モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part3 (1000)

 それは、なんでもないようなとある日のこと。


 その日、とある遺跡から謎の石が発掘されました。
 時を同じくしてはるか昔に封印された邪悪なる意思が解放されてしまいました。

 それと同じ日に、宇宙から地球を侵略すべく異星人がやってきました。
 地球を守るべくやってきた宇宙の平和を守る異星人もやってきました。

 異世界から選ばれし戦士を求める使者がやってきました。
 悪のカリスマが世界征服をたくらみました。
 突然超能力に目覚めた人々が現れました。
 未来から過去を変えるためにやってきた戦士がいました。
 他にも隕石が降ってきたり、先祖から伝えられてきた業を目覚めさせた人がいたり。


 それから、それから——
 たくさんのヒーローと侵略者と、それに巻き込まれる人が現れました。


 その日から、ヒーローと侵略者と、正義の味方と悪者と。
 戦ったり、戦わなかったり、協力したり、足を引っ張ったり。

 ヒーローと侵略者がたくさんいる世界が普通になりました。

part1
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371380011/)
part2
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」part2 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1371988572/)

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1372607434

・「アイドルマスターシンデレラガールズ」を元ネタにしたシェアワールドスレです。

  ・ざっくり言えば『超能力使えたり人間じゃなかったりしたら』の参加型スレ。
  ・一発ネタからシリアス長編までご自由にどうぞ。


・アイドルが宇宙人や人外の設定の場合もありますが、それは作者次第。


・投下したい人は捨てトリップでも構わないのでトリップ推奨。

  ・投下したいアイドルがいる場合、トリップ付きで誰を書くか宣言をしてください。
  ・予約時に @予約 トリップ にすると検索時に分かりやすい。
  ・宣言後、1週間以内に投下推奨。失踪した場合はまたそのアイドルがフリーになります。
  ・投下終了宣言もお忘れなく。途中で切れる時も言ってくれる嬉しいかなーって!
  ・既に書かれているアイドルを書く場合は予約不要。

・他の作者が書いた設定を引き継いで書くことを推奨。

・アイドルの重複はなし、既に書かれた設定で動かす事自体は可。

・次スレは>>950
    
モバP「世界中にヒーローと侵略者が現れた世界で」まとめ@wiki
http://www57.atwiki.jp/mobamasshare/

>>1
乙乙ですー

前スレの残りだと足りなそうなので少々フライングして
投下するよー!!

「あれ・・・何でしょう、これ?」

事務所を閉め、アパートへ戻った都は、郵便受けにやたら分厚い封筒が突き刺さっているのを見つけた。

「あぁ、やっと届いたみたいですね」

「翠さん、何かご存じなんですか?」

ぽん、と手を叩いて顔を綻ばせる翠。都が聞くと、彼女は笑顔で、


「妖精界に頼んでおいた、『秘宝』に関する資料です」「・・・はい?」


事もなげに素っ頓狂な事を言い出した。

「かなり細かく調べてもらうように言っておいたので、時間が掛かったみたいですね」

「・・・・・・それが、何で郵便受けに突っ込まれてるんですか・・・?」

「お仕事中に見せて邪魔になってはいけないと思って、こちらに届ける様にお願いしたんです」

無地の茶封筒から中身を取り出してみると、確かに見たこともない文字で何やら長々と書かれている。同封されていた眼鏡を通して見ると、意味のある文章として読み取ることができた。

(・・・なんかもっとこう、魔法かなにかで部屋の中に届けておくとかできなかったんだろうか)

少々げんなりした気分になりながら、これで少しは『秘宝』探しの依頼も進展するだろうか、と気合を入れなおす都であった。

「えっと・・・うん、これで全部かな」

そのころ、由愛は一人で商店街に居た。商店街の人たちともすっかり顔なじみになり、ここ最近の安斎家では買い物は彼女のお仕事になっている。

王族、それも末娘であることから、生来身の回りのことは周りの妖精達がやってくれていた由愛にとって、自分がこうして誰かのために何かをすることは新鮮で面白かった。

しばらく前まで「お一人では何かあったら危険です」とついてこようとした翠も、今では納得してくれた。

(早く帰って、ご飯の準備しないと・・・あれ?)

アパートへ向かって歩き出そうとした由愛は、不意に自分を見つめる視線を感じた。

振り向いて見ると、銀の髪を二つにくくり、先をロールさせた髪型の少女が、こちらをじっと見つめている。

(え、っと・・・誰、だろう。あっ)

と、こちらが見返したことに気づいたらしい少女が、ふい、と目を逸らして立ち去っていく。

何だったのだろう、と一つ首をかしげ、由愛は改めて帰路についた。

「・・・・・・ふむ」

資料には、『秘宝』とはこういったものである、こんな力を持っている、といった直接の記述は少ない。

その代わり、『秘宝』を手に妖精の国を興したという初代の妖精王について、並びに建国の経緯について詳しいの資料が見つかったのは幸いだった。

それによると、妖精族とは、かつて魔界を離れた魔族たちが、より魔法・魔術に長けた形で性質を変えた存在なのだという。

別の種との戦争が起こった際、争うことをよしとしない魔族の集団が時空を越え、新たな世界で国を造り上げた。

(・・・その建国の英雄、初代の妖精王が手にし、国の礎を作り上げるために使用したマジックアイテムこそが『妖精の秘宝』、というわけですね)

『秘宝』の力を引き出すことができたのは初代の王のみであり、現在では式典や祭典において儀礼用に扱われるのみであるらしいが、さぞや強大な力を持っていたのだろう。

それが持ち去られ、野放しになっている状況というのは、改めて考えると非常に危険だ。

(これだけの情報があれば、少しくらいは何かわかるかもしれません)

都は、白紙の本を手に取り、『見通す者の目』を行使せんと意識を集中する。


「・・・あ、れ」

しかし、本を開くと同時に身体から力が抜け、ぐらり、と倒れ込んでしまった。


「み、都さん!?大丈夫———」

・・・・・・ぐぅ。

「———みたい、ですね」

「あ、あはは・・・お恥ずかしい」

あらゆる情報を見通す『目』の力だが、使用するためには気力と体力を大きく削られる。対象が多くの情報を必要とする『秘宝』のようなものであれば尚更だ。

「ただいまー・・・み、都さん!?どうしたんですか・・・?」

「あ、由愛さんお帰りなさい。いや、その、これはですね・・・」

「お帰りなさい、由愛様。ふふっ、心配いりませんよ。少し、お腹が減っただけですから」

「み、翠さん!・・・うぅ、そういうことなので、心配はいりません・・・」

「な、なんだ・・・良かった、何かあったわけじゃくって。すぐ、ご飯の用意しちゃいますね」

「お手伝いします、由愛様。都さんは、机の上の資料を片づけておいてください」

「は、はい・・・とりあえず、『検索』はご飯を食べてから、ですね」

よいしょ、と力を込めて起き上がり、都は資料を封筒にしまっていく。


(・・・そういえば、『秘宝』が見つかったら、お二人はやっぱり、妖精の国へ帰ってしまうんですよね)

資料を片付けながら、ふとそんな事が都の頭をよぎる。

(・・・それは、少し寂しいかもしれません)

賑やかになった事務所が、また自分一人になってしまうのか。そう思うと、少しだけ、都の顔に暗い影がさした。


「・・・・・・あの娘」

「?どうしたの、昼子ちゃん」

少し時間を遡り、夕暮れの商店街。神崎昼子こと悪姫ブリュンヒルデは、ある少女をじっと見つめていた。

「・・・ッ」

しばらく黙って見ていたブリュンヒルデだが、相手が視線気づいたのか見返してくると、ふっ、と視線を逸らして歩き出す。

(あ奴、一体何者だ?魔族と近い魔力の波長を感じたが、しかし何かが決定的に違う・・・何なのだ、この奇妙な感覚は・・・)


———ブリュンヒルデが知らないのも無理は無い。かつて、竜と魔族の争いから背を向けた一派のことは、魔界の殆どの資料に残されていない。

———妖精として種が分化した後も、彼らと魔族の交流は断絶されたままであり、妖精の存在を知る魔族は、全くといっていいほど存在しないのだ。


(・・・父上なら、何かご存じだろうか。いや、しかし・・・)

蘭子の召喚に応じ、人間界へとやってきて以来、父とは一度も連絡を取っていない。今父と会うのは、何と言うか、少し気まずいものがある。

待って、昼子ちゃーん、と追いかけてくる蘭子の声を聞きながら、どうしたものか、と思考を巡らす悪姫であった。

※妖精族
かつての魔族と竜族の争いにおいて闘う事を良しとせず、魔界を離れた者たちの末裔。
魔族と比べると、身体能力に劣る代わりに魔法・魔術の扱いに長ける。
現在の魔界とは交流が断絶しており、妖精界の存在を知る魔族はほとんどいない。

※妖精の秘宝
魔界から離れた者たちの中心人物で、後に妖精の国を建国し初代の王となった魔族が持っていたというマジックアイテム。
使用者が望む力を発揮するのに最も相応しい形を取るとされ、一定した形を持たない。(最後に確認されたのは『本の形』)
初代の王以外に力を扱いきれた者はおらず、現在では王位継承などの式典で儀礼的に使用されるのみとなっている。
非常に強力なマジックアイテムであるらしいが、具体的に何ができるのかなどの詳しい記録は残されていない。

ということで、妖精組の設定掘り下げてみましたー

岡崎先輩と憤怒Pで少し後に投下したいと思ってます
既存キャラの場合は予約は要らないみたいだけど新たに混ざりたいので一応書いときます

今なら大丈夫かな?
投下します
憤怒Pが別人になっちゃった…ごめん

また負けた

また、勝てなかった

『どうしてまた負けたの』

…うるさい

『今度勝たなくちゃもう後が無いわよ』

うるさい、うるさい

『この世界では負けたらもう終わりなの』

黙れ、黙れ黙れ黙れ

元々貴方のせいであんな世界に入れられた

貴方のせいで貴方のせいで

人の自己満足に勝手に付きあわせて何を言ってる

私は 私は 

私は貴方の…

憤怒P「その割には未だにそのお方の言葉に振り回されているじゃないですか、貴方は」

また現れた

久々に出てきたと思ったら何だこいつは

いきなり下手に出てきやがって

更に気味が悪くなりやがって

「へっへっへ…お譲ちゃん最近調子悪いじゃねぇか…
  少し前まではこんな感じの貴方の『怒り』を煽る場合にはあの話し方のほうが有効だっただけです
相手が誰かとか今はきっとこんな話し方のほうが便利だからって話し方や態度を変える」


               「ほら、人形だった頃のあなたと同じじゃないですか」

「黙れ」

「やはり今の貴方にはこの話し方のほうが良い 暫く無視されることも無くなりそうですしね」

「意外と私 寂しがり屋さんなんですよ?」

「おっと前置きが長くなりすぎましたね」

「貴方に大事なお話があります」

「貴方には新たな『憤怒の王』となっていただきたくお話に上がりました」

「いきなり何を言ってるんですかって顔をしていますね、よくわかる」

「わかるわ なんてね」

「貴方は魔界の王や龍の王の娘には会いましたけど大罪の悪魔については全く知らない身ですからね」

「いいでしょう、教えてあげます」

……

「まぁ大まかにはこんな感じですね」

「それでその事を私が知ったからって何が変わるんですか」

「いつも通りただ私を怒らせに来ただけって訳ですか?」

「いやいやそんなことはありませんよ 私としては少し感謝してほしいくらいですけどね」

「でもここまでの話の中でおかしいと思ったことはありませんか?」

「『カース』を生み出すのはカースドヒューマン 『カースドヒューマン』を生み出すのは大罪の悪魔」

「どちらの場合にも無意識に生み出してる場合も多いですけどね、特に暴食の悪魔なんかは」

「しかし憤怒だけは例外です 憤怒の悪魔の魔王サタンは未だ魔界に居る身」

「無意識にカースを生み出す自我の弱さも彼には全く有りません」

「しかし貴方は生まれた、それは何故か」

「この私、邪龍ティアマットが奪った憤怒の王の魔翌力を元に生み出したからです」

「私が生み出した呪いによって長い間奪い続けた彼の魔力によってやっと魂だけでも動くことができるようになったので何人か種を撒いた」

「そして貴方だけが生き残り 憤怒の王の資格を得ることが出来ました」

「貴方には私が持ってる魔王サタンの魔力を差し上げたいと思っております」

「貴方の素質は素晴らしい 様々な状況によって生まれた憤怒だけでなく」
  ずっと持ち続けた他人への嫉妬、傲慢で強欲な復讐劇」

「邪魔な怠惰や暴食、色欲以外の様々な罪をお持ちになってる」

「貴方はただのカースドヒューマンにしておくのは相応しく無い」

「貴方こそが新たな王にふさわしい存在でございます」

「もしかしたら、もしかしたら憤怒だけでなくすべてのカースの王にだってなれるかもしれません」

「所詮は他人の魔力ですので自由に使えるようになるまで何日か時間は必要ですが」

「強欲の王が倒れ魔力管理人が潜伏、地下世界の侵攻と時間があるのは今です」

「一応聞いておきますか、貴方の答えは?」

「お人形さん?」

正直信じられない

私はただの少し力を持っただけの人間で

きっとカースの力なら色んな物に勝てるって思ってた

でも現実はそうじゃなくて

ヒーローだけじゃなくって魔族やら龍族やら色んな物を敵に回して

その上私が新たな王?

こいつの胡散臭い言葉に惑わされるのも嫌だ

でも

勝ちたい

勝って勝って勝って

認められたい

あの人に、世界に、そして—私に

「まぁ聞くまでもありませんか」

「…1つだけ貴方に言っておきます」

               「私は、人形じゃない」

おはようございます、今日もボクはカワイイです

昨日は色々大変でした、泰葉さんは帰ってきてすぐ引きこもってしまいますし

まぁ昨日は昨日です

さぁて今日はどんな風にボクの可愛さを世界に…

「さっちゃん!さっちゃん!大変だー! いやよくあることなんだけどね」

「なんですか杏さん、貴方らしくもない」

「うーんなんとなく…めんどくさいけど伝えなくちゃって思ったんだよ」

「泰葉ちゃんが居なくなっちゃった」

うーん確かによくあることっちゃよくあることです

逆に彼女はここにいることの方が珍しい気がするんですが…

「…杏さん、お互いのカースを使って泰葉さんを探しますよ!」

「めんどくさーい…でも今回は流石に手伝おうかなぁ なんか怖いし」

珍しく杏さんも同じ物を感じてるんでしょうか

なんなんでしょう…この消えそうにない胸騒ぎは…すごい取り返しの付かない事になりそうな…

邪龍ティアマット
憤怒Pの正体
元々自分の毒を用いた呪いの魔法が得意だった龍だが
規律の激しい龍社会に溶け込めず更に魔族の魔法に手を出した事で龍社会から追い出されることになる
その後様々な魔法を組み合わせた魔王にさえ消すことのできない『他人の魔力を奪い続ける呪い』を生み出すことに成功
呪いをかけたのは本人かは定かではないが奪い続けた魔力は呪いの開発者の彼が持ち続けることになり一度滅ぼされたものの復活
魔力を渡し新たな憤怒の王を生み出すべくカースドヒューマンを作り続けた
最終的な目的は不明だが泰葉の事を異常に買っており憤怒だけでなくすべてのカースの王になれる可能性を示唆している
ご覧の通り様々な喋り方やら態度やら声色を効果的に操りめちゃくちゃウザくて性格悪い
煽り性能は魔界龍世界共にきっとランク1であろう

おっかしいなぁ…岡崎先輩でろでろに甘やかすss書きたかったのに…
龍と魔族の戦争とかその辺はぼかしてます 最悪こいつに押し付けても
色々な奴の共通の敵を作ってみました 魔族にとってもヒーローにとってもいい存在じゃない感じに
あと最初はニーズホッグにしようと思ったら凄い所でアイディア被るものだなぁって

乙ー

ベルちゃん「まさか私は無意識で産み出してたんですか〜」

やべぇ……折角唯一かられないよう頑張ってたのに罪が増えてピンチ!

てな訳で、エスパーユッコ投下します

とある研究施設。

本来ならここは秘密裏に稼働し、世間には公表されておらず、静かな場所であった。

……本来ならば……

爆発が起こり、銃撃音が響きわたっていた。

そこには、吹き飛ばされて、グニャグニャに曲がった鉄柱に取り押さえられてる研究員達がいた。

そして、破壊されていく警備ロボと撃破されて気絶されていく警備兵達。

残ったモノたちは、様々な装備で、その原因である≪少女≫を狙っていた。

裕子「あまーい!!このエスパーユッコのサイキックフィールドで弾き返します!」

その少女は、空中に浮かび、目がまるでルビーのように真っ赤に輝いていていた。

そして、彼女に向かって来た攻撃は空間が捻じ曲げられ、反射されるように相手に跳ね返り、襲いかかる。

警備兵A「超能力じゃねえだr…グガァァア!!!」

警備兵B「おい!大丈夫か!?……畜生!!なんで、コイツらが脱走するんだ!?他の三人には逃げられたし、コイツだけでも確保s……ゴベバァッ!!!」

警備兵C「む…無理だぁぁ!!第一段階の姿でこのいりょk…ギャァァァァァ!!!」

それは≪脱走≫だった。

脱走したのは、能力者の少女ではない。

とある機関が秘密裏に進めていたあるプロジェクトの実験体達だ。

≪OZ計画≫

それは異星の技術を取り入れ、人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画だった。

ある星で見つかった金属生命体≪OZ≫。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。

それを軍事利用できないかと、ある機関は宇宙犯罪組織の協力を得て、身体が欠損した人間にそれを移植させた。

その金属はみるみるとその人間のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。
そして、その人間の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。

もちろん。それは人間の身体に拒否反応を起こしてしまう例は少なくない。最初に移植した段階で死んだ人間もいれば、侵食してる最中に死んだ者もいる。
その為に成功した者は僅か4人だ。

その生き残った完成品の金属生命体をOZになぞらえて

≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫

という名前をつけたのだ。

裕子「コレで粗方片付けたかな?」

そして、この少女−−−堀裕子もその一人。

OZ≪スケアクロウ≫を両目に移植されたモノである。

事故で頭部を損傷し、両目も見えない状態の重傷人だったが、多額の礼金と共に病院からこの機関に移されたのだ。

つまり………両親に売られた形だ。

裕子「これもこのエスパーユッコの超能力の力ね!」ドヤッ

………決して、脳に障害を得てアホの子になったわけじゃないよ。うん。多分……

裕子「三人も無事逃げられたみたいね」

その赤い金属のような目で≪確認≫すると、地面に降り立った。

目は人間の目に戻っていた。

裕子「私も速く逃げないと!そして自由だ!!」

久しぶりの街に思いをはせながら、彼女は他の仲間と合流する為に立ち去った。

そして、この研究所の人達はSDFにしょっぴかれたが、宇宙犯罪組織の影は掴めなかった……

何よりデータが破損されてる為に、何の研究をしてたかもわからなかった。


終わり

堀裕子(16)

職業・元実験体
属性・OZ≪スケアクロウ≫適合者
能力・千里眼、透視能力、空間の歪みが見え空間を曲げる、傷の自己修復。

ちょっと頭の弱いOZ適合者。
自称・エスパーユッコ。

性格は明るく元気で、仲間思い。

普段は普通の人間だが、≪スケアクロウ≫を発動すると、目が宝石のルビーのように真っ赤に輝く。それは金属でできている。

この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両目に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。
そして、この姿の時に、千里眼と透視能力が使える。
更に僅かな空間の歪みを作り出し、そこの空間にあるモノごと曲げたり、向かってくる銃弾や光線とかの起動を曲げ、逸らしたり、跳ね返したりできる。

第二段階になると、まるで全身が金属でできたカカシのような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。

彼女は事故で、頭部を負傷し、両目を失明してしまったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、売られた犠牲者だった。
だけど、自力で脱出した。

彼女の他にもあと3人仲間がいて、現在合流しようとしている。


≪OZ≫
ある星で見つかった金属生命体。それは生物に寄生し、独自に進化していくモノだ。

その金属は、みるみるとその生物のパーツに擬態し、独自に進化をしていった。
そして、その生物の身体を金属生命体にあう身体に徐々に侵食させていくのだ。

だが、ほとんどの生物に拒否反応を起こし、死んでしまい、今まで完全に成功した生物はいなかった。
それに初めて完全に成功したのは僅か4人。

その完成品の金属生命体をOZになぞらえて、≪ドロシー≫≪スケアクロウ≫≪ティン≫≪レオ≫という名前をつけたのだ。


普段は普通のパーツだが、発動すると、移植した部分とその周辺だけが金属化し、異形化する。

第二段階になると、全身が金属化し、異形化する。

なお、傷を受けてもしばらくしたら自己修復する。

以上です。

どうしてこうなった?
なんか、人工能力者つくりたいなと思ったらこうなっちゃいました……

なお、ユッコの能力は、わかりやすくいうと空の境○のふじ○んです。

そして、ユッコがスケアクロウなのはアホな子だからじゃないよ(眼を逸らし

おっつおっつ

馬鹿と狂人と腰抜けと田舎娘のカルテットは誰になるかなぁ

乙ですー
改造人間仲間が増えたよ!やったねネバーディスペア!
他の3人が気になるところ

乙ー

寄生金属って聞くとARMSしか出てこないぜ!

先輩頑張れ、超頑張れ!
ユッコも頑張れ、色んな意味で頑張れ!

ちゃま投下します。

西園寺さんと風香ちゃん予約しますー

>>43>>44
それはお楽しみ

>>45
ビクッ!!

 
桃華「わたくし、こう言う事ははじめてですのよ・・・・・・。」


桃華「これを・・・・・・どうすればいいんですの?」


桃華「ここを握って・・・・・・・もっと優しく?」


桃華「適当に弄ってるだけではダメですのね、難しいですわ。」


桃華「ですがやり方はわかりましたわ!次はわたくしが・・・・・・。」


桃華「そっ、そこはダメですわっ!」


桃華「あっ!ああんっ!」


PLAYER 1 WIN !!


紗南「またあたしの勝ちだね!」

桃華「今の反則ではありませんのっ!?同じところばかり攻撃して!」

紗南「甘い甘い、これがこのゲームのルールだよ。」

桃華「くっ、悔しいですわっ!次は、次こそはわたくしが勝ちますわよっ!!」



本日、櫻井桃華は何故かテレビゲームに興じていた。
 


三好紗南。

七つの大罪の悪魔ベルフェゴールに憑かれた少女。


あの日、死神ユズはベルフェゴールの魂を刈取った後、

疲労で眠る紗南の身体を安全な場所まで運び、一旦放置。

付近の住民が発見するのを待って、それを見届けると

ベルフェゴールの魂を持って魔界に帰還した。

故に彼女は三好紗南のその後を知らない。


あの後、

ここ数ヶ月の記憶が曖昧で、『悪魔に憑かれていた』と証言する少女を

「然るべき機関で療養すべき。」と言う意見のもと、財閥の病院が保護したことなど。

そして、今は『強欲』の悪魔の手元に居ることなど知るはずも無いだろう。



桃華「三好さんは、悪魔に憑かれていた頃の事覚えてますの?」

紗南「・・・・・・ほんのちょっとだけね。」


ベルフェゴールは彼女の肉体と精神を完全に支配していたはずだ。

故に、その期間の事を彼女がほんの少しでも覚えてると言う事に『強欲』の悪魔は興味を示したのだ。

それが今、三好紗南がこの屋敷に居る理由である。

桃華「その時の事、わたくしに教えてくださるかしら?」

紗南「本当にちょっとだけだよ。覚えてない事の方が多いから。」


三好紗南は素直に答える。

なんとなく、櫻井桃華の質問には必ず答えねばならない気がしたからだ。


紗南「えっと、なんて言えばいいのかな。」


紗南「・・・・・・近くなのにずっと遠くから、あたしじゃない”あたし”を見てる感覚があってね。」

紗南「あたしはそこに居るのにそこに居ない。そんな感じだったよ。」

紗南「丁度、画面に映るゲームの主人公を見てる感じに似てる・・・のかな?」

紗南「でもコントローラはあたしの手元には無くって、本当にただ見てるだけ。」

紗南「その頃の”あたし”は、悪魔で。悪魔の仲間が居て。死神と戦ったりして。」

紗南「まあ、ほとんど覚えてないんだけどね。」

紗南「でも、一個だけ強烈に覚えてることがあるんだ。」


紗南「すごく・・・・・・すごく『退屈』だったよ。」


紗南「あたしもだけど・・・・・・たぶん”あたし”も、ね」

桃華(なるほど、紗南ちゃま。)

桃華(やはりあなた、本当は全部覚えていますのね。)


この少女は全て覚えている。

そこに意思はなくとも、自分がベルフェゴールだったことを記憶している。

そして、その時にした事も、その時に感じたことも、やはり覚えている。


ただ少女の脳が、理性が、全てを思い出すことを拒否しているのだろう。

ベルフェゴールの持つ情報の負荷と毒気は、14歳の少女には重すぎる。

思い出せないのは、少女の精神の防御反応によるものだ。


桃華(思い出せないだけで、彼女の中にも記憶は確かに存在する。)

桃華(それが分かれば十分ですわ。)

桃華「ねえ、三好さん。」

紗南「ん、何?」


桃華「その記憶、わたくしが貰ってもよろしくて?」

『強欲』の悪魔は怪しく微笑む。


紗南「うん・・・・・・いいよ。あげる。」


『櫻井桃華の言う事には逆らえない』

答える少女の目には、光はなかった。

——


桃華「使い魔ですわね。」


サクライPから送られてきた映像を見て、

『強欲』なる彼女は、そこに映る物の在り方を看破した。


サクライP『随分と変わった使い魔ですね。』

通信先からサクライPが答えた。


桃華「魔翌力管理人の・・・・・・あ、いえ違いましたわ。」

桃華「魔力管理人のユズちゃまにしか作れない使い魔ですから。」

サクライP『魔翌力?』

桃華「・・・・・・異界の理のせいで言い間違えただけですわ。気にしたら負けですわよ。」

桃華「魔法塔のクリスタルから製造された使い魔。」

桃華「ベルフェちゃまの記憶にある姿とは少々違うようですけれど、」

桃華「その存在を構成する要素は同じですわね。」


サクライP『ニ体発見された時点でもしやとは思っていましたが・・・・・・どちらも本体ではないのですね。』

桃華「本体は自分のフィールドに逃げ込んだのでしょう。」

桃華「世界の狭間。穴熊を決め込むならあそこほど適した場所もありませんわ。」

桃華「けれど、ユズちゃま。魔王の命も残り僅かですのにあまり悠長な事もできませんわよ?」


三好紗南から『搾取』したベルフェゴールの記憶は、彼女にとって非常に有益であった。

死神ユズの詳細な来歴、天使「望月聖」の姿と居場所、

魔王の娘ブリュンヒルデの地上での活動、魔王を侵す竜帝の呪い、

悪用しようと思えば、幾らでもできそうな情報ばかり。


桃華「ベルフェちゃまにもう少し野心があれば、本当に怖い存在でしたわね・・・・・・。」


『怠惰』の悪魔の能力、つくづく恐ろしい力であったと思う。

サクライP『本体の代わりを使い魔が勤めていると言う事は、』

サクライP『彼女には魔界からの増援は無い、と考えてよろしいのですか?』

桃華「無いとは言い切れませんけれど、可能性は低いですわね。」


桃華「彼女ほど有能な者など魔界広しと言ってもなかなかいませんし、」

桃華「それに先の戦争で魔界に有能な人材はほとんど残ってませんのよ。」

桃華「今の日和った魔王に忠義を尽くすほどの人材となれば余計にですわ。」

地上に来訪者達が現れても、行動を起こさない魔王に不信感を持つ悪魔も少なくはない。

そして、

桃華「残る忠義に厚い者達も、魔界で虎視眈々と魔王の命を狙う不届き物相手に目を配らせねばなりませんから。」

あわよくば伸上ろうと画策する悪魔や、未だ復讐心に燃える竜族の生き残りを抑える者が魔王の傍に必要なのだ。


戦争による人材の減少と、魔王の威光の翳り。

それを良いことに、七大罪をはじめとする悪魔達がこぞって地上に出たので

さらに人材不足の傾向は悪化しているようである。


桃華「ユズちゃまだって魔力の管理と、兼任してわたくし達の捕縛を任されてますのよ。」

魔力管理人とは決して暇なお飾り官職ではない。なにしろ世界の魔力のバランサーだ。

その魔力管理人に別の仕事を頼まねばならないほどに、魔界は手が足りていないのだ。



サクライP『なるほど・・・・・・魔界は随分と弱っているのですね。』

桃華「・・・・・・あら。」

桃華「ウフ、Pちゃま。きっと今すごく悪い顔してますわね♪」

桃華「でも止めて置いたほうがいいですわよ。幾ら全盛期より弱ってるとは言っても、」

桃華「それでもなお魔界は深淵ですわ。”人類が侵攻できるほど”には落ちぶれてはいませんわよ。」

サクライP『残念です。獲得できれば、人類はさらに進化できると思ったのですが。』

桃華「ウフ、ウフフフ!Pちゃまは本当に面白い方ですわね!」

しかし、悪魔である彼女にとって考えさせられる話ではある。


”あの日”から、人類は『異能』を獲得し、貪欲に外の『技術』を手にしてきた。

『魔術』や『魔法』を扱う人間も居る。悪魔に対抗できる程度の力は十分にあるのだ。

いずれ、人間と悪魔の力関係が反転する事もあり得る事だろう。

人類の魔界への侵攻も夢物語ではないはずだ。


桃華(いえ・・・・・・そもそも抑止力であるわたくし達、悪魔が戦争で弱ったからこそ、)

桃華(人間の渇望に歯止めが掛からなくなったのですわ。)


人の『欲望』を愛し、『欲望』を力にする彼女にとっては、

それは特に不都合なことではなく、むしろ人類の欲望は積極的に煽っていきたい事なのだが。

桃華(それはそれとして、気になりますわね。)


桃華(あの戦争は悪魔と竜の覇権争い。)

桃華(結果は悪魔の勝利で終わりましたが、悪魔達もまた安くない代償を払いましたわ。)

桃華(竜帝の崩御、死の呪いに侵される魔王、役職を持つ多くの悪魔達の死・・・・・・)

桃華(・・・・・・出来すぎてますわね。)

桃華(どう転んでも・・・・・・パワーバランスは崩壊し、魔界そのものが弱る。)

桃華(もし、あの戦争を仕組んだ者がいるとするなら、魔界全土の衰退を望むもの?)

桃華(それはいったい・・・・・・。)


何者なのか

桃華「いずれにしても、今はユズちゃまですわね。」

桃華「翼をもいだのはいいですけれど、引きこもられるのも面白くありませんわ。」

桃華「あの使い魔を打ち倒せば、出てきてくださるのかしら。」


サクライP『その使い魔ですが、我々としては材料となったクリスタルを手に入れたいのです。』


桃華「Pちゃまは貪欲ですわね♪」

桃華「ですがアレには自己破壊機能がありますし、首尾よく無力化できたとしても」

桃華「クリスタルは魔力管理人以外が触れれば消滅しますのよ。」

桃華「それをどうやって回収しようと・・・・・・。」


桃華「・・・・・・ああ、そう言う事ですの。」

桃華「Pちゃまはわたくしに『動け』と言いたいわけですわね♪」


サクライP『・・・・・・いえ』

サクライP『動くのは私どもです。貴女様は”その場所”に居てくだされば問題ありません。』


桃華「・・・・・・わかりましたわ。Pちゃまの手腕、期待してますわよ。」

サクライP『ご協力、感謝いたします。』


かくして財閥は死神の使い魔を追い始める。

桃華「そうそう、Pちゃま。紗南ちゃまの処遇ですけれど。」

桃華「財閥の末端組織で能力者として使ってあげなさいな。」

サクライP『能力者としてでございますか?』

桃華「記憶を貰うついでに、彼女の中身を覗かせて頂きましたけど。」

桃華「『怠惰』の因子がわずかに残ってましたのよ。」

桃華「ベルフェちゃまの依り代に選ばれるだけの事はありましたわね。」

サクライP『その力は奪わなかったのですか?』

桃華「今はまだ小さい力でしたもの。わたくしには必要ない力ですわ。」

桃華「それをどう扱い、どう成長させるかは紗南ちゃま次第ですのよ♪」


桃華「それに、たしか・・・・・・紗南ちゃまのご両親はベルフェちゃまに操られた後遺症があるのでしょう?」

三好紗南の両親は、ベルフェゴールの洗脳によってすっかり怠惰な人間にされてしまっていた。

彼らも財閥が保護し、治療を受けているところである。


桃華「財閥としてもタダで治療することもありませんし、ご両親が働けないなら」

桃華「その分紗南ちゃまに働いて貰うのがよろしいですわよね?」

サクライP「わかりました、ではその様に手配いたしましょう。」

桃華「頼みましたわよ、Pちゃま♪」


こうして三好紗南の社会復帰が決まったのであった。

おわり


『搾取』
『強欲』の悪魔マンモンの能力の一部。
対象1体から資産、生命力、魔力、能力、意思、記憶、経験などいずれかを奪い、自分の物とする。
ただしマンモンより弱い相手にしか通用しない。

『ベルフェゴールの記憶』
三好紗南がベルフェゴールとして見聞きした情報の記憶。
内容は主にゲームの攻略情報全般。
「もし次に紗南ちゃまとゲームで戦うことがあっても、今度は勝てますわ。」


三好紗南(14歳)

職業:中学生、兼、財閥の能力者
属性:怠惰
能力:?

「怠惰」を司る悪魔ベルフェゴールに憑かれていた少女。
悪魔に精神を乗っ取られていたが死神ユズによって開放される。
一度は財閥の病院に運ばれ、治療を受けていた。
その後、マンモンによって記憶の一部を奪われて社会復帰。

元の中学校に通いながら、今も入院している両親のために
能力者として財閥に扱き使われてるとか使われてないとか。
記憶を奪われたために桃華との面識は無い。

紗南ちゃんが倒れたまま放置されてたので、使わせていただいた。
魔界関係の話はおかしいところあるかもしれない。都合が悪かったらスルーで

屋敷の外に出ようとしない桃華ちゃまはユズポンのこと引きこもりとか言えないって思うな!

乙ー

引きこもりVS引きこもり……胸が熱くなるな

三好家の明日はどっちだ!

もし空いてたら、少ししてから投下するよー

相変わらずチグハグな街だ、名前ではネオトーキョーと名乗ってはいるが河川は淀み、街は荒廃しているようにすら見える。
とてもまともな見立てで立てた街じゃない、どの法則も無視して取り敢えず立てたような町並み。
どちらかと言うと、この街は昔あったような九龍城砦に似ている。
一言で言うと滅茶苦茶、この意匠は明らかに何も寄せ付けない形になっている。

早苗「まあ、こういう時は元の職に頼るに限るわ」

そう言って服の袖を捲る、今日は面倒なことになりそうだった。
ネオトウキョウは全部で何層にも別れた、ウェハースのように広がっている。
下層に行くほどドブや、『歪み』そして様々な情報が増えてくる。

П「……で?今何と」

早苗「勿論、ネオトーキョーに行くわよ、準備しなさい」

露骨に嫌そうな顔をしてくれる、そりゃそうか。

П「どうせ、また露骨に嫌なものを見せてくれるんだろ」

早苗「そりゃあそうよ、じゃなきゃ君を一人でここに呼び出したりはしないもの」

思いっきり嫌な顔をされた、まあ仕方がない、何しろ今は量より質、優れた人材がほしいもの。

П「自分でどうにか出来ないことを、人にやらせようとするんじゃない」

早苗「そうなるかはまだ決まってないわよ、ただそうなるかもしれないってだけ」

今日向かう場所はネオトーキョー、埋立地と名目して作られた迷宮都市、地下部である。
車を走らせ、隣で奇妙な新聞…何でもゴースト付きが出た、企業の闇…という紙面に目を走らせる青年を見る。
何とも緊張感にかけた顔で、車の中にあったスルメイカを貪っており、目は眠たげな顔をしている。
これから、命がけの仕事に行くとは思えない顔だ。

П「で、今日は何を探しに行くんだ」

早苗「言うなれば悪いやつ探し、詳しく言うと昨日このネオトーキョーにアンダーワールドってとこから来てる奴が、停泊しているみたいね」

П「へぇ、どんな目的だ」

早苗「アイドル攫いが目的ですってよ」

П「今時熱心な追っかけも居たもんだ」

何とも緊張感にかける、だがコイツは生まれてこの方、ずっとこの調子で生きてきたのだ。
天邪鬼で、人を困らせるのが大好き、だが根が腐っているわけではない。

早苗「アンダーワールドの人間は元来目が悪い、そして高度な技術力を持っているそうよ」

П「へぇ、何でわかるんだ?」

早苗「何時ものアレよ」

П「ああ、アレか」

そう言うと二人共黙りこみ、早苗は運転、Пはイカの咀嚼に勤しむ。

П「あぁ…くっせぇ……」

隣席でイカを咀嚼してゲップをしたПがボッソリつぶやいた、確かに臭い勿論2つの意味でだ。
一つ目は隣でスルメとコーヒーを食って、ゲップしたバカの吐く息。
もう一つは、第2の九龍城塞とも言えるネオトーキョー地下部、そしてある意味人類の坩堝である。

早苗「あぁ!もうその臭い息どーにかしなさい!」

そう言って口内へペパーミントの清涼剤を放り込む、Пが口をムグムグと動かすと、ふぁぁと間延びしたあくびが出てきた。
コイツここに捨てて行こうかしら……

早苗「ここからは歩きよ、と言っても隣の部屋だけど」

П「こんなトコまで物好きなこったなぁ、ええ?『風水師』さんよ」

早苗「……まあね、此処でしか集まらないものも、あるからかしら」

片桐早苗、通常時はただの婦警だが、その情報網は自分の足と過去に得た能力によるものである。

早苗「まさか今更になって、この能力が役に立つなんてね」

五行…世の中を5つの要素とした時、土、金、水、木、火の5つに分けられる、風水師はそれを操る者の事である。

早苗「まあ、簡単に言うと土地を整理して、大地の能力を自分の味方につけるものってことね」

П「しかし嫌な警官だなお前も、悪徳企業が生んだ『歪み』を利用して、逆に弱点にするとはね」

早苗「褒められたもんじゃないけどね、ま、直せないなら利用するだけよ」

風水師は本来はこういう街に立ち入って、土地を整えるのが仕事だが。
金は誰も寄越さないし、こういう街は寧ろ訝しんで拒否されるのがオチだ。
だったら、逆に歪みを集めて『誰も立ち寄れない空間』を作ればいい。

早苗「そこだけに歪みが集まる、そしてそれを利用すれば、悪魔も神様も気味悪がって近づかない地域の完成、ってわけよ」

今回は早苗の指示通り通って此処にたどり着いたが、自分一人、もし能力無しで帰ることは不可能だろう。

П(だって、此処らへん全部空間が歪んでるんだもんなぁ)

コンパスは磁気を狂わされるし、地形は流体的に動き、常に変動し続ける。

П「なる程、そりゃあ誰も近づかないわ」

この部屋と隣の部屋は固定されているが、今もこの中心点以外は流体的に動作し続けている。

П「他に此処に辿り着ける奴は居るのか?」

早苗「たどり着いたからさっき入り口に、ドロドロに溶けた人間が落ちてたのよ?」

П「……」

人外魔境、所謂『歪み』によって生じた波に運悪く深くまで呑まれた人間は、生きた死体として延々彷徨い続ける。
恐らく、この歪みによって死ぬことすら出来ず、このままあの人間はあそこにあり続けるのだろう。
先程の臭いの原因…恐らく、チンピラであろう蠢く肉塊をもう一度見返した。

早苗「まあ、半死体がただのチンピラで良かったわ」

そう言って、道中で拾った車内の『女の子』に目を配る。

П「……」

早苗「あんたも、本当に昔のトラウマが消えないのね」

部屋に札を貼り直し、部屋の維持を強固にしつつ、早苗が呟く。

П「どうでもいいだろ、んな事」

早苗「…まあ、いいけどね」

半分呆れたように部屋の整備をし終え、酒を地面に振りまきマッチで火を付ける。
すると地面が歪み、今のネオトーキョーの地図を作り出し、目的の男の顔と場所の地図を映し出す。

早苗「歪みは様々なもの……言うならば情報も集めて動き続ける、それでこの男を見つけて終了ってわけよ」

П「…で、どうすんだコイツ」

早苗「……アンダーワールドの人間は『日本国内には居ない』……法的に居ない人間を法律で死刑には出来ないわ」

П「……嫌だなぁ」

パシュン……カランカラン、という音が聞こえたような気がした、だがそれ以上にお腹が空いていた。

どうやら自分は、誰かの車の中に居るようだ。

小梅「………?」

外を見ると、渋い顔の男とやけに疲れた婦警のような風貌の二人が銃をカバンに閉まって、コチラにあるってくる様が見えた。

小梅(も…もしかし……て、き…企業のお、追手…?)

小梅が昨日見た記憶を思い出し、そして……心臓が高鳴るのを感じた。

二人は銃を車のトランクに仕舞うと、ドアを開けた瞬間鼻腔になぜだか、爽やかな安らぎを感じる匂いを感じた。

小梅「……?」

П「……起きたのか」

小梅「……だ、誰…?」

早苗「片桐早苗……『普通の東京の警官』よ」

П「ただの…『女子寮のオッサン』だよ」

小梅は何となく、Пの方からする匂いが気になり、鼻をヒクヒクさせていると、Пが何を思ったのかスルメを手渡し。
早苗に思いっきりケツを蹴られたのだった。

П「おい!いてぇじゃねぇか!」

早苗「バカやってないで早く出すわよ!何時追手が来るかもわからないんだから」

そう言うと、小梅がスルメを取り敢えずしゃぶっている中、二人が騒がしく車を出すのを見て、一先ずもう一度眠りに付くことにしたのだった。

今日はここまで

今日の出来事。

謎の出資者『奥山沙織の確保の直接の依頼者』がおっ死にやがりました、凶器はライフルと見られていますが、『弾に比べて、射程を遥かにオーバーした距離からの脳幹への一撃』です。

地下に逃げ込んだ白坂小梅が『女子寮』に一時的にドナドナされました。

ネオトーキョー地下空間にゴールのない、『不思議なダンジョン』が形成されました、運があるなら抜けれるかも。

追加設定

片桐早苗(28歳)
ttp://i.imgur.com/PkVYNog.jpg

能力:風水師(New)

能力は風水師、直接的戦闘は苦手だが、その分『土地を変質』させて戦うことが出来る。(New)
また、各地の『土地』から情報を集め、行動することが出来る。

П(読み:ペー)(23歳)

過去のトラウマにより親しい人間や、子供が傷つくと精神軸が揺らぎ、吐き、ヘタすると気絶する。

『歪み』

空気の淀みや、汚れ、穢れが溜まって重積したもの、最終的に土地を異界へ変質させる。
そこへはまともな人間なら、誰も本能的に立ち寄らない。
本来は、自然の力によって浄化されるべき存在だが……?

レイナサマお借りして雪菜と聖を掘り下げていきます

じゃあレイナサマの後に投下しますね

小関麗奈は苛立っていた。
それもそのはず。
ここ最近、自分の悪役としての存在意義があまりにも薄い。

自称ではあるが『悪のカリスマ』であり、この世界を征服するほどの能力を持っていながら『南条光』こと『ブライト・ヒカル』には毎回の様にあっさりと敗れ、あまつさえ先日転校してきた『望月聖』には手も足も出なかった。

麗奈「(これじゃあ、アタシがまるでやられ役のザコじゃないのっ!!)」

今、世界ではほぼカースの存在で話題を持ちきり。
『ミッシェルフ・レイナサマ』の名など誰も気に留めていないのではないか。

麗奈「(いや、光だけはそれでもアタシを悪人扱いしてくれるだろうけど…)」

麗奈「……はぁ」

ため息。
虚しい。

小関麗奈は幼き頃から自分自身を誰よりも尊い存在だと信じていた。
だからこそ、その名を。
その存在をこの世界に知らしめさせ、それを周りに認めさせたかった。

けれども、その術がわからなかった。
とりあえずイタズラをして周りを困らせてみたが、時には生暖かい目で見られたり、冷たい視線で見られたりと『悪のカリスマ』と呼ばれる存在には程遠かった。

ただのイタズラっ娘としか見られない毎日。
しかし、そんなある日のことだった。
麗奈は突如空から降ってきた闇に飲まれ変身能力を手に入れることになる。

その変身した姿が暗黒の鎧を身に纏う『自称・悪のカリスマ ミッシェルフ・レイナサマ』だ。

その力は麗奈のイタズラ心を膨らませ、様々なはた迷惑な行為を実現し可能とする。
麗奈は喜んだ。
あの日、自分を包んだ闇の正体が一体何だったのかはわからないが、この力さえあれば、自分の名を知らしめることが出来る。
世界が自分に跪き、そして敬うのだ。

笑いが止まらなかった。
ついに自分の存在を認めさせる日が来たのだから。

しかし現実は甘く無かった。
自分が変身能力を手に入れたと同時にクラスメイトの『南条光』も変身能力を手に入れ、毎回のように邪魔をする。
最初は『悪のカリスマ』にライバルは付き物だとは思ったが、どうも『南条光』は自分以外にもカースや他の邪悪な存在とも戦っているらしい。

現に先日、『南条光』が風邪で学校を欠席という話があったが、実際は自分以外の悪と戦っていたとの話だ。
それはその日に同じく体調不良を理由に欠席をしていた転校生の『望月聖』しかり。

やはりあの二人は仲間だったんだ。
だから『望月聖』も自分に立てついたわけだ。

麗奈「(だったら、まずはアタシっていう脅威をどうにかしなさいよねッ…!!)」

まるでオマケ扱いされているみたいで気分が悪い。
苛立ちは募るばかり。

そもそも何故、麗奈が『南条光』と『望月聖』が欠席して本当の理由を知っているのか?
それは決して本人から聞いたわけでは無い。
つまり人づてに聞いた話だ。
では、誰がそのことをわざわざ麗奈に伝えるのか?

学校の授業が終わり、放課後。
携帯にある人物からのメールを受信し、麗奈は自分の教室を出て、人の立ち入らない空き教室へと足を運んだ。


———そこに待ち受けていたのは悪戯っぽく微笑む小悪魔的な笑顔を持つ少女

———否、邪悪な微笑みを浮かべる悪魔そのもの


雪菜「お疲れさまぁ♪」


———「井村雪菜」こと「ルシファー」だった


麗奈「毎回思うんだけど、よく普通に中学校に忍びこめるわよね」

麗奈「アンタ、どう見ても高校生ぐらいなのに」

雪菜「そんなの簡単よぉ」

雪菜「私のメイクなら、女子中学生になることぐらいわけないことだもの♪」

麗奈「…あっそ」

雪菜「結局今日は『南条光』ちゃんも『望月聖』ちゃんも学校には来なかったみたいねぇ♪」

雪菜「貴女と違って大忙しってところかしらぁ?」

ルシファーがケラケラと笑う。

麗奈「…っ!ケンカ売りに来たっての!?」

ルシファーの人を小ばかにしたような態度に麗奈が思わず吠える。

雪菜「ちょっとぉ、そんなに怒っちゃイヤよ?」

雪菜「むしろ、怒りたいのはぁ…」

雪菜「———その力を与えてあげたのに、まるで有効活用しない貴女に対してってところなんだけど?」

麗奈「ぐっ…!」


———あの日、空から降ってきて麗奈に力を与えた闇の正体

———それはルシファーの持つ魔の力だった

ルシファーは麗奈に自分の力を与えたその日から『南条光』に対する『望月聖』の接し方とは真逆、積極的に麗奈への接触を図っている。

雪菜「私としても困るのよねぇ、レイナちゃん」

雪菜「悪魔としての面目丸つぶれっていうのかしら?」

ルシファーの言葉が強く刺さる。
しかし、麗奈が闇の力を手に入れて結果を出させていないのは事実。
例え、プライドの高い麗奈とはいえ何も言い返せない。

麗奈「…アンタには悪いと思ってる」

麗奈「この力を与えてくれたことに…それなりに感謝してるし…」

ルシファーはいけ好かない性格だが自分の野望を叶えるために手を貸してくれた存在。
彼女の期待に応えられない悔しい気持ちは微かにあった。

そんな麗奈をよそにルシファーはさらに不満を浴びせ、そして…

雪菜「大体貴女のやってる悪事って、しょっぼいのよぉ」

雪菜「どうせならぁ…」

雪菜「———クラスメイトを殺すぐらいしてみたらぁ?」

麗奈「なっ…!?」

———13歳の少女には、あまりにも残酷な提案を持ちかけた

麗奈「こ、殺すってあんた…」

ルシファーの提案に麗奈は思わず狼狽えてしまう。
麗奈はルシファーが悪魔だということは承知の上だったが、それほどその存在について深くは考えてはいなかった。

野望は世界征服といえど、誰かを傷つけてまでそんなことをしたいわけじゃない。
凄い力を手に入れて、自分が凄い人物だと周りに認めさせる。
麗奈にとってはただそれだけで良かったのだから。

しかし今は目の前にいる悪魔『ルシファー』の冷たい視線が、たまらなく恐ろしいものに感じた。

ルシファーはそんな麗奈の様子を見て肩をすくめる。

雪菜「呆れたわぁ。これぐらいの言葉で動揺しちゃうだなんてぇ」

雪菜「貴女の誰よりも人の上に立ちたいっていう「傲慢」の感情……」

雪菜「———どうやら見込み違いだったみたいねぇ?」

麗奈「…っ!!」

怖い。
逃げ出したい。
けれど、足が動かない。

自分はこれからどうされてしまうんだろう?
そんな感情が麗奈を支配した。

しかし麗奈の感情とは裏腹にルシファーはケラケラと笑う。

雪菜「あはっ♪そんな怯えなくても大丈夫よぉ♪」

雪菜「別に今ここで、貴女に何かをしようだなんて思ってないからぁ♪」

麗奈「……」

麗奈は微かに安堵する。
しかしそれもつかの間だった。

雪菜「でもぉ…」

ルシファーは言葉を続ける。

雪菜「流石に何かしらの結果は残してもらいたいものね」

麗奈「け、結果って…?」

麗奈は恐る恐る尋ねる。

雪菜「さっきも言ったでしょう?」

雪菜「———殺すのよ。貴女のクラスメイト」

麗奈「…!?」

雪菜「何も全員を殺せだなんて言わないわぁ」

雪菜「いるでしょう?貴女のクラスメイトの『南条光』こと『ブライト・ヒカル』」

雪菜「あの子を殺してもらおうかなぁ」

麗奈「な、南条を…?」

『南条光』

それは決して自ら友人とは呼べる存在ではないが『南条光』個人として麗奈のことを友人と見なしているため、決して関係性は薄くない。
その彼女を自らの手で殺める…?

雪菜「言っておくけど拒否権は無いわよぉ」

雪菜「私が与えた魔の力…本来なら人間を殺すことぐらい容易いことなんだから♪」

雪菜「そうねぇ…期限は今から1週間ってところ?」

雪菜「それまでに貴女が「南条光」を自らの手で殺めることが出来なかったその時はぁ…」

雪菜「———私が貴女のこと、殺してあげる♪」

麗奈「———!!」

雪菜「それじゃ、貴女の活躍を期待してるから♪」

そう最後に言い残しルシファーはその場から姿を消す。
空き教室には麗奈一人だけとなる。

麗奈「(アタシが南条を…)」

麗奈「(そうしないと…アタシ、殺されて…)」


———ルシファーに課せられた『南条光』抹殺の命

———そしてこの命が後に『小関麗奈』こと『ミッシェルフ・レイナサマ』の運命を大きく変えることとなる

ルシファーは麗奈の元を去り、自らの思惑を巡らせていた。

雪菜「(別にレイナちゃんには期待していないけどぉ…)」

雪菜「(これで、もしも『南条光』ちゃんをホントに自分で殺したりなんかしてくれたら私の手間が省けて儲けものよねぇ♪)」

雪菜「(そしたら『天使様』はどう動くのかしら)」

雪菜「(それに自らの希望を魔の力によって、掻き消された時の反応…)」

雪菜「(うふ…考えただけでゾクゾクしちゃうっ♪)」

雪菜「(天使様…)」

雪菜「(…ううん)」

雪菜「(———『聖ミカエル』)」

雪菜「(この世界が迎える結末が楽しみね…)」

雪菜「(さてと…私はそろそろ死神の姿に変身してお仕事しよっかな♪)」


———『傲慢』の大罪を司る悪魔であり

———そして『傲慢』の大罪を背負いし堕ちた天使

———ルシファーは今日も『死神ユズ』の姿で一人ほくそ笑んでいた

おわりです
軽くまとめると

雪菜さんは悪魔であり堕天使。
ひじりんは四大天使の一人。
レイナサマの力は雪菜さんが与えました。

四大天使はミカエル以外にもガブリエル、ラファエル、ウリエルがいるので使えそうだったら使ってください。

>>97
おつです
ひじりんの神々しさからすると、大天使と言われても納得
でも、そうなると一般的に天国とか天界と呼ばれるような世界もあるってことになるのかな


GDFと野々村さん投下します
相変わらず要らん展開が多いので状況に応じてスルーしてください…


──ある日のGDF本部──

いつもの三人は、基地内の休憩施設にあるカフェテリアに居た。

志保「今日は何のパフェにしようかな〜!」

椿「たまにはぜんざいとかどうですか? ちゃんと杵つき餅使ってるから美味しいんですよね!」

詩織「とりあえず、アンドロメダ焼きは外せないわ……」

三人が三時のおやつの品定めをしていると、基地内に警報がけたたましく鳴り響いた。
なにやら緊急事態が発生したらしい。


『陸戦部隊所属の各員は、至急作戦指揮所まで来られたし! 繰り返す──』


志保「ありゃ、問題発生ですか」

椿「なにがあったんでしょうか」

詩織「とりあえず、行きましょう」


指揮所に着くと、ほとんど満員に近い状態だった。
基地所属の陸戦兵のほとんどが集まっているようだ。
隊員が集まったのを見て、司令が説明を始める。

司令「諸君、日々の任務ご苦労」

司令「先ほど、第五地区から緊急入電が入った」

司令「詳細は不明だが、突如"想像を絶する数のカース"が出現したとの内容だった」

司令「既に近隣の第四、第三地区からは応援が出動している、我々第一地区もそれに続くことになる」

椿「(想像を絶する数のカースって……)」

詩織「(ただ事じゃないわね……)」


司令「なお、本作戦は、極東方面軍総司令が直々に指揮を執る」


「「「総司令が!?」」」


指揮所内の隊員達がどよめき立つ。

椿「(極東方面軍総司令といったら、いつもは北米のGDF総司令部に引き籠ってるハズですよね)」

志保「(そんなのがしゃしゃり出てくるなんて……)」

詩織「(やっぱりただ事じゃないわね……)」


司令「作戦の詳細は道中で説明があるだろう」

司令「陸戦隊各員は準備が整い次第、順次出撃となる……以上だ!」



志保「あーあ、パフェお預けかぁ」

出撃の準備をしながら、おやつを逃した件について志保がぼやく。

椿「まあ、緊急事態じゃしょうがないですねー」

詩織「こういう時の、食べ物に関する話題は死亡フラグよ……」

志保「ま、まあ、ちゃっちゃと終わらして、帰って来たからまた食べればいいんですもんね!」

椿「それじゃ、行きましょうか!」




カースの大量発生現場へと向かった三人は、輸送ヘリの中から地上の様子を眺めていた。

椿「これは……なんというか、すごい光景ですね」

志保「かつてないカースの量ですよ……」

詩織「現地の能力者とも協力して鎮圧に動いてるらしいけど……我々が劣勢みたいね」

あちこちから爆音や銃声、カースの咆哮が聞こえてくる。
普段は人間の生活圏である都市部が、さながら戦場の様相を呈していた。


ヘリP「着いたぞ! あんたらの担当エリアはここだ!」

椿「送っていただいてどうも!」

三人は輸送ヘリから目標地点へと降りる。
到着した場所は空き地になっていて、簡易なバリケードと銃架、山積みになった弾薬箱等が配置されていた。
先遣隊が陣地を用意してくれていたらしい。

志保「ここで撤退命令が出るまで立て籠もれば良いわけですね!」

椿「民間人の避難誘導が完了すれば、装甲部隊を投入できるはずですから」

詩織「つまりは、それまでの時間稼ぎって事ね……」

志保「っ!! 一名様ご来店でーす!」

椿「早速来ましたね!」

詩織「ウサミン弾で粉々にしてやりましょう……」



その頃本部の指揮所では、展開している陸戦隊からの情報を受け、内勤の隊員らが忙しなく働いていた。

「全部隊、展開完了しました!」

司令「うむ……皆、なんとか持ちこたえてくれ」

「司令! 通信が入っています」

司令「繋いでくれ」

通信士が端末を操作すると、指揮所内のモニターに年配の男性の姿が映った。
着ている軍服の胸には勲章が煌めき、いかにも偉そうな風貌である。

『司令、首尾はどうか』

司令「はっ! 作戦区域には既に我が陸戦部隊が展開しております」

司令の態度から察するに、おそらくこの人物が極東方面軍総司令とやらなのだろう。

総司『何においてもまずは民間人の避難を完了させるのだ』

総司『その後、作戦を第二段階へと移行する』

司令「(第二段階……?)了解しました」




志保「11時の方向! 大きいのが接近中ですよ!」

椿「キリが無いですね……っ!」

詩織「そろそろ虎の子のウサミン弾も切れるわ」

戦闘が始まってからかれこれ数十分は休む間もなく戦い続けている。
陣地の弾薬は減るが、三人の疲労は溜まる一方だ。

椿「早いとこ避難が済んでくれないと、持ちこたえられそうにないですね!」

志保「今日の分のパフェを食べるまでは、やられるわけにはいかないですよ!」

詩織「それだけ元気ならまだ大丈夫そうね……!」

例え勝機の見えない戦いであろうと、上の指示とあれば挑まなければならない。
一兵卒の辛い現実である。



作戦開始から一時間程経った頃には、
GDF本部の指揮所には、戦地からの悲痛な通信が絶え間なく入ってくるようになっていた。

『こちらパッション4! 負傷者多数! 救援を!!』

『本部! 応答願います! 弾薬が尽きました! 撤退の許可を!』

司令「(クソ……このままでは陸戦部隊は全滅だ!)」

司令「(総司令は何を考えているんだ……!)」

司令「総司令! 機甲部隊の投入を進言します! 既に大半の民間人の避難が完了しています!」

総司『まだ慌てるような時間ではない』

司令「しかしこのままでは!」

総司『進言に耳を貸しはするが、命令を出すのは私だ』

司令「くっ……!」


「司令! 輸送部隊からの通信です、最後の民間人の避難が完了とのことです!」

総司『ふむ、頃合いだな……アレを使うぞ』

「!?」

司令「ま、まさか……」

総司令の発言に、指揮所内の人間の顔色が変わる。


総司『ああ、GC航空爆弾を使う』

総司『展開中の部隊を下がらせろ、1700に投下予定だ』

司令「そんな!? あれはカースどころか、街一つを消し飛ばします!」

総司『熱くなるな、ここまでカースの増殖を許したお前にも責任はあるのだぞ』

司令「そうは言いましても……!」

総司『政府の承認も得ている、地域住民の避難も完了した』

総司『何を躊躇う必要がある』

司令「っ!」


総司『司令、これはな、一種のパフォーマンスなのだよ』

総司『地底のモグラ共や異界の化け物共が、変に色気を出すことが無いように釘を刺しておくのだ』

司令「しかし……もし現地にまだ残っている人間がいたら……」

総司『我々の避難誘導に従わない人間のために、攻撃を中止する道理は無い』

総司『まあ、火事場泥棒の類や、地底のゴミ漁り連中の何匹かは消し飛ぶことになろうがな』

司令「……」


総司『我々の役目は"地球の平和"を守る事だ』

総司『その為には、あらゆる手段を用いて事に当たる必要があるのだ』

総司『多少の痛みを伴う事もあろうが、平和の代償としては仕方の無い事なのだよ』

司令「……」




カースの大量発生地域の上空を一機の航空機が飛んでいた。
その航空機のパイロットが管制塔との通信を始める。

航空機P「フリートレード1よりマイスタジオ、現在高度3万フィート、投下予定ポイント到達まで1分」

『マイスタジオよりフリートレード1、投下ポイントの風速・湿度・気温全て正常値……オールグリーン』

航空機P「フリートレード1了解、作戦を続行する」


航空機P「(いよいよ引き返せなくなったな……)」

管制塔との通信を終え、航空機Pは物思いに耽る。

航空機P「(俺がGDFに入隊したのは、人々の生活を……平和を守る為だった)」

任務とは無関係の思考に走りながらも、種々の機器の確認をする手が止まる事は無い。

航空機P「(だが、これから俺がやることは……それとは正反対の……)」

航空機P「(破壊行為だ……)」

コンソールに安全装置の解除コードを入力し、投下ボタンに手をかける。


航空機P「フリートレード1、投下予定ポイントに到達……GC爆弾、投下!」




地上では、投入された部隊の大半が壊滅し撤退していく中、椿達は決死の抵抗を続けていた。
周りの部隊が撤退したため、標的を失った周辺のカースが一挙に押し寄せてくる。

詩織「こっちは弾切れよ……後は拳銃だけしかないわ」

椿「これ使ってください! こっちもこれが最後ですけど!」

椿がライフルの弾倉を詩織に放り投げる。

志保「懐かしいですこの感じ! ウェイトレス時代を思い出しますね!」

迫るカースに向けて、機関銃を撃ちつつ志保が叫ぶ。

志保「給料日後のピーク時とか! こんな風にお客さんが押し寄せて来てたものです!」

椿「じゃあウェイトレス時代みたいに、お客さんを上手い事捌いてくださいよ!」

志保「そうやって煽られると注文取り違えたりとかしちゃいますよ! ……あれ?」

突然、機関銃から弾が発射されなくなり、志保は首を傾げた。
機関部からは煙が上り、銃身は真っ赤に加熱されている。
どうやら酷使しすぎたために不具合を起こしてしまったようだ。


志保「あちゃー、頼みの綱が使えなくなっちゃいました!」テヘペロ

椿「軽いですね!」

詩織「これだからトリガーハッピーは……」ヤレヤレ

絶体絶命のピンチでも、なお三人は軽口をたたき合う。
どんな状況に置かれても決してあきらめない、GDFの心意気である。


椿「ん……この音は……」

ふと、どこからかヘリのローター音が聞こえた気がした。
直後、高空からの銃撃で目の前に迫ったカースの群れが薙ぎ払われる。

ヘリP「待たせたな! 乗ってくれ!」

志保「遅いですよ!」

椿「随分待たされましたよ……」

ヘリP「悪かったな! 残った部隊はあんたらで最後だ」

詩織「何はともあれ、助かったわね……」


三人がヘリに乗せられ、息も絶え絶えといった様子で一息ついていると、乗員から話しかけられる。

「あんたらにも、コレを渡しておこう」

椿「これは……」

詩織「遮光グラス?」

志保「何でこんなものを?」

「悪い事は言わんから、それを着けておくんだ」

三人は訝しがりながらも渡された眼鏡を着ける。

「そろそろだな……」

乗員が呟くと、突然周囲が光に覆われた。
遮光グラス越しでさえ目が眩む程の光量に三人は混乱する。


志保「な、なに!?」

詩織「眩しいわね……」

椿「あ、あれは……?」

椿が機外を見やると、今まで自分たちが居た都市部が爆炎に包まれているのが見えた。

「衝撃波が来るぞ! 掴まっておけ!」

乗員がそう叫んだ直後、機が墜落するんじゃないかというほど激しく揺れる。

ヘリP「クソッ! 体勢を立て直せ! オートローテーションだ!」

爆発の衝撃波に煽られ、パイロットの怒号と墜落の危険を知らせる警報音が響く中、
三人はそちらを気にする素振りも見せずに、ただ真っ赤に染まった空を眺めていた。


椿「私達……何のために戦ってたんですかね」

志保「そりゃ、平和を守る為……ですよ」

詩織「……」

志保「だけど……これは……こんな事って……」


詩織「二人とも……」

今まで黙っていた詩織が口を開く。

詩織「食べ損ねたおやつが、待っているわ……」

椿「……」

志保「……」


椿「そ、そうですね! 今日はたくさん働いたから、甘い物食べてゆっくり休みましょう」

志保「でも、今からだと、夕食に被っちゃいますね! あ、夕食後のデザートなら良いかな?」

二人とも詩織の意図を察し、努めて明るく振舞う。
しかし、三人の胸中にはGDFの使命について複雑な思いが残るのだった。


──その頃・GDF本部──

「映像、繋がりました!」

通信士の一人がそう言うと、指揮所内の一番大型のモニターに爆心地の様子が映し出された。

「!!」

司令「……」

そこには、文明の残り香はおろか、生命の一片の存在さえ許さないまっさらな大地が広がっていた。


「なっ……なんだこれは」

「数時間前まで……人が生活していたんだぞ……」

「これを……我々がやったというのか」

「作戦区域内に……残存するカースの反応……ありません」


総司『ふむ、上出来だな』

指揮所内の人間の困惑をよそに、総司令が満足げに口を開いた。


総司『ただいまを以って、本作戦の終了を宣言する!』

総司『司令、後の事は任せたぞ……私は総司令部に報告を上げねばならんのでね』

総司令はそう一方的に告げると、通信を切った。
残された司令は、うつむいて肩を震わせている。

司令「……っ!!」


司令「何が『地球の平和を守る』だッ!!」バンッ!

司令が怒りに震える拳を机に叩きつける。

司令「これは……我々の……敗北宣言だ!!」


その日、地図の上から街が一つ消えたという。




司令との通信を終えた総司令だったが、そこに間髪入れずに何者かからの通信が入った。
音声のみであるため、通信相手の姿は分からない。

『見事な手際でした』

『"我々"は、あなたの勇気ある決断を、心より賞賛いたします』

総司「今回は、貴方達のお陰で難を逃れることが出来ました」

総司「心より、御礼申し上げます」

『いえ……今回の危機を乗り越えたのは、間違いなくあなた方人類の力によるものです』

『我々は、今後も地球の皆さんの繁栄のために、協力を惜しまない所存です』

『それでは、これにて失礼します』


総司「友好的な異星人……か」

総司「何を企んでいるのか分かったものではないが」

総司「人類に協力するというのであれば、できるだけ利用させてもらうとしよう」


GDFの幹部との通信を終えた異星人──野々村そらは、内心でほくそ笑んでいた。

そら「("オモチャ"を与えられれば、それで遊ばずにはいられない……)」

そら「(所詮未開惑星の野蛮人か……御することは容易だったな)」

六畳一間の中央に据えられたちゃぶ台の上には、ノートPCに偽装された異星人の端末が置いてある。
そこには、先ほどのGDFの戦闘の一部始終が記録されていた。


そら「(上層部の過激さを見せつけ、大半の隊員に不信感を抱かせる事に成功した)」

そら「(もう少し突ついてやれば、内紛も起こりかねないだろう)」

そら「(そうなれば、GDFとやらの戦力の低下は確実……)」

そら「(この分なら、今回の任務は思いのほか簡単に片付くかも知れないな……)」

そらは満足げに頷くと、端末を片づけ休息状態に入るのだった。



地球人の滅亡を目論むそらの次なる一手とは如何に?
異星人の陰謀なんかに、負けるな我らのGDF!


※GDFの戦力

戦車や装甲車等の機甲部隊、ヘリコプターや戦闘機を中心とした航空戦力も保持してはいるが、
専らの敵対勢力であるカースや宇宙犯罪者は、人口密度の高い都市部に出現することが多いため、
小回りが利き火力も抑えられる歩兵が重用される傾向にある。


※世界のGDF

GDF総司令部(一番のトップ)は北米にあるらしい。
世界六大陸とさらにいくつかの地域に、各方面軍総司令部が設置されている。
椿達が居るのは極東(日本)方面軍総司令部。


※GC爆弾

通称『ジェノサイド爆弾』
"友好的な"異星人からもたらされたテクノロジーにより開発された秘密兵器。
基本は航空機から投下されるが、地上に設置して遠隔操作で起爆したりもできる。
その威力の為半ば封印状態にあったが、この度カースの大量発生に伴い初めて実戦で使用された。


※モブキャラ達

司令は椿達の所属する基地の一番偉い人
総司令は極東方面軍の一番偉い人ってことで
ヘリP・航空機PのPはパイロットのP

投下終わりです

・大量破壊兵器で大罪の悪魔連中をビビらせてやりたい
・絶体絶命のところにヘリとかが助けに来るお約束がやりたい
・野々村さんを暗躍させたい

って考えてたらいつの間にかこうなっていた
次からは茶番抜きにしてアイドルだけを書くんだ…


あとカースの大量発生は前スレ>>483の「フェス」を参考にさせてもらいましたが、
もし設定的に問題があるようでしたらただの大量発生ってことにしておいてください

悪いのは野々村さんでも総司令でもなくてカースだよ!

野々村さんの処遇に関しては好きにしちゃってくれて構いません

>>130
わかりましたー

今、予約してるのかき終わったら、書いてみます

ところで、そらちゃんは評議員との連絡装置みたいの持ってますか?

本田未央予約しますー

西園寺琴歌、浅野風香で投下します

琴歌「風香さん!風香さん!見てください!人がいっぱいです!」

風香「こ、琴歌さん…。こ、声大きいですよ…。み、みんなこっちみてますよ…」

街中ではしゃぐ二人の少女がいた。

一人はどこかの令嬢みたいな子で、なんだか世間知らずっぽい感じだ。

もう一人の子は、眼鏡をかけて地味そうでなんだか臆病そうな感じである。

彼女達は≪OZ計画≫の実験体で脱走者の≪OZ適合者≫。

何年ぶりかの街に辿り着いていたのだ。

琴歌「申し訳ございません。ついはしゃいでしまいました」ショボン

風香「お、落ち込まないでください….。ご、ごめんなさい」あわわ

……なんだろう。なんだか見ててカワイイ。

周りで見ている人達もなんだか、和んでいる。

風香「と、ところで裕子ちゃんは大丈夫なのかな?……け、怪我してないかな?」はわわ

琴歌「大丈夫です!裕子さんならきっと無事に帰ってきます。あなたもそう思うでしょう?」

そう言って、左横を見るが、そこには誰もいなかった。

あれ?って顔をした後に、キョロキョロと辺りを見渡し始める。

それに気づいた風香も一緒に、キョロキョロし始める。

琴歌「………」

風香「………」

琴歌「た、大変です!あの子がいらっしゃいません!!」

風香「えっ、ええええええええ!!!ど、ど、ど、ど、どうしよう!!!!」

どうやら、あと一人仲間がいたようだが、いない事に気づき慌て始める。

慌てる姿もカワイイ。

琴歌「た、大変です!探しましょう!」

そう言うと、靴を脱ぎ始め、彼女の両足が変化し始める。
銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化した。

風香「だ、ダメだよ!こ、ここで≪ドロシー≫を使っちゃ……って、あれ?」

そう言って、慌てる風香だったが、以外にも周りは普通の反応だった。

風香は知らない。自分達がOZ計画の実験体になってる間に街に様々な変化が起こり、こういうのは日常化されていることに。

慣れって怖い……

琴歌「では行ってまいります!」ドシューン!!!

そう言うと、琴歌の姿は消えた。

正確には上空に飛び高速で移動してるのだ……

風香「い、いっちゃった……」

そう、ポツンと取り残された風香は空を見上げながら、呆然としていた。

そして、しばらくして、風香は気づく。

−−−あれ?私達もバラバラになってない?

風香「……………………ど、ど、ど、ど、ど、ど、ど、どうしよう!!」あわわ

事の重大さに気づき、慌てふためく。

ただでさえ、臆病で弱気な彼女はパニックに落ちいった。

………その時だった。

『カネヲヨコセェェェェエ!!!!』

風香「!?」

突然、黒い泥のような不定形なモノ−−−カースが発生したのだ。

風香「な、なんですか?あれ?………」

カースの発生に人々は逃げ出すが風香は足がすくんで動けなかった。

『オマエカネアルカァァァア!!!ジャンプシロヤァァァア!!!』

風香「も、もってません!!!!!ご、ごめんなさいっ!!!」

涙目になりながら、そう叫ぶがカースはお構いなく、風香に突撃してきた。

このまま彼女はカースにやられてしまうのか?

誰もがそう思ったときだった。








ザシュン!!!!







『アガッ………』

風香に突撃しようとしたカースはナナメに五等分に切断された。

偶然にも核も一緒に砕かれて……

何が起こったのかよく見ると、風香の右手が変化していた。

黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に……

彼女の右腕に移植されたOZ≪レオ≫の超振動の爪の威力だ。

風香「ご、ご、ご、ごめんなさぁぁぁぁいい!!」

泣きそうになりながら、そう言うと、右腕が普通の腕に戻り、そのまま彼女は逃げたしてしまった。

果たして彼女の運命は?

頑張れ風香!負けるな風香!!他の三人に合流できるように!!

というか、一番の苦労人になるだろう!


終わり

西園寺琴歌(17)

職業・元実験体
属性・OZ≪ドロシー≫適合者
能力・両足強化、空中移動、超高速移動、自己修復


天然お嬢様なOZ適合者。

性格は世間知らずで天然。

普段は普通の人間の姿だが、OZ≪ドロシー≫を発動すると、銀色に輝く、ハイヒールを履いたような異形の両足に変化。それは金属でできている。

この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、両脚に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。
そして、この姿の時に、脚力は強化され、空中移動や高速移動が可能になる。
そこから放たれるキックは強力だ。

第二段階になると、まるで全身が金属でできた異形の女性のような姿になるが、この姿にはならないようにしている。

彼女は幼少の時から、両足が動けなく車椅子生活だったが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、拉致された犠牲者だった。
だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。

なお、コレでも戦闘訓練は受けている。

現在は迷子。



浅野風香(16)

職業・元実験体
属性・OZ≪レオ≫適合者
能力・右腕強化、五本の爪から放たれる超振動斬撃、自己修復


小動物系な眼鏡のOZ適合者。

性格は、自分に自信がなく怖がり。

普段は普通の人間の姿だが、OZ≪レオ≫を発動すると、黄金に輝く、獣を思わせるようなフォルムの、五本の刃のような鋭い爪がついた異形の腕に変化。それは金属でできている。

この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、右腕のあった部分に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。
そして、この姿の時に、右腕の腕力や振るう力が強化され、更に五本の刃のような爪が超振動し、鉄をも斬り裂く程。

第二段階になると、まるで全身が金属でできた獅子のような異形の姿になるが、この姿にはならないようにしている。

彼女は事故で右腕を失い意識不明の重体に陥るが、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、親に売られた犠牲者だった。
だけど、仲間3人の協力で、自力で脱出した。

なお、コレでも戦闘訓練とか受けている。

現在は泣いてる。

以上です。

あわわ…なんか風香ちゃんが苦労しそうな感じにしてしまった。

なんか変な所ありましたら、お願いします。


琴歌ちゃんが天然な風潮

おつー
なんかターミネーター2を思い出した

突貫工事だけど投下します

未央「何て言えばいいかな……、一言で言うと、私天使なんだよね♪」

——うちに来る人はどうしてこうも一言目から訳わかんないことを言うんだろうか。

—————ここは『プロダクション』。

——以下略。

未央「あっ、その顔は信じてないでしょ〜!」

未央「本当に本当! 私は天使なんだよ!」

未央「自分の事を天使みたいに可愛いって自画自賛してるわけじゃ無くて!」

未央「んー、でも可愛いっていうのは別に間違ってないからいっか☆」

ピィ「はぁ……」

——本田未央と名乗った目の前の少女からは、

——『天使』のイメージから連想される『慎み』のようなものが全く感じられず、

——どちらかといえば親しみの湧くタイプの子で、

——元気よくハキハキと喋るその姿は、

——どこにでもいる普通の女の子にしか見えない。


未央「じゃなくて」

未央「う〜ん、天使……」

未央「としか言いようが無いんだよねぇ」

——何が何でも天使と言い張るつもりらしいが、

——早速説明に詰まっている。

未央「そうだ! 証拠見せてあげる、証拠!」

未央「羽出してあげるよ☆」

未央「ほいっ♪」

——言うやいなや、宣言通り羽が生えた。

——ぶわっ、と、

——6枚の、計3対の大きな羽が、

——事務所狭しと伸ばされる。

未央「上の羽二枚で顔を隠して、下の羽二枚で体を隠して、真ん中の羽二枚で空を飛ぶんだ〜♪」

ピィ「わかった! わかったからしまってくれ!!」

——空間が圧迫されてかなわん。

—————しかし、

——本当に天使……、

——に類する何らかの能力者かもしれないが……、

——とりあえず、認めよう。

未央「しかもそんじょそこらの天使じゃないよ!」

未央「なんと! 熾天使!」

——してんし、というのが、どうそんじょそこらの天使と違うのか、

——俺にはわからなかった。

未央「セラフィム!」

——英語で言われてもわからない。

未央「天使にラブソングを、でも歌ってたよね〜」

未央「シング ウィズ アス いぇえ セーラーフィーム♪」

未央「いやぁ、いい歌だよねアレ」

——ついには歌を歌い始めた。

——このままでは話が進まない。

ピィ「ちょっといいかな?」

未央「おおっ! 何でも聞いて聞いてっ♪」

ピィ「……えっと、してんし?」

未央「うん、熾天使」

ピィ「……」

未央「……」

未央「ご存じない?」

ピィ「うん」

未央「え、マジで……?」

ピィ「マジで」

——なにやら、心底『信じられない』みたいな顔をされてしまった。

未央「天使の階級で一番偉いんだよっ!?」

未央「こう見えてすっごく偉いんだよ私!?」

未央「知らないの!?」

——へぇ、それはすごいな。

ピィ「でも、知らない」

未央「ラ〜ファ〜エ〜ルっ!」

未央「ラファエル!」

未央「本田未央ちゃんの正体はラファエルなのでした!」

未央「知らないっ!?」

ピィ「まぁ」

——ラファエル、といわれても、

——ぶっちゃけ『熾天使』を知らないのだから、その中にどんな奴がいるかなんて余計わからない。

——というか、本田未央じゃないのか、

——お前は本田未央なのかラファエルなのかどっちなんだ。

未央「み、ミカエルは? ガブリエルは?」

ピィ「あ、それは何となく聞いたことある」

未央「やっぱりそうなんだ! そっちは知ってるのに私のことは知らないんだ!!」

未央「ああっ、影の薄いラファエルちゃん!」

——その二人の天使の名前なら、何となく知ってる。

——なるほど、ラファエルというのはその辺の天使と同格の存在、ということなんだろう。

未央「むかぁしアスモデウスをやっつけたこともあるのよ!?」

未央「今巷を賑わしてる七罪の悪魔のね!」

未央「それも知らない?」

ピィ「?」

——天使がどんな悪魔をやっつけた、みたいな逸話を聞かされても、

——全然ピンとこない。

——と、いうか……、

——巷を賑わしている? 七罪の悪魔?

——何の話だろうか、そっちの方が気になった。

未央「あー、ここにいる人たち皆モブだからねー」

——何やら非常に失礼なことを言われた気がする。

未央「いやー平和なのはいいことだよ、うん」

未央「あ、そうそう、藍子ちゃん」

藍子「はい?」

——お茶を汲みに来た藍子に唐突に未央が声を掛けた。

未央「彼女に力をあげたのも私☆」

藍子「えっ」

ピィ「えっ」

——いや、ちょっと待ってほしい。

——そもそも、藍子に能力があった、という事すら最近知ったのだ。

——しかもカースを退けた、という程度で、実際にどのような能力なのかもわからない。

——というか俺は本当に能力を持っていることに無自覚だった能力者を連れてきてしまったことになる。

——もう、とにかく藍子情勢に関しては色々と混乱しているので、

——これ以上話をややこしくしないでほしい。

未央「やー、だってさ、毎日よ?」

未央「皆が笑顔になれますように、優しい気持ちになれますようにってお祈りしてるの」

藍子「なっ、何でそれをっ!?」

ピィ「可愛い……」

藍子「ピィさんっ!」

未央「それがものっすごい純粋なお願いなんだもん!」

未央「私キュンキュンしちゃって」

未央「あげちゃお☆ って」

未央「あげちゃった♪」

——ものすごい軽いノリで、目の前のいわゆる『熾天使』様が、

——自分の力を、藍子に分け与えたことを説明した。

藍子「あの、それで私の能力っていったい……?」

未央「ズバリ! 癒しの能力!」

藍子「癒しの……」

——なるほど、合点がいった。

——藍子のあの尋常じゃない癒しオーラは、能力によるものだったのか。

——藍子自身の纏う雰囲気があんまり柔らかいもんだから気づかなかった。

未央「私は癒しの天使♪」

未央「その能力は人を癒すこと!」

未央「どんな傷でも立ちどころに癒しちゃうよー☆」

ピィ「……ちょっと待った」

未央「ん? なになに?」

——今の説明には違和感がある。

——藍子の能力は、癒しの能力だと言っていたが、

——傷を治す力は無かったはずだ。

——つまり。

未央「癒すの意味が違う……?」

未央「……」

未央「ほら、ニュアンスニュアンス」

未央「心の傷を癒す!」

未央「……ね?☆」

——こんないい加減なのが偉い天使なのか。

未央「何なら怪我を治す力もあげよっか?」

未央「あー、でもそうすると女神が誕生しちゃうな……」

未央「端的に言うとぐう聖」

ピィ「わかる」

藍子「ピィさんっ!」

——ただでさえ、藍子の側にいるだけで心身トロットロになってしまうのに、

——更に痛いところを治してくれるようになるとか……。

ピィ「女神!」

未央「聖女!」

藍子「もうっ! からかわないでくださいっ!」

ピィ「で、何でカースを浄化できるんだ?」

未央「簡単に言えばアンデッドに回復魔法が効くみたいな感じ?」

——今の説明でわかってしまった自分が嫌だ……。

——というかこの天使はゲームまで嗜むのか。

——そういえばさっき映画の話もしてたな。

——本当に普通の人みたいだ。

——普通の人……。

ピィ「『ラファエル』なのに『本田未央』を名乗ってるんだ?」

未央「あー、それね」

未央「幽☆遊☆白書の蔵馬みたいな?」

——どうやらマンガも読むらしい。

未央「『ラファエル』である私は、15年前人間の女の子に転生し!」

未央「本田家に生まれ『未央』という名前を貰い!」

未央「両親の愛情を一身に受け、すくすくと成長し!」

未央「『ラファエル』という人格と力を持ちつつも!」

未央「『本田未央』という15歳の女の子の感性も併せ持つ!」

未央「ハイブリッド天使!」

——ドヤ顔の解説はともかく、出自についてはよくわかった。

——というか……。

ピィ「マジで蔵馬じゃねえか!」

未央「ね! 初めて読んだ時びっくりしちゃった☆」

——事実は小説よりも奇なり、というやつだろうか。

未央「ほら、私って人間好きじゃない?」

ピィ「知らんけど」

未央「そうなの!」

——よくわからん自分語りが始まった。

——どうやら、およそ天使らしくない、と感じた彼女の性格は、

——15歳の少女である本田未央という肉体に起因してるらしい。

未央「ミカエルはねー、私達の中でも一番強いんだけど、何考えてるのか良くわかんないんだよねー」

未央「ガブリエルはほら、受胎告知で有名でしょ? でもソドムとゴモラ滅ぼしたりしてる恐ろしい部分もあるし」

未央「ウリエルはなんて言うか、厳格でさ、冗談が通じないっていうか」

未央「その点私は人間と一緒に旅したりする庶民派なんだー☆」

ピィ(うわぁ、すげぇどうでもいい……)

ピィ「へぇ〜」

未央「露骨に面倒くさそうな顔するね、そんなんじゃモテないぞっ☆」

——イラッ☆

ピィ「本日こちらにいらっしゃった理由をお伺いしてもよろしいですか?」

未央「あっ、帰そうとしてるね?」

ピィ「はっはっは、まさかそんな」

未央「そうだねっ☆ んー……」

未央「特に意味など無いっ!」

ピィ「よし、帰れ!」

——何なんだ本当にコイツは。

未央「まぁまぁ、私藍子ちゃんのこと気に入ってるしー♪」

未央「それに……」

——藍子に注がれていた視線が、ちらりと揺れ、

——おちゃらけた口調はそのままに、未央が声のトーンを若干落とす。

未央「他にも気になる子が色々いるしね……☆」

——意味深なことを呟きながら、未央が見つめる先には、

——周子と、たまたま来ていた薫の姿があった。

ピィ「それはどういう……」

未央「あっ、そういえば☆」

未央「別にここって好きな時に来ていいんだよね?」

——うちの規則は緩い。

——物凄く緩い。

——『プロダクション』は一応まっとうな組織のはずだ。

——しかし、ここに所属することによって拘束時間が発生することは無い。

——個々人に仕事の依頼があれば別だが、

——その仕事すら無いのだ。

——健全で安全な能力の使用法の提案とその指導。

——うちの経営理念の一つだ。

——しかし、もう一つ。

——能力を用いた社会貢献。

——これが殆どと言っていいほど無い。

——たまに楓さんが草刈りの仕事なんかを依頼されているが、

——それ以外の人は、基本暇をしている。

——そんな状況でも、わざわざ来てくれるのはありがたいことだが、

——もはやただの溜まり場の様相を呈しており、

——そこへ、こいつも加わるのかと考えると……。

ピィ「おことわ———」

未央「わーいっ! ありがとっ☆ ピィさんってばやっさし〜♪」

——押し切られた。

——人の話を聞いちゃいない。

——来るなといってもきっと来るんだろう。

——もう、

——諦めた。

未央「まぁまぁ、面倒事は絶対に持ってこないからさ☆」

未央「よろしくねっ、えへへっ♪」

本田未央
http://25.media.tumblr.com/360bef3da70b4dccbe1a8f622d600987/tumblr_mpb4btAsfF1risnoxo1_1280.jpg

熾天使の一人ラファエルが人間に転生した姿。
一応偉い天使のはずだが、性格は完全に15歳の少女のそれ。
明るく元気で人懐っこく、人間が大好き。

ラファエルとは癒しの天使であり、藍子にその力の一部を与えた。
聖と光の関係だね! 未央は随分明け透けだけど。

気分屋なので、昨今の騒動に首を突っ込んでくるかは不明。
ただし、自分と気に入った人に振りかかる火の粉は徹底的に払う。

以上です

ちゃんみおは天使
藍子も天使

乙ー

天使も襲名式なのかな?
ということはラファエルに襲名してから人間界に転成したのかちゃんみお…

そして、また川島さんが動きにくくなったwwww

あっちゃーちゃんみお天使だったかー

バランスよく天(天使ちゃんみお)地(アンダーワールド人しぶりん)人(普通の人間しまむらさん)とそろったニュージェネ
いや、絡みは一切ないんだけども
……それにしても天使は天使で割と身勝手なのよね、わかるわ

いずみんの投下するよーーーー!!

 やっと準備が整ったんだ。管理者の目を盗んでくみ上げてきた私の最高の傑作。
 このディストピアを救うための最後の手段——

「……『エクセル』の完成、かな」

 見上げればそこに立つのはこの世界の希望。
 何よりも優れて、何よりも強く。私の、私たちの夢。
 白いボディに緑のラインが入った美しいデザイン。無駄のない流線型のフォルム。
 我ながらほれぼれする。かっこいいぞ、すごい。

 耳障りな警報音が私の思考を引き戻す。
 ……そうそう、感動している場合じゃなかったんだっけ。

 私が今いるのはロボたちの自己進化施設の中。
 ちょっとだけお邪魔して、私の『エクセル』の完成に協力してもらったわけだ。

 私の頭の中にある設計図。ありえないはずのロストテクノロジー。
 足りない部分は気合いと、この施設の部品をちょっと拝借してやればいいと気付いて忍び込んだんだった。

 おかげさまで絶賛大ピンチ……だったのはついさっきまでのこと。
 私の開発環境では完成しなかったからこんなリスクを背負ったんだ。
 完成さえしてしまえば問題ない。

「ね、エクセル?」

 エクセルの足を一撫で。起動してないし何の反応もない。
 ……うん、知ってる。

《シンニュウシャヲ ハッケン ハイジョシマス》

 警備ロボがワラワラと群がってくる。
 もう少しぐらい、完成の余韻に浸らせてくれたっていいじゃないか。

 私は左手の『ワード』を起動させて素早くコマンドを入力する。

「Ctrl……V! ペースト!」

 あらかじめコピーをとっておいた戦闘用のロボたちの弾幕が『ワード』の機能によって再現される。
 人間を排除するために放たれる凶悪な弾たちは、皮肉にもロボットを完全に破壊せしめるほどの威力を宿していた。

 強烈な弾幕を再現するのにはエネルギーを大量に消費してしまうのが欠点だけど、今はケチケチしていられる場合じゃない。

「それに……ここさえ、抜ければ終わるんだから……!」

 ペースト、ペースト、ペースト。的確に打ち抜く位置へと弾を再現するがだんだんデータが劣化しているのがわかる。
 警備ロボたちはあと2小隊ほど残っていて全滅させる余裕はない。

「それなら……Ctrl、F。ファインド!」

 ……隊長期を検索。該当あり。
 至近距離へ強烈なグレネードを一発ペースト。爆発させると、周りの機体の動きが目に見えて鈍る。

 後はまとめて大きなのをぶち込むだけ。
 ……どうやら一旦難を逃れることはできたみたいだ。

 しかしそろそろ逃げないとまずそうだ。エクセルを起動させないと……

 ……あ。その前に資材もいただいておこうかな?
 『ワード』のEnterを入力。左手をかざして範囲指定。

「Ctrl……X。カット」

 研究資材やデータを丸ごといただく。

 まぁ、どうせどこかにバックアップはあるんだろうけど……
 解析してやれば過去人にとってはとんでもないオーバーテクノロジーになるはず。
 このディストピアを作った原因……A.Iにだってきっと通用する。

「……そうだよね。お姉ちゃん、頑張るから」

 もういない私の大切な家族。
 弟のためにも私は絶対にこのディストピアを——

「——デリートしてやるんだから!」

 『エクセル』へとワードから司令。
 起動したエクセルの瞳が緑に光り、私を見下ろす。
 内部へ乗り込む。コックピットの作成に協力してくれた友人ももういない。

「さぁ……飛んで。エクセル!」

 人間が持ちうるテクノロジーはすべて詰め込んだ。
 私たちにできる最高で、最後の希望の象徴『エクセル』に命を吹き込む。

 目指す時間軸は『A.I』が世界に認められずに泣いていた20XX年。
 彼女が狂い始めてしまった時へと飛んで……必要だったら、私は人間を——

「……違うよ。私がするのはディストピアのデリート。バグは消さなきゃだめなんだから」

 自分に言い聞かせるようにつぶやく。
 人間に時間跳躍ができるのだから、きっとマシンたちにだってできるだろう。

 追手は来るだろうか。そいつ相手に『エクセル』で勝てるだろうか。
 『ワード』のバッテリーは持つかな? 打ち消されたりしたらどうしよう?

 不安が浮かんでは消え、押しつぶされそうになる。
 ……それでもやらなきゃいけない。もうあの世界にはいられない。

 時の流れに逆らう感覚というのは、思っていたよりもずっと気持ち悪い。
 体がぐにょぐにょと伸びたり縮んだりしているような錯覚を起こす。乗り物には強いつもりだったんだけど。

 急に激しくなったり穏やかになったりするそれにやっと慣れてきたころ、激しい衝撃がエクセルを襲った。
 追手の攻撃? でもこんな、飛んでる最中にだなんて想定外だ。まずい、反撃もできない。
 揺れがどんどん激しくなる。これはもはや攻撃とかじゃなくて、空間自体がおかしくなってるとしか思えない。

 エクセルの計測器がすべて異常値を示す。
 視界がゆがむ。体の中身をぐるぐるかきまぜられているみたいで吐き気がする。
 想定していた逆行にかかる時間はとうに過ぎているはずだ。まさか失敗した? みんなが繋いでくれた希望がこんなところで?

 嫌だ、嫌だ、嫌だ————


 瞬間、目の前が真っ白になった。


「う……ん……?」

 意識を失っていたみたいで、やっと視界が開けてくる。
 エクセルのモニタに映っているのは——人。

 人、人、人、人——人がいっぱい?

「なっ……ま、まずったの!?」

 どうやら人たちはみんな私の——エクセルのことを指さしてひそひそと話をしている。
 資料にある21世紀初頭の人たちの生活風景。20世紀末から続いているのであろう割とのどかな商店街。
 つまり、エクセルはとんでもなく目立っているってことで……

「A.Iに見つかる!? いや、その前に追手が……あぁ、どうしよう。に、にげっ……」

 その時、モニタの中のひとつに映っている男性がメガホンのようなものを向けてきている。
 まさかもう追手が——

「あー、キミ! ロボはこういうところでは乗り回さないでねー」


「……は?」

——

 そのあと。いろいろ聞かれたが私の知っている、想定してる21世紀とはずいぶんとズレているらしいことが判明した。

「いやー、ロボとか巨大ヒーローは珍しいけど。ひょっとして最近目覚めたとか? 若い子はすごいねぇ」

 とは警察官のセリフ。等身大ヒーローやら怪物なら珍しくないらしい。どういうことだ。
 私はエクセルをワードの『カット』で収納したあとしばらくお説教を食らうことになってしまった。

 超能力や超科学が珍しくない、悪魔や死神が存在する世界だなんて馬鹿げてる。
 本当、バカげてる……けど、現実だ。どうしようもなく、真実だ。
 時空跳躍の時に位相がずれたんだろうか? 理由はわからないけど。

 エクセルには確かに『A.I』が存在する世界へと指定したはずなのに。
 本当にこんな世界に『A.I』がいるかは定かじゃないけど、計器は正常に戻っているし……

「……とりあえず、ワードにエネルギー充填してやらなきゃ詳しくも調べられないか」

 エクセルに間違いがあるとは思えないし、ひょっとしたらこの世界は歴史から抹消されただけなのかもしれないし。
 ………うん、だからとりあえずご飯を食べよう。この時代には味覚で喜びを感じるって文化もあったらしいし。

 今は何よりも私自身がエネルギー切れで倒れそうだ。

大石泉(15)

職業:未来形フリーター
属性:未来人
能力:ロボット『エクセル』の操縦および高次元情報端末『ワード』の操作

機械に支配され、ディストピアと化した未来からやってきた。
未来を変えるために、全てのロボたちの母と言われた『A.I』がいるという21世紀まで飛んでくるも資料との食い違いっぷりに困惑中。
左腕につけたキーボード型の情報端末『ワード』は3次元的にコピー、ペースト、カットなどを実現させる。
『カット』で切り取られたものは無条件で上位次元へとしまわれるが、無機物にしか対応していない。
『ペースト』は『コピー』したものをエネルギーを消費して再現する場合と、『カット』でしまったものを取り出すパターンの2種類。
『コピー』は対象のエネルギーなどをデータとして保管しておけるが、何度もペーストを繰り返すとデータが劣化して制度が落ちる。


『エクセル』
全長20mほどのロボット。白いボディに緑のライン。
流線型にシルバーのかっこいいロボ。泉の『ワード』と連結させ、乗り込むことで戦闘が可能。

巨大ロボのせようと思った。持ち運び手段必要だと思った。こんなんなった
……周りの被害大きいから普段はエクセル引っ張り出さないでワードで戦うんじゃないかな、いずみん

A.Iがディストピアを生んだ過去ではたぶん自分のことを理解してくれる親友も秩序が壊れる混沌もなかったんだと思います

乙ー

未来人キター

けど、悪魔やら宇宙人やら能力者やらいっぱいいる世界で困惑するいずみんw

前の予約書いてないのに予約っていいですか?

>>188
まだ誰も書いてないキャラで書きたいなら

予約してから投下しないとダメかな?

一応、かぶり防止の為に

あ、もしかして、誰が何を予約してるか、わからないってこと?

>>189
>>188が言いたいのは
予約だけして書き上がってない状態で追加の予約をするのは有りですか
ってことじゃないの

誤字ってれぅー
>>177
隊長期→隊長機
>>183
制度→精度

ついでに@設定付け忘れ。申し訳ねぇ


>>188
キャラ変更とか追加ならよく見かけるけど、そうじゃなくてまったく別キャラならまた予約しなおしになるかな……?

>>191
なるほど…

ロボットっていいですよね。
私大好きです。

アーニャ投下します。

ここ、ロシアは世界最大の面積を誇る連邦国家である。
広大な自然は見る者すべてを圧巻し、それに地球の神秘を感じる者もいるだろう。

しかしその暗部は深く、表だってはいないが世界に与えてきた影響も大きい。


場所はロシア内でも極東に位置する孤島。
あの日より世界中では超常現象不可思議なものが溢れるようになり、ロシア政府の限られていた人間しか知り得なかった能力者などの情報も世界の一般化してしまった。

その未知の力を利用して国家転覆を狙うような組織も台頭してきており、政府も秘匿してきた特殊能力部隊を投入しなければならないようになってきていた。

その国家転覆を組織がこの孤島の廃工場に根城を作っていることを知った政府は特殊能力部隊を派遣した。


しかし、相手は未知のテクノロジー、宇宙人の技術であろう装備を使用してきており、部隊は苦戦していた。

隊員A「くそ……手こずりすぎた」

隊員B「ああ、相手の戦力もあと少しだがこちらも犠牲が大きすぎる」

隊員A「これまでは力を使えばただの人間など問題はなかったが、敵にもそういった力が広まったせいで……」

その瞬間、隊員Aの頭が吹き飛ぶ。
どこからか狙撃されたのだろう。隊員Bはその場を急いで離れる。

隊員B「ちっ、しくじった。狙撃を許すとはな」

隊員Bが逃げ込んだ先には他の隊員たちがいた。

隊員C「油断するからああなるんだ。ビエーリコート、隊員Aを何とかできるか?」

隊員Cは近くにいたビエーリコートと呼ばれた少女に尋ねる。

少女「ビェスパリエーズナ……さすがに即死では私の力は使えません。とりあえず私が囮で突入しますのでその隙に。攻撃的な能力の皆さんで殲滅してください」

そういって少女は身を隠していた遮蔽物から飛び出した。






隊員B「あらかた片付いたな。ビエーリコートはどこだ?」

隊員C「突入した時に確認した逃げた敵を片付けに行ったんだろう」

隊員B「追い詰められた人間は何をしでかすかわかったものじゃない。あいつの能力なら死なないだろうが探しに行くぞ」



少女は崖の先に逃走した敵の男を追い詰めていた。

少女「シャーフ エ マット……これで終わりです」

少女は追い詰めた男に拳銃を向けた。

男「は、はは……。この政府の犬め。せめて巻き添えだ」

男は懐から小さな白いボールのようなものを取り出した。

少女「爆弾っ……。させません」

そういって少女は発砲し男の頭を撃ち抜く。
しかしすでに男はスイッチを押していた。

爆弾はその大きさに似合わず大きな光を発し、薄暗い曇り空の下を照らす。
これも特殊な技術の爆弾なのだろう。かなり大きな爆風を上げ、せり出した崖を根こそぎ削り取った。

少女(やられましたね・・・・・)

少女は瓦礫と男に肉片の雨の中まっさかさまに崖から落ちていく。
そしてそのまま荒れ狂う海の中に落ちていった。

現在午前7時、ピィは海に来ていた。

ピィ「海はいい。心が安らぐ……」

ここは「プロダクション」から少し離れた港であり周りには倉庫が立ち並び人は彼以外にはいなかった。
本来彼はこんなとこに来て心の安寧を求めるような性格ではないのだが、ここ最近の自分の仕事である能力者のスカウトがうまくいかず、少し自信を失っていた。

ピィ「でもやはりこういった場所で自身を見つめなおすのも悪くない。柄には合わないがこの海を見ていれば自分の悩みのちっぽけさがわかるよ……」

そんな誰かに聞かれたら黒歴史になるであろう独白をするがあいにく彼の周囲には人の気配はなかった。

ピィ「全くいい天気だよ。青い空に青い海、さんさんと輝く太陽に寂れた倉庫群、海を漂う水死体と……」




ピィ「水死体ぃ!?」

穏やかな海に場違いなようにそこにはきれいなどざえもん、つまるところ水死体だろう人影がのんきにぷかぷかと漂っていた。

ピィ「こんなときどうすればいい!?救急車?警察?」

そんな落ち着いた心から一変、パニックに陥ったピィはさらに深みにはまっていく。

ピィ(はっ!まさかこのままいくと

第一発見者→容疑者→ブタ箱

→くぅ〜疲れました。これにて人生終了ですw )

ピィ「やだー!!あっ」

パニックにより頭を抱えたまま体を横たえコンクリをごろごろ転がっているとそのまま転がりすぎでピィは海に落ちてしまった。

ピィ「ブクブクブク……ぷはぁ。ってそうだ、とりあえず引き上げないと」

海に落ちたことにより頭を冷やされたのかピィは冷静な思考に戻る。
そのままピィは水死体の腕をつかみ引き上げられそうな場所まで引っ張っていった。

何とかピィはその水死体を引き上げ息をついた。
彼はそのまま死体を確認する。

ピィ「まさか……死んでない?」

その水死体は水を含んで膨れ上がってないどころか血色がよく今にも起き上がりそうな少女だった。
ピィは少女の首に指をあてる。

ピィ(脈は……ある。でも水を飲んでるだろうし
ハッ!

これはやっちゃっていいんじゃないですかァー!?

人 工 呼 吸!)

ピィ「そうだ、彼女を助けられるのは俺しかいないんだ」

そういってちょっと凛々しい顔つきになったピィは少女に顔を近づけていく。
しかし近づいていくたびにピィの顔がいやらしいものになっていくが。

このまま少女のその唇は下心丸出しの男にズキュウウウンと奪われてしまうかと思われた。

しかしピィの唇が彼女に到達しようとする瞬間、彼女の口から飲み込んだであろう海水が噴き出した!
その水はピィの顔面に直撃する!

ピィ「ぐぁあああ!目が……目がァーー!」

海水にさらされたピィの目は激痛を訴えた。
ピィの視界が奪われている間に少女はむくりと起き上がる。

少女『……少し寝過ごしてしまいました。どこまで流されたのでしょう?』

少女はロシア語で呟く。
少女は近くにいたのたうち回るピィに視線を向ける。
そのまま腰にある拳銃を手に取った。

少女『海水に浸されてる。使い物になりませんね』

そのまま拳銃を海に投げ捨てた。
彼女はのたうち回るピィに手をかざす。

ピィ「ぐぁあ、あ……あれ?痛みが引いてきた」

少女「ドーブラエ ウートラ。いや、日本語ですか……。どうやらここは日本のようですし、こうですか。おはようございます?」

少女は首をかしげながらそうやって挨拶した。



ピィはそのまま少女とともに港から移動し始めた。

ピィ「なるほど、散歩中に足を滑らして海に落ちてしまったのか」

少女「ダー、助けてもらって感謝します」

少女はとりあえずこのようにピィに事情を説明した。
当然本当このことなど話せるわけがない。
実際少女自身の存在でさえ国家機密、トップシークレットなのだ。
ロシアの孤島から流されてきたことも話せるわけがない。

ピィ「外国人なのか?」

少女「ニェート。半分正解です。ハーフなのです。ママが日本人、パパがロシア人」

少女は当たり前のように偽の家族構成を言う。

ピィ「そうなのか。よし、壊れてないか。親には連絡した方がいいんじゃないか?」

そういってピィは少し濡れた携帯電話を確認しながらを差し出した。

少女「バリショーエ スパシーバ。言葉に甘えます」

少女はピィの携帯を手に取る。
ここで断るのは不自然であるうえ、たとえ履歴が残ったとしてもピィ自体を処理してしまえば問題ない。

少女はそのまま日本にある特殊能力部隊とつながりのある組織の日本の支部に連絡を入れた。

少女『現在日本の○○に流れ着いた。私が証拠を処理したのちに回収を頼みます』

少女は電話を切ってピィに返した。

少女「迎えを呼びました。近くのコンビニに迎えに来てくれるそうです」

ピィ「家ではロシア語なのか」

少女「ダー、ロシアで暮らしていたことも長いので。当然両親も日本語はしゃべれますよ」

内心少女はすきを窺っていた。
近くに海はあるし能力を使えば証拠隠滅も造作もない。
武器はなくとも少女にはピィをすぐに殺せる戦闘力を持っていた。

しかし……

塩見周子「ピィ。ようやく見つけた」

倉庫の屋根の上に一人の少女が座っていた。
彼女は塩見周子。千年生きた大妖狐である。

少女「ショールト ヴェイズ ミ(しまった)……」

少女は小さくつぶやく。
人が一人増えるだけで手間が二倍になる。
しかもそれ以上に少女が厄介だと思ったのは

少女(この人……ただの人間じゃない)

裏の世界に身を置いてきた少女は塩見周子の纏う気配に容易に気付いた。
ただの人間に毛の生えた能力を持つ程度ならともかくこれはやばいと少女の心が警鐘を鳴らす。

塩見周子が圧倒的格上であることに少女は気づいたのだ。

後悔した。早めにこの男、ピィを殺しておけばと。
しかし安堵もした。頃さなくてよかったと。もし殺していたら自身が殺されかねないからだ。

少女(ここはしらを切り続ける。チャンスを伺うしかない)

ピィ「周子か。どうしてここに?」

周子「どうしてって時計見なよ」

ピィ「時計って……あ」

ピィは腕時計を確認すると文字盤に刻まれていたのは9時をとっくに過ぎていた。

周子「まったく珍しくピィが遅刻するから心配だから探してきてくれって社長に頼まれてさ。暇だったから承諾したけどよくよく考えれば電話すればよかったのに……」

周子はそのまま屋根から飛び降り、ピィたちの前に着地した。

周子「しかもまさか女の子と一緒に海にいるなんて」

ピィ「これは……そう、この子が海で溺れていたから助けたんだ!」

周子「じゃあピィは一人で海に来てたんだ。一人で海で何してたのかなー?」

ピィ「それは……自分探し?」

周子「ぷっ、ははははは!自分探しとは傑作だね。しかも自分を見つけるんじゃなくて女の子を見つけるなんて」

周子は笑いながらそうピィに返す。

内心少女は戦々恐々としていた。
表面では普通にふるまっているが気が気ではなかった。

少女(大丈夫。平常心を保つ)

周子「ところであなた、名前は?」

そこに周子に話を振られる。

ピィ「そういえば名前聞いてなかったな」

少女「私は……○○です」

とりあえず適当な偽名を応えておく。

少女(そういえば私の名前は何なのだろう?考えたこともない)

少女は幼いころから特殊部隊で育てられてきた。
物心ついた時には自身のコードネームで呼ばれていて、そのコードネーム自体も定期的に変更されていた。
つまり自身を識別する記号、名前を彼女は持ち合わしていなかったのである。

当然彼女はこれまでにそんなことを考えたこともなかった。
こんな状況に陥ったのですら初めてなのである。
誰も名を尋ねてくることもなかったのだ。

周子「へぇ……。アタシは塩見周子。よろしく」

周子の瞳はまるですべてを見透かしたかのような瞳、少女からはそんな風に見えていた。

少女「オーチン プリヤートナ。よろしく」

ピィ「ああ、そういえば俺の自己紹介も忘れていたな。まぁ……ピィとよんでくれ」



周子「じゃあアタシは先に戻るから。ピィさんに○○ちゃんは任せたよ♪」

そう言って周子は煙を上げて姿をけしてしまった。

ピィ「そういえばあんまり驚かないな。周子を見ても」

少女「あ……ニェート、驚いてます。でも一度にいろんなことが起こりすぎていて混乱してます」



少し離れたところで周子は二人のことを見張っていた。
ピィのような素人にはわからないように、それでいてわかる者にはわかるように。

事実、少女は見張られていることに気づいていた。故にピィに手出しができないことも分かっていた。

正体を感づかれている。そのことに気が付いた少女は考えを巡らせる。

少女(とりあえず証拠隠滅はあきらめて、ロシアに戻ろう。
もしかしたら敵に回られることも秘密を洩らされることもないかもしれない。

厳罰ものだが殺されはしないだろう。
私の能力は貴重だろうし、多分私を殺すこともできないでしょうから)





周子はスマートフォンを手に取ってどこかに連絡を取ろうとしていた。
千年も生きた大妖狐が現代の技術であるスマホを持っているとはまた奇妙な話である。

周子「もしもし、志乃さん?周子だけど」

柊志乃『あら、珍しい。あなたの方から連絡してくるなんて。どうしたの?』

電話に出た女性、柊志乃は機嫌のよさそうな声で周子に尋ねた。

周子「ちょっと頼み事したいんだけど、いい?」

志乃『もちろん。かまわないわよ。私と周子さんの仲じゃない。遠慮なんていらないわ』

周子「なら別に『さん』付けしなくていいのに」

志乃『こればっかりはね。あなたのほうが年上なんだから』

周子「それってほんとに?いつ生まれか教えてくれたことないじゃん」

志乃『何?私が老けてるってこと?』

周子「そうはいってないでしょ。つまり秘密が多すぎるの」

志乃『いい女には秘密はつきものって言うでしょ』

ふたりはそんな他愛もない会話を続けながらも周子は港から出る方向に向かうピィたちから目を離さず、一定の距離を保ちながら追っていた。

周子「ともかくある人のことを調べてほしくてね。○○っていうんだけど」

志乃『なるほど、知らないわね』

周子「やっぱり?まぁ結構ありふれた名前だから多分偽名だろうしね」

志乃『でも私ではわからないけど、全く知らないことでも知ることのできる人を私は知っているわよ』

周子「さすが志乃さん。相変わらずいろんな人と友達だ」

志乃『持つべきものは友人ね。わかったら折り返して連絡するから。ちなみにこれは貸しひとつよ』

周子「えっ!?ちょっと待って志乃さん?」

志乃『じゃあ一旦切るわね。どうしても呼び捨てがいいなら周子さんも私を呼び捨てにしてみたらどう?』

スマホのスピーカーからプツリと音が鳴る。
それからはスマホは沈黙した。

周子「まったく志乃さんは……あっ」

そこで周子は二人から目を離していたことに気づく。
周りを見渡したが完全に見失っていた。

周子「やばっ、あの二人どこ行った?」



少女は監視の目が緩んでいることになんとなく感じ取っていた。

少女(ここで勝負をかける?でもその後どうする?)

少女はここで動くことはできるがその後に周子から逃げられるとは思えない。
周子の監視が完全に止んだのならともかく、ほんの一時的なもの。動くことは得策ではない。

少女(やっぱり……耐えるしかないか)

ピィ「ところで○○ちゃんは、家族とは仲いいのか?」

唐突にピィはそんなことを訪ねる。
少女は突然投げかけられたその問いに少し驚くが、表情に出すことはなかった。

少女「ダー、パパもママも……大好きですよ。どうして突然?」

ピィ「他人の家の事情に首突っ込むのはよくないかなとも思ったけど、さっきの電話の時にあまり家族と話すような感じじゃなかったみたいだからな

もしかしたら何かあるのかと思ってね。だから安心したよ」

ピィはそういって笑った。
少女は笑顔というものを知らない。感情は殺すように訓練されてきたからだ。
他の隊員たちもほとんどは感情を見せず機械のように任務をこなしていた。

だからこそまともな感情というものに触れることもなかったので、おのずと心は麻痺した。停止していた。
仲間が死のうと、自信が傷つこうと、何も感じなかった。

だが麻痺していただけなのだ。凍り付いているだけなのだ。
部隊の人間の中には人間らしい感情を捨てたものも多い。
ただ彼女は人の感情を知らなかったのである。

ピィの他人を思いやるという当たり前の感情、そしてその感情をそのまま表した笑顔には彼女にとっては未知のものであると同時に

少女(うらやましい)

他人が持っていて自分が持ってないものを欲する感情、それでいてはるか遠くにあるものである憧れという感情を少女は幽かだが、初めて抱いた。
その感情は、無自覚にも凍えきった心に熱を与えた。

その未知の感覚に浸っていて彼女はほんの少しだけ油断したのだ。

ピィ「危ない!」

少女はピィに抱かれ、その場からピィとともに飛び退く。
先ほどまでいた場所は黒く細長い何かが飛んできて大きく振るわれる。
その瞬間、アスファルトはひび割れながら砕かれた。

その場にとどまっていればただの人間ならいともたやすく引き裂かれていただろう。
それほどにまで鋭利で暴力的な何かが過ぎ去ったことは明らかだった。

ピィ「くそっ、こんな時にカースか」

少女はピィの声によって我に返る。彼女は攻撃を受けたのだと自覚したのだ。

少女(カース、資料では見たことがある)

その姿は黒い泥のようなもので核の色によって対応する七つの大罪の性質を持つ人類の脅威。
少女にとって写真でしか見たことのなかった異形がそこにはいた。

少女「……初めて見ました」

ピィ「とりあえず逃げよう」

ピィはその場から立ち上がり少女の手を引く。少女自身戦ったことのないの未知の相手、正体がばれるとか関係なしでもここは撤退を考えた。

少女「ナーディエヌィ……あ、わかりました」

少女も立ち上がりカースに背を向けて走り出す。
しかしカースも当然見逃してくれるわけもない。

『ウォオオオオオオオオオオ!』

カースはどこから出ているのかわからないが雄たけびを上げる。

『許サン!許サンゾォオオオオオ!』

カースは叫びながら先ほどの鋭利な触手を飛ばしてくる。
その矛先は一直線にピィたちに向かっていった。

少女(この状況では仕方ない)

少女は正体がばれるよりもこの状況を打破するのが先決と考え触手と対峙しようとした。

少女(私でもこの触手の矛先を逸らすことくらいはできる)

そう考えカースの方向をむこうとした瞬間、少女は突然横から力がかかり、転倒する。

少女は驚きに目を見開いた。

少女(私は、この人に、庇われた?)

そこには触手に串刺しになったピィがいた。
伸びた触手はカースの元に戻っていくと同時にピィの体から引き抜かれ、体にトンネルが貫通する。
そのままピィはその場に倒れこんだ。

少女「どうして……私を……」

ピィ「早く、逃げろ……。そして通報するんだ。警察でも、GDFでも……いい。早く、逃げるんだ!」

息も絶え絶えながらにピィは力を振り絞って叫ぶ。
確実に致命傷だろう。血はあふれ出し、穴からは欠損した内臓まで伺える。

少女には理解ができなかった。
部隊の中でも誰かを庇ったことなんてない。死ぬのは自己責任だ。
それなのにこの男は出会って間もない少女を身を挺して守ろうとしたのだ。

少女(こんなもの、理解できるわけがない)

少女はその場から立ち上がる。
その間にもカースは先ほどよりも多くの触手を飛ばしてきた。
とどめを刺すつもりなのだろう。

少女「全く……柄じゃないです」

少女(だれかのために戦うなんて)

凶器と化した触手は一直線に少女の方に向かっていく。
しかし少女はそれを素手と脚を使って、すべてを逸らすか、掴んだ。
そしてそのまま靴底に仕込まれていたナイフを足元に押さえつけた触手に突き刺す。

しかし泥のような体をするカースには効果がなかった。
それでも少女はカースの触手を離さない。
チリチリと焼けるような軽い痛みが手に走っているが大したことはなく触手を掴んで離さなかった
カースは逸らされた触手を戻し、再び打ち込んできた。

少女「同じ攻撃を、もう一度とは……芸がないです」

少女は掴んだ触手を利用して体を上に跳ね上げ、逆立ちのようになり飛んできた触手を回避した。
そしてそのままつかんでいた触手を離して着地する。

そのまま少女は近くにいたピィに手をかざすとピィの体に開いた穴は塞がっていき、失血により悪くなっていた顔色は血色を取り戻していった。

少女「貸した覚えは、ありませんが……とりあえず、貸しは返しましたよ」

『アアアアーーー!憎イ憎イ憎イィイイイイ!』

雄たけびをあげてカースはさらなる数の触手を生み出す。

少女「カースと言っても、話に聞いていたほどでは、ないですね」

少女はカースに向かって走り出す。
それに対してカースは触手を飛ばして対抗してくるが少女は紙一重でそれを避けながらカースに接近していく。

そしてカースのすぐ近くまで行くと少女は手刀を構えてカースに向かって突き刺そうとした。

しかしカースはその直前でまるで針山のような触手を少女に向けて生成する。

少女は驚いたように目を見開くが最小限の動きで針山の間を縫うように回避しようとした。
しかしこの攻撃で手刀を構えた腕は吹き飛ばされ、わき腹に針が突き刺さる。

少女「ぐ……あ……」

カースは針山を自身の体に収めると、少女は地面に膝をつく。
勝利を確信したのだろう。
そのままカースは少女をとり込もうと動き出した。

しかしその動きは止まった。
すでに少女は立ち上がり先ほど吹き飛ばされたはずの腕がカースに突き刺さっていたのだ。

その手はカースの核を握りしめている。


少女「シャーフ エ マット(チェックメイト)」


そのまま核を握りつぶした。

『アアアアアアアアアアーーー!』

カースは断末魔の叫びをあげながら黒い泥は潮風に流されていくかのように消えていった。

少女は手のひらを開くと赤い砂のようなものが零れ落ちていく。

少女「なるほど……憤怒のカースですか」

周子「そうみたいだね」

突如と聞こえてきた声に少女は身構えた。
そこにはやはり塩見周子が、倉庫の屋根の上に座っていた。
周子の近くにはピィが倒れている。
きっと巻き添えを食らわないように周子が移動させたのだろう。

少女「ピィさんは、大丈夫?」

周子「うん、ぐっすり眠ってるよ。それにしても意外だね。隠してきた秘密とかはもういいの?」

少女「ニェート、なんかどうでもよくなった気がします」

少女も自身の心境の変化に驚いてはいたが、もはやそれさえもどうでもよくなってきていた。

周子「全くたいしたもんだよ。攻撃性がより高い自然発生のカース、しかも凶暴な憤怒のカースを一人で倒しちゃうなんてさ」

少女「褒められるとは……スパシーバ?」

周子「うん。さて、これからどうするの?」

少女にとっての当面の問題はそれである。
周子に知られても黙ってもらえば問題なかったものの、これだけ派手に暴れてしまった後だ。
必ず足はつくだろう。

少女「……とりあえず、逃亡生活でしょう」

周子「そんなあなたにお知らせがありまーす」

周子は急に立ち上がり、傍らに倒れているピィを物色する。
そして何かを取り出したかと思うと少女に向かって投げた。
それを少女はキャッチする。

少女「これは……ピィさんの携帯電話?」

周子「そそ、しばらく待ってれば非通知でかかってくると思うからそれに出てみればわかるよ」

少女は怪訝な顔をするがおとなしく待つことにする。
そして1分くらいたった時に携帯電話は鳴り始めた。

少女はその非通知からの着信に出る

『祖国の部隊の隊員にビエーリコートという者は存在しない。以上』

それだけを伝えられると電話は切れてしまった。

周子「わかったかな?ビエーリコート、つまるところ白猫さんの帰る家はなくなっちゃったわけなの」

少女「これは……どういうことですか?」

少女は困惑する。
自分が知らぬ間に仕事をクビになっていたのだ。
当然であろう。

周子「あたしの友達にあなたのことを調べるのを頼んだら、勝手にこうなっててね。

おせっかい焼きなんだよ。あの人は」

そういって周子はため息をついた。

少女「ヴィー……いったいどこまで知っているのですか?」

周子「そうだね、まずはロシアの特殊能力部隊の隊員で、能力は超回復能力。見事なものだよ。まさか吹き飛ばされた腕が一瞬で回復、いや再生するなんてね。
あとはロシアの極東の●●島で任務中のところ失踪ってところかな」

少女「すべてお見通し、というわけですか……」

周子はそのまま屋根から飛び降りてきた。

周子「この先、行く当てもないでしょ。せっかくだし日本に住むのを手伝ってあげるよ」

少女「どうしてそこまでするのですか?きっとあなたには、わかっていたでしょう。
私が、ピィさんを殺そうとしていたことを」

周子「だって殺してないし、それどころ治療までくれたじゃん。お礼を言いたいくらいだよ。ありがとう、ピィを守ってくれて」

心からの感謝の言葉。
これまで憎まれはしても、感謝されることはなかった。
そういう世界に身を置いていたので当然だが、少女にとってはこの感覚でさえも初めてなのである。
凍り付いていた心はさらに熱を持っていく。

周子「それに、これも教えてもらったことだけど、あなたでも知ってないことも、あたしは知ってる」

少女「私の……知らないこと?」

周子「そう、それはあなたの名前。親からもらったあなただけのもの」

少女「私……だけの」

周子「そう、親の願いが込められた絶対の財産さ」

しかし少女は困惑する。

少女「ノァ……私は、殺しすぎた。今更、その名を、名乗る資格なんて、ない。今更、日の光の当たるところでなど、生きてはいけない」

少女は今、とても弱々しかった。
むき出しになりかけた心はあまりにデリケートだ。
先ほどまでカースを素手で倒したとは思えないほどに。
触れれば、壊れつぃまいそうなほどに。

しかし周子は少女を抱き寄せ言う。

周子「ならあなたは生まれ変わればいいんだよ。
これまでのような血にまみれた白猫じゃない。
新しいあなたに。

罪は消えないかもしれないけど、やり直せるから」

周子は少女の目を笑顔で見つめて少女に、失っていた名を告げた。

周子「あなたは

アナスタシア

あなたのお母さんがつけてくれた名前」

アーニャ「ミニャー ザヴート アナスタシア

ミニャー ザヴート アーニャ!」

幼いころ、まだ自我さえなかった確立していなかった頃、母親の腕に抱かれていた記憶をアーニャは思い出す。
愛称であるアーニャと母が呼んでいてくれたことを。

アーニャ「まったく、今まで涙など……流したことすら、なかったのに
涙が、なぜか止まりません」

周子「泣いていいよ。きっとその涙は大切なものだから」

アーニャ「ううう……
うわあああああああああああああああああん!」

周子は泣きじゃくるアーニャを腕に抱きながらその頭をなでている。



周子「まったくこの子、かわいいわ」



少女の心は完全に溶けきった。
まだ心の歪みは治ってはいないがそれでも
彼女、アナスタシアは再びこの世に誕生することができたのだ。






ピィ「なんだか出て行き辛いんですけどこの雰囲気」


アナスタシア(15)

職業 元ロシア特殊能力部隊隊員
属性 能力者
能力 超回復能力・ロシア式CQC

言葉もしゃべれないほど幼いころからロシアの超能力者機関に拉致にされて育てられ、10歳より特殊能力部隊に入隊し、様々な任務をこなしてきた。
ロシアの孤島の任務の失敗で遠路はるばる日本まで漂流してくる。
いろいろあって特殊能力部隊をクビになったので、現在日本での生活のための準備中。
あらゆる国の言葉をマスターしているが特に覚えが早かったのは日本語である。
しかしそれでもたまにロシア語は出てきてしまう。

超回復能力
細胞を活性化させることにより傷を治癒させることができる。
世界中に治癒能力者は少なからず存在するが、アーニャの回復力はもはや再生と言ってもいいほど強力なものである。
自身が傷ついた時には自動で発動し、特に生命を脅かすレベルとなると痛覚が伝わるよりも早く回復することもある。
他人にも当然使うことができるが少し集中が必要になる。
カースに侵食されそうになると浸食された細胞は自動で死滅して新たな細胞が次から次へと生まれてくるのでカースに侵食されることもなくカースに触れることができる。
しかし無限に回復し続けるわけでもなく、徐々に疲労がたまっていくので多用は禁物。

ロシア式CQC
ロシアで生み出された超次元格闘術。これを編み出したのはアーニャの所属していた特殊能力部隊の隊長。
ジャッキーチェンをも超えるアクション、セガールを超える征圧力、ターミネーターを超える破壊力もモットーに編み出された……らしい。
その強さはアーニャが回復は能力に頼ったもののカースを人間の力のみで倒すほど強力なものである。
おそロシア。

自然発生型カース
人の強い感情が核となり自然に生み出されたカース。
故にほとんど生み出されることのない憤怒などのカースはこれにあたることも多い。
しかし実例は少なく、レアキャラである。
人の感情の純度が高いので、悪魔製やカースドヒューマン製のものより人間に対してより攻撃的で強力な場合が多い。

以上です
自分の書きたい事書いてたらなんか話が臭くなってしまった気がします。
ファブリーズ代わりに最後にピィを置いときました。
台無しとか言わないで。

初めてのSSだったんで助言とかもらえるとうれしいです。

乙ー

実にいい話で感動した!アーニャ頑張って生きて!

だが、くぅ疲で吹いてしまったwwww畜生wwww

そして、志乃さんがこう使われて嬉しい!マジあの人何者!?

おっつし☆

藍子(精神回復・極大)
アーニャ(肉体回復・極大)

プロダクションがお医者さん化してる気がするぞ!
楓さんいるし、熾天使いるし……喧嘩売れるのはよっぽどの命知らずだな

ユズvsルシファー投下します

今日も街は霧に覆われている。たった一人の少女を隠すために。

「姫様、アタシちょっと出かけてきますね。」

「ほう、どこに行こうというのだ?」

「…えっと、知り合いの魔法使いに会いに…」

「我も行くぞ!」

「えー…」

ブリュンヒルデの起こす魔の霧のおかげで、ユズはある程度自由に行動できるようになった。

例えば誰だか知らないがカメラを持った男は同じ道をずっとグルグル歩き、ユズが近づくとユズが視界に入らないように動き、別の場所をグルグル歩く。

傍から見れば滑稽だが、本人は大まじめにユズを探しているようだ。

こうなってしまえばユズから会おうと思わない限り二度と彼とユズは出会えない。

「あら、柚ちゃんお出かけ?最近霧が濃いから車には気を付けてねー!昼子も!」

「はーい!」

「わかっておる!」

昼子の洗脳により、神崎蘭子の両親には彼女は喜多見柚という、『両親が海外に出張している親戚の少女』と認識されている。

(正直申し訳ないんだけどね…食費とか食費とか…)

数日後、とある市街地で、二つのテレビ局が今まさに生放送を始めようとしてた。

「ディレクター!本当にここにあの死神が来るんですかー!?」

「サクライP様直々に教えてくださった情報だぞ!疑うな!理由は知らんがその死神の悪行映しているだけでボーナスもらえるんだぞ!」

財閥の息のかかったテレビ局。それらにもたらされた情報は、『死神の今までの行動パターンから推測される出現位置』。

それが真実かはともかく、その二つのテレビ局が丁度持っていた生放送のニュース番組でその辺りに取材を申し込んでいた。

「死神が来なくても普段通りにやればいいんだ。何も考えることはない!」

そこに、笑い声が降り注いだ。

「あはは♪人間共!死神ユズちゃんだよー!」

黒いコートに大きな鎌。カースを従えた恐怖の死神だ。

「来たぞ!」

逃げながらカメラが死神を映し出す。その映像はすぐに生放送として放送される。

死神ユズの悪行を、全国に届けているのだ。

すぐさま他のテレビ局、新聞会社も映像を、写真を一瞬でも撮ろうと集ってくる。

「まて!」

不意に、別の声が響き渡った。そして不思議なことが起きる。

死神に従う様に動いていたカースが消滅したのだ。

黒いコートに綺麗な水晶のついた杖に跨った姿。魔力から生まれたカースを魔力を奪うことで消滅させた…もう一人の死神ユズだ。

「…あれあれー?ユズがもう一人いるぞー?」

「やっとアンタを倒すことができるよ…ね、偽物サン?」

ルシファーが化けたユズはふざけた態度をとりながらも鎌を構え、本物のユズは決して鎌を構えず、杖から降りるとそのまま杖を構えた。

「やっぱり、偽物サンは杖が使えないみたいだね!」

ユズがルシファーを馬鹿にするように杖を振りかざす。たちまちルシファーの周囲の魔力が遮断されてしまった。

…ルシファーは、鎌や杖をバッヂから元の姿に戻すことはできる。そこまではユズの性質だからだ。

しかし、持ち主を選ぶ杖のようなものは、性質で選んでいるわけではない。魂で選んでいるのだ。

だからこそ、大罪の悪魔たちが人間に取りついてもその道具を使えるわけで。

簡単に言えば杖を出しても消滅してしまうのだ。

…つまり今のルシファーは劣化版ユズなのである。

様々なカメラが彼女達を映す。ここで変身を解けば強欲の彼女の作戦は狂ってしまう。それにここならヒーローはともかくGDFのような部隊は来れないはずだ。

つまり、戦火に紛れて本物に罪を擦り付けることも困難、杖に跨ってスピードの上がった彼女から逃げることも困難な訳で。

ルシファーに残された選択肢は一つしかない。このままユズの姿で勝つことだ。

『『雷よ、大いなる我が力に従い、その音を置き去りにして走るその身をもって我が敵の生命に終止符を打て!』』

二人の魔術がぶつかり合う。しかし、魔力を遮断されてはそこまでの威力は出ない。カースを生み出し、打ち消しきれなかった雷を受けた。

「ぷち、ゴー!」

「みー!」

魔法陣から一体の使い魔が飛び出し、風に乗ってカースの核を破壊してゆく。

それと同時にその風がルシファーを打ち上げた。

下から杖に魔力で構成された刃で作られた鎌でユズが追撃してくる。

「…自分の力を甘く見たね…!」

しかし、ルシファーが魔法の風で体制を変え地面に向かって加速させる。

鎌を振りかぶってユズを迎え撃つ。杖を鎌で弾くと、そのまま重力に身を任せて押し倒すように地面へ叩き付けた。

あんな高度からあんな速度で叩き付けられたのだ。死んではいないだろうが、無事でいるはずがない。

「トドメだよ、『偽物サン』♪」

ルシファーは笑顔のまま、気絶したユズの心臓に向かって鎌を振り下ろした。



パリン


何かの砕けるような音。もちろんルシファーの想像していた生々しい感触とはかけ離れた物。

それがクリスタルの砕けた音と判断したのは、暴風というのも生ぬるい程の風が襲い掛かってからだった。

…使い魔の核となっているクリスタルは魔術が刻まれた物だ。そもそも魔力そのものであるクリスタルを制御する為に人格を与えたに過ぎない。

クリスタルは圧縮された魔力。砕けたり、管理人以外が触れれば魔力はもちろん解放される。

それが何も刻まれていない物ならいい。しかし、使い魔のそれの場合、刻まれた魔術が魔力と反応し、初級、中級、上級、応用、発展…全てが同時に発生する。破壊した対象に向かって。

その結果がこの空中に投げ出されたルシファーなのだ。

「いつの、まに…!」

もちろん、使い魔と入れ替わっていると錯覚させるほど、ユズは幻術魔術が得意ではない。

なら誰が?

「二人とも、いくよー!」

「「「合唱魔術・三角陣形結界の発動を宣言する!」」」

空中でルシファーを囲むように3人の少女が宙に浮かんでいた。

一人はユズ。一人は悪姫ブリュンヒルデ、そして魔法使いイヴ。

正義のヒーロー側の魔法使いと、悪を名乗ってはいるものの、悪行は犯したことがなく、人々を何度か救っている少女。彼女達と悪のはずの死神少女が同時に仲良く魔法を使っている。

…この光景はどう人々の目に映るだろうか?

『空間の管理者よ、我が魔力を生贄に我が敵の自由を奪え!ロックドサイン!』

完全に自由を奪われたルシファーはユズがこちらに高速で飛び掛かり、杖で作られた鎌が振り下ろされる光景を瞬きすら許されずに見せつけられた。

悪魔から解放された雪菜は元の姿へ戻り、地に落下するが、イヴの召喚したブリッツェンによってキャッチされた。

「おい!カメラ止めろ!死神の善行なんて映すな!サクライPの意向と違う!」

「ディレクター!あの死神ちゃん、いい子じゃないですか!」

「いいから止めろ!生放送だぞ!」

しかし、他のテレビ局、新聞会社は地面に降り立った3人に詰め寄るように駆け寄っていく。

「…あ、アタシ、もう免罪じゃないんだぁ…!」

ぼろぼろと涙を流して喜ぶその姿は、二つのテレビ局以外の全てのテレビ局、新聞で公開された。

…さて、今まで例のなかった免罪事件。アイドルヒーロー同盟、GDF等はすぐに彼女に謝罪し、慰謝料を払った。

各情報機関からは彼女の情報が公開され、『彼女は喜多見柚という魔法使いの少女。悪行を働いていたのは彼女に化けた怪人の仕業だった。』と報道される事となる。

…しかし、とあるテレビ局の生放送で、聞き取りづらいものの、とある音声が拾われた。

「カメラ…ろ!死神…善行…映すな!サクライ…違う!」

この音声はネット上で話題となり、さらには『同時生中継の比較してみたら悪意ありすぎワロタw』、『電凸してみたけど話にならない件についてw』などの動画で評判は悪くなってゆく。

消されても消されても動画は上がり続けた。そして消され続けるということがさらに評判を悪くする。

さらには最初に彼女の映像を公開した2つのテレビ局が、櫻井財閥がスポンサーをしているという共通点を持っており、『櫻井財閥黒幕説』等も流れ始めた。

『櫻井財閥の気持ち悪い程の金持ちっぷりは悪魔と契約しているから』
『あんなにカワイイ柚ちゃんを陥れたのは、社長がもうすでに寿命を迎えているのに無理やり生きているから死神を恐れた結果』
『失望しました柚ちゃんのファンになるので櫻井財閥のファン止めます』

様々な情報が行きかうが、共通しているのは財閥への不信感。

『アイドルヒーロー同盟や、GDFが誤情報の提供を詐欺として訴えようとしている』
『マジかよ財閥のいいところって娘が可愛いロリってとこだけじゃん…』
『鬼!悪魔!サクライ!』

根も葉もない情報もあるが、どれもこれも財閥をマイナスへ陥れてゆく。

…少しずつ、しかし確実に財閥は威厳を失いつつある。「あの日」のように。

「…よかったぁ…」

「まさかあそこで泣くとは…引きこもるほどショックを受けていただけはあるな…」

「それはもう止めてください…イヴさんもありがとう。魔術とかの手伝いしてくれて。」

「あそこまでなったのは私の責任でもありますし、汚名挽回のお手伝いができてよかったです〜♪」

「…ん?汚名返上ではないのか?」

「あら〜?」

イヴの事務所で3人が考えた計画は、彼女達の想像以上に上手くいっていた。

「…ところで、保護したこの子はどうしよう…?」

ソファに横になっている雪菜を見てユズが呟く。

「我が家で引き取るわけにもいかんしな…」

「なら、しばらくこちらで引き取りますよ〜目が覚めた後のアフターケアもお任せ下さい♪」

「え?いいの?」

「さすがにテレビに映ってしまってるし、この子に悪い評判が付きまとわないともかぎりませんしね〜一人くらい匿えるはずですよ♪」

こうして、雪菜は一時的にイヴ非日常相談事務所に匿われることとなった。

もちろん、ルシファーの魂は魔界へ持ち帰られ、キヨラによる裁きを受けた。

「貴方には『堕天した罪』『契約・許可無しで人間界に滞在した罪』『カースを生み出した罪』『契約していない人間に憑依した罪』『契約していない・指定されていない人間の評価を変えた罪』『身の程知らずの罪』等がありますね…ざっと数十世紀は働いてもらいますよ♪」

力を失い、魂の醜い怪物の姿のルシファーを閉じ込めた箱を持ち上げて、笑顔でキヨラは去って行った。

「…ユズ、連絡が入った。ベルゼブブの討伐依頼は解除だ。あいつは悪行を犯していない。他の召喚された魔族と同様に扱っていいぞ。」

「了解しました!あとは嫉妬・色欲・強欲って訳ですね!」

仕事が一つ減って嬉しそうな笑顔を見せる。

そしてそのまま再び人間界へと飛び立った。

そういえば慰謝料はすべて神崎家へ渡しておいた。

膨大な量ではあったが…変化と言えば最新式のテレビとおかずが一品増えたことぐらいだろうか。

平和だ。ユズは幸せを噛みしめた。

以上です
…レイナサマ関連で不味ければ数週間後の話ということで…

最近ちゃまをどうやって絶望させるかしか浮かばなくて困る…
偏見報道ヨクナイよね!先にやって来たのはそっちだからね!と言い訳を並べてはおこうかなーって(目逸らし)

沢山投下きてるー
ロボだったり未来人だったりまた勢力が増えてきて面白いことになりそう
乙乙です

「ファンやめます」だったり「鬼!悪魔!」だったりネットってどこも変わんないのねぇ
というか、悪魔に関してはあながち間違ってもないのが・・・w

>>230
>「…あ、アタシ、もう免罪じゃないんだぁ…!」
よくわかんないけど、柚がまだ許されないことだけはわかった

>>245
ギャー間違えたー!
「犯罪者じゃない」ということでお願いします…

実際、GDFに対するバッシングの声も相当なもんでしょうねー

むくむくとアホな小ネタが浮かんだので投下ー
紗枝はんと周子さんの百合っぽい要素アリなので苦手な方は読み飛ばしをば

「・・・・・・それで、周子はん?何か、言う事はありまへんか?」

「・・・えーと、あの、紗枝ちゃん?ちょ、ちょーっと落ち着こうか、ね?」

「あら、うちは十分落ち着いてます。それはもう、波ひとつない水面のように」

「うーん、だったらこの式神くんたち引っ込めてくれないかなーって」

「それは嫌どす」

「・・・うぅ、何か紗枝ちゃん不機嫌だよー。ねーそこのちっちゃい子ー、何か知らないー?」

「なッ、た、珠美はちっちゃい子ではありませんッ」

『いや、十分小せェだろ。まーアレだわ姐さん、とりあえず謝っときな』

「謝る?・・・んー?」

「・・・まぁ、そらかいらしい子です。式神伝いに見てもよぉわかりますわ」

「・・・あー、そゆこと。あのね紗枝ちゃん、あれはそういう事じゃなくてさ・・・」

「せやったら、一体全体どういう事でっしゃろうか?」

「いや、母性本能くすぐられるというかね?アレだよ、美玲にかわいいっていうのと同じというかさー」

「ほーぉ?生まれて一年ちょっとの美玲はんと・・・えーと・・・」

「あ、アーニャ15歳ね。紗枝ちゃんと同い年」

「・・・そうですか。で、そのうちと同じ年の子に向けた『可愛い』が、一緒の意味やと、周子はんはそう言うわけですか」

「・・・あ、ダメだ、よけい地雷ふんだわコレ」

「しゅ・う・こ・はん?」

「いやいやいや、だから違うって、ちょ、待って、落ち着いて話聞いてってばー」


『・・・・・・確か、ここ最近の妖怪の異常発生について話がしたい、っつーんでわざわざ式神飛ばして呼んだんじゃなかったか、あの姐さん』

「・・・そのはずですが」


「そら、周子はんにとったらうち位の小娘なんか娘や孫同然なんでしょうけど?赤ん坊と変わらんのでしょうけど?」

「もー、そんな拗ねないでよ紗枝ちゃーん」

「すっ、拗ねてませんッ!そんなっ、うち、なんも拗ねることありまへんっ!!」


『・・・やってる事、ただの痴話喧嘩じゃねェか』

「・・・見回り、行ってきましょうか。ここに居るの、珠美は何か気まずいです・・・」

>>212の「かわいいわ」発言、うっかり紗枝はんが聞いたら修羅場りそうだなー、とか考えてたらコレだよ!

乙です
こっちも小ネタ投下するよー

真夜中。少女が霧に包まれた地図から消えた街を歩いていた。

「可哀想な子たち。人間の爆弾に焼かれるなんてさぞ苦しかっただろうに…」

人の行いに絶望しているのではない。ここに生きていた小さな動物と植物を憐れんでいるのだ。

少女の名は相葉夕美。植物を司る大精霊ユミ。

「愚かな人間さん。後先考えずに火をつけるなんて。畑にもしないなんて。」

地面に寝転がり、大地を撫でる。

「確かにここにいたのにね。」

溜息をつきながら起き上り、更地の上を歩く。

「ナナちゃんもお悩みムードなのに、こんな酷い事が起こってるよ。ナナちゃん『こっち』と『あっち』で悩んでるのに…。」

「『こっち』じゃないと一緒にいられないのに…」

大好きな親友。初めての友達。

(…母星で偉い人になったら、一緒にアイドルできないよね?)

夕美はその言葉を何度も飲み込んだ。

「…やめやめ!今はここを大いに利用させてもらおうかな!」

夕美が実態を失い、完全な精霊の姿となる。

『…私の声に答えよ、この地に生きていた我らの恋人よ!』

—ユミ様…!
—ユミ様だ!

夕美から、蛍のような緑色のエネルギーが溢れてくる。

幻想的なその光景は、夕美の起こしておいた霧で誰も見る事は出来ない。

  るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪

その光をばらまきながら、踊るように、跳ねるように、笑いながら更地を歩く。

『人に侵される前の姿を思い出せ!目覚めよ!』

光りが落ちた大地から、まるで種が撒かれたように植物の芽が顔を出す。

『新たな目覚めだ!』

夕美がくるりと回って両腕を上げると、その芽がみるみるうちに成長してゆく。

  るんたらったぴょんぴょん、るんたらったぴょん♪

ビルのあった場所は大きな樹が聳え立ち、道路は花畑となった。

街の外見をそのまま植物にしたかのような森が形成されてゆく。

『幸せ?』

—ユミ様!
—ユミ様!

さわさわ、ざわざわ、木々が揺れて答える。

『たとえ再び、人々に侵されようとも、魂は大地に刻まれる…。誇り高く、美しく生きよ!』

踊り終えた夕美は実態を取り戻し、人の姿へ戻る。

「…あのね。母星の世界樹様とっても寛容なの。私にこの星を任せてくれたくらいにはね。」

「私…まだ、この星を信じるから…ナナちゃんは…どうするの…?」

その声は植物達に吸い込まれて消えた。

以上です。ちょっと百合っぽい夕美ちゃん…。どうしてこうなった…
植物が生えるイメージはとなりのトトロが一番イメージしやすいかと

投下した方々乙です

気づいたらルシファーさんやられてたんで、ちょっとそこら編の設定でレイナサマのこと掘り下げます

小関麗奈がルシファーから『南条光』抹殺の命を受けた翌日のこと。
麗奈はその日は朝からきちんと学校へと登校してきた光に声をかけた。

麗奈「おはよ…ちょっと話があるんだけど…」

光「おっ、おはよう麗奈!どうした!?」

麗奈「あーウン……ここじゃちょっとね…」

幸い『望月聖』はまだ登校してきていないようだ。
いや、もしかしたら今日も欠席なのかもしれない。


———チャンスは今しか無い


麗奈は光を屋上へと誘う。
そこが怠惰の悪魔ベルフェゴールの居場所だったのも、もはや過去のこと。
今この場所には麗奈と光、二人だけしかいない。

光「屋上で内緒の話なんて、まるで秘密会議みたいだな!」

光が屈託も無く笑う。
まるで警戒心が無い。


———これからアタシがアンタのことを殺そうとしているのに


アタシが即座に変身をして不意打ちを仕掛ければ、恐らく光は手も足も出ないだろう。
光も正義に燃えるヒーローとはいえ、変身出来なければただの夢見る女子中学生だ。

麗奈「(それにルシファーの言う通り、本来アタシの力には人一人殺せるほどのものが…)」

初めて力を手にした時からそれは理解していた。
しかし、その力を使おうとは思わなかった。
アタシには夢があったけど、それを誰かの命を奪ってまで叶えたいとは思っていなかったから。


———そして、それは今も変わらない

けれど、今は状況が違う。
光の命をこの手で奪わないと自分の命が奪われてしまう。
自分じゃルシファーには勝てない。

殺されてしまっては夢も野望もそれまでだ。
アタシは夢を叶えなければならない。
世界に認められるために。


———だから光をこの手で


光「…?」

光「どうした、麗奈?顔が怖いぞ?」

光「ま、まさか…!?ホントに重要なミッションか何かか…!?」

麗奈「……」

麗奈「なーに言ってんのよ。アタシら別に組織の仲間でもなんでもないじゃない」

光「あっ、そっか」

麗奈「……」

麗奈「(…そんなの)」

麗奈「(出来るわけないじゃない…)」

そう、出来るわけがない。
アタシからすれば光は友人でもなんでも無いけれど、アタシのことを友人と見なしている見どころのある存在だ。
そんな利用価値ある奴を自らの手で消すなんて世界征服を目論むアタシからすれば非効率的な行為そのもの。

麗奈「(…覚悟は決めるわよ)」

自分より強い者に逆らうだなんて、アタシの美学には反する行為。
けれど…

麗奈「(誰かの言いなりになってるアタシの方がカッコ悪いわよねッ!!)」

麗奈「(とは言っても、どうしたものかしらね…)」

麗奈「(ルシファーは、あんな奴でもアタシに力を与えてくれた恩人でもあるわけで…)」

反逆を起こすにしても命まで奪う真似はしたくない。
しかしゴマをすって和解という線も彼女相手には難儀なことだろう。

麗奈「う〜ん…」

光「…?なんだ、もしかして悩み事か?」

光「アタシで良ければ聞くぞ!!」

光「もしかしてまた前髪切りすぎたか?」

麗奈「またってなによ!?これはファッションよ!!」

光「あははっ!」

この時、麗奈は知らなかった。
自分を脅迫するルシファーが一人の死神によって魂が魔界に送還されていたことを。

そして、麗奈は気づいていなかった。
ルシファーが魔界に送還され裁きを受けたことで自身がルシファーから授かった闇の力の効力を失ってしまったことを。

麗奈が悪魔の力を得て自分の前に立ちはだかっていたことなんて光は知る由も無かった。
もちろん自分が悪魔に標的にされていたことさえも。

そんな二人を影から見守る影が二つあった。

雪美「……ルシファー……私が決着……つけたかった……」

聖「わがままはダメ…」

それは魔族と天使の不思議なパートナー。
佐城雪美と望月聖の姿であった。

聖「私達以外にも……この世界を救おうと頑張っている人がいる…」

聖「それは喜ぶべきことなの…」

聖「それに…雪美にとっての敵はルシファーだけじゃないでしょう?」

雪美「……」

『傲慢』を司るグリフォンと、四大天使『聖ミカエル』
本来相容れない仲に思えるが何故、行動を共にするのか。
その答えは未だわからない。

聖「(それよりも…)」

聖「(レイナ…彼女は闇の誘惑に打ち勝ち…)」

聖「(自分に…『自信』を手に入れた…)」

聖「(それは『傲慢』とは違う…)」

聖「(『誇り』の感情…)」

聖「(彼女は…本来優しい心を持っている……)」

聖「(きっと彼女も…)」

聖「(ヒカルを導く光となって…)」

聖「(この世界を……)」


———この聖の予言は後に現実となる

———そう、一人の天使が

———麗奈に希望を見出し、その力を与えることになるのだ

おわりです。

レイナサマが変身能力を失いました。
ひじりんは天使、雪美は魔族ですが二人の関係はまだ掘り下げません。

三人目の四大天使登場フラグを立てました。
というわけで、松尾千鶴ちゃんを予約します。

未央ちゃんお借りして、世界一お金持ちなあの子の話投下します

 
あるところに女の子がいました。

女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、

女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。


玩具も、本も、服も、宝石も、お金も、家も、人も、国も、


ほしい物はみんなお父さんが買ってくれました。

ただ一つだけ、彼女が欲しくても手に入らないものがありました。


『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』

悪魔は言いました。

こうして少女と悪魔は一緒にくらし始めたのでした。

 

——


桃華「いい風ですわね。」


驚天動地とはこの事だろう。


桃華「たまには、いいですわね。外に出るのも。」


『強欲』の悪魔が、屋敷の外に居るとは。


あれほど自分の身を守るために、

自分のフィールドからは出なかった彼女が

今になって外に出た理由。それは


桃華「さあ、散歩に出かけましょう。」


なんて事の無い理由であった。


彼女の身体から漆黒の翼が生える。

——鴉の翼

——『強欲』の象徴

——かつて、全ての空飛ぶ者の羽を得んとして集めた結果

——全ての羽の色が混ざりあい醜く染まった漆黒。


その翼をはためかせ彼女は優雅に空の散歩に出かける。

『傲慢』の悪魔ルシファーが敗れた。

それは『強欲』たる彼女にとってあまりに意外な事であった。

いや、あの『傲慢』の悪魔であるのならば、

「何らかの手を残し、生き残ってるのでは?」と言う思いも未だに拭えはしないのだが。


まあ、どちらにせよ、

『強欲』の悪魔とサクライの計画は破綻した。

本来であれば末端で動く人間にサクライの名が伝わってるはずなど無く、

失敗するのはともかく、その刃が反転する事などありえ無かった計画。


サクライPは今各地を飛び回り、財閥の建て直しをはかっている。

当分は屋敷にも戻ってこれないだろう。



桃華(例の貧乏神の影響がまだあったのかもしれませんわね。)



——『文香さんの能力を狙うもの、また攻撃意思を決めたもの全員がやることなす事並べて『全部失敗』ます』

——『それは恐ろしいな』

本当に、世には恐ろしい力もあったものだ。

桃華(もしそうであるなら、わたくしは全てを諦めねばなりませんわ。)


これから何を成してもあの力が邪魔をするのであれば、

『強欲』の悪魔の唯一にして全ての願い「全宇宙の支配」を諦めるしかないだろう。

『強欲』の悪魔が全てを諦める。

それは死を選ぶ事と同義である。


桃華(馬鹿げてますわね。)

桃華(わたくしは『強欲』の悪魔マンモン。)

桃華(全てを諦めるなどあり得ない話ですわ。)



未央「やっほー、何してるの?」

桃華「なっ!?!」


『強欲』の悪魔の前に突然少女が現れた。

ここは空。

言うまでも無く、普通の少女が現れるはずがない。

そう、普通の少女なら。


桃華「・・・・・・天使、ですの?」


目の前の少女には六枚の羽が生えていて、

『強欲』の悪魔と同じく空に浮かんでいた。


未央「それ聞いちゃう?えへへっ、そうだよ!ラファエルちゃんだよ☆」

桃華「・・・・・・癒しの天使がわたくしに何の用ですの?」


未央「何の用ってことはないでしょ、ほら私達は一応敵対関係なんだし?」


桃華「笑えますわね。」

桃華「これまでわたくし達の活動を放置しておいて、」

桃華「今更、悪魔を成敗しにきたとでも言うおつもりでして?」


未央「うーん、何もしてこなかった訳じゃないんだけどね。」

未央「人間に力とか貸してあげてるし。」


桃華「それならわたくしもですわ。」

桃華「貴女は『癒し』、わたくしは『欲望』。」

桃華「与える力の属性が違うだけで、やってる事は一緒ですわよ。」

桃華「一方的に断罪される覚えはありませんわね。」


未央「いやいや、別に成敗とか断罪とか物騒なことをしにきた訳じゃないんだけど。」


桃華「あら、そうですの。天使の風上にもおけませんのね。」


未央「それはもう、私がどうすれば満足なんですか・・・・・・。」

桃華「それで、でしたら尚更に何の用ですの?」

桃華「わたくしはこれからやる事がありますから、忙しいのですわ。」

桃華「手短にお願いしますわね。」


未央「嫌われてるなぁ・・・・・・、私ショックで寝込んじゃうよ?」


桃華「『強欲』を愛するわたくしは、進歩しない者達は嫌いですの。」

桃華「快楽を忘れることを是とし、欲望を滅ぼそうとしている宇宙に居る者達も。」

桃華「その宇宙を脅威とわかっていながら、自ら地上に出て来ない魔王も。」

桃華「そんな世界を変えられる力を持っていながら、行動しない神も。」

桃華「全部嫌いですのよっ!」

桃華「天使ちゃまだって例外ではありませんわ!」


未央「そっか、それで世界征服なんだ。」


桃華「・・・・・・進歩の無い世界は嫌いですもの。」

桃華「だって何も求めない世界なんて、それは死んだ世界で一緒ではありませんの?」

桃華「人々は『強欲』であり続ける限り、進歩できますわ!」

桃華「そうですわ、人は『強欲』に『知恵』を求めたからこそ進化することができましたのにっ!」

桃華「宇宙も魔王も神も天使も!どうしてそれがわかりませんの!」

桃華「・・・・・・」

桃華「わたくしが世界の全てを支配すれば、停止しようとする世界を変えられますわ。」


未央「なるほどねー、そんな風に考えてるんだ。」

未央「でもさ」

未央「その方法じゃあ、貴女が”本当に欲しい物”は手に入らないんだよね」

桃華「・・・・・・何を言ってますの?」


未央「マモちゃんは今までずっと、欲しい物は全部奪ってきたんでしょ。」

未央「お金も、物も、力も、心も、全部ね。」

未央「だからマモちゃんが本当に欲しがってる」


未央「”絆”は手に入らない。」


桃華「・・・・・・ウフ、ウフフフフフ。何を言い出すのかと思えば、」

桃華「わたくしが絆を?そんな物を求めてなんて・・・・・・」


未央「一人は寂しいよ。誰だってそうだよ。」

未央「私も一人は嫌、だから友達を作って一緒に遊んだりするんだ。」

未央「ついこの間も、人だとか妖怪だとか竜だとか、集まるところに遊びにいったりね♪」


桃華「ふ・・・・・・ふざけないでくださいましっ!」


未央「ふざけてないよ。」

未央「だって・・・・・・マモちゃんさっき言ったよね。」

未央「『わかってほしい』って。」


桃華「なっ!そんな事言って・・・・・・」

——『どうしてそれがわかりませんの!』


桃華「くっ!」

未央「『わかってほしい』って事はさ、仲良くなりたいって事なんだよ。」

桃華「ちがう」


未央「傍に居て、一緒に隣で歩んで欲しい。」

桃華「やめ・・・・・・・」


未央「一人で出来ないこともみんなと居れば超えられる。」

桃華「聞きたくありませんわっ!!」


未央「マモちゃんは全宇宙を支配して、『強欲』で満たせば世界は動き続けるって言ったけど。」

未央「そうやって出来るのは、マモちゃん一人の意思で動く世界だよ。」

未央「一人の意思で出来る事なんて少ないよ。」

未央「一人で考えて、一人で行動して、その内一人じゃあ超えられない壁にぶつかるんだ。」

未央「その時、マモちゃんだけだと立ち止まるしかない。」

未央「それは、マモちゃんが嫌う『進歩の無い止まった世界』じゃないの?」


桃華「だったら、どうすれば良かったと言うんですの・・・・・・?」

未央「簡単だよ、話し合って仲良くなればいいんだよ。」

桃華「・・・・・・馬鹿げてますわね。」

未央「そうだね、馬鹿かもしれない。それでも仲良くなれば開ける道もあるよ。」

未央「1人なら一つの道しかないけど」

未央「2人集まれば二通りの道が。」

未央「3人集まれば三通りの道ができるってね☆」

未央「私はね、”あの日”色んな世界からこうしてみんなが集まったのは」

未央「きっと、みんな友達になるためだって信じてるんだ!」

未央「そうじゃなくても、せっかくの機会なんだから仲良くなれたらいいと思うんだよね。」


桃華「馬鹿ですわね、頭の中お花畑ですの?」

桃華「そんな簡単に自分とは異なる者を信じられるわけがありませんわ。」


未央「でも、信じられないから、嫌って傷つけるなんて悲しすぎるよ。」

未央「マモちゃんも、まずは信じてみない?」


桃華「・・・・・・そんなキレイゴトは力のある者だから言えるのですわ。」

桃華「持たざる者が求める物を、貴女は持っているから言えるのですわ。」


未央「・・・・・・それは、やっぱり自分の持ってない”絆”を求めてるってこと?」

桃華「・・・・・・。」

桃華「わかりましたわ・・・・・・認めましょう。」

桃華「百歩譲って貴女が言うように、わたくしが”絆”を求めているのだとして・・・・・・。」

桃華「わたくしにはPちゃまが居ますわ。」

桃華「Pちゃまはわたくしを裏切らない。」


未央「・・・・・・それはその子から奪った絆じゃないの?」

未央「マモちゃんが『櫻井桃華』から奪った親子の絆」


桃華「違いますわっ!!」

未央「!」

桃華「あの時まで、”お父様”はわたくしの傍には居ませんでしたものっ!」


未央「・・・・・・あぁ、そう言う事だったんだ。」

未央「やっぱり話してみないと分からない事もあるよね。」

桃華「わたくしは『強欲』に全てを求め続けますわ。」

桃華「貴女がわたくしに絆を持ってない、と言うならそれも手にするまでのこと。」

桃華「それで、貴女はどうしますの?ここでわたくしと戦いますの?」

未央「・・・・・・」


未央「いや、戦わない。」

未央「今日の私はあなたと・・・・・・あなた達と話に来ただけだからね。」

未央「できれば友達になりたかったけど。」

桃華「丁寧にお断りしますわ。」

未央「残念。」

桃華「・・・・・・天使ちゃま、貴女はわたくしが今から何をするかわかってるのでしょう?」

未央「だいたいの予想は付いてるよ。」

桃華「止めませんの?」

未央「止めて欲しい?」

桃華「・・・・・・。」

未央「ごめんごめん、意地悪だったね。今のは。」

未央「でも安心して、私は止めないよ。」

未央「だって信じてるからね。」

桃華「人間や死神ちゃまがわたくしを止められると?」

未央「それもだけど、マモちゃんのこともね☆」

桃華「本当に馬鹿ですわね。」

未央「えへへ♪」

桃華「・・・・・・天使ちゃま、もしこれからわたくしがする事失敗しても」

桃華「世界からカースは、”呪い”は消えませんわよ。」

未央「・・・・・・そうだろうね。」

桃華「『原罪』を求める者にお気をつけなさい。」

未央「!」

桃華「強欲に全てを求める者としての忠告ですわ。」

未央「えへへ、ありがと。マモちゃん。」

桃華「・・・・・・世迷言に惑わされましたわね。わたくしも落ちぶれましたわ。」

桃華「わたくしは行かせて貰いますわよ。」

未央「長々と引き止めてごめんね♪」

桃華「謝る気ありますの?ま、いいですわ。」


桃華「さよなら」

未央「またね」


桃華「・・・・・・最後まで不快ですわね。」

未央「えへへ」


こうして、『強欲の悪魔』と『癒しの天使』は出会い、そして別れた。



『櫻井桃華、あなたともここまでですわね。』


『力になれなくて申し訳ないと思わなくもありませんけれど、』


『やはりあなたは自分でそれを手に入れなさいな。』


『わたくしは行きますわよ。全てを手に入れるために。』

 
あるところに女の子がいました。

女の子の家は世界でいちばんお金持ちで、

女の子がほしい物はなんでも手にはいりました。

ほしい物はみんなお父さんが買ってくれる、

けれど

世界ではたらくお父さんはいつも帰ってこれるわけではありませんでした。


「神様。玩具も、本も、服も、宝石も我慢しますわ。」

「ですから神様、わたくしにお父様との時間をくださいな。」

『ならば、わたくしがそれを手に入れてさしあげますわ。』


女の子と悪魔は一緒にくらし始め、

お父さんは娘のために帰ってくるようになりましたとさ。


めでたしめでたし?
 

おしまい

この夏、ひきこもりが外に出るのが流行る。
ちゃまが狩られる前に盛大に死亡フラグ立てておくだけの話でした。


『グリードガーデン』
強欲なる庭。マンモンがその翼を広げ展開する結界。
『強欲』の証であり、強欲なる悪魔の奥の手。
この庭に存在するものは全てマンモンの所有物になる。
進入する者も、如何なる意思も法則もすべてマンモンの思うがまま。

マンモンは櫻井桃華の庭園に敷いていたこの結界を片付け、何処かに移動するつもりらしい。

乙です
ついにちゃまが外に出てきたかー

藤原肇ちゃん予約しま−

乙かなー?

のあさん家の食費が危ないwwww

乙です
のあさんかっこいいかわいい
自分もちょっと加蓮書きたくなった




G3 法子と『わたし』
投下開始

 最近……具体的に言うとあの核を吐いた翌日あたりから、『わたし』の自己主張が激しくなった。
 以前はぼんやりと感情が伝わって「こうしたいんだな」っていうのがわかる程度だったんだけど、あれ以来はっきりとした言葉を向けてくるようになった。

わたし『ねぇお母様、何をそんなに悩んでいるの』

 お母様はやめてよ。13歳の母とかその手のはドラマだけで充分だから。

わたし『連れないのね、わたしという自我は貴女の中で生まれたのよ?
    母娘の関係と言えるじゃない。たまには乗って甘やかしてくださらない?』

 やだ。
 ところで、会話の相手を『わたし』って呼ぶの変な感じなんだけど名前無いの?

わたし『えぇ? そうね……安直だけど全てを喰らう者とかでいいんじゃない?
    All Eatar、AかつEなのよ』

 AでEだからなんなのさ?

AE『あら、分からない?

  みちるお母様はBread
  かな子お母様はCake
  そして貴女がDoughnut

  BCDと連なっているでしょ?
  わたし(A)から始まってわたし(E)で終わるの。

  ねぇ、気づいていて?
  わたしを食べたあの日から、貴女たちへ少しずつわたしが染みいって侵していたことを。
  わたしという自我が生まれたあのときに、それがピタリと止まったことを』

 え、なにそれこわい。

AE『今さら怖がっても遅いわよ。
  もう終わってしまったことだもの。
  そんなことよりお母様、あの仔を捨てたりしないでね』

 あの子? 子どもなんて居たっけ?

AE『お母様ったら薄情ね。あんなに苦しんで吐きだしたのに』

 あー、あの核? あれが子ども?

AE『苦しんだのは貴女でも、あの仔はわたしから生まれたんだもの、わたしの仔よ。

  わたしはいずれ貴女たちから一度出るわ。
  その時あの仔がわたしに還れば、わたしは十全たる力を得るの。
  それはわたしの力を有する貴女たちにとっても利となるわ。

  だから決して手放さないよう、かな子お母様に進言して』

 えー、まあ、いいけど。

AE『ふふ、ありがとうお母様。
  さあ、今夜はもう寝ましょう?
  明日も明後日も、まだまだお話する時間はあるもの』

 うん、そうだね。おやすみ……

 全てを喰らう者
 暴食のカース
 All Eater
 法子の中で自我を得た『わたし』の自称
 『わたし』を食べることで始まった三人への侵食は、『わたし』に自我が芽生えることで終わりを迎えた

 自らの自我と共に生まれた原罪の核を『わたしの仔』と呼び、いずれ一つとなるつもり
 今はまだ法子の中にいて、おしゃべりに夢中

終了

短いけど早めにお披露目したかった

前回投下で出した原罪はAE誕生の副産物なので、これ以上G3から原罪が生産されることは無いよ

乙ー

コレはヤバイ

ドキッ☆ベルちゃんのお仕置きターイム♪はっじまるよー

……すいません。投下します

GDF極東総司令部

そこは重ぐるしい空気がながれていた。

「……どういうことですか?」

新・総司令「どうしたもこうしたもない。前の総司令は辞職した。そして、私が新しい総司令であり、我々GDFはあなたとは今後一切、取引もしない。そして、あの兵器を封印する」

「我々は地球の繁栄の為に御協力してあげてるのですよ?」

新・総司令「それが、そもそもの間違えだったんだ。我々は誤ちを起こしてしまったのだ。それで牽制になる?違う……我々は新たな火種の素を作ってしまった。それに気づいたのだよ」

「使ったのは貴方達ではないですか?いいんですか?貴方がそんなこといってたら地球はm」

新・総司令「我々をたぶらかすな!今後一切そちらに協力を得ない!!もうこちらにはかかわるなっ!!」

そう言って新・総司令は通信を切った。

新・総司令「我々はもう二度と誤ちを犯しはしない……」

−−−−−−

通信を終えた異星人−−−野々村そらは内心苛立ちを覚えながら、強く通信機をしまった。

そら「(どういうことだ!?どういうことだ!?どういうことだ!?)」

そら「(あと少しで、あと少しで、内紛を起こし、そこからGDFを弱体化させ、それに乗じて野蛮人共で勝手に殺戮を起こし滅亡させる手筈だったのに!)」

そら「(何故急に!?まさか、我々の計画がバレた?いや、そんな筈はない!盗聴器や逆探知機も仕掛けられてない!ましてや、私自身に心が読まれないようにプロテクトもしてある)」

そら「(……何を慌てている。まだ色々と内輪もめをさせる手はある。GDFがダメならアンダーグラウンドの連中に≪おもちゃ≫を渡せば……)」

そう思考していると、部屋に鐘の音がなり始めた。

そら「はーい。今出ますよー!」

どうせ、またあの神だろう。

なんとか心を読まれないように注意しないと。

そう思いながら、扉を開けた。

菜帆「こんにちは〜〜」
ベル『こんにちは〜〜』

どこかふくよかで優しそうな知らない女性だった。何故か女性からは二つの声が聞こえた、

だが、そらの勘が警報を鳴らす。

そら「ど、どちら様かなー?」

菜帆「始めまして〜。海老原菜帆っていいます」

ベル『暴食を司る悪魔ベルゼブブです〜』

そら「なっ!?」

悪魔!?何故、そんな奴が!?いや、神がいるんだ。悪魔ぐらいで驚きは……

そう思考してると、菜帆は部屋に入って来てしまった。


菜帆「シュークリームもってきました〜。食べますか〜?」

ベル『それより、あなたには色々と教えてあげないと〜。≪友好的な異星人≫さん?裏でコソコソ直接手を下さないで、争わせて、自分は安全だと錯覚してました〜?そんなことないじゃないですか〜〜』ニコッ

そら「!?」ゾクッ

そらは思わず、後退りをしてしまった。目の前の女はのんびりと微笑んでるだけなのに、自分のあらゆるものが警報をならす。

そもそも何故、こいつは私の正体を知ってる?
そして、このタイミング……
まさか!こいつが仕組んだのか?

だとしたら…逃げないと…

そう、ポケットに手をやろうとした。

だが、気づいた時には自分は組み伏せられ天井を見上げていたのだ。

それは本当に一瞬だった。

何かしようと身体が一瞬だけビクッとした瞬間に、そらの身体を何かが押さえつけ、床に組み伏せたのだ。。
横目で見ると、押さえてるソレは人の腕より大きい虫のような腕が4本だ。

暴食を司る悪魔ベルゼブブ。蠅の姿の悪魔と言われている。

そして歴代のベルゼブブは−−−−皆、蝿のように素早かった。

恐らくスピードなら7つの大罪の悪魔1だろう。

そして、いくら鍛えられた工作員とはいえ、力の差は歴然だった……

ベル『虫ってどこにもいますよね〜?虫って五分の魂が宿ってるって言われてますよね〜?虫達が見た聞いた情報が私に入ってきたら凄いですよね〜?』

菜帆「けど、ここまで辿り着くのに色々情報をあわせたんですよね〜。苦労したんです〜」

そら「な、なんで悪魔が邪魔をするのかな!?あなた達悪魔だって色々と悪さをして、滅亡させようとしてるんじゃないのかな!?悪魔ってそういうものだよね?」

動けない身体に、震えた声で、それでも抵抗しようと、悪魔を睨みながら彼女は吠える。

そして、悪魔の異形の腕がズブズブと、そらの身体にはいっていく。

−−−−評議会の為に!
−−−−評議会の為に!
−−−−評議会の為に!

−−−−評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!評議会の為に!−−−−

ベル『違いますよ〜。今のそんな世の中じゃ、考えが古いですよ〜?それに悪魔だって人間がいないと生きていけないのですから〜〜』

菜帆「それに、争いなんか起こったら美味しいモノが食べられないじゃないですか〜?あなたも美味しいモノ食べれば考えが変わりますよ?」

ベル『無駄ですよ?菜帆ちゃん。触ってわかったけど、この子色々弄られてますよ〜?自分の意思なんて抑えられちゃってます〜』



−−−ー評議会の……た…め………に……?

そら「な、何を言ってるのかなー?わ、私は………」

−−−…………私は?

ダマレ!!!ソンナノヒツヨウナイ!!!


−−−そういえば私はいつから?

ニンムノジャマダ!!!!カンジョウハイラナイ!!!


−−−そもそも、なんで私はこんな事を?

ヒョウギカイノタメニ!ウチュウノタメニ!!







私は今ハッピーなのかな?






そら「うわぁぁぁぁぁぁぁぁぁぁあ!!!!!!!!!!」

突然、発狂したようにジタバタ暴れ始めた。

ベルゼブブの腕は、そらの体内に入り、精神プロテクトを直接触れていたのだ。

それにくわえ、色々と言われ、自問自答をしてしまった事により、精神不安定になり、このよつな行動を起こしたのだ。

それは一種の防衛本能だ。

菜帆「べ、ベルちゃん。ど、どうするんですか〜?」

ベル『ねえ、菜帆ちゃん。菜帆ちゃんはこの子助けたい?』

急にベルゼブブの声が菜帆の声真似ではなく真面目なものにかわる。

それは、真剣そのもので……

彼女をこのまま殺すのも生かすのも契約者の菜帆しだいなのだ……



果たして、彼女は………



菜帆「もちろん。助けてあげてください」

即答だった。








『その願い。聞き届けた』






すると菜帆の背後から、巨大な蟲のような不気味な悪魔が現れる。

『≪喰い改めよ≫………いただきまぁぁぁぁぁぁぁあす!!!!!!』

そのまま、そらの身体を飲み込んだ。

−−−−−−

菜帆「ベルちゃん。この子まだ起きないですよ〜?」

ベル『精神プロテクトとか、洗脳プログラムとか、悪いモノ色々食べられちゃったんですよ〜?なかなか起きませんよ〜』

菜帆は膝枕をされて、眠っているそらの頭を撫でながら、シュークリームを食べていた。

菜帆「それにしても、ベルちゃん。この部屋にあった変な機械とか食べちゃってたけどよかったんですか〜?」モグモグ

ベル『どうせ、向こうにはバレてますよ〜。この子が失敗してるって〜』モグモグ

ベル『菜帆ちゃんこそ、良かったんですか〜。あの総司令の野心や悪心を私に食べさせて、反省した良い人に≪喰い改め≫させるだけで〜。それで、マトモな人に席をゆずらせるだけでよかったんですか〜〜?』

菜帆「そしたら、美味しいものも美味しく食べられないじゃないですか〜。私は今みたいに普通に食べて、ベルちゃんと食べ歩くだけで充分幸せなんです〜。そんな事できないです〜」

ベル『そうですね〜〜』

やっぱり、この子を選んで良かった。

そう思いながら、そらが起きるまでシュークリームを食べていた。

余談だが、茄子ちゃんにお邪魔した料金として、高級和菓子をプレゼントして菜帆のお財布にちょっとダメージを与えたのは別の話である。

終わり

≪胃界の門≫

暴食の証。ベルゼブブの口。

食べたモノを特殊な≪胃≫空間に送り込まれ、食べられたモノを消化し、作り変えて、吐き出し、≪喰い改める≫。

本来なら魂や存在、なんでもそれをベルゼブブの思い通りに作り変える事が可能だが……

ベルゼブブも菜帆もそれをしようとはせず、ただ悪い感情などを良い感情にしたり、洗脳プログラムを解除し、元の人格に戻してあげるなど必要以上の事はしない。

だから滅多に使われる事はない。

以上です。


なんか、すいません!!!

そして、そらちゃんの口調難しい……

ついでに前の総司令はベルちゃんに喰い改められて、辞職し罪を償おうと頑張っています。

ベルちゃんが暴食の証を発動する時のイメージはネ○ロが謎を食べる時みたいな感じです

やっと完成したんで投下します

今回は…いよいよもってSAN値チェック必要かなあ?

では投下。


———とある日、日菜子のマンション前。

「はわぁ……どうしましょう」

「……………にゃ」

「どこか忘れてしまいましたぁ……ほえぇ…」

「……そうかにゃ」

「ふえぇ……確かこの近くのはずなんですぅ…」

「……なるほどにゃ」

「困りましたぁ……くとさんは何わかりますかぁ?」

『×』

ペシペシペシペシ。

「………………にゃあ」

「ほえぇ………本当どうしましょう…」

『…』

ペシペシペシペシ。

「……………ほえぇ〜」

「………にゃあもうなんなんだにゃこれっていうかコイツなんとかするにゃさっきからペシペシペシペシみくになんの恨みがあるんだにゃ果てしなく鬱陶しいにゃあああ!!?」

『?』

「ふえ?」

「………むふふ♪」

「そこ!見てないで助けるにゃあ!ゼッタイ日菜子ちゃんの関係者にゃこの感覚は!」



———その日、みくは、超弩級天然少女と、手のひらサイズで緑色のタコに遭遇した。


———所変わって、日菜子家。

「あ、おかえりー」

「……愛梨ちゃんなんで居るにゃ?」

「……暑かったから?」

「あ〜!愛梨さんこんにちわです〜」

「久しぶりだねー里美ちゃん!」

『!』

「ん、くとさんも久しぶりー!」

みくと日菜子、そして榊原里美と名乗った少女とその頭の上に乗っている謎のタコ『くとさん』が日菜子の家に入ると当たり前のように十時愛梨が居て、勝手に麦茶を飲んでいた。

とりあえず4人で机を囲んで座る。

「………………にゃあ」

「あれ、どうしたのみくちゃん?」

と、みくがなぜか落ち着き無く尻尾を振っている事に気づいた愛梨が声をかける。

「どうしたもこうしたもないにゃ。慣れはしたけどやっぱり3人+オマケまで居たら落ち着かないにゃ」

「みくさんはなかなか感受性が強いですからねぇ…感じ取ってしまうのもむりないですよぉ」

「はい、くとさんお茶ですよ〜」

『♪』

「………いや、なんかもうどうでもいいにゃ…」

脱力したように座り込み机に突っ伏すみく。

その右側では里美がくとさんにお茶を与えていた。

———このくとさん、見た目はほぼタコなのだがジェスチャーで意思疎通ができていた。

…………ただし、その姿は可愛いというか、むしろガリガリと何かゲージ的な物を削られて脱力してしまうようなものなのだが。


「それにしても今日も暑いですねー……あ、脱いでいいですか?」

「やめるにゃ、女の子しか居ないけどその凶器を出すのはやめるにゃ」

「むふふ……確かに暑いですねぇ…あ、日菜子もちょっと汗がでてきましたぁ」

「日菜子ちゃん便乗しないでほしいにゃ、十中八九面白がってるってのはお見通しにゃあ」

「ほえぇ……皆さ脱ぐんですかぁ……なら私も脱ぎます〜」

「だぁこのド級天然娘があああ!?なんでホントにぬぐにゃあああああ!!」

『///』

「そこ!赤くなるにゃ茹でダコと変わんないにゃああ!!………はぁ、なんでこんな目に合わなきゃなんないにゃ…」

「はわぁ……お疲れ様です〜」

ひとしきりツッコミをした後、ガクンっと心底疲れたように脱力するみく。

「だいたい、もうちょっと色々教えてくれても良いと思うにゃあ」

「何をですかぁ?」

「……のあちゃんから聞いたにゃ。ベルちゃんが日菜子ちゃん達は、なんというか………この世界の条理というか、法則というか、そう言ったものから外れかかってる感じがするって言ってたって」

それは紛れもなく、力を持つ七大罪の悪魔の一人、ベルゼブブの言葉であった。

更にいえば、ある意味妹分である城ヶ崎莉嘉や最近来るようになった北条加蓮もベル程ではないが何か感じ取っていたようだった。

「……確かに、最初はちょっと怖かったにゃ。けど、日菜子ちゃんも愛梨ちゃんも、それにまだよくわかんないけど里美ちゃんもきっと悪い子じゃ無いっていうのは感じるにゃ」

だからこそ、みくは聞いてみようと思った。

———一緒に過ごしてきた中で、感じた違和感を。

「だから、教えてほしいにゃ。日菜子ちゃん達が何を抱えてるかを、にゃ」

「…………参りましたねぇ……むふふ」

「えーと、隠してるつもりは無かったんだけどなぁ」

「ほえぇ…」

『…』

「………そうですねぇ、」

そして彼女は、











「———日菜子達は、寂しくて寂しくてしかたがなかった神様たちに魅いられちゃったんですよ……むふふ♪」









———謳うように、笑うように、憐れむように、懐かしむように、そう言った。







「むかしむかし、本当に気が遠くなるくらいとてつもなく昔、この世界に存在していた、旧くて忘れられて世界に否定された神様たち———『旧支配者』………それが、日菜子とみなさんが内に秘めてるものですよ」

「本当にとてつもなく強い力を持ってたらしいんだけどね……それでも、ある時突然ほとんどが姿を消したって教えられたよ」

「えっとぉ……強すぎたから世界に嫌われたんでしたっけ〜?」

『○』

「むふ……そして、嫌われ者の神様たちはその全てがあらゆる場所に分けられて封じられたんです……終わることのない牢獄に」

「それが解けたのが『あの日』なんだよね」

「けど、それでもたくさんダメダメって感じなんですよね〜、くとさ〜ん」

『○』

「………え?なにまさかとは思ってたけどコイツがそのきゅーしはいしゃって奴なのかにゃ?」

「むふふ…そうですよぉ、くとさんは本当は怖くて忌まわしい神様の一柱なんです」

「ほえぇ……くとさん怖いんですかぁ?」

『×』

「うわっ…色々と台無しになった気がするにゃ」

机の上でふんぞり返っていたのに、里美が天然発動して日菜子の言葉を信じかけると慌てて否定しているタコもどきを見ていると本当に色々と台無しだった。

「むふふ♪……けど、本当にこんなになってしまうくらい運良く封印から開放された神様たちは弱ってたんですよぉ」

「後は……みんなそれぞれ事情が違うし、人に話すような事じゃないから今は言えないけど……こうして、神様たちが存在するために一緒になったんだ」

「……あ、神様と一緒にいることは日菜子後悔してませんよぉ?むしろ日菜子は自分からしましたからぁ♪」

「私も………うん、私も後悔してないかな。きっと、こうするのが一番だったから」

「ほわぁ………私もです〜。かわいそうでしたし……大変、でしたから〜」

『…』


「………とりあえず、今はこのくらいですねぇ……あまり話せる事は少ないですし、一気に説明すると分かりづらいですからぁ…むふふ」

「……なんだかよくわかんなかったけど、やっぱりみくの目に間違いはなかったにゃ」

「ほぇ?」

一通り話を聞いて、けどまだよくわからなかったみくだが、一つだけわかったことがあった。

「3人ともやっぱり悪い子じゃないって事にゃ。それだけ分かってちゃんと話してくれたんだからみくはそれで十分にゃ」

「…流石だなぁ、みくちゃんは」

『○』

空気が和む。

少なくとも、嘘をついている目では無かったし、なら今はこれでいいとみくは思う。

「にゃはは!……にゃ、そろそろ準備しないと莉嘉ちゃんとの約束に間に合わなくなるから、続きはまた今度聞くにゃ」

「はい♪日菜子はいつでも構わないですからねぇ……王子様の事でもありますし………むふ、むふふ♪」

「…そういえば、ずっと気になってたけけど日菜子ちゃんの王子様って名前とかないのかにゃ?いやきっとさっき話した、きゅーしはいしゃってのだとは思うけどにゃあ」

「……知りたいですかぁ?」

「にゃ」

「……………むふ、むふふふふ♪」

ふと起きた一つの疑問。

その答えを持つ少女が、立ち上がると同時にふわっとみくの隣に来る。

「…特別ですからねぇ、ちゃんと聞いてくださいねぇ♪」



















「———『這い寄る混沌』———『ニャルラトホテプ』と呼ばれていた素敵な素敵な日菜子の王子様ですよぉ……むふふ♪」














——————。

「……強いね、みくちゃん」

「みくさんだけじゃないですよぉ……ここに来る人はみんな、心の中に何か強いものを持っていますからぁ」

『…』

「日菜子ちゃんがそう言うなら、きっとそうですよ〜」

「……なら、私たちも頑張らないとね!」

「むふふ♪…そうしましょうかぁ♪」

「はわぁ…お二人ともやる気が出てます〜、私たちも頑張りましょうね〜くとさん」

『!』

みくを見送った後、神に魅入られた者たちは何気ないように話していた。


「とりあえずですけど『原罪』は『悲劇』が起きた場所に埋めておきました……『種』みたいだったので生まれるのはきっと『木』だと思いますよぉ」

「『旧き魔道書』の一冊がありそうな場所を見つけたけど…あそこは『歪み』が酷くて私だけじゃちょっと時間がかかるかも……そんなに強い本じゃなさそうだけど…」

「桃華ちゃんの所は、なんかおかしい動きがあるっておにいちゃんが言ってました〜……でも残りの『悪魔』さんも『死神』さんもどこにいるかさっぱりです〜…」

『×』


「そうですかぁ……とりあえず、今までどおり一つずつこなしていきましょうかぁ………むふふ♪」




続く?


『旧支配者』
→太古の昔、世界を支配していたとされる神々の総称。
強大な力を持つが、ある時世界そのものに存在を否定され、様々な種族の手によってことごとくが封印された。
現在では、一部が封印から脱しているがその力は極端なまでに低下しており、存在を維持するには人間の魂と同化・共存しなければならない。
しかし、それでも古と比べてのパワーダウンであり一般的な目から見れば充分強大な存在である。

『くとさん』
→榊原里美がいつも連れ歩いているタコみたいな緑色のナマモノ。
手のひらサイズであり、ジェスチャーで意思疎通をするがその様子は何かがガリガリと削られていく感覚が起きる少々冒涜的なものだったりする。
その正体は旧支配者の一体であり水の神性。
里美と共生している。

『原罪の種』
→日菜子が回収した原罪の核が変化した、植物の種のような物質。
日菜子曰く、成長するとやがて『木』となるらしい。
現在はとある場所に埋まっているらしい。

『旧き魔道書』
→太古の昔に存在していた力もつ書物。
そのほとんどは歴史の闇に葬られ、人々の記憶からは消え去っている。
しかし、それでも現存はしているらしく空間を超えて様々な場所・世界に散らばっている。

『ニャルラトホテプ』
→『這い寄る混沌』『無貌の神』とも呼ばれる。
旧支配者の中でも特に強大な力をもつ神の一体であり、日菜子と共生している。
今のところ名前以外は謎の存在。


・榊原里美
属性:人間?
能力:「水」の操作、???
詳細:
名家中の名家『榊原家』の出身であるドがつくレベルの天然少女。
榊原家は古くから財界や政界と根深い関係にある家系であり、主に監査や査察を受け持ってきた。
のだが、そういった事は『おにいちゃん』にまわることが殆どで里美自身はのびのびと育ったためそういう『暗部』についてはあまり知らない。
いつも『くとさん』と呼ばれるタコみたいな生物を連れて歩いており、ある意味里美のボディガードである。
あまり戦うのは得意ではないと言うが、くとさんがサポートしているためやはり侮れなかったりする。


・イベント情報
1.原罪の核が種になって埋められました。最近起きた大きな悲劇の舞台といえば…
2.どこかのダンジョンに精神をやられそうな魔道書が出現しました。

投下終了です

…なんだか一気に設定掘り下げたから少し不安ですが、何か無理がありましたらスルーで;

それではお目汚し失礼しました。

あ、しまった;

時系列としては夕美ちゃんが森にした後です;

度々すみません、説明不足の補足を。

自分の中では
大量発生(原因不明)→更地→夕美ちゃんが森に→『悲劇』の地として原罪の種を埋める

という感じです。

原罪と大量発生は関係ないはず

では本当に失礼しました

大槻唯ちゃん投下します。

設定は投げ捨てるもの

夕刻、海老原菜帆はネオトーキョーのとある高級ホテルのエレベーターに乗っていた。

菜帆「ベルちゃん私こんなところに来るの初めてですよ〜」

ベル『私の用事につき合ってもらってごめんなさいね〜』

ベルゼブブはつい先日、とある事情で虫を利用して情報を集めている際にコンタクトをとってきたものがいた。
相手はネオトーキョーの高級ホテルの最上階にある展望レストランを待ち合わせ場所に指定してきたのだ。

菜帆「ベルちゃん夜景がきれいですよ〜」

エレベーターから眼下に広がる人工光が星空のように地上を照らしている。
ここ近年技術は目まぐるしく発展している。
さらに『あの日』より様々な技術が流入してきたことにより人類の生活レベルは格段に跳ね上がった。
そしてこの経済特区ネオトーキョーはその象徴ともいえよう。

ベル『それが幸か不幸かはわかりませんけどね〜』

菜帆「どうかしましたか〜?ベルちゃん?」

ベル『いえ、私たちは美味しいものが食べられて、幸せならそれでいいな〜って、それだけですよ〜』

菜帆「そういえば私ここのレストランの料理前々から食べてみたかったんですよ!」

ベル『お代は向こう持ちだそうですから、気にせず食べられますよ〜』

そうこうしている間にエレベーターは最上階に到着したのを知らせるように高い音を鳴らす。

最上階にある展望レストランは星を持っているので、客層はかなり富裕層の人間が多い。
そこに人間の立ち振る舞いはきらびやかな場にそぐう様に気品にあふれていた。

しかし菜帆はそういった家の生まれではないので服装だけは整えてきたものの、やはり周囲から少し浮いていた。
そんな奇異の対象として見られていたので、菜帆は落ち着かない様子で店内を進んでいく。
そんな菜帆にこのレストランのウェイターであろう男が近づいて行った。

「海老原菜帆様でいらっしゃいますね」

菜帆は後ろから急に話しかけられたため少し驚いて体を震わせたが、ウェイターの方へと体を向ける。

「奥の個室まで案内します。大槻様がお待ちです」

そういってウェイターに先導されながら、レストランの関係者以外立ち入り禁止の場所へと入っていく。
そして案内された個室は、ネオトーキョーを一望できるような大きなガラス張りの窓の部屋になっていた。
電気がつけられていないが、いくつか置いてある燭台の火とネオトーキョーの光で十分な明るさを保っていた。

そんな部屋の中にあまりに場違いな少女が窓を背に座っていた。
この高級レストランにはあまりにもそぐわない流行りの服装で、ウェーブのかかった金髪には室内だというのに帽子をかぶっていた。
さらに目を引くのが口にくわえた大きなくるくるキャンディだろう。
当然このレストランのメニューではないので外から持ち込んだものなのだろうと予想ができた。

「ちぃーっす!待ってたよ♪」

菜帆はこの少女とは初対面だがまるで少女は知り合いにでも合うかのように挨拶をしてくる。
その挨拶にはベルゼブブが答えた。

ベル『お久しぶりで〜す。バ』

しかし途中で少女に遮られる。

「おっと、アタシは今は大槻唯って名乗ってるの♪こっちで呼んでくれるとうれしいなっ」

ベル『わかりました〜。唯さん」

唯「んー、違う違う。アタシとベルちゃんの仲なんだから『さん』なんてつけなくていいってばー」

菜帆を置き去りにしたままベルゼブブと唯の会話が進んでいく。

唯「ところでその子がベルちゃんの契約者?」

ここで急に話題が菜帆へと向けられる。

菜帆「あ、えーと、海老原菜帆です。ベルちゃんとは仲良くさせてもらってます〜」

唯「よろしくねっ、菜帆ちゃん。ところでそれ、食べる?」

個室の会話での配慮なのだろう。すでにコースメニューがすべて机に並べられており、食欲を誘う香りを放っていた。
なので菜帆の口からはよだれが漏れ出していた。

菜帆「あっ、ごめんなさ〜い」

菜帆は慌てて垂れたよだれをぬぐった。

唯「やっぱりベルちゃんの契約者だけはあるね。さぁジャンジャン食べて☆ご飯食べながらのほうが話も盛り上がるだろうし。ベルちゃんももう我慢できないでしょ!」

菜帆「ごめんなさ〜い、じゃあ遠慮なく」





菜帆「いただきます」
ベル『いただきます』




手を合わせた後、まずは前菜から手を伸ばした。

前菜である魚介のサラダに手を付ける。
みずみずしい触感が口の中で音を立てソースドレッシングが野菜の味を殺さず、引き立てている。
魚介である海老とカツオはソースに加えて、食材そのままの塩味が胃を満足させるどころかさらなる食欲を湧かせる。

唯「じゃあ本題に入るけどね。今回呼んだのは実はおいしいご飯をご馳走してあげるためじゃないんだ☆」

ベル『私が一番楽しみにしてたのはここのお料理なんですけどね〜』

会話中も手は止まらない。
スープはやはり少し冷めてはいたが、それでもなお口に運べばぬくもりを伝播していく。
よくあるブイヤベースだが、複数の魚介と香味野菜から出たうまみは混ざり合いながらも互いに引き立てあっていた。
それは口内を満たすことによって、舌からだけではなく口全体でそれの味を貪欲に吸収しているように錯覚するほどであった。

唯「たしか今の怠惰と傲慢が魔界に連れ戻されたんだよねー」

ベル『ええ、ちょっとやりたい放題し過ぎたようですね〜』

唯「キャハハハハ!ダッサ〜い。もっとうまくやれなかったのかな?」

ベル『私みたいに正規の手順を踏めばよかったんですけどね〜。それにあまり悪さもしなければ連れ戻されることもなかったのに』

唯「悪魔に『正規』とか『悪さをしない』とかを求める方が酷ってもんでしょー。逆にベルちゃんがいい子すぎるんだって」

そういって唯は目の前にあったオレンジジュースの入ったグラスに手を付けた。
その小さな口は刺さっていたストローに口をつけて、ジュースを吸い上げる。

唯「ぷはぁー。悪さをしなくても欲を満たせるベルちゃんとは違うからねー。でも本来悪魔なんだから欲に忠実に生きないとね☆」

ベル『みんななかなか思うようにすごせないんですね〜』

唯「悪魔なのに欲望を抑えられてる今がおかしいんだよ。まぁ捕まった二人を同情するわけでもないんだけど」

菜帆はこの間にも手は止めない。
メインディッシュである肉厚のステーキへとついに手を伸ばした。
国内産の最高級ビーフのステーキは付け合わせとのいろどりの中、宝石のように輝く。
ナイフとフォークを丁寧に用いて、一口大にカットした。
その際に湯気を未だに立てながら肉汁がミディアムレアに焼き上げられた軽いピンク色の断面からこぼれだした。

これを目の前にして我慢できるものがいようか。
菜帆は丁寧に、待ちきれないように、上品に口へと運ぶ。
口へと運んだ途端にステーキソースの洗礼を受ける。
肉をコーティングしたソースは肉汁と合わさることによって、味覚を刺激する。
そして肉を噛むことによってさらなるうまみを内包した肉汁の奔流を発生させる。
その肉は柔らかく簡単にかみ切れてしまう。それでも奥歯で噛みしめると踊るような弾力があった。
その触感は神経を伝わって脳を震わせる。
その頃湧き出した肉汁は口内を覆いつくし、するりと肉を胃へと落としていった。

それなのにも関わらず口内にはいまだに肉の触感の余韻を残している。
胃は歓喜に満ち、さらなる獲物を求める。

菜帆「……ああ」

菜帆(……しあわせ)

菜帆の幸福度は上昇を続ける。
もはや手は止まらない。
下品にならないように、丁寧に、さらに口へと運んでいく。
菜帆は恍惚の表情を浮かべていた。


唯「結局のところ、詰めが甘かったってことだね☆自身の欲のためならそれをただ求めるだけじゃダメってこと」

ベル『う〜ん?私にはよくわからないです』

唯「とにかくアタシも欲のためにいろいろ苦労してるってワケ!だからこそできることはやっておこうと思ってるんだよねー」

唯はテーブルにオレンジジュースを置いて、菜帆、ベルゼブブの瞳を見つめながら言う。





唯「同じ『暴食』の悪魔として、ゆいたちに協力してくれないかなっ?」




菜帆「どうして断っちゃったんですか〜?」

菜帆は今、来たときにも乗っていたエレベーターで階を下っていた。

ベル『だって菜帆ちゃんに迷惑かけちゃうと思いますからね〜。唯さんは嫌いではないですけど、今は菜帆ちゃん優先です〜』

菜帆「でもおいしいものをいっぱい食べさしてくれるっていうので、すこしもったいなかったかな〜って」

ベル『でも協力するといろいろ面倒なことになるでしょうし、菜帆ちゃんのことを考えると承諾はしかねますね〜。
やっぱり私はおいしいものを食べてるときが一番幸せなんです。
そして新しいおいしいものを探すのも楽しみなんですよ〜。
ごちそうしてもらうのもいいけど、やっぱり菜帆ちゃんと見つけたおいしいものを食べたいんですよ〜』

菜帆「そう言ってもらうと、なんだか照れちゃいます〜』

エレベーターはかなり下の方まで来たので先ほどまで見下ろしていた町の光は眼前にあった。
夜であってもこの町は眠ることはない。
ホテル最上階の落ち着いた雰囲気と違い、人々の雑踏が窓からうかがえる。

菜帆「ところで結局よくわからなかったんですけど、唯さんはどんな人なんですか?」

終始食事に夢中になっていた菜帆は本来一番初めに疑問に思うことを思いつく。




ベル『え〜と、私の大先輩、初代ベルゼブブさんですね〜』



大槻唯はホテルの屋上の端からネオトーキョーを見下ろしていた。

唯「やっぱりあの菜帆ちゃん、いい顔してたねー。アタシの契約者になってほしくなっちゃったな♪」

そのとき唯の背後から轟音が響く。

唯「でもベルちゃんに怒られちゃうからやっぱり駄目だよね。ベルちゃんの勧誘には失敗したけど、ゆいたちの邪魔はしないみたいだしそれでいいかなっ」

轟音は上空から響く。
空からはヘリコプターが下りてきていてそのローターが音を響かせていた。

唯「そう、欲のため、目的のためならできることは全部しないといけないし、仲間は多いに越したことなしっ!」

ヘリはすでにヘリポートに着陸しており、メインローターは勢いを少し落としつつも大きな音と強風を生み出していた。
唯はヘリの方を振り返る。

ヘリから男が下りてきて唯に近づいていき、頭を下げた。





「お迎えに上がりました。バアル・ゼブル(崇高なるバアル)」






唯「この街はいい街だね。混沌として秩序のない感じ、アタシ大好き☆」

唯はそのまま男に連れられヘリへと乗り込む。

唯「ゆいたちはこの混沌の時代を待ち続けた。うひひ、計画を実行に移す日はもうすぐだねっ」

唯は楽しそうに、凶悪な笑顔を浮かべる。
ヘリはそのままローターの回転を上げてヘリポートから浮かび上がった。

男は口を開き賛同する。

「ええ、我ら『イルミナティ』の理想は目前です」

唯「そう、アタシを堕としたときと同じ屈辱を与えてアゲル♪

全能神、神をこの混沌の世界の元に引き摺り降ろしてやるんだから」

ヘリはそのまま星の見えない暗闇の空へと消えていく。
そしてそのまま地上からは見えなくなっていった。



大槻唯(??)
職業 『イルミナティ』創設メンバー
属性 邪神
能力 不明

かつて天界を追放され、魔界へと堕ちた神バアルであり暴食の悪魔、初代『ベルゼブブ』。
すでに死んだと思われているが、魔界から姿を消した後、人間界で暗躍してきた。
それはごく一部の悪魔のみが知っている。
天界と自身を追放した全能神に復讐を誓っている。
普通の悪魔と違って元神(邪神)なので普通では殺すことができず、寿命で死ぬこともない。
見た目は天界にいたころから変わっておらず、悪魔らしからぬ容姿。結構ミーハー。
暴食の悪魔だったが、あまり『暴食』ではない。
大槻唯という名前は現在人間社会で名乗っている名前である。

イルミナティ
悪神信仰のある秘密結社。その実態は悪魔によって作られた組織で名称は時代とともに変わり、また特定の名称でもない。
組織としての目的は世界の掌握だが、バアルにとっては『神堕とし』が目的。
古くから世界中に影響を及ぼし、アンダーワールドや外宇宙とのつながりもある。
魔法や能力なども『あの日』以前から手中に収めている。

高級和牛のステーキ〜地中海の香りとともに〜
ホテルのコースメニューのメインディッシュで厳選された食材を用いた至高の一品。
頬がとろけるうまさ。腹減ってきた。



以上です
ヒーローといったら悪の秘密結社です。
いろんな勢力と繋がってる設定にしたので悪同士のパイプ役に使ってもらうのもあり。
またいろんな能力とか設定の敵も出しやすいようにしてみました。

唯ちゃんの口調難しいですね。

皆さん乙です
乗るしかない、この暴食のビッグウェーブに…!
忘れがちだけどこの子も一応暴食なのよってことで投下します
最初ちょっとえげつないかも

—ふむ、自動翻訳装置を埋め込んであるのか…最近の闇奴隷商の技術も上がったな…そうそう、地球人の雌はいるか?
—コイツはどうです?幼いですが見た目がよく、性奴隷などには使えるかと…
—性奴隷に使うのではないが…なかなか質がよさそうじゃないか。
—しかし所長、幼すぎませんか?少し高くてももっと年齢の高い異星人を…いっそ個人的に誘拐しても…
—いや、こいつでいい。俺の勘だがこいつは逸材だ。おい、この娘を買う。刺青?いらん。このままでいい。実験材料だからな。

—…まさか成長させて使うとは思いませんでしたよ。
—蘇生液の失敗作がこんな形で役に立ったな。蘇生液自体はもうフランケン娘に使ってしまったが。
—所長、そろそろ実験用の動物を購入するべきでは?
—ああ、そうだな…この間発見された爬虫類と何らかの哺乳類は購入すべきだな。
—…どうした?ああ、腹が減ったか。…おい、適当に食わせておけ。

—所長、この被検体が騒がしくて仕方ないのですが…
—腕を切断されたらそうなるだろう?我慢しろ。ふふ…素晴らしい再生能力だ…!私が見込んだだけはある!これなら…!
—では次は…戦闘訓練を行わなければ。
—適当に安い猛獣を購入しておきましたから、それらと戦わせればいいかと。
—すばらしい、すばらしいぞ地球人!すでに3体も成功している!もっとだ!もっと地球人の雌を!

—○◆※×▼☆!
—◇■◎○@、◆▽△○◇※★!


「      ?   ?」

「っ!」

北条加蓮は夢を見た。あまりにも生々しい夢を。

檻の中から誰かの会話を聞き続ける夢。ずっと檻の中の視点でそこにいる夢。

夢の中の『私』は、その誰かに何かをされていて。最後には言葉が分からない程に恐怖していて。

最後に暖かい光が差し込んで。

あの光…あれさえあれば生きていけるような気がして。

起きれば内容は忘れてしまうのだけれど。

…最近、数日に一度はこの夢を見る。

別に日常生活の中でふと思い出すことはない。心に何かが残るだけ。

…今日は特にバイトもなかったし、どこかに出かけようか。

街中を特に行先は決めずに歩く。前は暗く見えて仕方なかった街が、明るく見える。

街が変わったのではなく、自分が変わったから。意識を変えるだけで景色はまるで変わる。

さて、どこへ行こうか。

「…あ!」

人ごみの中に彼女を見つけた。自分を救ってくれたネバーディスペアの…神谷奈緒だ。

前見た時とは違い、ギプスを付けていたりしているがすぐわかった。

「奈緒!」

「ん?…あ!加蓮か!」

取りあえず近くのカフェに入り、軽く話す。

「まさか奈緒に会えるとは思ってなかったよ。」

「まあ暇なときは出かけるからな…。一応悪人捜査も兼ねてるんだからな?…一応。」

「そっかーまぁ息抜きは大切だよ。」

「ところで…最近どうだ?一人暮らしって大変なんだろ?」

奈緒が問うのも無理はない。身内が一人もいない状況で成人にもなっていない少女が一人暮らしというのも大変なものである。

「うん、ちょっと大変だけど…取りあえず自分ができる事、やってみたかった事、限界までしてみたいの。だから今のところ保護とかは受けないつもり。」

「そっか。まぁ難しい事はよく分かんないけどさ、いざとなったらこっち来ればいいよ。…家族が増えるのは嬉しいし。」

(『家族』…奈緒にとっての家族。)

管理局から解放される前、自衛の為、一通り奈緒から能力の使い方は教わっていた。

エンヴィーの時は本能のままに動かせていたはずが、浄化された後は少し動かしにくくて。

『カースは感情で泥を動かすからドロドロのまま。アタシのは…動物のイメージで動かしているんだ。そうすると泥よりも固い武器になる。多分浄化前は無意識で出来たから苦労すると思うけど。』

加蓮は翼や槍や盾、それに蛇。それが一番やりやすかった。エンヴィーの時からそれらを使っていたからだろう。

その時にちょっと聞いたのは、奈緒は記憶を失っている事。きらりに浄化される以前の記憶がほとんどないそうだ。

…だから、彼女にとっての家族はネバーディスペアなのだ。3人には直接は言えないそうだが。

(…私にも奈緒にとってのネバーディスペアみたいな存在…きっとどこかにあるんだろうな。)

半分希望のようなものだけれど。それでも思ってしまった。

「涼さん!善哉食べたいな〜」

「居候が何言ってるんだよ…飲み物買うだけだからな。」

「居候じゃないよ!ちゃんと家事やってるよ!」

「…テレビの見過ぎで光熱費倍にしたのはどこのどいつだっけ?」

「…あは、あはは…ダレデシタッケー」

聞いたことのある声が向こうから聞こえた。そちらを見ればバイト仲間の涼が和服の少女と親しげに話していた。

「知り合いか?」

「うん、同じところでバイトしてる人。」

そのうちに見られている事に和服の少女が気付いたようだ。

「…あの人涼さんの知り合いさん?」

「話をそらすんじゃ…って加蓮じゃん!」

お互いに気付き、席の近くにやってくる。

「友達と一緒にいたのに割り込んだみたいで悪いな…」

「いや、あたしは気にしてないよ。」

「まさかこんなところで涼に会うとは思ってなかったよ…その子は?」

「あー…親戚の子だよ。うん、親戚の子。」

「えー親戚じゃないよー?あずきは涼さんの所有物だよー。」

「…え?」

「馬鹿!そういう誤解を招く妙な発言は止めろ!」

「あ…あはは、変わった子だねー」

「変わり者すぎて困るレベルだけどな…そっちは?」

「あたし?あたしは奈緒。加蓮の友達…だな。」

「奈緒さんなんか強そうだよねーよく分かんないけどそんな気がするの!」

あずきが何気なく言う。それに内心ビクリとした。勘がいいのだろうか。

「お前は初対面の相手に何言ってるんだ…。」

「んーでもあずきの『お仲間』ではないみたいだね。ちょっとさみしー…。」

その時、外の方が爆発するように騒がしくなった。外にここから見えるだけでも5体以上のカースが現れたのだ。

「逃げろ!カースが出た!急げ!」

一人の男がカフェの中の人々に避難を促す。

カフェの客たちは一目散に逃げ出す。良識のある客は料金を置いていったが、基本的にこういう時は食い逃げされやすい。

奈緒はすぐに店を飛び出し、電話を取り出して連絡を取った。…お金は一応席に置いておいた。

「…夏樹、カースが複数出た!…そっちにも!?あー…わかった。できる限りのことはする。5分待たなくていいか?…うん、ありがと!」

「奈緒待って!…どうしよう、奈緒行っちゃった…」

「…大丈夫なのか?…アイツが能力者でも最近のカースはヤバイって聞くぞ?」

それを聞いて思い出すのは先日、のあと共闘した時のカース。たしかに彼女の知っているカースより強かった。

「行かなきゃ、カース倒すの手伝わないと…!」

「…涼さん、あたしもお手伝いしていいかな?カースいっぱいいるよ?」

あずきが涼の手を引きながら言う。

「…あ〜!仕方ないな!ヒーローとかが来るまでだからな!あたし能力者だけどそこまで強くないからな!」

そう言って二人の手を引いて店から飛び出した。

そのそばに新たな核が生まれ落ちたのが同時でなければ恰好が付いたのに…。

「グオオオオオオオオオオオオオ!」

「イラツクゼエエエエエエエエエエエ!」

「嘘!こっちにも!?」

「邪魔しないで欲しいんだけどなー!昼間は本調子じゃないの!」

「今それを言うか!?タイミングが最悪すぎるだろ!」

取りあえず今は目の前のカースを倒すしかないようだ。

あずきがどこからか取り出した裁ち鋏を強化してカースを切り、投げつける。

それに涼が指示を出し、空中を泳ぐように巨大な鋏が舞う。それに続く様に加蓮も槍と盾を装備して空中へ舞い上がった。

同じ頃、奈緒は全速力で飛行しながらカースの気を引いていた。

まだ避難していない人が居れば大変なことになる。幸い、全てのカースの気が奈緒にそれた。

「ニゲンジャネエエエエエエエエエエ!」

「コッチニコイヤアアアアアアアアア!」

無数の泥で出来た腕が掴みかかる。それを飛びつつ逃げつつ爪で切り裂いてゆく。

そして聴覚と視覚をフル活用して逃げ遅れがいないか把握する。…どうやらもう大丈夫そうだ。避難慣れしている市民に感謝する。

「…ちょっとだけ本気出してやるから覚悟しな!」

そう言うと同時に奈緒の背から黒い泥が飛び出し、巨大な異形の形を作り上げた。

奈緒の本来の戦闘スタイルは危険すぎてほとんど使われていなかった。

それが今、緊急事態でさらに周囲に誰もいないことでちょっと解禁された。

その戦闘スタイルは、埋め込まれた暴食の核が示すように、食らう事。

カースドヒューマン等との違いは…彼女自身が食らうのではなく、彼女の中の生命体がその歪な姿を現し食らうのだ。

多眼のライオンに似た生命体が、複眼のサメのような生命体が、鋭い牙を生やした馬とも言える生命体が、彼女の『食らう』イメージなのだ。

カースの踊り食い。核から離された泥は普通なら霧散して消えてしまうが、究極生命体の力と核がそれを取り込むことを可能にする。

取り込めば取り込むほど、悪夢のような歪なそれらはさらに彼女から生み出される。

棘の生えた舌の蛙が、単眼の狼が、体中に口のついた熊が、奈緒のイメージ通りに狂った姿で生まれ、食らう。

黒い泥をピカピカ光る瞳の黒い生命体が食らう。操る奈緒自身が捕食されない事の方が恐ろしい程に、狂った光景。

『食らい尽くせ』

下された命令を忠実に実行し続ける。

最後の一体を食い尽くしたところで一体から全ての核が宙に吐き出される。

そして全ての異形が泥に戻り、奈緒の中に帰る。核は奈緒の左手で切り裂かれた。

「大丈夫か!」

次々に生まれ、3人を足止めしていたカースを切り裂いて、奈緒が戻ってくる。

「奈緒!心配したんだよ!」

「ゴメン…一応これでも正義の味方だしさ…」

「一人で無茶しないで!」

「まぁ、無事でなによりだよ。…まぁあんな状況で飛び出せるんだ。ある程度強いとは思ってたけどここまでとは…」

「あずきが最初に言った事、当たってたみたい?」

ハチャメチャになってしまったが、まぁそれなりに楽しい休日だった…と思うことにした。

…その日、加蓮は夢を見た。

『あーテステス、カレンちゃん聞こえるー?』

『…あ、気付いたみたいですね。』

『驚かないでよ。夢みたいなものなんだから、聞き流してもいいしさー正直僕らめんどくさいの嫌いだしー』

男の声と女の声だ。暗闇の中二人の声が聞こえる。

「…誰?」

『僕らはねーご主人様に取り込まれたナニカの僅かに残った意識の集合体ってヤツ。僕らが雄でこの子は雌ね。』

『…私たちの仲間となっていたカレンさんにご挨拶しに来ました。今日まで気づきませんでしたから遅れてしまい、申し訳ございません。』

「仲間?」

『一応あなたは私たちと同じようにご主人様の一部のはずなんです。例外的に血で一体化してしまったのですが。』

『改めて取り込む気もないけどねー。まぁ一部になったおかげでご主人様譲りの化け物以上の再生力をゲットできたわけですしおすしー?ようこそ人外へー!』

「血って…まさか奈緒が『ご主人様』なの?」

『そうですよ。…私たちの言葉はご主人様に聞こえないので不安でしたが、貴方とはお話できてよかったです。』

『ご主人様含めると君が二人目の人間。もっと増えてお話しできると嬉しいなー。』

「…奈緒って何者なの?」

『おや、それを聞いてしまいます?ご主人様含める我らは模倣品なんですよ。遥か昔の…人の形をし、絶望から生まれた黒を内に秘めた化け物の。』

『詳しく話知らないけど、宇宙人には割と有名な話らしいぜー?星を食う黒い怪物の童話。ブラックホールを子供に分かりやすく話すための物だと思ってたけどー』

『まぁ、光の巨人が寝てる間に抱き枕にしてるおかげか、今のところ力の暴走は起こっていませんがね。暴走したらカレンさんも危ないかもしれませんよ。』

『そうそう、それを言いに来たのだった。』

『…まあ起きれば忘れてしまうのですが。』

『そういえばそうだったなーまあ夢の中なら思い出せるし、気が向いたらお話ししようぜー』

フェードアウトしていく。くすくす、けらけら笑う声が消えてゆく。

そして目覚めた時、完全に夢の内容は忘れてしまっていた。

闇奴隷商
様々な星の子供や女を誘拐し、金持ちに売っている闇商人。
表向きは宇宙では一応公認されている、異星の動物を売るペットショップをしている。
奴隷用の刺青サービス、自動翻訳装置の埋め込み等、サービスがいい。
様々な組織が時折人材を求めて買いに来ることも。

奈緒の中の何か
奈緒に組み込まれた遺伝子や、奈緒に生きながら食われた生命体の僅かに残った意識の集合体。礼儀正しい女性の人格と、気の抜けた喋り方の男性の人格を持つ。
複数の意識が集まっているため、一人称が「私たち」「僕ら」。
奈緒と会話する事は出来ないが、奈緒の血を飲んだ加蓮と夢の中で会話できる。
奈緒の失った記憶や各生命体の記憶を保持しており、そこからさまざまな情報を掴んでいる。
奈緒自身より奈緒の事に詳しいと言っても過言ではない。

以上です
暴食が一大勢力になっている…
ちょっと加蓮にシリアス入れようとして上手くいかなかったかもしれない…
それと宇宙人出しやすいように奴隷商に設定を入れてみたり

結城晴投下しますー

そして、楓さん借ります

ある日の公園。

そこでは子供達が元気にサッカーをしていた。

それを、座りながらボーッと見てる野球帽をかぶった一人の子供がいた。

名前は結城晴。本来ならああ言う場に混ざりたいのだが、ずっと≪施設≫にいた為、混ざり方がわからないのだ。

彼女は≪OZ計画≫での実験体で、脱走者の一人である。

晴「…………楽しそうだな」

言葉とは裏腹になんか無関心そうに彼らを見ていた。

??「見てるだけで楽しいの?」

晴「?」プクゥー

ガムを膨らませながら、後ろにいる人物を見る。

まるでモデルのような綺麗な女性がいた。

晴「……アンタ誰?」

楓「私は高垣楓。あなたがずっとサッカーしてるの見てるから気になっちゃったの」

晴「ふーん……」プクゥー

楓「一緒に混ざらないの?」

晴「アンタには関係ないだろ?」

楓「そうね。私には関係ないわね」

そう言いながら、チョコンと晴の隣で体育座りをした。

晴「………なんで隣にくるんだよ?」

楓「それは私の勝手だから、かってー事は言わないで」

晴「……そうかよ」

楓「(スルーされた……)」(´・ω・`)

晴「(訳わかんねえ奴…)」チラッ

渾身のダジャレを言ったのに、スルーされてションボリしてる女性とその隣でガムを膨らませながらチラ見してる子供。

なんかシュールである。

晴「……アンタはなんでオレなんかに話しかけてくるんだ?」

少しの静寂のあと、晴は話題を切り出してみた。

もしかしたら、自分や友達の追っ手ではないか?

そんな疑心暗鬼から聞いたのだ。

楓「うーん……。なんか気になったから」

晴「……お人好しだな。アンタ」プクゥー

そんなこんな緩い空気が流れていき、軽く口を開いてはそれに答え、再び沈黙が流れ、また軽く口を開けばそれに答えの繰り返しをしていた。

たまに、楓が「風がふいて、風邪ひきそう」とか「滑り台で滑りたい」とか「鳥のお通りだ」とかダジャレを言っていたのは割合である。

そんなこんなで、いつの間にか日は落ちてきて、サッカーをしていた子供達もいつもの間にか家へと帰って行った。


楓「あなたは帰らないの?お家の人は心配しないの?」

何処か心配そうに彼女は聞いた。

当然である。公園にはこの二人以外誰もいなく、さっきまでいた子供達は帰ったのにこの子だけ一人残っているのだから。

だが、晴は無関心そうにしていた。

晴「オレは帰る家ねえし…。それに家族はオレを捨てたしな」プクゥー

楓「!?」

晴の言葉に楓は唖然とした。こんな子供を親が捨てた?

しかも家がないって……

またしばらく無言が続いた。何も言えない。

晴「それに、オレがちょっと目を離した隙に≪友達≫も何処かいっちゃったしな。……まあ、そのうち見つけてくれると思うし、オレは気長に待つだけさ」

その沈黙を破るかのように、晴は素っ気なく答えた。

−−−だから、オレの事は気にするな、

そう言ってるようにも聞こえた。

……というか、≪友達≫はどっか行ったといってるが、実際は晴がフラってサッカーしてる子供達の所へいって先にはぐれてしまったのである。つまり先に迷子になったのは晴。
まあ、そこは一旦置いておこう。


そして、意を決したように、楓は切り出した。

楓「なら、私の家に来ますか?」

晴「………はっ?」パンッ

その言葉に思わず、膨らませたガムを割ってしまう。
何言ってるんだコイツ?って顔で彼女を見ていた。

楓「住む所ないのよね?なら、友達が見つかるまで泊まってきなさい?」

晴「……なんでオレがアンタの所いかなきゃならないんだよ?」

楓「ダメ?」(´・ω・`)

怪訝そうな顔で楓を見る晴だったが、なんだか道に捨てられた子犬のような感じで見つめる彼女に根負けしたのか、軽く息をはいた。

晴「………わかったよ。アンタ面白いから友達がくるまでいてやるよ」

楓「決まりね。じゃあ、行きましょうか。……えっと」

どこか嬉しそうにしながら、この子の名前を言おうと思ったが、そういえば自分は名前を聞いてなかった事に気づき困っていた。

晴「……オレは結城晴だ」

楓を「晴くんね。じゃあ、行きましょう」

そう言いながら、晴に手を差し出した。

それに、晴は少し悩みながらも右手でそれを握り、ついて行くのであった。

余談だが、お風呂に入るまで楓は晴を男の子だと思っていたのは別の話である。


終わり


結城晴(12)

職業・元実験体
属性・OZ≪ティン≫適合者
能力・左腕強化、電撃、傷の自己修復。

何処かぶっきらぼうなOZ適合者。

性格は男の子っぽく、なかなか感情を表にださない。

普段は普通の人間だが、≪ティン≫を発動すると、左腕が一回り大きくなり、青っぽい色のオノのような異形の腕へと変化。それは金属でできている。

この状態を第一段階と呼び、彼女の場合は、左腕があった部分に≪OZ≫を移植したことにより、この姿である。
そして、この姿の時はオノのような腕の周りに電撃が付加されており、全力で地面に振り落とすと雷が落ちたような威力だ。

第二段階になると、まるで全身が金属でできたロボットのような異形の巨人の姿になるが、この姿にはならないようにしている。

彼女は産まれた時から左腕が欠損しており、異星の技術を取り入れた人工的な能力者を創り上げ、兵士として軍事利用する計画の為に、売られた犠牲者だった。
OZ計画の実験体の最年少だが、4人の中で実験体になってた時期が1番長い。
だから、ほとんど施設の中で慣れてしまっていた。
だけど、一緒にいた3人達と外に出たいから脱走した。

現在、他の三人が見つかるまで楓さんのお世話になってる。

以上です。

あわわ……口調が難しいよ……

なんか変な所ありましたらお願いします。

晴ちゃんカワイイよ晴ちゃん

おつ
晴ちんを見てカワイイ男の子だと思ってしまうのも無理からぬことである

ちょっと思いついたのでメアリーで予約で

オズはARMSっぽいなぁって思ったらARMSだった
くれてやる4連見開きやるんです?

荒木先生借りて泉プラスヘレン投下

泉(さて……とりあえずはエネルギー充填だよね。ワードと、私自身の)

泉「はぁ……お腹減ったな。どうしよう」

泉(この時代の紙幣や硬貨なんて持ってないし……)

泉(……奪う? 同じ人間からそんなことはしたくないし、しちゃダメに決まってる)

泉(それに……あの警官の話が本当なら下手すれば逮捕されるらしいし)

泉「能力者に、ヒーロー。侵略者に、カース……極秘資料が聞いてあきれるよ。全然あってない」

泉(エクセルは目立ちすぎるし、追手が来たらまずいし……ワードのエネルギーどうにかしたいなぁ)

泉(そこらへんの人のお財布でもコピペして、中身借りようかな? 何をするにも資本主義ってめんどうだなぁ)

泉「生活文化自体は資料とそこまで変化ないっていうのが何より不気味よね。あぁ、非科学的」

—— 地球上空 円盤内


???「なるほど……あれがアースね」

マシン「イエス、マム」

???「フッ……美しいわ。私が身に着ける指輪に飾り付けるのも悪くない」

マシン「マム、サイズがあいません」

???「私の体には合わないでしょう。でも、器という意味ならば星をひとつ指輪の飾りにしても足りないほど……そういうことよ」

マシン「なるほど、一理あります」



ヘレン「そう……私の器はまさに宇宙レベルなのだから」


     ヴォォォォン…

泉「……? なに、あれ」


    「え、円盤だー!」     「噂の浄化ライブの円盤じゃね!?」
        「宇宙人か!?」                「いや、デザインが違う……」


泉「……あ、そこまで珍しいものじゃ——」

       カッ!

                ドォォォォンッ!


泉「……え?」


   「うわぁぁぁ! 撃ってきたぞ!」     「怪人だー!」
                                 「ヒーローを呼べー!」
         「逃げろ! 危ないぞー!」

泉「……えっと、あの円盤って珍しいものなの?」

男「え? いや、UFOは時々目撃証言があるけどあんな危ないのは初めてだ! あんたも早く逃げろ!」

泉「そう……じゃあ、あれはイレギュラーなのかな。危ないし、私も——」


??「ああぁあああああああああああああああ!!!!」


泉「!?」ビクッ

比奈「アタシの……アタシの原稿が……やっと、ネームがまとまってきたのに……」

泉「え……え?」

比奈「……何見てるんスか……こっちは今九死に一生を得るのと同時に生き地獄を味わってるんスよ……?」

泉「あ、いえ……その、円盤が来てて危ないし避難したほうがいいんじゃないですか」

比奈「……あの円盤のせいでアタシの安住の地は吹っ飛ばされたんスね」

泉(安住の……って、そこに建ってたお店? うわ、ひどいことになってる)

ヘレン「ふふ、ご挨拶はなかなかといったところかしら」

マシン「イエス、マム。驚愕の表情で人々が我々を見ています」

ヘレン「ではその驚愕を、私への尊敬へと変える必要があるわね」

マシン「イエス、マム。マムの御心のままに」

ヘレン「マシン。今回の配下を繰り出しなさい」

マシン「イエス……来い、コワスーゾ!」

コワスーゾ「コワスゾー!」

ヘレン「じゃあ、行くわ。コワスーゾ、あなたは私の命令だけを聞きなさい」

コワスーゾ「コワスゾー!」

マシン「お気をつけて、マム」

ヘレン「フッ……銀河に輝く星々も、私の手のひらのうえにあるの。踊りましょう……ダンサブルに」

コワスーゾ「コワスゾー!」

比奈「……あれは」

泉(誰かが降りてくる……?)

ヘレン「……ずいんぶと地球人が少ないわ。私の舞台にはふさわしくないわね」

コワスーゾ「コワスゾー!」

泉(あっちのは……ロボット? 隣の女は……生物に見える。それも、人間に)

比奈「ちょっと、アンタ」

ヘレン「……あら。私のファンかしら? フッ、既に知れ渡っているとはね」

比奈「んなわけねーっスよ。なんでこんなことしたんスか」

ヘレン「なぜ? あなたは太陽に、どうして輝いているのか質問するの?」

比奈「……理由はねーってことっスね」

ヘレン「えぇ。私はただそこにいるだけで周りも影響されてしまうの」

比奈「はた迷惑にもほどがあるっスよ……ホント」

ヘレン「仕方ないわ。私という存在のレベルが大きすぎるのよ」

泉(微妙に会話が成立しない……)

比奈「……世界征服が目的だ、とか言わせられるなら楽だったんスけどねぇ」

ヘレン「既に私の手の中にあるものを征服する必要がある?」

比奈「はぁ……」

ヘレン「いえ……世界征服じゃなくて宇宙制覇かしら。すでに完了しているのは、ね」

比奈「あー、そりゃめでてーっスね」

ヘレン「そう、当然なのよ。ところで……」

ヘレン「時間稼ぎはいつまでしていたいのかしら?」

比奈「……流石にバレますか」

ヘレン「私と少しでも長く会話をしていたいって気持ちもわかるわ。でも……一人にかまっていられるほどヒマでもないの」

比奈「とりあえずヒーローが誰かしら来てくれると楽だったんスけどね……あぁ、ホント。なんで勢いに任せちゃったんスかねぇ」

ヘレン「観客は少ないけれど、最後まで見ていきなさい。そして伝えればいい……このパワーを」

泉(すごい圧力……逃げたほうが……)

ヘレン「とりあえずコワスーゾ、そこの2人はパーティのお客様として歓迎しましょう……私の舞台は——」

     「撃てー!」

  ギンギンギンッ

ヘレン「——ようやく観客が来たようだから。いきなさい、コワスーゾ」

コワスーゾ「コワスゾー!」

GDF隊員「大丈夫か!? 君たち、早く避難を! 避難所はわかってるね?」

泉「あ……はい?」

比奈「………わかりました」

泉(避難所って……いや、この人についていけば大丈夫かな?)



ヘレン「あら? また減るのかしら……それとももっと大規模なパーティの始まり?」ギィィィン…

隊員A「くそっ、バリアか! 最近怪人は現れてなかったっていうのに!」

隊員B「いいから撃て!」

ヘレン「ふぅ……コワスーゾ。弾丸をすべて掴んでみせてあげなさい」

コワスーゾ「コワ!」シュババババッ

  パラパラパラパラ…

隊員A「……マジかよ」

隊員B「こちらB、どうやら奴さんの防御力は一般カース以上です。追加兵装を!」

比奈「……とりあえずここまでくれば平気っスかね」

泉「あの、避難所は……」

比奈「いや、確かに命あっての物種ではありまスけど、このネタはどうせだからメモっときたいんで」

泉「メモって……どうして?」

比奈「あいつのおかげで原稿が消し飛びましたから。もーネタにでもしないとやってらんないっスよ」

比奈「それにGDFを生で見れる機会ってのもそう多くないしいい機会かもしれないし。これぐらいしないとね」

泉(……話を聞いてもらえない)

比奈「まぁ、かなり苦戦してるみたいっスけど……ん?」

泉「どうしたの?」

比奈「……あのマシン、相当硬いみたいでスけど。動きに微妙なタイムラグがあるみたいっスね」

泉「……あ、本当だ」

比奈「で、動く前に……はー、なるほど」

泉「あの……」

比奈「あなた、こんな時にやけに落ち着いてるし能力者っスよね。なんとなくわかるんスよ……よく人間観察してますから」

泉「え? いや、私は——」

比奈「ちょっと協力してほしいっス。お礼はしますから……」

泉「お礼って言われても……」

比奈「いやね……アタシは、正直ヒーローとか侵略者とかどうでもいいんスよ……」

泉「え?」

比奈「まぁ、非日常系のネタがネタにならないって意味じゃ困っちゃぁいましたけど……でも……」

比奈「あの店は原稿を描いててもいいって言ってくれたんスよ。で、締切ギリギリでやっと完成したんスよ」

泉「……」

比奈「アタシは……今、大事なものが2つ同時に壊れてすっげー怒ってるんスよ」

比奈「とりあえず、一発ひっぱたたかなきゃ気が済まないんスよ、『私』は」

泉「そっか……理不尽なことに、怒ってるんだ」

比奈「まぁ、無理にとは言わないっス。アイツ……たぶんアタシならぎゃふんと言わせられると思っただけなんで」

泉「ううん。いいよ」

比奈「……ホントに?」

泉「やっぱり、理不尽なことには抗わなきゃって思うよね。人は、人だもん」

比奈「ってことは……手伝ってくれるんスか?」

泉「まぁ、バッテリーは心もとないけど。ハイエネトロンとかこの時代はないだろうし電気とかおごってくれるなら」

比奈「オッケー、交渉成立っス……アタシは比奈。荒木比奈……漫画家っス」

泉「私は大石泉。えっと……なんていえばいいんだろう」

比奈「……どうしたんでスか?」

泉「なんていうか……結構信じられないことだと思うから。笑わない?」

比奈「ん、学生でもフリーターでもなんなら獣人とかでもそう珍しいもんじゃないっスよ」

泉「いや……うん。未来人なんだ」

比奈「……おー、また新しいネタっスね。なかなか悪くないっスよ」

泉「やっぱり、信じられないかな?」

比奈「いや、こんな世界でスし信じますよ。じゃあアイツをひっぱたく武器とかは?」

泉「……さっきも言ったけどバッテリーが心もとないわ。エクセル……ロボットなんだけど、それを起動させて3分持つかどうかかな」

比奈「3分……燃費はよくないんスねぇ、未来なのに」

泉「タイムトラベルしてきたところだからね」

比奈「はぁ……そこらへんもあとで詳しく教えてもらっていいっスか?」

泉「うん。大丈夫……エクセル抜きだと、銃弾とか爆弾を出したりできるかな。それぐらい」

比奈「うーん……ロボを起動させるより、あの調子に乗ってる感じならそっちでいったほうがよさそうっスねぇ……」

泉「作戦があるの?」

比奈「えぇ。ちょっと耳を——」

隊員A「くっそ……狙撃も利かないなんてどうすれば……」

ヘレン「あなたたちだけに見せているのはもったいないわ。そろそろもっと人が多いところへ行かせてもらおうかしら」

 「ちょおぉぉぉぉぉっと待ったあぁぁぁぁぁぁぁぁ!」

隊員B「!? あ、あの子たち……!」

比奈「はぁ……げほっ。大声なんて出すもんじゃねーっスね」

ヘレン「あら……ひょっとしてもっと見ていたいと思ったの? 残念ね、私を縛るには人数が足りないわ」

泉「……あなたは、勘違いしているわ」

ヘレン「……勘違い?」

比奈「アンタはずいぶん自分に自信を持ってるみたいっスけど……アタシ達のほうがスゴいっスよ」

ヘレン「………」

泉「そのロボだって、パワーだけはあるみたいだけどずいぶんのろいみたいだしね」

ヘレン「そう……生きて私の素晴らしさを伝える役になれるところだったのに、残念よ」

ヘレン「潰しなさい、コワスーゾ」

コワスーゾ「コワスゾー!」

泉(来たっ……!)

コワスーゾ「コワスゾー!」ドゴォッ!

比奈「うわわっ……あっぶないっスね……」

泉(すごい火力……銃撃データは劣化が激しいしペーストして破壊できるか微妙なところかな)

ヘレン「いいわ、そのまま掴みなさい」

コワスーゾ「コワスゾー!」ブンッ!

泉「きゃっ!?」

比奈「っと、大丈夫っスか?」

泉「正直若干後悔してる。なんでこんなことって」

比奈「最近はヒーローも忙しいらしいっスからねぇ……でもあいつにイラっときたのはいっしょっスよ」

泉「うん。いくよ……Ctrl、V! ペースト、ウイング!」

ヘレン「……こっちに飛んでくる? ふっ、太陽に近づきすぎるとどうなるのかを知らないの?」

比奈「さぁ、どうなるんスかねぇ?」

泉「———」バリッ

ヘレン「……? まぁいいわ。コワスーゾ、その——」





            バリッ



       / ̄ ̄ ̄\
     |  無   |
     |  礼   |
     |  な   |
     |  二  .|

     |   人   |
     |   を   |
     |  潰   |
     |  し  /

     /  て /
    ̄ ̄ ̄ ̄

       / ̄ ̄ ̄\
     |  |   |
     |  |   |
     |  |   |
     |  |  .|

     |   |   |
     |   を   |
     |  潰   |
     |  し  /

     /  て /
    ̄ ̄ ̄ ̄

       / ̄ ̄ ̄\
     |  |   |
     |  |   |
     |  |   |
     |  |  .|

     |   |   |
     |   を   |
     |  潰   |
     |  し  /

     /  て /
    ̄ ̄ ̄ ̄




       / ̄ ̄ ̄\
     |  指   |
     |  示   |
     |  す   |
     |  る   |
     |  私  /
     /   . /
    ̄ ̄ ̄ ̄

       / ̄ ̄ ̄\
     |  指   |
     |  示   |
     |  す   |
     |  る   |
     |   私  .|
     |   を   |
     |  潰   .|
     |  し  /

     /  て ./
    ̄ ̄ ̄ ̄

ヘレン「『指示する私』を潰して——ハッ!?」

コワスーゾ「コワスゾー!」ブンッ!

    メキメキ……ドゴォッ!

比奈「っし……『聞こえた』っスよ、あんたの命令」

泉「ビルに突っ込んでったね……と、う、わわ……やっぱり安定しないよコレ。降りよう……」

比奈「そうっスね……無音で飛ぶなんてとんだオーバーテクノロジーっス。これもネタに……なんないっスかねぇ」

   スタッ
      トッ

コワスーゾ「…………」

泉「ふぅ……まぁ、指示がなくなればロボも動きを止めるよね」

比奈「まぁ、腕時計みたいなのに命令を吹き込んでたみたいっスね。わかりやすい操作で、やりやすい指示方法で助かったっスよ」

隊員A「……お、おぉ」

隊員B「や、やったのか!?」

比奈「あ、そういうこというと」

           ガラガラガラ…

ヘレン「フフフ……なるほど。私の言葉だけを聞く兵として気に入っていたのに、そこを突くなんて」

比奈「あー……ヤバいっスねぇ、ブチ切れっぽいんスけど」

ヘレン「いいでしょう。宇宙レベルの私が手にするにふさわしい星だと認めてあげる」

比奈「は?」

ヘレン「今日のところは帰るわ。髪も汚れて興がそがれたもの……ふぅ、私の言葉を変えるなんて面白いじゃない」




泉「……い、いっちゃったよ? ロボットおいて」

比奈「あー……助かった、んスかねぇ……もう、二度とこういうことはしねーっスよ、ホント」

隊員B「君たち……助かったよ。でもあんな」

比奈「あーもう、ほら。お説教はごめんっス! 謝礼とかなら受け取りまスけど!」

隊員A「……それは上にかけあってみるよ」

比奈「え、ホントでスか? それなら……あ、ついでに活動の詳細とか聞いてもいいっスかね? 大丈夫、暴露本とかを作る気はないっスから……」

隊員B「お、おう」

泉「謝礼は後日、か。でもお説教もくらっちゃった……めんどくさいんだね、こういう世界でも」

比奈「……はぁー」

泉「どうしたの?」

比奈「いや……改めて確認するとホント無茶やらかしたなーって気持ちと……」

比奈「この……やっと出来上がったはずの原稿が無に帰したんだなぁって悲しみが……襲ってきて……」

泉「………ちょっと、見せて」

比奈「え? もう切れ端しかないっスよ……それでいいなら」

泉「欠片はできる限り集めて……燃えてる部分はどうかな、たぶん……」

比奈「……?」

泉「Ctrl……Z。リターン」

   パァァァァ…

比奈「……!? げ、原稿が」

泉「『もとに戻す』……私が過去に飛んできた技術はこれを拡大解釈したものなんだけど、時間を一部ゆがめて……」

比奈「おぉぉぉぉ! 感謝っス! 未来人ってすごいんスねぇ! わー!」

泉「……バッテリーが切れちゃった。その、充電」

比奈「充電!? そんなもんいくらでもさせまスよ!」

泉「そ、そっか。よかった……助かったよ」

比奈「というか、便利そうだしいろいろ聞きたいし……どうっスか、未来人さん」

泉「どうって……?」

比奈「食事とエネルギーの保障はするっスよ。アタシのアシスタントやりません?」

泉「アシスタント……って」

比奈「衣食住の保障をする代わりにアタシの漫画を手伝ってほしいってことっス」

泉「……いいの、かな」

比奈「いやー、正直もうあきらめるしかないと思ってたところなんで助かったっスよー♪」

泉「そ、それじゃあ……お邪魔します」



  ——後日、荒木比奈が異常に上昇した電気代に悩まされるのは別の話。

ヘレン(??)
ttp://i.imgur.com/pSOgCKj.jpg

職業:敵性宇宙人
属性:宇宙レベルの犯罪者
能力:配下の作成およびコントロール

出身地:宇宙(そら)の向こうな『宇宙レベル』を自称する犯罪者。
怪人・怪獣クリエイターとしての能力は超一流で生物・ロボットなど様々な配下を創り出し、操り世界征服……宇宙制覇をたくらむ。
幹部にあたるマシンといっしょに宇宙船をのりまわし、各地に強襲を繰り返す。

本人の戦闘力もかなり高く前線に赴くことも多いが、気がのらない場合は直接戦闘はしない。

秘密結社とか陰謀とか関係なくストレートな敵役が欲しかった
ヘレンさんはどこにでも出てくるしいろんな部下を使うよ! カース以外の汎用雑魚にしてもいいよ!!

泉の持ってきたオーバーテクノロジーと荒木先生の職業が合わさり最強に見える

乙ですww
ヘレンさんは宇宙レベルですねww

乙ー

ヘレンさんマジ宇宙レベル

ザ・岡崎先輩の近況

——————————

眼下に広がる風景を埋め尽くすマグマのそれに似た赤黒い波濤は、順調にカースが増え続けている
ことを示す何よりの証拠だった。
脈動する悪意が大地の底から滲み出し、形を得たそれは赤いオーラとなってカースの泥の身体から
立ち上り、遠目には街が燃えているようにも見える。
わらわらと湧き出す『憤怒』のカースの、薄闇の中に浮かび上がる姿は、地獄の悪鬼のようでさえあった。

数時間前まで平和な日常を送っていた街が呪詛の汚泥で満ちていくのをビルの屋上から眺めながら、
岡崎泰葉は口角を歪に釣り上げて笑った。

このカースの大量発生は無論、泰葉の仕業であった。
カースがどこまで自己増殖を続けることができるか、人間から発せられる感情はどれほどまで
カースの成長に影響を及ぼすのか、それらを調べるための実験としての試みである。

地下鉄や下水道に多数のカースの核を仕掛け、それらを同時多発的に覚醒させ街をカースで埋め尽くし、
ヒーローやGDFに介入する暇を与えず電撃的に街を制圧。
その後は、街の人間を捕らえて実験台にするなり、素質があるようならばカースの核を埋め込んで
カースドヒューマンにするなり、泰葉の思うままに事を運ぶことができる。
今のところ、すべては予定通りに進行している。

しかし今の泰葉の表情からは、実験対象を観察する学者の冷徹な目線はなく、むしろサディスティックな
法悦を湛えてさえいた。

見てみるがいい、逃げまどう者達の無様な姿を。日常とやらを理不尽に踏みにじられる様を。
何ら疑うことなく幸福を謳歌する者の、なんと脆く弱いことか。
尽きることのない憤怒や嫉妬がわずかばかり慰められるのを感じ、泰葉は胸が躍る気分だった。

これでこそ、あの『憤怒』の声——邪龍ティアマットの甘言に乗ってやった甲斐があったというものだ。

「クッククク……おーおー、これはまた派手にやってますねぇ……」

ざらつくような声を背中に受け、泰葉はちらと視線をやる。
そこにいたのは、慇懃無礼を形にしたような、顔を見ることさえ不愉快な男の姿があった。
それは泰葉の元プロデューサーであり、今は邪龍の魂に肉体を乗っ取られている男だった。

ティアマットがよりにもよってこの男を選んだのは勿論、泰葉の憤怒を煽るためだろう。
本来なら顔も見たくないのは当然として、泰葉をなお不愉快な気分にさせたのは、この男が自分の
担当アイドルに手を出して業界を追放されていたという事実だった。

唾棄すべき、見下げ果てたクズだ。ティアマットも、この元プロデューサーも。
『憤怒の王』とやらになった暁には、真っ先に殺してやる。

胃の腑を突き上げる不快感を自覚しながら、泰葉は吐き捨てるように言う。

「……何の用? 今のところ問題は起きていないけれど」

「そうつれないこと言いなさんなよ。俺と泰葉ちゃんの仲だろぉ?」

「ふざけないで」

「クッククク……ああ、これは失礼。ククク……」

この男は、いちいち人を不愉快がらせなければ話もできないのか。

泰葉の射抜くような視線を風と受け流し、ティアマットは嗤う。

「祭りの準備は順調のようですからね……ちょっとばかり手助けを、と思いまして」

「必要ない」

泰葉は内容も聞かずに断じる。
この男の『プロデュース』を受けるとはいえ、手放しに信用するほど泰葉はお人好しではない。

「主要な道路はカースの群れで完全に封鎖したわ。GDFもヒーローも迂闊には近寄ってこれない。
 それこそ、また例の爆弾を使いでもしない限りは」

そして、今のGDFが世論に背を向けてまでカースの大量駆除を行う性格の組織ではないことを、
泰葉は薄々ながら感じ取っていた。テレビや新聞、インターネットで情報はいくらでも入手できるし、
GDF総司令交代に前後して行われた記者会見で事件のあらましは世間に知れ渡っていたからだ。

「クッククク……さすがご明察。私の伝手で調べていますが、今のところ連中も攻めあぐねていますねぇ」

「伝手?」

「ええ。これでいて『友達』の多い方でしてねぇ……」

露骨に当てこするような言い方に苛立ちを覚えたが、何か言い返すのも無駄だと判断した泰葉は、
射るように睨みつける目を唯一の抗弁とした。

とはいえ、不愉快なのはともかくとして、無能な男ではないのは確かだ。
少なくとも今のところはティアマットは泰葉を裏切らないし、泰葉もティアマットに敵対するメリットはない。

「あなたの『友達』っていうのは、とても頼りになるみたいね?」

「ええ。安っぽい友情ごっこなんかじゃあ生まれえない、本物の信頼関係ですよ……クッククク」

こいつのような悪魔が、言うに事欠いて信頼などと、それこそお笑い草だ。
泰葉は内心の失笑をおくびにも出さず、ただティアマットの戯言を聞き流すのに努めた。

こうしている間にも、カースは増殖を続けその生息圏を拡大し続けていく。
『憤怒』の心性のままに、やり場のない怒りと憎悪でその身を焦がし、破壊を振り撒いていく。
そしてその過程で生まれた恐怖と悲しみが、より大きなカースを生んでいくのだ。
泰葉が『憤怒の王』となり、世界のすべてを破壊するその日が来るまで……。

「……?」

ふと泰葉は、地上から立ち上る『憤怒』のオーラで赤黒く染まった夜空へと視線を向けた。

不意に視界の端に、空の果てから地上へと伸びる一筋の輝く軌跡が映り——願い事をする間もなく、
空から流れ落ちた星は見えなくなる。

いや、自分はもう星に願いを捧ぐ年頃ではない。
あれはむしろ、古巣に留まる仲間に手向けられた餞——あるいは、惜別の涙か。

そんな風に考えた泰葉の胸にちくりと後悔の棘が突き刺さったが、カースの浸食の深まった精神の中で
その小さな『痛み』は行き場を失い、やがて遣る方ない腹立たしさに変わっていった。



「ああ——腹立たしい」

『憤怒の街』
泰葉とティアマットの作戦によって占拠された都市。
大量の『憤怒』のカースによって封鎖されており、迂闊に近寄れない。
街の中には多数の民間人が取り残されている。

イベント情報
・しばらくの間、泰葉は『憤怒の街』を拠点に活動するようです。
・憤怒Pに接触し、協力している何者かがいるようです。

宇宙レベルさんに負けじと一大勢力を築いているようです
岡崎先輩がお元気そうで何よりです(白目)

渚いきまーす

「へい、パスッ!!」

「キャプテンにボールがいったよ!」

「あー、無理だ」


一人の女の子にボールが渡る。誰も近寄ることはできない。

その女の子はそのまま素早いドリブルでゴールを決めた。

彼女の名前は愛野 渚。この高校のバスケ部キャプテンである。



パスッ


ビーッ


「よし、今日はここまで!みんなもっと私の邪魔しなきゃダメだよッ」

「だってー、キャプテン強いんですよ」

「あとキャプテンじゃなくて渚って呼んで欲しいなァ。敬語もいらないよ」


彼女は困っていた。

チームメイトとの距離が遠いのだ。

もちろん、嫌われているわけではなく、渚のバスケの上手さに尊敬してのことだ。

だが、渚とチームメイトたちの間には一種の境界があった。

「よし、じゃあみんな着替えよッか」

「あれ、キャプテンどこいくんですか?」

「水飲んでから行くよ」


もともと、ほかの人との境界はあった。渚は「できる子」だったから。

だが、とある日を境にして、その境界が遠くなった気がした。


そんな渚の悩みを、悲鳴がかき消した。


「どうしたのッ!!」


更衣室はひどい有様だった。

チームメイトは全員倒れ、その真ん中に何かが立っていた。

人間ではない。


「だ、誰...?それはウサ耳?」


「オレか?オレはウサミン星からやってきた」


「う、宇宙人?なんのためにきたの?その子たちになにをしたァ!!」


「一度に質問するなっ!」


「...その子たちに何をしたの」


「奴隷商人に売りつけるんだ」


「な、なにを言って...」

「オレは、母星じゃ虐げられてたんだ。だが、今回この地球にいくってんで密航してきた」

「んで、オレは独立しなきゃなんねえから、資金が必要なんだ」

「お前らは体を鍛えているから労働力にもなるし、奴隷にはうってつけなんだよ」

「それに、女だ。女は高く売れる!おっと、安心しろ、まだなんにもしちゃいねえ。ちょっと気絶してるだけだ」


「え...な、なに...なんなのォ...」


「それじゃ、お前も眠ってな!」


ウサミン星人は銃型のなにかを取り出すと、渚に向けて撃った。


「うわァッ!!」


思わず渚は目を閉じた。


「な、なんだ?当たってねぇのか?」


恐る恐る目を開けてみると、ウサミン星人は困惑していた。


「今確かに撃ったはずなんだが...調子が悪いのか?」


再び銃口を渚に向け、撃つ。

だが、そこからでた光線は渚の手前で消滅した。

まるで、そこが消える境界線であるみたいに。


「な、なにが起きてるのォ...?」


渚も困惑していた。


「ちっ、こいつも能力者なのか...仕方ない、ちょっと手荒だが...」


ウサミン星人は別の銃を取り出すと、渚に向けて撃った。

だが、その弾は、渚の手前で失速し、地面に落ちた。それ以上は届かないみたいに。

渚は気がついた。これが自分の能力なのだ、と。

最近、不思議な能力を持った人が増えてきている、と耳にしていたので、自分も能力を持っていたのだと。


「帰るなら今のうちだよッ!」


「くそっ、能力持ってるからっていい気になるなよ...!」


ウサミン星人は女の子の一人に銃口を向ける。

「その子を離してッ!!」


「うるせえ!!おとなしくつかまんねぇとこいつを[ピーーー]ぞ」


今、渚には自信があった。絶対に誰も死なさせないという自信が。


「お、おい、近づくな!撃つぞ!」


「撃てるなら撃ってみろォ!!」


「ぶ、ぶっ[ピーーー]!!」


引き金を引くが、やはり手前で弾丸は落ちる。

そして、渚は思いっきりウサミン星人を殴り飛ばした。


「な、なんじゃこりゃあ!!」


ウサミン星人の長い耳は、顔に張り付いて片目を塞いでいた。まるで、もともとそこにあったみたいに、境目はなく。


「う、うわああああああ!!」


「大丈夫?」


叫ぶウサミン星人を尻目に、渚はチームメイトたちに駆け寄った。


「キャ、キャプテン...」

「良かった、大きな怪我もないみたいだし...」

「キャプテン危ないっ!!」

「え━━━━━━━」

ドロリ

渚の背中から血が流れる。


「フハハ、刃物は効くようだな...!」


「ぐ...み、みんな...」

「「「キャプテン!!」」」


「死んじまったか...まあいい、10人もいれば一財産になる」



私はここで死ぬのかァ...



「い、いや...」

「やめて!」


「おらおとなしくしろっ!!」



いや、仲間を置いていくわけにはいかないッ!!




「あ...」

「う、うそ...」


「ん?どこ見てやがる...」


「お、お前はたった今殺したはずじゃ...う、うわああああああああああああああああああああああああああ」


━━━━━━━━━

後日

「ねえ、大会の日程どうだったァ?」

「それが...」

「あちゃー、この日は私『あの日』じゃん」

「キャプ...渚、どうにかならない?能力とか使っちゃおうよ!」

「そ、それは流石にずるいと思うよッ」

「えー、そんなー」


オーイ、ナギサハ『アノヒ』ダッテサ!

シンジャヤダヨナギサ!

オ、オオゲサダナァ...

おとなしく一人称視点にすればよかった


愛野 渚(18)

とある高校のバスケ部キャプテン。ウサミン星人との一件で、人との境界の原因に気がつく。
能力は、『境界線を操作する』銃弾の届く、届かない境界を作ったり、物体どうしの境界をなくしたりできる。
某妖怪のむらさきさんとはなんの関係もございません。
ウサミン星人に刺され、命を落としかけるが、生と死の境界線に残った。『あの日』とは死に近づいてる状態のこと。
約一月の周期で生と死の間をいったりきたりする。
生:普通の人間となんら変わらない
死:動きが鈍くなる、存在が認識されにくくなる等

バスケの腕も生死の状態によって変わるため、チームメイトはなによりも大会の日程決めを神に祈る。

生━━━━━━|━━━死

この線より右だとまずいかも

線は波打ち際のようにいったりきたりします

存在認識されにくくても動きが著しく鈍る設定

おつおつ
人間とソンビのハーフ…って言ったらなんか変だな…

次から松尾ちゃん投下します

ユズ「ん〜平和っていいなぁ♪」

死神ユズは幸せを噛みしめながら、一人夜の空で次なる獲物を探し求めていた。
神崎昼子ことブリュンヒルデはお留守番。
何故なら学校の宿題があるからだ。

ユズ「けど、お家で宿題が出来るっていうのは平和の証拠だよね♪」

先日までユズはルシファーの姦計による『偽物の自分』のせいで人間界では犯罪者扱い。
けれど無事ルシファーを討伐し晴れて無罪放免。
これでもう何も気にせず動き回れる。

ユズ「後ろめたいことが無いのって気持ちいいねー♪」

ユズ「まぁ、もともと悪いことしてないんだけどさ♪」

ご機嫌。
ストレスから解放された反動か、つい独り言が多くなってしまう。

ユズ「さてさて、これで残りは『嫉妬』と『色欲』と『強欲』だよね!」

ユズ「『暴食』を狩る手間が省けたのは良いんだけどさ…」

ただユズは決して無意味に独り言を放っていたわけでは無い。
むしろその独り言を聞かせていたのだ。
では、一体誰に?

ユズ「———貴女ももしかして狩られる側?」

「…!」

「ふぅん……気づかれていた?」

ユズの問いかけに反応し、そして言葉が返ってくる。
その言葉の主は黒き翼を持つ少女だった。

ユズ「そんな魔力をビンビンに発してて気づかないわけじゃん!」

ユズ「その黒い翼……『堕天使』だね?」

ユズ「アタシを追跡して何か用?」

ユズは黒き翼を持つ少女に問いかける。
ユズの言う通り、その少女の正体は『悪魔』であり『堕天使』だった。

「別に、貴女のことを好き好んで追跡してるわけじゃないんだけど?」

「自意識過剰なのよ」

「……堕天使だってわかってるんだ」

少女はクールに吐き捨てる。
が、どうも語尾は独り言のようにしか聞こえないがユズはあえて気にしなかった。

ユズ「自意識過剰も何も追跡してるのは事実じゃないのさっ!」

ユズ「なに?サタン様の命?」

「……けど、この翼を見れば一目瞭然?」

少女は答えない。
むしろ無視して独り言を続けている。
その様子には流石のユズもカチンとくる。

ユズ「……って、『堕天使』からの監視なんてアタシでさえ聞いてないしねー」

ユズ「貴女も勝手に地上に降りてきたってやつ?」

『魔族』は契約・魔王からの許可無しでの人間界での活動は法の改訂により御法度だ。
目の前の少女がその罪を犯した存在ならば魔王に仕える身として見逃すわけにもいかない。

ユズ「貴女の目的はわからないし、法の改訂についても知らなかったのかもしれないけどさっ…」

ユズはバッジを手に取り、それを鎌へと変形させる。

「……この翼、どうしよう…どうしよう…」

ユズ「アタシの前に出てきたのが運の尽き♪ってねーっ!」

そして未だ独り言を呟いている少女の魂を目がけて躊躇いもなく振りかざした。

「……ハッ!」

しかし、少女はユズの斬撃に咄嗟に反応し、すんでのところでそれを回避した。

ユズ「!?…思ったより反射神経良いんだね?」

罪を犯した者に容赦は無用。
そう思って不意打ちを仕掛けたのにも関わらず、その少女の回避速度には思わずユズも驚きを隠せなかった。

「ふぅん。不意打ちね」

「けど、外れたわね。残念でした」

少女は余裕綽々と言った表情でユズのことを見下している。
本来楽観的な性格のユズだが、どうも目の前の少女の澄まし顔は鼻が付く。

———何故なら、その少女の態度に自分を罠に陥れた『傲慢』の感情を感じたからだ

『努力』を否定するベルフェゴールも決して許すことの出来ない存在だったが、自分の姿で好き勝手やってくれたルシファーには討伐したと言えども少なからず私怨を抱いている。
目の前の少女は性格こそルシファーとは違いお堅い印象を感じるが、それでもまるでルシファーが変化して自分の前に再び現れたような錯覚に落ちた。

ユズ「理不尽な恨みって言われたらそれまでなんだけどさぁ…」

ユズ「ちょっと本気で気に入らないんだよねー!」

感情に任せて、ユズは再び少女の魂を目がけて斬りかかりにいく。
スピードは十分。
相手の虚もついているはず。
しかしあろうことか、今度は完全に余裕を持って回避される。

ユズ「…!?」

「また同じ軌道?バカの一つ覚えってやつね」

ユズ「…もしかして甘く見すぎたカナ?」

魔術を使用していない分、余力は十分に残っている。
しかし、先ほどの斬撃のスピードは以前相見えたベルフェゴールの身体能力を上回るほどの速さだ。

「ふぅん。全力では無いって?強がりは立派ね」

相変わらず澄まし顔をした『堕天使』の少女。
その少女の余裕を崩してやろうとユズがもう一つのバッジに手をかけ杖に変えようとする際、目の前の少女から思わぬ言葉が零れた。

「……この子にルシファーが負けた?冗談でしょう?」

ユズ「…!!」

「……」

少女の口から出た言葉はルシファーの名。
しかし少女本人はその名を口に出したことに気づいていない様子。
どうも無意識に独り言を呟く癖があるようだ。
しかし、これで合点がいった。

少女の鼻につく態度。
自分が少女に感じた嫌悪感。
少女が自分を追跡する理由。
黒き翼を持つ堕天使。

実際に魔界で相見えたことは無いが、その名は聞いたことがある。
大罪の悪魔であり、天界を堕天したルシファー。
そしてルシファーと共に堕天した、天使の存在。

ユズ「———貴女、堕天使『アザエル』だね?」

「…ハッ」

「いけない…また考えてること喋っちゃってたのね…」

ユズ「ルシファーの名前だけだけどね」

「はぁ…私、独り言多いな…」


———堕天使『アザエル』


その名は『神により強くされた者』を意味する。

ユズ「…アザエル本人は自分自身に自信が持てなかった」

ユズ「けれどルシファーに唆されて、その心に『傲慢』の感情を生み出し、共に堕天した…」

ユズ「こんな感じだったカナ?」

「…ふぅん」

「賢いのね……見た目より」

ユズ「…最後のは余計だよ」

ユズ「まぁ、ルシファーと共に堕天したっていうことは、アレだ」

ユズ「ルシファーの敵討ちに来たってわけでしょ?」

「そんな気も起きないわ……拍子抜けだもの…」

二度の斬撃を躱したことで完全に見下しているのか。
『アザエル』はユズに興味を無くしてしまった様子だ。

ユズ「じゃあ、何しに来たんだって話になるけど…」

ユズ「ここまでコケにされて、アタシが「じゃあサヨナラ」なんて言うと思う?」

ユズ「そして、その身体は人間のモノだね?」

ユズ「契約していない人間に憑依するのは罪だって知ってるカナ?」

ユズの言う通り、黒き翼が生えていえども、その少女の肉体は人間そのものだった。

千鶴「ええ。知ってるけど?」

『松尾千鶴』こと『アザエル』は、さも当然とでも言いたげに口を開く。

ユズ「だったら、手加減は無用だね」

ユズ「ここで狩らせてもらうよっ!」

千鶴「そう」

千鶴「———まぁ、いいけど」

ユズが杖を手に取り『アザエル』の魔力を吹き飛ばそうとした刹那だった。

ユズ「…!?」

ユズ「(…魔力が込められない!?)」

ユズ「(な、なんで…!?)」

魔術が使えない。
それどころか、自身の身体から魔力さえ感じなくなっている。

千鶴「どうしたの?早くしてよね?」

『アザエル』はユズに催促する。
しかし『アザエル』が何か先に仕掛けたのは明白。
でなければ、急に魔術が使えなくなるだなんてことはあり得ない。

ユズ「(ていうか、まだ微かに魔力が残っているから良いけど…)」

ユズ「(完全に魔力を失ったら、アタシ地面に叩き付けられちゃうよ…)」

ユズ「(それに『アザエル』がアタシに何をしたのかも、わからない…)」

『魔族』は自身の魔力によって空を飛行することが出来る。
しかし、その魔力が尽きてしまえば、それは不可能となり空から叩き付けられるだけ。
『魔族』とはいえ、この高さから叩き付けられるのは洒落にならない。

ユズ「…くっ!」

魔力を完全に練り上げるのも時間がかかる。
その間に仕掛けられたら一巻の終わりだ。

新たな標的を目の前にして不服ではあるが、やられてしまっては元も子も無い。
ここは『アザエル』が自分への興味を無くしていることを甘んじて受け入れ、この場を引くしかない。

ユズ「…くっそぉ…!!」

ユズ「覚えてろー!!」

ユズは泣く泣くなけなしの魔力でその場から全力で逃亡した。
当の『アザエル』はユズを追いかけるわけでも無く、ただその様子を無表情に見てる。

千鶴「まぁ、別に倒してしまっても良かったのだけれど」

千鶴「興味無くしちゃったしね」

千鶴「それよりも、彼女がルシファーを倒したというのは何かの間違いね」

千鶴「きっと、他にいるはず…」

一通り独り言を呟いたあと『アザエル』は黒い翼をはためかせて、夜の空へと消えていった。

———魔界更生施設

ベルフェゴール「もう無理ゲー…」

ユズに敗北し、キヨラに裁かれ、無力な少女の肉体のまま罪の重さの分だけ強制労働することになったベルフェゴール。
僅かな休息時間があるものの『怠惰』を司る者としての精神は既に限界寸前だった。

ベルフェゴール「これなら処刑されてデータ破損の方がマシだって…」

ルシファー「貴女には生き地獄よねぇ」

そんなベルフェゴールに語りかけるは、同じくキヨラによって裁かれた醜き悪魔ルシファー。
その罪はベルフェゴールよりも重く、数十世紀の強制労働は約束されている。

ベルフェゴール「…こんなとこでも随分余裕じゃん」

ベルフェゴール「『傲慢』にとって他の者の『下』で働くなんてプライドが許さないんじゃないの…?」

ベルフェゴールの言うことはもっともである。
自分に絶対的自身を持つ『傲慢』の感情を持つ者が『下』に見られるという屈辱に耐えられるはずがない。

ルシファー「まぁねぇ」

ルシファー「けど、それも後少しの辛抱よぉ?」

ベルフェゴール「…どういうこと?」

ルシファー「うふ…」


———『神により強くされた者』を敵に回しちゃったのはミステイクってこと♪

———人間界が悪魔の手に落ち、そして彼女がいずれ魔界を統べるほどの力をつければ

———私たちも自由ってことね♪

松尾千鶴(アザエル)(松尾千鶴の肉体は15歳)


職業:堕天使
属性:神により強くされた者
能力:詳細不明

本来は自分に自信の持てない天使だったが『傲慢』のルシファーに唆され、共に天界から堕天。
『神により強くされた者』の異名を持ち、ルシファーにはその力を見出された。
『神によって与えられた力を、神に反抗する為に使う』とまで言われているが、その能力は現在のところ不明。

ルシファーと共に堕天したのだが『アザエル』自体の社交性は低く、不愛想。
考えていることを口に出してしまう癖がある為、出来れば一人で行動したいらしい。

自分の力を見出してくれたルシファーの為か否か、ルシファーを討伐した者を追いかけている。
が、ユズには興味を無くしてしまったようだ。

憑依した人間の少女の名は『松尾千鶴』
七三分けで太眉がチャーミングな15歳である。

おわりです。
四大天使出し切る前に新しい堕天使出して、またフラグだけ立てちゃった…

乙ー

けど悪魔の名前って継承されないとアレだから、アザエルの名前も継承されたのか

ルシファーも継承された名前だし……一体天界では何人堕天しては名前を継承されてるんだろうか…

>>508
そこらへんの設定はまだ何も…
ちなみに松尾ちゃんの能力の詳細はある程度考えていますが誰かに拾っていただけても嬉しいです

黒川さんを予約します

黒川さん>>407で予約してありました

>>513
うわ、ごめんなさい
確認ミスだ…

予約は一旦保留します…

はーい、それじゃあ予約チェックいってみよー


(前スレ)>>871◆ltIL81VrFM
星輝子

>>297◆OJ5hxfM1Hu2U
斉藤洋子

>>300◆Y6loZZb8bNXp
上条春菜、北川真尋

>>303◆6osdZ663So
藤原肇

>>361◆n8e7PTy/8c
橘ありす

>>362◆j4KjALPDp2
栗原ネネ

>>363◆lhyaSqoHV6
水本ゆかり

>>409◆6osdZ663So
小日向美穂

>>440◆kaGYBvZifE
メアリー、黒川千秋

>>511
不都合がなければですけど
そこら辺について書いてみてもいいですかね?

>>516
もちろん
設定を拾い、拾っていただけるのもシェアワの魅了だと思いますし

魅了ってなんだ…
魅力の間違いですわ…

>>515
予約まとめ乙です
改めて服部瞳子さんを予約します

>>515
まとめありがとうございます!
ネネさん投下します

『ウガアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

『オマエラウルセエンダヨオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』

『クソガオマエラアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!』

少し前のことです
いきなりの出来事でした
突然のカースの大量発生

パニックの中外を歩きまわる大量のカース
どんどん理性を失って暴徒化する人々
数時間でこの街はまさに地獄絵図の状態になってしまいました…

幸い私がなんとか張った『結界』の能力で私がいた病院にはカースは近づけなくなったみたいです

その後周りにいた人々も少しずつここに集まってきて今に至ります

今から私と同じ病院に居た『能力者』と先生が集まり対策を練るところです

———

炎P「くそっ!繋がらねぇ!ヒーロー協会も!GDFもだ!」

DrP「ちくしょう…ここの施設の電気もあと持って1週間って所か…」

電気P「俺の能力じゃ奴らには敵わない…どうすれば…」

炎P「ここに武器は無いのか…?」

DrP「一応緊急時に備えて少しだけだったら無いこともないが…」

氷P「銃なんて使ったことねぇよ俺!」

「あの…一旦落ち着いて…」

氷P「落ち着いてられるかよ!どうしてこんな事に…許せない許せない許せない…」

炎P「お譲ちゃんの言うとおりだ!落ち着けって!」

電気P「…何だ!?こいつ様子が」



『ユルセナイイイイイイイイイイイイイイイ!!!』


炎P「おい!…畜生こいつも『呑まれ』やがった!」

DrP「結界の中でカースが発生されたら手の付けようが無いぞ!」

「大丈夫です…なら…私が…」

力を集中して…円のイメージ…そして…

力を開放する感覚と共に人一人分くらいの半円に近い『空間』が生まれます

更に…イメージ…癒し…大きな樹みたいな…

『クソガアアアアアアアアァァァァァァダシヤガレエエエエエエエェェェェェェえええええええ………』

すこしずつ収まる声…どさっと人が倒れる音

少ししたら覆っていた泥のようなものが『浄化』され赤黒くなりかけてた体が静まって行きます

なんとか…なった…?

氷P「お…俺は…何を…」

DrP「カースになりかけたんだよ!お譲ちゃんが何とか止めてくれたんだぞ!」

氷P「すまねぇ…お譲ちゃん…」

「いえ…大したことでは…」

炎P「今のを見る限りトリガーは『怒り』っぽいな…」

電気P「そんな…この状況で抑えられる方がおかしいだろ…」

炎P「お譲ちゃんにだって限界はあるし今は自分を強く持つしか…」

DrP「落ち着こう…とりあえず一旦状況を整理しよう…」

その後色々あって分かったことは
・歩き回っているのは『憤怒』のカースであり、怒りや憎しみが抑えられなくなると人がカース化してしまう事
・外との連絡は一切断たれて居ること
・この街の中だったらなんとか連絡は取れ、あちこちに私達と同じような生き残りの集団があること

そして…


この病院の中でカースに対抗できる能力を持つのは私だけな事


DrP「こんな所か…」

炎P「人間がカース化なんて前例が無いぞ…」

DrP「とりあえず更にに『呑まれる』人が出るのを防ぐのに俺ら以外の人たちを安心させなくちゃな…」

氷P「不安にさせないように俺達の能力が使い物にならないことは隠しておくしか…」

電気P「ちくしょう不甲斐ねぇ… 俺にももっと力があれば…」

「大丈夫です」

「きっと…なんとかなります」

「諦めちゃだめです…」

「なんて今は全然意味の無い言葉ですけど…きっと…」

DrP「…そうだな、俺たちだって何も出来ないわけじゃない…この病院だけでも守ろうな」

DrP「そういえば自己紹介もまだだったな…俺はドクターP、お譲ちゃんは?」

「栗原…ネネです…」

DrP「ああ!栗原さんのお姉さんか!すまん思い出す余裕も無かった。ネネちゃん…今は辛い役を押し付けてしまうが…よろしくな」

ネネ「はい…」

とりあえず今の状況を維持しつつなんとか残りの能力者と連絡を取り合流する方法を見つけることになったようです
正直なことを言うと…未だに実感が沸きません
落ち着いてるようにみんなは思ってくれてるみたいですが今の私はこの状況をお話の中だって思い込んでるような感覚です
だから今まで使ったことのない能力を使うことが出来たみたいですが…
先は全く見えませんが…きっと…この力で最悪でも…妹だけは守ってみせます…

栗原ネネ
『結界』の能力者
結界の中は『癒し』の力があるらしく
カースから守る結界を張ったり中に入れて人を浄化したりできる
難病の妹のお見舞いに来るのに隣町から来たら不幸にも憤怒の街に呑まれてしまった
火事場の馬鹿力でなんとか張った病院を守る結界の中で生き残るため頑張っている
結界は小さいほど浄化力は高く大きいとカースが入りにくくなるくらい
頑張ればいくつか張れないことも無いが消耗が激しい

炎P氷P電気P
ほのおのパンチ こおりのパンチ かみなりパンチではない
能力は弱くひのこ こなゆき でんきショックくらい
運悪く巻き込まれたへっぽこ能力者

DrP
ネネさんの妹の担当医
カースや宇宙人襲撃に備えて少し訓練を受けてたが所詮素人に毛が生えたくらい
頑張って病院の中の人々をまとめている

とりあえず予定してたネネさん使って憤怒の街の中の様子っぽいものを書いてみました
すごい世紀末

おっちし
ネネちゃんは癒しの能力者か

戦闘には不向きだけど今後妹関連で覚醒したりするのかな

>>515
俺朋ちゃんで予約したはず・・・

予約していた星輝子の方を投下します。
時系列的には泰葉ちゃんが姿を消す前でカースドヒューマンの三人が絡みます。

幸子「今日もボクってカワイイですね!(ドヤッ」

??「……フヒ」

幸子「ん?そこの君、このボクに何かようですか?」

??「お腹……すいた……フヒ」

幸子「何か食べたいのですか?せっかくだからカワイイボクがおごってあげますね」

??「うまそう……フヒ」

幸子「……へっ?」

??「フヒヒヒ……うまそうな血ぃ……」
幸子「……へっ?へっ?」

??「フヒヒヒ、ヒャハハハ!お前の血ぃ、吸わせろぅぅぅ!」

幸子「ちょ、ふぎゃぁ!?」

〜カースドヒューマン隠れ家〜

泰葉「……幸子、遅いわね」

杏「う〜ん、そうだね〜(ポリポリ)」

泰葉「はぁ……ただでさえ最近ヒーロー達の活動が活発になってきてると言うのに……」

杏「仕方ないよ、幸子はああいう性格なんだから」

バタン!

幸子「ただいま、カワイイボクが帰りましたよ!」

??「……お、お邪魔します」

杏「あっ、噂をすればなんとやらだね——ところで幸子、その後ろにいる奴誰?」

幸子「気付きましたか、杏さん——この子は星輝子ちゃんボク達の新たな仲間です!」

輝子「フフ……私、星輝子……友達はキノコだけ……」

杏「何?この明らかにコミュ障としか思えない子は」

幸子「フフン、驚かないでないでください、彼女こう見えて列記とした吸血鬼なんです!」

杏「へぇ〜」

泰葉「ふぅ〜ん」

輝子「……あれ?思ったより反応が薄い……」

泰葉「人外とかしょっちゅう出会ってますからね、慣れているんです——ところでこの子は何が出来るの?」

幸子「そうですね……杏さん、彼女の目を見てくれませんか?」

杏「……こう?」

幸子「……今です!輝子ちゃん、お願いします」

輝子「フヒ……!」

杏「……ッ!」

輝子『今から……スクワットを……してください』

杏「……(ヒンズースクワット)」

泰葉「これは……!」
幸子「これが輝子の能力の一つ『魔眼』を使用した催眠です!(ドヤッ」

泰葉「これは中々強力な能力ね——ただ……」

杏「……ッ!ハァハァ……つ、疲れた……」

泰葉「——効果時間が数十秒なのはいくら何でも微妙すぎるは」

幸子「ま、まだとっておきがあるんですよ!——輝子ちゃん、ボクの血を飲むのです!」

輝子「う、うん……わ、わかった(カプッ」

ドドドド!

輝子「……フヒ」

杏「おっ、心なしか空気が変わってきた気が——」

輝子(特訓後)「フヒ、フハ、フハァハハハ!ゴートゥヘル!」

杏「——って、何か色々すごい事になってる!?」

輝子「コレだよ、コレ!最高にハイッて気分だ!フハハハハ!」

泰葉「魔力もすごい事になってるわね」

幸子「フフン!輝子ちゃんはボク達カースドヒューマンの血を飲む事でパワーアップできるのです!(ドヤッ」

輝子「シイタケ!エリンギ!ブナシメジ! キノコ!……フヒ……」

泰葉「すごいわね……ただ——」

輝子(特訓前)「フ、フヒ……キノコーキノコーボッチノコーホシショウコー……」

泰葉「——最大効果時間は?」

幸子「……ボクが気絶するまで飲ませて、三分ぐらいです」
杏「……」

泰葉「……」

杏・泰葉(色々と残念すぎる……!)

泰葉「ま、まぁいいわ役に立たないと言うわけでもないし仲間にいれましょ——えっと星輝子ちゃんだっけ?私は岡崎泰葉、よろしくね」

杏「あ〜、私は双葉杏だよ、まっよろしく」

輝子「……泰葉さんに、杏さん……こ、こちらこそよろしく……あっこれお近づきの印です、よかったらコレどうぞ」

泰葉「う、うん、ありがとう(キ、キノコの生えた植木鉢……)」

杏「き、気持ちだけは受け取っておくね〜(キノコじゃなくて飴がよかった……)」

幸子「紹介もすんだ所ですしこの子をマンションまで送りますね」

輝子「……お、お邪魔しました……」

パタン

杏「……」

泰葉「……」

杏「これから大変だね」

泰葉「ええ、そうね……」




この出会いから数ヶ月後、岡崎泰葉が彼女達の前から姿を消してしまう事になるがそれはまた別の話である


〜おわり〜

星輝子
職業:吸血鬼
属性:カースドヒューマンの仲間
能力:催眠、吸血によるパワーアップ、その他吸血鬼関連の能力全般
魔界出身の吸血鬼の少女で割と名家として名が通っている。
人間界へ来た理由は本人曰わく修業なのだがご覧の有り様なので禄に他人から血を吸うことができず一週間も過ごしてしまい、その時ちょうど幸子と出会い冒頭にいたる。
現在は幸子が定期的に献血しているため吸血衝動は抑えられている。
ちなみに日光に関しては当たっても灰にはならないがそれでも苦手らしく相当弱体化する。
現在は少しずつだが前向きになろうと努力している。

と言うわけで投下完了です。
比較的ほのぼのした話になりました……今後幸子の増援に来るのも良い展開かと
しかし何故酉が違ってるんだ?ちゃんと前と同じのにしたつもりなのに……

おっちし
あれ?
きのこ単体じゃ害無くね?

黒川さん投下

——————————

黒川千秋という人物を語る言葉はいくつか挙げることができるが、そのいずれが彼女を最もよく
表しているかは、実際に会ってみてその印象から推し量るほかないだろう。

それはルナール社の重役の娘であり、歌手を目指す20歳の大学生であり、常にトップを目指して努力を
怠らないストイックさを持った才媛であり、そして『歌姫』の最初のファンの一人でもあった。

『歌姫』が最初に姿を現したあの日。
街をカースの群れが埋め尽くし、呪詛を吐き散らしながら破壊と暴力の限りを尽くさんとする、
その現場に千秋もいたのだ。

ショッピングモールの中にカースが出現し、買い物客がパニックを起こす中、千秋は咄嗟の判断で
スタッフルームのロッカーの中に身を隠していた。
遠くで聞こえる破壊の音と人々の絶叫が身を震わせるのを自覚しながら、千秋はじっと息を殺し、
カースの暴威が行き過ぎるのをひたすら待った。

しかし、カースは視覚や嗅覚といった五感のみならず、人間から発せられるマイナスエネルギーを
感知する超感覚を備えている。
泥の肉体をまとった形ある呪いは、千秋の恐怖心を嗅ぎ取ってスタッフルームに踏み込んできたのだ。

スチール製のロッカーの扉に硬質化した泥の爪を突き立て、扉を力任せにひしゃげさせながら、
その破壊衝動のままに彼女をも害そうと迫っていた。

千秋は、ゆっくりとこじ開けられていく扉の向こうに、黒い泥で出来た不定形の怪物を——顔のない、
しかし激情と悪意に満ちているその風貌を目に焼き付けながら、声にならない呻きを漏らした。

その時だった。

幼い頃に聴いた覚えのある優しいメロディが、震える千秋の耳朶に触れた。
そして——どこかから、歌声が聴こえた。

「……?」

気がつくと、カースは扉に手をかけたまま静止している。まるで歌声に聞き入るように。

空の果て、虹の彼方にある理想郷を思い描いて、それを目指す勇気と希望を歌い上げるその歌は、
おそらくスピーカーか何かに拡散されて、遠い蒼穹の果てまでも広がっていったのだろう。
その優しい歌声は、千秋の恐怖に塗り込められた心までをを解きほぐしていくようだった。

無意識のうちに、千秋もその歌を口ずさんでいた。

「……Somewhere over the rainbow, way up high……♪」

今まで感じたことのない、不思議な気分だった。

様々な機材を通しているが、加工もされていないだろうその歌声は、ハッキリ言って素人に毛の生えた
程度の代物だ。発声もまだまだだし、ビブラートのかけ方も下手。技術の点で言えば、自分の方が
断然優れている確信がある。

けれど、何故だか心に訴えかけるものがある。

理屈では語れない、聴く者の心の澱を洗い流す何かが、そこにあったのだ。
自分の歌には宿ることのない何かが。

カースが溶けて崩れていなくなっても、千秋は歌声が聴こえなくなるまで『歌姫』と共に歌っていた。

それから数ヶ月が経過し、世界が様々な変化に晒される中、千秋の生活も大きく変わっていった。
とある芸能事務所から歌手としてデビューすることになったのである。

あの日以来、彼女はレッスンの傍らあちこちを駆けまわって『歌姫』のことを調べていたが、結局
有力な手掛かりは何一つ得られなかった。

ああまで人の心を動かせるのなら、業界人の誰かが『歌姫』のことを知っているに違いないと思ったのだが、
まったく無名どころかその正体さえわからないという有様だった。
ネット上では『歌姫』の正体を特定しようとする動きもあるようだったが、そちらもダメだった。

カースが大量発生した場所に現れては、歌声によってカースを浄化していく。
テレビ中継やラジオでその存在が広く知られるようになっても、彼女は何一つ語らず去っていく。
浄化の歌を歌う際に一隻の宇宙船が姿を現し、『歌姫』の姿を空に投影することから、今のところ
『歌姫』=宇宙人説が多くの支持を集めているらしいが……。

とはいえ、千秋としても『歌姫』の正体を暴いてどうするのかという具体的な展望はなかった。
ただ、会って話がしたい。せいぜいその程度のことだった。

千秋には、歌で頂点を極めたいという夢がある。
そのためには歌手業とアイドルを両立もしてみせるし、どこまでも歌の道を追求していく覚悟だ。
ならば『歌姫』には何があるのか。どうして歌うのか?
何が彼女の根底にあればこそ、あんなにも優しい気持ちになれる歌を歌えるのか?

あの日、彼女の歌に心を動かされたからこそ、それを知りたかったのだ。

——————————

プロデビューが決まったとはいえ、新人の千秋にはまだまだ仕事が少ない。

多くの時間をレッスンやレコーディングに費やしながら事務所の雑用や先輩歌手の付き人をしたり、
時にはスポンサーとの付き合いもあり、まず顔と名前を売って人脈を築くことが肝要となる。
ツアーやコンサートのような大きな仕事は回ってきようもないだろう。

その日千秋は、とあるホテルのディナーショーの前座で何曲か歌うことになっていた。

小さな仕事だが、いずれトップに立つためには必要な仕事と彼女も了解していた。
仕事を選り好みできるような立場ではないし、元より妥協や手抜きは彼女には無縁のことだ。
それに今夜自分の歌を聴いた者の中に、将来自分のスポンサーになってくれる者がいるかもしれないと
考えれば、手抜きの自分を見せることなどできようはずもない。

「これはもっと大きな仕事に繋がる中継地点……でも、だからこそ最高の歌を聴かせないとね」

自分に言い聞かせるように口中に呟き、千秋は控室の壁の向こう側にこことは違うどこかを見ているような
面持ちで出番を待った。

やがてショーが始まり、彼女の番が回ってくる。
所詮は前座の新人歌手と軽んじられても、今は全力を尽くすのみと決め込んだ彼女の歌声は、
一切の恐れも緊張も振り切って、堂々とホールに響き渡っていた。

千秋の出番が終わってしばらく経ったとき、一人の男が彼女を訪ねてきた。

背の高い痩身に仕立てのいいスーツを着込み目元をサングラスで隠した男は、どこか飄々とした態度で
「実は私、貴女のファンでして」と言い、口元をにたりと歪めた。

「私の見るところ、貴女はショーの前座などで収まるような人ではありません。
 そちらさえよろしければ是非、貴女を支援させて頂きたいのですが」

泰然とした薄笑いを浮かべたまま言う男の印象は、ハッキリ言ってしまえばあまりにも胡散臭い。
スポンサーの申し出なら願ってもないことだが、デビューして間もない自分にそんな話が転がり込むのも
出来すぎな話だ。
冗談で言っているか、そうでなければ身体目当ての不埒者かと当たりをつけた千秋は、牽制するように言った。

「申し出はありがたいのですけれど、私をそこまで評価してくださるのは何故かしら?
 自分で言うのもなんですけど、私はデビューしたてで知名度もない新人です」

千秋の言いように、男は喉奥からひきつったような笑いを絞り出す。

「クッククク……ええ、それなんですがね。実は、貴女が例の『歌姫』のことを探ってるっていうんで、
 それをきっかけに貴女のことを知ったんですよ。『歌姫』に会いたがっている女性がいるってね。
 そうでしょう?」

「……確かに、色々な方に『歌姫』のことをお聞きしました」

「ですが笑えますねぇ? あんな素人の歌手気取りが『歌姫』だなどと」

唐突に言い放った言葉に絶句した千秋の顔を見やり、男は口元の笑みを深くした。

「所詮は無責任なメディアのつけた呼び名にすぎません。あの女は史上最低の出来損ないです。
 多少運がいいというだけであんなに持て囃されているんですから、世の中不公平ですよねぇ?」

「……あなた、『歌姫』の何を知ってるの」

目の前の得体の知れない男に対する警戒感はあったが、それ以上にこの一方的な言い方に反発する
気持ちが勝っていた。驚きと、多少の怒りを滲ませた顔を向け、千秋は言葉を継いだ。

「『歌姫』が技術の面では未熟だっていうのは私にもわかっているわよ。これでもプロのはしくれだもの。
 でも、あの聴いた人の心を動かす歌は——」

「そりゃあ心も動くでしょうよ。あれは全部、能力のおかげなんですから」

「え……?」

「どうも世間は誤解しているようですがね。あれは歌声によってカースを浄化する能力ではなくて、
 他人の心に干渉して操作する能力なんですよ。だからカースも鎮まるし、浄化もされる。
 聴いた人間の心を鎮めるくらいわけもない」

「嘘……そんなこと……」

「貴女が心を動かされたのだとすれば、歌に感動したんじゃなくて、感動『させられた』にすぎません」

言葉を失った千秋に、男はさらに畳みかけた。
まるで、彼女を追い詰めるためにしているかのように。

「ああ、なんたる悲劇でしょうか! 貴女のような素晴らしい歌手がひと山いくらの前座止まり。
 それに引き換え、ただ能力を持って生まれたというだけの女が、カースを浄化する謎に満ちた歌姫ときた!
 こいつは実に悲しく、滑稽で、腹立たしい……」

芝居がかった男の言葉は次第に熱を帯びていく。
それと正比例するかのように、徐々に千秋の心に暗い影が差す。

「そうさ、黒川千秋! お前はあんな山師の歌に感動して、あまつさえ会ってみたいとさえ思ってたのさ。
 薄皮一枚剥いだ下はなんてことはねぇ、ただの狡っからい小娘だってのになぁ。
 奴の能力で自分の感性を歪められたことさえ気づいてなかったんだよ」

「やめて……! 嘘よ、そんなの嘘に決まってる!」

「嘘だと思うならもう一度『歌姫』の歌を聴いてみろよ? きっと気分が落ち着くぜ。クッククク……」

男がテレビのリモコンを手に取って電源ボタンを押すと、千秋は今度こそ言葉を失った。
何かの記録映像か、それともニュースか何かの録画か——街にカースの溢れたあの日の映像が、テレビに
映し出されたのだ。

やがて青空の端からヴェールを剥ぐように宇宙船が姿を現し、『歌姫』の姿が虚空に投影される。

流れ出したメロディも、何度も口ずさんだ歌い出しの歌詞も、あの日と同じ。

そして。

「————!!」

彼女の歌声を聴いた瞬間、自分の心から不安と動揺が嘘のように引いていくことに——

千秋は気づかずにはいられなかった。

「クッククク……ヒャーッハッハッハ!! 可哀想だねぇ、千秋ちゃんよぉ!
 気分はどうだい? 悔しいか? 妬ましいか? 腹立たしいかぁ?」

へたり込んだ千秋には、もう男の嘲笑さえ聞こえていなかった。
ただ、空っぽになった頭が、自分の内側からじわじわと湧き上がってくる何かを感じ取っていた。

「おっとぉ? 絶望のあまり声も出ねぇか。ま、そっちの方が都合がいいけどよぉ」

押し寄せてくる絶望——絶望? どうして?

「いくら努力したところで、お前は『歌姫』にはなれねぇんだよ。なにせお前は無能力者、
 何にも持たねぇただの小娘なんだからよぉ」

何故こんなにも、『歌姫』に裏切られたと感じているの?
何故こんなにも、『歌姫』のことが妬ましいの?

「お前の感じる心なんてものは、如何様にも歪められちまうような脆いものだったのさ」

あのときの自分が持ち得なかった何かを、自分も得られるはずだと無邪気に信じていたから?
あのとき感じた優しい気持ちが、他でもない自分の心から発したものだと確信していたから?

それが、彼女によって強制された感情だとも知らずに。

「クッククク……安心しろ。俺が手助けをしてやるよ……その悔しさ、腹立たしさを晴らす手助けをなぁ」

虚ろな視線の先で、ころん、と何かが床に落ちて転がった。
ピンポン玉くらいの大きさの透き通った球体が、照明を反射してぎらりと輝き……。

「せいぜい、いいカースを生んでくれや」

千秋の内奥に渦巻いた感情に引き寄せられたそれは徐々に色を変え、紫色の光を放ちながら彼女と同化した。

——————————

使った試しのない脳の領域が蠢き、熱を帯びるのを感じながら、千秋はゆっくりとステージに立った。

視線は虚空を見据え、闇の色をした瞳は、深く、昏い。

やがて千秋は、スポットライトの下で静かに歌い始めた。
伴奏もなく、スタッフもいない。観客は、客席にひしめく『泥』だけだった。

「————♪」

歌声と共に『泥』が蠕動し、不定形の肉体は徐々にその形態を定めていく。
薄暗いホールの中にひときわ濃い闇を形作るように、大量のカース達が黒い泥の身体を蠢かせ、
千秋の歌が終わる頃には、一本角を生やした大蛇が客席を埋め尽くしていた。

憤怒、嫉妬、絶望——様々に名を持った暗い情動を掻き立てる歌声を聴きながら、舞台袖に立っている
ふたつの影があった。



「これでよかったか? 瑞樹ちゃんよぉ」

「ええ……素晴らしい素材を見つけてくれたわね。歌でカースを活性化させるカースドヒューマンなんて」

「俺がその気になりゃあ、人間如きを大罪に堕とすくらいわけねぇよ。ところで例の件だがよぉ」

「うふふ……私に協力しろっていうんでしょう? わかるわ」

「クッククク……ま、仲良くやろうぜ。サタンの野郎をブッ殺す役は譲ってやるからよ」

「じゃあ、せいぜい役に立ってもらおうかしら。うふふっ……」

黒川千秋
20歳
大学生
『嫉妬』のカースドヒューマン。歌の道で頂点を極めたい新人歌手。
レヴィアタンと取引をした憤怒Pことティアマットによってカースの核を埋め込まれた。
一本角を持つ蛇のカースを生み出す能力と、歌によってカースを活性化させる能力を持つ。

イベント情報
・憤怒Pとkwsmsnは……ズッ友だョ……!(棒)

加蓮に代わる2代目の嫉妬のカースドヒューマン登場
おぐやまさんの能力って下手したら洗脳だよなぁと思いながら書いた

>>566
× そのためには歌手業とアイドルを両立もしてみせるし、どこまでも歌の道を追求していく覚悟だ。
○ そのためには学業と歌手を両立もしてみせるし、どこまでも歌の道を追求していく覚悟だ。

これはケジメですなぁ……

世間は憤怒の町で賑わってるけど
そんなの関係ねえのばかりにお爺ちゃんっ子投下します
カミカゼお借りしてます

——


桃華「カースドウェポン計画?」


これは、まだ死神ユズに『人類の敵』と言う容疑すら掛かっておらず、

櫻井財閥にまだ巨大な権力があった頃の話。

屋敷の中で『強欲』の悪魔と野心に燃える男は、とある計画について話していた。


サクライP「武具にカースの核を埋め込む事で、」

サクライP「カースの力を武器として扱うことをできる。そう言った趣向の計画でございます。」

サクライP「発想のヒントはキングオブグリードが発生した際に、」

サクライP「その中心にあったとされる特殊な銃に関する映像記録です。」

サクライP「察するには、カースの核からエネルギーを引き出して、利用していたようで。」


桃華「ウフ、面白いですわね♪」

桃華「カースの核をそんな風に扱うなんて、よっぽど変わり者なんでしょう。」


サクライP「おそらくは、アンダーワールドの『テクノロジスト』の仕業でしょう。」

サクライP「もっとも彼らはまだ『カース』に関しての研究はあまり進めてはいないはず。」

サクライP「魔法銃を作り出した『テクノロジスト』は、彼らの中でも少し外れた部類かと思われます。」


桃華「変わり者の中の変わり者。と言ったところですわね♪」

桃華「そう言うお方、わたくし好きですわよ♪」

桃華「それで、計画と言うからには、Pちゃまはその銃を再現しよう。となされてるのかしら?」

サクライP「いえ、銃だけに留まらず多くの兵器にその技術を流用できれば良いと考えてます。」

桃華「なるほど、聞くだけで面白そうな話ではありますわ。」

桃華「けれど、Pちゃま。精神を侵されずにカースの核を武器に加工するなんて本当にできるんですの?」


サクライP「・・・・・・件の『テクノロジスト』がどのような手段を使い、」

サクライP「カースの核による精神汚染を防いだのかはわかりません。」

サクライP「ですが、私達はカースの核に精神を侵されない者達がいることを知っています。」

サクライP「その一つが、カースの呪いの持つ属性そのものを司る存在。」


桃華「わたくし達、悪魔ですわね。」

桃華「当たり前の事過ぎて、言われるまで気づきませんでしたわ。」

桃華「確かに、わたくし達ならカースの核に精神を侵されず、核を扱う事ができますわね。」

桃華「もっとも、わたくしには武器製作に関する知識がありませんから、」

桃華「『カースドウェポン』の製作はできませんけれど。」

桃華「『イルミナティ』に属する悪魔であれば、その手の技術に詳しい者がいそうですわ。」

桃華「けれど、彼女達に借りを作りたくありませんわね。わたくしとは反りが合いませんもの。」


サクライP「いえ、今回は彼らの手を借りずともよいのです。」

サクライP「財閥には、他にも心当たりがありましたから。」


サクライP「悪魔以外に」

サクライP「カースの呪いのエネルギーに精神を侵されることなく、核を加工することが出来るであろう。」

サクライP「ある種族の、武器職人にです。」


サクライP「そして既に、その者には話をつけております。」

サクライP「財閥の資産と研究施設を好きなだけ使ってよい。」

サクライP「その代わり、どんな形でもカースドウェポンを開発せよ。と」


桃華「手が早いですのね♪」


サクライP「カースドウェポンが完成すれば、」

サクライP「貴女様の『強欲』なる悲願に、また一歩近づくことになるかと。」


桃華「ウフフ、楽しみにしてますわ♪」



しかし、この計画は、

後の死神騒ぎで財閥が傾いた事によって、志半ばで頓挫してしまうことになる。

現在、財閥の所有していたカースドウェポンの研究施設は既に解体されてしまったそうだ。


そして、その研究の成果は闇に葬られる・・・・・・


と言う事には、どうやらならなかったらしい。

——


「い、いや・・・・・・。」


その少女は絶体絶命の危機であった!


『うまそううまそう』
『ジョーチャン、ワシラトツキアッテクレヤー』
『フンガァアアアアア』

なんの前兆も無く、突如地面から現れた3体のカース!

『暴食』!『色欲』!『憤怒』!

抵抗する術のない少女はあっという間に囲まれてしまった!

「だ、だれか・・・・・・助けて!」


だが心配ご無用!


カミカゼ「待たせたな!」

この時代!

誰かがピンチとあれば、ヒーローは必ず駆けつけるからだっ!

現れたヒーローはアイドルヒーロー同盟の特攻戦士カミカゼだぁあ!!!

『へへへ???』
『ナンヤナンヤ』

突然のヒーローの来襲に混乱するカース達!

カミカゼはその隙に素早く近づき

カミカゼ「オラァア!!」

『ヘヴンッ!!!!』

駆けつけ一発っ!!

カミカゼの容赦ない拳が炸裂っ!!まずは1体が爆散!!!

残り2体のカースは現れた存在が敵である事にやっと気づき、

その体から幾つもの太い触手を繰り出す!

だが、それは遅すぎたっ!

触手が向かった先には既にカミカゼの姿はなく、


カミカゼ「怪我はないか?」

「は、はい!その、あ、ありがとうございます!」

瞬く間にカース達の間を抜き去ったカミカゼは、

少女を抱きかかえ、救出していた!

カミカゼは少し離れた安全な場所に少女を降ろし、逃げるように促す。

そして自身は、残るカース達と向き合った。

獲物を奪われたそいつらは何とも判別の付かない言葉で吼えている。


カミカゼ「さて、後はお前達を料理するだけだな。」

カミカゼ「あいにく今回は仕事じゃねーからよ。」

カミカゼ「テメェらザコ相手に、派手に戦う必要もねぇ。」

カミカゼ「一瞬で終わらせてやるっ!」


カミカゼがセリフを言い終わると同時に、カース達が襲い掛かる!!

そして!!

・・・・・・


カミカゼ「ふぅ・・・・・・これで終わり、だな。」


そう言って、赤色に輝くカースの核を握りつぶし砕く。

ああ、哀れカース。

彼らは見せ場も無ければ、必殺技を使われるまでもなく。

台詞通りに一瞬で終わってしまったのだった。

カミカゼ(しかし、最近はカースも活発になりやがったな・・・・・・。)

カミカゼ(例の大量発生って言うのが関係してんのかね。)


そんな思考をしながら、カミカゼこと、向井拓海は変身を解き、

辺りの状況をきょろきょろと伺う。

以前、自分の攻撃に人を巻き込んでしまってから、

戦闘の終わりには、必ず戦いに巻き込まれた人間がいないか確認を行うようにしていた。


拓海(とは言っても・・・・・・同盟に入ってからは特に気をつけてるし、)

拓海(今回は周りに迷惑かかるような攻撃はしてな・・・・・・)

拓海(・・・・・・あ?)


居た。

戦場から少し離れた場所に、人が倒れていた。

嫌な汗が流れてくる。


拓海(嘘だろ・・・・・・もしかして、またやっちまったのか?)


すぐさま駆け寄る。

拓海「おい、アンタ!しっかりしろ!」

肇「う、うぅ・・・・・・おじい・・・ちゃん。」

その娘は一目見た限りでは、怪我はないように見えた。

拓海「大丈夫か!?」

肇「お、お腹が・・・・・・。」

拓海「腹が痛むのかっ!?!」

肇「お腹がすいた・・・・・・。」

拓海「・・・・・・は?」


ぐー

辺りに間抜けな音が響く。


拓海「・・・・・・。」

拓海(ただの行き倒れかよっ!)

どうやら腹が減って、たまたま近くで倒れていただけらしい。

戦いに巻き込んだ訳ではないと分かり、少しだけ安心する拓海。


肇「ご、ごはん・・・・・・。」

拓海「っと、いけねぇ。安心してる場合じゃねぇな。」

拓海「しっかりしろ、すぐ何か食わせてやるから。近くのファミレスにでも入って・・・・・・」

肇「あの・・・・・・。」

拓海「どうした?」

肇「できれば、うどんがいいです。」

拓海「指定するのかよっ!?」

——

肇「つるつる」

拓海「・・・・・・。」

肇「もぐもぐ」

拓海「・・・・・・。」

肇「ごっくん」

拓海「・・・・・・。」

肇「すみません、おかわりいいですか?」

拓海「おい、何杯目だ。それ。」


とりあえず拓海は、彼女を連れてたまたま近くにあったうどんチェーン店に入ったのだった。

席に着くなり、彼女はそれはもう凄い勢いでうどんを食べ始め、

気がつけば5杯目である。


拓海「そんなにうどん好きなのか?」

肇「いえ、普通ですけど。」

拓海「好きじゃねーのかよっ!」

肇「あ、でも器はいいどんぶり使ってますね。」

拓海「聞いてねえっ!」

拓海「しっかし、まあずいぶんと腹減ってたんだな。」

肇「お恥ずかしながら・・・・・・慣れない土地に出てきたばかりで。」

よく見れば、この娘荷物が多い。

特に目を引くのが背中に背負う細長い袋だろう。

その数七つ、何か棒状の物を仕舞っているらしい。

頭に巻いたスカーフも相まって、彼女の格好は少々変わって見える。

拓海(おのぼりさんって奴なのかね。)

拓海「・・・・・・一応聞いておくけど、金は持ってるのかよ。」

肇「かね?」

拓海「おい、そこからなのか。そこからなのに5杯も食べたのか。」

肇「あっ、お金!お金ですね!大丈夫です。」

肇「たしかおじいちゃんに持たされたのが・・・・・・この辺りに。」

拓海「本当に大丈夫か?」

肇「・・・・・・。」

拓海「・・・・・・。」

肇「お、落としたみたいです。」

拓海「おいっ!」

肇「その・・・・・・すみません・・・・・・・。」

拓海「くっ・・・・・・だぁっ!もう!仕方ねーな。」

拓海「ここの御代は持ってやるから!だからそんな泣きそうな顔すんなっ!」

肇「えっ!そんな、悪いです。」

拓海「でも払えないんだろ、だったら甘えとけよ。」

肇「・・・・・・ありがとうございます!」

肇「ふふっ、あなたいい人ですね。」

拓海「うっせー」

拓海「私は向井拓海だ。アンタ、名前は?」

肇「あ、自己紹介もまだでしたね。ごめんなさい。」


肇「藤原肇と言います。出身は鬼の里。」

肇「鬼匠・藤原一心の孫娘で、刀匠見習いをやってます。」

拓海「んあ?」

鬼、鬼と言ったかこの娘。


拓海「鬼って言うと、あの鬼か。」

肇「はい、あの鬼ですよ。」

事も無げに返答する娘。


拓海「・・・・・・とてもそうは見えねーな。」

能力に目覚めてから奇天烈な知り合いが増えた拓海。

私鬼なんです!などと言われても軽く流せる程度にはなってしまったが、

目の前の娘は、それなりに奇抜な格好こそしていても見た目は普通の人間の女の子に見える。

拓海のイメージする毛むくじゃらで筋肉質の、いかにも乱暴そうな鬼とは正反対だ。

肇「では、これでどうでしょう?」

ハラリと、肇は頭に巻いていたスカーフを外す。

拓海「・・・・・・なるほどな。」

そこには小さな二本の角。

拓海(ちょっと可愛いな。)

拓海が納得したのを確認すると、肇はスカーフを巻きなおした。

肇「私のおじいちゃんが鬼で、おばあちゃんは人間。私はクォーターと言う事になりますね。」

肇「拓海さんはいい人そうなので教えましたけど、他のみなさんには内緒にしてください。」

拓海「ん、わかった。」


拓海「それで、その鬼の孫娘がどうして人里で行き倒れてたんだ?」

肇「この辺りには刀の材料を探しに来たんです。」

拓海「刀、ねえ。そう言えばさっき刀匠とか言ってたな。」

拓海「その背中に背負ってるのもやっぱり刀なのか?」

肇「見ますか?」

そう言って肇は背中にある七の袋の内、一つを取り出した。

赤地に色とりどりの花が描かれたその袋から出てきたのは、

やはり一本の刀であった。

拓海(そんな物をこんな場所で取り出していいのか。)

と思ったが、周囲に気にしてる人間は特に居ないようなので軽くスルー。

鮮やかな真紅の鞘に、輝く龍模様の金細工。

鍔にも同じく龍が模られ、柄の頭には宝石まで備付けられております。

ただただ見た目に豪華だとわかるその一品。


肇「日本一の刀匠であるおじいちゃんの渾身の傑作。」

肇「『鬼神の七振り』のうち一本。」

肇「日本一、キレる刀。」

肇「その名を『戟王丸』と言います。」


拓海「ほう」

と、感嘆の声を出したものの、実はそれほど感心した訳ではなかった。

刀の事はよくわからないが、何事もやはり肝心なのは見た目より中身だろう。


しかし、そう思いながらも、その刀の姿に何処か引っ掛かるところがあった。

取り付けられた真っ赤に輝く宝石。

つい最近どこかで見たような。


拓海「・・・・・・それ、カースか。」

肇「拓海さんはよくご存知ですね。」

肇「如何にもです。これはカースの核ですよ。」

鬼の少女は肯定する。

拓海「なんでまた、刀にそんなのくっついてるんだ。」

肇「おじいちゃんの作る刀は普通の刀じゃありません。」

肇「摩訶不思議な神秘を帯びた刀。言うなれば妖刀です。」

肇「おじいちゃんが鬼匠と呼ばれる所以でもありますね。」

肇「おじいちゃんの手で取り付けられたカースの核は、刀に特別な力を付与します。」

拓海「ぶっ飛んでるな、爺さん。」

嘘か真か、刀にカースの核を取り付ける事で刀に神秘が宿るらしい。


肇「この『戟王丸』は『憤怒』のカースの核を取り付けてあります。」

肇「だから、日本一キレる刀なんです。」

拓海「駄洒落かよ!茶目っ気あるな、爺さん!」


そこでふと思い出す。

拓海「『鬼神の七振り』って言ったな。全部で七本。」

拓海「カースの核も7種類・・・・・。」

拓海「って事は、肇の後ろにあるそれ全部か?」

肇「そうですよ。」

肇「『日本一、淫らな刀』『日本一、横暴な刀』『日本一、嫉妬深い刀』」

肇「『日本一、自堕落な刀』『日本一、大食らいな刀』『日本一、欲張りな刀』」

肇「それが、私の背負ってる残りの六本です。」

拓海「碌なの無いな・・・・・・。」

拓海「しかし、どんな形にしてもカースの核を持ち歩いてるなんて普通じゃねーな。」

カースの核は例え浄化されていても、放置していれば周囲の負のエネルギーを集め、

新たに呪いの異形を生み出す、存在するだけで危険なものだ。


拓海「しかもそんなのを七つだ。危なくねーのかよ。」

肇「危ないですよ。」

拓海「危ないのかよっ!普通に!」

別に加工してあるから安全と言う事もないらしい。


肇「ふふっ、心配してくれてありがとうございます。」

肇「けど私は1/4は鬼です。鬼の血を引いてるので、負のエネルギーの扱い方の心得はありますから。」

肇「カースの核もある程度は安全に扱えます。」

拓海「そうなのかもしれねーけどよ・・・・・・。」


続けて肇は語る。

肇「それに、『そこにあるだけで危険』と言うのは、元より刃その物も同じなんですよ。」 

肇「刀は心の鏡。それが危険であるかどうかはその柄を持つ者次第。」

肇「澄み切った心をもって正面から向き合えば、それは正しい力となります。」

拓海「カースの核も同じだって言うのか?」

肇「カースの核が集める力も、正しく心の力の一面です。」

肇「抑圧された心。負の感情。目を背けたくなる人の嫌な部分。」

肇「でもおじいちゃんは『それは必ずしも悪しき物になるわけではない。』って言ってました。」

肇「昔は『悪』だと断じられた、鬼だからこその考え方なのかもしれませんが。」


肇「きちんと向き合えば、負の感情も正しき力となる。」

肇「『鬼神の七振り』はおじいちゃんのそう言う思いが篭った刀なんです。」

拓海「なんつーか、すげえ爺さんだな。」

拓海(そんな風には考えた事もなかったが、言われてみれば分からなくもないかもな。)

言いながら拓海は自分の過去を振り返る。

力に目覚める前の事、後の事。自分の事や友達の事。


拓海「・・・・・・どんな力も使う奴次第ってことか。」

肇「ええ。この子達にもよい使い手が見つかるといいんですが。」

拓海「ああん?使い手だ?」

肇「おじいちゃんが言うには、刀には真に持つべき者が居るそうです。」

肇「『鬼神の七振り』は人間のために作った刀。持つべきは人間だろう。とも」

肇「私が人の街に出てきたのは、おじいちゃんの思いを汲んで、」

肇「この子達を正しく使ってくれる人を探すためでもあるんです。」

拓海「・・・・・・さっき材料を探しに来たって言ったのは?」

肇「それはまた別件ですね。」

拓海「その正しい使い手って言うのが、見つかったらどうするんだよ。」


肇「無論、刀を預けます。」


肇の目は真剣そのものであった。


拓海(んーっ、放っておいていいのか。これは・・・・・・)

向井拓海は悪と戦い、人々を守るヒーローである。

彼女には守るべき者を守らなければならない。と言う責任感がある。


だから目の前の、鬼の少女の目的を聞いて悩んだ。

カースの呪いを使った刀。それを見知らぬ誰かに渡すつもりであるらしい。

それは一歩間違えれば、惨事を引き起こしかねない事であろう。


しかし少女には悪事を為すつもりはない。

正しく扱えば、負の感情も力になる。

故に、正しく扱える人間を探しているのだと。


止めるべきか判断に困り、出した結論は。


拓海(・・・・・・今はいいか。)


保留であった。

拓海(いざとなったら、その時にアタシがケジメつけさせてやりゃあいい)

——

肇「今日はごちそうさまでした。」

拓海「おう、いいって事よ。」


肇が6杯目のうどんを食べ終わり、

7杯目のおかわりの許可を求めてきたので、却下して店から出てきた。

聞けばここまで来るのに何日も彷徨ってたそうで、腹が減ってるのはわかるが、

流石にそれ以上食べられると、安いうどんであっても財布に手痛いダメージを残しそうだ。

さる事情で給料少ないし。


肇「このお礼はいずれ必ず!」

拓海「おう」

拓海「それより肇はこれからどうするんだ?金ないんだろ?」

肇「しばらくはこの辺りを拠点にして、働けるところを探そうと思います。」

拓海「当てはあんのか?」

肇「いえ、特には。」

拓海「ノープランか・・・・・・」

拓海「仕方ねーな、ここで会ったのも何かの縁だろ。」

拓海「アタシも知り合いに当たってやるよ。働き口なら幾つかあるだろ。」

肇「えっ、いえ・・・・・・でもそこまでお世話になるのも。」

拓海「今更、遠慮してんじゃねーよ。」

拓海「ここまで来たら、知らん振りするのも返って目覚めが悪いってもんだろ。」

肇「拓海さん・・・・・・嬉しいです。ありがとうございます。」

拓海「いいってことよ。大船に乗ったつもりで任せときなっ!」

肇「ふふっ、本当に心強いです。」

拓海「そうと決まれば連絡先教え・・・・・・っと。」

拓海「鬼の里から出てきたんだよな、流石に携帯電話とか持ってねーか。」


肇「あっ、持ってますよ。スマホ。」

拓海「持ってるのかよ!!」

鬼の娘と言えども現代っ子と言うことか。

まあ、行倒れていたのを見ると全く使いこなせてはいないようで。

肇「家族が持たせてくれたんですよ。あると便利だからって。」

肇「ふふっ、心配性ですよね。」

拓海「心配なのはわかるけどな。行倒れてたし。」

肇「まあ鬼の里とは連絡できないんですけどね。圏外ですから。」

拓海「あー・・・・・・そうなんだろうな。」

妙に納得する拓海。

言いながらお互い連絡先を交換する。


拓海「って事は、普段は家族に連絡とかはしてねーのか。」

肇「いえ、手紙で連絡はとりあってますよ。」

拓海「手紙か、なるほど。古風だな。」

肇「例えば、鳥に手紙を持たせて、鬼のおまじないを掛けて里まで飛ばすことが多いですね。」

拓海「鳥ねえ。」


鳥。と聞いてふと、空を見上げる。


拓海「・・・・・・」

拓海「おい」


拓海「なんだ、アレ。」



『クレエエエエエエエエエッ!!!』


拓海の見上げる先。

そのカースは翼を広げ、空を飛んでいた。

街の中に突如現れた、空の怪物。


『クレエエエエエェェェェェエえええええ!!』


その姿に周囲の人々は慌てて逃げ始める。


拓海「あんなの始めてみるぞ。」


腕のような器官、足のような器官。触手のような器官。口のような器官。

そんな部位を持つカース達とは山ほど戦ってきたが。

翼のような器官を持ち、あまつさえ、それを広げて空を飛ぶカースなどはじめてみる。


肇「カラスみたいですね。」


なるほど、肇の言うとおり。

真っ黒な体、真っ黒な翼、獲物を探すようにギラギラと黄金に輝く目。

そのカースは巨大なカラスのようであった。

カースは空中から獲物を見定めると、

地上に急降下し、地面に接触するかと思えば、

その勢いのまま角度を大きく曲げて大空に飛び上がる。

それを何度も繰り替えして、

まるで餌を啄ばむかのように地上の人間に脅威を与えていた。


『クレッ!クレッ!!クレッ!!』


下品な鳥の鳴き声は、よく聞けばそれは物乞いの様に何かを欲する声。


拓海「属性は『強欲』か、あの目玉みてーに見えるところが核ってわけだな。」


拓海(この短い間に『暴食』『色欲』『憤怒』、そして『強欲』・・・・・・)

拓海(人の休日に随分と豪勢なことだな、おい)

拓海(近くでカース達のパーティーでもあるのかよ。)


それは近頃世間を騒がせるカースの大量発生の影響か。

あるいは『憤怒の街』の気にあてられた者達の邪念が、作り出してしまったものなのか。

もしくは別の何かの企みか。

拓海「いずれにせよ、やる事はいつもと変わらねえ。」

ヒーローとしてカースをぶちのめす。

だが、


拓海(アタシにあんな高い位置の敵と戦えるのか・・・・・・。)


今回の敵は鳥型のカース。

先ほど地上に降下する時の姿を思い返せば、

上下の機動力に、俊敏さも持ち合わせているようだ。

おそらくは空中戦を得意とするのであろう。

対してカミカゼが得意とするのは地上での肉弾戦。とにかく相性の悪い相手だ。


拓海(バイクで助走をつけてから飛び上がってのキック・・・・・・いや、とどかねえ。)

もっとも高度と威力を両立できるだろう先制の一撃。

しかしそれでも奴の滞空する位置には届きそうにはない。


拓海(降りてくる瞬間を狙って攻撃するのはどうだ・・・・・・?)

地上に向けて奴が体当たりをしてくる瞬間を狙って、迎撃する。

これを狙うならば、攻撃に高度が必要ではなくなる。

だが、この場合問題になるのは敵の機動力の高さ。

まともにパンチを狙いに行くのでは、接近する前に上下に退避されるのがオチだろう。

拓海(なら手は一つしかねえか。)


カミカゼの必殺技の一つ「ギガフラッシュ」

現在、彼女の持つ攻撃の中で唯一の飛道具。

奴の攻撃に合わせて近づき、向かってきたところに放てば、

その一撃で殲滅できるだけの威力もある。

ただし、チャンスは一回。

かわされればそれでお終いだ。


ギロリと、カースの目が拓海達の方を向く。

次はこちらに狙いを定めたようだ。

どうやらあれこれ考えてる暇はもう無いらしい。


『クレっ!!クレエエエエエエエエえええええッ!!』

空飛ぶカースがこちらに向かって急降下をはじめる。

拓海は、横に居る肇に下がってろと言おうとして、


肇「拓海さん、下がっていてください。」


先を越された。

肇が一歩前に出る。

拓海「おい、肇!まさかお前、アイツを」


拓海は、何か言おうとして


次の瞬間、彼女は炎に包まれた。


拓海「あつっ!?」

拓海「いや、ちげえ・・・・・・。」

急に発生した辺りの熱気に、まるで自分が燃やされるかの様な錯覚に陥る。


拓海が気づくと、肇は一本の刀を鞘から抜いていた。


そう、熱源の正体は、鞘から抜かれたばかりのその刀であった。

刀の名前は『戟王丸』。

外に晒された刀身は、燃え盛る様に紅蓮に煌き、

今にも周囲の全てを壊さんと、熱の篭った威圧感を放っている。

肇「この熱と光は、戟王丸が溜め込んでいた『怒り』の作り出したイメージです。」


辺りは熱気に包まれ、上空からカースが迫ってきているにも関わらず、

肇は先ほど拓海と話していた時と変わらぬ穏やかな口調のまま言葉を紡ぐ。


肇「お願いです、力を貸してください。」


そう言って、彼女は戟王丸を構えた。


拓海(この位置から?!)


その構えは、まるで今立つ地面から、はるか空の敵を切り落とせるかのような姿勢で。

そして、

肇「やああっ!!」


刀が振りぬかれる。


その瞬間、戟王丸に篭っていた怒りのエネルギーは開放され、

紅蓮色の斬撃が空間を真っ二つにしながら、怒号のように真っ直ぐと

空中の敵に向かい、駆け登る。

 

スパァン


と、軽快な音がが一度だけ響き、

それっきり辺りは静寂に包まれた。


降下中であった強欲のカースは音が響くと共に、その場で静止していたが、

数瞬の間の後、

その身体は左右に半分に割れ、

そのまま、空中で崩れ去った。


後には、ジリジリとした熱気だけが残り、

肇が戟王丸を鞘に収めると、その熱気も立ち消える。


肇「拓海さん、終わりましたよ。」

少女は穏やかに言った。

拓海の感情は

ずばり開いた口が塞がらないと言うそれだった。


なるほど、この刀を作ったやつは

伊達や酔狂でカースの核を刀に取り付けようと思ったわけではないらしい。


『日本一、キレる刀』と言う、うたい文句。

それも今聞けば納得するところである。


拓海「て言うか、」

拓海「刀からビーム出すのかよ。」


色々言いたいことはあったが、とりあえずはそこを突っ込んだ。


肇は鞘に納めた戟王丸を掲げる。


肇「こうしてる間にも戟王丸は、周囲から怒りの感情エネルギーを吸い取ってます。」


『憤怒』のカースの核を埋め込まれた戟王丸は、

常に周囲から『怒りの感情』を吸い取り、その内に溜め込む性質を持つ。


肇「溜めこんだ怒りを刀に乗せて振るう事で、怒りに志向性を持たせ、」

肇「怒りのエネルギーを特定の対象に放ち、ぶつけることができる。」

肇「それが日本一、キレる刀『戟王丸』の性質です。」


それが刀から、ビームが出た理屈らしい。


肇「ちなみに戟王丸の鞘には怒りを鎮める浄化の作用があります。」

呪いの刀に対して、鞘が浄化の力を持つ。

浄化の力を持つ鞘があるからこそ、カースの呪いを暴走させずに扱うことができる。

それが藤原一心の作り上げた『鬼神の七振り』の仕組みであった。

拓海(だから鞘から抜かれた瞬間に、威圧感放ってやがったのか。)


肇「鞘の浄化作用より、刀が怒りを溜め込む方が早いので、」

肇「時々こうして発散してあげないとダメなんですけどね。」

拓海「今のは刀のストレス発散ってことか?」

肇「最近は『憤怒』が活発みたいなので、戟王丸もストレス貯めこみやすくて。」

拓海「思春期かよ。」

そんな会話をしていると、空から何かが落ちてきた。


拓海「ん?」

拓海「なんだこれ」


果たして落ちてきたものは

拓海「がま口の財布だな。」

拓海「空から落ちてきたって事は・・・・・・あのカースが持ってやがったのか。」


『強欲』のカースは金品や宝石を集める性質がある。

先ほどのカースの、カラスの様に地上に降りてきて何かを啄ばむような動作。

アレは地上に落ちている金品を集めていたのだろう。


拓海(あんなデカイなりして、やってた事は意外としょぼいな・・・・・・。)

拓海(けど、あんなタイプのカースが出てくるとはな。)

拓海(カースも進化してやがるのか?)


肇「あっ。そのお財布、私のです。」

拓海「あん?じゃあ、落としたって言ってたのこれか。」


肇が落とした財布をカースが拾っていたらしい。

人の世を侵す、呪いもたまには役に立つことがあるようだ。

——

そうして、しばらく会話した後

彼女達はいずれまた会う事を約束して別れたのであった。


肇「拓海さん、本当に心が綺麗な人だったな。」


落とした財布を取り戻したので、肇はうどんの代金を払おうとしたが、

結局、拓海はそれを受け取らなかった。

曰く、一度おごると言ったのだから、それを撤回する様なかっこ悪いことはできないとのことで。


肇「拓海さんみたいな人なら、おじいちゃんの刀を正しく使ってくれると思ったんだけど。」

ちなみにその提案も断られた。

曰く、器じゃねーよ、とのことで。

肇としてはそんな事はないと思うのだが。


肇「いつかこの子達を受け取ってくれる人も、心が綺麗な人ならいいな。」

そんな思いを胸に、鬼の孫娘は今日も人の里を行く。


肇「あ、そうだ、新しい刀の材料も探さないと。」

肇「『日本一、罪深い刀』を作るために必要な『原罪の核』」

肇「そんなの見つかるのかなあ・・・・・・」


彼女が次に出会うのは、果たしてどんな人だろうか。


おしまい。

藤原肇(16歳)

職業:鬼の刀鍛冶見習い
属性:おじいちゃんっ子
能力:精神統一によって負の感情をある程度コントロールできる。

七本の刀を背負って人里までやってきた鬼の孫娘。
頭から2本の小さい角が生えてるが、普段は頭にスカーフを巻いて隠している。
鬼の血のおかげで僅かながら、多少の神通力は使える。
その背に背負う七本の刀は、彼女のおじいちゃんである鬼、藤原一心の作った怪作『鬼神の七振り』
これらの刀を相応しい人間に渡すために、おじいちゃんから預かってきたとのこと。
会話のたびに「おじいちゃん」の名前が何度も出てくるほどのおじいちゃんっ子。
おじいちゃんの作る刀は日本一だと信じている。
よくうどんが好きだと勘違いされるが、それほどでもないらしい。


藤原一心(???歳)

職業:鬼の刀鍛冶、鬼匠
属性:頑固爺
能力:妖刀、魔刀の製作。

藤原肇のおじいちゃんで、刀鍛冶をやってる鬼。
妖刀、魔刀の製作者として、ある界隈では有名だとか。
とある財閥の協力おかげで、カースの核を組み込んだ刀『鬼神の七振り』の製作に成功する。
『鬼神の七振り』は、本来財閥の手に渡るはずであったが、財閥が傾いてしまったために、
彼の作った刀が回収されることはなくなった。
しかし「人の為に作った刀は、人の世に渡るべき。」だと考え、孫にそれらを渡して旅に出す。
「目に入れても痛くないほど可愛い孫ほど旅させろ」派。
「やるからには完璧を目指す」と言う信念のもとに、今も「日本一、罪深い刀」の製作を目論んでいるようだ。

『鬼神の七振り』

刀匠・藤原一心の作り上げた七本の妖刀。
「呪い」の力をもって、「呪い」を討つための刀。別名、カースドブレード。
負のエネルギーの扱いに長けた鬼の手であるからこそ、作ることの出来た妖具。
七本の刀それぞれに七つの属性のカースの核が埋め込まれており、属性に応じた特有の性質を持つ。

『憤怒』 刀名「戟王丸」 日本一、キレる刀
『色欲』 刀名「???」 日本一、淫らな刀
『傲慢』 刀名「???」 日本一、横暴な刀
『嫉妬』 刀名「???」 日本一、嫉妬深い刀
『怠惰』 刀名「???」 日本一、自堕落な刀
『暴食』 刀名「???」 日本一、大食らいな刀
『強欲』 刀名「???」 日本一、欲張りな刀

いずれの刀も使用する度に、あるいはカースを切る度に負のエネルギーが溜まり、
放って置けばいずれ所有者の精神を侵す危険な刀だが、
専用の鞘に収めておくことで、刀に溜め込まれた負のエネルギーは浄化される。
浄化の力を持つ鞘のおかげで、使い手は刀の持つカースの力を暴走させずにコントロールできると言う仕組み。


『戟王丸』

『鬼神の七振り』の1本で、日本一、キレる刀。
鞘や柄は真紅に染められ、龍を模った金細工が飾られている。
柄の頭には『憤怒』のカースの核が取り付けられており、
鞘に収まってる間も周囲の怒りの感情から力を吸収する。
一度鞘から抜かれれば、集めていた怒りを一気に開放し、怒りのままに敵を一刀両断にする。
抜き身のまま置いておくと、周囲から莫大な負のエネルギーを集めるために
使用後は必ず鞘に収めなければならない。
鞘に収めた状態でも週に一度は溜まった怒りを開放する必要がある。
これを怠ると怒りの感情を制御できなくなるので注意すること。

無駄に長くなちゃッたけど
要は呪いの刀系の設定作りたかったんです、
反省はしてません

傲慢の刀をボ幸子が持てば日本一横暴な刀から世界一カワイイ刀にクラスチェンジできますね!(ドヤァ

横暴な刀以外は特に設定も行き先も決まってないので
使ってもらっても嬉しいなーって(チラッ

地底人とカースドヒューマンと改造人間は平気じゃないのかな?

究極生物の奈緒とその血で一部になってる加蓮は不明そうだけど……

フレちゃんデキター

後奏ちゃんに悪意があって、ボロクソに書いてるわけではないということは先に断っておきます
不愉快になったら本当にごめんね…

私ははたと地面に降り立ち、息を吸い込み肩をゴキゴキと鳴らした。

フレデリカ「ん……ふぅ、やっぱりシャバの空気は最高ね!」

久しぶりの友人との再開は、中々面白いものだった。
特にとなりに居た男は、中々変わった精神軸を持つ男だった。
彼女もなかなか面白いモノを見つけてくるものだ、と少し感心する。

フレデリカ「それにしても……お腹すいたー」

街を歩き、回りを見回すとすっかり、景色は変わってしまっていた。
前に来た時はハイカラさんが町並みを闊歩し、人間世界中心の時代の並を感じたものだった。
いや、ある意味今も激動ではある、そして何よりも今は面白い時代なのだ。

フレデリカ「…あ、アソコの洋風料亭なんていいかしら」

しかしだいぶ時代も変わったものだ、昔ならばこの外見で歩けば誰しもが振り返るものだったのだが……

フレデリカ「モダンタイムスってやつかしらね、果たして機械にこき使われる時代になったのかしら?」

だが昔雑誌に掲載されていた、銀色の流線型の乗り物も、妙にキラキラと光るような服も、顔がタコのように進化した人類も居なくて、いささかがっかりした。
とはいえ、昔よりも遥かに能力が向上した人間や、超能力に目覚めた人間、特殊な学術による魔術などの似非科学と。
少し前の人間に、ケッチョンケッチョンに貶された生き物たちは、今は我が物顔で街を歩いているようで何分面白い。
取り敢えずふぁみりーれすとらん、と外国語で銘打たれた店に足を運ぶと、そそくさとウェイターが出てきて忙しなく自分を案内する。

フレデリカ「あら、ハイテック」

店員「?(外人さんかしら…?)ご注文の際は、コチラのボタンをお押し下さい」

そう言うとつかつかと自分の仕事場に戻ってしまうのを見て、何分話をする間もないのかと呆れ返る。
まるで、地獄の死神蟻のようで幾分気持ちが悪い。

フレデリカ(これの中から食べ物を選ぶのかしら…?)

千枝「あ、あの……同じ席いいですか?」

フレデリカ「あらかわいい、どうぞ…ん?」

と言った瞬間、妙に鼻につく嫌な匂い、あの阿婆擦れパパラッチの匂いが鼻につく。

千枝「あ、あの、嫌……でしたか……?」

泣きそうな顔でコチラを上目づかいで見てくる、そんな目で見てたかしら……だけどこの匂い、間違いない。

フレデリカ「あなた、この写真の女と会ったかしら?」

そう言うと、世間一般では速水奏と名乗っている、アスモデウスの写真を佐々木千枝に見せる。

千枝「え…あ、はい」

突然まくし立てられ混乱する中、過去に自分があったことがある人間である、ということを思い出し、咄嗟にはいと答えたのを見て。
フレデリカは露骨に可哀想なものを見る目で、佐々木千枝を見つめた。

フレデリカ「可哀想に……あんな曲がりくねった、特殊性癖の塊みたいな女にマーキングされるなんて……けど、そう言うお年ごろだものね……」

うんうんと大げさにリアクションをとり、佐々木千枝はいささかこの人間が変な人に思えてきた頃。
宮本フレデリカは、笑顔で佐々木千枝の手を握って、元気付けるように言葉を付け足した。

フレデリカ「でも大丈夫、あの性癖が高じて相手が見つからず、他人の情交を見て自分を慰めるような女の力を、いとも簡単に跳ね除ける人たちが居るもの」

フレデリカ「あ、そうだ、これあげるわ知り合いが迷惑かけた駄賃と思って、貰っちゃいなさい」

千枝「え、あ、はぁ……」

そう言って手渡された髪飾りは、ウサギの形を模した可愛らしいもので、何となくで話を聞いていた千枝には素っ頓狂なものだった。

フレデリカ「可愛いでしょー?それはね、元々はウサギの足だったんだけど……あ、コレはただのウサギの形のお守りよ?安心して?」

フレデリカ「ウサギってスッゴイ足が速くて、子供をたくさん作るんだって、それでつけてると元気になるように、っていうお守りなんだって」

千枝「えっと……?元気?」

フレデリカ「あ、そうそう、元気、英語で言うとパワー!…違うか、あ、店員さんオムライス2つ、そうそう、元気のお守り」

フレデリカ「心がさみしい時、挫けそうなときに力をくれるって伝承が、海外にあるらしいのよ」

千枝「さみしい時…」

フレデリカ「そうそう、ああいう根暗の色情魔はそういう隅っこをついてくるの、いやらしいったらありゃしない」

フレデリカ「そんなんだからまともな相手が居ないのよ、それで後は自分の本当に大切なことを思い出すこと、コレも大事」

千枝「大切なこと…?」

フレデリカ「ああいう色キチだの、嫉妬キチだのはいつまでも同じ所に立ち続けて何がしたいのかしら?そんなんだから、悪魔だの龍族だのは衰退するのよ」

千枝「え…えっと?」

フレデリカ「ああ、ごめんねこっちの話、取り敢えず自分が何をしたいのかっていうのは、ハッキリさせたほうがいいわ若人さん」

フレデリカ「その為には精一杯悩みなさいな、考えこみなさいな、そしてちゃんと遊んで、食べるもの食べて自分が本当だと思えることをしなさい」

千枝「…はい!」

フレデリカ「あっ、年取るとすぐ説教みたいになっちゃってごめんね、あ、オムライス来たから食べなさい、料金は私が払っておくから」

千枝「え、でも悪いです……」

フレデリカ「いいのいいのー、人生の先輩に頼るのも後輩の仕事よ、任せなさい」

千枝「…じゃあ分かりました、代わりに名前を教えてもらえますか?」

フレデリカ「アタシの名前は宮本フレデリカよ、多分この街をうろついてるから、また会えるかもねー」

そう言ってフレデリカはオムライスを口元に運ぶと、満足気に食べ始めた。
何となく大切なことのような、何かをはぐらかされたような気持ちになりながら、オムライスを食べた…美味しかった。

————————

フレデリカ「いやーごめんね!まさか、このお金が使えないんとは思わなかったんだー」

そう言って、ひらひらと明治通宝拾圓札を振る。

フレデリカ「まあいいや、記念品と思ってこの封筒ごと上げちゃう、どーせ他に宛はあるし」

そう言って何か言う前に、千枝のカバンにスルリと投げ入れてしまう、千枝はこの人に勝てないなぁと思いつつ、話を続ける。

千枝「いえ大丈夫です、それにこのウサギさんのお礼もまだでしたし」

フレデリカ「うーん……こういう時はこういうんだっけ、God speed youってね」

千枝「え、えっと意味は……」

少しフレデリカは考えた後、ニコリと笑うと千枝に向かって笑顔で言った。

フレデリカ「次に会う迄の宿題よ、精々気張りなさい若いの」

そう言うと、フレデリカは手を振って町中に消えていくのだった。

宮本フレデリカ(アガレス)

職業

自由気ままな魔神

属性(ヒーローor悪役など)

嫌だなぁ、あっしはただの流浪人でゲス

能力

「たたずむ者を走らせ、走り去ったものを呼び戻す」力
分かりやすく言うと他人をあの手、この手で炊きつけ事態をかき回す力。

詳細説明

アガレスがはるか昔に人間に頼んで作った、タンパク質の塊にアガレス自身が入り込み、地獄から地上へのパスを得たもの。
見た目や機能、構造は完全に人間をモデルにしているが、肉体に元となる『魂』は存在しない。
そのため、『契約・許可無しで人間界に滞在した罪』『カースを生み出した罪』『契約していない人間に憑依した罪』等。
そのどれにも抵触しない(抵触しないよう、悪魔の法律家達を炊きつけた)
また、関わると碌な目に合わないため、大体の神様や悪魔からは嫌われていて、フレデリカ自身も大体の神様や悪魔を嫌っている。

関連アイドル

鷹富士茄子(古い友人)

はやみーが好きな人には本当に謝って置きます、すみませんでした

今日はここまで

乙乙です
このスレのはやみんがここまで言われるキャラになったのも◆3Y/5nAqmZMってやつの仕業なんだ

>>612
『暴食』の刀、設定お借りしてもよろしいでしょうかー?
アイデアがティン、ときたのですよ

あと、申し訳ないですが大和軍曹の予約は破棄します
どうにもまとまらなんだ・・・

乙ー

あれ?さりげなくkwsmsnもディスられてる?

それにしても千枝ちゃんはやみんにあった記憶覚えてるのか

(マジおこすてぃっくファイナリティーぷんぷんドリームの方が頭に過った…)

憤怒:泰葉「腹立たしいので王になります」
嫉妬:千秋「歌姫は[ピーーー]。慈悲はない」
強欲:桃華「マンモンちゃまは行ってしまいましたわ……」
暴食:ベル「美味しいものを食べれば私達はハッピーです?」
色欲:奏「ベルの絶望した顔が見たいな??(チラッ
怠惰:ゲームオーバー
傲慢:1050年地下行きっ……!

うーんこの

憤怒P・岡崎先輩煽って魔界侵略狙う?
kwsm・憤怒Pと同盟結んでサタンとキバに復讐なぅ
唯たん・イルミナティ暗躍中

アイドルヒーロー同盟・精神的に危ういメンバー多い
ネバーディスペア・チームワークも実力も結構ある
あやめ・決定打がそんなにない?
ナチュルスター・力はあるけど使い越せてない。精神的に子供。現在イヴさん裕美ちゃんにお世話になってる
光・まだ精神的に子供
丹羽・なんかあぶなかっしい
ベテラン魔法少女・実力と経験はあるが決定打不足?
おぐやまさん・能力は強いが攻められたらマズイ

こんな感じ?

流行りの憤怒の街に便乗して書いたのが完成したので思い切って投下します。



「………」


『憤怒』によって封鎖された街に至る地下鉄の線路上。

そこに彼女は居た。

件の街が憤怒に飲まれてから数時間。

未だにどの組織も突入の目処は立っておらず、それどころか少し前から憤怒の街からあふれるように出てくるカースの迎撃に手一杯であった。

無論、主要な道路や線路はGDF等の組織に封鎖されているが、それでも現代社会の複雑な交通機関全て………もっと言えば、工事中の地下鉄や細かい作業用通路など全てを押さえ込むには至らなかった。

人々の避難に防衛戦の構築、押し寄せるカースや目の前の惨劇や混乱に目を取られどうしてもほんの少しの抜け道ができてしまう。

そして、彼女———十時愛梨が居る場所も、そんな抜け道の一つであった。


———十時愛梨は、元『トップアイドル』だ。


彼女の事を知る人物たちは皆、口を揃えてこういうのだ。

『十時愛梨という女の子には、誰もが引き込まれるような、そんな天性のカリスマともいえる才能がある』、と。

しかし、そのカリスマだけで愛梨はトップアイドルになれた訳ではない。

未だに、頂点を手にした瞬間を思い出すとまるで夢物語のように感じてしまうが。

だが、それでも彼女は誰かを笑顔にしたくて、誰もを幸せにできるようになりたくてひたすら努力して最後には誰もが憧れる栄光を手にしたのだ。






———十時愛梨は、元トップ『アイドル』だ。


頂点に至るまでには、喜びも、悲しみも、痛みも、安らぎも全部あった。

一人なら、きっと潰れていたと思う。

だけど、愛梨には自分を導いてくれた先輩と、共に上を目指した仲間がいた。

そんな人たちがいたから、愛梨はたどり着けたのだ。


———十時愛梨は、『元』トップアイドルだ。


いつからだろうか……その称号が重荷と感じてしまうようになったのは。

いつの頃か、何を思って『アイドル』を目指したのかそのことさえ忘れてしまっていた。

そんな時に起きたひとつの事件。

愛梨が撮影していたテレビ局に何故か潜り込んだ、カースによる襲撃。

どうしようもなくて、自分の非力さが悔しくて、振り上げられた恐怖に怯えるしかなくて。

———そうして愛梨は『声』を聞いた。




———十時愛梨は、『元トップアイドル』だ。


気づいたときには愛梨は病院にいた。

傍らには見慣れない黄色のコート。

そして自分にしか聞こえない『声』。

見つかった時、愛梨はボロボロの状態であったが奇跡的に大きな怪我はなくカースは消えていたらしい。

………しかし、結局愛梨はこの時のショックを理由にアイドルを引退したのである。

「………やっぱり、後悔してるじゃないですかぁ」

「………うん、そうだね」

思い出に浸っている間に、愛梨の後ろにはいつの間にか日菜子が座っていた。

「きっと、私は後悔してるよ……そんな気がする」

一つ一つ、確かめるように愛梨は口を開く。

「いろんな人に会って、見て、少しずつ自分のことがわかったよ」

「逃げたことも、弱かった自分にも」

「……………」

「だけど、一番は…」

まだ明確な答えは持っていないが、それでもと思う。

「楽しい……って気持ちを忘れちゃった事、かな」

「………むふふ、愛梨さんならまたやり直せますよぉ」

「そうかな?」

「はい♪きっと大変だとは思いますけど、その時は日菜子達がいますよぉ」

「…ありがとう、日菜子ちゃん」

「いいえー♪………さて、この状況はさすがに日菜子達も放っておくことはできませんねぇ」

「うん…必死で頑張ってる人たちがいるんだもん、私たちだって動かないとね」


「そうですねぇ…余りにも偏ってしまうと『芽』にも悪影響ですし……むふふ」

そうは言うものの、日菜子はいつものように全く困ったような素振りを見せない。

「グオオオオオオオオ!」

「ナゼエエエダアアアア!」

「オマエラガワルインダアア!!」

そして、何度目かもわからぬカースの進攻。

呪いを吐き出しながら現れるカース———その数、9体。

「むふ……ここを誰かが気づいて向かってくるならそれはそれでいいんですよねぇ」

姿を現した瞬間、暗がりから飛び出した剣の群れが2体を壁に縫い付ける。

「うん、きっと地上からだとあの結界と瘴気もあるから難しいと思う」

すっと愛梨の姿が掻き消える。

「けど、ここからならカースさえ突破できれば、大丈夫なはずだよ」

と、次の瞬間には一陣の風と共に最後尾のカースの背後に現れ、反応する暇も与えず一体を真空の風の刃でズタズタに核ごと深く切り裂く。

残り、8体。

「ですけど、もし地上から突破できたらどうしますかぁ?」

縫い付けた二体を解体するが如く、無数の刃で切り裂き核を剥き出しにする。

「……その時は、二人で突入するしかないかな」

まるで風を掴むように、風を捻るように手を動かして小型の竜巻を作り出して固まっていた3体をまとめて天井に巻き上げる。


「むふふ…さすがにそれは少し苦労しそうですよぉ」

無造作に、むき出しとなった二つの核の前に立った日菜子にカースが襲いかかるが、まるで最初からそう決まっていたかのように日菜子はすり抜ける。

「だけど……ただ見てるだけは嫌だよ!」

天井に叩きつけられ勢いよく落下してくるカースの上方に再び愛梨が現れると同時に、ズバンッと一体が核ごと縦に切断される。

残り、7体。

「…仕方ないですねぇ……むふふ、王子様もそう思いますよね♪」

そうすることが当然であるように、片手でそばに浮かぶ剣を掴み弧を描くように投げつける。

瞬間、あらゆる法則を無視して巨大化した剣が襲いかかったカースと剥き出しの核をまとめて潰し切る。

残り、4体。

「……ありがとう」

呟き、落下して叩きつけられた二体のカースを風を螺旋状に回転させた擬似ドリルで核を抉りとる。

残り、2体。

「むふ……いいえぇ♪…だって日菜子は、みなさんが好きなんですよ?」

猛烈な勢いで突進してくるカースが、瞬き一つの間にその体から数多の刃を生やした。

残り、1体。

「うん、私も———」

「キエロヨオオ!!」

轟音と共に振るわれた腕が愛梨をとらえたが、風に吹かれた煙のようにその姿が溶けた。












「———『ヒト』が大好きだよ……ね、『ハスター』さん」










そうして、嵐を凝縮したような暴風がカースを背中から貫き、核を砕く。

残り、0体。


「さぁて、もうしばらくはここに留まるしかないですね……むふふ♪」

「ふふ…こんな時でも変わらないなぁ、日菜子ちゃんは」





———今はまだ、神性を宿した二人は人知れず暗闇の中で戦うのみ。





続く?


『ハスター』
→『名状しがたきもの』『黄衣の王』ともよばれる旧支配者の一体。
風の神性であり、愛梨と共生関係にある。
名前以外は謎が多い存在だが、とある新聞にあることないこと書かれたりした。

投下終了、勢いで書いた、後悔はしてないが反省はしています;

今回はとときんの過去を掘り下げるとともにさり気なく活躍させる準備をしてみました。

一応、どう状況が転んでも大丈夫なはず

それではお目汚し失礼しました。

乙ー

とときんカッコイイ

投下しまーす

周子さん、美玲ちゃんお借りします

白菊ほたるは困っていた。

GDFの兵器による街の壊滅で、どうしてこんな事が普通に起こるんだと恐怖を感じたり……

そのあと森になって「またナチュルスターか」「破壊された街を治そうとして森にしたんだな」とかの風評被害で落ち込んだり……

今回の憤怒の街の件で行こうとするも乃々と巴、はてはイヴさんにまで「危険だから今はやめた方がいいですよ〜?いくら、精霊の加護があっても三人共まだ未熟だから呑まれちゃいますよ?」と止められ、自分の無力感を味わってる事もあるが……

今回は関係ない。

ではなぜか?

それは…………

ほたる「えっと…美玲ちゃん。出てきてください……」

隅で隠れている眼帯をつけたフードの女の子に私は声をかけていた。

美玲「む、……無理っ!!う、…ウチにはハードルが高いというか……ううっ……」

ほたる「すみません……私じゃダメでしたよね……」

美玲「ちっ……違うっ!」

………っと、こんな空間が広げられていた。

ここはプロダクションのとある一室。

そこに、ほたると美玲は二人っきりになっていた。

人見知りの美玲にとってはやっぱりハードルが高く、隠れてしまい、ほたるはそれに対してどうすればいいのかオドオドしていた。

なんで、こんなことになっているのかというと……

遡ること一時間前。

ほたるはテレビの前で泣きそうな顔でニュースを見て、自分の無力さを実感していたときだった。

彼女の母親代りの恩人、柊志乃がいつものように、ワインを飲みながら何処かに電話していた。

そして、電話を切ると突然

志乃「ほたるちゃん。おでかけしましょ?」

と、誘ってきたのだ。

志乃さんから誘ってくるなんて、珍しいな。と思いながら、気持ちを少し切り替え、彼女は志乃について行った。

……出かける時もワイングラスとワインを持ってきている志乃は相変わらずだが……

そして、「プロダクション」についた志乃は、ほたるを連れ一人の女性に会いにきたのだ。

周子「いらっしゃい。志乃さん」

周子「この子が志乃さんの義娘さん?」

志乃「ふふ、こんにちは。周子さん」

志乃「ええ、紹介するわ。私の義娘のほたるよ。ほたるちゃん。この人は私の友達の周子さんよ」

ほたる「は、はじめまして!白菊ほたるです!し、志乃さんがお世話になってます!!」ペコリッ

慌てて、オドオドしながらも礼儀正しく挨拶するほたるに周子はおかしそうにクスリと笑う。

周子「始めまして、ほたるちゃん。そうかしこまらなくていいから」

志乃「それで、周子さん。あなたのお子さんはどこにいるのかしら?」

周子「ええ。こっちにいるよ。ついて来て」

そう言って、案内されたのがこの部屋である。

入って来た時、美玲は知らない二人を見て、慌てて周子の後ろに隠れながらコソコソと顔を出して、自己紹介をした。

詳しくは聞かされてないがどうやら彼女はカウンセリングみたいのをしてるらしい。

そしたら、突然、志乃さんが「じゃあ、私達は二人でお酒飲んでくるから、二人でお留守番しといて」と言うと、慌てるほたると美玲をよそに二人はそのまま部屋を出て行ったのであった。

そして、今にいたる。


ほたる「(えっと…、どうすればいいんだろう?……私と同い年くらいだよね?…)」

どう話題を切り出せばいいか、ほたるが困っていると、美玲が恐る恐る口を開いた。

美玲「……なあ、さっきのシューコと一緒にいた人……オマエの親か?」

ほたる「は、はいっ!え、えっと……志乃さんの事?」

ほたる「……志乃さんは本当のお母さんじゃないです。……詳しくは言えないけど、私両親を早くに亡くして、他の人達に色々言われて居場所がなくなってたのを志乃さんに拾われたんです…」

疫病神と呼ばれてたとか、死のうと思ってた事は伏せて、簡単に彼女に説明した。

どこか少し悲しげな印象を感じる。

それを聞いた美玲はジーッとほたるを見つめていた。

その様子にちょっと困ったようにオドオドしてると

美玲「…ほたるもシノと会うまでひとりぼっちだったのか?……ウチもシューコに会うまで周りにのけものにされてた……」

そう言われて、ほたるは思った。
この子も私と一緒なんだ…っと。

ほたる「そうなんだ…。美玲ちゃんは周子さんの事好きなの?」

美玲「……」コクッ

この日、似たもの同士の二人は、お互いの育ての親の事を話して、仲良くなっていたそうだ。


−−−−

志乃「周子さん。今日はありがとうね」

周子「こちらこそ。美玲もまだまだ人に慣れてないからコレを気に友達を作ってもらうのもいいかもしれないしね」

保護者二人は別の部屋で軽くお酒を飲んでいた。

どうやら、今回ほたると美玲を合わせたのは、ほたるの気分転換と美玲の人に慣れさせる為のようだ。


周子「それにしてもカースの活動がやけに活発すぎると思うけど、志乃さんはどう思う?」

お猪口に入った日本酒を一口味わうように飲みながら、未だによくわからない友人に聞いてみた。

志乃「何か大きい事が起こるのは確実じゃないかしら?憤怒の街も多分準備だと思うわ」

クイッとワインを飲みながら志乃は笑う。

志乃「けどね……周子さん。世の中って上手く回ってるのよ?何か大きい野望も小さな野望も世界にとって都合が悪ければそれは最終的には潰されちゃうの。世界って本当によくできてるわ。だから、焦らない。ほたるちゃんも焦って自滅しちゃいそうだし、こんな大変な時期こそ身体も心も落ち着かせるのが一番なのよ」

何処か懐かしむように、不適に微笑み、彼女はワインを流し込む。

周子「……志乃さんって本当に何者なの?人間の割には達観しすぎてるというか、なんというか……」

志乃「うふふ、女には秘密はつきものよ。秘密が多ければ多いほど美しくなれるの」

未だに謎が多すぎる友人をいぶしかむように見つめる周子に対し、彼女は優しく微笑む。







志乃「それより私は周子さんが京都の娘さんに迫られてることについてきになっちゃうわね」

不意打ちの一打が放たれた。





周子「!!!!ゲホッ!ゴホッ!!……し、志乃さん!?」

志乃「うふふ。今度、京都に遊びにいってみようかしら?周子さんの話すれば喜んでくれそうね」

周子「それだけは本当にやめて!」

プロダクションは今日も賑やかである。



そのあと、志乃さんが本当に京都へ行ったかどうかはまた別の話。

終わり

以上です。

ほたると美玲を合わせてみたかったんです……

自分で書いてて志乃さんの正体がわからなくなってきた。

乙乙です
友達がふえるよ!やったね美玲ちゃん!(オイ

周子が出ずっぱりになっちゃうけど、投下するよー!!
肇ちゃんお借りしてますー

京都、小早川邸。紗枝が退治屋の会合へ出席するため不在と聞いた周子は、縁側で珠美と談笑していた。

「・・・鬼の作った刀、ですか?」

「そ。知り合いがどっかのお偉いさんに頼まれて作ったんだけど、そっちで使う前に色々あったらしくてさー。今はお孫さんに使い手を探させてるんだって」

あいつが選ぶ相手なら間違いは無い、なんて孫バカだよねー、とかんらかんらと笑いながら周子は振り返り、

「・・・あれ、何かあんまり興味ない感じ?」

きょとん、とした顔のままの珠美を見て以外そうな声をあげた。

「興味がない、と言えば嘘になりますが・・・珠美には、西蓮が居りますので。今は、他の刀を持つ気はありません」

『ま、珠美とマトモにつきあえる刀なんざ、オレ様以外にゃそうそう無ェだろうよ。並の刀じゃァこいつのバカ力ですぐひん曲がっちまう』

「・・・一応、フツーの刀のはずだよね、西蓮って」

人の身で鬼と恐れられた武人の魂を宿し妖気を纏うとはいえ、西蓮は本来妖怪退治に使う為に作られた専用の刀ではない。

欠けず、曲がらず、折れず、という性質を得たことで結果的に妖怪にも通じる刃を手に入れただけで、紗枝のとっておきのような『そのための刀』とは別物なのだ。

それを軽々扱い、妖怪どもを斬り伏せる珠美ともども末恐ろしいもんだ、と胸中でつぶやいた周子は、『その気配』を感じて溜息をひとつ。

「ありゃー、紗枝ちゃんがお出かけしてる時にこれかー。珠ちゃん、一人で大丈夫?」

「ご心配には及びませんよ、周子殿。これでも珠美は、紗枝殿から直々に留守を任されたのですから。行きますよ、西蓮!」

『オゥ、ちゃちゃっと終わらせてやろうじゃねェか』

そう言って、呼び出した鳥型の式神の背に飛び乗り、気配の方へと向かう珠美。

「・・・なーんか、変なカンジするんだよねぇ・・・ついてった方がいいかなー」

その背を見ながら、普段よりも幾分真面目な面持ちで、周子はぽつりと呟いた。

シュゥゥゥ、と耳障りな音を掻き鳴らし身をくねらせる、10メートルはあろうかという大蛇を前に、珠美は苦戦を強いられていた。

「っ、はぁっ!!」

跳びかかって来た大蛇を最小限の動きで躱し、すれ違いざまに一閃。胴の中ほどから真っ二つにされた大蛇は、のたうちまわりながら周囲にあった木に噛みついた。

『・・・チッ、どうなってやがんだ、アイツぁよォ!?』

そしてそのまま、大木をバリバリと『喰らう』と、斬り落とされたはずの身体が、断面から見る見るうちに『新しく生えてくる』。

『周りのモン喰って回復するだァ?ヘビ野郎にそんな力があるなんざ見た事も聞いた事もねェぞ・・・!』

「斬っても斬ってもキリがありませんね・・・どうしたものか」

幾度となく胴を両断し、首を落とし、尾を斬り裂き、そしてその度に周りの何かしらを食うことで元通り。

短時間ですでに何度繰り返したか、流石の珠美も息が上がり始めていた。

「・・・頭から、縦に斬り込みます。物を飲み込めない身体にしてしまえば、あの回復能力も封じられるはず・・・!」

『はッ、下手打ちゃぁそのままパックリ丸呑みだな。だが、それしか無ェか・・・!』

西蓮を大上段に構え、大蛇を誘い込まんとする珠美。果たして大蛇は隙だらけの珠美を呑みこまんと顎を開き跳びかかる。

「今、っぐぁっ!!?」

『ッ、珠美ッ!!』

好機、と斬りかかった珠美は、不意に横あいから襲いかかった衝撃に吹き飛ばされる。歪む視界の端に、叩きつけられた大蛇の尻尾がちらついた。

(頭は、陽動でしたか・・・不覚ッ・・・)

ぐらつく頭を抑え、痛みに顔を顰めながら立ち上がった珠美は、取り落とし地面に転がった西蓮を回収しようとする。しかし、振り回される大蛇の尾が邪魔をして西蓮の元へとたどり着くことができない。

「くっ、こいつ、何故こんなに執拗に、っあぅっ!!」

背中を強かに鞭打たれ、珠美は再び吹き飛ばされ宙を舞う。

「か、はっ・・・ぁ・・・」

服の下に仕込んだ護符を以てしても、あまりの衝撃に呼吸もままならない。朦朧とする意識で、それでも大蛇に向きなおった珠美は、そこに信じられない物を見た。


「・・・・・・ぇ」

『なッ・・・』


大蛇が、西蓮の柄を咥え、持ちあげる。そしてそのまま、


「・・・・・・さい、れん・・・?」


するり、と、呑みこんでしまったのだ。


シュゥゥ、と満足げに一つ息をついた大蛇は、巨体を引きずりその場から去っていく。

目の前で起きた事へのショックか、それとも全身にこびり付いた鈍い痛みのせいか。

立ち上がることすらできずに、珠美は霞む視界に、悠々と逃げおおせる大蛇の姿を、黙って見送ることしか出来なかった。

「・・・ちょっと厄介だね。あの妖怪、どうにも『カースの核』を取り込んだみたい」

幾らなんでも遅すぎる、と様子を見に来た周子に手当を受けながら、珠美はあの大蛇についての情報を聞かされた。

何らかの方法で『暴食』の核をその身に取り込んだことで、失った身体を周囲の物を『喰らう』ことで修復する能力を得たのだという。

「しかも、厄介なのはそこじゃなくてね。妖気だったり魔力だったり、そういう物を取り込むことで、自身を強化することもできる」

執拗に西蓮と珠美を引き離そうとしたのはそのためだ。妖刀である西蓮を喰らうことで、その力を取り込むのが目的だったのだ。

「正直、今のままじゃ厳しい。紗枝ちゃんにすぐ戻ってもらうように連絡はしたから、一旦体制を立て直すよ」

「・・・・・・取り込まれたものは、その後、どうなるのですか」

ぼそり、と力なく問いかける珠美に、周子は一切を隠すことなく告げる。


「・・・・・・恐らく、もう完全に一体化してしまった。西蓮を取り戻すのは、正直言って諦めた方が良いかもしれない」

「・・・周子はんでも、どうにもなりませんか」

「あたし、これでも妖怪だからね。下手にあいつを刺激すると、余計に凶暴化するかもしんないし」

人間に友好的とはいえ、妖怪である周子は本来の性質はカースらに近い。現在この場において、あの大蛇に対峙しうるのは紗枝と珠美しか居なかった。

「・・・ぐ、ぁっ・・・!」

「・・・やっぱり、あきまへんか」

その珠美も、西蓮が無くては戦いようが無い。小早川の持つ妖刀を使おうにも、今の傷だらけの珠美ではその妖気を抑えられない。

「はぁっ、はぁっ・・・っ、ぐ、ぅぅ・・・っ」

幾度も刀を取り落とし、それでもまた拾っては構えようとする珠美の手を、周子が掴んで引き留める。

「珠ちゃん、ストップ。今の状態でそれ以上やったら、球ちゃんが壊れるよ」

「っ、はなし、て、ください、周子どの・・・珠美、は」

「・・・最終手段、ないこともない。今、紗枝ちゃんに式神飛ばして呼んでもらってる。だから、もうちょっと我慢して」

「・・・ちょうど、来はりましたえ」

周子の言葉に、珠美が俯いていた顔を上げる。それと同時に、紗枝の飛ばした式神が、来訪者を連れてきた。

「お久し振りです、周子さん。そちらのお二人は、はじめまして。刀匠、藤原一心の孫、藤原肇と申します」

「これです。日本一、大食らいな刀『餓王丸』。目には目を、歯には歯を、暴食には暴食を、です」

そういって、肇は珠美に一振りの刀を、周子曰く『最終手段』を差し出した。

西蓮に勝るとも劣らない大刀で、本来鍔のあるべき場所には深い藍色をしたカースの核が設えられている。

「この子なら、あるいは西蓮さんを取り戻せる可能性もあります。確実に、とは言い切れませんが・・・」

鞘から引き抜けば、獣の牙を思わせる荒々しい刃文を持った刀身が姿を現す。野性味と美しさを兼ね備えたその姿に、珠美は思わず溜息を漏らした。

「・・・いい、刀ですね」

「ふふっ、ありがとうございます。おじいちゃ・・・祖父も、それを聞けば喜ぶと思います。この子の能力ですが・・・」

説明を受けた珠美の目に、幽かな希望と、強い決意の光が宿る。

「・・・それなら、確かに西蓮を取り戻せるかもしれません」

「ですが、扱いの難しい子です。決して、無理はなさらないで下さいね」

再び大蛇と対峙する珠美。その後方には、紗枝と周子が控える。

対する大蛇も、天狗や鬼、その他様々な妖怪を引き連れ、さらに大きくなった巨体でとぐろを巻いて悠然と構える。

「周りの木っ端はうちらが引き受けます。珠美はんは、大蛇に斬りかかることだけを考えて」

「ヤバいと思ったらすぐに引っ張り戻すからそのつもりでね。あとは紗枝ちゃんにやってもらう」

「了解です。・・・では、行きますッ!」

だん、と強く一歩を踏みしめ、珠美はわき目も振らずに大蛇へと突進する。

立ちふさがろうとする妖怪どもは、紗枝の式神や周子の狐火が振り落とし、一直線に道を作る。

(肇殿が言うには、大きな相手を斬る際に最も適した場所は頭)

大蛇が動きだすより早く、とぐろを階段のように駆け上り、一気に距離を詰める。

「はあぁぁぁぁぁぁぁぁ!!」

一閃、餓王丸の刃は、大蛇の片目をすぱん、と斬り裂く。それと同時に珠美は、どくん、と刀身が脈打つのを感じ、


「・・・っ、あ、うぅぅッ!!?」


次の瞬間、何かが身体に流れ込んでくる感覚に短い悲鳴を上げた。

(何ですか、これはっ・・・気持ち、悪いっ・・・!?)

何とか着地には成功するも、どろり、と泥のように粘りつく不快感に顔をしかめる。

(これが、餓王丸が『相手を喰う』感触ですか・・・!?)

『暴食』の刃、餓王丸。その能力は、斬りつけた相手の性質を刀が『喰らい』、それを刀身や使用者に『反映』させること。

今の感覚は、この大蛇の『食らうことで回復する』性質が珠美の体に流れ込んだ感触なのだろう。現に、身体に残っていた鈍い痛みが引いて行くのがわかる。

だが、これは。

(まずい・・・まともに、立っていられない・・・ッ)

身体中を這いずりまわる強烈な不快感に、珠美は思わず膝をついてしまう。そして、その隙を逃がす大蛇ではない。

大口を開け、珠美の真上からその顎を叩きつけるようにして、丸呑みにせんと踊りかかる。

「っ、球ちゃん、っと!?くっ、邪魔、すんなっ!!」

その様子を見た周子が珠美を引き戻すために術を放とうとするが、周囲の天狗たちに斬りかかられ邪魔をされる。



どすん、という地響きと共に、珠美の身体は大蛇の口の中へと消える。






『・・・ったく、ボサっとしてんじゃねェよ』



くぐもった声が、大蛇の口の中から響いた。




ずぱん、と音をたて、大蛇の頭が横一線に引き裂かれる。


『やっぱ半人前だなァ、珠美?オレ様が付いてねェと何にも出来ねェでやんの』

「・・・一人では、動くこともできないあなたに言われたくありません」


その中から現れたのは、刀を振りぬいた姿勢の珠美。


『・・・ま、理屈はよくわかんねェけどよ。戻って来てやったぜ』

「珠美が連れ戻してあげたんですよ。・・・おかえりなさい、西蓮」


そして、同化した大蛇を餓王丸が『喰らった』ことで、その刀身に魂を移した、西蓮であった。

「————————!!!」

声にならない悲鳴とともに、のたうちまわる大蛇。周辺にいた天狗が数匹、その体内に飛び込み、自ら『食われる』。

そうして大蛇の身体が再生すると、それに留まらず、その身から翼が生み出され、大蛇が天へと舞い上がる。

「うっわ、あんなのアリ!?」

「くっ、周りの妖怪が邪魔でっ!」

そのまま逃げ去ろうとする大蛇を追おうにも、紗枝と周子は未だに妖怪どもの猛攻にさらされ身動きが取れない。

『珠美!』「承知ッ!」

ならば、それを追えるのは珠美と西蓮のみ。

『よォ天狗の兄ちゃん。ちょいと、その翼頂くぜ・・・ッ!!』

阻止せんと飛びかかって来た天狗を斬りはらい、西蓮が、餓王丸が『喰らう』。すると、珠美の背に、鳶色の翼が現れた。

「今度こそ、逃がしはしません・・・これでッ!終わりですッ!!」

飛び去ろうとする大蛇の眼前に、猛スピードで羽撃いた珠美が躍り出る。大蛇がそれに気づいた時には、もう自身の身体を止めるには遅すぎる。



「『 せ い や あ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ ぁ あ あ あ あ あ あ あ あ あ ! ! ! !」』



気迫の雄叫びと共に斬りかかる刃は、大蛇自身のスピードすらも利用して、その身を両断する。断末魔さえ上げることも敵わず、大蛇は妖気の塵となって消滅した。

『良いのかよ?一応、借りただけだったんだろ?』

「こうなった以上、珠美さんに持っていてもらうのが一番ですから。『餓王丸』もそう言っていると思いますよ?」

『・・・そうだな。んなら、遠慮なくこのまま珠美に使われてやるとするかね』

「えぇ。それにしても、珠美さん、大丈夫でしょうか?降りて来るなり気絶してしまうなんて・・・」

「・・・むにゃ・・さいれん・・・おかえりなさい・・・・・・」

『・・・寝言まで吐けるんなら、大した事ァ無ぇんじゃねえか?』

「・・・西蓮さん、もしかして照れてます?」

『なッ、んなワケあるか!大体、何で今のでオレ様が照れる必要があるよ!?』

「ふふっ、ではそういうことにしておきましょう。目を覚ましたら、珠美さんによろしくお伝えくださいね」

『あ、オイ何所行く気だテメェ、おい、待てって、この状態で珠美と二人きりにすんじゃねェ、おい聞いてんのか!!?』

「・・・えへへ、さいれん・・・・・・♪」

鬼神の七振り『暴食』 日本一大食らいな刀『餓王丸』
鬼匠・藤原一心の鍛えた『鬼神の七振り』の一つ。獣の牙のような刃文を持つ『暴食』の刀。
斬りつけた物の性質を『喰らい』刀身に貯め込み、それを刀身や使用者に反映させることができる。一度に貯め込める量には限界があり、大体三つ位まで。
斬った相手が強大であるほど反映される性質も強力になるが、、それに比例して多大な精神力を要するため乱用はできない。
(例)鳥や天狗などの妖怪を斬ると使用者に翼を生やして飛ぶことができるようになる、ろくろ首などを斬ると刀身を曲げ伸ばしできるようになる、等
暴食のカースの核と同化し、西蓮を取り込んだ妖怪を斬ったことで西蓮の魂が乗り移ることとなった。餓王丸自身の意思のようなものも西蓮には感じられるらしい。

現在の性質:使用者に翼を生やす(天狗)、性質を『喰らう』と回復(大蛇)

以上です
相手を喰って強くなるってロマンですよね!

>>693

乙ー

たまちゃんかわいい!

>>693の上の安価は間違えです

おつー

二振りの刀が合体しただと……

しばらくしたら投下します

前回は会話主体だったけど、今回ちょっと地の文ばっか

——『怠惰』のカースドヒューマン、双葉杏。

——彼女は今、TVのニュースを眺めていた。

——曰く。

——『憤怒』のカースの大群が街一つ占拠。

——通信の類が一切遮断され、

——住民の安否は不明。

——今のところ、

——GDFに動きは無く、

——アイドルヒーロー同盟もまったく手出しができない状況が続いており、

——フリーのヒーローたちも手をこまねいている。

——……らしい。

——恐らく、

——中は地獄絵図の様相を呈しているのだろう。

杏「流石にやりすぎなんじゃないかなー」

——杏はこの惨事を引き起こした首謀者に心当たりがあった。

——いや、心当たり、というと語弊があるかもしれない。

——何となくそうなんじゃないか、程度の勘だが、

——しかし同時に、そうに違いない、という謎の確信もある。

——ずっと探していた相手でもあるからだろう。

——見つかってホッとしたというよりは、

——面倒なことになったなぁ、という思いの方が強かった。

——今あそこで沸いているのは『憤怒』のカース。

——そして最近我々の元を去った同居人、岡崎泰葉は、

——『憤怒』のカースドヒューマン……。

——偶然の一致……、では無いだろう。

——杏には何故か当然の如くそう思えた。

————泰葉の異変になら気づいていた。

——彼女がここを去る前、

——普段まき散らしている『憤怒』とは違う、

——何か別の悩みを抱いていたようだ、と。

——気づいて、しかし、放っておいた。

——そもそも自分にどうにかできる問題でもあるまい、と。

——介入するべき筋合いもないだろう、と。

——何も言わない事が、今は正しいのだ、と。

——その結果が、これだ。

杏「泰葉……」

——意外にも、双葉杏は自分の周りにいる人の、

——ちょっとした様子の変化や、感情の機微に聡い少女であった。

——端的に言えば、

——杏は『空気を読む』ことに長けていたのだ。

——しかし、それこそが、

——彼女が人間関係に煩わしさを感じる要因の一つでもあり、

——自分以外の事柄に気を使うのが面倒だと考えている杏が、

——極力他人と関わりを持たないよう、外に出たがらない理由でもあった。

幸子「いいですか、輝子さん! この世で一番カワイイ女の子と言えば?」

輝子「さ、幸子に、決まってる……」

幸子「そう、当然ボクです! 流石良くわかってますね輝子さんは!」

輝子「親友だからな……フヒ……」

——様子が変だと言えば。

——もう一人の同居人、

——『傲慢』の輿水幸子だ。

——自身を一番可愛い存在だと信じて疑わず、

——現に今日も、最近出来た友人の星輝子を招き、

——滔々と自分の可愛さを吹聴してはいるが、

——ある日を境に杏は、

——その姿に以前ほどの絶対的な『傲慢』を感じなくなっていた。

——傍目にはわからないほどの微妙な違い……。

——それほど長い付き合いではないが、

——一つ屋根の下で一緒に暮らしてきた仲だ、

——だからこそわかる、

————正直に言えばわからない方がお互いの為だったと思っているが、

    しかしわかってしまうのだからしょうがない——。

——そんな小さな違和感。

——別段、実害があるわけでもなさそうなので、

——わざわざ触れないようにはしているが、

——どこか……、

——柔らかい雰囲気を纏うようになった。

——我の強い幸子には、

——今まで無かったものだ。

杏「ねぇ、これってさー……」

幸子「まぁ、泰葉さんの仕業でしょうね」

杏「やっぱそう思う?」

幸子「カワイイボクは勘もいいんですよ!」

輝子「流石幸子……だな」

幸子「ふふーん! そうでしょう?」

杏「……」

——これも、

——一種の『絆』なのだろうか。

——双葉杏、岡崎泰葉、輿水幸子。

——この三人による奇妙な共同関係は、

——ひとえに、異端同士が固まって行動することにメリットがあったからだが、

——それ以上に、

——各々の気まぐれで成り立っていたものだ。

——自分以外はどうでもいい、幸子。

——他人と関わりたくない、杏。

——強い目的意識を持っていた、泰葉。

——改めて、

——どういうきっかけで出会ったのだったか……、

——と、疑問に感じるメンバーだ。

——実際、同棲を始めてみると、

——協調性の無い者同士なので、

——色々と——主に泰葉が——苦労したが、

——泰葉の『憤怒』に他の二人が動じることは無かったし、

——幸子の『傲慢』を他の二人は受け流せたし、

——杏の『怠惰』によって被る迷惑も他の二人には許容できたため、

——衝突などはさほど起こらず、

——案外上手くやっていたように思う。

——そんな生活がしばらく続き、

——若干、歪な日常を共有しながら、

——下らない世間話に話を咲かせてみたり、

——有事の際には、

——お互いにそこそこ助けあったりしてるうち、

——知らず知らず三人の間に『絆』が芽生えていたとしても、

——それはなんら不思議な事ではない。

——そして今、

——その『絆』が、

——杏と幸子に、

——あそこに泰葉がいるのだ、

——と、教えてくれているようであった。

杏「どうする? 幸子」

幸子「……」

——幸子は答えない。

——それもそうか、と杏は思案する。

——突然いなくなったと思ったら、

——街一つ占拠して大暴れ、だ。

——そんな彼女を、

——我々は一体どうしたいのだろうか?

——そもそも何故、泰葉はあのような事をしているのか。

——その理由を推し量ることすら、できない。

——ここからいなくなる前、

——その頃からこの大事件を計画していたのだろうか?

——泰葉に、

——我々の『友人』に、

——あの時何があったのだろう?

——……いや、ひょっとすると、

——こうなる兆候は、

——もっと以前からあったのかもしれない。

——『憤怒』のカースドヒューマンである泰葉が、

——何がしか苛立っている場面というのは見慣れたもので、

——大抵、その苛立ちの原因を推測することは杏にとって容易であったが、

——時々、

——原因不明の『何か』に端を発して怒り狂うことがあり、

——それはいつも唐突で、

——彼女の機嫌を損ねる要素など何もない時に限って訪れていたように感じた。

——ついぞそれが何だったのか杏にはわからなかったが、

——何ぞ面倒な物を抱えているのだろうな、と

——当時は気の毒に思う程度であった。

——『もしや……、

——あの『憤怒』の発作こそが、

——どす黒い悪意で泰葉を蝕み、

——今の彼女を付き動かしているのでは無いか』。

——これは、

——ただの杏の想像だ。

——もっと、空想や妄想といった類のあやふやな考えだ。

——思いつきと言ってもいい。

——しかし、こと泰葉に関連する事柄について、

——杏の思考は謎の確信を持っていた。

杏「杏はさ……」

幸子「……はい」

杏「杏は、泰葉を……」


杏「——手伝うよ」


幸子「そう、ですか……」

杏「うん」

輝子「……? …?」

——杏が出した答えは、


————悪事をはたらく泰葉に加担する事、だった。

幸子「ボクは……」

杏「うん」

幸子「——行けません」

杏「そっか……」

幸子「ここで待ってます」

——幸子が出した答えは、

——三人の住む、この場所を守る事だった。

輝子「さ、幸子? 幸子……?」

幸子「輝子さんを置いて行けませんしね」

——幸子は、話について行けず不安そうな表情を浮かべる輝子の……、

——背の高さの同じ、一つ年上の少女の、

——頭を撫でながら、そう言った。

幸子「カワイイボクがいなくなったら、輝子さんが生きていけませんからね!」

輝子「フヒ……」

——自分が居なければ、と『傲慢』な台詞を吐く幸子だが、

——しかし、その表情は柔らかく、

——どこか母親のような優しさがあり、

——やはり、以前までの彼女とは違うな、と杏は思った。

幸子「でもあそこまで行くんですよね?」

杏「そりゃあね」

幸子「わざわざ? 歩いて?」

杏「そうなるかな」

幸子「カースの雨でも降るんじゃ無いですか?」

幸子「あ、もうあの街には降ってるんでしたね!」

杏「……」

——ドヤ顔で上手いこと言ったつもりになっている幸子はともかく、

——実際、杏にとってこの決定は、

——一世一代の気の迷い、と言えた。

——あの双葉杏が、

——面倒くさがりな杏が、

——極力外に出たがらない杏が、

——他人と関わりたくない杏が、

——可能ならば一日中寝ている杏が、

——楽だけして生きていたい杏が、

——『怠惰』を貪る杏が、

——わざわざ遠出をして、

——面倒くさそうなイベントに参加しに行こうとしているのだ。


杏「だって、友達だからね」

——善悪の判別などどうでもいい、

——既に杏の身体は人のそれでは無いのだ。

——彼女に宿るのはカース。

——人の悪意より生まれ、

——人の悪意を食らって育ち、

——人に悪意を撒き散らす怪物だ。

——そんな杏が何より望むことは、

——安らかに暮らすことだが、

——その次に大事なことが……、

————いや、もうその順序はひっくり返った。

——今杏にとって一番大切なのは、

——友達だ。

——杏が出した答えはひどくシンプルなものだ。

————友達を助けに行く。

——例えその友達が、

——人類に刃を向けていたとして、

——そんなこと、

——カースドヒューマンたる杏には、

——瑣末なことなのだ。

——杏は、憤怒の街へ趣き、

——泰葉と共に、

——悪意を持って、人に仇なす。

——恐らくは、

——杏の生まれて初めて出す、

——本気だ。

———
——


幸子「行っちゃいましたね……」

輝子「う、うん……」

——今まで三人で暮らしていた部屋に、

——ただ一人居残った幸子は、

——率直に、

——寂しさを覚えていた。

——また、三人で暮らせる日が来るのだろうか?

——いや、輝子を含めれば、

——四人か。

輝子「幸子、実は私この前友達が出来た……」

幸子「へぇ、頑張ったんですね、エライエライ!」

輝子「フヒ…、頑張った……」

輝子「何か、似たような空気を感じたから……、ボッチの空気…フヒ」

幸子「そ、そうなんですか」

輝子「夜の公園で、会った」

幸子「へぇ、なんて子なんですか?」

輝子「あ、あのね」


輝子「———小梅ちゃんって言うんだけど……」

・杏が憤怒の街へ向かいました。

・幸子は残りました。

・杏は泰葉に加勢するようです。

・輝子が小梅ちゃんとお友達になっていたようです。

以上です
先輩にも、仲間がいたっていいじゃない?
みたいな発想で、ニートのはずの杏が重たい腰をあげました
>>293の言うとおり、引きこもりが外に出るのが流行ってるのかもね!
あと思った以上に杏が熱い奴になってしまったけど、気にしない

幸子は置いてきた、ハッキリ言ってこの戦いにはついてこれそうもない
というわけではなく、せっかく輝子とお友達になったんだし
ついでだから小梅ちゃんとも接点を持たせて、142cm組で何かできそうなフラグをたててみたり

乙ー

マンモンちゃま、柚と続き杏まで、引きこもりが家を出るのが流行りか…

乙です!

ついに杏まで動いたか…これからどうなるか見当もつかないな

乙ー

雷に間違って当たって暴走するのか……
なんか電気機器触ってショートして暴走する光景が目に浮かんだww

死亡フラグ立てっぱなしのちゃまと
傾きっぱなしの財閥の方針大きく変える話
投下します

桃華「まったく面白くありませんわ。」


今日も今日とてお嬢様の我が侭がはじまる。


桃華「私がちょっと散歩に出てる間に、なんなんですの、あの街は」

桃華「”憤怒の街”なんて呼ばれてるそうですわね。」

桃華「十中八九、悪魔の仕業でしょうけれど」

桃華「憤怒の大罪を司る、あのしみったれは魔界から出てこないでしょうに」


彼女に小言が多いのはいつものこと


桃華「いずれにしても櫻井財閥が失墜してる間に、」

桃華「他の悪魔の勢力が盛んに動き始めて・・・・・・。」

桃華「その上、破壊活動を行ってるだなんてありえませんわ!」

桃華「世界はいずれわたくしのもの!わたくしの世界を、わたくしの目の届いてない所で」

桃華「勝手に壊すなんて許せるはずがありませんのよ!」

桃華「これだから『憤怒』と言うのは嫌いですわ!」


いつもと違うのは


桃華「聞いてますの!紗南ちゃま!!」

紗南「うん、聞いてる、聞いてるよ。」


聞き手となる相手だった。

いつも聞き手となってるサクライPは現在、各地を飛び回ってるため忙しく、

今回、かの『強欲』の悪魔は財閥が飼ってる能力者、三好紗南を侍らせていた。


紗南「て言うかさ」

紗南「お嬢様の中の悪魔、なんで戻ってきてるのさ。」

桃華「あら、ダメですの?」

紗南「アレだけ盛大に死亡フラグと分離フラグ立ててたくせに。」

桃華「あの時とは事情が変わりましたのよ。」

桃華「わたくし、あの後はGDFにでも直接乗り込んで占拠しようとか思ってましたのよ。」

桃華「ほら、封印された例の爆弾あるでしょう?」

桃華「わたくしの能力ならアレの所有権を主張できますから」

桃華「わたくしに逆らったらぶっ放しますわよ〜、と、言った感じで世界を脅そう。」

桃華「とか考えてたのですけれど。」

紗南「うわぁ、今日ぶっちゃけるな、この人・・・・・・。」

紗南「だいたい何のためにそんな。」

桃華「財閥のため、わたくしの夢のため、ひいては櫻井桃華のためですわ。」

桃華「わたくし、櫻井桃華とは一つ約束をしてますのよ。」

紗南「あれ、お嬢様と悪魔は契約してたの?」

桃華「してませんわよ。まどろっこしいだけですもの。」

桃華「それとも契約ではない、約束を悪魔が守ったらいけませんの?」

紗南「意外だなぁって。」

桃華「まあ、人をジャイアニズムの塊みたいに言いますのね。」

紗南「自覚あるんだ。」


桃華「わたくし、櫻井桃華のことは、すごく気に入ってますの。」

桃華「熱心な願いの一つくらい叶えてあげたいではありませんの。」

紗南「悪魔でもそんな風に考えたりするんだね。」

桃華「『お父様との時間が欲しい』と言うのがわたくしの願いでしたけれど。」

桃華「わたくしの判断ミスで、それが逆に困難になりましたのよ。」

紗南「サクライさん、今もあっちこっち走り回ってるもんね。」

桃華「その事には少し責任を感じてましたもの。」

紗南「へえ、まあそれはいい話だけどさ。」

紗南「それがどうしてGDF占拠に繋がるのかわからないんだけど。」

桃華「GDFに拘っていたわけではありませんけれど、」

桃華「わたくしは『人を惑わす悪魔』の存在を世界にアピールしたかったのですわ。」

桃華「今の財閥を立て直すには信頼の回復が必要ですもの。」

桃華「『実はサクライは悪魔に娘を人質に取られていて、』」

桃華「『すべては娘の為に、悪魔に従ってやったことでした。』」

桃華「『サクライは本当は悪い人では無かったんです。』」

桃華「素敵なシナリオでしょう?」

紗南「3行目以外事実じゃん。」

桃華「世間は誰もそんな風には思ってませんわよ。」

桃華「Pちゃまは悪人で、櫻井財閥はブラック企業だなんて思われてますわ。」

紗南「その通りじゃん。」

桃華「まあ、そんなPちゃまや財閥に対する悪評を、」

桃華「操っていた悪魔にだけ向けさせるためのシナリオとして、GDF占拠ですわ。」

桃華「実際に悪魔に一つの組織が支配される光景を見せれば、」

桃華「人々は人を惑わす悪魔の存在を信じますでしょう?」

桃華「似たような事があったのだと、財閥の罪も悪魔に擦り付けることができますわ。」

桃華「そして最後に人類の守護者としてのサクライによって悪魔が討たれればハッピーエンドですのよ♪」

紗南「えっ」

桃華「なんですの?」

紗南「それ、お嬢様の中の人死ぬじゃん。」

桃華「一度くらいの死は、些末なことですわね。」

紗南「悪魔って残機制なの?」

桃華「それとは違いますけれど。かなり時間がかかって面倒で、手順を踏む必要はありますが、」

桃華「再び地上に舞い戻るのも不可能ではないと言う事ですわ。」

紗南「まあ、中の人の強欲さなら気合いで戻ってきそうだよね。」

桃華「ウフ、重要なのは最後に、すべてがわたくしの物になる事ですのよ。」

桃華「そのためにはここで櫻井財閥が零落れる訳には行きませんの。」

紗南「・・・・・・そこまでの覚悟があって、なんで今更それやめてここに居るのさ?」

桃華「決まってますわよ。わたくしが死なずに財閥の信頼を回復する目処があるからではありませんの。」

桃華「今は、わざわざ、わたくしがやらなくても、人類の敵におあつらえ向きなのが居ますもの♪」

紗南「・・・・・・まさかと思うけどさ。」


桃華「わたくし達と財閥も協力しますわよ。あの不快な街を落すのに。」


紗南「マジですか・・・・・・・。」

桃華「結局は人を惑わす悪魔の存在を暴くのと、サクライの協力で人類の敵を討つことができればいいんですわよ。」

桃華「あとは少しばかり話を整えて、世界に発信すれば表の世界の財閥の信頼は元通りですわ♪」

桃華「まあ少々やっかいなのを敵に回しそうですけれど。」

桃華「それはヒーロー達が倒してくれますわよね♪」

紗南「いいの?悪魔に喧嘩売っちゃって、仲魔なんだよね?」

桃華「わたくしたちに仲間とかありませんわよ。」

桃華「都合がよければ仲間で、都合が悪ければ敵。わかりやすい繋がりですわ。」

桃華「そして何より、あの手合いはわたくしの好みではありませんし。」

桃華「わたくしにとって重要な拠点たる財閥の信頼回復に利用できるなら、せいぜい使わさせて貰うだけですのよ♪」


紗南「でも、どうするの?サクライさんは今忙しいみたいだし、」

紗南「財閥の能力者もほとんど出払ってるし。」


桃華「紗南ちゃま、何を他人事みたいに言ってますの・・・・・・。」

紗南「えっ。」

桃華「紗南ちゃまは財閥の、ひいてはわたくしの犬でしょう?ほら、頑張りなさいな。」

紗南「えぇぇえええっ!ちょっと待って!アタシ非戦闘員だし!!」

紗南「あんなの相手したりするの絶対無理ゲーだって!」


指差す方向は憤怒のカースの群れ。

彼女達はすぐ隣の街まで来ていた。

桃華「誰も紗南ちゃまの戦闘力に期待してませんわよ。」

桃華「ベルフェちゃまから引き継いだ情報獲得能力、頼りにしてますわよ。」

紗南「このクエストはキャンセルできませんか・・・・・・。」

桃華「ダメですわ♪」


桃華「大丈夫ですわよ、紗南ちゃまが前線に出向いても。」

桃華「その場に居るヒーロー達が守ってくれますし、」

桃華「わたくしも死神ちゃまや他の悪魔にバレない程度にサポートしてさしあげますから。」

桃華「命を落すことはない・・・・・・とは言い切りませんけど、犬死することはありませんわ♪」

紗南「結局死ぬかもしれないんじゃん!!」

桃華「あら、じゃあ今ココで死にますの?せっかく仲良くなれましたのに、残念ですわ」

紗南「・・・・・・くそぅ、命の所有権さえ握られて無ければなあ。」

桃華「ウフ、面白い情報が手に入ったら連絡お願いしますわね。」

紗南「鬼!悪魔!ちひろ!!」


かくして三好紗南は憤怒の町に向かうことになる。


桃華「さて、前に言ったことを撤回する様で悪いですけれど」

桃華「わたくし一度手に入れた物を手放すのはやはり我慢できませんのよ。」

桃華「櫻井桃華、また長い付き合いに・・・・・・いえ短いのかもしれませんけれど。」

桃華「とにかく、わたくしの『強欲』な衝動に付き合ってもらいますわよ。」

——

桃華が紗南を送り出してから、

しばらくするとトボトボと三好紗南が戻ってきた。


桃華「何かありましたの?」

紗南「あの、街の中だとアタシのゲーム機使えないみたいなんだけど。」

桃華「・・・・・・。」

『情報獲得』

三好紗南の目覚めた能力。
内容はベルフェゴールの情報獲得とほぼ一緒。
彼女が一度「見た」対象の情報全てを携帯ゲーム機に映し出すことができる。
「見た」対象が人物ならば、個人的プロフィールはもちろん、
その人物が今抱いている感情や、さらには現在地までも把握が可能。

ただし、三好紗南は能力に目覚めたばかりであるため
ベルフェゴールのそれより劣化しており、
あまり詳細なプロフィールまでは閲覧できず、情報阻害系のプロテクトも突破できない。
また無限に情報を収集できたベルフェゴールと違い、獲得した情報の保存には専用の保存領域を必要とする。
そのため莫大な情報量を全て保存しておくこともできない。

この能力があるため、櫻井桃華は自分の正体を彼女に隠さず、
代わりに『命の所有権』と財閥の病院に居る両親を人質に、彼女を支配下に置いている。


『命の所有権』

『強欲』の悪魔、マンモンの能力の一部。
一度支配下に置いた生命の息の根を好きなときに止めることができる。
ただしマンモンより弱い相手にしか通用しない。


『物の所有権』

『強欲』の悪魔、マンモンの能力の一部。
一度支配下に置いた物体が、
「自身、あるいは自身に属する者」以外に支配されるのを防ぐプロテクト能力。
これを三好紗南のゲーム機に使用し、憤怒の街内部での動作を保障するものとした。

おしまい
死亡フラグ立てっぱなしで回収するタイミングも無いからちゃま復帰したの

乙ー

ちゃまwwwwメタ発言しちゃダメwwそして、最後しまらないwwww

それにしても紗南ちゃん情報収集能力使えるようになったのか

という事はベルフェゴールの怠惰の証は別の奴なのかな?

乙ー
ちゃまの能力で軍隊が動けそう?
というか所有物宣言→命奪う
ということが敵にも強欲の庭でできるなら強すぎない?

少し待機中の他二人のナチュルスターの様子を投下します

村上組の屋敷の中庭。

巴「うちはまだまだ力不足じゃのうっ!……」

壁をおもいっきり殴りながら、悔しそうに唇を噛み締めていた。

憤怒の街。今あの街には逃げ遅れた一般人がいて、助けを待っているのだ。

もちろん。彼女は最初は行こうとしたが、テレビからの情報や感じる瘴気に、自分達が今行ったら間違いなく、やられてしまう。

ミイラ取りがミイラになるのが目に見えていた。

それでも行こうとするほたるを、乃々とイヴと一緒に説得して、なんとか止めたのだが……

助けにいけない悔しさは、皆同じだった。

イヴとの訓練を終え、巴はどうすれば街の中に入れるかを考えていた。

自分達の力でカースを撃破する事をまず考えたが、湧いて出てくるカースを倒しても倒してもキリがない。

空からでもほたるが二人を抱えればいけるが、砲弾への対抗手段がない。

例え、行けたとしても瘴気でやられてしまう。

まさに絶望的だ……

巴「だけど、助けを求めるのを放っておけるほど、うちは諦めが悪いけんのう」

今はただ機会を待つ。
突破口の糸口を……

巴「村上巴の力……いや、うちらナチュルスターの底力見せたるけんのう」

空を見上げながら、彼女は決意を新たにした。

−−−−

一方、森久保乃々はナチュルマリンの姿で、ある練習をしていた。

自分を包むように、母なる海の中にいるような優しい光を放ち、徐々に広げていった。

だが、それは数秒で進行は止まり、消えて行った。

乃々「やっ……やっぱり、むーりぃー……」

イヴ「大丈夫ですよぉ〜♪乃々ちゃんならできますぅ〜♪」

近くで、ナチュルスターがお世話になってるイヴ非日常相談事務所のイヴさんが微笑んでいた。

今、彼女達が何をやっているかというと

ナチュルマリンの能力。海を司る力。

それの一つの生命の源である海の癒しの力。

それは本来、人々傷を癒す力のに使われる力。その時、発生される安らぎを使って憤怒の街に蔓延る瘴気を少しでも抑えられるのではないか?

だが、乃々の今の実力では街全体を海の癒しを覆わせる所か、人に数人に対してしか範囲は行き届かないし、何よりそれ以上範囲を広げれば広げるほど、力は弱く、数秒しかもたなくなるのだ。

だから、こうしてイヴに付き合ってもらって特訓してるのだが……

乃々「街一つなんて絶対、むーりぃー!……他の人達に任せたいんですけど……」

自分じゃなくっても、こんな事できる人はいるはずだ。有名な歌姫の力でなんとかできるんじゃないか。
だから、自分が頑張らなくってもいいのではないか。

そう乃々はいつも通りに弱気に思っていた。

イヴ「じゃあ、諦めちゃいますかぁ?」

なんだけど……

こんな自分を手伝ってくれてるイヴ。
そして、憤怒の街の件で悔しがってる仲間二人の姿が頭によぎる。

乃々「……もう少しだけ…頑張ってみます…」

イヴ「はいっ♪」

こうして、ネガティブな少女は特訓するのであった。

果たして、それがどうなるか?

まだわからない。

物語はただ…ただ進む。

終わり

以上です

ただ、待ってるだけもあれだから使われるかどうかわからないけど、フラグをいれてみました。

自分でも予測はできないですが……

>>772訂正

×巴「だけど、助けを求めるのを放っておけるほど、うちは諦めが悪いけんのう」

○巴「だけど、助けを求めるのを放っておけるほど、うちは諦めが悪くないけんのう」

>>779
「だけど、助けを求めるのを放っておけるほど、うちは諦めが良くないけんのう」
じゃないかなーって……
諦めちゃだめだ! 絶対できる! がんばれがんばれやれる気持ちの問題だ! な!!

>>780
ゴホッ……すいません。指摘ありがとうございます

誤字脱字多すぎて泣ける…

昨今の情勢に全く関係しない小話投下します
時系列としてはベルゼブブがそらと総司令を懲らしめる以前の話

残念になっちゃった加蓮お借りします


元カースドヒューマンの少女──北条加蓮は、とある計画を実行に移そうとしていた。
そう、嫉妬の呪縛から解放されてからずっと温めていた、友達100人計画である。

加蓮「友達を作ると言っても」

加蓮「闇雲に探し回ったってそんな人見つからないだろうし」

加蓮「やっぱりご近所付き合いからだよね!」

エンヴィーとして過ごす以外の時間はアルバイトに割いていたため、寮の他の住民との交流は今まであまり無かったのだ。

加蓮「お隣さんは……私と同年代らしいし……丁度いいかな」

そう言うと、加蓮は意を決して隣の部屋のドアをノックするのだった。

————————————————————————————————



   コンコン


そら「!?」ビクッ

「ごめんくださーい!」

そら「(来客? 何者だ……?)」

そら「はいはーい!」


   ガチャッ


「あ、こ、こんにちは……」オドオド

扉を開けると、目の前には自分と同じくらいの年の頃(あくまで肉体年齢の話だが)の地球人の少女が居た。

そら「(この娘は……隣の部屋に住んでる地球人か)」

そら「(たしか近所のサプライデポ──地球では"コンビニ"と呼ばれていたか……そこで働いていたはずだ)」

目の前の少女について、かつて自身の近辺の地球人を調査した際の情報を脳内で検索する。

そら「(北条加蓮──年齢は16、幼少期より病を患っており、数ヶ月前に両親によって死亡届書が出されている……)」

そら「(しかし、その死亡が確認されるより前に、入院していた病院より失踪……以後消息不明)」

地球人の公の機関の記録では、北条加蓮についての情報は概ねこのような内容だった。
しかし、秘密裏にアクセスした宇宙管理局のデータベースには、地球人には知られていない内容が記載されていた。

そら「(入院先の病院において負の思念体と融合……嫉妬の化身エンヴィーを名乗り各地で暴れ回る)」

そら「(最終的には宇宙管理局の特殊部隊と交戦し、負の思念体は浄化され、北条加蓮自身も負の感情から解放される……)」

そらが調べ得る範囲で得られた情報はこれくらいだった。
問題は、なぜその北条加蓮が自分を訪ねてきたのかということだ。


そら「えっと、北条加蓮さん……だったよね?」

加蓮「っ!」

加蓮「(この子、私の名前……知っていてくれたの?)」

そら「なんのご用〜?」

加蓮「えっと……あの、その……」

加蓮「今まで、お隣に住んでたのに、全然挨拶とかもしたことなかったから……」

そら「(どういうことだ? 今更引っ越しの挨拶に来たとでもいうのか?)」

そら「(以前こちらから出向いたときにはなしのつぶてだったが……)」

そらの工作員としてのモットーは『郷に入っては郷に従え』である。
その土地に住んでいる存在になりきるための文化、風俗、習わしなどは一通り頭に入れてある。
今の活動拠点に入った時も、周囲の部屋を『そば』なる食物を片手に回ったのだが、その際に北条加蓮は部屋から出てこなかった。


加蓮「せっかく隣に住んでるんだし、歳も近そうだから……」

加蓮「な、仲良く出来たら……良いなって思って……」

そら「(なるほど……そういう事か)」

地球人は他の個体と連れ立って行動するのを好む種族だと学んでいる。
生まれてこの方病院という閉鎖された環境で育ってきたこの娘にとって、同世代の友人というものに憧れがあるのだろう。
地球人の心情に共感することなどないが、理解することはできる。


そら「(……私くらいの年頃の地球人の娘がずっと部屋に篭っているというのも怪しいから)」

そら「(この娘と友人関係になる事で、あるいはカムフラージュになるかもしれないな)」


そら「そういうことなら、あたしも仲良くしたいなっ!」

そら「友達はたくさんいた方が、はっぴーだもんねっ☆」

加蓮「と……友達……?」

そら「ちがうの?」

加蓮「え……いや……その」

加蓮「(出会って間もない私を、友達って……)」

加蓮「(そっか……ただ見てるだけじゃなくて……こっちから歩み寄れば)」

加蓮「(こんなに簡単だったんだ……!)」


加蓮「わ、私も、友達になれたらいいなって……!」

そら「じゃあ、あたし達これから友達ねっ!」

加蓮「う、うん! えっと……」

そら「あ、あたしは野々村そらね! そらって呼んで☆」

加蓮「うん! よろしくね! そら!」


そら「(これでいい……あとは……そうだな)」

そら「それじゃ、お近づきのしるしに、どっかお出かけしよっか☆」

そら「加蓮は今日はひまなのかな?」

加蓮「お出かけ……? うん! 私も暇だよ!」

そら「それじゃ決まりねっ! どこ行こうか?」

加蓮「あ、私行ってみたいところがあるんだ!」

そら「そう? じゃあお任せする☆」




そらが加蓮に連れられるがままに訪れた場所は、全国チェーンの某有名ファーストフード店だった。
二人は思い思いの注文をして、商品を受け取り店内の席に着く。

そら「(なんだこの食物は……栄養価は偏っているし、摂取しにくいし……)」

そら「(こんなものを好んで食べる地球人……やはり理解できない)」チラッ

加蓮「〜♪」モグモグ

味なんてわかりはしないのだが、目の前の少女は実に良い表情でこの"ハンバーガー"とやらを食べている。
となれば、自分も地球人になりきる身として、同じ反応をしないわけにはいかない。


そら「おいしいねっ☆」ニコッ

加蓮「うん!」

そら「加蓮は、はんばーがー好きなの?」

加蓮「んー……好きっていうか」ウーン


加蓮「私ね、小さい頃から今まで、ほとんど病院に居たんだ」

加蓮「だから、いわゆるジャンクフードっていうの? こういうの食べたこと無かったの」

そら「……」

加蓮「……いろいろあって、元気になって病院から出られたから」

加蓮「今まで出来なかったこと、いろいろやってみたいんだ!」

そら「そっか……」


そら「それじゃ、今まで出来なかった分、これからはたくさんはっぴーを集めないとねっ!」

加蓮「ハッピー?」

そら「うん! 友達がはっぴーになれば、あたしもはっぴーだから☆」

加蓮「……そうだね! もっともっと幸せになってやるんだから!」

そら「うんうん、あなたもはっぴーあたしもはっぴーでみんなはっぴーだよ☆」

加蓮「(みんなハッピー、か……)」

加蓮「……ありがとね、そら」


————————————————————————————————


寮の戻り、そらと別れた加蓮は、自室で今日の出来事を振り返っていた。

加蓮「……友達……か」

加蓮「そら……元気があるし……とっても良い子だったなぁ」

ファーストフード店を出てから、友達になった記念に二人で撮ったゲームセンターの写真プリント機のシールを眺めながら呟く。

加蓮「……今まで、酷い事たくさんしてきちゃったけど」

加蓮「これからは私も……周りの人達を幸せにできたらいいな」

カースドヒューマンとして数々の暴挙を働いてきた事を無かったことには出来ないし、するつもりもなかった。
だが、いつまでも過ぎたことを悔やんでも仕方がない。
負の感情に囚われるのはもうやめたのだ。

加蓮「よし! そうと決まれば、明日から頑張ろう!」

加蓮「時間は、一杯あるんだしね!」


せっかく繋がった命だから、今後はそれを自分と周りの人の為に使おうと、加蓮は決意を新たにするのだった。

友達が増えたよ! やったね加蓮ちゃん!

オマケで総司令辞職までの補完的なのを…
アイドル出てこないので誰得ですが


カースの大量発生から数日後、GDF本部の司令の下に件の総司令からの通信が入った。

司令「今回はどのような要件で?」

総司『カースの発生源が判明した』

司令「!?」

総司令が突然とんでもない事を言い出すので、司令は思わず狼狽える。


司令「ほ、本当ですか!?」

総司『ああ、俗に言う能力者と呼ばれる者達により生み出されるらしい』

司令「なっ!?」

総司『そこでお前には、日本にいる能力者の捕獲作戦の指揮を命じる』

司令「その情報は……確かなのですか?」

総司『先ほど、我々の"友人"から情報が入ってな』

総司『彼らの技術で特定したらしい』

司令「(友人……例の異星人連中か……)」

どうやら、先の爆弾投下も、この異星人が唆したらしい。
司令の中では、どうにも胡散臭い連中という印象が出来上がっていた。


司令「しかし……真偽が定かでない情報のままに、捕らえるというわけにもいきません」

総司『司令……この際、真実などどうでもよいのだ』

司令「……!?」


総司『先の作戦以降の、GDFに対する世論の反発は知っているな?』

総司『我々の力でカースを殲滅してやったにも関わらず、民衆は不満があるらしい』

司令「(不満が出るのも当然だ……)」

司令「(あれだけの範囲を更地にしたんだ、帰る家や、職を失った人々は百万人を下らない……)」

司令「(今回巻き込まれなかった人々も、他人事と傍観するわけにはいかないだろう)」

総司『このままでは、我々の今後の活動に支障をきたすことは明らかだ』

司令「……」

日本国政府……ひいては国際連合の権力のもとで活動しているGDFであるが、
やはり一般大衆の意見を軽視することは出来ないのだ。
このままGDFに対する厭忌感が蔓延すれば、地球防衛どころではなくなってしまう。


総司『つまり、民衆にあてがってやればよいのだ』

総司『我々に替わる、不満の捌け口をな』

司令「……能力者を……身代わりに立てろと……そう仰るのですか」

総司『……フッ』

総司『誰もそんな事は言っておらんよ、ただ"カース発生の原因"である能力者共を捕らえろと』

総司『そう命令しただけだ』

司令「(現代において……魔女狩りをしろと……そう言うのか)」

司令「(こんなふざけた命令、なんとか撤回させなければ……)」


司令「しかし、実際に能力者を捕らえるといっても、問題は多いです」

司令「まず、能力者はかなりの人数に上ります」

司令「その数は、私の担当する第一地区でさえ把握しきれていません」

総司『現在判明している者らだけでよい、その他は、正体が割れ次第捕獲ということになるな』


司令「それに、アイドルヒーロー同盟が黙ってはいないでしょう」

司令「彼らの戦闘力はかなりのものです、抵抗されれば、こちらもそれなりの損害を出すでしょう」

総司『地球の危機を金に換える悪党共か……』

総司『義を持たぬ輩など恐れるに足りんよ』

総司『世論が反能力者に向けば、連中の力も弱まるだろうしな』

司令「……」


司令「一番の問題は……能力者の協力無しでは地球は守れないということです」

司令「現状のGDFの戦力だけでは……能力者を捕らえてカースの発生を防げたとしても」

司令「宇宙犯罪者をはじめとする異星人の勢力に対抗できないでしょう」

総司『司令……上に立つものがそのような心構えでどうする』

総司『真に地球を、人々の平和を守れるのは我らGDFだけなのだぞ?』

司令「総司令がなんと仰られようと、この命令は承服できません」

総司『では、黙ってカースの発生を見過ごせと、そう言いたいのか』


総司『……人類の歴史に、反逆者として名を残すことになるぞ?』

司令「ッ!」

司令「このままアンタに従っていたら、俺の名前が残る前に人類の歴史が終わってしまう!」

総司『……』

司令「(やってしまった……)」

言ってから司令は後悔した。
溜まりに溜まった物が溢れつい熱くなってしまったが、命令違反どころか上官に暴言を吐いてしまったのだ。


総司『なるほど……お前の言い分はよく分かった』

総司『今回の件の処遇は、追って沙汰する』

総司『お前は有能な部下だったが……残念だが、仕方あるまいな』

そう言うと総司令は、通信を切るのだった。

司令「……クソッ!」

司令は、ただ立ち尽くすほか無かった。


──次の日──

司令「総司令が……辞職!?」

GDF総司令部からの通信が入った時点で、軍法会議だのの召集だろうと覚悟してはいたが、その内容は驚くべきものだった。
極東方面軍総司令が、辞職をするといった内容の置手紙を残し姿を消したというのだ。

司令「ど、どういうことですか!?」

『彼が何を考えていたのかなど、我々の与り知らぬことだ』

『むしろ、君の方がその辺の事情には詳しいのではないかね?』

司令「……」

『とは言っても、彼と君の間で交わされた会話の内容について、我々は追及する気はない』

司令「(やはり……昨日のやり取りが原因か……? まったく、わからんな……)」


『いずれにせよ、極東方面軍総司令の突然の失踪に際し、代任が必要になった』

『そこで、君に辞令を申し渡す』

『失踪した前任者に替わり、極東方面軍総司令の任を与える』

司令「!!」

司令「じ、自分が……ですか?」

『そうだ、今後も、より一層の健闘を期待している』

『こちらからは以上だ』

言いたいことだけ告げると、総司令部からの通信は途絶えてしまった。
毎度のことながら、一方的である。

司令「(俺が……総司令か……)」

司令「(だが、能力者を捕らえるという命令は撤回されたんだ……)」

司令「(それは喜ぶべきことだろう)」

司令「(問題は他にも山積みだが……やるしかない、か)」


前任者の強硬姿勢のお陰で、GDFに対する世間の風当たりは強くなる一方だ。
司令にとっては負の遺産を押し付けられたようなものだが、戸惑ってもいられない。
敵はいつ何時襲い掛かってくるかも分からないのだ。
対処するべきは相手は敵意を持った侵略者だけではなくなってしまったが、頑張れ皆のGDF!

投下終わりです

ベルちゃんが懲らしめてなかったらもっと面倒臭いことになってたよって話でした
そらは洗脳が解けたとはいえ、人間?としてまっさらな状態なので、加蓮がなんとかしてくれるのを期待…

上条春菜、北川真尋で予約させていただいていたものですが
追加で、浅野風香を予約します
今夜投下予定です

>>801です
上条春菜、北川真尋、相川千夏で投下します。
SS初心者のためお見苦しいところが多々あるかと思います、ご容赦ください…


私の先輩、上条春菜は眼鏡が大好きな女の子である。

初対面の人にも「まぁまぁ眼鏡どうぞ」と眼鏡を勧めてくる。


 「私ね、世界中の人がみんな眼鏡をかければ、世界は平和になると思うんだ」


そんなことを真顔で言う彼女は

口の悪い友人から「眼鏡キチガイ」

略して「メガキチ」なんて呼ばれることもあったらしい。

私自身、彼女の発言にドン引きすることは多々あった。

けれど私にとって彼女は、ちょっと変わっているけれども、優しくて頼れる先輩だったのだ。


…数か月前までは。

——————————

春菜「ねえ、真尋ちゃん、知ってる?」

真尋「先輩…またいつもの妄言ですか? もう勘弁してください!」

春菜「もう、全部本当のことだってば。私にはわかるんだよ」


  「いい?人間がここまで進化してきたのはね、眼鏡をかけていたからなんだよ!」


  「眼鏡の形状は、生物の進化を促す力を持っているんだ!ピラミッドパワーみたいにねっ!」


  「ほら、これがその証拠だよ!」


そう言って彼女が差し出してきたのは、高校の生物の時間で見た、ヒトのDNAの構造図。


真尋「…で、これが?」

春菜「見てのとおり…」

  

  「 ヒ ト の D N A の 形 は 無 限 に 連 な っ た 眼 鏡 を 表 し て い る ん だ よ ! 」



——この人は、何を言っているんだろうか…


真尋「ねえ先輩、やっぱり病院行きましょうよ。あの旅行の後から、先輩絶対おかしいですよ!」

春菜「もう、そんなことないってば。真尋ちゃんは心配しすぎだよー」

真尋「はあ…もうどうしたらいいんだろう…」

——————————

おそらく、先輩がこんなことになってしまったのは、私が原因だ。

…数か月前、ちょうどあの異変が起こった少し後のことだったろうか。

高校を卒業した春奈先輩と友人達は、春休みを利用してイタリアに旅行に来ていた。

先輩方と仲の良かった私もそれに同行して、皆でイタリア観光を満喫していた。

旅行の最終日前日、私は観光していた古代遺跡近くの露店で

奇妙な石の仮面を見つけた。

その仮面の裏側には不気味な文様がびっしりと刻まれ

またその両目の部分には、奇妙なことに、まるで眼鏡のような装飾品の彫刻がなされていた。

店の主人によれば、古代の遺跡から発掘されたものらしい。

おそらくは観光客向けのガラクタだろうと思ったが

眼鏡好きの春奈先輩ならきっと気に入るだろうと考え、私はそれを購入した。

悲劇は、その日の夜に起きた。

——————————

その日の夜、明日には日本に帰るのだからということで、私たちは酒盛りをしていた。

当然、私も先輩達も未成年だが、イタリアでは16歳からの飲酒が可能である。

初めて飲むお酒の効果で、私たちは浮かれ騒いでいた。


真尋「あっそうだ、私、先輩にプレゼントがあるんですよ」

春菜「ん〜?なぁーにぃーまーひろちゃーん?」

先輩A「プレゼント?いいなー見せて見せて〜」

真尋「…じゃんっ、これです!」

先輩B「ちょwwwなによこれw」

先輩A「メガネwww仮面にメガネついてるwww」

春菜「ちょっと何これ!すごいかっこいい!」

先輩B「春菜wそれかっこよくないから、むしろ不気味だからwww!」

真尋「土産物屋で売ってて、見た瞬間、これは春菜先輩にあげるしかないって思ったんです!」

先輩A「確かにwwwこれは春菜にあげるしかないwww」

先輩B「ていうか春菜以外誰が喜ぶのよこれww」

春菜「ありがとう、真尋!」

  「よ〜し…」


  「 装 ☆ 着 ! 」



A&B&真尋「wwwwwwwwwwwwwww」


春菜「正義の使者!マスク・ド・メガネ参上!!!」


真尋「先輩ww何やってんですかwww」

先輩B「マスク・ド・メガネww」

先輩A「もうwwやめてwwおなか痛いwww」

——————————


…人間、誰でも酔っぱらうと多少はおかしくなってしまうものだ。

私たちは、夜更け過ぎまでこんな馬鹿騒ぎを続けていたらしい。

気が付くと、ホテルの部屋には朝日が差し込み

室内の惨状を照らし出していた。

床には酒瓶が転がり、ベッドから落としてしまったのか割れているものもある。

また、先輩方も皆床に寝転がっていて、きちんとベッドで寝ていたのは自分だけのようだった。

上条先輩に至っては、昨日の仮面をまだつけたままである。


真尋「うーん…トイレ…」


私は床に転がる酒瓶や毛布をかき分け、洗面所に向かおうとした。

その時、私は不注意から、床で割れていた酒瓶を踏んでしまった。


真尋「あ痛ッ!」


そして、私はその場でよろめいてしまい

あろうことか

床で寝ていた上条先輩の顔面を


「ベチャッ!」


と思いっきり踏んづけてしまったのだ。


春菜「むーっ!むーっ!」

真尋「うわあああっ!!すすすいません先輩っ、大丈夫ですか!?」


私はあわてて足をどけたが、時すでに遅し

仮面は私の血によって、すっかり汚れてしまっていた。


春菜「もー、なにするのよ…うわ、私まだこれつけてたのか」

真尋「うわあ…本当にすいません先輩、仮面が…」


先輩は起き上がろうとして、先に仮面をはずそうと、仮面に手をかけた。


…その時!


「ガタガタガタガタ… 

 ジャキィンッ!

 ズシュッズシュッズシュッ!」


急に仮面が光り、震えだしたかと思うと…

なんと仮面から無数の針が飛び出し、上条先輩の頭に深々と突き刺さったのだッ!


春菜「うぎゅうっ!?」

真尋「は?え、せん…ぱい…?」

春菜「う…あ…」


先輩はしばらく体を痙攣させたあと

その場で糸が切れたかのように

頭から崩れ落ちてしまった…


真尋「そんな…先輩…」 


  「い、いやあああああああああああああああ!!!」


私はすぐさまその場で救急車を呼び、先輩を病院へ連れて行こうとした…

しかし、そのときに奇妙なことが起きた!

救急車がついたときには、先輩の顔についていた仮面は、どこかへと消え去っていたのだ!

そのうえ、仮面の刺さった傷跡さえも、きれいさっぱりなくなっていた…

先輩自身も、自分が仮面をかけて寝ていたことまでは覚えていたが、そのあとの記憶は失くしてしまったらしい。

結局、そのときは私が寝ぼけていたのだろうということで、納得した。

だが、それから日本に帰国して以来、先輩の言動は徐々におかしくなっていったのだった…


——————————

真尋「とにかく先輩、一度病院で診てもらいましょう、私も一緒に行きますから…」

春菜「真尋ちゃんは心配性だなあ、大丈夫だって言ってるの…に…?」

真尋「…先輩?どうかしました?」

春菜「何かが…呼んでる…?」

真尋「先輩、ちょっと先輩!」

春菜「行かなきゃ…行って、守らなきゃ!」

真尋「先輩、どこに行くんですか、待ってください!」

——————————


走り出した先輩を追ってたどり着いたのは、人気のない路地裏。

そこには、腰を抜かした一人の眼鏡をかけた女性と…3体のカースの姿があった!


「ザッケンナコラー!」

「スッゾオラー!」

「ハゲシク前後するドスエエエエエエ!」


千夏「いやっ…こっちに来ないでっ…」

真尋「ちょっと、あれカースじゃないですか!早くヒーローを呼ば…」

春菜「マモル… メガネ… マモル…」

春菜「って先輩!?何やってるんですか!?」


先輩は女性のもとに駆け寄り、彼女とカースの間に立ちふさがった!

そして次の瞬間!


「テメーナメテンジャネーゾッコラー!」


カースの一体が雄叫びをあげて、先輩に襲い掛かった!


真尋「せんぱあああああいっ!」



「 シュピイイイイイイイイインンンンンン!! 」


その時、先輩のメガネから、すさまじい光がほとばしった!


春菜「そうだ…全部、思い出した…!」

   「私の力、そして、私の願い…!」


カースは光によって、先輩に近づくことができないようだった。

謎の光は、やがて先輩の全身を飲み込み、そして…!


春菜「はあああああああああああああああああああ…!」


   「 ハァッ!!! 」
 

光の嵐が止み、そこに立っていたのは

全身をメカニカルなコスチュームに包んだ上条先輩だった!



春菜「私は眼鏡の戦士…そう、私の名は!」


  「 『マスク・ド・メガネ』!!!」 


真尋(名前ダサッッ!!)


  「私の目的、それは…」


  「 全世界の メガネっ娘 を 守ること! 」


真尋(えっ…メガネっ娘限定…?)


春菜「 そして… 全人類、いや、全宇宙の生物を、メガネっ娘化すること!!! 」
  

真尋(うわあ…何言ってんだこの人…)
 

春菜「眼鏡とはすなわち、人間の進化の印!」

  「人は眼鏡によって火を起こし、眼鏡によって海を渡り、眼鏡によって宇宙へと到達した!」

  「全人類が眼鏡をかければ、世界は平和になる!」

  「貧困も、争いも、全ては眼鏡によって解決することができるんだ!」

  「異星人だろうと、異界人だろうと、悪魔だろうと神様だろうと、人であっても、人でなくても…」

  
  
  「眼鏡をかければ、みんな、分かり合えるんだ!!!」



真尋(さ、さっぱり意味が分からない…)

千夏(何なの、この子…?)


春菜「だからこそ…」

  「眼鏡っ娘の美しさを、眼鏡をかける喜びを知らないお前たちは…」

  「ここで私が成敗するっ!」


先輩がカース達を指さして挑発すると、あっけにとられていたカース達もまた動き出した。

そのうち、先ほど先輩を襲ったカースが、またも触手を先輩に伸ばしてきた!


「テメーアッコラー!ナニサマダッテコラー!」


春菜「遅いっ!」

  「受けてみろ!メガネ・テンプル・カッター!」


先輩の眼鏡のつるがいくつにも分裂して伸び、カースの触手を切り払った!


「テ、テメーコラー!ナンオラー!」


驚くべきことに、先輩の攻撃は、カースを圧倒していた!



真尋「くらえ! マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義が一つ!」



  「 メガネ真拳大乱舞!!! 」


 
 


  「眼鏡キック!」

左足でカースを蹴り飛ばして上空にぶち上げる!

つま先にはいつの間にか装着された硬化メガネ!


  「眼鏡パンチ!」

上空のカースの腹へ強烈な右ストレート!

こぶしにはメリケンサックのごとく装着されたチタンフレームメガネ!


  「眼鏡ハイキック!」

後ろへ吹っ飛ぶカースへ、追い打ちの右ハイキック!

カースの体にめり込むのは、軽くて硬いカーボンメガネ!


  「眼鏡鉄山靠!」

落ちてきたカースの脇腹(?)へ、肩を使った強烈なぶちかまし!

両肩には、流線型の鋭いフレームが自慢のサンバイザー!


  「眼鏡とび膝蹴り!」

路地の壁に当たって跳ね返ったカースへ、腰を深く落としてとび膝蹴り!

膝にはスポーツの時も安心、壊れにくい形状記憶フレーム眼鏡!


  「眼鏡スルー!」

朦朧として突進してくるカースを、ここはあえてスルーし、反対側の壁に叩きつける!

チラリとスカートから覗くのは、白い靴下に留められた、本家直伝真っ赤なフレームのキュンキュンメガネ!




  「これでとどめだ! 眼鏡ブレーンバスタァァァァ!!!」



壁に突っ込んだカースを引きずり出すと、そのまま両手でカースを掴み、空中で後方へ一回転!

背中と地面でカースを無慈悲にプレス!

颯爽と立ち上がった背中に翻るのは、マント…と見せかけて、無数に連なり編み込まれた細かいメガネ!



「フ…ザケンナ…コラ…」


容赦ない連続攻撃を受けたカースは、体内の核が砕けてしまったのか、その場で爆発四散!


真尋「つ…強い…」

  「っていうか、眼鏡全く関係ないじゃん!?」

千夏「いったい何がどうなって…」


私と先ほどの眼鏡女性は、路地裏の隅で口をぽかんと開けて、先輩の活躍を見ていた。

しかし、先輩がカースを倒した瞬間、残りの2体のうちの一つが、私たちに向けて触手を放ってきた!


「ハヤクコスル、キンモチイイイイイイイ!!」


千夏「きゃあっ!いやっ!放してっ!」

真尋「あっ、やめろこらっ!ちょっ、どこ触ってんのよ!」


カースの触手は私たちを締め上げ、体をまさぐり始めた!


春菜「真尋っ!今助けに…「コッチミロヤコラー!」


よそ見した先輩を、もう一体のカースが殴り飛ばす!


春菜「ぐぅっ…!」

真尋「先輩っ…この、離せこのぉっ…!」

千夏「いやあぁ、そこはだめぇっ…そんなところっ…」


私は必死で抵抗するが、カースの締め付けは強くまったく振りほどくことができない…


真尋(このままじゃ…!)


春菜「真尋っ!」


私が最悪の展開を予想しかけたその時、先輩が鋭い声で叫んだ!


春菜「真尋、いい!?集中して、私が今からいうことをよく聞いて!」
  
  「あなたの今かけてるその眼鏡、それはいつ買ったもの!?」

真尋「はぁ!?こんな時に何言ってるんですか!?」


先輩はもう一体のカースと戦いながらも、叫び続ける!


春菜「その眼鏡、あなたがずっと使っているものでしょう!?それは、あなたに力を与えてくれるはずよ!」

  「落ち着いて、眼鏡の声を聞くのよ!」

  「その眼鏡はずっと、あなたと共に生きてきた!それは既に、あなたの一部ともいえる存在!」

  「思い出すのよ、眼鏡を初めてかけた時のことを!眼鏡との日々を!」



——————————


真尋(この眼鏡を、初めてかけた時…)


私は、思い出していた。

自分の普段かけているオレンジ色の眼鏡は

父が、高校の入学祝として買ってくれたものだった。

高校でもスポーツをやりたいといった私に父は

激しく走っても落ちず、汚れにくく、頑丈で軽いこの眼鏡をプレゼントしてくれた。


真尋「うれしいけど、多分、陸上やるときはコンタクトつけることになると思うよ?」


そういった私に、父は


真尋父「まあ、そうだろうな」

   「でも、真尋。お父さんは、眼鏡をかけてるおまえが、一番かわいくて、一番好きなんだ」


そう言った後、照れ隠しのように、


真尋父「それに、コンタクトってなんか怖いから、あんまり真尋につけてほしくないんだよ」


と笑いながら言っていたっけ…


——————————


真尋「…はっ!」


気が付くと、私の体を締め付けていた不快な感触は消え去っていた。


真尋「これは…?」

千夏「ううっ…」


私と眼鏡女性を襲っていたカースは、どうやら逃げ出したらしい。


そして、私の、父からもらった大切なメガネは

あたたかくて優しい光を纏い、キラキラと輝いていた…


真尋「もしかして、このメガネが…」

春菜「そう、そのメガネが、真尋ちゃんを守ったの」

真尋「先輩…この、メガネが…」


私は、震える指で眼鏡をはずし、そっと眼鏡を胸に抱きしめた


真尋「…守ってくれて、本当にありがとう」


(…ご主人様のためなら、お安い御用さ…)


真尋「えっ…!」


私は、どこからか声が聞こえた気がして、キョロキョロとあたりを見回した。


その時、路地裏の入り口に、私たちを襲っていたカースがいるのが見えた。

よろよろとした動きで、どうにかこの場から逃げ出そうとしているようだ!


真尋「先輩っ!あれっ!」

春菜「わかってるよっ!えいっ!」


先輩は自分が戦っていたカースをもう一体のほうにぶん投げて、二体のカースを衝突させた!


「アイエエエエエエエエ!」

「イテッコラー!ザケンナアア!」


二体のカースは絡まりあい、身動きが取れないようだ!


春菜「今が好機!」

  「まずは、 マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義が一つ!」


  「 スケルトン・アナライザー! 」


眼鏡AI『前方7m先、二体の敵性反応有り』

    『本時代における知識データを検索… 対象を「色欲」「憤怒」のカースと推定』

    『対象の排除方法を検索… 対象内に存在する「核」と呼ばれる部位の破壊が有効と確認』
  
    『対象2体の核の位置を確認 ロックオン完了』

  


春菜「よっし! では続いて、 マスク・ド・メガネ 88の眼鏡奥義、もう一つ!」


  「 ダブル・∞メガネ・ブラスター!!! 」


眼鏡AI『エネルギー充填を開始します』

    『 5 4 3 … 』


カウントダウンが開始されると同時に、先輩の眼鏡は、真っ白な輝きを帯びてきた。

その形はまさに、二つのレンズを中心とした、∞の軌道を描いている!


眼鏡AI『 2 1 … 』


真尋「いっけええええええ!せんぱあああああい!」



眼鏡AI『 0 』


    『チャージ完了』





春菜「くらえ!ダブル・∞メガネ・ブラスター!発射ああああああああああああ!!!」




カース達「「ア、アイエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエエ!!!」」




先輩の眼鏡から放たれた二本の光線は、二体のカースの一点を貫き…

二体のカースは、爆発四散!

その場で粉々に砕けっ散ったのだった…


——————————

春菜「おーい、真尋ちゃーん。こっちこっち!」

真尋「待ってくださいよせんぱ〜い」

千夏「春菜ちゃん、真尋ちゃん、久しぶりね!」


あの日の戦いからしばらくして

私と先輩はあのときの眼鏡女性と知り合いになり

今日は三人で集まって、彼女のおすすめのカフェでお茶をしていた。


ちなみに、彼女の名前は「相川千夏」

カフェ巡りが趣味で、先日も路地裏の隠れ家的名店カフェから帰る途中、カースに襲われていたらしい。


私たちは、しばらくの間、他愛のない会話を続けていた


春菜「ねっ!ちょっと見て見てよこの娘!」

真尋「なんですかこれ?日○ジャーナル…?」

風香「櫻井…桃香ちゃん?あら、かわいい娘ね」

春菜「この娘、絶対に眼鏡似合うよ!ああ、眼鏡かけさせてあげたいなあ〜」

真尋「…櫻井財閥ってあの黒い噂の絶えないところですよね?」

  「確か、この娘が悪魔なんじゃないかなんて噂もあったような…」

風香「悪魔って…そんな馬鹿な…」

春菜「も〜そんなわけないじゃない」

  「それに、たとえ悪魔だとしても、眼鏡が似合う子に悪い子はいないよ!」

真尋「…先輩はブレませんね本当に」


——————————


少しした後、先輩が真剣な顔になって話をはじめた


春菜「この前、目覚めた私の力…『マスク・ド・メガネ』についてなんだけど…」


真尋&千夏(本当にその名前で行くんだ…)


春菜「…この力が、なんで私に宿ったのかはわからない」

  「真尋ちゃんが話してくれた仮面が関係してるのかもしれないけど、その仮面も無くなっちゃったしね」

  「でも、私がしたいことは、はっきりしている」




  「私は、眼鏡をかけている皆を、この力で守りたい」


 


真尋「いや先輩、眼鏡限定じゃなくて、できればほかの人々も…」

春菜「あ、うん、ごめん。いやそうだね確かに」




  「まだ、眼鏡をかけてない人々も含めて、すべての人々を、この手で守りたい」



 


春菜「それで…お願いがあるんだけど…」


春菜「真尋ちゃん、千夏さん、私に…力を貸してくれないかな?」


先輩は、不安気な顔で私たち二人を見た。


真尋「はぁ…」

  「仕方ないですね、先輩には、助けてもらった恩がありますし」

  「協力しますよ、春菜先輩」


私は、ニッコリと微笑んで言った。


千夏「私も…」

  「私にできることなら、何でも協力させてもらうわ」

  「こう見えても大人なんだから、頼りにしてくれていいのよ?」


千夏さんも、胸を張って、そう言ってくれた。


春菜「二人とも…」


春菜「本当にありがとう、二人が手伝ってくれれば、百人力だよ!」



そして先輩は、ニッコリと笑って



春菜「それじゃあまず、二人の眼鏡を改造しないとねっ!」



…またもとんでもないことを言い出した。


 



真尋&千夏「「  えっ……  」」


春菜「二人は、どんな感じのヒーローになりたい?」

  「あっ!もちろん眼鏡は着用必須だよ!」

  「三人でがんばって、眼鏡を世界に広めようねっ!」


…私の受難は、まだまだ始まったばかりのようだ。

上条春菜(マスク・ド・メガネ)

職業

メガネヒーロー・大学生

属性

メガネ

能力

メガネを愛し、メガネに愛される力

詳細説明

普段はちょっと眼鏡が好きすぎる大学生だが、一般人(主に眼鏡をかけている人)
眼鏡をかけている人は大体知り合いらしい…?
が襲われているときは、メガネヒーロー「マスク・ド・メガネ」に変身する

マスク・ド・メガネに変身した春菜は
メガネ格闘術・メガネ魔術・メガネ妖術・メガネ錬金術などに精通しており
メガネによってできるありとあらゆることが可能である。

マスク・ド・メガネ88の眼鏡奥義には、本文中にでてきた以外にも

・メガネで霧を払い仲間との絆を深める。
・メガネをかけて光の巨人に変身する。
・メガネアイドルとしてデビューした後に引退し、優秀なメガネプロデューサーになる。

などの技が存在する。

また、基本攻撃として

・メガネのつるで相手を切り裂く。
・メガネを手裏剣のようにとばして攻撃するor強制的にメガネをかけさせる。

といったこともできる。

関連アイドル

北川真尋、相川千夏

北川真尋

職業

高校生

属性

メガネ

能力

無し(今のところ)

詳細説明

春菜の後輩の高校生。
春菜とカースの戦いに巻き込まれ、そのとき助けてもらった恩のため、春菜に協力する。

今のところは無能力者だが…

上条勢力のツッコミ担当。

関連アイドル

上条春菜、相川千夏


相川千夏

職業

フリーライター(女性誌にカフェ巡りの記事などを載せている)

属性

メガネ

能力

無し(今のところ)

詳細説明

ごく普通の眼鏡美人。
真尋と同じく春菜とカースの戦いに巻き込まれ
そのとき助けてもらった恩のため、春菜に協力する。

今のところは無能力者だが…

上条勢力の大人の色気担当。

関連アイドル

上条春菜、相川千夏


上条勢力

上条春菜を中心に構成される眼鏡集団。

「メガネによる全宇宙の平和」をモットーにかかげている。

(このモットーを本気にしているのは春菜だけだが、彼女はいたって大真面目である)



以上になります…

そして、>>843は風香→千夏で脳内補正お願いします

ちょっと憤怒の街を投下するよー!



「頑張ってるみたいだね、乃々ちゃん」

目の前で蒼のオーラがふわりと広がり事務所を覆い尽くしたところで消える。

「あれが完成すれば現在何者かによって守られてる病院の奪還も夢じゃないですねぇ〜♪」

「それにしても裕美ちゃんとは違って鍛えがいのある力ですぅ〜♪」

「…弟子の前で言うことじゃないよね、それ」

「まぁ、それはそれとしてあれがある程度でも形になったら『憤怒の街』には突入しなくっちゃ間に合いませんからぁ〜♪」

…間に合わない?

「どういうこと?」

「…GDFのヘリが撃ち落されるニュース映像、見ましたよねぇ〜」

「えっと、見たけど…」

「…あの時、憤怒のカースに染まっていないポイントの病院が見えましたけどあれが誰かに守られてるのだとしたらどのくらい持つか分かりませんよぉ?」

「残された時間は少ないってこと…?」

「そうじゃなくて私たちのやることは病院を守っている力の維持ですぅ〜♪」

「…救出じゃないの?」

救いだしたほうが安全なんじゃ…?

「病院に入院している人たちをどうやって救出するんですかぁ〜」

「…病院を『動けない』人たちだって居るんですよぉ〜?」

「けが人とか病人とかのこと?」

「…誰かが病院を守っているんだとしたら私たちに出来るのは病院を守っている人を休ませてあげないとですからぁ〜♪」

「それじゃあ私たちがするのは病院の維持と病院を守る力の保持ってことかな?」

「もっとも乃々ちゃん含むナチュルスターの三人には重傷の人を連れ帰って貰うので一回病院まで行ったら戻ってもらいますけどねぇ〜」

「…そうだね、もし『外側』から憤怒の街を攻めるなら三人の力は必要になると思う…」



『嵐よっ!雷よっ!力を貸して!!』

暴風と雷がカース達を蹂躙して道を拓く。

『地よッ!力を貸せぇ!!』

急激に成長した草木がカースを握り潰す。


「いつ見ても派手だよね…」

魔法とは大違いだ…。

『氷よ!寄り集まりて塊となれぇ〜♪』

仏像みたいな大きさの氷塊が無数に落ちてきて二人が捉え損ねたカースをぐちゃりと嫌な音を立てて潰す。

…訂正、私の魔法とは大違いだ。

「なるべく力を控えてくださいねぇ〜♪」

「一体でも多く『憤怒の街』のカースを減らしたほうがいいんじゃないんですか?」

ほたるさんが不思議そうに尋ねる。

「三人は帰りは重傷者とか優先的に帰さなくちゃ行けない人たちを守りながらだから力はセーブしなくちゃ」

もっとも乃々ちゃんのオーラのお陰である程度強力な個体以外は近寄ってすらこないけど…。

「…け、結構維持って大変なんですけど…」

「これ維持出来なくなったら一気に私たち襲われて大変なことになっちゃいますよぉ〜♪」

「ひぅっ!?」

……師匠、乃々ちゃんにプレッシャー掛けるのやめてぇ!

「…あれが病院かな?」

カースの群れが近寄って来ない一帯、これが…。

「結界の力かな?これ……」

「乃々ちゃんの力とはまた別種の結界のみたいですねぇ〜♪」

「…あの、正直少し休みたいんですけど……」

「結界の中に入ったみたいですから力切っても大丈夫ですよぉ〜♪」

「あはは、ありがとう乃々さん」

ナチュルスターの三人のお陰で魔力も殆ど使わないで済んだな…。



病院に着いて早々問題が起きました。

「ここだけじゃなくていくつか似たような場所があるっていのは…?」

「…そうすると持ってきた食料だけだとカツカツかもしれませんねぇ〜」

「はい、私がここの結界を張ってたんですけど…街の中同士だったら連絡はつくんです…」

「…ど、どうしましょう?」

「他の場所で結界なしで耐えられている人たちは耐性があるのかもしれませんねぇ〜」

「…それならまだ手はあるね」

精神汚染を気にしなくていいならカースを物理的に塞げばいい。

「病院以外に生き残ってる人たちの居る場所は分かるかな?」

「は、はい、大体なら……」

結界を張っていた女の人はこの街の地図にいくつかの丸を付けてくれました。

「乃々ちゃん行きますよぉ〜♪」

「いぃやぁ〜……」

乃々ちゃんを引きずって病院の外に歩いて行くイヴさん。



「やれるだけやってみましょうかぁ〜♪」

「う、うんっ!」

「師弟で合唱魔術なんて燃えるじゃないですかぁ〜♪」

「…私は丸着いた箇所全部やるのかと考えたら気が重いよ…」

「行っきますよぉ〜♪」



『合唱魔術の発動を宣言する!』

『氷よ!大いなる我が力に従い、全てを覆い隠せ!アイシクルケージ!』

終わり。

病院に閉じ込められるって割りとやばいよねって思った。


・イベント情報
・『憤怒の街』各所に食料と簡単な支給品が届けられました。
・『憤怒の街』から重傷者と重病者を連れてナチュルスターが帰還しました。
・『憤怒の街』のいくつかのポイントが氷の檻で閉ざされました。

乙です

朋ちゃんいきます

とある街角に、小さな占い屋がある。

お店の外見は古ぼけて、本当に小さなお店である。

だが、今日も行列ができている。


ここの占いはいたってシンプルである。

客はタロットを一枚引き、それを占い師が見ていろいろ言うのである。

一回100円。

それでも成り立つのは、人気が非常に高いからである。

だが、何故こんなに人気なのか。

それは単純に、占いが当たるからである。ほとんど100%、ひねくれた人が占いを無視した分を引くときっと100%である。




なんと、はるか昔の書物に、この占い師らしき記述も残っているが、定かではない。

代々そっくりの女性が占い師をやっているのか、それとも人ではないのか。

また、その占いの精度ゆえ、多くの人からその身を狙われてもいる。

昔は豪族や貴族から。

今は、宇宙人などから。

━━━━━━━━━

『えっと...じゃあこれで!』

「これは『恋人』ね。きっとその人とは上手くいくわよ。明日あたりアタックしたらどうかしら」

『あ、ありがとうござました!』

「お幸せに」


今日も占いが無事終わった。

今の人の恋もきっと成就して、あたしのところに報告に来るだろう。

その笑顔を見るとこっちも嬉しくなってくる。

さて、そろそろ店じまいをしようかな...


『......』


フードを被った人が立っていた。


「あの、もう今日は占い終わったわよ」


『......』


フードは無言で立っている。


「おかしな人ね...」


ビシュッ

ドゴォン


フードはいきなりあたしに向けてなにかを撃ってきた。

『...?...?』


びっくりしたわ...久しぶりに狙われたわ。

でも、フードもあたしがいきなり消えたから驚いてるみたいね。

それにしても、ちょうど『�� ハングドマン』が出てよかったわ...


『......!!』


でも、すぐにフードは空中に吊られたあたしを見つけ、また撃ってきた。

次のタロットは...これね!


『� ザ・マジシャン』


『......!』


弾丸をそらしてやったわ。超能力じゃなくて魔法よ、魔法。

さて、こんどはこちらからよ。


『��� ザ・スター』


フードめがけて岩が飛んでくる。流れ星よ。



『...く...』



フードは逃げようと考えたようだ。これだけ騒いだら、人も来る。そう思ったのね。

でも、逃がすわけにはいかない。

次のタロットは『�� ストレングス』

近くにあった車を投げ、道を塞ぐ。ごめんなさい、あとで弁償します!

『...う...ちっ』


しまった、路地裏に逃げ込まれた。このあたりは入り組んでるから面倒なのよね。

でも、あたしにはこれがある。このタロットカードが。


『��� ザ・ワールド』


さあ、あたしの世界へ...


━━━━━━━━━


くそ、うわさには聞いていたがあんなにいくつも能力を持ってるとは...

報告しなきゃな...


『そこのフードの人、ちょっといいかしら』


あっ...

━━━━━━━━
━━━━━━
━━━━

昨日は大変だったわ...お店も直さなきゃいけないし、車も弁償しなきゃ...



あ、今日のあたしの運勢はっと...

口調おかしくないよね...?

藤居 朋(??)

占い師。良く当たると評判である。
彼女の能力と占いの精度は関係ない。
能力は、『タロットカードに関連したアクションを出せる(一日各一枚ずつ)』
年齢は不詳。

『� ザ・マジシャン』

魔法が一回だけ使える。炎も出せる。


『�� ストレングス』

一度だけものすごい力を発揮できる。


『�� ハングドマン』

好きなところに吊るされることができる。頭に血が上る。


『��� ザ・スター』

岩がひとつ流れ星のように飛んでくる。


『��� ザ・ワールド』

自分だけの世界に入ることができ、好きなところからでて、不意打ちなどができる。時は止まらない。


あとは考えてない

ぶっちゃけると俺が大アルカナしか使わないから小の方は自由でいいです

エンペラーとかどうしよう

メギャン

乙乙!

常時火力不足の裕美ちゃんの過労死が遠ざかった!
雪菜ちゃんは同じく考えてたけど変身能力を残すか魔翌力を残すか考えてぶん投げた。

>>765
「命の所有権」は配下限定に使えるザキなので案外大した事無いです。
「強欲の庭」は軽くチートに片足突っ込んでますけど、まあ、大罪の悪魔の切り札なんで
マンモンは典型的な「能力は強いけど本体はそうでもない」タイプだから
倒される時はあっさり倒されそうだなあって

>>843
逃げろ、ちゃま

いや、やっぱり逃げなくていいや、メガネ見たいし


ちょっと出遅れた感あるけど少しばかり憤怒の街攻略するよー

 
 
紗南「無理、無理、無理、無理、無理、無理!!!」



紗南「やっぱ無理ゲーだってば、これぇええ!!!!」


三好紗南は走る、ひたすら走る。


『マテコラアアアアアアアアアアア!!!!!』
『クソガアアアアアアァアアアアアアアア!!!!!!!!』
『ニガスカァアアアアアアアアアアアアアアアアアアア!!!!』
『[ピーーー]ゾぉオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!』


彼女は現在カースの大群に追われていた。

紗南「いわゆるアクティブな敵に絡まれまくってトレイン状態って奴ね!!」


あくまで運動能力はごく普通の少女である三好紗南が

カースの大群からなんとか逃げ切れているのは、

櫻井桃華から手渡されたシューズのおかげである。

『エアロシューズ』とか何とか言ったか。

重力制御なんたら装置なんて大仰な名前の物体が取り付けられたシューズで、

アンダーワールド産なんだか宇宙産なんだかわからないけど、

簡単に言えばダッシュ力とジャンプ力が飛躍的にアップするシューズであるらしい。

ちなみにモロに機械製品なのだが、

そこは例によって例の如く、マンモンの『物の所有権』によって、結界からの干渉を免れている。

「簡単に言えばBダッシュが出来るシューズですわ。紗南ちゃま、こう言うのは得意でしょう♪」

とかなんとか笑顔で言いながら、手渡されたのを思い出す。


紗南「そりゃあゲームなら回避ゲーだとか逃走ゲーとかまあまあできるけどさぁあ!!」

紗南「ゲームと現実は区別つけてよねえぇ!!」


憤怒の街に少し近寄れば前から後ろから横から、『憤怒』のカースの歓迎会であった。

「ようこそ、僕らの街へ!君も仲間にならないかい?」とでも言いたげな大歓迎である。


『強欲』の悪魔が紗南に下した命令は

『カースをできるだけ見つけて、情報を集めながら逃げること。』であった。

そして、見つける必要なんてなかった。と言う素敵なオチだ。

だって向こうから集まってくるんだもん。


真後ろからカースの砲撃が飛んでくる。

紗南はそれをジャンプでかわす。

紗南は自身の『情報獲得』で周囲からの攻撃をある程度は知ることができる。

それが遠距離からの攻撃ならば、『エアロシューズ』の力も合わせて

なんとかギリギリ、辛うじて避けることができるのだ。


紗南「ギリギリもいいところだよ!!かすりヒットでも私死ぬからねっ!!」


「極限の状況下でこそ人は進化できるのですわ!紗南ちゃま、応援してますわよ!」

なんて言ってたのも思い出す。


紗南「くそぉ!!絶対にあの悪魔許さないからぁああ!!!」


これほど怒っていても『憤怒』に飲まれないのは、その悪魔に支配されてるせいだとは彼女は知らない。


紗南「あっ!!!」


そして三好紗南は停止する。


『コッチカアァアア!!!』
『エモノダァアアア!!!!』
『ヨコセェエエエエ!!!!』

前方から多数のカースがやってきたからだ。


紗南(やばいやばいやばいやばいやばい)


あっと言う間に前後左右囲まれてしまった。

俗に言う四面楚歌である。

『モウニゲラレンゾオォオオオオオオオオオ!!!』
『クラェエエエエエエエエエエエエエエエ!!!!』
『カカレエエエエエエエエ!!!!』



お父さん、お母さん、ごめんなさい。

紗南の人生はここまでです。

ゲームで遊んでばかりいないで、

少しは言う事聞いて勉強もしておけばよかったのかな。


紗南「ゲームオーバー・・・・・・か。」

ざんねん!紗南の冒険はここでおわってしまった!


と言う事は無く、その時不思議なことが起こった。


『オラァアア!!』 『グゲッ!?』

紗南「えっ。」


一体のカースが隣のカースを殴ったのである。

『ナニスンダテメェエエエ!!』

『テメェガサキニヤッタンダロォオオ!!!』


気がつけば周りのカースはカース同士で争い始めた。

三好紗南のことはすっかり忘れてしまったらしい。


紗南「よくわからないけど、今のうちに!」


三好紗南は飛び上がる!

『エアロシューズ』を使った大ジャンプ!

今ならスーパー配管工にもなれる気がする!


乱痴気騒ぎのカースの群れを跳び越えて、


彼女は見事に逃げ去ったのだった。

——

そうして絶体絶命の窮地を乗り越えて、

三好紗南は隣街まで帰ってきたのでした。


紗南「ぜぇ・・・・・・ぜぇ・・・・・・。」


桃華「おかえりなさい、紗南ちゃま♪」


紗南(アタシをあの戦場に送り出した元凶たる悪魔は、)

紗南(人の気も知らないで笑顔で出迎えてくれやがりました。)


桃華「お疲れでしょう?喉かわいてますわよね?」

桃華「紅茶飲みます?」

桃華「さっきそこの機械から手に入れましたのよ!」

桃華「コインを入れてボタンを押すだけで紅茶が出てきますの!凄いですわよね!」


紗南が死線をくぐってるあいだ、

この悪魔は自動販売機で、午○ティーを買って感動していたらしい。


紗南(絶対いつか泣かすしっ!)


桃華「そんなに睨まないでくださいません?」

桃華「わたくしとて、あなたばかりに働かせていた訳ではありませんのよ。」

桃華「上を御覧なさいな。」


言われて紗南が上を見れば、

「あほー、あほー」

数羽のカラスが上空を飛んでいた。


紗南「あれが・・・・・・ぜぇ・・・・・・どうしたって言うのさ・・・・・・。」

桃華「あのくらいの下等生物なら、完全にわたくしの支配下に置けますの。」

紗南「・・・・・・。」

桃華「・・・・・・あっ」

桃華「今のはあのカラス達が下等生物って話で、」

桃華「わたくしに支配されてる紗南ちゃまのことじゃありませんわよ?」

紗南「悪意のあるフォローはいらないからっ!」


桃華「あのカラス達の目を使って上空から街の様子を観察していたのですわ。」

紗南「・・・・・・そう言うのってグーグ○アースとかでいいんじゃないの?」

桃華「魔力の流れを見るにはやはり生命の目を通しませんと。」


桃華「紗南ちゃまのご活躍もちゃんと観察してましたわよ♪」

紗南「本当いい趣味してるよね・・・・・・。」

桃華「そんなに怒らなくてもよろしいですのに。」

桃華「カース達に囲まれた時、わたくし助けて差し上げたでしょう?」

紗南「えっ。」


桃華「予め、わたくしの支配下に置いたカースを紛れさせておいたのですわ♪」

桃華「街の外側のカース達は、『憤怒の街』の元凶たる存在の支配が緩いんですの。」

桃華「それにあの数ですから、わたくしのカースを数体、混ぜておいたところで気づきませんわ。」

桃華「木を隠すなら森の中・・・・・・と言う事ですのよ。」

桃華「紗南ちゃまが囲まれた時、カース同士で争う様に仕向けたのはわたくしの配下ですわ♪」


紗南(・・・・・・助かったのはこの悪魔のおかげなんだろうけど)

紗南(少しもありがたいと思わないなぁ・・・・・・)

紗南(だって)


紗南「アタシがピンチになった元凶アンタじゃん!!」

桃華「ウフ、ごめんあそばせ♪」


桃華「それはそれとしてですけれど」

紗南「話変えようとしてる!今回、絶対危険手当貰うからね!!」

桃華「考えておきますわ。」


桃華「それより早くデータを見せてくださるかしら。」

紗南「えぇ・・・・・・休憩くらいさせてよ、鬼。」

桃華「仕方ありませんわね・・・・・・端末だけお渡しなさい。」


言われて紗南は携帯ゲーム機を渡す。


紗南「はい。でも操作わかるの?」

桃華「わたくしには『ベルフェちゃまの記憶』がありますから、」

桃華「ある程度の操作の仕方は”覚えて”ますわ。」

桃華「ここをこうしてこんな感じ・・・・・・ですわね。」


『強欲』の悪魔は『ベルフェゴールの記憶』にある様に器用にコマンドを入力し、

携帯ゲーム機に収まった情報の回覧をはじめる。


紗南「お嬢様の中の人の言うとおり、街の外側まわってきたけどさ。」

紗南「やっぱり何処からも簡単には進入できないっぽいよ。」


さきほど三好紗南は『強欲』の悪魔の命令で、

街の外周をグルリと一周してきたのだ。

その結果わかった事は、

街の内部に繋がる道は全て憤怒のカースに占拠されていると言う事。

どの道もウジャウジャとカースが外に向けて溢れていた。


桃華「まあ、地上の進入経路は最初から期待してませんでしたわ。」


そして携帯ゲーム機に収まった情報をある程度読み進めた悪魔は言う。

桃華「やはり・・・・・・。」

桃華「大した情報は入ってませんわね。」


紗南「えぇっ!!人がせっかく集めてきた情報にそんなこと言う!」

桃華「あら、今のは少し語弊がありましたわね。」

桃華「ただ、ベルフェちゃまならこれだけで犯人を特定していた。と言う話ですわ。」

紗南「しょうがないじゃん!アタシ能力に目覚めたばかりなんだし!」

桃華「わたくしとしても、紗南ちゃまにそこまでは求めていませんわよ。」


桃華「けれど、」

桃華「期待していた情報はしっかり集めてくださいましたわね。」

桃華「特別報奨ものですわよ。」

紗南「えっ。」


桃華「わたくしが紗南ちゃまに集めさせた情報は、」

桃華「『カースの来歴』」

桃華「つまりは、外側に溢れ出てくるカース達は」

桃華「何処で産まれて、どう言うルートを通って、外側まで出て来たのかですわ。」


桃華「紗南ちゃまは街をグルリと一周したと言う事は、」

桃華「街の外に溢れてくるほぼ全てのカースを見て、その来歴を調べたと言う事ですのよ。」


桃華「そして、その中でも自然発生型ではない、」

桃華「悪魔製、もしくはカースドヒューマン製のカースの来歴は、」

桃華「わたくし達にとって決定的な情報をもたらしますわ。」


紗南「あ、そっか!作られた場所が分かればボスの居場所わかるよね!」

桃華「それほど簡単な話ではありませんけれど、だいたい正解ですわ♪」

そうして、しばらく『強欲』の悪魔は携帯ゲーム機を弄くり、

一つのマップを作り上げる。


桃華「ベースはこの街の地図ですわよ。」

桃華「そして7段階に色分けしてる部分が、わたくしがカラスを使って観測した魔力濃度。」

桃華「そしてこの線の集まり、これが紗南ちゃまが集めてきた『カースの通ったルートの情報』ですわ。」


紗南は桃華の持つ携帯ゲーム機を覗き込む。

地図上の街の道には至るところに細い線、そして太い線があった。

太い線は多くのカースが通った道、と言う事だろう。

中には道ではないところを通ってる線もあったが。


桃華「注目するべきなのは線の始点ですわね。」

紗南「カースの発生地点だね。」


確かに見てみれば、

複数の線が、同じ箇所を始点にしている。

それは一目に付かない路地裏だとか、河川の橋の下だとか、地下通路だとか。


紗南「・・・・・・一箇所から産まれたんじゃないんだ。」


桃華「複数の場所からカースを発生させないと、街の占拠なんて到底できませんわよ。」

桃華「ですが、ある程度の偏りがわかればそれで結構ですの♪」

桃華「そうですわね。」

桃華「わたくしの観測した魔力濃度の分布と合わせて考えれば・・・・・・」


桃華「ココかココ、そしてココ」


そう言って強欲の悪魔は画面上の数箇所を指差す。


桃華「あるいはココですわね。」

桃華「全部で4ヵ所と言ったところかしら。」

紗南「もしかしてその中のどれかが?」

桃華「そうですわ。」


桃華「ボスキャラの居場所ですのよ♪」

紗南「うぅ・・・・・・あれほど死ぬ思いしたのに、一箇所に特定できないなんて。」

桃華「何を言ってますの。」

桃華「これだけ絞れれば十分ではありませんの。」


桃華「とは言っても、この中にブラフもありそうですわね。」

桃華「このマップを見る限り、この街の支配者は狡猾ですわよ。」

桃華「『突発的な衝動ではなく、何らかの意図をあってこの惨状を作り出した。』と言う事ですわ。」

桃華「なら、そのくらいの用意は当然してますわよ。」

紗南「うげぇ、ボス部屋かと思ったらトラップだったとか洒落にならないよ。」


桃華「ああ、そうそう。紗南ちゃま、わかった事はそれだけではありませんのよ。」

桃華「ここ、見てくださるかしら。」

桃華が指した場所は地図上の空白地帯。

紗南「何も無いじゃん。」

桃華「ええ、ここは”不自然に”カース達の道が無いのですわ。」

桃華「カース達はこの場所を迂回しているでしょう?」

確かに、桃華の言うとおり。

カース達はその場所でわざわざ遠回りをして通り過ぎているようであった。

紗南「どうして?」

桃華「ここに居ますのよ、『カースを浄化できる能力者』が。」

紗南「えっ!!」

桃華「他にも、この地図を見れば、カースの発生源が多いところ、少ないところがよくわかりますわ。」

桃華「カースの少ないところからなら比較的進入も楽に出来るでしょうし、」

桃華「カースの多いところには、そこを狙って広範囲の攻撃をすれば大きな成果が、」

紗南「そんなことより!!」

桃華「どうしましたの?」

紗南「助けに行かなきゃ!!」

紗南「浄化の能力者が居るってことは、そこにたくさんの人が生きてるって事じゃん!」

紗南「きっと助けに来てくれるの待ってるよ!」

そう言って駆け出そうとする紗南を

桃華「お待ちなさい。」

桃華は引き止める。


桃華「紗南ちゃま、あなたが今あの街に言って何が出来ますの。」

桃華「あなたの能力では逃げるのがせいぜいで、カースの大群は突破できませんわよ。」

桃華「本当に犬死したいんですの?」

紗南「でも・・・・・・。」

桃華「それに紗南ちゃま。わたくし達の目的はあの街の人間を救うことではありませんわよ。」

桃華「財閥の信頼を回復する。それだけですわ。」

桃華「この『攻略マップ』を財閥に持ち帰れば、それはある程度達成できますの。」

桃華「後の事は、今この街に来てるヒーロー達に任せればいいのですわ。」

紗南「・・・・・・わかったよ。」


桃華「あら、素直ですのね♪」

桃華「もっと反抗なさるかと思いましたのに。」

紗南「お嬢様の中の人に逆らっても無駄だしさ。」

紗南「それにアタシ一人じゃ助けに行けないって言うのも本当だし・・・・・・。」


桃華「ウフ♪紗南ちゃま、そんなに気を落さなくてもよろしいですのよ?」

桃華「もしかすると紗南ちゃまのおかげで助かる人間もいるかもしれないのですから。」


この後、財閥から然るべき者達に『攻略マップ』が贈られるが、

それがたった二人の少女によって作られたものだと知る人は少ない。

おしまい

えっ、財閥が作った地図なんて信用できない?
やだな、櫻井財閥は人類を守ってるホワイトプロダクションですよ^^


『エアロシューズ』

これを はいて Bボタンを おせば ダッシュ が できる ぞ!


『攻略マップ』

財閥が抱える能力者の精鋭達が、死の物狂いで作り出したと言う
『憤怒の街』の攻略マップ。作られた時点でのカースの生息分布がよくわかる。
4箇所の危険地帯と、数箇所の安全地帯が示されている。
なぜかゲームのマッピング風で、宝箱の場所だとか、ワープゾーンの場所も描かれている。

カミカゼ投下ー

前回に引き続き菜々と夕美を借りたよ

「はい、今日はここまでです。お疲れ様でした」

 トレーナーにレッスンの終了を告げられ、拓海と美世は座り込む。

美世「は〜、もうヘトヘトだよ。なかなか慣れないもんだね」

拓海「これなら殴り合いの方がまだ楽だな……」

「休みたいのは分かるけど、次の子が来る前にどいてね。
 あと、拓海ちゃんは恥ずかしがって動きがぎこちなくなるのを何とかしてね」

拓海「んなこと言われても、やっぱガラじゃねぇんだよ」

美世「でもやるって言った以上やるしかないよねー」

拓海「そ、そりゃそうだけどよ……」

 ぼやきながら立ち上がり、レッスンルームから出ると二人の少女とはち合わせた。

菜々「あ、お疲れさまですー」

夕美「……」

拓海「お、おう。体は大丈夫か?」

菜々「大丈夫もなにも、初めから怪我は無くって周りが騒いだだけですよ?
   拓海さんも心配症ですね、この通りナナはピンピンしてるのですっ」

夕美「ナナちゃん、行こう」

 夕美は菜々の腕を掴むとレッスンルームへ引っ張っていく。

菜々「えー、もうちょっと話してたっていいじゃないですk」

 そのまま、二人の姿はドアの向こうに行ってしまった。

美世「わっかりやすく嫌われてるねー……」

拓海「ああ、そうだな……」

_____________

 正午。食堂は多くの人で混雑する。
 やや出遅れてしまった二人は、運よく空席を見つけ席に着く。

拓海「隣、座るぞ」

夕美「!!」

 露骨に嫌な顔をされたが気にしない。他に席が無いんだから仕方ない。

美世「隣いいかな?」

菜々「あ、どうぞー♪」

 一方菜々は嫌がるどころか嬉しそうですらある。

拓海「おまえ、菜々から愛想を分けてもらったらどうだ?」

夕美「余計なお世話です」

菜々「二人とも、喧嘩しちゃだめですよー」

美世「ごめんねナナちゃん、うちの相棒口が悪くて」

菜々「いえいえ、夕美ちゃんこそプライベートではちょっとキツくなっちゃうらしくて……」

 仲裁からそのまま和やかに菜々と会話する美世に、夕美が恨めし気な視線を送る。

拓海「おい、多分アイドルがしちゃいけない顔になってるぞ」

夕美「ナナちゃんは私の友達なのに……」

拓海「……」

 夕美の頬をつまむ。

夕美「……あに?(なに?)」

拓海「おおやわらけぇ……っとそうじゃねぇ。
   お前は馬鹿か、友達ってのは一人しか作っちゃいけねぇ訳でもねぇだろ。
   ナナが他人と仲良くすんのを一々邪険にしてたらナナにも迷惑だぞ、お前はナナに迷惑かけたいのか」

菜々「迷惑かはおいといて、ナナも夕美ちゃんは友達を増やすべきだと思いますよ」

美世「あ、じゃああたしと拓海が友達二号と三号に立候補したげるよ!」

菜々「ありがとうございます! さあ夕美ちゃん、菜々のことでいつまでも嫌ってないで、仲直りに握手して友達になっちゃいましょうよ!」

夕美「え、でも私はナナちゃんだけで充分……」

拓海「ごちゃごちゃ言ってんじゃねーよ」

 拓海はごねる夕美の手を取り強引に握手する。

拓海「じゃ、これから友達としてよろしくな、夕美」

夕美「うー……よ、よろしく」

 渋々といった感じではあるが、夕美が拓海を受け入れたことで菜々の表情がぱあっと明るくなる。

菜々「この後は皆さん暇でしたよね? 仲良くなった記念に早速どこか出かけましょう」

美世「いいね、どこ行く?」

拓海「……わりい、用事ができた。また今度な」

美世「拓海?」

 拓海の視線はテレビに向けられている。
 そこに映されていたのはナチュラルスターが憤怒の街から人を救出したニュース。
 そして避難民の居場所を記された地図が公開されたところだった。

_____________


拓海「おいプロデューサー、アタシはあの街に行くからな」

「だめです、許可できません。死にに行くようなものじゃないですか。
 急にどうしたんですか、今日までおとなしくしていたのに」

拓海「アタシだってあんな場所で闇雲に動けば死ぬのは分かってたさ。
   だけどよ、ついさっきナチュラルスターが救助に成功して、要救助者の居場所が公開された。
   闇雲じゃなくなった以上、ここで指くわえて眺めてるなんざ耐えられないんだよ」

「だからといって……」

拓海「アンタの意見は聞いてない。報告に来ただけだからな。
   減給だろうが謹慎だろうがかまわねーし、説教なら終わった後でいくらでも聞いてやるよ」

美世「拓海!」

拓海「美世、何言ったってアタシは止まらねえぞ」

美世「分かってるよ。そうじゃなくて……人を運ぶなら車が入り用でしょ? あたしもついてくよ」

拓海「おまえ……怪我しても知らねえからな!」

「二人とも、待ちなさい!」

 プロデューサーの制止を無視して、二人は走って行ってしまった。

_____________

拓海「おい美世、まだか?」

 美世が車の整備をしたいと言ったので、二人はガレージに来ていた。
 ……が、その整備が中々終わらず、拓海は若干苛立っていた。

拓海「おい、いい加減に……!」

 痺れを切らした拓海は、見てしまった。
 美世の目の焦点が合っておらず、手は視認できないような速さで動いているのを。
 拓海が絶句していると、唐突に手が止まり、

美世「……はっ!?」

 美世の意識が戻った。

美世「ねえ拓海、あたし今何してた?」

拓海「ありえねえ速さで改造してた。バイク弄った時の記憶が無いってマジだったんだな、ありゃ異常だ」

美世「そっか……これも能力ってことになるのかな」

拓海「制御できない上に意識飛ぶんじゃ扱い難いにも程があるぞ。
   それよりも、能力かどうかは後で調べるなりなんなりすりゃいいんだ、さっさと行くぞ」

美世「うん、おっけー!」

 美世は今しがた自分で改造を施した装甲車に乗り込んだ。





 憤怒の街が目前に迫るその場所は、GDFによって封鎖されていた。
 そこからでも道路を埋め尽くすカースの様子は見え、時々こちらにやってきてはGDFと戦闘している。

GDF隊員「はい、ここから先は進入禁止になって……カミカゼ!? アイドルヒーロー同盟から連絡は来てませんが……」

カミカゼ「そりゃそうだ、独断だからな」

GDF隊員「な!? それじゃあここを通すわけには……」

カミカゼ「どけ。二度は言わないぞ」

GDF隊員「う……」

 たじろぐ隊員を押しのけて前に進み、カースの群れと対峙する。美世の装甲車も後に続いた。
 これだけの数を相手にすれば、下手をすると……いや、下手をしなくともただでは済まないかもしれない。
 だが、自分がここで手を拱いていては、中で助けを待つ人々はどうなる?

 ナチュラルスターたちだけでは間に合わないかも知れない。それどころか彼女たちも下手を打ってやられる可能性がゼロではない。
 自分には戦う力があって、助けを求める人が居るのだ。止まってなど居られない。

カミカゼ「一人でも多く救ってみせる……命に換えてでも!」












≪エネルギー量が規定値を超えました。制限を一部解除します≫










 カミカゼの体に変化が起きる。
 スーツの各所に隙間が開き、空気の吸入・排出を始めた。
 そうして生まれた気流はやがてカミカゼを包むように渦巻く。

カミカゼ・烈風「行くぞっ」

 街へ向かって走り出す。
 道路を塞ぐカースの群れは、突如迫ってきた外敵に対し一斉に腕や触手を振るう。
 一方カミカゼは右手の指を鉤爪状に曲げ、

烈風「断空爪刃!」

 そのまま振ると爪の軌跡を追うように風の刃が生じ、自身に迫っていたカースの腕は輪切りになってボトボトと落ち、崩れていった。
 続けざまに左手を突き出すと、

烈風「リストツイスト!」

 手首の隙間から噴出した風が水平方向に伸びる竜巻となって、カースを吹き飛ばした。
 道路にぽっかりと生まれたスペースには一際大きなカースが一体だけ残っていて、周囲のカースは互いが邪魔になってうまく起き上がれない。
 カミカゼはその一体に飛び掛ると右腕を高く掲げ、

烈風「真空唐竹割り!」

 手刀の一撃で両断した。
 それは核を僅かに外していたが、手刀の一閃で生じた気圧差を埋めようと流れ込む風がカマイタチになって核を切り刻む。

 カミカゼが作ったスペースに美世が滑り込むと、新手のカースによって再び道路が封鎖された。
 見渡す限りの敵、敵、敵。友軍は無し。退路も無し。
 早々に窮地に追い込まれたはずなのに、危機感は無く、それどころか無限に戦えると思えるほどにエネルギーが体の奥から沸いてくる。

烈風「近場から行くぞ!」

美世「あいさー!」

 二人の進軍が始まった。

      了

——次回予告——

美世「新しい力に目覚めてカミカゼの快進撃が始まる!
   ……と思いきや、そこに立ちふさがる影!
   底知れぬ怒りを抱えた少女との闘いで、新たな宿命が産声を上げる!?

   次回の特攻戦士カミカゼは、
   『憤怒の少女』!
   覚悟、完了!」

 この番組は、株式会社DeNAとアイドルヒーロー同盟、ゴランノスポンサーの提供でお送りしました。

 カミカゼ・烈風
 拓海の覚悟が呼び覚ましたカミカゼのアタックフォーム
 一挙手一投足が風を生み、生まれた風は刃となって敵を裂く
 耐久性は低下するので敵の攻撃に注意が必要
 現段階ではまだ自分の意思でこの姿になることはできない

 断空爪刃
 烈風専用技
 獣の爪を思わせる四本の風の刃で近距離広角を切り裂く

 リストツイスト
 烈風専用技
 手首から竜巻を出す遠距離広範囲技
 敵を吹き飛ばす、体勢を崩すといった方面に特化しているため攻撃力に欠ける

 真空唐竹割り
 烈風専用技
 鋭い手刀の後にカマイタチによる追撃がある二段構えの技
 カマイタチをかわすのは非常に困難


 超☆特殊装甲車
 美世の魔改造品第二弾。やっぱり改造中の記憶は無い。
 性能は以下の通り。

 定員    :5名
 最高速度  :170km/h
 最大積載荷重:1.5t
 走行可能距離:80km/L
 ガソリン容量:60L
 耐久性   :ロケット弾が直撃してもほぼ無傷
 備考    :1MSv/hの放射線が降り注ぐ環境でも走行可能。よく分か