霧切「苗木クン……ごめんなさい」 (54)
注意書だよ
・時間軸は五回目の学級裁判。クロが苗木クンになったとき
・さすがの苗木クンもこの裏切りには希望を持てなかったようです
・視点は霧切さん
・面白くなかったら>>1がウォーター・イリュージョンショー
・【ダンガンロンパ】オリキャラたちでコロシアイ学園生活【だべ!】と同時進行(いいよね?)
こんなゴミクズのSSを読んでくれるなんて……なんて素晴らしいんだっ!!
SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1383406327
私は死ぬわけにはいかなかった。
この学園の謎を解き明かす。をはた果たすまでは何があっても。
霧切「武道場のロッカーの鍵を見つけたのは苗木クンだったわよね? 私に罪を着せるために置いた可能性もあるわ」
だから、私は今こうして苗木クンを裏切っている。目的のために、彼を切り捨てようとしている。
苗木「なっ……何を、言って……!!」
腐川「そ、それじゃあ! 犯人は苗木ってことじゃない!!」
腐川さんの言葉に十神クン・葉陰クン・朝日奈さんの視線が苗木クンに集まる。
疑惑の眼。苗木クンを人殺しとして認知する眼。
苗木「違う……違うよ……!!」
モノクマ「じゃあ、張り切ってどうぞー!!」
必死に弁明をしようとするも、モノクマがそれを許すはずがない。
半ば強引にモノクマは投票を促した。
苗木「違うよ皆!!」
最後に苗木クンの叫びが木霊するも、それは手遅れでしかなかった。
>>2
”それを果たすまでは“だね。ミスしてゴメンよ希望の皆!
とりあえずボクはお風呂行くよ
裏切って無いと何度言えば分かるんだ
苗木がクロになるようにもしてなかったし、自分がクロになるようにもしてなかった
それなのにお前ら裏切り裏切りとうるさいんだよ
実際事実を述べてただけじゃない
まあそれはいいとして初っ端からヤバいぞ
>>2を冷静に見直してみろ
って>>3見てなかったすまん
>>4>>5>>6
そうなんですけど、>>1の個人的な意見ではどうしても裏切り(に類似した感じ)に見えてしまって……
決して霧切さんアンチではありません。むしろ好きです。一番くじの霧切さんフィギュア出たときは歓喜でした
今度こそお風呂でウォーター・イリュージョンショーしてきます
>>8
それもありますかね。わざわざレスありがとうございます
では今度こそウォーター・イリュージョンショーしてきます
モノクマ「てなわけで大正解! 今回のクロは苗木クンでした!!」
そのモノクマの言葉で皆の疑念はさらに強まる。
皆の視線が苗木クンに刺さる。
苗木「なっ……なんだよこれ……! おかしいだろこんなの! なんだよタイムアップって! なんとか言えよモノクマ!!」
モノクマ「それじゃあ始めますか! わっくわくでドッキドキのお仕置きタイム!」
苗木クンが余計なことを口走る前にモノクマがおしおきを実行しようといつものハンマーを取り出す。
苗木「っ……!!」
そうして苗木クンの視線はモノクマから私へ。
その眼には失意と憎しみがこもっていた。
苗木「霧切さん……なんでだよ! なんで……!!」
ピコッ!
ナエギクンガ クロニ キマリマシタ
オシオキヲ カイシシマス
ガチャン! と苗木クンの後ろの壁が開く。そこから今までのクロ--桑田クン・大和田クン・セレスさんをおしおきの執行場へと連行してきた拘束具が出てきて苗木クンを捕らえる。
苗木「なんでキミが……ボクを……!!」
霧切「苗木クン……ごめんなさい」
苗木クンの視線に耐えきれず、私は謝罪を口にする。
苗木「霧切響子ぉぉぉぉぉっっっ!!」
私の謝罪を受け、苗木クンはどう思ったのか。
それを知る暇もなく、彼は執行場へと連れてかれた。
補習
苗木クンが椅子に固定されている。身動き一つ取ることはできなさそうだ。
モノクマがそんな彼の前で黒板に版書をする。性について、という字がなんとなく見えた。
そしてそんな彼を後ろへと誘うベルトコンベア。先には巨大プレス機。
ドシーン! ドシーン!
そんな音を鳴らしつつ一定のリズムでプレス機が上下する。このまま行けば苗木クンは間違いなく、あのプレス機に潰されてしまう。
苗木クン……ごめんなさい。
もう無駄だと理解はしていても、口は謝罪の言葉を紡ぐ。
そして苗木クンがプレス機に潰されるその瞬間--変化は起きた。
なんと、プレス機が寸前のところで止まったのだ。
私たちはもちろん苗木クンも--さらにはモノクマですら、驚いた表情を浮かべる。
するとプレス機の下の床が開いた。
ベルトコンベアは止まっていないので、流れに従い苗木クンはそこに運ばれる。
そうして苗木クンは重力に従うようにその穴へと落ちていった。
深い、深い。奈落へと--
葉陰「お、おい! 苗木っちはどうなったんだ!?」
朝日奈「わかんないよ! 突然床に穴が開いたと思ったら、そこに落ちて……!」
十神「少なくとも、あのおしおきでは死んでいない。……落下先に剣山でもあるのなら、話は別だがな」
腐川「ひ、ひいっ!?」
場所は変わり、食堂。
先程の出来事について、私たちは話し合っていた。
十神「だがまあそれはありえないと断定していいだろう。そこまで計算されたおしおきならあのあとでモノクマが憤慨してるのもおかしいし、おそらくあれはアルターエゴが出てきたからこそああなったんだ」
葉陰「な、ならどういうことなんだべ!? さっぱりわからんぞ!」
朝日奈「苗木があのおしおきで死なずに済んだのはモノクマにとっても予想外なんだよね?」
十神「俺がわかるのはそこだけだ。……おい、霧切。お前何か隠してるだろう?」
不意に話が私に振られる。
朝日奈「なっ……き、霧切ちゃんが何か隠してるっていうの!?」
十神「俺たち四人には完璧なアリバイがあり、事件に関与してると思われるのは苗木と霧切だ。だが苗木は今いない。話を聞けるのは霧切だけだ」
葉陰「つーかよ、アルターエゴが苗木っちを助けたってことは苗木っちは犯人じゃなかったってことなんじゃねぇか?」
腐川「な、なら……!!」
腐川さんの視線が私に刺さる。
十神「葉陰にしてはまともな意見だな。そうだ。アルターエゴが苗木を助けた以上、苗木犯人説は除外していいだろう。そうなると霧切、お前が犯人ということになるんだ」
霧切「違うわ! 私は犯人じゃない!」
十神「ここまで来てもなお否定するか。……それなら言ってみろ、犯人は誰だと言うんだ」
霧切「犯人は--黒幕、よ」
その言葉に十神クンは眉をしかめる。
十神「……ふざけているのか?」
霧切「信じてもらえないと思うわ……それでも、本当なの……」
葉陰「は、はあっ!? 戦刃むくろを殺した犯人が黒幕!? どういう意味だべ!?」
腐川「ど、どうせ苦し紛れのでまかせよ! やっぱりこの女が犯人なのよ!」
朝日奈「で、でも霧切ちゃんが犯人ならなんで私たちは今生きてるの!? だって、間違ったら私たちが処刑されるんでしょ!?」
朝日奈さんの言葉に十神クン含めた全員が一瞬黙る。
十神「……そうだな。そもそも霧切が真犯人なら俺たちは皆処刑されてるはずだ」
葉陰「な、なら霧切っちは犯人じゃない……? どういうことなんだべ!? マジでわけわからんぞ!!」
十神「おい霧切! 知ってることはすべて話せ! 今すぐにだ!」
もはや全員が混乱しているみたいだった。
私はそんな皆の顔を見て、私の知ってるすべてを話す……。
★
十神「万能キーに【超高校級の探偵】……なるほどな。言いたいことは理解した。万能キーも現物がある以上、信用するしかない。だが他の点は別だ。お前の証言だけでは信用ならん」
朝日奈「な、ならどうするのさ!」
十神「証拠がない。霧切本人の証言も信憑性がない。それなら道は一つしかないだろう」
葉陰「???」
十神「霧切、苗木を連れてこい」
霧切「わ、私が……!?」
朝日奈「そ、そもそも苗木がどこに行ったかもわかんないんだよ? それなのにどうやって……!?」
十神「苗木は地下に落ちていった。それなら霧切も地下に下りればいいだけのこと」
朝日奈「だからどうやって!?」
十神「まだ気づかないのか。霧切をダストシュートに放り込めばいいだけのこと」
その言葉に朝日奈さんたちは唖然とするも、私はそんなには驚かなかった。
私も十神クンと同意見だったからだ。
朝日奈「ちょ! それってどういう……!!」
霧切「いいわ。私もそうだと思ってたから」
これまでの生活で一階は初日から嫌というほど調べた。その中で地下への通路は見つけられなかったのだから、おそらくは無いのだろう。
十神「だが、これはあくまで憶測でしかない。無駄骨になる可能性もあれば、そもそもお前が帰ってこれる保障もない。それでもいいんだな?」
霧切「十神クンらしくないわね。まさかアナタからそんなことが聞けるなんて」
十神「質問に答えろ。どうなんだ」
朝日奈さんや葉陰クンたちの心配そうな視線が私に集まる。
霧切「……わかったわ。必ず、連れてくる」
彼が私の無実を証言してくれるとは思えない。
私が彼を見捨てたのは事実で、アルターエゴの介入が無ければ死ぬことになっていたのだから。
……それでも、私はもう一度苗木クンに会う。
このままのうのうと生きるなんて、私にはできそうもなかったから。
★
落ちる。ただ、落ちる。
苗木クンもこの感覚を味わっていたのだと私は自分の胸に刻み、恐怖に耐える。
ドシーン!!
やがて落下は終わり、全身にとてつもない痛みが走る。骨折はしてなさそうだ。
苗木「? ……誰?」
霧切「……私よ」
落ちた先にあったゴミの山から抜け出し、そこにいた苗木クンと向き直る。
いつも明るく、皆の心配を第一にしていた苗木クン。
でも今は……虚ろな眼で、ただ私を見つめていた。
★
霧切「--と、いうわけなの……」
私は苗木クンに今置かれてる状況をすべて説明した。聞いてるかどうかもわからないけど、それでも説明した。
苗木「…………」
苗木クンは喋らない。一言も、喋らない。
霧切「ごめんなさいっ!」
気づけば私は柄にもなく大きな声で謝罪をしていた。苗木クンも思わず私を見る。
霧切「今さらだと言うかもしれないし、そもそも許されないと思うわ。でも、謝らせて……」
苗木「霧切さん……」
霧切「本当に、ごめんなさい……!」
ろくな言葉も出ず、ただ謝る。涙も流れる。
すると苗木クンが不意に口を開いた。
苗木「……ボクは、今の今まで霧切さんのことを恨んでた。なんであのタイミングであんなこと言うのか。そりゃ、タイムアップなんて言われて取り乱すのはわかるけど……それでも、他の方法はなかったのかって」
霧切「……ごめんなさい」
苗木「でも、霧切さんはこうして危険を省みず来てくれたんだし……少なくとも、ボクを見捨てたことは本当に負い目を感じてくれてるんだよね……?」
あの苗木クンらしからぬ、他人を疑う視線と言葉。
それを受けて私は小さく頷く。
苗木「そっか……」
すると苗木クンは立ち上がり、私の前に立った。
何を言われるのか。それとも殴られるのか。
覚悟はしていた。私は来るであろう痛みを堪えるため、眼を瞑る。
苗木「……行こう? 万能キー、あるんだよね?」
その優しげな言葉に私は眼を開ける。
そこには優しげに笑う苗木クンがいて……それを見て、私はまた涙を流していた。
★
こうして私は苗木クンと一緒に地上に続く長い階段を登っていた。上に苗木クン、下に私だ。
正直、罵声の一つや二つはあって当たり前--むしろ、それくらいないとおかしいと思っていたのに、今こうして私は苗木クンと地上に向かっている。
良かった……本当に、良かった……。私は心の底からそう思えた。
苗木クンが生きててくれて。
また苗木クンと話せて。
苗木クンに--許してもらえて。
苗木「……」
突然ピタリと苗木クンが止まる。
霧切「どうしたの?」
苗木「……そうだよね。悪いのは霧切さんじゃないんだよね」
私の声が聞こえてないのか、苗木クンは何かを呟いている。
苗木「ボクが投票されるきっかけを作ったのは霧切さん……ボクがおしおきをされる原因になったのはボクに投票した皆……ははっ、なーんだ……わかっちゃったよ」
霧切「苗木クン? 何を--」
ガコッ。
私の手元を苗木クンが蹴飛ばす。思いっきり、蹴飛ばす。
霧切「え……?」
苗木「悪いのは皆だ! こんなことを仕組んだ黒幕! ボクを見捨てた霧切さん! ボクに投票した上にいるであろう皆! ハハハハハ!! そういうことだったんだね!」
落ちていく。ただ、落ちていく。
苗木「ボクはもう誰も信じない……一人だけで黒幕を倒してここから出てやる!! ハハハハハハハハハハ!!」
一気に遠退く視界の先で、狂ったように笑う苗木クンの姿が僅かに映った気がした--。
グシャッ。
--Dead End
終わりました。
すいません……気を悪くされた方がいるようなら謝ります
一応作者はゲームも1・2とやってるんですが……いかんせん昔の話でして。どうしてもアニメの印象が先走るのです……
SS初心者というのもあってか、見るに耐えない文章でしたね
お目汚しすいませんでした
終わったらHTML依頼でいいんでしたっけ……
せや
どっかで見たなあと思ったらあっさり終わったか
乙
予想外だけど、これはこれで面白い結末だった。
次のSSも期待してます。
このSSまとめへのコメント
いや、逆に気を良くしました!
有り難うございました、美味しkt…面白かったです!!
霧切さんは人気あるからアニメ改悪の霧切さんは居なかった事にされがちで羨ましい。
いやこんな荒らし同然のファンついてるならやっぱり羨ましくないや。
自業自得