男「お前は本当に気持ち悪いな」(186)
女「えへへ、そうですか?」
男「何で喜んでんの?」
女「男さんの視線を集めていると思うとうれしくて」
男「まじで気持ち悪いなお前」
女「ですねー」えへへ
女「男さん、一緒に帰りましょう」
男「あー今日は幼馴染と帰る約束があるんだわ」
女「そうですか、残念です」
男「悪いな」
女「いえ、気にすることはありませんよ。一緒に帰るんで」
男「三人で帰るか?」
女「いえ、二人と一人で帰りますよ」
男「あ?」
女「男さんと幼馴染、の後ろからひっそりとついていく私という布陣です」
男「きもちわるっ」
女「大丈夫です。自分、日本ストーキング協会会員ですから。
気配は完全に消して見せます」
男「キモい」
女「ですね」えへへ
幼馴染「男どうしたの?」
男「え? な、なにが?」
幼馴染「なんかさっきからキョロキョロしてる」
男「なんでもないよ」
幼馴染「ほんとにー?」
男「本当だって」
幼馴染「……ならいいけど」
男「(う、またどこかから視線を感じる……気がする……)」
―――翌日
女「男さーん、今日こそ一緒に帰りますよ」
男「女、昨日本当についてきたのか?」
女「え、冗談に決まってるじゃないすか」
男「そうか、ならいいだが」
女「男さんがついて来てほしいっていうならストーキングしますよ?」
男「いや、遠慮しとく」
女「そですか、残念です」
男「残念がるな気持ち悪い」
女「えへへ」
女「あ、男さん。猫です」
男「そうだなー」
女「男さん、雨降りそうすね」
男「ああ」
女「男さんって休日何してんです?」
男「うーん」
女「……男さん」
男「うん?」
女「幼馴染さんと帰ってるほうが楽しそうですね」
男「あ?」
女「ごめんなさい、私と帰るの楽しくないですよね。
なんか無理に誘っちゃったみたいで少し申し訳ないです」アハハ
男「……女」
女「あ、いや別に気にしないでください。
ちょっとセンチ入っちゃってるみたいで」
男「なんで幼馴染と帰ったときの俺が楽しそうだったって知ってるんだ?」
女「おっと」
男「おい」
女「そんなことよりもうすぐ男さんに家ですね」
男「何で俺の家知ってる!?」
>>13
誤字
男さんに家ですね
訂正
男さんの家ですね
―――翌日
女「男さん、一緒におべんと食べましょ」
男「いいぞ」
女「じゃーん」
男「なんだ?」
女「私自家製のお弁当です」
男「おう、それで?」
女「これ、男さんに作ってきました」
男「きも」
女「ですね」
男「む、何気にうまい」
女「そりゃあ、愛が詰まってますから」ドヤ
男「キモい」
女「ですね」えへへ
幼馴染「男一緒にお弁当!! って……」
男「なにこの黒いつぶつぶ?」
女「いわゆる愛のキャビアです」
男「まじで? 初めて食べた……」
女「私が男さんのはじめてを奪っちゃいましたか」えへへ
男「きもちわるい」
女「ですね」えへへ
幼馴染「……あー、今日はべつにいっか」
女「突然ですが、男さんはスポーティな女性と
アンスポーティな女性どっちが好みです?」
男「アン? あー、しいて言うなら活発な子かなあ」
女「ほう、それは、良い事聞いちゃいました」
男「あ? なんだよ?」
女「いえ、なんでも」
男「……気持ち悪いな」
女「ですよね」えへへ
―――数日後
女「男さん、今日は超熱いのに体育祭ですね」
男「だな、立ってるだけで体力消耗する」
女「……はいっ、頑張りましょうね!」
男「やる気だなあ」
女「まあそれなりに」
男「あ、徒競走に女でるじゃん」
男「あいつ運動駄目そうだなあ」
教師「位置について」
女「よい、」グッ
男「クラウチングスタート!?」
教師「よーい、スタート」パァン!!!
女「しょ、っと!」ダッ
男「はええ……」
女「あ、男さんどうでした? スポーティな私は?」
男「凄かった。お前運動できたんだな」
女「男さんストーキング協会会員足るものこの程度は余裕ですよ」
男「きもいぞおい」
女「えへへ」
男「……変な奴」
女「ども」えへへ
女「あ、次の800M走頑張ってください」
男「うわあ、ダリィ」
女「もし一位なれば自分の抱擁をプレゼントします」
男「いらねえよきもいな」
女「ちなみに二位から六位まででもプレゼントはつきますから」
男「何位になっても一緒じゃねえか。いらねえっての」
女「そっすか、残念です」
男「残念がるなキモい」
女「いやー惜しかったですね」
男「あー、うっせー死ぬ」はぁはぁ
女「お疲れのようで」
男「ああくそ、六位は恥ずかしい」はぁはぁ
女「恥ずかしいと感じるのはやっぱり幼馴染さんが見てるから、
ですかね?」
男「あ? あー、そうだよなに言ってんだこら」はぁはぁ
女「……そうですか」
男「……ああ」
女「とう、プレゼントの抱擁です!!」
男「ぐはっ」
女「って、よ、避けないんですか?」
男「……疲れて避ける気力がわかないんだよ」
女「そ、そうでしたか」
男「離れろ、暑苦しい」
女「あ、あわわ」ばっ
女「す、すいません」
男「なに謝ってんだよ? お前から飛びついてきたんじゃねえか。
変な奴だなあ」
女「……あはは」
―――放課後
女「男さん、一緒に帰りましょうか」
男「おう」
幼馴染「男ー、一緒に帰ろうよ!!」ガラッ
男「……幼馴染」
女「あ、じゃあ自分はこれで」
男「あ? 女?」
女「男さん、また明日」
男「……あ?」
幼馴染「男? どうしたの?」
男「あ、いや何でもないよ」
幼馴染「ふーん?」
男「帰ろうか、幼馴染」
幼馴染「うん!!」
男「……」キョロキョロ
幼馴染「男どうしたの?」
男「え? な、なにが?」
幼馴染「なんかキョロキョロしてる」
男「そうかな?」
幼馴染「そうだよー」
男「うーん、なんでもないよ」
幼馴染「ふーん?」
男「本当だよ?」
幼馴染「……なら良いけど」
男「……(視線を感じない)」そわそわ
幼馴染「……なにそわそわしてるの?」
男「いや、視線をかんじないなあって」
幼馴染「視線?」
男「あ、いやなんでもないよ、なんでも……」
幼馴染「ふーん?」
男「本当だって」
幼馴染「……あっそ」
男「うん、なんかごめんね?」
幼馴染「別に謝らなくてもいいって。それより早く帰ろ?」
男「ああ、そうしようか」
―――翌日
女「男さん、おはようございます」
男「おう」
女「では」
男「あ?」
女「どうかしました?」
男「……何でもねえよ」
女「そですか。じゃあ」スタスタ
男「……(いつも授業始まるまで俺の周りうろうろしてたじゃねえか)」
教師「はいじゃあここまで」
男「……(今日は女がまったく話しかけてこない)」
男「……なんか、調子狂う」
幼馴染「男、ご飯食べよう!!」ガラッ
男「……おう!」
女「……」うーむ
クラスメイト1「お、女さん!! 食べませんか!!?」
女「あ、自分カニバリ的な趣味はないので。あなたは食べられませんが?」
クラスメイト2「いやちがくて。お弁当、一緒に食べようか?」
女「自分と、ですか?」
クラスメイト3「うん、女さんもう少しクラスに馴染んだらどうかなって。
あ、余計なお世話だったかもしれないけど、一応善意からの言葉だから、
今日は無理だったとしても明日また」
クラスメイト2「はいはーい、あんたの話は長いって」
クラスメイト1「そ、それで、どうですか……?」
女「……」チラッ
幼馴染「じゃあ中庭行こうよ!!」
男「……おう」
女「……じゃあ、たまにはいいっすね人肉も」
クラスメイト1「こ、こわい!!」
クラスメイト2「じゃあどこで食べる?」
クラスメイト3「今日は天気も良いし、風も気持ち良いから外がいいわね。
そうね、たとえば中庭とか屋上とか。ああでも屋上は立ち入り禁止だから
中庭でいいのじゃない?」
女「あー、自分日光恐怖症っすからこのまま教室でってのはだめですかね?」
クラスメイト1「バ、バンパイアだー!!?」
クラスメイト2「……まあ移動もめんどくさいし、それで良いね」
クラスメイト3「じゃあ、このままでも別にいいわね。案外教室で食べるのも
ありがちで楽しいかもしれないわ」
女「……ども」
クラスメイト3「それで女さんって男君とだけ仲良いじゃない。
もしかしてお付き合いとかしてるの?
あ、べつに広めたりはしないわよ」
女「……え、いや、どうしてそんなこと聞くんすか?」
クラスメイト2「こいつが気になってるから」
クラスメイト1「あ、いや、ただの興味から、です」
女「……や、男さんとはただのお友達ですよ?」
クラスメイト1「そ、そうなんだ! ……よかったぁ」
女「……はあ」
教師「はい、じゃあ今日はここまで」
男「……(今日はなんだか女に避けられていた気がする)」
男「まあ本人に聞くか」
男「おい、女」
女「男さん? 何でしょう?」
男「なんかお前今日さ――」
クラスメイト1「お、女さん! 一緒に帰りませんか!!?」
男「あれ?」
女「ああ、良いですよ。男さん、話長くなりそうですかね?」
男「あ? いや、ただの世間話だ」
女「……あ、そうでしたか。あの、それで自分はクラスメイトも待っていることですし」
男「ああ、いや気にするな」
女「すいません、では」
男「あいつ友達いたのかよ」
幼馴染「なにぶつぶつ言ってんの?」
男「ああいや、なんでもないって」
幼馴染「そう? あ、男バッティングセンター寄って帰ろうよ!!」
男「ああ、たまには良いよ」
幼馴染「あ、いいんだ? いつも嫌がるのに」
男「……たまには良いと思う、うん」
幼馴染「じゃあ行こっか!」
男「……おう」
これって長編?
―――で、時間は流れて
女「おはよう、クラス1」
クラスメイト1「あ、おはよう、……ございます女さん」
女「いや、昨日自分から敬語敬称は無しにしようって言ってきたんじゃないですか。
なら敬語敬称はなしでしょう常識的にうんたらかんたら」
クラスメイト1「その、なんか緊張しちゃって……」
女「女の子同士でなにを緊張することがあるのやら」
クラスメイト1「お、女……ちゃん、は気にならないの……?」
女「どうだろう?」
>>52
そんなことない
クラスメイト1「どうだろうって……」
女「クラス1は変わってるね。
いや、それにしても寒いね」
クラスメイト1「話の切り替わりが早い……。もう冬だから、寒いのも、仕方ないよ……」
女「クラス1は寒いのは苦手?」
クラスメイト1「う、うん。女ちゃんは言うわりに平気そうだね……?」
女「まあ自分は冬に愛されてますし」
クラスメイト1「あは、なにそれ」
クラスメイト2「おはあよー」
クラスメイト3「おはよう、ってあら、二人とももう来てたのね。最近本当に寒いわよね。
そういえば去年よりだいぶ低いらしいわよ気温。この調子だと今日にでも初雪が
降るかもしれないって」
女「おはようございます。初雪ですか。それはロマンチックですね」
クラスメイト1「おはよう。女ちゃんは雪好き、なの?」
女「冬に愛されてるから、私も冬を愛してるのです」
クラスメイト1「あはは、なにそれ」
クラスメイト2「……にしてもあんたたち最近仲良いね。
昨日も二人で遊びに行ってたでしょ」
女「ああ、まあ。軽く遊びましたね」
クラスメイト3「二人とも遊ぶなら私たちも誘ってくれればよかったのに、
私も昨日は暇だったのよ?」
クラスメイト1「あ、ええと、それはね……」
クラスメイト2「ちょいクラス3よ。もう少し頭を使おうねー」
クラスメイト3「え、ちょなに怒ってるの」
クラスメイト2「あんたあたますっかすかなんじゃない? もしかして胸か!?
栄養が胸にいってるから頭が回らないのか!?」
女「……?」
教師「今日の授業はここまで」
男「……」
幼馴染「男、ご飯行こうよ!!」
男「いや、今日は中で食べない? 流石に外は寒いと思うんだけど」
幼馴染「えー、仕方ないなあ。なら私のクラスで食べよう!」
男「ああ、それはいいね」
女「……」
クラスメイト1「女ちゃん、お弁当、あの、一緒に」
女「うん、食べよう」
クラスメイト1「……うん!」
幼馴染「男さ、今日暇?」
男「うん? ……うん、今日は暇だな」
幼馴染「ならさ、……その、話したいことがあるんだけど!」
男「おお、何だ?」
幼馴染「いや今じゃなくて……。放課後、少し私と話してくれない?」
男「……ああ、いいぞ」
幼馴染「本当!? じゃ、じゃあ今日の放課後、
えーと、体育館裏に……その、」
男「分かった、放課後に体育館裏だな?」
幼馴染「うん、そう。お願いします!!!」
男「お、おう」
女「あれ? クラスメイト2と3は?」
クラスメイト1「き、今日は、その、」
女「……何か話したいことでもある?」
クラスメイト1「う、うん……」
女「そっか。じゃあ、聞くよ」
クラスメイト1「あ、あの、女ちゃん!!」
女「……はい」
クラスメイト1「放課後私に少し時間をください!!」
女「……はい?」
クラスメイト1「……だ、駄目?」
女「……いや、そんなことでよければ、いくらでも」
クラスメイト1「ほ、本当!? や、やった!」
女「じゃあ一緒に帰る?」
クラスメイト1「あ、うーん、……長くなるかもしれないから教室で
待っててくれない、かな?」
女「わかった。みんなが帰るまで待てばいいわけだ」
クラスメイト1「うん、そ、そのとおり!」
女「あい了解」
教師「今日はここまで」
男「……(うーむ、すぐ行くべきか時間を空けるべきか)」
男「……いや、少し時間を空けよう」
クラスメイト1「じ、じゃあまた後で!!」
女「え、一緒に待てば……、ってもういない。足結構速いんですね」
女「……あれ? 自分はどのくらい待てばいいんですかね?」
クラスメイト×「さようならー」
クラスメイト○「ばいばーい」
クラスメイト-「マラ挿したー」
クラスメイト+「しね、また明日ー」
女「……」
男「……」
女「……(な、なぜ男さんが残って……?)」
男「……(女、……さん、はなにしてんだ?)」
女「……(な、なんにせよ)」
男「……(こ、これは)」
男・女「……(――凄く気まずい!!!)」
男「……」ガタッ
女「……」ビクッ
男「……」
女「……」
男「……」
女「……」
男「……」
女「……あ、あの」
男「な、なんだ?」ビクッ
女「あ、いや、えぇと」
男「な、なにかな? はっきり言えよ、きもちわ――いや、なんでもないよ」
女「……男さん、は、なんで、その、教室に?」
男「あ、それは、ちょっと用事があって」
女「お、男さんもですか。その、実は私も用事がありまして」
男「そ、そう」
女「……はい」
男「……」
女「……」
男「あ、あのさ、女、さん」
女「な、なんです?」
男「あー、っと、その、用事って何かなって思って、聞いちゃまずかった?」
女「あ、いえただ友達を待ってるだけです」
男「そ、そうなんだ」
女「はい……」
男「……」
女「お、男さんは!」
男「……な、なに?」ビクッ
女「あ、いや男さんは、その、どうして残ってんですかね?」
男「あー、それはだな……その、あれだ、えー」
女「あ、いえ無理に聞く気はないので」
男「そ、そうか。悪いな」
女「いえ、その、当然ですから」
男「……当然、か」
女「えぇと、なにか?」
男「……なあ、何が当然なんだ?」
女「へ?」
男「何が、当然なんだよ?」
女「男さん?」
男「ああああああああああもう!!!!! 何なんだよお前は!!!!?」
女「……へ? はい?」
男「いいから答えろおい!」
女「お、おおう、えと、何が当然か、でしたっけ?」あせあせ
男「そうだよ!」
女「だ、男女の距離ですよ、距離」
男「距離だあ?」
女「距離です。今のこの関係が普通の男女の正しい距離じゃないですか」
男「なに言ってんだよ!! 前のお前なら、夏のころのお前なら、そんなもんまったく
気にしてなかったじゃねえか!!! それに誰が普通だよおい!!!」
女「……かちん。……何なんですかいきなり!!! 怒鳴らないでくださいよ!!!」
男「おまえも怒鳴ってるじゃねえか!!」
女「揚げ足を取らないでください!! それに、何を誤解しているのか知りませんが
私は一般的な女子ですから!!!」
男「はっ、どこが一般的なんだよ!! 頭はいいしスポーツ万能、
見た目だってかなりいいじゃねえか!!!
そして何より、普通の女子はストーキングしない!!!!」
女「あ、それはそうですね」
男「あっさり受け入れるのかよ!!?」
女「まあ、自分も女。そこまで褒められると照れます」
男「な、い、今のは違う!!! 今のは言葉のあやというか、
とりあえず違うんだよ!!」
女「……」
男「……って女?」
女「……」
男「ど、どうしたんだよ? こっちむけおい」
女「……いや、すごく照れてます」
男「……あ、っそう」はぁ
女「……なんですか、今のため息は? 幸せが逃げますよ」
男「……久しぶりにお前と話して疲れた」
女「そうですか」
男「……ああ」
女「……」
男「……」
女「……女、さん」ぼそっ
男「あ?」
女「あ、あのさ、女、さん」
男「……おいまて」
女「きいちゃ、まずかった?」
男「おいまてええええ!!」
女「あはははは、悪態を全くつかない男さんって凄く新鮮でしたよ」
男「うわ、あ、あ、あ。わ、忘れろこらああああああああああ!!!」
女「いやですよぅ。女、さん。あはははは」
男「ちくしょおおおおおおお!!」
女「実はですね、大切な話があるそうです」
男「おおあおあああああ、って、あ?」
女「用事の話です。何の話かは知りませんが、
まあそういうわけで残ってます」
男「……そうか。ところで、その、お前を呼び出した奴のこと、
お前はどう思ってるんだ?」
女「へ? どうって、よく思ってますよ、普通に」
男「よく? あー。そうじゃなくて、好きなのか?」
女「まあ、好きですよ? 大切です」
男「……そうかぁ」
女「どうしました?」
男「いや、べつになんでもないよ」
女「そうですか?」
男「ああ……(放課後の教室で大切な話、
この馬鹿はなぜか気づいてないが確実に告白じゃないか。)
……ああ、おめでとう」
女「はい?」
男「……じゃあ、そろそろ俺も行くわ」
女「あ、わかりました。気をつけてくださいね?
いざとなったら警察を頼ってくださいよ?」
男「……お前はなに言ってるんだよ?」
女「これからヤンキーに囲まれるんでしょ? 男さん怖いですからね、
うらみつらみもあるでしょう」
男「……ねぇよ」
女「そうですか、まあお気をつけて!」
男「はいはい。じゃあな、女」
女「はい、さようなら男さん。……また明日」
男「……じゃあな」ガラガラ
女「……」
女「……教室が一気に寂しくなりましたが、めげずに待つとしますか」
女「……」五分経過
女「……」十分経過
クラスメイト1「……おまたせ」
女「お、遅かったね」
クラスメイト1「覚悟が、決まらなくて」
女「覚悟?」
クラスメイト1「勢いで、勢いで、勢いで」ぼそぼそ
女「クラス1?」
クラスメイト1「お、お、女ちゃん!!!!」
女「ぅおう……、何かな?」
クラスメイト1「……あの、そのね、……あの」
女「何かな? どうも私は普通じゃないらしいから大抵のことは驚かないよ。
安心して話してくれ」
クラスメイト1「うん、……あのね、私、」
女「うん……」
クラスメイト1「私、女ちゃんのことが――」
幼馴染「好き!!!」
男「……」
幼馴染「ずっと、ずっと好きだった! 私は、あなたが大好きで、それで!!」
男「……うん」
幼馴染「……あなたはずっと私のそばにいてくれた、優しくしてくれた。
私、わがままだから、一時期友達なくしていじめられて、でもあなたはそばにいてくれた。
私を守ってくれた」
幼馴染「私馬鹿だからさ、いままでずっと気づかない振りしてた。
気づいてしまったら、それは痛いだけだってなんとなく分かってた。
気づきたくなかった。だから高校に入ってから徐々に距離置いたりしてさ。
ほんと馬鹿だよね。でも、最近また昔みたいに一緒にいたらね、
なんか安心してる自分がいてさ、わかっちゃったの」
幼馴染「……わかっちゃったよ、おとこ。私は、あなたのことが好きなんだって」
男「……そう、か」
幼馴染「男、私と、」
男氏ね
クラスメイト1「付き合ってください!!」
女「……へ?
(女ちゃんのことが好きでした付き合ってください?)
……え?」
クラスメイト1「……お、女ちゃん?」
女「……あのさ、つかぬ事をお伺いしますが」
クラスメイト1「なにかな、女ちゃん?」
女「クラス1って、女の子、だよね?」
クラスメイト1「そ、そうだけ、ど?」
女「で、ですよねー。それでさ、私も実は、女の子なんだよ」
クラスメイト1「う、うん。し、知ってるよ……?」
女「ですよね……。うん……知ってるよねー」
クラスメイト1「……うん、知ってるよ?」
女「……うん(えー大抵のことには驚かないといった私ですが、
無理です、驚きます、脳内で)」
女「……どうして、自分なんかに告白を……?」
クラスメイト1「好きだから、に決まってるよ女ちゃん」
女「自分で言うのもあれですが、私ほら、よくきもいって言われるし、
好かれる要素が皆無なんじゃないかな、と思ってるんだけど」
クラスメイト1「そんなことないよ、女ちゃん。
女ちゃんはとっても素敵な女の子だよ?」
男氏ね
女「……ど、ども」
クラスメイト1「女ちゃん……私と付き合ってもらえませんか?」
女「……あの、……ごめんなさい」
クラスメイト1「……うん、その、理由を聞いてもいい、かな?」
女「その、自分は、好きな人がいるんです。
ほんと、ありがち過ぎてすいません、申し訳ないです。
でも、その人のことが好きなんです。それに自分は、ほんとに気持ち悪いですよ?
ストーカーですし」
クラスメイト1「……えっと?」
女「もうずっとその人付回してますし、その人の家の鍵はコピー済みですし、
メールを一日に百件以上送ってますし」
クラスメイト1「それは、えっと、きもちわるいんだよこのやろー、
とか言えばいいのかな……?」
女「……はい?」
クラスメイト1「……嘘だよね、今の話」
女「なっ、何ですいきなり?」
クラスメイト1「うーん、おおかた私に幻滅させようとしてたでしょ、
女ちゃん?」
女「ど、どうして……?」
クラスメイト1「分かるよ、好きな人のことだもん。あのね女ちゃん、私はね、
本当に付き合ってもらえるなんて思ってなかったよ?」
女「……へ?」
クラスメイト1「だから今日は、私はこんな子ですって伝えて、
それでも友達でいてくれますか? って聞いて、
もしよかったら友達のままでいてくれたらなあ。って思ってたの」
女「……そう、でしたか」
クラスメイト1「うん。だからもし本当に私があなたのことを嫌いになっちゃったら
、もう友達も続けられないよ? そんなの私は嫌だよ。
だから、そういうのは二度としないで」
女「……あの、ごめんなさい、完全に自分が悪いみたいです」
クラスメイト1「……女ちゃん、敬語」
女「へ?」
クラスメイト1「敬語に戻ってる」
女「……故意です」
クラスメイト1「ど、どうして?」
女「や、自分みたいな陰険な人間、見限られたかなぁ、と思いまして」
クラスメイト1「そんなことあるわけないよ!」
女「お、おおう」
クラスメイト1「私は、もうあなたには敬語を使わないよ」
女「……はい」
クラスメイト1「だから、あなたも、私に敬語を使わないで?」
女「……それは。そんな言い方、自分、勝手に言いように解釈しても、
いいのかな?」
クラスメイト1「うん、私たちはずっと友達だよ。
……いつか、関係が変わる、そのときまで」
女「……な、なんか性格変わってない?」
クラスメイト1「そうかな~」
女「そ、そうだよ」
クラスメイト1「何か吹っ切れたのかもしれないよ?」
女「……そ、そっか」
クラスメイト1「……さて、ごめんなさい」
女「はい?」
クラスメイト1「呼び出したの、私だけど、先に帰ってほしいの」
女「……あ、うん、わかった」
クラスメイト1「ありがとう、女ちゃん」
女「……じゃあ、その、また明日」がらがら
クラスメイト1「また明日……」
クラスメイト1「……ぐすっ、っぅう」
女「……あれ? 男さん?」
男「おう、一人かよ?」
女「そうですよ?」
男「そうか、まあよかったな」
女「何がですかってそういえば男さん、不良グループはやっつけたんですか?」
男「……いや戦ってないから」
女「残念です」
男「……残念なのかおい」
女「そちらの用事はもう終わったんですか?」
男「終わったよ」
女「そうですか、じゃあ、帰りますか?」
男「一人で帰れ」
女「えー、じゃあ男さんの背後からストーキングします」
男「やめろこら」
女「すいません、冗談です」
男「……いや、やっぱりついてきてくれ」
女「……ほよ?」
男「俺がそういったら付いてきてくれるって話、まだ有効か?」
女「……もちろんですよ!」
男「……」
女「……男さん?」
男氏ね
幼馴染「付き合って、ください……ッ」
男「……ごめん」
幼馴染「……あ、え?」
男「ごめん、付き合うことは出来ないんだ」
幼馴染「そ、んな、ど、どうして?」
男「……俺さ、好きな人がいたんだよ」
幼馴染「……そんな、うそだぁ」じわ
男「嘘じゃない。俺も気づかなかったんだけど、ちょっといろいろあってね、
俺こいつのこと好きなんだなあって思ってしまったんだよ」
男「……でも、安心して、幼馴染。
失恋の悲しみを味わうのはお前一人じゃないから」
幼馴染「な、なに言ってるの?」
男「俺も失恋しちゃってさ、今日、今さっき」
幼馴染「……」
男「いやーつらいね、マジ死にたい。胸が引き裂かれるって
こういうことなんだろうなって、身をもって味わってるよ。
こんなの、……お前もつらいよな」
幼馴染「男、大丈夫……?」
男「お前、本当に優しいね。自分もつらいのに、他人を気にするなんてなあ」
幼馴染「男が苦しんでるのは、私が苦しんでるより嫌だよ」
男「ありがとうな。俺なんかを好きになってくれて」
男氏ね
幼馴染「……ねえ男、本当に付き合えないの? 私じゃ駄目なの?
その子の……、代わりになれないの?」
男「……ごめん」
幼馴染「どうして! ……どうして駄目なの? 傷の舐めあいが嫌だから!?」
男「違う、そうじゃない。ただ、振り向いてもらえなくても、見ていたいんだ。
そいつのことを」
幼馴染「……男」
男「ごめんな、俺、お前に凄くひどいこと言ってるよな。
最低だよな……本当に」
幼馴染「どうしても、私を見てくれないの?」
男「……実はさ、俺猫かぶってたんだ。いままで、ずっとな」
幼馴染「なに? 突然?」
男「本当の俺は人の悪口とか凄く言うし、悪態つくし口は悪い。
残念ながら優しい俺なんていなかったんだよ」
幼馴染「……嘘だよ」
男「嘘じゃないさ。人にはすぐ喧嘩売るしムカついたら殴る。
昔よく俺怪我してただろ? あれ喧嘩して出来た傷なんだよ」
幼馴染「……嘘だよ、男はいつだって優しくて、みんな男のことが好きで。……嘘だって、言ってよ!」
男「悪かったな、いままで騙してて。でもこういう時じゃないと言えないからさ。あとあの時お前とずっと一緒にいた理由はな――」
幼馴染「しゃべらないで!!! もう聞きたくない!!!!!」
男「……許してもらおうなんて甘いこと考えていない。なあ、お前が俺を許せないなら――」
幼馴染「うるさい!!!! 男なんか嫌いだ!!!!! 消えてよ! 今すぐ!! もう帰ってよ!!!!!!」
男「……ッ、分かった。悪かったな、今まで騙してて。それじゃ……」
幼馴染「……ッはぁ、男は本当にうそつきなんだから」
幼馴染「猫かぶってたなんていったって、たまに私の前でも堂々と悪口言ってたじゃん。
気づいてないのかな? それに喧嘩の話だって私をかばって、
男もいじめられてたの、知ってるんだから。でもそんなことに気づいてても、
私じゃ駄目なんだよね。だから男の嘘を、今だけ本当にしてあげる。
ほんとうに、……嘘つきで仕方ないんだから……男は……。……グスッ、じゃあ、また明日……」
あああああああおとこしね
女「男さん?」
男「ああ、なに?」
女「いえ、ボーっとしてたのでどうしたのかな、と思いまして」
男「なんでもないよ、気にするな」
女「そうです、か、……って、男さん男さん!! 雪ですよ!! 初雪です!!
うわもう冬ですね。あ、そういえば男さん。知ってます?
私冬に愛されてるんですよ!」
男「ふーん。だいじにしてもらってるか?」
女「もう寒いくらいに!」
男「寒くていいのかお前の愛は、……というか、
お前雪くらいで騒ぐなよ、気持ち悪い」
女「わ!!!」
男「あ? どうした?」
女「うわー、久しぶりに聞けました、男さんの気持ち悪い、やったー」
男「なに喜んでるんだよきもい」
女「ですねー」えへへ
男「テンション高いな」
女「そうですかね? そうですよね!!」
男「……何でこんなの好きになったんだろうね、俺は?」
女「何か言いました?」
男「べつにー」
女「でもこれで、夏の前に戻っちゃいましたね」
男「ああ、そうだ、なんで正しい距離を図ろうとしたんだよお前?」
女「……それは秘密ですよ」
男「なんだそりゃ」
女「乙女にはいろいろあるのです」
男「誰が乙女だよ誰が」
女「え? 私ですけど」
男「うわコイツしれっと言いやがった」
女「すいません気持ち悪くて」
男「……可愛くもあるんだけどな」
女「何か言いました?」
男「寒いなー」
女「寒いですねー、って、あ、もう男さんの家ですね」
男「そうだな」
女「……少し残念ですが、男さん、その、」
男「じゃあな……また明日」
女「ぁ……はいっ!! また明日!!!」
女「そして次の日、嬉々として学校に向かった私ですが、
男さんに会えることは出来ませんでした」
女「翌日も、その翌日も翌日も、男さんは登校してこないのです」
女「おかしいな、なんでかな? と思った私ですが、
流石に家に行く勇気はまだありませんでした」
女「そして三日たったある日、私は決心して男さんの家に行きました」
女「お見舞いという名目でしたが、実のところ、私は男さんに会いたくなって、
その気持ちが限界にまで達したからです]
女「しかし、私は結局男さんには会えませんでした」
女「男さんはあの日から失踪していたそうなのです」
女「そして、結局男さんが帰ってくることはありませんでした」
女「気をつけてください、男さんは今、あなたの後ろにいますよ
終、し、ま、い」
娘「やーこわいのー!!」
息子「うわーん!!」
女「あはは、怖いですね。悪いことすると男さんが襲ってきますからいい子にしないと駄目ですよ?」
娘「うんいい子にするよ」
息子「わーん」
「っておい、なんで死んだ、みたいな話になってるんだよ!!」
女「おや、パパさんは不服ですか」
「昔話をするって言ったからまじめに聞いてやったんだぞ」
女「だから昔の話をしたんですよ?」
「なら最後のはなんだよ!?」
女「やー、まじめに話しすぎてちょっと恥ずかしくなりまして」あはは
娘「おとさーん、怖いー」
息子「きゃー」
「まったく、お前は本当にどうしようもないな。よしよし」
女「さあ、そろそろ寝ましょう」
「いい子にしてないと……」
娘「寝る、寝るー!」
息子「お休みなさあい!!」
女「あはは」
「……まったく」
女「……いやー、懐かしいですね」
「そうだな、でもあの最後はないだろ」
女「えー、でも実際「また明日」って言ったくせに数日引きこもったのは
誰でしたっけ?」
「……いやーしかし、あの後もいろいろあったよなあ!」
女「そうですね、男さんが変な勘違いをして自分が誰かと付き合ってる、
なんてうわさが流れたりしましたね」
「……あれは忘れてくれと言ったじゃないかおい!!」
女「幼馴染さんにぶたれたり、喧嘩もいっぱいしましたし……」
「……それは、その、悪かったよ」
女「いい思い出ですよ。あ、明日幼馴染さんとクラス1が遊びに来るんですが、
パパさんもご一緒にどうですか?」
「仕事だ馬鹿たれ」
女「でしたか」
「でしたよ、まったく」
女「さて、そろそろ私たちもベットインしますか。
暑い夜をともにすごしましょう!!」
「へんな言い方するなよ気持ち悪い!!」
女「ぱぱさんが気持ち悪いって言うのは、
愛情表現だってもう分かってますよ?」えへへ
「なに嬉しそうにしてるんだよ、きもいな」
女「ですね」えへへ
「ふう、まったくお前は可愛いな」
女「……ふぇ?」
女「な、な、ななな」
「七菜?」
女「なに言ってるんですかもうっ! 信じられません!!!」
「……えー、そういう反応?」
女「……っもう、今日は寝られるとは思わないでくださいよ?」
「ああ、元から寝る気なんざ無かったからな」
女「――っ」
「じゃあ、ベッド、いこうか」
女「……は、はい」
女「――ということがありまして、ですね」
幼馴染「なにそれ、喧嘩売ってんのか、おい」
女「や、違いますって。で、今日は寝坊をして大変だったというお話です」
クラスメイト1「ほんとうに毎日が楽しそうだよ?」
幼馴染「そうだねー幸せそうだねー」
女「そう、ですね。はい、私、幸せですよっ」
END
はい、このssはここまでとなります。
正直こんなに長くなるとは思ってませんでした。
すいません、それとお付き合いいただき感謝しますお
あと最後に男は女以外には凄く優しくて優等生という設定でした。
臭くなる前に去ります。
ありがとうございました!
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