まどか(ほむらちゃん、会いに来たよ)(58)

~円環の理の世界~
まどか「はぁ~~」
さやか「まどか、どうしたの?ため息なんかついちゃって」
まどか「さやかちゃん・・・。あのね、ほむらちゃんがずっとさびしそうにしてるの」
さやか「へー、あのほむらがねぇ」
まどか「うん。いつもいつも『まどかぁ』って1人のときに言ってて、よく泣き出しちゃったりしてるの。わたしのせいだよね・・・。ほむらちゃんを、置いて行っちゃったから」
さやか「なんかもう、ほむらは相変わらずだな~」
まどか「ほむらちゃん、会いに行きたいなぁ・・・」
さやか「(まどか、ほむらのことが心配なんだよね)・・・よし!まどか、今日一日だけほむらのところに行ってきなよ!」
まどか「え!? でも、魔法少女のみんなを導かないと・・・」
さやか「だったら、まどかの力を少し置いていってよ。あとはあたしたちで何とかするから」
まどか「さやかちゃん・・・」
さやか「おーい、なぎさー」
なぎさ「なんですか、さやか?」
さやか「これからまどかは、ほむらに会いに行くから。その間、あたしたちで魔法少女を導きに行くよ」
まどか「わかったのです。まどか、思う存分楽しんでいくといいのです。あと、チーズのお土産がほしいのです」
さやか「空気読めって!」
まどか「ウェヒヒ ありがとう、2人とも。じゃあ私の円環の理の力を置いていくね。はぁぁ!」
ポンッ
チビまど「まど、まどまど、まど!」
まどか「わたしの分身みたいなものだよ。小さいけど、力は元々の私と大差ないはずだよ。でも、何かあったらすぐに呼んでね」
さやか「何もないようにするよ。じゃ、今日が終わる前くらいに迎えに行くよ」
さやか「いってらっしゃい、まどか」
なぎさ「いってらっしゃいなのです」
まどか「うん、2人とも本当にありがとう!いってきまーす」スウゥゥ
さやか「・・・行っちゃったね、まどか」
チビまど「まど、まどど!まどど!」
さやか「おっと、さっそくですかな。じゃあ行くよ、なぎさ!」
なぎさ「はいなのです」

まどか「見滝原に来るの久しぶりだなぁ。それじゃあ早速、ほむらちゃんに会いに行こう」
~ほむホーム~
ほむら「はぁ・・・。まどか、あいたいよぉ、まどかぁ」グスン・・グスッ
まどか(ほむらちゃん、会いに来たよ)
(今までさびしい思いをさせちゃって、ごめんね)
まどか「ほむらちゃん」スゥゥ
ほむら「!!? まど、か・・・?」

まどか「そうだよ。わたしだよ、ほむらちゃん」
ほむら「ほんとうに、・・・グスン、まどか、なのね。あ、あいたかっ、たよぉ、
    まどかあぁああ!」ギューー
それからほむらちゃんは、しばらくの間私に抱きついて泣いていました。わたしは
そんなほむらちゃんをやさしく抱いて、頭をなでてあげることぐらいしかできませんでした。
ずっとさびしい思いをさせちゃって、ごめんね・・・。

ほむら「・・・ごめんなさい。来てくれてそうそう、迷惑をかけてしまったわね。
そしてありがとう、まどか」ニコッ
まどか「ううん。わたしのほうこそ、ほむらちゃんを残していっちゃって、ごめんね。
ほむらちゃん、ずっとさびしそうにしてたから、何とかほむらちゃんに会いに来たの。
でもわたしは、今日中しかここにいれないの。またお別れしなくちゃいけないの。
また、さびしい思いをさせちゃうよね・・・」
ギュウゥ
まどか「ほむら、ちゃん?」

ほむら「まどか。私はね、まどかが会いに来てくれて、一日中まどかと一緒にいられるだけで、
とっても嬉しいし、十分幸せよ」
まどか「ほむらちゃん・・・!」
ほむら「まどか、会いに来てくれて本当にありがとう。それじゃあ折角まどかが来てくれたんだから、
思う存分楽しみましょう」ニコッ
まどか「うん!・・・そうだ!ほむらちゃん、お願いがあるんだけど・・・」

まどか「あのね、ほむらちゃんの手料理が食べたいなって」

ほむら「私の手料理でよければ、いくらでも食べさせてあげるわ。待ってて。すぐに作るから」

まどか「じゃあわたしも一緒に行く!少しでもほむらちゃんと一緒にいたいもん!」ダキッ

ほむら「まどか・・・、ありがとう。じゃあ一緒に行きましょう」

まどか「うん!」
それからまどかは、料理中ずっと私に抱きついていた。こうしてまどかに会って、

まどかに触れることができるなんて、夢みたいだった。

・・・本当に、幸せな、夢のようだった。

ほむら「はい、まどかの大好物のクリームシチューよ」

まどか「うわー、おいしそうだね!」

まどほむ「「いただきます」」

まどか「ほむらちゃん、アーン」

ほむら「ま、まどか!?」

まどか「せっかくわたしがいるんだから!はい、アーン」

ほむら「ア、アーン///」パクッ

まどか「どう?」

ほむら「とってもおいしいわ。まどかのおかげね」ニコッ

まどか「ウェヒヒ そう言ってもらえるとうれしいな」

ほむら「それじゃあ、私からも、ア、アーン///」

まどか「アーン」パクッ

ほむら「ど、どうかしら?」

まどか「うん!とってもおいしいよ!!ほむらちゃん!」

ほむら「とってもおいしいわ。まどかのおかげね」ニコッ

まどか「ウェヒヒ そう言ってもらえるとうれしいな」

ほむら「それじゃあ、私からも、ア、アーン///」

まどか「アーン」パクッ

ほむら「ど、どうかしら?」

まどか「うん!とってもおいしいよ!!ほむらちゃん!」

それからわたしたちは、ずっとアーンで食べさせあっていました。

その間のほむらちゃんは、ずっと顔が真っ赤で、とてもかわいかったのでした。

まどほむ「「ごちそうさま」」

ほむら「そういえば、まどかって概念になったのよね?」

まどか「そうだよ。それがどうかしたの?」

ほむら「どうして普通に物を持って、料理を食べられるの?」

まどか「わたしね、少しくらいならこの世界に干渉できるんだ。

あまり大きなことはできないんだけどね」

ほむら「ずいぶんと便利なものね」

まどか「ウェヒヒ それよりこれからどうしよっか?」

ほむら「そうね・・・。私はまどかと一緒にいられればそれで十分よ。

    まどかのやりたいことをやりましょう」

まどか「わぁい!ありがとうほむらちゃん!うーんとねー・・・、

    そうだ!ほむらちゃんとおでかけしたい!ほむらちゃんと、いろんなところに行きたい!」

ほむら「それじゃあ、まどかがよく行っていたショッピングモールに行きましょうか」

まどか「うん!レッツゴー!」

そのころ・・・・

魔法少女「あ、りが、とう」スウゥゥ

さやか「お疲れ様~。いやはや、小さいのによく頑張るねぇ」ナデナデ

チビまど「まど!まど!」

なぎさ「もう十人くらいは導いてるのです。なぎさはそろそろ休憩したいのです」グッタリ

チビまど「まどど!まどど!」

さやか「またか~。しょうがないなぁ。これもまどかのためだし、行くよ、なぎさ!」

なぎさ「・・・はいなのです」ショボン

~ショッピングモール~

まどか「この服、ほむらちゃんに似合いそうだね」

ほむら「そうかしら?まどかがそういうなら、試着してみるわね」

数分後・・・・

ほむら「・・・どうかしら?やっぱり、変じゃないかしら?」モジモジ

まどか「ううん、とっても似合ってるよ!ほむらちゃん!」

ほむら「ありがとう、まどか。じゃあ、まどかが来てくれた記念に買うことにするわ。
 
    2着ね」

まどか「え?」

ほむら「もう1着はまどかの分よ。折角見滝原に来たのだから、

    記念品のようなものがあったほうがいいでしょう?」

まどか「ありがとう!でも、それじゃあほむらちゃんに悪いよ」

ほむら「いいのよ。私がやりたくてやっているのだし。私はあなたに会えるだけで十分幸せなのだから、

    おかえしのようなものよ」 

まどか「それじゃあ、おねがいしようかな」

ありがとうございました~

まどか「ほむらちゃん、ちょっとさっきの服だして」

ほむら「? わかったわ」ゴソゴソ

ほむら「はい、まどか」

まどか「ありがとう。えい!」パアアァァ

すると、服がまどかとかさなり、光り始めた。

まどか「この服、大切に着るね!」

光が消えると、まどかはさっきの服に着替えていた。

ほむら「やっぱり便利なものね。そうだわ、ちょっと待ってて」タッタッタッ・・・

数分後・・・・

ほむら「これでおそろいね、まどか」

まどか「うわぁ!おそろいだね~」

ほむら「それじゃあ次に行きましょうか」

まどか「うん! ・・・あっ、あそこにアイス屋さんがあるよ!あそこで休憩しよ!」

ほむら「そうしましょうか」テクテク・・・

ほむら「バニラとストロベリーのダブルを下さい」

ありがとうね

ほむら「まどか、一緒に食べましょう」

まどか「わぁい、ありがとう!」

ほむら「そういえば、他の人はあなたのことが見えないのよね。食べさせづらいわね・・・」

まどか「じゃあね~、えい!」

シーーーーン

ほむら「えっ!?ええ!!? これって、私の・・・?」キョロキョロ

まどか「そう、ほむらちゃんが使ってた時間停止だよ!他の人たちに干渉しなければ、

    少しくらいは使っても大丈夫なんだ」

ほむら「さすがは神様ね」

まどか「ウェヒヒ それじゃあほむらちゃん、アーン」

ほむら「はいまどか、アーン(家で慣れてしまったわ)」

パクッ

まどか「おいし~い」

ほむら「それは良かったわ」

まどか「それじゃあほむらちゃんにも、アーン」

ほむら「アーン」パクッ

ほむら「おいしいわ。ありがとうまどか」

まどか「ウェヒヒ あっ、そろそろ時間停止を解除しないと。はぁ!」

ガヤガヤガヤ・・・・

ほむら「さすがにそう長くは止められないのね」

まどか「うん。あんまり長く止めすぎちゃうと世界のバランスが崩れちゃうの」

ほむら「・・・まどか、ありがとう」

まどか「ウェヒヒ あっ、そうだ!忘れるところだった!」

ほむら「どうしたの、まどか?」

まどか「あ、うん。あのね、ほむらちゃんにまた、お願いがあるんだけど・・・」

ほむら「まどかのお願いなら何でも聞くわ。遠慮なく言って」

まどか「ありがとう! あのね・・・」


まどか「・・・ごめんね、こんなこと頼んじゃって。

    わたし、この世界でお買い物とかできないから」

ほむら「大丈夫よ。にしても、相変わらずまどかはやさしいのね」

まどか「ウェヒヒ ほむらちゃんも、とってもやさしいよ」

ほむら「まどかにそう言ってもらえるとうれしいわ」

まどか「ありがとう。次はどこにいこっか?」

ほむら「そうね・・・。!! くっ、こんなときに・・・」

まどか「もしかして、魔獣?」

ほむら「ええ、折角のお出かけだって言うのに・・・。ごめんなさいね、さっさと片付けてくるわ」

まどか「わたしも行くよ!魔獣退治に直接参加するようなことはしちゃいけないけど、

    ほむらちゃんの近くにいたいもん!」

ほむら「ありがとう。まどかが一緒にいてくれるだけで、わたしは無敵よ」

まどか「ウェヒヒヒ」

ほむら「さあ、行きましょう、まどか」

まどか「うん!」

~魔獣との戦闘~

魔獣「ヴオオオォォオ」

魔獣「グゴゴゴォォォオ」

魔獣「ヴァァアアァァァ」

ほむら「けっこう多いわね・・・。面倒だわ」ハァ

まどか「ほむらちゃん・・・。そうだ!ほむらちゃん、弓矢かまえて!」

ほむら「・・こうでいいかしら?」キリキリ

まどか「うん」スウッ

そう言うとまどかは、そっと私の弓に手をかざした。

パアアァァ

まどか「これでよし!ほむらちゃん、矢を放って」

ほむら「わかったわ」パシュン

シュシュシュシュシュシュン

ほむら「え・・・!?」

魔獣「ヴヴァアアァ」サアァァ

魔獣「グアアアァァア」サアァァ

魔獣「ゴヴァアアアァァ」サアァァ

まどか「やったね、ほむらちゃん!1発で全滅なんてすごいよ!」

ほむら「ど、どういうこと!?」

まどか「じつはさっき、ほむらちゃんの弓にわたしの力を少し入れたの。ほむらちゃんがイメージした攻撃をうつことができるんだ。

    今回はわたしのイメージだったけど、今くらいのならほむらちゃんでも簡単にできるよ。

    でも、もっと強力なのは魔力を高めないとできないんだよね・・・」

ほむら「これくらいでも十分よ。それにしても、本当にいろんなことができるのね」

まどか「すごいでしょー」エッヘン

ほむら「すごすぎるわね (あれ、でも確か・・・?)」

ほむら「まどか、私の弓にあなたの力を入れるのは大丈夫なの?干渉とかの問題があるんじゃないのかしら?」

まどか「大丈夫だよ。その弓矢ってもともとわたしの力で作ったものだから、

    わたしの力を少し入れるくらいならあんまり問題ないんだ」

ほむら「少しってレベルじゃなかったと思うけれど・・・。

    でも、ありがとうまどか。あなたが私に力を与えてくれていたのね」

まどか「うん。ほむらちゃんが時間停止の魔法を使えなくなっちゃうのがわかったから、
    
    お別れしちゃう前に渡しておいたの。あのままだとほむらちゃん、何も武器が無かったから」

ほむら「私がこうして戦えるのも、まどかのおかげなのね」

まどか「ほむらちゃんのためだもん!」ギュー

ほむら「ちょっ、まどか///・・・ありがとう」ギュッ ナデナデ

まどか「ウェヒヒヒ」

ほむら「けっこう暗くなってきたわね。そろそろ帰りましょうか」

まどか「うん!またほむらちゃんの手料理が食べたい!」

ほむら「いいわよ。またおいしいものをつくるわね」

そのころ・・・・

チビまど「まど、まどまど!」

さやか「おかえりー。また導いてきたの?」

チビまど「まど!」

さやか「すごいなぁ。もう軽く百人超えてるんじゃないの~」

ちびまど「まど、まどま!」

なぎさ「二百人くらい導いたらしいのです」

さやか「どんだけだよ!てゆうか魔法少女も導かれすぎだよ!」

ちびまど「まどまど!」

さやか「にしてもすごいよね~。途中から一人で導きに行くなんて」

なぎさ「まったくなのです」

チビまど「まどど!まどど!」

さやか「またみたいだね。いってらっしゃ~い」

なぎさ「いってらっしゃいなのです」

チビまど「まどまどー!」シュン

さやか「・・・暇だし、あたしたちでここの掃除でもしない?」

なぎさ「・・・はいなのです」

~ほむホーム~

ほむら「できたわ、食べましょう」

まどか「うん」

ほむまど「「いただきます」」

ほむら「はいまどか、アーン」

まどか「アーン」パクッ

まどか「とってもおいしいよ、ほむらちゃん!」

ほむら「ありがとう、まどか」

まどか「ほむらちゃんにも、アーン」

ほむら「アーン」パクッ

ほむら「とてもおいしいわね。やっぱりまどかのおかげよ」

まどか「ウェヒヒヒ」

まどほむ「「ごちそうさま」」

まどか「やっぱりほむらちゃんの料理はおいしいな~。むこうでも毎日食べていたいよ」

ほむら「むこうではまどかは何か食べたりするの?」

まどか「むこうだと特に食べる必要はないんだ。

    たまに特別な日とかには、ケーキとか特別なものを食べるの」

ほむら「そうなの。そういう料理はどうやって用意するの?」

まどか「いつもわたしが用意するんだ。むこうではわたししか出せないからね」

ほむら「まどかってけっこう何でもありなのね」

まどか「むこうの世界ではね。なんたって神様だもん」エッヘン

ほむら「そうだったわね。それじゃあ、むこうでは普段何をしているの?」

まどか「わたしはだいたい、魔法少女を導いてるかな」

まどか「・・・あと、いつもほむらちゃんのことを見守ってる」

ほむら「まどか・・・」

まどか「わたし、むこうでさびしい思いをしてるほむらちゃんを見て、わたしのせいでほむらちゃんを苦しめてるってわかったの。

    ほむらちゃんを置いて遠くにいっちゃって、ずっとほむらちゃんにさびしい思いをさせちゃったよね。

    それで、さやかちゃんに背中を押してもらって、一日だけほむらちゃんに会いに来たんだ。

    でも、またほむらちゃんを苦しめるだけなのに、私のわがままで来ちゃって、ホントにごめんね」

ほむら「まどか・・・。いいえ、ありがとう。やっぱりまどかは、とってもやさしいのね。

    まどかが私のことをそんなに想ってくれてるとわかっただけで、私はとってもうれしいわ」

まどか「ほむらちゃん・・・」

ほむら「たしかに私は、まどかに会えなくてとてもさびしかったけど、もう今は、さびしくなんてないわ。

    だって、こうしてまどかが来てくれるほど、まどかが私のことを見守ってくれて、想ってくれているって知って、さびしいわけがないわ。

    それにこれ以上、まどかを心配させるわけにはいかないものね。

    まどか、今まで見守ってくれて、今日来てくれて、本当にありがとう。

    そしてこれからも、私のことを見守ってくれるかしら?」

まどか「もちろんだよ、ほむらちゃん」

ほむら「やっぱり私は、幸せ者ね。まどかに見守ってもらえるなんて。

    美樹さやかにも感謝しないといけないわね」

まどか「わたしもさやかちゃんに感謝しなきゃ!こうしてほむらちゃんに会えて、ホントに良かったって」

ほむら「じゃあ、2人でお礼を言いましょう」

まどか「うん!」

そのころ・・・・

さやか「へくしゅん!」

なぎさ「さやか、風邪でも引いたのですか?」

さやか「ちがうよ。あたしたちは風邪なんてひかないでしょ~」

なぎさ「そうだったのです」

さやか「・・・まどか、今頃は何をしてるのかな?」

なぎさ「きっと楽しんでいるのです。でも、もう少したったら、迎えに行かないといけないのです」

さやか「そうだね。 まどか、ほむら・・・」

しばらくして・・・・

ほむら「ねえ、まどか」

まどか「なぁに、ほむらちゃん」

ギュゥゥ

突然ほむらちゃんは、わたしを強く抱きしめていました。

強く、強く・・・。

まどか「ほむらちゃん?」

ほむら「しばらく、こうしていてもいい?」

その声は、とても弱々しくて、いまにも消えてしまいそうな声でした。

ほむら「私、さびしくないなんて言ったけど、目の前のまどかがいなくなってしまうと思うと、どうしても、

    いなくならないでって思ってしまうの。明日になれば、今日のことは全部夢だったんじゃないかって考えちゃうかもしれない。

    ごめんなさい。せっかくまどかが、私のために来てくれたっていうのに。

    私は弱いから、まどかが目の前からいなくなることが、とても怖いの。

    でも、それじゃあ私は前に進めないし、まどかを心配させてしまう。

    だから私は、まどかをちゃんと見送らないといけないの。

    そのためにも、しばらく、このままでいさせて。

    ごめんね。こんな弱い私で、ごめんね。まどかぁ」ギュウゥ ポロポロ

ほむらちゃんのふるえる腕は、わたしをいっそう強く抱きしめました。

そして、ほむらちゃんは、いつもわたしが見るのとは違うような涙を流していました。

まるで、二つの感情が混ざったような、そんな複雑な色をしているような気がしたのです。

まどか「いいよ。ほむらちゃんは、今までずっと頑張ってきたんだもんね。

    ほむらちゃんの気がすむまでずっと、こうしていていいんだよ」ギュゥゥ

ほむら「ありがとう・・・グスン・・・まどかぁ・・・まどかぁ・・・」

そう言ってわたしは、ほむらちゃんを強く抱き返していました。

ほむらちゃんの体は小さく上下していて、ほむらちゃんのあらい息遣いがじかに感じ取れました。

ほむらちゃんのためなら、今日中という約束を、少しだけ破ってもいいと思っていました。

そしてしばらくして、ほむらちゃんは落ち着いたらしく、ゆっくりとわたしから離れていきました。

もうその目に、さっきの涙はありません。

ほむら「ありがとうまどか。もう大丈夫よ。いつでもまどかを見送れるわ」

まどか「ほむらちゃん。これからも、つらい思いをさせちゃうよね・・・」

ほむら「まどか、心配しなくても大丈夫よ。だって、

    まどかがいつでも見守ってくれるのでしょう。それに、いつか必ず会えるのでしょう?」

まどか「もちろんだよ!絶対に、迎えに行くからね」

ほむら「だったら私は、その時まで戦い続けられるわ。

    まどかが救ったこの世界を、守るために」

まどか「ほむらちゃん、ありがとう」

パアアアァァ

まどか「・・・お迎えが、来たみたい」

突然、まどかの後ろの空間が光り始めた。

とてもきれいで、やさしい光が、部屋全体を包み込む。

さやか「おーい、まどかー。迎えに来たよ~」

なぎさ「お迎えに来たのです」

まどか「ありがとう、2人とも」

迎えに来たのはさやかと、私の知らない小さな少女だった。

きっと、あの子も魔法少女だったのだろう。

さやか「おっすほむら。ひさしぶりだね」

ほむら「ええ、そうね。それと、今日のことであなたにお礼をするわ。

    ありがとうさやか。私がまどかに会えたのは、あなたのおかげらしいじゃない」

まどか「さやかちゃん、ありがとう!あのとき、わたしの背中を押してくれて」

さやか「まあ、親友であるまどかのためだからね~。

    ほむら、これからはまどかに心配かけさせないようにしろよ~」

ほむら「ええ、そのつもりよ」ファサァ

まどか「ほむらちゃん、ありがとう。あっ、そうそう。なぎさちゃんに・・・、

    はいこれ、お土産のチーズだよ。ほむらちゃんに、わたしのかわりに買ってもらったの」

なぎさ「チーズなのですか!ほむら、ありがとうなのです!」

ほむら「なぎさ、というのね。お礼ならまどかに言って。

    私はまどかに頼まれて買っただけだから」

なぎさ「そうなのですか。まどか、ありがとうなのです!」

まどか「なぎさちゃんも、わたしのために手伝ってくれたんだもん。

    ありがとうね」ナデナデ

なぎさ「エヘヘ どういたしましてなのです」

さやか「・・・まどか、そろそろだよ」

まどか「そうだね。・・・ごめんねほむらちゃん。

    わたし、もう行かなきゃいけないの」

まどか「絶対に、迎えに行くから、それまではまた、ちょっとだけお別れだね。

    だから・・・」チュッ

ほむら「ま、まどか!?///」

まどかは、私のおでこにキスしていた。

私への贈り物のように、やわらかくて、あたたかいキスを。

まどか「ほむらちゃん、待っててね」

ほむら「ええ、待っているわ。あなたが来てくれるまで、いつまでも。

    いってらっしゃい、まどか」ニコッ

まどか「うん、いってきます。ほむらちゃん」ニコッ

そう言って、まどかは光とともに消えていった。

もうそこには、まどか達の姿は残っていない。

けれど、まどか達の温もりが、やさしさが、たしかに残っていた。

私の心の中に。今日という日の、思い出の中に・・・。

~円環の理の世界~

まどか「ねぇ、さやかちゃん」

さやか「なぁに?まどか」

まどか「あのね、この前のお礼をあらためてしたいなって。ちょっときて」

さやか「??」

~???~

さやか『杏子』

杏子『さっ、さやか!?さやかじゃねーか!』

さやか『ごめんね、杏子。あんたをおいて先にいっちゃって。

    さみしかったよね。でも、いつか必ず会えるんだよ、あたしたち。

    それまで杏子には悪いけど、もう少し待っててほしいんだ』

杏子『必ず会えるって、おい、どーゆーことだよ!さやか!』

さやか『ごめん、もう行かなきゃ。とにかく、

    あたしたちは絶対に会えるから。それだけは覚えといてね』

杏子『待てよさやか!さやかーーーー!!』

杏子「さやかーーー!・・・って、夢か?

   ・・・たとえ夢でも、あたしは覚えたよ。 

   いつか・・・絶対に会えるって」

~円環の理の世界~

まどか「ごめんね。人の夢に入り込んでメッセージを送るのってけっこう厳しくて、

    あまり長く送れなかったの」

さやか「ううん、いいよ。言いたいことは言えたし、伝えたいことは、伝わったみたいだし。

    ありがとう、まどか」

まどか「親友のさやかちゃんのためだもん!」

さやか「もう、まどかったら。 それで、最近のほむらはどうよ?」

まどか「あれからほむらちゃん、すごく元気になったんだよ!」

さやか「まあ、あれだけやればね~」

まどか(ほむらちゃん、がんばって・・・)

~魔獣との戦闘~

魔獣「ヴオオオォォ」

魔獣「グルルルル」

ほむら「今日は少ないわね。すぐに終わらせてあげるわ」キリキリ

パシュシュシュン

魔獣「ヴアアァァ」シュゥゥ

魔獣「ゴオオオォ」シュゥゥ

ほむら「私とまどかの力の前では、魔獣なんてかすんで見えるわね」ファサァ

まどかからもらった力にもだいぶ慣れて、大抵の魔獣は一撃で倒し切れるようになった。

そう、私は一人ではない。

まどかがいつも見守ってくれているし、私にはまどかの力もある。

私とまどかでこの世界を守っていく。そう思うと、ずいぶんと気持ちが楽になる。

まどかは、今も私を見ているのかしら?もし見ているなら、この気持ちを伝えたい。

そう思い、そっと口を開いた。

ほむら「ありがとう、まどか。私は一人じゃない。

    まどかと一緒にいるのよね」

『ずっと、一緒だよ』

今の、まどか!ええ、きっと、まどかだわ。

やっぱり私のことを見守ってくれているのね。

ありがとう、まどか。

今はまどかを完全に感じ取ることはできないけれど、

でもいつか、必ずまどかに会える日が来る。

そう信じて私は、いつまでも、戦い続ける。

だからまどかも、待っていてね。

以上で完結です。

まどかが円環の理になってから、

ほむらが救われればいいなぁと思って書きました。

こんなことがあったなら、

ほむらが悪魔になるようなこともなかったかもしれませんね。

最後まで読んでくださってありがとうございました。

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2015年04月27日 (月) 19:23:33   ID: Va_ZX4pN

たまにはこれだけ直球ほのぼのご都合主義なまどほむもよろしいかと、思ふ
なごむ

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