【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 4【ダンガンロンパ】 (1000)

あー、あー、
書き込みテスト、書き込みテスト………


※このSSにはダンガンロンパの壮大なネタバレが含まれています。
 読む前にゲームを先にプレイすることを推奨します。
 このSSによるネタバレ被害の苦情は一切受け付けません。予めご了承願います。
















































前スレだけど、新しい周回だから読まなくても大丈夫!

【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
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【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 2【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 2【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1376466363/)

【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377779213/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1380610712

※そうそう、このSSは作者の性格から、シリアス耐性必須だと思うけど大丈夫? 大丈夫だよね?


『プロローグ』


??「ってなわけでー、こーんな楽しいゲームにプレイヤーとして参加しないなんて、そんなの絶望的に寂しいです……ふざけんじゃねーぞこらぁ!?」

??「……で、でも。その。モノクマはどうするの……? 私じゃ」

??「そんなの残念なお姉ちゃんには期待してませんー、残念でしたっ!」

??「えっと……じゃあアル」

??「アルエゴちゃんもぉ、とってもワタクシ様のごとく絶望的思考回路を備えているけれど……自分の思考回路なんて簡単すぎてすぐに飽きるに決まってます……きゃぴ♪」

??「じゃあ……一体誰が操作するの?」

??「残念なお姉ちゃんのために残念な説明をすると、絶望式AIをぶっつけ本番で使っちゃいます♪」

??「AI?」

??「絶望を与えることのみを目的とした自立プログラム……アルエゴちゃんのようにあらかじめワタクシ様の模擬人格を与えて学習するのではなく、『モノクマ』という一個の人格して学習しつつ私たちにコロシアイ学園生活を――ドキがムネムネ、これサイコー!」




『モノクマ先生を動かして絶望を与えてみよう!』


…………
………
……

コロシアイ学園生活プレイヤーデータ

希望ヶ峰学園第78期生
二年間の学園生活の記憶は抹消済み。
絶望指数は精神状態を数値化したもの。星がすべて黒くなったら何らかの行動を起こす、一つの目安
今回は全ての生徒を☆10個で平均化して指数を調整している。



・苗木誠<超高校級の幸運>
 
 能力的に特筆すべき部分はないね!
 ただの幸運で希望ヶ峰学園に来たんだけど、普段の不運を見るとあまりそうは思えないよ
 けど髪を立てるのは上手だよ! あ、あんなとこも立てちゃうのかな……フラグとか!
 あとデータ見る限り、割とコミュ力高いんだよね、コイツ。
 意見の衝突を避けるために自分が引っ込むクセがあるけど、いらない時だけ前に出るタイプだね!


・石丸清多夏<超高校級の風紀委員>

 あれだよ、『勉強しかできない』タイプだよ。柔軟性が全然ないんだよね。鬱陶しいよね
 あ、でも規律やルールを重んじるのはいいことだよ! 
 けど空気読めないからさ……そのあたりで反発食らったりするかもね?


・十神白夜<超高校級の御曹司>

 主人公っぽい雑魚キャラだよね。なんといってもね。
 まあ、頭も身体能力も平均して優れているけど、何より協調性がないからね。
 自分が一番!みたいなやつがさ、折れる姿見たくない?
 何でもゲーム感覚だから、割と積極的に参加してくれるんじゃないかって思うんだけど、どうだろね?



・大和田紋土<超高校級の暴走族>

 あー、ドンドンパフパフ!っていう。このトウモロコシ頭とか悪ふざけでしょ?
 でもまあ、リーダーとしての素質はあるよ。頭悪いから補佐が必須だけどね。
 けど、意外にメンタル弱いんだよね……うぷぷぷぷ


・桑田怜恩<超高校級の野球選手>

 脳みそとノリが軽いけど、練習せずに<才能>だけでトップに上り詰めたりして、その餓え<才能>に執着がないっていう。
 この連中の中でも結構特異なタイプなんだよね。
 そのあたりが、努力してトップに上り詰めたやつらの堪忍袋の緒を切っちゃったり、自分の命の火を消しちゃったりしないかなあって期待してるよ!


・山田一二三<超高校級の同人作家>

 オタクだよ。オマエラ()だよ!
 でも割とコミュ力はあるから、ぼっちになることはなさそうだね。
 けどわけのわからないこだわりとかあるからさあ……そのあたりで衝突があるかもね?


・葉隠康比呂<超高校級の占い師>

 こいつ、クズだから。けど不思議と憎まれないんだよね。
 場に流されたりしやすいし、臆病だけど、でかいことをする勇気はないタイプだね。
 突発的にわけのわからないことをしでかすんじゃないかな? 期待してるよ。


・舞園さやか<超高校級のアイドル>

 苗木誠と中学が一緒らしいね。苗木の幸運ってそこで尽きたんじゃないの?
 性格自体は清楚だし、ちょっと不思議でとぼけたことも言うし、可愛いんだけどさ……
 キレたら怖いよ。あと、いい意味でも悪い意味でも決断が速いからね。
 演技力と瞬発力が怖いところ。あとパラレルワールド(前回の周回)は引き摺るの止めてあげると、いろいろと楽かもしれないよ……作者が。



・霧切響子<超高校級の探偵>

 一人で何でもやる自分カッケーとかムカつくんですけど! そんなのぼっちのいいわけだろうがよ!
 まあ、記憶を処置して<才能>も忘れてるはずなんだけどね。割と目障りだけど
 けどさ、探偵って事件が起きてからしか活躍できないの、知ってる? 
 そういう意味では、受動的にしか動けないんだよね。
 どれだけ自分から動いてるように見えても、結局は事件が起きてからじゃないと何もできない子なんだよ。


・朝比奈葵<超高校級のスイマー>

 おっぱいに脳みそに必要な栄養取られたんじゃないの、こいつ?
 ってぐらい、感情で動く子。まあ、それが普通っぽいのかもしれないけどさ
 けど、ムードメーカ-なのは間違いないからね。まあ、行き詰った時は何にも考えずに動くやつの方がきっかけになったりするんだけどね。
 いい意味でも悪い意味でもムードメーカーの役目しかない。性善説信じすぎだろ、コイツ。
 あと極端。ここら辺がポイント。

・腐川冬子<超高校級の文学少女>&ジェノサイダー翔<超高校級の殺人鬼>

 多重人格とかどこの厨二設定だよ!
 って言いたいけど、コイツガチだからなぁ……
 絶望に落としたいというかこいつ、常に絶望少女だから。ある意味で。
 下には下がないんだよね、って意味で落としようがなかったりするんだけど……
 周りにはいい影響を与えるかもね?



・大神さくら<超高校級の格闘家>

 人間か!? こいつ人間か!?
 もうそういう範疇を超えてるよね。性格?割と真面目で、ザ!武人!って感じ。
 割と女の子っぽいとこもあるんだけどさ。誰得だよ。
 道場の人間を人質に取ってるよ。まだ伝えてはないけどね。


・セレスティア・ルーデンベルク<超高校級のギャンブラー>

 厨二設定大好き少女。純日本人だろお前?
 他人より自分。ポーカーフェイスとか嘘つきまくりとか、面倒だけどいい性格をしているよ。
 発言は信用しない方がいいね。ま、痛々しさはともかく頭は悪くないからさ


・江ノ島盾子<超高校級のギャル>

 黒幕って言ったらこいつを指すんだよね。忘れないでね。たとえ本人がそのことを忘れていても
 <超高校級の絶望>は、こいつなんだからさ……

絶望指数
★★★★★★★★★★

 <絶望>の象徴である彼女は、最初からマックスだよ。


・不二咲千尋<超高校級のプログラマー>

 蚊が可哀想だから自分の血を吸わせてあげるとか、むしろそれバカだろ。
 基本的には温和な性格なんだけど、臆病でビクビクしたり、鬱陶しい性格してるよ。
 けどこいつの能力ってピンポイントでこっちの弱点ついてくるからなぁ……
 あと、地雷踏み抜きスキルの持ち主でもあるんだよね。ここら辺が何かしでかさないかなあって期待だね!


・戦刃むくろ<超高校級の軍人>

 江ノ島盾子の双子の姉で、こいつは二年間の記憶は奪っていないし、こっちとも通じている、いわば『協力者』だね
 妹命!っていう子犬属性の持ち主なんだけど……あまりに残念なんだよね、いろんなところが。特に胸が

絶望指数
★★★★★★★★☆☆

 やっぱり長年、姉として<絶望>に触れてきたからさ、絶望指数は高いんだけど、マックスではないんだよね。
 なんでだろう? 姉意外に気になる人間でもいるのかな?



……
………
…………

 ――データ入力、完了。


 うぷぷ……
 うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!

モノクマ「いいっすか!? やっちゃっていいっすか!?」



『各々が目覚め、集められた体育館で自己紹介をしている』


江ノ島「やっほー、よろしくね」 

戦刃「あ……よろしく……」

江ノ島「あ、これ、うちの残念なお姉ちゃん。双子なんだよー」

苗木「え、でも……」

舞薗「苗木君、人の家の事情を詮索するのはよくありませんよ」

苗木「え!? なんでわかったの?」

舞薗「エスパーですから」

モノクマ『あー、あー、マイクチェック、あー、あー』

モノクマ『ただいまより、入学式を執り行います!』


《コロシアイ学園生活》

 ―スタート―



 1日目、朝

…………
………
……

体育館で入学式を行った後、生徒たちはまず出口を探すことにしたようだ。

しかし見つからない。当然だろう。
食堂に集まり、今後を話し合うようだ。


乱入し、動機を提示しますか?

1、はい
2、様子を見る


>>20

2

朝日奈さんをディスったかな? そんなつもりはないけども。
誤字はごめんね。単なる推敲ミスだよ。
ちょっと時間がかかるかな。その間、『動機』について少しアイデア出してくれないかな。

『外に出たくなるDVD』『秘密』『お金』『裏切り者』ゲームではこんな感じだったけど、

他に何かあるかな? あったら取り入れていくよ。

まだまっさらだから何も思いつかないなら思いつかないでいいけど、アイデアは大事。

良かったら考えてみてねー

(ぴょーい)



モノクマAIのクセに絶望じゃない選択をするAIが多かったなぁ

外に出たくなるDVD→"ルーレットでランダムに秘密公開"とか…
けど、インパクトに欠けるかぁ

お金→誰かを殺せば100億+クロとバレなければさらに100億!
外が、あんな状態なら金なんてすぐに用意できそうだし…
セレスや葉隠なら釣れるか…


《食堂》


石丸「では、ここに第一回、定期報告会の開催を宣言する!」

石丸「各々の捜索の結果を発表しようではないか!」

大和田「なんでてめぇが当たり前のように仕切ってんだ?」

石丸「ふむ。そうだな、確かに皆の意見を聞かないというのはよくない」

石丸「ではまず、報告会の代表を決めようではないか!」

葉隠「ぶっちゃけ、どうでもいいべ。どうせこれもレクリエーションだべ?」

江ノ島「まだそんなこと言ってるわけ?」

十神「どうでもいい。石丸、やりたいならお前がやれ」

石丸「む。他のみんなはどうだね?」

(反対意見は出なかったようだ)

石丸「では、僭越ながら僕が取り仕切らせてもらおう」

(各々が調べた結果を報告していく)

桑田「で、結局出口は?」

全員「…………」

腐川「なな、ないんじゃ意味ないじゃない……!」

朝日奈「で、でもさ! 探していけばきっと見つかるって!」

苗木「そ、そうだよ。諦めちゃダメだ!」

舞園「ええ、みんなで探せばきっと」

十神「俺は反対だ。一人でやらせてもらうぞ」


大和田「ああ? なんだと?」

十神「この中に既に殺しを目論んでる奴がいるかもしれんからな」

(立ち上がり、去ろうとした十神の前を大和田が遮る)

大和田「んな勝手は許さねぇぞ?」

十神「どけよ、プランクトン」

大和田「ああ?」

十神「聞こえなかったか? プランクトンのような下等生物にはもっとわかりやすい言葉ではないと通じないか?」

十神「あいにくだが、俺はそんな翻訳機はもっていないんだよ」

大和田「てめぇ……ぶっコロがされてぇかぁ!!?」

苗木「ちょ、ちょっと待ってよ! こんな、仲間割れなんてしたら」

苗木「それこそ、黒幕の思うつぼだよ!」

大和田「ああ? お前、綺麗ごと言ったか? 綺麗ごと言ったな!?」

苗木「あ、いや……そういうつもりじゃ」

大和田「うっせぇ!!」

(苗木が殴られた。吹っ飛んだ苗木はテーブルに頭をぶつけ、気絶してしまう)

舞園「苗木くん!?」

朝日奈「ちょ、何してるの!?」

江ノ島「うわ苗木、明らかに聞こえちゃいけない音が聞こえたけど」

(舞園、朝日奈、石丸などが苗木を介抱する)

十神「すぐに暴力に訴えるしかできない。やはりプランクトンだな」

大和田「ああ!?」

大神「よせ。今は苗木を何とかするのが先だろう」

(騒ぎのスキに、十神は出て行った)

戦刃「……脳震盪だと思う。とりあえず、個室に運んだらいいんじゃないかな……」

大神「そうしよう。この体格なら、我一人でも大丈夫だ」



 1日目、昼時間


…………
………
……

現在、苗木誠は気絶している。看病人として、舞園さやかが付いている。
その他は各自、思い思いに行動しているようだ。

『動機』の提示は2日目の夜時間に行う。それまでは干渉を最小限に留める。


監視カメラによる映像確認


キャラクターを指定してください


これより下、8レス出たら閉め切ります。

※キャラクターの組み合わせは、1・2番目のレス、3・4番目のレスと言ったように、レスの順番で決まります。

霧切さん

 1日目、昼時間


《苗木の部屋》


舞園「…………」

苗木「っ……!」

舞園「あ、……苗木くん」

苗木「……え?」

苗木「あ、わわ、うわ!? 舞園さん!?」

舞園「良かった。すぐに目を覚まして」

舞園「覚えていますか?」

苗木「あ、うん……ハハ、情けないよね」

舞園「そんなこと、ないですよ。……立派だったと思います」

苗木「……ありがとう、舞園さん」

苗木「……ここは?」

舞園「苗木くんの個室です。大神さん達に手伝ってもらいました」

舞園「私は、その……苗木くんのことが心配で」

 ぴんぽーん

舞園「あ……誰ですかね?」

苗木「あ、ボクが出るよ」

苗木「はい?」

大和田『……苗木。気ぃ付いたのか?』

苗木「あ、えっと……大丈夫だよ」

大和田『ん……ちょっと、いいか』

大和田『別に、何もしねぇからよ』

苗木「あ、えっと……」

舞園「…………」

舞園「私、部屋に帰りますね」

舞園「それじゃあ、また」

苗木「あ、うん……ごめん」

舞園「いいんですよ。……気が付いてくれてよかった」

(舞園が退出した。入れ替わりに大和田が入ってくる)

大和田「あー、その。邪魔したみてぇだな」

苗木「そ、そんなことないけど」


大和田「……その、悪かったな」

苗木「え?」

大和田「殴ったりしてよ」

苗木「い、いやいいよ。こういう状況だもの、仕方ないよ」

大和田「…………」

苗木「……な、何?」

大和田「いや、お前思ったより根性あるなって思ってよ」

大和田「見た目はひょろっこいのに、よく俺を止めようと思ったな」

苗木「い、いや。ボクは争いが苦手なだけだから」

大和田「普通は止めねぇよ。みんな自分の身が可愛いんだ」

大和田「…………」

苗木「大和田くん?」

大和田「なんだ、その……」

大和田「お前には借りがある。いつか必ず返すからよ」

大和田「“男の約束”だ。ぜってー返す」

苗木「いや、本当に気にしなくていいんだけど……」

苗木「けど、ありがとう」

苗木「大和田クンが、悪い人じゃないってわかって、よかったよ」

大和田「ば、馬鹿言え! 俺は極悪非道の暮威慈畏大亜紋土総長様だ!」

大和田「悪い奴に決まってるだろうが! 鑑別所行ったことあんだぞ!」

苗木「あはははは……そっか、そうなんだね」

苗木「でも、暴力で解決しようとしないでほしいんだ」

苗木「みんなでここを出たいから……誰にも殺人なんてしてほしくないんだ」

大和田「……ち、お前といるとどうも調子狂うな」

大和田「苗木。困ったらすぐ俺を頼れよ」

大和田「俺に出来ることは何でもする。借りは必ず返すからな」

苗木「ありがとう。大和田クンも、ボクに……まあ何も出来ないかもしれないけど、でも困ったら相談してほしい」

苗木「みんなでここを出たいから。一緒に、頑張ろう」

大和田「応!」

安価分は今日消化する予定だけど、ちょっと晩御飯たべてくる。

動機は難しいね。前提に『外に出られない、外の情報を得られないこと以外の自由は保証する』のがあるからね

じゃあ、またね

(ぴょーい)

前も思ったが、動機は難しいな
あまりに干渉し過ぎてもなんか違うしな

大和田が苗木を信用した感じかな。裏切らせたいな

優遇とか、特別扱いで釣るか?
何人かは、優遇だけでコロシアイをしてくれる奴がいるが…

 1日目、夜時間

《購買部》


舞園「あ、霧切さん……」

霧切「……舞園さん」

霧切「どうしたの?」

舞園「その、何でしょうね」

舞園「部屋に閉じこもっているのも怖いし、……何かをしていないと落ち着かなくて」

霧切「そう。あなたは怖いと感じているのね」

霧切「この状況を」

舞園「…………」

舞園「霧切さんは、違うんですか?」

霧切「さあ?」

舞園「……その、」

舞園「私も、ちょっとそういうところあるから、なんとなくわかるんですけど……」

舞園「この状況で、恐怖を感じてない人間の方が不自然だと思いませんか?」

舞園「恐怖を、感情を無理に……隠す必要、あるんですか?」

霧切「…………」

霧切「あなたは、私が隠しているように見えるの?」

霧切「感じていないとは思わないの?」

舞園「思いませんよ」

舞園「霧切さんは、違うと思うんです」

霧切「ずいぶん、言い切るのね」

霧切「まだ一日も経っていないのに」

舞園「……その、私は」

舞園「……出来ればみんなで、ここを出たいだけです」

舞園「……モノクマさんに言われたことで、みんな疑心暗鬼になって」

霧切「そしていつか、疑心は飽和するわ」

霧切「そう遠くない未来に、ね」

舞園「…………」

舞園「霧切さん……仲良くなりませんか?」

舞園「一人は楽かもしれないけど、寂しいですよ」

霧切「お誘いはありがたいけど、私は一人でいいわ」

霧切「巻き込みたくないから」

舞園「何にですか?」

霧切「……別に」

(霧切は去った)

舞園「…………」

舞園「みんな、怖いな……」

舞園「みんなも私のこと、怖いのかな……」

>>舞園「みんなも私のこと、怖いのかな……」



怖いです(震え声

先に、『動機』の絶対の条件を言うと

学園生活を送る上で、『外に出たい』『外の情報が欲しい』以外の不自由は一切させません。

兵糧攻めなどは基本的には行いません。あくまで生徒の“自主的な”行動によって、クロになってもらいます。

これはダンガンロンパという作品の世界観から見て絶対の条件です。

無茶言うなよとか言われても、これは作品の世界観だから仕方ないのです。納得いただけますように……

あとはまあ、フェアであること。

動機はゲームの使いまわしじゃパターンがあるかなあと思ってみなさんのアイデアも募集してはいますが、

すいません、採用するとは限りません。とりあえず一回目の選択は

『DVD』『秘密の暴露』『お金』から行きます。考えててください。

>>55
優遇っていうのは分け与えられる物や譲れる物だと意義が薄いけど
分けるな譲るなを強要しても効果が薄そうなんだよな
具体的にどんな感じなの?

 2日目、朝

《ダストルーム》


桑田「お。えっと、山田だっけ?」

山田「あ、はい。あなたは確か、桑田怜恩殿でしたな」

桑田「お前、人をフルネームで呼ぶの?」

山田「そうでないと、キャラクターが入ってこないのです」

山田「名は体を表すと言いますぞ!」

桑田「はあ。まあ別にいいけどよ」

桑田「ところでお前さ、あの熊のぬいぐるみのこと、どう思う?」

山田「モノクマ、でしたかな」

山田「不気味の一言ですな……」

桑田「あれ、ロボットなのか?」

山田「まあ、どっちかというとそれは重要ではありませんが」

山田「やはり、あれを操っている何者かが重要だとは思いますな」

桑田「はあ。なんでこんなことになっちまったんだ?」

山田「全くですな……」

山田「しかし、桑田怜恩殿は、意外と我が輩と話していただけるのですな」

山田「てっきり、我が輩のような人間を蔑んでいるのかと」

桑田「お前、オタク狩りでもされたのか?」

桑田「まあ、趣味は絶対合いそうにないけどな。俺別に喧嘩やいじめが好きなわけじゃねーし」

桑田「つーか、女の子がいればそれでいいし……さやかちゃん、いいよなぁ」

山田「むむむ! 桑田怜恩殿はああいった、黒髪ロングがお好みなのですな!」

山田「それならば、地味ですがプレゼントなどはいかがですかな?」

桑田「プレゼント、そりゃ出来たらするけど」

山田「購買部に、なにやらガチャガチャがありましたぞ!」

山田「ただ、お金じゃないようですな。メダルのようなものが必要みたいですが」

山田「外から見る限り、面白いものも入っていましたぞ」

桑田「へー。サンキュー、山田!」

桑田「へへ、結婚式にはお前も呼ぶからよ!」

山田「さすがに先走り過ぎですぞ! 男たるもの、落ち着いて行動せねば嫌われる」

山田「ギャルゲーの基本ですな」

桑田「女の知識ゲーム限定かよ。まあ、山田ならそっちっぽいか」

桑田「ま、とにかくありがとな! ……やっぱさ」

桑田「普通の会話でもしてないと、すぐ壊れそうになるしな」

山田「……そうですな」


 2日目、昼

《食堂》


セレス「…………」

十神「…………」

(しばらく沈黙が続いた)

セレス「十神くん。少し、よろしいですか?」

十神「なんだ?」

セレス「あなたはこのコロシアイ学園生活に、乗るつもりですか?」

十神「悪くはないゲームだと思うが? 久しぶりに刺激的なゲームだ」

十神「お前こそ、乗るつもりはないのか?」

セレス「得るものがなければ動くつもりはありませんわ」

セレス「勝ち残るのは強い者でも賢い者でもなく、適応力のある者」

セレス「適応するべきだと、わたくしは主張いたします」

十神「その“適応”とやらは、ゲームに積極的に乗る奴らも含まれているのか?」

セレス「……見方によってはそうかもしれませんが」

セレス「わたくしはあくまで、この学園で生活することを受け入れるべきだと思いますの」

セレス「何者かの意志でくだらないゲームをやらされる。そちらの方が業腹ですわ」

十神「ふん。そんなのはここから出てから叩きのめしたらいい話だ」

十神「まずここを出ることを考えるべきじゃないのか?」

セレス「そうやって焦って、相手の思うつぼに嵌れ、と?」

十神「平行線だな。まあいい」

セレス「あなたは、自分以外のすべてを見下して生きているのですね」

十神「それに見合う実力があるからこそ、だ」

十神「俺は俺以外のすべてを敵としている」

十神「お前も例外ではない」

セレス「殺伐とした世界観ですわね」

セレス「上手く仲間に取り入れることも、時には必要になると思いますわ」

十神「使い捨ての道具として、な」

セレス「……本当、平行線ですわね」



モノクマ『あーあー、皆さん! 大事な発表があります!』

モノクマ『体育館までお集まりください!』



『動機』の発表を行います。

1、外の世界のDVDを見せる
2、24時間以内に事件が起こらないと、秘密を暴露しちゃうぞ☆
3、ひゃっくおっくえーん!

>>75 スナイプだ!

2

1、DVD

さっさと処理したいのと、あとゲームとまた違った展開があるのか見てみたい

うえ、また2……秘密の暴露からか
どうしようか。……どうしようか。

ああ……どうしよう。時間ください。


うわあ、前回と同じルートはないだろ……

基本は変えたくないな……つっても、この状況だとな……
なんかイベントがないと事件も結末も同じになってしまうな……


安価に選択肢としていれたのはいれたけど、正直に言うとあまり選ばないだろうと思っていたんだ。ごめん。

どうしようかな。イベント……も違うな。このタイミングじゃおかしい。

安価は絶対だからな。秘密の内容を変える……といっても、あまり心理的な動きは変わらんのだよ。

どうしよう。何か意見ある?

>>67
まぁ、例えば食事で望む物を提供したりする。
(セレスなら「下品で臭い」餃子とか… 朝日奈なら種類豊富なドーナツから豚骨ラーメンとか…)
道具とかなら、葉隠なら「オーパーツ」とか提供するとか…

こんな感じ

いや、まあ証明は出来んが>>79はつい心の叫びが出た。すまん

金の方なら別によかったんだけどな すまん

除外したらしたで選択肢があまりに少なくなるからね。

学園内限定にしたら……

一人動きそうな人がいるか。それで行ってみようか

俺ら、モノクマ先生だろ。
なら、秘密暴露の仕方を変えればいいじゃない。くじ引きとか、キーワード風に「苗木くんは15歳に…」と呟いたりと…

あ、ちょっと待った。安価

・秘密の暴露を学園内限定にする

これでいいですか?

1、はい
2、いいえ


>>110までで多い方

1

ん、なんか変わるのか?

1

内通者の話は今のタイミングじゃないんだよね。

もう少し仲良くなってもらわないと、劇的じゃないでしょ? そういうこと

前回読んでなくても大丈夫なんじゃないの?
前作未読だから、前作の流れをメタ的に回避しないとダメなら前作読んで出直してこいってはっきり言って欲しいわ

 2日目、夜

《体育館》


(全員が集まった)

モノクマ「がおー!」

苗木「な、なんだよ?」

モノクマ「ボクはね、退屈すぎて怒っているんだよ!」

モノクマ「なんでみんなさっさと殺っちゃわないのさ!?」

朝日奈「こ、殺したりなんかするわけないじゃん!」

朝日奈「どんなことがあっても、あたし達は人を殺したりなんかしないよ!」

モノクマ「はいはい、そういう鬱陶しいのいいからさ」

モノクマ「うぷぷぷぷ……みんなにプレゼントがあるんだよ」

霧切「プレゼント?」

モノクマ「何がいいかなって考えたんだ。モノクマ先生はみんなのことを一番に考えているんだよ」

モノクマ「だからね、みんなにはね、隠し事を無くしてほしいんだ」

十神「隠し事?」

モノクマ「じゃないと、仲良くなれないからね」

モノクマ「じゃじゃーん! この封筒にはみんなの秘密が書いてあります!」

(封筒をばらまいた)

(生徒たちは自分の名前の書かれた封筒を拾うと、中身を見て困惑したり青ざめたりしている)

モノクマ「これを、24時間後。全員分の秘密を各部屋に配ります」

モノクマ「ま、事件が起こったら取り消してやってもいいけどさ」

モノクマ「やっぱ仲良くなってほしいじゃん!? 隠し事なくしてほしいじゃん!?」

モノクマ「ぎゃあっはっはっはっはっは!」

大和田「て、てめぇ……!」

苗木「お、大和田クン!」

大和田「……くそがぁ!」

モノクマ「うぷぷぷ……こんな隠し事をする人間を、信用できるのかな?」

モノクマ「ねえねえ、みんなはどう思う?」

戦刃「……隠し事のない人間なんて、いないと思うけど」

モノクマ「それならそれでいいじゃん?」

モノクマ「何もなく、みんながこれを乗り越えて、仲良くなったらなったで」

モノクマ「それはそれで、<絶望>の種になるんだからさ」

(ぴょーい)

全員「…………」

石丸「と、とにかく……この件について、話し合おうではないか!」

朝日奈とさくらくらい中が良くないと絶望じゃないからなぁ…

今日はこれでおしまい。

>>114 
多分、読んでない方が新しい気持ちで楽しめると思う。
前回と同じ展開になりそうでびっくりしただけ。これはすまない。未熟なのです
でもこれなら展開もだいぶ変わるはず。大丈夫です。

いや、みんなごめんね。んじゃまたねー

(ぴょーい)


内通者を誰にするかは固定?



どう変わるんだろうか。なんか大和田はわりと回避しそうな感じだな

じゃあ誰が事件起こすのか……


いたな、一人。確かに、学園内でも致命的な秘密を持ったやつが

>>121
内通者はさくらちゃん、
協力者は残姉ちゃんです。固定です。

ラスボス化させないために頑張るしかねぇ

舞園さんはラスボスにもならずになんとか別の絶望を与えたい。

具体的には苗木と破局させ、霧切さんあたりにNTRさせたいです(ゲス顔

でも、それじゃまんまだし、違う形で絶望させたいじゃん。
マネキン使って、ストーキング染みたことして仲違いして絶望させればいい。
バレたら「退屈すぎて人形遊びしていただけだよ」とか誤魔化せばいい。


《食堂》


石丸「さて、……この件に関してだが」

葉隠「うーん。学園のレクリエーションはさすがだべ」

葉隠「これを乗り越えて仲間の絆を深めろって言うんだべな」

腐川「ま、まだそんなこと言ってるの!?」

全員「…………」

石丸「僕は提案する! いっそのこと、全員さらけ出してしまおうではないか!」

苗木「え?」

舞園「で、でも……それは……」

江ノ島「けど、石丸の言うこともアリかもしんないけどね」

江ノ島「どうせばれるんだしさ」

大神「24時間後に必ずばれるというならば、持ち越すよりもここで互いに話してしまった方が」

大神「少なくとも、ばれるのを恐れて殺人を犯す、ということはなくなるということか」

朝日奈「う、うん。さくらちゃんの言うとおりだと思う!」

桑田「えーっと。さくらちゃんって」

大神「我だ」


全員「…………」


桑田「ですよねー」

山田「ま、まあ。ですが、確かに、一理あるとは思いますぞ」

腐川「…………」

腐川「こ、この秘密を知ったら」

腐川「み、みんな……私を殺すんでしょ?」

苗木「え?」

腐川「そ、そうよ! みんな私を信用しなくなる!」

腐川「みんな私を狙う! 私を殺そうとするに決まってるわ!!」

腐川「わ、わ、わ、私は……私は!」

腐川「嫌よ! 絶対に嫌!!」

(腐川は走って食堂から出て行った)

全員「…………」

霧切「……人によって、隠しておきたいことの重さは違うわ」

十神「腐川の思い込みも、思い込みとは限らん。秘密の内容によるからな」

セレス「そうですわね」

セレス「例えば凶悪犯罪の前科者だったら? 本人にとって、墓場まで持っていかないといけない秘密だったら?」

セレス「それとも、皆さん。皆さんは寛大な心で、全てを受け入れられるというのですか?」

セレス「まだ出会ったばかりのわたくし達にとって、わずかな信用すら失うのは、致命に繋がりかねません」


朝日奈「そ、それは……そうかも、しれないけど」

石丸「だが、いずればらされるならば……怯える時間は短くした方がいいのではないか?」

大和田「…………」

大和田「悪ぃ……少し時間くれねぇかな」

大和田「やっぱり決心が、まだつかねぇ」

不二咲「ボ、ボクも……少し、決心する時間が欲しい、かな」

山田「む……性急に事を運んでも、危険かもしれませんな」

苗木「……うん。ボク自身は、話しても構わないようなことなんだけど」

苗木「決心する時間は、必要だと思う」

舞園「……そうですね。私も、今すぐここで、というのは、早すぎると思います」

舞園「それに、腐川さんは……すごく怯えているようですし」

舞園「なにかしらフォローが必要だと思うんですけど……」

戦刃「けど、腐川さんって誰も信用しようとしてないし……」

戦刃「誰なら言葉を聞いてくれるの?」

桑田「この中じゃ、不二咲と苗木じゃないか?」

苗木「え?」

不二咲「ボク?」

桑田「いや、一番なんか、ヤバいことしそうにないじゃんか」

石丸「……うむ。僕もそう思うぞ!」

舞園「私も、そう思います」

舞園「苗木くんや不二咲さんが人を傷つけるようなところ、想像できないです」

大神「……そうだな。適任かもしれぬ」

江ノ島「メンドーなこと考えられる前にさ、さっさと説得しちゃってよ」

戦刃「じゅ、盾子ちゃん……あまり、急ぎ過ぎても良くない、と思うけど」

霧切「…………」

霧切「苗木くん、不二咲さん。お願いできる?」

苗木「ボクは、いいんだけど」

不二咲「ボクも……けど、どう言えばいいのかな……」

(とりあえず苗木と不二咲に腐川の件は任せることにして、それぞれ解散したようだ)


…………
………
……

監視カメラによる映像確認

下レス二つ、キャラを指名してください

では夜時間の残り、苗木と不二咲が腐川を訪問から、朝になって大和田と不二咲の会話にいきます。

お腹空いたから少し離れるね

(ぴょーい)

むぅ。大事なことだから言わないといけないっぽい。

キャラが頭良くなってるって指摘は前回もありました。確かにありました。
だけど、前回の舞園さんは作者的にはそんなに頭使ってないんですよ。使ったのは殺害に使ったやり方ぐらいで。

あとはかなり行き当たりばったりでした。私の中ではむしろ無計画で自棄になったキャラで、逆に霧切さんはだからこそ事件が起きるまでは何も対応できなかった、という認識なんですね。
アドリブで突発的な事態を自分の中に取り込むのが上手い、っていうのは、アイドルっていうか芸能人だからそういう解釈です。
あれで頭良くなってると言われると、他のキャラはもっとばかになってしまって、結構ストーリーが作れなかったりするんですが……

多分ほかのキャラも頭良くなるんじゃないかと。そして相対的に苗木や霧切さんや十神や私様が弱体化してしまうのは……

そっか、前回苗木が全然活躍できなかったのはそのせいか……気付かなかった……


そして、すみません。めっちゃくちゃに体調悪くなって来たので、いきなりですがしばらく更新止まるかもです。
出来れば明日も投下するつもりですが、今日は限界が来た……

とりあえず、もう少しキャラクターの頭脳レベルに関しては考えてみます。ただ、馬鹿にするのって難しいな……
キャラクター崩壊を起こさない程度に頑張ります。はい。

少し起きて覗いてみたらなんだこの考察のレスの数は!?
びっくりした。けどそれだけ、読者がこのSSをきちんと読んで参加してくれてると解釈させてもらう。嬉しいよー

苗木霧切私様はねー……苗木と霧切さんは一応、流れ的に完全には能力を発揮できなかったんだけど(でも苗木は最後持ち直したと思って書いてました)

私様は本当に何も言い訳しようがない……死に方は最初から決まっていたんだけどね。まあもちろん、流れ次第では殺されてたとも思うけど、今回はどうだろね。

舞園さんはねー。ベクトルの問題が大きい。心のエネルギーは良くも悪くもこのメンバーの中でも大きい人なんだと思うから。手を汚すことも割と躊躇わないというか、躊躇ってはいるけど無視できてしまうというか。
原作では外に出たい、前回の周回では黒幕を殺したい、今回どうなるかはみんなの安価次第。

霧切さんは、まあ前回の解釈を作者が言うのは野暮だよね。うん。皆様にお任せします。

苗木はどうも舞園さんかそれぐらい大事な人が死ぬか何かしないと覚醒しないっぽいんです。
覚悟を決めてくれないというか。序盤の動き方を見てそう思いました。序盤の心の動きは日向に似ているなってちょっと思ってたり。
苗木も成長系の主人公なんだな、改めて思います。


作者の個人的な書きやすさの理由で描写が偏る部分は出ると思います。
それでも作者の中では、前回のキャラの動き方は、それほど原作のキャラクターがしないようなことをしているとは思っていません。弱体化しているならそれなりの理由があってのことで(私様以外は……)今回もそうするつもりです。

頑張るよ! ぶっちゃけ単なる二次安価SSでこんだけ真面目な意見がいっぱい出るなんて思わなかった! 
ごめんねみんな! ありがとう! 風邪早く治すよ!


前作の妹様は舞園さんがダークになり過ぎてモチベーションが上がらなかったんだと解釈してた。

>>197

多分、私様はもう少しだけ展開が違っていたら、あの舞園さんとすっごく仲良くなりたかったと思う。
というか、霧切さんが邪魔しなければ、もっと長々と愛の語りあい(一方的な)を用意していたんですけどね。
私様と舞園さんの見せ場だし、クライマックスの一つだったし。

まあ、目撃者がいなかったらいなかったで面倒なことになっていたとも思いますけども。
霧切さんは本当にお邪魔虫。なんでドア開けて外の音聞いてるかな……でもそうしてしまうのが霧切さん。
それが霧切さん。ホント、作者の思い通りには動いてくれない。みんな厄介なキャラばかりです。でも書いてて楽しい。

そうか……愛のささやき()の後に殺し合う√もあったんだけどなぁ
舞園さんにっていうか、舞園さんの持つ絶望に対しての愛ね。
あんなに殺そうとしていた私様を殺せなかった舞園さんの絶望というのもアリだし、返り討ちにあったらあったでそれもまた自分の絶望としてアリというね。愛のささやきってあくまでそういう意味ね。

百合展開とかはないと思うけど……残姉や松田みたいに特別に人間としての愛情は持たないと思う。

誘惑するとか絶望の楽しさに勧誘する感じのルートのことか。……びっくりした

妹様はキャラ変化も難しいし行動原理も理解できないだろうから、描写はものすごく難しいだろうな。それはわかるんだ

ってか仲良くなるために自分の記憶も消したんだと思ってた。それこそゼロのあれみたいな感じで。


体調悪いだろうから無理にレスしなくていいが、>>1は全滅ルートとか考えてるのか? それともAIや妹様は負けるの前提なのか?

>>212

うーん。絶対に負ける!って決まってるわけではないのですけど、
完全に勝つのは難しい。こっちの勝利条件は全員を絶望させることだけど、

もうね。上手くやらないと難しすぎる。苗木が形状記憶メンタルすぎるので。

苗木を死なせるにしても、コイツ幸運という主人公補正があるからなぁって言う感じです。完全勝利はものすごく難しいです。

《腐川の部屋・前》


 ぴんぽーん

 プツッ

腐川『…………』

苗木「腐川さん。開けてくれないかな」

苗木「あ、いや。開けなくてもいいけど、話を聞いてほしいんだ」

苗木「とりあえず、せーので話そうって話は今はなくなったよ」

腐川『……本当?』

不二咲「うん。……ボクも、今すぐ話すっていうのは、決心がつかなかったし」

不二咲「出来れば、話したくないし……」

腐川『け、けど、一日経ったらみんなばれるんでしょ?』

腐川『そしたら、みんな、私のことを……!』

苗木「そんなことないよ」

腐川『う、嘘よ! そうに決まってるじゃない!!』

苗木「あ、いや、だから……」

不二咲「……やっぱり、怖いよね」

不二咲「嫌われるかもしれないって思うと、怖いよね……」

腐川『…………』

不二咲「腐川さんの気持ち、わかるよ」

不二咲「ボクも、みんなに気持ち悪がられるかもしれないと思うと、怖いから……」

腐川『…………』

不二咲「でも、きっと受け入れるから」

不二咲「どんな秘密であっても、きっと受け入れるから」

不二咲「……負けないで」

腐川『…………』

苗木「……腐川さん」

苗木「ボク達、こんなことに巻き込まれて、まだ全然初対面で、」

苗木「何も知らないのに、なんてことを言うんだって思われるかもしれないけど」

苗木「ボク達は仲間だよ」

苗木「あんなクマのぬいぐるみの言うことに従ったりなんかしない」

苗木「みんなでここを出ようよ」

苗木「……いつか信じてくれるって、信じてるから」

腐川『…………』

腐川『騙されないんだから』

 プツッ

苗木「あ……!」

不二咲「……今、これ以上話すのは、難しいと思う」

苗木「……そうだね。けど」

苗木「本当にこれで、いいのかな……?」

 3日目、朝

《食堂》


不二咲「あ、大和田くん」

不二咲「早いね」

大和田「応。眠れなくてな」

大和田「…………」

大和田「あの女の様子はどうだった?」

不二咲「……腐川さんのこと?」

大和田「昨日、苗木とナシつけたんだよな?」

不二咲「な、ナシ……?」

不二咲「えっと、どうだろう……あまり、効果はなかった気もする」

不二咲「すごく、ガードが固いっていうか」

大和田「そうか」

大和田「…………」

不二咲「大和田くんは、秘密をみんなに知られても大丈夫?」

大和田「…………」

不二咲「大丈夫だよね。大和田くんって強いもんね」

大和田「…………!」

不二咲「きっと、乗り越えられるよね」

不二咲「ボクなんかと違って……強いもんね」

大和田「お前に、」

不二咲「え?」

大和田「お前に、何がわかるってんだ!?」

不二咲「え? ……え?」

大和田「俺は……俺は……!」

大和田「…………」

大和田「す、すまねぇ」

大和田「……自分の部屋、帰るわ」

大和田「大声あげて、すまねぇな」

不二咲「え? ……あ、あの」

大和田「……お前が悪いわけじゃねぇ」

大和田「……俺は、強くなきゃならねぇンだ」

大和田「負けられねぇンだ」

不二咲「あ、あの……大和田くん」

大和田「朝飯、俺はいらねぇっつっといてくれ……じゃあな」

(大和田は出て行った)

不二咲「大和田くん……?」

 3日目、昼


…………
………
……

生徒の間で動きがあった。
男子と女子が分かれて、それぞれがおしゃべりやスポーツをして親睦を深めようという話になったようだ。
発案者は石丸と朝日奈。秘密の暴露の前に最低限のコミュニケーションをとっておこうという理由のようだ。
ただ十神と腐川は参加していない。不二咲は女子の方に参加している。


男子は体育館でスポーツ、女子は食堂でおしゃべりをする話になっているらしいが、

注意して観察するべきはどちらだろうか?

1、体育館
2、食堂


>>226までで多い方

オマエラおはようございます
2

あとキャラステータス?見る限り残姉ちゃんが希望側に寝返る恐レ在なんだよなぁ…

モノクマとしてはとっても邪魔ですねぇ(ゲス顔

恋愛……いや、えっと。うーん。キャラと安価次第ですが、善処します。
恋愛ねぇ……何故か、かーなーしーみーのーっていう歌が聞こえてきた。誠死ねって言われないかな。大丈夫かな。
まあ、キャラが動いてくれたら自然とそういう話になると思います。

一応、事件の流れは頭にあるんだけど、証拠とか犯人を特定するにはどうすればいいかで悩んでる感じです。
自白頼みは嫌だしなぁ。少し時間ください。

んー、作者としてはいろんな意見が出るのはありがたいし、参考にさせてもらっているけど、
そういうのを嫌う人がいる、っていうのも何となくはわかります。

もしよければ、まだ

【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 3【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377779213/)

が生きてるし、まだ1000までかなり余ってるんだ。

動機やキャラをどう絶望させたいか、またこのキャラの動き方が不自然だとか、そういう意見は、chapter3の余った部分でやったらどうかな。

このスレはみんながモノクマ先生だから、意見を委縮させたくはないけど、それでスレを消費して読みにくくなってほしくないというなら、そういう感じにすれば解決しないかな。

《食堂》

不二咲「…………」

朝日奈「とりあえずさ! みんな一緒になってれば大丈夫だって!」

戦刃「いや、なってないんだけど……」

江ノ島「でもしゃあねぇじゃん。自分から断ってんだし」

セレス「まあ一人で部屋に閉じこもっている限りは安全でしょう」

霧切「…………」

朝日奈「あ、あのさ」

朝日奈「やっぱり、話せる人は、秘密話しちゃわない?」

不二咲「え……」

朝日奈「あ、無理矢理じゃないよ? でもさ、……もうすぐ、ばれちゃうしさ」

セレス「モノクマの言葉が本当だとしたら、ですけどね」

朝日奈「やっぱさ、自分から言える人は、その方がダメージ少ないかなぁ、なんて」

舞園「あ、あの。私はあまり良くないと思います」

朝日奈「え? なんで? 言いたくない人は言わなくても」

舞園「差が生まれますから。言えた人と、言えない人の差が」

舞園「グループって、そういう小さな差を放っておくと、後々……」

セレス「亀裂が生まれかねない、と」

舞園「……はい」

大神「なるほど。秘密の程度にもよるが」

大神「確かに、わざわざ亀裂を自ら作る必要はない」

朝日奈「さくらちゃんまで……」

大神「朝日奈の気持ちはわかっている。朝日奈の言葉も間違ってはいないと我は思う」

舞園「あ、はい。そうですよ」

舞園「ただ、秘密の重さは人によって、やっぱり違いますから」

不二咲「…………」

不二咲「ボク、やっぱり」

不二咲「やっぱり、腐川さんを見てくるよ」

大神「……閉じこもっているが、大丈夫か?」

不二咲「舞園さんが言った通り」

不二咲「差が生まれるのがよくないっていうなら、ここで待っていた方がいいと思うんだ」

不二咲「みんなで、一緒に。一人じゃなくて、みんなで」

朝日奈「あ、じゃあみんなで」

霧切「あまり大勢で行っても頑なになるだけよ」

霧切「強引に輪に入れられても、迷惑なだけ」

舞園「そんな言い方……」

霧切「…………」




霧切「一歩を踏み出した時に待っててあげるのも、優しさじゃないかしら」

舞園「……普段の、普通の状況ならそうかもしれませんが」

舞園「今は、何が起こるかわかりませんし……」

不二咲「けどボク、任されてるしさ」

不二咲「大丈夫だよ」

(不二咲が出て行った)

全員「…………」

舞園「あ、何かお話ししましょうよ」

セレス「わざわざ暗くなる必要はありませんわね」

江ノ島「じゃあさ、恋バナしない!?」

戦刃「え」

江ノ島「ぶっちゃけさ、男子どもどう思う?」

朝日奈「え? えーと」

セレス「正直、まったく興味の欠片もわきませんわ」

江ノ島「あー、理想高そうだもんね」

戦刃「盾子ちゃん、適当……」

舞園「あ、大神さんや朝日奈さんは?」

大神「……我はそういったことに興味はない」

朝日奈「あたしは……うーん。本気で! みたいなのはないかなぁ」

舞園「霧切さんは?」

霧切「別に。興味ないわ」

霧切「そういうあなたは?」

舞園「へ?」

朝日奈「そうそう! 気になるー!」

江ノ島「ってかさ、事務所から恋愛制限されたりすんの?」

舞園「え、えっとですね」

舞園「表向きは、そういうことになってますけど」

舞園「メンバーと、誰々いいよねーとか、そういう話はしてましたよ」

江ノ島「マジ? やっぱそうだよねー」

朝日奈「芸能界ってかっこいい人多いもんね」

舞園「けど、私はそういう話、あまりついていけなかったですね」

舞園「それどころじゃなかったですし。正直」

江ノ島「そういえばさ。苗木と同じ中学なんだよね?」

舞園「え?」

舞園「ええ。クラスは違ってましたけど」

江ノ島「でもその割には親しげだったじゃん?」

舞園「え、いや。やっぱり、同じ中学っていうのは、その……」

舞園「それに、苗木くんは遠くから見てても面白いエピソードが結構ありましたし」

戦刃「えっと。どんな?」

舞園「うーん。鶴が飛び込んできた話とか」

セレス「鶴、ですか?」

霧切「……聞いてもいいかしら? あなたたちの中学はどんな場所にあったの?」

舞園「いえ、普通の場所ですけど……まあちょっと郊外かもしれませんけど」

朝日奈「鶴ってあれでしょ? ぎっこんばったんして、『決してのぞかないでください!』ってやつでしょ?」

舞園「はい、その鶴です」

舞園「あれはびっくりしたなぁ……その鶴を苗木くんは逃がしてあげたんですよ」

(しばらく談笑が続く。それなりに盛り上がっているようだ)

霧切「…………」

霧切「不二咲さん、どうなのかしらね」

舞園「そうですね。15分ぐらい経ちましたかね」

舞園「…………」

舞園「私、見に行ってもいいですか?」

江ノ島「わざわざ? 心配し過ぎじゃない?」

セレス「それぐらいがいいと思いますわ」

セレス「もうすぐ、『秘密』の暴かれる時間ですし」

セレス「用心に越したことはないでしょう」

全員「…………」

舞園「大丈夫ですよ」

舞園「私、こう見えても運動神経いいんですから」

舞園「いざとなったら、大声で叫びますし」

舞園「大丈夫です」

(舞園が出て行った)

全員「…………」

朝日奈「大丈夫、だよね……?」

セレス「そう辛気臭い顔をされると、お茶がまずくなりますわ」

江ノ島「あの、大体アンタのせいだと思うんだけど」

(不二咲が戻ってきた)

江ノ島「あれ?」

大神「不二咲。舞園を見なかったか?」

不二咲「え……え?」

不二咲「ご、ごめん。見てないんだ」

不二咲「お手洗いに行ってたから、すれ違っちゃったかな……」

不二咲「…………」

朝日奈「あ、えっと。腐川ちゃん、どうだった……?」

不二咲「…………」

セレス「聞くまでもない、といった感じですわね」


不二咲「……ボクは、あんなつもりじゃなかったのに……」

朝日奈「よくわかんないけど、不二咲ちゃんのせいじゃないって!」

戦刃「わからないのに、断言するの?」

江ノ島「まあ、どっちの肩持つかって言ったらねー」

(またわいわいと談笑が始まる)

(1時間程経過した)

セレス「……舞園さん、遅いですわね」

大神「不二咲が出ていた時間よりも長くなっているな」

霧切「…………」

霧切「あと15分ほどで、秘密が暴かれる時間になるわね」

戦刃「時間が時間だし、男子と合流してるのかも」

江ノ島「とりあえず、男子と合流して、舞園ちゃんがどこ行ったか確認する方がよくない?」

不二咲「う、うん……そうだね」

(食堂にいる全員が体育館に向かうようだ)




…………
………
……

うぷぷ。
うぷぷぷぷぷ。
うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!

『事件』が起きた! 『事件』が起きた!

さあ、『死体発見アナウンス』の準備をしよう!

『モノクマファイル』も用意しなくちゃ!!

仕事がたくさんたくさん増えた!

皆の絶望が見れる! 嬉しいな、嬉しいな!!

うぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷぷ!!!!

あーはっはっはっはっはっはっはっはっはっはっは!!!!!




※<『事件』発生以降と解決までは苗木視点となります>



 3日目、秘密暴露予定時刻、10分前


《体育館》


(女子たちが体育館にやってきた)

苗木「あれ? 腐川さんや……舞園さんは?」

朝日奈「え? 来てないの?」

桑田「十神でさえ来ているのによぉ」

十神「お前たちの動向を確認したかっただけだ」

霧切「ここにいないのは、舞園さんと腐川さんだけ?」

山田「腐川冬子殿はなんとなく閉じこもっているんだろうなーとは思うのですが……」

山田「舞園さやか殿は、どうされたのでしょうかねぇ?」

朝日奈「途中までは食堂で喋っていたんだけど……」

不二咲「ボクが、腐川さんを呼びに行っている間に、すれ違いにボクを探しに来てくれた、みたいなんだけど」

セレス「そのあと不二咲さんはひょっこり戻ってきましたが、舞園さんはそのまま見ていませんわ」

霧切「…………」

霧切「一時間ほど、見ていないことになるわね」

江ノ島「ってか、男子は見てないの?」

苗木「いや……ここには来てないけど」

大和田「俺もちょっと抜けたけどな。見てねぇぞ」

十神「別に必ずここに集まらないといけないわけじゃあるまい。放っておけ」

苗木「けど、何かあったら……!」

十神「自己責任だろう?」

セレス「まあ、少し待てばいいじゃないですか」

セレス「あと少し待てば、『秘密』が暴かれますが」

セレス「もし何も起こらなければ、『事件』が起きた」

セレス「そういうことですわ」

苗木「なっ……!」

苗木「そ、そんなの! ここでのんびりしているわけにはいかないよ!」

苗木「探しに行かないと……!」

霧切「待って。何故私たちがここに集まっているのか、忘れたの?」

石丸「う、うむ。……不測の事態に備えて、出来る限り大勢で集まっておこうという趣旨だ」

石丸「苗木くんの単独行動は認められん!」

大和田「ちっ……何かあったらおせぇだろうが」

不二咲「それに、腐川さんも心配だよぉ……」

戦刃「けど、全員が動くには……この人数は多すぎるよ」

霧切「それに、予定時刻はあと少し」

霧切「何が起きるか、確認してから動いた方がいいわ」

苗木「くっ……!」


苗木(腐川さんは、一人で閉じこもっていた。誰も信用ならない、そんな態度で)

苗木(でも逆に言えば、それなら誰かを部屋に入れたりしないだろうし、そういう意味で腐川さんは安全かもしれない)

苗木(けど、舞園さんは……不二咲さんを探しに行った舞園さんが、長い間見つからないなんて)

苗木(ここにも来ないなんて、協調性のある彼女がそんなの、不自然すぎる……!)


 ――『秘密』暴露、予定時刻


全員「…………」

葉隠「な、何にも……起きないべ?」

苗木「………!」

十神「おい、見ているんだろう? モノクマ」

(ぴょーい)

モノクマ「はいはい、呼んだ?」

十神「何も起きないな? 何故だ?」

モノクマ「うぷぷぷぷぷぷぷ……」

モノクマ「わかってるくせに」

苗木「――――!」

苗木「ボク、探してくる!」

石丸「待ちたまえ! 一人は危険だ、班分けをしよう!」


苗木(こうしてボクたちは、四つのグループに分かれて舞園さんの探索を開始した)

苗木(ボクと霧切さんと大和田くん)

苗木(朝日奈さんと大神さんと不二咲さん)

苗木(石丸くんと十神くんと桑田くんと江ノ島さん)

苗木(戦刃さんとセレスさんと葉隠くんと山田くん)

苗木(朝日奈さんのグループは腐川さんを呼びに行くことになって)

苗木(他の全員は、舞園さんを探しに行くことになった)

苗木(すると――)


 1-A 教室


苗木「舞園さん……!」

苗木(ボクは思わず、安堵の吐息を漏らした)

苗木(でもすぐに、ボクは舞園さんの顔を見て、そんな不謹慎さを恥じることになる)

苗木「……舞園さん、泣いてるの?」

舞園「…………」

舞園「皆さん……ごめんなさい」

舞園「心配、かけてしまって……」

苗木(まるで、糸の切れた人形みたいだった)

苗木(今までみんなに見せていた笑顔は、まるで仮面だったかのような、そんな色のない表情)

苗木「そんなことは、いいんだ。……どうしたの?」

舞園「…………」

舞園「不二咲さんを、探しに行ったら」

舞園「この校舎の中が、あまりにも静かすぎて」

舞園「怖くなって、しまったんです」

舞園「独りぼっちになってしまったようで……消えていきそうで」

舞園「そしたら、涙が止まらなくなってしまって」

舞園「みんなのところに戻ることも出来なくなって……」

舞園「…………」

舞園「私は、“みんな”のところに帰らないといけないのに」

舞園「やっとつかんだ、夢の仲間たちのところに……」

舞園「私たちが消えてしまわないように……」

舞園「こんなところでこんなことしている場合じゃ、ないのに」

苗木「舞園さん……」

舞園「…………」

舞園「ごめんなさい。弱音、吐いてしまって」

大和田「い、いや。それはいいっつうか。無事ならいいんだけどよ」

舞園「何か……あったんですか?」

苗木「…………」

苗木「ねぇ、とりあえず……腐川さんの部屋に」


 ぴんぽんぱんぽーん!


『死体が発見されました!
 一定の自由時間の後、学級裁判を開きます!』



苗木「――――え?」

霧切「これは……」

大和田「な、なんだァ!?」

舞園「……苗木くん」

霧切「とにかく、腐川さんの部屋に行きましょう」

霧切「無事が確認できていないのは、腐川さんだけだから」



《腐川の部屋》


苗木(扉は開いていた)

苗木(朝日奈さんと不二咲さんの顔は青を通り越して白くなっていた)

苗木(大神さんの表情も、沈痛さを堪えるようなそんな表情で)

苗木(部屋の中に入るのも恐ろしそうに、ただ立ち尽くしていた)

霧切「何があったの?」

朝日奈「あ、あ、ふ、腐川ちゃんが……!」

苗木(霧切さんは何の躊躇いもなく部屋の中に入った)

苗木(ボクも、引き寄せられるように部屋の中に入る。すると、そこで見たのは)


(赤い斑点の散らばった原稿用紙が、カーペットに散らばっている)

(壁には赤く、『チミドロフィーバー』の文字)

(そして、胸をハサミのようなもので刺され、更に磔にされた、腐川さんの姿……!)


苗木「うわあああああああああああああ!!!?」


 それは、<絶望>の幕開け

あ、秘密暴露予定時刻は20時としてください。

リロードで第一の事件までクリアしたけど、舞園さんってDVD見せられる前からかなり不安定なんだね。
キャッキャウフフと助手になりたいとか言ってる印象しかなかった。なのでキャラ情報を改めて修正した結果がこれ。なんだよこれ。
あと、ダストルームじゃなくてトラッシュルームだった……いろいろ間違えてそうだなぁ。
ではでは。今日は休みだから、裁判に入るまでを書けたらいいな。


(ぴょーい)

あ、あと。男子か女子かを選ぶ安価がありましたが、事件の見せ方を変えるだけで、被害者や加害者やトリックが変わるわけではありません。
そこで何かしたからって、なにもかわらないよっと。


モノクマ「じゃじゃーん!」

モノクマ「あらあら。事件が起きちゃったね」

苗木「なんだよ……なんだよ、これ!?」

苗木(そう言っているうちに、他のみんなもボクの叫び声を聞いてやってきた)

苗木(全員が集まるまで、時間はかからなかった)

石丸「ふ……腐川くん!?」

不二咲「…………」

朝日奈「嘘、だよね? こんなの」

桑田「ま、マジかよ……」

十神「おい」

十神「これはどう見ても殺人だな?」

モノクマ「そうですね。どう見ても殺人ですね」

苗木「お前がやったんじゃ……!」

モノクマ「ちがうよぉ。オマエラの中の誰かだよ」

十神「なら、クロは卒業出来るのか?」

苗木(そう十神クンが確認すると、ひたすら不快な笑い声をあげた後、モノクマはあるルールを告げた)

苗木(『学級裁判』を……そして、おしおきのルールを)

葉隠「ま……マジなんだべか!?」

大和田「ふざけんなこらぁ!? んなこたぁ聞いてねーぞ!?」

モノクマ「今言ったんだもーん」

モノクマ「そういうワケで、まあオマエラはなんだかんだで捜査の素人だから」

モノクマ「用意しました! 『ザ・モノクマファイル』!」

(モノクマファイルの情報が電子生徒手帳にアップされました)

モノクマ「あとさ……この状況、オマエラも実は知ってるんじゃない?」

不二咲「……ジェノサイダー翔、のこと?」

モノクマ「そう! ネットでも有名だから、さすがに知ってるよね?」

モノクマ「でも、マスコミ関係者には知らされてない情報もあったりしてね」

モノクマ「でもボクは知ってるんだ! なんたって、希望ヶ峰学園学園長だから!」

江ノ島「え、それって繋がってんの?」

モノクマ「そういうワケで、捜査の公平さを期するために」

モノクマ「オマエラの生徒手帳に、『ジェノサイダー翔事件ファイル』も追加してあげるから」

モノクマ「じゃあ、ボクらを楽しませてくれよ~! ドントシンク、フィール!」

(ぴょーい)

十神「学級裁判、か」

苗木「やるしか……ないのか……」


 ――捜査開始――


十神「まず、二人だ。二人、現場保全に協力してもらう」

セレス「見張り役、ですわね」

大神「ならば我がやろう。我はこういったことは向かぬ」

大神「ならばせめて、見張り役ででも役に立たせてくれ」

桑田「じゃあ、俺も見張り役やっとくわ」

桑田「俺全然わかんねぇし……」

十神「はん。まあいいだろう」

苗木「…………」

苗木(とりあえず、モノクマファイルを確認してみた方がいいな)


(『モノクマファイル』
 被害者は腐川冬子。死因はハサミによる胸部への刺殺。
 死亡時刻は18:30頃。死後に手首をハサミで貫通し、壁に磔にされている)


苗木「手首に、ハサミって……」

苗木「確かに、見た通り。ハサミで磔にされている、けど……」

霧切「ジェノサイダー翔の手口と完全に一致しているわね」

苗木「そうなの?」

霧切「事件ファイルを見てみればいいわ」


(『ジェノサイダー翔の事件ファイル』
 ・凶器はハサミ。おそらくオリジナルと思われる
 ・被害者は富田雄二・神田博之・木村義男・他多数
 ・犯人はチミドロフィーバーの血文字を現場に残す
 ・被害者はハサミで手首を貫通し、磔にされる。凶器も含め、この情報はマスコミ関係者には流さないものとする
 ・プロファイルの結果、犯人は解離性同一性障害の可能性があると見られる)


苗木「……これ、マスコミにも漏れていないやり方も、完全に再現してるってことは」

苗木「ってことは、ボク達の中にジェノサイダー翔が……!?」

霧切「…………」

霧切「苗木くん。男子たちの行動を教えてもらえる?」

霧切「具体的には、そうね。30分以上、死亡時刻の前後に離れた人はいた?」

苗木「ううん。そんなに離れた人はいなかったよ」

苗木「十神クンも、スポーツには参加しなかったけど、ずっと体育館にはいたしね」

霧切「そう」

霧切「なら、アリバイがないのは、舞園さんだけってことになるわね」

苗木「え……!?」



霧切「殺してからこの工作をするのには、どう見積もっても30分はかかるわ」

霧切「死亡時刻の前後、30分どころか、舞園さんは約一時間半もいなかった」

霧切「女子には、それ以上離れた人はいないのよ。ほぼ全員が食堂にいたわ」

苗木「で、でも……舞園さんがジェノサイダー翔なわけ、ないじゃないか……!」

霧切「アリバイだけで考えるとそうなるってだけの話よ」

霧切「とにかく、最も疑わしいのは舞園さやか。まずそういう話の流れになるわ」

苗木「そんな……」

霧切「…………」

霧切「先には言っておいたから。あとは自分で考えるのね」

霧切「私は、ただ真実を見極めるだけだから」

苗木(そういうと、霧切さんは腐川さんの遺体を触り始めた)

苗木(死体を触ることへの躊躇のなさは、真実を見極める為なら何でもやるような)

苗木(ある種の酷薄さがあった)

苗木「…………」

苗木「この、散らばった原稿用紙は……なんだろう?」

十神「この女の書いた小説のようだな」

十神「だが、妙だな。そうは思わないか?」

苗木「妙……妙って……」

苗木「それってもしかして、血の跡のこと?」

十神「凡人にしては察しがいいな」

十神「見ろ。この乱雑にまかれた原稿用紙の上の血痕は」

十神「一続きになっていない。やたらに転々と、バラバラにある」

苗木「……もしかして血が付いたのは、原稿用紙がまかれる前……?」


(『床にまかれた原稿用紙』
 目測でおよそ100枚ほど。書かれているのは小説のようだ
 血痕が奇妙に途切れており、用紙がまかれた後に付着したわけではないようだ)


苗木「他に、何か手がかりはないかな……」

苗木「あれ?」

苗木「これ、腐川さんの『秘密』の封筒だ……!」

苗木「…………」

苗木「あれ? 中身はないな。腐川さんが捨てちゃったのかな……?」


(『秘密の封筒』
 机の上に置いてあった。中身はなくなっている)


苗木「…………」

苗木「十神クン。扉を見てるの?」

十神「鍵をどうしたのかと思ってな」

十神「そうしたら面白いものを見つけた」

苗木「これ……扉に傷?」

苗木「それに、このあたり……血痕!?」


(『扉の傷』
 十円玉ほどのへこみがある。その周りには飛沫いた様な血痕がある)

(『扉付近の血痕』
 血の量はかなり多く残されている)


十神「どうやら腐川はドア付近で殺されたようだな」

苗木「それを、わざわざ壁際にまで運んで……磔に?」

苗木「なんでだろう……?」

苗木「…………」

苗木(他のみんなにも話を聞かないといけないけど……)

苗木(特に、みんながどうしていたのか。アリバイを確認しないと)

苗木「他のみんなは、どこにいるの?」

山田「舞園さやか殿や、不二咲千尋殿が憔悴しているので」

山田「何人かがついているみたいですな」

山田「我が輩は……つまはじきにされましたが……」

苗木「…………」

苗木「……シャワールームを見てみよう」



《腐川の部屋・シャワールーム》


苗木「うーん……」

苗木「洗面台が水で濡れてる……?」

苗木「これ……排水溝に」

苗木「クレヨンの文字……『秘密』の封筒の中身?」

(『濡れた洗面台』
 割と近い時間に使われたようだ)

(『千切られた紙片』
 腐川の部屋のシャワールームの洗面台の排水溝にあった。文字がクレヨンで書かれていることから
 おそらく『秘密』の封筒の中身だと思われる。一部しかないので『秘密』の中身は不明)


苗木「とにかく、他の人たちにも話を聞いてみないと……」

苗木「男子はほとんど一緒にいたけど……何人かが少しは出入りしてたし」

苗木「ボクもバスケしてたから、きちんと覚えているわけじゃないからな……」

苗木「女子の行動も知りたいし……」

苗木「……本当に、アリバイがないのが舞園さんだけなのか、確認しないと」

苗木「男子は……石丸くんに聞いた方がいいか。一番きちんとしてるっぽいし」

《コインランドリー》


石丸「む。苗木くんか」

苗木「こんなところでどうしたの?」

石丸「いや、妙なものを見つけたんだが」

苗木「……???」

苗木「なにこれ?」

石丸「ベルト……か? 何かの入れ物か?」

苗木「どこにあったの?」

石丸「洗濯機の中にあったが……これは洗濯出来るものなのか?」

石丸「くぅ……僕はまだまだ勉強不足だ……!」


(『ホルスターのようなもの』
 コインランドリーの洗濯機の中にあった。何のホルスターかは不明)


苗木「え、えっと。石丸クン。ちょっと手伝ってくれないかな」

石丸「僕に出来ることがあったら何でも言いたまえ!」

苗木「男子のアリバイをね。確認しようと思うんだ」

苗木「ボク、きちんと覚えてるわけじゃないんだよね……」

石丸「いかんぞ! 時間は正確に記憶しておかねば!」

石丸「ふむ……大和田君が2回、桑田君と葉隠君が1回ずつだったな」

石丸「大和田君の1度目と桑田君は10分ほど、……18時30分に同時に席を立ったな」

石丸「トイレに行くと言っていた。葉隠君は19時頃に15分ほど席を立った」

石丸「大和田くんの2回目は葉隠君が戻ってきたあたりだったな」

石丸「19時15分から……20分ほど席を立っていたから、戻ってきたのは19時35分ごろだ」

石丸「そのように記憶している。汗をかいたから着替えてくると言っていたな」

苗木「ありがとう、助かったよ」

苗木(……桑田クンと葉隠クン、大和田クンにも話を聞かないといけないけど)

苗木(舞園さんが心配だな……それに女子のアリバイもきちんと確認しないと)


《食堂》


苗木(朝日奈さんと戦刃さんが舞園さんを励ましているように見える)

苗木「えっと。三人は捜査に参加しないの?」

朝日奈「…………」

朝日奈「出来れば、したくない……わかってるんだけど」

朝日奈「……人間の死体を見たのって、初めてだから」

舞園「…………」

舞園「すみません……私も」

舞園「私も、苗木くんを手伝えたらいいんですけど」

舞園「なんか……糸が、切れちゃったのかな」

舞園「出来ることがあれば、いいんですけど……」

苗木(舞園さんも朝日奈さんも、ショックのせいか何をしていいのかわからなくなっているみたいだ)


苗木「戦刃さんは?」

戦刃「……二人が、不安そうだったから」

戦刃「少ししたら捜査を手伝おうと思うけど」

苗木「じゃあ、ちょっといい?」

苗木(ボクは舞園さんや朝日奈さんに聞こえないように、少し離れて小声で訊ねた)

苗木「女子のアリバイを確認したいんだけど、いいかな?」

戦刃「…………」

戦刃「私の覚えている限りでは……」

戦刃「18時20分ぐらい。不二咲……さんが」

戦刃「腐川さんの部屋に行った。一人で閉じこもらないように」

戦刃「でも、戻るのが遅いから、舞園さんが迎えに行った」

戦刃「それが、18時30分。舞園さんはその後、苗木くんたちが見つけるまで見てない」

戦刃「不二咲さんは、殆ど入れ違いで……舞園さんが出て行って、5分位だったから」

戦刃「18時35分に帰ってきた。15分ほどいなかったということになると思う」

戦刃「それ以外は、食堂を出た人はいない」

苗木「そっか……」

苗木(腐川さんの死亡時刻にアリバイがない人は、舞園さん以外にも何人かいるんだけど……)

苗木「あのさ。戦刃さんって、軍人なんだよね?」

戦刃「……うん」

苗木「その……腐川さんの姿、見た?」

戦刃「全員、見てると思う」

苗木「あれって……実際にするとなると、霧切さんは最低30分はかかるって言ってるんだけど」

戦刃「…………」

戦刃「苗木くんは、腐川さんの体重を知ってる?」

苗木「え? いや、知るわけないけど」

戦刃「人間の身体。腐川さんの体格なら、およそ45キロ」

戦刃「生きている時なら、自然と重心を調節して、結構簡単におんぶや抱っこできたりするけど」

戦刃「でも、死体は重心を調節してくれない。45キロの砂袋を壁に磔にする」

戦刃「しかも、手首の骨を貫通させて。これは簡単じゃない」

戦刃「刺し殺して、壁際に運んで、磔にして、血文字を残す」

戦刃「……30分でも出来るかはわからない。力や体力がある人がやって、ようやくその位の時間だと思う」

苗木「……そっか。難しいんだね」

苗木(でも、それならなんでわざわざ犯人はそんなことをしたのかな?)

苗木(やっぱり、ジェノサイダー翔が?)

苗木(……舞園さんが、ジェノサイダー翔なのか?)

苗木(いや、そんなはずは……!)

苗木「舞園さん」

舞園「は、はい」

苗木「ちょっと、いいかな」


《厨房》


舞園「あの……」

苗木「あ、えっと。これは、全員に聞いてるんだけど」

苗木「その。舞園さんは、腐川さんが……殺された時」

苗木「どこで何してたの? 不二咲さんを探しに行ってたって言ってたけど」

舞園「…………」

舞園「不二咲さんを探しに、腐川さんの部屋の前まで行ったんですけど」

舞園「誰ともすれ違わなくて。腐川さんの部屋のインターホンも鳴らしたんですけど」

舞園「誰も出ませんでした」

舞園「その後、ちょっとだけ……不二咲さんを探したんですけど」

舞園「……怖くなって。一人きりになってしまったみたいで」

舞園「私、泣いちゃって……」

舞園「そんな顔のまま、食堂に戻れないし」

舞園「でも、部屋に帰ったら……それこそ腐川さんみたいに」

舞園「部屋から出てこられなくなりそうで……」

舞園「少し、頭を冷やそうと思って。教室にいました」

苗木「……そっか」

苗木「けど、舞園さんは一人じゃないよ」

苗木「少なくとも……ボクは絶対に、そばにいるから」

舞園「苗木くん……」

舞園「…………」

舞園「私、疑われてるんですよね?」

苗木「え? い、いや、そんなことないよ」

苗木「ボクは舞園さんがあんなひどいこと、やったなんて思ってないよ」

舞園「…………」

舞園「苗木くん。私は犯人じゃありません」

舞園「信じて……苗木くんしか頼れる人、いないの……」

苗木「……うん」

苗木「ボクが、どこまで出来るかはわからないけど」

苗木「舞園さんが無実なら、絶対に証明してみせる」

舞園「…………」

舞園「信じて、いいんですよね?」

苗木「うん。どんなことがあっても、絶対にキミを守ってみせる」

苗木「絶対に」


《不二咲の部屋》


不二咲「…………」

苗木「不二咲さん……大丈夫?」

不二咲「う、うん……」

不二咲「ちょっと……気分が悪くなって……」

大和田「しゃあねぇよ。あんなひでぇ殺し方を見たらな」

不二咲「…………」

不二咲「アリバイがないのって……ボクも一応、そうだけど」

大和田「おいおいおい……お前みたいなやつにあんな磔になんか出来るわけないだろうが!?」

不二咲「う……!」

大和田「お、おい……泣くなよ」

苗木(でも不二咲さんがあんな磔に出来たなんて、さすがに思えないな)

苗木「大和田クンは、ちょっと抜けた時があったよね?」

大和田「ん? ああ」

大和田「正直、バスケなんて気分でもなかったしよ……」

大和田「イライラしてたからな。主に十神のヤローのせいで」

苗木(そう言えば、ものすっごく不穏な空気だったな、十神クンと大和田クン)

大和田「ちょっと廊下をうろちょろしてたが、割とすぐに戻ったぞ?」

苗木「一回目は結構すぐに戻って来たよね。二回目は?」

大和田「汗かいたからな。部屋戻って着替えてた」

大和田「つっても、下のシャツだけだがな」

大和田「でも関係あんのか?」

苗木「うーん……」

苗木(二回目は19時半前後だから、殺されてから一時間経ってる)

苗木(時間も中途半端だし、そもそもの死亡時刻付近のアリバイもほとんど成立してる)

苗木(10分であんなこと出来るわけないし、体育館までの往復の距離だってあるんだ)

苗木「葉隠クンってどこかわかる?」

大和田「え? 腐川の部屋にいるんじゃねぇのか?」

苗木「うーん。いるのかな?」


《腐川の部屋・前》


セレス「あら、苗木くん。ちょうどよかったですわ」

苗木「え? な、何が?」

セレス「とりあえず、這いつくばってくださいな」

苗木「は?」

セレス「さ、早く」

苗木「な、なんで」

セレス「あら? レディのわたくしに這いつくばれ、と?」

苗木「え?」

苗木(ボクはとりあえずしゃがみこみ、床を見た)

苗木「……血痕?」

セレス「あなたと結婚の予定は微塵もありませんが」

苗木「いや、えっと。血の跡、だね」

セレス「そうですか。やはり血の跡だったのですか」

セレス「有益な情報、ありがとうございます。では」

苗木「あれ? セレスさん、どこに……」

苗木「…………行っちゃった」


(『廊下の血痕』
 わずかだが、腐川の部屋の前に血痕が残っている)


葉隠「お? セレスっちをうまくかわしたべ?」

苗木「あ、葉隠クン。何してたの?」

葉隠「ズバリ! トラッシュルームに行ってたべ!」

葉隠「犯人は証拠隠滅を企んでいたんじゃないかってな!」

苗木「へぇ。それで、何か見つかった?」

葉隠「何にも見つからなかったべ……」

葉隠「そもそも、俺が掃除当番だから、他の連中にトラッシュルームが使えるわけがねぇんだべ」

苗木「…………」

苗木「うーんと。葉隠クンって一回、体育館を抜けたよね?」

葉隠「ん。ちょっと大の方を催しちまってな」

葉隠「え? まさか俺が疑われてるんか!?」

苗木「えっと、そういうワケじゃないんだけど……その時、何か変わったことはなかった?」

葉隠「腹がぐるぐる鳴る音しか聞こえなかったべ」

苗木「……そっか。いや、いいんだ」

苗木「えっと。他に手掛かりは……」

苗木「…………」

苗木「死体を、見ないわけにはいかないか……ごめん、腐川さん」


《腐川の部屋》


山田「ぎゃぴー!!」

苗木「や、山田クン? どうしたの?」

山田「な、何か? 画鋲ではないですが、何かを踏んでしまいまして」

苗木「これは……ダブルクリップだね」

苗木(ベッドの上に置かれた原稿用紙の束もダブルクリップで止められている)

苗木(じゃあこれは、この床にまかれた原稿用紙を止めていたクリップなのかな)


(『ダブルクリップ』
 床に落ちていた。大きめの、硬いクリップだ)


舞園「苗木くん」

苗木「あ、舞園さん! 大丈夫?」

舞園「……ええ」

舞園「だって、私がしっかりしなかったら」

舞園「みんな、死んじゃうんですから」

苗木「――え?」

舞園「だって、そうじゃないですか」

舞園「私は犯人じゃないんです」

舞園「犯人を当てるのを間違えたら、その人以外は全員……死んじゃうんですよ?」

十神「はん。ほとんどの人間はそう思っていないがな」

桑田「か、勝手に仲間に入れてんじゃねぇよ!」

桑田「さ、さやかちゃんにこんな残酷なこと、出来るワケねぇだろ」

舞園「桑田くん……」

舞園「大丈夫です。無理して庇わなくても」

舞園「ちゃんと、濡れ衣は……自分で晴らしてみせますから」

桑田「…………」

十神「自分の立場はわかっているようだな?」

舞園「……私は犯人じゃありませんから」

苗木(舞園さんは死体を調べている霧切さんに近づいた)

苗木「…………」

舞園「霧切さん……わかっていること、教えてもらえますか?」

霧切「…………」

霧切「太ももを見て」

苗木「え、でも、女の子だし」

霧切「いいから」

苗木「う……!?」

舞園「これ……!?」

苗木(正の字の傷がいくつも刻まれている)

苗木(死体の生々しい傷ともまた違うグロテスクさが、そこにはあった)


舞園「レッグカット、なんでしょうか」

霧切「古い傷もあるから、おそらくはね」


(『腐川の古傷』
 太ももに規則正しく正の字が刻まれている
 数を数えると、32とあるようだ)


霧切「それと、太ももに何かを装着していたようなんだけど」

苗木「装着?」

霧切「ベルト? じゃないわね……何かしら?」

霧切「…………」

霧切「なんだと思う?」

苗木「え、いや、ボクに聞かれても……」

苗木「ファッションじゃないの?」

舞園「こんなに長いスカートを穿いてるのに、太ももにファッションですか?」

苗木「うーん……?」

霧切「あと、右手の人差し指を見て」

舞園「これ……血の跡ですか?」

霧切「別に傷があるわけじゃないわ」


(『右手人差し指の血痕』
 傷があるわけではないが、血に濡れている)


霧切「それと。両手首と、胸の傷を比べてみて」

舞園「う……」

霧切「目を逸らさないで。真実を知りたいなら」

霧切「何か、気付かない?」

苗木「…………」

苗木「胸の傷の方が、血がいっぱい?」

霧切「そうじゃないわ。問題はそこじゃない」

苗木「でも、他に違いなんて……」

苗木「あ、あれ?」

霧切「気付いた?」

舞園「もしかして……血の乾き方が違うとか?」

霧切「そう。手首の方はまだ凝固していない」

霧切「けど胸の傷口の血は凝固が始まっているわ」

舞園「死んだ後につけられた傷だから、じゃなくてですか?」

霧切「だとしても、空気に触れる時間は大差ないわ」

霧切「これほど極端に凝固の度合いが違うのは、何か別の理由があるはず」

苗木「それって……?」


霧切「…………」

苗木(そこまで教えてくれる気は、ないってことか……)


(『両手首の傷口の血』
 胸の傷口の血とは凝固の度合いが違っている
 胸の傷は凝固が始まっているが、手首の方はそれほど固まっていない)


舞園「あの」

舞園「この原稿用紙は?」

苗木「うん。それも変だって言えば変なんだよね」

舞園「…………」

舞園「この原稿用紙、全部集めて大丈夫ですか?」

十神「……殆ど調べたからな。構わんぞ」

霧切「私も構わないわ」

苗木「でも、この原稿用紙を集めてどうするの?」

舞園「わかりません」

舞園「でも……私の勘ですけど」

舞園「大事な手がかりが残されているような気がするんです」

苗木(舞園さんが原稿用紙を全部集めようとしたので、ボクも手伝った。すると……)


 
 ぴんぽんぱんぽーん


モノクマ『えー、そろそろいい時間なので、赤い扉の前に集合してください!』



《エレベーターの中》


苗木「…………」

(腐川冬子
 もっともみんなに怯えてた。最期まで信じてくれなかった)

(もし他の出会い方があったら、もっと打ち解けられたのかな)

(ジェノサイダー翔)

(巷で噂の謎の連続殺人鬼)

(そいつがボク達の中にいるのか?)

(それとも、模倣犯なのか? なら何故、わざわざそんな面倒なことをしたんだ?)

(……舞園さんは、犯人じゃない)

(そう信じたい。けど……完全にアリバイがないのは、彼女だけ)

(舞園さんが犯人じゃないなら、誰が犯人なんだ?)

(まだ何もわかってない)

(でも、やるしかないんだ)

(命がけの謎解き、命がけの裏切り、命がけの騙し合い、命がけの信頼)

(命懸けの学級裁判が、始める)

多分、相当手掛かり示したので、わかる人はわかると思う。
はい。石投げられてもモノクマ先生はくじけないのだ!

じゃあ出来る限り早く、裁判編をお届けしたいと思いまーす

(ぴょーい)

うう、前回の周回は色々と許してほしい……あれは知識さえ知ってれば簡単なんだけどね。
ところでさ。せっかく前のchapter3が生きてるんだから、そっちなら名前あげて予想構わないよ。
というか、知りたいからね。個人的に、みんながどんな推理をしているか。

他人の予想を見たくない人はそっち見なくていいから、棲み分けできるなぁって思うんだけど、よかったらそうしてほしいな。

あれ、動機の安価で被害者加害者が変わってくるのだと思ってました。変わらないのか
自由行動の様子は展開には影響しない感じなのかな

今裁判を書いてるとこですが、先に言っておきますね。

腐川さんが十神にジェノさんのことを告白した時は、必ず描写します。
描写がないなら、告白していないと解釈してください。以上。

っておーい>>279さん……

変わるよ! めちゃくちゃ変わるよ! 

前回は『動機』をみんなで作ったものもあるし、安価を受けてからキャラがどう動くかを描写してるから!

被害者加害者も普通に変わるから! か、勘違いしないでよね!

あと、前回の周回は読まなくてもストーリーは直接関係ありませんが
安価を取る人たちが前回の周回のパターンを見て何を取るか決めてるかもなので、
そういう意味でメタネタはあるのかも?

ちなみに私自身はミステリーはあんまりというかほとんど書いたことないです。ではでは

(ぴょーい)


《裁判場》


モノクマ「ここが、オマエラの運命を決めるステージでーす!」

十神「ちっ。悪趣味だな」

霧切「ねぇ。二つほど、いいかしら?」

モノクマ「うん?」

霧切「まず、あの遺影は何?」

モノクマ「死んだからって、仲間外れはかわいそうでしょ?」

モノクマ「友情は生死を飛び越えるんだよ」

山田「せいしを……飛び越える……!?」

霧切「……まあいいわ。大事なのはこっち」

霧切「共犯者がいた場合、共犯者も卒業できるの?」

モノクマ「えー、“卒業”出来るのは、あくまで殺害したクロ、ただ一人です」

モノクマ「共犯によるメリットはないよ」

十神「単独犯、と考えていいわけか」

十神「まあ、殆ど決まったようなものだがな」

舞園「私は、犯人じゃありません」

十神「ハッ。言ってろ」

舞園「…………」

苗木(やっぱり、みんな一人だけアリバイのない舞園さんを疑っている)

苗木(誰も……十神クンの言葉を否定しない)

苗木(ボクも、今は否定できない)

苗木(何が起こったか、はっきりさせないと……!)



 <学級裁判・開廷>


モノクマ「さてと。まずは、そうだなぁ」

モノクマ「よし! ジェノサイダー翔について話し合ってもらいましょう!」

石丸「ジェノサイダー翔……実は僕はよく知らないのだが」

朝日奈「腐川ちゃん……やっぱりジェノサイダーに殺されたの?」

山田「じゃあ……舞園さやか殿が、ジェノサイダー翔ということになりますが……」

舞園「違います、私は……!」

霧切「落ち着いて。感情的になっても自分の首を絞めるだけよ」

苗木「……舞園さん。キミが無実なら、まず、これが本当にジェノサイダーの犯行なのか」

苗木「それとも模倣犯なのか、それをはっきりさせないといけないと思う。落ち着いて」

舞園「……苗木くん……」

苗木「大丈夫。舞園さんが無実なら、必ず証明してみせるから」

十神「ちっ。ラブコメはよそでやれ」

山田「いや、この状況はコメディ要素ゼロですぞ?」

十神「この俺が何でそんな下らんジャンルに詳しい必要があるんだ」

山田「下らんですっとー!?」

セレス「ふう。脱線はそのあたりにしていただきます?」

江ノ島「話し進めないと何にも出来ないしね」

戦刃「…………」

戦刃「凶器は、ハサミで間違いないんだよね?」


(『モノクマファイル』
 被害者は腐川冬子。死因はハサミによる胸部への刺殺。
 死亡時刻は18:30頃。死後に手首をハサミで貫通し、壁に磔にされている)


石丸「『モノクマファイル』にもそう記載されているな!」

十神「重要なのは磔の方だな」


(『ジェノサイダー翔の事件ファイル』
 ・凶器はハサミ。おそらくオリジナルと思われる
 ・被害者は富田雄二・神田博之・木村義男・他多数
 ・犯人はチミドロフィーバーの血文字を現場に残す
 ・被害者はハサミで手首を貫通し、磔にされる。凶器も含め、この情報はマスコミ関係者には流さないものとする
 ・プロファイルの結果、犯人は解離性同一性障害の可能性があると見られる)


十神「手口は完全に一致している。しかも、捜査関係者以外には知らない情報も含めてだ」

葉隠「だからジェノサイダーの犯行に間違いない、ってか」

桑田「でも、それがさやかちゃんなんて……」

舞園「私じゃ……」

舞園「…………」

苗木(手口は一緒……確かに、そうなんだけど)

苗木(どこかが違うような気がするんだけどな)


大和田「あのよ……俺は女をいじめる趣味はねぇんだが」

大和田「おめぇが犯人じゃないんなら、何してたんだ?」

舞園「……泣いていました」

舞園「一人で。それだけです」

十神「はん。もう少しマシな言い訳はできないのか?」

苗木(……流れは完全に、舞園さんが犯人ということになってる)

苗木(舞園さんが、ジェノサイダー翔だなんて……!)

苗木「あ」

葉隠「どうしたんだべ?」

江ノ島「いきなり間抜けな声出さないでよ」

苗木「あ、いや、ごめん」

苗木「そもそもさ。どうして犯人はこんなことをしたの?」

朝日奈「こんなこと?」

苗木「死体を磔にしたり、血文字を残したり」

苗木「手掛かりを多く残すようなものだよ」

十神「答えは簡単だ。ジェノサイダー翔は快楽殺人鬼だからだ」

十神「つまり異常者だからの一言で済ませられる」

不二咲「そ、そんなのでいいの?」

苗木「い、いや。この状況だよ? 校則にもある通り」

苗木「『自分がクロだとは知られてはならない』んだ。それなのにわざわざ楽しむような殺し方をするの?」

苗木「ジェノサイダーが異常者だからの一言で片づけるのは、乱暴すぎないかな」

大神「確かに……舞園がそこまでの異常者には我にも見えぬ」

大神「演技をしているにしても、それが出来る頭を持っているのにこのような犯行というのは」

朝日奈「不自然、だよね……うん。確かにそうだよ」

十神「その女であってその女じゃないとしたら?」

大神「なんだと?」

十神「『ジェノサイダー翔は解離性同一性障害の可能性がある』」

十神「プロファイルでそういう結果が出ている」

桑田「えっと……かいり?」

十神「俗な言葉で言う、多重人格だ」

葉隠「え? 多重人格って、本当にいるんだべか!?」

石丸「ふむ。連続殺人鬼の人格を宿した<超高校級のアイドル>だったのか」

山田「ニッチな属性ですな……嫌いではありませぬぞ?」

山田「……二次元ならですがな」


十神「つまり、今の舞園はまともな頭と人格の方だということだ」

十神「それなら今まともに見えるのは至極当然のことだ」

十神「ジェノサイダーとしての人格が破滅的な願望の持ち主なら」

十神「自分の身を顧みず、犯行を行ったとしてもおかしくはない」

舞園「ま、待ってください! さすがにそれはないじゃないですか!?」

舞園「言ってることが無茶苦茶です!」

十神「無茶苦茶な犯行が行われたんだ。無茶苦茶な理由であって何が悪い?」

舞園「そんな……!」

苗木「ま、待ってよ! まだこの事件が、ジェノサイダーがやったと決まったわけじゃないよ」

桑田「でもよ。普通は知らない手口を知ってたから、ジェノサイダーの仕業ってさっき言ったばかりじゃねぇか」

苗木「そ、そうなんだけど……なにか、違うような気がするんだ」

苗木「凶器のハサミも、磔の方法も、血文字も一致しているけど」

苗木「けど……何か見落としているような気がして」

霧切「性別」

苗木「え?」

霧切「被害者の性別。『ジェノサイダー翔の事件ファイル』の被害者32人全てが男性なのよ」

江ノ島「あ。本当だ」

江ノ島「でもさ、それっておかしいの?」

霧切「手口はすべて一致しているのに、被害者の性別が一致していないのは偶然で片づけていいのかしらね?」

十神「……確かに、ジェノサイダーは男しか襲わないことで有名だったな」

戦刃「凶器もオリジナルのハサミ」

戦刃「相当、殺し方にこだわりを持っているようだから。被害者にも規則性が必ず出るはず」

霧切「その規則性から、腐川さんは外れているわ」

苗木「だから、ジェノサイダーの仕業じゃない?」

霧切「その可能性は高いわね」

セレス「ですが、正直どうでもよくありませんか?」

苗木「え?」

セレス「ジェノサイダーであろうとなかろうと、あの犯行を行うのは、5分や10分では不可能です」

セレス「最低30分は必要なのでしたわね? 犯行時刻にアリバイがなかったのは舞園さんだけ」

セレス「その他の人間には犯行が不可能なのですから」

舞園「だから違います……! 私じゃありません!」

セレス「あなたは先ほどからそればかりですわね」

セレス「もう少し、まともな反論は出来ないのですか?」

舞園「………!」

舞園「…………」

苗木「舞園さん……」


舞園「……この犯人は、ジェノサイダーじゃないんですよね?」

霧切「断定は出来ないけど、可能性は低くないわね」

舞園「つまり、ジェノサイダーがやったように見せかけるために犯人は細工した」

十神「それがどうした?」

舞園「それなら二つ、疑問が出てきます」

舞園「一つは、犯人はどうしてジェノサイダーの手口を知っていたのか?」

舞園「もう一つは、何故ジェノサイダーに見せかけたのか……もっと言うなら」

舞園「犯人にとって、どんなメリットがあったのか」

不二咲「それは……捜査のかく乱の為じゃ」

舞園「その細工の時間の分、アリバイが怪しくなります」

舞園「現に、そのせいで私だけがアリバイがないことになっています」

舞園「……殺すだけなら、もっと短い時間で済むのに」

霧切「わざわざ現場に残り、過剰な細工をしたのには」

霧切「それ相応の理由がないとおかしいと言いたいのね」

舞園「はい」

セレス「ふう。どうやら、舞園さんを犯人だと言いたいなら」

セレス「この謎を解かなければならないようですわね」

セレス「舞園さんがジェノサイダーでないとするなら、確かに不自然な点ですから」

大和田「ってか、やっぱジェノサイダーがその女ってあり得ねぇだろ」

大和田「庇うつもりはねぇが、その女は弩えれぇ有名人だぞ」

大和田「アイドルの仕事も忙しいだろうしよぉ」

不二咲「……絶対目立つよね。都市伝説になるぐらい逃げ続けるなんて出来ないと思うな」

苗木(犯人がどうしてジェノサイダーの手口を知っていたのか)

苗木(そしてどうして、ジェノサイダーの犯行に見せかけたのか……)

石丸「ふむ。そもそもなのだが」

石丸「その、だな。この中に、本物のジェノサイダーがいると考えていいのかね?」

石丸「本物のジェノサイダーに罪を着せるために、細工を行ったと考えるべきなのではないか?」

朝日奈「そ、それじゃあ」

江ノ島「こん中に本物の殺人鬼までいるわけ!?」

葉隠「ま、マジかよ……冗談はよしこさんだべ!」

桑田「古いとかいちいちつっこめねぇぐらいヤバくね? それ」

戦刃「あ、でも」

戦刃「本物……じゃなくてもいいかも」

戦刃「ジェノサイダーの事件に詳しい人がいたら、その人にかぶせられるかも」

江ノ島「いやそれなくない? 警察の極秘資料知ることが出来る人間って」

十神「俺ぐらいだろうな」

苗木「え!?」


十神「俺を誰だと思っている? 十神白夜だぞ?」

十神「十神家の資料保管室には、警察の極秘資料ぐらいある」

セレス「確かに、十神家ならあり得るかもしれませんが」

セレス「ジェノサイダーの事件の詳細を知っていることを、あなたは誰かに話したのですか?」

十神「何故俺が愚民との会話に付き合わないとならない?」

葉隠「上から目線にも程があるべ」

不二咲「けど、十神くんが嘘をつく理由がないよね」

不二咲「話した人がいるなら、その人が十神くんに罪を着せようとしたことになるんだし……」

十神「俺がそんな罠に引っかかると思うのか?」

不二咲「う……ご、ごめんなさい」

大和田「ちっ。泣かせて楽しいか?」

十神「そいつが勝手に泣き出しただけだ」

大和田「大体、なんでてめぇからペラペラと話したんだ? 自慢か? アア?」

十神「十神ならあり得るかもしれないという論調になりそうだったからな」

江ノ島「いや、どんだけ自信過剰だし」

戦刃「…………」

苗木「と、とにかくさ。事件を整理するためにも」

苗木「腐川さんの部屋で、何が起こったかを考えよう」

苗木「まず……犯人は、どうにかして腐川さんの部屋に入った」

葉隠「どうにかってどうやってだべ?」

苗木「えっと……わからないけど」

苗木(そうだ。誰も信じていなかった腐川さんが)

苗木(どうして他人を部屋に入れたんだろう? その謎もあるけど)

苗木「とりあえず……置いておこう。とにかく、部屋の中に入ったんだ」

石丸「そして腐川くんは激しく抵抗し、胸を刺されたのだな!」

山田「えーっと、何故激しく抵抗したことになるのですかな?」

セレス「もしかして、原稿用紙がばらまかれたことを言っているのですか?」

石丸「その通りだ! もみ合っているうちに机か何かにぶつけてしまったのだろう」

石丸「そしてそのままばらまいてしまったというわけだ!」

苗木「いや、それは違うよ」

石丸「な!? 何故だ!?」

苗木「これを見てほしいんだ」


(『床にまかれた原稿用紙』
 目測でおよそ100枚ほど。書かれているのは小説のようだ
 血痕が奇妙に途切れており、用紙がまかれた後に付着したわけではないようだ)


苗木「石丸くんの話だと、血痕はばらまかれた後につくはずだよね?」

苗木「だけど、この原稿用紙の血痕は変な感じに途切れているんだ」

苗木「きっと、血が付いたのは、原稿用紙がばらまかれる前なんだよ」

霧切「それに、そんな激しい格闘の跡があるなら、何らかの痕跡があるはずだけど」

霧切「衣類の乱れなどはなかったわ」

石丸「なるほど! では腐川くんはほぼ抵抗することなくあっさりとやられてしまったのだな!」

大神「では、原稿用紙は犯人がばらまいたということか?」

朝日奈「なんでそんなことをするの?」

苗木「それは……まだわからないけど」

桑田「わからねぇことばっかだな」

苗木「ご、ごめん」

セレス「……ですが、少し認識を改めた方がよさそうですわね」

セレス「単純な話ではなさそうですわ」

江ノ島「確かに……まあ舞園ちゃんが怪しいのは変わりないけど」

舞園「…………」

苗木「とにかく、原稿用紙がばらまかれたのは、腐川さんが刺された後だ」

苗木「腐川さんが刺されたのは、扉付近でいいよね」

山田「ドアの近くは血だまりでしたからな……」


(『扉の傷』
 十円玉ほどのへこみがある。その周りには飛沫いた様な血痕がある)

(『扉付近の血痕』
 血の量はかなり多く残されている)


十神「まず間違いないだろう」

十神「そして、犯人は工作を始めた」

苗木「死体を磔にして、血文字を残したんだよね」

霧切「言葉で言うのは簡単だけど、その作業はかなりの重労働よ」

霧切「かなりの時間がかかるわ」

不二咲「それで……そのまま、犯人は部屋を出ていったの?」

葉隠「いや、十分すぎるぐらいに部屋を荒らしてるべ」

苗木(……犯人はそれ以外に何か工作したのか?)

苗木(血文字と磔のインパクトで、何か見落としているような……)

朝日奈「なんか、よくわかんないね」

桑田「つかよ。まだ本物のジェノサイダーの可能性もあるんだろ」

戦刃「うん。とにかくそれをはっきりさせないと、ダメだと思う」


セレス「では、通常のジェノサイダーと違う点を挙げていけばいいのではないですか?」

石丸「まず、被害者の性別だな!」

十神「ジェノサイダーは男しか襲わない。だが腐川は女だ」

セレス「それと、原稿用紙の件ですが」

セレス「おそらく、犯人にとってはイレギュラーな出来事でしょうね」

十神「確かに、原稿用紙やそれに準じたものが現場にばらまかれていたことは、過去の事件にはないな」

十神「だが凶器や磔の件に関してはどうしようもなく一致している」

江ノ島「だから本物のジェノサイダーなんだって話になったんだし」

葉隠「け、結局どっちなんだべ?」

全員「…………」

山田「八方ふさがり、という感じですな」

桑田「何か手がかりはねぇのかよ?」

セレス「怪しい証拠でもあればいいのですけれども、そう都合よくあるのでしょうか?」

苗木(手掛かり……証拠……)

苗木「あ。そう言えば」

苗木「石丸クン、コインランドリーで何か見つけてたよね?」

石丸「む。これのことか?」


(『ホルスターのようなもの』
 コインランドリーの洗濯機の中にあった。何のホルスターかは不明)


葉隠「これ、事件と関係あるんだべか?」

十神「聞いてみればいいだろう。おい、この中にこいつに見覚えのある奴はいるのか?」

全員「…………」

十神「犯人が隠ぺいした証拠品らしいな」

大神「隠ぺいというが……これはそもそも何なのだ?」

江ノ島「……これ、シザーケースじゃね? ほら、美容院でよく見るやつ!」

舞園「そう言えば……ヘアメイクさんがよく使っているやつですね」


(『シザーケース』
 コインランドリーの洗濯機の中にあった)

 <証拠品をアップデートしました>


苗木「これ……もしかして、凶器のハサミを持ち運ぶためのモノなんじゃ」

十神「わざわざ隠していたところを見ると、そうだろうな」

桑田「あ、あれ? けどよ、犯人はジェノサイダーの仕業に見せかけたいんだろ?」

桑田「じゃあなんでわざわざ隠したんだ?」

セレス「これもジェノサイダーとしての証拠品」

セレス「確かに、奇妙ですわね」


霧切「舞園さん」

舞園「は、はい」

霧切「これ、着けてみて」

舞園「え? ど、どこにですか?」

霧切「いえ、いいわ。私が試すから」

舞園「え? え?」

苗木「霧切さん? ……え、あ!?」

苗木(霧切さんがとった行動は、特に男子を驚かせたと思う)

苗木(いきなり舞園さんの二―ソックスを脱がせて、太ももにシザーケースを着けようとしたのだから)

舞園「ちょ、ちょっと!? 霧切さん!?」

苗木(結構……きわどいところまでスカートがめくれたりして)

苗木(ボクは必死に見ないようにした……それしか出来なかった)

霧切「合わないわね」

舞園「も、もういいですか……?」

苗木(霧切さんは平然と自分の席に戻る)

苗木(舞園さんは半分涙目になりながら、恥ずかしそうにスカートや二―ソックスを直している)

苗木(霧切さんの突然の奇行に、全員戸惑いを隠せなかった)

苗木「あ、あのさ……霧切さん」

霧切「少なくともこれは彼女のモノじゃない」

苗木「え?」

霧切「ベルトの穴が合わないもの」

江ノ島「えっとさ……それ、太ももに付けるもんなの?」

霧切「凶器を持ち歩くのに、剥き出しのままということはないはずよ」

霧切「ベルトの穴の大きさから、おそらく持ち主は太ももに付けていたんだと思うわ」

十神「で? その持ち主は誰なんだ? 全員に試していくのか?」

霧切「その必要はないわ。おそらくここにいる人間にぴったり合うことはないだろうから」

苗木「え?」

霧切「死体を調べた人間ならわかるはずよ」

舞園「ま、まさか」

苗木「このシザーケースの持ち主って、腐川さん!?」

葉隠「はあああ!? 腐川っちは被害者だべ!?」

霧切「他にも彼女がジェノサイダーであることを示すものがあるわ」

舞園「もしかして……レッグカットのことですか?」


(『腐川の古傷』
 太ももに規則正しく正の字が刻まれている
 数を数えると、32とあるようだ)


霧切「この、32という数字。聞き覚えはない?」

苗木「32……32……あ!」


(霧切「被害者の性別。『ジェノサイダー翔の事件ファイル』の被害者32人全てが男性なのよ」)


苗木「被害者の数と同じなんだ……!」

十神「なるほど、な」

桑田「こ、この状況で何がなるほどなんだよ」

十神「少なくとも、本物のジェノサイダーの犯行ではないこと」

十神「そして何故、犯人がジェノサイダーの手口について知っていたか。その理由がわかったからだ」

苗木「それって……『秘密』の封筒のことを言ってるんだよね?」


(『秘密の封筒』
 机の上に置いてあった。中身はなくなっている)


十神「おそらく、犯人は何らかの方法でこの中身を見ることが出来たんだろう」

十神「だからあれほど手口を真似ることが出来たんだ」

セレス「ですが、結局それは何のためなのです?」

セレス「ジェノサイダー本人が、ジェノサイダーの見立てて殺されたなど、単なる皮肉以外の意味があるのですか?」

セレス「それに、ジェノサイダーが腐川さんだったからと言って」

セレス「最有力容疑者は、舞園さんのままだと思うのですが」

舞園「だ、だから……!」

セレス「いいですか? 訴えるだけならどうでもいいのです」

セレス「“反論”してください。時間の無駄ですわ」

舞園「……どうしてなの!? どうして……」

苗木「舞園さん! 冷静になるんだ!」

舞園「……苗木くん」

苗木「落ち着いて。舞園さんが犯人じゃないなら」

苗木「あるはずだよ。おかしなところが、必ず」

舞園「…………」

苗木「舞園さん……?」

舞園「………わ、」

舞園「私以外にも……犯行が可能な人は」

舞園「可能かもしれない人が、一人いると思うんです」

十神「ほう。誰だ? 言ってみろ」


舞園「…………」

舞園「大和田くん。……あなたなんじゃないですか?」

大和田「…………」

大和田「は?」

大和田「はあ!? 何ふざけたこと言ってんだゴラァ!?」

舞園「ひっ……!」

不二咲「お、大和田くん!」

大和田「う、……す、すまねぇ。大声出しちまって」

大和田「けど、デタラメ言ってんじゃないだろうな?」

舞園「こ、根拠は、あります。ちゃんと」

苗木(大和田クンになら犯行は可能かもしれない?)

苗木(舞園さん……一体何を言うつもりなんだ?)



To be continued...

前半終わりです。後半もあと二時間ぐらい?であげます

しばらくお待ちください。ところでさ。


わかりきってることをグダグダと議論するさまを見せつけられるのって辛いよね!
けどね、許してやってほしいんだ。

モノクマ学園長は腐川さんがジェノサイダーだと知ってるけど、こいつらは知らないから仕方ないんだよ。

うぷぷぷぷ……


舞園「この中で30分以上アリバイがないのは、私だけだと言いましたね」

舞園「だから、私が犯人なんだと」

苗木「……うん」

舞園「けど、これは連続している必要はないんです」

苗木「うん? えっと、どういう意味?」

舞園「30分以上、アリバイがない。この、“30分以上”は、分けることが出来るんです」

舞園「例えば、10分と20分といった具合に」

霧切「……続けて」

舞園「この事件の犯人は、大まかに分けて3つの段階を踏んでいます」

舞園「1、腐川さんを殺した」

舞園「2、死体を磔にするなど細工した」

舞園「3、そのシザーケースのような証拠品を処分した」

舞園「これらは一度に行う必要はないんです」

十神「ほう?」

大和田「…………」

舞園「腐川さんを殺してしまった大和田くんは、とりあえず現場である腐川さんの部屋から離れた」

舞園「それに10分程かかったとします」

舞園「そして、時間がたったころ、もう一度腐川さんの部屋に戻って」

舞園「死体を細工し、証拠品を処分したんです」

舞園「20分あれば、大和田くんの力があれば、出来なくないはずです」

大和田「……証拠はあんのか?」

舞園「しょ、証拠は……」

舞園「…………」

大和田「ねぇのか? さっき根拠はあるっつったよな?」

舞園「証拠は……私には知識がないので、よくわからないのですが」


(『両手首の傷口の血』
 胸の傷口の血とは凝固の度合いが違っている
 胸の傷は凝固が始まっているが、手首の方はそれほど固まっていない)


舞園「霧切さんが説明してくれました」

舞園「手首の傷の血が固まっていないのって」

舞園「胸に刺された傷より、かなり時間をおいたからじゃないんですか?」

霧切「確かに、そう考えると説明つくわね」

舞園「根拠は、これです」

舞園「手首にハサミが刺されたのは、死んですぐじゃないんです」

舞園「だから……大和田くんにも、アリバイはないんじゃないですか?」

大和田「…………」


苗木「大和田クン……どうなの?」

大和田「…………」

大和田「俺が体育館を出たのは、18時30分から10分だ」

大和田「あの女が死んだのも、18時30分だ」

大和田「クソ、数字は苦手なんだ……とにかく」

大和田「18時30分には、俺は体育館にいたんだ」

舞園「――――え?」

苗木「ま、待って。大体その位ってだけで、誤差は……」

石丸「いや、大和田君の言う通り。体育館を出たのは18時30分だ」

石丸「むしろ、少し……1分か2分は過ぎていたかもしれない」

霧切「モノクマファイルによると、死亡時刻は18時30分頃とあるけど」

霧切「これはどれくらいの誤差があるの?」

モノクマ「誤差だなんてそんな! モノクマファイルは正確無比がウリなのに!」

モノクマ「えー、けども1分か2分は前後するかもしれません」

モノクマ「ボクが死亡と判定するのは、心停止が条件です」

モノクマ「なので、脳みそがもしかしたら生きているかもしれませんが」

モノクマ「前後合わせて3分も誤差はありません!」

十神「1分や2分では体育館から腐川の部屋まで移動するのは不可能だな」

桑田「体育館から腐川の部屋まで、結構あるしな……」

霧切「つまり、大和田クンのアリバイは、ギリギリ成立しているということになる」

大和田「とにかくだ。俺は腐川を殺してない」

大和田「俺は、犯人じゃねぇンだ」

セレス「……やはり、犯行が可能なのは舞園さんだけのようですわね」

舞園「そ、そんな……」

舞園「私じゃ、ないのに」

舞園「なんで……どうして?」

舞園「みんな……わかってくれないの……?」

舞園「……どうして?」

苗木(そう言って、舞園さんはとうとう涙をこぼした)

苗木(堰を切ったかのように、あふれ出る涙)

苗木「舞園さん……」

十神「泣き落としか? そんな手しか使えないのか?」

舞園「…………」

苗木「…………」

モノクマ「おやおや? もう皆さん、お決まりのようですね?」

モノクマ「ではそろそろ投票タイムにいきま」

苗木「ちょっと待った!」

全員「!?」

舞園「苗木くん……!」


苗木「まだ……まだ、早いんじゃないかな」

十神「愚民め。先入観による盲目ほど愚かなことはないな」

十神「一連の犯行が可能なのは、舞園だけだ。いい加減、認めたらどうだ?」

苗木「だけど……ボクは納得できない」

苗木「まだ、わかってないことがあるんだ」

苗木「疑問を残したまま、舞園さんを犯人だと決めたくはない」

霧切「…………」

霧切「あなたの疑問って?」

苗木「その……そう」

苗木「舞園さんが犯人だとして、腐川さんはどうして部屋に入れたの?」

苗木「争うことなくどうやってハサミを奪ったのか? 原稿用紙は何故ばらまかれていたのか?」

苗木「まだ、おかしいことがあるんだよ。これじゃ……納得なんて出来ないよ」

舞園「苗木くん……」

霧切「そうね」

苗木「霧切さん」

霧切「私も、疑問を残したままというのはごめんだわ」

霧切「真実を明かすまでは、投票なんてバカバカしいことは出来ない」

舞園「霧切さん……」

朝日奈「あの……気持ちはすごくわかるんだけど」

朝日奈「わたしだって、舞園ちゃんを犯人だと思いたくないし……」

江ノ島「けどさ。どっから考えればいいわけ?」

セレス「困りましたわね」

山田「ずいぶんあっさりした困りましたですな……」

霧切「私は、舞園さんの推理はある程度正しいと思う」

霧切「時間をおいてから現場に細工をしたと言うのは、おそらく間違いないと思うわ」

霧切「血液の凝固のほかにも、それを証明する証拠があるから」

苗木(時間をおいてから細工をした証拠?)

苗木「それって……もしかして、洗面所のことかな」


(『濡れた洗面台』
 割と近い時間に使われたようだ)


苗木「これって、死体を見つける前に誰かが使ったんだよね?」

霧切「そうね。でも少なくとも、1時間半も前に使ったのなら」

霧切「洗面台が濡れたままということはまずないわ」

戦刃「ああいうのは、撥水加工がしてあるはずだから」

戦刃「すぐに水が乾くというか弾くようになってる、と思う」

苗木「まだ水滴が残っていたということは、犯行時刻よりも後に誰かが入って使った……」

霧切「そういうことになるはずよ」


十神「だが肝心の腐川を殺した犯人は誰だ?」

苗木「…………」

苗木「みんな。ボクはどうしても、原稿用紙が気になるんだ」

苗木「腐川さんが刺された時は、原稿用紙はばらまかれてなかったはずなんだよ」

苗木「じゃあ、ばらまかれたのは何故?」

江ノ島「ジェノサイダーに見立てた……わけじゃないんだよね」

葉隠「そもそも、わざとなんだべか? 腐川っちが力尽きるときに当たったんじゃ」

十神「お前は現場を見てないのか? 見てそんなことを言っているのか?」

葉隠「見たけどすぐに目を背けたべ! あんなの恐ろしくて見てられないべ!」

苗木「十神クンの言っているのは、クリップのこと?」


(『ダブルクリップ』
 床に落ちていた。大きめの、硬いクリップだ)


山田「あ! 我が輩が踏んだ奴ですな!」

山田「ふむ。結構固いクリップですな」

山田「これで原稿をまとめていたのでしょう!」

石丸「だとすれば、床に落ちたなど簡単な理由ではなさそうだな!」

石丸「たまたまの偶発的な事故ではなく、何らかの意図をもってクリップは外されたのだ!」

大和田「何らかの意図ってなんだよ」

石丸「…………」

桑田「そこで黙り込むか?」

霧切「じゃあ、この原稿用紙はどういう状態で血が付いたのかしら?」

霧切「苗木くん。ここまで言ったらわかるわね?」

苗木(血が付いた時の原稿用紙の状態……)

苗木「やっぱり、それは……原稿がクリップでまとめられていた状態だよね」

霧切「そうね。でも今はバラバラだわ」

舞園「その、集めるのに精いっぱいで……ページ順にまでは気を配れなくて」

霧切「なら、今。ページ順に直してみたら」

霧切「そしたら、何かがわかるかもしれないわ」

苗木(霧切さんの言うとおり、バラバラだった原稿用紙をページ順に直していく)

苗木(すると――)




 『フ ジ サ キ』



苗木「これ……!?」

不二咲「……うう……!」

舞園「紙の束の横側に……血文字が……!?」

十神「……そうか、これを書いたのは腐川本人で」

十神「原稿用紙をばらまいたのも、腐川本人か」

霧切「原稿用紙一枚に書けば、すぐに犯人に処分される」

霧切「だからばらまいたのよ。一枚一枚ではただの血痕でしかなくても」

霧切「元の形に順番に戻すと、文字が浮き出るように。最期の力を振り絞って」

苗木「……不二咲さん。何か、言いたいことはある?」

不二咲「…………」

セレス「そういえば、不二咲さんは犯行時刻、誰かと一緒にいるわけではありませんでしたわね」

セレス「30分以上という縛りから、見逃していましたが」

苗木「腐川さんが死んだ時間は」

苗木「不二咲さんは、一人だったんだね?」

不二咲「……う……」

苗木(不二咲さんが……このメンバーの中で一番か弱い不二咲さんが、腐川さんを?)

苗木「何か……何か言ってくれないかな」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくじゃない」

苗木「……え?」

不二咲「そのメッセージが、腐川さんが書いたものとは、限らないと思う」

苗木「……不二咲さん」

苗木「これを見てくれないかな」


(『右手人差し指の血痕』
 傷があるわけではないが、血に濡れている)


苗木「これ、血文字を残すために付いた血なんじゃないかな」

不二咲「それも……犯人による偽装だよ」

セレス「こんなにわかりにくい偽装をすると仰るのですか?」

不二咲「可能性は、ゼロじゃない。それだけじゃ、決定的な証拠じゃない」

不二咲「それに、……ぼくには腐川さんを磔にすることは出来ない」

不二咲「食堂に戻ってきてから、ずっと女子のみんなと一緒にいたんだ」

不二咲「そんな時間なんて、なかったよ」

朝日奈「うん。確かに、そうだよ」

朝日奈「舞園ちゃんが人を殺したのと同じか、それ以上に」

朝日奈「不二咲ちゃんが人を殺すなんて、想像つかないよ!」


苗木「…………」

不二咲「苗木くん……」

不二咲「ぼくを、犯人だというなら」

不二咲「ぼくはどうやって、腐川さんを磔にしたの?」

不二咲「答えてよ……」

苗木(不二咲さん……)

苗木(むしろ、答えてもらいたがっているような)

苗木(当ててほしいような……)

舞園「……苗木くん」

苗木「…………」

苗木「…………」

苗木(やっぱり……結論は、これしかない)

苗木「不二咲さんに、腐川さんを磔にすることは出来ないと思う」

江ノ島「は? さすがにそれはねぇっしょ」

不二咲「…………」

苗木「けど、どう考えても無理なんだ。不二咲さんに磔をする時間的余裕はなかった」

苗木「だから、死体を磔にしたのは、別の人間」

苗木「……大和田クン。キミが手伝ったんじゃないかな」

大和田「んな……っ!」

山田「あ、あのー……これは単独犯ではなかったのですかな?」

大神「卒業出来るクロが一人だけである以上、共犯の可能性はない」

大神「そういう話だったのではないか?」

苗木「でも、それを聞いたのは、この裁判場に来てからだよね?」

苗木「事件が起きるまで、ボク達はそんなルールは知らなかった」

苗木「この学級裁判のことさえ知らなかったんだ」

苗木「……共犯関係は成立するかもしれない」

霧切「むしろ、大和田くんが不二咲さんを助けたのかもしれないわね」

霧切「利害ではなく、情で動いて」

霧切「クロ以外の全員が処刑されることを知らなかったのなら、あり得なくはないわ」

苗木「大和田クン。このことに関しては、どう?」

大和田「……俺から答えられることは、何にもねぇよ」

大和田「けど。けど、だ」

大和田「学級裁判なんてふざけたルールを最初から知ってたら……」

大和田「…………」

不二咲「大和田くんは、関係ないよ」

大和田「不二咲……」


不二咲「苗木くん」

不二咲「ぼくはまだ、認めない。認められない」

不二咲「血文字のメッセージは、偽装の可能性がある以上」

不二咲「決定的とは、言えないはずだよ」

不二咲「決定的な証拠は……ないの?」

苗木(不二咲さん……やっぱり)

苗木(やっぱり、指摘されることを望んでる?)

苗木(自分が犯人だと、当てられるのを望んでる?)

苗木「……一つだけ、可能性はあるよ」

不二咲「………!」

苗木「今回の犯行は全部部屋の中で行われた筈なんだ」

苗木「証拠の隠滅とかで犯人が移動することはあっても、腐川さんが殺されたのは、あくまであの部屋の中なんだ」

苗木「じゃあ……これは、何だろう」


(『廊下の血痕』
 わずかだが、腐川の部屋の前に血痕が残っている)


不二咲「………っ!!」

苗木「これ、腐川さんの血じゃなくて」

苗木「犯人が傷ついてしまって、その傷から落ちた血なんじゃないかな」

苗木「だから……身体を調べれば」

不二咲「ううん。もういいよ」

苗木(――そう言って、不二咲さんは腕の袖をまくり、包帯が巻かれていることをボク達に見せた)

大和田「……不二咲……!」

不二咲「ボク以外に、こんな真新しい傷を持っている人なんて、きっといない」

不二咲「だから、これは」

不二咲「決定的な、証拠だよ」

舞園「……不二咲さん……」

不二咲「ごめんね、舞園さん。本当にごめん」

不二咲「謝っても、謝りきれないけど」

モノクマ「うぷぷぷぷ……結論が出たようですね」

モノクマ「投票の結果、クロとなるのは誰なのか!?」

モノクマ「正しいクロを指摘できたのか? レッツ、投票ターイム!」


<投票終了>

『投票結果:不二咲千尋が最多数となりました』


<学級裁判・閉廷>


ではでは、お楽しみのおしおき安価です


場所(背景、桑田の例だと野球場)
>>307

モノクマの役割(桑田の例だとモノクマはピッチャーでした、そういう感じで)
>>315

瓶の中

保健委員

了解です。うーん。はい。少し時間ください

(ぴょーい)


モノクマ「ピンポーン! 大・正・解!!」

モノクマ「クロは不二咲千尋くんでした!!」

朝日奈「ね、ねぇ……どうして?」

江ノ島「あ、アンタみたいな虫も殺せないような奴が……なんでよ?」

不二咲「…………」

不二咲「それを話すには、ぼくの『秘密』を話さないといけないと思う」

不二咲「ぼく……本当は男なんだ」

全員「…………」

苗木「は?」

モノクマ「あれあれ? みんな知らなかったの?」

モノクマ「不二咲くんは、男の娘だよ!」

大和田「…………」

不二咲「…………」

不二咲「腐川さんを呼びに行った時に。ぼくはぼくの『秘密』を打ち明けたんだ」

不二咲「そうすれば、もしかしたら腐川さんも気が楽になるかもしれないって、そう思って」

不二咲「そしたら、ドアを開けてくれて……だけど」

苗木「もしかして……腐川さんが襲い掛かってきたの?」

不二咲「うん。いきなり、なんか……くしゃみをしたらテンションが異常に高くなって」

不二咲「萌える男の娘がなんとかって……わけのわからないこと言いだして」

不二咲「腕を切られて……ぼくは、外に飛び出してドアを思い切り閉めたんだ」

不二咲「そうしたら……きっと出てくると思ったのに、腐川さんは出てこなかったから」

不二咲「だから、開けたら……そしたら」

十神「ドアの傷はそういうことか」

霧切「思い切り閉めた拍子に、ハサミを胸に押し込んでしまったのね」

苗木「そんな……そんなのって……」

不二咲「ぼくは……怖くなって」

不二咲「でも、ぼくはやっぱり男だから……女子には頼れなくて」

不二咲「だから、体育館に行こうと思ったんだ。そしたら」

大和田「俺と偶然、出会っちまったんだ」

不二咲「…………」

不二咲「ぼくは、大和田くんに打ち明けたんだ」

不二咲「ぼくの『秘密』。そして、人を殺してしまったって……」

大和田「けどよ。今の話を聞いてよ」

大和田「誰が不二咲を責めれるんだよ」

大和田「だから、俺は、不二咲に女子と過ごしている間に」

大和田「……俺が勝手にやったんだよ」

大和田「腐川の『秘密』の中身に、ジェノサイダーの情報が詳しく書いてあったから」

苗木「だから、細工が出来たんだね」

霧切「あの磔にするという行為は、不二咲さん……不二咲くんにアリバイを作るため」


大和田「……クロ以外が死ぬなんて、そんな馬鹿な話なんか聞いてねえよ」

大和田「…………」

不二咲「ぼくね。学級裁判の話を聞いたときに」

不二咲「自首しようと思ったんだ。みんなにすぐに打ち明けようと思った」

苗木「……でも、しなかった」

苗木「どうして?」

不二咲「…………」

不二咲「そうしたら、腐川さんの死に何の意味もなくなっちゃうから」

不二咲「なんの覚悟もなく、罪の意識からただ逃げたいだけの、最低の終わり方だから」

不二咲「大和田くん。大和田くんは、こう言ってくれたよね」

不二咲「『男なら、負けないといけない勝負でも、全力でやれ』って」

不二咲「『負けた方がいいとわかっていても、わざと負けたら』」

不二咲「『それは相手を侮辱したことになる』『男なら最後まで本気で闘え』って」

大和田「……不二咲、俺は」

モノクマ「さて、ではそろそろいいよね?」

苗木「ま、まさか……処刑!?」

モノクマ「やだなぁ、おしおきって言ってよ!」

大和田「ま、待て……まだ」

モノクマ「もうしんみりムード嫌なんだよね。ぱあっと派手におしおきしましょう!」

不二咲「……大和田くん。ぼく、諦めなかったよ」

モノクマ「<超高校級のプログラマー>である不二咲千尋くんのために」

不二咲「最後まで、闘ったよ」

モノクマ「スペシャルな おしおきを 用意しました!!」

大和田「不二咲ぃ! お前は男らしく闘った!」

大和田「誰が何と言おうと、俺が認める!!」

大和田「お前は男の中の男だ!!」

不二咲「……ありがとう」

不二咲「変だな、もうすぐ死ぬのに……とっても怖いのに」

不二咲「すごく嬉しい」



<フジサキくんが クロにきまりました>

  <おしおきを かいしします>

 《ビンの中》


フジサキくんは ビンのなかに とじこめられてしまいました

フジサキくんは じっと めをとじて まるで ねむっているようです

ほけんいいんの モノクマさん たいへんだあ たいへんだあ

おくすり いっぱい いれて ウイルスを ころさなきゃ

おや この がめん どこかで みたような

あ あの でんせつの はいかんこうが ドクターになった あのゲームだ!

モノクマ ほけんいいん ちょさくけんが こわくて あわてて ぜんけし ねらいます

ビンのなかは からっぽになりました

ぜんぶ なにもかも なくなりました

ふう これで ちょさくけんは もんだいないぞ!



モノクマ「いやっほうぉ! エクストリーム!」

モノクマ「いやあ。ストレス解消は大事ですなぁ」

大和田「く、」

大和田「クソがぁぁぁぁ!!!」

モノクマ「うわ、わ!? 学園長への暴力は、校則違反だよ!?」

モノクマ「ウルトラグレートなお仕置きが待ってるよ!!?」

大和田「うるせえ!! てめぇだけはぜってぇ許さねぇ!!!」

苗木「大和田くん!! ダメだ!! ダメだよ!!」

大和田「どけ、苗木!! 邪魔するならお前もぶっ殺すぞ!!」

苗木「ダメだ、そんなことしたって駄目だ!!」

苗木「大和田クンが死んだら、誰が不二咲クンの仇を取るんだよ!!?」

大和田「う……!!」

苗木「ダメだ……ダメだ……」

苗木「……命を粗末にしちゃダメだ。ここでモノクマを壊したって」

苗木「それこそ、意味がないじゃないか」

苗木「不二咲クンは楽な方に流されたりしなかった」

苗木「キミがそう言ったから。だから」

大和田「ぐ……!」

大和田「クソがぁぁぁぁぁぁあああああ!!!」

苗木(大和田クンはひたすらに床を拳で殴り続けた)

苗木(血が出ても、ひたすらに……殴り続けた)

モノクマ「ふう。怖い怖い。最近の高校生は物騒なんだから、もう」

モノクマ「さてと。学級裁判も終わったことだし」

モノクマ「新しい世界を開いてあげるよ」

十神「新しい世界だと?」

モノクマ「うぷぷぷぷ……あとは自分たちで確かめるんだね」

(ぴょーい)

全員「…………」

苗木「……大和田クン。大丈夫?」

大和田「…………」

大和田「大丈夫に、決まってるだろうが……!」

大和田「俺は、強いんだ……! 不二咲が憧れてくれたぐらい」

大和田「俺は、強い男なんだ……!」


…………
………
……

今日はここまで。もう少しだけ、大和田と苗木の二人だけの会話とかがあるけど、それは次回に

ではでは、まったねー

(ぴょーい)

 3日目、深夜


《寄宿舎・廊下》


苗木「舞園さん」

舞園「……苗木くん」

苗木「その……大丈夫?」

舞園「…………その……」

舞園「あっ……」

苗木「え?」

霧切「何?」

苗木「あ、霧切さんか」

舞園「その……苗木くん。霧切さんも」

舞園「……ありがとうございます。助けてくれて」

苗木「いや、ボクは」

霧切「私は別に、助けてないわ」

舞園「…………」

苗木「で、でもさ。霧切さんがいろいろ教えてくれなかったら、何もわからなかったと思うし」

舞園「霧切さん。もし、違っていたら……すごく失礼になると思うんですけど」

舞園「もしかして、不二咲さん……不二咲くんが犯人だって」

舞園「あなた、気付いていたんじゃないんですか?」

苗木「え?」

霧切「…………」

舞園「気付いていて、敢えて黙っていたんじゃないんですか?」

苗木「な。なんでそんなことを?」

霧切「そんなワケ、ないじゃない」

舞園「…………」

霧切「…………」

霧切「ただ、あなたが犯人だとは思っていなかったわ」

霧切「私はあなたに、出来る限り自分の力で切り抜けてほしかっただけ」

霧切「負ければすべてを失う勝負がある。そんな勝負はこれからも続くわ」

霧切「黒幕を暴き、倒すまで。そんな勝負に、他人が手を貸してしまったら」

霧切「甘えてしまったら。それは毒になる」

霧切「そしていずれ、死という結末をもたらしてしまう」

霧切「勿論、苗木くんがもっと真実を見つめようとしなければ」

霧切「私が言っていただろうけど」

苗木「……霧切さん……」

舞園「…………」


霧切「何様なんだ、って顔をしているわね」

舞園「……霧切さんの信条は、わかりました。でも」

舞園「私、そんなに強くなれそうに……ないから」

霧切「そんなことはないわ。……あなたは十分に戦った」

霧切「あなた一人では確かに真実にたどり着けなかったけど。でもね」

霧切「あなたには信じてくれる人がいたじゃない」

舞園「そ、それは……」

舞園「他人に甘えるのは、毒になるんじゃないんですか?」

霧切「信用を得るのも、それは自分の力だと思うわ」

霧切「まあ。今回のは苗木くんがお人好しなんでしょうけど」

舞園「そうですけど……」

苗木「え? えっと?」

霧切「他人に助けようと思わせることも、闘うための力だと思うわ」

霧切「甘えとは違う。もし、あなたがただ泣いているだけだったら」

霧切「自分で何もしようとしない人間だったら……」

霧切「…………」

霧切「けど、そうじゃなくて良かったわ」

舞園「…………」

舞園「それは、霧切さんが一人で立てる人間だから」

舞園「そんなことが、言えるんですよ」

舞園「一人で立ち上がれる人間だから、そんな傲慢なことが言えるんですよ」

舞園「私は……私たちは……!」

舞園「不二咲くんを、犠牲にしたんですよ!?」

舞園「何が真実ですか!? 何が負けてはいけない勝負ですか!? 黒幕を暴き、倒す!?」

舞園「そんなの、私は嫌!!」

舞園「どうして私たちがこんな目に遭わなきゃいけないの!?」

苗木「舞園さん! ……舞園さん、落ち着いて」

苗木「大丈夫。……もう大丈夫だから」

舞園「…………!」

舞園「……ごめんなさい。助けてくれたのに」

舞園「けど……整理する時間が」

舞園「今夜は、もう……休ませてください」

(舞園は自分の部屋に入った)


霧切「……傲慢だと思う? 苗木くんも」

苗木「…………」

苗木「舞園さんの気持ちはわかるよ」

苗木「舞園さんは、追い詰められてた。誰にも信じてもらえずに」

苗木「助けを欲しがっていたんだ。今にも折れそうになるほど」

苗木「……無理もない、逃げたくなる。ボクだってそう思う」

苗木「けど、黒幕を暴き、倒すという……この勝負は」

苗木「決着がつくまで、逃げられないのも」

苗木「避けられない勝負なんだろうってことは、わかるから」

苗木「だから、みんなと一緒であっても、みんなに甘えるんじゃなく、みんなで力を合わせるために」

苗木「自分で立ち上がるための力は、必要なんだと思うから」

苗木「霧切さんの言葉も、厳しいけど……きっと、真実で……今のボク達の現実なんだと思う」

苗木「受け入れるには、時間がかかるけど」

霧切「…………」

苗木「霧切さんはすごいね」

苗木「もう受け入れてるんだ」

霧切「……受け入れざるを得ないから、受け入れているだけよ」

苗木「それが、すごいと思うんだけど……」

苗木「とにかくさ。今日は休もう」

苗木「霧切さん……舞園さんのこと」

霧切「恨まれても仕方ないことよ。むしろ、整理する時間をくれと言えただけ」

霧切「彼女はわかってる。けど、……悲しいけど」

霧切「この異常な現状を理解出来るほどの理解力があるのに、心は普通の範囲を超えない」

霧切「頭と心のバランスが釣り合っていない人間の向かう先は」

霧切「あまり、いいことにはならないと思うわ」

苗木「…………」

霧切「あなたの言った通り、休みましょう」

霧切「“新しい世界”のことも気になるしね」

苗木「そうだね……お休み、霧切さん」

霧切「お休み、苗木くん」


《苗木の部屋》


苗木「……疲れたな……」

苗木「……舞園さん、大丈夫かな」

苗木「霧切さん……すごい人だな……」

苗木「…………」

苗木「負けられない、避けられない勝負……“新しい世界”」

苗木「負ければ、ボク達も……不二咲クンのように……」

苗木「…………」

 ぴんぽーん

苗木「!? ……こんな時間に?」

苗木「……はい」

??『…………』

大和田『俺だ……ちょっと、話いいか?』

苗木「大和田クン……いいよ」

(大和田が部屋に入ってきた)

大和田「…………」

大和田「話の内容は、わかってるだろ? ……不二咲のことだ」

苗木「……うん」

大和田「お前は、困ったら相談しろって言ったよな」

大和田「……俺は……」

大和田「誰にも弱いところを見せちゃなんねぇンだ」

大和田「暮威慈畏大亜紋土総長として。けど、けどだ」

大和田「お前は舎弟じゃねぇ。あの女を最後まで信じきった芯も持ってる」

大和田「だから……お前だけには」

大和田「不二咲との間に、何があったか、話していいんじゃねぇかと」

大和田「そう思う」

苗木「……うん。ボクでよかったら」

苗木「ボクに話すことで楽になれるなら、いくらでもいいよ」

大和田「……不二咲は、女装しないと人前に出れない自分にコンプレックスを持ってた」

大和田「そんなやつだったから、……男らしい俺に憧れた」

大和田「そう言ってた」

大和田「不二咲が、腐川を死なせた時」

大和田「真っ先に頼ってくれたのが、俺だった」

苗木「……うん」

大和田「…………」

大和田「最初は、あいつはあいつの言った通り」

大和田「学級裁判のルールを聞いたときに、あいつはみんなに言うつもりだった」

大和田「俺はそいつを止めた」


苗木「……どうして?」

大和田「…………」

大和田「あいつは、自分で死のうとしてたんだ」

大和田「折れてたんだ。自分のやったことに押しつぶされて」

大和田「ようは、自殺しようとしてたんだ」

苗木「…………自殺……」

大和田「…………」

大和田「俺は、自殺してほしくなかった」

大和田「何とか立ち上がってほしかった」

大和田「だから……男なら、自分のやったことから逃げるな」

大和田「負けた方がいいとわかっていようと、負けなきゃなんねぇ勝負でも」

大和田「男なら、全力で挑め……」

大和田「…………」

大和田「そう言わなきゃ、あいつはただ弱くて負けたことになっちまう」

大和田「あいつが嫌がってた、弱い自分に負けたことになっちまう」

大和田「…………」

大和田「けど、これは……俺は、不二咲を助けたくてやったことじゃねぇンだ」

苗木「え?」

大和田「結局、てめぇの為でしかねぇンだ」

苗木「それって……どういう意味?」

大和田「俺は……暮威慈畏大亜紋土総長だっつったよな」

大和田「俺は二代目なんだ。初代は、俺の兄貴」

大和田「大和田大亜。二人で作った」

大和田「兄貴が引退して、俺が族を継ぐ時」

大和田「俺は、周りに言われた……所詮弟のくせに」

大和田「兄貴は偉大過ぎたんだ」

大和田「俺は、兄貴を超えたくて。超えなきゃいけねぇから」

大和田「俺は、兄貴に勝負を挑んだ。それに勝てれば、俺はチームから認められる」

大和田「そしてそれは、兄貴にもわかってたんだよ」

大和田「兄貴が負ければ、チームが上手くいくことが」

苗木「……それは……」

大和田「けど、兄貴はわざと負けるような、手を抜くような真似はしなかった」

大和田「それをしちまったら、俺は兄貴を超えたことにならねぇからな」

大和田「俺は、そういう兄貴の考えもわかっちまったから……」

大和田「俺は無茶な走りをして、兄貴は俺はかばって死んじまった」

大和田「けど俺は、兄貴が無茶な走りをしたから死んじまったことにした」

大和田「兄貴がそう言ったんだ。そうやって、チームをまとめろと」

苗木「…………」


大和田「俺の『秘密』はそれだ」

大和田「絶対にバラされたらならねぇ『秘密』」

大和田「…………」

大和田「不二咲が俺を頼ってくれた時」

大和田「俺は思ったんだ」

大和田「もし、不二咲を守ることが出来たら、俺は兄貴を超えられるんじゃねぇかって」

大和田「不二咲は俺を頼ってくれた……自分の『秘密』も話せたような」

大和田「不二咲にとっては、俺は兄貴のようなもんで、不二咲は俺の弟のようなもんだ」

大和田「でも結局、俺は……俺を助けたかっただけなんだ」

大和田「俺は、不二咲と俺を重ねただけなんだ」

大和田「罪悪感に押し潰れそうな不二咲を……兄貴を殺した俺と」

大和田「蚊も殺せないような不二咲が、あんな風に戦うなんざ」

大和田「俺は、よりひどいことをアイツに押し付けたんだ」

大和田「諦めた方が、楽になるってわかってる」

大和田「俺と違って、諦めても諦められなくても、……死ぬことには変わりねぇ」

大和田「生かすことを考えてたが、俺にはわからなかった」

大和田「もし、不二咲が勝っても、不二咲はより重い罪を背負うことになる」

大和田「結末が一緒なのに、俺は……てめぇの為に」

大和田「ただ、不二咲により辛いことを」

苗木「けど、そうじゃなかったら」

苗木「不二咲クンは、戦わずにただ負けただけになっていたんだよね?」

苗木「……不二咲クンは、弱い自分のまま死ぬだけじゃなくて」

苗木「ちゃんと戦えた、強い自分になれたんだ」

苗木「それは、大和田クンの言葉があったからだと思う」

苗木「一人で<絶望>に押しつぶされるよりも……ずっと救われたと思う」

大和田「でも、俺は……不二咲の為じゃ」

苗木「そういう大和田クンじゃなかったら、不二咲クンを助けようとしたのかな?」

苗木「他の誰が……それ以上のことが、出来たんだろう」

苗木「ボクには、そんなこと、思いつかない」

苗木「大和田クンだったから、不二咲クンの気持ちがわかって、不二咲クンに手を差し伸べようとした」

苗木「……不二咲クンが最後まで諦めずに、立ったままでいられたのは」

苗木「間違いなく、大和田クンのおかげだと思う」

大和田「…………」

大和田「おめぇは、俺が憎くねぇのか?」

苗木「え? どうして?」

大和田「俺が腐川に工作したせいで、舞園が酷い目に遭ったんだぞ?」

苗木「でも、大和田クンはあくまで不二咲クンのアリバイを守っただけだよね」

苗木「あの時点じゃ、誰にアリバイがないかなんてわかんないし」

苗木「そもそも、学級裁判のことを知っていたら、大和田クンも違うやり方を考えたはずだよね?」

大和田「…………」


苗木「……ボクから、聞いてもいいかな?」

大和田「なんだ?」

苗木「その……腐川さんを、どうしてジェノサイダーに見立てたの?」

苗木「それが、よくわからないんだけど」

大和田「…………」

大和田「俺が腐川の部屋に入ったのは、二回目に体育館から出た時だ」

大和田「俺は腐川の『秘密』……ジェノサイダーのことを知ったのは、その時だ」

大和田「あんな気味わりぃやり方、不二咲にはぜってぇ出来ねぇだろうし」

大和田「腐川は、ジェノサイダーのことを知られたくねぇから、不二咲を殺そうと思ったなら」

大和田「ジェノサイダーのやり方で殺されたなら、腐川がジェノサイダーだと、だれも思わねぇだろ」

大和田「……もう死んでるんだ。けど死んだ後でもばらされたくねぇこと」

大和田「死んでも守らなきゃいけねぇ『秘密』は、あるんだよ」

苗木「……そっか」

苗木「腐川さんのことも、考えていたんだね」

大和田「…………」

大和田「そんなんじゃ、ねぇよ」

大和田「俺は、女には優しくしろっていう兄貴の約束も守れねぇような」

大和田「そんな、最低の男だ」

大和田「死んだ後の女の身体を傷つけるような、そんな最低の」

苗木「それ以上はダメだ」

大和田「苗木……?」

苗木「不二咲クンは、そんな最低の男に憧れたの?」

苗木「そうじゃない。そうじゃないはずだよ」

苗木「不二咲クンが憧れた人を、キミ自身が貶めちゃダメだ」

苗木「こんな状況で、誰が悪いとか、そんなことは意味がない」

苗木「こんな状況を作った、黒幕が全ての元凶なんだ」

苗木「いつか、黒幕と戦わなきゃいけないんだ」

苗木「大和田クン。キミは、暮威慈畏大亜紋土総長なんでしょ?」

苗木「強い男なら、そんな黒幕なんかねじふせちゃってよ」

苗木「腐川さん、不二咲クンの仇を取るんだ!」

大和田「…………」


大和田「…………あ、」

大和田「当たり前じゃねぇか……!」

大和田「ぜってぇ許さねぇ! 黒幕の奴は」

大和田「ボッコボコにたたんでやんよ!!」

大和田「苗木。俺は頭が悪ぃから、身体使うことがあれば言え」

大和田「なんでもしてやんよ!!」

苗木「うん。絶対にみんなでここを出て」

苗木「黒幕をやっつけるんだ!」

大和田「や、やっつけるって、お前な」

大和田「もう少し、威勢のいい言葉はねぇのかよ」

苗木「え、あ……ご、ごめん」

苗木「えっと……なんて言えばいいんだろ」

大和田「いや、もういいけどよ」

大和田「それが苗木の良さなんだろうしな」

大和田「……苗木、ありがとな」

苗木「ううん。ボクこそ、大和田クンの話が聞けて良かったよ」

苗木「みんなで、ここを出ようね」

大和田「ああ!」


 ――絶望指数リザルト――


苗木誠<超高校級の幸運>

★★★☆☆☆☆☆☆☆

石丸清多夏<超高校級の風紀委員>

★★★☆☆☆☆☆☆☆

十神白夜<超高校級の御曹司>

★☆☆☆☆☆☆☆☆☆

大和田紋土<超高校級の暴走族>

★★★★★★☆☆☆☆

桑田怜恩<超高校級の野球選手>

★★★★☆☆☆☆☆☆

山田一二三<超高校級の同人作家>

★★★★★☆☆☆☆☆

葉隠康比呂<超高校級の占い師>

★★★★★☆☆☆☆☆

舞園さやか<超高校級のアイドル>

★★★★★★☆☆☆☆

霧切響子<超高校級の探偵>

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

朝日奈葵<超高校級のスイマー> 

★★★★★☆☆☆☆☆

腐川冬子<死亡>

★★★★★★★★★★

大神さくら<超高校級の格闘家>

★★★☆☆☆☆☆☆☆

セレスティア・ルーデンベルク<超高校級のギャンブラー>

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

江ノ島盾子<超高校級のギャル>

★★★★★★★★★★

不二咲千尋<死亡>

★★★★★★★★★★

戦刃むくろ<超高校級の軍人>

★★★★★★★★☆☆



  生き残りメンバー

   残り14人


 To Be Continued…


…………
………
……

朝時間チャイムと共に校舎一階保健室・校舎二階施設・寄宿舎一階倉庫を解放

これより干渉を最小限に留め、監視カメラの映像確認に移る



下8レス、苗木、石丸、十神、大和田、桑田、山田、葉隠、舞園、霧切、大神、セレス、江ノ島、戦刃の中から選んでください


…………
………
……

朝時間チャイムと共に校舎一階保健室・校舎二階施設・寄宿舎一階倉庫を解放

これより干渉を最小限に留め、監視カメラの映像確認に移る



下8レス、苗木、石丸、十神、大和田、桑田、山田、葉隠、舞園、霧切、大神、セレス、江ノ島、戦刃の中から選んでください

了解でーす。しばらくお待ちください。

大和田の心の動きは正直、かなり私の解釈が入ってるので結構みんなの反応が怖かったりしてます……
兄貴が本当にそういうつもりだったかはわからないんですけど、自分が負けた方が上手くいくことはわかっていたんじゃないかなぁとは思うんですが、あくまで想像でしかないな……

……逃げよ!

(ぴょーい)

長いよなぁ。どうしよう


 4日目、朝


《食堂》


(全員が集まり、今後のことを話し合うようだ)

石丸「ふむ。全員集まったようだな!」

石丸「では、まず」

大和田「俺からいいか」

石丸「む、むぅ……そうだな」

石丸「これからのことを話すにしても、大和田君のことは無視してはいけないだろうからな」

苗木「大和田クン……」

(大和田は舞園の前まで来た後、そのまま土下座した)

全員「!?」

舞園「大和田くん……!」

大和田「すまねぇ」

大和田「俺や不二咲のやったことで、……疑いがかかっちまって」

大和田「不二咲はもういない。だからアイツの分も、俺が代わりに謝る」

大和田「アイツは許してやってくれ。腐川の死体に工作したのは、俺だ」

大和田「俺が何もしなければ、疑いがかかったりはしなかったはずだ」

大和田「だから、だから……!」

舞園「…………」

舞園「今、何も言えることはありません」

舞園「許すことも、許さないことも。私は答えを出せないんです」

大和田「…………」

舞園「許して罪悪感を減らすことも、許さないで断罪することも、私には出来ません」

舞園「だから……そんなこと、求めないでください」

大和田「…………」

十神「ようは自己満足の土下座に意味はないってことだろう?」

十神「単なるパフォーマンスだからな」

江ノ島「あ、あのさ。やっぱり舞園ちゃん……キレてる?」

舞園「…………」

江ノ島「ほら、その……アタシら、みんなで疑ったわけだし」

朝日奈「それは、そうだけど……」

十神「あの時点で最も怪しかったのは舞園だったのは明らかだ」

十神「疑われるような行動をとった方が悪い」

桑田「はあ!? お前偉そうなこと言っときながら結局間違ってたじゃねぇか?」

十神「あまりに想像の斜め下だったんでな。理由がくだらなすぎた」


山田「く、くだらないというのは……」

十神「ただの同情でよくもあそこまで意味のない偽装工作を出来たものだと感心している」

霧切「その意味のない同情による偽装工作で、私たちは間違いかけたわけだけど」

十神「そうだな。想像してはいたが、更に下方修正する必要があるようだ」

十神「お前等愚民共は思っている以上に、衝動的に場を引っ掻き回すとな」

葉隠「よくもまあ、そこまで上から人を見下せるべ」

江ノ島「アンタ、いつか痛い目遭うからね!?」

朝日奈「そうだよ! もっと、みんなで協力しないと」

十神「俺はお前らと馴れ合う気はない」

大神「……朝日奈よ。今は十神を説得する時間はなかろう」

大神「大和田も、もうよせ。舞園も辛かろう」

大和田「…………」

舞園「…………」

石丸「そうだな、その辺にしておきたまえ!」

石丸「不二咲君も大和田君も、あの時点では学級裁判のことを知らなかったのだ!」

石丸「舞園君も出来れば許してやってほしいが、……今はそれよりも優先するべきことがあるはずだ!」

セレス「新しい世界のことですわね」

戦刃「それって多分……、生徒手帳を見ればわかるけど」

戦刃「マップが更新されてる。2階と、寄宿舎の倉庫。1階の保健室が解放されたみたい」

セレス「では、手分けして探しましょう」

セレス「うふふふふ。よりこの学園生活を充実させるものが見つかるといいですわね」

石丸「それより外に繋がる何かを見つけるのだ! 解散!」


(全員が解散し、それぞれが解放した施設を探索していく)

(しばらく探索後、また食堂に戻ってきた)


 ――――――


《食堂》


石丸「何か発見したかね!?」

朝日奈「プールプールプール! とにかくプールがあったよ!!」

戦刃「トレーニングルームもあった。機器は本格的、だと思う」

桑田「なんか更衣室は手帳がねぇと入れねぇらしいぞ」

桑田「手帳の性別に合わせた方の更衣室しか入れない、とか何とかモノクマが言ってたzp」


苗木「あと、図書室だけど……気になるものがいくつかあったね」

十神「まず、学園長への手紙だな」

葉隠「学園長への手紙!? なんか怪しそうなにおいがプンプンするべ!」

霧切「それによると、この学園は一年前に閉鎖されているみたい」

江ノ島「閉鎖ぁ?」

朝日奈「なんで?」

石丸「む、どうやら何か深刻な問題が発生したらしく、それで閉鎖に追い込まれたようなのだ」

苗木「深刻な問題の意味は、分からないけど」

苗木「とにかく、希望ヶ峰学園は既に閉鎖している……」

舞園「でも、それじゃあ……私たちに来た入学案内は?」

舞園「それに、ここに来た時……とても閉鎖されているようには見えませんでしたけど」

山田「謎ですな……おっとそう言えば」

山田「壊れたノートパソコンがありましたな。かなり古い型のものですが」

朝日奈「直せるの?」

山田「むぅ。我が輩も詳しい方ではあると思いますが」

山田「その、いや、……まあ今のこの中では最もPCに詳しいのは我が輩ぐらいでしょうし」

山田「修復できるか試してみましょう!」

大神「保健室が開いたな。薬やサプリメントがあった」

朝日奈「プロテインはあった!?」

大神「安物だがな。ないよりはましだろう」

朝日奈「やったぁ、プロテイン、プロテイン」

江ノ島「あと、倉庫ね」

江ノ島「お菓子やら服やら、まあ雑貨だけど」

舞園「他にも色々とありましたね。ホームセンターを小さくしたみたいな感じ」

江ノ島「いや、あれとホムセン一緒にしちゃまずいっしょ」

大和田「……俺は、鉄板を見て回ったが」

大和田「無駄だったな。どうにも出来そうにねぇ」

大和田「だが3階への階段があった。シャッターが降りていて進めねぇけどな」

石丸「現時点ではここまでというわけだな」

苗木「なんか……よくわからなくなったね」

舞園「希望ヶ峰学園は、既に閉鎖している……?」


朝日奈「でもきっと、もうすぐ助け来るよ!」

桑田「え!? マジで!?」

朝日奈「だって、もう4日目だよ? 警察だって動いてるよ」

霧切「事はそう簡単じゃないと思うわ」

桑田「で、でもよ。こんだけの人間が揃って行方不明になってたら」

十神「そうも言ってられん。黒幕はかなり巨大な存在だ」

セレス「モノクマの技術、学園の乗っ取り、監視カメラによる監視、学級裁判、処刑の設備……」

セレス「とても個人や少人数の団体で出来ることではありませんわ」

十神「……そちらから洗ってみるのも手だな」

十神「とにかく、これは助けを待つなど悠長なことを言ってられる状況ではない」

十神「そのおめでたい頭をもう少し働かせるんだな」

十神「じゃないと、ゲームに張り合いが出ない」

朝日奈「お、おめでたくて何が悪いの!?」

朝日奈「こんなゲームに乗るつもり!?」

十神「俺は最初からそう言っている」

桑田「お、おい。こいつ、もうふんじばった方が……!」

大神「止めておけ。仲間割れこそが黒幕の罠だ」

セレス「あなたは、自分が負けるとは思わないのですね?」

十神「当然だろう? 十神の人間は勝つことが宿命づけられている」

葉隠「占い師としては色々と言いたいことがありすぎる発言だべ」

舞園「でも、そんな大がかりな組織……団体が」

舞園「どうして、私たちにこんなことをさせてるんでしょう?」

舞園「十神くんにしたって、他のみんなにしたって重要人物だったり有名人です」

舞園「一応私も、アイドルとして活躍しています。それらを抑えるほどの圧力って……?」

全員「…………」

石丸「とりあえず、集められる情報は出揃ったようだ!」

石丸「情報は共有したと見なそう! あとは個々人で精査するべきだ!」

石丸「いい考えが浮かんだら皆で話し合おうではないか! では解散!」

>>保健室は三回目の事件から

………ハッ!?


い、いやわざとですよ? ええ。……関係ないだろ!?

いえ、すみません。ごめんなさい。

《図書室》

(十神は図書室にこもっているようだ)

(山田がやってきた)

山田「あ、十神白夜殿……!」

十神「…………」

山田「し、失礼しまーす……」

十神「…………」

山田「…………」

十神「…………」

山田「…………」

十神「おい」

山田「は、ほひぃぃ!?」

十神「うるさい……愚民は愚民らしく、はいと答えるだけでいいんだ」

山田「は、はあ……それで、なんでしょう?」

十神「パソコンは直せるのか」

山田「今はその、頑張っている最中でして」

山田「不二咲千尋殿なら、簡単に直せたと思うのですが」

十神「死人のことを口にするな。頼りにするな」

十神「出来るのか出来ないのか聞いている」

山田「え、あ、その……パーツさえあれば電源は立ち上がるかと」

山田「我が輩、そのパーツを探しにここへ来たわけでして」

十神「で、ここにパーツはあるのか」

山田「ありません……倉庫へ行ってきます……」

(とぼとぼと山田は去って行った)

十神「…………」

十神「残されたノートパソコンか……」

十神「…………」


 4日目、昼

《食堂》


苗木「あ、セレスさん」

セレス「あら、苗木くん。今はわたくし以外にはいませんわよ」

苗木「あ、うん……ねぇ、舞園さん、ここに来てない?」

セレス「見ていませんわね」

苗木「あ、うん……そっか……」

セレス「…………」

苗木「あ、セレスさん。一緒にお話ししていいかな」

セレス「舞園さんに振られたからわたくしに乗り換える、と?」

苗木「ち、違うよ!? そういうつもりじゃないよ」

苗木「ほら、やっぱり“仲間”だしさ。お話ししたいんだ」

セレス「では。お茶がなくなりましたわ」

セレス「おかわりくださる? ミルクティーをお願いしますわ」

苗木「え? えっと、ボクが」

セレス「おかわりくださる? ミルクティーをお願いしますわ」

苗木「え、えっと。その」

セレス「おかわりくださる? ミルクティーをお願いしますわ」

苗木「淹れてきます……」

(厨房に行き、しばらくしてソーサーに置いたカップとポットを持ってきた)

セレス「淹れ直してください」

苗木「え? えええ?」

セレス「それ、どうせ茶葉を蒸らしただけでしょう?」

セレス「わたくしは牛乳を茶葉で煮出す、ロイヤルミルクティーしか認めていないのです」

セレス「ただ牛乳を入れただけのミルクティーなど、人工的に香りを付けたフレーバーティー並みに邪道ですわ」

苗木「よ、よくわからないんだけど、作り直してくればいいんだね?」

(また厨房に戻り、しばらくしてまた淹れてきたようだ)

苗木「これでいいかな?」

セレス「素直で結構ですわ」

苗木「…………」

セレス「ふむ。まあ、飲めなくはありませんわ」

苗木「そっか、よかったよ」

(苗木は先ほど淹れた紅茶を飲むようだ)


苗木「でも、こだわりがあるっていいよね。ボクはそういうの無いからさ」

セレス「だからあなたは凡人どまりなのですね?」

苗木「あはは……」

セレス「それで? 有意義な時間を過ごさせてくれるのですわよね?」

苗木「善処するよ。それにしても」

苗木「セレスさんは、こんな状況でも自分のペースを良く保っていられるね?」

セレス「適応力こそが、勝つために最も必要な力」

セレス「わたくしはそう考えていますわ」

苗木「適応力……確かにそうかもね」

苗木「でも、勝つっていうのは、やっぱり黒幕にってこと?」

セレス「いいえ。この『コロシアイ学園生活』において“勝つ”というのは」

セレス「すなわち、生き残ること。生きることですわ」

セレス「死ねば負ける。それだけのゲームです」

苗木「それだけって……いや、うん」

苗木「でも、そうだよね。確かにそうだと思う」

苗木「…………」

セレス「苗木くん? 初めに言いましたわよね?」

セレス「舞園さんに振られたからわたくしに乗り換えるおつもりですか?」

苗木「い、いやだから、そんなつもりは」

セレス「まあ、彼女は生き残れないでしょう」

苗木「え?」

セレス「裁判を見る限り、頭の回転は悪くないようですが。いかんせん、心が脆すぎます」

セレス「彼女は耐えられないでしょうね。苗木くん?」

セレス「見捨てるなら、今のうちだと思いますわ。巻き込まれないうちに」

苗木「それは出来ないよ」

苗木「だって……舞園さんは……」



苗木「最初の日、入学式のあと。言ってくれたんだ」

苗木「ボクの助手になってくれるって……だから……」

苗木「ボクが必ず守るって、ここから出すって。約束したんだ」

苗木「だから、見捨てるなんて出来ないよ」

セレス「それが、裁判でやたらと庇っていた理由ですか?」

セレス「まったく……やはりこの程度ですか」

セレス「ただ人が好いだけの人間に用はありません」

セレス「わたくしはあなたに興味を失いました。さっさと出て行ってくださいな」

苗木「え? えっと……」

苗木「わかったよ。でも」

苗木「ボクは、セレスさんも、みんなで一緒にここを出たいんだ」

苗木「セレスさんが困っていても、助けるから」

セレス「それが舞園さんの不利益につながっても?」

苗木「そんなことにはならないよ」

苗木「だって、みんなの目的は同じ」

苗木「ここから出ることなんだ。誰かの利益が誰かの不利益なんて、そんなのないはずだよ」

セレス「……なるほど。あなたの信条はそうなのですか」

セレス「ですが、わたくしはここを出ようとは思っていませんわ」

セレス「適応こそが肝要……その主張を覆すつもりはありませんの」

苗木「……そっか」

苗木「いつか、わかってくれるとうれしいな」

(苗木はお茶を片付けるとそのまま出て行った)

セレス「…………」

セレス「ただの凡人のクセに……」

セレス「…………」

 4日目、夜

《1-A 教室》


(舞園は机に座って黒板を見つめている)

舞園「…………」

霧切「また、ここにいたの」

舞園「霧切さん……霧切さんこそ、どうして?」

霧切「別に」

舞園「…………」

舞園「あの。よかったら、お話ししませんか?」

霧切「私から話すことはないけど」

舞園「………えっと、」

舞園「じゃあ、私のことを話しますよ」

霧切「……いいけど」

舞園「うーんと、」

舞園「私、舞園さやかって言います」

霧切「知ってる」

舞園「アイドルやってます」

霧切「知らない人はいないでしょうね」

舞園「そうでもないですよ。私なんてまだまだです」

霧切「…………」

舞園「あ、ごめんなさい。謙遜に見せかけた皮肉のつもりはなかったんですけど」

霧切「何も言ってないけど」

舞園「私、エスパーなんです」

霧切「…………」

舞園「あ、疑いましたね? よぉし!」

(舞園は黒板に向かい、赤と黄色と青のマグネットを1対ずつ、計6個を持ってきた)

舞園「じゃあ、そうですね……」

(3種類のマグネットを机に置き、もう一組は自分の手の中で転がしている)

舞園「よし! これです!」

(カン、カンと後ろの机の中に、マグネットを隠した)

舞園「今、私の手の中には一つだけマグネットがあります」

舞園「私はエスパーですから、霧切さんが私の手の中にあるマグネットと同じ色のものを取るように仕向けてみせますよ」

霧切「…………」

舞園「じゃあ、まずはどれかを選んでください」

霧切「…………」

(霧切は迷わず赤を選んだ)

舞園「それでいいんですね? 今なら変えることも出来ますよ?」

霧切「構わないわ」

(舞園は赤を取り除いた)


舞園「では、もう一度好きな方を選んでください」

(少し迷ったが、すぐに黄色を選んだ)

舞園「そちらでいいんですね?」

霧切「ええ」

(舞園は青を除いた)

舞園「はい、これが答えです」

(舞園の握ったマグネットの色は、黄色だった)

舞園「ふふ……どうですか?」

霧切「…………」

(しばらく無表情にマグネットを触っていた霧切だが、わずかにニヤリとする)

霧切「中々ね。あなたのエスパーの能力」

霧切「でも、私はコピー能力を持っているわ」

舞園「コピー能力、ですか?」

霧切「ええ。あなたのエスパーの力、再現してみせるわ」

(舞園が机に隠したマグネットも回収し、同じ手順でマグネットを選ばせていく)

(霧切は見事にマグネットの色を当ててみせた)

舞園「あちゃー……もしかして、この手品のタネ知ってました?」

霧切「いいえ。でも論理的に考えれば難しいわけじゃない」

舞園「まあ、そうですね。私もこの手品、小学生で出来るようになりましたし」

舞園「でも、すごいですね。霧切さんって」

舞園「一回見た手品のタネを暴いて見せるし、それに」

霧切「それに?」

舞園「かわいいなって。クールかと思ってましたけど、結構負けず嫌いなんですね」

舞園「じゃないと、こんなふうにやり込めるようなことはしませんよね?」

霧切「…………」

霧切「まあ、否定はしないわ」

霧切「私は感情を表に出さないようにしてるけど、感情がないわけじゃないの」

舞園「そっか。ふふっ、そうですよね」

舞園「霧切さんも、普通の女の子ですよね」

霧切「そうはありたくない、と思ってるわ」

霧切「じゃないと、この状況では生き残れない」

舞園「…………」

舞園「聞いてもいいですか?」

霧切「ええ」

舞園「何故、私が犯人じゃないと思ったんですか?」

霧切「単純な話」

霧切「犯行に必要な時間は30分。残りの時間、あなたが犯人だったら何をしてたのか」

霧切「逃げ回ってる割には、ここでボーっとしてたしね」

舞園「…………」


霧切「何を考えてたの?」

舞園「…………」

舞園「私が、消えていく……」

舞園「こうしている間にも……世間から私が消えていく……」

舞園「ここに来れば……希望ヶ峰学園に来れば」

舞園「成功は約束されるって」

舞園「私の努力は、消えたりしないって……」

舞園「“仲間”とずーっと、一緒にいられる……」

舞園「そのはずだったのに……」

舞園「どうしてなの……!?」

霧切「…………」

舞園「…………」

舞園「ごめんなさい、泣いてしまって」

舞園「一人で部屋に閉じこもっていると、辛いし」

舞園「なんでだろう……鉄板や監視カメラがある、不気味な教室なのに」

舞園「ここが一番、近い気がする」

舞園「学校という日常を思い出させてくれるからかな」

舞園「……勉強もしなきゃ、遅れちゃう」

舞園「置いてかれる……」

霧切「それが、あなたの恐怖なのね」

霧切「他者から忘れていかれる恐怖」

霧切「……私とは真逆ね」

舞園「え?」

霧切「…………」

霧切「モノクマの罠にはまらないようにね」

霧切「さっきの手品と同じことをアイツは仕掛けてくるわ」

霧切「プロフェシィ・オブ・トリックと言われるタイプの手品」

霧切「予言に見せかけようと、それは偽物。後出しの後付け」

霧切「そんなものに引っかからないように」

霧切「絶対の真実を、自分の中に持つことね」

舞園「…………」

舞園「絶対の真実……」

舞園「……そうですね、今わかってるのは」



舞園「さっきの手品」

舞園「本当は推理じゃなくて、そもそもトリックを知っていたんですよね?」

舞園「トリックの名前を知ってるぐらいなんですから」

霧切「あら、気付いたのね?」

舞園「ええ。……油断できないなぁって」

霧切「…………」

霧切「あなたを敵に回すと、いろいろと怖そうだから」

舞園「え?」

霧切「なんせ、あなたは当ててみせたわ」

霧切「表情の制御は完璧だったはずなのに、謙遜に見せかけた皮肉だと思っていたことを当ててみせた」

霧切「本当に、あなたはエスパーじゃないのよね?」

舞園「……まさか」

舞園「ただの、勘ですよ」

舞園「……ありがとうございます」

霧切「こちらこそ。……楽しかったわ」

霧切「久しぶりに、笑った気がする」

霧切「……戻りましょうか。もう遅いわ」

舞園「そうですね。また明日、ですね」

霧切「ええ。また、明日」

※プロフェシィ・オブ・トリックというのはここでのオリジナルの呼び方です。悪戯の予言、的な感じ。
 ただ、この手の手品が存在するのは確かです。タネを知ってたら小学生でもできます。ってか出来てました、作者が。
 あと、iPhoneのアプリにあった気がする。

そうですね。古畑に出てきたかは知りませんが。正式な名前が思い出せなかった……

これを次の事件の伏線に出来たらいいけど、多分できないのが作者クオリティです。

そういや、残姉と妹様って身長とかバストとか全部一緒の設定なのに
なんで残姉のほうが小さいみたいな感じになってんの

>>409

胸囲とバストサイズは違うのです。

 5日目、朝


《食堂》

(石丸の提案により、朝食は全員でともに行うことになった模様)

(しかし、十神は参加していない)

石丸「こうしてともに朝食をとるのは、規則正しい生活と共に団結を深めるものだ」

石丸「朝食をとらなければ、一日は始まらないからな。では、いただきます!」

(号令と共に食べなければならないらしい)

全員「…………いただきます」

朝日奈「あのさ、これって誰が作ってるんだろね?」

桑田「モノクマじゃねぇだろうな」

江ノ島「ちょっ、マジで止めてよ! メシまずくなんじゃん」

大神「しかし、確かに不思議だ。これだけの量を調理するとは」

セレス「出来ればパンとミルクティーがよろしいのですが」

石丸「いけないぞ! 米の方が咀嚼回数も増え、おかずの栄養バランスも良くなるのだ!」

苗木「給食みたいでいいけど……これ、ベルトコンベアで運ばれてくるんだよね」

戦刃「そうなの?」

苗木「うん。一回見たよ」

山田「夜時間は立ち入り禁止というから、その間に用意していたのだと思っていましたが……」

葉隠「まあ、兵糧攻めにされるよりマシだべ。材料も豊富にあるし、倉庫には菓子の類もたくさんあったべ」

石丸「そう言えば、献立表などはあるのだろうか? 栄養などが偏っていないかチェックしなければ!」

戦刃「温かければ別にいいけど」

江ノ島「そりゃレーションなんかで喜ぶようじゃね」

苗木「戦場で過ごしてきた人の言葉は重みがあるね……」

山田「しかし、黒幕はいつまで監禁するつもりなのでしょうな……」

セレス「一生と言っていたではありませんか。その通り、一生ここで過ごせばいいのです」

桑田「軽く言うなっツーの! 俺は青空の下でフェスやりてぇの!」

セレス「諦めましょう」

葉隠「簡単に言ってくれるべ……」

霧切「…………」

大和田「…………」

舞園「…………」

舞園「ごちそうさまです」

苗木「えっ、もう?」

石丸「いけないではないか! 殆ど残しているぞ!」

舞園「すみません、入らなくて……」

朝日奈「舞園ちゃん、具合悪い?」

舞園「……すみません、しばらく休んだら大丈夫だと思います」

舞園「じゃあ」

(舞園は食器を片づけて出て行った)


全員「…………」

苗木「やっぱり、舞園さん、元気ないよね」

大和田「俺のせいだろ。俺が……」

江ノ島「ストーップ! 大和田は謝ったんだし、それ以上は意味ないって!」

葉隠「あれだけ集中砲火食らったら人間不信になるべ……」

葉隠「俺もヤクザに吊し上げられた時は死ぬかと」

朝日奈「そんなのと同じにしないでよ! 自業自得じゃん!」

葉隠「俺事情何も話してないべ!?」

セレス「ですが、舞園さんが人間不信になっているのは間違いないでしょうね」

セレス「皆さんなら許せますか? 無実なのに、信じてもらえなかったら」

全員「…………」

桑田「し、信じたかったけどよ……」

霧切「舞園さんはそのあたりもわかってると思うわ」

霧切「だから、面と向かってみんなに当たったりはしない」

霧切「勿論、大和田くんにも当たったりはしない」

大和田「…………」

苗木「…………」

苗木「時間が欲しい、って言ってたけど……」

山田「三次に興味のない我が輩ですら、あの憔悴っぷりは見てて辛いですぞ……」

朝日奈「何か出来ること、ないかな」

戦刃「みんなで謝る、とか」

江ノ島「余計追い詰めそうな気がするけど」

江ノ島「面と向かってアタシらに当たらないってことはさ、それって逆にため込むタイプじゃん?」

江ノ島「あの子アイドルだからさ、嫌なことがあっても表に出さないんでしょ」

江ノ島「それして許されるタイプじゃないしさ。ちょっとでも嫌なとこ見せるとすぐファンが減るタイプだし」

桑田「確かに、さやかちゃんが誰かの悪口言うとこって想像つかねぇな」

石丸「人間としては美徳だな! 見習いところだ!」

戦刃「でも放っておくと良くないと思う」

戦刃「…………」


戦刃「苗木君なら」

戦刃「苗木君なら、裁判でも信じてあげてたし」

戦刃「心、開くんじゃないかな」

苗木「…………」

霧切「そうでもなさそうなの?」

苗木「う、うん……どうなんだろう」

苗木「ボクが情けないせいかな……昨日も探してたけど、なんか避けられてる感じがしたし」

戦刃「……そうなの?」

葉隠「おめぇ、なんかしたべか?」

苗木「心当たりがなくて……」

霧切「私は昨日、話したけど」

苗木「え?」

江ノ島「へぇ、なんか想像つかないけど」

霧切「明るく振舞っていたけど、不安定なのは確かみたいね」

霧切「一回きちんと向き合うっていうなら、それもアリだとは思うけど」

霧切「黒幕が心を整理する時間を与えてくれるとは思えないし」

苗木「…………」

苗木「そうだね。ボク、少し遠慮していたのかもしれない」

苗木「ちゃんと話してみる」

苗木「大和田クンも」

大和田「ああ?」

苗木「みんな、わかってるよ。悪いのは全部黒幕なんだ」

苗木「大和田クンはもっとこう、おらぁ!とか言っててほしいな」

大和田「……応」

大和田「俺は仇を取る。必ずな」

大和田「不二咲、腐川の分を、必ず」

大和田「ぜってぇ、ぶっ飛ばす」

苗木「うん」

石丸「よし! では出来る限り残さず食べたまえ!」

石丸「脱出手段を探るためにも、まずは体力を付けねばならないのだ!」

>>410
だから顔以外はまったく同じ設定なんだから胸囲であろうがバストサイズであろうが
同じなんだって

>>415

そもそも顔以外同じ設定でしたっけ?

ゲームに出てきたデータの身長体重BWHは江ノ島(偽)と照合するためであって、別に私様と同じ設定ではなかったような。

そもそも公式でど貧乳設定なので、それが答えだと思います。

あー、駄目だ。三連休が絶望的に忙しすぎる。

ってなわけでしばらく更新は途絶えますが、忘れているわけじゃないので連休明けに。

(ぴょーい)

お、おう。なんかごめんね。何故かはよくわからない。
明日から安価の続きと動機の安価出すよ。……今日は絶望的に疲れたので寝る。

前みたいに頻繁に更新できなくなってるけど、前の周回より勢いに任せた感じじゃなくて、もう少しちゃんとストーリーとして破綻しないようにしていきたいと思います。キャラ描写もちゃんとしていきたいと思ってます。……けど安価で指名なかったら……しくしく

じゃあ、まったねー

(ぴょーい)

すみません、完璧スランプでした。

安価投下後、動機安価行きます。

 5日目、昼

《食堂》


江ノ島「あ、銀髪ちゃんだ。お昼食べるー?」

霧切「霧切響子よ。出来れば銀髪ちゃんというのは止めてくれない?」

江ノ島「ま、いいじゃんいいじゃん。お昼食べないんだったらケーキ食べる?」

霧切「いらな」

江ノ島「んじゃ、コーヒーね。ブラックでいい?」

霧切「…………」

(霧切は諦めたようだ)

江ノ島「しっかしまあ、変なことに巻き込まれたよねー」

霧切「そうね」

江ノ島「あのクマ、誰が動かしてんだろね?」

霧切「さあ?」

江ノ島「霧切ちゃんはメイクしないの?」

霧切「必要性を感じないわ」

江ノ島「必要とかさ、そんなの考えるのめんどくさくない?」

江ノ島「ってかさ、娯楽が足りないんですけど! もうマジでそれが最悪」

江ノ島「あーあ、退屈だわ」

霧切「この状況でそんなことを言えるなんて、あなたは現状認識が出来ていないの?」

江ノ島「命の危険と娯楽の有無は別問題っしょ?」

江ノ島「ってかさ、アタシのこと嫌い?」

霧切「別に。私は誰とも仲良くするつもりがないだけよ」

江ノ島「仲良くするつもりがない、ねぇ」

江ノ島「石丸が聞いたらキレそうなセリフだわ」

霧切「必要がない限りは馴れ合うつもりはないわ」

江ノ島「なんで?」

霧切「答えないといけないの?」

江ノ島「やっぱさ、アンタってアタシのこと嫌いっしょ?」

霧切「そうじゃない。ノリが合わないだけ」

江ノ島「ああ、そりゃ十分すぎる理由だわ」

江ノ島「ま、アタシは結構アンタのこと気になるしさ」

江ノ島「ってか、ぶっちゃけみんなアンタのことは気になってると思うけどね」

江ノ島「一人だけ<才能>が明らかになってないし」

霧切「…………」

江ノ島「こっそり教えて、とかできない?」

霧切「そのつもりはないわ」

江ノ島「はあ……アタシってそんなに信用なく見えるのかな」

江ノ島「ノリ軽いだけの女に見えてんならマジショックだし」

江ノ島「早く出たいわ……退屈……」

霧切「…………」

 5日目、夜

《トレーニングルーム・前》


大和田「…………」

戦刃「……大和田くん?」

大和田「……あー、戦刃だっけか」

戦刃「何してるの?」

大和田「なんでもねぇよ」

戦刃「そう」

大和田「…………」

戦刃「…………」

大和田「戦刃ってよ、お前……人殺したことあんのか?」

戦刃「それが軍人の仕事だから」

大和田「そっか。そうだよな」

大和田「じゃあ、お前は生き残るために人殺しをするのか?」

戦刃「…………」

戦刃「私には盾子ちゃんがいるから」

大和田「あー、……そうか。そうだな」

大和田「お前は自分だけ生き残ればいいってわけじゃねぇンだな」

戦刃「多分、モノクマもそれを狙って……一緒に閉じ込めたんだと思う」

大和田「……クソが……!」

戦刃「…………」

戦刃「大和田くんは、これからどうするの?」

戦刃「みんなは、大和田くんも不二咲……くんも、学級裁判を知らなかったし」

戦刃「大和田くんのしたことをどうこう言う人は、いないと思うけど」

大和田「…………」

戦刃「舞園さんも、心の整理がついてないだけで、ちゃんとわかってると思う」

大和田「けど、追い詰めたことには変わりねぇ」

大和田「謝ればいいんじゃねぇ話なのはわかってンだ」

大和田「じゃあ、ワビいれるために何すればいいんだ?」

大和田「ああいうタイプの女は俺の周りにはいなかったしな……」

戦刃「……何をすればいいのかは……私にもわからないけど」

戦刃「ただ、舞園さんは結構したたかだから、……その……」

戦刃「利用というか、騙されないように、気を付けた方がいいと思う」

大和田「えっと……それ、マジか?」

戦刃「う、うん……男の子はどう動くかとか、そういうのわかってると思うから」

戦刃「その、アイドルってそういうところあるから」

戦刃「だから、その……あまり、なんというか」

戦刃「……気に病み過ぎて、そこに付け込まれないようにしてね」

ごめん、朝食会がかなり難航してる。これでだいぶ更新遅れてる。すまない。


朝食会の後に安価するつもりだったけど、まあ、今でもいいかな。

この日の昼、さくらちゃんに接触し、人質の件を伝えます。その夜、下の安価内容を実行します。



!!!!<動機安価>!!!!

1、ひゃっくおっくえーん!(細かいルール設定を後ほど安価します)
2、外の世界のDVD。続きは卒業の後で!
3、ピンポイントに特定の人物に接触(人物を安価します)

>>445までで多いもの

もう過半数取っちゃったんで3で。

じゃあ、誰狙いますか?

苗木、石丸、十神、大和田、桑田、山田、葉隠、舞園、霧切、大神、セレス、江ノ島、戦刃

上記の中から選んでください。

>>448

スナイプだ!

大神

江ノ島

…………。

何言えばいい?

ごめん、素が出た……

あー、でもどうしよう? 記憶戻しますか?

このSSの江ノ島は、残姉が演じてた江ノ島を基準にしてるので。
感情は薄く退屈はしてますが、喜怒哀楽や愛情は普通レベルと考えてください。知能は深く考えるのが嫌いなだけで、真面目に考えたら十神レベルにはある。この状態では。

ちょっと引っ込みます。いい案が出たら安価で決めていきたいと思います。

記憶は戻さない方向で、さてさて。

絶望時の私様も残姉は大事にしていたみたいなので、今の江ノ島も残姉はそれなりに大事だと思います。
ただ、多分、普通の姉妹としては距離があるんじゃないかな……残姉、行方不明(フェンリル)になっていた時期があったし

絶望のない江ノ島から見たら、双子の姉で残念と茶化しているけど本当はいきなり軍人となっちゃった、好きとか嫌いとかじゃなくてよくわからないちょっと距離のある姉っていう感じじゃないかと。

と、私は解釈します。そういう感じで書いてました。

要は今の江ノ島はあくまで普通のギャルの感性だと思ってください。危機意識は薄いですが。うーん、ヒントになるかな?

大体自己暗示じゃないし、、まあいいや
松田と残姉でどっちか選ばせようぜ


残姉殺せば松田は助ける

残姉以外を殺せば残姉と共に出られるが、松田は死ぬ

どーよ?

他に意見がないなら>>476の意見を参考させてもらうけどいいかい?

まだ書けてないから安価しないけど。もう少しお願いします

(ぴょーい)

でもなあ。他に採用できそうな意見がないのです。

今の江ノ島の倫理観はまあ普通なので。娯楽で人を殺したりはしないだろうし、山田にコーラあげるから人殺せって言ってるもんでして。

セックスとかレイプとかもなぁ……もう少しルールを設定したら……うーん。
『動機』としては取り入れていいんだけど。でも殺人に繋がるようにするには、って感じで。

とりあえず、まだ安価とる気はないので、もう少し案があればと思います。ではでは

(ぴょーい)

んじゃあ安価とろうかな。

まず前提の動機は>>476でいいかい?

1、はい
2、いいえ

>>495までで多い方

1

じゃあ、もう一つ

期限を設けますか?


1、はい
2、いいえ


>>503までで多い方

じゃあ無期限で。

・残姉殺せば松田は助ける

・残姉以外を殺せば残姉と共に出られるが、松田は死ぬ

この条件で行きます。

カオスになるのも安価SSの楽しみだと思ってますよ。

無茶ぶりにも出来る限りこたえたいと思ってます。

 6日目、朝

《食堂》


(十神以外の全員が集まって、例の朝食会を開いている)

苗木「今日は、洋食だね」

朝日奈「お肉だね! 美味しそう!」

葉隠「肉を朝からってきついべ」

山田「本当に、ご飯の心配はなさそうですな」

戦刃「食べられたらなんでもいいけど」

江ノ島「昨日も似たようなこと言ってなかった?」

苗木「舞園さん、やっぱり食欲ない?」

舞園「いえ、というより、朝からお肉はちょっと……普段はヨーグルトで済ませることが多いので」

桑田「ヨーグルトってなかったっけ? 俺見てきてあげる!」

舞園「あ、ありがとうございます」

セレス「わたくしも紅茶でいいですわ。山田くん?」

山田「は、はいぃぃ!」

(桑田と山田がほぼ同時に厨房に入った)

石丸「……十神君は、やはり欠席か」

霧切「…………」

大和田「…………」

葉隠「十神っちはどうするつもりなんだろうなぁ?」

セレス「ゲームに参加する気マンマンのようですわね」

大神「何とか止められぬものか」

石丸「しかしけしからん! 黒幕もそうだが、和を乱す行為こそ現状では忌むべき行為だ!」

江ノ島「わかってっけどさ。とりあえず食べよ食べよ」

(桑田と山田が戻ってきた)

桑田「えーっと、野菜ジュースしかなかった。マジごめん!」

舞園「いえ、いいんですよ。わざわざありがとうございます」

山田「では、セレス殿!」

セレス「ちっ。もっと丁寧に火を見ないと美味しいロイヤルミルクティーにはならないというのに」

山田「せっかく淹れてきたのにぃぃ!?」

苗木「……あはは」

石丸「では、全員分の食事が揃ったところで。せーの!」


全員「いただきます」


山田「えーっと、そうそう。食べながらでいいのですが、皆さんのお知恵を拝借したいことがありまして」

朝日奈「なになに?」

山田「ノートパソコンの件ですが」

山田「他に詳しい方がいれば、手伝っていただきたく思いまして」


葉隠「一応、俺、機械いじり嫌いじゃねぇべ?」

山田「じー、怪しいですな」

葉隠「俺そんなに信用ないべか!?」

山田「まあ、一人よりは二人でしょう。皆さま方もそれでよろしいですかな」

(反対意見は出なかったようだ)

石丸「直りそうかね?」

山田「部品を交換できれば、あるいはと言ったところでしょうかな」

山田「ハードウェアを直すのは正直専門外なので、何とも言えませんが」

朝日奈「けど、他にいないしね」

葉隠「まあ、俺も後で見てみるべ」

苗木「とりあえず、出来ることは……パソコンが直るのを待つしかないのかな」

石丸「僕個人の意見としては、規律をもっと作るべきではないか? 校則以外にだ」

セレス「『夜時間以外の出歩きの禁止』以外にですか?」

桑田「規律規律めんどくせぇな。ぶっちゃけ、破れるルールに意味ねぇだろ」

戦刃「校則と違って、破っても……罰則はないし……」

大和田「…………」

苗木「……大和田クンはどう思う? さっきから一言もしゃべってないけど」

大和田「……俺は……」

舞園「…………」

石丸「ふむ。そうだな。この問題を解決しなくてはならないだろう」

石丸「大和田君、君が行った行為によって舞園君がクロとなりかけた件についてだ」

全員「…………」

石丸「この問題は昨日は心の整理がつかないからということで、無理には結論を出さなかった」

石丸「一日経ったが、舞園君。君の気持ちに変化は出たかね?」

舞園「……その……」

葉隠「あー、あんまり無理矢理に答えさせるもんじゃないと思うべ?」

石丸「しかし大事な話ではないか! いつまでも目を背けられる問題ではない!」

舞園「…………」

大和田「…………」

石丸「僕の意見を言わせてもらってもいいだろうか?」

舞園「……はい」

石丸「その……その、だ」

石丸「舞園君は、君を信じられなかった僕達のことも許せていないのだろうか?」

舞園「…………」

全員「…………」

石丸「僕は情けなかったのだ。深く考えもせず、怪しそうというだけで犯人だと思うなどと」

石丸「これでは疑心暗鬼を誘う黒幕の思うつぼではないか!」


舞園「は、はあ。あの、」

石丸「大和田君は土下座をした。そうやって謝意を見せた!」

石丸「僕達はどうすれば許されるのだろうか!? 君の答えを聞かせてくれ、舞園君!」

舞園「あの、すみません、そういう問題じゃなくて」

石丸「遠慮はいらないぞ! 過ちは正すべきなのだ!」

舞園「いえ……その……」

苗木「あ、あのさ、石丸クン。キミの言いたいことはわかったよ」

苗木「でもさ、舞園さんの話。改めて聞いた方がいいんじゃないかなって思うんだけど」

舞園「…………」

舞園「皆さんを責めるつもりは、私にはありません」

舞園「大和田くんもです。そういう問題じゃないんです」

苗木「……でも、わだかまりがあるのは、そうなんだよね?」

舞園「…………」

舞園「私は」

 バタン

(十神が入ってきた)

十神「……なんだ? ずいぶん辛気臭い食卓だな?」

石丸「と、十神君? どうしたのだ?」

十神「お前等に用はない。用があるのはお前だ」

舞園「……私、ですか?」

十神「…………」

十神「クイズを出してやろう。お前がそれに正解すれば」

十神「次の事件が起きるまでは、俺は何もしないでおいてやる」

舞園「え?」

江ノ島「ちょい待ちちょい待ち! いきなり何よ!?」

十神「ド低能は黙っていろ」

江ノ島「ド、低能……!?」

十神「まあまあ推理は出来るようだし、それほど難しいクイズでもない」

十神「受けるか受けないかぐらいは選ばせてやってもいいが」

舞園「え、えっと……」

霧切「いいんじゃないかしら。正解したら十神くんはしばらく動かないでいてくれるようだし」

山田「その、十神白夜殿の言葉を信じろと」

十神「別にお前等に信じてもらう必要はない」

苗木「舞園さん、どうする……?」

舞園「……えっと、受けるだけなら」

十神「…………」


十神「A国とB国がある。二国は戦争状態にあり、互いに攻撃か防御を選べるものとする」

十神「Aが攻撃、Bが攻撃を選べば、両者ともに破滅寸前になる」

十神「Aが攻撃、Bが防御を選べば、Aが繁栄しBが衰退する。逆も同じだ」

十神「A、Bともに防御を選べば互いに小康状態となる」

十神「これらを繰り返すゲームでは、お前はどのような戦術をとる?」

舞園「…………」

舞園「は? え、えっと?」

セレス「うふふ。初歩のゲーム理論ですわね」

十神「黙っていろ。解答者はお前じゃない」

舞園「あの、どんな意味があるんですか?」

十神「正解がわからないということでいいんだな?」

舞園「え、えっと、その……」

舞園「…………」

舞園「私は防御を選びます」

十神「何故だ?」

舞園「勝てるまでは、負けてはいけないと思うから、です」

十神「…………」

十神「まあいいだろう。次の学級裁判が終わるまでは」

十神「俺は何もしない。十神の名にかけて約束してやる」

苗木「あの、十神クンさ」

舞園「……でも、それって」

舞園「その理由って、もしかして大和田くんに聞いた方がいいですかね?」

大和田「は?」

十神「…………」

セレス「ふふっ……あらあら」

霧切「ずいぶん、皮肉が効いてるわね」

十神「ちっ……面倒な奴らだ」

十神「用は終わった。じゃあな」

(十神は出て行った)

桑田「アイツ、なんだったの?」

葉隠「ってか、何言ってるかさっぱり意味が分からなかったべ」

苗木「ボクは……十神クンなりに、舞園さんに謝りたかったんじゃないかと思ったんだけど」

霧切「それがないとは思わないけど。クイズも彼なりのプレゼントだったんじゃないかしらね」

山田「あのー、意味不明にも程があるプレゼントなのですが……え、ぼくだけ?」

朝日奈「ごめん、わたしも全然わかんなかった」

セレス「このゲームに勝つための心構え、というやつでしょうか」

セレス「先ほどのクイズは、よくある思考ゲームです」


セレス「互いに同時に出すルールで1ターンしかないならば攻撃を選ぶべきですが」

セレス「それ以外では、基本的には防御を選ぶものなのです」

セレス「殆どの人間は目先の勝ちを欲しがり、耐えられず、脱落していく」

セレス「絶対、確実に勝てるまでは、負けない為に戦ってはならないのです」

セレス「勝つためには、負けないことが大事。そしてこの《コロシアイ学園生活》での負けないことというのは」

セレス「生き残ること。そして勝つというのは、外に出ること」

セレス「その二つは、大きく違うということですわ」

セレス「ま、わたくしなりに十神くんの言いたいことを訳してみたのですけどね」

セレス「十神くんの本当の目的は、舞園さんの指摘の方にありそうですし」

舞園「それは……そうかもしれませんけど……」

舞園「でも、でも……!」

舞園「それって、結局この学園生活に乗っかることじゃないですか!」

(バン!とテーブルを思いっきり叩く。コップが落ちて割れる)

苗木「舞園さ――!?」

舞園「私は嫌! 疑うのも、疑われるのも――」

舞園「裁判で信じられるのは自分だけだった! みんなグレーで信じようとしても疑ってしまって」

舞園「そして、逆の立場になったら私も疑うんです! それがわかってしまう!」

舞園「自分がシロという以外は全員がグレーで」

舞園「そして生き残るためなら、私もみんなも殺すの! 不二咲くんみたいに!!」


全員「――――!!」


苗木「舞園さん!」

舞園「ここにいる全員が人殺しなんですよ!?」

舞園「なんでみんな平然としていられるんですか!?」

舞園「不二咲くんを殺しておいて」

舞園「勝つための犠牲として仕方なかったというんですか!?」

舞園「みんなもいつか犠牲になった時、そうやって片づけられることに耐えられるんですか!?」

舞園「私は嫌! これ以上勝つとか負けるとか、こんな勝負なんて――!!」

苗木「舞園さん! ……!?」

(戦刃が舞園の口をふさぐ。首を絞められ、舞園は気絶する)

江ノ島「ちょ、姉ちゃん!?」

戦刃「……気絶させただけ。怪我とかはさせてない」

苗木「その、ちょっとやりすぎじゃ……」

戦刃「…………」


戦刃「戦場では、脱走を促す兵士はひそかに殺されたりする」

戦刃「舞園さんは逃げ出そうとして、更にそれをみんなに扇動しようとした」

戦刃「……それは、許してはいけないの。この勝負は、逃げられないから」

戦刃「士気を下げたり、みんなの不和を煽るようなことを言ったり」

戦刃「そういうのは、駄目」

霧切「あれ以上感情に任せて言わせていたら、みんな心の底で無視していたものに向き合わされていたでしょうね」

霧切「まあ、今でもそうみたいだけど」


全員「…………」


戦刃「さっき、石丸くんが言ってた、規律を増やして全体のまとまりを作ることに関してだけど」

戦刃「可能なら、それがいい。だけど」

江ノ島「正直さ、石丸じゃリーダー無理じゃね?」

石丸「う。……何故だ?」

江ノ島「詰まったってことは自覚あんじゃないの?」

セレス「人は正論だけでは動かせない。そういうことですわね」

石丸「…………」

山田「確かに、そうですが……他にリーダー役が出来そうなのはいませんぞ?」

大神「大和田はどうだ?」

大和田「は?」

朝日奈「え、えっと。さくらちゃん、どうして?」

大神「日本一の暴走族の族長なのだろう? 相応の統率力は持っているはずだ」

大神「結果は間違っていたが、不二咲を救おうとして実際に行動している」

大神「清濁も併せ持っている。何より……この生活への理不尽さは」

大神「お主が一番持っていると思うのだ」

大和田「………俺は……」

石丸「…………」

石丸「みんなはどうだ? 大神君の意見は?」

葉隠「いや、でも……なあ?」

桑田「不二咲のことがなかったら、それでもいいかと思ってたとは思うけどなぁ……」

セレス「あら、いいではありませんか」

セレス「リーダー役になれば、奇妙な動きもしにくいでしょうしね」

山田「そのー、つまり、リーダー役とすることで、逆に動きを制限しようと……?」

大和田「……そういうことかよ」


霧切「そこまで極端な話でもないんじゃない? 理由についてはみんな納得してるようだし」

苗木「大和田クンは、どうなの?」

大和田「…………」

大和田「二つ、条件がある」

大和田「一つは、俺をリーダーとするなら俺の言うことには絶対従え」

大和田「もう一つは、その女が……」

大和田「舞園がいいと言えば、リーダーを引き受ける」

大和田「罪滅ぼしになるなら、なんだってやってやんよ」

石丸「…………」

石丸「大和田君だけではやはり心配だ。僕が補佐に当たろう」

石丸「みんなもそれでいいだろうか?」

全員「…………」

朝日奈「いいけど……舞園ちゃんがうんと言ってくれるかな……?」

大和田「…………」

苗木「多分、大丈夫だよ」

苗木「……舞園さんは、わかりすぎてるんだ……きっと」

(その後、舞園は戦刃と苗木と大神と朝日奈に自室へと運ばれていった)

(朝食会はそのままお開きとなった)

えーっとですね。煽るわけじゃなく、純粋に答えてほしいのですが。

丸投げだとして、何か問題があるのでしょうか?

このスレは、モノクマ先生になって、生徒たちを面白おかしく突っついてやろうというSSです。

もっと言うなら、モノクマ先生になるゲームです。

動機の条件には制限も多く、そしてどなたかが指摘してくださったように安価SSとしては、安価の数自体は少ない方だと思います。

だからこそ、数少ない安価はこちらが用意した選択肢だけでなく、案があったら取り入れていく趣旨でやっていきます。
その方が皆さんも楽しめると思っているからです。

もう一度聞きますが、これを丸投げだとして、一体何が問題でしょうか?

どうも変な人がいて、この本スレ以外にも、まとめのコメントとかで荒らしてくる奴らがいて若干イライラ気味の作者でした。

最近忙しいのもあるけど。一回ガツンと言っておきたかった。一回ぐらいはいいだろうと思った。


 6日目、昼

《舞園の部屋》


舞園「…………っ」

苗木「あ、起きた?」

舞園「――え?」

舞園「あわわわわ、な、苗木くん!?」

(ベッドから飛び起きた)

朝日奈「あ、あたしもいるよー」

朝日奈「さすがに女の子の部屋に男子だけ残しとくのってまずいもんね」

朝日奈「って、セレスちゃんが言ってた」

舞園「え、えっと……わ、私は」

舞園「……そっか。また苗木くんに……みんなに迷惑かけちゃったんですね」

苗木「それは気にしなくて大丈夫だよ。迷惑とか考えないで」

朝日奈「うん。……その、あたし達も……」

朝日奈「ごめんね」

舞園「…………」

舞園「朝日奈さんは、自分が生き残るためなら」

舞園「自分が勝つためなら、何を犠牲に出来ますか?」

朝日奈「……嫌だよ、そんなの」

朝日奈「そんなの、考えたく、ないよ」

朝日奈「……不二咲ちゃんだって、あんな死に方……させられて……」

舞園「腐川さんも。……殺人鬼とか、そんなことをばらされたら」

舞園「私たちの誰が、腐川さんを信用しようとしたんでしょうね」

舞園「だから殺すしか、選択肢がなくなったんだと思います」

朝日奈「…………」

朝日奈「……あ、苗木さ」

朝日奈「ちょっと、舞園ちゃんに説明しててよ」

朝日奈「霧切ちゃんがさ、舞園ちゃんに用があるから、眼が覚めたら呼んでくれって」

苗木「霧切さんが?」

舞園「霧切さんが……?」

舞園「……はい。私は大丈夫です」

(朝日奈が出て行った)


苗木「…………」

苗木「えっと、そっか。あのさ」

苗木「あの後、リーダー役を変えようかって話になったんだ」

苗木「大和田クンにね」

舞園「大和田くんが、リーダーに?」

苗木「うん。石丸クンじゃ、限界があるんじゃないかって」

苗木「大和田クンは族長としてまとめてきたし、そういうのはうまいと思うんだ」

苗木「ただ、舞園さんが嫌って言ったら、その話は流れると思うけど」

舞園「…………」

苗木「嫌かな」

舞園「嫌とか、そういうことではなくて……」

舞園「…………」

舞園「そもそも何のために集まってるんでしたっけ?」

苗木「え? それは勿論」

苗木「脱出するための出口を探すため、だよね?」

舞園「違います。石丸くんはそう信じているんだろうし、他のみんなはわかりませんが」

舞園「互いに見張りあうためです。おかしな真似をしないように」

舞園「裏切らないように、誰かが自分を殺さないように」

苗木「そ、そんなことないよ! だって」

苗木「…………」

舞園「……苗木くんは」

舞園「苗木くんは、どうして私を信じてくれたんですか?」

苗木「……だって、舞園さんはそんなことしな」

舞園「しますよ、私は」

舞園「自分の目的の為なら、どんなことでも出来ますよ」

舞園「苗木くんを、裏切ることも」

苗木「舞園さん」

舞園「そういう、醜いことが出来るんですよ」

舞園「不二咲くんを殺したように」

苗木「それは、そうしなかったら死んでたじゃないか!」

舞園「だから、仕方なかった?」

苗木「それは……」

舞園「……せめて、正当化したくないんです。私は、自分が生きるために」

舞園「不二咲くんを殺しました」

苗木「違う! 殺したのは黒幕じゃないか!」

苗木「腐川さんも、不二咲くんも、黒幕が殺したんだ!」

苗木「だから、自分を責めすぎないで、お願いだから……!」

舞園「でも、私は苗木くんを裏切ることが出来ますよ」

舞園「自分の目的の為に。今までずっと、そうしてきたんです」

舞園「そうやって、私は私の夢を掴んだんです」


苗木「舞園さん……!」

舞園「だから苗木くん。私のことは、今から言う、この言葉だけを信じてください」

舞園「お願いだから、私を信じないで」

舞園「私は……苗木くんの足を引っ張りたくないんです」

舞園「邪魔になりたくないんです。でも」

舞園「もし苗木くんが私の邪魔をするなら、私はいくらでも苗木くんの好意を利用します」

舞園「そうやって、騙して、裏切って、自分の目的のための犠牲とします」

舞園「だから、騙されないでください」

舞園「目の前の、アイドルと言ってかわいこぶっている女の子は」

舞園「そういう女です」

苗木「…………」

苗木「そんな言葉、信じないよ」

舞園「苗木くん」

苗木「もし、舞園さんがそんなことをしそうになっても」

苗木「それは黒幕にそそのかされたせいだ。全部黒幕のせいだ」

苗木「ボクは黒幕に騙されないし、裏切らされたりしない」

苗木「騙させないし、裏切らせない」

苗木「だから……足を引っ張るとか、そんなこと考えないで」

苗木「一緒にここを出たいんだ」

苗木「みんなで、一緒に」

舞園「苗木くん……」

苗木「自分が裏切るかもしれないから、なんて」

苗木「舞園さんはやっぱり、わかりすぎてるんだよ」

苗木「だって、普通は自分以外の誰かが裏切るかもしれないって思うんじゃないかな」

苗木「でも、わかりすぎてるからこそ、みんなの気付かない怖さにも気づいてしまうんだと思う」

苗木「だから……少し、休んで」

苗木「ね?」

舞園「…………」

舞園「苗木くんったら……もう」

舞園「私は言いましたよ? 知りませんよ?」

舞園「でも……ありがとうございます」


 ぴんぽーん

苗木「あ、霧切さんかな?」

舞園「多分、そうですね。はい?」

霧切『霧切だけど。少し、いいかしら?』

舞園「あ、大丈夫ですよ」

苗木「じゃあ、ボクはもうお暇するよ」

舞園「ええ。私はもう大丈夫です」

苗木「…………」

苗木「うん。じゃあね」

(苗木が出ていき、入れ替わりに霧切が入ってきた)

霧切「少しは落ち着いたの?」

舞園「ええ。心配をおかけして、すみません」

霧切「別に心配なんてしてないけど」

舞園「…………」

霧切「あなたにお願いがあってきたの」

舞園「なんですか?」

霧切「大和田くんをリーダーにする話は聞いた?」

舞園「ええ。さっき」

霧切「…………」

霧切「悪いけど、その話、断ってほしいの」

舞園「…………」



《トレーニングルーム》


朝日奈「はあ、……」

大神「舞園はどうだったのだ?」

朝日奈「すごく追い詰めてる感じ。大丈夫かなぁ?」

朝日奈「あとでドーナツ持っていこうかな。ドーナツ食べたら元気が出るよ!」

大神「あと、プロテインもな」

朝日奈「そうだね! プロテイン入りのドーナツってないかな?」

戦刃「なかったと思う……作らないと無理じゃないかな」

朝日奈「じゃあさ、みんなで作らない!? きっと楽しいよ!」

大神「うむ。何かを共に創るというのは連帯感が生まれる」

大神「打ち解けるにはいいアイデアだと思う」

戦刃「でも私……動物を下ろしたりするのは得意だけど、お菓子は……」

朝日奈「レシピ本なら図書室にあるって、きっと! 探しにいこっか!」

大神「我は区切りがついたら向かう。二人は先に行っていてくれ」

戦刃「…………」

戦刃「朝日奈さん。そうしようよ」

朝日奈「うん! あとでみんなにも言おうね!」

(朝日奈と戦刃が出て行った)

大神「…………」

大神「何用だ。姿を現せ」

(ぴょーい)

モノクマ「うわ、ビックリだよ! どうしてボクがいることが分かったの?」

モノクマ「やはりこのボクの四千年の歴史を誇る一子相伝のドゥデェモイッカ拳を継ぐのはお主しかいない……!」

大神「戯言はいい。何用だ?」

モノクマ「うぷぷぷぷぷ……これを聞いてほしいんだよ」

(大神の道場の人間の悲鳴やメッセージを再生する)

大神「!? 貴様……!?」

モノクマ「いやはや、やっぱり不確定要素が無いとゲームって面白くないじゃない?」

モノクマ「というわけで、大神さんが不確定要素となってもらいます!」

大神「我は、貴様のような外道の言葉には……!」

モノクマ「けど、死んじゃうよ? そうしないと」

大神「…………!」

モノクマ「でもね、ボクだって鬼じゃありません! クマです!」

モノクマ「なので、ちょっとぐらいは情報を上げてもいいよ?」

大神「情報、だと……!?」

モノクマ「そう。例えば」



>>560までで多いもの

1、人類史上最大最悪の絶望的事件の話
2、前・学園長の話
3、このコロシアイ学園生活の目的

2


モノクマ「そうだねぇ、前の学園長の話でもしよっか」

大神「…………」

モノクマ「ボクと同じくイケメンな男でさ」

(シガーチョコを加えて)

モノクマ「30代だっけ? 娘さんがね、こりゃまた可愛くってね」

(葡萄ジュースをワイングラスの中で回しながら)

モノクマ「すっごく可愛がってたんだけど、まあ娘さんは反抗期でね」

(スパーッと煙を吐くふり)

モノクマ「ちょうど君たちと同じ年だよ。とにかく無愛想でね」

モノクマ「けどさ。<才能>には満ち溢れたと言わざるを得なくてさ」

モノクマ「将来の為とかじゃなく、ただ希望ヶ峰学園に来るためだけに」

モノクマ「その娘さんはわざわざ<才能>を使って、学園にアピールしたんだ」

大神「学園に、アピール……?」

モノクマ「そんな熱意ある<才能>の持ち主を学園として認めないわけにはいかないよね!」

モノクマ「前の学園長も認めるほどの<才能>の持ち主だよ」

モノクマ「でもさ、<才能>をアピールするために」

モノクマ「結構な代償を払ったらしいよ?」

モノクマ「例えば裏切り、とかね?」

大神「それは誰だ!?」

モノクマ「教えてあげないよ、ジャン!」

(ぴょ-い)

大神「…………」

大神「彼女……前の学園長の娘が」

大神「いるのか? この中に……」

大神「自ら<才能>をアピールしてまで、この学園に来た者が……?」

大神「…………」

この選択肢はどれ選んでもさくらちゃん混乱させるためだけのものだから。
別の選んでもそんなに変化なかったと思うよ。今日はこれにてじゃあねー

(ぴょーい)

今んとこはゲームや前の回と違うとこって

・全体的にグループとしてまとまろうという意識が強い?
・ちーたん及びアルターエゴがいないから情報が得られない。モノクマ解体も基本的には情報なし
・残姉がヘマしてないから内通者とバレてない(これは前回の残姉がかわいそうな気がするが)

全体的にはこんなとこか? 大和田を他のやつらはどう思ってるのかがわからないんだよな

あと十神に対する舞園さんの皮肉?嫌味?が意味わからなくて置いてきぼりだったりする。わかるやつ解説くれ

>>1
ところで人狼の方はもう書かないのか? 最後はセレスのスキルでどうにかするのかなって思ってたんだけど

書かないのなら書かないでいいけどはっきりしてほしいな。待ってる人もいるし!

>>578
すごく難しい質問だ……ありていに言うとスランプに入ってしまって。
終盤のあそこは一気に書かないと無理なんだけど、その集中力が最近なくて。こっちにかかりきりでというわけでなく、こっちを立てなくてもきっと更新は止まったままだったと思う。
とにかく色々と頭がストップしてるし忙しいから、時間が取れたらということになる。しばらく時間は取れそうにない。泣きたいレベルで忙しい。ごめん。

>>574
要は、何故十神が次の事件が起こるまで様子見をするのか、何を警戒しているのかがわかっているかそうでないかが、あの皮肉に反応できたか出来ないかで分かるようになってる。
といっても、舞園さんはあまり意識した発言ではなく、その発言をセレスさんが利用して駆け引きに使ったという方が正しいかな。十神が何を警戒しているのかは、それぐらい自分で考えたまえ。

まあ、皮肉云々は気にしなくても大丈夫ではないかと。

頭のいい人だったらまあ、次に事件を起こしたりすることはあり得ないと思います。作者だったら事件を起こすにしても次の学級裁判までは様子を見ます。その程度の理由です。

ただ、動機づくりに問題が出そうなら回答はキャラの口から言わせます。作者から解説とか死ぬほど恥ずかしくて舌噛みたくなります。噛んでも二枚舌だから問題ないけどね! ではでは

攻撃・防御の話でも負けないこと=生き残ることを最優先しろって話だもんな。

ただ負けないこと=生き残るは共通でも、勝つこと=クロになって裁判を勝つこと なやつは十神にセレスさんくらいか。残姉が微妙なラインだが、残姉としては妹生かしたいだろうと思うし、少し違いそうだ。

だから『頭のいい人は』なんだろな

>>セレス「殆どの人間は目先の勝ちを欲しがり、耐えられず、脱落していく」

>>セレス「絶対、確実に勝てるまでは、負けない為に戦ってはならないのです」

>>セレス「勝つためには、負けないことが大事。そしてこの《コロシアイ学園生活》での負けないことというのは」

>>セレス「生き残ること。そして勝つというのは、外に出ること」


らしいからな

 6日目、夜

《江ノ島の部屋》


江ノ島「はあ……マジでだりぃ」

江ノ島「……シャワー浴びよっと」

(シャワールームの扉を開ける)

モノクマ「キャーーー!」

江ノ島「いいい!?」

モノクマ「もう、江ノ島さんのエッチ! 見ないで!」

 バタン!!

(扉が閉められた)

江ノ島「…………」

江ノ島「いやいやいやいや! ちょい待ち!」

(扉を開けようとしたが鍵がかかっている)

江ノ島「ちょ、何よアンタ!? 何、人の部屋のシャワールームに立てこもってんのよ!?」

モノクマ「いやあ、偉い人の前では気を使わないといけなくてね!」

モノクマ「ボク、気を使える子だから! 空気読める子だから!」

江ノ島「いや、全然読めてねぇし、意味わかんないし!」

モノクマ「にょほほほほ。それよりさ、なんで殺っちゃわないの!?」

江ノ島「はあ?」

モノクマ「パッションが足りないー! そんなの江ノ島さんじゃなぁい!」

江ノ島「アンタがアタシの何を知ってるって言うのよ!?」

モノクマ「…………」

モノクマ「寂しいなぁ。がっかりだなぁ」

モノクマ「ボクはね、君のために生まれてきたんだ」

モノクマ「なのに君は、ボクのことを覚えてないんだね」

江ノ島「ハア? さっきから言ってること、意味不明なんですけど?」

江ノ島「ってかマジキモいんですけど?」

モノクマ「しょぼーん」

モノクマ「あーあ。せっかく松田くんからの伝言を預かって来たのにな」

モノクマ「喜んでくれると思って用意し」

江ノ島「ちょ……ちょ、待って」

江ノ島「アンタ今、なんて言った?」


モノクマ「松田くんだよ。松田夜助くん」

モノクマ「君の大好きな、松田くんだよ!」

(扉を開けて、レコーダーを再生する)

レコーダー『――――』

レコーダー『よう、ブス。とりあえずこれ聞く時は呼吸止めておけ』

江ノ島「何分あるかわからないけど、まず間違いなく無理だし!? ってか、本当に松田くん……!?」

モノクマ「そうだよ。キミが『卒業』出来たら、無事に会わせてあげる」

モノクマ「でも、それじゃダメなんだ。<絶望>が足りないんだ」

モノクマ「だからね、被害者を限定します」

江ノ島「……は?」

モノクマ「キミがお姉さん、戦刃むくろを殺した時だけ、松田くんを解放します」

モノクマ「でも、それじゃお姉さんがかわいそうだよね。いくら残念、残念って言っても、肉親だもんね」

モノクマ「だから、戦刃さん以外を殺したら、戦刃さんと一緒に卒業できるようにするから」

モノクマ「『クロ以外の全員が死亡する』から、江ノ島さんも戦刃さんも、コロシアイが出来なかったんだよね?」

モノクマ「だから、それを気にしないでいいようにしてあげるよ」

モノクマ「『姉妹二人そろって脱出』という<希望>を残してあげる」

モノクマ「江ノ島さんならきっと、喜んでくれると思うんだ」

モノクマ「<絶望>は<希望>が壊れた時に生まれるものだもんね?」

江ノ島「ア、ンタ……! 何、ワケわかんないこと言ってんの!?」

江ノ島「そんなの選べるわけないじゃない!!」

モノクマ「…………」

モノクマ「……うぷぷぷぷぷぷ……!!」

モノクマ「ぎゃあっはっはっはっは!!」

(ぴょーい)

江ノ島「…………」

江ノ島「松田くん……姉ちゃん……」

江ノ島「…………」

江ノ島「選べるワケ、ないじゃんか……」

江ノ島「どっちも大切……大切なのに」

江ノ島「…………」

江ノ島「大切って、なんだっけ……?」


 ――絶望指数リザルト――


大神さくら<超高校級の格闘家>

★★★★★★☆☆☆☆

江ノ島盾子<超高校級のギャル>

★★★★★★★★★★



 7日目、朝

《食堂》


(十神以外の全員が集まった)

石丸「うむ! とりあえず腹ごしらえをしようではないか! せーの」

朝日奈「あ、待って待って!」

石丸「む。どうしたのかね?」

朝日奈「あのさ、昨日戦刃ちゃんと一緒に作ったんだ!」

(厨房に入り、戻ってくると、山のようにドーナツらしきものが乗った皿を持ってきた)

葉隠「うお、どんだけ作ったんだべ!?」

江ノ島「一体何人分作ったの!?」

戦刃「え、えっと。ひゃ、100個ぐらい? 以上?」 

山田「作り過ぎってレベルじゃありませんな……」

朝日奈「ドーナツは別腹でしょ? こんだけ人数いるんだし大丈夫だよ!」

桑田「一人頭ノルマいくつ?」

舞園「……10個ですね」

セレス「まあ、朝日奈さんのドーナツ好きは知っていましたが、何故また手作りなさったのですか?」

朝日奈「だって……倉庫にはプロテイン入りドーナツってなかったし」

戦刃「……保健室にあったプロテインを混ぜて作ってみたんだけど」

大神「プロテイン入りドーナツか」

朝日奈「あとハチミツとか、何となく体によさそうなもの色々混ぜてみたんだけど」

葉隠「不吉な予感がするべ。俺の占いは3割当たる!」

桑田「逆に安全じゃねぇか、それ?」

セレス「それで? 何故手作りして振舞う気になったのですか?」

朝日奈「……その、舞園ちゃん」

舞園「はい」

朝日奈「昨日、舞園ちゃんは言ったよね」

朝日奈「ここにいる全員が人殺しだって」

全員「…………」


朝日奈「勝つための犠牲として、そうしないと死んじゃうからって」

朝日奈「不二咲ちゃんを殺したことを仕方なかったことにするのかって」

全員「…………」

朝日奈「舞園ちゃんの言うとおりだと思ったんだ」

朝日奈「舞園ちゃんを疑っておいて、何もなかったように平然と会話してるなんておかしいと思うし」

朝日奈「不二咲ちゃん……不二咲を犠牲にしたのだって」

朝日奈「…………」

朝日奈「じゃあ、何もしないままでいいのかな」

朝日奈「あたしさ、正直、バカなとこあるから……答えなんかわかんないけど」

朝日奈「あたし達さ、まだ生きてるんだ。腐川ちゃんや不二咲は死んじゃったけど、あたし達は生きてる」

朝日奈「だから……このまま何もしないままっていうのは、間違ってるよ」

朝日奈「だからね、元気出そうよ。プロテイン入りドーナツ食べれば元気になるよ」

朝日奈「元気をつけて……何かをしなくちゃ」

舞園「…………」

舞園「朝日奈さん」

朝日奈「え、あ。な、何?」

(舞園が皿の上のドーナツを手に取り、ぱくりと食べた)

舞園「……美味しいです。ありがとうございます」

苗木「……そっか。美味しいんだね」

苗木「ボクももらっていいかな?」

霧切「……じゃあ私も一つ、いただくわ」

桑田「お、俺も!」

山田「我が輩もよろしいですかな」

江ノ島「残姉ちゃんが作ったとか地雷臭ぷんぷんなんだけどぉ? ま、いっか」

石丸「うむ。今日の朝食はこれに決まりだな!」

大神「朝日奈よ。お主の想いは伝わっている」

大神「わかっている。大丈夫だ」

朝日奈「……うん! えへへ、ドーナツぅ、ドーナツぅ」

セレス「ふむ。プロテイン入りと聞いて躊躇してはいましたが、思ったよりはイケますわね」

葉隠「なんか、でも……不思議な味だべ?」

舞園「そうですか? ダイエット中のおやつってこんな感じの味ですけど」

江ノ島「ああ、それだ! まずくはないけど、なんだけどコレじゃない感の正体!」

戦刃「え、コレじゃ……ないの?」

江ノ島「そっか、姉ちゃんは味にこだわりないし」

朝日奈「ドーナツぅ、ドーナツぅ♪ ドーナツ万能! イェイ!」

セレス「どうやら朝日奈さんはドーナツの形をしていればなんでもいいようですわね」


石丸「……口がぱさぱさしてきたな。このようなものなのだろうか」

苗木「プロテイン入れてるんならこんなものじゃないかな。ねえ、大和田クン」

大和田「……あ?」

苗木「食べようよ、一緒に」

大和田「…………」

舞園「食べてくれませんか? みんなで食べないと、食べきれそうにないですから」

大和田「…………」

大和田「わかったよ」


(時間はかかったが、皿の上のドーナツは全て無くなった)


石丸「ふむ。一息ついたところで、舞園君」

舞園「はい」

石丸「昨日、君が気を失ってからのことは聞いたかね?」

舞園「大体は。ただ、どうしてその、大和田くんがリーダーに推薦されたのかとか、そのあたりはまだ」

苗木「それは……ボク達もきちんとはわかってないな」

桑田「バタバタしてたしな」

石丸「うむ。では改めて話し合おうではないか!」

山田「そもそも、どうしてそういう話になったのでしたかな」

朝日奈「さくらちゃんがそう言ったからだよ。あたしも不思議には思ってたんだけど」

大神「そうだな。我なりに考えてのことだ」

苗木「この学園生活の理不尽さを一番理解しているから……だったよね?」

大神「ああ」

セレス「だからリーダーに、と。少し話が飛んでいる気もしますが」

舞園「……それが贖罪の方法になると、大神さんは思ったのですか?」

大神「…………」

大神「先ほど、朝日奈が言ったように」

大神「とにかく、我らは“何か”をしなければならないのだ」

大神「その指針を決められるのは、事件で最も傷ついた人間であろう、舞園か大和田だ」

大神「我はそう考えている」

舞園「…………」

大和田「…………」

苗木「大和田クンは、舞園さんがいいって言ったら、やるって言ってる。そうだよね?」

大和田「ああ。男に二言はねぇよ」

舞園「…………」

舞園「大和田くんに、聞きたいんですけど」

大和田「なんだ?」

舞園「十神くんのことは、どうするつもりですか?」


全員「…………」

大和田「あー、まあそうなるよな」

大和田「俺はあいつを無理に引き入れるつもりはねぇ」

大和田「ただ、お前らの中から一人でやるっていうならそれは止める」

舞園「どうしてですか?」

大和田「ちっ……うまい言葉が見つからねぇが」

大和田「族まとめてると、やっぱ下剋上狙うやつが出てくんだ」

大和田「反乱ってやつだな。一人がいきがっているだけならいいんだが」

大和田「グループとグループになると厄介なことになる」

セレス「現在は一人とグループだから問題は少ない」

セレス「ですが、一人が数人とグループでは問題が生まれるということですわね?」

霧切「一人が数人なのか、グループになるかはわからないけど」

霧切「内部分裂を引き起こしかねないのは確かね」

大和田「まあ、十神は誰かと組んだりはしねぇだろ」

大和田「共犯のメリットもないんだからな」

大和田「てぇことはだ。俺らは俺らに目を配っておけば」

大和田「十神が余計なちょっかいかけることも出来ねぇ」

霧切「情報の開示、共有に関しては?」

大和田「まあ、そのあたりは俺は苦手なんだが」

大和田「お前らの意見を聞いた上になるが、基本は隠すつもりはねぇ」

舞園「…………」

舞園「十神くんの件に関しては、わかりました」

舞園「私は、全員が一人も反対しないのであれば、大和田くんがリーダーになることを支持したいと思います」

大和田「……いいのか?」

舞園「元々、大和田くんを恨んだりはしてませんから」

舞園「皆さんは、どうですか?」

(江ノ島が手を挙げた)

石丸「江ノ島君、何かね?」

江ノ島「ぶっちゃけ、リーダーって何すんの? って話なんだけど」

江ノ島「アタシら、ずっと一緒にいること前提なわけ? さっきの十神の話聞いてるとさ」

石丸「うむ。一緒にいる方が安全だろう」

葉隠「だべ。ミステリーじゃ一人で引きこもる奴から殺されるってのが定番らしいべ」

朝日奈「葉隠って小説読むの?」

葉隠「イメージだけどな!」

朝日奈「あー、はいはい」

山田「ですが確かにその通りですな」

江ノ島「けどさ。それって限度無くない?」

戦刃「えっと……あるのかないのかどっち?」

江ノ島「ようするにさ。ぶっちゃけ、それっていつ助けに来るかとか、わかってたらいいけどさ」


江ノ島「こんだけ派手なことしてんのに、外から助けに来る気配ってないじゃん?」

江ノ島「それに、中からも……出る手段って今のところなさそうだし」

江ノ島「モノクマが言ってたじゃん。『一生ここで暮らせ』って」

桑田「バーカ、そんなわけにいくか!」

江ノ島「いくわけないけどさ、……ぶっちゃけ、長期戦は覚悟しないといけないんじゃないかって思うんだよね」

江ノ島「ずっと一緒にいるってことはさ、言い換えれば何もしないように見張り合うってことじゃんか」

石丸「見張る、などと……そういうつもりでは」

江ノ島「だからさ、そうじゃなくて……この人数がずっと一緒にいるって、普通に無理っぽくない?」

セレス「そうですわね。プライベートもありますし」

山田「今日でもうすでに一週間は経っているわけですしな……」

江ノ島「だからさ、リーダーが大和田なのはいいんだけど、ずっと一緒にいるっていうのは」

霧切「確かに、ごめんだわ」

苗木「霧切さん……でも、うーん。確かにずっと一緒にいるのは安全だろうけど」

舞園「いつまで続くのかわからないのは、確かに辛いですね……」

葉隠「まあ、この閉じ込められてること自体もそうだけどな」

大和田「じゃあ、別に無理に一緒にいる必要はねぇんじゃねぇか?」

大和田「朝一緒に食べながら大体のこと話して、後はモノクマのヤローが何かしてきたら」

石丸「その都度話し合う、ということだな! 個々の自主性は確かに重んじるべきだ!」

江ノ島「まあ、ぶっちゃけ息が詰まるよね。そういう目的で一緒にいるなんてさ」

戦刃「……うん。気を抜くとこは気を抜かないと、すぐに倒れると思う」

舞園「じゃあ、大体今までと方針は変わらないということですか?」

苗木「そうみたいだね。リーダーが大和田クンに変わるだけだよ」

江ノ島「…………」

桑田「俺としては朝じゃない方がいいんだけど」

石丸「それは譲れない! 朝食は一日の始まりであり、規則正しい生活の第一歩だ!」

大和田「だそうだ。諦めろ。石丸説得するよりお前が諦めた方が早ぇよ」

桑田「ちぇー。まぁいいけどよ」

山田「ではリーダーはめでたく大和田紋土殿に決定したところで、我々の話も聞いていただきたく思いますぞ」

朝日奈「我々って?」

葉隠「あ、俺のことだべか?」

山田「はい。昨日、葉隠康比呂殿とともに、何とかノートパソコンの電源はつくようになりましたぞ!」

大和田「おお、すげぇじゃねぇか」

山田「で、中身を洗ってみたのですが……」

山田「すみませんんんん!!!」

(土下座)

山田「その、頑張ったのですが、ちょっとPCをかじった程度の人間にはとてもとても無理なぐらい」

山田「アホかというくらいに厳重なプロテクトのかかったファイルというかフォルダがありました」

山田「はい、無理でした! っつか、こんなの解けるかぁ!!」



大神「そんなに厳重ならば、逆に何らかの手がかりかもしれないが」

葉隠「ああ、無理無理。あんなの解ける訳ねぇべ」

霧切「ちょっと、ノートパソコンを見せてもらえる?」

山田「えっと、我が輩の部屋にあるのでとってきます」

(山田が出て行った)

苗木「そんなに厳重なプロテクトなの?」

葉隠「俺にはさっぱりわかんねぇべ……」

霧切「他には?」

葉隠「俺たちが見た限りではそのフォルダだけだべ」

朝日奈「ネットには繋がらないの?」

桑田「それで助け呼べたりなんか」

葉隠「出来たら試してるべ……ネットワーク環境がないんだから無理だべ」

(山田がPCを抱えて戻って来た)

山田「こちらですな」

霧切「見せて」

(霧切がPCを開くと、確かに立ち上がっている)

霧切「……確かに、プロテクトがかかっているわね」

大和田「山田に解けないんじゃ、このメンバーの中じゃ無理だろうな」

苗木「十神クンはどうなんだろう?」

葉隠「山田っちも相当詳しい方だかんな。十神っちがもっと詳しいとは思えねぇべ」

桑田「けどよ、俺たちが探してるのは出口だろ?」

舞園「いい方に考えたら、出口の地図かもしれませんよ?」

桑田「ああ、そういう見方もあるよなぁ……でも開かねぇならどうしようもないしなぁ」

舞園「私も見せてもらっていいですか?」

舞園「……?」

舞園「ワードとかエクセルとか、ソフトが入ってませんね?」

山田「最初から入ってないタイプなのでしょうな」

山田「画像加工ソフトがあれば絵が描けるのに……」

苗木「カメラがあるから、録画とか録音は出来るみたいだけど……」

舞園「マイクがないのに録音できるんですか?」

葉隠「出来ないべ。ほれ、ヘッドホン接続するとこの下にマイク接続するとこがあるべ」

舞園「出来ないんですか……? でも」

セレス「まあとにかく、鍵の開かない宝箱状態では意味がありませんわね」

朝日奈「手掛かりっぽいのに……何とかならないかな?」

霧切「気になるでしょうけど、切り替えていくしかないわね」

大神「現状では開くことが出来ぬのだからな。そうする他あるまい」

桑田「振りだしか……あーあ」

江ノ島「…………」

…………
………
……

監視カメラによる映像確認を主とし、干渉を最小限とする

下8レス、生き残りキャラから選んでください。

十神は単独行動なので十神は一人きりになります。十神とペアを組むレスのキャラは次のキャラと三人組になります。



それと>>614、8日目の朝食会か十神の様子かを、>>615は9日目の朝食会か十神の様子どちらを見るか選んでください。

山田

朝食会

ごめん、>>620、9日目の朝どちらを見るかお願いします。

で、今日はここまでにします

(ぴょーい)

朝食会

 7日目、昼

《図書室》


セレス「あら、霧切さんではないですか」

霧切「セレスさんも、本を探してるの?」

セレス「まあ、図書室ですから」

セレス「霧切さんは何をお探しなのですか?」

霧切「大したものではないわ。ただの資料よ」

セレス「資料?」

霧切「この学園のね」

セレス「なるほど。確かに大したものはないでしょうね」

セレス「黒幕が片づけているでしょうから」

霧切「セレスさんは?」

セレス「わたくしは小説を。今日はサロメを探しているのですが」

霧切「耽美モノね。私には興味のない概念だわ」

セレス「霧切さんは実用主義みたいですものね」

霧切「そうでもないわ。可愛いものは好きよ」

セレス「…………」

霧切「何?」

セレス「そういう部分は隠さなくてもよろしいかと」

霧切「私が女の子らしくしたって可愛くなるわけじゃないわ」

セレス「そういうことはないと思いますわ」

セレス「女の笑顔は利用できますわよ?」

霧切「ギャンブラーならそうかもしれないけどね」

セレス「霧切さんはなんなのですか?」

霧切「さあ? どうだっていいじゃない」

霧切「じゃあ」

(霧切が去った)

セレス「勿体ないですわね。磨けば光るタイプなのに」

セレス「しかし、なんでしょうね。彼女の<才能>は」


 7日目、夜

《食堂》


江ノ島「お、大和田じゃん」

大和田「江ノ島かよ」

江ノ島「何? 嫌なワケ?」

大和田「そういうワケじゃねぇけどよ」

江ノ島「まあいいじゃん。アタシもさ、アンタに訊きたいことあんだよねー」

大和田「んだよ?」

江ノ島「うーん」

江ノ島「大丈夫、アンタ? 裁判からずっと黙りこくってるけど」

大和田「……<男の約束>が増えちまったからな」

大和田「そういえばお前等だけきょうだいで放り込まれてるんだよな、ここに」

江ノ島「まあね」

江ノ島「まあ、残姉ちゃんのことはあんまり知らないんだけどね」

江ノ島「ずっと海外で軍人やってたから」

大和田「ふうん。複雑そうだな」

江ノ島「ま、本人はやりたいことやってて楽しそうなんだけどね」

江ノ島「なんで戻って来たのかとかも良くわかんないし」

江ノ島「アタシ、姉ちゃんのこと、知らないんだよね。何も」

大和田「…………」

大和田「あー、大変そうだな」

江ノ島「まあね。でも」

江ノ島「ここに来るようなやつらって、みんな結構複雑な奴多いんじゃない?」

江ノ島「<才能>とか持ってたって幸せなわけじゃないし」

江ノ島「それ以外の生き方選べないって逆に縛られてて面倒だし」

大和田「かもな」

江ノ島「…………」



江ノ島「あー、やだやだ。なんか湿っぽくなっちゃった」

江ノ島「なんでかなぁ。大和田がシリアスぶってるせい?」

大和田「俺のせいかよ?」

江ノ島「アンタもさ。今のがいつもの自分ってわけじゃなさそうだし」

江ノ島「いつもの調子戻せ……ってまあ無理なんだろうけどさ」

江ノ島「不二咲ももっとオラオラ言ってる方が喜ぶでしょ」

大和田「……かもな」

江ノ島「はあ。ダメだこりゃ」

江ノ島「もっと短気であっけらかんとしてるイメージだったんだけどね」

大和田「悪かったな、うじうじしてて」

大和田「自覚はしてんだよ」

江ノ島「ま、リーダーならしょんぼりした顔しなさんなって」

江ノ島「笑顔、笑顔! 余裕見せつけないと」

大和田「わかったわかった」

大和田「お前も、無理すんなよ」

江ノ島「は?」

大和田「んだよ、違うのか?」

大和田「なんか悩んでるんじゃねぇのか?」

江ノ島「まあ、この状況で悩んだりしないってのは頭おかしいっしょ」

大和田「そりゃそうか」

大和田「とにかく、一人で抱え込むんじゃねぇぞ。姉貴がいるなら素直に相談に乗ってもらえ」

大和田「じゃあな」

(大和田が去った)

江ノ島「…………」

江ノ島「それが出来たら悩みはしないんだけどね」

江ノ島「…………」

江ノ島「いつまで……大丈夫なのかな、松田くん……」


 8日目、朝

《食堂》


石丸「みんな集まったな。せーの、」

全員「いただきます」

桑田「なあ、このいただきますだけは何とかなんねぇの?」

石丸「何を言う! 挨拶は人としての基本だぞ!」

大和田「だ、そうだ。諦めろ」

桑田「大和田よぉ、お前石丸のこと適当すぎね?」

大神「だが挨拶は大事だ。わざわざ否定するのもどうかと思うが」

桑田「小学生みたいで嫌なんだよ」

苗木「まあまあ、いいじゃない。みんなで食べてるって感じがしていいと思うよ」

桑田「その、なんつーの? マジな話、合宿思い出すから嫌なんだよ」

苗木「あー……」

江ノ島「桑田ってさ、野球嫌いなんだっけ?」

桑田「嫌いだね。大っ嫌い。今時汗かいて土まみれなんて流行んねぇよ」

桑田「それよりさ! 俺、ミュージシャンになりたいんだよね!」

山田「ちなみに、どのようなジャンルをお好みで」

桑田「パンクだよ決まってんだろ! 俺の服見てわかんねぇのか?」

石丸「わかる訳がないだろう!」

苗木「いや、そこハッキリ言っても……」

大和田「けどよ、ミュージシャンも大変じゃねぇか?」

桑田「いや、俺なら楽勝だし! とりあえずボーカルは俺っしょ」

舞園「…………」

朝日奈「舞園ちゃん? え、えっと、なんか怖いよ?」

舞園「そうですか? 気のせいですよ」

朝日奈「そうかなー……ならいいんだけど」

桑田「あとギターとベースとドラムと集めねぇとなー」

桑田「なあ、さやかちゃんさえよければセッションしようぜ! な?」

舞園「そういえば、それってどうなっていたんでしょうね?」

桑田「へ?」

戦刃「え、えっと、何が?」

舞園「え? えっと、もしも、もしもですよ?」

舞園「この学園が私たちの思っていた通りの学園だったとして」

舞園「桑田くんは<超高校級の野球選手>としてスカウトされたんですよね?」

舞園「桑田くんがミュージシャンになりたいって言っても、学園は許してくれたんでしょうか?」

桑田「あー、それは俺もスカウトされた時に言ったんだよ」

桑田「でも問題ないって! だからセッションもノープレだし!」


舞園「え、そうなんですか?」

戦刃「そうなの?」

江ノ島「そうなんだ?」

葉隠「ここって<才能>伸ばす為の学校じゃなかったんだべか?」

霧切「少し違うわ。希望ヶ峰学園は<才能>の研究機関なのよ」

江ノ島「<才能>の研究機関?」

セレス「皆さん、入学前に希望ヶ峰学園がどのような学園か調べていなかったのですか?」

山田「卒業した者は絶対の成功を約束されたも同然、と言われるほど優れた人材育成に取り組んでいるとか何とか、でしたかな」

舞園「そうですね。私もそれが理由で……ここに来ましたから」

セレス「そうですわね。文言はその通りですわ」

セレス「苗木くんは聞いていませんか? わたくしと同じように不確定要素の多い<才能>の持ち主であるあなたなら」

苗木「え、えっと。ごめん、何を言っているのかがまずよくわかってないんだけど」

セレス「ちっ。ド雑魚が」

苗木「ご、ごめん」

セレス「要するに、運などと言った不確定な要素すらも<才能>としてこの学園は認識して」

セレス「苗木くんはそのサンプルに集められたのです」

霧切「少し深く調べればわかることよ」

霧切「別に学園も隠していたわけじゃないし」

セレス「<才能>とは何か? を研究している希望ヶ峰学園にとって」

セレス「ぶっちゃけ、<才能>を持っているにもかかわらず失敗した例であってもサンプルになるのです」

セレス「桑田くんのように、学園が認めた<才能>以外の道を選ぶ人も、また貴重なサンプルになるのでしょうね」

桑田「なんじゃそりゃ?」

山田「なんだか……我々はモルモットみたいですな」

霧切「…………」

大神「だが<才能>を伸ばしたい人間にとって、ここは紛れもなく一流の設備やコーチが揃っている」

大神「最も環境の揃った場所には違いない。その筈だったのだ」

大神「だから、学園に自らを売り込む生徒もいるであろうな」

霧切「…………」

葉隠「売り込むって、そんなこと出来るんだべか?」

戦刃「目立った活躍をしてたら、普通にスカウトされると思うけど……」

霧切「……売り込む……?」

江ノ島「あのさ、オーガの言ってることって……」

大神「いや、単なる想像でしかないのだが」

舞園「それって……黒幕が希望ヶ峰学園を乗っ取るために自分を売り込んだ?」

大神「…………」


霧切「…………」

苗木「ということは、生徒の中に……?」

葉隠「いや、それはねーだろ」

石丸「何故だ? 理由は?」

葉隠「いや、どんだけすっげー<才能>持っててもよ」

葉隠「一人じゃ無理だべ、こんなこと」

大和田「確かにな。でっけぇ組織の仕業だよな」

江ノ島「資金もいるしね。あの裁判所とか、この食事代とかだって」

舞園「でも……」

舞園「いえ、なんでもないです」

山田「途中で止められると途端に訊きたくなりますな!」

舞園「え、えっと」

舞園「そもそもの目的ですね。そんなに大きな組織が、どうして、っていう」

苗木「…………」

苗木「モノクマは、<絶望>を見たいから……そう言ってたけど」

舞園「…………」

霧切「材料もなしに考えても仕方ないわ」

霧切「辛いだろうけど、今は雌伏の時。相手が仕掛けてくるのを待つしかない」

全員「…………」


(朝食会が終わった)


《食堂・前》


苗木「舞園さん」

舞園「苗木くん。どうかしましたか?」

苗木「えっと。さっき、言いかけてたことあったよね?」

苗木「黒幕の目的……その前に、『でも』って」

苗木「本当は、目的じゃなくて……別のことを言おうとしてたんじゃ?」

舞園「…………」

舞園「ふふっ、苗木くんも、まるでエスパーみたいですね」

苗木「ということは……?」

舞園「今は、まだ話すつもりはないんです。ごめんなさい」

舞園「あの、私、探し物があるので。失礼します」

苗木「あ、手伝おうか?」

舞園「いいです。一人で大丈夫ですから」

舞園「苗木くんは苗木くんらしくいてください」

舞園「じゃあ、また」

苗木「……うん。また」

(舞園が去った)

苗木「うーん」


戦刃「苗木くん?」

苗木「あ、戦刃さん」

苗木「昨日はありがとう。ドーナツ、美味しかったよ」

戦刃「あ……うん」

苗木「ボクもああいうの何か……でも料理とかできないしな……」

戦刃「……あの、舞園さんが、気になるの?」

苗木「え? 気になる、っていうか」

苗木「一昨日、部屋に運んで少し会話した時は、もっと追い詰められていた感じだったのに」

苗木「今はなんだか、……何か違う気がして」

苗木「うまく言えないけど、なんだろう?」

戦刃「そうかな。ああいう人だと思うけど」

苗木「やっぱりそうかな。気のせいかな」

戦刃「時間をおいて落ち着いただけだと思うけど」

戦刃「感情ってぶれがあるから、あ、舞園さんに限らないけど」

戦刃「今は落ち着いているだけかもしれないけど、本当は落ち着いてないかも」

戦刃「え、えっと。ごめんなさい。上手く言えないけど」

苗木「あ、いや。言いたいことはわかるよ」

苗木「追い詰められてる女の子に……何が出来るかな?」

戦刃「苗木くんは」

苗木「え?」

戦刃「苗木くんは、そのままでいいと思う」

苗木「そう、かな?」

戦刃「うん。……無理矢理に助けられるよりも」

戦刃「話したくなった時に、そばにいてくれたら……それで十分じゃないかなって」

戦刃「あ、多分舞園さんは、きっとそうだろうなって私が考えてるだけだから」

苗木「あ、うん。ありがとう、戦刃さんの言葉は参考になるよ」

苗木「ボクはボクらしく、か……」

戦刃「…………」

戦刃「私で役に立てることがあったら、言ってね」

苗木「うん。あ」

戦刃「?」

苗木「一昨日。舞園さんを止めてくれて、ありがとう」

苗木「みんなが助かったと思う。本当にありがとう」

戦刃「…………あ、えっと、」

戦刃「じゃ、じゃあ……!」

(戦刃が走り去った)

苗木「?」

苗木「戦刃さん、病気かな……? 顔真っ赤になってたけど、熱でもあるのかな」

苗木「薬持っていってあげた方がいいかな……保健室にあったっけ?」

残姉ちゃんのキャラってこんなんだっけ……?

学園のスタンスに関しては作者の解釈も加わっています。
多分、桑田がミュージシャン希望しても上記の理由で止めないだろうと勝手に思ってました。

じゃあ、まったねー

(ぴょーい)

 8日目、昼

《食堂》


苗木「あれ? 珍しいね、桑田クン一人なんて」

桑田「苗木よぉ、ちょっといいか?」

苗木「うん? なに?」

桑田「お前、さやかちゃんとどういう関係なんだ?」

苗木「どど、どういうって、中学が同じだっただけで、クラスも違ったし」

苗木「向こうが覚えててくれたことがびっくりだけど、でもそれだけだよ」

桑田「いやあ、そっかそっか。ぶっちゃけ、俺マジでセッション考えてるし」

桑田「苗木に説得してもらえねぇかなあとか思っちゃったり?」

苗木「う、うん。でも、しばらくは芸能界の話はしない方がいいかも」

苗木「仕事が出来ないのが不安みたいなんだ」

苗木「それに、事件や裁判もあって……すごくしんどそうなんだよね」

桑田「うーん。真面目で清楚っていうのはポイント高いんだけどなぁ」

苗木「まあ、アイドルだしね」

苗木「桑田クンって、本当にミュージシャンになりたいんだよね?」

桑田「あったりまえだろ? 俺はマスミじゃなくてケースケになりたいの!」

桑田「さっき言ってたけどさ、野球はやらされてたことなんだよね」

桑田「やりたいことやって生きていきたいじゃん?」

桑田「あーあ、ここに来ればミュージシャンになれるって思ったんだけどなあ」

苗木「本気なんだね」

桑田「そう! やっぱカッコいいもんな!」

桑田「野球よりミュージシャンの方が女にモテるの決まってるし!」

苗木「は?」

苗木「えっと、もしかしてミュージシャンになりたい理由って」

桑田「モテたい以外に何かあるのかよ?」

苗木「当たり前のように言われても」

桑田「うーん。さやかちゃんはさすがにライバル多すぎか」

桑田「ファンからの攻撃が面倒そうだしなー。山田をこじらせたような奴がいっぱいいるんだろうし」

桑田「でもさやかちゃんといれば可愛い女の子といっぱい知り合えるよな!」

桑田「江ノ島も知り合えるだろうけど、俺ギャル系ってタイプじゃないんだよね」

苗木「そ、そっか」

桑田「なあ、苗木。やっぱさやかちゃんと何とか接点作ってくれね?」

桑田「苗木からアピってくれれば、さやかちゃんのガード解けるかもしんねぇし!」

苗木「う、うん。考えとくよ」

桑田「頼むぜ! な? んでよ、外出たら……」

桑田「外出たらみんなで遊ぼうぜ? な?」

桑田「オルカラとかよ、そういうのやろうぜ!」

苗木「オ、オルカラ? う、うん。とにかく、どこかに遊びに行こうね」

苗木「みんなで、遊ぼう」


 8日目、夜

《2F・上り階段前》


舞園「うーん……」

舞園「やっぱり、苗木くんに相談した方が……」

舞園「でも、苗木くんの邪魔はしたくないし……後ろ向きなこと考えてるって心配させちゃうかも」

舞園「役に立つかどうかも分からないし」

葉隠「あ、あれ? 舞園っちじゃねぇか」

舞園「あ、葉隠くん」

(二人はシャッターを見上げる)

舞園「これ、開かないんですね」

葉隠「だべなぁ……手掛かりがあるかもしれねぇのに」

舞園「…………」

葉隠「舞園っち、ここが開かないか調べてたんだべか?」

舞園「うーん。探し物が見つかったので、一応ここも調べておこうかな、って」

舞園「時間がわかるのはここだけだから」

葉隠「? どういうことだべ?」

舞園「うーん。内緒です」

舞園「それより、何か用事ですか?」

葉隠「いや? なんかがしゃがしゃ言ってるから……」

葉隠「その、ユ、ユーレイじゃねぇかって」

舞園「大丈夫です、足はありますよ」

葉隠「だべな、うん。そんなオカルトは信じちゃダメだべな」

舞園「あの、占い師がオカルトを否定ですか?」

葉隠「商売とプライベートは別だべ」

舞園「はあ、そんなものですか」

葉隠「お、せっかくだべ。舞園っちを占ってやるべ」

舞園「え、本当ですか? 何占ってもらおうかなぁ」

舞園「…………」

舞園「じゃあ、夢を見続けることは出来ますか?」

葉隠「うん? 夢って、叶える方の夢だべか?」

舞園「あ、えっと。私、アイドルのままでいられるかなって」

舞園「アイドルの仲間たちと、一緒にいられるかなって……」

葉隠「よっしゃ、占うべ。出たべ!」

舞園「え、もう?」


葉隠「うーん。ちょっと辛い結果だべ」

葉隠「『見続けることは叶わないが、自身が夢になるべし』」

葉隠「『そのためには、仲間の言葉を信じること』『仲間であることを信じること』」

葉隠「『自分自身を信じること』と出たべ」

舞園「……どういう意味ですか?」

葉隠「うーん。要は自暴自棄になるなってことなんだべが」

葉隠「舞園っちは夢にかける思いが強すぎて、周りが見えなくなる時がないべか?」

舞園「え、えっと。否定はできないです」

葉隠「夢は大事だけんど、夢の為に仲間を失うようなことが起こるかもしんねぇべ」

葉隠「もしかしたら選択を迫られるかもしれねぇけど、そん時は」

舞園「その時は?」

葉隠「自分を信じるべし!ってことだべ!」

舞園「……はあ。ありがとうございます」

葉隠「あれ、俺いいこと言ったつもりだけんど」

舞園「いえ、その……」

舞園「頭ではわかってることなんですけどね」

葉隠「ままま。占いは自分の悩みを整理するためのものだべ」

葉隠「じゃあ、占料一回だから二万円だべ」

舞園「え? お金取るんですか?」

舞園「え、えっと。お金は今は、ちょっと」

葉隠「大丈夫! 舞園っちには頼みたいことがあるから、それでチャラにするべ!」

舞園「頼み事ですか?」

葉隠「ここを出てからでいいんだけどな」

葉隠「実は、俺お墨付きのパワーストーンがあるんだべ」

葉隠「それをな、さりげなーく、テレビに出るときに付けてほしいんだべ」

葉隠「で、さりげなーく、宣伝……じゃなくて、効果をほめてほしいんだべ」

舞園「…………」

葉隠「そしたらな、舞園ちゃんのブログにでも、ホームページのURL載せてな」

葉隠「それで」

舞園「ここを出たら二万円払いますね。それじゃ」

(舞園が去っていく)

葉隠「え、あ、ちょ? 待ってくれぇぇ、在庫抱えて身動き取れねぇんだべよぉぉぉ!!」

さて、

『動機』の提示を行いますか?


1、提示する
2、様子を見る


>>645までで多い方

様子見るかぁ。しかしそれだけじゃ事態進展しないな……
なんか残姉ちゃんに指示出してみますか?

1、はい
2、いいえ

>>650 スナイプお願いします

1

何をさせようか

何させようか……

何か案あるかな? 事件は私様をもう少し様子みたいだろうから、少し待とう

うん、安価で明日は朝食会を見張るので、そこでなにかを提案させようかと思います。
残姉の立場が危うくならない程度に何か面白い案はないかな

作者も考えとくので皆さんも考えてみてください。

では今日はこのあたりで

(ぴょーい)

えっとね、作者のわがままとして聞いてほしいんだけどね。なんか思いついてしまったからね。

うん。残姉の恋の応援をしたいなあって。

なんか、
残姉「あなたには負けない」エスパー「はあ……それで?」
残姉「私、苗木くんが好きなの!」妹様「は?」
残姉「苗木くん、私、あなたのことが」苗木「あれ、霧切さん、どうしたの?」ぼっちさん「なんでもないわ、続きをどうぞ」(主人公特有の難聴特性と一応ぼっちさんのヒロイン力発揮)

残姉「……っ!」

みたいなのが頭に浮かんで。


みんなに冷たくあしらわれる残姉書きたい。まあ、これでも、真面目に書いても妹様に相談させたら心情には影響があるだろうし
まあぼっちさんはともかくエスパーさんにはぼろ負けして絶望するだろうし(エスパーさんがどういうつもりかはさておき、もう所作全てがアイドルだから勝ち目はないだろうし)
なんかコミカルな部分書きたいんだ。十神ストーカーするジェノさんとか書けなくなったし。

みんなの意見も取り入れるつもりだけど、あとでYes/Noの安価出すので、よければお考えください。

またあとで来るね

(ぴょーい)

恋愛に関しては安価出すまでもなさそうでした。

じゃああごdsかvb

すみません、猫が……
他の意見に関しては、

・残姉に何か盗ませる
・朝食会で新しい生徒独自のルールを提案する

とりあえずこの二つを聞こうかと思います。
生死感は恋愛相談で勝手に出てくるだろうし、ストーキングは苗木対象でいいんじゃね?ってなりましたので。

じゃあまず、

・残姉に盗ませる・私物を破壊する


1、Yes
2、No

>>671までで多い方

イエス

じゃあ次

・朝食会で新しい生徒独自のルールを提案する

1.Yes/2.No

>>677までで多い方

1

677行ってないけど決定だからいいや

・何かを盗ませる、破壊させる
・朝食会でルールを提案する

まだ漠然としてるなぁ。

まず盗みから行こう。

・対象は誰のモノか?

残姉以外のキャラの私物or学園の施設破壊

現在、校則で禁止しているのは『監視カメラの破壊』のみです。『鍵のかかったドア』は対象に入っていません。
生徒の出方によっては校則の書き換えが行われる可能性があります。よろしくスナイパー


>>682
残姉以外のキャラの名前か、学園かを指定ください

いや、させてみるけど成功するかはわからないよ?
んじゃあ霧切さんの手袋で。

次、これねぇ。

・朝食会でルールを提案する

どんなルールを提案させようか?
これちょっと意見出るの待ちます。

あとついでに恋愛相談はどうしたいかも。個人的には苗木に直接アタックさせるより、妹様やエスパーさんやぼっちさんや、とにかく女性キャラに相談させたいです

現在はゲームの校則のまんまですね。


1 生徒達はこの学園内だけで共同生活を行いましょう。共同生活の期限はありません。
2 夜10時から朝7時までを"夜時間"とします。夜時間は立ち入り禁止区域があるので注意しましょう(現在は食堂のみ。ちなみに深夜というのはこの夜時間を指しています)
3 就寝は寄宿舎に設けられた個室でのみ可能です。他の部屋での故意の就寝は居眠りとみなし罰します。
4 希望ヶ峰学園について調べるのは自由です。特に行動に制限は課せられません。
5 学園長ことモノクマへの暴力を禁じます。監視カメラの破壊を禁じます。
6 仲間の誰かを殺したクロは"卒業"となりますが、自分がクロだと他の生徒に知られてはいけません。

(ここまでが初期の校則。次は第一の事件が起きてから追加された校則)

7 生徒内で殺人が起きた場合は、その一定時間後に、生徒全員参加が義務付けられる学級裁判が行われます。
8 学級裁判で正しいクロを指摘できれば、クロだけが処刑されます。
9 学級裁判で正しいクロを指摘できなかった場合は、クロだけが処刑となり、残りの生徒は全員処刑です。
10 コロシアイ学園生活で同一のクロが殺せるのは、二人までとします。

現在はこの10項目になります。

食事の描写が(ゲーム内でもこのSSでも)ないので、説明すると……

苗木いわく、ベルトコンベアで運ばれている、らしいのです。
生徒はビュッフェスタイルで出来上がった食事を各自が取っています。

ただ、それを拒否して材料から作ることも可能です。ドーナツづくりがそうです。


掃除当番は、トラッシュルームの鍵を持っていて、生徒たちは柵の前にごみを置いていきます。
掃除当番は鍵を開けて、焼却炉にごみを放り込んでいく役目です。これは三日に一回という設定を今作りましたすみません。

よし、じゃあ食事当番にしよう。とりあえず意見をまとめてあとちょっと付け加えたのが、

・食事当番は3人にする。(同一のクロは二人までなので、二人きりになることを避ける為)
・食事当番の役目は食事を作る。(モノクマの食事を拒否する)
・現在は朝食会は全員集まってからだったが、食事当番が朝8時になったら起こしに行く。
・食事当番はくじ引きで決定。一回のローテーションが終わったらまたくじ引きでグループを決める。

掃除当番に関しては、現在は三日に一回、当番の人に鍵を渡すだけなので、特に出来ることはないと思うのですが、何かありますか?

掃除当番は現在、モノクマがランダムに決めています。

じゃあ掃除当番も生徒たちがくじ引きで決めていく感じで、

・食事当番に関して

 ・食事当番は3人にする。(同一のクロは二人までなので、二人きりになることを避ける為)
 ・食事当番の役目は食事を作る。(モノクマの食事を拒否する)
 ・現在は朝食会は全員集まってからだったが、食事当番が朝8時になったら起こしに行く。
 ・食事当番はくじ引きで決定。一回のローテーションが終わったらまたくじ引きでグループを決める。

・掃除当番に関して

 ・現在、モノクマが決めている掃除当番の順番を、生徒たちが決めるように提案する


残念なお姉ちゃんがどこまで提案できるかは謎ですが、とりあえずこんな感じに提案させていいかどうかを

>>702までで多い方

Y/N

ダメならまた練り直すよ。

Y

じゃあ明日から残姉書きます。もう今日だけど。

あ、私様以外にも恋愛相談させとこうかと思うのですが、誰にします?

女性キャラでお願いします。スナイプ>>705

??「え? 私に勝てると思うんですか? ……ふふっ、冗談です。応援しますねっ」

??さんですね、私が思っている人物でいいんですよね?

残姉、前回の周回で裁判でばらされてるんですけど、いいんですよね? 安価は絶対ですからね?

じゃあ、また明日ねー

(ぴょーい)

一つ、皆さんに訊きたいことがあるのですが、よろしいでしょうか?

捜査パート、裁判パート要りますか? いや、書いてて楽しいところではあるんですけど、正直個人的に得意な分野ではないし、どちらかと言えば心理戦書くのが好きなタイプなので、極端な話被害者と加害者がわかった時の生き残り全員の反応を描けばいいだけじゃないかと思ってですね。

だらけるぐらいならそのあたり切ってしまっていいんじゃないかなって最近思ってます。皆さんいかがでしょうか?

好きなように書けよと言ってくださったらそれはすごくうれしいのですが、単純にこのSSに必要な部分かなぁと皆さんの意見をお聞きしたいのです。

無理はしてないので大丈夫です。じゃあ書く!
長文になりがちなのでそのあたりが不安だったのです。でも頑張ります。
じゃあ、少しですが投下します。

 8日目、深夜

《戦刃の部屋》


 ぴょーい

モノクマ「やあ、キミにミッションを届けに来たよ!」

戦刃「……何?」

モノクマ「そうだなぁ。今さ、朝食会っていうのやってるじゃん?」

戦刃「うん」

モノクマ「今のまんまじゃ面白くないよね! だからさ!」



 朝 食 会 で ル ー ル を 提 案 し ろ !
 

『朝食会でルールを提案しろ!』ジャジャンジャジャジャジャジャジャジャジャジャン!



戦刃「ルール?」

モノクマ「セレスティアなんとかさん……安広多恵子さんがなんか言ってたっけ」

モノクマ「『夜時間の出歩きは禁止する』とかなんとか」

戦刃「うん。……新しいルールを提案すればいいの?」

モノクマ「化学室が解放されたら毒物も使えるんだけどさ」

モノクマ「やっぱ使ってほしいじゃん? 舞台整えといてほしいじゃん?」

モノクマ「ってなわけで、食事当番なんていうのはどうかしら?」

戦刃「食事当番……」

戦刃「今は、モノクマが作ってくれてるけど」

戦刃「それを生徒がするように?」

モノクマ「例えば何人かでグループをくじとかで決めてさ。朝食作った後食事当番が起こしに行くって感じなんかどーよ?」

戦刃「うん。それぐらいなら」

モノクマ「ついでに掃除当番も、今はボクが勝手に掃除当番決めちゃってるんだけどね」

モノクマ「自主的にくじ引きで決めちゃってくれたらなぁなんて思うんだよ。面倒なんだよ」

戦刃「……それって、くじを細工したら、証拠隠滅が楽になるってこと?」

モノクマ「うぷぷぷぷ。どう? どうこれ?」

戦刃「わかった。通るかどうかはわからないけど、提案してみる」

モノクマ「うぷぷぷぷ。じゃあ、次のミッション!」

戦刃「うん」



 霧 切 響 子 の 手 袋 を 奪 え !


『霧切響子の手袋を奪え!』ジャジャンジャジャジャジャジャジャジャジャジャン!



戦刃「?」



戦刃「あの、手袋?」

モノクマ「ノリ悪りぃな! 探偵の秘密を暴く怪盗とかマジ燃えジャン!?」

戦刃「えっと、これどんな意味が」

モノクマ「ノリ悪りぃな! 探偵の秘密を暴く怪盗とかマジ燃えジャン!?」

戦刃「私、怪盗じゃない、けど」

モノクマ「ノリ悪りぃな! 探偵の秘密を暴く怪盗とかマジ燃えジャン!?」

戦刃「……わかった、頑張る」

戦刃「霧切さんだから、出来るかはわからないけど……難しいけど」

モノクマ「じゃあ最後のミッション!」

戦刃「……まだあるんだ」



 恋 愛 相 談 で 青 春 の ド ロ ド ロ を 巻 き 起 こ せ !


『恋愛相談で青春のドロドロを巻き起こせ!』ジャジャンジャジャジャジャジャジャジャジャジャン!



戦刃「!?」

戦刃「え、あ、え?」

モノクマ「お前さあ、夜の鍛錬もしろよな! ここじゃ軍人スキルなんて役に立ちゃしねぇンだよ!」

モノクマ「ってなわけで、苗木くんのことが好きな戦刃さんには」

戦刃「う、う、う……」

モノクマ「そうだな、舞園さんあたりに相談すればいいと思うよ」

戦刃「え!?」

モノクマ「オトコを転がすすべはメンバーの中で一番うまいから! あ、<絶望>を除いてだけど」

モノクマ「ついでに、枕って本当にあるのか聞いてくんない?」

戦刃「無理無理無理無理無理!」

モノクマ「無駄無駄無駄無駄無駄!」


戦刃「でも、だ、だって、舞園さんも……苗木くんのこと好きなのに」

戦刃「知ってるよ、苗木くんもまんざらじゃなさそうなの! 忘れちゃっても」

戦刃「そ、それに、もしそれがきっかけで……舞園さんが苗木くんのこと本気になったら」

モノクマ「<絶望>だよね!」

戦刃「そうだけど! ……いや、そうだよね」

戦刃「盾子ちゃんは、私の<絶望>でも、喜んでくれるかな」

戦刃「うん。……わかった」

モノクマ「はあ? わかったって何が? 舞園さんを<絶望>に追いやれよ、<絶望>の姉貴だろうが」

モノクマ「ってかさ、舞園さん弱ってるんだから逆にそのスキついてとか考えられないわけ?」

戦刃「無理だよ、『弱り切った舞園さん>>>>>>越えられない絶望>>>>>>>私』だから……」

モノクマ「その思考回路、残念すぎるぅ! そこに痺れる憧れない!」

モノクマ「はぁあ。まあ、引っ掻き回すぐらいは出来るでしょ?」

戦刃「う、うう……や、やってみるけど」

モノクマ「まあ、期待してないからほどほどに頑張って。じゃーねー」

 ぴょーい

戦刃「…………」

戦刃「うう、うう!」

(枕を抱えて頭を埋めてジタバタしている)

戦刃「い、嫌だ、恥ずかしい……どうしよう、相談って何を相談すればいいんだろう」

戦刃「何言えばいいってかなんで苗木くん好きなの知ってるのいつデータに入力してたのううううう!」

(じたばたじたばた)


 9日目、朝

《食堂》


(十神以外の全員が集まった)

石丸「では今日も」

全員「いただきます」

石丸「うむ。今日もご飯はおいしい。いいことだ」

戦刃「あ、あとで……食べ終わった後に」

戦刃「みんなに考えてほしいことがあるんだけど、いい?」

大和田「考えてほしいこと?」

戦刃「大したことじゃないんだけど、だから食べ終わった後でいいから」

江ノ島「何、姉ちゃん。何言う気?」

(全員が食べ終わった)

大和田「で、考えてほしいことってのは?」

戦刃「う、うん。昨日考えてみたんだけど」

戦刃「食事当番と掃除当番を、私達で決めるのはどうかなって思ったんだけど」

苗木「食事当番と、掃除当番?」

戦刃「う、うん」

戦刃「あのね、食事当番は……今はみんなが自分で取ってるけど」

戦刃「それを、食事当番が用意するの。それで、用意出来たらみんなを呼びに行くの」

戦刃「その、今のままでも構わないんだけど……一番気になるのはね」

戦刃「生存確認の意味もある。点呼を食事当番が取るの」

戦刃「……どうかな? 食事の用意は、その」

戦刃「出来れば私たちが作った方が、……えっとね」

戦刃「一緒に作るとね、やっぱり『仲間』って感じがするから」

石丸「うむ。僕はいいアイデアだと思うぞ!」

苗木「うん。ボクもそう思うよ」

セレス「ふう。正直面倒ですわね」

セレス「今まで通りでも問題ないと思いますが」

山田「点呼に関しても、朝食会に集まることが既にそうなっておる気がしますしな」

葉隠「人の食事までめんどくせぇべ」

桑田「俺、料理とか出来ねぇしな」

江ノ島「めんどくさい。却下」


戦刃「う。……で、でもね。でも、なんだかダラダラしてる気がするんだ」

戦刃「あのね、規律って大事だと思う」

戦刃「私達は大和田くんをリーダーにしたグループなんだ」

戦刃「一つの集団であることを意識した方がいいと思う」

大神「そのための食事当番、というわけだな」

朝日奈「モノクマが作った食事っていうのも嫌だもんね」

舞園「あの、掃除当番っていうのは?」

戦刃「う、うん。あのね、今ってどうなってるの?」

大神「今日は我だな」

大神「モノクマに直接渡された。毎日日替わりで変わるらしいな」

戦刃「私はなったことがないんだけど、それって朝に渡されるの?」

大神「いや。昨日の夜時間のチャイム後に指示があった」

葉隠「俺もそうだったべ。モニターに鍵の場所を指示されるんだべ」

葉隠「で、戻す時も指定された場所に置くんだべ」

戦刃「これ、順番ってどうなっているんだろうって思ったんだけど」

山田「それは、モノクマが適当に決めているのでは?」

戦刃「あ、あのね。どうしてそうなってるんだと思う?」

戦刃「鍵をわざわざつけなくても、みんなが各自で燃やせばいいのに」

江ノ島「は? それって」

霧切「各自が証拠隠滅されるのを防ぐためでしょうね」

霧切「事件が起こった場合、簡単に証拠隠滅されないように」

戦刃「けど。けど、ね」

戦刃「これって、もし、もしもだけど」

戦刃「クロが出た場合、クロが交渉したら、モノクマが掃除当番の鍵を渡す可能性ってゼロじゃないよね?」

戦刃「順番がわからないんだから、私達にはわからないし」

石丸「うむ。それで?」

戦刃「だから、その順番を私達が決めることは出来ないかなって」

戦刃「順番は何でもいいんだけど、くじ引きとかで」

戦刃「……あのね、私、嫌なんだ」

戦刃「モノクマが決めたことに従うのは」

戦刃「だからね、食事の用意とか、掃除当番とかも、出来ればモノクマの思惑が入らないようにしたいんだ」

戦刃「……どうかな?」


苗木「確かに、そうだね」

朝日奈「シャクだよね、掃除当番の話とかも聞いてたら確かにそうだよ!」

セレス「ですが、モノクマがわたくし達の誰かを贔屓するようなことがあるとは思えませんわ」

セレス「今まで通りでも問題はないと思いますが」

舞園「いえ、そうとも限らないと思います」

舞園「そもそも、モノクマさんの目的も良くわかってないんですから」

霧切「結局は戦刃さんの提案を一言で言うなら、『私達か、モノクマか、どちらを信用するのか』」

苗木「それならボクは、ボク達を信用するよ」

苗木「……例え、コロシアイを強要されている仲であっても、いや、だからこそ」

大和田「…………」

大和田「他はどうだ?」

山田「面倒は増えますが、安全には代えられませんな」

桑田「っちぇー、メンドくせぇなあ、マジメンドくせぇ」

葉隠「けど、食事はともかく掃除当番はモノクマが言うこと聞いてくれるんか?」

江ノ島「試せばいいじゃん。モノクマ!」

 ぴょーい

苗木「うわ!?」

江ノ島「今の話聞いてたんでしょ? どーなの?」

モノクマ「うぷぷぷぷ。ボクは生徒の自主性を重んじるいい先生なの」

モノクマ「キミたちが自主的に行動してくれることは、何より嬉しいんだよ!」

桑田「嘘つけならここから出せ!」

モノクマ「だぁかぁらぁ! 自主的にクロになって卒業すればいいじゃん!」

 ぴょーい

桑田「あ、くそっ!」

霧切「とりあえず、掃除当番にしても問題はなさそうね」

大和田「文句ある奴はいねぇな? んじゃあ、食事当番と掃除当番をくじで決めるか」

山田「食事当番は何人ですかな?」

セレス「人数は三人でよろしいんじゃなくて? それより困りましたわ、わたくし水仕事嫌いなんですの」

葉隠「は! セレスっちと一緒になったら仕事が増えるべ! 大変だべ!」

石丸「とにかく、くじをしようではないか!」

苗木「あ、紙とペンがいるね。ボク、取ってくるよ」

大和田「おお、悪ぃな!」

(苗木が出て行った)


戦刃「…………」

戦刃「あ、あの。舞園さん」

舞園「はい?」

戦刃「え、えっとね」

戦刃「そ、その」

戦刃「あ、ああのね」

戦刃「うんとね」

舞園「あの?」

戦刃「え、え、え、えっと、相談したいことがあって」

戦刃「出来れば誰にも聞かれたくないんだけど、だ、駄目かな?」

舞園「……なんですか、相談したいことって」

戦刃「こ、ここじゃ……そ、その。駄目?」

舞園「……わかりました。じゃあ、1-Aの教室ででも」

戦刃「う、うん。他の人に聞かれないならどこでもいいから」

舞園「…………」

戦刃「あ、あのね。そんなに怖い顔、しなくても」

戦刃「その、変なことじゃなくて。あ、でも別の意味で変なことかもしれないけど」

戦刃「その、私は……笑われないかなって心配してて」

舞園「わ、笑う?」

戦刃「う、う、うぅ……あ、あとで話すから」

舞園「は、はあ……」

(苗木が戻ってきた)

苗木「じゃあ、くじをしよっか」


 9日目、昼

《1-A 教室》


舞園「それで、相談したいことっていうのは?」

戦刃「…………」

戦刃「あ、あのね。笑わないで聞いてほしいんだけど」

舞園「はい」

戦刃「…………なの」

舞園「はい?」

戦刃「………きなの」

舞園「え、えっと。ごめんなさい、声が聞こえな」

戦刃「な、苗木くんが好きなの!」

舞園「…………」

戦刃「…………」

舞園「…………あ、」

舞園「あはははははははははは!」

戦刃「わ、笑うよね? 私みたいなのが恋とかそんなの、やっぱりおかしいよね!?」

舞園「ご、ごめんなさい。そうじゃないんです」

舞園「あの、私ずっと緊張してて。この相談も、この学園生活の話かなって思ってて」

舞園「でも、そっか。そうですよね」

舞園「好きになったりとか、そういう普通の相談も、ありますよね」

戦刃「う、ううう……」

舞園「でも、どうして私に?」

舞園「嫌だとかじゃないんですけど、江ノ島さんとか相談に乗ってくれるんじゃないですか?」

戦刃「だ、駄目だよ、笑われるもん。玩具にされるもん」

戦刃「私、その、初恋で」

舞園「そうなんですか?」

戦刃「あわわわ、あわわわ! は、恥ずかしいよね、遅いよね!?」

舞園「そんなことないですよ! 遅いとか早いとか関係ないですよ!」

戦刃「あ、でも、でもね」

戦刃「告白する気は、私にはなくて」

舞園「え、どうして?」

戦刃「…………」


戦刃「私には、盾子ちゃんがいるから」

舞園「それが理由なんですか?」

戦刃「……盾子ちゃんには私しかいないから」

戦刃「…………」

舞園「……ある意味、私と同じかもしれないですね」

戦刃「え?」

舞園「戦刃さん。私も、苗木くんが好きです」

戦刃「…………!!」

舞園「でも、私も、告白するつもりは、ないんです」

舞園「私はアイドルで、……苗木くんと一緒になるのは、アイドルの道を閉ざすことになりかねないから」

舞園「恋と同じぐらい、大事なものがあるから」

舞園「戦刃さんも、恋と同じぐらい、江ノ島さんが大切なんですよね」

戦刃「……そうなのかな」

戦刃「わからないの。私、ずっと軍人やってた」

戦刃「好きなことやって、それだけを見て生きてきた」

舞園「……はい」

戦刃「でもね。この学園に閉じ込められて」

戦刃「立ち止まっちゃった。そしたら自分を振り返ってみちゃって」

舞園「…………」

戦刃「いいのかな、私。このままでいいのかな?」

戦刃「そう思ったの。そしたら、そしたらね」

戦刃「他の可能性はないのかなって、考えちゃった」

戦刃「他に、私の中には、世界には何もないのかなって、探してみたら……」

戦刃「苗木くんの笑顔が、あったの」

舞園「…………、ええ」

戦刃「でもね、どっちもはとれない」

戦刃「どっちも選ぶには、私の中は狭すぎて、入りきらない」

戦刃「ならどっちを選ぶのか、そう考えたら」

戦刃「私、今まで通りのやり方しかできないと思う」

舞園「じゃあ……どうして、私に話そうと思ったんですか?」

戦刃「…………」

戦刃「わ、わからない……けど」

戦刃「迷ってるのは、本当で、だから誰かに知っててほしかった、のかも」

舞園「…………」

舞園「難しいですね」


戦刃「あ、それに、舞園さんも苗木くん好きなら」

戦刃「苗木くんは絶対、舞園さんを選ぶと思うし」

舞園「そんなこと……わかりませんよ」

舞園「私だって、アイドルになるためにどんなことでもやってきて」

舞園「…………」

戦刃「どんなことでも、って……その、まく」

舞園「私がアイドルデビューをしたのは中学生で、そんな子供を抱きたがる大人は幸いいませんでした」

戦刃「ごご、ごめん、怒ったよね」

舞園「そういう意見には慣れてますから」

舞園「私の場合は、仲間を蹴落としてきたこと、かな」

舞園「同じ夢を持った仲間を……」

舞園「…………」

舞園「だから、私は出来るんです」

舞園「仲間を騙すこと、蹴落とすこと。……仲間が一番大切なのに」

舞園「その仲間を陥れることが……」

戦刃「それは……舞園さんが<才能>を持ってたから、結果的にそうなっただけじゃないの?」

戦刃「<才能>を持ってたから、勝ってきただけじゃないの?」

舞園「…………」

舞園「そうまでして、やっと掴んだ夢なのに」

舞園「ここで……消えちゃうのかな。みんなは……」

舞園「…………」

舞園「えっと、戦刃さんの話ですね。ごめんなさい」

戦刃「……ううん」

戦刃「舞園さんは、苗木くんに……告白しないの?」

舞園「……私も、まだ迷ってるんです。答えが出せてないんです」

舞園「だから、同じですよ。戦刃さんと」

戦刃「え?」

舞園「競争ですよ。どっちが早く答えを出せて、ちゃんと想いを伝えられるか」

舞園「負けても恨みっこなしですよ?」

戦刃「え、え、え、え、え、えぇぇぇ!!?」

舞園「どうしてそんなに驚くんですか?」

戦刃「無理無理無理無理無理無理!!」

戦刃「だ、だって、私、可愛くないし、胸もないし、いろいろ残念で」

戦刃「舞園さんはアイドルでお人形みたいに可愛くて、勝ち目なんてありっこないもん!!」

舞園「…………」

舞園「ちょっとここで待っててもらえますか?」

戦刃「え、え、どこに行くの?」

(舞園は何も言わずに教室を出た)


戦刃「…………」

戦刃「うう、うう、うううう!!」

戦刃「こ、これでいいかな、いいのかな? 競争とかなんでそうなるかよくわからないけど、けど!!」

(しばらくジタバタしていると、舞園がトートバッグを持って帰ってきた)

戦刃「?」

舞園「ふふ、購買部にコスメがいろいろあったので……」

戦刃「え、え?」

舞園「戦刃さん変身大作戦を行いまーす!」

戦刃「え、メイク? メイクするの!? 私が!?」

舞園「だって可愛くないわけないじゃないですか。双子の妹の江ノ島さんがモデル出来るぐらいなんですから」

(コットンに化粧水の含ませ、戦刃の顔に滑らせていく)

舞園「メイク前に化粧水で顔の汚れ取っておくと、メイクのノリが違うんですよ」

(乳液、下地を顔に塗っていく。戦刃はされるがまま)

舞園「コンシーラでそばかす隠しましょうか。リキッドファンデは乳液と混ぜると伸びがよくなりますよ」

戦刃「そ、そうなんだ……」

舞園「江ノ島さんがギャルメイクだから、こっちはナチュラルにしましょうか」

戦刃「ま、任せるから……」


 …………、


舞園「自分でメイクするときは、顔の下に白い紙とかを当てるといいですよ」

舞園「そう、レフ版代わりです。光が下からも当たるようになるので。メイクの色を見るのにいいんですよ」

舞園「うーん。戦刃さんって小顔なんですよね。シャドー要らない気がします」

舞園「戦刃さんはオレンジピンクのチークが合うかなぁ」

舞園「Tゾーンとチークを塗ったところ、顎にハイライトを乗せて……」

舞園「アイプチ要らないですよね、綺麗な二重ですよ」

舞園「眉毛って大事なんですよ。アイメイクに力入れる人多いんですけど、眉毛でかなり印象変わるんです」

舞園「アイライン、引けます? 引けない? じゃあ今は私が引きますね……ちょ、動かないでください! 逃げないで!」

舞園「シャドーどうしようかな、何色がいいです? ……お任せですか」

舞園「うーん、今は可愛い系でいくので、ピンクにしますね」

舞園「戦刃さんは二重だから何色選んでもいいですけど、アイホール……瞼ですね、全部にのせるときつく見えちゃうので気を付けてくださいね」

舞園「涙袋メイクやってみます? これ、ブラウンとイエローゴールドのシャドー使うんですけどね」

舞園「マットなのを使うんです。そう、ラメ入ってない方。目がおっきく見えるし、ナチュラルメイクにもあうんですよ」


 …………、


舞園「出来ました! じゃじゃーん!」

(鏡を手渡される戦刃)

戦刃「あ……」


舞園「どうです、可愛くなったと思いません?」

戦刃「う、うん……肌が明るくなってる」

戦刃「な、なんか、顔が柔らかくなった感じがする」

舞園「それを目指しましたから!」

舞園「今日は一日それで過ごしてくださいよ」

戦刃「え」

舞園「戦刃さん。戦刃さんって、可愛いんですよ」

舞園「自信を持って。卑下しないでください」

舞園「大丈夫ですから」

戦刃「…………」

戦刃「ま、舞園さんは」

舞園「はい?」

戦刃「私が苗木くんを好きでも、いいの?」

舞園「……ふふっ。負けられないなって思いました」

舞園「だって、苗木くんのことを話す戦刃さんって、すっごく可愛いんですもん」

戦刃「…………」

舞園「……私も、考えるきっかけをくれて、ありがたいなって思ってるんです」

舞園「戦刃さん。私、応援してます。皮肉とかじゃなくて、本気で頑張ってほしいんです」

舞園「ちゃんと、答えを出してほしいと思ってます」

舞園「お互い、頑張りましょうね」

戦刃「…………」

戦刃「…………うん」

戦刃「うん」

舞園さんの女子力の高さに何故だろう、涙が出てきた。知識は知ってるのに……
個人的に中学生が枕は考えられないのですが。それって二次元の世界だけだと思います。そしてこの世界は二次元で……はっ!?

今日はここまでです。手袋ミッションは明日

(ぴょーい)

 9日目、夜

《校舎2F・廊下》


(霧切の後をつけている戦刃)

戦刃「…………」

朝日奈「あれ? 戦刃ちゃん?」

戦刃「あ……何?」

朝日奈「あ、あれ? なんか雰囲気が」

朝日奈「あー、お化粧してる!? どうしたの!?」

戦刃「う、う……これには触れないでくれないかな」

戦刃「あ、あれ?」

(朝日奈に気を取られてるうちに霧切は姿を消したようだ)

戦刃「……さっき、霧切さんいたよね?」

朝日奈「え、見てないけど。図書室に入ったんじゃない?」

戦刃「そうかな?」

朝日奈「霧切ちゃんに用事?」

戦刃「よ、用っていうかね……」

戦刃「説明が難しいんだけど……」

朝日奈「直接お願いしてみたら? きーりぎーりちゃーん!」

戦刃「小学生がお友達を家の外から呼ぶんじゃないんだから……」



《図書室》


苗木「あれ? どうしたの、二人とも」

戦刃「――――!!!」

朝日奈「あれ? 霧切ちゃん来てないの?」

苗木「ずっとボク一人だったけど」

苗木「あれ? 戦刃さん、なんだか雰囲気が」

戦刃「……あ、えっと」

苗木「あ、お化粧してるんだ。どうしたの?」

戦刃「……ま、舞園さんが……してくれて」

朝日奈「舞園ちゃんなんだ。さすがプロだよね!」

苗木「え、アイドルって自分でメイクするの?」

朝日奈「あ、でもメイクさんとかにやってもらうイメージがあるよね。どうなんだろ?」

戦刃「えっと……基本中の基本のメイクだって言ってたけど」

朝日奈「……あたし、メイクとか全然わかんないんだよね、えへへ」

(三人が会話していると大神と舞園が入ってきた)


朝日奈「あ、噂をすればだよ!」

大神「どうかしたのか?」

戦刃「え、あ、えっと。霧切さん見てない?」

舞園「霧切さん。見ましたけど……」

大神「……男子トイレから出てきたな。奴は何を考えているかわからん時がある」

舞園「頭はいいんだと思うんですけど、霧切さんって行動が突飛な時ありません?」

苗木「あ、もしかして……裁判でいきなりスカートをめくられた時のこと」

舞園「スタァァロッドォォォ!!」

苗木「うわぐっ!?」

(苗木はポカン、とメイク用の筆を頭に投げつけられた)

舞園「あ、悪夢じみた記憶です……み、見てないですよね?」

苗木「見てない! スカートの中見えそうだったけど見てない!!」

大神「苗木よ、語るに落ちたな……?」

苗木「違うんだ、大神さん! 本当にボクは目を逸らして」

戦刃「……あ、あの。二人は何しに来たの?」

大神「ああ。明日の朝食のレシピをな」

舞園「私と大神さんと山田くんに決まったのですけど、山田くんは料理したことないらしいので」

朝日奈「したことあるって言われた方がびっくりだけどね」

苗木「あはは……」

大神「だからまあ、レシピ本をな」

舞園「で、苗木くん。どうですか?」

苗木「え?」

舞園「戦刃さんですよ! どうですか?」

苗木「う、うん。可愛くなったと思うよ」

戦刃「~~~~~~!!」

戦刃「あ、あの、私霧切さんに用事があるから、ごめん!」

(戦刃は走り去った)

苗木「? 用事ってなんだろ?」

舞園「……はあ」

朝日奈「? どうしたの、ため息つくと幸せ逃げちゃうよ?」

大神「……なんとなくだが、事情は察した。なるほど、ため息もつきたくなる」

舞園「私の気持ち、わかってくれますか、大神さん」

大神「ああ。やはり苗木が悪い」

苗木「え?」

朝日奈「え?」


《校舎1F・上り階段下》


戦刃「……え、えっと」

霧切「私に用事?」

戦刃「あ、霧切さん……どうしてわかったの?」

霧切「朝日奈さんの声が聞こえたから」

戦刃「あ、そっか」

霧切「何?」

戦刃「………えっと」

戦刃「…………」

戦刃「い、一緒に、一緒にお風呂に入らない!?」

霧切「? ……そう、なるほどね」

霧切「いいわ。大浴場で待ってる」

(霧切は先に行ってしまった)

戦刃「…………」

戦刃「どうしよう、大事な話があるって思ってる顔だった……」



《大浴場・前》


戦刃「…………」

霧切「じゃあ、おやすみ」

戦刃「お、おやすみ……」

戦刃「…………」

戦刃「お風呂の時も脱がないんだ、手袋……」

江ノ島「姉ちゃん?」

戦刃「あ、盾子ちゃん……」

江ノ島「どしたの、めっちゃ顔マジブルーなんだけど」

戦刃「…………」

戦刃「あのね、話したいことがあるんだけど、盾子ちゃんの部屋に行っていい?」

江ノ島「…………」

江ノ島「いいけど」



《江ノ島の部屋》


江ノ島「なに?」

戦刃「…………」

戦刃「あ、あのね。例えばなんだけど」

江ノ島「うん」

戦刃「えっと、例えば……カツラの人がいるとするじゃない?」

江ノ島「は?」

戦刃「ご、ごめん。真面目な話なんだ」

戦刃「で、その人は絶対人前ではカツラ脱がないの」

江ノ島「そりゃカツラだしね」

戦刃「でもね、そのカツラを取る罰ゲームが下されたの」

江ノ島「罰ゲーム?」

戦刃「ば、罰ゲームには逆らえなくて、でもその人には隙がないんだよね」

戦刃「盾子ちゃんだったらどうやって取る?」

江ノ島「……なんじゃそりゃ?」

戦刃「ごめん。で、でも真面目なの」

江ノ島「あー、うん。例え話だよね? わかるわかる」

戦刃「…………」

江ノ島「まあ、無理矢理剥ぎ取るしかないんじゃない?」

戦刃「それが出来ない相手だったら……?」

戦刃「あ、してもいいけど、後で立場が……」

江ノ島「うーん。なんかよくわかんないけど」

江ノ島「まあ、寝ている隙にとか、そういう感じにしかならないよね」

戦刃「そうだよね……どうしよう……」

江ノ島「……それって、そんっっなに大事なこと?」

戦刃「ごめん、私も良くわからないの」

江ノ島「ハァ?」

戦刃「ご、ごめん」

江ノ島「…………」

江ノ島「あのさ、姉ちゃんだったら、家族と好きな人、どっちを取る?」

戦刃「――え?」

江ノ島「ああ、うん。大したことないんだけどね。かるぅく考えてくんない?」

戦刃「…………」

戦刃「私は盾子ちゃんを取るよ」

江ノ島「へ、へえ。あんまり考えずに言ったよね」

戦刃「ううん。決まってることだから」


戦刃「どっちも取れないなら、私は盾子ちゃんを取るよ」

戦刃「だからね、もし盾子ちゃんが、私を殺さないといけなくなったら」

戦刃「私、覚悟は出来てるよ」

江ノ島「そ、そんなヘビーな思い打ち明けられても」

江ノ島「なんで?」

戦刃「盾子ちゃんを理解できるのは、私だけだから」

江ノ島「は、はあ? 何よ、それ」

戦刃「盾子ちゃんを好きで好きでたまらない人がいても、その人は盾子ちゃんを理解できないよ」

戦刃「理解できるのは、ずっと一緒にいた双子の私だけだよ。だから、だからね」

戦刃「私を殺すことは、盾子ちゃんの<絶望>になるなら」

戦刃「……なってくれたら、私は嬉しい」

戦刃「<絶望>するほど、心の中を占めてるってことだから……私は」

戦刃「そう、私はそれだけでいいの」

江ノ島「な、なんか姉ちゃんって、私が人殺せって言ったら殺しそうだよね」

戦刃「殺すよ」

江ノ島「え?」

戦刃「それが盾子ちゃんの望むことなら、私はするよ」

戦刃「死ぬことも殺すことも、盾子ちゃんが望むなら」

戦刃「それを<希望>することで、<絶望>するなら……」

江ノ島「…………」

江ノ島「はあ。ワッケわかんない。やっぱ姉ちゃんって残念だわ」

江ノ島「ぶっちゃけ鬱陶しいし」

戦刃「ご、ごめんね、怒ったよね!?」

江ノ島「そうじゃなくて……まあいいや」

江ノ島「もう、余計わっかんなくなったし」

戦刃「う、ごめん……」

江ノ島「…………」

江ノ島「まあ、姉ちゃんがワケわかんない行動するのは慣れてるし」

江ノ島「いきなり一人で海外行っちゃうような感じだし。今更だよね」

江ノ島「悪いけど、考え事するから帰ってくんない?」

戦刃「う、うん。ごめんね」

江ノ島「別に。おやすみ」

戦刃「おやすみ、盾子ちゃん」

(戦刃は出て行った)

江ノ島「…………」

江ノ島「姉ちゃんが、死んだら……」

江ノ島「松田くんが、死んだら……」

江ノ島「どっちが<絶望>するか、なんて」

江ノ島「…………」

…………
………
……


演算の結果、消極的介入では事態の進展が見られないと思われる。

よって明朝、『動機』の提示を行う。



1、『外の世界からのメッセージ』DVDを見せる
2、ひゃっくおっくえーん!
3、内通者、協力者の存在を明かす(正体は秘匿する)


>>765までで多いもの

DVDか……
桑田逃げて、超逃げて!

どうなるかな、、うーん。とりあえず、少しさわやかな恋愛フラグはあっという間に消えました。

もうちょっと甘酸っぱい青春してほしかった気もしなくはないけど、まあいいや。じゃーねー

(ぴょーい)

 10日目、朝

《食堂・厨房》


山田「今日は何にするのですかな?」 

大神「人数が多いからな。とりあえず味噌汁を作ろう」

山田「あ、和食……で決まり?」

舞園「嫌ですか?」

山田「あ、あの……洋食を希望している方がおられましてな」

舞園「あ、そうなんですか。どうします、大神さん」

大神「我は和食なら得意なのだが」

舞園「どうしよっかな……人数が……」

舞園「スクランブルエッグとベーコンとサラダとトーストにします?」

山田「あ、はい。そ、それならセレス殿も」

大神「洋食希望はセレスか」

山田「ぐぅ……我が輩、なぜか下僕認定されまして」

山田「ロイヤルミルクティーの淹れ方を何度も何度も……」

大神「セレスらしい気はするな」

舞園「とりあえず、メニューはこんなところでいいですかね?」

大神「コーンスープはどうだ?」

山田「インスタントですか?」

大神「我は既製品の味は好かぬ」

舞園「手作り? 手作りですか? ええっと、時間足りるかな」

(なんだかんだで40分ほどかけて料理は完成したようだ)

舞園「これ、毎朝って大変ですね」

山田「思ったよりも料理とは大変ですな」

大神「慣れれば楽になるだろう。では起こしに行こう」



《食堂》


(三人で部屋を回って十神以外の全員を集めてきた)

石丸「ご苦労であった! では三人が作った朝ご飯を美味しく頂こうでは」


 ぴんぽんぱんぽーん


モノクマ『あーあー、なんか久しぶりマイクの前に立つカ・イ・カ・ン!』

モノクマ『さてさて、みんなが自主的にこの生活を受け入れてきてくれて先生は嬉しいです!』

モノクマ『なので、モノクマ学園長からプレゼントがあるよ! すぐに視聴覚室に集まってくださーい!』



全員「…………」

セレス「美味しく戴く、というわけにはいかなくなったようですわね」

葉隠「な、なあ。行かないっていうのは」

大和田「そういうわけにもいかねーだろ……全員行くぞ」

山田「え、食事は」

大神「あとになるな。このタイミングも嫌がらせだろう」

苗木「また、『秘密』を暴露するようなことが……?」



《視聴覚室》


(モニターにモノクマが映っている)

モノクマ『いやあ、自主的に食事を作り、掃除当番も決め、規律正しい生活を心がけてるのは、とてもいいことです』

モノクマ『だけどだけどだけど! ぶっちゃけ刺激が足りない、パッションが足りなぁぁい!』

モノクマ『というわけで、皆さんには、より学園生活を充実させる意欲を高める為』

モノクマ『皆さんにビデオメッセージを用意しました! 名前の書かれたDVDをご覧ください!』

(モニターが消えた)

(十神も含めた全員が指示に従い、DVDを見始める)ろ

全員「………っ!!?」

山田「なっ」

桑田「嘘だろ? なあ」

朝日奈「嫌だよ……こんなの。嘘だよね」

霧切「…………」

十神「…………」

苗木「……な、なんで……嘘だ」

舞園「――――」

苗木「……舞園さん?」

舞園「いや……嘘……こんなの」

舞園「どうして? どうしてこんな……」

舞園「いやあああああああ!!!」

(舞園が飛び出した)

苗木「――舞園さん!」



《校舎1F・廊下》


舞園「……みんな消えちゃう」

舞園「みんないなくなっちゃう……!」

苗木「舞園さん!!」

舞園「放して!!」

苗木「舞園さん、落ち着いて! 必ず助けは」

舞園「助けなんて来なかったじゃない!!」

苗木「――――!!」

舞園「ここから出ないと……私が消えちゃう……!」

舞園「嫌……みんなが消えていくのは……」

苗木「――消えない! 消えさせない!」

苗木「ここから出ないとキミが消えるというなら」

苗木「どんなことをしても、必ず出してみせる!」

苗木「絶対にだ!!」

舞園「…………っ」

舞園「う、うわあああああああ!!」

(苗木の胸に顔を埋めて、舞園は泣き叫んだ)

霧切「…………」

戦刃「…………」

 ――絶望指数リザルト――


苗木誠<超高校級の幸運>

★★★★★☆☆☆☆☆

石丸清多夏<超高校級の風紀委員>

★★★★★★★☆☆☆

十神白夜<超高校級の御曹司>

★★☆☆☆☆☆☆☆☆

大和田紋土<超高校級の暴走族>

★★★★★★★☆☆☆

桑田怜恩<超高校級の野球選手>

★★★★★★★☆☆☆

山田一二三<超高校級の同人作家>

★★★★★★★☆☆☆

葉隠康比呂<超高校級の占い師>

★★★★★★☆☆☆☆

舞園さやか<超高校級のアイドル>

★★★★★★★★★★

霧切響子<超高校級の探偵>

★★★☆☆☆☆☆☆☆

朝日奈葵<超高校級のスイマー> 

★★★★★★★☆☆☆

腐川冬子<死亡>

★★★★★★★★★★

大神さくら<超高校級の格闘家>

★★★★★★★☆☆☆

セレスティア・ルーデンベルク<超高校級のギャンブラー>

★★★☆☆☆☆☆☆☆

江ノ島盾子<超高校級のギャル>

★★★★★★★★★★

不二咲千尋<死亡>

★★★★★★★★★★

戦刃むくろ<超高校級の軍人>

★★★★★★★★☆☆


 10日目、昼

《食堂》


(十神も含め、全員が集まった)

江ノ島「ちょっと、何当たり前のようにいるのよ!?」

十神「ほう? なら帰らせてもらおうか」

苗木「ま、待ってよ。ボクが頼んだんだ」

大和田「…………」

大和田「十神はやっぱコロシアイに参加すんのか?」

十神「当然だ。と言っても次の事件を起こすつもりはない」

桑田「あの口約束か? 信用できるわけねぇだろ」

十神「信用しろとは言っていない。愚民らしく足りない脳で勝手に思い込めばいい」

桑田「ああ?」

大和田「よせ。……十神、あんまバカにしてっと痛い目に遭うぞ」

十神「ご忠告、ありがたく受け流させていただこう」

石丸「そこまでだ! 仲間割れは黒幕の思う壺だぞ!」

朝日奈「ね、ねえ……あのDVD、…嘘だよね?」

朝日奈「あんなこと、出来るワケ」

セレス「そうでしょうか? わたくし達は見てきたはずですわ」

セレス「大がかりな裁判、おしおきの装置」

セレス「莫大な資金、人手を投入しているのは間違いありません」

葉隠「け、けど……さすがに現実味がないってーか」

舞園「そうじゃない、問題はそこじゃないんです」

苗木「舞園さん……?」

舞園「…………」

舞園「も、問題なのは……」

舞園「それを確かめるために、行動する人がいるかもしれないこと、です……」

全員「…………」

十神「その通りだ。『動機』としては十分だな」

舞園「…………」

霧切「安易な行動をするなと言っても、感情は抑えられないものだわ」

霧切「それでもこういうしかない。理性的な行動をお願いする、と」

全員「…………」

石丸「……少し、整理する時間が必要だと思うのだが……」

大和田「……そうだな。みんな、バカ起こすんじゃねぇぞ」

全員「…………」

(全員が解散しようとしていた)


霧切「苗木くん」

苗木「霧切さん。どうしたの?」

霧切「……舞園さんには気を付けた方がいい」

苗木「え?」

霧切「多分、彼女が一番、『行動してしまうかもしれない恐怖』に怯えてると思うから」

苗木「……そうだね」

苗木「わかってるつもりだけど、ボクが考えている以上にショックなのかもしれない」

苗木「…………」

苗木「ねえ、霧切さん」

霧切「何?」

苗木「舞園さんは、『自分は他人を騙す酷い人間だから信用しないで』と言ってたんだけど」

苗木「霧切さんは、どう思う?」

霧切「苗木くんは彼女がそういう人間に見えるの?」

苗木「そんなことは、ないけど……」

霧切「例え誰が騙そうとしても、真実を求めれば必ず嘘は綻びる」

霧切「じゃあね」

(霧切は去った)

苗木「あ」

苗木「…………」



《寄宿舎・廊下》


大和田「おい」

舞園「あ、大和田くん」

舞園「どうしましたか?」

大和田「…………」

大和田「変なこと、考えんじゃねぇぞ」

大和田「いいな?」

舞園「…………」

舞園「大丈夫です」

舞園「私は人を殺すつもりはありません」

舞園「別のやり方を探します」

大和田「……ならいいんだけどな」

(舞園のは部屋に入った)

大和田「……何がリーダーだ、クソッタレが!」

大和田「もう、あんなふざけたことはさせねぇ! 絶対に……!」

夜時間、誰を見張るかの安価です

下レス二名、キャラを選んでください

今日はこれにて終わり!

(ぴょーい)

悪意があるとしか思えない安価ご苦労様です。
一章の再現かな……? どうなるかな?

(ぴょーい)


 10日目、夜

《教室 1-A》


(舞園は手慰みにメモ用紙を千切ったり折ったりしている)

舞園「…………」

桑田「よっ、さやかちゃん!」

舞園「あ……桑田くん」

舞園「どうしましたか?」

桑田「いや、なんかね。ちょっとさやかちゃんと、お話ししてみたくなったり?」

舞園「…………」

桑田「何してんの? 折り紙?」

舞園「……そうですね。鶴を折ってます」

舞園「友達には青いネコ型ロボットを折れたりする子もいますけどね」

桑田「え、マジで? すごくね?」

舞園「そうですね」

桑田「……あー、さやかちゃん、もしかして俺のこと嫌いだったりする?」

舞園「……そんなことはないですよ。普段だったら……、楽しい人だと思うんですけど」

舞園「どうしてこんなことになったんでしょうね」

桑田「本当だよな。帰りてぇよな」

桑田「でも人を殺すとかな……無理だよな」

舞園「無理なんですか?」

桑田「うーん。えっとさ」

桑田「DVDが本当だとしてよ? 正直どうしようもないんだよな」

舞園「…………」

桑田「俺一人じゃ助けに行けないしなぁ。警察だってぶっちゃけ頼りになんねぇ感じだし」

舞園「じゃあ、桑田くんはどうするんですか?」

舞園「何もしないまま黙って見てろっていうんですか?」

舞園「自分が消えてしまうかもしれないのに……」

桑田「え、何それ? 消えるって何?」

舞園「……桑田くんにはわからないでしょうね」

桑田「えっと。良かったら説明してくんない?」

桑田「俺さ、よくやっちまうんだよね。さやかちゃんもまじめタイプっしょ?」

桑田「俺、テキトーにやるタイプだから、まじめタイプはカチンってくるみたいでさ」

桑田「でもさ、俺さやかちゃんのこと好きだし。いや、マジで」

桑田「だからさ、やっぱ傷つくわけよ、嫌われてるってマジで」

舞園「…………」

舞園「嫌いなんかじゃないですよ」

舞園「ただ、イライラするだけです……普段なら気にしないようなことなのに」

桑田「えっと……自分が消えるとか何とか」


舞園「芸能界は一日遅れると、すぐに忘れ去られますから」

舞園「私が閉じ込められていたら、世間から私が消えていくんです」

舞園「築き上げたものが、消えていく……」

舞園「……桑田くんには、わからないでしょうね」

桑田「うーん。俺はまた作ればいいじゃんとか、さやかちゃんここにいるじゃんとか、そういうふうにしか思わねぇしなぁ」

桑田「そういう話じゃないんだろうけどさ」

舞園「…………」

桑田「なんか、ごめんな? 俺、さやかちゃんが気になってつい見に来たんだけどさ」

舞園「え?」

桑田「だって、やっぱ心配だし」

舞園「…………」

舞園「ごめんなさい。余裕なくて」

桑田「いやいや、しゃあねえって。俺考えるの苦手だし、さやかちゃんの言ってることわかんなかったりするけど」

桑田「やっぱ女の子って笑顔が大事だし? さやかちゃんの笑顔見る為ならなんだってするし」

舞園「……なんでも?」

桑田「マジでマジで。だからさ、元気出してよさやかちゃん」

舞園「…………」

(こつん、と桑田の額に鶴を投げた)

桑田「ん?」

舞園「何でも、出来ますか?」

舞園「本当に?」

桑田「え?」

舞園「例えば、私が『人を殺して』と頼んだら」

舞園「引き受けてくれますか?」

桑田「……さ、さやかちゃん? マジで言ってる?」

舞園「…………」

舞園「大丈夫」

舞園「今から頼むことは、全然危なくないことです。これだけ聞いてくれたら十分です」

舞園「でも、私の為にそれ以上のことをしてくれるって言うなら」

舞園「私も、桑田くんの求めることに、応えようと思います。それだけのことです」

舞園「どうしますか?」

桑田「…………」

桑田「い、今から頼むことって、何?」

舞園「…………」

舞園「人を追い詰めること」


 10日目、深夜


《校舎1F・廊下》


霧切「……何?」

舞園「こんばんは、なんですかね? ここにいると、昼も夜もわからなくなっちゃいますけど」

霧切「雑談するために呼んだの? 『夜時間は出歩き禁止』のルールを破ってまで」

舞園「霧切さん、守ってるんですか?」

霧切「…………」

舞園「そうですよね、何かを調べる為に動くなら」

舞園「人の多い昼間は、自由に動けませんから」

霧切「で? 用件は何?」

舞園「簡単なことですよ」

(舞園は小振りのナイフを取り出した)

霧切「――――!」

舞園「うわあああああああ!!」

(だがあっさりとナイフは取り上げられ、地面に伏せられてしまった)

霧切「どうして私を狙ったの?」

舞園「………っ!」

舞園「私、霧切さんが、大嫌いなんですよ……っ!」

霧切「…………」

霧切「とりあえず、このナイフは預からせてもら――」



桑田「おい、何やってんだ!?」

霧切「!?」

(舞園は霧切が取り上げたナイフを、霧切の腕ごと掴んで自分の胸に持っていった)

舞園「た、助けて! 霧切さんが!! 私を!!」

(桑田は体当たりするように、霧切を舞園から離す)

(桑田は霧切を羽交い絞めにした)

桑田「お、おい、何ぼーっとしてんだ!?」

桑田「早くナイフを取り上げろよ、苗木!」


苗木「――あ、う、うん!」

(苗木は霧切の手にあったナイフを取り上げた)

舞園「苗木くん……!」

舞園「あ、ありがとう……助けてくれて……!」

苗木「だ、大丈夫……大丈夫だから……」

苗木「……どういうこと、霧切さん」

霧切「…………」



苗木「答えてよ! どういうことなんだよ!?」

霧切「…………」

(舞園は苗木に抱きしめられて、泣きながら霧切を睨んでいる)

苗木「どうして、霧切さんが舞園さんを……?」

苗木「霧切さん!!」

霧切「…………」

(霧切はしばらく目を閉じていた)

霧切「あなたが見た通りに判断すればいい」

霧切「……今、危害を加えるつもりはないわ。だから、放してくれない?」

桑田「……ど、どうする?」

苗木「ど、どうするって……言われても」

霧切「まず苗木くんが舞園さんを部屋に送ればいいわ」

霧切「そのあと桑田くんは私を放してくれれば。それなら舞園さんは安全でしょ?」

苗木「霧切さん、どうして……!?」

霧切「苗木くんが何を信じようと、疑おうと、私には関係ないから」

霧切「私は私のするべきことをするだけ」

苗木「霧切さん……!」

舞園「……苗木くん、桑田くん」

舞園「そうしましょう……今はそれしか、ないと思うんです」

桑田「あ、ああ……」

桑田「…………」


《舞園の部屋》


(苗木と舞園が入った後、しばらくして桑田も部屋に入ってきた)

苗木「霧切さんは?」

桑田「部屋に入るのは見た。ったく、あんなことになっても無表情って……」

舞園「…………」

桑田「な、なあ……どうして、霧切が?」

舞園「……霧切さんは怪しいと思いませんか?」

苗木「怪しい?」

舞園「<才能>を明かしてないこともそうだし、裁判の振る舞いとかもそう」

舞園「知ってて敢えて黙ってるみたいな態度でした」

苗木「それは、確かにボクもそう思ったけど」

苗木「それは自分で解決しないと意味がないって」

舞園「でも間違った推理をしたら、自分も死んじゃうんですよ?」

舞園「ずいぶん余裕がありすぎると思いませんか?」

苗木「えっと、それって」

舞園「……霧切さんは、黒幕が送ったヒント役なんじゃないかと思ったんです」

苗木「え!?」

桑田「黒幕が、送った……ヒント役?」

舞園「黒幕側からすれば、裁判は盛り上がらないと面白くないですよね?」

舞園「でも、私達は捜査も何も、そんなのは素人です。推理があさっての方向に行っちゃっても不思議じゃない」

舞園「それって、黒幕からすれば面白くないんじゃないかと思うんです」

苗木「霧切さんは、間違った方向に推理が進んだ場合の……修正役?」

舞園「あと、盛り上げる役も。だから、問いただそうと思いました」

舞園「……1回目の裁判。彼女は全て最初から、黒幕に教えてもらっていたんじゃないかと」

桑田「ま、マジで……?」

舞園「…………」

舞園「私はそれを訊きだそうとして」

舞園「そうしたら……」

舞園「……ありがとう、二人とも。二人が来てくれなかったら、私、きっと……」

苗木「いや、それはいいんだけど……」

舞園「二人はどうしてあそこに?」

苗木「あ、いや、その……」

桑田「そ、その、男同士の話が……あはは……」

舞園「…………」

桑田「と、とにかくよぉ! 霧切のこと、明日みんなに相談しようぜ!」

苗木「…………」


舞園「…………」

舞園「苗木くんは、霧切さんがそんなことするはずがないって」

舞園「どこかで、そう思ってますか?」

苗木「……ご、ごめん、舞園さん」

桑田「はあ!? 苗木、何言ってんの!?」

桑田「見ただろうが、霧切がさやかちゃんマジで殺そうとしてたの!!」

苗木「そうだけど……そうだけど……!」

苗木「…………」

舞園「……わかりました。苗木くんが納得できるまで、このことは黙っておこうと思います」

桑田「はあ!? さやかちゃん、何言ってんの!?」

舞園「今回のことは、私が迂闊だったのは事実ですし」

舞園「……霧切さんはヒント役というなら、自分が殺人をしたりはしないと思うんです」

苗木「……う、うん」

舞園「すぐに危害を加えることは……多分、ないかと」

舞園「それどころか、味方ですよね、よく考えると」

舞園「みんなの中に完全に真相を知っている人がいるなら、学級裁判は茶番でしかないんですから」

苗木「……そう、だね」

舞園「だけど、苗木くん。霧切さんには……気を付けて」

苗木「…………」


(しばらく苗木と桑田は舞園を励ました後、自分の部屋に変えると部屋を出て行った)

(そしてまたしばらく経った後)

 ぴんぽーん


舞園「はい」

桑田『……さやかちゃん、俺だけど』

(舞園は部屋に桑田を入れた)

桑田「なあ、説明してくれねぇか? 俺、本当に霧切に殺されるんじゃねぇかって」

舞園「……私は霧切さんを、さっき言ったような役目の人じゃないかと疑っています」

舞園「黒幕と通じてるんじゃないかと。でも単なる杞憂かもしれない」

舞園「だけどどっちにしろ、霧切さんは怪しい。それだけで手を打つには十分な理由です」

舞園「これで、霧切さんは自由に動けなくなります。桑田くんと苗木くんという目撃者がいるわけですから」

舞園「今夜あったことをみんなに相談すれば、霧切さんは詰みます」

舞園「けど、ヒント役だとするなら、完全に行動を制限するわけにもいかない。裁判が起きた時、身を守ってくれる人でもあるんです」

舞園「だから、材料はこちらが握っているぞという牽制だけでいいんです。苗木くんはお人好しだから……みんなにやさしいから」

舞園「霧切さんを追い詰めるようなことには、躊躇するだろうとは思ってました」

舞園「……大体、計算した通りにいきました。桑田くんのおかげです」

桑田「…………」


舞園「幻滅しました?」

桑田「い、いや……むしろ」

桑田「スゲーなって思う。うん」

舞園「……私たちは、負けることが許されないゲームに参加させられました」

舞園「絶対に勝つためには、……それまで負けられないんです」

桑田「な、なあ……さやかちゃん」

桑田「さやかちゃんは。誰かを殺そうと思ってたり……?」

舞園「…………」

舞園「そうしたら、私一人だけが生き残るか、私だけが死ぬのかの、どっちかじゃないですか」

舞園「私は、どっちも嫌……死にたくないし、」

舞園「……ここにいるみんなを殺したくも、ないです。だけど」

舞園「外に出たいんです。確かめないといけないんです」

舞園「その為なら、私は何でもする……」

舞園「ねえ、桑田くん」

桑田「な、なに?」

舞園「もし、桑田くんが、私を手伝うと言ってくれるなら」

舞園「私の為に、何でもしてくれる――そう言うのなら」

舞園「私、桑田くんの恋人になります」

桑田「――え?」

舞園「ただの、じゃないですよ? 桑田くんの望む、理想の恋人を演じきってあげる」

舞園「……得意なんです、そういうの」

桑田「さ、さやかちゃん……何、しようとしてるワケ?」

舞園「…………」

桑田「…………」

桑田「あ、あのさ、」

桑田「本当は……苗木を外に出したいだけなんじゃ?」

舞園「…………」

桑田「本当は苗木が好きで、苗木を死なせたくないから」

桑田「だから、霧切に注意するように言ったとかじゃ……ないよな?」

舞園「…………」

舞園「桑田くん」

(舞園は桑田と、唇を合わせた)

桑田「――――!?」

舞園「…………」

舞園「……桑田くん」


舞園「外に出たら、桑田くんが言ってた通り、セッションしましょうね」

舞園「デートもしましょう。ふふっ、桑田くんも有名人だから、マスコミが大変だろうな」

舞園「桑田くんは嫌がってるけど、私、桑田くんが野球するところ、見てみたいです」

舞園「桑田くんが私に飽きたら、いつでも捨てて構いませんよ」

舞園「全部、桑田くんの望む理想像の通りにします。だから、この学園内では。外に出るまでは」

舞園「私のお願いをすべて聞いてください」

舞園「……ファーストキスだけじゃ、私の覚悟の証明になりませんか?」

桑田「…………」

桑田「……俺、」

桑田「俺、何をすればいい?」

桑田「さやかちゃんのお願いって、何?」

舞園「桑田くん」

桑田「さ、さやかちゃんは俺が守ってみせるから!」

桑田「俺、バカだし、さやかちゃんみたいに色々考えられねぇけど、身体動かすのは得意だし!」

桑田「だから、だから……」

桑田「さやかちゃん。俺のこと、本気で好きになってくれよ」

舞園「…………」

桑田「なんでもするから、……だから」

桑田「そんな、怖い笑顔、しないでくれよ」

舞園「…………」

舞園「ごめんなさい」

舞園「桑田くん。ごめんね……」

舞園「泣かないで……私なんかの為に」

桑田「……俺、何をすればいい?」

桑田「なんでもするから」

舞園「…………」

舞園「じゃあ、まず――」

深夜、こんなドロドロな関係が生まれていますが、同時刻のその他の様子も見てみますか?

>>815 桑田と舞園以外で。

セレス

お、おう。セレススナイパーが時々出現するね。

あと、桑田ごめんね。うん。いやあ、でもファーストキスらしいよ、うん。よかったね(棒)
……こういう展開にしかならないってわかってたよね、DVDの時点でね? だからある意味期待通りだよね、AIの皆様……

(ぴょーい)

なんか……うん。
なんでかはわからない。何故か自分の頭の中では舞園さんはこう動いてしまうのです。
でも今回は舞園さんは理由がトンチンカンなので、前回ほどエスパーではないとは思うのですが。
もう、舞園さんに関しては諦めてください、ごめんなさい。自分は指摘が多いのでなんとか能力を下げようと頑張りましたが、もう諦めました

(ぴょーい)

霧切さんねぇ。
今回のことに関しては、霧切さんにとってはそんなにダメージじゃない(と、霧切さんは思ってる)からね

苗木が出てきた時点で舞園さんの思惑は全部読んでるから。スパイ疑惑まではともかく、怪しまれる要素があるのは霧切さん自覚してるんだよね。でも記憶がないから証明できない、何も話せることがない。もともと信用がないと自分で思ってるからマイナスになっても仕方がないと思ってる。

苗木は舞園さんに関してはどうしてもバイアスがかかるから、他のことはともかく舞園さんがかかわると霧切さんは苗木の評価が下がるようで、それがぼっちの原因。

そして演技に関しては舞園さんが圧倒的に上だから、何言っても無駄だと切り捨てた感じ。

明日の朝食会の出方を考えているんじゃないかな、今は。うん。

しまった、極力キャラ解釈の解説はしないつもりだったのに……済まない、忘れてください

舞園は苗木に告白しない理由がアイドルの仕事に支障をきたすからなんだから、
桑田と外に出れたとしてもアイドルを優先して捨てられる可能性は高い


 10日目、深夜

《セレスの部屋》


セレス「ふむ。しかしまだ賭けに出るには早い段階ですわね」

セレス「さっさとここから出て、耽美な世界に浸りたいものですわ」

(カメラ目線で嫌味のように吐き捨てると、照明を落とそうとする)

 ぴんぽーん

セレス「…………」

セレス「はい?」

十神『俺だ』

セレス「あら、珍しい。でも、レディを訪ねるにはいささか不適切な時間ですわね」

十神『どうでもいいな、そんなこと。まあいい、扉も開ける必要もない』

セレス「一体何の用ですの?」

十神『必要なことは紙に書いてある。お前が興味あるなら明日朝食会とやらでそれを提案しろ』

十神『別にしなくてもいい。絶対に必要な情報というわけでもないからな』

十神『それだけだ』

 プツッ

セレス「……乱暴な殿方ですこと」

(しばらく経った後、セレスは扉を開け、周囲を確かめると手紙を取った)

セレス「…………」

セレス「……必要不可欠な情報、というワケではありませんが」

セレス「まあいいでしょう。朝食会でいい案が出るとは思えませんし」

セレス「この程度なら乗ってあげますわ。どういう意図があるにしろ」

セレス「わたくし以外なら、誰を殺してくださっても構いませんし」


 11日目、朝

《食堂》


(今日は石丸と大和田と苗木が食事当番だったようだ)

江ノ島「うわ、なにこれ?」

石丸「チャーハンだ!」

戦刃「……味は悪くないけど、朝からチャーハンって普通?」

大和田「うるっせぇよ俺ら三人とも料理出来なかったんだよ!」

山田「班分けは女子が一人必ずいるようにするべきですな」

朝日奈「もう、女子が全員料理出来るとは思わないでよ」

セレス「そうですわね。わたくしは作る気はありませんもの」

苗木「セレスさんが包丁やお玉を持っている姿は、確かに想像できないよね……」

霧切「…………」

舞園「…………」

(全員食べ終わったようだ)

大和田「よぉし。なんか意見あるか?」

(誰も何も言おうとしない)

霧切「………?」

桑田「…………」

苗木「…………」

舞園「…………」

大和田「誰もいねぇか? いないなら」

セレス「では、わたくしの思い付きに付き合っていただけませんか?」

石丸「思い付き?」

セレス「紙を回しますので、その内容を皆さん把握してくださいな」

江ノ島「口で言えばいいじゃん」

セレス「読めば理由がわかりますわ」

戦刃「………これって」

霧切「……なるほどね」

(全員が内容を確認した)

セレス「いかがですか?」

葉隠「よく意味が分からないべ」

セレス「わからない方には結果が分かった後で説明いたしますわ」


大神「班分けは、どうするのだ?」

霧切「ハッキリ言わせていただくと、セレスさんが決めるのは反対よ」

セレス「まあ、提案者を信用できないのは当然ですわね。これを利用して殺人を考えているかもしれないと思うのは自然ですもの」

朝日奈「え!?」

セレス「ですが、必要な情報だとは思いませんか?」

セレス「現状、出来ることがないのですから」

舞園「十神くんは、どうしますか?」

舞園「知らせないわけにも、いかないと思うんですけど」

大和田「しゃあねぇな。俺が知らせてくらぁ」

セレス「では、提案を受け入れてくださると?」

大和田「よくわかんねぇが、とりあえず出来ることはやっといたほうがいいだろ」

石丸「喧嘩が起きるといけないから、僕も一緒に行くぞ!」

桑田「……それで、班分けはどうするんだ?」

霧切「とりあえず、実験をAとBに分けて考えましょう」

霧切「Aは先に書いてあった方。これは三人必要になるわ」

セレス「そうなのですね?」

霧切「知らなかったの?」

セレス「昨夜、思いついたことなので」

舞園「…………」

霧切「Bの方はどうするの?」

舞園「残る全員がバラバラの位置でいいんじゃないんですか?」

山田「ですが、それだとその、Aが実行された場合に……怖くないですかな?」

セレス「では二人一組にしましょう。それでよろしくて?」

苗木「というと、五か所になるんだよね?」

朝日奈「十神はどうなるのかな?」

山田「多分ですが、参加するしないに関わらず、彼は一人だと思いますぞ」

大神「肝心の場所はどうするのだ?」

(しばらく話し合いが続いたが、肝心なことはカメラに撮られないように話されている)

(どうやらこちら側に何かを仕掛けるつもりのようだ)


《ランドリールーム》


(苗木は霧切にランドリールームに連れ込まれた)

苗木「き、霧切さん……」

霧切「何故話さなかったの?」

苗木「え?」

霧切「あなたから見て、私は舞園さんを襲った人間でしょう?」

霧切「舞園さんが黙っていた理由は何?」

苗木「…………」

苗木「ねぇ、本当に舞園さんを襲ったの?」

霧切「私が違うと言ったら、舞園さんとの証言に食い違いが生じるけど」

霧切「あなたはどっちを信じるの?」

苗木「…………」

霧切「意外ね。迷ってくれるぐらいには私、信用してくれてるなんて」

苗木「だって……だけど、やっぱり」

霧切「舞園さんはなんて言ってたの?」

苗木「……ごめん、言えない」

霧切「そう」

霧切「じゃあいいわ」

(霧切は去った)

苗木「…………」

苗木「このままでいいわけない、けど」

苗木「どうすればいい? どうすれば……」

苗木「……やっぱり、聞かないと」

苗木「確かめないと」


 11日目、昼

霧切は桑田に、苗木は舞園に接触し昨晩の真意を確認するようだ

どちらを優先して監視しますか?

1、霧切・桑田
2、苗木・舞園


>>841スナイプです


 11日目、昼

《舞園の部屋》


 ぴんぽーん

舞園「はい」

苗木『ボクだけど。いいかな』

舞園「……どうぞ」

(苗木が入ってきた)

苗木「…………」

舞園「どうしましたか?」

苗木「昨日のこと、大丈夫?」

苗木「DVD見た後、ちょっとパニックになってたし、霧切さんのことも……」

舞園「…………」

舞園「怖かったです。とても」

苗木「……そう、そうなんだ」

苗木「ごめんね。傍にいられなくて」

舞園「ふふっ、ありがとうございます」

舞園「私は大丈夫ですよ」

苗木「舞園さん、約束、覚えてる?」

舞園「…………」

苗木「ボクはキミに騙されない、裏切らせない」

苗木「そんな辛いこと、させたくない。その約束をした時の、キミの顔は」

苗木「苦しそうだった。裏切るかもしれない自分に怯える、キミの姿は」

舞園「そう見えたんですか? 自分じゃ、わからないですけど」

苗木「DVD……何が映っていたの?」

舞園「……苗木くんは?」

苗木「……家族が……」

舞園「そう。私は、私のグループが……グループのみんなが」

(舞園は涙をこぼした)

苗木「舞園さん」

舞園「…………」

舞園「消えちゃった」

舞園「私、消えちゃったんだ……」

舞園「みんなの中から消えちゃった。でも、私に確かなものが一つ、あるとしたら」

舞園「…………」

舞園「私、苗木くんが好きです」

苗木「―――え?」


舞園「……本当、ですよ」

舞園「だから、苗木くんがこのコロシアイに乗ろうとしてたなら、私は何でも手伝ったと思います」

苗木「そんなの、駄目だよ!」

舞園「ですよね。苗木くんはそういう人ですよね」

舞園「みんなで脱出したいんですよね。だから」

(舞園は苗木を抱きしめた)

舞園「――やっぱり、男の子の身体なんですね」

苗木「舞、園……さん」

舞園「私の中で確かなものは、もう、苗木くんが好きという気持ちだけだから」

舞園「私、苗木くんの為なら何でもする」

舞園「苗木くんの望みを叶える為に、何でも」

舞園「…………」

苗木「…………そ、その」

舞園「……苗木くんは優しいから、私のこともきっと可愛く思ってくれてるんだろうなって思います」

舞園「嬉しいです、そうだったら。すごく嬉しい。だけど」

舞園「その想いが、苗木くんの邪魔をするなら」

舞園「――苗木くんの中の私を滅茶苦茶に壊してあげるから」

苗木「え?」

舞園「そしてもし、私が苗木くんの邪魔をするようになったら」

舞園「苗木くんが私を、捨てやすくなってあげますから」

苗木「舞園さん、何を考えてるの……?」

舞園「…………」

舞園「ありがとう。裁判の時、私を庇ってくれて……本当に嬉しかったです」

舞園「じゃあ。またあとで」

(それ以降は舞園は何も話そうとせず、苗木は気圧される形で部屋を出た)



《寄宿舎・廊下》


苗木「…………」

苗木「舞園さんが、ボクのことを……?」

苗木「ボクの為に、何をする気なんだ……!?」

(苗木は扉を見た)

(インターホンを押そうとしたが、代わりに壁に拳を叩きつけ、その場を離れた)


 11日目、夜


(生徒はくじ引きで決めた場所に移動している)

(ペア5組と1人が3組・十神は形としては不参加となっている)


A(苗木・石丸)  ――寄宿舎1F・食堂

B(桑田・江ノ島) ――校舎1F・体育館

C(セレス・朝日奈)――校舎1F・玄関ホール

D(霧切・戦刃)  ――校舎2F・教室2-B

E(山田・舞園)  ――校舎2F・廊下:下り階段付近

 大和田 ――寄宿舎1F・廊下:上り階段付近

 大神  ――校舎1F・廊下:寄宿舎渡り廊下付近

 葉隠  ――校舎2F・廊下:下り階段付近


 十神  ――寄宿舎・自室



 午後6時


『モーノークーマー!!』


ペアの生徒達が一斉にモノクマ端末を呼び出している

端末を操れるのはAIの処理能力を考えて、最大3体までとなるが



 A・B・C・D・E どこに現れ、どこを無視するか


最大3体までだ可能だが、3体を出す必要があるだろうか


>>857 組み合わせを決めてください
    呼び出しをすべて無視しても構わないし、応えられる限り応えても構いません

ACD

 A(苗木・石丸)


石丸「おい、いるのだろう? 出てきたまえ?」

苗木「いや、正確には見ているんだろうが正しいんだけど」

(ぴょーい)

モノクマ「なんだよ?」

石丸「改善要求だ!」

モノクマ「何を?」

苗木「え?」

石丸「勉強に必要な教科書や参考書の類を強く要望する!」




 C(セレス・朝日奈)


朝日奈「モーノークーマー!」

(ぴょーい)

モノクマ「なんだよ?」

セレス「改善要求ですわ」

モノクマ「何を?」

朝日奈「ドーナツ! ドーナツが食べたい!」

セレス「嗜好品の類ですわね。豊かな学園生活にするためにも是非」



 D(霧切・戦刃)


霧切「モノクマ、出てきなさい」

(ぴょーい)

モノクマ「なんだよ」

霧切「あなたに訊きたいことがあるの」

霧切「そもそもあなたの求める<絶望>とは何か」

戦刃「…………」



 B(桑田・江ノ島)

 
江の島「モノクマ、モノクマ! ……出てこないってマジ感じ悪いー」

桑田「他は出てきてんのか?」

江の島「出てきたら服とはそういうの要求したのに」



 E(山田・舞園)


舞園「モノクマさん、モノクマさん!」

山田「出てきませんな」

舞園「他は出てきてるんですかね?」



 午後6時1分


 寄宿舎1F・校舎1F・2F、停電


 大和田・大神・葉隠の3人がそれぞれ階ごとのブレーカーを落としたようだ


 ―――ブレイカーは殺害の際の停電工作に使えるよう、階ごとに設定している。

 ――――――赤外線カメラに切り替え、その間3,261sec

 ――――AIが端末操作にCPUをフル稼働させたため、切り替えが遅れてしまう欠点を認識







 モノクマ「こらー! ブレイカーは自分で戻さないと先生は戻したりしませんよー!」



 ――――停電回復、停電時間62,348sec


 モノクマ「もう! まあ、要望は聞くだけ聞いといてやるよ。聞くだけは只だしね」


(ぴょーい)
(ぴょーい)
(ぴょーい)


 A(苗木・石丸)

苗木「ボクたちはここで待機……だよね?」

石丸「この情報が役に立つ……のか?」




《食堂》


朝日奈「た、大変だよ、大変だよ!」

石丸「どうしたのだ!? まずは落ち着いて報告したまえ!」

朝日奈「あ、あのね」

朝日奈「舞園ちゃんがいないの! ここに戻ってきてない!?」

苗木「――え?」


 午後6時22分



《食堂》


(生徒達は手分けして舞園を探したが、見つからなかったようだ)

(十神も合流し、全員で話し合っている)

大和田「おい、山田。お前と一緒だったよな?」

山田「ひ、ひぃぃぃ! わ、我が輩は何も存じ上げませぬぞ!?」

石丸「とりあえず、わかる範囲のことでいいから説明したまえ!」

山田「ど、どうもこうも」

山田「停電が起きて、異様に真っ暗でビックリしてしまってですな」

山田「我が輩はもう、案山子のように立ち尽くしておりました」

セレス「会話は一切なしですか?」

山田「え、えっと。停電が起きた瞬間、ちっちゃく「きゃっ」と可愛い悲鳴がありましたが」

山田「そのあとは何も」

江ノ島「1分かそこらでしょ、停電って」

十神「普通ならどこにも行けるわけはないな」

霧切「停電はどうして直ったの? モノクマのスピーカーの声は聞こえたけど」

大神「長時間、暗闇にすることは危険に思った。我はモノクマのスピーカーの声をキッカケにあげた」

大和田「俺は校舎から明かりが漏れているのを見て、それでブレーカーを上げた」

葉隠「俺も似たようなもんだべ。1階が光ったから」

霧切「ということは、厳密には校舎1階、それから寄宿舎と校舎2階が続いた……」

桑田「…………」

桑田「俺、もう一回探してくるわ……」

石丸「そ、そうだな。今は舞園君の安否を確認する方が先だ!」

セレス「ふう。改めて探したほうがよさそうですわね」

セレス「死体探しに変わるかもしれませんが」

桑田「み、見てないのは1分程度だろうが! まだ何もわかんねぇよ!!」

(全員が食堂を出ていこうとした)

十神「人間消失、か」

十神「中々面白いことを考えるが、さて、意味はあるかな?」

苗木「十神クン。何か、知ってるの?」

十神「行くぞ。とりあえず舞園を見つけないと話にならん」

苗木「ま、待ってよ!」


(しかしその日、舞園さやかは生徒達には見つけることが出来なかった)

(そして、監視カメラにも、停電以降の舞園さやかの姿は確認できていない)

(生死不明、概要不明――裁判が起きた場合、進行に支障をきたす可能性アリ)

(EMG・EMG・EMG.........)

誰が何をやらかしてくれたんでしょうかねぇ。
人間(死体)消失ってミステリーでは定番ですが、

とりあえず死体が見つからないと学級裁判は出来ません。えらいこっちゃですね、頑張ろうみんな

(ぴょーい)


 11日目、深夜

《苗木の部屋》


苗木「…………」

苗木「やっぱり、眠れない」



《校舎2F・廊下》


苗木「舞園さん、このあたりで……」

??「――誰だ!?」

苗木「うわっ!? だ、だれ!?」

桑田「な、なんだ。苗木か」

苗木「桑田クン。キミも、舞園さんを探しに?」

桑田「…………」

桑田「な、なあ」

桑田「俺が、マジでさやかちゃんを好きになったって言ったら」

桑田「お前、どうする?」

苗木「――え?」

苗木「ボ、ボクは……」

苗木「…………」

苗木「舞園さんは、魅力的な人だと思うよ」

苗木「可愛いし、真面目だし、いつもすごく頑張っていて」

苗木「桑田クンが好きになるのは、全然おかしくないよ」

苗木「だけど、危うくて……すぐに壊れそうで」

苗木「ボクは――……、」

桑田「…………」

桑田「知ってる。わかってる。それでも、俺は……」

桑田「いや、そういうさやかちゃんが好きなんだ」

桑田「でも、さやかちゃんは俺を好きになることは……ねぇんだよな」

桑田「苗木。知ってるか?」

桑田「さやかちゃん、お前のこと、本気で好きなの」

苗木「…………」

苗木「そっか。本当に、舞園さんはボクのことを」

苗木「…………」


桑田「…………」

桑田「お前、さやかちゃんの為に何が出来る?」

苗木「ボクは、舞園さんを……」

苗木「…………」

桑田「答えられねぇのか? 答えられない程度なのか?」

苗木「…………」

桑田「……なんでお前なんだよ」

桑田「なんで俺じゃねぇンだよ!!」

苗木「桑田クン……!」

桑田「お前、さやかちゃんが俺に何言ったのか知ってんのかよ!?」

桑田「なあ!? お前、何を知ってる!?」

桑田「苗木の為に何を出来るって言ったか、知ってるか!?」

苗木「………っ!!」

桑田「俺は……俺は……」

桑田「俺じゃ、ダメなんだよ……」

桑田「助けられねぇンだよ……無理なんだよ」

桑田「だから、俺は」

桑田「俺は、さやかちゃんを手伝う」

苗木「キミは、舞園さんが何をしようとしているのか、知ってるの?」

桑田「……わからねぇよ、そんなこと」

桑田「消えたことだって……わからない、何も知らない、けど」

桑田「俺、アホすぎて、何がなんだかさっぱりだけど」

桑田「お前がさやかちゃんのやり方を否定するなら、俺お前を潰すから」

苗木「桑田クン……!」

苗木「…………」

苗木「ボクは、舞園さんが間違ったやり方をしようとしているなら」

苗木「ボクは、それを止める。たとえそれがボクの為になったとしても」

苗木「それがボクを追い詰めることになったとしても」

苗木「……それが、ボクなりの、舞園さんへの想いの応え方だから」

桑田「…………」

桑田「さやかちゃんの気持ちを無視するんだな?」

桑田「お前のためにやってることを、否定するんだな?」

苗木「それが、舞園さんを傷つけているなら」

苗木「そんなのは間違ってる。ボクはそんなこと、望んでない」

苗木「だから、止めるよ」


桑田「…………」

桑田「わかった」

桑田「お前、さやかちゃんの敵だな?」

苗木「舞園さんは……『仲間』だよ」

桑田「ちげーよ。お前はさやかちゃんの気持ち無視してんだから、『敵』だ」

桑田「さやかちゃんも、苗木の気持ちを無視してんだから……お前の『敵』なんだよ」

苗木「…………」

(桑田は階段を下りていった)

苗木「ボクたちは、敵なんかじゃないのに」

苗木「…………」

霧切「大変ね」

苗木「うわっ!? 霧切さん!?」

苗木「い、いつからそこに?」

霧切「苗木くんが来る前から。というより、悪いけど会話は全部聞いたわ」

苗木「あ、う……うう」

霧切「今更恥ずかしがらないで。なかなかカッコよかったと思うわ。苗木くんも、桑田くんも」

霧切「どっちもある程度正しいもの。正直、女としては舞園さんが羨ましいし、同時に嫌いだわ」

苗木「舞園さんは、悪い人じゃ」

霧切「この環境で生き抜くには、それぐらいしたたかじゃないといけないのかもしれないわね」

霧切「けど、そういう狡さを。卑怯さを、開き直れない程度には舞園さんは弱い人みたいだから」

霧切「自分を傷つけてでも苗木くんに尽くすなんて、健気でいいじゃない」

苗木「ボクは、そんなこと望んでない……」

霧切「苗木くん。あなたみたいにみんながみんな真っ直ぐで前を向ける人間ばかりじゃないわ」

霧切「むしろ、そういう人じゃないと、見えないこと、出来ないことはある」

苗木「…………」

霧切「無事、見つかるといいわね。舞園さん」

霧切「彼女があなたにもたらすものが何か、私も興味あるから」

霧切「じゃあ。もう休んだ方がいいわ」

霧切「多分、闇雲に探しても見つからないから。ただ隠れただけじゃないみたいだし」

苗木「…………」

苗木「わかった。そうするよ」

苗木「…………」




苗木誠<超高校級の幸運>

★★★★★★★★☆☆

桑田怜恩<超高校級の野球選手>

★★★★★★★★★☆

……恋愛要素入れるとこうなりました、サーセン!
いや、桑田ってこんな……アレ?

舞園さんは罪深い人です。本当に。最低な!

あと、キャラはどうしても作者のフィルターがかかるので、それが嫌な人はもう読まない方がいいと思います。これに関してはどうしようもないんです。申し訳ありません。

自分の解釈通りのSSをご自身で書けばいいんじゃないかと思います。それではまた

 12日目、朝

《食堂》


(十神も含め、全員が集まった)

(朝食を食べる雰囲気ではないらしく、すぐに会議が始まった)

大和田「何か変わった様子はなかったのか?」

石丸「まず、これは事件……その、舞園君は既に」

江ノ島「やめなよ。とにかく何にもわかんないんだし」

朝日奈「そ、そうだよ! きっと生きてるって!」

十神「気休めにもならないことを言うな。お前がそう信じたいだけだろう?」

朝日奈「そう信じたくて何が悪いの!?」

大神「落ち着け、朝日奈よ。揉めても仕方がない」

桑田「な、なあ山田」

山田「え、我が輩?」

桑田「最後にさやかちゃん見たのはお前だろうがっ!!」

葉隠「ちょちょちょ、桑田っち落ち着くべ。ちょっとなんか、顔がマジすぎるべ?」

苗木「山田クン。昨日のこと、よく思い出して」

山田「と言われましても……」

山田「実は、我が輩は停電になった瞬間からうずくまってしまいまして」

十神「うずくまった?」

山田「暗いところが苦手でして……」

セレス「使えないデブですこと」

山田「そ、その、罵るならもっとはっきり罵っていただいた方が精神衛生上楽なのですが」

戦刃「……何も、見てないの? 聞こえてない?」

山田「あの、そもそも見えなくてですな。声もそれっぽいのは」

苗木「…………」

桑田「だ、大体」

桑田「何でセレスはあんな提案したんだよ?」

セレス「あら?」

桑田「あらじゃねーよ! さやかちゃんが消えたのは停電に紛れてだろ!?」

桑田「じゃあ怪しいのはセレスじゃねーか!? 山田と二人でさやかちゃんを」

石丸「お、落ち着きたまえ、桑田君! ちょっと君の様子がおかしすぎるぞ?」

桑田「…………」

セレス「まあ、確かにその件に関しても話さないといけませんわね」

セレス「実はこの提案はわたくしの発案ではないのです」

葉隠「へ? じゃあ誰」

十神「俺だな。セレスに頼んでおいた」

大和田「ああ?」

セレス「そうですわね。これがその証拠です」

(セレスが紙を机に置く。実験内容が指定された内容だ)


霧切「十神くんはどういう意図でこの実験を?」

十神「あのぬいぐるみが同時に何体まで動くのかには興味があってな」

十神「停電の実験はついでだ」

石丸「ついでとは見過ごせない! その停電の中で人が一人消えたのだぞ!」

十神「だがその時、俺は自室にいたぞ?」

苗木「少なくとも寄宿舎にいたのは間違いないよね。ボク達もそれを確認してるし、校舎に行ったなら途中で誰かが気付くよ」

十神「本人がどこかに隠れているという可能性はどうだ?」

朝日奈「どうして?」

十神「理由は本人に訊け。可能性の話だ」

山田「いや、ですが、それだったら探しても見つからないってことはないんじゃ」

大神「人一人隠れられそうな場所なら既に探し尽くしたはずだが」

葉隠「うんにゃ、まだ探してないところがあるべ」

苗木「え?」

十神「ほう? ぜひ聞かせてもらおうか、寝言をな」

葉隠「俺は起きてるっつーの!」

大和田「十神は相手にすんな。探してない場所ってどこだ?」

葉隠「ズバリ! シャッターの向こう側だべ!」

セレス「どうやって向こうに行ったのですか?」

葉隠「舞園っちはエスパーだべ、透過能力ぐらいはきっと持ってる!」

大和田「……マジで言ってるのか?」

葉隠「ま、まあどうやってはわからねぇけどよ」

葉隠「何日か前だっけな。舞園っちは「2階のシャッターの向こうに手掛かりがあるかもしれない」って言ってたんだべ」

江ノ島「まあ、そりゃそう思うけどね」

戦刃「……どうやって、を除けば、確かにつじつまが合うかも」

江ノ島「いや、合わないっしょ。どうやっては除いちゃいけないし」

苗木「けど……そうか。これが舞園さんの意志によるものなら」

苗木「舞園さんの行動を追っていけば、何か手がかりが」

桑田「……気にしてたっつーなら霧切だろ」

霧切「…………」

大和田「どういうことだ?」

霧切「……一昨日、舞園さんとちょっとしたトラブルがあったのよ」

朝日奈「と、トラブル?」

大神「詳しく聞かせてもらうぞ」

霧切「トラブルの内容は大したことないの」

桑田「あれを大したことないってよく言えるな、お前?」


大和田「待て。桑田もそのトラブルに首を突っ込んだのか?」

苗木「桑田クンだけじゃない。ボクもだよ」

桑田「…………」

苗木「…………」

霧切「構わないわ。あなたたち二人が知っているなら、舞園さんが私に抱えていた印象を教えて」

桑田「…………」

苗木「……桑田クン、ボクから話すけどいい?」

桑田「……好きにしろよ」

苗木「…………」

苗木「これは、あくまで……舞園さんがそう思っていたという話だから」

苗木「みんなには引き摺られないでほしいんだけど」

十神「前置きはいい。早くしろ」

苗木「……舞園さんは、霧切さんを、黒幕と通じているんじゃないかって言ってた」

山田「なぬぅ!?」

朝日奈「ええ!?」

セレス「まあ、わたくし達の中にそういう人間がいると考えるのは自然なことですわね」

石丸「し、自然なのか?」

十神「お前達は考えていなかったのか? 愚民が」

苗木「理由は、霧切さんはその、捜査に詳しすぎるから」

苗木「裁判を進めるうえで議論があさっての方向に行かないように、修正する役目じゃないかって言ってた」

霧切「なるほどね。それで?」

苗木「そ、それでって」

苗木「だから、舞園さんは霧切さんが怪しいんじゃないかって。でも、杞憂かもしれないからみんなには話さない、みたいな」

苗木「そんな感じだった」

霧切「その件に関してははっきりとノーと答えさせていただくわ。まあ証明は出来ないけどね」

戦刃「その、そのことはきっとすごく大事なんだろうけど」

戦刃「霧切さんは停電の時私と一緒にいたから。音があれば気付くし」

霧切「…………」

苗木「……あ、あのさ。根拠はないんだけど」

苗木「舞園さんが消えたのは、舞園さんの意志だと思うんだ」

桑田「……っ!!」

苗木「…………」

十神「何故そう思う?」

苗木「……最近の、正確にはDVDを見た後の舞園さんの様子からだよ」

セレス「確かに、裁判では追い詰められ、DVDでトドメを刺された感じはありましたわね」

セレス「それで、自殺でも試みたのでしょうか?」

朝日奈「自殺!?」

桑田「さやかちゃんが自殺なんてする訳ねーだろ!?」



大和田「桑田、落ち着けよ。さっきからお前おかしいぞ。大丈夫か?」

桑田「…………」

桑田「じ、自殺だったとしても」

桑田「意味のない自殺は、さやかちゃんがするわけねーよ」

苗木「ボクもそう思う」

苗木「……舞園さんは、手掛かりを求めていたんだ」

苗木「みんなでここを出ようとしてたんだ。そのために」

霧切「ただ、そのために無茶な行動をした可能性はあるわね」

苗木「え?」

霧切「一言で言うなら、深入りしすぎた……」

十神「舞園は知りすぎて、消されたと?」

桑田「モノクマぁぁ!」

(ぴょーい)

モノクマ「はいはい。言いたいことは大体なんとなく想像つくから先に言っちゃうと」

モノクマ「ボクは舞園さんに何もしていません! 笑いの神に誓って本当です!」

葉隠「笑うとこじゃねーべ」

モノクマ「そもそもこの学園を調べるのは自由だしね。深入りも何もないよ」

モノクマ「それに、舞園さんの死体を隠す理由もボクにはないしぃ?」

モノクマ「みんなの前にドドーンと大・公・開! しちゃいたいぐらいなのに」

モノクマ「というか、ホント、どこ行ったんだろうね?」

(ぴょーい)

桑田「てめぇ、待てよ!?」

霧切「…………」

霧切「もし、舞園さんが隠れ続けて起きるメリットがあるとしたら、何があるかしら?」

江ノ島「それは……舞園ちゃんにとって? アタシ達にとって?」

霧切「私達でいい。舞園さんはコロシアイそのものを望んではいないから」

朝日奈「って言われても……みんなが心配するだけだよ?」

十神「…………」

十神「まず、舞園の居場所をモノクマは把握していると思うか?」

葉隠「え? そりゃしてるだろ? そこらじゅう監視カメラだらけだべ?」

十神「まあいい、とりあえず把握していないと仮定しておけ」

十神「モノクマ側のスペックの全容がわからない以上、どこまで把握しているかも不明だ」


十神「……メリットというなら、腹立たしいことだが」

十神「舞園はそもそも、裁判の制度を崩しにかかっているんじゃないか?」

石丸「裁判の制度を、崩す?」

十神「裁判、おしおきの流れは、黒幕が犯行の一部始終を理解していないと成り立たない」

山田「冤罪で殺されるなんてもってのほかですからな!」

十神「舞園が騙したかったのは、俺らじゃなく黒幕かもしれんな」

苗木「黒幕を騙す……?」

十神「さっき苗木は『舞園は霧切が裁判を進める上でのヒント役なんじゃないかと疑っていた』」

十神「そう言ったな?」

苗木「う、うん」

十神「だとすれば、それはクロにすさまじく不利なことだ」

十神「つまり、そもそも裁判は公正に行われていないということになる」

十神「俺たちが何故おしおきを受け入れたか? それはクロが間違いなく殺人を犯したと認識していたこともあるだろう?」

大和田「…………!」

十神「舞園はコロシアイを望んでいない。そう仮定するなら」

十神「裁判の制度を崩しにかかっていった。裁判の公正さを疑わせれば殺人を犯す気は」

石丸「た、確かに減るな……クロにとってそんな不利すぎる条件があるなら、また話は別だ」

セレス「公正に行われない裁判に、自分の命を賭けることは確かに出来かねますわ」

セレス「ギャンブルで言うと、ディーラーも敵……それははっきり言って、イカサマですわね」

十神「つまり、茶番だ」

苗木「…………」

苗木「確かに、それは……ボクの……」

苗木「コロシアイをしない、望んでない、ボクの……」

苗木「…………」


十神「クロにとって不利なスタートというのは、1回目で既にあった。大和田、お前が一番よく知っているな?」

大和田「ああ? なんだと?」

十神「お前、もし裁判があると知っていたら、あんな工作は行わなかったと言っていただろう?」

大和田「……確かに、そうだけどよ」

十神「舞園もそれは気付いていた。俺に嫌味を言う程度にはな」

セレス「十神くんはコロシアイに積極的でしたものね。けど2回目の裁判を経験したくない理由は」

霧切「モノクマによる後出しじゃんけんが嫌だったから」

朝日奈「って、もう1回目だけでも既にアウトじゃん!」

苗木「だから、コロシアイなんてダメなんだ」

苗木「クロになってなんて考えても、必ず暴かれるなら」

苗木「だったら、みんなで協力していった方が」

十神「という流れを舞園は期待した。誰もがクロになることに消極的になるように」

十神「……ちっ。面白くない。だがゲームのマスターが公正じゃないなら」

十神「そんなゲームには乗れないのは確かだ」

苗木「十神クン……!」

桑田「そんなことはどうでもいいんだよ」

桑田「な、なあ……さやかちゃんは、生きてるのか? それとも……」

全員「…………」

桑田「な、なあ、……もう一回、探してくれねぇか? なあ……」

大和田「……そうだな。とにかく見つけないと話にならねぇ」

苗木「…………」

苗木「舞園さん……」

戦刃「…………」

(全員でもう一度捜索したが、やはり舞園は見つからなかった)

このスレは12日を書いたら次スレに移りたいと思います。
ところでみんながコロシアイに消極的になり始めてます。裁判の公正さを疑われているためです

根本を疑われると話にならない、非常にまずい事態なのは確かです。対処法を早急に考えなくてはなりません

ハリーアップ!ハリーアップ! でもどうしよう?

(ぴょーい)

舞園はかなり痛いとこついたな ただ桑田に話してもいいんじゃないかとは思うが
かませとセレスは今のままじゃ乗らなくなったし、たとえ疑わしくてもとにかく外に出たい気持ちを煽るしかない

さくらちゃんと双子に活躍してもらうしかないんじゃないか?
最悪見せしめにだれか死んでもらうとか……無理か、ちーたんですでにそれは達成してるな


 12日目、昼

《図書室》


霧切「…………」

苗木「霧切さん、どうしたの?」

苗木「もしかして、何か分かったの? 知ってるの?」

霧切「苗木くん」

霧切「あなたには私の考えを言うわ」

苗木「……それって」

霧切「勿論、舞園さんのことよ」

苗木「き、聞かせて! どこに」

霧切「それは、言えない。言わないじゃなく、言えない」

霧切「言うことは危険に晒される可能性があるから」

苗木「……どういうこと?」

霧切「十神くんはああ言っていたけど」

霧切「私はそこまで深く考えて行動したとは思えない」

苗木「え?」

霧切「半分、事故のようなものなんじゃないかと思うわ」

霧切「おそらく、舞園さん自身も想定していなかったことが起きた」

苗木「そ、その」

苗木「舞園さんは自分の意志で? それとも」

霧切「私が知っている限りの情報を組み合わせると」

霧切「こんなに長く姿を現さないのはおかしい。十神くんの考えなら」

霧切「長期的に隠れ続ける、非常に計画的なもののはずなの」

苗木「う、うん」

霧切「それにしては、偶発的な要素が多すぎる」

霧切「停電に紛れて。その停電は誰が起こしたもの?」

苗木「セレスさん……十神クンだけど」

苗木「停電の話を聞いてからでも、準備する時間はあったんじゃ」


霧切「そうね。でも、苗木くん」

霧切「確かに、コロシアイは起こらなくなるかもしれない。実際に十神くんはやる気を失っている、それは大きいと思う。だけど」

霧切「私は結果論にすぎないと思う。彼女は停電を利用して少し調べようと思っただけ」

霧切「私を怪しんでいた彼女なら、私が調べていた後を調べたとしても不思議じゃない」

苗木「それって、なんのこと?」

霧切「…………」

霧切「……確かめなければならないけど、ね」

苗木「…………」

霧切「……苗木くん。お腹、痛いの?」

苗木「え?」

霧切「私はここで待ってるわ。話の続きは後で」

苗木「え、え?」

(苗木は霧切に背中を押され、トイレに行った)

霧切「…………」

霧切「…………」

霧切「……………………」

(しばらくして、苗木が戻ってきた)

苗木「…………」

霧切「お腹痛いのは治ったの?」

苗木「う、うん……」

苗木「……何にもなかったよ」

霧切「そう」

霧切「良かったわね……それなら」

苗木「…………」

苗木「ボク、一旦戻るよ」

霧切「そう。じゃあ」

霧切「また後で」

苗木「…………」

苗木「また……後で」

 12日目、夜

《教室 1-B》


大和田「おい、苗木。お前、桑田がおかしいことについてなんか知らねぇか?」

苗木「え?」

大和田「確かによ、舞園が消えたのはやべぇことだし、焦るのはわかるけどよ」

大和田「桑田に聞いたら、苗木に訊けばいいだろって怒鳴って部屋に閉じこもっちまってな」

苗木「…………」

苗木「ボクも、よくわからない事が多いんだけど」

苗木「その、舞園さんが……ボクのことを好きと言ってくれて」

苗木「それで、桑田クンは舞園さんのことが好きで」

苗木「それでちょっと……揉めてるというか」

大和田「……お、おう」

大和田「うわぁ……マジか」

大和田「悪ぃ、それは俺無理だわ」

大和田「俺に出来ることならするけどな。無理だよな」

苗木「う、うん……ボクも正直、どうしてこうなったんだろうって思う」

大和田「ちなみによ、お前はどうなんだよ。舞園のこと」

苗木「ちょっと、いろいろあって……」

苗木「普通の時なら、舞園さんがボクなんか平凡なやつを、なんて夢みたいな話なんだけど」

苗木「舞園さんのこと、よくわかんなくなっちゃったんだ」

苗木「舞園さんが消えたの、その直後だから……桑田クンも混乱してるんだよ」

大和田「わからねぇって何が?」

苗木「う、うん」

苗木「なんだろう。なんなんだろうな、あれって」

苗木「…………」

苗木「とにかく、ボクは……舞園さんが間違いつつあるから」

苗木「それを、引き戻したいと思ってるんだけど」

大和田「間違い?」

苗木「予感、って言ったらおかしいかな」

大和田「いや、おかしいとかじゃないけどよ」

大和田「舞園って裁判の制度を崩すために隠れたんじゃねぇのか?」

苗木「それについては、違うって……」

苗木「ん、ん……えっと。でもそういうことにしておいた方がいいみたいだから、そうしてあげてくれないかな」

苗木「そう、舞園さんのことだけど」

苗木「多分、明日になったら見つかると思うんだ」


大和田「は? ……マジか?」

苗木「うん。でも、どこにいたかは追求しないであげてほしい」

苗木「一応、モノクマの追及をかわすことは出来る、らしいけど」

苗木「ちょっとそれも……舞園さんだけじゃ不安だし」

大和田「待て。舞園は生きているのか?」

苗木「うん。それは、大丈夫」

大和田「ちょっと待て、どこに……いや、もうそれはいい、よくねぇけどいい」

大和田「舞園は何でそんなことをしたんだ? なんで出てこない?」

苗木「それは、ごめん。言えないというか、ボクにもよくわからないんだ」

苗木「ただ、すぐに戻るはずだったのにごめんとは言ってた」

苗木「もう少し待ってて、って」

苗木「…………」

苗木「なんでかな」

大和田「苗木?」

苗木「舞園さんのやってることは、間違いなくボクの願っていることで」

苗木「<希望>に繋がる、戦う手段を手に入れてくれているはずなのに」

苗木「なんで素直に喜べないんだろう」

苗木「この不安はなんなんだろう」

大和田「苗木、おい?」

苗木「…………」

苗木「ごめん……ボクらしくないよね」

苗木「うん。生きてることが分かったんだから、喜ぶべきなんだよね」

大和田「ああ、生きてりゃなんとでもなる」

大和田「だから、しっかりしろよな!」

(バンと背中をたたかれた苗木は、苦笑しながら立ち上がった)

苗木「明日は大変だと思う。だから、頑張るよ」

大和田「応! ったくよー、モテるって……いいよな、マジで」

苗木「お、大和田クン? あれ? どうしたの? ねぇ?」




 12日目、深夜

《戦刃の部屋》


(ぴょーい)

戦刃「モノクマ、舞園さんは」

モノクマ「さあ? 正直、ボクのカメラの外にいるからわかんないんだよね」

モノクマ「でもさ、明日戻るらしいよ。ってか生きてたんだね、つまんなぁい!」

戦刃「そ、そうなの?」

モノクマ「でね、ミッションを伝えに来たよ」

戦刃「…………」




※戦刃むくろに対するミッション内容を考えましょう
 ご意見の中から安価で決めたいと思います。

AIは、隠し部屋を知らないことになってます。
私様が入力をさぼったせいです。何故サボったのかはわかりません。とにかくそうなっています。

(ぴょーい)

おう、いろんな意見が・……

AI的には、直接殺せとは言いません。卒業は自主的に目指してもらうものであり、残姉はその意欲を高めてもらうために動いてもらいます。

というわけで、それを除いて皆さまの意見をまとめると

1、苗木を痛めつける
2、告白の類
3、部屋の破壊
4、舞園さんをなんとしてでも探し出せ

>>955までで多いものにします。上位二つにしようと
ただ、残姉が本当に出来るかどうかはわかりません。残念な人ですもの

ごめん、>>945までと言いたかった。
改めて、>>946までで上位二つです

4

なんかややこしいことになってしまった。
2と4でいいかな。あ、告白は残姉に内容を任せます。

AIが認識しない場所ってなかったはずなの、本当は。多分ね。
殺せ、と命令はしないんですよ。しなければこうなるぞ、という脅しはあっても。

今のところAIがちょっとピンチですね。どうしましょう。

ところで、13日目だけ苗木目線で行くか、そのままAI目線で行くか、今悩んでいるんですが
どっちがいいかな。苗木目線は安価がないからつまらないかもしれないけど、生徒たちが隠れていろいろやってるところがあまりにも見えなさすぎるのはどうなんだろう? 後出しでこの時こう考えてましたみたいな風になりそうだなという思いもありますが隠してた方がいいかなーどうかな、と。迷ってます。まあどうせ大事なところを知ってる人たちは苗木に本心見せたりはしませんけどね。多分。

みなさんの意見を見ながら、もうこのスレはこのまま埋めちゃいます。

次スレは深夜戦刃にミッションから行きます。明日には立てます。ではでは

(ぴょーい)

人狼乗っ取られてるけどいいのかよ
乗っ取り禁止だろ

>>951
教えてくれてありがとう

いや、苗木依存してる状態じゃないから一気にはたためない。

次スレです
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 5【ダンガンロンパ】
【安価SS】モノクマ先生になって絶望を与えてみよう!chapter 5【ダンガンロンパ】 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1387195525/)

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2013年10月12日 (土) 00:24:49   ID: Cn3xwtej

このSSは特定のキャラに無双させて他キャラ貶してる典型だから気持ち悪い。 作者の贔屓ッぷりが異常 このSS早く消えないかな

2 :  SS好きの774さん   2016年01月01日 (金) 14:57:21   ID: k7sfzf1f

中々ですな

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