男「風鈴を壊してまわる幽霊?」 (23)

男「最近お前から怪談を聞かないと思ったら…もっとマトモな怖いやつ無いの?」


友「いやいや!これは今、現在進行形で、起こってるんだよぉおお!」ハァハァ


男「…はぁ」


友「ここ地元で謎の風鈴破壊事件が立て続けに起こってるんだよ!」

友「変質者だとか子供のイタズラだとか言われているが…俺はピーンときたね、これは幽霊の仕業だって」

友「そんなワケでお前にも今日から風鈴を垂れ下げてもらいたい」


男「お前は釣り下げてんのか?」


友「モロのチンよ!10個程垂れ下げて風鈴のオーケストラや!」


男「なんかの宗教じゃないんだから…」


友「あー…俺の家にも幽霊来ないかなぁ…」


男「もし貞子みたいなのが来たら洒落にならんぞ…」

友「まぁなんか出ても寺生まれのお前がいるし?」


友「じゃ、風鈴頼んだぞ!」


男「…はぁ」


男「ガキの時から色々付き合わされてきたが…」


男「もうあいつなんでも有りになってきてるな…」

男「んー…風鈴なんてあったかなぁ…」ガサゴソ


男「お…!」


男「これビーダマンじゃねーか!懐かしいな」


男「ビューンwwデュクシデュクシwww…」


男「…風鈴さがそ」

男「…そもそも風鈴なんて持って無かった気がするぞ…」


男「ん?」


男「なんだろうこの箱…」


男「あー…お婆ちゃんが引っ越しの時にくれたんだっけか」

チリーン

男「…!」


男「…風鈴だ」

チリーン…

男「風鈴の音を聞きながらお酒というのもオツなもんだな」


男「コレを壊そうとする幽霊なんてきっとえらいゴツかったり…」


男「もっと音を聞かせておくれ風鈴…」ソヨソヨ


チリチリチリーン…

男「Zzz」

チリチリチリーン…チリチリチリーン

男「Zzz」

チリーン…チリーン…チリーン…チリーン…

女「んー…届かない」ピョンピョン


女「もう…ちょい…」

男「…んぁ?」

男「…いつの間にか眠っちまってたのか」


女「あ」


男「…」


女「ど…どうも…」


男「…」


男「…あんただれ?」

女「ええと…普通わー!とかうおぉおお!とか言うと思うのですが」


男「ごめん…酒が入ってたのと眠いので反応できなかった」


男「あと今でも夢かなぁとか思ったり」


女「あ!じゃあそのまま寝ててください!ささっと済ませますので!はい!」


男「おー…おやすみ…」パタン


男「いやその理屈はおかしい」ガバッ

男「お前が噂の!?とか言う気は無いが…何?ウチの風鈴ちゃんを壊しにきたの?」


女「あっ…やっぱり噂になっちゃってます? 最近どうも風鈴下げてる家が無いなぁ…とは思ってたんですよ!」


男「よく今まで警察のお世話にならずに済んだな…」


女「そりゃそうですよ!」


女「私、幽霊ですし!」

男「…わーすごーい…」


女「信じて無いなぁ…ぬぬぬ…」


女「ほら!20cmほど浮けるっ」


男「…マジかよ」


女「マジマジ」


男「…全然現実味しないしとりあえず顔洗ってお茶でも淹れるからそこで座ってて…」


女「あ…お邪魔します」

男「(えーと…お札お札…あと塩はこれでいいんかな)」ガサゴソ


女「ふんふーん♪」


男「…」


男「あの…さ…幽霊ってお茶飲めるのか?」


女「そりゃ飲めますよ~、キャスパーだって食べてるじゃないですか~」


男「あれは下にボトボト落としてるだろ!!」


女「あれ?そうでしたっけ」

男「(札とかアホらしくなってきたな…)」


男「ほいお茶」


女「ありがたや~」ズズズ…


男「なんか幽霊に名前なんてあるか知らんが、名前なんていうんだ?」


女「んー…?」ズズ


女「ごめんなさい、名前は思い出せないんだ…」

女「ううん、名前だけじゃない、私は自分がなんで幽霊になっちゃったのか昔の自分は何をしていたのか…」


女「何もかもわからないんだよね…」


男「なんでジャスパーは知ってるんだよ」


女「あっそれは幽霊になってから観ました!」


男「はぁ…」


チリーン…

女「でも一つだけハッキリしてるのは私が風鈴に関係していたこと…風鈴を壊す時だけ…その時だけ一瞬…」


男「一瞬?」


女「なんだか生き返った気がするの…」


男「…」


男「わけわからんな…」

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