まどか「家族みんなで」(623)

まどか「ウェヘヘ、新しい学校かぁ。どんなところなんだろう?」ワクワク

まどか「新しいお友達できるといいなぁ」ブルッ

そういえばもう12月だっけ?

まどか「寒い寒い…」ポチッ

暖房のスイッチを入れる。

6畳一間の空間にゆったりと温かい風が流れこむ。


まどか「よかった、ちゃんと動いてくれて」

まどか「えへへ、あったかい」

そう。

私はつい最近一人暮らしを始めました。

ずっといた故郷を離れ、新しい土地を訪れ……

明日は初めての登校日。

どんな出会いが待ってるんだろう?

代行ありがとうございます。
続けます。

~学校~


まどか(う~、昨日は緊張してよく眠れなかったよ)

さっき職員室で担任の先生を紹介されて、教室まで連れってってもらうことになったのだ。

先生は、多分ママと同じぐらいの年の女性だった。

先生「ここが教室です。鹿目さん」

先生「それじゃ、私が呼んだら入って来てちょうだい」


まどか(うわ~、緊張してきた)

まどか(うまく話せるかな…)


…でも、なんだか楽しみだなぁ。

そう、なんていうか……

ずっとこの日を待っていたような。

長い間。

ずっと……ずっと……

マミ「あなた誰なの?」
QB「確かに “この僕” は、三時間ほど前まで君のそばにいたのとは別の個体だよそちらは暁美ほむらに撃ち殺された」
黒い魔法少女。暁美ほむら。あの女だけは、絶対に許さない。
まどか「わたしの願いでマミさんのそばにいた子を蘇生すれば、ほむらちゃんのこと許してあげられませんか?」
こんな感じの旧QB蘇生キュゥマミ魔法少女全員生存ワルプルギス撃破誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
マミ「今日も紅茶が美味しいわ」

1. 初恋ばれんたいん スペシャル
2. エーベルージュ
3. センチメンタルグラフティ2
4. Canvas 百合奈・瑠璃子先輩のSS
5. ファーランド サーガ1、2
6. MinDeaD BlooD
7. WAR OF GENESIS シヴァンシミター、クリムゾンクルセイド
SS誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって

QBの魔法少女全員陵辱姙娠出産誰か書いてくれたらそれはとってもうれしいなって
QB「魔法少女は産む機械」

先生「それじゃあ、鹿目さんどうぞ」

呼ばれちゃった。

教室の扉をスライドさせて、小さくお辞儀をしながら入場する。


視線が一斉に集まって、予想していたより硬くなりそうだった。

トコ……トコ……

まどか(笑顔、笑顔が大事)

まどか(……あれ、あの子?)

教卓から一番手前にいる左側の生徒がチラリと見えた。

まどか(私と同じリボンしてる?)

先生「自己紹介をよろしく、鹿目さん」

まどか(いけない、いけない)

気をとりなおして教室全体を見渡す。



まどか「初めまして転校生の鹿目まどかです」

まどか「一昨日、こちらへ引っ越してきました」

まどか「どうぞよろしくお願いします。」


こんな感じでいいのかな?

趣味とか言ったりするんだろうか?


早乙女先生「じゃあ、志筑さんの隣が開いてるから、そこへ座って頂戴」

あ、これで終わりですか。

よかった。

ん、もしかして続き物か

ここから見て、右奥の方へ空席を見つけた。

恐らく志筑さんらしき人が左手を上げてくれているので間違いないだろう。

あそこが私の席か。


チラッ

私は同じリボンの子が気になって、彼女の方を向いていた。

長髪の色白の女の子が、そこにいた。

女の子「!?」///

彼女と目があった。

まるであちらのほうが転校生のように、照れている。

なんだか可愛いかったのでニコっと微笑みかけてみた。

どんな子なのかな?

すごく可愛い子だから、もしかしたらみんなにも人気があるのかもしれない。

後で友達になれると嬉しいな。

>>10
続きと言えばそうなんだけど、初めて見る人用に書いたものだから
あんまり気にしなくていいかと。

てか前作を見るとネタバレになるから、初見でこちらから見るのがオススメです。

志筑「よろしくおねがいしますわ、鹿目さん」

席の前までくると、志筑さんが声をかけてくれた。

なんだか、お嬢様っぽい子だと思った。

まどか「こ、こちらこそどうぞよろしく」///

いきなり声をかけられたので、少し声が上ずってしまったけど、大丈夫だろうか。

まどか(でも雰囲気がおとなしい感じの人だから、きっと気にしないでくれるかな。)

ホームルームが終わると続けざまに英語の授業が始まった。

初めての授業で教科書の範囲がわからない。

すると、それを察した志筑さんが声をかけてくれたのだ。

志筑「67ページですわ」

まどか「えへへ、ありがとう。」ニコッ

志筑「礼には及びませんわ」ニコッ

ふふ。志筑さんとはなんだか仲良くなれそう。

早速お友達になれそうな子がいてよかった。

先生「では、この前の続きから暁美さんお願いします」

さっきのリボンの女の子が返事をする。

暁美「はい。」

まどか(暁美さんて言うんだ、あの子)


暁美さんの返事は、志筑さんとは違った意味で品があり

さっきの可愛いという印象とはちょっと……

いや、かなり違っていた。


優等生っぽくて、どこか近づきにくい雰囲気。


もしかしてこちらが、素の彼女なんだろうか?

だとしたらちょっと残念だ。

後で声をかけてみたかったのにな……

でも、おそろいのリボン……

何かこう…運命的なものを感じる。

それに……

私、暁美さんに会ったことがあるような……

いや、気のせいかな。

まどか(やっぱり後で話しかけてみよう…)

~休み時間~


まどか(それじゃあ、早速…でもなんて声かけてたらいいんだろう)

女子A「ねぇ、ねぇ、鹿目さんてどっから来たの?」

まどか(え?)

女子B「部活とかやってた?あたしバレー部なんだけどさ…」

まどか(え??)

あれ?

あれれ?

気がついたら私の机の周りを複数の生徒が囲んでいた。

まどか「ええっと…その……」

やばい、こんな時はどうすればいいんだろう?

「こぉら~~!いきなり群がるな~!」

前の席から、威勢のいい声が飛んでくる。

生徒「わわわ……」

その女の子は立ち上がり、ハエを追い払うが如く掌を返した。

「しっし、しっし……」

まどか「あ、あの……」

「へへ、お礼はいいよ。えっと…」

まどか「鹿目まどかです」

「うん、まどか。これからよろしくね。」

「私さやか。美樹さやか。呼ぶときはさやかでいいよ」

まどか「さやか……ちゃん」///

さやか「うんうん。いいよいいよ~まどか」エヘヘ

なんだか頼りになりそうな子だ。

初めて会ったばかりなのに、かなりフランクに話しかけてくれて嬉しい。

彼女とならいい友達になれそうな気がする。

暁美「ちょ、ちょっといいかしら?」

まどか(あ、暁美さん…)

暁美さんがいつの間にか私の机の前にやってきていた。

授業の時とは違って、なにやら物腰が柔らかそう…

というより、なんだか緊張しているように見えた。

まどか(さっきも私と目があった時、緊張してたような…)

さやか「ん、転校生?アンタから声をかけてくるなんて珍しいじゃん?」

転校生って呼び方に、なんだか壁を感じた。

まどか(てっきり、さやかちゃんのお友達かと思ったけど、親しいわけじゃないのか)

まどか「えっと、…よろしくね、暁美さん」

笑顔で挨拶する。



しかし暁美さんの方は、なんだかショックを受けたように黙ってしまった。

どうしたんだろう?

ほむら「……それじゃ、また」サッ

まどか「あ……」

そう行って暁美さんは自分の机に向かって行った。

何か気分を害すようなことを言っただろうか?

もしかして
まどか「初めまして転校生の鹿目まどかです」
の人?

>>31
そうです。



さやか「気にしないでやってくれない?別に悪い奴じゃないんだ」

まどか「……」

せっかくお友達になれると思ったのに……

……そういえば。

『暁美さん』て名前を読んだ時、なんだか違和感を感じたような。

いや、気のせいか。

だって私は彼女に会ったのは初めてなんだ。

同じリボンをしていなくても、一目見れば出会ったのを忘れないぐらい

印象の強い子だと思う。

確かに私も会ったことがある気がしただけど、初対面だ。

今度時間があるとき、私から話しかけてみよう。


~お昼休み~

さやか「まどかぁ~、屋上行こうよ」

まどか「屋上?」

さやか「お昼一緒にしようってこと!」

まどか「う、うんっ!!」


さやかちゃんが誘ってくれた。

とても嬉しくなって、思わず飛び上がりそうになった。

そうだ、暁美さんも一緒に。

ちらりと、暁美さんの席を見る。

しかし彼女の姿は既になかった。

どこへ行ってしまったのだろう?

まどか「待ってね、今用意するから」

まどか「でも、どうして教室で食べないの?」

さやか「外で食べたほうが気持ちいじゃん」

さやか「学校のいろんな所につれてってあげたいし」

まどか「そっか、ありがとね、さやかちゃん」

やっぱり、さやかちゃんは優しい子だ。

早速素敵なお友達ができて嬉しいな。


トコトコ……

お弁当を両手で抱えながら、廊下を歩いて行く。

「あら、美樹さん。こんにちは」

階段を登るときに、上級生らしき人からさやかちゃんに声がかけられた。

さやかちゃんの部活の先輩だろうか?

志筑さんみたいに、品のある人だった。

さやか「あ、マミさん。こんにちは」

マミさんていうのか。

私も一応お辞儀をしておく。

マミ「その子……」

さやか「ええっと、この子は転校生で…鹿目まどかって言うんです」

マミ「そう……あの話は本当だったのね……」

マミさんて人は、顎に手を当てて、何か考えているように見えた。

さやか「よかったら、マミさんも一緒に食べませんか?」

マミ「そうね……」

マミさんは一瞬躊躇いがちになってから、こちらを見た。

私の気を伺っているのだろうか?

まどか「私は気にしませんので、どうぞ」

マミ「じゃあ、ご一緒させてもらおうかしら?」

マミ「ちょっと待っててね。昨日焼いたクッキーも一緒に持ってくるわ」

さやか「やったぁ~~!!」

マミさんは教室の方へ戻っていった。

さやか「んじゃ、先に行ってよう、まどか?」

まどか「うんっ!!」

転校初日で、いきなりいろんな人と知り合えた。

なんだかこの先も楽しいことがいっぱい待ってそうでわくわくしてきた。

~屋上~

屋上の重たいドアを開けると、少し強い風が校舎の中まで吹いてきた。

生徒が何名か、三角巾を広げて昼食をとっていた。


私は屋上から見る眺めの良さに、一瞬目を奪われた。

町が一望できるこの場所。

素敵…。

さやか「うん、今日もいい景色だわ」

まどか「本当……きれいだね…」

さやか「えへ、気に入ってくれたみたいでよかった。連れてきた甲斐があるってもんよ」ニコッ


なんでだろう。

この町並みを見ていると、すごく懐かしい気持ちになった。

昔住んでいた町とどこか近いものがあるのだろうか。

実家のほうが全然田舎なんだけどな…

しばらくすると、マミさんがやってきた。

3人で空いている場所に座って、お弁当を広げた。

さやか「ううう、お腹へったよぉ。いっただっきまーす!」

マミ「ふふふ、美樹さんたら。」

私とマミさんは手を合わせていただきますを言った。

まどか「お二人は、同じ部活なんですか?」

さやか「えっ!?」アセッ

さやかちゃんが、なぜか困ったような顔をした。

マミ「ええ。そんなところよ。」フフ

まどか「へえ~~、なんだろ。さやかちゃんは運動得意そうだけど」

マミさんはどちらかというと、文化系の部活っぽいイメージがした。

さやか「まどかは、何かこれまで部活やってたの?」

まどか「えへへ。これといって」

マミ「何かやりたいことはないのかしら?」

まどか「取り立ててはないです」

私は運動系でも文化系にも属さない帰宅部だった。

まどか「それに、私一人暮らしだから、部活に入る余裕はないかも」

さやか「えええ!そうなの?」

マミ「鹿目さんも一人暮らしなのね」

まどか「もしかして、マミさんも?」

マミ「ええ、そうよ。何か困ったことがあったら、いつでも相談してね」ニコッ

まどか「ありがとうございます!」ウキウキ

まさか、転校初日で同じ一人暮らしの生徒に出会えるとは思わなかった。

中学生でそんなことをしているのは自分ぐらいのものだと思った。


…あれ?

私なんで一人暮らしをしようと思ったんだろ。

マミ「そういえば、暁美さんも一人暮らしだったわね」

マミさんは暁美さんを知ってるの?

生徒会か委員会か何かの繋がり…かな?

さやか「そういえば…」

まどか「暁美さんも…」

暁美さんも一人暮らし…!?

これは……これは…

なんだか私の乙女の第六感がただごとではないと言っているよ。

まどか「なんだか、暁美さんとすごいシンパシーを感じるよ」エヘヘ

マミ「うふふ。彼女も鹿目さんから声をかけてもらえたら、すごく喜ぶと思うわよ」

まどか「そうですか?でも、いきなり声かけたら迷惑じゃないですか?」

さやか「まあ、転校生が誰かと仲良くつるんでるの見たことないからな…」

あ、そうなんだ。

やっぱり授業中に感じたどことなく近寄りがたいオーラが原因なんだろうか。


マミ「……やっぱり、あなたは暁美さんのこと覚えてないのね…」ボソッ

まどか「え…?」

マミ「何でもないわ、気にしないで」

まどか「いや、でも……」


覚えてないって、私が暁美さんのことを?

やっぱり、私と暁美さんはどこかで会ったことがあるのか?

さっき、暁美さんが挨拶してすぐに立ち去ったわけもそういうことか。

彼女は私のことを覚えているのに、私だけが覚えていないのがショックだったんだ。


私は暁美さんと会った覚えなんてないんだけどな……

マミ「暁美さんとは仲良くしてあげて」

マミ「きっと、それは貴方にしかできないことだから」

まどか「マミさんも私と会ったことがあるんですか?」

マミ「ふふふ。どうかしら。私は覚えていないわね」

さやか「マミさんあんまり、まどかをからかわないでやってよ」

マミ「ごめんなさい。少し調子に乗ってしまったかも。」

さやか「まどかも変な話気にしないでよ。」

まどか「う、うん……」

もしかして、さやかちゃんも何か知っているのだろうか?

私だけが何か取り残されているような気がした。



食後にマミさんは袋からクッキーを取り出し、それをみんなで食べた。

それはどこか懐かしい味がした。

~まどホーム(New)~


おかしいな。

私は今日はじめて転校してきたばかりなのに……

なんでみんな私のことを知っているみたいに言うんだろう。


まどか「はっ、まさか…」

私はちっちゃい頃、ここにいたことがあって

暁美さんとは幼馴染だったとか?

実は、さやかちゃんやマミさんとも遊んだことがあった…?

う~ん。思い出せないや。

でも今は新しいお友達を大事にすることが一番大切だ。

もしどこかで会ったことがあるのなら、そのうち思い出すかもしれない。

疲れたし、もう今日は寝ちゃおう。


ポチッ

電気を消す。

まどか(なんだか、家の中が静かだな)

時計の音以外何も聞こえてこない。

私だけがこの6畳半の一間にいるのだから、それは当たり前なのだけれど…

一人暮らしって思っていたより楽しくないかも。

みんなこうやって大人になっていくんだろうか…

私も一人でいる時間に慣れれば、寂しくなくなるのかな?

それっていいこと?

誰かを必要としなくても、生きていけるのはそれですごいと思う。

だけど。

私は誰かと一緒にいられる方が嬉しいな……

それから2,3日が過ぎた。

相変わらずさやかちゃんやマミさんは仲良くしてくれる。

けれども一向に暁美さんと話す機会が訪れない。

あれっきり一度も暁美さんは私に話しかけてきてくれない。

たまにこちらを見ているような気がするのだけど……

全て書き終わったら、解説をお願いします。

やっぱり私から話に行かないとダメなんだろうか。

でも、なんだか申し訳ないな…

私は暁美さんのことを全く覚えていないのに……



でも、今日はちょっと勇気を出してみよう。

暁美さんとは友達になりたい。

>>59
おkです。

~昼休み~

私はお弁当箱を抱えて、暁美さんの机まで歩いていった。

まどか「あ、あの」///

暁美「えっ、まどか?」

いきなり私を下の名前で?

まどか「え、?」

まどか「まど??」

わ、私達ってお互いを名前を呼び合う仲だったのか!

そうだよね。覚えてなくてショック受けててたみたいだし。

でも、いきなり呼ばれたらビックリしちゃったよ。

ほむら「あ…えっと。鹿目さん……」///

彼女は照れながら、呼び方を訂正していた。

まどか「……」

ここ最近の彼女のイメージはクールでカッコイイという印象だった。

なのに、なんだか…初めて会った時みたいに物腰が柔らかで…

まどか「ふふふ…」

暁美「何がおかしいのかしら?」

まどか「暁美さんていっつもさやかちゃんのこと、美樹さやかって呼んでるのに」

まどか「しかもすごくクールに。」

そう。

なぜか暁美さんはさやかちゃんをフルネームで呼んでいる。

一体どういう遊びなんだろうと思っていたけど、どうやらそれが素らしい。

まどか「なんで私と話して、そんなに慌ててるのかな?」

暁美「なんでって……」

暁美「まど…鹿目さんに急に声をかけられてびっくりしただけよ」

まどか「あ、もしかして…め、迷惑だったかな」

暁美「……いえ」

暁美「声をかけてくれて嬉しかったわ……」ボソッ

まどか「本当!? よかった!勇気だして声かけて」エヘヘ

断られてたら、どうしようかと思った。

でも暁美さんも、私のことを気にしててくれたんだ。

嬉しいな。もっと早く声をかければよかった。


まどか「よかったら、今日みんなで一緒にお弁当食べない?」

まどか「暁美さんともっとお話ししてみたいな」ニコッ

暁美「ええ。鹿目さんがそう言ってくれるなら」

暁美さんはお弁当をカバンから取り出した。

一緒に私の机の上に持っていく。

まどか「さっきはびっくりしたよ。いきなり名前で呼び捨てなんだもん」

暁美「素敵な名前の方が頭に残ってたから、そっちが咄嗟に出てしまったのよ」

まどか「あ、ありがとう///」


本当は違うのだろう。

暁美さんは、私のことを覚えているに違いない。

……やっぱり申し訳ないな。

暁美「よかったら、名前で呼ばせてもらっていいかしら?」

まどか「じゃあ、私も暁美さんのことほむらちゃんて呼んでいい?」

暁美「ええ、もちろん!」

まどか「よろしくね、ほむらちゃん」

ほむら「まどか……」


たった一瞬だだけど……

何か懐かしい響きがした。

何かを思い出しそうな……

席に戻って、さやかちゃんに声をかけた。

まどか「えへへ、ナンパしてきたよ」

さやか「へぇ、やるじゃん。難攻不落のこいつをナンパしてくるなんて」

ほむら「……」むっ

さやか「じゃあ、私はマミさんと食べてくるから今日は二人で食べなよ」

まどか「え?みんなで食べないの?」

さやか「まぁなんだ。せっかくだから、二人仲良く一緒に食べなってことだよ。」

ほむら「変な気を使わなくてもいいわよ」

さやか「アンタもまどかと今まで話せてなかったみたいだからさ」

さやか「この機会にいろいろ話したいことあるんじゃないの?」

ほむら「……ありがとう」ボソ

さやか「んじゃ、私の椅子は好きに使っていいから」

ちょっとごはん買いに行ってきます。

20分後には戻ると思います。

帰って来ました。
続けます

そう言うと、さやかちゃんはお弁当を持っていってしまった。

さやかちゃんとほむらちゃんは仲が良くないのかなって思っていたけど…

どうやら思っていた以上に、

お互いのことをよく分かり合っているような気がした。

私が知っているよりもずっと複雑な関係があるみたいで……

ほむら・まどか「いただきます」

まどか「えへへ、お腹へったよ~」

ほむら「そうね。」

ほむら「ねえ、まどか」

まどか「何かな?」

ほむら「あなたはここに転校して来る前はどこにいたのかしら?」

まどか「えっと、Y県のW市ってところだよ」

ほむら「そう…結構遠くから来たのね」

ほむら「兄妹はいるのかしら?」

まどか「うん、いるよ」

ほむら「そうなのね」

まどか「えへへ、私どっちだと思う?」

ほむら「どっちって?」

まどか「お姉さんか、妹か」

ほむら「……お姉さんなんでしょ?」

まどか「すごい。よくわかったね」

ほむら「兄妹は弟さんがいるのではない?」

まどか「そうだよ。たっくんていって……」

あれ? おかしいな。

たっくんの顔が……思い出せない。

もやもやと霧のように顔が隠れて…


どうしちゃったんだろう。私。


ほむら「どうかしたの?」

まどか「ううん……なんでも…」

ちょっと話題を変えてみよう。

まどか「じゃあ、次のクイズね」

まどか「このお弁当の中で私が一番好きなおかずを当ててみて」

ほむら「そうね……」

ほむらちゃんは、私のお弁当を眺めている。

トマト、卵焼き、

それからレンジで焼いた冷凍食品のグラタン、ハンバーグ、シュウマイ。

パセリと、キャベツ。


ほむら「これかしら?」

ほむらちゃんは、卵焼きを指さす。

まどか「うん。よくわかったね」

ほむら「手間をかけて焼いているあたりね…」

まどか「すごいね、やっぱりほむらちゃんは頭がいいんだ」

ほむら「そ、それほどでもないわよ」///

~帰り道~

まどか「ほむらちゃんたら、私のことなんでも当てちゃうんだよ」

さやか「どういうこと?」

まどか「私の家族のこととか、好きな食べ物のこととか…」

さやか「気をつけな、もしかしたらこいつに後ろからつけられてるかもしんないよ」

ほむら「バカなこと言わないの。たまたま当たっただけよ」


やっぱり、ほむらちゃんは私とどこかで会ったことがあるんだろうか?

ほむらちゃんを見る。

どこか切なそうな顔をしていた。

まどか「ほむらちゃん?どうかしたの?」

ほむら「いえ、なんでもないの」

まどか「悩んでることがあったら、何でも相談してね」

まどか「って、今日お友達になったばかりなのに、馴れ馴れしいかな?」

まどか「なんかほむらちゃんとは初めて話した気がしなくて…」


ちょっと、探りをいれてみる。

本当に会ったことがあるのなら、何か反応してくれるはずだ。


まどか「そんなわけないんだけどね。」

ほむら「………」


まどか「私も遠いところから来たし、ほむらちゃんも全然違うとこから来たんだもんね」

さやか「前世で生き別れになった、友達とか?」

まどか「そんな感じかもね」クスクス

ほむら「まどかは、ずいぶん詩人なのね?」クスクス

まどか「もう~、笑うなんてひどいなぁ~」


ちがう…

ほむらちゃんは、どうしてそれを隠しているんだろう?

結局ほむらちゃんは、本当のことを話してくれなかった。

まどか「それじゃあ、私こっちだから!」

さやか「おう、またね、まどか~」

ほむら「また明日」

まどか「ばいば~い」


さやかちゃんと、ほむらちゃんと別れた。

二人で別の道に行ってしまった。

なんだかふたりが何か隠している気がしてならない。

~まどホーム~


やっぱり思い出せない。

私とほむらちゃんは、どこかで会っているはずなんだ。

なのに、幼稚園の頃の記憶とか小学校の小さい時とか、昔すぎて覚えてないよ。

このままじゃらちがあかない。


仕方ない。

ママに小学校と幼稚園の頃のアルバムを送ってもらおう……

まどか「えっと、電話電話」

ピピプ…

慣れた手つきで、携帯から家に電話をかける。

すると、ノーコールで声が聞こえてきた。


「おかけになった電話番号は現在使われておりません」


あ、あれれ…間違えちゃったかな。

今度はちゃんと確認しよう。

もう一度、家の電話番号を確認しながら入力していく。

まどか(よし、今度こそ)


「おかけになった電話…」


まどか「なんで…」

まどか「なんで……繋がらないの?」


家の番号はこれで間違いない。

仕方ない。

ママにメールしてみよう。

えっと、



ママ、久しぶり。こっちでは元気にやってるよ。

あのね。ちょっと思い出したいことがあって

それで小学校と幼稚園の頃の卒業アルバムを送って欲しいんだ。

忙しくない時でいいから、お願いしていいかな?


よし。これでいい。

あとはママのメールアドレスを入力してと…

アドレス帳のボタンを押した。



ど、どういうこと……?


「アドレス帳にメールアドレスは登録されていません」


そんなバカな…

なんで1件もメアドがないの?

そこで、私は今日の昼間のこと思い出した。

そういえば私、たっくんの顔が思い出せなかった。

ママ、パパの顔も、もやがかかったように思い出せないのだ。


身が凍りつくような不安を覚えた。


まどか「どうして?」

…そうだ。写真。

家族でとった写真がケータイの中に入っているはず。

データフォルダを検索してみよう。

中央のボタンを押して、データフォルダのところをクリックする。



データフォルダの中にデータはありません。

まどか「嘘だよっ!!」


だって、だって…

私は友達と写真をとったり、

パパやママ、たっくんの写真を入れたりしていたはずなのに。


まどか「なんで…」ウル…

まどか「なんでこんなことに……」


そういえば、ケータイに一回も着信やメールがないことに今さら気づいた。

ママなら心配して1日に一回はメールか電話をしてきそうなものなのに。

まどか「……なんで?」

まどか「こんなの絶対おかしい…」


言いようもない不安に押しつぶされそうになった。

部屋の中に一人きり。

誰かに相談したくても、連絡手段がない。


ほむらちゃんも、さやかちゃんも……連絡先も家もわからない。

壁の隅のほうで、膝を抱えながら思った。


もしかして…もうパパやママに会えないんじゃないかな。

そんなとき、ふとほむらちゃんの顔が浮かんだ。

なんでだろう。なんで、ほむらちゃんの顔が。

すごく会いたい。

ほむらちゃんが私のことを知っているから?

いや……ちがう。


私もほむらちゃんのことを知っている。

こんな時に、一番側にいて欲しい人だった。

いつも私のことを守ってくれて……

側にいてくれた。

なのに…どうして……?


まどか「ほむらちゃんのことも…全然思い出せないよ……」

~朝~

泣きつかれて寝てしまった。

顔を洗って、学校へ行く支度を整える。


家に帰りたい…

でも、怖い。

そこに自分の帰る場所がない気がして。


だから、お願い。

私に少しだけ勇気をください。

~学校~


ほむら「勉強を教えて欲しい?」

まどか「……うん」

まどか「数学の進みが、前の学校より早くって…」

ほむら「そうなのね…」


本当は嘘。

私は一人でいるのが怖かった。

いろいろとよくないことを考えてしまうから。

ほむら「なら、今日うちに寄っていく?」

まどか「え?いいの?」

ほむら「何もないけれど、それでよければ」

まどか「やったぁ!!ほむらちゃん、ありがとう」


誰かとの繋がりがほしい。

一人きりじゃないと思えるように。


ほむら「帰りがけに一緒にケーキでも買っていきましょうか?」

まどか「えへへ、勉強に糖分は大事だもんね」

ほむら「ええ」


今は私の直感を信じよう。

どうか私とほむらちゃんが、繋がっていますように……


~商店街~

ほむら「ここのケーキ屋が、私の知り合いのいきつけで…」

まどか「へぇ~、お洒落だね。知り合いって?」

ほむら「学校の先輩よ。今度紹介するわ」

まどか「うん。」

もしかしたら、それはマミさんのことかもしれない。

マミさんもほむらちゃんのことを知っているみたいだったし。


ほむら「私はこのタルトにするけど、まどかは?」


まどか「う~~ん……あ…」

まどか「ご、ごめん、ちょっと…行ってくる……」

まどか「ほむらちゃんのおすすめを買っといて」


そのまま、お店のトイレを目指す。

これからほむらちゃんのお家に行くと思うと少し緊張してきたのか。

もし私の勘違いだったら…そう思うと不安で。


ほむらちゃんならきっと大丈夫だから……

トイレから戻ると、ほむらちゃんがケーキを受け取っていた。

まどか「おまたせ~♪」

ほむら「まどか、今あなたの…」

まどか「私がどうかしたの?」

ほむら「あなたのケーキも買ったから、うちに行きましょう。」

まどか「うん♪」


なんだろう、何かほむらちゃんが言いそびれたみたいな気がしたけれど……

~ほむホーム~


まどか「任意の3桁の整数の百の位、十の位、一の位をそれぞれ足して3の倍数であれば、その数は3で割り切れることを証明せよ……」

まどか「どういうこと?」

ほむら「たとえば、111だと全部の位を足したら3になるじゃない?」

ほむら「3,6,9とか3の倍数になれば、その数は3で割り切れるってことよ」

まどか「111を3で割ったら……あ、ほんとだ。37で割り切れるね」

まどか「すごい、なんでなんで?」

ほむら「それを証明するんでしょ?」


まどか「検討もつかないよ。」

ほむら「少しは考えなさいよ」

まどか「ほむらちゃん、冷たい~」ムクッ

両手を前に出して倒れた。

お手上げ状態とは、まさにこのことだ。

でも、ほむらちゃんと一緒にいるのは楽しかった。


まどか「数学なんて、私には難しすぎるよ。算数までじゃダメなのかな?」

ほむら「そうね。社会で必ず必要になる能力ではなさそうね」

ほむら「でもそんなこといったら義務教育のほとんどの科目が不要になるわよ」

ほむら「最後まで履修しても、先生か講師にならない限り、人の役に立たないもの」


まどか「みんなの役に立てる力…か」

まどか「私には何があるんだろうな」


もしかしたら私は一人きりなのかもしれない。

そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?

自分が救われることしか、今は考えられないというのに…

もしかしたら私は一人きりなのかもしれない。

足元が真っ暗で怖くて仕方ないのに…

そんな私が、誰かの役に立てることなど、この先あるんだろうか?

自分が救われることしか、今は考えられないというのに…


ほむら「……」


ほむら「あなたは、あなたでいるだけで十分よ、まどか」


まどか「……うん」

まどか「ありがとう、ほむらちゃん」

まどか「ゆっくり考えてみるよ」

ほむら「わかってくれてよかったわ」

まだ当分その答えを見つけられそうにない。

ほむらちゃんが言うように、このままで救われるなんてことはないだろう。

だけどなぜかほむらちゃんに言われると、それが本当にそうであるように思えた。

私はこのままでも、誰かの力になれるんだろうか。

そうすれば、居場所をみつけることができるのかもしれない。


ほむら「一旦休憩して、ケーキでもいただきましょうか?」

まどか「わ~い♪」

とりあえず今は、ほむらちゃんとの時間を楽しみたい。

ほむら「……」

まどか「ん~~、おいしいっ!!」ニヤニヤ

ほむら「ふふふ、気に入ってもらえてよかったわ」


もうずっと、ほむらちゃんといたいな…

ひとりきりは寂しい。

あの家に一人で帰るのは嫌だ。

まどか「こんなケーキが食べられるんなら、毎日ほむらちゃんちに来たいな」

ほむら「あら。洋菓子なんてたまに食べるからこんなにおいしくいただけるのよ」

ほむら「それに毎日食べてたらカロリーが気になって、心から楽しめないわ」

まどか「うぅ……」


別にそういうことが言いたいわけじゃないのに…



ほむら「でも、まどかさえよければ、いつでも遊びにくるといいわ」


まどか「ほんとっ!?」キラッ

まどか「えへへ~、またお邪魔しちゃお~」ニコニコ


やった。


あんまり迷惑がかからないようにしないとね。

夜遅くまでいては、ほむらちゃんも自分時間があるだろうし…

ほむら「何か二人で遊べるものがあるといいのだけどね」

まどか「でも、将棋とかチェスはほむらちゃんに勝てる気がしないな~」

ほむらちゃんは、私よりずっと頭がいいし運動もできる。

正直何をやっても勝てる気がしない。

ほむら「美樹さやかたちとは昔何をして遊んでたのかしら?」

まどか「ん~~~。……ん?昔?」

ほむら「……」

ほむら「そういえば、まどかは最近転校してきたのだったわね」

まどか「う、うん……」キョロ


多分、別の学校にいたはずなんだ。

今となってはその記憶全てが疑わしく思えてくる。


まどか「テレビゲームとかならちょっとできるよ」

ほむら「そうなの。じゃあ、二人でできそうなゲームでも買ってきましょうか」

まどか「うん。やろうやろう」


昔、ママに買ってもらって一緒にやったことがある。

……できるはずなんだ。

ケーキを食べ終えると、もういちどほむらちゃんに勉強をもらった。

3桁の数字を文字で置き換えるというヒントをもらい、なんとか解くことができた。


まどか「なるほど。だから3で割り切れるんだ!」

まどか「すっごいね~。証明って面白~い」


これは素直に感動した。

数学はもともと嫌いではないし、問題が解けるとうれしい。

ほむら「結局今日は1問しかできなかったわね?」

まどか「え、ああ…もうこんな時間……」

ほむら「そろそろ帰らないと、ご飯に間に合わないのではなくて?」


そういえば、ほむらちゃんに一人暮らしをしていることは言っていなかったっけ。

でも私は今家族のことに触れてほしくないので、その話は避けるようにした。

また今度ちゃんと話そう。


まどか「……うん、そうだね」

まどか「じゃあ、今日はありがとね、ほむらちゃん」

まどか「また遊びにくるから……」

ほむら「ええ、待ってるわ」


帰りたくないな……

もう一人でいるのは嫌だよ…

バタンッ


エレベーターを使って、マンションから降りていく。

外に出るともう日が沈みかけていた。



あ……

せめてほむらちゃんの電話番号とメールアドレスを聞いておけばよかった。

でも、今から聞きに戻る勇気がない。


明日聞けばいいか……。



電灯があるものの、今は夜道を一人で歩くのは辛いと思った。

エントランスの先から、ほむらちゃんの部屋を見上げる。

あの窓から…私を呼んでくれないかな……


まどか「ははは…そんな虫の良い話ないよね」ウル

まどか「帰ろ、帰ろ……」

再び前を向いて歩き出した。

そして、車道を渡ろうとしていたその時。



ほむら「まどかぁ~~~~~!!」


ベランダから身を乗り出して、力いっぱい叫ぶリボンをつけた女の子がいた。

通行人たちが一斉に振り返る。


…ほむらちゃん。

どうして?

瞼に溜まっていた涙がこぼれた。

嬉しい…

ほむらちゃんは、そのまま勢いよく部屋に入っていった。

ほむらちゃんが来るまでに、涙を止めてしまおう。

理由はなんであれ、

今は一秒でも、ほむらちゃんと一緒にいられればいい。

まどか(あ…ほむらちゃん)

慌ててこちらに走ってくる。

まどか「どうしたの、ほむらちゃん」

ほむら「……」ハァハァ

ほむら「夕飯食べていかないかしら?」

夕食?

正直、この展開は予測していなかった。

あまりの嬉しさに、また涙が出そうになった。

まどか「え? いいの?」

ほむら「え、ええ…」

まどか「えへへ、じゃあお言葉に甘えようかな」

ほむら「でも、ご家族に怒られないの?」

まどか「それは……」


いま家族のことに触れられるだけの勇気は、私にはなかった。


まどか「パパに連絡しておけば大丈夫だよ」エヘヘ

ほむら「そう……」

ごめんね。

いつか必ず本当のことを話すから。

だから、それまでほむらちゃんの側にいさせて。

さるったので、しばらくお待ちを。

ほむほむ。
タイトルだけ教えてもらっといて良いかな?
あとで読むわ

~お料理タイム~


まどか「でも、びっくりしたよ」

まどか「急に呼ばれるんだもん。何か大変なことがあったのかと思ったよ」


じゃがいもの皮を剥きながら、ほむらちゃんの顔を見る。

うっすらと笑みを浮かべていた。


ほむら「そうね……ごめんなさい」

ほむらちゃんもどうして、夕食に誘ってくれたのだろう?

もしかして、一人になるのが寂しかったのかな?

だったら……ちょっとうれしいかも。

まどか「ジャガイモの皮むけたよ、ほむらちゃん」

ほむら「そう。じゃあボウルの中にいれておいて頂戴」

まどか「なんだかこういうの楽しいね」エヘヘ

ほむら「楽しんでもらえてよかったわ」

まどか「いつもちゃんとお料理してるの?」

ほむら「一人だと、適当になってしまうわね」

まどか「うん、わかるわかる」

ほむら「あら、あなたはご家族と食べているのでは?」

まどか「えと…。パパもママもいないことがあるから」

まどか「そういう時は、スーパーで惣菜買ってご飯食べちゃうの」


ごめんなさい。嘘です。

ほむら「まどかは料理はできるのね?」

まどか「ママが、女の子は料理ができる方がモテるからって…」


あ……

私、ママのことちゃんと覚えてる。


まどか「私はまだそういうのよくわからないけど」

ほむら「あなたは十分可愛いからね」

ほむら「あなたのファンクラブだってあるかもしれないわよ」

そう…ママも同じこと言ってたっけ…

まどか「………全然……そんなこと……」

ファンクラブなんて…そんなもの……あるはずないのに。

ママ……

よかった……ちゃんと覚えてる。

ポタ…ポタ…


ほむら「玉ねぎが目にしみたかしら?」

ほむらちゃんが、心配そうに私の顔をみている。


まどか「ううん……なんかママとも同じようなやりとりしたなって」

まどか「ちょっと、懐かしくなっちゃって……」

まどか「あ、ニンジンちょっと皮むきすぎちゃったかも。ごめんね」

ほむら「それはいいのだけれど…」


あ……懐かしくなっちゃってって…のはまずかったな。

一緒に暮らしてないってバレちゃうかも。

話題かえなきゃ。

まどか「ねぇねぇほむらちゃん、ずっと気になってたんだけどさ」

ほむら「何かしら」

まどか「そのリボンて、私のやつと同じものなんじゃないかな?」

ほむら「!?」

ほむら「い、言われてみれば確かによく似てるわね」


ほむらちゃんは少し焦っているような気がした。

もしかして、これは私とほむらちゃんの思い出の品だったり?

いや、そんなハズはないよ。

だってこれはお母さんからもらったものなんだもの。

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>>171
終わった後に書いてるネタバレさえ読まなければ、
問題ないかもですね。

前作だけでは、何がなんだかわからないようにして終わってるので。
ただ展開は前回の洗いなおしだからどうしようもないです。
追加シナリオもあるから、全て被ってるわけじゃないんですけど。

まどか「ねえ、どこで買ったの?」

ほむら「ええと……これは買ったのではなくてね」

ほむら「人からの貰い物よ」


え……

それってもしかして……

私のお母さんから?



ほむら「友達から貰ったの」

……なんだ。

まどか「……そうなんだ」

まどか「そっか…そうだったんだ……」

ちょっと、漫画みたいな展開を期待してしまった。

でも、同じリボンを見に着けているなんて、まるで…


まどか「なんかお揃いなんて、恋人みたいで恥ずかしいね」エヘヘ

ほむら「こ、恋人!?」///




まどか「うんうん。ほら、鏡、鏡」

台所にあった鏡の前に、二人並んだ。

同じリボンをつけた者がそこに映っている。


恋人……いや、

……姉妹のようだというのが正直なところだ。


ま、まさかね。

細かいことだが、ママとお母さん混じってるぜ


ほむら「私が姉かしら?」

まどか「…同じこと考えてたんだね」


なんかほむらちゃんと心が通じてるみたい。

不思議だな。

さっきまであんなに寂しかったのに。


まどか「ほむらちゃんの妹か。うん。いいかも……」

ほむら「似てない姉妹ね」

まどか「どうせ私はほむらちゃんみたいに美人じゃないですよ」ムク

ほむら「あら、私はあなたの方が愛らしくて可愛いと思うけど」

まどか「か、可愛い…」///

ほむら「ええ。目にいれても痛くないぐらいに。」

う、嬉しい…

まどか「そ、それは言い過ぎだよ」

ほむら「あら、そうかも」

まどか「もうっ、ほむらちゃん!?」

ほむら「冗談よ。可愛いと言ったのは本当だから許して頂戴」

まどか「///」


結局ほむらちゃんに言いくるめられてしまった。

なんだかずるいな。

でも……こういう時間、久しぶり。

本当にほむらちゃんが私のお姉ちゃんだったらなぁ。

ずっと一緒にいられるのに……

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>>193
指摘あり。
全部置換してきた。

まどか・ほむら「いただきます」

二人で作ったシチューを口の中に入れる。

ほむら・まどか「あつつ……」


まどか「えへへ、ふぅふぅしないと熱いね…」

ほむら「もう、まどかにつられて、何も考えず食べてしまったわ」

まどか「え?私のせい?」

ほむら「そうね。一人ならこんなことしなかったわね」

まどか「つられるほむらちゃんが悪いんじゃないかな?」

ほむら「む…」

ほむら「だって、二人で一緒につくったものだから…」

ほむら「味わうのも一緒がよかったのよ」ボソッ


胸の奥がじわっと暖かくなるのが感じた。

ほむらちゃんがあまりに嬉しいことを言ってくれるものだから、

油断すると涙が出そうになる。

そんなしめっぽい雰囲気ににならないようにするため、

私もほむらちゃんをいじってみよう。


まどか「ほむらちゃんてさぁ」

まどか「実は結構可愛いよね?」

ほむら「なっ…」///

まどか「そういうところ、さやかちゃんとかの前で出していったらもっと仲良くなれるんじゃないかな?」

ほむら「大きなお世話よっ!?」


いや、もしかしたら私よりもずっとさやかちゃんの方が仲良しなんだろうか?

実は私の知らないところで意外と交流があったりするのかもしれない。

そんな空気が、二人の間にあることをこの前から感じていた。

ちょっと悔しいなような。

まどか「でも、可愛いほむらちゃんを私だけが知ってるってのは嬉しいな」エヘヘ

今、一瞬だけど……

ほむらちゃんが心から嬉しそうに笑っていた。

あんな笑顔を見たのは初めてかも。


まどか「ほむらちゃん笑った」

ほむら「別に普通よ」

まどか「なんだかすごく珍しい気がするよ」

ほむら「あなたのシチューをすする姿が可愛らしかったからね」

まどか「も、もう!可愛いって言えばなんでも許されると思って!」

ほむら「あら、別にバカにしてるつもりはなかったのだけど…」

まどか「それ絶対、嘘だよ」

ほむら「ふふ…バレてるなら仕方ないわね」

まどか「もう~~、子供っぽいって結構気にしてるんだからね!」

……楽しい。

こちらに来てから私が一番楽しいと思ったのは、きっと今だろう。


……でも。

ほむらちゃんは、私を知っているはずなのに、

私はほむらちゃんを知らない。

もっと、もっとほむらちゃんのことを知りたい。

まどか「ねぇ、ほむらちゃんは一人暮らししててさびしいときはとかないの?」

ほむら「唐突ね。毎日それなりに忙しいから、さほど寂しいと感じることはないけど……」

まどか「そっか。すごいね」

ほむら「当初は今よりも心許なかったのだけどね。慣れたってのもあるわよ」


慣れか……

慣れたら私も寂しくなくなるのだろうか?

いや、違う。

私の場合はそもそも家族が今どうしているのかすらわからないのだから。

寂しいどころの問題ではない。

まどか「家族とは会ってないの?」

ほむら「そうね……しばらく会ってないわ」


ほむらちゃんは遠い目をしていた。

もしかして、つらいことを思い出させてしまったのだろうか。


ほむら「まどかも家族がいるうちは、時間を大切にした方がいいわ」

ほむら「いつ会えなくなるかわからないのだからね」

まどか「うん……ホント。……その通りだね」


まさか本当に会えなくなるかもしれない日がくるなんて、思わなかった。

食事が終わることには、時計は八時半近くになっていた。

ほむらちゃんは、洗い物をしている。

……そろそろ帰らないといけない時間だろう。


ほむらちゃんに言わせるのも悪いので、洗い物が終わったら私から切りだそう。

今なら一人でも少しは平気な気がした。


ほむら「まどか~、リンゴたべな~い?」

流しからほむらちゃんの声が聞こえた。

まどか「え?剥いてくれるの?」

ほむら「ええっ…」

ほむらちゃんは、リモコンでテレビをつけて動物特集のところでチャンネルをとめた。

まどか「あ、わんちゃんだ!」ワクワク

そこには、大好きな犬たちが遊んでいる姿が見えた。

か、かわいい。

ほむら「今りんご剥くわね」

まどか「うん♪」


って、帰るつもりだったのにいいのかな?

もしかして、ほむらちゃんも私にいて欲しかったり……とか?

でも、一人でも寂しくないってさっき言ってたのに。


テレビを見ながらほむらちゃんを待っていると、お皿を抱えて帰ってきた。


ほむら「ほら、剥けたわよ」

まどか「わ~い♪」

まどか「すごい、うさぎだぁ!」


器用だなぁ。

ちょっと食べるのがもったいないぐらい。


まどか「食べてもいいかな?」

ほむら「うん。」

まどか「いただきま~す♪」パクッ

ほむら「……」モグモグ

歯ごたえのある食感と、甘み、酸味が口の中に広がっていく。

まどか「おいしいね」

ほむら「うん」


不思議。

家族ともう会えない気がして昨日は、あんなに泣いていたのに。

今はこんなに笑っていられるなんて。


……ありがとうほむらちゃん。

私決めたよ。

今度時間を見つけて、実家に帰ってみる。

そしてこんなモヤモヤとした気持ち、さっさと終わらせるんだ。

それから数日が過ぎた。

私は家族と会いに行くのをまだためらっていた。

なかなか踏ん切りがつかない。

~ほむホーム~


まどか「ほむらちゃん、次の土曜日暇かな?」

ほむら「そうね。特に予定はないけれど?」ホム?

まどか「じゃあ、二人でどっかお出かけしよっか?」ニコッ

ほむら「ええ。いいわよ」

ほむら「どこか行きたい場所があるのかしら?」

まどか「ううん。とりたてては……」

ほむら「なら適当に街をぶらぶらしてみましょうか?」

まどか「うん!」



よし、これを自分のご褒美にして行ってみよう。

早速家に帰って出かける準備を整えた。

~Y県W市~


祝日を使って旅に出た。

まどか「帰ってきた…」

JRを乗り継いで、ここまで3時間以上。

中々の遠出と出費をしてしまった。


駅からは田舎道をバスを使って家の近くまでいく。

別に懐かしいとは思わない。

ちょっと前まで、通いなれた場所だったのだから。


それでも私は安心していた。

地元に帰ってくれば、自然と思い出すものだなぁ。

よかった。

やっぱり私はここに住んでいたんだ。

最寄り駅まで20分ほどバスに乗っていた。

さて、早速家の前についたわけで…

まどか「なんだか緊張するな。」

呼び鈴を鳴らす。

しばらくして、扉が開いた。

「はい、どちらさん?」

中からママが出てきた。


……あれ?

この人がママ?

私はママのことをよく知っている。

この人の名前も、性格も、思い出だってある。

でもなんでだろう?

全然私のお母さんである気がしないのだ。

まどか「あ、あの…私」

「ああ、あの子の友達ね。上がってちょうだい」

まどか「え?」

やっぱり、ママではないんだろうか。


……そんな。

ここはたしかに私の家のはず。

ここ以外に私は帰る場所を知らない。



こうなったら…とことん調べるしかない。

中に案内されたので家の中を歩く。

うん、やっぱり、私の家のはずだよ。

だってここで暮らしてた記憶があるんだもん。


そういえばこの人の話だと同じぐらいの女の子が家にいるみたい。

その子なら、何かわかるに違いない。

私がなぜ、こんな事になったのか説明してもらおう。


麩を開けると、和式の部屋に通された。

まどか「あれ、ここって?」

女性「ふふ。お線香はここにあるよ」


部屋の奥には、仏壇と遺影が並んでいた。

写真には、私と同じぐらいの髪の長い女の子が映っていた。

まどか「そんな……」


写真の子は、清水由衣という名前らしい。

今年の夏に東京ので一人暮らしを始めたはいいものの、亡くなったみたいだ。

死因はよくわかっていないらしいが……



清水?

ママの名前も清水由佳。

私の名前は鹿目まどか。

あれ……私……

なんの繋がりもない。



私は亡くなった由衣ちゃんとは一体どんな関係があったのだろうか?

ただ思うことは、彼女の境遇が少し私に似ているということだ。

同じ一人暮らしをしていて、同じ学校へ通っていた。

年の離れた弟がいて…

まどか「あの私、鹿目まどかって言うんです」

まどか「由衣さんは、私のこと何か話してませんでした?」

母親「さて…娘とは離れて暮らしてたからね…」

母親「もっと音沙汰があれば、聞けたのかもしれないんけど…」

まどか「そうですか…」

これ以上聞くのは酷な気がした。


お線香を上げて、私は家を出た。



愕然とするしかなかった。

私は帰る場所を失った。

大好きな家族は、どこにもいなかったのだ。

涙を流すことも忘れ、ただなんとなく歩いた。

あの家族は自分にとってなんなんだろう。

あの人達と、私は過ごしてきた記憶があるのに…

それでもはっきりとわかる。

私はあの人の娘じゃない。

私の居場所はあそこではない。



まどか「何も…」

まどか「何にもなくなっちゃった…」


本当の私の家族はどこに?

みんな、どこにいっちゃったの?

会いたい……

会いたいよ……。

ママ……

ひょっとしてリアルタイムで執筆中か?だとしたらすげぇ集中力だ

~見滝原駅~


もう、夜はすっかり遅くなっていた。

誰もいないあの家に、また帰らなくてはいけないのだろうか。

こんな時に、誰かいてくれたら。

まどか「……ほむらちゃん」

ほむらちゃんの顔が浮かんだ時、

後ろから肩を叩かれた。


まどか「ほむらちゃん!?」

そこには、優しい顔をしたマミさんがいたのだ。

マミ「こんばんわ、鹿目さん」

まどか「マミさん?」


どうして、こんな時間に?


マミ「あなたにお話があってね……ずっと待ってたのよ」

まどか「私に、お話?」


そういえば、この人は屋上で話した時、私のことを何か知っているような口振りだった。



まどか「全然……わからないよ」

まどか「マミさんたちは、どうして私のことを知ってるんですか?」

まどか「私は……」

まどか「私だけが何にもわからないままで……」

マミ「……」

マミさんは、ただじっと私を見下ろしたままだった。


まどか「ごめんなさい。別に、みんなが悪いわけじゃないのに…」

まどか「私、何がなんだかわからなくなっちゃって…」


マミ「とりあえず、私のうちに来ない?」

マミ「温かい紅茶をご馳走するわ」

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>>237
4日ぐらいかけて書きました。

~マミホーム~

マミ「少しは落ち着いたかしら?」

まどか「はい。ありがとうございます……」


お陰でだいぶ冷静になれた。

それに一人で家に帰るより、よっぽどマシだった。

今は誰でもいいから側にいて欲しい。


マミ「ふふ、紅茶には私もお世話になっているの」

マミ「悲しいこととかがあった時、癒してくれるからね」

まどか「……」


この人も辛いこと、いっぱいあったんだ。

優しい目を見ていると、そう思えてきた。

どことなくほむらちゃんに似たような雰囲気を、この人からも感じた。

人を寄せ付けないというか…

どこか普通の人とは違う感じ。

マミ「率直に聞くけども」

マミ「鹿目さんは自分の正体が何なのか、知っているのかしら?」

まどか「私の…正体?」


…もしかして、この人は全てを知っているのだろうか?


マミ「やっぱり何も知らないのね」

まどか「マミさんは、私のこと何か知ってるんですか?」

マミ「……」

まどか「教えて下さい。」

マミ「そうね…」

マミ「私もあなたのことを全て知っているわけじゃないの」

マミ「でも、ここ数日あなたのことについて、調べまわっていたわ」

マミ「本当にあなたは存在するか。両親はいるのか。」

なぜ……そんなことを?

マミ「確かに戸籍上、あなたは存在することになっている。」

マミ「けれど、あなたのご家族。ご両親に関することは何もわからなかった」

まどか「そんな……」

マミ「察するに、今日あなたは実家だと思われる場所に帰っていたみたいだけど…」

まどか「はい」

マミ「よければ、話を聞かせてもらってもいいかしら」

今日の出来事を、マミさんに話した。

マミ「なるほど。あなたの知らない家族が……」

まどか「いや、知らないってわけじゃ…」

まどか「覚えてるけど、この人は違うっていうか…」

マミ「なるほど。なるほど」

マミ「大体事情は呑み込めてきたわ」

まどか「私のことわかったんですか!?」

マミ「いいえ、まだそこまでは……」


やっぱり、もうママたちには会えないのかな。

マミ「ねえ鹿目さん、あなたは本当のことを知りたいと思っているのよね」

マミ「私は真実に近づけるためのヒントを与えることができると思う」

マミ「だけどあなたはそれとは引き換えに、今まで知らなかったものを、知らなくてはいけなくなる」

マミ「それがどんな事であろうと、受け止める覚悟はあるかしら?」




まどか「私は、パパとママに会いたい!」

まどか「もし少しでも会える可能性が残っているのであれば……」

まどか「どんなことでも受け止めます」

マミ「……」

マミ「わかったわ」

マミ「少し長い話しになるけれども、ゆっくりついてきなさい」


今までの優しい目をしていたマミさんではなく…

ただ淡々とした口調で、この世の真実を話す。



魔法少女。

自らの祈りを叶える為に、魔獣と戦うことを運命付けられた存在。

マミさんや、ほむらちゃん、さやかちゃんは、それと戦っているのだという。

実際に、魔法というものを見せてもらった。

何もないところから、銃やリボンをとり出されては信じるしかない。

まどか「魔法少女と私の家族が関係あるんですか?」

マミ「そうね…そのあたりは私も確証があって言える話ではないのだけれど…」

マミ「記憶を操作したり、存在が消えたりなんて、普通はありえないことだから」

まどか「もしかして、私の家族はその魔獣ってのに…」

マミ「違うと思うわ」

マミ「鹿目さんか、ご家族が被害にあったのなら、記憶を書き換えるなんてややこしいこと奴らがするとは思えない」

まどか「じゃあ、いったい…」

マミ「今から私が言うことは、真実ではないかもしれないわ」

マミ「けれど最も考えられる可能性が高い仮説を話すわね」

マミさんが言うにはかつて私は魔法少女だったらしい。

そして魔法少女となった私は、その祈りに「魔女の消滅」を願った。

魔女とは、魔法少女のなれの果てで、今で言う魔獣のような存在。

魔法少女は力を使い果たすか、絶望を糧に魔女へと変わる。

世界を救う存在が、世界を滅ぼす悪へと変わる世界。

それを私は作り変えたのだという。

魔女を滅ぼす概念となり、この世から消滅した。


マミ「言ってみれば、神様のような存在よ」

まどか「そんな、そんなこと私は……」


なんの取り柄もない私が、そんなことできるはずがない。

自分の居場所を失っただけでこれほど狼狽している自分が、

世界を変えるような存在であったなんて思えない。

まどか「第一私はここにいます」

まどか「消えてなんかいない…」

まどか「それに世界が作り変えられたのだとして…」

まどか「どうしてマミさんたちはそれを覚えていられたんですか?」

マミ「……」

マミ「暁美さんだけは覚えていたの…」


まどか「ほむらちゃんが?」

マミ「私や、美樹さん……あなたの友達もあなたのことを忘れてしまった」

マミ「なぜ彼女だけが覚えていられたのかは私にもわからない」

マミ「けれど、彼女が言うにはあなたによって世界を再構成されたらしいの」

マミ「なぜあなたがここに具現化したのかはわからない」

マミ「あなたが今日会った、家族はきっと……」

マミ「この世に存在するためのギャップを埋めるために、最適だと思われた人物の記憶を継承したのだと思う」

マミ「一人暮らしだとか、同じ学校だとか…今のあなたが存在するにはぴったりの条件だものね」

まどか「そんなのおかしい。だって…私には家族がいるのに、なんでわざわざ…」

マミ「……」


そう言うと、マミさんは黙ってしまった。

私は数秒してから、まみさんの沈黙の意味を理解した。


私はもともといなかったことになるのだから……

パパも…ママも…たっくんも私のことを覚えていない?


ギャップを埋めるとはそういう意味なのか?

私がショックを受けないように…

わざわざ偽りの記憶まで……

まどか「マミさんは……」

まどか「……マミさんもほむらちゃんの話を信じてるんですか?」


私には信じられない。

いくらほむらちゃんの話しでも、信じられないよ。

本当の自分はもうこの世にはいなくって…

神様になっていただなんて…

マミ「あなたのそのリボン……暁美さんと全く同じものだって気づいてた?」

まどか「え?」

頭からリボンを取り外して眺めてみる。

ママからもらったリボン。


マミ「暁美さんのリボン……あなたからもらったんですって」

マミ「正確には、この世を作り替えたあなたから…」


まどか「ああ……あぁ……」


そういえば、ほむらちゃん言ってた。

このリボンは、友達からもらったって。

私以外に、このリボンを持っている人なんて偶然にしては珍しい。



やっとわかった。

ほむらちゃんが、私を知っていた理由が。

初めて会った気がしなかったのは、そういう間柄だったからだ。

世界が変わる前、私とほむらちゃんは同じ魔法少女で、一緒に戦った仲間だった。


まどか「うぅ……ほむらちゃん……」


もっと早く知りたかったな……

だって、ほむらちゃんだけだったんだもん。

この世界で私とつながっていたのは。


そしたら私……初めてほむらちゃんとお話したときに、ちゃんとお礼が言えてたのに。

覚えててくれてありがとうって。

こんな私のこと、大切に思っててくれてありがとうって。

マミ「……」

マミ「紅茶いれなおしてくるわね…」



私はマミさんから紅茶のお代りを頂いた。

もう一度落ち着いて、マミさんと話をする。


まどか「それで、どうしてマミさんは私のことを調べてたんですか?」

マミ「もし、あなたが本当に神様だとしたら、世界に異変が起こるかもしれないもの」

マミ「あなたがここにいる理由を調査しなくては、何かあった時に対応できないから」


なるほど。

マミさんは私が神様の仕事をしてないかもって思ってるんだ。

……もしかして私、とんでもないことをしてるのかな?


まどか「私が仕事をさぼると、どんなことが起こるんですか?」

マミ「魔女が生まれるようになる」

マミ「私達魔法少女が、悪意を持って人を襲うようになる」

まどか「そんな……」


じゃあ、ほむらちゃんもいずれ……


マミ「でも、今のところ他の魔法少女たちが、魔女になったという話は聞かない」

マミ「おそらく、別のところでしっかり働いてくれているのでしょう」

まどか「よかった…」

ほむらちゃんが、魔女になったらどうしようかと思った。

マミ「それにあなたからは何の魔力も感じない」

マミ「あなたは神が創りだした分身かと考えたのだけれど、彼女も魔法少女であることには変わりない」

マミ「彼女の魔法であれば、必ず魔力の気配を感じるはずだもの」


私にはそれがない……と。


マミ「そもそも概念となった彼女が、この世に干渉する力があるとは思えない」

マミ「あなたが本当に鹿目まどかであるなら話は別だけれども」

まどか「私は……偽物なんでしょうか?」

マミ「少なくとも、暁美さんはそんなこと気にしてないみたいだから、安心していいわよ」


それは……喜んでいいのだろうか?

マミ「とりあえず、あなたがどういう経緯でこの世に生まれたのか、私たちは知る必要がある」

マミ「あなたが神とは独立した存在だとしても、だからと言って軽視することはできないの」

マミ「もし何か思い出したことがあるなら、報告して欲しい」

マミ「あなたも、暁美さんを魔女にしたくはないでしょ?」

まどか「わかりました。」

マミ「ふふ。ありがとう。」





マミ「うん、よし!堅い話はこれで終わりっと。」

マミさんの目にやさしい目の色が戻った。

マミ「お茶のおかわりでもどうかしら?」

まどか「いただきます」

まどか「おいしい…」

まどか「ありがとうございます。マミさんのおかげでスッキリしました」

マミ「それならよかった。」


正直、まだわからないことだらけ。

それにこれからどうしたらいいのだろう。

ママたちを探したとしても、私のことを覚えてないのは辛すぎる。



マミ「今日はもう遅いから、泊まっていってもいいわよ」

まどか「えっ?いいんですか?」

マミ「こんな時、誰か一緒にいてくれる友人が欲しいものでしょ?」


マミさん……

魔法少女というものを、まだ私は理解していないけれど、

きっと優しい人がなれるものなのだと思った。

まどか「えへへ、正直一人は寂しいなって…」

マミ「うん。私もずっと一人で暮らしてても、未だに寂しくなるもの」

まどか「マミさんも?」

マミ「そうね。それにこんなことをしているから、友達も恋人もつくれないし」

まどか「……大変なんですね」

マミ「別の世界では、あなたも魔法少女をしていたはずなのだけどね。」

まどか「そっか。そういえばでしたね」


私にも、魔法少女になる資格があったんだ。

それってすごいことなんじゃないかな?

ほむらちゃんと一緒に世界を守ってた…

ふふ…なんか嬉しい。

私にも、役に立てる場所があったんだ。


まどか「でも、私ってどんな願い事をしたんだろう?」

マミ「ふふ、さぁ、それはなんとも言えないわね。」


自分でも想像つかない。

だって家族も友達もいて、何もほしい物なんてなかったはずなのに

どんな願い事を叶えて、魔法少女になったんだろう?


マミ「もう遅いし、そろそろ寝ましょうか。」

マミ「布団敷いておくから、シャワーは好きに使ってちょうだい」

まどか「ありがとうございます。」

これもしかしてかなり長い?


お風呂の中で、私はじっくりと考えた。

どうして私はここにいるんだろう。

なんでほむらちゃんだけが記憶を持ったままでいられたのだろう。

まどか「はぁ……全然わかんないよ」


とりえず、マミさんが良い人でよかった。

一人でも、私のことをわかってくれる人がいてくれるだけで安心する。

--------------------------------------
>>290
長いっすよ。
まだ半分ぐらいです
眠いなら、無理しないで下さい。


お風呂から上がって、髪を乾かす。

マミさんは既に、ベッドで眠っていた。

私もマミさんの用意してくれた布団で横になった。


よく考えたら、一人暮らしなのに予備の布団を持っているなんてどういうことだろう。

誰かが泊りにきたりするのだろうか?

でも、さっき恋人はいないって言ってたし。

そのあたりの話はおいおい聞くとしよう。

今はただ自分が何者なのかを知りたい。

心からそう願った。

~???~

シクシク……

シクシク……シクシク……


「泣いているの?」

「悲しいことがあったの?」

うん。

パパも……ママも……

私のことを覚えてない…

「そうだね…」

「それでも私たちは、それを望んだんだんだ」

「この世界に生まれ変わることを」


望んだ?

こんな結末を、私が?

「今、思い出させてあげる。」

~ほむホーム?~



まどか「私も一緒に戦うよ!」

ほむら「ダメ。せっかくここまであなたを契約させなかったというのに、その努力を水の泡にする気?」

まどか「だって…今までだって勝てなかったって…」

ほむら「それは、あなたが戦いの途中で、キュウべぇと契約をしたせいで…」

嘘。

どんな魔女かは知らないけど、ほむらちゃんだけではきっと勝てない相手なんだ。


まどか「過去の私だって、そんなこと望んでないよっ!?」

まどか「ほむらちゃんが、一人だけで命を落とさせるような真似をするなら、私は…私は……」

ほむら「まどか……」

ほむら「…あなたがそういう子だってこと、私はよく知っている」

ほむら「だけどね……これは私が望んだことだから」

ほむら「私の願いは、あなたとの時間をやり直すことだった」

ほむら「もう一度あなたと出会いをやり直して、あなたを守れる自分になりたいと願った」


ほむらちゃんは、私の背中を抱き寄せた。

まどか「…ほむら……ちゃん?」

ほむら「お願い…まどか……」

ほむら「私にあなたを守らせて……」

ほむら「これで終わりにしたいの…」

ほむら「もし、私があなたを守ることができたのなら、最後にあなたの笑顔が見たい」

ほむら「頑張ったねって、私を褒めて欲しいの…」

ほむら「そのために……私……これまで頑張ってきたんだよ」


私は何も言えなかった。

ほむらちゃんの背負った物の重さに、手が震えそうになった。

私が救われることだけが、ほむらちゃんの救いだとするのなら…

私はここで何もすることはできないんだろうか?

>>54
なんかここだけ見ると
Kanonを思い出すな。

考えろ……私。

何かあるはずなんだ。

ほむらちゃんも、私も救われるとっておきの魔法みたいな方法が。


そうだ…!

私が全てを終わらせれば……もうほむらちゃんは苦しまなくて済むんだ。







夢は姿を変え、違う場面へと移り変わった。

突然、強い風が私を襲った。

それにも負けず私は、まっすぐに走る。

全てを終わらせる、願いを叶えるために。


まどか「ほむらちゃん!?」

宙を舞う、一人の少女の姿が確認できた。

大きな道化師のような人形に向け、火器を打ちまくっている。

魔女の方も怯むことはなく、連弾をほむらちゃんに向かって放つ。

徐々に、追い詰められていくのがわかった。

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今さるったんで、
もしかしたらしばらく投稿できなくなるかもです。

>>303
たい焼きたべたくなった。

まどか「お願い、もうやめてっ!」

まどか「なんで、なんでそんなに頑張るの…」

まどか「嫌だよ……ほむらちゃん…」


ワルプルギスの夜の放った炎弾の一つが、ほむらちゃんに命中した。

勢いよく、少女の身体が宙を舞う。


まどか「ほむらちゃんっ!?」

吹き飛ばされて地面にたたきつけられた。

ほむらちゃんに向かって走りだす。


ほむらちゃんの手をとった。

手首からは擦り傷だらけで、肩からは出血がひどい。

このままではとてももたないと思った。

まどか「待って…今助けてあげるから……キュゥべぇ」

QB「まどか、やっと契約してくれる気になったんだね?」

まどか「どんな願いでも、叶えてくれるって言ったよね?」

QB「もちろん。まどかほどの才能を持った子なら、叶えられない願いなんてないはずだよ」


よし……

終わらせよう。

私は全ての魔女を消滅させる。

これで、ほむらちゃんも、魔法少女のみんなも救われる。

世界全体が大きく変わってしまうだろう。

私もきっとただでは済まない。

でも…

…私は守りたいんだ。

これまで頑張ってきたみんなの願いを。


さやかちゃんみたいに絶望して、祈りをかけた事自体が間違いなんて…

私は絶対に認めない。

……どんなことがあっても守ってみせる。

たとえ死ぬより辛い運命を負うことになっても。



願いを込めようとした。

その瞬間……わたしの手が握られた。

まどか「ほむらちゃん……?」

うっすらと目を開けていて、引きつりながら笑いを浮かべていた。




ほむら「もう……あなたったら…」ハァ…


ほむら「またそうやって、私を一人ぼっちにする気?」


ほむら「一からやり直すのは、大変……なんだからね…?」


ほむら「ずるい子だわ……本当に……」ハァ


ほむら「ううっ!!……」

まどか「ほむらちゃん、もう喋らないで!!」


ほむらちゃんがテレパシーで話しかけてくる。

でもね、まどか。私はそれも悪くないと思うようになったんだよ…


だって、どんな世界でも必ずあなたがいてくれる。


同じ教室で何も知らないあなたに出会えるのが、私の楽しみで……


今度はどんなあなたに出会えるのだろうかと思うと、胸がふくらんで……


気持ちはすれ違っても、必ずあなたは私のことをわかってくれる。


そうやって時間を刻んでいくことが…嬉しくて……うれしくって…



だから……お願い。


私のことを忘れてしまっても……


またお友達になってね。

なんてことだろう。


ほむらちゃんは、ずっと楽しみにていたなんて…


私に忘れられても、私との出会いを楽しみにしてくれていて……



それなのに私…


全てを終わらせようと……


ほむらちゃんの気持ちを全然わかってあげられなかった。


ごめんっ……ごめんねっ


ほむらちゃん……

このまま私が願いをかければ、


おそらく私は消えてしまうのだろう。


そしたら、ほむらちゃんの想いは?


これまで頑張ってきた、ほむらちゃんは報われるのだろうか?


嫌だ……


こんなになるまで戦ったのに…


たった一人の友達を救えないなんて……



させない。


もうほむらちゃんを悲しませたりしない。

まどか「キュウベぃ。私の願いを叶えて!」


私の願いは、それは…


まどか「魔女のいない世界でほむらちゃんの側にいること」



QB「魔女のいない世界だって!?」


QB「でも、まどか。それは2つの願いが混同しているよ。」

QB「魔女を消滅させること。」

QB「その世界で暁美ほむらに出会うことは、それぞれ全く別の性質を持つ願いだからね」



まどか「だから、私は未来の私に願いを託すの」


まどか「ほむらちゃんが出会った、別の私が魔女を消滅させてくれることを!」

QB「別の次元のまどかが、そんな願いをする保証がなくてもかい?」

まどか「私は必ず願う。魔女の存在を消すこと。」

まどか「だってほむらちゃんが、それまで諦めるはずないもの」


QB「たとえその願いを君が願うとしよう。」

QB「だけど君は家族や全ての人から忘れられた世界で生きていくことになるだろう」

QB「君の救おうとしている暁美ほむらだって、君のことを覚えているかどうかわからない」

QB「それでも、君はその願いを叶えようというのかい?」


まどか「それはほむらちゃんが今まで、経験してきたことだもん」

まどか「だからおあいこ。かまわないよ」

でもね。


私はほむらちゃんなら覚えててくれるんじゃないかって…


何が起きても、私のことだけは覚えててくれる


そんな気がするんだ…


私はもう一度ほむらちゃんに、出会うんだ。


たとえ誰からも覚えてもらってなくても、


ほむらちゃんから忘れられたとしても……

私は魔法少女になった。

力を制御できず、全ての魔力をワルプルギスの夜に使い果たし…破壊した。



魔女を倒すことはできたみたい。

気がつくとほむらちゃんの横に倒れていた。


このままではいずれ私も魔女になってしまうのだろう。


それを察したほむらちゃんは、懐から拳銃をとりだした。

そして涙を流した。

私はほむらちゃんに、笑顔で最後のお願いをした。



まどか「いつか、魔女が現れない……そんな日が来たら…」


まどか「そしたら……私を思い出してね…ほむらちゃん」

ごめんなさい、未来の私。


大変な運命を押し付けてしまって…


これは私が望んだわがままだ。


ほむらちゃんを救いたい…その気持ちに偽りはない。


けれどほむらちゃんが私と一緒にいたいってのと同じぐらいに


私だってほむらちゃんと、ずっと一緒にいたい。


たとえこの記憶を失くしてしまったとしても……



その想いはあなたも同じはずだよね。


一緒に見守ろう。


私とあなたと、全ての私たちで、彼女たちの行く末を。

~あさ~


涙。

瞼に、溜まった染みを拭き上げる。

ああ…そういうことだったんだ。

胸の奥が暖かくなるのを感じた。


私がここにいるのは、彼女たちが望んだ奇跡だったんだ。


素敵…


こうしてまたほむらちゃんと会うために、私は生まれてきた。


ほむらちゃんとお喋りしたり、一緒にご飯を食べる事自体が私の生きる意味。

起き上がって、カーテンを開ける。

日の出の光が眩しく部屋の中へ差し込んできた。


マミ「ん……うう」

まどか「あ、ごめんなさい。起こしちゃって……」

マミ「かなめ…さん? ああ、夕べ泊まったんだったわね」

まどか「はい。お陰様でよく眠れました」

まどか「私、朝ご飯作りますね。泊めてもらったお礼させてください」

マミ「ありがとう。冷蔵庫のものは好きに使っていいから」

マミ「あと、あなたの分も作ってちょうだい。一緒に朝ごはんにしましょう」

まどか「ありがとうございます!」


そう言ってマミさんは、洗面所へ歩いて行く。

冷蔵庫から使えそうな食材を取り出し、フライパンに火をかけた。

油のジリリという音が、食欲をかきたてる。

マミ「ハムエッグかしら?」

まどか「えへへ、正解です。」

マミ「ふふ。こんな光景、暁美さんが見たらヤキモチを焼きそうね」

まどか「そ、そうですかね」///

マミ「多分、羨ましがると思うわ。ばれたら後で何を言われれるかわからないわ」

まどか「もう、言い過ぎですよマミさん」///

マミ「でもあの暁美さんが、あなたにデレデレしている姿が想像つかないわね」

まどか「ほむらちゃんは、優しいですよ。今も……昔も…ずっと」

マミ「昔も?まさか、鹿目さん…あなた?」

まどか「はい。食べながらそのことについては話します。」

---------------------------------------
今度さるったら寝かせていただきます。

まだ続くので保守をお願いしていいでしょうか。

再開は3~4時間後で。

マミ・まどか「いただきます」


私は昨日見た夢の話をマミさんにした。


マミ「まさか本当に、円環の理と干渉することができるなんて」

まどか「円環の理?」

マミ「全ての魔法少女を導くと言われてて……つまりあなたのことよ」

マミ「正確には、魔女を消滅させた鹿目さんのことね」

まどか「それで、これから私はどうすればいいんでしょうか?」

まどか「マミさんたちに協力できることがあればいいんですけど」

マミ「まさか、魔法少女になろうだなんて言わないわよね?」

まどか「え、えと…」

マミ「そんなこと勧めたら、私が暁美さんに殺されるわ。そうでなくても、やめておきなさい」

まどか「はい…」


やっぱり、ダメなのかな。

私はどちらでも良いのだけど、ほむらちゃんが悲しむ姿は見たくない。


マミ「とりあえず、あなたが世界に影響をする存在でなくて、安心したわ。」

マミ「だけど、すごい契約を結んだものね。」

マミ「未来の自分と、暁美さんを信じて、願いを託すなんて…」


まどか「すごいのはほむらちゃんです。」

まどか「最後まで諦めなかったのは、ほむらちゃんだから…」

マミ「ふふふ、そうかも知れないわね」


マミ「諦めなければどんな願いも叶う……か」ボソッ


マミ「これまで、私もいろんな経験をしてきた」

マミ「そんなの絶対嘘だって思ってたけれど」

マミ「二人を見てるとそれが真理のように、思えてくるわ」

マミ「本当の奇跡を呼び寄せるのは、魔法なんかではないのかもしれないわね」

マミ「そういえば、ご両親のことは思い出せたのかしら」

まどか「それが……まだ……」

まどか「なんで、顔だけ忘れちゃったんだろう」

マミ「たぶん、ギャップを埋めるために記憶操作を行った弊害…」

マミ「いえ、あなたが家族の記憶を持っている事の方が奇跡なのかもしれないわ」

マミ「本当にギャップを解消するための作用が働いたのなら、根こそぎ記憶を失くしていたとしてもおかしくないもの」


たしかに。

でも…これじゃ憶えてる分だけつらい。

それでも背負って生きていかなくてはいけないのだろうか……

ご飯が食べ終わって、洗い物を終えた。

まどか「それじゃ、私一旦家に帰るんで…」

マミ「また遊びにきてね。」

まどか「えへへ、その時はよろしくお願いします」

マミ「あと昨日、暁美さんがあなたの調査を私に委ねてくれたのだけどね……」

マミ「実はずっとまえから調査を進めてたの。暁美さんには内緒で。」

マミ「あの子、乗り気ではなかったみたいだから。」

まどか「なんでですか?」

マミ「さぁ。でも、本人に聞かないで欲しいわ」

マミ「こっそり、やってたことがバレたら、怒られそうだから」

まどか「わかりました」

~学校~

家に制服を取り帰ったが、なんとかいつも通りの時間に間に合った。

ほむらちゃんに挨拶をしようと思ったのだけど、珍しく机の上で眠っていた。

多分、私のしらない所で色々頑張っているに違いない。


これからもよろしくね。ほむらちゃん。

寝ます。
よかったら、昔書いた作品もよんでやってください。

まどか「ほむらちゃん、おはよう」

ほむら「まどか……会いたい……」

ほしゅありがとう

続けます

~ほむホーム~


ほむらちゃんの家でゲームをしていた。

昔遊んだことがあるゲーム……

私がやったことがあるのか、清水さんの記憶なのか判別できない。

それでも楽しんでやっていた。

ここ数日同じゲームばかりしていたので、二人ともバカみたいに上達してた。



気がつくと、時計は9時を回っている。

そろそろ出ていかないとおじゃまかも。


ほむら「まどか……」

まどか「なぁに、ほむらちゃん」

ほむら「今日、泊まっていかない?」

まどか「え……」ドキッ

友達の家に泊まる。なんだか、わくわくする響きだった。

ほむら「幸い明日は休みだし…そのまま一緒に明日出かけるというのはどうかしら?」


そういえば、前にほむらちゃんと出かける約束をしていたっけ。

まどか「……どうしたの急に?」

ほむら「いや、もう少しまどかと遊んでいたいと思って…」


まどか「で、でも……それだとほむらちゃんに迷惑がかかるよ…」

魔法少女のこともあるだろうし…

ほむら「別に構わないわ」

まどか「………」

どうしよう。気持ちは嬉しいのだけど…

夜中に魔獣が現れたり、いろいろやることもあるんじゃないか。


それに、どうして急にそんなことを言い出したのだろう。


ほむら「私だって、一人で寂しくなる時があるわ」

ほむら「そんな時まどかが居てくれると、うれしいのだけれど」


まどか「う、うん……じゃあ」///


えへへ、ほむらちゃんたら…寂しいだなんて。

それでこそ、私が生まれてきた意味がある。

なんだか今日は嬉しくて眠れないかも。

でもほむらちゃんちって、お布団二つおいてるのかな?

マミさんちにはなぜか置いてあったけど、普通2組持ってることはないよね。

もしかして…同じベッドで寝るのかも……

すごく楽しみ。

ほむら「ふふ。ありがとう。」

ほむら「じゃあ、お風呂沸かしてくるからその間に家に連絡しときなさい」

まどか「うん♪」


あ…。

ほむらちゃんはまだ私が一人暮らししてること知らないんだっけ。


いや、頭のいいほむらちゃんのことだ。

いくら何でもさすがにもうバレてるんじゃないか。


もしかして…私が寂しがるといけないと思って……

考えすぎかな。

でも、なんだかそんな気がしてならなかった。

ほむら「それじゃ、バスタオルとかここに置いておくわ」

まどか「え、一緒に入らないのほむらちゃん、お背中流すよ?」

ほむら「ばっ……そそんなの結構よ」///


なんだ、つまんないの。


ほむら「まどかはお風呂にはどれぐらい入るの?」

まどか「いつもはだいたい10分ぐらいかな…でも、もっと早くあがるけど?」

ほむら「ゆっくり入っていていいわよ。その間に布団の準備とかしておくから」

まどか「うん。わかったよ」

まどか「……」

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「何かしら?」


まどか「ありがとね。いろいろ……」


ほむら「え…ええ……」


やっぱり、バレてる気がする…

明日遊ぶときに正直に家族のことを話そう。

未だに、ママたちのことを考えると胸が痛むけど

ほむらちゃんに黙ったままってのはダメだよね。

シャワーを浴びながら、ママたちのことを考える。

家族か……

もう諦めたほうがいいのかな。

結局みんな私のこと覚えてないんだろうし。


まどか「……」

なんだか切ないな…

でも、これから私の居場所はほむらちゃんの隣なんだ。

私は選んだんだ。

それを忘れちゃダメだよね。

でないと、奇跡を起こしてくれた私に申し訳が立たない。

お風呂から上がると、ベッドメイキングを終えたほむらちゃんが椅子に座っていた。

まどか「お先に入っちゃってよかったのかな?」

ほむら「ええ。その髪型……」

まどか「ああ…いつもリボンしてるからね」


そういえば私がほむらちゃんの前で髪を下ろすのは初めてかも。

なんか新鮮なほむらちゃんの反応が見れるかもしれない。


ほむら「結構長いのね……」

ほむら「じゃあ、お風呂入ってくるから」

まどか「うん。わかった」


それだけかい!!

なんか、もう一言欲しかったな。

まどか「あれ、ソファーの上に…毛布がしかれてる」

もしかして、別々に寝るってことかな。

……む。

せっかく、ほむらちゃんと一緒に寝られると思ったのに…

髪のことも何も言ってくれなかったし、なんか悔しい。

こうなったら、一緒に寝てやる。



それからしばらくしてほむらちゃんがお風呂から上がってきた。


まどか「ねぇ、ほむらちゃん?」

ほむら「何かしら?」

まどか「ソファーの上に毛布が引いてあるんだけど…もしかしてこっちで」

ほむら「私が寝るわ」

まどか「だ、だめ! 風邪ひいちゃうよ」

ほむら「いくら12月とはいえ、エアコンかければ大丈夫よ」

まどか「それだと電気代かかるし、喉痛めちゃうよ」

ほむら「別に構わないわよ」

まどか「とにかく、ダメなものはダメ!」



まどか「ほむらちゃんは、わたしと一緒に寝るの!!」


ほむら「え…」


まどか「そ、そういうことだから……」///


ソファーの上にあった毛布をとりあげると、ベッドの上にそれをしき直した。

まどか「……」

まどか「ほ、ほむらちゃんが嫌なら元に戻すよ」///

ほむら「別にいいわよ」

まどか「よかった。えへへ」

ほむら「じゃあ、部屋の電気消してもいいかしら?」

まどか「うん。お布団入ってるね……」


ちょっと強引だったかな。

変に思われてないといいけど…

でも、せっかくほむらちゃんと一緒にいられるんだ。

できるだけ近くにいたいよ。

ほむら「切るわよ」

まどか「うん♪」

ポチッ

ほむらちゃんが布団の中へ入ってくる。

誰かと一緒に寝るなんて、久しぶり。


まどか「温か~い♪」

ほむら「ぬくぬくね」

まどか「えへへ、ほむらちゃんの匂いがするよ」

まどか「…いい匂い……」


まどか「ねえ、ほむらちゃん?」

ほむら「何?」

まどか「私、ほむらちゃんにお世話になってばかりだね」


昔も今もずっと…。

こうして心配をかけている。

今日だってそうだ。

ほむらちゃんは知らんぷりしてるみたいだけど、

きっと私が人で寂しいと思って気を回してくれたに違いない。


ほむら「ふふ、そうかもしれないわね」

まどか「いいのかな?」

まどか「このまま、ずっと、ほむらちゃんにお世話になりっぱなしで…」

まどか「私も何かしてあげたいのに、何も返せそうもないよ……」


ほむらちゃんの隣にいるだけでいいんだろうか?

ほむらちゃんだって、この先いろいろとやりたい事が見つかるかもしれない。

そうなった時、私が重荷になる可能性がある。

そんなの嫌だよ……


ほむら「……そうね」

ほむら「なら、私の妹になりなさい」

まどか「いもうと?」

ほむら「何か困ったことがあれば、必ず私があなたを守る」

ほむら「そのかわり、私が寂しくならないように、あなたは私の傍にいて」

ほむら「私はあなたが思っている以上に、寂しがり屋なの……」

ほむら「だから……」


ほむら「私の……家族になってほしい」

まどか「……家族」


それは私が失ったものだった。

この世界との繋がりが断たれ、誰も覚えている人はいない。

ほむらちゃん以外誰も。

ほむら「私、理由があってしばらく家族に会っていないの」

なんとなく、そんな気がしていた。

まどか「家族の人は心配してないの?」


ほむら「たまに連絡はいれるけど、その程度。今は会えない理由があって…」

まどか「……うん」


ほむらちゃんも私と同じだったんだ。

家族に会えず、苦しんでいた。

会えない理由はわからないけど、その苦しみは痛いほどわかる。



ほむら「それぐらいじゃへこたれないぐらい、強くなれたと思っていたのにね…」

ほむら「このリボンをくれた、あの子のように…」

昔の私だ。

まどか「……その人、ほむらちゃんの大切なお友達だったんだんだね」

ほむら「ええ……」

ほむら「それでも、やっぱり……私はダメみたい」

ほむら「ここ数日あなたと過ごしてみて、わかったの」


ほむら「一人でいきていくのはあまりに辛い…」


まどか「……ほむらちゃん」

ほむら「だからどうかお願い。」

ほむら「私の側にいて…」

ほむら「私には、あなたが必要なの。まどか…」

ああ。

ほむらちゃんが私を必要としてくれている。

世界が変わろうとも、ほむらちゃんだけは覚えててくれた。

私のことを忘れなかった。

それだけ深い絆が、私とほむらちゃんの間にはあったんだ。


すごい。本当にすごい。

私はこうしてただほむらちゃんの側にいるだけでいいってのが、申し訳ないくらいだ。


何があっても、離れない。

そう決意した。

まどか「………」


ほむら「ダメかしら?」

まどか「うんう……」ウルッ


ほむら「まどか……」

まどか「違うの……」

この感動をどう伝えていいのかがわからない。

言葉が見つからなくてもどかしい。


まどか「私……わたし……うれしくって……」

まどか「うまく言えないけど……すごくうれしいんだよ。」


もう一人きりじゃない。

私は、新しい家族と一緒に進んでいけるんだ。

ほむら「まどか…」ダキ


ほむらちゃんが、私を抱き寄せてくれた。

なんだかママを思い出す…

最後にぎゅってしてもらったのは、いつだろう。

首筋に涙が伝ってきた。

ほむらちゃんも、泣いているみたいだ。


まどか「どうしたの、ほむらちゃんまで泣いちゃって…」

ほむら「……」

ほむら「ずっと、一緒だから…」

まどか「……うん」

ほむら「ずっと、ずっと一緒にいるからね」

まどか「うん!」



そして、二人で笑い合った。

この幸せがいつまでも続くよう。

私は強く願った。

ほむら「恥ずかしいところを見せてしまったわね」

まどか「えへへ、それはお互い様だよ。」


家族か…

なんだか家族らしいことが出来ればいいな。


まどか「ねえ、ほむらちゃん?」

ほむら「なに?」

まどか「お姉ちゃんて、呼んでもいい…かな?」


ほむら「ふ……二人きりの時だけなら」///

まどか「えへへ、お姉ちゃん」ニコッ

ほむら「…」///


照れてる照れてる。

暗闇でも、白い肌が赤くなっているのがよくわかった。;

まどか「私、弟がいるからずっとお姉ちゃんだったんだけど、上の兄妹が欲しいって思ってたんだ」

まどか「お姉さんだとしっかりしなくちゃいけないって思うから」

ほむら「今のままでも、まどかはいいお姉さんだと思うけどね」

まどか「うん…ありがと」


少しほむらちゃんに甘えてみたいくなった。

新しい、家族の絆を確認してみたいからだろうか?

一人きりの夜が寂しかったからだろうか?

わからない。

だけど、ほむらちゃんに抱きしめて欲しいという気持ちが強くて抑えられない。

なんだか恥ずかしい。

…ほむらちゃんそういうの嫌がるかな。

まどか「ねえ、お姉ちゃん?」

ほむら「う…」///


まどか(照れてるほむらちゃん、か……可愛い)

まどか「ふふ……ほむらちゃん、照れてる」

ほむら「ま、まだ慣れてないから…」//

まどか「じゃあ、名前で呼んだ方がいいかな?」

ほむら「……お姉ちゃんでいいわよ」

まどか「うん。私も慣れてないから、そなへんは適当に呼ぶね。」


なんだか、可愛いほむらちゃんを見ていたらもっと甘えたくなってきた。

さっきぎゅってしてもらった時のことが忘れられない。

すごく、あったかかったな。

勇気を出して言ってみよう。

まどか「お姉ちゃん…」


まどか「もっかいぎゅってしてほしいな…」

ほむら「え…えっ?」


うわ、驚いてる。

別に変な意味があって言ったわけじゃないんだけど、

嫌われちゃったらどうしよう。

まどか「ダメ……かな?……わっ」///

ほむら「……これでいいかしら」ダキッ

まどか「う、うん」///


ほむら「息ぐるしくない?」

まどか「う、うん…」///

まどか「ちょっと、恥ずかしいね」///


私は、ほむらちゃんの妹にしてもらえたんだよね。

お姉ちゃんがいたら、こんな風に甘えてみたかった。

いや……ホントは私、

ほむらちゃんにずっと甘えてみたかったのかも。

いつも守ってくれるからかな。

すごく頼りになるお姉さんみたいな子だから…

こうやって抱きしめて欲しかったのかもしれない。

ほむらちゃんの胸の中はとても居心地がよかった。

恥ずかしいという気持ちもあるのだけれど、

できればずっとこうしてて欲しい。

離してほしくない。

だからほむらちゃんのパジャマの袖だけはしっかり握っていた。


私の思いが伝わったのか

ほむらちゃんが私の髪をなでてくれた。

嬉しくなって、笑みがこぼれた。

まどか「えへへ」

まどか「お姉ちゃんの手やわらかくて気持ちいい」

まどか「もっと撫でてほしいな…」


頭をゆっくり、ゆっくり丁寧に手がなでていく。

すごく安心する……

ここ数日の不安が嘘みたい。

ほむら「思っていた以上に、まどかは妹っぽいわね」

まどか「どういうこと?」

ほむら「甘えん坊さんてこと」

まどか「うん…そうだね。自分でもちょっとびっくり」///

まどか「でもほむらちゃんだから…」

まどか「ほむらちゃんだからこんなに甘えたくなるんだよ」

ほむら「あら、どうしてかしら?」

まどか「えへへ、わかんない。」ニコッ

まどか「なんでだろうね?」

まどか「でも、私の中で出会った時から、ほむらちゃんは特別で…」

まどか「さやかちゃんや、仁美ちゃんとも、何か違ったんだ。」

本当は知っている。

ほむらちゃんが、特別な理由。

でもまだ内緒にしておこう。

あのことを話したら、きっと泣いてしまうに違いない。

今日は笑顔のほむらちゃんを見ていたい。


私はほむらちゃんの手をしっかりと握った。

まどか「えへへ…続けて」

ほむら「うん」

今度は背中をさするように撫でてくれた。

まどか「ふふふ、なんだか猫になったみたい…」

ほむら「確かに」クスクス

まどか「ゴロゴロ♪」

今なら何をしても怒られない気がする。

甘えると嫌がるかと思ってたけど、ほむらちゃんはいつも以上に優しくしてくれた。

もっと甘えてみよう。

えい。

ほっぺをすりすりとほむらちゃんに押し付けた。


ほむら「ふふ、くすぐったい…」

まどか「えへへ、ぬくぬくだね」

ほむら「ええ。あったかい…」


私は眠るまで、ほむらちゃんの手を離さなかった。

ほむらちゃんは、私の意識がなくなるまで頭を撫でてくれた。。

~あさ~


ぎゅっ……

えへへ

ぬくぬくだよ

まだほむらちゃんが起きてないから、好き放題抱きついている。

もっと、すりすりしたいけど、あんまり動くと起きちゃうかも。


ぐぅ~~~。

お腹へったなぁ。


でも、いいもん。

今はほむらちゃんから離れたくない。

もしほむらちゃんが起きても、離さないんだから。

今日は学校お休みだし、ゆっくり二人で朝寝坊すればいいよね。

ふふ…

朝から幸せいっぱいだなぁ。

あ、あれれ…

ほむらちゃんの肩に力がはいってる。

もう起きちゃったの?


ま、まあ簡単には起こさせないよ。

寝たふりで押し通す。

……このまま寝たフリしてたら、またなでなでしてくれないかな。

ワクワク。

するとほむらちゃんの指先が、私のほっぺをつんつん、と押す。

なんだかくすぐったくて気持ちいい。

私が起きてないか確認しようとしてるみたいだけど…

今はスルーです。

寝たフリ寝たフリ。


そうすれば、諦めてまた寝てくれるかもしれない。

まだほむらちゃんとベッドの中でゆっくりしたいんだもん。


しかし、ほむらちゃんは意地でも起きようとしていた。

ほむらちゃんの手を拘束するように抱きしめていたので、

それを解こうと手を動かす。


でも、そんなことじゃほどけませんよ。

しっかり抱きしめてるもんね。

すると今度はいきなり腰を使って身体を回転し、腕を解こうとしてきた。

私は思わず強く抱きしめ、それを阻止する。


ほむら「って、まどか、あなた起きてるんじゃないの!」

ちぇ、バレちゃった。


ほむら「起きるなら放してちょうだい?」

まどか「……」ブンブン

まどか「まだ寝るの…」


首を振って、そのままほむらちゃんの胸に顔を埋めた。

意地でも起きる気がないことを態度で示してやる。

……もう少しこのままでいようよ。ほむらちゃん。

ほむら「わかったから。あなたは寝てなさい」

ほむら「私はご飯を用意するから」

まどか「……」

ご飯なんていいのに。

そんなことより、ほむらちゃんとゆっくりしたいよ。


はぁっ…と小さなため息が聞こえて、私はすっかり嬉しくなった。

身体の力を緩めると、ほむらちゃんも力をぬいた。

えへへ、諦めてくれたんだ。


ほむらちゃんが、私の顎のあたりを指でくすぐってくれた。

気持ちいい。

もっとやって欲しいことをアピールするために、喉の奥を鳴らした。

まどか「ん~~~」ゴロゴロ

すると、ほむらちゃんは同じように指を動かす。


こしょこしょ…

まどか「ん~~~」ゴロゴロ

こしょこしょ…


まどか「ん~~~」ゴロゴロ

次は喉の下。首の部分を撫でてくれた。

なんだかくすぐったかったので、思わず首をふってしまった。

こしょこしょ

まどか「……」フルフル

こしょこしょ

まどか「……」フルフル

さらに今度は、ほむらちゃんの指が首の後ろにさしかかり…

サワッ…

まどか「!?」ビクッ

なに、今の感じ?

ものすごくくすぐったくって、思わず抱きしめていた手を話してしまった。

するとほむらちゃんのからだがコロコロと回転して布団から飛び出していく。


しまった。

すぐに、ほむらちゃんの身体を抑えようと手を伸ばすが、全く届かなかった。



してやったとばかりに、ほむらちゃんは私を見て笑った。

なんだか無性に腹がたった。

まどか「ずるい!お姉ちゃんっ!!」

ほむら「あら、それは寝たフリしてる誰かさんのことではないかしら?」

まどか「む~~~」プク

まどか「お休みなんだから、もっと寝てればいいじゃん!」

ほむら「ダメよ。休みだからって、なまけていたら身体が動かせなくなるわ」


くそぉ、こまままじゃダメだ。

何かいい方法は……

そうだ。


まどか「もっと、お姉ちゃんと寝てたいな…」///

ほむら「頬を染めても、ダメなものはダメ!」


可愛く言ってもダメか…。

なんだか恥ずかしくなってきたかも。

ほむら「まあでもどうしても眠いのなら、あなたは寝てていわよ」

まどか「……ほむらちゃんのバカ…」


そういうことじゃないのに…

わかってて言ってるんだろうか。

もう、意地悪なんだから。


ほむら「起きたなら、着替えて顔洗ってきなさい」

まどか「…ほむらちゃん、ママみたいだよ」ムク


悔しいから、顔を洗ってからほむらちゃんの横をピタピタくっついて歩いてやった。

ご飯を作るのに邪魔だからどきなさいと言われたが、そんなのお構いなしだ。

ほむらちゃんもまんざらではなさそうだったので、よしとしよう。

結局私も朝ごはんを手伝うということで、ずっと一緒にいました。

ほむら・まどか「いただきます」


まどか「えへへ、お腹すいたからすごくおいしそう」

ほむら「私より早く起きてたみたいだしね…」

まどか「うん。5時には起きてたかな」


ずっとお腹が鳴ってたけれど、気にならなかった。


ほむら「1時間も早いじゃないの!?」

ほむら「言ってくれれば、もっと早くご飯作ったのに…」

まどか「そういうと思ったから起こさなかったんだよ」モグモグ

ほむら「……まったく」///

まどか「たまごおいしいね♪」

まあいいや。

早く起きたらおきたで、ほむらちゃんと出かける時間が増えるもんね。


ほむら「まどかはお金は大丈夫なのかしら?それによってどこに行くか決めようと思うのだけど」

お金…か。

そういえばこの前、遠出したときにだいぶつかっちゃったな。


まどか「あんまり持ち合わせがないから、出来ればお金がかからない方がいいかな」

ほむら「わかったわ。じゃあ歩いていけるところがいいわね。」

ほむら「まどかはどこか行きたいところはあるかしら?」


うーん

そんなにお金をかけなくて遊べるところか。

まんこ!

~公園~

私たちは市民体育館でバトミントンをしてきた。

昔ママに教わったことがあったので、それらしい動きができていたと思う。


まどか「楽しかったね~~♪」

ほむら「ハァ、ハァ……」


ほむらちゃんは、ラケットを握ったのが今回が初めてらしい。

体育の得意なほむらちゃんに、勝てたのは誇らしかった。

負けても負けても勝負を挑んでくるほむらちゃんのおかげで

2時間ずっと動きっぱなしだった。


なんだかつらそうなので、軽く気分を変えてもらおう。

バッグから白いナプキンと箱を取り出した。

まどか「ほむらちゃん、お弁当でも食べて元気出して」

ほむら「うう~~」

ほむら「」ぱくっ

まどか「ふふふ。はい、お茶もあるよ」

ほむら「ありがとう」ホム…

まどか「ほむらちゃん、自信満々だったから、つい本気になっちゃったよ」

ほむら「あなた結構うまかったけど、正直意外だわ」

まどか「ママが昔バトミントンやってて、教えてもらったんだ」

まどか「懐かしいな……」

ほむら「………」


ママというのは、私の本当のママのこと。

その時の記憶は残っているのに、まだママの顔を思い出せない。

再構成されたこの世界で、私のことを覚えていない。

とうに忘れてしまってるだろう。

同じ町で暮らしているママ

これから……他人として生きていくことになるであろう人。

もし、私達が顔を合わせることがあったとしても、きっと気づくことはない。


だけど、私だけは家族のことを忘れないでいようと思う。

たとえつながりが無くなってしまっても、

二度と会えないとしても

私をここまで育て、愛してくれた人たちのことを、忘れられるわけがない。

こんな風にママとの思い出と遊んで……しっかり覚えているんだ。

結末は前回と変わっていたりする?

まどか「またやろうね♪」

ほむら「できれば御免こうむりたいわ」


ふふ、ほむらちゃんはもう嫌か。

残念。
-------------------------------
>>464
前回より進んだところまで書いてます。

ほむら「そろそろ、行こうかしら?」

まどか「え?もういいの?」

ほむら「ええ。十分休んだわ」


ほむら「さっ」ニギ

まどか「う、うん」

ほむらちゃんが、私の手をつかむ。

どうしたんだろう、なんだか焦っているように見える。


弁当をてきぱきとしまい、早足でほむらちゃんの手にひかれる。

一体どうしたんだろう。

私何かしたかな?

いや、なんだか何かから逃げているみたい。


もしかして、魔獣?

マミさんの話を思い出した。

魔法少女が今戦っている存在。

その気配にほむらちゃんが気づいたのだとしたら…


ほむらちゃんの私を握る手が、急にこわばった。

どうしよう…

私は魔法少女じゃないからほむらちゃんの足でまといにならないようにしなきゃ。

いつでも、走り出せる準備しておいた方がいいよね。


しかし、私の予想は全く違っていた。

ほむらちゃんが逃げようとしていたのは、魔獣なんかではなかったんだ。



「まろか~~~!!」


背後から呂律の回らない、幼い声が公園中響いた。

その声に反応して、後ろを振り返ると……

一組の親子の姿があった。

小さい男の子と、その手を握る女の人。


まどか「たっくん……」

まどか「………ママ?」


あれ……私…勝手に声が。

もしかして、あの二人が私の家族なんだろうか?

嬉しくなって、二人のところに思わず走り出しそうになった。

でも、ママと目があった瞬間、私は足元が凍りついた。

ママは、喜ぶでも、悲しむでもなく、ただ呆然とこちらを見ているだけなのだから。

そっか……ママは私のことをもう覚えてないんだっけ。



ほむらちゃんの手が緩んだ。

知ってたんだ。

私が、家族から忘れられていることを。

だから、私の手を引いて……



タツヤ「まろか、まろか~~」

詢子「お、おい…タツヤ」


ママが、たっくんに引っ張られてこっちへやって来る。

嫌だ……

そんな経験したくない。

私は覚えているのに、ママたちは忘れてるなんて。




身体がぶるぶる震えた。

思わずほむらちゃんの方を見た。

行こうよ!

無言で訴えかける。

足が震えて動けない。

私を連れ出して。


早く……ママたちが来る前に早く。

ほむらちゃんは、私の手を握り返してくれた。

そして、自分に言い聞かせるように彼女は言った。

ほむら「大丈夫よ、まどか」

私の目じっと見る。


ほむら「そう簡単に人は何もかも忘れることなんてできないのだから…」

そう言うと、ほむらちゃんはこちらへやってきたママに向かって挨拶をした。


ほむら「こんにちは、この前はコーヒーありがとうございました。」

詢子「お、おう…」


タツヤ「まろか~~!」


たっくんが私に手を伸ばしてきた。


あれ…たっくん?

私のこと……


まどか「……たっくん」

詢子「!?」

ほむら「これがこの前、話したまどかです。」

詢子「この子が…」


この前?

ほむらちゃんは、ママに会っていたの?


ほむらちゃんの方を見たが、何も言わずただ黙ったままだった。

視線の行き先がなく、私はママを見るしかなかった。


まどか「う…」


まどか「初めまして…」

詢子「あ、ああ…初めまして」

やっぱり、ママは私のこと覚えてないんだね。

わかっていたことだけど……


早くこの場から立ち去りたい衝動に駆られた。


詢子「タツヤとは、知り合いなのかい?」

まどか「え、えと…その……」


たっくんは、なぜか私のことを覚えているようだった。

どうして忘れなかったんだろう…


詢子「多分、そっちの子と一緒に遊んでくれたんじゃないのか?」

まどか「そ、そんな感じです」

詢子「そう。ありがとな……」


詢子「…いや」

ママは、右手を額にあてながら頭を左右に振った。

詢子「いやいや、そうじゃないんだ、そうじゃ。」


まどか「え?」

詢子「アンタ、アタシとタツヤとアタシの旦那と……4人で……」

まどか「え、え?」

詢子「えと…、んと…」

詢子「くぅ~~~~~、なんか、ここまで出かかってんのに…ああああ、わかんねえぇえええええ」

詢子「苛々するぅうううう~~~!!!」


私は思わず笑ってしまった。

いつもクールでカッコイイ、ママがこんなに感情を表にだすものだから。

その光景が、昔と変わらないものだったから。


それに釣られるように、ママも私を見て笑った。


懐かしいね……ママ。

ママも覚えててくれたんだね、私のこと。

こんな風に笑い合って、まるで友達みたいな仲だったんだよ、私達。

詢子「うっしっししし…そうそう。こんな感じ。こんな感じ。アンタとはこんな感じの仲だったんだよ」

詢子「なんだろうな。全然思い出せねぇけど、ゴメンな。」

まどか「ふふふ、いいよ。いいよ。私も同じだから……」クスクス

詢子「うそつけ、アンタ、私の顔見て、ギクッってなってたじゃんよ!」

まどか「えへへ、そうだったかな。」

詢子「まあでも、アンタが初めましてってんなら、そうなんだろうな。」

まどか「うん。間違いないよ。」ニコッ


ごめんね、ママ。

私は選んだんだ。

自分がやるべきこと。

私にしかできないこと。

それを見つけたから、今ここにいるんだ。

だから、見守ってて欲しいんだ。

私のことを。ずっと、ずっと。

詢子「そうかい…」

詢子「でもタツヤと遊んでくれたんなら、今度ゆっくり礼がしたいね」

詢子「暇な時に、二人でうちに遊びに来な!最近は土曜なら休みが取れるから。」

まどか「わかったよ」

ほむら「ありがとうございます」


詢子「ふふふ、楽しみにしてるよ。じゃあ、またな」


詢子「あっそうそう、いい忘れてた。」

詢子「そのリボン、似合ってるよ。あげた奴は、超いいセンスしてるな」

まどか「………」


ばか……。

ママは笑いながら、たっくんと一緒に歩いていった。

たっくんに向かって、手をふっていた。

ばいばい。




まどか「ふふ…自分で自分のこと褒めちゃって…」

まどか「バカみたいだよね、ホント」ウル



涙がコンクリートに落ちる。


まどか「うう…」

ほむらちゃんは何も言わず、私を支えてくれた。


まどか「覚えてて…」


まどか「覚えててくれたんだ…」


まどか「ママも……たっくんも……私のことを……」


ほむら「うん……」


まどか「もう、いないのに…」


まどか「本当の私は、もうどこにもいないのに…」


まどか「ううううう」


まどか「うううああああああああああああぁぁぁ」

私は絆の重さを知った。

ほむらちゃんが、私を忘れなかったのもきっと…


何もかもが変わってしまったこの世界で

私の大切なものは、何も変わっていなかった。

それがわかっただけで、今日は満足だった。

絆の語源って、罪人や家畜を縛る綱なんだってね

ほむらちゃんはママのことを知ってたんだ。

しかも本当はママが覚えていることを確信しているようだった。

もしかして、ほむらちゃんは全て知っているだろうか?

私がここにいる理由も、過去の願いも……



ほむら「ありがとう、まどか」

ほむら「私はもう二度と家族に会うつもりはなかったけれど」

ほむら「あなたを見ていたら、少し考えが変わったわ」

まどか「……」


家族に会いに行くんだ。

ほむらちゃんも、私以外に大切な人がいるんだもんね。

がんばってね。

でもどうしてだろう。

ほむらちゃん、ちょっと寂しそうに見える…

~ほむホーム 夜~


今夜も有無を言わさずほむらちゃんの布団に入っていた。


ほむら「やっぱり、一緒に寝るのね。」

まどか「何を今さら」エヘッ


今夜もぬくぬくだね。

ほむらちゃんを抱きしめようと思った、その時だった。


ほむら「ねぇ…」

ほむら「いいの?」

まどか「何が?」

ほむら「こんな時に過ごすのが、私なんかでいいの?」

ほむら「あなたは家族を選ぶこともできるのよ」


ほむら「私は……きっともう……大丈夫だから」


なんかほむらちゃん、勘違いしてる?

その言い方はまるで、もうすぐ私とほむらちゃんが一緒にいられなくなるみたい。


まどか「私は選んだんだよ。」

まどか「家族を」


まどか「本当に、私を必要としてくれる人を…」

まどか「そのために私はここにいるんだもの…」


まどか「だから…」


まどか「ずっと一緒だよ、ほむらちゃん」

グスッ…

ほむら「嘘よ…だって、あなたは……」


ほむらちゃん私が消えると思ってるんだ。

マミさんが言ってた、ほむらちゃんが私の調査をしなかった理由もそこにあるのかもしれない。

全てを知ったら、私がいなくなってしまうって。


まどか「嘘なんかじゃないよ」

まどか「約束したよね?ずっと一緒にいるって」


まどか「私を夢や幻にしないで…」

まどか「私はたしかにここにいて。それはこれからもずっと同じで…」

まどか「ほむらちゃんが寂しくならないように、隣にいつづけるんだ」

まどか「それが、私の居場所だから」

ほむら「まどか…うう……」

ほむら「うぁあああああああ」

ほむら「ああああああああああああああぁぁ」


まどか「……ずっと一緒だよ」


ほむらちゃんは、私の胸の中で泣いた。

それからいろいろお話をした。

魔法少女のこと。

私の生活のこと。


でも、結局私の正体のことは教えなかった。

いつかほむらちゃんと私が、本当に家族のになれた時。

その時まで秘密にしておこう。

ベッドの側に、2本のリボンが落ちているのが見えた。

まどか「……」

私はそれを手にとった。

……これでよし。



リボンは結ばれ、たった一つになった。

こっから見てない話かな?

~終業式~

今日で二学期が終わる。 これから冬休みだ。

ほむらちゃんといられる時間も増えて、わくわくしている私は

クリスマスプレゼントを何にしようか考えていた。

いつも私を支えてくれるほむらちゃんに、恩返しがしたい。


まどか「ねえ、ほむらちゃん」ヒソヒソ

ほむら「何かしら?」

まどか「何か欲しいものとかある?」

ほむら「今のところ、特にないかしら」

まどか「そっか…」

だよね。ほむらちゃんて、必要ないものほとんど買わないし。

あれが欲しい、これが欲しいって言ってるの聞いたことないや。

帰りに何か選んでみるか…

~放課後~

ほむら「あのねまど…」

まどか「ごめん、今日は先帰ってて。ちょっと用事終えたら帰るから」

ほむら「わかったわ」

~雑貨屋~

さやか「これなんかいいんじゃない?」

木刀をとって、ふん、ふん、と素振りをする。

さやか「あいつにはピッタリだと思うけど。」

まどか「さやかちゃんが欲しいものじゃないんだよ。真剣に考えてよ~」

さやか「木刀だけに……いや、なんでもない。わかってるって」


さやか「手作りとかは考えた?」

まどか「う~ん。でも手編みとか、今からじゃ間に合わないし…」

さやか「お菓子は?」

まどか「作ったことないな…さやかちゃんは?」

さやか「ないけど?」

じゃあ、ダメか。

さやか「マミさんなら教えてくれるんじゃないかな?」

まんこ!

~マミホーム~


まどか「というわけなんですけど」

マミ「いいわ、教えてあげる」

マミ「でも何を作りたいの?」


そうだな……クリスマスだし……

まどか「ケーキとか?」

さやか「いいね。でも時間かかるんじゃない?」

マミ「暗くなるぐらいにはできると思うけど」

まどか「えへへ、じゃあお願いします」


ほむらちゃんには、メールで遅くなるかもって連絡しとこう。

台所には甘い匂いが立ち込めてきた。

マミさんに指示をもらいながら、材料を混ぜていく。

さやか「でもアレだよね。クリスマスなのに、友だちのためにケーキを焼く私達ってほんと献身的っていうか」

まどか「ごめんね、さやかちゃんも、マミさんも付き合ってくれて」

マミ「ふふ、鹿目さんのためだもの。別に気にしないわ」

マミ「魔法少女にクリスマスなんて、縁遠いものだもの」

さやか「マミさん、まどかの前でそのことは!?」

まどか「大丈夫だよ、さやかちゃん。私全部知ってるから」

さやか「まどか…」

まどか「さやかちゃんたちが、頑張っていること…」

さやか「……そうだったんだね」

さやか「あのさ…」

さやか「ありがとね」

さやか「アンタが頑張ってくれたおかげで、私たちは魔女ってのにならなくて済んだんだろ」

正確には私が頑張ったからではないんだけれど…

さやか「私、自分で望んで魔法少女になったのに、それをすごく後悔したことがあるんだ」

さやか「全部間違いだった。全て無かったことにしたいって。そう思った」

さやか「もしかしたら私、魔女になってたんじゃないかって…」

さやか「だから。ありがとう。まどか」

まどか「さやかちゃん……」

マミ
デブ
ブタ
マブ
デミ
ブミ
マタ
デタ
ブブ

それを聞いて、あの子たちも喜んでいるだろうか。

親友の願いを救えたことを、どこかで聞いていて、

胸を張ってくれていたら嬉しい。



マミ「さて、後は焼くだけね」

まどか「思ったより、結構早くできたね」

さやか「待ってる間トランプでもやろうよ!」

~帰り道~


家へと向かう。

早く顔が見たくて、急ぎ足になっていた。

ケーキが崩れないように、慎重に。

今夜は特に冷え込んでいる気がした。




ケータイのベルがなった。

ほむらちゃんからだ。

まどか「もしもし」

ほむら「まどか?今どこにいる?」

まどか「2丁目の本屋の前だけど…」

ほむら「じゃあ、駅まで来てもらっていいかしら?」

まどか「うん…いいけど…」


そういって電話は途切れた。

なんだろう?


とりあえず、駅に向かおう。

ここからそう遠くない。

駅の歩道橋が見えてきた。

時計台の下に、白いコートを来たほむらちゃんが私を待っている。

ケーキが倒れないように気をつけながら、坂道を下っていく。


まどか「おまたせ♪」

ほむら「ふふ、来たわね。じゃあ行こうかしら」

まどか「行く?」

ほむら「ほら…」

ほむらちゃんが、ロータリーの方を指さす。

見覚えのある車が一台…

助手席から顔を出すたっくん、ママ……奥にはパパもいる。


みんな…


ほむら「昨日詢子さんに会ったの」

ほむら「よかったら今日、一緒に過ごさないかって」

ママが…?

後部座席の扉を開けて、私たちは車に乗り込んだ。


詢子「おっす。アンタたち今日はフリーだったのかい?」

ほむら「まどか以外に過ごす相手なんていませんから」

知久「美人なのにもったいないね」

詢子「こら、嫁の前で中学生を口説いてんな!」

知久「ふふ、そんなつもりはないよ」

知久「百合少女はいいものだ・・・」

タツヤ「まろか~~」

たっくんが私に向かって手を伸ばす。

その手を握ってあげたら、きゃっきゃと喜んでくれた。


やっぱり変わってない。

パパも…ママも

よかった。

まどか「でも、私達がおじゃましてよかったのかな?」

詢子「ああ?」

まどか「だって、クリスマスでせっかく家族水入らずのイベントだし…」


家族……

どうやっても、私は元にはもどれない。

詢子「……」

知久「ふふ、詢子さんは賑やかなのが好きな人だからね」

知久「みんなでわいわいやりたいんだってさ…」


パパが優しそうに、ママのことをちらりとみた。

ママがパパに向かってありがとう……と、小さな声で言ったような気がした。


ほむら「そういうことらしいから、お邪魔させてもらおう、まどか」

まどか「うん♪」


~まどホーム~



やっと帰ってきた。

帰ってきたんだ。

小さい時迷子になってママに見つけてもらえるまで帰れなくなったことがある。

その時と同じ気持ちになった。


心の中でただいまを言った。

居間に入ってテーブルの上に目が行った。

今には、お父さんが作ったと思わしきご馳走ができていた。

まどか「すごい……」

知久「ほむらちゃんにも手伝ってもらったんだよね」

そうだったの?

ほむらちゃんの顔を見る。

ほむら「今日の放課後、あなたも誘おうとしたのだけどね」

そういえば…何か言おうとしていたような気がする。

あ……

まどか「椅子が3つしかない……」

ほむら「……」

そりゃそうだ。

私の席があるわけないのだから。


知久「これでいいかい?」

折り畳み式の同じ椅子が二つ敷かれた。


まどか「ありがとう…」

まどか「ほむらちゃんと同じなら悪くないね」

ほむら「まどか…」

みんなで席について、料理を囲んだ

詢子「そんじゃ、準備はいいか。みんな飲みもん持ったな?」

まどか「待って!」

詢子「どうした、まどか?」

まどか「私ね、ほむらちゃんにプレゼントしようと思ってケーキ焼いたの。」

ほむら「それで、放課後どっか行ってしまったのね」

まどか「せっかくだからみんなで食べたいなって」

まどか「いいかな、ほむらちゃん?」

ほむら「もちろん」

まどか「今出すね。」

じゅんこ「お前の」

知久「席」

ほむら「ねーからwwwwww」

たつや「あうあうあーwwwwwwwww(^q^)

>>562
ID二度見した

持っていた袋から、ケーキの入った箱を取り出しテーブルの上に並べた。

ほむら「開けてもいいかしら?」

まどか「うん♪」


ほむらちゃんが、取り出したのは

丸くてくて大きな、チョコレートケーキ。

その上に、手をつないだ白い二人のリボンをつけた女の子が立っていた。

>>563

ほむら「これって」

まどか「私達だよ。」

まどか「えへへ、ホワイトチョコで作ったんだ」

知久「これはすごい。まどかちゃんはすごく器用なんだね」

パパが親ばかみたいで恥ずかしい。

まどか「本当は、友達に手伝ってもらったんだけどね」

まどか「思ったより上手くできたから、ほむらちゃんに見てもらいたくて」


そう。

これは私からのメッセージ付きのクリスマスプレゼントだ。

これから、どんなことがあってもほむらちゃんの側にいる。

私のとなりはいつだってあなたしかいない。

ほむら「……」

ほむら「よくできてるわ…」

ほむら「本当、食べるのがもったいないぐらいに…」ボソッ


ほむらちゃんの嬉しそうな顔が見れて、私も満足だ。


詢子「それじゃあ準備は整ったな。」

詢子「みんなグラスを持て!」



さぁ、始めよう。

新しい家族みんなで、楽しい宴会を。

いつか終わりを迎える、その時まで……



おしまい。

へいおつ

後日談とかはないでおk?

>>584
これが後日談だろ

こんなかんじで終わりです。

長い間ご苦労さまでした。

保守・支援してくれた人ありがとう。

何か質問とかあれば答えます。

>>586
じゃ、いっこ確認

本編まどかが魔女を消す願いで契約して、
その影響として全時間軸のまどかの存在が消滅

ところがこのSSのまどかの願い「魔女が消えた時間軸でもほむらのそばにいる」と矛盾するので
こっちの願いが有効になって存在が残った
ただしまどか本人が消えないだけで、本来存在しないはずの人間なのでつじつま合わせが発生してる
ほむらだけは覚えてる

ってことでいいんだよね?

>>593

そうです。
まどか本人はいなかったことになるけど、
魔法少女になった時の願いだけは残ったという設定で書いてます。

>>595
この世界では概念としてのまどかと、一人の人間としてのまどかが存在しているということでいいんだよね?


これ何時間かけて書いたんだ

>>597

合ってます。

>>600
覚えてないけど、4日かけてかきました。

ふぇぇ……乙だよぉ……っ

さやかは存命してるのに杏子のきの字も出てこないとはww
登場させる状況を思いつかなかっただけ?存在自体はしてる?

>>605
そうですね。
最後のチョコケーキのところで出しても、この先それほど活躍できる場面とかもなかったし
すいません。存命はしてますよ。

もうひとつだけ。
詢子さんが最初にまどかに出会ったとき、家に来いと言いつつ家の場所を言わなかったのは、何か意図があったりとかする?

>>610
前作では、ほむほむがそれにきづいているんですよね。

お母さんも自分の娘だという予感がしているので…ということです。


>>593
>全時間軸のまどかの存在が消滅
消えたの本編ほむらが最後にきた時間軸のまどかだけじゃね

>>615
全時間軸のまどかの消滅という認識で書いてました。

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