カレン「あややお姉ちゃん」 (28)

綾「どうしたのよ急に」

カレン「さっき見た夢の話デース。夢であややが私のお姉ちゃんになってマシタ」

綾「授業中に寝ちゃだめじゃない」

カレン「あややお姉ちゃんっ、あややお姉ちゃんっ」

綾「大声で連呼しないでっ」

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カレン「夢ではあややお姉ちゃんがお寝坊さんデシタ」

カレン「私はいつも先に起きて、あややお姉ちゃんの分のお弁当を作ってるんデスケドネ」

綾「ちょっと待って、リアリティが欠けてるどころの夢じゃないわ」

カレン「夢デスから」

綾「それはそうだけど……」

カレン「私の作った朝ごはんを、あややお姉ちゃんは美味しい美味しいと言って食べてくれマス。だめな子ほど可愛いとはこのことデース」フフン

綾「私がお姉ちゃんなのに!」

カレン「綾はお姉ちゃんなんだからしっかりしろー」

綾「?」

カレン「ヨーコお兄ちゃんがあややお姉ちゃんをいましめマース」

綾「今の陽子だったの!? しかもお兄ちゃん!?」

カレン「お兄ちゃん、朝練はどうしたの!?」

カレン「あ、ちなみに夢でのヨーコは何らかの部活に入ってたみたいデス。何部かは知らぬデス」

カレン「ヨーコお兄ちゃんは答えマス。今日は朝練休みなんだー」

カレン「あややお姉ちゃんはボサボサの髪の毛を隠しながら言いマス。もう、それなら先に言っておいてよぉ!」

カレン「あややお姉ちゃんは昔っからお兄ちゃんっ子デース。ヨーコお兄ちゃんの前でだけはだらしないところを見せたくなかったのデス」

綾「それで私は大慌てってわけ? べ、別に私は陽子の前だからって取り繕ったりしないけどっ? まあ夢の話だからいいんだけどねっ?」

カレン「あややお姉ちゃんが急いで支度している間に、ヨーコお兄ちゃんは一人で登校しちゃいマス」

カレン「一緒に登校できると思ったあややお姉ちゃんはちょっとガッカリ」

綾「別にガッカリしたんじゃないわ! ヨーコお兄ちゃんがいなくたって寂しくなんかないんだから!」

カレン「私はヨーコお兄ちゃんにヤキモチモッチモチ。あややお姉ちゃんはヨーコお兄ちゃんのことばっかり見てるからデース」

綾「カレン……そうよね。私たち、姉妹なんだもの。もっと向き合わなくちゃいけないわよね!」

カレン「あややお姉ちゃんと私はハグしマース。美しき姉妹愛を今、ここに再確認したのデス!」

綾「カレンったら……可愛いんだから、もう!」

カレン「あややお姉ちゃん……ダイスキ!」ギュー

忍「ただいま戻りました~」

カレン「シノ! トイレ長かったデスね。ベンピ?」

綾「こらカレンっ、そういうこと聞くんじゃありません!」

カレン「アイムソーリー。えへへ、あややお姉ちゃんに叱られちゃったデース」

忍「?」

忍「なるほど、夢の中でお二人は姉妹になっていたのですね」

カレン「あややお姉ちゃんはだめなお姉ちゃんですが、いざって時はとても心強いお姉ちゃんなのデス」

綾「なによ、照れるじゃない……」

忍「と言いますと?」

カレン「あややお姉ちゃんと登校している道すがら、私たちはナンパされているシノを見つけマシタ」

カレン「あややお姉ちゃんはシノを助けてあげたのデス!」

綾「そんな度胸、私には無いはずだけど」

忍「まあ! ナンパなんて今までされたことありません。一体どんな方にナンパされてしまったのでしょう?」

カレン「アリスデース」

カレン「アリスはシノを壁に押し付けて動けなくすると、シノの耳元でそっと囁きマシタ……」

忍「あっ……」ドキッ

カレン「朝は君の混ぜた納豆が食べたいな」

忍「はひっ、喜んで!!」

綾「ちょっと! 簡単にナンパされちゃだめじゃない!」

綾「まったくシノはっ。今回はアリスだったからいいものの、もし悪い金髪少女にナンパされてたらただじゃ済まなかったのよ!」

忍「はい……反省します……」

カレン「あややお姉ちゃんはアリスにデコピンしておっぱらいマス。残されたシノはなぜか物惜しげに表情を曇らせマシタ」

綾「まだ懲りてないのね!」

忍「ごめんなさい~っ!」

カレン「助けてくれてありがとうございます。ですが……私には彼女が忘れられません」

綾「シノの真似ね」

忍「私そっくりです」

カレン「例えナンパでも、このときめきをくれた彼女は私にとってかけがえのない人」

カレン「シノは助けてくれたあややお姉ちゃんにペコリと頭を下げると、アリスを追うように走っていきマス」

カレン「あややお姉ちゃんはちょっとバツが悪そうデス」

綾「助けたつもりだったのに……人の気持ちって分からないものね」

カレン「あややお姉ちゃんの大人びた横顔に、私は妹として尊敬の眼差しを向けマース……」

カレン「胸がキュンキュンデス!」

忍「カレンは本当にあややお姉ちゃんが好きなんですね」

カレン「えへへ。あややお姉ちゃん、だっこー」

綾「なんで幼児化するのよ。しかたないわね……ほら」ギュッ

カレン「幸せデス」ギュー

忍「……ちょっとC組に行ってきますね」

綾「もう授業始まるわよ」

キーンコーン

忍「ああっ、私もアリスをギューってしたかったです!」

次の休み時間

カレン「今回はあややお姉ちゃんの夢が見れなかったデス」

綾「また寝てたの!?」

忍「私はアリスさんの夢を見ました」

綾「シノまで! ……アリスさん!?」

忍「アリスさんにナンパされた私は彼女を追って走っていました。わっせ、わっせ」

綾「その掛け声は走っていることを表現してるのね」

カレン「芸が細かいデース」

忍「一生懸命走った甲斐あって、前方に金髪少女を発見します」

忍「ああっ、そこのお方! せめて名前だけでも……!」

忍「彼女は振り返り、胸を突き刺すような輝かしい笑顔で答えます」

忍「My name is Alice.」

綾「!?」

綾「気のせいかしら……今一瞬、シノが英語を話したような気が……」

忍「ああっアリスさん。私はあなたにときめいてしまいました。毎朝あなたのために納豆を混ぜさせてください」

忍「そして……私のトーストに、ジャムを塗ってください!」

カレン「オー、ザ・プロポーズ……」

綾「ちょっとシノ、夢が刺激的過ぎるわ!」

忍「そこから先のことは、幸せな気持ちだったことしか思い出せません」

忍「記憶を遡ろうとしても、きんいろのモザイクがかかったみたいで詳しいことは何も思い出せないのです……」

カレン「夢ってすぐ忘れちゃいマスヨネー」

綾「カレンはしっかり覚えてたわよね」

カレン「あややがいたから思い出せたんデース」

忍「!!」

忍「つまり、アリスに会えばモザイクが解除されるということですね……こうしちゃいられません!!」ガタッ

キーンコーン

忍「そんな!?」

綾「時間切れね」

カレン「次の休み時間までお預けデス」

忍「ああっ、だめです、今じゃないと二度と思い出せなくなりそうです……」

綾「諦めなさい」ナデナデ

忍「ううっ、あややお姉ちゃーん!」ダキッ

カレン「あー! あややは私のお姉ちゃんデスヨ!」

烏丸「はーい、席に着いてくださーい」

忍「先生は最近、どんな夢を見ましたか?」

烏丸「先生はそうねぇ、ボケたら突っ込んでくれることが夢だわぁ」

カレン「ヘイ! その夢と違いマンガナー!」

<ドッ! ワハハハハ

烏丸「ああっ、これよ、これがいいの……!」

綾「……」ウトウト

――――

――――――――

綾「あら……? ここはどこかしら。授業中だったはずなのに」

カレン「ヘイ! あややお姉ちゃん、ぼーっとしてたら遅刻するデスよ!」

綾「カレン。そうね、早いとこ学校に行きましょう」

綾「……あれ?」

綾「何かがおかしい」

陽子「綾、遅かったね」

綾「お兄ちゃん! もう、先に行っちゃうなんてひどいじゃない!」

陽子「ははっ、ごめんごめん」ナデナデ

綾「もう…………んん?」

陽子「ほら、自分の教室に行きなよ。朝礼が始まるぞ」

綾「うん。ま、またね!」

綾「はぁっ。学ランが結構似合うのね、陽子って」

綾「そして段々分かりかけてきたわ。このただならない異変の真相が……」

カレン「イエス! ここはあややお姉ちゃんが見ている夢の世界デース」

カレン「あややお姉ちゃん……ヨーコお兄ちゃんばっかり見てないで、私も見てクダサイ」ギュッ

綾「カレン……」

カレン「いつまでも甘えんぼでいたい。こんな妹でも抱きしめてくれマスカ?」

綾「もちろんよ! 私、カレンのお姉ちゃんなんだもの。愛してるわ、カレン」ギュッ

カレン「アイムソーハッピー」

――――――――

――――

綾「ふふっ、ふふふふ……」

烏丸「こ、小路さん? 居眠りはだめですよー」

綾「ふふふふっ……もう、カレンったら……」

烏丸「どうしましょう」アタフタ

忍「幸せそうに眠ってますね」

カレン「そっとしておいてあげまショー」

烏丸「そういうわけにはいかないのよぉ」

綾「うふふふふふ……」

あややはランチタイムまで起きなかったデス。
後で寝言を教えてあげると、それはもうカオマッカーになったデース。


Happy end.

終わりました
またあややお姉ちゃんの夢を見れたらいいなと思います
ありがとうございました

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