グリP「ほら、海外旅行のチケットだ」 (23)
グリP「おつかれ千鶴!いつも千鶴はがんばっているから、偉い人からの餞別だそうだ」
千鶴「なに言ってますの?そんなペラペラの紙切れで」
グリP「は?」
千鶴「わたくしは騙されませんわよ、一枚の紙切れで旅行ができるならとっくにフランスでもイタリアでも行…」
グリP「ははは、千鶴のジョークはおもしろいな!」
千鶴「(…え、マジで行けますの?)」
グリP「パスポートの期限は切れてないよな」
千鶴「え、ええ当然ですわ!(パスポートってどうやって入手するんですの?)」
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グリP「二泊三日の短期旅行だ、思うぞんぶん羽をのばそうな」
千鶴「はいですわ…(二泊三日って、高校の修学旅行以来ですの)」
グリP「旅行先はどっちかといえば田舎のほうだから、あんまりオシャレな服は持っていく必要ないぞ」
千鶴「オーケーですわ(寝間着は高校のジャージでセーフですわよね?)」
グリP「あとは千鶴のほうから質問はあるか?」
千鶴「あ、あの」
グリP「なんだ?」
千鶴「旅行先の物価はどれぐらいなのかしら?」
グリP「は?」
千鶴「ほ、ほら!いまアベノミクス?で円安?で1ドルが95円ですのよ!」
グリP「…で?」
千鶴「ほ、ほら!ぼ、ぼ、ぼったくりとか!」
グリP「んー、あんまりぼったくられるような場所でもないから心配はいらないかな。治安にしたって、どうこう以前の問題だし」
千鶴「心配ないなら安心ですわ!」
グリP「現金もそんなに使う場所じゃないしな」
千鶴「そ、そうですの…」
グリP「ほかに質問は?」
千鶴「そ、その。旅行先で置いていかれたりとかは」
グリP「はん?」
千鶴「ちゃんとチケットで往来できますの?帰りの電車賃も、その紙切れに含まれてますわよね?」
グリP「…………」
千鶴「べべべつに、旅行先に置いていかれたら一文無しのわたくしが日本に二度と帰れなくなるなんて、そんなことはまったく考えてないのですわよ!」
グリP「それなら心配ないぞ。このチケット一枚で旅行先に行ってホテルに泊まれて飯が食えてちゃんと帰れるから」
千鶴「よ、よかったですわ…」
グリP「あと電車じゃなくて飛行機だから」
千鶴「飛行機って、あの空を飛んでいる…」
グリP「それ以外になにがあるの」
—空港—
千鶴「あっちゅーまに旅行当日ですわ」
グリP「千鶴、すでにやつれてないか?まさか興奮して眠れなかったとか」
千鶴「なななにいってますの、セレブのわたくしが生まれて初めての海外旅行に興奮して眠れなくなるわけないじゃありませんの!」
グリP「そうだよな、小学生じゃあるまいし」
千鶴「そうですわ!」
グリP「よし、上着を脱ぐか」ヌギッ
千鶴「脱ぐ!?いきなりどうしたんですの?!」
グリP「いや?だから空港の金属チェック」
千鶴「(な、なんですのそれ)」
ビー!ビー!
グリP「あれー。ははは、こりゃ下着になるまで引っかかるかもな」
千鶴「し、下着になるんですの?!」
グリP「いや冗談だって…」
—機内—
千鶴「ううぅ…ああぁ…」
グリP「どうした千鶴、さっきから唸って」
千鶴「耳が、キーンとして、痛いですの」
グリP「あ、ああ…。ツバを飲むと治るぞ」
千鶴「そうですの?…ゴクッ」
グリP「…………」
千鶴「治りましたわ!」
乗務員「すいません、機内ではお静かに…」
千鶴「し、失礼しました」
グリP「すいません、コーヒーのおかわりを」
千鶴「……?プロデューサー、お金は払いませんの?」
乗務員「機内でのドリンクは無料となっております」
千鶴「!!…ゴクゴクゴク」
グリP「お、おい千鶴!」
千鶴「私も!おかわりですわ!」
乗務員「あ、あの…機内ではお静かに」
グリP「このあと機内食くるからな、あんまり飲みすぎるなよ」
—南アフリカ—
千鶴「いや、アフリカって、いや、アフリカって?!」
グリP「今回のレポ、よろしくお願いします」
ディレ「がんばりましょう」
カメラ「よろしくおねがいします」
千鶴「ディレクターにカメラマンって、これ仕事でしたの?!」
グリP「あれ言ってなかったっけ」
千鶴「だって、わたくしへの餞別だって!」
グリP「だから、努力して活躍してるアイドル千鶴にオファーがきたんだよ」
千鶴「でも、羽をのばすって!」
グリP「アイドルは都会での仕事が多いからな。こういう静かなところでの仕事は落ち着くだろ?」
千鶴「ぜんぜん落ち着きませんわ!」
ディレ「この車で数時間走りますから。車内で睡眠を」
千鶴「こんなガタガタ揺れる車で寝られませんわよ!」
グリP「舗装が整ってないからな」
千鶴「っていうか周りに砂と岩と木々しかないんですけど!」
グリP「ああ、壮観だな」
千鶴「ホテルはどこかと聞いているんです!」
グリP「俺たちってちっぽけな存在だな。そうは思わないか千鶴」
千鶴「い、いつもお疲れ様ですわ、プロデューサー」
ディレ「ここから車道がないので三十分ほど歩きます」
千鶴「け、ケツが痛いですわ」
グリP「車が跳ねっぱなしだったな」
千鶴「っていうか、森につっこむんですの?!」
ディレ「ええ、この先が目的地なので」
グリP「アドベンチャーだな、小学時代を思い出すぜ」
ディレ「ワクワクですな」
カメラ「僭越ながら、わたくしも」
千鶴「なんですのこの男たちは…」
ディレ「それにしても千鶴さんいいコメントしますね」
カメラ「ええ。いい画も撮れてます」
千鶴「もうカメラ回ってましたの?!」
グリP「アフリカ着いたときからずっと録ってるぞ」
—どっかの村—
グリP「これはRPGだわ」
千鶴「森の中に手作り感のある家がぽつぽつ…」
オホホホホホホホホホホホホ!!
オホホホホホホホホホホホホ!!
千鶴「あひいいいい?!」
グリP「おっ、きましたね」
千鶴「ぎゃあああああ!!変なお面をかぶった変質者がいっぱいこっちに!!」
ディレ「ここの部族です。我々を歓迎しているのですよ」
グリP「よかったな千鶴、超セレブ待遇だぞ」
千鶴「こ、怖い!」
千鶴「本当にここに泊まれるんですの?!」
グリP「だいじょうぶだ、ちゃんと塩を一袋プレゼントしたから」
ディレ「彼らは我々に友好的です」
千鶴「物理的に泊まれるかどうかを尋ねているんです!」
グリP「おっ、ディナーがきたぞ千鶴」
部族「うんばばうんばば」
千鶴「ぎゃああああああ虫ィイイイイイイイイ!」
ディレ「部族の貴重なタンパク源です」
千鶴「ムリムリムリムリムリ絶対食べない!」
グリP「いや、でもそれだとテレビ的に…」
千鶴「わたくしアイドルですのよ、芸人じゃなくて!」
グリP「しかし世界にはスカイダイビングをするアイドルもいるぐらいだし」
ディレ「ウチもこれぐらいやらないとね」
カメラ「いつでも準備オッケーでーす!」ジィー
グリP「ほれ、いっき、いっき」
ディレ「千鶴ちゃんの、ちょっといいとこ見てみたい!」
千鶴「もはや飲み屋のノリですわ…」
グリP「というかセレブなら食って当然じゃないか?」
千鶴「はい?!」
グリP「知らないのか、千鶴。セレブってギリシャ語で昆虫食って意味なんだぜ」
千鶴「え、初耳ですわ……」
グリP「ほら、セレブって普通じゃないからさ。虫も食うんだよ」
千鶴「そうですか。てっきりわたくしは、セレブは『セレブリティ』の略語かと思ってましたわ」
グリP「ああ、ありがちな勘違いだね」
千鶴「じゃ、じゃあ食べますわよ」
カメラ「ばっちこーい!」
千鶴「なんかの幼虫、いただきますわ」
部族「召し上がれ」
千鶴「うぅ、動いてる…」
グリP「タクマナタタ」
千鶴「ばりばり、ぽりぽり…」
グリP「ドキドキ」
千鶴「…あれ案外、いけますわね」パクパク
グリP「え、マジで?」
千鶴「ビールに合いそ……あ、いや。白ワインとかに合いそうですわよっ」
グリP「じゃ、一匹」ポリポリ
ディレ「私も、一匹」ポリポリ
千鶴「あなたたち、高貴なるわたくしに毒見をさせましたわね!」
グリP「死にゃあせんよ」
グリP「まあ今日は虫だけど、あしたは肉が食えるぞ」
千鶴「ほんとうですの?」
グリP「ああ、ロケ地がサバンナだからな」
千鶴「え、さばんな?」
グリP「本場もんの採れたてバーベキューだぞ」
千鶴「ぷ、プロデューサー、わたくしサバンナでなんのお仕事をするんですの?」
グリP「そりゃ、サバンナなんだから動物レポートに決まってるだろ」
ディレ「期待してますよ」
千鶴「れ、レポートってあれですわよね。家畜とか動物園とか」
グリP「サバンナだぜ、野生を映さなきゃ嘘だろ」
千鶴「いや、死にますわよ!」
ディレ「だいじょうぶ、ウチの番組で死人は出させん。いざというときは私が守る!」
千鶴「( ゚д゚)エー」
—翌日—
グリP「千鶴、着替えたか?」
千鶴「着替えましたけれど…」
グリP「おお似合ってるぞ千鶴!」
千鶴「この冒険服、防御力低そうですわ」
グリP「だってアフリカ暑いし、軽装になっちゃうよね」
千鶴「どうして美しく高貴なるわたくしがこんなチャチなカッコウを…」
ディレ「その服、ロケが終わったら千鶴ちゃんにあげるよ」
千鶴「本当ですか?!いただきますわ!」
〜日本の場合〜
雪歩「こんにちは、萩原雪歩です。今日は話題の和菓子やさんにレポートに…きゃあっ!い、犬がいます!私、犬だけは苦手なんですぅっ!」
P「あはは、雪歩はかわいいな」
〜アフリカの場合〜
千鶴「ごきげんよう、二階堂千鶴です。なんとわたくし、アフリカの大草原にきていますの。見て下さい、この広大な景色。動物さんもいっぱいですわ。あれ、なんか急に空が暗く…」
グリP「千鶴!うしろーっ!」
千鶴「え?」
キリン「ふんもっふ」
千鶴「きゃあああああああああ!死ぬ!踏まれる!食われる!こっちこないでええええええ!」
グリP「あはは、千鶴はかわいいな」
ディレ「でもゾウさんはもっと好きです」
〜日本の場合〜
雪歩「先ほどは失礼しました、もう大丈夫ですぅ。きょうはお日様がポカポカですぅ。ああネコちゃんが縁日でひなたぼっこしてますぅ、かわいいですぅ」
P「あはは、雪歩もかわいいなー」
〜アフリカの場合〜
千鶴「だめです!ライオンは死にます!」
グリP「よゆーよゆー、猫の一種だし」
千鶴「百獣の王ですわよ!」
グリP「よし、この辺で車から降りようか」
千鶴「いやー!いやー!!」
グリP「ここらで犬猫のレポートしかできない万年Rとの差を見せつけてやろうぜ」
千鶴「いやー、あの娘は次のイベントあたりでSRがきそうですわよ…」
アースレンガージャワニーチワワー
千鶴は野生から無事に生還。
その夜、本場のバーベキューで美味しい肉をいっぱい食べましたとさ。
SR アフリカンファイヤー 二階堂千鶴
スキル:食いだめセレブ
効果:自分のAPアップ(大)
おわりです、ありがとうございました!
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