魔王「お前は今日から側近兼性奴隷だ。いいな」娘「はい」 (141)

・エロ注意

・台本形式

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魔王「お前がサキュバスの中で一番優秀な者か」

娘「はい」

魔王「よし。今日からお前は私の側近兼メイド兼性奴隷だ。いいな」

娘「はい」

魔王「名前は……面倒だ、『側近』で十分だろう」

側近「はい」

魔王「……。とりあえず用意した服に着がえて来い」

側近「かしこまりました」

ガチャッ バタン


魔王「……何か期待していたのと違うが、まあいいだろう。使えれば問題ない」

ガチャ

側近「これでよろしいのでしょうか」

魔王「ああ。どうだ、着心地は。特別に作らせたメイド服だ」

側近「布地が少なくて寒いです。あまり実用的でないかと」

魔王「それはそれで正しいんだ。多少の露出で仕事の効率が下がるような奴は要らない」

側近「あと胸の部分がかなりぶかぶかです」

魔王「それはお前の肉体が想定外の貧しさだったからだな。……あとで調節させよう」

側近「ありがとうございます。他は問題ないです」

魔王「そうか。ならとっとと働いてもらおう」


側近「……」テキパキ

魔王「……」

側近「……」テキパキ

魔王(よく働くな。正直こちらにはあまり期待していなかったんだが)

魔王「茶が飲みたい。早く用意しろ」

側近「はい、ただいま」


***


コンコンコン

側近「食事をお持ちしました」

魔王「ああ」

側近「失礼します」ガチャッ


魔王「……、待て。何だそれは」

側近「はあ、これはかぼちゃの煮付けですが」

魔王「……肉はどうした」

側近「こちらに肉じゃががございます」

魔王「そういう問題じゃない。なんだこの料理は」

側近「お夕食でございますが」

魔王「……料理長はどうした。私の食事を任せてあるはずなんだが」

側近「私が魔王様直属のメイドということで、遠慮して引いてました」

魔王「お前が遠慮しろ! こんなもの、私が喰うと思うのか!? ふざけるな!」ガッ

グチャアッ ボトボトッ


側近「……」

魔王「すぐに作り直させろ。料理長にだ。お前は一切関わるな」

側近「かしこまりました」


***

厨房

側近「料理長殿」

料理長「はい、ってうわ!? どうしたんですかそのお皿と料理……どこかで落としてしまったんですか? 服も汚れて……」

側近「食器は洗って戻します、申し訳ありません」

料理長「い、いえ、そんな……。……残念です、側近様があんなに一生懸命作っていらしたのに……」

側近「仕方ありません。それより、代わりの食事の用意をお願いします」

料理長「わ、分かりました」


***

コンコンコン

側近「お食事をお持ちしました」

魔王「さっさと入れ。私は腹が減っているんだ」

側近「はい」




魔王「そういえばお前の食事を考えていなかったな。何か食べたか」

側近「いえ」

魔王「ふん、ならさっきの貧乏臭い料理でも食っていればいい」

側近「処分してしまいました。床に落ちたのでもう食べられないと判断しまして」

魔王「馬鹿かお前は。食い物を無駄にするな。もういい、水でもすすってろ」

側近「わかりました」


***

厨房

側近「……」ゴクゴク ゴクゴク

料理長「どうしたんですか今度は……。そんなにガブガブ飲むとおなかを壊しますよ」

側近「お気遣い感謝します」ゴクゴクゴクゴク

料理長「いやでも聞いてませんよね」

側近「……」ゴクゴク ゴクゴク

***

夜 魔王の寝室

魔王「側近」

側近「はい」

魔王「お前はなぜ色気もクソもない寝巻きに着がえたんだ……」

側近「夜なので」


魔王「メイド服のままでなければ意味がないだろう。お前は何も分かっていないな」

側近「申し訳ありません」

魔王「……まぁ、今日のところはそれで許してやる。だがせめてシャツインはやめろ」

側近「分かりました」ファサッ

魔王「……ほら、早く始めろ」

側近「恐れ入りますが、何を始めればいいのでしょうか」

魔王「主への奉仕だ」

側近「奉仕とは、また抽象的なお答えですね」

魔王「そうじゃない、夜の奉仕だ」

側近「時間帯以外何が変わったのか分かりかねます。お茶をご用意しましょうか」

魔王「違う! 奉仕だ! 夜伽! 同衾! 性行為のことだ!」

側近「はぁ。なるほどセックスですか」


魔王「そうだ」

側近「何故それを大声でお叫びになったんですか」

魔王「お前が婉曲した表現を全然理解しないからだ」

側近「そうでしたか。失礼しました」

魔王「はぁ……もう、いいから早くしろ」

側近「そうおっしゃられましても、今現在魔王様の陰茎が挿入可能な硬さになっているとはとても言えません」

魔王「なら勃てるところから始めろ」

側近「具体的な指示をお願いします」

魔王「そうだな、舐めろ」

側近「わかりました。失礼します」ズルッ ペロペロ



魔王「……」

側近「……」ペロペロ

魔王「……、……お前本当に優秀なサキュバスなんだよな?」

側近「はい、一応は」

魔王「何故そんなに下手なんだ?」

側近「申し訳ありません。こういったことは経験がないので」

魔王「……は? サキュバスなのに、か?」

側近「はい。何が楽しくてこんな汚い棒をしゃぶるのか理解に苦しみます」

魔王「……だからそんなに発育が悪いのか。くそ、とんだ欠陥品を掴まされたものだ」

側近「すみません」

魔王「もういい。口を開けろ」

側近「ふぁい」

魔王「歯を立てるなよ」ガッ  ズブッ

側近「っ……、……」ング ングッ


魔王「はぁ、……悪くない眺めだ」グッ グッ

側近「んく、……む……」

魔王「……こんなもんだろ」ズルッ

側近「こほっ……」

魔王「ほら、勃ったぞ」

側近「そのようですね」

魔王「服を脱げ」

側近「かしこまりました」

魔王「……いや、やっぱり私が脱がす」

側近「ご自由にどうぞ」

魔王「……ボタンかと思ったら、これは飾りか」

側近「はい。かぶるタイプです」


魔王「手、上げろ」

側近「はい」サッ

魔王「……」ズルッ

側近「寒いです」

魔王「毛布にでもくるまっとけ。……それにしても、本当に貧しい身体だな」ギシッ

側近「はい」

魔王「惨めだ」

側近「そうですか。ところで何故私に覆い被さっているのですか」

魔王「これから挿れるからだ」

側近「そうですか」



魔王「……、キツいな……なかなか入らない」

側近「……」

魔王「お前、処女か」

側近「はい」

魔王「自慰をしたことは」

側近「ありません」

魔王「慣らしていないし……かなり厳しいかもな」

側近「……」

魔王「まぁ、それでも挿れるしかない。行くぞ」ググッ ズブッ

ブチッ、ブチ

側近「……」

魔王「出血しているが。大丈夫か」

側近「痛くはあります」

魔王「奥までいれる」グッ ズブブッ

ギチッ ブチンッ


魔王「……血だらけだな。シーツが汚れるのは不快だ」

側近「……すみません」

魔王「純潔を主に捧げるというその従順さに免じて今日は許す」

側近「ありがとうございます」

魔王「それにしてもお前の顔は眉一つ動かないな」

側近「そうですね」

魔王「痛いんじゃないのか?」

側近「痛いですけど、まぁ……」

魔王「そうか、なら動いても平気だな」グッ グチュッ

側近「っ……」




魔王「……、中に出すぞ」

側近「はい」

魔王「――っ、」ドクドクッ


側近「……終わりですか」

魔王「そうだ。こんなに盛り上がらない情事も久々だ……」

側近「そうですか」

魔王「まったく、お前のせいで血だらけだ。舐めて掃除しろ」

側近「はい」ペロペロ

魔王「……。どうだった、好きでもない男に処女を奪われるのは」

側近「股が裂けるかと思いました」ペロペロ ジュルッ

魔王「まあ少し裂けたから出血してるんだしな。それよりもっと精神的な面での感想はないのか」

側近「特には」ペロペロ

魔王「はぁ、……全く、お前はつまらないな。これなら前の物の方がずっと良かったが、もう処分してしまったしな……」

側近「……」ペロペロ

魔王「しばらくはお前で我慢しよう。人形相手だと思えば違和感もすぐ消えるだろ……」

側近「……」ペロペロ

魔王「もういい。どうだった」

側近「血と精液で生臭かったです」



***

次の夜 寝室

魔王「側近……」

側近「なんでしょう」

魔王「なぜまた寝巻きなんだ……しかもベージュの腹巻きまでしやがって……馬鹿にしてんのか」

側近「何か問題がありましたでしょうか」

魔王「メイド服で来いと言っただろう」

側近「ああ。すみません、忘れていました」

魔王「もういい。脱がすぞ」

側近「はい」バンザーイ

魔王「この構造も何とかならんのか……子供の着替えみたいで滑稽だ」

側近「楽なので気に入っています」



魔王「挿れるぞ。四つん這いになれ」

側近「? はい」ペタッ

魔王「こっち向きに四つん這いになってどうする。顔は向こうで、尻をこちらに向けろ。肘は曲げて、こちらに尻をつき出す形だ」

側近「わかりました」クルッ

魔王「まったく……処女とはここまで面倒くさいものか」ズブッ

側近「……」

魔王「っ、だがまあ、確かに膣圧は上等だ」ズチュッ グチュッ

側近「……」パンッ パチッ(手をうってる)

魔王「……っはぁ、」ヌチュッ クチュッ

側近「……」パチンッ ペチッ パチン

魔王「……。何故ピストン運動に合わせて手拍子をうっている」

側近「魔王様が昨日盛り上がらないとおっしゃったので。盛り上げようと思いまして」

魔王「かえって虚しいわ!」グチュッ ズブッ

側近「そうですか。すみません」 ッパチン ッペチン

魔王「裏打ちもやめろ! 喘げないならせめて大人しくしていてくれ」グチュッ グチュッ


側近「はい。……喘ぐとは何ですか」

魔王「この場合は、快楽によって声を、あげるということだ」ズブッ グチュッ

側近「声、ですか……う、う~ん……」

魔王「そういう苦悶の声ではない! 、はぁっ、向きを変えるぞ」クルッ (正常位)

側近「はい」

魔王「……」グブッ ヌチュッ

側近「……」

魔王「……ちょっと私の名前を読んでみろ」グチュッ グチュッ

側近「魔王」

魔王「呼び捨てにするな!」グチュッ ズチュッ

側近「申し訳ありません。魔王様」

魔王「繰り返せ、っ」グチュッ ヌチュッ

側近「魔王様。魔王様。魔王様。魔王様」

魔王「くっそ……なんて機械的なんだ。ループ再生か……。もういい」グチュッ ヌチュ

側近「はい」


魔王「っく、もう出そうだ。中でいいな」グチュッ ヌチュッ

側近「ご自由にどうぞ」

魔王「っ――」ドクッ ドクドク


魔王「ふぅ……。ほら、掃除だ」ズルッ

側近「はい」ペロペロ

魔王「今回も出血がだいぶあったな。昨日の傷が開いたか」

側近「……」ペロペロ グプッ

魔王「おお、自分から咥えるとは学んだじゃないか」

側近「……」グチュッ

魔王「相変わらず下手だがな……」


***

翌日 台所

側近「料理長殿」バシャバシャ ←皿洗い手伝い

料理長「はい」

側近「フェラチオはどうやったら上手くできるんでしょうか」

料理長「っ!? な、どどどどうしたんですが突然!?? 遠い目をして何を言い出すんですか!?」

側近「上手くできていないらしいです」

料理長「いや、そ、そんなこと僕に聞かれましても……分からないです」

側近「そうですか」

料理長「すみません……お役にたてなくて」

側近「いえ」


***

魔王「はぁ、これで今日の仕事は終わりか」

側近「はい」

魔王「思ったより早く終わったな……暇だ」

側近「そうですか」

魔王「……。側近、こちらへ来い」

側近「なんでしょう」スッ

グッ ガッ (←机の上に押し倒した)

魔王「……やはりこの服は秀逸だな。こうして眺めればお前も人並みに見える」

側近「そうですか。ありがとうございます」

魔王「夜まで待つのが面倒だ。ここでするぞ」カチャッ ←ベルト外す

側近「わかりました」

魔王「少しは嫌がれ……」

側近「はい。嫌です」


魔王「……。下、脱がすぞ」

側近「はい。上はよろしいのですか」

魔王「上は着たままの方がいい」



魔王「そういえば明るいところでお前の肌を見るのは初めてか。肌といっても下半身と胸だけだが」

側近「そうですね」

魔王「白くて綺麗だ」

側近「有難うございます」

魔王「胸はほとんど平らだがな」

側近「魔王様も平らですよ」

魔王「男と比べるな。私に胸などあっても困る」

側近「そうですか」

魔王「挿れるぞ」

側近「どうぞ。今回は早いですね」

魔王「服が服だからな」ズブッ

側近「服ですか」


魔王「ん、お前も日ごろより濡れているんじゃないか?」

側近「そうですかね」

魔王「ああ。いい具合だ」

側近「それはなによりです」




グチュッ ズブッ

コンコンコン

魔王の部下『魔王様、報告書が書きあがりました。遅れてしまって申し訳ありません』


魔王「どうする、側近。入れるか?」

側近「もう入っているのでは?」

魔王「一物の話ではない。あの部下をこの部屋に入れるかどうかということだ」

側近「魔王様の判断にお任せします」

魔王「……やはりお前は動揺しないか。おい部下、悪いが今は取り込み中だ。また後で来い」

部下『かしこまりました』


側近「入れないんですね」

魔王「基本人に見せる趣味は無いからな。女が嫌がれば話は別なんだが」

側近「そうですか」

魔王「っ、そろそろ出そうだ。中でいいな」

側近「はい」

魔王「行くぞ、――っ」ビュルッ ドクドク


側近「魔王様中以外に出した試しないですね」

魔王「魔法で避妊はしているが、中のほうが種付けをしている感じがするからな」

側近「そうですか」

魔王「ああ。魔王の精液などそう味わえるものではない。あり難く思え」

側近「はい。ありがとうございます」


魔王「……。今回は出血しなかったな。お前が濡れていたからか」

側近「そうですかね」

魔王「しかし何故濡れたのかわからない。服か、それとも状況か。あるいは慣れか」

側近「どうなんでしょうね」

魔王「まあいい。お前が濡れようが濡れまいが、行為ができればそれでいい」

側近「そうですか」

魔王「運動したらのどが渇いた。茶を出せ」

側近「かしこまりました」



コポポポポポ

魔王「お前は奇妙な奴だな」

側近「そうですか」

魔王「今まで色々な所から色々な女を引っ張ってきたが、お前のようなのはいなかった」

側近「そうですか。お茶です」

魔王「ああ。……ぬるい。下手糞。淹れなおせ」バシャッ

側近「はい。すみません」

魔王「机も拭けよ」

側近「わかりました」


魔王「まったく……本当に人形のようだ」

側近「……」コポポポポ

魔王「お前、ここに来る前はどのように暮らしていた」

側近「覚えておりません」

魔王「……」


***

その夜 寝室

魔王「今日はちゃんと着てきたな」

側近「はい」

魔王「よく似合っている」

側近「ありがとうございます」

魔王「今日は私の上に乗ってもらおう。とはいっても準備からだ」

側近「はい」スッ チュッ ペロペロ(フェラ)

魔王「お前の拙いフェラチオにも慣れてきたな……」

側近「そうですか」ズリュッ グチュッ

魔王「ほら、顔をよく見せろ」グッ

側近「……」ズリュッ グプッ

魔王「……今までの女からすればお前は格段に質が悪い」

側近「そうですか」グチュッ

魔王「ああ。こんな糞マグロは初めてだ」

側近「申し訳ありません」


魔王「だからお前は人一倍奉仕に励め。捨てられたくなかったらな」

側近「はい。頑張ります」

魔王「ん、もういい。挿れろ」

側近「どうやって挿れるのでしょうか」

魔王「私の上に乗ればいいだろう。騎乗位だ」

側近「騎乗位と言うのに向かい合わせなんですね」

魔王「それはまあ、馬乗りだと背中に生えてない限り性交できないからな……」

側近「そうですね。失礼します」

魔王「……」

側近「……」ヌルッ

魔王「どうした。早くしろ」

側近「穴ってどこにあるんですか」

魔王「知らないのか?」


側近「はい。股にあるのは分かってますが」

魔王「ここまできてそれも分からなかったら相当な馬鹿だろ……。脚を開け」

側近「はい」スッ

魔王「ほら、ここだ」ズプッ

側近「……。わかりました。では失礼します」ズブッ

魔王「……」

側近「……」

魔王「動けよ……」

側近「上下運動でよろしいですか」

魔王「まあ、基本はそうだが。お前が気持ちいいようにしていい」

側近「わかりました」ズルッ

魔王「だからって抜くな。お前の気持ちは分かったが」

側近「わかりました。では再び失礼します」グチュッ


魔王(段取りの悪さがすさまじい)

側近「……」グチュ ヌチュ

魔王「そうだ、それでいい」

側近「これで気持ちいいのですか」ズブ グチュ

魔王「……。まあ、そうだな」

側近「そうですか。……」

魔王「……できればもう少し激しく」

側近「わかりました」グチュッ ズチュッ

魔王「っ……、悪くない」

側近「それは何よりです」ズブッ

魔王「……お前はそれで気持ちいいのか?」

側近「はい?」

魔王「いや、何でもない」

側近「何か眠くなってきました」ズプッ グチュッ

魔王「……」


魔王「っ、体位を変える」

側近「はい」ズルッ

魔王「昨日のように四つん這いになれ」

側近「はい」ペタン

魔王「挿れるぞ」ズププッ

側近「……」


魔王「……、はぁっ……」ズブッ ズブッ グチュッ

側近「……」

魔王「だ、出すっ。~~っ」ドクッ ビュルル

側近「……」

魔王「っはあ……。掃除はどうする。今日はどちらでもいいぞ」

側近「……」

魔王「……。側近? おい」ユサユサ

側近「……んぅ……」zzz

魔王「! こいっつ……寝てやがる……!」

側近「……」zzz

魔王「こんな屈辱は初めてだ……! くっそ……!」


***


魔王「側近! なんだこの書類は、遅い上に誤字脱字が多すぎる!」

側近「すみません」

魔王「それから茶も渋い!」

側近「淹れなおします」

魔王「ったく……」

側近「……魔王様」

魔王「何だ」

側近「いえ、なんでもありません」

魔王「何だ。言え」

側近「夜お話します」


***



魔王「これを飲め」スッ

側近「分かりました」ゴクゴクッ

魔王「何かも聞かずに飲むのか。危ないから私以外にはそういう事はやめろ」

側近「分かりました。そして先ほどの液体は何ですか」

魔王「媚薬だ。お前があまりにも粗末な反応しかしないから用意させてもらった」

側近「そうですか」

魔王「効きだすまで少し時間がかかるが、効果は強い」

側近「わかりました」



魔王「そういえばお前が昼間言いかけていたのは何だったんだ」

側近「……、っ……」

魔王「聞くのが少し遅かったか。もう大分効いているようだしな。無表情はあまり変わらないが……」

側近「まおう、さま、……に、これを……」ハァ ハァ スッ

魔王「何だこれは。……腹巻き?」


側近「かってに、よういさせて……いただき、まし……。まお、さまは……よく、はだかのまま、ねてしま……う、ぅ」ハァ ハァ

魔王「そうか……。しかし別にいらないな。気持ちだけは貰っておくが」

側近「……、……」ハァ ハァ

魔王「それより、さっさと始めるぞ。そんな状態ではお前も辛いだろう」カチャカチャッ ズブッ

側近「っ……」

魔王「っはぁ、やはりすごいな……」ズプッ グチュッ

側近「っ……、ぅ……」

魔王「……声を我慢しているのかどうかよく分からないが、とりあえず我慢する必要はないぞ」ズチュッ グチュッ

側近「……」

魔王「気持ちいいか?」

側近「ん……」


魔王「う、くっ……。たまには外に出すか。っ」ズルッ ビュクッ ビュルビュル

側近「ん、く……」

魔王「何だ、足りないか?」

側近「たりてます……」


魔王「……そうか……。どうだった、薬は」

側近「かもなくふかもなく、といったかんじです……」

魔王「そうか……なかなか冷静な感想だな。かなり良さそうに見えたが」

側近「いしきが、とおくなるので……。わたしは ないほうがいいです」

魔王「そうか。それならまぁ、これからはあまり使わない方向で行くか。反応自体は大して変わらなかったしな……」

側近「ありがとうございます」

魔王「それでも私が使いたくなったら使うが」

側近「……」


***

翌日 朝

側近「魔王様」

魔王「何だ」

側近「身体が熱くて吐き気と眩暈がするので少しお休みを頂きたいのですが」

魔王「普段どおりで全然そうは見えないが……。そういうことならば、休んでいい」

側近「有難うございます」



側近の部屋

側近「はあ」ボフッ ←ベッドに突っ伏

側近「……」zzz





側近「……」zzz

コンコンコン

側近「……、はい」パチッ

料理長『僕です。魔王様に命じられて食事を持ってきました』

側近「どうぞお入りください」

料理長「失礼します」ガチャッ バタン



料理長「体調はいかがですか」

側近「まずまずです。明日には全快するかと」

料理長「そうですか……よかったです。あ、これ、夕食です」

側近「有難うございます」モグモグ

料理長「……側近様は不思議な方ですね」

側近「魔王様にも似たようなことを言われました。そうでしょうか」

料理長「はい。僕は魔王様に長い間お仕えしているので魔王様が傍に置いた女性は色々見てきたのですが、
    貴女のような『側近』は初めてです」

側近「そうですか」

料理長「あまり大きな声では言えませんが……貴女がご存知の通り、
    『側近』というのはほとんど魔王様の性処理のために居るようなものですから」

側近「そうですね」

料理長「だから、貴女のように、魔王様に対して色々な方面に気を利かせる人は今まで居なかったんです」

料理長「第一、好きであんな仕事につく人滅多にいませんし。使い捨てられると分かっ――」ハッ

側近「……」


料理長「す、すみません……。貴女にお話するようなことではありませんでした……」

側近「構いませんが、一つ教えて欲しい事があります」

料理長「……何でしょう」

側近「私の前の『側近』はどうなったんですか」

料理長「っ……、……殺されました」

側近「何故ですか」

料理長「……正確には分かりませんが、魔王様が飽きたからだと思われます。魔王様は頻繁に傍に置く女性を変えるのですが、
    そのとき、今まで傍においていた者を最後に孕ませ、そして殺します。貴女の前の女性も、例外ではありませんでした」

側近「なぜ殺すのでしょうか」

料理長「おそらくは、孕ませる方が重点を置かれています。それまで魔法で避妊してきたので、最後にその枷を外して楽しむのでしょう。
    でも、子供は自分の立場を脅かすから要らない。その結果、殺すというところに至るのではないでしょうか」

側近「なるほど、そうですか。有難うございます」

料理長「すみません……」

側近「構いませんよ。ご飯おいしいです」モグモグ

料理長「有難うございます。失礼します」

ガチャッ バタン



側近「……」モグモグ

ガチャッ!

料理長「あ、あの!」

側近「どうしました」

料理長「こ、こんなことを言って、下手に希望を持たせるのはかえって残酷な事なのかもしれませんが、
    ……貴女には諦めないでほしいので、と、いうか、その……何言ってるのか自分でも分かりませんが」

側近「……」モグモグ

料理長「人間が、……魔王様の討伐を企てているようです。その動き自体はかなり昔からあったのですが……
    近々、ついにそれが実行に移されるらしいです」

側近「……」モグモグ

料理長「魔王様にお仕えする身でこんなことを言うのは大問題なんですが……魔王様が倒されれば、いや倒されなくてもその混乱に乗じて、
    貴女は逃げる事が出来るかもしれません。だから、どうか……希望を捨てないで下さい」


側近「魔王様を討伐……ですか。上手くいきますかね」

料理長「分かりませんが……かなり綿密に策を練っているはずですし、魔王様は自信過剰なところがあるので隙は多いはずです。
    成功はせずとも、混乱は免れないでしょう。どうか、希望を捨てないで下さい」

側近「そうですか。有難うございます」

料理長「いえ……では、失礼します」

ガチャッ バタン


側近「……」モグモグ

側近「希望、か」ゴクン


***

コンコンコン

魔王『私だ。入るぞ』ガチャッ

側近「どうしましたか」

魔王「体調はどうだ」

側近「明日には回復すると思いますが、今はだるいです」

魔王「そうか。まあだるいぐらいなら支障は無いだろう。服を脱げ」

側近「体洗ってないです」

魔王「……かまわない」

側近「わかりました」スルスル ←脱衣

魔王「……」ギシッ





魔王「はぁ……」ズルッ

側近「……」

魔王「今日はいつもに増して大人しかったな……。何かあったのか?」

側近「特に何もありません」

魔王「そうか」

側近「魔王様は嫌われ者ですか?」

魔王「何だその質問は……。まあ、他人に好かれる努力はしていないな。周りの奴らは使うだけのものだ」

側近「私もですか」

魔王「当たり前だろう」

側近「……」

魔王「それが嫌ならそれだけの価値を示せ」

側近「いえ、特に嫌とも思わないのでいいです」

魔王「そうか……」

側近「魔王様は嫌われ者ですね」

魔王「そうだろうな」


***


人間の王国

大臣「国王様。勇者達の準備が整いました」

国王「よし。ここへ招け」


勇者「お初にお目にかかります、国王様」

国王「お前が勇者か。ふむ、なかなか屈強で信頼できそうだ」

勇者「有難うございます。魔王討伐は、この私めが、必ずや達成して見せます」

国王「期待しておる。この国の永久の平和と繁栄のために、あの邪悪なる怪物を倒してきてくれ」

勇者「はい。この命に懸けて」

国王「では、行くがいい」

勇者「はい。行ってまいります」



国王「……先駆部隊はどのようだ」

大臣「はい。まだあまり情報が入ってきていませんが、計画通りに進んでいるかと思います」

国王「そうか。……楽しみだ」


***



魔王「……、ん」パチ

魔王(ここは……側近の部屋か。昨日あのまま寝てしまったんだったな)

側近「……」スー スー

魔王「……。おい、側近。起きろ」ゴスッ

側近「うぐっ……。……痛いです、魔王様」

魔王「主が起きたのに惰眠を貪るとは何事だ」

側近「はい……申し訳、ありません……」zzz

魔王「起きろと言っている」ボカッ

側近「はい、すみません……」モソモソ



側近「……」モソモソ ←服着てる

魔王「少し痩せたか?」

側近「そうですかね。最近水ばっかり飲んでいるので。昨日はおかゆを夕食にいただきましたが」

魔王「水ばかり? 何故だ?」

側近「魔王様に水でも飲んどけと言われましたので」

魔王「あ? そんなの真に受けてたのか……死ぬぞそのうち」

側近「命令ならば逆らえません」

魔王「馬鹿だなお前は……。なら今日からはきちんと食事を摂れ。痩せぎすは抱き心地が悪い」

側近「かしこまりました」

魔王「……」


***

朝食

魔王「ん? 少しスープの味が変わったか?」

側近「さあ……」

魔王「作っても食べてもいないお前には分からないだろう……。料理長を呼べ」

側近「わかりました」



料理長「はい。新しく料理人が入ったので、今朝のスープはその者に作らせました。もちろん僕も味見しましたが、
    お口に合いませんでしたでしょうか」

魔王「いや、むしろ私はこの味の方が好きだ。気に入った」

新しい料理人(以下見習い)「ほんとうですかっ。そのように言って頂けて、とても光栄です!」

魔王「ああ。これからも、料理長の下精進しろ」

見習い「はい! ありがとうございます!」

料理長「では、失礼します」


側近「……」

魔王「どうかしたのか側近」

側近「いえ、何でもないです」

魔王「そうか」





魔王「ん、本棚の本と資料が分類分けされている……?」

側近「昨日のこの部屋の掃除の担当をお呼びしましょうか」

魔王「ああ。そうしてくれ」


メイド「(お、お呼びでしょうか、魔王様……)」ボソボソ

魔王「見ない顔だな。お前も新しく入った者か?」

メイド「(えっ、そ、そんな、私は前からここで奉仕させていただいています……!)」

魔王「そうか、すまない。末端まで気が回らなくてな」

メイド「(うぅ……)」

魔王「この本棚の整理をしたのはお前か?」

メイド「(はい、そうですが……も、問題がありあましたか?)」

魔王「いや、とても探しやすくなっていて良い。だが、これからこういう事をする場合は事前に許可をとれ」

メイド「(は、はい。すみません……)」


魔王「謝る必要は無い、結果が良いものだからな。これからもよろしく頼む」

メイド「(え、は、はいっ。がんばりますっ)」///

魔王「言いたかった事はそれだけだ。持ち場に戻りなさい」

メイド「(はい、失礼します……)」ペコッ ////


側近「……」

魔王「だから、どうした側近。なんだその目は」

側近「魔王様って人を褒めたりなさるんですね」

魔王「それはまあ、褒めるに値すれば褒める。当然のことだ」

側近「そうですか。そうですね」

魔王「……。?」


***

夜 魔王の寝室


魔王「っ!? ちょ、ちょっと待て側近」

側近「……」ズチュッ グチュッ (フェラ)

魔王「待て! っく……、はぁ」

側近「……」グッチュ ヌッチュ

魔王「くそ、……駄目だ、出るっ」ビュルッ ドクドク

側近「っ……」…ゴクン

魔王「はぁ、はぁ……」

側近「……」

魔王「待てと言っただろう……」

側近「すみません」

魔王「何故今日はそんなに気合入っているんだ……。まさかお前に口でイかされる日が来るとは思っていなかった」

側近「いえ、何となく」

魔王「……」


側近「気持ちよかったですか」

魔王「ん、ああ……。しかしなんか屈辱的だな……」

側近「……」

魔王「くそ、仕返しだ。たまにはお前に奉仕してやる」ギシッ

側近「はあ」

魔王「これでも私は私に従おうとしなかった生意気な女を何人も快楽で堕としてきてるんだが……お前相手だと正直自信が無い」

側近「そうですか」

魔王「ああ。……」クチュッ ←指

側近「……」

魔王「……どこが気持ちいいとか無いのか?」ヌプッ

側近「無いですね……」

魔王「とりあえず色々弄ってみるか……」グチュッ

側近「……」

魔王「つくづく小さい胸だな」チュッ

側近「すみません」

魔王「この頃は慣れてどうでもよくなってきた」ペロペロ クチュッヌチュ


側近「……魔王様は何を考えて私の胸を舐めるんですか」

魔王「何をと言われてもな……。一応流れでやっているだけであまり期待はしていない」

側近「そうですか」

魔王「そういうお前は私のモノを舐めている時何を考えているんだ」チュウッ

側近「何考えてるんでしょうね……。無心だったり早く寝たいと思っていたりですね」

魔王「……」

側近「でも今日は何か頑張ってましたね」

魔王「他人事のような言い方だな」

側近「そうですね。今日は何か気になることがあったんじゃないですか」

魔王「へぇ、お前も何か気にしたりするのか」

側近「あんまり無いですけれど。今日は確かに、どうしたら魔王様に……」

魔王「……? どうした」

側近「……褒めてもらえるんだろうかと、そんなことは考えたかもしれません」

魔王「意外だな」

側近「私も驚きました」


魔王「というか、褒めてほしかったのか」

側近「そうですね」

魔王「そうか……。まあ、確かに今日のお前は褒めるに値するか。よくやった、気持ちよかったぞ」

側近「有難うございます」

魔王「……。本当に褒めてほしかったのか? リアクションが普段と全く変わらないんだが」

側近「私ももう分かりません」

魔王「……。さて、お前を手でイかせるのはもう諦めがついた」

側近「つきましたか」

魔王「ああ。濡れることは濡れるし乳首もたつんだが……その先へは進まない」

側近「そうですか」

魔王「お前私との行為で絶頂を迎えたことはあるのか?」

側近「絶頂というのを生まれてこの方体験したことがありません」

魔王「そうか……そうだろうな。とりあえず挿れるぞ」

側近「はい」





側近「……」

魔王「はぁ……」ズルッ

側近「魔王様はその性的なテクニックで何人もの女を堕としてきたんですね」

魔王「……ああ、そうだ。最終的に言いなりにならない女はいなかった」

側近「そうですか」

魔王「それがどうかしたのか」

側近「いえ、特になんでもありません」

魔王「そうか」

側近「私はどうなんですかね」

魔王「お前は……どうなんだろうな。言うことは聞くが快楽で堕ちてはいないからな」

側近「私が快楽で落ちる日は来るんでしょうかね。おやすみなさい」

魔王「来ない気がするな……。おやすみ」



魔王「側近、もう寝たか」ムクッ

側近「……、……」zzz


魔王「……こうして眠っている分には、そう見苦しくないんだがな」


  側近『どうしたら魔王様に褒めてもらえるのか、そんなことは考えたかもしれません』


魔王「……」

魔王「馬鹿な奴だ。私に褒められたいなどと、」

側近「……」zzz

魔王「……そんな事を言ったのは、お前が初めてだ」スッ

側近「……。何故私の頭をかき混ぜていらっしゃるのですか」

魔王「っ! 起きていたのか」バッ

側近「かき混ぜられて起きました」

魔王「かき混ぜているんじゃない。……撫でてやったんだ、頭を」

側近「はぁ」


魔王「光栄に思え」

側近「はい、あり難き幸せです」

魔王「……もういいから寝ろ」

側近「はい。おやすみなさい」

魔王「はぁ……」

側近「魔王様」

魔王「何だ今度は」

側近「……もう少し、あり難き幸せを頂けませんか」

魔王「は? ……。いいだろう」スッ ナデナデ

側近「……ありがとう、ございます」


***


側近「おはようございます、魔王様」

魔王「ああ。そうだ、側近。今晩小規模だが宴を開こうと思っている」

側近「何かお祝い事ですか」

魔王「いや、部下達への定期的な労いだ」

側近「というのは建前で本当はご自分が酒を飲みたいだけですね」

魔王「まあそういうことだ。準備を任せる」

側近「かしこまりました」

魔王「お前はどうする。参加するか?」

側近「私は遠慮します」

魔王「そうか、とにかく任せたぞ」

側近「はい」


***

昼間 廊下

メイド「(魔王が宴開くってよ。あんたはどうすんの?)」ボソボソ

見習い「僕は参加しますよ。休むのは不自然ですし、何か掴めるかも知れませんから。
    それより、なぜそんなふうに俯いてボソボソ話しているんですか?」

メイド「(目立たないようにするために決まってる。ここに来たのが最近ってバレたら、マークされるかもしれないだろ)」

見習い「なるほど、貴女は賢いですね。僕はあの自信過剰な化け物がそんなに小さい事を気に掛けるとは思いませんが」

メイド「(それでも念のため、だ。気ィ抜いて尻尾出すなよ)」

見習い「分かってますよ」

カツカツ

メイド「(っ、誰か来る)」

見習い「(分かってます)」


側近「おや、メイドさんに見習いさん。どうかなさいましたか?」

見習い「いえ、お茶の葉について少し尋ねていただけです」

側近「そうですか。今晩魔王様が宴を開くそうです。用が無ければ是非ご参加ください」

見習い「はい、そうさせていただく予定です」

メイド「(わ、私はお仕事があるので……参加できないかもしれません。も、申し訳ありません……)」

側近「そうですか。無理なら無理でかまいませんよ。では私はこれで」カツカツ

見習い「はい」ペコッ



メイド「(……行ったか)」

見習い「ええ。魔王の側近というだけあって、すごい人ですね」

メイド「(そうだな。私たちも持ち場に帰るぞ)」

見習い「そうしましょう。ではこれで」スタスタ


***


夜 側近の部屋

側近「はあ……。宴の準備とは中々骨の折れるものなんですね」

側近「今頃魔王様たちは楽しくお酒を飲んでいるのでしょう」

コンコンコン

メイド『(メイドです。魔王様の部下の方から、側近様に報告書をお渡しするよう命じられました)』

側近「どうぞお入りください」

ガチャッ パタン

メイド「(し、失礼します……。こちらでございます)」スッ

側近「ありがとうございます」

メイド「(では、わ、私はこれで……失礼します)」

側近「はい。お疲れ様です」

ガチャッ パタン

側近「報告書といっても、何か報告されるようなことありましたかね」ガサッ


『緊急報告:勇者の出現とその進行について』


側近「!」

側近というより召使だった
眠いので続きはまた明日


***

数時間後 側近の部屋


ガチャッ

魔王「……、……」

側近「魔王様。いかがなさいました。少しお伝えしたい事が」

魔王「……少し黙ってろ」

側近「はい」

側近(酔ってるようですね。それも、かなり)

魔王「……」グッ ビリッ

側近(ああ服が。お気に召していらしたのに)

魔王「……無反応か。全くお前は腹が立つ」

側近(すみません)

魔王「……意識がとぶまで犯してやる。喜べ」ギシッ

側近(万歳)


ズブブッ

側近「っ……」

魔王「やはり慣らさないとキツいな……まあそれもいい」ギシッ ギシッ

魔王「淫乱な穴だな。グチャグチャに濡れて、ぎゅうぎゅう締め付けてくる」

側近「……」

魔王「……どんな気持ちだ。仲間の下から引き離され、城に閉じ込められて毎晩私に犯されるのは」グチュッ グチュッ

側近「……」

魔王「苦しいか? 死んだ方がマシか? ほら、何か言ってみろ」ズブッ グチュッ ズブッ

側近「……」

魔王「……ちっ。これでもだんまりを決め込むか」ズブッ ズブッ ズブッ ギュウウッ ←つねった

側近「っ……」

魔王「はぁ、お前は本当に面白くない」ズブ ズブッ





魔王「く、出る!」ビュルッ ビュッ

側近「……」


魔王「はぁ……。……これで終わりじゃない。言ったろう、今日は意識がとぶまで犯すと」

側近「……」

魔王「ほら、今度はお前が上に乗れ」

側近「……」スッ ズブブ グチュッ ヌチュッ

魔王「そうだ、もっと激しく」

側近「……、……」グチュッグチュッ グチュッ





魔王「っ――」パン パンッ ビュルッ ドクドク

側近「……」

魔王「はぁ……ほら、咥えろ」

側近「……」スッ ズプッ ヌチュッ





翌朝

魔王「……、……ん」パチッ

魔王(頭が重い……飲みすぎたか)

側近「……」スー スー

魔王「!?」

魔王(何故こんなに精液で汚れているんだこいつは……? 所々傷や痣もある……。 私か?)

魔王(そうか、昨日……。思い出した)

魔王(あんなにやっても全くの無反応だったな……。どこか頭がおかしいんじゃないのか)

魔王「おい、起きろ側近」ポンポン

側近「っ……、こほ、お早うございます……魔王様」

魔王「さっさとシャワーでも浴びてその汚い身体を何とかして来い」

側近「はい……」


ジャー……


側近「魔王様」フラッ

魔王「どうした裸で。誘っているのか?」


側近「服が昨晩破けてしまいました」

魔王「見事にスルーしたな。服は代わりを持ってこさせよう」

側近「ありがとうございます。……っ」ドロッ

魔王「どうした?」

側近「膣から魔王様の精液が……」

魔王「そうか。悪いな」

側近「いえ。後で掃除するので大丈夫です」

魔王「それにしても酷い痕だな」

側近「そうですかね」

魔王「……悪かった。傷薬を用意する」

側近「ありがとうございます」



側近「おなじデザインなんですね」スルスル ←着衣

魔王「当然だ」


側近「そういえばお話したい事が」

魔王「何だ」

側近「昨日部下の方から緊急報告がありました。勇者が現れ、魔王城に向かって進行中だと」

魔王「そんなことか。わざわざ緊急報告にする必要があるのか? この城に着くまでの長い道のりの間に死ぬだろう」

側近「もう大分近くまで来てます。進行中というか驀進中です」

魔王「なに!?」


**

勇者「おらおらああぁあぁぁぁあ!! どけえぇぇぇ!!!」

魔物「ひいいぃぃお助けえぇぇぇ」

**


側近「人間の王国の城からこの魔王城までの道のりの半分はもう超えています」

魔王「くそ……。上級の魔物たちを配置しろ。直ちにだ。この城に辿り着くまでに始末しなければ」

側近「かしこまりました」


魔王「ちっ……」イライラ


***

廊下

見習い「聞きましたか、メイドさん」

メイド「(堂々と話しかけてくんじゃない。もっと周りを警戒しろ)」

見習い「警戒した上で話しかけてるんです。それより勇者のこと」

メイド「(きいてる。もう半分超えたんだってね)」

見習い「そんなに強くある必要あったんですかね……? まあ、派手にやってもらった方がこちらとしてはやりやすいですが」

メイド「(一般に公募してトーナメント開いた優勝者らしい。なんでも……子供の頃、姉が魔王の犠牲になったとか)」

見習い「なるほど。それは確かに、本気でしょうね。それなら僕らは引っ込んでた方が良くないですか? 空気読んで」

メイド「(ああ? 何ふざけたこと言ってやがる、あくまで勇者は――)」

見習い「わかってますよ。怖いメイドさんですね……と、冗談はこのくらいにして」

メイド「(あん?)」

見習い「僕、そろそろ行動に移す予定です」

メイド「(! ……そうか。お前がしくじってもこっちに被害が広がらないようにしろよ)」

見習い「それはもちろん。貴女だって大切な『希望』ですからね」

メイド「(そうだ。まあ……健闘を祈る)」

見習い「ありがとうございます」




側近「…………」


***

その夜 魔王の寝室

魔王「……」ズチュッ グチュッ

側近「……今日は静かですね」

魔王「……」グチュッ

側近「不安がおありなのですか」

魔王「うるさいっ……! 黙っていろ」ズチュッ グチュッ

側近「……」

魔王「くそ、今更何なんだ……もう何百年も何もしてこなかったというのに! 屈服したのではなかったのか、愚かな人間共め……!」グチュッ ヌチュッ

側近(……野生の勘か何かおありなんでしょうか、こんなに怯えるとは)




魔王「うっ……」ビュルッ

側近「……」


魔王「……側近」

側近「なんですか」

魔王「いいか。私は断じて怯えてなどいない。馬鹿な勇者を返り討ちにしてくれる」

側近「そうですか」

魔王「絶対に死んでやったりするものか」

側近「そうですね」

魔王「……側近、私を抱け」

側近「二回目ということですか。眠いです」

魔王「……。違う。抱きしめろ」

側近「? はい」ギュウッ

魔王「……」ギュッ

側近「……魔王様?」

魔王「な、……何だ」

側近「これでよろしいんですか」

魔王「……ああ。このまま寝かせろ」

側近「かしこまりました」


***


側近「……」スースー

魔王「……」グーグー

側近「……」パチッ ムクッ

魔王「……」グー グー

側近(よく寝てますね。やはり寝る前に運動するとよく寝られるものなのでしょうか)

側近(起きているときの様子に比べると警戒が足りない気がしますが、そういうものなんですかね)

魔王「……」グーグー

側近(けれど、今日のあの反応)

側近(今回は脆弱な人間がただ騒いでいるだけではないと察していらっしゃるようです)


***

翌朝

見習い(魔王の朝食は)

見習い(互いに監視させるため、一人分の食事を数人がかりで作らせている、ということだけれど)

見習い(馬鹿だ。そんなことをしているから、僕みたいなのが混ざる)

見習い(今日、魔王を葬る)

***

人間の国

大臣「国王様。先駆部隊二番から報告がありました。今日三番が実行するようです」

国王「そうか。おお……ついにこの時がきたな。まぁ、これが成功するかどうかまでは分からないが、それでも、計画が動き出すのだ」

大臣「はい。大変喜ばしいことでございます」

国王「ああ。あとは果報を待とう。お前はもう下がってよいぞ」

大臣「はい」





国王「……ふん」


国王「勇者は陽動に過ぎない。本命はその裏だ。魔王暗殺のために長い年月をかけて育てた先鋭を魔王城に密かに送り込む。
   それぞれの構成員が魔王の一瞬の隙を探し、確実に殺す」


国王「今度こそ、魔王を地獄に帰すのだ」



***

見習い(毒をスープに仕込むのは楽勝でしたね。世紀の魔王討伐がこんなにあっさりしていていいものかどうか)

料理長「では、いつも通り私が試食させていただきます」

料理人たち「「はい」」

見習い「……」


料理長「……ん。このスープ」

見習い「え、どうかいたしましたか?」

料理長「いえ、大変美味しくできています。これなら魔王様もお気に召されるでしょう」

見習い「あ、ありがとうございます!」

見習い(毒見対策として、あらかじめ料理長の使うスプーンには解毒剤塗っておきましたしね)


側近「おはようございます。魔王様の食事を取りに来ました」

料理長「はい。こちらです」

側近「ありがとうございます」


側近「……」


***

側近「魔王様。食事をお持ちしました」

魔王「早くしろ」

側近「はい。魔王様、今朝はコンソメスープだそうです」

魔王「そんなもの、見れば分かる」

側近「コンソメスープの色と朝の尿の色は似ていますね」

魔王「……初めて、お前をぶん殴りたいと本気で思った」

側近「先日の夜は大分ボコボコにされましたが。それより、コンソメスープです」

魔王「はぁ……もういい。お前の不愉快な発言で飲む気が失せた。それは片せ」

側近「かしこまりました」

***

厨房

側近「片付けに来ました」

料理長「はい、……おや、今日は魔王様はスープはお召し上がりにならなかったんですか」

見習い「!?」


側近「飲む気が全くしなかったそうです」

見習い(感づかれたのか……? いや、それならとっくに僕は消されてるはず……。何が起こった? とにかく、失敗したという事か)

側近「見習いさん、どうかいたしましたか」

見習い「いえ、今日のスープは力作だったので……少し残念です」

側近「そうですか」

見習い(毒も解毒剤もまだあるけれど……どうしたものですかね)

側近「……。それでは、失礼します」ペコリ


***

見習い「すみません。失敗しちゃったみたいです。てへっ」

メイド「(死ね)」

見習い「相変わらず辛辣ですね……。でも、不可解なことがあるんですよ」

メイド「(お前がまだ死んでないこと)」

見習い「そうなんです。よく分かりましたね。魔王にバレたのなら即殺されているだろうに、この通り僕はまだ生きている」


メイド「(……私もだ)」

見習い「え、そうなんですか? というか貴女いつの間に実行してたんですか?」

メイド「(私はお前と違って不言実行派なんだよ。国王様への報告も事後にするつもりだった)」

見習い「だった、けれど?」

メイド「(……ことごとく、失敗したよ。いろいろトラップ張り巡らせたんだけどな。見事に全部かわされた。それも、ごく自然に)」

見習い「貴女がそうおっしゃるのだから、偶然で回避できるようなものではないのでしょうね」

メイド「(当たり前だ)」

見習い「でも貴女も生きている」

メイド「(そうだ。……泳がされてんのか? 私たちは)」

見習い「そうですかねえ。……正直、あの短絡的思考の化物がそんな知恵を働かせるとは思えませんが」

メイド「(バレてるとしたら、もう先は長くないだろうな。最期まで足掻けよ、この世界のために)」

見習い「もちろんそのつもりです」


メイド「(そういえば勇者がもうその辺まで来てるらしいぞ。すっかり魔物殲滅して)」

見習い「まじですか。早すぎですね」


***


勇者「ついに来たぜ……魔王城!!」


***

ギシッ ギシ

側近「魔王様」

魔王「何だ」ズブッ グチュッ

側近「……何でもありません」

側近(勇者がもう魔王城にたどり着き、この最深部まで来るのにもう余り時間が無いかもしれないのに、
   こんなところで腰を振ってて良いのでしょうか)

側近(もう、こんなことしか出来ないのですか。魔王様)


魔王「……、……くそ……っ、出るっ」ビュルッ ビュッ

側近「……」

魔王「はぁ……」

側近「……魔王様、」

魔王「何だ」

側近「こんな話をご存知ですか」


***


厨房

料理長「っ、……!!」ゴホッ、ゴホ

見習い「すみません。休憩用のお茶に少し毒を仕込ませていただきました」

料理長「く、……!」

見習い「魔王暗殺用の猛毒ですから、あがいても無駄ですよ。すぐに全身痙攣が起こって、楽になります」

料理長「っ、っ……!!」ビクッ ビクン

見習い「どうせ死ぬなら少しでも世界の役に立ちたいですからね。僕を泳がせていたつもりかもしれませんが、それは失敗でしたね」

料理長「っ……」ビクッ

料理長(……側近、さん、……)

見習い「さて、メイドさんも今頃お仕事されてますかね」



使用人長「貴女、……!」バタリ

メイド「悪いな。国王様が任務内容を『魔王暗殺』から『魔物殲滅』に変えたんでね」ブスッ

使用人長「かはっ……」

メイド「まあこの城の外の化け物共は勇者様が全部始末してくださったみたいだがな」

メイド「さて、そろそろ勇者様と見習いの馬鹿と『一番』と合流して、本命といくか」


***


側近「むかしむかし、平和でゆたかな人間たちの王国がありました」

魔王「……」

側近「しかしある日、おぞましい化け物たちが現れ、人間を襲いはじめます」

側近「化け物たちによって、たくさんの人たちが、殺され、犯され、幸せを奪われました」

側近「恐怖と悲しみにふるえる人間たちは、世界と自分たちの平和な生活のために、化け物たちに立ち向かうことにしました」

魔王「……」

魔王(変だ。魔王城の中の魔物たちの生体反応が次々に消えていく……?)

側近「しかし相手は手ごわいです。そのため、人間たちは入念に計画を練りました」

側近「真っ向から、化け物の王、魔王に立ち向かうのではなく、こっそり暗殺者を魔王に近づけて殺させることにしました」

魔王「……」

魔王(いや、城の中だけではない。城の外も……。まさか――)

側近「人間の国の偉い人たちは、身寄りのない子供を保護し、特別な教育を施すことで魔王用の暗殺者を育てました」

側近「そして、こっそり魔王の元へ送り込み、さらに魔王たちの注意を城の外へ向けさせるための勇者を派遣しました」

側近「そして」

魔王「――!」




側近「今日が運命の日です」




魔王「……」

側近「……」

魔王「か、……仮にその話が真実だったとして、だ。何故お前がそんなことを知っている」

側近「それは、私が魔王暗殺用先駆部隊隊長、通称『一番』だからです」

魔王「!? お、お前……、お前は、単なる出来の悪いサキュバスだろう」

側近「魔王様、サキュバスの現在の総数……いえ、今現在はもうゼロですね、殲滅前のサキュバスの総数をご存知ですか」

魔王「? ……」

側近「ご存じないでしょうね。八、ですよ。サキュバスは、貴方が長年自分用の女として引き抜き、殺してきたせいで、絶滅寸前だったんです」

魔王「……」

側近「サキュバスたちは絶滅を避けるため、魔王様から命を受ける度に、人間の娘をさらい、それを貴方に献上するようになりました」

側近「人間からしたら『何の罪も無い娘が突然淫魔にさらわれ、魔王の慰み者にされる』状況です。
   それが、もう百年以上続いて、犠牲者も千人をとうに超えました」

魔王「……」

側近「痛ましい出来事ですが、国の偉い人たちはそこを利用して魔王の懐に暗殺者を潜り込ませることにしました」

側近「私が選ばれたのは、単に施設での成績が一番優秀だったうえ、都合よく女だったからです」


魔王「……」

側近「私は淫魔の出現報告が一番多い村に派遣され、あとは夜中フラフラしてたらあっさりここへ着きました」

魔王「そんな……信じられん……」

側近「そうですか。魔王様、今まで変だと思わなかったんですか」

魔王「な、何をだ」

側近「魔王様はその性的な技術で何人もの女を堕とし、最終的に言いなりにならない女はいなかったと言っていましたが」

側近「サキュバスの中で一番優秀な者がきちんと送られているのなら、始めから『魔王』に反抗なんかしないはずでは?」

側近「それに、サキュバスが処女で私くらいまで育つことは可能なんでしょうか。途中で餓死するのでは?」

魔王「……」ガタッ

側近「何処へ行かれるおつもりですか。勇者と他の暗殺者がもう貴方以外の魔物は殲滅してしまいましたよ」

魔王「……。うるさい。脆弱な人間ごときが気安く私に話しかけるな」

側近「……」

魔王「……私を殺せると思うな」ガチャッ


バタンッ


側近「……」


***

魔王城の最深部 王の間


魔王「くそ……くそっ!!」ダンッ


ガチャッ 

魔王「!」

勇者「……こいつが魔王か」

メイド「はい」

見習い「こいつが最後です」



魔王(あの二人……)

魔王「……そうだ。この私こそが全世界の魔族を統べる王、魔王だ」


勇者「お前が……姉さんを!」ギリッ

魔王「ふん、ここまで来れたことは褒めてやる。だがここまでだ!」

見習い「虚勢ですか、見苦しい」

魔王「……。始めるなら早く始めろ。元の形も分からぬほどに痛めつけてくれるわ!」

勇者「行くぞ、うおおおおおおおおお!!!!」



ガキィンッ

勇者「っ!?」

魔王「!!」

メイド「貴女は――!!」


側近「っ……」ググッ  ←攻撃受け止めてる



勇者「く、誰だこいつは!」バッ

見習い「さ、先ほど説明した僕らの部隊の一応の隊長……『一番』と呼ばれている者です」

勇者「じゃあ何だ、味方なのか!?」

見習い「そ、そのはずですが……」

メイド「いや。……あの方、いや、あいつはもう味方じゃない」

見習い「な、っ!? どういうことですか!?」

メイド「見りゃ分かんだろ。あいつ、寝返りやがったんだよ。魔王側に」

側近「……」

メイド「私とお前の暗殺がことごとく失敗する訳だよ。味方の、それも格上の奴が邪魔してたんだからな」




魔王「そ、側近……!」

側近「何ですか」

魔王「何故、……」

側近「魔王退治するなら、その前に魔王の右腕の相手をするのがお約束でしょう」

魔王「お前は右腕でも何でもない、性奴隷だろう。それに、それすら嘘で、ただの暗殺者だ」

側近「……そうですね」

魔王「だったら何故……!」

側近「知りませんよ。私にも分かりませんけど」


側近「貴方に、恋をしてるからじゃないですか」



メイド「……はっ、おい『一番』、あんた自分が何してんのか分かってんのか?」

側近「分かっていますよ。私は貴女より遥かに優秀でしたから。『二番』」

メイド「何だあ? 身体結んだら情が移っちゃいましたとかそういうやつか?」

側近「多分違います。私は何度も魔王様と交わりましたが、そこに惚れる要素は何一つ無かったように思われます」

魔王「……」


メイド「ならなんだよ。顔か?」

側近「それかもしれませんが、分かりません」

魔王「……」

メイド「まあもうどうでもいいか。もう一度聞く。自分が何しでかそうとしてるのか分かってるか……?」

側近「はい」

メイド「あんたも魔族に両親襲われて孤児になったくちだろ」

側近「はい。私は何も覚えていませんが、周りの大人にそう教わりました」

メイド「その化け物は今まで何人もの罪の無い女を犯して弄んで殺してきたんだろ?」

勇者「……」ギリッ

側近「はい」

メイド「あんただって犯されたはずだ」

側近「はい」

メイド「あんた頭イカレてんじゃないか?」

側近「そうかもしれません。貴女が今言ったことは全部頭では理解しています」

側近「それでも私は魔王様がいてくだされば何も他にいりません」


メイド「……」

側近「魔王様のためなら、人間が滅ぼうが世界が終わろうが、私はかまわないと思います」

魔王「何なんだ……今まで全くそんな素振り無かったというのに」

側近「そうですね。やはり理由はよく分かりませんが、でも、貴方と過ごした日々が楽しかったのは事実です」

魔王「……」

側近「成績順の番号で呼ばれ、毎日似たような暗殺の技術を仕込まれ、自分達は人類の『希望』だなんだとすり込まれる、施設での日々よりも、ずっと」

メイド「……」

見習い「……」

側近「私は貴方の前でだけ、取るに足りない存在でいられた」

魔王「……」

側近「すごく楽でした。少し切なかったですけど、楽しかったです」

側近「だから、勇者。二番。三番」


側近「ここを通るのは私を倒してからにしなさい」


勇者「裏切り者ってことか……。それなら、遠慮なく行くぞ」

メイド「三番、よく知った敵だが手加減するなよ」

見習い「いわれなくとも」

勇者「喰らえええええええ!!!」

側近「来なさい。……私は、魔王様の側近です!」




魔王「……」

魔王(な、何故こんなことに……)

魔王(いや、もうなんでもいい。今のうちに逃げてしまえば……)


側近「ぐっ……」ズザッ

見習い「貴女の数字、『一番』はあくまで一対一の場合においてですからね。三対一では勝ち目は無いですよ」

メイド「それに、夜伽ばっかりで腕が鈍ったんじゃねえか?」

側近「……」

勇者「まだまだだあ!!」ダダダッ


魔王「……」




側近「ごほ、……こほっ」ハァ ハァ

側近(やっぱりキツいですね。体力も少し落ちてますし、実力者三人相手には流石に敵いませんか)

側近(でも別に、最悪私がここで死んだって、魔王様が逃げ延びるだけの時間が稼げればそれでいい)

側近「う、ぐ……」

勇者「もう終わりか? ……なら、これでとどめだ!!」ブンッ

側近「っ!」



ザシュッ



側近「……、? っ!!」


魔王「ぅ、……」ボタボタッ ←血

側近「ま、お……魔王、さま、……!!」

勇者「! ……」

側近「魔王様! 魔王様!! 何故お逃げにならなかったのですか! 何故、私なんかを……」ポロポロ

魔王「……い、いいんだ……。これでいい……」

側近「何が良いんですか!!」ポロポロ

魔王「ありがとう……側近。こんな私のために……。お前の無表情以外の顔を、初めてみたな」

側近「う、く……嫌です……魔王様」ポロポロ

魔王「こんな、ことになるなら、……もっと、お前に、良くしてやればよかった」

側近「そんな……」ポロポロ

魔王「すまなかった……。ありがとう」

側近「……」

魔王「でも、側近。これでいい。……これが、報いだ」

側近「魔王、さま? 魔王様!」

魔王「…………」

側近「魔王様!!」





側近「……」ゴシゴシ

勇者「……」

側近「勇者。私を殺してください。今すぐ」

勇者「……いいんだな」

側近「はい。出来れば、私の死体は魔王様と同じところへ埋めてください」

勇者「分かった」


ザシュッ




***

見習い「任務完了、ですね」

メイド「ああ。まさかこんなにはやく魔物殲滅が済むとはな」

勇者「……」

見習い「本当に二人の死体一緒に埋めちゃいましたけど、良かったんですか。首を持っていった方が確実な報告になったと思いますが」

勇者「いいよ。魔王が死んだことは時間が経てばちゃんと分かるだろ」

見習い「そうですか」

メイド「さて、国王様の下へ帰るぞ。凱旋だ」

勇者「……ああ」

見習い「そうですね」



魔王城だった建物の中庭に、二つの墓が、誰にも知られずひっそりと 寄り添うように佇んでいた。





おしまい

ハッピーエンドになってるのかよく分からないけどエピローグ



***

魔王「側近! 起きろ、おい」ユサユサ

側近「……」 

魔王「側近」ポンポン

側近「……、ん……」パチ

魔王「やっと起きたか。ずい分長い間寝ていたぞ」

側近「……? っ!」ガバッ

魔王「どうした」

側近「ま、まお、……、まおう、様」

魔王「何だ」

側近「どうして、……。魔王様と私は、死んだのでは、……勇者、は」


魔王「ああ。まったく、見事にやられたものだ。無様な所を見せたな」

側近「では、なぜ」

魔王「ここは地獄だ。私の本来の居場所であり、領地である。まさか人間の世界のあんなちんけな土地だけが私の支配する全領域だと思っていたのか?」

側近「……。思っていました。というか、地獄なんて実在するんですね」

魔王「当たり前だ。ここは私の家のような場所であり、地獄の中でも最下層だ」

側近「私もすごいところに落とされましたね。人間を裏切ったので、天国ではないと思っていましたが」

魔王「本当はお前はもっと上だったがな。私の権限で引き摺り下ろした」

側近「……」

魔王「最後に言葉を交わしておきたくて」

側近「……、」

魔王「どうした」

側近「っ……」ポロポロ

魔王「!? 何だ、本当にどうした」


側近「……」ポロポロ

魔王「何か言え。言われないと分からない」

側近「すみません、私にもよく分かりませんが……多分、嬉しいんです」ポロポロ

魔王「……」

側近「魔王様がお元気そうで。また、こうして会ってお話しすることができて、……嬉しいです」ポロポロ

魔王「そんなことで泣いているのかお前は……」

側近「はい。変ですね。施設にいた頃は、泣いたことなんかなかったんですけれど。拷問訓練を受けても、一番になれても」ポロポロ

魔王「……」

側近「良かった……。良かったです」ポロポロ

魔王「お前は馬鹿か。そもそも、何で着いてくるような真似をした。庇い甲斐のない奴だ」

側近「申し訳ありません。しかし、国へ帰ったところでどうせ極刑は免れませんから。それなら着いていってしまえと思いまして」

魔王「まったく……」


側近「それに、今更魔王様無しで生きていくなんて、考えられませんでした」

魔王「……」

側近「だから着いてくるしかしかなかったんです」

魔王「……」スッ

ギュウッ

側近「どうされました」

魔王「……すまない。すまなかった。謝って、足りるものではないが」

側近「何を謝られているのか分かりかねますが、いいですよ」

魔王「……。何か、上手く言葉にならないな。目が覚めたら話したいと思っていたことが、たくさんあったはずなんだが」

側近「そうですか」

魔王「私の妻になってほしい」

側近「すごい急ですね」

魔王「そうかもしれない。だが、これでも真剣だ」

側近「いいですよ。私でよろしければ」


魔王「少し待て。気持ちは嬉しいが話を聞け」

側近「何でしょう」

魔王「魔王の妻になるということは生者と死者の輪から抜けるということだ。お前は本来なら地獄で罰を受け、魔物に生まれ変わり、
   そしてその生の行いで再び天国か地獄に割り振られる。しかし私の妻になったら二度とそのサイクルに戻ることはできない。
   生者とも死者とも呼べない状態で消滅するまで永遠に世界を浮遊していることになる」

側近「なるほど。難しくてよく分かりません」

魔王「一度妻になったらもう生物には戻れないということだ。あと、人間の敵になる」

側近「なるほど。魔王様とは一緒にいられますか」

魔王「それはまあ、当然そうだ」

側近「なら構いません。どうぞお好きに」

魔王「……」

側近「どうしました」

魔王「いや、嬉しい。嬉しいんだが、実感がわかないな。何故私にそこまでこだわる? 恋だとしても理解しがたい」

側近「さあ」

魔王「私がお前にした手酷い仕打ちの数々を忘れたわけではあるまいに」

側近「色々されましたね」

魔王「なら何故……」


側近「言いませんでしたか? 貴方と過ごす日々は楽しかったと」

魔王「罵声を浴びせられ、毎晩血が出るほど犯される日々がか?」

側近「そうですねえ……。何と言うか、魔王様は基本的に道徳に反する行いを平気でなさる方です」

魔王「まあ、否定のしようはないが」

側近「でも、あんなにやりたい放題のことをしているのに、それで満たされているようには見られませんでした」

魔王「……」

側近「乱暴な言葉を使って乱暴をはたらいて、それが自分を満たしていると思いたがっているように見受けられました」

魔王「……」

側近「私も、そうだった。施設で優秀な成績を収めて、魔王を殺せば満たされて幸福になれると思っていました」

側近「でも、魔王様を見ていて、虚しい人だと思いました」

側近「好物の肉を美味しく食べていても、綺麗な女性を思うように組み敷いていても、きっと貴方は満たされることはない」

側近「私もきっと魔王を殺して救世主の名誉を得ても、満たされることはない」

側近「別に、私に貴方の虚しさをどうこうできるとは思っていませんし、貴方に私の虚しさをどうにかしてもらおうとも思っていませんが、
   貴方が独りでいるのは、辛い。救えないけれど、黙って見ているのはもっとできない」

魔王「……」


側近「いえ、私の虚しさは、貴方に出会ってどうにかなったんです。魔王様が私の頭を掻きまわしていたときに、埋まったんです。だから――」

魔王「……」グッ

ギュウッ

側近「だから、お傍にいたいんです。貴方の虚しさを埋められるなら、私は、出来ることはなんでもしたい」

魔王「……。馬鹿か、お前は」

側近「……」

魔王「私の虚しさなんか、今お前が埋めてくれている」

側近「そうですか?」

魔王「ああ。好きだ、側近。私と結婚してほしい」

側近「はい。私も魔王様が好きです」





側近「魔王様は人間の世界の征服を望んでいらっしゃるのですか」

魔王「どうだろうな……。今まではそうだったが、もうどうでもいいかもしれない。しかし、何か目的がないと、この長すぎる時間はあまりに退屈で耐え難い」

側近「そうですか」

魔王「お前は何か望みはあるか」

側近「特にありません」

魔王「まあ、お前はそういうと思ったが……。何も無いのか。何か出せ」

側近「そうですね……。ん」

魔王「何だ」

側近「せっかく妻になったので、口付けをしてみたいです」

魔王「……」

側近「駄目でしたらもちろんそれで構いませんが」


魔王「誰も駄目などと言ってはいない。お前にそんなことを強請られるとは思っていなかったが」

側近「そうですか。ありがとうございます」

魔王「……目と口を閉じろ」

側近(はい)

魔王「……」スッ







魔王「……もう開けていい」

側近「はい」パチ

魔王「…………」

側近「……。何ですか」

魔王「いや。……お前も赤面などするんだな」

側近「……」

魔王「不覚にも、……」

側近「なんですか」


魔王「いや、……可愛いと思ってしまった」

側近「……」

魔王「あの勇者の血筋が薄れていくまで、ざっと千年はここで時間を潰さなければいけないが……お前となら退屈しなそうだ」

側近「良かったですね」

魔王「ああ。良かった。そうだ、それと側近」

側近「なんでしょう」

魔王「今度お前の手料理が食べたい。以前出してもらったときにはぶちまけてしまったからな」

側近「分かりました。腕によりをかけてお作りしましょう」

魔王「楽しみにしている」

側近「はい」




魔王「側近。……きっとお前を幸せにしてやる」

側近「今でも十分かと思いますが、そうおっしゃられるなら楽しみにしております」

魔王「ああ。期待していろ」




おわり

ありがとうございました
思ったより反応あって嬉しかったです

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