ID:pD/8SmLa0の代行らしいでー
代行ありがとうございます
私のリーチ棒をプレゼントしますね
優希「グスッ……咲ちゃんすまなかったじぇ……」
咲「…………うん」
咲(優希ちゃんを責めたって仕方ない。お姉ちゃんと仲直り出来なかったけど、私の麻雀を見て何か思ってくれてたら)
本当にそう思っているのか?
咲(当たり前だよ。そりゃ残念だけど)
ならば戻ってみるか?条件を変えてみて。
咲(戻れるなら戻りたいよ。って誰?)
小薪に暇をもらったしがない神だ。
――
――――
咲「ん、う……朝?」
気が付くと見慣れた天井が広がっていた。けれど、私は寝た記憶がない。そもそも全国大会で負けて大戦ぱ……お姉ちゃんに飛ばされた可哀想な優希ちゃんを慰めていたはずなのに。
咲「神様からもらったチャンスってこと?」
とにかく普段通り用意を済ませ、学校に向かった私。
やっと、神様の話を理解した。
洋榎「おー、新入生か。ま、入れや」
嗚呼、神様。そう言うことだったんだ。条件を変えてって。
部長の姿も、和ちゃんの姿もその他の人達の姿も京ちゃんの姿すら見当たらない。
代わりに愛宕さん。
咲「愛宕さんですよね?妹さんの方は?」
洋榎「おっ、ウチを知ってんのか。有名人になったもんや。絹は実家や。清澄にはウチだけ来たんや」
咲「理由を聞いてもよろしいですか?」
洋榎「んー、何て言うかな、新学期の前に天恵のようなものを受けたんや。それが一家揃って同じ天恵を受けてな、ウチだけこっちに来たんや。後で同じような奴来るわ」
愛宕さんの言った通り、数分後には部室には私を入れて五人揃っていた。
咲「…………無茶苦茶だよ」
玄「松実玄です!新入生かな?ヨロシクです!」
阿知賀のドラローさんに続き、
怜「園城寺怜や。後、病弱や」
咲「病弱アピールやめ」
一巡先を見る超能力者。
初美「薄墨初美ですー。咲ちゃんには自己紹介要らないですねー」
この人は記憶があるんだ。同じ永水だったからかな?
咲「はい。薄墨さんのことは知ってますよ。とりあえず、宮永咲です。よろしくお願いします」
咏「おー揃ったねぃ」
咲「三尋木プロですよね?」
咏「元プロのが正しいかねぃ」
こんな大物まで巻き込んでしまったんだ。罪悪感も少しはあるけれど、楽しみだな。何より、この面子相手なら手加減は要らないし。
咏「ま、新人部員は一人。地区予選まで後少し。気楽にやれやー」
洋榎「じゃ、打つかー。咲の実力見たいし」
初美「地雷ですよーその発言」
――
――――
玄「うぅ……お姉ちゃん」
怜「見えてもどうしようもない」
洋榎「なんや咲、強いやんけ」
半荘数回、本気でやったはずなのに愛宕さんだけは飛ばせなかった。それどころか常に成績はプラス。純粋に強いんだろうな。
咏「おっ、こんな時間か。そろそろ解散かねぇ。遅くなりすぎると怒られるし。ま、私は知らんけど」
洋榎「ほな、お疲れさん。鍵よろしくなー」
怜「私も失礼するわ。ほな」
玄「待ってください園城寺さん。私も行きます」
初美「宮永さんは少し私とお喋りしますよー」
咲「あはは、分かりました」
井の中の魔物には及ばんにしても、かなり凶悪なメンバーだなww
薄墨さんと歩く帰り道。和ちゃんのIPSの話や優希ちゃんのタコスの話とは違い、話題は永水のことになる。
咲「その、すいません。迷惑をおかけして」
隣を歩く巫女服ならぬ制服姿の先輩は小さく笑った。
初美「んー。全然いいですよー。こっちはこっちで楽しそうですし」
咲「なら良かったです」
初美「永水と戦うのは楽しみですし」
薄墨さんの言ったことに少し安心した。他の人達のことは知らないけど、この人は今の状況をよく思ってくれている。
初美「ま、これから頑張りますよー。咲ちゃんも着いてきてくださいねー」
咲「はい。改めてよろしくお願いします」
――
――――
咏「このままじゃ勝てないねぇ。知らないけど」
部室に入ってくるなり元三尋木プロ。現清澄監督は入ってくるなり私達に言い放った。
愛宕さんは目を細める。
洋榎「なんや監督。ウチ等が弱いって言うんか?」
咏「別にそんなこと言ってないし。勝てないって言っただけだし。弱点がありすぎて付け入る隙が多いってこと」
監督の話に私は頷く。愛宕さんのようにオールマイティーに強い人は置いておいて、能力者は弱点が露骨に出てしまうから。
玄さんのドラで手牌が縛られること。薄墨さんの鳴けなかったら牌が来ないこと。園城寺さんの病弱。そして、私の槍槓。
ふんふむ
咏「思うところがあるみたいだねぃ。じゃあ克服のために合宿でもしようか」
怜「合宿って、私病弱やねんけど」
咏「知らねーし。もう決めたし。怜用のメニューももう作ったし」
怜「まぁ、そこまでしてくれるんなら」
玄「合宿って楽しみだよー」
洋榎「そない楽しいもんやないで。朝に麻雀、昼に麻雀、夜にも麻雀やで」
初美「それはそれで楽しそうですよねー」
咲(……)
咏「咲が何言いたいか知らないけどまぁ、出発するよ」
部室から外を眺めたらバスが見えたのは私が寝不足だからなのかな?
監督が無茶苦茶したからなのかな?
――
――――
温泉。それは私達に与えられた唯一の癒し。のはずだったんだけど。
洋榎「おー玄、エエ体しとるやん」
玄「洋、榎さんどこ触ってるんですか!?それは私の役目のはずです」
初美「洋榎ちゃん、何で私には目も向けてくれないんですかー?」
凄く騒がしい。
怜「はぁ、極楽や」
咲「あっ、園城寺さん。混ざらないんですか?」
怜「私が混ざったら倒れてまうわ。咲こそ混ざらへんの?」
咲「あはは、私が混ざっても倒れますよ」
怜「せやな」
咏「確かに怜なら倒れてまうなー。知らないけど」
怜「なんで関西弁やねん」
咏「いーじゃんいーじゃん」
怜「なんやそれ。それより何で監督がおんねん。旅館の人に挨拶するんやなかったんか?」
咏「めんどくせーし。別に後でいいじゃん」
怜「あかんやろ。ええわ私が代わりにしてきたる。咲行こ」
咲「あっ、はい」
私と園城寺さんが温泉を出た直後、大きな水飛沫の立つ音が背中を叩いた。
洋榎「うわー監督めっちゃ軽いやん!」
玄「これはこれはよいおもちをお持ちで」
初美「着痩せするタイプだったんですかー」
咏「えっ?何?私が弄られるノリとか知らねーんだけど」
洋榎「つうか軽ッ!監督ッ!何キロやねん!」
玄「おもちおもちおもち!」
初美「私にも少し分けてください」
清澄はもうダメかもしれない。
園城寺さんと旅館の人に挨拶を済ませ、夜。
迷いに迷ってトイレを見つけて用を済まして更に迷って、自室の襖を開けた。
さるよけ
咏「いやー勝った勝った」
洋榎「」
玄「」
初美「」
咲「何があったんだろう」
怜「これは本人は辛いやろな」
麻雀をやっていたことは分かるんだけど、三人が放心状態になるなんて。とりあえず、点数を確認してみた。
咏:124000
洋榎:-8000
初美:-8000
玄:-8000
咲「」
咏「あれーもしかしてやり過ぎた?」
怜「当たり前や。やることえげつなさ過ぎや」
咲「私より点数調整がうまいなんて」
咏「多分咲と打っても私では咲を飛ばせねーと思うよ」
監督はそう言ったけど、飛ばされるか飛ばされないかは正直分からない。多分、残ったとしても1000点ほどかな。
咏「このまま打たせるのは酷だし、三麻でもするかい?」
咲怜「結構です!」
咏「つまんねー。じゃあ寝ようか」
放心状態の三者を監督に任せ、私達
は部屋を後にした。
咲「あれ絶対仕返しですよね」
怜「せやろな。明日も朝早いんやし寝よか」
咲「膝枕はしませんよ」
――
――――
咏「ん、おはよー」
咲「起きていたんですか」
咏「二度寝しようとしてたんだけどね」
咲「この布団は?」
咏「さぁ?知らねーし」
咲「そうですか。なら、起こして朝食にしましょう」
咏「ん。分かったよ」
数分後、並べられた朝食達。
洋榎「めっちゃ嫌な夢みたわ」
玄「私もです」
初美「奇遇ですねー」
咲(夢じゃない。絶対夢じゃないよ)
咏「じゃー今日と明日まで麻雀漬けの日々を楽しんで」
怜「不安やわ」
――
――――
合宿の内容をちょっとだけ紹介するね。
回る賽子。監督の無双に着いていく私達。もう何回飛ばされたか覚えていない。
玄「あれ?ドラが……」
怜「行動を変えても見れる」
初美「副露しなくても鬼門が出来てたら牌が来ますー」
洋榎「監督とエエ勝負出来るようなった」
咲「違和感しかないよぉ」
私を除いて、皆の実力の底上げは出来たんだろう。
けど、私のこの違和感って……。
咏「じゃ、帰って一日休んで県予選行こうか」
――
――――
咏「じゃ、今からオーダーの発表するねぃ。先鋒、玄」
玄「任されました!」
咏「先鋒だけで試合を終わらしちゃってもいいよ。次鋒、怜」
怜「なんやキンクリ臭いな」
咏「病弱ちゃんなんやし楽じゃね?中堅、洋榎」
洋榎「ウチまで回ってくるんかいな?」
咏「知らねーし。副将、初美」
初美「楽しみですねー」
咏「それじゃあ最後。大将、咲」
咲「はい」
「間もなく先鋒が始まります。出場校の先鋒選手の方は対局室へ移動してください」
玄「松実玄、行ってきます!」
――
――――
ナニが起きた
千曲東:100000
東福寺:100000
今宮女子:100000
清澄:100000
玄『よろしくお願いします』
東一局親:玄 ドラ:6m
玄配牌
2234s6667m159p東西
怜「玄、いきなりドラの暗刻か」
洋榎「相手に同情してまうわ」
初美「私の出番はなさそうですねー」
咏「勝負は最後までわかんねーよ」
玄『リーチです!』
咲「あれ?玄さんってリーチしましたっけ?」
咏「手配を見てみ」
2234赤5s赤56667m34赤5p
咲「これはドラ待ちですか」
咏「そう。そういや、合宿で一番伸びたのが玄だったんだよね」
玄『ツモです!立直一発面断裏が1sなのでドラ9。12000オールです』
咏「そう。玄はドラと裏ドラを支配出来るようになった。欲しい時にドラが入ってくる」
④
新章は近々始めますが、それにあたって作者からお願いがあります。
といっても、単に「作品の連載中、読んでる人は随時コメントをして欲しい」という、それだけです。
連載が終わってから纏めて、とかではなくて、“連載中に”コメントが欲しいのです。
ここでもmixiのコミュニティでも再三言ってることですが、私はSSの作者として、
「SSとは読者とのインタラクションの中で作っていくものである」というポリシーを持っています。
つまり、読者からの声がなく、作者が淡々と書いて投下しているだけという状況では、全く意味がないということです。
それなら「書かない方がマシ」といっても大袈裟ではありません。
特にこの都道府県SSは、本来3年前に終わっている作品を、需要があると言われて新たに書き続けているものです。
投下しても1件2件しかコメントが付かないのでは、その「需要」があるのか否かさえ曖昧になります。
全ての読者にレスを求めるのは酷な事だと思いますが、出来る限り「ROM専」というのはやめて下さい。
少なくとも、一夜投下する度に10~20件くらいのレスは付いてほしいです。
この数字は、私の考える、SSが正常に連載の体裁を保てる最低限度のレス数です。
連載を続けるにあたり、そのことだけは、皆さんにお願いします。
洋榎「だからドラ待ちリーチ一発ってわけか」
咏「そ。けど、玄の実力はそれだけじゃない」
玄『リーチです』
咏「もしドラがカン出来れば――」
玄『カン!ツモ。立直面断三暗刻対々和嶺上開花ドラ11。16000オー ルです』
咏「――裏ドラになるはずの待ち牌までツモれる」
咲(あれ?私のアイデンティティー)
洋榎「最悪怜で終わりやな」
愛宕さんの言った通り、園城寺さんの前半だけで他校が飛び試合は終わった。
玄さんは記者の人に連れていかれたんだけど、大丈夫かな。
洋榎「覗きに行こうや」
怜「どっちでもエエよ」
初美「行きますよー」
咲「止めときましょうよ」
洋榎「民主主義万歳、多数決万歳や」
――
――――
玄「松実玄16歳です」
記者「では好きなものなどは?」
玄「おもちです!」
ドアに耳を当てている私達。端から見れば不審者としか思われないよ。凄く帰りたい。
洋榎「なんや、AVの冒頭みたいやな」
怜「確かに言えてるわ」
初美「二人とも大人ですねー」
咲(帰れないかな?)
記者「おもち……好きな食べ物ですね。本題ですが、松実選手は役にドラが多く含まれている印象でしたが、そのようなことは意識していらっしゃるのですか?」
玄「ドラは大切な人に教えていただいたんです。玄はもっとドラを大切にしなさいって。もう会えないんですけどね」
記者「と言われますと?」
玄「さすがにそこまで記事にされるのは嫌なので……すいません」
記者「そうですか。では、次へ向けての抱負などをお願いします」
玄「頑張ります。とだけ言っておきますね」
記者「ありがとうございました」
本当はもう少し色々とインタビューされていたんだけど、とりとめ問題ないことばかりだった。
玄「あれあれ皆さんお揃いで」
初美「お疲れ様ですー。それじゃ祝勝会しますよー」
――
――――
あまりにも早く終わりすぎたせいか外はまだ明るかった。
祝勝会は部室でやることになった。出前を部費から捻出し、ちょっとしたお祭りに。
洋榎「関西人はたこ焼きや!なぁ怜!」
怜「せやな。お好み焼きもありやけど」
初美「私はお寿司でもいただきますよー」
玄「あっ、監督。お飲み物が空になってるじゃないですか!」
咏「おっ、ありがとねー」
咲「玄さん!それお酒お酒!」
咏「私こう見えても強いから大丈夫だって。知らんけど」
咲「知らないんだったらダメですって」
咏「そんなのも知らねーし」
こんな調子で夜は更けていくのでした。
夜中、部室で寝てしまっていた私は目か覚めた。
月明かりが射し込む窓から空を眺める。
咲(決勝戦。衣ちゃんと戦えるのかな?中堅まで耐えきれば大将まで回ってくるだろうけど……。愛宕さんが飛ばしちゃいそうだな)
咏「あんれ、まだ起きてたんだ」
振り返ると毛布を沢山抱えた監督。
合宿の時と言い、今回と言い、本当に良い人だ。
咲「監督ですか。手伝います」
咏「ありがとね」
毛布をそれぞれに掛け終えると監督は再びコップに液体を注ぎ始める。まだ飲む気なのかな?
咏「咲、ちょいちょい」
咲「お酒は飲みませんよ」
咏「一応教育者だから飲ませないって。両方ともお茶だからお茶」
咲「いただきます」
卓の向かいに座り、コップの中身の匂いを嗅ぐ。ちゃんとお茶だった。
咏「入部してからどうだい?」
咲「楽しいですよ。本気出せますし。いつもはプラマイ0にするように打っていましたから」
東場最強、インハイミドルチャンピオンにも。手を抜いて打っていたっけ。
咏「へー。私には出来ない芸当だなぁ。絶対に」
咲「合宿で三人纏めて0点にしてたじゃないですか」
咏「あれは和了る点数を調整するだけだからね」
琥珀色の液体を口に含み、流し込む監督。
咲「それと同じですよ」
咏「そういやさ、訊きたかったことがあるんだけどさ、いいかな?」
咲「いいですよ?」
咏「宮永照って咲のお姉ちゃん?」
やっぱり。麻雀をどこかでやるたびに必ずその質問をされる。
あの宮永照の妹なのか。と。
だから、今まで訊かれなかっただけでも不思議だったんだ。
咲「そうですよ。宮永照は私のお姉ちゃんです」
咏「へー。ま、訊きたいことはそれだけ。明日に備えてもう寝ようか」
咲「そうですね。お休みです」
咏「ん。お休み」
――
――――
「間もなく決勝、先鋒戦が始まります。各校の先鋒は対局室へ移動してください」
流れたアナウンスに従い、対局室へ向かった玄さん。
私達は待合室で見守るだけ。
玄「よろしくお願いします」
純「よろしく」
睦月「よろしくお願いします」
美穂子「よろしくお願いいたします」
鶴賀:100000
龍門渕:100000
風越:100000
清澄:100000
東一局親松実玄 ドラ3m
玄配牌
1569s3368m89p東東白中
洋榎「うわっ、めっちゃ配牌悪いやん」
初美「全帯なら少し遠いだけですけどねー」
怜「私なら東鳴いてさっさと和了るな」
咲(風越のキャプテン――副路さんが黙ってやられるわけがないよね)
9巡目
115s112233m89p東東 ツモ:7p
初美「張りましたね」
洋榎「これはダマやろな」
怜「満貫確定してるし立直かける必要もないやろ。跳満にしたいたら別やけど」
玄『……』打5s
睦月『立直です』打東
玄『ロン。東混全帯一盃口ドラ2。18000です』
洋榎「おっ跳ねたやん」
初美「ラッキーですねー」
怜「あれ?何や風越の先鋒の瞳は」
咲(今回は早かったな)
洋榎「綺麗やな。けど、 試合中に片目を閉じる必要あるんか?」
咲「分析力が上がるらしいですよ。自分の並べるクセとか視線で待ちを読むことが出来るんです」
怜「えらいけったいな能力やな」
咲(園城寺さんの能力に比べたら大したことないと思うけど)
洋榎「中二病やなかったんやな」
玄『リーチです』
副路さんが牌を切る。それもドラ筋。
咏「リーチ相手にデンジャラスなとこ切るねあの子」
洋榎「監督、どこ行ってたん?
咏「ちょっと挨拶にねぃ」
洋榎「ふーん。おっ、流局やん」
――
――――
鶴賀:38000
龍門渕:86500
風越:113500
清澄:162000
怜「ほな、行ってくるわ」
咲「園城寺さんちょっといいですか?」
怜「ええけど咲が珍しいな」
咲「鶴賀の役満だけ気を付けてください。予選で二回和了ってます」
怜「なら役満ツモる前に飛ばしたらええんやろ?」
咲「そうですね。頑張ってください」
園城寺さんを見送って、私達待合室の面子は牌譜を眺めていた。
鶴賀の妹尾さんの異常性。
洋榎「これは何なんや?」
初美「これなら私の方が和了ってますー」
咏「条件がないだけ鶴賀の方がやっかいじゃね?」
咲「すみません。おトイレ行ってきます」
待合室を出て、廊下を歩く。
ちょうど曲がり角の所から聞き慣れた声が聞こえた。
玄「あっ、お姉ちゃん。玄だよ」
咲(そう言えば玄さんも妹だったんだ。寂しくないのかな?)
玄「うん。やっぱりちょっとは寂しいけど、こっちはこっちで楽しいよ」
盗み聞きなんて趣味がいいとは自分でも思えないけど、足が止まってしまう。
玄「それに、私も見届けたいし。咲ちゃんを最後まで。それが私の役目だから」
咲(玄さん……)
トイレの方へ背を向け、私は会場を出た。
あのまま話しを聞いていたら私が潰れちゃいそうだったから。
春から夏への境。心地好い風が髪を浮かせ、頬を撫でる。
咲(……風。気持ち良いな)
色を着けたら緑かな。
初美「咲ちゃん、なにやってるんですかー?」
背中に投げられる声。
振り返ると清澄の制服を着た一番小さい先輩。
薄墨さんはなんだか心配そうは表情を浮かべている。
初美「次鋒戦終わりましたよー」
次鋒が終わったんだ。どれくらい長い間ここにいたんだろう。
咲「そうですか。それで結果はどうだったんですか?」
初美「鶴賀が東一局で鶴賀が役満和了りましたー。そこからは園城寺さんが和了り続けたんですど12000点残りましたよー」
咲「なら、愛宕さんで終わりですね」
初美「また私の出番は無いんですねー。それは置いといて、咲ちゃん何か悩んでるんですかー?」
咲「はい。私なんかのために皆さんの時間を奪って良かったのかなと」
そんなこと悩んでるんですかーと言って、小さく微笑んだ。
初美「私達の夏は本当は終わってるんですよー。形は変わったとは言えワンチャン貰った感じですよー。咲ちゃんの夏はこれからですけどねー」
本当に強いな薄墨さんは。
今の状況を受け入れて、更にそれをプラスに考えている。
薄墨さんの話しを聞いていたら不思議と。本当に不思議と胸が軽くなった気がした。
咲「ありがとうございます。大分楽になりました」
初美「それは何よりですー」
咲「それじゃ、戻りますか」
初美「深く考え過ぎないことですよよー」
会場への扉を跨ぐと、私達を襲ってきた歓声。
誰かが和了したときよりも一際大きい。
初美「終わりましたねー。私達が全国ですよー」
再びあの舞台に立てるんだ。
嬉しさと不安が私の胸の中をかき乱す。
頬を伝う涙。今だけはそのままにしておこう。
透華「」
衣「」
――
――――
sageつつ支援
全国大会決勝戦当日。
再び辿り着いたこの大舞台。
咏「来たねーこの舞台。最後の最後に三尋木元プロ率いる清澄高校、インターハイ優勝。これを私に見せてくれよ」
洋榎「当たり前やん。これでもウチら監督には感謝してんねん。なぁ皆」
怜「珍しく部長らしいこと言ったやん洋榎。そうやで、監督」
初美「そうですよー監督。決勝戦でも役満和了りますよー」
玄「松実玄にお任せあれ!」
咲「お姉ちゃん。待っててね。皆――倒すから」
咏「教えたかいがあったよ。それじゃ、玄。行ってきて」
玄「はい!行ってまいります」
――
――――
時間は少しだけ戻って、インターハイ初日。
私は愛宕さんに連れられて姫松へ行っていた。
絹恵「お姉ちゃん、少し雰囲気変わったな。トゲが無くなったって言うか優しくなったって言うか」
洋榎「なんや、ウチが優しくなかった言うんか絹」
絹恵「誰もそんなん言ってへんやん。こちらは咲ちゃんだっけ?」
咲「はい。宮永咲です。洋榎さんにはお世話になってます」
絹恵「実際は逆なんちゃう?ま、敵になったらよろしくな」
洋榎「ま、清澄が勝つけどな」
――
――――
次は永水女子。
この時ばかりは本当に鬱だった。皆の記憶があるから。
薄墨さんは大丈夫だと言っていたけど、やっぱり気が重い。
小薪「こんにちは宮永さん。うちの初美ちゃんがお世話になってます」
咲「こちらこそ薄墨さんにはよくしてもらってます」
初美「霞ちゃんも姫様も久しぶりですー」
霞「そうね。元気だったかしら?」
初美「元気ですよー。皆さんも元気で安心しましたー」
小薪「宮永さんがさっきから萎縮していますが気にする必要は無いですよ。うちの神が勝手にやったことなんで」
咲「ありがとうございます」
霞「それに入れ換えに面白い人が入ったし」
小薪「いつも春ちゃんといますけどね」
初美「そうですかー。それじゃそろそろ行きますよー。次は卓で会いましょう」
――
――――
改編のせいか、一回戦で姫松と永水を下し、 決勝戦に残った高校は清澄、阿知賀、千里山。そして、白糸台。
準決勝で千里山と当たったときの清水谷さんの園城寺さんに対する過保護っぷりは本当に凄かった。
なんで私を狙い打ってきたのか前々理解できなかったんだけど。
怜「始まったな。先鋒戦」
咲「はい」
咲(お姉ちゃん)
玄『お願いします』
和『お願いいたします』
咲(和ちゃん阿知賀に戻ったんだ)
まこ『よろしく』
照『お願いします』
インターハイ決勝戦先鋒戦 親:和
ドラ:8s
千里山:100000
阿知賀:100000
白糸台:100000
清澄:100000
北家 玄配牌
1288s2赤56m1349p南發
怜「ドラが三枚。玄にしては少ないな」
咲「心配しなくても入りますよ。ほら」
玄:ツモ8s打南
初美「やっぱり玄さんはドラに好かれてますね」
咲(これで和了れなかったら玄さんきついな……)
咏「チャンピオンとインターミドルチャンピオンの直接対決とか言ってるんだろね。チャンピオンはともかくインターミドルチャンピオンの方なら玄の方が強いんだけど」
咲(エトペンを抱いたら強くなるんだけど……部長がいないからそれは仕方ないか)
7巡目
12378889s4赤56m34p
玄『リーチです』
洋榎「コースインや」
玄『ツモ。立直一発面前自獏平和ドラ5。4000・8000です』
これで東一局が終わった。
終わったってことはお姉ちゃんの照魔境が発動する。
玄『!?』
玄さんが後ろを振り返ったがそこには何もない。
――東二局が始まった
照『ツモ。500オール』
照『ロン。2300』
照『ツモ。1200オール』
洋榎「始まったなチャンピオンの連続和了」
初美「あれは止められないですよー」
咏「プロでも最初を止めるのは難しいからねぃ」
怜「監督は出来るん?」
咏「知らねーし」
咲(玄さん。頑張って)
照『ロン。6700』
洋榎「あれでまだ3翻か」
照『ロン。10800』
怜『これで50付3翻。次は11600以上が来るで』
しずよけ、じゃなかったさるよけ
誰もがお姉ちゃんが和了すると思っていた。
けれど――
玄『ツモ。2000・4000です』
――玄さんのドラを抱え込む性質とドラ待ち聴牌で何とかお姉ちゃんより速く和了れた。
咲(お姉ちゃんの連続和了と玄さんの高火力ってどっちが強いんだろう?)
洋榎「それより、玄はチャンピオンにまだ振り込んでないな」
咏「言われてみればそうだね。純粋な実力ま上がってるみたいだね。それにもともと伸びしろの塊みたいなものだったし開花したんじゃね?知らんけど」
照『ツモ。700オール』
照『ツモ。1000オール』
照『ロン。4800』
照『ロン。9600』
照『ツモ。4100オール』
玄『ロン。24000』
洋榎「そういや、なんでミドルチャンピオンってこんなに弱いんや?」
初美「確かに振り込みすぎですよね」
咲(お姉ちゃんに一番穴だと思われてるんだ)
先鋒戦終了
千里山:75000
阿知賀:47700
白糸台:146400
清澄:120900
玄「ただいま戻りました!」
洋榎「玄、よくやったな。あのチャンピオン相手にプラスで帰ってくるなんてな」
皆から誉められている玄さんを尻目に私は待合室を出る。
それと、ほぼ同時に記者が玄さんを連れ出して行くのを見た。
対局室の近く。
咲(見つけた)
赤色の髪。白色の制服。
咲「お姉ちゃん!」
その人――宮永照は足を止め振り返る。
さる注意
照「私に妹はいない。誰?」
咲「何で、何でまだそんなこと言うの?もうプラマイ0にはしてないよ」
照「……知ってるよ。今のお前なら淡と良い勝負できるかもね」
咲「なら、私が勝ったら戻ってきてよ」
照「それは私にしかデメリットがない」
咲「私は自分の全てを賭けるから。だからこの勝負受けてよ」
照「分かった……咲」
咲「それじゃあ。お姉ちゃん」
お姉ちゃんは私に。私はお姉ちゃんに背を向けて歩き出す。
私が向かう先に何があっても全部倒すだけだから。
――
――――
咲(もしかしたらこれには勝てないかも……)
あちこちに設置されたモニター。それは全て決勝戦を写している。
白糸台の狙い打ちをかわしただけでなく、直撃を奪い取る芸当までした阿知賀、玄さんのお姉ちゃん。
それよりも、私がまずしなければいけないことは待合室を探すことだ。
迷子には勝てないと思った。
咲(広すぎるよ……次鋒戦も折り返しだよ。早く帰らないと)
次鋒戦も半分を消化して折り返しに入った。
園城寺さんは連続して一巡先を見られるようになったけど、他に卓を囲む人もやっぱり強い。
玄「咲ちゃん。なにやってるの?」
咲「玄さん、記者から解放されたんですか。私は迷いました」
玄「うん。なら、私と戻ろっか」
咲「ありがとうございます」
そうして私の前を歩く玄さん。私の気のせいなのか玄さんの背中が大きく見えた。
私が入部したときのような少し頼りない雰囲気は払拭されている。
玄さんの隣に追い付く私。
咲「玄さん、貫禄出ましたね」
玄「私が老けた、もしくは太ったとでも言いたいのかな?」
咲「ちっ、違います。凄く頼りがいがあるって意味ですって」
玄「それは咲ちゃんが迷ってるからだよ」
咲「そうかもしれませんね」
玄「それはそれで少し悲しいかな」
咲「アハハ、冗談ですよ。ところで玄さん。好きなものは何ですか?」
玄「記者さんの真似かな?私の好きなものは麻雀と楽しい先輩と可愛い後輩です。ってなんか恥ずかしいね
」
咲「おもちじゃないんですね」
玄「もちろんおもちも大好きだよ。けど、それは二番目かな」
玄さん、やっぱり成長したな。
前の玄さんならおもちって言ったはずなのに。
玄「そうそう咲ちゃん」
咲「どうしました?」
玄「あのね、お姉さんから咲へ伝言を預かってるよ」
咲「……聞きません」
もしそれが優しい言葉なら勝ちへの執念が揺らいでしまうから。
咲「だから私の出番が終わったら教えて下さい」
玄「うん。分かった。それじゃ、到着だよ」
ドアに貼られた紙には清澄高校待合室の文字。
洋榎「おー玄お疲れさん。それと、咲はまた迷ったんやな」
玄「ただいま戻りました!」
咲「はい。迷いました」
初美「咲ちゃんは麻雀では鬼のように強いのに普段は抜けてるんですよー」
咲「アハハ」
咏「おろ?白糸台のでっかい人ツモか」
洋榎「あーそうやな。一位まくられたやん」
初美「仕方ないですよー。次は洋榎ちゃんの番ですね。頑張って下さいですよー」
洋榎「せやな。まっ、頑張ってくるわー」
次鋒戦終了
千里山:33700
阿知賀:87400
白糸台:140000
清澄:138900
怜「あー疲れたわ。咲、膝枕して」
咲「特別ですよ」
怜「ありがと。ほな、失礼して」
私の膝の上に園城寺さんの頭が乗る。
膝枕ソムリエの気にめしたかは分からないけど、申し訳程度に頭を撫でる。
咲(うわ、サラサラしてる)
怜「おー良いかんじや」
初美「にしても五月蝿いですねーあの二人」
洋榎『あっ?何言ってんねんセーラ。優勝はウチらや』
セーラ『ハァ?他校もろとも大阪湾に沈めるぞ』
洋榎『ウチの台詞やボケ、それロン。3900』
セーラ『たった3900かい。しけとんな』
洋榎『振り込んだ奴が何言ってんねん』
怜「あの二人が対局したらいつもああなんねん。仲はええねんけど」
初美「そうは見えませんよー」
玄「でも楽しそうですね」
セーラ『ロンや。12000。あれ?振り込みか洋榎?跳満振り込みか?』
洋榎『喧しいねん。3900三回振り込んだ奴が言うなや』
セーラ『ウチの方が300勝ってるからええんや』
洋榎『振り込んだ回数は上やけどな』
咲「前半戦終わりましたね」
怜「戻ってくる気はなさそうやな」
初美「ミュートしときますねー」
――
――――
咏「あれ?お茶少女のツモって地和じゃね?」
初美「初めて見ましたー。凄いですねー」
怜「えらい外野が騒いでたけど音が聞こえへん」
咲「ミュートしてるからですよ」
中堅戦修了
千里山:54000
阿知賀:52400
白糸台:149000
清澄:144600
洋榎「つっかれたー。どやった?ウチどやった?」
初美「五月蝿かったですよー」
怜「うん。五月蝿かったわ」
咏「五月蝿ったよ」
玄「で、でも楽しそうだったですよ」
洋榎「ウチの味方は玄だけや。たこ焼き奢ったるからな」
初美「楽しそうだったですよー」
怜「うん。楽しそうやった」
咏「良い結果だったね」
洋榎「現金な奴等やな。優勝したら奢ったるやないか」
初美「期待しときますよー。それじゃ、行ってきますー」
「間もなく副将戦が始まります。代表選手は対局室に移動してください」
エピローグの時でいいから、他校のメンバー全員を知りたい
大きな人は姉帯さんかね
怜「始まったな」
玄「始まりましたね」
咲(足が痺れてきたよ……)
灼『ロン7700』
初美『はいですよー』
玄「灼ちゃん、早いうちに手を作ってますね」
洋榎「速攻で和了り続けて大将までに100000点作っときたいんやろ」
怜「阿知賀の大将って信用されてんねんな」
玄「穏乃ちゃんは強いですから」
咲「言ってる間に前半終わりましたね」
怜「フナQが上手いこと初美を抑えてたな」
初美「誰が抑えられてましたかー」
怜「元露出狂や」
初美「あれは巫女服が大きかったから仕方ないんですよー」
咲(あっ、足の感覚がなくなってる)
初美「それじゃ、後半行ってきますねー」
洋榎「まっ、気楽にいけやー」
――
――――
初美『ロン、1000ですよー』
洋榎「気楽にとは言ったけど1000点て何やねん」
咏「けれどこれで北家だね。でかいのが来るよ。知らんけど」
南一局 北家初美
配牌
112s66m9p東東東南西北北
咏「東と北を決勝戦まで初美はわざと晒してたんだよ。本当は違うのに」
怜「せや、後は北が来れば初美の勝ちや」
洋榎「自分でツモってきたやん」
玄「役満コースですね」
初美『ツモ。8000・16000ですよー』
咲「園城寺さん、私行きますので頭上げてください」
怜「もうそんな時間なんか。ありがとうな」
そう。私は忘れていたんだ。だから、この後に起こる悲劇も予想していなかった。
私は立ち上がろうとしたのだけど、足が自分の物じゃない感覚。 落ちる視界。
――足が痺れていたのを忘れていた。
玄「危ない咲ちゃん!」
咲「あっ、ありがとうございます」
玄さんに抱き止めて貰った。
羨ましいな、そのおもち。
咲(危なかったよ。鼻にティッシュつめて対局しないといけなかった)
怜「あー、咲?」
咲「どうしましたか?」
怜「肩貸すわ。私のせいやし」
咲「すいません。ありがとうございます」
怜「ほな、行こか」
しえ
園城寺さんに肩を貸してもらい、対局室の前まで。そこでちょうど副将戦が終わった。
咲「ありがとうございます。もう私は大丈夫ですから」
怜「……竜華」
竜華「怜、活躍しとったな」
怜「まぁ、次鋒やし。竜華、調子はどうや?」
竜華「そこの嶺上さんに勝てるくらいの調子や」
怜「そっか。それじゃ、私は行くな」
竜華「うん。それじゃ」
淡「あっれー?まだ入れないの?」
咲「いや、入れますよ」
淡「そっかー。貴女が宮永咲だよね?」
咲「そうですけど」
淡「タメ口で良いよサキ。私もタメ口だしね」
咲「うん。分かった。淡ちゃん」
淡ちゃんからミニガンの弾の様に放たれるトーク。私はのらりくらりと答えながらも席に着いた。
役者は揃い、賽子が回る。始まる。全国大会決勝戦の最後が。お姉ちゃんとの賭けが。
咲「よろしくお願いします」
竜華「よろしく」
穏乃「お願いします」
淡「よろしくー」
千里山:44400
阿知賀:62100
白糸台:148200
清澄:145300
>>94
>咏「おろ?白糸台のでっかい人ツモか」
>白糸台のでっかい人ツモか
>白糸台のでっかい人
????(´・ω・`)
>>43 変わらんけどスーアンと言え
.. ---- .
. ≦ ミ .
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/ . . . : : : : : : : : : : : : : : : . . . . ヽ
. ....: : : : ..:.:./.::.:.. ..:..:..\ ..:.. ヽ: : : ∨‘, ( \ / ) {_.}_} r‐
/ ./../..:.:.:./:./:.:.:.:.:.:.i:.:.:.:.:.:.ヽ:.:.:..:Vヽ: . ∨ハ \ \/ / _| |_/ )
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/ .7T..ト....:.:i :i| :i:.:.:.:.{:.|、:{:.:.:.:.:ハ:.:.:.:ト::.i一:. . | / 〃 | | ) } (_ ヽ
′/..:|..:|、:.:./|:.|{ :|:.:.:.:.ト:{ \:.、:.:.:/ : ヽ:|:.:.. i: .| .{ {____. | | (_ ノ ) }
: / ..:i|..:{:.\ |:ハ:{、:.:.:.廴__ 斗<:.:|::.:.:.|:.:|:.:.. |: . 乂 ___ ) ._ノ (__ノ
. |:il .:.::ii:八:{::{ |≧十\:∨ ,. `|:.:.:..ト:|:.:.: |: .{
. |:|!..:.::,| ..:.トド\ _, ` z.、__レ|::.:.:.|´j:.:.:..|: .
,|:{ .::/l| .:小≧==' '^ ´` ̄´`!:.:.: |' }:.:.:..|: . { ガシッ! i .,
八| :ハ| .:.:{:.i xxx , xxx |:.:.:.:|_,}:.:.:..|: . .i / 人ノし(
(__) | .:. 八 |:.:.:.:}V:.:.:..:: . . { / / ,.<二v‐::v‐::v‐:、 (⌒
.イ i! .:.:| :i::.. 丶 ノ ,:.:.:./:i::.:.:. :i: . . r――――――‐',ス)}、ス.lコ|lコト、ヲ――
〃{ .}: :.:.{ :|::::i:>... イ/.:.:/i:,′:.::.八 : .l / ヽ r'゙,..ノ ゙ー^ー'゙
{:i.:{ ハ:.:.:V :::|l:.:.:.}:.r } ̄ __ ノ/:.:./:./:.:.:.:. ::i{: . . { / __>'Y |´...}
. 八从 ,: .∧ :.{:::::リ::::::ノ 入_/'i{ /ィ /::/:.:.:.:. /::{:. . . . \>'゙ ,,| .ノ‐- ,,_
∨ .:.:.:.\V‐≦ムイ /》___.ノイ 7:.:.:.:. /廴:.. . .八 〔_'___,∠ソ\ .`゙"''‐- ,,_
/;..:.:.:.:.:./ \}! r‐〉ォ´ ̄ }ノ /::.:.:.:./ , ヽ: .∧ \__ノ、_ノ`''‐ ,,_
. /:/ .:.:::::/ ノ{{ '介′ i{ ./::.:.:.:./ / ∨. ∧ \ . | |
ノイ ..:.:.:./! く 廴. / .|乂 __人/::.:.:.:./ / i: : . .:. \ |  ̄ ̄ ̄ ̄|
__ノ/ ..:..::厶}/ \ ノ{ /j__ 斗-/::.:.:.. / i / {: : . ∧ |::::::::::::::::::::::::::::|
さるったかな?
ほ
さるさんはよ帰ってー
___
. '´′ `ヾヽ、
〈(ィ(^))))ミ}ヽヽ 呼んだ??
ハ.゚ヮ ゚ リ)'゙`川
. ({ニ{`{¨ ,ニ{)ゾ
. ├+-}
し{_,)
東一局 親:淡
咲(始まった。前来れなかった舞台に)
竜華「リーチや」
咲(三巡目……現物が一つしかないよ)
淡「速いねー」
竜華「ツモ。2000・4000」
淡「…………」
咲「淡ちゃん?」
淡「テルみたいに最初和了らないのってストレスたまるね」
竜華「ごたくはええから点棒」
さるさん食らってたから少しスピード落とすね
きたー
東二局 親:竜華
咲(配牌悪すぎるよ)
他の人の顔を見ても似たようなものを感じ取れる。ただ、一人を除いて。
淡「ツモ。3000・4000」
咲(配牌操作か……それならば)
東三局
咲「ロン。2000」
淡「え?配牌悪かったんじゃないの?」
咲「うん。悪かった。けど、和了れるよ」
淡「へー面白いじゃんサキ。はい2000点」
咲(配牌が悪いのは淡ちゃんの能力。けど、それはツモまでは支配できない。他にも能力あったらどうしよう)
3000・4000ww
咲「ツモ。2000・4000」
咲(また、簡単に和了れた。けれど、白糸台の大将なんだからもっと強いはず)
淡「凄い!凄いよサキ!満貫だよ!だから――私も本気をだすね」
衣ちゃんやお姉ちゃんと対局したかのような圧迫感。それを出している主は大星淡。
今、怪物が絶望を振り撒こうとしていた。
南一局。淡ちゃんが手を開いた。
234m北北北白白發發發中中中
淡「ロン。混一小三元。12000」
竜華「……はい」
淡「ロン。8000」
穏乃「はい」
やっぱり手牌は――
456p南南南北北發發發中中中
>>126
間違えた
3000・6000ね
支援でー
咲(字牌……)
その後も淡ちゃんが連続で和了り続け前半戦が終わった。
清水谷さんと高鴨さんが対局室を出ていったのを見計らってか、淡ちゃんは私に話しかけてくる。
淡「サキ、テルの妹なんだって」
咲「うん。そうだよ」
淡「へー。それと、サキに謝らないといけないことがあったんだ」
咲「連続で和了ってごめんね。とか嫌味は止めてね」
淡「それもいいけど。サキとテルが話してたの聞いちゃったんだ」
咲「お姉ちゃんとの賭けのこと?」
淡「うん。ごめんね?」
咲「別にいいよ。私が勝つから」
淡「へー。私に勝つ気なんだ」
咲「うん。淡ちゃんの能力って相手の配牌操作と字牌だよね」
淡「マジックの種を教えるマジシャンがいると思う?」
咲「ならいいよ。それじゃ、続き始めようか」
後半戦南三局 親:穏乃
咲(字牌操作と配牌操作……隙はあるんだけどな)
十三巡目。やっと、聴牌できた。
1112233456789m
咲(1-4m待ち……何局も待ったかいがあったよ。1mドラっておまけが着いてきたし)
咲「ロン。一気通貫清一色ドラ3。24000です」
穏乃「うぅ……はい」
オーラス 親:淡
千里山:28400
阿知賀:26800
白糸台:173200
清澄:171600
淡「サキって凄いよね。私の支配の網を掻い潜って和了り続けるんだから」
咲「淡ちゃんだって凄いよね。いらない字牌を捨てるのを待つなんて。配牌操作と字牌操作の両方を使ってわざと送ってるんでしょ?」
千里山と阿知賀は高い手を作るためにも字牌を手放さなくちゃならない。字牌は全部淡ちゃんの元に集まるから。
そこを淡ちゃんが狙ってる。
咲(だから私も狙い易いんだけどね。わざと頭を字牌で待つから)
ともかく、2000点和了れば私の勝ちだ。
淡「よく分かったじゃん。テルだって照魔境を使わないと分からなかったのに」
咲「すぐばれてるよそれ」
咲(それにしても配牌が悪いよ)
11369s259m147p
咲(字牌は私も狙えるから来なかったのかな?)
淡「それじゃ、サキ。勝負だよ」
逆時計回りに回り、増える牌。九回。
111456s567m1456p
咲(これでリーチをかけて次のツモで嶺上開花。私の勝ちだ)
咲「リーチ」
淡「……これって?」
一巡流れる。私がツモる。1s。
咲「カン」
王牌に手を伸ばす。淡ちゃんが何か言っている。
そして、感じる違和感。
咲(違う)
2筒。
神様。貴方は卑怯です。
咲(いや、私がバカだったんだ)
ここまで恵まれていたんだ。それはどこかで埋め合わせなければいけない。
お姉ちゃんに教えて貰った嶺上開花。それを捨てなければならなかった。
竜華「はよ、ツモ宣言か捨てや」
穏乃「どうしたの?」
咲「……グスッ……お姉……ちゃん」
淡「…………」
最悪の強制。
だから、私は捨てないとならない。この2筒を。
淡「………………ロン。断幺九のみ。1000点」
222567s678m3488p
本当だ。2筒待ち。
咲「あり……がとうござい……ました……」
竜華「ありがとうございます」
穏乃「ありがとうございました」
淡「ありがとう。ありがとうサキ。楽しかった」
インターハイ決勝大将戦終了
千里山:28400
阿知賀:26800
白糸台:174200
清澄:170600
何でリンシャンツモ出来るのにリーチするんだよwww
どうやって対局室を出たかは覚えていない。気がついたら私の周りに皆がいた。
咲「すい、ません。最後の最後で……」
洋榎「気にしんとけ。あれは仕方がないからな」
怜「洋榎と同じ意見や。仕方がないわ」
玄「咲ちゃん。自分を責めないで。頑張ったんだから」
初美「私も楽しかったですからいいですよー」
咏「いい勝負だったよ。それと、咲にお客さんだよ」
後ろを振り返ると、お姉ちゃん。
照「咲、ちょっと来て」
咲「……分かった」
お姉ちゃんに連れられて来たのは対局室。王牌が二つ開いて、三つの手牌が閉じられている。
照「咲、一つだけ訊いていい?」
咲「いいよ」
照「何でカンしたの?」
咲「お姉ちゃんに教えてもらった役だから」
照「そっか。それと勝負は引き分け」
咲「え?私、負けたんだよ」
照「試合では負けたけど、得失点差では淡に勝っているんだよ」
確かに言われてみればそうだ。
私が25300点。淡ちゃんが25000。たったの積み棒一本の差だけど確かに私が勝っている。
照「だから、私も咲も半分だけ代償を払おうか」
咲「どういうこと?」
照「私が帰るのは卒業するまで待って。咲の代償は私が長野に戻ったときの麻雀の相手」
咲「うん。分かった」
お姉ちゃん・゚・(ノД`)・゚・。
>>143
ミスった
演出と思ってくれ
照「咲、ちょっと来て」
咲「……分かった」
お姉ちゃんに連れられて来たのは対局室。王牌が二つ開いて、三つの手牌が閉じられている。
照「咲、一つだけ訊いていい?」
咲「いいよ」
照「何でカンしたの?」
咲「お姉ちゃんに教えてもらった役だから」
照「そっか。それと勝負は引き分け」
咲「え?私、負けたんだよ」
照「試合では負けたけど、得失点差では淡に勝っているんだよ」
確かに言われてみればそうだ。
私が25300点。淡ちゃんが25000。たったの積み棒一本の差だけど確かに私が勝っている。
照「だから、私も咲も半分だけ代償を払おうか」
咲「どういうこと?」
照「私が帰るのは卒業するまで待って。咲の代償は私が長野に戻ったときの麻雀の相手」
咲「うん。分かった」
?
間違えたんです。
淡「あわあわ、忘れ物しちゃった。ってお取り込み中でしたか?」
照「いや、いいよ。咲、淡。ちょっと見てて」
お姉ちゃんは積まれた牌に手を伸ばし、私が次にツモる牌を開いた。
1筒。
照「カンしてなかったら淡の負け。今回は咲のミス。これでいい淡?」
咲「お姉ちゃん、話が見えてこないよ」
照「淡が帰って来るなり咲に負けたって沈んでいたんだよ。それだけ。それじゃあ、行こうか」
淡「サボったらいいじゃん。あと一人呼んできて四人で打とうよ」
照「ダメ。ほら、行くよ」
淡「はーい。咲、次は私が勝つからね」
咲「私が飛ばしてあげるよ」
お姉ちゃん達と出ていく対局室。最後に振り返る。
無機質な風景に暖かさを感じた気がした。
――
――――
半年と少しが過ぎた。
卒業式が終わり、清澄の黄金時代を初めて築き上げた人達が部室に揃った。
洋榎「ありがとうな。楽しかったわ」
怜「咲、膝枕よかったで」
初美「私も楽しかったですー」
咏「青春を見してもらったよ」
ここを去る三人。その三人共がプロの道を歩むことになっている。
それと、監督もプロとして再び卓に戻るらしい。
玄「ありがとうござました!後は松実玄にお任せあれ!」
洋榎「頼もしくなったな玄。今の玄になら任せられるわ」
玄「はい。必ず今年の夏もインターハイに出ます!」
洋榎「見に行くからな。それと、咲」
咲「なんでしょうか?」
洋榎「ウチらホンマはな、全部知っててん。初美から聞いて最初からな」
初美「咲ちゃんが入部する前にお話し済みですー」
怜「信じれん話しやったけどな。咲、色々知ってたし。疑えんくなったわ」
咏「ま、そーゆーこと」
咲「すいません。それと、ありがとうございました!」
深く、深く頭を下げた。
先輩達が出ていくまでずっと。
静寂が訪れた部室。
唐突に玄さんが口を開いた。
玄「あの時、お姉さんからの伝言伝えてなかったね」
咲「今まで忘れてましたよ」
玄「それどころじゃなかったからね。今、伝えるね。『私がどんな態度をしても、咲は私の妹』だよ」
咲「伝言……ありがとうございます」
玄「それじゃあ、私も帰ろうか」
咲「先に行っていてください。少し残りますので」
玄「うん。それじゃあまた明日」
咲「玄さん」
私に呼び止められた玄さんはドアノブにかけた手を離し、振り返る。
咲「玄さんは去らないですよね?」
玄「まだ咲ちゃんを置いて行けないよ。それじゃあね」
笑顔を残していった玄さん。
一人残った私は部室で静かに涙を流した。
――
――――
部室の鍵をかけ、外に出る。
まだ肌寒く感じるけど、木々には春の息吹を感じる。
旧校舎へ続く長い階段の下。
私を待ってる人。
その人の元へ私は走る。
咲「お姉ちゃん!」
照「咲。ただいま」
咲「うん。お帰りなさい!」
カン!
咲「あと少しだけいいかな?」
キャラ総出演のあとがき?
>>165
いや、エピローグ
いいですとも!
エピローグ。
玄「暇だね咲ちゃん」
咲「暇ですね玄さん」
新学期が始まる前、私と玄さんは部室でやることを無くしていた。のだが――
淡「清澄高校2年に転校してきました大星淡だよーっと。咲、久しぶり」
咲「淡ちゃん。久しぶりだね。転校?」
淡「清澄に行かないといけない気がしてねー。思いきっちゃった。これで決着がつけれるね。それと、私だけじゃないよ」
淡ちゃんの言葉につられてか、入ってくる人。
絹恵「お姉ちゃんがお世話になりました。愛宕絹恵です」
小薪「失礼します。神代小薪です」
咲「アハハ。これは凄い面子だね」
玄「目指すは全国優勝だよ!」
咲(ここまで条件が変わってるなんて。また一年楽しそうだな)
もいっこカン!
お前いい加減にしろよ
小蒔だっつってんだろうが
そろそろキレるぞ
後書き
沢山の支援ありがとうございます!
本当は玄ちゃんをしっかり者にしたかっただけなのに。
それと大事なところでミス。リンシャンツモで万々歳なんだよぉ
あと、最後におまけです。
散っていった清澄のメンバー達。
久→永水
まこ→千里山
和→阿知賀
優希→姫松
これ以外は皆同じです。
ありがとうございました。
玄ちゃーもなんかこの世界について知ってる風だったのはなんなんだよ
>>173
すまん。
小薪は俺には難し過ぎたんだ
次は入れるから許してくれ
>>178
漢字が間違ってんだよ!!!!!
>>177
初美が小薪から聞かされる→初美が皆に話している。
>>179
うわっマジだ
ごめんなさい気づかなかった
おつ(´ω`)おつ
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