裏路地
旅人「そ、そんなに頭を下げないでください!」
旅人「でも、間に合って本当によかった」
女賢者「はい…、このまま奴隷商に売られてしまうかと…。お強いんですね?」
旅人「あ、あはは!こう見えても鍛えてますから! しかし何故捕まって?」グッ
女賢者「わたしは…賢者になって、もう一年も経つのに…魔法の一つも使えなくて…」
女賢者「誰のパーティにも入れずあてもなく道を彷徨っていたら…お腹が空いてーー」
旅人「なるほど…そのまま倒れて捕まってしまったんですね?」
女賢者「はい……」ウル
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女賢者「お腹が空いて、その辺の家に空き巣に入って…食糧と金目の物を盗み…」
女賢者「貴金属を高く売って豪遊してたら、町の警護に見つかって追われ…」
女賢者「その警護を返り討ちにして、女の騎士を捕まえて奴隷にして売ろうと…奴隷商の元へ足を運んだら…」
女賢者「その奴隷商達に、逆にとっ捕まって…こんな目に…っ!」
女賢者「あんまりだと思いませんか!?」
旅人「なるほど…どうやら頭がおかしいらしい…」
旅人「尋ねたいことが一つあるんですが?いいですか?」ニコ
女賢者「はい!なんなりとお聞きください!ご主人様!」
旅人「あなたが最も愛してるものはなんですか?」
女賢者「え?自分ですけど?」キョトン
旅人「あっはは!こりゃダメだ!」バンバン
旅人「それじゃあ、この辺でお別れしましょうか?そのほうが互いの為でしょう」
女賢者「ま、待ってくださいご主人様!まだお礼が出来てません!」
旅人「ごめんなさい。君の、お礼=犯罪という方程式がもう出来上がってしまって…」
旅人「一ミリも君を信用できません。あとご主人様って言うな」ニコ
女賢者「そんな…、ぐすん。わたし…こんなに優しくされたことなくて…」
旅人「……」
女賢者「べつに生活の当てがないから、あなたに寄生しようとなんて…おもってないのにぃ…!」
旅人「あっはははは! これは真性ですわ!」バンバン
女賢者「一生のお願いですっ! 私にあなたのお供をさせて…ーー」
旅人「…昨日の昼はお肉料理だったから、今日は野菜中心にしようかな」ボソボソ
女賢者「この身を好きに使ってくれても結構です! ちなみにまだ新品です!」
旅人「そういえば、露店でおいしい芋が流行ってたな…」ボソボソ
女賢者「聞いてっ!?」
女賢者「……」
旅人(…諦めてくれたかな?)
女賢者「…ゃ、っ」
旅人「?」
女賢者「いやああああああ! 痴漢!痴漢ですぅ! 助けてえええええ!」
旅人「かっ!?」
表通り
ザワザワ ガヤガヤ
通行人1「おいおい、こんな真昼間から痴漢かよ」
通行人2「盛りすぎだろ…羨ましい。で、どこどこ?」
旅人「」
女賢者「助けてぇ…!誰か…」
憲兵A「おらあ! どこのどいつだ!? 婦女子に暴行したボンクラは!?」
憲兵B「てめえか!? 幸薄そうな旅人の権化みたいな顔しやがって!」
女賢者「ひひっ…! うえええん。そうなんです…むぐぅ!?」
旅人「ちょっと、もう黙ってて!?」グイッ
憲兵A「き、貴様っ…。そんなか弱そうな女性を羽締めするなど…!」
憲兵B「なんたる下衆ッ! なんたる畜生ッ! 鞭打ち百回で済むと思うなよ!?」
ザワザワ ガヤガヤ
旅人「ち、ちがうんです! 聞いてくださいっ!」アタフタ
女賢者「むぅ…ぷはっ、ーーやだぁ! お尻に硬いのが擦り付けられて…やあん」
通行人1「なん…だと…?」
通行人2「この状況で…勃てているだと…。ごくり…」
旅人「」
女賢者「wwwwwwwwww」
憲兵A「者共!であえであえ~!」
憲兵B「糞にも劣るチンコ野郎を牢獄に叩き込むのだあ!」
憲兵C~Z「サー!」タタタ
旅人「いやあ! いやいや! いやあ!」
女賢者「あれれー?いいんですかぁ?このままだとあなた…」
女賢者「天下の通り道で、美少女にチ○コを擦り付けて悦に浸る痴漢野郎、という十字架を背負うことになりますが?」
旅人「ゴホッ…、オエエエエーッ!」
女賢者(吐くほどいやなんですか……)
女賢者「だから、ほら…ね? わたしに恩返しさせてくれればいいんですよ?」
旅人(既に恩を仇で蹴り返されてる気もするが…)
旅人(たしかにこのままだと…、もし僕の故郷にもこのことが知られたら…)
旅人「わ、わかりました…。連れて行きますから…。なんとかしてください…」
女賢者「任せてください!ーーもう、はじめからそう言えばよかったんですよ!」
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