都城王土「ほう…学園都市か。 なるほどこの俺を迎えるに相応しい」(1000)

学園都市。
それは総人口230万、最先端の科学技術が研究・運用された独立国家にも相当する巨大都市の通称のことだ。
そしてこの都市には隠された裏の顔がある。
外部から隔離されたこの都市では“超能力開発”が学校のカリキュラムに組み込まれており、230万の人口の実に8割を占める学生たちが日々《能力の開発》に取り組んでいるのだ。

そんな学園都市に、前代未聞のとんでもない転校生がやってきたことから物語は始まる。

幾つもの厳重なセキュリティチェックが終了し、外部と学園都市を繋げている門《ゲート》が開いた。
それは新たな人間がこの学園都市に足を踏み入れたことを意味する。
眼前に広がるは外部より二十年は進んでいる科学技術の粋を凝らした街並み。
初めてこの学園都市を目にする者は誰しもその様を見て息を呑み、目を凝らし、己の常識を再構築する。
だが、この男は違った。


「ほう…ここが学園都市か。 なるほどこの俺を迎えるに相応しい巨大な都市であるようだな」


鷹揚に微笑みながら“悪くはない、満足だ”と言わんばかりの感想を呟く男。

その男は“異様”な風貌をしていた。
生まれつきであろう金髪はまるで重力に反発するかのように天を向き、整った面立ちの中心には煌々と光を放つ紅眼。
その男は全身から“威容”を周囲に振りまいていた。

男の名は都城王土。
“とある”事情を抱え、在籍していた“とある”学園よりこの地にきた。
生まれながらにして王者の気質を持つ王土が腕組みをして学園都市を見渡す。
その背に弾むような声がかかる。

「えへへ☆ 随分とご機嫌だね、王土」


声の主は王土の一歩後ろ、従者のように付き従っているちいさな影が発したものだった。

男子の制服を着込んではいるが、その愛くるしい顔は少年なのか少女なのか。
大きな籠を背負った子供のような風体は、ある意味では都城王土よりも謎めいていると言ってもいいのかもしれない。

影の名は行橋未造。
都城王土に心酔し都城王土に依存し都城王土に付き従う唯一にして無二の忠臣である。

そんな行橋をちらりと横目で一瞥する王土。

「ふん、お前のほうがよほど機嫌がいいように見えるがな。 それよりもだ、“仮面”はどうした?」

「えへへへっ 意地悪な事を言わないでよ王土 “ボクはお前の側にいるならば仮面をつけなくてもいい”ことくらい知っているだろ?」

「あぁ、そういえばそうだったな。 なに、別段他意はないのだ。 気にするな」

不可解な言葉を交わしながらも都城王土と行橋未造が歩き出す。

『僕は悪くない』

「ね、王土? まずはどうするのさ?」

前を歩く王土の背にそう疑問を発する未造。
そんな未造の問に振り返ることもなく王土が応える。

「そうだな。 ともあれまずはこの都市の理事長とやらと会うのが最も手っ取り早いだろうさ」

言葉と共に手の内にある一枚の紙をヒラヒラと振る王土。
厳重に封印された封筒にはそっけなくただ一言、こう書かれていた。


[推薦状]


と。

■学園都市・路上


「うひゃあ! 見て見て初春! チョー美味しそう!」

嬉しそうな少女の声。
その声の主は佐天涙子という。
ついさっき露店で買った特盛りのクレープの大きさに驚き、目を輝かせて親友に声をかけたのだが。

「ちょ、ちょっと待ってくださいよー 佐天さーん…」

返ってきたのは親友の苦渋に満ちた声だった。

「もー まだ迷ってんの?」

その声を聞いて呆れながら振り返る佐天涙子。
そこにはクレープ屋の看板にある見本のクレープを見比べながら迷いに迷っている少女がもう一人。
頭に特徴的な花飾りをした少女の名は初春飾利という。

「そんな必死になって選ばなくてもいーじゃん、また来ればさー」

そう言いながら垂れだしてきたアイスクリームをぺろりと舐める佐天涙子。

「それはそうなんですけど… どっちも美味しそうで…」

飴玉を転がすような甘ったるい声で可愛らしい悩みを口にする初春飾利だった。

俺得支援

「じゃあさじゃあさ、両方食べればいーんじゃない? ダイエット大変かもだけどね」

「わっ! 何を言うんですか佐天さん! ヒドイですよー」

親友をからかう佐天涙子とふざけながらも怒ったふりをする初春飾利。
この少女たちは、その他愛も無いやりとりに夢中になりすぎていた。
周りのことに全く気を払ってはいなかったのだ。

段々と街が静かになっていく。
彼の姿を見た学生は誰に言われるでもなく道を開け、彼の行く手を遮らないように。
ドラム缶という通称で呼ばれている清掃ロボは彼の歩む先にゴミがひとつも落ちないように。
動植物は声を潜め、彼の機嫌を損ねないように。


人も動植物も果ては機械に到るまでが“彼”を尊重し敬っていた。


周囲の異常に気付いていないのはもはや佐天涙子と初春飾利のみだった。

「まま、たーっぷり悩めばいーじゃん? 私はもう我慢出来ないしー。 おっさきー♪」

クレープ屋の前でいまだにうんうん唸ってる初春にそう言い残し佐天涙子がムガッ!と大口を開けた時だった。



「お前たちここの学生と見る。 普通なる俺がお前たちに質問をしてくれよう。 謹んで答えることを許すぞ」


「…ふぁい?」

今まさにクレープにかぶりつかんと大口を開けたままで佐天涙子が振り返る。

そこに立っていたのは金髪紅眼の男。

「第七学区とやらが何処にあるのか俺に教えてよい」

佐天涙子は“一般的”な中学生である。
それでも。 彼女の周りには色々な人間がいて、それなりに人間は見てきている。
学園都市最強クラスの能力者や強力な能力をもった風紀委員、果ては一万人の頭脳を束ねた反則的な科学者まで彼女は目にしてきた。

だが、だけど、だからといって、“こんなこれ”を目の当たりにするのは…あまりにも初めての経験だった。
今の気持ちを喩えるならば…アフリカの草原ではしゃいでいた小鹿の目の前に獅子が現れたようなものである。

大口を開けたまま硬直してしまった佐天涙子を見て、獅子のような男が眉をひそめる。

「おいお前、俺に見惚れるのはしょうがないとしてだ。 そのままでは手に持っている菓子がこぼれるぞ?」

「…ふぇっ?」

言われてようやく、佐天涙子は気付いた。
知らず知らずのうちに手に力が入りクレープを握りつぶしてしまいそうだったのだ。

「うわわ!」

溢れそうなクレープを慌てて口で受け止める佐天涙子。
小さな口の周りを生クリームとアイスクリームでベタベタにしながら、佐天涙子は混乱の極地にあった。
このままでは男の問に答えることはできない。 かといって口からクレープを離せば制服が生クリームでトッピングされてしまう。
堂々巡りの思考で頭がこんがらがってきた佐天涙子の窮地を救ったのは軽やかな声。

「なるほどねー☆ ここは第六学区なんだってさ。 第七学区はあっちの方だってさ、王土」

男の袖をクイクイと引っ張りながら繁華街の向こうを指差す小さな影。
幼女のようなちいさな指先を目でおう獅子のような男がフンと鼻をならす。

「む、そうか。 邪魔をしたな娘」

目を白黒させ固まったままの佐天涙子に向かい事もなげにそう言うと男が踵を返し、目的の地である第七学区に歩いて行く。
もはやこちらを一瞥もしようとしないその後姿を呆気にとられたまま見送るしかできない佐天涙子。

そんな佐天に向かい小さな影が振り返った。

「えへ! 驚かせてごめんねー “王”を引退したと言ってもさ、なんせやっぱりあいつときたら生まれながらにして“王”なんだよ☆」

そう意味が分からないことを口にすると、小さな子供が男の後を追う。
気がつけば、いつの間にか街は喧騒を取り戻していた。

残されたのはクレープに口をとられたまま硬直したままの佐天涙子一人だけ。

「…ど、どゆこと?」

もごもごと口の中のクレープを飲み込んで、ようやく佐天涙子はそう呟いた。

疑問しか残らない。

何故自分はあの男の前であそこまで緊張したのか?
何故男と子供は知っているはずの第七学区の場所を問うたのか?

考えれば考えるほど疑問は膨らんでいく。

出口のない思考の迷路をグルグルと走りだした佐天涙子を止めたのは、ほがらかな親友の声だった。


「お、おまたせしました佐天さーん!」

クレープを手にした初春飾利がほんわかした笑いを浮かべながらこちらに向かって小走りで近寄ってくる。

「結局ですねー 二つのクレープをひとつにしちゃいましたー」

佐天涙子の持つクレープよりも巨大なそれを手に持って初春飾利がエッへンと胸をはる。

「見てください! 店長さんいわく! これこそ超弩級のジャンボ王様パフェなのですって…佐天さん口の周りベタベタですよー?」

「え? あ、うん 大きいね それに美味しそう」

ダイエットは明日から頑張ります!と顔に書いた親友の笑顔をみてそっけなく佐天涙子はそう呟いた。

この調子では先程の男にも全く気がついていないのだろう。
鈍感にも程がある親友に言われるがまま口元を拭きながら佐天涙子はおかしいやら呆れるやら。
頭の花飾りを揺らしながら巨大なパフェをちびちびとかじっている初春飾利を見て佐天涙子は、ふとぼんやりと呟いた。

「超弩級の王様……ねぇ」

ふと頭の中に浮かんだ途方も無い想像。

それを何故か笑いとばすことができないまま、とりあえず佐天涙子は手の中のパフェを平らげようと心に決めた。

才能ないよ
やめた方がいい

■窓のないビル

その部屋には窓が無い。ドアも階段もエレベーターも無い。
そんな棺桶のような巨大な空間の中央にあるのは円筒状の装置がひとつ。
ゴポリという音とともに大きな泡が揺らめく水槽の中には『人間』がいた。

『人間』の名はアレイスター・クロウリー。
学園都市総括理事長であり世界最高の科学者としての側面と世界最大の魔術師という側面をもつ測定のできない『人間』である。
まるでホルマリン漬けのように水の中に浮かびながらアレイスターが言葉を口にした。

「ふむ――そんなにおかしなことかね?」

答えが判っている疑問をわざわざ口にして問うたのは彼なりの試験。
その試験を受けるのは金髪グラサンの少年、土御門元春である。

「あぁ。 充分おかしいさ。 おまえの興味をひく人間だと? 信じれられるものか」

吐き捨てるようにそう答える土御門だが、アレイスターはそんな彼の無礼な口調の答えを気にすること無く、さらなる試験を口にした。

「――そのように見えるか。 あぁ、そういえばおまえは私の目的を知っているのだったな」

「はっ 知るものか。 知りたくもない」

問われ、間髪入れずそう気丈に言い返す土御門だったが気がつけばシャツがじっとりと嫌な汗で濡れていた。
今の試験は正解をしてはならない致死性の問。
もしも答えてしまえば、自分はどうなっているのか想像もしたくない。

そんな土御門を見て満足気に目を細めるアレイスター。
ようやく土御門を試すことに満足したアレイスターがゆっくりと口を開いた。

「箱庭学園――名称くらいは聞いたことがあるだろう? 学園都市と相互の技術提供をしている小さな学園のことだ」

小さな学園、などとアレイスターは口にしたがそれは学園都市全体と比べればの話。
全学年10クラス以上ある巨大なマンモス校に匹敵する規模の学園は学園都市にすらない。

「今からおよそ百年前、試験管計画という名のもとにその学園は端を発した。
 数十の財団、国家の軍部に到るまでその根を張り、狂信的にひとつの目的を追い求める老人たちの集団が前身だ」

「老人たちの目的は『人為的に天才を作り出す』こと。 完全な人間を“造り出す”ことなど不可能だというのに、よくもまぁやることだ」

それはアレイスターが追い求めている一つの可能性に酷似していた。

“神ならぬ身にて天上の意思に辿り着くもの”。 通称SYSTEM。

“人間”を超え、“完全”となることでそこへ到達できる者を生み出すのが学園都市統括理事長、アレイスターのプランの一つならば。
“人間”を極め、“完全”となることが箱庭学園理事長、不知火袴の目的なのだ。

「あの老人の理念など、もとより私は興味がないのだが…」

口の端に笑みを浮かべながらアレイスターは話を続ける。

「だが――とはいえそれは老人たちの理念であり、そこに集う者には関係の無いことだ」

今自分が聞いていることの重大さに緊張しきった土御門を見てアレイスターが言葉を投げかけた。

まさかの組合せなのに良作の雰囲気だと…!?

「土御門元春――おまえにも心当たりがあるのではないのか? 異常な能力を持つ者の周りには何故か異常が集うということを」

そうアレイスターに問われ言葉を返すことができない土御門。
確かに、アレイスターのいう通りなのだ。
土御門元春の親友である“あの男”の周りでは何故か様々な事件が巻き起こり、多種多様な人間が導かれるようにしてやってきている。

「つまりだ… 個人への興味ではなく、現象として興味があるということか?」

乾ききった唇を無理やり動かしてそうアレイスターに問う土御門。
その土御門の問を聞いて、ほんの僅かな肯定の意をアレイスターが示した。

「まぁ――そのようなものだ。 不安に思うのならば見ておくのもこのままここに留まり見ていっても構わないが。 どのような決断をとるかね?」

試すように、そう問われ土御門元春は苦虫を噛み潰したように顔を歪める。

「ッ… いいさ。 ここで逃げ帰ったところで何にもならん。 見届けさせてもらおう」

そして、土御門は広く暗い部屋に広がる闇の中にその姿を消した。

かなり面白いじゃん
最後まで読むから途中で投げるなよ>>1

都城どこ行ったのかと思えばそんな所に…

■第七学区・路上

人通りの少ない路地裏に一人の小柄な少女が立っていた。

長い赤毛を整った顔立ちの後ろで二つに結び、金属製のベルトをひっかけた際どいミニスカートから伸び出る足はスラリと細く白い。
薄いピンク色のさらしのような布で胸を隠しブレザーを引っかけただけの扇情的な上半身は純情な少年ならば直視することもできないくらいの色気を放っている。

少女の名は結標淡希という。

結標淡希は自分がもつ能力である『座標移動《ムーブポイント》』の強力さを買われ、ひとつの仕事を請け負っていた。
その仕事とは、窓のないビルの内部へVIPを案内するという空間転移能力を持つ者にしかできない仕事。

だが。 今その結標淡希は整った顔立ちを苦しそうに歪ませ、その顔色は青く、今にも倒れそうだった。。
突如、内臓に素手を突っ込まれて掻き回されたような酷く強烈な嘔吐感。

(うっぷ……ッ!)

胃酸が喉を焼くも、辛うじて喉元で吐き気をこらえ表面上は事なきを得る。
今、絶え間なく襲ってくる不快感は彼女自身の能力によるものだ。

結標淡希は過去に自分の能力『座標移動《ムーブポイント》』の制御を誤って事故に巻き込まれている。

転移座標の計算ミスにより片足が壁にめり込み、 それを不用意に引き抜いてしまったことで密着していた足の皮膚が削り取られるという大怪我を負った。
それ以来、彼女は自らの身体を転移させることにトラウマを感じるようになり、転移をすれば体調を狂わせるほどの頭痛と吐き気に襲われるようになってしまったのだ。

(くそ… 仕方ないとはいえ。 こんな目に遭うだなんて)

そう心中で毒づく結標淡希。
この仕事はただ要人を送り込むだけではない。

“万に一つも失敗があってはならない”と固く言われ、結標淡希は常に要人と共に座標移動しなければいけない。

往復二回の座標移動。
たったそれだけで彼女の精神と肉体が大きく悲鳴をあげるというのに、今日は最悪だった。

今さっき彼女の仕事用の端末が音を鳴らした。
それはつまり新たなVIPがここにくるということ。

つい数十分前、金髪グラサンの男を送り届けたばかりだというのに、更に座標移動をしろということだ。

(ちっ…ビニール袋でも持ってくればよかった)

今もまだ、胸の中ではぐるぐるとヘドロのような悪寒が渦巻いている。
次にまた座標移動をすればほぼ確実に嘔吐してしまうということを彼女は自覚をしていた。

(ただでさえ最近は忙しくなってきたっていうのにさ)

そう胸の内で苛立ちを吐きながらも結標淡希は無表情の仮面をかぶり、指定の場所に立つ。
もっとも…死にそうな顔をしてそこで蹲っていても誰も気にはしないだろう。

今まで結標淡希は色々な人間を内部へと送り届けてきた。
如何にもな風体をした老人やら香水の匂いを撒き散らす赤い髪の神父やら金髪サングラスの高校生やら。

だが、その誰もが彼女の顔を見ようともしない。

…その気持ちは判らなくもない。

今から出向く先はこの学園都市を統べる統括理事会理事長の部屋。
案内人などに気を掛ける余裕があるほどの場所ではないの重々承知している。
結標淡希だってあの部屋に長居などしたくないし、そんなことは考えたくもない。

だが、こちらを見ようともしない訪問者をただ無言で送り届け、迎えに行くという行動の繰り返しは結標淡希の心にしこりのような感情を残していった。
まるで自分がただ人を運ぶ機械にでもなったような。

(…ッ! だから私はここにいるんだ)

そう自分に言い聞かせ、“目的”を胸の中で反芻することで彼女は自らを鼓舞する。
そんな時だった。

朗々たる声が彼女にかけられたのだ。


「ふむ、どうやらここのようだな。 となれば案内人というのはおまえのことか」


「…え?」

振り向いた視界の先に立つ金髪の男を見て結標淡希は言葉を失った。

ふてぶてしいという言葉すら生温い。
尊大という言葉を体現したかのようなその男を見て、思わず結標淡希は後退りそうになった。

「あ…はい…」

呟くようにそう結標淡希は返事をするも、その金髪の男は自らが投げかけた問に対する答えなどはまるで興味がないようで。
紅い眼をチロリと動かすと、いまだ胸の内では不快感が渦巻いている結標淡希を一瞥し、こう言った。

「確かにこの俺を案内するという大任を負ったのだ。 緊張するのも無理からぬことではあるが、そう塞ぎこんだ顔をされるのは気に食わんな」

「…ッ?」

ズバリとそう言いきられ、言葉を失う結標淡希。

無表情の仮面には自信があった。
この仕事をしていて、今まで誰も彼女のことを気遣ったりなどしなかったのだから結標淡希が動揺するのも当然だろう。

男の一言で暴風雨にもみくちゃにされる小舟のように思考と吐き気が絡みあいだし、結標淡希は更なる頭痛に襲われだした。
そんな結標淡希を見て男は寛大に笑った。

「なに、そこまで緊張せずともよいぞ」

ヒラヒラと偉そうに手を振って苦笑する金髪の男。


「『楽にするが良い《ラクニスルガイイ》』」


そう命令するかのような言葉を男が口にした瞬間だった。
フッと、まるで肩の荷が下りたかのように結標淡希のざわついていた臓腑が、荒れ狂っていた頭痛が、嘘のように静かに収まったのだ。

キョトンと狐につままれたように目をぱちくりとする結標淡希。
だが、そんな結標淡希を見ても金髪の男は特に気にする素振りも見せない。

「さて、この俺をいったいいつまでここに立たせているつもりなのだ? 案内人ならば案内をしなければ何も始まりはしないだろうが」

「あっ、ハイ えっと、二名様ですね? ではすみませんがそちらに立ってもらってもいいでしょうか?」

思わず自然とへりくだった物言いをしてしまい、尚且つそれが自然と自分の口から出てしまうことに内心驚きながら結標淡希は軍用懐中電灯を取り出した。
結標淡希に言われるがまま指定の場所に立った金髪の男の隣に付き従う小さな影が立つ。

「えへへ☆ 都城王土ともあろう男が随分と丸くなったんだね ボク驚いちゃったよ」

そう言って笑う小さな子供に向かって都城王土と呼ばれた男がフンと鼻を鳴らした。

「丸くなった? 違うぞ行橋。 俺は常に成長をしている、ただそれだけのことだ」

不敵に笑う金髪紅眼の男と従者のような子供のアンバランスな組み合わせに結標淡希は思わず意識をそらされそうになるも、気を取り直して軍用懐中電灯のスイッチを入れる。

「いきます」

人造の光を振って、結標淡希は二人の人間と共に『座標移動《ムーブポイント》』を行使した。

俺はこのスレを保守するために生きてきたんだ


数秒後、そこには結標淡希がひとりポツンと立っていた。

それは何事も無くVIPを窓のないビルへ送り届けることが終わったということを意味する。

だというのに、結標淡希はぼんやりとそこに立ったままだった。

「都城…王土…」

窓のないビルを見上げながらポツリと呟く。

自分を座標移動したというのに、嘔吐感も無ければ頭痛も無い。

ふと、自分の胸のうちで小さな灯火のような欲求が生まれたということに結標淡希は気が付いた。

だが、それがいったい何を欲しているのかということまでは判らず結標淡希はただ先程の男が窓のないビルより無事に帰ってくることをぼんやりと祈ることしかできなかった。

■窓のないビル

「ようこそ学園都市へ」

まるで感情のこもっていないその言葉。
赤い水に浸された円筒の容器の中に浮かぶ人間を見て都城王土は僅かに眉を曇らせた。

「…流石の俺もこんな様を見るのは初めてだ。 随分と驚かせてくれるものだな」

腕組みをしたままそう言い放つ都城王土。
その態度、姿勢からは微塵たりとも怖気付いた様子がない。

「訳あってここから出ることが叶わん身でね。 気にしないでくれ」

コポリと口の端から小さな泡を零しながらアレイスターが薄く笑う。

「既に話は箱庭学園の理事長から聞いている。 そうだな、さしあたって長点上機学園に君は転校し在籍することとなるが――」

それよりも、と言葉を続けるアレイスター・クロウリー。

「君をここに呼んだのには理由があるのだよ。 ひとつ、聞かなければならないことがあってね」

「…なんだ? 俺が許す。 言ってみるがいい」

無礼にも程がすぎる尊大な態度の都城王土だが、それをアレイスターは咎めること無く問を発した。

「君はいったい何を求めて何がしたいのか? ということだ」

アレイスターのその問いかけを聞いて都城王土はつまらなさそうに鼻を鳴らした。

上条サイドで始まらないのも珍しい

これはいい
素晴らしい
支援ぬるぽ

「ふん、愚問だな」

「――」

都城王土の返事を聞いて僅かに目を細める世界最高最強の魔術師。

だが、それでも都城王土は怯まない。
朗々と問に対して言の葉を返す。

「『俺』。 いつだってそれが俺の唯一の行動原理だ 俺は俺として俺を支配する手掛かりを求めているだけにすぎん」

「ふむ。 そうか。 君は君のためにここに来たと」

「その通りだ。」

そう頷く都城王土を見てアレイスターがゆっくりと瞼をつむった。

「――なるほど。 なに、先程も言ったとおり聞きたいことはそれだけだ。 質問があるのならば聞くが?」

「くだらん。 俺に問いてほしいならばそれなりの態度で言うべきだろうが」

そう言って踵を返す都城王土。

そんな都城王土の背にアレイスターの試すような声がかかった。

「あぁ――そうだな。 言い忘れていたよ」

「…なんだ」

立ち止まりはするものの振り向こうとはしない。
背を向けたままその先を促す都城王土を気にすることなくアレイスターがうすら寒い言葉を投げかける。

「この街は――この学園都市はきっと君を失望させたりはしない――ということだ」

それを聞いた都城王土は僅かに頭を振り、チラリと部屋の隅の暗がりに眼を走らせた。

「フン… 伏兵だかなんだか知らんが闇の中にこっそりと手飼の部下を潜ませる奴に言われてもな」

その言葉を最後に都城王土は今度こそ一度も振り返らず、立ち止まらず暗闇の中に消えていった。

闇の中でカチリと人造の光が瞬き、そしてすぐに消える。

もはや此処に残っているのは無音とも呼べる静寂。

ただ僅かに漏れ聞こえる水の音以外はなにも無かった。

「さて――どうだったかね」

その言葉を聞いて暗がりの中からゆっくりと土御門元春が現れた。

「どうもこうも。 イカれてる、としか言い様がないな」

大魔術師アレイスター・クロウリーに相対して尚、その尊大な態度を崩そうとしない者の在り様などとてもじゃないが土御門は理解出来ない。
アレイスターがその気になれば、刹那という時間すら長いその瞬間でもってあの男は死んでいたはずだ。

ゆっくりと言葉を選びながら口を開く土御門。

「彼我の実力差すら判らないほどの馬鹿か」

と、土御門にみなまで言わせず続きをアレイスターが口にした。

「――それともそれすら気にしないほどの大物か といったところかね?」

自分が発しようとした言葉と一言一句違わぬその言語を聞いて土御門元春は苦々しく唇を歪める。

「どちらにしろ…おまえの圧力に屈してない時点で大物ではあるだろうさ」

ふと土御門元春は思った。

あの“少年”なら、“幻想殺し”をその手に宿らせた彼ならば、きっとあの金髪の男と同じくアレイスターの圧力には屈しないのではないか…と。

「招き入れたのは早計だったかもなアレイスター お望みならば俺が奴の監視でもしてやろうか?」

アレイスターに向かって嫌味を吐きながら土御門元春は自分の胸に高鳴る思いを不思議に思った。
何故自分は初対面であるはずのあの金髪の男をここまで評価しているのだろう…と。

そんな土御門元春の内心を見透かしたように。 アレイスターは面白そうに土御門元春の意見を肯定した。

「ふむ――そうだな。 確かにそうかもしれん。 どうせならば彼の行動を誰かに見張らせるのも一興か」

暗闇にブゥンと音を立てて直接映像が浮かび上がる。
そこに映っているのは都城王土と彼の従者、行橋未造の経歴。

「実験台となり、実験体として、実験の先にあるものを追い求めた男を監視するなら――
 実験体に知性を与え、実験体に感情を動かされ、実験体のために暗部に落ちた一人の少女が相応しいと思わないかね?」

その言葉と同時に、さらにもう一人の少女の経歴が浮かび上がった。
彼が何をしようとしているのか察した土御門元春は苦虫を何百匹も噛み潰したような顔になる。

「…アレイスター。 予想はしていたが…やはり貴様は最低で最悪で悪趣味だ」

今更気がついたのか、と言わんばかりにその言葉を飄々と受け流すアレイスター・クロウリー。

「――そうかね? だが」

男にも女にも、大人にも子供にも、聖人にも囚人にも見えるその『人間』は『笑み』を思わせる表情をつくってこう言った。


「――往々にして予想を超える事態というものは起きるものだ。 さて、あの男は一体どれほど私の予想を超えてくれるのだろうかね」

■学園都市・???

ウェーブのかかった髪とギョロ目が特徴的な少女が深く深く息を吐いた。

少女の名は布束砥信。

[量産型能力者《レディオノイズ》計画]に参加していた研究者であり、その計画を妨害しようとたった一人で反旗を翻した反逆者である。

その布束砥信は今、狭く薄暗い部屋に閉じ込められていた。
そこにあるのは簡素な机と椅子のみ。
机の上には一台のパソコンがぽつんと置かれているだけで、ベッドすら無いその部屋はある意味で監獄よりも残酷な密室である。

(deserved…あの小柄な能力者のいう通りの結果になったということね)

布束砥信の脳裏には拳銃の弾を弾き飛ばしたフードをかぶった小柄な少女の言葉が鮮やかに浮かび上がってくる。


【利用価値があれば命だけは助けてもらえるんじゃないですか?】

【命以外何もかも失った超クソッタレな人生がお待ちかねですけどね】


まさしく彼女の言葉の通りだった。

[学習装置《テスタメント》]を監修し脳内情報の入力を担当していた彼女の頭脳は利用価値があると学園都市の暗部は判断したのだ。

『つまらないからやめた方が良いよ』

レールガン知らない俺はここで朽ちる運命なのか…

布束ぁぁぁ!!!

俺だ!結婚してくれぇぇぇ!


それはさておき期待

今の布束砥信はキーボードを叩くことでしか生きていけない。
与えられた膨大な量の情報を整理し、纏めあげ、吐き出して。
それでようやく生存にギリギリ届く量の食事が配給されるということになっていた。

それが布束砥信の現在。

遠からず彼女は衰弱死するか、それとも意識を失ったあと研究所に送られて生きながらにして身体をバラバラにされ、脳だけを摘出される実験体にでもされるのだろう。

けれど。
布束砥信はそれすら受け入れていた。

間接的にとは言え1万もの命を死に追いやる計画に加担してしまったのだ。
今はただ懸命に生きることにしがみつき、彼女たちの味わった苦難の万分の一でも味わうことこそが贖罪だと、そう布束砥信は覚悟していた。

震える手でパイプ椅子を引きずり、モニターに向かう。
数GBにも及ぶテキストデータを理解し、把握し、再構成し、再構築しなければ次の食事は配給されない。
ゆっくりと息を吐いてキーボードの上に手を置いたその時だった。

ガチャンガチャンと音を立てて幾つもの電子ロックが次々と解錠されていく。
決して開かない筈のドアが開き、その奥には黒服の男が無表情に立っていた。

「出ろ」

その言葉と共に簡素な一枚の封筒を床に放り投げると黒服の男はもはや一瞥すらせずに去っていく。
残されたのは開け放されたドアと呆然としたままの布束砥信。

ゆっくりと震える手でその封筒を拾い、そしてその中に記されていた内容を見て布束砥信は大きな目を更に丸くした。

一枚のコピー用紙に記されている文字は何かの冗談のよう。


[長点上機学園に今度転入してくる人間と接触すること]


もう一枚の紙には転入してくる人間の簡素なデータが記されている。

たったそれだけだった。

報告の義務も期間も罰則も無い。

これは事実上の釈放宣言。

もしかしたら罠なのかもしれないと、布束砥信は思った。

この言葉を鵜呑みにして喜び勇んでここを出ようとした瞬間に頭を撃ち抜かれるのかもしれない。

けれども…それならそれでもいい。


栄養失調で震える足を無理やり動かしてゆっくりと布束砥信は歩き出した。

アブノーマルやマイナスに上条さんの幻想殺しは通用しないよな?
あれは才能みたいなものであって異能ではないはずだし

『だがその詰らなさ、嫌いじゃないぜ』

(…思い出すわね)

無音のエレベーターに揺られながら布束砥信は己が実験に反逆した原点を思い出す。
外に出るに当たって聞きたいことはあるかしら? そう布束砥信は聞いたのだ。
そう問うと、“彼女”はしばらく何事かを考えた後にこう言ったのだ。


【外の空気は甘いのでしょうか?辛いのでしょうか?】


実験体のモルモットがそんなことを気にするようになったのね、と布束砥信は思っていた。
研究者として“彼女”の反応を観察していた布束砥信だったが、重たい扉が開いてふと“彼女”を見た瞬間、思考が止まったのだ。


【様々な香りが鼻孔を刺激し胸を満たします】


その時を境に布束砥信は変わった。


【一様でない風が髪をなぶり身体を吹き抜けていきます】


造り物だと思っていた“彼女”の横顔を見て、布束砥信は反旗を翻そうと決心したのだ。


【日差しが肌に降り注ぎ、頬が熱を持つのが感じられます】


今ならば“彼女”の気持ちが痛いほどに理解できる。

カコン!と音を立ててエレベーターの扉がゆっくりと左右に開き、そして眩しい世界の光が彼女を。
布束砥信の全身を満たした。

二度と見れぬと思っていたその光に包まれて、布束砥信は“彼女”と同じセリフを思い出して…呟いてみる。


「carelessly 忘れていたわ。 太陽とは…こんなにも眩しいものだったのね」


ちょうど朝日が差し込む時間だったのだろう。

朝焼けに照らされた学園都市の上空では飛行船がゆっくりと大気をかきわけていた。

布束砥信の革靴がコツリと小さな音を立てて、アスファルトを叩く。

その音は布束砥信が学園都市に自らの日常に帰ってこれたということの証なのだ。

■学園都市・上空

「ふむ、太陽め。 今日もこの俺に負けまいと燃え盛っているようだな」

ゴウンゴウンと音を立てる巨大な何かの上で腕組みをしたままニヤリと笑う金髪紅眼の男。
生まれながらにして王者の気質を持つ男、都城王土が今仁王立ちしている場所。

それは飛行船の頂点部分だった。
不安定な足元など気にもせず都城王土は満足気に言葉を続ける。

「よい日の出だ。 やはり俺にとって地球は小さすぎるな。 太陽でようやく俺に匹敵するという俺の考えは間違ってはおらん」

都城王土にとって太陽とは己の鏡。
常人が朝、鏡の前で身だしなみを整えるとするならば都城王土は太陽を見て己の姿を確認するのだ。

ようやく“身だしなみ”が終わったのだろう。
都城王土はゆっくりと飛行船の外壁を歩きながら独り言を呟いた。

「さて、そういえば今日が転校初日だったな。 真面目な俺が遅刻するわけにもいかんし、今日はこのぐらいで良しとするか」

数百メートルなどという言葉では追いつかない高度で浮遊する飛行船の外壁を庭のように歩きながら都城王土は頷く。

「どら、そろそろ行橋も起きる頃合いだろう。 俺も一旦帰るとするか」

その言葉を最後に。
都城王土は飛行船の外壁から姿を消した。

しかしまさか布束とは

■学園都市・長点上機学園

長点上機学園。
能力開発において学園都市ナンバーワンを誇り、常盤台中学と同じく学園都市の五本指の1つに数えられている超エリート校。
とはいえ、ここに通っている学生も街に溶け込めば何のことはない普通の若者たちである。

そして、この日は一大ニュースが飛び交う長点上機学園創立以来の大騒動が巻き起こった日となった。

まずは長点上機学園きっての秀才が突然の復帰をしたということ。
何の連絡もなしにパッタリと学園に来なくなってしまった布束砥信がひょっこりとその姿を現したのだ。

それだけでも大ニュースだというのに、今日は二人の転校生がやってくるらしい。
それを聞いて学生達はライバル心をたぎらせる。

常盤台中学とは違い、能力以外でも突出した一芸があれば高位の能力者でなくとも在籍できるのが長点上機学園の特色だ。
どんな奴が転校してくるかは知らないが、例え能力で負けても学問ならば負けはしない!そんな学生達の闘争心。

しかしそれはすべからく金髪紅眼の男にへし折られることとなったのだ。
厳格で有名な老教師を従えるように教室に入ってきた男はグルリとクラスを見渡してから堂々と教壇に立ってこう言った。


「なるほど。 貴様等が俺のクラスメイトとなる者たちか。 喜べ、この俺、都城王土が在籍してやろう」

「えへへ! ボクは行橋未造っていうんだ! よろしくね☆」


最初はただの大言壮語の大馬鹿者がやってきた学生たちは思っていた。
しかし、この男はそのような尺度で図れる規模の男ではなかったのだ。


ふと思ったんだが、箱庭の異常ってのは禁書での原石にあたるのかな?

しかし、都城王土と名乗る転校生は学問、特に物理や数理においてあまりにも凄まじかった。

片手間で暗算で関数を計算してみせたときなどは数学教師の顎が外れたのではないかとクラスメイトたちが囁きだす。

また、もう一人の転校生である行橋未造は情報科学関連において他の者を寄せ付けない独自の理論を展開し、それが正解か不正解か誰も判らないという状況にまでなったのだ。

だがそれも当然のことである。

都城王土は13万1313台の並列稼動してるスーパーコンピュータを同時に操れるほどの演算能力を誇り。
行橋未造はそんな都城王土を補佐し、微調整することが出来るほどの演算能力を持っているのだ。

そう。 演算能力という点において、彼等はそれこそ規格外であるということを忘れてはならない。

かくして、気がつけば転校初日にして都城王土と行橋未造という転校生はクラスメイトの人気者を通り越し、信仰レベルと呼んでもいいほどの信頼を集めることとなる。


だがそんな中でただ一人、布束砥信だけは冷静だった。

原石だとするとどれもレベル5級だと思うんだが学園都市とか比べ物にならんのだが

主要キャラに布束の姐さんが選ばれるとは

(surely …確かに優秀な人材のようね)

そう感心しながらも布束砥信の脳裏に浮かぶのは都城王土のデータに記されていた簡単な経歴。

(彼もまた私と同じく人の命をモルモットのように扱っていたらしいけれど…)

布束砥信は思い出す。
解放されて真っ先に確かめたのは[量産型能力者《レディオノイズ》計画]の進行状況だった。

小型端末のモニタに表示された [実験中止] というそっけない文字を見てどれほど彼女は嬉しかったことか。
だからこそ布束砥信は決意をする。

(もしも、彼が[量産型能力者《レディオノイズ》計画]のような事をここでやるつもりなら…どの様な手段を使ってでも止めなくては)

絶対に御坂美琴のクローン、通称[妹達《シスターズ》]の悲劇を繰り返したりなどはしない。

そう想いと決意を心に刻み込んだ時だった。

突然、都城王土の隣の席に座っていた小柄な転校生、行橋未造が振り向いた。

(!?)

そのタイミングのよさに思わず息を呑む布束砥信。

だが、行橋未造はにっこりと笑ったかと思えば、すぐにまた興味を失ったかのように机にもたれかかる。

(…今のは一体どういうことなのかしら? まるでこちらの胸の内を見透かしたようだったなタイミング…)

退屈そうに椅子の上で足をぷらぷらと揺らせているあどけない顔をした行橋未造が何を思ってこちらを見て笑ったのか。
解を求めるにはあまりにも情報が少なすぎる。
出口のない思考の迷路にはまった布束砥信は授業が終わったチャイムの音にも気付かず一人で思索にふけっていた。

「えっと☆ 布束さんでいーんだよね?」

だから気付かなかったのだ。
声をかけられていると気がついてハッと我に返った布束砥信の前には満面の笑みを浮かべた行橋未造がいた。

「……何の御用かしら?」

思わず身を固くし、冷たい声を出してしまう布束砥信だが、同級生とは思えないほどのあどけなく幼い顔をした行橋未造はそんな態度を気にすることもなく口を開いた。

「えへへ! ボク達ってこの街初めてだからさ。 今度でいいから放課後学園都市の散策に付き合ってよ! できればついでに案内もね☆」

それは布束砥信にとっても願ったり叶ったりである。
この転校生たちの本質がどのようなものか判断するには出来る限り情報を集めておくに越したことはない。

だが、このタイミングでそれを言われるとなると新たな疑念が尽きないのもまた確かである。

「…構わないけれども。 何故私なのかしら?」

どの様な表情も見落とさまいと行橋未造の顔を注視するも、悪意やそれに類する感情は見当たらない。

「えー? 何故って言われてもなぁ… 仲良くしたいからじゃダメなのかな?」

行橋未造の可愛らしい笑顔を見て、布束砥信はフゥと小さな息をつく。
少なくとも自分では彼等がどのような人間であるか理解は出来ないということを理解したのだ。

「…わかったわ。 今日はまだ体調的に無理だけれども、明後日くらいになれば可能なはずよ。 それでいいのならば案内しましょう」

布束砥信の返事を聞いてニッコリと笑う行橋未造。

「えへへっ! 約束だよー☆」

そう言うと、トテトテと軽やかな足音をたてながら都城王土のもとに駆け寄っていく。

都城王土に擦り寄る行橋未造を見て。

(…まるで主人が大好きでたまらない仔犬のようね)

気がつけば布束砥信は心のなかで苦笑いをしていた。

しえん

面白いな

■数日後・学園都市・路上

行橋未造と交わした約束通り、学園都市を案内する布束砥信。

これは思ったよりも厳しいものだった。

良かれ悪しかれ自分が他人の目を集める容姿ではあると自覚している布束砥信だったが、都城王土はそんな彼女の想像を遥かに超えていたのだ。
道行く人の目が集中するもそれを全く気にしようとしない都城王土と共に歩くのはかなり精神的にきつい。クルものがある。

「next ここがセブンスミストね。 学園都市の中でかなりの規模を誇る総合ショッピングモールよ」

それでも頑張って案内を続ける布束砥信に向かってふいに都城王土が口を開いた。
視線の先には微かな駆動音をたてながらのんびりと巡回している警備ロボ。

「布束とやら。 案内もいいがこの都市の治安はどうなっているのだ? まさか警備ロボなどでまかなえる筈はあるまい」

そう都城王土に問われ、布束砥信の頭に名案が閃いた。

「indeed 忘れていたわ。 風紀委員《ジャッジメント》ってご存知かしら? もしかしたらあなたに向いているのかもしれないけれど」

「ほぅ? [風紀委員]…だと?」

聞き覚えのある言葉を聞いてピクリと都城王土の眉が動いた。

>>12
悪いこと言ったらごめんなさいだろ

■風紀委員第一七七支部

「あーもー! なんですのいったい!」

ツインテールが乱れるのも構わず頭をグシグシとかきむしった白井黒子が耐え切れないといった声をあげた。

「そりゃもう確かに? 風紀委員《ジャッジメント》は学生たちの治安維持機関ですもの? そりゃ当然学生たちの情報提供も受け付けておりますけども?」

憤懣やる方なしといった表情のままカチリとマウスを一回クリックする。
モニターに浮かび上がるテキストボックスを見て白井黒子はさらに頭を抱える。

「ですけど! 風紀委員の情報提供フォームは“目安箱”でも“目高箱”でも“妖怪ポスト”でもないんですの!」

もう耐えられない!といった先輩の叫びを聞いて初春飾利がホンワカとした声をあげる。

「はぁー また“アレ”ですかー?」

“アレ”とは学園都市に住まう学生たちからの報告。

曰く…学校帰り、ふと見上げると垂直に壁を歩く影を見た
曰く…早朝、気象飛行船のてっぺんに仁王立ちをする影があった
曰く…不気味な仮面が暗闇の中を通り抜けていった
曰く…ゲームセンターで99連勝をする子供がいた

オカルトじみたそんな噂話のような報告がここ最近風紀委員のメールボックスにあふれんばかりに届いてくるのだ。

「面白いですよねー でもきっと噂話とかですよー 
 そうだ、随分と疲れてるようですし紅茶でも淹れましょうか? 私一生懸命紅茶の本を読んで勉強したんですよー!」

お嬢様といえば紅茶ですものねー、と言いたげに笑う初春飾利の気遣いを察して白井黒子はフゥと小さな溜息をついた。

「…そうですわね。 では特別美味しいのをお願いしますの」

「まっかせてください!」

腕まくりをして小さな給湯室に向かおうとした初春飾利だったが、ちょうどその時来客を知らせるブザーが鳴った。

「あらまぁ… どなたでしょう? 今日は来客の予定は無かったはずですけども」

そう言いながら白井黒子が来客用のドアフォンモニターのスイッチを入れる。


そこには何ともアンバランスな高校生とおぼしき三人組が立っていた。

本当、たまにこういう質の高い俺得SSが転がってるからVIPは侮れない
中身も面白いし
支援



来客用のティーカップにコポコポと心地良い音を立てて琥珀色の液体が満たされていく。

「あ、あのー 紅茶なんですけども、よかったらどうぞ」

お盆の上に5つの紅茶を載せて緊張した初春飾利がそれを奇妙な来客達に差し出した。

「わーいっ! ありがと☆」

遠慮無くカップを両手で掴みフーフーと息を吹いて熱を冷ましているのは行橋未造と名乗ったどう見ても小さな子供。

「あら、すまないわね」

軽く視線で会釈をすると静かにカップを手元に引き寄せるギョロ目の少女は布束砥信。

「ふむ…中々いい茶葉を使っているようだな」

そして。
偉そうにそう評価しながらクイとその紅茶を口に含む金髪の男は都城王土。
そのままゴクリと一口喉に流すと、都城王土は優雅な態度を崩さずに初春飾利に文句をつける。

「ふむ… マイカイ油が少々多いな。 それにミルクを冷えたまま使ったな?」

「えっ? あ、はい…そうですけど…」

香料として使用するほんの僅かな油の量、急いで造ったためミルクピッチャーで温め忘れたムサシノ牛乳。

それらをことごとく指摘され驚く初春飾利。

支援しえん

.
「まぁ俺の口にあわん、とまで言うつもりはない。 むしろ中々のものだ。 これからは今言ったことを忘れずに精進すれば尚良くなるだろうさ」

そう言いながら再度紅茶に口をつける都城王土。

「はぁ…えっと…ありがとうございます?」

思わずそう感謝の言葉を口にしてから初春飾利が白井黒子の耳元に口を近づけた。

「す、凄いですよ白井さん! さすがは長点上機学園の学生さんです!
 なんかもう見るからに上流階級のお偉いさんみたいな空気がビンビンですよ! あと私の紅茶が褒められちゃいました!」

ヒソヒソと甘ったるい声に鼓膜を揺らされてくすぐったいような顔をする白井黒子。

「まったくあなたは… 少々褒められたからと言ってそう頬を緩ませてどうするんですの… しかも合格点ではなくて及第点だったじゃないですの」

そんな他愛も無い内緒話を二言三言交わして、ようやく白井黒子が来訪者達に向き直る。


「それでは…お話をまとめさせていただきますの」

あぁそういえば初春上流階級に憧れてたな
原作だとあんま出ないから忘れてた

この中では一番まともそうな人間、ウェーブ髪を無造作に肩に流している布束砥信に向かい先程聞いた話の確認をとる白井黒子。

「つまり、転校生であるそちらのお二方、都城王土さんと行橋未造さんが私達風紀委員《ジャッジメント》に興味をお持ちになられた…と?」

「sure その通りよ」

布束砥信がそう言うと当然のように都城王土がその後を引き継いだ。

「うむ。 なにせこの俺が暮らす街となるのだからな。
 治安がどれほどのものか、治安を守るという者たちがどれほどのものか確かめておくのも悪くはないだろう」

そう言いながら空のカップを掲げ、初春飾利に二杯目を要求する都城王土。

まるでメイドのようにパタパタと給湯室に駆けていく後輩に内心溜息を突きながらも白井黒子が口を開く。

「……そうですわね。 そりゃ外部からの転校生ならばそういった不安があるのも当然でしょうし。
 ちょうど今から諸用で買出し兼パトロールに行くつもりだったんですけども、ついてきたいというなら構いませんですのよ?」

こういう手合いは退屈な風紀委員の日常を見せればさっさと飽きてくれるだろう、それが白井黒子の考えだった。

紅茶に砂糖を一匙足しながら行橋未造が王土の顔を見上げる。

「だってさ☆ どうするの王土?」

その未造の言葉を聞き、僅かな時間考えたような風を見せた都城王土はこう言った。

「そうだな。 雲仙二年生の苦労を味わうのも一興か」

そう言って立ち上がった都城王土だったが、その背に飴玉を転がすような甘い声がかかる。

この>>1禁書とかめだか読み込んでるな…

「あ、あのすいません。 都城さんと行橋さん? あの、もしよかったらでいいんですけど能力と強度《レベル》を教えてもらえたら嬉しいなーって…」

振り向くとそこにはモニターに向かった初春飾利がいた。

珍しく眉を潜めた都城王土がそのままオウム返しで問を発する。

「レベルだと?」

「そうですー。 やっぱり転校生だからなのかまだ全然[書庫《バンク》]に情報が無いんですよー。 ですので、どうせならここで登録しちゃおうかなーと思いまして」

そう説明しながらふにゃりと笑う初春飾利。
確かにこれは大事なことである。 誰がどのような能力を持っているのかという情報は有事の際の重要な手掛かりとなる。
出来る限り集めておくに越したことはないのだ。

そんな緩んだ顔で大事なことを聞いてどうするんですの…と心中で溜息をつく白井黒子。
だが、そんな初春飾利や白井黒子の思惑を都城王土はフンと笑い飛ばした。


「くだらんな。 俺の資質を図るなどこの俺ですら出来るわけがないのだ。 ましてやレベルなどという小さな括りで俺を推し量るなど不可能に決まってるだろうが」


「えっと…なるほど… そ、そうですよねー…」

「あの…都城先輩? そういうことじゃないんですの」

うむ、と頷く都城王土に呆れる白井黒子に助け舟を出したのは行橋未造だった。

「えへへ それ身体検査《システムスキャン》ってやつでしょ? ボクも王土も[無能力者《レベル0》]相当の[発電使い]なんだってさ☆」

そう言ってピラピラと薄っぺらい紙を背負った大きな籠のような鞄から取り出す行橋未造。

「ほう? そうなのか?」

今知った、と言わんばかりの態度で僅かに片眉をあげる都城王土。

「うん! ほら、なんだかやたら時間のかかった模試があったじゃない☆ あれがテストだったらしいよ?」

はいこれ、と言って身体検査《システムスキャン》の結果票を白井黒子に渡す行橋未造。


[無能力者《レベル0》] は測定不能や効果の薄い力を持つものに振り分けられる区分である。
測定の基準が違うのならばどれほど強大でデタラメな力を持っていようと問答無用で[無能力]と括られてしまうのだ。

都城王土は指先から電磁波を発する程度。
行橋未造は皮膚で電磁波を受信する程度。

確かに言葉にしてしまえばそれだけなのだから、機械的な身体検査《システムスキャン》ではレベル0と判定されるのも致し方無いのだろう。

そして当然。 白井黒子は、初春飾利は、布束砥信すら都城王土と行橋未造の真の力を知らない。

「無能力…ですの? まぁ長点上機学園は能力以外でも突出した一芸があれば入学できるって聞き及んでますけども…」

幾度も読み返してみるが、確かにそれは公式で使われている結果票である。
だが、どこか納得がいかず額にシワを寄せる白井黒子に、都城王土の憮然とした声がかかった。

「理不尽な重税」は有効なのかな

「おいおまえ。 この俺をいつまで待たせるつもりだ? 行くと言ったのはおまえなのだからさっさとせんか」

お嬢様である白井黒子にとってここまで無礼で厚かましい男などそう出会いはしない。
生来の気の強さもあって思わず白井黒子は文句を口にした。

「なっ? いくら年上だとは言えレディに向かっておまえ呼ばわりはあんまりじゃないですの? そもそも私には白井黒子という立派な名前があるんですの!」

だが、そんな白井の抗議もこの男にとっては無意味である。

「シライ…クロコ? 白いのだか黒いのだかはっきりせんか。 …まぁいい。行くぞ白黒」

そう言うとドアに向かい歩みを進める都城王土。
だが白井黒子は動かない。
呆けた顔で硬直していたかと思えばプルプルと身体が小刻みに震え出す。

「しろくろ…? 白黒!? ちょっと! その呼び名はあんまりじゃないですの! 発言の撤回を要求するですの!」

ツインテールを逆立て、ギャーギャーと文句を言う白井黒子を華麗にスルーして都城王土が初春飾利に向き直った。

「おい花頭。 俺が手ずから助言をくれてやったのだ。 決して忘れるなよ? 次こそは俺が100%満足できる茶を用意しておけ」

「はっはいっ! がんばりますっ!」

思わず背筋を伸ばしてそう返事をした初春飾利を見て都城王土は満足そうに頷いて去っていく。
こちらを見ようともしない都城王土と視線を合わせるためにピョンピョンと跳ねながら白井黒子がその後を追う。

「聞いてますの!? 今度白黒なんて呼んだら風紀委員侮辱罪(そんなものはない)でしょっぴきますのよ!」

「おお怖い怖い。 今にも噛み付いてきそうではないか。 なぁ行橋?」

「えへへ! 気にしないでね白井さん☆ 王土は別に悪気があるわけじゃないんだ☆」

「well でも風紀委員侮辱罪なんてあったかしらね?」

「キィーッ!!! これはもう私堪忍袋の緒が切れますですの!!!」

まるで子供のように文句を言い続ける白井黒子をあしらいながら歩いて行く長点上機の三年生を見て初春飾利は面白そうに笑う。

仲良くなっている、とは口が裂けても言えないが。

それでも都城王土と行橋未造、それに布束砥信という高校生は悪い人ではないんだなと何となく思ったのだ。

age

そうかデスノも中学生なんだよな
男気ありすぎてつい忘れちまう

つか掛け合いがツボすぎてたまらんwwwwwwwww

王土の生体電気介入とか行橋のテレパス的能力はそりゃ簡易スキャンじゃ測れないだろうなw

■学園都市・路地裏

(最ッ悪…超ツイてない…)

心のなかでそう佐天涙子が愚痴をこぼす。

事の始まりは偶然だった。
初春飾利が食べていたジャンボ王様パフェに惹かれ、今日はひとりでそれを買って学園都市の大通りを食べ歩いていたのが発端。

大通りに面する裏道から急に飛び出てきた数人のスキルアウトとおぼしきガラの悪い男と正面衝突してしまったのだ。
その名に恥じぬ超弩級のアイスと生クリームは男のジャケットにぶちまけられ、今こうして詰め寄られている。

「嬢ちゃんよぉ~ いったい何処見て歩いてんだぁ~!?」

「だ、だって… そっちからぶつかってきたんじゃないですか」

必死になって言い返すも、正当な主張などやはり通るはずがなかった。

「なぁ~にぃ~!? 人の服汚しといてイチャモンつけるたぁ~生意気じゃあねえかぁ! あ? どう思うよおめえら!」

「「「へいっ! アニキの言うとおりでさぁ!」」」

汚れたジャケットを見せびらかすようにして子分らしきチンピラに同意をとるスキルアウト。

(あぁもうホントまじで最悪…)

自分はなにか不運な星の下にでも生まれているんだろうか。

どこかのツンツン頭のようなことを考えながら佐天涙子はがっくりと肩を落とす。

行橋はテレパシストってわけじゃないのか。あれはあくまで受信能力の応用なんだな。

心理掌握は生体電気とか関係ないんだよな
まぁ、学園都市の能力はだいたい生物の能力から離れた、魔術と似たりよったりなもんだし仕方ないけど

■学園都市・大通り

「おい白黒。 退屈すぎてたまらんが」

生欠伸を今にも噛み殺しそうな気怠くつまらなさそうな言葉がかかる。

「ハァ… もう呼び名の件に関しては諦めましたの」

頭痛を抑えるようにこめかみを押さえて頭を振る白井黒子。

「ですけど。 退屈なのがいいんですの。 事件なんて起こらないほうがいいに決まってるじゃありませんの」

買出しの事務用品をブラブラと揺らせながらそう白井黒子が声をかける。

このまま何事も無く終わってくれれば、きっとこの無礼な男達と関わることなど二度とないだろう。
澄ました顔しながら街を歩く白井黒子だったが内心はグヘヘとほくそ笑んでいる。

その時だった。

「ね☆ 王土!」

クイクイと都城王土の袖を引っ張ってどこか遠くのほうを指差す行橋未造。

その指の先を見て、何かを察した都城王土の口元がニイと笑みを形作る。

王土能力つかっていいんだっけ

「あぁそうだ。 白黒。 ひとつ聞いておきたいのだが」

前を歩く小さな少女の背中に声をかける都城王土。

「あぁもう…今度はなんですの?」

ピョコピョコとツインテールを揺らしながら白井黒子が背中を向けたまま返事をする。

「例えばだ。 暴漢に襲われている少女がいたとしたらおまえはどうする?」

「そんなの当然止めるに決まってますの」

何をいうんですの?と白井黒子は訝しみもせず即答で応える。


「ほう。 それを止めるのが風紀委員とやらじゃなかったのならば?」


そう問われ、白井黒子の脳裏に映ったのは片時も忘れたことのない最愛のお姉様。

「あまり…褒められた話ではありませんが。 わたくしも一般人であるお姉様に頼ってる部分も多々ありますし…正直言いますと助かるというのが本音ですわね」

あぁ、一緒に歩いているのがこんな粗暴で無礼な男ではなくて美しきお姉様だったらどんなにか素敵で百合百合なんでしょう…と妄想に浸り出す白井黒子。
あぁもうたまりませんの!お姉様分が不足してますの! 肩を自らで抱えイヤンイヤンと悶える白井黒子だったが。


そんな妄想も一瞬で冷めてしまう言葉を都城王土が口にした。

.


「ふむ。 喜べ白黒。 俺がお前の仕事を助けてやろう」


「……え?」

嫌な予感がした。

ザッと背筋に走ったのは形容しがたい冷や汗のような悪寒。
慌てて振り向くも、既にそこに都城王土と行橋未造の影も形もない。

「ちょ、ちょっと…今のはいったいなんですの?」

ヒクヒクと笑いながら、そこに一人残っていた布束砥信に問いかける。

「さぁ? 私には彼等が何を考えているかなんて分からないけども、とりあえずあっちの方に向かったのは確かよ」

肩をすくめ、オーバーなジェスチャーをしながらも白井黒子が今最も欲しいであろう情報を伝える布束砥信。

「ま…まさかとは思いますけども…厄介なことに首を突っ込んだんじゃないですわよね!?」

布束砥信が指さした方向に向かって慌てて駆け出しながら白井黒子が悲鳴のような怒声のような声をあげる。

そんな白井の後ろ姿を見ながら、冷静に布束砥信が独り言を呟いた。


「thought どう考えても厄介なことになりそうだけれど…」

どうなるのやら

■学園都市・路地裏

「よお! よおよおよお! 俺たちゃあ何か間違ってること言ってるかぁ~? 人のものを汚したら弁償するのが人の道ってもんだろぉ?」

見栄を切って中学生の少女を囲むスキルアウト。
傍から見れば恥ずかしいにも程があるが、彼等はそんなことは気にしない。

詰め寄られ、しぶしぶ佐天涙子が財布を出した。
確か、今月の仕送りがまだだいぶ残っているはずだ。

痛い出費である。
今月は買い食いもオシャレもCDも諦めることになる。 
だがそれでこの場が収まるのならば。
そう思ってこれ以上彼等の気を逆立てないように佐天涙子は恐る恐るスキルアウトに向かって口を開いた。

「べ、弁償って… 幾らですか?」

それを聞いたスキルアウトのリーダー格は両手を広げ、トントントンと片足でリズムを取った。

「おっととと! そうきたか! チューボーの嬢ちゃんにゃあ! あ! 判んないかもしれないが! こいつぁ学園都市外の高級輸入品!
 名高いスキルアウトの俺様に相応しすぎる超有名ブランド! その名も[ゼロプラス]限定生産の! あ! 一着30万もするジャケットよ!」

生クリームでベトベトになったそのジャケットを歌舞伎役者の見栄のように広げたスキルアウトがポーズをとる。

「さ、30万!? 無理ですそんなお金払えませんって!」

「なぁにぃ~!? 御免ですんだら警察はいらねえってんだぁ~! とっとと30万耳揃えて払うかぁ! あ! さもなきゃあ俺等の言い分聞いてもらうとすんぜぇ!!」

歌舞伎役者のようなポーズをとったままの男の言葉と同時に周りの男達がジリジリと佐天涙子ににじり寄りだした。

その時だった。


「えへへ! 嘘ばーっか☆ その服ってファッションセンターしましまで買った徳用セール三着1980円のジャケットのくせに☆」


あどけなく可愛らしい声が路地裏に響き渡る。

「なっ!? 俺が墓場まで持って行こうと決心した秘密を!? どっどこのどいつだぁ! あ! 出てきやがれぇ!」

そう叫んだ男の声に応えるように、ピョンと音を立てて小さな子供が姿を現した。

「えへへっ! 出てきたよ☆」

それは何処からどう見ても小さな子供である。

「…ヘッ! ヘヘヘッ! 何処の誰かと思えばなんだよガキかぁ!」

心底驚いたというふうに胸をなで下ろすスキルアウト達。

「えへへ☆ 三着1980円っていうのは否定しないんだね?」

「…ッ! そりゃああれだ! 偶然似ていただけだろうよぉ!」

そう言いながらもまじまじと見られないように慌ててジャケットを脱ぎ、丸めて路上に放り投げるスキルアウト。

「まったく…いくらガキとはいえ推測や憶測でものを言っちゃあいけねえだろうがぁ! いやほんと…いけねえだろうがぁ…」

どことなく悲しげな声でそう呟くも…すぐに頭の中身を切り替えたのだろう、両の手を広げて佐天涙子に再度にじり寄る。

>>76
テレパスには電撃使いタイプもいる
作中で実際に出て来たのは空気伝播タイプと佐天さんを救ったサイコメトラーくらいか

「あ、さて! さてさて嬢ちゃん! 気を取りなおして始めるぜ! 準備はいいかぁ!? こっちの準備は万端だぁ! さぁてリテイクシーンワンアックション!!」

伝統芸能のような物言いをしながら、改めて佐天涙子に飛び掛ろうとするスキルアウトだったが…その言葉は完全に無視されていた。

「…あれ? おーい嬢ちゃん? いいの? …襲っちゃうよ? キャー!とか無いの?」

許可をとるようにそう佐天涙子に確認をとるスキルアウトだったが、そこでようやく少女の視線が中空に固定されていることに気が付いた。。

「えーっと… フヘヘヘヘヘ! どうした嬢ちゃん! あまりの恐怖に棒立ちかぁ?」

なんだかもういろんな意味で酷すぎるスキルアウトがニヤリと笑う。

だがそれも即座に否定された。

「えっと…そういうんじゃなくて… アレ」

そう言って空を指差す佐天涙子。

「…えっ? どれ? どこ?」

腰をかがめ、佐天涙子の指の先を追ったスキルアウトの目が驚きで見開かれる。

「…って!ハアアァァァァ!? なんだぁありゃあ!?」

そこには。

そびえ立つビルの壁に“垂直に立っている”金髪紅眼の男がいた。

王土△

スキルアウト可愛すぎるだろwwwwwwwww
友達になりてえwwwwwwwww

さっすが王土さんやでぇ

掛け合いは西尾節に近くて、地の文はところどころ禁書節になるのがいいなw

なんでわざわざ垂直立ちするんだよw

.

「まったく。 無粋なことをするなよ女。 俺はもう少しその道化っぷりを楽しみたかったのだが」


ビルの壁に立っているのはもちろん都城王土である。
頭上で腕を組みながらニヤニヤ笑っている都城王土に向かい、スキルアウトが声を張り上げた。

「おっおめー能力者だな!? まさか催眠術!? もしかしたら念動力…いやいや重力操作の使い手かっ!?」

だが、そんなスキルアウトの叫びを聞いて肩をすくめる都城王土。


「ハッ! まったく催眠術とか念動力とか重力操作とか…お前たちバトル漫画やライトノベルの読み過ぎだよ」


「…いやいや。 あんたがそれ言うの?」

おかしなことを言う、と含み笑いをしながら壁に立つ見覚えのある金髪の男に、たまらず佐天涙子は小声で突っ込みをいれる。

「んだとぉ!? 壁に立っておきながらなに寝言ほざいてやがる!!」

思わず佐天涙子が頷きたくなるような、当然の反論を口にするスキルアウトだったが。


「なに、地球は俺にとって小さすぎるのだ ならば地球の重力如きではこの俺を縛ることなど出来るはずがないのが道理だろう?」


返ってきたのはさらに途方も無い大言壮語だった。

壁に立つくらいなら学園都市じゃ日常・・・かと思ったけど王土みたいな大男がいたらそりゃ驚くわな

ここで原作反芻とはwww
王土さんマジぶれねえwwwwww

「…いやいやいや それこそさ」

「ねーよ!!!! あ! おまえは一体何を言っていやがるんだぁ!?」

思わずハモって突っ込みをいれてしまうスキルアウトと佐天涙子。

どことなく白けたような空気に都城王土は微かに眉をひそめて前言を撤回した。

「…なに、勿論今のは冗談だぞ?
 こんなものは足の握力で壁にしがみつき腹筋で上体を起こしているだけに過ぎない 訓練すれば誰でもできることだ」

「…いやいやいやいや」

もはやどこから突っ込めばいいのかわからないほどの規格外。

スキルアウトに絡まれていた時の数十倍の疲弊が佐天涙子の肩に伸し掛る。

だが、それでもスキルアウトは一生懸命頑張って文句を言い続けていた。
こいつ頑張るなぁと佐天涙子は冷めた目でスキルアウトを評価する。

「うるせえぞ! なに人の上に立ってんだ! 見下してんじゃねえ! 降りてきやがれえ!」

あ、こいつ顔に似合わず意外と上手いこと言った、と他人事のように佐天涙子は心のなかでまばらな拍手を送ってみたり。

『座布団一枚あげよう』

「む…なるほど。 俺もまだまだだな。 “王”を引退したとはいえ、つい人の上に立ってしまうという癖がまだ抜けんか」

「…いやいやいやいやいやいや」

誰か突っ込みの役目代わってくれないかなーと思いながら側にいるスキルアウト達を見るも皆一斉に佐天涙子から視線を逸らす。
僕、一般人ですから…と言いたげに壁のシミを数えたり靴紐でもやい結びをして遊びだすスキルアウト達。

そして…都城王土が気怠そうにこう言った。


「さて…お前が降りろと言ったのだ。 心して受け止めろよ?」


その言葉と同時に都城王土の足が軽く壁を蹴った。

「おう! さっさと降りてきやがれ…って ええ?」

当然、身体は重力に引っ張られ宙に浮いた王土の身体は真っ逆さまに落ちる。
その先にあるのは上を見上げたままのスキルアウトの顔面だった。

「グエエッ!」

ドゴン!という音ともに土埃が舞い、その中から憮然とした都城王土の声が聞こえた。

「……俺は受け止めろと言ったはずだが?」

砂埃が収まるとそこには都城王土が仰向けに倒れたピクピクともがいているスキルアウトの上で仁王立ちをしていた。

「す…すいまふぇん… 無理でした…」

>>93
>「うるせえぞ! なに人の上に立ってんだ! 見下してんじゃねえ! 降りてきやがれえ!」
なんだっけこのセリフどっかで見たことある記憶が

スキルアウト萌えはじまったな

そういえば初春の声とか趣味細かく読んでそうなのに
なぜに能力開発極秘扱いなんだ?なんかの伏線

数分後、そこにはピシッと背筋を伸ばして正座をしているスキルアウトの面々が!

誰に言われるともなく正座をしてお叱りを待つ子供のように肩を震わせるスキルアウト達。

その中を都城王土が悠然と闊歩しながら言葉を紡ぐ。

「さてと 貴様等も男ならば汚れた服のことなど些事としろ。
 ましてや弁償など前方不注意で食事を中断させてしまったそこの女にするべきではないか?」

「ハイッ! その通りでありますっ!」

「…判ったのならばさっさと行かぬか。 時間の流れまでは流石の俺とてどうにもできぬ」

「ハイッッ!!! 少々お待ちを!!!」

佐天涙子に90°のお辞儀をしたかと思うと駆け出すスキルアウト。

その背中に再度都城王土の声がかかった。

「急げよ? なにせ俺は今、風紀委員《ジャッジメント》の仕事中に抜けだしてきたのだ あまり貴様等に時間を裂く余裕はないのだからな」

「ハ、ハイィィィ!!!」

ダッシュではなく猛ダッシュで路地裏から姿を消したスキルアウトを見てポツリと佐天涙子がこう呟いた。

「えと…これさ、どっちが悪者なんだっけ?」

そんな呟きにいつの間にか側にいた子供が笑いながらこう応えた。

「えへへ! ボクに聞かれてもそんなのわかんないよ☆」

白黒ってネーミングはヒトキチと通じてたのかと今気づいた

>>96
何か恥ずかしいけどサテンレイプさんの時の億泰じゃないかな
パクリじゃないよ。同一人物だよ。

>>98
なんだっけ?忘れてます^q^

億泰やアーカードが学園都市に来るSSの人だったのか
これは期待

■風紀委員第一七七支部

「まったく貴方という方は! いったい何を考えてらっしゃいますの!!!」

げっそりとした顔のまま白井黒子が大声を張り上げる。
目の前には何食わぬ顔で紅茶を味わう都城王土と行橋未造。

「貴方のおかげで危うく風紀委員《ジャッジメント》がカツアゲをしたなんていう汚点を受けるとこだったじゃありませんの!!」

白井黒子はついさっきのことを思い出して深い深い溜息を吐く。
猛ダッシュでジャンボキングパフェ、ジャンボキングパフェと呟きながら飛び出てきたスキルアウトとすれ違いながら路地裏に入ってみれば。

そこにはスキルアウトに肩を揉まれている都城王土がいたのだ。
その隣には苦笑いで尽くそうとしてくるスキルアウトをやんわりと断る佐天涙子もいた。

いや、それどころではない。

白井黒子が到着したのを見た都城王土が

『む。 随分と遅いではないか白黒』

そう声をかけたのがまずかった。
その言葉を聞いたスキルアウト達の目がギラリ!と獰猛な獣のように光ったのだから。

アーカードの人だったのか!
超期待だわ

>>101
学園都市の能力開発は内外に広く知られてるからさ、能力使用前提運動会も世界中継だし
まぁ気にせんでくれ

これはいいSS

…結論から言えば。

猛ダッシュでパフェを買いに走りだした男が帰ってくるまで、白井黒子は全力でスキルアウトにもてなされたのだ。


『あ、あの? 制服汚れてますし、こちらでお預かりしてクリーニングしてきやしょうか?』
『バカヤロウ! テメエそれがセクハラだって風紀委員様がだな! お怒りになったらどうする気だぁ!!』
『じゃ、じゃあ靴のほうを磨かせてもらいたく…』
『バカヤロー! テメエそんなの足フェチの俺からしたらだ! それこそご褒美以外の何者でもないだろうがぁ!!』
『なっ、なら! あっしが椅子になりますんでパフェが来るまであっしの上で休むっつーのは!?』
『バッカヤロー! テメエそんなのこちらから金を払ってでもしてもらいたいことだろうがぁ!!』


万事こんな調子で尽くそうとしてくるスキルアウトを落ち着かせるのにどれほど苦労したことか。

路地裏の隅では膝を抱えてガクブルと震えているスキルアウト…恐らく都城王土の気迫に呑まれたのだろう。
アワアワと震えているスキルアウトの話を何故か佐天涙子が聞いていた。


『いやもう自分…ほんとあんな感情初めてで…もうほんと帰りたいっす! 田舎に帰りたいっす! 実家で母ちゃんと一緒に農業やるっす!』
『うんうん…私その気持ちすっごい判るよ。 でもね、いつまでもお母さんに甘えてちゃダメでしょ? ね?』


恐怖に震えるスキルアウトを佐天涙子がカウンセラーのように慰めていたり。

白井黒子にとっては鉄火場よりも余程こちらのほうが阿鼻叫喚であった。
野次馬も集まり写メの音が四方八方から聞こえてくる晒し者の中で、白井黒子はただ必死に時間がたつことだけを祈っていたのだ。

やばい面白い

当然、その異様すぎる光景を見た一般の学生が義務として通報したのは言うまでもない。
駆けつけた警備員《アンチスキル》には風紀委員《ジャッジメント》の権力を傘に来たカツアゲなのではないかと疑われ、それを必死になって当のスキルアウト達が否定したからなんとか大事にならずにすんだのだ。

だが、そんな白井の必死の文句もまるで気にすること無く都城王土が紅茶をすする。

「俺も風紀委員なるものは初めてだったが…あのような輩まで相手にしなければならぬとは露とも思ってはいなかったぞ。
 まったく雲仙二年生の苦労もようやく判ったというものだ」

ちなみに。 布束砥信は厄介な状況になっているのを見てすぐさまその場から逃げ出していたりする。
そして、佐天涙子は。 あたし…とにかく何かもう疲れました、今日はぐっすり寝たいです…と言いながらフラフラと学生寮に帰っていった。

そして諸悪の根源、元凶である当の本人はまるで何事も無かったかのようにゆったりと風紀委員の支部でくつろいでいた。

「む! おい花頭。 今回の茶は上出来だぞ 先程指摘したところを見事改善したな。 俺が褒めてやる」

「わっ! ほんとですかー?」

「へー☆ よかったね初春さん!」

「復習したかいがありましたー!」

キャイキャイと喜ぶ初春を横目で見ながら白井黒子がボソリと小さく呟く。

「……その上出来なお茶とやらを飲み終わったらで構いませんから」

もはや長点上機だの上級生だの知ったことか。
スゥと大きく息を吸い込んで思いのたけをぶつける白井。

「さっさと出ていきやがれ!ですのー!!!」

寝るおっおっおお
あと保守はいらんす
落ちたら即日製速に移行するつもりなんで

正直なところ、ここまででようやく全体の六分の一くらいだしどれくらいの投稿数になるか試しに立ててみたかったってのが大きいんだ。
自分勝手ですまんこ

乙!
だが保守はする

>>105
あ、そうだったっけ?
内外に知られているってクロスSS()で書いちゃうと箱庭学園側との関係性を掘り下げなければいけなくなっちゃうから無意識にスルーしてたっぽい。
正直な話、魔術やら超能力やらをもってる少年少女を箱庭学園がスルーしてる理由っていうのを書くのがめんどくさそうだったってのが一番大きな理由です。

乙、安心して期待出来そうで何よりだわ

能力者開発は学園都市の外に出しちゃダメ、魔術師は科学に関わっちゃいけないっていうルールがあるからモロ科学的な箱庭学園が人工能力者も魔術師も擁してないのには一応説明つくんじゃないかな?
能力者の中でも原石とかは例外的に学園都市が全て抑えてるわけじゃないし

この作者のSSは毎度完成度が高くてたまらんな

王土さん!単行本カバー裏で行橋と新婚温泉旅行に行ってた王土さんじゃないか!

普通なる王土くん
マジ良キャラ

億泰も面白かったが今回も面白いな

時間的には2学期始まってるってことでいいのか?
実験してるし

めだかとかどうなんだと思ったが結構面白いw

最近ジャンプ読んでないんだが、めだかはまだ打ち切りギリギリを彷徨ってるの?

最近妙に調子良いよ
センターカラー前だからか知らんけど順位落とすらしいが

>>125
りぼーん越え達成

>>122
ってことはセロテープか?
前に億泰でGEPに立てるって言ってたからずっと待ってたんだが
GEP行きが嫌ならはっきり行ってくれよ

>>125
ヤンデレむかえちゃんのときとかで話題になって何度か上位に食い込んだから
そう簡単に打ち切りになったりしないと思う

ほーっしゅ

王土ってジョジョの登場人物に似ているヤツだっけ

>>125
一昔前のサイレンくらいには安定してる

>>128
サーセン^q^
嫌ってわけじゃあないんだ
ただ期間をあけて複数のスレたてたからGEPでひとつのスレにまとめようとすると文体やらなんやらを統一するのがめんどくさいやら恥ずかしいやらで><
アーカードのやつもエピローグや後日談つけた完全版を立てたいんだけど、それが許されるのかどうかも判らんし。

>>109
■学園都市・大通り

ツインテールをブンブンと振り回す少女に強引に押し出され、都城王土と行橋未造とは風紀委員を後にする。

「エヘヘ 出ていけですのー!だってさ☆ 面白かったね王土!」

「うむ。 なかなか気の強い娘だったな。 見ている分には充分楽しめたぞ」

この台詞を当の本人が聞けば、それこそ空中からドロップキックでもかましていただろう。
だが、常識的に考えて空気を読んだり人を気遣うなどといった細微な感覚を都城王土と行橋未造が持ち合わせてるわけもなく。

歩き慣れていないはずである学園都市の大通りをズンズンと我が物顔で歩く都城王土。
目の前の角を曲がれば都城王土と行橋未造が居を構えている高級マンションはすぐ側だ。

そのとき、曲がり角の向こうから声がした。

「かっ返しなさいインデックスさん! その特売コロッケは今週を乗り切る大事なタンパク質なのです! おまえになんか預けてたまるもんですか!」

「アッカンベーなんだよ! もやしチクワもやしチクワのローテーションで私のご機嫌はもうすっかりローテンションなんだよ!」

「わかった! わかったから走らないで! おまえそれぶちまけたりした日にゃあ、もやしもやしもやしのエンドレスローテーションが待っているんだってこと判ってるんですかぁ!?」

慌ててふためいた少年の叫び声と、軽やかな少女の声が段々と大きくなる。

そして。
気にせず角を曲がってしまった都城王土目掛けて。
小さな銀髪の少女が。
お約束とはこうであると言わんばかりに突っ込んできた。

.
「ひゃっ!!!」

都城王土が揺らめくはずもなく、一方的にぺたんと尻餅をついたのは修道服を着た幼女だった。

「わ! すごい☆ 往年のラブコメ漫画みたいだね王土!」

「む? おい娘。 走るときは前を見て走るものだぞ?」

面白そうに茶化す行橋未造と、心配している態度は微塵も見せず口だけでぶつかって尻餅をついている小さな銀髪の少女に声をかける都城王土。

「ごっ、ごめんなさいなんだよ?」

慌てて立ち上がりペコリと“両手”を揃えて頭を下げて…そこでようやく少女は気付いた。

「…あれ? 私のコロッケが消えちゃったんだよ? ハッ! これはもしや見えざる魔術師の陰謀かも!?」

キリッ!とした顔をして辺りを見回し始める少女。

そしてようやく気が付いた。

路上に両膝両手をつけてガックリと崩れた態勢をとっているツンツン頭の少年に…である。

「どーしたのトウマ? お腹痛いの?」

トウマと呼ばれた少年は自分の心配をしてくる少女には返事をせずに震える指先で道の先を指さした。

「イ、インデックスさん… あれをどうぞ見てやってくださいな…」

>>133
アーカードの時には何も言わなかったけどさ
正直見損なったぞ

はっきり立てる宣言しておいて肩透かしってのはほんの遊びであっても不誠実すぎるだろうよ
これ以上はもう何も言わんが

そこには。

ガゴゴゴゴ!と音をたてながら見覚えのある紙袋をそのうちに取り込んでいる清掃ロボ[ドラム缶]があった。

「えっと…トウマ…? あれってつまりどういうことなんだよ…?」

「…エエ。 ツマリデスネ。 先ほど宣言したとおり今日から上条宅はもやしもやしもやしのエンドレスループに突入しますです…」

ガックリと死人のように頭を垂れた少年とアワアワと震える修道服を着た幼女。

「ゆっ許せないんだよ! これこそ機械化した文明の反乱! もはやハルマゲドン勃発上等の勢いなんだよ!」

そう全身で怒りを表現しながら銀髪の少女がドラム缶と呼ばれる清掃ロボにかじりつく。
突然の衝撃を受け、ビイイイイ!という甲高いエラー音をあげるドラム缶。
そして、ドラム缶はかじりつく少女から逃れるかのように唐突に道路の向こうに走りだしていった。

「イ…インデックスさん? あなたは…いったい…なにをやってるんですかぁぁぁぁ!!!!」

悲鳴のような泣き声のような情けない声をあげながらツンツン頭の少年が銀髪の少女を追って走りだした。


声を挟む間もなくコントのようなドタバタに巻き込まれた都城王土と行橋未造は呆れた目でその少年の後ろ姿を目で追う。


しばしの沈黙。
そしてようやく都城王土が呆れきった口調でこう言った。

ジョジョ厨で乞食とか笑えないし救えないな
ID:nzd3m9OlPは95割の確率で粘着になると断言しよう

「…行橋よ」

「なんだい王土?」

そう問われ間髪入れずコロコロとした幼い声で返事をするのは行橋未造。

「さきほどおまえは往年のラブコメ漫画みたいだと言っていたな?」

「うん! 言ったよ☆」

嬉しそうにそう返事をする行橋未造を横目で見ながら都城王土がトントンと指で額を叩きだす。

「…確かに。 普通なる俺の記憶によればだ。 早朝、パンをくわえた美女の転校生と角で衝突するという話は聞いたことがある」

「定番も定番だよね☆ もはや逆に新しいよ!」

あるある、といったふうに行橋未造が訳知り顔で同意を返す。
しかし、都城王土はそれでも不可解な顔をしたままだった。

「だがな。 夕方、コロッケを抱えた修道女が角を曲がってきたかと思えば勝手に転んで走り去るというのはさすがの俺でも未知であるぞ?」

都城王土はそう呆れたような声をだして行橋未造に問いかけるが。

「う、うーん…まぁ最近は手を変え品を変えっていうのが流行りなんじゃないかな? そのうち角を曲がったらヤンデレの腐女子と正面衝突したりしてもおかしくないよね☆」

さすがの行橋未造もそれには頭をひねって苦し紛れの返答を返すのが精一杯だった。

「ふむ… まぁ、時勢とはそういうものなのかもな。 わざわざこの俺が考えるほどの意味が無いというだろうさ」

そう言って小さな嘆息を口にした都城王土が帰路に足を運ぼうとした時だった。

「ね☆ それよりもさ! 王土はいったいどうするんだい?」

都城王土ですら思いもよらぬ問を行橋が投げかけた。

「うん? 何が言いたいのだ行橋? 構わんぞ言ってみるがいい」

鷹揚にその先を促すのは都城王土。
行橋未造はそんな王土に朗らかに笑いかける。

「いやさ、さっき王土が言ってたじゃないか☆ 立場は違えど王土が彼等の食事を奪ってしまったことにはかわりがないんじゃない?」

「…む。 俺はまったくもっての被害者なのだが…」

そう言われ、都城王土がわずかに困ったように顔をしかめた。
確かにそのようなことを道化のようなチンピラの面々に言い放った記憶はある。

「『はぁ~これで後一週間はもやし炒めをもやしで巻いたもやしのもやし巻きかぁ…』 ってさっきの男の子が愚痴ってたよ☆」

面白そうにツンツン頭の少年の“心の声”を真似する行橋未造。

「ふむ…それはまた何とも言えんな。 わびしいにも程がある」

都城王土はなんと哀れな少年と少女よ、と言わんばかりに頭を振った。

「えへへ! そうみたいだね☆ ね、王土? どうするのさ?」

そう笑う行橋未造の顔を見て、都城王土は少しだけ考えてから口を開いた。


「…仕方あるまい。 時として俺の懐の深さを示してやるのもまた俺の務めであろうしな」


そう言って踵を返した都城王土が向かう先は住居となった高級マンションではなく学園都市の大通り。

「えへへ! やっぱり王土ならそう言うと思ってたよ☆」

トン!と両足を揃えて都城王土の隣に立った行橋未造が嬉しそうにその顔をほころばせる。

「先刻、布束とやらに聞いた案内が早速役にたったな。 明日にでも気が向いたら俺が褒めてやるとするか」

笑う都城王土と、その隣にぴったりと寄り添うようにして並ぶ行橋未造が再度繁華街の中に足を踏み入れる。
そういえば何故行橋未造が他人の“心の声”を代弁したのかということはこれより先で語るとして。

とにかく。 都城王土と行橋未造は太陽が沈んだ学園都市のきらびやかなネオンの中にその姿を溶けこませていった。

・・・
・・


日は暮れて。
時刻は夕方を大きく周り。
真っ白い月が頭上に現れていた。

行橋さん未来予知っすか

ゆくはしみぞう
女の子みたいな性別不明の生物の癖に“みぞう”という武士のような名前
みやこのじょうおうど

すげぇ横槍突っ込んで行橋の能力解説したいが我慢。
このSSの味が悪くなる

■第七学区・とある病院

「ゴロゴロゴロゴロー!ってミサカはミサカは退屈のあまりあなたのベッドの上で何回前転が出来るかという無駄な挑戦にトライしてみる!」

「やめろクソガキ! 埃が舞いまくりだろがァ! っつーかヨミカワはどこに行きやがったァァァァァアアアアアア!!!!」

可愛らしい幼女の声と苛立った少年の声がとある病室から漏れ聞こえてきた。

「ヨミカワはね、最近[科学結社]?とかいう外部組織をブッ潰すために現在進行形で頑張ってるんだって!ってミサカはミサカは情報通であることを自慢してみる」

「監督するって言った本人が消えてなにしてやがンだァ! なンで怪我人の俺がわざわざクソガキのお守りしなきゃならねンだよォ!」

「あ、でも怪我人っていっても髪の毛すごい伸びたから手術の跡とか判らないよ?ってミサカはミサカは優しくフォローしてあげたり。
 ぶっちゃけ体内組織のベクトルを操作して肉体の再生を促すだなんて正直反則だよねズルイよねーってことはミサカはミサカは言わないでおいてあげる」

「言ってんじゃねェーか! あと頭蓋骨の亀裂までは修復できてねェんだよ! せいぜい擦り傷やら髪あたりが限界なんだっつーの」

「ゴロゴロゴロゴロー!」

「人に話を聞いといて…… こ、このクソガキがアァあああ!!」

ドタバタと病室の中をふざけまわる幼女と苛立つ叫び声をあげる少年。
事情を知らない者が見れば仲の良い兄妹がじゃれあっているようにも見えたりするが、当の少年はまったくそんなことには気付いていない。

>>144
やべ、間違えてた?
だったらガンガン突っ込みいれてくれ

あと議論も雑談も叩きも煽りも大歓迎だから遠慮しないでくれよん。

漫画は読んだが、都城や行橋の能力はよくわからない

.
少年の名は一方通行《アクセラレータ》。

学園都市に七人しかいない最高レベルの超能力者《レベル5》。
さらにはその七人の序列の中でも第一位。
それはつまり学園都市最強の超能力者ということでもある。

少女の名はミサカ20001号。

通称打ち止め《ラストオーダー》と呼ばれる少女は“とある実験”の上位個体。
その気になればこう見えて一万もの戦力を従えることが出来る謎多き少女である。


彼等はつい先日まで共に生死の境を彷徨っていた。
学園都市の破壊を目論むひとりの科学者の手に攫われた打ち止めを一方通行がその命を賭けて阻止。
その後紆余曲折を経て、経過が落ち着いた頃になってようやく特別集中治療室から一般の病室に移ったのだ。


病室の中でキャアキャアと嬉しそうな悲鳴をあげる打ち止めに向かって手元の枕をぶん投げる一方通行。
打ち止めはそれを意外にも機敏な動きで回避。

だというのにその枕はボフンという音を立てて誰かの顔に着弾。
偶然にも運悪く病室の中に入ろうとしていたのは白衣を着た初老の域に差し掛かった男性。

「うわわっ! 今のは別にミサカ悪くないよ?ってミサカはミサカは即座に責任回避してみたり?」

慌てた打ち止めはふひゅうふひゅう♪と音が出ない口笛を吹いてるようにして部屋の隅に退避する。
白衣を着た初老の男は怒る様子もなくベリベリと顔面から枕を剥がしながらにこやかに一方通行に話しかけた。

おお、ここでだいたい両作品での時系列がわかってきたな

打ち止めwwwwww


「や 調子はどうだい?…って聞きに来たんだけど? どうやら聞くまでも無いようだね?」

「あァ? ンだよヤブ医者かよ? なンの用だァ?」

口汚く罵る一方通行だが、それが彼なりの最大限の歓迎であるということを判っているカエル顔の医者は特に気にすることもない。

「一万ものクローン体を使った並列演算ネットワークによる欠損部分の補填はどうやらうまくいっているようだね?」
 まったく、至近距離から銃弾を頭に受けて前頭葉に頭蓋骨の破片を受けたっていうのにこんなにピンピンしてると僕も嬉しいね?」
 
そう言われ一方通行はハッと笑う。

「まァそうは言ってもよォ。 せいぜいコイツは通常の言語機能と演算能力を補助する程度がせいぜいだしなァ。 能力者としちゃあもうお役御免だろォ?」

コツンと首に巻いてあるチョーカーを指でたたきながら嘲るように笑う一方通行。
だが、そんな一方通行の自嘲にもにた笑いを気にせずカエル顔の医者は白衣のポケットの中に手を突っ込んだ。

「うん、そうだね? 確かにネットワークで君の能力を代理演算出来るほどの力はないだろうけどさ?」

とはいえ、人間の欠損部分を補うだけで凄いんだけどね?と笑いながらカエル顔の医者がポケットから何かをとりだしたのだ。

「でもさ? 人生何があるか判らないものだと僕は思ってね? 君の代理演算を補う演算補助デバイスっていうのを造ってみたんだよね?」

「…代理演算の補助デバイスだァ?」

そう言ってカエル顔の医者が取り出したのは小さなチップのような電極。

「その通りなんだよね? ネットワークによる外部から補助とこの電極からの内部よりの補助。 ふたつのデバイスがあれば君の能力もまた使えると思うんだよね?」

その言葉を聞いて。 一方通行の顔が引き締まる。

.

「…ってェとアレか? そいつをつければ“また”能力が使えるってェことか?」


「そうだね? けどね、なにせ世界に二つとないチョーカー型の電極でしかも試作品だからね? くれぐれも乱暴に扱って壊したりはしないようにね?」

カエル顔の医者はそう言いながら一方通行の首に巻いてあるチョーカーにカチリと音をたててその電極を埋め込んだ。

「そうそう、それ試作品だからね? 君の演算能力を使えばバッテリーはよくて15分程度しか持たないだろうから絶対に忘れないでね?」

そう言いながらカエル顔の医者が病室から出ていこうとして、病室の入り口で立ち止まった。

「あ、ちなみに今日渡したのはとりあえず使い方に慣れて欲しかっただけだからね? 試運転は明日の予定だから自分勝手に使ったりしないようにね?」

その言葉を最後にカエル顔の医者、“冥土帰し《ヘブンキャンセラー》”という異名をもつ世界屈指の名医が病室から出て行った。

禁書8巻の時間軸で
残骸を巡る事件が起きるか否かって感じか

「へー凄いんだね あ、でも何となくお株を奪われたような気がしてミサカはミサカはちょっぴり不満気に口を尖らせてみる」

「ハッ! 言ってろクソガキ」

すげなく毒舌を吐きながらベッドの脇に立てかけられていた現代的なデザインの卜型の杖を手にとって一方通行が立ち上がる。
無造作に放り投げられていたマネーカードをズボンのポケットにねじこみながらである。

「あれ? 何処行くの?ってミサカはミサカはキョトンとした顔であなたに問いかけてみる」

一方通行が何をしようとしてるのか理解が出来ぬまま、主がいなくなったベッドの上に飛び乗った打ち止めの問に一方通行が背中で答えた。

「久しぶりに缶コーヒーでも飲みたくなってなァ。 どうせだからついでに“コイツ”も試してくるわァ」

「えー!?使っちゃダメだって言われてたのにー!ってミサカはミサカは口を尖らせてみる。
 でもどうせ止めても無駄なんだろうし、お土産はプリンがいい!ってミサカはミサカはお願いしてみる!」

「うっせ黙れクソガキ! っつーかよォ! なんであっという間に人様のベッドに潜り込んでんだ! テメエの甘ったるい匂いが布団に染み付くだろうがコラァ!!」

そこには大福のように丸々と膨れ上がったシーツ。
怒鳴られてピョコンと顔だけを出した打ち止めがほにゃと笑った。

「わーあなたの匂いに包まれて幸せかもってミサカはミサカは目を細めてみる!」

それを聞いた一方通行は肩をすくめハンと呆れた笑い声を吐く。

「……やってらンね。 行ってくらァ」

「行ってらっしゃーい! あ、なんかこれ新婚さんみたいで恥ずかしいかも?ってミサカはミサカは頬を赤らめてみる」

このままでは延々このふざけた押し問答に付き合わされる。 そう察した一方通行は今度こそ何も言わずに病室を抜けだした。

すごい「っぽい」な
スラスラ読める

あと打ち止め可愛い
可愛い
可愛い

■学園都市・再開発地区周辺・路上

月明かりに照らされる夜道を悠然と歩くのは都城王土と行橋未造。

「えへへ! 面白かったね王土! あ、でもあの人達喜んでくれるかなぁ?」

行橋未造はそう笑いながら隣を歩いている都城王土の顔を見上げる。

「当然だ。 なにせこの俺が手ずから選び抜いた逸品だぞ? 喜ばぬはずがないだろう」

愚問である、と言わんばかりに行橋未造の問に肯定を示す都城王土。
暗がりの中を金髪紅眼の都城王土が闊歩する。

闇を切り裂くは紅い双眸。

そして…
いや、ここはやはりというべきか。
出会ってしまったのだ。

そこに立つは白髪紅眼の男。

双方ともに立ち止まり、お互いを見据える。

金髪紅眼の男と白髪紅眼の男が相対する様はまるで不出来な鏡のよう。

無言のまま睨み合う時間はほんの僅かで終わりを告げた。

先に口を開いたのは金髪紅眼の男、都城王土。


「おいおまえ。 誰を見ているのだ。 この道は俺が歩む道だぞ? それ、判ったなら疾く道をあけるがいい」


それを聞いた白髪紅眼の男、一方通行がニマリと笑う。


「あァ!? 悪ィがご覧のとおり怪我人でなァ? …テメエが道を開けやがれ」


お互い決して譲りはしない。
ビリビリと周囲の空気が震え出した。

ややあって、一方通行が気怠そうに溜息を突きながら。
手に持っていたコンビニ袋をガシャリと道の脇に放り投げた。


「まっ、どかねェなら仕方ねえよなァ? ンじゃまァ…テメエでいいからよォ。 ちーっとリハビリに…付き合ってくれよなァァァ!?」


そう言って喉元に手を伸ばし。

“チョーカー”のスイッチを入れ。

軽く足元の小石を蹴り飛ばしたのだ。

そういえば美琴って王土っぽいことやってたけど、やろうとすれば触らなくても行橋っぽいこともできるんだよな
便利だな・・・

離席離席
保守は当然いらんです

>>136
いやもうホントすまん。
見損なわれうのも仕方はないだろう
もう手直しどころか一から書きなおしになりそうで、やる気の失せっぷりが半端なかったんす。
一応億泰の方もあそこで投げっぱなしではなく、ちゃんと終わらせる目算は立っているんでガンガルます。

>>158
その汎用性の高さが
『第三位・御坂美琴』の『真骨頂』だから

だがしかし何故かそれをしない、その発想がない御坂美琴
中二であるせいで発想が狭い狭すぎる

『は~あ、まったく。』
『ベクトルを操るなんて非現実的な能力は』
『週刊少年ジャンプの中だけにしてほしいもんだよね。』

>>159
この手の池沼は関わると付け上がってロクなこと起きんぞ
スルー放置推奨

>>146
その様子だと大丈夫かもな。

>>147
さらっと教えとく

王土
指先から電磁波を発するが強力。指先からと言わず全身から出ている気がしないでもない。
その余りに強力な電磁波は地球や人間の電磁波に干渉する事が出来る。
地球の電磁波に干渉すれば斥力と引力を操作する事が出来、壁の垂直歩行や物言わぬ器械を宙に浮かす事が出来る。
もしかすると人すらも宙に浮かす事が出来るかもしれない。
人間の電磁波に干渉するという事は人間の体内に流れる体内電気に少なからず影響を与え、行橋が言う「言葉の重み」と称する王土の言葉で人の体躯を操作する事が出来る。体躯を操作するといっても、遠距離での話で洗脳はではない。
とは言っても手で頭に触れると電気信号の塊とも言うべき脳に重大な影響を与える事が出来、時間さえかければ洗脳する事も出来る。
かつての王土は自身を支配する自己洗脳が出来なかった。

>>161
大事な場面でもわざわざ弱すぎるレールガンを多用するのも厨二病なんだよな、きっと
中二な美琴可愛いなあ

だから厨弐なのは美琴じゃなく(年齢的にはそうだが)、かまちーの方だとうんたらかんたら

>>164
王土くんの電磁波は引力斥力とは関係ないよ

筐体潰したり、降らせたりしていたのは
材質に鉄が多くて操りやすかったから

>>139
ヤンデレ腐女子って江迎迎ちゃんかwwwwww

>>164
なるほど。ありがとう。
電気刺激である程度、筋トレもできそうだな。

>>164

続きだ。

行橋
王土とは真逆の電磁波を受信する人間。
その受信能力は感度が高く、原作では無数のコンピュータが発する電磁波で己の受信感度を鍛えていた。
その受信能力の高さは凄まじく、人間が発する電磁波を受信し、理解する事が出来る。理解するという事は行橋自体が嘘発見器のようなもので、その場にいながらにして何もせずとも相手の心情を読む事が出来るという事。
ただ、己の受信能力は体質的なものなのでオンオフの切り替えが出来ない。
更には弱点として相手の痛みまでも受信してしまい、死に至る苦痛を受信してしまうと失神してしまう事がある。
原作では王土が敵対する人間の心臓に一撃を入れた痛みで死にかけた事がある。

>>167
ぬ?そうだったか、まァ気にするな。

>>170
続きだ。

能力の応用技
王土
【言葉の重み】
命令口調で人の体躯を操作、その際の言葉は《》の中にカタコトで翻訳される

【重大なる徴税(だっけかな?)】
心臓に一撃を入れる事で、人の持つ体質な特徴を電磁波を介して奪いとり、自身のものとする。奪われた人間はただの人間になる。
原作では王土はこれを使用して肉体強化の異常者から超人的な肉体の性能を奪いとった。コンクリートを砕く事も出来、
更に言えば肉体の細胞再生も含む。折れた骨、臓器すらも自己再生可能なのだ。

原作では主人公格の敵対する人間に異常能力と精神の差で完敗し、敵対する人間に許される事で王を引退した。
その際に【言葉の重み】と【重大なる徴税】を封印。
もし王を引退した普通なる彼が、周囲に望まれる事で王、もしくは王に匹敵する権力者に復帰、成り得たりするなら応用技を使うかもしれない。

行橋は能力の応用が効かないのか(私が忘れてるだけかも)、背中に背負う鞄?から睡眠ガスを出したりするなど自身の弱点をカバーしたりする。

めだかの時間軸だともう選挙終わってるのか

ここでも披露した王土くんの壁立ちとか
行橋のアレは
異常性質と無関係ってんだからデビルぱねぇ

>>171

追記

肉体強化
コストパフォーマンスが悪い(カロリーを多大に使う)。
長期戦に向かない。
原作では敵対する人間に関節技を決められる事でスタミナ尽きた。
無論、王土が関節技を決められた訳では無く、奪われる前の味方が関節技を決められたという話。
(後に王土はその味方に重大なる徴税を使う事で異常を奪い取る)

王土は行橋程では無いが、一般人より多少は心を読む事が出来る。

正しくは『理不尽な徴税』なので
あんまり連呼されるとそろそろ恥ずかしいです

頼むからそういうのはなんか資料見ながらやってくれ
見てるこっちが恥ずかしい

資料?
そんな物を買う程、ましてや資料に目を向ける程金と心に余裕等有る訳ないじゃないイカ

さて、叩かれた事で私はROMらせて戴く事にするよ。

私みたいなお節介な、叩かれた応援者の事など気にせずに>>1さん頑張れ。

ダメだなあ
なんというかもう
ダメダメだなぁ

「理不尽な重税」だし
古賀ちゃんは別に敵対しつたわけでもない

まぁ能力に関しては>>141でも
>先で語る
って言ってくれてるし気になる人はここで語るよりwiki見るなりしたほうがいいんじゃね?

それよりも続きが気になってバイトに集中できないんだがどうしようwwwwwwwww

やばいくらい面白い
応援してる

>>157
そう。
一方通行《アクセラレータ》がベクトル操作をしたならば、それは小指の先にすらみたない小石ですら立派な兇器。
石礫はまるで弾丸のような速度で都城王土の顔面に向かい一直線に飛来する。

が。

都城王土はそれを見て、まるで児戯であると言わんばかりに嘲笑った。

「ハッ! そんなもので俺をどうにかするつもりか? この俺に向かって何たる無礼よ!」

その言葉と共にパン!という破裂音が響いた。
パラパラと細かな砂が都城王土の平手に舞い落ちる。

都城王土は。

肉を裂き骨を砕く弾丸と化した小石を、只一発の平手で以て粉微塵に粉砕したのだ。
都城王土の頬がニヤリと釣り上がる。

「…行橋。 どうやら中々楽しめそうだ。 手を出すなよ?」

そう従者に告げて、都城王土がゆっくりと歩き出す。
全身から噴出する凄まじい気迫は常人ならば失神してもおかしくないほどの圧力ではあるが。

けれども、一方通行が。
学園都市最強の超能力者が。
その気迫に呑まれる筈もない。

.
「あァ~… なんつったかなァ? ナントカ…テーピングでも使ってんのかァ? まっどうでもいいわなァ? 関係ねェンだしよォ?」

ぐちゃりと顔を歪ませながら。
ゆっくりと誘うように円の軌道をとりながら一方通行が都城王土を誘う。

向かう先にあるものは倒壊し瓦礫の置き場と化したビルの跡地だった。

そう。
今現在、紅い双眸をもつ二人の男が立つ場所は再開発地区であり、ここは一方通行にとっては無尽蔵の弾丸が転がっている兵器庫といってもいい。

辺りに転がるは鉄骨、土塊、アスファルト、ガラスなどの無機物という名の兇器。
そして、その中心に立った一方通行は酷く楽しそうにその顔を歪ませた。

「さァーてとォ! ンじゃまァせいぜい“楽しンで”くれよなァ!!」

哂いながら一方通行が拳を振り上げる。
振り下ろす先にあるのはねじ曲がれひしゃげた鉄骨。

ガコンとすぐ側にある鉄骨を拳で軽く叩いただけだったのだが。
数百キロはあるだろう鉄骨がピンポン玉のようにはじけ飛んだ。

当然、鉄の兇器が向かうに立つは都城王土である。
しかし、それでも尚都城王土は笑いを絶やさない。

「クハッ! おい、なんだそれは? 温すぎるわ!!」

その言葉と共に凄まじ勢いで豪脚が放たれた。

禁書あんまり知らんけど面白いじゃあないか支援

ダンプカーが正面衝突したかのような轟音と共に鉄骨の塊が明後日の方に吹き飛び、アスファルトに刺さる。

それをチロリと視線の先で追って、一方通行が歪んだ笑みをして話しかけた。

「…おォ! “中々楽しめそう”じゃねえかァ?」

歪んだ笑みをもって白髪紅眼の一方通行が歪んだ笑みを浮かべる金髪紅眼の都城王土を馬鹿にする。
だが、一方通行の言葉を聞いて都城王土がフゥと小さな溜息を吐いた。

「おい。 この俺に向かって何たる口の聞き方だ。 いい加減に頭が高いことをわきまえろ」

そう言って。
都城王土がゆっくりと一言一句はっきりと。
告げた。


「 平 伏 せ 《 ヒ レ フ セ 》 」


瞬間、一方通行の身体がまるで引きずられるように大地に吸い寄せられたのだ。

「ガッ!?」

ガチンと音を立てて地面に顎をぶつけ、痛みに悶絶する一方通行。

「…おいおい。 たいして痛くもなかろうが? わずかに唇が切れただけで涙ぐんで痛がるとは随分と情けないのではないか?」

ククク、と馬鹿にしたような笑いをこぼす都城王土にピクリとも動けない一方通行が毒を吐く。

「うっせェ! 涙ぐんでねェよ別に痛がってるわけでもねェよ! 二度と味わわねえと決めてた土の味に驚いただけだっつーの!」

一方通行かわいいなw

正直カミやんよりいい働きしそうだな王土さんwww

電磁波による介入はまだ正体が割れてないから通ったってことでいいのかな?

そう罵りながら必死になって解析をせんと演算を開始した一方通行だが、その頭脳をもってしても今現在自分の身に起きている現象が全くもって不可解だった。

反射膜は“問題なく稼動”している。
彼にとって“有害”な情報は現在進行のまま全て遮断しているはずなのだ。
だからこそ、この事態は不可解であり不可能であり不思議。

「…ッ!? こりゃまたいったいぜンたいどーゆーわけだァ!? テメエ何をしやがったァ!!」

地面に張り付いたかのように動かない己の手足を呪いながら一方通行が吠える。
そして、それに返事をしたのは従者である行橋未造だった。

「えへへ! なに言ってんのさ? そんなこと相手に教えるわけないじゃん☆」

そんな行橋未造の言葉を遮ったのは他ならぬ都城王土の言葉。

「フン! いいぞ教えてやれ行橋」

「あァ!??」

戦闘において自らの能力をバラすなど、本来は有り得ないことだろう。
そう訝しがる一方通行に向かってニヤリと笑った都城王土が両の手を広げる。

「俺を誰だと思っているのだ? 俺に隠さねばならん自己など“無い”」

そう言うと都城王土は地面に張り付いたままの一方通行でも見えるように右手を掲げた。

パチッ!と小さな音を立てて火花が立つ。

禁書キャラは頼まれなくとも勝手にどや顔で能力語り出すからな……。
そんなだからカミやんごときに伸されるんだよ。

なんで電磁波届いてんだよ

あと王土能力的に勝てないのに上から目線杉だろ

めだかボックスのSSだと……
まさに俺得

凄みとカリスマとシリアス補正で解決する
以下議論禁止

都城先輩かっけぇ

かけがえのない唯一人、唯一の絶対者を見て行橋未造が軽く肩をすくめる。
もとよりこの男の考えることなど、もとより理解の範疇の外にあるのだ。


「まったくしょうがないなぁ☆ これこそ都城王土の真骨頂そのいち! あいつは“人の心を操ることができる”のさ」


そう、行橋未造はとんでもないことを口にした。
その言葉を補足するように、手の内でパチパチと火花を散らせながら都城王土が口を開いた。


「より正確に言えば“電磁波”を発し対象の駆動系に干渉するのだがな」


そう。

それが都城王土の異常性《アブノーマル》。
行橋未造風に言えば都城王土の真骨頂そのいち。

『王の言葉』

電磁波を発し対象の駆動系に干渉すること。
それを都城王土は恐ろしいことに対象の意志すらも無視して支配してしまうのだ。
もちろん、人間の身体には超極小の電気信号が流れていることくらいは一方通行も知っている。

だからこそ、一方通行は気付かない、気付けない。
…否。
気付いたとしても対処の仕様がないのだ。

いいか、もう一度言うぞ
以下議論禁止

・・・
・・


人間の身体には“すべからく”活動電位とよばれる電気信号が流れている。

脳内の電気信号をミクロな視点で見れば細胞一つ一つに活動電位と名付けられたそれの総称は電気パルスという。

“そして”一つ一つの細胞の電気パルスを個別にいくら調べても“具体的に価値のある情報”が含まれていること“ない”。

そう。 電気パルスを単体で観測しても、それは有害でも無害でもなく、ましてや偽装でもない。

無害である電気パルスが幾千幾万幾億と対象に集中し、組成することでようやく『王の言葉』が完成し実行されるのだ。

つまりそれは“有害”か“無害”かというホワイトリスト方式で反射を設定している一方通行には防ぎようがないということ。

…勿論、それでも反射膜が無効だというわけではない。

『王の言葉』を防ぎたいのならばありとあらゆる外部情報を反射すればよいだけである。

だが、それは諸刃の剣どころの騒ぎではない。

電磁波は音にも光にも空気にも存在している以上、それら全てを反射するということは“生存に必要最低限な情報”すらも反射しなければならないということと同義なのだ。


・・
・・・

学園都市最強がガチ喧嘩を売りましたが
動機は『道を譲らなかったから』です

ABG*S無しだからこんなに時間掛かってるのか

…これは感心した
拡大解釈っていうよりかは物理的な解釈するとこうなるのか?

正直木原真拳より説得力あるわ

>>197
喧嘩というか殺意あるよね

>>199
木原真拳はアレだ、その場のノリとか勢いだきっとw

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 13:35:27.61 ID:nzd3m9OlP
>>133
アーカードの時には何も言わなかったけどさ
正直見損なったぞ

はっきり立てる宣言しておいて肩透かしってのはほんの遊びであっても不誠実すぎるだろうよ
これ以上はもう何も言わんが

そう訥々と説明をする都城王土だったが、それを静かに聞いていた一方通行の顔が大きく歪んだ。

忘れてはならない。

学園都市最強の超能力者ということは。
つまり学園都市最高の演算能力を持つ者だということをだ。


「…カカッ! そりゃまたゴテーネーにどうもォ!!」


平伏したまま、一方通行が笑う、哂う、ワラウ。

「けどよォ…失敗だったなァ? それさえ判りゃあ… 打つ手は幾らだってあンだよォ!」

途端、滑るように一方通行が宙に跳ね上がった。

「確かになァ! 有害でも無害でもない電気パルスをいちいち反射なンざできやしねェが!
 だったらその命令とやらを上書きすりゃあいいだけじゃねェかァ!!!」

「…ほぅ!」

動けるはずがない一方通行を見て心底感心したという声をあげる都城王土。

それも当然である。
種明かしをされて何時までも蹲っているほど一方通行は愚鈍ではない。

彼がしたことは重力のベクトルの反射である。
それは意志に反した彼の身体などとは全くもって関係がない。
故に、『王の言葉』は、一方通行の細胞は、動き出した手足から命令が中断されたと判断し無効化されたのだ。

明らかな解釈ミスだが
作者の解釈ということで納得せざるを得ない訳だよ

>>202
待って待って
それ見るたびに胸が痛みます
非はどっちかといえば俺にあるんだからやめてー

もうそれに対しては>>159できちんとしたレスしてるんだし
スルーしたほうがいいんじゃね

>>204
気になる
kwsk突っ込んでくれたら嬉しいかも
>>206
うい

行橋は痛み受信しないの?

136 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2010/12/04(土) 13:35:27.61 ID:nzd3m9OlP
>>133
アーカードの時には何も言わなかったけどさ
正直見損なったぞ

はっきり立てる宣言しておいて肩透かしってのはほんの遊びであっても不誠実すぎるだろうよ
これ以上はもう何も言わんが


俺は気にしてないからな!お前も気にするな!いや、気にしろ!

>>203
トンと月光を背にして立つ一方通行。
凶悪に歪んでいるその顔に浮かぶのは抑えようのない殺意といってもいいほどの闘争心が浮かんでいる。

その殺意は元をたどれば彼の出生に関係しているのは言うまでもない。

幼い時分ならば誰しもが持つ純粋な殺意。
それは友人や家族と喧嘩をしていくうちに消え去るはずなのだ。

だが迫害され、隔離され、たった独りで幼少時を過ごしてしまった一方通行にとって、いまだそれは胸のうちに息づいている。

そしてそれは都城王土とて同様。
敵には微塵足りとも容赦をしないその激しき気性は胸のうちで燃え盛っている。

「ふむ… “約束”を破ってしまったか。 まぁ悪事を働いている…というわけでもないし仕方あるまいな」

一方通行に対してゆっくりと一歩を踏み出す都城王土。

「この俺は“攻撃を受ける理由がない”から“避ける必要がない”などと言うほど人間が出来ておらん」

ミシリと音をたてて拳を握る都城王土。

「さて? 俺の言葉を克服したからと言ってそれがどうした? 勘違いするなよ? 言葉の重みなど俺にとっては必殺技でもなければ真骨頂でもない」

視線の先には楽しそうに笑っている一方通行。

「荒っぽい手段はとりたくないが…言葉が成立しない以上それもやむなしだな」


その言葉を2ラウンド目のゴングと捉えた一方通行が、兇器の雨を暴風のように操りだした。

戦場の最前線ですらここまで酷くはないのだろう。
身の回りにある無数の瓦礫を弾雨と化し、都城王土に叩きつける一方通行。

そして、都城王土はそれに一歩も退こうとせずに真正面から立ち向かっていた。

「ぬんッ!」

烈火の如く気迫と共に吹き飛んできたコンクリートの塊を殴り壊した都城王土にかかったのは一方通行の愉しげな笑い声。

「ギャハハッ!! どうしたどうしたァ! 荒っぽい手段とやらはまだなンかよォ!! いつになったらこっちに届くんだァ!?」

そう、一方通行の言葉のとおり、都城王土は次第に押されている。
凶器もいらぬ鋼鉄の如き四肢にて、身に迫る全ての飛来物を叩き落とすもそれが限界。

一歩足りとも前に進めない。
むしろその身に未だ傷ひとつ無いことが異常ではあるのだが。

「ふむ… どうやらこのままでは俺でも無理なようだな」

そう言いながら、トンと都城王土の足が地を蹴った。

一蹴りで数十メートル後方にさがる。
そこには巻き添えを喰らわない遮蔽物の影に隠れた行橋未造がいた。

「…王土?」

突然隣に降り立った都城王土の意図が掴めず、不安げな声をあげる行橋未造。
そう。
行橋未造にとって都城王土が苦戦している姿など初めてなのだ。

原作の小説もこんな感じ?

そうだよ。
読んだ事ないけど

普通なる王土さんが行橋に来る雑音を消してるってことなのか?
古賀ちゃんのときと違って気遣いができる王土さんマジパネェッス

動揺している視線をその紅い双眸で受け止めて。
都城王土はこう言った。

「どうした行橋よ? その不安げな顔は。 言ったはずだぞ? お前は俺の偉大さと強大さだけに感動しておけば良いのだ」

そう言葉を続けながら、都城王土は行橋未造の服の中、柔らかい素肌をものともせず無造作にその手を突っ込んだのだ。

「えと… 王土? いったい何をしてるのさ…?」

モゾモゾと服の中をまさぐるように動く都城王土の手の動きを当然と受け止めながら。
それでも彼の考えが判らず不思議そうな声をあげる行橋未造。

そしてようやく意図に気が付いて叫ぶ。

「ッ! ダメだよ王土ッ!!」

慌てて服の上から都城王土の手を止めようとするも時は既に遅かった。
ぐらりと行橋未造の視界が霞み、揺れる。

「なん…で…王土…」

シューシューと行橋未造が背負った鞄から聞こえる小さな排気音とともに覗いているのは小さな管。
そこから吹き出されている気体の正体は即効性の催眠ガスである。

コトリと意識を失った行橋未造を見下ろして、都城王土が静かに呟いた。


「行橋よ。 俺が褒めてやる。 仮面をつけていないのは正解だったぞ」

禁書の原作みたいな
反射できると思ったら何でも反射できる
でも魔術はよくわかんないけど反射できない
みたいな解釈はわけわかんないから
これでいいと思う

おっぱいを揉んだ…だと

あぁ…野暮だったね

深い深い眠りについた行橋未造を一瞥すると、都城王土は一方通行に振り返る。
追撃が出来たはずだというのにただ静かにそれを見ていた一方通行の肩がゆっくりと振るえ、そして我慢が出来なくなったかのように都城王土を高らかに笑い飛ばした。

「ギャハハハハhハハッ! ンだそりゃァ! お涙ちょうだいってかァ?」

安い三文芝居を見たかのように、まるで“自虐”のように声を張り上げる一方通行。
だが、それを聞いた都城王土は揺らぎもしない。

「ハッ! 俺が同情を誘うだと? そのようなこと天地が逆転してもあり得んな。 なに、俺が行橋を眠らせたのは、ただ単に俺の都合でな」

ゴキリと首を回しながら都城王土が笑う。
そんな都城王土を見て一方通行が眉をひそめた。

「……あァ!? ついに恐怖のあまり頭がイッちまったかァ!?」

しかしその問はお返しとばかりに笑い飛ばされる。

「クハハッ! なに、こうもやられっぱなしの防戦一方などという展開は俺の性にあわんのでな」

その言葉と共にぎしりと拳を握りしめる王土。
それを見て面白そうに一方通行が吠えた。

「なァに考えてンだァ? だいたいテメーは俺に近づくことも出来やしねェじゃねえかァ!」

「当然だろう。 流石の俺でも無傷で貴様のもとに辿りつけるとは思わんよ」

そう言われ、フムと頷く都城王土を見て一方通行が本当に。
とても楽しそうに笑いながら、まるで目の前の男を認めるように試すように両の手を振り上げる。

「クカカカカッ!……面白ェ 面白ェよテメエ さァてテメエは何回死ねば俺のもとに辿りつけるんだァ!?」

この二人仲良しにしか見えん

ベクトル反射により無数の瓦礫や小石が凄まじい速度で飛来する。

目前に迫るそれは喩えるならば銃口を無数に並べたショットガンのよう。
無数の凶弾に正面から相対した都城王土は微塵も躊躇うことなく飛び込んでいった。

小石を弾き飛ばし、砂利を叩き落とし、鉄材を蹴り飛ばす様はまさに獅子奮迅という言葉が相応しい。

だが。
それでもなお一方通行の放った嵐のような弾幕は凶暴で獰猛で分厚かったのだ。

「ぬっ!?」

小さな小さな小石の欠片が都城王土の爪先を撃った。
そして、その機を逃さんとばかりに暴風雨が都城王土を蹂躙する。

グシャグシャと耳を塞ぎたくなるような人体の破壊音。
脇腹に鉄材がめり込み、首筋を小石がえぐりとり、砂利が肉に食い込んでいく。

だがしかし、それでも都城王土は止まらない。

数瞬か数秒か数分か。
時間という概念すら置き去りにしたような刹那の刻。

都城王土は、その身体に降り注ぐ凄まじい破壊と引換に。
ついに。ようやく。念願の。

一方通行の目の前、数メートルに辿り着いた。

それはつまり都城王土の拳が届く射程圏内ということである。

工事関係者が潤うな

10分に1レスか書き溜め無しだな

.

「どら、待たせたな。 これより退屈はさせんぞ?」


ボタボタとおびただしい血を垂らしながら、それすら些事であると言わんばかりに都城王土が笑った。

「はァ~… よくもまァそのザマで生きていられるもんだわなァ?」

心底感心したというふうに目を見開くは一方通行である。
それは、目前に立つ満身創痍の金色の男に対する彼なりの賛辞であった。
そして都城王土はそんな賛辞を当然と受け止めて返事をする。

「俺が行くと決めて俺が行くのだ。 あれしきの妨害など問題にならん。 避けれないのならばそのまま突き進むまでのことよ」

そう言って尊大に笑う都城王土。
だが、それを聞いた一方通行は何処か苦しそうに決定的で残酷な事実を言い放った。

「…けどよォ 忘れてねェか? オマエの拳は俺には届かねェんだよ」

そうなのだ。
例え一方通行の暴虐の化身のような嵐を抜けようと。
その先にあるのはベクトル反射という無敵の盾。

どれほどの犠牲を払ったとしても、ただの拳でこの堅牢な要塞は破れはしない。

>>216
魔術はよくわからんからベクトル操作に手間がかかる
ダークマターはフィルターを騙すからベクトル操作出来ない

木原神拳と比べたら
殊更おかしいとは思わんが

そろそろ15分じゃね?

砲撃もいわんやと言わんばかりのその拳が“直撃”すれば、それこそ一方通行の身体など一瞬の痛みを感じる間もなく生体活動を停止するだろう。
だが、それは反射膜を超えたらという有り得ない話である。

「確かによォ大層な威力だわなァ …けどそンなこたァ関係ねェ。
 オマエが俺に触れでもしたらよォ …全身の血管と内臓が根こそぎ破裂して死ぬぜェ?」

そして、さらにもう一つ。

「テメエは“アイツ”じゃあねえ そこンとこァとっくのとうに確認済みだ」

“アイツ”とは誰のことかなど都城王土は判らない。
だが、目前に立つ白髪紅眼の男の言っていることは事実なのだろうと都城王土は理解した。

「…ふむ。 つまりだ。 おまえは何が言いたい?」

そう促し、先を問う都城王土に一方通行は静かに答える。

「あァ テメエは死ぬ思いをしてここまで辿りつきゃしたが… ザンネンなことにここが行き止まりなンだわ」

しかし、それを聞いた都城王土はとても楽しそうに笑った。

「…行き止まりだと? 面白いことを言うな」

ゆっくりと拳を握り締め

「生憎、俺はどこぞの生徒会長みたいに武術に聡いわけではない。 だから俺はただ俺の気の向くままに全力で貴様を殴るとしよう」

弓矢のように振り上げたその拳を見て、一方通行は吐き捨てるようにこう言った。

「……馬鹿だなテメエは」

.

「ぬんっ!!!!」

裂帛の気合と共に都城王土の握りしめた拳が一方通行の顔面めがけて繰り出された。
人智を超えた速度と威力はもはや武術などが及ぶ域ではない。
それはまさしく一撃必殺の兇器である。

だが…その拳が一方通行に届くことは無かった。

薄皮一枚の反射膜。

けれど、その薄皮一枚の反射膜こそが一方通行を学園都市最強の能力者たらしめている原点なのだから。


「ぐっ!?」


くぐもった呻き声と共に拳を放ったその姿勢のまま全身から血を吹き出す都城王土。
パシャリと軽い音をたてて吹出した血が一方通行の服に飛び散る。

「…ホント 馬鹿だなァテメエは 言ったよなァ? 俺に触れれば死んじまうってよォ?」

どこか寂しそうな口調でそうポツリと呟く一方通行。
チラリと横目で意識を失ったまま倒れている子供を見る。
何故金髪の男があの子供を眠らせたのかなど、今更判るわけもない。

先程までの胸の高揚感は既にどす黒い感情に変わり、一方通行の胸の中心に鎮座していた。

>>225
そういう解釈がいつも通用するならいいけど
そのときの話のノリで反射できる物とできない物が変動するだろ
新しい反射システムを作るときに必要な外部情報も一緒に遮断されるんじゃ、とかそういうのも気にせずあっさり反射してるし
反射できると思ったら何の弊害も無く反射できる、弱点は話の都合だけ、というのが一方さんだろ

.
「…チッ 意地なんざはらずに逃げ出しゃあよかったのによォ…」

そう呟くと踵を返す一方通行。

「服…汚れちまったなァ このまま帰りゃあのガキがギャーギャーうるせえンだろうが…」

けれど今はそんな事もどうだっていい。
服が血で汚れたならばまた買えばいい。
それよりも胸に渦巻く重圧感から逃れることのほうが先決だ。
まるで逃げるようにこの場を去ろうとして。 一方通行の足が止まった。

“何故服に血が付着している?”

薄皮一枚の反射膜は一方通行の全身を覆っているのだ。
つまりそれが意味することを一言でいうならば。

“シャツに血液が付着することなどありえない”

何も考えること無く、何も考えられず、一方通行は己の胸に付着した血液を払った。
腕の動きにあわせて、血液がピチャリと地面に落ちる。
そして…赤い血が付着していたはずのシャツはシミひとつない普段の姿を取り戻していた。

シャツに血が付いているわけでもない。 

金髪紅眼の男の血液という残滓が逆らうように“反射膜”の表面に付着している?

その時だった。

意味が判らず硬直しきった一方通行の背に朗々たる声がかかったのだ。

>>229
まぁ原作だったら王土から放たれる電磁波だけを反射するとか
平気でやりそうだよな

>>231
でも理屈が伴わないから
このSSでわざわざそういうのを採用する意味も無いよな
良い解釈だと思うよ

.

「 『 待 て 《 マ テ 》』」


「俺をおいて一体何処に行くつもりなのだ?」


「……ンだとォ!?」


動けない、振り向けない。 指先ひとつすらピクリとも動かない。

知っている。
一方通行は知っている。
さっきのは『王の言葉』

声の主は金髪紅眼の自分によく似た“馬鹿野郎”に間違いない。

ベクトルを反射し動くことも忘れ、立ち尽くしたままの一方通行にやれやれ、といった独り言が風に乗って届いた。

「ふむ、“攻撃がヒットする瞬間に回復する”か。 俺にしては不安ではあったがどうやら“再現”はできたようだな」

「……よォ? どういうことだァ? 教えやがれよなァ」

背を向けたまま、何故か親しげとも取れる調子で。 一方通行がそう背後に立っているであろう男に声をかけた。
そんな問いかけを聞いて。
フン!と耳にたこができるほどの笑い声と共に男は言った。

「あぁ…そういえば言ってなかったか。 俺の身体は筋肉、骨格、神経はもとより循環器、呼吸器、血液に到るまで改造されているようなものでな」

王土さーーーん!!!

理不尽な徴税で古賀ちゃんから奪った異常性か

そういや古賀ちゃんの異常も活きてるもんな。

>>196の意味がよくわからない
誰か説明して

――ここで少し二人の少女の事を説明をしなければならないだろう。
箱庭学園特待生2年13組の二人の異常者《アブノーマル》。

名瀬夭歌と古賀いたみという少女のことだ。


名瀬夭歌。
少女の名は偽名である。
真の名は黒神くじら。
その姓が示すとおり箱庭学園生徒会長黒神めだかの親族であり。
そして、名瀬夭歌は人体を生物学的に改造するというただ一点においては完璧超人と呼ばれる黒神めだかですら及ばない域に達しているのだ。


古賀いたみ
そんな名瀬夭歌と出会ったのが古賀いたみという少女だった。
常人であり、一般人であり、平凡な人生を過ごしてきた彼女はそのありふれた人生を変えるため、あえて己の身体を実験台として名瀬夭歌に捧げた。
“異常”に対する“異常”な憧れだけが“異常”なただの女の子。
だが、だからこそ古賀いたみは名瀬夭歌の非人道的という言葉すら生温い人体改造を耐え切ることができたのだ。


その古賀いたみの身体スペックは、途方も無いハイスペックである。
彼女は箱庭学園生徒会長黒神めだかを“圧倒”した。

亜音速で動き、100kgの鉄球が頭頂部に直撃してもケロリとし、果ては箱庭学園そのものを引きずる膂力を発揮することができる黒神めだかを“圧倒”したのだ。

例えそれが人格を失い空っぽのままの黒神めだかであろうとも、その事実は揺らぎない。
ましてやその時の古賀いたみは“ガス欠状態”の身体のままだったのだから本来のスペックなど想像するだに馬鹿馬鹿しい。


そして…都城王土はその古賀いたみの異常《アブノーマル》を“強制的に取り立てた”のだ。

そういえばそんなこともしていたっけな

それは、都城王土の特異性《アブノーマル》であり。

それは、黒神めだかですら不可能なことである。

無尽蔵の電力《アブノーマル》、『創帝《クリエイト》』という名の異常《アブノーマル》をもつ都城王土だけが掴むことの出来る答え。


ならば、出来ない訳がない。

目の前にいる白髪紅眼の男は先程、『王の言葉』をベクトルでねじ伏せたのだ。

ならばそれは必然。

ベクトルの反射を異常《アブノーマル》でもって強引に力尽くでねじ伏せることくらい、都城王土に出来ないわけがない。

都城王土はベクトル反射で裏返っていく血液を血管を内臓を上書きするように、“己”の意志でもって“己”の回復力で無理やり塗りつぶしたのだ。


「さっきキサマはこう言っていたな? ここが行き止まりだと」


紅い煙が都城王土の身体から湧き立っていた。
それは破壊と再生の繰り返しで極限まで酷使された細胞が発火寸前まで熱をもち、付着している血液を次々と蒸発させたものだ。


「確かに…過去の俺は王道を踏み間違えた。 行き止まったのだ」


都城王土の胸に飛来するは己が手を地につけて己が非を認めたときのことである。

おお、原作が伏線とは

纏めて読みたいけれども我慢ができずにリロード。俺の負けだ。

.

「だが」


それでもこの男は、都城王土は立ち止まらない。


「今の俺が進むは“王道”ではない。 “覇道”だ。 ならば俺の“覇道”に行き止まりなどあるわけがなかろう」


こいつの馬鹿さ加減はどこかのヒーロー気取りの三下かよ、と一方通行は思いながら可笑しそうに笑った。

「ハッ! そいつァ随分とまァ大層な道だなァおい!」

そう背で返事をして。

ようやく一方通行は気付いた。
いつの間にか身体に自由が戻っていたのことに。

「おいテメエ… 何考えてやがンだァ?」

ゆっくりと、振り向きながら一方通行がギョロリと都城王土を見据える。
その視線を受けて都城王土はゆっくりと拳をかざした。


「言ったはずだろう?  俺の“覇道”に行き止まりなどないのだ」

つまりそれが意味することは。

ダメだ、発熱してる俺の頭じゃなんで反射を突破できるかの理論がわからない
その上、物量じゃ超えられない反射を物量で超えてるように見えて余計に混乱してる
誰か説明頼むよお願い

>>244
その場のノリ

>>244
細けぇ事はいいんだよ
説明するべきなら作者さんがしてくれるだろ

そもそもベクトル反射、つまり物理量の反射なんて膨大な項目数を含む事柄を100%矛盾無く説明しろとか
どんな論文集になるんだよ、と突っ込みを入れたいしなwwwww

>>245-246
そうか、じゃあ俺は作者が説明してくれることを信じて寝てもいいんだな・・・

まるで焼き直しのように再度拳を振りかざす都城王土。


「貴様が俺の“覇道”の行き止まりというならばだ。 俺はそれを正面から突破して粉砕して圧潰して押し通るまでのこと」


つまり、それは先程の展開を再度繰り返すということ。

「今の俺をさっきまでの俺と思うなよ? 俺は常に進化しているのだ。 もはや俺ですら今の俺がどこまでいけるか定かではないのだ」

笑いながら都城王土が拳をギシリと握る。
どれほど威力があろうとも反射膜が破られるはずがない。

「カカカカッ! 上ッ等じゃねェかァ!!!」

だというのに、一方通行は心地良い爽快感を感じていた。

首筋からは小さな電子音が聞こえる。
その音が意味することはとっくのとうに判っている。

そう、バッテリー切れだ。

脳の演算機能を外部に頼っている一方通行はチョーカー型の補助演算装置のバッテリーが切れれば、反射どころか歩くことすらままならなくなるだろう。

この男と戦闘を始めて何分たったのだろうか。
3分? 5分? 10分?
もしかすると数秒も残っていないのかもしれない


だが、それでも一方通行は退かない。

バッテリーの存在すっかり忘れてたw

>>244
俺の考えっていうかこのSS上では

>>196
一方通行の反射膜はザルのように網目のはいったもの。
有害と判定される物質は網目を通れず反射される。
無害と判定される物質は網目を通って一方に届く。

で、王土の電磁波は、単体では効果がないし無害だから一方に届く。
なぜ無害かというと電気パルスとして幾つにも分割されている電磁波だから。
けど無害なパルスが対象に届いて合体すると初めて脳が命令と誤認する。

>>230
反転しようとする血流やら細胞やらを、異常回復力で正常な状態に無理やり戻している。
反射膜にくっついていたのは異常回復力の名残りと凄み的なナニカ

おk?

上条さんの話す「言葉」一つ一つは無害だけどそれが集まって「説教」になったら一方さんにも効くじゃん?

>>251
それ別に網目って設定いらなくね?
ただ単に無害なら通過、有害なら反射でもこの展開は成り立つ
今後の展開がどうなるかは知らんけど

「原作では~」
「一方通行は~」
「反射はベクトルは~」
とか言う奴らがそろそろやって来るかな

>>249
もう一方通行は。
アクセラレータは負けるわけにはいかない。

決して負けるわけにはいかないのだ。

脳裏にちらつくのは絶対に守ると決めた少女の影。
その少女と。 そして己に誓うように一方通行が静かに自らの非力さを認める。

「チッ…確かにこのザマじゃあ学園都市最強は返上だわなァ…」

だが、数瞬後、それは反転。
凄まじい気迫と共に一方通行が吠えた。


「けどよォ…それでも俺はあのガキの前じ…ゃ最強を名乗り続けることに決めてんだよォォ!!!!」


目の前の男が全てを押しつぶすというならば。
ならば自分は全てを跳ね返すだけのこと。

もはや侮りはしない。
この男の拳が届かないなどとは思っていない。
例外ならば既に味わっている。
敗北ならば既に経験している。


「…なるほど。 その気迫ならばわざわざ“俺の言葉”を解く必要など無かったな」

一方通行を見て感心したように都城王土がそう呟いた。

物量云々っていうのは
内分泌系とかの命令をねじ伏せるって意味だと解釈した

.

「名乗れ。 そして覚えておけ。 俺が、俺こそが都城王土だ」

相手を侮っている笑みではない。ただ己の好敵手に対してそう都城王土が自分の名を告げた。
それを聞いて、立ち向かっていた一方通行は満面の笑みを浮かべる。

「カカカッ! 一方通行《アクセラレータ》って呼んでくれよなァ! 王ォォォォ土くゥゥゥン!!!」

それを聞いて都城王土が満足そうに頷いた。

「なるほど。 いい気概だ。 どれ…歯を食いしばれよ“一方通行《アクセラレータ》”。 俺の拳が貴様の心の臓腑に届けばそれで全ての終わりだぞ?」

ギシリと神鉄のように固く固く拳を握りしめる都城王土。


「敬意を持って貴様の全てを簒奪してやるからありがたく思え」


それに相対した一方通行は両の手を広げ、大地を踏みしめる。


「いいぜェ…… 俺を打ち破るっつーなら…俺から全てを奪うっつーなら…」


先程まで浮かべていた歪な笑みではない。 まるで子供のように目を光らせて一方通行が吼えた。


「今俺がァ!テメエのその思い上がった幻想をブチ壊してやンよォ!!!」

原作である西尾理論に理由や証明を求めるのって無駄だと思うの

>ベクトルの反射を異常《アブノーマル》でもって強引に力尽くでねじ伏せることくらい、都城王土に出来ないわけがない。

流石にこれは無理があると思われ

とりあえず、好きに書いてほしい

王ォォォ土くゥゥゥん吹いたwww
しかし本当に王土さんカミやんよりいい仕事してんじゃねーのかwww

それなりにまともだと思うけどなぁ
電磁波自体が無害で
細胞が勝手に解釈してるっていう話は

>>259
出来るからこそ『異常』なんだろう

>>259
自分の攻撃力の二倍の《回復力》って考えれば普通じゃね?

>>257
お互いの目の奥に光るのは既に憎しみや怒りなどといったものではない。
ただ相手を打倒し、己が上であると示すことに躍起になった子供のような自己顕示欲。
そう。言うなればこれは規模こそ違えど子供の喧嘩なのだ。

そして都城王土と一方通行は楽しそうに、心底楽しそうに吼えた。


「その意気や良しッッッ! 往くぞッッッ!!!!」


「上ッ等だコラァァァ! 来いよォォォォ!!!!」


魂を震わせて都城王土と一方通行が己をぶつけあわんと全力を込める。


最強の盾があるのならば、当然最強の矛もあるだろう。
果たして都城王土の拳が最強の矛なのかすらも判らない。
ましてやこれは矛盾であり、なればどちらが勝つかなど推測するのも意味が無い。

しかし、それでも確かなことが一つある。

この一撃が交差すれば、確実にどちらかが死ぬ。
それは絶対の事実であり、誰にも違えることのできない真実なのだ。

>>264
あ、これ喰らった後に回復してんのか
てっきりベクトルを命令で打ち消す的なアレかとおもてた

>>266
実際、命令でもって精神無駄に疲れさせて能力使用時間削ってる感はあるけど

「王の言葉」じゃなくて「言葉の重み」じゃなかったっけ?

絶対致死、一撃必倒、絶対必殺の威力をもった都城王土の力。
接触致死、瞬間必倒、完全必殺の威力をもった一方通行の力。


それは、その力は、その喧嘩は。


「イヤだよ王土ッ! ボクを置き去りにして一体何を考えているのさっ!!」


「絶対ダメッー!ってミサカはミサカは涙で顔をグシャグシャにしながら貴方に訴える!!」


突如乱入してきた二つの小さな影に阻まれ、不発に終わった。
小さな身体である。

拳を握り締めた都城王土の前に立つ小さな影の名は行橋未造。
己の存在意義であり、己の生きる意味を教えてくれた男を止めるため。

両の手を広げた一方通行の前に立つ小さな影の名は打ち止め《ラストオーダー》。
己を救いあげ、己を見殺しにはしないと言ってくれた男を止めるため。

けれど。
その小さな手は。震える身体は。涙で潤んだその瞳は。
紅い双眸を持つ男達の喧嘩を中断するに充分な力を持っていたのだ。

一方通行を殴っても攻撃が反射するだけじゃなかったっけ
血流云々は一方が自分の意志でベクトル操作してた筈
まあ細かいことは気にしないでいいと思うけど

ベタベタの王道wwww

しかたないね
こんなことで殺し合う意味もないしね

>>271
ぶち殺すぞ

「…行橋」

「…クソガキ」

ポツリとそう呟いて。
今にも破裂しそうなほどに膨らみ、張り詰めた風船がしぼむように男達の気迫が急速に薄れていった。


都城王土は問う。

「…どうやって目覚めたのだ?」

「えへ…えへへ… ボクは王土のことを一番判っているんだ。 催眠ガスを使われそうになったとき、手の中にこれを握りこんでいたのさ」

厚手の手袋を取り、その小さな掌を都城王土に見せつける行橋未造。
その手の上には鋭利に尖った鉄骨の欠片が自身の血に塗れて乗っていた。

「喜界島さんとの一戦を参考にしてね☆ 催眠ガスを克服するには古典的だけどやっぱり痛みが一番みたいだ☆」


一方通行は問う。

「…何で来やがった」

「何でも何も! あなたの代理演算を補っているのは私達なんだからね! あなたの身体に走った痛みという異常を感知してミサカはミサカは病院を抜けだしてきたの!」

よく見れば少女の服はシャワーを浴びたように汗で濡れ、ゼエゼエと荒い息は未だに収まってはいない。
そう、一方通行は都城王土の言葉に引きずられ顎を地面にぶつけた記憶がある。
ただそれだけで、一人夜道を走って一方通行をこの少女は探し回ったのだ。

>>271
それこそが禁書、西尾の魅力のひとつだろ。

しえん

バトルは熱いが、そのキッカケが…。

『こういうのっていいよね。ヤンキー漫画みたいで』

>>273 へへ…面白え!やれるもんならやってみやがれ!!

都城王土と一方通行はどちらともなくフゥとちいさな息を吐いた。

「…おい一方通行《アクセラレータ》 おまえはどうするのだ?」

「…チッ まァ、確かにィ? もうそんな空気じゃあねェなァ…」

戦意を根元ごと引きぬかれたようなこの感覚。
それは自分だけではなく、目の前に立つ紅眼の男も感じているのだと思い紅眼の男は苦笑した。


こうなるとさっきまでの勢いが逆に気恥ずかしく紅眼の男達が静まりかえった中、小さな裁定者達はお互い勝手に自己紹介をはじめていた。


「ウチの一方通行が迷惑をかけてごめんなさいってミサカはミサカは真摯に謝ってみる」

「えへへ☆ 気にしなくてもいいよ。 王土だってきっと途中から楽しんでいたんだしね!」

「あ、それはウチの一方通行もきっと楽しんでいたとミサカはミサカは確信してる!」

「えへへ! まぁ判らなくもないかな? ボクらは自分に似た奴が好きすぎるんだからね☆」

「確かに似てるかも…ってミサカはミサカはこっそり横目で観察しながら同意したり!」

「あ、それとさ。 君、面白いね☆ ボクこんな人は初めて見たよ あ、でも王土ならもしかしてアクセスできるかもしれないなぁ…」

「ふえ? それっていったいどういうことなの?ってミサカはミサカは疑問を発してみる」

「えへへ☆ 秘密だよ☆」

可愛らしい声をあげて活発な情報交換を続ける二人を見て、金髪紅眼と白髪紅眼の男は静かに顔を見合わせる。

都城って多才能力者になのか。

行橋と打ち止めが可愛すぎて俺の股間がアブノーマル

>>282
ノーマル以下じゃん

>>282
江迎ちゃんに手コキしてもらえよ。

>>282
異常に小さいってことか

過負荷 短小包茎(ミニマムチンチン)

「…ハッ かったりィ… おらクソガキ! 帰ンぞ!」

これ以上この場の空気に耐え切れないと言わんばかりに声を張り上げたのは白髪紅眼の一方通行だった。

「ぶー!何それ何それ!せっかく心配してきたっていうのにその態度は何事?ってミサカはミサカは猛烈に抗議する!」

そう口では文句を言いながらも一方通行の隣に立つ打ち止めは朗らかな笑顔を浮かべていた。
あ、そう言えばプリンはプリンはー?とせがむ打ち止めが絶望する答えを口にしながらゆっくりと杖をついてその場を去ろうとする一方通行。
その時、都城王土の声がその背に静かにかかる。

「…おい、一方通行《アクセラレータ》」

「あン?」

そう言って振り向く一方通行に向かって都城王土がクイと顎で地面を指し示した。

「忘れ物だぞ?」

地面に転がってるのは缶コーヒーがつまったコンビニ袋。
だがそれを見て一方通行はハンと鼻をならす。

「…いらね どっかの馬鹿とやりあったおかげで充分目が覚めちまったンでなァ 欲しけりゃあくれてやンよ ってテメエ手握るンじゃあねェ!」

「まぁまぁ 気恥ずかしいのは分かるけど夜道は危ないんだからね?ってミサカはミサカは場合によっては言語能力を没収するといった選択肢をちらつかせながら強引に手をひいてあげる」

ふざけんなァァァ!と憤慨しながらも逆らうことのできない一方通行は杖をつきながら少女に手を引かれて今度こそ振り返ること無く闇の中に消えていった。

行橋起きてたんなら受信しちゃうんじゃないの?

異常性って奴はベクトルまでねじ曲げられんのか

>>288
王土さんが電磁波を操って行橋の方にいかないようにしたんだよ。

残されたのは都城王土と行橋未造である。
と、未だ催眠ガスの残滓が残っているのか足元が覚束ない行橋未造の身体がフラリと揺れた。
それを見た都城王土が小さく溜息をつく。

「…行橋。 眠いのならば俺が背負ってやってもよいが?」

「わ! ホント? えへへ☆」

そう間延びした声で言うと子猫のように都城王土の背によじ登る行橋未造。
都城王土にとって行橋未造の体重など小鳥が止まっているような感触である。
故にそれ以上特に何も気にすることもなく、都城王土は路上に転がっているコンビニ袋を見ていた。

試しに背中にむかって声をかけてみるが。

「…行橋」

スッポリと背に収まって目を細めている行橋未造は彼が言わんとすることを察したのだろう。

「うーん… ボク苦いの嫌いだし」

そっけなくそう言うと眠気に襲われたのか、小さなあくびをして都城王土の背中の上で小さな寝息を立てだした。

「だろうな。 さて、これから修道女のところに行くのはさすがの俺でも面倒であるな。 なに、今日は充分楽しめたのだ」

そう言って行橋未造を起こさないように静かに都城王土が歩き出す。

「なに。 中々に面白い。 随分と刺激に満ちている街ではないか。 なぁ行橋?」

背でスヤスヤと眠っている行橋からの返事はないが、それでも都城王土は満足気に闇の中に姿を消した。

休憩休憩
やっぱり当然保守いらず

>>288
まぁお約束っていうか、最後の瞬間のちょっと前に起きたって感じで捉えてくらしあ

>>289
王土の負傷については異常な回復力
ベクトル操作を突破できるってのは王土が思っただけで実際はわからん
ってところじゃないかな

俺得すぎるので期待してる

そもそも古賀ちゃんの「異常性」は
「異常駆動」と「狂人的な回復力」と言う『昭和ライダー』化

ベクトル変換に対しては
訓練すれば何でもできる『昭和仮面ライダー(かいぞうにんげん)』が
対応できないわけがないと考えれば…

単純に王土がさっきよりちょっと進化した今の俺なら拳届くんじゃねって思っただけだろ
実際反射膜を破れるわけはないけど、殴る瞬間バッテリーが切れて反射膜が消滅した可能性もあるから
どっちが勝ってもおかしくなかった。王土も一応間違ったことは言ってない

めだかボックスのボスキャラはかっこいいな
王土もかっこいいが球磨川は最高すぎる
それに比べて禁書は一方通行以外…

板倉なめんな

>>297
駒場さんとアックアさんディスってんじゃねぇぞ。

>>299
駒場は確かにかっこ良かったな
アックアは認めん

>>297
禁書はなんだかんだで根はいい人でしたオチだからな。
さすがにそればかりじゃ面白味に欠けると思うんよ。

当時DIOのパクリって言ってすいませんでした
いいキャラだな王土

>>301
その点テッラさんはいいよな

>>301
そこでテッラさんですね

>>303
テッラさん最高だよな

>>304
顔が…

>>303
ビアージオさんを忘れるな。

めだかのボスなら
雲仙も忘れちゃ困る

テッラさんになら抱かれてもいいよなお前ら

王土さんで番外編作ってほしいってこのSS読んで思った

王土さんは能力でみると強すぎるんだよな
本来なら(萌えキャラ殺しの意味で)、転校せずに死んでいてもおかしくはないキャラ

実際、王土未造ペアは現在行方不明だから、あとで微妙な長さの回想背負ってカッコ良く再登場する可能性は高いんじゃね。人気キャラだし。

球磨川がどうなるか気になるな
マジでキレたときの球磨川がかっこよすぎてヤバい
最近のバトル系なら一番かっこいいな
乱馬には敵わんが

安心院ちゃんには惚れた。

平戸ロイヤルさんには誰も及ばないのだよ

ところで>>1どこいった

そういえば、名瀬ちゃん勝っちゃったじゃん
このまま終わるとは思わないけど

次は蛾々丸くん対だれになるんだろう
江迎ちゃんはお母さんで確定だとして

>>291
■???

中年の男が大声で問いかける。

「何故君達に能力があるのか! 何故君達にチカラがあるのか! 不思議に思わないのか!」

据えた煙草の匂いを振りまきながら[M000]というコードネームを持つ中年の男は大袈裟に両手を広げる。

「もしかしたらだ! 君達はチカラを持つ必要など無かったのかもしれない!」

静かにそれを聞いているのは10人近くの少年少女。

「この計画が達成すれば! この悲願にさえ到達すれば! 君達はその“憎らしいチカラ”に怯えなくてすむんだ!」

その台詞に自ら酔ったようにして[M000]は更に大声を張り上げる。

「そう! 君達は誰かを傷つけることに怯えなくてもいい!」

そう言って懐から一枚の写真を取り出した。
そこに映っているのは宇宙空間とおぼしき場所に浮かんでいる機械の破片。

「これだ! この[残骸《レムナント》]さえあれば! これさえ我等が手にすれば!」

そこまで言って[M000]は言葉を切ってグルリと部屋を見渡す。
そこには己を見つめる若く真っ直ぐで情熱的な視線。

ブルリと快感で背筋を震わせ、[M000]は続きの言葉を口にした。

「判るかね諸君! 君達の悩みは! 解決したも同然なのだ!!!」

少年少女たちの間に広がっていく羨望と感謝と熱意を肌で感じとり、[M000]は満足そうに頷いた。

「そしてだ! 君達は感謝しなければならない! この計画に無くてはならない“大能力者”!」

そう言って[M000]は机の隅に座っていた少女に向かって声をかける。

「[A001]! 君には期待している! 君も“普通”になりたいだろう? 我等と同じく“正常”になりたいのだろう?」

その言葉と同時に[A001]と呼ばれた少女が立ち上がり、頷いた。

それを見て、[M000]は感動したように大きな声を張り上げる。

「これは君がいなければ不可能な任務だ! 君と!私と!君達は! 共に等しく“仲間”なのだ!」

さざ波のように感動がその空間を支配していくのを感じながら[M000]は叫んだ。

「さぁ! 諸君! 時は来た! 今こそ奮起の時なのだ!」

その言葉と共に万雷の拍手が沸き起こる。
少年少女たちの中には涙ぐんでいるものまでいた。
そして、[A001]と呼ばれた少女は。
どのような障害があろうとも、任務を遂行しようと決意の光をその瞳に宿らせていた。

■風紀委員第一七七支部

「[キャリーケース]の強盗事件…ですの?」

訝しげなその声の主は白井黒子。

「そうなんですよー。 犯人は地下に向かって逃走したみたいなんですけど…
 何故か信号機の配電ミスが相次いで警備員《アンチスキル》は身動きがとれない状況らしいですー」

紅茶の本をデスクの横に置きながらそう初春飾利が答えた。

「はぁ… なんだかきな臭そうな匂いが漂ってきますのね…」

そう言われてパァッと初春飾利の顔が輝いた。

「あ! じゃあ紅茶でも淹れましょうか? いいにおいですよー! 美味しいですよー?」

はちきれんばかりの笑顔を浮かべる初春飾利だったが。

「…お断りですの。 なんで貴方は犯人ほっぽらかしてアフタヌーンティーに勤しもうと思えるんですの?」

付箋がいくつもついた紅茶の本をちらりと横目で見ながら白井黒子が呆れたようにそう告げた。
ガーン!とした顔をするのも束の間、すぐに気を取りなおした初春飾利が不思議そうな声を出す。

「うう、今度こそ100点のお茶を出せると思ってたのに… あ、でも白井さん? つまりそれって…」

恐る恐るそう問いを発する初春飾利に白井黒子は薄っぺらな鞄を持って出口に向かいつつこう言った。

「ええ。 今回はお邪魔な金髪の殿方もいらっしゃいませんし? 私一人ならば地下だろうがどこだろうが関係ありませんもの」

■地下街出口・裏路地

「ふぅ…どうってことはありませんわね」

パンパンと埃を払いながらそう白井黒子が呟いた。
地面には黒いスーツに身を包んだ男が10人近く倒れている。

今更言うまでもないだろうが、白井黒子の能力は『空間移動《テレポート》』である。
点と点をつなぐ慣性を無視した三次元の軌道だけでも脅威だというのに。
更にああ見えて有事では頼りになる初春飾利のナビゲーションをもってすればキャリーケースを抱えて逃げようとする強盗犯を補足することなど朝飯前だった。

(ま、朝飯前というか午後の紅茶前といったほうが正しいのかもしれませんが?)

そう心中で呟きながら白井黒子はこちらに向かっているという警備員《アンチスキル》を手持ち無沙汰のまま待っていた。
如何に『空間移動《テレポート》』を使えるといえど、こうまで人数が多いと動くことは出来ない。
この場を離れれば、意識を取り戻したスーツの男達が逃げ出すかもしれないのだ。

.
(そういえば…最近随分とお姉さまがそっけないですの…いったいどうなさったんでしょう…)

そんなことをぼんやりと考えていた時である。
突如肩口に突き刺さったのは鋭い痛み。
更には自らが浮遊している感覚が白井黒子を襲う。

「ッ!?」

完全に油断していたこともあり、受身も取ることが出来ずにペチャン!と痛々しい音を立てて白井黒子が仰向けに倒れた。
肩に刺さり、激痛の元であると主張しているのはワイン抜きだった。

「…これは…随分と趣味の悪い成金みたいですわね」

そう毒づきながらゆっくりと白井黒子が起き上がる。

そこには。

クスクスと笑う少女が[キャリーケース]に座っていた。
肩にかかった赤毛を鬱陶しそうに背中に払いながら。


「初めまして。 風紀委員《ジャッジメント》の白井黒子さん」


本来は年相応の可愛らしい声だろうが、今は随分と意地の悪そうな声がそう言った。

■長点上機学園・放課後

「…すまないけども。 もう一度言ってくれないかしら?」

呆然とした口調でウェーブ髪の少女が今聴いたことの内容の確認を求める。

「うんいいよ! えーっとね、昨日の夜ね、王土とイッポーツーコーって人が戦闘《バトル》したんだ☆」

「……」

ハキハキと元気よく面白そうにそう答えた小柄な同級生の言葉を聞いて、布束砥信は今度こそ幻聴の類ではないのだということを理解した。

「suppose 勘違いとかその辺のスキルアウトっていうわけでは…無いようね…」

この小さな同級生が嘘を言っているとは思えない。
だが、信じられるだろうか?

一方通行。
それは学園都市最強の超能力者であり、“妹達”を一万人も殺した実験計画の中心人物であるのだ。

そのような男と都城王土が相対して戦闘をした?
それならば当然の帰結としてあそこの席、都城王土の席には不在の主を慰めるように白い花瓶が鎮座していなければならない筈なのだが。

その席には金髪紅眼の男が退屈そうに腕組みをしていた。

「thought 何を考えているか判らないだなんて、初めて見た時から理解はしていたつもりだけど…まさかここまでとはね」

どこぞのホラービデオに出てくる幽霊のようにバサリと前髪を顔の前に垂らしてそう布束砥信が呟いた。
その時、布束砥信の机の側に立っていた行橋未造に都城王土の声がかかる。

「さて行橋よ。 そろそろ日も暮れてきたところだ。 今日こそ俺の寛大さをあの修道女達に示してやらんとな」

尊大にそう言って笑う都城王土の元にトテトテと行橋未造が駆け寄っていく。

「えへへ! そうだったね! ボクもう忘れちゃいそうだったよ☆」

仔犬のようにまとわりつく行橋に向かって鷹揚に都城王土が笑う。

「おいおい まったく仕方のない奴だなおまえは」

「えへへ☆ そう言うなよ王土! なにせボクは王土に付き従うんだから、王土が要らないと決めたことをいちいち進言するはずないじゃないか☆」

そう言ってピョンと両足を揃えて行橋未造が布束砥信に振り返った。

「それじゃ布束さん! また明日ねー!」

「え、ええ… よい放課後を…」

そう言ってプラプラと力なく手を振る布束砥信に向かって、何かを思い出したように都城王土も振り返った。

「む、そうだ布束よ。 おまえの案内、悪くはなかったぞ」

「え? あ、ええ… それは良かったわ…」

そうぎごちなく答えることしかできなかった布束砥信だが、その返答で満足したのだろう。
うむ、と頷いて都城王土は行橋未造を引き連れて長点上機学園を後にした。

彼等が向かう先。
それはツンツン頭の少年と銀髪シスターの元である。

先日、彼等と接触したときにぶちまけたコロッケの代わりとなるであろう“ソレ”を持って都城王土と行橋未造は学園都市を歩く。
もちろん、彼等の住所はとっくに行橋未造が端末から“聞き出している”

一人教室に残っているのは布束砥信。

もはや布束砥信にとって彼等は核弾頭のスイッチにも等しい存在である。
彼等が動けば面倒な事件が巻き起こる気がしてならない。

「naturally 出来るならば私は無関係でいたいのだけれど…」

だが、布束砥信のその儚い願いは叶えられることがなく。
その小さな希望は数時間後には容易く打ち破られる。

[残骸]とよばれる物を中心として、都城王土、上条当麻、一方通行、御坂美琴という4人少年少女達がが巻き起こす事件に布束砥信も巻き込まれることとなるのだ。

激アツだな

禁書よく知らなくても楽しめてる

いーたん

■常盤台中学学生寮・御坂美琴と白井黒子の部屋・バスルーム

カチャンという乾いた音が響き、そして噛み殺しきれなかった悲鳴が白井黒子の口から漏れる。

「あ…グッ…!?」

ひどく弱々しい声と共に大量の血液がバスルームの床を伝い排水口に流れていった。

(っ… まさかここまでとは… 完敗ですわ…)

先程の音の正体はワイン抜きや黒子の持ち物である鉄矢が硬質タイルの上に落ちたときの音。
それは裏路地で対峙した赤毛の少女に笑みをもって己の身体に打ち込まれたということ。

そう、彼女もまた移動系の能力を持っていた。
いわば同族との戦闘は、一方的に。 白井黒子の身体にのみ夥しい傷と出血を残して幕を閉じた。

雑菌が入らないよう身につけていた服は全て能力で排除した。
そして今、白井黒子はその白く細い身体を血に濡らし痛みに悶えていた。

右肩、左脇腹、右太もも、右ふくらはぎ。

(唯一の救いは鉄矢やコルク抜きといったところでしょうか…)

出血は未だ続いており、その幼くも艶めかしい身体を熱い血が汚しているにも関わらず、ふと白井黒子はそう思う。

傷は深いが、それでも傷の面積に限って言えば非常に小さい。
時間が経って傷がふさがればそれほど目立ちはしないだろう。

白井黒子は中学生という若き身でありながらそんな悲しいことを当たり前のように考えてしまう。

.
(…けれど。 今はそんな事はどうでもいいんですの)

痛みと熱に浮かされながらも少女はゆっくりと立ち上がる。
たったそれだけの動作で新たに鮮血吹き出して白井黒子の身体を濡らした。
薄い胸をゆっくりと伝い、細く引き締まったウエストを滑り、太股の内側を通ってタイルにポタリと音を立てる。

だけれども。今の白井黒子はそんな事は気にしていられない。
今、彼女の脳裏をグルグルと駆け巡るのは赤毛の少女がペラペラと口した言葉である。


【[レムナント]って言っても判らないわよね? [樹形図の設計者《ツリーダイアグラム》]と言えばさすがに判るでしょう?】

【そうよ。 壊れて尚、莫大な可能性を秘めたスーパーコンピュータの演算中枢】

【あらあら。蚊帳の外って顔ね? 『御坂美琴』があんなに必死になっていたというのに】

【ふぅん… そう『御坂美琴』は貴方に何も言ってないの。 噂通り理想論者で甘い考えをしてるみたいね】


本来なら。

このような事態になった以上、風紀委員《ジャッジメント》の出る幕はない。
素直に大人に、警備員《アンチスキル》に任せるべき話だ。

だが。
“あの人”の名を聞いてしまった以上、そういうわけにはいかないのだ。

.
“御坂美琴”

そう。
確かに、あの赤毛の少女はその名を口にしたのだ。
ならば、ここで自分勝手に痛がって悶えている場合ではない。

白井黒子はここ最近、御坂美琴がやけに気落ちしているのに気が付いていた。
だというのに、それ以上追求をしようとはしなかった。
いくらなんでもプライバシーにまで踏み込むつもりは無いと勝手に自分だけで線引きをして。

その結果がこれだ。
赤毛の少女が言っていたことの内容は悔しいことにいまだ全貌をつかめていない。
しかし、それでもたったひとつ判っていることがある。

このままではお姉様が。 “御坂美琴”が悲しむ事態が巻き起こる。
痛みにひきつり弱音を上げそうになる自分の身体を、ただ意志の力でもって奮い起こす。

手早く傷の処置をして、包帯を巻いて。
下着をつけて。シャツを羽織って。予備の制服に袖を通して。

白井黒子は携帯電話で頼りになる後輩へ連絡をしながら宙へと消えた。


…そして。
白井黒子が『空間移動《テレポート》』をしてから5分程経過しただろうか?

カチャリとバスルームの扉が開く。
そこに立つショートカットの少女はバスルームに篭った鉄臭い匂いに、僅かに血液が付着したままの鏡を見てギリ!と奥歯を噛み締めた。

支援

おーどさん自主退学したと思ったら学園都市入りかよw

■とあるマンション

『次回!超機動少女カナミン第13話!
 「えっ? 堕天使エロメイド姿でママチャリダンシング(立ちこぎ)?」
 あなたのハートに、ドラゴォン☆ブレス!』


聞いているこっちが恥ずかしくなるほどのロリータボイスと共にジャジャン!と派手な音をたててTVアニメ[超機動少女カナミン]が終わった。
アニメは番組間のCMが終わるまでがアニメなんだよ!と言いたげにテレビの前でフンフンと鼻息を鳴らしているのは銀髪のシスター。

彼女の名は禁書目録《インデックス》という。
10万3000冊の魔導書という恐ろしい書庫をその頭脳に収めている少女なのだが…
転がり込んだ先の少年の部屋で日がな一日ゴロゴロモグモグといった自堕落な日常を送っていたりする。

そんなインデックスがテレビを見たまま気の抜けまくった声をあげる。

「とうまーとうまー! お腹へったんだよ?」

それを聞いてガクリと肩を落とすのはツンツン頭の少年だった。

少年の名は上条当麻。
その右手に『幻想殺し《イマジンブレイカー》』という測定不能の恐ろしい力をもっているはずのなのだが…
今は周囲の状況に振り回されては貧乏くじを掴んでしまうという何とも可哀想な日常を送っていたりする。

「インデックスさん…よくもまぁヌケヌケとそんなことを言いやがってこんちくしょう!」

上条当麻が肩を落としているのには理由がある。
月一回の超特売セールで一週間分のコロッケを買いだめしたのも束の間、それを一口も口にしないままインデックスがそれらすべてを路上にぶちまけてしまったのだ。

あぁ、不幸だなー…と呟きたくなったが。
ふと上条当麻は思い出す。

脳裏に浮かぶのはインデックスが突っ込んだ男。
金髪紅眼の見るからに偉そうで怖そうな男だった。

「まぁいつもの上条さんならあそこで100%絡まれてるはずですし? 多少は運が良くなってきたってことなのかね? …てゆうかそう思わなければやってられませんよ」

涙ぐましくそう自分に言い聞かせながら冷蔵庫をパカリとあける。
そこにはモヤシが所狭しと並んでいたが、そりゃもう全然嬉しくなんかはない。

「わーい…モヤシがいっぱいで上条さんはもう何も考えたくありませんよ…」

ドラゴンボールの仙豆とかあればいいのになぁ…なんて現実逃避をする上条当麻。
その時、心底驚きました!と言わんばかりの同居人の声がかかった。

「とうまー! とうまー!!」

「…なんの御用でせうかインデックスさん。 お願いですから叫んでカロリー消費しないでくださいってば」

しかし、そんな上条当麻の文句はもとよりこの少女に届くはずもないのだ。

「そんなの些細なことなんだよ! いいからこっちに来るんだよ!」

そう言われハイハイと重たい腰をあげる上条当麻。
向かう先は可愛らしくも子憎たらしい破天荒な同居人の元である。

この時間帯はさるさんくらいそうだし寝るおっおおおお
落ちたらGEPに移行するから保守は要らんですぜ

>>337
俺が居る!!!

俺は寝る

保守

テレポーター同士だと干渉できないんだよな?
相手はテレポーターではないのか

>>341
原作でもアニメでもいいから見れ
攻撃なら可能だよ
テレポーターをテレポートできるかは知らんけど。

3次元空間を11次元で演算してるらしい
テレポーターは自身の11次元上の座標を認識してるから
それが楔になってテレポーターはテレポーターをテレポートできないらしい

11次元ってのが何かは知らん

テレポートした物体は、転移点の物体を除外して転位する

転移先が壁だと体が壁に埋まる。
脆く薄いガラスを柱に転移させれば柱はガラスを圧壊すると共に切断されたの如くズレ落ちる

テレポーター同士の闘いに殺意が絡むとその戦闘は一瞬で終わるのだ。
幸いにも今回のテレポーターは歳が歳故に殺意は微塵も無いが

殺意を持った純粋な戦闘において、テレポーター程殺傷能力と移動力に長けた能力者はそうそういないだろう。

何せ、影から対象を確認したら心臓や脳に異物を転位させれば良いのだから。

そして…空間移動の上位能力が、座標移動。

空間移動はその手に触れなければ転移出来ないが、座標移動は範囲内の物体の座標を移動させる事が出来る…

テレポーターが相手の体内に異物を転移させたら原子融合を起こして核爆発するんじゃないの?

スレストされる前に回復できる奴いたらしとけ

一応誰かまとめててくれよ

>>347

殺傷能力
転移能力(反射幕を無視して体内の心臓に異物)>(血流)ベクトル操作>>超電磁砲の攻撃力
転移させる以前の座標移動をも反射で阻害出来たら知らね

移動能力
転移能力(連続転移)>ベクトル操作(大跳躍から大気のベクトル操作で一時的飛行)>加速系能力>>王土の壁歩き

防御能力
ベクトル操作(常時反射)>転位能力(見てから自身転位で回避)>肉体再生(即回復)

再生能力
肉体再生>肉体強化>ベクトル操作(で細胞再生を促す)

なんのまとめを求めてたのかは知らね

王土さんとか俺得

>>344
完全な上位互換とは言い切れないんだよな
黒子はテレポまでのラグが一秒だけど、結標はもっとかかるからレベル5クラス以上のバトルだと圧倒的に不利だし

王土さんの土産すげー気になるwww

つか一週間コロッケってのも地獄じゃね?

蟹クリームと通常の交互なら……

『時間』ってのが、この世あの世に存在する万物の留まることを許されない動き(変化)によって
生み出される現象だとしたら、宇宙だって動き続けてるし空気だって流れてるし、
そのすべてに対して王土さんが「止まれ≪トマレ≫」って命令することによって『時間を止める』に似たことできるのかな

太陽と同等程度のレベルで時間を止めるとかおこがましいとは思わんのかね

問題は解析が必要な一方通行の能力は、解析不可能な異常や過負荷に通用するのかというね
しなきゃ王土には勝てないし出来たら出来たで異常じゃなくなる

よくわからないものでも物理法則にさえ従ってれば『よくわからないもの』として処理できるから異常のほうは行けるんじゃない?

普通なる俺

王土の場合無尽蔵の電磁波だの無生物にも物理干渉するだの、過負荷に近い異常性があるから物理法則は多分無視してると思う

球磨川来たら一方通行の身体治した上で打ち止めに何かしそうだな、アイツペド疑惑あるし

球磨川の能力はチートすぎて動かしにくい事この上ないな
本編のパワーバランスは上手くいってるほうだと思うけど

過負荷の性質上飛沫もヤバい
一方通行や黒子辺り古傷開いたら即死するんじゃないか

機械埋め込んでる一方通行は頭の中が酷い事に

……あれ?機械に干渉出来る王土なら、僅かでも電磁波が通るんだからもう勝ちじゃね?

>>364
機械の外側に反射膜あるだろうから干渉される前に電磁波反射するだろ

つか考察はスレ立ててやれ

機械を頭に埋め込んでるなんて王土が知っているわけがない

球磨川は禁書だったらレベル6に下手したら届くな

>>362
一方や黒子の古傷なんて魔術サイドに比べたら対したことないだろ

>>367
一方通行は頭蓋骨割れるからそれなりにヤバい

一番やばいのは多分上条かアックア

黒子も、御坂の電撃を何十回と喰らっているから
一度にそれらをまとめられたら心臓が止まるだろう

>>368
っていうか、頭を手術したってことは脳内血管をいくらか切ったってことだろ
頭蓋骨が割れるよりくも膜下出血の方がやばい

御坂は王土に近いことできないの?
めだかにもひとりで軍隊相手にできるって
言われてた元生徒会長いたけど
レベル5なの?

         ,.ィ佳州州liⅥlⅦ州Ⅶ州州l}li、
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     '}  ノ{ ⅣⅦ`  ヽ        〃 /ーイ州l}
     ',  `  ヽlハ    <⌒ヽ  / ./:  lⅦ、}!
     \     !  \  ヽ-'′   イ    Ⅵ`-、
             / ̄`,  / _ x≪´  _ィzヘ、

              / ー‐'-、}‐'フx≪   ,xz≦////ハ、
               |  、___.|.// .x≦彡/////ィ彡≦/>、_
               | 、_  |' l}  |///////ィ彡//////////≧
               |     ̄.〉 ll  |////ィ彡////////////ィ//
          ,.ィl|   ァ'/ | .l| ル'ィ彡/////////////イ////
       x<///リ  イY:::ム /////////////////イ/////

『君たち僕も混ぜて考察スレで戦おうよ』

学園都市「来んな」

>>371
設定穴だらけだし、二次創作でやらせても不自然じゃないと思う

過負荷は『異常』ではなく『性質』だって事が判ったからな
自然性質である以上『幻想殺し』でも消せないって言うおかしな状態

「厨二」

上条さん大ピンチだな
あいつらにゃ説教も効かないぞ多分

>>371
日之影元会長はただひたすら強すぎて自分がアレしないと周りの人が勝手に存在を忘れてしまうって感じだから能力的にはレベル0じゃね?


         ____
        /⌒   ー \
       / (●)  (●) \  +
     / :::::⌒(__人__)⌒:::::ヽ
      |     |r┬-|    |  +
.      \_   `ー'´   _,/
      /            \     +
      | ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ |  トン
   _(,,)   考察いけ    (,,)_
  /  |              |  \
/    |_________|   \

>>377
人間として『異能』であるなら球磨川vs上条さんは『先手必勝』だったんだが
球磨川の『大嘘憑き』はただの個人性質で内容的には『普通』だと
ノーマライズリキッドでばれた瞬間に球磨川>越えられない壁>上条さん
になっちまったから困る

>>371
上で言われてるように王土に近いことはやってる。生体電気に介入して相手の筋肉を操作したりとか
そして妹達曰く、生体電気を覗いて読心までできるらしい。とまで書いたが、それも超電磁砲でやってたか

>>1は議論も、雑談も、煽りも、叩きも大歓迎だと言ってた』
『だからここでのやりとりはあくまで正当なものだ』
『僕は悪くない』

とまぁ冗談はこのくらいにして
>>1のいない間はスレ保守の意味でちょっとくらいはいいんじゃないか
考察やりすぎは確かによくないが

>>380
球磨川は死んでも復活できるからあいつを倒そうとしたら
反物質を60~70Kg持ってきて光の粒のレベルにまで分解しないといけないのかな

反物質を精製できる現在生きている能力者って学園都市には居なかったと思うが
だとしたら球磨川が箱庭出た後マイナス引き連れてやってきたら面倒な事になりそう

>>375
異常性も『幻想殺し』で対処できるか怪しいのがあると思う
殺人衝動や過剰に敏感な反射神経は打ち消せないような気もする

大嘘憑きのできることがいまいちわからないから球磨川議論は意味なくね
もしかしたら光の粒のレベルに分解されたこともなかったことにできるかもしれないし
案外もっとお手軽に殺せるのかもしれない

この作者のクロスって自分の好きなキャラを禁書世界で暴れまくらせる作品しかかかないな。面白いけどちゃんと両方の作品尊重してほしい。無理矢理引き立て役格下噛ませ犬にしてる感が。

高千穂先輩に上条さんは勝てそうにない

>>386
尊重してなければ面白いものは出来ない気がするんだが

>>383
死の『原因』があるならたとえ粉微塵にしても
原子レベルに分解しても再生できるのが一応『大嘘憑き』のシステム

ただ、そこまで本当に出来るかは勿論西尾の手に掛かってるが

>>386
そこまで一方的に蹂躙してるようには思えないけどな
むしろ禁書原作も読み込んで随所に王土クゥンだのカナミンだの小ネタもいれてるし、尊重はしてるだろ

両方尊重してるほうだよな
ハンター×禁書とか大抵旅団無双で黒子と御坂はかませで死ぬし完結しないしで
そんなのと比べたらずっといい

ジョジョ×禁書だとどっちも無双を始めるからな
たいていケリがついてもそのままベジータ化するし

>>391
この前のやつか
いくらなんでもハンター勢に圧倒されるほど禁書勢は弱くないよな

王土の垂直立ちとか握力と腹筋だけでやってるし
王の言葉とかも誰もが持ってる自身の生体電気を応用してるんだよな?
幻想殺し効かないよなそりゃ…
マイナスは派手だけどアブノーマルはどんどん成長しそう

でもなんというか禁書って全体的にぬるいよね
危機感が足りない、よって不意打ちだと一般人にすら殺されかねない

まあ治安悪すぎなのに生徒に危機感が足りないってのはあるな
でもめだかのほうも相当だと思うぞw

ほらこうやって議論しちゃうから今までさっぱり大人しい良い空気だったのに悪くなるんだよ

双方の作品の世界観とかそういう話はどうでもいい
他のSSのことはもっとどうでもいい

別に悪くはなかったごめん・・・・・・
ただここまで面白いと、まだスレ半分もいってないけど1レス消費するのすらもったいなく感じるな

学生全員がそんなぴりぴりしてる学園もの見たくないわ

今起きたでござるござう^q^
再開は12時くらいでふ

あと議論とかは全然構わないんでガンガンしたってくだしあ
レス見て一文付け加えたり内容変更することも多々あるしね

>>386
悲しいけどこれが俺の限界なんだよね
クロスSS()って性質上、矛盾やら原作乖離やら補正は目をつむってやってくらしあ

黒子と御坂じゃ負けても仕方がない
原作でも微妙だし

やるじゃん

王土△

このままだと都城さん無価値だよな
演算能力高いから
能力開発受けたら上位に食い込むと期待をされてるのかな
あーでも
肉体再生Lv5相当と
肉体強化Lv5相当と
精神操作Lv4相当?と
念動力Lv2くらい?
を持ってるんだよね
それとも肉体強化や肉体再生はそれ単体で一方通行に通用しないとLv5相当と言えないかな?

>>405
考えてみれば軍隊相手にしても
「平伏せ《ヒレフセ》」で
戦闘機も戦車もぺちゃんこになるし
人間も大方堕ちるんだからレベル5の定義範囲内だよな

言葉が使えるのは人間相手だけだと思ってたが

>>407
行橋のゲーセンがヒレフセでヤバイ

>>336

■学園都市・宙空

太陽は既に沈んでいる。

眩いネオンをその瞳にはしらせながら学園都市を白井黒子が飛ぶ。跳ぶ。翔ぶ。
周りからは点々と見えたり消えたりしてるように映るだろう。

『空間移動《テレポート》』を駆使し、痛む身体に鞭打って白井黒子は赤毛の少女の後を追っているのだ。

ブツブツと電波が寸断される為、途切れ途切れの声が携帯電話からは漏れ聞こえる。

「トラウマ…ですの? …あぁ道理で。 確かに彼女は自らを転移させたりはしてませんでしたわね」

頼れる後輩の情報を聞いて、ビルの外壁を蹴りながら白井黒子がそう答える。

『はい! カウンセラーへの通院リストが確認されています! それより白井さん本当に大丈夫ですか?』

電話の向こうから聞こえる心配そうな声に向かって白井黒子はわざと声を張り上げる。

「大丈夫ですわ。 ほんの掠り傷ですもの。 それよりもまだ赤毛女の逃走予測ルートは特定できないんですの?」

『えっ、あ、はい! 今全力でルートを絞っています! 後30秒もあれば…』

だが、今回に限っては初春飾利の助言は必要がないようだった。

ドゴン!と響く凄まじい破壊音。

聞き慣れた爆発音が大気を震わせたのに気付いた白井黒子がそちらを見た。
モクモクとあがる黒煙がここからでも目に飛び込んでくる。

「初春… どうやらこれ以上予想する必要はないみたいですの」

『え? それって一体どういう意味ですか?』

きっと電話の向こうでは、ほのぼのとした少女が不思議そうな声をあげながら首をひねっているのだろう。
容易にその姿が想像できてつい微笑みながら白井黒子は静かにこう言った。

「さっさと終わらせて帰ってきますから。 100点満点のおいしい紅茶を用意して待っててくださいですの」

そう言うだけ言って。
返事を聞こうとはせずに携帯電話をポケットにねじ込んだ。

見間違えるはずも、聞き間違えるはずもない。
あの音の元にこそ、あの黒煙の元にこそ、白井黒子が探しているその人がいる。

あれこそ、白井黒子が大好きで大好きで大好きなお姉様の“超電磁砲”だ。

「今行きますの! お姉さま!!」

そう言って、白井黒子は再び虚空へとその姿を消した。

8巻をなぞって久しいが、オリ展開マダ?

■学園都市・雑居ビル

建設途中だったのだろうか?
まるで解体されかかった獣のように鉄骨や内壁をさらけ出したそのビルの前には横倒しになったマイクロバスが転がっていた。

「――ッ! いい加減っ! コソコソ隠れてないで出てきなさいって言ってるのよ!!」

ショートカットの少女の苛立った叫び声と共に小さなコインが空を舞う。
どこにでもあるようなゲームセンターの小さなコインは、しかし凄まじい勢いを持って少女の手から射出された。

爆音と共にビルの鉄骨を易々と引きちぎる“それ”は雷神の戦槌のような破壊力で以て大地を揺らす。


少女の名前は御坂美琴。
七人しかいない超能力者(レベル5)の一人であり、学園都市最強の『電撃使い《エレクトロマスター》』である。
中学二年生にして常盤台中学のエースに君臨する少女を人々は恐れと羨望をもって『超電磁砲(レールガン)』と呼ぶ。


そして今、御坂美琴は怒っていた。
ビルの中には10人近くの能力者が篭っている判っている。
だが、それが何だというのだ。

荒れ狂う彼女を止められる者など学園都市に5人もいない。
静まりかえったままのビルに向かって三発目の“超電磁砲”を撃ちこむかと御坂美琴が思った時だった。

「学園都市最強の超能力者のくせに。 …随分と余裕が無いのね?」

ビルから突き出ている鉄骨の上に赤毛の少女がそう言って姿を見せたのだ。

>>411
まぁしばし待て
残骸が主軸だし、それを無視してオリ展開やっちゃうとそれこそ無双無双で俺の考えたキャラTUEEEになってしまう。

あのー誰か>>345の問いに答えてくれませんか

>>414
作者が馬鹿

>>413
完全にワガママなんだが
コラボキャラを出せってんじゃなくて
僅かでも原作と展開がズレる方が原作を知ってる人間は読みやすいのさ

>>415
作者って設定を理論ぶってるくせに穴だらけだよなホントw
幻想殺しや一方通行の設定のぶれ方が尋常じゃないし
ワンピ作者の尾田が一番嫌いそうなタイプ

>>414
禁書世界のテレポーターは
移動先座標の物体を消滅させてから物体を送り込んでる

ラノベ界のワンピ状態だけどな

>>412
■学園都市・雑居ビル前

「お姉さま…」

現状の確認と把握のために、今すぐにでも飛び出したい気持ちを抑えてビルの陰から様子を伺った白井黒子がそうポツリと呟いた。
そこでは御坂美琴と赤毛の少女が相対していたのだ。

「そんなに[実験]が再開されるかもしれないことが怖いのかしら?」

そう試すように。 赤毛の少女が白井黒子では知りえない事を唇に載せる。
そして。それを聞いた御坂美琴は怒りを抑えこむようにして静かに口を開く。

「…ええ、怖いわ。 でもね…わたしはそれ以上に頭にきてんのよ」

御坂美琴の脳裏をよぎるは大量の血液が流れたであろうバスルーム。
血生臭く鉄臭い匂い。
完璧主義者なはずの少女が鏡に飛び散った血痕すら忘れてしまう程なのだ。

それはいったいどれほどの苦痛と屈辱と苦難だったのだろう。
だから御坂美琴は許せない。

「あのバカ…私が気付かないとでも思ってたのかしら。 医者にも行かないで、今もまだこの空を飛び回っている救いようのない大バカで。
 その癖きっと!私と明日顔を合わせればなんでもない様に笑う! そんな強がりで! バカみたいな! 私の大事な後輩を!」

ギリと御坂美琴が私怨でもって赤毛の少女を見上げて叫ぶ。


「この私の都合で巻き込んだ! そんな私自身に頭にきてんのよ!!」


放電をその身に纏わせて吠える御坂美琴を見てジワリと白井黒子の瞳に涙が浮かぶ。

「…おねえさまぁ」

だが、しかし今は泣いている場合ではない。
意志の力でもって胸に広がる思いを無理やり抑えこんで、白井黒子は赤毛の少女を注視した。


赤毛の少女は怒りに身を震わせる最強の“超能力者”を見て、耐えられないように呟く。

「…そう。 さぞかし気分がいいんでしょうね。 己の怒りのままにそんな力を奮ってるのだから。
 でもね、悪いけれど“私達”にも貴方と同じくらい退けない理由があるの。 ここで改心して謝る気にはなれないわ」

そう赤毛の少女は笑うが、白井黒子の立つ場所からならば油断無く距離をとろうとしているのが一目瞭然である。
それも当然だろう。
“学園都市に七人しかいない超能力者”という言葉は飾りではない。
赤毛の少女は“大能力者”らしいが、このようなひらけた場所で力を奮う“超電磁砲”に抗うのは無謀にも程がある。

支援

>>416
今は序破急で言う序なんだ。
辛抱してくれ。
原作やアニメ見てない人でも理解できるように書いてるつもりだから、知ってる人はイライラするんだということも理解はしている。

>>418
契約者にも同じような能力者居たよな

.
その時だった。

「…?」

白井黒子は眉をひそめる。
恐らく御坂美琴の立っている場所からは見えないだろうが、白井黒子の場所からならばそれは舞台裏を覗いたように丸見えである。
ビルの陰でコソリと赤毛の少女の仲間であろう少年が何事かを呟いたのだ。

それを聞いた赤毛の少女はハッと年相応の動揺した感情をその端正な顔に走らせる。

しかし、それも束の間。
御坂美琴を見下ろしながら赤毛の少女が口を開く。

「…貴方も退けない、“私達”も退けない。 ならば“私達”は“目的”を達成させるだけよ。 それじゃあね御坂美琴さん?」

そう言って暗がりの中に逃げこもうとした赤毛の少女に向かって御坂美琴が吠える。

「逃げられるとでも…思ってんの!」

それを聞いた赤毛の少女がどこか苦虫を噛み潰したような顔で、けれど口調は優位を保つようにしてこう告げた。

「えぇ、思ってるわ。 とはいえ“私一人”では無理でしょうけどね」

赤毛の少女の言葉と共に。
一気呵成と言わんばかりの叫びが轟く。
ビルの中から一斉に赤毛の少女の仲間が飛び出してきたのだ。

風力使いが、念力使いが、電撃使いが死をも恐れんと言わんばかりに闘志をその目に燃やし。
“超能力者”に、“超電磁砲”に向かって突撃を開始する。
しかし、それは無謀な特攻でしかない。

蹴散らされ、吹き飛ばされ、地面に転がされ、絶望と恐怖に呻くために走ってくる彼等のことが白井黒子は理解出来ない。

一方的で圧倒的な実力差を見せつけ、完膚無きまでに叩きのめして。
そしてようやく御坂美琴は気が付いた。

「…やられた」

悔しそうにポツリとそう呟く。
赤毛の少女がいない。
たった一つの目的を達成するために、10人以上もの少年少女たちがその身を呈して赤毛の少女を守りきったのだ。

悔しそうな、泣きそうな表情を浮かべた御坂美琴の横顔を遠くから見て。
静かに白井黒子が、己の信念を確認するように口を開いた。

「ごめんくださいね、お姉さま。 けれど、ここからが私の出番なのですの」

赤毛の少女が向かう先など、同じ移動系能力者である白井黒子ならば容易に想像がつく。
ゆっくりと立ち上がると制服のポケットの中から彼女の原点を取り出した。

風紀委員《ジャッジメント》の腕章を取り出して、腕につけ。

「貴方のバカな後輩は。 やっぱりどこまでいっても大バカ者で」

痛覚で悲鳴をあげる頭に無理やり演算を押しこんで。

「けれど貴方の元に帰るためにはやっぱり戦い抜くという選択肢以外頭に思い浮かびませんの」

向かう先は赤毛の少女。
戦場の一番奥深くから生還するために、“お姉様”の隣に立つために。
白井黒子の足が大地を蹴った。

>>423
気にせんで好きにやってくれ

支援

この子レズなん?

■とあるマンション

「とうまー! とうまー! さっさとこっちに来るんだよ!」

騒がしい食っちゃ寝の同居人の声に引きずられるようにして上条当麻が腑抜けた声をあげる。

「まったくいったいなんなんですかー?」

ふぁ~とアクビをしながらリビングに出た上条当麻に向かってインデックスが震える指でそれを指さした。

「ね、とうま? 私の記憶が確かならば… 猫っていうのはグニャグニャモフモフスリスリだよね?」

「…はぁ? あー…まぁ間違ってはいないだろうけどさ」

何を言い出すんだコイツは?と言いたげな上条当麻の顔を見て、ぷくりとインデックスが頬を膨らませる。

「あらあらどうしたんですかインデックスさん? リスのようにホッペタ膨らませて。 そんなのは食事中だけで充分ですよ?」

そうやって茶化して切り上げようとした上条当麻だったが、それは頭に噛み付かれたインデックスによって中断される。

「むー! 違うもん違うもん! いいからアレを見てってば!」

ガジガジと頭に噛み付いたままのインデックスをそのままにして(慣れ)、言われるがままにインデックスの言葉の先を追って。

「えええええええっ!?」

上条当麻は心底驚愕した。

VIPのクロスSS()に言うのはアレだが、設定がしっちゃかめっちゃかになってるのが多いな
学園都市にダース単位で来てるアーカードとか何で来れてるんだよ
部下の管理すら出来てないインテグラはどんだけ無能な馬鹿なんだよって言う

なんとそこにはピシッと背筋を伸ばしたスフィンクス(三毛猫)の姿が!

「えっと…インデックスさん? 何かしちゃったんですか?」

常日頃ゴロゴログーグーモグモグと誰に似たのか好き勝手気ままに生きるスフィンクス。
それが軍人のように背筋を伸ばして玄関に向かい座っているのだから、そりゃ上条当麻も驚いた。
思わず頭の上にいる少女にそう尋ねてみるも。

「むぅ ひどいよとうま! 私は何もしてないんだからね!」

ガジガジと上条当麻の齧り付いたまま器用にインデックスが返事をする。

「って言ってもなぁ… …おーい?スフィンクスさん? …ごはんだぞー?」

「ごはん? ごはんなの? ね、とうま? ごはん?」

「あーもー黙らっしゃい! 嘘です! 試しに言ってみただけなんです! モヤシでいいなら冷蔵庫にたっぷりあるからかじってらっしゃい!」

普段ならばこのどこぞのシスターに似た食欲旺盛なスフィンクスは『ごはん』と聞けば何処にいてもすっ飛んでくるはずなのだ。
しかしスフィンクスはピクリとも動かない。
一体どうしたのかと不思議に上条当麻が不思議に思った時だった。
上条当麻は勿論、インデックスも知る由はないが、遠い地で誰かが昔こういった。


“動物に人格は通用しない。彼等は圧倒的な力の前にはただひれ伏すばかりである”


その時。
来客を知らせるチャイムの音が上条当麻の部屋に鳴り響いた。

>>431
設定を考えて練りこんでおもしろくもない作品と
設定をたいして考えないで作ったおもしろい作品
お前はどっちを読みたい?

そりゃ勿論後者だが
ここにあるのは10割がアーカードが学園都市で暴れてるだけじゃねぇか
それの何が面白いのか詳しく教えてくれ

>>434
アーカードのスペック的に無双するのは仕方ないだろ

>>431
擁護に聞こえるだろうけどまぁこの>>1はそこそこ練ってるんじゃないか?
そういうのを考えるのが面倒だから台本形式のけいおんSSが流行ったんだろうし

>>433
そりゃ後者だろwww

>>434
ノリが大事なんだよラノベだってそうだろ

ああ、殺す覚悟()って言うあれか
いい加減に殺伐した戦闘してりゃ無条件で偉いとか思ってるアホって減らないもんかなぁ

偉い・・・?なにいってるのこの子・・・!?

イタタタタタ・・・

偉い・・・?エロいの間違えだろうんうん

玄人気取りで批判してれば偉いと思ってるアホって減らないもんかなぁ

めだかの元生徒会長がポケモンBWのアデクと重なるな

>>438
興味あるから自分でスレたてして面白いSS書いてくれ
旦那in学園都市でひとつ頼むわ

理系の俺には>>438ちゃんの思考を理解することは出来ないようだ

ホントにvipはスルースキルない奴ばっかだな

>>432
チャイムに答えるようにニャアンと鳴いたスフィンクスを珍しく思いながら上条当麻がドアを開けると。
そこには見覚えのある金髪紅眼の男とどう見ても小さい子供が立っていた。

それを見たスフィンクスが再びにゃおんと声をあげる。

「ほう、猫か。 出迎えご苦労」

まるで自分を待っていたように背筋を伸ばした子猫に向かって金髪紅眼の男が偉そうに声をかける。

「えーっと…いったいどちらさま?」

何だか全然意味が判らぬまま、とりあえずそう問いかける上条当麻の言葉を聞いて鷹揚に金髪紅眼の男はこう言った。

「うむ、俺だ」

「……いや、そういうのではなくてですね」

なんか面倒な事態に巻き込まれそうですよ、と上条当麻が内心嘆きはじめたころだった。

それを補佐するように可愛らしい顔をした子供が口を開く。

「えへへ☆ ボク達のこと覚えてない? 君ってコロッケの人だよね?」

勿論このような強烈な印象の男など忘れるはずもない。
まぁ、上条当麻は他にも随分と突飛な格好をしている人間と出会ってもいるが。

「いやそりゃ覚えてるけど…」

しかし何故この男達はわざわざ家にやってきたのだろう、と上条当麻が頭上にクエスチョンマークを浮かべそうなのを見て、金色の男が言葉を発した。

行端さんがかわいい


「なに、俺のほんの気まぐれだ。 俺に非がないとはいえあまりにも哀れに思ってだな」

「は、はぁ……」

ぶっ飛んだ思考回路に周回遅れで置き去りにされたような感覚を感じながら生返事を返す上条当麻。
と、金髪の男がゴソゴソと子供の背負った大きな籠のようなリュックから“ソレ”を取り出した。

「そら、受け取るがよい」

ズイ、と差し出されたのは桐の箱。

「え、えっと…これはまたどうも」

呆けた顔のまま思わずその箱を受け取る。

ズシリと重たい箱の中身など見当もつかなかったが、焼印で刻まれている文字を何となく読み上げてみた。

「えーっと… 本場直送…完全…天然…超高級松坂和牛…特撰肉…3キログラム…?」

普段の生活では悲しいことに全く全然目にすることの無いブルジョアな文字が並んでいるせいか、それを理解するのに1分程時間がかかり。

そして上条当麻はようやくそれらが意味することを、箱の中身がなんなのかに気が付いた。

「あ、あの? あののののののの…? これってもしや、もしかして、もしかすると!?」

震える声で三段活用をしつつも上条当麻がそう尋ねると金色の男は当然だと言わんばかりに頷いた。

インシテミルさんが全部食べちゃうんだろ

王土先輩マジ王様

>>443
アデクが誰か思い出すのに数秒かかり
思い出したらコーヒー吹いたw

完全に一致w

>>443
やめたげてよお!

「気にせんでいいぞ。 なに、それしきでは俺の度量などこれっぽっちも現せんだろうが、何せそれ以上の物が見つからなかったのでな」

まったくしょうがないものだ、と言わんばかりに苦笑する金色の男を見て。
上条当麻はまさに感涙にむせんでもおかしくないほどに感動していた。

(見たか…見たか神様仏様! 何が不幸だ! この王様っぽい人がついにこの上条さんに恵みの手を!!!)

そう内心で喜びに震えている上条当麻にかかったのはインデックスの声。

「とうまー!!!」

だが、今そんな事に構ってはいられない。

「ちょっと黙ってらっしゃいインデックスさん! 今上条さんはあまりの感動でもう胸いっぱいなんです!」

しかし、インデックスも負けてはいない。

「何を言ってるのとーま! こっちの準備はもう万端なんだよ!」

「…はい?」

振り返れば、そこには座卓の上に焼肉用のプレートが用意してあった。

「なにをボヤボヤしてるのとーま! こうしている間にも刻一刻とお肉の旨味成分が空気中に散っていってるんだよ! そんなのお肉に対しての冒涜なんだよ!」

今にもお茶碗を箸で叩きそうな様子のインデックス。

そして。座卓の上には普段上条当麻とインデックスが使っているものとは別に。 
何故か来客用の茶碗と箸が2つ用意されていた。

インデックスさんマジインデックスwww

インデックスが食事の準備をしただと・・・?

http://may.2chan.net/b/res/24843079.htm

インデックスは食うな。マジで食うな。
お前たまには上条さんに色々譲ったらどうなんだ。

外の意見など知ったことか
俺が見て面白いと感じた
其れだけで十全だ

http://may.2chan.net/b/res/24843079.htm

ここの>>1が書いたアーカード物はアーカード無双しつつも抵抗側が限界を超えて頑張った上で
最終的に被害ほぼ0で耐え切ったんでかなり面白かった記憶
アウレオルスを活躍させるという発想がまた良かった

■学園都市・総合ビル

喉に込み上げてくる吐き気を耐えながら赤毛の少女が[キャリーケース]を引きずって歩いていた。
悪寒で思わず嗚咽をしそうになるが、それでも結標淡希はそれを胃の腑に収める。

もう後には退けないのだ。
結標淡希は耳元で囁かれた“仲間”の願いを叶えなければならない。

あぁ…そういえば“あの男”の名前はなんて言ったっけ?
それすらも思い出せぬほど混迷し、まとまりのない考えのまま結標淡希はただただ亡者のように歩く。

その時だった。

「痛ッ…!?」

激痛と共に“右肩”にワイン抜きが刺さっている。
まるで意味が判らず、呆然とそれを視界に捉えて立ち尽くす結標淡希の身体に次々と激痛が生まれた。

“左脇腹” “右太もも” “右ふくらはぎ”

脳を刺す激痛に耐え切れず、がくりと地に伏せながら結標淡希はようやく事態を把握した。
痛みを訴えてくる全ての箇所に覚えがある。
手加減…という訳でもないが、それでも殺す必要はないと思って。
無力化するためにそれを打ち込んだ記憶がある。

>>461
まぁ被害が0だったのはアウレオルス様のおかげだけどな

突然始まった戦闘を見て悲鳴をあげながら店内にいた客が逃げ出していく。

あっという間に静かになったそのビルの部屋の中心で、結標淡希はたった一人痛みに耐えかねられずに蹲った。
細い肢体を震わせて、痛みに耐えることしかできない結標淡希に静かな声がかかる。

「大丈夫。 急所は外してありますわ。 もっとも貴女が打ち込んだ場所にそのままお返ししただけですけど?」

そこに立つは風紀委員《ジャッジメント》の腕章をその腕につけたツインテールの少女。

追いつかれたのか、と考える間もなく閃光のように真っ白く巨大な痛みが脳を灼いて結標淡希は呻いた。

そんな、赤毛の少女を見て。
まるでその痛みを思い出したかのように身体をさすって。
けれど、これは決して交わらない道なのだ、と決意している白井黒子はあえて優しく丁寧に口を開いた。

「さぁ、これでようやく五分と五分ですの。 何なら全裸になって傷の手当をする時間くらいは差し上げますわよ?」

白井黒子はそう言って上品に微笑んだ。

http://may.2chan.net/b/res/24843079.htm

反応されないからと同じURLを何度も貼ってんじゃあない
あっちへ行け蹴り殺すぞ

無念 Name としあき 10/12/05(日)14:43:12 No.24849183 del
>アーカードが無双するだけの何が面白いってんだ?
あっちで出来が良いと語られてるのでも
アーカードがローマ正教の騎士を皆殺しでござった
アンデルセンが勝手に領域侵犯して部下殺したのを怒ってたのが原作漫画のインテグラだけど
そのSSじゃアーカードの勝手な行動を黙認してんだぜ?
何でこうも蹂躙SSってのがなくならないんだか

http://may.2chan.net/b/res/24843079.htm

最近、禁書アンチがどこにでも湧いてデカイ声出しすぎ

アンチが活発なのは信者が活発な証拠

■とある病院

ムクリと闇の中で一人の少女が起き上がる。
そのままペタペタと裸足の足でリノリウムの床をたたきながら少女は窓から学園都市のまばゆい光を見下ろした。

「急がなければならない、とミサカは己の優先順位を跳ね上げます」

そう言って少女は己の身体を包む簡易な手術衣をストンと脱いだ。
下着も何も付けていないその裸身を隠そうともしない少女からはどこか無機質な印象が漂っている。

少女の名前は検体番号《シリアルナンバー》10032号。
ある[実験]のために“超電磁砲”御坂美琴のDNAマップから製造されたクローンの内の一体である。
通称、御坂妹と呼ばれているその個体は己と同じ条件から形成された“ネットワーク”にアクセスし確認を取りはじめた。

だが、帰ってきた返事はどれもよくないものばかり。
ならばと彼女はふらつく足で歩き出す。
クローゼットから下着を取り、シャツを取り、制服を取り出して着替えだす。

「この時間帯では外出許可はおりないでしょう、とミサカは推測します」

たとえ昼間であろうと絶対安静の患者に外出許可を与える病院など存在しないが、そんなことは御坂妹にとって意味が無いことだ。

御坂妹…否、“妹達《シスターズ》”の共通認識。
もはやそれは誓いと言ってもいい。


 “もう一人たりとも死んでやることは出来ない”


「絶対に[残骸]による[計画]の復元だけは避けなければならない、とミサカは決意を新たにします」


ならば今出来る最善の手を尽くすだけ。

御坂妹は静かに病院の窓から外へと飛び出した。
脳内の“ネットワーク”からは彼女を心配する声、彼女を鼓舞する声、彼女を励ます声が響く。

御坂妹が向かう先は一人の少年。
また迷惑を掛けるのかもしれないけれど。
だが御坂妹にとってこの学園都市で頼れることの出来る人物はその少年しかいないのだ。
きっとこの時間帯ならば自宅に帰っている頃合いだろう。

御坂妹は夜の学園都市を駆け抜けて。
少年…上条当麻の家へ向けてただ走る。

無念 Name としあき 10/12/05(日)15:19:59 No.24853487 del
じゃあVIPSSの感想でも

>都城王土「ほう…学園都市か。 なるほどこの俺を迎えるに相応しい」
VIPのめだかと禁書のクロス

良い点
・台本形式じゃなく地の文がそこそこしっかりしている

悪い点
・一通と王土の戦闘理由が滅茶苦茶
 道を歩いてる王土を見付けてとか狂犬通り越してますが
 作者は8巻を読んでるはずなのになんでこんな事やったのか
・無害の物でも必要最低限の物しか透過してない一通に何で明らかに異常な電磁波が通るんだ?
・何で王土が殴れry
・風紀委員になるには書類審査と適性試験あったはずだが…

http://may.2chan.net/b/res/24843079.htm

性能の悪い自動保守だな

悪い点が全部その場のノリで片付くな

しえんしえん

喧嘩の理由以外は
誤読してるとしか思えない指摘ばかり

さわるとあほうがうつる

行橋の性別が気になりすぎて眠い

アーカードのクロス作品は

・身体能力が何故か全員アーカード以下になる
・吸血殺し系は効かないとか言っちゃう
・ククク・・・私の方が強い。の繰り返し

この辺がな・・・・

ヘルシングを知らない俺にとっちゃぶっちゃけアーカードのクロスSSの話題はどーでもい(ry

>>471
■学園都市・総合ビル

ツインテールの少女、白井黒子と赤毛の少女、結標淡希の戦闘。
それは3次元を飛び越え、相手の11次元演算を先読みし裏をとるという言葉には出来るはずもない戦闘だった。

そして結末はあっけなく訪れた。
白井黒子は倒れ、結標淡希が立っている。

誰が見ても明らかな勝者と敗者の図式である。
業務用の巨大なテーブルが白井黒子の上に幾つも積み重なり、今や白井黒子はピクリとも動けない。

敗因は白井黒子が空間移動をできなくなったことに起因する。
考えてみれば白井黒子は多大な怪我を負ったままでいくつもの空間移動をして、ここに辿りついたのだ。
ならばそれは順当な結果ともいえるだろう。

そして白井黒子も負けたことに関しては悔しいものの頭の隅の冷静な感情では既に敗北を認めていた。
目の前に立つ赤毛の少女、結標淡希の能力は使いようによれば“超電磁砲”ですら倒しうる強力な能力だ。

だがしかし。 
けれどやっぱり。
白井黒子は納得がいかない。
戦闘をしながら、結標淡希はこう言い放ったのだ。


『そこまで自分の命を危険に晒す甲斐があるっていうの? “超電磁砲”が思い描く身勝手な未来を守ることに!』


只の罵倒ならばそんなものは気にもとめないはずなのだが。
今でもそれは白井黒子の心に棘のように引っかかっている。

それにまだ一縷の望みは消えていはいない。
ここで戦闘を開始してまだ10分とたってはいないが、それでも人目には充分すぎるほどついているだろう。
ならばいずれ気付くはずだ。
お姉様が。
学園都市最強の電撃使いである“御坂美琴”が気付いてくれるはずなのだ。

だから白井黒子は口を開く。
たとえ敗者の負け惜しみに聞こえようとも構うものか。

「ひとつ伺いたいんですけど…貴女がこの計画の首謀者ってことでいいんですの?」

それを聞いた結標淡希はキョトンと目を丸くして、それから大きく笑い飛ばした。

「あははは! 何を言うかと思えば! そうよ、私がこの計画の首謀者。 私が計画してこの学園都市に潜り込んでこの計画を始めたの!」

そう言ってこちらを見下すようにして笑う結標淡希を見て、白井黒子は確信を得た。

「…嘘ですわね。 というよりかは… 貴女。 自分が計画の首謀者だと“思い込まされてる”だけなのじゃないですこと?」

それを聞いて。
急に覚めたような目付きで結標淡希が地に倒れ伏したままの白井黒子を見下した。

「…へぇ。 なかなか面白いことを言うわね。 いいわ、傷の手当をする時間までなら聞いてあげる」

そう言いながら結標淡希は軍用の懐中電灯を振りかざした。
金属が硬い床に落ちて硬質な響きをあげる。
それは結標淡希の身体に食い込んでいたコルク抜きや鉄矢といった武器だった。

ビリとブレザーの袖を破いて太ももに巻きつけながら結標淡希が視線で白井黒子の言葉の先を促した。

「…確かに。 貴女がいなければこの計画は成り立たなかったでしょう。 ですけど、だからといって貴女が[残骸]をその手にしてどうするつもりですの?」

下着が見えるのも構わずに太ももの治療を終えた結標淡希が当然といったふうで答える。

「決まっているじゃない。 私達[組織]は[残骸]を外部に引き渡すためにここにいるのよ?」

そう言いながら両の袖を破いてノースリーブとなった制服の上着を見て結標淡希は僅かに眉をひそめる。
もはや包帯変わりとなるような布地はない。
仕方がなく今度はただでさえ短いスカートを破き包帯の代わりにすることにした。

「あら、そうでしたわね。 私としたことが。 それで貴女は知っているんですの? その[残骸]がもたらす結果を」

「…結果? そうね、いいことを教えてあげるわ白井さん。 [残骸]があれば“私達”は“チカラ”を持たなくてもいいのよ」

無知な子供を笑うようにそう言った結標淡希の手が止まる。
包帯代わりのスカートも、もはや下着が見えるか見えないかのギリギリまで使ってしまった。
しかし、まだ出血を続けている傷口が残っている。

すこし考えてから、結標淡希は自らの胸を巻いているピンク色のさらしのような布をほどきだした。

同性ならば、別に見られても構わないというのだろう。
店内の蛍光灯に結標淡希の何もまとっていない上半身が露になるが、それも気にせずピンク色の布を最後の包帯替わりとした。
未発達とまではいかないが、それでもまだあどけないその胸をさらしながら結標淡希は治療を続ける。

それを見ていた白井黒子は内心で舌打ちをする。
想像していたよりも治療が早いのだ。

このままでは結標淡希が行ってしまう。
そう考えた白井黒子はイチかバチか彼女が抱えているであろう地雷を踏んでみることにした。


「研究者でも科学者でもない貴女になぜそんな事がお判りになるんですの? ねぇ…結標淡希さん?
 貴女、ただその[組織]とやらに言い様に“使われているだけ”じゃないんですの?」


それは確かに。
白井黒子の予想道理。
結標淡希の“地雷”だった。

■???

バゴン!と音を立てて破城槌にも似た現代的な兵器が分厚い金属の扉を吹き飛ばした。

「全員動くな! 警備員《アンチスキル》じゃん!!」

凛々しいその叫び声と共に武装した防護服に身を包んだ武装集団が突撃銃を構えて部屋の中に雪崩れ込む。

だが。

「せ、先輩…どうしましょう?」

メガネを駆けた女性の警備員が上司である長身の女性に振り返る。
そこはもはやもぬけの殻だった。
慌てて逃げ出したのだろう。
ありとあらゆる機材、データもそのままに、ただ人だけがいなかった。

「チッ…一足遅かったじゃん!」

そう言って悔しそうに歯噛みをする長身の警備員。


「先輩! これって!」

そう言った部屋の隅を指さしたメガネをかけた警備員、鉄装綴里は公私共に頼りになる熟練の先輩の意見を仰ぐ。

鉄装綴里の指の先にはこの場にそぐわない華やかな外装やネオンが詰まった段ボール。
それを見た長身の警備員は苦虫を噛み潰す。

「あぁ。 大覇星祭の下準備やらに紛れ込んで逃げ出したってことじゃん…」

大覇星祭。
それは間もなく行われる超大規模な体育祭の名称である、

学園都市の総力をあげて行われるその一大イベントは、しかしその規模故に外部からのチェックがどうしても甘くなってしまう。
そのためどうしてもこの機を狙った組織やら犯罪者やらが潜り込んでしまうのだ。

「恥も外聞もなく逃げ出すだなんて…大人の風上にも置けないじゃん…」

耐え切れないように長身の女性は悔しそうに呟いた。
その時、別の警備員から報告が届く。

「…連中の目的が見つかった? それ嘘じゃないじゃん?」

そう言いながら簡易モニターに向かう長身の警備員。

モニターに解析されパスワードを解除されたテキストファイルが浮かび上がる。
それを読んでいくうちに警備員、黄泉川愛穂の顔が怒りで歪んでいく。
そして。
黄泉川愛穂は怒りを耐え切れず地面に向かってこう吐き捨てた。

「何も知らない子供たちを手懐けて、たぶらかせて。 絶対に許せないじゃん…」

■とあるマンション

ジュウジュウと音を立てる鉄板の上では最高級の松坂牛が香しい匂いを立てていた。
そのテーブルを囲むのは上条当麻、インデックスという住人に加え、都城王土と行橋未造がいた。

「ねっとーま!? もう食べてもだいじょーぶ?」

「まだダメです! 生焼けなんてレベルじゃねーぞ!」

飢えた獣のようにギラギラとした目で今にも箸を突っ込みかねないインデックスを必死になって牽制する上条当麻。
フッと遠い視線で宙空を見つめながらボンヤリと呟いた(勿論スキあらば箸を突っ込もうとするインデックスに目を光らせながら)。

「こ、幸福だ… 誰だよ俺のことを日常的に不幸だの不幸フィーバー大連荘中だの空前絶後の大不幸者だの言っていたやつは!」

出てこいよ!とでも言いたげに上条当麻がテーブルの上を見る。
目の前にデン!と鎮座するは特撰和牛が3キログラムだ。

モヤシご飯、モヤシライス、モヤシピラフ、モヤシ炒飯、モヤシパエリヤといった想像するだに青白くなる不幸な一週間とは今日でおさらばである。

都城王土と名乗った金髪の男は何故か当然のように上座に座ってアグラをかき。
さらには何故かその膝の上にちょこんと行橋未造と名乗った少年だか少女だかわからない子供が乗っかっていたが。

んな細かいこたぁ上条当麻にとってどうでもいいのだ。
そんな上条当麻に可愛らしくも慈悲の溢れた声がかかる。

「ね、とうま? 神は言いました。 例え生焼けでも構いません、それを私に食べさせなさい。と」

ファァァといった感じで背景に聖母像を浮かべるインデックスだが、それはいつもの手であって上条当麻はダマされない。

追いついた、行橋が可愛すぎる

「ハハハ何をおっしゃるインデックスさん。 こういったお肉はしっかりきっちり焼くのが一番美味しいんですよ」

初対面に近い人間の前なんだから少しは猫をかぶってくれよインデックス!と心のなかで願いながら、まぁまぁと手でなだめる上条当麻を見て。
都城王土が面白そうに笑った。

「ほぅ。 上条…とかいったか。 どうやらおまえも随分と女に振り回されて苦労しているようだな?」

都城王土と名乗ったその男は確か長点上機学園の三年生だと言っていた。
幾ら見知らぬとはいえ上条当麻は先輩に対してタメ口を使うほど愚かではない。
ましてやこの金髪は上条家の日々を豪勢にしてくれたのだ。

「いやもうホント苦労っていうか何ていうか… って、都城先輩も女に苦労してるんですかぁ?」

敬語というわけでもないが、それでも慣れない言葉遣いでそう聞き返す上条当麻。
目前の堂々とした傲慢不遜な都城王土が女で苦労してるなど考えもできないが。

「えへへ! 王土はね、フラれちゃったんだよ☆」

それに答えたのは都城王土の膝の上にすっぽりとはまった行橋未造だった。
いやいやあなたのその距離感こそ友達って感じじゃないですけども、と突っ込みたくなったが、そこは上条当麻はグッと我慢する。

「…へぇ~ そうは見えないけど… 苦労してるんすねぇ…」

とはいえ、不幸自慢なら上条当麻は一家言もっているほどだ。
基本的に朝夕は自堕落シスター、昼はビリビリ、学校ではおせっかいな同級生といったローテーションで噛み付きやらビンタやら電撃やらは日常茶飯事である。
だからこそ都城王土がフム、と言いながら思い出らしきものを語りだしたのを聞いて上条当麻は目を丸くした。

「うむ。 さすがの俺も大変だったぞ。 何せお付きの者に高度数百メートルはある時計台の上から蹴落されるわ」

「…ハイ?」

善吉に蹴り飛ばされたときのかwww

笑いながらそう言った都城王土の言葉を聞いて、上条当麻は思わず聞き返してまう。
しかし、都城王土の口は止まらない。

「求婚は破棄されるわ、内臓は破裂させられるわ、13万1313台のスーパーコンピュータは壊されるわ…いやはやまったく大変だった」

なぁ行橋?と言いながら膝の上に収まっている行橋未造が頷くのを見て満足そうに笑う都城王土。

「えーっと… 冗談…ですよね?」

そう言われ、少し気分を害したように都城王土が反論した。

「む? おかしなことを言うな。 この俺が冗談を言ったのならば今頃おまえは笑い死にしてるだろうが」

何だかおかしなことをそう説明する都城王土の顔入りはひどく真面目。

「……そ、そりゃもう何といえばいいのやら」

悪い人間ではないようだがどうにも調子が狂って仕方がない。
何だかこっちの返事を待ってるようだけどなんて言えばいいんだろうか?と上条当麻が悩みだした時だった。

行橋って男だよな?

「えへへ! ね? もういいんじゃない? とっても美味しそうだよ☆」

“まるで”上条当麻のピンチを救うようにタイミングよく、そう行橋未造が鉄板上の状況を教えてくれたのだ。

「あ、ヤベッ! 忘れるとこだった!!」

お腹と背中がくっつきそうなこの状況で焼肉なんてシチュエーションを忘れるはずはないのに、何故か都城王土と相対するとそんな事も気にならなくなってしまう。
でもまぁいいか、と思いながら上条当麻がパンと両手合わせた。

それを見て、インデックスが都城王土が行橋未造も両手を合わせる。
全員が手を合わせたのを見て、上条当麻が声を張り上げた。

「ではでは!」

夢にも思わなかった最高級の和牛を使った焼肉が待っている。
ジュウジュウと牛脂が溶けて、得も言われぬ美味しそうな匂いを前にして。
上条当麻は神様仏様王様に感謝の念を込めて。

「いただきます!」
「いただきますなんだよ!!」
「どれ、俺が満足できる程のものかな」
「いただきまーす☆」

各々そう食前の挨拶を唱和した。


…だが。

残念なことに。
焼肉に箸を伸ばそうとした上条当麻は目の前で手招きをしているようなその肉を口にすることはなかったのだ。

この落差
ある意味原作より不幸だ

いつもどおり悲惨すぎる上条さん

焼肉用のプレートの電源だか火だか切り忘れ
帰ってきた頃にはプレートのうえの肉が炭になり、残りの肉も猫に食われていたりして。

休憩休憩

保守いらず

>>496
まさかの家全焼

焼肉ゥ!焼肉ゥ!

■とあるマンション・上条当麻の部屋の前。

頭を万力で締め付けられるような頭痛。
ゼイゼイと荒れる息を整えようとするも、心臓や肺や横隔膜がそれを拒否する。

(“あの少年”の前であまり不様な姿は見せたくありません、とミサカはゆっくりと息を整えます)

学生寮として使われているマンションのある一室の前に御坂妹は立っていた。

そう、御坂妹は病院から抜けだしてただひたすら走った。
学園都市の網目のような経路から最短ルートを選びここまで全力で走りぬいてきたのだ。
本来ならばこの程度の距離、苦も無く辿りつける筈。
だが、絶対安静の筈である御坂妹の体調でここまで走れただけでも凄いというべきであろう。

わずかに息が収まったのを確認して御坂妹がドアノブに手をかける。
ドアには“何故か”鍵がかかっていなかった。


よくある話だ。
“来客”が“ドアの鍵”を掛け忘れることなどそこらじゅうに転がっている。


しかし、今の御坂妹にとってそんなことは知る由もなく、また知っていたところで戸惑いはしなかっただろう。
ガチャリとノブを捻り、一気にドアを開け放つ。

部屋の中からあふれてきたのは食欲を誘う匂い。
そしてそこには箸を持ったまま固まった上条当麻がいた。

ちょうど食事の時間でしたか、と思いながらも御坂妹は目を走らせる。

上条当麻の隣にはインデックスと呼ばれている少女がいた。

そして、部屋の真ん中には見たことのない人間が二人いた。
突然の乱入だというのに、まるでこちらに興味を示そうともしない尊大な態度の男と、膝の上に収まっている小さな子供。

少しばかり、彼等と上条当麻の関係性が気になったが、今そんなことを聞く猶予など無い。

何といえばいいのかと考えて、御坂妹は決めた。
思考を放棄し、ただ思いをそのまま上条当麻に向かって告げたのだ。


「ミサカと、ミサカの妹達の生命を助けて下さい、とミサカはあなたにむかって頭を下げます」


それを聞いて上条当麻は怪訝そうな顔をしつつも立ち上がる。

そして。

何故か金髪の男の膝の上にチョコンと座っていた子供が御坂妹の言葉に反応した。

突然の来訪者が持ってきた知らせが歓迎される類のものではないというのはその表情を見れば判る。

だがそれでもインデックスは彼女を突き返したりはしない。

今は効力がないとはいえ、こう見えても“歩く教会”をその身につけているシスターなのだ。

そして。この少年はそこに困っている人がいれば何があっても助けに行くのだ。
ならば、彼の思いを後押ししよう。
そう決めてインデックスは口を開いた。

「…止めても無駄なんだよね? 私は邪魔かもしれないし… 一緒に行きたいけどここでとーまの帰りを待つことにするんだよ…」

美しく優しく微笑むインデックスのその言葉を聞いて。

「悪い…インデックス…」

ただ謝ることしか出来ない上条当麻が返事をする。

…この際、インデックスの箸がホカホカと湯気を立てる焼き立ての松坂牛肉をまとめて束ねているのは見なかったことにしよう。

上条当麻は立ち上がり、ただ一言。
その顔にとてもかっこいい笑顔を浮かべて

「…信じてるからな? インデックス?」

それだけ言い残して上条当麻は駈け出した。

>>492
行橋は女だぜ。
善吉が羽交い締めにされたとき柔らかいって言ってたろう。

そういや行橋って変身能力あったよな
あれどういう原理なんだろう

明言はされてないけどな

上条△wwwwwwwwwwww

明らかに骨格レベルで変化してたけど
普通のスキルだと言ってたっけ

そういえば単行本六巻だか七巻だかに行橋と嘔吐さんが一緒に温泉入ってる絵がなかったようなあったような
ゴクリ

ちびっと外出
保守いらず

プラスシックスの見せ場と能力解説はいつになるんだ。

ギリギリ説明つきそうなのは素手で鉄球溶かした人くらいじゃね。江迎ちゃんの能力の親戚みたいな。
髪伸ばした人もまあいいか。毛髪にまで神経通ってて運動可能・成長自在ってくらいじゃもう驚かないよ。
腕貫通された人はどうだ、身体の細胞が元からグズグズなのかね。
弾丸食った人はなんだろうな。解らんわ。

まあ今からどんなビックリでも大嘘憑きには及ばなそうだ。あれもう出る漫画間違えてるよ。
今更どんな理屈で説明されても無理だろう。因果律に干渉とかなんなんだよ。

>>508
裏表紙でな
その裏の雲仙姉g(ry

『別に意味とか理由なんて無いよ?』

>>510
ボス格っぽい二人(名前忘れた)なんて能力すら出せずに・・・

プラスシックスの活躍を待つのはきっと虚刀流と日本最強の剣士との対決を見たいって言うようなもの

保守

こんな能力があれば就職も簡単にできそうだ

>>514
鑢七実と錆黒鍵の戦いもホニャララ

王土くんが一方通行に勝つには
事前にMNWの一人から徴税しておいて実際に殴る一回の演算だけをウイルス送り込んで邪魔するか
そもそもMNWも電磁波を介して繋がってる設定だから
常に王土くんが放出してる電磁波とMNWの電磁波が相殺して演算がきちんと一方通行まで伝わらない
という事にするかくらいかな
一方通行・未元物質・電磁砲以外は王の言葉でなんとかなるだろ

>>502
■学園都市・総合ビル

【貴女、ただその[組織]とやらに言い様に“使われているだけ”じゃないんですの?】

その白井黒子の言葉を聞いて、ピシリと音を立てて結標淡希の仮面にヒビが走る。

「…あは、あははは! 随分とまぁ想像力がたくましいのね! たったあれっぽっちの話でよくもそんな妄想ができるものだわ!」

そう言って笑おうとする結標淡希だが、明らかに印象が違っていた。
先程までの彼女ではなく、まるで中身が空っぽの操り人形のような顔をして笑みを作っている。
そんな結標淡希を見て。
やはりそうでしたのね、と心の中で呟きながらも白井黒子は結標淡希の仮面に切れ込みをいれる。

「妄想なら手慣れたものですけども… けれどこれはまず間違い無いですわよ」

白井黒子にそう言われ。
結標淡希は言葉を荒くする。

「…なにが! ねぇなにがよ? 私が言ったことは全て事実! どれ一つとして間違ってはいないわ!!」

白井黒子は望んでいないとでも言いたげに顔を歪め、しかし言葉のナイフを握った手は無慈悲に結標淡希の心を切り開く。

「…先程。 言ってましたわよね? [残骸]があれば“チカラ”を持たなくてもすむ…と」

「ッ! そうよ! その通り! [残骸]があればこの忌まわしい“チカラ”と別れることが出来るの! そう、出来るのよ!!」

まるで自らに言い聞かせるように繰り返す結標淡希に白井黒子が淡々と言葉を投げた。

「……“どうやって”…ですの?」

.
「――ッ!?」

グッと音を立てて言葉に詰まる結標淡希。

“どうやって?”

そんなことは知らない。
いくら“大能力者”の結標淡希とはいえ科学的な専門分野のことまでは判らない。
ただ、そう言われて。
それを信じたのだ。

そして、思い出したのは具体的な計画を立案した[M000]の言葉。

「…確かに。 具体的な方法までは門外漢ですもの。
 私は知らない。 けどね、[残骸]があれば“能力”を持つのが“人間”だけではないということが判るかもしれないのよ!」

けれど、それは答えにすらなっていない。
まるで子供の言い訳のようなそれを聞いて白井黒子は苦笑する。

「…ですから。 それが判ったところで“どうなる”っていうんですの?」

ポロポロと音を立てて結標淡希の仮面から破片が落ちる。

「ど、どうなるって… だから! 判らない人ね! “能力”を持てるのが“人間”以外じゃないってことが判れば!」

「…そのお話は先ほど覗いましたわ。 で、“それ”と“これ”にどんな関係があるっていうんですの?」

ビシリ!と音を立てて結標淡希の仮面に亀裂が入る。

「か、関係? 関係…は…」

ぐるぐると結標淡希の頭の中で白井黒子の言葉が回る。
繋がらない。
繋がらないのだ。

“例え”[残骸]が能力を有する可能性があったとして。
“例え”そして[残骸]が能力を有したとして。
“例え”人間以外が能力を有する可能性があったとして。
“例え”そして能力者が“能力”を無くす可能性があったとして。

それを結んでいる筈の糸を辿ってみればプッツリと途切れている。

そして結標淡希はようやく気付いた。
自分がただ“操られていた”だけのことに。
主役のつもりだった自分がその実舞台の上でただ踊らされていただけのことに。

「…は」

バリバリと音を立てて結標淡希の仮面が砕けていく。

「ァ…ァ…アア…ああああああああっっっ!!!」

そして結標淡希は耐え切れず悲鳴のような叫び声をあげた。

僕がこんなに感じているのはキミのテクニックがすごいからだね
それとも、僕が今シャブやってるからかな?

■学園都市・大通り

学生が溢れる繁華街を上条当麻が走る。
ネオンが栄える大通りを御坂妹が走る。
しかし、上条当麻の隣で並走する御坂妹は息も絶え絶えといった様子で、それでもなんとか遅れまいと手足を動かしているだけだった。

「おいっ! 大丈夫か?」

今にも倒れそうな御坂妹に向かってそう声をかける上条当麻。

「だ、大丈夫ですが…こうやって話しながら走るのは少々厳しいです、とミサカは空元気を振り絞って返事をします」

蚊の鳴くような声でそう返事をする御坂妹がチラリと横を見る。
そこには。

何故か並走している行橋未造がいた。

「…あの?、とミサカは理解が出来ず疑念の声をあげます」

思わずそう問いかけてしまう御坂妹に返事をしたのは行橋未造だった。

「えへへ! 気にしない気にしない☆ ちょっとだけボク気になっちゃってさ☆」

小柄な身体のどこにそんな俊敏性が眠っていたのかと驚くほど機敏な動きで行橋未造がそのあどけない顔で微笑む。

きてるしおすし

.
「ふむ。 まぁ別段俺は特に興味もないのだが。 行橋の望みならば俺が聞いてやるのも吝かではない」

そして、行橋未造の後ろにはひどく退屈そうな顔の都城王土がいた。

「えへへ☆ そう言いながら王土は一緒に来てくれるんだよね!」

「ふん。 しょうがなくだ。 まぁ俺の夕餉を中断されたのは些か不愉快ではあるがな」

そう言って都城王土が悠々と大地を蹴る。
悠々とは言えその速度は4人の中でも一番速い。
ともすれば懸命に走る上条当麻をあわよくば追い抜きそうなほどの余力を示していた。

そのまま学園都市の繁華街を4人の男女が疾風のように駆け抜ける。

けれど、御坂妹の身体は既に限界だったのだ。
不意に足がもつれ、転びそうになる御坂妹。

「おわっと! 危ね!」

思わず倒れかかった御坂妹の身体を上条当麻が抱き抱えるようにして支える。

「…すいません。 ですが大丈夫です。まだ走れます、とミサカは足に力をいれてみます」

上条当麻の中で力ない微笑みを浮かべる御坂妹。
そして、また走るために立ち上がろうとする。
だが、生まれたての子鹿のように足を震わせるがその様は誰がどう見ても無謀だった。

「いいから休んどけって。 あ、でも俺達だけで向かう…っていうわけにもいかないよなぁ」

ゼエゼエと青い顔をしてその場に座り込んでしまった御坂妹を見て上条当麻は頭をかく。

「いえ、ミサカを置いて先に行ってください。場所はここから3ブロック先にある総合ビルです、とミサカは懇願します」

そう言って、目的であろうビルの名前を細かく口にする御坂妹。
だが置いていけと言われ、はいそうですかと言えるほど上条当麻は冷静に物事を考えない。。
今にも過呼吸やら心臓麻痺やらを起こしそうな御坂妹をこの場にたった一人置いていけるはずがない。

その時だった。


「おい、上条とやら。 何だか知らんがその厄介事とやらを片付ければいいのだな?」


上条当麻の背に堂々とした男の声がかかる。

「いやまぁ、それはそうなんだけど… でもコイツをここに置き去りにしていくわけには」

そう背を向けたまま思わずタメ口で都城王土に返事をする上条当麻だったが。


「ふむ。 ならばおまえはその女を看病していろ。 俺の夕餉の邪魔をしたのだ。 これは俺への無礼である」


「…はぁ?」

振り返ると、そこには腕組みをして紅い双眸を光らせる都城王土と“何故か”白い仮面でその顔を隠している行橋未造が立っていた。

白い仮面をかぶってこちらを見上げる行橋未造に向かって都城王土が声をかける。

「そういうわけだ。 いいな行橋?」

「えへへ! 任せてよ☆ ボクは戦闘タイプじゃないし、それに王土の決定に意義をたてることなんてないんだからね☆」

仮面の下では可愛らしい笑顔を浮かべているだろうと行橋未造に向かって都城王土が満足そうに頷いた。

「よし。 それでこそ俺の行橋だ」

ニヤリとそう笑った都城王土に上条当麻の慌てた声がかかる。

「お、おい! 都城先輩! あんた転校生だろ? 場所は判るのか?」

その言葉を聞いて都城王土は振り返らずにこう言った。

「おいおい。 上条。 おまえは誰にものを言っているのだ? 心配いらん。 とはいえ…布束の案内がこうも役に立つとは思わなかったがな」

そう言うと都城王土の足が大地を蹴った。


ドン!と、まるで爆薬が破裂したかのような音と共に都城王土の姿があっという間に消える。

「……うそぉ?」

踏み込んだ足の形でそのままえぐられたアスファルトを見て思わず上条当麻はそう呟くも。
その腕の中にいる御坂妹は懐かしいその言葉を聞いて耐え切れずにポツリとこう呟いた。

「聞き間違えるはずもありません。 布束…それはもしかして、とミサカは淡い期待と懐かしい思いを口にします」

『wktk』

しっかし王土さんかっこよすぎんだろ…

『僕は悪くない。だって、僕は悪くない んだから』

かっこいい敵キャラランキング上位5に食い込む勢いだな

王土さんの改心っぷりがすごいことになってるな

おいなんか王土さんの忠臣が沸き始めたぞ。
俺もだけど。

かっこいい敵キャラか。悪魔将軍がベスト3に食い込むとみた

スーパー王土さんタイム!

>>534
おまえとはうまい酒が飲めそうだ

■学園都市・総合ビル

「ガッ…あ…あああああああああああっっ!!!」

両手で頭を抱え結標淡希は絶叫する。

壊された。
白井黒子に自らの信じるものを壊された。

考えてみればおかしな話だ。
例え[残骸]があったところでそれがどうして能力を消せることに繋がるのだろう。

でも…そんな事は関係なかった。
むしろ判っていてもその希望にすがりたかったのだ。

彼女は、結標淡希は自らのトラウマを思い出す。

“恐ろしいチカラ”
“危険なチカラ”
“迫害されるチカラ”
“嫌われるチカラ”

気がつけばその感情は結標淡希の心に決して消えない傷となって残っていたのだ。
座標転移を失敗した時もそうだった。
ふと、演算中にそんなことを考えてしまって。

気がつけば足がコンクリートの中に埋まっていた。
慌てて足を引き抜いたらベリィッ!という耳を塞ぎたくなる音と共に、足の皮膚がベロリと垂れ下がったのだ。

敵キャラというと白面の者とパンタローネ様かな

誰もいない静かなはずのビルの中で轟音が巻き起こる。

コンクリートがテーブルが椅子が食器が。
ナイフがフォークが鉄骨がスピーカーが。

ありとあらゆるものが空中で浮遊し、衝突し、弾け飛んでいるのだ。

それは結標淡希の能力『座標移動《ムーブポイント》』が暴走していることを意味する。


制御できない能力すらもそのままにして、結標淡希は未だテーブルの下で身動きがとれないままの白井黒子に向き直る。
ただ殺すのならば簡単だ。
このままそっとしゃがみこんで、その細い首筋に鋭利な刃物を突き立てればいい。
いや、もはや何もいらない。
ただ首を締めるだけでも白井黒子は抵抗出来ないだろう。

だが違う。そんなことを結標淡希は望んでいない。

結標淡希は“心”を壊されたのだ。
結標淡希は“心”を破られたのだ。
結標淡希は“心”を破壊されたのだ。

ならばやり返す。

この正義面した風紀委員の心を壊して破って破壊しなければ気が済まない。

「あはっ! あははっ! ねぇ見てよ白井さん! この光景を! この有様を!」

自らの傷口をさらけだすようにして結標淡希は両の手を広げる。
演者も脚本も不出来な舞台の上で主役が一生懸命踊るように手を広げる。

「ほら! 私たちはこんな“チカラ”を持っているの! 貴女なら判るでしょ! こんな恐ろしい“チカラ”を持っているのよ!!」

耳を塞ぎたくなるような破壊音の中で。 結標淡希は白井黒子の返事など待ちはしない。

「ねぇわかる白井さん!? 貴女の大切な“御坂美琴”は! 私よりもヒドイのよ! 軍隊を相手にして! それでも全員殺してしまうほどなの!」

白井黒子は返事をしない。
ただ無言の視線で以てそれの代わりとする。

「言ってたわよね? 貴女は“超電磁砲”の思い描く未来を守りたいって! でも… それがなに!?」

結標淡希が吠える。

「私も! 私の“仲間”にも! 思い描く未来があって! それを守りたいの!!!」

喉から血が出るように、万感を込めて結標淡希が訴える。

「ねぇなんで! なんで邪魔をするの!? 私達は別に“超能力者”になりたいわけじゃない! ただ“普通”になりたいだけなのに!」


【[A001]! 君には期待している! 君も“普通”になりたいだろう? 我等と同じく“正常”になりたいのだろう?】


そう。
結標淡希はただ“普通”の女の子になりたいのだ。

佐天さんがあっちで微妙な顔して見てるぜ。

白井黒子は答えない。
ただ黙して赤毛の少女の悲痛な叫びを聞くだけだ。

「ねぇ白井さん! 貴女は知らないかもしれないけれど! 私は! 私達は“超電磁砲”と闘ったの!
 作りかけのビルで! 学園都市の最強の能力者! “超電磁砲”を相手にして! そしてその時! …あの子達はこう言ったのよ!!」

ジワリと結標淡希の瞳に涙が浮かぶ。

「後は任せた… ただ一言、たった一言、それだけを口にして! 恐怖で震える唇を無理やり笑みの形にして!」

あぁ…そうか。
あれはそういう意味だったのか。
白井黒子はその現場を目にしていた。

零れ落ちそうな涙をその目尻に震わせながら結標淡希は泣き叫ぶ。

「あの子達はただそれだけで! 自分の思い描く未来を守るために! 最強の電撃使い《エレクトロマスター》に立ち向かったの!」

それはどれほどに恐ろしかったのだろうか。
相手が本気になれば、いとも容易く殺される。
けれど、それでも彼等は命を賭けて結標淡希に未来を託したのだ。

だから結標淡希は退けない。
例えこの道の先が漆黒の崖で断たれていたとしても、ただ突き進むしかないのだ。

結標淡希は己の全てを白井黒子に叩きつける。

「ねぇ! 貴方に否定できるの!? 超電磁砲の思い描く未来を守ろうとする貴方と! 私達の未来を守ろうとするあの子達はどこが違うって言うの!」

白黒「うるせぇこのズベ公が!しね!」

さるひっかかってない?

こんなスレがあったとはな

原作でもこれくらいしっかり演説して欲しかった。
まあ長台詞は使いどころ難しいけどさ、それでも。
どうにも禁書原作だとあわきんの戦う理由だけが、説明が簡単過ぎて後付けっぽいというかでよ。

白井黒子は歯噛みをする。
まだ叩いて殴って刺しあう血みどろな戦いのほうがよかった。
そう、まだ闘いは終わっていない。
これは命よりも重い矜持《プライド》を賭けた闘いなのだ。

「…えぇ。 思い当たるふしはそれこそいくつもありますわ」

白井黒子の脳裏には様々な記憶が映り出す。

風紀委員に憧れて。
手柄を欲した自分の独断専行で大事な先輩…固法美偉を傷つけた。

幻想御手《レベルアッパー》。
それは彼女の友人でもある一人の少女を巻き込んで膨れ上がり。
最終的には一万人の無能力者の怨念となって学園都市の危機を招いた。
けれど…その事件を引き起こした一人の女性はただただ己の教え子達を救いたかっただけなのだ。

「否定なんて…出来るわけがありませんの」

ゆっくりと白井黒子は首だけを動かして、視線だけで射殺さんとばかりに結標淡希を睨みつける。

「ですけども…否定が出来ないからといって肯定する気もありませんのよ?」

意志の力だけで白井黒子は結標淡希に立ち向かう。
生殺与奪の権を握られていても決して退けない。

そして。
この闘いは。
元となる根幹、想いの源が仮初と自覚してしまった結標淡希が勝てるはずもなかったのだ。

自分の能力のはずなのに。
敗北した結標淡希を騒ぎ立て嘲笑うように騒音を立てながら『座標移動《ムーブポイント》』は暴走を続ける。

「…なによ。 …なんなのよ! なんでそんな顔ができるのよっ!?」

積み重なったテーブルに組み敷かれたままの白井黒子が放つ視線に気圧されて後ずさる。
もう既にそれは闘いではない。
結標淡希が口にするのはただの泣き言だった。

「私は! 私達は! 望んで“バケモノ”になりたかったわけじゃない!」

無念の涙が頬から一粒流れる。

「こんな厄介な能力をもった私達を! いったいどこの誰が肯定できるっていうのよ!!!」

能力者は忌避される。
強大な力をもつ故に。
理解が出来ない存在故に。

「人間より優秀な存在なんて! いくらでもいると思わない? 貴方がそれを思わないならそれはただの傲慢《エゴイズム》じゃないの!!」

一度涙が流れば止める術など持ちはしない。
ボロボロと涙を流しながらも必死になって結標淡希は抵抗する。
今ここで折れてしまえば生命を賭けた“仲間”に合わせる顔がない。

だから。

結標淡希は魂を振り絞るようにしてその想いを願いを希望をただそのまま吐き出した。

この>>1はホントに俺を焦らすのが上手いなハッハッハ。

もはや形振りを構っている余裕もなく。
裸の上半身が顕になっていることに気付く余裕もなく。
結標淡希は涙でグシャグシャになった顔のまま。

「ねぇ白井さん! 答えてよ! 私も! 貴方も! 能力者なんて結局ただの“バケモノ”じゃない!」

そう。
能力に憧れて違法な手段に手を伸ばす少年少女がいるように。
能力を嫌がって違法な手段に手を伸ばす少年少女もたくさんいるのだ。

それはまるで人を踏み潰さないように怯えながら歩く怪獣。
内から広がる罪悪感と嫌悪感、外から降り注ぐ冷酷な視線と心無い罵倒。


結標淡希はそれらすべての少年少女たちの想いを代弁するかのように白井黒子に叩きつけた。


「手枷をつけられ! 足枷をつけられて! 人を殺さないように怯える“バケモノ”を!
 いったいどこの誰が“人間”だなんて認めてくれるっていうのよ!!!」

嵐のように荒れ狂い暴走していた結標淡希の『座標移動《ムーブポイント》』が不意に凪のように静まりかえったビルの中で。



「 俺 《 オ レ 》 だ 」



威風堂々、泰然自若、大胆不敵な。 悠然と、高らかに、朗々と結標淡希の願いを肯定する声が響いた。

王土△マジで!

王ォォォ土くゥゥゥン!

フラグ建立宣言ですか王様。

 \                    /

   \  丶       i.   |      /     ./       /
    \  ヽ     i.   .|     /    /      /
      \  ヽ    i  |     /   /     /
   \

                                  -‐
  ー
 __          俺 《 オ レ 》 だ            --
     二          / ̄\           = 二
   ̄            | ^o^ |                 ̄
    -‐           \_/                ‐-

    /

            /               ヽ      \
    /                    丶     \
   /   /    /      |   i,      丶     \
 /    /    /       |    i,      丶     \ 

上条さんの唯一の出番はこうして削られた

王土さんかっこよ過ぎで涙でてきた

王土様、お待ちしておりました!!

王土さんマジぱねぇッスw

都城王土様大人気すぎるだろ

もう上条さん要らねえだろwww

>>554 絶対に誰か貼ると思ったわwwww

かっこいいな…。あやうく、メダカボックスを買ってしまうところだったわ…

昨日めだかのサイン入りポスター届いたぉ

このスレはメダカの売り上げに貢献するだろ。マジで

『まだ漫画買ってないの?規制されたら読めないから早く買おうね!僕は買ったよ!』

作者の腕が試される展開

>>550
その声の主は荒れ狂ったビルの床をまるで気にすることなく闊歩する。
そう、なぜか彼の進む道には障害物となるものが一つもないのだ。

金髪紅眼の獅子のような男。

その男に少女たちは見覚えがある。

「アンタ…」

「貴方は…」

そうポツリと白井黒子が、結標淡希が呟く。
しかし。
その男、都城王土はそんな言葉など気にする風もなく少女たちの視線を惹きつけたままただ堂々と歩く。

そして少女たちの眼前に立ち。 腕組みをして。 そこでようやく白井黒子と結標淡希の顔に紅い双眸を走らせた。

「ほぅ…どこの芋虫かと思えば白黒ではないか。 またよりにもよって随分と珍妙な格好をしているものだな」

笑うようにただそれだけ声をかけて。
チロリと血よりも紅い瞳でもって結標淡希の瞳を貫いた。

「…ヒッ!?」

思わずそう悲鳴を口からこぼした結標淡希を検分するように見定めてから。

「む、何処かで見た顔かと思えば案内人の娘か」

ふむ…と笑いながら都城王土が口元に手をやった。

レイプ展開クルーーー!?

このまま上条さんの見せ場なかったら、マジでインさんに焼き肉食われるだけ損のホニャララ

王土さんの前に立っただけでみんな濡れるから
レイプにはならんわ

上条さん、『理不尽な重税』で出番を徴税されたのか…。

王土△
格好よすぎだろ

王土△

その瞳にはどこか愉快気な試すような光が浮かんでいる。

「さて…娘よ? さっきは何とも情けない事を言っていたな?」

都城王土がそう口を開いた。
結標淡希はただ何も考えられず、続く言葉を待っていることしか出来ない。

そんな結標淡希を見て都城王土はこう言った。

「“正常”? “異常”? “能力”? “無能力”? 関係あるかそんなもの。 “人間”はどこまでいっても“人間”のままに決まってるだろうが」

ハッ!と結標淡希の積年の悩みを笑い飛ばすようにして都城王土はそう言ったのだ。

もはや仮面がどうのといった話ではない。
都城王土は仮面の奥に隠されたその柔らかで儚いガラスのような結標淡希の心すら諸とも粉砕してもおかしくない。
ポツリと結標淡希は砕け散った仮面の破片を掻き集めて防衛を試みる。

「…うるさい」

だが。

「“バケモノ”だと? ふん、調子にのるなよ娘? 胸のうちに“過負荷[マイナス]の因果律”を抱える“あの女”くらいまでになってようやく“バケモノ”だろう」

【レス抽出】
対象スレ:都城王土「ほう…学園都市か。 なるほどこの俺を迎えるに相応しい」
キーワード:王土△

86 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/04(土) 02:13:23.66 ID:LCsQLvto0 [2/3]
王土△

404 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/05(日) 11:34:19.65 ID:XvEQqD+bO
王土△

551 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/05(日) 21:34:31.73 ID:gqyTqagA0 [3/3]
王土△マジで!

572 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/05(日) 22:02:03.26 ID:OmRg/Z0IP [2/2]
王土△
格好よすぎだろ

573 名前:以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします[] 投稿日:2010/12/05(日) 22:04:31.12 ID:xw6Qz2nb0
王土△



抽出レス数:5

クマタンって女の子だったのか…

使いこなせるかどうかは別として魔術絡みではない能力なら取り込めるのかな
そうやってどんどん喰っていったら何れ強敵に在った時に
『喰虚』みたいに吸収済み全能力同時発現なんて真似も出来るのだろうか

>>576
安心院ちゃんだろ

めだかちゃんじゃ無いのか

アニメしか見てなかったけど、黒子の説教ってこんな意味だったのか
アニメはカットし過ぎでよくわからなかった

王土さん過負荷しってんすか

そう。
都城王土は一度“触れている”のだ。

『大嘘憑き《オールフィクション》』という在り得ぬ“異常”を持つ男。

そしてその男に“一人の女”が関わって。

『完成《ジ・エンド》』という他人の“異常”を完成させることが出来る“その女”は。
それを無意識のまま自らの胸の奥深くに固く固く鍵をかけ、鎖を巻きつけて封印したのだ。

“その女”はそれに絶対に触らないように、決してその鍵を開けないように気を付けていたが。
その奥底に都城王土は“触れたのだ”。

空前絶後の悪意と善意をごちゃまぜた、そもそもの本人ですらその能力を使いこなせていない、何とも馬鹿らしく何とも非常識で何とも嘘くさいそれに“触れてしまったのだ”。

だがしかし。

都城王土はここにいる。

気が狂うこともなく、恐怖におののくこともなく、絶望に身を焦がすこともなく。
己の意志でもって己の脚でもって己の存在を己の意義を己自身が決めてここにいる。

果たして…それを一体何処の誰が真似できるだろうか?
触れたとたん腐り落ちる悪意と虚無と害意と殺意と虚偽に触れて尚、己を見失わないということが。

そう。
ありとあらゆる“マイナス”のそれに触れても尚、都城王土は自らを失っていない。


故に、都城王土は己に絶対の自信を持って、己こそが己の超えるべき己だと確信し、結標淡希を否定する言葉を謳うことができるのだ。

おおっとおそう来たか!
これは面白いぞ…!!

その絶対的な自信は…否。 “絶対”の自信は結標淡希にとって眩しすぎる。
だから否定をするのだ。
しなければ何もかもの一切合切結標淡希の全てが崩れていってしまう。

「…うるさいって」

だがその否定は都城王土にとって何の意味も持たない。

「怪物だと? 己の能力が恐ろしいだと? クハッ! 世迷い事を吐かすなよ娘」

都城王土は全てを笑う。
結標淡希の悩みなぞちっぽけであると言って笑う。

「……うるさいって言ってるじゃない!!」

懸命に抵抗しながらようやく結標淡希は気が付いた。

この男と初めて会ったときに感じた胸に生まれた小さな灯火のような欲求は。
この太陽のような眩しい男に憧れて、自分もそうなりたいという願いだったのだ。

結標淡希は己が手に握っている軍用の懐中電灯を、人造の光を見て。
金髪紅眼の男、都城王土というが発する太陽のような天然の光を見て。

羨ましくてそれこそ気が狂いそうだった。

そして仮面の奥底、結標淡希の魂を都城王土が決定的な言葉でもって粉砕した。

「己が未来を守るのに力が必要ならばそれこそ悩む必要などなかろうが。 全力も果たさぬまま未来を守りたいなど…甘ったれにも程がある!」

こりゃ行橋が心酔するのも頷けるわ

マジで上条さん要らねえ…。

無職・ニート予備軍の俺は耳が痛い

行橋になってこきつかわれたい

木っ端微塵に粉砕された。
仮面だけではない。その奥底までもだ。
結標淡希は自分に振りかかる責任を無意識に“能力”という言葉に転嫁していた。
自らの願いを他人に押し付けて同意をしてもらおうという知らず知らずのうちに企んでいた。

だがそれら全ては都城王土の辛辣な言葉でもって完全に打ち砕かれた。

暗がりに向かって人造の光を照らして満足していた結標淡希。
その顔を強引に掴んで、その背で輝いている太陽に直視させたのだ。

あまりにも眩しすぎて。
そしてそれが彼女の限界だった。


「いや……いや…あァ…アアああああアアアあああっっっっ!!!!!」


両手で頭を抱え、結標淡希は仰け反って絶叫する。
ブチブチと音を立てて赤毛が一房その手に残る。
それを見た結標淡希は醜いものを見たような顔をして、それを地面に投げ捨てる。

自分に対する絶対の自信とそれにともなう傲慢《エゴイズム》、自分が自分であるという矜持《プライド》

そのどれもが結標淡希が無意識に求めていたもので。
そしてそのどれもが結標淡希が手にしていないもの。

結局…彼女は他人の思想を自分の夢として偽ることでしか自分を保てなかったのだ。

そして…結標淡希は逃走した。

大魔王からは逃げられないんだぜ?

知らなかったのか?王土さんからは逃げられない…!

その自信をわけてほしい

支援

王土「自信はお前自身にある」

>594
さすが王土様! 抱腹絶倒です!

震える手で[キャリーケース]を[残骸]をその手に掴んで、結標淡希は軍用の懐中電灯すら放り投げて逃げ出した。

そして同時にギシリと空気が歪む。

それは結標淡希の能力『座標移動《ムーブポイント》』が暴走し、引き起こしたものだ。
そもそも“能力”とは『自分だけの現実《パーソナルリアリティ》』が根幹であり。
結標淡希はここから逃げ出したいと切にそう願ったのだ。

ならばそれも当然のこと。
『座標移動《ムーブポイント》』は己の主人の望みを叶えるために、限界まで力を振り絞りその願いを実現した。

間もなく結標淡希の最大値、4520kgもの重圧が空間を超えて襲いかかってくるだろう。

しかし都城王土はそんなことを知るわけがなく消えた結標淡希をフンと鼻で笑った。

「なんともまぁせっかちな娘だ。 この俺がまだ話している途中だと言うのにな」

そんな都城王土を見て、テーブルに押し潰されたままの白井黒子は気が付いた。
同じ空間移動系の能力者である。

肌にピリピリと感じる空気が歪むようなこの感触は間違いなく空間移動攻撃で、間違いなく最大級だろう。

結標淡希の登録データを思い出して白井黒子は絶望した。
4520kgの重量が一気にこのフロアに襲い掛かれば建物全てが倒壊する。

せめてこの男だけでも逃げてもらわなくては。 そう思って白井黒子が青ざめて叫ぶ。

「何をぼんやりしてますの? まだ幾分余裕はあるはずですの! さっさとここから離れてくださいまし!」

必死になって懇願するような声をあげる白井黒子。

今ここで助けてくれなんてことは口が裂けても言えない。

白井黒子の上に積み重なっているテーブルは重くガッチリと組合っているのだ。
モタモタしていれば二人揃って圧死だろう。

だが都城王土は腕組みをしたまま動こうとはしなかった。

「ッ! 都城さん! 貴方に言っているんですのよ! 危険ですの!!!!」

その白井黒子の言葉と同時にグワリと空間が歪んだ。

泣きそうな顔で白井黒子は理解してしまった。
あぁ…もう間に合わない。
時間切れだ。
巻き込んでしまう。 巻き込んでしまった。
無理だ。 

もう絶対に無理だ。

空間が歪み、転移してくる物体に押し潰されるように建物の崩壊が始まって。
天井の瓦礫が地響きを立てて落ちてようやく。

都城王土が白井黒子に向かって口を開いた。


「おい白黒。 俺に指図するな」


降り注ぐ瓦礫は等しく都城王土と白井黒子に向かって落下してくる中、都城王土は腕組みをしたまま。
“己が配下”に命令を下す。

.

「 耐 え ろ 《 タ エ ロ 》 」


次の瞬間、白井黒子のその細い首筋にめり込まんとした瓦礫が音を立てて弾け飛んだ。

「……これ…は…?」

白井黒子は目に飛び込んできた光景を見て言葉を失う。

それはありとあらゆる金属が、金属を含んだ全存在が盾となり柱となり壁となりその圧倒的な残骸を食い止めている姿だった。
物言わぬ金属が命ある兵士のように、忠臣となって都城王土の命に従っていたのだ。

もし、彼等に意志があるのならばきっとこう言っただろう。
王の命に従うことこそが本望であるならば、例えこの身が砕け、千切れ、引き裂かれ、最後の一欠片になろうとも遵守するのだ!…と。

そして都城王土は。

その身体から悲鳴をあげてつつも己を守る金属の配下を一瞥すらしなかった。

自らがくだした命令について間違いを認めることはあっても。 後悔なぞは決してしないのだ。
いや、してはならない。 それは彼を信じるものへの裏切りである。

だから…都城王土は無関心ともいえる態度でただこう一言呟くのみだった。


「フン とは言えこれほどの重量ではそう長く耐えきることもできんか」

支援

王土「世界(ザ・ワールド)」ッッッ!!

ここでも上条さんの出番じゃないのかwww

王土△
マジかっけぇー

そう何事もあらんと言わんばかりに言葉を口にして、ゆっくりとと白井黒子の側まで歩み寄る都城王土。

「どら、いい加減その格好を見続けるのはもう飽きた。 どうせおまえもだろう白黒? 俺が手伝ってやるから気にするな」

そう言って都城王土は白井黒子の上に山のように積み重なったテーブルをただの一蹴りで吹き飛ばした。
直接テーブルがその身体に触ることはなかったものの、衝撃の振動で傷が刺激されて白井黒子の顔が痛みに歪む。

しかし都城王土はそれも気にせず白井黒子の腕を掴むとグイと乱暴に引き上げた。

ロマンチックな持ち方では決して無い。
空のワイン瓶を掲げるようなその扱い方に、白井黒子が思わず嫌味を口にする。

「都城さん? …前々から思ってたのですけど …レディの扱いがちょっと乱暴すぎるのではなくて?」

そんな白井黒子の憎まれ口を聞いてクツクツと都城王土が笑った。

「ハッ どの口でレディなどというか。 それだけ軽口が叩けるのだ。 問題はなかろう」

とはいえ、事態は未だ悪化の一途を辿っている。
未だ演算は出来そうもなく、都城王土の造った柱のような盾もあと少しで超重量に圧し負けるだろう。

だから白井黒子はこれで充分と言わんばかりに微笑んで

「ありがとうございますの。 けれどもう結構ですのよ? 貴方一人でどうぞお逃げなさってくださいな」

淑女の見本のような美しい一礼で以て“殿方”の退出を促した。

王土△

だがしかし。 それでも都城王土は動かない。

「何…で…?」

“御坂美琴”は自分のことを“大バカ”といったが。
冗談ではない。
目の前にいるこの大胆不敵な金髪紅眼の男こそが“大莫迦者”だ。

このままでは、ふたり仲良く死んでしまうだけ。
だから白井黒子は意味が判らず、混乱した頭で都城王土に訴える。
先程の淑女だどうだのはもう知ったことか。

「何でですの!? 私達はただの他人でしょう!? お人好しにも程がありますの!!」

そんな白井黒子の言葉を聞いて面白そうに都城王土が頬を歪めた。

「お人好しだと? 違うぞ白黒。 お人好しというのはだな」

その時、都城王土の言葉に合わせたように雷鳴を伴う圧倒的な破壊力が床から天井へと突き抜けた。

白井黒子は知っている。
この雷鳴の唸りと共に疾るものが何であるか。
この風穴を開けたのは。
ゲコ太というマスコットキャラクターの貯金箱に入っている何の変哲もないゲームセンターのメダルだ。
そしてそれはその子供らしいファンシーな趣味をもつ少女を白井黒子は知っている。
忘れるはずもない。

「こんだけ風通しを良くしてやりゃあ、まだ間に合うでしょ」

その声を聞いた瞬間。 嬉しさのあまり白井黒子の眼から涙がこぼれた。

美琴△

他のメンツがまだ来てないってことは、王土さんは壁歩きでここまで来たのかな?

壁歩き万能だな

美琴Δ

.
「悔しいけど私の出番はここまで。後はアンタに任せるわ」

そう言って少女は。 “超電磁砲”は。 御坂美琴はバトンタッチする。

その言葉を聞いて、確かにバトンを受け取ったと言わんばかりに駈け出したのはツンツン頭の少年だった。

白井黒子はその少年にも見覚えがある。
上条当麻。 
白井黒子は知るよしもないが、『幻想殺し《イマジンブレイカー》』という異能を殺す異能をもつ少年だ。

右の拳を岩のように固く握りしめて少年が駆ける。
その姿を見て都城王土が面白そうに笑った。


「そら お人好しとはああいった輩のことを言うのだ」


その都城王土の言葉を全身で体現し肯定するように、少年が走り、跳び、異能の中心点に迫る。
眼前に迫る超重量の瓦礫が迫っても上条当麻は微塵も恐怖を見せはしない。

質量4520kgの巨重をまとめて押し返さんと。
歯を食いしばった少年が、上条当麻がその拳を空間に叩きつけた。
凄まじい轟音と共に見えざる何かを殴り飛ばした上条当麻を見て都城王土は満足そうに笑う。

「なるほどいい拳だ。 さすがの俺も感服したぞ」

そして、たわんだ空間はまるで少年の気迫に押し負けたように自らの使命を完遂することなく。
幻想は打ち飛ばされて消し飛ばされて、殺された。

上条さんもかっけー

ちょっと誤字が酷くなったんで休憩保守いらず

お疲れ様!

ここまで一人一人キャラが立つとはな

上条さん正直出番ねーかと思っ(ry

結標は一応巨乳ってことになってる
アニメは微妙なサイズだけど

ちゃんとみんなキャラ動いてるよな。
大したものだわ。素直に関心。

おっと別スレで遊んでいる名前を消し忘れた。
王土強すぎだろwwめだか倒してこいww

行橋かわいいよ行橋

ぬぅ…。
るーまりお、俺はとっても眠いんだ。
ぽー、あとは頼んだよ?


あからさますぎワロタ

王土に勝っためだかなら一通さん楽に殺せそう

>>622
王土さんが自分のアブノーマルを完成に支配したらめだかと互角じゃなかった?

徴税のあれはガチで球磨川ちゃんの大嘘憑きに触れたって可能性高いし。

つまり何が言いたいかと言うと王土△

『保守』

>>625
知られざる英雄ならせめてsageるべきだったな。

うっかりしてた

行橋かわいすぎて辛い

壁歩きと天井歩きだったらどっちも足の指で壁をつまんでる以上、
腹筋を使う分壁歩きのほうが難易度高そうだよな

あれって靴履いてるのに足の指使えるってことは
あの靴は靴底がなくて裸足になってるってことでいいのか

君は「引力」を信じるか?

>>631
×靴を履いていては握れる筈がない
○事実握っている

>>622
めだかなら多分、そういうの関係なく一方通行を完成させて勝てると思う

王土△
この速度だと多分gep行きだろうけどぜひ続けてほしいです

>>610
不条理の連続にもはや言葉もない白井黒子の前で。
先程までの気迫は何処へやら、フゥーと額の汗をぬぐいながら上条当麻が振り返った。

「ま、間に合ったぁ… いやー途中で美琴と合流してなかったらどうにもならなかっただろうし…
 って都城先輩がそこにいるのはわかるけど何でオマエはそんなにボロボロになってんだぁ!?」

そう驚いた上条当麻の邪気のない顔を見て、眼下では心配そうにこちらを見上げている愛しのお姉様を見て。
白井黒子は嬉しさのあまり、泣き笑いのような顔でフニャフニャと言葉を唇にのせた。

「…バカですの …みんな…みんな 大バカ者じゃないですの…」

そう言ってグスッと鼻をすする白井黒子を見て都城王土が面倒臭そうに眉をひそめた。

「…おい上条」

「えっ?あ、はい、なんでしょか都城先輩?」

そう言って振り返った上条当麻に向かって都城王土は苦笑しながらこう言った。

「涙と鼻水まみれの女など俺はお断りだ。 そら、女で苦労するのには慣れているのだろう? 遠慮せず受け取るがいいぞ」

そう言って。
都城王土はポーイと腕の中の小さな少女を上条当麻に向かって放り投げたのだ。

めだかちゃんは技食らうか 誰かが能力の解説したら
理解して完成させると思うよ

「ちょっ!? 何を考えてるんですのぉーっ!?」

突然の浮遊感に驚いて抗議の声をあげる白井黒子の目に映ったのは面白そうにニヤニヤとした笑っている都城王土だった。

「いやいやいきなりそんなマジっすかぁぁぁああああ!?」

驚愕の声をあげながら緩やかな放物線を描いた少女を慌てて受け止める上条当麻。
そして何とか無事に少女を受け止めることはできたのだが何故か腕の中で白井黒子がプルプルと震えているのに気付く。

「え、えっと…… 大丈夫か?」

何となく声をかけづらい雰囲気のまま、腕の中にいる少女に向かってそう声をかける上条当麻だったが。
腕の中で勢い良く立ち上がった少女にガゴン!と顎を打たれ、上条当麻は「そげぶっ!?」と奇妙な声をあげて悶絶する。

そして当の本人、白井黒子は上条当麻がぶっ倒れたのにも気付かずにムキーと激昂して憤慨していた。

「ちょ…ちょっと…都城さん? いやもうこれはどう考えても酷すぎじゃあないんですの!?」

ツインテールの先っちょまで怒りに身を震わせる白井黒子だがそれは無駄な労力である。
既に都城王土はそこにはいなく、白井黒子の文句は虚空に吸い込まれて消えていく。

都城王土は階段も使わずに10メートルは優にあるであろう半壊した部分から地面に向かって飛び降りていたのだ。
あんにゃろう傷が治ったらしこたま鉄矢ぶちこんでやりますの!と腕まくりをしそうになってふと気が付いた。

「……あぁ。 そうでしたわね。 人の話など聞くような殿方ではないんでしたっけ」

どうせ都城王土に文句を言ってもそれは無視されるか茶化されるだけなんだろうと思って、けれどそれが言うほど嫌なわけではなく。
苦笑してしまう白井黒子の隣にはようやく顎の痛みから回復した上条当麻が立っていた。

こんな時間まで感謝

「アイタタタ… いや、っていうか俺らも降りましょうよ、ね?」

そう話しかけてきた上条当麻に向かってポツリと白井黒子が真顔になってこう問いかけた。

「貴方…怖いとか恐ろしいとか思わないんですの?」

唐突にそう言われキョトンとした顔をする上条当麻だが、それが真剣な質問であると判って顔を引き締めた。
あたりをキョロキョロと見回して誰にも聞かれないように注意をしながら上条当麻は白井黒子の耳元に口を近づける。

「まぁ怖いっちゃ怖いけど…ほら、それがアイツとの約束だしな」

約束?と白井が繰り返すと少年は小さな声で

「そう、約束だ。アイツとアイツの周りの世界を守るって約束したんだよ」

それは上条当麻の記憶。
ヒビわれた仮面の奥からこちらに問いかけるその声は、今でも上条当麻の胸に信念となって刻まれている。

【――守ってもらえますか?】

そう問われて。 上条当麻は頷いて。 約束したのだ。

【いつでもどこでもまるで都合のいいヒーローのように駆けつけて】

名も知らぬ己の生命を狙ってきた敵といえど。

【彼女を守ると――約束してくれますか?】

それは男と男の約束。

だから上条当麻は“アイツ”を全力で守る。 
守ってみせる。
“御坂美琴”がどこにいてもヒーローのように駆けつけて守りきるのだ。

そう言ってどこか恥ずかしそうに鼻の頭をポリポリと掻きながら上条当麻が白井黒子に恐る恐る問いかけた。

「あー… でさ。 俺は今、そいつとの約束をちゃんと守れてるか?」

その問は。

「えぇ。 ちゃんと守れてますわ。 …半分ほどは」

間髪いれない白井黒子の答えに半分だけ肯定されて、それを聞いた上条当麻は笑った。


「そっか。 それじゃあ残りの半分も守らないとな」


その屈託の無い笑顔を見て白井黒子は思う。

あぁ。確かにこの少年は、都城王土が言ったとおり。
お人好しで大バカ者でそして金髪の男とはまた違う道を歩く男なんだな、と。

上条さんは上条さんで
ベッタベタな王道を歩いてるよなw

保守党

――そして地上では。


空から降ってきたこの偉そうな男は誰よ?といった目をしている御坂美琴を完全に無視して都城王土が行橋未造に話しかけていた。

「さて、どうなったのだ行橋? 俺に事情を簡潔に話せ」

「うん☆ 任せてよ王土!」

そう聞かれ行橋未造が待ってましたと言わんばかりに返事をする。
行橋未造にとって都城王土は絶対である。
彼に仕え、補佐し、役に立つことこそが行橋未造の喜びなのだからただ話を聞かれるだけで嬉しいのだ。

「えへへ! えーっとね☆ あのゴーグルをしていた女の子とはもう話がついてるよ☆」

そう言って御坂妹と何らかのコンタクトを取ったことを伝える行橋未造。
勿論自己紹介などしている余裕はなく、王土が名前を知るわけもないが言われてみればこの場にあの青ざめた顔をした少女の姿はない。

けれど。

都城王土はそれを聞いてもフムとだけ頷いて続きを促す。

これ以上考えたりはしないし考える必要もない。
それは都城王土と行橋未造の絆の深さそのものだ。

都城王土にとって行橋未造が何を考えて誰とどんな話をしたかなんてことは関係がない。
だが都城王土は行橋未造の好きにさせる。

そう、行橋未造がすることならば。
それはきっと確実に都城王土の為を思ってのことなのだ。

行橋の特技 変身が見られると信じて!

そして。

もしもそれが都城王土が知っておかねばならぬことならば、行橋未造は黙っていても全てを伝えているはず。
だから都城王土はそれ以上深く聞くこともせず、ただその小さな頭を撫でた。

「ふむ。 さすがは俺の一番の側近だ。 喜べ。 この俺が褒めてやろう」

やわらかい髪をクシャクシャとかきまわすそのゴツゴツとした手。
小さな頭を撫で回す乱暴な感触にされるがままになりながらも行橋未造が嬉しそうな声を出す。

「えへへ… 今更当たり前じゃないか☆ ボクは王土の語り部でボクは王土の忠臣でボクは王土の臣下なんだからさ☆」

今、行橋未造が仮面の下で満面の笑みを浮かべているということなど都城王土は見なくても判る。

だからほんの少しだけ。

水中を数十時間潜水する巨大な鯨がほんの僅か空気を取り込むだけの僅かな間だけではあるが。

静かな褒賞の時間がその場を支配した。
誰も邪魔が出来ないその儀式のような時間。

そして…都城王土はゆっくりと行橋未造の頭から手を離して遠くを見る。
もう息継ぎの時間は終わりだ。
自分から離れていく都城王土を見て、思わずその背に飛びつきたくなる衝動にかられた行橋未造だが、そういう訳には行かない。

都城王土は絶対者で解析不可能な男なのだ。

だから、ここで彼の足を引っ張ってはいけない。
共に歩くことは自分には出来ないが、それでも彼の後ろについてその背を追うことは出来る。
行橋未造はそう思いながら都城王土を見送るのだ。

行橋マジ健気。可愛い。

保守

それが意味することそれはつまりこれより再び、都城王土と行橋未造は二手に別れて行動するということ。

「よし。 ならば行橋よ、判っているな? 俺は先に行く。 後の事は任せたぞ」

そう聞かれて行橋未造は己の役回りを思い出して、道化のような仮面をつけたままエヘヘ!と笑う。

「大丈夫に決まってるじゃないか☆ ボクにまかせてよ王土☆」

その言葉を聞いて満足そうに都城王土が笑い、そして次の瞬間、都城王土が大地を蹴った。
純粋な筋力のみで人はこうまで速く動けるのだという事実をその場の全員の目に焼き付けながら都城王土は瞬く間に姿を消したのだ。


都城王土からは逃げられない?

否。

都城王土が追うのではない。

ただ“都城王土が進む先にいる” ただそれだけのことなのだ。


大地を蹴り、重力を無視したように風を裂く都城王土が向かう先はあの赤毛の少女の絶望のように黒くポッカリと口を開けた学園都市の闇。
ならば。闇を照らすのは何なのかなど今更問うまでもないだろう
己は太陽と匹敵すると豪語する都城王土がその闇の中を眩く照らしていく。

…そして当然。
太陽があれば月がある。

金髪紅眼と白髪紅眼。
まるで太陽と月のように対照的な二人の男が再度邂逅を果たすということだ。

都城王土のその姿が消えるまでその場に立ってただ見送ることだけに務めていた行橋未造がようやく振り向いた。
そしてこちらを見つめていたままの御坂美琴に向かってトテトテと歩み寄る。

「はいこれ! ケータイ電話ありがとね☆」

そう言ってファンシーな携帯電話を御坂美琴に差し出す行橋未造。
だが、御坂美琴は都城王土と行橋未造の掛け合いがまるでラブシーンのように見えてしまいポーッと頬を染めていた。

「……え!? あ、あぁ別にいいわよ? でも君、携帯電話持ってないの?」

ようやく我に帰り、そう言いながら屈んで行橋未造の頭を撫でようとした御坂美琴だったが。
その手が頭に触れるよりも早く、行橋未造の身体がクルンと宙に浮いてから放った回転蹴りがポコンと御坂美琴の胴体にヒットする。

「お、おぅふ!?」

行橋未造にとっては手加減も手加減、軽ーい一撃ではあったのだが。
それでも御坂美琴は脇腹を抑えてヨヨヨと崩れそうになる。

「……ち、ちょっとアンタ! いきなり蹴っちゃダメでしょ!」

思わずそう子供をたしなめる口調で行橋未造を怒った御坂美琴だが。

「コラー☆ タメ口はダメじゃないか! ボクはこう見えて高校三年生なんだからね! 長幼の序はちゃんと守りましょー☆」

えっへんと胸をはる行橋未造のそのセリフを聞いてぽかんと口を開ける。
なーんかこの台詞聞き覚えあるわー、と思いながらも御坂美琴は仕方なく渋々と言い直した。

「…い、いきなり蹴るのはお止しになってください?」

オッケー☆と言って頷く小さな子供を見て、御坂美琴は疲れたような溜息を吐くしかなかった。

寝るおっすおっす
もちろん保守いらず

続きが楽しみすぎて寝られないじゃねぇか!!!!!

寝れぬ

一応ほしゅ

王土さんマジ異常

保守

上条さんとやらの約束ってどんな流れででてきたやつなのか原作知らん俺に教えてエロい人

保守

保守

他人に能力を付与する真骨頂
「王の施し」を覚えた王土さんが
上条さんに 異常な回復力の一部を与えるんですね

>>661
そんなことマジでめだかでやりそうだから困…らないな。面白いな。

作者殿は仕事か?無職の俺は更新を待ち遠しく思う

行橋ってラブホとかいったらどうなるのかな

自宅警備員保守頼んだぞお願いします

今週のめだかの位置に不安

めだかに出てくる女の乳は固そうでいかん。ぜんぜん欲情しない。

本当にな。風船じゃん風船。

王土さんマジかっけえ

保守

さて、めだかの単行本でも買ってくるか…

>>657
御坂にベタ惚れのある優男は、
同時に上条暗殺を指示された魔術師でもあった

上条は辛くも魔術師を撃退し、彼は表舞台から姿を消すが
その時彼らは『ある約束』を交わしていた

>>672 わかりやすく要点を抑えたいいまとめだ

西尾アレルギーでめだか嫌いな俺にはジレンマのスレだぜクソッ!

王土さんデビルかっけぇ

嘔吐さんルシフェルかっけぇ

都城魔王かっけぇ

王土さん魔神かっけぇ

王土さん悪魔かっけぇ

>>657
原作どころかアニメも漫画も見てない読んでないのにこのスレにいることが驚きだ

>>680
めだかの方に惹かれて来たんじゃね

先読みになったら申し訳ないんだけど

残骸事件での結標の動機と
箱庭学園での都城の動機ってかなり被るよね

保守

都城先輩マキシマムカッコイイ!!


>>683
IDがPASS

保守

>>672
ほーども
>>680
ちょっと気になったからきいて見たけど基本ここのスレには王土△しか書き込んでないぜ

>>650
■学園都市・大通り

夜も更けたとはいえ、まだ深夜という訳でもない。
だというのに少女が歩く道にはおかしなことに誰もいなかった。
人も獣も、それこそ警備ロボや清掃ロボも。
点々と道路の脇に佇む街灯が放つ冷たい光だけがアスファルトを照らしている。

それはまるでこれから赤毛の少女に襲いかかる寒々しくて救いのない未来を示唆しているようだ。

「……う…ぐっ」

嘔吐が喉に込み上げて、我慢できず道端に胃の内容物をぶちまけようとするがそれすら叶わない。
吐けば少しはスッキリするかもしれないのに、何も入っていない胃から搾り出された胃酸はただ喉を焼くだけだった。

ツ…と唇から銀露のように一筋の液体が流れ落ちるが、それにすら気付くことが出来ず。
結標淡希は幽鬼のような表情でただ歩くだけの逃走を再開した。
ゼッゼッと瀕死の重症をおったように息を短く吐きながら結標淡希は彷徨う。

重症だ。
身体ではない。
心が魂が割れて砕けて粉砕されたのだ。

(……なに、を… これから…わたしは…なにをすれば…)

ガンガンと割れ鐘のように響く頭痛は過去最大級をそのたび更新している。
きっとそのうち頭蓋骨が耐え切れずに内部から破裂してしまうんじゃないかと結標淡希は思った。

足がもつれ、何も無い道の上で無様に転び、裸の上半身にひっかけただけのブレザーがずるりと肩から垂れさがる。
蛍光灯がそのきめこまやかな白い肌を、美しい胸を照らすが、それすら結標淡希はどうでもよかった。

結標淡希は完璧に徹底的に完膚無きまでに壊されたのだ。

結標淡希の使命をあの風紀委員に完全に壊された。
結標淡希の本質をあの金髪の男に完璧に言い当てられた。

そして結標淡希の有様は都城王土という男に完膚無きまでに粉砕されたのだ。

結標淡希は自分が只の傀儡で只の演者で只の子供であったことを自覚してしまった。

だがそれでも結標淡希は歩みを止めない。

結標淡希の心には微かな拠り所がまだあるのだ。
それはまるで今にも潰えそうで消えかけそうな蝋燭の炎のように頼りないものであったが。

“仲間”

そう、結標淡希には”
結標淡希には共に行動をして“超電磁砲”に立ち向かった“仲間”がいる。
そして間違い無く彼等は捕縛されているだろう。

ならば“仲間”を救わなければ。
ただそれだけを胸にして結標淡希は棒切れのように感触のない足を交互に動かしていた。

(…そうだ…連絡…連絡をしなきゃ…)

もはや[残骸]があっても能力が無くなる訳は無いと結標淡希は理解している。

けれど、この[残骸]を[組織]が手にすれば。
きっとこれを切り札として学園都市と交渉できる。

そして、うまく話を進めることが出来たのならば、きっと捕らえられている“仲間”を解放することが出来る。

聞いているだけで都合のいい夢物語だと笑いたくなるその儚い希望だけが今の結標淡希の行動原理だ。
結標淡希は震える手でブレザーのポケットから小さな無線機を取り出して短縮ナンバーを押した。

もうこれ以上は何も望まない。
せめて…せめて“仲間”だけは救わせてほしい。
泣きつかれた顔で結標淡希は心の底からそう願いながら最後の希望を託す。

「…こちら…[A001]より[M000]へ。 …[A001]より[M000]へ」

返事はない。
結標淡希の願いは無機質なノイズ音が冷酷に撥ね付ける。

「こちら[A001]より[M000]へ。 ・・・ッ! ねぇ! 聞こえてるんでしょ! 何とか言ってよっ!!」

残酷な現実への感情をそのまま無線機に向かって叩きつける結標淡希。
握りしめた無線機がミシミシと音を立てて。

そして、ようやく無線機が応答を返してきた。

『[A001] 貴様何処にいる!? キャリーバッグは何処にある!? [残骸]は無事なんだろうな!!』

随分と苛立ちが混じっているがそれは幾度も耳にした[M000]の声である。
届いた、と結標淡希は泣きそうな顔でもって[組織]に、[科学結社]にすがりつく。

「[A001]より[M000]。 [残骸]は手元にある。 それよりも“同士”が、“仲間”が捕らえられた。
 こちらの“能力”は使用不可能。 これより回収を それと同時に“仲間”の解放を前提とした学園都市への交渉を願いたい」

そう、結標淡希の手元には彼女の能力の導となる軍用懐中電灯が無い。
あの金色の男と相対して錯乱して逃走するときに放り投げてしまったのだ。

結標淡希は今“チカラ”を使うことが出来ない。
“普通”の少女となった結標淡希が頼れるものは、頼りない己と頼りない[組織]だけだ。

けれど。
そんな結標淡希の願いは土足で踏み躙られた。

『黙れ! ちくしょう! 何のために貴様等“バケモノ”を使ってやったのか判ってるのか!?』

彼女の砕けきった魂に。
唾を吐いて糞便をなすりこむように[M000]は罵倒する。

枯れ果てたはずなのに、泣きつくしたはずなのに。
再び結標淡希の瞳に涙が浮かぶ。

「…なん…で…? なんで…そんなこと言うの? …やめて ……やめてよぉ」

涙ながらでそう訴えることしかできない結標淡希。
声の主、[M000]が言い放った砂糖のように甘くて親よりも優しい言葉だった。

さる防止

【そう! 君達は誰かを傷つけることに怯えなくてもいい!】

【君と!私と!君達は! 共に等しく“仲間”なのだ!】

これが“仲間”への仕打ちなのだろうか?

傷つき、羽をもがれ、びっこをひいて歩くことしか出来ない結標淡希。
けれどそんな能力者は[組織]にとって[科学結社]にとって[M000]にとって無用の長物以外の何者でもなかったのだ。

無線機の向こうからは情報が錯綜しているのだろう。
何事かを問われて、それに怒鳴るように返事をする[M000]の声が漏れ聞こてきた。

『あ!? 先発部隊? 馬鹿か貴様! そんなものは放っておけ! 今は[残骸]の回収が最優先だ!!』

そして同時にブレーキ音のような悲鳴が無線機のスピーカーにハウリングを起こした。

『クソックソッ! ちくしょう!! 警備員《アンチスキル》の動きが早すぎだ! …まさか [A001]! 貴様裏切ったのか!?』

そんな事を言われても結標淡希は知らない。
知るわけがない。
だから、結標淡希は訴える。
届いてくれと訴える。

「知らない… 知らないわよそんな事… ねぇ…お願い。 お願いだから“私”を…“私達”を助けてよ…」

返ってきたのは…・・・[M000]の罵声だった。

来てくれ、王土さん…!

『うるさい黙れっ! あぁそうだ! 先発部隊なぞ無視しろ! ちっいいか[A001]! 今から向かってやるからそこを動くなよ!
 [残骸]だけは死んでも守れ! お前ら“バケモノ”の代わりはいくらでもいるが[残骸]の代わりはないんだからな!!』

そう[M000]は罵声を浴びせ指示を押し付けて。
そしてブチンと無線機が音を立て、通話が終了したことを結標淡希に突きつける。

諸とも切り捨てられた。
自分も。 “仲間”も。 儚い“望み”も。
全ては結標淡希が今引きずっている[残骸]に劣るものであると判断された。

最後の希望が砕かれて、それを支えにしていた足がもう限界だとでもいうように立ち続けることを放棄する。
ペタンと座り込んで、結標淡希はうつろな笑い声をあげた。

「・・・は・・・あは・・・…あはは…」

また言われた。

“バケモノ”

それが嫌で、”それを無くしてくれると言っていた[組織]すら彼女を認めはしなかった。
結標淡希からすればよっぽど組織のほうが“バケモノ”だ。
命を手駒として扱い、失敗をすれば切り捨てられた。

ボロボロと涙を流しながら結標淡希は自分の肩に両腕を巻きつける。
そうでもしなければ自分が消えてしまいそうで。
絶望で死んでしまいそうで。

「いやだ… いやだよぉ… なんで…なんでこうなったのよぉ……」

だから、結標淡希は涙でぐしゃぐしゃになってただその場に蹲り泣くことしかできなかった。

と、次の瞬間!!

『残念。僕でした☆』

■学園都市・総合ビル前

そこには和やかな雰囲気の少年少女達がいた。
上条当麻、御坂美琴、白井黒子、行橋未造の4人は一つ所に集まって今後どうするかという相談をしていたのだ。

「あ、そういや… 都城先輩は何処行ったんだ?」

愛しのお姉様の胸元に飛び込んでスリスリ頬ずっている白井黒子に若干ヒきながらそう上条当麻が行橋未造に問いかける。

「王土? 王土なら話の続きをしにいったんだよ☆」

そう言ってエヘヘと笑う行橋未造。

確かに都城王土は言った。


【なんともまぁせっかちな娘だ。 この俺がまだ話している途中だと言うのにな】


そう、都城王土が話すと決めて話をしたのならば、それを終わらせるのは都城王土でなければならない。
第三者の都合でそれを中断などということは決して許されない。

行橋未造の言う「話の続き」がなんであるか察した白井黒子はガバと振り向いた。

「待ってくださいですの! 私も向かいますの!」

白井黒子は、あの赤毛の少女の気持ちが判る。
それは能力を持つものならば誰しもがその胸に秘めている想いなのだ。
だから白井黒子は赤毛の少女を止めたい。

 \                    /

   \  丶       i.   |      /     ./       /
    \  ヽ     i.   .|     /    /      /
      \  ヽ    i  |     /   /     /
   \

                                  -‐
  ー
 __          『残念ボクでした』            --
     二          / ̄\           = 二
   ̄            | ^o^ |                 ̄
    -‐           \_/                ‐-

    /

            /               ヽ      \
    /                    丶     \
   /   /    /      |   i,      丶     \
 /    /    /       |    i,      丶     \ 

やめろwwwwwwwwww

白黒娘

あの赤毛の少女の慟哭のような願いを白井黒子は肯定出来ないけれど、それでも理解は出来る。

彼女は。
結標淡希という名の少女は。

ほんの少し、ほんのちょっとだけ道を歩み間違えただけなのだ。
人は人と繋がって自分を認識する。

白井黒子は御坂美琴と出会わなければ。
御坂美琴は上条当麻と出会わなければ。

それこそ御坂美琴や白井黒子が能力を呪い“チカラ”を呪っていてもおかしくはない。

今にも走り出しそうな白井黒子だったが、その肩を優しくショートカットの少女が押し留める。

「事情は聞いたから大体わかるけどさ。 …アンタもうボロボロじゃない」

御坂美琴はそう言いながら白井黒子の身体を案ずる。
放っておけばこの後輩はどんな傷を負ったとしても信念を貫こうとするだろう。

「心配ご無用ですのお姉様! 黒子はもう大丈夫ですの! 演算も今ならば恐らく出来るでしょうし…何より放ってはおけませんの!」

この細い身体のどこにそんな意志が眠っているのだろうと御坂美琴は思う。
実は白井黒子のその信念は“お姉様”がいるからこそなのだが、それに気付かない御坂美琴は苦笑いをするしかない。

しょうがない、そんなら私も付き合うか、と御坂美琴が思った時だった。

「んー… でもね☆ それちょっと無理かも☆」

白い仮面をつけた行橋未造が笑った。

レズなん?ガチレズなん?貝合わせとかやってるん?

「えっと… そりゃまたいったいぜんたいどゆことですか?」

唐突にそんな事を言った行橋未造に上条当麻が不思議そうな声をかける。
そんな上条当麻に向かって行橋未造はひいふうみいよと指を折って。

「えへへ☆ あと30秒もすれば判るんだけどまぁいいか。
 防弾仕様のバンが5台。 内部には銃火器で武装した人間が平均5人ってところかな?」

それは警備員《アンチスキル》ではない。
彼等は装甲車を使っているのだ。
それが意味することを何となく理解しながら上条当麻が問う。

「…それって …つまり」

そんな上条当麻に向かって行橋未造がエヘヘと笑って答えた。

「うん☆ 白井さんが言ってた[組織]ってゆーのじゃない? ボクはよく分からないけどさ、多分それだよ☆」

何故こんなことを知っているのか。
それは行橋未造の“異常”、『狭き門《ラビットラビリンス》』に起因する。

行橋未造は“人の心を読む”ことが出来る。
厳密に言えば“思考を読む”といったほうが正しいだろう。

人間の体内外から漏れ出る電磁波をその皮膚で“受信”するのだ。
そしてそれはその実、人間相手に使うよりも適した相手がいる。

機械だ。
ノイズが混じりやすい人間の思考よりも電磁波の塊である精密機械を相手取る時のほうが行橋未造はその“異常”を発揮できる。
いうなればそれこそが行橋未造の真骨頂である。

別行動中だから行橋は仮面付けてるのか
説明無しにアレ付けたらみんな引いちゃうぜ

変なの背負ってるし最初からあれなひとってのはわかってるだろうね

幻想殺しVS大嘘憑き

プラスとかマイナスとか自然現象の一部であって異能ではないらしいので幻想殺しさんの中の人はスルーします
終了

そう。
行橋未造は電磁波の塊で精密機械である“携帯電話”を御坂美琴に借りていた。

ならば出来る。
学園都市に通じている端末からありとあらゆる情報をその目にすることが出来る。

御坂美琴が電子の世界に“侵入”をすることができるのならば。
行橋未造は電子の世界で“閲覧”をすることができるのだ。

行橋未造と同じことを“超電磁砲”である御坂美琴が出来るのか?
否、それは不可能である。

以前、御坂美琴に向かってそのようなことを聞いた子供がいた。
電話のように遠方にいる相手と“意思の疎通”が出来るのか?という疑問に御坂美琴は笑って無理だと答えた。
脳波の波形が近似しているならばともかくとして。
“意思の疎通”どころか相手の居場所すら判るわけがないと。

だが、例外は存在する。
それは都城王土の“異常”である『創帝《クリエイト》』にも同じことが言える。

『異常《アブノーマル》』は大抵の場合たった一点のみに絞られて特化していると言われている。

都城王土も行橋未造も“超電磁砲”のような大出力の電力を体外に放射したり、バリアーのように電磁波を貼れるわけではない。

けれど…学園都市風に言うならばだ。

御坂美琴は“汎用型”で応用のきく『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶならば。
都城王土と行橋未造は“超特化型”の限定的な『電撃使い《エレクトロマスター》』と呼ぶべきが相応しい。

もっとも…都城王土ともう一人の“生徒会長”に限ってはそれすら例外ではあるのだが。

>>708 完成はいつ頃を予定してる?

行橋かわいい

\(^o^)/

もう次スレ建ててるアホがいる

なかなかいい解釈

特化型ってロマンだよな

復活か

行橋未造の宣言通り。
きっかり30秒後だった。

けたたましいブレーキ音が鳴り響き黒いバンが何台も止まったかと思うと、次々に黒いスーツを着た男達が車から降りてくる。
その手には引鉄を絞るだけで相手を殺すことが出来る拳銃が握られている。

しかし、その黒いスーツの男達は顔を見合わせたまま。
…情報と違う。
ここには[A001]が“バケモノ”が[残骸]を持って待機しているはずなのだ。

けれど目の前にいるのは見たこともない少年少女達。
黒いスーツの男達は知らない。
自分達までもが切り捨てられたことを。

だから銃を振りかざして、銃口を突きつけて子供達に詰問する。


「おいガキ共! 答えろ! これはいったいどういうことだ! [残骸]はどこだ!
 [A001]はどこにいった! 貴様等はあの“バケモノ”がいう仲間なのか!」


その言葉が決定的だった。

黒いスーツを身につけ、武装した[科学結社]の男達は気づいていない。
その言葉が持つ意味を。
その無遠慮な物言いが4人の少年少女達の純粋な魂を侮辱しているということを。

王土さんくるの多分日が変わる頃だな 寝よ

侮辱しちゃだめー
山口由貴の漫画なら、鼻か耳が飛んでいるな

既に白井黒子から話を聞いて理解している。
今、目の前にいるこの黒いスーツを着た男達。
こいつらが哀れな少女の心を弄び、操っていたのだということをだ。

ならば、代弁しなければならない。
赤毛の少女の…いや“チカラ”を呪う全ての能力者の苦痛を利用した“大人達”に、抗わなければならない。
銃口の奥、ポッカリと闇のように広がっているその悪意に向かって、“子供達”は立ち向かう。

ショートカットの少女がバチン!と凄まじい音をたてて雷をその身に纏った。

「……へぇ~ つまりさぁ… こいつらが元凶ってわけよね?」

荒れ狂う雷のような怒りを抑えきれずに『超電磁砲《レールガン》』が声を震わて。
そしてその隣にシュン!と音を立ててツインテールの少女が並び立って。

「お姉さま…待って下さいまし。 あの娘を言い様に操っていた“クズヤロウ”達がお相手ならば… ワタクシも少々怒りが抑えられないんですの」

『空間移動《テレポート》』が太もものガーターベルトから鉄矢を取り出しながら、赤毛の少女の無念の涙を思い出し歯噛みして。
その隣にボキリ!と拳を鳴らしながらツンツン頭の少年が並び立って。

「世界の半分…にしちゃあちょっとばかし数が少ないけどさ。 それでも約束は守らないとな」

約束を守るためならば、誰が相手だろうと退きはしない『幻想殺し《イマジンブレイカー》』の隣には。
バサリ!とマフラーを舞わせるようにして仮面をつけた子供が並び立って。

「えへへっ! ボクはバトル向きじゃあないんだけどなぁ☆」

『狭き門《ラビットラビリンス》』は道化のようにおどけながら、己の絶対者の足を引っ張らないよう自らの役割を遂行するのだ。

そして。 4人の“子供達”は、20人を超える鉄の凶器をもった“大人達”に向かって“革命”を開始した。

スーパーウルトラグレートデリシャスワンダフルボンバー!!

通常戦力じゃ超電磁砲には太刀打ちできないだろうなw
ノーマルはまだなのか!? ノーマルは!

■学園都市・大通り

蹲って泣きべそをかきながら。
結標淡希はいっそ死んでしまいたいと思った。
傍らには[残骸]があるけども。けれどそれは何の役にも立ちはしない。


カツン、カツンと不規則な音が響く。
暗い夜道の向こうから“ダレカ”がやってくる。


ぼんやりと濁った目をあげて、“ダレカ”を見て。

「あは…あはは… そう…アンタなのね」

結標淡希は乾いた笑い声をあげた。
どれだけ“仲間”を救いたくても叶わなかったのに。
死にたいと思った途端、まるでその言葉を待っていたように。


恐ろしい死神がやってきたのだ。


その人影は狂ったように、歪んだように、澱んだように、狂った月のように純白の光を放っていた。
暗がりに浮かび上がるようにして佇むのは学園都市最強の能力者。
そこにいるのは闇に浮かぶ月のように白く、白く、白い一方通行《アクセラレータ》だった。

ダルそうな声をあげながら一方通行は憮然とした声をあげる。

「あァー …かったりィ あのガキ共の一大事って聞いて二日続けて出歩いてみりゃあ、これかよ」

白髪紅眼のその男は退屈そうに頭をガリガリとかく。

「ただでさえこちとら脳味噌シェイク状態でよォ… そのうえ昨日こしらえた傷やら筋肉痛やらで歩くのもだりィってのによォ…」

そこまで言うと一方通行は再び歩みを開始する。
カツンカツンと杖の先でアスファルトを叩きながら、赤毛の少女の元へと歩く。

一方通行《アクセラレータ》は結標淡希など知らない。
だから奪って壊してそれで終わりだ。

そして結標淡希には、もはや抵抗しようとする気力すら残っていなかった。
痛いのはいやだなぁ、とぼんやりと願うだけで。
結標淡希は死神の鎌が振り下ろされるのをただ待っているだけだった。

一方通行のゆっくりとした歩みが止まる。
足元で蹲ったまま動こうともしない結標淡希を見て。
カッ!と一方通行が喉の奥で笑った。


「何だァ!? この馬鹿みたいな三下はよォ? “昨日の愉快な馬鹿”に比べりゃあ笑いが止まらなくなるくらいちっぽけな三下が相手かよ!?」


それだけ言って、一方通行がさっさと終わらようとしたその時だった。

放課後電磁波クラブ「まてまてまてーい!!」

.

「ほぅ… その“昨日の愉快な馬鹿”とやらは誰のことだ? 事と次第によっては聞き捨てならんぞ“一方通行《アクセラレータ》”?」


愉快な冗談を聞いたとばかりに笑いながらそう問いかける声。


その声を聞いて結標淡希は蹲ったままビクリとその身体を震わせる。
忘れるものか。
この声の主はありとあらゆる全てを肯定して、そして否定する計り知れない男の声だ。

そしてそれを聞いた一方通行は面倒くさそうに面白そうに振り返ってこう言った。

「……よォ 一日振りだなァ? お・う・どくゥン?」

わざと区切るようにして名前を呼んだ一方通行の言葉にフンと笑いながら・・・声の主はゆっくりとその姿をあらわした。


恐ろしい覇者がそこにいた。


その人影は王者のように、覇者のように、絶対者のように、燃え盛る太陽のように黄金色の光を放っていた。
暗がりを照らすように佇むのは箱庭学園至高の異常者。
そこにいるのは闇をはねつける太陽のように眩く、眩く、眩い都城王土だった。

『こういう展開はドキドキするね。TPOに基づいて言うならwktkかな?』

紅い双眸が闇を裂いてぶつかる中心で、結標淡希は思った。


もういい。
もういいのだ。
もう何もかもがどうでもいい。
もうどちらでも構わないから早く終わらせてくれ、と。

太陽のような都城王土と月のような一方通行に挟まれて、皮肉めいた自嘲の笑みを浮かべる結標淡希。


その時だった。


太陽の化身のような都城王土と月の化身のような一方通行に向かっていくつもの人造の光が降り注ぐ。
それは車のヘッドライト。

見覚えのある車を見て、結標淡希はその車に乗っている人間が誰なのかすぐに判った。
[残骸]をその手にすることを一心不乱に追い求める集団。

それの名称は[組織]と呼ばれ[科学結社]と呼ばれている。

車のドアから転がるようにして黒いスーツの男達がわらわらと降りてくる。

そして最後部の車から[M000]が降り立った。

『いやぁ続きが気になって仕方ないよ』
『明日がレポートの締め切りだっていうのに』
『これじゃあ全く手がつかないね』
『だからレポートが白紙でも』
『僕は悪くない』

『だって、僕は悪くないんだから。』

総合ビルへ向かった先行部隊からの連絡は不思議なことに途切れてしまったが、そんなこと[M000]は気にしない。
今、目の前にあるのは念願の[残骸]なのだ。


「おお! それはまさしく[残骸《レムナント》]! いやぁご苦労だった[A001]! よくやってくれた!」


そう笑いながら[M000]がねぎらいの言葉を掛ける。
先程、罵倒したことなどもはや微塵も覚えていない。

彼にとって[A001]の価値は。
ただ[残骸]を運び、守れるかどうかなのだ。
そして[A001]が頼れるのは[組織]だけで、そして“バケモノ”をおだてて運用することができるのは自分だけ。
だから[M000]は[A001]を歓迎する。

笑いながら[A001]を歓迎する。

「さぁどうした[A001]! すぐに警備員《アンチスキル》がやってくるぞ! はやくこっちに[残骸]を持ってこい!」

しかし。
結標淡希は動かない。
動きたくない。

だってもう裏切られたのだ。
だから。

結標淡希は自分たち能力者を“仲間”と呼んだこの男に向かって震える声で問を発した。

.
「………ねぇ。 …その前に答えてよ。 …[A001]じゃなくて。 …コードネームじゃなくてさ」

[M000]の顔に張り付いた仮面のような笑いを見て、結標淡希は確認する。
それは何処の誰だろうと必要なもので、それこそ原点とも言えるそれを。


「……“私の名前”を… ……貴方は覚えてくれているの?」


名前。
それはとてもとても大切なモノだ。
それが無ければ呼べない。繋がれない。触れ合えない。
人が文字を造った理由。

それが名前だ。
名前があって、名前を呼んで、名前を覚えるからこそ人なのだ。
それがなければ獣と同じ。
“バケモノ”という名称も[A001]というコードネームも結標淡希の求めているものではない。

けれども。
そんな悲痛な結標淡希の問はいとも容易く残酷に無視された。

「…はぁ? 何を言ってる[A001]? いいからさっさと[残骸]をもってこっちにこい!」

[M000]は突然おかしなことを言い出した子飼いの“バケモノ”に苛立った声を叩きつける。
そしてようやく疑問が湧いてきた。

何故[A001]の両隣に立っているガキ共は逃げ出さない?
20人近い黒いスーツの大人の集団に立ち向かって、何故それで笑っていることができるのだ?

まじかっこええ

あーーーぁ、あわきんは怒らせると怖いぞー。

[M000]は理解が出来ない。
[組織]にとって当面の敵は警備員《アンチスキル》だけであって、それ以外は勘定に入れていない。

能力者は確かに厄介だが、所詮ガキの集まりだ。
そしてそれに対抗するためにわざわざこちらも“バケモノ”を使っている。

警備員《アンチスキル》の突入が想像以上に早かったため、後手になりはしたものの未だ[M000]の優位は消えていない。
[残骸]は10メートル程向こうに転がっているのだ。
[組織]が一枚上手だったは一目瞭然で、あとはそれを持って逃げ出すだけ。

そこまで考えて…もしかして、と[M000]は推測する。
そうだ、考えて見ればおかしな話だ。
10人近くの“バケモノ”共が一斉に捕まったなどと[A001]は言っていたが常識的に考えて、そんなことはありえない。

だからきっとこれは狂言なのだ。
[A001]は土壇場になって[残骸]の価値に気付いたのだろう
わざとモタモタ振舞って、値を釣り上げようとする浅ましい魂胆をその胸に抱えているのだ、と。

そう考えてみれば両隣のガキ共の態度にも納得は行く。
きっとあのガキ共は“怖がらない自分”を演じているのだろう。
百戦錬磨の大人を相手にそのような取引を持ちかけようとは何と愚かか。

まったく大人を馬鹿にしやがって、と内心で罵りながらも[M000]は最高の笑顔でもって[A001]に話しかけた。

「い、いやなに… 勿論覚えているさ! だが今はそんなことはどうでもいいだろう? さぁ逃げるぞ[A001]!
 約束しよう! 君の“チカラ”は私が取り除いてやろう! “仲間”だってすぐに解放してやるさ!」

これが舞台ならば万雷の拍手が鳴り響いてもおかしくない演技だったと[M000]は自画自賛するが。
そんな“大人”を嘲笑うかのようなくぐもった笑い声がその場に響いたのだ。

大人と子供の対比って禁書でよくある話なの?

このボス終わったなwww

 試験管計画中枢の異常
 学園都市最強の超能力者
 およそレベル4以上の汎用性をもつ転移能力者

なんという無理ゲー。

『お仕置きターイムってやつかな』

なんで禁書世界のボスって基本的に体面だけでもお前の事道具扱いしてますみたいな表隠そうとしないんだろう

>>737
あれだけ強い部下なら普通に裏切れそうな気もするし、何で従っているのかさえ不思議なもんだがな
禁書の粗探したらキリがない

>>737
例外は外伝作のテレスティーナくらいか

そうだっけ?
そもそもこの手の組織のボス的キャラ自体が少ない気もするがな

「クッ…クハッ… クハハハハハハッッッ!! おい見たか聞いたか一方通行《アクセラレータ》!」

呵々大笑と笑う都城王土が一方通行に同意を求め。

「カカッ…カッ…ギャハハハハハハハッッッ!! あったりめェだろォ! つかこれ以上笑わせンじゃねェよ!」

そして一方通行は都城王土の問に同意をしながら嘲り笑っていた。

その傍若無人な笑い声を聞いて、[M000]はブルブルと屈辱の怒りに身を震わせる。
例えるならそれは自信満々で提出したレポートが0点であると冷たく突き返されたようで。
[M000]は怒声をあげて“クソガキ共”を威嚇した。

「…だっ…黙れ! 黙れ黙れ黙れ!! 貴様等なぞには言ってない! 俺は[A001]に言っているんだ!!!」

それを聞いた金髪紅眼と白髪紅眼の男は、キョトンとした顔をして、お互いの顔を見合わせて。
さらに爆笑した。

その羞恥はこれまでの[M000]の人生の中でも最大で。
思わず、[残骸]を手にするよりも早くこのガキ共を皆殺しにしてやるか?と胸の内で罵りながら[M000]はその嘲弄に懸命に耐えていた。

そして、ようやく笑いが収まった都城王土がふと、足元に目をやった。
そこに蹲っているのは都城王土にとって案内人であり赤毛の少女であり哀れな少女である。

「ククッ… どら、おまえも見てみろよ。 何とも醜く笑える道化だぞ? あれがおまえの信じてた末路だ」

そう言って哂う都城王土に向かって蹲ったままポツリと結標淡希はこう呟いた。

「……違う。 ……私は。 “バケモノ”でも[A001]でも“おまえ”でもない」

それを聞いた都城王土は笑いに歪んでいた顔を引き締めて問いかけたのだ。

敵が小物っぽいな

そろそろ暴れん坊将軍のBGMが流れる頃か

だがそれがいい

な なんだ このおんがくは!

この二人(爆笑コンビ)もう親友だな!

二人とも友達できなさそうな性格してるから…。
お父さん安心しちゃったよ。

もう生徒会選挙戦の蝶ヶ崎との戦いは王土様が助けに来てくださればいいよ

.

「ふむ。 ならば俺に名乗ってみろよ娘。 おまえは俺が名乗り返すに値する程の者なのか?」


朗々とした声で結標淡希の有り様を問う都城王土。
問われて結標淡希はゆっくりと答える。

例え今まで信じていたものの99%が、仮初でまやかしで嘘っぱちだったとしても。
けれども残りの1%は違う。

結標淡希は“バケモノ”ではないということ。
そして“仲間”と共にただ己の道を守ろうとしたということ。
それは結標淡希の願いであり、それは誰にも否定はできないのだということを。

結標淡希は能力者であるまえに案内人であるまえに[組織]の一員であるまえに。
ちょっと変わった名前だけれども、けれどもそこらにいる只の“女の子”となんら変わりはないのだということを。


「……淡希。 …私の名前は結標淡希。 …それが私だけの名前よ」


否定されたらどうしようと思うと何故か唇が震えて、最後の言葉は尻すぼみになってしまったが。
けれど結標淡希の名乗りを聞いた都城王土は腕組みをして満足そうに頷いたのだ。

「ふむ。 覚えておいてやる結標淡希よ。 そして忘れるな。 俺の名は都城王土。 これこそが俺の名だ」

あぁ…それは本当に久しぶりだった。
結標淡希はようやく呼ばれた。
“仲間”以外の人間に己の名前を呼んでもらえたのだ。

ライトノベルってこんな感じで進行していくの?

それを見て、[M000]は今度こそ激昂した。
飼い慣らしていたはずの“バケモノ”の癖に。
あの金髪の男に向ける視線はなんなのだ!?

あれは自分だけのものの筈。
[M000]は許さない。
[A001]を“バケモノ”を扱えるのは自分だけなのだ。

だから[M000]は片手をあげて、背後に控えた男達に射撃の準備を伝える。
もしものことを考えて手荒な真似はしたくなかったが、それももうしょうがない。
どうせ[残骸]は[キャリーケース]の中だし、あれは近代科学を体現した強固な防壁でもあるのだ。

そして、無数の銃口を向けられて。
都城王土は哂った。

「おい、結標淡希。 俺が問うぞ? これがおまえの望む世界なのか?」

俺にはそうは見えんがな、と言って笑う都城王土に向かって首を振る。

「…違うわ。 …こんなんじゃない。 こんな馬鹿げた世界を私は、“私達”は守りたかったんじゃない」

震える足でゆっくりと立ち上がった結標淡希はそう言って否定をする。
今にも倒れそうだが、都城王土は支えたりなどしない。

「まぁそうだろうな。 なに、そう気にすることもない。 俺とて間違えることもあったのだ」

結標淡希には見当もつかないことを言って、都城王土は[組織]に向かって相対する。

獅子のような若い男が発する気迫に呑まれて男達は気がつけば後退っていた。
都城王土はそれを見て苦笑しながらも、紅い双眸でもってゆっくりとその場を見渡して。


「さて… …確か貴様等は“正常”な“人間”らしいな?」


そう言って都城王土はニヤリと口を歪める。


「まぁそれならそれでも構わんぞ? なに、貴様等が“正常”を“人間”を謳うというのならばだ」


都城王土は哂いながら歓迎するように両の手を広げる。
銃口を向けられて、それでも哂い、それでも足を踏み出していく。


「そして。 貴様等が“異常”を“バケモノ”を排除するつもりならばだ」


カツン、と杖の音を立てながらニヤニヤと哂う白髪紅眼の男が、金髪紅眼の男の隣に並び立つ。


「よい舞台ではないか? そら お望みどおり“異常”が“バケモノ”が敵になってやろうではないか。
 さぁ死に物狂いで抗ってみせろよ“正常者”!」


そう言って宣言する都城王土の後を追うように赤毛の少女が足を踏み出して。

結標淡希もまた己の意志でもってそこに立っていた。

王土とか俺の好きなめだかキャラNo.2じゃないか!
No.1は行橋ちゃんくん

何だこの大魔王

>>752 さんをつけろよデコ助野郎

王土さんの株が急上昇

王土の声がなぜか関智一で変換される

>>752
さんをつけろよデコスケ野郎!

>>756
その王様はそっくりだけど別人なんよ

■学園都市・総合ビル前

爆音などという生易しい言葉ではない。
大地が振るえ大気が悲鳴をあげていた。

命からがら防弾装甲を施した車の陰に黒いスーツの男達が隠れるけども。

「ハッ! そんなうっすい盾が! 通用するとでも思ってんの!?」

その怒声と同時に凄まじい轟音が響き、まるで紙細工のように黒いバンが宙を舞った。
その破壊力を生み出せるのは学園都市に一つしかない。
『超電磁砲《レールガン》』と呼ばれる学園都市が誇る超能力者、御坂美琴が放つ“超電磁砲”だった。

蜘蛛の子を散らすようにして、逃げ出した男達の何人かがそれでも拳銃を向ける。
それは恐怖の源を消そうという後ろ向きな殺意であるが、けれどそれは叶わない。

「あら、御免遊ばせ? 悪いですけど引鉄を引かないほうがいいですのよ?」

言われて見れば拳銃の銃身には何時の間にか鉄矢が貫通していた。 引鉄をひけば暴発しそれこそ指が吹き飛ぶだろう。
『空間移動《テレポート》』を扱う白井黒子が本気になれば、それこそ対抗出来る人間など極わずかなのだ。

そして埃が舞い上がる中を少年が疾走する。
視界など届かない筈なのにそれを的確にサポートするのは愉快そうな子供の声。

「えへへ☆ 三時の方向、壁の向こうに一人いるよ☆」

その言葉を疑いもせず少年が指示のとおりに突き抜けてみれば、確かにそこには慌てた様子でガチャガチャと弾倉を交換している男が一人。

上条当麻は一対一の喧嘩ならば、相手が武器を使えない状況ならば、並大抵の相手には負けはしない。
握り締めた拳がアッパーカットの軌跡と共に混乱している黒いスーツの男顎を打ち抜いた。

上条当麻をサポートしたのは白い仮面をかぶった行橋未造である。
本来、行橋未造は相手の思考だけではなく痛みなどといった感情すらも受信する。

しかし、今の行橋未造に届く電磁波は極僅かなものだった。

行橋未造が痛みを受信しない理由。
それは御坂美琴の存在である。

電磁波を発することに特化した都城王土には叶わぬものの。
けれど、荒れ狂う電撃をその身に纏う御坂美琴の側にいればある程度それが緩和されるのだ。
行橋未造はそれを判っていたから都城王土の後を追わなかった。

だから行橋未造は痛みに悶えることなく己の使命を完遂できる。
とはいえたとえそれが痛みを伴うものだったとしてもやっぱり行橋未造はそれを遂行しただろう。

なぜなら行橋未造にとって都城王土という男は絶対なのだ。
彼が望むのならばそれこそ命すらも捨てるのも躊躇わない。

だって行橋未造は都城王土に出逢うためにこの時代に生まれて。
行橋未造の感受性《アブノーマル》は都城王土を理解するためにあるのだから。

その時、こっそりと忍び寄っていた一人の男が行橋未造に襲いかかった。
子供ならば組み易し、と判断したのだろうがそれは間違いである。

“相手の心を読む”という多少なりとも誰しもが備えている力でもって、行橋未造は“異常”の中の“異常”である都城王土に仕えているのだ。
バトル向きではないといえ、いざ戦闘となればそれこそ行橋未造は相手に触れられることなく圧倒できるほどの力を秘めている。

振りあげた銃口の先には誰もいなく、気がつけば目の前には白い仮面を被った子供が宙を飛んでいる。
虚を突かれた男の意識が瞬く間に薄れ、昏倒する。
麻酔ガスの近接噴射を食らったのだ。

>>749

◆小説
「後ろで大きな爆発音がした。俺は驚きながら振り返った。」
◆ケータイ小説 
 「ドカーン!びっくりして俺は振り返った。」
◆ラノベ
「背後から強烈な爆発音がしたので、俺はまためんどうなことになったなぁ、とか
そういや昼飯も食っていないなぁとか色々な思いを巡らせつつも振り返ることにしたのである」

◆鎌池和馬
轟!!
突然、背後で爆発が起きた。
爆風に煽られた上条当麻の体が、くの字に折れ曲がり宙を舞う。
「ごっ、ハ……ッ!?」
音はなかった。
視界は真っ白に塗り潰された。
近くの壁にノーバウンドで叩きつられる。
上条当麻の意識は、そこで途切れた。

◆西尾維新
ぼくの背後で衝撃が走った。
それは躊躇も無く、遠慮も無く、情緒も無く、
その場に在ったモノを蹂躙し尽くす。
振り返って、それが爆発だと気付いた時には、
全てが凄惨に清算されていた。

戦闘は圧倒的な展開で以て、5分もたたずに終結した。

静寂が辺りを包み、誰も動こうとはしない。
そこかしこに倒れている黒いスーツの男達を見回して、ようやく“子供達”が一息ついた。

この惨状で逆に一人も死人が出ていないのがまるで冗談のようだった。

これ以上この場に留まっていれば警備員《アンチスキル》がやってくるだろう。
とりあえずはこの場を離れようと思って。

あることに少年が気が付いた。

「あれ…? そういやぁ…バンが5台って言ってなかったっけ?」

ひいふうみいと数えるも、目の前には4台しかない。
4台のうち2台は大きくひしゃげて白煙をあげ、残りの2台は無残にバラバラにされ血のようなガソリンを垂れ流しているが。

けれどやっぱりどう数えても4台しかない。
上条当麻のその不思議そうな声に可愛らしい声で答えたのは仮面を被った行橋未造だった。

「だいじょーぶ☆ さっき電話を借りた理由がそれだからさ☆」

そう言って仮面の下でおどける行橋未造。
行橋未造がこの件に関わった理由。
“心を読む”行橋未造は少女たちの言葉を聞いて思考を受信したからである。
そう、まだ舞台に演者は出尽くしていない。
まだ残っている。


[残骸]に関わって、[実験]を止めようとして、[実験]の当事者である少女達が舞台袖で自分の出番を待っている。

>>750あたりから王土さんが慢心王土になってる希ガス

>>761
oh…良く分かりました。ありがとう。
ようやく慣れてきました。

>>761
ラノベと西尾がウザ過ぎて笑った

>>765
まさかかまちー文がウザくないと?

かまちー文はウザいというよりギャグっぽいなwwww

少年漫画的だよねこれ ジャンプのノリじゃない

まあ西尾にせよ鎌池にせよあくまで分かりやすい癖を再現してるだけで
実物はもう少し読みやすいんじゃないかとは思う
ていうか鎌池はよく使う表現並べてるだけで西尾のは何か違う

>>766
少なくとも>>761だとそこまでない
あとかまちーのやつだけ見たことあったし

ぬるい友情
無駄な努力
虚しい勝利

これがジャンプだ!

『週間少年マイナス』

■屋上

遠方で黒煙があがっていた。
ゴーグルをかけた少女がいる場所は主戦場になっているであろう総合ビルよりも1ブロック程離れている。

「病み上がりの身体ですし…本来ならば面と向かって戦いたかったのですがこれもやむなしでしょう、とミサカは嘆息します」

その言葉と共にガチャリと肩にかかったアンチマテリアルライフルを地面に置く少女。
ライフルのターゲティングスコープからケーブルを外し、主観情報を己のゴーグルへと移行する。
足元には両手の指では足りないほどの空になった弾倉が転がっていた。

ビル風に吹かれながら少女が、御坂妹が標的を見下ろした。
暗視光学センサーならば、この程度の距離はなんの問題もない。

ゴーグルの中、その特徴的な緑色の視界の中では。
もはや車と呼ぶにはおこがましい金属の塊の側には失神し、失禁し、哀れな姿をさらす黒いスーツの男達がいた。

あの小さな子供が教えてくれた情報通りだった。
いや、それどころかまるであの子供はこちらのネットワークの内容すら把握しているようで。
けれど嫌悪感はなく、御坂妹はそれ以上は上位個体に意見を申請して、その事について考えることをやめる。

と、辛うじて意識を取り戻したのだろうか? 一人の男が同士の筈である仲間を置き去りにしてほうほうの体で逃げ出そうとしていた。

「…少しばかり手心を加えすぎたかもしれません、とミサカは呟きながらゴム弾に換装したライフルを構えます」

スコープの中で正確に目標を捉えるも。
しかし御坂妹の指は引鉄をひくことはなかった。

視界の端に映った一人の少女。
御坂妹はそのモシャモシャとしたパーマをかけている少女の情報を共有し、知覚し、覚えているのだ。

いっちゃー悪いけど>>761は文の盛り加減を間違えると
くどくなりすぎて駄目になるって例だな

ライトノベルというものは遠回りな文章なんだな。もどかしい。

>>775
どうでもいいことを尊大にいいたがるこ達がメインターゲットだからじゃね?

>>775
ぶっちゃけハルヒとか一部作品でそういう印象が付いてるだけで文体は色々あるぞ
少し前までは会話と短文だらけの下半分が自由帳になる小説とか言われていたこともあったし

>>776
なるほど、腑に落ちた。

■路地裏

「き、聞いてねえぞぉ! 警備員《アンチスキル》が警告もなしに発砲するのかよ!」

黒いスーツの男が泣き喚くようにして文句を吐く。
思い出すだけでゾッとする。
先発部隊の中で一番最後を走っていたと思ったら、凄まじい衝撃が車体に襲いかかったのだ。
防弾仕様であるはずのフロントがバゴン!という音と共に陥没し、それからはもう地獄だった。

喩えではない。
それはまさしく砲煙弾雨だった。

まるで天から降り注ぐ雷の鉄槌のようにそれは延々と続く。
それは信じられないほどの精密な射撃で、反撃するどころか逃げることも動くことすら許されなかった。

しかも恐ろしいことにその射撃は決してこちらの命を奪おうとはしない。
逃げようと思って一歩足を踏み出した瞬間、爆音と共に目の前のアスファルトが破裂する恐怖は味わおうと思っても味わえない。
いっそのこと頭をブチ抜かれる方がましだと思う程の審判の時間。
もはや絶望に身を震わせることしか出来ない男達が次々と恐怖のあまり失神していくのも当然だろう。

そして。
幸か不幸か何とか一人の男は目が醒めて。
同士を見捨てて逃走を始めた。

とはいえ。
それは幸か不幸かでいえば間違いなく不幸だろう。
ようやく男は気が付いた。

すぐ隣に、ギョロリとした目をした幽霊のような女が立っていたのだから。

>>777
自由帳ww酷いなwww詰め込んでページ減らして安くしろ

ラノベ作家は右にも左にも広く癖の強い作家がいるよな。
癖の強い文は好き嫌いがバッサリ分かれるし。

俺は西尾とか凄く好きだけど、あの文ウゼーって気持ちはまあ分かる。
受け付けない人には本当にそれまでなんだろな。

かまちーはやってることは面白いんだから、もう少し文章力ってか国語作文力をつけてくれ…。

死神のバラッドは最初の数巻が素晴らし過ぎてもう
どうしてこうなった状態
後半のポエムと化した文章を連ねた本の姿はまさに自由帳

>>782
なんかもうわけわからんポエムだよな
あとモモいなくてもほとんどの話がどうとでもなるって言う

男はギョッとして目を見開く。
いつの間にこんな側に近付かれたのだろう?
けれどその幽霊のような女は無表情のまま男の目をただ見つめているだけだった。
怯える男を観察するように見つめ続け、そしてようやくギョロ目の少女が口を開いた。

「顔色が悪いわね。 息も荒いし冷や汗も凄いわ」

ボソボソとそうこちらの身体を気遣うような台詞を口にするが、その実それは男の体調を気遣っているわけではないだろう。
暗がりの中に浮かび上がる幽霊のような少女に怯え、尻餅をつく男。

「でも気にしなくてもいいの」

恐ろしさのあまり、思わず身をかがめた男の耳元に少女が口を近づけて。

「because  ・・・・・・・・・・・・・」

ボソリと何事かを囁かれ、男の眼が耐え切れんとばかりに恐怖で見開いた。

「ぎにゃああああああああああああああ」

情けない悲鳴が路地裏に響く。
数秒遅れて路地裏に駆けこんできた御坂妹だが、目の前に泡を吹いて失神している男だけだった。
けれど、御坂妹は嬉しそうにこうポツリと呟いた。

「見間違えるはずもありません、とミサカは確信を持ちます」

御坂妹は、“妹達”は布束砥信を忘れはしない。 [実験体]である自分たちを救おうとしてくれた少女なのだ。
御坂妹は目尻から小さな光の粒が頬を流しながら虚空に向かってただ己の感情を口にした。

「…よかった。 生きていてくれて本当によかった、とミサカは素直に貴女の無事を喜びます」

>>782
5巻までしか持ってないんだがスノウリバースの時点でポエム化の片鱗はあった

このミサカとかいう子の喋り方、イラつくわーww

おお、布束来た。
しかし、本当に全キャラちゃんと動かしてるな。
素直に関心するわ。

このSSを読む前
「王土wwwwww最初だけ威勢良かったカスじゃんwwwwwwwww」

読んだ後
「王土様下僕にしてください、むしろ捨て駒にしてください」

■学園都市・大通り

[M000]は目の前で傲然とした金髪紅眼の男の振舞いが理解出来ない。

無数の銃口に囲まれて何故こうも哂える?

[M000]は目の前で病人だろう白髪紅眼の男の態度が理解出来ない。

20人を超える大人に囲まれて何故こうも哂っている?

けれど、それでも判っていることがある。
こいつらはきっと恐ろしい。
逆鱗どころではない。

それこそほんの少し機嫌を損ねればきっとこのガキ共は容赦なく牙を剥くだろう。
だが、磨耗した精神を持つ[M000]は本能が発する危険信号の本当の意味を判っていなかった。

まずとりあえずはこの紅い双眸を持つ男達よりは[A001]のほうが組み易い。
だから[M000]は[A001]に向かって怨嗟の声を吐く。

「き…貴様ぁ! [A001]! 貴様よくも我々を! よくも“仲間”を裏切ってくれたな!」

しかし、そう怒鳴る[M000]を見て結標淡希は冷たい目でそれを否定する。

「違う… アンタ達なんか“仲間”じゃない 私の“仲間”は。 あの時私と共に超電磁砲に立ち向かった“あの子達”だけよ」

そうすげなく否定され、屈辱に震え、そしてようやく[M000]は一つのことに気が付いた。

さる防止

追い付いた

王土さん王道歩みまくりかっけー

しえ

[A001]がいつも持っているはずの軍用懐中電灯がない。

あぁそうか、だからこいつは心変わりをしてそんなガキに依存したのか。
[M000]の顔が醜く歪んだ。

ならばその勘違いに気付かせてやろう。
[A001]の心を陵辱して組み伏せてやろう。
結標淡希の心を、本質を、魂を再び汚して調教してやるのだ。


「ハッ…ハハハッ! “仲間”だと!? どっちつかずの中途半端な“バケモノ”が知ったふうな口を聞くな!
 知っているぞ! 貴様はくだらない懐中電灯がなければ能力もろくに振るえない欠陥品だろうが!」


そう言われて、ビクと結標淡希の身体が震えた。
確かに今、結標淡希の手には懐中電灯がない。
能力の指針となるべきそれがない。

どっちつかずの中途半端の欠陥品?

やめてくれ。
それ以上その汚い手で触らないでくれ。
トラウマに触れられて結標淡希の心が悲鳴をあげる。

その先は結標淡希のむき出しで柔らかい場所なのだ。
悪意の言葉でもって触れられて掻き回されて抉られたくはない。

その時だった。
硬直してしまった結標淡希の背に都城王土の指先がトンと触れたのだ。

ドM000

早く投下してくれ

.
「おいおい結標淡希よ。 何故それを俺に言わないのだ?」

そんな事を言われても結標淡希は困る。
けれど都城王土は別に結標淡希の答えなど待ってはいなかった。

「なに、怯えんでいいぞ結標淡希。 痛みは無いはずだからな」

そう言うと都城王土は己の能力『創帝《クリエイト》』を己の思うがままに行使した。

パシンと微かな電流をその身に纏わせて。

都城王土はニヤリと笑いながらこう言ったのだ。


「なに、その程度の欠点ならばだ。 “この俺がカバーしてやる”」


パシリと極微小な電流が結標淡希の脳内を走った。

これは洗脳ではない。
ましてや都城王土の真骨頂その②でもない。

[演算補助デバイス]とは言ってみれば脳波の電気パルスを強制的に一定にするものだ。
脳内に流れるストレスの波形を分析し、逆の波形を当てることで中和するもの。

そしてその程度ならば都城王土にとっては児戯にも等しい。
都城王土は人間の人格を丸々書き換えることすら可能なのだ。
ならば、当然出来る。 
一時的にとはいえ結標淡希をストレスから解放することも当然出来るのだ。

カウンセリングも出来るとかマジ王土△

王土さんマジルシフェルかっけぇ!

傲慢かっこいいな王土さんは

おれも脳味噌マッサージされたい

王土さんの嫁になれるレベルのやつ禁書にいるの?

>>801
上条さん

結標淡希の脚に活力が戻る。
度重なる能力の行使と暴走により、破裂しそうだった脳が嘘のように静かになる。
嫌悪感が嘔吐感が罪悪感が荒れ狂った感情全てがゼロになる。

いや、プラスマイナスゼロになったどころではない。

今、結標淡希は己が思うままに己の100%の力を100%己の制御下で行使できる。

…勿論、これは継続的な効果があるわけではない。
トラウマは自分で乗り越えるものであり、それを完全に解消するにはそれこそ人格の書き換えが必要だろう。

だけれども。
この瞬間この時間に限って言えば、結標淡希のトラウマはストレスは完全に解消されたのだ。

今、結標淡希の手に懐中電灯はない。

けれど、今そんなものは要らない。
今ならば人造の光は必要ない。

だって。
結標淡希の後ろには太陽のような男がいる。
都城王土が結標淡希の歩む先を照らして導いてくれている。

太陽よりも眩しい光など世界の何処にも存在しないのだから。

そして結標淡希は都城王土の期待に応える。
太陽のように己を照らしてくれているその眩しい光に応える。
自分が歩むべき道を歩みたいと思う気持ちを示すように。

スッと結標淡希が[組織]の男達に、自らが突破するべき道はあそこなのだと言わんばかりに指を伸ばした。

>>802
801なだけにってかwwwwww

結標淡希に指を差され、[M000]は…[組織]は恐れた。
誰だ?
この目の前にいる小さな赤毛の少女は一体誰だ?

違う。
これは[A001]ではない。
これは今にも倒れそうな、嗜虐心をくすぐらせる顔をした欠陥品ではない。

「みっ…見るな! こっちを見るなっ! 見るなぁぁぁああああっっ!!!!」

だからもう耐えられなくて、[M000]は[組織]は“大人達”は一斉に拳銃の引鉄をひく。
殺してしまえばあの恐ろしい視線にさらされなくてもすむはずなのだ。

だが、銃爪に掛かっていた指は呆気無く宙を掻きむしるだけ。

「…なっ!?」

前方、結標淡希の目の前にガシャガシャと音を立てて積み上げられる黒い金属の山。
それは拳銃で造られた山で、その山を造ったのは結標淡希の『座標移動《ムーブポイント》』だ。

男達は顔を青ざめる。
“超電磁砲”ですら倒せる可能性をもつ結標淡希の強大な能力の恐ろしさを今やっと男達は理解したのだ。
“バケモノ”だ。
こいつらはとんでもない“バケモノ”だ。

だから男達は抗議する。 有り得ないと抗議する。

「ふっ!ふざけるなっ! そんな! そんなっ! 窮地に陥ったところを都合良く救うなんて! そんな現実信じられるものかっ!!!」

それを聞いて都城王土はハンと鼻で笑ってこう言った。

名瀬師匠の名言クルー?!

有る意味、単純な格闘能力と臆病さだけで異常に立ち向かってきた善吉なら上条にも勝てるんじゃないかという気がしてきた

>>807
あいつも壁走れるし十分異常だよ
上条なんて余裕で勝てる

.

「フン、 いいではないか。 週刊少年漫画のような現実があってもよかろう。 
 そも都合よく仲間を救う存在をすら信じられぬ貴様の現実がちっぽけだっただけだろうが」


弱者の代表のような顔をして抗議する[M000]を都城王土は笑い飛ばす。

「まぁとはいえ 俺の心にそびえたつ三本の柱は『友情』・『勝利』・『努力』ではないがな」

そう言って都城王土は結標淡希の前に立ち、腕組みをして朗々と言い放つ。

「俺の心にそびえたつ三本の柱は当然ながら『俺』・『俺』・『俺』だ」

そう言って都城王土は恐怖に身を慄かせる男達を圧倒する。

この男は誰であろうと変わらない。
進む先に気にくわないものがあれば、障害物があればそのまま粉砕して進む男なのだ。

[M000]はガタガタと震え、それでも負け惜しみを口にする。

「だっ黙れぇ! 認めんっ! 認めんぞっ! 断じて貴様達の現実など! 認めはしないっ!!!」

そう言う[M000]を見て都城王土はつまらなさそうに首を振った。

「はっ! まったくもって愚かしく哀れで救いようがないな」

と、不意に何かに都城王土は気が付いた。

「あぁそう言えばだ。 貴様等いい加減にしろよ? この俺に向かって頭が高いだろうが」

テレポは最速でも発動に一秒かかるからそれまでに引鉄引いちゃえばよかったのにw
意味ないだろうけど

>>808
アニメで聖人と同じことをやってのけた上条さんをあまく見るなよw

王土さんの顔うろ覚えなおかげでなぜか王土さんのビジュアルがミスターアンノウン()さんで再生されるんだがおかしいよな・・・?

ああおかしい
王土様の顔を忘れるとはとんだ無礼者だな

>>811
それ大分違う、拳々破さんは更にデカいしいたらいたで飛沫ちゃん以外勝てない

黒板突き破るのになかなか苦労してたのを見るとそれほど恐ろしくは……

球磨川という肉のクッションがあったからとミスターアンノウンの発動をしないままで手加減してたからだけどね

そして都城王土は口にした。
ただそう言うだけでそれが実現される恐ろしい“チカラ”を都城王土は当然のように行使する。


「 平 伏 せ 《 ヒ レ フ セ 》 」


バギン!と嫌な音が響いた。

その音の正体はそこに並ぶ[組織]の男達全員が自ら全力で以てその顔面をアスファルトに叩きつけた音だ。
鼻がへし曲がり、歯が折れてもまだ肉体は自らをアスファルトに押し付けようと力を込める。
今、彼等の肉体は己の頭脳ではなく都城王土に従っているのだ。
アスファルトの隙間から漏れ聞こえる阿鼻叫喚の悲鳴を聞きながら都城王土は話にならないというふうに首を振った。

「やれやれ、なんとも醜い姿勢だな。 どうやら貴様等には奴隷の才能すらないようだ」

平伏したままの男達の間を悠然と歩く金色の覇者。
土下座をしたままピクリとも動けない男達はもはや命を献上しているに等しい。

「ふっふざけるなぁ! この“バケモノ”どもがっ! お前たちのようなガキがっ! 能力者がいるからこの世界には争いが絶えんのだ!!」

アスファルトに叩きつけられ鼻血を垂らしながらも懸命に[M000]が抵抗する。
そう、この男は口先だけで今の地位まで登ってきたのだ。
[M000]にとって最も強い攻撃は拳でもなく脚でもなく言葉である。

だがそんな[M000]の言葉は一笑に付された。

「ハッ! 訂正しろ愚か者が」

そう言ってグイと都城王土が[M000]の髪を掴んで乱暴に持ち上げる。

今あわきん胸丸出しの状態なんだよな……

>>817
俺が手の平で胸を隠してあげてるよ

眼前に迫った紅い双眸は灼熱のような感情を宿していた。
魂ごと燃やし尽くされそうで言葉を失う[M000]に都城王土はこう告げた。


 「俺達は“人間”だ」


そう言って都城王土は真剣な顔で高らかに謳いあげる。
絶対の自信で持って言い切る。


「俺達はだ。 平和な日本の一介の通常の普通の並大抵の通り一遍のただのありふれた一般的な学生なのだ」


そう言って都城王土はその手を離す。
バギャン!と音を立てて再度平伏した[M000]に向かって静かにこう言った。


「ただほんの少し。 “普通《ノーマル》”か“異常《アブノーマル》”か“幸せ《プラス》”か“不幸《マイナス》”かの違いがあるだけだ」


“人間”であること。
都城王土はその尊大な態度でもって“人間”であると断言する。

そう。
“バケモノ”などでは決してない。
“人間”なのだと都城王土は自信をもっている。

そして、都城王土のその言葉を聞いて一方通行は、結標淡希の胸に蘇るものがあった。

俺が●がついたアレと念動力を駆使して隠してるよ

『僕は隠さないでもいいなぁ』
『興奮するじゃない?』
『君もそうでしょ?』

その頃はもう既に本名は無くしていた。

【特別クラスだァ?】

周りの人間を傷つけてしまって。
隔離されて迫害された。

【そうよ。 [絶対能力《レベル6》]に進化する可能性があるのは最強の能力者である君だけだもの。 “君一人だけの”クラスよ】

だから彼はこう思ったのだ。
たった一人の特別学級という名の監獄の中で。

【…“変わる”のか? 最強の先の無敵に進化したら何かが“変わる”のか?】

今のままでは嫌だ。

【――チカラが争いを生むなら争いが起きなくなるほどのチカラを手にいれればいい】

だから彼は変わろうとした。
遮二無二になって変わろうとした。

【最強の先の無敵に、絶対的な存在になれば】

その道が例え血に塗れていても構わずに。
己がどれほど後悔するかも考えないで。

【認めてもらえるはず。 きっと、きっと誰かに認めてもらえるはずだ】

ただの一人の“人間”として認めてほしい…ただそれだけを拠り所にして。
一方通行《アクセラレータ》は修羅の道に突き進んだのだ。

【何故自分に“チカラ”があるのだろう】

彼女はいつからかそう思っていた。

【自分に“チカラ”を与えられた理由】

けれどそれには誰も答えてくれなかった。

【自分に“チカラ”を与えられなくても良かった理由。】

いくら考えても判らなくて。
そして彼女はそのうちこう考えるようになった。

【“チカラ”があるから迫害されて差別されて疎まれる】

ならば、と思った。
それは名案のように思えた。

【じゃあいらない。 “チカラ”なんていらない。 私はそんな“チカラ”はいらない】

例えそのように思考を誘導されていたのだとしても。
けれど彼女は確かにそう思ったのだ。

【だって。 怪物は嫌だもの。 “バケモノ”は嫌だもの】

ただの一人の“人間”として認めてほしい…ただそれだけを拠り所にして。
結標淡希は歪んだ道に突き進んだのだ。

そう、結局のところ異端児は関係性に飢えている。

友人がほしい
恋人がほしい
知人が欲しい
他人が欲しい
理解者が欲しい
保護者が欲しい
敵対者が欲しい
第三者が欲しい

だが、己が人間から外れた“バケモノ”であると自覚してるがゆえに。
どれだけ欲しても彼等は豊かな人間関係を築けない。

だから彼等は関係性をなにより望む。
己が傷つかない、己が傷つけない世界を望んでいるのだ。

それが決して叶わない夢だとしても彼等はそれをずっと追い求める。

一方通行《アクセラレータ》は都城王土と闘った。
道を譲るだの譲らないだの、そんな些細なことで喧嘩を始めたけれど、その実それは関係性を望んでいただけで。

結標淡希は都城王土に己の在り様を主張した。
それはもやっぱり関係性を欲していただけで。

当然、都城王土だって関係性を望んでいる。
だから彼は間違いを犯した。
誰も傷つかない王道楽土を犠牲のもとにつくろうとして失敗したのだ。

それは誰にだって、行橋未造だって、御坂美琴だって、白井黒子だって、上条当麻だって。 ありとあらゆる人間に言えることなのだ。

シエンタ

だから都城王土は主張する。
関係性というものは築くのが“人間”と“人間”というのなら。
それなら確信して断言して言い切ろう。


俺は“バケモノ”ではなく、俺は“人間”で。

ならば当然俺が関係性を望む相手だって“人間”で。

つまりそれは俺達が“人間”なのだということだ。


だから都城王土はその尊大で傲慢な態度のまま許す機会を与える。
昔の己は愚かだったし、昔の己は間違いをした。
ならば当然この男達にも許される機会は与えられるべきだろう。

「…こう見えて俺は寛大でな」

そう言って、都城王土は地面に平伏したままの[M000]に言葉を掛ける。

「おいおまえ。 立て。 曲がりなりにも長ならば長らしいところを見せてみよ」

その声と同時に己が身を縛り付ける謎の力が無くなっていることに気づき、バネ仕掛けのおもちゃのように[M000]が飛び上がった。
[M000]に都城王土は視線だけで辺りを示唆し、話しかける。

「見ろこの有様を。 貴様の成したことにより貴様の仲間たちは今もまだ苦しんでいるのだ」

20人近い男達が土下座をしたまま、呻いている。
だから都城王土は機会を与えるのだ。

わぁ、死亡フラグ

ガタガタとその身を震わせる[M000]に向かって都城王土は本心から静かに告げる。

「長ならば…配下を束ねるものならばだ。 それは責任であり受け入れるべきものだ。 だから反省し、心を入れ替えるのならば俺も許す」

それを聞いて結標淡希は目を見開いて口を挟む。

「…ッ!? アンタなにをっ!?」

冗談ではない。
もはやこいつらを許せるはずはない。
だというのに、そんな激昂しかかった結標淡希に向かって都城王土は真剣な顔でこう言った。


「まぁそう言うな。 誠心誠意謝ることが出来るのならばだ、どのような者であろうと考えを改められるはずだろう?」


それは己の経験から出てきた言葉であり、だからその言葉はとても重い。
結標淡希は、一方通行は、己が犯した間違いを思ってしまって。
それ以上は言葉を挟めなかった。

そして都城王土は待つ。
誠心誠意謝罪して謝ってくるのを待つ。
もしかしたら、仲間を傷つけたと激昂して殴りかかってくるかもしれない。
けれどもそれだって間違ってはいない。

そして[M000]は。
[組織]の長は。
[科学結社]のリーダーは。

逃げた。

「ハヒッ! ハヒヒッ!!!」

恐怖を超えて、笑い声のような悲鳴をあげながら。
じりじりと後退りをして…勢い良くその組織のトップは、[M000]は逃げ出したのだ。

何もかもを投げ捨てて。
ただ己の生命を最優先として。
地に平伏したままの“仲間”を“正常”な者を捨てて[M000]は脱兎の如く逃走を開始した。

ボキッ!と骨が折れる音と共に平伏したままの黒いスーツの男が呻く。
土下座をしているその手を[M000]が踏んでいったのだろう。

それを見た結標淡希は怒りで頭が真っ白になる。
また切り捨てた。
また裏切った。

「アンタが……逃げるかぁ!!!!」

そう叫びながらズタボロの身体で腕を振り上げた結標淡希だが、それは都城王土の手によって遮られた。

「…っ! …止めないでよっ!!!!」

そんな結標淡希の叫び声を聞いて都城王土は面白そうに哂っていた。

彼は一度許す機会を与えた。
そしてそれは何度も与えてやれるほど安いものではないのだ。

誤解してはいけない。
都城王土は善ではない。
その烈火の如く気性は敵と認識したものを容赦なく残酷に叩き潰すのだ。

うわああああ面白い!!
王様かっけえ

追いついた!
王土さんマジかっけぇ

王土△

その紅い瞳には残酷な見世物を期待するような光が浮かんでいる。
それを見てしまえば結標淡希もう二の句が継げなくて黙るしかない。

今から面白い見世物が始まるのだから辛抱しろ、とでも言いたげに都城王土は笑う。

「まぁ待てよ結標淡希。 なに、そのままおまえがやっても構わんのだが……」

そう言って都城王土は隣に立っていた一方通行を見る。

「それよりもだ。 おい一方通行《アクセラレータ》。 随分と手持ち無沙汰に見えるが?
 まぁとはいえだ 。おまえが無理だと言うのなら構わん。 結標淡希か俺がやるが……どうする?」

返ってくる答えなどわかりきっているだろうに都城王土はそう問いかけて。
そしてそれを聞いた一方通行の顔が面白そうにぐちゃりと歪んだ。


「お・う・どくゥン!? 今なンっつったァ? てめェ…誰に物言ってンのかわかってンのかァ!?」



[M000]は防弾装甲のバンに飛び乗って、震える手でエンジンをかける。
ギアをバックにいれて、ハンドルが折れるくらい傾けて車体の向きを180度変更して。

目の前に広がっている誰もいない安全な夜道を見て[M000]は判った。

この道の向こうに行くことが出来るならば。
このままスピードを出して、ここから逃げきることが出来ればこの悪夢から逃げ出すことができるのだ。
この暗い夜道を突っ切ることさえ出来ればいいのだ。

無我夢中にギアを変え、もう勢い余って足が折れても構わないと言わんばかりにアクセルを踏み込もうとしたけども。

.
ドン!と一方通行の軸足が地面を踏みしめる。

その軸足から凄まじい衝撃が生まれて。
硬い地盤が振動し放射状に亀裂が走る。

「ヒッ!?」

[M000]は思わず悲鳴をあげてハンドルにしがみつく。
耳障りな音を立て、電柱が標識が地盤という支えを失い次々と倒れていくのだ。
まるでこの世の終わりを見たように恐怖で顔を引き攣らさせた時だった。

ガギャン!と音を立てて道路標識が大きな音とともに車のフロントガラスに突き刺さる。

「ヒィィッ!?」

例え防弾だろうとも、質量の攻撃を防げるはずもない。
フロントガラスは呆気無く砕け散った。
突き刺さっている道路標識には。

“青地に白い矢印”が描かれている。

その標識が指し示す意味を本能で理解して、男は絶望の悲鳴をあげた。
けれどそれでは終わるはずもない。
次の瞬間、槍と化したアスファルトが地面から突き上げられたのだ。

ガゴンガゴンと凄まじい音をたてながら車体が幾度も突き上げられる。
コンクリートの槍は車体の中心部に食らいつき、突き刺していて。
もはや防弾装甲のバンは百舌の早贄のようだった。

すいません、ちょっと王土様の下僕になりたいんですけどどこに行けばなれますか?

アクセルを踏み込んでみるが今更そんなことをしてもそれはもう徒労でしかない。
ギャルギャルと白煙をあげながら空回りを続けるタイヤの音だけが虚しく響く。

けれど[M000]はそれしか出来ない。
半狂乱になりながら何度も何度も必死にアクセルを踏み込むことしか出来ないのだ。
そして…バックミラーに映る影に気づく。

そこには白く哂う影があった。


「よォよォ? こんな夜道にどこ行くつもりだァ?」


その恐ろしい声に耐え切れずバンの中にあった拳銃を取り出して狙いを絞って引鉄を引き絞る。
けれど、その銃弾が彼に届くことなど有り得ない。
引鉄をひいたと思った瞬間、手の中の拳銃が破裂して[M000]は激痛に耐え切れず悲鳴をあげる。

そしてその悲鳴を聞いた白い影は下品な笑い声をあげた。


「あはぎゃはァ! 不様な抵抗ゴクローサンってかァ?」


そして。
嘲笑とともに爆音が破裂し、白い影のアスファルトが砕け散った。
背中に竜巻の渦のような暴風を接続した白い影はロケットのように宙を飛び、フロントガラスの上に立つ。

王土さん△

ちゃんと一方さんに見せ場を譲ってあげる王土さんの器

“青地に白い矢印”の道路標識の上からグニャリと覗き込んで。

白い男が哂ってこう告げた。


「悪りィがここは“一方通行”だァ。 侵入禁止でェ、転回も禁止。 あァ…当然だけどよォ “後退” も禁止だぜェ?」


もう恐怖のあまり息もできない。
けれど白髪紅眼の男に言われるがまま、ちらりとバックミラーに眼を走らせて。

そこに映った姿を見てしまって。

[M000]は何で拳銃を使ってしまったのだろうと思った。
今、手元に拳銃があったならば自分の頭に銃口を向けて引鉄を引いている。

そこに映るのは金髪紅眼の男。
金色の影は哂いながらゆっくりとこちらに向かって歩いてきているのだ。

[M000]はようやく本能で理解した。

あぁ。ここは、こいつらは、学園都市は。
[組織]にとって[科学結社]にとって[M000]にとってまさしく“一方通行”だったのだ。
この袋小路に入ってしまえば進むことも戻ることもできやしない。

だってこの紅い双眸を持つ男達は“人間”でありながら“バケモノ”なのだ。
前門の虎、後門の狼ならぬ前門の月、後門の太陽。
どちらに進もうがその強大な業火で焼き尽くされる。

もう[M000]が出来ることは極光に焼かれるか白光に消されるかを選ぶだけなのだから。

王土△

下部になりたい

うがが

恐怖におののく男を嬲るように一方通行《アクセラレータ》は言葉を紡ぐ。

「…っつーかよォ。 俺としたことが間違えてたぜ。 テメーには三下なんて呼称すら生温いわなァ」

なァ?と問いかけてくる白い影だが、それに答えることなど出来やしない。
この問には同意も否定も許されないのだ。
答えてしまえばそこで終わる。

だからもうただ震えていることしか出来ない。
そして、白い影はさらに嘲笑う。

「ゴミはよォ…ゴミらしくさっさと屑籠の中に頭から突っ込んで汚物に塗れてんのがァお似合いだよなァ?」

ギシリと哂う白い影が拳を振り上げて判決を下した。

「っつーわけでェ! とっととおとなしく泣きながら不様なゴミクズに生まれ変わってこいよォォォ!!!!!」

振るわれたその拳は衝撃が伝わった瞬間にベクトルを加速して。
凄まじい勢いで前方に。 “金色の男”に向かって車体ごと飛んでいった。

「クハッ! おいおい一方通行《アクセラレータ》。 この俺に当たるだろうが」

瞬く間に目の前に迫った半壊状態の防弾車を見て哂いとばす都城王土。
そしてその鋼鉄の塊をまるで空き缶のように無造作に蹴りとばした。

数トンの重さをもつそれは都城王土の只一撃の蹴りを喰らってピンボールのように直角に跳ねた。
吹き飛び、轟音と共にその先にあるビルに突っ込んでガラスを破りそのまま内部に突っ込んで、コンクリートの柱を何本もなぎ倒して、そしてようやくその動きを止める。

どちらに進むか結局選べなかった[M000]は。
金髪紅眼と白髪紅眼、極光と白光、太陽と月、都城王土と一方通行という二人の紅い双眸をもつ男によって焼きつくされたのだ。

この二人に挟まれて、拳銃自殺し損なったのを悔むレベルまで理性の残ってる[M000]って何気に凄くね?

胸に広がるその怒りを代弁したどころか利子をつけたような徹底的なその破壊を見て結標淡希は静かに息を吐いた。
自分ではあのような恐怖を与えることなど決して出来ないだろう。
都城王土と一方通行という規格外の存在が自分の敵とならなくて本当に良かったと結標淡希は思う。

そして、当の本人達は。

「む…さすがに死んだか? おまえはどう思うのだ一方通行《アクセラレータ》?」

その凄まじい破壊の後を見ながら何故かのんびり話していた。

「まァ…学園都市製の車使ってんならだが、運がよけりゃァギリギリ生きてんじゃねェのォ?」

息のあった連携プレイの感想戦をするように声を掛け合うその姿が面白くて結標淡希はクスリと笑う。
その小さな笑い声を聞いて、金髪紅眼の男と白髪紅眼の男が同時に振り向いた。
クスクスと笑う結標淡希を見て、その笑いの原因を察した一方通行がガリガリと頭をかく。

「…あァーだりィ。 つーかよォ別にアレがどうなろうと知ったこっちゃねェわァ」

そう言って一方通行が踵を返して。

「おい…“王土ォ”。 まずはテメエは殺すのは後回しにしてやンよ。
 まずはヒーロー気取りの“三下”をブッ殺して…… で、そン次がテメエだ。 忘れンじゃあねェぞォ?」

背を向けたままそれだけ言って一方通行はゆっくりと杖をついてその場より去っていく。
その背に向かって都城王土が面白そうに言葉をかけた。

「覚えておいてやるぞ一方通行《アクセラレータ》。 何、なるべく早く来いよ? 俺が強くなりすぎる前にな」

それを聞いた一方通行はくだらねェ、と言わんばかりに後ろ手を振って。
そして不規則な杖の音を響かせながら去っていった。

眠気がもう限界すぎる。
ここまで来たらもう頼ませてくれ。

『たくさんレスしてよね。 あと別に保守しなくていいからね』

面白いです、応援してます

次スレが楽しみ過ぎる

>>1が『』を使ったということは……

保守

保守

00:00-02:00 20分以内
02:00-04:00 40分以内
04:00-09:00 80分以内
09:00-17:00 40分以内
17:00-19:00 20分以内
19:00-00:00 15分以内

>>848
あんまりレスはしないで、保守だけしてくれってことか

>>574
王土さんその頃のめだかちゃんは因果律操作出来ない頃の球磨川しか知らないっすよ

>>853
厨房のクマは傷を治すなど物理的なものにまで干渉できなかっただけで
因果律操作の異常自体は持っていたはず
物理以外の因果律ってなんだよと言われたら困るが

「どうせまたつまらんssスレだろ」と思った30分前の自分を殴りたくなった

なんというおもしろさw
支援

大義であった。休むがよいぞ

見て…ここは魔界都市とは大違いね うむ…我々は何か忘れていたようだ 愚かな人間共にもまだこのようなやつがいたのか
大佐!見つけました!雷の刀を!

でかしたぞピニョ

ピーピー



ふふふ(笑)魔界都市から遥々きたものよね大佐さん(笑)クスクス(笑)

貴様!

あら(笑)私を忘れたわけじゃあるまいね大佐さん(笑)雷の刀は渡さないわよ(笑)

毎回毎回邪魔をしやがって

あらあら宝を見つけてくれる発見器ルパンのようね

フジコー(笑)フジコー(笑)

王土△

一方さんもかっけえ
胸丸出しあわきんワカエエ

ようやく追いついた。
めだかも禁書も大好きな俺にとって最高なSSだわ。

それと王土さん最後の方小物に成り下がったとバカにしてすいませんでした。

演算能力高いなら能力開発したら
どんな能力持つのか
脳をいじらすなんて王土さんが許すはずないか
理不尽な重税あるから能力いらないか

王土□

王土□の土□がエロに見えた

>>862
自分だけの現実の出力がなければ演算能力が高いだけになるんじゃない?

ここはいいスレだねぇ・・・

ああ、>>1が好きって事さ

保守

スーパーヒーロータイムも終わりか

>>862
自分だけの現実が伴わないと天才ハッカー()の人みたいに演算能力が高いだけの子になる
まあ三本柱が『俺』・『俺』・『俺』とか言い切れる人だし普通に珍しい能力発現してそうだが

>>865
それに関しては 王土氏は
自分だけの現実の塊みたいなもんじゃなイカ?

このスレのせいでここ数日間寝不足だ…
続き楽しみ!

保守

>>844
闇の中で尚、自らを主張するように白く、白い、白い一方通行がその場から姿を消して、10秒ほど経った頃だろうか。

ようやくすべてが終わったと理解して緊張がとけ、結標淡希は小さく長い溜息を吐いた。
そして、こっそりと隣に立っている都城王土を見上げる。

そういえば何故この金色の男はここにいるのだろうか?
この金髪紅眼の男は[残骸]なんてどうでもいいはず。

そんな結標淡希の心中で生まれた疑問に気がついたように都城王土がニヤリと笑う。

「おい、そんな顔をするなよ結標淡希。 俺の話はまだ終わっておらんのだからな」

そう。
都城王土の話はまだ終っていない。
だから都城王土はここにいる。
不思議そうな顔をした結標淡希の正面に立って、都城王土は朗々と謳いかけた。


「結標淡希よ。 世界は平凡だと思うか? 未来は退屈だと感じるか? 現実は残酷だと悲しむか?」


都城王土はそう問うが返事を望んでいるわけではない。
ただ都城王土は己の信じる己の真実を高らかに謳いあげるだけだ。


「安心しろ。俺がこの世にいる以上、世界は劇的で未来は薔薇色で現実は刺激的だ。 なんせこの俺が中心なのだからな」


.

やだ…かっこいい…

めだかちゃんの台詞もなかなかいい

ニヤリと都城王土は笑ってその指先を結標淡希の胸におく。
トクントクンと鼓動を続けている結標淡希の心の臓の響きを感じて都城王土は笑うのだ。


「貴様達の夢はすなわち俺の所有物でもあるのだ。 その夢、その身で以て叶わぬのなら、全てを俺に献上しろ。
 俺の気が向いたら俺が叶えてやってもよい。 なに、叶えるかどうかは俺が決めるがな」


それは傲慢で不遜で傲然で大胆不敵で泰然自若な宣言だったけど。
だけどそれは結標淡希の心の奥底、ひび割れていた魂を優しく暖めてくれた。

でも甘えるわけにはいかない。
結標淡希はまだ最後まで抗っていない。
胸に灯ったこの夢を。希望を。信念を。
自分一人で叶えたいのなら、都城王土に依存してはダメなのだ。
だから結標淡希は万感の思いを込めて礼を言う。


「…ありがと。 …でもさ。 …アンタに…都城王土に私の夢を献上するのは最後の最後にするね」


そうだ、結標淡希には共に視線をくぐりぬけた戦友がいる。
“あの子達”を結標淡希は絶対に見捨てない。


「だってさ、まだ私には。 まだ私のことを信じて待ってくれている“仲間”がいるんだし」


そう言ってゆっくりと大輪の白い花が咲くような笑みを見せる結標淡希はとてもとても美しかった。

ヤダ…王土くんのえっち////

あわきんに胸キュン

その笑顔を見て、都城王土は感心したように小さく呟いた。

「…ふむ」

それだけ言ってただこちらを見つめる都城王土の視線に何故か胸が高鳴ってしまい慌てて結標淡希は問い返す。

「な…なに? …なによ?」

もしかして自分は変なことを言ってしまったのだろうか?
いやそんなはずはない。
でもそれならばどうして都城王土はニヤニヤと笑っているのだ?

混乱して立ち尽くしたままの結標淡希に向かって都城王土は笑いながら賛辞を述べる。


「なに。 中々いい気概だと思ってな。 涙だの鼻水だので笑いたくなるような酷い顔をしているが…
 まぁ俺の視界に存在することを許してやってもよいということよ」


そう言って都城王土は呵々と笑って。
更にもう一言意地悪そうに付け加えた。


「それとだ。 まだ成長途中のようだが。 だがまぁその身をもってこの俺を楽しませようというその心がけを褒めてやろうと思ってな」


「……え゛?」

そう言われて。
やっとようやくついに結標淡希は今の状況に気がついたのだ。

やだ…あわきんのえっち///

>>877
予知能力でもあんのかw

ブレザーがずり落ちてるなどいうレベルではない。
その白くきめこまやかな肌を、ふっくらとした女性らしい胸を盛大にまろびだしていて。
スカートなんてもう本来の機能を失い、布のベルトかと言いたくなるようだ。
しかも。
しかもしかも“心臓の直上”に都城王土の指先が触れている。

心臓の直上っていうことは“それはつまり都城王土が結標淡希のその瑞々しい果実のような胸に手をあてがっている”ということだ。

瞬間、結標淡希の頭が沸騰する。
顔どころではなく耳たぶやら首筋やらも真っ赤になって結標淡希はバババッ!と距離をとって抗議した。

「ちょっ!?ちょっと! 見ないでよ! ていうか気がついたらさっさと言いなさいよ! そもそも男なら服くらい貸しなさいよ!」

だが、そんな文句も都城王土にとっては意味が無い。


「なに、そう謙遜するでないぞ。 俺は高千穂君や雲仙二年生のように巨乳だ貧乳だので区別はせん。
 例え凹凸の感触がいささか不満だったとしてもそれはそれでまた一興というものだ」


ウムウムとそう頷く都城王土。
そして、肌を赤く上気させた結標淡希を見て片目をつむりながら面白そうに気付いたことを口にする。


「結標淡希よ。 おまえ随分と面白いぞ。 赤毛で赤い頬で赤い首筋で赤い肌とは芸が凝ってるな。
 ならもういっそのこと結標“赤希”にでも改名したらどうだ?」


もうそれが結標淡希の限界だった。

わっふるわっふる

王土△

なんでただのセクハラなのにこんなにカッコ良く見えるんだww

王土△

「…ッ! バ、バカッ! アンタバカじゃないの!? もうアンタなに言ってるのよぉぉぉぉ!!!」

結標淡希はなんか不出来な体育座りのような珍妙なポーズをとりながら一生懸命、都城王土に文句を言う。

ある意味もはや全身急所だらけで動くとも出来ない。
立てば上半身の胸とか下半身の下着が丸見えで、座ってもやっぱり上半身の胸とか下半身の下着が丸見えなのだ。

服を貸してよ! 断る。 貸してったら貸してよ! 断固として断る。 などといった文字におこすのも馬鹿らしい口喧嘩が数分続く。

で、やっぱり結標淡希は都城王土から服を剥ぎ取ることが出来なかった。
まぁある意味それは当然だろう。
北風と太陽だって旅人の服を剥ぎ取るのは太陽だし、ましてや太陽のような都城王土が服を剥ぎ取られるのをよしとする訳がない。

結局。
結標淡希は『座標移動《ムーブポイント》』を使って、そこらに平伏したままの黒いスーツを来た男達から服を徴収することにした。
さすがにシャツを着るのはどこか気持ちが悪くて、素肌の上に黒いジャケットを羽織り、ウエストがぶかぶかなズボンを履くことにして。


「ッ!? だから見ないでってば!!!」


いそいそと着替えようとする結標淡希を都城王土は当然のように面白そうに笑って見ていた。
女子の着替えを見て、目を伏せるとか明後日の方向を向くとかいったデリカシーが都城王土にあるわけはない。


『座標移動《ムーブポイント》』で服を剥ぎ取ることが出来たのだ。
ならそれを応用して服を着ればいいのに結標淡希はそんなことにも気付かない程恥ずかしくて。

結標淡希は真っ赤になりながら都城王土が“見守る”なかで生着替えをお披露目することになってしまったのだ。

28282828

『じゃあ僕はちょっと飛沫ちゃんの着替えでも覗いてくるよ』

王土さんガン見かよwww
あわきんかわええ。

流石の王土さんやでぇ

きっとそこに行橋未造がいたら少しだけ頬を膨らませながら

『王土はそんなんだからフラれちゃうんだよ!』

なんて類のことを言っていたかもしれないけれど、残念ながら行橋未造はここにはいない。


そしてようやく着替えが終わって、ずり落ちるズボンを片手で抑えながら結標淡希が自分を取り戻す。

その時、都城王土が不意に顎で“ソレ”を指し示しながら問いかけた。

「おい結標淡希。 そう言えばだ。 アレはどうする?」

乙女の一大事である生着替えを一部始終見ていたことなどもう忘れたかのようなその口調。
何だかこれ以上文句を言うのも馬鹿らしく、肩を落としながら結標淡希が言われたままに“ソレ”を見た。

そこには。 [キャリーケース]が[残骸]が転がっていた。

何の役にも立たないそれ。
むしろ[組織]の[M000]の残り香のように思えて結標淡希は鼻にシワを寄せる。

例え今自分がこれを奪って逃げたとしても、学園都市と交渉する術はない。
そしてそんなことをしたら、また白い死神がやってくるだろう。
よく考えてみると、きっと一方通行《アクセラレータ》は結標淡希が言うだろう答えを予見して、都城王土がするだろうことを確信していたから去ったのだろう。

だから結標淡希はいらないという。
そんなものは必要ないという。

“仲間”は自分の手で救うのだ。
泥水をすすって、苦痛に塗れて、後悔の念に苛まれてもそれが結標淡希の責任なのだから。

保守

.

「“ソレ”は私の間違い。 …だからさ。 アンタに頼んでもいいかな?」


それを聞いて、都城王土はクハハッ!と笑った。


「よく言った。 ならばそれは俺が請け負ってやろう。 なに、気にせんでもよい。 これは俺の気まぐれだ」


それと同時にフワリと[残骸]が宙に浮く。
[残骸]は超高気密性の各種宇宙線対策すら施してあるスペースシャトルの外装よりも硬い近代科学の金属結晶で守られている。

だが、だからといってそれがどうした?
所詮そんな結晶も太陽に突っ込んでしまえば等しく燃え尽きるだけなのだ。

当然、都城王土にとってそれの破壊など赤子の手をひねるよりも容易い。
さらに別段、都城王土は言葉を口にしなければ『創帝《クリエイト》』が使えないわけではない。
ましてやいちいちそんなことに口を開くのも面倒だ。

だから。

宙に浮いた[残骸]は無言の都城王土と無言の結標淡希が見つめる中で、何の前触れもなくただ呆気無く粉砕され四散した。


例えるならそれは特大の満塁ホームランを目の前で見たように爽快で。
木っ端微塵となった[残骸]はまるで過去の惨めな自分の“残骸”のように結標淡希は見えて。
結標淡希はゆっくりと大きく息を吐いて、過去の哀れな自分に別れを告げる。

>>881 俺もアブノーマルだしな

そして…それが意味することは。
もうそろそろ舞台の幕が降りるということ。
豪華絢爛、華麗奔放、大盤振る舞いな、どんな夢よりも刺激的な一夜限りの大舞台の終りを告げるブザーのように。
遠方からは警備員《アンチスキル》の乗る装甲車のサイレンが響いてくる。

だから結標淡希は別れを告げる。

「…最後までありがと。 でもね、ここからは私の一人舞台なの。 だからさ。 …アンタはもう行きなよ」

そう静かに、けれどその瞳に信念の炎を燃やして結標淡希はそう別れの言葉を告げる。

「………」

都城王土はそれを聞いて何も言わず。 ただ黙して静かに結標淡希の続きを促す。

「あと少しで警備員《アンチスキル》がここに来る」

そう言って結標淡希は叱られた悪戯っ子のように少し笑う。

「私は[組織]の一員で。 風紀委員《ジャッジメント》を思いっきり痛ぶって。 ビルをぶち壊したんだ」

結標淡希は過去の愚かな自分がしでかした行為の責任をとると決めたのだ。

「だから私はここに残る。 そして全部話して、罰を受ける」

結標淡希は迷わないし、もう逃げない。

「このまま逃げ出したらそれこそ“仲間”を裏切っちゃうことになるしね」

だから結標淡希は都城王土に別れを告げるのだ。

王土□
支援

俺今日の仕事が終わったらめだかと禁書全巻買ってくる

そして都城王土はそれを止めない。
止める気もない。

ただ鷹揚に頷いて結標淡希を肯定するだけだ。

「なるほど、いい意地の張り具合だな結標淡希。 ならば俺も安心しておまえにこの場を譲ってやろう」

相も変わらず最後の最後まで我を突き通す都城王土を見て、結標淡希は面白そうに眩しそうに羨ましそうにクスリと笑う。

「…ね。 普通、こーゆー時はさ。 俺もここに残る!とか。 また会おう!とか言うべきなんじゃないの?」

そう言って笑う結標淡希を見て、都城王土も笑う。

「おいおい。 なんだよ結標淡希。 俺にそんなことを言って欲しかったのか?」

だけど、そんな言葉は都城王土が口にすべき言葉でないのは判っている。
だから結標淡希は満面の笑みを浮かべて、こう答えるのだ。

「フフッ…全然! そんなのアンタには似合わないよね」

そして、トンッと軽く大地を蹴って。 
太陽のように巨大な男に別れを告げる。

「じゃあね“王土”。 私は忘れないよ。 都城王土という男を。 絶対に絶対に忘れないからね」

その言葉と共にゆっくりとカーテンが降りる。 舞台のどん帳が降りていく。
もうこれで終わりだ。
長い長い舞台が今この瞬間、完全に完璧に十全に終りを告げたのだ。

けれど…実はまだもう少しだけ。 カーテンコールが残っている。

上に出てた億泰のも見てみるわ俺

ん?

■翌日・とある病院

学園都市どころか世界で5本の指には入るだろうと言われている名医がいる病院の待合室。

なんとそこにはほっぺたに真っ赤なモミジを貼りつけて泣きそうな顔をしている上条当麻が!
そしてその隣に座っているのはツヤツヤとした幸せそうな顔のインデックスが!

昨夜の一戦は終わってからが大変だった。
急行した警備員《アンチスキル》に昏倒した男達の素性を事細かく説明するも信じてもらえそうになく。
どうしようと顔を見合わせた上条当麻達を救ったのは鉄装綴里だった。

御坂美琴と白井黒子の二人の少女と関わったことのあるメガネの警備員《アンチスキル》は事情をすべて聞いてくれて。
隊長の黄泉川先輩とは別行動をとっているので後日またお話を聞かせてもらうと思いますけど、と笑いながら信じてくれた。
そしてようやく4人の少年少女達は解放されたのだ。

で、上条当麻は傷を負った白井黒子のお見舞いに来たのだけれど。
運悪く不幸にも結果的に偶然白井黒子の着替えを覗いてしまうこととなり、まぁそれは当然ながら猛烈なビンタを喰らって部屋から閉めだされているのだ。

「あぁ…不幸だぁ…」

ボソリと呟く上条当麻を見てインデックスがポンポンと慰めるように肩を叩く。

「気落ちしちゃダメだよとーま? 諦めなければ道は開けるっていうのはどの宗教でもどの世界でも共通なんだよ?」

それを聞いて上条当麻は、この暴食シスターが…、とプルプル身体を震わせる。

最高級の特選和牛が3キログラム。
さすがに幾ら何でもインデックスは全部食べはしなかったけれども。
半分の1.5キロは平らげて、しかも残りの半分は生焼けだか黒焦げだか良くわからない状況で保存されていたのだ。

全食いより質わりィなおい

こ…これはいったいどういうことですかインデックスさん?と聞いてみれば。
ごめんね…とーまの為に一番美味しい状態で保存してあげたかったんだよ?と殊勝に言われてはそれ以上責めることもできない。

だから上条当麻のお腹は今日もモヤシでいっぱいだ。
そんなモヤシ臭い気がしなくもない溜め息を吐いたその時だった。


「おいおい、なんだ上条。 俺が来たというのにその腑抜けた顔は何事だ」


自信満々の男の声が病院の待合室に響く。

「え? …あ、都城…先輩?」

病院と都城王土という組み合わせがまるっきり似合わなくて、思わずそう問い返す上条当麻だが。

「うむ。 俺だ」

そう言って頷く金髪紅眼の男などこの世に二人といまい。

「なに。 正直なところ退屈でな。 いい暇潰しになりそうだから俺が来てやったのだ」

そう言って何が可笑しいのかクククと笑う都城王土の隣には当然行橋未造がいる。

「えへへ☆ 昔の王土なら『俺じゃなくておまえが来い』とでも言いそうだけどね☆」

そう言って行橋未造が可愛らしく笑った。
当然仮面はつけていない。
都城王土が隣にいるなら行橋未造は仮面で己を隠す必要がないのだ。

とーまのために半分とっといたんだよ
おかげでお腹ぺこぺこなんだよ
ごっはんーごっはんー!

あの王土さんが女の子とフラグを立てただと・・・!?

インデックスは家庭スキル0だからなあ

.
「クハハ 言っただろう行橋? 俺は常に進化して俺の限界を超えているからこその俺なのだ」

そう言って、都城王土が白井黒子の病室のドアをガラリと開けた。
その自信に満ちた動きを上条当麻は止めることも出来ず。

上条当麻は“下着姿”の白井黒子を目撃してしまい、退出を強制的に促されたけど。
体を拭いて着替えるのならそりゃ当然“下着も外さなけりゃ”ならないわけで。

つまり、都城王土の目の前には上半身裸の白井黒子がそこにいたのだ。

「…なっ!? なななななっっ!!!?」

上条当麻の耳には素っ頓狂な声が届く。
あぁご愁傷さまです…都城先輩、と上条当麻は心のなかで念仏を唱えるけれど。


「…おい白黒。 幾ら何でもその胸は薄すぎるだろうが。 前か後ろか判らんぞ? もう少し成長しろよ」


お茶でも飲んでいたら確実に吹き出していただろうすんごい無礼な言葉を都城王土は口にしたのだ。

「くぁwせdrftgyふじk!!!!!!!」

悲鳴をあげながらバッグやら携帯やら鉄矢やら枕やらゲコ太ストラップやら(この時は病室の中にいたもう一人の少女が悲鳴をあげた)で都城王土を攻撃する白井黒子だが。
それらすべてを都城王土は苦も無くヒョイヒョイと躱しながら笑う。

「なに、それだけ騒げるなら問題あるまい。 あぁ白黒よ。 おまえ“も”牛乳を飲むがいいぞ」

そう言うと都城王土は、もう用はすんだと言わんばかりに背を向けて白井黒子の病室から退出をしたのだ。

王土さん流石です

そんな都城王土を見てインデックスはポカンと口を開けたままの上条当麻の袖を引っ張った。

「…ね、とーま? 女の子の着替えを見て文句を言えちゃうってどうゆうことなの? なんだかわたしには全然判んないんだよ?」

「いやいやそんなの上条さんが判るわけないじゃありませんか…」

凄すぎませんかこの先輩? なんかもう着替え姿が気に食わなかったら逆に叱りつけそうな感じですよ?、と上条当麻は思っていたら。

「えへへ☆ そんなことはない…とは言い切れないけど多分ダイジョーブだと思うよ☆」

何故か行橋未造が上条当麻の心の声に返事をする。

「…ん? あれ今俺口に出してた?」

不思議そうに眉をひそめる上条当麻だが、それに返事はなく。
それどころかさらに不可解なことを行橋未造は口にした。

「ねっ! それよりさ。 あのゴーグルをかけた女の子。 えっと…御坂妹さん?だっけ?
 あの娘のとこに行くのはもうちょっと“待っててあげて”よね☆」

そう言って行橋未造は可愛らしいイタズラを仕掛けた子供のように笑ったのだ。

「は、はぁ…? 了解ですよ?」

時間は有り余っているし、どうせそこらに散乱した白井黒子の私物も自分が拾うんだろうし。
だから上条当麻はよく判らないけどもとりあえず生返事を返しておいた。
そう。 これは都城王土も知らない。
行橋未造が自分で決めて自分で誘導して自分でセッティングした“二人の少女”の再会なのだ。
だから誰にも邪魔してほしくはない。
道化師はロマンチックな出会いの時間を演出することだって得意なのだ。

行橋行橋うわあああああくんかくんかスーハースーハー

■とある病院・特別集中治療室

その病室にはベッドがなく、代わりにSF映画に出てきそうなカプセルがあった。
その中心でフワフワと浮かんでいるのは御坂妹だった。
絶対安静状態だというのに学園都市を駆け巡り、更には戦闘をしたせいで、今御坂妹はここから出ることが出来ない。

瞳を閉じてビスクドールのように液体の中に浮かんでいる御坂妹だが、側にある心電図からはしっかりとした鼓動を示すモニターがあった。

そしてその前には一人の少女が立っていた。

「最初は嫌がらせか冗談かと思っていたけれど…」

小さい呟きと共に強化ガラスの向こうにいる御坂妹の頬に触れるようにして手を伸ばす。
ウェーブ髪の少女の名前は布束砥信。

深い眠りについているのだろうか?
御坂妹はまぶたを閉じたまま液体に揺られている。

布束砥信は昨夜の事を思い出す。
自室にいたら突然携帯電話に謎のメールが飛び込んできたのだ。

宛先不明なだけでも怪しいというのに、文面は更に怪しかった。

【[残骸《レムナント》]?とかいうので“妹達《シスターズ》”のピンチ?かもしれないんだ☆ 暇だったらこっちにおいでよ☆】

たったそれだけの簡易なメッセージと添付された地図。
けれど気がつけば布束砥信は居ても立ってもいられず自室を飛び出したのだ。

みんな終わり近い空気読んでレス控え始めたな、という空気読まないレス。

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      i', i ヽ .|i  '       ´   |    ´ ,, `)'
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      ', \ \         /   .,'`ヽ、  ヽ ヾ`  , __、 ,.-,_ 、
    、、、∨  `  `'´ ̄  //    ∧i i    i .i'   i ・ ' =  'i  ヒ
     ゙゙>∨         //  /|. i .i   ∧ノi  「.| ‐| | ̄ 〉
   ‐-./ /\   > ´/ ,>´ i/| /i/|  イ〈〈´   i' '__´/i i=.`i.. ザ
   / ./     ̄ / ´     i/  / ./ i ヾ、´  ゛´__` ゛‐‐´
  ///       /i   / /     //--i i´     i i--! ̄-i . マ
  /' ヾ`ヽ、 ‐     |.|  .//´      ゝ-‐=〉ヽ     i i' ̄i i´
    |   \   i i  /      ,,,,/   〈、'     i i-‐´ /..  ズ
     |    \‐、 i i ,,、   ゝ-‐,/     〈ノ)   '--`-‐´
     i    _  ヾ、i i、ヽ/ -‐´-‐ _    ,ヽ.         ○  ケ
     i ゞ-‐‐‐-、、 i  ' ´  -‐/ ̄   ̄==‐ヽ,、      
.    i i|i  f勿 ヾi  ,,    "     《0》 // ヾ 、、__
>、  i i|i|i、-‐=≡ノ   ヾ    ` ‐-=≡///   ヾ≡'-‐'
´`ヽ、.i ´    i´              ゙゙      /

  \|      i、::::::::..                /-‐-‐=
    |      `i:::::::-‐                   / `
    i                             /`、
.     i                            ノ、 ii
.   ∧    __-‐=‐-、                /ヾ
     ∧    -'‐‐‐----ヽ‐、     i、      ´, 、ヽ-‐´
     ∧   ヾ  __     ``  .ノ `i   、  || > ´
     ∧   ` ̄ ̄         '-、  〈/  ̄|| // /
.      i                i  > 、 i::i ///

\   iヽ. i            _ -‐=´|     i´ i::i /
  `'`´ .ヽ '‐- = __  -‐=二 ̄   ,、__,-'     \`´/
      \ .|      ヽ ̄ ‐-'            \_/
         ∧|        `)

言われるがままに走ってみれば。
そこには確かに情報通り、謎の黒服達が倒れ伏している。

惨状の中、それでも誰一人死んでいないその様を見て[学習装置《テスタメント》]を監修した布束砥信は確信を深めた。

“彼女”は“妹達”は決して人の命を軽々しく扱わない。
命令ならばともかく、“彼女達”は己の意志で人を殺そうとは望んでいない。

そして更にはもう一つ。
この針の穴を通すような精密射撃は間違いない。
きっと絶対恐らく“彼女”だ。

だから布束砥信は追った。
逃げ出そうとする黒服の男を。
絶対にもう[実験]は再開させないしさせるつもりもない。

そして、今。
布束砥信はここにいる。
再び舞い込んできた謎のメールを信じてやってきたのだ。

「indeed あれが誰の仕業だろうと構いはしないわ …だってこんなに嬉しいんですもの」

そう言ってもう一度強化ガラスを撫でると布束砥信はその場より去る。
きっと“彼女”は自分のことを恨んでいるし、もしかしたら忘れているのかもしれない。

けれどそれでもいい。
自分は縁の下で支えるだけでいい。
きっと“妹達”には大事な人がもういるはずだ。

そう思って布束砥信は姿を消して、けれどそれを待っていたかのようにパチリと“彼女”が液体の中で目を開いたのだ。

.
「フッフッフ…甘いですね、とミサカは狸寝入りの上達っぷりを自画自賛します」

液体の中で御坂妹はにんまりと笑う。
けれどもその笑みはすぐに終わる。
液体をかき分けて、ゆっくりと布束砥信が触れた場所に手を当てた。

どれほど言葉をかけたかった。
どれほど感謝を伝えたかったか。
どれほど笑顔を見たかったか。
私は“妹達”はこんなに成長したのだと、どれほど言いたかったか。

だって布束砥信はある意味で親のような人なのだ。
今の自分達は布束砥信がいたからここにいるのだ。

けれどそれは伝えるのは今じゃない。
薄暗い部屋の中で、液体の中で浮かんでいる今じゃない。

布束砥信と会うのならば、それこそ“太陽”の日差しの下で出会うのが一番だろう。
だからここは我慢して、グッと言葉を飲み込んで、知らないフリをした。

どうやって声をかけてやりましょうか?と御坂妹はミサカネットワークで案を募集する。
スカートめくり! 後ろから目隠し! パンをくわえて曲がり角! 途端、大盛況に盛り上がる“妹達”による脳内会議。

そういえばあの金髪の男性と小さな子供は誰なんでしょう?ふと御坂妹はそう思う。
カッコイイのでは? 正直怖いです。 ちっちゃいお子さんがお気に入りです。 そんな思いを聞きつけてあっという間に脱線しだす会話は布束砥信の望む年相応の少女そのもの。

「どちらにしろ…きっとあの方達は敵ではないはずです、とミサカはそう思います」

そう呟いた御坂妹の意見には1万の“妹達”による満場一致の肯定が返ってきた。

■とある病院・個室

「あァ~…だりィ。 …よォそういやァヨミカワはどこ行ってンだァ?」

心底気怠そうな声がどうでもいいようにそう問を投げかける。
当然、この特徴的な声の主は一方通行《アクセラレータ》である。
そんな一方通行に返ってきたのは子供をたしなめるような打ち止め《ラストオーダー》の声だった。

「あ、今ネットワークを駆使して劇的な出会いを検索してるからあなたの相手はちょっと無理かもってミサカはミサカは言ってみる」

ヒクヒクと一方通行の頬が引き攣る。

「…あァァァ!? おいこらクソガキィィ!? 逆だろうがそりゃァ!!!」

同時に枕をぶん投げる音やキャイキャイとはしゃぐ音が響きだして。
そのうちようやくじゃれあうのに疲れたのだろうか、打ち止めがその問に答えだした。

「もぉーしょうがないなぁ。 ヨミカワは[科学結社]の連中から話を聞き出すために今も警備員《アンチスキル》本部にこもってるんだよ、とミサカはミサカは教えてあげる」

目の下にクマをつくってお肌の年齢がやばかったかも、とどうでもいい情報も一緒に伝えてくるがそれは無視。

「はァーン。 で、なァーンでそれがこんなに時間かかってるンだァ?」

なんとなく予測はつくけどそれでも一方通行は問いかける。

「んーとね。 まず[科学結社]のリーダーがとんでもない重症で話を聞き出すだけで一苦労なんだって、ってミサカはミサカはあなたの疑問に答えてあげる」

ゴミクズの癖に随分としぶといもンだなァと笑いそうになって、ふと打ち止めの言葉が気になった。

素敵やん

「…“まず”? つーこたァまだ他にもあるのかよ」

そう問う一方通行に打ち止めがコクンと頷いて、[残骸]の事件の本質を説明した。

「ヨミカワが言うには、[科学結社]の目的は要するに[残骸]に“超能力”を宿して学園都市に対抗したかったんだって、ってミサカはミサカはそのままあなたにお伝えしてみる」

そう、結局のところそれが[科学結社]の[組織]の[M000]の目的だった。
とどのつまりは“チカラ”への対抗手段を欲していただけだった。

[残骸]に“チカラ”を押しこめば絶対に制御ができる。
機械に意志はないのだから、“バケモノ”なんかよりも簡単に制御できる。
そうすれば学園都市にだけデカイ顔はさせない。

自分で手を汚す覚悟もない癖に“チカラ”だけを欲していた連中が[科学結社]と名乗っていたのだ。

「カッ! …くだらねェ」

どうでもいいと笑いながらゴロリと一方通行は布団に横になる。
結局はあいつらの自業自得だったっつーことだろ、と一方通行は笑う。

求めるならば奪われることもあるという“人間”の。 否、“生物”のルールを忘れたんだから同情の余地はない。

「つゥーかよォ… 退屈すぎてたまンねェよ。 おいクソガキ、なンか面白いことやってみろやァ」

そんな無理難題を打ち止めに一方通行が押し付けて。
それに返ってきたのはやっぱりタイミングのよすぎる“アイツ”の声だった。


「クハハ! 丁度良かったな一方通行《アクセラレータ》。 喜べ。 俺が来たのだ。 退屈なぞはさせんぞ」

黄土さん最初はめっちゃカリスマ性あふれてて
勇次郎と対峙しても勝てるくらい素敵だったのに・・・
小物化・・・

うん

堂々と怖じることも遠慮することもなく部屋に入ってきたのは都城王土である。

「……ンだよ。まァた“王土”かよ 随分とまァ、テメェも暇してンだなァ?」

そう言ってベッドに寝転がったまま挑発するように笑う一方通行。
けれどそれを聞いて都城王土も楽しそうに笑う。

「クハッ! こんな昼日中からベッドに寝転がってるおまえ言われたくはないわ」

それを聞いて一方通行がガバとベッドからその身体をおこす。

「あァ!? うっせェよコラァ! 別に好きでこうしてンじゃねェンだよォ!」

そしてポンポンと罵詈雑言と挑発が飛び交う中。
行橋未造と打ち止めはニコニコとその様を見ていた。

「あの一方通行があんなに楽しそうなのは初めて見たかもってミサカはミサカは親のような気持ちになって頷いてみる」

そう言って打ち止めが笑って。

「えへへ☆ そういえば高千穂君も言ってたなぁ。 『俺より強い奴がいるだけで嬉しい』ってね☆」

そう言って行橋未造が笑った。
しかし、ふと打ち止めがその言葉に気になって聞いてみることにした。

「あれ?ちょっと待って?この場合強い方ってどっちなの?ってミサカはミサカは答えを確信してるけども一応聞いてみる」

そう打ち止めに問われて。

「エヘヘ☆ おかしなことを言わないでよ。 そんなの当然決まってるじゃないか☆」

行橋未造が間髪いれずにそう答えて。
気がつけば行橋未造と打ち止めはメラメラと燃え盛って対立していた。

「そりゃまぁ?あなたの金髪さんも強いかもしれないけど?でもウチの一方通行のほうが絶対強いから、ってミサカはミサカは言い切ってみる!」

そう打ち止めが一方通行最強説を推せば。

「エヘヘ☆ そんな訳ないじゃないか☆ 王土は絶対者なんだから王土のほうが強いに決まってるよ☆」

行橋未造は都城王土絶対者説を推す。

そんな感じでガチンと額をぶつけて己が信じている人の強いところやカッコイイところを言い合ってるその姿を見て。

当の本人達の熱はそりゃもう完全に冷めていた。

今の議論の内容は一緒に何回お風呂に入ったのか?という議題になっていて、それがどうして強いのかという結論になるのかお互い判らぬまま言い争う。

「エヘヘ! お風呂に入るときにバスタオル巻いてるの? それならボクの勝ちだよ? だってボクは王土にならどこを見られても構わないんだからね☆」

えっへんと勝ち誇る行橋未造に打ち止めが懸命に抗議する。

「ち、違うから!あれは一線を超えるときはロマンチックなムードでって決めてるから巻いてただけであって!
 ミサカもミサカも別にどこを見られても構わないんだから!」

じゃあもう今からお風呂に入るから見ててよね!とか言い出しそうな打ち止めを見て一方通行がため息をつく。

「…おいコラなにコッパズカシイこと言ってンだァ? クソガキは黙ってろ」

その言葉と同時に打ち止めの顔面を枕で抑えつける一方通行。
ぷぎゅ!といった鼻声と共にバタバタと暴れる打ち止めの耳元で一方通行が叱る。

「おいコラテメェ。 これ以上変なこと言ったらよォ… マジもマジ、大マジで怒ンぞォ!?」

そう言われ、ようやく暴れるのをやめて打ち止めはコクンと枕と共に頷いた。

「チッ… 判りゃあいーンだよ判りゃあな」

そう言っておとなしくなった打ち止めの顔面から枕を放し、自分の枕と打ち止めの間にヨダレの橋ができてるのを見た一方通行がゲッ!と呻いて。
行橋未造も行橋未造で都城王土にたしなめられていた。

「おい行橋よ。 いい加減にしろ。 俺の従者であるおまえが俺と共に風呂にはいることなど何の自慢にもならんだろうが」

凄まじい理論でそう都城王土が行橋未造を叱れば。

「う、うん…ごめんね王土」

行橋未造はショボンとした顔で何故か謝る。
この場に第三者がいればそれこそ全力でもってブッ飛ばされるだろうそんな騒動も収まって。
ようやく、改めて一方通行と都城王土が対峙した。

「…で? 一体何しにきやがったンだァ“王土ォ”?」

そう問われて都城王土がようやくここに来た目的を口にする。


.
「なに、この俺は施しなど受けんのだ。 覚えているか“一方通行《アクセラレータ》”?」


【おい、一方通行《アクセラレータ》 忘れ物だぞ?】

地面に転がってるのは缶コーヒーがつまったコンビニ袋。

【…いらね どっかの馬鹿とやりあったおかげで充分目が覚めちまったンでなァ 欲しけりゃあくれてやンよ】


つまりはたったそれだけの理由だった。
都城王土が行橋未造の籠のようなリュックから“ソレ”を取り出して、ドン!とサイドテーブルに置く。

けれど“ソレ”は缶コーヒーではない。
都城王土はニヤリと口を歪めてこう言った。

「俺が見るに、どうもおまえは生っちろい。 きっとカルシウムが足りてないのだ」

何せちょっとばかり唇が切れただけで涙ぐむのだからな、と都城王土は意地が悪そうに笑う。

サイドテーブルに置かれているのは牛乳だった。
愛飲家は多く、どこぞの巨乳でメガネな風紀委員《ジャッジメント》もそれを飲むのは欠かさない。

一方通行はテーブルに置かれた“ムサシノ牛乳”を見て、プルプルと肩を震わせて。

「テメェこら“王土”ォォッッ!! 今ここでぶっ殺すぞコラァァァァ!!」

枕をぶん投げて都城王土を追い返した。

なんでコテつけたん?

コテつけんのかつけないのかどっちかにしろし

そろそろ次スレだし記憶させておこうという魂胆だろ

このスレで終わりじゃね?

え?
このスレで完結しないの?

■とある病院・個室

「おお怖い怖い。 何もあんなに怒る必要もないだろうが。 なぁ行橋?」

そう笑いながら都城王土が歩く。

「エヘヘ☆ あれはまぁ怒ってもしょうがないと思うよ☆」

トテトテと都城王土の後ろを歩きながら面白そうに行橋未造が笑う。

結局、一方通行は完全にへそを曲げてもう話そうともしなかった。
けれど“ムサシノ牛乳”を投げつけなかったところを見れば、きっと今日か明日にでも飲むのだろう。

ならばまぁそれでもよいか、と都城王土は思った。

そんな都城王土の後ろに付いていく行橋未造はふと思った。
今、都城王土は何処に向かっているのだ?
もう都城王土は都城王土と関わった人間全員と話をして触れ合ったはずだ。

ここにいる人間を行橋未造は見たことがない。
そして都城王土はある病室の前に立ち止まり自分の部屋のように遠慮なくその中に足を踏み入れながらこう言ったのだ。


    「この俺が来てやったのだ。 まさか忘れたなどとは言わせんぞ?」


【じゃあね“王土”。 私は忘れないよ。 都城王土という男を。 絶対に絶対に忘れないからね】


そこには苦笑をして都城王土を迎える結標淡希がいた。

これで完全に終わりだぁぁぁ



>>926-929
ミス
何故かgoogleIMEからマイクロソフトIMEになってそのまま書き込んじまっただけ。
予測変換にtab使ってるんだよう

乙!今回も面白かった!

乙かれ

え、このスレで終わりって意味じゃなく>>931で終わりってこと?

おつう

完走乙
めだか嫌いだから打ち切り願ってる俺だが内容は面白かったよ

GEPに残したという億泰とかアーカードの完結版も待ってるんだからねッ!

乙!面白かった!

もう終わりか…
乙っした!



ずっとROMでめだかしか知らなかったが面白かった!

>>935
その通りですはい。
とりあえず[残骸]編に関してはまぁこんな終わり方がいちばんキレイかなと。


いつ書けるかわかんないけど嘘予告でいいなら1レスいっとくかい?

乙としか言いようがない。

この王土さんなら球磨川でさえ何とかできそうだ…


これは面白かった

うおおおおおおっ乙!


めだか全巻揃えてくるか・・・

>>941
マジでか とにかくお疲れ
予告は見たいぜ

今まだ読み途中だから1000までうめるなよ

先に一乙

これのまとめとかあるの?

『いやぁ面白かったよ』
『僕も学園都市に行きたいね』

>>951
つ【2書館】


面白かった!

『上条くんの幻想殺しと僕の大嘘憑き、どちらが強いのかな?』

○予告!(未定)

大覇星祭。
それは学園都市で行われる超大規模な体育祭の名称である。
能力を駆使した学生達の熱血バトル!
燃える魔球や凍る魔球、消える魔球は当たり前。

そして優勝候補の長点上機学園は今年も絶対の自信をもっていた。
なんせよりにもよって今年は三人の強力な男女がいる。

知略の布束砥信。 肝略の行橋未造。 そして絶対者の都城王土が率いる長点上機学園!

それに立ち向かうは上条当麻率いるとある高校、更には御坂美琴率いる常盤台中学が!
佐天涙子や初春飾利が率いる柵川中学だって黙っちゃいない!

更には一方通行がこっそり覗きに来てたり。
御坂妹が布束砥信と劇的な再会を虎視眈々と狙っていたり。
チアガール姿のインデックスを見て行橋未造が対抗心を燃やしたり!

それだけでも大変なのに、今度は魔術側も関わってくるから上条当麻は超大変。
「刺突杭剣」と呼ばれる聖人を殺す霊装を巡って都市に潜入したシスターと運び屋とのバトル!

そしてやっぱり当然ながらそれを知った都城王土は黙っちゃいない。
俺の知らないところで俺が知らないことをするなとばかりに事態に関わったからもうやばい!!

次回!

 「ねぇねぇなんで結標淡希さんはお弁当を2つ用意してるんですか?」

予定は未定!

>>956
『wktk』

>>956
おいはやくしろ
wktkが止まらん

それまだー?

>>956
ドキがムネムネ

《ハハハッ 人生、否、これだからココは辞められんな。素敵な出会いをくれた運命に、同じく感動を分かち合えた皆と、退屈な日時を劇的な刺激に変えてくれた1にひたすらなまでに感謝しよう》
『とでも言っておけばいいかな?』
『まあでも、そんな気分だから上げておいてやろう』



先生、休んでいる暇なんてありませんよ!
読者が待っているんですから!

おもしろすぎですた乙

おつおつ!!王土△
ところで行橋は男なんですか女なんですかどっちなんですか
そして何歳なんですか

>>964
年は言ってたぞ
御坂に敬語使わせたくだり

黄土誰か倒した?誰かkwsk

>>946 男の娘だろ

デビル面白かったぜ乙

埋める

あと数十レスだしどうせなら何か意見とかくれたらうれしいかも。

意見なら内容に関しては別に何でもいいす。

>>1
原作尊重とかそこらへんどう考えてんの?

あと億康とアーカード以外で書いてきたSSあるなら教えて

次が年跨ぐかどうかだけ教えてほしい

めだかボックス、禁書両作品で好きなおっぱいを教えて欲しい
何人でも構わない

>>972
一応これでも最大限の尊重はしてるつもりす。
ただどうしても来訪って形のクロスだと、パワーバランス的に来訪者が強くなっちゃうんだよね。
やってきて即死亡即敗北ってつまらないし、それだとクロスする意味が無い気がするす。

億泰禁書、アーカード禁書以外のSSは
VIPに限って言えば、DIOvsアーカード。 佐天とサガット。 禁書と承太郎。 くらいだと思う。
あと外部で咲とアカギ。

タイトルはもうどれも全部覚えていないんでネット上から消えてるかもしれん。

>>973
ぶっちゃけ余裕で年越すと思う。
この展開を細部まで詰めて考えるだけで1週間くらいかかったし。大覇星祭とか何人出てくるんだよwwwww
しかも億泰の書きなおしとかアーカードさんのエピローグとかあるわけでもうあれだ。
察して。

>>974
禁書でいうなら長点上機学園の制服をきた布束一択。
めだかは…鍋島? あいつらおっぱい風船だからあんま好きなのはないす

一方さんが長点上機に入学するのはいつだっけ?

いちおつ

こういう良作をきっかけにめだか読者が増えますように!

億泰
http://2syokan.blog.shinobi.jp/Entry/984/

アーカード
http://2syokan.blog.shinobi.jp/Entry/997/

サガット
http://punpunpun.blog107.fc2.com/blog-entry-1890.html

DIO×アーカード
http://slpy.blog65.fc2.com/blog-entry-2015.html

やるじゃない(ニコッ

製作速報とかでスレ建てだけでも告知が欲しいです先生
このスレみたいに雑談で潰れそうなときも誘導できるし
そういうのはお嫌いですかえ?

>>976
SSだから15巻くらいじゃなかったっけ?

>>978
うんやっぱ昔の文章読むとめちゃくちゃ恥ずかしいね

>>980
把握把握
あお都城のSSはGEPで予告したよ!よ!
億泰とか旦那もGEPに立てるときは告知するよ!よ!

>>981
そうか、このSSには関係してこないんだな・・・

作品一つ書くのにどれくらいかけてる?後めだかと禁書の中で何の能力が一番好きか教えてください

>>982
えーと俺が勘違いしてた。
これは8巻の焼き直し改変クロスで一通が長点に入学するのは13巻くらい。

でSSっていうの多分勘違いしてるかも。
サイドストーリーとかの略であって俺が書いたこれとは全く関係ないよ。

『サwガwッwトwww』

>>983
VIPに立てるときは短編以外基本的にその場のノリで書くから何とも・・・
おまかな粗筋と見せ場の文、あとは冒頭の文は大体先に作ってたりはする。
でも行数調整とか意見レスや突っ込みレスとか見たりして改変してるから結局あんま意味が無いwwwwww
これは100KBくらい書きためあったけど、殆どが手をくわえ直してる。だから余計に「てにをは」が酷いっていう。

能力は…実はよく把握してないですサーセンwwwwww
神々の黄昏は便利そうだ

>>985
マジおまえサガット様馬鹿にしたら前キャンデヨッだけでフルボッコすんぞ

王土△
めだか本編でも再登場してくれよ!


面白かったよ

フレンダvs枯れた樹海とか見てみたい

上条さんが江迎ちゃんにストーキングされるのを・・・やっぱなんでもない

>>1
激しく乙!
主役陣が俺得すぎる人選で泣いた

>>991
右手は繋げるわけですね、わかりmす

江迎ちゃんとかの過負荷ってあれは異能になるんだろうか
上条さんが異能だと思って右手で触ったら腐ったりしないだろうか…

>>994
世界観が違うからコラボする人のさじ加減

江迎ちゃんや高千穂先輩・都城先輩とかのは(というか異常や過負荷のほとんどは)、いわゆる“特異体質”の部類だと思うんだが。
雲仙先輩や宗像先輩のは思考力・性癖的な異常だろうけど。
言っちまえばアレルギーなんかと同じじゃね。
上条さんの右手じゃ消せないだろう。

『幻想殺し?』
『ダメ。ダメだよ上条くん』
『これは紛れもない現実さ』

高千穂先輩や行橋やら古賀ちゃんやらみたいに自己完結してる系は特異体質で説明つきそうだけど
外界に影響を及ぼす能力は無理だろ
都城△なんかまんま電撃能力者だし

おつっした

1000なら来期改編で掲載順フォークボールかましてめだか打ち切り

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