レッスン場
琴葉「だから恵美は勝手し過ぎって言ってるでしょ!?いつも人を自分の好きなように振り回して、もう少し相手のことを考えて行動してよ!」
恵美「考えてるよ!そりゃーあたしは委員長様と違って?あんまし頭も良くないかもしれないけどね!考えてるの!」
琴葉「なっ、なによその言い方…!また私を委員長って…!私だって!好きでそんな、委員長って言われるようなことしてるんじゃないのよ!そうやってすぐ、頭が固いって馬鹿にして…!」
エレナ「コトハ!メグミ!二人とも言い過ぎだヨ!一回、やめて…」
琴葉「うるさいっ!エレナはいいの、黙ってて!」
エレナ「なっ…コ、コトハ、そんな言い方、ひどいヨ!なんで、なんでそんな…」
恵美「ほーら本性が出たんでしょ!そうやって、自分以外を見下してるから普段からあんな態度とれるんじゃないの!?そーゆーのを直してって、言ってるのよ!琴葉!」
琴葉「うるさいっ…うるさい!私だって私がこんな…こんなこと言う人間だなんて思いたくなんか…私は…」
ガチャ
星梨花「こんにちわー♪」
ひなた「んー?なーんか、賑やかだねぇ」
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アイドルマスターミリオンライブ!
田中琴葉(18)
所恵美(16)
島原エレナ(17)
箱崎星梨花(13)
木下ひなた(14)
恵美「……もう、知らない!琴葉はどうせ、そうなんでしょ!ずっと!」
タッタッタッ
エレナ「あっ、メグミ…!」
星梨花「恵美さん、こんにちは!」
恵美「ごめん星梨花、そこ通るよ」スッ
バタン!
星梨花「ひっ…め、恵美…さん…?」
ひなた「こ、琴葉さん、エレナさん…今の恵美さんは、どうして…」
琴葉「…知らないっ、私だって!私だって…私なんかっ…!」タッ
ガチャ
バタン!!
エレナ「コトハ……メグミ……」
星梨花「エレナ、さん……?」
エレナ「……グスッ、ヒグッ……ぅ、ぅぅうぅぅうぅ……うあ、ああああん……どうして、どうしてだヨ……どう、したら……」ボロボロ
星梨花「エ、エレナさんっ、えっと、その…」オロオロ
ひなた「あ、あたし、プロデューサー呼んでくるわ!」ダッ
エレナ「グスッ……ワタシ、ワタシ、は……」フラフラ
ガチャ
星梨花「あ、あの…エレナさん…」
エレナ「……セリカ、ごめんネ。…ちょっと、出てくる……」
バタン
星梨花「う、ううぅ……みなさん、どうしちゃったんだろう…すごく、怖い顔…してた……」
ガチャ
ひなた「星梨花ちゃん!プロデューサー、呼んできたけど…!」ハァハァ
P「間に合っ…!て、ないよな。……皆、出て行ったか。……ひなた、星梨花、教えてくれ。二人が見たのは、どんな状況だった?」
星梨花「あの、その…私たちが、レッスン場に入ったら…」
…………
P「そうか……そうか。本当に、琴葉と恵美が喧嘩をしたんだな…エレナまで、巻き込んで…」
星梨花「あのっ…みんな、嫌いになっちゃったんでしょうか……みんな、もう、嫌いに…っ…みんな…」ポロポロ
ひなた「せ、星梨花ちゃんが泣いてどうするっしょや!?……ズビッ…そんな…星梨花ちゃんが泣いたら……」グスッ
P「あーあーまてまて、大丈夫だ。大丈夫だ…。さっき電話をした。それぞれ、人を向かわせてある」
ひなた「人を向かわせて…?」
P「ああ、だから三人は大丈夫だ…。だから泣かないで、俺たちは俺たちに、自分にできることをしよう。なっ?」
星梨花「グスッ……グスッ……自分に、できることですか…?」
P「ああ。今自分が何をしたいか、考えてそれを頑張ろう。星梨花にも、ひなたにも、やれることはあるよ。な、どうしたい?」
ひなた「したい、こと…それなら」
星梨花「私っ、私、みなさんに仲直りして欲しいですっ!また、みんな、みんなで楽しく、お仕事したいですっ…」ポロポロ
ひなた「あ、あたしも同じだべ!仲直りして、みんなまた仲良くって…美味しいものとか、食べて…グスッ…」
P「うん。星梨花、よく言ってくれた。ありがとうな…。ひなた、美味しいものって、それはいいな。それじゃあ、二人、お願いできるか?」
ひなた「へ?美味しいもの、を…?」
P「ああ。仲直りするには、皆で美味しいものってのは最高さ。三人は…そうだな、また明日。必ずまた戻って来る。だからその時に、精一杯の美味しいもので迎えてやろう!」
星梨花「美味しい、もの……」
ゴシゴシ
星梨花「……はいっ!みなさんの為に私、頑張りますね!ひなたさん、二人で美味しいもの、作りましょう!」
ひなた「そ、そうだな、星梨花ちゃん!それじゃ、何を作ろうか…」
P「うん、二人には任せたぞ。……さて、俺は…」スッ
P(さっき電話をしてから少しは経ってるな。琴葉、恵美、エレナ…それぞれ今頃、見つかってるだろうか…。大丈夫、か…)
P(ああもう、星梨花とひなたに大丈夫って言っといて自分はこの様か。もっと大きく構えろ、俺も俺に、できることを……)
P(いや、でも、心配無いよな…皆頼れる、事務所の大人だもんな)
屋上
エレナ「…………………」
―また、私をそうやって!―
―普段からそうなんじゃないの!?―
エレナ(……ふたりとも、前からって言ってた…前から、あんな言い合うようなこと、思ってたのかナ……)
エレナ(ずっと、笑ってたヨ…。一緒に仕事をして、一緒に遊んで、たくさん、一緒に過ごしてた……なのに…)
―エレナは黙ってて!―
―そうやって見下してたんでしょ!―
エレナ(そんなこと、思ってたノ……?友達、だったでしょ…?)
エレナ(…………ワタシだけ、だったのかナ……ワタシだけ…友達って、思ってたのかナ……)
莉緒「やっほ、エレナみっけ」
エレナ「!……リオ……か……こんにちわ、だヨ…」
百瀬莉緒(23)
莉緒「ふふっ、落ち込んでても挨拶はしっかりしてるのね。いいことだわ」
エレナ「…リオは、どうしてここに……?」
莉緒「んー、聞いたのよ。あなたと琴葉と恵美の、劇場では鉄板の仲良しトリオが喧嘩したってね。それは一大事!ってことで、皆心配してるわ」
エレナ「……そっか…。仲良しトリオなんて、言われてたんダ……」
エレナ「…でも、そうじゃないヨ…ワタシたち、全然仲良しなんて、守れてないもん……」
莉緒「そうねえ……あなたたちがそんな喧嘩するのなんて、初めてだものね」
エレナ「……コトハもメグミも、すっごく怖い顔してた……。ふたりとも、あんな…本当は怒ってたのかナ…前、から……」
莉緒「そう……ふたりが、ねえ…。今日は三人は、自主レッスンをしてたんでしょう?何があったの?」
エレナ「……何が、なんて分からないヨ…。いつもどおりだったのに…いつの間にかミンナ、喧嘩になってた…」
莉緒「はっきりとした原因はない、か。前からあった不満が、今日たまたま…なのかしらね」
エレナ「…ワタシね、なーんにも不安なんて、無かったんダ……コトハと、メグミと、プロデューサーと。劇場のみんながいて…」
エレナ「みんな一緒で楽しいから、それでいいって…失敗も成功もして、でもみんな、助け合えてたヨ。だからこのまま楽しくって……」
エレナ「こんな日がくること、想像もしてなかった…」
莉緒「ずっと、皆一緒だったものね……喧嘩もしないで、それってすごいことだと思うわ。普通はもっと、いざこざがあるって思うもの」
エレナ「…でも、コトハとメグミ、すごく言い合ってた……本当は、もっと言いたいことがあったのかナ…ワタシが気付いてなかっただけ、なのかナ…」
莉緒「…………」
エレナ「ワタシだけずっと、なんにも考えてなくて…二人の邪魔、してたのかナ……グスッ…」
莉緒「それは違うわ、エレナ。そんなこと、絶対にない」
エレナ「…リオ?」
莉緒「ねえ、エレナ。今、エレナは凄く辛いと思う。大切な友達に傷つくことを言われて、とても悲しいわよね。…それでね。今エレナは、どうしたいって思ってるの?」
エレナ「どう…?どうしたい、って……」
莉緒「今日。喧嘩、しちゃったわね。それで、もうエレナはふたりが嫌になったりした?…もう話したくないって、思う?」
エレナ「っ!…そんなこと、ない。ワタシ…まだ、まだまだコトハとメグミと一緒にいたいヨ…。まだ一緒にアイドルしたい、遊びたい。…嫌になってなんて、ない!……仲直り…したいヨ…」
莉緒「じゃあ、そうしましょう」
エレナ「えっ……そんな、でも……今日あんなに、喧嘩しちゃって…」
莉緒「仲直りがしたいって思った。それだけでいいのよ、エレナ。その気持ちがあるのなら、大丈夫。あとはそれをふたりに言うだけでいいわ」
莉緒「私が保障する。エレナはね、笑って、ふたりを信じてあげればいいの。エレナの仲直りしたいって気持ちに、ふたりは絶対に応えてくれる。そう、信じてあげて?だって…」
莉緒「ずっと劇場でも見てた……エレナはふたりが、大好きなんだもんね?」
エレナ「…うん………」
莉緒「すぐに思い出せるでしょ?みんなでした撮影や、イベントが沢山。さっきエレナ自身が言ったように、ずっと一緒にいた。その時間を信じて…また笑って。ね?」
エレナ「…うん……そう、だネ……ふたりともきっと、仲直りして…くれるよネ…?ワタシはワタシらしく、笑って……」
莉緒「そう、エレナはそれでいいのよ。……楽しそうにしてるエレナが、皆が好きなエレナなの」
莉緒「細かいことは気にしない!ほら、それがブラジルの魂って言うでしょ?」
エレナ「いや、言わないけド…」
莉緒「あ、あらそう…」
エレナ「…フフッ、でもたしかに、笑ってないワタシなんてワタシらしくない、よネ……ワタシもそう思うヨ。それで、いいんだよネ…」
莉緒「ええ…落ち込み過ぎなくていいのよ。いつだって人にできることはね、自分らしくあろうとすることだけだから」
莉緒「いくつになっても難しいことはあるわ。私だって、いくつになってもうまくいかないことばかりだもの。ほらこの手帳になんかね、私の失敗談メモがいっぱいなの。見る?」
エレナ「ンー…リオはどうして、そんな失敗談ばっかりメモしてるんダ?」
莉緒「そりゃ、自分の失敗談を話すのが、一番誰も傷つけずに盛り上がれる合コンの必勝手段だからよ」
エレナ「…プッ、アハハ!リオらしいナ!」
莉緒「あ、あらそう?失敗談が私らしいって、どうなのかしらね…ほんとは実際に合コンで使ったこともないし…」
エレナ「それがいーんダ。そんなリオのことがミンナ、大好きなんだヨ!」
莉緒「そう、エレナ!その、大好きだって言う時の笑顔!それが出ればいいのよ。そうやって笑えれば、エレナはきっとうまくいくわ」
エレナ「…うんっ!ありがと、リオ!」
莉緒「…それじゃ、大丈夫ね。ふたりと」
エレナ「仲直り、するヨ!リオ、見ててネ!」
莉緒「ええ、エレナ、頑張ってね!」
…………
莉緒(元気が出たみたいで良かった。信じてと言われて素直に信じられる…エレナの才能のようなものね。きっともう、大丈夫)
莉緒(琴葉と恵美は、どうかしらね…うまくいってるといいんだけれど…)
劇場内 練習用小ステージ
恵美「………………」
―いい加減にして、もっと相手のことも考えてよ!―
恵美(……初めて見たなぁ、琴葉のあんな怒る顔……)
恵美(…ううん、琴葉の、じゃない。友達の…あたしに向かって怒る顔が、初めてなんだ…)
恵美(……友達同士の喧嘩なんて珍しいことじゃない。あたしはいつも、仲裁して立ち回ってきたんだ。もしもあたしが誰かと喧嘩になったって、うまく立ち回れるから大丈夫。……そう、思ってた)
―また私を馬鹿にして!そうやっていつもいつも…!―
恵美(……知らなかったなぁ。友達と喧嘩するって…こんなに……怖かったんだ……)
恵美(どろどろした気持ちがずっと…これからどうしたらいいんだろう…。あんなに怒ってた、あんなに嫌だったんだ、琴葉…。あたし全然、気付けてなくって…どれくらいずっと、傷付け続けて…)
恵美(……なんなんだろ、あたしって。あんなにいつもへらへらしといて、いざとなってはこんなで……もう、やだなぁ………)
このみ「はーい、いじけ虫発見、ね」
恵美「えっこ、このみさん!?うわっちょ、来るなら来るって言ってよね!あはは、あたし今酷い顔なんだからさーもー」ゴシゴシ
このみ「…ふーん、酷い顔ねぇ…確かに、そうね。目も当てられない顔だわ」
馬場このみ(24)
恵美「あはは!今ね、今度のステージの予習してたんだ!それでいろんな考え事してたら、ちょっとこう」
このみ「聞いたわ。琴葉と言い合って、喧嘩をしたそうね」
恵美「色んなこと考えちゃってそれでさー……はは………そう」
このみ「強がるのはもう終わり。……こんな時くらい、泣くのを我慢なんかしないでいいのよ。そんな今にも潰れそうな、酷い顔で…」
恵美「…泣くようなことなんてそんな、思ってないよ。たださ…うん、ちょっとだけ考えててね……なんで…」
このみ「…………」
恵美「……ほんと、なんでこんなことになっちゃったんだろ…」
このみ「…思い当たる原因はあるの?」
恵美「原因なんてないよ、いつも通りだった…いつもと同じで、笑って、じゃれ合ってただけで…」
恵美「…違う。そんなこと思ってたから、喧嘩になったのかな…。いつもと同じでって言って…そうだね、あたし…友達を大事に、できてなかったんだろうね…あはは…」
このみ「…はー、見当違いもいいとこね、恵美」
恵美「…………」
このみ「まず否定しておくわ。あなたはちゃんと、友達を大事にできてる。むしろ、大事にしていたから今回のようなことになったのよ」
恵美「そんなの、おかしいよ。大事にしてるなら喧嘩なんて…あたしが、琴葉にちゃんと気遣ってあげられなかったから…」
このみ「恵美、あなたたちはね。今まさに、これまで以上に仲が良くなる途中にいるの」
恵美「……どういう、こと?」
このみ「喧嘩をしたのは、恵美が琴葉を大事に思ってないからじゃない。琴葉が恵美を嫌ってるからじゃない」
このみ「言い合える程に本音を言ってもいいって、お互いを信じ始めてる途中なのよ」
恵美「そう……なの……?あはは、そうだったら、どんなにいいかなぁ……」
このみ「思い出してみて、今日のこと。誰かが一番最初に怒ったでしょう。それはその子の、もっと甘えたいってサインなの」
恵美「……今日、最初に怒った…のは…」
―ねぇ、もうその委員長っていうの、やめてよ―
恵美「……っ!琴葉…!」ダッ
このみ「はい落ち着きなさい。分かってすぐ琴葉の所に駆けつけようって友達想いは流石だわ。でも今はまず、自分のことから考えなさい恵美」
恵美「自分のことなんていいよ、このみさん!あたし分かったよ、琴葉がなんて思って怒ったのか!今琴葉を独りにしちゃ駄目!出てこなくなっちゃうよ!」
このみ「いいから落ち着いて。琴葉は大丈夫だから、落ち着きなさいって」
恵美「あたし、行かなきゃ、あたし、行って琴葉に大丈夫って…!」
このみ「あーもう、それだから駄目だって言ってるのよ!いい加減にしなさい、恵美!」
ビクッ
恵美「えっ…このみ、さん…」
このみ「琴葉は、あなたに甘えてもいいって身を預けた!それに支えようって返事じゃ、同じことの繰り返しなの!」
このみ「甘えてくるのに、恵美だけが頑張って支えようってしたら琴葉が甘えられないでしょ!そうじゃなくて、恵美も琴葉に甘えるのよ!」
恵美「あま、甘える!?…あたし、が!?」
このみ「えーそうよ。お互いに寄りかかれば、支え合えるでしょ。恵美みたいな年の小娘はね、誰かに甘えるのが仕事なの!」
恵美「小娘って…あたしもうじゅうろく……」
このみ「いーえまだまだね。女は甘え上手になったら一人前よ。覚えておきなさい」
恵美「一人前って……小娘、って……」
恵美「………グスッ、ヒグッ……っぷ、ふふっ…グスッ、ふふふふっ……」
このみ「どうしたの?……泣いて笑って、忙しい顔ねぇ」
恵美「ふふっ、だってさぁ……グスッ…このみさん……あたしよりちっちゃいじゃん。ぶふっ」
このみ「ふんっ、ちっちゃくっても大人は大人よ」
恵美「……ぷっ、あははははは……そんな精一杯胸張っちゃってさー、もー。びっくりしちゃって…ふふっ、ホント、スゴいなぁ……」
このみ「……少しは気分、落ち着いたみたいね。…もう一度言うわ。恵美は、琴葉に甘えなくちゃいけないの」
このみ「これまでずっと周りに気を配って、時には道化も演じて。気づかれてないと思ってたんでしょうけど、ちゃんと気づいてたわよ?」
このみ「プロデューサーは勿論…あたしや莉緒ちゃん、千鶴ちゃんにまつりちゃんあたりもそうでしょうね。…恵美を、心配してた」
恵美「あはは…あたしってそんな、分かりやすかったかな…」
このみ「そういうわけではないでしょうけど…今回は、プロデューサーのおかげね」
このみ「あなた達が喧嘩をしたと聞いて、すぐに私達にも助けを求めた。前からあなたたちを心配して、もしもの事態を考えていたんでしょう」
恵美「…そっ、か。…そうなんだ………はぁ。…大人ってすごいね。このみさん」
このみ「ふふ、感心しちゃった?そしたら少しは、素直に言われたとおりにするつもりになったかしら」
恵美「うん……。今ね、頭の中が言葉でいっぱいなんだ…。沢山、沢山言いたいことがあって…琴葉にちゃんと、伝えなきゃって…思うよ」
このみ「プロデューサーが言ってたわ。明日もう一度、琴葉を劇場に来させるって。その時、会ってちゃんと話すのよ」
恵美「うん、分かった!……このみさん、ありがと」
このみ「ん、どういたしましてね。プロデューサーにも、言わなくちゃね」
…………
このみ(ふー、なんだか柄にもなく声張り上げて説教なんかしちゃったわね…あたしも興奮して何言ったのかあまり覚えてないわ。なんて言ってたのかしらあたし)
このみ(まあ、少しは恵美が自分のことを自覚するようになってくれたらいいんだけれど。…さて、あとのふたりはどうしてるかしらね)
琴葉自宅の最寄駅 周辺
スタスタ
琴葉「…………」
―おおー!琴葉ってば、さっすが委員長!―
琴葉(…今更、委員長なんて何度も呼ばれてきた。恵美が、難しく考えがちな私を気遣って茶化しているんだってことも、分かってた)
琴葉(……なのに、どうして、気遣ってくれてただけの恵美の言葉に私は……あんなに、苛立ってしまったの……)
―そうやって、ずっと見下してたんじゃないの!?―
琴葉(そんなつもりなんてないの。そんなことを考えてたなんてこと、ない。……ない、はず…でも……)
―エレナは黙ってて!―
琴葉(実際には、感情のままにあんなことまで言って…もう、言い逃れなんて出来ない事実。私が何を考えてたなんて…本当は…)
琴葉(自分のことはそれなりに分かってるつもりだった。でもつもりだけで、分かってなくって、実際は全部恵美の言う通りで…)
琴葉(私は…本当にふたりを友達だと思っていたの…?……思ってなかったの、かなあ……)
琴葉(……恵美に…エレナに…嫌われたく、ないのにな……そんなことひとつも、うまく出来ないんだなぁ、私って…)
キキーッ!
ガチャ
千鶴「琴葉!」
琴葉「タクシー?…えっ、千鶴さん!?」
千鶴「すいません、少し待っていてくださいませ!帰りもお願いしますので!…さて、なんとか間に合いましたわね…ふぅ…」
二階堂千鶴(20)
琴葉「千鶴さん、あの、どうして…」
千鶴「聞きましたわ、琴葉、今日のこと。あなたが、恵美とエレナと喧嘩になったと」
琴葉「!……そうですか…」
千鶴「劇場を出て真っ直ぐに自宅に向かって…自己嫌悪で部屋にこもって、誰にも会わずに一人で自分を責め続けようとしていたのでしょう。そんなことは絶対に許しませんわ」
琴葉「いえ、そんなつもりは…そんな、引きこもるだとか、なんて……」
千鶴「……どうして、こんなことになったんですの?あなたから話してもらえるかしら」
琴葉「……いえ、千鶴さんにお話する程のことでは。ご迷惑おかけしていること…すみません」
千鶴「…………」
琴葉「私が…独りで、勘違いして。恵美とエレナに八つ当たりしてしまっただけのことなんです。責任はとります。私が…」
千鶴「琴葉、あなたは間違ってなんていませんわ」
琴葉「……え?」
千鶴「気まぐれで、八つ当たりであなたがふたりと喧嘩をするなんて、到底考えられませんもの。そんな仲ではないと…自分でも、思っているのでしょう?」
琴葉「…………」
千鶴「それでも喧嘩をしてしまった自分が分からなくて、許せなくなっている。そうですわね?でもいくら考えても、自分の頭の中だけで全てを解決することなんてできませんわ」
千鶴「喧嘩の原因はそうじゃなくて…琴葉の苛立ちは、至極真っ当なものですわ。友達であるなら、必要以上の気遣いは腹立たしいだけですもの。今あなたたちは、気遣いも必要としない仲になろうとしているんですのよ?」
琴葉(……千鶴さんに、何がわかるというのだろう…こんな私が、真っ当?友達だっていったって、私は…私が、ふたりに迷惑をかけて……)
千鶴「…あなたはどうしても、自分に自信が持てずにいつも自責の念に捕われてしまっていますわね。前から一言、私から伝えたいと思ってたことがありますわ」
千鶴「琴葉、自信がなくたって、もう少し開き直って、自信があるように振舞ってごらんなさい。それが例え嘘でも、貫き通せば真実と同じですわ」
琴葉「…………」
千鶴「…私がいくら説教をしても、意味の無いことでしたわね…。でも、構いません。ここまで言い忘れてしまっていましたが、琴葉に伝えることがあって来たのでしたわ」
千鶴「明日、劇場に来なさい。これはプロデューサーからの指示です」
千鶴「貴方は誰にも会いたくなんてない、と考えているかもしれませんが…そんなことは許しませんわ」
琴葉「……そう、ですか」
千鶴「長く止めてしまって、申し訳ありませんでしたわね。もういいですわよ」
琴葉「…では、失礼します」スッ
千鶴「ええ、ごきげんよう。琴葉」
千鶴「…………」
…………
千鶴(全く……わたくしの言葉など、聞く耳を持たない様子でしたわね…まあ、琴葉の今の心を考えればしょうがないことかもしれませんが)
千鶴(とにかく、大事なのは本人たちが明日、いかに素直に伝えたい気持ちを伝えられるかですわ…エレナが引っ張って、臆病な琴葉と恵美がちゃんと向き合えるといいのですけれど…)
…………
prpr…
P「もしもし、莉緒。エレナの様子はどう…そうか、大丈夫か。ありがとう、助かった」
P「…はは、誰がどこにいるのかなんて、そんなの勘だよ。運が良かっただけさ。それよりも、莉緒に行ってもらえて良かったって思ってる。ありがとうな。…ああ、お疲れ様」ピッ
prpr…
P「もしもし、このみさん。恵美は…はい。分かりました。流石ですね…。頼もしいですよ、いつもと変わらず」
P「いえいえ、からかってなんて、そんな。はい、それじゃあ」ピッ
prpr…
P「もしもし、千鶴?…そうか良かった、間に合ったか。タクシー使ったのか?じゃあ代金は…はは、そうだな。じゃあ半分、出させてくれ」
P「うん、分かってる分かってる。とにかく行ってくれて、ありがとうな。感謝してる。うん、それじゃあ、明日」ピッ
P(もう半分のタクシー代は今度の千鶴の給料に密かに足しとこう)
P「さて……ここまで、うまくいってる方か。今出来ることは…そうだ、小鳥さんにも少し頼まなきゃかな。よし。……あとは、本人達次第か…」
翌日
劇場 事務室
ガチャ
琴葉「……あの、おはようございます…」
小鳥「あら、おはよう。琴葉ちゃん。プロデューサーさんなら、すぐ戻ってくるからそこの会議室で待っててほしいって言ってたわよ」
琴葉「はい、分かりました。…失礼します」スッ
ガチャ
バタン
小鳥「……琴葉ちゃん、あんなに疲れた顔で…」
ガチャ
千鶴「一先ずは、劇場にちゃんと来てくれましたわね」
P「どうも、小鳥さん。琴葉は?」
小鳥「はい、会議室に通しました。…琴葉ちゃん、辛そうな顔をしていたので…プロデューサーさん、千鶴ちゃん、頑張ってください、ね。待ってますから」
P「はい。後のふたりもすぐに来る。先に入っていよう、千鶴」
千鶴「小鳥さんも、ありがとうございますわ。では…」
会議室
ガチャ
P「琴葉、おはよう」
千鶴「おはようございますわ。琴葉」
琴葉「!……おはようございます……」
P「今小鳥さんにちょっと準備してもらっててな。あと少し待ってくれ、もうすぐ揃うからさ」
琴葉「…はい……」
琴葉(プロデューサー…千鶴さんまで、どうして…?まだ何か…それとも……)
琴葉(私に…プロデューサーから、説教があったりするのかな……そうしたら私、ふたりに会う気になれるかな…)
琴葉(……やっぱり、無理。昨日からずっと、考えるたびに怖くなって…不安で……)
琴葉(もう、ふたりに次会う時のことが少しも想像できない。…もうどうやったって、ふたりに会うなんてできない…こんな、私じゃ…)
琴葉(…………ごめんね……)
琴葉(……心の中で言ったって、なんの意味も無いのに…)
事務室前
このみ「おはよう。ちゃんと来たわね。さ、行きましょうか!恵美!」
恵美「…………」プルプル
このみ「…どうしたの、震えちゃって」
恵美「き、昨日はこのみさんの気迫に押されて勢いづいてたけど……やっぱ無理!あたし帰るぅ!」ダッ
このみ「ちょちょーっと、待ちなさい!ここまで来てどうしたってのよー!?」ガシッ
恵美「だってあたしー琴葉に酷いことしかしてないー!もーやだやだやだ、何て言えばいいかわかんないよぉーっ!」ズルズル
このみ「なぁーにを今更っ、怖気づいて…この…逃がすもん、ですか…!」ズルズル
恵美「うわーん琴葉ぁー!こんなあたしはダメだよー合わせる顔が無いよぉー!」
ガチャ
このみ「あーもう、とにかく待ってなさい!えーと…小鳥さんっ」
小鳥「このみさん、恵美ちゃんもおはよう。大丈夫、ですよ」
このみ「よし、根回しは完璧ね…。ほら恵美、琴葉が来るまでとりあえず会議室で待ってましょう。ほら入って」
恵美「もーほんとーにどうしよう…だってもう、思い出すたびあたしなんてこと言っちゃったんだろ…もーやだよもう…」
ガチャ
琴葉「やっとですか、小鳥さ…えっ」
恵美「あっ」
このみ「はい、もうこうなったら言い訳は無しよ。さ、始めましょうか」
千鶴「お待ちしていましたわ、恵美。このみさん」
P「このみさんありがとうございます。おはよう、恵美。ちゃんと来れたんだな」
琴葉「プ、プロデューサー!今日はソロでのレッスンの話だって…」
このみ「琴葉にしては察しが悪いわね。それはこの状況を作るための嘘よ」
琴葉「そんな…………」
恵美「…………」
千鶴「後は…プロデューサー?」
P「ああ、もうすぐ」
ガチャ
莉緒「お待たせ、揃ってるのね」
エレナ「コトハ、メグミ…」
琴葉「!…エレ、ナ……」
琴葉(なんで、今、こんな……私の目の前にふたりが……でも……でも、なにも……だって…)
恵美(…駄目…あたし…だって…あたしが琴葉を、あんなに怒らせたんだよ…?あたしずっと、琴葉を傷付けてたんだよ…?謝るだけじゃ、済まないよ…)
エレナ(…もう、怖い顔をするのはやめて………ワタシ、信じるヨ。ふたりとも……ネ?……)
千鶴(…俯いて、黙り込んでしまいましたわね…)
莉緒「……ねえ、み」
このみ「莉緒ちゃん。」
莉緒「…このみ姉さん……」
P「…………」
琴葉「…………」
恵美「…………」
なんで
まだ
言わなきゃ あれから
そんな
だって
違うから
でも
ずっと
ずっと
ずっと
…………………こわい…………
P「…………なあ、お前たち」
P「俯いてないで、お互いの顔、ちゃんと見てごらん」
琴葉「……プロデューサー…」
恵美「…………!…」
琴葉「…?………っ……」
エレナ「…………コトハ。メグミ。」
恵美(エレナが、あたしたちを)
琴葉(信じてるから)
「…ごめんっ!」
「ごめんなさいっ!」
エレナ「!」パアアッ
恵美「へ?……」
琴葉「あっ……」
タッ
ギュウッ
エレナ「……ふたりともっ!言えた!言えたヨ、ごめんって!」
琴葉「え、えっと…エレナ…?」
恵美「……ふふっ、ふふふふふふ……琴葉っ!!」ギュッ
琴葉「………エレナ…恵美……あたし、あたし………」ポロポロ
恵美「分かってる、あたしも同じだもん…あたしも、ごめんねぇ……ヒッグ…グスッ…ごめん、ごめんね、琴葉ぁ……」ボロボロ
琴葉「あたしっ…!謝らなきゃって…!ごめんなさいって、ふたりに言いたくて…怒っちゃってごめんねって……一人じゃ、言えなくて…一人じゃ……グスッ……」ボロボロ
エレナ「大丈夫だヨ、全然、気にしてなんてないから……ふたりとも……良かった……グスッ……」ポロポロ
莉緒「あはは、わっかりやすくて気持ちがいいわねぇ」
千鶴「元々あんなに仲が良かった三人ですもの…。仲直りをするにも、いちいち面倒な言葉は必要ないのですわね」
このみ「表情を見れば分かるわよね…お互いあんなに、バツが悪いって顔をして…」
P「おーおー、三人で抱き合っちゃって…はは。大丈夫、だな。そうしたら…二人を呼ぶとするか」
恵美「グスッ………琴葉っ、ごめん!あたしすっごく、沢山酷いこと言っちゃって…それで…」
恵美「あたしこれからは、もっと、その……あ、甘える!嫌な気分になっちゃったときとか、ふたりに、相談する……だから…」
エレナ「メグミ、えらい!ありがとう、嬉しいヨ!」
ゴシゴシ
琴葉「…私もごめんなさい。ふたりとも。私もこれからはもっと、自分の心の律し方を考えて、ふたりに当たってしまうことが無いよう…」
エレナ「…ンー?コトハ、なにかちがくないカ?」
琴葉「えっ…だって今回のことは、私が原因で…もう迷惑をかけてしまわないよう、私は…」
恵美「…あーもう、琴葉っ!なんでそんな迷惑だとか考えるの!みんなね、そんなの知ってるよ!琴葉は堅物で意地っ張りで大人ぶってるけど中身は子供で…」
琴葉「…ち、ちょっと恵美、言い過ぎじゃ…」
恵美「それでも皆、琴葉のこと待ってるの!この意味、分かる!?」
琴葉「…め、恵美…?ちょっと意味が…」
エレナ「コトハがちゃんと甘えてくれるのを、だヨ!コトハはそのままでいいの。ミーンナミンナ、そんなコトハがだい好きなんだから!」
琴葉「……恵美……エレナ…」
琴葉「……ふふっ、あははははっ…エレナ、ったら…ふふふっ」
恵美「…琴葉?どしたの?」
琴葉「ふふっ、だって…エレナったら、大好きって言う時の笑顔が、凄く可愛いんだもの……見てたらもう、悩んでるのが馬鹿らしくなってくるくらい。うふふふっ、ふふふ…」
エレナ「そ、そうかナ?琴葉にそんな褒められると、なんだか慣れなくて照れるナ…」モジモジ
琴葉「…あら?私って…そんな、褒めないイメージってあるの?」
恵美「うーん、少なくともあたしやエレナほど言ったりはしないよねー」
エレナ「うん、琴葉は喋る時もしっかり言葉を選んでるからナ!だから琴葉の言葉は、説得力があるんダ!」
琴葉「……そっか…私って、そうなのかな…じゃあ、ちゃんと…」ブツブツ
恵美「…琴葉ー?また悪い癖が出てない?」
琴葉「ああ、ごめんね。……私、ちゃんと言うわ。ふたりとも」
エレナ「ンー?なんのことかナ?」
恵美「これはっ…なにか琴葉からの、重大発表が…!?」
琴葉「そ、そんな身構えられると言いづらいのだけど…コホン。えーと、ね…」
琴葉「……………………」
恵美「…琴葉ー?おーい、こーとはー?」
エレナ「黙ったまま、段々赤くなってきたヨ…?」
琴葉「………ボソボソ………//////」カアアア
恵美「え?」
エレナ「ン?」
ボソボソ
琴葉「……ふたりともすっごく、可愛い……だい、だい好……す……」
恵美「 」
エレナ「 」
恵美「んもー琴葉ー!何それ、可愛い過ぎるよーー!なになにもー、あんまり褒めないって言われたこと気にしちゃったのー!?」
エレナ「コトハ、ワタシすっごく嬉しい!嬉しいヨ!コトハ、ありがとー!大好きだヨー!」ダキッ
恵美「あーっエレナずるい!だったら、琴葉の背中は私が貰ったーっ!」ギュッ
琴葉「きゃっ!?ふたりとも、そんな前と後ろからなんて無理…っ」
恵美「もーっ、ホントー琴葉は、しょーがないんだからー……グスッ…全く、さぁ……グスッ…」
エレナ「あははは、メグミがまた泣いてるヨー!泣き虫さんだヨー」ポロポロ
琴葉「エレナだって人のこと言えないわよ。そんな、笑いながら泣いちゃって…ふふっ、私まで、泣いちゃうじゃない……」
このみ「ずびーっ!グスッ、良かった、良かったわぁ…無事に仲直りできて…ううっ、もう一枚ティッシュ…」チーン!
莉緒「…!…!…!」ボロボロ
千鶴「全く、年長者がもらい泣きでぐずぐずなんて…格好が付きませんわ…」ゴシゴシ
琴葉「このみさんたちまで、もらい泣きが伝染しちゃってる…」
恵美「あれっ、泣いてるのー?むふふふ~…こ、の、み、ちゃん♪」ナデナデ
このみ「むきーっ!何よその呼び方は!こら、頭から手を離しなさーい!」
エレナ「リオーッ!」バッ
莉緒「エレナ!」ダキッ
エレナ「リオ、ワタシ、ちゃんと言ったヨ!言えてた、かナ?リオも、見てた…?」ギュゥッ
莉緒「ええ、ちゃんと見てたわ、エレナ。偉いじゃない、立派にできてたわよ…」ナデナデ
琴葉「本当に、数々の失礼な言動を、すいませんでした!千鶴さん!」バッ
千鶴「頭を上げなさい、琴葉。あの程度、大らかに許すのがセレブの余裕ですのよ。おーっほっほっほっほ、えほっ、げほげほ…ごほん!」
琴葉「私、千鶴さんの言葉を全然聞こうとしなくって…心の中で、千鶴さんに凄く失礼なことも…」
千鶴「本当に、気にすることではないですわ。そんな反省に頭を使わないで…ふたりに言われたようにこれからはもっと、誰かを頼りなさい。琴葉」
琴葉「はいっ…!絶対に、忘れません…!ありがとう、ございました!」
ガチャ
星梨花「失礼しますっ。あの、今入っても…大丈夫でしょうか…?」
ひなた「きっと大丈夫だべ。みんな、あったかい顔してるもんなぁ」
エレナ「あれ、セリカとヒナタ?どうしたノ?」
星梨花「あのっ、えーと…仲直りのお手伝いに!ひなたさんと一緒に、さつまいものケーキ、作ってきました!みなさん、是非召し上がってくださいっ」
ひなた「あたしの実家から届いたさつまいもを使ったんだぁ。味見もしたし、おいしいからぜひ、みんなで食べてほしいんだわぁ」
恵美「やっほー!エレナ、ケーキだってケーキ!」
エレナ「やったー!ケーキ♪ケーキ♪」
ひなた「琴葉さんと恵美さんとエレナさんの三つは大きめに切っておいたから、たーっくさん、食べてなぁ」
琴葉「星梨花、ひなた、ありがとう。心配かけて、ごめんね…」
恵美「あ、あたしも、ごめん…。二人に当たったりして、怖がらせちゃったよね」
星梨花「いえっ、仲直りできたなら、良かったです!このみさんたちも、どうぞ!」
このみ「あら、あたしたちにもいいの?」
星梨花「はいっ、みんなで、囲って食べましょう!」
ひなた「うん、みんなのほうが、おいしいもんさぁ」
莉緒「それじゃ、皆で席について頂こうかしら。…うわーっ、すごい。よく見たらこれ結構ボリュームあるわねえ…美奈子ちゃんにでも教わったの?」
星梨花「ケーキ作りは、春香さんに手伝ってもらいました!」
ひなた「美奈子さんは、ケーキは作れるんだろかねぇ?」
千鶴「美奈子に料理を頼むのは時と場合を選びますわ…。しかしこれはこれは、わたくしのようなセレブも満足できそうな、素晴らしい出来栄えのケーキですわね!」
星梨花「わあっ…千鶴さんも、褒めてくれましたっ!すごいですー!」
莉緒「良かったわね星梨花、ひなた!セレブが認めたわよ!」
このみ「そうよ二人とも!セレブが認めたケーキよ!」
千鶴「そ、そんなにセレブセレブ言わないでくださいまし!」
ひなた「わあ…すんごいわぁ。ありがとう、千鶴お嬢さん」
千鶴「え、ええ、どういたしまして…。こら、お二人とも!そのいたずらっぽい笑みはなんですのーっ!」
事務室
P「ふー…。どうやら、無事に仲直りできたみたいですね。ドアの向こうから笑い声が聞こえてる」
小鳥「プロデューサーさん、どうして黙ってこっちに抜けてきたりしたんですか?みんな、会議室にまだいるのに」
P「俺があそこにいたら、誰よりも汚く大泣きする自信があります。だってホント、ハラハラしましたもん…。仲直りできて、良かった…」
ガチャ
エレナ「プーロデューサー!!アリガトーー!!」ダキッ
小鳥「あれっ、エレナちゃん?」
ガバッ
恵美「プロデューサー!ありがとー!ありがとー、ほんとっ…うぅ、グスッ…ありがとおおぉぉぉ……うわーーーん」ボロボロ
P「うおっお前たち!抱き着くのやめ、って恵美泣き顔ひでえな!鼻水出てんぞ、ほれティッシュ!」
恵美「うぇっ、ひっく、うん…ありがとぉぉぉ…」チーン
琴葉「ちょっと二人とも!プロデューサーさん困ってるでしょ、離れて!」
エレナ「コトハもー!一緒に!ホラッ!」
恵美「んもー琴葉ったらー♪嫉妬してないで素直に来なよー、ホラッ!ね?」
琴葉「し、嫉妬なんて…………うぅ、素直になるんだ、私……!プ、プロデューサーさん!しっ失礼!します!」バッ
P「だからやめろってお前たちもおおおおお泣くからあああああ」ドバー
このみ「また盛り上がってるわねーこっちは」
小鳥「皆さんも。…あれ、星梨花ちゃんとひなたちゃんはどこに?」
千鶴「二人なら、仲直りを見て安心したらお腹が減ったと言って、向こうでケーキを食べてますわ」
莉緒「最初は皆で食べてたんだけど、途中でエレナがプロデューサーがいないのに気付いてね。残った分のケーキを二人で幸せそうに分け合ってたわよ」
ナデナデ
P「良かったよほんとお前たちが仲直りできてえええええええ」ドバー
このみ「あっはっはっはっは!プロデューサー涙すっごい!まーったく、私達を呼んだ時のかっこいいプロデューサーはどこへやら…ぷっふふっ」
莉緒「ふふっ、泣き顔っていうのも中々、可愛いじゃない。あの子達も皆、また一緒に泣いちゃってまあ…」
千鶴「まこと…っ、まっこと、良きことにございます…」プルプル
このみ「千鶴ちゃん、感動でまたもらい泣きするのもいいけど、口調が貴音ちゃんみたいになってるわよ?」
千鶴「はっ…!そ、そんな、えーと…」
莉緒「はいはい、まー気にしなくていーのそんなこと。さ、大仕事を終えたことだし、私達は今夜、飲み行かない?」
このみ「いーわねえ。今ならあの子達の若さに当てられて話が弾みそうだわ」
千鶴「このみさん、いけませんわそのような言い方は。そういうところから、自分でも思ってる以上に年寄り臭くなってしまうものですのよ?」
このみ「うぐっ…痛いこと言わないでよー。愚痴も増えちゃうわよ?」
千鶴「おーっほっほっほ!愚痴も思い出話も、望むところですわ!それでは今夜は、私の行きつけの…!」
莉緒「ん、あの商店街のテーブル置いてる酒屋さんね!」
千鶴「BARって言って下さいませ!BAR、ですのよ!」
小鳥「あのー、皆さん…私も」
このみ「勿論、小鳥さんも行くでしょっ?」
小鳥「ふふっ、はい。お願いしますね♪」
\オレモー/
莉緒「あっ今プロデューサーの声が聞こえた、ような…」
千鶴「気のせいですわよ。彼は今日一日、あの三人の相手をするのですから」
恵美「ねーねーファミレスに行こーよー!今日はもう帰りたくなーいー」
エレナ「そうだヨー『こんやはねかさない』だヨー」
琴葉「エ、エレナ!そんな言葉どこで覚えたの!駄目ですっ外で一晩遊ぶなんて!」
恵美「じゃあ外じゃなければいーんだね!ってことで、今夜は琴葉の家にお泊りけってぇーい♪イェーイ!」
エレナ「お泊まり!ずっとやってみたかったんだヨ!イェーイ!メグミ、ハイターッチ♪」
恵美「いぇい!」
パチーン☆
琴葉「そんな勝手に決めちゃ…」
恵美「んー?琴葉は私達を家に泊めるの、嫌?」
琴葉「いっ、嫌…なんて………ああもう、そう言って、私が言い返せないって分かってるんだから。もう…」
琴葉「……いいわよ。皆、いらっしゃい。……お泊まり会なんて、初めてだけれど…」
恵美「やたー!ねぇねぇプロデューサー、今の琴葉見た?ちょ→可愛かったっしょ→?」
P「あはは、全くだ!エレナのハイタッチも、今の恵美のモノマネも可愛い!お前たち、楽しんでこいよ!俺も小鳥さん達との飲み会、楽しむとするか!」
恵美「え?プロデューサーはこっちだよ?いっぱい話したいから、プロデューサーの昔話とか聞かせてね!」
P「へ?」
エレナ「勿論!来てくれるよネー?ゲームとかして、いーっぱい遊ぶんダ!」
P「は?」
琴葉「プップロデューサーもだなんてそんな…!両親になんて紹介すれば…!」ポッ
P「ほ?」
このみ「わーたいへーん、プロデューサー、がんばってー」
P「ちょっ、そんな適当な見捨て方!俺もそっちで飲みたいですよ!女子高生同士のお泊り会になんて居場所ありませんって、ねえ!」
恵美「ほらほらプロデューサー、観念しなってー♪」グイッ
P「ひ、引っ張るな!俺は遠慮するから、お前たちだけで……!」
ジャ、イコッカー
ミンナデパジャマー
アノ、アイサツノジュンビヲ…
コ、コノミサァァァァン……
…………
終わりです。
日を跨いだせいでIDが変わっていますが、全て>>1が書ききっています。
ありがとうございました。HTML化依頼してきます。
エンディング
「えっへへー♪ま!ホント、今日はありがとね!プロデューサーと、みんなのおかげだよ!」
「うん、ワタシたち、まだまだミンナ一緒にがんばるヨ!だからプロデューサーも、一緒だヨ!」
「その、迷惑も沢山かけてしまうと思いますけれど…プロデューサーさんには、そんな私達を、受け止めて欲しいですから…」
「だから!」
「「「私たちをこれからもよろしく!
プロデューサー!」」」
完
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