佐久間まゆ「誕生日だって譲れません」渋谷凛「当然だね」 (32)



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佐久間まゆ「絶対に譲りません」渋谷凛「私だって」
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~8月25日:事務所~


渋谷凛「……」ギロッ

佐久間まゆ「……」ジーッ


ガチャ


早坂美玲「おはよー……ってあいつら、またやってるのか……」トコトコ

星輝子「フヒ……おはよう……」

美玲「輝子も災難だなッ」

輝子「いや……私よりも災難なのは……」


まゆ「本当に凛ちゃんはわからず屋さんですねぇ……」

凛「自己紹介のつもり? そうでないなら聞くに堪えない妄言だね」

まゆ「わかりますよぉ……人間、正論には耳を塞ぎたくなってしまうものなんです」ゴゴゴゴゴ

凛「現実から目を背けてるのはどっちかな」ゴゴゴゴゴ


美玲「おおう……今日はいつもよりヤバそうだな……」

輝子「は、迫力……ある……」


美玲「そして本人はダンマリか……」

輝子「まあ……仕方がない……」


凛「まあ結局、本人に聞かなきゃ始まらないんだよね」

まゆ「そうですねぇ。選ばれない凛ちゃんを見るのは心が苦しいですけど……」

凛「ふふっ、まゆは冗談が上手いね。お笑い芸人になって事務所から出ていけば?」

まゆ「凛ちゃんも澄ました顔で適当なことを言いますねぇ……クビになっても詐欺師になっちゃダメですよ?」


凛「埒が明かないね……で、どうするの?」

まゆ「もちろん、まゆですよねぇ……?」

凛「もちろん、私だよね?」

まゆ「ねえ」
凛「ねえ?」


まゆ「乃々ちゃん」

凛「乃々」


森久保乃々「ひ、ひうっ!!!!! え、ええっと……も、ももももりくぼは……そ、その……」ビクビク


美玲「はいはいいつものいつもの」

輝子「もはや……見慣れたな……」

美玲「で、今回はどういう流れなんだ?」

輝子「えっと……」

凛「いい質問だね、美玲」スッ

美玲「うわこっちきた」

輝子「その言い方は……どうなんだ……」

まゆ「アメあげますねぇ」

美玲「お、おう……」

乃々(こ、このスキに……)ソローリ

凛「きっかけは」ガシッ

まゆ「乃々ちゃんの誕生日についてなんです」ガシッ

乃々「ひぃぃぃぃ……」

美玲「死角なのになんで掴めるんだ……怖いぞ……」


凛「明日は私も乃々もオフなんだ。だから乃々の誕生日を祝うために ふ た り で遊びに行こうと思ったんだけど……どうやら同じ考えの泥棒猫がいたみたいでね」ギロッ

まゆ「すぐそうやってまゆをワルモノにするんですから……。まゆと乃々ちゃんの で え と に水を差そうとしてるのは誰なんでしょう……?」ジロッ

凛「は?」

まゆ「?」

美玲「結局、いつもと同じじゃんか……!」


輝子「でも……誕生日は明後日だけど……遊ぶのは明日なのか……?」

美玲「あ、そうだそうだッ! まあパーティーとかするからずっと一緒にいるのは無理だろうケド……」

凛「……」ズーン

まゆ「……」ズーン

美玲「?」

輝子「ど、どうかしたのか……?」

まゆ「明後日はお仕事なんです……」グスン

美玲「い、1日中か?」

まゆ「はい……」グスン

乃々「な、泣かないでください……」

凛「わ、私もお仕事なんだグスン!!!」

美玲「うるさいな」


輝子「ふ、ふたりともお仕事なのか……不運だな……」

美玲「ふーん? じゃあどっちか早く仕事が片付いたらパーティーに顔出せるかもって感じなのか」

凛「いや、どっちかってことはなくて……」

美玲「?」

輝子「?」

まゆ「でも凛ちゃん……この情報は極秘で……」ヒソヒソ

凛「流石に美玲と輝子ならいいんじゃない……?」ヒソヒソ

まゆ「まあ……そうですねぇ……」ヒソヒソ

美玲「どうしたんだ?」

凛「落ち着いて聞いて、美玲、輝子」

美玲「な、なんだよッ」

輝子「ま、真面目な話……なのか……?」

凛「この度、私とまゆは……なんと!」

まゆ「ユニットを組むことになったんですよぉ」

美玲「……」

輝子「……」

美玲輝子「……!?!?!?」


美玲「ゆ、ゆにっ……凛とまゆが!?」

まゆ「はい♪」

輝子(犬猿の仲に見えるけど……だ、大丈夫なのか……)

美玲「お前らいつもケンカしてるだろッ!? 大丈夫なのか!?」

輝子「み、美玲ちゃん……思ったことをそのまま言い過ぎ……」

凛「なんで? まゆはアイドルとしては実力はちゃんとあるし、その点は心配してないかな」

まゆ「凛ちゃんみたいな事務所を代表するアイドルと一緒に活動できて、まゆもアイドルとしては嬉しいですよぉ」

美玲「これはホンネで言ってるんだよな……」

輝子「凛さんもまゆさんも……根はいいヒトだから……」

美玲「さっきのケンカを見た後だと情緒不安定にしかみえないぞ……」


凛「話を戻そうか」

輝子(というか乃々ちゃん、全然しゃべらないな……)

乃々「……」ビクビク

美玲(このふたりが乃々のセリフに過剰反応するからだろ……)

凛「そのユニットの発表がちょうど、8/27になっちゃったってことなんだ」

まゆ「その後も各所で1日中イベントで……」

凛「というわけで、明日にお祝いを済ませなきゃってなったんだよ」

輝子「な、なるほど……」

美玲「そもそも、なんでユニットを組むことになったんだ?」

凛「……」ズーン

まゆ「……」ズーン

美玲(面倒くさい……)


凛「……まゆが悪いんだよ」

まゆ「……そのままお返ししますよぉ」

美玲「どっちも悪いってことだな」

輝子(慣れてきてる……)

凛「まゆがあまりにも私がレッスンしているスキに乃々にちょっかいを出すから……」

まゆ「凛ちゃんこそ、まゆのレッスンの間に抜け駆けしようとしてましたよね?」

凛「だから、抜け駆けできないように……」

美玲「で、できないように……?」

凛「私とまゆのレッスンをなるべく一緒にしてもらったんだ」

美玲「……は?」

まゆ「ふたりでプロデューサーさんにお願いに行ったんですよねえ」

美玲「仲良しかよ」


凛「でもそうしたら、今度は私がお仕事をしている間にまゆが抜け駆けして……」

まゆ「凛ちゃんも、まゆのお仕事の間に手を出してましたよねぇ?」

凛「だから、抜け駆けできないように……」

美玲「も、もしかして……」

凛「お仕事もなるべく同じお仕事か、近くの現場にしてって頼んだんだ」

美玲「ええ……」

輝子「ええ……」

乃々(ええ……)


凛「その結果、どうなったと思う?」

美玲「ほとんどオチが見えてるけど……」

まゆ「プロデューサーさんが、まゆと凛ちゃんが凄い仲良しだと勘違いしてしまって……」ズーン

凛「いつの間にかユニットを組むことになってたんだ……」ズーン

美玲「バカなのか?」


輝子「ユニット……ふたりは嫌なのか……?」

凛「逆に嫌じゃないと思う? こんな泥棒猫とユニットなんて」

まゆ「まゆもお断りですねぇ……」

美玲「で、でも、この前もふたりで遊びに行ってたって聞いたぞ!」

凛「心外だね。あれは遊びに行ってたんじゃなくて、まゆが抜け駆けしないか監視してただけ」

まゆ「ふふっ、監視してたのはまゆの方ですよぉ……」

輝子「お、落ち着いて……」

凛「私が勧めたネックレスを嬉しそうに買っといてよく言うね」

美玲「……ん?」

まゆ「あ、あれは……偶然まゆの普段着に合うって思っただけで……! 凛ちゃんこそ、まゆおすすめのパンケーキを美味しそうに食べてましたよねぇ?」

凛「そ、それは……まゆが私好みのチョコパンケーキを探してくれたから仕方なく食べただけで……」

まゆ「ふふふ……」

凛「もう……」

美玲「なんでオマエらがイチャイチャしてるんだッ!!!!!!!」バンッ!!!!!!


輝子「お、落ち着け美玲ちゃん……!」

美玲「だっておかしいだろッ!!! 乃々の誕生日だぞッ!!! 乃々とイチャイチャしろッ!!!」ガルルルル

乃々「そ、それはそれでもりくぼは死んでしまうんですけど……」」


まゆ「話を戻しましょう?」

凛「そうだね。誕生日の前日……乃々はどっちを選ぶの?」

まゆ「まゆですよねぇ……?」

凛「私だよね……?」

乃々「ひうっ!!!」

乃々「えっと……えっと……」

美玲(が、ガンバレ!!!)

輝子(頑張ってくれ……)


乃々「え、ええっとですね……も、もりくぼとしては……その……」

乃々「お、おふたりはユニットを組むということが決まっているわけですし、ファンのみなさまもとっても喜ぶんじゃないかなと思ってまして、その……」

乃々「たっ、例えばもりくぼのせいでおふたりの間に溝が生まれてしまったりしては悪いと言いますか、謝っても謝り切れないくぼになりますし……」

乃々「やっぱり平等にしたいなという思いがあるので、でもせっかくなので断るという方向で平等にするのも良くないかと思いますので……」

乃々「ええと……、もりくぼ的には……3人で遊びたいな……と」

凛「!」

まゆ「!」

美玲「いやいつもと一緒だろッ!」

輝子「なんで”そうきたか!”みたいなリアクション……」


乃々「ど、どうでしょうか……?」

凛「……」

まゆ「……」

凛「しょうがないなぁ」
まゆ「しょうがないですねぇ」

美玲「もうここまで最初から飛ばしてくれ……」


凛「じゃあ早速、明日のプランを立てていこうか」

乃々「へっ!?」

まゆ「先に決めておけば、スムーズに過ごせますからねぇ」

凛「ここから先はちゃんと乃々も発言しなきゃダメだよ?」

乃々「えっ……も、もりくぼはなんでも……」

凛「私とまゆで意見が割れたら乃々か決めてね」

乃々「ひいぃ!? そ、それはもりくぼにはむずかし」

まゆ「まず集合場所ですが……」

乃々「き、聞いてくれないぃ……」


まゆ「まず最初に、この前行ったアクセサリーショップに行こうと思うんです」

凛「ふふっ、気に入ったんだね」

まゆ「あら、凛ちゃんだって蒼いブレスレットを買ってたの、まゆ見てましたよぉ……?」

凛「べ、別に……もともと私が紹介した店だからいいじゃん……」

まゆ「ふふっ……その後は、カフェでランチをしましょう」

凛「あー、確かに軽食あったけど……パンケーキ食べられなくないかな? それよりお昼はこの前のパスタにして……」

まゆ「銀行の裏のところの?」

凛「ううん、あっちも美味しかったけど、その前に行った……まゆがトマトクリームの食べたとこ……」

まゆ「あ、あっちですね、ビルの4階くらいに入ってた……」

凛「そうそう! この前私はカルボナーラだったし、次は逆の頼もうって行ったけど2回目はちょうど定休日だったんだよね」

まゆ「代わりのお店で食べたハンバーグも美味しかったですけどねぇ」

凛「でも響子の方が美味しかったかな」

まゆ「響子ちゃんと比べてしまうと……」

美玲「だからなんでオマエらがイチャイチャしてるんだッ!!!!!!!」バンッ!!!!!!


輝子「お、落ち着こう……美玲ちゃん……気持ちはわかるけど」

美玲「お前らのデートの思い出を聞きながらプランを練られる乃々はどんな顔で見てればいいんだッ!!!」

乃々(おふたりが仲良しでよかったです……)ニコニコ

美玲「やさしいかよッ!!!!!!」

輝子「お、落ち着いて……」


凛「その後はカラオケ行ったりプリクラ撮ったり……本屋で乃々おすすめの絵本を教えてもらってもいいかもね」

乃々「は、はぁ……」

まゆ「パンケーキも食べましょうねぇ」

凛「混んでる時に備えて、近くのクレープ屋さんもリストアップしてあるよ」

まゆ「あそこも美味しかったですねぇ……」

凛「まゆったら、ほっぺたにクリームくっつけて……」

まゆ「り、凛ちゃん!」

美玲「気を抜いたらすぐにイチャつくなッ!」


凛「そして夜になったら……!」

美玲「よ、夜になったら……?」

乃々「……」ビクビク

凛「まゆ、わかってるよね?」

まゆ「もちろん♪ ここで違うことを考えてたら、今度こそ許しませんよ……?」

凛「ふふっ……夜になったら……」

凛&まゆ「解散!!!」

乃々美玲輝子「!?!?!?」


凛「あまり遅くまで連れまわしても親御さんが心配しちゃうからね」

まゆ「暗くならないうちに帰りましょうねぇ」

乃々「あ、ありがとうございます……?」

美玲「なんでそこだけ常識人なんだッ……!」

輝子「やっぱり……根はいいヒト……」


凛「それに、私たちだって翌日にユニット発表を控えてるんだからね」

まゆ「中途半端な出来になって乃々ちゃんが責任を感じるのはよくないですよねぇ」

凛「まあ、私たちに油断なんてないけど」

まゆ「もちろんです」

美玲(結成理由はどうであれ、すごい人気出るだろうなこのユニット……)


まゆ「あら……お話をしている間にレッスンの時間ですねぇ」

凛「そっか、好きな人と話すと時間はすぐだね」

まゆ「そうやって点数を稼ぐんですから……」

凛「悔しかったらまゆも言えばいいのに」

まゆ「まゆにはそんなはしたないことは言えません」

凛「素直じゃないなあ」

まゆ「では、失礼しますね」

凛「3人とも、じゃあね」

美玲「お、おう……」

輝子「が、頑張って……」

ガチャ

美玲「……ウチら、認識されてないのかと思ってたぞ」

輝子「さ、流石に……」


美玲「あ、乃々……が、頑張ってな?」

輝子「ま、まあ凛さんもまゆさんも、悪いようにはしないと……思う……ぞ」

乃々「あの……」

美玲「どうした?」


乃々「凛さんとまゆさんのイベント……もりくぼも応援に行きたいんですけど……」


美玲&輝子「健気……!!!!!」キュン

乃々「?」



おわり




ありがとうございました。
これをもりくぼのSSと言い張る度胸。


直近の過去作


緒方智絵里「朋さんにお酒を」白菊ほたる「飲ませたら?」

渋谷凛「暑さをどうにか」本田未央「凌ぎたい?」

鷹富士茄子「どうしてほたるちゃんは私に依存してくれないんですか!?」


などもよろしくお願いします


おつおつ
やっぱりインディビジュアルズは最高やな

なぜこいつらは3人でユニットを組む
という発想にいたらないのか

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年09月02日 (日) 14:05:04   ID: F0lEcsQg

乃々は可愛いからねちかたないね

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