京太郎「すこや姉さん、きちゃった」すこやん「京くん!」 (24)


咲の二次創作ssです。

京太郎が登場します。設定が原作とは違うので、苦手な人は戻ってください。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1575516164


「いやー、すこやんは変わらなくて安心するよ」

すこやん「何が? ていうかカメラ止めて! あ、そのお茶菓子食べちゃダメ! 彼にあげるやつだから」

「あーこれ? 録画してないから大丈夫(大嘘) 彼?」

すこやん「ほんとお? 最近こーこちゃんいっつもカメラ持ってるよね」

「あー、アラフォーの生態を調査中? 的な。ところで」

すこやん「アラサーだよ!」

「お約束いただきました」

すこやん「いや、頭下げなくていいからカメラ下げてよ」

「出来ぬ!」

すこやん「なんで!?」

「だって私にはクリスマスをまた一人寂しく過ごすアラフォーの生態を、悲しさを世界に伝える義務が」

すこやん「やめて!」

「えー、でも」

すこやん「それに独りじゃないし」

「!?」

すこやん「今月は男……と一緒だし」

「!?!?」


すこやん「あれ、こーこちゃん会ったこと無かったっけ?」

「ないない、ないって! 初耳初耳、ヴァージンイヤー」

すこやん「じゃあ帰ってもらえるかな、すぐ」

「いやいや、会話の流れおかしいでしょうが!」

すこやん「かえって、かえれよー」

「ふっ、実家暮らしのアラフォーの力に押される私ではないわ! ……って力つよ!」

すこやん「京君に会うんだから帰れよー!」

「ちょ、背中押さないでって、階段、階段だから目の前」

すこやん「早く帰ってってばー、早くタクシー乗って長野に」グイグイ

「わか、わかった、帰るから、帰るから押さないで、マジアブナイ」

すこやん「信用できないから早く帰って、本当に」

「ひどい!」

ガチャ

??「こんにちわー」

すこやん「!!」

「スクープの予感!」


すこやん「こーこちゃん、急に階段降りると危ないってば」

「私をアラフォーと一緒にするでは…うぉっと!」グラッ

すこやん「こーこちゃん!」

??「危ない!」ダダッ ギュッ

「さ、サンキュー」

??「大丈夫ですか?」

「お、おう。少年?のおかげで」ドキドキ

??「ケガが無くて良かったです」ニコリ


「はうっ、邪念なきスマイルが私の心を抉る!」

そう言うと福与恒子はカメラに京太郎を映すまいと、慌てた様子の、少しお怒りのすこやんにカメラを向けている。すこやんの待っていた少年と抱き合いながら。

??「?」

すこやん「いつまで抱き合ってるの! こーこちゃん、京くん!」 

??「す、すみません」

「少年が噂の京くん?」


京太郎「噂かわからないですけど、すこや姉さんは京くんって呼んでますね」

恒子「そ、私はすこやんの同性のパートナー。ふくよかじゃない、福与恒子です。よろしくぅ!」

京太郎「あ、すこやさんの従弟の須賀京太郎です。テレビ以外でもそのテンションなんですね」

すこやん「いちいち挨拶しなくていいから、ほら、部屋行こう。こーこちゃんはまたね」

恒子「ナチュラルに追い出されそう! カメラが原因か?」

京太郎「お久しぶりです、すこや姉さん」

すこやん「あ、ひさしぶり。どうしてこっちに?」

京太郎「いや、母から教えてもらう側が出向くのが礼儀だって言われて。確かにそうだなって、朝一に家でてさ」

土産をすこやんに渡す京太郎

すこやん「京くん、麻雀やるんでしょ?」

京太郎「やるやる! ところでおばさんは」

恒子「おばさんなら目の前に、げぼぅっ」

鳩尾にエルボーを受けたすこやんの親友はうめき声をあげ腹部を抑えている。それでもカメラはすこやんたちに向けられているあたりプロ根性を感じてしまう。

すこやん「おかーさんは今日習い事に行ってて留守なの。彼女は無視して」


京太郎「あ、ああ、いいのかな? じゃあ昼は俺が作るな」

すこやん「ありがとっふひっ」

恒子「おおう、異性の手を自ら握るなんて……積極的なすこやん初めて見たぜ。」

京太郎「あ、あの、あの人は」

すこやん「無視していいよ。カメラ持っていつもふざけてるの」

京太郎「は、はあ……」

自室に京太郎を連れ込んだすこやんであったが・・・・・

すこやん「どうして!?」

恒子「へー君、清澄の学生なんだぁ。原村和は実際に見てどう思う?」

京太郎「あれはやばいですね、ある種の暴力とも」

恒子「ふむふむ。あ、カメラは無視してね。趣味みたいなものだから。君良い声してるね」ソデノシタ

京太郎「こ、これは!!」

恒子「まだまだあるよ。で、さっきの話オッケー?」

京太郎「顔さえ映さなければ、あと姉さんの許可さえ下りれば」

恒子「じゃー了承ってことで続き続き。全国大会も帯同したんでしょ?」

京太郎「あ、はい。それでその時」

すこやん「どうして馴染んでるの!」

京太郎「す、すみません」


すこやん「麻雀教えてあげるって言ったよね? 私言ったよね?」

京太郎「そ、そうでした」シュン

恒子「すこやん怒りすぎ。リラックスリラックス」

すこやん「誰のせいさ!」

京太郎「ごめんなさい、せっかく俺のために時間空けてくれたのに」

すこや「気にしないで、9割こーこちゃんが悪いから」

恒子「じゃあ一割はすこやんだね」

すこやん「そうだね、恒子ちゃんを家に入れてしまった私のミスだね」

恒子「ふぅっ! 辛辣ぅ!」

すこやん「もう! いい加減帰ってってば。麻雀に集中できないじゃん!」


恒子「集中したいのは本当に麻雀かな?」

そういうと恒子のカメラは京太郎の首から下、主に下腹部をカメラに収める。

恒子「まーまー」

すこやん「違うから! 京くんと私は……」

京太郎「姉さん、麻雀教えてよ」

すこやん「あ、そうだね」

恒子「こうして彼は、自ら地獄への門をくぐっていくのだった。つづく?」

ナレーションを入れながら、恒子はカメラで妙にボディタッチが多い健やかじゃない麻雀レッスンをカメラに捉えていた。

なおこのレッスンは土日、二日間にわたり行われたという。

その間すこやんの母は娘からのプレゼントである二泊三日の温泉旅行に旅立っていた。

後日

すこやん「正座」

恒子「……はい」

すこやん「わかるよね?」


恒子「で、でもさ再生数も」

すこやん「ね?」

恒子「すみませんでした」

すこやん「カメラ没収」

恒子「あ、で、でもこの動画のおかげで京太郎も」

すこや「きょうたろう?」

恒子「少年も欲しい教本が買えるって」

すこや「教本なら生きた私がいるでしょ? それに京くんに今月私が麻雀教えること言ったよね? 教えたよね?」

恒子「おもっ」

すこや「じゃなくて! どうして放送したのさ!」

恒子「ひ、独り占めはよくないかなーって」

すこやん「そ、そのせいで人が」ワナワナ

恒子「ま、まあすこやんの負担を減らそうかと」

すこやん「言いたいことはそれだけかな?」

恒子「で、できれば弁明の余地を」

すこやん「だーめ」

恒子「お、おてやわら……ぎゃー!」


一方そのころ。

恒子の動画が動画サイトで公開された数日後

清澄高校では

咲「あれ、京ちゃんは?」

まこ「なんじゃ咲、京太郎なら特打ちをするから休むって先月末に連絡きとるの忘れたか?」

咲「あそっか…ツマンナイ」

優希「さぼってないか心配だじょ」

咲「様子見に行く?」

和「面白そうですね」

咲「だよね!」

和「彼の家にいるカピバラさんにも久しぶりに会いたいですし」

咲「久しぶりに? 和ちゃんのリュック、かわいいストラップつけてるね」

和「あ、いえ、なんでもありません。」

咲「ハムスター? カピバラ?」

和「こ、これは……その」


まこ「慌てふためかんでもよかろう」

和「で、ですよね」

まこ「吐かせるだけじゃけえ」ニコリ

優希「怪しいやつはお仕置きだじょ!」

咲「和ちゃん、私たち親友だよね?」

和「ち、違うんです。これは彼があまりにも私の胸に、それで彼がお詫びにって」

咲「和ちゃん……」

和「……はっ!」

まこ「ふう、強敵じゃったな」ボウヨミ

優希「手ごわい相手だったじょ」棒読み

咲「正直に話してくれたご褒美あげなきゃね。ちょっとお話ししようか、和ちゃん」

和「あ、あの、頼めばきっと皆さんにも……」

咲「ね?」

和「は、はぃ」


同時刻

京太郎「あ、あの」

藤田「なにか?」

京太郎「藤田プロですよね、あの、俺どこに」

藤田「なんだ、聞いていなかったのか?」

京太郎「学校から帰るなり、校門で藤田プロが待っていたのは驚きましたけど」

藤田「ある筋から麻雀の特訓をしていると聞いてな、それで是非君に教えたいと言ってきた相手に会わせようと思ってな。迷惑だったかい?」

京太郎「あ、いえ。藤田プロの推薦なら迷惑なんて」

藤田「強くなるのは君次第だがな」

~~~~~

藤田「じゃあ、揉まれてくると良い」

京太郎「あの、藤田プロは一緒に来ないんですか?」


藤田「ああ、私は興味がないからな。行きだけ頼まれたから連れてきただけさ」

京太郎「あ、あの、ここ」

藤田「会員制の雀荘だ、猛者から変わり者まで、君は受付で名前を言えばいい。すぐ案内されるよ」

京太郎「か、会員制……」

藤田「じゃあな」

そう言って藤田プロは去っていった。

京太郎「よ、よぉし……打倒咲! 和、優希、染谷先輩!」

京太郎「あ、あの須賀京太郎と……」

案内されてついた先は、慣れ親しんだよう清澄高校の部室を模して作られた部屋だった。奥にはトイレとなぜかシャワールーム、そしてたった一つの雀卓の傍には、なぜかダブルサイズのベッドが一つだけ。

「お、きたぜい」

「待ってた!」

「はやや!」

素性を隠すためか目元を覆ったマスクを着用した小柄な着物の女性、洋服をきれいに着こなした女性、メルヘンな服装に不釣り合いなおもちを持った女性が既に卓に座っていた。


京太郎「あ、あの……」

「まーまー、すこやんよりも良い指導をしてやるよ」

京太郎「姉さんを知ってるんですか?」

「とりあえず座る! 時間は有限!」

京太郎「は、はい!」

流されるように卓につく京太郎を見て、着物の女性がさいころを回し、手際よく麻雀を開始する。

京太郎「あれ、全自動じゃないんですね」

「ああこれかい、手積みの方がよりわかるってか、わっかんねー」

京太郎「久々だなあ」

「勝負勝負!」

京太郎「負けませんよ!」

京太郎は宣言通り、半荘を2度行った結果、2位と1位、好成績を収めた。

「はややー、つよーい」

京太郎「たまたまですよ、姉さんの指導もあってか、調子がいいかもです」

にこやかな京太郎をみて、女性陣も口元に笑みを浮かべている。

京太郎「今日は結構勝てそうです!」


「ならさあ、にひひ」

京太郎「お金はダメです、未成年ですから」

「ちがうねえ」

口元を扇子で覆った着物の女性がある提案をする。

「負けたら一枚、どうだい?」

そう言って彼女は隣に座っている寡黙な、口下手な女性のシャツをぺろりとめくった。

露わになったへそに、京太郎の眼が一瞬奪われる。

「えっち!」

京太郎「す、すみません」

「責任取って!」

京太郎「え?」

「見られたから!」

京太郎「あ、あの意味が」

「じゃあうたちゃ、じゃない、彼女の提案通りのルールで対局スタート☆」

メルヘンな女性が京太郎が肯定する前に、賽を振る。


「おっと、場所替えか。どいたどいた」

京太郎と着物の女性が入れ替わる形で、対局がスタートする。

京太郎「あ、それです、ロン! 発、ドラ3満貫です!」

「油断!」 

そういって口下手な女性は靴を脱いだ。

「ご祝儀やんねーの? つまんねー!」ケラケラ

「むっ!」

着物の女性に煽られる形で、口下手な女性は立ち上がるとスカートを下した。

「はやや、やりすぎじゃない?」

「もうこれ以上負けないから大丈夫!」

「強気だぞ☆」

京太郎「あ、あはは。でも結構俺って調子、波に乗ってますよ」

「やるねえ~下心パワーってか? わっかんねー!」

京太郎「ち、違いますよ!」

京太郎もまた、脱衣麻雀だと認識すれど自分が負けてもデメリットはない。反面勝てば、ちらりとメルヘンな服を着た女性を見て、少し鼻の下を伸ばす。

彼女たちは見逃さない。

京太郎の仕草、目配せを。


すこやんからの指導の癖はもう十分に把握した。

それにこれは手積み、笑いがこみ上げてくるのを彼女たちは必死に抑える。

「ロン」

京太郎の顔が青ざめる。

「ダブルリーチだぞ☆」

京太郎「え?」

「ダブルリーチ!」

京太郎「ま、また!?」

「わるいねえ、ロン。大四喜役満だ」

京太郎「こ、こんなまだ数順しか」

「わっかんねー!」

京太郎が親の時に限って――


「ツモ!」

京太郎「い、一回目の自摸で……あ、ありえない!」

「現実! 役満!」

「残念だったねえ、京ちゃん」

「京ちゃん体たくましーい☆」

彼女たちが笑う

京太郎は冷静になろうとテーブルにあったジュース?を飲んだが、体が熱くなる一方。

がんばれ京太郎、負けるなすこやん。

親友 福与恒子から手に入れた情報をもとに、すこやんは走る。転ぶ。走る。

親友がほんの出来心で流した動画は、あっという間にプロの間で話題になった。

そしてその渦中の人物は、絡新婦の巣にへらへらと入っていった。

がんばれすこやん。

息が切れ切れになりながらもすこやんは京太郎のいる雀荘にたどり着いた。

けれど受付で立ち往生してしまい、京太郎のいる部屋へはたどり着けなかった。

仕方なくすこやんは併設されたバーで京太郎が出てくるのを待った。


愉しそうに笑みを浮かべた男たち、見知ったプロたちが愉しそうに談笑をしながら帰っていく中、閉店間際になってやっとお目当ての人物に会えたすこやん。

ふらふらと歩く少年

しかしその少年の首筋、頬、様々な部位には……

すこやんは叫んだ。店員に怒られた。

心配する様子で京太郎に声をかけても、京太郎は恍惚な表情で腰砕けになっていた。

今まで見たことがない表情の従弟を見て、すこやんはごくりと生唾を飲んだ。

すこや「ね、ねえ京くん」

京太郎「ふ、ふわぁい」

すこや「今日は疲れたでしょ? 休める場所行こうか」

そういってすこやんはタクシーを拾い、長野の方へ向かう。帰路にて見えたさびれた看板が指し示すホテルに目的地を変更したすこやんは、到着するなりタクシードライバーにお礼を言い支払いを済ませる。


道中すこやんは京太郎のかばんに入っていた謝礼と書かれた紙袋に入っていた一束の万札、女性用の仮面舞踏会で使用するようなマスクが3つを発見すると、マスクをそっと自分のかばんに忍ばせた。

「京くん」

京太郎「あ、あれ、すこや姉?」

「ち、ちがうよ」

マスクで正体を隠したつもりのすこやんだったが、京太郎はすっかりそれに騙される。

京太郎「あー、そっかぁ」

そういうと京太郎はすこやんに抱き着く。

「ふぉぉぉ!」

京太郎「またつづきやるんですかぁ?」

負けませんよぉと京太郎はにへらと笑う。

すこやんは生唾をごくりとのみ、声色を変えて答える。

「そうだね、やろうか、京太郎」

この日初めてすこやんは親友に感謝した。

そして後日、京太郎をいじめた人物たちを麻雀でぼこぼこにしたのは言うまでもない。

話題の動画もいつの間にか削除されていた。




すこやん「京太郎、できちゃった」京太郎「姉さん!?」    カン!


おしまい

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