女「イケメン君と私」 (13)
女「はぁ……ちょっと早くつきすぎちゃったかなぁ」
今日は私が通う高校の卒業式。家が近いってのもあるんですけどついつい緊張して早く来てしまいました
女「イケメン君来てくれるかな――卒業式」
イケメン君って誰だよって?私にとってすごく大きな存在の人なんですけどそれはこれから説明していきますね
それでは始まり始まり
高校二年の春からのこと
そう、春と言えばクラス替えです
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女「やったー!今年は友と同じクラスだね!」
友「はしゃぎ過ぎだってー。去年もなんだかんだ移動教室とかで一緒だったしさ」
女「えー、でもでもやっぱ体育祭とか一緒にできるじゃんー」
友「まぁそうだけどさー。私は別にアンタみたいに行事にすべて出し切る!みたいなタイプじゃないじゃん?」
女「むー、楽しもうよー。高校二年の体育祭は一生に一度なんだよ!?」
友「はいはい、サボりはしないんでその辺で勘弁してくださーい」
この子は友。私の親友です
サバサバしててたまに冷たいとかも言われるけど本当はとっても優しい子です!
「……あのさ、そこ俺ん席」
これが私とイケメンくんの出会いでした
女「えっ、嘘!ごめんなさい!」
イケメン「いや、別に謝らなくてもいいんだけど」
女「直ぐ退くね!友、いこっ!」
友「うん、分かった」
第一印象はかっこいいけど怖い人でした
イケメン君のほかにもカッコいい人は学年にいるんだけど、誰とも違う感じで
ちょっと不良っぽいんだけどおちゃらけた感じはしないっていうか
本人は静かな人なんだけど顔立ちとか、ちょっと派手な外見で目立ってて
良くも悪くも浮いてて、ツンとした感じがする人だなーって
友「感じ悪かったねーアイツ」
女「仕方ないよー私が席座ってたんだしさ。でもあんな男の子居たっけ?」
友「多分元4組の子じゃない?ほら、去年よく不良に絡まれてた」
女「うぬぬぬ……思い出せんぞー。不良がよく廊下に居たのは覚えてるけど」
友「アンタの中で絡まれてるあの子もその一員にカウントしてたんじゃない?言っちゃ悪いけど見た目はそいつら寄りだし」
女「………………かも」
私が通う高校は特別悪い高校ではありません
ただ、校則が比較的ゆるいこと、近所にファーストフード、コンビニ、カラオケが揃っていることから
ヤンチャな子たちが頑張って入学しにくるという面も持っていました
ヤンチャな子たちは結局一年から二年に上がるまでに殆どが退学か留年してしまうので、その層から無事卒業するのはほんの一握りなんだとか
私は家が近いから選んだだけなんですけどね!
女「絡まれてた――ってことはイケメン君も不良なのかな?」
友「さぁ?まぁそんなに気になるんなら他の子にも聞けばいいんじゃない?」
女「いや、別に気になるとかじゃないよ?ただ―――」
友「ただ?」
女「何か気になる!」
友「どっちなのよ」
五月
クラス替えから一か月
ずーっと見てたわけでもないんですが、何となく分かったことが幾つかありました!
一つは特定の仲がいい友達は居ないみたいです。ほとんど一人でいます
もう一つは普通の一人ぼっちの子とは違って忘れ物とかしたら堂々と貸してって言える子のようです!
そして、真面目ってことはなさそうだけど不良でもなさそうなこと
女「ますます解らんな……」
友「またあの子のこと?」
女「うんー」
友「変わった子だよねー、誰とも距離置いてるけど誰とも喋るは喋るっていうかさ。まぁ殆ど喋ってるとこ見ないけど」
女「だよねー。派手な見た目だけど変なうわさも聞かないし。悪い人じゃないと思うんだけどなぁ、ちょっと怖いけどね」
友「一回話しかけてみたら?」
女「えぇ!?わ、私が!?」
友「いや、私は嫌だよ?別に関わる理由もないしあのこってほら、一匹狼って奴?放ってあげといた方がいいんじゃない?」
女「うぅ……」
友「な、何よ」
女「着いてきてよ~やっぱ一人じゃこわい」
友「はぁ…」
そんなこんなで次の日私は初めてイケメン君に話しかけてみることにしたのです
友「女ー、イケメン君来たよ」
女「う、うん。頑張る!」
イケメン君はこちらに気付いたのか、露骨に怪訝な顔をしています
女「あ、イケメン君!お、おはよう!」
イケメン「……??お、おう」
女「あの……えーと」
イケメン「…?よく分かんねーけど用事無いんなら行くぞ」
彼はそのまま去っていきました
これが私たちの初めての会話です
こんな内容ですけど今は話しかけれて良かったと思っています
女「はぁ……」
友「お互い話す気なさすぎでしょあれは」
女「私はあったんだよ~?でもでも「話しかけるな」オーラが凄くて……」
友「分かるよ、分かるけどね」
その後、イケメン君が変な間を置かずに「おはよう」って挨拶してくれるまで二か月かかりました
よっぽど怪しく思えたみたいです
後々話を聞くと仕方ないかなとも思えるんですけど。
彼が心を開いてくれるのはまだ先の話
挨拶の出来事以外は特に進展もなくそのまま夏休みに突入しました
偶然外出先で――なんてマンガのようなこともなく、私は高校二年の夏休みを思いっきり楽しみました
時折思い出すこともありましたがイケメン君のことも基本的に忘れてました、ごめんなさい
そんなこんなで二学期です
殆どの子が日焼けで小麦色の肌になっている中、イケメン君はあまり変わらず色白なままでした
女「イケメン君、久しぶりだね!」
イケメン「そうか?」
女「そうだよー。だって1か月とちょっとだよ?」
イケメン「んー……」
イケメン君は少し考えた後
イケメン「やっぱ久しぶりでもねぇわ、もっと休みたかった」
少し笑いながら言いました。初めてイケメン君が笑ってくれて私もうれしくなりました
二学期と言えば
体育祭、文化祭、遠足、修学旅行と私の高校は二学期に行事が集中しています
まずは体育祭!なんですが……
イケメン君は来ませんでした。勿論クラスの打ち上げ会にも
寂しい気持ちになったのもありますが、それよりも「どうして休んだんだろう?」って思ったんです
だから聞いてみることにしました
女「イケメン君、おはよー!」
イケメン「……おはよ」
女「運動会来なかったね、風邪ひいちゃったとか?」
イケメン「行事の日は定休日」
私は最初何を言っているのかわからず、数秒の間が開きました
女「えーと……どゆ事?」
イケメン「別に授業とか単位に関係ねーし、学校嫌いだから」
だから、せめて卒業には大して関係ない行事くらい休みたい
それがイケメン君の答えでした
とても悲しくなりました
だって学校って本当はすごく楽しい場所なはずなんです
色んなグループがあって、下らないこととかお喋りして
そりゃ偉そうで怖い人も居たりするんですけど……
友達が居れば何とかなるし、面倒くさい事だってきっといい思い出になると思うんです
でも何も知らない私がイケメン君に勝手に踏み込んでいいのかなって
この出来事から私は少し距離を置いてしまいました
勝手ですよね、私から関わろうとしたのに
イケメン君は文化祭に参加することもなく毎日つまらなさそうに過ごしていました
いつの間にか11月
次の行事は遠足
2年生の遠足はちょっとオシャレな繁華街へのお出かけです
しかも男女混合の班行動で好きな友達と班を組んでいいそうです
私はこの機会しかないなって思いました
思い出がないなんて淋しいから
私の自己満足かもしれないけど、ごちゃごちゃ考えるのは私らしくないしできないなと思ったので
女「ねぇ友!」
友「ん?」
女「今度の遠足楽しみだね!」
友「あぁ、行ってみたかったけど個人で行くには遠いもんね。班で自由行動だし丁度よかったわ」
女「今度の班ってさ!男女混合じゃんー?」
友「そだねー、チャラ男グループとかと当んないといいけど」
女「そのことだけどさ、イケメン君誘っていい?」
友「……えっ、マジ?」
女「大マジ!」
最初は渋い顔をしていた友でしたがチャラ男グループやうるさいスポーツ男子グループよりは……と言うことで承知してくれました
とは言え、いざ声をかけるとなると勇気が要ります
女「あのー、イケメン君?」
イケメン「あぁ、女か。どした?」
女「あ、あのさ遠足のことなんだけどね?その……一緒の班になってくれたら……嬉しいなー………なんて」
イケメン「……えぇと、マジで言ってるのか」
女「…うん。班で自由行動だし、ほら、イケメン君って団体行動とか嫌いそうだけどさ!私と友くらいしかいないなら大丈夫かな~……って」
イケメン君はとても難しい顔をしていました。嫌がるといった感じではなかったのがせめてもの救いでした
ありがとうございました
残りは何日かごとに少しずつ投下していきます。そんなに長い内容でもないのでお付き合いいただければ幸いです
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