ほむら「だからあなたのことなんか嫌いよ……鹿目まどか」(718)


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書いていいの?

>>3

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ほむら「くっ……」

マミの拘束魔法によって、魔女の結界内に拘束されてどれくらい経っただろうか。
彼女の拘束魔法は、きつくもなく緩くもなく、程良い力加減でわたしを宙にぶら下げていた。

ほむら「マミっ……絶対に、油断しないでっ……!」

マミはまどかと一緒に奥へと向かって行った。恐らく、今のマミはまどかが契約してくれると約束して、浮かれているはずだ。
ここの魔女はまずい。今までの世界でも、高確率でマミはこの魔女にやられている。
今回も、浮かれて油断していたら……!

~~~

マミ「ティロ・フィナーレ!!」

召喚した大砲から、高威力攻撃を仕掛ける。拘束魔法によって縛りあげた魔女に直撃。
これで、倒した。―――そう思っていた。

マミ「……え?」

何が起きたのか、理解が遅れる。
攻撃が直撃した魔女の小柄な体から、新しい体が這い出て来た。
そいつは、猛スピードでわたしの目前へと迫る。

まどか「マミさんっ!!」
さやか「っ……!!」

わたしの目前で、その口を大きく開く。それでも、わたしには何が起こっているのか、理解出来ていなかった。
いや、理解は出来ていた。ただ、目前に迫った死に、体の反応が追いつかなかった、というだけの話だ。

マミ(わたし……死ぬ……の……?)

ようやくそこまで理解が達した頃には、もう遅かった。
わたし一人では、対処できない所にまで来てしまっていたのだ。

―――そう、『わたし一人』では。


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直後、魔女の大きな体がぐらりと横に大きく逸れた。

マミ「…!?」

またも、理解が数瞬遅れる。
今まで口を大きく広げた魔女がいたわたしの目前には、ピンク色の服を纏った少女が静かに立っていた。

まどか「大丈夫ですか、マミさん!?」
マミ「……鹿目、さん……?」

その子は、鹿目まどかその人だった。
物陰からわたしの戦いを見守っていた二人の内の、一人だ。

魔女が、吹っ飛ばされた体を起こしあげる。そしてボロボロになった体を、まるで脱皮するかのように脱ぎ捨てる。
その口から、新しい体が出てきていた。

まどか「話は後にしましょう!今は魔女を!」

鹿目さんが、手に持った弓を引き絞り、放つ。
放った光の弓は、魔女の体を横一線に貫いた。

QB「間に合ったようだね、よかったよ」

今まで一緒にいたキュゥべえが、口を開く。

さやか「キュゥべえ……」
QB「すぐに二人一緒に契約は出来なかったから、まどかとだけになってしまったけれど。さやかも、今からでも契約してあの戦いに参戦したいかい?」
さやか「……いや、あたしはいいや。あの二人がいれば、なんだか勝てそうだしね」

物陰から、まどかが加わった戦いを見守る。
まどかの決断は早かった。

まどか『キュゥべえ!わたしはマミさんを助けたい!!』
さやか『あ、あたしも!!」
QB『了解だ、キミの祈りはエントロピーを凌駕した。ただ、二人一気には出来ない。まずはまどかから』

それだけの会話で、まどかは魔法少女の姿となってマミさんを助けた。
……あたし、自分が情けないよ。マミさんを助けたいと思ったのに、勝てそうになったらやっぱり躊躇うなんて。

マミ『鹿目さん、そっちに行ったわ!」

わたしの攻撃を受けて吹っ飛んだ魔女が、慣性の法則を利用してそのまま離れた位置にいる鹿目さんへ攻撃を仕掛ける。

まどか「はい!!」

キリキリと弓を引き絞り、頭の中で魔力を込めるイメージを浮かべる。
それがうまくいったことを合図するかのように、矢が放つ光は強くなる。

まどか「これで……トドメぇ!!」

力いっぱいに引き絞った矢を、解き放つ。
光の矢は強い光を放ち、さながら不死鳥のようなシルエットを浮かべながら魔女の長い体をその中心から貫いた。

シャルロッテ「グオオオオオオァァァァ……」

魔女の体を貫いた矢は、その勢いを衰えさせず、結界の天井に当たる。

力尽きた魔女が、地へと落下する。

ほむら「……!」

結界の崩壊が始まった。廊下の壁から生えていた拘束リボンが、その支えを失ってはらはらと落ちる。
わたしの体に巻きついていた部分も、一緒に地面へと落ち、その形を崩して行く。

ほむら「マミ……勝てた……のね」

地面に着地し、崩れ行く結界を見ながら、わたしは安堵していた。

~~~

さやか「! 転校生……」
ほむら「勝てたのね、マミ。正直、予想外だったわ」
マミ「………」

皮肉をぶつける。しかし、本当に安心した。

まどか「あ、あの、ほむらちゃん……」
ほむら「なにかしら、まどか?」
まどか「……これ、なんだけど……」

差しだしてきたまどかの手のひらを見る。そこには、ピンク色のソウルジェムが乗っかっていた。

ほむら「………っ!!!」

文字通り、言葉を失った。まさか、こんなに早くにまどかが契約をするなんて……。

マミ「拘束して、悪かったわね、暁美さん。詫びの印、というわけではないけれど。これ、さっきの魔女が落としたグリーフシードよ。あなたにあげるわ」

マミが、グリーフシードをわたしに向けて投げて来る。
わたしは、それを受け取る余裕などなかった。
放られたグリーフシードは、そのままわたしの横を通り過ぎ、地面へと落ちた。

まどか「ほ、ほむらちゃんも魔法少女なんだよね?だったら、わたしたちと協力……出来ない、かな?」

さやかとマミが何かを言っている。しかし、その言葉はわたしの脳には届かない。
ただ、突き付けられた現実を受け入れるのに必死だった。

さやか「マミさん?拘束していたって―――」
マミ「ああ、それはね―――」

まどかが何かを言っている。しかし、その言葉さえもわたしの脳には届かなかった。
ただ、突き付けられた現実を受け入れるのに必死だった。

ほむら「………っ!!!」

文字通り、言葉を失った。まさか、こんなに早くにまどかが契約をするなんて……。

マミ「拘束して、悪かったわね、暁美さん。詫びの印、というわけではないけれど。これ、さっきの魔女が落としたグリーフシードよ。あなたにあげるわ」

マミが、グリーフシードをわたしに向けて投げて来る。
わたしは、それを受け取る余裕などなかった。
放られたグリーフシードは、そのままわたしの横を通り過ぎ、地面へと落ちた。

さやか「マミさん?拘束していたって―――」
マミ「ああ、それはね―――」

さやかとマミが何かを言っている。しかし、その言葉はわたしの脳には届かない。
ただ、突き付けられた現実を受け入れるのに必死だった。

まどか「ほ、ほむらちゃんも魔法少女なんだよね?だったら、わたしたちと協力……出来ない、かな?」

まどかが何かを言っている。その言葉さえもわたしの脳には届かなかった。
ただ、突き付けられた現実を受け入れるのに必死だった。

ほむら(……そう、か。そうよね。油断しているマミ一人で、あの魔女が倒せるなんて思えない)

冷静さを取り戻し、思考を回し始める。
そうだ、普通に考えればその答えに行きつくはずだったのだ。
なのに、その答えには行きつかなかった。
……いや、行きつこうと思わなかったのだ。

まどか「ほむらちゃん……?」
ほむら「っ……!!」

ギリリ、と歯を食いしばる。わたしの忠告を聞いていなかったのか、と。そんな怒りが沸々と湧いて来る。

マミ「どうかしたかしら、暁美さん?」

マミが、敵意を晒しながらわたしに話しかけて来る。

ほむら「……このグリーフシードはいらないわ。あなたが倒した得物なのだから、あなたが持っていなさい」

地面に転がったグリーフシードを拾い上げ、マミに向けて強めの力で投げ返す。

マミ「っ…!」

それを、体にぶつかる直前で反応して受け止める。

まどか「ほむらちゃん?」

まどかが、わたしに向けて手を伸ばしてくる。

ほむら「……わたしに話しかけないで」

その手を払いのけ、そんな言葉が口を突いて出る。

まどか「っ……」

払いのけられた手をもう片方の手でさすりながら、悲しげな瞳をわたしに向けて来る。

ほむら「わたしはもう帰るわ。……それと、まどか」
まどか「な、何……?」
ほむら「近い将来、あなたは必ず後悔するわ。それだけは覚えておきなさい」

それだけ言い残し、病院前を後にする。


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  .ni 7      /ノ   ヽ\   こんなの待ってた
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家へと帰ってくる。
着替えるのも億劫で、鞄だけその辺に放るとベッドに倒れ込んだ。

ほむら「………っ」

この世界でも、まどかとの約束を守れなかった。
それも、こんなに早くに……。

ほむら(ごめんなさい、まどか……)

まどか『キュゥべえに騙される前の、バカなわたしを……助けてあげて、くれないかな……』

ほむら「っ………!」

あの世界で、この手にかける直前に交わした約束を思い出す。

ほむら(……もう、この世界には用はなくなった)

しかし、時間遡行の魔法はワルプルギスの夜が襲来する日までは使えない。
それまで、契約してしまったまどかと同じ世界に居続けなければならないの……?
そんなの……酷いじゃない……っ!!
また、まどかをこの手にかけろって言うの……!?

ほむら「……っ、グス……ヒック……」

閑散とした部屋に、わたしの押し殺した泣き声だけが響いていた……。

ほむら(それなら、いっそ……)

この世界でだけでも、まどかのことを嫌いになってしまえば楽なんじゃないだろうか。
そんな考えが浮かんでくる。

ほむら(……いえ、それだけじゃ足りない)

まどかにも……この世界のまどかにも、わたしの事を嫌いになってもらおう。
今のところまどかのわたしに対する印象は、良くも悪くもないはずだ。
今後の接し方次第で、いくらでも悪くすることが出来る。

ほむら(……どうせ、ワルプルギスの夜なんて倒せなくってもいいんだものね……)

心の底から、どす黒い感情が滲みだしてくるのがわかる。
ああ、なんだ、この心地いい感覚は。
何もかも吹っ切ると、こんなに心地いいのか。

ほむら(……もう、今日はいいや。寝てしまおう……)

空いたお腹も、今は気にならない。そのまま目を瞑り、気だるい感覚に全てを任せ、わたしは眠りについた。

                              ~美樹さやか~

さやか「恭介、何聴いてるの……?」
恭介「……亜麻色の髪の乙女」
さやか「ああ、ドビュッシー?良い曲だよね……」

夕陽に染まる病院の一室。今日もあたしは、恭介のお見舞いに来ていた。

恭介「………」

しかし、今日の恭介はなんだか元気がなかった。
イヤホンで耳をふさぎ、窓から外の光景を眺めているだけだ。

さやか「恭介……?どうかしたの?」
恭介「ねぇ、さやかは、さ。僕をいじめているのかい?」
さやか「……え?」

予想もしていなかった言葉が、恭介の口から出て来た。

イヤホンを外し、あたしを睨みつけて来る。

恭介「なんで今でもまだ音楽なんて聴かせるんだ?嫌がらせのつもりなのか?」
さやか「え、だ、だって…それは、恭介、音楽好きだから……」
恭介「っ……!もう聴きたくなんてないんだよっ!!自分で弾けもしない音楽なんてっ!!」

脇に置いてあったCDケースに思い切り左手をぶつける。CDケースが割れて、恭介の手からは血が流れていた。

さやか「だ、ダメ!大丈夫、きっと、きっと治るよっ!諦めなければ、きっといつか……!」

恭介の手を握り締め、動きを制止させる。

恭介「諦めろって言われたのさ……!!」
さやか「え……?」
恭介「もう、奇跡か魔法でもない限りは……っ!!」
さやか「……っ!」

その時、あたしの頭で歯車がかみ合った気がした。

さやか「……あるよ。」

窓際に、キュゥべえの姿があった。

さやか「奇跡も、魔法も、あるんだよ」

恭介をなだめすかせ、あたしはキュゥべえと一緒に屋上へと来ていた。

さやか「本当に、どんな願いでも叶えられるんだね?」
QB「大丈夫。キミの願いは必ず遂げられる」
さやか「なら、お願い。あたしの願いは……恭介の手の怪我を、治してほしい」
QB「了解だ。キミの祈りはエントロピーを凌駕した。

あたしの胸の中心に、光が収束する。それを両手で包む。
数秒の後、あたしの手に小さなものがコロン、と落ちた。

さやか「………これが」
QB「受け入れるといい。それが、キミの運命だ」
さやか「……!」

手にしたばかりのソウルジェムが、光を放っていた。

QB「どうやら、さっそく仕事みたいだね」
さやか「マミさんも、転校生も、まどかもいるけど……あたしだって、今からは魔法少女なんだ。
     行こう!」

あたしは、あたしの運命を受け入れる。

                          ~暁美ほむら~

町外れの廃工場を目指し、町の中を歩いて行く。
今日、そこでまた新しい魔女が姿を現すはずだ。

ほむら(………)

極力何も考えないように務める。
今回の魔女も、厄介な相手だったはず。
マミやまどかが来るかもしれないが、そんなことはどうだっていい。

廃工場には既に、魔女の口づけによって何人かが集まっていた。
その中に、見知った人がいた。

仁美「うふふ、楽しみですわね」
ほむら(志筑仁美……そうか、彼女も誘いこまれていたのね)

彼女は確か、まどか、さやかの友人だったはずだ。

ほむら(……ふふ、いいことを思いついた)

踵を返し、廃工場を後にする。

廃工場から少しだけ離れ、まどか達が姿を現すのを待つ。
恐らく、気配を察知してここに駆けつけて来るはずだ。

ほむら(早く来なさい……)

わたしの予想よりも早く、まどかとマミは姿を現した。

マミ「!」
まどか「ほむら……ちゃん……?」

二人はわたしの姿を確認すると、その歩みを止めた。

ほむら「二人とも、急いでどこへ向かっているのかしら?」
マミ「……言わなくってもわかるんじゃないかしら?」
まどか「この先で、魔女の気配があるんだよ!急がなきゃ、マミさん!」
ほむら「魔女の口づけで集まった人の中に、志筑仁美の姿があったわ」

まどかの動揺を誘う為、その事を教える。

まどか「え!?仁美ちゃんが!?」
ほむら「彼女を助けたいのなら……急ぎなさい」
まどか「どうして……」
マミ「鹿目さん!彼女を問い詰めるのは後よ!急がないと……!」

まどか「っ……!」

二人はわたしの脇を通り抜け、廃工場を目指す。
それから数分後に、今度はさやかが姿を現した。

ほむら「あら、美樹さやか。あなたもこの先に用があるのかしら?」
さやか「……転校生……?なんであんたが……いや、魔法少女なら当然か」
ほむら「そういうあなたも、どうやらキュゥべえと契約したみたいね?」
さやか「まぁね」

そう言いながら、得意げにソウルジェムをわたしに見せつけて来る。

さやか「まぁそんなわけだから、あたし行くね」

言いながら、さやかもわたしの脇を通り抜けようとする。
その腕を掴んで、さやかの動きを止める。

さやか「っ!? なにすんのさ、転校生?」

明らかに動揺した声で、わたしを問い詰める。

ほむら「行くこと自体を止めはしないけれど……きっとあなたが行ったら、後悔することになるわよ?」
さやか「……どういう、意味?」
ほむら「この先には、既にマミとまどかが向かって行った。あなたが行かなくても、あの二人がいれば魔女を倒すことができると思うわ。
      ……あなたは、行く必要はない」

さやか「……二人よりも三人。三人よりも四人の方がいいんじゃないの?」
ほむら「まあ、確かに人数が多い方が勝率はあがるでしょうね」
さやか「だったら転校生も……!」
ほむら「いいわ、聞きなさい美樹さやか。これからあなたに振りかかる運命を……」
さやか「………」

わたしの言葉を受けて、興味を持ったのか。今まで振りほどこうと力を込めていた手から、力が抜けていくのを感じ取った。

ほむら「それでいいわ。まずひとつ。あなたの契約する時の願いは、あなたの想い人の手を治してあげる、でしょう?」
さやか「っ?なんでそれを……」
ほむら「今は黙って、わたしの話を聞きなさい」
さやか「………」
ほむら「この先には、あなたの友人、志筑仁美がいたわ」
さやか「仁美が!?な、ならやっぱり急がないと……!」

友人の名を聞いて、再び手に力が込められる。




ほむら「………あなたは、彼女を助けたらきっと後悔する」

魔性の一言を、放つ。

さやか「………え?」

言葉の意味を理解出来なかったのか。今度はその動きが、完全に停止した。

ほむら「あなたの想い人……上条恭介に、志筑仁美は淡い恋心を抱いている」
さやか「……嘘、そんなこと」
ほむら「嘘か本当かは、全てを聞いた後にあなた自身が判断するといい」
さやか「っ……」

信じられないのか、言葉を失っている。
そんなさやかのことは気にせずに、話を続ける。

ほむら「腕が治った上条恭介は、きっと近いうちに退院するでしょうね。腕が治ったのならば、自力で歩けなくても松葉杖を使えば歩けるもの。
      そして、学校に復帰した上条恭介を見た志筑仁美は、その恋心を告白しようとするでしょうね」
さやか「……めて」
ほむら「しかし彼女は、あなたの気持ちにも気付いている。そして、自分よりもさやかが先に想いを打ち明ける権利があると言い出すわ」
さやか「やめて……」
ほむら「でも、その時のあなたは彼に自身の想いを打ち明ける勇気が持てない。いえ、勇気ではないわ。自分は、彼に愛される資格はないと自分を追い詰める」
さやか「やめてっ!!!!」

さやかの叫びが、町外れに響き渡る。

さやか「あんたに何がわかるってのさっ!!?」
ほむら「わかるわ。何度も繰り返してきたことだもの」
さやか「何を言って……」
ほむら「気になるかしら?気になるわよね、自分の身に降りかかることですもの」

さやかの動揺を誘い続ける。

さやか「あんたの言うことなんて、もう何も信じないっ!!」
ほむら「信じないのならそれでも結構。でもね、事実よ、全て」
さやか「仮にそうだったとしても、あたしは友達を見捨てるなんてこと出来ないよ!!」
ほむら「……そう。なら、行きなさい。と言っても……もう、手遅れなようね」
さやか「……え?」

道の向こうから、まどかとマミが歩いて来る。その手には、グリーフシードがあった。

マミ「……美樹さんと暁美さん?こんなところで何をしているの?」
まどか「………」
ほむら「魔女の口づけで集まっていた人たちはどうしたのかしら?」
マミ「……そのまま置いて来たわ。気を取り戻せば、後は各々の家へもどるでしょうね」

ほむら「死亡者は……まぁ、聞かなくってもわかるわね」
マミ「ええ、そうね。一人の死亡者も出てはいないわ」
さやか「っ……」


ほむら(………ゲームオーバー)

心の中で、さやかにそう告げる。

マミ「それよりも、あなたたちには聞きたいことがたくさんあるわ」
さやか「え?あたしにも……?」
マミ「………」
さやか「……っ」

マミの敵意を感じ取ったのか、さやかが少し怖気づく。

まどか「さやかちゃんも……契約、したんだね」
さやか「う、うん。魔女の気配がしたから、行こうと思ってたんだけど……」
マミ「なら、なぜこんなところで暁美さんと二人で佇んでいるのかしら?」
さやか「そ、それは誤解ですよマミさん!あたしは……」
ほむら「バレては仕方ないわね」

さやかの言葉を遮り、口を開く。

ほむら「ええ、そうよ。わたしたちは、あなたたちがやられればいいと思っていた」
まどか「え……嘘……」
さやか「ちょっと、何言い出すのほむらっ!?」
ほむら「集まった人の中に、志筑仁美がいたわね?」
マミ「志筑仁美?鹿目さんがさっき言ってた人?」
まどか「は、はい、そうです」

マミ「それよりも、あなたたちには聞きたいことがたくさんあるわ」
さやか「え?あたしにも……?」
マミ「………」
さやか「……っ」

マミの敵意を感じ取ったのか、さやかが少し怖気づく。

まどか「さやかちゃんも……契約、したんだね」
さやか「う、うん。魔女の気配がしたから、行こうと思ってたんだけど……」
マミ「なら、なぜこんなところで暁美さんと二人で佇んでいるのかしら?」
さやか「そ、それは誤解ですよマミさん!あたしは……」
ほむら「バレては仕方ないわね」

さやかの言葉を遮り、口を開く。

ほむら「ええ、そうよ。わたしたちは、あなたたちがやられればいいと思っていた」
まどか「え……嘘……」
さやか「ちょっと、何言い出すの転校生っ!?」
ほむら「集まった人の中に、志筑仁美がいたわね?」
マミ「志筑仁美?鹿目さんがさっき言ってた人?」
まどか「は、はい、そうです」

動揺するまどかとさやか。
それに反しマミは、冷静さを保ち続けていた。

ほむら「ひとつの街に魔法少女が四人なんて、尋常じゃないわ。グリーフシードの取り合いになるなんて、当然のこと」
マミ「勝手に人が守る町に現れておいて、ずいぶんな言い草ね」
ほむら「縄張り争いだって時にはするわ」
さやか「ち、違いますマミさん!あたしは、転校生に捕まってただけで……!」
マミ「………」

さやかの言葉も、もうマミには届かないだろう。
マミは今回の件で、わたしのことを完全に信用する気がなくなっている。
そう、いい流れだ。このまま、みんなに嫌われながら、わたしはこの世界を去るのよ。

まどか「そんな……ほむらちゃん、さやかちゃん……」
ほむら「これが、わたしと言う魔法少女よ。そして、それに賛同した美樹さやかも、わたしと同類」
さやか「いい加減に……!!」
マミ「いいわ、もう」
さやか「っ!!」

マミの怒気を孕んだ言葉を聞いて、さやかが言葉を失う。

マミ「行きましょう、鹿目さん」
まどか「っ……ヒック……」

わたしとさやかの脇を、泣いているまどかの手を引きながら抜けていく。

ほむら「………」

二人が立ち去るのを見届ける。

さやか「………………なんのつもり?」
ほむら「何がかしら?」
さやか「あたしを孤立させたかっただけ?あたしになんの恨みがあるのさ?」
ほむら「少なくとも、今のあなたに恨みはないわね」
さやか「思わせぶりなことばっかり!!」

しびれを切らしたさやかが、わたしから距離を置く。

さやか「いいよ、もう。あたしは、まどかのことを信じてるから。きっと、話せば分かってくれる」
ほむら「わずかな希望にすがるのかしら?やはり、あなたは愚かね美樹さやか」
さやか「……なんとでも言いなよ。あたしは、二人の誤解を解きに行くから」




さやか「……じゃあね、転校生。二度と、あんたの顔、見たくない」

それだけ言い残し、さやかも夜闇に飛びこんでいった。

翌日、わたしは再び魔女捜索のパトロールをしていた。

ほむら(……!)

辺りの景色が歪む。しかし、魔女にしては反応が弱かった。

ほむら(これは……使い魔、ね)

結界が不完全だ。
道の向こう側に、使い魔がいた。
そして、それを追いかける三つの影。
確認するまでもない。まどか、さやか、マミだ。
三人から逃げるように飛び跳ねていた使い魔が、わたしの姿を確認してその動きを止めた。警戒しているのだろう。
しかしわたしに敵意がないことを見抜いたのか、すぐにまた動き始め、わたしの脇を通り抜けて行った。
それを追いかけるように走っていた三人も、わたしの姿を見て停止した。

ほむら「こんばんは、三人とも」
マミ「暁美、さん……っ!」
ほむら「よかったわね、美樹さやか。マミとまどかに、信用してもらったのかしら?」

さやか「………」

見てとれるほどに、剣を持つ手に力が籠っている。

マミ「……完全に信用したわけではないわ。でも、行動で示すと言うから、今日は一緒に行動していただけ」
まどか「……っ」
さやか「そういうことだから、どいてよ。あの使い魔、仕留めなきゃいけないんだから」
ほむら「何を言っているの?あれ、使い魔よ?」
さやか「そんなこと、言われなくってもわかってるよ」
ほむら「倒したってグリーフシードなんて手に入らない。そんなこともわからないの?」

いつかの世界で杏子が言っていたことを思い出す。
なるほど、今のわたしは杏子と同じかもしれない。

さやか「でも!放っておいたら、また人が死ぬかもしれないんだよ!?」
ほむら「それでいい。そうして何人か狩らせれば、使い魔も魔女へ進化するものね」
さやか「あんたっ……!!」

ほむら「どうしてもあの使い魔を倒したいのなら、わたしを押しのけて行きなさい」
さやか「言われなくっても!!」

さやかが、わたし目掛けて突進を仕掛けて来る

ほむら「……ふん」

時間停止の魔法を使い、時を止める。
そして、手榴弾をひとつ取りだし、ピンを抜いて放り投げる、三人から距離を取る。
安全圏まで逃げたところで、時間停止を解除。

さやか「っ……え?」

さやかの眼前で、手榴弾が爆発した。

ほむら「………」

砂煙が巻き起こり、三人の姿が隠れる。
それが引いた先にあったのは、さやかが傷だらけで倒れている光景だった。

さやか「ぐっ……うぅっ……」

膝をガクガクと震わせながらも、なんとか立ち上がる。

ほむら「流石、治癒の祈りで契約しただけのことはあるわね。たいした耐久力だわ」

シンをさやかに脳内変換してお楽しみください
http://www.geocities.jp/d81318/img/lastbattle.jpg

さやか「あたしはっ……負け、ない……!!」

体中の傷が、治って行く。
本当に、大したものだ。

ほむら「で?続けるのかしら?」
さやか「当然でしょ!?」

やる気を出しているさやかとは相対的に、マミとまどかは傍観を決め込むようだった。
静かに佇み、わたしとさやかの戦いを見守っている。

さやかの攻撃は、思っていたよりは早かった。
だが、それだけだ。
時間停止の魔法が使えるわたしには、素早さなど関係なかった。
近づいてきたところを手榴弾で爆破を繰り返す。

さやか「はっ……はっ……」
ほむら「わからないかしら?あなたでは、わたしには敵わない」
さやか「く、くそっ……」

とうとう力尽き、その場に倒れ込んだ。

シャルロッテ「ごめんねぇ強くてさぁ!」

ほむら「……それで?あなたたちはどうするのかしら?」
まどか「さやかちゃんっ……」

倒れ込んださやかに、まどかが接近する。

まどか「酷いっ……酷いよほむらちゃん……グス、エグ……」

気絶しているさやかを抱きあげ、しゃくりあげながらわたしを非難している。

ほむら「急がないと、あの使い魔は一般人を襲うわよ?」

いつからかはわからないが、辺りは既に不安定な結界が無くなっていた。

マミ「……鹿目さん。美樹さんをお願い」

静かにそれだけ言うと、わたしの方へ向けてゆっくりと歩んで来る。

ほむら「やる気かしら?」
マミ「………怪我人の居る場所では戦いたくない。場所を移しましょう」
ほむら「どこでもいいわ、好きにしなさい」

先を歩くマミの後を追う。

マミ
デブ
ブタ
マブ
デミ
ブミ
マタ
デタ
ブブ

見滝原大橋―――

マミ「……ここでいいわ」
ほむら「………」

マミが、ソウルジェムを取りだした。
その隙をついて、時を止め、マミのソウルジェムを奪う。

マミ「っ!?」

今正に手に持っていたはずのソウルジェムが消失し、動揺している。

ほむら「探し物は、これかしら?」

マミのソウルジェムを、見せつけるようにかざす。

マミ「っ………!」
ほむら「いいことを教えてあげましょうか、マミ?」
マミ「………わたしに、拒否する権利はないのでしょう?」
ほむら「よくわかっているじゃないの」

ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ(笑)

力士、巴真実さん(15)。

  ,'.:       〃 ,:1  ,  __/  // /         } ,     ',
__彡ァ       乂_ノ :!  ,′ ./ ̄/7=‐.、__ノノ     ,'∧      '
.. /            /i::, {  彳ア:::抃<     ( (、__,/'  i     }
 ,'/リ.,   ,イ  ./`¨´i.|:∧. 、 .c弋匕Z_         >、_`ヽ、」     ,'
_彡'厶イ./iヽ,′   |:::∧ {?Y//             ア:::抃、 |    /
       / i|:::{:     `(( .?Y .))       ‘     弋匕Zっ    /
     /  ∨:、     }}_口_{{     ,_-‐- 、      / //
.    i.|   ∨:\ .γ´,...-‐-ミメ、 └‐―-、、、    .辷´五ニ=一、
.    ヾ、   \,:´,´./ ,.-‐-、.刈ハ.     `~    /          \
-‐…‐-'_ヾ   / l l. {::::::::::::} l l≧:.. ___.... -‐=¬=-、― _....___〉

  /¨,-‐… 7 . 八圦 `‐-‐' ,' 厂`Y   /        `ヾ´/////

. /  {    /.Y¨Y .ゞ.,`=‐-‐ 彡.1辷7―‐-/               ∨―‐- 、
. !   ',     /  !:::::::::`¨ニ¨´::::::|// `ヽ/                 ∨   .〉
. | >'´`ヽ:. /.i⌒i:::::::::::::::::::::::::::::::|/⌒) (  , -―-         j   ./

\! .Уヽ   (./ ./:::::::::::::◯:::::::::::::!  / ∧/ , -‐-、. \        〈‐‐-、 j
. /   ヾ .〈  ヾ::::::::::::::::::::::::::::::! 入 _〈_/    \ \       ∨_)'
――――「お菓子が脂肪を産むなら、みんな死ぬしかないじゃない!!」

テレビアニメ「脂肪少女まみか☆デブガ」の登場人物で、力士。愛称は「デミ」。(「マブ」のタイプミスとの説も)。
デブという設定は当初から明らかにされていなかったが、
その見事な肢体のパンパン張りと肉の垂れ下がり、直ぐに発砲する高血圧特有の気性の荒さ、そして腹の太さに痛々しいまでの厨二病っぷり、肥満のヲタクファンからは「同胞ではないか」と言われていた。
好きな物は三食のケーキ。特技は三食ケーキ。三食ケーキ。すりーけーく。ティロフィナーレ。ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ()

| |     | .|  |/      / |   /   | /           ,-|-r T´  |   || |
.! l     ! |  |.     ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ̄T /           '´ |/  l .!  /   | |.!
ヘ l     、 |  |   // ./  /     i/                 /!   | l ィ   / ,リ
/,ヽi     V .|   /    .!  /                    / |   ,' /.!  /
  lゝ 、    ゙、 |  ,/___| /____            ,.-‐┬‐┬ァ /  / l\
 i ´ヽ    ヽ | /  ̄`ー、_   l::::::::}ヽ         -ニ、__l_;:='//  / | l ヽ
.,ヽ   ヽ    ヽl/       ̄`ー┴‐'"´          、 ー─‐  / ,.'  //  ヽ
..\ __i、   ヽ                             /.イヽ / /   l }
\ \  ` \   ヽ                       ハ\ヽ' ´ |  |/ /   //
 ヽ  ヾー-r、 `ヽ、 ヽ、 \\\\             ゝ       // /   /イヽ
   ヽ Y ´  `ヽ、   ̄                         / ´ ` ヽ、/,.< ,|i .!
―--、l  |     |`ヽ、           、____ _,       ,. '        \ .)/ !
    `ヽi,r―、_,r-|  ヽ ヽ、         ` ー― '´     , イ            \  .|
      \ \\\  \ヽ、ヽ 、            ,イ  l;;|       /      ヽノ
         ヽ ヽヽ ヽ   `ヽヽ、 `゙ -  _ ,.イ/./ |  |;;|      /        ヽ
         ヽ ヾヽ \    `゙ -`゙、ヽ-,.r'´/ / !   |;;|     V /         `ー
          ヽヽ ヽ、, r  ̄ ` ヽ、  i .| i   / ,. --、.|;;|     V
           ヽV ´        \ | | | ,ノ/     `ヽ、     |

       / ̄ ̄ ̄ ̄\
      /;;::       ::;ヽ
      |;;:: ィ●ァ  ィ●ァ::;;|
      |;;::        ::;;|
      |;;::   c{ っ  ::;;|

       |;;::  __  ::;;;|           ティロフィナーレ!
       ヽ;;::  ー  ::;;/
        \;;::  ::;;/

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       /;;;,,;;;;;;;;;;;ヽ、;;;|

         |;; ;;;;\;;;;;;;,,,\|
       |;;;;;,,,,,,;;;;\;;;;;;/\                             _( "''''''::::.
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     /;;;; ;;;;;;;;;;;;;;;;;;;\ `丶、  `丶_    _/:::::::::....:""""  ・    ・  . \::.   丿
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    /;;;,,       ,,,;;;;;;;;;;;;,,\   `ー´    ̄~\:::::::::::::::::::::::::::::;;;;;,, ---‐'' "^~
   /;;;;;:: ;;;;;;;;;;;;;__;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;;, ;;ヽ、        |:;;  :''^~`\
  /;; ;;;;; ;;;;;/ ̄    ̄ ̄\;;;;;;;;;;;;;;|        ノ;; ,.‐ ;;-.;i|
 /;; ;;;;;;;;/           \;;;;;;; |        /;;; /' ''   ;;;X
..| ,,;;;;;/              |   |        |;;  ;i;;.. ~  ;;|
..|;;,,;;;;;;|              |   |        X~ ;i;;; ;;,. ;;;/
..ヽ  |                |  |         ヽ;;__\_;;/
  ヽ  |              |   |
  ヽ |              |  |
 /  |              |  \
∠──´              `─_`_

ほむら「魔法少女の魂って、どういうものか知っている?」
マミ「いきなり何を……」
ほむら「このソウルジェムがそうなのよ。英語の直訳で、魂の宝石。これが持ち主から一定以上離れるとどうなるかわかる?」
マミ「……え?」
ほむら「言うよりは実践してみせた方が早いかもしれないわね」

そう言って、マミの後方に視線を移す。気を取り戻したさやかと、まどかが駆けつけていた。

まどか「マミさんっ!よかった、まだ戦って……っ!」
さやか「マミさんのソウルジェムを………」

二人はわたしの手の中にあるものを見て、ある程度の状況を把握していた。

ほむら「いいわ、見せてあげる」

そう言って、マミのソウルジェムを橋の下へ放り投げる。
放り投げたソウルジェムは、ちょうど下を通りかかったトラックに乗り、マミとの距離を広げていく。

マミ「わたしのソウルジェm……」

途中まで言いかけ、バタリと倒れ込んだ。

マミのブクブク、デブ・ニナーレ

糸冬

| |     | .|  |/      / |   /   | /           ,-|-r T´  |   || |
.! l     ! |  |.     ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ̄T/           '´  |/  l .!  /   | |.!
ヘ l     、 |  |   // ./  /   _,. /            _二_!___ | l ィ   / ,リ
/,ヽi     V .|   /    .!  /ニ二__.             イ<//|ヽ|,' /.!  /
  lゝ 、    ゙、 |  ,/  ,.. -r=i/////l|`             rミゝ/リ  |/ /  / l\
 i ´ヽ    ヽ | /  /´´_,.)//ゝ__ノ/,|              |  o,/   /  / | l ヽ
.,ヽ   ヽ    ヽl/    ヾ    ̄ ,/                ー´   / ,.'  //  ヽ
..\ __i、   ヽ      ゝー‐ '´                   /.イヽ / /   l }
\ \  ` \   ヽ                       ハ\ヽ' ´ |  |/ /   //
 ヽ  ヾー-r、 `ヽ、 ヽ、 \\\\             ゝ       // /   /イヽ
   ヽ Y ´  `ヽ、   ̄                         / ´ ` ヽ、/,.< ,|i .!
―--、l  |     |`ヽ、           、____ , .     ,. '        \ .)/ !
    `ヽi,r―、_,r-|  ヽ ヽ、         ` ー― '´     , イ            \  .|
      \ \\\  \ヽ、ヽ 、            ,イ  l;;|       /      ヽノ
         ヽ ヽヽ ヽ   `ヽヽ、 `゙ -  _ ,.イ/./ |  |;;|      /        ヽ
         ヽ ヾヽ \    `゙ -`゙、ヽ-,.r'´/ / !   |;;|     V /         `ー
          ヽヽ ヽ、, r  ̄ ` ヽ、  i .| i   / ,. --、.|;;|     V
           ヽV ´        \ | | | ,ノ/     `ヽ、     |

まどか「え……?マミ、さん……?」
さやか「どうしたんですか、マミさん!?」

二人が、倒れ込んだマミに駆け寄る。

まどか「…………嘘……」
さやか「し、死んでる……!?」
ほむら「わかったかしら?ソウルジェムが持ち主から離れると、体の方は活動を停止する」
マミ「    」
ほむら「………聞こえていないわね」

時を止め、過ぎ去ったトラックを追いかける。
それほどスピードが出ていなかったのが幸いか、距離はあまり離れていなかった。
ソウルジェムを回収し、橋へと戻る。

マミ「……?」

ムクリと、マミが起きあがった。

まどか「マミさん!」
さやか「あんた、一体何をしたのさっ!?」
ほむら「わたしはソウルジェムを一定距離離しただけ。これも、返してあげる。
マミ「え、一体何が……?」

ほむら「それで?まだ戦うつもりかしら?」
マミ「……?」

何が起こったのかを本当に理解出来ていない様子で、わたしとまどか、さやかの顔を交互に見渡していた。

ほむら「………まどかとさやかから、話を聞くといいわ。そして、まどかとさやか。あなたたちも、軽々しい気持ちでキュゥべえと契約したことを、後悔するのね」

呆然としている三人をその場に置いて、わたしは立ち去る。

ほむら(………とんだ茶番ね。滑稽だわ……)

心の中の自嘲も、虚しいだけだった。

さすがヴァロットラマギカエドゥーインフィニータさんや!


           ____
  .ni 7      /ノ   ヽ\   ヒャッハー!これこれ!これだぜぇ俺が求めてたものはよぉ!!
l^l | | l ,/)   / /゚ヽ  /゚ヾ\      .n
', U ! レ' / /   ⌒   ⌒  \   l^l.| | /)
/    〈 |  (____人__)  |   | U レ'//)
     ヽ\    |lr┬-l|   /  ノ    /
 /´ ̄ ̄ノ    ゙=ニ二"   \rニ     |

                              ~美樹さやか~
マミさんの家に来たあたしたちは、マミさんに事の顛末を話した。

さやか「………」
まどか「………」
マミ「ほ、本当、なの……?」

全てを話し終わり、マミさんは信じられないと言った顔をして確認を取る。

さやか「本当、です。わたしとまどか、見てましたから。急に体から力が抜けて、倒れ込むマミさんの姿を……」
まどか「っ……ヒック……」

まどかが、泣いていた。それに対してマミさんは、未だに信じられないと言った風だった。

QB「やあ、みんな。暗い部屋で何の話をしているんだい?」
さやか「キュゥべえ……」
マミ「……ちょうどよかったわ、キュゥべえ。聞きたいことがたくさん、たくさんあるの……」
QB「何やら深刻な様子だね。僕に答えられることなら、なんでも答えてあげるよ?」

>>152
もういい勘当した

脂肪で反発して殺せません

キュゥべえとマミさんの話を、あたしとまどかはただ黙って聞いていた。
マミさんの問いに、キュゥべえは全て答えていた。

マミ「……なぜ、言ってくれなかったの?キュゥべえ」
QB「なぜって、聞かれなかったからね。契約する前にきちんと聞いてくれれば、僕だって答えたさ」
さやか「っ………」
まどか「そんな……」
QB「キミ達人間は本当にわけがわからないよ。魂の在り処を気にするなんて。むしろ、便利だと思うけれどね。
   その気になれば、痛みを完全に遮断することだって出来るんだ。まぁそれは動きが鈍るからオススメはしないけれどね」

キュゥべえの淡々とした言葉を聞いて、沸々と怒りがこみ上げて来る。

さやか「そんなことっ……それじゃ、あたしたちみんなゾンビにされたようなもんじゃないっ!!」
QB「言い得て妙だけれどね。でも僕は、ちゃんと頼んだはずだよ?僕と契約して、魔法少女になってほしい、って」
マミ「っ………キュゥべえ」
QB「なんだい、マミ?」
マミ「……わたしは、騙されたとは思っていないわよ」
まどか「!」
さやか「マミさん……?」

昨日のSSだけど
まどほむからほむさや展開になっただけなのにギャーギャーわめくまどほむ厨しね

マミ「あの時、あなたが現れてくれなければ……わたしは死んでいたもの」
QB「そうだね。僕も、それを狙っていたわけだけど」
マミ「でも……ちゃんと話してほしかったわ」
QB「それは悪い事をしたね。でも、過ぎたことをどうこうすることは、僕には出来ないよ」

マミさんは、泣きそうな顔をしながら、それでも強さを持ち続けていた。
あたしは……どうなんだろう。

QB「それで、キミ達は?僕に騙されたって、今でも思っているのかい?」
まどか「わ、わたしは……」
さやか「……そう、だね。確かに、あたしたちも聞かなかったよね」

そうだ。今は、あたしたちの間でギスギスしている場合じゃない。
転校生、暁美ほむら。あいつを、どうにかしないと。

QB「………どうやら、暁美ほむらに翻弄されているようだね」
まどか「わかるの、キュゥべえ?」
QB「ほむらの家に向かった僕からの情報だ」
マミ「暁美さんの家に向かった……?」

                              ~暁美ほむら~
家に帰って来て、すぐに異変に気付いた。

QB「やあ、ほむら」
ほむら「キュゥべえ……」

家の中に、キュゥべえがいた。

ほむら「何の用かしら?」
QB「聞きたいことがあってね」
ほむら「………」
QB「最近、様子がおかしいよ、ほむら。僕がまどかと契約したのが、そんなに気に障ったのかい?」
ほむら「……別に、あなたに対して怒っているわけではないわ」

そう。今のわたしの怒りは、わたしの忠告を聞いたにも関わらず契約に踏み切った鹿目まどかに対してだ。

QB「そうかい?でも、あまり悠長に構えている場合ではないけれどね」
ほむら「………ワルプルギスの夜のことかしら?」
QB「そんなことまで知っているんだね。ホントに、キミはイレギュラーだ」
ほむら「……ふん」

QB「キミの目的はなんなんだい?」
ほむら「そんなことを聞いてどうするのかしら?」
QB「僕はどうこうするつもりはないさ。ただ単に、興味がある、じゃダメかな?」
ほむら「……感情がないと言っている癖に、興味は持つのね」
QB「まぁね。キミの目的が、本当に見えてこないから」

言うまでもない。わたしの目的は……

ほむら「まどかの魔法少女の契約の阻止、そして二週間後にやってくるワルプルギスの夜を撃破することよ」
QB「最初の目的はもう達成出来ないね」
ほむら「あなたがまどかを口車に乗せたからでしょう?」
QB「誤解されるようなことを言わないで欲しいね。まどかとは、あの時やられそうになったマミを助ける為だけに契約したんだよ?」
ほむら「………」
QB「まぁ、それでもこれだけ魔法少女がいれば、ワルプルギスの夜にも勝てるかもしれないね」

杏子「…」

                              ~美樹さやか~
QB「キミ達にも話しておこうかな。ワルプルギスの夜のことを」
マミ「!」
さやか「ワルプルギスの夜……?」
まどか「なに、それ……?」
QB「結界に身を隠すことのない、超弩級の大型魔女のことだ。あと二週間後、この町に来ることが予測されている。

超弩級の大型魔女……?

さやか「それ……って、あたしたちに倒せるのかな?」
QB「さあ、どうだろうね。でも、戦わなきゃこの町が廃墟になるだけだよ」
マミ「ワルプルギスの夜……」
まどか「マミさんは知っているんですか?」
マミ「魔法少女の間では有名な名前よ」

あたしとまどかは、契約したばかりだから知らなくっても当然なのかな。

QB「ほむらの目的は、それの撃破みたいだけれど……どうも、それだけが彼女の目的とは思えない。
    一応、気をつけておいた方がいいよ。今の彼女は、何をしでかすかわかったものじゃないからね」

杏子「あたしは不可能を可能にする女ってね!もうどこにもいかないぜマミっ」

マミさんの家からの帰り道。

まどか「………」
さやか「………」

痛いほどの沈黙が、あたしたちの間に流れていた。
マミさんはああ言っていたけど、やっぱりまだ全てを受け入れる気には、なれなかった。

まどか「さやか、ちゃんっ……!」
さやか「! まどか……」

まどかが、あたしの腕を握ってくる。
その力は弱々しく、そして微かに震えていた。

まどか「なんで……どうして、こんなことになっちゃったの……?」
さやか「………ちゃんと話を聞かなかった、あたしたちが悪いんだよ」
まどか「っ……ヒック……」
さやか「でもさ、まどかが契約したおかげで、マミさんは死なずに済んだし。あたしだって……恭介の手、治してもらったんだもん」

さやか「………」

でも。今になって、転校生の言っていたことが、理解出来たのも確かだ。
今のあたしは……恭介に好きになってもらう資格は、ない……。

さやか「……あはは、あたしって、ホントにバカだね」
まどか「さやかちゃん……」

あたしの腕を握る手に、少しだけ力が籠る。

さやか「マミさんの事、助けてあげなくっちゃ、まどか。……ね?」
まどか「っ……」

涙をハンカチで拭って、少しだけ頷く。

翌日。人の行きかう通学路の中に、恭介の姿があった。

さやか「……恭介……?」
まどか「上条くん、退院したんだ……」

松葉杖を使って、必死に歩いていた。

教室に入る。恭介は、クラスメイトに囲まれて話をしているようだった。

まどか「さやかちゃん……上条くんに話しかけなくっていいの?」
さやか「………あたしは、いいよ」

もう、恭介への気持ちは、忘れることにしよう。
きっと、それが一番なんだ。

仁美「………」

放課後、今日は珍しく稽古事のないという仁美に誘われて、喫茶店へとやってきていた。

さやか「まどかは呼ばなくってよかったの?」
仁美「ええ。さやかさんに、お話しておきたかったことがありますの」
さやか「………」

嫌なことを思い出す。

ほむら『………あなたは、彼女を助けたらきっと後悔する』
ほむら『あなたの想い人……上条恭介に、志筑仁美は淡い恋心を抱いている』
ほむら『腕が治った上条恭介は、きっと近いうちに退院するでしょうね。腕が治ったのならば、自力で歩けなくても松葉杖を使えば歩けるもの。
      そして、学校に復帰した上条恭介を見た志筑仁美は、その恋心を告白しようとするでしょうね』
ほむら『しかし彼女は、あなたの気持ちにも気付いている。そして、自分よりもさやかが先に想いを打ち明ける権利があると言い出すわ』
ほむら『でも、その時のあなたは彼に自身の想いを打ち明ける勇気が持てない。いえ、勇気ではないわ。自分は、彼に愛される資格はないと自分を追い詰める』

………転校生の、言ってたことだ。全部、全部、全部!!
全部当てはまってる!!

仁美「わたくし、ずっと前から上条恭介さんのことをお慕いしてましたの」
さやか「………」
仁美「さやかさんは、上条さんとは幼馴染でしたわね」
さやか「………」
仁美「……さやかさん?」

仁美に名前を呼ばれ、正気に戻る。

さやか「っ!え、あ、ああ、うん。まぁ、腐れ縁っていうか何て言うか……」
仁美「本当にそれだけですの?」
さやか「っ……」
仁美「わたくし、抜け駆けはしたくありませんの。ですので、一日だけお待ちしますわ。

    それまでに、自分の本当の気持ちと言うものを、確認してくださいな。
    ……後悔、なさらぬよう」

仁美はそれだけ言い残すと、先に店を後にした。

さやか「………ぅっ」

吐き気がしてきた。結局、転校生の言っていたことは本当で。
でも、あの時あたしはどうすればよかった?転校生を振りきって、魔女の所まで行って、仁美を見殺しにしていればよかった?
そんなこと、出来るわけない。あたしは、あたしは……っ!!

さやか「ぅぅっ……!」

吐き気を我慢できなくなり、トイレに駆け込む。

さやか「ぅおぇっ……うぐっ……ぇ……!!」

吐瀉物が、便器に吸い込まれて行く。

さやか「はぁっ……はぁっ……ぅぐっ……!!」


ひとしきり吐いたところで、あたしも店を後にした。

なんか急に切り替わったから真顔で店出るさやか想像して吹いた

辺りは、既に日が落ちて暗くなっていた。

さやか(……………あたし、は……)

フラフラと、町を彷徨う。
目的?そんなものは無かった。ただ、家に帰る気にもなれず、ただ町を彷徨っているだけだ。

さやか(………)


まどか「さやか、ちゃん……?」
さやか「……まどか……?」
マミ「どうしたの、美樹さん?顔色が優れないわよ?」

人気のないところまで、いつの間にか来ていたらしい。魔女捜索のパトロールをしていたであろう二人に遭遇した。

さやか「………ちょっと、ね」
まどか「大丈夫?魔女退治なら、わたしとマミさんがいるから……気分が悪いんなら、家に帰った方が……」

ああ、なんだろう、この気持ちは。まどかを、煩わしいって思うなんて。
…………………最低だ、あたし。

まどか「家に帰ろう?一緒に着いて行くから……」
さやか「………さいなぁ……」
まどか「……え?」
さやか「うるさいなぁ!!」

声を張り上げる。

さやか「なんでもないっ!!大丈夫だよっ!!!」
マミ「美樹さん!?あ、ちょっとっ!?」

二人の制止を振り払い、あたしは走り出した。
今は、ひとりになりたかった。

さやか「はっ、はっ、はっ……!」

二人の姿が見えなくなった辺りで、走るのをやめる。……と、魔女の気配がした。

さやか「ほんっとうに……空気の読めない魔女……!!」

でも、今はありがたい。魔女と戦っていれば、少しは気分も紛れるだろう。
魔女の気配を追って、歩き始める。

かつて対決したあいつと共闘

魔女結界の中に入る。

ほむら「はっ!!」

中では既に、転校生が魔女と戦っているところだった。

ほむら「っ……」

魔女から一定距離を置いて、着地していた。その転校生に、近づく。

さやか「………転校生」
ほむら「! 美樹さやか……?」
さやか「手こずってるみたいだね。………手、貸してあげようか?」
ほむら「………」

転校生の返事を待たず、魔女に向けて突進を仕掛ける。

エルザマリア「………」

あたしに向けて、無数の触手が伸びて来る。その全てを剣で斬り払い、魔女本体に攻撃を仕掛ける。
……剣は、届いた。しかし、それとほぼ同時。魔女の触手が、あたしの両足と剣を持つ右手を拘束していた。
そのまま宙に持ちあげられ、投げられる。

さやか「っ……」

無様に転げ回り、転校生の足元でようやく止まる。

ほむら「………さやか?」
さやか「なんだ、慣れれば簡単じゃん」

体中の傷など気にせずに、再度突進。触手があたしの手や腹を切り裂いて行くが、気にしない。
―――もう、痛みなんて何も感じないのだから。

さやか「あっはははははは!なんだ、簡単じゃん!最初っから知っていれば、怖い物なしだよねぇ!!」

剣で、魔女本体をメッタ切りにする。
それでも魔女の攻撃は止まず、あたしの体にも無数の傷跡が出来ていく。

さやか「転校生…!」パンパン

                              ~暁美ほむら~
ほむら「っ………」
ほむら(そう……やっぱり、こうなったわね……)
さやか「あっはははははははははははははははははははははは!!!!」
エルザマリア「……!!……っ!!」

魔女の必死の攻撃にも一切怯まず、さやかの攻撃は止まない。
やがて、少しずつ、魔女の抵抗が収まってくる。
さやかがそれに気付いているのかも、定かではなかった。
……いや、多分気付いていないだろう。さやかの攻撃は、容赦がなかった。

さやか「これで……トドメェェェェ!!!」

両手で頭上に掲げた剣を、力任せに振り下ろす。
それが、決着だったようだ。
魔女は完全に沈黙し、結界が少しずつ崩れていく。


さやか「………はん、他愛ないね」

体中から血を流しながら、さやかはグリーフシードを拾っていた。

ほむら「美樹さやか、あなたは……」
さやか「んー?ああ、そういやいたんだったっけ、転校生」

さやかが、血まみれの顔であたしを見る。
その眼には、正気が宿っていないようだった。

ほむら「………」
さやか「ああ、そうだ。あんたに、言っておくことがあったんだった」
ほむら「……え?」
さやか「あんたの言った通りだったよ。全部、全部、全部!!あははは、バカだよねぇあたし!!」

狂気を孕んださやかの笑い声は、辺りに響き続ける。
そしてその笑い声は、さやかの後方にいるまどか、マミにも聞こえていたようだった。

まどか「さやかちゃんっ!!大丈夫なの、体中、傷だらけだよっ!!」
マミ「どうしてそんな傷を……っ!!」
さやか「ああ、大したことないよこんな傷。痛みなんて、感じないからね。あはははははは!!」
まどか「………さやか、ちゃん……っ」

まどかは、さやかに憐れみの目を向けていた。

ほむら「何を憐れんでいるのかしら、まどか?」
まどか「え……?」
ほむら「あなただって、他人事じゃないわよ?」
まどか「っ………」

さやか「このグリーフシード、転校生にあげるよ。あたしは聞きやしなかったけど、忠告してくれたお礼ってことで」

グリーフシードを投げて来る。
それを受け取り、さやかの眼を見る。……少しだけ、正気を取り戻したようだった。

さやか「それじゃ、かえろっか、まどか、マミさん?」
まどか「……う、うん……」
マミ「………」

二人はわたしに視線を一瞬だけくれると、さやかと一緒に歩いて行った。

ほむら(………もう、手遅れね)

時期に、さやかは魔女化するだろう。
それを阻止する気など、もちろんない。
……この世界は、最初から捨てる気なのだから。

                              ~美樹さやか~
まどか「ねぇ、さやかちゃん?さっき、痛みを感じない……って言ってたけど……」
マミ「……」
さやか「え?ああ、うん。前にキュゥべえ、言ってたじゃん?その気になれば、痛みを消すことが出来るって
     それを試してみただけだよ」

その成果は、思っていた以上だった。全身に、麻酔が効いているって錯覚するほど。
麻酔と違うのは、痛みは感じなくても動かすことは出来るってだけ。
まるで、狂戦士だね。まぁ、魔女を簡単に倒せるんなら、それでもいいんだけどさ。

まどか「ダメだよ、そんな戦い方……」
マミ「そうね、わたしもそれに同意。そんな戦い方をして勝ったって、あなたの為にはならないわ」
さやか「なにさ、あたしの為って?」

二人の小言にイラつき、突っかかる。

マミ「………」
さやか「まどかだってマミさんだって、魔法少女じゃん。何?恐れることなくこういう戦い方の出来るあたしが羨ましいの?妬ましいの?」
まどか「そんなこと……」
さやか「ホントにあたしの為を思うんならさ……」



さやか「あの時、仁美を見殺しにしてくれればよかったじゃん」

マミ「え?」
さやか「今まで言ってなかったけどさ。あたし、好きな人がいるんだよね」
まどか「……」
さやか「でさ、その人を助ける為にこうして契約して、魔法少女になったわけ」

ああ、もう何もかもどうでもいい。全てをぶちまけてやろう。

さやか「その人は無事に退院した。喜んだよ、よかったって。あたし、間違ってなかったんだなって
     だけどさ、あたしの友達に、その人が好きだって人がいた。まどかならわかるよね?仁美がそうだよ」
まどか「っ………」
さやか「もしさ、あの時、まどかとマミさんが向かった先で、魔女を倒してなければさ。仁美は、そこで死んでたんだよ。
     わかる?あたしのライバルがいなくなってたの」
マミ「美樹さん。あなた、自分が何を言っているかわかっているの?」
さやか「ええ、わかってますよ。あたしは、ライバルが死んでくれればよかったって言ってるんです」
マミ「っ……」

マミさんの張り手が、あたしの頬を直撃した。

マミ「見損なったわ、美樹さん。あなたも、わたしと同じ志を持っていると思っていたけれど」
まどか「………」

わっふるわっふる

ティロ・ハリテ!

さやか「見損なった?何がです?あたし、何か間違ったこと言ってますかね?」
マミ「人として間違ったことを言っているわ」
さやか「そんな綺麗事を。第一、あたしはもう人間じゃないです。ゾンビですよ、ゾンビ」

そうだ、ゾンビだよ。あたしも、まどかも、マミさんも、転校生も。
人としての道徳なんて、あたしには通用しない。

さやか「もういいです。マミさんとまどかとは、どうあっても分かり合えなさそうですね」

それだけ吐き捨て、あたしはその場を後にしようとする。

まどか「……まって、さやかちゃん……」
さやか「ついてこないで。……一人になりたいの」

まどかとマミさんをその場に置き、あたしは家路につく。

さやか(……あたし、何言ってんだろ……親友と、尊敬する人相手に……)

そんなことばかり考えていたせいで。
―――あたしのソウルジェムのことなんて、気にも掛けていなかった。

                              ~暁美ほむら~
翌日。昨日のさやかの様子が気になって、町を練り歩いていた。
……使い魔の気配がする。恐らくそこに、さやかもいるだろう。
その方向へ、足を向ける。

使い魔の気配がしたのは、路地裏だった。そこに、さやかの姿もあった。

さやか「うああああああああっ!!!」

わたしが遭遇したのは、決着の瞬間だったようだ。
一刀の下切り捨てられた使い魔が、消滅して行く。

ほむら「やっているわね、美樹さやか」
さやか「! 転校生……」
ほむら「……いつまでも他人行儀ね」
さやか「え?」
ほむら「わたしの言っていたこと、全て本当だったんでしょう?」
さやか「……」

さやかは無言で頷く。

ほむら「わたしの言うこと……少しは信用する気になった?」
さやか「……そうだね。少なくとも今は、まどかやマミさんが言うようなことよりも、あんたの言葉の方が信用できるかな」



さやか「………ほむら」

マミ>魔女退治はひーろごっこじゃない

ああ、さやかが堕ちていく。その姿が美しいと思うなんて……わたしも、どうかしているのかしら。

ほむら「……」
さやか「あー、なんかもう何もかも清々しい気分だよ。あたしの想い人は友達に取られちゃうし」
ほむら「それじゃ、魔法少女の真実、その二つ目を教えてあげましょうか?」
さやか「まだなんかあるんだ?気になるな、教えて?」

こんなにも友好的なさやかは珍しい。
わたしもつい、嬉しくなってしまう。

ほむら「……あなたのソウルジェム、出して御覧なさい?」
さやか「あたしのソウルジェム?」

わたしに言われて、素直にポケットからソウルジェムを取りだす。

さやか「ずいぶんとどす黒くなってるね」
ほむら「それが完全に黒く染まった時……どうなるか、知りたいかしら?」
さやか「どうなるの?」
ほむら「ふふ……簡単なことよ。魔法少女が希望の存在ならその希望が全て失われた時、どうなると思う?」
さやか「………あー……なるほどね」

このひと言で、さやかは全てを悟ったようだった。

ほむら「ここに、昨日あなたから貰ったグリーフシードがあるわ」
さやか「うん」
ほむら「これを使えば、あなたのグリーフシードは浄化出来るけれど……どうする?」
さやか「………」

さあ、どうでるのかしらね美樹さやかは。
まぁどちらの答えであっても、わたしはこのグリーフシードを渡す気など無いのだけれど。

さやか「……いや、いらないよ。あんたにあげるって言った以上、それを返してもらうのはあたしの主義に反するし」
ほむら「あら、そう?」
さやか「もう、ホントにどうでもいいよ。あたしが死ぬんなら、それでもいいんじゃないのかな。それで、恭介があたしの事を悼んでくれるんならね」
ほむら「いいわ、美樹さやか。今のあなたには、すごい親近感を覚えるわ」
さやか「そう?」
ほむら「それじゃ、あなたの最期、見届けてあげるわ」







ほむら「………安らかに、絶望しなさい」

さやかのソウルジェムに、亀裂が入る。
そして、『それ』は、新しい絶望をまき散らす為に孵化するのだ。

オクタヴィア「オオオオオオオオ……」
ホルゲル「~~♪」
クラリッサ「~~♪」
ほむら「………」

演奏者の使い魔の演奏に合わせて、ダンサーの使い魔が踊りを披露する。
そしてその姿を、嬉しそうに眺める魔女。

ほむら「……いい演奏ね。さやか」

もはやわたしの言葉など届きはしないだろう。しかし、話しかけずにはいられなかった。

ほむら「……ダンサーも、いいものだわ。これが、あなたの求めていた光景なのかしら?」
オクタヴィア「オオオオオオ……」
ホルゲル「~~~~♪」
クラリッサ「~~~~♪」

演奏者の使い魔は上条恭介を、ダンサーの使い魔は志筑仁美を写しているのだろう。
恋人同士となった二人の息は、本当にぴったりだった。

ほむら「……それじゃ、わたしは行くわ。あなたは心行くまで、二人のステージを楽しみなさい」

最後に魔女の姿を一瞥し、わたしはその場を去る。
……いずれ、この町を守る魔法少女であるマミとまどかに倒されるだろうさやかの運命を、少しだけ悼んで。

魔女結界から脱出する。そこには、美樹さやかの亡骸があった。

ほむら「………」

その亡骸を、優しく抱き上げる。
その場を去ろうとしたところで、まどかとマミが駆けつけて来た。

ほむら「あら、随分と遅い登場ね」
まどか「さ、さやかちゃん!?一体どうしちゃったの!?」
マミ「美樹さんのソウルジェムをどこへやったのかしら、暁美さん?」
ほむら「わたしはどこにもやっていないわ。さやかのソウルジェムは、この場で、消失した、と言えばいいのかしらね」

嘘は言っていない。
ソウルジェムがグリーフシードに変換された時に、さやかのソウルジェムはこの世界から紛失したようなものなのだから。

マミ「………あなたの後方に、魔女の気配がするのだけれど?」
ほむら「ええ、そうね。彼女は、あなたたちが倒すといいわ。きっと、彼女もそれを望んでいる」
まどか「……『彼女』…?」
マミ「どういうこと、かしら?」
ほむら「言わなきゃわからないかしら?さやかのソウルジェムはこの場になくて、代わりに魔女の気配がする。
      それが意味する事とは?小学生でも解けそうな問題よね」

杏子「…」

また豆腐メンタルが張り手とか胸熱…いや胸焼けしてくるな

まどか「………ま、まさか……?」
ほむら「キュゥべえ……いえ、インキュベーター。いるのでしょう?姿を見せたらどう?」
QB「やれやれ、ほむらにはお見通しか」
マミ「キュゥべえ……?」

二人は、わたしの出した問いのイコールを結び付けるのを否定するかのようにしている。

ほむら「まどかとマミに、教えてあげなさい。さやかが、どうなったのか」
QB「お安い御用だよ。さやかはね、この世の何もかもに絶望して、魔女になったのさ」
マミ「……う……そ……?」
QB「ソウルジェムが完全に濁るとね、それはグリーフシードへと変換されるのさ。だから、ほむらの言っていることは間違いではないよ
   ソウルジェムがグリーフシードになった瞬間に、さやかのソウルジェムはこの世に存在しなくなったのさ」

こう言う時、インキュベーターは本当に便利だ。聞かれれば嘘は言わないから、説明役としては大いに使える。

まどか「そ、それじゃこの魔女は……」
QB「さやかのソウルジェムが変換されたグリーフシードが生み出した魔女さ」
マミ「………」

エドモント・巴

マミ「これで」
デブ「最後の」
ブタ「ティロッ」
マブ「☆」
デミ「張り手」
ブミ「ブンッ」
マタ「バチィィィン!!」
デタ「ブバチュンッ!!」
ブブ「」コウチャズズー

幼馴染がこうなったからにはまどかさんの覚醒タイムがっ

まどか「さ、さやかちゃんを助ける方法は何かないのかな?」
QB「無いだろうね。キミ達魔法少女は条理を覆す存在だけど。この世には、どうあっても覆せない理もあるのさ」
マミ「……そん、な……」
まどか「さやか、ちゃん…………う、うえええぇぇぇん……」

マミが、膝から崩れ落ちる。
まどかも、その事実を受け入れることが出来ずに嗚咽を漏らして泣いていた。

ほむら「……それで?この魔女を放っておけば、被害者が出るわよ?もちろん、倒すのでしょう?」
マミ「………」
まどか「………」
ほむら「わたしの声が聞こえているのかどうかも、怪しいわね?とりあえず、さやかの亡骸はあなたたちに預けるわ。
     ……ちゃんと、弔ってあげなさい。せめて最期は、人間として、ね」

さやかの亡骸を、二人の側にそっと置く。そして、わたしはその場を後にした。

ほむら(これでいい……ワルプルギスの夜が来るまで、あと一週間……)

マミ「ヴァロットラマギカエドゥーインフィニータ!!」ハリテ

杏子「へぶんっ!!」」

http://pic.prcm.jp/gazo/c5V/eVbw4f.jpeg

                              ~巴マミ~
まどか「……ヒック、グス……さやかちゃんっ……」
マミ「………行きましょう、鹿目さん」

こうしていても、何も解決しない。
とにかく、魔女が見滝原にいる以上は、わたしは魔法少女としてこの町を守らなければ。

まどか「……で、も……この魔女、は……さやかちゃん、なんですよ……?」
マミ「……もう、美樹さんではないわ。ここにいるのは、ただ絶望を振りまくだけの魔女。わたしたちは、それを倒さなければならないの」
まどか「そんな……こんなのってないよ……」

鹿目さんの気持ちは痛いほどよくわかる。
しかし今は、そんなことを言っている場合ではない。

マミ「………」
まどか「………」

今までしゃくりあげて泣いていた鹿目さんも、意を決したかのように立ちあがる。
気配のする方向に手をかざし、魔女結界へと侵入する。

>>336
>まどか「そんな……こんなのってないよ……」

>鹿目さんの気持ちは痛いほどよくわかる。
>しかし今は、そんなことを言っている場合ではない。

>マミ「………」
>まどか「………」

>今までしゃくりあげて泣いていた鹿目さんも、意を決したかのように立ちあがる。
>気配のする方向に手をかざし、魔女結界へと侵入する。

…なにがあったんだ
やはりクロックアップして張り手を繰り出したか

愛と勇気が勝つストーリーでさやか復活

するわけねーだろぉぉぉぉ

まどか「………」
マミ「………」

鹿目さんと二人、結界の廊下を歩く。
廊下の両サイドには、美樹さんの今までの記憶が映し出されているようだった。
その中に、あの時の魔女との記憶の映像もあった。

マミ「………こんなこともあったわね」

わたしが、やられそうになった時だ。
鹿目さんが契約して、わたしの援護をしてくれた。

まどか「……思えば、この時からわたしたちの運命は狂い始めていたのかもしれないですね」
マミ「………」
まどか「あっ……ご、ごめんなさい」
マミ「いえ、気にしていないわ。あなたが助けてくれた時、わたしは嬉しかったのよ?」

そうだ。キュゥべえと契約した時だって、鹿目さんが契約してくれた時だって。
そうしていなければ、そうしてくれていなければ。今わたしがここにいることは出来ていない。

マミ(………そうよ。これが、わたしの運命)

わたしの運命は、きっと、あの時の事故で既に狂っていたのだ。

その頃杏子は。

俺「これからずっと一緒だ。ひとりぼっちはさみしいもんな」

杏子「う、うるせえな///」

>>346
オフィーリア(杏子魔女)「キシャアアアアアアアアア」

おまえら「ギャアアアアアアアアアアアアアアア!!」

魔女結界の中枢に到着する。
中では、演奏とダンスが披露されていた。

オクタヴィア「オオオオオ……」
ホルゲル「~~♪」
クラリッサ「~~♪」

マミ「……あの人魚が……魔女ね」
まどか「さやかちゃん……」

オクタヴィア「オオオオオオオオオオ!!!」

魔女が、わたしたちを敵と見なしたのか。あるいは、演奏とダンスの邪魔をしたと思われたのか。
わたしたちに明らかな敵意を持って、咆哮を上げている。

マミ「来るわよ、鹿目さん!」
まどか「っ……!」

鹿目さんは左方に、わたしは右方に展開し、魔女の車輪攻撃を避ける。

安価みすった
まーいいや修正めんどい

美樹さん独りぼっちは寂しいよねよーくわかるよ みたいなかんじで自爆するマミさんを期待

>>358
だが張り手

マミ(美樹さん……っ!)

攻撃を仕掛けようとすると、美樹さんの姿がフラッシュバックする。
それは鹿目さんも同じようで、二人揃って魔女の攻撃を避け続けることしかできないでいた。

まどか「っ…」

鹿目さんが後方に大きく飛び、着地する。そこには、ダンスを披露している使い魔がいた。
その使い魔と衝突し、使い魔が倒れ込んだ。

まどか「あっ……」
オクタヴィア「オオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!」

その瞬間、魔女の咆哮が一際大きくなり、鹿目さんに向かって大量の車輪を投げつけた。

まどか「っ!!!」

その車輪を、あるいは避け、あるいは受け流し、あるいは弾いて、車輪の猛攻が止むのを待つ。

マミ「鹿目さん!!くっ……!!」

もう、躊躇っている場合じゃない。マスケット銃を二つ召喚し、魔女に銃口を向ける。

マミ(ごめんなさい……ごめんなさいっ……!!)

心の中で謝りながら、二つのマスケット銃を魔女目掛けて撃ち放つ。

オクタヴィア「オオオオオオオ……」

わたしの攻撃を受けた魔女が、こちらに向き直る。
その隙をついて、鹿目さんが後ろから多数の弓を撃ち放っていた。

まどか「ごめんね、さやかちゃん……っ!!」

無数に放たれた矢は、魔女の背中や腕にその大多数が当たる。外れた矢は、地面や壁に衝突し、辺りをボロボロにして行く。
そして、ひとつの流れ矢が。絶対に行ってはならなかった方向へと向かって行く。

ホルゲル「~~♪~~―――」

演奏者の使い魔に直撃した。

オクタヴィア「―――――――――!!!!!!!!!」

鹿目さんの攻撃によって片腕を失った魔女だったがその光景をまるで絶句しているかのように見ていた。

まどか「……あ……」
マミ「鹿目さん!!」

魔女の標的が、完全に鹿目さんに絞られたようだった。

オクタヴィア「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!!!!!!!!!」

多数の車輪を止まることなく召喚し続け、鹿目さんに猛攻を仕掛ける。
そしてそれだけでは飽き足らず、残された片方の手に持っていた剣でも攻撃を仕掛ける。

まどか「くっ……うあああぁぁぁぁっ!!?」
クラリッサ「―――」

ダンサーの使い魔など意に介さず、攻撃を仕掛け続ける魔女。
その姿は、実際にこの目で見たわけではないのだが、痛みを消して戦い続けた美樹さんのようだった。

マミ「っ………!!」

鹿目さんも、必死に魔女の攻撃に対応しているようだったが、もう限界が近い。
意を決したわたしは、大砲を召喚する。

マミ(……ごめんなさい、美樹さん―――)
マミ「―――ティロ・フィナーレっ!!」

背中に高威力の攻撃が当たり、魔女は大きく前方に倒れ込んだ。

まどか「さやかちゃん、さやかちゃん、さやかちゃんっ………!!」

美樹さんの名前を呼び続けていた鹿目さんだったが、もう助けられないと言うことを理解したのか、弓を引き絞る。

まどか「……ごめんね、さやかちゃん。わたし、さやかちゃんの事、何にも理解出来てなかったよ―――」

魔力をありったけ込めたであろう弓矢を、解き放つ。
その矢は、あの時と同じ……いや、それ以上の光を放ち、魔女の体を大きく貫いた。

オクタヴィア「オオ……オオオオオオオオオオオオ……」

とうとう力尽きたのか、魔女は悲しげな咆哮を残しながら、その姿を崩壊させていく。
後に残ったのは、かつて美樹さんのソウルジェムだったグリーフシードだけだった。

マミ「………やった、わね。鹿目さん」
まどか「…………」

落ちたグリーフシードを拾い上げる。あるいは、これを美樹さんの亡骸に近づければ……と思ったが、やはり無理なようだった。

マミ「ティロ・フィナーレ!」ハリテ

さやか「」ビクンッ

あんあんなら俺の横で飯食ってるよ

あんこなら俺横で美味しそうに飯食ってるよ
俺はこの笑顔を見るだけでも幸せなんだ…(*^ω^*)

マミ「……これは、美樹さんが最期に残してくれたものよ」
まどか「っ……」
マミ「わたしとあなたのソウルジェムを、浄化、しましょう?」
まどか「………はい」

グリーフシードに二つのソウルジェムを近づける。
グリーフシードは、わたしたち二人分の穢れを吸い取って、その闇を更に深めた。

QB「倒したんだね、魔女を」
マミ「キュゥべえ……」
QB「さあ、そのグリーフシードを処理しよう」
まどか「キュゥべえは……何も思わないの?」
QB「何がだい?」
まどか「このグリーフシードはっ……さやかちゃんのソウルジェムだったものなんだよっ!?」
QB「だから何さ?今となっては魔女を生み出すだけのものだよ。放っておいたら、またあの魔女が生まれて来る。そうなる前に処理すべきだろう?」
マミ「……何を言っても無駄なようね」

グリーフシードをキュゥべえに渡す。それを、上に放り投げたかと思うと、背中に吸い込まれて行った。

QB「御苦労さま」
まどか「っ………ヒック……」
マミ……帰りましょう、鹿目さん」

あんこは俺の子供を孕んだよ

                              ~暁美ほむら~
あと、一週間。
それで、この世界ともお別れだ。

ほむら(……ふふ、何も思い残すことなんてないじゃない)

そうだ。まどかが契約してしまった以上、この世界に思い残すことなど何もない。
また次の世界で、頑張ればいいだけの話だ。

ほむら「あえて言うのなら……さやかね」

彼女とは、この世界で本当の意味で分かり合えた気がする。
彼女の最期も看取ってあげた。
……これでよかったなんて言うつもりはない。でも。それしか手はなかったんだ。
そう思うことにした。

ほむら(さて……もう、寝ましょうか)

                              ~佐倉杏子~
杏子「……んで?なんでマミが生きてんのにあたしがここに来なきゃなんねぇんだよ?」

たい焼きを食べながら、キュゥべえに問いをぶつける。

QB「彼女の仲間が一人死んでしまってね。失意の底に沈んでいるんだ」
杏子「あたしにゃ関係ねぇだろ?」
QB「そういうわけにもいかない。キミにも話しておくけれどね、あと一週間後にはワルプルギスの夜が来るんだ」
杏子「! ワルプルギスの夜……」
QB「そう。聞いたことはあるだろう?」
杏子「……まぁ、そりゃな」

ワルプルギスの夜。魔法少女として活動しているのなら、大抵は知っている名だろう。

QB「マミのかつての仲間であるキミが励ましてあげれば、彼女もきっと立ち直ってくれるって思うんだ」
杏子「めんどくせぇな……ま、ここまで来た以上、何もしないで帰るのもあたしの主義には反するし。会うだけ会ってやるか」
QB「そして、マミから色々な話を聞くといいよ」
杏子「……」

相変わらず、思わせぶりなことを言う奴だ。だからあたしは、こいつが嫌いなんだ。

マミの家に到着し、インターホンを押す。
少しの間を置いて、ドアが開かれた。

マミ「はい………!?」
杏子「よ、よぅ」

こうして会うのも久しぶりな気がした。
マミは、少しだけやつれたような顔をしていた。
……どうやら、ホントに落ち込んでたみてぇだな。

マミ「さ、佐倉さん……!?な、なぜ見滝原に……!?」
QB「僕が呼んだんだよ、マミ」

あたしの後をついてきていたキュゥべえが、マミにそう告げる。

マミ「キュゥべえ?あなた、姿を見ないと思ったら……」
杏子「話は聞いてるよ。仲間が一人、死んだんだって?」
マミ「………えぇ」
杏子「とりあえず、その辺の話を聞かせてくんねぇかな?」
マミ「いいわ、上がって。………色々と、話したいこともあるから」

http://i.imgur.com/4NL3a.jpg

杏子「……ここも、随分と懐かしい気がするな」
マミ「………」

マミがこんな調子だと、こっちまで調子が狂う。
頭をポリポリと掻きながら、適当に座る。

杏子「んで?一体何があったんだよ?」
マミ「……その前に、話しておかなければならないことがあるわ」
杏子「なんでも言えよ。話くらいなら聞いてやるからさ」
マミ「ありがとう、佐倉さん……」

そしてマミは、ぽつりぽつりと話し始めた。
あたしと別れてからの事。最近、新しい魔法少女が生まれたこと。その魔法少女とは今コンビを組んでいること。
キュゥべえ曰くイレギュラーである魔法少女の存在のこと。魔王少女がどういう存在なのかと言うこと。
魔法少女が絶望した時、ソウルジェムがグリーフシードに変わって、魔女となってしまうこと。
最近死んだ魔法少女も、それで魔女化してしまったこと。

マミ「………」
杏子「……いや、なんつーか……」

短い間に、本当に色々なことがあったらしい。
正直、掛ける言葉が見つからなかった。

魔王少女…

すっげえええええええええええええええええええええええ!!!

マミ「暁美さん……一体何を考えているのか……見当が付かないの」
杏子「………暁美ほむら。イレギュラーな魔法少女、なぁ……」
マミ「薄気味悪いわ、あそこまで行くと」
杏子「……会ってみないと、なんとも言えねぇよ。人から聞いた話だけで、その人の第一印象を決めつけるのはよくねぇからな」

明日、ちょっと会ってみることにしよう。
どっちにしても、一度は顔を合わさなければならないのだから。

マミ「うぅ……」
杏子「……マミも、疲れてるんだろ?もう、寝た方がいい」
マミ「佐倉さんは……?」
杏子「あたしは出ていく。公園かどっかで一晩明かすことにするさ」
マミ「そういうわけにはいかないわ。ここで、泊まって行って?」
杏子「……仕方ねぇな」

魔王少亀 クッパ☆マギカ

1ー4で出会ったような
それはとっても吊り橋だなって
もうファイアーボールも怖くない
スマブラもカートもあるんだよ
加速なんてあるわけない
こんなの絶対大きいよ
本当のマリオと戦えますか?
クリボーてホントザコ
そんなのピーチが許さない
もうコクッパにも頼らない
最後に残った8-8
ワガハイの最高のライバル

| |     | .|  |/      / |   /   | /           ,-|-r T´  |   || |
.! l     ! |  |.     ̄/ ̄/ ̄/ ̄ ̄T /           '´ |/  l .!  /   | |.!
ヘ l     、 |  |   // ./  /     i/                 /!   | l ィ   / ,リ
/,ヽi     V .|   /    .!  /                    / |   ,' /.!  /
  lゝ 、    ゙、 |  ,/___| /____            ,.-‐┬‐┬ァ /  / l\
 i ´ヽ    ヽ | /  ̄`ー、_   l::::::::}ヽ         -ニ、__l_;:='//  / | l ヽ
.,ヽ   ヽ    ヽl/       ̄`ー┴‐'"´          、 ー─‐  / ,.'  //  ヽ
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\ \  ` \   ヽ                       ハ\ヽ' ´ |  |/ /   //
 ヽ  ヾー-r、 `ヽ、 ヽ、 \\\\             ゝ       // /   /イヽ
   ヽ Y ´  `ヽ、   ̄                         / ´ ` ヽ、/,.< ,|i .!
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         ヽ ヽヽ ヽ   `ヽヽ、 `゙ -  _ ,.イ/./ |  |;;|      /        ヽ
         ヽ ヾヽ \    `゙ -`゙、ヽ-,.r'´/ / !   |;;|     V /         `ー
          ヽヽ ヽ、, r  ̄ ` ヽ、  i .| i   / ,. --、.|;;|     V
           ヽV ´        \ | | | ,ノ/     `ヽ、     |

ワルプルギスの夜の淫夢 ~野獣と化した先輩~

翌日。マミは学校へと向かって行った。
あたしはあたしで、その暁美ほむらって奴の顔を拝んでやろうと思って、校門の前で佇んでいた。

杏子(マミの話だと……黒髪のロングに、ヘアバンドをしてるって言ってたな)

通りすぎていく人を見ていくが、そんな奴は姿を現さなかった。
やがて、行き交う人が少なくなっていく。
だが、聞いた通りの話の少女は姿を見せることはなかった。

杏子(サボりか?……どうすっかな)

このままこんなところにいても仕方ない。放課後、マミと一緒にそいつの姿を探すことにしよう。
そう決め込んで、ゲーセンへと足を向ける。


杏子「~♪」

ゲーセンの中を適当に歩き回る。……と。話に聞いた条件に一致する少女の姿を見かけた。

杏子(学校サボってゲーセンとはいい度胸だな)

しかし人違いかもしれない。一応、声は掛けてみるか。

魔王さやか「かかってくるがいい。巴マミ。鹿目まどか」ワイングラスナゲ!

まどか「さやかちゃん!やめて!」

マミ「どすこい!」

魔王少女マミか☆マギカ

第一話 相撲部屋で会ったような…
第二話 それはとっても張り手だなって
最終話 もう横綱も怖くない

                              ~暁美ほむら~
杏子「おい、お前」
ほむら「……!」

聞きなれた声。振り返ると、そこには杏子の姿があった。

杏子「お前、暁美ほむらか?」
ほむら「……杏子」

正直、マミが生きている上で杏子が見滝原に来るなんて考えていなかった。
……いや、こんなところをうろついている時点で、矛盾しているかもしれないけど。

杏子「あたしのこと知ってんのか」
ほむら「……ええ、よく知っているわ」
杏子「で?お前は暁美ほむらで間違いねぇのか?」
ほむら「ええ、そうよ。……ふふ」

嬉しい。杏子も絶望のどん底に突き落とせるのかと思うと、本当に嬉しい。
杏子はどうやって絶望の淵に立たせようか?そんなことを考えてしまう。

杏子「……気味のわりぃ奴だな。人の顔を見て笑うなんて」
ほむら「ごめんなさい。つい、嬉しくて」

ほむら「…よくないなぁ?こう言うのは…」

ほむら「かっこ悪いねぇ…。ま、そんなものか」

ほむら「お前…、死にたいんだってなぁ?」

さやか「」

杏子「マミから話は聞いてる。何を考えてるのかわかんねぇ奴だ、って」
ほむら「そうでしょうね。わたしの考えを理解出来たら、そっちの方が恐ろしいわ」

わたしの考え、目的を理解出来る人なんて、きっとどこにもいない。

杏子「……魔法少女が一人、魔女になったらしいな」
ほむら「あら、そんな話も聞いているの?」
杏子「ああ。それに……お前も、関係してんのか?」
ほむら「さあ?どうでしょうね。彼女が魔女化するところには居合わせたけれど」
杏子「あたしも人のことを言えたことじゃねぇけどさ……あんま、調子のんねぇ方がいいぞ?」
ほむら「……調子に乗ったなら、どうなるのかしら?」

杏子の挑発に、あえて乗る。

杏子「……お前の目的は、なんなんだよ?」
ほむら「あら、聞きたい?いいわよ、話してあげる」

どうせ、信じはしないでしょうけれどね。

杏子は、全てを話し終えるまで黙って聞いていた。

杏子「……つーことはあれか?お前は、この世界はもう捨てること前提ってことか?」
ほむら「よくわかっているじゃないの」
杏子「………随分とふざけた奴だな」
ほむら「好きに言ってくれて構わないわよ。まどかが契約した以上、この世界には何の未練もないもの」

そうだ。もう、どうでもいい。まどかがどんな戦いをしようが、マミが発狂しようが。
……杏子が、絶望しようが。どうせ、あと六日でこの世界とはさようならなのだから。

杏子「……ワルプルギスの夜は、どうすんだ?」
ほむら「あなたとマミ、あとはまどかがいれば倒せるんじゃない?」
杏子「それまで他人事かよ?」
ほむら「決まっているわ。わたしは、あの時のまどかとの約束を守る為だけに行動しているんだもの」
杏子「……………」
ほむら「他に、聞きたいことはあるかしら?」
杏子「いや、もういい。お前の話なんて聞いてたら、胸糞悪くて仕方ねぇ」
ほむら「そう、残念ね」




ほむら「どうせあなたも、わたしと同類のくせに」

杏子「………なんだと?」
ほむら「あら、勘に障ったかしら?何も間違ってはいないでしょう?」
杏子「………」
ほむら「他人の為に契約して、家庭を崩壊させて。その後は使い魔が魔女になるのを待ってから狩るのでしょう?」

間違ったことなど何も言っていない。
しかし、杏子にはそれがどうしても許せないようだった。

杏子「っ………てめぇっ……!!」

胸倉を掴んで来る。

ほむら「離しなさい」

その手を、払いのける。

杏子「ちっ………もういい、行け!!」

杏子の言葉に従い、わたしはこの場を後にする。

ほむら(失敗……ね。まぁ、いいわ)

あと六日、それまでの辛抱なのだから。

それから五日後。
次の日には、ワルプルギスの夜が襲来すると言う日。
まどかがわたしの家を訪ねて来た。

ほむら「………何の用かしら?まどか」
まどか「ほむらちゃんと……一度、ちゃんと話がしたくて」

険しい表情をしながら、わたしにそう言い放つ。

ほむら「残念だけれど、わたしにはあなたと話をするつもりはないわ」
まどか「……お願い」

ドアを締めようとするが、まどかが手でそれを止める。

ほむら「……………」
まどか「きちんと話せば……きっと、ほむらちゃんもわかってくれるって思ってるの。だから、お願い」
ほむら「……」

やめて。あの世界と同じような顔を、わたしに向けないで。

ほむら「……いいわ、上がりなさい」

その顔を見続けることが苦痛で。追い返すことも躊躇われたわたしは、まどかを家に迎え入れた。

ほむら「それで?何の話をするのかしら?」
まどか「………杏子ちゃんから、話、聞いたよ」
ほむら「……」

予測は出来たことだ。
杏子はマミとは親しい間柄だったのだし、そのマミと今コンビを組んでいるまどかにも話が行きわたるのは。

ほむら「だからなに?わたしに、あなたたちと協力して欲しいとでも言いに来たのかしら?」
まどか「………」
ほむら「杏子から全て聞いたのなら、わたしが首を縦に振らないと言うことくらい、わからないかしら?」
まどか「……わからないわけないよ」
ほむら「だったら、こんなのは時間の無駄だってことがわからないのかしら?」
まどか「でも、ほむらちゃんにとってはもう、どうでもいいのかもしれないけど。わたしやマミさん、杏子ちゃんにとっては、この世界で生き続けていくの。
     この世界でしか……生きていけないの。さやかちゃんはもう……いないけど……」

悲しげに俯き、涙を流している。
同情でも誘おうってことかしら?

まどか「ほむらちゃんがいれば……ワルプルギスの夜との戦いだって、勝率は上がるよね?」
ほむら「わたしには何のメリットもないわ」

それはほむらがそう思ってるだけっていう

ほむら「第一わたしは、もうあなたに見捨てられてもおかしくないくらいのことをやってきた。

     志筑仁美が魔女の口づけで操られていた時に、さやかを引きとめたし。
     彼女のソウルジェムが限界を迎えていた時にも、グリーフシードを渡すことをしなかった。
     ……それでも、わたしのことを信じられると言うの?」

実際には、さやかの方がグリーフシードを拒んだのだけれど。
それは、言わなくてもいい程度の瑣末な事だ。

まどか「そ、それは……」
ほむら「それら全てを許容した上で、わたしに協力を要請しているのかしら、あなたは?」
まどか「っ………」
ほむら「わたしの目的だって……杏子から聞いているのでしょう?」
まどか「………」

無言で頷く。

ほむら「だったら。魔法少女の契約をした後で、わたしの前に姿を現さないで」
まどか「……っ、ヒック、グス……」
ほむら「泣いても無駄。あなたたち三人で、頑張って倒すことね」

別世界への移動ならそれこそ無関係じゃん

>>516
D4Cみたいだな

>>514
だけどまどかが世界の中心でしかも何かの拍子にそれぞれの世界の因果が一つにつながったせいでまどか最強みたいな話じゃなかった?

>>519
いともかんたんに行なわれるえげつない行為?

まどか「………」
ほむら「話はそれだけかしら?なら、帰ってもらえる?」

外は既に、スーパーセルの兆候が見え始めていた。
風がものすごい強さで吹き荒れている。
まどかは無言で立ちあがり、玄関へと向かって行く。

ほむら「さようならね、まどか。あなたたちの戦い、静かに観戦させてもらうことにするわ」
まどか「……………残念、だよ。ほむらちゃん」
ほむら「そうね、わたしも非常に残念だわ。一ヶ月を無駄にした気分」
まどか「………さようなら」

勢いよく玄関のドアを開け放ち、まどかは帰って行った。

ほむら「…………………」

いつもなら勝手に閉まる玄関のドアが、強い風で煽られているせいで閉まらない。
そのドアを静かに閉め、わたしは部屋へと戻る。

ほむら「………ふふ。あはははは……」

自嘲が、口の端から漏れる。
わたしが、ここまでまどかに冷たく当たるなんて、今まで考えたこともなかった。



ほむら「………最低ね、わたしって」

翌日。ガタガタと音を立てる窓の音で、目を覚ました。

ほむら「………来たのね、ワルプルギスの夜」

カーテンを開け、外を眺める。
ビルの間の更に向こう。そこに、微かにワルプルギスの夜の影が見えた気がした。

ほむら「……夜なのに明け方に来るなんて、バカな魔女ね」

人を小馬鹿にしたように、逆さまで宙を漂う、超大型の魔女。
今まで何度か倒したこともあったけれど。……何度見ても、虫唾の走る魔女だ。

ほむら「まどかやマミ、杏子は……もう、スタンバイしているのかしらね」

部屋着から普段着に着替え、家を後にする。
目的地は、見滝原大橋。そこが、迎え撃つのに一番適している。
………恐らく、まどか達もそこにいるはずだ。

ほむら(拝見させてもらうわ、あなたたちの本気ってものを……)

ビルの物陰に隠れながら、様子を窺う。
橋の中心部に、三人の影があった。
三人が三人、それぞれの魔法少女の姿に変身している。

マミ「来たわね……ワルプルギスの夜」
杏子「こうして見るのは初めてだけど……なんつーか……さすがにこえぇな」
まどか「大丈夫だよ。きっと……きっと、勝てる」
マミ「暁美さんは………やっぱり、来ないのね」
杏子「あんな奴に背中を任すのはゴメンだね、あたしは」

ほむら(………)

随分と嫌われたものだ。そう仕向けたのは自分なのだが。
人に嫌われて、いい気はしないのは当たり前だ。
………まどかだって。きっと、もうわたしには愛想を尽かしているに違いない。

まどか「……………」

ワルプルギスの夜「キャハハハハハハハハハハハハハハ!!!」

耳鳴りがするほどの笑い声を上げて、ワルプルギスの夜は姿を現した。
強風で持ちあげたビルを、三人目掛けて投げつける。

まどか「てやぁぁ!!」

それをまどかは、弓で迎え撃つ。マミも同じようにマスケット銃で複数のビルを撃ち抜く。
撃ち抜かれたビルは瓦礫となって、当たりに散布される。

杏子「はぁぁぁぁっ!!」

杏子は杏子で、ワルプルギスの夜目掛けて跳んでいく。

杏子「くらえ、ワルプルギス!!」

伸ばした槍は、ワルプルギスの左腕を射抜いていた。

まどか「杏子ちゃん、援護を!!」
マミ「食らいなさい、ワルプルギス!!」

ほむら「…………」

わたしが見守る中、三人の激しい戦いは続いた。
ワルプルギスの体にも、少しずつ傷が増えていく。
しかし、見て取れる程に、三人の疲労は激しかった。

杏子「はっ、はっ……」
マミ「はぁ、はぁ……」
まどか「つ、よい……っ!」

ワルプルギスの夜「キャハハハ……キャハハハハハ……」

三人と対峙するワルプルギスは、まだまだ余裕があると言ったところだ。

ほむら(……まさか、負けるなんてことはないわよね……)

あと、もう少し。もう少しで、時間遡行の魔法を使うことが出来るようになるはず。
しかし、この戦いを最後まで見守りたい、という気持ちも確かにあった。

QB「キミは行かないのかい、ほむら」
ほむら「!」

>>505
この場合むしろ
「この世界で生き続けていく」事こそまどかがそう思ってるだけだろう
並行世界(笑)だろうとなんだろうとどうでもいいけど

DAIGO「キミはやらないの?」

ほむら「!」

QB「まどかの素質は確かに素晴らしかった。契約したばかりなのに、ベテランであるあの二人と肩を並べて戦える程にね」
ほむら「……何が言いたいの?」
QB「もう、限界が近いよ、あの三人は」
ほむら「………」

そんなことはわかっている。

QB「今キミが助太刀すれば、きっとワルプルギスの夜を倒すことだってできると思うよ?」
ほむら「………わたしには関係ないわ」
QB「そうして、また世界を繰り返すのかい?」
ほむら「そうよ、当然でしょう」
QB「……まぁ、それを僕は止めるつもりは無いけれどね。まぁ、最後まで彼女達の戦いを傍観するのなら、それでもいいさ」
ほむら「……………消えなさい、インキュベーター」
QB「そうさせてもらうよ」

それだけ言い残して、キュゥべえは歩き去って行った。

マミ「――――――っ!!!」
杏子「マミーーーーーーーっっ!!!!!!!」

ほむら「っ!!?」

杏子の悲痛な叫びが耳を貫いた。

どうせこの時点でまどか魔女化ほぼ確定だしループしない理由が無い

相変わらず物陰に隠れながら、様子を窺う。
マミが、倒れ込んでいた。
その姿をよく見ると―――腰から下が、存在していなかった。

マミ「うぐっ……あああぁぁぁぁっ……」
杏子「ちくしょうっ!!!」
まどか「マミさんっ……!!」

魔女を相手に放心するのが、どれほど愚かなことなのか。それを、彼女達は知っているはずなのに。
二人はもう助からないであろうマミに駆け寄っている。

ほむら(………もう、マミは助からないわよ、二人とも)

そんなわたしの心の声など、届くはずもない。

杏子「くそっ……よくも、よくも、よくもぉぉぉぉぉぉぉ!!!!」

マミがやられたことで、杏子の怒りが頂点に達したのか。
我を失ったように、ワルプルギスの夜に突進を仕掛ける。

まどか「っ……!!!」

まどかも、マミの側で立ちあがり、弓を引き絞る。

ほむら(そう、それでいいのよ……)

杏子「やめろ!その技を使ったらお前の体がっ!!」

マミ「たとえこの命尽きても…倒さなくちゃいけないのよ!!」

マミ「テ ィ ロ ☆ ハ リ ー テ ! ! !」

杏子「マミーーーーーーーっっ!!!!!!!」かとオモタ

マミ「いや、いやよ、鹿目、さんっ……佐倉さんっ……死にたく、な……」

マミが何かを言っているようだったが、ここまでは聞こえてこない。
しかしまどかには聞こえたのか。そして、聞きたくなかったのか。まどかは泣きながら、マミのソウルジェムを撃ち抜いた。

マミ「―――あ」

弱々しく震えていたマミの体から、完全に力が抜ける。

杏子「てめぇだけはゆるさねぇ……あたしの命に代えてでも……てめぇを撃つっ!!!」

杏子は髪をほどき、ソウルジェムを掲げている。

ほむら(自爆魔法……?でも、それなら確かに……)

杏子の体を中心にして、赤い爆発が巻き起こる。
ワルプルギスの夜の姿も、爆風と砂塵で見えなくなった。

まどか「っ……!!!!!」

まどかはまどかで、弓を引き絞っていた。その弓から、今まで以上の強い光が差す。

SGが無事でも「あ、これ死んだ」って本人が思ったら死ぬ事もあるらしい

マミ「私を本気にさせたのは貴方が初めてよ?暁美さん!」メキメキャバキグチャ

ほむら「か、身体が急に膨張し出した!?しかも衣装がふんどしに!ま、まさか魔法王女になろうっていうの!?」

マミ「終わりよ暁美さん♪SUMOU・THE・TUPPARI!」ドスコイ

ほむら「」

まどか「すごいよマミさん!」

ワルプルギスの夜「キャハ……ハハハ……」

砂塵が引いた。
そこにあったのは、爆発によって多大なダメージを負いつつもまだ力尽きていないワルプルギス。

まどか「さやかちゃん……マミさん……杏子ちゃん……」

まどかが、何かをボソボソと呟いていた。

まどか「これで―――終わりだよ!!!」

引き絞った弓を、解き放つ。
放たれた矢は、桃色の軌跡を残し、ワルプルギスの夜目掛けて一直線に伸びていく。

ワルプルギスの夜「キャハ……―――!?」

その矢は。見事にワルプルギスの体を真っ二つに引き裂いた。
それが、決着だったようだ。ワルプルギスの夜は断末魔の悲鳴を上げることも無く、静かに川へと沈んで行った。

まどか「………っ」

まどかは、力尽きたかのようにその場に倒れた。
体が地面に接したところで、魔法少女の姿から制服姿へと代わった。

ほむら「………お見事、ね」

パチパチと、拍手をしながら倒れ込んでいるまどかへと近づいて行く。
腕の砂時計を確認する。もう、時間遡行の魔法を行使する事が出来るようになっていた。

まどか「ほむら、ちゃん……?」
ほむら「マミと杏子はやられてしまったみたいだけれど……あなただけでも、生きて倒すことが出来てよかったじゃない」
まどか「………酷いよ、ほむらちゃん……」
ほむら「何が酷いのかしら?わたしは最初から言っていたはずよ。『あなた達に協力するつもりは無い』と」

今すぐにでも時間遡行の魔法を使ってもいいのだが、何故かそれは躊躇われた。
最後に、まどかとこうして話し合うのも、悪くはないかもしれない。

まどか「ほむらちゃんが協力してくれれば……マミさんも、杏子ちゃんも、さやかちゃんだってっ……死ぬことはなかったはずなのに……」
ほむら「………」
まどか「わたし、何かしたかな……?ヒック、エグ……」

まどかがしゃくりあげて泣いている。

ほむら「何かしたか、ですって?どの口がそんなことを言うのかしら?」
まどか「グス………ヒック……」
ほむら「わたしの忠告もまともに聞かず、魔法少女の契約をしたのはどこの誰かしら?」
まどか「それ、は………」
ほむら「あなたの契約を阻止する為だけに行動しているのに。それを、ちょっとしたきっかけだけで契約したのはあなたでしょう?」
まどか「………」

もう、本当に最後だ。ここで、この世界での愚痴を吐いて行くのも、悪くはない。

ほむら「そうよ、マミだって。わたしが助けに行ってあげたにも関わらず、人の話を聞かずにわたしを縛りあげて。
     挙句の果てには、まどかが契約してくれて助かった、ですって?人をバカにするのも大概にして欲しいわね」

まどかに殺されたら残ったまどかは一人で絶望して魔女になるわけだが
よもやほむらがそれを見過ごすとは思うまいな

まどか「……グス……」
ほむら「さやかだって同じ。まぁ、彼女とは最終的には分かり合えたようなものだから、今更どうこう言うつもりはないけれど」
まどか「……ごめん……ごめんなさい、ほむらちゃん……ヒック…グス……」
ほむら「今更謝られたって、遅いのよ」

そう、もう何もかも遅いのだ。さやかが死んで、マミがやられて、杏子は自爆した。
まどかのソウルジェムだって……もう、どす黒くなっている。
今は、わたしもグリーフシードは持っていない。いずれにしろ、まどかももう助からない。

ほむら「……わかるでしょう?あなたのソウルジェム、良く見てみなさい」
まどか「………」
ほむら「時期に、あなたも魔女化する。どうする?ソウルジェムを、壊してほしい?」
まどか「……………い……」
ほむら「はっきりと言いなさいよ」
まどか「壊して、欲しいよ……」

涙声で、まどかは弱々しくそれだけを言い放った。

お前らって割と何の根拠もなく並行世界説信じてるよね
別にいいけど

ほむら「…………」

想定していた答えだ。でも。

ほむら「あなたは、それをわたしにしてくれと頼むつもりなの?」
まどか「………」

まどかは何も言わない。
ただ、仰向けで寝そべり、どす黒くなったソウルジェムを掲げっているだけだった。

ほむら「それがわたしにとって……どれほどの意味を持つのか、考えたことはある?」
まどか「………」
ほむら「あなたはまた、わたしにあなたを殺せと言うのかしら?」
まどか「っ………うん」
ほむら「……そう。わかったわ、壊してあげる」

拳銃を構え、ソウルジェムに銃口を向ける。
それと同時に、時間遡行の魔法の準備もしておく。

ほむら「………さようなら、まどか」
まどか「……がとう、……」
ほむら「…………」

こんな時に。
自分を殺そうとしている相手に。
お礼を言うなんて。
だから………
だから……
だから…



ほむら「だからあなたのことなんか嫌いよ……鹿目まどか」

拳銃の引き金を引く。乾いた音が周囲に響き、まどかのソウルジェムが静かに砕けた。
まどかの腕が、力なく地面に落ちる。

ほむら「…………………………………………」

もう、何も考えないでいい。次の時間軸では、きっとうまくやってみせる。




終わり

長かった……軽い気持ちで乗っ取って後悔
しかし、なぜ俺はこんな鬱な話を書いたのか

引き続きID:jS5Nc5+B0先生による次のループのSSをお楽しみください


最後の終わり方良かったよ
本編にも過去の時間軸での話でダークなほむらがあったら良かったなと思ったわ
そういう経験をバネにしてみたいなのいいよね

おまけ―――

ほむら「転校生の暁美ほむらです。よろしく」
和子「はい、それじゃ暁美さん、空いてる席に適当に座ってね」
ほむら「はい」

席に座る生徒の合間を抜け、自身の席へと向かう。
まどかの顔は……見る勇気が、なかった。

さやか(まどかまどか、カッコいい人だね?)
まどか(うん、そうだね)

ほむら「………」

これ最後のまどか嫌いはまどか大好きってことでいいんだよな?

どうせ続きなんて来ないだろうしそろそろ寝るかと思ったらこれだよ

モブA「ねぇねぇ暁美さん、どこから転校して来たの?」
モブB「長い髪、凄い綺麗だね~」
ほむら「……ごめんなさい、ちょっと緊張したみたいで。保健室へ行ってもいいかしら?」

周囲の人間が煩わしい。わたしは今まで、人間とは言えないほどの非常なことをしてきたのに。
こんなに囲まれる資格なんて、わたしにはないのよ……。

モブA「保健室?それなら、保健委員に連れてってもらうといいよ」
モブB「鹿目さーん。暁美さん、保健室に行きたいんだって。鹿目さん、保健委員だったよね?」
ほむら「いえ、結構よ。一人で行けるわ」

そう言って席を立ち、教室を後にする。

まどか「あ……」
さやか「行ってきなよ、まどか。気になるんでしょ?」
まどか「……うん」

ほむら「………」

今日転校して来たばかりの校内を、保健室目指して歩いて行く。
その後を追ってくる人がいるのを、わたしが気付かないわけがなかった。

まどか「暁美さん!」
ほむら「…………」

肩を叩いて来る。………まどかの顔を直視出来ない。

まどか「? どうかしたの?」
ほむら「………なんでもないわ」

その制止を振り切り、また歩き出す。

まどか「え?え?」
ほむら「……まどか」
まどか「わ、わたしの名前、知ってるの?」
ほむら「ええ……よく知っているわ」

まどか「えと、あの……」

いっそのこと、最初から嫌われれば。それも、アリなのかもしれない。

ほむら「……ごめんなさい、馴れ馴れしかったわね」
まどか「ううん、気にしなくってもいいよ。えと、それじゃ、わたしも暁美さんのこと、ほむらちゃん、って呼んでいいかな?」
ほむら「………いえ。それはダメよ」
まどか「………」

魔法少女であるわたしと近づきすぎると、ロクな事はない。
距離を置いて、インキュベーターを近づけない。これが、一番なのかもしれない。

ほむら「一人で、保健室まで行けるから……それじゃね、鹿目さん」
まどか「あっ………」

まどかは引きとめようとしたのだろうが、なんて声を掛けたらいいのかがわからない、と言った風だった。

ほむら(…………これで、いいのよ)

失敗するのなら、また繰り返せばいい。
そうすることが、わたしには出来るのだから―――


ホントに終わり

余計悪化させてどうすんだよ乙

結局はほむらは救われない
そういうことを言いたいがためだけのおまけだった
反省はしていない

まどか「変な夢ぇ…//」
まどか「変な夢ぇ…//」 - SSまとめ速報
(http://logsoku.com/thread/hayabusa.2ch.net/news4vip/1328232869/)

寝覚め悪くなりそうだからこれ読んで気分落ち着けてから寝る

ここまで伸びたのは初めてだ
アクシデントもあったが、無事書きあげられてよかった
まどポまであと三日、いや日付変わってるから二日か
ゲームでは報われる話があると信じて俺は寝る

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