で障壁を作るつもりではあるが…焼け石に水だろうな」
凛「そんな…!?」
そして遂に
ランサーの槍から、幻獣の力を模した
強烈な閃光が放たれようとしていた――
壺キャスター「やばい、『紫電の槍(ライトニングスピア)』だ!」
以上です
目もくらむような光とともに
天を裂くような轟音が鳴り響いた
凛は思った。
走馬灯とはこのようなものなのか
時間が無限に感じる
光を感じてから軽く数十秒は経った気でいるのに
未だにこの身を貫く衝撃は届いていない
――そこではじめて、奇妙なことに気づいた
凛「…攻撃が…来ない…?」
壺キャスター「やっと目を開けたかマスター。気絶したのかと思ったぜ」
凛「キャスターも無事…ってことは、あなたが私をかばったわけでもなさそうね」
壺キャスター「残念ながらな。…森の外を見てみろ」
凛「外…?」
キャスターに促され、差し込む光を頼りに森の外へと顔を出した
――目の前には夢想だにしなかった光景が広がっていた
そこにはランサーも、そしてそのマスターであるセイバーの姿もなく
直径数十メートルはあろうかという巨大なクレーターが形成されていた
凛「何…コレ…!?ランサーの自滅…?」
壺キャスター「それはどうかな。こんな馬鹿でかい大穴をあけるには、真下にでも攻撃しないと無理だ」
壺キャスター「今まさに宝具をぶちかまそうとしていたランサーが、何者かの攻撃を受けた…ってのが自然なところだな」
凛「何者か…恐らくはアーチャーよね。辺りに人影はないし。遠距離から何かを飛ばして攻撃してきた…?」
凛「ランサーは…やられちゃったのかしら?」
壺キャスター「どうだか。アレだけの跳躍力だ。マスターを抱えてこの場を離脱するのもわけないだろうさ」
凛「…私達は、うまく切り抜けられた、って解釈でいいの?」
壺キャスター「ひとまずはそれでいいんじゃないか?全く、召喚されたばっかりだっていうのに疲れたぜ」
凛「そうだ、私、あなたの真名をまだ聞いてない。と言うか自己紹介もまだだったわね。…遠坂凛よ。よろしくね」
壺キャスター「おう。俺の真名は…」
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セイバー「『寺生まれのTさん』…?それがあのキャスターの真名ですか?」
壺ランサー「ああ。間違いないだろう。出展はVIPともオカルト板とも言われているが…定かで無いらしい」
壺ランサー「魑魅魍魎による人々への悪意を因果をねじ曲げて救済する…伝説の退魔師さ」
セイバー「しかし驚きましたね。まさかランサーの対魔力を無視して攻撃を当ててくるとは…」
壺ランサー「ああ。だけど悪いことばかりでもない。一回攻撃を受けたことで…あの宝具の底も知れた」
壺ランサー「防御も何も考えず真正面からくらってあの程度の威力だ。無策で突っ込んでも恐らくは数発は持つ」
セイバー「その間に仕留めればいい…ということですか。マスターが凛でなければ、さほど苦労する相手では無いかもしれませんね」
壺ランサー「今考えなければいけないのは、俺らの妨害をしてきた奴のことだ」
セイバー「恐ろしい一撃でしたね…隕石でも降ってきたかと見まごうほどでした」
壺ランサー「攻撃方法からしておそらくアーチャーだろうが…いかんせん情報が少なすぎるね」
セイバー「ランサーに抱えて跳んでもらわなければ、間違いなくあそこで脱落でした。感謝します」
壺ランサー「誰かと一緒に戦えるだけで頑張れるってものさ。それよりマスター、魔力の方は大丈夫か?」
セイバー「問題ありません。戦闘力は失われましたが…竜の因子の恩恵は多少残っているようです。魔力の回復が異常に早い」
セイバー「たとえ魔力が空になっても、数十秒もあれば宝具を発動できるくらいにはなるでしょう」
壺ランサー「ははは…マスターも大概バケモノだな」
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壺キャスター「さて…さっきばら撒いた札とお守りを回収しないとな」
凛「すごい量ね…どこに持ち込んでるのよこんなに」
壺キャスター「数だけあってもな。道具作成はもう少しちゃんと親父から習っておくんだったぜ」
凛「ん…?」
壺キャスター「どうした?マスター」
凛「…ううん!なんでもない」
壺キャスター「ならいいけどよ。拾うの少しは手伝ってくれよ」
凛は気づいた
この大量のお守りと札は――
先ほど自分が立っていた場所を守るように配置してあることに
召喚からまだ時間も立っておらず
ろくに会話も無いまま戦いに移行したにも関わらず
マスターである自分を守ろうと…
いや、マスターである前に一人の人間を守ろうとしたのだ
自分の身を顧みず
――寺生まれって凄い
初めてそう思った
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ライダーは、戸惑っていた
原因は、目の前にいる一人の男…
つい先程、自分が召喚したサーヴァントである
召喚を終えたライダーは、自分のサーヴァントのことを知ろうと
同時に今自分たちの置かれている状況を整理しようと
情報交換をしていたところだった
しかし、その途中…
そのサーヴァントは何かの気配に気づいたかのように
突然明後日の方角に向かい――『何か』を投擲した
その威力は凄まじく、腕の振りだけで辺りに突風が発生した
男は『アーチャー』のサーヴァントだった
ライダー「あ、アーチャー…?いきなり何を…?」
「ああ、ごめんねマスター。向こうで、サーヴァント同士が戦う気配がしたんだ」
ライダー「…!?(端末にも情報は載ってない…自分で気配を察知した…?)」
ライダー「戦闘中ということは…今の攻撃で漁夫の利を狙おうとしたのですか?」
「――心外だな。僕がそんなセコいこと狙うと思ったのか?」
「あの戦いは…もう終わりそうだった。僕が介入しなければ、1組脱落してたかもね」
ライダー「えっ?ということは…あなたは敵が減る機会をわざわざ潰したのですか…!?何故、そんなことを…」
「確かに、この戦いはバトルロワイヤル。最後まで生き残ったものが勝者だ。弱いものはいずれ駆逐されるだろう」
「だが戦いには相性がある。さっきやられそうだったサーヴァントも、もしかしたら僕にとっては天敵と呼べるような相手かもしれない」
「そうなると彼らは、僕らと戦えば勝機が掴めたかもしれないのに、運悪くその前にやられてしまう…ということもあり得た」
「――それって、フェアじゃないと思わないか?」
ライダー「フェ…ア…?」
それは、公正の名を借りた…傲慢以外の何者でもなかった
要するに、自分は全てのサーヴァントと戦わなければ気が済まない
自分と戦うまで、脱落することは許されない…そう主張しているのと同義だ
しかし――ライダーは改めて自分の召喚したサーヴァントを眺める
彼には…確かにその傲慢を突き通すだけの実力がある
まるで神話の英雄のような確かな実力と存在感を、このアーチャーから感じ取った
ライダー「…アーチャー。ならばせめて、一言私に相談してください。私もマスターとして、あなたの力になりますから」
「承知した、マスター。しかし…どうも『アーチャー』と言われるのは慣れないね」
ライダー「…?他に相応しいクラスがあるとでも?」
「クラス、というのも違うかな。僕自身を表すのに相応しい呼び名が他にあるからね。僕は…」
「――メジャーリーガーさ」
以上です
~~~~
壺セイバー「一体いつになったら着くんですかねえ…?目的地までの距離が事前にわかっていれば安心もできるがわからない場合手の打ち様がおくれるんですわ?お?」
士郎「もうちょっとだから我慢してくれ、セイバー。ん…?霧が濃くなってきたな」
士郎「ここが地図にあった『霧に覆われた街』だな。やっと拠点が確保できそうだ」
壺セイバー「見事な霧だと感心するがどこもおかしくはない。ここらで休憩して敵の動きを見るべきそうすべき俺ならそうするだろうなこの時間から動いてもろくな結果にならないのは明白この探索は早くも終了ですね」
士郎「まぁもう時間も遅いしな。しかし実際の聖杯戦争と違って拠点も0から探さないといけないのはキツイな」
最初はセイバーの奇っ怪な言語に戸惑っていた士郎だったが
次第に打ち解けていき、今ではなんとなく言葉の意味もわかり
意思の疎通ができるようになっていた
現在二人は行動の拠点となる場所を求めて探索をしていた
ゲーム内にも昼夜は存在し、夜になれば暗黒が世界を包み行動は難しい
活動範囲を広げ、なおかついつでも敵サーヴァントを迎撃できる体制を整えるために
活動拠点の開拓は急務だった
士郎「しかし街はあるのに人影が無いっていうのは不気味だな…」
壺セイバー「俺がGMならNPCくらい配置しているだろうな(この辺の心配りが人気の秘訣)」
士郎「隠れる場所には困らず、しかも霧で視界が悪い…アサシンにでも出くわしたら厄介そうな場所だな」
壺セイバー「戦闘に入ればアサシンとは別次元のナイトが最強の攻撃手段の持ち主なので心配ひ不要です。お前全力で安心していいぞ」
士郎「ははは…ありがとう、セイバー。でも一応ここらに仕掛けておくか。俺でも敵の侵入を知らせる簡単な結界くらいは貼れるはずだ」
壺セイバー「…おいィ?確かに攻めてくるのは勝手だがそれなりの攻め方があるでしょう?」
士郎「…!?敵か!?」
「あっ…良かった…先輩だ…!」
桜「先輩、私です!桜です!戦うつもりはありません」
士郎「桜!?一体…?」
桜「私のサーヴァントにはちょっと離れたところで待ってもらってます。あの、先輩…私達、同盟を組みませんか?」
士郎「同盟…?」
桜「そうです!神父さんは順位によって報酬が変わるって言ってましたよね?」
桜「なら、何人かで同盟を組んで、上位を独占すればいいんじゃないでしょうか?卑怯な手かもしれないですけど…先輩の家の家計の事情を考えると…」
士郎「うっ…」
桜「多分、ライダーも協力してくれると思います。姉さんには悪いですけど…仕方ないです。私、少しでも先輩の力になりたいんです」
士郎(うーん…確かに最近家計は火の車なんだよなぁ。そもそもこのゲームに参加したのも賞金目当てだしな…)
士郎(同盟がルール違反とは言われていないし、おそらく敵対するであろう遠坂たちのサーヴァントと戦えば…言峰の目的も果たせるだろう)
士郎「わかった。同盟を組もう、桜。セイバーも、それでいいか?」
壺セイバー「いいぞ俺は寛大だからなアワれな敵サーヴァんトもたまに話しかけてやると勝手に俺の家来になる」
士郎「…うん!セイバーも快諾してくれたみたいだ。桜、これからよろしく…」
桜「…先輩、どうしたんですか、それ」
桜「…先輩、どうしたんですか、それ」
士郎「…桜?そんなに怖い顔して…どうしたんだ?」
桜「――!どうしちゃったんですか!?先輩!何で…どうして…そんな…」
士郎「桜、急に何を」
桜「やめて!やめてください!もう…やめて…」
士郎(…!明らかに桜の様子がおかしい!一体何があったんだ…!?)
桜「…そのサーヴァントが悪いんですか。そのサーヴァントのせいで先輩が…」
士郎「桜!頼むから落ち着いてくれ」
桜「…あの人を倒して!ライダー!」
~~~~
桜「はぁ…いつまで歩けばいいんでしょうか」
「スマンなマスター。私の乗り物は狭くて二人乗りできんのだ。一緒に歩くから許してくれ」
桜「気にしないで、ライダー。街に付けばきっと休めるはずだから」
壺ライダー「うむ。しかし街には既に先約がいるかもしれんぞ」
桜「…もう、誰かが拠点として使ってるってこと?」
壺ライダー「その可能性もある。なにせこの世界には街が数えるほどしか無いし。偶然バッティングしてもおかしくない」
壺ライダー「なぁにゲームの発売日が偶然かぶるのと同じことさ。気にする必要はない」
桜「その例えはよくわからないけど…一応、警戒しておきましょう…」
桜「うまく先輩に会えればいいんだけど…」
二人も時を同じく、拠点を探しに翻弄していた
桜が契約したのは『ライダー』のサーヴァント
フィールドが広大なこのゲームにおいては
乗り物を操れるライダーのクラスはかなり有利になると思われた
――しかし、このサーヴァントの乗り物は本人一人しか乗ることができず
結局、フィールドを徒歩で移動する事を強いられていた
壺ライダー「むむ。マスター、街が見えてきたぞ」
桜「わぁ、本当だ。やっと、休憩できる…」
壺ライダー「…まて、マスター。人影がある。おそらく他の陣営だ」
桜「…!そんな…」
壺ライダー「どちらも男のようだ。これ以上近づくと気づかれるかも…」
桜「男…。なら、先輩かもしれない。ライダー、ここで待機して。私、行ってみます」
壺ライダー「お、おい!マスター」
桜「…!よかった…先輩だ」
桜「先輩、私です!桜です!戦うつもりはありません」
士郎「桜!?一体…?」
桜「私のサーヴァントにはちょっと離れたところで待ってもらってます。あの、先輩…私達、同盟を組みませんか?」
士郎「同盟…?」
桜「そうです!神父さんは順位によって報酬が変わるって言ってましたよね?」
桜「なら、何人かで同盟を組んで、上位を独占すればいいんじゃないでしょうか?卑怯な手かもしれないですけど…先輩の家の家計の事情を考えると…」
士郎「うっ…」
桜「多分、ライダーも協力してくれると思います。姉さんには悪いですけど…仕方ないです。私、少しでも先輩の力になりたいんです」
良かった…先輩に会えて
最近、先輩が生活費を捻出するためにバイトを何個も掛け持ちしてるのを知ってる
そのせいで、ここのところゆっくりお話することもできない…
――不純な動機かもしれないけど、いいよね?
それで、少しでも先輩の力になれるなら…
士郎「やはりナイトは頼りにされていた!桜は一級廃人のナイトの足元にも及ばない貧弱一般人だがナイトと同名を組むことによりリアルより充実した聖壺生活が認可されるPT組んでもいいか?>>セイバー」
――えっ?
先輩、今のは…何?
壺セイバー「いいぞ俺は寛大だからなアワれな敵サーヴァんトもたまに話しかけてやると勝手に俺の家来になる」
士郎「「やっと許しが出たか!」「封印が解けられた!」やっぱりナイトじゃないと駄目かー。圧倒的にさすがって感じ」
理解が追いつかない。
いや、理解を拒絶してる。
あの先輩が。私を命がけで守ってくれた先輩が
意味不明で不快な言語を連発してる…
桜「…先輩、どうしたんですか、それ」
士郎「何不安な顔してるわけ?死にたくないなら説明すべき」
桜「――!どうしちゃったんですか!?先輩!何で…どうして…そんな…」
士郎「まただよ(笑)はやく説明しテ!!はやくwはやくwはやくw」
桜「やめて!やめてください!もう…やめて…」
――嫌だ!
聞きたくない聞きたくない聞きたくない
こんな先輩…見たくない…!
桜「…そのサーヴァントが悪いんですか。そのサーヴァントのせいで先輩が…」
士郎「桜お前話し無視される奴の気持ち考えたことありますか?マジでぶん殴りたくなるほどむかつくんで止めてもらえませんかねえ・・?」
――あの人のせいだ
全部…あのセイバーのサーヴァントが悪いんだ
あの人のせいで、先輩は変わってしまった
先輩を…取り戻さなきゃ
桜「…あの人を倒して!ライダー!」
以上です
○○○○語に心が折れそう(真名に配慮して伏せ字表記)
~士郎視点~
「…イイリイイイイイオオオオオオオオオオオオオオオン!」
壺セイバー「…!チィ!」
士郎「!?ライダーのサーヴァントか?」
霧の向こうから、高速で移動する影がセイバーへと向かっていった
セイバーは間一髪バックステッポで回避したみたいだったが実際かなり青ざめてた
だがあたってもアヴァロン並の硬さを誇ってるから最強に近いといえる
やはりナイトは格が違った
士郎「何とかかわしたみたいだ…な…?」
士郎「!?そんな…」
壺セイバー「今の攻撃を喰らったのが俺でなくてよかったな。マスターだったらお前死んでるぞ」
確かに攻撃をかわしたはずの黄金の鉄の塊で出来たナイトが
どうやら一発攻撃を喰らっていたらしくアワレにも肩の装甲が吹き飛んでいた
肝心のライダーはひきょうにも攻撃後また霧に紛れ姿を消していた
あのライダー絶対忍者だろ・・汚いなさすが忍者きたない
この不快霧はライダーにとっては神の贈物だがセイバーににとっては地獄の宴だった
壺セイバー「どうやらこしゃくな乗り物以外にも武器を持っている感。だがその程度でナイトを奔放できると思っているなら所詮は忍者だなナイトの敵ではにい」
遂にセイバーの腰に携えていた
グラットンソードの封印が解けられようとしていた
しかし――
壺セイバー「うおっ!?」
士郎「そんな!今度は後ろからだって!?」
装備をしようと思ったところを後ろから破壊され
アワレにもグラットンソードは数メートル吹き飛ばされてしまった
俺はこれでライダー嫌いになったな
あもりにもひきょう過ぎるでしょう?
士郎(霧で視界が悪いのは相手も同じはず。何でこちらの居場所が…?)
士郎(…!桜だ!桜はこっちを視界に入れている。自分の目を通じてサーヴァントにこちらの位置情報を伝えているんだな)
士郎(しかし、桜を攻撃するわけにもいかない。どうすれば…)
桜(これでセイバーは無防備。身動きが取れなくなったはず…)
桜「ライダー!お願い!」
壺ライダー「任せろおおおおおおおおおおおおおお」
士郎「真正面だと!?避けろ!セイバー!」
壺セイバー「…武器を取り上げた程度でナイトに勝てると思う浅はかさ愚かしい」
士郎(…!セイバーの左手に魔力が…?まさか宝具?あの剣が宝具じゃないのか…?)
壺セイバー「普段は確かに心優しく言葉使いも良いナイトでもおまえのあまりの粘着ぶりに完全な怒りとなった 仏の顔を三度までという名セリフを知らないのかよ」
壺ライダー「何っ!?」
壺セイバー「『雷属性の左』!!」
壺ライダー「ぶへぇあ!」
ライダーは何がおこったかわからずブザマにも吹っ飛んだ
乗り物は慣性でそのまま向こうへ行ったが多分霧の中で伝説になってる
桜「!?ライダー!」
壺セイバー「俺の宝具がひとつだと勝手に勘違いした結果がこれお前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
士郎「すごいな…セイバー」
方や武器なんか持たなくても素手で怪力だから強いリアルではモンクタイプなセイバー
方や騎乗兵としての役目を果たせずアワレにも崩れそうになっているライダー(笑)
どちらが強いのかは一目瞭然だった
この戦いセイバーの勝利は確定的に明らか――
ここまで思い、敵のサーヴァントの姿を確認して…我に返った
こいつは、人間なのか…?
いや、聖壺戦争で召喚されるのは人間とは限らない
掲示板利用者から多くの信仰を集め、知名度を獲得した存在であるならなんであれ呼ばれる可能性があるのだ
目の前にいるサーヴァントは――人型ではあった
姿は戦争の雰囲気に似合わず正装だった
首には蝶ネクタイまで付けている
――だが、明らかに等身がおかしい
それ以前に頭の大きさがおかしい
肩幅ほどもある
何より特徴的なのは、その頭に…
ムクッ
壺ライダー「…ふっ」
壺セイバー「何笑ってんだ殺すぞ」
壺ライダー「なぁに先程の言葉…そっくりそのまま貴様に返そうと思ってね」
壺セイバー「そういうのいりませんストレス溜まるので(笑)自慢の乗り物は多分どっかでジャンクになってるだろうがそれでどうやって俺に勝つつもりだよ」
壺ライダー「あれはタダの宣伝用かつ移動用の手段にすぎん。だからこそ貴様の言葉を借りよう」
壺ライダー「何ィ…?」
壺ライダー「乗り物を取り上げた程度で…私に勝てると思う浅はかさ愚かしい」
二人のサーヴァントは数メートル離れて対峙していた。それにもかかわらず…
言い終わった瞬間に放たれたライダーの攻撃が
セイバーの体を揺らした
壺セイバー「ぐはあっ!」
士郎「なっ…!?」
壺セイバー「…おいィ!?ライダーが飛び道具使えるのはずるい」
壺ライダー「貴様に言われたくはないっ」
すさまじい形相をしたライダーから
セイバーにも捉えきれぬ第二撃目が放たれた
今日は以上です
士郎「セイバー!」
壺セイバー「ぐっ…!」
壺ライダー「さっきまでの威勢はどうした?『ヴァナ・ディールのメイン盾』」
桜「…!ライダー、そのサーヴァントの真名を知ってるの!?」
壺ライダー「知らないほうがどうかしている。その汚染された言語を聞けばな」
壺セイバー「やはりナイトの知名度はとどまるところを知らぬようだな。上げたくてあげるんじゃない上がってしまう者がナイト」
壺ライダー「『2ちゃんねる』の中でも有数の逸話をもつ英雄だ。召喚されていてもおかしくは無いと思っていた」
壺ライダー「セイバーというクラスで召喚されていても、それに囚われぬ豊富なスキルと宝具を駆使して戦う…それがお前の戦闘スタイルだろう」
壺セイバー「ほうお前はなかなかわかっているようだな。ナイトはジョブを選ばない」
壺ライダー「――だが、流石に武器がなければ十分な実力は発揮できないようだな。この間合いを保ち続ければ手も足も出まい」
そういうとライダーはまた攻撃を放った
一瞬ではあったが、その攻撃の『正体』を垣間見ることができた
――それは、謎の球体だった
先程から気になっていた、ライダーの頭部に繋がれている球体
それを飛ばし攻撃をしているのだ
言ってみれば、巨大な鉄球が弾丸以上の速度で飛んで来るような物だ
ライダーにとっては通常攻撃に過ぎないのだろうが、その破壊力は大きい
いくらセイバーでも、あれをくらい続けたら…
キンッ
壺セイバー「…下段ガードで固めた俺にスキはなかった」
壺ライダー「防いだか。しかしいくらメイン盾とはいえ、守ってばかりでは勝てんぞ?この聖壺戦争ではな」
壺セイバー「お前頭悪いなナイトは攻撃もかなり強い今は反撃の機会を伺ってるだけなんだが?英語でいうとリフレクション」
壺ライダー「ふん。口だけは立派なやつだ。そんなデカイ口を叩けるのも今の」
壺セイバー「それに…そんな『クソゲー』みたいなキャラデザのサーヴァんトにナイトが負けるわけがないという理屈で最初から俺の勝率は100%だった」
瞬間、空気が冷たく張り詰めたのを感じた
セイバーが「クソゲー」という言葉を口にした瞬間
ライダーの纏う雰囲気が一変した
壺ライダー「――セイバー。…貴様今…『クソゲー』といったか」
壺セイバー「おまえもし化して話の意味が、理解できない馬鹿ですか?そんな冗談みたいな顔の奴が主役のゲームがクソゲーなのは確定的に明らか」
士郎(クソゲーという言葉に反応している…?セイバーも敵の真名に心当たりがあるみたいだな)
セイバーのしている行動は『挑発』
ヴァナ・ディールにおいて敵のヘイトを管理し
仲間を守るメイン盾であるセイバーにとってはわけもない行為だ
冷静を装っているが…ライダーが激しい怒りを覚えているのは明白だった
士郎(これは…チャンスかもしれない!)
壺セイバー「じゃあお前自分でそんな頭から弾とばすゲームやって楽しいのかよ 見ろ、見事なカウンターで返した調子に乗ってるからこうやって痛い目に遭う」
壺ライダー「ふ、ふふふ…」ワナワナ
桜「ラ、ライダー!落ち着いて!ただの挑発よ!」
士郎「今だ!」ダッ
桜「先輩!?」
ライダーが冷静さを失っている今なら…
セイバーに届けられるかもしれない
先ほど弾かれた、『グラットンソード』を
士郎「よし!セイバー!受け取れ!」ブンッ
桜「そんな!?いつの間に剣のあるところまで移動したんですか!?」
壺ライダー「――甘い!」
宙に放り投げられた剣は
セイバーの手元に届く前にライダーの攻撃によって更に遠くに
霧の向こう側へと弾き飛ばされた
桜「…!やった!ライダー!」
壺ライダー「うらああああああああああ喰らいやがれえええええええええ」
壺セイバー「ウボァ!」
ライダーの攻撃をまともに喰らい
セイバーは大きく後方に吹き飛ばされた
更にライダーとの間に距離が空いてしまい
このままライダー絶対有利の状況は変わらないように見えた
――しかし
壺ライダー「ば、馬鹿な!何故…それを持っている!」
桜「そんな…さっき確かに遠くに飛ばしたはずなのに」
セイバーの手には
確かに漆黒の剣が握られていた
桜「先輩…まさか!」
士郎「うまく行ったみたいだな。さっきセイバーに投げたのは俺の投影で生み出したハリボテさ」
士郎「このゲーム内じゃ性能は真似できないが…姿形を似せるのは可能だ」
壺ライダー「くそっ…まんまと敵の策略にはまってしまったな」
士郎「これで条件は一緒だ。行け!セイバー!」
壺セイバー「――封印が解けられた!」
一旦ここまで
壺ライダー「…たとえ剣を持ったとて同じこと。距離を保てば恐れる必要はない!」
再び放たれるライダーの攻撃が
先ほどと同じ速度、威力でセイバーへと迫る
壺セイバー「――ハイスラァ!」
セイバーは球体を難なく弾き飛ばし
かつそのままライダーに向かって迫り間合いを詰めた
壺ライダー「…!マズイ!」バッ
壺セイバー「ついげきのグラドヴァイパ!」
今度はライダーが回避行動を取る番だった
さっきまでライダーが立っていた地面には大きな亀裂が入っていた
この一撃は宝具でも何でもないセイバーの通常攻撃のようなもの
それでも喰らえば即敗北につながりかねないほどの威力だ
壺ライダー「斬撃がここまで伸びるとは…間合いは無意味だな」
壺セイバー「もうここまででも十分にグラットンの勝ちは圧勝に決まったのだが更に攻撃は続く」ダッ
壺ライダー「オラァ!」ブンッ
壺セイバー「まただよ(笑)同じこと繰り返すとかやはり雑魚おとなしく…」
先ほどと同じように球体を弾き返そうとしたセイバーであったが
球体は剣に触れる瞬間に軌道を変えた
壺セイバー「うおっ!」バッ
壺ライダー「直球しか能がないと思ったか?このボンボンは自在に軌道を操れるのだ」
壺セイバー「うざってぇ…」
2体のサーヴァントは互いに敵を見据え、硬直した
一撃の威力はセイバーに分がある
グラットンソードの尖った部分も駆使すれば相手に致命的な致命傷を負わせることもできるだろう
リーチと速度に関してはややライダーに分がある
このまま相手との距離を保ちつつ攻撃を続けていれば粘り勝つことも可能だろう
戦い方、勝利条件は違えど…
2体の実力は拮抗していた
――当然、『互いに切り札を温存している』という状況であるからこそだ
そして…
壺ライダー「…セイバー、ここでは手打ちにしよう。気づいているだろう。このあからさまに気配を漂わせる強大な視線に」
壺セイバー「生半可なサーヴァんトには感じられない視線だが…マジでムカつくな喧嘩売ってんのか?」
桜「え…?」
士郎「視線…だって?」
壺ライダー「何者かは知らんが…そいつは自分の存在をあえて知らせながらこの戦いを監視してる。そんな状況で手の内を晒す訳にはいかないな」
壺セイバー「覗き見とかちょとsYレならんしょこれは・・?ここで決着をつけてもそいつが漁夫海苔を狙うことは間違いないな。ここで一歩引くのが大人の醍醐味」
士郎「そいつは…俺達が魔力を消費してボロボロになったところを狙おうってことか?」
壺ライダー「その割には全く気配を隠そうともしないのが気になるがな。まるで決着をつけるなと言っているみたいだ」
壺ライダー「…今回は我々が仕掛けた喧嘩だ。こちらが逃走するという形にしておいてやる…が、次こそは決着をつけるぞ、セイバー。」
壺ライダー「この私に対してクソゲーなどとのたまったことを…後悔させてやる」
壺セイバー「後悔させてやるとか言ってる時点で相手にならないことは証明されたな。次こそかなぐり捨ててやンよ」
壺ライダー「…行こう、マスター」
桜「でも…いいの?ライダー。あの乗り物は…」
壺ライダー「ワゴンカートのことか?あんなもの魔力でいくらでも作れる。ほらこの通り」ポン
壺ライダー「よし、新しい拠点を探すぞ。掴まってくれ、マスター」
桜「えっ。これ一人乗りって話じゃ…」
壺ライダー「ああ。だからボンボンに掴まっていてくれ。地面に擦れないように高速でかっ飛ばすから」
桜「えっ」
壺ライダー「そうだ。…少年、君のサポートは見事だった。その健闘を讃えてプレゼントを贈ろう」
士郎「え、俺のことか?」
壺ライダー「ではさらばだ!セイバーとそのマスターよ!」
桜「ちょ、ま」
壺ライダー「ミィィィィィィィィィリィィィィィィィィィオォォォォォォォォォォォン!」ビュン
桜「いやああああああああああああああああああああ!」
士郎「行ってしまった…。結局プレゼントって何だったんだ?」ピラッ
士郎「…ん?足元に何か紙が落ちてる」
士郎「なんだこれ…『オプーナ』購入の権利書…?」
壺セイバー「――『オプーナ』…それがヤツの真名に間違いにい。正確にいうと『やるオプーナ』」
以上です
~~~~
アーチャー「…私も焼きが回ったな。まさかバーサーカーを引き当ててしまうとはな」
「………」
アーチャー「聖杯戦争…いや、聖壺戦争ではサーヴァントとマスターとのコミュニケーションは必要不可欠だ」
アーチャー「だというのに相手が理性を持たぬバーサーカーではな。しかも触媒も用意されたものであるために真名を知ることもできない」
アーチャー「自分で推測しろということか…全くとんだ貧乏くじを引かされたものだ」
「………」
アーチャーは自分の召喚したサーヴァントを観察した
――はっきり言ってしまえば、とても戦闘をできるような体格ではない
細身の体は、敵の攻撃を耐えられるとは思えず
逆に敵に決定的な攻撃を与えることもできないだろう
アーチャー(…この聖壺戦争では、『狂化』の影響が薄いのか?とてもステータスが上昇しているとは思えないが)
武器も持っておらず、バーサーカーであるために魔術主体の戦い方も期待できない
その身に纏っているのは学生服だろうか
俯いているため顔はよく見えない
その顔をはっきりと確認するために、覗きこんだ
アーチャー「…ん?」
――バーサーカーの目を見た瞬間
まるで引きずり込まれるような感覚を覚えた
そして…
アーチャー「…!?」
*******
「うん、しょうがないから俺が代わりになってやるよ」
「爺さんはオトナだからもう無理だけど、俺なら大丈夫だろ。まかせろって、爺さんの夢は――」
アーチャー(……?)
「こんなところでで死んでたまるか。…俺は、正義の味方になるんだ!」
アーチャー(…!?)
「ゴメンな、桜。俺は遠坂と一緒にイギリスに行く。…お前の気持ちには応えられない」
アーチャー(これは…まさか…)
「遠坂…お前にはもうついていけない。いや…お前は俺と一緒にいるべきじゃない。――ここでお別れだ」
アーチャー(…やめろ……)
「『守護者』…?…力をくれるのなら、何だっていい。それで誰かを、助けることができるなら…」
アーチャー「やめろおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!」
******
アーチャー「…くっ!?」
腕に痛みが走り、我に返ると
思い切り地面を殴りつけていた
無意識のうちに手が出ていたようだ
アーチャー「ハァ…ハァ…。今のは…幻覚か…?」
「………」
アーチャーは再び、目の前のサーヴァントを見た
相変わらず何も発さず、微動だにしない
だが今の幻覚は間違いなく――こいつが引き起こしたものだ
アーチャーはそう確信した
アーチャー「…モノは使いよう、と言うわけだな。――成程、マスターとしての私の力量が試されそうだ」
~~~~
言峰「開始1日目にして既に2箇所で戦闘が発生している。期待以上の結果だな」
言峰がいるのは、GMのみが入れるコントロールルームだ
ゲーム内の大陸のどこにも存在せず、だがどこからでも入ることができる
その中では全サーヴァントの情報がまるで監視カメラで撮影されているかのように表示されており
現在大陸のどこにいるのかも全て把握できる
ゲーム内でのバグや不正行為、不測の事態などを観測する目的で存在する
管理者の特権とも言える空間だ
言峰「本日一番負荷が大きかったのはアーチャーの放った一撃だが…この程度ならば許容範囲内だ」
言峰「好戦的な者、自分のサーヴァントに手を焼くもの…全てのマスター、サーヴァントが一様ではない。実に面白い」
「――ぬるいでちゅわ」
言峰「…アサシン」
「ゲームだからってどいつもこいつも無防備過ぎまちゅ。あたちなら今日だけでマスターの半分は消せまちたわ」
言峰「ふっ…そう言うな、アサシン。今回の目的はサーヴァントの戦闘による負荷の検証が主目的だ。お前にマスターを暗殺してもらっては困るのだ」
言峰「それに…今回の戦いにおいてお前が最も脅威となるサーヴァントであるのは間違いないが」
言峰「それは私、つまり…GMに召喚されたことにより、この大陸の地理がほとんど頭に入っているからだ、ということは認識出来ているな?」
「勿論でちゅわ。――そうでなくても、あいつらにあたちを捉えられるとは思いまちぇんけど」
言峰が召喚したのは『アサシン』のサーヴァント
サーヴァント同士のの戦闘データの収集と
それに伴うサーバーへの負荷を調べるのが目的である言峰にとっては
『アサシン』をまともに運用され、マスター暗殺に力を入れてもらっては本末転倒であった
そのため、自分用に『アサシン』の触媒を確保しておくことで
他のマスターには純粋に戦ってもらう、というのが管理者としての言峰の狙いだ
言峰「そうだな…サービス開始時にはいっそアサシンのサーヴァントは運営側で管理してもいいかもしれんな」
言峰「全陣営が籠城を選択し、戦わないまま時間だけが過ぎる…という状況を避けるためアサシンを差し向け、硬直した戦況を一変させる。そんな使い方も有用だろう」
言峰「そう、まさに…『今、我々がやろうとしているように』な」
言峰「初日からここまで飛ばしてくれるのは予想外だったが…まだまだ足りん」
言峰「命令だ、アサシン。――お前の『力』を使い…全サーヴァントを、一箇所に集めろ」
言峰「場所は大陸南西部、城塞都市の…『闘技場』だ」
以上です
サーヴァント紹介①
【CLASS】セイバー
【マスター】衛宮士郎
【真名】ブロント
【出典】ネトゲ実況,他
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力* 耐久* 敏捷* 魔力* 幸運* 宝具A
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。
【保有スキル】
言語汚染:A++
日本語の不自由さを表すスキル。言語汚染のランクが高いほど意思の疎通が困難となる。
しかし極めて高いランクになると、それがひとつの言語として確立する。
A++まで行くと逆に相手の言語を侵食するため、会話が成立する。
ナイトはジョブを選ばない:A
クラスによる能力の制限を軽減するスキル。Aランクでは適正クラス以外で使用した宝具の威力をもほぼ100%引き出すことができる。
【宝具】
『グラットンソード』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~5 最大捕捉:1人
暴食の名を冠する片手剣。ブロントを象徴する武器の一つ
間隔が長いので遠くまで届き、尖っている部分で敵に致命的な致命傷を追わせることもできる
真の力を開放することで他の宝具の発動条件を満たす
『雷属性の左』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
リアルではモンクタイプで喧嘩チームのリーダーでもあるブロントの左手から放たれる一撃
電撃を帯びており、敵の防具の属性によって追加のダメージを発生させる
『????』
『????』
『????』
【CLASS】ランサー
【マスター】セイバー(アルトリア)
【真名】リューサン
【出典】ネトゲ実況
【性別】男
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力* 耐久* 敏捷* 魔力* 幸運* 宝具B+
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
【保有スキル】
孤高の騎士:A
PTを組めず、ソロ専などと虐げられたリューサンの不遇さを象徴するスキル。
味方のいない状況でも精神的動揺を起こさず実力を発揮することができる。
ただし、一度でも協力関係を成立させるとランクが大きくダウンする。
【宝具】
『紫電の槍(ライトニングスピア)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:5~30 最大捕捉:30人
幻獣イクシオンの力を宿した一撃。雷撃を槍に纏わせて放つ
本来竜騎士が使える技ではないが、リューサンの使う技としてイメージが定着したために発動可能となった宝具
『????』
すみません今回は以上です。
フォーマットはぼくのかんがえたサーヴァントから借りました
~~2日目~~
凛「こんなところかしら…?キャスター、そっちはどう?」
壺キャスター「ここらの木にはだいたい札を貼り付け終わったぜ。お互い、寝ずに作業した甲斐があったな」
凛「よかった。お疲れ様」
壺キャスター「しかし、大胆だなマスター。ランサーたちもまさか俺たちがあれから動かず森を拠点にしてるだなんて思いもしないだろうぜ」
凛「それが狙いだもの。確かに拠点にするのにちょうどいい街は地図上で確認できるけど…移動の最中に敵に遭遇したらどうしようもないし」
凛「それに、そういう街なら既に他のマスターに狙われていてもおかしくないはず。それがもし騎士クラスのサーヴァントを保有しているなら、こっちから攻めても勝ち目はないわ」
凛「性には合わないけど…。キャスターらしく陣地を形成して力を蓄えましょう。工房内での迎撃戦なら、誰が攻めて来ようとある程度戦えるはずよ」
壺キャスター「しかし結構でかい世界だ。ここに引きこもってったんじゃいつまでも敵と遭遇せずにゲーム終了になるんじゃないか?」
凛「それに関しては…きっとあの神父が何か介入してくるでしょうね。あいつの目的から考えると」
凛「けど、こっちは白兵戦が苦手なキャスターのクラスよ。防衛戦だって当然の権利だわ」
壺キャスター「ま、真っ向からぶつかり合えって言われても困るしな。しばらくはこのまま…」
キィーン キィーン
壺キャスター「…そううまくもいかないみたいだな」
凛「今の音…!誰かが結界を破って侵入しようとしてる…!嘘でしょ!?まだ着手したばっかりなのに!?」
壺キャスター「…だが、結界は破れても陣地が全破壊されるわけじゃない。この森のなかでの戦いなら、勝てる可能性は十分ある」
凛「あーもう!どこの誰だかしらないけど計画が滅茶苦茶じゃない!」
凛「いいわ…きっちり決着付けてあげる!」
短いですが以上です
壺キャスター「来るぞ、マスター」
「――やぁ、昨日ぶりだな」
凛「…また、あなた達?いい加減にしてくれないかしら…」
セイバー「下手に動きまわるのは危険…。あなたならそう判断できると思いましたよ、凛」
壺キャスター「人気者は辛いな、マスター。それにしても、懲りない連中だ。またアーチャーから攻撃を受けるかもしれないぞ?」
壺ライダー「なぁに。君たちの作ったこの工房が守ってくれるさ。それにこれだけ森の奥までくれば、アーチャーだって正確な狙いは付けられないだろう」
凛「…いい度胸ね。あったま来た!大体セイバー!あなた何で私ばっかり狙ってんのよ!」
凛「この世界じゃ、マスターは皆条件は同じのはずでしょ!それなのに私に固執する理由は何!?」
セイバー「…凛。あなたはまだ気づいていなかったのですか。この聖壺戦争で、言峰綺礼の仕掛けた悪意に」
凛「へ?」
セイバー「順位によって報酬の額を変える、と彼は言いました。この言葉の意図するところがわかりますか?」
凛「意図も何も…そのまんまの意味じゃない。より大きな報酬を得たかったら上位を目指せ、ってことでしょ?」
セイバー「では、手に入れた賞金の流れを考えて見てください。私は衛宮家に居候の身だ。獲得した賞金は当然士郎に渡します」
凛「賞金の流れ…?その理屈で言うなら、ライダーも士郎に渡すことになるわよね。アーチャーもああ見えて義理堅いし、私に渡すでしょうね」
凛「桜は…自分で使うってことはなさそう。優しい子だし、居候が増えた衛宮家を気遣って士郎に渡すんじゃないかしら」
凛「…あれ?」
衛宮家
士郎
セイバー→士郎
ライダー→士郎
桜→士郎
遠坂家
凛
アーチャー→凛
凛「綺礼は置いておくとしても…これって実質、士郎側と私側の2陣営での争いってこと?」
凛「…!?と言うか!そうだとしたら4対2での戦いになるじゃない!」
セイバー「気づきましたか、凛。その通りです。先にあなたとアーチャーが脱落してしまえば、上位は独占できてしまうのです」
セイバー「邪魔者を排除した後、心置きなく競い合いをすればいい。戦闘さえきちんとこなせば言峰綺礼も満足することでしょう」
セイバー「加えて言えば…凛、あなたは昨日アーチャーに宣戦布告している。4対2ではなく4対1対1ということもありえるのです」
凛「確かに同盟は禁止なんてルールは存在しない…あのクソ神父この状況を狙ってたってわけ!?」
セイバー「私が何故執拗にあなたを狙うのか、これで納得してくれたでしょう」
凛「…一応聞いておくけど、武士の情けとか無いの?あなた自身は卑怯だと思ってないの?」
セイバー「私は武士ではないので、当然武士の情けなどありません」
セイバー「私だって…士郎の役に立ちたいと思っています。戦う必要が無くなった以上、戦い以外で士郎のために何かしてあげたい」
セイバー「私一人が蔑まれて事が成せるのなら……喜んで卑怯者の汚名を被りましょう」
凛「…覚悟は決まってるってわけね」
以上です
セイバー「アーチャーの言葉を借りるなら…汚れなど成果で洗い流せる。行きましょう、ランサー」
壺ランサー「ああ、勝利を掴もう」
壺キャスター『相手はもう迷いもないみたいだな。どうする?マスター』
凛『迷いがない?…いいえ、違うわ、キャスター。セイバーは口ではああ言ってるけど、内心は慙愧の念に堪えないはず』
壺キャスター『ほう。どういうことだ?』
凛『セイバーの考え方なら、私を1対1で仕留めるより、先に同盟を組んで複数で襲撃をかけた方が確実のはず』
凛『それなのに士郎を探して同盟を組む前に、先に自分たちだけで私達を倒そうとしている。私達に負い目があるんでしょうね』
壺キャスター『それでも勝てる、と。大した自信だな。だが、つまり…この戦いは誰の邪魔も入らないわけだな?』
凛『そうね。…徹夜で作成した工房に、ランサーの機動力を活かしにくい木々に覆われた森林。サシで戦っても十分に勝機はある』
凛「ここでなんとしても勝って…パワーバランスを崩すわよ!キャスター!」
壺キャスター「おう。行くぞ、ランサー!破ぁ!!」
土日で書き溜めます
壺ランサー「おっと…!いきなり攻撃か」サッ
壺ランサー「一度喰らった以上、意地でもかわしてみせるさ」
壺キャスター「破ぁ!!破ぁ!!」ビュンビュン
壺ランサー「…っ!それしかできないのか?君は」サッ
壺キャスター「速射性と燃費の良さが自慢の宝具だ。おらもう一発!破ぁ!!」
壺ランサー「付き合ってられないね」ヒュン
壺キャスター(…!早い!)
壺ランサー「ジャンプだけが能じゃないのさ。これで詰みだ」
ランサーは一瞬でキャスターの目前まで間合いを詰め
その心臓めがけ槍を放った
キィンッ
壺ランサー「!?」
壺ランサー(弾かれた…!馬鹿な!?)
壺キャスター「破ぁ!!」ダンッ
壺ランサー「ぐおっ!?」
ランサーの放った槍の一撃は障壁に阻まれ
逆にキャスターの放った宝具によってランサーは吹き飛ばされた
壺キャスター「まずは一発だ。わかってると思うが俺の宝具は対魔力や耐久、防具の加護(エンチャント)の良し悪しによるダメージ軽減はできない。あと何発耐えられるかな?」
壺ランサー「…何故だ?どうして私の槍が刺さらない…?」
壺キャスター「なんだ?泣き言か?」
壺ランサー「…ならば、これでどうだ!」バッ
ランサーは大きく飛翔し、上空からキャスターに標準を合わせた
木々をなぎ倒し、枝や蔓に阻まれながらの跳躍だが、ランサーは気にも止めていないようだった
しかし、勢いは確実に削がれており、回避は十分に可能にみえる
だが、キャスターは動かない。そのまま迎撃の体制をとった
壺ランサー「この一撃は防げまい!君の宝具を受けたとしても、このまま君を貫いて見せる!」
壺キャスター『ダメージ覚悟の特攻か…本当にやってきやがったな』
凛『ええ。…ここまでは予想通りね』
壺キャスター「破ぁ!!」
壺ランサー「ぐっ!うおおおおおおおおおおお!」
キャスターの宝具を無防備な状態で喰らったランサーだが
体勢は崩さず、そのままの勢いでキャスターへと向かっていった
――しかし、槍はまたしても障壁に阻まれた
槍と障壁の鬩ぎ合いの余波で、爆発に近い大きな火花が飛び散った
壺ランサー「何!?」
壺キャスター「その位置、その体勢…ベストポジションだ。何発ぶち込めるかな」
壺ランサー「しまっ…!?」
壺キャスター「破ぁ!!破ぁ!!!破ぁ!!!!」ドドド
壺ランサー「うわああああああああああああ」
凛「決まった!3発!流石にもう…」
壺ランサー「いや、2発だ。1発目はかわされてる。流石は騎士クラスだな」
壺ランサー「ぐぅ…はぁ…はぁ…」
セイバー「ランサー!馬鹿な…!?どうしてランサーの攻撃が届かない!」
セイバー「いくら凛とキャスターが協力したとはいえ…一晩では対魔力を持つランサーを弱体化させるほどの工房は作れないはず」
壺キャスター「敵にネタバレをしてやる義理は無いな。――そいつも、あと1発もくれてやれば消滅するだろうさ」
セイバー「まずい…!ランサー!宝具の開放を!」
壺ランサー「はぁ…はぁ…承知…した」
凛「させないわ!キャスター!」
壺キャスター「破ぁ!!」ビュン
壺ランサー「…!」サッ
壺キャスター「かわしたか…まぁいいさ」
凛(思った通り…!ランサーの宝具は発動までに溜めが必要みたいね)
凛(攻撃が通じない、とランサーに思わせれば…間合いを詰められることはない)
凛(そうなると相手が狙うのは、高威力の宝具のぶっぱによる一発逆転)
凛(それを妨害するために、こっちは遠距離からひたすら宝具を連発しておけばいい)
凛(威力は低いけど、キャスターの宝具によるダメージは簡単には回復できない)
凛(あとは逃げまわって消耗したところを仕留めるだけ…!)
凛「この勝負、貰った!決めるわよ、キャスター!」
壺キャスター「破ぁ!!」
ランサーは確実に消耗していた
万全の状態であるなら捌くのにわけはない一撃だったが
躱しきれず、槍を持つ手をかすめた
壺ランサー「ぐあっ!」カランッ
セイバー「…!槍が…!」
壺キャスター「貰った!破ぁ!」
セイバー「…!」ダッ
バシュッ
壺キャスター「な…!?」
凛「嘘でしょ…?」
ランサーに引導を渡すはずだった一撃は、乱入者によって阻まれた
飛び出してきたのは、セイバーだった
ランサーの前に立ち、キャスターの宝具を受け止めた
つまりは、キャスターの宝具をランサーの代わりに喰らってしまったということだ
マスターであるセイバーが、サーヴァントであるランサーを身を挺して庇ったのだ
セイバー「ゴホッ…ぐっ…見極めましたよ、凛。キャスターの宝具の特性を」
セイバー「『寺生まれのTさん』は逸話(コピペ)の中で、悪霊の類を大抵一撃で消滅させている」
セイバー「それを昇華させたのがその宝具だとしたら、おそらくそれは『霊殺し』に特化させたものなのでしょう。霊を殺すというのもおかしな話ですが」
セイバー「そして、それはサーヴァントにも適用されている。対魔力が意味を成さないのはそのためだ」
凛(くっ…セイバーの前で迂闊に宝具を連発しすぎたかしら。歴戦の勇士だもの、これくらいの洞察力は当然持ち合わせてるわよね…)
セイバー「だが、裏を返せば…その宝具に生身の人間に対する殺傷力はない、と睨んだのです。事実このようにサーヴァントの攻撃を受けても、私は五体満足で済んでいる」
セイバー「ランサーが回復するまで…私がランサーの盾となりましょう」
壺キャスター「――大した度胸だな。だがな、嬢ちゃん。アンタも喰らってわかっただろう?致命傷とまでは行かないが、この宝具は物理的な威力もそこそこ持ち合わせてる」
壺キャスター「1発や2発ならともかく…喰らい続けたらアンタが先に死ぬぞ?」
セイバー「ここでランサーを失えば、どちらにせよ敗北は確実です」
セイバー「ならば覚悟は決まっています。マスターとして私ができることはこれだけ…」
壺ランサー「…もういいんだ、マスター」
セイバー「ランサー!何を言うのですか!?」
壺ランサー「こちらの攻撃は通じず、宝具も封じられている…このままではとても勝ち目はない」
凛「ふぅん…素直に負けを認めるんだ」
壺ランサー「いいや、違う。奥の手を使うというだけさ。マスターにも存在を伝えていない――最後の宝具をな」
壺キャスター「…!最後の宝具だと…?槍も失ったのにか…?」
セイバー「そのようなものが…!?何故、私にも隠していたのですか?」
壺ランサー「できれば使いたくなかったからさ。おそらく私だけではなく、この聖壺戦争に参加している他のサーヴァントにも…同様にその手の宝具があるはずだ」
凛「…そうなの?キャスター?」
壺キャスター「俺には心当りがないが…言わんとしてることはわからんでもない。『2ちゃんねる』上の伝承はプラスのイメージのものばかりなんてありえないからな」
壺ランサー「マスター、頼みがある。宝具を使った俺を見ても…」
壺ランサー「――驚かないで欲しい」
セイバー「…それは保証はできませんが、あなたを見下したり軽蔑したりしない、ということは騎士の名にかけて誓いましょう」
壺ランサー「…ありがとう、マスター」
凛「どっちにしろ、発動させるわけには行かないわね。キャスター!トドメを!」
壺キャスター「任せろ!」
セイバー「させない!ランサーが宝具を発動させるまで、私が――」
「――そこまででちゅわ」
以上です
凛「!?」バッ
セイバー「今の声は…?」
凛「キャスター!結界は!?」
壺キャスター「…信じられんが…何も反応していない。痕跡一つ残さず侵入された」
凛「…そんな芸当ができるサーヴァントは、限られてるわね」
セイバー「…アサシン!」
「マスターの命令でちゅ。あなた達にはもっと相応しい戦場を用意してありまちゅわ」
凛(どこ…?アサシンがすぐ側にいるとわかった以上、迂闊に行動できない…!)
壺キャスター(何故声をかけた…?アサシンが自分の存在を知らせる理由はない。何か目的があるはずだ)
壺ライダー「くっ…マスターが私のそばに来てくれたのはちょうどよかった。私のそばから離れるな、マスター」
セイバー「…ええ。アサシン相手に単独行動をする危険性は十分理解しています」
「――全然理解できてないじゃないでちゅか」
一瞬の出来事であった
セイバーとランサーの間
距離にして1mも離れていない
何も存在し得ないその空間に
突如謎の人影が出現した
壺ランサー「な!?マスター!!」
セイバー「えっ…?」
ランサーは手が出せなかった
あまりにも敵が近すぎたためだ
自分の攻撃がマスターに当たってしまう可能性があった
その一瞬の躊躇の結果――
凛「…え?」
壺キャスター「馬鹿な…!?」
セイバーとランサーは、忽然と姿を消した
凛「…駄目!理解が追いつかない!一体あれは何なの!?セイバーとランサーはどこに消えたの!?」
壺キャスター「落ち着け!!マスター!…正直俺にも理解できない。だがここで混乱したら奴の思うツボだ」
凛「…」
壺キャスター「状況を整理しよう。奴は音も立てず痕跡も残さず結界内に侵入してきた」
凛「あいつの正体は、間違いなくアサシン…」
壺キャスター「問題はその後だ。あいつは何もない空間から突如姿を表した。あれは気配遮断なんかじゃない。瞬間移動、もしくは空間転移の類だ」
凛「それか…姿を完全に隠す手段があった、ってところね」
壺キャスター「そして、ランサーとランサーのマスターが消えた…。暗殺目的なら、マスターだけを狙えばいいものを」
凛「…仕留めたわけではなさそうね。今端末を確認してみたんだけど、セイバーは生存中になってるわ」
壺キャスター「その端末は、他のマスターの位置情報までは確認できないんだったな。あいつらがどこに消えたのかも分からない、と」
凛「…今すぐここを引き払うわよ、キャスター。敵に位置情報を把握された以上、また侵入される可能性がある」
凛「いや、最悪のケースを想定すると…あいつのマスターが綺礼の可能性もあるわね」
壺キャスター「例のゲームマスターか?」
凛「ええ。このゲームの管理人よ。そうなると、あいつは全サーヴァントの現在地を把握してるのかも」
壺キャスター「おいおい…ゲームマスター側がそんな積極的に戦闘に介入していいのかよ」
凛「あのクソ神父ならありえない話じゃない。そうなると、私達がいくら拠点を変えても無駄ってことに…」
「その通りでちゅわ」
凛「!?」バッ
声がした瞬間、凛は即座に辺りを見回した
辺りは静寂が支配していた
当然のように、そこには『誰も』いなかった
凛「…!?キャスター…どこに行ったの…!?」
つい先程まで自分と会話をしていたキャスターの姿すら、そこにはなかった
凛は、初めて恐怖した
敵の目的が、敵の行動が、そして敵の正体が何一つわからないからだ
凛「…!」グッ
キャスターが作ったお守りを握りしめ、残った僅かな勇気を総動員して、アサシンの攻撃に備えた
勝てるとは思わない、だが少しでも敵の正体を見極めたい
アサシンの目的が暗殺ではないことはなんとなく察しているが、楽観はできない
せめて次に繋げられるだけの情報を手に入れるために、多少は粘らなければ
凛はそう考えた
凛(どっからでもかかってきなさい…!こっちだって、ただやられっぱなしじゃ収まりがつかないんだ)
瞬間、目の前に影がかかった
何かが、自分の前に立っていた
凛(か…ら…?)
あまりの急な出来事に
少し顔をあげて、その何かの正体を確認することすらもできなかった
そいつは、手を伸ばした
凛(…!)
凛は反射的に目をつむってしまった
肩に、その何者かに触られた感触を感じた
だが、それは一瞬だった
それ以降一切の干渉がなく、気配も消え去った
凛(…?)
凛は恐る恐る目を開けた
凛「…えっ」
壺キャスター「マスター、アンタも来たか。と言うより…連れて来られたか」
凛「キャスター!無事だったのね!」
壺キャスター「…喜んでる場合でもないぜ。よく周りを見てみな」
凛「…?………!?」
凛「何処よ、ここ…!?」
景色が、一変していた
日光を遮るほどに生い茂っていた木々は見る影もなく
空は大きく開放されていた
広く平らな地面に、辺りにはそれを囲うような高い壁
その上には下をよく見下ろせる客席が備えられていた
そう、それは現代で言えば野球場のような、そして更に真に迫った言い方をすれば
セイバー「――まるで闘技場、ですね」
以上です
~~~~
壺ライダー「な、なぁ、マスター。いい加減機嫌直してくれよ」ゴー
桜「…」
壺ライダー「ワゴンカートが一人乗りっていうのは敵をだますためのフェイクだったんだ。現に今はちゃんと乗っけてあげてるじゃないか」
桜「…」
壺ライダー「ほら、敵を欺くにはまず味方から、ってよく言うだろ?」
桜「…」
壺ライダー「そうだ!お詫びの印と言っては何だが…マスターにとっておきのプレゼントを贈ろう!このオプーナの購入権利書を」
桜「いらない。代わりに…一つ教えて、ライダー」
壺ライダー「そ、そうか…残念だ。それで聞きたいことは何だ?私に答えられることならなんでも答えよう」
桜「…聖壺戦争は、現実世界で行われた聖杯戦争とは違い、万能の願望機である聖杯を呼び出すことはできない」
桜「だったら…どうしてあなた達サーヴァントは召喚に応じるの?」
桜「叶えたい願いがあっても…叶えることはできないんでしょう?」
壺ライダー「…そうだな。我々のように聖壺戦争で呼び出されるサーヴァントは…ただ単にそうプログラムされているに過ぎない」
壺ライダー「呼び出されたら、自分を呼び出したマスターと力を合わせて戦い、勝利を目指す。そういうふうにな」
壺ライダー「そこには理想も願望もない。勝利する喜びはあっても目的はない。たとえ勝っても負けても、同じことだ」
桜「だったら…」
壺ライダー「だけど…存在証明にはなる。マスターと共に戦ったという確かな証は、マスターの心のなかに刻み込まれる」
壺ライダー「戦いが終われば有象無象のデータの塊に戻ってしまうとしても、現界している間は頑張れる。自分と共に戦ったことを、ずっと覚えておいてもらいたいからな」
桜「…」
壺ライダー「けど、もし願望機があるなら…私にも叶えたい願いはあるぞ!ヨドバシのおもちゃコーナーよりも大きな夢がな」
桜「夢…?」
壺ライダー「そうだ。マスターも、私という存在の『2ちゃんねる』上での扱いを知っているだろう」
桜「…」
壺ライダー「全くもって不本意だが…その悪いイメージのせいで、私はかなり苦しめられている」
桜「…それって、クソゲ」
壺ライダー「よりにもよって、オプーナを購入するのに権利が必要などという悪質なデマが蔓延しているのだ」
桜「あ、そっち?」
壺ライダー「お陰で、オプーナの売上はミリオンに遠く及ばなかった。残念だ…」
桜「じゃあ、ライダーの願いっていうのは…オプーナをミリオンセラーにすることなの?」
壺ライダー「な!?バカにしないでくれ!オプーナはそんなことを願わなくてもミリオンセラーを達成するポテンシャルを秘めている!」ドンッ
桜「ご、ごめんなさい…」
壺ライダー「だが…デマのせいで購入をためらう人が大勢いるのは事実だ」
桜(突っ込むのは野暮かしら…?)
壺ライダー「私の願いというのは、世界中の人たちにオプーナを購入する権利を与えることだ!」
壺ライダー「大人にも子供にも。今までオプーナを買いたくても買えなかった人たちに、心置きなくオプーナを購入して遊んでもらうためにな!」
桜「…ふふ。素敵な夢だと思うわ、ライダー」
壺ライダー「そ、そうかな…へへ。そうだ、まずはマスターにオプーナを購入する権利を」
桜「それはいらない。…もう一つ聞かせて、ライダー」
壺ライダー「そうか…。もう一つ聞きたいこととは?」
桜「ライダーは…どうして、嘘を付いたの?」
壺ライダー「…」
桜「ワゴンカートが一人乗りと言っていたのは敵を欺くため、なんて流石に無理があると思う」
桜「本当は、乗るのが嫌だったんじゃないの…?」
壺ライダー「…スマン。マスターに隠し事をするべきじゃなかった」
壺ライダー「そうだな…説明のために、一つ喩え話をしよう」
壺ライダー「マスターは『無辜の怪物』というスキルを知っているか?」
以上です
桜「ええっと…確か、サーヴァント本人の意思に関係なく、風評やイメージによって姿形が変えられてしまう…呪いのようなスキルだったよね?」
壺ライダー「その通りだ。我々、壺のサーヴァントも同じようなものだ。自分の意志とは関係なく、『2ちゃんねる』上で形成されたキャラクター、設定が召喚時に反映される」
壺ライダー「だが、誰一人『無辜の怪物』のスキルを所有しているサーヴァントはいない。…何故だかわかるか?」
桜「…実在の人物じゃない、から?」
壺ライダー「そうだ。仮に実在の人物をモデルにしたサーヴァントがいたとしても、それは全く別物なんだ。世界と契約したわけでも、座に召し上げられたわけでもない」
壺ライダー「現実から独立したネット上で形成されたイメージの集合体…それが私達だ」
壺ライダー「言ってみれば完全な創作キャラクターである私達は、存在自体が『無辜の怪物』なんだ」
壺ライダー「例えば私などは、…不名誉な話だが『クソゲー』を象徴するキャラクターとしての側面が強い」
壺ライダー「サーヴァントとして召喚された結果、どうなったか。…自らを神ゲーと主張しながら、ワゴンなどという不名誉な乗り物で疾走するような、矛盾を抱えた存在になってしまった」
壺ライダー「…嫌に決まっているだろう。ワゴンに乗るということがどういうことか、私にだってわかるさ」
桜「…」
壺ライダー「ちょうどいい機会だ。伝えておこう」
壺ライダー「私には、もう一つ宝具がある。発動しただけで、ヘタしたらこの聖壺戦争を終わらせてしまう程の宝具がな」
桜「…!?そんなに強力な宝具を持っているの?」
壺ライダー「強力…それも少し違うかも知れない。この世界のシステムを破壊しかねないものであることは事実だが」
壺ライダー「だけど、私はなるべくその宝具を使いたくないんだ。私を象徴するものでありながら、私を否定する忌まわしい宝具をな」
桜「…それを使わせるな、ってこと?」
壺ライダー「いや、違う。さっきも言ったが我々に目的はない。ただマスターと共に勝利を目指すだけの存在だからな」
壺ライダー「だから、必要な場面が来たら、マスターのために使う。ただ…その時、私が葛藤の末にその宝具を使うんだということを、マスターに覚えておいて欲しくてね」
桜「…うん、わかった。なるべく、使わないで勝ちすすみましょう」
壺ライダー「うむ!では、当面の目標はセイバーの打倒ということにしようか」
桜「先輩たち、まだあの街に残ってるのかしら?私達に居場所がバレたから、移動してる可能性もあるわよね?」
壺ライダー「ふふふ。それについては手を打ってあるぞ。あの少年には『オプーナの購入権利書』を渡してあるのだ」
桜「えっ。それがなにか意味あるの…?」
壺ライダー「実はあれは魔力を込めた呪符の一種なのだ!攻撃はできないが…現在地くらいは把握できるぞ。端末に魔力の痕跡を送るように設定しておいたから確認するといい」
桜「結構抜け目ないのね、ライダー。…先輩が捨ててなければいいけど」
壺ライダー「な、捨てるわけがないだろう!誰もが欲しがるものだぞ!」
桜「私は欲しくないけど。…え?ライダー、これ、おかしいんじゃ?」
壺ライダー「ん?何がおかしいというのだ?どれどれ……」
壺ライダー「…何だ、これは…!?」
以上です
今更だけどランサーがたまにライダーになってる
桜「昨日セイバーと交戦したのはこの霧の街よね?けど…今先輩たちがいるのはここからずっと南よ?」
壺ライダー「…ありえん。こんな長い距離を移動するのは一日がかりだぞ。ましてや奴らは乗り物も持っていない。瞬間移動でもしない限りは…」
壺ライダー「…いや、ありえるかもしれない」
桜「どういうこと?」
壺ライダー「昨日あの街に入って気づいたのだが…あの街の中では何故か非常に距離がつかみにくいのだ。霧のせいだけではない。セイバーが攻めあぐねていたのもそのせいだろう」
壺ライダー「おそらく、この世界ではフィールド毎にギミックが仕掛けられているのだろう。特定のクラス、スキルを強化するようなシステムがな」
桜「え!?でも、端末にはそんな事記載されてないわ」
壺ライダー「これもあくまで想像だが…ゲームに仕掛けられた『隠し要素』というやつかもしれない。それに気づいたプレイヤーは戦略に取り込む事ができる、というわけだ」
壺ライダー「考えてみればこのようなオープンワールドでは、キャスターやアサシンといったサーヴァントが活躍するのは難しい。それを補うためのフィールド効果、と考えればしっくりくる」
壺ライダー「昨日の戦場である霧の街は、おそらくアサシンに有利なフィールドとして作られていたのだろうな」
桜「よく気づいたわね。凄いわ、ライダー!」
壺ライダー「これでもゲームをモチーフに作られたサーヴァントだからな。気づかなければ沽券に関わる」
桜「となると、この遠距離移動もフィールドのギミックなの?ワープゾーンみたいなものがあるのかしら」
壺ライダー「…うーん。これだけ無駄に広い世界だし、ワープゾーンくらいあってもおかしくないと思うが」
壺ライダー「少なくともあの街にはそんなモノなさそうなんだがなぁ。自分で言い出しておいて何だが、やっぱり疑問は残る」
桜「先輩たちのところまで、どれくらいかかるかしら?」
「すぐに連れて行ってあげまちゅよ」
壺ライダー「カートをすっ飛ばしても半日は掛かりそうだな。…ん?」
桜「きゃあっ!?誰…!?」
壺ライダー「な、どうしたマスター!?」
桜「今、一瞬、カートの中に誰かが乗って…って、ライダー!前見て前!」
壺ライダー「えっ。おわっ!?」
「危ない、マスター!」ハァ!
「へっ?ってきゃああああああ!」
キキーッ
壺ライダー「あ、危なかった…何か轢いてしまうところだった」
桜「……姉さん!?」
壺ライダー「へ?」
壺キャスター「無事だったか、マスター。間一髪間に合ってよかったぜ」
凛「…マスター相手に宝具ぶっ放すとはいい度胸してるじゃない。全く何処のどいつよ!いきなり人をひき殺そうとする奴…は…?」
凛「…桜!?どうして桜までここに!?」
桜「『まで』?姉さんこそどうしてここに…?」
壺ライダー「…何処だ、ここは?」
以上です
>>171
見返したら本当だった
紛らわしいですね申し訳ありません
~~~~
凛「セイバー!?あなた達もここに連れて来られたの?」
セイバー「ええ。気づいたらここに。あのアサシンの仕業でしょうね」
壺ランサー「律儀にも槍まで一緒に運んでくれたよ。何がしたいのかわからないな」
凛「…瞬間移動能力の使えるアサシン…一体どういうことよ…?」
壺キャスター「アサシンへの考察は後回しだ。今一番考えなきゃならんのは」
壺ランサー「この状況をどう捉えるか、だな」
セイバー「…」
壺キャスター「なんなら、さっきの続きをここで始めるか?」
凛『ちょっとキャスター!何馬鹿なこと行ってるのよ!』
壺キャスター『わかってるさ、マスター。陣地を失った俺達には、万に一つも勝ち目はない事は』
凛『…』
壺キャスター『だが、それを悟らせちゃいけない。奴らはまだフィールド固有の効果の存在も知らないはずだ』
キャスターと凛が『それ』の存在に気づいたのは、ランサー戦でばら撒いたお守りを回収していた時の事だった
森の外で交戦していた時よりも、お守りに込められた魔力量が増大しているように感じられた
確信に至ったのは、魔力を使い果たし役目を終えたはずのお守りにさえ守護の効力が復活していたためだ
この森の中では、キャスターの保有する陣地作成、道具作成のスキルが強化されている
そう気づいた彼らは、下手に移動せず森の中に陣地を形成する策をとった
ランサーたちの目を欺く形にもなり、一石二鳥の考えであるはずだった
少なくとも、その段階では
凛『…その情報さえ握っていれば、まだ立て直しは効く。そう言いたいのね?』
壺キャスター『ああ。そのためにもまず、ハッタリでも何でも使ってこの場を凌がないとな』
壺ランサー「…随分自信満々なんだな、キャスター。自慢の工房はもう無いというのに」
壺ランサー「こちらのダメージがまだ回復していないから、そこまで余裕なのか?それとも…」
壺ランサー「精一杯強がっているだけ、だったりするのかな?」グッ
壺キャスター「…!」
凛(ランサーが槍を構えた…!読まれてる…!?)
セイバー「待ってください、ランサー。アサシン陣営が我々をここまで連れてきた目的がわかりません」
セイバー「もしかしたら…いえ、まず間違いなく監視されていると見ていいでしょう」
セイバー「ここで私達を戦わせるのが目的だとしたら、こちらの手の内を晒すのは得策ではありません」
壺ランサー「どうした、マスター。らしくない。臆したのか?」
凛(よし!その調子よ、セイバー!そのままこの場を後にして)
セイバー「いいえ、ランサー。こう命じたかったのです。宝具を使わずにキャスターを仕留めてください、と」
凛(…!?)
壺ランサー「…どういうことだ、マスター。さっきの戦いを見てただろう。工房の中とはいえ、こちらの攻撃は彼らに全く届いていなかった。宝具を使わなければ…」
セイバー「ランサー、こう見えて私は観察眼には自身があるのです。…彼らからは先ほどのような脅威を感じません」
セイバー「具体的に言えば魔力の流れでしょうか。彼らの工房内で戦った時は、マスターである凛でさえ夥しい程の魔力を放出していました」
壺キャスター(マスターに持たせていたお守りか)
セイバー「ですが、今は彼女からさほど魔力の気配を感じません。おそらく工房の影響が失われたためでしょう。今の彼らなら、あなたの槍で十分貫けるはずだ」
凛(しまった…!私の方に着目されてたなんて…!)
壺ランサー「成程。だったら話は決まりだ」
壺ランサー「マスターの命令通り…宝具を使わずに君たちを仕留める。君の望み通りになって嬉しいだろう、キャスター」
壺キャスター「…ああ。嬉しくって泣けてきそうだよ」
凛(…こうなったら考えることは唯一つ。勝てるかどうかなんて後回し。どうやってここから離脱するか…!)
「――なんだ急にわけわからん場所に出た>>セイバー」
以上です
時系列ごちゃごちゃですがご容赦ください
壺ランサー「!新手の敵か!?」バッ
セイバー「…!いえ、彼は…」
凛「士郎!?…と、サーヴァント…」
壺キャスター「これはまたわかりやすいな。見た目からして明らかに騎士クラス、おそらくセイバーだろうな」
壺セイバー「降臨しただけで3回連続見つめられるとはやはりナイトが一番だな圧倒的に流石って感じ」
士郎「遠坂に、セイバー!?どうして…?」
壺セイバー「おいィ?俺はずっといるだろマスターそのヒットした頭を冷やすべき」
士郎「あ、いやそうじゃなくてな…」
セイバー「士郎までここに連れて来られるとは…!やはりアサシンの仕業ですか?」
士郎『えっと…さっきまで俺たちは霧の街で作戦会議してたはずなんだが…』
壺セイバー「ナイトはアサシンよりも高みにいるから攻撃にも笑顔だったがいいかげんにしろよ。これやったの絶対忍者だろ…」
士郎『いや、アサシンの仕業だと思うぞ…』
セイバー「…」
「さっきまでミステリーが残された街で議論をたまにいつもやっていたんだが…?」
「これはアサシンの仕業でFA!」
セイバー「……?」
凛「何…?あれ…?」
壺キャスター「…あいつか……」
壺ランサー「…やはり君も召喚されていたのか、『ブロントさん』」
壺セイバー「…む。そういうお前は『リューサン』」
セイバー「ランサー、彼の真名を知っているのですか?」
壺ランサー「ああ。出典が同じサーヴァントだからな。もっとも彼の場合はその独特の発言を聞けばだれでも気づくさ」
セイバー「…士郎の発言がおかしいのも、あのサーヴァントの影響と見て良さそうですね」
壺セイバー「ほう、経験が生きたな。で、ここが何処なのか早く説明してくれませんかねぇ…?」
壺キャスター「――マスター。わかっているとは思うが」
凛「ええ。非っ常にマズイ展開ねこれ。相手は2体とも騎士クラス。しかも目的を考えると結託して襲ってくる可能性が高い。どうあがいても2対1じゃ…」
壺キャスター「2対1とは限らないぞ。…アサシンの目的がなんとなくわかったぜ」
凛「へっ?」
壺キャスター「恐らく奴は、ここに集められるだけサーヴァントを…」
「ライダー!前見て前!」
「えっ。おわっ!?」
壺キャスター(…!馬鹿な…!?気配もなくこのスピードで接近して来るだと!?)
壺キャスター(マスターの反応速度で躱せるか?一か八か…!)
壺キャスター「危ない、マスター!破ぁ!!」
凛「へっ?ってきゃああああああ!」
ゴシュ
以上です
「あ、危なかった…何か轢いてしまうところだった」
「……姉さん!?」
「へ?」
壺キャスター「無事だったか、マスター。間一髪間に合ってよかったぜ」
凛「…マスター相手に宝具ぶっ放すとはいい度胸してるじゃない。全く何処のどいつよ!いきなり人をひき殺そうとする奴…は…?」
凛「…桜!?どうして桜までここに!?」
桜「『まで』?姉さんこそどうしてここに…?」
壺ライダー「…何処だ、ここは?」
壺ランサー「…また新手か。アサシンの奴は何がしたいんだ」
セイバー「もしかしてこのまま、全サーヴァントをここに集結させるつもりでしょうか…?」
桜「…!ライダー、これ…!?」
壺ライダー「…位置情報が更新されている。まさか私達も瞬間移動したというのか?」
壺キャスター「その認識で問題ないぜ。…アンタがライダーか」
凛「あーもう次から次へと!」
桜「信じられないけど、確かにさっきまでと全然景色が違ってるわね…。そうだ!先輩は…?」
士郎「呼んだか?」
桜「きゃあ!」
士郎「人の姿見ただけで叫ぶのはやめてくれませんかねぇ?」
桜「ライダー!今すぐセイバーを倒して!」
セイバー「なっ…!?いきなり何を言うのです、桜!」
桜「あ、ちがっ…セイバーさんじゃありません!」
壺セイバー「粘着してきた敵マスターも自分の地位を悟ったのかいつのまにやら丁寧語になっていた」
士郎「やはりナイトの存在があまりに大きすぎた」
桜「きいいいいいいいいいいいいい!」
壺ライダー「お、落ち着けマスター…!」
セイバー「桜、士郎!あなた方が争ってる場合ではありません!どうか冷静になってください!」
士郎「俺はいつでも冷静感情を抑えられない桜が雑魚なだけ」
セイバー「士郎!?いい加減にしてください!」
凛「…これ、ひょっとしてチャンスじゃない?」
壺キャスター「願ってもない状況だな。このまま同士討ちを始めてくれれば最高だがそこまで待つ必要もない。今のうちにここから抜け出」
壺ランサー「――落ち着きたまえ^^」
士郎「落ち着いた^^」
セイバー「落ち着きました^^」
桜「凄く落ち着きました^^」
凛「えっ、何あれ」
壺キャスター「…考えるだけ無駄だと思うぜ」
壺セイバー「流石はリューサンだと関心はするがどこもおかしくはない」
凛「!?こいついつの間に」
壺セイバー「ヨミヨミですよ?お前らの作戦は。逃亡の証拠のログは確保したからなもう逃げることは出来ない」
セイバー「…コホン。感謝します、ランサー」
セイバー「士郎、桜。ここは一旦休戦してください。我々の目的は一致しているはずだ。まずは凛とアーチャーを倒すことを優先すべきです」
桜「そうでしたね…すいません、冷静さを失ってました…」
壺ライダー「いやぁ、無理もないさ…」
士郎「やっと正気にもどったか。助かった、終わったと思ったよ」
桜「…」
壺ライダー「お、落ち着こう、な?」
凛「あ、あんたらねぇ…。3人がかりなんて卑怯だと思わないの…?」
壺セイバー「おいィ?お前らは今の言葉聞こえたか?」
士郎「聞こえてない」
桜「何か言いました?」
セイバー「私のログには何もありませんね」
凛「ちくしょうおまえらは馬鹿だ…」
壺キャスター「…流石に終わったか」
「――また随分と窮地に追い込まれているようだな、凛」
以上です
凛「その声は…!」
セイバー「…!やはりあなたも連れて来られたのですね、アーチャー」
アーチャー「こちらは如何にこの戦いを勝ち抜くか知恵を絞っていた最中だというのに…急かすような無粋な真似をしてくれる」
セイバー「…意外ですね。あなたが素直にアサシンに暗躍を許すとは」
アーチャー「もとより、私には対抗手段がないからな。肝心のサーヴァントですらこのザマだ」
「……」
セイバー(アレが…アーチャーの呼び出したサーヴァント…!)
アーチャー「紹介しよう。バーサーカーだ」
壺バーサーカー「……」
セイバー(…不気味な雰囲気は感じますが……とても戦闘向きとは思えません。一体どんなサーヴァントなのでしょうか…)
桜「ライダー…あのサーヴァントの真名はわかる?」
壺ライダー「…割りと特徴的な外見はしているが…心当りがない。恐らくは逸話(コピペ)による内容先行型の、姿の設定が曖昧な英雄なのだろう」
凛(アーチャーのサーヴァントがアーチャー…なんて都合の良い展開はなかったか。でもこの際贅沢は言ってられない…!)
凛「アーチャー!昨日の発言は忘れて手を貸しなさい!こいつらは手を組んで私達を先に脱落させようとしてるわ!」
アーチャー「もしかして、凛…君はその可能性を考えずに私に宣戦布告をしたのか?」
アーチャー「てっきり自分が不利な状況に追い込まれるのを覚悟の上で私と袂を分かったのかと思い、感心していたのだがね」
凛「くっ…アンタも気づいていたってわけ?」
アーチャー「当然だろう?逆の立場なら私も間違いなく同じことをしていた。――君の高潔さと勇猛さに身が震える思いだったよ」
凛「このっ…嫌味なやつ…!」
壺キャスター「抑えろ、マスター。おい、バーサーカーのマスター、状況は見ての通りだ。俺達がやられれば次はお前に火の粉が振りかかる」
壺キャスター「マスターがお前に何を言ったのかは知らんが…ここで手を組み状況を打開する以外に手はない」
アーチャー「当然、私とてただやられるつもりは無い。例え相手が何人いようとも、な」
壺ランサー「…」グッ
壺ライダー「ほう…3対2なら勝てるとでも?」
壺セイバー「恥知らずなバーサーカー使いがいた!そんな貧弱黒魔とPT組んだところでどうやって勝てるって算段だよ。リアルで痛い目を見たいのか?」
壺キャスター「威勢がいいのは構わないが…相手は騎士クラスが2体。更には機動力に優れたライダーもいる。…言っちゃ悪いが、そのバーサーカーで戦力になるのか?」
アーチャー「問題はない。バーサーカーにとって、敵の数は関係ない。いやむしろ多いほうが好都合だ」
アーチャー「君たち『四人』のサーヴァントを相手取っても、十分勝算はある」
凛「へぇ、随分と頼もしいこと言ってくれるじゃない。…あれ?」
壺キャスター「…!」
セイバー「『四人』?それは、つまり…」
壺キャスター「俺達も、含まれてるってことか…?」ググッ
凛「…どういうつもりよ、アーチャー」
アーチャー「悪く思うな、凛。バーサーカーは攻撃の対象を選べないのだ」
アーチャー「それに、私自身この聖壺戦争でどこまで勝ち抜けるか試してみたい気持ちもあってね。今のこの状況は絶好の好機だ」
壺ランサー「…なめられたものである」
壺ライダー「――挑発に乗ってやろう。ここがお前の墓場(ワゴン)だ」
壺セイバー「…お前は一級廃人のおれの足元にも及ばない貧弱一般人」
壺セイバー「一級廃人のおれに対してナメタ言葉を使うことでおれの怒りが有頂天になった」
壺セイバー「――この怒りはしばらくおさまる事を知らない」グッ
凛「あれ?アーチャーにヘイトが向いてるからこれって結果オーライ?」ボソ
壺キャスター「そうみたいだな。適当に共闘するふりしてタイミングを見てずらかるぞ」ボソ
アーチャー「行け、バーサーカー。…力を見せつけてやれ」
壺バーサーカー「……ま……れ……!」
「「「「!?」」」」
アーチャー(――もっとも、その『力』というのは……君たち自身のモノだがね)
以上です
~~~~
「――くたびれまちたわ」
言峰「ご苦労だったな、アサシン」
壺アサシン「大体、この世界が広すぎるからこんなことしなくちゃいけないのでちょう。敵同士が遭遇するだけで一苦労でちゅわ」
言峰「ふむ…一理あるな。実装時には世界の広さも考慮しよう」
言峰「それはそうと…『闘技場』に集めたサーヴァントたちはどのような状況だ?」
壺アサシン「それは自分で確認してみるといいでちゅわ。あたちは運んだだけでちゅもの」
言峰「どれどれ…ん?」
言峰「アサシンよ…『アーチャー』の姿がないようだが」
壺アサシン「ああ、あれは無理でちゅわ。どれだけ距離を詰めても、逆に離れても。背後をとっても、マスターに手を出しても。…全部対応されまちゅ」
壺アサシン「あれを本気で捕まえようと思ったら、こっちも命懸けでちゅ。だから頃合いを見て離脱しまちたわ」
言峰「うーむ…一番戦闘データが欲しかったのは、この『アーチャー』だったのだが、今お前を失うわけにもいかないからな」
言峰「まぁいい。籠城を決め込むような受け身のサーヴァントでもない。となれば、いずれ他のサーヴァントと交戦する機会もあるだろう」
言峰「それまでは…この5陣営の戦いを眺めて待つとするか」
壺アサシン「――そこまでアーチャーの戦闘データが欲しいんでちたら、最初からあたちにプロテクトなんてかけなければよかったのでちゅわ」
言峰「ふっ…そうは言うがな、アサシン。お前の能力を完全に再現するには、まだ不安定な要素が多すぎる。下手をすればバグを誘発しかねない」
壺アサシン「ゲームの完成度が低いばかりに縛りプレイを余儀なくされるあたち…なんてかわいそうなのでちょう」
言峰「しかし、そうだな…フェイズを1つ引き上げる程度なら問題は無いかも知れん」
言峰「…よし、プロテクトを半分解除した。試してみろ」
壺アサシン「わぁい。ちょっと試しに行ってきまちゅね」
そう言うと、アサシンはその場から消えた
言峰はそれを見届けると、再びモニターに目を向けた
しかし、モニターを見続けながら、次の言葉を発した
言峰「――マスターが自分のサーヴァントの位置を把握できるのは知っているだろう。いつまでそこにいるつもりだ?アサシン」
壺アサシン「…ふふふ。どうでちゅか?あたちの力は」
言峰「ああ。完璧に背景と同化している。私がマスターでなかったら、目にしても全く気づかないだろう」
壺アサシン「その言葉が聞けて満足しまちたわ。もっとも、この能力が解放されても、アーチャーを捕らえられるかどうかは微妙でちゅけど」
壺アサシン「アーチャーをどうにかするのは、あたちのプロテクトが完全解除されてからにしまちゅわ。じゃ、ちょっと観光してきまちゅ」スッ
今度こそ本当に、その場からアサシンがいなくなったことを言峰は感じ取った
自分だけが存在する部屋の中で、ポツリと呟いた
言峰「…この世界の何処にでも存在し、その場のどんな風景にも擬態するサーヴァント、か」
言峰「――とんだバランスブレイカーだ。とてもプレイヤーに使わせるわけにはいかぬな」
以上です
~~~~
壺セイバー「あ、アガッ…!」
壺ランサー「グ、グウ…」
壺ライダー「ぬうううううううっ!」
壺キャスター「あっ…あっ…」
セイバー「…?ランサーの様子が変だ…」
士郎「そうか?特に変わってない感」
桜「先輩は少し黙っててください。ランサーだけじゃありません…他のサーヴァントも…」
凛「けど、おかしいわ。バーサーカーは何もしてないわよ?」
アーチャー「…君らは何も感じていないのか?」
アーチャー(もしや…この闘技場というのは…)
アーチャー「成程、そういうことか」
凛「何ニヤついてるのよ、アーチャー!結局ただ思わせぶりなだけじゃない」
アーチャー「余裕だな、凛。自分のサーヴァントから目を離していいのか?」
凛「なんですって…?」
*******
「何でエアリス使ってんの?ティファのが強いしエアリス死ぬよ?」
「……」
「何?」
「クラエアがデフォだしティファとかブサイクで醜い女入れたくない」
「は?エアリスってリミットゴミでしょ?それに強制離脱するから育てても無駄」
「――あたしの勝手じゃん!クラエア馬鹿にする気?」
「そうなら――あんたもう死ね!」
*******
「あーあ。リューサンまた床舐めてるよ」
「ちゃんと動き理解してきた?」
「だから言ったんだよ。竜騎士なんて誘うのやめようぜって」
「まぁ最初から期待してなかったし?(笑)フレとの話題作りだよ。あのリューサンとPT組みました!って(笑)」
「いつまでそこで寝てんの?誰も起こさないよ?」
「竜騎士はガリでも食ってろ(笑)」
「じゃあ、アタシ達戻るから。これからもソロで頑張ってね~」
*******
「ミリオンとかwww身の程知らずにも限度があるだろwww」
「キャラデザひどくね?本気で売る気あんのかよ」
「マ○オおもしれー」
「オイお前らやめてやれ。オプーナが売れなかったのは購入する権利が必要だからだぞ!」
「俺もオプーナ欲しかったけど権利がなかったから買えなかったわ」
「ワゴンで見た」
「オプーナ…?ああ、2ちゃんで聞いたことあるよ。クソゲーなんでしょ?」
*******
「死ねぇ・・死ねぇ・・」
「全然怖くないんだけど」
「そんなに可愛い顔を怖がれるかよw」
「な・・・・っ!」
「しゃあねぇな。じゃあ入れよ」
「し、仕方ないわねっ・・!」ギュッ
「破ぁぁあッ!!!!!」
「きゃああああああ!」シュウ
「…」ポカーン
「ふぅ・・あぶなかったな・・・アイツは実はなんかイロイロヤバイ感じだったんだ、危なかった危なかった・・・」
*******
壺キャスター「ハァ…ハァ…」
凛「キャスター…?」
壺キャスター「…ハアアアアアアアアアアアァァァァァァ!」バシュン!
壺ライダー「ぐおっ!」ズサッ
桜「ライダー!?ちょっと、姉さん!いきなり何するんですか!」
凛「え!?ちょっ、違っ…私は何も命じてないわよ!」
壺ライダー「ふっ…ふふふふふふふふふふふふふ」
壺ライダー「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン」ブンッ
壺キャスター「ウオッ!」メキッ
凛「キャスター!?ちょっと何よ桜!あなたこそひどいじゃない!」
桜「へ!?いや、その…!」
セイバー「…!違います、桜、凛!セイバーとランサーも様子がおかしい!」
壺セイバー「オイィィィィィィィィィィ!」
壺ランサー「アアアアアアアアアアアアアアアア!」
ガキン
士郎「おい、セイバー!?その馬鹿みたいにヒットした頭を冷やせ!」
凛「…何よ、これ」
目の前には異様な光景が広がっていた
4体のサーヴァントはまるで理性を失ったかのように
バーサーカーそっちのけで交戦を開始した
キャスターとライダーは互いの飛び道具を放ち合い
セイバーとランサーは互いの武器をぶつけ合った
そこには戦略も技術もなく
ただの獰猛な獣達による喰らい合いでしかなかった
凛「バーサーカーと戦ってたはずなのに…むしろ狂化してるのは私達のサーヴァントの方じゃない…!」
以上です
桜「ライダー!攻撃を止めて!…駄目です。全然反応してくれない…」
凛「くっ…それだけじゃない。普段より多く魔力を吸われてるわ…!」
士郎「このままでは俺の寿命が魔力切れでマッハなんだが…」
セイバー(…私はともかく、このままでは桜たちは魔力切れによって脱落してしまうかもしれない)
セイバー(となると、やはり手はひとつ…)
士郎「俺は古代よりいる投影魔術の使い手何だが大食らいの居候が何か言いたい事があるらしく媚びた目線を向けてきた。ヨミヨミですよ?お前の考えは」
セイバー「……」イラッ
士郎「要するにマスターである汚いアーチャーを始末すればいいだけという理屈で最初から俺の勝率は100%だった。俺にかかればそれくらいチョロいこと。まぁみてなw」
桜「…」イラッ
凛「さっきから何なのこの士郎は…?」
士郎「――投影、開始(トレース・オん)」
士郎は自分のサーヴァント、セイバーの持つ刀剣、グラットンソードを投影した
性能の再現は不可能であるが、ゲーム内で普通の魔術師と変わらぬ肉体強度にされたアーチャーに対し
致命傷を与えるには十分な『凶器』だった
アーチャーは、士郎たちに背を向け
サーヴァントたちの狂乱ぶりを静かに眺めていた
士郎「――一瞬の油断が命取り」
士郎「是、ハイスラァ!」
士郎は、自身が出せる最強の一撃を
無防備なアーチャーの背中に浴びせた
しかし――
士郎「お、おいィ!?」
セイバー「馬鹿なっ…!?」
アーチャーには傷一つなく
逆にグラットンソードの刀身が根本から消滅していた
桜「攻撃を防いだ…!?けど、そんな素振り見せなかったのに…」
凛「いいえ、防いだというよりは…攻撃そのものが意味を成さないような感じね。概念的な防御に近いわ」
アーチャー「実に安直な行動だな。何故私が君たちを警戒していないのか。少しは考える努力をしてみてはどうかね」
士郎「…そういう悪口は名誉毀損で犯罪行為だからお前は死ぬ」
セイバー「言ってる場合ですか、士郎!」
桜「…フィールド、ギミック…?」
凛「…!?」ビクッ
セイバー「桜、何か知っているのですか?」
桜「ライダーが言っていたんです。この世界には私達プレイヤーに説明されていない隠し要素があるって」
桜「フィールドことに、私達に及ぼす影響が違ってくるらしいんです。だからおそらく、ここもそうだと思います」
セイバー「フィールド効果…。成程、そういうことでしたか、凛。合点がいきました。ランサーとの戦闘で、あなた達はそれを利用していたのですね」
凛「――ああもう!なんでバラすのよ、桜!黙ってればあなたも有利に勝ち進めたでしょう!?」
桜「今のこの状況を打破するには、情報の共有が必要だと思っただけです。姉さんほど勝ちにこだわってませんから」
士郎「ならさっきのアレもフィールドギミックのせいなのかよ まぁわかってた(予知夢)」
セイバー「おおよその予測ですが…この場所での効果はおそらく…」
アーチャー「バーサーカーの攻撃を受けた君たちに全く変化がなかったこと。そして衛宮士郎の一撃を受けて確信したよ」
アーチャー「この『闘技場』フィールドでは…我々マスターに対する攻撃は全て無効となるのだとな」
凛「はあああああああ!?何よそれ!バランス崩壊ってレベルじゃないわよ!」
桜「そんな…それじゃあ、打つ手無しってことですか…!?」
セイバー「成程。だからあなたはこちらを全く気にも止めていなかったのですね」
セイバー「マスターへの攻撃は無効。と、なると…厄介ですが、同時にこちらにとっても都合が良い」
アーチャー「ほう。どういう意味だ?」
セイバー「アーチャー。あなたが私達の妨害をすることも不可能だという事です」
セイバー「――令呪を使います。バーサーカーがどのような能力を使っているかはわかりませんが…少しの間であれば令呪によって正気を取り戻すのは可能のはず」
以上です
桜「令呪を!?…でも、いいんですか?セイバーさん。貴重な令呪を…」
セイバー「構いません。桜、あなたは私にフィールド効果について教えてくれましたし、士郎は魔力を消費してアーチャーへの攻撃を試みました」
セイバー「ならば、今度は私が身を削るべきでしょう」
アーチャー「ほう…正気を取り戻したところでどうするつもりだ?この場から逃走でもしようと言うのか?」
セイバー「正気に戻るのが一瞬だとしても…バーサーカーを仕留めるには十分だと考えています」
アーチャー「…!」
セイバー「場を観察しているのはあなただけではありません、アーチャー。バーサーカーはおそらく能力に特化した存在なのでしょう?」
セイバー「狂化された4体のサーヴァントがバーサーカーに対してだけは敵意を向けていないのに、自分から攻撃を仕掛けていないのが良い証拠です」
アーチャー「……」
セイバー「素の戦闘能力に関してはこの場で最も低いと考えて良いでしょう。俊敏性に優れたランサーであれば、狂化の解けたその一瞬でバーサーカーを倒すことができます」
桜「…すごい。頼もしいです」
士郎「素晴らしい提案だすばらしい。騎士王の洞察力はまさしく鬼の力と言ったところかな」
凛(…こっちとしてはバーサーカーがやられても困るのよね)
アーチャー「…ならば、試してみろ。無駄なあがきになると思うがね」
セイバー「そうさせて頂きましょう。――令呪を持って命じます。ランサーよ、狂気を払い…理性を取り戻してください」スッ
壺セイバー「オイイイイイイイイイイイイイイイイ!」キィン
壺ランサー「ウゴオオオオオオオオオオオオオオオ…お…?」キン
壺ランサー「…!?なんだこの状況は…!?」グググ
セイバー「説明をしている時間はありません、ランサー!今すぐバーサーカーを倒してください!」
セイバー「そのセイバーは理性を失っている!パワーは上がっているかもしれませんが、攻撃をいなすのはたやすい筈です!」
壺ランサー「なんだかよくわからないが…承知したぞ、マスター!」バッ
壺セイバー「オイイイイイ?」ヨロッ
壺ランサー「しばらく離れてろ!」バッ
壺セイバー「オイイイイイ!?」ズシャア
ランサーはセイバーのとの鍔迫り合いを解き
相手の姿勢を崩したところに強烈な蹴りを浴びせた
セイバーは吹き飛び、ランサーは自由に行動できる状態になった
桜「やった…!」
壺ランサー「バーサーカーは…あそこか。私なら一足で間合いを詰められるな」
壺ランサー「覚悟しろ、バーサーカー!」ダッ
壺バーサーカー「…」
アーチャー「…フッ」
セイバー「…馬鹿な!?」
壺ランサー「…っ…あっ……なんだ…と…?」
壺キャスター「ハアアアアアアァ…」
壺ライダー「オオオオオ…」
今まさにバーサーカーに飛びかからんとしていたランサーに対し
キャスターとライダーが同時に攻撃を仕掛けた
二方向からの攻撃を躱すことができず、ランサーは地に伏した
壺セイバー「オイイイイイイイイイ!」ブンッ
壺ライダー「くそっ…!」キィン
更に追い打ちをかけるように倒れたランサーにセイバーが斬りかかった
ランサーは仰向けになり辛うじてセイバーの剣を受け止めた
桜「何で…!さっきまでライダーとキャスターで戦っていたのに…!」
セイバー「…やはり通常の狂化とは違うと見るべきでしょうね。彼らは皆、狂化していない相手を優先的に狙っているようです」
アーチャー「――そして、時間切れだ」
壺ランサー「すま…ない…マス…タ…ア……アア」
壺ランサー「アアアアアアアアアアアアアアアア!」ガン
壺セイバー「オイイイイイ!」バッ
セイバー「ランサー!くっ…」
アーチャー「忠告通りだろう?無駄なあがきになる、と」
桜「だ、だったら…私達全員で令呪を使えばいいんじゃないでしょうか!?」
凛「…無駄ね。私達が同時に令呪を使用したとしても、効力を発揮するのが同時とは限らないわ」
凛「マスターの魔力量、力量。サーヴァントの魔力耐性、耐久…それらによって必ずラグは発生する。当然、また元に戻ってしまうまでの時間も含めてね」
凛「そうなれば、同じことよ。バーサーカーを仕留める前に妨害が入って、また狂化の影響を受ける。令呪の無駄使いにしかならないわ」
桜「…」
凛「それに…バーサーカーが倒されれば、次は私達が狙われるのは確実。そんな状況で、私が素直にあなた達に協力すると思う?」
セイバー「……その通りですね」
アーチャー「君たちにできることは…『闘技場』の名にふさわしく、サーヴァント同士の戦いを眺めることだけだ」
~~~~
ライダー「…召喚してから、あなたには驚かされてばかりですね、アーチャー」
壺アーチャー「それは褒められてるのかな?そこまで大げさなことをしたつもりもないんだけどね」パッパッ
ライダー「私には今、何が起きていたのかもよくわからなかったのですが…」
壺アーチャー「敵からの攻撃を受けていたんだ。恐らくはアサシンだろう。消えたりまた現れたり忙しい奴だったけど、いなくなったみたいだ」
ライダー「!?さり気なく凄いことを言いますねあなたは…」
壺アーチャー「そう驚くことでもないよ。アサシン自体はなかなか手強かったけど、倒せない相手ではないさ」
壺アーチャー「何が目的か、っていうのがわからないのが不気味だけどね」
ライダー「アーチャーでも手を焼くアサシン…やはり今回の戦いも一筋縄ではいかないようですね」
壺アーチャー「おいおい、どうして手を焼いたと決め付けるんだ?」
ライダー「あなたほどのサーヴァントがアレだけの長時間戦って仕留められないと言うのなら、強敵であることは間違いないでしょう」
壺アーチャー「はは、僕を過大評価し過ぎだよ。僕だって一介のサーヴァントに過ぎないんだか…」ピクッ
ライダー「…アーチャー?」
壺アーチャー「…戦闘の気配がする。しかも一対一じゃなさそうだ。複数のサーヴァントが同時に戦っている」
ライダー「…!?」
壺アーチャー「位置も同じ…これはもしかしたら僕以外のサーヴァントが皆集合しているのかもしれないね」
壺アーチャー「…さっきのアサシンは、もしかして僕達を招待しようとしていたのかな」
ライダー「…」
壺アーチャー「――マスター、頼みがある」
ライダー「…いいですよ、アーチャー。私達も向かいましょう。あなたがこのまま他のサーヴァントが減るのを待つような人ではないことはわかっています」
壺アーチャー「ご理解の程感謝する。さて…どうやって行こうか」
ライダー「場所がここからどれだけ離れているかの検討は付きますか?」
壺アーチャー「大体はね。ただ少し距離があるな。マスターの足だと結構掛かりそうだ」
壺アーチャー「…マスターには申し訳ないけど、ここで少し待っていてもらおうかな」
ライダー「へ?」
壺アーチャー「そんなに長居はしないから、さ。すぐ戻ってくるよ」
アーチャーは自分の武器…バットとボールを持ち出すと、ボールを軽く上に投げた
そして、その落ちてきたボールをバットで高く打ち上げた
と、同時に姿を消した
ライダー「…!?」
瞬間移動でもしたかと見紛う程であったが
実際は目にも止まらぬ早さで跳躍しただけであった
ライダーは、その姿を一瞬だけ捉えることができた
ライダー(…ボールの上に…足を乗せて…飛んでいる!?)
アーチャーは、自ら放った打球に乗り
遥か彼方まで飛び立っていった
ライダー「…私にどうしろと言うのですか」
~~~~
セイバー(何か…何か打つ手は無いのですか…?)
アーチャー「ふむ、キャスター辺りはすぐにでもやられるかと思ったが…存外に粘るではないか、凛」
凛「この…!調子に乗って…!」
桜「…あれ、何でしょう…?」
セイバー「桜、どうしました?」
桜「いえ、遠くの空に…何かが浮いているような」
凛「この世界には飛行機もないし、空を飛んでるのなんて鳥くらいでしょ」
セイバー「…!違う!あれは…人だ!」
凛「は?何言ってるのよセイバー。大体あんな遠くにあるものの形がわかるわけが」
凛「…って、嘘!?こっちに向かってきてる!?さっきまで米粒くらいの大きさだったのに!?」
セイバー「なんというスピードでしょう…!このままだと、『闘技場』内に落ちてきます!」
士郎「おいィ?まさか、アイツは…」
その人型の何かは、闘技場に降り立った
凄まじいスピードで落ちてきたにもかかわらず、ほとんど音はしなかった
しかし、着地の際の衝撃で、辺りには砂埃が舞った
砂埃の中で、その何かはゆっくり立ち上がった
「……」
砂埃が晴れると、『それ』は姿を表した
「――やぁ、僕も混ぜてくれないかな?」
以上です
アーチャー「お前は…」
「思った以上に複雑な状況みたいだね。とりあえずは…」
「君のサーヴァントを倒せばいいのかな?」
アーチャー「…!」
「おっと、自己紹介が遅れたね」
壺アーチャー「僕は『アーチャー』のサーヴァントだ。よろしく」
桜「あ、ああ…先輩、あの人ってもしかして…!?」
士郎「うむ、どちかというと大賛成だな。間違いにい」
セイバー「…?知り合いなのですか?」
凛「サーヴァントに知り合いがいるわけ無いでしょう。あなた達真名に心当たりがあるのね?」
桜「セイバーさんはともかく、何で姉さんがわからないんですか!?」
桜「あの人は…イチローですよ!メジャーリーガーの!」
凛「イチロー?「誰それ?」「外人?」「歌?」ほらこんなもん。自分たちの基準で語らないでほしいわね」
桜「……」
士郎「お、おい遠坂!早く謝ってください!僕は絶望的な戦いはしたくないです!はやくあやまっテ!」
セイバー「野球、というスポーツの選手ですか。ですが何故聖壺戦争に?現実世界での活躍がここで反映されるわけではないでしょう?」
アーチャー「確かに、ただ有名な人物というだけでは聖壺戦争で召喚されることはない。あれは現実世界のメジャーリーガー、イチローとは別の存在だ」
アーチャー「2ちゃんねる上で神格化され、逸話によるイメージが具現化した存在…」
アーチャー「つまり…『全盛期のイチロー』、というわけだな」
凛「『全盛期』…?普通と何処が違うっていうのよ」
アーチャー「…簡潔に言うぞ。まともに戦いを挑めば、優勝するのは間違いなくこいつだ」
凛「は?何言ってるのよアーチャー。要するにただのスポーツマンでしょ?」
セイバー「…いいえ、凛。あなたも見たでしょう。ランサーに対して放たれた一撃を」
凛「…あ」
セイバー「ただのスポーツマン、などということは絶対に有り得ません。現に今も…彼はこの状況に全く動揺していない」
壺アーチャー「そうでもないさ。僕としては正々堂々他のサーヴァントと戦って勝ち残れればそれでいいんだけど…この状況はちょっと不快だね」
壺アーチャー「まるで野生動物の縄張り争いみたいだ。僕は、彼らとは万全の状態で戦いたいと思ってる」
壺アーチャー「つまり、この状況を作り出しているであろうそのサーヴァントが邪魔なんだ。悪いけど真っ先に退場してもらうよ。あまりおもしろい戦いにもならなそうだしね」
アーチャー「ふっ…やってみたらどうかね」
壺ライダー「ウオオオオオオオオオオオオオオオオ!」ブオン
壺アーチャー「…!」サッ
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!」ビュン
壺アーチャー「これは…!」スッ
アーチャーの思惑は、背後から攻撃を仕掛けたライダーとキャスターによって阻まれた
しかしアーチャーはこれらの攻撃を難なく躱し、回避しながら周囲の状況を観察していた
桜「いけない!ライダー達は狂化されてない相手を優先的に狙う筈です!だから…」
壺アーチャー「なるほどねぇ…5対1ってことか」
セイバー「無茶です!いくらあのアーチャーがどれだけ強かろうと、他のサーヴァントも決して侮れる相手ではありません!」
セイバー「5対1での戦いなど、成立するはずがない!」
壺アーチャー「やってみなきゃわからないさ。最初から負けると思って戦う奴はいないだろう?勿論僕も勝つつもりでやる。だって僕は」
壺アーチャー「メジャーリーガー、だからね」シュン
言うが早いか、アーチャーは目にも留まらぬ早さでバーサーカーへと距離を詰めた
しかし、そこに立ちふさがったのはセイバーだった
壺セイバー「オイイイイイイイイイイイイイイ!」
壺アーチャー「…ちょっと、どいてもらうよ!」ズサァ
アーチャーは、地に寝そべるような形で半身を滑らせ、足先からセイバーに突っ込んだ
いわゆる、スライディングという行為だ
しかし、アーチャーのスライディングの威力は普通のスポーツ選手の比ではなく
摺動面からはまるで閃光のように火花が散り、足先は真空状態となっていた
まともに喰らえば、足どころか下半身が吹き飛んでしまうだろう
壺セイバー「!オイイイイイイ!」グッ
しかし、セイバーもその威力を本能で察したのか
咄嗟に下段ガードで守りを固めてきた
本職はナイトであるセイバーのガードは一級品であり
生半可な一撃ではダメージどころか体を揺らすことすら不可能だ
壺アーチャー「んっ…!」
壺セイバー「オイイイイイイイイイイイイイイ!」
ゴオオオン
2体のサーヴァントは激突し、衝撃が闘技場の地にヒビを入れた
この激突で軍配が上がったのは、アーチャーの方だった
セイバーは肉体にはダメージはほとんどなかったものの
衝撃により体を少し浮かされ、そのまま上空へと蹴り飛ばされた
しかし、アーチャーの攻撃も威力が完全に殺されており、バーサーカーまでは届かなかった
壺セイバー「オイイイイイイィィィィィィィィィィィィィィ……!」
壺アーチャー「やるね。だけどこれで終わり…」
壺ランサー「アアアアアアアアアアアアアア!」
セイバーと入れ替わるように、ランサーが上空からアーチャーめがけて刺突攻撃を繰り出した
落下の衝撃とランサー自身の身体能力が合わさり、当たればアーチャーであろうとただではすまないだろう
ボズッ
壺ランサー「アアアアアア…ア?」
壺アーチャー「上空からの攻撃か、悪くない。確かに頭上というのは人間にとって絶対の死角だ」
壺アーチャー「ただ…メジャーリーガーにはそれは当てはまらない」
アーチャーはランサーの一撃を左手…正確に言えばグローブを装着した左手で受け止めた
槍の穂先を、まるでフライを捕球するかのように掴み、完全に威力を抑えこんでいた
壺アーチャー「しばらく、離れていてくれ…よ!」ブンッ
壺ランサー「アアアアアア……!」ゴオォ
アーチャーは右手で槍を掴み、そのままランサーの体ごと闘技場の壁めがけて投げつけた
ランサーは壁に激しく激突し、一時的に意識を失った
壺ライダー「オオオオオオオオオオオオオオオオン!」ブンッ
壺アーチャー「次から次へと…」スッ
壺アーチャー「ふんっ…」カァン!
壺ライダー「ぶへぇ!」グシャ
アーチャーは冷静にバットを構え、ライダーの放った球体をはじき返した
球体はライダーの体に直撃し、ライダーは後方にすっ飛んだ
桜「す、凄い…!複数人相手なのに、五角以上に戦ってる…!」
士郎「自慢じゃないが俺のセイバーも『ヴァナのイチローですね』と言われた事がある」
凛「本気で自慢にならないわね、それ…」
セイバー「ですが、あれほどの実力者が敵に回ると考えると…厄介ですね」
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアア!」ビュン
壺アーチャー「…」サッ
今度はキャスターが、遠距離から攻撃を仕掛けてきた
先程と同じように、アーチャーはバットを構えキャスターの攻撃を弾き返す体勢を取った
バキィ!
壺アーチャー「…っ!」
しかし、逆にキャスターの一撃の威力に押され、アーチャーのバットはへし折れた
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアア!」ビュン
壺アーチャー「こいつは、驚いた…!」サッ
桜「嘘…!ライダーの攻撃も難なく弾き返されたのに…!」
凛「…キャスターの言ってたことは本当だったのね」
壺アーチャー「やっぱり、僕の行動は間違いじゃなかった。こうして、僕を倒しうる相手とも戦うことができたんだから…!」
以上です
士郎「おい何でキャスターがアーチャーにダメージ与えてるんだよチートは犯罪だぞ!チート使う奴は国家戦力を舐めすぎお前の家の住所ぐらいはすぐにばれる」
セイバー「士郎、キャスターの宝具は、サーヴァント自身が防ぐことはできないのですよ。例え黄金の鉄の塊で出来ているナイトであっても、です」
桜「防ぐことができない…けど回避はできるんですよね?」
凛「…この際だからバラしちゃうけど、キャスターの宝具はどんな手段を用いても『防御』は無意味なの。ダメージを軽減することはできない。その代わり一発で致命傷になることもないけどね」
凛「桜の言うとおり、回避に専念しておけば問題は無いわ。ただ…」
セイバー「この状況で…アーチャーが攻撃を回避し続ける事は難しいでしょうね」
壺セイバー「オイイイイイイイイ…!」ヨロッ
壺ランサー「…アアアアアア…アア…」ムクッ
壺アーチャー「…ちっ。もう少し寝ていてくれ…」
壺ライダー「オオオオオオオオオオオオオン!」バシュッ
壺アーチャー「よっ…!」サッ
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアア!」シュン
壺アーチャー「…!」スッ
セイバー「掠った…!アーチャーの動きをよく観察している…?」
凛「…やっぱりただの狂化じゃないわ、アレ。だんだん動きが精錬されてるもの」
士郎「狂化なら宝具使えないという時点でアレが狂化でないのは証明されたな。俺が思うにただ気がひゅんひゅん行ってるだけではないか?」
桜「このまま連携を組んでアーチャーを襲ってきたら…さすがに厳しいんじゃないでしょうか?」
壺セイバー「オイイイイイイイイ!」バッ
壺ランサー「アアアアアアアアアアアアアアア!」ガッ
壺アーチャー「おっと…!」ガシッ
セイバーとランサーは二人同時にアーチャーに斬りかかった
アーチャーは2体の攻撃を同時に、それぞれ片手で武器の持ち手を抑えこむことによって対応した
壺セイバー「オイイイイイイイイ…!」ググッ
壺ランサー「アアアアアアアアアア…!」ガッガッ
壺アーチャー「流石に…近接特化の2クラス相手に力比べは…ちょっとしんどいね」グググッ
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアア!」シュッ
壺アーチャー「おっと…後ろにもちゃんと気を配ってるよ」サッ
セイバー「――!?違う!本命は前です!」
背後からのキャスターの攻撃を危なげなく躱したアーチャーであったが
その隙を付き、ライダーとセイバーは手を振りほどいた
2体のサーヴァントはそのままアーチャーに攻撃を仕掛けるわけでもなく、左右に散らばった
その間から姿を表したのは、ワゴンカートに乗り猛スピードで突進してくるライダーであった
壺アーチャー「…!」
先ほどまで2体の騎士を抑えこんでいたこともあり、さすがのアーチャーも反応しきれず
ライダーの攻撃によって宙に大きく跳ね飛ばされた
壺アーチャー「やるね…並大抵のキャッチャーでは吹き飛ばされてしまうだろう」
しかし、その攻撃ですらアーチャーに深傷を負わせることはできなかった
アーチャーは冷静に空中で体勢を立て直し、着地に備えた
壺キャスター「ハアアアアアアアアアアアアアアアア!」
壺アーチャー「何…っ!?」
――しかし、その落下予想地点に向けて、既にキャスターの宝具が数発放たれていた
壺アーチャー「…っ」シュウウウ
桜「攻撃が…当たっちゃいました…」
凛「なんてえげつない連携してるのあいつら…チームワーク抜群じゃない」
桜「このままだと…アーチャーまで…」
士郎「ネガはやめておけといっているサル。あまりストレス貯めると病院で栄養食を食べる事になるぞ」
桜「…なんで先輩はそんなに呑気なんですか!今の状況わかってるんですか!?リアルで痛い目見たいんですか!?」
セイバー「桜、落ち着いて。…彼のクラスを思い出してみてください」
桜「クラス…?アーチャーはアーチャーじゃ… あっ」
セイバー「そう。彼は『弓兵』、つまり弓矢ではないにしても、飛び道具を駆使して戦うクラスです」
セイバー「彼は今、敵の力量を見極めるために、自分の能力が制限されるのを承知の上であえて相手の得意な間合いで勝負を挑んでいるのでしょう」
セイバー「…本領を発揮した彼の実力は、まだまだこの程度では無い筈です」
以上です
壺セイバー「オイイイイイイ…!」
壺ランサー「アアアアアアアアア…!」
セイバーとランサーは傷を負い動きを止めたアーチャーに対し同時攻撃を仕掛けた
2体の攻撃がアーチャーに命中しようかというその瞬間
2体のサーヴァントは遥か後方に吹き飛ばされた
桜「え…?何が…?」
セイバー「あれは…鉄球…いえ、ただの…革の球、ですか?」
アーチャーは2体に対してボールを放ち迎撃していた
その速度、威力は凄まじく、攻撃を喰らった2体のサーヴァントが吹き飛ぶ様は
傍から見ているだけでは球を視認できず
まるでサイコキネシスでも起こしたかのように錯覚するであろう
壺アーチャー「君たちの実力は…予想以上だったよ」
壺アーチャー「実に楽しい戦いだった。だからこそ…とても惜しい」
壺アーチャー「万全の状態の君たちと対戦できないのは、ね」
アーチャーの全身は溢れんばかりの闘気を纏っており
大気は震え、球を握る右手には力と魔力が込められている
壺アーチャー「だから、君たちには少し眠っていてもらう。目が覚めた時には正気に戻っていると思うよ」
壺アーチャー「まぁ、ショック療法みたいなものだと思えばいいさ。多少荒療治になるけど、しょうがないだろ?」
壺アーチャー「かなり威力は抑えるつもりだけど…この一撃で沈まないでくれよ」
セイバー「あの魔力…おそらく宝具を使うつもりですね」
凛「え?ここで?…マズイんじゃない?私達巻き込まれない?」
セイバー「闘技場のフィールド効果があるので私達は大丈夫でしょう。…問題はサーヴァントの方です」
壺アーチャー「――行くぞ。メジャーリーガーの真髄、篤と味わうがいい」
アーチャーはそう言うと、遥か上空へと跳躍した
その高度は、ランサーのそれをも凌いでいた
アーチャーは上空で大きく腕を振りかぶり、地上へ向けて投球した
放たれた硬球は激しく発光し、轟音は軌道の後から付いてきた
それはさながら彗星の顕現だった
――メジャーリーガーとして、その強肩で何人もの走者を仕留めた逸話から生まれた
アーチャーの代名詞とも言える宝具
そのあまりの早さと精密さにより、授けられた名は『レーザービーム』
アーチャーが絶対の信頼を置く宝具が、闘技場を焼き尽くそうとしていた
以上です
地の文と戦闘描写いやーキツイっす
~~~~
言峰「これは…想像以上だな」
壺アサシン「アーチャーのことでちゅか?」スッ
言峰「戻ってきたか、アサシン。…その通りだ。まさか向こうから乱闘に参加しに来るとは。流石に予想外だった」
壺アサシン「案外普通に誘ったら素直に付いてきてくれたかもしれまちぇんね。しかしちょっと目を話した隙に面白いことになってまちゅ」
言峰「バーサーカーの存在は我々にとっては僥倖だったな。心置きなくサーヴァントに暴れてもらうことができる」
壺アサシン「けど今はアーチャー対他のサーヴァント全員になってまちゅわ。一方的な戦いになるんではないかちら?」
言峰「そうでもないぞ。よく見てみろ」
壺アサシン「…うわぁ、こいつはとんだチートキャラでちゅね」
言峰「ある程度は想定していた結果ではあるが…ここまで実力に差があっては困るな。調整が必要だ」
言峰「とは言え、キャスターの意外な活躍もあり…この勝負は拮抗状態と言った感じだな」
壺アサシン「…どこが拮抗状態でちゅか。アーチャー、宝具を使おうとしてまちゅよ」
言峰「…!?サーバーへの負荷が異常な数値まで跳ね上がっている。これは…アーチャーの影響か?このままではサーバーが吹き飛びかねん」
壺アサシン「早いところ対策しておいたほうがいいんじゃないでちゅか?テストプレイの段階まで来てデータロストなんて笑えまちぇんよ」
言峰「くっ…。仕方あるまい、緊急メンテナンスだ。一時的に闘技場以外の全てのフィールドギミックを解除。それらを構成していた魔力を闘技場周辺に集結」カタカタ
言峰「魔力全てを使い闘技場周辺に結界を同心円状に設置。アーチャーの宝具の威力と範囲を出来るだけ抑えこむ」
壺アサシン「あ、アーチャーが宝具を使いそうでちゅわ」
言峰「…さて、どうなる」
~~~~
アーチャーの宝具による激しい発光によって
マスターたちは一時的に視界を奪われていた
轟音と衝撃が辺りを包み、やがて静寂に包まれた時
彼らは視力を取り戻した
凛「は、はははは…」
桜「そんな…!」
セイバー「確かに、闘技場のフィールド効果により私達は無事のようです。ですが…」
士郎「…闘技場がそこにいたのにいなかったという表情になる」
先ほどまで自分たちが見ていた風景はそこにはなかった
アーチャーの宝具は全てを吹き飛ばし
見渡す限り一面、闘技場の跡地は荒れ果てた広野と化していた
桜「…!?ライダー!ライダーは無事!?」
壺アーチャー「心配はいらないさ」
セイバー「…!アーチャー!」
壺アーチャー「自分たちのサーヴァントを信じてあげなよ。彼らはそんなにやわじゃない。戦ってみてそれは確信できた」
壺アーチャー「ただ…しばらくは安静にしたほうがいいだろうね」
凛「…!?」
壺セイバー「……ォ…ォィィ…」
壺ランサー「ぅ………」
壺ライダー「オ………ン…」
壺キャスター「………」グッタリ
セイバー「ランサー!くっ…ひどい傷だ」
士郎「セイバー!お前マスターの許可も取らず倒れるとかまじぶっころしょ?早く目を覚ましテ!」
凛「…よかった、致命傷ではないみたい。意識を失ってるだけのようね」
桜「助かった、終わったかと思いましたよ」
壺アーチャー「言ったとおりだろう?彼らはやわじゃないって。まぁ威力も抑えたし、直撃もさせなかったからね」
壺アーチャー「尤も、バーサーカーくらいは仕留められたと思ったんだけどな」
アーチャー「…」
壺バーサーカー「…」
そう言うとアーチャーは、バーサーカーの方に視線を向けた
その目には明確な敵意が宿っていた
壺アーチャー「成程、マスターの影に隠れていたのか。ここではマスターは攻撃の影響を受けないらしいからね」
壺アーチャー「…ここから東にしばらく行ったところに、癒しの湖と呼ばれるフィールドがある。おそらくそこのギミックは治癒能力の向上だ。君たちはそこでサーヴァント達をゆっくり休めてやるといい」
セイバー「…私達を見逃すというのですか」
壺アーチャー「当然さ。君たちとはもっとちゃんとした形で決着を付けたい。傷が完治するまで決着はお預けだ」
壺アーチャー「――バーサーカー、君達以外はな」
アーチャー「…ほう」
壺アーチャー「君達の実力の底は知れた。結局は自分で戦う力を持たない寄生虫のようなサーヴァントだ。君達に期待することはもう何もない」
壺アーチャー「ここで終わらせてもらうよ、バーサーカー」
桜「…セイバーさん、行きましょう。私達がここにいてもしょうがないです」
セイバー「…そのようですね。ランサーの回復に専念しなくては」
士郎「…じゃあな、カス猿」
凛「アーチャー…助けてあげられないけど、悪く思わないでよね。先に仕掛けてきたのはあなたなんだから」
凛達マスター4人は、闘技場の跡地を離れた
口には出さなかったが、全員が同じことを確信していた
『――バーサーカー陣営は、今日ここで確実に脱落する』と
以上です
~~~~
言峰「…マズイな、これは」
壺アサシン「とんでもないサーヴァントでちゅね、こいつは…」
言峰「何とかサーバーへの負荷は最小限の被害に留めたが…宝具を使うたびにこれではやってられん」
壺アサシン「それに、単純に強すぎまちゅね。相手するには、サーヴァント同士が手を組まないと戦闘にすらなりまちぇんわ」
言峰「…いまさら弱体化するわけにもいかん。かと言って素直にアーチャーを戦わせてはゲームが成立しない。ここは特殊ルールを追加するとしよう」
壺アサシン「どうするつもりなのでちゅ?」
言峰「まず1つ。アーチャーが最後まで勝ち残った場合、アーチャー陣営以外のマスターは賞金が発生しない」
壺アサシン「うわ~…報酬で釣っておきながら今更破棄とか…最悪でちゅね、それ」
言峰「これで奴らに『アーチャーを優先的に倒さなければいけない』という意識を植え付ける。そして2つ目だ」
言峰「アーチャーを倒した場合…令呪を合計で4画…いや、6画支給することとする」
壺アサシン「ほほう…さっきと打って変わって大盤振る舞いでちゅわね。けど、アーチャー相手に勝つのは不可能だと思いまちゅけど」
言峰「単独では、な。当然、アーチャーの実力を考えれば…お前の言うとおり複数体のサーヴァントでかからなければ相手にはならない」
言峰「いや、よくよく考えれば…残った4体のサーヴァント全員が手を組まなければ、勝利の可能性すらないだろう」
壺アサシン「なるほど、それでまとまった数の令呪を報酬にするわけでちゅね。分配しやすいように。それにしても残った4体って…まるでバーサーカーの敗北が確定しているみたいでちゅわね」
言峰「ほぼ確定と言って良いだろう。そんなレアケースを追っている状況でもあるまい」
壺アサシン「まぁ、たしかにそうでちゅけど。しかし、4体で6画っていう割り切れない数にする辺り悪意を感じまちゅわ…」
言峰「兎も角。これだけお膳立てをしてやれば、残ったマスターは嫌でも同盟を組む気になる筈だ。端末の情報を更新しておいた。明日以降の動向に注目といったところだな」
ちょこっと更新
以上です
~~~~
桜「…これからどうすればいいんでしょうか」トボトボ
士郎「下手にアーチャーに手を出さないほうがいいだろうなあいつパンチングマシンで100とか出すし。君子危うきに近寄らずという名セリフを知らないのかよ」
セイバー「私も同じ考えでしたが…そうはいかないようです。端末を確認してみてください」
凛「ん?情報が更新されたの?…!?何よこれ!」
士郎「ちょとsYレならんしょこれは・・?詐欺は犯罪だぞ紀伊店のか」
桜「アーチャーを倒さないと…報酬0、ですか…!?」
セイバー「神父はどうあっても我々をアーチャーと戦わせたいようですね。報酬の令呪の数を見る限り…同盟を組めということでしょうか」
凛「…ふぅん」
セイバー「…凛、厚かましい願いだということは十分承知しています。ですが」
凛「そりゃ、そう来るわよね。さっきの戦いを見る限り、アーチャーに効果的なダメージを与えることができたのはキャスターの攻撃だけ」
凛「かといってキャスターだけじゃアーチャーの攻撃を凌ぐことはできない。…いいわ、同盟を組んであげる」
士郎「流石に遠坂は格が違った。同じ時代を生きただけのことはあるなー」
凛「ただし!もし勝てたら、報酬の令呪は私が3つ貰うわ!」
セイバー「…!」
凛「文句無いでしょ?アーチャーを倒したら、まず私達が狙われるんだから」
士郎「お、おい遠坂!謙虚じゃないナイトに未来はにいぞ!」
桜「…姉さん、何調子に乗ってるんですか?本気出しますよ?」
凛「そう。だったらあなた達のサーヴァント3体だけでアーチャーをどうにかすることね」
セイバー「…いえ、要求を呑みましょう、凛。令呪の分配はあなたが3つ、私達がそれぞれ1つずつ。それで構いませんね?」
桜「な…!セイバーさん!」
セイバー「凛の言うとおり、我々は同盟を組んで凛を積極的に排除しようと画策していました」
セイバー「…今更になってこの主張はあまりにも都合が良すぎる。凛の要求は当然の権利でしょう」
凛「あら、わかってるじゃない」
セイバー「しかし…これで貸し借りはなしです。アーチャーを討伐した後は、改めて同盟を組んであなたと敵対するかも知れません」
凛「文句はないわ。それでいきましょう。こっちだって、アーチャーを倒さないと報酬がもらえないんだから」
セイバー「では、決まりですね。同盟の最優先事項はアーチャーの討伐。それまでは協力関係です。二人もそのようにお願いします」
士郎「普通だったら報酬のことで文句言う奴がぜいいんだろうが俺はいさぎよい武の心でながすことにした」
桜「…勝ったと思わないでくださいね」
凛「もう勝負ついてるから」
~~~~
壺アーチャー「さて…彼らの姿も見えなくなった。これで周りに配慮する必要も無くなったな」
壺アーチャー「覚悟は決まったかい?バーサーカーとそのマスターよ」
壺バーサーカー「…」
アーチャー「随分自信ありげだが…どんな確証を持ってバーサーカーを倒せると主張しているのだ、君は」
アーチャー「君にとっては未知のサーヴァントであることは変わりないだろう。まさか真名を看破したとでも言うつもりか?」
壺アーチャー「そんなハッタリをかませるとは落ち着いてるね。だけど、真名を看破する必要などはない」
壺アーチャー「いや、むしろ…そのサーヴァントに真名など存在しない、といったほうが正しいかな?」
アーチャー「…!」
壺アーチャー「僕の考えを言おうか。そのサーヴァントは、複数の逸話の集合体…つまり、逸話によって模られた、中身の無い英霊だ」
壺アーチャー「ある『共通項』を持った逸話が集結し…容器だけが形成され、内容物が空っぽの虚無の存在…それがバーサーカーだ」
壺アーチャー「狂化により理性を失っているわけではなく、そもそも人格というものが存在しないのだろう」
壺アーチャー「その容姿も逸話の中から適当に選出されただけだ。所詮は寄せ集めってことだな」
アーチャー「…そこまで見極めていたとはな。私がバーサーカーというサーヴァントを理解するのに、どれだけ時間と手間をかけたことか…やれやれ」
壺アーチャー「そして、その『共通項』というのが…彼らを狂わせたものと何か関係があるんじゃないか?」
壺アーチャー「残念ながらバーサーカーの攻撃は僕には通じていないから、それが何かは分からない。まぁ分かる必要も無いか」
壺アーチャー「謎解きタイムはここでお終いだ」グッ
アーチャー「…君の言うとおり、バーサーカーは、他のサーヴァントと違い特定の形を持った英霊ではない」
アーチャー「『2ちゃんねる』上に存在するある種類の逸話(コピペ)が一処に集まり顕現した、無形の存在」
アーチャー「数は多いが、その一つ一つに英雄を作り出す程の特別な信仰があったわけでもなく…他の多くの逸話(コピペ)の一つとして語られるのが関の山と言ったところだ」
アーチャー「だが…こういう考えはどうだろうか。バーサーカーを構成する逸話の中から…」
アーチャー「君をも倒し得る逸話を探し出し、それを以って戦いに挑むというのは」
壺アーチャー「…へぇ。面白い考えだね。だけど、そんなことは不可能だろう?」
アーチャー「普通の手段であれば、な。もともとそのような戦い方を想定しているサーヴァントでもないだろう」
アーチャー「ただ…バックアップがあればどうだ?小規模の奇跡を自発的に引き起こせるような、そんな都合の良いものが存在していたとしたら?」
壺アーチャー「…令呪、か」
アーチャー「そうだ。令呪の力を使い、バーサーカーに内包された逸話を引き出す。…勿論、成功するという確証はどこにもない。これは賭けになるな」
アーチャー「尤も…それさえも妨害されたら、その時点で敗北は確定だがね」チラッ
文字通り、それは大きな賭けだった
アーチャーが令呪の使用すら許さず、攻撃を仕掛けて来れば敗北は必至
アーチャーの自尊心と好奇心を刺激することが、この場での唯一の希望だった
壺アーチャー「――いいだろう。その挑発、受けて立つよ」
壺アーチャー「ただし、君には乗り越えなければいけない、2つの大きな試練がある」
壺アーチャー「まず1つ目は逸話の内容を問題なく引き出すこと。当然だな。これができなければお話にならない」
壺アーチャー「そしてもう1つは、その逸話を駆使して…僕を倒すこと」
壺アーチャー「僕自身、興味が湧いたよ。たかがネット上の、1つの書き込みに過ぎないモノでどうやって僕を倒そうとしているのか」
壺アーチャー「少しは期待しているんだ。あんまりがっかりさせないでくれよ?」
アーチャー「…善処しよう」
壺バーサーカー「……」
アーチャー「令呪を以って命じる。…重ねて令呪を以って命じる。――駄目押しだ。重ねて令呪を持って命じる」
壺アーチャー「一気に3画を消費か。思い切りがいいね」
アーチャー(もとより、これくらいでなければ引き出せる力ではあるまい。ただでさえバーサーカーというクラスは不安定なのだ)
アーチャー(呼び出すのは、唯一つ。――この最強のサーヴァントに、確実な死を与える逸話…!)
アーチャー「――バーサーカーよ……」
~~~~
桜「セイバーさん!姉さんはどこですか!?」
セイバー「どうしたのですか?桜。凛なら、先程キャスターの様子を見に行くと行って湖の方に向かって行きましたが」
桜「…!…運がいいですね。このタイミングで情報が更新されるなんて…」
セイバー「…もしや、端末に新しい情報が?」
桜「ええ。…アーチャーが、脱落しました」
セイバー「アーチャーが?…そうですか。ですが仕方のない事です。あの圧倒的な戦闘能力の前では…」
桜「違います!そっちのアーチャーさんじゃないんです!」
セイバー「え…?……!?まさか、そんな事が…!?」
桜「脱落したのは、サーヴァントのアーチャー。倒したのは…バーサーカーです!」
以上です
~~~~
ライダー「…あれ?」シュウウ
ライダー「ここは…教会?」
ライダー「あれ、もしかして…アーチャーがやられたのですか!?」
ライダー「…私、まだ何もしてないのですが…」
ライダー「…ひとりきりは寂しいですね。誰か早くこっちに来てください…」
~~~~
言峰「…やってくれたな」
壺アサシン「ひえええ。アーチャーを単独で倒ちゅなんて…。しかも最弱候補のバーサーカーが。これはとんだ番狂わせでちゅわね」
言峰「同盟を組ませるための小細工も全て水の泡だ。全く面倒なことをしてくれる」
壺アサシン「…その割には嬉しそうでちゅね」
言峰「…ふっ。結果のわかりきった試合ほどつまらないものはない。バーサーカーのお陰で、聖壺戦争の行末が全く予想できないものになったのは事実だ」
言峰「素直に彼らの健闘を讃えようではないか。それに…」
言峰「令呪を3画消費することで、あのアーチャーですら仕留めることができるサーヴァントに…令呪が新たに6画支給される」
言峰「これの意味するところがどういうものか。――今後の動向が楽しみではないか」
~~~~
シュウウウ…
アーチャー「…アーチャー、君は間違いなく最強のサーヴァントだった」
アーチャー「いや、それだけではなく…最高峰の判断力、分析力を持ち合わせた…最高のサーヴァントであった」
アーチャー「だが、君は一つだけ大きな思い違いをしていた。それが君の敗北に繋がったのだ」
壺バーサーカー「……」
アーチャー「私が乗り越えるべき試練は2つなどではなく…1つだけだった」
アーチャー「アレを再現出来た時点で……私の勝利は確定するのだから、な」
アーチャー「…くっ…令呪を3画消費した上に、魔力も根こそぎ持って行かれた…正真正銘最後の切り札であったのだから当然だが」
アーチャー「アーチャーを仕留められただけも十分過ぎる成果ではあるが…これからどうすべきか…ん?」ピカア
アーチャー「…!?令呪が…復活している…!?」
アーチャー「いや、復活どころではない…!一気に6画も宿っている。これは一体…」ピッ
アーチャー「…成程。アーチャーを仕留めた報酬、というわけか」
アーチャー「流れは確実に私に向いている。この状況をうまく活かすためには…」
アーチャー「…フッ。私が出向くまでもなく、向こうから接触を試みるであろう人物に一人心当たりがあるな」
~~~~
壺キャスター「マスター、俺の傷もまだ完全に癒えてはいないんだ。もうちょっとゆっくりできないのか?」
凛「そんな場合じゃないのよ!あなた、狂っている時のこと何も覚えていないの?」ダッダッタ
壺キャスター「…いや、かすかになら。あのアーチャーの凄まじさは言うまでもなく、な」
凛「だったら話が早いわ。心して聞いてちょうだい。…やられたのよ、アーチャーが。それもバーサーカーに!」
壺キャスター「…冗談だろ?アーチャー以外のサーヴァント全員でかかったって勝てるかどうか怪しいのに…それをあのバーサーカーが倒しただと?」
凛「ええ。私だって今でも信じられないわよ。…けど、私達にとって大事なのはここからよ」
凛「アーチャーが倒された、ってことは…もう同盟を組む必要もなくなったのよ。つまり私達はお払い箱って訳」
凛「あのままあそこに留まっていたら、間違いなく次の標的になってるわ!桜達が追いかけてこないうちに、なるべく遠くに逃げないと」
壺キャスター「宛もなく逃げまわっても体力を消費するだけだぜ。相手の意表を付くために、あえて近くに留まっておくっていうのはどうだ?」
凛「それはダメ。セイバーには感付かれちゃう。それに…一応宛はあるのよ」
壺キャスター「ほう…聞かせてくれ」
凛「…バーサーカー陣営との同盟を試みるわ。数的な優位差を覆すには、これしか無い…!」
壺キャスター「…ははは。あっちへ行ったりこっちへ行ったり忙しいな。俺達はコウモリか」
凛「五月蝿い!」
以上です
~~~~
桜「…駄目です。姉さんはどこにも見当たりません」
壺ライダー「アーチャー脱落の情報を見て即座に逃亡を決めたのだろう。状況判断の早さは見事だな」
壺セイバー「遠くにいたと思ったら近かったということは稀によくあるらしいぞ?」
セイバー「…今回はそれはないでしょうね。先日凛は同じことを試みました。以前看破された物と同じ策を繰り返すような真似はしないはずです」
セイバー「彼女は優秀ですが、同時に素直な思考の持ち主だ。私の裏をかいて…というような発想には至らないでしょうね」
士郎「それは単純と言うのではないか?まあ一般論でね」
壺ランサー「やはり、バーサーカー陣営と接触しようとしてると見るべきか」
セイバー「その可能性は非常に大きいと見ています。ああ見えてマスター同士気の置けない仲でもありますし…アーチャーの方も素直に同盟に応じるのではないでしょうか」
壺ランサー「ただでさえバーサーカーの能力の底が知れないというのに、戦力が増えるのはやっかいだな…」
壺ライダー「私はそう危惧することもないと思っているぞ?アーチャーを倒した方法が何かはわからんが、そもそも気軽に使えるものならまず我々が犠牲になっていただろう」
壺ライダー「バーサーカー陣営も何か犠牲を払って決死の覚悟でアーチャーを倒したはずだ。付け入る隙はきっとある」
壺セイバー「…バーサーカーといえば、あれについて貧弱一般マスターたちに知らせておいた方がいいと思った(この辺の心配りが人気の秘訣)」
壺ランサー「むっ…ブロントさんの言うとおりだな。我々を狂わせたものについて、マスター達も注意しておいたほうがいいだろう」
セイバー「そういえば、そこは大切なところですね。バーサーカーは一体あなた達に何をしたのですか?」
壺ランサー「アイツがやったことは…こっちを見ただけさ」
士郎「お前頭わりぃなそれだけで」
桜「先輩黙っててもらえますか?」
壺ランサー「…バーサーカーの『眼』に、気をつけろ」
~~~~
アーチャー「…やはり来たか、凛」
凛「アンタもまだここに残ってたってことは…目的は同じみたいね」
凛「同盟を組んでるあの3人を相手にするつもりでしょう?…手を貸してあげるわ」
アーチャー「手を借りたい、の間違いじゃないのか?まぁ、こちらとしても手駒が多いほうが助かるがね」
凛「相変わらず口の減らない奴…。で、どうなの?手を組むの組まないの?ハッキリさせてちょうだい」
アーチャー「そう睨むな。言っただろう、手駒が多いほうが助かると。君と手を組むのはこちらとしても願ったりかなったりだ」
凛「だったら…」
アーチャー「ただし…凛、私はまだ君を信用しきれないのだ。もしかしたら君が未だに衛宮士郎たちと協力関係にあり、スパイとして我々の情報を入手しようとしているのでないか、とね」
凛「はぁ!?そんな訳無いでしょ!そんなことしたって賞金の大半は向こうに持って行かれちゃうじゃない!」
アーチャー「理由など、提示された条件次第でどうにでもなる。だからこそ、凛。君に潔白を証明して欲しいのだ」
アーチャー「自分が立ち位置をふらふらと変えていることは自覚しているだろう?」
凛「…どうすればいいっていうのよ」
アーチャー「簡単な話だ。ここで令呪を一画消費して貰おう。そうすれば私も君を信じられる」
凛「…!そんなことに令呪を使えっていうの……?」
壺キャスター「…」
アーチャー「おっと、そんなに睨まないでくれ、キャスター。…嫌だというのなら、仕方があるまい。この話はここで終わりだ」
凛「…令呪を以って命じるわ。キャスター…アイツをおもいっきり睨みつけてやりなさい」
壺キャスター「…」
凛「…どう!これで文句無いでしょ!?」
アーチャー「上出来だ。では、今後の方針について話し合うとしよう」
~~~~
セイバー「眼、ですか…」
壺ランサー「アイツの眼を見た瞬間…とても嫌な幻覚を見せられてね」
セイバー「幻覚?…それがあの狂化に繋がったということですか。具体的にはどのような?」
壺ランサー「思い出したくもない過去…いや、過去ということになっている映像、というべきかな。我々壺のサーヴァントには過去など無いからな」
壺ランサー「サーヴァントとして現界されるにあたって、『そういう風なもの』として設定されたトラウマ。それを奴は見せてきた」
セイバー「…精神干渉系の能力でしょうか。いずれにせよこちらの数的優位性を覆しかねない厄介なものですが…」
壺ライダー「…優位性、か」
桜「…?どうしたの、ライダー」
壺ライダー「少し思うところがあってな。聞いてくれるか?マスター」
~~~~
アーチャー「ブロントにリューサン、そしてやるオプーナ、か…」
壺キャスター「まず間違いないぜ。どいつもこいつも特徴的な奴ばかりだ」
壺キャスター「ま、こっちの真名もとっくにバレてるだろうけどな」
アーチャー「奴らとの戦いでは君の宝具をどれだけ当てられるかいうのが鍵となりそうだ。フィールドはやはり森を選ぶべきか」
凛「…それよりも、アーチャー。私達は手持ちのカードを切ったのよ?自分だけ何も情報を提示しないで済ませるつもり?」
アーチャー「切り札についてはまだ情報を伏せさせてくれ。君の動向次第で戦いの最中敵に悟られる危険性がある」
凛「だったら、せめてバーサーカーの真名くらい教えなさいよ。どんな実力のサーヴァントかわからなければ、共闘しようがないわ」
アーチャー「うーむ…。その考えは理解できるが、実際そう言われても困るのだ。バーサーカーには真名など存在しないのだからな」
凛「は?何よそれ」
アーチャー「バーサーカーはある特定の逸話の集合体だ。個を形成するサーヴァントではない」
アーチャー「敢えて真名を付けるとしたら…そうだな、それらの象徴とも言える逸話を基にして…」
アーチャー「――『邪気眼使い』、といったところか」
以上です
~~~~
言峰「…そもそも、バーサーカーは実験体として作ったサーヴァントだった」
壺アサシン「実験、でちゅか」
言峰「他のサーヴァントは、複数の逸話や信仰に大勢の人間が関わり、個を形成している」
言峰「セイバーを例に挙げると、奴の人格を作り上げているのは…ある特定の人物の物とされる複数の書き込み」
言峰「またそれらの書き込みに感化された者達による、それを真似た書き込み…俗にいう『ブロント語』というやつだな」
言峰「書き込みの内容、そして書き込んだ人物がバラバラであっても、それらは一体感を生み出し…ひとつの『キャラクター』を形成した。それが壺のセイバー、ブロントだ」
言峰「このように、基本的にサーヴァントとして呼ばれるのは、『複数の逸話や大きな信仰により、一つの人物像が形成された存在』なのだ」
言峰「だが、このバーサーカーは違う。奴を構成しているのは、2ちゃんねる上で書き込まれた…主にファンタジー系統に重きを置いた痛い妄想」
言峰「つまり、『邪気眼』と呼ばれるコピペ群であり…そこには個を形成するだけの信仰はない」
言峰「当然だな。それらに共通しているのは…聞いているだけで恥ずかしくなるような痛い妄想、という点だけで、所詮は個人個人が好き勝手に妄想しているだけに過ぎないのだから」
言峰「言ってみれば…邪気眼という『ジャンル』そのものをサーヴァントにしたものがバーサーカーというわけだ」
壺アサシン「なるほど。ホラーやラブコメ、みたいな分類の一つとして…『邪気眼』というジャンルを一纏めにして呼び出したんでちゅね」
壺アサシン「でも、何でわざわざそんなことを?」
言峰「言っただろう。実験だと。もしそのようなことが可能であれば、呼び出せるサーヴァントの幅が広がるからな」
言峰「最初は失敗だと思ったがね。辛うじて肉体が存在するだけで、攻撃さえまともに出来ないサーヴァントだと」
壺アサシン「だけどここに来て思わぬ大躍進でちゅわね」
言峰「マスターに恵まれたな。ここまでやってくれるとは思わなかった」
言峰「だが、依然として不安定なサーヴァントであることには変わりない。誰が勝ち残るかは今後の展開次第と言ったところか」
言峰「テストプレイもこれで五回目。今回こそはうまくいってくれるといいのだが」
言峰「――『アヴェンジャー』を呼び出すために、な」
サーヴァント紹介②
【CLASS】アーチャー
【マスター】ライダー(メドゥーサ)
【真名】全盛期のイチロー
【出典】ニュー速VIP
【触媒】折れたバット
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具A++
【クラス別スキル】
対魔力:A
Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。
単独行動:A+
マスター不在でも行動できる能力。
【保有スキル】
心眼(真):A
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
メジャーリーガー:A+++
己の精神と肉体を駆使し、世界最高の舞台で戦う偉大なる挑戦者に与えられるスキル。
A+++までいくと精神攻撃は100%シャットアウトし、物理攻撃も7割ほどダメージを低減できる。
また、言語が堪能になる、戦いの気配を敏感に察する等の副次的効果もある。
【宝具】
『投げ穿つ死翔の球(レーザービーム)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人
本塁への送球の凄まじさからその呼び名がついた全盛期のイチローを象徴する宝具。
球を投擲するだけのシンプルな攻撃方法だが、威力は絶大。
それだけでも強力な宝具だが、本領を発揮するのは『自分で放ったレーザービームを自分で打ち返した時』であり
その場合は対軍宝具から対城宝具へと種別が変化し、速度、範囲、威力全てが大幅に上昇する。
以上です
宝具の当て字は基本的に既存のパクリです
~~~~
セイバー「バーサーカー対策としては…単純ですが眼を見ずに戦う以外無いでしょうね。セイバーやランサーにも効いていたところを見ると対魔力では防げないようですし」
士郎「キャスターの宝具も大麻力を貫通するらしいぞ 同時に攻撃されたら守るのがやっとという風になるのではないか?」
セイバー「その分、サーヴァントとしての地力はこちらが上です。3体でかかれば突破は可能でしょう」
桜「…その事についてなんですけど…少し、話を聞いてもらえませんか?」
セイバー「?どうしました、桜」
桜「えっと…その…」
壺ライダー「いや、いいんだ、マスター。私の我侭だ。私の口から伝えよう」
壺ライダー「このまま3対2でバーサーカーたちと戦うのは…気が進まない」
セイバー「…!?」
壺ランサー「…どういうつもりだ、ライダー?」
壺ライダー「いや、済まない。これも正確ではないな」
壺ライダー「…私は、先にセイバーと決着を付けたいのだ。互いに万全な状態のうちに、な」
壺セイバー「…ほう」
セイバー「そんな…!?バーサーカー達を倒してから、改めて戦いを挑めば良いではないですか!」
壺ライダー「相手はあのアーチャーを倒したサーヴァントだ。互いに無事生き残るとは限らない」
壺ライダー「仮に生き残ったとしても…満身創痍では意味が無い」
壺ライダー「今、この場においては…お互いに宝具も令呪も万全な状態だ」
壺ライダー「あの時の戦いの決着を今、ここで付けたい」
セイバー「…桜。あなたはどう思っているのです」
桜「…私は、ライダーの望みを叶えてあげたいと思っています」
桜「セイバーさん。私達にとっては、聖壺戦争はただのゲームです。ここで勝っても負けても、私達の生活に変化があるわけではありません。また元の日常に戻ります」
桜「だけど、ライダーにとっては…いえ、ここで召喚されたサーヴァント達にとっては…この戦いの間だけが全てなんです!聖壺戦争のためだけに呼び出されて、戦いが終わればまたデータの一部に戻ってしまう」
桜「…だから、ライダーには後悔してほしくないんです。例え短い間しか存在できない自我だとしても…」
セイバー「…」
壺ランサー「――マスター、私からも頼む。ライダーの望みを聞き入れてやってくれ」
壺ランサー「実を言うと、私も3対2で戦うのはちょっと気が引けててね…せっかく騎士クラスとして呼び出されたんだから、正々堂々戦ってみたいんだ」
壺ランサー「こっちのほうが有利な状況じゃ、己の力全てを振り絞って戦う、ってことがなかなかできないかもしれないしね…」
壺ランサー「僕も、ライダーの話を聞いて覚悟を決めたよ。バーサーカー達との戦いでは、私の全てを出しきると」
セイバー「…そうですね。いえ、私が愚かでした。命も懸けていない私が、戦士の覚悟に水を差すなど…」
セイバー「――心置きなく決着を付けてください、ライダー。あなたとセイバー程の勇士であれば、どちらが生き残ったとしてもバーサーカーには負けない筈です」
桜「セイバーさん…!」
壺セイバー「おいィ?何当事者抜きで話あってるわけ?」
壺ライダー「不満か?セイバー」
壺セイバー「――ナイトであればバーサーカーごときチョロいもん。例え2対2であったところでこちらの勝利は確定的に明らか」
壺ライダー「そんなナイトに対し喧嘩を打ってきた命知らずの騎兵がいた!もう結構ウデとか血管血走ってるから騒ぐと危険 ここで思い知らせてやる必要があると思った」
壺ライダー「…すまないな。感謝する」
壺セイバー「感謝するくらいならおれは牙をむくだろうな かかってこいよ雑魚」
壺ライダー「…ああ!行くぞ、セイバー」
士郎「セイバー…無理はしないふぇ下さい(約束)」
壺ライダー「オプーナとFF11…どちらがより素晴らしいゲームか、思い知らせてやろう!」
以上です
ライダーとセイバーは対峙し、しばらくにらみ合いを続けた
お互い、最初に繰り出す一手を探っているようだった
壺ランサー「…マスター、この戦いをどうみる」
セイバー「闘技場での戦いを見た限りでは…セイバーの方が有利かと」
壺ランサー「へぇ…それはどうしてだい?」
セイバー「ライダーというクラスの肝は宝具となる乗物です」
セイバー「しかし、このライダーの場合…肝心の乗物が、宝具としては力不足に感じます。あの時、攻撃が直撃したアーチャーはほぼ無傷でした」
セイバー「宝具による機動力と突破力を駆使して戦うのがライダーの常道でしょうが…生半可な攻撃ではこのセイバーには通じない」
壺ランサー「それでライダーが不利、と。だけど、マスター。彼らは一度戦っているそうじゃないか。もし力の差に開きがあったのなら、そこで決着がついていてもおかしくないぞ?」
セイバー「…その通りですね。お互いどう攻めこむのか、見せてもらいましょう」
先に仕掛けたのはライダーの方であった
ライダーはワゴンカートを呼び出し、それに乗り込んだ
壺セイバー「…」グッ
そしてそのまま――大きく後ろにバックした
壺セイバー「は?」
壺ライダー「距離を詰めるわけ無いだろ!バーカ!」
そのままライダーはセイバーとの距離を保ちながら
セイバーを中心に円を描くように高速で周回し始めた
壺セイバー「!おい馬鹿やめろ!」ダッ
壺ライダー「もう遅い!オラァ!」ヒュン
壺セイバー「ウボァ!」ドガ
ライダーは高速で移動しながら、頭部にある球体
『エナジーボンボン』を投擲しセイバーに攻撃を仕掛けた
セイバー「飛び道具……!そうか、ライダーの主な攻撃手段は頭の球体の投擲。あれなら、接近しなくても攻撃できる」
壺ランサー「加えて、あの変な乗物による機動力のお陰で、攻撃のタイミングが掴めない」
壺ランサー「全方位から繰り出される予測の付かない一撃。さすがのブロントさんも手を焼くだろうさ」
セイバー「…ですが、あの球体の射程はそれほど長くないようです。だからこそライダーもあの距離を保っているのでしょう」
桜「その調子よ!頑張って、ライダー!」
壺ライダー「シャオラアアアアアアアアア!」ブン
壺セイバー「ちい!ウザイなお前!」キン
セイバーは、ライダーの攻撃を腕に、足に、背中に
全身の至る所に喰らい続けた
ライダーとしても一撃の重さよりも数を優先しているのか
攻撃の一つ一つのダメージはさほど大きくはなかった
しかし、一度手を合わせたことでライダーは確信していた
このセイバー相手には、『一撃』を当てようとするのは滑稽だと
耐久の高いセイバー相手に、こちらの渾身の一撃を放っても致命傷を与えられる保証はない
逆に、その一撃を凌がれ、攻撃後の隙に致命的なカウンターを喰らってしまう危険性の方が高い
ならば、数を稼ぐ。蓄積を重視する。一のダメージを数百と積み上げる。
この『メイン盾』に、微細なヒビが入るまで――
以上です
解説役って素晴らしい
壺セイバー「いやこれハメでしょ?俺のシマじゃノーカンだから」
壺ライダー「私のシマでは立派な戦術だ!」ブゥン
壺セイバー「何か粘着がいつまで立っても鬼の首みたいに粘着してるが時代は進んでる」
壺セイバー「オラァ!」カン
壺ライダー「手で弾いたか。少しは目が慣れてきたのか?」
壺セイバー「その早さでは俺のところに投げるのがやっとといったところか。軌道を謎みたいに変えていないのがその証拠」
壺ライダー「だからどうした?貴様も弾くのがやっとではないか」ヒュン
壺セイバー「…」カン
壺ライダー「さっきまでの威勢はどうした!」ビュン
壺セイバー「…」キィン
壺ランサー「…妙だな」
セイバー「あなたも気づきましたか、ランサー。彼は何故か、剣を持たぬ左手でライダーの攻撃を弾いています。あれではいずれ左手が使い物にならなく…」
壺ランサー「それもそうだが…先程からライダーの動きがおかしい」
壺セイバー「そんなに馬鹿みたいに回ってるとお前はそのままバターになる」カァン
壺ライダー「ライダーのクラスは伊達ではない。この程度の速度、なんということは…」
壺セイバー「無理を隠そうと必死なのかバレてる証拠に笑顔が出てしまう」
壺セイバー「――俺の『攻撃』をくらい続けていたことにいい加減気づけよ」
壺ライダー「何…!?」
桜「…!?ライダー!接近しすぎよ!」
壺ライダー「ばっ…!?何だと!?」
壺セイバー「ナイトはライダーよりも高みにいるからお前らのイタズラにも笑顔だったがいい加減にしろよ」ダッ
壺ライダー「しまっ…」
壺セイバー「グランドヴァイパ!」ブンッ
壺ライダー「ちっ!」バッ
ズサアアアアア
セイバーの攻撃を躱すために、ライダーは自らカートから脱出した
主を失ったカートはセイバーの元へ突進し、グラットンソードの餌食となった
壺ライダー「ハァ…ハァ…。そうか、その左手…電撃を帯びていたのだな」ヨロッ
壺セイバー「前も喰らっていたのだからもっと早く気づくべきだったな?お前調子ぶっこきすぎてた結果だよ?」
士郎「せ、セイバー…宝具の乱発はやめふぇ下さい(瀕死)」
壺ランサー「成程。ライダーのあの頭部の武器は…毎回生成しているわけではなく、持ち主の元へ戻るのだな。ブロントさんは前回の手合わせでそのことに気づいた」
セイバー「だからそれに宝具による電撃を蓄積させることで、ライダーの体に影響を与えた…というわけですか。意外と繊細な戦い方をしますね」
壺ランサー「それだけ油断ならない相手ということさ。だが…遂にライダーを引きずり下ろしたぞ」
壺ライダー「だがこの状況は…あの時と同じだな、セイバー!」ブゥン
壺セイバー「…」チャキッ
ライダーはエナジーボンボンをセイバーに目掛けて放った
セイバーは、本来片手剣であるグラットンソードを両手で構え、迎撃の体勢をとった
ボンボンがセイバーの間合いに入った瞬間、それを思い切り振り下ろした
壺ライダー「甘い!」
セイバーが攻撃を仕掛けると同時に、ボンボンは軌道を変えた
剣を躱し、そのまま高速でセイバーの頭部めがけて突撃していった
壺セイバー「――『グラットンスウィフト』!!」
その瞬間、セイバーの前方から大きな爆発を起こった
いや、正確には爆発ではなく、セイバーの渾身の一振りによって
空気がバラバラに引き裂かれた事によって生じた空気の断層だった
剣の軌跡は真空状態を作り出し、辺りの空気を吸い寄せ、同時に猛烈な突風を発生させた
それはかまいたち、といった生易しいものではなく
小規模なブラックホールのようなものだった
範囲は剣の届くところまで、という狭さではあるが
その分比類無き威力を誇る、セイバーの最も得意とする『対人宝具』
ボンボンはアワレにもその一撃に吸い寄せられ、バラバラどころか欠片も残さずこの世から消滅した
シュウウウウ…
壺ライダー「…私の宝具が」
壺セイバー「優秀なクラス→宝具が充実→心が豊かなので性格も良い→彼女ができる」
壺セイバー「せこいクラス→宝具が雑魚→心が狭く顔にまででてくる→いくえ不明」
壺セイバー「――完 全 論 破」
壺ランサー「…決まったな。ブロントさんの勝ちだ」
セイバー「攻撃手段を全て奪われたとあっては…どうしようもありませんね」
壺ライダー「参ったな。私のチャームポイントだったのだが…」
壺セイバー「時既に時間切れ。俺はこのままタイムアップでいいんだが?」
壺ライダー「それはどうかな?セイバー、貴様それでいいのか?マスターを放っておいて」
壺セイバー「hai?…うおっ!?」
士郎「」
壺ライダー「宝具を使いすぎたな。このままではマスターが病院で栄養食を食べるハメになるぞ?」
桜「先輩!大丈夫ですか!?」
壺ライダー「いや、マスター。今はこっちの方を心配してくれると嬉しかなーって…」
壺ライダー「…コホン。コレで、貴様はしばらく宝具を使えない」
壺セイバー「…宝具がないお前ごとき素手で充分すぐる 不良だから喧嘩も強いしバイクもヘルメットかぶらないで乗る」
壺ライダー「宝具がない、か。本当にそうだったらよかったのだが」
壺セイバー「…?」
壺ライダー「我々の存在は、我々の意思とは関係なく多くの人間の信仰によって形作られたもの。セイバーよ、お前は想像したことがあるか」
壺ライダー「…自分の心象風景すら、第三者によって作られたものであるという苦しみが」
セイバー「心象風景…まさか…!?」
壺ライダー「――体は在庫で出来ている」
以上です
~~~~
言峰「全く…彼らは本当に私を飽きさせないな」
壺アサシン「面白い展開になってまちゅね。まさかこのタイミングでライダーとセイバーが対決するなんて。これはバーサーカーたちにとっては都合のいい展開でちょうか?」
言峰「数で劣る分、バーサーカー・キャスター陣営は戦略を煉る必要がある。この段階での想定外の事態が吉と出るか凶と出るか。それは定かではないがな」
言峰「傍から見ている我々にとっては、楽しくて仕方がないといったところだ」
壺アサシン「…ところで、あたちはいつまでここで黒幕ごっこやってればいいんでちゅかね?そろそろ覗き見にも飽きてきまちた」
言峰「必要数のサーヴァントの魂(データ)が集まれば、もう戦いを続ける必要はない。その時に残ったサーヴァントを始末するため、お前には働いてもらう」
壺アサシン「……ひどい男でちゅね、マスターは」
言峰「不満はあるまい、お前たちはもともとそういうものとして生み出された存在だ。――さて、そろそろこの戦いにも決着がつきそうだ」
言峰「順当にセイバーの勝利、か。もともとライダーは敗北者として用意したサーヴァントだ。展開こそ楽しめたが、結末は陳腐だったな」
壺アサシン「…その敗北者が、何かやらかそうとしてまちゅよ」
言峰「…奴に設定された攻撃パターンは全て出尽くした筈だが…?」
言峰「…!?――またか。サーバーに異常な負荷が…いや、違う。データ容量が不自然に増減している…!」
言峰「心象風景…固有結界を使おうとでもいうのか、ライダーは。それは何としてでも妨害せねばならんな」
壺アサシン「えっ。どうしてでちゅか?」
言峰「この世界そのものがネットワーク上に形成された固有結界のようなものなのだ。そこで別の固有結界を発動したらどうなることか」
言峰「…固有結界が同時に発動された例はかつて存在しない。最悪の場合、この世界が上書きされ、データが全て消失してしまう恐れもある」
言峰「やれやれ、また緊急処置だ。ライダーの魔力供給のパスを切断する」カタカタ
壺アサシン「前のアーチャーの場合は兎も角、GMが戦いの勝敗に関わる介入までするのはどうなんでちゅかね…」
言峰「たかが1サーヴァントの宝具ごときで、世界そのものが消されては敵わん。当然の行動だ」
言峰「観客を楽しませるのは結構だが…そのために劇場を吹き飛ばそうとするのは本末転倒だ。思い上がった役者にはここで退場してもらおう」
~~~~
壺ライダー「…むっ。これはどういうことだ…!?」シュウウ
桜「ライダー!?体が…消えかかってる…!?」
壺ライダー「…マスターからの魔力供給が途絶えたようだ」
桜「えっ!?そんな筈は…」
壺ライダー「わかっているさ、マスター。魔力供給のパスをマスターが一方的に切ることなど不可能だ。令呪でも使わない限りはな」
壺ライダー「こんなことが可能なのは…システムそのものに介入する事ができるやつだけだ」
士郎「……言…峰…」ヨロッ
壺セイバー「おい馬鹿やめろ!マスターはもう少し休むべきそうすべき」
壺ライダー「…ははは。偉そうなことを言っておきながら最後はこれか。迷惑をかけたな、マスター…」シュウウウ
桜「そんな…!そんなこと言わないで、ライダー!戦いに決着も付けずに終わりなんて…!」
桜「…そうだ。令呪なら…令呪は魔力の塊の筈」
桜「令呪を全部使うわ。令呪の魔力を、全てライダーに!」ポワアア
壺ライダー「…ありがとう、マスター。この魔力、大切に使わせてもらうぞ」
壺ライダー「さて、仕切りなおしだ、セイバー」
壺セイバー「…」グッ
壺ライダー「正真正銘最後の切り札だ。おそらく、勝っても負けてもな」
――体は在庫で出来ている
血潮は権利で 心はミリオン
幾たびのクソゲーを越えて不買
ただの一人も客はなく
ただの一度も購入されない
彼の者は常に独り 在庫の丘で売り上げに酔う
故に、値段に意味はなく。
その体はきっと在庫で出来ていた。
以上です
詠唱はオプーナAAまとめwikiから拝借しました
ライダーが詠唱を終えると、世界は真っ白な光に包まれた
いや、正しく描写するなら、世界そのものが白く染まった、というべきだろう
先ほどまでライダー達が存在していた世界とは別の世界
ライダーの心象風景を具現化した世界
『固有結界』の中に、セイバー達は引き込まれた
----
セイバー「やはり…固有結界でしたか」
壺ランサー「これが固有結界…たしか、術者の心象風景を形にしたものだったな?」
壺ランサー「…その割には殺風景だな。何も無いじゃないか」
セイバー「展開型の固有結界も存在すると聞いたことがあります。…いえ、そもそもこの『聖壺戦争』内での固有結界が、外の世界のものと同じとは限りませんね」
士郎「おい…ライダー…勝手に人の詠sYうパクんなよ訴えられたいのか…!」ゼェゼェ
桜「この世界がライダーの心象風景…?…なんだか、寂しい場所ね…」
壺セイバー「「訳わからんね」「笑う坪どこ?」こんなのがお前の切り札かよ」
壺ライダー「その通りだ、セイバー。ここに引きずり込まれた以上、お前の勝利は」
ライダーが言葉を言い終える前に、セイバーは距離を詰めた
これがとてつもない大魔術であることを、セイバーは充分に理解していた
時間を掛ければ、相手の術中に嵌ってしまう
ならば、狙いはひとつ。相手のやりたいことをやらせずに、速攻で決着を付けてしまうこと
ライダーの気を引いたほんの一瞬、その一瞬でセイバーはライダーの目前に迫った
そして、その勢いのままにグラットンソードを
テキストがまだない
壺セイバー「…!?」
士郎「お、おいセイバー!何敵の目の前で仁王立ちしてるんだよ前歯へし折られたいのか!?」
壺セイバー「ま…マジでふざけンなよ!?」バッ
セイバーは再びグラットンソードを振りかぶり
テキストがまだない
テキストがまだない
テキストがまだない
壺セイバー「お、おいィ…これは…!?」
壺ランサー「…ブロントさんの様子がおかしい」
セイバー「絶好の好機なのに…何故敵の前で棒立ちになっているのですか…?」
壺ライダー「最後まで人の話を聞いておくんだな、セイバー。ここに引きずり込まれた以上、お前の勝ちはない」
壺ライダー「たとえ、お前が黄金の鉄の塊で出来たナイトだとしても…」グッ
壺セイバー「…!?バックステッ…!」ユラァ
壺セイバー「…!おいやめろ馬鹿!!」
壺ランサー「処理落ち、だと…!?このタイミングでか!?」
セイバー「そういえば、先程までと違い妙に体の動きが鈍いですね…」ギュッ
壺ライダー「ふんっ!」ブン
壺セイバー「ウボォ!」グシャ
ズシャアアアアアアア
壺ライダー「…物理の前では無力だ」シュウウウ
士郎「お、黄金の鉄の塊で出来たセイバーが、素手装備のライダーのパンチごときで吹き飛ぶはずがない!」
壺ランサー「…彼の言うとおりだ。耐久の高いブロントさんが、ライダー程度のパンチでダメージを受けるはずがない…!」
セイバー「この世界は、法則(ルール)を改変してしまうような効果があるのでしょうか…?」
壺ライダー「ルールを改変…?――違うな、それは間違っているぞ」
壺ライダー「法則?技術?世界観?詳細(ディティール)?バランス?」
壺ライダー「――そんなもの、『未実装』だ」
壺セイバー「ハァ…ハァ…粋がるなよ雑魚が」
壺セイバー「こっちが礼儀正しい大人の対応してればつけあがりやがってよ!」ダッ
桜「…!?ライダー!避けて!」
壺セイバー「ハイスラァ!」ブンッ
ザシュ
壺ライダー「――ハズレだ、セイバー」
壺セイバー「ちょ、ちょとsYレならんしょこれは……?」
セイバーは確実にライダーを両断できる一撃を繰り出したが
その攻撃はライダーから外れ、代わりにすぐ側の地面にヒビが入った
壺セイバー「このっ!このっ!」ブンッブンッ
壺ライダー「…気が済むまで続けるといい」
セイバーの剣は確実にライダーを捉えているが
攻撃は一つも命中しない
代わりに地面にヒビが増えるのみであった
セイバー「何故アレが当たらないのですか!?真正面じゃないですか!」
壺ランサー「…当たり判定がおかしい、というべきか。ブロントさんの攻撃は、先程から決まった数カ所にしか命中していない」
壺ライダー「気は済んだか?」
壺ライダー「ではそろそろ」
壺セイバー「…!?」
壺ライダー「「この戦いに決着を付けるとするか、セイバー」」
突如、ライダーが脈絡も無く2体に分裂し
2体同時に拳を繰り出してきた
壺ライダー「「ゆゆうじょうパパワー!」」
壺セイバー「ぬわーーーー!」
ライダーの攻撃により、セイバーは大きく吹き飛ばされた
セイバーは先程ライダーのパンチによって吹き飛ばされた時と同じ場所に落下した
どうやら、この結界内では、攻撃、移動共に判定箇所は数パターンしか用意されていないようだった
壺ランサー「…なんなんだ!?この世界は…!」
セイバー「これが、ライダーの心象風景…。心に刻み込まれた情景、だというのですか…?」
壺ライダー「諸君、楽しんでいただけたかな?――いや、楽しめるわけもないか。こんなひどい世界では」
壺ライダー「そうだ、コレが…こんなものが、私の心象風景だ。そして、私を私たらしめるシンボルでもある」
壺ライダー「私の最大にして最悪の宝具――固有結界、『クソゲーオブザイヤー』」
壺ライダー「心ゆくまで…堪能してもらおうか」
以上です
宝具の名前はギリギリまで悩んだけど当初の予定通りにしました
壺ランサー「…『クソゲーオブザイヤー』、か。成程、それならばこの世界も一応は納得できるな」
セイバー「どういうことですか?ランサー」
壺ランサー「――『2ちゃんねる』に存在する『家庭用ゲーム板』内のとあるスレでは…その年一番のゲームを決定するために日々議論が行われている」
セイバー「一番のゲーム…それならば名誉なことでは?この世界と一体何の関係があるというのですか?」
壺ランサー「一番と言っても…一番の『クソゲー』、だがな。そしてライダーは、そのスレのマスコットキャラクターだ」
セイバー「……」
壺ランサー「その知名度は、もはや『2ちゃんねる』のみに留まらない。多くのサイトを通じて宣伝され、ネットユーザーの間では毎年の風物詩のようになっている」
セイバー「…それらによって多くの人からの信仰を得て、イメージが形成された存在がライダーであり…あの宝具である、ということですか」
壺ランサー「勿論、ライダーがサーヴァントとして呼び出されるほどの信仰を得たのは、もともと『2ちゃんねる』上でイメージが形成されていたからこそだ」
壺ランサー「だが、固有結界としてこの世界を作り上げるまでになってしまったのは、間違いなくそれらが原因だろう」
セイバー「ライダーが言っていた最悪の宝具、と言うのはそういうことですか…。自身の意志とは関係なく身につけてしまった、呪いのような力であると」
壺ランサー「この世界は、言ってみればクソゲーをクソゲーたらしめている要素の体現。全く、恐ろしい宝具だ」
壺ランサー「…だが、今ライダーは魔力供給を受けていない状態。この固有結界を…いや、ライダーの肉体を維持できるのも、令呪によるブーストが尽きるまでの間だけだ」
壺ランサー「言い換えれば、もうライダーの消滅は決定している。この状況でセイバーが倒されたら…こちらとしてはあまり好ましくない状況になるな」
セイバー「…ですが」
壺ランサー「わかってるさ、マスター。それでも私達は、この戦いに干渉しない」
壺ランサー「二人の死力を尽くした戦い。どんな結末を迎えようと、最後まで見届けるつもりだ」
壺セイバー「…」ムクッ
壺ライダー「流石に頑丈だな。だが、いつまで持つかな」
壺セイバー「…お前、それでいいのか?」
壺ライダー「…どういう意味だ?」
壺セイバー「このまま俺が何もしなければ、お前が消えるのは火を煮るより明らか。つまり俺はこのままタイムアップでいいんだが?」
壺ライダー「…」
壺セイバー「俺は体力もかなり高い。このまま攻撃を耐え続けるくらいチョロいもん。お前が自分から仕掛けてこない限り時既に時間切れ」
壺セイバー「俺が思うに、このクソゲー世界はお前にも制御できていないのではないか?暗黒っぽい力は自分でも制御できない系の話は稀によくあるらしいぞ?」
壺ライダー「…その通りだ。先程も言ったように、この世界に法則など未実装だからな」
壺ライダー「この世界に引きずり込まれた者は、皆、プレイヤーだ。…攻略に挑むプレイヤーに理不尽を突きつけ、破滅させる。それがこの宝具というわけだ」
壺セイバー「やはりナイトの洞察力は鬼の力といったところか」
壺ライダー「真のクソゲーというものは、実際にプレイしてみなければわからないものだ。ただの傍観者であれば、この宝具の効力は及ばない場合もある」
壺ライダー「…まぁ、それが正しいクソゲーへの対応なのかもしれないがな」
壺セイバー「…お前は何もわかってないな そのネガ丸出しな考えが雑魚の証」
壺ライダー「…何だと?貴様…!」
壺セイバー「お前には心を広くすることが必要不可欠。…マスター!俺にも令呪を使わせろ」
士郎「な、何ィ?」
壺セイバー「このままではマスターの寿命は魔力切れでマッハ。ライダーみたいに令呪の魔力を使わせろと言っているサル!」
士郎「や、やるます!」パァァ
壺ライダー「な…!?この宝具の特性を理解しているというのに、何をするつもりだ…?」
壺セイバー「『生半可なナイトでは使えないホーリ』!」カッ
ササッ
壺ランサー「ぐあああああああ!」バシュッ
セイバー「ラ、ランサー!?」
壺セイバー「ちい、外れたか…」
セイバーは、今回の聖壺戦争の中で最も多彩な宝具の使い手であった
その場その場の状況、戦いを挑む相手によって宝具を使い分ける事が可能であり、それが最大の強みとなっている
セイバーの有する宝具の中で、最も射程の長い『生半可なナイトでは使えないホーリ』をライダーに対して発動したが
何故か射線上にランサーが割り込み、攻撃が遮られた
セイバー「ランサー、大丈夫ですか!?」
壺ランサー「あ、ああ…対魔力のお陰で、痛い程度で済んだよ…」
壺ライダー「何の真似だ、セイバー!?貴様は自分で言っていたではないか、そのまま時間切れを狙えば済む話だと…」
壺セイバー「…お前は馬鹿すぐる。クソゲーオブザイヤーの意義を忘れたのかよ」
壺ライダー「…意…義……」
以上です
壺セイバー「本当にクソゲーをスルーすることが正解ならよ、そもそもクソゲーオブザイヤーなんていらないんですわ?お?」
壺ライダー「……」
壺セイバー「どれが1番のクソゲーか決めるってことはよ、それを実際にプレイしたプレイヤーが居るってことだろ 英語で言えばサクリファイス」
壺セイバー「つまり、クソゲーだとわかってても逃げずに立ち向かった挑戦者たちだ 見事な仕事だと感心はするがどこもおかしくはないな」
壺セイバー「それなのにお前はネガってばっかりでよ 決着を付けるとかいいながら突っ立ってるだけの亀頭頭の雑魚」
壺セイバー「――俺が思うに、『クソゲーに絶望する』ではなく『クソゲーを笑い飛ばす』ってのがこの世界の正しい姿なのではないか?」
壺ライダー「…クソゲーを、笑い飛ばす…か」
壺ランサー「…クソゲーオブザイヤーの根底にある考えは、ブロントさんの言ったとおりだ」
壺ランサー「クソゲーを掴まされた怒り、悲しみ、悔しさ…そして、製作者への憎しみ。それらを全て大げさにして笑い飛ばしてやろう、というわけだ」
セイバー「成程…単に怒りに任せて当たり散らそう、というわけではないのですね」
壺ランサー「ああ。スレ住民が苦しみを堪えながら必死にクソゲーをプレイするのも…『絶対にこれを笑い飛ばしてやる』という強い意思によるものだ」
壺ランサー「…勿論、容易なことではない。クリアまで辿りつけずに、無念のまま散った者も多くいる」
セイバー(ちょっと大げさじゃないでしょうか…?)
壺ランサー「いわばクソゲーオブザイヤーとは…そういった挑戦者達への鎮魂歌でもあるんだ」
セイバー「…ええ……?」
壺ライダー「貴様は私に、この世界から目を背けず挑戦しろ…と言いたいわけか」
壺セイバー「口で説明するくらいならおれは牙をむくだろうな おれパンチングマシンで100とか普通に出すし」
壺ライダー「…ふっ。たまにはプレイヤーの立場になるのも悪くはない」
壺ライダー「――行くぞ、セイバー!この世界をも攻略して、私が真の勝者になる!」ダッ
壺セイバー「――封印が解けられた!うおおおおおおおおおおおお」ダッ
壺ライダー「…」ダッダッダ
壺セイバー「…」ダッダッダ
壺ライダー「…」
壺セイバー「…」
壺ライダー「…」ダッダッダ
壺セイバー「…」ダッダッダ
セイバー「…あの二人、全然距離が縮まりませんね」
壺ランサー「おそらく、移動距離の判定が常に最低値になってるんだろうな…」
桜「きゃあ!?わ、私の下半身が…消えた!?」
士郎「もしかしてこっちでなんか生えてるコレのことですかねぇ…?」
桜「ちょっ!?ジロジロ見ないで下さい先輩!目を後ろから破壊しますよ!?」
士郎「マジ震えてきやがった・・怖いです;;」
壺ランサー「ははは、ライダーの奴が覚悟を決めてから、この世界も更に活発に活動し始めたな」ゴオオオ
壺ランサー「傍観してれば安全なんて、嘘っぱちじゃないか」ゴオオオ
セイバー「笑ってる場合ですか!?ランサー!気を抜いたら後ろの何かに吸い込まれますよ!?」ゴオオオ
壺ランサー「ああ、絶対に体勢を崩しちゃ駄目だ、マスター。下手したら2度と出てこれなくなる」ゴオオ
セイバー「はぁ!?」ゴオオ
壺セイバー「何だコイツら!一歩歩く毎に湧いてくるなよたいがいにしろよカスが!!」ザシュ
壺セイバー「おいィ!?先制で麻痺はやめふぇ下さい!経験値ロストが怖いんです!」
壺ライダー「ええい!前に進むだけなのに変なイベントを発生させるな!それはもう5回は見た!」
壺ライダー「何ィ!?ここより先に進むためには…課金(魔力供給)が必要だと!?」シュウウ
壺ライダー「や、やめろ!タダでさえ私の体に残された魔力は残り僅かなのに…うわああああ!」シュウウ
壺セイバー「まただよ(泣)スタート地点に戻され想像を絶する悲しみがブロントを襲った」
壺ライダー「ひいい!首が…首が反対に!」
壺ランサー「あの二人、まだ直接やりあってないのに…どっちも既にボロボロだな」ゴオオオ
セイバー「最初にライダーが物理を喰らわしていましたが、確かにそれだけですね。…それよりもランサー。そろそろ限界が近いのですが」プルプル
壺ランサー「…我々が消えるのが先か、二人の決着が付くのが先か、だな…」ゴオオオ
セイバー「……」ゴオオ
壺セイバー「ハァ…ハァ…たいがいにしろよカスが…」
壺ライダー「ふぅ…遂にここまで辿りついたか…」
セイバーとライダーは、数多くの苦難を乗り越え
遂に至近距離で対峙した
お互い、既に心身ともに疲労のピークを迎えてはいたが
闘志の減衰は全く感じられなかった
壺セイバー「…俺は俺は武器なんか持たなくても素手で怪力だから強い 多分奥歯が揺れるくらいの威力はあるはずだしね」ググッ
壺ライダー「グラットンソードを置いてきたか。懸命な判断だな。この世界では、余計な処理を引き起こすような要素はなるべく排除しておいた方がいい」
壺ライダー「結局、最後は拳(物理)での決着か。…面白い」グッ
二人は拳を固め、ゆっくりと近づいた
そして、相手の体が自分の攻撃の射程圏内に入った瞬間――
壺セイバー「――!!」ブンッ
壺ライダー「――!!」ブンッ
互いの顔面目掛け、渾身の一撃を繰り出した
――しかし、その一撃が届くことはなかった
壺セイバー「…おいィ……」
壺ライダー「…スマンな、セイバー。時間切れのようだ」シュウウウ
ライダーの拳は、もはや形をとどめていなかった
以上です
桜「ライダー!?」
壺ランサー「…ライダーの体が、消えていく。…スッキリしないが、コレで決着のようだな」
セイバー「もはや、ライダーに肉体を維持するだけの魔力が残っていない…ということですね。ということは、この世界も…」
シュウウウ…
ライダーの生み出した世界は、徐々に崩壊し始めた
ライダーの体が消え去るのを待たずに、固有結界は完全に消え去り
セイバー達は、元の世界に再び足を付けた
桜「そんな…ライダーが唯一望んだ、戦いの決着…それすらも叶わないなんて」
桜「そんなの、悲しすぎるよ…」シュウウ
ライダー「…そうか。私の敗北によってマスターも消え去る運命なのだったな」
ライダー「不甲斐ないサーヴァントで済まなかった。最後まで付き合ってくれて…」
壺セイバー「…マスター、令呪を全部使うべき」
士郎「…!?おい馬鹿やめろ 流石にそれは頭がおかしくな」
壺セイバー「はやくしテ!!」
士郎「hai!!!」ピカアア
壺ライダー「…何の真似だ?セイバー」
壺セイバー「俺には令呪が2個も残っていた もうここまででも十分に俺の勝ちは圧勝に決まっていたのだが更に攻撃は続く」
壺セイバー「それを全部使ってればよ、リアル世界よりも充実したクソゲー生活が認可されていただろうな」
壺セイバー「…この戦いの決着は付いた。お前安心して消えていいぞ」
壺ライダー「…要するに令呪を全部使い切って、全てを出し尽くした戦いならば…自分が勝っている、と言いたいのだろう」
壺ライダー「んなこと認めるか!私だって令呪全部温存してたらまだまだ戦えていたわ!」
壺ライダー「……だが…感謝する、セイバー」
壺ライダー「その令呪、手向けとして受け取っておこう」シュウウウ
桜「…ライダー……」シュウウ
壺ライダー「…泣いてくれているのか、マスター。こんな私のために…」
壺ライダー「悲しむことはない。例えもう二度と会えなくなったとしても…思い出は消えない筈だ」
壺ライダー「そうだ、是非『オプーナ』を購入して遊んでみてくれ!それをプレイすれば、いつでも私のことを思い出せるさ」
桜「ううん…必要ないわ、ライダー。あなたの言うとおり、そんなものが無くたって…思い出は消えないもの」
壺ライダー「あ、うん。そうだな…」シュウウウ
桜「…先輩、セイバーさん。私は一足早く脱落しちゃいますけど…姉さんにだけは負けないでくださいね?」シュウウ
桜「負けたら私…怒りますよ?」シュウウウウウウウ
壺ライダー「では、さらばだ諸君!君達に神ゲーの加護があらんことを!」シュウウウウウウウウウウ
残った者たちへ真情を吐露し
ライダーと桜は、完全に世界から消滅した
そこには遺恨も後悔も残ってはいなかった
士郎「…実際俺は時計塔でも結構有名でケンカとかでもたいしてビビる事はまず無かったが生まれて初めてほんの少しビビった」
壺ランサー「…お疲れ様だ、ブロントさん。今は少しでも傷を癒やすんだ。すぐにバーサーカー達との戦いも控えている」
セイバー「前回の戦いを踏まえると、凛達の取る戦法がおおよそ推測できます。あまり時間を与えたくはないですね」
壺セイバー「休憩は9分でいい。ナイトがあの程度でダメージを受けると思う浅はかさは愚かしい」
セイバー「…幸い、ここは癒しの湖の畔です。本当に9分だけだとしても、体力の回復ぐらいは…」
士郎「…湖がいくえ不明なんだが?」
セイバー「え?…そんな!?」
先ほどまで湖があった場所には
大きな穴のような暗闇が広がっていた
吸い込まれそうな感覚を覚える程暗く、底すらも見えなかった
~~~~
壺アサシン「うひょおおお。色んな所に大穴が開いてまちゅ!大事でちゅよ!」
言峰「…データに破損が見られる。この世界の20%程度の面積が消失したようだ」
壺アサシン「うわぁ…固有結界一つで大惨事でちゅわね。ま、もともとが大きすぎたからちょうどいいくらいでちょ」
言峰「これではサービス開始はまた数ヶ月は先送りになるな。全く、笑えない冗談だ」
言峰「…お前を除けば、残るサーヴァントは4体。そして、2陣営別れての2対2での戦いがもうすぐ始まる。――結末が見えてきたか」
壺アサシン「思ったんでちゅけど、魔力のパスの切断とかGM権限でできるなら、あたち必要ないんじゃないでちゅか?」
言峰「魔力供給はサーヴァントとマスターを繋ぐ、『聖壺戦争』の根幹とも言えるシステムだ。いくらGMとはいえ、容易に介入できるわけがなかろう」
言峰「パスの切断には、そのサーヴァントを構成している魔力…つまり、そのサーヴァントの魂とほぼ同じ容量の魔力が必要となる」
言峰「サーヴァントの魂を収集するためにこの『聖壺戦争』のシステムを作ったというのに、それでは本末転倒だ」
言峰「…加えて、固有結界の影響により発生したバグによって、システムにも異常が出ている。端末に情報を発信することもできなくなった。ましてやパスの切断などもっての外だろうな」
壺アサシン「うーん…とりあえずは準備しておいたほうがよさそうでちゅね」
言峰「そういうことだ。――この先の戦い、本当に何が起こるかわからんぞ」
以上です
~~~~
凛「…駄目。端末にアクセス出来ない」
壺キャスター「やっぱり、さっきの地震となんか関係あるのか?」
凛「それを確認しようと思ったんだけど…綺礼のやつ何してるのよ」
アーチャー「いつまでそうしているつもりだ、凛。我々には時間がない。セイバーはこの場所を知っているのだろう?」
凛「…ええ。そして、私達が今ここにいることもお見通しでしょうね」
アーチャー「だからこそ、奴らに攻めてこられる前に準備を整えねばならんのだ。確かに、先程の大きな揺れは気になるところだが…遊んでいる暇はない」
凛「…フン。わかってますよーだ。で、そっちは何してるわけ?私達が工房を作ってる間に、アンタはせっせと野良稼ぎ?」
アーチャー「森の中での戦いとなれば、取れる手段は他にもある。準備は必要だ」
アーチャー「この薄暗い森の中は、私にとっても好都合だ。何、君らにとっても悪い様にはならないさ」
凛「だったらいいけど。ついでに、『切り札』ってやつにも期待していいのよね?」
アーチャー「無論だ。…尤も、それを使うと私の魔力も底をつく。使うタイミングは見極める必要があるな」
凛「…ふぅん」
キャスター「……」
~~~~
セイバー「…言峰綺礼に問い合わせをしようと思ったのですが…支給された端末が全く反応しなくなってしまいました」
士郎「俺の投影でも直せない直しにくい!この端末作ったの絶対忍者だろ…」
壺セイバー「通話も出来ないスマほに未来はにい。このまま埋め立てゴミとしてひっそりと幕を閉じる」
壺ランサー「…そうなると、バーサーカーのマスター達も端末を確認できない可能性が高いな。彼らはまだ、ライダーが脱落したことも知らないのかもしれない」
セイバー「…情報の優位性はこちらにあり、ですか。おそらくこの世界に起きている崩壊の原因は、ライダーの固有結界の影響と見て間違いなさそうですね」
壺セイバー「…そういえばお前敵の居場所に心当たりがありそうなおかしな事言ってたな どういうことなのか説明すべき」
セイバー「…先日、凛とキャスターは、我々を迎え撃つために森に陣地を構えていました。その森の中ではキャスタークラスのスキルに上方修正がかかるようです」
セイバー「陣地内での戦いでは、ランサーの攻撃も通じませんでした。あそこで陣地形成に時間を懸けられてしまうと、非常に厳しい戦いになるでしょうね」
壺ランサー「彼らにあまり時間を与えたくはない、と言うのはそういうことだ。相手がキャスターだからといって、侮らない方がいい」
壺ランサー「あの時と違いこちらにはブロントさんがいるが、あっちにもバーサーカーがいる。素直に正面突破もさせてくれないだろうさ」
壺セイバー「…なら、今すぐにでも出発した方がいいと思った」ググッ
壺ランサー「……ブロントさん、無理はしない方がいい。君もかなりダメージを受けているだろう」
壺セイバー「ナイトならこの程度チョロいもん。…休憩時間は9秒でいい。謙虚なナイトは人気者でLSでも引っ張りだこ…」
壺ランサー「…休憩したまえ^^」
壺セイバー「休憩した^^」
士郎「すごく休憩したい^^」
壺ランサー「やれやれ…休息を取るのは君だけではなく、君のマスターのためでもあるんだよ。令呪は0、魔力も空っぽじゃとても戦えないだろ?」
壺セイバー「「」確かにな だがそれではキャスターの奴が調子ぶっこくのではないか?」
セイバー「…凛達は我々がすぐにでも攻め込んでくると思っているはず。もう森に着いているとしたら、今こうしている間にも陣地の作成を進めているでしょうね」
セイバー「ならば、彼女たちにはこのまま作業を進めてもらいましょう。そして、我々は夜明けまで休憩した後出発します」
セイバー「彼女たちは工房を一晩中作り続けることでフィールドのアドバンテージを得ますが、代わりに夜通し作業を続けることで疲労がピークを迎えるはずです。少なくとも、マスターである凛やアーチャーは」
壺ランサー「逆に我々は、不利なフィールドでの戦闘を強いられるが、体力的なアドバンテージを得る…ってことかな?」
壺ランサー「さらに言えば、我々は攻めこむ側、キャスター達は攻め込まれる側だ。あちらは一瞬たりとも油断ができない状況に追い込まれている。精神的な疲労も大きいってわけだ」
セイバー「その通りです。ライダーが健在で我々の状態も万全であればすぐさま攻め込んでも良かったのですが…現状ではコレが最良でしょう」
壺セイバー「…」
セイバー「夜明けまでゆっくり休んでいて下さい。士郎、セイバー。――決戦は明日です」
少ないですが以上です
~~~~
凛「ハァ…何とか形になったわね。疲れた…」
壺キャスター「全くだ。いつセイバー達が攻めてくるか気が気じゃなかったぜ」
凛「けど、充分に戦えるだけの陣地は出来たわ。これでいつ桜達が攻めてきても…」
壺ライダー「そんなヘトヘトな状態で戦えるのか?少し休んだ方がいいんじゃないか、マスター」
凛「…そうね。あっちも急いで攻めてくるつもりも無いみたいだし、少しくらい…」
アーチャー「――そうも言っていられないようだぞ、凛」
アーチャーは、木の上から森の外を見渡し、そう呟いた
森に貼られた結界の効果により、アーチャーの姿は森の外からは視認できない
しかし、アーチャーもこの世界では弓兵としての視力は失われているので
近づいてくる敵に対して、遥か遠くからその姿を確認することは出来なかった
凛「…!?まさか、このタイミングで…」
アーチャー「…ライダーの姿が見えない。まさか…」ボソッ
壺キャスター「いきなり結界を破壊される訳にはいかない。俺達は迎撃に向かうぞ」
アーチャー「私も行こう。…少し計画に修正が必要かも知れないな」
~~~~
セイバー「やはり…結界が貼られているようですね」
壺ランサー「体が重いな…だが、逆に考えれば、ここにキャスターがいることの証明でもある」
壺セイバー「この程度の結界、鬼の破壊活動で破壊してしまおうという意見」
壺ランサー「しかし、よくよく考えて見れば…本当にバーサーカーとキャスターが組んでいるのか、まだ確証は…」
「いいや、その考えは間違っていないぞ、ランサー」
士郎「…!この声は…」
アーチャー「随分とのんびりしているじゃないか、セイバー。お陰でここら一帯は我々の陣地となったわけだが」
壺キャスター「オイオイ、まるで自分が作ったみたいに言うじゃねぇか。…久しぶりだな、ランサー」
セイバー「アーチャー…!やはり、凛と…!」
アーチャー「勘違いするなよ、先に手を組んでほしいと懇願してきたのは彼女の方だ」
凛「余計なこと言わなくていい!…まったく、いっつもセイバーは変なタイミングで攻めてくるんだから…」
アーチャー「それより…ライダーの姿が見当たらないようだが?」
壺セイバー「…」
アーチャー「まさか、仲間割れでも起こしたのか?ふっ…大方、報酬の取り分のことで揉めでもしたのだろう」
士郎「…!おいお前マジ」
壺セイバー「その程度の挑発に乗ると思ってるならお前の頭は必要ないな後ろから破壊してやろうか?お前らにライダーの何がわかるっていうんだよ」
壺ランサー「…ライダーはブロントさんとの一騎打ちを望み、そして…消滅した。つまり、この戦いは2対2のイーブンな状態ってわけさ。嬉しいだろ?」
壺キャスター「…!?」
凛「へ、マジで!?」
アーチャー「…ほう。それは我々にとっては僥倖だ。無論、3対2でも勝算はあったがね」
凛(…いけしゃあしゃあとよく言うわコイツ!)
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凛『…ライダーを利用する?』
アーチャー『ああ。3対2での戦いになれば、どうあがいたところで我々の勝ちは薄い』
アーチャー『だが、フィールドを森で固定すれば、ある程度持ちこたえることはできる。…そうだろう、キャスター?』
壺キャスター『ああ。あの森の中なら、俺のお守りも親父のお守りと同等の力を宿せる』
アーチャー『それが聞ければ充分だ。――筋書きを説明するぞ』
アーチャー『森に着いたら、キャスターと凛には協力して工房を作成してもらう。これは前回、君達がランサーと戦った時と同じ事をしてくれればいい』
アーチャー『そして、戦闘が始まったら…奴らはまず結界を破壊しようとするだろう。そこでキャスターは全力でセイバー、ランサーの2体を抑えこんでくれ』
壺キャスター『…それだけでもかなり無理難題ではあるんだが…宝具も併用すれば出来ないことも無いだろう。だけど、2体だけでいいのか?ライダーはどうするんだ?』
アーチャー『ここからが重要だ。ライダーには敢えて隙を見せる。我々に取って一番厄介なのは、あの機動力で好き勝手暴れられてしまうことだ』
アーチャー『そこで、敢えて結界内に手薄な箇所を作り…ライダーを侵入させる。そうなれば当然、ライダーは術者のキャスターを狙うだろう』
アーチャー『ライダーが突撃してきたら、凛は令呪を使いキャスターを転移させてくれ。そして、キャスターの後方で控えさせたバーサーカーの力を使い、ライダーを狂化させ…』
凛『ちょ,ちょっと待ちなさいよ!アンタ、私に令呪を1画無駄遣いさせておきながら、また令呪を使わせる気!?いくらなんでもそんなこと…』
アーチャー『いいか、凛。これは君への嫌がらせで言っているわけじゃない。令呪を使って転移をさせる理由はある』
アーチャー『バーサーカーの力についてはある程度知っているだろう。こいつの力の影響を受けたものは、狂化していない相手を優先して狙う』
アーチャー『つまり、せっかくライダーを狂化させても、キャスターに狙いを定められては意味が無いんだ』
凛『…』
アーチャー『逆に、キャスターがその場から離脱してしまえば…奴は狂化されていないセイバーとランサーを標的にする』
アーチャー『そうなれば、あとは簡単だ。奴らは力の制限される結界の中で、激しく動きまわるライダーを相手にしなければならない』
アーチャー『それなりに傷を負わせて退場してくれれば上出来だ。手負いのサーヴァント相手ならば、キャスターの宝具でも十分仕留められるだろう』
アーチャー『理想としては、ライダーが2体のうちどちらかと相打ちになってくれるのがベストだ。そうなれば、残った1体に心置きなく『切り札』を使用できる』
壺キャスター『…一応、こっちにも令呪は1画余るわけだな。いいんじゃないか、それで。なぁ、マスター?』
凛『…ハァ。ま、私達ももともと厳しい戦いになることは覚悟してたし、少しでも勝機がつかめるなら文句はないわ』
アーチャー『…決まりだな。勿論、うまく計画通り事が進むとは限らない。常に最悪のケースを想定し行動してくれ』
----
凛(あんなこと言ってたくせに、いきなり予定変更じゃない!)
アーチャー(やれやれ…どうもここでは格好がつかないな)
アーチャー(しかし…面白くなってきた)
以上です。
壺ランサー「ライダーの損失は私の働きで補おう」チャキッ
壺ランサー「マスター、指示を」
セイバー「…ランサー、宝具の使用をお願いします!」
壺ランサー「心得た!」ググッ
凛「ちょ!?いきなり!?キャスター、障壁を展開して!」
壺キャスター「応っ!」
壺ランサー「紫電の槍(ライトニングスピア)!!」
ランサーの槍から放たれた一閃は
雷撃となって激しく発光し、轟音をあげながらキャスター達に向かって放たれた
いや、正確に言えばそれはキャスターや凛を狙ったものでなく
その場そのものを吹き飛ばそうという一撃であった
しかし――
シュウウ
壺キャスター「…無謀なやつだな。結界内で宝具を使おうとするなんて。入り口なら効果が薄いとでも思ったのか?」
その雷光は本来の威力を発揮することができず
キャスターの展開した障壁によって完全に防がれた
壺ランサー「無謀?いや、違うな。前回の戦いがあったからこそ、この戦いでは死力を尽くすと決めたのさ」
壺ランサー「君のその障壁…そのお守りのような魔術礼装によって瞬時に展開しているのだろう?当然、数に限りはあるはずだ」
壺ランサー「いくら威力と範囲が削がれているからといって、僕の宝具の一撃を一個や二個消費した程度で防ぎ切れるとは思えない」
壺ランサー「だったら、障壁を展開できなくなるまで攻撃を叩き込むまでだ。そして丸裸になった君ごと、ここの結界を破壊すればいい」
壺キャスター「…それを、俺が黙って見てると思うのか?ここでなら、お前とも互角にやりあえるぞ」ググッ
壺ランサー「自分に有利なフィールドだからって、ずいぶん強気だなキャスター」
壺キャスター「キャスターってのは、そもそもそういうクラスだ。マスター、念のため奥に引っ込んでてくれ。体力も限界だろ?」
凛「…ごめんね。ここは頼んだわ、キャスター」タタタッ
壺セイバー「俺にも一撃を使わせろ。こういう時は出し惜しみしないのが人気の秘訣」
壺ランサー「いいや、ブロントさんはまだ下がっていてくれ。…下手に視線を動かして、バーサーカーにやられるのが怖い」
壺バーサーカー「……」
壺キャスター「それでこっちを禄に見もせずに宝具をぶっ放したのか。まぁ、そのほうがこっちにとっても好都合だが」
アーチャー「…キャスター。その礼装を全て使い…ここで奴らを足止めしてくれ」
壺キャスター「…!?」
壺ランサー「なんだと…!?」
セイバー「虎の子の防御手段を、ここで全て使い切る、と…!?」
キャスター「お前、何言って――」
アーチャー「『アレ』を使うには少々時間が必要だ。しかし、そいつらを完全に仕留めるには『アレ』を使う以外にはない」
キャスター「……?」
アーチャー「だから、そいつらの動きを封じている間に…我々は『予定通り』森の奥でアレを起動させる」
壺キャスター「…!チッ…そういうことかよ」
その場の誰もが、アーチャーの発言に耳を疑った
その僅かな不意を突き、キャスターは空中にお守りをばら撒いた
壺ランサー「しまっ…!」
セイバー「ランサー!全部吹き飛ばして――!」
壺キャスター「『破ぁ!!』」
キャスターの叫びとともに、お守りから光の障壁が展開された
空中に散らばった複数のお守り一つ一つから展開された障壁は連鎖的に結合していき
一つの強固なドーム状の障壁となってランサーたちを包み込んだ
アーチャー「上出来だ。行くぞ、キャスター」
壺キャスター「…しばらくそこでじっとしててくれ。じゃあな」
相手の動きを一方的に封じた有利な状況にもかかわらず、敵の方へは目もくれず
キャスターたちは、そのまま森の奥へと消えていった
壺セイバー「は、恥知らずなキャスターがいた!ガード固めるのは結構だが他人にガード強制するのは犯罪だろ・・・。こんなことしなくてもナイトは既にガードがかなり硬い 早く出せよ切り裂かれたいのか!?」ガンガン
壺ランサー「この!クソッ、かなり強固なバリアだ。生半可な攻撃じゃびくともしないぞ!」
セイバー「くっ…こんな狭い空間内に閉じ込められてしまったのでは、ランサーの宝具は使えませんね…」
士郎「やはり頼りになるのはソロ装備の貧弱一般ジョブではなく黄金の鉄の塊で出来たセイバーであるということが証明されたな セイバーお前全力出してもいいぞ」
壺セイバー「どちかというと大賛成だが…マスターはそれでいいのか?たしかに俺の一撃は破壊力ばつ牛ンだが使う魔力の量もえごいぞ?バーサーカーでもないのに魔力切れをおこして死ぬことはまれによくあるらしい」
士郎「俺の身を案じるくらいなら令呪を無駄に使わせていないという時点で俺の勝率は100%だった。今更gdgdいってないで早く始めろといっているサル!」
壺セイバー「…俺がこの程度でビビると思う浅はかさは愚かしい。――グラットンスイフトでバラバラに切り裂いてやろうか!」
~~~~
壺キャスター「…なぁ、さっきのって…」タッタッタ
アーチャー「無論、フェイクだ。このままあの場所で奴らの攻撃を受け続けていてはジリ貧なのでな。どうしても奴らには森の奥にまで入ってきてもらう必要があった」タッタッタ
アーチャー「あそこまですれば、奴らも『急いで森の奥に向かって、我々を止めなければ』と考えてくれるだろうさ。その結果、一番留意すべき『敵の本拠地に乗り込む』ということへの警戒心が薄れるというわけだ」
壺キャスター「やっぱりな。しかし、発言に説得力を持たせるためとはいえ…貴重なお守りをアレだけ消費するのは痛いぜ」
アーチャー「それに見合う成果は得られる筈だ。ライダーの脱落は予想外の出来事ではあったが…念の為に準備しておいた別の方法に切り替える」
壺キャスター「そんなのまで用意してたのか。用意周到なことだ」
アーチャー「バーサーカーがまっとうな戦いができるサーヴァントではないのでな。その分頭を使わねばならんのだ」
アーチャー「まぁ、どちらかと言えばこういう戦い方のほうが私の性に合う。――例え騎士クラス相手だろうと、沈めてみせよう」
以上です
~~~~
壺セイバー「うおおおおおおおおおお」ザシュッ
壺セイバー「ついげきのグランドヴァイパ!」ガキィ
壺ランサー「よし!障壁が消滅した」
士郎「まぁわかってた(予知夢) ナイトの剣を三度までという名セリフを知らないのかよ」
セイバー「キャスター達が何を企んでいるのかはわかりませんが…このまま放置してはまずいことになるのは確定的に明らかです。急いで追いかけましょう!」
壺セイバー「おい、待…うっ…」ガクッ
壺ランサー「ブロントさん!?…やはり、まだライダー戦のダメージが回復しきっていないようだな」
士郎「!?おい、しっかりすろセイ…バー…」フラッ
セイバー「士郎!…障壁を破壊するのにも、かなりの魔力を使ったようですね」
セイバー「2人共、しばらくここで待っていてください。我々が先行して彼らを止めます。行きましょう、ランサー!」ダッ
壺ランサー「ああ!待ってるぞ、ブロントさん!」ダッ
壺セイバー「お、おいィ!待て…」
士郎「…ナイトの必死の制止を振りきって先行する恥知らずな槍使いがいた!ナイトがいないPTに未来はにい…」
壺セイバー「…あのくっころ騎士は気持ちが先走ってて結構危険 これが罠ならあいつ死んでるぞ」
士郎「こっちの世界ではマスターになったことで何か策士気取ってるがリアルでは猪タイプだからな。人間そうそう生き方は変えられないと思った」
壺セイバー「…これはモタモタしていられない感。時既に時間切れになる前に動くべき」
~~~~
壺ランサー「何個か結界の起点らしきものを潰したが…まだ結界が完全に消える気配はないな。この森中に起点を分散させているのだろう」タッタッ
セイバー「…起点潰しなら私一人でも可能ですね。ランサー、あなた一人の方が早くキャスター達に追いつけるはずだ。私のことは気にせず先に行ってください」タッタッ
壺ランサー「…いいのか?俺が離れた瞬間に奴らに襲われたら…」タッタッ
セイバー「キャスターもバーサーカーも、攻撃に秀でたサーヴァントではありません。キャスターの宝具も数発なら耐えられます」
セイバー「それでももし襲われたら…令呪を使ってあなたを呼び戻します。だから、今は一刻も早く彼らに追いついてください!」
壺ランサー「…わかった!気をつけろよ、マスター!」ビュン
そういうとランサーは一気にスピードを上げ、大地を蹴り大きく前方に跳躍した
その滞空時間の長さと移動距離の長さは、まるで空中を闊歩しているかのようだった
数秒後には、完全にランサーの姿は完全にセイバーの視界から消えた
セイバー(これで問題ない筈です。キャスター達は、この陣地の奥で何かを企んでいる。おそらくはアーチャーを倒したバーサーカーの力と何か関わりが…?)
セイバー(…しかし、何故こうも胸騒ぎがするのでしょうか。何か、大きな間違いを犯してしまったような…)
そこまで考えた時、突然世界が大きく揺れた
いや、正確に言えば…変化を起こしたのはセイバー自身だった
突如地面を踏みしめる感覚が消滅し、そのまま下へと引きずり降ろされた
急激な視界の変化に気が動転したセイバーであったが、次の瞬間には何が起きたかを完全に理解した
セイバー(お、落とし穴…!?こんな、こんなものに…私が引っかかってしまうとは…!)
騎士王として円卓の騎士を率いて、多くの戦場で戦果を上げ
自身も多くの怪物、豪傑たちと死闘を繰り広げ、勝利してきたセイバーにとって
このような幼稚な手に不覚を取るなど、全く予測しかねる事であった
当然、本来のセイバーであればこの程度の罠にかかることはありえない
セイバー(油断した…!今の私は、士郎たちと同じくただのマスターでしかないというのに…!)
セイバー(しかし…中に何かが仕掛けられているわけでもない。ただの時間稼ぎの足止め用の罠ということでしょうか?)
セイバー(…それにしても妙だ。この程度、サーヴァントであれば回避など容易でしょうに)
セイバー(とにかく、今はここから脱出することを考えなければ…)クイッ
セイバー「…え?」
上を見上げたセイバーの視界に入ったのは
穴からセイバーを見下ろすバーサーカーの姿だった
その『眼』は、確実にセイバーの目を見据えていた
~~~~
壺キャスター「おい!もうランサーがそこまで来てるぞ!」ダッダ
アーチャー「さすがに早いな…。二手に別れるぞ。私は右、お前は左だ」ダッダ
壺キャスター「おうよ。まだ、死ぬなよ!」ダッダッダ
壺ランサー「見つけたぞ!キャスター、バーサーカーのマスター!」
壺ランサー(どっちを狙う?キャスターを倒せれば結界も消滅するだろう。だが…結界が貼られた状態でキャスター相手に勝つのは容易じゃない)
壺ランサー(バーサーカーは得体の知れないサーヴァントだ。だが、マスターだけならば容易に倒せる)
壺ランサー「悪く思うなよ、バーサーカーのマスター!」ダッ
アーチャー「やはり、こちらに来たか…!」
壺ランサー「うおおおおおおおおお!」バッ
ランサーは距離を詰め、アーチャーめがけ槍を突き出した
ガキン
壺ランサー「…やはり、まだ持ってたな」シュウウ
アーチャー「随分冷静じゃないか、ランサー。経験から学んでいたというわけか」
ランサーの槍は、キャスターが作成したお守りから発生した障壁によって防がれた
しかし、これはランサーの予測していた通りであり、動揺は一切無かった
壺ランサー「今のは確認のためさ。あわよくばこれで仕留めようと思っていたのは事実だけどね」
壺ランサー「そして、今の私に躊躇はない」グッ
アーチャー「…!宝具を、使うつもりか。マスターもいないのに勝手な真似をしていいのか?」
壺ランサー「私のマスターはやわな人じゃない。宝具の1つや2つ、発動したところで十分補える魔力量と回復力がある」
壺ランサー「もう礼装も尽きかけているだろう?マスター相手だろうと容赦はしない。ここで終わりにする」
アーチャー「…やってみろ」
壺ランサー「紫電の(ライトニング)…!」
壺ランサー「…!?宝具が、発動できない…!?」
アーチャー「やれやれ…一か八か、不確定要素の大きい策だったが…なんとかうまく行ったようだな」
壺ランサー(どういうことだ?宝具を発動するほどの魔力量が、マスターから供給されていない…?)
壺ランサー「…!?バーサーカーは、どこだ!?――マスター!」
アーチャー「さて、どうする、ランサー。我々が二手に別れた理由を考えることだな」
アーチャー「ここで宝具を使わずに私を倒すのが先か、君のマスターがバーサーカーとキャスターによって倒されるのが先か…試してみるか?」
壺ランサー「…!」
壺ランサー(キャスターはマスターの元に向かっている…!?例えここでバーサーカーのマスターを倒しても、私のマスターがやられてしまったら…)
壺ランサー「…クソッ!待ってろ、マスター!」ダッ
アーチャー「…行った、か。全く、肝が冷えたよ。もう少しランサーが冷静だったら危なかった」
壺キャスター「そう言う割には、アンタはなかなか肝が座ってるな。この状況でハッタリかませるなんてな」スゥ
アーチャー「何、あのアーチャーもそれで倒したようなものだ。…そろそろ穴の中で休息を取っている凛を引きずり出してくれ」
アーチャー「今度はハッタリなどではなく…本当にセイバーのもとに向かうぞ」
以上です。
色々ガバガバですが許してください
~~~~
壺ランサー「マスター!大丈夫か!?」
壺ランサー(おかしい…この近くに確実にマスターがいるはずなのに…姿がどこにも見えない)
壺ランサー「…!あの穴…まさか!?」
壺ランサー「マスター!くっ!こんな罠を仕掛けていたとは…怪我はないか、マスター!?」
セイバー「あ…あアァ…グアあああ…アアア…!」
壺ランサー「落ち着きたまえ!落ち着きたまえー!!」カッ
セイバー「ア…ラン…サー…?」
壺ランサー「よかった…自分を取り戻したか、マスター」
セイバー「え…ええ…すごく…落ち着きました…。です、が…気を抜くとまた、狂気に飲まれてしまい…そうです…」
壺ランサー「気にするな、マスター。マスターはここでおとなしくしていてくれ。キャスター達の相手は、私が…」
壺キャスター「誰の相手をするって?ランサー」
壺ランサー「…キャスター」
凛「アーチャー…あんなもの仕掛けてたなら教えなさいよ…お陰で穴の中で休憩するハメになったじゃない…」
アーチャー「すまないな、凛。まさか自分の結界内で罠を察知できないマスターがいるとは思わなくてな」
凛「私はものすごく疲れてたのよ!今にも倒れそうなくらいフラフラだったの!」
アーチャー「それだけ喋れれば十分だろう。それに、疲れていたのは私とて同じことだ」
アーチャー「なにせこの森に、万が一のことを考え罠を張り巡らせていたのだからな。質よりは数を重視したがね」
壺キャスター「いくら相手に深手を追わせられるような罠を作ったところで、相手が引っかからなければ意味が無い。なら簡素でも数多く仕掛けて、敵がかかる確率をあげとこうってわけだな」
壺キャスター「それは正解だったみたいだぜ。今のこの状況を見る限りな」
壺ランサー「…」
アーチャー「バーサーカーは特別なサーヴァントでな。戦う力をほとんど持たない分、サーヴァント特有の気配も何も感じさせないのだ」
アーチャー「現に、バーサーカーを入口付近で待機させ、セイバーの後を付けさせていたのだが…全く気づかなかっただろう?」
アーチャー「我々を急いで止めようと思ったら、君たちはサーヴァントに先行させると読んだのだ。いや、うまく事が運びすぎて怖いくらいだよ」
アーチャー「…衛宮士郎とセイバーの2人が別行動だったのは予想外だったがな」
セイバー「汚い、な…さすが切嗣の息子きたない…。私はこれで士郎のこと嫌いになった、な…あ…あもりにも…ひきょうすぎる、でしょう…?」
壺ランサー「…まんまとお前たちの策に嵌ってしまったというわけか」
壺キャスター「今まで散々お前に付きまとわれて迷惑してたんだ。俺達の因縁もここで終わらせようぜ、ランサー」
壺ランサー「…」
セイバー「ラン…サー…!私に構わず…宝具を…!」
壺ランサー「…それはできない、マスター。今のマスターからでは、十分な魔力供給が受けられないのだ」
セイバー「…!そん…な…」
壺ランサー「仮に魔力が十分でも…『紫電の槍(ライトニングスピア)』は使えない」
壺ランサー「今のマスターは、辛うじて正気を保っている状況なんだ。アレだけの発光と轟音による刺激を受けたら、今度こそ完全に狂化してしまうかもしれない」
セイバー「……」
壺キャスター「…それで?諦めたわけじゃないんだろ?見せてみろよ。前話してた、『最後の宝具』ってやつを」
アーチャー「…!その話は初耳だぞ、キャスター」
壺キャスター「お前も俺たちに全てを話したわけじゃないだろうが。ま、ここで油断したら負けもありえるってことだ」
壺ランサー「マスター。申し訳ないがしばらくその穴の中でじっとしておいてくれ。そこが一番安全だ。今からここは戦場に変わる」
セイバー「…ならば…せめて…私の、残りの令呪を…魔力として使ってください…。桜がしたように…私も、あなたに…託します…」ピカアア
壺ランサー「ありがとう、マスター。そして…さようなら」
壺ランサー「これを使ったら…勝っても負けても、私はもう元には戻れない」スッ
ランサーが宙に手をかざすと、魔力の発生とともに『それ』は出現した
ランサーは事もあろうに槍を投げ捨て、『それ』を両手で掴んだ
凛「何、あれ…?武器…じゃないわよね…?」
アーチャー「冠…いや、兜か…?」
壺ランサー(エースの力よ…私とマスターに…勝利の栄光を…!)
ランサーは装着していた兜を脱ぎ捨て、『それ』を頭に装備した
『それ』の正体は、かつて限られた栄誉ある戦士にのみ与えられた装備品であり
ランサーの最後の宝具、『エースヘルム』であった
アーチャー「…それを被ったからどうだというのだ。様子見はもういいだろう、キャスター。ランサーに攻撃を…」
壺キャスター「…!ランサーの様子がおかしい…!」
『エースヘルム』を被ったランサーの容姿は、みるみるうちに変容していった
腕と足は大きく肥大化し、もはや以前の肉体の原型を留めていなかった
あまりに巨大で、あまりにアンバランスなその体型を見て
かつてのランサーの姿を想像できるものはいないだろう
アーチャー「…馬鹿な…!」
凛「嘘…でしょ…!?」
壺キャスター「…想像以上だったぜ、ランサー」
パンパンに膨れ上がった顔に張り付くのは、寒気すら感じる邪悪な笑顔
その口元をいびつに歪めながら、かつてランサーだった『もの』は静かにつぶやいた
./ \
.| ^ ^ |
| .>ノ(、_, )ヽ、.| <…あまり私を怒らせない方がいい
__! ! -=ニ=- ノ!___
/´ ̄ ̄ .|\`ニニ´/ `ヽ
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i;;',,, r---イ /|,、_,, ,',;:',i
.l;';',;,, } /;\ / ヽ / ,;,;;',;l
.|;;',;, } ./;;;,, \ / ;;;;;;ヽ ,,;;','i
i;',, / /;;,',';; ノ--, ',',;;::',',゙i ,,';';i
i;,'; /./,',',';;" / \ ',',',;;,'i ,;',i
/ / i 、 / ヽ ',;::'、| \
ヽヽヽヾ丿 〈 ヽ'' {////
```` ト, i | 、 i´´´
|',',;; } ! ',',;;i
|,','、 / ヽ',',','|
以上です
凛「な、何よあれ!?」
アーチャー「信じられないが…あれがランサーの切り札というわけか。やれやれ、とても槍兵を名乗れる姿ではないな」
壺キャスター「言ってる場合か。でかくなったのなら逆に好都合だ。喰らえ!『破ぁ!!』」ビュン
壺ランサー「^ ^」シュン
凛「嘘!?消えた!?」
壺キャスター「…!違う!あの時と同じだ!今すぐここから離れろマスター!!」ダッ
凛「えっ…!!」
壺ランサー「^ ^」ゴオオオ
アーチャー「…!?上か!?こっちだ、凛!」バッ
凛「ちょ!?」グイッ
ドゴオオオオオ
壺キャスター「…マジかよ」
ランサーはその巨体からは想像もつかない程の速度で跳躍し
その両足で大地を踏み抜くかのような勢いで着地した
足元に発生した大きなクレーターが
着地の際の衝撃の威力を物語っていた
アーチャー「あの巨体であの速度…まるでどこぞの神話の英雄のようだな」
壺キャスター「油断すんな!2撃目が来るぞ!」
ランサー「^^」ブンッ
ゴオオオ
凛「きゃあ!?」
アーチャー「チィ!」
ベキベキ
ランサーは間髪入れずに攻撃を仕掛けたいた
攻撃、と言っても…ランサーはただ腕を横に振り回しただけに過ぎなかった
だが、その振りによって周りの木々はなぎ倒され、突風が発生した
直接攻撃を食らったわけでもないのに、凛はランサーの後ろへ吹き飛ばされた
壺キャスター「マスター!…かなり男前になったじゃないか、ランサー。化け物と呼ぶのすら烏滸がましい、立派な怪物だ」
壺キャスター「だがな…そっちの姿のほうがやり甲斐があるってもんだ。俺の専門である怪異の類にだいぶ近づいてるぜ」
アーチャー「…身体能力の向上…いや、もはや変容というべきか。確かに著しい変化だ」
アーチャー「だが同時に、かなり大雑把な動きしかできなくなっているようだ。狂化とはかくあるべき、という理想の姿とも言える。バーサーカーにも見習ってほしいものだな」
2人は、努めて冷静に目の前の怪物を観察しようと試みた
身長は5メートルに届こうかという程の巨体であり
顔は不気味な笑顔を絶やさない
かと言ってそれを嫌って目を背けようものなら
丸太と形容するのすら躊躇われるほどの太く長い手足からいつ攻撃が飛んでくるかわからない
これ程の肉体から繰り出される攻撃に、もはや防御は意味を成さないだろう
壺キャスター「…おい、バーサーカーのマスター。あの怪物の動きを封じることができたら…バーサーカーの『切り札』とやらで仕留めることはできるか?」
アーチャー「無論だ。発動さえできれば、あいつがどれだけ頑丈だろうが関係ない。あのアーチャーですら仕留めたのだからな」
壺キャスター「…俺が何とかしてアイツの動きを止める。それまでバーサーカーは引っ込めておけ」
アーチャー「…できるのか?君に」
壺キャスター「できなきゃきゃどっちにしろ負けだろうが。…絶対に、しくじるなよ」
アーチャー「…ふっ。それは私のセリフだと思うが?」
壺ランサー「^ ^」ズウウウウウン
壺キャスター「…ってそんなに甘いわけないよな!しばらく逃げまわって時間を稼ぐぞ!『破ぁ!!』」ダッ
アーチャー「言われなくともそうするつもりだ!攻撃手段を持っているのは君だけなんだ、しっかりとヘイトコントロールを頼むぞ!」ダッダッダ
以上です
~~~~
壺セイバー「何やら森が騒がしい感じを出してきたんだがマスターの魔力が心もとないらしく先に進みにくいというある様 ああナイトはいつも理不尽な目に合わされると実感するな」
士郎「自分の負傷を棚に上げてマスターを批判する恥知らずなエルヴァーンがいた!けど「」確かに少し様子が変だな」
壺セイバー「ここでリューサンがやられたら俺達にも未来はにい 多少無理してでも援護に向かうべきだと思った」
士郎「どちかというと大賛成だな 普段は頼りなく貧弱なランサーのクラスでも黄金の鉄の塊であるセイバーと組めば鬼の力を発揮できるのは確定的に明らか」
壺セイバー「というわけで戦場にのりこめー^^」
士郎「わぁい^^」
~~~~
壺キャスター「『破ぁ!!』『破ぁ!!』」ビュン
壺ランサー「^^」シュン
壺キャスター「チッ。まるで当たりやしねぇ。…それにしても妙だな。さっきから暴れてはいるが、こっちを深追いしようとしない。ただの環境破壊野郎じゃないか」
アーチャー「気をつけろ!敵の攻撃が来るぞ!」
壺ランサー「^^」バッ
壺キャスター「また上か!行動は相変わらずワンパターンだな!」サッ
壺ランサー「^^」ズドオオオオオオオオオン
壺キャスター「…?明後日の方向に飛んでいきやがった。何がしたいんだ?」
壺ランサー「^^」ズンッ ブンブンブンッ
バキッグシャッ
アーチャー「我々と距離を取ってくれるのはありがたいな。やはり理性を失っているのか?」
壺キャスター「…まさか!」
壺ランサー「^^」バッ
アーチャー「また我々のいる方向とは逆に向かっていったな。肉体の強化と引き換えの精神の狂化、か。恐れる必要はなさそうだな」
壺キャスター「クソッ!おい、ランサーを追うぞ!」ダッ
アーチャー「何だと…!わざわざ危険を犯しに行くというのか!?」
壺キャスター「アイツはいきなり俺たちを倒すつもりなんてなかったんだ!アイツの目的はこの森の結界を消すことだ!」
アーチャー「…!?そういうことか…!」
壺キャスター「アイツは理性を失ってなんかいない!確かに精細な動きはできなくなったんだろうが…代わりに得たリーチとパワーで大暴れするつもりだ!」
アーチャー「辺り一帯を目茶目茶にして、結界の起点を潰そうという訳か…」
壺キャスター「完全に陣地を破壊される前に、アイツを倒すぞ!結界が消えてしまったら、もう奴らを止められない!」
アーチャー「くっ…まさかあんな怪物に対して、我々が追う立場になるとはな…!」ダッ
~~~~
壺セイバー「確かに戦場とはいったが…それなりの出迎え方があるでしょう?」
士郎「…森かと思ったら荒野だったという顔になる 誰か説明しテ!」
森の奥にしばらく進むと、暗く生い茂った木々の中で不自然に明るい木漏れ日が見えた
そこまで進んだ士郎たちの目に入ったのは、大きく開けた空間であった
そこに存在するはずの木々はなぎ倒され、地面には大きなクレーターが複数点在していた
その様子はまるで爆心地を思わせるものであり、そこで激しい戦闘があったことを推測させた
壺セイバー「肉体が貧弱なバーサーカーや魔術がそれほどでもないキャスターにこんなことができるはずがにい これはリューサンの仕業でFA!」
士郎「俺は古代より視力の高さには定評のある正義の味方志望なのだが…あそこら辺に穴が空いているように見えた」
壺セイバー「ほう、経験が生きたな 中に何が入っているか教えるべき」
士郎「何あれ…?人…?外人…?…!セイバー!!」
壺セイバー「おいおい(笑)冗談は魔力の少なさだけにしておけよ」
士郎「うるさい気が散る!セイバー!セイバーどうしたんだ!」
セイバー「…士郎…?来て、くれたのですか…ですが…すみません…あまり大きな声を出すのはやめてください…。今にも理性が飛んでしまいそうなのです…」
壺セイバー「いやらしい……」
セイバー「黙っててください…前歯へし折られたいんですか…!…失礼。ですが…私のことは気にせず…彼を助けてあげてください」
セイバー「彼は今…たった一人で戦いに挑んでいます…」
士郎「…ランサー…!」
~~~~
アーチャー「キャスター!今結界はどの程度維持できている!」
壺キャスター「もう4割ほど拠点が破壊された!徐々に結界の効力が弱まっている!」
アーチャー「これ以上の破壊は絶対阻止せねば。だがしかし…ヤツにまるで追いつけていない」
壺ランサー「^^」ビュン
ランサーはその巨体を駆使し、触れる木々は全てなぎ倒し、大地を抉っていた
破壊の限りを尽くしながら猛スピードで森中を蹂躙するその様は
もはや怪物ではなく、天災に例えるのが妥当といったところだろう
壺キャスター「あのスピードで迫られるのはゴメンだが…逃げられるのはもっと厄介だ」
壺キャスター「アイツを止める、か…。多少無理する必要があるな」
アーチャー「…何か策があるようだな」
壺キャスター「策といえるかどうかも怪しいがな。…お前、確か投影とやらを使えるんだったな」
壺キャスター「『釣り竿』の投影は可能か?」
アーチャー「…可能だ。かつて投影した経験もある」
アーチャー「だが、今の私に投影できるのは何の力を持たない、本当にただの釣り竿だ。一体何に使おうというのだ?」
壺キャスター「なら、今すぐ投影して俺に貸してくれ。時間が惜しい。早めに頼む」
アーチャー「…トレース・オン」シュウウ
アーチャー「これでいいか?」サッ
壺キャスター「ありがとよ。充分だ。力は俺が与えられる」
アーチャー「…一体何をするつもりだ?」
壺キャスター「俺の宝具は色々応用が効くのさ。今まではあえて使おうとも思わなかったが…」シュウウウウ
壺キャスター「『破ぁ!!』」ピカアアアアアア
アーチャー「…これは…!」
壺キャスター「いつまでも暴れてんじゃねぇぞ、ランサー!『破ぁ!!』」バシュッ
キャスターが詠唱をすると、釣り竿は光に包まれた
糸は眩しく輝き、光の剣を思わせる形状へと姿を変えていた
キャスターが釣り竿を思い切り振り回すと、糸はまっすぐランサーの元へと向かっていった
背後から迫る一筋の閃光をランサーは躱せず、光の剣はランサーの胴体を貫いた
壺ランサー「^^;」グハッ
壺キャスター「どうだ?少しは効いただろ」
アーチャー「…!何をしている!今すぐ釣り竿を手放せ!」
一瞬動きを止めたランサーであったが
すぐさま自分に起きたことを理解した
そして、自分の体を貫いた糸を掴み
思い切り引っ張った
グン
壺キャスター「…!くっ…!」ズオオ
アーチャー「キャスター!!」
キャスターは釣り竿ごとランサーの元へ手繰り寄せられ
その巨大な手によって胴をワシ掴みにされた
壺キャスター「グハッ!ぐ…あ…」
壺ランサー「^^」ギリギリ
ランサーは徐々に手に力を込めていき、そのままキャスターを握りつぶそうとしていた
そして、今まさに渾身の力を込めてキャスターを葬らんと――
壺キャスター「…へ、へへっ…どう、だ…動きを、止めてやった…ぜ…」
壺ランサー「^^!?」ギチギチ
キャスターは、ランサーによって釣り竿を引き寄せられていた時
更に、ランサーによって体を締め上げられていた時
宝具の魔力によって糸を巧みに操り、逆にランサーの体を縛り上げていた
激しく動いている相手を、遠距離から止めるのは難しい
あえて危険を承知で敵の懐に潜り込み、察知されないように動きを封じる
最初からそれがキャスターの狙いであった
アーチャー「上出来だ、キャスター。…来い、バーサーカー」
壺バーサーカー「……」ブゥン
壺ランサー「^^#」ギリギリ
壺キャスター「けど…まずったな…このままじゃ…俺も共倒れだ…ガハッ!」
「――令呪を持って命じるわ。…私のもとに戻りなさい、キャスター!」
ビュン
壺ランサー「^^!?」スカッ
壺キャスター「ヒュウ…ゼェ…ハァ…ハァ…来てくれる、って…信じてたぜ、マス、ター…」
凛「嘘付きなさい。どう見ても後先考えなしの行動でしょ!」
壺キャスター「まぁ…な…。だけど…値千金の働き…だと思うぜ」
壺キャスター「あとは…バーサーカーの『切り札』とやらを…じっくり拝ませてもらうじゃ…ないか」
アーチャー「令呪を持って命じる。重ねて令呪を持って命じる。更に重ねて令呪を持って命じる」
アーチャー「バーサーカーよ――魔力の贄を喰らい、汝の逸話に眠りし秘法を解放せよ」
それは、令呪を用いた命令というよりは、魔術の詠唱に近いものであった
アーチャーが『詠唱』を始めると、バーサーカーにも変化が現れた
虚ろで濁った目は赤く染まり、顔は初めてバーサーカーらしく狂気を映し出していた
腕に巻かれた包帯はまるで拘束が解かれたかのように激しく棚引きはじめ
対照的に周辺の空気は、まるで真冬のように冷たく静かになっていった
アーチャー「森羅万象、生あるもの全てに確実な死をもたらす凍れる禁術。その名は――」
壺バーサーカー「――エターナル…フォース……ブリザード!!」
以上です
~~~~
セイバー「…あっ…」シュウウウ
士郎「…!?セイバー、体が…!?」
セイバー「今、はっきりと分かりました…ランサーが、敗れたのだと…」
壺セイバー「…リューサン」
セイバー「…申し訳ありません、ランサー。ここまで共に戦ってきたというのに」
セイバー「最後の最後に、感謝の意も…別れの言葉すら伝えられないなんて…」シュウウウウウウ
士郎「……」
壺セイバー「…だが、リューサンはどうやらかなり暴れたらしいな 体の軽さがその証拠」
士郎「結界の効力が、弱まっているのか…流石は竜騎士だと感心はするがどこもおかしくはない」
壺セイバー「…心配しなくてもリューサンはソロ専だからよ、一人で逝くのは慣れてるべ」
壺セイバー「キャスター達の弱体化も決定した 後は俺達で決着を着けるぞ」
~~~~
シュウウウウ
壺バーサーカー「……」
アーチャー「…くっ。やはり発動後の反動がキツイな…」ヨロッ
壺キャスター「ランサーが、一撃で…」
凛「今のは、何…?」
壺キャスター「…『エターナルフォースブリザード』か。成程、それなら納得できる」
凛「何よ、それ…」
アーチャー「――2ちゃんねるで最も名の知られた創作魔法、それが『エターナルフォースブリザード』だ」
アーチャー「一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる、という効果が設定されているが…それがもたらす結果は至ってシンプルでな」
アーチャー「――『相手は死ぬ』。この一点のみだ」
壺キャスター「ある種の因果の逆転のようなもんだな。この魔法を発動した時点で、相手の死は確定している。大気の氷結はそれに付随するオマケみたいなもんさ」
壺キャスター「それほどまでに、2ちゃんねる上で『発動=死』のイメージが定着してる技だってことだ」
凛「…よくわかんないけど。要するにその技を使ったら、対象を確実に仕留められる…ってことなのよね?」
アーチャー「その通りだ。尤も、本来の担い手ではないバーサーカーにこの技を再現させるには、それなりの代償を払わねばならんがな」
壺キャスター「令呪3画か…本来ならば1度しか使えない、正真正銘最後の切り札ってわけだな」
アーチャー「ああ。幸いアーチャー討伐の褒章として、新たに6画の令呪が支給されたためこうして戦略に組み込むことができてはいるが」
アーチャー「残る令呪は後3画。つまり、もう一度だけエターナルフォースブリザードの使用が可能だ」
凛「…」
アーチャー「だが…見ての通りこれを使うと私の魔力も根こそぎ持っていかれる。当分の間戦闘は不可能だ。悪いが、残るセイバーの相手は君達が先にやってくれ。私も後から合流しよう」
アーチャー「結界はまだ完全に破壊された訳ではないのだろう?私の見立てでは、セイバーもライダーとの戦闘でかなり消耗している筈だ。君達にもまだ十分勝機はあるさ」
凛「…そうみたいね。だからこそランサーもあれだけ好きに暴れられたんでしょうね」
壺キャスター「…よし、かなりダメージも回復してきた。いつでも大丈夫だ、マスター」
凛「……わかったわ。お願い、キャスター」
短いですが以上です
~~~~
士郎「…セイバー」
壺セイバー「ああ。やっと敵と相まみえるのだという顔になる」
凛「…さっきぶりね、士郎。さっきよりは顔色良さそうじゃない」
壺キャスター「マスターもな。そういや、セイバーの戦い方って俺はあんまり覚えてないんだよな。闘技場の時は記憶が曖昧でな」
壺キャスター「まぁ、逸話には事欠かないサーヴァントだ。どんな攻撃パターンを持ってるかはある程度予想つく」
壺セイバー「勝手に人の実力を決めつけるなよ雑魚が。 …と普通ならこう返すのが全員だろうが」
士郎「ナイトは忍者とは比べ物にならないほどの懐の広さの持ち手なのでその程度の挑発も「ほう…」と受け流す」
凛「…あなた達と会話してると私の頭がおかしくなって死にそうになるわ。お互い、もう御託はいいでしょ?」
壺キャスター「あとは決着を付けるだけだ。今更結界を貼り直す時間もないしな」
士郎「歯垢のジョブであり最高のクラスであるナイトなセイバーとタイマン貼るとかお前頭わりぃな。INTは9でいい」
壺セイバー「タイマンとか言いながらなにか企んでるのはバレバレテで バーサーカーはどこに隠してんだよ」
壺キャスター「…バーサーカーか。さぁて、どこに身を隠してることか」
凛「…いいわ、キャスター。この際だから全部話しちゃいましょ」
壺キャスター「いいのか?マスター。相手に警戒してもらってた方がこっちにとってはありがたいんじゃ」
凛「これが最後の戦いだもの。最後くらい覚悟決めて真っ向から戦いましょ」
壺キャスター「…ま、そういうマスターだってことは、短い付き合いでもなんとなくわかってたけどよ。いいぜ、好きにしな」
士郎「お前ら一体何の話をしてるのだと言って――」
凛「バーサーカーは、もういない。…これが最後の戦いよ、士郎」
~~~~
凛「……わかったわ。お願い、キャスター」
壺キャスター「おうよ。…悪く思うなよ」クルッ
アーチャー「…?一体、何を」
壺キャスター「『破ぁ!!』」バシュン
キャスターはバーサーカーに向き直り、宝具を使用した
キャスターの放った一撃は、バーサーカーの華奢な体を貫いた
壺バーサーカー「……ぁ」シュウウウウウウウ
壺キャスター「おーおー。一発食らっただけでだけで致命傷か。やっぱり、サーヴァントとしては貧弱だな」
アーチャー「…!?馬鹿な…!?凛、君は一体何を…!?」
凛「……アーチャー。私だってアンタに言われるままに内職してたわけじゃなくて、いろいろ考えてたのよ」
凛「それで、結論がでたの。――バーサーカーのその『切り札』」
凛「このまま戦いが順調に進めば…それの最後の犠牲になるのはキャスターの予定だったんじゃないの?」
アーチャー「……!」
凛「そもそも、周りくどいのよ。やってることがものすごく。罠を森中に仕掛けておきながら、セイバーとランサーを入り口で足止めしたり」
凛「キャスターを通じて森の中での戦いを見せてもらったけど…最初に足止めした時にその切り札を使っておけば、確実に敵の戦力を1騎削れたでしょ?」
アーチャー「…」
凛「でも、アンタはそれをしなかった。そこで仕留めておけば、ランサーにあそこまで大暴れされることもなかったでしょうに」
凛「…アンタの狙いは、令呪を温存したまま、セイバーとランサーを倒し、かつ、キャスターも満身創痍の状況を作ること。この森は、そのための布石ってところかしら」
凛「セイバーを罠にかけたのも、本当はキャスターにランサーを倒させるつもりだったんでしょう?それとも窮鼠の大暴れに期待して、相打ち狙い?」
壺キャスター「ま、それはランサーの宝具のせいで台無しになったけどな。…こっちも結構なダメージを負ったが」
アーチャー「…君はそこまで気づいておきながら、あえて私を泳がせておいたというわけか。目的は――」
凛「あなたと同じよ。…勝ちたいのよ、この戦いに」
凛「現実世界でのルールが適用されないこの世界で、与えられた『武器』と知略を駆使して最後まで勝ち残る…これ以上に自分の実力を試すことができる好機はそう無いでしょう?」
アーチャー「…家計の心配はしなくていいのか?」
凛「あのねぇ…。大体、あのエセ神父がちゃんと約束を守って賞金を出すかどうかだって怪しいもんじゃない!」
凛「アイツの性格の悪さは、私が一番良く知ってるわよ。あん畜生、嫌がらせのためならなんだってするんだから」
アーチャー「…ふっ。何、冗談だ。まさか、あの凛が私を出し抜くとはな」
アーチャー「柄にもなく、感激してしまったよ。…親心とは、こういう気分を言うのだろうか」
凛「…」
アーチャー「…肝心なところで重大なミスを犯し、余裕もなく優雅さも投げ捨てていくあの凛に、この私がやられるとはな……」
凛「うっさい!さっさと消えなさい!」
アーチャー「――勝て、凛。今の君なら、衛宮士郎などに負けはしない筈だ」
凛「…言われなくてもそのつもりよ。行くわよ、キャスター。――最後の決着を付けに」
以上です
~~~~
壺キャスター「まぁ、そういうわけで…バーサーカーは俺がきっちり仕留めておいた」
壺キャスター「お前たちがランサーの敵討をしようなんて考える必要もないってことだ。ありがたいだろ?」
士郎「……」
壺セイバー「…普段は確かに心優しく言葉使いも良いナイトでも おまえらのあまりの粘着ぶりに完全な怒りとなった」
壺セイバー「――リューサンの分も一撃を食らわせてやる 覚悟しろよカスが」
凛「何よ、結局怒ってるじゃない…」
壺キャスター「敵のペースに飲まれるな、マスター。ふざけた言葉喋っちゃいるがかなりの遣い手だ」
壺キャスター「ただ、アイツはランサーやアーチャーと違い…俊敏さを活かした『回避』ではなく、耐久を活かした『防御』を得意とするタイプのサーヴァント」
壺キャスター「つまり…俺の宝具の格好の獲物ってわけさ」グッ
凛「令呪もまだひとつ残ってるし、結界も一応まだ機能してる。充分に勝機はあるわ。もう真っ向からぶつかるしかないわよね…!」
士郎「セイバー、行けるか?」
壺セイバー「そんな心配ひ不要です。ナイトは回復力もかなり高い むしろマスターのほうが心配で身動きがとりにくいというある様」
士郎「俺は主人公だし腕とかも結構もげたりするけど生半可なマスターには真似できない根性で耐えたりする つまり全く問題はないな」
壺セイバー「助かった、終わったかと思ったよ。じゃああとはこいつらをぶっ飛ばすだけだな」
「「……」」
「「……」」
凛「行くわよ、キャスター!」
士郎「行くぞ、セイバー!」
壺キャスター「おう!」
壺セイバー「hai!」
「あの~…誰か忘れてないでちゅか?」
士郎「!?」
凛「しまった…!このタイミングで…!」
壺キャスター「やっぱり来やがったな、アサシン!『破ぁ!!』」ヒュッ
「ちょ、いきなり何するんでちゅか!」サッ
壺セイバー「俺は常人ならば対応できない程の反応速度でカカッとアサシンに斬りかかった!」バシュ
「や、やめてくだちゃい!」シュッ
動揺するマスターたちとは裏腹に
サーヴァントはこの突然の来訪者を予期していたかのように
即座に攻撃対象を変更した
壺アサシン「…いきなりひどいじゃないでちゅか」パッパッ
壺キャスター「いきなりはこっちのセリフだ。毎度毎度戦いに水を差すタイミングで現れやがって」
壺セイバー「ナイトに同じ手が通じると思って粋がるなよ雑魚が 黄金聖鉄塊に同じ技は2度通じぬという名セリフを知らないのかよ」
壺アサシン「今すぐ戦うつもりはないのでちゅ。マスターからのメッセージをあなた達に伝えるために来たのでちゅわ」
士郎「メッセージ…?大事な要件を伝えるなら自分から教えに来るべき 支給されたカス端末も壊れてるしよ」
壺アサシン「だから、こうしてあたちが出向いたのでちゅ。よっと…」
アサシンが懐から取り出したのは、士郎たちに支給されたものよりもサイズの大きい
タブレット型の端末であった
その画面には、言峰綺礼の顔が映し出されていた。
言峰『やぁ、盛り上がっているかね、諸君』
壺キャスター「ああ、かなりな。それをたった今お前たちに邪魔されたわけだが」
言峰『それは悪かったな。だが、一刻も早く伝えねばならぬ事があったのでな』
凛「…わざわざアンタが言い出すってことは、確実に悪い話題よね」
言峰『そうでもないぞ、凛。むしろ君らにとっては朗報となりえる話だ』
士郎「もったいぶらずに話すべき死にたくなければな」
言峰『――おめでとう、遠坂凛。そして、衛宮士郎。君たち2人がこの『聖壺戦争』の勝者だ』
士郎「…おいィ?」
凛「…はぁ!?アンタ、何言って」
言峰『約束の報酬は、優勝者に用意されたものと同額を、君たち2人にそれぞれ支給しよう。差し当たって――』
言峰『この『聖壺戦争』を終結させる必要がある。速やかに自らのサーヴァントを自害させてくれたまえ』
以上です
凛「…アンタ、自分が何言ってるかわかってんの?」
凛「――ふざけないでよ!私達が今まで勝利をつかむためにどれだけ汗かいたと思ってるわけ!?」
凛「それを、勝たせてやるからサーヴァントを自害させろですって…?人を馬鹿にするのも、いい加減にしろっての!」
壺キャスター「お、おい。抑えろよマスター…腹立たしいのは俺も同じだけどな」
壺セイバー「おいィ?マスター、今の言葉聞こえたか?」
士郎「聞こえてない 何か言ったの?そもそも自害させるための令呪がないという時点で俺の勝率は最初から100%だった」
言峰『ふむ…君たちは、賞金が欲しくはないのか?こちらの提案を飲まないのであれば君たちは評価対象外だ。参加賞すら支給されない』
言峰『それでもいいかね?これが最後の問いかけだ』
凛「…ふん。そっちこそ素直にお願いすれば?『お金が勿体ないので、賞金出したくないんです;許してくだふぁい;;』って」
言峰『……』
凛「こっちはとっくに、賞金なんて眼中にないのよ。それに、どっちにしろあと3騎だけなんだし、ここで決着を付けても同じことでしょ?」
言峰『…ふん、交渉は決裂というわけか。仕方あるまい』
言峰『君たちが素直にサーヴァントを自害させてくれれば、こちらとしても面白…失礼、楽だったのだが』
壺キャスター「おい、サラッとコイツ本音を漏らしたぞ」
壺セイバー「…それにしても妙だな 今更急いで戦争終わらせて何になるっていうんだよ」
言峰『…あの『バーサーカー』は…最期まで想像以上の働きをしてくれた』
言峰『奴のお陰で、予想をはるかに上回るペースで魂の回収ができたのだ』
言峰『サービスの実装を待つ必要もなくなった。…あと2騎分もあれば充分に満たされるだだろう』
士郎「意味わかんね 笑う坪どこ?何言ってるか全然理解不能状態なんだが」
言峰『君たちがこれ以上知る必要のないことだ。――さて、決着をつけようではないか』
言峰『君たちの望んだ方法でな。アサシン、セイバーとキャスターを始末しろ』
壺アサシン「やっと出番でちゅね。――了解しまちたわ」
短いですが以上です
アサシンは端末をその場に置き、臨戦態勢に入った
しかし、今まさに戦いが始まろうかという時に、予期せぬ来訪者がその場に現れた
「これは一体…どういうことだ」ザッ
壺キャスター「新手か!?」バッ
凛「…って、ええ!?なんでアンタがいるのよ」
アーチャー「…それは私が教えてほしいくらいだ。バーサーカーが消滅した後も何故か私はこの世界に留まったままだ。言峰綺礼、説明を要求する」
言峰『ふむ…ライダーの宝具の影響、及びバーサーカーの消滅によりバグが発生したのかもしれん。まぁ、些細なことだ』
言峰『…サーヴァントを持たぬマスターが死亡すると、一体どのようなことになるのだろうな。少し興味がわいた。アサシン、ついでにそいつも始末しろ』
壺アサシン「わかりまちた」
アーチャー「な…!?貴様、何を…!?」
壺セイバー「ハイスラァ!」ブンッ
壺アサシン「おっと」ヒュン
壺キャスター「瞬間移動…やっぱり厄介なスキルだな」
壺セイバー「お前の相手は俺達だと言っているサル!履き違えんなよカスが」
壺アサシン「やれやれでちゅわ。じゃあまずはあなた達から相手してあげまちゅ」スゥ
凛「消えた…!今度はどこに…」
スッ
バチッ!!
壺アサシン「痛っ!」シュウウウ
凛「きゃあ!コイツ、私の背後にいたの!?」
壺キャスター「俺達の相手をする、と言っておきながらマスター狙いか。わかりやすすぎるな。マスターに何個かお守りを分けておいて正解だったぜ」
壺セイバー「追撃のグランドヴァイパ!」
壺アサシン「ちっ…!」シュン
壺セイバー「ヨミヨミですよ?お前の動きは」
シュン
壺キャスター「『破ぁ!!』」ビュン
士郎「お、おいやめろバカ!」サッ
壺アサシン「ぶへぇ!!」ドガッ
凛「今度は士郎を狙ったのね。キャスター、ナイス!」
壺キャスター「結構効いたな。お前も、バーサーカーと同じでさほど耐久が高くないタイプと見たぜ」
壺アサシン「ふうう…多くの戦いを経験して、かなり手強くなってまちゅねえ。初期とは大違いでちゅ」
言峰『…どうした、アサシン。お前の力を駆使すれば、その程度の相手に苦労することは無いはずだが?』
壺アサシン「戦いは単純なスペック差で決まるものではないのでちゅよ。もはや彼らは歴戦の勇士でちゅわ」
壺アサシン「マスター、この際でちゅし、あたちのプロテクトを全て解除してみるのはどうでちゅか?」
凛「プロテクト…ってどういうこと?」
アーチャ「…奴の能力を制限するためのプロテクト、というのが妥当な考えだろう。どんな理由で制限されていたのかは不明だが…」
壺キャスター「それを解除するってことは…今よりも弱くなるってことは無いだろうな」
言峰『…ふむ。確かにこの世界ももはや修正不能な歪みもいくつか生じている。お前のプロテクトを外したところで、大きな影響もないやもしれん』
言峰『良いだろう。お前のプロテクトを全て解除する。持てる力を存分に発揮して、そいつらを仕留めるがいい』
壺アサシン「ふふふ。封印が解けられまちたわね」パアアアア
壺セイバー「…汚いアサシンごときが何をしようと無駄なこと」グッ
士郎「気をつけるべきセイバー。アサシンはひきょうな真似をするものだと決まっているからな」
壺キャスター「さて、どう出る。見た目には変化は無いが…」
凛「ランサーくらい見た目に変化があるとわかりやすいんだけどね」
壺アサシン「…ランサーは、どういうふうに姿を変えたんでちゅか?」
凛「え?そうね…あれはひどかったわね。体のバランスが悪すぎるというか…」
壺キャスター「おい!今は戦闘の最中だ。無駄話をするな!マスター、アサシン!」
凛「う…悪かったわよ…」
壺アサシン「ご、ごめんなちゃい…」シュン
壺アサシン「…そんなことよりキャスター」スタスタ
壺キャスター「ん?どうした」
壺アサシン「オラァ!」ブン
壺キャスター「ぐおっ!」バキッ
ズサァ
凛「!ちょっと、なにしてるのよアサシン!」
壺アサシン「そんなに大声出したら敵に気づかれちゃうでちょうが!気をつけてくだちゃい!」
壺キャスター「ゲホッ…す、すまねぇ、アサシン」ヨロッ
壺セイバー「おいおい(笑) 今はアサシンとの戦いの真最中なんだが?あんまり調子こいてると痛い目を見るぞ」
壺アサシン「全くでちゅ。相手を侮ってたら勝てる戦いも落としまちゅよ」
壺アサシン「…ところで、セイバーのマスター。私に武器を投影してくれまちぇんか?素手では心もとないでちゅわ」
士郎「魔力が少ないので普通なら断るのがぜいいんだろうが俺はアサシンに武器を作ってやることにした」パアア
壺アサシン「ありがとう。まぁ、素敵な棍棒でちゅ。少し試させてもらいまちゅね」ブンブン
壺アサシン「せいっ!」ビュン
壺セイバー「ウボァ!」バキッ
壺アサシン「顔面にフルスイングを食らっても平気だなんて、さすがはセイバーでちゅね!」
壺セイバー「ま、まぁな…ナイトならこのくらいチョロイ事…」プルプル
アーチャー「……」
――おかしい。
何かが、おかしい。
何がおかしいのかと言われると答えに困るが…
なにか普通でないことが起こっている気がする。
この場にいる全員を冷静に観察してみるとしよう。何かがわかるかもしれない。
凛とキャスター。衛宮士郎とセイバー。アサシン、そして私
…私の思い過ごしだろうか?ここにいる者達は皆、アサシンを倒すという目的で一致している。
離反者がいるわけでも…
――アサシンを倒す?
アサシン…アサシン…!?
アーチャー「凛!正気に戻れ!そのアサシンは敵だ!」
凛「は?何言ってんのよ。そんなのわかりきってるじゃないの。だから今こうしてアサシンを倒そうとしているんでしょ?」
アーチャー「…確かにその通りだ。私は一体何を…?」
士郎「ついに頭がおかしくなったようだな。やっぱりセイバーじゃないとダメかー。圧倒的にさすがって感じ」
壺アサシン「全く…一発くれてやるから、冷静になりなちゃい!」ブン
アーチャー「ぐはぁ!!」ズサアアアア
アーチャー「ゲホ、、ハァ・・・ハァ…今ので…完全に思い出したぞ…!お前は、一体何なんだ!?」
壺アサシン「あなたが思い出したのではないでちゅわ。あたちが退屈したからスキルを解除しただけでちゅ」
凛「え…!?嘘…なんで私達コイツを受け入れてたの…!?」
壺セイバー「な、ナイトはアサシンよりも高みにいるからイタズラにも笑顔だったが…いい加減にしろよ!」
士郎「オイ!人の魔力使うのは犯罪だぞ聞いてんのか!?」
壺キャスター「…!?コイツ…どこかで見たことがあると思ったら…『ぼっさん』か!!」
言峰『その通りだ。ニュー速より生まれ出た、『世界最強のフリー素材』。それが我がサーヴァント…アサシン、『ぼっさん』』
言峰『コイツはフリー素材として多くのネットユーザーの間で知名度を獲得し、数多くのコラが制作されている』
言峰『コラの種類も多種多様だ。アサシンの力もそれらの信仰を元に形成されている』
言峰『言うなれば、存在自体が『使われるもの』として、サーヴァントであり…同時に宝具でもあると言えよう』
言峰『能力を全開放したアサシンに勝てるものは存在しない。そのままケリを付けてしまえ、アサシン』
壺キャスター「くそっ…!GMがこんな隠し球を用意していやがったとはな…!」
凛「ど、どうすればいいのよこんなの…!?こっちの意識にまで介入されたら、勝ち目ないじゃない!」
壺アサシン「うーん…でもこのまま嬲り倒すにしても…腕が疲れそうでちゅわ」
壺アサシン「…そうだ、いいことを思いつきまちたわ」
壺アサシン「ライダーの宝具の影響で、この世界のあちこちでデータがロストして、巨大な穴が空いているのでちゅ」
壺アサシン「――その中にこの人達を全員落としてみまちょう。何が起こるかちょっと楽しみでちゅわね」
士郎「な…!?」
壺セイバー「おい馬鹿やめ――」
アサシンはスキルの発動中、闇雲に攻撃を仕掛けていたわけはなかった
アサシンの巧みな誘導により、いつの間にかセイバー達は一定の範囲内にまとめられていたのであった
そして、アサシンの発言によりセイバー達が不意を突かれたその一瞬で
アサシンは彼らの背後に回りこんでいた――
以上です
~~~~
凛「…って、アレ?何処よ、ここ」
壺キャスター「さっきまでいた森じゃなさそうだな。アサシンの力で飛ばされたか?」
壺セイバー「じゃあここがアイツの言ってた穴の中なのかよ 穴に落とされても無傷で耐えちぇしまう超パワー!やはりナイトは格が違った」
アーチャー「…その割には、私達全員が無傷というのが気になるが。本当にここは穴の中なのか?」
士郎「じゃあお前はここが何処だって言うんだよ ほら見事なカウンターで返した。アサシンが俺たちを殺すために穴に放り込んだでFA!」
「いや、そうではないでちゅよ」
凛「!?」バッ
壺キャスター「お前…!」
壺アサシン「おっと、ストップでちゅよ。そうでないと、またスキルを発動せざるをえまちぇん」
壺アサシン「あたちがその気になれば、ここにいる人たちみんな抵抗すらさせずに…それどころか、目の前の出来事に一切違和感すら覚えさせずに暗殺することも可能でちゅ」
壺アサシン「さっきは使わなかったけど…マスターからこんなのも渡されていたのでちゅよ」サッ
凛「…それって…!」
士郎「…見事なナイフだと関心するがどこもおかしくはないな」
アーチャー「正確にはナイフ形の概念礼装、といった感じだな。これならばサーヴァント相手にも深傷を与えることができそうだ」
壺アサシン「わかったらおとなしく話をきいてくだちゃい。できればこれは使いたくないのでちゅよ」
壺キャスター「…ちっ」
アーチャー「やはりここはどこか別の場所…というわけか。話というのは何だ?」
壺アサシン「単純な事でちゅわ。あなた達にお願いがあるのでちゅ」
壺キャスター「お願い…?圧倒的に優位な立場にいるお前が、今更俺達に願うことがあるっていうのか?」
壺セイバー「ああやはりナイトは敵からも信頼を集めてしまうのだと実感した いいぞ話してみろ」
壺アサシン「うふふ。ありがとうございまちゅ。これは、あたちには無理なのでちゅ。あなた達にお願いするしかありまちぇん。そう――」
壺アサシン「あたちのマスターを、止めてくだちゃい」
凛「マスターって…つまり、綺礼を止めろってこと?」
壺アサシン「その通りでちゅわ」
凛「…どうして綺礼のサーヴァントであるあなたが、綺礼を裏切るような真似をするわけ?」
凛「いや、そういうサーヴァントもいるってことはわかってるんだけど…」チラッ
アーチャー「…お前が離反を決意するほどの危険な企みを、言峰綺礼が企てているということか?」
壺アサシン「それもありまちゅ。マスターはあたちにも詳細は伝えず、この『聖壺戦争』を利用して何か良からぬことを企んでいまちゅわ」
壺アサシン「けど、一番の理由は…考えが気に食わないからでちゅ」
凛「…へ?」
壺セイバー「気に食わないとかいう理由で自分のマスターを売る恥知らずなアサシンがいた!」
壺キャスター「気に食わないって、何が…って聞くのも馬鹿らしいな。アレを気に入る奴がいるのかって話だ」
士郎「蓼食う虫も好き好きという名セリフを知らないのかよ 世界はえごいからよあんなんでも好きになるやつはいるしあれで娘もいる」
壺キャスター「マジかよ…」
アーチャー「…気に食わない、とだけ言われてもな。君の思考が見えてこない」
壺アサシン「あたちだって、この『聖壺戦争』で戦うために生み出されたサーヴァントなんでちゅよ?それなのに戦いには参加させず、雑用ばかり…」
壺アサシン「…まぁ、ここまではよかったのでちゅよ。その代わりに、みんなの戦いを特等席から眺めることができまちたからね」
壺アサシン「自分の存在意義をかけて戦う他のサーヴァント達は羨ましいと思いまちたけど…この戦いの行く末を見届けられるのならそれでもいいとおもったのでちゅわ」
壺セイバー「……」
壺アサシン「なのにマスターったら、最後のセイバーとキャスターの決戦を見届けず、2人を消せと命じて」
壺アサシン「正直、カチンときまちたわ。目的を遂行するにしたって、2人の戦いが終わってから勝ち残った方を消したほうが効率的でちょうに」
壺キャスター「「」確かにな。そこまで急ぐ理由でもあったのか?」
凛「断言してもいいけど、それは綺礼の嫌がらせでしょうね。私達が最後に望んだ願い、つまり戦いの決着を付けさせずに『聖壺戦争』を終わらせるのが目的よ」
壺キャスター「どこまで性格が悪いんだここのGMは…」
壺アサシン「ライダーのマスターも言ってまちたけど、あたち達サーヴァントにとってはこのゲーム内だけが全てなのでちゅ」
壺アサシン「それを全部自分の目的のために、自分が楽しむためだけに利用するマスターに愛想が尽きたのでちゅわ」
アーチャー「…成程。筋は通るな。だが、それならば君自身の手でマスターに手を下せばよいのではないか?」
アーチャー「それほどの力を持っているのなら、言峰綺礼を始末することなどたやすいだろう」
壺アサシン「…それは無理でちゅわ。だからこそあなた達にお願いしたのでちゅ」
壺アサシン「マスターは自分のサーヴァントの裏切り防止のために、自身にはあたちのスキルが通じない特別な処理(プログラム)を施してまちゅ」
壺アサシン「更にこの世界の全てを見渡せる管理人専用ルームの他に、あたちにすら侵入不可能な強固なマスター専用ルームを作っているのでちゅ」
壺アサシン「そこに逃げ込まれてしまったら、もう手も足も出まちぇん。令呪で自害を命じられておしまいでちゅわ」
壺アサシン「もしその部屋をこじ開けられるとしたら、強烈な負可によるデータのロスト。つまり…」
壺アサシン「この『聖壺戦争』内における、高威力の『物理』しか手段がないのでちゅ」
士郎「…それなら話は簡単だな セイバーのグラットンスウィフトで部屋ごと言峰をバラバラに引き裂けばいいだけのこと」
壺セイバー「やはりアサシンよりもセイバーだな 今回のでそれがよくわかったよ>>アサシン感謝」
壺キャスター「俺もその話に乗ったぜ。そいつを始末しなければ戦いの決着もクソもなさそうだからな」
凛「けど、大丈夫なの?ここの会話も聞かれてるんじゃない?」
壺アサシン「心配しないでくだちゃい。ここはライダーの宝具の影響で発生した、コントロールルームですら把握できていない虚数空間なのでちゅ」
壺アサシン「前に散歩途中に見つけたのでちゅわ。位置情報が消滅すれば、さすがのマスターでもみんな一斉に脱落したとしか…」ピクッ
アーチャー「…どうした?アサシン」
壺アサシン「あっ…あっ…そんな…!」プルプル
壺セイバー「…!おい馬鹿やめろ!」
アサシンは絶望の表情を浮かべていた
手中の短刀を逆手に持ち換え、ゆっくりと振りかぶった
何かに抵抗するように体中小刻みに震わせていたが、それでも腕の動きが止まることはなく
その短刀を深々と自らの身体に突き立てた
以上です
凛「アサシン!」
壺キャスター「おい!クソッ!令呪か!」
壺アサシン「ハハハ…結局こうなるんでちゅね…」シュウウウウ
壺アサシン「あたちが…完全に消える前に…最後の力を振り絞って…あなた達をコントロールルームまで飛ばしまちゅ…」シュウウウウ
壺アサシン「あそこには…聖壺戦争に関わるデータが…保存して…ありま…」
士郎「…アサシン」
壺アサシン「どう…か…マスターを…」シュウウウウウ
壺セイバー「……」
シュンッ
~~~~
アーチャー「…また見覚えのない場所に付いたな。ここがGMの拠点、コントロールルームか」
壺セイバー「…アサシンはどこだよ」
凛「…消えちゃったみたいね」
壺キャスター「どう見ても致命傷だったからな。よくここまで俺たちを連れてきてくれたぜ」
士郎「…アサシンの覚悟を無駄にしないためにも早速行動に移るべきだと思った」
アーチャー「確かアサシンはここにデータが保存してあるといったな。手分けして閲覧するとしよう。言峰綺礼の目的がわかるかもしれん」
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凛「わ、すごく大きいテレビね」
壺キャスター「いや、テレビではないだろこれは。監視用のモニタだな。ここで俺たちの戦いも全て見られてたってわけだ」
凛「映像が映ることには変わりないでしょ?テレビと何処が違うのよ」
壺キャスター「…ああ、それでいいぜ、マスター」
凛「あ、私達が最初に戦った場所も映ってるわ!」
壺キャスター「逆に、俺達が見たこともないような場所もたくさん映ってるな。よくこんな馬鹿みたいに広い世界で戦い合わせようなんて思ったぜ」
凛「ここを抑えられたのは良かったわね。綺礼のやつ、もう私達の行動を把握できないわよ」
壺キャスター「…問題はそこだ。アサシンのマスターは、今何処で何をやってんだ?何故この部屋を空にしている?」
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壺セイバー「如何にも怪しげなスイッチがたくさん並べてあるな 普通なら押したくなる奴が全員だろうがここで一歩引くのが大人の醍醐味」
士郎「ここに遠坂がいなくてよかったな いたらアイツ片っ端から押してたぞ」
壺セイバー「地名がかいてあるところを見るとどうやらこれはフィールド効果のオんオフスイッチらしいな」
士郎「戦ってる最中にオフにもできるとかちょとsyレならんしょこれは…下手に触らないでおこう(戒め)」
凛「士郎ー。そっち何か見つかったー?」
士郎「【何もありません】【帰れ】」
凛「ちょ、何よそれ!」
アーチャー「無駄口はそこまでだ。…こっちへ来てみろ」
壺キャスター「何か、見つかったのか?」
アーチャー「ああ。――これは、『過去』の聖壺戦争の記録だ」
凛「え?どういうこと?私達以外にも、聖壺戦争を体験したプレイヤーがいるってこと?」
アーチャー「どうやら、そのようだ。このデータによれば、過去、既に4回ほどテストプレイが行われていたらしい」
アーチャー「つまり、我々が今戦っているこの舞台は…『第五次聖壺戦争』ということになるな」
凛「どれどれ。『第1回~第3回のテストプレイでは、知名度を優先してサーヴァントを選出していたため、まともな戦いにならなかった』…ですって」
凛「ようやくきちんとした戦いになったのは前回、つまり4回目のテストプレイから。なんだ、結構最近じゃない」
士郎「過去にはどんなサーヴァんトが呼ばれてたんだ?まぁ至高のナイトに及ぶものは無いのは確定的に明らかだが」
凛「えーっと…『身長2m超の女バーサーカー』に『不快な言葉で話すキャスター』とか書いてあるわ。…このセイバーと比べてどっちが不快かしらね」ボソッ
壺セイバー「おいィ?今なにか言ったか?」
凛「私のログにはなにもないわね。というか、これってGMの日記帳のようなもんよね?」
アーチャー「ああ。言峰綺礼の前任のGMの残した記録のようだな」
壺キャスター「その『女バーサーカー』ってやつは…ひょっとすると俺の知っているやつかもしれん」
壺キャスター「だが、今はどうでもいいことだ。今必要なのは――」
アーチャー「言峰綺礼本人が記した記録、だろう?…それも、発見済みだ」
凛「ちょっと!それを早く見せなさいよ!」
アーチャー「前任者の記録を先に見たほうが理解が進みやすいと思ってな。さて、これによれば前回、言峰綺礼は一マスターとして聖壺戦争に参加している」
アーチャー「こうして記録に残したのはGMに就任してからのようだがな。だが、自身が参加した『第四次聖壺戦争』に付いて幾つか記述している部分がある」
アーチャー「その中で、気になる文章を見つけた。…ここだ」
――あれは、アーチャーが宝具を使用した時の出来事だった。
音は砕け、目の前の風景にはノイズが走り
まるでこの世の終わりを想像させるようであった。
世界が崩壊しかける中、ヒビ割れた空の隙間から顔を出す『それ』を
私は確かに目に焼き付けた。
もしあれが自分の意志で自由に動き回ることができたのなら
暴れまわることができるのなら
一体私に何を見せてくれるのだろうか?
もう一度、会うことはできないだろうか?
いや、もし、自らの手で生み出すことができるのならば――
『そこまでだ、諸君』
以上です
凛「――!綺礼!?どこよ!」
壺セイバー「声は聞こえるのに姿は見えない不具合」
アーチャー「机の上に、先ほどアサシンが持ってきたものと同種の端末があるのを確認した。おそらくはそこから聞こえているのだろう」
士郎「またかよ(怒) さっさと自分の姿を見せろよ雑魚が」
言峰『人の部屋で好き勝手言ってくれる。…全く、まさかアサシンが裏切るとはな。厄介なことをしてくれたものだ』
凛「ふーん。人を散々コケにしておきながら、自分が裏切られたら即報復なんて、やることが小者臭いんじゃなくて?言峰神父」
『…ふっ。凛、お前は勘違いをしているようだ』
凛「は?何言ってんの?勘違いも何も、アンタがアサシンに裏切られてショック受けて令呪で自害を命じたのは確定的に明らかでしょ?今更コレも計算ずくだったとでも主張するのかしら?」
言峰『そうではない。確かにアサシンは見た目に似合わぬ気色の悪い口調のサーヴァントではあったが』
壺キャスター「誰もそんなこと言ってねぇだろうが…」
言峰『私はお前たちの誰よりも奴の能力を高く評価し、その働きに全幅の信頼を寄せていた。だからこそ――』
言峰『お前たちを確実に仕留めたと確信し、用済みとなったアサシンを自害させることに何の躊躇もなかった、というわけだ』
壺セイバー「…カスが」
凛「…今更確認するまでも無いけど、やっぱりアンタって性格最悪よね…!」
アーチャー「我々にわざわざ通信を寄越したということは、よほどここに見られたくない情報があるとみえる」
言峰『半分正解だ、守護者エミヤよ。そのまま君たちが記録を探れば、答えに行き着くであろう』
言峰『――ならばいっその事、私が直接答えを教えても同じことだと思ってね』
アーチャー「…ほう。それは殊勝な心がけだな」
凛「また何か企んでるんじゃないでしょうね?」
言峰『それは、私の話を聞いて君たち自身が判断するといい』
士郎「…聞いておくべき遠坂。コイツは周りくどいことは稀によく言うが嘘は滅多に付かない付きにくい」
凛「その代わり肝心なことは話さなかったりするんだけど…まぁ、いいわ。話しなさい綺礼」
言峰『では、語らせてもらおう。そもそも…君たちは『聖壺戦争』の名の由来は知っているか?』
壺キャスター「由来も何も…『2ちゃんねる』のTOP画像が壺だからって理由じゃないのか?」
言峰『そうだ。聖堂教会はそのTOP画像からインスピレーションを受け、あるシステムを構築しようと画策したのだ』
アーチャー「システム…?この『聖壺戦争』というゲームを作るのが目的ではなかったのか?」
言峰『『聖壺戦争』は副産物に過ぎん。当初、我々の真の狙いは別にあった』
言峰『世界最大のインターネット掲示板、『2ちゃんねる』。当然、利用者数も世界最大規模だ。そのユーザー一人一人から――』
言峰『微量な魔力を徴収し、擬似的な『聖杯』…いや、『聖壺』を作るという目的がな』
以上です。
ついでに設定だけ考えて今後二度と出す予定がない第四次のメンツを貼っておきます
セイバー:紳士的な元ソルジャー
アーチャー:かつて神と呼ばれた男
ランサー:甲子園に棲む悪魔
キャスター:6体の式神を使役する論者
ライダー:人間に寄生する魚類の王
バーサーカー:超長身の白い怪異
アサシン:だからお前は誰なんだよ
士郎「oi みうs みす おい 人の魔力かってに盗るとか犯罪だろ…証拠のログは確保したからなもう言い逃れはできない」
壺キャスター「2ちゃんねるユーザーから集めた魔力で聖杯を作るだと…!?そんなことが可能なのか!?」
凛「その聖壺、とやらも…万能の願望機ってことかしら」
アーチャー「…いや、例え仮に魔力を収集できたとしても…収集した魔力を自由に使うのはそう容易では無いはずだ」
壺セイバー「どういうことだよ?」
アーチャー「『2ちゃんねる』の運営と結託すればサイトに魔力回収用の術式を書き加えることはできるかも知れんが…その回収した魔力は何処に蓄積される?」
アーチャー「当然、ネットワーク上で管理されることになるだろう。つまり、収集の際、魔力をデータの形に変換する必要があるわけだ」
アーチャー「一度データ化されたものを、再び純粋な魔力として取り出せるとは到底思えん。そうだな、少し例は異なるが…電子マネーというものがあるだろう?」
アーチャー「あれも現金をネット上で取り扱い可能な仮想通貨に換えているわけだが、その逆は基本的には不可能だ」
凛「アンタが何を言っているのかはよくわからないけど…要するに魔力のデータ変換は不可逆の性質を持っている、ってことよね?」
アーチャー「…まぁ、そういうことだ。もしそんなことが可能であれば、ただのテキストファイルからでも魔力が生成できることになってしまうからな」
言峰『その通りだ。その利用者数の多さゆえに短期間で期待以上に魔力を回収することはできた』
言峰『だが、その魔力の殆どはネットワーク上のみで使用可能な魔力であった。いわば電子マネーならぬ…電子マナといったところか』
壺キャスター「金と違って、魔力なんてネットワーク上で使えたところで何の役にも立たなそうだな」
言峰『それも間違ってはいない。せいぜい、このような電子結界を創りだすのが関の山だ。ネットワーク上限定の願望機など、本来存在価値を見出すのは難しい』
言峰『しかし、計画が破綻したからといって…それまでに投入した膨大な時間と資金が帰ってくるわけではない』
言峰『そこでネットワーク上に集めた魔力をなんとか有効活用するため、私から上層部に『聖壺戦争』の構想を提案したというわけだ』
アーチャー「資金回収のための苦肉の策、というわけか。コレほどの規模の世界が副産物でしか無いというのは驚きだがな」
凛「…癪だけど、アンタにしてはいいアイディアだったと思うわよ。殺しあう必要のない本気の競い合いができる機会なんて、そうそうないもの」
凛「それなのに、アンタの余計な行動のせいで台無しよ!そろそろ目的をハッキリさせなさい!」
壺セイバー「そのまま素直にゲームを作っていればよかったのにな お前調子ぶっこき過ぎてた結果だよ?」
言峰『私も最初はオンラインゲームの路線を計画通りに進めていたさ。テストプレイのたびにプレイヤーとして参加し、情報収集も広く行った』
言峰『だが、前回の聖壺戦争で…私は出会ったのだ。この世界が生み出した、『ある存在』に』
言峰『あれは微小なバグの集積のようなものだったのだろう。デバックを逃れたそれらは宛もなく彷徨い、虚数空間を根城にしていたが…アーチャーの宝具の影響で一瞬露呈させられたのだ』
言峰『思えば、前回も優勝候補はアーチャーのサーヴァントだった。アーチャーの扱う宝具の威力は絶大で、この世界も一度消滅しかけた』
アーチャー「記録に書かれていた部分か…それで?肝心の『ある存在』とはなんだ?」
言峰『もはや話すまでもないとは思うが…私の目的はその存在――『アヴェンジャー』を呼び出すことだ』
士郎「『アヴェんジャー』…これ以上サーヴァんトを召喚しようっていうのかよ」
言峰『虚数空間に姿を隠しているアヴェンジャーをこの世界に呼びこむのは容易なことではない。しかし、よくよく考えれば、もう必要なものは手中にあったのだ」
アーチャー「…ネットワーク上限定の願望機、『聖壺』か」
言峰『ああ。ここまで言えばもう察しがつくだろう。私は聖壺を利用してアヴェンジャーを呼びだそうと考えた』
言峰『壺を満たすのに必要なモノは高濃度に圧縮された魔力…つまり、聖壺戦争に於けるサーヴァントの魂だ』
言峰『アヴェンジャーを完全なカタチで呼び出すには、まだ当分かかると踏んでいたのだが…嬉しい誤算ということにしておこう』
言峰『嬉しくない誤算も多々あったがな。――さて、そろそろ頃合いか。凛、君の質問に答えよう』
凛「へ?私?なにか言ったっけ?」
言峰『何か企んでいるのではないか?と尋ねただろう。――正解だ。勿論、私が自ら秘密を暴露したのには理由がある』
壺セイバー「さっさと話せよ雑魚が 死にたいのか?」
言峰『君たちの注意を、『ある物』から逸らすのが狙いだ。そして、その目論見は無事成功した』
壺キャスター「ある物…?」
アーチャー「…!モニターか!?」
言峰『ふっ、そうだ。誕生したての不安定な状態を狙われるのが一番困ることだったのでな。さて諸君、紹介しよう。モニターで空の状況を確認して見給え』
壺キャスター「チッ。まんまとしてやられたな」
士郎「空だと…?」
凛「…あれ?曇ってる?青空が見えないわね」
アーチャー「…!?いや、違う。…何だ、アレは…!?」
一見曇り空のように見えたそれは
形容しようもない、本能的な恐怖を覚えさせる『何か』だった
その『何か』は空を覆い尽くすように広大に広がり
世界を灰色に染め上げていた
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凛「きゃあ!な、何あの気持ち悪いの…!?」
壺セイバー「…この戦争で初めてほんの少しビビった。アイツは…!」
壺キャスター「…そう来たか」
言峰『確認できたようだな。アレこそが私が呼び出した『アヴェンジャー』――『tanasinn』だ』
以上です
凛「キャスター!アイツの正体は何なの!?心当たりがあるんでしょ!?」
壺キャスター「悪いがマスター…『tanasinn』という存在を知ってる奴は大勢いるだろうが…『tanasinn』が何なのか、ということを知ってる奴は一人もいないと思うぜ」
凛「ど、どういうことよ…」
アーチャー「肝心なことをまだ聞いていないぞ、言峰綺礼!お前はアレを呼び出して一体何をするつもりだ!?」
言峰『呼び出せた時点で、ほぼ私の目的は完了している。あとはアヴェンジャー自身がどう動くか、それは私にもわからん』
言峰『いや、むしろ…アヴェンジャーが自らの意志で一体何を為すのか。それを見届けるのが目的というべきか』
言峰『しかし、おおよその予想はつく。奴自身の特性を考えればな』
士郎「…!?おい、何だよアレは」
∵∴∵∴(●)∴∵∴∵∵∴∵∴(●)∴∵∴∵
凛「風景を…侵食してる…!?」
壺セイバー「おい馬鹿やめろ データ消すとか犯罪だぞ」
壺キャスター「いや…単純にデータをデリートしてるって感じでも無いぞ」
アーチャー「この世界を構成するデータに、アヴェンジャー自身が同化、そして増殖している…といった感じだな」
アーチャー「言い換えれば、データに不純物を混ぜて自身の肉体として再構築している。どちらにしろ、データが破壊されていることには変わりがないが」
凛「…この世界のデータが破壊されたら、今ゲーム内にいる私たちはどうなっちゃうのよ」
アーチャー「…それだけでは済むまい。アレはバグやウイルスの範疇を超えている。あんなものがもし、このゲームから外部のネットワークに流出してみろ」
アーチャー「――アレは徐々に勢力を拡大しながら、世界中のネットワーク全体を蹂躙し尽くすぞ」
凛「それって、大変なことなの?」
アーチャー「…君に説明してる時間も惜しいが…まぁ、死人の1人や2人では収まらないだろうな」
壺キャスター「大変どころの話じゃないぜ、マスター!もう元の日常を送れないと思ったほうがいい」
言峰『くっく…では諸君、検討を祈る。尤も、もはや君たちに為す術はなにもないとは思うがね』
壺セイバー「おい何笑ってんだお前殺してやろうか?」
凛「やっぱり、自分が楽しむのが目的じゃないアンタ!」
アーチャー「…為す術なし、か。本当にそうか?言峰綺礼よ」
言峰『……!』
士郎「おいお前あまり調子にのるなよぶっ飛ばされたいのか?」
アーチャー「セイバー陣営は黙っていてくれ私の寿命がストレスでマッハだ。――お前はさっきこう言ったな、『嬉しくない誤算も多々あった』、と」
アーチャー「私にはそれの検討が付いている。…アサシンのことだろう?」
言峰『……』
アーチャー「私は途中からしか話を聞けていないのだが…お前は凛達にこう話していたな?『あと2騎分の魂で満たされる』と」
アーチャー「今となっては、その意味がわかる。お前が言っていたのは『聖壺』のことだ。本当ならばセイバー、キャスターの魂が回収されることで、壺は完全に満たされたのであろう」
アーチャー「しかし、アサシンの裏切りにより、それは妨害された。お前はアサシンが2騎を始末したと誤解したままアサシンを自害させ、壺を起動させてしまった」
アーチャー「するとどうなる。アサシン自身の魂が捧げられたとしても、壺を満たすには必要な魂が一つ足りない」
アーチャー「つまり、あのアベンジャーは未完成の『聖壺』から生み出された、不完全な存在だ。ただのバグの集まりをあそこまでの脅威へと成長させたのは、壺のバックアップあってこそだと私は考えている」
アーチャー「誕生の瞬間を私たちに悟られたくなかったのも、おそらくはそういった理由なのだろう?アレが不完全な存在だというのならば、付け入る隙はある筈だ」
言峰『…ふむ。確かにお前の言うとおり…アヴェンジャーは本来の力を持たぬまま生まれたのかも知れん』
言峰『だから、何だというのだ。お前たちはアヴェンジャーのあの力を目の当たりにしても、止めることができると?』
言峰『それに…このままこのゲーム世界を完全に侵食し、その膨大な魔力を取り込めば…ほぼ完全体に近い状態へと成長するであろう。そうなれば、もはやいかなる手段を用いてもアヴェンジャーを止めることは不可能だ』
言峰『例えどれほど高性能なウイルスソフトを使い、どれほど優秀なハッカーが対処を試みたところで、な』
アーチャー「ならばなおのこと、我々が止めなければならないな」
アーチャー「言峰、俺はお前が遠坂や衛宮士郎達に嫌がらせをしたい、というだけならば別に何も咎める理由もなかった」
アーチャー「サーヴァントたちには悪いが、所詮はゲーム世界の話だ。この世界での悪ふざけは、この世界だけで完結するものだと思っていたからな」
アーチャー「――しかし、そのゲームを利用して現実世界の人々に害を為そうと言うのならば、話は別だ。何としてでもお前の計画を打ち砕いてやろう」
言峰『…ふっ。やってみろ、衛宮切嗣の息子よ』プツッ
以上です
凛「アーチャー…」
壺キャスター「…随分大きくでたな。頼もしいこった。だけどサーヴァントもいないお前がどうするつもりだ?」
アーチャー「…私としたことが柄にもなく冷静さを欠いてしまったな。まぁ、言ってしまったものは仕方があるまい」
士郎「お前の調子こいた発言のログは証拠として確保したからもうダメ 黒歴史として晒されてお前はそのまま骨ぬなる」
アーチャー「私が消し去りたい最大の黒歴史は今まさに現在進行形で目の前に存在しているのだが?」
壺セイバー「こいつらが何を言っているのかさっぱり理解不能状態なんだが」
凛「この2人の関係性はちょっと特殊だから…というか言い争ってる場合じゃないわよ、アーチャー。アレだけ大見得切ったんだから、何か考えがあるんでしょ?」
アーチャー「そうだな。少し考えをまとめるか。一刻を争う事態だからこそ、情報の整理は必須だ」
アーチャー「サーヴァントである君たちに聞きたいこともある。今回の戦いでは、サーヴァントは敗北するとその魂は壺に回収される。だがそれは本来の仕様とは異なっているのだろう?」
壺キャスター「俺達に与えられた知識によれば…本来、敗北したサーヴァントの魂はまたこの世界を構成する魔力の一部として還元されることになっている」
壺キャスター「サーヴァントの肉体の維持、及び戦闘に必要な魔力はマスターから供給されるが、核となる魂を作り出す分の魔力は結局この世界の何処かから持ってこなくちゃあいけないからな」
壺キャスター「結界内に集められた魔力にも限りがある。サーヴァントが消えるたびに魔力も消滅していったんじゃ、いずれ結界を維持できなくなるだろうさ」
凛「魔力のリサイクル、ってところかしら。そして綺礼はその魔力を横から掠め取ってた訳ね」
壺セイバー「それがなんだって言うんだよ お前は早く説明すべき」
アーチャー「うるさい気が散る。一瞬の油断が命取りだというのがわからんのか」
アーチャー「今の話を聞いて確信が持てた。『聖壺』は確実にこの世界のどこかに存在している」
アーチャー「虚数空間や他のサーバーにではなく、この『聖壺戦争』というゲームの内部にな」
壺キャスター「本来ゲーム内に再び放流されるものを、『聖壺』に送られるようシステムを改変すればいいだけだからな。ま、それが一番効率的だろ」
アーチャー「そして、言峰綺礼が我々の目を欺く必要があった本当の理由…それは、アヴェンジャーが生み出された位置を知られたくなかったから」
アーチャー「つまりは…『聖壺』の位置を知られたくなかったから、ではないか?」
アーチャー「おそらく、そこに言峰綺礼もいるのだろう」
凛「そっか…!もしアヴェンジャーが綺礼と契約したサーヴァント、って扱いなら…綺礼の奴をぶっ飛ばせばアヴェンジャーも消えるってことね!」
壺キャスター「アサシンの言っていた専用ルームってやつか。アヴェンジャーの発生位置なら、モニタで奴の増殖状況を観察すればある程度の目星はつくな」
士郎「そうと分かれば早速言峰を病院送りに…」
壺セイバー「待てマスター。あまり焦りすぎると裏世界でひっそりと幕を閉じることになる そもももこの部屋からどうやって出るつもりだよ」
士郎「オイオイ(笑)お前のグラットンは飾りですか?俺なら疑問を投げかける前に牙を剥くだろうな」
壺キャスター「そういや、ここは何処なんだ?入り口が外から見えないだけで、ゲームの中に確実に存在する場所なんだろ?」
アーチャー「…成程、そういうことか。凛、端末で自分の座標情報を確認してみろ」
凛「座標?えっと…X428、Y63、Z…150000…!?」
凛「え、何…!ここ、空中なの!?」
壺キャスター「間違ってもプレイヤーが中に侵入できないよう、コントロールルームは宙に浮かせてるってわけか…」
凛「下手に飛び降りたら、そのままゲームオーバーになっちゃったりするのかしら…?」
アーチャー「それは…試してみなければなんとも言えんな」
凛「…ん?ねぇ、アーチャー。今気づいたんだけど、何もそんなまわりくどい事しなくても」
∵∴∵∴(●)∴∵∴∵∵∴∵∴∴∵∴∵シ∴∵∴∵ア∴(●)
士郎「うお!?」
凛「きゃあ!?」
アーチャー「馬鹿な!?侵食がもうここまで進んでいるだと!?」
壺セイバー「チィ!『グラットンスウィフト』!!」バシュン
壺セイバー「急なことで普通ならあたふたするのがぜいいんだろうがナイトはすぐさま行動し突破口を開いた この亀裂からとんずらするぞ!」
壺キャスター「一か八か飛び降りるしか無いみたいだな…!方角の検討は付いた、ここから北東にアヴェンジャーの発生源がある!」
アーチャー「まずは、無事に着地できることを祈るしか無いな…行くぞ!」
以上です
~~~~
ヒュウウウウウ
ズドン
ムクッ
凛「…無事、みたいね」
壺キャスター「生きた心地はしなかったけどな…」
壺セイバー「玉がヒュンヒュン行く…」
士郎「下ネタはやめろと言っているサル!」
アーチャー「うむ…確かに無傷のようだな。意志の伴った攻撃でなければ、この世界ではダメージが入らないのか…?」
凛「それなら、アンタの作った落とし穴とか無意味だったわね、アーチャー」
アーチャー「な…!?凛、君は馬鹿すぐる。アレは足止めのためだと――」
∴∵∴キ∵∵∴リ∵∴∴∵∴∵エシ∴∵∴∵ア∴
壺キャスター「『破ぁ!!』」
バシュ
∴∵∴キ∵ エシ∴∵∴∵ア∴
壺キャスター「おい、後にしろ!空に比べりゃ地上はまだ侵食が緩やかだが、そのうちここも行き場がなくなるぞ!」
アーチャー「…済まない。しかし驚いたな、キャスター。君の宝具はアヴェンジャーにも通用するのか」
壺キャスター「効いてんのか効いてないのかよくわからんがな。命中した部分は吹き飛ばせるみたいだが、如何せん奴はデカすぎる」
壺キャスター「消しても消しても、キリがない。増殖速度のほうがはるかに早いみたいだしな」
壺セイバー「このくらい俺にだってチョロいこと 追撃の――」
壺キャスター「やめろ、セイバー!コイツは物理的にどうこうできる存在じゃない。斬りつけたところで、その剣が取り込まれるのがオチだぜ」
壺セイバー「むむむ…」
凛「アヴェンジャーに直接攻撃をくわえることができるのは、キャスターだけ。しかも、その攻撃でも一部を消し去るのが精一杯…」
凛「やっぱり、大本を絶たないと根本的な解決にはならないわね。早速綺礼のところに向かいましょう」
壺キャスター「先陣は俺が切る。いずれ侵食が進んで道が閉ざされることもあるだろうが、そんときゃ俺の宝具で突破口をこじ開ければいい」
壺キャスター「セイバー、お前は余計な手出しをするなよ。お前には、無傷でGMのところまでたどり着いてもらわなきゃならないんだからな」
壺セイバー「…ナイトなのに守られるというあるさま」
アーチャー「アサシンのいうことを信じるのならば、言峰綺礼の専用ルームとやらを突破するにはセイバーの力が不可欠だ。異論はない」
士郎「けどよ、防御が貧弱なキャスターではアヴェんジャーにちょっと触れられただけで一巻の終わりなのではないか?」
壺キャスター「心配無用だ。俺の持つ『対怪異』のスキルは、憑依や侵食といった肉体、精神への侵略行為に対して高い耐性を得る」
壺キャスター「同時に、こっちがメインだが…攻撃面でも怪異に対してはダメージボーナスを得る。アヴェンジャーはランサーと違って、意志を持つ怪物ですら無い。充分怪異のカテゴリーに分類していいだろ」
壺キャスター「…ま、さすがの俺でも、こんな厄災クラスの怪異と遭遇するのは初めての経験だがな」
アーチャー「方針はまとまったな。急拵えではあるが、妥当な策といえる」
アーチャー「私は…まぁ、せいぜい足手まといにならぬよう用心して付いて行くとしよう」
以上です
~~~~
壺キャスター「『破ぁ!!』『破ぁ!!』」バシュ
凛「…」
壺キャスター「ハァ、ハァ…ちっ、元凶に近づくほど侵食がひどくなってるな。わかってたことだけどよ」
∵∴<・>∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵<・>∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵<・>∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
士郎「tanasinnはtanasinnで在り続けるからこそtanasinnである。
またそのtanasinnがtanasinnでなくなる時、そのtanasinnは
本当のtanasinnではなくなり、tanasinnとしての存在ではなくな」
壺セイバー「ギガトンパンチ!」
士郎「ぐへぇ!」バキッ
壺セイバー「そのバカみたいにヒットした頭を冷やせ!」
アーチャー「あまりアヴェンジャーを視界に入れないほうがいいぞ。だが…このままでは四方を囲まれるのも時間の問題か」
壺キャスター「…おい、セイバー」ピタッ
壺セイバー「おいィ?何立ち止まって」
(●)
∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
ヒュンッ
壺セイバー「…!?」バッ
アーチャー「な…!?コイツ、我々に対して攻撃を加えようと…!」
壺キャスター「…どうやら、俺達が向かっていることをGMに勘付かれたらしいな。明らかに俺をピンポイントで狙ってきてやがった」ジュウウウウ
士郎「おい、お前…!腕が地獄の宴に」
壺キャスター「心配∵すんな。このtanasinn程度のtanasinn侵tanasinn食なんtanasinnてtanasinntanasinntanasinntanasinntanasinntanasinn」
壺キャスター「『破ぁ!!』」バシュウ
壺キャスター「ハァ…ハァ…流石に…そろそろしんどくなって来たな」
壺キャスター「だからセイバー。ここで交代だ」
壺セイバー「交代?」
壺キャスター「ああ。お前が先行しろ。俺とマスターは、しばらくここに留まる」
アーチャー「…どういうつもりだ?」
壺キャスター「それが一番安全なんだ。敵も、アヴェンジャーにダメージを与えられるのは俺だけだと気づいたようだ。つまり、俺が優先的に狙われる」
壺キャスター「逆に、こっちに攻撃が集中すれば、その分お前たちから注意が離れるかもしれない。ま、コレはただの願望だがな」
壺セイバー「…わかった。先に行ってGMぶっ飛ばしてくるからよ お前も決着付けるまで消えるんじゃにいぞ」
士郎「キャスター、ここまでの先導は見事な仕事だと関心はするがどこもおかしくはない お前全力で誇っていいぞ」
アーチャー「コイツと同じ感想なのは気に食わんが、今は素直に君に感謝するとしよう。…凛を頼んだぞ」
アーチャー「急げ!アヴェンジャーが外部に侵食を始める前に言峰を止めるぞ!」ダッ
壺キャスター「…行ったか。まぁ、ちょうどいい機会だったな」
壺キャスター「あんなのに目付けられたんじゃ、な」
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凛「……」
壺キャスター「今まで消してきたやつよりも遥かに大規模な侵食だな。それでも本体からすれば末端もいいところなんだろうが」
壺キャスター「なぁ、マスター。…もう、限界なんだろ?」
凛「…やっぱり、私を気遣ってたのね」
壺キャスター「一晩かけて工房を作成し、そのままセイバーたちと戦闘。そしてアヴェンジャーに対する宝具の連続使用…」
壺キャスター「いくらマスターがタフでも、仕方がないことだ」シュウウウ
凛「…!そっか、もう、私の魔力供給が足りていないのね……。ごめんなさい、キャスター」
壺キャスター「謝るなよ、マスター。普通に戦ってれば俺はこの『聖壺戦争』じゃ最下位を争うレベルのサーヴァントなんだ。そんな俺がここまで生き残れたのも、マスターのおかげだ」
凛「…セイバーとの決着も付けられそうにないわね」
壺キャスター「まぁな。だからせめて…セイバーに後を託したわけだ」
壺キャスター「アレにセイバー達の邪魔をさせるわけにはいかない。消える前に一仕事しなくちゃな」シュウウウ
凛「…そうね。魔力はもう空だけど…令呪が残ってる」
凛「令呪を持って命じるわ。――キャスター、アイツにどデカいのを一発かましてやりなさい!」
壺キャスター「『破 ぁ ! !』」
----
∴∵∴ ∵∴ ∵∴∵
∴∵ ∴∵
シュウウウ…
凛「――やれば出来るじゃない、キャスター。でも、自分の体ごと吹き飛ばすなんて…やり過ぎよ」
凛「ねぇ、キャスター。――無理してたのはあなたも同じでしょ?ランサーとの戦いで受けたダメージ…禄に休息も取ってないのに、回復なんかするはずがないもの」シュウウウ
凛「それなのに、根性見せちゃって。勝利者になれないのも覚悟の上で、体を張って私達を導いてくれて」シュウウウウウ
凛「――寺生まれって、やっぱり凄い。改めてそう思ったわ」シュウウウウウウウ
以上です
~~~~
士郎「ここは…」
アーチャー「――まるで台風の目の中にいるようだ。ここだけアヴェンジャーの影響をほとんど受けていない」
壺セイバー「つまりここが…」
「やはりここまでたどり着いたか。全く大したものだ」
士郎「…言峰」
言峰「わざわざ私に別れの挨拶をしに来てくれるとはな。生憎だが、『聖壺』はもう存在しない。未完成の状態で使用してしまったせいか、アヴェンジャーを生み出すと同時に消滅してしまったのでな」
アーチャー「今更『聖壺』自体をどうこうしようなどとは思っていない。用があるのは言峰綺礼、貴様の方だ」
壺セイバー「お前はどこにも逃げられないプレッシャーを背負うことになった 後ろに気をつけておくことをお進めする不意だまでお前の命は非常にまずい事になる」
言峰「こちらも今更逃げも隠れもするつもりはない。もう目的は達成された」
アーチャー「そうか。では、その首を差し出してもらおうか」
アーチャー「外部への影響が出ていない今の段階であれば、まだ酌量の余地もあるだろう」
士郎「リアルで国家権力の世話になりたくなかったらさっさとアヴェんジャーを引っ込めるんだな 訴えられたら色々調べられて人生がゲームオーバーになる」
言峰「…ククク」
壺セイバー「「訳わからんね」「笑う坪どこ?」」
アーチャー「…何が可笑しい?」
言峰「いや、失礼。お前たちが未だに一縷の望みに縋っているのがなかなかに愉快でな」スッ
アーチャー「それは、どういう…!?」
アーチャーの言葉はそこで遮られた
言峰が自身の右手を掲げたためである
一見、何も異常は無いように感じられた
しかし、そこには本来あるべきものが存在していなかった
厳密に言えば、『そこにあって欲しかった』ものが存在していなかった
――言峰の右手には、令呪が宿っていなかったのだ
言峰「アヴェンジャーは、私と契約したサーヴァントであり、私を倒せばアヴェンジャーも消滅する…そう考えていたのだろう?」
言峰「だが、見ての通りだ。アレは私の制限化に置かれたサーヴァントなどではない。自らの意思で生を謳歌する独立した存在なのだ」
言峰「つまり、私を消したところで…アヴェンジャーを止めることはできん」
アーチャー「バカな…!?ならば、キャスターを狙って攻撃してきたのはどういうことだ!?お前がアヴェンジャーに命じてそうさせたのではないのか!?」
言峰「成程、そのようなこともあったのか。しかし…お前たちは未だにアヴェンジャーを理解していないようだな」
言峰「今説明したとおりだ。アレは自らの意思を持ち本能に従って行動している。単なるバグではなく、AIに近いモノだと思えばいい」
言峰「アヴェンジャー自身がキャスターを脅威だと認識し、排除しようとしたわけだな。結果、無事キャスターは消滅している」
アーチャー「何だと…!?」
壺セイバー「…キャスター」
士郎「お、おい!遠坂はどうなったんだよマジでふざけんなよ!」
言峰「私が認識できるのはキャスター、凛ともに消滅したということだけだ。アヴェンジャーに取り込まれてしまった可能性も十分にある」
士郎「てめぇ…!」
言峰「私としてもキャスターに消えてもらって一安心と言ったところだ。唯一恐れていたのはキャスターの宝具でアヴェンジャーの霊核を破壊されてしまうことだった」
言峰「ここまで規模が拡大してしまえば霊核の位置を把握することなど不可能だろうが、それでもリスクは低いに越したことはない」
言峰「それだというのに…クク…お前たちはキャスターを犠牲にしてまで、その無用の長物をここまで連れてきたというわけだ」
言峰「いや、実に面白いものを見せてもらった。それだけでもここで待っていた甲斐があったというものだ」
壺セイバー「…専用ルームとやらに引きこもってなかったのはそのせいかよ 汚いなさすがGMきたない」
士郎「言峰ェ!貧弱一般神父のくせに一級廃人のセイバーに対してナメた言葉を使うことで俺の怒りが」
壺セイバー「だが、俺が思うに…霊格の位置がわからないんならアヴェんジャーの体をまるごと破壊してやればよいのではないか?」
以上です
アーチャー「……」
士郎「セイバー…?」
言峰「…私の聞き間違いか?今とても愉快な…妄言が聞こえたようだが」
壺セイバー「さっきのが聞こえないようならお前の耳は必要ないな後ろからそぎ落としてやろうか?」
言峰「ふっ…どうやら言葉だけではなく頭までおかしくなったようだな、セイバー。アヴェンジャーを破壊するだと?お前ごときがか」
士郎「お前何回も暴言はかれる気持ちがわかりませんか?煽りは氏ねマジ氏ね」
言峰「セイバー、私は知っているぞ?お前の最後の宝具の詳細をな」
壺セイバー「…!」
言峰「『光と闇が両方そなわり最強(ダークパワー)』…それがお前の切り札だろう。…ライダー消滅後、再びあのような事態が起こらぬよう全てのサーヴァントのステータスデータは閲覧済みだ」
言峰「自身のステータス、宝具の威力を大幅に上昇させる強力な宝具だが…その分魔力消費も凄まじい。確かに、最後の切り札にふさわしい性能ではある」
言峰「だが、それが本当にアベンジャーに通用すると考えているのなら、その浅はかさは…実に愚かしい。例え『グラットンスウィフト』が対軍宝具…いや、対城宝具レベルになったところで、アヴェンジャーを消滅させるのは不可能だ」
アーチャー「…今の話は、本当か?」
士郎「…そうだ。今回の聖壺戦争でも最初からダークパワー全開で戦えば、絶望的な破壊力も誇る破壊力を持つことになって 完 全 勝 利 間違いなしだったんだが」
士郎「…魔力消費がエゴすぎるから使いたくても使えない系の事情があるらしいぞ」
壺セイバー「本当はライダーやキャスターと決着を付けるときに使いたかったんだけどよ このままじゃ人工的に淘汰されるのが目に見えているからな」スッ
壺セイバー「――『光と闇が両方そなわり最強(ダークパワー)』」
セイバーが静かにつぶやくと、その体を中心に旋風が巻き起こった
見た目には全く変化はないが、全身からかもし出すエネルギー量はオーラとして見えそうになる程であった
壺セイバー「――『生半可なナイトでは使えないホーリ』!!」
瞬間、静寂を切り裂く轟音とともに
稲妻が直撃したかのような強烈な閃光が走った
セイバーの指先から放たれた『生半可なナイトでは使えないホーリ』は
まるで極太のレーザー光線のようになって
遥か上空を漂うアヴェンジャーの体に大きな風穴を開けた
――だが、しかし。アヴェンジャーの体ははもはや空全体を覆っており
その風穴もアヴェンジャーからすれば針で刺された程度の傷でしか無いだろう
ゴオオオオ
アーチャー「くっ…セイバーのくせに魔術だと…!?しかも、なんという威力だ…これが、セイバーの真の実力だというのか…!」
言峰「成程、確かに凄まじい力だ。だが…それだけだ。そうだろう?衛宮士郎よ」
士郎「ぐっ…ぐああああああ…」
壺セイバー「……マスター」
アーチャー「…宝具を一回使っただけでこの調子では、とてもアヴェンジャーを殺しきることは…!?」
再び空を見上げたアーチャーは言葉を失った
セイバーの攻撃によってアヴェンジャーに空けられた大穴が、既に塞がっていたのだ
言峰「ようやく、理解できたようだな。セイバーの攻撃ではアヴェンジャーを消すことなど到底不可能だと。お前たちに為す術はない」
言峰「セイバー、お前の言葉を借りるならば…『時既に時間切れ』だ」
壺セイバー「…ふっ」
言峰「…?」
壺セイバー「お前が何もわかってないのがバレてる証拠に笑顔が出てしまう アレを攻撃だと思っている時点で大したことない頭なのは証明されたな」
言峰「なんだと…?」
壺セイバー「アレは『挑発』なんだが? さっきのでアヴェんジャーも俺を敵と認識したはず。ヘイトを上げたくて上げるんじゃない上がってしまうものがナイト」
以上です
言峰「…そこまで言うのなら、試してみるがいい」
言峰「お前のその思い上がりがどこまで持つか、見届けてやろう」
壺セイバー「お前が見届けるのはアヴェんジャーの 完 全 敗 北 になるだろうな」
士郎「お、俺のことは気にせず戦ってくれセイバー…お前全力出していいぞ…」
アーチャー「…無謀だな。いくらお前が無理をしたところで…お前の魔力が尽きればセイバーも消えてしまうのだぞ」
壺セイバー「さっきのは挑発ではあるが俺は別に強さをアッピルなどしていない口で説明するくらいなら牙を剥くというだけのこと。…来いよ、アヴェんジャー」
∴∵∴∵||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴|||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴∵|||||||||||||||||||||||||||||||||
∵∴∵∴∵∴∵::|||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵∴∵∴∵∴∵∴||||||||||||||||||||||||||||||||||
∴∵(・)∴∴.(・)∴∴∵∴:::||||||||||||||||||||||||||||||||||||||||
セイバーの言葉に反応したかのように
アヴェンジャーは自身のその広大な身体の一部を、セイバーへと伸ばしていった
正確に言えば、ただ身体を伸ばしているわけではなく
セイバーのいる座標に向かってバグを誘発させ、データを破壊、同時に自身の身体として取り込むという侵食活動を進めていたのであった
――それは、『攻撃』という定義にすらもう当てはめることは出来ず
如何にセイバーの身体が強固で体力が無尽蔵であろうと、何も意味を成さない
『防御力』『体力』と言ったステータスを構築している、ゲームのシステムそのものに対する侵食行為であるがゆえに
事実上、アヴェンジャーの行動に対して、『逃亡』以外の防御手段は存在しない
そんなアヴェンジャーの明確な敵意を前にして、セイバーは――
言峰「何だと…?」
アーチャー「バカな…!?」
士郎「――!?セイバー!!」
無抵抗のまま、それを受け入れた
壺セイバー「∵∵∵マス<・>∴ター、ダー●●クパワー∵∵∵の本質∵∵∵を忘れ∵∵∵∵●∵∵∵∵∵な」
∴∵∴∵∴
∵∵∵∵∵∵∵∵∵∵
∵∵∵∵∵∵∵(●)∵∵
....∵∵ ∴∵∴∵∵
∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∴∵∴∵∴
アヴェンジャーの侵食行為に飲まれたセイバーは
体全体でバグを誘発させられ
不快なノイズを発生させながらゆっくりとアヴェンジャーに溶け込んでいった
やがて、完全に原型を失い――
アヴェンジャーの一部となった
アーチャー「セイバーが、アヴェンジャーに…取り込まれてしまった…」
言峰「…余りにも呆気無い幕切れだったな。興ざめもいいところだ」
士郎「…セイ、バー……」
言峰「――これで、7騎のサーヴァントは皆消滅し、『聖壺戦争』は完全なる終幕を迎えた」
言峰「なかなかに楽しませてくれる演目ではあったが…アヴェンジャーが暴れるには少々手狭な舞台だったようだ」
言峰「演者のいなくなったこの舞台に用はあるまい。早々に次の舞台に移るとしよう」
アーチャー「貴様…!」
言峰「ふっ、心配するな。お前たちの始末は、この世界ごとアヴェンジャーが」
士郎「――そうか。ダークパワーの、本質…」
言峰「…この期に及んでまだありもしない希望に縋ろうと言うのか。あのアヴェンジャーの脅威を見てもなお…」
言峰「…何!?」
アヴェンジャーの様子に明らかに変化が見られた
先程まで隙間なく空を覆い、地上付近まで侵食の手を伸ばしていたアヴェンジャーの身体に
所々穴が空き、それらは以前のように塞がることはなく隙間から光が漏れていた
欠損は時間経過と共にはっきりと確認できるほどになり
一部では穴と穴がつながり、空を漂う雲のように身体が千切れ、散り散りになっていった
少しづつではあるが、末端部分から徐々にアヴェンジャーの崩壊が始まっていた
∴ :∵ ∴:
∴ : :∵
∴ ∵:
::
言峰「一体、何が起きている!?サーヴァントがいなくなった今、アヴェンジャーに対抗できる者は存在しない筈だ!」
アーチャー「…セイバーが、何かやったのか?」
士郎「――ダークパワーっぽいのは、ナイトが持つと光と闇が両方そなわり最強に見える」
士郎「暗黒が持つと、逆に…『頭がおかしくなって死ぬ』」
以上です
アーチャー「…私にわかるような言葉で説明してくれないか」
士郎「お前頭わりぃな もともと暗黒属性持ってる奴が更にダークパワー持つのはずるい」
アーチャー「…聞いた私が愚かだった。状況から客観的に判断するとしよう
アーチャー「――こういうことか?あの『ダークパワー』とやらは…『悪霊』や『反英霊』といった存在が持つ闇の性質をセイバーにも付与する効果を持っている」
アーチャー「成程、水をやり過ぎた花が逆に枯れてしまうように、アヴェンジャーが取り込んだセイバーの暗黒の力は…奴自身の力を異常に増幅させてしまう『毒』となっているわけか」
アーチャー「正当な英霊であるセイバーにとっては、真逆の性質を持った力は神の賜物だが――」
言峰「…正当な英霊として召喚されていない、『反英霊』としての属性を持つアヴェンジャーにとっては…地獄の宴というわけか」
アーチャー「行き過ぎた力は破滅を導く…末端から消滅し始めているところを見ると、どうやら魔力が体全体に行き渡らなくなっているようだ」
アーチャー「まるで、凍傷によって血液が行き届かなくなった指先から壊死してしまうようにな」
言峰「なんということだ…全てを自身に取り込んでしまうアヴェンジャーの特性が…裏目に出るとは…!」
士郎「やはり、ナイトは――格が違った!」
アヴェンジャーの崩壊は加速度的に早く、大きくなっていき
空全体を覆っていたアヴェンジャーの身体は
今や、士郎達の真上――アヴェンジャーの発生地点付近を残すのみとなった
. ∵ ∵ ∵∵
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言峰「こんな、このようなことが…!?」
そして――
やがて、アヴェンジャーの肉体は…
完全に、消滅した
アーチャー「…終わった、か」
士郎「…セイバー」
言峰「…」
アーチャー「――さて、言峰綺礼。報いを受ける時が来たようだな」
アーチャー「お前の処罰は、現実世界に戻ってからゆっくりと考えるとしよう。それまで、身柄を拘束させて…」
言峰「――くっく。どうやら…まだ終わりではないようだ」
アーチャー「何…?」
言峰「一つ、お前に問おう。――お前は、何故自分がまだ消滅していないと思う?」
アーチャー「…以前お前が言ったように、バグやエラーのせいではないのか?」
言峰「私もそう思っていたのだがね、どうやらそれは勘違いだったようだ」
言峰「プレイヤーが消滅する条件は、サーヴァントが消滅し、魔力のパスが完全に切断されること。例外として、ライダーのようにパスが切断されてもサーヴァントが残っていれば話は違ってくるが」
言峰「そして、お前も知っての通り、バーサーカーというサーヴァントは複数の逸話の集合体であり、決まった形を持たない。言い換えれば――複数の魂の集合体だ」
アーチャー「…それがどうした」
言峰「キャスターの攻撃により、確かにバーサーカーというサーヴァントの肉体は消滅したのだろう。しかし――それはバーサーカーの死を意味してはいなかったのだ」
アーチャー「何…!?」
言峰「ダメージを受けたことによって、魂同士を結びつけ、肉体を維持するだけの機能は失われたのだろう。しかし、辛うじて消滅を免れた魂がまだ存在していた」
言峰「その浮遊霊のごとく彷徨う魂とお前との間に未だにパスが通っているため、お前は依然この世界に存在しているというわけだ」
アーチャー「…話が見えてこないな。命乞いにしては回りくどい。それが今どういう意味を持つ?」
言峰「お前は疑問に思わないのか?――何故衛宮士郎がまだここにいるのか」
士郎「俺がここにいちゃいけないっていうのかよ マスターがいない聖壺戦争に未来はにい」
アーチャー「…!?そういう、ことか…!」
言峰「衛宮士郎が残っているということ――即ち、アヴェンジャーに取り込まれたセイバーとパスが切れていないということ」
言峰「無論、セイバーはもはや全く別の性質のデータの塊に成り果てているだろうがな。そこは問題ではない。要点は、かつて『セイバーだったデータ』はまだ存在しているという事実だ」
言峰「つまり――アヴェンジャーはまだ完全に消滅したわけではない、ということだ!」
∴∵∴∵∴
∴∵∴∵∴∵
∴∵∴∵∴∵∵∴∵∴∵
.∵∴∵:(・)∴∵∴∵∴∵
∴∵rミ ,○、:(・)∴∵∴∵
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∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵∴
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∴∵∴∵∴∵∴∵∴∵
∴∵∵∴∵∴∵∴
∴∵∴∵∴∵
言峰がそう発するやいなや、つい先程アヴェンジャーが消滅したかに見えた場所から
再びアヴェンジャーが発生した
消滅前に比べれば遥かに小規模で
侵食速度もかなりスローなペースではあったが
もはや、対抗手段を持たぬ士郎たちにとって
死刑宣告に等しい絶望の再臨であった
アーチャー「…ここまで、来たというのに…!」
士郎「…想像を絶する悲しみが俺を襲った……」
言峰「全て、全て無駄な足掻きであったな。さぁ、コレで終わりだ!もはやアヴェンジャーを止められる者は――」
それは、あまりにも急すぎた
突如、視界が遮られ
世界は漆黒に包まれた――
サーヴァント紹介 完全版
【CLASS】セイバー
【マスター】衛宮士郎
【真名】ブロント
【出典】ネトゲ実況,他
【触媒】親のダイヤの結婚指輪のネックレス
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力A 耐久A+ 敏捷C 魔力C 幸運B 宝具A
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
騎乗:A
幻獣・神獣ランクを除く全ての獣、乗り物を自在に操れる。
【保有スキル】
言語汚染:A++
日本語の不自由さを表すスキル。言語汚染のランクが高いほど意思の疎通が困難となる。
しかし極めて高いランクになると、それがひとつの言語として確立する。
A++まで行くと逆に相手の言語を侵食するため、会話が成立する。
ナイトはジョブを選ばない:A
クラスによる能力の制限を軽減するスキル。Aランクでは適正クラス以外で使用した宝具の威力をもほぼ100%引き出すことができる。
【宝具】
『グラットンソード』
ランク:B 種別:対人宝具 レンジ:2~5 最大捕捉:1人
暴食の名を冠する片手剣。ブロントを象徴する武器の一つ
間隔が長いので遠くまで届き、尖っている部分で敵に致命的な致命傷を追わせることもできる
真の力を開放することで『グラットンスウィフト』の発動条件を満たす
『雷属性の左』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
リアルではモンクタイプで喧嘩チームのリーダーでもあるブロントの左手から放たれる一撃
電撃を帯びており、敵の防具の属性によって追加のダメージを発生させる 。
ブロントが使用可能な宝具の中では最も魔力消費が少ない。
『生半可なナイトでは使えないホーリ』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:20~30 最大捕捉:5人
セイバーとして召喚されたブロントが使用できる唯一の魔術系統の宝具
複数人相手に使うこと想定した攻撃魔術ではあるが、対軍宝具に至るほどの攻撃範囲を持ちあわせてはいない
しかし射程距離自体はブロントの持つ宝具の中で最も大きいため、主に飛び道具としての活用がメインである。
『グラットンスウィフト』
ランク:A 種別:対人宝具 レンジ:1 最大捕捉:1人
ブロントが使用する最強の宝具。グラットンソードから放たれる必殺の一撃。
グラットンソードのギザギザした部分で敵に致命的な致命傷を与える。
全力を込めた一振りで、空気であろうがなんだろうがバラバラに引き裂いてしまう。
同ランクまでの耐久を無力化できる。
『光と闇が備わり最強(ダークパワー)』
ランク:A 種別:対人宝具(自身) レンジ:1 最大捕捉:1人
対象に『魔力放出(暗黒)』を付与する宝具。
『魔力放出(暗黒)』を得たサーヴァントは属性:暗黒が追加される。
魔力放出の効果によりステータス、宝具の威力共に著しく上昇するが
魔力消費量の激しさも増す。
具体的には狂化Aランク相当の魔力消費が追加で必要となる。
宝具の威力、ランクの上昇に関しては
種別を対人→対軍へと変化させ、ランクを一段階上昇させる。
理論上セイバーとして召喚されたブロントの最強の攻撃は
ダークパワーを纏って放つグラットンスウィフトである。
また、もともと暗黒属性を持つ存在がダークパワーの効果を得た場合
暗黒属性同士の共鳴効果によって力が異常なまでに増幅してしまい、魔力の暴走を引き起こす。
結果逆に身体を侵食され、崩壊へと至る。
【CLASS】ランサー
【マスター】セイバー(アルトリア)
【真名】リューサン
【出典】ネトゲ実況
【触媒】ガリ
【性別】男
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力B 耐久B 敏捷A 魔力D 幸運E 宝具B+
【クラス別スキル】
対魔力:B
魔術発動における詠唱が三節以下のものを無効化する。
大魔術、儀礼呪法等を以ってしても、傷つけるのは難しい。
【保有スキル】
孤高の騎士:A
PTを組めず、ソロ専などと虐げられたリューサンの不遇さを象徴するスキル。
味方のいない状況でも精神的動揺を起こさず実力を発揮することができる。
ただし、一度でも協力関係を成立させるとランクが大きくダウンする。
鎮魂の金言:A
精神的な動揺、感情の昂ぶりを鎮めるスキル。
ランクAでは一時的に狂化を抑えることすらできる。
ただし、既に完成してしまった呪いや、精神の汚染が完了している相手に対しては効果を発揮しない。
また、自身の狂化に対してはこのスキルは使用不能となる。
【宝具】
『紫電の槍(ライトニングスピア)』
ランク:B 種別:対軍宝具 レンジ:5~30 最大捕捉:30人
幻獣イクシオンの力を宿した一撃。雷撃を槍に纏わせて放つ
本来竜騎士が使える技ではないが、リューサンの使う技としてイメージが定着したために発動可能となった宝具
『無毀なる孤高(エースヘルム)』
ランク:B+ 種別:対人宝具(自身) レンジ:1 最大捕捉:1人
選ばれし勇者(トライエース)にのみ与えられる兜型の宝具。
しかしその用途は防御ではなく、自らの肉体を強化し、怪物へと変容させる攻撃特化の宝具である。
装備したものは他の宝具、スキルの使用を封じられる代わりに、大幅なステータスアップの恩恵を受ける。
バーサーカークラスの狂化と異なり、肉体が変容しても理性は残っている。
しかし一部の言葉しか発することができなくなるため、意思の疎通は困難となる。
自らの意志でこの宝具を解除することはできない。
【CLASS】アーチャー
【マスター】ライダー(メドゥーサ)
【真名】全盛期のイチロー
【出典】ニュー速VIP
【触媒】折れたバット
【性別】男
【属性】混沌・善
【ステータス】筋力B 耐久A 敏捷A+ 魔力C 幸運C 宝具A++
【クラス別スキル】
対魔力:A
Aランク以下の魔術を完全に無効化する。事実上、現代の魔術師では、魔術で傷をつけることは出来ない。
単独行動:A+
マスター不在でも行動できる能力。
【保有スキル】
心眼(真):A
修行・鍛錬によって培った洞察力。窮地において自身の状況と敵の能力を冷静に把握し、その場で残された活路を導き出す戦闘論理。
メジャーリーガー:A+++
己の精神と肉体を駆使し、世界最高の舞台で戦う偉大なる挑戦者に与えられるスキル。
A+++までいくと精神攻撃は100%シャットアウトし、物理攻撃も7割ほどダメージを低減できる。
また、言語が堪能になる、戦いの気配を敏感に察する等の副次的効果もある。
【宝具】
『投げ穿つ死翔の球(レーザービーム)』
ランク:A++ 種別:対軍宝具 レンジ:5~40 最大捕捉:50人
本塁への送球の凄まじさからその呼び名がついた全盛期のイチローを象徴する宝具。
球を投擲するだけのシンプルな攻撃方法だが、威力は絶大。
それだけでも強力な宝具だが、本領を発揮するのは『自分で放ったレーザービームを自分で打ち返した時』であり
その場合は対軍宝具から対城宝具へと種別が変化し、速度、範囲、威力全てが大幅に上昇する。
【CLASS】キャスター
【マスター】遠坂凛
【真名】寺生まれのTさん
【出典】オカルト板
【触媒】お守り
【性別】男
【属性】秩序・善
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力B 幸運C 宝具EX
【クラス別スキル】
陣地作成:B
魔術師として、自らに有利な陣地を作り上げる。
“工房”の形成が可能。
道具作成:C
魔術的な道具を作成する技能。
【保有スキル】
対怪異:A+
現実からかけ離れた現象、もしくは怪物、妖怪、悪霊等に対する優位性を表すスキル。
夫婦剣:干将莫邪の持つ性質のように、怪異に対する攻撃の威力が大幅に上昇する。
逆に、怪異からスキル保有者への干渉は高確率でシャットアウトされる。
結果として、外部から精神及び肉体へ影響を与えるスキルは極めて高ランクの物以外は無効となる。
ランクA+ともなれば、対象が霊体であれば例え神霊クラスであってもこのスキルの影響を無効化することはできない。
寺生まれ:--
因果を捻じ曲げてでも人を救済することに特化したTさんが持つ固有のスキル。
寺生まれを持つサーヴァントは、覆りようのない最悪の状況でも起死回生の一手、最良の一手、思いがけぬ幸運を呼びこむことができる。
特に一番このスキルの効力を発揮するのは、Tさんによる『救済』が必要とされている状況である。
寺生まれってやっぱり凄い。
【宝具】
『破戒すべき全ての恐怖体験(破ぁ!!)』
ランク:EX 種別:対霊宝具 レンジ:2~30 最大捕捉:1人
Tさんの代名詞とも言える宝具。基本形は手から放たれる光球である。
『霊を殺す』ことに特化しており、相手が霊に定義できるものであればサーヴァントであろうが神であろうが問答無用で消滅させてしまう。
また、魔力消費量も非常に少なく、並のマスターの魔力量でも数十発は連続使用が可能である。
反面物理的な威力はさほど大きくなく、生身の人間に使った場合でも致命傷にすら至らない。
状況に応じて様々な用途で使い分けることができ、応用の幅が大きい。
逸話の中では釣り竿に力を宿したり、呪文のように詠唱して使用した例が存在する。
【CLASS】ライダー
【マスター】間桐桜
【真名】やるオプーナ
【出典】ゲーム・ハード板
【触媒】オプーナの購入権利書
【性別】男
【属性】混沌・悪
【ステータス】筋力C 耐久B 敏捷B 魔力B 幸運E 宝具D
【クラス別スキル】
騎乗:B
騎乗の才能。大抵の乗り物なら人並み以上に乗りこなせるが、
魔獣・聖獣ランクの獣は乗りこなせない。
対魔力:C
第二節以下の詠唱による魔術を無効化する。
大魔術、儀礼呪法など大掛かりな魔術は防げない。
【保有スキル】
遊戯審美:C
ゲーム作品、システムに関する知識。
ゲーム作品に関わるサーヴァントと対峙した時、低確率で真名を看破することができる。
また、裏技や隠し要素といったゲームに関わる裏のルールを見破る事が可能となる。
【宝具】
『エナジーボンボン』
ランク:C 種別:対人宝具 レンジ:2~30 最大捕捉:1人
オプーナの頭部に装備された球体。
ある程度遠くまで飛ばすことができ、飛び道具として運用される。
オプーナのメインの攻撃手段である。
『ワゴンカート』
ランク:E 種別:対人宝具 レンジ:2~50 最大捕捉:4人
オプーナの移動手段かつ突撃用の武器。
クソゲーがよく並べられるワゴンを模した乗り物であるため
オプーナ本人はこの宝具をあまり好んでおらず、戦闘以外ではなるべく使用を避けている。
カートで高速移動しつつ『エナジーボンボン』で敵の範囲外から攻撃を仕掛けるというのが必勝パターン。
『招き蕩うクソゲー劇場(クソゲーオブザイヤー)』
ランク:D 種別:対軍宝具 レンジ:1〜99 最大捕捉:1000人
クソゲーを司る者、としてのオプーナが持つ固有結界。
術者の心象を具現化するのが固有結界だが、この心象というものはオプーナ自身が持っていたものというより
サーヴァント化されるにあたって、ネットユーザーによって『オプーナといえばクソゲー』というイメージが定着していたために
本人が望んだわけでもなく無理やり心象を押し付けられた、呪いのような宝具である。
能力としては、クソゲーが持つクソゲーを構成する要素を空間内に再現する。
空間内に引きずり込まれたものは『術者であるオプーナを討伐する』というゲームに挑まされる。
勿論そのゲームはバグ、理不尽、単純につまらないといったクソゲー要素で溢れているので
クリアすることは非常に困難である。
術者であるオプーナ本人にも制御は不可能であり、下手に挑めば自身もクソゲーの荒波に巻き込まれる。
固有結界という大魔術であるにもかかわらず宝具としてのランクが低いのは
本人曰く「クソゲーに神秘性など無い」ためである。
【CLASS】バーサーカー
【マスター】アーチャー(エミヤ)
【真名】無し(邪気眼使い)
【出典】2ちゃんねる全土
【触媒】黒歴史ノート
【性別】--
【属性】--
【ステータス】筋力E 耐久E 敏捷E 魔力E 幸運E 宝具--(EX)
【クラス別スキル】
狂化:--
狂化のスキルは失われている。
【保有スキル】
邪気眼(偽):A+++
『狂化させる者』としてバーサーカーのクラスで現界した
『邪気眼』に関わる逸話の集合体に与えられたスキル。
『邪気眼』自体の効果は原典でも不明だが、『邪気眼』というジャンルの逸話に共通する
『消し去ってしまいたいほどの過去の痛い言動・黒歴史』という部分をスキルとして昇華している。
『邪気眼』に囚われた対象は自身の負の感情、触れられたくない心の傷、過去のトラウマを増幅させられ
理性を失い、バーサーカーのクラススキル『狂化』に近い状態となる。
『狂化』と違い、『邪気眼』の犠牲になった者も宝具の使用は可能。
しかし、狂化後は攻撃対象にバーサーカー自身を選ぶことは出来ず
『少しでも多くの人を仲間に引きずり込んでやろう』という思考から
『邪気眼』の効果が及んでいないものを優先して狙う。
自身の内面の感情を増幅する効果であるため
キャスターが持つ、外部からの侵略行為を抑制する『対怪異』スキルで防ぐことは困難。
また、自分の心に曇るものが一切無い者(またはそう思い込んでいる者)
高ランクの『精神汚染』を持つ者に対しては効果が無い。
【宝具】
本来、自身の宝具を持たないサーヴァントである。
『天地乖離す永久の氷結(エターナルフォースブリザード)』
ランク:EX 種別:対人宝具 レンジ:2~10 最大捕捉:1人
令呪3画を消費することによって再現することが可能となる
2ちゃんねるの『邪気眼』系統の逸話の中で最大の知名度を持つ究極の宝具。
この宝具を受けた対象を確実に死に至らしめる。
死の概念がない相手に対しても、この宝具によって勝手に死を定義され、その定義された死を与える。
つまり、どんな存在であっても絶対に逃れられない死を与える事ができ、防ぐ手段は存在しない。
分類的には『魔法』に属する。
具体的に目に見える事象としては、一瞬で相手の周囲の大気ごと氷結させる。
相手は死ぬ。
【CLASS】アサシン
【マスター】言峰綺礼
【真名】ぼっさん
【出典】ニュース速報
【触媒】シチメンソウ
【性別】男
【属性】中立・中庸
【ステータス】筋力D 耐久D 敏捷C 魔力C 幸運C 宝具--
【クラス別スキル】
気配遮断:--
後述のスキルが気配遮断を兼ねている。
【保有スキル】
コラ素材:EX
日本のネット史上最大クラスに普及した『世界最強のコラ素材』たるぼっさんの持つスキル。
コラ素材として『使われる』という特性から、ぼっさん自身が宝具のようなものとして扱われる。
実質、このスキルが実質ぼっさんの宝具の代わりとなっている
非常に強力なスキルであるが、『聖壺戦争』内で再現するにはシステムの整備が追いついておらず
バグの発生を避けるためいくつかの段階に分けて封印が施されている。
第一段階:世界の跳躍
自身が認知・認識した場所へ一瞬で移動することができる。某国民的RPGのルー○のようなスキル。
実際は本人がその場所を一度訪れたことがなければ移動はできないが、今回はGMの言峰に召喚されたため
『聖壺戦争』の世界の地理情報が全てインプットされている。
結果、ぼっさんは世界の何処にでも一瞬で移動することができる。
第二段階:風景と同化
自身の肉体を背景と一体化することができる。擬態能力。
完全に同化すれば肉眼での識別は不可能。ただし、近くにぼっさんがいるとわかってしまうと無差別に攻撃をされる恐れがある。
第三段階:認識の改変
全ての封印を解いたぼっさんが使用可能となる最後の能力。
コラ素材として、違和感なく『最初からそこに混じっていた』ようにすら思わせることに起因したスキル。
敵はぼっさんという存在に対して全く違和感を覚えることが出来ず
ぼっさんを倒すべき対象と認識している場合ですら
その場にいるぼっさんを当然のものとして受け入れてしまう。
『鳥が空を飛んでいる』ことや『歩くと前に進む』といった
当たり前の事象に対して違和感を覚えるくらいの倒錯した精神の持ち主でないと
ぼっさんのスキルを破ることは難しい。
以上です
ステータス設定は割と適当です
もうすぐ終わります
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アーチャー「…うっ……一体、何が……?」
言峰「くっ…」
士郎「うう…」
アーチャー「…?言峰綺礼まで、倒れてるだと…?本当に、何が起きたんだ…?」
凛「アーチャー!よかった…やっぱり私の思った通りね!」
アーチャー「凛!?何故君が……いや、ここは…教会…?」
アーチャー「つまり…私たちの方が…戻ってきた、というわけか…」
士郎「いてて…エライ目にあったな…。って、あれ?ここって…?」
桜「あ、先輩!目が覚めたんですね!」
士郎「桜!?じゃあ、ここは…現実世界、ってことか?」
桜「良かった…口調も元に戻ったみたいですね」
士郎「何を言ってるんだ?桜。俺は何も変わってないだろう?むしろ、途中から桜の様子が変になってて心配したんだぞ」
桜「…うん、何も無いならそれでいいです…」
アーチャー「どうして、私たちはゲームの世界から排出されたんだ?凛、君は何か知っているのか?」
凛「知ってるも何も、私があなた達を戻してあげたのよ」
アーチャー「…?どういうことだ?」
凛「私、思ったのよ。聖壺戦争って、結局はゲームなわけじゃない?だから…」
凛「電源を切ってやれば、すぐ終わらせることができるんじゃないか、って」
アーチャー「………え?」
凛「こっちに戻ってきてから、すぐ行動に移ったの。いやー苦労したわよ。なんてったって」
アーチャー「ま、待て、凛!き、君は…君というやつは…!」
アーチャー「電源を、切っただと!?私達がゲーム内にいるにも関わらずに!?私達がゲームデータごと消滅してしまうとは、考えなかったのか!?」
凛「な、何よそんな血相変えて…ちゃんと、五体満足で帰ってきてるじゃない…」
アーチャー「いや、まぁ…それはそうなのだが…。…しかし!君もわかっていただろう!?アヴェンジャーの脅威を」
アーチャー「電源を切ったことで、行き場をなくしたアヴェンジャーがそのまま外部のネットワークに流出してしまう危険性だって有るんだ!いや、もしかしたらもう…!」
士郎「…いや、それは大丈夫みたいだぞ。――見てみろ」
アーチャー「…こ、これは…」
士郎「…電源ケーブルとLANケーブル、どっちも見事に切断されてる。これは、セイバーがやったのか?」
セイバー「はい。私たち脱落組はお茶を頂いていたのですが、凛が戻ってくるなり大慌てでパソコンの前に座りまして」
セイバー「しばらく何か操作しようとしていたようでしたが…その後こちらに救援を求めて来たのです」
士郎「…ちなみに、何て?」
セイバー「『どうやってもPCの電源が消せないから、線を切断して欲しい』と」
アーチャー「…うわぁ」
セイバー「何やら切迫した状況のようでしたので、事情は後から聞くことにして引き受けました」
セイバー「ですが…その…私もそういった知識には乏しくて…どれが電源ケーブルか瞬時に判断することが出来なくて…」
士郎「…とりあえず、出てる線全部切ってみた、と」
セイバー「はい…」
士郎「遠坂…電源を引っこ抜くって発想は無かったのか?」
凛「しょ、しょうがないじゃない…焦ってたんだから…。大体、このパソコンもおかしいのよ!何回電源切っても、アーチャーたちが帰ってこないんだもの」
アーチャー「…凛。恐らく…君が電源だと思っているのは、ディスプレイの電源だろう。そこを何回押したところで、ディスプレイが付いたり消えたりするだけだ」
凛「へっ?」
アーチャー「本体は、こっちの箱の方だ。コイツの電源を切らなければ、PCが止まることはない」
凛「どうしてよ!こっちには映像も何も映らないじゃない!」
アーチャー「……」
士郎「…何だかなぁ」
アーチャー「皆まで言うな。…私だっていろいろと思うところはある」
アーチャー「だが、まぁ…よくよく考えれば、我々がログインに使用したのはこのPCのみ。つまりこのPCからの流出さえ防げればよかったわけだ」
アーチャー「あの時、セイバーのおかげで一瞬だがアヴェンジャーは消滅した。おかげで奴の末端のデータが外部に漏れた可能性を危惧する必要もない」
士郎「つまり…電源が切れたのが絶妙のタイミングだったわけだな。あれより早くても遅くても、アヴェンジャーの侵食範囲がもっと広がっていた可能性があった」
アーチャー「ああ。その絶好のタイミングで電源だけでなくLANケーブルも切断されたことで、アヴェンジャーには行き場がなくなった。あとはこのPCの内部データさえ削除してしまえば、アヴェンジャーは完全に討伐完了だ」
士郎「…俺達が無事に戻ってこれたことと言い、本当に運が良かった。…これも、壺のサーヴァントたちが頑張ってくれたおかげだな」
アーチャー「…ああ」
凛「何かごちゃごちゃ話し込んでるけど、とにかく、私がやったことは間違いじゃなかったんでしょう?」
アーチャー「…非常に不本意だが、その通りだ」
アーチャー「凛、君は電子機器のことを何も理解していないし、今後も間違いなく理解することは出来ないだろうが…とにかくよくやった!感謝する」
凛「えっと…それ、褒めてるの?」
アーチャー「無論だ。さて、問題は…」
アーチャー「そこでコソコソと逃げおおせようとしている言峰神父に、どのような処罰を下すか…だな」
言峰「…ふっ」ガシッ
ライダー「一応、捕らえておきました。――ゲームの中ではいいところ無しでしたが、こちらではそうは行きませんとも。ええ」
凛「言っておくけど、殺すってのは無しよ。殺したところで地獄行き確定だもの。ただコイツを喜ばせるだけよ」
アーチャー「心得ている。事情は聖堂教会に伝えるとして…まずは徹底的に社会奉仕活動に取り組ませよう。起きている間は常に人の為になることだけを考えてもらう。それから――」
桜「なんだか、盛り上がってますね、姉さんたち。楽しそうです」
士郎「それを聞いてる言峰の顔は心なしか青ざめてる気がするけどな。これにて一件落着って感じか」
桜「…『聖壺戦争』は、どうなっちゃうんでしょうか?」
士郎「…残念だけど、管理者の言峰があんなことをやらかしちゃった以上、お蔵入りになるだろうな。そもそも、データ自体がアヴェンジャーのせいでもうほとんど壊滅状態だ」
桜「そう、ですか…」
桜「……ライダー」
ライダー「どうかしましたか?桜」
桜「あ、ううん…何でもないの」
ライダー「?ならば良いのですが…」
以上です
次回でラストです
~数日後~
桜「お邪魔します。…あら?姉さんたちも来てるみたい」
――あれから数日が過ぎ、私たちはすっかり元の生活に戻りました。
言峰神父の暴走に関しては、混乱を避けるため参加者である私達を含めごく一部の人にしか知らされていないようです。
世界中のネットワーク全体に危機が及ぶ恐れがあった、という事態を重く見た聖堂教会は
『聖壺戦争』の計画を永久に凍結することを決定しました。
データが保存されていたPCは回収され、現在解析中とのことです。
もしかしたら、彼らはまだPC内に保管されている膨大な魔力に未練が有るのかもしれませんね。
そして、首謀者である言峰神父ですが…
なんと、彼は今ハワイにいるそうです。
ハワイで幸せな結婚式を挙げる新婚夫婦達と間近で接し
祝福を捧げるという仕事を通じて、更生をはかるようです。
1人だけだとまた何をするかわからない、ということで
サポートとしてもう一人、シスターさんが派遣されているみたいです。
なんでもかなり若い女性らしくて、言峰神父とは親子ほども歳が離れているんだとか。
――何だか、普通の人にとってはむしろご褒美みたいな環境の気がしますけど
姉さん曰く、『アイツが更生なんてするわけ無いから、できるだけアイツが嫌がる状況に追い込んでやる』…だそうです。
姉さんもだんだん神父さんに性格が似てきたんじゃないでしょうか?
ドタドタ
ライダー「さ、桜!よく来てくれました…!」
大河「桜ちゃーん!た、大変なのよう…!お願い、何とかしてぇ!!」
大河「桜ちゃんも聞いてるでしょう!?士郎と遠坂さんの話。学校でちょっと問題になってるんだから!」
桜「ああ…ええ、まぁ。というか、普通に学校で会ってますしね」
ライダー「桜の言うことならば、士郎たちも聞いてくれると思います!だから、お願いします桜!」
桜「……」
――『聖壺戦争』は計画が凍結されたため
もう二度と、あの世界で出会った個性豊かなサーヴァント達が陽の目を見ることはないでしょう。
『聖壺戦争』というゲームを成立させるためだけに生み出され、自我を与えられ
そして…用が済めばまたただの魔力の塊として世界に還元される。
自分の望みをかなえられるわけでもなく
本来、私達マスターに力を貸す義理は全く無いのに
彼らは、死力を尽くして戦ってくれました。
私達マスターのため、自分自身の存在する意義を確かめるため――
ほんの短い間だったけど、心を通わせ共に戦った壺のサーヴァント達
そんな彼らと二度と会うことが出来ないというのは、やっぱりちょっと寂しいですね。
――でもね、ライダー。
私、あなたの事…
あなた達の事、きっと忘れない。
何故なら、ここには
あなた達と共に過ごした確かな『証』が有るんだから――
士郎「人の家で勝手に料理し始める恥知らずな弓兵がいた!ここを自分の家だと勘違いしているのならお前の頭は意味ないな後ろから破壊してやろうか?」
アーチャー「生前は私の家だったという理由で最初から私の勝率は100%だった 見ろ見事なカウンターで返した調子に乗ってるからこうやって痛い目に遭う 」
セイバー「私の胃袋が空腹でマッハなんですが…士郎!アーチャー!くだらない喧嘩は今すぐやめるべきこのままでは私は骨になる」
凛「藤村先生に迷惑かけるとかちょとsYレならんしょこれは・・?アーチャー、はやくあやまっテ!それくらいも出来ない卑怯者はマジでかなぐり捨てンぞ?」
アーチャー「お前頭わりぃな 私の手料理を食わせてやれば藤ねぇの機嫌も有頂天になるのは確定的に明らか」
凛「…アタシの言うこと聞かない気?そうならあんたもう死ね!」
士郎「やっぱりアーチャーよりセイバーだな…今回のでそれがよくわかったよ>>遠坂感謝 アーチャーは前門の虎前門のライオン状態でなす術なしだしな」
セイバー「想像を絶する空腹がアルトリアを襲った…あまり待たされると病院で栄養食を食べる事になります」
桜「……」
桜「――ふふっ。楽しそうで、いいんじゃないかしら?」
大河「!?」
ライダー「そ、そんな!?」
桜「姉さーん!何抜け駆けして先輩の家に来てるんですか?あまり調子に乗ってると裏世界でひっそり幕を閉じる事になりますよ?」
凛「げ、桜!?ど、どうやって私が抜け駆けしたって証拠よ!居候の多い衛宮家を気遣って家事の手伝いに来ていただけであって抜け駆けとは無関係。我ながら見事な仕事だと感心はするがどこもおかしくはないわね」
桜「動揺を隠そうと必死なのがバレてる証拠に笑顔が出ちゃいます。姉さんはどこにも逃げられないプレシャーを背負う事になりました後ろに気をつけておくことをお進めします」
ライダー「さ、桜まで…!?そんな…わ、私は一体どうしたら…!?」オロオロ
大河「うわーん!!もうやだー!元のみんなを返してよー!!」
END
これにて完結です。
本当に長い間お付き合いいただきありがとうございました。
ダラダラ長引かせたせいで序盤と後半で矛盾してるところもいくつかあるけど許してください。
すいません抜けがあったので最後の投稿だけやり直します
大河「ここ最近、ずっとこんな感じなのよう!それでいて本人たちは全く自覚がないみたいだし…」
ライダー「原因も皆目検討が付きません…呪いの類でしょうか…。いずれにせよ、このままでは聞いている私達のほうがおかしくなってしまいそうです!」
ライダー「お願いです、桜!元に戻るよう、彼らを説得してください!」
桜「……」
桜「――ふふっ。楽しそうで、いいんじゃないかしら?」
大河「!?」
ライダー「そ、そんな!?」
桜「姉さーん!何抜け駆けして先輩の家に来てるんですか?あまり調子に乗ってると裏世界でひっそり幕を閉じる事になりますよ?」
凛「げ、桜!?ど、どうやって私が抜け駆けしたって証拠よ!居候の多い衛宮家を気遣って家事の手伝いに来ていただけであって抜け駆けとは無関係。我ながら見事な仕事だと感心はするがどこもおかしくはないわね」
桜「動揺を隠そうと必死なのがバレてる証拠に笑顔が出ちゃいます。姉さんはどこにも逃げられないプレシャーを背負う事になった後ろに気をつけておくことをお進めします」
ライダー「さ、桜まで…!?そんな…わ、私は一体どうしたら…!?」オロオロ
大河「うわーん!!もうやだー!元のみんなを返してよ~!!」
END
こんどこそ ほんとうに おわり
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