なのは「私がフェイトちゃんに告白したら」 (53)

なのは「どうなると思う?」

アリサ「即墜ち」

はやて「式場の準備」

すずか「とりあえず、いつしたの?」

なのは「みんな、真面目に答えてよ!っていうか、まだしてないよ!」

アリサ「なーんだ、で今度の日曜どこいく?」

はやて「またアリサちゃん家でええんちゃう?ヴィータ連れてってもええ?」

すずか「あ、ヴィータちゃんにピッタリの衣装が……」

なのは「き、聴いてよ!?」

アリサ「気になるならしてみなさい!以上!」

すずか「今回は右に同じね」

はやて「告白のセリフは後で教えてな~?」

なのは「うぅ……」

アリサ「はいはい、今は慰めてくれる王子様はいないわよ?」

はやて「いつもみたいな直球・突撃的なセリフもええけど、乙女チックなんも効果あるかもしれんで?」

なのは「私は真面目だよ!なんでそんなにどうでもよさそうなの!?」

すずか「なのはちゃん、食傷って言葉知ってる?」

なのは「へ?」

アリサ「胸に手を当てて、いつものあんたらの行いを顧みてみなさい?」

はやて「なのは大丈夫?今日はちょっと肌寒いくらいだから……」

すずか「うん、大丈夫だよフェイトちゃん!ずっと来るとき手暖めてくれてたし……」

なのは「ぜ、全然似てないよ!」

アリサ「セリフは原文ままだけど」

はやて「なのは……、もっと暖まることしようか?」
すずか「はやてちゃん、調子のりすぎ」

なのは「でも……昔に比べたら……」

アリサ「基準がオカシイわ」

はやて「もっとヘタレた方がフェイトちゃんぽかった?」

すずか「んー、ヘタレというか回りくどい感じ?」

なのは「でもでも……もうすぐ……」

アリサ「もうすぐなによ?」

はやて「私はまだ少し寒いかな……(チラッ)」

すずか「そうそう、そんな感じ」

なのは「みんな、離ればなれになっちゃうんだよ?」

アリサ「それは……私達に比べれば!あんたらは同じ管理局に入るワケだし!」

すずか「どうなの、はやてちゃん?」

はやて「それは……どうなるんやろな……」

なのは「今までは嘱託だったから、こういう風にスケジュールの調整もできたけど……」

はやて「特にフェイトちゃんは執務官やしな……」

すずか「そうなんだ……もう、あと少ししかないんだね」

アリサ「なら……なら、尚更じゃない!」

なのは「え?」

アリサ「今の内にぶっちゃけときなさいよ!どうせ離ればなれなんだから気まずくなってもいいじゃない!」

なのは「それはそうなんだけども……」

はやて「なんや、なのはちゃんらしないなあ?なんかあるん?」

なのは「その……フェイトちゃんは、私のことどう思ってるのかなって……」

アリサ「は?」

はやて「何を今更」

すずか「あれでダメだったら……」

なのは「いや、無理してないかなって……フェイトちゃんは優しいから」

アリサ「無理は……ねえ?」

すずか「全身全霊で溺愛してるけど」

はやて「なのはちゃんが無理せえへんかったら……」

なのは「……ごめんなさい」

アリサ「前に入院した時とか、ねえ?」

はやて「いつ寝てるんやって感じやったな」

すずか「朝から晩まで看病して、それに……」

なのは「な、なにかあったの?」

すずか「いや、その……」

はやて「私達3人でお見舞い行ったら、フェイトちゃんが先おって……」

なのは「うん、うん!」

アリサ「眠ってるあんたにずっと謝ってるの」

なのは「え……」

すずか「『護れなくてごめん』『謝るから居なくならないで』って泣きながら」

はやて「あんなん、フェイトちゃんが護れるはずないのにな」

アリサ「わかった、あんたがどんだけ好かれてるか?」

なのは「なんで……」

すずか「え?」

なのは「なんで私に教えてくれなかったの!?」

はやて「それは……私らが知ったんも覗き見みたいな感じやったし……」

なのは「でも!フェイトちゃんが哀しんで、泣いてて……」

アリサ「あんたのせいでしょうが」

すずか「アリサちゃん!?」

アリサ「あんたが無茶して、あんな大怪我するからフェイトは泣いてたんでしょ!?」

なのは「で、でも……」

アリサ「人に頼らずに、あんたが気付いてあげなさいよ!」

なのは「私も頑張ってるの!頑張って、出来るだけ一緒にいて、お話して……」

アリサ「なら、なんでわかんないのよ!ずっとフェイトはあんたしか見てないじゃない!!」

なのは「わかんないの!最初からそうだったから……友達になってからずっとそうだったから!!」

すずか「ふたりとも!」

アリサ「じゃあ今すぐ確かめてきなさいよ!私達に聴くよりもっと確実よ」

なのは「言われなくても行くよ!」

はやて「あ、なのはちゃん!」

すずか「あーあ」

アリサ「……なによ?」

はやて「追い掛けんでええん?」

アリサ「どうせフェイトのとこでしょ、心配要らないわ」

すずか「アリサちゃん?」

アリサ「私は間違ったこと言ってないわよ?」

はやて「言い過ぎや」

アリサ「う……わかってるわよ、明日会ったら私から謝るわ」

すずか「ま、それでいいよ、ケーキでも食べよっか?」

ハラオウン家

なのは「フェイトちゃん!」ドンドン

フェイト「はいはい」ガチャッ

なのは「フェイトちゃん!よかった!」

フェイト「な、なのは!?」

なのは「ちょっと、フェイトちゃんに話したいことがあって!」

フェイト「な、なに?」

なのは「えーと、その……」

フェイト「うんうん」

なのは「あ、あの、セリフ考えてなかった……」

フェイト「……え?」

なのは「その……、伝えたいことは決まってるんだけど……」

フェイト「あ~、えーと、お茶淹れる?」

なのは「お、お願いします……」

フェイト「味はどう?」

なのは「け、結構なお手前で……」

フェイト「よかった……、で、なのはの伝えたいことってなにかな?」

なのは「あ、その……」

フェイト「うん」

なのは「少し言いにくくて……」

フェイト「そうなんだ」

なのは「うん、その……私のことなんだけど……」

フェイト「なのはの?」

なのは「私ね」

フェイト「うん」

なのは「フェイトちゃんのことが好きなんだ」

フェイト「ありがとう……凄く嬉しいよ」

なのは「ち、違うのそういう意味じゃなくて!」

フェイト「わかってるよ、なのはの真剣な顔を見れば」

なのは「じゃ、じゃあ!フェイトちゃんは!?」

フェイト「私は……わからないや」

なのは「え……?」

フェイト「なのはは好きだよ、でもその気持ちががなのはのと一緒なのかがわからないんだ」

なのは「ど、どういう意味?」

フェイト「私は遇ったことないから、なのは以上に大切だと想える人に」

なのは「え……で、でも!」

フェイト「遇えないって言った方が正しいのかな?」

なのは「なにが?」

フェイト「きっと私はなのはに感謝してしまうから、どんなに素敵な人に遇っても、どんなに大切なものを見つけても」

なのは「ちょっ……フェイトちゃん!///」

フェイト「なのはは、私のこと大切に想ってくれてるんだよね?」

なのは「う、うん!多分……ううん、きっと、愛してるよ!!」

フェイト「ありがとう、なら、なのはの気持ちとは一緒かはわからないけど……」

なのは「きっと一緒だよ!」

フェイト「そうだね、この気持ちが愛じゃなかったら、私はそんなものいらないよ」

なのは「フェイト、ちゃん……?」

フェイト「だって、なのはの幸せ以上に大切なものなんて私にはないんだよ?」

なのは「でも、そんなの!」

フェイト「他の人に抱いて、なのはをないがしろにするくらいなら、私はそんなものいらないよ」

なのは「そんな……なんで……」

フェイト「なのはがくれたんだよ?私に、この世界も、家族も、友達も、温もりも、なにもかも」

なのは「違うの!私は……」

フェイト「……なのはは?」

なのは「知って欲しかったの、この世界にいっぱいある素敵なことを、幸せを、初めて好きになった人に……フェイトちゃんに……」

フェイト「私は沢山もらったよ、なのはに、だから今は私がなのはに返す番なんだ」

なのは「違う!まだ、まだ足りないよ……、フェイトちゃんにはもっと……」

フェイト「……そっか、なら、一つだけお願いしてもいいかな?」

なのは「私にできることなら……」

フェイト「死なないで」

なのは「うん」

フェイト「一緒に生きていたいんだ、なのはの存在が私の幸せだから」

なのは「わかった、一緒に生きよう、フェイトちゃんがもっともっと幸せになれるように」

フェイト「うん、なのはのいない世界に意味なんてないからね」

翌朝

アリサ「あ、なのは、おはよう」

なのは「アリサちゃん!おはよう!」

アリサ「その……昨日は悪かったわね……」

なのは「あ、いや、私こそ熱くなっちゃって……」

アリサ「うん……、で、フェイトとは?」

なのは「あー、えーと、友達のままでいようってことで……」

アリサ「は!?フェイトに振られたの!?」

なのは「いや、その、お互い話し合って、しばらくは今のままのほうがいいかなって……」

アリサ「……スッキリしないわね」

なのは「ははは……」

この広い空の下には、幾千、幾万の人達がいて、いろんな人が、願いや想いを抱いて暮らしていて
その想いは、時に触れ合って、ぶつかりあって…だけど、その中のいくつかは、きっとつながっていける、伝え合っていける。
フェイトちゃん、きっといつか伝えてみせるよ、この世界の素晴らしさを


おわり

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