小鳥「そもそもおかしいんですよ!」(129)
小鳥「765プロの事務仕事を私一人でやるなんて」
P「わかります。ひっじょーにわかりますよ、その気持ち!」
P「春香、千早、雪歩、真、やよい、真美、美希、響、貴音」
P「自分の担当アイドルが9人もいるなんて入社するまで知りませんでしたし」
P「おまけに竜宮小町の手伝いもたまにしてるし……」
小鳥「プロデューサーさんもかなりハードな生活なんですね」
P「入社する時は、こんなことになるなんて思いもしませんでしたよ」
P「んぐっ、んぐっ……ぷはぁ!」
P「店員さん、生おかわり! あとカツも!」
小鳥「あっ、私もお願いします!」
小鳥「でも、いいんですか、プロデューサーさん? 事務所のホワイトボードに書いてありましたけど」
P「明日の活動は近畿エリアですからね。朝一で新幹線ですよ」
小鳥「大丈夫なんですか?」
P「大丈夫なわけないですよ。でも、やるしかない……仕事ってそういうものでしょう?」
小鳥「そうですよねえ……やるしかないんですよねえ」
P「飲まなきゃやってられませんよ」
ピヨピヨ
小鳥「私、事務員ですから事務所にいるじゃないですか」
P「書類整理に電話対応とか音無さんがしてますよね」
小鳥「そう! 電話、電話対応なんですけどね。事務所に私しかいないのに電話は3つくらいあるじゃないですか?」
小鳥「私が電話対応している時に、別の電話がなるんですよ?」
小鳥「もう、こっちは必死で対応してるのに側でプルプルプルプル……」
小鳥「ああーっ! もう、本当に耳障りなんですよ!」
P「うわあ……それは、うざいですね」
小鳥「でも、電話している相手先にはこっちの事情なんて無関係じゃないですか?」
小鳥「イライラをなんとか隠して応対するこの苦痛……」
P「俺も営業先とかでめんどくさい人とかいますよ」
小鳥「大変ですよねえ」
P「まあ、自分の気持ちとかそういうのを押し殺して仕事するのはアイドルの方が大変ですけどね」
小鳥「そうですね。あんな若いのに、あんなに仕事にレッスンと頑張っていますしね」
小鳥「大変だと思いますよ、思うけど!」
小鳥「でも、アイドルのみんなは青春で、少女なんですよ!」
P「は?」
小鳥「徹夜明けでも肌はツルツル。若さに任せてダーッ!といけるでしょうし」
P「そうですね、こう……ダーッ!って」
小鳥「そうですよ。ライブで歌いきって、自分の力をバーン!ってして、ファンの歓声をワーッ!って受ければ気も晴れますよ」
小鳥「でも、私は? 事務員の私は何にバーンッ!します? 何にワーッ!されればいいんです?」
P「裏方ですから……仕方のないことなんですけどね」
ピヨピヨ
P「社長は何をやっているんですかね?」
小鳥「さあ、社長室にこもってますから」
P「俺、たまに報告とかしに行きますけど……」
P「あの人、いつもオホンとか言ってクーラーの効いた部屋でフカフカの椅子に座ってるだけですよ」
小鳥「そんなことしてないで、少しはこっちの手伝いをしてほしいですよ」
P「現場は必死なんですよね、必死!」
小鳥「全くです!」
P「その癖、こっちの体とか気遣う言葉をかけてくるんですよ?」
P「お前、どの口が言ってるんだ?って思いますよ」
小鳥「腹立ちますよねえ」
店員「おまたせしましたー!」
P「あっ、生とカツは俺。音無さん、どうぞ」
小鳥「ありがとうございます、プロデューサーさん」
P「むぐむぐ……それで社長の話なんですけどね」
P「あの人、入社した時に俺にこう言ったんですよ」
P「うちの事務所のアイドルはデビューこそしてるけど、あまり売れてないって」
小鳥「そうですね……プロデューサーさんが入社した時にうちで目玉だったのって竜宮小町ぐらいでしたからね」
小鳥「他のアイドルの子たちは、自主レッスンばっかりでしたね」
P「俺、プロデュースしてわかりましたよ。社長のいう通り、みんなすごい才能を持ってると思いますよ」
P「なら……どうしてその才能をもっと早くに咲かせてやらないって」
P「俺以外にプロデューサーはいなかったのか?」
P「こう言ってはなんですけどね、俺を採用するより社長のパイプとかでプロデューサーとか見つけられなかったのかって思いますよ!」
P「俺が来るまでの間、アイドル達が我慢していた思うと……なんだか悔しくて悔しくて」
腹が減ってきたピヨ
P「っていうか、社長って元プロデューサーですよね?」
小鳥「はい。ちなみに純一郎会長も元プロデューサーですよ」
P「いるじゃん、プロデューサー! しかも大ベテランが二人もさあっ!」
P「んっ、んっ……ぷはぁ! なんでこうなったんだ……」
小鳥「自分たちはあくまで社長だから……だそうですよ」
P「トップアイドルは女の子の夢だなんだって言いながら、力を貸さないっていうのは説得力がないですよ」
P「はあ……」
P「感謝はしているんですよ? 拾ってもらったというかスカウトしてくれた恩はありますし」
P「なにより俺のプロデュースの方針に、『うむ、存分にやってみたまえ!』って言って好きにやらせてくれますから」
P「普通はこういうのってチェックされて、横から口を出されるものだと思ってましたから」
小鳥「でも、それはプロデューサーさんの方針が問題ないということじゃないですか?」
P「だといいんですけどねえ」
P「でも、やっぱり何も言ってくれないのは少し不安ですよ」
P「最初の方なんて右も左もわからないから……えっ、これでいいの?って思ってしまった時とか何度もありましたよ」
小鳥「放任主義なんですかねえ」
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小鳥「放任主義と言えばですね」
P「はい」
小鳥「私のところも似たようなものですよ」
P「いや、事務仕事に放任も何もないんじゃないですか?」
P「事務仕事って、まかされた仕事をやるようなものですし」
小鳥「それはそうなんですけどね。私が仕事をある程度やって、一息いれるじゃないですか」
小鳥「そういう時に限って、『すまない、音無くん。この書類を今日まで頼むよ』……ですよ!」
P「ああ~」
小鳥「んっ、んっ……はぁ、もうテンションがものすっごおおおく下がりますよ!」
小鳥「でも、こっちは断ることなんてできませんから必死にパソコンと向かい合うわけですよ」
小鳥「おかげで見てください……充血気味です」
P「あっ、本当ですね……って、近いですよ!」
小鳥「ピヨ! す、すみません、プロデューサーさん」
そうだな。こんなペースじゃあ朝までかかってしまうだろうし、寝る
, -二二- 、
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なんで残っているんだよ……
P「仕事まみれですよね」
小鳥「仕事がおわったら、また仕事」
P「それがおわったら、また別の仕事」
小鳥「仕事仕事仕事……あああっ、もう!」
P「終わらないマラソンですねえ……ホントに」
小鳥「プロデューサーさん、この無間地獄からいつになったら解放されるんですかあ?」
P「765プロが消えるまで……もしくは世代交代までじゃないですかねえ」
小鳥「それっていつになるんですかあ?」
P「さあ……俺には何とも言えないですよ」
ピ
P「マジでこんなことやってると辛いですよね」
小鳥「プロデューサーさん、どうします? これでまた社長がティン!ときたと言い出して新しいアイドルをスカウトしたら」
P「ちょっと無理無理無理! 勘弁してくださいよ、それ冗談に聞こえませんから」
P「社長ならやりかねないですよ」
小鳥「辛いだろうけど、いままでだってやってこれたんだ。君ならきっと出来ると信じてるぞ!」
P「うわっ……それ、すっごく言いそうですね」
小鳥「がんばってくださいね、プロデューサーさん」
P「もしも、そんなことになったら体こわれますって」
小鳥「人手は変わらないのに仕事ばかり増えて……」
P「仕事は増えるのに睡眠時間は減って……」
小鳥「睡眠時間は減るのに枝毛は増えて……」
小鳥「仕事ばかりで気が付いたらこんな年齢……あはっ、あはははは!」
P「時間が戻せるな~ら」
小鳥「少しは……マシになれ~る~?」
小鳥「……グスン」
P「元気だしてください、音無さん」
P「もう少し待遇よくしてほしいですよね」
P「アイドル9人抱えてますけど、そんなにもらってませんし」
小鳥「プロデューサーさんは家で何を食べているんですか?」
P「卵かけごはん!」
小鳥「た、卵かけごはんですか?」
P「最近のブームは、醤油だけじゃなくてだし汁と擦りおろしのしょうがを混ぜて食べることです」
小鳥「これはひどい……」
P「けっこう美味しいですよ。こんど試してみてください」
P「まあ、そんな食生活をしているわけですから……貴音に心配されてしまって」
P「いやあ、偶然とはいえあの時はビーフシチュー食わせてもらってマジでよかった」
小鳥「待遇ですか……どうあがいたって私たちはお金をもらっている立場ですし」
P「それが、まあ切られたら厳しいでしょうね」
小鳥「結局、私たちは……んぐっ、んぐ、んぐ……ぷはあああ!」
小鳥「籠の中の小鳥なんですよ!」
P「エサは給料ってところですか?」
小鳥「そうです、そうです! 私たちは飼い殺されているんですよ!」
P「うはーっ! もう、仕事やめたいですね!」
小鳥「店員さーん! 生2つとゲソをお願いしまーす!」
P「あっ、厚焼き玉子も!」
小鳥「いっそ、ストライキでも起こしちゃおうかしら」
P「それ面白いかもしれませんね。絶対に事務所が傾く自信ありますよ」
P「律子がヒーヒー言いそうですけどね」
小鳥「それでも社長は何もしないでオロオロしてるだけ! あっ、玉子1ついいですか?」
P「どうぞどうぞ。じゃあ、俺もゲソ1つ頂きますね」
P「でも、音無さんが言ったことマジでありそうですね」
P「それで堪忍袋の緒が切れた律子が、『いい加減、社長も手伝ってください!』って怒なるんですよ、きっと」
小鳥「想像しちゃうと笑えちゃいますね」
P「事務所的には笑えませんけどね」
小鳥&P「あはははは!」
P「まあ、実際はそんなことできるはずもないんですけど」
小鳥「みんなに迷惑をかけることは出来ませんしね」
P「俺はアイドルに、『迷惑かけていいんだ。ドンドン俺を頼ってくれ!』とか言ってますけどね」
P「そういう立場だし、仕事ですから仕方ないんですけど」
小鳥「プロデューサーさん、色々と背負っていらっしゃるんですねえ」
P「んっ、んっ、んっ……ホントにこういう時くらいじゃないと肩の荷を降ろせませんよ」
ピヨピヨ
小鳥「私もですよ。こういう愚痴ってみんなには言いづらいですから」
P「まあ、大人が子供相手に愚痴るってなんて情けないですしね」
P「かといって、内側にたまってると」
小鳥「キツイですよねえ」
小鳥「大人って辛い! はい、プロデューサーさん、復唱!」
P「大人って辛い!」
小鳥「でも、やるしかない!」
P「でも、やるしかない!」
小鳥「……」
P「……」
小鳥「飲みましょうか……プロデューサーさん」
P「そうですね……」
小鳥「うぅ~、プロデューサーさん……もう一軒いきましょうぅ」
P「へいへ~い」
小鳥「でもぉ、だいじょーぶなんですかあ? 明日、朝一なんですよねえ」
P「ここまで来たら、完徹して新幹線の中で寝ますよぉ」
P「どうせ中途半端に寝たら寝坊するだけでしょうし……」
小鳥「あぁ、プロデューサーさん、夜空がきれいですよ」
P「あっ、本当ですね……こういうの見るとなんだかホッとしますね」
小鳥「よーしっ、明日も一日頑張りましょう! あはははは!」
P「もう日付変わってますけどねえ」
小鳥「な~に言ってるんれすかあ、プロデューサーさ~ん。早く来てくださ~い!」
P「あ~い、音無さんとならどこまでも……」
fin
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