恵美「この駄肉が!!」魔王「何故キレる!?」【はた魔×まおゆう】 (383)


地の文は補助程度に有り。
はたらく魔王さま!とまおゆう魔王勇者のクロスです。

一応どちらも原作は全て読んでますが、設定間違えたらすみません。
時系列は双方アニメにしときます。

それと恵美の技のネタバレと少し手を加えたオリジナル技があります。


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1381293844




ビルの窓に反射する太陽の赤い光が、日本都心の夕暮れを醸し出していた。
そこに伸びる二つの影。その影の主達はかつてエンテ・イスラで戦った宿敵同士なのであった。


恵美「ぐ……ぐぐ……なんで私が魔王なんかと買い物を……」

真奥「お前がまた階段踏み外して、それを俺がまた受け止めたはいいがその衝撃で俺達の大事な卵を割ったからだ」

恵美「ま、まあいいわよ。それは申し訳無いと思ってるわよ」

真奥「ほんとに思ってんだろーな!?ラスト1パック1円だったんだぞ!?」

恵美「あーーーーーもううっさいわね!!!!買えばいいんでしょ買えば!!私が言ってるのは!なんであんたがついて来てんのかって事!!!」

真奥「それは俺が卵を選ぶ為だ!お前が払う以上、より良いもの!より高品質なものを選ぶ!」ビシィ


高く上げたその左手には、割れた卵の中身が汚らしく付着していた。


恵美「手くらい洗いなさいよ……ていうかこういうのは芦屋に任せれば良かったんじゃないの?」

真奥「いいのか?俺たちだけの秘密にしてないとお前グチグチ言われるぞ?芦屋の食べ物の恨みは凄まじいぞ?」

真奥「お前のせいで卵が潰れたなんて言ったらどうなるか……」

恵美「……わかったわよ」

真奥「まあ安心しろ、高級なものじゃなくて状態の良いものを選ぶだけだ。値段は普通だよ」

恵美「本当でしょうね……」

真奥「当然だ!俺を誰だと思っている!!!」

恵美「魔王ね。やっぱり信用できないわ」

真奥「それもそうだな……っと、こっち抜けた方が早く着くぞ」

恵美「ビルとビルの間なんて変なのに絡まれるかもしれないわよ」



真奥「一応少し遅くなるとは連絡したが、それでも今からのんびり行って帰ってきてたら時間食っちまうからな」

真奥「ちと物騒だが、勇者がついていれば怖くねえ」

恵美「勇者がついてないと裏道通れない魔王ってどうなの……」

真奥「ほら急ぐぞ恵美!芦屋達が俺達の帰りを待っている!……ん?」

恵美「はいは……え?」


ズズズズ……


真奥「この感じ……ゲートが開く!?」

恵美「ど、どこ!?感じる魔力が近すぎて方向が分からない!!」

真奥「………まずいぞ恵美、ゲートが開く場所は……」




真奥「……ここだ!!」



ズッ!!!!


恵美「わっ!?」フワッ


恵美の体が宙に浮き、突如開いた暗黒の"ゲート"に吸い込まれる。


真奥「なっ……恵美つかまれ!!!」ガシッ

恵美「ちょっ離しなさいよ!!」

真奥「アホか!お前を今エンテ・イスラに戻すわけにはいかねぇ!!」

恵美「……魔王……あんた……」


腕を右手で掴んだまでは良かった。
しかし真奥貞夫の体と遊佐恵美の体を、ビルに張り付くパイプを掴んで支えているのは…
卵黄と卵白まみれの、左手。

ゆえに。


ズルッ

真奥「あ」

恵美「あ」





真奥「くっそおおお!!恵美に卵を買わせるまで戻るわけにはあああぁぁぁ…………」

恵美「あんた卵が一番大事だったわけえええぇぇぇぇ…………」



バシュンッ!!


そしてゲートは閉じ、二人のいた空間はゴミが散らかっただけの裏道に戻る。




そこは、碧色の太陽が照らす荒地。そこに一人だけしゃがみこむ黒い塊。

漆黒の鎧に漆黒の角兜を纏い、肌が全く見せていない男が…もとい、




こちらの世界の勇者が、草むしりをしていた。




勇者「んーと……これか……?」ブチッ



勇者「だーーーもうわかんねぇよ!魔界の薬草なんて!」

勇者「大体なんだこの絵!!」ガサッ


勇者が広げた紙にかかれた、草らしき二種類の絵。
それは子供が書いたようなとても稚拙な線の集合体。



勇者「こっちが毒草でこっちが薬草だから気を付けるように?わっかんねぇよ!」

勇者「しかもなんだこれ!?"やくそうのとくちょう:食べるとにがい!" "どくそうのとくちょう:食べると死ぬ!"」

勇者「なんで見分けるのに生死を賭ける必要があるんだ!!」

勇者「こんなの誰が書いて……ああいや、わかるけどさぁ……なんでメイド妹に書かせるんだよ……」


こちらの勇者は、胸の主張がとても強い魔王と契約し、"丘の向こう"を目指している。

――――断じておっぱいのためではない。(勇者談)

そのために勇者は普段、魔界へ行く時は魔王から譲り受けた黒鍛鋼の鎧兜を着て"黒騎士"として活動していた。



そのゴツイ鎧を着た勇者が一人で無理難題に対するツッコミを叫ぶのは、いささか滑稽な画だった。



勇者「……ん?」


…勇者はただならぬ気配を感じ、警戒態勢に入る。

圧迫感。何もないはずの空間が重く感じる。


勇者「攻撃?…いや、辺りにそんな気配は……何が起こって…」


ブゥン…


突如、勇者の頭上に暗黒の穴が開く。そして。


恵美「きゃああああ!!」

勇者「な!?」


ガチャンッ!!!


勇者「ぐえあ!!」

恵美「いっつつ……情けないわね魔王……ってあれ?」


女性が落ちてきた。







こうして、別の世界の勇者と勇者が、出会った。







勇者「とりあえず早くどいてくれ!!」

恵美「わ!!誰か下敷きにしちゃってる!!」バッ


下に居るのが真奥貞夫ではない誰かだと気付いた遊佐恵美は、素早く飛び退く。


勇者「なんだってんだちくしょー」ムクッ

恵美「……うわぁ…」


遊佐恵美はドン引きした。


漆黒の鎧に角兜。悪魔でもこんな格好はしない。
こんな派手な鎧を着るのは少し腕が立つだけで調子に乗る馬鹿な人間くらいだと、遊佐恵美は判断した。



恵美「……どこで売ってたのソレ」ジト

勇者「え、ああ…まあ何かと便利なんだよ。俺あんまり顔とか見られたくねーんだ」

恵美「…ふーん」

勇者(……し、信じてない…もしかして正体が、)


恵美の反応に勇者は、ついた嘘がバレたと思った…が。


恵美「見栄なんて張らなくていいわよ。はいはい、かっこいいかっこいい」

勇者(……ムカつくやつだな……まぁ、いいか)


見当違いだったゆえに、勇者はそういう事にしておく。



勇者「……てかなんだその格好……奇抜な人だな、それで魔力の向上でもできるのか?」

恵美「え、あ!!しまった勤務先の服のままだった…ん…………あれ?」



ここでようやく、恵美は重大な事に気づく。










恵美「……………日本語?」


勇者「どうしたんだ?」

恵美「あなた……どうしてエンテ・イスラ語じゃなく日本語なの……!?」


日本でこんな鎧を着る者など居ない。否、それ以前に…


勇者「はい?」

恵美「っ!!」バッ


恵美は空を見て確信する。
空に浮かぶ碧色の太陽が、エンテ・イスラでも日本でも無い事を表していた。


恵美(…エンテ・イスラじゃ無い!……この人日本語話してるけど、明らかに日本でもない…よね!?参ったわね……)


勇者「……あのー?」

恵美(……まずは状況整理ね。ここはどういう世界なのか調べないと。)

恵美(一番気になるのは、この人…人よね?…が日本語を話してること……)


恵美(っああーもう!仕方ない!私が初めて日本に来た時、出会った人に催眠術かけて色々訊きだしちゃったけど)

恵美(今回もそうするしか無いか……)ゴソ


手さげ鞄の中身を確認する。


恵美(……手持ちのホーリービタンは、二日分か……ぎりぎりゲートを開くくらいはできるかな)

勇者「おぉぅい……」

恵美「……ごめんなさい」

勇者「え?」


バッ!


恵美は勇者に向かって催眠術を放とうと手のひらを向けた


勇者「っ!!!」





瞬間。




勇者「……なんのつもりなんだ?」ザッ


バックステップ。

目の前に居たはずの勇者は、一瞬で"間合い"をとっていた。


恵美(こ、こいつ……)


本当に一瞬だった。
肉体のみでは絶対に不可能な移動。
"他の力"を使わないと不可能な移動。


恵美が感じた"他の力"は。



恵美(今、こいつは!!)




恵美("魔力"を使った!!!!)


魔力を使う。それが意味する事は。


恵美(どうして分からなかったの……そうか!ここは魔力が満ちてるんだ!)

恵美(だから紛れて気づけなかったんだわ!)

恵美「……あなた悪魔だったのね……騙される所だったわ」ドサ


鞄を地面に落とし、睨みつける。


勇者「……はいぃ!?」


勇者は素っ頓狂な声をあげるが、恵美の目は既に"敵"を見る目になっていた。そして。




恵美「顕現せよ!わが力!魔を滅ぼさんがためっ!!」ゴォッ!!!


勇者「えっちょちょちょちょ」


遊佐恵美の周囲に光が満ちた瞬間、紅から銀へと髪が変色し
右手には"進化聖剣・片翼《ベター・ハーフ》"と、天界の金属"天銀"と呼ばれる防具が顕現したのだった。

聖法気が満足な量でないため、進化聖剣・片翼は細い刀身で、天銀は腕と膝の部分だけである。
かつてルシフェルと戦った時と同様の姿だった。



恵美「悪いけどちゃっちゃと終わらせてもらうわ!!」


勇者「あーもうなんだってんだ!!!」シャキン!



対する勇者も腰の剣を抜いて構える。

今日はここまでっす。また次回お楽しみ下さい

あ、旧スレについてはこのスレの失敗作みたいなものなので別に気にしなくて大丈夫です

投下します。この先、技のネタバレ有です



恵美「ハッ!!」シャッ!


突進。悪魔を殺すには頭を切り落とすのが手っ取り早いと知っている恵美は、勇者の首元を狙って切り掛かる…が。


勇者「飛行呪!!」ギュンッ!

スカッ!

勇者は独特の魔法を使用し、空へ飛び回避する。


恵美「っ…はぁっ!!」ダンッ!


しかし恵美は驚かず、地を蹴って勇者を追いかける。


勇者(ついてくる!?)


恵美「…まだまだぁ!!」

勇者「うおお!?」



キィン!!!


地上10メートルはあろうかという上空で、剣と剣が重なり合い不協和音を轟かせる。


恵美(この聖剣をものともしてない!?)

恵美(でもこれならっ!!)ボゥッ


恵美の剣が炎を纏う。


恵美「天光炎斬ッ!!!」


威力を高めたその剣を"敵"に叩き込む。

しかし。


勇者「おっと!!」


ギィンッ!!!!

守りに転じた勇者の剣は、恵美の剣をたやすく止める。



恵美は驚愕する。遊佐恵美は勇者なのだ。エンテ・イスラの希望、勇者エミリアなのだ。
その恵美の持つ"進化聖剣・片翼"は勇者の剣。エンテ・イスラではこの剣に勝るものなど無かった。
しかしこの剣を、聖法気が不十分とはいえ、いともたやすくいなすこの男は、この男の剣は。

なんなのだ。






しかしそれも当然だった。





―――どちらも、双方の世界で同じ意味を持つ存在なのだから。




恵美(っ馬鹿な!)


驚愕・油断。それを勇者は見逃さない。


勇者「雷撃呪!!!!」ゴワッ!!!

恵美「しまっ!」





ドォォオオオン!!!!!



勇者が放った雷撃が、恵美を地面へと叩き落とす。



勇者「やっべ!!やりすぎた!?おーい大丈夫かー!」


漆黒の鎧兜に身を包んだまま宙に浮いている勇者。
恵美が本気で戦っているのに、勇者はあまつさえ相手の心配をしていた。


勇者「うーん加減がわかんないな……体がなまってる」


恵美(これだけやっといて……体がなまってる!?手加減されてる!?この私が!!!?)

恵美「ふざけないで!!!」


土煙の中激昂した恵美は、もう後先考えずに聖法気を全開にする。


ゴォッ!!!


聖法気を全開した恵美の周囲の土煙は跡形もなく消し飛んだ。


勇者「……うわ」


その姿は。


進化聖剣・片翼の細かった刀身は、勇者の持つ剣と同等の大きさになり。
腕と膝だけを覆っていた"天銀"は全身を覆う甲冑へと変化していた。


恵美「もう全力で行くわよ……」ギロッ


宙に浮かんだままの勇者を恵美は見上げて睨みつける。


勇者「っ」


勇者は恵美の目に気圧され、たじろいだ……ゆえに、一瞬遅れた。



恵美「天光駿靴!!!」


光が恵美の足元へ集まった次の瞬間、勇者の目の前へと移動していた。


勇者「なっ!!」

恵美「天光氷舞!!」


恵美の剣に、今度は氷が纏う。


勇者「加速呪!!」ギュン!


勇者はもう一度間合いをとる。しかしその一瞬の遅れにより、恵美の攻撃は既に不可避となっていた。



勇者「ぐあっ!!」パキパキパキッ!

恵美「はあっ!」ギュンッ


勇者の鎧兜が凍りつく。動きが鈍った勇者に、恵美は躊躇なく追い打ちをかける。


が。



勇者「広域灼熱呪!!!」ゴオオオッ!!!

恵美「うっ!」


勇者の周囲に業炎が立ち上る。これにより氷を溶かし、かつ追い打ちを遮った。



しかし恵美はすぐに攻撃方法を変えて追撃する。


恵美「天光ッ……風刃!!」ゴォッ!


空を切った恵美の剣から強力な衝撃波が生まれる。


勇者「しまっ!」


ドォォオオン!!



今度は勇者が、地面へ叩き付けられた。
当然、さらに追い打ちをかける。



恵美「はぁっ!天光炎斬ッ!!」ゴッ!


炎を纏った剣を振り、今度は"炎の刃"を飛ばす……が。


勇者「岩盤返しっ!!!」ドゴォンッ!!!

恵美「なっ!」


勇者が地面に手を叩きつけた瞬間、勇者の前の岩盤がめくり上がる。
恵美の放った炎は岩盤に遮られ、消失する。


恵美「いよいよ無茶苦茶するわね…!」

スタッ!


恵美は地上に戻る。それというのも、岩盤に敵が隠れてしまったからだ。



勇者「獅子咆哮!!!」ゴオッ!!


しかしそれを既に狙っていた。強力な剣圧が恵美を襲う。


恵美「くっ天光飛刃ッ!!」


対する恵美は斬撃を飛ばす。





ドガァァン!!!




二人の攻撃が衝突した瞬間エネルギーが爆散し、あたりをまた土煙で満たす。




しかし二人は、ひるまない。




恵美「閃光駿靴!!!」ダンッ!!

勇者「光の封印槍!!!」ゴオッ!!




突進vs突進。





ッドォォォオオオオオオン!!!!!!





激突する最強同士のエネルギーが、周囲の物質を削り取る。







……



所々煙が立ち上る巨大なクレーター。


その中心に、この戦いの勝者が立っていた。




とりあえずここまでっす







勇者「…ふう」



立っていたのは、この世界の勇者だった。
その腕の中には意識を失い、勇者に体を支えられる遊佐恵美。


シュウウウ……

勇者「うお」


聖法気を使い果たした恵美の武具は消失していき、テレアポセンターの制服へと戻っていく。



勇者「こいつが最後の最後まで全力だったら、やばかったかも……」ツー


漆黒の角兜は破壊され勇者の素顔があらわになっていた。
その頬には赤い線が一本。そこから真っ赤な雫が、一筋の道を作っていた。


~~~~

恵美「…かはっ!」ガクッ!

勇者「!!!」

~~~~


衝突の刹那、恵美は既に聖法気を使い果たしていたのだった。


勇者「にしても、なんなんだこの人は……この俺をここまで追い詰めるなんて……よいしょ」


勇者は恵美の体をお姫様抱っこする。


勇者「確か向こうのほうに川が流れてたかな…飛行呪」フワッ



荒地を進んでいくと林があり、そこから川が流れ出ている。


チョロロロロ…


勇者「んー、毒は無さそうだ」チャプ


魔界ゆえに、安全を確認する。


勇者「んしょ」


川に半分根っこが突き出して生えている木の下。
そして先ほど見つけた、奇跡的に無事に吹き飛んでいた恵美の鞄を枕替わりにしてゆっくりと恵美を横にする。


勇者「ふぅ、回復魔法」パァァ…


外傷は見受けられないが、自分を襲った者に回復魔法をかけるその余裕は、性格か、甘さか。







恵美「…あれ」パチッ

勇者「起きたか」


恵美「……はっ!!」バッ!


ズキン

恵美「…う」



勇者「急に立つと立ち眩みが…って遅かったか」

恵美「……人間?」


ようやく恵美は兜の無い勇者の素顔を見て、相手が悪魔ではなく人間だということに気付いた。



恵美(いや、真奥や芦屋も、人間の姿だし…)

恵美(……でも、この人は私と互角な魔力を持ってたしそんな事する必要が……ああもう!)


互角とする所は、勇者エミリアのプライドか。


勇者「てかなんで俺の事をそんな悪魔悪魔言ってんだよ…まぁこの姿じゃ仕方ないかも知れないけどさー」

恵美「だって魔力使って……」

勇者「なんで魔力使ってたら悪魔認定!?別に誰でも魔力は使うだろ!!」


恵美「…え」

恵美(あっ…そっか!!この世界じゃ魔力が全ての源ってこと!?そういう世界なんだ!)




恵美(だとしたら、私はこの人に対して言いがかりつけて襲って……明らかに悪いのは……!)カァァ


ようやく、過ちに気づく。



恵美「うわあああごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさい!!!!」

勇者「あ……うんもういいから」

恵美「えっとそのどうお詫びすればいいのか……」あたふた




勇者「じゃあそのお詫びとして、どうして落ちてきたのか、知ってる事を教えてよ」


恵美「わ、わかったわ……」


勇者はやっと話し合いにできた事に安堵する。




恵美「私は、この世界の人間じゃないの」


勇者「……ま、まあ奇抜な服装だし、魔力を使わず魔法を使っていたからうっすらとは思っていたけど、マジでアンタ異世界人なのか……」

恵美「……アンタじゃない遊佐恵美よ」


勇者「ああわかった。じゃあ遊佐恵美」

恵美「呼び捨て!?」

勇者「え?」

恵美(あぁそっか……この世界の文化に合わせるのよ私!)

恵美「えっと、あなたの名前は?」




勇者「黒騎士」


恵美「……は?」

勇者「黒騎士って呼んでくれればいいよ、そう呼ばれてるから」

恵美(私は名前を聞いてるんだけど……)



恵美(そう呼ばれてるって事は、そう呼ぶのが一般的ってこと……?)

恵美(役職……いや、騎士はわかるけど黒……つまり特徴と役職を合わせるのがこの世界の風習…なのかしら)


勇者「おーい遊佐恵美~?」

恵美「ひっ!」ブルッ


異様な悪寒が恵美を襲った。


恵美「っま、待って!やっぱそれナシ!」

勇者「うええ!?」


エンテ・イスラも日本も、名字と名前に分かれていたのは共通していた。
そのシステムが無いというのは、違和感しかなかった。



しかし郷に入っては郷に従え、日本で"遊佐恵美"という名前を作ったのと同様に、"こっちの名前"を作る。


恵美(えっと、まず色を……そうね、私は普段赤髪で……役職……だから)


顔を真っ赤にしながら、今作った自分の名前を口にする。










恵美「く、紅の……契約社員」




勇者「……紅の契約社員?」

恵美「う、うん………」




紅。契約。

勇者は初めて魔王と対峙した時を思い出していた。

軟弱な魔王と出会い、歩み始めたあの時を。





―――うっかりだ。そう、許可がない限り触れない。私は契約を重視するタイプなのだ


―――私は長命種で、学者の家系の出だからな。それに純然たる契約主義者でもある


―――騙して契約したくないんだ






―――契約成立だ





勇者「くっ!あっははははははは!!!」

恵美「な、何がおかしいのよ!やや、やっぱりっ」

勇者「いや、かっけぇよ!最高だ!よろしくな契約社員!!」


恵美「色無くなってるし……もうわけわかんない」


勇者「はは!紅の契約社員か!うん!いいな!!あはははははは!!」

恵美「くっ………」


遊佐恵美と呼ばれる方が数倍マシだったと後悔する恵美だった。

今日はここまでです!
書き溜めが尽きそうでヤバイっす!

うーむ、名前に関してはスルーしたほうが良かったっぽいですな
どうしましょうか、今ならまだ修正できそうですけど……

janeの調子が悪くて投下できない…タブが赤くなってログが読み込めませんってなるのはなんだろう
色々してるうちにバイト…
まあ23時頃にはブラウザからでも投下しようと思います

少々お待ちを



勇者「……そういや最初、俺に何しようとしたんだ?」


恵美「……話せば長くなるんだけど……」



―――「『南部諸王国』には『中央大陸』から物資が流れ込んで…」

―――「人間社会は『巨大消費』と『防衛ライン』という面で南部諸王国に依存して……」

―――「つまり『囚人のジレンマ』を超克するには互いの利益が重なるべきであって……」



勇者「……要点をわかりやすく頼む」



勇者は過去に長々と話された経験を活かす。


……


勇者「エンテ・イスラってとこから日本ねぇ……それで日本に降りた時と同じように、この世界の情報を催眠術で聞き出そうとしたんだ」

恵美「ええ…ごめんなさい……」

勇者「もういいよ。エンテ・イスラでは、悪魔が魔力を使い、人間が聖法気を使うのか……なるほどね、それじゃあ魔力=悪魔と思っちまうわな」

恵美「日本じゃ、そのどちらも存在しなかったわ……人間の恐怖で魔力を得られる事ができるらしいけどね」

恵美「聖法気はそうもいかないから、しばらく悩んでたわ」

勇者「ふんふん、なるほどね」


恵美「それで私が一番疑問に思ってることがあってね、その日本の言葉と、この世界の言葉が同じなのよ」

勇者「……たしかに……」

恵美「でしょ?」



勇者「なぜ言葉が同じなんだ…もしかして、文字もか?」

恵美「ちょっと何か書いてみてくれる?」

勇者「わかった。それじゃあ……なんて書こうかな…」ジー

恵美「…なによ」


勇者は恵美をじっと見つめる。そして。


…ガリガリガリ


恵美「……女騎士と同じ」


勇者「うおっ!!よ、読めるってことは、一緒なんだ…やっぱり、その日本っていう国とこの世界は何か通じてるものがあるのかな!?」


文字のチョイスを完璧に誤った勇者。どうして自分から死地へ向かおうとするのか。



恵美「かしらね……それより、これってどういう意味?」

勇者「え?」

恵美「いやほら、同じって、何が同じなの?ねえ?」

勇者「い、いやえーっと……あの……」

恵美「ん?」

勇者「……お、女騎士ってのはさ、かつて一緒に旅をした仲でな!?」

勇者「そ、そいつと契約社員の戦ってる姿が結構似てたんだよ!!」


恵美「へぇ、そうなんだ」


勇者(ふぅ…嘘は言ってない!うん!)


話題を逸らすことに成功して安堵の表情を浮かべる勇者なのであった。




恵美「……遊佐」

勇者「え?」

恵美「遊佐でいいわ、黒騎士さん」

勇者「紅の…」

恵美「ストップ!もうやめて!」

勇者「安定しねーな…じゃあ、遊佐」

恵美「……うん、それでいい……それがいいわ」


勇者「お、おう」



勇者「……俺さ、4人で冒険の旅してたんだ」

恵美「へぇ」

勇者「俺、魔法使い、弓使い、女騎士。」

勇者「女騎士は…弓使いの爺さんとよく喧嘩してたな。勝気で、腕っぷしに自信があって」


恵美「冒険…って具体的に何するの?」

勇者「そうだなー、魔族に襲われた村を助けたり、王様に頼まれた事を……したり」

勇者「ああ、この世界は人間界と魔界に分かれててな、人間界は人間が、魔界は魔族が住んでるんだ」


恵美「魔族……この世界はエンテ・イスラに似てるのかもね……」


恵美「これで王様に頼まれた事が魔王討伐なら」

恵美「あなたたちは勇者一行ね!」



勇者「!!!!」



恵美「て、そりゃないかな……」

勇者「はは……(当たってるし)」



恵美「それにしても、この世界には魔力しか無いのね」

勇者「うーん……俺にとっちゃこの世界で生きてきたからこれが普通なんだけどなあ」

恵美「それもそう……ね……」

勇者「どうした?」

恵美「……魔力しか……ない……」


今になってようやく気付く。一人でこの世界に来たわけではないことを。


勇者「おーい?」

恵美「っ!!!!まずい!こんなことしてる場合じゃなかった!!!!」


恵美(こうしてる間にも、真奥は魔王の力を取り戻して……っ!!)


勇者「どうしたんだ?」



恵美「……実は、魔力か聖法気をつかってゲートというものを開くと、異世界へ行くことができるんだけど……」

勇者「さらっとすごい事言ったな」

恵美「今回私たちは、偶然発生したゲートに巻き込まれちゃったのよ」


勇者「私…たち?」


恵美「そう。ゲートを通ってこの世界に来たのは、実はもう一人いるの」



勇者「……ふむ」

恵美「そいつは元の世界じゃ私の倒すべき敵であり、世界征服を狙う悪党なのよ」



勇者「…なるほど」キッ


勇者は、長らく忘れていた勇者の本分を思い出す。


恵美「それが今は魔力を失ってて、それを私が見張ってたの」

勇者「…え、なんでそのときに倒さないんだ?」

恵美「それは…!ほら!相手が弱ってるのに斬りかかるなんて卑怯でしょ!?」

勇者「まあたしかになぁ……弱ってる相手にってのは俺もしないかな……」

恵美「それに魔力を隠してるだけかもしれないから……毎日様子を見てたってわけ」


ある単語を、勇者は拾う。




勇者「……毎日?」



恵美「ええ、いつ人間に何するかわからないし。今回だってたまたま卵を買いに行く途中に巻き込まれたわけだから」


勇者「ちょっ……と待って?え?卵を買いに行く途中?」

恵美「そうよ。まったく……卵ごときであんなに拘らなくてもいいのに……聞いてよ!アイツったら裏道を通るのに私と一緒じゃないと通れないって言ってるのよ!?バッカみたい!」


勇者「んん!?あっれぇなんか思ってたのと違う!」


非日常と日常が混ざり混ざったわけのわからない会話に混乱する勇者だった。


勇者「…ほんとは仲良いよね?」

恵美「はああ!?違うわよ!!なんでどいつもこいつもー!!」

勇者「どいつもこいつもって……大多数の奴にそう思われてたわけか……」

恵美「と、とにかく放っておけないの!この世界を守るためにも一刻も早く見つけ出して連れて帰らないと!!」

勇者「なるほど……でも、どこに探しにいくんだ?」

恵美「そ、それは……」



勇者「それに君、その聖法気とやらは使い果たしたんじゃないか?戦いの最後、力を出し切った感じがしたが」

恵美「う……まぁ、聖法気については大丈夫よ、これがあるから」スッ


鞄の中からホーリービタンを取り出す。


勇者「……なんだそりゃ」


恵美「聖法気」

勇者「…え?」

恵美「んしょ」カシュッ!


ゴクッゴクッ


恵美「ぷはー!」

勇者「の、飲み物だったのか……」

恵美「エンテ・イスラにいる仲間がね、日本でも聖法気を補充できるよう加工してくれたのよ」

勇者「エンテ・イスラってすげー」



勇者「まあいいや……この世界がなんか…(たぶん)危うい事はわかった。あんまり事情はわからないけど、ソイツの強さは君と同じくらいなのか?」

恵美「私の方が強いに決まってるわよ!!!」

勇者「お、おう」

恵美「でも……悔しいけど、今の状況だとアイツの方が有利ね。私と違って、ここは魔力がたくさんあるから」

勇者「なーるほど……てことは、そいつは悪魔……なのか?」

恵美「そうよ。だから放っておけないのよ」

勇者「……じゃあ俺も手伝おうか?君はその聖法気とやらはソレでしか回復できないけど、俺は魔力を使うからね。ソレ、数に限りがあるんだろ?」


恵美「うん…ありがとう。お言葉に甘えるとするわ」


恵美「……そういえば、私と互角なんて……この世界はあなたのような人がたくさんいるのかしら?もしそうなのだったら心配いらない気がするけど」

勇者「んー…自慢するつもりはないけど、今まで負けたことは無いかなあ」


恵美「……今まで?」

勇者「ああ」

恵美「一度も?」

勇者「うん」

恵美「流石にどこかにはもっと強い奴がいるとは思わないの?」

勇者「んー……そのラスボスまで行ったんだけどなぁ…最弱だったしなぁ……」

恵美「ラスボス…?」

勇者「んあ、まあー…その、宿敵?最強の敵のはずだったんだけどねー」

勇者「弱かったというか、それ以前だったというか……」


恵美「えと、よく分からないけど……あなたが負けてしまったら、この世界は終わりという事かしら」

勇者「……うーん、俺が負ける…ねぇ……俺の他にも仲間が居るしなー…仮にそんな奴が出てきたら教会が黙っちゃいないだろうし」

恵美「教会……この世界にも、教会あるんだ……」


どこまでこの世界とエンテ・イスラ、日本が繋がっているのか、まだ謎だらけだった。


勇者そんなことになっても、アイツがなんとかしてくれそうだ」


恵美「アイツ?」


勇者「あー、まあ頭のキレる奴でな……そうだ!それこそアイツに相談しよう!」

恵美「へぇ、信頼してるのね」

勇者「まあな。頼ったり頼られたり……いい奴なのは間違いないよ」



恵美「どんな人?」

勇者「え?えーっと……」


勇者は魔王のプロポーションを思い浮かべる。

まず、頭。


勇者「君と同じ赤くて長い髪をしてるな」

恵美「へえ!」


徐々に下へ。


勇者「顔はまぁ……美人かな……」

恵美「……女の人だったのね」


そしてそのさらに下は。


勇者「あと……そうだなぁ……でかい」

恵美「え?」



勇者「うん…でかい」

恵美「は?」



恵美(赤髪の女性で巨人なのかしら?なんか嫌……)


勇者「と、とにかく!今からそこに行くか!」

恵美「そうね。お願いするわ……」


勇者「おう。じゃあ失礼」スッ

恵美「ちょっ!」バッ


なんの気兼ねも無しに触れようとした勇者の手から離れる。


勇者「……傷つくなあ……触れないと転移魔法使えないじゃんか……」

恵美「あ、ああ!転移魔法ね!あはは……」

勇者「はぁ……」ピトッ


バシュン!!!



恵美「……あれ?太陽が……」

勇者「ああ、さっきの場所が魔界って言ってな、碧色の太陽で魔族が多く暮らしてるんだ」

恵美「さっきのとこが魔界だったの……」

勇者「対して、ここは人間界。色んな国があって、人の住む世界だ」

恵美「へぇ……」


あたりを見渡す恵美。畑、古い服装の村人、そして後ろには、お屋敷。


恵美(数百年前の日本みたい……)



そしてそのお屋敷の入り口には。



恵美「メ、メイド!?」



メイド長「あら、おかえりなさいませ、勇……黒騎士さま。えっと…そちらの方は?」

恵美(この世界にメイドって居たんだ!あ、でも西洋の金持ちの家じゃメイドや執事は普通だって聞くし……)


勇者「あー、えっとな。話せば長くなるから、とりあえず魔お……学士に相談しようと思ってな」

メイド長「……」ジー

恵美「……な、なにかしら」

メイド長「……赤い髪に異国の服装……ふふっ!お待ちしておりました。学士様の所までご案内しましょう」クルッ

勇者「…お待ちしておりました?」

恵美「ど、どういう事……?」



カツ…カツ…


三人の足音を響かせる屋敷内部の廊下。


勇者「なあメイド長、お待ちしておりましたって、どういう事だ?」

メイド長「黙ってついてきて下さいな」

勇者「えー」


恵美「ねぇ、学士様…って?」

勇者「ああ、そいつがさっき言った頼りになる奴だ」

恵美「なるほど、巨人だからこんなに屋敷がでかいのね……」

勇者「……?」


双方に少しすれ違いが起こっていた。



メイド長「さ、ここです」

勇者「ん?ここって貴族子弟や軍人子弟を育成していた部屋じゃないか」

恵美「……話し声が…?」


「~~~?」

「……!~~!」


中から二種類の声が聞こえてくる。


ガチャ…キィィ…


そろりとドアを開けてのぞく恵美と勇者。



そこには。



真奥「なるほど、需要と供給のバランスというわけか!」



ユニシロの服を着て机に向かっているエンテ・イスラの魔王サタンこと真奥貞夫と。



魔王「その通り!そして国を治める王の役目は、国を豊かにする事!」

魔王「物もお金も流れがよどみなく太い事が"豊か"なのだ!」バンッ!



紅の髪をなびかせ黒板に書かれた図を叩くこちらの世界の魔王が。






教師と生徒となっていた。



恵美「………………」


まさに硬直。そして恵美の存在に気づかず話を続ける真奥。


真奥「じゃあじゃあ!需要が増えて供給が間に合わなくなったらどうなる!?」

魔王「うむ、それはいつの時代でも解決が難しい問題だ!」

魔王「その状態を起こさぬよう予測し、新しい供給を増やしたり、別の供給ラインを確保することが大事だ!」

真奥「……それができりゃーな……」



魔王「…あなたも苦労しているのだな、別世界の魔王殿」



勇者「な、なんだって!!??」バタン!


思わず勢いよくドアを全開にする。


真奥「うお!?あ、よう恵美!と……こっちが?」

魔王「うむ。おかえり」




魔王「勇者!」




ここでようやく恵美の時が動き出す。

高貴な学者を思わせる服装をした女性が発した言葉と、その紅の瞳の先を結びつけて。


恵美「……勇者!?」

勇者「……魔王!?」

今回はここまでっす

みんなでくるくるしよう
?ヽ(・ω・`ノ?
  (ω・`?
  (・`?)
  (?ヽ )
 ?ヽ  )?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(   )ノ?
?ヽ(  ´)ノ?
  ( ´・?
  ( ノ?)
  ( ?´・)
  ?ヽ´・)
 ?ヽ´・ω)?
`?ヽ´・ω・)ノ?

少し投下します



勇者「な、なあ!別世界の魔王ってどういう事だよ!?」

恵美「てか今勇者って言ったわよね!?あなた本当に勇者だったの!?」



真奥「だーーーー!!うるせえ!!」



勇者「な…」

恵美「……」


真奥の喝で静まり返る。
そしてそれを利用して、この世界の魔王がまとめる。


魔王「……お互い自己紹介から始めるとしようか!」






ついに、異世界の勇者と魔王同士が揃った。



魔王「私は"この世界"における、第四十三代魔王“紅玉の瞳”だ」

真奥「えー、続きまして。エンテ・イスラ出身の魔王、サタン・ジャコブ。日本では真奥貞夫だ」


勇者・恵美「「ま、魔王!!??」」


双方とも、異世界の魔王を凝視して驚愕する。


恵美(こんな本当に昔の貴族みたいな人が、この世界の魔王!!??)

勇者(遊佐の言ってたもう一人の悪魔ってコイツか!ってか魔王!?こんな奴が!?いやそれはうちの魔王にも言えるけど!!)



真奥「……ほら、魔王組は自己紹介終わったぞ。勇者組もさっさとしろ」


しばらく固まっていた二人に痺れを切らした真奥貞夫が促す。


恵美「うあ……お、同じくエンテ・イスラ出身の勇者、エミリア・ユスティーナ。日本じゃ遊佐恵美という名で通してるわ」

勇者「あ、あんたも勇者だったのか!?」

魔王「こら勇者!!」

勇者「うお、すまん……俺は"この世界"における勇者だ。まるで勇者一行って言ってたな?大正解だよ」

恵美「本当に……この世界にも勇者と魔王が……」





魔王「よし…こんにちは、異世界の勇者殿」ニコッ


魔王は笑顔で恵美に近づき握手を求める。





が、その動作により振動を受けた特大メロンが存在をアピールし始める。



魔王「よろしく!」ぽよん

恵美「………………」



開いた口が塞がらない。



魔王「…ん?どうしたのだ?」ぷるん


顔を覗き込む魔王。それによりさらに大きく揺れる。


恵美「こっ…」

魔王「こ?」たゆん





恵美「この駄肉が!!!!!!!」

魔王「何故キレる!!??」ガーン!

メイド長「ほう!」キランッ


メイド長は何かを悟ったようにメガネの位置をくいっと直す。


恵美「そこまで行くと駄肉よ!!ハッ!!私の勝ちね(?)!!!やっぱり魔王は勇者には勝てないのよ!!」


恵美の中の何かが壊れたようである。


魔王「何故私は嫌われたのだ……そしてやはりコレは駄肉だったのか……」うるっ


勇者に精神的攻撃を受け涙目の魔王。


真奥「おい恵美!こっちの魔王さんを泣かしてんじゃねぇ!!」

恵美「うるさい!!」

真奥「あ、なんかすまん」





恵美も涙目だった。



メイド長「さて、盛り上がってる最中申し訳ありませんが皆様、ここではなんですから応接間へご案内致します。お茶や菓子を用意してありますので」

真奥「おお、メイドってすげーな」

メイド長「ほう、さすが異世界の魔王様。わかりますか」ニヤッ

真奥「当然だ。主人の動向を観察し、邪魔をせず、かつ場の切り替え・フォローも忘れない。俺の側近もそれなりだが、あんたは完璧だな…うちの軍にも欲しいぜ…」

メイド長「残念ながら私は既に雇われ済みですので……」

真奥「んあ、わーってるよ…ん?」


勇者「……よろしく異世界の魔王…なんだか変な感じだ」


笑って真奥の隣で手を差し出す。


真奥「ああ、よろしく異世界の勇者……本当に不思議な感じだな」グッ


恵美とは違い、きちんと丁寧に返す真奥だった。



魔王「でも嬉しいな勇者。私たちのように魔王と勇者が手を取っていた世界があったとは」

勇者「全くだ」


勇者の隣に行って歩幅を合わせる魔王……若干、恵美を避けて勇者の体に隠れていた。


真奥「手を取り合ってるってわけじゃないし、今でも敵同士だけどな。その点あんたらは完全に打ち解けてるからすげーよ……」


魔王「おい、褒められたぞ!!」むにゅ

勇者「ぐあ…ち、近いって!」カァァ

恵美「死ねばいいのに」


勇者の腕を取り、嬉しそうに見上げる魔王。
そんな二人はいちゃつくカップルにしか見えなかった。

ここまでっす~

書きながら&見直しながらなのでゆっくり投下しようと思います。
この先勝手な解釈により矛盾が起きるかもしれませんがご容赦ください。






メイド長「ここです。どうぞ」ガチャ


ギィィィ…


と、ドアを開けた先に居たのは、またしてもメイドだった。


メイド姉「初めましてお客様、私はメイド姉と申します!以後お見知りおきを」ペコッ

真奥「ぅぉおお…なんか感動だ……よろしく!」

恵美「あ、適当に座っちゃっていいのかしら」

メイド姉「はい!どうぞ空いているお席へ!」


恵美「……なんか、本当に西洋のお屋敷みたいね……」


辺りをキョロキョロ見渡して感想を零す。

恵美の隣には真奥、対面に勇者、そして魔王が座った。


コトッ

メイド姉「熱いのでお気をつけください」

真奥「ん、ありがとう」ニコ

メイド姉「…どうぞ」

恵美「どうも」


魔王「よし、下がっていいよメイド姉」

メイド姉「はいっ」ススッ


ガチャッパタンッ


魔王「それではこちらの世界について、真奥殿には途中まで話してあるが勇者達のためにも、もう一度最初から話そうと思う」




魔王「この世界は人間界と魔界とに分かれていてな、人間界はこのとおり人間の暮らす世界で」

魔王「魔界は魔族の暮らす世界だ。ま、例外はある……私が人間界に居るようにね」


恵美(エンテ・イスラも同じ……悪魔と人間の土地は分かれていたけど、悪魔が侵攻してきて……)チラッ

真奥「……」


恵美はその悪魔を侵攻させた張本人を横目に、話に集中していた。


魔王「当時は乱世だった。人間界の人々は疫病と飢餓に苦しみ、魔界は氏族同士の争いに明け暮れていた」

魔王「だがしかし人間界と魔界の戦争が始まって、人間界では王国が団結して連合を組んだ」

魔王「魔界は氏族同士の争いを一旦取り止め、人間界との戦争に集中した。それが16年前の事だ」


魔王「結果、人間界は物資の流通が良く渡り、魔界には平和が訪れた」



恵美「そんな!!戦争が世界を救ったとでも言うの!?」

魔王「おお!さすが異世界といえど勇者だな!うちの勇者と同じ事を言う!!」

勇者「はは……俺はこんな感じだったのか」


恵美に嫌われていた事も忘れ興奮する魔王。勇者はまるで過去の自分を見ているようだった。


魔王「……この戦争はこのままだと終わる。人間か魔族、どちらかの勝利を以って。」

魔王「しかしその道は滅亡への道でしかない。どちらかが勝っても敗者を虐げ」

魔王「人間が勝てば人口が増え、また飢餓による死者が増える」

魔王「魔族が勝てば、人間の土地をめぐってまた争いが起こる」

魔王「……そんなもの、何の解決にもなっていない」



真奥(……エンテ・イスラも…)


恵美「……」

勇者「……」


魔王「……遊佐恵美殿」

恵美「なっ!なによ…?」




魔王「勇者として旅をしていたとき、『この丘の向こうに何があるんだろう?』って思った事はないかい?」


勇者「魔王……」



まるであの時を再現しているかのように微笑み、話しかける。



恵美「そりゃ……あるわよ」

魔王「そうだろう!?"勇者"だものな!!」

恵美「う…」





魔王「……だから私は、勇者と契約したんだ」




魔王「丘の向こうを探しに」


魔王「この戦争の先に行くために。『別の結末』を迎えるために」


魔王「勇者の力が……いや、勇者がどうしても欲しかった……」


恵美「……そっか」


勇者「そして俺は、魔王のものとなったんだ」

魔王「む、私だって勇者のものなんだからな!」

勇者「相互所有契約、だっけか」

魔王「うむっ」



勇者「とまあこんな感じで……」



恵美・真奥「……」じー


勇者「っておい!なんだよその目は!!さっきまでシリアスだったじゃねぇか!!」


恵美「なるほど、誘惑に負けて寝返った勇者が居たという事ね。私も気をつけないと」

勇者「誘惑ってなん……別におっぱいの為じゃないからな!?」

恵美「どーだか」ジト

真奥「……お、おっぱいて…」



魔王「それで私達はまず飢餓の解決に向けて動いた。それが、新しい農作物と農法の改善だ」

恵美「…なんか一気に地味になったわね……」

真奥「今更農法の改善って……数百年前の日本みたいだな」

恵美「!!っそう!そうなのよ!人間界の見るもの全てが昔の日本そっくりなのよ!」ガタッ

魔王「ふむ……日本……か」

恵美「それにほら!言葉も文字も同じっておかしいと思わない!?ここは異世界のはずよ!」

真奥「そうなんだよな……」



魔王「…もしかして……」

勇者「何か分かったのか?」






魔王「私が思うに、"日本"はこの世界の、『別の結末』なのではないかと思う」


勇者「……なんだって!!??」ガタッ!

恵美「…日本が?」

魔王「うむ、推測に至る点が2つあるんだ」



魔王「まず一つ。その言葉と文字についてだ。」

魔王「言葉と文字はその世界が培ってきた文化のはず。それがまったく同じという事は……」

魔王「…日本は、この世界をベースに、魔界・魔王・勇者の無い方向へと進んだ結果なのだと思う」

魔王「……もしくは、この世界がその日本から分岐した結果か……」


真奥「……日本に、魔王と勇者を描いたゲームがあった」


魔王「…そう。日本という世界は……"魔"を……空想上の出来事としてしまう事で」

魔王「"魔"を根源的に否定し、消し去った……」


恵美「そ、そんな事が……」




全員の視線は全て魔王に集まり、静寂が場を支配していた。





魔王「そしてもう一つ」



魔王「勇者達が来るまでの間、真奥殿と話し合っていたが…」




魔王「恵美殿、何故真奥殿が本来の姿になれていないかお分かりだろうか」


勇者「え?」

恵美「……あっ!?」


恵美はようやく気づく。真奥が"魔王"の力を取り戻していると確信していたからこそ焦っていたというのに。




恵美「どうして……」

真奥「……んー…なんか違うんだよなぁ……」

恵美「違う…?」

真奥「ああ。魔力がそこら中にある気がするのに、吸収できないんだよ。この件は結局分からないまま話を終えたけど……分かったのか?魔王さんよ」


魔王「うむ」


勇者「……それが何で、推測に至る点の二つめになるんだ?」

魔王「勇者。この空気中にあるのは何だ?」

勇者「え?……"魔素"だけど」

真奥「"魔素"?」

魔王「私もね、あなたの言う"魔力"とは"魔素"も含むのかと思っていたよ」



恵美「でっでも……そこの"勇者"は魔力を使っていたわよ?」

魔王「私達にとっては当たり前の事で気づくのに時間がかかったんだけどね」


魔王「こちらの世界の住人は…"魔素"を変換して魔力を作っているんだ」

勇者「……それは初めて聞くぞ魔王」

魔王「すまん、私もまだ確証しているわけじゃなく、あくまで推測の域なんだ……」


真奥「……魔力のさらに前の状態という事か?」

魔王「そういう事だ。"魔力"の状態ではない故に吸収の適用外となっているのだと思う」

真奥「っつーことは…!」

魔王「察しが良いな……そう」





魔王「日本では、人の恐怖により魔素が変換され魔力が発生するとみた」

ちょっとここまでっす
また書き溜めできれば投下します

ニコニコですいません
>>147から
http://www.nicovideo.jp/watch/sm21269842?from=360
をBGMとするとそれっぽい雰囲気が出るかもしれません

……個人的にですが。

もう少し投下していきます



恵美「ちょ、ちょっとまってよ!それってその魔素が日本にあること前提じゃない!さっき"魔"は根源的に消し去ったって!」

魔王「そうだ。"魔"を否定し、消し去る事には成功した……しかし魔の素、魔素までは認識できなかったのだと思う」

恵美「……日本にも……魔素が……?」




メイド長「……」チラ

魔王「…ああ、少し休憩にしよう」



張り詰めた空気が動き出す。深呼吸する者、椅子に座りなおす者、背伸びする者。



ガチャ


メイド妹「よいしょ、よいしょ」


メイド妹が両手で持つ大きめのバスケットの中には、リンゴパイと洋ナシパイが山積みにされていた。
ベストなタイミングで来たのはそもそもメイド長の指示であり、近づくメイド妹を感じ取って魔王にサインを送っただけなのであった。



恵美「うわ、こんな小さい子までメイド…?」

勇者「……そいつはメイド妹。さっき茶を淹れてくれたメイド姉の妹なんだ」

恵美「へぇ…学校は?…っと、この世界には無いか……」

メイド妹「どうぞ!おいしいよ!私が焼いたんだよー!!」

真奥「おう!ありがとな…ん?」

魔王「凄いんだよ。このリンゴパイと洋ナシパイはこの子が発案したものでな?将来化けるのでは無いかと思うと胸が躍るよ」

恵美「へぇ~…」


そんな胸など躍らせなくて良いなんて思っているのはこの中で恵美唯一人だけであった。


メイド妹「おねーちゃんもどーぞ!」

恵美「ありがとう。偉いわね」

メイド妹「えへへー」


真奥「……なあ恵美」

恵美「なによ?」

真奥「この子さぁ……」


真奥「誰かに似てないか?」

恵美「はぁ?」

真奥「うーん……」



――「真奥さんっ!」



真奥「……ちーちゃんだ!!!!」

メイド妹「?」

恵美「え、そう?」


メイド妹「どうしたのおにーちゃん?」

真奥「ほら!!」

恵美「……うーんちょっと無理があると思うんだけど」

魔王「何の話をしているのだ?」

真奥「この子の声、日本での知り合いに似てるんだよ!」

魔王「へぇ、それは珍しいな」


恵美「私はそうは思わないけどね」

真奥「そんなことねーって!なぁ、遊佐さん…って言ってみてくれないか?」

恵美「ちょ、何で私」


メイド妹「…ゆささん?」


恵美「……ほんとだ、千穂ちゃんが幼くなったらそんな気がするかも……」

真奥「な!?ちっちゃいちーちゃんだろ!?」


メイド妹「あのぅ、あついうちに食べないとおいしくないよ?」

真奥「おあ!ごめん!」

恵美(こんな小さい子に叱られる魔王……)


………

……




魔王「さて、そろそろ話を戻そうか」


メイド長「メイド妹、下がっていなさい」

メイド妹「はーい!ばいばいおねーちゃん、おにーちゃん!!」タタタ…

真奥「おう!めっちゃうまかったぞー!」

恵美「とても美味しかったわ。またね」

メイド妹「えーっと、どういたしまして!えへへ!」


ガチャ……パタン!




真奥「人の恐怖により魔素から魔力に変換……だったな」

魔王「うむ」

寝ちゃってた……ここまでっす!



魔王「…まあ、"魔素"が"魔力の素"というこちらの前提に基づいた推測だ」

魔王「これが正しければ……この世界と日本という世界は……大昔に分岐した、一つの世界だったのかもしれない」

魔王「そして、『別の結末』……日本こそが、"丘の向こう"なのかもしれない」

恵美「……確かに日本は…高度な文明で、飢餓なんてありえない、幸せな世界だったわね」



真奥「……なあ、あんたたちは日本に行きたいと思うか?」

恵美「真奥……?」



突拍子も無く真奥が訊いた。日本が丘の向こうだと言うのなら……

一緒に日本に来れば良い……なんて事を考えていた。



しかし。



勇者「いいや、思わない。一目見てみたいとは思うけど」


魔王「うん、そうだな。私達は"この世界の丘の向こう"を探してるんだ」

魔王「日本に行ってしまえば……私は満足するかもしれないが、それは単に逃げただけだ」

魔王「私はこの世界の"魔王"なのだ。私がこの世界を導かねばならないんだ」



真奥「……凄いな。あんた達は」


真奥は俯く。なぜなら彼は……"逃げた魔王"だから。

エンテ・イスラから日本に"逃げた"。

魔王のこの言葉は、いずれ必ずエンテ・イスラに戻らなければならない事を強く意識させられた。



魔王「そちらの世界は……その、何故戦争を?」

恵美「……」

真奥「……俺は……」


恵美「……」


恵美はずっと気になっていた答えがここで聞けるのかと、真剣に真奥の顔を見つめていた。

何故悪魔に侵攻されなければならなかったのか。何故――。


しかし、その答えを聞く事はできなかった。


真奥「……」

魔王「言えない事ならば無理しなくとも良いよ。私達とは異なる世界なのだから、私の思想を押し付けるつもりは無い」

真奥「……すまん」


魔王「…そういえば、ゲートに巻き込まれて来たのだろう?帰りはどうするのだ?」


真奥「そりゃー恵美に任せるしかないな。俺は魔力の回復できないんだから」


恵美「…………」

真奥「あれ?恵美?」



真奥「……まさか……」

恵美「あ、えっと…そのー」ダラダラダラ


言えない。勘違いの為に本気で戦っていたなどと――


勇者「ああ、遊佐が始めてこの世界に来たときさ、色々あって俺と戦ったんだよ」


言われてしまった。


魔王・真奥「「ええええええ!!」」


勇者「その時聖法気使い果たしたって言ってなかったか?」

恵美「……えっと」



真奥「なにしてんだよ恵美!!日本でもそこまで使ったこと無かったろ!?」

恵美「……っあーもーうるさい!!明日になれば……あ」


ここで重大な事に気づく。恵美は真奥に対しホーリービタンで聖法気が補充できる事を隠している。
つまりこの世界に聖法気が無い以上、回復できてはならないのだ。


恵美(余計な事言ってくれたわねこの勇者!!)


真奥「ヤバイヤバイヤバイ!!明日からのバイトどうすりゃいいんだ!!!」

恵美「……け、結局そこが心配なのね……私も仕事あるんだけど……」


結構深刻な状況であるはずなのに、なぜか拍子抜けてしまう。


魔王「……帰れない……のか?」

恵美・真奥「「………」」


……その一瞬の沈黙から、



バシュンッ!!!


魔王「うひゃあ!!!」
勇者「うおっ!!!」
恵美「きゃああああ!!」
真奥「な、何ぃいいい!?」



ソレはテーブルの上に、いきなり現れた。



「呼ばれて無いけど私、さんじょう」



トンガリ帽子にマント。身長と同じくらいの長さの杖。

マントに包まれた寒色の服と水色の髪。

半開きになった眠気のとれていない表情とその声のトーンから。


勇者はかつて共に旅をしていた仲間の名前を叫ぶ。




勇者「女魔法使い!!」



女魔法使い「やっほぅ、どうも初めましてエンテ・イスラの魔王と勇者さま」

真奥「え、あ、初めまし…て?」

恵美「女魔法使いって…勇者一行の!?」



魔王「女魔法使い殿!どうして……」


魔王が驚愕しているのは、いきなり現れたからではない。

何故"エンテ・イスラ"からの客人であることを知っているのかである。


女魔法使い「勉強不足、魔王。数ある世界のうち、魔王と勇者が消えた世界はいくつかある」

女魔法使い「そしてさらに未完結の世界は13。その中の一つだよ、エンテ・イスラは」



次から次へと驚きの言葉を発していく。



魔王「……"外なる図書館"か」

女魔法使い「そう。魔界で勇者と別世界の勇者がやり合っている時に解析した」

女魔法使い「結果、別世界の勇者の持つ力はエンテ・イスラの世界のものと判明」

女魔法使い「今に至る」



勇者「……とりあえずテーブルから降りろよ……」

エミリアってゲート開けたっけ?



女魔法使い「よっと」ふわっ

スタッ

女魔法使い「問題は、そちらの魔王が魔力を補充できない為に"ゲート"を生成できない点」

女魔法使い「ならばできるようにするまで」

魔王「まさか…」


女魔法使い「簡易魔力変換装置」ピラッ


懐から取り出したのは、なにやら難しい文様が描かれたお札だった。


女魔法使い「これを使えば、魔素を魔力に変換できる」

勇者「そんなものいつの間に……!」

女魔法使い「それは来たる日の為に……おっとこれは内緒だった」

勇者「え?」



女魔法使い「まあとりあえずやってみればいいよ」ピト


真奥「……あの」

恵美「ぷっ!」


女魔法使いが札を真奥にとりつけた。……額に。さながらキョンシーのごとく。

その姿は非常に間抜けとしかいいようがなく、恵美が噴き出すのも仕方なかった。



女魔法使い「あ、やばい」ボソ

勇者「え?」


何かを思い出したように呟いた。


瞬間。


ゴゴゴゴゴゴッ!!


全員「「「うわっ!」」」


女魔法使い「間違えた、強力だから人間界で使うと悪影響が出る」

真奥「それを先に言えよ!」ピッ!


ゴゴゴ……


真奥「でも魔力が回復できたのがわかる。これなら簡単にゲートを開けそうだ」


一瞬だったため、元の姿に戻るまでには至ってないようだ。


勇者「とりあえず、魔界でやれってことか……」

真奥「……なあ、コレもっとあるか?」

恵美「あったとしても私が阻止するわよ。ソレも、用が済めば切り刻むから」


これさえあれば日本でも魔力の回復ができる。
しかしそれだけはさせない恵美だった。



……ダダダダダ!


誰かが走って屋敷内を走ってくる。


真奥「また新顔か…」


先ほどのメイド、という線は無い。
客が居るのにこんなに床を鳴らすのはメイドとしてダメだろうと推理したからである。



ガチャッ!



女騎士「大丈夫か勇者!!……あ」



真奥「……初めまして」

恵美「…こんにちは…あはは……」



かくかくしかじか。



女騎士「へぇ!異世界から!すごいな……」



恵美「……」ジー


恵美の目線は……もう言うまでもない。

しかし、その目線に女騎士も気づく。


女騎士「……あなたも、勇者なのか」ジー

恵美「……え、ええ……」ジー


お互いに何かを感じ取る。



恵美「よ、鎧とか安く作れますよね!!」

女騎士「おお分かってらっしゃる!!その通りだ!!」


女騎士「……」

恵美「……」


女騎士「無駄な脂肪は!!」クワッ!

恵美「駄肉!!!」クワッ!


恵美「よろしく女騎士さん!!!」ガシッ

女騎士「ああ!!よろしく恵美殿!!!」ガシッ

魔王「こ、この我も仲間に入れて…」

恵美・女騎士「断る!!!!!」



勇者「なんかいきなり意気投合したぞ」

魔王「何故私は嫌われているのだ…?」

真奥「……」

今日はここまでっす。正直コレがしたいためだけにスレ立てたも同然です。すっきりしました。

>>181
魔王を倒すと帰るための聖法気が無くなるって言ってるから開けるはず

ありゃそうだったか

ちょっとというかかなり忙しいので更新は来週になりそうです…

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こんばん

23時くらいに投下します。お待たせしました…
でもまだ最後までかけてない…



女魔法使い「んじゃ、集まれー。魔界に転移するよー」

真奥「あ、どもども」

恵美「よろしくお願いするわ」

女魔法使い「……んー」

真奥「……?」

恵美「……?」


女魔法使い「転移しづらい、もっとくっつけ」

恵美「えっと、こうかしら」スッ


女魔法使い「違う、私にじゃない。そっちの魔王に」


真奥「は?」

恵美「ちょっ!」


女魔法使い「早く」


恵美「っ!」ギロッ!

真奥「俺悪くないだろ……」


理不尽な恵美の睨みに反抗する。


恵美「こっの……」ピト


背中合わせ。しかしさらに……


女魔法使い「だめだめ。腕組んで」


恵美「くっ……こうかしら……って!!絶対必要ないでしょ!!!」


女魔法使い「バレた…」

勇者「女魔法使い、あんまり遊ぶなよ…」



女騎士「では別世界の皆様、縁があればまた会おう」

勇者「あれ、女騎士は魔界まで来ないのか?」

女騎士「行きたいところだが、実はあんまり時間が無いんだ。村の子供に剣術を教えていた途中でな」

女騎士「あの地震があってここへ駆けつけたからな」

真奥「へぇ……」

恵美「大変だけど楽しそうね」

女騎士「まあね。じゃあ、そういうわけで」


そう言ってそそくさと出て行くのだった。




……


ー魔界ー



バシュンッ!!


真奥「おお、俺は魔界初めてだ……すげー!太陽が緑色だ!」

勇者「……一応、魔王なんだよな?」

恵美「ええ、魔王よ」

魔王「もう怖い魔王というのも時代遅れなのかもなあ!はっはっは!」


勇者「…そうだ、あんたらの世界も、悪魔……と人間は敵対してるんだよな?」

恵美「そうね」

勇者「なら、帰っちまう前にいい場所を教えてやるよ」

魔王「勇者?」

女魔法使い「……開門都市を見せるの?」

勇者「ああ」


真奥「開門都市?」

勇者「見ればわかるさ。多分びっくりすると思うよ」


勇者の顔がニヤつく。どう反応するのか楽しみで仕方ないといった具合に。


魔王「確かにあそこは良い所だ……」

恵美「なにかしら」

真奥「うおー気になる!芦屋ぁあ!ちょっと寄り道させてくれぇええ!!」


空に向かって叫ぶ真奥。届くわけがないのだが、とりあえず報告しておく。





――そして開門都市の入口に佇む魔王・勇者ら5人。



恵美「魔界の中に…街?」

勇者「ああ。ここは元々魔族の街だったんだが、人間が戦争により勝ち取った所だ」

恵美「へー、やるじゃない」

魔王「そのかわり、人間界の領土も魔族側に一つ取られた」

真奥「あらら」


勇者「……なあ異世界の勇者。あんた…もし人間側が戦争に勝った時……悪魔とやらはどうなる?」

恵美「私の世界の話?言っとくけど、もう人間界側が勝ったのよ」


勇者「……あれ!?そうなのか!?」

真奥「ぁーそーだ。んで俺はゲートを通って逃げて、力を蓄えてるトコ」


勇者「悪魔ねぇ……結構掃討されてると思うわよ?」

真奥「……」


勇者「…そっか。いやここもな?最初は人間が魔族を虐げてた」スッ


話を区切って歩き出す。

全員その後に続いて開門都市に入る。





恵美「えっ」

真奥「…まじか」


目の前に広がる光景。それは、姿形の違う魔族と人間が普通に出歩く光景だった。


勇者「こっちだ。ついてきてくれ」


さらに奥へと進んでいく。


ちなみに勇者はまた漆黒の鎧を着ていた。この街では勇者だということを隠しているからという事だった。



……


勇者「よし」


そして、とある店に入っていく。



カランカラン

魔族娘「あっ黒騎士さま……」

店主「おっ!よう鎧の兄ちゃん!今日はダブルデートかい!?」

勇者「そんなんじゃないって!…適当に頼むよ。あ、今日酒は無しで」

店主「なんでぇ!仕方ねぇな……おい魔族娘!そこのミルクを人数分出してくれ!」

魔族娘「はいただいま!」カチャカチャ



魔族娘「…どうぞ」コトッ


恵美「……」

魔族娘「?」


真奥「……これが、見せたかったもの…か?」


勇者「ああそうだ。ここが……人間と魔族が暮らす街、開門都市だ」


恵美「そんな……」

勇者「まだこの街だけだけどね。この戦争の着地点をしっかり探せば、世界がこうやって仲良くできる日が来るかもしれない」


魔王「そうだな。これもまだ見ぬものの一つだ。恵美殿、話せば分かる悪魔も居るのでは無いか?」



恵美「……簡単に言わないでくれるかしら……」


恵美の父は悪魔に殺されている。最近は真奥達の言動により初期の憎しみは心の隅に追いやったものの、消えたわけではない。


真奥「恵美……」


魔王「……いやすまない、無理強いをしてしまったかもしれない」

勇者「…俺も、魔族を単に敵だとしか思っていなかったんだ」


魔王「しかし考えてみてくれ恵美殿。あなたはもう実際に話せばわかる悪魔に出会っている」


魔王は真奥に目線を向ける。


恵美「……話せば…ねぇ」

魔王「そしてこれは真奥殿、あなたにも言えることだ。人間とちゃんと話し合っていれば…また別の結果があったかもしれない」


真奥「……かもな」



魔王「っと、言いたいことはこれで合ってるか?勇者」

勇者「はあ、俺のセリフぜーんぶ持っていきやがって」

魔王「はっは!勇者の考えていることなどお見通しだ!」



店主「……嬢ちゃんはあの話し合いには入らないのかい?」

女魔法使い「別に。まお…学士が居れば全部話が終わるから」

店主「そうかい。…おかわりは?」

女魔法使い「あ、どうも」


恵美「……もし、もしもよ?」


恵美「エンテ・イスラでの魔王があなたで、こちらの世界の魔王がサタンだったら……どうなってたのかしら」



真奥「そうだな……こっちの世界で魔王だったら……まず氏族とやらを真っ先にまとめるなぁ」

魔王「……各氏族もそれぞれの思う所があるんだ。難しいぞ?だから今までまとめきれてない」

真奥「氏族って…まあこっちでいう悪魔の種類みたいなもんだろ?そんなの魔王としての力を示せば従ってくれるんじゃ無いのか?」

魔王「ぐ…そうだな……魔王としての力を示せば…うん…まあ…そのとおりなのだがな……」

恵美「……あ、魔王としての信用が無いってことね」


魔王「やっぱり恵美殿は私の事嫌いなのだな!そうなのだな!?」


勇者「いや実際、人間を完全に敵視している氏族と元々友好的な氏族が居る時点で難しい問題なんだよな」

真奥「よくある問題だな」


真奥「……まあ少なくとも女同士だったら相互所有契約とやらは流石にしないんじゃないか?」

勇者「ははっ、確かに。それに俺も魔王が男だったら、話も聞かず遠慮なく戦っていたかもな」

恵美「私じゃなければ、真奥がこの世界を支配してしまっていたかもしれないのね……」



この恵美の言葉が、後に壮絶な戦いを引き起こす……



魔王「まあそれは無いな」

恵美「え?」

魔王「うちの勇者は強いんだ。力vs力なら勇者が勝ってしまうだろうね」


真奥「えらく強気だな?そっちの方が強いと決まったわけじゃないだろう」



話がおかしい方向に行っている事に気づいているのは、カウンターでミルクを飲む女魔法使いだけだった。

しかし止める気はさらさら無いようだ。むしろ悪化するのを楽しんでいるようにも見える。




魔王「真奥殿?…先ほどの言い方だと、真奥殿はこちらの勇者より強いと言っているように見受けられるが?」

真奥「……こっちだって魔王なんだ。それくらいの自信は持ってるぜ」


魔王「……ふむ」


勇者「あれ?なんだこの雰囲気」

魔王「勇者」

勇者「はい!」








魔王「魔王を討伐してこい」

勇者「!?」



恵美「ちょっと何言って…」


女魔法使い『まあそんな胸の勇者が勝つような魔王は相手にならないかもしれんね』

恵美「は?」


勇者「え?ちょ、今の俺じゃな…」


ここで女魔法使いは燃料を投下した。その効果は……



恵美「……真奥」

真奥「…なんだよ」

恵美「今、この場だけ応援してあげるわ。勇者を返り討ちにしなさい」

真奥「うええ!?」

魔王「ふふん、私は勇者を信じている!行け勇者!!」

勇者「待て待て待て!!」



魔族娘「あのぅ……いつも助けてもらってて申し訳ないんですけど……騒ぐなら外でって店主が……」

今回はここまでっす!



時は先の出来事から10分後。

開門都市からまたかなり遠くに離れた荒野に、転移時の閃光と音が出現する。




魔王「さあやれ!やってしまえ勇者!!」

恵美「真奥、負けたらそのまま止め刺すから」



勇者「…なあ、本当にやるのか?」

真奥「……まあ俺も、あんたの実力が気にならないわけでもない」ピトッ


額に貼ったのは女魔法使いからもらった札。



…ゴオオオオオオッ!!



瞬間、赤黒いオーラのようなものが真奥の周囲を取り巻く。


魔王「おお……」


勇者「女魔法使い……お前俺の声でわざと…」

魔法使い「だって異世界の魔王と勇者が戦う事なんてそうそうないし」


勇者「やっぱりか…あーもー!やってやるよ!どうなっても知らないからな!!」




……


真奥「……」


ようやく魔力の奔流が収まり、真奥の姿があらわになる。
2メートルはあろうかという大男。筋肉隆々、欠けた角、蹄の足。



勇者「うわ、貫禄っつーか……すげー魔王っぽい」

魔王「む、悪かったな魔王っぽくなくて」

勇者「うっ……まあでも、魔王が魔王っぽく無かったからこそ今の俺達があるわけで」

魔王「はあ、嬉しいような悲しいような……」



勇者「まあいいや、じゃあ……ってなんで泣いてるんだ!!??」




真奥は直立不動のまま、一筋の涙を流していた。






その理由。




真奥「服脱いでからにすればよかった……」


サタンとしての体は、真奥が着ていたユニシロの服をことごとく引き裂いて筋肉の主張をしていたのだった。



真奥「ちくしょうちくしょうちくしょう俺のバカ俺のバカ俺のバカぁぁああああああ………」

勇者「……」


さっきまで威厳を見せていた真奥だったが、それは一瞬で消え去った。

その巨漢は情けなく地面に崩れ、頭を抱えていた。



勇者「まあなんだ、その…どんまい?」

真奥「うう……次のセールはいつだっけ……」

魔王「魔王だよなぁ?」

恵美「魔王ね」


真奥はサタンに戻るたびに来ている服を破いている。唯一大天使サリエル戦のみ、事前に脱いで回避していた。
……そのときはバイトの制服を着ていたからこそ危機感が違っていたのかもしれないが。

とにかく今回は、勝手にサタン化したのならまだしも、サタン化するのがわかっていたのだから回避できたこと。
それが真奥の精神に甚大な被害をもたらしていた。



勇者「まあまあ、服なんてまた買えばいいじゃん!」

真奥「……なんだと!お前魔王城の財政状況を知ってて言ってんのか!ぁあ!?」

勇者「そ、そこまで怒ることか?」



女魔法使い「……ひらめいた、そちらの魔王が勝てば生活に必要なものをできるだけ譲渡すればいい」



真奥「…ほんとか?」

女魔法使い「うん。尚、その物資は勇者から調達するものとする」

勇者「ぅぉおおおおおおおおい!!だから勝手に進めるなって!!!」


真奥「よし……さあ勇者よ……かかってこい!!」


再び魔王のオーラを醸し出す真奥。


勇者「あんた今更かっこつけても遅いからな!?」


魔王「勇者、がんばれよ!冬は寒いぞ!」

勇者「え、マジで俺の服とられるの?」



異世界の魔王と勇者が対峙する。そしてすこし離れた所で恵美、魔王、女魔法使いが観戦する。
流れ弾に関しては女魔法使いが防御結界を張っているから安全とのことらしい。


魔王「すまないな、女魔法使い」

女魔法使い「貧弱魔王だから仕方ない」

魔王「むぅ…」

恵美「どうもありがとう。今の私はその、聖法気が無くて……」

女魔法使い「……そんな風には見えないけど」

恵美「えっ!」ドキッ


鋭い。聖法気が補充できることがわかっているかのようだった。


女魔法使い「まあいいか」


が、女魔法使いはそこまで詮索する気は無いようで、これから始まる戦いの方に興味津々の様子だ。

短いですが今回はここまでっす

ちょっと着地点模索中ですのでもう少しお待ちを……申し訳ない

真奥はゲートを通ってこちらの人間界に落ちたのかな?
魔王とどんな風に出会ったか知りたいなー

>魔王「…あなたも苦労しているのだな、別世界の魔王殿」
その苦労が統治者でなくて時間帯責任者のモノだという…

真奥はゲートを通ってこちらの人間界に落ちたのかな?
魔王とどんな風に出会ったか知りたいなー

>魔王「…あなたも苦労しているのだな、別世界の魔王殿」
その苦労が統治者でなくて時間帯責任者のモノだという…

真奥はゲートを通ってこちらの人間界に落ちたのかな?
魔王とどんな風に出会ったか知りたいなー

>魔王「…あなたも苦労しているのだな、別世界の魔王殿」
その苦労が統治者でなくて時間帯責任者のモノだという…

連投になってすみません




勇者「……加速呪」



――意外にも、勇者が先に動いた。


真奥「……」ピクッ

真奥の懐に飛び込み、剣を振りぬく。
当然全く本気ではない。万が一致命傷を負わせてしまうのは魔王といえどいただけない……





という考えは完全な甘い考えであり、すぐに考えを改めることになった。


フッ

勇者「っ!!!」

真奥「あんまり舐めないでもらおう」ブゥン


この突撃で、勇者が全く本気では無い事を悟った真奥。
勇者の背後に瞬間移動した真奥の後ろには魔法陣。拳の威力を高めて灸を据える。


真奥「むんっ!!!」ドゴォッ!!

勇者「ぐがっ!!」


まともに受けてしまった勇者は、まるでパチンコ玉のように吹っ飛ぶ。
しかしすぐに体勢を立て直し、地面と摩擦を起こしながら次の戦闘に備える。


ズザザザーッ!

勇者「いってぇぇえ!!服の調達で本気出す魔王なんて聞いたことねーーー!」ジンジン


咄嗟に腕でガードしたが、その腕には痣ができていた。



勇者「っ!」


影。頭上で魔力の高まりを感じる。


真奥「ハアッ!!」


ズンッ!!!

勇者の居た所の地面が陥没する。



―ザッ!

勇者「………おーけー」


加速呪で逃れ、間合いをとる。ようやく真剣になった顔は、真奥を睨み付ける。


真奥「何がだ?」

勇者「ちょっとタンマね」

真奥「んあ?」


バシュンッ!


真奥「あ?おい!」


いきなり転移呪で消えてしまった。逃げたわけでは無さそうだが。


女魔法使い「勇者も乗り気になってきた」

魔王「そうなのか?」



――バシュン!


魔王「……おおっ!」

真奥「ほう」

勇者「おまたせ。女魔法使い、絶対見られないように辺りに結界はってくれよー?」

女魔法使い「既にやってる。あたり一帯に幻覚結界を張ったから、中で何が起きてるか分からなくしてる」

勇者「さんきゅ」


帰ってきた勇者の姿は、開門都市の時に着ていた漆黒の鎧ではなく。

かつて魔王と相まみえた、勇者の姿。


勇者「やっぱ魔王と戦うのならこの服でないとな」

魔王「おお!かっこいいぞ勇者!!」





恵美(………どうしよう、ダサい)


勇者「よし、じゃあ」



勇者「ここで会ったが百年目!!覚悟しろ魔王ッ!!」チャキンッ!

魔王「おおおおおお!!!」


真奥「……ふはははは!!待っていたぞ勇者よ!!」

恵美「あ、真奥もなんかスイッチ入ったわね…」



真奥「勇者よ!ここで俺の部下になれば世界の半分をやろう!どうだ?悪くない話だろう?」

勇者「断る!!」


女魔法使い「おお、テンプレ入った」

恵美「は?」

魔王「ふおっ!ふおおおおおお!!!」ピョンピョン

恵美「あんたは落ち着きなさい……よ……」


一連のやりとりに興奮した魔王はおもわずジャンプする。

当然、アレは上下に弾ける。


真奥「残念だよ勇者……ならば死ぬがよい!!」

勇者「行くぞ魔王ッ!」



魔王「ふおおお!ふおおおお!!」ボヨヨン!ボヨヨン!

恵美「……………」

魔王「あれ、なぜ恵美殿は真顔で目をつぶっているのだ?ここからがおもしろ」

恵美「黙れ死ね駄肉王」

魔王「……女魔法使いぃぃ」

女魔法使い「今のは魔王が悪い」

魔王「そんな!」



女魔法使い「……始まる」




真奥「ハッ!」ボボボッ!


赤い魔力弾を複数放つ。


勇者「……」キキキンッ!


勇者剣ではじかれた魔力弾は霧散し、威力を無くす。
ただの牽制と思えるが…



勇者「っ!」ピクッ


経験上わかってしまう。


勇者(……そこだ!!)


後ろの何もない所。勇者は魔素のわずかな動きを感じ、そこに左手を向ける。


勇者「雷撃…」バチッ


ブウンッ!

真奥「っなぁ!?」


真奥は驚く。魔力弾で目くらまし、瞬間移動で後ろをとったはずが既に攻撃を開始されていたのだから。


勇者「殲滅弾!!」ゴアッ!!!

真奥「うお……」


ドオオオオオオオン!!!!



真奥「しゃらくせぇ!!」ブワッ!


両手を広げるだけで土埃が吹き飛ぶ。


勇者「…今ので傷一つつかないのか……!っはは!!」



女魔法使い「……勇者、楽しそう」

魔王「そうなのか?」

女魔法使い「今までずっと、まともに手合せできる人いなかったから」

恵美「……」

女魔法使い「力を示せば恐れられ、力を向ければ簡単に相手を殺してしまうチート童貞だったから」

恵美「チート童貞て…」

女魔法使い「まともにやり合える相手が異世界から来た。それも魔王だった」



女魔法使い「相手にとって不足無し」




真奥「むんっ!!」バンッ!


真奥の目が赤く光り、力をかけて手を合わせる。


ガゴンッ…

勇者「…!!」


すると勇者のいる左右の地面がめくれ上がり――


ガオォンッ!!!


ハエトリグサのように挟み潰す。しかし




「爆砕呪」




ドゴォオン!!!!!


勇者を挟んだ岩盤は粉々に砕け散り、間を置かず勇者は唱える。


勇者「業炎灼熱呪!!」ゴオオオッ!!

真奥「むっ」


炎の壁が現れ、真奥を襲う。


真奥(目くらましか……)


しかし真奥は冷静に読み取り、後方に注意する。その読みは的中していた…のだが。


「光の封印槍!!」バッ!


真奥「なにっ!」


真っ向から裏をかく。

自ら放った炎の壁を破り、光に身を包んだ勇者が突進する!


前方以外に注意を向けていた真奥は反応が遅れてしまう。


逃げられない――



ならば。


真奥「………ハアアッ!!!!」ガッ!!!

勇者「マジか!?」


なんと勇者の突き出した剣の腹を挟み、受け止めた!


――しかし勢いを殺すことはできず


真奥「ぐ……お……」ズザアアアアアアアア!!!


その勢いのまま押されていく。



ズザアアアア………


勇者の攻撃を耐えきり、反撃に出る。


真奥「ハッ!!!」ブワッ!

勇者「うわっ!」


魔力を一斉に噴き出し、勇者を吹き飛ばす。

そしてすかさず――


真奥「……ハァァァァアアアア!!」ゴォォォオオオオオオ……


天に向けた掌に、赤黒い魔力が集まっていく。

高密すぎて手の周りの空間が歪んでいく……


クルッ!スタッ


勇者「!」


体勢を立て直し着地し、真奥を見た勇者もまた――



勇者「超……」バッ


剣を天に向け


勇者「狭……域……」…ゴゴゴゴゴ


魔力を最大まで圧縮させ


勇者「雷っ…撃…!」バチッ…バチッ…


威力を最大にし


勇者「殲!!滅!!!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ!!!!!



勇者「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! 」

魔王「うおっ!」


絶叫していた。




真奥「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! ! ! ! 」

恵美「!!!???」ビクッ!


そして真奥が続く。








二人の……生物としての共通点。それは人間や悪魔関係なかった。

二人の急所には……それぞれ白蛇が咬みついていた。




………。



魔力の奔流により暗くなっていた周辺は、すっかり元の明るさに戻っていた。





蛇が女魔法使いの足元に寄り、消える。


女魔法使い「ご苦労………二人ともテンションあげすぎ。結界がもたない。バカ」


勇者「だからって……だからって……おま……」ヨタヨタ


手を脚と脚の間に挟み、前かがみで訴える勇者。






恵美「……」チラ


真奥「」


ただの屍のようだ。

今回はここまでです。長らくお待たせしました……また書き溜めに移ります




……



フィィイン……


真奥「あー、だいぶ楽になった……悪いな」

恵美「回復なんてしなくていいのに」

勇者「まあまあ、俺達にしか分からない痛みだからな、放ってはおけないよ……」


人間状態に戻っていた真奥は勇者からの回復魔法を受け、アレが不能になることは避けられたようだ。


恵美「……今度狙ってみようかしら」ボソッ


真奥「聞こえてるぞー」

恵美「幻聴よ」

真奥「おい…」



一段落。



真奥「……さて、そろそろ帰るか」

魔王「もう帰るのか?」

真奥「ああ。これ以上は、日本の奴らを心配させちまうかもしれねぇし」

魔王「うー、何か手土産でも……そうだ!」


魔王「勇者、こないだ大量にもらったおすそ分け!」

勇者「あ~あれか。おっしゃちょっと待ってろ」


バシュン!


真奥「…おすそ分け?」

魔王「うむ!村人から大量にもらってしまってな!」

魔王「あのままだと使いきれずに腐ってしまう所だったから丁度良かった!」



……バシュン!


勇者「魔王、これだろー?」


それほど間を置かずに勇者が戻る。その手にはバスケットがあり、中には――


真奥「…た、卵ぉ!!!!」


魔王「うむ!今朝取れたものばかりだ!新鮮である事を保障しよう!」

真奥「2、4、6……20個!?…これ全部もらっていいのか!!??」

魔王「当然だ!良いものを見せてもらったしな!」


真奥「うおおおお!!今夜は卵パーティーだぁあああ!!ひゃっほおおおう!!!」


当初の目的であった卵を思わぬ形で、それも大量にゲットし大歓喜する。


恵美「アッホらし」

真奥「なんだぁ恵美ぃい?うらやましいのかぁ?欲しいのか?欲しいんだろぅ?」


真奥「まあ一個ぐらい……」




真奥「やらねーーーー!!!わはははははははは!!!!」




恵美「……………」




魔王「恵美殿っ!恵美殿っっ!!顔がすごいことになっているぞ!?女の子がするような顔ではない!!!」

勇者「分けろよ……」


真奥「じょ、冗談だっ…明後日の土曜日にでも皆集めて食べようぜ……」


恵美「……久しぶりに本気で殺意が湧いたわ」






真奥「……さて、帰るぞ恵美」

恵美「命令しないで」



勇者「……まあなんだ、またいつでも遊びに来てくれよ」

真奥「おう!また経済について教えてくれ!こっちの魔王!」

魔王「もちろんだ!そちらの勇者殿も、いつでも来てくれ!」

恵美「嫌」

魔王「……」グスッ



恵美「ゲート開けるほど魔力あるの?」

真奥「ぎりぎりな。……ハアッ!!」


ブゥン…


勇者「おおー」


魔力を込めて日本へのゲートを開く。







――――しかし。






真奥「……あれ?」




ゲートを開いた本人はすぐさま気づいた、ゲートの違和感。



恵美「……え?」



続いて恵美も気づく。



――なぜならそのゲートは









入口ではなく、出口だった。



恵美「ちょっと何してんのよ!」

真奥「ええ?いや、あれ!?」




あっけに取られた真奥に向かって、ゲートからそれら――




――否、その者達が



???「うわああああああ!!!」

???「ひいいいいいいい!!」

???「うおおおおおっ!!!」

???「きゃああああああ!!!」



次々と飛び出してきた。




真奥「うげぇ!!」



グチャッ!ドサドサドサドサッ!!!





魔王「だ、大丈夫か!?」


真奥「あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛卵゛ぉ゛お゛お゛お゛お゛お゛!!!!!」


勇者「……増えた」

女魔法使い「……タイミング悪すぎ」



突然現れ、真奥を下敷きにしている者たちを――


――恵美は当然知っていた。






恵美「鈴乃!?芦屋!?漆原!?それにちーちゃん!!??」

ここまでっすー

すいません最後だけ ちーちゃん → 千穂ちゃん でお願いしますorz

>> 恵美「鈴乃!?芦屋!?漆原!?それにちーちゃん!!??

のとこ
恵美「ベル!?アルシエル!?ルシフェル!?それに千穂ちゃん!?」じゃね
芦屋と漆原は日本名で呼ぶこともあるけどうどんさんならベル呼びの筈

それと東山Wになってしまったか



恵美「ベル!?アルシエル!?ルシフェル!?それに千穂ちゃん!!??」



上から佐々木千穂、鎌月鈴乃、芦屋史郎、漆原半蔵、そして一番下に真奥貞夫。

何故か上手く積み重なってしまった。


真奥「たま……たまご……たくさんの……たまご……」

漆原「ぬあああああああどいて~~~~!!!」

芦屋「一体何が…?」

鎌月「くっ……何故だ」

千穂「いたた……」


真奥が一番下だが、精神的ダメージと肉体的ダメージを比較すると前者が大きすぎるようだ。

よって今現在肉体的ダメージが最も大きいのは漆原だろう。女性2人が下敷きにならなかっただけ幸運と言える。



……


……





千穂「遊佐さあああんっ!!」


涙目になりながら恵美に抱き着く唯一の一般人、佐々木千穂。


恵美「なになに、どうしたの!?」

千穂「良かったぁ~~無事で~~!!」


芦屋「魔王様、よくご無事で!」

真奥「わり、心配かけるつもり無かったんだが……」




真奥「それにしても、なんでこんな事に…?」


真奥は"入口"のゲートを作ったはずだった。なぜ"出口"になってしまったのか……

状況が把握できず困惑する。が、それをあっさり説明してしまうのは女魔法使いだった。



女魔法使い「……タイミングが悪い。でもこれは回避はできなかった。偶然の産物だから仕方ない」

恵美「……分かるの?」

女魔法使い「ゲートが開いた瞬間、向こう側からのアクセスとこちらからのアクセスが衝突」

女魔法使い「ゲートの干渉が起き、衝突したエネルギーは行き場を失い暴走」

女魔法使い「結果、ゲートが反転し競合、強力なゲートが出現してしまった」


女魔法使い「…たとえるなら、同じ極の棒磁石をくっつけようとして、片方が反転してくっついた感じ」

恵美「あ、その例え分かりやすい」

勇者「俺はさっぱりわからんが……」

真奥「ふむ、なるほど……」


真奥「…ん?じゃあアレか?日本からもゲート生成してたって事か?」


鈴乃「……ああ、話せば長くなるが……そちらの方々は?」

続きは夜に


かくかくしかじか。




芦屋「……不思議な世界ですね」

鈴乃「女の魔王に男の勇者か……エンテ・イスラとは真逆だな」


真奥「…それで、話の続きは?」


鈴乃「そうだったな」



鈴乃「夕刻、笹塚のアパートに妙な者が現れたんだ」

芦屋「丁度佐々木さんが我々のアパートに訪問してきた時でしたね」

千穂「そうですね、私が真奥さん達の部屋をノックした時でした」

大丈夫です。心配かけて申し訳ない

お待たせしました



千穂「突然後方から何かに照らされて、最初は花火かな、と思ったんですけど」

千穂「振り向いたらなんというか……淡い虹色の光を発しながら、羽の生えたものすごく美人な女性がアパートの庭を飛んで横切って行ったんです」


真奥「羽ねぇ…………また天使の奴らか?」

漆原「いや、天使じゃないよ」

真奥「なんでお前が分かるんだ?」


漆原「なんでって、佐々木千穂にドアをノックされたから僕がドアを開けたんじゃないか……それで僕も見たんだよ」

芦屋「申し訳ありません魔王様……私は魔王様が卵を調達し、見事帰還を果たした時の為、調理の準備をしていたので光った事しか……」


勇者「なんか雰囲気はすげー魔族っぽいのに言ってることは庶民……」



漆原「天使の翼はみんな、鳥の翼に似た形をしてるじゃん?でもさー…」


千穂「あんな模様の半透明な薄い羽はどちらかというと……」






鈴乃「蝶に似ていたな」



千穂「でも、すっっごく綺麗でしたよね!」

漆原「アレこそ本物の天使かもね~」






魔王(……蝶のような羽、光る女性……まさか……いや"彼女ら"に限ってそんな事……)




勇者「…魔王?」ボソッ

魔王「……え?あ、なんだ勇者」ボソボソ

勇者「これってもしかして……」

魔王「……特徴は合っている。しかし平和を好む種族だぞ?」

勇者「迷い込んだとは考えられないか?」

魔王「……今の時点では何とも、だな……」






鈴乃「そして次に、私たちは驚くべき光景を目にした」






鈴乃「その女性は "ゲートを展開し、その中に消えていった" んだ」


恵美「……ってことはやっぱりエンテ・イスラの……」

鈴乃「いや、さらに驚くべきことに……」


鈴乃「ゲートの奥から微かではあったが、魔王の魔力を感じた」

真奥「……こっちの勇者との戦闘時か」

鈴乃「ここでやっと二人が先に、ゲートに巻き込まれていたのでは無いかと思い至ったのだ」




鈴乃「……しかもそのゲートの先はエンテ・イスラでは無かった」



鈴乃「少し時間かかったがゲートの先を推定し、私だけが乗り込もうとしたのだが……」

恵美「丁度こっちからのゲート生成と衝突して、皆を巻き込んじゃったのね」

鈴乃「……そうだ。そして今に至るというわけだ」



真奥「しかしすげーな、ゲートの行き先をそんな短時間で……」


鈴乃「ふ、ふん!私を舐めるな!目の前で展開されたゲートの行き先なぞその時即座に覚えたからな!あとは解析だけだったんだ!」

真奥「さすが大法神教会筆頭審問官……」




真奥「……となると気になる点が一つあるな」

真奥「その蝶の様な羽をもつ女性は、どーも"こちらの世界の住人"のようだが……」



真奥「………あんた達は何か知ってるのか?」






勇者「……」



魔王「……ああ、さっきから引っかかっていたんだ」

魔王「そのような特徴を持つ魔族を……私達は知っている」







魔王「………"妖精族"……平和を好む、穏健的な魔族だ」

勇者「だから少し戸惑ってんだよ。彼女達がそんな、世界に歪みを引き起こす原因かもしれないなんてさ」



勇者「……女魔法使いはどう思う?」



女魔法使い「さっきからずっと考えてた……でも、やっと答えが出た」



全員が女魔法使いに注目する――












女魔法使い「そこの少女より魔王の方が僅差で大きいと思う」








「「「…………は?」」」



全員の声が重なった。


今回はここまでです。いやホントスイマセン間隔長い上に量少ないし……
それでも読んでくれてる方、感謝感謝です

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