エルフ「人間が森を伐採したせいで私たちの住むところが無くなってしまった」
記者「それで国に対して住む場所を要求されてるわけですね?」
エルフ「うむ。これはお前たち人間の責任である。私たちにも生活があるのだ。何とかしてほしい」
~数日後~
総理「~というわけで、エルフのみなさんのために専用マンションを建設することが決まりました」
エルフ「やった・・・マンションが建ったおかげでようやくまともな生活ができる。これからは人間と共存しよう」
近隣住民「やだねぇ・・・エルフなんて野蛮じゃないかしら。子供達に近づかないよう注意しとかないとねぇ・・・」
子供達「あーエルフだ!マジで耳なげーんだ!気持ち悪ぃー!!」
主婦達「やだ、エルフよ・・・。貧相な服着て・・・クスクスクス」
エルフ「・・・・・」
先生「えーこの問題わかる人ー。エルフさん、答えてみて」
子供エルフ「え・・・あ・・・わ、わかりません」
先生「これもわかんないの?どうせ森で狩りばっかしてたんでしょ。これだからエルフは・・・」
子供エルフ「ごめんなさい・・・」
生徒「エルフってみんな馬鹿ばっかりなんだろ?ばーか!ばーか!」
生徒達「アハハハハハハハハ」
先生「プッ!こ、こら・・・やめなさい・・・クスクス」
子供エルフ「うっ・・・ごめんなさいごめんなさい。馬鹿でごめんなさい・・・」
エルフ「買い物に夢中でだいぶ暗くなってきたな・・・。早くマンションに帰ろう」
エルフ「ん・・・?誰か付いてきてる・・・?」
エルフ「な、何だ!?お前たち何をする!」
暴漢1「おいっ!口塞げ!」
暴漢2「よし手を縛ったぞ!さっさと倉庫に連れて行こうぜ!」
エルフ「んー!んー!!」
暴漢3「へへ・・・これがエルフの身体かよ・・・たまんねえ」
暴漢1「ここなら誰も来ないからな。気が済むまでやっちまおーぜ」
エルフ(やめろ!だ、誰か!誰か助けて!うわあああああっっ!!!)
ピンポーン
エルフ「あ、大家さん。おはようございます」
大家「ああおはよう。それでね、今月の家賃の件なんだけどね・・・」
エルフ「・・・大家さん。私たちは国の援助でここに住んでいる。家賃は払わなくてもいいはず」
大家「まぁ建て前はね。でもね、私も慈善事業でやってんじゃないんだよ。私に少しくらい実入りがあってもいいだろう?」
エルフ「・・・・・」
大家「エルフのマンションの管理人なんて誰もやりたがらないからね。私だって好きでこんな仕事やってんじゃないんだよ」
大家「まあ無理には言わないけどさ・・・でもね、私の報告次第であんたらの居住権なんてどうにでもできるんだよね・・・」
エルフ「・・・わかった。金を持ってくる。だから私たちから生活を奪わないで欲しい」
大家「最初からそう言やいいんだよ。・・・そうそう若いエルフの子がいたら私の部屋に来るよう言っといてね」
エルフ「大家さん・・・またそういうことを・・・」
大家「いや~なんたってあんたらはエルフのくせにあそこの締まりだけはいいからね~。これも大家の特権だ。じゃ、頼んだよ」
エルフ(・・・・・・下衆が!)
エルフ隊長「女王、私たちは人間にあまり歓迎されていないようだ。
外出すれば周りから笑われる、幼いエルフは同じ子供に石を投げられる。とても悲しいことだ・・・」
エルフ女王「人間は自分と違う者を受け入れ難い生き物です。それでもいつかは理解してくれるはず。今は耐えるのです」
エルフ2「女王大変です!街に出たエルフがまた人間に暴行を!」
暴行されたエルフ「ひっく・・・いきなり複数の男たちが現れて無理矢理・・・ひっく・・・」
エルフ隊長「くっ・・・これでもう5度目か!私はもう我慢できん!」
エルフ女王「落ち着きなさい!人間の世界には警察がいます。人間の行いは人間に粛してもらうのです」
警察「あーまた暴行ですかー?でもねー僕たちは人間を守るのが仕事であってエルフを守る仕事じゃないからねー」
エルフ隊長「だからといって犯罪は犯罪ではないか!一体何のための警察なのだ!」
警察「んー・・・言っちゃ悪いんだけどあんたらにも責任あるんじゃないかなー。例えばあんたが着てるその服ね。
ほら、谷間とか太ももとか露わになってるでしょ。そりゃ襲われてもしょうがないっていうかさー」
警察2「ヒヒ・・・エルフの隊長か・・・い~いおみ足してんなぁ・・・」
エルフ隊長「な、なんという・・・!これが警察か・・・!」
リポーター「最近エルフに対する犯罪が増えているようです。ところが、エルフに人権は認められていないため全ての事案が
泣き寝入りしている現状のようです。政府では今後エルフへの人権を認めるかどうかについて検討するといった・・・」
エルフ隊長「人間は頼りにならない。それどころか私たちにとって害悪でしかないではないか!やはり共存など無理だったのだ・・・」
エルフ2「もう被害者のままでいるなんて耐えられません!ここは打って出るべきです!」
エルフ3「私も賛成です。でもどうやって人間に対抗したらいいんでしょうか・・・?」
エルフ隊長「私たちの武器は長年培われた狩りの技術。今こそ人間どもを駆逐する時だ・・・!」
男「あ、エルフだ・・・。初めて見たな。ちょっと挨拶してみようかな」
エルフ隊長「・・・・・」キリキリキリ
ヒュッ グサッッ!!
男「えっ・・・な・・・んで・・・」ドサッ
近くにいた女「きゃああああああああ!!!人殺しーーー!!!」
エルフ隊長「狩りの時間だ」
リポーター「エルフによる通称人間狩りは一時期近隣住民の恐怖でしたが実働部隊により短期間で鎮圧されたようです」
リポーター「最も脅威だった親衛隊長らしきエルフは一斉射撃により沈黙。他のエルフの大半は射殺されました。
捕獲されたエルフについても近いうちにガスによる処分が仮決定されており・・・」
エルフ女王「愚かな・・・。彼女らは人間の力をみくびったのです。
人間の力は私たちでは到底及ばないほど強大です・・・。力で対抗しても殺されるだけなのに・・・」
エルフ「女王、私たちもいずれこうなるのでしょうか?彼女らは未来の私たちの姿のように思えます」
エルフ2「外では毎日反エルフ団体のデモ運動が起きています。いつかマンション内になだれ込むのも時間の問題です」
エルフ女王「近い未来に死ぬか、今死ぬか、決断の時のようです。
やはり私たちは森と共に生き、森と共に死ぬべきだったのかもしれません」
デモ団体「私らの家族を返せー!凶暴なエルフを追い出せー!」
デモの男「あっ!エルフどもが顔を出したぞ!」
デモの女「一体何を・・・あぁっ!!」
リポーター「某日未明、エルフたちによる集団自殺事件が起きました」
リポーター「エルフたちはマンションのベランダに出ると次々と飛び降り、その命を絶ちました」
リポーター「警察の調査によればマンション内には残っているエルフはおらず、全てのエルフが飛び降りたと判断されたようです」
リポーター「この事件をきっかけに各倫理団体がエルフへの差別や司法の怠慢などの問題を指摘し議論を交わしており・・・」
・・・・・・・・・・・
~数年後~
男「さぁー休憩終わったら残りのバイト頑張るかー!・・・ところでさ、昔エルフってのいたよな」
男2「あーマンションに住んでたやつね。でも結局みんな自殺しちゃったんだろ?何でか知らないけどさ」
女「あれ、人間との生活に馴染めなくて集団心中しちゃったらしいですよ」
男「そうなの?そういや差別が酷かったって話は聞いたことあるな」
男2「だからって自殺するなんて馬鹿だよな。俺だったら差別したやつら全員ボコっちゃうぜ」
女「ええ、馬鹿だったんですよ。エルフなんて・・・。さ、もうやめましょうそんな暗い話」
男「そうだね。そういや女さんっていつも耳を髪で隠してるけど何でなの?」
男2「馬鹿。女さんは昔事故で両耳が千切れて無くなったらしいんだよ。俺前に見せてもらったことあるわ」
女「ええ。気持ち悪いから普段は隠してるんです。でも耳を無くしたおかげで人生変わったから逆に良かった気がします」
男「そうだったんだ・・・でも耳があっても無くても女さんは女さんだもんな。ごめんね、変なこと聞いて」
男2「あーお前何赤くなってんだよ!まさか惚れてんなー!」
男「バッカ何言ってんだよ!あ、いや、女さん、今こいつが言ったこと忘れてね!」
女「クスクス。わかりました。私馬鹿だからすぐ忘れちゃいますよ」
終わり
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