田所恵「創真くんにお礼がしたい」(918)


恵「創真くんには、いっつも助けてもらっているから…私に何かできないかなあ…」

恵「できる事といったら、…うーん……」

恵「…そうだ。また、おにぎりを作ろうかな。…そ、創真くん、美味しいって言ってくれたし」テレッ

恵「……へへへぇ」

ソーマ「何やってんだ、田所。何か作んのか?」

恵「うひょおい!!?」ビックゥッ



(※食戟のソーマ ネタ)


恵「そっそっ創真くん!!なして此処にいるんだべ!?」ドキドキ

ソーマ「いや…廊下だし。移動するために通るだろ」

ソーマ「したら、なんか田所が一人でブツブツ呟きながら突っ立っていたから」

恵「あわわわわ」


ソーマ「で?何か作るのか?おにぎりとか呟いていたけど」

恵「ど、どこから聞こえてたの…」

ソーマ「また作るんなら、俺にも食わせてくれよ」

ソーマ「お前が寮で作ったおにぎり、本当に美味かったもんな」ニッ

恵「あうあうあわわわわ!!!」

ソーマ「…熱でもあんの?顔、すげえ真っ赤だぞ」


恵「だっだっだっ…大丈夫!!大丈夫だから!!」

恵「あ、あの!作る!おにぎり!私!創真くん!!おにぎり!食べる!!?」

ソーマ「なんでカタコトなんだ」

ソーマ「丁度腹も減っていたし。作ってくれんなら、是非」

恵「まままままままままままま」

恵「任せて!!!!!!!!!!!?」

ソーマ「や…少し落ち着け」


ソーマ「ほらほら、深呼吸深呼吸」

恵「ううう」スーハースーハー

ソーマ「吸ってー吐いてー吸ってー吐いてー」

恵「 」スーハースーハー


ヒナコ「…吸ってー吸ってー吸ってー吸ってー」

恵「…うぐぐぐ!!?」スースースースー

恵「」ドサッ

ソーマ「田所おぉっ!!?」


ヒナコ「うふふふ、本当に可愛いですね、私の恵ちゃんは……」スタスタ


ソーマ「もう本当に大丈夫なのか?田所」

恵「だ…大丈夫……ごめんね、創真くん…」ハァハァ

恵(また迷惑かけちゃった…気絶して介抱してもらうとか……)

恵(が、頑張らなきゃ。おにぎり作って、創真くんに喜んでもらおう。私のお詫びの気持ち、伝えなきゃ……創真くん、創真くん……)

恵「…え、えっと。まず、ご飯を炊いて……」


ソーマ「具材は?何か手伝うか?」

恵「そぉい!!!!!」ドンガラガッシャン!!!


恵「創真くん!!なんで!?なんで一緒についてくるの!?」

ソーマ「え、いや…田所、まだフラフラしていたし」

ソーマ「今も調理台に頭から突っ込んだりして、危なっかしいから。何か手伝おうかと思って…」

恵「も、も、もう!!!大丈夫だから!!創真くんはあっち行ってて~!!」グイグイ

恵「できたら運んでいくからぁ~っ!!」グイグイ

ソーマ「お…おぉ?」


恵「よ…よ…よしっ…こ、今度こそ」スーハースーハー

恵「…お米の美味しさを際立たせる、シンプルなおにぎりにしよ…」

恵「あとは…お味噌汁も、作ろうかな……」

恵「………」


恵「…創真くん……喜んでくれるかなあ…」

恵「あんなにすごい人なんだもん。私の料理なんかじゃ…」

恵「美味しいって言ってくれたのも…、…私に気を使ってくれたのかもしれないし……」

恵「…うう」グスッ



ヒナコ「ハァハァハァハァ私の恵ちゃん健気可愛いハァハァ」

恵「………」

恵「…美味しくなあれ、美味しくなあれ」

恵「お米さん、もっともっと、美味しくなあれ」

恵「私の気持ちを、創真くんに届けて」

恵「…お米さん、お味噌さん……みんなみんな、美味しくなあれ」

恵「…創真くん……」



ヒナコ「(●rec)」ジーッ

四宮「…お前はそこで何をやっているんだ、ヒナコ」


恵「…で…できた」

恵「よ…ようし。あとは、容器に詰めて…創真くんに届けるだけだべ…」

恵「創真くん…!」タタッ


ソーマ「お?田所。できたのか?おにぎり」

恵「う、うん!創真くん!食べて、私の……」


ヒナコ「せいっ!!」ビンッ

恵「ぎゃあっ!!?」ガッ

恵(なんでこんなところにロープが~ッ!!?足、引っ掛かって……転ぶ…!!!)

ガシッ


恵「………!!!」

恵「…あ…あ、あれ…?こ、転んで……ない?」

ソーマ「…っぶねー、なんで急にロープが突っ張ったんだ…?」

恵「フオオオオォォォ!!!??!?!??」

恵(ぎゃあああああああ!!!そそそ創真くんが!!創真くんが!!わわわ私を抱き止めて!!!ぎゃああああああー!!!)


ヒナコ「恵ちゃんの幸せは私の幸せ……ううっ、だけどツラい…ツラいわっ、私の恵ちゃんが男に抱えられている姿なんて!」

四宮「…お前はつくづく気持ち悪い女だな」


ソーマ「うん…ちょっとだけ寄れちまっているが、おにぎりは無事だ。容器の蓋がしっかり閉まっていたから」

恵「 」アウアウ

ソーマ「あ、味噌汁も作ってくれたのか?これも魔法瓶から零れてない、な…ありがとよっ、田所!」

ソーマ「そこのベンチに座って食うかー…田所?おい、田所?大丈夫か?頭でもぶつけたのか?」

恵「 」アウアウ

恵「…はっ!?……だ…大丈夫!創真くんが、転ぶ前に私を抱き止めてくれたから…抱き止め……」

恵「 」ブシュー



ヒナコ「煙吹き出そうなほど真っ赤になって照れる恵ちゃんペロペロ」


恵「………」ドキドキ

ソーマ「 」モグモグ

ソーマ「 」ゴク

恵「…ど……ど、どうかな…創真、くん……」

恵「美味しい…かな……」

恵「それとも…やっぱり、私の料理、じゃ……」

ソーマ「うん?スゲー美味かったぜ?」


ソーマ「これは、お前にしか作れない味だよな」

ソーマ「暖かくて、優しくて、喜んでほしいって気持ちが詰まっている」

ソーマ「ホッとする…これから1日頑張ろうとか、今日も1日頑張ったなーとか、そんな安心感の生まれる味だ」

ソーマ「俺、好きだな。お前の作る飯」

恵「ほ、本当!?本当に!?よ…良かったあ~…喜んで、もらえて……へへ、すごく嬉しい…」ホッ

ソーマ「おう。この味噌汁も、いい味してる」


ソーマ「この味噌汁だったら、毎朝毎日でも飲みたいって思うわ」

恵「えへへ、創真くんが喜んでくれるなら、毎朝毎日でも、いくらでも作っちゃうよ」

恵「………」

恵「…あれ?味噌汁、毎朝……なんか、それって典型的な、プロポー………」

恵「………」

恵「プロポ………プロポーション!!!!!」クワッ

ソーマ「!!?」

恵「ななななななないないないないそんなことないないない!!!!」

恵「私が勘違いしただけだべ~っ!!!違うようっ、そんなんじゃない、私なんか…私になんか……」

ソーマ「…???と、とりあえず、味噌汁でも飲んで落ち着けよ……」


恵(ああ、でも……)


ソーマ「あ。ほら、見てみろ!田所!」

ソーマ「月が、綺麗だな」


恵(田所恵 高校一年生…  至福の時です…!!)


おわり。

本誌キャラ使ってる事書き忘れました、すいません。

ソーマわかる人がいた!

エロ書く


恵「創真くんにお礼がしたい」

恵「創真くんには、いっつも助けてもらっているから…私に何かできないかなあ…」

恵「できる事といったら、…うーん……」



ソーマ「……本当に、いいのか?田所…」ギシッ

恵「う……うんっ…」

恵「私には…こんな事しか、できないからっ…」

恵「創真、くん……い、いつも、私を助けてくれてありがとう…」

恵「お礼に、よ、良かったら………わ、私を……私を…」

恵「………ううう~…!(は、恥ずかしくて…言えないよおぉ…!!)」


ソーマ「………」

ソーマ「大丈夫だって、田所」ギュッ

恵「!!!??!?!!?」

恵(そ……創真くんが!!創真くんが!!わわわ私を抱き締めて…あわわわわ!!!)

ソーマ「お前が欲しいタイミングを読んで、最高の調理をしてやるから」

ソーマ「だから俺に任せてくださいよ、料理長」ニッ

恵「そ…創真くんっ…!」


恵「…う……ご、ごめんね、創真くんっ……私、私…胸、小さくて…」

ソーマ「気にするなって。この張りと艶、弾力、最高級品だ」チュッ チュパ

恵「はぅっ…!」ビクン

恵(ああ…私、今…創真くんにおっぱい吸われちゃってる……)

恵(恥ずかしいよぉっ…!顔、見られない…見られたくない…!!)

恵(や…やだあぁ……!乳首、噛まれてるべさっ!!)

恵「んあっ……!や、やだあっ…」ビクン

ソーマ「と…、すまねー、加減を間違えたか…?」チュッ


恵「………」ハァハァ

恵(うそ……私、声に出しちゃってた…?)

恵(は…恥ずかしい……っ!!なんて、はしたないんだろう…)

ソーマ「…大丈夫か、田所。悪い、やっぱり怖いよな?やめておくか」

恵「!!!」

恵「だ…だめっ!や、や…やめなくて、いいよぉっ」

恵「わ、私…私…創真くんにお礼がしたいから……」

恵「いつも、私に勇気をくれる創真くんが…創真くんの事が…私……!」


ソーマ「………」

ソーマ「よしよし」ナデナデ

恵「ふえっ?…そ、創真くん……」

恵「………」

恵「………えへへ…頭、撫でてもらうの…すっごく、安心できる…」


恵「創真くんの手は、魔法の手だね…」

恵「美味しい料理を作れたり、緊張を吹き飛ばしてくれたり……今も、私を…安心させてくれたり…」

恵「………手だけじゃなく、私は……私は…」

ソーマ「田所……」

恵「…えへへぇ」ギュッ

恵「もう……大丈夫だよ。創真くん…」


恵「さっきの…き、気持ち良かったの……」

恵「でも、初めてだったから…知らない自分が見えて、だから、怖くなって、よくわからなくなって……」

恵「でも、もう大丈夫だから…」

恵「私も、創真くんを…き、気持ち良く……してあげたい」

恵「どうやれば……いいのかな…?」


ソーマ「…無理はするなよ?嫌だったら、すぐに止めていいから」

恵「だ…大丈夫!大丈夫、やれるよ!できるよ!」

恵「………」ドキドキ

恵(これが…創真くんの、お、おちん……あわわわわ…!!)

恵(……おっきい…)

恵(は…入る、かな……口に…)


恵(…え…ええい!!やるの!私!!創真くんを気持ち良くさせて、お礼をするの!)

恵「 」パクッ

ソーマ「っ…」

恵「ん…んんっ」チュ チュウ

恵(や…やっぱり、ダメだ……先っぽくらいしか、口に入らない)チュッ チュッ

恵(それに、味が……今までなかった味…むせちゃう、でも、そんな事したら、創真くんが嫌な気持ちになるかも…!)チュウッ

恵(我慢しなきゃ…!我慢、…しなきゃ、なのに……!!)プルプル

ソーマ「…田所っ!」グイ


恵「んっ!…けほっ、けほ!!…はぁ、はぁ…そ、創真くん……」

恵「なんで…?なんで、逃げちゃうの?私が、下手だったから…?」

恵「ご、ご、ごめんなさい…でも、次はむせたりしないから…大丈夫だから」

ソーマ「田所……」

ソーマ「けど、お前が苦しそうにしているのは、俺も見たかねぇよ」


恵「うぅ……」ションボリ

恵(味……味さえ、どうにかなればいいんだけどな…)

ソーマ「やっぱりやめておこうぜ?今日はここまでに…」

恵「……ううんっ!創真くん!私、思いついた事があるの!」

恵「…あのね……、…っていうレシピで作ろうと思うんだけど…ど、どうかな…?」

ソーマ「………」

ソーマ「…うん、面白いっ」

恵「ほ!ほんと!?本当!?」


恵「そう、味さえ変わればいいんだから…」

恵「なめらかに、それでいて甘く、舐めやすく……」トローリ

恵「……できたっ」

ソーマ「生クリームや蜂蜜をかけて、スイーツ( )フェラ!」

ソーマ「賞味期限は短いぜ?乾かないうちに、さあ…田所」

恵「…創真くん……」ゴクリ


ソーマ「…おあがりよっ」


恵「……うわわあああああーっ!!???」ガバッ

恵「ハァハァ……あ…、ゆ…夢……?」ドキドキ

恵「…わ…わ、わ、私ってば!!私ってば、なんて夢を見てるだ~!!」

恵「もううぅっ!!バカバカ!!私のバカぁ~!!」ジタバタ

恵「………」

恵「…あっ……や、やだあ…パンツ濡れてる…ううう~…」


恵「はあ……」トボトボ

ソーマ「よお。はようさん、田所」

恵「ぎゃああああっ!!?」ダダダッ

ソーマ「あっ!?おい、田所!?なんで逃げんだよ、田所ーっ!!?」

恵「ごごごごめんなさい!ごめんなさい創真くん!あと、おはようーっ!!!」ダダダダッ

恵(あああ…あんな夢見たから、恥ずかしくって、まともに顔見られないよ~!!)


ソーマ「…なんなんだ、田所のやつ…」

ソーマ「………」

ソーマ「…やっぱり、顔に出てたのかな。今朝、あんな夢見た直後だし…俺が田所と……」

ソーマ「………やべ、思い出したら…便所行こ…」


おわり。

最近の展開が熱すぎて燃えるし恵ちゃん可愛いし。本誌だけでしか読んでないから、単行本二巻目出たら買って、また改めてなんか書く。
スレ開いてくれてありがとう。

だらだらとありきたりなものしか書けないし、規制とかも怖いから、こっちでのんびりやっていくよー。早く職人降臨しないかな。


ドタバタドタ!!

恵「そっ創真くん!!風邪ひいたって……本当!?」バターン

ソーマ「よー、田所。見舞いに来てくれたのか?」

ソーマ「風邪っつったって、大した事ねーよ。熱もそんなに出てないし、寝てりゃ治る」

恵「だ、ダメだよぉ…風邪は油断が一番の敵なんだから…!」オロオロ

恵「あ…そ、そうだ!私!卵酒作ってくるね?」


ソーマ「そんな大袈裟な…周りにうつさないよう、1日様子見で休んだだけだってのに」

恵「いいから!創真くんは寝てて!ちゃんと布団かけて、あ、薬は?薬は飲んだ?あっあ…は、早く卵酒作ってくるから」オロオロ

ソーマ「だから落ち着けって。火傷とかするんじゃねーぞ?」

恵(不謹慎だけど…いつも私を助けてくれる創真くんへ、お礼するチャンス!が…頑張ろう!)


恵「……アルコールはしっかり飛ばして…それから……」

ヒナコ「あら?恵ちゃん、何を作っているの?」

恵「ひゃ!…あ、あの…創真くんが風邪をひいたから…卵酒を作ろうと思って…」

恵「私達、未成年ですから。お酒はなくして、体の暖まる、それでいて飲みやすさを重視に置こうと…」


ヒナコ「へえ~、確かにこれなら小さな子でも安心して飲めそうですね」

ヒナコ「…卵酒を上手に作れる女の子って、いい……恵ちゃんの気遣いと愛情が一心に詰まった作品か…羨ましいですね」

恵「あ、あの…多目に作ってますから、一杯いかがですか…?」

ヒナコ「あら、いいんですか?じゃあ口移しで」

恵「はいぃ!?」


ヒナコ「あらあらうふふ、冗談ですよ、冗談」

恵(この人が言うと、なんか冗談に聞こえない…)

ヒナコ「別に冗談じゃなくても、私はウェルカムですけどね!!!!!!」

恵「 」ビクッ

ヒナコ「私も風邪をひこうかなぁ~、恵ちゃんに看病してもらえるなら…」

ヒナコ「勿論、卵酒だけでなく、体を拭いてもらったりとか…ああっ恵ちゃん!貴方の綺麗な指が私のイケナイ部分に触れているわ!みたいな…」ハァハァ

恵(は、早く創真くんのところへ戻ろ…)コソコソ

ヒナコ「それでね、極めつけは、やっぱりチューよね~、チュー」


ヒナコ「うふふ、風邪で苦しむ私を助けるために、チューで風邪をうつして、と……唇も風邪菌も奪う健気だけど小悪魔な恵ちゃん!私の恵ちゃんマジ可愛い!!」

ヒナコ「…いや……むしろその役は私が担うべき?風邪をうつした詫びにと、再び恵ちゃんと接触できる機会が増えるなら!」ハッ

ヒナコ「…ねえ、恵ちゃん?ひとつ、風邪をひいてみる気はない?………あ、あら?恵ちゃん?恵ちゃん?どこに行ったの?」

四宮「本当、1人で楽しそうなお花畑女だな、お前。キモいぞ」ニヤニヤ

ヒナコ「 」チッ!!

ヒナコ「私の恵ちゃんー!どこー!?」

四宮「お前、今 隠しもせず舌打ちしたろ!?」


恵「…創真くん!卵酒できたよ、……あ、あれ?創真くん?」

ソーマ「zzz」

恵「寝ちゃったのかあ…起こしちゃ悪いね、静かにしていよう」

恵「…結構、汗かいている…起きたら着替えもした方がいいね」フキフキ


恵「冷やしたタオルも乾いちゃってるから、取り替えて……」

恵「………」

恵「…も、もう…あの人が変な話をするから、なんだか意識しちゃうな……」

恵「………」


恵「…わ……私に…創真くんの風邪を、うつしてもらえば…」ドキドキ

恵「創真くんは、楽になる……」ドキドキ

恵「創真くん……」

ソーマ「………」


チュッ


恵「~~~ッッ!!」ドキドキ

恵(…お……おでこ、おでこが精一杯だぁ…)ドキドキドキ

恵(…創真くんのおでこ、熱かったな…やっぱり、熱あるんだ。ふざけてる場合じゃない、ちゃんと看病しなきゃ)

恵「…ごめんね、創真くん」

ソーマ「………」


小一時間後

ソーマ「…うーん…」

恵「あ!創真くん、目が覚めた?大丈夫?」

ソーマ「おー…田所。はようさん。ん、少し寝たらちょっとは楽になったかな」

恵「良かったあ…!あ、そうだ、卵酒!冷めちゃったから、温め直してくるね?」

ソーマ「おう、サンキュー」


ソーマ「………」

ソーマ「知ってっか?田所…」

ソーマ「寝たフリって、結構しんどいんだぜ」

ソーマ(あー、…すげぇ恥ずかしい)

ソーマ「……あいつが戻ってくる前に、着替えちまお……」



おわり。


スレ開いてくれてありがとう。

というか単行本がない。本屋3件覗いたが在庫がない。これだから田舎は…
鬱憤晴らしに来た。


ソーマ「…なーんか面倒臭いよな、このレシピまとめレポートとかって」

ソーマ「確かに様々なレシピを勉強すんのは楽しいんだけどよ?文章に起こしてまとめ上げて…って作業が、どうにも」

恵「…創真くんの言いたい事は、なんとなくわかるけど…でも、真面目にやらなきゃ。ね?こ、これだって…進級評価に関わる、大事なレポートなんだから…」

恵(進級…進級に関わる……真面目にやらなきゃ~退学はいやだ…)

ソーマ「紙に書き写すより、実際に作ってみたいんだよなー…」ブツブツ


ソーマ「例えば、この煮込み料理なんかさ…田所、お前が得意そうじゃん」

恵「どれ?どれ?……あ、う、うん。野菜を中心にしたものだね。今度挑戦してみたいな」

ソーマ「でもよ、このレシピ通りじゃなく、例えばここを…こうアレンジすれば……」

恵「あ…成程~、これなら時間短縮できる上に、味もより引き立てられ、………」フワ

恵(……あ、あれ?なんか………創真くんと距離が、近いような…)


ソーマ「だろ?あとさ、こっちのレシピも……」

恵「!!!!!!」

恵(き…気のせいじゃなかったあ~!!ちちち近い!近いよっ創真くん!いっいっ今にも、おでこ同士ぶつかりそうなくらい近いよ!!??)ドキドキ

恵(わ、わわわ…ダメ、ダメだ!集中しなきゃだよ、私!折角創真くんが色々教えてくれているのに…!真面目にやらなきゃ…!!)

恵(…あああ…あうぁ~、でも、ダメ、集中しようとすればするほど…気になって仕方ないよ~!!)


コツッ

恵「ひゃんっ!!?」ビクッン

ソーマ「あ、悪ぃ。膝がぶつかっちまった」

恵「 」ドキドキバクバク

ソーマ「…田所?おい、田所?なに呆けてんのお前、軽くぶつかったくらいと思ったんだが…そんなに痛かったか?」

恵「だ………だだだ大丈夫、大丈夫!大丈夫!!!大丈夫だよ!!?」

恵(落ち着け…落ち着けぇ私……創真くんをビックリさせてどうするの…)


ソーマ「…?まあ、痛くなかったんならいいけどよ」

ソーマ「んで、レシピの話なんだが…」

恵「う、う、うんっ……」ドキドキ

恵「………」

恵(創真くんって…意外と睫毛長いんだな~…)

恵(そういえば、顔に傷があるけど…これはどうしたんだろ?今度、聞いてみたいな…)


ソーマ「~~で、…だからここを…~」

恵「うん、うん…(創真くんの話って、ためになるなあ…メモしていこう…)」カリカリ

ソーマ「………」

恵「………」カリカリ

ソーマ「 」クイッ

恵「ひきゃ!!?……い、いきなりなにすんだあ、創真くんっ!髪さ引っ張って、べっくらこくでねか!」

ソーマ「…ははっ、だってよ、田所がなんか真面目だったからさー」

恵「真面目で何が悪いの!?もぉー、子供みたいなことしないでよー!本当にビックリしたんだから…」


ソーマ「つーか、また出たな、方言」

恵「そ…創真くんが驚かしたからなのにー!笑わないでよ~…!」

ソーマ「悪ぃ悪ぃ、なんとなく、なんつーか…」

恵「……、…な、なに?」

ソーマ「…なんでもねーわ」ナデナデ

恵「わ…、ちょ、ちょっと、創真くんっ…髪がくしゃくしゃになっちゃうよ…」


恵(…あ…でも、すごく恥ずかしいけど……なんか、すごく…嬉しい、かも)

恵(頭撫でてもらうのとか、何年ぶりかなあ…)

ソーマ「………」

恵「……えへへ」テレッ

ソーマ(田所って、髪柔らけーな。いい匂いもするし…)


恵「…私、創真くんの手が本当に好きだぁ~…」

ソーマ「!?」

恵「でも、手だけじゃないよ?何しでかすかわからないところは正直、ハラハラしちゃうけど…」

恵「私に…勇気をくれたり、色んな、色んな気持ちをくれる創真くんが…私は……」


恵「………って、…あれ?私…今、何を言って…」ハッ


ソーマ「田所…お前」

恵「 」

恵「………ち…」

恵「ち、ち、違っ!!違うの、違うの!!いいいい今のは忘れて!?違うの!!」

恵(油断しすぎたあぁ~!!撫でてもらって、気が緩んじまったべ…!!あああ、うわあああああー!!誰か、時を飛ばしてーっ!!)アタフタ


ソーマ「………」

ソーマ「………田所」

恵「違う!違うの!!あのっ、ただ、私は、その……違うの、正直な感想っていうか…違うの、あのっ!」アタフタ

ソーマ「………」

恵「………ち…違……ああう……」ドキドキ

グイッ

恵「!?(え、……創真くんの手が、私の肩に………なして??)」


ソーマ「………」

恵「え、え、えっ、…そ、創真…くん……?」ドキドキ

恵(…あ。…この、表情…私、知ってる……)

恵(調理に向かう時の、ひたむきで真剣な目付き…)

恵「そ……創真くん…」

ソーマ「…田所……」


一色「やあやあ君達、勉強ははかどっているかな!?差し入れを持ってきたよ!」バターン

ソーマ・恵「「そぉい!!!」」ゴチン!!

一色「!!?」

一色「…確か、レシピまとめのレポートだって聞いていたんだけど……」

一色「頭突きしあえ、なんてレシピがあるとは初耳だな」

ソーマ「一色先輩…とりあえず天井から降りてきてくださいよ。あと服も着てもらいてーかな…」ズキズキ

恵「 」ズキズキ


恵(…創真くん、何を言おうとしていたのかな…気になる、けど……)ドキドキ

恵「…まずは創真くんを止めなきゃ…。一色先輩に正座させて説教するとか、創真くんくらいだよ~、そんなことできるの…」オロオロ


丸井「……人の部屋で堂々とイチャつくのも、君達くらいだけどね…」

恵「あっ」



おわり。


スレ開いてくれてありがとう。

やっと単行本買えた。えなr…えりな様も可愛いな。


『各々妄想しているようです』


・田所恵の場合


恵「…創真くーん、お弁当持ってきたよ!」

創真「おー、悪ぃな田所。んじゃ休憩にすっか」

恵「…もー、また"田所"って呼んだ~。もう"幸平"なのになー」プクー

創真「あ。…わり、なんつーかクセになっていてよ」


恵「わからなくもないけどね。わ…私も、まさか創真くんとこんな風になるなんて……未だに夢なんじゃないかって思うもん…」テレッ

創真「田所ん家の畑を譲ってもらって、自分達で作った新鮮な野菜をふんだんに使った、小さな定食屋を始めて……」

創真「確かに、夢なんじゃねーかって思いたくなる程、幸せ…だよな」

恵「えへへへ…」テレテレ

恵「創真くん…こんな私をもらってくれて、本当に、本当に、ありがとう」


創真「あのなあ。お前は物じゃねーだろ?もらうもらわないじゃねー…こっちこそ、嫁に来てくれて…その、…ありがとよ」

恵「創真くん…!」

恵「…私、すごく幸せ。今も、これからも、創真くんと一緒なら、ずっとずっと幸せなんだって思えるよ」

創真「…バーカ。思える、じゃねー。これから先も、必ず幸せにしてやっから。必ずだ」

創真「これから先も、お前がバーさんになっても骨になっても、必ずな」


創真「それに、俺だけじゃない、…近い将来、この腹の中に宿る命だって、必ずお前を幸せにしてくれるさ」ナデナデ

恵「あ……」

恵「…うん……ありがとう、創真くん…」

創真「さ、昼飯にしようぜ?……恵」

・・・


恵「……な~んて…えへへへへぇ…」ダラダラ

吉野「ちょっとちょっと恵!ヨダレ!ヨダレ!!すっごい垂れ流しだよ!?」


・薙切えりなの場合


モブ1「おお…すげーリムジン!あんなの映画の世界ででしか見たことないぞ…」

モブ2「彼女が…あの有名な"氷の女王"か…!しかし、神の舌を持つという女王が、何故ここに…」

モブ3「確かにこのホテルにも、高級レストランはあるが…はっきり言って、彼女が訪れる程のレベルかといったら…」

ザワザワザワ

えりな「………」


えりな「…騒がしいわね。だから嫌なのよ、こういった場所は」

創真「まー、目を瞑ってくれや。俺の稼ぎの中で、最高級なものを用意したつもりなんだからよ?一応」

モブ4「な!?あの女王と一緒にいるのが、あんなに冴えないガキだと!?」

モブ5「まさか…いくらなんでも不釣り合いすぎじゃないか!?女王に一体何があったんだ!?」

えりな(…彼の何をわかっているというの。貴方達が)

創真「……大した言われっぷりだな、俺も」

えりな「…事実である事には違いないでしょう?」

創真「…おーおー、前門のなんちゃらならぬ、前門のモブに後門の可愛くない女、ってか」


えりな「別に、ここで帰っても私は一向に構わないのだけど?」

創真「…帰さねェよ」

えりな「!!」ドキッ

創真「言ったろ?俺の稼ぎほとんどを費やして予約したんだって。レストランも、ホテルも。なのにここで帰ったら勿体無いじゃん」ヘラヘラ

えりな「………」

えりな(ちょっとでも…か、格好良いかと思えば……お調子者なんだから)フウ


えりな「…まったく…情けない男」

えりな「でも、いいわ。お手並み拝見といったところかしら、この私をエスコートする許可を、君にあげます。精々…頑張ってみなさい?」

創真「へいへい。…忘れられない一夜にしてやるよ、今日のお前は氷の女王じゃない…俺だけのお姫様、だからな」ニッ

・・・


えりな「………」

えりな(…まあ…こんなところよ、ね…)ゴホン

側近「えりな様、紅茶が入りました。…えりな様?お風邪でも召されたのですか?顔が真っ赤ですよ!?」


・水戸郁魅の場合


創真「見つけたぞ、肉魅ぃ!!特aクラスの肉を持つ究極食材だ!」

郁魅「肉魅じゃない、郁魅だ!何度言ったらわかんだよ、あんたは!!」

創真「っせーな!にくみちゃんの方がいいってか!?さあ、グダグダ言っている暇があったらノッキングの準備をしろっ!!」

郁魅「チッ!覚えてろ、幸平!」

郁魅「ヤツの捕獲レベルは100を越えるぞ!気合いを入れろ!!」


創真「うおおおいくぜーっ!50連!!釘パンチ!!!」ズガガガガーン!!


・・・


郁魅「………」

郁魅(どうしてこうなった)ズーン

小西「おう、水戸。次の丼研の新作についてなんだがな……」

ズダンッッ!!

小西「ひいいいぃぃっっ!?!?」

郁魅「…包丁を使う時は、猫の手。基本どころか、幼稚園児すら知っている常識だよなぁ…?」ユラリ

小西「いや、包丁振り回したのはお前だろ、肉魅!何これ八つ当たりか!?俺の髪がぁ~!!」

郁魅「肉魅って言うなーッ!!くそぉお幸平創真!次は絶ッ対に解体してやらぁー!!」


おわり。


ザーザー

恵「はあ……よく降るなぁ~」

創真「…お?田所じゃん。もうとっくに帰ったと思ってた」

恵「あ、創真くん。創真くんこそ珍しいね?こんな時間まで学校にいるなんて」

創真「小西先輩んとこに寄ってたんだわ。新作の丼物を作るって、レシピ色々見せてくれてさ」

創真「で、お前は何をやってんだよ?帰らないのか?」

恵「う…、それがね…筆記試験の勉強を図書室でやっていたら、雨が降ってきて……」

創真「天気予報の大当たりだよなぁコレは」

恵「で、続きは寮に帰ってからやろうと思ったら………傘がないの」

創真「…忘れてきた、とかか?いや、登校する時には傘持っていたよな、お前」


恵「うん。見分けつけにくい、安物のビニール傘だったから。間違って持って行かれちゃったのかなー」

恵「持ち手のところに小さなシールを貼っておいたけど、もっと目立つのを貼れば…いっそ名前を書いておけば良かったよー」

創真「それで、昇降口で立ち往生ってか」

恵「うん…悠姫ちゃん達も、先に帰っちゃっているし…止まないにしても、少しでも雨足が弱まったら、鞄を傘代わりにして帰ろうかな~って」

創真「や、そうしなくっても、俺と一緒に帰ればいいじゃん」

恵「………へ?」

創真「同じ寮に住んでんだしさー、俺は傘取られてねーし。ほら、早く入れよ。夕飯食いっぱぐれるぞ」

恵「 」

恵「え、………えええええ!!?」


創真「やー…しっかし、飽きもせずによく降るなぁ」

恵「 」アウアウ

創真「雨は嫌いじゃねーが、ここまで降るとなると…湿気で食材も痛みやすくなっちまうし」

恵「 」アワアワ

創真「雨足弱まっても寮まで傘無しで帰るなんて無茶だ、……田所?おい、何やってんだ、お前」

恵「ま…周りを見ると緊張がほぐれるって言うから……あと、あと、アマリリスって唱えるといいとか…」アタフタ

創真「???…お前って、気づくと一人でおろおろしている事が多いよなー」

恵「うう……」

恵(だって…だって、まさか…相合い傘で帰る事になるなんて、思わなかったんだもん…!)


恵(創真くんは相合い傘でも恥ずかしくないのかな?なんか…意識しすぎな私がバカみたい)チラッ

恵「…あ…創真くん、肩濡れてるよ?…ご、ごめんね。私が傘に入れてもらっちゃったから…」

創真「ん?別にいいよ、帰ったら乾かせばいいんだし」

恵(私は…全然雨に濡れてない…。…創真くんのこういうところがな~)

恵「創真くん、私、ハンカチ持っているから…それで拭いて?」

創真「いいってのに。寮までまだ距離あるしよ、ハンカチびしょびしょになるじゃん」

恵「で、でも…風邪ひいちゃうよ?」オロオロ

創真「それより足元に気をつけろよ。雨水で滑りやすくなってっから」


恵「う、うん…この辺り、坂道だもんね。創真くんも気をつけ……うひゃあっ!!?」ズルッ

創真「田所っ!?」

恵「…だ、大丈夫…滑っちゃったけど、転んではないよ、…あービックリした~」ドキドキ

創真「言った傍からお前はよー、こっちまで驚いたぜ」

恵「さ…流石にそこまで、ドジはしないもん!」

創真「ははは、けどそこを敢えて踏むのがお約束ってもんじゃねぇ?」

恵「ひどいよ創真くん、暗に転べって言ってる~!?」

創真「まっさかー。ほら、早いとこ帰ろう、―― ぜ?」ズルッ

恵「創真くんっ!…きゃあ!?」ズルッ


バシャーン!!


恵「………」ポタポタ

創真「………」ポタポタ

恵「…絶対天罰だぁコレ……」

創真「こっちにも、ぬかるみができているたぁ思わなかった。田所より先に俺が転ぶとか…」

恵「………」

恵「………ふふっ」

創真「?」

恵「あはははっ」

創真「…なに笑ってんだよ、田所…」

恵「だって~、創真くん、ずぶ濡れの泥だらけなんだもん」

創真「そういうお前だって、俺と一緒になって転んで、泥まみれじゃねーかよ」

恵「ふふふっ、創真くんほどじゃないよー」クスクス

創真「…あっははは!」


恵「あはは……ックシュ!…くしゃみ出ちゃった…」グス

創真「これだけ濡れると流石に風邪ひくな。…ほら、立てるか?田所」グッ

恵(あ…、手)ドキ

恵「………」

恵「…うん。大丈夫。早く帰ろ、創真くん」ギュッ

創真「おー。…なんかもう傘の意味無いけどなー」

恵(…えへへ。すごい落ち着く…創真くんの手、私よりおっきいな。暖かい…)

恵(真っ白だった頭の中が、鮮やかな色に染まっていく感じ。…傘がなくなった事も、雨も…悪くないかも)

恵(…でも…また創真くんに迷惑かけちゃったからな~。何かお礼とお詫びをしなきゃ…何がいいかなあ…)

創真「やれやれ、やっと寮についた……、ん?吉野と榊じゃん」


吉野「…あ、帰ってきた!心配したんだよ、恵ー!携帯も出ないしさあ。幸平と一緒だったんだ」

恵「…そういえば…、マナーモードにしていたの忘れてた!ごめん、悠姫ちゃん!涼子ちゃんも!」

榊「2人とも、ひどい格好ね。大丈夫?お風呂は沸いているから、早く入ってらっしゃいよ」

創真「あざーっす!田所、先に入れよ。俺は制服洗濯すっから」

恵「ありがとう~創真くん!」



吉野「………」

榊「………」

吉野「…なーに、しっかり手ぇ繋いで仲良く帰宅とか。気づいてない…よね、あれは。気づいていたら絶対爆発するもんな~恵は」

榊「……ふふふ、そうでもないかもしれないよ?これは」ニヤニヤ

吉野「へ?………マジで?」


【夜】


創真「…やー、あんなどしゃ降りだったのに、夜はカラッと晴れちまって。明日も晴れんのかな…」

恵「創ー真くんっ」ヒョコ

創真「よう、田所。お前も月見?」

恵「あ、本当ー。お月様、綺麗だね。でも私はお月見じゃなくて、創真くんが起きているかなーって思って、窓を開けてみたの」

創真「?」

恵「あのねっ、傘に入れてくれたお礼に、クッキー焼いたんだー。食べてくれる?」

創真「お前も律儀な奴だよなー、気にしなくていいってのに。でもクッキーは喜んで頂くわ、小腹空いたし」

創真「ならさ、テラスに出ねェ?まだ床濡れてっけど、折角晴れたんだしよ」

恵「うん!賛成!じゃあ、今から行くね?」


続きはまた次回に。スレ開いてくれてありがとう。

あと自分も四宮とヒナコさん可愛いと思う。ヒナコさんだけ呼び捨てなのが気になる。


創真「……うん、旨ぇっ。豆乳、抹茶、黒ごま……色んなバリエーションあって楽しいな」

恵「良かったぁ~。隠し味の塩麹はね、涼子ちゃんから教えてもらったんだよー」

恵「はい、創真くん。紅茶を魔法瓶に入れてきたから、喉詰まらせないように、これも飲んでね」

創真「おう、サンキュー。…は~、落ち着くなーこの味」ゴクッ

恵「あははっ、紅茶なのに。まるで縁側でくつろぐおじいちゃんみたい」

創真「うっせ、俺は心の赴くままに感想を述べただけだって。そう笑ってると、俺の新作料理食わせるぞ?」

恵「え、え!!やだやだ~それだけは!謝るから許してー!」

創真「今度はスルメとカスタードクリームを混ぜてみたんだが……」

恵「絶っっ対に嫌んだーっ!!!」


創真「はははっ、…」

創真「………」

創真「…田所さあ、授業でも少しは落ち着いて動けるようになったよな」

恵「え?」

創真「そりゃ、このクッキーみてーに100パーセントとまではいかないけどよ。最初の頃に比べれば、かなり変わったと思うぜ」

恵「………」

恵「…ほ……本当?本当に?」

創真「ああ。常に100パーで動けるようになるのも、そう遠くないんじゃねーか?」

恵「………!」

恵「…う……嬉しい…すっごく、すっごく嬉しい…」

恵「…えへへ、お礼しに来たのにな…私が喜んでちゃお礼にならないよ。もっとクッキー焼かなくちゃ、だね」

創真「あー、それは是非とも宜しくお願いしたいわ」


創真「…俺も頑張らねーとな」フゥ

恵「創真くん?…創真くんは、大丈夫じゃない?だって、いつもすごい料理をあっという間に作っちゃうもん」

恵「味も、手際良さも…アイディアだって輝いているし。ずっと傍で見ていたから…私、よく知ってるよ」

創真「………」

恵「今だから言えるけど、出会った頃はね、創真くんの事がちょっと怖かったな~」

創真「え」

恵「だってー、何をしでかすか全然わからないんだもん。破天荒そのものって言うか…何度寿命縮んだ事か」

創真「……結構辛辣なんですね、田所さん」

恵「反省してくれますか?」

創真「いや、突っ走るのが俺の流儀ってなもんだからな、信念を曲げる気はねーよ」フンッ

恵「そこは素直に曲げてくださいっ」


創真「でもよ、…ありがとな、田所」

恵「ん?」

創真「お前に、大丈夫って、そう言ってもらって、ちょっと気が楽になった」

創真「クッキーも、紅茶でも……ホッとできたしな」

恵「えへへ。…良かったあ」

創真「俺、最近少し焦っていたんだよな。…あ、この事は誰にも言うなよ?」

恵「うん」

創真「この学園のてっぺん取って……それから親父を乗り越えて」

創真「絶対やる、絶対できる、…そう思っちゃいるけど、高みを見上げれば見上げるほど、親父を知れば知るほど、ゾクゾクする反面…届くのかって、一瞬過るんだよ」

恵「………」

創真「…まー、立ち止まっている暇なんか無いんだし。突っ走り続けるだけだって、すぐ落ち着くけどな」ヘラッ


恵「………」

恵「…なんか、安心した。創真くんでも、そんな風に思ったりするんだ」

創真「…お前の中で俺はどんな人物に描かれてんだ?」

恵「黙秘しますっ」

恵「……でも、創真くん。時間は限られているかもしれないけど、…ゆっくりでいいと思うな。焦らないで、なんて私が言えた事じゃないけど…本当に…」ドンヨリ

創真「…励ますのか落ち込むのか、どっちかにしとけ?」

恵「…とにかく、…ゆっくり行こう?あんまり走り続けていたら、くたびれちゃうから。たまには休憩を挟まなきゃね」

創真「……おう」

恵「あ、そうだ!おまじない、やろうよ!」

創真「夕方言ってたアマリリスとかか?」

恵「違うよ、一番最初に教えたおまじない。緊張した時とかにね、やるといいの」


恵「こうやって…」キュッ

創真(!! 田所…俺の手ぇ握って、何を)

恵「手のひらにね、"人"って字を書いて、飲むといいんだよー」サッサッ

創真「…あー……そういや、最初の頃、親の仇の如くやってたな、お前」

恵「あんまり効かなかったけどね」

創真「………」

創真「………でも、今は最大の効果を発動したと思うわ」ギュッ

恵(…あ。…手、握り返してくれた…)

創真「緊張がほぐれたって感じがしたしよ」ニッ

恵「良かった!ちょっとは…できたかな、創真くんへのお礼…」

恵「創真くんが教えてくれた、手の甲を叩くやつの方がいいかな?って思ったけど…私の力じゃ足りないかなと思って」

創真「……いや、…田所らしい、安心感をくれる、まじないだ。コレは」


恵「…私が、以前より落ち着いて動けるようになったのはね?…きっと、創真くんに会えたからなんだよ」

創真「………」

恵「創真くんと一緒にいると安心できる。何倍も早く動けるし、サポートの時は全力で頑張れる」

恵「創真くんに置いて行かれたくない。私のせいで創真くんに迷惑かけたくないから…頑張れるんだよ」

創真「…迷惑とかそんなの、気にしてちゃ走り辛いんじゃねー?失敗しない成功なんて無いんだしさ」

恵「…創真くんの新作料理みたいに?」クスクス

創真「折角いい事言ったのに、台無しですよ田所さん」

恵「あははっ!……ありがとう、創真くん」

恵「私、全力で追いかけるから。もしも創真くんが疲れちゃった時は、一生懸命サポートするから…」


創真「…おう」

創真「見ていてくれ、田所。俺は学園のてっぺんを取る、親父も越えてみせる。料理を究めてみせっから」

恵「………うんっ。創真くんなら、できるよ!」

創真「田所、………」


ゴゴゴゴゴ


創真(………なんか、不穏な気配を感じるような)チラッ

創真「!!?」ビクッ


吉野「………」ジーッ

榊「………」ジィーッ


創真(物陰に潜んで…あいつら、いつからそこに!?)


吉野「…くう~っ、会話はよく聞こえないけど…滅茶苦茶いい雰囲気じゃないの!いけ!やれっ幸平!押し倒せ!!」

榊「テラスの床は雨水でびちょびちょよ。ここじゃなく部屋に移動した方がいいんじゃない?」

一色「不純異性交友はよろしくないが、これもまた学生の青春か。じゃあ続きは丸井くんの部屋で…」

丸井「だから何故毎回僕が被害を受ける羽目になるんだ!他所でやれ!!というか僕はなんで連れて来られた!?」

伊武崎「静かにしろよ、バレるだろうが」

ゴゴゴゴゴ


創真(増えたー!!!)

恵「ん?どうかした?創真くん」

創真「あっ!?な、なんでもない!なんでもねーから!!」


スレ開いてくれてありがとう。ちなみに俺はたっぷり寝たよ!

無駄に引っ張って申し訳ない。続きの次投下から安価に挑戦してみたいです。良かったらお付き合いください。


ありがとうございます。
ではよろしくオナシャス。


吉野『今すぐ押し倒せ!キスしろ!!童貞脱出のチャンスだ、ここを逃したら男じゃないよ!?』サッサッ

創真『女が軽々しく童貞とか発言すんな!!つーか、お前らが勝手に盛り上がっているだけじゃねーか!!!』サッサッ

榊「…ジェスチャーとアイコンタクトだけで完璧に会話成立しているわよ」

一色『ふみ緒さんは僕が上手く誤魔化すから安心して!さあ丸井くんの部屋に帰って続きを……』サッサッ

丸井『だから僕の部屋を使うなとあれほど!!』サッサッ

一色『しかし一番広く綺麗な部屋といったら丸井くんの部屋だろう?』サッサッ

伊武崎「…あんた達は普通に喋れよ」



恵「???そっちに何かあるの?創真くん」

創真「なんでもねーって!!!そ…そろそろ冷えてきたし、部屋に戻ろうぜ!田所!!」


恵「え?う、うん…帰るけど、どうしたの創真くん、そんなに手を引っ張って……」

創真『覚えてろよ、てめーら!!』サッサッ



吉野「…あー、なによ、もー。恵を連れてっちゃって」

榊「意外とウブなのねー、チャンスだったのに」

丸井「いや、明らかに君達が台無しにしたんじゃないか?僕の勉強時間もさあ…」ブツブツ

伊武崎「じゃあ、俺達も解散するか」

一色「そうだね、…今度は見つからないよう、全員で迷彩服でも着ようか」

丸井「いい加減諦めてやったらいいのに…」

吉野「……ちぇっ、つまんないなー…」


【廊下】


創真(…ったく、あいつらは…)ブツブツ

恵「………」ニコニコ

恵(夢でもなく、途中でつっかえたりもせず……ちゃんと創真くんにお礼が言えた!感謝の気持ちを伝えられた!)

恵(えへへ……頑張ったな~私。今日はよく眠れそうだよー)


恵「…あ、部屋についたね。遅くまでありがとう、創真くん。明日は休日だし、ゆっくり休んでね」

創真「あ?お、おう」

創真(……手ぇ繋いだままだった)

恵「………」

創真「………」

恵「………?」

恵(………あ、あれ?手……離さないの?)

恵「……そ、創真くん?」


創真(……吉野達が妙な事言うからだよな~、こりゃ…)

創真(…なんか、なんだろうな、…田所から離れたくねー感じ)ギュッ

恵「!!??!?」

恵(あれ?あれ?ど…どしたんだべか創真くん…手ぇ握る力……ちょっと強くなった?)

恵「…創真くん……?」ドキドキ

創真「………」

恵「………?」


ムニィ


恵「!? あう、…ひょっと、創真くん、あにすんのー?」ムニー

創真「…おー、伸びる伸びる。柔らかいなーお前の頬っぺた」

恵「痛ひ!痛いよ~!やめてー!!」ムニー

創真(なんか、よくわかんねーわ)

創真(けど、今は…コレでいいんだよな。うん)


恵「あうあう……やめて、頬っぺた捏ねないで~!」ムニムニ

創真「あっははは!変な顔になってんぞ、田所」

恵「創真くんがそうしたんでしょ~!うう…ひどいよー、私の頬っぺたはオモチャじゃないのに」

創真「悪ぃ悪ぃ、ほら、もう離したから。…じゃーな、田所。おやすみ~」

バタンッ

恵「あっ、……なんだったんだろ…創真くんって、たまによくわかんない事するんだから…」ヒリヒリ


・・・


創真「………」

創真「……これでいいんだよな、今は。…よっし、寝ますか!」


prrrr

創真「…っと。携帯鳴っ……、吉野から電話…?」ピッ

吉野「おーっす、青少年!あれから発展はしたのー?」

創真「…例えばお前の思惑通りいったとして、だったら電話に出られるわけねーじゃん。何の用だよ?わざわざ電話で…連絡管とかじゃダメなのか」

吉野「それもそうだねー!ってか、気を使って携帯にかけてやったんだからさ。連絡管じゃ他の人にも会話筒抜けになるでしょ?」

吉野「ねーねー、ぶっちゃけ幸平は恵の事をどう思ってるわけ?あれだけイイ空気出してんのに、押さないとか勿体無くない!?」

創真「…やっぱりその話かよ。俺もう寝るから、切るぞ」

吉野「ちょっとちょっと待って!いいじゃんー、少しくらい!しようぜコイバナ!!」


創真「…だっから、俺は別にそういうの考えている暇は……」

吉野「嘘吐け!自分で気づいてないだけじゃないの?人の事言えないけどさ、頭ん中、料理の事しかないとか…本当勿体無いって!」

創真「そうかぁ?」

吉野「男らしくリードしろ!なにせ相手は恵でしょー?極星寮一の清涼剤にして、ぼんやり娘だよー。ガツンといかなきゃさあ…」

創真「…ぼんやりだからこそ、ゆっくりやれんじゃねーの?」

吉野「……お?なんだーやっぱり意識してんじゃん」

創真「いや、そういう話じゃなくてだな…」

吉野「ぼんやりしているからこそ、気づいた時には横から浚われてたりしてね」

創真「………」


創真「……ははは、まさかぁー。あの田所だぜ」

吉野「恵だからでしょ。ああいうタイプに惹かれる男子って結構多いんじゃない?……ねえ?幸平創真さん」

創真「意図的なフルネームはやめてもらえません?」

吉野「あっははは!…とにかくですな、明日は休日なんだしさ、この勢いに乗ってどこか出かけたりしたら?デートよデート」

創真「んで、また邪魔すんだろ?お前らが」

吉野「ほほう?邪魔だって感じる事は……やっぱりそれなりに意識してんだ」

創真「いちいち揚げ足取るなあ、お前」ヒクヒク

吉野「心配しなくても大丈夫よ!そりゃ見たくってたまらないけどさ、空気読んであげるし!多分ね」

創真「多分って」


吉野「細かい事は気にしなさんな!よし、じゃあプランを決めよう」

創真「いや、俺は行くって決めてねーぞ!?何勝手に話進めてんだ!」

吉野「ちなみに恵は明日何も予定ないって話だよー、部屋で勉強するって言ってたからね」

創真「まずお前が俺の話を聞けよ」

創真(…まあ、どっちにしろ新しい料理本が出ていないか見に行きたかったし…出かけんのはいいけど)

創真「…お前の思惑通り、事は運ばねーからな。絶対に」

吉野「それはどうかしらねぇ~?」

吉野「例えばそうだなー、デートと言ったら……>>140に行くとか、それから>>141も外せないよね!」

創真「…はあ?」

遊園地

ケーキバイキング


きりのやのステマwww


吉野「デートと言ったら…遊園地に行くとか、それからケーキバイキングも外せないよね!」

創真「…はあ?つーかそんなの無理、俺の所持金残高聞くか?フツーに引くからな」

創真「なにせ親父がテキトーにしか振り込まないからよ、生活費を。そう、テキトーにしか……まず遊園地からして無理だって。はい、解散」

吉野「えー?超大規模遊園地とかならアレだけどさ。小さい遊園地で、フリーパスとか買わなければ、かなり安く遊べるよ?」

吉野「……ちなみに…ここに、そんな小規模遊園地の割引券があると言ったら、君はどうするね?」

創真「!!!」


吉野「入場割引ってだけで、結局お金はかかるし、でもまあ勿体無いから…気が向いたらそのうち涼子達と行くかな~って思っていた程度のもので…譲っても構わないのだがねぇ?」

吉野「あー、そういえばこの遊園地で今、ケーキバイキングも開かれていたっけな~…?有名店のケーキも色々出ているみたいだしー」

創真「吉野!!いや、吉野様!!」グワッ

吉野「今度何かデザート作ってー、イカゲソとかニボシとか使わない、ちゃんとしたデザートね。あと来週いっぱい寮の掃除当番代わって」

創真「かしこまりましたあぁっ!!」

吉野「よっしゃ決まりーっ!!こりゃー面白くなってきたねっ、明日が楽しみ~」

創真「…あ?ちょっと待て。今、面白くなってきたとか楽しみとか言ったよな、お前」

吉野「………」

創真「………」


吉野「…あっははは!」

吉野「そんじゃっ早いとこ恵を誘っときなよ!割引券はアンタの部屋の扉隙間に突っ込んどくから!じゃねーおやすみ~」ブツッ!!

創真「ちょっ!!待てコラ吉野!吉野!!……嫌な予感しかしない…」

創真「…勢いに乗せられてテンション上がっちまったけど、なんかとんでもない事になってねーか…?」

創真「………」

創真「…やー……別にそんな、そういう意味じゃねーしな。考えすぎっからダメなんだ、うん。ただ遊びに行くだけだし」

創真「……まず田所が行くって言うかもわかんねーしな。…聞くのはメールでいいか、……」

創真「………」

創真(やべえ、頭ん中、真っ白)


【極星寮302号室】


恵「……ん?創真くんからメール…?なんだろ、珍しい」

恵「………」

恵「…あ、この遊園地って、こないだ悠姫ちゃんが話していたやつだ!行きたかったんだよね~ケーキバイキングも!」

恵「えへへ、あの有名店のケーキが食べられる機会もあんまりないからな~、……是非行きたい、っと!送信っ」

恵「やったー楽しみ~!遊園地も小さい頃に行ったきりだし、ふふ、創真くんと一緒に、………」

恵「………」

恵「………………あれ?創真くんと一緒に、遊園地…って。2人だけで?」ハッ

恵「………」

恵「ええええええーっっ!!?」


【極星寮303号室】


創真「………」

創真(返事来た。まだ起きていたのか、田所)パッ

創真「………」

創真「………オーケーすんのかよ!!」

創真「…もうこうなったら腹くくるかー。ただ遊んで飯食って帰るだけだし」

創真「吉野達に見つからないよう、朝早くから行けば……、…よし、時間決定メール送信と」

創真「…デザート系にも特化した定食屋ってのも、それはそれで斬新か?これもまた勉強、勉強」ゴロン

創真「………」



創真「…全っ然眠くならねーんだけど、なんだこれ」


【翌朝】


創真「…はよーさん、田所」

恵「 」

創真「早速真っ白になってんな……」

創真「…田所?おい、田所。…オハヨーゴザイマス!!田所さんっっ!!!」

恵「ひきゃあああっ!?……あ、あっあ、お…おは、おはよう…、創真くん…」キーン

恵(あああ…なんでこんな事になったんだろ…?嫌じゃない、嫌じゃないよ嬉しいし楽しみだけど……ううう~)ドキドキ

創真「なに緊張する事があんだよ、ただ遊びに行くだけだぞ?」

恵「…そ、そうだよね、そうだよね…遊びに行くだけ、ケーキ食べるだけ……で、でも、あの、その、創真くん…ちょっと待っててね、こういう時は、人の字を書いて…」アタフタ

創真(…ただ遊びに行くだけ、そんだけ。……よし)


創真(吉野達は…いないな。どこに潜んでっかわかんねーけど…流石に、金使ってまでちょっかいかけるとかはねーよ、…な?)キョロキョロ

創真「…じゃ、さっさと行こうぜ。駅に行くまでも遠いから、田所、チャリ出して来いよ」

恵「……あ…それがね、私の自転車のタイヤ…今朝見たら、パンクしてて……」

創真「は?」

恵「なんか、獣が噛んだのかな?この寮、森に囲まれているから…そこから来たのかなあ。千切られたような感じの跡が残ってたの。だから自転車、使えなくて…」

創真(犯人わかりやすっ)

創真「…くそ。……なら、俺のチャリの後ろに乗れよ」

恵「えええっ!?で、で、でもっ」

創真「早いとこ出発したいんだよ、ほら、乗れって田所」


シャーッ

恵「……ご、ごめんね創真くん、私、重くない?」

創真「いや別に?バランス崩れっからしっかり掴まってろ、角曲がる時は言うから、向き合わせてくれよ」

恵「う、うんっ」

恵(…昨日は相合い傘、今日は自転車2人乗り……もう、もう、どうしたらいいか…!)ドキドキ

恵(な…なるべく、創真くんと密着しないようにしなきゃ、恥ずかしいもん……でも、ちょっと怖いな、2人乗りって…)

創真「角曲がるぞ田所!チャリから落ちるなよ!」

恵「え、えっ?は、は、はいぃっ!!」

グラッ

恵「!!? きゃっ!」ギュウッ

創真「!!!」

恵「………あ」

恵(ひいいぃぃっ!!?創真くんの背中に抱きついちゃったああ~!!)


創真「………」

創真「…そのまんまでいい」

恵「えっ」

創真「もうすぐ駅だし、ゆっくり行くから。そのまま俺に掴まってろ」

恵「え、えっ…、……で、でも、…」

創真「………」

恵「…うう…」ギュッ

恵(帰りは絶対、歩いて帰ろう…!恥ずかしくって仕方ないし…あ、危ないし!うん、危ない!自転車の2人乗りはダメだよね!!)

恵(…もう、早く着かないかなぁ~駅に……あ、危ないから…、…恥ずかしいからあぁー!!)ギュウッ

恵(い…意識するとダメだ、力が入っちゃう…なにか喋った方がいいかな、でも集中乱れちゃうかな、もしも自転車が倒れて創真くんが怪我したりしたら……うわあああん、どうしたらいいんだべー!?)アワアワ

創真「………」


【駅】


恵「 」グッタリ

恵(い…行く前から疲労感半端ない…昨日あんまり寝てないし……遊園地のケーキで疲れが癒せたら、なんとか…)

創真「…ほらよ、田所。切符」

恵「あ…ありがとう、創真くん」

創真「ふわぁぁ…、ん、じゃあ行くか~」

恵(…?創真くんもなんだか眠そう…?)


『追跡組安価、>>158の書き込み時間秒数で決定』

1 00~20秒台/吉野&極星寮組。秒数一桁台で相手変化。
1~2榊、3~4一色、5~6丸井、7~8伊武崎、9~0ふみ緒
(例:13秒だったら吉野&一色ペア)

2 21~40秒台/四宮&ヒナコさん組。
秒数一桁台が偶数だったら堂島兄貴もついてくる。

3 41~59秒台/えりな様組。秒数一桁台で相手変化。
1~3郁魅、4~6側近娘、7~9ロッシくん、0タクミイサミ兄弟

ソーマが焦ったりするのが新鮮


吉野「…よーし、バレずに追いつけたわね。うっふふふ…早速2人乗りとかラブラブしやがって!若いっていいわね~」ニヤニヤ

丸井「同級生のくせに。いいか、君が何をしようと構わない…、だが何故いちいち僕を巻き込むんだ!?」

吉野「えー、だって丸井が部屋から出てきたから丁度いいと思って。いいじゃんたまには出かけるのもさ~、部屋にこもってばかりじゃカビるんだからね!そのうち!」

丸井「いっそカビる方がマシだとすら思えるね……まったく、くだらない。プライバシー侵害するとかさ、しかも禽獣を使ってまで自転車を壊したり…」

吉野「はあ?なんのこと?私の禽獣ちゃん達はそんな乱暴な事しないわよ!」

丸井「……じゃあ、彼女の自転車は一体誰が…、……まさか、ほ、本当に獣が!?」


吉野「…あっ、ヤバい、あいつら電車に乗っちゃう!ほら行くよ丸井、早く走って!」

丸井「ちょっと待て、やっぱり僕は帰る…いやその前に、ふみ緒さんに連絡して猛獣がいる事を伝えるか、いや何かふみ緒さんならその事も知っていそうというか容易く仕留めそうというか……あああ!とりあえず駆け込み乗車はするなああっ!!」アタフタ

吉野「アンタなにを混乱してんのよ。本当に1人で賑やかな奴よねー。…いいから静かにしててくんない?隣の車両とはいえ、見つかっちゃうじゃん!」

・・・


創真「ふあぁぁ…眠っ。電車の揺れって眠気を誘うよな…」

恵「でも、早く出てきて良かったね。そこそこ空いているし…席にも座れたから」

創真「そーだな。こっから一時間程度…終点で降りるから、少し寝ていてもいいかね~」


恵「眠い時は、目瞑っているだけでも違うもんね。…創真くんもあんまり寝てないんだ?昨日」

創真「…"も"?って?田所、寝てねーの?」

恵「え、あ、その、あの……ほ、ほらっ。遊園地、久しぶりだし…ケーキも楽しみだったから、それでね!?」

創真「ふーん…子供みてーなのな、楽しみで眠れないとか」

恵「はう!!」グサッ

創真(まー、田所の事、言えた義理じゃねーけど)

創真「今日行くとこ、俺ほとんど知らねーんだが、田所は吉野から話聞いたんだっけ?」

恵「…うん、前に雑誌の紹介ページを見せてもらったよー。園内にはね、大きな芝生広場とかもあって…乗り物に乗らなくても、のんびりできると思うな」

創真「へー。その雑誌も借りてくりゃ良かったな。着いたら案内パンフレット貰っていくかー」


【遊園地】


創真「…よし!割引使って入場券を買った!案内パンフレットも取った!行くぜ田所、遊園地へ!」

恵「はーい!ふふ、テンション上がっちゃうね。創真くん、何から乗るー?」

創真「そりゃやっぱりジェットコースターからじゃねー?田所、苦手な乗り物とかあるか?」

恵「うーん…怖いけど、ジェットコースターは嫌いじゃないよー。…お化け屋敷とかは絶対嫌だけど!」

創真「よし!んじゃ早速乗り場に行こうぜ!」


・・・


吉野「んじゃ丸井、入場料払っといてねー」スタタタ

丸井「このために僕を連れて来たな!?ちょっと待て、自分で払え!こらー!!」


創真「イエー!一番先頭の席当たったー!田所、早く乗れってホラ、置いて行かれんぞ!?」ワクワク

恵「ひええ……ドキドキするよ~、し、深呼吸しとこ…」


吉野「私達は真ん中の席か~…可もなく不可もなく、まあ見つからない位置ならなんでもいいけど…どうせなら先頭が良かったなー、いいなー恵達はー」

丸井「ままままだ発車しないよな、眼鏡、眼鏡外さなきゃ……ああぁ、し、死ぬ…今日死ぬ、もう死ぬ!」ガタガタ


ピリリリ!! ガタン ガタン …


恵「わ、わ、動き出したっ!この昇る間が一番怖いぃ…!」

創真「そうそう!そんで、てっぺんで一旦止まるんだよな!ジェットコースターあるあるっつーかさー」

恵「あはは、それでその後一気に走り出すんだよね~。……怖いよぉーっ!!」


ゴオオオ!! キャー キャー ……


吉野「ふあー、なかなか楽しいコースターだったじゃないの!先頭ならもっと気持ち良かったろうになー、ねえ丸井!……丸井?」

丸井「 」グッタリ

吉野「丸井ぃぃっ!!?ただ走るだけのコースターで燃え尽きるとか、どんだけ苦手なのよアンタ!?」

・・・

創真「…うん?」クルッ

恵「? どうかした?創真くん。後ろを振り返って」

創真「や、…なんでもねー、気のせいだった」

創真「…というか、ジェットコースター楽しかったよな!一気に目ぇ覚めたわ!」

恵「創真くん、コースターが走っている最中に、よくバンザイできるね~?私、怖くって無理だったよー。…でも、うん!私も楽しかった!」

創真「それがジェットコースターの醍醐味ってものだろ?次は何に乗るよ、もう一回コースターに乗ってもいいよな!」


恵「ふふふ、創真くんの方がよっぽど子供みたいだよー?すっごいはしゃいじゃって」クスクス

恵「あ、ちょっと待ってて?私、飲み物買ってくるから!他にも乗り物はあるんだし、色々考えてみようよ」

恵「創真くんは何か飲む?」

創真「んじゃ、コーラ頼むわ。これ、代金な。ここのベンチに座ってっから」チャリン

恵「わかった、待っててねー」

創真「パンフレット見てみるか……お、今のコースター以外にも、絶叫マシンいくつかあるんじゃん!こりゃー全制覇したいところだよな~」


・・・

吉野「……絶叫系はなるべく避けてやってー…丸井の寿命もジェットで縮むよ!」

丸井「いや…乗らずに、ただ見ているだけじゃダメなの…?」

吉野「え、そんなのつまんないじゃん。それに1人で乗り物乗るのは寂しいからさ~」

丸井「鬼か!いや、鬼だ!」


恵「はい、創真くん!コーラ買ってきたよ」

創真「サンキュー。お前は何飲んでんの?」

恵「私?私は烏龍茶だよー。ね、次は何に乗るか決まった?」

創真「それが結構迷ってんだよな、資金にゃ限りはあるし、厳選して乗らないと…全制覇したいところだけどよー」

恵「………」

恵「なら…なら、また、来れたらいいね?今度はみんなで、とか…それで、次に来た時に、今日乗らなかったものに、乗るの」

創真「あ、それだ!うん、それなら余裕も出るな、そうしようぜ田所!また小遣い貯まったら遊びに来よう!」

恵「う、…うんっ!」

恵(…やった、また創真くんと遊園地に行ける…)テレテレ

創真「あと3つくらいは乗れっかな…んで昼になったら飯とケーキバイキング行くか」


恵「午後はお散歩するのもいいかもね~、ケーキいっぱい食べたらカロリー消費しなきゃ!」

創真「おう。田所は何に乗りたいとかあるか?」

恵「えっと…子供っぽい、けど…やっぱりメリーゴーランドかなあ」

創真「いや、スゲー田所らしいって感じするわ。じゃあ、ひとつはそれで決まりな」

恵「そ、そうかな?…えへへ、ありがとう、創真くん。…あとのふたつは?何にするの?」

創真「うーん……パンフレット見ていても迷うばかりだしなあ…ここはひとつ、目ぇ瞑って適当に指差して決める!」

恵「天の神様の言う通り~、って?」クスクス

創真「そうそう!いくぞ田所、お前も目瞑ってろよ?…どーれーにーしーよーうーかーなー、…っと!」バシ バシッ

恵「…えっと…ひとつは、>>173で……」

創真「もうひとつは…>>175、だな」


丸井はなんですぐ巻き込まれてしまうん?

安価は乗り物に限らず、遊園地にありそうなものならなんでもokで。

また1日一回とかのんびり投下に戻ってしまいますが、お付き合い頂けると幸いです。なるべく増やしたい。
スレ開いてくれてありがとうございます。

つーわけでお化け屋敷。

いつも楽しく読ませてもらってまっせ
1日1回もしんどかったらあんま無理すんなよ

二人きりの観覧車…


ヌクモリティをありがとう。ほのぼのはいいね。

しかし j( 'ー`)し ネタの破壊力はすごい。叩き割るぞオサレメガネとか思ってて正直すまんかった。


創真(…観覧車はいいとして、お化け屋敷かよ。…なんか田所の方を見るの怖ぇな)

創真「………」チラリ

創真(あ、やっぱり)

恵「 」ガタガタブルブルガクガク

創真「おい、大丈夫か?田所。お前んとこだけ地震が起きているみたいになってんぞ、そんなに嫌ならやめとくか?」

恵「…そ、そ、創真く……」ハッ

恵(ああ…気を使わせちゃダメだ……折角、創真くんが楽しんでいたのに、私のせいで楽しくなくなっちゃったら…申し訳ないよ)

恵「だ、だ、だ、大丈夫…大丈夫!!いいい行こう?大丈夫だから!平気だから!!」

創真「いやちっとも平気に見えないんだが…絶対無理してんだろ、お前」

恵「本当に大丈夫だよ!行こう?平気だから!大丈夫!」ガガガガクガク


【お化け屋敷】


丸井「…お化け屋敷と一口に言っても、様々にジャンル分けされるものだが…敢えて二分するなら、参加者自身が進むウォークラリー型と、乗り物に乗って進むライド型だ」

吉野「それならここはウォークラリー型かあ。恵、大丈夫かな?ホラー映画すらマトモに見られないくせに」

吉野「とりあえず私達も行くよー、丸井!かかって来い、お化け共ー!」グイグイ

丸井「だから何故わざわざ敵地に飛び込もうとするんだ!?君のそれは勇気とかじゃないからな、無謀なだけだ!離してくれ、離せ……僕もお化け屋敷は苦手なんだよおぉ~っ!!」ズルズル

・・・

創真「うお…なかなか雰囲気出てんな~……田所、大丈夫か、お前」

恵「 」ガクガクガク

創真「余裕0どころかマイナスか、…ははは、なんかそこまでビビってっと、逆に面白ぇ」


恵「ひっひっひどいよ、創真くん~!だってすごく怖いんだもん…!創真くんは怖くないの?」

創真「やー、所詮作りもんじゃん?怖くないってワケじゃねーけど…うちの寮母ババアの方がもっとずっと怖ぇっつーか」

恵「寮母……ふみ緒さんのこと?それもひどいんだ、…そもそも、怖さの次元が違うよ~……」

ドカンッ!!

恵「ぎゃああああ~っ!!?」ギュウッ

創真「うお!?…お、落ち着け、大丈夫だって、お化けの人形が飛び出してきただけだから…」

恵「あうあうあああ……も、もう嫌んだぁぁ…早ぇとこ外さ出てぇよう……!!」

創真「なんか、床もふにゃふにゃ沈んで歩き辛いっつーか…気持ち悪ぃなー」


吉野「……ほほう、いいアピールするじゃないの、恵。ビビりながらもしっかり幸平に抱き着くとか!行け!狙え吊り橋効果!」

丸井「ああああ怖い!やめてくれ、こっちに来るな、非生産的だ、こんなのー!!」ギュウウ

吉野「アンタは男の癖に情けないわね!ってか抱き着かないで、セクハラで訴えるよ!?」

・・・

創真「………?なんか今、丸井に似た声が聞こえたような…」

恵「うっうっ……気のせいじゃない…?わ、私も悠姫ちゃんの声が聞こえたような気がしたもん、怖すぎて空耳まで聞こえるようになったんだあ~」

創真「まさかあ、ならなんで、よりによって丸井なんだよ。…吉野の声とか……まさかな」

恵「きゃー!きゃあああ!!きゃあああーっっ!!何か柔らかいものがー!?いやああー!!」フワッ

創真「落ち着けって田所、ただの布だから」


バリバリィッ!!

恵「ぎゃああああ障子から無数の手があああ!!」

創真「はい、握手握手」


幽霊役「ウガアアアア!!」

恵「いやあああああ襲ってくるぅ~っ!!」

創真「よくよく見たら美人なお姉さんだったぞ」


恵「あーっ!あー!うわああーん!!!%&*●@☆※~~ッッ!!」

創真「やべえ、純度100%な方言で田所が何を喋ってっかわからない」


・・・

丸井「きゃああああーっ!!いやああああもう無理、無理だ、途中退場させてくれえええ~っ!!」

吉野「アンタねー…女の子以上に女の子みたいな悲鳴挙げないでよ、耳が痛いんだけど!」


創真「…と、……ここは何だ?部屋?」

恵「ひ、ひっ、ひ」ガクガク

婆「……ヒッヒッヒ……よく来なすったねえぇ~、さあ…履き物を脱いで、ここへお上がり……」

恵(ひいいぃ……ふみ緒さんとはまた違った怖さと迫力……!!)

創真「少し歩き疲れたし、休めんなら有難いんじゃねー?」

恵「こ、こんな場所で休む事なんか、できないよお…!」

婆「ヒッヒッヒ……さあさあ、このヘッドホンをつけて……更なる恐怖の世界へお連れしましょうかねえぇ~」

創真「…あー、そういうパターンっすか」

恵「 」



『目から耳から……五感全てをまさぐるような恐怖体験は、
 私の精神を根本から犯し…地獄へと叩き落としたのでした……

 ―― 田所恵の日記より抜粋』


【お化け屋敷・出口】


創真「お?もうゴールか、……ほら田所、外に出たぞ。生きてっか?」

恵「な、な、なんとか……生きてた、生きてたあぁ……怖かったああ…」ガタガタ

創真「おー、よく頑張った、頑張った」ポンポン

恵「ぐすっ、…創真くん……って、うわあああ!?ごめんっごめんなさい!しがみついてたあっ!?」バッ

創真「今更かよ。お化け屋敷入った辺りからずっとだったぜ?」

恵(ひいいぃぃ~っ!!?)

創真「ほら、お前にも。お前は騒ぎまくってたから、あの怪談話婆が俺に2つ寄越してきたからよ」

恵「え……?ストラップ?」

創真「参加賞みたいなもんじゃね?いくらお化け怖いっつっても、こういうデフォルメすら嫌だって事はないだろ?」


恵「うん……平気、これなら全然平気、っていうか…すごく可愛い」グスッ

創真「携帯につけるとすぐ千切れそうだし、寮の鍵にでもつけるか」

恵(創真くんとおそろい……)

恵「………えへへ」ニコッ

創真「…落ち着いたか?」

恵「うんっ。……ごめんね、創真くん」

創真「いや、別に?さて…休憩がてら、観覧車でも乗るかー」


・・・


吉野「……落ち着いた?」

丸井「うん…すまない、吉野……」グスッ

吉野「いや、別に……ってか、なんか、なにか違う気がしてしょうがないんだけど…なんなの、これ」ドンヨリ

吉野「…って!あいつら、もしかして次は観覧車に乗る気!?」


丸井「別にいいんじゃないか?彼らが何にどう乗ろうと…」

吉野「わかってなーい!観覧車といったらムード最高潮な時!シメに乗るものだよ!?王道、お約束、黄金パターン!」

吉野「ああどうしよう、チャンスの象徴をむざむざ捨てさせるわけには…ここはいっそ、偵察としての禁忌を犯してでも止めるべき!?」

吉野「幸平にはダメだ、あいつ過敏になってるからバレる…なら、恵に電話かメールか……いや、でもデート中に携帯を弄らせるなんて、それこそ禁忌だわ!どうしようどうしたら…!」オロオロ

丸井「…いや、なんか話し込んでいるぞ?彼ら」



恵「私、今は観覧車より、メリーゴーランドの方がいいな。可愛いもの見て、お化けの怖さを拭いたいから……」

創真「そうか?んじゃ、観覧車は後にすっか」


吉野「お…おおぉっ!?方向転換したぁーっ!?よっしゃー!幸平か恵かはわからないけど、ナイス判断よ!料理長!!」

丸井「わけのわからない事を…流石に、メリーゴーランドも乗るとかは言わないよな?」

吉野「…幸平は乗らないみたいだし、そこで乗ったら一発退場だからね。残念だけど今回はただ眺めるだけにするかな」

丸井「良かった……少し休める…」ヘナヘナ



恵「創真くーん!」ブンブン

創真「はいよーっと。手なんか振って。…まーいっか、すっかり機嫌治ったようだし」

創真「つーか、腹減ってきた…朝飯もろくに食わず出てきたもんな、終わったら少し早いが飯にすっか…」

創真「………」

創真「メリーゴーランドでデレデレと間抜け顔な田所さん、写メっときますねー」カシャ


【ケーキバイキング】


恵「わーっ、すごい!すごいすごい、たくさんのケーキ!」

創真「ケーキっつっても色んな種類があるんだな。甘くなさそうなものも。ただクリーム塗っておしまいって感じじゃなく、凝ってるっつーか」

恵「えっとね、有名店のケーキだけじゃなく、世界各国のケーキとかもレシピを揃えて再現しているんだって」

恵「みんな一口サイズの大きさだし、色々食べられそうだね」

創真「ああ、いい勉強になりそうだ。よし、片っ端から食っていくぞ、田所!」

恵「食べられるぶんだけ、お皿に取ってね?創真くん。バイキングでも欲張っちゃダメだよ~?」



>>190の書き込み秒数で展開決定』

・00~20秒 吉野&丸井のターン

・21~40秒 ターンエンド(特に何もなし)

・41~59秒 創真&恵のターン



ハイクオリティ・ソーリー。ありがとうございます。

四宮とヒナコさんが田所ちゃんの取り合いに発展したら俺得。


創真「…色々食ってみたが、欧州の圧勝って感じかね。味も見た目も」

恵「アジアも負けてないと思うけど、やっぱり本家だもんね。向こうのカフェでお茶したらすごく楽しいんだろうな~」

創真「うちの親父も各国渡り歩いて修行したようだし……俺もいつか本場に行ってみてーな」

創真「一際異彩を放つのが、合衆国のケーキだけど。インパクトすげェ」

恵「確かに……色彩から造形から、口で楽しむ以上に、目でも楽しめるよね」

恵「……創真くんは、すごく好きそうって思うんだけど、どうかな?」

創真「んあ?なんで?や、気に入りはしているけどよ」

恵「う、ううん!なんとなく?」

恵(……創真くんの"新作料理"レベルが、この影響で良い方向に行ってくれるといいんだけどなー)ハァ


創真「なんでこんな凄まじい色使いをするんだろーな?」

恵「えっとね……感覚もあるんだろうけど、向こうのお祭りで、決まった色を使う習わしもあるみたいだよー。ほら、この説明書きにあるでしょう?」

創真「へー。風習ってか……慣れ親しんでっからアレだけど、俺らの料理も向こうからして見たら、首を傾げるのもあるんだろうな」

恵「生魚とか、納豆とかね」

恵「前にテレビで見たんだけど、海外の人にお寿司を振る舞おうとしたら、そこの土地の人は生魚を食べる概念がなくって……かなり嫌がられていたよ」

恵「最終的には食べてくれて、美味しいって言ってもらえてたけど…市場にも生魚自体無くて、材料を揃えるだけで一苦労だったり」

創真「正直なところ…勿体無ェよな。旨いのにさ。食文化の国境が完全に無くなったら……それはそれで面白い事になりそうだ」


恵「有名店のケーキも美味しいねー」

創真「あー。ボリュームあるものから丁寧な仕上がりのものまで、流石売れっ子なだけあんな」

恵「このチョコケーキとか……とろとろのムース生地、漆黒を飾る金箔が、まるで星空みたい」

恵「濃厚な甘さでも、しつこくはなくて……すごく美味しいよ~、幸せ~」

創真「あははっ!田所、すげーだらしない顔になってる」

恵「だってすごく美味しいんだもん。……あ、創真くん。口元にクリームついているよ?」

創真「え、マジで?……取れた?」ゴシゴシ

恵「ううん、そっちの方じゃなくて……待ってて、今、紙ナプキンで拭いてあげるね」

創真「お……、おぉ」ドキ

恵「………はい、取れたよ!」

創真「あ、……おう、その、…あんがとな」


恵「創真くんが食べているケーキも美味しそうだね?」

創真「ああ、コレか。ペットと一緒に食べられるケーキ、なんだってさ」

創真「動物の体に悪いものは一切使わず、豆乳クリームとさつまいもをメインにしたケーキ。砂糖使ってねーのに、フツーに甘くてスゲー旨い」

恵「へえ、体にも良さそうな響き……私もそれ食べてみよ!取ってくるね」

創真「なら味見してみたらどうだ?」

恵「………え?」

創真「ほら、一欠片取ったから。口開けろよ、田所」

恵「えええっ!?そんな、恥ずかし……」

創真「あ、やべ、フォークから落ちる、落ちる!ほら、早く!」

恵「あ、あわわ…!んっ」パクッ

創真「どうだ?旨いだろ」

恵(食べさせてもらう恥ずかしさが勝って、味がよくわからないよ~……!!)コクコク


恵「……そ、それにしても、ケーキまであるんだ。ペットフードも多種多様になったね」

創真「他にも何かあるのか?」

恵「この間、ペットショップを覗いた時はねー、ペット専用のパンとか…お子様ランチみたいなのとか、おでんもあったよー?甘いもので、あんみつも見たなー」

創真「へーっ!なんつーか、本当に家族の一員って感じだな……というか、なんでペットショップなんか入ったんだ?なんか飼いたいのか?」

恵「うん。寮にいるうちは無理だけど……私もいつか猫とか犬とか、飼いたいなあって思ってて」

創真「田所には小型犬……いや、逆に大型犬が似合いそうだな。…んで、散歩中に田所が犬に引きずられているイメージ」

恵「ええーっ!そんな事ない、………いや、あるかも…」

創真「あっははは!だろ?」

恵「うう……」


創真「…ふーっ、腹いっぱいになったな。ちょっと食いすぎたわ」

恵「ごちそうさまでした!……少し食休みしたら、お散歩しようよ、創真くん」

創真「あー、腹ごなし的に。んで、その後で観覧車に乗るか。帰りに街の本屋に寄りてーんだけど、田所は時間ある?」

恵「大丈夫だよー、私も買いたいものがあるから、一緒に行く。傘を買わなくちゃ、今度は持ち運びできる折り畳み傘にしようかなって思って」

創真「そういや無くなったんだったな、よし、じゃあそれで決まり、と」

恵「いいものが見つかるといいねー」


・・・


丸井「ぐわあああ!な、なっ、なんっ………なんなんだ、このチョコケーキ…!!かっ、辛いぃぃ!!」

吉野「あっははははは!!引っ掛かったわね!ハバネロチョコケーキだってさ~、あはははは!丸井のリアクション最高~!」


【芝生広場】


恵「うー…ん!はぁー、気持ちいい~!広々とした場所に来ると、気分が良くなるねー。開放感っていうのかなー」

創真「昨日の雨が嘘のように晴れたしな。今日が天気で良かったぜ、マジで。雨ん中じゃ遊園地も楽しみ半減だもんなー」

恵「……そういえば…どうして急に、遊園地に行こうって誘ってくれたの?」

創真「え!?…あー、いや……まあ、なんつーか…気分とかそんな感じでよ。嫌だったか?」

恵「い、嫌じゃない!嫌じゃないよ!?ち、違うの、すごく嬉しかった……の、本当に…」

恵「で、でも、どうしてかなあって、ちょっと気になって、聞いてみただけで……」ドキドキ

創真「………」ドキドキ

創真「…やー……気分っすよ、気分」

恵「気分、ですか」

創真「はい」


ガサガサ

吉野「……よく聞こえないけど…これ以上近づいたらバレちゃうしな~」

吉野「しっかし、なかなか進展しないわねー!あいつら本当に今時の高校生なのかしら、ねえ丸井!?」

丸井「………」

吉野「アンタなにそのタラコ唇、元からそんな顔だっけ?」

丸井「さっきのハバネロケーキでやられたんだ!君のせいだぞ!?」

吉野「ぶはっ!!思い出すと、また笑えてくる……!」ブルブル

丸井「神様がいるならば、どうか彼女に天罰を下してください!」

吉野「さておき、偵察を再開しなきゃね。……あー、進展しないかなー。せめて手ぇ繋ぐなりなんなりすりゃいいのに、どんだけよ、あいつら」

吉野「…ちょっとくらい、ちょっかい出してもバチは当たらないかな?」


恵「……ん?」

着ぐるみ『コンニチハ!』

恵「わーっ、可愛い~」

創真「こいつ、パンフレットに載っていたな。この遊園地のマスコットじゃん。身振り手振りで、挨拶してんのか?」

着ぐるみ『コンニチハ!』ギュー

恵「きゃー!あははっ、抱き締めてもらっちゃった!」

創真「はははっ。田所、写メ撮ってやっから。そのままでいろよ」

恵「わーい、ありがとう、創真くん!」


・・・


吉野「ま、ちょっかいレベルとしてはこれくらいが妥当かね~。少しは緊張も解けたかな?」

丸井「着ぐるみにいきなり話しかけにいった時は、驚きを隠せなかったけど……こういう事か」

吉野「さあ、これでぐぐっと距離を縮めるのよ、幸平!そして恵!」


着ぐるみ『バイバーイ』

恵「一緒に写真撮ってくれてありがとう~!」

創真「今撮った写メ、田所の携帯に送るから」

恵「うんっ!……あ、来た来た…あれ?添付、ふたつ?二枚撮ってくれたの?」

恵「…あっ!?こ、これ…メリーゴーランドの時の!?ええ~っ、この時も写メ撮ってたのー!?」

創真「やー、田所さんたらかなりデレデレ顔してらしたんで、つい」

恵「わわわ…!は、恥ずかしいよー!創真くんの携帯データ、消して~っ!!」

創真「折角なんで待ち受けにして晒す刑とかはどーっすかね?」

恵「やめて、やめてーっ!意地悪~!!」


・・・


丸井「…ほう、確かに緊張は解けたみたいだな」

吉野「ふふん、この私にかかれば赤子の手を捻るが如しよ!」

丸井「悦に入っているところすまないが、彼ら…追いかけっこを始めて、かなり先に行ってしまったけど?いいのか?」

吉野「ちょ!!?」


【観覧車】


吉野「ぬあーっ!私とした事が、偵察タイミングを逃したー!」

丸井「ひー、はー……ま、まさかあんなに走らされるなんて…か、観覧車には、乗らないのか…?」

吉野「あいつらのゴンドラが見える位置を取らなきゃ意味ないのよー!……もういいっ、普通に乗る!」

丸井「ぜー、はー……結局乗るのか…休めるからいいけど……はー…」


・・・


創真「はーっ、走り疲れた…芝生広場からここまでダッシュとか、キツいわ……」

恵「創真くん、足早いよ~。置いて行かれちゃうと思ったー。……写メは消しておいてね?お願い!」

創真「さーて、どーしよっかな~」ヘラヘラ

恵「うう、恥ずかしいのにー…意地悪ぅ~……」


創真「まーまー、ご機嫌治してくださいよ、田所さん。ほらほら外を見てみろって、いい眺めだぜ?」

恵「もーっ、そうやって誤魔化す~。……でも、本当。街が一望できるね」

創真「あれが遠月学園だろ?改めて見ると、スゲーよな…マンモスっつーか、化け物学校」

恵「……創真くんと会うまでは、退学に怯えてばかりだったけど…今は、……創真くんと、みんなと、もっともっと料理を勉強したい。頑張りたいって思うよ」

恵「…私、創真くんに会えて良かった。本当に、良かった!ありがとう、創真くん」ニコッ

創真「…やー、礼を言われる事もねーけど」

恵「ううん、言いたいの。創真くん、いつもありがとう。今日も、誘ってもらって、とても嬉しかったんだよ?すごく楽しいの!幸せってくらいだよー。創真くん、本当にありがとう」ニコッ

創真「………」

創真「>>210

田所、好きだ


恵「………えっ?」

創真「好きだ、って言ったんだ」

恵「………」

創真「…あー……その、だな」

創真「まだ、自分で、よくわかってねェ部分はあるんだけどよ。なんつーか……お前に、傍にいてもらいてーんだよ」

創真「退学とか、挫折とか…お前はそんな風に落ちていい奴だと思えない。実力があるんだ、才能を伸ばしていくお前を見ていたいし、危ねー時は、助けてやりてーって思う」

創真「…どうしても助けてやれない時は……せめて、すぐ近くにいて見守ってやりてェ」

創真「昨日言った事も、本心だしよ……てっぺん取るのも、親父を越えるのも、お前に見ていて欲しいと言った事」

創真「これでも結構考えたんだぜ?上手くまとまらなかったが。まー、とにかくだ。総じて、俺はお前が好きなんだと思う。いや……思う、じゃねーな。好きだ。好きなんだ」


創真「だからな、田所……」

創真「!!?」ギョッ

恵「………」ボロボロ

創真「え、ちょ、おい!?田所!?なんで泣いてんの、お前!?」アタフタ

恵「え?……あれっ…?」

恵「え?え?……どうしてだろ、なんでだろ、……わ、私も…よく、わかんない……けど………うえぇぇぇん…!!」

創真「ちょ 待っ!?え、これなに、これなんだ、俺か!?俺が泣かしたのか!?ええ!?」オロオロ

恵「ふえぇぇーん…!」

創真「なっ!泣くな、いや、ごめん、ごめんなさい、泣かないでください、悪かった、俺が悪かった!な、田所!なっ!?ど、どうすりゃいいんだよ…!」ワタワタ

恵「そ…、そーまくん、は……ぐすっ、…なんにもっ、わるくない…ごめ…ごめんなさ、ひっく、……うえぇぇんん…」

創真「土下座か!?土下座の流れか、これ!!」


【吉野・丸井側】


吉野「あー、いい眺めだなー。こんなベストな環境でも、どーせあいつらはグダグダと進展もなくやってんだろーなー」

丸井「……まあ、それが彼らの良い部分なんじゃないか?他人の僕達が気にする事じゃないだろう」

吉野「…確かに他人だけどね、他人でも、あいつらは私の友達なのよ」

丸井「………」

吉野「友達が幸せを掴もうとしているんなら…気になるに決まってんじゃん、上手くいくといいなーって気になるよ、私はね。特にあいつらは、すぐドタバタに首突っ込むから心配だし」

吉野「ま、面白半分なのもあるけどさー?」

丸井「……一言が余計だ…」

吉野「上手くいくといいんだけどなー。…あーあ、私も彼氏欲しい」

丸井「………」


吉野「………」

丸井「………」

丸井「吉n  吉野「私の禽獣ちゃん達を全部愛してくれる彼氏、どっかに居ないかなー」

丸井(あ、そりゃ無理だ)ズーン

吉野「?」

吉野「そうだ、ほら丸井。払ってくれた入場料、返すよ」ゴソゴソ

丸井「へっ?」

吉野「なによーいらないの?早く受け取らなきゃ、しまっちゃうよ?」

丸井「い、いや、いるが。…びっくりした、返してよこすとは思わなかったから」

吉野「アンタ、私の事をなんだと思ってんの?…まー、いっか。今日は付き合ってくれてありがとね!なかなか楽しかったわ!」

丸井「あ、ああ……こちらこそ」

丸井「………」


【創真・恵側】


創真(慰めている間に観覧車二周目突入しましたー。……係員が話のわかる奴で良かった…)

恵「………」グスグス

創真「……落ち着いたか?」

恵「う…うん。ごめんね、創真くん……」

恵「あの、ね。……嫌で泣いたわけじゃないんだよ。びっくりしすぎて…多分、それで涙が出ちゃったんだと思うの」

創真「………」

恵「……そ……創真くんが、そんな風に、思っていてくれたのが…すごく、すっごく、嬉しくて……」

恵(顔、上げられない…恥ずかしい、けど……頑張れ、私!)

恵「わ、私も、私もね、……私も……」

ギシッ

恵「………え?」

創真「隣、失礼しまーす」ドサッ

恵(ほげええええー!!?)


恵(こ、こ、この状況で、隣に座られたら……も、もう無理!何も言えない!!うわあああーん!!)アタフタ

創真「………」

創真「田所、俺はさ。ゼッテー遠月のてっぺん取る。そして親父も越えてみせる」

恵「………?」

創真「"食事処ゆきひら"の看板背負って、料理を究めてみせっからよ。…だから、究めたその時には…」

創真「究めた後、初めて作った料理を、誰よりも一番に、お前に食って欲しい。……食ってくれるか?」

恵「……う…うんっ。食べたい……創真くんの作った料理、食べたい!」

創真「よし!約束な!」スッ

恵「約束…ゆびきりげんまん」

創真「嘘吐いたら針千本、……じゃなくて、俺の"新作料理"フルコースを無理矢理にでも食わせる」ニタァ

恵「ふええぇぇっ!!?」

創真「指きった!!」パッ


恵(ふ…フルコースなんてなったら……私、死んじゃうんじゃ!?)アワアワ

創真「…本当、でけー学校。でも、まー、まず負けないけどな」

恵「………」

創真「必ずやり遂げてみせるぜ」

恵「………うん。創真くんなら、できるよ!」

創真「おう。ありがとな、田所」ニッ


・・・


係員「はい、お帰りなさーい!…大丈夫でしたか?」ガチャッ

創真「やー、すんません。二周も乗せてもらっちゃって」

恵「ご、ごめんなさい…」

係員「いえいえ。また是非遊びに来てくださいね」

創真「近いうち必ず!お世話になりましたー」

恵「ありがとうございました」

恵「………」


恵(……言いそびれちゃったな。私の気持ち…)

創真「んじゃ、帰るか。買い物もあるしよ、寮までも遠いし。もうちょい遊んでいてーけど」

恵「う、うん」

恵(……手、…は、ダメだ、恥ずかしい。……でも、創真くんの服の裾くらいは…いいよね)キュッ

恵「………だいすき」ボソ

創真「………」

創真「………」ニッ


・・・


吉野「もう完璧に2人を見失ったわ…仕方ない、帰るかー」

丸井「はあ…やっと解放されるのか……」

吉野「あ、丸井ー。私、バーゲンに寄りたいから、荷物持ちお願いねー」

丸井「どこまで続かせる気だ、僕の受難!!」


>>210創真さんのイケメン度すげえ。居眠りオチになんかさせないぜ!

お付きあい頂きありがとうございます。ここで一区切りとして、次の展開へ進もうかと。告白した次は何しようか!


『展開安価、>>225の書き込み秒数で決定』
00~20秒 若干発展
21~40秒 ほのぼの
41~59秒 とんでもなく発展

『舞台安価、>>226の書き込み秒数で決定』
00~20秒 極星寮
21~40秒 遠月学園
41~59秒 引き続き買物デート

『偵察組安価、>>227の書き込み時間秒数で決定、秒数一桁台で相手変化』

1 00~20秒台/吉野&極星寮組
1~2榊、3~4一色、5~6丸井、7~8伊武崎、9~0ふみ緒
(例:13秒だったら吉野&一色ペア)

2 21~40秒台/ヒナコさん組
1~3水原、5~7四宮、8~0堂島

3 41~59秒台/えりな様組
1~3郁魅、4~6側近娘、7~9ロッシくん、0タクミイサミ兄弟



秒数だと狙いやすいしコンマにしたら?まぁコンマでもねらう奴はねらうが
狙うのも考慮に入れてるならスマン

コンマ以下狙おうにもss深夜にコンマ以下が表示されない件

乙!
「だいすき」がかわいすぎる

ありがとうございます。
狙うも良し運試しも良し、自分は特にその辺は考えてないよー。お付きあい頂けることが一番有り難いので。

寮で、えりな様と側近娘が参戦の、とんでもなく発展。よし内容考えながら寝る。


【極星寮】


創真「たーだいまー、っと」

恵「……あれ?珍しいね、寮がこんなに静かなんて…みんなも出かけているのかな?」

創真「奥にでも引っ込んでんじゃねーか?でも確かにな、この時間帯だと、大抵誰かしらウロついてんのに…」

榊「あ……ふ、2人共!おかえり」タタタ

恵「ただいま、涼子ちゃん。…血相変えて、一体どうしたの?何かあったの?」

榊「そ……それがね、とんでもないゲストが現れて…今、食堂で一色先輩とふみ緒さんが相手しているんだけど」オロオロ

創真「ゲスト?」

榊「とにかく、見てみればわかるわよ。でも、そっと覗いた方がいいと思うわ……特に、幸平くん。貴方はね」

恵「な……なに?何事?」


一色「どうかな?薙切くん。君の口に合うといいんだけど」

えりな「……そうね。温度、味、共に申し分ない紅茶です。まあ、私としては…あと2度高いくらいが好みですが」カチャ

一色「ははは、相変わらず手厳しい。でも及第点は取れたから良しとするか」

えりな「同じ十傑だからとて、私は甘やかしたりしませんよ、一色先輩」クスッ


・・・


創真「……あ?なんで薙切が極星寮にいるんだ!?」ヒソヒソ

榊「理由はまだわからないのよ、彼女もさっきここに着いたばかりだから…」ヒソヒソ

恵「そういえば、寮内の端に見慣れない車が止まっていたよね…あれ、薙切さんが乗ってきた車だったのかな」ヒソヒソ


伊武崎「…もしかして……この寮を潰しに来た、とかな」ヒョイ

創真「伊武崎!…潰しに、って」

榊「有り得なくもないわよね……十傑…薙切さんのやり方なら。ほとんどの用務員さんが知らないとはいえ、かなり広いもの、この寮」

伊武崎「歩くには遠すぎる、自転車とか使わないとキツい位置。そこを狙うメリットがイマイチわからないけどな。用具置き場にでもするつもりか?」

恵「そんな、そんな……こ、この寮が潰されたら、私達、どこに住んだらいいの?」オロオロ

榊「…第七席…、一色先輩も住んでいるんだから、流石にそんな暴挙に出るとも思えないけど……」

伊武崎「相手はあの薙切えりなだぜ。先輩だろうが第七席だろうが、やるとなったらやるだろ。神の舌を持つ女王……女帝なんだから」


創真「………まー、薙切が何を考えようと、阻止すりゃいい話だろ?」

恵「……そ、創真くん?」

創真「食戟ふっかけてくる」ザッ

恵「!!?」

榊「ちょっと待って幸平くん、無茶よ!相手は薙切さんよ、それにまだ推測なだけで、彼女の目的もハッキリしてないんだから!」ガシッ

恵「創真くん、落ち着いてー!」ガシッ

創真「うおっ!?離せよ、お前ら!薙切、俺と勝負しr モガムグー!!!」ギュウウ


ギャー!! ギャー!!


えりな「………」

側近「なんだか騒がしいですね」

一色「ははは、すまない。だがこの楽しくも賑やかなところが、うちの寮の売りでもあるからね」


ふみ緒「…それで?アンタがここに来た理由をそろそろ聞きたいね」

えりな「そう構えずとも大丈夫ですよ。ただ…短期間になりますが、私達をここに住まわせてほしいだけですから」

一色「…どういう風の吹き回しだい?薙切くん。君には学園敷地内の立派な大豪邸があるじゃないか」

一色「別にこれは嫌味で言っているわけじゃないけど、…君がわざわざ僻地に住もうという理由がわからない」

えりな「………」

えりな「それについて話す必要はありません。―― で?私を受け入れてくださるの?それとも受け入れず門前払い?…私を恐れて」スッ

ふみ緒「一時入寮の申請書類……学園総帥直々の、か」

一色「………!」


ふみ緒「だからといって特別扱いするつもりはない。アンタ達にも受けてもらうよ、…極星名物腕試しを」

ふみ緒「一食分の料理を作り、その味を認められたものだけが、この寮に住む資格を得られるテストさ」

えりな「……ふふ…くだらない」ボソ

えりな「…わかりました。受けて立ちましょう。大御堂ふみ緒試験官殿」


・・・


伊武崎「…薙切にまで腕試しをやらせんのか」

榊「流石、ふみ緒さんよね……どんな相手でも怯まない」

恵「でも……でも、薙切さんが相手じゃ…すぐクリアしちゃうよね…?」

榊「本当に、何をしに来たのかしら…」

創真「………」


・・・


ふみ緒「これは旨い…!極上…まさに極上!……わかった、アンタ達の入寮を認めよう」

一色(流石、薙切くんと言ったところだな…味も、調理の手際も、全て隙が無い。完璧な品だ)

側近「お疲れ様でした、えりな様」

えりな「貴方もね。…さて、早速ですが、私達の部屋はどこになるのかしら」

ふみ緒「ああ。これがアンタ達の部屋の鍵だよ。風呂は交代制、食事や掃除も当番制だ、後で詳しく説明するからね」

側近「お受けします。それでは参りましょう、えりな様」



榊「わ、わ、こっちに来る!」アタフタ

えりな「………」

創真「よー、薙切」

えりな「………」プイッ

スタスタ…

創真「あらら、俺も嫌われたもんだなー」


恵「いっ、一色先輩!薙切さんは一体何を……」

一色「やあ田所ちゃん、おかえり。デートは楽しかったかな?」

恵「ふへえええええ!!?」

榊「デートですって!?朝から姿が見えないと思っていたら、そんな事を!?」

伊武崎「なあ、薙切達の目的ってなんだったんだ」

吉野「やっほー!たっだいまーみんなー!お土産買ってきたよー!」バタバタ

丸井「死ぬ……これもう死ぬ……なんでこんなに買うんだ…」ヨロヨロ

一色「この寮で僕に隠し事なんてできるわけないだろ?で、どこまで行ったのかな?距離も関係も」

恵「うわわわわわ、やめてやめて、やめてください一色先輩、違うんですー!」

創真「お、吉野達が買ってきた土産旨ぇ。ほら食ってみろよ」

伊武崎「ん?どれどれ…」



ふみ緒「ああああうるさいねアンタ達!!さっさと部屋に帰れー!!」


【極星寮・205号室】


丸井「さも当たり前の如く、僕の部屋に集まるんだからな……」

吉野「はいはい、いいからアンタはおとなしく寝てなよ」

伊武崎「……結局、なんだったんだろうな。薙切のここに来た目的」

一色「うーん。気まぐれで動くような子じゃないし、理由を濁すなんてのも初めて見たな……」

一色「まあ何にせよ、新しい仲間が増えたという事に変わりはない!なら早速今夜、歓迎会を ――」

丸井「薙切えりな相手に!?次元が違いすぎる!」

榊「一蹴されるだけにしか思えないわよね」

一色「例え薙切くんだとて、この寮の敷居を跨いだのだから、みんな仲間だよ。一線を引くのはどうかと思うな」

伊武崎「みんな、アンタのような、恐れを知らないレベルのフレンドリーさは持ち合わせていないんだよ」


恵「なんだか大変な事になっちゃったね、創真くん…」

創真「まー、いいんじゃねーの?この寮を潰すとか、そういう話じゃなけりゃ」

創真「…それに、アイツには貸しがあるからなー。俺の料理を不味いと言われたままだしよ、いい機会なのかもしんねー。…俺の料理が美味いんだと言わせられる、いい機会!」

恵「あわわわ……そ、創真くんー…無茶はしないでね…?」


・・・


側近「…では、えりな様。何か御用がありましたら、すぐにお呼びください。私は隣の部屋にいますから」

えりな「ええ。わかったわ」

えりな(……お爺様は一体何を考えていらっしゃるのかしら。私をこんなところへ送り出して)

えりな(…けれど、あの男をこの学園から追い出すチャンスが見つかるかもしれない。私が直々に動くのもどうかと思うけど…)


一色「やあ薙切くん!今みんな205号室に集まっているんだ、君もおいでよ!」キィーン!!

えりな「ぎゃああああっ!!?」ビクッ



側近「え、えりな様!?何事ですか、えりな様!?」ドタバタ

えりな「いっいきなり大声が……なに!?連絡管!?」

創真「おーい薙切ー、部屋から出て来いよー飯もたっぷり作るしさー」ドンドン!!

吉野「今なら丸井の腹踊りも見られるよー」

伊武崎「……天の岩戸か何かか」

丸井「僕はそんな事しないぞ!?」

恵「あああ……み、みんなだって怖いもの知らずじゃない~」オロオロ

榊「騒いでいたらまたふみ緒さんに怒られるわよ」

えりな「だ……誰が行くものですかっ!部屋の前から立ち去りなさい!!」


一色「…うーん、出て来なかったね、アマテラス」

吉野「やっぱり無理なんじゃない?薙切さんと距離を縮めるだなんてさー」

榊「下手な事をしたら、それこそこの寮ごと潰されそうだものね」

一色「寂しい事だなあ、僕も今夜は気合いを入れて踊ろうかと思っていたんだが」

丸井「何故そこで僕を見る!?」

創真「いずれ風呂なり飯なり、登校なりと部屋から出てくる機会は多々あんだし、今日焦る必要はないんじゃないっすか」

恵「創真くんも頑張ってご飯作ろうとしたのにねー。……ご飯、薙切さんの部屋の前に置いておこうか?部屋から出てきてってメモを添えて、とか…」

伊武崎「…アマテラスから引きこもりニートへ一気に格が落ちたぞ」


一色「仕方ない、今日ばかりは諦めよう。思えば、創真くん達や丸井くん達も、帰ってきたばかりなんだしな。疲れたろう、ゆっくり休むといい」

一色「そして英気を養った後、改めて薙切くん達の歓迎会をしよう!」

伊武崎「後日に移しても無理だと思うけど」

丸井「彼女達には同情するばかりだ…」

恵「薙切さんを怒らせないよう、お願いしますね……」

吉野「んじゃ、解散しますかー。みんな、また明日ね。…特に幸平!色々話聞かせなさいよ!」

創真「謹んでお断り申し上げます」

榊「それじゃあおやすみ、みんな」



丸井「…ちょっと待て、部屋を片付けてから帰れ!おいーっ!!」


・・・


恵「…薙切さんとひとつ屋根の下、なんて……考えるだけで緊張しちゃうよ」

創真「まあなんとかなるんじゃねーの。まさか、寮に来てまでテストだなんだとはしないだろうし」

恵「……!そ、そうか!薙切さんと一緒に住むって事は、ご飯も一緒なんだから…食事当番が大変な事に~!?」

創真「大丈夫だって。お前が当番に当たったらサポートしてやっから。代わりに、俺の時はサポートよろしく頼むぜ?田所」

恵「……う、うん…」

創真「…マジでここまで篩を掛けに来たのかねー…アイツ…」

恵「…なんか…これからが怖いよ、創真くん…」

創真「あ、悪ぃ。…でもよ、心配しすぎだって」

恵「うう…そう、だよね……」ガタガタ

創真(またガチガチになってんな……落ち着かせる為に、>>247でもするか?)

頭を撫でて励ましの言葉をおくる


え、なに、パンツは脱いでいていいのかな?


創真(…そういや、前に頭撫でた時は、かなり気が緩んでたっけな)

創真「………」ポン

恵「…っ」ビクッ

創真(頭に手ぇ乗せただけで……重症だ、こりゃ)

創真「…落ち着け、田所。大丈夫だから」ナデナデ

創真「ちょっとだけでいいから、顔を挙げてみろ?」

恵「………?」

創真「ほら。ちゃんといるだろ?お前の傍に、俺が」ニッ

恵「……!そ…創真、くん」

創真「俺の事を忘れんなよ。大丈夫、どんな窮地だろーと、負けやしねェから。なんとかなるし、なんとかするからよ」

恵「わす、忘れてなんか、ないよ!?……創真くんの傍にいる…傍に、いてくれる…」

創真「だから大丈夫」

恵「大丈夫……」

創真「……なっ?」ナデナデ


創真「よし!んじゃこのまま深呼吸な」

恵(…っ、創真くんの手のひらが…背中に置かれてる)ビク

創真「まず肺の中に残っている古い空気を全部吐き出せ。それで、鼻からたっぷり新鮮な空気を吸い込んで、口から吐き出す」

恵「すー……はー……」

創真「やり過ぎんなよ?逆に苦しくなるから」

恵(あんなに怖かった気持ちが解れていくなぁ……創真くんの手が、私を支えてくれているみたい。…創真くんが支えてくれている…)

恵(私も……創真くんを、支えたい…)

恵「……ありがとう、創真くん。かなり落ち着いた…」

恵「まだ、怖いのもあるけど…私、頑張るね。創真くんを一生懸命サポートするから」

創真「おー、頼りにしてるぜ?田所シェフ」


創真「それじゃ、あとは風呂入ってぐっすり休め。今日は朝から動き回ったしな、すぐ眠れるって」

創真「もしまだダメだったら、遠慮せずに声かけろよ?メールでもなんでもいいから」

恵「うん…大丈夫、だと思う。いつもありがとう、創真くん」

創真「礼を言われる事なんかしてねーよ。じゃあな、田所。いい夢見ろよ」ナデナデ

バタン

恵「………」

恵「…ふわああ……」ズルズル ペタン

恵「たくさん撫でてもらっちゃった、…創真くん……すごいドキドキするよ~」

恵「……あー、ダメだぁ……私、創真くんの事、本当に本当に大好きだ…がっかりさせたくない、力になりたい…!頑張る、絶対頑張るんだから!」

恵「お風呂の時間まで、レシピ集見ておこうかな…勉強しなきゃ」


【翌朝・極星寮、食堂】


側近「おはようございます、えりな様」

えりな「おはようございます」

側近「本日のスケジュールについてなのですが……、ん?」

創真「よう。おはよーさん、薙切。……グダグダ難しい話の前に、まずは腹ごしらえしていけよ」

えりな「………」

創真「朝飯は1日の活力源だぜ。さあ、おあがりよ!」ドン

えりな「…貴方が作った料理など、食べたくありません」

恵「……あ、あのっ。わ、私も半分手伝ったんです、絶対に美味しいから…創真くんの料理、美味しいから、…薙切さんに、食べてほしいな…」

えりな「………」ジロッ

恵(ひいいぃ~っ!?)ガクブル

創真「はいはい、眉間に皺」グリグリ

えりな「うぎゅっ!?」

側近「きっ貴様!!えりな様のお顔に気安く触れるなんて!!」


創真「ほら、づべこべ言わずに食えって。そして今日も1日頑張りましょ~?」

えりな(クッ……!相変わらず、漂う香りが食欲を刺激する…体が欲しているんだわ、足りないエネルギーを補えると歓喜して)

えりな「………」パクッ

恵「あっ」

えりな「~~ッッ!!」ビクッ ビクン

カチャカチャ モグモグ ゴクン

創真「……どーよ。旨いだろ?力が溢れるよう、それでいて起き抜けでも食べやすいように、と考慮させてもらいましたが」

創真「さあ…感想をどうぞ!薙切えりな殿!!」

えりな「………!」ブルブル



えりな「………不味いわよッ!!!」

創真「あれええぇぇ!!?完食したくせに!?」

恵「……あはは…」


【昼食・校内、えりなの私室】


側近「……では、午後の予定はキャンセルという事で」

えりな「ええ。そんな事に私の貴重な時間を割き、舌を汚すわけにはいきません。そのぶん、新作料理の研究を進めま……」

創真「薙切ーッ!!昼飯だ、弁当持ってきたぜ!!」バターン

えりな「ブーッ!!!」ブシュウッ

側近「えりな様!?えりな様ーっ!!」

恵「わあ…薙切さんが吹き出した紅茶が、虹を」

えりな「ゆ…幸平くん、田所さん!?貴方達……部屋に入る時はノックしてからという事を知らないの!?」

創真「なんだよ、茶しか飲んでねーの?なに、ダイエットとか?食わない方がよっぽど太るぞ。つーかお前でもそういう事を気にしたりするんだな」

えりな「レッテルを貼るなぁぁ!昼食はこれからなのよ!!」


創真「なら丁度良かった!ほら、お前の弁当だ!田所が作ってくれたんだぜ?俺も半分手伝ったけどな」ドン

恵「よ…良かったら、食べてください……」

えりな(なによ、これ。煮物を中心に、申し訳程度に肉のおかず……サラダが別の器だから、メインの色合いがとんでもない事に)パク

えりな(更には炊き込みご飯…まったく、庶民の香りがプンプンするお弁当よね……評価を下すまでもない、なのに……)モグモグ…

えりな(なのに……心に染み入るのは何故なの!入り込んでくる…心を溶かして中に入り込んでくる!!やめて……出ていってよ!ほっといてよー!)モグモグ

創真「田所特製、オカン弁当!彩りとか考えてなくて、なんか全体的に茶色いけど、昼食という1日の折り返し地点で、頑張れ頑張れと応援してくれる母の愛が詰まった弁当だ!!」


恵(なんか茶色いオカン弁当……)ズーン

えりな「………!」ゴクッ

創真「味噌汁も完食、と……さあ!お味の程は!?どうだったよ、薙切!!」

えりな「………」ブルブル



えりな「…ま……まじゅい、わよぉっ!!とても、食べられたものじゃないわっ!!」ボロボロ

創真「あれええぇぇぇ!!?そんな号泣しているくせに!?完食したくせに!?」

恵「な、薙切さん!?」オロオロ

えりな「うっうるさい!うるさいっ、出ていけー!!追い出して、この人達をー!!」

創真「ちょっと待て薙切、お前意地張っているだけだろ……おわーッ!?」

恵「あわわわ……きゃー!!?」

バターン!!

えりな「…ああぁっ……もう、最低…!!」


【おやつ・校内中庭】


えりな「………」キョロキョロ

側近「え、えりな様…大丈夫ですか?」

えりな「ええ、なんとかね……朝に昼にと、これだけ襲撃を受ければ過敏にもなってしまうけれど」

えりな「…流石にもう、来ないわよね……?やっと落ち着けられ…」

創真「ところがどっこい!!!」ザザザーッ

えりな「ぎゃああーっ!!?」

側近「木の上から降りてきた!?待ち伏せしていたの!?」

恵「創真くん、待ってぇー!!こ、怖い…降りられないよーっ!!」

創真「あ、すんません。ちょっと待っててくれ、田所を降ろすのに脚立押さえてくるから」

えりな「そもそも木に登るな!!……いや、違う、登ったらいけません!なんなのですか、貴方達は!」

創真「やー、薙切がビックリするかなーと思って?」


えりな「期待を裏切らず驚いたわよ!それでご用件は!?また何か食べさせる気!?何度来たって無駄よ、貴方達の料理なんか、二流どころか三流以下…」

創真「ご明察の通りでーす。3時のおやつタイム、お届けにあがりましたよ」パカッ

恵「!! そ、創真くん!流石にそれは、ダメだよー!」

えりな「ヒイッ!!?」

創真「イカゲソのプリン仕立て生クリーム添え。新食感デザートだ、さあ、おあがりよ!!」

えりな「や……やめて…やめて、いやあぁっ!食べなくとも、不味いに決まっているじゃないのっ、そんなの!!」

創真「オラオラいいから口を開け!零さずちゃんと飲み込めよっ!?」


イカゲソの風味が間違った方向に変貌を遂げ、体中をまさぐられるような感覚……悔しい、けれど、感じてしまうっ……!

 ―― 凄まじいクソ不味さにね!!体が全力で吐き出せと促す体験なんか初めてだったわ!!

『薙切えりなの手記より抜粋』


【放課後】


創真「はぁ……薙切の奴、本当に頑固だよな~。腹癒せに、おやつ食わせてちょっとスッキリしたが」

恵「確信犯だったんだ……ダメだよ~創真くん、そんな事しちゃあ…」

創真「でも、いいセンいってると思ったんだぜ?甘味の中に爽やかな海の幸を……あ、ダメだコレ不味い」モグモグ

恵「そもそも、イカゲソはそこまで爽やかじゃないと思うな…」

創真「……っと、悪い、田所。携帯を教室に忘れてきた、取って来るから待っていてくれ」

恵「あ、うん!わかったよー」



えりな「………」ザッ

恵「………?」

恵「っ、……な、薙切さん…?」


えりな「………」

恵「…あ、あのっ……ごめんなさい!1日、つきまとっちゃって…あの、私達……」

えりな「これ」スッ

恵「え?……あ、お昼のお弁当箱。…洗ってくれたんですか?」

えりな「忘れ物を届けに来てあげただけです。私室に置いて行かれても困るから」

恵「………や…、やっぱり、美味しく…なかったですよね」

えりな「当たり前でしょう!?」

恵「ひっ!」ビクッ

えりな「……、………でも、」

恵「………?」

えりな(…慢心、敵意、畏怖の念がない、ただひたすらに、…優しい気持ちの詰まった料理…審査などではない料理は……久しぶりに食べた…)

えりな(幸平くんと田所さんの……思いが…)

恵「………?薙切さん?」

えりな「……なんでもありません。それでは、ごきげんよう」


恵「………」

恵「ね、ねえ、薙切さん……良かったら私達と一緒に帰りませんか…?せ、折角、同じ寮になったんだし!」

えりな「冗談じゃないわ。馴れ馴れしくして来ないで、私は車で帰ります」ザッ

恵「……薙切さん」



創真「よー、待たせて悪ぃ、田所。…どうした?ボーっと突っ立って」

恵「創真くん……」

恵(私、感化されているのかな。創真くんの影響、なのかな…以前なら、こんな気持ち抱くどころか、固まっているだけだった……。でも…)

創真「?」

恵「創真くん…私、私……薙切さんと、仲良くなりたい…なれる、かな」

恵「落ちこぼれで捨て石一等賞の私が、天上人の薙切さんと。……うう、やっぱり無理だあ……今のは忘れて…」

創真「…やー、んな事ないんじゃね?なれるって、アイツと友達にさ」


恵「創真くん……、…あ、いや、やっぱり今のは忘れて、本当に!薙切さんを怒らせちゃったら、一発で退学に……」

創真「一色先輩も言ってたろ、寮の敷居を跨いだら仲間だって!そうだよ、友達になりゃ、いくら上座でふんぞり返ろうと、アイツが寮から出ていっても、飯を食わせる機会が増えるし…」

恵(ひ、火を点けちゃった!?)

創真「……よし、やるぞ田所!寮に帰って作戦会議だ」

恵「えっ!?まっ、待ってー!創真くんー!!」



えりな「………」

えりな「幸平創真と、田所恵……か」

側近「ほとんど一緒に行動していますね、あの2人」

えりな「………」

えりな(…もしかして……彼の弱点って、彼女なのかしら…?)


【極星寮】


一色「やあ、おかえり2人共」

恵「ただいま、一色先輩。……どうしたんですか?その荷物」

一色「これかい?ふふ、週末のお楽しみさ。その時に改めて薙切くん達の歓迎会もやるつもりでね」

創真「何かやるんスか?」

一色「うーん、君達にも内緒にする事はないか…でも、薙切くん達には秘密だよ?驚かせたいからね。ほら、袋の中身を見てごらん」

恵「…うわあ~、すっごく楽しそう!」

創真「へーっ、一色先輩の案にしちゃ、なかなかいいじゃん!」

一色「ん?これは褒めてもらっているのかな…?ま、そういう事だからさ!週末、予定を空けておいてくれよ。薙切くん達は僕がなんとかするから」

恵「はいっ!……わー、どうしよう、すごい楽しみー!」


創真「あー、こうなるとますます薙切達との距離を縮めとかねーとな」

恵「……あんまり無茶しないでね?創真くん」

創真「大丈夫だっての。さて、飯の前に当番の掃除を片付けちまうかー」

恵「あれ?今週の当番って、創真くんだっけ?悠姫ちゃんじゃなかった?」

創真「…いや、なんつーか……交代したんだよ、交代」

創真(遊園地の割引券と引き換えに、ってのは…黙っていた方がいいよな)

恵「ふうん?…それなら私も手伝うよ、2人でやった方が早く終わるもんね」

創真「おう、サンキュー」

えりな「………」

側近「やはり、2人一緒にいる時間の方が多いようですね」

えりな(……シェフ、スー・シェフといった感じかしらね。なら、そこを突けば…)


恵「…あ、薙切さん!おかえりなさい」

創真「車で行き来しているわりにゃ遅かったな?」

側近「えりな様は色々とご多忙なんですよ。貴方達とは違って」

創真「ふーん。まあ確かに、あちこち引っ張りだこみてーだもんな、お前」

えりな「………」

恵「き、今日の夕飯も頑張るから…食べてくださいね、薙切さん」

えりな「結構です、自室で食事を取りますから」スタスタ

恵「……うー、やっぱりダメかあ…」

創真「まーまー、これからガンガン攻めていきゃいい話だ。週末のお楽しみもあるしな…そうツンケンしていられんのも、今のうちだぜ!薙切!」

えりな「!?」ゾクッ

側近「えりな様?どうかされましたか?」

えりな「え……いえ、気のせいかと」


えりな(……それにしても)



創真「田所、そっちは重たいだろ、俺が持つから」

恵「あ、ありがとう、創真くん…でも、創真くんもたくさん抱えてるんだから…じゃあ、私はこっちを持つね?」

創真「サンキュ。…しっかし周りが木だらけだから落ち葉もスゲー量になるよなぁ」

恵「自然が多いのはすごく落ち着くんだけどね~、森林浴とかするのもいいよー?」

創真「落ち着くって言うわりには毎回アタフタしているじゃねーか、お前」

恵「はう!!……あがり症がな~なかなか治らなくて……」グサッ



えりな(コンビネーションとはまた何か違うような……?)

側近「付き合っているんですかねー、あの2人」

えりな「………」

えりな「………は?」


側近「あ、いえ。なんとなく、そう思っただけで…」

えりな「いいわ、続けてちょうだい」

側近「へ?あ、いえ、続けると言っても、本当になんとなくというだけですから…」

えりな「寮の食事の時は、離れた席に座っていたでしょう?」

側近「けれど、登下校も一緒、校内でもほぼ一緒に行動していますよ?見れば幸平創真が田所恵を引っ張り回しているようにも思えますが、田所恵もまた、幸平創真に付いて回る場合も多く…」

側近「もう少し観察が必要でしょうが、なんとなく……それが自然なのだというものを感じるのは…」

えりな(な!なんて不真面目な!!)

えりな「…ふ、ふんっ。まあ、庶民は庶民同士、お似合いといったところですね!!」

側近(えりな様の様子が何かおかしい?)


えりな(私の聖域に土足で侵入してきた汚点、幸平創真!彼を排除したい、学園から追い出したい……)

えりな(弱点が見つかったように思う、そこを突けば容易く蹴落とせる、……だけど、どうして?葛藤している?この私が!?)イライラ

側近「え、えりな様…?」オロオロ

えりな(田所恵……彼女の資料は見た。幸平くんとまさにお似合いの、成績最下位をひた走る、どんくさい女の子)

えりな(私が手を下すまでもなく落ちていくはずの…、こんな機会が無ければ、一生知る事のなかった存在)

えりな(それが生き残っているのはどういう事?彼の力だっていうの?本当に忌々しいわ)


・・・


恵「あっ薙切さん!丁度良かったー、これから>>273するんだけど、薙切さんも一緒に、どうですか?」

えりな(……探ってみようか?これで、2人の事を…)

王様ゲーム


えりな「王様ゲーム……ね。話には聞いた事あっても、実際にやった事はないのですが」

恵「やってみればすぐわかると思いますよー!くじ引きで、相手を決めて…罰ゲームをクリアするって内容で」

恵「極星寮式王様ゲームはね、命令を書いた紙を箱に入れて、それを引き当てる、ってものだから…ど、どんな内容が来るか、本当にわからなくてスリル満点で……!」ブルブル

えりな「そんなにガチガチになるほどなら、やらなければ良いのに」

恵「う、ううん!絶対楽しいから!多分!」

恵(これで、薙切さんと仲良くなれるかも…距離が縮まるかもしれないし!)

えりな「…いいでしょう、私も参加させてもらうわ」

側近「えりな様!?本気で仰っているのですか!?」


えりな「余興としては面白いんじゃないかしら?貴方もいらっしゃい」

側近「は、はあ……えりな様がそう仰るなら…(すごく意外だけど……)」

えりな(…これで、私の疑問や、彼らの謎が解けるだろうか……)

恵「本当に!?やったあ、ありがとうございます、薙切さん!じゃ、じゃあ、205号室に行きましょう。みんなそこに集まっているから」

えりな「ええ。わかりました」

・・・


吉野「…えー、薙切さんが来るとか、すごい意外なんだけど!」ヒソヒソ

創真「明日は大雨になるんじゃねーか?」ヒソヒソ

一色「命令の紙も全部箱に入れて混ぜた……よし!極星寮式王様ゲーム開始だ!みんな、くじを引いてくれ!」

一色「引き終わったら、この10面ダイスを転がしてペアを決めるからね。……えーっと…今回は、3番と8番だ!誰かな?」


丸井「げっ!初っぱなから当たってしまった……」

榊「あら、私だわ」

一色「3番が榊くん、8番が丸井くんか。それじゃあ、番号の若い榊くんが命令内容をこの箱から引いてくれるかい」

榊「……えっと……"3分間、肩揉みをする"か。うふふ、丸井くん、いらっしゃい。肩を揉んであげるわ」

丸井「…ほっ……楽な命令内容で良かった…。……あー、そこそこ、気持ちいい……」モミモミ…

一色「…と、まあこんな感じの流れだよ。どうだい?わかったかな?」

えりな「ええ、理解しました」

創真「自分の番が来ない間は、好き勝手飲み食いして過ごしたりしていいからよ。ほら、つまみにどーぞ?ゲソのピーナッツバター和え…」

えりな「結構です!何故そうゲテモノばかり作るの!」

一色「それじゃあ次のターンに移るよ!」


『王様ゲーム安価』

・命令内容には0~9までの番号指定をオナシャス。

例:3番が4番にタックルする


・書き込み秒数で組み合わせ決定

例1:書き込み秒数が25秒で、振られた番号が、2番創真、5番吉野だった場合、この2人が罰ゲーム。

例2:書き込み秒数が07秒で、振られた番号が7番 恵だった場合、もう一人自由に相手指定可。もしくは恵単独で罰ゲーム挑戦。

例3:書き込み秒数が00秒だった場合、キャラ指定完全自由。


・今回の番号割り振り
1創真 2吉野 3一色 4榊 5丸井 6恵 7側近 8えりな 9伊武崎 (0フリー)


命令安価 >>278
ペア安価 >>279


あ、ごめんなさい。書き直すの忘れてた…上のは無しで、こっちのルールでお願いします。




『王様ゲーム安価』

・命令内容は基本的にペアでこなせるものをオナシャス。


・書き込み秒数で組み合わせ決定

例1:書き込み秒数が25秒で、振られた番号が、2番創真、5番吉野だった場合、この2人が罰ゲーム。

例2:書き込み秒数が07秒で、振られた番号が7番 恵だった場合、もう一人自由に相手指定可。もしくは恵単独で罰ゲーム挑戦。

例3:書き込み秒数が00秒だった場合、キャラ指定完全自由。


・今回の番号割り振り
1創真 2吉野 3一色 4榊 5丸井 6恵 7側近 8えりな 9伊武崎 (0フリー)


命令安価 >>279
ペア安価 >>280

ポッキーゲーム

どれ


一色「次は…1番と5番だね!誰かな?番号の若い方が、この箱から命令くじを引いてくれ!」

丸井「5番……僕だ、また当たってしまうとは!」

吉野「アンタはこういう展開になると、本当によく巻き込まれるわね~」

創真「1番は俺だな…んじゃ、命令を引きますよー、っと……」ガサガサ

榊「どんな命令だった?」

創真「………………ポ…ポッキゲー、ム……?」

吉野「ぶはっ!!!」

丸井「なんてものを引いてくれたんだ、君は!?」

えりな「……ポッキーゲーム…?」

恵「あ、あのね……互いにポッキーの端っこを咥えて食べていって…たくさん食べた方が勝ち、ってゲームです」

えりな「なんですって……男女ペアで当たったらどうするつもりですか!彼らが引いて良かったわ…」


創真「本来、男女間でやって盛り上がる趣旨だからな!?丸井ととか……なんの罰ゲームだよ!」

一色「いや、最初から罰ゲーム目的だよ?こういう事もあるさ、恨むなら自分のくじ運を恨みたまえ、創真くん!」ガシッ

創真「うお!?ちょっと、なに羽交い締めしてんスか!!一色先輩!」

伊武崎「お前もだ」ガシッ

丸井「離せ伊武崎!!やめろ、こんな不毛な事!誰が見たって面白くないだろう、気持ち悪くなるだけだろ!!?」

吉野「あははは!あっはははは!!私はすごく面白いよ、あははははは!!」バンバン

創真「吉野てめぇ!覚えてろよ、床叩いて笑い転げやがって!!」

榊「はい、ポッキーを咥えて~」

丸井「むぐ!?」

一色「ポッキーゲーム、スタート!!」

恵「そ、創真くん!丸井くんも、頑張って!!」


えりな「ああああ…醜悪!劣悪!!ちょっ……際どい!やめなさい、目が腐る!」

側近「えりな様、見てはいけません!」

吉野「あっははは!!いけいけーっそのままブチュッとやってしまえー!!」ゲラゲラ

丸井「うぐぐぐ……!!」

榊「一口だけでも食べなきゃ、ゲーム成立にはならないからね?何度だってやらせるわよ」

創真「むぐぐぐ~…ッッ」ボリ

恵「そ、創真くん!一口かじった!!」



創真「こ…これ以上は無理だぁぁっ!!!」ポッキーン

一色「あっ!?」

榊「手刀でポッキーを折るなんて…もぉ、幸平くんったら。早いわよ~」

丸井「なら、お前がやれっ!ああぁ……死ぬかと思った…」


吉野「チッ、つまんないわね!……やっちゃえ、伊武崎!一色先輩!!」

創真「はっ?」ガシッ

丸井「なに!?」ガシッ

伊武崎「ポッキーを折って途中退場とか無いわ。男らしく責任取って罰の罰ゲームだな」

丸井「だったらお前がやってみろと言っているんだ!!罰ゲームどころじゃない……闇のゲームだろ、これ!!」グググ

一色「さあさあ、ポッキーゲームの再開だよ!」

創真「ポッキーもう無ぇよ!!やめろ、やめてください、マジでやめてくれーっ!!」グググ

丸井「ああああ、近っ!!近っ!!!た、助けてくれええーっ!!」

創真「ぬおおおおお!!?」

恵「あわわわわ…そ、創真くんー!」オロオロ

えりな「なんなの、この混沌とした世界は……理解できないわ…!」


ゴシャアアアァッ!!!

伊武崎「なっ!?」

一色「なにぃっ!?」

側近「き、決まったぁー!!あれは伝説のクロスカウンター!!」

吉野「ぎゃっははははは!!そ、そこまで嫌がるとか…マジでウケる、あははは!!」ゴロゴロ

榊「笑いのツボが浅いんだから、床を転がってまで…」プルプル

恵「涼子ちゃんだって、笑うの堪えて震えてるじゃない~…2人とも、大丈夫?」

創真「ちっくしょう……吉野め、あとで絶対に失敗作食わせてやるからな…」ヨロヨロ

丸井「 」

えりな「もしも、私にあんなゲームが当たったら……!」ゾクッ

一色「よっぽどじゃない限り、棄権は認められないからね?さあ…口直しも込めて、次のゲームに移ろうか!」


恵(こ、今回の命令くじは結構すごいものが入っているんだな~……もしも、創真くんと他の女の子が、ああいう命令に当たったら…うわあああ、そんなのイヤあー!)

えりな(さ、流石にもう、あんな罰は無いわよ、ね……?この私にあんな事、やらせないわよね!?)

側近(…ところで、この瓶に貼られたラベルって……まさか、密造……いやいや、そんな、まさか)

榊「…ただの、お米からできたジュースだから。ね?」ニッコリ

側近「ひえっ!!?は、は、はいっ!!」ゾクッ

えりな「……い、いいわよ!どんと来いっ!……です!」グビッ

恵「だ、大丈夫?薙切さん」オロオロ



一色「ようし、みんな!次のくじを引いてくれ!」


『王様ゲーム安価』

・命令内容は基本的にペアでこなせるものをオナシャス。


・書き込み秒数で組み合わせ決定

例1:書き込み秒数が25秒で、振られた番号が、2番創真、5番吉野だった場合、この2人が罰ゲーム。

例2:書き込み秒数が07秒で、振られた番号が7番 恵だった場合、もう一人自由に相手指定可。もしくは恵単独で罰ゲーム挑戦。

例3:書き込み秒数が00秒だった場合、キャラ指定完全自由。

例4:書き込み秒数がゾロ目だった場合、1人キャラ指定可。
(33秒で3番がえりなだった場合、えりなともう1人キャラ自由選択)


誰得ゲームからスタートw丸井さん流石やで。
スレ開いてくれてありがとうございます。ルールの書き漏らし多々あってすいません…二回戦目オナシャス。


・今回の番号割り振り
1一色 2恵 3伊武崎 4えりな 5創真 6榊 7丸井 8側近 9吉野 (0フリー)


命令安価 >>292
ペア安価 >>293

お姫様だっこ




伊武崎「次は俺と……お前か。じゃ、命令くじを引けよ」

恵「よ、よろしくね、伊武崎くん。……変なのに当たりませんように~」ガサガサ

榊「何が出た?見せて見せて!」

恵「えっ、と。………おっお姫様抱っこ!?」

創真「!!!」

吉野「ほほう……?」ニヤニヤ

伊武崎「田所が俺を担げるとは思えないな。なら、俺がやる側か。田所、こっちに来いよ」

恵「えっ、えっ、え!?」アタフタ

伊武崎「いいから、ほら」グイ

恵「きゃっ!?」

一色「あはは、優しくしてあげなきゃダメだよ?田所ちゃんは初々しい子なんだから」

伊武崎「よっぽどじゃない限り、拒否権無しのゲームだろ。なら、サクッと終わらせるに限る」

伊武崎「田所、危ないから俺の肩に腕を掛けろよ。落ちそうになったらベッドに転がすから、その覚悟はしといて」スタスタ


恵「あ…あわわ、わわ……いっ伊武崎くんー!もういいよ、下ろして~!」

伊武崎「暴れんなよ、本当に落ちるぞ。…なんだ、お前。めちゃくちゃ軽いんだけど。ちゃんと飯食ってんの?」

丸井「伊武崎はいつもスモークウッド作りの木材を運んでいるもんな。それで鍛えられているわけか」

榊「あの機械も意外と重いのよね~、この間、持ち上げようとしたけれど…腰が痛くなっちゃったくらいだもの」

吉野「…ヒヒヒ。ねえねえ幸平?どうよ、あれを見ての感想は?」

創真「や、意外とパワフルだなーって?つーか喉が渇いたから、そっちの金色のお茶をくれ」

側近「結構、絵になりますね。あの姿。お姫様抱っこなんて、女の子憧れのものじゃないですか」

創真「なー、お茶取ってくれって、そっちにある瓶のヤツ!」

側近「は、はいっ!?」


えりな「………」

えりな「…何か、動揺していない?幸平くん」

創真「あぁ?どこがだよ、俺は普段通りですけど?」

えりな「そう……よね?………」

吉野「だから言ったじゃない、ボーッとしていたら横から浚われちゃうよ、って……あ痛っ!ちょっと!暴力反対!」ペシッ

創真「なら優しくしてやるよ、…ほら、あーんして~」ヌメェ

吉野「そ、それって!ゆきひら印のイカゲソじゃない!やだやだ!もうからかわないから、やめてーッ!!」バタバタ

創真「ついに自白しやがったな?さっきからお前は本当に……待てコラ吉野、食わせてやるからおとなしくしろ!」

えりな「………」

えりな(なんだか、ますますよくわからなくなってきたわ…?)


伊武崎「…よっ、と。はい、お疲れさん」

恵「ふうっ…き、緊張した……ごめんね、重たくなかった…?」スタッ

伊武崎「言ったろ、めちゃくちゃ軽いって。手で抱えず、腕で抱けば楽だし。もうちょっと肉つけたって大丈夫だと思うぜ」

恵(おかげで、伊武崎くんの顔がすごく近かった……)アワアワ

伊武崎「今度、何か肉系を燻してやろうか。そうだな……鶏肉でも。吉野から材料譲ってもらえばいいし」

恵「伊武崎くんと悠姫ちゃんのコラボかあ…それはなんだか、すごく美味しそうだね~」

伊武崎「鶏肉ならそこそこヘルシーだからな、それ食って力つけたら。……んじゃ、次のゲームに移るか」

榊「…起伏なく、あっさりしているんだからね~……次は、…って、悠姫はどうしちゃったの」

吉野「ううう……イカが…イカゲソが、私の胃を犯してきたあぁ……」シクシク


一色「時間的に……あと2、3回はできるかな?よし、みんな。くじ引きタイムだよ!」

吉野「ううぅ~……その前に、何か美味しいものが食べたいよ~…胃の中でイカが蠢いているよ~」ベソベソ

えりな(その感覚、痛い程わかるわ……)

創真「いちいち大袈裟なんだよ吉野は、そんなに不味くもねーじゃん。……ごめん、すっげー不味いわコレ…おえぇ」

恵「悠姫ちゃん、創真くん、大丈夫?お水とか飲む?」

創真「………」

創真「………」グシャグシャ

恵「!? わ、わ、わ!?ちょっと、創真くん、か、髪がぐちゃぐちゃに!」



・今回の番号割り振り
1側近 2丸井 3榊 4吉野 5フリー 6創真 7伊武崎 8一色 9恵 0えりな

ルール  >>290
命令安価 >>299
ペア安価 >>300


パイタッチ

ソーマ


側近「んぐっ………わ、私!?」モゴモゴ

榊「そのお豆腐、美味しい?私が作ったんだけど、塩麹をしっかり効かせてね。ふふ、たくさん食べてくれて嬉しいわ」

側近「すごく美味しくて、つい。…というか、私が当たるとは思わなかった……」モグモグ

一色「油断は禁物だよ?お相手は…創真くんか。口の中のものを飲み込んだら、番号の若い君が命令くじを引いてね」

側近「えと、それじゃあ……」ガサガサ

吉野「どれどれ~、……うはっ!パイタッチだってさー!!」

恵「!!!??」

えりな「!! ちょっ……誰ですか!?こんな命令を混ぜたのは!」

吉野「はーい、わったし~」

創真「吉野ー!!お前かよ!!」

吉野「だって、折角の王様ゲームなんだしさー。こういうスパイスもたまにはいいかなと思って?あー、私に当たらなくて良かった~」


一色「僕もウェブサイトから適当に印刷した命令を突っ込んでいるからね、気合い入れていた方がいいと思うよ」

えりな「……そこの君達。2人に幸平くんの作った失敗作を食べさせてあげて」

伊武崎「了解」

丸井「薙切えりなの指示とあっちゃ、逆らえないよな…」

吉野「ぎゃああああ!!やめて!許して!!それだけは、もういやあああ!!」

一色「ぐああああ!!……星が…星が見える…これはまるでブラックホール……!全てを飲み込む不味さっっ!!」

えりな「幸平くん!そんないやらしい事を、この子にやったら許しませんからね!?一発で退学にしてやるわ!!」

側近「え…えりな様…!」

恵「 」アワアワアワ

榊(大変、恵が息してない…!)


創真「……やー、でもさ、よっぽどじゃない限り、拒否権なしなんだろ?」

恵「そ……創真くん…!…やだ、やだよう……」

創真「ちょっと失礼しますよ」ガシッ

側近「ひッ!!?わ、私は!そんな事は……」

えりな「幸平創真!貴方…!彼女からその汚い手を離しなさ ――」

ムギュッ

側近「ぃひゃっ……、あ……え?」ムギュムギュ

創真「どーっすか?俺のおっぱい、っつーか、むしろ雄っぱい?」

側近「え、あ、は、はあ……若干硬め…じゃなくて!は、離せ、もう触ったから、いいです!」バッ

創真「一応鍛えようって意思はあるんだけど、なかなかねー。……これでクリアってところでいいだろ?どっちがどっちの、って指示はないんだしよ」

恵「あ……そ、そっか…良かったぁぁ…」ヘナヘナ


吉野「チッ。そうか、指示を明確に書いておけば良かったわね…諸刃の剣となったとしても!」

創真「前に言っただろ?お前の思惑通りに事は運ばねーって」

えりな「…小賢しいとも言えるけれど、今回ばかりは見逃してあげます」

側近「ううっ、えりな様あぁ…!」

吉野「そうね、よくやった……なんて言うか!お前にはガッカリだ!と言うべきだね、ここは!!」

創真「おーい、丸井ー。吉野がおかわり欲しいっつってるぞー」

吉野「ぎゃああああああ!すいません、本当にすいません調子に乗ってました!!許して、もうイカゲソ一生食べられなくなる!トラウマになるー!!」

丸井「先日、応援する的ないい事を言っていたくせに、これだからな…反省が必要だ」グイグイ


伊武崎「一色先輩が気絶しちまったから、進行は俺が代わる。一休み挟んだら次のゲームに行くぞ」

榊「親の仇の如く口に詰め込んでいたわね……何気に一色先輩へ恨みでもあるの?」

伊武崎「いや、反応が面白かっただけだ」

恵「………」キュッ

えりな(田所さん?幸平くんの服の裾を掴んで……)

えりな「………」

創真「失敗作のタッパーが空になるとか、初めてかもしんねー。休憩の間に新しく作ってくるか」

吉野「も、もう本当に勘弁して……死ぬ、死因がイカゲソになる…」

えりな(気づいていない?それとも…それが当たり前という事?触れないだけ??)



・今回の番号割り振り
1フリー 2榊 3吉野 4えりな 5恵 6側近 7伊武崎 8創真 9丸井 0一色

ルール  >>290
命令安価 >>308
ペア安価 >>309


相手の目を見て「愛してる」

どや


えりな「…ついに来た、か……」

創真「薙切とか。食戟しろって命令が出ないかなー」ヘラヘラ

えりな「それなら簡単ね、どうせ私の勝ちになるけど。……私もそういった命令が出て欲しいわ…」

伊武崎「じゃ、命令くじを箱から引いてくれ」

側近「えりな様、ご武運を!!」

えりな「………」ガサガサ

伊武崎「引いたな、なら次は命令を開いて読み上げ」

えりな「……相手の、目を見て………な!なによ、これーっ!!?」バリーン!!

恵「ひえええっ!!?」

榊「あらあら、命令くじが破けて……えっと?相手の目を見て、愛してると言う、か。…へえー?」ニヤニヤ

えりな「ちょっと!何を笑っているの!?ふざけないで、こんな事できるわけがない!」

伊武崎「今までの命令より断然簡単だろ、ただ言うだけでいいんだし」


創真「やー…俺も薙切にそんな事言うとか、絶対笑っちまいそうなんだけど」

えりな「」カチン

えりな「君ねぇ!この私を誰だと思っているの!?この薙切えりなに愛の言葉を言うのも言われるのも、庶民代表のような君には一生縁のない事なのよ!?」

創真「なら、薙切が俺に言ってみるか?」

えりな「………はっ?」

創真「俺は絶対笑って言えそうにねーし。そこまで言うって事は、お前ならあっさりクリアできるんだろ?ほら、いつでもどーぞ」

側近「貴様!えりな様に向かってなんて口の聞き方を…!」

伊武崎「たかがゲームなんだから、そう熱くなんなよ。ほら、幸平手製のトッピングイカゲソを食え」ズボッ

側近「うぐうぅぅ~っっ!!?」ジタバタ

丸井(吉野も気絶していて良かったかもしれないな…余計場が混乱しそうだし)

吉野「 」


恵「………!」

創真「ほらほら。それともやっぱり口だけっすか?天上人だかなんだか知らないけどさー」

えりな「い…いいわ、言ってあげるわよ!耳も目もほじくっていなさい!!」

創真「目はほじったらダメだろ」

えりな「うるさいっ!!」

えりな「………」チラッ

えりな(田所さんの動揺がすごい…そこまで付き合いのない私ですらわかる。少なくとも、調理場においてのコンビ…それ以上の好意はあるのね?)

えりな(……だけど、今は……)

創真「 」ボケー

えりな(こんな男に、例えゲームとはいえ、この私が!愛の言葉を告げる、ですって!?)

創真「なー、まだ?それともゲーム辞退するか?その際は罰ゲーム以上の、闇のゲームに移行だよな」

伊武崎「そうだな、その場合は…ふみ緒さんの寝込みでも襲ってもらうか」


えりな「言うわよ!今から言います!!………」スー ハー

えりな「……幸平、創真くん」ジッ

創真「はーい。…なんだ、出席取っているみてーな感じ」

えりな「茶化すなっ!……あ、あ…愛………」

榊「…なんだかこっちまでドキドキしてきちゃう…」

恵(…薙切さんが相手じゃ……私、なんか…)

えりな「……あ………あ、愛、……愛し、て……」

創真「んっ?」

えりな「――― ッッ!!」カァッ

えりな「愛してるわよ、この野良犬があああっっ!!!」ブワッシィーン!!

創真「ぐはああっ!!?」

恵「きゃー!?創真くんー!?」

伊武崎「…スッゲー。あんなに綺麗に決まった平手打ちは初めて見た」

榊「すごくいい音がしたわね……幸平くんが吹き飛びそうな勢いで、流石薙切さんってところかしら」


えりな「こ……これでクリアという事で、いいですね!?異論は認めないわ!!」ズキズキ

丸井「自身にダメージ受けてまでの照れ隠しとか、実際に見たのは初めてだな…」

えりな「誰が照れているですって!?」ギロッ

丸井「ひいいっ!?」

創真「いででで…!薙切の恋人になる奴、大変だなコレじゃ……命がいくつあっても足りないんじゃねーの…」

えりな「君にそんな事を言われる筋合いはないわ!相手が君だったから、こうしただけよ!!本当に腹の立つ!」

創真「マジで?なんでそこまで嫌がられてんだ、俺」

恵「……知らないっ」プイ

創真「あら?田所さん?なんで膨れてんの、どうなさったんですか」

榊「ふふふ、まだまだ幸平くんに女心の理解は難しいのかもしれないわね」

恵「涼子ちゃんっ、変な事言わないでー!」


伊武崎「ま、良しとするか。……しかし、被害は甚大だな…参加者の三人が気絶中とか、かつてない状況じゃないか」

えりな「気絶させたのは誰だと思っているんですか」

伊武崎「……アンタの指示が原因のひとつでもあるんだけど」

えりな「この私に口答えしないで!…と、とにかく!もう時間も時間だし、お開きにしましょう!?」

伊武崎「そう急くなよ。あともう一回戦くらいは出来そうだ、ここまで来たら最後まで参加していけよ」

創真「そうだそうだ。今回このゲームを開いたのも、みんなお前と打ち解けたいからって気持ちがあったからこそなんだしさ?」

えりな「余計なお世話よ!君達のような者が、この私に馴れ馴れしく……」

創真「はいはい、ペア決めからくじ引きにいくぞー」

えりな「流すなあああっっ!!」


丸井「参加者も少なくなったし、いっそ全員で罰をこなしてみないか?」

榊「それならフェアかもしれないわね。変な命令さえ出なければ……」

伊武崎「なら、俺が命令くじを引くよ。……えーと…告白をしろ、だってさ」ガサガサ

恵「こ、告白!?告白、って……」アタフタ

榊「別に慌てる事もないんじゃない?なんの告白かって指示は無いんだし。さっきの創真くんみたいな機転を利かせられるでしょう」

恵「あ…そ、そっか……それなら…」

榊「なら、私から行くわね。…先日、食堂で割れたお皿があったでしょう。ごめんね、あれ割っちゃったの、実は私なのよ」

丸井「あー…あの、ふみ緒さんが怒り狂っていたやつか……」

榊「綺麗に片付けたつもりだったんだけど、ふみ緒さんに隠し事はできないわねー」


伊武崎「じゃあ次は俺が。といっても、隠し事なんか特にないんだけど。…また空き部屋を改造しようか、とか」

榊「それはいつもの事じゃないの」

丸井「僕も特にはないな……いや、毎回僕の部屋を散らかしていく人間に、いつか制裁を加えたい、か」

創真「怖い考えを告白すんなよ、……次こそは片付けるから。本当、マジで」

丸井「今日、今この時から片付けていけ!!」

伊武崎「んで?お前らの告白は?」

創真「やー、俺も特にはないんだよなあ…夜中に腹減ったから、冷蔵庫にあった残り物を調理して食ったとか、それくらい」

榊「なんだかみんな平和ねー。告白というより懺悔じゃない。トラブルメーカー不在だとこんなものかしら。次は恵、告白をどうぞー」

恵「>>322


テンプレですまない…。
スレ開いてくれてありがとうございます。

好きでふ創魔くん

スレ開いてくれてありがとうございます
月曜にテンション上がるようになってきたのが有り難い


恵(告白……告白かあ…私、なにか告白することあったかな?いきなり言われても、特に思いつかないものだよね…うーん)

榊「…食堂のお皿、実はあれを割っちゃったの私で ――」

恵(…失敗した事も、隠しきれずそのまま叱られて、そこで終わり、ってばかりだし)

伊武崎「隠し事なんか特にないんだけど ――」

恵(そうなんだよねえ、何もないよねえ……?)

丸井「毎回僕の部屋を散らかしていく人間に、いつか制裁を加えたい、か」

恵(…いつか。いつか、かー。これから先、いつか……やりたい事…)

創真「やー、俺も特に、何か告白する事なんてないんだよなあ」

恵(いつか、……創真くん)

恵「………」チラッ

えりな「…全く、幸平くんの料理には困ったものだわ…大丈夫?起きられる?」

側近「ううぅ~……えりな様…」


恵(……薙切さんって、本当に綺麗。美人だし、スタイルいいし、何より才能も実力もあって)

恵(…創真くんも、すごくすごい人。創真くんには薙切さんみたいな人が相応しい……)

恵(たかがゲーム…ゲームだけど、……薙切さんに告白されたら…薙切さんとお付き合いしたら、創真くんはもっともっと伸びるんだろうな)

恵(私じゃ…足を引っ張るだけで……)

榊「みんな平和ねー、こんなものなのかしら。……じゃあ次は恵の番よ、告白をどうぞ」

恵(……でも……それでも……頑張りたい。どんなに敵わなくても、諦めたくない…)

恵(だって私は創真くんが好きなんだもの!)



恵「……好き。…好きでふ創真くん」


シーン

恵(…あー、肝心なところで噛んじゃうんだからなー、だからダメなんだ、私って)ヘラッ

恵「………って、ちょっと待って?」ハッ

全員「………」

恵「…わああああああー!!?」

榊「……え?な、なに?なんて言ったの恵、今」

伊武崎「…まさかのマジ告白?」

丸井「呆気に取られたってのはこの事だな」

えりな「………」

恵「ひ…ひいいいっ!!違う…違……いっ今のは、考え事していて…それで口が滑って……!」アタフタ

伊武崎「そこまで真剣に考えこんでいた、ってワケ」

恵「ぎゃああああ!!!違うの、違うのー!!」

榊「こらこら……恵をいじめないでよ、今にも爆発しそうじゃない」


榊「で?そんなマジ告白を受けた幸平くんの返事はどうなの?」

丸井「庇うかと思えば結局イジるのか」

恵「ご、ごめんなさい、ごめんなさい、違うの、これはその、違……」アタフタ

創真「―― やー…」

創真「知ってる」ニッ

恵「!!」

創真「俺も田所の事が好きだし」

榊「両思い!?両思いなのね!?」

創真「まさか田所が公開告白してくるとは思わなかったから、びっくりはしたけどな」

恵「あ…あああ……ご、ごめ、ごめんなさ……」ドサッ

えりな「ちょっ!田所さん!?倒れたっ!?」

榊「あらあら、完全にオーバーヒートしたわね、これは」


恵「……うううう……涼子ちゃん~…顔、上げられないよぉ……もうヤダ、もうヤダぁぁ」

榊「はいはい、今は私の膝に押しつけてなさい。いいよね?幸平くん。恵を少し借りても」

創真「おう、よろしくお願いしまーす」

丸井(…しっかし、吉野達が不在だと、随分和やかに事が進むんだからなあ)

吉野「うーん…うーん……イカが……イカゲソがあぁ…」

一色「うう……ブラックホールが見える…」

えりな「ハァ……なんとも滅茶苦茶な1日…それじゃあ、いい加減ここでお開きですね?」

伊武崎「待てよ、まだアンタの番が残っているだろ」

えりな「…私の告白なんて。付き合いの浅い君達に言っても仕方ないでしょう」

創真「え?あるだろー、俺の作った飯を旨いって認めたとかさー」

えりな「天地がひっくり返ってもないわ!!」


えりな「さあ立って。明日も早いんだから、部屋に帰って休みましょう」

側近「ああ、えりな様…申し訳ありません……」ヨロヨロ

伊武崎「負傷兵多数、撤退も余儀なしってところか」

創真「しゃーない、んじゃ歯ぁ磨いて寝ますかー」

丸井「部屋は片付けていけよ?」

えりな「………」ピタ

榊「ん?」

えりな「……酷い1日だったけれど」

えりな「それでも、ほんの少しは、楽しめました」

恵「………!」

えりな「また巻き込まれるのは御免だけど。…ごきげんよう、おやすみなさい」

バタン…


榊「……!!ね、ねえ!聞いた!?今の!」

恵「私達…薙切さんとお友達になれたのかな…」

伊武崎「それはどうだろうな。でもまあ、一歩は前進できたんじゃないか」

創真「なら、更にガンガン行けば、いずれ天上から引きずり落としてこっちに来させられるか」

丸井「いや、やめとけ!二度はないみたいな感じだったじゃないか!」


・・・


えりな(…本気なのね。今夜でそれがよくわかった。ならば、私の聖域から追い出すのは、二点)

えりな(どんな手を使っても、けれど、正攻法でいく。…どう足掻いて成長するのか、少し楽しみにしてあげましょう。無駄だろうけれど、ね)クスッ


・・・


創真「…歯も磨いた、腹も膨れた。さて寝るとすっかね」

吉野「うう……まだ気持ち悪い…幸平の失敗作、あれ絶対、致死量だよ~…」ヨロヨロ

創真「天罰だ、天罰。しっかり受け止めて反省しろ。じゃーな、おやすみ~」

吉野「あー、ちょっと幸平ぁ~!アンタ、なんかさっき面白い事になったみたいじゃないの、先日のデートも含めて、話を……」

創真「まだ懲りねーの。タフだな、お前も。明日の朝飯はイカゲソフルコース決定な」

吉野「うわあぁ~ん!!幸平が私をいじめるよー!!」



創真「洗面所から自分の部屋に戻るまでって、地味にダリィんだからなー…」トントン

創真「……ん」


恵「あ!そ、創真くん」ビクッ

創真「よー、田所。今夜はお疲れさん。楽しかったな」

恵「う……うん」

恵(あああ…創真くんの顔、まともに見られないよぉ…!!)

恵「あのっ、その……ごめ、ごめんね……最後に、変な事言っちゃって…色々ぐるぐる考えていたら、口が滑って…」

創真「ん?俺の事が好きって言ったやつ?」

恵「わあああ~!わざわざ言わなくていいのー!!」

創真「あっははは!…でも、嬉しかったぜ。驚いたのもあったけど、嬉しかった」

恵「本当に恥ずかしいんだよ……穴があったら入りたい…」

創真「………」



『1 部屋に誘って発展
 2 まだ早い、次回に持ち越し

 多数決ルート分岐』


多数決ありがとです。
うおおお書くぞー!


創真「…あー、その。なんだ。……これから俺の部屋に来る?田所」

恵「へっ?」

創真「なんつーか…もうちょい話していたいと思ったからよ。や、でも眠いとか疲れたとか、そもそも嫌だってんなら無理しなくていいからな」

恵「………」

恵(……ちゃんと、言えていない。私、創真くんに…ちゃんと、気持ちを言えていない……)

恵「…うん。行く……」コクッ

創真「!! …そ、そうか。……じゃ、どうぞ」ガチャ

恵「お、お邪魔しまーす」



創真「(先日掃除しといて良かった)…悪ぃ、座布団とかねーんだ。毛布たたんで、それに座るとかするか?」

恵「ううん、大丈夫だよー。いつもみんなで集まる時は直に座っているじゃない」


創真「まー、それもそうか。…あ、ちょっと待っててくれ」ガタガタ

恵「? 何やってるの?創真くん。天井にガムテープなんか貼って…」

創真「今日は くたばってるから大丈夫だろうけど、一応、一色先輩対策をと思ってな」

恵「あはは…。一色先輩、天井裏から移動するもんね~。でも私達の部屋には来ないよ?私の部屋でお話すれば良かったかな」

創真「そりゃ女子の部屋にまで行ったら、ハイレベルの変態だ。……これでよし、と」

恵「お疲れさまです」

創真「田所もな。…呼び掛けた手前で何だけど、本当に大丈夫か?疲れとかさ」

恵「ありがとう、でも大丈夫だよー。眠くなったらちゃんと言うから」

創真「そっか。よろしく頼むぜ」

恵「うん」


創真「………」

恵「………」

創真(…誘ってみたまでは良かったんだが…)

恵(…話が、続かないよ~…!言いたい事はたくさんあるのに、頭が回らない……)

創真「……ははっ」

恵「………?」

創真「なんか照れくせーな。こう、改まって話すってのもさ」

恵「…う、うん……なんだかすごくドキドキしちゃって、頭真っ白になっちゃって…ね」

恵「創真くんに言いたい事、あるのに…どうしても、上手く言えないの…」

創真「……例えば?」

恵「い、言えないってばぁ~…恥ずかしいもん……言いたいけど、言えないのー…」

創真「………」

恵「…あのね、私ね、創真くんの事が、……だ、ダメ…やっぱり言えない~…」

恵「遊園地の時も、さっきも……上手く、言えなくて…いっぱい、言いたいのに。緊張すると、どうしてもダメなの…」


創真「…そういう時こそ、おまじないの出番なんじゃね?」

恵「手のひらに"人"の文字を書くやつ?でも、それでもなかなか」

創真「……いや、今までやって来たのとは違う、新しいおまじないだ。やってみる?」

恵「他にもまだあるの?なら、ちょっとやってほしいかも…創真くんのおまじないや裏技って、すごくよく効くもんね!どういうものなの?」

創真「…こんな感じのヤツ」グイ

ギュッ

恵「!!!??」

恵(…え?……え?…あれ?私、今………創真くんに抱き締められている~っ!?!?)

創真「どーっすか?緊張、ほぐれます?」

恵(うわあああああ~っ!!?)アワアワ

恵「む……無理~っ!!無理!余計、緊張しちゃう!混乱すんべよ、こったら事されたらぁ~!!」


創真「そーか、いい案だと思ったんだけどな」

恵「は、は、離して、創真くん…!」

創真「これなら、好きだって言いやすいんじゃねーかと思ったんだ」

恵「へえっ!!?」

創真「………」ナデナデ

恵(な…なんか喋ってくれないかなぁ~…あ、でもダメだ…喋っても余計照れる……あああ、頭撫でてもらっても、今は、無理…!)

恵(心臓が爆発しそう!口から飛び出そうだよー!!)

創真「まだ落ち着かねぇ?」

恵「…む……無理、無理だよ~…!」

創真「そーか」

恵「お願い、創真くん、もう離して……恥ずかしい、死んじゃう…恥ずかしくて死んじゃう」

創真「だろうな。田所、顔スゲー真っ赤だし。…熱いくらい、超火照ってら」ピタ

恵「!!!???」


恵(…え?なに?何事?……私のほっぺたに当たってるの………創真くんのほっぺたあああ~!!?)

創真「うん。スゲー熱いわ、やっぱり」

恵「 」アワアワ

創真「………」

創真「…伊武崎の時より近づけた」

恵「………え?」

創真「や、なんでもねーよ」

恵「………」

恵「…王様ゲームの時の?……気にしていて、くれたの?」

創真「ん、まあ……そりゃあ、な」

恵「……なんか…すごく、意外…創真くん、そういうの気にしないんだって思ってたから…」

創真「俺だってよくわかんねーよ。わかんねーけどよ…わかんないなりに、モヤモヤとは、した」


恵「………」

恵「……そっか、そうなんだ………えへへ…」

創真「たかがゲーム、たかがゲームとは思っていてもさー、やっぱりなぁ?…悪ぃな、だからって、お前に無理をさせた」ギュッ

恵「言っている事と、やっている事が、ちぐはぐだよー、創真くん…」

創真「すんませーん、反省はするからよ。あとで、多分?」ヘラッ

恵「もー、それって、絶対しないでしょう?」

創真「はは、するする、ちゃんとすっから」

恵「うふふ。…あのね、なんだかね、……ちょっとだけ、落ち着いてきたかも。やっぱり、創真くんのおまじないは、効果抜群だね」

創真「そーか。…でも、そうなると逆に慌てさせたくもなってくるけどなー?」

恵「またぁー…意地悪はしなくていいよ~、折角落ち着いてきたのに」


恵「…へへへぇ。創真くんの匂いが、すごく近い」スリスリ

創真「緊張解けたら、やたらと甘えん坊になんの?お前って」

恵「だって、なんか…恥ずかしいけど、嬉しくて。……頭撫でてもらうのも大好きだよ?こうやってギュッてしてもらうのも、好きになれそうだから」

創真「ま、落ち着いたんなら良かった」

恵「うんっ」

創真「はい、いい返事。…田所さんは可愛いですねー」ポンポン

創真(……マジでな)

恵「…創真くん、大好きだよ~」

創真「………」

創真「知ってる」チュッ

恵「ひゃっ!?」ビクッ

創真「………」チュ チュッ

恵「ん、ひゃ、……く、くすぐったぁい…耳、くすぐったいよ、創真くん…やめてよ、恥ずかしいよ~…」


創真「…でも、こうしていれば顔が見えないだろ。なら恥ずかしさも半減するんじゃね?」

恵「…顔が見えなくても、恥ずかしくはなるの」

創真「なんで?」

恵「な、なんで、って」

創真「抱き締めていても、落ち着いたのによ」

恵「……だって、だって……耳に…、ちゅー、するから……創真くんの声も、直接…聞こえて…」

創真「んじゃ、それも回数こなせば恥ずかしくはなくなるか?抱き締めた時みてーに」

恵「…なんでそんなに意地悪するの~?どれだけやっても、ずっと恥ずかしいよー!」

創真「なんで?」チュッ

恵「ひゃあっ!……な、なんで、って…だから……!」

創真「だから、なに?」チュ

恵「ゃ……、わ…わかんない…もう、わかんないよ~……」ヘナヘナ


創真「…ほら。落ち着いたじゃん?よしよし、背中撫でて差し上げましょーね」ポンポン

恵「ち、違うよぉ……これは…落ち着いた、とかじゃなくって……」ハァハァ

恵(恥ずかしすぎて、頭がボーっとする…ドキドキもして、呼吸も上手くできないし…力、抜けて……)

恵(なんだろ、なんでこんなに意地悪するんだろ?…ううん、意地悪とは、ちょっと違うんだけど……でも、意地悪だ。…よく、わかんない…)

創真「………」

恵「…ふへぇ~……」

創真(ふにゃふにゃ脱力しちまって。…なんだろーな、……もっと、なんかしたい気もすんなー)


『次はどうする?

 1 じっくりコトコト
 2 強火で一気に
 3 一旦休憩

 多数決分岐』

スレ開いてくれてありがとうございます。多数決参加もありがとうございます。


創真「………」チュ チュ

恵「んっ……(反対側の、耳も…)」ビクッ

創真「………」ペロ

恵「はぅ、(舐められて)」ゾクゾク

恵(創真くんの舌先が、耳の形を辿ってる…。なんで?私、耳を触ってないのに……なのに、自分の耳がどんな形か、わかる…創真くんの舌が伝えてくるんだ)

恵「はふ……はぁ…創真、くん……」

創真「んー?」ツツ…

恵(顔の輪郭も、……顎も)

創真「………」カリッ

恵(舌が、唇が、歯が…伝えてくる……)ビク ビク

恵(わ…わかった。なんか、これ……す、すごく、えっちなんだ。……でも、力が入らないよぉ。恥ずかしいのに、逃げたいのに、力が抜けて、できない…)


恵「………」ハァハァ

創真「よしよし」ナデナデ

恵(…でも、こうやってまた頭撫でてくれて…ずっと続けないから、なんか…気が緩んじゃうんだな~)

恵「……創真くん…なんで、こんな事するの~…?」

創真「さー、なんでだと思うよ?」

恵「…えっ?し、知らないよ~、だから創真くんに聞いているのに……」

創真「つーか、こんな事、って?こうして抱き締めている事か?それなら、田所が落ち着くようにのおまじないだろ?」

恵「ち、違うよ、そうじゃなくて」

創真「なら、頭や背中を撫でたりする事か?それも、お前が落ち着くようにと……」

恵「そっちでもなくてー、…み、耳、とか……顔に、ちゅーするの、だよ~…」

創真「イヤか?」

恵「えっ!?えっ、えっと」


創真「イヤなら止めるぜ」

恵「えっと、えと、ま、待って…あの、あのっ……わ、わかんない、わかんないよ」アタフタ

創真「なんで?」

恵「…またそうやって、いじめる~…」

創真「いじめてねーじゃん、聞いているだけなんだからよ。イヤなら止めるし、イヤじゃないなら続ける、ってさ」

創真「どうなんだよ?イヤなの?イヤじゃねーの?」ニヤ

恵「ほ、ほら!今、笑った!やっぱりいじめてるんだ!」

創真「えー?笑っちゃダメなのかよ。なんで?どうして田所はそう思うんだ?俺、そんなつもりは全くないんだけど」ヘラヘラ

恵「わかんない、…わかんないよ~……でも、そう思うんだもん…!」

創真「なら、イヤなの?イヤじゃねーの?どっち?」

恵「ああう……」


恵(こっちが聞いても、いつの間にか創真くんのペースに巻き込まれちゃう。頭が全然働かない、…悪い事なのか、良い事なのかもわかんない)アウアウ

恵「……意地悪。創真くんは意地悪なんだ」

創真「そうか?…なら、嫌いになった?」

恵「ふぇへっ!!?そんな!そんなわけ、ない!!私は、私は、………」

恵(…あれ?これ、って……好きって言っても、逃げられないんじゃ?)ハッ

恵(だって、嫌いじゃないもん。創真くんの事、すごく大好きだもん、…今こうして意地悪されても、どんどん好きになっていってる)

恵(だから、創真くんが嫌いなんて言葉は、私にはない。…でも、今ここで、好きって言ったら……)

恵「…嫌いになんか、ならないよ。大好き……私は、創真くんが大好き」


創真「…田所が意地悪だって思う事をしても?」

恵「………大好き」コクン

創真「なら、意地悪だと思う事をしてもいいんだな?」

恵(こうなっちゃうんだ~…)

恵「…ずるいよー、創真くん……創真くんの事は大好きだけど、だからって、意地悪していいって事には…ならない、よね…?」

創真「田所に嫌われたかねーからよ、イヤなら止める、嫌いになるなら止める。それを聞いていたんだぜ?」

創真「でも、嫌いにならないなら、……イヤじゃねーなら、続けるから」

恵「なんで、…なんで…?」

創真「…好きだからこそ、いじめたいっていう心理?」

恵「なに、それー!?ひどいよ創真くん、そんなの変だよー!」

創真「そーかぁ?だって田所、反応が面白ぇんだもんよ」


恵「創真くんのばかっ!私は創真くんのおもちゃじゃないんだよ!?」

創真「そーだな。お前は俺の恋人だ」

恵「へはっ!!!??」

創真「…なんだって?なんか今、聞いた事ないような声が出たぞ」ケラケラ

恵「な、な、な、(なんか、今、サラッと何か言った)」アワアワ

創真「……田所」チュッ

恵「ひゃうっ!……お、お願…お願い、創真くん……耳は、もうやめて…」ビクッ

創真「気づいてっか?お前、俺の顔を見る事ができてんの」

創真「って事は、落ち着いているって事だよな?こうしていても落ち着いている。それなら、イヤじゃないって事だろ」

恵「ち…違う、違うよ…違うよ、落ち着いてなんかないよ…もう、頭も心臓も、みんな爆発しちゃいそうだもん……」

創真「イヤなの?」

恵(またそこに戻るの~…?)ハフハフ


恵(…死ぬほど恥ずかしい。どうにかなっちゃいそうなくらい恥ずかしい。だけど……イヤなのかって聞かれたら…どうなんだろう?)ドキドキ

恵(もう、くすぐったいのかすらもわからなくなってる程なのに、頭の中がぐるぐるしているくらいなのに、イヤかどうかなんてわからない)

恵(…でも、……どうして?なんでイヤだって言えないのかな?なんか変、なんか変だって思う…なのに、たった二文字…イヤって言えない、……なんで?)

創真「耳がダメなら、顔は?」

恵「……それも、恥ずかしい」

創真「そーか」

創真「………それなら、こっちは?」スッ

恵「…えっ?」

創真「………」パクッ チュウ

恵(!!? 私の手に……人差し指に!?)

恵(あ、あ……あわわ…舐められてる、吸われてる…!ぬるぬる、柔らかい舌が……あわわわわ~っ!?)アタフタ


恵「そ…創真くんっ!ダメ、それもダメ!恥ずかしいよ、やめて!」

創真「…なんでだよ、くすぐったいか?」チュウッ

恵「くすぐったくは…あんまり……で、でも、恥ずかしいから…!」

創真「だって、手だぞ?耳とかより断然マシじゃねーの?大体さ…他の奴が見ているわけじゃねーんだから、恥ずかしがる事もないだろ」

恵「創真くんが見てるっ!」

創真「あ、成程。そいつは一本取られましたわ」カプ チュッ

恵「わわわっ…!(手首に、手のひらに……!)」

恵「ダメ、ダメだよ、なんか……そう!なんか、えっちなんだよ…だからダメなの…!」

創真「なんでよ。手だぞ?それを言うなら、耳とか顔とかの方がよっぽどじゃん」

恵「わかってやってたの!?創真くんのばか!えっち!!」

創真「いいえー、今、指摘を受けて、そこで初めて気づきましたよー?」


恵「絶対嘘だ、創真くんのばかっ。ばか……」

創真「………」チュウゥ

創真「…イヤか?」ペロ

恵「………」ビクビク

恵(イヤか、イヤじゃないか。どっちか、って聞かれたら……私、は…)

恵(私は…創真くんが好きだから……だから…)

恵「創真くんだから……イヤ、じゃ……ない…」

創真「…そーか」チュッ

恵(…手の甲へ、キス……なんだか、お伽噺の王子様みたい。子供の頃、すごく憧れた)

恵(いつか、私にも素敵な王子様が現れてくれるのかな。手にキスして、お城に連れていってくれるのかな。そんな風に憧れた……)

恵(……叶ったんだ)

恵「創真くん……」

創真「あれだけ恥ずかしがってて、今度は笑ってんの。お前もなかなか忙しいね」ナデ

恵「えへへ…」

創真(ちっとやりすぎたか、目が潤んでる)


創真(…しかし、こいつもよく泣くなぁ…)チュッ

恵「ひゃ…」ビクッ

創真「しょっぱい」クスクス

恵「涙だもん…それは、しょっぱいよ……」

創真(ちょっとここでまた一呼吸挟むか……あんまりグイグイ一気に押しても、アレだ)

創真(…田所に本気で嫌がられたらなぁ。なんつーか……それは困るし)

恵(…あー……落ち着かないけど、落ち着く…創真くんの抱っこも、私、大好きだ……)

創真「………」ナデナデ

創真(田所、いい匂いすんな…風呂は共同、シャンプーだって石鹸だってみんな同じ。授業だって同じ、なら、匂いだって同じの筈なのに。こればっかりは本当に不思議でしょうがねー…)

創真(……可愛いなあ)



『次は どこに>>370 なにを>>371 どうする?>>372





胸、手と来たらもう

軽く触れてみる


ヒャッハー俺もれもー!
どの辺りでid腹筋な!って言おうかとか考えててすまんかった。
書くよ書くよー。


恵「………」

恵「………」ペタペタ

創真「…ん?何やってんだ、田所。俺の胸なんか触って」

恵「えへへ、…いっぱい意地悪された仕返し」

恵「……創真くん、たくさんドキドキしてるね。…なんか、嬉しいな……ドキドキしているの、私だけじゃないんだ」

創真「そりゃそうだ、こんな状況で照れたりしない方がおかしいって」

恵「私と一緒だね、それも…嬉しいな。創真くんと一緒なのが嬉しい」

恵「こうしていたら、胸に手を当てていたら…創真くんは、もっと照れてくれる?」

創真「まあ…触ってんのがお前なら、そこそこに?なんでそんなに照れさせたいんだよ」

恵「言ったでしょ、仕返しなの!私ばっかり恥ずかしくなるのは不公平だもん」

恵(それに、王様ゲームの時、薙切さんの側近さんに触らせていたし…)ムスー


創真「………」

恵(…創真くん、すっごい優しい顔になってるなあ……この笑顔も、大好き)

恵「…照れてくれてる?照れてきた?」

創真「おー、照れてきた、照れてきた」

恵「棒読みだー、全然照れてないんだ…うー、創真くんばっかり。なんかズルいよー」

創真「田所のターンは終了?…なら、次は俺のターンだな」

恵「……えっ?やだ、まだダメ!創真くん、まだ全然照れてないもん!」

創真「でもさ、俺も触りてーから」

恵「………………えっ?」

創真「俺も、田所がドキドキしているのか知りたい」

恵「!!! そ、そ、それ、って!!」ドキッ

創真「ダメ?」

恵「~~~っっ!!」アワアワ

恵(私が創真くんを恥ずかしがらせたりとか、無理なんだ……もっとたくさん、倍返しがくる!!)


恵(お母さん…お母さんに怒られちゃうかな……ごめんなさい、私、悪い子だ)

創真「……触るぞ」

恵「………」コクン

恵(ごめんなさい、…でも、私、……創真くんなら……創真くんになら…)ギュッ

創真(俺にしがみついて、固まって。緊張maxだな、こりゃ。余計ビビらせねーようにしないと)

創真(軽く触れる程度にいくか……)フニ

恵「ッ!!」ビクッ

創真(あ。ダメだ、コレ)

創真(……すげえ柔らかい、加減が難しい。…もっと触りたくなる…)

創真(抱き締めて胸元に当たるのとはワケが違ぇ……なんつーかもう…感動すら覚えるわー)

創真(でも、これ以上は…これ以上触ったら、ヤバい。色々決壊する)

恵「………!!(も、もう、頭の中、真っ白……)」ドキドキドキ


創真(ただ触れているだけなのにドキドキしてんのが伝わってくんな…マジで爆発すっかもってくらい)

創真(…少し、力加えてもいいかな…いや、ダメか。ダメだ。こんだけ柔らかいんだ、なんか潰れちまいそう。…あー、でもなー)

創真(…もう俺も限界近ぇんだよ!!ぶっちゃけ触った瞬間反応したわ!!!)クワッ

恵「………」ギュウゥ

創真「―― っ」ハッ

創真(いかんいかん、落ち着け、俺……本当に落ち着け…)スー ハー…

創真「…ん、田所もたくさんドキドキしてた。伝わってきた、よくわかった」スッ

創真(そう、大切に、大事にしてーんだ。田所を。…だから、我慢だ、我慢……本当に落ち着いてください、俺の俺)ハァ

恵「………」ドキドキ

恵「創真くん……」

恵(本当に、触る…ううん、触れる程度だった。今度はしないんだ、意地悪な事)


創真(今はダメだ、田所の事、見れねぇ。気を逸らせ、本当に落ち着け、数とか数えろ)ドキドキ

恵(……顔、真っ赤)ドキドキ

恵(………男の人って、あちこち硬いんだなあー…お父さんは、どうだったっけ。…今は、創真くんで頭がいっぱいになって、上手く思い出せない)

恵「…ね、…ねえ、創真くん」

創真「…なに?」

恵「………」ドキドキドキ

恵「……ち、…ちゅって、して」

創真「!??」

創真(え、なに?今、なんつった?…なにが起きたんだ、田所から来た?まさか)

創真「…耳とか、顔とかにか?」

恵「ううん……」

恵「………………くち……」

創真「 」ブホー

創真(やべえ。やべえ、やべえ!なんかスイッチ押しちゃったらしいよ?え?マジで?あの田所が?できる事なら、俺、今絶対マーライオン並の鼻血出てたぞ)


~~~


城一郎「…そうか、彼女でもできたんだな?創真」

創真「 」

創真「…まだ何も言ってねェのに、なんでわかるんだよ、親父。つーか言う気もなかったのに…」

城一郎「俺を誰だと思っている。お前の父親だぞ?電話越しでも手に取るようにわかるさ。例えば今、お前は恥ずかしさのあまり布団に隠れてジタバタしてんなー、とか」

創真「してねェよ!!」

城一郎「……創真よぉ。男のテメーがしっかり守ってやんだぞ」

創真「…ああ、わかってる」

城一郎「それとだな」

創真「?」

城一郎「据え膳食わぬは云々言うだろ?女に恥をかかせるなよ、そんなの男じゃねーからな。だが避妊はしっかりしr ―― …切れた。アイツ本当に最後まで話を聞かねーなー」ブツッ!! ツーツー…


~~~


創真(馬鹿馬鹿しい、相手はあの田所だぞ。付き合いは長くても、お付き合いは始まったばかりだ、まだ全然先の話だっつーの、クソ親父。……なんて考えていたけどよ)

創真(すまねェ、親父。やっぱ親父はスゲーよ。…ヤバいって、余裕で田所のターンだった。継続してた。……ヤバい、マズい。抑えられる自信が全くない)ドキドキ

恵「………」ドキドキ

創真(あの田所から、ってだけで、すげえヤバいのに…それでキスなんかしたら……)

創真(…落ち着け。落ち着け。大丈夫だ、抑えられる。きっと大丈夫だ、…多分大丈夫だ、……大丈夫だよな?)スー ハー

創真「………」グッ

恵「……っ」ビク

創真(…田所の事を、大事にするんだ)フー…

創真「………田所」

恵「…創真くん、大好き、だよ」


創真「………」

創真「俺も」ニッ

恵「………」スリッ

恵(…触れた……創真くんの唇と、私の唇が、今、触れてる。……幸せ…)

創真(…無理。これ、本当に無理だ。抑えるとかできねーよ)

創真(なんでこんなに柔らかいんだよ…)

創真(クラクラしてくる……)チュ

恵「………!」ピクッ

創真「…は……(上唇も、……下唇も、みんな柔らかい)」チュ チュ…

創真(吸っても、舐めても、柔らかい…弾力があって、柔らかい。……噛みたい、でもダメだ、そんな事したら傷つけちまう。…すげえ、もどかしい…)チュ

恵「ん、ん、……っ!?」ビクッ

創真(唇の裏側って、ツルツルしてるんだな…)ヌルッ

恵(そ、創真くんの舌が……歯に当たってる!?)アワアワ

創真(……止まんないな)


創真(…噛みたい。噛みたい、噛みたい。こんな上質な肉、今まで出会った事がなかった。絶対旨い、絶対旨い……)ハァハァ

創真(どこもかしこも柔らかい…ちょっと力を入れただけでも傷つきそうで、壊れそうで、無くなっちまいそうで……もどかしい、いとおしい…)チュッ

創真(これが、こいつが、全部俺のもんなんだ。なんだって出来るんだ、…なのに、できねェ……もどかしい…もう、いっそ、このまま)チュウ…

恵「ふ…ぅ、んっ……うぅ、ん…」カタカタ

―― ギュッ

創真「……ッ!?(腕、掴まれて)」

恵「……はぁ、はぁ…はぁ……」

創真(………あ)

創真(…やべえ。……俺、今なにを考えてた?…田所の事、襲いそうになってた…!)

恵「………」ハァハァ


創真「…ご…めん、ごめん、田所」

恵「ふぇ……?」ハァハァ

創真「なんか、もう…よくわからなくなってた…お前に無理させて、ごめんな」

恵「………? ?」ポーッ

創真「………?……田所?大丈夫か?…マジで無理させたな…」

創真(なんだ?なんか、すげえ蕩けた表情になってんだけど。…本当にやりすぎた、調子に乗りすぎた…)

創真「ごめんな、本当に…部屋まで送るからよ。大丈夫か?立てるか?」ナデナデ

恵「………」キュッ

創真「田所?」

恵「………創真くんと一緒がいい」

創真「………………はい?」

恵「創真くんと一緒に寝る」

創真「 」ブホー

創真(鼻血マーライオン二回目………田所さんのターンまだ続いてたー!!!)

ありがとうございます


・・・


創真(…まあそんな感じで、田所は着替えに部屋へ戻ったわけだが)

創真(……マジか!!どうすんだ、これ!!やりすぎた…本当にやりすぎた!!)ダンッ

創真(最初に気づいたくせに、…アイツ、気が緩むと意外に押してくるんだって。甘えん坊化すると半端ないって)ダン ダン

創真(床に当たっていてもしょうがねー…退っ引きならないこの状況をどうするか、考えねーと。田所が着替えている、今のうちに)

創真(……着替え)ゴクリ

創真(あああぁぁ………やべえ、やべえ。本当にやべえ……何がヤバいって、マジでヤバい)

創真(…抑えられる自信が本当にない……)

創真(いやいや。いやいやいやいや!!ダメだろ!自信がない、じゃねーよ!!抑えねーと!!)


創真(流石に、アイツもそこまで考えちゃいねーだろ…ならやっぱり俺自身をどうにかするっきゃねぇ)

創真(…ハハ。試験だろうが食戟だろうが、緊張なんか無縁だったのによ……かつてない程に緊張してやがる。混乱してどうしようもないなんてな…)

創真「………」ハァー…

創真(………あ!そうだ、そうだよ!今のうちに抜いときゃいいんじゃねーか!!)

創真(そしたら落ち着きもするだろ、いくらなんでも…。ここでじゃダメだな、臭いが残る。なら、便所へ……)ワタワタ



恵「ごめんね、創真くん。我儘言っちゃって……」ガチャッ

創真(はい、間に合いませんでしたー!!!)


恵「………」ドキドキ

創真「ま…枕まで持ってきたのか。(パジャマ姿…髪も下ろしてる)」ドキドキ

恵「うん、だって、枕ないと眠れないから」

創真(あ、ダメだ。田所さん、本気ですよ)

創真(…もういい。なるようになれ!)

創真「あー、その…なんだ。……じ、じゃあ……寝るか」

恵「うん。…お邪魔します」ゴソゴソ

創真「電気消すぞ」パチ

恵「………うん」



創真「………」ドキドキ

恵「………」ドキドキ

恵(創真くん、背中向けたまま。…あー、私、何やってるんだろ……変な子って思われちゃったかなあ…)

恵(…大好きがいっぱいになりすぎて……離れたくなくなって。気づいたら、我儘言っちゃってた…)

創真(流石に、田所の方を向けねぇ……色々バレる)


恵「………」

恵「明日は、早起きしなくちゃね」

創真「………」

恵「今日の王様ゲームで疲れているかもしれないけど……、みんなより早起きしないと、この事がバレちゃう。すごく恥ずかしいから…」

創真「……お、おう」

恵「…あ。起きていたんだ?」

創真「わかっていて話しかけたんじゃないのかよ」

恵「あっち向いたままだから、わかんなかったんだよー」

創真「…そーか」

恵「………」

創真「………」

恵「………」ゴロン ギュッ

創真「!!?(…背中に抱きつかれた!!)」

恵「…創真くん……」

創真(勘弁してください、田所さん!!俺が悪かった!本当に悪かった、調子こいていてすみませんでした!!)


恵「………」

恵「今日は、…今日も、ありがとう」

創真「…へっ?」

恵「いつも、たくさん…ありがとう。私、創真くんを好きになって良かった。本当に良かった」

恵「…創真くん、大好き。おやすみなさい」ゴロン

創真「………」

創真(ああ……本当に、こいつはよ…)


・・・


創真「………」

創真(…あれからだいぶ時間が経ったけど…もう、寝たかな)

創真「………」フー

創真(寝顔見るくれーなら、大丈夫だよな…)ゴロン

恵「………!」パチッ

創真「!? ま、まだ寝てなかったのかよ」


恵「うん。創真くんの顔見てから寝たいなって思って、だからこっち向くの待ってたの」ニコ

恵「私が寝ちゃう前に、こっち向いてくれて良かったよー」

創真(……こんな罠があったなんてな)

恵「ねえねえ、創真くん。手、繋いでいい?」

創真「お…お、おう……」

恵「へへー。嬉しい」ニコニコ

創真「あのさ、あんまりこっちに来ないでくれるか、…その、ベッドから落ちちまうから。(あともうギンギンなのバレるから)」

恵「あ、ごめんね?」

創真「いや……」

恵「私、もっと詰めるから、創真くんがこっちに来たらいいよ」

創真(おっふ!!た、田所さん)

創真「や、いや、大丈夫、大丈夫だから!」

恵「でもベッドから落ちちゃったら大変だよー?ほら、こんなにスペースできた、おいでよ、創真くん」ポンポン


創真(なにこの男前。負けた?負けたのか、俺)ハハ…

恵「どうしたの?なんで笑ってるの?」

創真「いや、なんでもねー。……じゃあ、詰めさせてもらうから」ゴソ

恵「………えへへ…創真くん、あったかい。抱っこしてもらってるみたい、よく眠れそう~」

創真(俺は寝不足確定だけどな…なるべく腰引いておこう……)

恵「…ねー、創真くん」

創真「うん……?」

恵「……田所、じゃなくて……名前で、呼んでほしいな」

創真「!! そ、れは」

恵「ダメ?」

創真「………や、…その……」

恵「私は創真くんって呼んでるから、一緒がいいな」

創真「…なんつーか……それは、その、…照れくせーじゃん。今更……」


恵「…照れてるの?照れてくれたの!?」パアァ

創真「そこまで目を輝かせるような事か…?」

恵「そうだよー!やったー、創真くんを照れさせられた!えへへ、仕返し成功だね!」

創真「暴れんなって、布団めくれるだろ。子供みてーなんだからなぁ…」

恵「あっ、ごめんなさい。……えへへへ~」

創真(本当、そんなに喜ぶ事かね。…ま、和んで少し落ち着けたけど)

恵「それで、いつ名前で呼んでくれるの?」

創真「ファッ!!?」

恵「…創真くん、なんか今、変な声が出たよ?」クスクス

創真(ダメだ……もう、完璧に田所が主導権握ってら…なんとか切り抜けねーと)

創真「そのうち。そのうち、呼んでやっから。…ほらほら、良い子はもう寝る時間ですよ」

恵「えー、良い子じゃなくてもいいよ~…名前呼んでほしいのになー」


創真「……あんまり調子に乗らないように」ムギュ

恵「むぅっ!?…ごめんなはい、だから私の鼻を摘まむの、やめて~……」

創真「……はぁ…」

創真(…大事に。大事にするって決めた。でも、な……こんな状況じゃ…)

創真(田所が、すぐ目の前にいる……手を伸ばすでもなく、すぐ目の前に)

恵「………」ウトウト

創真(……眠れねぇ)

創真(あの柔らかさを、やろうと思えば、またすぐにも堪能できる…ダメだ、我慢しねーと、我慢、我慢を……)

恵「……すぅ……すー……」

創真(…安心しきった顔して寝られんのも、なかなかクるもんがあるな)


創真「………」

創真「………」フニュ

恵「ん、……」ピクッ

創真(…さっきとまた違う柔らかさ…、アレか、ノーブラなのか!?)クラッ

創真(…ちくしょう。こんなの…堪えきれるワケねーじゃん!……いや、…落ち着け、落ち着け…寝込みを襲うとか、よっぽどだ)

創真(田所を傷つけるものかよ。……第一、こんな事になるとは思ってなかったから…ゴムとか買ってねーし)

恵「………」スー スー

創真(とりあえずは、この暴走寸前なナニをどうにかしねーとだ。あー、情けねー…なんでこうも格好悪ぃんだろ、俺…)

創真(…でも……田所、寝ちまったしな。今なら、………っだー!!悪魔が囁いてくる、ちくしょう!)

創真(……>>400で発散しよう。そうしよう)

田所が寝てる横で抜く


スレ開いてくれてありがとうございます
賢者に転職か


創真(田所は寝ちまった、俺はまさに一触即発状態。ならば……今しかねぇ!!)クワッ

創真(なんかもう考えるのも面倒になってきたし、そもそもとっくに頭が働かない。…大丈夫、静かにやりゃーいいんだ…起こさないよう、静かに)ゴソ…

創真「っく(…あ、マジでキツい、これ。本当にもう限界)」

創真(よくここまで頑張ったよな…しみじみしちまうくらいによ)

恵「………」スー スー

創真「はぁ、…はぁ…」シュッシュッ

創真(あんまり動くとベッドが揺れる…くそ、もどかしいな。でも田所を起こしちまったらダメだし)

創真(……早く、田所を好きにしてーなー…なんでここまで我慢しなきゃならねーんだろ)

創真(…唇も、胸も、それ以外も全部、全部、この柔らかいの全部が俺のもんなのに)チュ

恵「ん……」ピクッ


創真(…やっぱり、柔らけーな…田所の唇)

創真(ほっぺたも柔らかい、耳もそうだった。輪郭や顎は流石に硬さがあったが、肌がすべすべしていたから、あんまり気にならなかった)ペロ

創真(首……細いな…ちょっと絞めたらすぐに折れそうだ…)スス

恵「んん……」モゾ

創真(もう一回、胸触っても…)フニュ

創真(っあー!これ!この弾力、何で例えたらいいかわからねぇっ!マシュマロ?いや、それよりも柔らかいような、それよりは硬いような…)

創真(パジャマの布地が本当に邪魔くせぇ!直に触りたい…どれだけすべすべでふわふわなんだ)ハァハァ

恵「………ん……、…」

恵「………?」

恵(…創真くん、……何、やってるんだろう…?)ボー

創真「………」ハァ ハァ


恵(息が荒い……暑いのかな…?)

恵(でも、お布団はちゃんとかけないと……体調おかしくしちゃうよね…)

恵(風邪ひいたり…おなか壊したり……)ムニャムニャ

創真「っは、はぁ、田所、田所」シコシコ

恵(…ぎゅってくっついてくれた。…これなら、お布団なくてもあったかいね)

恵(なんだか腿の辺りがモゾモゾ動いてる。硬くてグリグリ、……これ、なんだろう?創真くん…何してるのかな…?)

恵(今度、聞いてみようかな…)ウトウト

創真「やべ、出る、出るっ。ティッシュ…!」

ギュッ

創真「!?!!!?!?? あ…ああぁっ!!?」ビュクッ! ビュルル ビュッ!

創真「………」ハァハァ

創真(……え……?なに?何が起きたんだ?今。……うおおお間に合わなかったあああああ)


恵「………」スー スー

創真(起きてんの?寝惚けてんの?……いきなり抱き着かれてビビって、全部出た…パンツに中出しとかお前、本当に笑えねぇよ)ズーン

創真(…何やってんの、俺。結局田所が寝ているのをいい事に、好き勝手やっちまった…)

創真(田所のパジャマには染みてねーかな…腿に擦りつけながらやっちまったし。そっと離れねーと……)

創真(こんなに落ち込む事も生まれて初めてかもしれん)ドンヨリ

恵「………」スー スー

創真「………はぁー……」

創真(あー…じっとり濡れて気持ち悪ぃ…スッキリしたのに気持ち悪ぃ。もうバレてもいいから風呂に行こう…)



【発展ルート前半終了】


【週末・早朝/極星寮庭】


創真「…はよざーす」

伊武崎「…おう。随分早いな、今日明日と連休なのに」

創真「それは伊武崎もじゃん」

伊武崎「俺はスモークウッド作りがあるから」

創真「そーすか……ふわあぁぁ…」

伊武崎「眠いならまだ寝ていればいいだろ、今日は一色先輩も出掛けて、夕方まで帰らないって言うし。起こされる事もないだろうに」

創真「んー。最近すぐ目覚めちまって、寝つけねーんだよなー…暇だから降りてきたんだよ」

伊武崎「そうか」ドッドッド

ジョリイイイィィンン

創真「………」ボケー

伊武崎「………」

伊武崎「お前、田所と喧嘩でもしてんの?」

創真「………は?」


伊武崎「…いや…なんとなく、気になっただけ」

伊武崎「田所は相変わらずだし、お前らフツーに喋っているけど、なんか幸平だけがアイツによそよそしいなと思って」

創真「…お前、よく見てんのな。スゲー意外」

伊武崎「本人らでは気づけないもんってのも、あるだろ」

創真「別に、喧嘩しているわけじゃねーよ。…ただ、俺がなんとなく気まずくなっているだけだ」

伊武崎「ふーん」

伊武崎「…それも、意外というか……らしくないよな」

創真「………そうか?」

伊武崎「幸平は猪突猛進で、物事を深く考えないタチだと思ってた」

創真「まーな。俺だって今の自分にはイライラもしてんよ」

伊武崎「認めんのかよ」


伊武崎「………」

伊武崎「誰かに相談でもしてみたら」

創真「ん?」

伊武崎「気まずいのが続いたら、遅かれ早かれギクシャクし出すだろうし。いくらあの田所でも気づく時が来るだろうし」

伊武崎「そうなったら、余計困るのはお前だろ?」

創真「………」

伊武崎「一人で考え込むよりはマシだと思うけど。解決案が出なくても、吐き出すだけで大分変わるもんだぜ」

創真「…そういうもんかね」

伊武崎「さあな。じゃ、俺は作業終わったし、部屋に戻るから」

創真「おー」

創真「………相談、か……」

創真「でも、誰にすりゃいいんだ?」


【食堂・朝食時間】


創真「………」モグモグ

吉野「ねーねー薙切さん!一色先輩の伝言なんだけど、夕方からの予定を空けておいてくれた?」

えりな「わかっています。空けておいたわ」

榊「あら、随分あっさりと…」

側近「毎日のように延々と懇願されましたものね…」

えりな「…学園だけでなく、寮でも連絡管でも毎回毎回……あんなにしつこいなんて知らなかったわ」ハァ

榊「珍しく毎日登校していると思ったら、薙切さんを口説いていたのね、一色先輩」

吉野「本気出すと本当にしつこいんだよね~、御愁傷様!」

恵「あはは、でも嬉しいな~薙切さんが参加してくれて!夜が楽しみだねー」

創真(…流石に、女共や田所自身に話すわけにゃーいかねーな。いや、濁して話せばいいのか…?)


創真(男共、……丸井と伊武崎。一色先輩は出掛けているから、もし話すなら帰って来てからか、電話か)

丸井「すまん、そこのソースを取ってくれ」

伊武崎「ん」

創真(…でも、伊武崎はいいとして、…いや、伊武崎もどうだか…丸井ってのもどーなんだ?一色先輩も余計ごちゃごちゃしそうな気がする)

創真(あとは外部…堂島先輩達や親父か。……これもこれでクソ恥ずかしいなー)

創真(大体、相談するとかガラじゃねー。いっそ一人で考えて切り替えるって手もあるわけだし…)

創真(うーん)

ふみ緒「極星寮にも再び十傑が集まり出したか、これを機に栄光が蘇れば……」

創真(ババアは論外だな、バレたら寮を叩き出されっかも)


創真(そもそも、相談つって何を話せば……)

創真(暈して話すか、ストレートに話すか……)

恵「……くん………創真くん!創真くん、お茶!お茶零れているよ!?」

創真「へ?…おわっ!?」ボタボタ

えりな「ボーっとして、何をやっているのよ。だらしのない」

恵「大丈夫?はい、布巾。服、濡れちゃったね」

創真「悪ぃ、サンキュー。ちっと考え事していてな……」フキフキ

吉野「幸平が考え事~?珍しっ、やめてよねー。今夜、雨が降ったらどうしてくれんのよー」

創真(…とにかく、相談するか一人で解決するか。それから相談内容。まあ主に吐き出しと、田所をどうにかしたいって事だ)フンス

創真(さて、どうするかね)



『相談相手名(もしくは創真単独)と方向性(突っ走らせるか注意するかなど)を、安価↓でオナシャス』


創真(…まあ、この面子の中で誰にっつったら、吉野なんだろうなー。……からかわれるんだろうけど)

創真「おい、吉野」

吉野「んー?なーにー?」モグモグ

創真「…お前、朝飯食ったばかりなのに、まだ何か食べてんの」

吉野「へへーいいでしょ、伊武崎から貰ったのよ、ジャーキー。でもあげないからね、もう残り少ないしー」

創真「いらねー、っつか食ったままでいいから、その……暇なら、ちっと俺の話に付き合ってくんない?」

吉野「なに!?なになに話って、コイバナ!?コイバナっすか幸平先輩!?するする、じゃあテラスに出ようよ!あそこなら見晴らしいいし、誰か来てもすぐわかるしね!」キラキラ

創真(スゲー食いつき、目輝きまくってるし。…あーやっぱり地雷踏んだかもしんねーなコレ)


・・・


創真(……さて、どっからどう話したもんか)

吉野「ねーねーそれで?なんの話?早く話しなさいよ、勿体振らずにさー!こちとら準備万端だかんね!洗いざらい吐きなさいな!」

創真(洗いざらい、かー。…まあ、そうだな。どう話すかとか考えんのも面倒だし、ストレートにいくか)

創真「……や、まあなんつうの、田所との事なんだが…」



創真「………って感じなんだけどよ」

吉野「 」

創真「吉野?なんだよ、呆けたツラして。話せっつったの、お前じゃん。どう思うよ?」

吉野「………いや……ちょっとね、ちょっと待って…アレよ、なんていうか…整理するから」

創真「整理?わかりづらかったか?あった事そのまま話したんだけど」


吉野「いや、わかるわからないって話じゃなくてさ、あんまりにも衝撃的だったものだからね」

創真「だからー、王様ゲームやった日に、田所を部屋に誘って、耳とか顔にキスしていたら田所が……」

吉野「うおおおおもういいっつってんのよ!!この天然セクハラ野郎!!!」ベシーン!!

創真「平手打ちっ!!?」ブホッ

吉野「なんなの!なんなのよ、あれだけモジモジ焦れったかったくせに、大人の階段登るってレベルじゃないぜシンデレラ!?三段飛ばしくらいで駆け上がってんじゃん、割れるっつーの!ガラスの靴割れるっつーの!!」

創真「 」ピクピク

吉野「うわあああん!恵が汚されたー!!この変態が汚したーおまわりさーん!!逮捕して、死刑にしよう、うわああーん!!」


吉野「………とりあえず散々ひっぱたいて落ち着きました」

創真「散々ひっぱたかれて落ち着いて頂きました」ヒリヒリ

吉野「はぁ……まさか恵に先を越されるなんて思ってもみなかった…まー相手が幸平じゃ、わからなくもないのかなー…」ボソ

創真「ん?」

吉野「なんでもない。えーと、それでこれからの事っすか」

創真「おう。どう思う、正直暴発した事を引き摺っちまって、二の足踏んでんだけどさ」

吉野「どう思うって聞かれたら、死ね!って思ってる」

創真「なんでそんな辛辣なんだ」

吉野「当たり前でしょ!?少しは歯に衣着せろ、何度でも言うわよ天然セクハラ野郎!」

創真「洗いざらい吐けっつったのはお前じゃん」

吉野「ぐぬぬ!…それとこれとは話が別だよ!」


吉野「はぁ…とりあえずさ、男の心境なんてわかんないけど、恵の事は大事にしてあげてよ?」

吉野「アンタの気持ちを汲むとしても、相手は恵なんだから。ううん、恵だからってだけじゃない、ただヤりたいヤりたいって事を押しつけられたら、フツー引くからね、女の子は」

創真「やー、それはもう、重々肝に命じます」

吉野「でも、それだけ求められたら嬉しく感じるのも女の子ってもんよ」

創真「…さっきと話、違くね?」

吉野「ケースバイケース、女の子全員に当てはまるもんじゃないけどさー。まー要するに、真摯な気持ちが伝わればいいんじゃない?」

吉野「聞けば、恵もまんざらじゃないみたいだしねー。…ただ流されているだけ、じゃなきゃいいけど」

創真「そこは俺も気になるんだよなー…」


吉野「とにかく、恵を大事にしたい、それでいて恵が欲しい、ってのをしっかり伝えた上で突っ走れ!」

創真「……ま、そうなるよな。しっかり、か。どう話したもんか…」

吉野「そうそう。あと、調子こいて悪戯すんな。あんな純粋娘をまた汚したら、今度は百叩きじゃ済まさないよ」

創真「それももう…酷く反省しております。やー、反応が楽しくて、つい。どんどん追い詰めたくなるっつーか?」

吉野「相性は最高なのかもしんないね、恵がmに開発されないよう祈るばかりだわ…」

吉野「……実際今も羞恥プレイ仕掛けられてるしさ!!こんな恥ずかしい事を乙女に聞かせんな!訴えたら勝てるわ!」ダンッ

創真「バカ、俺の方がよっぽど恥ずかしいんだぞ」

吉野「すみませんねえ!?男友達の一人エッチ話まで克明に話されるとは思わなかったんで!」


創真「んじゃ…ゴム買っといて準備整えとくかー」

吉野「だからさぁ……」ヒクヒク

吉野「…ハー、もうツっこむのも疲れた。ま、頑張れと応援するよ…大事にしようって意思は見えたし」

創真「おー。俺も吐き出しできてスッキリ吹っ切れたしな」

吉野「でもさ、ヤるとして、どこでヤるつもりなの?まさかこの寮でする気?」

創真「そのつもりだったけど」

吉野「げー!勘弁してよ、超気まずい!何サラっと言ってんの、この馬鹿。ホテルでも連れていくとかしてよー」

創真「でも高いんじゃねー?俺、あんまり金無いんだけどな…田所に金出させたくねーし」

吉野「甲斐性あるんだかないんだか……ネットで検索するなりして探したら?どうしてもってんなら貸してあげてもいーよ、利子つきでね」


創真「んー、まあ最終的には頼るかもしんねー。すんません、吉野様。宜しくお願いします」

吉野「崇め奉れよー?…結局寮で、って事になんなら、せめてなるべく静かにやってよね」

創真「そりゃもう。俺だって気まずいしよ」

吉野「部屋に連れ込んで悪戯したサル野郎がなんかほざいてんですけどー。…なんかさ、恵って最初は絶対痛がるタイプだと思わない?」

創真「やっぱ、血とかいっぱい出んのかねー」

吉野「その辺のケアもちゃんとしてあげてよ?……って、だからさあ!なんでこんな恥ずかしい話になってんだっつーの!!」ダン ダン

創真「今のは完璧、お前が振った話じゃん。テーブル叩くなよ、壊れるって」

吉野「なにニヤニヤ笑ってんのよ!アンタって本当、優位に立つとそういう顔するよね、あーもう絶対開発されるわ、恵…」


創真「よし!んじゃ、夜までに目星つけておいて…明日キメちまうかな」

吉野「いちいち宣言すんな!」

創真「善は急げってやつ?話聞いてくれてありがとな、吉野」

吉野「……あーもういいや、頑張れ。全力で行ってこい。結果は聞きたいけど、その時までにオブラートに包む事を学習してきてよね…」


・・・


吉野「はぁ……」グッタリ

榊「あ、悠姫。ちょっと手伝ってくれない?昼食の下拵えをしているんだけど…」

吉野「うおおおお涼子ー!!私を抱いてくれー!!」ドシーン

榊「ぎゃあっ!?なに、なんなの、どうしたの悠姫!?落ち着いて!」

伊武崎「なにやってんの、お前ら」

吉野「伊武崎ー!私を大人にしてよー!なんか悔しいよーちくしょー!!」

伊武崎「意味がわからん、とりあえず断る」

丸井(あれ、僕は無視か?)


創真「ん?電話…親父からか。珍しいな、こう頻繁に。……もしもしー」

城一郎「おう、創真。金をまたテキトーに振り込んでおいたからな、必要な時に使え」

創真「え、マジで!そりゃスゲー有り難いけど、なんでまた?生活費も振り込んでくれたばかりなのに」

城一郎「んー、気まぐれってのもあるが…ま、息子への祝い金ってやつかな。女が出来たってのに、スカンピンじゃー格好つかねーだろ」

城一郎「だが、甘やかすのはこれっきりだからな。あとはバイトなりなんなり、テメーで稼げ」

創真「…ああ。ありがとう、親父」

城一郎「そういえば、お前ってさ、チンコ剥けてたっけ?皮被ってっと、いざって時n」ブツッ!! ツー ツー



城一郎「…だからなんで最後まで話を聞かねーんだ、お前。途中で通話を切るな」

創真(俺の性格って、親父譲りなんだな……)

スレ開いてくれてありがとうございます


城一郎「折角だし、お前が惚れた女を見てみてーな。今度写メでも送れよ」

創真「んな、なんか恥ずかしいだろ、いいよそういうのは」

城一郎「祝い金まで出してやった親の頼みを無下にすんのか?色々知恵も貸してやるってのに」

創真「なんでこういう時ばっかり饒舌になるんだ?親父…」

城一郎「………面白いから?」

創真(確信した。俺、親父の息子だわ)

城一郎「相手はお前と同い年だろ、なら、大方処女だろーな…大変だぞ、創真。お前にできるのか?相手のフォロー」

創真「んー……はっきりとは言えないけど、多分大丈夫だと思う」

城一郎「俺の時も大変だったんだぜ、痛い痛いって泣き喚いてよー慰めている間に萎むって話で…」

創真「勘弁してくれ親父……親のそういう話とか聞きたくねー…」


・・・


城一郎「……お。やべーな、充電切れる」

創真(本当に、なんでこういう時だけ饒舌になるんだ…ずっと話聞かされた…切っても切ってもかけ直してくるしよ)ゲンナリ

城一郎「いいか、創真。逸る気持ちはしっかり抑えて、まずは風呂に入れてやれよ」

創真「おう」

城一郎「爪は切っとけ、清潔にしとけ」

創真「……おう」

城一郎「一気に突っ込まずにな、穴がわからなかったらこう、先端でなぞるようにしt だから話の途中で切るなと…まったく、誰に似たんだ?話を聞かない点は」ブツッ!!! ツー ツー



創真(ああああしつけえぇクソ親父!なに浮かれてんだ!?)ハー ハー

創真(…とりあえず…気持ちは固まったんだ、あとは準備して……田所に話を持ちかける)


恵「あ、創真くんー。ずっと見かけなかったけど、どこにいたの?」

創真(田所…)

創真「………」

恵「ん?ん??」

創真(とにかく、まずは準備だ!整えてから次は基盤を作る!……って、親父も言ってたしな)フンス

恵「創真くん?」

創真「や、なんでもねー。テラスに出てボーっとしてたんだ。これからちょっとコンビニ行ってくるけど、田所、なんか欲しいもんあるか?」

恵「うんー?…特にはないかなあ?」

創真「そっか。じゃ、行ってくっから。またあとでな!」ナデナデ

恵「わ、わ!?……なんだろ?いきなり頭撫でてくれて…でも、久しぶりにご機嫌みたいで良かったー」


吉野「…ちょいと。ちょいと、恵。こっちにいらっしゃい」

恵「ん?どうしたの、悠姫ちゃん」

吉野「………」ペタペタ

恵「………?な、なに?なに?くすぐったいよ、どうしたの~?」

吉野「…シンデレラの旅立ちが心配になってねぇぇ!!なんなの、あの勢い!自転車なのに車より速い勢い、あああ恵ー!!生きて帰ってくるのよー!」ギュウゥ

恵「え?え、えっ?な、なに!?どうしたの、本当にどうしたの、悠姫ちゃん!?」オロオロ

榊「さっきからずっとこんな調子なのよ。理由も話さないで、私もよくわからないんだけど……」

伊武崎「ま、吉野が変なのは今に始まった事じゃないからな」

丸井(僕に対しては依然スルーされたまま…)ドンヨリ


【極星寮庭・夕方】


一色「さあさあみんな!夜に向けてしっかり食べてくれ、焼いて欲しいものがあったら僕達のところへ持ってきてね!」

ふみ緒「このコンロ、暫く使っていなかったから、ちょいと心配だったが…大丈夫そうだ」

吉野「わーい!バーベキューだー!!」

一色「季節的に少し早いけど、たまには外で食べるのもいいよね。肉もたくさん買ってきたよ、ふみ緒さんもお金出してくれたから感謝を忘れずに!野菜は一色畑からの、まさに直送だ!」

榊「朝から出掛けていたのはこの為だったの、ふふ…こういうところが憎めないのよね~、一色先輩」

えりな(みんなと一緒のバーベキュー……)ドキドキ

伊武崎「…なんだか嬉しそうだな?」

えりな「気のせいです」


創真「一色先輩!おかわりよろしくお願いしまーす!」

一色「任せてくれ!いやーよく食べるね、創真くん」

創真「昼飯食いっぱぐれましたんでねー。(買いに行ったあと、今までずっと練習していたしな…)」モグモグ

丸井「はぁ、はぁ……重い…も、持ってきたぞ、金色のお茶と……普通のジュース」ドサッ

側近(普通!普通って言った!!やっぱりあれ、密造……)

榊「……金色のお茶。ただのお茶よ?ね、そんな事よりも、ちょっと向こうでお話しましょう?」ニッコリ

側近「ひいいぃぃ~っ!!?」ズルズル

えりな「………」モグモグ

創真「…どーよ?旨いだろ、こういう風に食べるってのもさ」

えりな「…ふん。下劣極まりない、刻一刻と舌を汚されるような思いで、苦痛だわ」


創真「そーっすかー」

えりな「………でも…」

えりな「…ちょっと、……楽しい、わよ」ボソッ

創真「………」ニッ

えりな(完全に汚染されているわね…私)

創真「場の雰囲気ってのもさ、料理を美味くするスパイスになるもんだよな」

えりな「…わからなくもないわ。同じ料理があったとして、食べるなら綺麗な内装の場で楽しみたい」

創真「まっ、たっぷり堪能してくれよ。今日はお前らの入寮歓迎会でもあるんだしさ」

えりな「また?先日、王様ゲームで遊んだじゃありませんか」

創真「あれは単に友達とゲームして遊んだってだけじゃん」

えりな(………友達)

創真「ほら、薙切も金色のお茶が入ったコップ持って!」


えりな「………」スッ

創真「よっしゃ、ほれ乾杯ー!」カシン

えりな「………乾杯」カシン

えりな(友達、か。……堕ちたものね、この薙切えりなが…こんな奴らと過ごして、…この男と過ごして……)

えりな「………」グイッ

創真「お。スゲーいい飲みっぷり」ヘラヘラ

えりな「君、そのバカ面はどうにかならないの?見ていてとても不愉快だわ」

創真「そうか?あんまり意識した事ないんだが」

一色「みんな、肉ばかりじゃなく、ちゃんと野菜も食べるんだよー?」

恵「カボチャにピーマンにナス……なんでもあるからね~」

創真「おー、んじゃ俺、ナス焼いてもらおっかなー!」スタスタ



えりな「あっ。話の途中で行くな!……オタンコナス!!」


伊武崎「…食っている間に、日も落ちてすっかり暗くなってきたな」

恵「おなかもいっぱいになったし、材料もなくなったし…」

一色「ふふふ。なら、今こそ登場の機会というところだね。…ほら!」ドサッ

榊「わ!すごい、こんなにたくさんの花火!?」

吉野「きゃーっ!やった、やったー!!早く、早く遊ぼう!」

恵「一色先輩、週の始めから用意してくれていたんだよー。ずっと楽しみだったんだー」

吉野「一色先輩、大好き~!何からやろっかな、すごい迷う!」

えりな(花火……!)ドキドキ

伊武崎「…やっぱり、なんだか嬉しs  えりな「気のせいです!!」

丸井「ああああ危なっ!やめろ幸平、振り回すな!火花が!火花が!!」

創真「あははは!なにビビってんだよ丸井、ほらほら綺麗じゃん」


吉野「よっしゃー!丸井!打ち上げた落下傘を拾ってこい!見つけるまで帰ってくんなー!」パーン

丸井「ふざけるな!暗くて全然見えないよ、どこに落ちたかわかるかー!」

側近「うわああ……うふふふ、気持ち悪い~…」ゾクゾク

榊「…そんなに好きなの?ヘビ花火」

えりな(私が知らなかった一面を見た気がする…)

伊武崎「この人数じゃ、みるみる花火がなくなっていくな」

恵「やっぱり、線香花火は一番最後だよねー…次は何をやろうかな?」

一色「いやあ、楽しんでもらえて良かったよ。みんなの笑顔が何よりの報酬ってものさ!」

創真(みんな花火に夢中になっているしなー。話すなら今のうちか?いや、まだ早ぇか)

創真(確か、親父が何か…誘い方を喋っていた気がするけど。なんだったっけ。確か……)



城一郎『>>441

○○(恵)、二人きりになりたい
耳元で


おいしく頂いた上に味つけまでいきたいものですが


城一郎『あんまり押しすぎると引かれるリスクもあるが…まあ、そんなウブな娘なら、耳元で二人きりになりたいって囁けば一発なんじゃねーか』

創真『耳元か…確かに、耳はかなり弱そうだったし、イケるかもしんねーな』

創真(やりすぎて田所さんスイッチを押しちまわないようにしねーと)

城一郎『そこで名前でも呼んでやりゃあ更にポイント稼げると思うが…』

創真『…それはまだ、ちっと恥ずかしいわ』

城一郎『おいおい、しっかりしろよ創真。俺の息子だろうが、根性見せてみろ』



創真(…なんて言ってたな。やってみようか。名前、は……やっぱまだ無理だ。…えーと。田所…どこに行った?)キョロキョロ

恵「~~♪」

創真(いたいた。お茶汲んでる)


創真「………」ソロリソロリ

恵「いち、にー、さん、しー………これで全員ぶんっ、と」

創真「………」スゥ

創真「………恵」

恵「!!!!!???」ビックウ!!

創真「二人きりになりたい、…それ終わったら、こっちに来てくんねー?」

恵「!?!???!!??」ボシュウウ

創真(…結局勢いで名前呼んじまったけど…やっぱりスゲー恥ずかしいぞ、これ…田所も真っ赤になってるし、またやりすぎてねーだろうな)カアア



吉野「あー喉渇いた~、お茶、お茶ー…って、あれ?恵……幸平もいない…ま、まさか…!?」

吉野「うおおおお涼子おおお!!シンデレラがああああ!!」ドシーン!!

榊「ぎゃああっ!?だ、だからどうしたのよ悠姫!さっきから何か変よ、貴方!」


創真(この辺りの木陰でいいか…遠くにみんなの姿は見えるし)

恵(聞き間違い…じゃ、ないよね……?創真くん、さっき私の名前を呼んでくれたよね!?)ドキドキ

恵(うわあああ…そ、それは呼んで欲しかったけど、けど~…!不意打ちすぎて、恥ずかしいよー!もう、どうしてこうビックリさせるの、創真くん~…!!)ドキドキドキ

創真「な…なんか、悪いな。作業中だったのに」

恵「ううん!?わ、私が勝手にやっていただけだから…普通のお茶が飲みたくて、ついでにみんなのぶんもってやっていただけだし…」

創真「おー、…そーか」

恵「う、うん……」

創真(毎回毎回、こう出だしで詰まるんだよなー…なんなんだろう、これ)ドキドキ

恵(ううう…恥ずかしい、恥ずかしい……こんな暗がりだし…)ドキドキ


創真(とりあえず、だ。思い出せ…親父マニュアル。なんかベラベラ喋ってたよな、えーと……)

城一郎『暗がりに連れ込んだら、そのまま押し倒して ――』

創真(や、これはダメだ、上級編だ。他には何か……)

城一郎『まーガキのお前らならなあ、手でも繋ぐところから始めりゃいいんじゃねーか』

創真(……手!手か、それならできる)ギュッ

恵「!!」ビクッ

創真(………でも、意識して手ぇ繋ぐってのは、結構照れるもんだな…)

恵「そ…創真くん……?」ドキドキ

創真(で?繋いだからなんなんだっての、こっからどう切り出せばいいんだ)

恵(なんだか真剣な顔しているけど…こっちを見てくれないし、何も言ってくれないし…本当に、どうしちゃったのかな?)ドキドキ


創真「………」

創真(あー、なんかもう面倒くせえ。そもそも料理の事以外で悩むのとか得意じゃねーし)

創真(やりたいようにやろ。…田所の様子を見ながら、傷つけないように)スッ

恵「!!?」

創真(相変わらず、綺麗な手ぇしてんな…)チュ

恵(フオオォォォ!!??な、ななななに!?なに!?…手の甲に、創真くんの……くっ唇!?)

創真「…田所。この間さ、部屋で話をしたじゃん。二人きりで」

恵「へっ!?う、うん!うん!したね、話、した!!」アタフタ

創真「あれ、どーだったんだ?田所的に」

恵「ど、ど、どうって、ななななに?なにががが?」アワアワアワ

創真「うんうん。とりあえず落ち着いてから答えてくれていいからな?」


恵「 」ハーハー

創真「どーだ、落ち着いたか?」

恵「う、う、うん……なんとか…」

恵「えっと、この間の事…?あ、あれは……その、すごく…恥ずかしかったよ。創真くん、たくさん意地悪だったし…」

創真「そーか。…でも、俺ならイヤじゃないって言ってたよな」

恵「………うん……」コクッ

恵「たくさん…たくさん、恥ずかしくて……たくさん困ったけど…創真くんだから、イヤじゃ、なかった…」

恵「恥ずかしかったけど、……そのぅ…嬉しかった、し……」

創真(真っ赤になっても必死に答えて…あー、可愛い。本当に可愛い。……こういう反応するからなー、調子に乗っちまうんだよなあ)ナデナデ

恵「ううぅ…頭撫でてもらっても、恥ずかしいよ~創真くんー……改めて聞かれるなんて、思ってなかったんだよ?」


創真「そりゃあスマンかった。でもさ、聞いておきたかったから」

創真「また答えて欲しいんだけどよ。…この間やった事よりも、もっと先の事をしたいっつったら、イヤか?お前」

恵「へえっ!!?…さ……先の事、って……」

創真「お前が欲しくて仕方無いんだよ、もう」

恵(ひいいいっ!!こっちを真っ直ぐ見ないで~!!)アタフタアワアワ

創真「………」ギュ

恵「うひょう!!?」ビクゥッ

創真「どうなんだ?イヤか?困るか?田所は」

恵(あわわわわ……抱き締めないで、耳元で喋るのやめて、…あ、頭の中が、真っ白に…真っ赤に、わけがわからなくなっちゃう…!!)

創真(うおー、…これ、かなりやべえ。今夜は少し暑いからな、……ほのかに汗の匂いが混じっていて…ゾクゾクしてくる)


恵「そ、創真くん、お願い、ちょっと待って…考えるから、待ってて……」

創真(田所のいい匂いの中に、汗の匂いが混ざって…すげえ、ゾクゾクと、クラクラと……)ペロッ

恵「ひゃぅんっ!!」ビク

創真(首筋、ほんの少ししょっぱい)

創真(……たまんねーな)チュ

恵「や……、…待って、待って…創真くん、お願い、待って」ビクビク

創真「…おう、待つよ。…どうだ?これ以上の事を俺にされたら、イヤか?」

恵「……創真くんになら、イヤじゃないよ…でも、でも………ちょっと、…怖いの…」

創真「………」

恵「…こういう時の創真くん、意地悪なんだもん。なんだかよくわからなくなっちゃって、頭の中がぐるぐるして……たくさん恥ずかしくなって」

恵「…自分なのに、知らなかった自分に気づくのが……怖いの」


創真「……でも、イヤじゃないんだな?俺の事が」

恵「………うん…」

創真「俺の事が好きだから?」

恵「…ま、またそうやって!意地悪する~!」

創真「あっははは!…本番はなるべくそうならないよう、頑張るからよ」

恵「なるべく、なの?絶対意地悪しない、じゃなくて?」

創真「その辺は全く自信が無いからなあ」

恵「ううう……」

創真「…でも、絶対優しくはする。イヤだったらちゃんと言ってくれ、止めるから」

恵「………」

恵「………うん」

創真「じゃ、明日やるか」

恵「あああ明日!?明日っ!??いきなり!?」

創真「善は急げ、いい言葉だよな。覚悟決めておいてくれ」

恵「急げっていうか、急すぎだよ!?そ、そんな、そんな……」


創真「別に、今夜でも俺は一向に構わないけど」

恵「明日!明日でいいです!!…もっと先でもいいんだけどね……」

創真「ん、わーった。よろしくな、田所」ポンポン

恵「よ……よろしく、お願いします…うああああ!……ど、…どうしたらいいの~…!!」オロオロ

創真「やっぱり前もって言っておいて良かったよな?心の準備ができるってもんで」

恵「どっちにしたって恥ずかしいよ!!創真くんのばかぁっ!!」

創真(よし、あとは……場所決めだけだな!どこがいいものか…)



『展開決め多数決安価

 1 極星寮
 2 ホテル
 3 その他(自由提案)
 4 トラブル発生により延期』


スレ開いてくれてありがとうございます。
分かれちゃった。様子見兼ねての投下を。


ヒナコ「―― ハッ!!しまった!たった今、私の中の恵ちゃん成分が切れた!これは一大事、早く遠月学園に行って、恵ちゃんを補給しなくちゃ!だから電車賃ください!」ピキピキーン

四宮「お前が死ねば大金が入ってくるぞ」

ヒナコ「それ、保険金ですよね。…もー素直じゃないんだから~、四宮先輩も恵ちゃんに会いたいんでしょ?私、知ってますよー?」

ヒナコ「ツンデレも大概にしなくちゃですよねー。いや、陰険な四宮先輩にデレはないから、ツン陰険?最低じゃないですか!死ねばいいんじゃないですか?」

ヒナコ「そうですよ、死んでください四宮先輩!そして出た保険金で、私は恵ちゃんに会ってきますから。一緒に温泉なんかも行きたいなーなんて…ウフフ~」

四宮「……ハァー…」ガタッ



【ヒナコさん逆さ吊り中の為、トラブル発生ならず】


創真「…場所、場所かー。やっぱり無難にホテル探しかなー…」

恵「ううう……」

吉野「……恵ぃぃ!!どこに行っていたの、心配したんだよおお!?」ギュウウ

恵「きゃ!?ゆ、悠姫ちゃん!?」

榊「悠姫ってここまで心配性だったかしら…?」

吉野「シャー!フシャー!!」ブンブン

創真「なんで威嚇されてんだ?俺」

創真(それにしても、場所、場所……うーん…この近くにあんのかな、あんまり移動に時間かかるのも何だし…)

丸井「そろそろ片付けを始めておいた方がいいんじゃないか?そうすればすぐに部屋へ戻れるし」

伊武崎「まだいいだろ。気が早いよ、お前」

創真「……あ。いい場所があったじゃん」キラーン

恵「………はっ!!?」


丸井「全く、みんなだらしないんだからな…」ブツクサ

創真「丸井、俺も手伝うぜ」

丸井「……は?ど、どういう風の吹き回しだ?普段、吉野に次いで一番散らかしていく君が」

創真「なーに、俺も反省したってやつだ。いつも迷惑をかけちまっている丸井を労ろうかなーと」

恵「いけない!丸井く……ぎゃぅ!?痛た、転んじゃった……悠姫ちゃん!離して、創真くんを止めないと~!」ビターン

吉野「うおおおおおシンデレラァァー!!私を置いていかないでー!私だって私だって、ちくしょー!!」オイオイ

えりな「………なにをやっているのよ、貴方達」

伊武崎「ほっとけ。いつものプチコントだ」

榊「悠姫の男泣きは一度始まると長いからね~」

恵(あああ逃げて!丸井くん逃げて!!全力で逃げてー!!)


創真「今日は外だったからまだいいが、いつも丸井の部屋を散らかしっぱなしで帰るからな。申し訳ないと思ってんだぜ?」

丸井「…本当か…?いきなり殊勝な事を言われても、疑わしいだけなんだけど」

創真「本当、本当。証明してみせようか?例えば、そうだな。明日、お前の部屋を綺麗に掃除してやる、とか」

丸井「はあ?いや、もう片付けてあるから、別にそこまで…」

創真「一人じゃーやりづらい片付けや掃除もあるだろー?ベッド周辺とかさ。シーツ変えや布団干しとかしてやるって」

恵「!!?」

丸井「……なんだか、態度が変わりすぎて怪しいな…」

創真「そう疑うなってーの!!あ、俺一人じゃ厳しい面もあるからさー、田所に手伝ってもらうけど、いいよな?」

恵「!!!??」


丸井「うーん……僕は明日、学園の筆記講義を受けに行くんだ。監視できないから余計に不安で、だから償いしたいなら別の日に改めて…」

創真「………そうか、学校って手もあったか」

丸井「えっ?」

恵「えっ!?」

創真「うーん……迷うな、どっちがいいものか…」

恵(ああああ創真くん、ダメ!それはイヤ!!絶対イヤだ!絶対イヤだー!!やめてー!!)

恵「悠姫ちゃん、離して、お願い、創真くんのところへ行かせて!」ジタバタ

吉野「自ら罠に掛かる気?シンデレラじゃ飽きたらず赤ずきんになるつもり!?ダメよ恵、それは罠よ!」

丸井「……怪しくて仕方ないな………いいよ、また散らかった時にこそ片付けると約束してくれれば。…おい、幸平?聞いているか?」

創真「迷う……スゲー悩む……」ブツブツ


創真「…もう少し考えてみるわ。んじゃ、このゴミは捨ててくっから」

丸井「??? な、なんだったんだ?」

恵「創真くんのばか……創真くんのばかぁー!!」

吉野「そうよ!アイツは馬鹿なのよ、よくぞ気づいたわね、恵!!」

恵「悠姫ちゃんもばかだよー!うわあああん!!」

吉野「なんで!?恵がグレた!!」



一色「……花火ももう終わりだね、あとは線香花火くらいか」

側近「やりましょう、線香花火!さ、えりな様。ただ今、火を点けますから少々お待ちください」

えりな「線香花火…風情があって、いいわね」

伊武崎「bgmがうるさすぎて台無しだけどな」

恵「うわあああん絶対イヤだあああー!!」

吉野「恵がグレたー!恵がグレたあああー!!」


えりな「本当に…もう、静かになさい。何があったのですか」

恵「うっうっうっ……薙切さんん~…!」

えりな「!!? ちょ……な、なにを泣いているの!?」ギョッ

伊武崎「それもほっとけ、田所はやたら取り乱したり泣いたり忙しないからな。…最近は吉野や榊以外にも慰め役がいるから。そいつに任せておけばいい」

えりな「慰め役?」

創真「お、花火大会ももう終わり?俺にもやらせてくれ、線香花火」ザッ

伊武崎「そ。慰め役。おい、幸平。田所達がうるさい、静かにさせてくれ」

えりな「………」

創真「おい、どうしたよ、田所。今度はなにで泣いてんだ、本当に忙しい奴だな」

恵「…創真くんのせいだよー!もう知らないよー!私、悠姫ちゃんと一緒にいる!」

吉野「だってさ、幸平。…この娘が欲しければ、私の屍を越えていけ!」


創真「なんだかよくわからないけど、わかった。じゃあ失敗作を冷蔵庫から取ってくるから、ちょっと待っていてくれ。今回はチョコレートソースをだな……」

吉野「逃げよう、恵!!全力で逃げよう、殺害宣言が出た!!」

恵「うん!悠姫ちゃん!!」

榊「もう、本当に賑やかなんだからね~」クスクス

側近「この場で静かに線香花火を楽しむだなんて、叶わない夢なのかもしれない……」

えりな「………」


・・・


ふみ緒「線香花火も終わり…もう時間も時間だ。さ、アンタ達。とっとと片付けて寝るんだよ。いいかい、ゴミひとつでも残したら承知しないからね!」

榊「ふみ緒さんの監視下じゃ、流石に逃げられないわね」

丸井「僕の部屋を巻き込む時も、そうやって片付けていってほしいよ…切に……」


一色「はあ…楽しい時間はあっという間に過ぎるものだね」

榊「今度はサプライズじゃなく、相談してほしいわ。こういう事なら、私達も手伝うし。ね、悠姫…ちょっと、悠姫!?どうしたの!?」

吉野「うおえええ……チョコレートの海が…海の幸が台無しに……折角美味しく食べたバーベキューが台無しに…」グッタリ

丸井「幸平が吉野の口に無理矢理イカゲソを詰め込んで…」ガタガタ

創真「だっから大袈裟なんだっての、吉野はいちいちさー。そんなに不味くも無………ごめん、クソ不味いな、笑えるくらい不味いわ」パク

ふみ緒「ほらほら!さっさと部屋に戻るんだよ、アンタ達!いつまでも騒いでいるんじゃない!!」

一色「はーい。おやすみなさい、ふみ緒さん。今日はありがとうございました」


創真「はー、楽しかったなー!こういう事なら毎日でもやりたいわ、な、田所っ」

恵「うん、楽しかった……けど、創真くんなんか、もう知らないよ!」プイ

創真「…田所?なんなんだ、さっきから。なにをそんなご機嫌斜めなんだ?」

恵「知らない、知らない!創真くんのばか!知らない!」タタタッ

創真「あっ?おい、田所っ!」タタッ

えりな「………」



創真「……おいっ!待てって、田所!どうしたんだよ、なに、怒ってんのか!?」

恵「ううう……もうヤダ~…創真くんなんか、知らないんだから~…」グスグス

創真「ちょ…泣くな、どうしたんだ、本当に。…とりあえず、部屋に入ろうぜ。ここじゃなんだから」

えりな(!? 2人で、幸平くんの部屋に…!そんな事っ)バッ


伊武崎「…だから言ったろ。ほっとけ」

えりな「!!」ビクッ

伊武崎「今は首を突っ込む時じゃない、わからないか?」

えりな「…わからないわね。男女2人きり、しかも田所さんは泣いていて、同じ部屋に入っていくだなんて…不潔だわ。彼女が危ない!」

伊武崎「そうかもな。でも、俺達が関わる事じゃない。ほっとけ」

えりな「君、一体なんなの?さっきから、放っておけの繰り返しで。友達…なんでしょう?友達なら、間違った道に進もうとしているのを止めるべきじゃないの?」

伊武崎「見守るのも友達ってもんじゃないの」

えりな「君はただ関わるのが面倒というだけに見えるわ」

伊武崎「なら、アンタは?」

えりな「は?」

伊武崎「俺は面倒だからってだけじゃない。今は静観しようというだけだ。アンタが関わろうとする理由はなんなんだよ」


とりあえず展開書きつつ、引き続き票を待つよー。来なかったら次回延期(ちょっかい編)かなw
また夜に来ます。スレ開いてくれてありがとう。


安価って楽しいなと改めて思った。
お付き合い頂いてありがとうございます。


えりな「私……私…は……」

伊武崎「………」

伊武崎「…心配してくれている、それを知ったらアイツらはすごく喜ぶと思うぜ」

えりな「!?」

伊武崎「けど、友達だからこそ、静観する時も必要だ。当事者同士で片付けさせなきゃならない事もある」

えりな「…今が、そうだと?」

伊武崎「アンタももっと俺達と過ごせば、きっとわかってくるだろ。…放っておけ」

えりな「……だけど……」

伊武崎「心配してくれてありがとうな。先に言っとく」

えりな「……!だから…誰が、あんな人達の心配なんか…私を安く見ないで!!」

伊武崎「俺、もう寝るから。アンタも早く寝たら」

えりな「ちょっと!待ちなさい、話はまだ……、………誰が!誰が、心配なんか…!」


【極星寮・303号室】


創真「…落ち着いたか?ほら、ティッシュ。タオルもあるから、必要だったら言ってくれ」

恵「うん……ありがとう、創真くん」グスグス

恵「はぁ…」

恵(…私…よくわかった。恥ずかしがってばかりじゃダメなんだって。……私が創真くんを引っ張らないと、色々大変な事になる!!)

恵(私だって、頑張らないと!)グッ

創真「なぁ、なにを怒っていたんだ?なんで泣いていたんだよ、大丈夫か?」

恵「…うん、話すから。創真くん。……正座」

創真「はい?」

恵「せ・い・ざ・!!」

創真「はいっ!?」バッ

恵「………」フゥー…

創真(なんだ?田所が怖いんだが…)ドキドキ

恵「…あのですね、創真くん。さっき、なにを考えていたのかな?」


創真「さっき?さっき、って?」

恵「その……丸井くんと話していた時の事!」

恵「す…する、場所……たくさん考えてくれているみたいだけど…丸井くんの部屋や学園まで、視野に入れていたでしょ…」

創真「あ?あー、そう言えば」

恵「ダメだよ!ダメに決まっているよ、流石に!ばか!創真くんのばかぁっ!」

創真「うおっ……け、けどよ」

恵「けどもなにもありませんっ!あと、まだ正座やめちゃダメ!」

創真「はい!!すいませんでした!!」ササッ

恵「もうぅ……危なっかしいんだから…。いい?丸井くんに迷惑がかかっちゃうから、もう絶対絶対ダメだからね?」

恵「そ、それに………初めてなんだから……こことか、学園でなんかも……イヤだよ」


創真「…って言うと……」

恵「…知っている人達がいる中じゃ恥ずかしい、っていうのもあるけど…それに、お風呂だって、時間決まっているんだし…」

恵「……初めてなんだもん。大事にしたいの…ちゃんと、創真くんと一緒に過ごしたいの」

創真「………」

恵「だから、だからね、……する、なら…ちゃんとしたところに、行こう?」

創真「…田所、」

恵「まだ正座やめちゃダメ」

創真「はい」ササッ

創真「……ごめん、田所。俺、お前の事を考えているつもりで、考えていなかったんだな」

創真「お前の事だから、いきなりそういう場所に連れて行ったら、また取り乱すかなって思ったら…」

恵「私が言えた事じゃないけど、落ち着いてね?創真くん」


恵「それから……私も、ごめんなさい。創真くんにばかり考えさせて、ただアタフタするだけで」

恵「創真くんはたくさん私の事を考えてくれているのに、私は…」

創真「や、お前が謝る事はなにも無……」

恵「正座」

創真「はい」ササッ

恵「……私も、ちゃんと考えるね。だから、一人で考えないでね?」

恵「は、恥ずかしい事でも…頑張って、ちゃんと…考えるから。創真くんと一緒に、いたいから……私も考える」

創真「………おう」

恵「………」

チュッ

創真「!!!」

恵「…改めて、よろしくね?創真くん」

創真(田所から、唇に……)ドキドキドキ

創真「…ごめんな、田所。泣かせてごめん。本当に……」


恵「ううん。……これで仲直り、ね?」ニコッ

創真「……おう。ありがとう、田所」ニッ

創真「………」

創真「ところで、もう正座は」

恵「あと一時間くらいは続けてね」

創真「はい」

恵(…これで、危機は去っただろうけど……)

恵(結局、明日…その、す、するって事は、変わらないんだよね……)ドキドキ

恵(うう、怖い…怖い、けど……頑張らないと…)

創真「田所さん、足痺れてきたんすけど…!」

恵「まだダメだよ?」

創真「はい……」シクシク

恵(あー…どうしよう、どうなっちゃうんだろう…お母さん、私…悪い子かなあ、……お嫁に行く前に、そんな事しちゃったら…)

恵(創真くん…私の事、どう思ってくれているんだろう……)


【翌朝・食堂】


一色「昨日はお肉だらけだったからね、今日はあっさり仕立てでいこうと思うんだけど、味はどうかな?」

榊「とっても美味しいわよね」

吉野「うん、朝はこれくらいが丁度いいかなー。あ、ごめん涼子、お醤油取ってー」

ふみ緒「こら丸井!食事中に参考書を広げるな!」

丸井「うっ、見つかったか……」

伊武崎「………」モグモグ

創真(今日だな)

恵(今日だ……)

創真・恵(今日で全部決まる…!)ドキドキ

側近「…ちょっと、2人共!お茶!お茶零れていますよ!?」

創真「おわぁっ!?」ボタボタ

恵「きゃ!?あっあっ、大変!!」ボタボタ


榊「もう、今日は恵まで?どうしちゃったの、2人揃ってボーっとするなんて…はい、布巾よ」

恵「うう、ありがとう涼子ちゃん」

吉野(まさか……まさか、本当に今日キメるつもり!?)

えりな「………」

伊武崎「おい、幸平。お前の作った失敗作、冷蔵庫に入っているんだよな」

創真「あ?おう、タッパーに詰めて入れてあるけど」

伊武崎「そうか」

創真「…??」


・・・


吉野「けしかけたとはいえ、やっぱり不安しかない!幸平っ、恵を泣かせるような事のないよう、私が知恵を伝授 ――」

伊武崎「お前はこれでも食ってろ」ズボッ

吉野「うごごごご!!?」ジタバタ

一色「それは…創真くん作成の、失敗作料理!?」ガタガタ

伊武崎「トラウマほじくり返されたくなかったら、アンタも黙ってて」


【極星寮・テラス】


えりな「………」

伊武崎「わかっているんだろうな。ほっとけって事」

えりな「…また、貴方なの」

えりな「君も随分とお節介焼きなのね。関わらない風を装いながら、見る事は見ている、といったところかしら」

伊武崎「…流石、薙切だな。アンタもよく見ているよ」

えりな「………ふん」

伊武崎「アイツらが困った時にこそ、手を差し伸べるべきだ。違うか?」

えりな(…2人が、寮から出ていく。街に向かうのね)

えりな「…わかりません」

伊武崎「だったら、ほっとけ。帰りを待つって選択肢もあるんだ」

えりな「……なんだか、友情を通り越して、親心みたいな感じね」

えりな(…馬鹿馬鹿しい。私は…そんなのじゃないわ…)


創真「……よし。行くぞ、田所。ここでモタモタしていたら、他の奴に見つかるから ――」

創真「……田所?」

恵「………」ガクガク

恵(ああ…やっぱり、怖い。怖い、怖い……!)

恵(私のばか…昨日、あんなに気合い入れたのに。頑張るって決めたのに、怖くて…動けない)

恵(創真くんが怖いんじゃない…けれど、怖い……何に対してか、もうよくわからない…でも、……でも…)

創真「………」

創真「………」ナデナデ

恵「………っ」ビク

創真「悪ぃ。…ちゃんと待つから」

恵「………うん…ごめんね、大丈夫だよ」

創真「………行けそうか?」ギュッ

恵(…創真くんの手……ちょっと、汗ばんでる。…創真くんも緊張してくれているのかな……)

恵「…うん!平気。ごめんね、創真くん。…行こ!」


・・・


恵(なんとか、お部屋に着いたけど……)キョロキョロ

恵(想像していたより、全然綺麗。妙なものも見当たらないし、ベッドは…やたらと大きいけど…ソファもふかふか)

恵(受付も全部創真くんがやってくれたし…これなら、大丈夫かも…!)

恵「…あ、そういえば!創真くん、お金全部払ってたでしょ。私も出すよ、いくらだったの?」

創真「あ?いいって、出さなくて。臨時収入があってこそ、ここを選べたんだし」

恵「そんなあ…ちゃんと払うのに。…なんか、もっとすごいのを想像していたんだけど……普通に街中にあるものなんだねー。綺麗でお洒落」

創真「まーな、気に入ったんなら良かった」

恵「……でも、やっぱり、入るまではドキドキしちゃった」

創真「そりゃ俺もだっての。無意味にダッシュしたりな」


恵「あははっ。私、ちょっと転びそうになっちゃったよー」

創真「何かから逃げているような気分になったっつーか。座って一息吐けたから良かったけどさ。なんか茶とか珈琲とか置いてあるけど、飲むか?」

恵「んーん、私はまだ大丈夫。あとでもらおうかな」

恵「……えへへぇ」スリッ

創真「!!?」

恵「…悪い事してるなって、チクチクするけど……でも、なんか嬉しい。本当に本当に、創真くんと2人っきりなんだねー」ニコニコ

創真(あ、やべぇ。早速入っちまってる、甘えん坊スイッチ)ドキドキ

恵「私ね、すごく怖くて仕方ないよ…。……でも、でも…創真くんの事、信じてる」

創真「………田所」

恵「…少しでいいから…ぎゅってしててくれる?」

創真「…お前が落ち着くまで、してやるから」ギュ


恵「ありがとー、創真くん…」

創真「いいえー、どーいたしまして」

創真(怖い……か。無理させてんだろうなあ…少し震えているみてーだし。……なるべく、突っ走らないよう心掛けよう。田所の様子を見ていって…)

恵「……創真くん。我慢…しないで、いいからね」

創真「…へっ?」

恵「私の事、欲しいって言ってくれたの……は、恥ずかしかった、けど…嬉しくもあった。…私もきっと、創真くんが欲しいんだと思う」

創真「……けど、お前。怖い、って…」

恵「創真くんなら平気。創真くんだから、平気なんだよ」

創真「………」

創真「…約束しようぜ、田所。絶対に、無理はしないって。お互いにな?」

恵「うん。……お風呂、先に入ってもいい?」

創真「もう大丈夫なのか?」


恵「大丈夫だよ。……私ね、創真くんが大好き」

創真「…おー。俺も。俺もお前が好きだ、……ありがとうな、田所」

恵「えへへ……それじゃ、お先にお風呂頂きまーす」

創真「おう。いってらっしゃい」

創真(……ありがとう、ごめんな。田所)


・・・


恵「………」

恵「…すー……はー……」

恵「落ち着け…落ち着け、私。大丈夫……怖くない。もう、怖くない。創真くんと一緒だもん」

恵「…それにしても、お風呂も大きいな~。どうせならゆっくり入ってみたいけど…待たせたら悪いもんね……」

恵「シャワーだけにするのが勿体無いくらいだなあ…」


恵「……ご、ごめんね。遅くなっちゃった…」ガチャ

創真「!!!(バ……バスローブ姿)」クラッ

創真「…じ、じゃあ、次は俺が、入ってくっから……」

恵「うん…い、いってらっしゃい」

恵(…あああ…やっぱり、ダメだ……緊張してきた…!痛いかな、痛いよね、どうしよう…どうしよう!)ドキドキドキ

恵(そ、そうだ、お茶!お茶、飲もうかな……喉もカラカラだし…ああでも、水にしておいた方がいいかなあ~。…水にしよう、途中でトイレ行きたくなったら大変だもんね…)オロオロ

恵(…テレビを見て待つ、とか?ダメかな……気が散っちゃうかな…こういう時、何して待っていたらいいんだろ…!創真くんは何していたのかな、聞いておけば良かったよ~)オロオロオロ


恵(何か、何かしていないと落ち着かない……でも、何をすればいいのかわからないよ~!)オロオロ

恵(そ、そうだ!携帯…メールで、悠姫ちゃんとかに相談……ああでもダメだ、こんな事がバレたら恥ずかしくて死んじゃう…!)アタフタ

恵(……うう…ううう……でも、この待っている間だけで、もう心臓爆発しちゃいそう…!!とにかく、何か…どうにかして、落ち着かなきゃ…あー、もう!どうして私はこうなんだろう~!?)ワタワタ



恵(……もう、いいや!悠姫ちゃんにメールしよう、おしゃべりしていれば気も紛れるかもしれないし…!)

創真「フー……なんか、昼間っからシャワー浴びるのって、スゲー久し振りだわ」ガチャッ

恵(はい、間に合いませんでしたー!!!)


創真「悪ぃ、ちょっと水だけ飲ませてくれ」

恵「あ、うん…(な、なんで上半身だけ裸……下はジーンズだけど)」アワアワ

恵(そう言えば…創真くんが寮に来たばかりの頃、お風呂で鉢合わせした事があったっけ…あの時はびっくりしたのと、湯気とで…あんまり覚えてないけど、み、見ちゃってた…)ドキドキ

創真「……田所?おい、田所?何を呆けてんだ、おいってば!」

恵「うひゃあああっ!?」ビクッ

創真「大丈夫か?やっぱり無理してんじゃねーだろうな」

恵「ごめ、ごめんなさい、大丈夫…大丈夫だよ、ちょっと……考え事、してただけだから…」

創真「よしよし」ナデナデ

恵「本当に本当に、大丈夫だよ~……うう…」

恵(意識しちゃうからダメなんだ…落ち着くまで、目を瞑っていよう。何か、別の事を考えていけば、きっと…)


創真「………」ナデナデ

創真(田所、…バスローブの併せから、胸元がちらちらと見えてんだよなー……気づいているんだろうか)

創真(風呂から出立てで、シャンプーの香りも濃いし…かなりクるぞ、これ……堪えられんのかわからねぇ…)

創真(待つって、マジでしんどいな…)ハァ

恵(!! 溜息、…ああ、私、創真くんに負担かけさせちゃってる…!ダメだ!これじゃダメだ!…頑張るって決めたのに…)

恵(でも、どうやればいいんだろ…何を言えばいいのかな、わ、わかんない…頭が働かない……)

恵(…とりあえず、くっついてみよう…)スリ

創真「!!!」ドキッ

恵「わ……創真くん、すごいドキドキしてるのが聞こえる。…直だからかな…?」


創真「そりゃ…まあ、な。こんな状況じゃ……」

恵「…この間、創真くんのお部屋に入った時も…いっぱいドキドキしていてくれてたよね」

創真「仕方ないんだって、こんな…田所がすぐ傍にいたら、フツー…するって、ドキドキくらい」

恵「…へへ。なんか嬉しい。あのね、創真くん。…名前がいい。名前で呼んで?昨日は呼んでくれたのに、また元に戻ってる」

創真「ま……またか。無理だって、照れくせェから。昨日は勢い付いていたからこそだったしよ」

恵「じゃあ、どうやったら勢いがつくの?そうしたら呼んでくれる?」

創真「……多分、すぐつくと思うから。そう焦んな」

恵「焦るよー、だって早く呼んでもらいたいもん」

創真(落ち着くのはいいが、甘えん坊化されると調子狂うからな。上手く手綱取らねーと)


創真「………」チュッ

恵「ッ!!また、耳に……」ビクッ

創真「…この調子なら、すぐ勢い付くだろうから。イイコで待てよ。な?」

恵「あわわ……わ、わ、わかった、わかったから…囁かないで、耳、ダメなのに~…」ゾクゾク

創真(ま、知っていてやったんだけどなー)ヘラッ

恵「ふうぅ……」

創真(今までに数回やったからか、蕩けるのが早くなってきてんな)

創真(……このまま、いってみるか)チュ チュ

恵「ん、ひゃ……、…ぁ、あ」ビクッ

創真(この辺りが軟骨部分なのかなー…)ペロ

創真(耳朶くらいの柔らかさ、なんてよく言ったもんだ。…歯応えがあって、いいな。ふにふにと柔らかいのに、弾力がある)

恵「あ、ぁ……いやぁ…創真くん、やめてっ…!」


なんか書きにくいんで地の文もどきで、一気投下いきま。地の文苦手な人がいたらすいません。


 ―― 何度か耳へと口づけていくうち、恵の体から力が抜けていくのが見て取れた。

 舌を突き出し、その先端を使って外耳の作りをなぞっていく。奥まった部分も、付け根も、はては耳穴の口すら舐めていった。
 唾液で薄く濡れたそこを拭うように吸い付くと、緊張で若干乾いていた唇がみるみる湿りを帯びていく。

恵「んっ……いや、…いや……ぅう…んっ」

 舌が、唇が滑る度に、恵の小さな肩が跳ね、可愛らしい声が漏れ聞こえた。

 いやだと言っているが、その声から拒絶の色は見えない。拒絶どころか、声が零れる度に、劣情を催していく。
 緊張なのか、それとも寒いのか? はてどんな理由かはわからないが、カタカタと小刻みに震える恵の体を、創真は必死に抱き締めた。

 少しでも震えが収まるように、恵が自分のものであると実感できるように。


 恵の肩を軽く押し、ベッドへと寝かせる。

 仰向けに寝そべる形となった恵の表情は、すっかり蕩けていた。
 酸素が足りないかのように、浅く早い呼吸を繰り返し、夢うつつに潤む瞳が、創真を捉えている。

 そっと紅潮した頬を撫でると、また一瞬肩が跳ねたが、すぐにもその温度差が心地好いとばかりに、手のひらへ頬を擦り寄せてきた。
 仕草が小動物のようで可愛い、と、創真の口角が緩む。

 そして、この可愛いらしい生き物がこれからどう乱れていくのだろう、楽しみだ。そう、ますます掻き立てられる何かを感じていった。

 恵の唇へと軽く口づけた後、身に付けているバスローブの併せに手を差し入れ、甲を使って開いていく。
 そこから覗いたのは、清潔感に溢れる白の下着に包まれた、恵の胸だった。


恵「あ……あんまり、じっと見ないで…」

 眉尻を下げて心底恥ずかし気に、震える小さな声での訴えを、創真は笑って返す。

創真「なんで?」

 けっして、意地悪をしたいからなどというものではない。純粋な疑問からの問い返しだ。

 こんなにも可愛らしく、綺麗なものから目を逸らすなんて、それこそ失礼にあたるのではないか?

 残念ながら語彙が足りず、また紡ぐ言葉を整理する余裕も無かった為に、恵へその気持ちを伝える事ができなかったが、恵は短い問い返しだけで充分に堪えたらしい。
 再び恥ずかし気に、取り乱しもしながら口ごもってしまった。

 下着の補強のおかげか、はたまた若さ故にか、恵の胸は仰向けになっていても、横へと流れる事なく、しっかりと天井を仰いでいる。


 この愛しいものを包み隠す、弱々しい障害物の取り除き方は、なんとなく解る。背中へと手を回し、ホックを外してしまえばいいのだろう。

恵「きゃっ!」

 しかし創真はそれをしない。やや乱暴に、下着を両の親指で押し上げめくった。
 すれば反動で、ぷるんと揺れ弾む乳房。ついに外へと出せた……感動すら覚える創真の口から、自然と溜息が漏れる。

 まだまだ成長途中にも見えるが、級友達のそれと比べると、恵の胸は小さい。
 彼女自身気にしているようで、申し訳なさそうに謝罪を伝えてくる。

 だが、違う。なんでもいいというわけじゃない。恵だから、恵のだからいいんだ。
 そう返したくとも、逸る気持ちが言葉を並べる作業の邪魔をする。
 それならば ――

恵「ひゃ……っ!」


 張りのある小さな膨らみへ、かぶりつく。
 口をめいっぱい開いても、その全てを咥える事は叶わず、ゆっくりと口を閉じていく。
 周りの肌色とはトーンの違う箇所。ツンと立ち上がっていくその部分を、唇で捉えて夢中でしゃぶりついた。

 口内へ抑えたまま、舌先で押すように乳輪を舐め回す。何かを催促するかのように、何度も何度も乳首を吸い上げた。
 恵は創真の様子を見て、最初はただひたすらに羞恥しか覚えられなかったが、徐々に変化が現れる。

恵(……なんだか、創真くん、赤ちゃんみたい)

 行うものは赤ん坊のそれと比べる事など出来ないが、創真を見て ―― 緊張もまだまだ勢いのある状態の中、愛しさが募ってくるのを感じる。

 恵はその気持ちを表すように、短く刈られた創真の髪をひとしきり撫でてやった。


 口はひとつしかないので、片側は手のひらで包んで揉みしだく。
 しかし意識が口に集中している為に、手の動きは緩慢なものにしかならない。

 口で、手で、十二分に柔らかさを楽しんだあとは、次の欲求を迎え撃つ。
 しっかりと形づき、立ち上がった乳首へ、痛めないようにと気を払いながらも、前歯を当てた。

 乳房よりもやや硬めのそれに、更に興奮していく。唇を、歯を動かす度に、恵から甘く切なげな声が跳ねて来た。

 コリコリとした歯応え、噛み千切りたいとさえ思う。前歯で千切り、口内へ転がし、舌で味わい、奥歯で噛み締めたい ――

 以前もそうだった。恵と対峙すると、何故か込み上げてくる衝動。禁忌に当たる独占欲が、創真を走らせていく。

創真「……っは……」

 ずっとしゃぶりついてもいれば、やがて呼吸が苦しくなってくる。創真は漸く顔を上げて、己から恵の乳房を解放した。


 ほんの一瞬、互いに呼吸を整えるタイミング。それが済むと、いいか、とだけ尋ねる。返る答えは声音でなく、小さな小さな頷きだった。

 バスローブの腰紐を解くと、恵の滑らかな肢体が顕になる。下半身を包み隠す薄い布が邪魔にも思えて、しかし興奮も覚える。
 背中へと腕を回し、震えもたつく指をなんとか動かしてホックを外し、鎖骨辺りに乗るブラジャーを取り除いてやった。

 先程から下腹部が熱く、切なくも痛む。恵を前にして目覚めた自身が、外の空気を吸いたいと一心に訴えてくるのだ。
 まだ駄目だと堪えもしながら、こちらもまたホックを外してジッパーを下げ、余裕だけを与える。

 羞恥によって顔を背けたままの恵が、怒張するもう一人の創真を見るのは、まだまだ先の事だろう。それが若干救いでもある。
 ただし、それは視界での事だ。恵の下腹部は、それをしっかりと捉えていた。


恵(寝惚けていたからだと思ってた……)

 早鐘の如く音を刻む心臓を抱えながら、恵は思い返す。
 あの日、級友達とゲームで楽しんだ晩。初めて創真とひとつの布団で休んだ時。
 己の腿に当たっていた、熱く硬い謎の感触。その正体が、今ここに来てはっきりと理解できた。

恵(男の人のって、こんな風になっちゃうんだ……)

 風呂場で鉢合わせてしまった時に見たものから想像する硬さと、今腿に当たっている硬さと繋がらない。

 大まかな仕組み自体は、学校で行われた性教育の授業で知識として得ているが、実際目の当たりにすると、それが不思議で仕方無かった。
 恥ずかしいのか、怖いのか、よくわからないものがますます心臓に働きかけていく。

 どうなっているんだろう、どうなっちゃうんだろう? しかし、確かめる度胸までは、恵には無かった。


 創真の手が、指が、再び胸をまさぐってくる。
 指で乳首を摘ままれ、クリクリと捏ねられる度に、逐一体が反応してしまう。
 背筋に痺れにも似た震えが走り、脱力感を覚えるのに体が強張る。

 創真が与えてくるもの、それが淫靡な快楽だと知るにはまだ経験が足りないが、相反する感覚に、恵は翻弄されていった。

 創真の手のひらが、するすると肌を滑り降りていく。曲線を描く腹や腰を撫でられると、くすぐったくて仕方無い。彼の一動作全てが伝えてくるのを感じる。

 ―― 知りたい。

 未だ恐怖は燻っている。これまでに、自分で知り得なかった自分を見てしまう恐怖。それでも、知りたい。

 ―― 貴方を知りたい。

 創真の事を考えている夜、妙な気持ちと感覚に襲われる事が多々あった。
 しかし、確かめるまでには至らなかった、その答えを今、恵は知る事になる。


 恵の耳をくすぐる、吐息混じりの低い声。
 三文字、たったの三文字。短いそれが、恵の心を鷲掴みにし、決して離さない。

創真「好きだ」

恵「私も……」

 ああ、幸せだ。この人になら、何をされたっていい。どこにだって着いていく。

 これが、創真にしか使えないたった三文字の魔法の言葉が、恵の全てを掌握した瞬間だった。

 下腹部へ、するすると滑り降りる創真の手。
 小さなリボン飾りだけが唯一の彩り。ブラジャーと揃いの真っ白なショーツの中へ、創真の手が入り込んでいく。
 彼の指がまず捉えたのは、まだ薄くもある茂みだった。それをゆっくりとなぞり、撫でる。

 人に触れられた事のない箇所をまさぐられるのは、流石に堪え難く、創真へとしがみつく恵。そんな彼女の反応すら、創真には愛しく感じられた。


 茂みを越えた先、未開の地へと、いよいよ踏み入れる。この箇所も他と同じく、恵の全てが柔らかい。
 その実感に恍惚とする間もなく、創真の指がある違和感を捉えた。

創真(濡れている)

 ごくごく僅かな、小さな水音。普通なら届かぬ程のそれは、しっかりと2人の耳奥へ感覚として伝えられた。

 あまりの恥ずかしさに、恵はますます体を強張らせて縮こまるも、創真はそれを許さない。

 もっと知りたい、もっと、と貪欲になって、閉じられる足を腕で開かせ、再び秘所へと指を這わせた。

 蜜壷と表現するのが、まさしく相応しいだろう。
 指を動かす度に絡みついてくる恵の愛液が、より滑りをよくして加速させる。

 上下に左右にと縦横無尽に動き回る創真の指に、恵の力はどんどん吸い取られ、頭の中が真っ白になって、腰から足が震えていく。


 肉の割れ目に隠れ潜んでいた突起も、中指の腹で弾き潰す。
 ビクンと跳ねる恵の全身を左腕で抱えながら、その反応をまた楽しみたいと、執拗に繰り返した。
 弄れば弄る程、絶えず溢れてくる蜜に、ある衝動が沸き上がる。

 そっと体を離すと、恵はぐったりと体をベッドへ沈ませ、まだ幼い胸を激しく上下させながら、新鮮な酸素を必死に取り込む。

 これからする事は、もっと彼女を追い詰めてしまうのだろう。チクリと胸が痛んだが、それよりも強いのが、欲だ。

恵「……やっ……いやっ!やめて、やだ、創真くん……あぁっ!」

 最初は何をされるのかわからない様子だった。
 下着を足から引き抜き、膝裏を押して足を持ち上げ、開かせる。恵が脱力していたからこそ、容易く済んだ。
 開いたそこへと顔を落とし、秘所へと口づける。鼻先で茂みに触れてから舌を垂らして、まずは、下から上へ。


 味は、よくわからない。しかし、はっきりとわかる。これは恵の味だ。恵の味なんだ。

 こうなるともう止まらない。創真は夢中になって舐め回した。時に吸い付き、愛液を啜る。
 ぷるりと揺れる肉芽にも噛みつこうとしたが、どうしても掴めず、つるつると逃げるそれにもどかしさすら覚えた。

 恵のしゃくり上げる声が聞こえる。やりすぎたか、そう思って視線を挙げれば、それはどうやら勘違いだったらしい。
 泣き声にも近い、喘ぎ声。初めての感覚に戸惑った結果を見せつけられて、創真の中で何かが切れた。

 ひくつきながら呼吸する秘所、膣の口を中心にして、一気に、きつく吸いつく。ごくりと喉を鳴らし、一息置いてから、自分の指をちらりと見た。
 中指なら長さも充分、だが上手く動かせるだろうか。ならば、心許なくあるものの ―― 人差し指を選ぶ。


恵「………!」

 ぎゅうっと目を瞑られ、創真の良心が再び痛む。

 だけど止まらない、止められない。心の中で何度も謝罪を繰り返しながら、欲求に駆られて、ゆっくり、ゆっくりと人差し指を恵の中へと侵入させた。

 熱く絡みつく肉の感触。たっぷりと満ちる蜜が指を滑らせる。

 ―― ああ、早く、早く、早く!!

 早くこの中へと、自分を潜り込ませたい。指では届かぬ奥を目指して、その時こそ完全に恵を自分の物に出来る、その到達感、達成感を味わいたい。
 それはどれだけ甘美なものなのだろう。どれだけの充実感なのだろう!

 想像と、実際に受ける感触が、創真を逸らせ彼の呼吸を乱す。

 グチュグチュ掻き混ぜられる水音と、獣じみた呼吸音、ベッドの軋みが混ざり合い、部屋を満たしていった。


 人差し指に続いて、中指も差し込む。ぎゅっと食いつく膣穴の動きに、まだきついのかと一瞬焦りが過った。

創真「痛いか?」

 他に誰がいるわけでもない、この空間には自分と恵しかいない。だが自然と声を潜めて、恵の耳に直接声を吹き込む。
 何故かまた食い付きが増したように思えた。恵は創真の問い掛けに対し、ただ震えるばかりで答えない。

創真「ゆっくりやっていくから」

 止める、という選択肢は無かったようだ。再び囁きを吹き込んでから、言葉通りゆっくりと、揃えた二本の指を前後させる。

 初めて受け入れる異物に、生理的なものからくる嫌悪がどうしても生まれてしまうのだろう。恵はひたすら腰を揺らして、その指から逃げようとした。
 創真の腕に捉えられている以上、叶わぬ事とわかっていながら、体が動いて止まらない。


恵「ひッ!」

 ビクンとまた大きく体が跳ねた。創真の指が中で僅かに開いたのだ。少量ながら入り込む外気に、親指で肉芽を撫でられる快感に、思わず声が挙がる。

 今更ながら飛び出た声を飲もうとするが、当然遅い。もう無理だ、恵の思考はその言葉だけとなって、創真の背中へと爪を立てた。

 どのくらい行えば緊張が解れるのだろう。初めて調理する食材を前に、武者震いすら起きてくる。
 明確なレシピが存在しない中、文字通り手探りでやっていくしかない。極上な一品を、己も食材も満足する一品を作り上げなくては。

創真(そろそろ、いいか……?)

 逸る気持ちを抑え込み、恵を労りながらの愛撫。その中で、恵は一度達してすらいた。
 何かが一気に己の中を駆け上がっていき、てっぺんが引かれて大きく弾けたような、まさに頭の中が真っ白になった感覚を。


恵(なんだったんだろ、さっきの……)

 創真の指が中から引き抜かれても、ヒクヒクと息づくものを感じる。
 力が全く入らない、涙が滲んでも拭う気にならない。肌はぞわぞわと粟立ったまま。
 揺らぐ意識の中で、ぼんやりと思うのは、漏らさなくて良かった、などという暢気なものだった。

 創真は恵に軽く背を向けて、下着から逸物を引き出す。
 満を持してとばかりに臍まで反り勃つそれは、先端がぬめり、赤く脹れ上がりもしていた。

 それを見てついぞ自嘲が零れるも、気を取り直して避妊具を手に取る。
 包装を破り、練習の成果を無駄にせず、きちんと装着したところで、今一度深呼吸をし、気持ちを整えた。それは、たったひとつだけの事 ――

創真(今も、これから先も。俺は田所を大切にする)


 はたして恵はこんなにも小さかったろうか。ひどく弱く見える彼女を、壊れ物を扱うような気持ちで、そっと優しく抱き寄せる。
 濡れていない方、左手を使って、恵の艶やかな髪を何度か撫でてやった。
 撫でる度にふわりと流れる甘い香りが、創真の鼻腔と心をくすぐっていく。

 好きだとか愛しているとか、教科書通りの言葉以外に、自分の気持ちを恵に伝えられないものか。出来る事なら、頭でも胸でも切り開いて、彼女に見せてやりたい。
 こんなにも、こんなにもお前の事でいっぱいなのだと、見せてやりたい。伝えたい。
 そうしたら、恵は一体どんな顔をしてくれるのだろう。

 きっとこの願いは、一生叶わない。
 ならば、一生をかけて。死が2人を別ち、そこで漸く初めてひとつになれる、その時まで、探し求め、伝えていこう……

 創真は瞬きをひとつ挟むと、真っ直ぐ恵へと視線を向けた。


創真「いいか?」

 再びの短な問い掛けに、恵は大袈裟な程、肩を跳ねさせる。
 主語のないものでも、何に対しての問いなのかは、はっきりと理解出来ていた。

恵「………」

 僅かな沈黙が流れる。未だ迷いがあるのか、伏し目がちな恵。そんな彼女を見て、創真は急かすでもなく、ただ静かに答えを待った。

恵「……ダメ」

 やっとの事で恵から答えが出てくるも、それは創真にとって堪えるに難しい、だが納得もいくものだった。

創真「やっぱり……イヤか」

 それでもいい。構わない。
 ひどく残念ではある。だが、恵に無理はさせたくない。恵がイヤだと言うならば、最初から従うつもりでいた。
 覚悟は出来ていた、しかし、やはり、ああ残念だ ――

恵「……ううん」

恵「……ちゅ、って……してくれなきゃ、ダメ……」


 頭を、ガン! と殴られたような衝撃を覚えた。次いで、みるみる愛しさが募っていく。

 何故、どうして、こんなにも可愛い。愛しい。いとおしい。

創真(どうやって作ったんだよ……)

 伝承童謡の中に、こんなものがある。
 女の子は、砂糖やスパイス、素敵な何かで出来ている、と。

 甘くて、ピリッと辛く、形容し難い素敵な何か。美しく輝く事もできる宝石箱。
 天使であり、悪魔でもある、魅力の詰まったものに、創真はすっかり虜となった。

 ふっと影が差したと思うと、すぐにも柔らかな感触が唇に当たる。
 小さく啄む事で生まれるリップ音が、互いの耳をくすぐっていった。

恵「えへへ……ありがとう、創真くん」

 恵は心からの礼を、幸福感に満ちた笑みを添えて、創真へと伝え、彼の手をぎゅっと握り締めた。


 指で、唇で、舌で。
 散々確かめたから、もうわかる筈。だが、何故か上手くいかない。
 緊張が邪魔をするのか、もどかしく思い、焦りすら見える中で、やっと先端で穴を捕らえられた。

 安堵もそこそこに、今一度恵へと視線を向けて、これから先へ進む事の合図とし、―― 創真は腰を突き出した。

恵「いッ ――」

 熱く硬く、太い肉棒が入り込んでくる。メキメキと割れ裂けるかのような音が聞こえてきそうだ。

 抉じ開けられる! 割れる、裂ける、壊れてしまう!

 痛みからくる恐怖なのか、侵入されるものなのか、考える余裕すらない。
 息遣いから、創真も苦しみに近いものを覚えているのだろう。
 手伝いたい、助けたい、救いたい、頭のどこかでそんな叫びが挙がるも、恵にはどうする事も出来ない。


 イメージを絵にするならば、硬い膜を押され、突き破られるようなものか。
 体が強張り、固まってしまって身動きが取れない。
 呼吸をする事すら忘れてしまったようだ、このまま死んでしまうのだろうか ―― そんな事すら浮かんでくる始末。

創真「……は、……はッ……入った……」

 荒々しい呼吸に混ざって、創真の呟きが恵の耳に届いた。

 どのくらい? そう尋ねる余裕もない。創真が答える事もない。
 まだ亀頭だけしか入っていないと言葉で伝えられたら、多分恵は卒倒してしまっていただろう。身を裂かれる思いが続くのだと知ったら。

恵「うあ、あ、あっ」

創真「っく……は……、……はぁ……」

 ずく、ずぶ、肉同士が擦れ合う音が互いの中に響く。
 薄い隔たりこそあれ、今彼らは足りない部分を埋め合い、ひとつとなっていく。


 恵の瞳からぼろぼろと涙が零れていく。
 創真が動き、中を突く度に、頭の中だけでなく、体の中すら真っ白になっていくようだ。

 指で探っていた時は、天井に当たる部分にざらつきにも似たものを感じていたが、陰茎ではよくわからない。
 ただ感じる余裕がないだけかもしれない。
 ひたすらにキツい。締め上げられる感触は、己の手とは比べ物にならない。

創真「は、はっ、は」

 キツい、キツい。
 このまま千切られそうな程の食いつきが、キツい。

創真(気持ちいい……!)

 動く度、背筋に快感が走っていく。やってみて初めて得られた充実感に、心が震える。

 やっと、やっと、恵が自分のものとなったのだ ――

創真「……恵っ……!」


 抱き締められた。心を掴まれた。

 一匹の獣と化した、純粋に己を求める赤ん坊が、自分の名を口にしている。
 本能のままに、一心不乱に、己を求め欲して、手を伸ばしている。

恵「そー、ま、くん」

 突かれ揺さぶられる事で、どうしても声は弾み、涙が散ってしまうが、それでも恵は必死に、呼び掛けに答えた。

 伝わっただろうか? ……どうやら無事に伝わったらしい。
 恵の声に、それまで伏せられていた創真の瞼が持ち上がる。彼の瞳の中には恵の姿が映っていた。

 余裕の一切ない、ただひたすらに貪るだけの獣を、恵は色っぽいなと思った。

 まだ未成熟ではあるが、創真の醸す男の色気に、恵の思考はくらりと揺れる。

 気づけば、受ける痛みは、やや薄くなっていた。


 気持ちいい。痛い。嬉しい。大好き。幸せ。

 互いの気持ちが次々投下され、混ざり合っていく。

創真「も、ダメだ……イく、イくっ」

 創真の焦りに満ちた切な気な声に、恵はただ頷いて返すだけしか出来ない。
 それでも、彼を受け止めたいとばかりに、細い腕を創真の背中へと回し、しっかりと抱きついた。

 ドクンと脈動が刻まれる。小さな呻き声の中、打ち震える創真に呼応する形で、恵も背を反らし、足先を震わせていく。

 何かが流れ込んでくるかのようだ。
 避妊具はその役目を果たしている。だから形あるものではない。
 創真が、恵が感じたものは、2人だけにしかわからないものだろう。

 永遠に続くかのような吐精が止むと、創真はぐったりと恵の胸へ落ちていった。


創真「……はー……はー……」

恵「っは……ふ……」

 体に力が入らない。一人でやっていた時は、こんなにも脱力する事はなかったのに……
 創真は、このまま途切れてしまいそうな意識を奮い立たせ、気だるい体に鞭を打って、ゆっくりと起き上がった。

創真「悪ぃ、田所……痛かったろ」

 創真の手が優しく髪を撫でてくる。それでも恵は、ほんのちょっぴり不満を感じていた。

恵(また、"田所"に戻ってる)

 先程ははっきり名前で呼ばれたものが、今は名字に戻ってしまっているのが不満だ。
 しかし、言葉を声にして発する体力が残っておらず、後で指摘しようと考え直し、創真の問いに対しては笑みを浮かべる。

 痛かった。とても痛かった。けれど、それ以上に満ち足りた。創真が自分を欲してくれたから、いい。首を横に振って、それを答えとした。


 抜くぞ、との合図の後、恵の中から創真が去っていく。
 またも痛みは感じたが、体が受けるものよりも、心が辛い。ぽっかりと開いた心の隙間を閉じる術はあるのだろうか。

恵「……創真くん……また、してね……」

 もじもじと息吹く、この拙い色気は、遠くない未来に大きく化けるのだろう。
 甘えた仕草に、再びもう一人の創真が頭を持ち上げてしまう。

 なんと返したら良いのか、鈍る思考を働かせようとするが、結局適切なものは思い浮かばず、

創真「……おう」

 ただそれだけ、短いその返事だけを向けた。

創真(幸せだ)

恵(幸せ……)

 白いシーツに破瓜の証が残っている。
 それを見た創真は、緩む口元をなかなか治せず、誤魔化すように恵を抱き締めた。


・・・


創真(はー………ヤバいな。本当にヤバい。世界が美しく見えてしょうがねえ)ジーン

恵(うー、まだなんか入っているみたい…足が上手く閉じられないよ~)モジモジ

創真「田所……世界ってなんでこんなに美しいんだろうな…」フッ

恵「はい?」

創真「俺、今なら誰彼構わず礼を言って回れるわ。生きているって素晴らしいよな、マジで」

恵「そ、創真くん?どうしちゃったの、大丈夫?」オロオロ

創真「よし!寮のみんなに土産買って行ってやろうぜ!なにがいいかねー、デパ地下行くか、それとも駅ビルがいいか!?」

恵「創真くんがなんか変だ~!」

創真「もう有り金全部使ってやらぁ!!旨いもん買おうぜ、田所!お前は何が食いたいよ、なんでも言え!!あっはははは!」


【極星寮】


一色「うわあ、どうしたの創真くん!随分たくさん買ってきたんだねえ、お菓子を。どこかに出掛けていたのかい?」

創真「やー、ちょっとね。みんなで食いましょーよ、俺、茶ぁ淹れてくるんで!」

えりな「………」ホッ

伊武崎「…上手く事が進んだようだな」

えりな「だから、私は別に心配なんかしていませんからね!?」

伊武崎「別に、そうとは言っていないだろ。そうか、やっぱり心配していたんだ」

えりな「ぐぬぬ……!」

吉野「…もう恵って呼ばず、恵さんって呼んだ方がいいのかしらね~…!」オイオイ

恵「ゆ、悠姫ちゃん!?どうしたの、なんで泣いているの!?」

榊「よくわからなくて、私も流石に慰め疲れちゃったわよ…」

創真「さあさあ!みんなたらふく食ってくれや!!」


発展ルート後半おわり。

スレ使いきるまで書いていくつもり。
次はまたほのぼの系か、イチャイチャエロか、ちょっかい話か。なんかネタあったらください。

お粗末さまです。


すみません、ありがとうございました!

新キャラの女も可愛かったのに、一色先輩に全部持っていかれた感。

険悪…喧嘩?ちょっかい話を書くよー。


恵「創真くん、見て見てー。この間の試験の結果!」タタタッ

創真「んー?どれどれ。……おっ、スゲーじゃん田所!順位がかなり上がっているな」

恵「えへへ~、今回ははりきって、練習もたくさんしたから!頑張ったよー」

創真「よしよし、田所さんよく頑張りました、偉い偉い」ナデナデ

恵「…うへへへへ~」デレデレ



榊「……あー、平和よね~」

吉野「まったくだわー……学園だとちっとも気が休まらないから、余計に寮で過ごす時間が和むねー」

吉野(あのバカップルも平常運転みたいだし…進展はどうなったのかな~)

丸井「だからといってダラダラしていい事には繋がらないぞ、休みは短いんだから、今のうちに予習復習をしておくべきだ」

一色「まあまあ、休息も大切な事だよ。さ、お茶でも淹れようか」


・・・


伊武崎「……もうこんな時間か。寝るわ。おやすみ」ガタッ

吉野「はー、明日も学校か~、ダルいなー早く休み来ないかなー。薙切さーん、十傑パワーでなんとかしてよ~」

えりな「十傑をなんだと思っているんですか、貴方」

吉野「なんちゃらポケット的になんでもできる感じ?ねーお願いだよ、薙切もーん!」

側近「えりな様に馴れ馴れしくしないでください、のび……吉野さん」シッシッ

えりな「???」

一色「………」

一色(薙切くん、まだ刺々しいものは残っているが……少しは打ち解けたように見えるな)

一色(…いい事だ)ニコニコ

榊「ほらほら、いつまでもグズってないで。諦めてもう寝るわよ、悠姫」

吉野「あ~ヤダヤダ、世の中って世知辛いよ、無情だよ~」グダグダ


【遠月学園・放課後】


吉野「あー、やっと1日が終わった!よっしゃ、私は自由だー!」

伊武崎「……?あれ。丸井は講習を受けるって聞いていたが…幸平もいないな」

恵「創真くんなら、今日はバイトだよー。遅刻しないようにって、先に行っちゃった」

榊「お弁当屋さんだったっけ?幸平くんだからできるようなものね、私も余裕ができればバイトしたいわ」

吉野「私も!お小遣い増えたら色々欲しいものが手に入るしー。今度応援がてら弁当買ってやろうかな」

恵「…あ、私もちょっと街に寄って行くから、みんな先に帰っていて?」

吉野「…なになに?旦那様のお迎えかなにかかい?」ニヤニヤ

恵「違うよ、そんなのじゃないよ~!買いたいものがあるだけだよー!もうぅ……」


【繁華街】


店員「ありがとうございましたー」

恵(在庫があって良かったー、この先生のレシピ集、ずっと欲しかったんだよね~。お金も足りて良かったよー)

恵(若い女の人なのに、料理で成功できたって、すごく羨ましいな。私ももっともっと勉強しなくちゃ。あー、どんなレシピが載っているんだろ!)

恵(寮に帰ったら、早速何か作ってみようかな~)

ドンッ

恵「きゃっ!?」

dqn1「痛って。……ボーっと歩いてんじゃねーよ」

dqn2「おっ。君、その制服……もしかして、遠月学園の子?」

恵(ひいいぃぃ!!?こここ怖い!!)

dqn1「遠月学園?」

dqn2「お前、知らねーの。マジダッセぇ。超エリート料理学校だよ、通っている女のレベルもかなり高いって有名だぜ~?」


dqn1「ふーん。そこそこたぁ思うが、レベル高ぇとまではいくかぁ?」ジロジロ

恵「あ、あの、ぶつかってごめんなさい、その…」ガタガタ

dqn2「お前、眼科行った方がいいよ。マジオススメ。俺はこういう娘がタイプだなー、震えちゃって超可愛い」

dqn1「テメーがロリ趣味なだけじゃん」

恵「あの、本当にごめんなさい…すみませんでした、あのっ」

dqn2「そんなにビビんなくていいってば、俺達怖くないよ?スゲー優しいから、ホント!ホントッマジで!…じゃー行こっか?」

恵「…へ?」

dqn2「ぶつかったお詫びだよ~、口だけで済む程、世の中甘くないっしょー!俺達これからカラオケ行くところだったんだよね、一緒に行こうよ」

恵「え、いや、私はそんな…もう帰らなくちゃならないし、だから……あの、ぶつかった事は本当に謝りますから」


dqn1「面倒くせー、さっさと行こうぜ」

dqn2「おー、行け行け!俺はこの子とデートすっから」

恵「は…離して!本当にごめんなさい、でも、手を離して、ください……!」

恵(引っ張られる…手が痛い、……怖い!どうしよう、どうしたら…)オロオロ

  「ん。………、…あれは」



dqn1「なー、もう早くしろよなー、女待たせてんのによー。いつまで掛かってんだ」

dqn2「絶対楽しいから!ホント絶対楽しいって、友達も増えるよ?な?な?一緒に行こうよ」

恵「あの、あのっ…私、そんな……困ります、やめてくださ…」

ガシッ

恵「!? 痛っ…(だ、誰?頭、掴まれた)」

四宮「…なにやってんだ、鈍間。この俺を待たせるなんざ百年早い」


恵「……!?あ、貴方は…」

dqn2「…んだよ、手垢付きかよ~彼氏持ちとか詐欺くせー」

四宮「………」ギロッ

dqn1「…ケッ。マジダセーのはテメーじゃん。はい残念でした~、ほら行くぞ。付き合ってらんねーよ…」

dqn2「ちょ、じゃあさ、せめて携帯だけでも!メールとかさー」

四宮「俺達も行くぞ」

恵「ほわああああ!!?」ズルズル

dqn1「…あんなのアリ?頭掴んだまま引き摺ってったぞ」

dqn2「んだよマジかよー!折角当たり引いたと思ったのによー!!」


・・・


恵「…あ、あの、ありがとうございました!四宮先輩…!頭は痛いけど……」ズキズキ

四宮「どうせボケっとしていたから、あんなのに絡まれたんだろ?愚図で鈍間なのも大概にしろ」

恵「はう!」グサッ


恵「というか、何故ここに…日本に、帰ってきていたんですか…?」

四宮「お前には関係ない」

恵「す、す、すみません…!」ビクッ

四宮「………」

四宮「……知り合いが店を出すってんで、一時帰国したんだ。どんな料理か、…味を、確かめたくてな」

恵「!! そ、そうだったんですか」

四宮「試食も済んで、ホテルへ帰る途中、どっかの馬鹿がブンブンと目障りな事をしていたからな。払いに立ち寄ったってところだ」

恵「へぇ~、それは大変でしたね…」

四宮「お前の事を言っているんだが?」

恵「えっ!!?」

四宮「………」

恵(携帯弄りだしちゃった……でも、本当に、四宮先輩に会えて良かったよー、助かった…)ホッ


四宮「おい、鈍間。こっちを向け」

恵「え?」

カシャ

恵「え?え?写メ?…四宮先輩、一体何を」

四宮「…うお、早ぇ。今メール送ったばかりで、もう着信かよ」ピッ

ヒナコ『ちょっと四宮先輩!なにやってるんですか、なんで四宮先輩が恵ちゃんの写メを、写メを………あああ貴方が神かー!!?』

四宮「はっはっは。どうだ羨ましいか。お前は仕事だよなぁ?残念だったな」

恵「…???」

ヒナコ『ムキー!嫌がらせなのか、労りなのか、もうわかりません……わからないけど、わかる事はひとつ!私もそっちに行きますから!』

四宮「……いや、仕事だろ?お前」

ヒナコ『終わったら行くって言ってるんですよ!お願いします、なんでもするから恵ちゃんを引き止めていてください!絶対ですよ!?あああ私の恵ちゃん!早く会いt 』ブツッ!! ツー ツー


四宮「相変わらず喧しい女だな…キーキーと騒いで、耳が痛ぇ」

恵「あ…あのー……、助けて頂いて、ありがとうございました…あの、私、そろそろ帰らなくちゃ……」

四宮「じゃあ、行くぞ」

恵「はい?」

四宮「なんでもするってのはいい響きだ、恩を売っときゃ暫くはナメた真似してこないだろうし」

恵「あの…四宮先輩?私の話、聞いてくれてますか……?」

四宮「お前の話も都合も、聞く価値なんざ砂粒ほども無ぇよ」

恵「ええぇ……」

四宮「この後の予定が無くて、どう暇を潰すか考えていたところだしな。丁度いい。俺に付き合わせてやるから、ヒナコが来るまでの時間を潰せ」

恵「はい!?え!?い、意味がよくわかりません…!(さっきの怖い人達と変わらない!?)」

四宮「そりゃお前が馬鹿だからだろう。そうだな…>>551に行くとするか」

極星寮
阿鼻叫喚の予感がwww


こいつは予想外!


恵「ええええ!!?せ、先輩が、うちの寮に!?」

四宮「なんだ?なにか文句があるのか?」

恵「えっ!いや、その、でも、そんな突然……ふぎゅ!?」ガシッ

四宮「なにか、文句が、あるのか?」メキメキ

恵「ないです!ないです!!だから離してください、頭が割れちゃう~っ!」ジタバタ

四宮「ふん。ならとっとと行くぞ。電車……は面倒だな、タクシー捕まえるか」

恵(乾先輩はいつもこんなのを受けているんだ……逞しい……)ズキズキ

四宮「ほら。早く乗れ、グズグズすんな、鈍間」

恵「い…いいのかなあ……ふみ緒さんに怒られちゃいそう…」


・・・


恵「あ…あの、四宮先輩……タクシー代、私も…」

四宮「テメーなんぞの施しが必要だと思うか?この俺に」


恵「で、でも……」

四宮「黙れ。いらないと言っている。それと、いつまで俺に荷物を持たせているつもりだ?」

恵「あ!私が買ったレシピ集…す、すみません!落としちゃっていたんですね……」

四宮「レシピ集…か」ガサガサ

恵「は、はい。女性の、料理研究家の方が出した本で……それを買いに、街に出てきたん、です」

四宮「聞いてねェよ。黙っていろ」パラパラ

恵「う……」

四宮「………」

恵(四宮先輩、やっぱり怖いな…車中で黙ったままなんて、気まずいし……緊張しちゃう…)

恵(あぁーなんでこんな事になっちゃったんだろ?これから乾先輩も来るんだよね、どうしよう…本当に怒られそう……)

四宮「…お前はこの料理を作りたいと思ってんのか?」

恵「えっ?は、は、はい!折角買ったんだし、勉強したくて…」


四宮「………」

四宮「…こいつが、料理人を目指したきっかけ……」ボソ

恵「え?」

四宮「…お前なら近づけるのかもしれねェな」

恵「………」

恵「……あ、の…なんだか、四宮先輩……なにか、少し…変わりました?」

四宮「あ?」ギロリ

恵「ひいっ!?ごごごごめんなさい!なんでもないです!!」

四宮「………」

恵(…でもやっぱり、どこか、変わった…ような気がするな……)

恵(怖い、けど…なにか、どこか……尖っていたものが、ほんの少し、丸くなったような)

恵(助けてくれたし。…今も、レシピ集を読んでいる時は真剣そのものだったけど、話しかけてくれた時は……)

恵(……なんだか穏やかな目付きになってた…)

四宮「………」


【遠月学園 ~ 極星寮】


四宮「ハ。懐かしいな、この膨大な敷地。在校時より更にデカくなったような気もする」スタスタ

恵(あ、歩くの早いなぁ、四宮先輩……)ハァハァ

四宮「おい。もっと早く歩けねーのか、この愚図。そんなだから、俺の出した課題をクリアできなかったんだろう」

恵「す、すみません……」

四宮「ったく。懐古に浸るのを邪魔しやがって」

恵(四宮先輩が…懐古……?その前に、お茶…飲んでおこう、喉渇いた…)ハァハァ

四宮「………」

恵「はふ……すみません、お待たせしました、い、行きましょうか…」

四宮「………」ジッ

恵「………?」

四宮「……ふん」スタスタ

恵「ん?ん??……なんだったんだろう…?」


吉野「あ、遅かったねー恵、おかえ…………りぃぃぃあああーっっ!!?」

榊「な、なに!?なに、今の変な声、どうしたの悠姫、……ええええーっ!!?」

恵「あ、あはは……ただいま、悠姫ちゃん…涼子ちゃん」

四宮「………」

榊「ちょ、え、はっ?え、なんで!?どうして!?なんで四宮先輩が!??」

伊武崎「…薙切に続いて、また大御所の登場とか……」

吉野「ちょっと!しっかりしなよ丸井、丸井っ!!大変、丸井がトラウマでショック死したぁー!丸井ぃぃー!!」

丸井「ああああああもういやだ、課題はいやだ、合宿はいやだあああ」ガタガタガタ

四宮「ったく…喧しいな。行くぞ鈍間」

恵「痛い、痛いです四宮先輩っ、あ、頭が割れる~っ!」ズルズル

吉野「め、恵が浚われた!?」


榊「え、え、なに、なにが起きているの?さっぱりわからないんだけど…!」オロオロ

伊武崎「おい…どうするんだ。薙切達はパーティ出席、一色先輩はふみ緒さんと買い出し、幸平はバイト。……特攻できる奴が全員不在だぞ」

吉野「え、まさか、壁が薄くなっているのを見越して攻めてきたとか!?」

丸井「そんな訳ないだろ……と思いたい、強く思いたい。ど、どうすればいいんだ?なにが起きるんだ?」

吉野「……丸井。四宮先輩がここに来た理由を聞いていらっしゃい」ポン

丸井「死ねって言っているのと同じ事だぞ、それは!お前が行け!」

榊「め、恵は!?恵は無事なの?大丈夫なの!?」オロオロ

伊武崎「…厨房に連れて行かれたみたいだが」


恵「きゃっ!?」ドサッ

四宮「作ってみろ」バサ

恵「え……えっ?」

四宮「このレシピ集から好きなものを選んで、一品作ってみろ。グズグズするな」

恵「え……そ、そんな、いきなり、言われても…!」

四宮「…同じ事を何度も言わせるなよ?」

恵「………!」ビクッ

四宮「………早く作れ」

恵(ど……どうしよう、どうしたらいいの…なんで、こんな事に…!?わ……わからない、四宮先輩の考えがわからない)

恵(ただの暇潰し?乾先輩が来るまでの?そう…だよね?今回は戦いじゃない……でも、私、一人で…?)

恵(そんな、そんな…どうしよう、……創真くん…!)ギュッ


榊「恵っ!!」

四宮「ドタバタと入って来るな、埃が立つ。お前らは出ていけ」

伊武崎「…なにしに来たんだ?アンタ」

四宮「先輩に対する口の利き方がなってねェな。…ま、安心していいぜ。俺は客だからな、この鈍間に持て成してもらおうと思っただけさ」

吉野「客は客でも、招かれざる客じゃないの…」ボソッ

四宮「………」ジロリ

吉野「って、丸井くんが言っていましたー」

丸井「ちょっ!?僕はなにも言っていない!」

四宮「とにかく、お前らは出ていけ。俺の暇を潰したいと願い出るなら、話は別だがな。そうじゃないなら喧しいだけだ、…出ていけ」

吉野「出ていくのはそっちでしょ、何様なのよ、王様ですか!?って丸井くんが言ってました!!」

丸井「だからなんで僕なんだ!!」


榊「どうしよう……大丈夫かしら、恵…」

伊武崎「…合宿でもなく、課題でもない。卒業生とはいえ、今回は完全にゲストなんだ、進級や退学に関わる権限は持っていない筈だ」

伊武崎「薙切は門限ギリギリまでかかるって言っていたが、一色先輩達は何時に帰るか…聞いていなかったな。幸平は?」

吉野「アイツのシフト、ちゃんと聞いておくべきだったわね。こんな事になるなら……」

丸井「でも、流石にそろそろ帰って来るんじゃ…?メールでも送っておくか?バイト中じゃ確認できないだろうけど」

吉野「一応、送っとくわ。ああ、幸平ーっ!早く来てくれー!!恵ぃぃ……無事でいてよ…!」

伊武崎「妙な流れになったら、俺達が動くしかないな」

榊「厨房の扉がしっかり閉められて、中の様子がよくわからないわね……」


恵「………」

四宮「いつまでそうやって本と睨み合っているつもりだ?時間稼ぎしているんじゃねェよ」

四宮「客を前にして、いつまでも躊躇っている料理人なんか、聞いた事がない。どれだけこの世界をナメるつもりだ?自覚が足りてないんだよ、テメーは。客だけでなく、時間も、食材までも蔑ろにする気か」

恵「す、すみません!…あの、突然の事に、戸惑ってしまって」

四宮「言い訳すんな。手を動かせ、手を」

恵「は、は、はいっ!」

四宮(…やっと何を作るか決めたか。…以前と比べて、何か…どこか、変わったように見えたが…気のせいだったのか)

四宮(…なにか……ほんの少し、大人びた…?いや、成長した…そんな風に見えたが……)

四宮(……ひとつ、カマを掛けてみるか…?)



『恵に何を聞く?>>563

・・・男でもできたのか?

流石先輩やでえ…


四宮「………」

四宮(度胸でもついたのかと思えば違う。相変わらずモタモタと鈍臭い。以前見た時より、少しはマシになったくらいか)

四宮(臆せず挑戦しようという気概は見え隠れするも、ビビり癖が治っていない)

四宮(手つきが危なっかしい、見ていてイライラする。…ま、飴をくれてやるとするならば…学生レベルにしてはそこそこ、といったところ…)

四宮(……レシピ集に折り目…ふん、これを作るつもりか。俺に喧嘩を売ってんのか、…なワケねェな)パラ…

四宮(…なら、他に。なにか変わるようなものと言ったら……)

恵(…落ち着け……落ち着け。落ち着いて、ひとつひとつしっかりと、やっていけば……)

四宮「……なぁ」

恵「は、はい!?」

四宮「お前……男でもできたのか?」  ーー ドンガラガッシャン!!!


四宮「よく何もないところで転べるな。ある意味、才能だぞ。それ」

恵「な、な、な」アワアワ

吉野「恵!?どうしたの恵、大丈夫!?すごい音がしたけど!!」ドタバタ

四宮「ここに入って来るなら、せめて静かに入って来い。俺に埃入りの料理を食わせたら、ただじゃ済まさないからな」


・・・


恵(結局、また悠姫ちゃん達は追い出されちゃった……)

恵(で、でも、おかげでさっきの変な質問は流せたし。四宮先輩、またレシピ集読み始めたから……今のうちに!)

四宮「よくもまあ、遠月に通っていながらそんな余裕が出るもんだ」

恵(あ、終わってなかったんですね)ズーン

四宮「あまりの馬鹿さ加減に、称賛すらしてやりたくなるよ。そんな暇がお前にあるのか?男にうつつを抜かしている場合か」

恵「う……」


四宮「お前の成績は見た。まさに底辺を這いずっていながらなぁ。…そんなだから、とんでもない成績を出せるんだろうな。納得した」

恵「…い、今は……今は」

四宮「手が止まってんぞ。調理を再開しろ、鈍間」

恵「はい……」

四宮「ここで、この先も、生き残りたいなら、まずはやるべき事をやれ。お前は周りの奴らより、何歩も何十歩も出遅れているんだぞ」

四宮「なのに、男とイチャつける余裕があると思うのか?お前に。そこまで馬鹿だったのか?あ?」

恵「………」カアァー

四宮「ったく…図星かよ。ハ、今時のガキは…そういうところばかり進んでいらっしゃる」

恵「ち、違……そんなんじゃ…!!」ポロッ

四宮「泣けば済むと思ってんじゃねェ。それに、また手が止まっている。さっさと調理しろ」


恵「………」グスッ

四宮「遠月の看板を背負っているって事を思い出せ」

四宮「例え、お前がどれだけ馬鹿で鈍間でも……お前は誇りある遠月学園の生徒だ。入ったからには、…生き残れ。……返事は?」

恵「………はい」

四宮「………」



恵「で、できました」

四宮「野菜のポタージュスープ、か」カチャ

恵「はい。あの……四宮先輩は、長旅で疲れているだろうから…疲労回復に繋がると言われている野菜を数種使って…」

四宮「俺がなんと呼ばれているかは知っているな?」ニヤ

恵「う。……レギュムの魔術師、です」

四宮「前回も今回も、喧嘩吹っ掛けて来やがって。ビビりなのか図太いのか、どっちかにしろよ」


恵「わ、私は!そんなつもりじゃ、なくって!!」ワタワタ

四宮「わかっている。冗談をいちいち真に受けんな、こっちが疲れる」

四宮「………」ゴク

四宮(…遠月ブランドとして秤に掛ければ、まだまだだ。雑…ではないが…。ルセットを変える事は許さない、しかし悪い意味で教科書通りすぎる。ガチガチだ)

四宮(簡単に見えるからこそ、というものだが……でも、まあ。そんな中でも、ちらほら成長は見えるな。……調子づかせて、停滞を招くのもなんだが…)

四宮「…まったく気にならないレベルに仕上げる、丁寧な仕事をしているが……ガーリックも入っているな?」

恵「あ、…は、はい。ダメ……でしたか…?」ビクビク

四宮「いいや。これもまた疲労回復に繋がる効果があるしな」

恵(……あと、怒りっぽくなるのを避けられるし)


・・・


恵「……あ、あの、あの…お味は、如何でしたか…?」

四宮「30点。勿論、100点満点中でだ」

恵「うぐ」

四宮「ぼさっとしていないで、使い終わった器具を片付けろ。調理場を清潔に保つのも、料理人の仕事だ。いちいち顔色を伺ってんじゃねェ、鬱陶しい」

恵(早くにんにく効果が出ますように~…)カチャカチャ

四宮「………」

四宮「お前の男は、アレか。幸平創真か?」 ーー ザグッ!!!

恵「~~~ッッ!!??」ジタバタ

四宮「…ハァーッ……なにをやってんだ…包丁の扱いを疎かにしやがって、料理人の風上にも置けねぇ…」ガタッ

恵(動揺しすぎた…痛い、痛いよぉ……!!指、切っちゃった…!!)

四宮「救急箱…一応用意されてんだな。手を見せてみろ」

恵「うぁ……は、はい…」グスグス


四宮「……これでよし」

恵「ごめんなさい、ありがとうございました…手当て、してもらっちゃって……」

四宮「俺はあくまでも客だぞ?客に対して雑用をやらせるなんざ、な」

恵「す、すみません…」

四宮「もういい。折角俺が手当てしてやったのに、水を触ったら台無しになるだろうが。そこに立っていろ」

恵「………」ションボリ

四宮「………」カチャカチャ

四宮「お前、俺の店に来る気はあるか?」

恵「………………はい?」

四宮「もしもの話だ。そんな可能性は万に一つもない、ただの戯れ言にすぎないが」

四宮「もしも、奇跡が起きて、お前が遠月を卒業できたら。卒業できる程の腕前になったら、俺の下で修業する…それくらいの気概が持てるか?」

恵「私が…四宮先輩の下に…!?」


恵(激戦区で勝ち抜いて、賞も数多く取って、今も頂点に君臨する、四宮先輩に…私が!?そんなの、もしもの話だって、有り得ない!!可能性なんか全くない!!)

四宮「それくらいの気概がなきゃ、生き残る事もできないだろうな」

四宮「幸平にいつまでも、おんぶに抱っこ。足を引っ張るどころか、潰しちまうだろう、お前のせいで」

恵「!!!」

四宮「ま、わからなくない。俺だってそこまで厳しくもない、若いからこそ楽しめるものがあるのは、よく知っているさ」

四宮「ただ、メリハリはつけろよ。遊んだっていいが、疎かにはするな。すれば、そうやって怪我をする。下手すりゃ取り返しのつかない事になる」

四宮「お前のレベルはまだまだ低い。俺や幸平の足下にも及ばない。それを自覚しろ」

恵「……はい」


四宮「今の時期、楽しいか?」

恵「…はい。とても。……もっともっと、料理がしたい…勉強がしたいです。…それに……」

四宮「幸平とイチャつきたい、と」

恵「ち、違!!」カーッ

四宮「ハッ。色餓鬼が。…ま、いいんじゃないか。そうやって青春を謳歌すりゃ」

恵「違います、やめてください、四宮先輩!そんな、そんな……」

四宮「鬱陶しい、邪魔だ。皿を落としちまうだろうが。…ほら、仕舞って来い。それくらいならできるだろ……」

バターン!!

ヒナコ「恵ちゃあああんっ!!大丈夫!?四宮先輩に変な事をされていない!?」

創真「田所っ!無事か!?」

ヒナコ「………って…近い!近いです、四宮先輩!うおおおこの変態ーっ!!私の恵ちゃんから離れてください!!」ダダダ

四宮「あー、うるさい」ガシッ

ヒナコ「本当にすいませんでした」メキメキメキ


創真「マジで…なにしに来たんすか。四宮先輩」

四宮「俺も嫌われたもんだな、全く。ただ客として先輩として、可愛い後輩の様子を見に来ただけだってのに。なあ?ヒナコ」

ヒナコ「四宮先輩を好きになる人なんか、この世にいませ  ごめんなさい」ゴンッ!!

四宮「どうだ、幸平。お前はあれから成長したか?俺に大敗してから、…ま、あの勝負では、お前はサポート役だったから、ノーカンと言って逃げられるか」

創真「………!」ギリッ

四宮「まったく、肩透かしだったな。蓋を開ければ、互いに足を引っ張りあって、恋愛ゴッコ……」

ヒナコ「は?恋愛?誰と誰が?え、ちょ、そこ詳しく」

四宮「お前は黙っていろ。鈍間には説教してやったが…お前はどうなんだ?幸平。成長はしたのか?」

四宮「先輩の勤めとして、お前にも発破かけてやろうか。食戟でもいい、それとも>>579でもするか?」

ほもせっくす

眠気飛びましたがなww


恵「 」

創真「………………は?」

四宮「ホモセックスでもするか?と言ったんだ」

創真「……えーっと……すいません、多分俺の頭が悪ぃから、理解できないんすよね。きっと。………なに言ってんだアンタ!!?」

ドスッ!!

創真「!?? かはっ……(首、絞まる…!壁に叩きつけられた…)」ギリギリ

恵「きゃあっ!?そ、創真くん!」

ヒナコ「ちょっと、四宮先輩…からかうのもそうですが、乱暴は流石に……」

四宮「お前は黙っていろっつったろ、ヒナコ」

四宮「…なあ?幸平。半人前以下の餓鬼のくせして、一丁前に女遊びたぁ…いい御身分じゃねぇか。あぁ?」

四宮「今の今まで、どこをほっつき歩いていた?それも修業ですーってか?お前も、この鈍間も、お気楽過ぎんだよ。遠月学園をナメてんじゃねえ」


恵「やめて!やめてください、四宮先輩!創真くんは…創真くんは、違うんです、私なんかより、もっとずっと、ちゃんと……」

四宮「ヒナコ。鈍間が邪魔くせえ、縛って遠くに連れていけ」

ヒナコ「…恵ちゃん。こっちにいらっしゃい」

恵「いやっ!いや!創真くん…!」グスグス

ヒナコ(いやいやしている恵ちゃんマジ天使、本当に縛りたい……けど、空気を読んで自重、自重)ハァハァ

創真「ぐ…っ!」ギリギリ

四宮「お前らにそんな余裕があるとは到底思えないんだがな?ま、この時期は仕方ないってのは、わかるさ。盛りのついた猿状態だもんな」

四宮「そんなに溜まってんなら、本場の奴らの所へ投げ込んでやるぜ。赤玉出るくらいヤったら少しは頭も冷えるかよ?それとも、いっそ去勢してやろうか。包丁でも鋏でも使って。幸い、ここには両方あるしな」


創真(床に、足が着かねェ……浮かされているのかよ…!)

四宮「………」パッ

創真「っげほ、ごほ!はぁっ、はぁ、はぁ……はぁ」ドサ

恵「創真くんっ!創真くん!!」ジタバタ

ヒナコ「ごめんね、恵ちゃん……でも、今は静観していましょうね」ギュッ

四宮「幸平……てめえ、あの鈍間と、どこまでヤった?」

創真「はぁ、はぁ……んな、事…先輩に、報告する必要なんざ、……ッ!!」ガツ!!

四宮「猿が。シコっている暇があんなら、その分ひとつでも多くのルセットを覚え、ひとつでも多くの料理を作れるよう努力しろ」グリグリ

創真「くっ!!…人の頭は、踏みにじるもんじゃねーっすよ……、四宮先輩」バシッ

四宮「ハッ。調理場に立つ時はしっかり手を洗って除菌すんのを忘れんな?ザーメン濡れの手で作られた飯なんざ出したら、処刑ものだからな」


四宮「いいか。次にお前が俺の前に、料理人として立つ時…今日みてェな腑抜けた顔を見せたら、その時こそ承知しねぇぞ」

四宮「お前、言っていたよな?合宿の時にやった、俺との非公式食戟で…その鈍間を支える、だなんてデカい口を叩いていたよな」

恵「………」グスッ グス

四宮「だが、結果はどうだった?」

創真「………!!」

四宮「半人前以下が調子に乗ってんじゃねーぞ。あまりにも寝惚けたままなら…、お前といたらどっちも共倒れだ、学園から叩き出した方が、互いの為ってもんだ。どちらか退学処分にするよう、上に掛け合うか」

創真「………」

四宮「それがイヤなら、最後までしっかりと生き残れるよう、努力するこったな。その鈍間を抱えたままでいたいなら……」


ヒナコ「…四宮先輩」

四宮「いや…退学処分じゃ甘ェか。今の状況じゃ……餌を与えているようなものだもんな」

四宮「なら、この鈍間を連れて行くってのはどうだ?」

恵「……え?」

四宮「お前に任せてらんねェ、鈍間は俺やヒナコが叩き直す。幸平、お前といる時より、ずっと伸びるだろうしな」

ヒナコ「んな!?四宮先輩……なに言ってんだコイツとか、お義父さん気取りかよマジウゼェ死ねよもうとか思っていてすみませんでした!!」

ヒナコ「名案すぎます……いっそ今からでも、そうしたいくらい…!恵ちゃん、私と一緒に行きましょう?四六時中、恵ちゃんと ひとつ屋根の下で過ごすとか……桃源郷は実在したー!」

四宮「あとで殴り飛ばすからな、ヒナコ」

創真「ちょ……ちょっと待て!ふざけんなッ!!」


四宮「ふざけてんのはテメェだ、幸平。……さて、そろそろホテルに戻らねーとな…行くぞ、ヒナコ」

ヒナコ「え!?ちょっと待って、私、まだ来たばかりなんですけど!まだ恵ちゃんペロペロもしていないし!先輩一人で帰ればいいじゃないですか!」

四宮「行くぞ」グググ

ヒナコ「はひ、行きまふ……だからアイアンクローは、やめてくだはい…」メキメキ

恵「創真くんっ!大丈夫!?創真くん!!」ダッ

創真「………」

創真「…四宮先輩……」

四宮「…あ?」

創真「俺は、腑抜けじゃねーし…遊びでもゴッコでも、そんなつもりは毛頭ありませんから」

四宮「……ハハッ。僕達真剣ですーってか?笑わせんな、クソガキ」

創真「ご指導ご鞭撻、あざっしたー」

四宮「行くぞ、ヒナコ」

ヒナコ「うわあああん恵ちゃん、恵ちゃーん…もう私ここに泊まるぅー!」ズルズル


創真「………」

恵「創真くん……」

創真「ん。大丈夫、……しかし、なんか本当に変わったな。四宮先輩」

恵「うん。…私も、そう思う。怖いけど、なにか……怖さが、違っている感じだった」

創真(…あの非公式食戟で変わった、のか……?)



吉野「恵ぃー!幸平も、大丈夫だった!?」ドタバタ

榊「ごめんね、2人共ごめんね…!助けてあげられなくて……!!」

創真「や、これは仕方ねーよ。相手が相手だし」

伊武崎「幸平…首のところ、痣がついているぞ。よっぽどやられたのか」

恵「て、手当て…手当てしよう、創真くん!背中もぶつけてたよね」オロオロ

丸井「救急箱だけじゃ足りないな…仕方ない、僕の部屋に移動しよう。湿布とかもあるから」


・・・


ヒナコ「…それにしても、あれはやりすぎですよ~四宮先輩。2人が、特に私の恵ちゃんが傷ついちゃったらどうするんですか」

四宮「それなら、そこまでの奴だったってだけの事だろ」

ヒナコ「まったく、素直じゃないんだから。普通に叱咤激励とやればいいのに、誤解されちゃいますよ?恵ちゃんに嫌われちゃいますよ」

四宮「どうでもいい」

ヒナコ「まったまたー!実はすごく気にしているくせに!まだ滞在しますよね、後日謝りに行きましょう?本当にもう、ツンデレならぬツン陰険なんだかr 」ゴスッ!!

四宮「ったく、どいつもこいつも無駄口ばかり叩きやがって……」

四宮「ほら、テメェの家まで送ってやるよ、ヒナコ。寝てんじゃねー、さっさと車に乗れ。馬鹿女」

ヒナコ「……すみませんねぇ、四宮先輩に殴られた頭が痛くて、目眩が起きたもので…!」フラフラ


【極星寮・廊下】


創真「あー、アー……ちくしょう、本気で絞めてきやがって、四宮先輩め。喉の調子がおかしい…」

恵「大丈夫?本当に大丈夫?創真くん。ひどかったら明日、お医者さん行こ…?」

創真「やー、大丈夫だって。寝れば治るだろ」

恵「そ、そんなに簡単なものかなあ…?」

創真「そーだよ。…じゃ、もう寝るわ……おやすみ、田所。また明日な」バタン

恵「あっ。…創真くん……」

恵(…なんだか、創真くんの傍に居づらい……傍に居たいのに、…四宮先輩のお説教が、頭に残って…)

恵(……創真くんとずっと一緒に居たい、なのに…居ちゃ、ダメなのかな……?私、創真くんと一緒に居たらダメなのかな…)ポロッ

恵「……よく、わからない…」グスグス


>>596「…どうした?」

えりな


恵「え……」

えりな「どうかしたの?そんな所にボーっと突っ立っていて、……て、泣いているの!?」ギョッ

恵「薙切さ……、あ…」ボロボロ

恵(ダメ、ダメだ……止まらない、こういう時に誰かの声を聞いたり、姿を見ちゃうと………)

恵「……えぐ、ひっく、…ううぅ~っ……」グスグス

えりな「ちょっと!ちょっと、泣かないで、これじゃまるで私が泣かしたみたいじゃないの、ちょっと……!」オロオロ

えりな「……い、いや、違うわね、ええっと…なにを泣いているのですか、通行の邪魔です…いや、こうでもなくて……」オロオロ

側近「えりな様?どうかされましたか?」

えりな「な!なんでもありません!!…田所さんっ、私の部屋にいらっしゃい、ここじゃ人に見つかってしまいます…!」アタフタ

側近「えりな様?えりな様!」


【極星寮・えりなの部屋】


えりな(驚いて、どう対応していいかわからなくなるなんて…この薙切えりなが…)ハァ

恵「………」グスッ グス

えりな「……落ち着いた?なにか飲み物でも淹れましょうか。気分が安定するもの…紅茶かホットミルクか…」

恵「はい…ごめんなさい、薙切さん……あの、どうかお構い無く…」

えりな「馬鹿にしないで。部屋に人を招いておいて持て成さないなんて、不躾な事はできないわ」

恵「す、すみません」

えりな「…少し待っていてちょうだい」スッ

恵(そう言えば、薙切さんのお部屋、初めて入ったな~。なんだかすごくいい匂いがする、綺麗に片付いているし…やっぱり薙切さんって完璧なんだぁ~……)

えりな「はい。ホットミルクにしたわ、蜂蜜は貴女の好みで入れて」


恵「ありがとうございます。……わ、美味しい~。ただ温めただけって感じじゃない、ですよね…」コク

えりな「ええ。ラム酒も少量足らしていますから。それで体も温まって、よく眠れるんじゃないかしら」

恵「え?お酒、入っているんですか?」

えりな「調味料といっただけよ。それを言うなら、いつもの大騒ぎの時に、貴女達が飲むジュースやお茶の方が驚きだわ」

恵「ふふ、でもあれは、お米からできたジュースと金色のお茶……ね?」クスクス

えりな「……そうね。あれはただのジュースにお茶、ね」クスッ

恵「うふふ。…なんだかすごく嬉しい、薙切さんとこうやってお話できるなんて。私じゃ到底近づけない人だと思っていたから」

えりな「大袈裟ね。…ま、事実そうですけれど。本当なら、存在を知る事もなかったのですから」


えりな「なのに、どこからおかしくなったのかしら。本来、貴女達と出会う事なく…頂点に駆け上がるだけの筈だったのに。途端に足が重くなって」

えりな「……全ては、イレギュラー。幸平くん、彼のせいだわ。幸平くんが出てきてから、めちゃくちゃになったもの」

恵(……創真くん…)シュン

えりな「………察するに、貴女が泣いていた理由は、幸平くんの事なのね?」

恵「…違う…とも、そうだとも言えません、けど……」

えりな(あの男、2、3発叩いてやろうかしら)

恵「私が落ちこぼれだから、いけないんだと思う。私……薙切さんが羨ましいです。なんでも完璧で、憧れちゃうな」

えりな「………」

えりな「逆に私は、貴女に憧れますけどね」

恵「………え?」


えりな「貴女は私が持っていないものを、たくさん持っているもの」

恵「わ、私が?そんな」

えりな「…自分で気づかないからこそ。余所の芝生は青く見えるものだわ。…でも、指を咥えて眺めているばかりじゃダメ、少しでも自分の持つ庭を綺麗にする努力をするべきじゃないかしら」

恵「………」

えりな「…なにがあったの?貴女はどうして泣いていたの?聞かせてくれますか」

恵「……はい……」


・・・


えりな「そう。先輩方が……私の不在時に、随分な真似をしてくれるわね」

恵「でも、四宮先輩の言う事は正しいです。私、もっともっと努力しなくちゃ、足りないのに…浮き足立っていたのに気づかされた。なんだか気まずくて…」

えりな(何故かしら、なんだか面白くない。こんな子がどうなろうと、私には関係ないはずなのに)ムス


えりな(関係ない、関係ない……けれど、流石に目の前で泣いたり落ち込まれたりしては、寝覚めが悪いわね)

えりな(確かに先輩の言う事は正しい…でも、正し過ぎる。鞭ばかりで、弱者にとってはキツいでしょうに。…クッ、本当にナメた真似を……この私に尻拭いなんかさせて、許さないわ)

えりな(捨て石共がどうなろうと知った事じゃない、のに…なにを気にしているのかしら、何故葛藤するの)

恵「…薙切さん?」

えりな(…そう。目の前でウジウジされてちゃ、鬱陶しくてしょうがない。それだけよ、他意はないわ)

えりな(慰める…せめて湿っぽいのだけはやめさせる。でも、どうやって?)

~~~

えりな「……ふん。貴女って本当にどうしようもないのね。いつまでもぐずぐずと、まるで御通夜みたい。気分が悪いわ」

恵「す、すみません…!」ビク


えりな「先輩方の言うとおりよ。そんな貴女に、彼は相応しくないわ」

恵「本当に…そのとおりです…私なんかより、もっとずっと、薙切さんの方がお似合いです」

えりな「あら、貴女少し勘違いしているんじゃなくて?」

恵「えっ?」

えりな「ふふ、ニブい娘ね。あの男が貴女に相応しくないのよ、言うなれば貴女はダイヤの原石……磨けばどんどん美しくなれる存在…」

えりな「あんな野良犬には勿体無いわ。私なら貴女を磨いて輝かせられる。いらっしゃい、恵さん……さあ、私に全てを任せて」

恵「あっ…な、薙切さん……いやっ、恥ずかしい…!こんな事、いけません…」

えりな「そんな他人行儀な呼び方しちゃイヤよ?怖がらなくていいの、この世界には優しく美しいものしかないわ…」

恵「ああっ……、…え…えりなお姉さまぁ…!」


~~~


えりな「クワーーーッッ!!!」カァッ

恵「!!!??」ビクッ

えりな(ど……どうしてこうなった!どこからかシミュレーションがおかしくなったわ…落ち着け、落ち着きなさい薙切えりな!!)ハァハァ

えりな「と、とにかく!貴女も遠月の人間なら、いつまでも泣いていないの!!もっと強くなりなさい、そうしている間に、回りはどんどん先へ行ってしまうのよ」

えりな「…この私には一生かかっても近づけないでしょうけれど、貴女でも頑張ったら、せいぜい一般人レベルにはなれるわよ」

恵「……落ちこぼれの、私がですか…?」

えりな「ちょっと。この私が励ましてあげているのよ?それを蔑ろにする気?」

恵「えっ。いえ、そんなつもりじゃ」

えりな「なら、私の目を疑うってわけね?」

恵「ち、違います!」


えりな「ふん。ならばよろしい。…さ、このタオルで顔を拭きなさい。涙でぐちゃぐちゃよ」

えりな「……ここまで残って来れたのも、貴女の才能あってこそなのでしょう。だからといって油断せずに、貴女のペースを守って、やっていけばいいと思うわ」

恵「薙切さん…」

えりな「私達に比べたら、まだもまだまだですけれど。頂きばかり仰ぎ眺めて、溜息を吐いていても、進めないわ」

えりな「どんなに高い山でも、一歩一歩着実に進めば、やがて頂上に辿り着く。…時間を確認しながらも、転がり落ちぬよう気を付けながら、歩いていきなさい」

えりな「今なら、その……待っていてあげてもいいわ」

恵「う……」ジワ

えりな「でも、振り返る程度なだけだから。あまりにも遅れを取っているようなら、私は貴女を見捨てて、先に行きますからね」


恵「うぇぇ~ん…薙切さん~……」グスグス

えりな「また泣いて、本当に世話の焼ける子ね。タオルがもうびしょ濡れだわ」ナデナデ

えりな「いいこと?泣き終えたら気持ちを切り替えなさい、じゃなければ泣いた事が無駄になります」

えりな「気持ちを新たに…せいぜい、頑張る事ね。貴女なりに……」


・・・


恵「薙切さん、ありがとうございました。ホットミルクもごちそうさまです」

えりな「いいえ。少しでも落ち着いたなら良かったけれど。それじゃあ、おやすみなさい」

恵「ふう……(あの薙切さんに慰めてもらえたなんて…えへへ、なんかすごく嬉しい)」ドキドキ

恵(よし!無駄になんかしないもん、私…頑張る!もっとたくさん頑張って、認めてもらうんだっ!寝るまで少しでも多く…勉強しておこう!)


【翌朝・極星寮 食堂】


えりな「………」カチャ

恵「………」モグモグ

創真「………」ズズッ

吉野(な…なにかしらね~、空気重っ……)

榊(昨日の今日じゃ、流石の幸平くんでも堪えるのかしら?)

創真「…ごちそうさんっした!俺、調べ物あるから、先に行くわ」ガタッ

恵「あ、創真くん…なら、私も一緒に」

創真「いーよ、田所はゆっくりしてけ。んじゃ、お先に」スタスタ

えりな(あの態度…)ムカッ

えりな「…田所さん、私と一緒に登校しましょう。ほら、まだお皿に食事が残っているわ。早く食べちゃいなさい」

恵「は、はい」

吉野(え。あの薙切お嬢が!?何事!?いつの間に親密度上がってる!?)

恵(薙切さんに気を使わせちゃった?ダメだ、これじゃダメだ…早く気まずさ解消しなきゃ。でもどうしたらいいのかな?…>>608をする、とか…?)

れずぷれい


ありがとうございます。
地の文もどき入るます、苦手な人いたらごめん。


~~~


恵「創真くん、なんで冷たくするの…?ごめんなさい、私が悪いの、私のせいで創真くんに迷惑かけて…本当にごめんなさい」グスッ

創真「………」

恵「お願い、冷たくしないで…私、もっと頑張るから、創真くんに迷惑かからないよう、頑張るから……」

創真「…離せよ、田所」

恵「やだ、やだよう……お願い、なんでもするから許して…!私、創真くんがいなくなっちゃったら、私、私……!」

創真「……なんでも?」

恵「…え?」

創真「本当になんでもするんだな?」

恵「う…うんっ。創真くんが許してくれるなら、また仲良くしてくれるなら、なんでも…!」

創真「なら、薙切とレズプレイして見せてくれよ」

恵「………えっ?」

創真「そこまでやってこその謝罪だろ?」


 ―― 突拍子も無い条件を突き付けられ、恵の瞳は極限まで見開かれる。
 しかし、創真は不敵な笑みを湛えたまま彼女を見据えている。
 ……彼は本気なのだという事が、それで理解出来た。

 ゾクリと背筋に寒気が走る。冷たい笑み、冷たい眼差し。恵は、壁もないのに、追い詰められているような気分になる。

えりな「君は本当に最低な男ね……」

恵「っ薙切さん……!」

 背中に掛かるえりなの声に若干の安堵を覚え、そちらを振り向くも……彼女の表情を見て、再び寒気が走る。

 なんと、笑っている ―― えりなの浮かべる笑みは、創真のそれと同じだった。

 えりなは創真を一瞥した後、指を弾いて小気味良い音を鳴らす。
 するとそれを合図に、黒のスーツに身を包んだ屈強な男達が数人現れ、あっという間に創真を取り囲んで縛り上げてしまった。


えりな「怖じ気づいて逃げられても、……邪魔をされても困るからね。その特等席で、しっかりと見届けなさい?君の出した条件が達成されるところを」

恵「薙切……さん……?きゃっ!」

 まるでお伽噺に出てくるかのような、立派な天蓋付きのベッドへと押し倒される。
 部屋には美しい花が飾られ、焚かれた香が満ちていた。
 ムード満点ではあるが、恵の緊張は解けない。せめてもの抵抗のつもりか、体を強張らせて背を丸めている。

 創真だけにしか許さないつもりだった体を、これから級友に、しかも同性に犯されてしまうというならば、無理もない話か ――

 すらりとした、白魚のように美しい指が、恵の衣服を一枚一枚丁寧に剥ぎ取っていく。
 ただ服を脱がされているだけなのに、そのひとつひとつの動きが愛撫に近くも感じてしまう。


 さらさらと流れる柔らかな金髪が肌に触れるたび、心地好さを覚えて仕方無い。
 えりなの、まるで大粒の宝石にも思える瞳が、恵を捉えた。

えりな「さあ、いらっしゃい。田所さん……」

 圧倒的な迫力を持った、えりなの豊満な乳房が、恵の眼前に零れ出た。
 その形、張り、一種の芸術作品にも見えてしまう。目を奪われ、思考を奪われ、心が奪われる。

 すごい、すごい……そう思った次の瞬間、恵の手はえりなの乳房を鷲掴みにしていた。

 憧れて仕方無い、自分もこうであったらいいのに、と、乳房を揉みしだき、思わず顔を埋めてしまいながら溜息を零す。

えりな「うふ……まるで赤ちゃんみたいね、貴女……」

 はっとさせられた。以前、自分の乳房を愛撫する創真にも同じ感想を抱いたのだから。


恵「だって、だって……薙切さんのおっぱい、すごいんだもん……気持ちいいの」

えりな「そう、気に入ってくれて嬉しいわ。吸ってもいいのよ……?」

 見せつけるように、片側の乳房を持ち上げるえりなの笑みは、なんとも蠱惑的だ。彼女がまるで白蛇に見える。

 えりなが動くたびに、ふわりと甘い香りが漂う。それに誘われ、吸い込まれるかのような動きで、ツンと勃ち上がった乳首に吸いついた。

 形、味、両方をじっくりと楽しむように、唇と舌を動かしていく。
 ゆっくりと、舌腹に乗せて。口を大きく開き、弾力を楽しむ。
 何度も、何度も、ゆっくりと。淫靡な笑みを浮かべる、えりなの表情を見つめながら ――

えりな「いやらしい娘……美味しい?私のおっぱいは」

恵「はい、とっても……」

えりな「正直ね、イイコにはご褒美をあげなくちゃ」


恵「ご褒美……?」

 えりなへと、恍惚に蕩けた視線を向けて、彼女の言葉を反芻する。
 恵は期待に胸を膨らませて、えりなに焦がれるまま、彼女の細い首へと腕を回した。

 桜桃の実を思わせる、柔らかな唇が重なる。えりなの全てが甘い、呼吸すらも甘い。
 そのひとつひとつが、思考を揺さぶってくるかのようだ。

 滑らかな肌が擦れ合うだけでも、ぞくぞくと快感が走って、絶頂を迎えてしまいそうになる。

 ―― 嗚呼、私、堕ちてしまう……

創真「……田所っ……!」

 不意に掛かる創真の声に、我に返る事が出来た。
 割って入られなければ、このまま堕ちてしまっていただろう……蘇る羞恥心が、顔を熱く火照らせていく。

 創真へと視線をやると、何処か苦しそうに見えた。呼吸が乱れている、余裕が無さそうだ。


えりな「……情けない。もう我慢が利かないの?まだこれからなのに」

 創真に投げられたえりなの言葉は、不満気にも、挑発的にも取れる。
 クスクスと転がる鈴の音、えりなの笑い声。それだけでも、何故か創真は身震いを起こした。

えりな「汚ならしいものを見せないで」

 えりなの足が、創真の股間へと伸びる。
 今の彼女は一糸纏わぬ姿だ、片足を挙げては、彼女の秘所も丸見えとなってしまう。

 目を奪った隙に、下着を押し上げ張り詰める逸物を、足裏でそっと一撫で ―― すれば創真は歯を食い縛りながら、呻き声を漏らした。

恵「創真くん……」

えりな「少し、興が乗ったわ……私の恵さんを苛めた、お仕置きをしましょうか……」


 創真の前へと、2人が跪く。ひたりと身を寄せて、まずはえりなから動いた。

 その豊満な乳房を両手に抱え、創真の逸物を挟み込む。
 たったそれだけの動きで、だらだらと垂れ零れる先走りが、えりなの白い肌を汚していった。

えりな「さあ、貴女も」

 えりなに誘われるまま、恵も肉棒に擦り付く。
 えりなと違って、恵の小さな胸では挟む事など不可能だったが、それでも必死に擦り付け、快楽を与えようと動く健気な姿は、創真の心を揺さぶり、性欲を掻き立て昂らせていく。

えりな「来て……恵さん」

 大きく垂らした舌をうねらせ、テラテラと先走りで光る亀頭をなんとも旨そうに舐めながら、えりなが誘い掛けてくる。
 同じ女性なのだという事を忘れてしまいそうだ。いやらしい……淫靡で、なんと美しい人なのだろう。


 もう一人の創真を互いの舌で挟んで、口付ける。
 むっとする雄の臭いに重なる、甘い雌の匂い。興奮は冷めず、燃え上がっていく。
 なんとか持ち上げた薄い胸で、ゴツゴツと張った竿を撫でる度、乳首が擦れてくすぐったさを感じる。

恵「えりなさん……創真くん、……私、……私……」

えりな「そんなに息を切らせて焦らなくていいのよ?可愛い子。大丈夫、わかっているわ……私も、もう……」

えりな「幸平くんもわかっているわね?君だけは別よ。続きをして欲しかったら……腹筋しなさい!!」

  ( `・ω・) ようこそid腹筋スレ(ry


~~~


恵「………ううわあああーっっ!!?」ガバッ

同級生達「!!!??」ビクッ

恵「はぁ、はぁ、はぁ……あ……夢…?」ドキドキ

シャペル「…筆記講義とはいえ……私の授業で居眠りをするなど、随分度胸のある生徒がいたものだ」

恵「あ………」サーッ


【放課後】


恵(はあ…私、最低……頑張るって決めた矢先に、居眠りしちゃうなんて。よりによってシャペル先生の授業で…昨日夜更かししたからかなあ…)

恵(変な夢は見ちゃうし。…私って、いやらしい子なんだ…落ち込む……)ドンヨリ

恵(居眠りの罰で出された課題をやっていたら、遅くなっちゃった。早く帰ろ)

創真「あ、居た居た。田所、あのさ…」

恵「ひゃっ!?…そ、そ、創真くんっ……!あの、その………ま、また、寮でねっ!」ダッ

創真「あっ、おい!田所!待てって、おい!!」

恵(うわあああん!折角声をかけてくれたのに、あんな夢見たあとじゃ…ますます気まずいよ~!)



恵「はぁ、はぁ……はぁ…は、走りすぎた…はぁ……」フラフラ

恵「うう…このまま、ずっと創真くんとお話できなくなったら、どうしよう…そんなの絶対イヤだ、今度こそ…今度こそ、>>623で仲直りするっ!」

セックス


んー、安価な以上、捌くつもりはあるけど…。
なんか狙われているような気がしないでもない…
次から、ちょっとアレかなあと思ったら、申し訳ないけど再安価させてもらうね。本当にすいません。


【極星寮・廊下】


恵(考え込むから裏目に出るんだ…もう、もう、こうなったら、勢いつけていけば……)ドキドキ

創真「ふあぁ………眠ぃ…」ガチャ

恵「(鍵を開ける音…創真くんが来た!)……創真くんっ!!」

創真「は?……うおわっ!?」ドカッ



恵「 」ハーハーハー

創真「…ええと……田所さん?これは一体なにごとっすかね…なんで俺の腹に座ってんの、お前」

恵「………いいのっ!!」

創真「いや、なにが」

恵(仲直り…仲直りして、また仲良くする為に、仲直り……)

創真(…あー、すっかり混乱していらっしゃる…またなにか考え込んでドツボに嵌まってやがんな、これ)


創真(んー、上に乗られるってのも、なかなか悪くねーもんだ……顔真っ赤にして、スゲー頑張ってんなって感じで)

創真(…けど、ここで暴走させていいものか……)

恵「…創真くん……私、私…、あの、そのっ…私、ね……?」

創真「うんうん。とりあえず落ち着いてから話せ?穏便にな。あと、この体勢は色々アレだから、できれば退いてくれないっすかね」

恵「…やだ……退いたら、逃げちゃうでしょ?」

創真「逃げねーよ。逃げねーから、降りてください、田所さん」

恵「いやっ!退かない!仲直りしたいんだもん、その為に頑張るの!」

創真「(は、話が見えねえー)……逃げねーし、仲直り?も、降りてからできるから。な?とにかく落ち着いてくれ、落ち着こう」

恵「ううぅ~……」


創真「よしよし。田所さんよく頑張りました、偉い偉い」ナデナデ

恵「…頭なでなでしても、ダメだもん……」テレ

創真(効果は抜群に見えるけどなあ)

創真「よいしょっ……と」ムクリ

恵「きゃ……」

創真「ま、これくらいなら。膝に座って向かい合わせ、これで勘弁してくれ」

恵「……勘弁って、…やっぱり、イヤ?私がダメな子だから、創真くんのお荷物だから……」グスッ

創真「(は、話が見えねえぇー…)一体どうしたんだよ、今日のお前、なにか変だぞ?いつも以上に取り乱している感じじゃねーか」

恵「…変なのは、創真くんだよ~…!私、私っ……創真くんがいなくなっちゃったら、イヤだもん!ずっと一緒にいたいの、…うわあああーん!!」

創真「なんで泣いた!?土下座!?土下座の流れか、これ!?」


恵「………」グスッ グスッ

創真「よしよし、よーしよし…田所さん、イイコイイコ、よーしよし」ポンポン

創真(…抱き締めてあやして背中撫でて、小一時間……やっと落ち着いてきたか…)ホッ

恵「…ごめんね、創真くん……また、迷惑かけちゃった…」グス

創真「やー、別に?田所の新しい一面が見れて、正直面白かったのもあるしさ」

恵「お、面白いって。酷いんだから…私、生きた心地しなかったのに。恥ずかしくって死にそうだったんだよ?」

創真「そうまでして、なにをやろうとしていたんだよ、お前」

恵「セッ、……じゃなくて、エ………でもなくて、あの!違うの、その…あの……」カアァー

創真「仲直り、か?」

恵「そ、そう!それ!仲直り!!仲直りしたかったのっ!」アタフタ


創真「別に、喧嘩なんかしてねーじゃん。それで仲直りとか、必要あるか?」

恵「…だって、だって……なんだか、気まずくって…そ、それに、創真くん、怒っているみたいに見えたし……だから…」

創真「や、俺は別に、怒ってなんか……」

恵「昨日の夜だって、今朝だって、なんだか難しい顔してたもん。私、怖かった。…創真くんに呆れられたんじゃないかとか、思って…」

創真「……ああ、そういや…考え事していて、気が回ってなかったか。…けど、バカだなー、お前」

恵「うう!…バカじゃないよー!」グサッ

創真「悪かったな、不安にさせたか。…ごめんな、田所」

創真「ちょっとな、さっきも言ったが…考え事したり、調べ物をするのに、気を取られていてよ。マジで、不安にさせて悪かった」


恵「…なにを調べていたの?」

創真「んー…まあ、近いうち、わかるさ」

創真「それよりもだ。…さっき、仲直りって言えずに、なにか口滑らせそうになっていたろ。…なにを言いかけた?」ニヤ

恵「うぐ」

創真「セだとか、エだとか言いかけたよな?なにをしようとしたんだ、俺に跨がってまでさー」ニヤニヤ

恵「…その顔、答えがわかってる顔だよ~…意地悪……絶対言わないっ」

創真「そもそも喧嘩なんざしてねーけど、言わなかったら仲直りも無しにすんぞ」

恵「!! そ、それはイヤ!」

創真「なら、なにを言いかけた?俺に、…俺と、なにをする気だった?」

恵「ううぅ~……」

恵(勢いがなくなったら、途端に恥ずかしくなって…でも、でも、仲直り無しなのもイヤだ……)


創真「…はは。よしよし。お仕置きはここまで、な」ポンポン

恵「創真くん……」

創真「俺はな?田所。お前を支えてーし、守りてェ。その為ならなんだってしていくつもりだ、俺の全てを掛けても」

創真「観覧車に乗った時に言ったろ。料理を究めた暁にゃ、その時初めて作った料理を、お前に捧げたい」

創真「その為にも……ここで落ちたり、止まっているわけにはいかねェ。着実に前進していく。お前と一緒にな」

恵「……うん…」

創真「不安にさせて悪かった。悪かった、が……お前も忘れんな、俺の事。信じていてくれ。必ず為し遂げてみせるからよ」ニッ

恵「……うん。…ごめんなさい、創真くん。私も、もっと勉強する…創真くんをサポートできるように」


創真「……よしっ。んじゃ、この話はここまで、な?」

恵「……本当に、良かった…もうずっとお話できなくなるんじゃないかって思ったよー…」

創真「んな事無いって。…ほら、立ちなよ。部屋まで送ってやっからさ。明日っからはまた一緒に登下校しようぜ」

恵「……うんっ!」ニコッ



えりな「!! 幸平くん、それに…田所さん…」

創真「げ。廊下に出てすぐ、薙切と出会すとか……」

えりな(田所さん、目が赤い……この男、また彼女を泣かせたの!?)カッ

えりな「この、最低男がーッ!!」バシバッシィーン!!

創真「往復ビンタっ!!?」ゴフッ

恵「きゃーっ!?そ、創真くん!!大丈夫!?」

えりな「もう今回ばかりは見過ごせないわ!そこに直りなさい、君の腐った性根を叩き直して差し上げますっ!!」


・・・


えりな「………」シュン

恵「あ、あの、薙切さん…元気出して?創真くんも、気にしないって言ってくれているんだし…」オロオロ

創真「本当にな。お前がそこまで熱い奴だったとは知らなかったわー、意外と早合点なのな?問答無用で殴り飛ばしてくるとか」ケラケラ

えりな「ううう!!恥ずかしい…恥ずかしい……わ、悪かったわよ…です!!つい、カッとなって…」

恵「創真くん、薙切さんをいじめないで!」

創真「…いつの間に、そんな仲良くなったんだ?お前ら」

恵「薙切さん…ごめんなさい、心配してもらって。でも、創真くんには悪いけど…すごく嬉しかった」

えりな「いいえ……田所さんが元気になったのなら、それでいいわ」

恵「…あと、…ごめんね、薙切さん。(変な夢を見ちゃって…)」

えりな「?? なんで二回も謝るの?」


恵「それじゃあ、おやすみなさい!2人共」

創真「おう、また明日な」

えりな「おやすみなさい」


えりな「………で?これからどうするつもり?田所さんは落ち着いてくれたようだけれど…君はどうなの」

創真「…やー、ちゃんと考えてますよ。なんだ、俺の事も心配してくれてんだ?またも意外だわ」ヘラヘラ

えりな「バッ……誰が君の心配なんか!!」

創真「田所、お前と友達になりたがっていたから。嬉しくて仕方無いだろうな」

えりな「………!」

創真「…サンキュ、薙切。俺も嬉しいわ、お前とダチになれてよ」

えりな「え?君は違うわよ、自惚れないでちょうだい」

創真「…マジっすか?」

えりな「まじっす。…私の友達は、君以外。そこを忘れないでね。それでは、ごきげんよう」

えりな「…殴って、本当にごめんなさい」ボソ

創真「………、…ま、いっか」ニッ

スレ開いてくれてありがとうー


【極星寮・翌朝】


吉野「……まあ、アレよ。昨日とは一変、重かった空気が軽くなったのは良しとするけど」

創真「軽いか?軽いと思うか?」



恵「へぇ~、すごいんだね、この人……こんな独創的なレシピ、初めて見たよー。きっと美味しいんだろうなあ」

えりな「きっとじゃなく、そこそこのレベルには達していたわ。いつか機会があれば、貴女に紹介してあげてもいいわよ」

恵「わ、私に!?……か、考えただけで緊張してくる…」

えりな「大袈裟なんだから…。いい?先人達の功績を学ぶのも大事です、吸収してこその実りもあるの。経験を積みなさい」

恵「…はい、頑張ります!」



吉野「いつの間に、あんなに親密度上がったのさ」

創真「田所を取られた…」ドンヨリ


えりな「………」チラッ

創真「! ………」

えりな「………」ドヤァ

創真「お?喧嘩売られたぞ?ちょっと薙切に失敗作食わせてくる」

吉野「落ち着けー、男の嫉妬とか見苦しいだけなんだぜ」

榊「こっちもこっちでダメージが深刻なんだけど…」

側近「えりな様が…私のえりな様が…取られたぁ……」シクシク



えりな「…あら、時間が経つのは早いわね。そろそろ行かないと。支度をお願い」

側近「は!はい、えりな様っ!!必ずや、えりな様の期待に答え、お手を煩わせる事なく支度を整えてごらんに入れますっっ!!」

えりな「?? ず、随分張り切っているのね…任せたわ」

側近「イエッサー!!」ダダッ

恵「薙切さん、1日頑張ってくださいね。貴重なお話聞かせてくれて、ありがとうございます!」


えりな「いいえ。また時間ができたら続きを話してあげてもいいわ。では、お先に」

えりな「………」スタスタ

創真「………」

えりな「………」ドヤァァ

創真「薙切!食戟だ、俺と食戟しやがれ、絶対俺が勝つけどな!!」

えりな「お断りよ、私の勝ちに決まっているもの。ああ、なんだか今日はすごく気分がいいわ!負け犬の遠吠えは聞き飽きたと思っていたけれど、フフフッ!」

吉野「諦めな、勇者ゆきひら。ラスボスお嬢に挑んでも、死んでしまうとは情けないになっちゃうよ」

創真「ぐぬぬ。…なんでここに来て次々障害が出て来やがる…」

吉野「それにしても、テンション高い薙切お嬢とか初めて見たかもー」

えりな「ふん…そろそろデトックスを視野に入れなくてはなりませんね」

吉野「えー!別にいいじゃん、なんか可愛いよ、今のお嬢!」


恵「みんなー、学校に行こうよ。丸井くん達は先に行っちゃったよー」

吉野「やべっ、呑気にしていたら!私、まだ支度終わってないんだけど!!」バタバタ

榊「もう、悠姫ったら相変わらずね。私は悠姫を待ってから行くから、貴方達は先にいってらっしゃいよ」

恵「え、じゃあ私達も一緒に待って……」

創真「おう、お言葉に甘えさせてもらうわ。んじゃ、お先にー」

恵「わわわわ、ひ、引っ張らないで、創真くん!?」ズルズル

榊「ふふ……気を回すのも楽じゃないわねー」

吉野「あああヤバいヤバい、テキストどこに置いたっけ!?ちょっと涼子、手伝ってよー!」ドタバタ

榊「……あ、気を回していたわけじゃなかったの」


・・・


恵「創真くん、待って、待って…足、早いよー」

創真「遅刻しちまうだろ?早く行こうぜ、田所」


恵「でも、でも、ちょっと待って……急に走り出すと、息切れが…」ハァハァ

創真「…しょうがねーなー、ホラ。手」スッ

恵「あ。……うん。…えへへ……」ギュ

創真「…そんなに嬉しいもんか?デレデレだらしない顔になってんぞ、田所」

恵「創真くんだって。顔が緩んでるよ?」

創真「…気のせいっすよ、気のせい」

恵「そうっすかー。……えへへ~」

恵(ああ、本当に良かった……もう気まずくなるのなんて、絶対イヤだ。創真くんと一緒にいられないのは絶対にイヤ…)

創真「今日はバイトもないから、放課後、どっか遊びに行かねー?」

恵「うんっ!行く!」

創真(……授業が始まる前に、シャペル先生んとこに寄らねーとな。頼んだ事、まとまってっかなー)


【遠月学園・校舎屋上 昼休み】


創真「…そうっすか、わかりました。ありがとうございます。…はい、そんじゃ、週末に」ピッ

創真「………」ガサ

伊武崎「隣、いいか」

創真「…お?伊武崎。なんか珍しいな、ここで会うとか」

伊武崎「田所から聞いた。ここにいるって。じゃなければ見つける事なんか不可能だし」

創真「この学校、本当にバカでかいもんな」

伊武崎「………その、書類は」

創真「ん?ああ。シャペル先生に頼んでいたものでさ。一応、確認しておこうかと」

伊武崎「………」

伊武崎「無茶はすんなよ、幸平」

創真「ん?」

伊武崎「お前、太平楽に構えているようで、一人で抱え込むところがあるから。良くも悪くも」


創真「…やー、なんつーか…俺ってそんなにわかりやすいもんか?」

伊武崎「さあな。でも、気づく奴は気づくんじゃないか。灯台もと暗し、田所はあまりにも近い距離にいるから、見えない状況だけど」

伊武崎「…離れて見てこそ、全体図がわかるって事もあるんだ」

創真「実に恵まれてんな、俺」

伊武崎「バカな事をやらかすのは止めろ。また泣くぞ、田所」

創真「……この事については、アイツに話してないからなぁ。流石に泣きはしないと思いてーが、一応覚悟はしとくわ」

創真「けど、これがバカなりに考えた結果ってヤツだからさ」

伊武崎「………」

創真「やー、それにしてもよ。やっぱ遠月なだけあって、購買のパンすら旨ぇのなー。名前が長ったらしくて覚え切れないけどさー」モグモグ

伊武崎「…そうだな」


【放課後・繁華街】


恵「創真くんとお出掛けするの、なんだか久し振りだねー。それで、どこに行くのか決まった?」

創真「なかなか時間合わなかったしな。行き先は…ブラつきながら考えようぜ」

恵「うんっ」ニコ

創真「あ。ファーストフード店…なんか飲み物でも買うか」

恵「そうだね、喉渇いちゃうし…私、オレンジジュースにしようかなー。創真くんは何にするの?」

創真「炭酸系だな、スカっとするし」

恵「ここって、珈琲がすごく美味しくなったって評判だよね」

創真「そうなのか?珈琲、あんまり飲まねェからな……アレだろ、なんか呪文みたいなの唱えて注文する…」

恵「それは別のお店だよー、あそこのもすごく美味しいよ」クスクス

創真「はははっ。…よし!んじゃ、>>652に行くか」

カラオケ

スレ開いてくれてありがとうー。南蛮屋って珈琲店?


恵「カラオケ?だったら飲み物は今買わずに、お店で頼んだ方がいいかな?」

創真「あ、そっか。持ち込みダメだって言われてもアレか」

恵「…カラオケかー、久し振りに行くよ~。ずうっと前に悠姫ちゃんと行ったきりだもん」

創真「俺もだわ、行きたい行きたいと思っていると、なかなか行けないのがカラオケっつーか…」



店員「シャセーゴリョジカンイカガシャッスカー」

創真「えーっと。とりあえず…二時間でいいか?」

恵「うんっ」

店員「トテンッワンドリンクシェッスーイカガシャッスカ」

創真「選べってよ、田所はさっき言ってたヤツでいい?」

恵「…う、うん」

創真「んじゃ、コレとコレ」

店員「ウーィザーッスッヘヤーコチラニャーッス ッテラッシャー」

創真「よっしゃ!行こうぜ、田所!」

恵(この店員さんの言葉を理解できる創真くんって本当にすごい…)


【カラオケルーム】


恵「わー、やったー窓際の部屋だ!なんだか得した気分になるね~」

創真「人がゴミのようだーとか言いたくなる感じな!どうする田所、お前先に歌うか?」

恵「え、えっと、最初はやっぱり恥ずかしいかな…」

創真「オッケー、なら俺からな!やー、何歌おっかね……デンモク、デンモク」ガタ

恵「創真くんって、歌うの好きなの?」

創真「んー、普通に?中学ん時は、ダチとたまに行くくらいだったしなぁ。実家の手伝いばっかりやってたから」

恵「そっかー。私も上京して初めて連れて来てもらったくらいだからな~…。創真くんが遠月に来る前のお話…ちょっと聞きたいかも」

創真「あれ…話してなかったっけ?」

コンコン

店員「シツレシャースッミモノオモチシャッシター」ガチャ


店員「シツレーシャッシターックリドゾー」ガチャ

恵「……店員さんが、お部屋に入って来る時って…なんでかな、なんか黙っちゃうんだ~」

創真「歌っている時も中断するか、そのままぶっ続けで歌うか、パターン分かれるよな」

恵「ちなみに悠姫ちゃんは構わず歌うタイプだったよ」クスクス

創真「はははっ!吉野らしすぎて、いっそ安心する!」


・・・


吉野「…ックシュン!ヘクシュ!!」

榊「あら、悠姫。くしゃみなんかして、風邪でもひいた?」

吉野「二回連続で出るくしゃみって、悪い噂されているんだっけ?」ズズ

榊「知らないわよ。はい、ティッシュ」

吉野「サンキュー、涼子!…う~、誰よーこの美少女の噂をしている奴は……!」チーン!


創真「…入力、っと。よし!いいか田所、テンション上げていけよ。吉野風に言うなら、極星ー!ファイ!オー!!」

恵「お…おー!……え、え、なんの歌を入れたのー?……って、これー!?」


・・・


創真『……きーみのシグナルっもう一度ー!』

恵「ふぅっふぅー!」キャッ キャ

創真『気ーまぐれかなっ、でも構わないー君と居たいからぁ~アーアァー!!』

創真・恵『めめしくてっめめしくてっ! ……―― ツラ~いよーおぉ~♪』



恵「…あはははっ!創真くん、なんで振り付け完璧なのー!すごいすごい、あははは!」パチパチ

創真「ふっ……スゲーやり遂げた感!!」ドヤァ


創真「んじゃ、次は田所の番な!」

恵「えー、どうしよう、何を歌おうかなー…私もテンション上がるようなの歌ったらいいかな?」ピッ ピッ

創真「ちょっと楽しみかもしんねー、ワクワクしてきた」

恵「うう、期待にお答えできるか不安になるんだけど~……じゃあちょっと古いけど、これ歌うー」


・・・


恵『あいたかったーあいたかったーあいたかったー♪』

恵・創真『イエス!!』

恵『あいたかったーあいたかったーあいたかったー♪』

恵・創真『イエスッ!!』

恵『…きーみーに~♪』

創真(…これはなんつーか……可愛い…意外とノリノリで踊ってるし)フム

恵「…はー、恥ずかしかったー…でも、どうだろ、ちょっとテンション上がったかなあ」

創真「うなぎ登りで」グッ

恵「??(創真くん、なんだかいい笑顔)」


恵「……はー…、すごいスッキリするけど、ちょっと疲れたねー」

創真「ぶっ通しで歌っちまったもんな。少し休憩するかー」

恵「創真くん、歌上手いんだね?知らなかったよー。高得点出しちゃうし、大抵の振り付けはしっかり踊っちゃうし…ふふっ、思い出したら、また……」クスクス

創真「え、踊ってこそってものじゃね?勢いで盛り上げられるし、自分もテンション上げられるしさ。高得点はアレ、裏技あるから」

恵「今度はみんなでカラオケ来たいね、絶対楽しいよ!創真くんは悠姫ちゃんと対決したらいいと思うな、悠姫ちゃんも振り付け完璧だもの」

創真「へっ、負ける気がしねー」


・・・


吉野「ブワックショーイ!!!」

丸井「ぎゃああっ!!?吉野ぉぉっせめて口を閉じろ!このレポート、提出するやつなのに…!」

吉野「うーチクショィ、本当に風邪かしら…?」ズル


創真「そうそう、出だしで途切れちまったけど、中学ん時の話」ゴソゴソ

恵「あ、うん!聞きたい、聞きたい!」

創真「ええと、確か……ああ、あったあった。ほれ、実家の店で撮った写メ」スッ

恵「わぁ、なんかいいな~こういうの、みんな仲良さそう!……(中学生の創真くん、ちょっと可愛い)」

創真「そうかぁ?寮の奴らと変わらなくね?それ、進級してから撮ったヤツだな。常連の人に頼んでさー…」

恵「へぇ、へぇ~。こっちの隅っこに写っているのは、もしかして…創真くんのお父さん?」

創真「あ、そうそう。うちの親父。ちゃっかり写り込んでいて、見た時ちょっと笑えた」

恵「拡大しても顔がよくわからないのが残念だけど…創真くんのお父さんも初めて見たよー」


恵「今は海外を飛び回っているんだっけ。格好いいね、創真くんのお父さん」

創真「…そーか?わけわかんねーところが多いぜ、マイペースが過ぎるしよ。遠月に入る時だって、そりゃもう唐突で…」

恵「……ふふっ」クスクス

創真「? なんだ?」

恵「創真くん、お父さんの事が大好きなんだなーって思って。なんだか嬉しそう」

創真「バッ……やめろって、そういうのはさー」

恵「ふふふ、もしかして照れている?創真くん」

創真「誰が!もう仕舞うぞ、携帯」

恵「あーん、もうちょっと見たかったのに~…今度はアルバムとかも見たいなー、昔の創真くんの事が知りたいよ」

創真「アルバム?実家戻らないと無ぇな……つーか、ちょっと便所行ってくるわ。限界近い」


・・・


創真「…はー、スッキリ。さて、次は何を歌うか……っと」ドンッ

  「ひゃ!ご、ごめんなさい、ぶつかって……って、…え…も、もしかして……」

創真「…え、マジ?倉瀬?倉瀬じゃん!」

倉瀬「ゆ……幸平くん!?うそ、なんでここに…!?」

創真「なんでって、そりゃカラオケしに来てんだよ。つーか久し振りだな!お前こそなんでここに」

倉瀬「あ、私は…高校の友達が、部活の大会に出て…その帰り道、打ち上げで此処に……」ドキドキ

創真「へー、そうなのかー。やー、なんかマジで懐かしいな。元気にやってたか?中学ん時のツレもみんな元気にしてんのかね」

倉瀬「幸平くん、寮のある学校に入っちゃったもんね…やっぱり、学校は忙しい?有名な料理学校だよね」


創真「んー、まーな。でも、遣り甲斐あるし。楽しくやってんよ」

倉瀬「そうなんだ……幸平くんとは、幼稚園の頃から一緒だったから、…ちょっと…」

創真「ん?」

倉瀬「…う、ううん!なんでもないよ!…他のみんなも寂しがってた、幸平くんのお店で、ごはん食べられなくなるって思ってなかったし」

創真「あー、そりゃ親父を恨んでくれていいぜ。実際、俺も寝耳に水ってヤツだったしよ」

創真「つーか、悪い。相手待たせてんだ。またな、倉瀬」

倉瀬「あっ!ま、待って!幸平くん!」

創真「なに?」

倉瀬(つ…つい、引き止めちゃった……まさかまた幸平くんに会えるなんて思っていなかったし…!どうしよう、なにか言わなくちゃ…!なにか…)ドキドキ

倉瀬「>>666

誰かと思ったけどゆきひらで親子対決のジャッジした娘か

またご飯食べさせてほしいな


そうそう、幼馴染ポジションなのに出番それだけだった倉瀬さん。
吉野は本当に動かしやすい、ええ子やで。


倉瀬「また、ご飯食べさせてほしいな」

倉瀬「幸平くんが…幸平くんの作ったご飯が忘れられなくて。とっても美味しかったから、だからまた…」

創真「ははっ。親父の料理じゃなくて、俺の料理をか?」

倉瀬「幸平くんの料理も、すっごく美味しいよ!?私、幸平くんの作る料理が好きだから…だから!」

創真「ありがとう。まーそのうち、実家に荷物取りに行くつもりでもあるし…その時に都合が合ったらな」

倉瀬「うんっ、私、楽しみにしているから…!」

創真「おう。…そんじゃ、またな」スタスタ

倉瀬「………」

倉瀬「…"また"、か。うん、また会えたなんて……すごく嬉しい…。幸平くんの通っている学校って、この近くなのかな…?友達に聞いてみようかな…」


ガチャ

恵「あ、おかえりー創真くん」

創真「悪ぃ、遅くなって。びっくりしたわ、そこで中学まで一緒だった奴とバッタリ会ってさー」

恵「本当に!?すごーい、良かったね!昔話していたからかな?元気そうだった?」

創真「おう、相変わらずって感じだった。ウチの定食屋に、たまに来たりしていた奴でさ」

創真「その頃は、よく親父と料理対決やっていたから、審判を頼んだりしてよ」

恵「料理対決?」

創真「そうそう、どっちの飯が旨いか、っての。食戟みたいな感じ」

恵「へぇ~。お店のお手伝いもずっとやっていたんだっけ。お父さんには勝てたの?」

創真「………田所さん、なにか食べます?俺、注文しましょうか」

恵「あっ。誤魔化した~」クスクス


創真「まあまあ、さておき…親父とは毎回いい勝負していたから。マジで。今戦ったら絶対俺が勝つし。本当だし」

恵「創真くん、私の目を見て話して?」

創真「………本当にもうなんつーか……なあ?」タラタラ

恵「ふふふ」クスクス

創真「…親父に勝って、店を継いで、料理を究めて……そればかり考えていたんだよなあ」

創真「最初は高校に行く気も無かったからよ。中学出たら、そのままずっと店で修業積むつもりだった」

恵「………」

恵「…創真くんのお父さんが、創真くんを遠月学園に入るように促してくれて、良かったよ」

恵「創真くんに会えなかったら、今、私はここにいなかっただろうから…退学寸前だったのに、救われて、意気込みも出て、目標もできて」


恵「…この間ね、四宮先輩が極星寮に来た時…こう聞かれたんだ。今の時期、楽しいか?って」

創真「………」

恵「私、ちゃんと"楽しい"って答えられたよ。以前の私だったら、多分はっきり答えられなかったと思う」

恵「もっともっと勉強したい、みんなと料理がしたい、みんなと、創真くんと一緒にいたい。だから頑張る、って…」

創真「………」ニッ

恵「…えへへ」ニコ

恵「……それにしても、創真くんが羨ましいな~。私は上京してきた身だから…向こうの友達に会うのも一苦労だもん」

創真「夏休みや冬休みみてーな大型連休じゃないと、帰省は無理か」

恵「うん。それも、課題はたくさん出るし……できれば、立派な料理人になってから帰りたいな、って」


恵「私の事だから、家族や友達の顔を見たら、決意が緩んじゃいそうだし……すごく会いたくなる時もあるんだけどね」

創真「…12歳で上京したんだっけか?それもまた本当にスゲーよなあ」

恵「えへへ、そうかなぁ?…遠月に入れた時は本当に嬉しかったよ~、……まさかこんなにも過酷だとも思っていなかったけれどね……」ガックリ

創真「あっははは!まーまー、なんとかなるもんだって。田所は昔の写真とか持ってねーの?」

恵「多分、写メが残っていると思うけど…なんだか恥ずかしいよ」

創真「いいじゃん、俺のだって見せたんだしよ。田所のも見せてくれよ」

恵「うー、あんまりじっくり見ないでね?……はい、これだよ」スッ

創真「…おー、これは、…なかなか……」


創真(なかなか…つーか、スゲー可愛いんじゃ……)キュン

恵「なかなか、なに?」

創真「!! あ、あー、えーっと。…今の田所を一回り小さくしたような感じ?」

恵「あんまり変わってないってことー?良かったような、良くないような…」

創真(…流石にはっきりと、可愛いって言うのはなんか…恥ずかしいしな。…それにしても可愛い)ジー

恵「も、もうおしまいだよ~、そんなにじっくり見ちゃ、いや!」パッ

創真「あ。…残念だ……。雪の量が半端なかったな、毎回それだけ降んの?」

恵「うん。全然溶けないし、雪かきとかも本当に大変だったよー。一回でも休んだら、もう二度と外に出られない!ってなるもの」

創真「へーっ、マジで!想像できねェ……」


恵「最近はこっちでも雪がよく降るって言われているけれど…うちの田舎と比べると、どうしても…ね」

創真「田所ん家の田舎も、いつか見てみたいよなぁ…」

恵「うん、是非来てほしい!創真くんが来てくれたら、みんな喜ぶよ」

プルルル! プルルル!!

恵「わっ、…びっくりしたぁ…」ビクッ

創真「内線。…喋っていたらもう二時間経ってたんだ、延長はしなくていいよな?」カチャ

恵「そうだねー、今出れば、寮での夕飯に間に合うだろうし…」

創真「んじゃ、清算しに行くか」


・・・


店員「ッザース!ッタノゴライテッマチシテャース!!」

恵「創真くん、お店出る前に、私もトイレに行ってくるから、待ってて?」

創真「おう、いってらっしゃーい」


ゾロゾロ…

倉瀬「あ、幸平くん!幸平くんも今から帰り?」

創真「おー、倉瀬。そ、終わったとこ。あとは軽くブラついて、それで寮に帰ろうかなって」

倉瀬「そうなんだ。…あ、あの……良かったら、幸平くんもこれから…」

創真「うん?」

倉瀬「……あ、あの、あのねっ」カアァー

女友「真由ー!もう行くよー」

倉瀬「あ!う、うんっ!今行く!…幸平くん、アドレスとか、連絡先は変わってない?」

創真「おう」

倉瀬「じゃあ今度連絡する!中学の時の、みんなにも幸平くんに会えたって話しておくから……それじゃ、またっ」タタタッ

創真「??? …そんなに飯が食いたいのか、アイツ」



恵「…ふぅ、創真くん、おまたせー。それじゃあ帰ろっか?」

創真「おかえり。ブラつきながら帰ろうぜー」


【繁華街~駅方面】


恵「夕陽が落ちてきているねー。真っ暗になる前に帰らないと、寮までの道のり、怖いんだもん…」

創真「あそこは一人で行き来するには、ちょっとキツいもんがあるよなぁ」

恵「私、未だに慣れないよ~。距離も、雰囲気も……自然が多いのは良いんだけどなあ」

創真「田所は怖がりすぎなんだっての。……さて、と」キョロキョロ

創真(バイト代も出たし、なにか田所にプレゼントを贈ってやろうかと思ったが……なにがいいか…)

創真(街に来りゃー目星つくかと思ったけど、すぐには決められないもんだなー)

恵「創真くん?どうしたの、キョロキョロして」

創真「や、なんでもない」

創真(よし、決めた。>>681を買おう!)

髪留め。


【極星寮・302号室前】


恵「今日のご飯も美味しかったねー、おなかいっぱい!」

創真「おー。風呂もいいお湯でした」

創真「ところで、田所。ほら、これ」スッ

恵「え?なに、なに?小さな紙包み……開けてもいい?」

創真「ああ」

恵「……!わあ…!髪留めだ!可愛い~、小さい蝶々さんがついてる!こ、これ、もしかして、創真くんが買ってくれたの?」

創真「ん、まあ。やっとバイト代が出たからさ」ヘラッ

恵「あ、ありがとう!ありがとう、創真くん!すごく嬉しい…つけてみてもいい?」

創真「お、おう。どーぞ。(なんだこれ、意外に照れくせーな…)」

恵「へへへ~、とっても嬉しい…どう?どうかな?似合う?」パチ

創真「うん、似合ってんぜ。田所がいつもつけているヤツと揃いになっている感じで…」


創真「その…なんつーか、…可愛いんじゃねーかな」テレッ

恵「!! あ、あ、ありがとう…」カァァ

恵「…わ、私も、鏡で、ちゃんと見てみたいな……その、良かったら、創真くんも……私の部屋に、来る?」ドキドキ

創真「……おう。いいなら、お邪魔させてもらうわ」



創真(ここが田所の部屋…これまたなんつーか可愛らしい雰囲気で。あんまり見回すのも悪いか……しっかし同じ作りなのに、部屋ってのはマジで個性出るよなー)チラッ

恵「えへへ~、まさかプレゼント貰えるなんて思ってなかったよー。本当にありがとう、創真くん!すごく嬉しいな、幸せ~」

創真「大袈裟だっての。まー、そこまで喜んでもらえんなら、買った甲斐もあったわ」

恵「だって嬉しいんだもん!明日からつけていくね!」


創真(本当に喜んじゃってまあ、…正直バタバタしまくって、ちょっとしんどさ感じていたが、報われるようだな。この笑顔)

創真「………」クイッ

恵「ひゃ、なに?髪を引っ張って……」

創真「…やー、ちょっとさ。やってみたい事、思いついたんだが」

恵「ん?ん??」


・・・


恵「…創真くん、やっぱりちょっと恥ずかしいよ~……」

創真「悪ぃ悪ぃ。痛くはないか?」

恵「ん、大丈夫だけど…なんだか変な感じ。創真くんに髪を櫛で梳かしてもらうなんて……」

創真「だってよ、田所の髪も触っていて気持ちいいからさー。一度やってみたかったんだよな。つーか、前を向いていないと絡まるぜ」

恵(……髪、"も"?)ドキドキ


恵「……なんだか、くすぐったくないのに、くすぐったく感じちゃう…」

創真「なんだよ、そりゃ。…三つ編みって意外と難しいのなー、上手く出来ねぇ」

恵「そうかな?…こうやって編むんだよ~」

創真(…さらさらと髪が流れるたびに、いい匂いがして)

創真「うーん……やっぱり難しいわ、なんか寄れてるもんな。ほどいてまた梳かすから」

恵「うん。…でも、なんだか慣れてきた。気持ちいいかも…」フニャ

創真「………」ギュッ

恵「きゃ…」

創真「背中向けたまま油断するとか、ちょっと隙がありすぎじゃないですかね?田所さんよ」

恵「えへへ、だって。後ろにいるのは、創真くんだから…いいのっ」

創真「ははっ、そいつは有り難いお言葉で」


創真「…にしてもさ、髪って、ほどいてみると、いつも以上に長く見えるのな」

恵「これくらいないと上手く編めないからね~。おさげだけじゃなく、他の髪型も挑戦してみたいけれど…悠姫ちゃんみたいな、お団子も可愛いよね」

創真「あとは、こうやって…頭の上で結ぶとか?ポニーテールっつーの?」

恵「ん、そうそう…夏とかは、首を出した方が涼しいし。あとは編み込みとかかなあ」

恵「一度伸ばしちゃうと、ショートカットにするのは勇気がいるんだよね~。ショートも可愛いと思うんだけど…創真くんはどんな髪型が好き?」

創真「んー?よくわからねェな、気にした事ないしよ。でも、田所だったらどんな髪型も似合うんじゃないか?」

恵「え?えへへ、そうかなぁ~」


創真「でもまー田所なら、このままの方がいいかも。触り心地いいし」ナデナデ

恵「うーん、嬉しいんだけど…なんだかペット扱いな響き?」

創真「気のせいですって。あー気持ちいい気持ちいい、艶やかで綺麗な黒髪ですね~」ナデナデナデ

恵「気のせいなんかじゃない気がする~!しかも加速したよー」

創真「だっから、気のせいだって」チュ

恵「わ……」

創真「………」クンクン

恵「な…なんだか、照れちゃうよ、創真くん……髪の匂い、そんなに嗅がないで」

創真「なんでよ。スゲーいい匂いなんだから、いいじゃん」

恵「それは、お風呂入ったばかりだから、いいけど…やっぱり良くないの~、恥ずかしくなってきちゃうもん」

創真「丁重にお断り申し上げます」ギュー

恵「もうぅ……」


恵「創真くんって、結構甘えん坊さんだよね?」

創真「そーか?」

恵「そーだよ~」

恵「…だからすごく意外だったなあ。こんな風に甘えてくれるの、想像できなかったし」

創真「んなつもりは無いんだが、お前がそう思うなら、そうなんだろうな。…イヤか?」

恵「ううんっ。…恥ずかしいし照れちゃうけれど、それ以上に、すごく嬉しい」ニコ

創真「よし、いい答えだ」ニッ

創真「…でも、他の奴には秘密な。それこそ恥ずかしいからよ、それに、なんだ……田所にしか、やらねーんだからさ」

恵「………えへへへへ。うん、わかった」テレテレ

創真「はぁ……くっそ恥ずかしい」ギュウ

恵「…照れちゃってる創真くんの顔、見てみたーい」

創真「断固拒否の構え」


恵「がっちり固められて動けない……チャンスなのに」

創真「なんのチャンスだよ…」

恵「だって創真くん、滅多に照れてくれないじゃない?見てみたいんだけどなぁ」

創真「…そんな事もないぜ?俺だって、結構照れたりするわ」

恵「本当に?」

創真「本当に。…だからあんまり意識させんな」コツン

恵「あう。いつも私が照れてばかりだし、…喜ばせてもらってばかりだし…」

創真「………」

恵「…プレゼント……本当に、ありがとう。とっても嬉しい」

創真「…どういたしまして」

創真(……あー、この流れなら、久しぶりに……)

~~♪♪ ~~♪♪♪

創真・恵「!!!」ビクッ


創真「わ…悪ぃ。俺の携帯、音切ってなかった」ドキドキ

恵「う、うん、大丈夫だよ」ドキドキ

恵(…ひゃ~、なんだか、すごくドキドキしちゃった……創真くんのあんな雰囲気も久しぶりかも…)

創真「倉瀬からのメールだ」

恵「倉瀬…さん?」

創真「おう。ほら、カラオケん時に会ったって言った、中学まで一緒だったって奴」

創真「週末、みんなで集まらないかってよ」

恵「へー、いいなあ同窓会みたいだね!行っておいでよ、創真くん」

創真「……けど、週末は…」

恵「? なにか用事でもあるの?」

創真「…あ。いや。…まあ、そんな感じ。朝から出掛けるつもりだった」ハッ

恵「?? それじゃあ、ダメそうかな?」

創真「うーん、夕方からなら空くけどなぁ……」


恵「それなら、ふみ緒さんに言って、門限伸ばしてもらったら?折角の機会なんだもん、行ってきなよー。ずっと会ってないんでしょ?」

創真「んー……そうだな、たまには実家の様子も見たいし。んじゃ、行ってくるか」

恵「うん。楽しんできてね」

創真「おう」

恵「………」

創真「………」

恵(一旦、我に返っちゃうと……)ドキドキ

創真(死ぬ程恥ずかしくなってきた)ドキドキ

恵「あ、あははは」

創真「ははは、…そ、そろそろ部屋に戻って寝るわー」

恵「う、うん!おやすみ、創真くん!」

創真「はぁ~……おやすみ、田所…」

恵(創真くん、ちょっと元気なくなった?)


【週末・極星寮】


えりな「……?幸平くん、どこに行ったのかしら」キョロキョロ

吉野「どしたの、お嬢。幸平なら朝早くに出掛けたよ」

えりな「そうなの、ありがとう。いえ、調べ物をしていたから、余っている資料をあげてやってもいいかと思ったんだけど…」

吉野「調べ物~?アイツがねー…。恵が言っていたけど、中学の時の友達に会うんだってさ、帰りも遅いみたいよ」

えりな「そう。旧友に……」

吉野「………」

吉野「………昔の友達と会って、昔話に花が咲いて、実は私昔から幸平くんの事が!なーんて流れに……」ボソッ

えりな「………」

吉野「………」

えりな・吉野「ないわー」

えりな「幸平くんだもの」

吉野「幸平だもんねえ~」


【夕方・繁華街ファミレス】


創真「ブワックショーイ!!!……風邪か…?」ズルッ

創真(倉瀬のメールでは、確かここで集まっているって話だが……)キョロキョロ

倉瀬「あ!幸平くん、こっちこっち!」

女友「久しぶりー、幸平」

創真「おー、みんな元気そうじゃん。…あれ、一人足りなくねーか?まだ来てないとか?」

男友「あぁ、アイツは予備校あるからって先に帰ったぜ。ほら幸平、メニュー」

創真「サンキュ。…予備校とか、気ぃ早くね?」

男友「アイツ、頭いい大学狙ってっからなー。今からやっとかないと間に合わないって感じみたいよ」

女友「三年間なんてあっという間だもんねー。幸平こそ悠長に構えてらんないっしょ?厳しいんじゃないの、アンタが行ったとこ」


倉瀬「最難関って有名な、遠月学園……だよね?」

創真「んー、まあそこそこに。入ったからには、てっぺん取るけどな」

女友「おうおう、相変わらず半端ない自信で。…親父さんには一回も勝った事ないくせにさー」

創真「…次やったら絶対俺が勝つし。マジで!」グサッ

倉瀬「…ふふっ」クスクス

男友「とりあえずさ、注文しちまえよ幸平。んで、乾杯しようぜ!乾杯!」

創真「おー。腹も減ったしな。(…"普通"の飲み物で乾杯して始まる宴会とか、久しぶりに感じるわ)」


・・・


男友「…はー、しっかし大学受験とかなー。高校に入れたと思ったら、またかよって感じだよなあ」

女友「アンタはスポーツ特待狙えんじゃないの。ウチらよりマシじゃん」


男友「上には上がいるんだって。俺もそろそろ予備校とか行かないと」

倉瀬「この中では、幸平くんが一番びっくりしたよね」

男友「そうだよ!お前、高校行かないで店を継ぐんだとか豪語していたのに!部活帰りにお前の店で飯を食うのが癒しだったのにさぁ~」

創真「俺だって驚いたんだっつーの。この間、倉瀬にも言ったけど、恨むなら親父を恨め。親父を」

女友「親父さんのチョー美味しいご飯が懐かしいわ~」

倉瀬「幸平くんが作ったご飯も、すごく美味しかったよ!きっとまた腕前も上がったんでしょう?」

創真「あんがとよ。…おう、絶賛修行中って感じ」

男友「はぁー…っ。ハイレベルの料理学校…更には女のレベルも高い遠月学園かあぁ~」


創真「女のレベル?」

女友「アンタ、またそれ?さっきからすごいしつこいんだけど」

男友「ウチの学校でも有名だしよ、薙切えりなが通ってんだろ?いいなーいいな、俺も見てみてー!生薙切!」

創真「?? そんなに興奮するものか…?」

男友「おっ前!スゲー贅沢すぎんだよ!!これはアレだな、近くに居すぎて感覚麻痺してる系だわ、絶対!」バン!

倉瀬「ま、まあまあ……仕方ないよ、幸平くんだもの」

女友「料理の事しか頭にない、料理バカ相手にしても空回るだけだって」

男友「あー勿体無い、勿体無い……」ブツブツ

創真「…???」

男友「そんなだったらさぁ、薙切えりなを紹介してくれよー」


創真「えー…勘弁しろよ、絶対怒ってきそうだし」

女友「なんか知り合いみたいな口振りじゃない?」

創真「薙切、今うちの寮に住んでるからよ」

男友「はあああぁぁぁぁんん!!?」

倉瀬「!!?」ビクッ

男友「なにそれ聞き捨てならねーんだけど!薙切えりなと一つ屋根の下!?なにそれなにお前どこの勝ち組!?」

創真「だからさあ、そんな興奮するようなもんか…?あの薙切だぞ?」

男友「ふざっけんな、あの薙切だからだろ!おぉ…おぉ、神様……!!なんでこんな料理バカに…」

女友「もうコイツほっといていいよ、色々拗らせすぎだから」

創真「そーするわ」

倉瀬(薙切えりな…えっと、確か遠月学園総帥の孫娘で……すごい美少女なんだっけ。…でも、幸平くんのこの反応なら…大丈夫そうかな!)


男友「……わかった、薙切えりなは諦める。けど、せめて可愛い女の一人くらい紹介を……」

女友「諦めてないじゃん」

男友「合コンしようぜ、合コン!幸平も料理ばっかりじゃなく色気出せよ!俺もダチ連れてくるしさ!」

女友「釣り合い取れねー」

創真「合コンなあ…(吉野辺りは好きそうな感じするけど)」

男友「だって俺イヤだもんよ、折角の青春期を汗臭いままで終わらせるなんてよー。彼女欲しいんだよ、彼女~」

女友「だからって頼む相手間違ってない?」

創真「俺、彼女いるしな」

女友「だよねー、そんな必要、ハナっからないっつーのよね、あははは」

倉瀬「あははは」

男友「はっはははは………」




  「「「はあああぁぁぁぁんん!!??」」」

創真「 」ビクッ


男友「ちょっ、待っ、おまっ、……え?え?」

女友「んな、一番興味無さそうな幸平が、トップで……?」

倉瀬「ゆ、ゆ、幸平くん、それ、それ、ほ、本当に!?」ガタガタ

創真「お……おぉ?嘘吐いてもしょうがないだろ」

倉瀬「 」フラッ

男友「待て!まだ待て、見栄張りから来る冗談という可能性が!」

女友「写メとかは、あんの?」

創真「えー…なんか出すのイヤな空気だな……ほら、これ。前に遊園地行った時に撮ったヤツ」スッ

男友「はあああぁぁぁぁんんあああ!!?…か……可愛い……純朴っていうの?可憐っていうの?」

女友「なにこいつマジキモい」

倉瀬「……!も、もしかして、もしかして…この間、カラオケに来ていた時……」

創真「あー、一緒にいた」


女友「なにそれ、それってデート!?デートってこと!?」

創真「なー、もう止めようぜ、こういう流れ、あんまり得意じゃねーんだよ」

倉瀬(…終わった……見ているだけで終わった…)ズーン

女友「うっそマジで信じられないんだけど。アンタ本当に料理の事ばっかりだったのにさ」

男友「この世には神も仏もないわ…」

創真「はいはい、もう終わりな、話題変えようぜ!なんか別の話しろよ、倉瀬!」

倉瀬「わ、私!?無理!なにも思いつかないよっ」

女友「じゃあ最後にひとつだけ!マジで実在する彼女なのね?どんだけ好きなの、本気なの?」

創真「ひとつじゃねーじゃん!…ったく……どれだけって言われたら、うーん……>>703くらいには好き、だな」

料理だな。

満場一致!


男友「料理くらい、って……」

女友「幸平にとっちゃ、最上級って事じゃない!この料理バカが!?マジで!?そんなにベタ惚れなの!」

倉瀬「 」

創真「もう勘弁しろよ、この空気」

男友「どうやってゲットしたんだ!っつーかなんでお前が!?俺よりも先に!?おいっどこまでやったんだよ、いやまさかお前の事だしな、まさかそんなまさか……まさか」

創真「まさかって何回言ってんだ」

男友「マジで!マジでどこまでいったのか教えろ、俺に希望を与えてくれ、幸平ぁ!」

創真「あーもううるせえなー、これ食わすぞ」カパッ

女友「そ!れは……!!幸平印の失敗作!!」

創真「新作って言え。ほれほれ、店員がいない今のうちだ、バクっとおあがりよ!!」

男友「待て、ちょっと待て!無理、絶対無理、俺が悪かったぁぁ!!」


パクッ!!

男友「!?」

創真「!?」

倉瀬「~~~ッッ!!」モグモグジタバタ

女友「ちょっ!?真由!アンタなに横から食べてんの、それ致死量でしょ!!」

創真「新作料理だ!…ちょっと驚きはしたが、どうだ?お味の方は」

倉瀬「ううううう、イカが……イカがあぁ…」ヒクヒク

創真「はっはっは、イカすってか、旨いか、ほらほらもっと食え」

女友「違ぇーよバカ!!追い打ちかけんな!大丈夫?しっかりして、真由!」

男友「変わらねぇなー、その、嬉々として失敗作食わせるところ……あー、なんでコイツに彼女ができて、俺にはできないんだあぁ…」

創真「もう終わりにしろっての、その話は!違う話題にしろよ、中学ん時の話とかさー」

倉瀬「けほ、けほっ、………」


・・・


創真「…あ、もうこんな時間じゃねーか。俺、そろそろ帰るわ。寮の門限があるからさ」

女友「っはー…今日は色々衝撃的すぎたわー」

男友「また改めて集まろうぜ!聞きたい事も山程あるしよ!」

創真「本当に懲りねーなーお前も……」

倉瀬「………」

女友「ゲーセン寄ってプリクラ~とか考えていたけど、タイミング逃したわー。マジで次にリベンジだね」

創真「そーだな、全員揃ってからのがいいんじゃね?ほら、会計行くぞー立てー」

男友「ううう、ここから出たら再び暗い明日が襲ってくるんだあぁ……ムサ苦しい明日が~」



店員「ありがとうございましたー!」

女友「んじゃ、アタシこっちだから。また遊ぼうね!」

男友「俺はチャリだー、駐輪場から取って来ないと」


創真「俺は駅方面。んじゃ、またな。今日は呼んでくれてありがとよ」

女友「次の会場はゆきひらでー、とか言いたいけどねー」

創真「はは、親父が帰って来てからだな、それは。…じゃーなー」スタスタ

倉瀬「………」

倉瀬「……っ!」ダッ

男友「あっ!おい、倉瀬っ!?」



タッタッタッ

倉瀬「ま……待って!幸平くん!!」

創真「……ん?なんだよ、倉瀬。お前も電車で帰んの?」

倉瀬「違う、けど……」ハァ ハァ

創真「………?んな、息切らせるほど走って。俺、なにか忘れ物でもしたか…?」

倉瀬「幸平くん…あの、……写メ、撮ってもいいかな?」

創真「……んっ?」

倉瀬「あっ、ダメならいいの!変なお願いだし、断ってくれて全然いいから!!」


創真「や、別にいいけど…変な奴だな。俺を撮ってなんか楽しいの?」

倉瀬「!! あ、ありがとう…!楽しい、とかじゃなくって……とにかく、撮るね!?」

倉瀬「………」カシャッ

創真「…やー、なんか変な感じだな。改まって撮られんのなんて」

倉瀬(楽しい、じゃなくて………嬉しい、だよ。幸平くん…)

倉瀬「ありがとう、幸平くん。…また、また遊ぼうね。幸平くんの料理も食べたいし」

創真「おう。親父が帰ってきて、ガスとか復活したらな、その時は」

倉瀬「また料理対決とかあったら、私、幸平くんの料理を選ぶから!私、幸平くんが、…ゆ、幸平くんの料理が、好きだし」

創真「………」

創真「そういうのはいいよ、ちゃんと旨い方を選んでくれ」

倉瀬「え……」


創真「そりゃ親父には勝ちたいし乗り越えたいけど、判定が甘くなんなら、別の奴にジャッジを頼むわ」

倉瀬「!! ごめ…んなさい、あのっ、そんなつもりじゃなくって」

創真「大丈夫だって。食わせないってワケじゃねーから。注文を受ければ料理は必ず出す」

創真「…親父に勝ちたい。料理を究めたい、その気持ちは前よりずっと強くなってんだ。親父には…俺の実力で勝ちたい。じゃなきゃ意味がないんだ」

倉瀬「………」

創真「次にお前に食わせる料理は、前のものよりもっと旨くなってると思うぜー?期待していてくれよ」

倉瀬「うん……楽しみに、しているね…」

創真「おう。任せてくださいよ」ニッ

創真「電車に乗り遅れるから、もう行くわ。またな、倉瀬」

倉瀬「あっ。………」


倉瀬(…幼稚園の頃から、ずっと見ていたつもりだった)

倉瀬(でも、あんなに真剣な目付きは……初めて見たな。料理に向かう時はいつもあんな表情だったのかな、…調理場には入れないから、知らなかった)

倉瀬(幸平くんの彼女さんは、きっとそれを知っている…)

倉瀬(なにも特技のない私じゃ……でも、それでも私は…!)

女友「……いたいた!真由ー!どうしたのよ、いきなり走り出して!アンタも私と帰り道同じでしょ!?」

倉瀬「あ…ご、ごめん。追いかけて来てくれたの?」

男友「ノリで俺までこっちに来ちまったよ。早く帰ろうぜー」

倉瀬「……うん。ごめんね、2人共。帰ろっか」

男友「………」

男友「あ、あの、倉瀬。良かったら俺と……」

女友「空気は読もうか」

男友「はい」


【極星寮】


一色「お帰り、創真くん」

創真「ただいまっすー。ふみ緒さんは?門限延ばしてもらった事の礼をと思ったんだけど」

一色「もう休んだよ、ふみ緒さんの代わりに僕が帰りを待っていたってワケさ」

創真「そうだったんすか、すんません。一色先輩」

一色「どういたしまして。お風呂沸いているよ、入るかい?」

創真「ん、じゃあ甘えさせてもらいます」


・・・


創真「ふー……いい湯だった、と」スタスタ

恵「あ!お帰りなさい、創真くん!どうだった?楽しかった?」

創真「おー。まだ起きていたのか、田所。…うん、楽しかったぜ。みんな元気そうだったし」


恵「そうなんだ、良かったねー」

創真「おう」

恵「……?どうしたの?創真くん…、なんだか疲れてない?」

創真「あ。…そう、か?」

創真(やべ。田所を見たら気が緩んだ…ここのところ、ずっと気ぃ張ってたのが、やっと終わったから)

恵「朝から出掛けていたもんね。明日も休みなんだから、一日ゆっくりしたらいいよ。お疲れさま、創真くん」ナデナデ

創真「……おー…ありがとうな、田所」ホッ

創真「でもさ、明日も出掛けたいんだ。田所、明日は暇か?一緒に行ってもらいたいんだが」

恵「疲れは大丈夫なの?私は明日、時間あるけど…」

創真「大丈夫大丈夫。あのさ、明日は……」ゴニョゴニョ

恵「………! …わかった、私も行く…」


創真「よし。じゃ、明日よろしくな。ずっと話せなくて悪かった」

恵「ううん、都合合って良かったけど…合わなかったら、一人で行くつもりだったの…?まだ私に隠している事、あるんじゃ…」

創真「それも明日で全部わかるから」

恵「………」

恵「創真くん。一人で抱え込んじゃ、イヤだよ」

創真「………」

恵「今回はもう終わった事、なんでしょう?でも…お願い、これからは隠さないで。私だって…私だって、創真くんをサポートしたいの」

恵「足手まといにならないよう、頑張るって決めたのに。…私を置いていかないで。連れていって。私、創真くんとなら、どこにだってついていくから」

創真「…ごめんな、田所。ありがとう」

創真「……俺について来てくれるか?」

恵「うんっ!」

創真「……お前を選んで、本当に良かったって思う。…ありがとうな」

ありがとうございます


【翌日早朝・空港】


ヒナコ「…次に帰国するのは、いつ頃ですか?」

四宮「さあな。仕事次第だ。最近頓に忙しくなってきたからな」

四宮「なんだ、寂しくなったか?」ニヤ

ヒナコ「まっさかぁー。笑えない冗談ってただのセクハラにしかなりませんからね?四宮先輩」

四宮「フン。可愛くない女。卒業式の時にはあんなに号泣していたくせに、……まああの時も憎まれ口叩いていたか…」

ヒナコ「あの時の私は青かったですからね」

ヒナコ「……今は、会おうと思ったらいつでも会えますし。だから平気なんです。…気づいてました?大人になったんですよ、私も」

四宮「俺から見ればまだまだヒヨッコヒナコのままだ」

ヒナコ「眼鏡の度、変えたらいかがです?」


四宮「…さて……少し早いが、中に入ってゆっくりと飛行機を待つか…」

ヒナコ「あ、待ってください、四宮先輩。まだ先輩を見送ってくれる人達が」

四宮「あ?誰だ。水原達か?」

ヒナコ「残念ながら違います、声はかけたんですが都合がつかなくて」

ヒナコ「友達のいない四宮先輩じゃあ、相手がなかなか思いつかないのは仕方ないですよねへッ!!ごべんなはい……」ガッシ ギリギリメキ

四宮「このアイアンクローも暫く味わえないんだ、たっぷり喰らっとくか?ん?」

ヒナコ「もうおなかいっぱいでふ……」メキメキ

創真「―― おー、いたいた。わかりやすいなー、またなにかいらない事言ったんすか、乾先輩」

恵「四宮先輩、そこまでにしてあげてください~、乾先輩の顔が変形しちゃう…!」オロオロ


四宮「……!お前ら…何故ここに」

創真「何故って、先輩を見送りに来たんすよ。乾先輩から日程を聞いてね」

四宮「…ヒナコ、てめえ」

ヒナコ「良かったじゃないですか~、可愛い後輩に見送ってもらうなんて、そう機会ありませんよ?」

四宮「くだらねぇ」

恵「あの、四宮先輩。これ……良かったら、どうぞ」スッ

四宮「………?」

ヒナコ「まあ、おにぎり!?いいなっいいな、四宮先輩!恵ちゃんの手作りおにぎりとか……本当に羨ましい!!!私も食べたいっていうか全部ください!!四宮先輩には勿体無いです!恵ちゃんの愛情は全部私のものだって決まっているんで!!」

四宮「幸平。ヒナコを縛って遠くにやって来い」

創真「うっす」

ヒナコ「なんでええぇ!?」ズルズル


四宮「………」

恵「あの、飛行機を待っている間にでも、食べて頂けたら、って…その」

恵「……先輩に叱咤して頂いてから…少しでも、ご厚意を…無駄にしないようにって、頑張ろうって思います」

恵「先輩から見ればまだまだですけど、私、もっともっとたくさん勉強しますから。…ありがとうございました、四宮先輩。またお会いした時は、少しでも褒めて頂けるように……」

四宮「………」パクッ

恵「あっ…」

四宮「……焼きおにぎりか。…味噌味……これは、柚味噌か…?」

恵「は、はい。あと、高菜と……もうひとつは、シンプルに梅干しで」

四宮「………」モグモグ

恵「この場で食べて頂けるとは、思っていませんでした…ど、どうでしょうか…?」


四宮(………懐かしい……)

恵「…四宮先輩……?」

四宮「…35点。勿論、100点満点中でだ。技術面が乏しすぎるんだよ、精神面だけで乗り越えられる程、プロの世界は甘くない。もっと精進するんだな」

恵「うぐ」

四宮「5点上げてやっただけでも、有り難いと思え。……残りは、中で食う」

四宮「……………ごちそうさま」ボソッ

恵「!!! お、お粗末様、です」

ヒナコ「ちょ!四宮先輩の早漏!!食べちゃったんですか、私のおにぎり!なにデレ宮になってんですか、キモい!!返せ戻せ生めー!!恵ちゃんの手作りおにぎり~!!」

四宮「うるっせえぞヒナコ!!つーか戻ってくるの早すぎだろう!」

創真「あれ!?乾先輩、なんでここに!出入口に置いてきたのに!」

恵「創真くんより戻るのが早いなんて……乾先輩、すごい…」


創真「とりあえず縛り直して……」ギュッ

ヒナコ「うわあああん!あぁんまりだぁぁ~!!」ジタバタ

四宮「ったく…朝から元気な奴だな……」

創真「四宮先輩。俺からはコレを」

四宮「なんだ、まだあるのか?俺もそこまで暇じゃねぇんだぞ。………」

創真「すんません。でも、見て欲しかったんすよ。…俺が本気だって事を」

四宮「…料理コンテストの賞状に、こっちは講師陣の特別課題…認可サイン付きか」

創真「期間が短すぎたんで、その2つしか出来なかったけど。やー大変っしたよー?必死こいて頭下げて、時間作ってもらって」

四宮「……どちらも成績に大きく関わるものだな。クリア出来なきゃ退学、低い評価でも進級に大きく響いたろうに」

恵「!!!」

創真「二足三足のワラジでも、ちゃんとやってけますって証明したかったもんだから」


四宮「ハ。甘ぇよ、幸平。こんなもの、証明になるわけないだろう」

創真「そーっすね。…けど、俺達はこの先もこうして結果を叩き出してみせます。いくらでも」

四宮「………」

創真「腑抜けにはならない、俺達は真剣に、料理に向き合っている。…次に料理人として、先輩の前に立つ時は…俺と戦ってくださいよ。勿論、公式戦の食戟で。俺、絶対勝ちますから」

四宮「生意気言ってんじゃねーよ」

創真「………」ニッ

四宮「………」

四宮「…勝手にしろ」

ヒナコ「!! それじゃあ、お義父さん!私と恵ちゃんの仲を認めてくださるんですか!?」

恵「ふえぇっ!?」

四宮「誰がお義父さんだ!いつからお前と鈍間の話になった!!つーかもう縄ほどいてんじゃねえ!!!」

創真「ははは、四宮先輩も忙しいなー」


四宮「認める認めないの問題か……。…とにかく。せいぜい頑張ればいいんじゃないか。馬鹿同士足を引っ張り合いながら」

ヒナコ「本当に素直じゃないんだから~。もっと労ってあげればいいのに」サッ

四宮「………」

ヒナコ「あ、あれ?ガードしようと思ったのに、攻撃が来な ―― 時間差っ!!?」ゴス!!

創真「料理人として立つ前に、しっかり修行積むんで。その間は、普通にお会いしましょう、先輩後輩としてね」

恵「いってらっしゃい、四宮先輩。お体には気をつけてくださいね」

四宮「……ふん。…じゃあな」

ヒナコ「 」ズルズル

創真「…あれ。気絶した乾先輩、連れてっちまったけど。いいのか?」

恵「仲いいよねー、あの2人。…ところで、創真くん。ちょっと」


創真「……お説教タイムっすかね?」

恵「少しだけね。…はい、ここに座って。このベンチに」ポンポン

創真「うーい…」

恵「………」グイ

創真「!? …あれ、田所さん?…なんで俺、膝枕してもらってんでしょうか」

恵「…創真くん、疲れているでしょ?少し休んでから帰ろうよ」ナデナデ

恵「……気がつかなくて、ごめんね」

創真「田所が謝る事じゃねーだろ。気づかれないよう、やって来たんだしよ」

恵「………」ナデナデ

創真(…ちっと恥ずかしいが……心地好いな、…最近あんまり寝ていなかったし…)ウトウト

恵「…お願いだから、無理しないで」

恵「私を置いていかないで…私、創真くんがいなくちゃ、ダメなの…」

恵「料理や勉強の事じゃなくて、それ以外だよ。…創真くんがいなくなったら、イヤだよ」


恵「頑張ろうって決めたけど、頑張りすぎちゃダメなんだからね。…創真くんの、ばか」

恵「…でも…それでも、創真くんは、いっぱい頑張りました。偉かったね、お疲れさま…」ナデナデ

恵(…次に、先輩達に会うときは…もっと褒めてもらいたいな)

恵(あの非公式食戟で貰ったコイン……御守りにして、持ち歩いている)

恵(このコインを無駄にしちゃいけない。創真くんを支えなきゃいけない。……今回の事は…本当に、いい機会になったな)

創真「………」グー グー

恵「…ふふっ。創真くん、可愛い」ナデナデ

恵(…そうだ、創真くんからプレゼント貰ったんだ、なにかお返ししたいなあー)

恵(こんなに疲れちゃって、労ってあげたい。物を贈る以外にも、なにか気分転換になる事…なにをしてあげたらいいかなあ…?)

恵「…ねー、創真くん。お礼は何がいい?」

創真「……>>728」ムニャムニャ…

恵の飯食いたい

スレ開いてくれてありがとうございます


創真「……恵の飯食いたい…」ムニャムニャ

恵「!!!???」ボッ!!

創真「………」グー グー

恵(え?え?ね…寝言?だよね?今の……そそそそりゃあ名前で呼ばれたかったけど!強請りもしたけど!!いきなり呼ばれると…)アタフタ

創真「…ん~……」

恵(いけない、起こしちゃう……寝てる…よね?起きてないよね?……うああ…顔が熱い…絶対真っ赤になっているよ~!お願い、創真くんが起きるまでに、熱が引きますように~!)

恵(で、でも、…ご飯か、いいかもしれない……私だって四宮先輩に叱られてから、遊んでいたわけじゃないもん!)

恵(ようし、創真くんの為にご飯を作ろう!いちから全部材料を揃えて…)

恵(なにを作ろうかなあ……美味しいって言ってもらえるもの、…なにがいいかなー)


【住宅街付近】


恵「本当に大丈夫?先に寮へ帰ってもいいんだよ?」

創真「大丈夫大丈夫!スゲー熟睡しちまったしよ。それに、なにか買うんだろ?付き合うって。田所こそ疲れてねぇか?ずっと膝枕させちまったし」

恵「私は大丈夫だよー。……あ、あのね。今日は、私が創真くんのご飯を作りたいの。…食べてくれる?」

創真「マジで!?なんで!?いや、食う!食うよ、ははっ、こりゃあ楽しみだなー」

恵(わあぁ、すごい食いつき……こ、これは頑張らなきゃ…!本当に食べたいって思ってくれていたんだなー、嬉しい…)

創真「んじゃ、買い物ってのは食材か。いつものスーパーなら色々安いけど、ここからだと遠回りになっちまうよなぁ」

恵「千代さん?そうだねぇ、いい品も揃っているんだけど…今回は近場で済ませちゃおっか。こっちもそこそこ安いし」


創真「んで?なにを作るつもりなんだ?」

恵「うーん、秘密!でもヒントだけあげる~、ご飯で食べたい?それともパスタにしようかなって考えているんだけど…創真くんはどっちがいい?」

創真「そうだなぁ…ここはひとつ白米をガッと食いたいかな」

恵「ラジャー!食欲はあるんだね、良かった。それじゃあ、まずは野菜コーナーから回ろ。カートとカゴを持ってくるね」

創真「カートは俺が押すよ。っつか、野菜なら一色先輩に言えば、分けてもらえんじゃねーの?」

恵「それも考えたんだけど…やっぱり、いちから全部揃えて作りたいの」

創真「随分気合い入れてくれんだな。ますます楽しみだわ~」

恵「プレッシャーが……う、ううん!大丈夫、頑張るからね!」


恵「えっと……これと、これと…ねえ、創真くん。この玉ねぎ、どっちの袋のが大きいかな?」

創真「ん~…こっちの方、か?」

恵「じゃあ創真くんが選んでくれた方を買おうねー。あとはー、セロリさん、オクラさん~」

創真(……なんかいいな、こうやって一緒に買い物する…純粋に楽しめるってのも。なんだか久し振りな気がすんなぁ…)

恵「……野菜はこんなものかな。次はお魚コーナーね、出発するよー創真くん」

創真「はいはい、田所号、発進ー」ガラガラ

恵「ただのカートだよ~!」



店員「らっしゃいらっしゃい、安いよ安いよー!どれも鮮度いいよー!」

恵「アジを買おうね、ぷりぷりのヤツ!どれにしようかなー」

創真「おっちゃんの言う通り、どれも活きが良さそうじゃん?丸ごと一匹買うのか?」


恵「うん。三枚におろして使うから」

店員「なんだ、嬢ちゃん。料理得意なのかい?いやあ、若いのに偉いねぇ。今時、魚に包丁入れられる子なんてなかなかいないよ」

恵「えっ?えへへ、そうですかね~」

店員「よっし気に入った、オマケしてあげるよ!アジが欲しいんだろ?まだまだ時間じゃないんだが、値引きシールを貼ってやるからさ!」

創真「マジっすか!?ありがとうございます、おっちゃん!良かったな田所、得したじゃん!」

恵「いいんですか?とっても嬉しいけど、…ありがとうございます~!」

店員「いいんだよ~、今後とも、ご贔屓に!まいどありー!」

恵「わぁい、本当に良かったねー創真くん!たくさん食べられるよ~」

創真「おう、おっちゃんには足向けて寝られねーな、こりゃあ」


恵「あと買うものは、もうないかな…あ、そうだそうだ。お砂糖切れかかってた、買っておかなきゃ」

創真「砂糖か、調味料コーナーだな…」

恵「三温糖をよろしくね。創真くん、飲み物はどうする?お茶でいいかな?」

創真「ん、茶でいいよ。ほい、砂糖持って来たぜ、カゴに入れておくからな」

恵「大変大変!創真くん、ヨーグルトが安い!買っておこうか?創真くん、ヨーグルト食べる?いちごソースつきだよ!」

創真「ヨーグルトくらいではしゃがないでくださいね、田所さん。…食うけど!」

恵「そんな創真くんが手に持っているのはなんですか?」

創真「たけのこの里と、きのこの山ですが。なにか問題でも」

恵「お菓子は一個までです」

創真「…わかってくれ、田所。人はこの戦いに終止符を打たなきゃならない使命があるんだ、きのこたけのこ戦争の終止符を……」


恵「ダメー。どっちか一個だよ!」

創真「じゃ、俺と田所それぞれ一個って事で、両方お買い上げー」

恵「あー!またそうやって、ズル言うんだから~。……半分こにして食べようね」

創真「結局お前も食うんじゃねーか」クスクス

恵「えへへ、だってどっちも美味しいもん」



恵「…お米は寮にあるし……。ん、買い忘れなし、お会計に行くよー」

創真「結構買ったなぁ。金、俺も出すよ」

恵「大丈夫だよ、魚屋のおじさんにオマケしてもらったし、ちゃんと考えて買ったから。ヨーグルトは衝動買いしちゃったけど……予想より安いくらいだよ」

創真「うーん……でも、せめて菓子代くらいは出させろ?ほら、受け取れ」

恵「いちから揃えたかったんだけどなー、…でも、そしたら甘えちゃおうかな。ありがとう、創真くん」


創真「いやいや、菓子は俺が勝手に選んだんだから、礼を言われるところじゃねーだろ」

恵「そうかな?でも、本当に気にしないでね。これもまた、勉強の一環でもあるんだから」

創真「ありがとうな。……ところで田所さん、アイス食べたくありません?」

恵「お菓子は一個までです!」



店員「いらっしゃいませ、カゴをお預かり致します。…○○円が一点、○○円が一点……」ピッ ピッ

店員「……合計、○○円です。ポイントカードはお持ちでしょうか?」

恵「いいえ、持っていません。…えっと、○○円……」

創真「カゴ持っていって、袋詰めしておくからな」

恵「あ、うん!よろしくお願いね、ありがとう、創真くん。…ごめんなさい、小銭もあります」

店員「はい。○○円、お預かり致します」


恵「…ごめんね、お待たせ~。小銭出すのに手間取っちゃった」

創真「平気平気。袋詰めといたぜ」

恵「ありがとう~。…って、全部袋持つ気?半分貸して、私も持つから」

創真「んじゃ、こっちの袋を頼む」

恵「なんだか随分、軽い気がするんだけど…創真くんの袋、重たいんじゃない?平気?」

創真「2つに分けたらこんなもんだって。ほら、帰ろうぜ。氷は入れておいたが、早く帰らないと、魚温まっちまうから」スッ

恵「(手……) …うんっ。帰ろう!」ギュッ

創真「田所の飯か~、なんだろうな、スゲー楽しみ」

恵「頑張って美味しいの作るからね~。帰ったら私の部屋に来てくれる?部屋で作るから」

創真「その方がいいかもな、他の奴に見つかったら食われちまいそうだし」

恵「ふふ。今日のご飯は創真くんだけに食べてもらうんだー」

ありがとうございます。
険悪ムード話を書くのって難しいなと思った。


【極星寮・302号室】


恵「よ~し、作るよー!…でも、創真くん、今日バイトは?」

創真「いや、休み。あくまで余裕ある日だけしかシフト入れてもらってねーし、今日は四宮先輩の見送りもあったからさ」

恵「そっか!じゃあ一緒に居られるんだね、嬉しいな~」

創真「おう。……覗き対策もばっちり取ったしな」

恵「ヨーグルトを買って良かったって思うけど…あれでいいのかなあ?」

創真「本人がいいってんだから、いいんだろ。3連で良かったよな、1個あげても、俺と田所も食える」

創真「ヨーグルトがなかったら、たけのこかきのこのどっちかに、犠牲になってもらわなきゃならなかったしよー」

恵「ふふふ。衝動買いも、そう悪い事じゃないんだね」クスクス


・・・


吉野「ちょっと!一色先輩、そこを退いて!恵とお喋りするだけだから、本当にそれだけだから!」

丸井「とか言って、ちょっかいかける気なんだろ…?」

吉野「シャラップ!!」クワッ

一色「残念ながら、ここは通せない。通りたくば、この僕を倒していくんだね。この遠月十傑第七席、一色慧を!」

伊武崎「…ヨーグルトごときで釣られるって、第七席の名が泣くんじゃないか」

一色「ただのヨーグルトじゃないよ。いちごソースもついているんだ。何より…なんだか、この立ち位置に心地好さを覚える」

榊「完全にラスボス状態ね……」

伊武崎「いや、中ボスだろ。ラスボスは幸平」

吉野「なら、薙切さんは!?第十席、女王・薙切なら!」

一色「彼女なら側近ちゃんと一緒に、選定会出席で出掛けているよ」

吉野「うがー!!!無理ゲー!!!」


・・・


創真「なー、俺もなにか手伝うって」

恵「いいの、創真くんは座ってゆっくりしていて?今日は私が全部作るんだから。本棚に漫画とかも、少しあるよ?」

創真「んー……」

恵「~~♪」トン トン

創真(…料理している後ろ姿を眺めるってのも、悪くないが……任せっぱなしなのもアレだよなあ)

創真(……何気に店で食う以外で、飯を作ってもらうのを、ただ待つってのが慣れないんだな)

創真(実家でも修行がてら、親父と一緒に作るか…自分で作るかだったし。他の奴はこういう時に何をして待ってんだろ)

創真「………」ボーッ

創真(……そのうち、こういう機会も増えたりするのかね)

恵「あれ?漫画とか、読まないの?寝ていてもいいよ、できたら起こしてあげるから」


創真「いや、いいわ。田所眺めてっから」

恵「えっ」ポッ

恵「……み、見られていると思うと、落ち着かなくなっちゃうんだけど~…」

創真「待つ間にやる事の中で、これが一番いいと思ったんだ。なんか和むし」

恵「うー…わかった、私の負け!創真くん、こっちに来て?手伝ってくれる?」

創真「! よし来た!なに、俺はなにをしたらいいんだ?」バッ

恵「えっとねー、……はい、あーんして」

創真「んっ?」パクッ

恵「創真くんのお仕事は、味見です!どう?お酢はキツくない?」

創真「ん、大丈夫。丁度良い感じだぜ」モグモグ

恵「良かった~、それならこのまま作っちゃうね。あとは…そっちの、使い終わった用具を片付けてくれると助かるな」

創真「あいよっ」


恵「…できましたよ~。ご飯は食べたいぶんだけ、よそってね。おかずは先にテーブルへ運んでおくから」

創真「よっしゃあ!食うぞ、もう腹減りすぎて背中とくっつきそうだ!」

恵「うふふ、創真くんったら。どうぞ召し上がれー。…アジとたっぷり野菜のマリネ、それから鶏肉とセロリの卵炒めだよ。足りなかったら言ってね、冷凍だけど…ミートボールも買ったから、すぐ温めるよ」

創真「うは、こりゃすげえな!いただきまーす!」パクッ モグモグ…

恵「お味はいかが?」ドキドキ

創真「…うん!美味ぇっ!!さっぱりとしていて食べやすい、箸が止まらないってのは、この事だな!」

恵「本当!?良かったぁ~……疲れている時は、お酢がいいかなぁって思ったの。だからこれを作ったんだよ」ホッ


創真「確かに、夏とかは妙に酸っぱいものが恋しくなったりするもんな」

恵「これもね、夏バテには最適だって、レシピに書いてあったから。たくさん食べて、元気出してね、創真くん」

恵「はい、お味噌汁も作ったよ」

創真「おう、サンキュー。…うんっ、味噌汁もまた旨いな。ダシが利いているわ、飯が進むな~」

恵「やっぱり、日本人なら白米にお味噌汁、かな?」

創真「それから忘れちゃいけない梅干し、な」

恵「ふふふっ。前に創真くんが作った、ねり梅を混ぜたさっぱり梅風味ご飯も美味しかったねー」

創真「ああ、肉魅と食戟した時に使ったやつか」

恵「そうそう。あれは本当に美味しかったな~、試食なのを忘れて、私も小西先輩も、ぜ~んぶ食べちゃったもん」


創真「……にしても、堂島先輩が言った通りになったな。お前の強味は"心遣い"だって」

創真「こうして色々考えて作ってくれっから、美味しくもあり…嬉しくも感じんだ。疲れが癒えていく」

恵「だからって、これで満足はしないよ。もっともっと、技術も磨いていきたい。四宮先輩に認めてもらいたいし、それに……」

恵「……創真くんが、もっと、今以上に"美味しい"って言ってくれる料理が作りたいな」ニコッ

創真「これ以上上手くなられたら、俺、形無しって感じじゃねー?」

恵「えへへ、私、頑張っちゃうよ!だって、創真くんの喜んでくれる顔が見たいもの」

創真「なら、いつか田所とも食戟する日が来たりすんのかね」

恵「えっ、それは無理…創真くんには敵わないもん。……でも、賭けるものによっては、頑張りたいかなぁ…?」


創真「賭けるもの、かー。例えば何だろうな」

恵「うーん…?すぐには思いつかないね。創真くんと戦う理由がないっていうのは、喜びたいところだけど」

創真「っつか、田所!飯、おかわり!」

恵「はいっ。……あれっ、も、もうご飯がない!創真くん、全部食べちゃったの!?」

創真「え、マジで?旨かったから、つい」

恵「食べ過ぎて、お腹壊さないでね?すぐに炊くから待ってて~!お鍋、お鍋ー…!」アタフタ


・・・


創真「…っはー、食った食った!ごちそうさまでした!」

恵「お粗末さまでしたー。綺麗に食べてくれて嬉しいな、ありがとう、創真くん」

創真「礼を言うのはこっちの方だって。田所の飯が食いたいと思っていたし、いいタイミングっつーかさ」


恵「……やっぱり、あれは寝言だったの?」

創真「ん?寝言って?」

恵「あ、う、ううんっ!なんでもないの!」ワタワタ

恵(お……思い出しちゃった。名前で呼ばれた事…寝言でも、やっぱり恥ずかしくなっちゃう…)カーッ

創真「田所?どうした?」

恵「ななな、なんでもない!なんでもないから!!そ…創真くん、お茶のおかわり、どうぞ!」

創真「?? おう、いただきまーす」

恵(はぁ……名前で呼んで欲しいけど…私が慣れるまで、時間かかっちゃいそうだな…)

恵(いつか、名前で呼ばれても照れずに、きちんとお返事したいけど……)

恵「………」チラッ

創真「はー、茶が旨ぇ……」ボケー

恵(ま…まぁ、いっか。今は、このままでも……)ドキドキ


恵「えと、お皿、片付けちゃうね」

創真「あ。それなら俺も手伝うから」

恵「大丈夫だよ、創真くんはゆっくりしていて?」

創真「いいから、いいから。腹ごなしも兼ねてってところよ」

恵「創真くんへのお礼で作ったのにな、ご飯。助けてもらっちゃったら、またご飯作らなくちゃね」クスクス

創真「俺としちゃ嬉しい限りだけどなー。毎日でも食いたいくらいだしよ。それだけ旨かった、田所が作った飯。本当にごちそうさま」

恵「な…なんだか、照れちゃう。創真くんも大袈裟なんだから。……喜んでくれて、とっても嬉しい。作った甲斐があったよ」

創真「や、俺は本気で言ってんだけど」

恵「えっ……」ドキッ

創真「>>758でもしたら、俺が本気で言っているって事が伝わるか?」

ベロチューはいいけど、創真が言いそうにもない表現だと思う。
「こいつでもしたら~」で腰をガッチリ抱きとめてディープなやつをぶち込めばいいと思う。
その後はr18な展開になるもよし、スキンシップ過多のほのぼのした展開になるもよし。

迷う余裕というのは内容かな?狭すぎたか、申し訳ないです。また色々考えるねー。

安価の置き数かー。人はどれくらいいるのかな?と思うと、つい近距離に置いてしまうもんで…。改めて考えてみるよー。


恵「えっ?」

創真「………」カチャ カチャ

恵(えっ?え?…あれ?聞き間違え、した?創真くん、お皿片付けているし……で、でも、今、絶対なにか、)

恵「………」カーッ

創真「手ぇ止まってるぞ、田所。鍋は洗わねーの?皿はもう拭き終わったぜ」

恵「あ!う、うんっ!洗う!洗うよ!?」ハッ

恵(普通だ…普通の創真くん。やっぱり、聞き間違えただけなんだ)

創真「………」ニヤ

グイッ

恵「!!? きゃ……」

創真「俺、本気で言ってんだけど。伝わんねーかな?……態度でわからせてやろうか」

恵(こっ、腰に、腕!?創真くんの腕が!!あああ……私は手が濡れているし泡だらけだし、これじゃ避ける事も、できない…!)

恵「…ちょ…、ちょっと、創真くん…ダメっ、手、濡れているから……創真くんの服も濡れちゃうよ!離して…!」アタフタ


創真「俺は別に、そんなの気にしねーけど。…田所は気にするだろうなって思ってた」

恵「!! だ、だから、お鍋洗うの待ってたの?ズルいよ、創真くん!」

創真「はっははは、おかげで逃げられないだろー。…まー、毎日ってのは流石にキツいのもわかるしさ。そこまで我儘言う気は無ぇけどよ」

創真「でも、そう強く思っているって事は本当だぜ。だからまた作って食わせてくれよ。今度は一緒に料理すんのもいいよなー?」

恵「わかった!わかったよ、創真くんの本気はわかったから、伝わったから!!…だからお願い、離して…。……刺激、強すぎるのーっ!」ジタバタ

創真「はいはい、じゃ、これで勘弁してやる」ギュッ

恵「ぅあ……」

創真「…はい、離した。早ぇとこ、その泡を落としちまえよ。手が荒れるぜ。鍋は洗ってやっから」


恵「………」

創真「安心しろ、田所がイヤだって思う事は、やらねーよ。前にも言っただろ?」

恵「………イヤじゃ、ないよ…?」ポツリ

創真「……ん?」

恵「…イヤじゃない、けど……、……私…ご飯、食べたばかりだから…だから、その……」モジモジ

創真「………」

創真「…あー……なんだ。その、…風呂入ったら、散歩にでも、行かねーか?」

恵「う…うん。行く……」

創真「…じゃ、ちゃっちゃと洗い物片付けて……風呂の時間を待つか。…俺、部屋に戻っとくから、着替えとかもあるしさ」

恵「………」コクン

創真「あとで迎えに来るからよ」

恵「うん、…待ってる、ね」


【夜・極星寮 庭】


創真「改めて見ると、デケーし広いんだよなーこの寮も、庭も……本っ当になにもかもスケール半端無ぇ、遠月って」

恵「そ、そ、そうだね、広くって、すごいよね」カチコチ

創真「…なんか久しぶりに見たな、ガチガチ真っ白な田所。まだなんにもしてねーんだから、落ち着け。気ぃ早くないっすか?」

恵「だって、だって……ううう~!」ササササ

創真「……おー、出た出た。田所の十八番、高速"人"の文字飲み」ケラケラ

恵(創真くんが意識させるからなのにー!…私も久しぶりだよ……この、おもちゃみたいに扱われているような感じ…)

創真「ほら、先に行くぞー、田所」

恵「待って、行く!行くから、……あの、創真くん…」

創真「うん?」

恵「…手……繋いで、くれる?」


創真「……お安い御用で」ギュッ

恵「………」ドキドキ

恵(…いつ、するのかな?というか、やっぱり聞き間違いじゃなかったんだ…。どうして創真くんはこうやって、いつもドキドキさせてくるんだろ)

恵(心臓がもたないよ……)ハフー

創真「裏庭に回るだけでも、ちょっとした距離があるもんなぁ…。一色畑も物凄く広いし」

恵(…普通……なんだよねぇ。それで油断すると一気に追い詰められちゃう。私、そんなにぼんやりしているのかな~?)

恵(もっとしっかりしなきゃダメか…涼子ちゃんとか、薙切さんみたいに、しっかりと…)

創真「……おい、田所。聞いてっか?俺の話」

恵「ひゃっ!?ご、ご、ごめんなさい!ボーッとしてた…!」

恵(ああ……早速しっかりできなかった…)ドンヨリ


創真「まー、田所がぼんやりしてんのは、いつもの事だ」

恵「うう!」グサッ

創真「ほら、見てみろよ田所。月が出ているぜ。綺麗なもん見てりゃ落ち着きもするんじゃないか?」

恵「……本当だ。綺麗だね、…ちょっと欠けているから、まだ満月とは言えないかな」

創真「俯いているよりかは、前や上を見た方が、気分も良くなるもんだ。どーよ、少しは落ち着いたか?」

恵「ま、まだまだだよ~。そんなに早くリセットできないもん」

創真「なにをそんな慌ててんだか。深呼吸しろって、深呼吸」

恵(創真くんのせいなのにー…)スー ハー

創真「……で、終わったら上を向く」クイッ

恵「っ!?」

創真「落ち着いたか?」ニッ


恵(顎…顎の下に、創真くんの指が……)ドキドキ

恵(ダメ……直視できない。恥ずかしい…!)

創真「………」

恵(目を瞑っていても、わかる。創真くんがこっちを見ている。ダメだ…ダメだ、…見てくれているのに、私は…創真くんを見られない…)

恵(……でも、これじゃあ、もっとダメだ!ちゃんと、見返さなきゃ…私だって、頑張るんだもん)ソー

創真「…やっとこっちを見たな。今度こそ、大丈夫そうか?」

恵「……創真くんと一緒にいたら、ずっと落ち着かないと思うな」

恵「だって…いっつも、ドキドキさせてくるんだもん。…今だってそうだよ、…落ち着く時もあるの、でも、こうやって沢山ドキドキして落ち着けない時も、あって……」

創真「それが楽しいだろ?」ヘラッ

恵「そういう問題かなぁ…?」


創真「そういうもんだよ。田所が慌てているのを見たら、宥めてやりてーと思うし、するけど……ドキドキしてもらわないと、なんつーの…困るしさー」

恵「…なんで?もう、心臓痛いくらいなんだけど~……できれば、手加減してほしいよ…」

創真「なんでって。惚れていてもらわないと困るじゃん」

恵「へぇっ!?」

創真「俺、お前に惚れてんだからさ。本気で」

恵「ふへええぇっっ!!?」

創真「だから毎日お前が作る飯を食いたいと思うんだし。やっぱりわかってなかったのか?俺もよく料理バカだ鈍感だって言われるけどよー、田所もなかなかだよなぁー」

恵「ちょちょちょちょちょっと待って、待って待って!!処理が…頭の中で、処理が、追いつかないの…!」

創真「おー、ゆっくりでいいぞ?その間、のんびり散歩でブラつきますか」


恵(…創真くんはストレートに言ってくる事が多いから、困る……)ドキドキ

恵「………」

恵(……背、おっきいな…。またちょっと伸びたのかな、創真くんの身長。…並んでいると、よくわかる……)

恵「………」ギュ…

創真(!! 腕、組んで寄り添われたとか)

恵「………仕返し」ギュー

創真「…はは。敵わねーな、本当に」

恵「歩かないで、少し…このままでいて?少しだけでいいから、落ち着けるように、するから…」

創真「大丈夫。ちゃんと待ってっからよ。…置いて行きゃしねーよ」

恵「……ありがとう。このまま…傍にいてね、創真くん。私も、いるから。傍にいる、ついていく。…毎日だって、なんだって…創真くんの為なら、私……」

恵「私も、私もね?創真くんの事が、好きだから。大好きだから…」


創真「両思いですねー。なら、俺んとこに嫁に来るか?」

恵「!!! …そ、そんな、あっさりと、また~…」カアァー

創真「でも、嘘とか冗談では言ってないぜ」

恵「………、…知ってるよ。…だって、創真くん、真剣な目してるもん。微笑んでいるけど、真剣…」

恵「私、知ってるもん。……こういう目をしている時は、真剣に向き合っているんだ、ってこと」

創真「互いに成人した時、その本番でもガチガチの田所が目に浮かぶようだし、こういう予行演習ってのも大事じゃね?」

恵「そんなこと……あるかもしれないけどっ」

創真「だろ?…今までも、この先も、真面目に言っている事だけは、わかってくれ。ガラじゃねーたぁ思うけどよ。お前の作った飯を毎日食いたいってのは、そういう意味だ」

創真「言葉で上手く伝わらないなら、態度でわからせてやる」

恵「…ちゅ、ってするの…久し振り、だね…」


創真「…そうだな」

恵「……創真くん、…そーまくん」ドキドキ

恵「…ちゅ、って……して、ください」

創真「………」ニッ

創真「少々お待ちを」ギュ

恵(…!……抱き締めてもらっちゃった…)

創真「………」

恵「…創真くん、大好き…」

創真「俺も」

チュ…

恵「ん、……えへへ。…ちゅって、しちゃったね」

創真「しちゃったなあ」

創真「……おかわりは?」

恵「…ください……」

創真「かしこまりましたー」チュ


恵「……はあ…。…ちゅってするたびに、いっぱい、たくさん…好きって気持ちが強くなるね…」

創真「…よしよし」ナデナデ

恵「えへへ」

創真「………」チュッ チュ

恵「…ん……」

創真「…田所、べってしてみ?舌出して、べーって」

恵「ん?……こう?」

創真「そう」ハム

恵(!! 舌が、舌に!)ビクッ

恵「ん…んん、っ」

創真「……ふ……」ヌル チュ

創真(…唇の裏もそうだったが、舌の裏もツルツルとしてんだな……なんだか不思議だ)

創真(表はザラついている感じで…この舌が、いつも飯の味を確かめているわけか)ヌル ヌル

恵「んッ んん、ぅ」

創真(唾液零れる)チュウッ


恵「はふ、……んっ」

創真(! 逃げんなっ)グッ!

恵「ぁ、…っ…んん、んっ、~~…!」クチュクチュ

恵(足に力が入らない、力が……創真くんが舌を吸ってくるたびに、力が抜けちゃう…)

恵(息も一緒に吸われているみたい、クラクラする……ごめん、創真くん…腕で、支えてもらって……でも、そうじゃないと、倒れちゃう…)チュ…

恵(耳……片っぽだけでも、手で塞がれていると……くちゅくちゅって、響いてきて、…なんか、変な気分になっちゃうよ…)トロン

創真「ぷは、…はぁ……っ」チュッ

恵(……離れちゃ、やだ……)ハァハァ

恵「……ん…」チュ

創真(っ、……田所から来た?)

恵「ん、ふ、んん」チュゥ クチュ

創真(…気持ちいいな)


創真「………」チュゥ カリッ

恵(っ、舌に、歯が)ビク

創真「………」ハプ

恵(唇で挟まれて……)

創真「………」チュウゥ

恵(吸われる)ビクビク

創真「ん、 (はい、ノックアウト)」チュッ

恵「ふへぇ……」フニャ

創真「…伝わったか?俺の本気ってやつが」

恵「…そーまくん~……」トローン

創真(あー、やりすぎた。すっかり腰抜けてんじゃねーか)ナデナデ

創真(スゲー可愛い、可愛いんだが……そろそろ慣れてもらっても、いい頃合いかなぁ)

創真(毎回この調子じゃ、田所の負担がでかくなるかもしんねーし…あまり慣れすぎても良くないけど。ほんの少しだけは、慣れさせねーと)

創真(…やりすぎて甘えん坊スイッチ入ったら、俺がヤバいしな)ハハ…


恵「………」ハフハフ

創真「よしよし、…歩けるか?部屋まで帰ろう」

恵「…ひとりにしちゃ、やだよ…?」ギュ…

創真「……なら、一緒に…寝るか?」

恵「うん…いっしょがいい、いっしょじゃなきゃ……寂しいよ」

創真(っあ゛~~もう!!…落ち着け、落ち着こう。寮じゃなんかアレだし。明日学校だし。うん)グシャグシャ

創真(……俺の部屋に連れて行くか)


・・・


恵「……ふうぅ~……お布団気持ちいい…」

創真「大丈夫か?ゆっくり休んでろよ。なるべくすぐ戻るから」ナデナデ

恵「どこに行くの?私もいっしょに……」

創真「便所です」キリッ

恵「あ……そっか、じゃあ、いってらっしゃい。待ってるね」

創真(すまん、田所。…色々お察しください)


・・・


ジャー

創真「……はぁ……なにやってんだ、俺」バタン

吉野「あっ!幸平、アンタ!!」

創真「げ!吉野……」

吉野「アンタよくもこの吉野姐さんを蔑ろにしたわね!一色先輩まで使ってさ、今まで色々力を貸してやったってのに、完璧に恩仇じゃん!!」

創真「今はお前に構っている暇ねーんだよ、また今度に……」

吉野「逃げんな!!」ドッス

創真「みぞおち!!」ドサ

吉野「構う暇がないってなによ、……まさかまだ恵とイチャついているわけ?」

創真「イチャつくとかそんなんじゃなく、宥めねーとっていうか…」

吉野「ふっう~ん?怪しいもんよねぇ~、まったく信じられないっていうかぁ~」


創真「なんなんだ、やたら絡んでくるな……」

吉野「げふー…」ヨロヨロ

創真「……もしかして、お前。米からできたジュースを」

吉野「誰かさん達が私を蔑ろにするからぁ~!そしたら、こういう時はパァーっとやって気分転換だーって、一色先輩が…」

創真(なにやってんだ、あの人は)

創真「あー…だからか、3階にお前が居るのは。ほらほら、しっかり歩け。お前の部屋は1階だろ、階段上がんな、降りていけ」

吉野「うわあああん!!幸平が!幸平が私を追い払うー!!」

創真「はいはい、明日遊んでやっから。今日はおとなしく部屋に帰れ」

吉野「うっうっう…つまんない、つまんないよ~」グスグス

創真(……そういえば、田所って米ジュース飲んだら、どうなるんだ?)


創真(一色先輩が開く宴会の時……あいつ、いつも水か普通の茶しか飲んでないような…いや、俺が先に酔っ  もとい、テンション上がるから気づいていないだけかもしんないが)

創真(…ちょっと気になってきた)

伊武崎「……あ、居た。いつのまに脱走していたんだ」

吉野「うわああ~ん!伊武崎ー!幸平が、幸平が私を蔑ろにぃ~」グスグス

伊武崎「そりゃお前が鬱陶しいからだ。もうこれ以上は無理だな、部屋に戻れ」

吉野「うおおおお私ってなんなのさー!!」

創真「……なあ、伊武崎。米ジュースって、まだ残っているか?」

伊武崎「ん?…ああ、一本残っちゃいるけど。飲むのか?」

創真「おう、良かったら分けてもらいてーな。部屋でゆっくりと飲みたい」

伊武崎「んじゃ、取ってきてやるよ。会場に入ったら逃げられなくなるだろうし」


・・・


恵「おかえりなさい、創真くん。遅かったね?」

創真「悪ぃ悪ぃ。吉野に絡まれていてよ。また宴会やっているみたいだ。一色先輩を味方につけておいて良かったな…じゃなかったら、こんなにゆっくりできなかったろうし」

恵「ふふ。みんなと過ごすのも、とっても楽しいけど……今日は、最初から最後まで創真くんと一緒にいたいもん」

創真「おう…、…っつか、田所。買ってきた菓子食わねぇ?たけのこの里ときのこの山」

恵「え?でも、もう歯磨いちゃったし」

創真「また磨けばいいじゃん。…ほら、飲み物入れてやっからさ」

恵「うーん……じゃあ、少しだけね?」

創真(よし、…騙している感じでアレだけど…反応によっちゃあ、スキンシップに慣れさせる切っ掛けとなるかもな…)


恵「たけのこの里といえば、新商品が出たんだってね」

創真「へぇ、どんなもんなのかね。きのこはミント味?とか出ていたような気がするが…」

恵「あれは…焼きチョコっていうのかなあ?今度見かけたら食べてみようねー」

創真「そうだな。コンビニでも覗いてみっか」

恵「 」ゴク

創真(……飲んだ!)

恵「……?」

創真(やべ、気づいたかな…)ドキドキ

恵「…そうだ、コンビニって言ったら、この間ね~……」

創真(…気づかなかったみたいだな…)ホッ


・・・


創真(大分飲み進んできたが、さて…どう出る?潰れるのか、それとも吉野みてーに絡んでくんのか、…早いとこ結果出さないと、俺もテンション上がっちまうぞ)


『恵の反応(○○上戸とか、行動など。台詞つきでもおk)安価>>786

ここは弩ストレートに
甘え+ちょっとエロチック

※お米で作ったジュースです


恵「……ふにゃ…」

ゴトン!!

創真「!!? テーブルに落ちた!?田所、おいっ、大丈夫か!?」

恵「う~ん……?」

創真「お前、今の今までなんでもない様子だったのに。いきなりクるタイプなのか…ちょっと待ってろ、水持ってきてやるから」

恵「……いやぁだ~……」ギュッ

創真「!!?!?抱き、つかれ……」

恵「王子様ー…」スリスリ

創真「幸平さんですよ!?」

創真(あれ、これ……ヤバくないか?いつもの甘えん坊化入ってねーか?って事は俺がピンチになるんじゃ…)ダラダラ

恵「そーまくん、ほっぺた気持ちいいよ~、ひんやりしてるー、えへへへへぇ」スリスリ

創真「いや、それはお前の頬が熱いせいなだけで…」


恵「そうだね、そうだねぇ、ほっぺた熱いよね~、ねー?困っちゃうよねー」デレー

創真「そうですねぇ困っちゃいますねー、…本当にすいませんでした、ちょっとした出来心で……」

恵「ねえねえ、そーまくん、そーまくん、ほっぺたふにふにだよー?ひんやりしてるね~」スリスリ

創真(しまった、ループ入ってる)

恵「んー、もう、気持ちいいんだからぁ~…」ギュウゥ

創真「…と、とりあえず、ベッドで寝とけ。な?お前もう限界来てるぞ」

恵「いやっ!私はまだまだ大丈夫です!元気だもん、まだ寝ないよ!!お布団より、そーまくんがいい!!」

創真「そりゃーとても光栄ですが、…ああもうわかった、なら、せめて水だけでも飲め。リセットかけよう」

恵「口移しで?」

創真「今なんて!?」


恵「きゃはははは!」パチパチ

創真「…はぁ……興味本意で動くもんじゃねーな、反省した。本っ当に反省した。…化けたなー、お前…」

恵「ねえねえ、ねぇー?……ちょっと期待したでしょう~?」ニヤニヤ

創真「はっ?」

恵「口移し~。…ちゅって、ちゅーってするの。そーまくん、えっちだもんね~。ねえねえ、ちゅってするの、好き?」

創真「そ……そりゃあ、なぁ…?」

恵「わたしも好きぃ~」チュッ

創真「!!!!!?」

恵「そーまくん、唇柔らか~い」

創真(あ、これもうダメな感じだ)ドキドキ

恵「お水、飲みたいかも。冷たいの、そーまくん、お水ちょうだい」

創真「お…おう。じゃあ、汲んでくっから…」

恵「口移しで」

創真「無限ループ!!」


創真(いつもの甘えん坊化より、悪い状況かもしんね。リセットボタンがない…これ、どうやったら止められんだ?)

恵「お水、お水ぅー…」ベッタリ

創真(冷蔵庫に行く数歩の距離ですら、背中に張り付かれてますもんね)

創真(通常なら、こっちの倍返しで事が済むが…今回は、燃料投下にしかならないだろうしな……)

創真(スキンシップに慣れさせるより…俺が田所甘えん坊化に慣れた方が早い、のか…?)

恵「そーまくん、お水ー!」ペシペシ

創真「はい!ただいま用意しますんで!!」



創真「…ほら、田所。水だ、たっぷり飲め。これでテンション下げろ?」

恵「わーい、ありがとう~。氷が冷たーい、気持ちいいねー」


創真「遊んでないで、飲めって。一気にはいくなよ、ゆっくり少しずつ、な?」

恵「だって、ひんやりだよ?キーンて感じでひんやりなんだよ?気持ちいいよね?」

創真「そうだな、氷水は冷たくて気持ちいいな」

恵「ねー、だよねー、冷たくて気持ちいいよねー?」

創真「…これからも田所に米ジュース飲ませるのは絶対避ける事にするわ…」

恵「……冷たぁい」ゴク

創真「そりゃ、冷えてっからなあ…」

恵「あ。ねえねえ、そーまくん!わたし天才かも!いい事考えちゃった!」

恵「口で飲むから冷たいんだよねぇ、熱いのはほっぺたとか、体なんだもん。だったらさぁ~」

創真「!!! ちょっと待て田所、早まるな!!」


恵「氷をー、ぽいっとしたら!……冷たーい!!いや~っ!」ジタバタ

創真「服の中に入れたら、冷たいのは当たり前だろ!」

恵「そーまくん、取って?」

創真「はっ!?」

恵「はやく~、溶けてびしょびしょになっちゃう…氷、取ってー…」グイッ

創真(ちょ 待ああああ!!服、引っ張って…見えてる!田所さん、胸見えてる!!)

恵「お願い、取ってー…冷たいよぉ」

創真「んな、無理、取るったって、お前」

恵「んもー!早くしなきゃ溶けちゃうでしょ!そーまくんの意地悪!手貸して!」ズボッ

創真「っだーーー!!?」カアァ

恵「早く取って、取ってー…どんどん溶けてきちゃうの、冷たいよぉ…」

創真(こ…こうなりゃ、さっさと取るしかねぇ…あ、なんか柔らかいもん触った。…違ぇよ俺の馬鹿野郎!!)フニ


創真「と……取った!取ったぞ、もう冷たくないだろ!?」バッ

恵「んー…? ……本当だ!冷たくない!えへへへへ~」

創真(な……なんか、ドッと疲れた)ハァハァ

恵「でも、おっぱい触ったでしょう。そーまくんは、やっぱりえっちなんだね」

創真「ちょっと待て!今のは完全に不可抗力っつーか……」

恵「うるっせえです!…そーまくんは、わたしのおっぱい好き?小さくてもいいの?おっきくした方がいいかなあ?」

創真「なに聞いてくれてんだ、お前」

恵「あのねえ、おっぱいって、揉んだら大きくなるんだってー!……揉む?」ズイ

創真「急に真顔になるのやめてくれ、…あと乗りかかんのも、倒れる、倒れるから」ドキドキ

恵「だって、だって。そーまくん、気持ちいいんだもん」


恵「いい匂いもするし~、ちょっと硬くて、広くってぇ~…それでね、それでね?いっぱい優しい」スリスリ

創真「お褒めに預り光栄の極み、ってヤツですよ…とりあえずだな、ちょっと退いてみようか」

恵「でも、ちょっと意地悪なの。…ううん、ちょっとだけじゃないね。いっぱい意地悪だね」

恵「でもね~?そこも、大好きなんだよー」ニッコー

創真「真っ赤な笑顔が眩しいわー…」ナデナデ

恵「はふぅ……なでなで、大好き~…」

創真「よしよし…もう、アレだ。ベッドに行け、寝たら落ち着くだろうから」

恵「一緒に寝てくれる?」

創真「あー、寝る。一緒に寝るから。な?だからベッドに行こうな」

恵「はーい、わかりましたー」スル

創真「なにしてんの、お前!!?スカート捲んな!!」


恵「え、だって着替えなきゃ寝ちゃいけないんだよ?」

創真「いい!今日だけは着替えなくていい、そのままで寝ていいから!」グイ

恵「ダメだよ~、怒られちゃうもんー。着替える~」

創真「怒られねーから、大丈夫だから、頼むからそのままのお前でいてくれ」

恵「そーまくんが着替えさせてくれたらいいんだよ!」

創真「あのな、ツッコミって、かなり疲れるんだぜ?そろそろ休ませろ、俺達本当に頑張ったよ、よく頑張った」

恵「ねー、頑張ったよねー。……そーまくん、どんな服が好き~?コスプレっていうの?今度、してあげようか?んふふー、どんな衣装がいい~?」

創真「そうだな、>>799とか見てみたい……どこまで飛んでいくんだろうなあ、会話のキャッチボール…」

ナース。お医者さんごっこしちまえよ…

tosh先生のコスプレリベンジの再来やな>ナース服

>>800
しかしそれだと創真が浮気野郎にww


恵「ナース……看護師さん?わー、いいね、憧れちゃうよね~。じゃあ、そーまくんも白衣着てくれたりするの?」

創真「や、着ねェから…ベッドに行けって、寝とけって。あんまり暴れると明日に残るぞ?そんな調子じゃ」

恵「お医者さんのそーまくんも絶対格好いいだろうなぁ~、診察してもらいたーい……」ポフ

創真(はぁ……やっとベッドに座らせられた…あとは、寝かしつければ)

恵「せんせぇ、今日はどうされました?」ナデナデ

創真「お前がどうした!?」

恵「お医者さんごっこ!そーまくんが患者さんでね?わたしは看護師さんだよ。はい、ここに座ってくださいねー」ポンポン

創真「や、さっき先生とか呼んだじゃん。どんな設定なんだ…」


恵「えっとー……お熱があるみたいですねぇー」ピタ

創真「熱があんのは、お前の方だろ……相変わらず真っ赤な顔しておいて。額同士くっつけんな、近い…」ドキドキ

恵「そーまくんは、わたしにお熱ってかー!きゃはははは!」

創真「上手い事言ったつもりか。オッサン化も入ってるぞ」

恵「そっかぁ、熱があるのはわたしかぁ……じゃあ交代ね、そーまくんがお医者さんで…わたしが治してもらう方…」

創真(…あ。少し眠たそうになってる。適度に付き合ってりゃ、寝てくれっかも)

恵「せんせぇ~…熱があるみたいなんです、治してくださーい…」ギュ

創真「…はいはい、それじゃあ横になってくださいね。寝ていれば治りますよー」ナデナデ

恵「違いますぅー、風邪なんかじゃなくて…これは、恋の病…?」

創真「おい、オッサン」


恵「んー……」ゴロン

創真(よし、横になった。…俺は床で寝るか…、……?)グッ

恵「……どこにいくの?いっしょに寝るって、言ったよぉ…」ジワ

創真「…そういやそうでしたねー……わかった、寝るから。だから泣くな、な?」

恵「だっこしてくれたら、泣かない」

創真「はいはい……」ギュッ

恵「んん…えへへ、気持ちいいです、先生…」

創真「あぁ、まだ生きていたのか、医者設定。…ほら、布団ちゃんと掛けろ」

恵「せんせー…あちこち熱くて、仕方無いんです…治してください」

創真「はいはい。じゃあ、お薬出しておきますからねー」ナデナデ

恵「"はい"は一回だけでしょ!」

創真「はい」

恵「よろしい!」


恵「…でもね、熱いだけじゃないんです」

創真「そうか。それは重症ですねー。でも必ず治して差し上げますからねー」ナデナデ

恵「…たくさんドキドキして…キュンってなって、シクシクもして……」

創真「そりゃー大変だ」

恵「そーまくんの事を考えるとね、そうなっちゃうの」

創真「ああ、そりゃ俺もだから。田所の事を考えると、そうなる…なりますよ」

恵「寝る時とか……寂しくって、そうなっちゃうの…」

創真「……うん?」

恵「そーまくんを思い出すと、キュンってなって…シクシク寂しくて…撫でてほしいなとか、だっこしてほしいなとか、いっぱい考えて…」

創真「………」

恵「でも、自分で撫でても、もっと寂しくなっちゃうの」


創真「………」ドキドキ

恵「…わたし……悪い子かなぁ?」

創真「…んな事、ねーって」

恵「じゃあ……悪い、病気なのかなあ。自分じゃ、ダメだから…一瞬しか治まらなくて、だから…そーまくん……治してほしいの」

創真「………」ハァ…

創真「……どうやって?」

恵「…撫でて…?かな?」

創真「田所、」

恵「……"田所"は、イヤ……"恵"って、呼んで」

創真「………め……恵」

恵「うんっ」ニコー

創真「恵は……いつもどうやって治してんだ?その、…ドキドキ?を」

恵「………撫でるの」


創真「だから、どこを?」

恵「…えっと……、…ここ、とか…」フニ

創真「!! …あ、あぁ。確かに、スゲー、ドキドキしてんな…手に伝わってくる」

恵「うん、だから……撫でて、ドキドキを治してください」

創真(柔らかい……)ナデナデ

恵「…おかしいね、先生……撫でてもらっても、治らないよ。もっとドキドキしてきた…」ハァ

創真「…治療は、すぐに効果が出るもんじゃねーから。…少し、我慢していてくれ」ナデナデ ムニ

恵「んッ」ビクッ

創真(これに飲まれちまったら、ダメだ。やめないと、止めないと……)ムニ ムニ

恵「先生……お薬も、ください…」

創真「……はいはい…」チュッ

恵「…"はい"は一回、でしょ?」クス


創真「………」ムニムニュ

恵「………」ハァ ハァ

創真(くっそ…直に触りたい)ゴク

恵「…今、唾飲んだでしょ。ほらね?やっぱり、そーまくんは、えっちだよ」

創真「…うっせ……お前だって、そうだろうが」

恵「そーまくんだから、だよ?」

創真「………」クラッ

ガバッ!!

恵「きゃっ!?」

創真「はぁ、…は……」ゴソゴソ

恵「や……乱暴に、しないで…服、伸びちゃう」

創真「知るか……」グイッ

恵「ひゃ、ぅ」

創真「………」パク チュウゥ

恵「んぁっ!……やだ、…やぁぁ…吸っても、おっぱいは出ないよ…?」ビク


恵「ん……んッ、…はぅ……」ビク ビク

創真「はぁ……はぁ」ペロ

恵「そう、ま、くんっ」ビクッ

創真「……他には?」

恵「え……?」ハァハァ

創真「他に撫でて欲しいところは、ねーの?」

恵「……下、の方……」

創真「ここか?」ナデナデ

恵「違う…そこ、おなか……もっと、下……」

創真「じゃあ、ここ…か?」スル

恵「あっ!!」ビクッ!!

創真(相変わらず…スゲー、濡れてる……)ハァハァ

創真(ダメだ、やめないと、ダメだ……ダメなのに、…どうして止められないんだ)クチュクチュ

恵「ひぁ、あっ、あ、いや、いやぁ、あっ」ビク ビクッ

恵「あっ!あぁ、…そーま、くんっ、だめ、だめっ……ぁ、んっ、あ…!」


ヌルッ

恵「ひッ!?あ、ぁ……!ゆびっ、中ぁ、ぁ…!!」

創真「恵……」チュ

恵「ん、ふ、……んっ、んんん、あ!あっ!そこ、んあっ!いや…ぁああーっ!!」ビクッ!

創真(え。……まさか、もうイったのか?すげえ締まった…)チュポ

恵「…はあ、はあ…はあ…」ヒクヒク

創真(……声、でかかったな。…酔っ、じゃなくて、テンション上がると、こうもエロくなんのか、こいつ)ハァハァ

創真(どーする、どうする、……迷っている場合じゃねえ!!もうこうなったら、突き進むだけだ!な!!うん!!)

創真「……めぐ、……あれ?」

恵「………」

恵「……すぅ……」

創真(寝ていらっしゃるー!!!)

創真「えっ、ちょ、恵!おい、嘘だろ、ここまで来てそりゃねーよ、おいってば!そりゃ寝かしつけようとしたけどさ!」ユサユサ


創真(あああぁぁマジかよ、マジかよ……ここに来てお預けとか、絶望ってレベルじゃねえぞ)ズーン

恵「……そーまくん~……」ムニャムニャ

創真「……!!! あああちくしょおぉぉ便所行ってやらあああぁぁぁぁ!!」ドタバタ バターン!!



チュン チュン

恵「……ぅん、……?ふあぁ、…あ、あれ?私、いつのまに寝ちゃったんだろ?」

創真「…おはようさん、田所……」ムクッ

恵「え!やだ、創真くん!床で寝ていたの!?ご、ごめんなさい、私がベッド取っちゃったんだね、…途中から昨日の記憶がないんだけど……なにがあったの」オロオロ

創真(離れて寝ないと、もたなかったしな……絶対、近いうちに取り返す…。つーか今何時だ?学校行く支度しねーと)ハァー…

創真(……?ん?メール来てたのか。…て、吉野から?)


【極星寮・テラス】


創真「なんだよ吉野、改まって相談があるなんてメール寄越して……つか、今じゃねえとダメなのか?学校に遅刻すんぞ」

吉野「……師匠!!私に力を貸してください!!」バッ

創真「はぁ!?師匠!?」

吉野「この寮の中で一番進んでんのはアンタじゃん!?私が育てたようなものだけど…とにかくお願い!力を貸して、私を幸せにして!」

創真「は?……は?まったく話が見えねーんだが……順を追って話してくれよ」

吉野「私だって私だって幸せになりたいのよおお!!だからさ、今までの恩を返してよ!ダブルデートしよう!?私、気づいちゃってさぁぁ~!!」オイオイ

創真「いいから落ち着け!!なんの話だ!ダブルデート、って………え?まさか」

吉野「…ふ……その、まさか、さ…!」ポッ


『吉野の相手、投票数決定
 1・一色 2・伊武崎 3・丸井』

ありがとうございます


創真「えっ。……えー!マジで!マジで!?吉野に春が……」

吉野「ちょっとぉ!!声がでかいわよ、誰かに聞かれたらどうすんの!バカっ!恥ずかしいからやめてよー!」アタフタ

創真「や、お前の声の方がでかいって……しっかしマジかー。おめでとうって言っておくべきかね?赤飯炊く?」

吉野「アンタ何ポジション?うぅ……やたら恥ずかしくなってきた…」

ドキドキドキ

丸井(な、ま、まさか……まさか……吉野に、好きな人が!?なんでだ、そんな素振りなかっただろ!き、聞いてしまった、咄嗟に隠れてしまった…)ドキドキ

丸井(…いつも巻き込まれるのに、こういう時ばかりは巻き込まれないんだな、僕は……)

丸井「………」ドキドキ


創真「で?お前の相手って誰?」

吉野「えぇ~…今言うの?後でにしない?」

丸井(今!今言え!!ぶっこめ幸平!!誰だ、どこの誰なんだ!?)ドキドキ

吉野「そ……それは、その…相手は……、……い……」

丸井(い!?い、って言った!?一色!?伊武崎!?)ドキドキドキ

吉野「……い……言えない!やっぱり言えない、無理!恥ずかしい!!」

丸井「 」ズル…

創真「はぁー?お前、あれだけの立ち振舞いを見せておいて、いざ自分の事になったらソレとか無いだろー」

吉野「ううううるさいなー、私だって乙女なのさ…意識しちゃうと、どうしても……上手く動けなくなって」カアァー

創真「そんな状態で出来るのか?ダブルデート」

吉野「うぐぐ……」


吉野「本当に、さ?恥ずかしくなっちゃって、動けなくなるんだってば。意識しなきゃ平気なんだけど…」

創真「おーおー、マジで恋してんのなあ、お前。気持ちわからないでもないわ、俺もそうなるし」

吉野「だからアンタは何ポジションなのよ。…はぁー、やっぱり無理かも。涼子連れて行こうかな?」

創真「おいおい、それじゃあ意味無くねーか?デートなのに」

吉野「アンタ達がどれだけ進展したかも見たかったから、別にいいんだよ」

創真「んだよ、またそういう事を……」

吉野「昨日言ったじゃん、幸平ー!私と遊んでくれるって!」

創真「まぁ…取り返ししたいって思っていたところだったから、ダブルデートって切っ掛けは有り難いんだが…」


創真「お前、言ってたろうが。幸せにしてくれとか力を貸してくれとか。そうする前に、お前が勇気を出さないでどうするんだっての」

吉野「ひ、人にアレコレ言うのと、いざ自分の事となるとでは、色々違うって言うか……」モジモジ

創真「何気に酷いな?お前。折角動こうってんだから、もっと頑張ってみろよ。掛け声いってみる?ファイトー!とかっての」

丸井(そのまま押せ!幸平!!今度こそ、吉野の相手の名前を……)ドキドキ

恵「―― 創真くーん!あ、悠姫ちゃんも!朝ご飯食べて、学校行こうー?」ヒョイ

ガタタッタン!!

恵「………ん?」

創真「おー、田所。今行くわー」


吉野「? どうかした?恵」

恵「なにか、そこの物陰で動くものがいたような……」

創真「動くもの?……なにもないぞ」ガタガタ

恵「あれー?気のせいだったのかなあ…?」

創真「ところで、田所にはこの話を」

吉野「わ、私の事だけは伏せておいて!頼むよ、心の準備が整ってからがいいから……」

恵「なになに?なんの話ー?」

創真「やー、あのさ、吉野に好きな奴が……」

吉野「幸平ああああー!!!」

ワイワイ ガヤガヤ

丸井(…い……行ったか)ガタッ

丸井「………」

丸井(吉野の相手…結局、誰だったんだ?気になる、気になる……けど、…僕は、どうしたら……)


【極星寮・食堂】


丸井「………」ジー

吉野「伊武崎ー、胡椒取ってー」

伊武崎「ほらよ」

丸井(伊武崎…伊武崎なのか!?)

一色「うん!今日も元気だ、ご飯が美味しいね!」パクパク

吉野「一色先輩が元気じゃない日なんて無いんじゃないのー?」ケラケラ

丸井(かと思わせておいて、実は一色先輩!?)

吉野「んじゃっ放課後はよろしく頼んだよ、幸平!」

創真「あいよ、仕方無ぇしな」

丸井(それとも、まさかのダークホース幸平なのかー!!?それはイカンぞ吉野、倫理から外れる!)

丸井(ダメだ…本当に、意識しなければ誰に対しても気さくというか……さっぱり読めない。そもそもこういった事に向いていないんだ、僕は)ズーン


榊「あら?幸平くんと放課後、なにかあるの?」

創真「作戦会ぎっ!?……胡椒瓶を投げんな、吉野」ガツッ

吉野「なんでもない!なんでも!!ただ話をするだけよ、悪いわね恵、幸平を借りて!」

恵「えっ!?え、わ、私に言われても!」アタフタ

伊武崎「なんだ。まだ隠しているつもりだったのか?」

一色「既に周知の事実なのにね、田所ちゃんと創真くんが付き合っ ――」

恵「わー!わーっ!!やめて、やめて~っ!ふ、2人共!いってらっしゃい!!」アタフタ

創真「な?だから田所にも話しておいて良かったろ」

吉野「死ね!恥ずかしいんだってば…!なんか、母親に報告するような感じで居たたまれないのよぉ~!」

丸井(田所も知っているのか!?聞いたのか!?)


丸井(た…田所単独なら、僕でも突撃できるかもしれないな。よし、幸平のいない放課後に、話を……)

榊「恵は一緒に行かないの?」

恵「誘ってもらったけど…今日は薙切さん達と、新作料理研究をするの。前から約束していて」

丸井(最強の砦に守られていたー!!)

創真「薙切め、俺がいるとめちゃめちゃになるとか言って、田所だけ連れ出してよー。いつか一泡吹かせてやりてーな」

恵「あはは…帰ったら互いにお話しようね、創真くん」

丸井(なんでそんなに親密度上がっているんだ…薙切がいちゃ手が出せない……)

吉野「……アンタなんで真っ白に燃え尽きてんの?そんな要素、どっかにあった?」

丸井(吉野……。…こ、こうなったら!僕だって男だ、直接行ってやる!)


【放課後・繁華街】


丸井(直接……そう、直接…偵察をしてやる)コソコソ

吉野「バイト代出たんでしょー?今日は幸平の奢りね!おなかすいたー、そこのファミレスでも入ろうぜ!」

創真「ふざけろよ、割り勘だからな。俺のバイト代は俺の為に使うんだ」

丸井(ファミレスか……いい席を確保しないと、話がまともに聞こえないな)


・・・


丸井(若干の不安はあるが…奴らのすぐ傍の席に座れたぞ。背凭れでいくらかは隠れられる筈。話に集中していれば、こっちに気が向く事も……あとは、マスクでもして…)ブツブツ

店員「ご注文はお決まりでしょうか?」

丸井「!!? あ、は、こ、珈琲で!」ビクッ

店員「かしこまりましたー。(物凄いキョドり方……)」


吉野「なに食べよっかなー、夕飯もあるからセーブしなくちゃだけどー…ジャンボパフェいっちゃいますか!?」

創真「俺も軽く食っとくかなー……ホットサンド旨そう」

丸井(さっさと決めて早く本題に入れー!コラ、雑談するな!効率が悪いな…そんなだからお前らは、お前らはー!)イライラ

店員「…珈琲お待たせしましたー。(殺気!?)」カチャ

創真「…でさ、ダブルデートって、どこに行くつもりなんだ?」

丸井(よし!まだ浅いが、やっと本題に近づいたな…)

吉野「どうしよっかなーって感じなんだけど、幸平は行きたいところ、ある?」

創真「んー…そもそもダブルデートなんてものをした事ねーしな」

吉野「アンタら、遊園地は行ったよね。そうね、今回はー…買い物とか?街ブラつくとか…?」


創真「そんなノリでいいのか?らしくねーぞ、吉野。ガツンといけよ」

吉野「気合い入れて空回ってもしょうがないじゃん。初めから両思いなアンタらと違うのよ、私の場合はさ」

吉野「意識云々もあるけど…なんというか、半端に長い付き合いだからこそ、改まると、こう……」

丸井(…長い付き合い…?やっぱり、極星寮の誰かか、…いや、他の同級生って事も)

吉野「やりたい放題な…友達付き合いが長すぎると、逆に切り出しにくくなんの」

創真「そういうもんかねー?勝手知ったる、からこそ連れ出しやすくもあるんじゃ…」

吉野「難しいんだって、この辺はさ。気まずくなるのもイヤだし、…こういう事で、邪魔に思われてもイヤだし」

吉野「はーっ…複雑よねぇ~」

店員「ご注文の品、お持ちしましたー」


吉野「わーい、パフェ来た!美味しそう!いただきまーす!」

創真「悩んでいるかと思えばコロコロと……どっちかひとつにしろ、悩むのか食うのか」

丸井(それは言えてる)

吉野「自分の気持ちに気づいて暴走していたのもあるけど、うーん…口に出して聞いてもらったら、冷静になれたのかもしんないわね」

丸井(吉野の好きな相手がわからないのは困るぞ!)

吉野「自由にバカ騒ぎできる今の状態が一番幸せなのかもなー。変に悩まなくて済むしさ」

創真「臆病風に吹かれてんなよ。じゃあ、デートは無しって事か?」

吉野「いや!行くわよ?私と遊べっての、恵と2人きりの世界にいつまでもいられると思うなー?」

創真「なんだ、そりゃ。じゃあ、相手はどうするんだ?」

吉野「涼子を誘おうかしらね。良かったじゃん、ダブルデートどころかハーレム突入よ?」


創真「冗談。俺は田所一筋だ」

吉野「…またあっさりストレートに……私に生まれた羞恥心をアンタにも分けてやりたいわ」

創真「おう、もらってやるぜ?吉野が、そうウジウジしなくて済むならさ」

吉野「…やっぱり止めとくー。友達思いだかんね、私!」

創真「結局誰なんだよ、お前の好きな奴って」

吉野「墓まで持っていくわ。これ食べたらさ、本屋に行かない?雑誌でも見て、プラン練ろーよ」

丸井(…言わなかったんだな。誰が好きかって事を)

丸井(……僕は…どうしたらいいんだ?ここで退くべきなのか?いつも巻き込まれて、…相手の出方を待つだけで、それでいいのか…? …ダメだろ、それじゃあ…!)ガタ

店員「店長、あのお客様なんですが…先程から何か不審な動きを…」

店長「申し訳ありません、お客様。ちょっと事務所まで…」

丸井「はい!?」


【繁華街】


丸井(何やらかけられた疑いを解くのに時間が掛かってしまった…本屋に行くって言ってたけど、まだいるかな)

丸井(!! いた!吉野、紙袋持っているな…雑誌か?)サッ

吉野「あー楽しみだねー。もう徹底的にいくから、覚悟しておきなさいよ!」

創真「楽しみっちゃ楽しみだけどよ、なんか憂鬱にもなってきたぞ。どれだけ張り切ってんだ…」

吉野「あ!ちょっとちょっと、幸平!クレープ美味しそう、奢って!つーか買って!」

創真「お前、さっきパフェ食ってたろ!?太るぞ、それと奢るも買うも同じ意味じゃねーか」

丸井「………」

丸井(吉野は、誰に対しても気さくだよな。幸平もそうだ、男女分け隔てない。…良く言えばそう、邪推を挟むなら…)

丸井(…似合う、よな)チクリ


吉野「あー、もう新作の出る季節かー。この服、可愛いなあ」

創真「…田所にはちょっと大きめだな…もう少しバイト頑張って、今度は服でも……」

吉野「おうおう、甲斐性ある旦那はいいねえ。どうせ贈るなら服より下着にでもしたらー?俺色に染まれ…的な?」

創真「逆セクハラすんな」ペシッ

吉野「あ痛っ!!…ふんだ、いつぞやの仕返しよ!」

創真「いつの事だか忘れた。……これとか、田所に似合いそうと思わねぇ?」

吉野「歌詞間違ってるよ、幸平?そこは、思い出してごらん~でしょ?…うーん、恵のイメージとは少し離れていない?」

創真「やー、たまにはこう大人びた感じもいいかなーって」

丸井(…僕は何をやっているんだろう。後をつけて聞き耳立てて、吉野は誰か好きな奴がいるのに)

丸井(けど…吉野の隣に、僕も立ちたい…)


丸井(…というか、寄り道多いな、アイツら。あっちこっちフラフラと…今度はゲーセン?)

創真「よっしゃ、大漁ゲット来た!!」

吉野「おー、よくやった幸平!駄菓子ザクザクじゃん、…本命の景品はビクともしないけどねー」

創真「うっせ、元から狙ってんのは菓子だ。んな事言ってっと、分けてやんねーぞ」

吉野「あ、すいません本当にすいませんでしたー。幸平様、お菓子分けてくださーい」

創真「まあ許してやろう。ほらよ、飴ちゃん」

吉野「わーい、飴ちゃんだー。……なんか騙されているような感じがしてしょうがないわ!そのビスコもちょうだいよ!」

創真「田所への土産が無くなる、却下」

丸井(……楽しそう、だよな。もう、帰るか)ハァ

丸井(僕が相手でも、吉野は……あんな風に笑ってくれたか?上手く思い出せないのは、なんでだ…)


【夜・極星寮】


丸井(ただ巻き込まれているだけじゃ、ダメだ)

丸井(こそこそしていても、ダメだ)

丸井(僕だって、男だぞ……!)

丸井「……吉野!」

吉野「へっ?な、なによ、丸井。そんな怖い顔して……なんか用?」モグモグ

丸井「って、また何か食べているのか。夕飯終わったばかりなのに…」

吉野「いやぁ、クセになるよねー伊武崎が作ったジャーキー。また分けてもらっちゃってさ!間食に丁度良くて」

丸井「………」ズキ

吉野「で?どうかした?なんの用?珍しいじゃん、アンタから絡んでくるなんて」

丸井「…あ、あぁ……あの、さ。…その、今度、幸平達と、遊びに行くんだろ?」

吉野「……は!?な、なんでアンタがその話を知ってんの!?」


丸井「い、いや、その……そうだ、幸平達が話しているのが、聞こえてしまって」

吉野「幸平ったら…!だから声がでかいって言ったのに」

丸井(すまん、幸平…ダシに使って)

丸井「その……もし、まだ相手が決まっていないなら、僕を連れて行ってくれないか!?」

吉野「………えっ?」

丸井「…だ、……ダメ、かな。やっぱり。あ、その、相手を探しているように聞こえたから!だから…」

吉野「…すっごく意外。ただ巻き込まれるんじゃなく、自分から動く事もできたのね、丸井って」

丸井「お……おかしいよな、自分でもそう思うけど」

吉野「おかしいって言うより、意外よ。…びっくり、した」

丸井「………」


吉野「………」

吉野「ちょっと見直したわ」ニッ

丸井「え?」

吉野「なんでもなーい。……私達、映画を見に行くのよ。今度公開するヤツよ、学割利く日に行くから、休日じゃなく放課後に行くんだけど、アンタ大丈夫?」

丸井「!! あ、ああ!大丈夫!大丈夫だ、予定、空けるから!」

吉野「そ?なら決まりね。当日よろしく頼むわよー、なんたって相手はバカカップルだからさ!」

丸井「酷い言い様だな…"カ"がひとつ多くないか、ストレートに」

吉野「あっははは!でもピッタリでしょ?いやぁ、安心したかも!…ほら、前に遊園地偵察行ったのも、アンタとだったもんねー!」

丸井(その時から、気になり始めていたんだよなあ…)

吉野「でも本当にいいの?見に行く映画のジャンルって、>>840なんだけど」

ヤクザ映画


丸井「はっ!?ダ…ダブルデートって話じゃないのか!?それで何故そのチョイスを!?」

吉野「本当にアンタどこまで知ってんの?まあいいけど…幸平と話が盛り上がってさあー!ドンパチ交戦いっちょ観に行くかー!ってなって」

丸井「(幸平、幸平って) …大丈夫だ!僕も行く!!」ムカッ

吉野「そ、そう?なんか随分張り切ってんのね…ま、見てみたら結構ハマるもんよ」

丸井(しかし、田所は泣きそうなんじゃ…)

吉野「色々飛び出すし。……ドスで斬られた血飛沫とか」

丸井「!!?」ビクッ

吉野「なんちゃってー。3d映像的なものとかよ。いや、2d映画だけど」

丸井「あ、あぁ……そうか」ホッ

吉野「劇場も盛り上がるでしょうねー、……断末魔で」

丸井「!!!??」ビクビクゥ!!

吉野「冗談よ冗談!歓声的なもの?とかで?かな?」


丸井「疑問形多すぎじゃないか…ふ、不安しかないんだが、本当にそれは任侠物なんだろうな!?」

吉野「本当だってばー。ほら、この雑誌にも載っているでしょ?今日買って来たんだけど」

丸井「…ほ……本当だ…というか、この人が監督なのか…」ペラ

吉野「えー、丸井、知らないの!?監督も役者も色々やるよー?普段のイメージと全然違うんだから!」

吉野「ほら、随分前に大ブームになった、あの映画にも出演していたりしてさー…」

丸井(……勉強ばかりしていても、知らない事はたくさんあるものなんだな…)

丸井「吉野。この雑誌、借りてもいいか?」

吉野「別にいいけど、なんで?」

丸井「…少し勉強しておきたくて」

丸井(吉野の話に、少しでもついていけるように……)


吉野「ふーん?…でも、あんまり気張っても、逆に楽しめないんじゃない?こういうのは頭を空っぽにして行くものよ」

丸井「そうかな…」

吉野「アンタって本当に真面目よねー、頭空っぽに肩の力も抜いて、気楽に行こうよ。ね!…んじゃ、当日よろしくねー。おやすみー」スタスタ

丸井(……ああ…嫌な考えが頭を占めているもんな。吉野も言っているじゃないか、こんな事じゃ、楽しめない。空っぽにしなきゃ)

丸井(とにかく……この雑誌は熟読しておこう)


・・・


創真「……血飛沫ドバーっと!それでいて断末魔で会場が満たされて……」

恵「ひいいぃぃ!!やめてやめて、怖いからぁ~!」ガタガタ

創真「あっははは!!やー、当日が楽しみだな、こりゃあ!」

恵「うわあああん!!怖くない映画がいいよぉ~!」ガタガタブルブル


【放課後・映画館】


恵「…丸井くんも来たんだね、今日はよろしくね?」

丸井「あぁ……よろしく、田所」

恵「……え?悠姫ちゃんの気になる相手って、丸井くんだったの?」ヒソヒソ

創真「や、俺も驚いてんだがな…吉野の奴、結局口割らなかったし」ヒソヒソ

丸井(聞こえているぞ、バカカップル。…そうか、まだ誰にも言っていないのか、吉野…)

吉野「座席選んでいいみたいなんだけど、どの辺にするー?わりと埋まっちゃってんのよね」

創真「でも、4つ……2席ずつは空いてんだな。列が分かれているだけか。なら、ペアで座ればいいか」

恵「丸井くん、視力的には……スクリーンに近い方がいい?」

丸井「いや、できれば後ろの方が見やすいな。近すぎても目が疲れる」


吉野「んじゃ、私と丸井は後ろの方。幸平と恵は真ん中の席ね。このペア分けでいいでしょ?」

丸井(…まあ、それが妥当だよな。……うん、他意はない!嬉しいとかそういうものでもない!)ゴホン

創真「田所、なんか買っていくか?ポップコーンとかもあるぞ」

恵「どうしようかな、食べきれなかったら勿体無いし…」

創真「俺も食いたいから半分こにしようぜ。何味にする?」

恵「うんっ!じゃあ、キャラメル味がいいな~」

丸井(…いいな、あれはすごくいいな!よ、よし……僕も、吉野と…!)

吉野「いやー、早めに買っちゃうと、途中までもたないのよねーポップコーンって」モグモグ

丸井(……もう食べていらっしゃる…)ガク

吉野「どしたの丸井。早く中に入るよー」モグモグモグ


創真「俺達の席は……あの辺り、かな」

恵「それじゃあ、悠姫ちゃん、丸井くん、また後でね」

吉野「はいはーい。……アイツらが前の席に座るのは好都合かもしれないわね!偵察魂が燃え上がるわ!」

丸井「燃やすのは勝手だが、上映中に席を立つなよ?」

吉野「わかってるって!映画が始まれば内容に集中するさー。あ、アンタも食う?ポップコーン」ガサ

丸井「え……い、いいのか?」ドキ

吉野「いらないんなら全部食べちゃうけど?」

丸井「いや!い、いただきます!…うん!旨い!旨いな、ポップコーンは!!」モグモグ

吉野「なんかテンションおかしいわねー、今日の丸井」

丸井(…こんなにも旨いと感じるポップコーンは初めてかもしれない…)ジーン


丸井(吉野の性格上、キツいシーンが流れても、驚きはしても取り乱したりはしないだろうな。遊園地のお化け屋敷で、あの調子だったんだ…この手の映画が好きなようだし)

丸井(なら、僕は映画に集中し、内容をしっかり吸収して……終わったあと、吉野と語らう!そして好感度アップ!フフフ……完璧だ!)

吉野「あ。映画、始まるみたいね。…cmが長いのよねー」


・・・


ダンッ!! ウグアァ…

丸井(ああああああ痛い痛い痛い!!痛々しい!なんでそんな拷問が必要なんだ、もうやだこんなの、あああああ!!)ガタガタブルブル

丸井(うああああー!!それをそんな風に使わない!もう嫌だあああ!!)ガタガタガクガク

吉野「どんだけ震えてんのよ丸井……地震が起きているみたいじゃないの…」ボソボソ


丸井(残虐なシーンが多いのは仕方ないけど……コメディシーンも少しは挟まれるから、一息入れられる、な…)ガクガク

丸井(所謂、濡れ場ってものもチラチラ流れるが……)

吉野「………」

丸井(吉野はまるで無反応。これだけ見ると、本当に意中の相手なんかいるのか?って感じだけど……ダメだな。映画に集中しなきゃ……)


・・・


アンタラー! カクゴシイヤー!!

恵「………!……!!」キラキラ

創真(田所さん、ビビるのかと思えば、意外とハマりまくっているという。……すげえ食い入るように見ているぞ…)

創真(楽しんでくれているのはいいが…。特に姐さんが出てくると反応見せるな……変な影響がつきそうだ)

創真(先日の取り返しを、とかっつって、この影響でカウンター食らわないようにしねーと)


【上映後】


恵「もう!もうね!すっごく面白かった!怖いシーンもあったけど…それ以上にね?カチコミとかね!?姐さんもね!?」キラキラ

吉野「おおぅ……こいつは予想外」

創真「滅茶苦茶輝いているよな、目が。眩しいくらいだわ、どうしようか」

恵「創真くん創真くん!ね、格好良かったよね!ね!?憧れちゃうな、極妻!!色っぽいし、怯まず臆さず度胸もあって、私もああなりたい!ねえねえ聞いてる?ねえねえねえ!!」キラキラ

創真「はいはいよちよち、聞いてますよー。…ああ、そうか、そっちの方向で憧れが。けど、憧れだけにしておけよ?頼むから」ナデナデ

吉野「気弱な恵には、いい発破になっちゃったのかー。対極だもんね、恵とあの姐さんは」

創真「……んで、丸井は…あぁ、期待にしっかりお答えして」

丸井「 」


吉野「ええ、真っ白に燃え尽きてしまわれて。…まいったよ、もー。上映中も凄い震えててさー笑えてくるっての!」

創真「どっかで休憩でも取るか。丸井を休ませねーとだし、…田所は興奮しっぱなしだし」

吉野「あ、じゃあこの近くの噴水公園に行かない?もうそろそろライトアップも始まるしさ!」

丸井(…情けないな、腰を抜かして。…吉野に僕の事を意識させたかった筈なのに。…噴水公園か…)

創真(とにかく田所を落ち着かせねーと、話が始まらないぞ。…噴水公園…)

創真・丸井(ここで取り返して決着をつける!!!)クワッ

恵・吉野「……?」ゾクッ

恵「……なんで創真くんと丸井くん、握手しているの?」

吉野「さあ…男の友情ってやつかしらね……」


【噴水公園】


吉野「…わ、ライトアップ丁度始まったところね!ほらほら、すっごい綺麗!」

恵「吹き上がる水が光を反射して、キラキラしてる。素敵~…ねえねえ悠姫ちゃん、もっと前に行ってみようよ」

吉野「よっしゃ!飛び込んでみますか!?」

恵「だ、ダメだよー飛び込んじゃあ~」

創真「おーい、お前らなんか飲む?そこの屋台で買ってくるけど」

吉野「え、奢り?」

創真「割り勘だ」

丸井「ふぅ……ベンチに座れるのは、有り難い…」グッタリ

恵「丸井くん、大丈夫?そんなに疲れちゃった?…映画、面白かったもんねー!抗争の辺りは私ももう興奮しちゃって、緊張感に飲まれて、まさに一触即発という言葉がぴったりの……」キラキラ

創真「まずい、またスイッチが」


創真「田所もスイッチ入っちまったしな…丸井と一緒に待っていてくれ、ジュース買ってくるから。吉野、手伝ってくれよ」

吉野「はいはい」

丸井「…待って、それなら僕が」

吉野「そんなヘロヘロされていても、ジュース零しちゃいそうじゃん。いいからアンタは座ってなさいよ」

丸井「……わ、わかった…」

恵「ハジキ持った?」

創真「すんませんアニキ、財布しか持ってないっす」


・・・


丸井「………田所は、さ」

恵「うん?」

丸井「幸平の事が好きで、付き合っているんだろ?」

恵「ふえっ!!?あ、あの、あのあの!!」ワタワタ

丸井「別に、もう隠す事も恥ずかしがる事もないじゃないか…そろそろ慣れたらどうなんだ」


恵「う~、そうなんだけどぉ……なかなか慣れなくて…」カアァ

丸井「まあ、それが君らしいのかもな。…田所は、いいのか?幸平が他の女の子と一緒にいても」

恵「え?悠姫ちゃんの事?でも、ジュース買いにいっただけでしょう?」

丸井「それだけじゃなく、結構仲いいじゃないか、あの2人。吉野以外にも、女の子と接触する機会も多いしさ」

丸井「もし…もしも、吉野だけじゃなく……幸平が、他の女の子に目を向  恵「絶対イヤ」

丸井「ん?」

恵「ん?」ニッコリ

丸井「(あ…あれ?) いや、もしもの話というだけ  恵「絶対イヤ」

丸井「(なんだ?) 幸平に限ってそんなこ  恵「絶対イヤ」

丸井「たどk  恵「絶対イヤだ」

丸井(な…なんか地雷踏んだぞ、田所が怖い!!)ゴゴゴゴゴ


恵「………」フゥ

恵「……絶対イヤだけど…創真くんが決めたなら、それは私が何か言える事じゃないよ。創真くんが誰を選ぶのかは創真くんの自由なんだから」

恵「でも、やっぱりイヤだから…創真くんが、ずっとずっと、私を選んでくれるように…頑張ってる。今はまだ、背中を見て歩くしかないけど、いつか…隣に立って一緒に歩いて行けるように、頑張ってるよ」

丸井「………」

恵「色んな人に会ったから…創真くんが手を引いてくれて、色んな人に会って…色んな事を知れたからこそ、…例えどんなにイヤな子になっても…創真くんに私の事を見ていてほしい」

恵「もしも、もしもだよ?創真くんが選んだ人が、例えば悠姫ちゃんだったりして…ちゃんと、おめでとうって言えるくらいにね、…頑張りたいなって…」

丸井「…そんなの…絶対無理に決まってるだろ」


恵「そうだねぇ、泣いちゃうだろうねぇ…たぶん。……でも、悠姫ちゃんは私の大事な友達だから」

丸井「………」

恵「友達が幸せになれるのに、おめでとうって言えないなんて、おかしいもんね」

恵「泣かずに、笑っておめでとうを言えるくらい…もしもの話が出てこないくらいの自分にならなきゃね」

丸井「…幸平が吉野を選んだとしても、吉野はすごく怒りそうだけどな」

恵「ふふ。そうかな」

丸井「吉野も幸平も、田所を泣かせるような真似はしないだろ」

丸井(そう……わかっていたはずなのに。僕は一人でぐるぐると)グッ

丸井「……君達は、強いな」

恵「前より、少しでも成長できていたら嬉しいな。きっとそれも、創真くんのおかげ」

恵「……だから大好きなの。創真くんの事が。創真くんを見ていると、安心できるし、頑張れるから……」


丸井「………」

丸井「……ごめんな、田所」

恵「うん?」

丸井「イヤな事を聞いて」

恵「ううん、大丈夫だよ」

丸井「………」

恵「丸井くん」

丸井「ん…?」

恵「頑張ってね」ニコ

丸井「………」

丸井「 」カーッ

丸井「…いや!違う、そんなんじゃない!!違うんだ、誤解だ!!」ガタッ!!

恵「わっ!?」

創真「―― お?元気になったのか、丸井」

吉野「もー、すっごいキンキンに冷えていて、手が凍りそうよ!でも美味しそうだよ、フルーツジュース!」


創真「はいよ、田所の分」

恵「ありがとう~、創真くん!」

吉野「ほら、丸井。アンタの、早く受け取って!冷えていて手が痛いのよ~」

丸井「あ、あぁ」

丸井(…僕は、ただ一人でぐるぐる考え込んでいただけだ)

丸井(もしもとか、そんなものは…ないんだろうな。みんながどうしてそこまで強いのか、……それは…)

吉野「はー、美味しいわねー。このジュース。甘くてさっぱりしていて…」

恵「本当に!悠姫ちゃんが飲んでいるのも美味しそうだね?色んな種類があるんだ」

吉野「適当に買ってきちゃったけど…恵もメニュー見てみる?」

恵「うん。ちょっと見てみたいな~」

創真「…じゃあ、俺と一緒に行こうぜ。人垣できているしよ、連れていってやっから」


吉野「まー幸平ったら、見せつけてくれるじゃないのさ!上手い事言って恵を連れ出しちゃってー」ケラケラ

丸井「追いかけたりはしないのか?」

吉野「…んー、今はいいかなー。私もちょっと疲れちゃったし、ジュース飲みたいし」

丸井「そうなのか」

吉野「恵ほどじゃないけどさ!私もあの映画でかなり燃えたかんね!いやぁやっぱりいいもんだわ、仁義無き抗争っていうのは!忠義を忘れぬ男の闘い!漢!!」カッ

丸井「た、頼むから寮に帰るまでには、そのテンション落ち着かせてくれよ?なんだかとばっちりを食らいそうな雰囲気だ」

吉野「あっははは!そいつはどうかな~」

丸井(……いい笑顔だな)

丸井(この笑顔が、傍にあって当たり前と思っていたなんて。…贅沢だ)


丸井「…よ……吉野」

吉野「うん?」

丸井「僕は…周りの奴ら、…幸平達みたいに、突出したものは無いけど」

丸井「それでも、僕なりに頑張っていくから……」

丸井「僕と、その………こ…いや、…と、友達に、なってくれないか!?」

吉野「………」

吉野「は?」

丸井「……あ……その」カー

吉野「………」

吉野「……よくわかんない勢いだね」

丸井「す、すまん」

吉野「…あはははは!もー、やめてよね!今更そんな…改まられても、恥ずかしいだけだっての!」バシバシ

丸井「げふっ!?ちょ、吉野やめてくれ、背中痛い……」


吉野「んな、いちいち確認取るもの?もうさー本当勘弁してよー。半端に長い付き合いだから、余計恥ずかしくなるってのにさー」

丸井「し、しかし、……ん?半端に、って…何か、どこかで聞いたような…」

吉野「改めて言う事じゃないけど、アンタと私はとっくに友達でしょ」

吉野「変な奴よねー、丸井って。本当に面白いんだから」

丸井(もうダメだ、これ以上何も言えん。恥ずかしい…!)カアァ

吉野「…ヘタレかと思えば、やる時はやるのねぇ…。また少し、見直した」

吉野「私が引っ張らないとダメなのかなって、正直憂鬱だったのもあったのにさ」

丸井(…吉野はまだ何か話していたけど、その時僕は自嘲と羞恥に押し潰されていて、ほとんど聞いていなかった)

丸井(それを白状したら、なんだか殴られそうにも思えたから、黙っておく事にしよう…)


・・・


恵「…うわぁ、本当にすごい人だかりだねぇ……」

創真「映画を見終わった奴らが雪崩れて来ているみたいでよ。一休みするのに丁度いいしな、この辺り」

創真「ほら、田所。手。はぐれたら大変だ」スッ

恵「……うん」ギュ

恵「………」

創真「ダメだ、ピークにぶつかってんなぁ…なかなか屋台に近付けねー」

恵「……ねぇ、創真くん」

創真「うん?」

恵「やっぱり、まだ、……名前では、呼んでもらえない?」

創真「 」ブハッ

恵「わ!?だ、大丈夫?ジュース吹き出して……私、ハンカチ持っているから、それで拭いて?」ワタワタ

創真「…や、大丈夫……俺もティッシュ持ってっから…」


創真「…な、なんつーか、ずっと"田所"で呼んでいたからよ。やっぱり、改まって呼ぶのは、…その」

恵「……でも、名前がいいな」

創真「わかっちゃいるんだが、勢いがないと…」

恵「………私は、創真くんのものなんだって、実感できるから」

創真「………」

恵「…これ以上、言ったら……欲張りなんだよ。もう充分幸せなのに、私は贅沢。欲張り。我儘。イヤな子、だけど…」

恵「……それでも、私……創真くんのもので有りたい」ギュ…

恵「私を見ていてほしいの、ずっと」

恵「がんばる、から……」

創真「………」

創真「なに泣いてんの、お前」

恵「泣いてないもん」


創真「………」フー…

創真「お前が頑張ってんのに、俺が頑張らないわけにはいかないよな」

恵「…こっち、見ちゃイヤ」

創真「ん」クルッ

恵(創真くんの背中…広いな)ギュウ

創真「……恵」

恵「………はい」

創真「泣き止め」

恵「はい。……ごめんなさい」

創真「もどかしいなー。背中向けてちゃ、慰めてやれねーよ」

恵「…いつまでも甘えてばかりじゃ、いけないから」

創真「いつか、この背中も卒業すんの?」

恵「そのつもり…」

創真「俺を置いて行くなよ」


恵「置いてなんか行かないよ。…隣に立つの。一緒に歩きたいの」

創真「そっか」

恵「うん」

創真「恵がいないとダメだから」

恵「創真くんがいないとダメだから」

創真「……ははっ」

恵「ダメダメな2人だね」クスクス

創真「………恵」

恵「…はい」

創真「好きだ」

恵「………はい」

創真「お前は俺のものなんかじゃない」

恵「はい。私は…創真くんの、恋人…です」

創真「よろしい」ニッ

恵「はい」ニコ


創真「けど、隣に立ってもらえんのは、いいかもなぁ」

恵「うん、置いて行かれたくないもん。足手まといになりたくないから、だからね、頑張るから…」

創真「違ぇよ。隣に立ってくれたら、抱き締めやすくなるだろ」

恵「………はい!!?」

創真「けど、俺の前には立つなよ。まさに立つ瀬無くなるからな。俺の隣がお前の居場所だ」

恵「ちょ、ちょっと待って、創真くん、あの、」

創真「なんか文句あんの?」

恵「文句とかじゃなくって、……な、…なんでも、ないです……」カアァー

創真「よし」

創真「…前に立たれねーよう、俺も頑張るからさ。一人で頑張るな。俺と一緒に頑張れ」

恵「……はい…」ギュー


創真「…それにしてもさー、いつまで俺の背中にしがみついているつもりだ?お前」

恵「ご、ごめ、ごめんなさい、なんか、顔…見せられなくて!絶対真っ赤だし…」

創真「おんぶでもしてやろうか?」

恵「それはもっと恥ずかしいよぉ~!……は、離れるけど、こっち、まだ見ないでね…お願い…」

創真「…取り返しのタイミング失ったけど…まあ、いいか」

恵「……取り返し?なにを?」

創真「気にすんな」

恵「は、はい」

創真「じゃ、吉野達のところに戻るぞ。……恵」

恵「……! はい!」テレ

創真「…っつか、呼び捨てでいいのかね。俺も"恵ちゃん"とか呼んだらいい?」

恵「……それは、すごく恥ずかしい…かな…」ポッ

創真「だよなぁ……」カー


・・・


吉野「…お。バカカップルご帰還でーす、おかえりー」

創真「…丸井、ちょーっと話を聞かせてほしいんだが?」ガシッ

丸井「ひっ!?……さ、察した系、か…?すまない、本当にすまないと思っているんだ、僕も色々考え込みすぎていて、…あああ助けてくれえぇ!」ズルズル

恵「ちょ、ちょっと、創真くん!?なにする気なの!?」

創真「お前は黙ってろ、恵」

恵「あう。…はい…」ポッ

丸井「はい、じゃなくて!止めてくれ田所、お前しか止められないだろ!?」

吉野「っていうか、あれ、そういえば……アンタら、ここまで来てまだ名前呼び合いじゃなかったんだっけ」

恵「うん……」モジモジ

吉野「え。亭主関白…?」

丸井「本当についうっかり、悪かったって思って、ぎゃああああ!!」


丸井「 」

恵「ま、丸井くん……大丈夫?」

吉野「あららぁ、またすっかり真っ白になって……」

創真「ちょっと説教しただけなのにな、俺がどうこう言う前から精神磨り減らしてたっぽいけど、なんかあったのか?」

吉野「さあ?映画のダメージ引き摺ってたんじゃない?…ほら、立ちな、丸井。もう帰るよ!」

創真「…ところで、吉野、お前の幸せ云々って話は結局……」

吉野「んー?…あっははは!大丈夫大丈夫、解決しそうだからさ!ありがとね、幸平」

丸井「………」カーッ

恵「…ふふ。丸井くん、顔が赤いよ」クスクス

丸井「ちょ!やめてくれ、田所!違うんだ、君の勘違いというか、見間違いなだけで……」


創真「よーし、まだ余裕あるみてーだな。説教コースおかわり、承りましたー」ガシ

丸井「待ってくれ、違うんだ、話を聞いてくれ、ああああー!!」ズルズル

吉野「覚醒しちゃったっぽいわね、幸平ったら。こりゃ暫くは、恵をからかえなくなるわー。アンタの旦那、超怖ぇ」ケラケラ

恵「だ、旦那って言うの、やめてよぉ~……あれは良くないって思うから、私も止めるつもりだけど」

創真「恵、俺のやる事に口出しすんなよ」

恵「あうぅ。……はぁい」ポッ

吉野「…ダメだ、こりゃ。バカカップルに拍車かかりすぎ」

恵「創真くん、ずっとついていきますー…」ポー

吉野「でも、せめて現実には帰っておいでなー?」

丸井「いいから誰か助けてくれよおぉー!!」




ちょっかい話もあらかた書けた感じなんで、ここで一区切り。スレ残りもう少しかー。

あと今更なんですが、既にまとめていただいた部分は別として、このスレのまとめは無しの方向でオナシャス。ダラダラと長ぇし。

ありがとうございます。
とりあえずまた最後の方で書き込む事にする。

七夕ネタ書くよー。


創真「恵ー。短冊書いたかー?吊るしてやっから、できたの寄越せ」

恵「はう」ポッ

創真「…あのなあ、お前が名前で呼べって言ったんだから、いちいち照れんな。こっちも恥ずかしくなんだろ…」テレ

恵「ご、ごめんね、なんだかどうしても……あ、これ、短冊」

創真「あいよ。……ん?願い事は書かないのか。織姫、彦星ってだけで…」

恵「うん、色々考えたんだけど……浮かぶお願いは、全部自分で叶えたい事だったし」

恵「…子供の頃は、書ききれないくらいだったんだけどな~。創真くんはお願い事、なにか書いた?」

創真「や、俺も特に思い浮かばなかったんだわ。だからお前の短冊を見て参考にするかなと考えたんだけどさ」

恵「ふふっ。とりあえず、飾り付けしちゃおうか!」


恵「…うーん、まだちょっと寂しいね~。他のみんなの短冊を吊るすスペースは取っておくにしても…」

創真「そうだなぁ、もうちょい飾り作っておくか」

恵「うん。折り紙、まだ残っているし。…なんだか懐かしいな~、こうしてのんびり七夕のお祝いをするのも、久し振りだよ」

創真「そうなのか?」

恵「田舎にいた時は、家族みんなで毎年笹を飾っていたけど…こっちに来てからは、進級だ退学の危機だで、余裕全然なくって…」ハァー

創真「はっははは!ま、余裕出てきて良かったじゃん。七夕にちなんだ食事メニューを考えんのも、スキルアップに繋がるしな~」

恵「今日のご飯はどうしよっかー?」

創真「んー……素麺でも茹でっかなぁ。笹みてーに、具材で飾り付けて…」


恵「見て見て創真くん、折り紙で作った織姫様だよ!」

創真「スゲーな、お前。俺は輪っか繋げるくらいしか飾り作れねー」

恵「作り方がわかれば簡単だよ?創真くんもやってみる?彦星様を作ろうよ」

創真「どれどれ…」

恵「まず、ここを折ってね。それから……」



創真「…出来たはいいが、なんか、だらしねぇ彦星になったな。寄れてやがる…」

恵「何度か折り直したりしたから。でも、ちゃんと作れているよ!上手だね、創真くん。料理だけじゃなくて、手先自体が器用なんだ」

創真「そーかねぇ。…ま、とりあえず追加はこれくらいにして、飾っとくか。これだけあれば、いい七夕が過ごせんだろ。彦星達も」


恵「七夕当日、晴れるといいねー。雨が降っちゃったら、織姫様達、会えなくなるっていうし…それは、すごく寂しいよね……」

創真「俺が彦星だったら、どうにかして無理矢理にでも会いに行くけどな」

恵「……ふふ。創真くんは天の川も泳いで来てくれそう」クスクス

創真「だろ?」

創真「それに、ちなんだレシピを考える為に、七夕について軽く調べたんだけどよ。7日に雨が降ったとしても、まだ会うチャンスはいくつかあるらしいぜ」

恵「そうなの?」

創真「おう。各地で、七夕の日付が違うみたいでさ。だから例え7日がダメでも、他の日に会えばいい」

創真「最悪、全部が雨でも、…名前は忘れちまったけど、橋渡しの鳥がいて、そいつが連れていってくれたりもするとか」


恵「そうだったんだー!良かったねえ、織姫様達!それなら少しだけ寂しさは緩和される…かな?」

創真「一年にいっぺんだけっていう浪漫っつーの?それは台無しかもだけどなー」

恵「でも、ずっと会えないなんてのは、すごく寂しいからねぇ。私がそうなったらイヤだもん」

創真「そうなったとしても、どうにかすっから。泳ごうが、橋渡しを急かそうが」

恵「…創真くんなら、本当にどうにかしてくれるから、安心」

創真「ははっ。俺に任せとけ、織姫様」ナデナデ

恵「うん!会いに来てね、彦星様」テレ

吉野「…おーいバカカップル。いちゃつくのも大概にして、そろそろ夕飯作ってよ。今週の当番はアンタらでしょ」

恵「ふぇっ!?ごご、ごめんね悠姫ちゃん!もうそんな時間!?」ビクッ


創真「つーか、その呼び方どうにかならねーの?」

吉野「隙あらば、いちゃつくアンタに異議申し立ての権利はないわよー。…っはー、まったくもうベタベタと、夏の熱気にも負けやしないで…こちとら夏バテ気味だってのにさ~」

恵「ああう……わ、私、先に厨房へ行っているね!」パタパタ

創真「あ、恵!待てよ、俺も行くから!」バタバタ

吉野「名前呼び合いになってから、本当に加速したわねアイツら…開き直ったというか、なんというか。…あー、おなかすいた~」


・・・


恵「は、恥ずかしかった…もう、悠姫ちゃんったら」

創真「ま、とりあえず飯作っちまうか。素麺茹でて盛り付けて。一足早い七夕モード」

恵「でも、お素麺だけじゃ物足りないよね…もう1、2品くらいは作ろっか」


創真「んー……じゃあサラダ追加すっか。ササミかシーチキン使ってボリュームあるもんにして」

恵「私はデザートのゼリーを作るよー」

創真「デザートなら丁度、新作料理を開発したばかりだから、それを出したら…」

恵「ダメ!絶対ダメ~っ!」

創真「なんでだよ、味付けは甘いんだぜ?味付けは」

恵「うぅ…もうその言葉だけですら怖いよ。材料がなんだったかは聞かないからね」



創真「……暑い、暑い…素麺は旨いんだが、茹でる間が地獄だ……」ダラダラ

恵「本当に…でも、本番はこれからだもんねぇ……これ以上暑くなるのかと考えただけで、ぐったりしてきちゃう」

創真「吉野も夏バテとか言ってたしな…今度は精のつく飯作るか、…と思うが、この暑さじゃ頭が働かねぇ」


恵「創真くん、汗が……茹でるの代わろうか?」フキフキ

創真「サンキュ。や、大丈夫。もう終わったからよ」

恵「じゃあ仕上げを代わるから、創真くんは休んでて?冷蔵庫に麦茶冷えてるよー、お疲れさま」

創真「んー…んじゃ、お言葉に甘えて……あー、暑い、溶ける…。……っかー!麦茶旨ぇっ!!」ゴクゴク

恵「ふふふ、暑い時はさっぱりと麦茶が一番だねー」

創真「冷えてんのがまたスゲー有り難いわ、ほら?こんなに冷え冷えでよ」ピタ

恵「きゃっ!?つ、冷たいよ、創真くん!首にコップつけたら、びっくりしちゃう!」

創真「はははっ、でも涼しくはなっただろー?」

吉野「……っだー!!暑苦しいなああもう!バカップル死ね!!!」

創真「っ!!?な、なんだよ、吉野。飯はまだできてねーぞ」ビクッ


吉野「暑いからアイスを取りに来たらこの始末よ!!アンタ達は本当に、隙あらばベタベタいちゃいちゃ……暑っ苦しいっつーの!!」

創真「そんなにイラつかれるような事、していたか?」

恵「さ、さあ……」

吉野「もう頭来た!恵、こっちにいらっしゃい!七夕らしい遊びをしようじゃないのさ…」グイ

恵「きゃ!?」

吉野「いいこと、幸平!これから何人かに、短冊を持たせるから。書かれた願い事を叶えて持って来なさい、そうしたら織姫を解放してやるわ」

創真「はぁ!?なにをわけのわからない事を……」

吉野「お黙り!アンタら本当にベタベタしすぎなのよ!この試練がクリア出来なかったら、そうね、最低1日は恵と接触禁止ね!」

創真「ちょっと待てって!どんな八つ当たりだ、そんな事やってられるか!」


吉野「いいじゃない、暇潰しにもなるし、たまには離れてみるのも。その後が燃え上がるわよ?……はぁー、考えただけで暑苦しい」

吉野「…早速、私の短冊はこれよ!!さっさとクリアしてよね!行くよ、恵!」

創真「ぶっ!?」ベシ

恵「そ、創真くーん!!」ズルズル

創真「…"さっさとご飯食べさせろ"……くっそ、天帝気取りか吉野の奴!暑いからって、こんなのアリか!?つーか願い事じゃねーじゃん、命令だろコレ!」グシャ

創真「…どっちみち飯は作らねーと……吉野ー!覚えてろよ、てめえ!!」


『七夕短冊内容(願い事だけでなく、命令文でも可、キャラ指定可) 安価↓1~3つくらいまで』

安価ありがとうございます


創真「………」ズゾゾゾ

丸井(なんだか、吉野を見る幸平の目に殺気がこもっているような…)

吉野「んー、具沢山素麺の美味しいこと!平和な中で啜ると格別よねぇー」ズルル

丸井(いや、吉野も負けちゃいない……殺気と殺気がぶつかりあっている、何事だ、滅茶苦茶怖いぞ…!)

恵「あわわわ……」オロオロ

吉野「ふっふっふ…何か言いたげだねぇ、幸平くん?敢えてツッ込んであげようじゃないの」

創真「おー、気遣いありがとう。……短冊とやらは誰に渡した?っつか実際は付き合ってらんねーんだけどな、これ食い終わったら直接仕置きをするべく、新作料理も作ってあるしよ」

吉野「ストレートな殺害宣言をどーも。やーねー、ちょっとした余興だってのにさ?まったくちっちゃい男だよ」


創真「ちっちゃいとかそんなのどうでもいいわ。余興とやらに付き合えば満足すんだよな?」

創真「…短冊を誰に渡した!クリアしてやっから言え、そしてクリアしたら、わけのわからない八つ当たりはもうやめろよ!?」

吉野「毎日クソ暑い中、ベタベタ暑苦しいバカップルを見せつけられる身にもなれっての。一種の公害みたいなもんだわ」ヘッ

吉野「……短冊を渡すのは、3人。いずれもこの極星寮メンバーよ、期限は明日1日、七夕が終わるまで。この試練をクリア出来るかしらね?彦星様」

創真「やったろーじゃん!待っていろよ、恵!すぐに助けてやるからな!」バン!

吉野「ホーッホッホッホ!!アンタの腕前を見せてもらうわ!」

恵(ノリノリだなぁ、創真くんも悠姫ちゃんも……)

丸井(暇なんだな、こいつら)


吉野「…というわけで!ごちそうさまでしたー!梅ゼリーもとても美味しかったわ!」

吉野「さ、後片付けは幸平に任せて。行くよ恵、お風呂入って、今日は私の部屋で寝ようねー」

創真「待て!待て!!後片付けまではいい…余興は明日っからだろ!?なんで今から恵を連れて行くんだ!」ガタッ

吉野「その方がやる気も出るってものじゃない?クリアした時の有り難みも増えるだろうし。大体今まで恵を独り占めしてたんだから、少しくらい我慢しなさいっての」

創真「吉野おおぉ!!マジで痛い目見せてやるからな!!」

恵(ごめんね、創真くん……でも、創真くんが私の為に頑張ってくれるのは、ちょっと嬉しいかも…)ポッ

吉野「……離れても絶好調、それがバカップルか……」ハァ


【余興当日・一色畑】


一色「あははは!いやぁ災難だったね、創真くん。まあ、吉野くんの気持ちも、わからなくもないけど」

創真「別に俺はいちゃつくとか、そんなつもりはなかったんスけどねー…」

創真「とりあえず……この寮のメンバーって事だし、聞き込みからやろうかなって思って。一色先輩、短冊貰ってません?」

一色「……うん、持っているよ。これの事だろう?」ガサ

創真「それだ!っつか褌の中から出すな!!……いや、この際それは置いておきます。なんか触るのイヤだけど…その短冊、俺にください」

一色「あげるのは構わないが、吉野くんの出した趣旨をこなしてもらってからだね」

創真「一色先輩!吉野に付き合う事なんかねーのに!」


一色「付き合うだけというわけでもないんだ。切実な願い事を記したからね、それがすぐ叶うとなったら、食いついてしまうよ」

創真「くそっ。願い事……"畑仕事の人手が欲しい"?」

一色「そうそう。収穫を終えたばかりのスペースがあってね。そこを耕すのを、誰かに手伝ってもらいたいなと思っていたところだったから」

創真「…しゃーねぇな……先輩の作る野菜にゃ俺も助かってんだし…わかりましたよ、やります。…んで?どっからどこまで耕しゃいいんすか?」

一色「ありがとう、悪いね、創真くん!じゃあ、ここから…あそこまで、耕してもらえるかい?」

創真「……え?なんか地平線が見えそうな気分になるくらい、広いけど。冗、談…?」チラ

一色「労働により汗をかき!そして獲るものは何よりも輝くものだ!!さあ頑張ろう、創真くん!」


ザク ザク ザク

創真「ひー、はー、……あ、暑っ…クワ重っ……!せ、先輩!一色先輩!まだ耕すんすか!?」

一色「ははは、勿論だよ!ここでキャベツでも育てたいな、もう少し早ければサツマイモを植えるのも良かったけど…人手が足りなくてねぇ」

創真「っつーかなんでこんな、無駄に広いんだ!!それを手作業!?正気の沙汰とは思えねぇー!!」

一色「いやぁ、労働の実感をこの手で味わいたいのもあるんだが……高いんだよねー、耕運機って」

創真「頼むから買ってください、なんなら俺もカンパすっから……あ、汗で前が見えねえぇ……」ゼーゼー

一色「熱中症には気を付けてね!…ま、クワでもどうにかなるものさ!現にどうにかなっているだろ?あと半分、頑張ろう!創真くん!」


創真(どうにかっつーか、どうかしてんのは一色先輩の方だ)ゼーハー

創真「はー、…はー……マジ、暑い……」グッタリ

一色「………」

一色「………田所ちゃん」ボソッ

創真「………!!」カッ!!

創真「うおおおおおやってやらああぁぁぁ!!」ザクザクザク!!

一色「あははは!!うん!これもまた青春だな、好きな女の子の為に頑張る君は今とても輝いているよ!創真くん!」

創真「いいから先輩も手を動かしてくださいよ!っだー!ちくしょう、まだ終わらねーのかよ!!」ザクザクザク!!

一色「いやぁ~、しかし太陽が照りつけるね!夏真っ盛りだ、日焼けしてしまいそうだなぁ」

創真「今更それを言うのか、褌一丁男!!いいから働け!!」ザクザクザク!!


創真「はぁ、はぁ、はぁ……お、終わったぞ、…はぁ」グッタリ

一色「助かったよ、ありがとう創真くん!お疲れさま!それじゃあ、はい。短冊を渡そう」

創真「…っしゃ!一枚目ゲットってあああそういや褌の中からコレ……握っちまったあああ」グシャ

一色「太陽の恵を受け、大地の恵を受け、そして肥料や水の恵を受け!健やかに育てよ野菜達、僕の愛情をたっぷり注いであげるからね!」

創真「頼むから、恵、恵って連呼しないでください、っつーか褌の中から、褌の中から出した短冊を、あああぁ…!」ガタガタ

創真「くそ……1枚はゲットしたけど、もう14時近いじゃねーか…昼抜きでここまでは流石にキツい、汗だくだし泥まみれだし…」ハァハァ

一色「シャワー浴びていいよ、創真くん。このまま寮を彷徨いたら、ふみ緒さんが怒るだろうし」


創真「…ふう、さっぱりした……」

榊「うふふ、悠姫から聞いたわよ、幸平くん。またなにか面白い事をやっているんだって?」ヒョイ

創真「!! 榊!……もしかして、お前…吉野から短冊を貰ってねーか?」

榊「ええ、貰っているわよ。コレでしょう?」ピラ

創真「それだ!なんだよ、順調じゃん!榊、その短冊を俺にくれ、願い事だのなんだの叶えてやるから」

榊「是非お願いしたいわ、そのオイシイ特典があるから、この話に乗ったんだもの。じゃあ、幸平くんのお部屋に行きましょうか?」

創真「あ?なんで俺の部屋に?」

榊「乙女の部屋へ、気軽に入れると思っちゃダメよ?…はい、短冊内容を読んでみて」

創真「……"全身マッサージをしろ"…いや、確かに願い事だが……ベクトル違くねーか!?お前も一色先輩も!」


【極星寮・303号室】


榊(悠姫には少し痛い目見せてやれ……なんて言われたけど、私もやぶさかでないわ)

榊(正直、子供っぽいとも思っていた幸平くんが真っ先に恋人を作っちゃったんだもの、気になるわよねぇ……どこまで進んでいるのか)

榊(色々と吐き出してもらおうじゃない)クスクス

榊「………て、幸平くん、なんで部屋の扉を開け放しているの?」

創真「や、女と2人で部屋に入るなら、こうするもんだろ?」

榊(え。紳士。……こ、これじゃあ会話も外に漏れちゃう、……やりにくいな)

榊「……あ、ありがとう。それじゃあマッサージをよろしく頼めるかしら」コホン

創真「うーい」


創真「んじゃ、肩揉みくらいでいいか?」

榊「あら、全身マッサージなのよ?ベッドに寝そべるくらいな流れでいかなくちゃ……」

創真「んな本格的なもんやるのかよ?素人がそこまでやっても、逆に体おかしくなるだけだと思うぜ」

榊「それはそうかもしれないけど、」

創真「座ったままでも凝りは解せるだろー、ほら、向こう向いて。肩触るぞ」

榊(喋らせない!フラグを速攻で叩き折ってくる!このマイペースさに恵も飲まれたのかしら…)グッ

創真「……なんか、あんまり凝っているって感じがしねェけど…」

榊「そう?結構気にしてケアをやっているからかしら、でも辛くてしょうがないのよ…私、凝りの要因いくつも持っているから、油断できないの」


創真「凝りの要因?」

榊「塩麹の管理も体力使うし…身長もあって、前屈みの作業が辛かったり。冷えにも弱いし、それに……」

創真「それに?」

榊「胸が大きいと、肩が凝りやすくなるって言うじゃない?」チラ

創真「ふーん」

榊(無反応!!?)

創真「なら、薙切とかも凝っていたりすんのかね。アイツのマッサージなんかやりたくねーけど」ケラケラ

榊(畳み掛けるようにデリカシー皆無発言!!?)

創真「腕、後ろに引くぞー」グググ

榊(これ……本当に進展とかしているのかしら?…い、いえ、飲まれてなるものか)

創真「……肩はこれくらいでいい?あとは…」

榊「……前の方、とか?」

創真「それはダメだろう、常識的に考えろ」

榊「はい」


榊(真顔で言われた…フラグバッキバキ。ちっともいいムードに運べないのは、なんなの?興味無さすぎにも程がある……)

創真「……そういえば、一度やってみたい事があったんだよな。榊、悪いけど椅子に座ってくんねー?」

榊「…な、なにをするの?」

創真「前にテレビで見たんだけどさー、足のマッサージ」スッ

榊(この体勢…なんかいいわね。女王様と下僕って感じで)

創真「まー、テレビで見ただけじゃ出来るわけないけどなー。足ツボ」グッ!

榊「!!! 痛い痛い痛い痛たたたた!!痛ぁい!!ちょっと、やめて!もういい、痛ぁー!!」

創真「えっ。…マジ?一発でヒットした?」ググ…

榊「なんで追い打ちかけるの!?やめてったら、痛い痛いぃ!いやあ!もうやだ、痛い~!!」ジタバタ


創真「そんなに痛ェの?マジで?ふざけているだけじゃなくて?」グググ

榊「ああぁ!痛いっ、痛い、いや、いやっ!入ってる、入ってるの、やめて、いや!いやあ!!ああぁぁ……!」

創真「そっか、痛いのか……あははは」グリグリ

榊「なんで笑っていられるの!?やめてったら、お願い、やめて…もういいから、痛い、痛たたた…!」

創真「足裏には色んなツボが集中しているって言うし、押していきゃ全身マッサージにあたるんじゃね?」グイグイ

創真「お前がやって欲しいっつったんだろ、それを今更やめてとか、無いわ。そんなに痛ェの?大袈裟にしているだけだろ?なあ?どうなんだよ」グググ

榊(え、ちょ、イキイキしているんだけど、何コレ、創真くん…ちょっとサドっ気あるんじゃ……痛たたたー!!)


・・・


榊「………」ハァハァ

創真「はっははは、んなグッタリして。これじゃあもうマッサージは続けらんねーな、クリアって事で短冊くれよ」

榊(散々やられた……神の手…?やめてって言っても全然やめてくれないし、…あんな顔もするのね……)

創真「よし!二枚目ゲット!あと一枚か」

榊「……創真くんって、恵にもああいう感じなの?」

創真「ああいう、って?」

榊「その…イヤだって言っても、やめない感じというか……嗜虐的というか」

創真「うーん…?本当に拒絶してこられたら、流石にやらねーけど……恵って反応が面白いところがあるからなぁ、調子に乗ったりする事もあるかなー」

榊(へらへらしながらあっさりととんでもない事を…)


榊(痛い目見せるどころじゃなく、見せられたわ……恵、ご愁傷さまとしか言えない)フラフラ

伊武崎「…どうした、榊。そんなふらついて」

創真「見よう見真似で足ツボマッサージやったら、意外と上手くできたらしくてよ」

榊「………」グッタリ

伊武崎「足ツボ……?」

創真「そうだ、伊武崎は?吉野から短冊を貰ってねーか?」

伊武崎「ああ…話は聞いたが、断った。特に頼みたい事もなかったし」

創真「そうか、んじゃ次は丸井にでも聞いてみるかな……サンキュ、伊武崎」タタッ

榊(なんか、上手く歩けない……つ、疲れた)ヘタ

伊武崎「おい、大丈夫か榊。本当に足ツボマッサージだったのか?」

榊「ええ……幸平くん、すごかった……激しかったわ……」ハァハァ

伊武崎「 」


【極星寮・205号室】


丸井「短冊ね……貰ったよ。またこういう下らない事に僕を巻き込んで」

創真「それを言うなよ、俺だってまいってんだから。ほら、短冊見せろ。面倒ならそのまま渡してくれていいんだぜ?」

丸井「あとで吉野に怒られるのもイヤだからな、願い事はちゃんと書いたよ」

創真「うん?……"ささやかに七夕を楽しめる静かな自室"……」

丸井「どうせ今夜も僕の部屋で騒ぐつもりだろうからな…叶わぬ願いと思うが」

創真「なーんだ、これは一番簡単だな!ちょっと待ってろ、準備してくる」バタバタ

丸井「な、……イヤな予感しかしないぞ?」



バタバタ

創真「…よし!それじゃあ丸井の願い事、叶えてやっからな!」


丸井「なあ幸平、なんで金槌なんか持っている?板に釘……ちょっと待て、本当に待て!!違う、それは違うぞ幸平!?」

創真「先に短冊貰っておくからな」ピッ

丸井「あ!」

創真「代わりにコレ、空のペットボトル」ポイ

丸井「あ?」

創真「七夕が終わったら、出してやっから。じゃあな丸井、良い1日を」バタン

丸井「待て!本当に待ってくれ、違う!!そういう問題じゃない、やめろ幸平、力業すぎるだろーっ!!」ドンドン

ガンガンガン

丸井「ああああ!板打ち付けてる!本当にやりやがったコイツ!ふざけるな、風呂とかトイレとかどうするんだ、幸平ー!!やめてくれえぇ!!」

創真「風呂は我慢しろ、1日くらいなんとかなる。トイレは、渡しただろ?今」


丸井「なにを言って、……!!ま、まさか!!そんな!!」

創真「男に生まれて良かったなー?丸井」ニタァ

丸井「………!!ああああああ出してえぇ!イヤだああ出してくれ、もう静かな部屋とかいいから!僕が悪かったああ!!」

創真「明日になったら出してやるってば。そういや食料の事を忘れていたな、それはあんの?」

丸井「い、いくらかはあるけど……」

創真「ならバッチリじゃん!……はい、出来上がり。やー、これで全部クリアだな。んじゃ、丸井。……また明日」

丸井「なんで僕ばかりこんな目にいぃー!出してくれー!誰かー!!」

創真「どうしてもってんなら、あとで脚立掛けてやっから、窓から外に出たらいいんじゃね?忘れてなきゃやってやるよ」

丸井「鬼ー!悪魔ぁぁ!!」


【極星寮・116号室】


恵「うさ子、うさ子ー。うふふ、うさ子は相変わらず可愛いね~、もふもふだねー」ナデナデ

吉野「なーんか部屋の外がドタバタ騒がしいけど、頑張ってるみたいねー幸平」

恵「暑い中、一色先輩と畑に出ていったみたいだし……大丈夫かなあ」

吉野「ま、大丈夫っしょ。一色先輩がついてんだし。今までずーっと恵を独り占めしてたんだもの、たまにはこういうのもいいのさ」

恵「そんなにべったりしてたかなあ?…ねー、うさ子ー。そこまでじゃないよねぇー?」

吉野「自覚ないってのが末恐ろしいよ、まったく…今からそんなんじゃ、倦怠期とか来たときが大変だよ?」

恵「う。それはやだなあ…創真くんに飽きられたら、私……」


吉野「恵が飽きるって選択はないのね……大体さ、幸平のどこが好きになったの?」

恵「え?ど、どこって」

吉野「おっ?照れてますね、お嬢さん!吐け吐け、もういい、許可する!惚気ちまえよ~、幸平の好きなところ10個、挙げるまで帰れまテン!」

恵「それ、趣旨違うんじゃない?うー、10個~?」

吉野「細かい事、気にしなさんな!ほらほらぁ、言いなさいよ~」ウリウリ

恵「待って~、10個にまとめるのが結構大変で……うーん」

吉野「……ああ、余裕で10個以上あんのね…そりゃもうごちそうさまとしか言い様がないわ……」

恵「…創真くんっていう、存在が好きなんだよ」ニコ

恵「創真くんに会えて良かった。創真くんがいてくれて良かった…だからお礼がしたい、もっと一緒にいたい、できればずっと、…そればかり思うの」


吉野「本当にベタ惚れねぇ……」

恵「困っちゃう事も多いけどね?…一緒に頑張って、なんとかする。一緒にできたらとっても嬉しい」

恵「だから自分で気がつかないうちに、一緒にいちゃうのかもしれないな。そういうものじゃない?」

吉野「だからってべたべたは自重してくださいな、暑いんだってのさ、本当に。もー」

恵「うー、だからそんなにべたべたしてないってばぁー」

創真「……おい!吉野!いるんだろ、お前が出した余興とやらをクリアしてきたぞ!」ドン ドン

吉野「はいはい、来たよー彦星が。…今開けるから、そんな力いっぱいノックしないの!扉壊れるわ」ガチャ

創真「てい!!」ズビシ

吉野「甘んじて受けよう!!……けど、脳天チョップは痛い……」ズキズキ


恵「創真くん、乱暴はダメだよ!」

創真「乱暴じゃねーよ、制裁だ。……ったく、もうヘトヘトだぜ、とんでもねー1日だった…ほら、回収した短冊!」

吉野「あはは、でもみんな喜んでいたんじゃない?織姫と彦星だってさあ、働かずイチャついていたから罰を受けたんだしー」

創真「なに言ってんだ、俺らはやる事ちゃんとやってたろうが!…はー、もういいわ、ちょっと休ませろ」

恵「お疲れさまだったねえ、創真くん。……会いに来てくれて、ありがとう」

創真「……どういたしまして」ホッ

吉野「はいはい自重自重!人の部屋でイチャつくな、ほら、幸平。頑張ったで賞はこっちよ、恵も一緒に食べよ!」

恵「わ!アイスだ、ありがとう~悠姫ちゃん!」


創真「アイス一個で騙されるもんかよ、大体なあ、このバカ騒ぎは吉野、お前が妙ないちゃもんつけるから……」

吉野「幸平はアイスいらない、と。じゃあ私達で半分にして食べよっか、ねー恵ー」

創真「本当にすいませんでした、吉野様。反省しています」

吉野「うむ、苦しゅうないぞ。はい、幸平のアイス」

恵「あははっ。結局、悠姫ちゃんが一番強いよね~」

創真「ったく、面倒ばかり起こしやがって、トラブルメーカーが」

吉野「私がトラブルメーカーなら、アンタだってそうじゃないの。…んー、アイス美味しい!」

恵「でも、本当。たまにはこういうのもいいかもね。悠姫ちゃんと1日お喋りしたのも久し振りだったし」

創真「……それこそ一年にいっぺんくらいにしてくれ、マジで疲れたんだからな、今日1日で」


吉野「本当にヘロヘロしちゃって、何がそんなに疲れたってのよ……あー、結構エグいお願いがあったのか」ペラ

恵「一色先輩の畑仕事は…一人でやるには、ちょっとキツいねえ」

創真「一色先輩と2人でやったわ。じゃなきゃ1日で終わらせるなんて無理ってもんだしよ」

恵「………ねえ、ちょっと待って?これ…涼子ちゃんのお願い…」

吉野「全身マッサージ?やったの?幸平」

創真「おう、まずは肩揉みから……」

恵「創真くん」

創真「ん?」

恵「……正座」

創真「はい!?」ササッ

吉野「…恵の説教って、かなり怖いのね。知らなかったわ……」

吉野「まー、それを除けば平和な七夕よね~、あっははは!良きかな良きかな!」



丸井「最低の七夕だー!部屋から出してくれ、誰か助けてくれえぇー!!」




七夕ネタおしまい。

今のところ書きたいもの大体書けたし、ここらで終わっておきます。
スレ使いきるのって難しいものだ。でも創恵好きで書くの楽しかった。またネタできてスレ残ってたら書きに来る。

これまでお付き合いしてくださった方、ありがとうございました。

あと>>870もよろしくお願いします。では。


榊の呼び方がごちゃごちゃになっているミスが…失礼しました

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2014年02月27日 (木) 15:18:06   ID: hxvpXcz5

食戟のソーマもキャラいっぱいでてきたし創真と恵のいちゃいちゃももっと見たいからこの人につづきかいてほしいなー

2 :  SS好きの774さん   2014年06月19日 (木) 02:39:01   ID: aS-A9_oy

創真と恵の結婚式はいつですか

3 :  SS好きの774さん   2015年08月25日 (火) 03:11:16   ID: 1CfgYbuV

素晴らしい

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