妹「いや別に一緒に寝たいとかそういうんじゃないけど」 (22)

コンコン

兄「?」

ガチャッ

妹「よお、くそあにき」

兄「こんな夜更けに何の用だ、くそ妹」

妹「妹をくそ呼ばわりはいかがなものかと思う」

兄「あにきにはいいの?」

妹「うーん……」

兄「……」

妹「いんじゃね?」

兄「そっか」

妹「不服か?」

兄「もうちょい可愛げある呼び方されたい。昔のように」

妹「どんなんだっけ?」

兄「お兄ちゃん」

妹「おにーーーーーちゃん」

兄「ながい」

妹「にちゃあ」

兄「きもい」

妹「ひどい」

兄「残当」

妹「要望通り短くしたのに」

兄「発注ミスだよ」

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兄「で?」

妹「で、とは?」

兄「何の用だって聞いてんの」

妹「あにきさぁ」

兄「おう」

妹「なにしてたの?」

兄「はぁ?」

妹「なにしてたのって聞いてんの」

兄「ゲーム」

妹「なに?」

兄「なんでもいいだろ」

妹「教えろ」

兄「気になんの?」

妹「ぜんぜん」

兄「じゃあいいだろ」

妹「えろ?」

兄「ちげーわ」

妹「いつまでやんの?」

兄「そろそろおしまい」

妹「もう寝る?」

兄「もう寝る」

妹「あそ」トテトテ

兄「おい待て」

妹「なに?」

兄「なぜ我が物顔で部屋に入る?」

妹「いーじゃん」

兄「寝るんだけど」

妹「さっき聞いた」

兄「出てけ」

妹「冷たい。そんなんだからくそあにきなんだ」

兄「うるせえ」

妹「心があったかい人は手が冷たいといいます。心の冷たいあにきの手は、それはあったかいことでしょう」

兄「ひとりでなに言ってんの?」

妹「では試してみましょう」スッ

兄「……」サッ

妹「……」

兄「……」

妹「……!」バッ

兄「……」ヒョイッ

妹「……」

兄「……」

妹「む……」ムスッ

兄「拗ねんな。ほら」

妹「大人しく差し出せばいいものを」ムギュ

兄「ご感想は?」

妹「あったかい。やはり仮説は正しかった」ムニムニ

兄「そらよござんした。もういいだろ、離せ」

妹「さらなる調査を……」ムニムニ

兄「おい……」

妹「………………あったか♪」ギュ-

兄「マジなんなん……?」

兄「いい加減離しなさい」

妹「やだぷい」ギュ

兄「寝るんだよ」

妹「あそ」グイ

兄「え、なに?」ヨロッ

妹「早く座れば?」ポスッ

兄「なぜ我が物顔で俺のベッドに座る?」

妹「いいからはよ座れ。腕が疲れる」

兄「離せよ」

妹「うっさい。ほらここ」ポフポフ

兄「なぜだか無性に抵抗したい」

妹「寝ないつもり?」

兄「寝るつもりだからこそ」

妹「夜更かしは美容の敵」

兄「じゃあはやく出てけ。俺の美容のために」

妹「あにきの美容とかどうでもいい」

兄「はったおすぞ?」

妹「妹をベッドに押し倒すとは、紛うことなきくそあにき」

兄「誤解」

妹「そのまま寝る?」

兄「寝ない」

兄「とにかくいったん離せ」

妹「おとなり来たら解放しよう」ポフポフ

兄「信じるぞ?」ポスッ

妹「まんまと騙されおった」ギュ-

兄「たばかったな?」

妹「騙される方が悪いのだ」ムニムニ

兄「いいから離せ」ブンブン

妹「あうっ」

兄「やっと手の自由を手に入れ……」

妹「……」スリスリピトッ

兄「は?」

妹「……」ピットリ

兄「おい」

妹「なに?」

兄「近くね?」

妹「気のせい」

兄「絶対違う。ゼロ距離じゃん」

妹「寒い」

兄「布団かぶれよ」

妹「一緒にかぶる?」

兄「かぶらん」

妹「寝ないの?」

兄「寝たいよ」

妹「じゃあじゃあ」グイグイ

兄「お前が退けばな」

妹「退かない」

兄「何がお前をそうさせる……」

妹「今日のわたしの寝床はここ」

兄「そーかい」

妹「てこでも動かない」

兄「じゃあ俺は下のソファで……」テクテク

妹「待って」トテトテ

兄「てこでも動かないんじゃなかったの?」

妹「反抗期なの」

兄「誰の?」

妹「あるきめです」

兄「最近習ったの?」

妹「うん」

兄「で」

妹「で、とは?」

兄「なんでついてくる?」

妹「だってもう寝る時間だし今日は結構寒いしそれにあれがあれであれもあれだったり……」

兄「一緒に寝たいの?」

妹「……」

兄「……」

妹「いや別に一緒に寝たいとかそういうんじゃないけど」

兄「ふーん」

妹「なんだよ」

兄「素直になれ」

妹「自惚れんな」

兄「違うと?」

妹「断じて」

兄「納得できる言い訳を期待しても?」

妹「それは、あー……あれだよ」

兄「どれだよ」

妹「ば、万有引力……」

兄「万有引力……」

妹「……」ダラダラ

兄「ならしょうがないか」

妹「受け攻めいくつか予想しとったが、まさかこれでいけるとは。アインシュタインも喜んでおる」

兄「ニュートンな」

兄「いやしかし、何が悲しくて妹と寝なきゃならんのだ」

妹「喜べよ。かわいい妹だぞ」

兄「かわいいぃ???」

妹「よく見ろ」

兄「……」ジ-

妹「……あんま見んな」ベチ

兄「えぶっ……横暴……」

妹「うっさい。あく」グイグイ

兄「はぁ……もういい歳なのに」

妹「未成年じゃん」

兄「知らんのか? 成人年齢引き下げられたぞ」

妹「未成年じゃん」

兄「……」

妹「せぶんてぃー……」

兄「黙れフォーティーン。どちらにせよ妹と一緒に寝る年齢じゃない」

妹「じゃあお互い10引いたことにしよ」

兄「4歳は無理あるだろ」

妹「いける。こほん」

兄「いや流石に……」

妹「おにーぃちゃんっ♪」ニコッ

兄「」ッタ-ン

妹「フッ、勝ったな」

妹「ふあああああ……おふとんぅ……」ヌクヌク

兄「少しは遠慮とか」

妹「おじゃましゃまぁ」ヌクヌク

兄「豆球点ける?」

妹「バカにしてんのか?」

兄「聞きたい?」

妹「消せ」

兄「あいさ」

妹「おふとん入ってから消せ」

兄「よいか?」モゾモゾ

妹「うん。ねぇあにき……」

兄「んじゃおやすみー」ピッ

妹「おい」

兄「なんだ」

妹「まずひとつ」

兄「いくつあんだよ」

妹「ふたつ」

兄「聞こう」

妹「ひとつ、おふとん入って即寝るやつがどこにいる?」

兄「ここ」

妹「我慢しろ」

兄「何さす気だ」

妹「おしゃべり」

兄「断る」

妹「ふたつ」

兄「聞けよ」

妹「なんでこっちに背中を向ける?」

兄「俺はいつもこっち向き」

妹「場所交換しよ?」モゾッ

兄「俺はいつもここ」

妹「じゃあ我慢してこっち向け」

兄「うあー」ゴロンッ

妹「お、素直」

兄「会話めんどかった」

妹「とてもとてもとても不服です。撤回せよ」

兄「無茶な」

妹「……ほんとにつまんない?」キュ

兄「ほんとはそこそこ楽しんでる」

妹「ちょっろ」

兄「調子乗っていいとは言ってない」

妹「ねぇ」

兄「なんだ」

妹「あにきは抱き枕がないと眠れない」

兄「偽」

妹「眠れないの」

兄「そんな」

妹「しかしここに抱き枕はありません。さぁ大変」

兄「じゃ諦めて……」

妹「そこでわたしの出番です」

兄「詳しく」

妹「わたしが代行します」

兄「なーんだ」

妹「なに期待してた?」

兄「超能力的なやつで錬成してくれるもんだと」

妹「わたしのことなんだと思ってるの?」

兄「妹」

妹「妹のことなんだと思ってるの?」

妹「ともかく今日はわたしが抱き枕」

兄「へー」

妹「興味を持て」

兄「努力はする」

妹「抱き心地はいいはず。あにきなんかよりずっとやわらかいもん」

兄「ほんとにぃ?」チラッ

妹「どこ見た殺すぞ」

兄「こっわ」

妹「ともかく今日はわたしがやわやわ抱き枕」

兄「ふーん」

妹「お試し期間中です。実際に触れてご体験ください」

兄「まじ? じゃあお言葉に甘えて……」スッ

妹「おい」ガシッ

兄「なんだ」

妹「どこ触ろうとした殺すぞ」

兄「こっわ」

兄「どこなら触ってOK?」

妹「ほっぺ」

兄「ほっぺねぇ……」

妹「ちょっと手動かせば触れます。ほらここ」

兄「別にほっぺくらいそんな……お?」フニッ

妹「どお?」

兄「もち」

妹「いえすもちもちほっぺ」

兄「これは想像以上」モチモチ

妹「お気に入りいただけたのでしたらぜひ」

兄「でもいらない」

妹「むぅ……そーですかぁー」ムスッ

兄「お、さっきより硬そう」スッ

妹「てい」ペシッ

兄「なぜっ」ヒリヒリ

妹「お試し期間終了でーす」ツ-ン

兄「えー」

妹「むぅぅ……」ジ-

兄「なんだよ」

妹「ねぇあにき」

兄「抱き枕の押し売りなら遠慮します」

妹「わたしは抱き枕がないと眠れない」

兄「そうきたか」

妹「あにき、抱き枕ね」

兄「だが断る」

妹「噛みつく」シャ-

兄「わかったわかった。もう好きにして」

妹「やた。おててどけて」

兄「なぜだ」

妹「わたしとあにきの間にあるものがおててだ。ゆえに」

兄「めんどい」

妹「抱き枕でしょ?」

兄「だから自分では動かないのさ」

妹「うっさい。ばんざいしろ」

兄「そこまではしなくても」

妹「ばんざーい」

兄「ばんざー……しまった」

妹「」モゾモゾピトッ

兄「おま……」

妹「……」スリスリ

妹「すーはー……すーはー……」ギュウウウッ

妹「んぅ……」グリグリ

兄「……」

妹「ねぇ」

兄「なんだ」

妹「おてて戻していいよ」

兄「んー」

妹「ばんざい気に入った?」

兄「いやそういうわけじゃ……」

妹「ずっと上げてるの辛くない?」

兄「そうなんだけど……あのさぁ」

妹「うん」

兄「さっきの位置に戻ると、なんだかお前抱きしめてるみたいじゃない?」

妹「そんなことない」

兄「いやあるって」

妹「ない。やってみればわかる」

兄「なるほど」

妹「お」

兄「こうか」ギュッ

妹「んふふふふ……♪」

兄「どう思う?」

妹「すっごくすごーくいい感じ♪」

兄「やっぱり抱きしめてるみたいじゃない?」

妹「そんなことないって~♪」スリスリ

兄「納得できん」

妹「じゃあほんとに抱きしめてみれば?」

兄「なんの意味が」

妹「ほんとに抱きしめれば、今の状況が抱きしめてるわけじゃないってわかるはず」

兄「お前頭いいな」

妹「でしょ? これからはてんさ……わぷ」

兄「こんな感じか」ギュッ

妹「……あにっ……」

兄「苦しくない?」

妹「苦しくはっ……」

兄「じゃあもうちょい」ギュ-

妹「……っ!」

妹「……っ…………!」

妹「♡」ポンッ

兄「こんなもんか」

妹「んぱっ……♡」

兄「どうだった?」

妹「……♡」ポ-

兄「おい」

妹「んにーちゃ……♡」トロン

兄「感想は?」

妹「ん……♡」

兄「待て、なぜ目を瞑る?」

妹「いいよ……♡」

兄「なにがだ」

妹「……♡」

妹「……」

妹「……あ」

妹「おっといけねえ間違えた」

兄「なにをだ」

妹「こういうのはもっとロマンチックな時にとっておくの」

兄「お、おう?」

兄「んで結果は?」

妹「好きにして」

兄「じゃあこのままで」

妹「うん、これくらいの方が落ち着く」

兄「じゃあ俺は寝る。お前も寝ろ」

妹「ねぇ」

兄「寝ろよ」

妹「頭撫でるとご利益ある仏様とかいるじゃん?」

兄「聞けよ」

妹「それはお互い様」

兄「……なんだって?」

妹「頭撫でるとご利益ある仏様」

兄「それがなに?」

妹「あれを目指してる」

兄「がんばれおやすみ」

妹「撫でろよ」

兄「撫でられたいの?」

妹「あにきが撫でたがってる」

兄「あにきは撫でたがってない」

妹「大きな信仰もまずは1人の参拝者から。ささ」ズイッ

兄「撫でたら寝る?」

妹「……うん、撫でてくれたら眠れると思う」

兄「んじゃ、ご利益ありますよーに」ワシャワシャ

妹「ちがう」ガシッ

兄「撫でたろ?」

妹「撫で方」

兄「フォーマットあんの?」

妹「優しさがない。もっと気持ちを込めて丁寧に。はいもう一度」

兄「お、おう?」ナデナデ

妹「もっとゆっくり、髪の流れに逆らわないで」

兄「こう?」ナデナデ

妹「もうちょっと力弱めてふわっと」

兄「うん」ナデナデ

妹「あ、耳はまだ触っちゃダメ」

兄「まだ?」

妹「触ってほしくなったら合図するから」

兄「どんなん?」

妹「わかんない」

兄「それだと俺もわかんない」

妹「体が勝手に動くの。多分強めにぎゅってすると思う」

兄「うん」

妹「そしたら耳触って。でもいっぱいはダメ。つまむのもダメ。指先でかすめるだけ」

兄「注文多いな」

妹「ごめんね」

兄「いまさらだろ」

妹「ありがと」

兄「で?」

妹「で、とは?」

兄「なんかあった?」

妹「……」

兄「……」

妹「……ぎゅって、ぎゅーって」

兄「うん……」ギュ-

妹「はふっ……」ギュッ

兄「……んぁ? これか」ナデナデ

妹「ぅ……」ピクピクッ

兄「……」ナデナデ

妹「……あにき」

兄「んー?」ナデナデ

妹「……だいじょぶになった」

兄「そか」ギュ-

妹「……あにき」

兄「んー?」ナデナデ

妹「わたしが起きるまでこのままね」

兄「さすがに厳しい」

妹「ダメ。絶対このまま」

兄「横暴」

妹「朝起きたらいなくなってるとか、そういうのなしだから」

兄「……おう」

妹「あと起きたらくそあにきに戻ってるから」

兄「せっかくとれたのに」

妹「……あにき」

兄「……寝ろ」ポンポン

妹「……ん、おやすみ」ギュッ

兄「おやすみ」ナデナデ

おしまい

おわり
最近こういうss見なくなったなと思ったので自己供給

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