凛「何してるの、プロデューサー」 (48)

モバP「なぁ、凛」
モバP「なぁ、凛」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1377699988/)
の続きです

単なる緩い日常系のものなので、前回の話を読まなくても概ね大丈夫です

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1384079427


若葉「~♪」

P「若葉ー?」

P(ソファに座り、ニコニコしつつ足をぷらぷらと振りながら上機嫌でお茶を飲んでいる……。
  若葉、何か良い事でもあったのかな?)

P「やあ、若葉」

若葉「あ、Pさんこんにちは~」

P「どうした、なんか機嫌が良さそうだけど」

若葉「あ、わかりますか~? うふふっ、そうですね。ちょっと良い事がありましたっ」

P(満面の笑みからするとちょっとどころか余程良い事があったみたいだけれど)

P「何があったの?」

若葉「ふふふっ、聞きたいですか?」

P「うん、聞きたいな」

若葉「えっとですねぇ……」

P「うんうん」


若葉「さっき仁奈ちゃんと一緒にジグソーパズルを作ってたんですけど」

P「へー」

若葉「あ、そのジグソーパズルは仁奈ちゃんの写真で作られたもので……それはお仕事先で貰ったって言ってました。
   サメさんのきぐるみの中に入った写真だったんですけど、とっても可愛かったんですよ~」

P「そっかー、凄いなあ」

若葉「はい~。あ、でも……その時私も一緒にお仕事してたのに、私のは無かったんですよね~……」

P「あらら」

若葉「私もパズルが好きなので、ちょっと残念です……」

P「あぁ、じゃあ俺がプレゼントしてあげよっか?」

若葉「え? いいんですか~?」

P「うん。最近写真を送って注文すれば、その写真でジグソーパズルを作ってくれるお店とかもあるからさ」

若葉「あ、それ私も知ってます~。テレビでやってますよね」

P「だから今度それで若葉の作ってあげるよ。さして高くもないし、いつも頑張ってる御褒美に」

若葉「本当ですか~っ! うふふっ、とっても嬉しいです~っ」

P「そっかそっか。あ、そろそろ仕事の時間だ。行こうか」

若葉「あ、はい~」


凛「ストップ、ストップ……」

P「ん、なに? 凛」

凛「さっきからずっと横で話聞いてたけど……最初の要旨忘れてない?」

P「要旨……あっ」

凛「まず、若葉ちゃんが嬉しそうにしてたんでしょ」

P「その理由聞いてたんだっけ」

凛「そうでしょ? 全く……」

若葉(凛ちゃん、私より年下なのに若葉ちゃんって……)

P「……それで、若葉はどうして上機嫌だったの?」

若葉「あ、それはですね~。仁奈ちゃんのパズルを手伝ってあげたんですけど、
   ピース数が500くらいのもので、小さい子にはちょっと手が余るものだったので」

P「500かぁ、そりゃ多いなぁ」

若葉「はい~。それで私が手伝ってあげて完成させたんですけど」

P「うんうん」

若葉「その時に、若葉おねーさんありがとーごぜーますって、言ってくれたんです~」

P「そっかー。良かったなぁ」

凛(……ちゃんとお姉さんと見てくれてた事が嬉しかったって事かな……)


若葉「はい~。それがとっても嬉しくて~」

P「そっかそっか。感謝されると嬉しいもんなー」

若葉「はいっ」

凛「(このまま会話させてると仕事に遅れる……)ほら、二人とも仕事行こうよ」

P「うん? あっ、ああそうだな。じゃあ行こう」

若葉「はい~」

凛「ふぅ……」

凛(プロデューサーを操縦するのも楽じゃないね)



――



ガチャッ


P「ただいま戻りました」

凛「ただいま」

珠美「んぐっ……」ゴクゴクッ

雫「おー、良い飲みっぷりですね」

珠美「ぷはーっ……雫さん、もう一本お願いします!」

凛「……何してるの二人とも」

珠美「ん……おぉ、これはこれはP殿に凛さん」

P「(凛はさん付けなのか……)何飲んでるんだ珠美」

珠美「あぁ、これですか。これはですね、雫さんの御実家で採れた牛乳です!」

P「牛乳?」

雫「はいー。昨日実家から沢山送られてきたんですよーっ」

P「へぇー」

珠美「元々毎日牛乳を飲んではいましたが、この雫さんがいつも飲んでいた牛乳を代わりに毎日飲めば、珠美もきっと雫さんのように……」

凛(雫の体は酪農業での力仕事で出来たものだと思うけど……)

P「ははっ、大きくなるかもなー。沢山飲んで大きくなるんだぞー」

珠美「はいっ!」ゴクゴク

P「背が大きくなったら次はお化け克服だな」

珠美「うっ……それは……」


P「ねぇ雫ちゃん、俺も貰って良い?」

雫「良いですよー。あ、凛さんも飲みますか?」

凛「いいの?」

雫「はいっ」

凛「……じゃあ、一本だけ」

P「いやー最近体を鍛え始めてさー。カルシウムとか沢山摂らないといけないんだよ」

雫「そうなんですかー」

凛(……この前鍛えて雫のバスト値を胸筋で超えるとか言ってたけど、本当に実行してるんだ……)ゴクゴク

P「皆もレッスン頑張ってるし、俺も体を丈夫にして沢山仕事できるようにしないとな」

珠美「さすがP殿。向上心の塊ですな」

P「いつか雫ちゃん超えるからなー。見てろよー」ゴクゴク

凛「……」

珠美「……既に雫さんより大きいのでは?」

P「いやまだまだだよ。もっと大きくならなくちゃ」

珠美「成程、慢心しては超えられるものも超えられぬと。P殿は本当に見習うべきお心をお持ちです」


雫「頑張ってくださいっ。ふぁいとーっ」

P・雫「「もぉーっ」」

凛「……」

珠美「もぉーっ……ごぼっ」

P「あぁほら飲みながらそんな動きしたら零すに決まってるだろ。ほら吹かないと服が臭くなるぞ」

珠美「す、すみませんP殿」

凛(……珠美ちゃん……)

P「……」ジーッ

凛「……何?」

P「いや、凛も言うかなと」

凛「……何を?」

P「もぉーってヤツ」

凛「……」

珠美「ごくごく」ジーッ

凛(……珠美ちゃんも何見つめて……)


P「ほら、ふぁいとー」

凛「……」

雫「凛さんも一緒に、ふぁいとーっ」

凛「……も、もぉー……」

P「うんうん」ニコニコ

凛(満足そうに笑うなぁ……)

珠美「ぷはっ……雫さん! もう一本!」

凛「いや、三本も飲んだら吐いちゃうよ珠美ちゃん」

P「若葉ちゃんにも牛乳とっておこうかな……」


――


P「……」ニコニコ

凛「……」

奈緒「……」ペラッ

凛(プロデューサー、雑誌読んでる奈緒見て笑ってる……またなんか碌でもない事考え付いたんだね)

P「なぁ奈緒」トントン

奈緒「ん? わっ、な、なんだよPさん」

奈緒(顔近っ!)

P「なーに読んでるんだ?」

奈緒「て、テレビの雑誌だよ……ていうか、顔! 顔近いって!」

P「じゃあ今暇だな? じゃあトイレって十回言ってみてよ」

奈緒「は?」

P「トイレって単語を」

奈緒「うん」

P「十回言って欲しいの」

奈緒「……な、なんでそんな事」

P「物は試しだよ」

奈緒「何を試すんだよ……というかPさんがそういう風に馬鹿みたいに良い笑顔してる時は大抵アタシをからかう時って相場決まってんだよ、やらないぞ。
   ていうか、い、いい加減離れてくれ……」

P「……そうか」シュン

凛(ハナコが散歩に行けないで拗ねてる時みたいな顔してる……)


P「……よっこいしょ」ギシッ

奈緒「はぁ、はぁ……」

凛(仕事に戻った……)

P「……」

凛(仕事してそうな雰囲気出してるけど明らかに集中してない)

P「……」チラッ

凛(あ、目が合った)

P「……なぁ、凛」

凛「何?」

P「……トイレって、十回言ってよ」

凛「……」

奈緒「今度は凛かよ……」

P「お願い」

奈緒「凛、やめとけって」


凛「はぁ……トイレトイレ――」

奈緒「お、おい」

凛「――トイレ、はい十回言ったよ」

P「もう五回」

凛「……トイレ――」

奈緒「凛……」

凛「……はい、終わった」

P「何回言った?」

凛(15回も行ったの……とか言うんだろうなぁ)

凛「15回」

P「えー! 15回も行ったのー!?」

奈緒「馬鹿じゃないのか……」

凛「……うん、そうだね」

P「うんうん、これがやりたかったんだよ」

凛「満足した?」

P「うん、した。全く、奈緒も凛みたくノリ良くならないと駄目だぞ」

奈緒「……」

P「さて……トイレ行こ」

奈緒(ああいう事言わせておいて自分で行くのかよ……)

奈緒「……」

凛「……」

奈緒「あぁ……なんて言うか……」

凛「何?」

奈緒「……お疲れ」

凛「付き合ってあげないと、プロデューサーが可哀相だったから」

奈緒「どっちが保護者か分からないなこれ」

凛「仕事はちゃんとできるんだけどね。好きな事……仕事やってる時だけ集中力凄いっていうか、そういうのが子供っぽいというか……」

奈緒「よく段差無い所で躓くしな」

凛「プロデューサーが卯月とか、若葉ちゃんと会話してるの端から聞いた事ある?」

奈緒「無いな」

凛「凄いよ。ずっと結論に辿りつかないで同じ会話ループしたり全く関係無い話題に飛んだりしてるから」

奈緒「あぁ……なんかありありと想像できる」

凛「まぁ、そういう所もかわいいけどね」

奈緒「お? なんだ惚気か?」ニヤニヤ

凛「……違うよ」

奈緒「へへっ、いつもアタシをからかってる割には、凛だって中々恥ずかしい事言うじゃないか」

凛「……昨日プロデューサーに学校まで迎えに来て貰って、ドギマギしてるような乙女な奈緒には言われたくないかな」

奈緒「え?」

凛「二人っきりになっただけであんなにいじらしい仕草しちゃってさ」

奈緒「な、なんで……」

凛「加蓮と丁度授業終わる時間同じだったから、待ち合わせして一緒に奈緒迎えに行こうかと思ったんだけど、先にプロデューサーがいたんだ。
  それで、そのまま二人を尾行したの」

奈緒「え、じゃあ加蓮も……」

凛「知ってるよ」

奈緒「……」

凛「アタシのプロデューサーはアンタしかいないんだから」

奈緒「やめてくれ」

凛「あ、写真も撮ってあるよ、見る?」

奈緒「や、やめろ!」


凛「何をそんなに必死になってるの?」ニヤニヤ

奈緒「な、なぁなんでそんな写真撮ってるんだよ」

凛「何となく。面白いかなって」

奈緒「面白いって……」

凛「ふふっ、あーなんだか喉渇いて来ちゃったなー」

奈緒「な、なんだよ突然」

凛「喉渇いてこのままだとうっかり色んな人にこの写真送っちゃうかもなぁ」

奈緒「や、やめろ……い、いやそんな脅しには屈しないぞ!」

凛「まゆとかにも送っちゃうかも」

奈緒「お、おい。それは少し脅しの意味が違ってくるぞ」

凛「じゃあ……コンビニ行こうか、今から。この前CMでやってたドリンクがちょっと気になってるんだけどさ……」

奈緒「……あぁもうっ。わかったわかった奢るよ奢りますよ」

凛「ふふっ、ありがとうね奈緒」

奈緒「だ、誰にも見せるんじゃないぞその写真。まゆにもだ! まだ死にたくない!」

凛「わかってるよ。じゃあ行こっか」



ガチャッ


P「ふースッキリ。あれ、二人とも上着着て……どっか行くのか?」

凛「ちょっとコンビニに行ってくる。すぐ戻ってくるよ」

奈緒「あぁ……」

P「そっか……どうしたんだ奈緒、なんか元気なさそうだけど」

奈緒「何でもないよ……」

凛「だってさ」

P「はぁ……まぁ昼休み終わったらレッスンだから寄り道は勘弁してな」

凛「わかってるよ。それじゃ」

P「うん、いってらっしゃい」



ガチャッ
スタスタ


奈緒「はぁ……」

凛「ねぇ、奈緒」

奈緒「ん? 何だよ」

凛「奈緒ってさ、どうしてプロデューサーの事良いと思ってるの?」

奈緒「なっ……べ、別に好きじゃねーよ」

凛「(良いかと聞いてて好きかとは聞いてないんだけどね)まぁいいや。で?」

奈緒「で、でってなんだよ」

凛「だから、プロデューサーの一体どこが良いのかって聞いてるの」

奈緒「……何だよ、その言い方」

凛「別に。でもさ、よく考えてみなよ」

奈緒「何を?」

凛「さっきみたいなどうしようもない事ばかり思い付く子供っぽい性格だし、仕事以外だとずっとポケッとしてるし、
  いっつもニコニコ笑ってるし、ド天然だし」

奈緒「……」

凛「(ふふっ、ムスッとしてきた)ああいう人のどこが良いのかなって」

奈緒「……そう思ってるのか?」

凛「さぁ。ただ客観的に見たら今言った通りじゃない?」


奈緒「……別に、今言った所は悪い所じゃないだろ」

凛「……へぇ」

奈緒「確かにしょうもない事ばっか言ってて子供っぽいけどそれも面白いし、それを、か、かわいらしいと思う人だっているだろ。
   それに……」

凛「それに?」

奈緒「いっつも笑ってるのも、逆に良いっていうか……Pさんの笑顔は優しくて見てて落ちつくし……」

凛「ふぅーん」ニヤニヤ

奈緒「それが……あっ」

凛「ふふっ、好きだね本当に」

奈緒「……い、いやっ、いやいや誤解すんなよ! 今のはただの否定であって、別にアタシの意思じゃないっていうか……。
   そうっ、凛が言ったみたいに客観的な……」

凛「いやいや、もういいよ。これ以上惚気られてもお腹いっぱいだから」

奈緒「だから違うって言ってんだろ! り、凛がアタシにそう言わせるよう仕向けたんだろ!」

凛「さぁ記憶に無いけど」

奈緒「ぐっ……ぐぐっ……」


凛「あぁー、なんか今ならどんな物食べても甘く感じるかもね。奈緒の、お、か、げ、で」

奈緒「やめろぉ……」

凛「何で両手で顔隠してるの?」

奈緒「う、うるさい……」

凛「ほら、早くコンビニ入ろうよ。いつまでも顔隠してたら変に思われるよ」

奈緒「この鬼、悪魔……」

凛「酷い言い草だなぁ。ふふっ」

奈緒「今度はなんだ、パンも買えっていうのか?」

凛「買ってくれるの?」

奈緒「……あぁーもう! 好きなの買え!」

凛「ふふっ、ありがと奈緒」

奈緒「……はい」



……


凛「ただいま」

奈緒「はぁ、ただいま……」

P「よーしよしよし」ナデナデ

幸子「ふふんっ、まだ褒め足りませんよ! もっとして下さい!」

P「おーしおしおし」ナデナデ

幸子「良いですね良いですね、その調子ですよっ!」

凛「……何してるの? あれ」

奈緒「……さぁ」

凛「……ただいま、プロデューサー。何してるの」

P「ん? あぁ凛と奈緒か。今幸子撫でくり回してんの」

凛「それは見れば分かるけど……」

凛(そんな頬ずりまでして……ムツゴロウ?)

幸子「ほら、Pさん。手がお留守ですよ」

P「あーはいはい。よしよしよし」ナデナデ

奈緒「そ、そんな別にだ、抱きしめなくったって良いだろ……」

凛「(何赤くなってるだろう奈緒)言っても無駄だよ。本人は大型犬を愛でてるのと感覚は同じなんだから」


P「幸子はかわいいなー」ニコニコ

幸子「まぁそれは当然ですね! もっとボクを褒めそやす台詞をじゃんじゃん言ってくれても良いんですよ!」

奈緒「膝に乗せて、あんな……優しい顔で……」

凛「何? 羨ましいの?」

奈緒「なっ、ち、ちげーし! 別に羨ましくなんか……」

凛「相変わらず分かりやすいなぁ。ねぇプロデューサー」

P「ん、なんだ?」

凛「終わったら次奈緒がして欲しいってさ」

P「奈緒?」

奈緒「い、言ってねーよそんな事! 凛! 何勝手な事言ってんだ!」

凛「遠慮しなくて良いって。あ、これ飲むね奈緒ありがと」ゴクゴク

P「奈緒もこうしてほしいのか? いや、でもなぁ……奈緒はもう高校生だしさすがに恥ずかしいだろこういう事したら」

凛「良いんじゃない別に。高校生だって言ったってまだ子供だし」

P「あぁー……まぁそういう子もいるか。凛は?」

凛「いや、私はいいよ」

P「じゃあ次奈緒なー」

奈緒「いやいや、何言ってるんだよPさんも」

凛(うーん、思ってた味と違うな……)


P「よし……ほら、幸子終わり。次奈緒だってさ」

幸子「むっ……」

P「どうしてもだってさ。だから、な?」

奈緒「そんな事言ってねーよ!」

幸子「……じゃあしかたありませんね。Pさんにしてはまぁまぁ良かったですよ!」

P「へいへい。で、奈緒やるの?」

奈緒「ばっ……や、やらないぞ! アタシは絶対にやらない! やらないからな!」

凛(フリでしょ、それ……)

奈緒「ぜっ、たい! やらないぞ! 絶対……絶対に……」



……



P「よしよし……」ナデナデ

奈緒「う、うぅ……」

奈緒(Pさんの膝に乗って……う、腕に包まれてる……)

P「うーん……奈緒も温かいなぁ」

奈緒「そ、そうか?」

P「うん……髪も柔らかくて良い匂い……」

奈緒「う、わ……(か、髪を手で梳かれてる……)」

P「ずっとこうしてたいな……」

奈緒「……」

P「……奈緒」

奈緒「ひゃ、ひゃい」

P「ははっ、どうしたんだそんな声出して」

奈緒「いや、あのそんなに見つめられると、その、あの……か、顔も近いと言うか、ち、ちか……」

P「……」

奈緒「な、なんでドンドン近づいて……ちょ、ちょっとPさん……」

P「奈緒」

奈緒「や、ヤバイって、二人に見られてるのに、そ、そんな事……」



……



奈緒「絶対に……そ、そんな事……や、ヤバイから……」プルプル

P「……なぁ凛」

凛「何?」

P「何で奈緒はまだなんもしてないのにこんなにプルプル震えての?」

幸子「顔真っ赤ですね。耳まで赤いですよ」

凛「さぁ。なんか変な妄想でもしてるんじゃない」

P「ふーん。どんな妄想してんだろ?」

凛「大体予想つくけどね」

P「もうそろそろ仕事行かなきゃいけない時間なんだけど、どうすればいいんだ」

凛「……さぁ」

P「とりあえず奈緒はやらない方が良いって事か」

凛「それでいいんじゃない」

幸子「じゃあもう一度ボクの番ですね!」

P「幸子もそろそろ仕事だろ? 凛と奈緒だって」

幸子「ケチですねぇ」

P「もう良いだけやったじゃないか。もう行こうよ」

幸子「まだ足りませんよ! というより、こんなカワイイボクを愛でるという権利をそうどうして簡単に捨てられるんでしょうね!」

P「えー、いいじゃないか。というかいつもは仕事終わった後って決めてるのにこんな時間にやれって言ったのは幸子だろ?」


凛「……ふーん」

P「おいほら。なんか凛も怖い顔してるから、やめなさいやめなさい」

幸子「……わかりましたよ。今回は身を引きます」

P「よし……おーい奈緒!」

奈緒「……はっ……な、なんだ?」

凛「仕事だよ」

奈緒「……あ、あぁ……わかった」

P「熱でもあるのか? あ、インフル?」

奈緒「い、いや違う、違うからっ。大丈夫だから気にすんなって」

P「はぁ……まぁ奈緒はまた今度でいいな」

奈緒「え、な、何が?」

P「幸子式御褒美」

奈緒「お、おう……おう? い、いや! アタシは、や、やっぱりいい……ヤバイから……」

P「あ、そう? まぁそれなら良いんだけど。まぁいいや、ほら奈緒も行こう」

奈緒「あ、あぁ」

幸子「Pさん! お仕事終わったらまた約束ですよ!」

P「はいはい。ちゃんとお仕事終わったらなー」


奈緒「……」

凛「ねぇ奈緒」

奈緒「な、なんだよ」

凛「一体どんな事考えてたのさっき」

奈緒「さ、さっきって……」

凛「顔真っ赤にして何かたくましい妄想してた時だよ」

奈緒「……」

凛「何考えてたの?」

奈緒「な、何も妄想なんてしてねーよ」

凛「だったら別に顔真っ赤にする必要ないよねー」

奈緒「だから、何でもないって」

凛「はいはい。まぁ乙女な奈緒なら大した事考えられないか」

奈緒「何だよ、だから別になんも考えてないって」

凛「そうやって焦ってる所がますます怪しい」


奈緒「も、もう勘弁してくれよ……なんだいじめか?」

凛「そんなつもりないよ。ただ奈緒が面白い反応するから楽しくてつい」

奈緒「ついって何だよ……」

凛「それになんか奈緒は見てて微笑ましいし」

凛(それに、嫌な感じしないしね)

奈緒「何だよそれ……」

P「おい凛っ、奈緒っ。いつまで事務所にいるつもりだよ。もう車のエンジンかけたぞ」

凛「ふふっ、ほら行こう奈緒」

奈緒「……わ、わかったよ」

凛「……ふふっ」



――



凛(事務所にプロデューサー以外誰かいるかな……もう奈緒も帰っちゃったし)


ガチャッ


凛「……ただいま」

楓「はくらくせい」カチャッ

P「一の蔵」カチャッ

楓「えぇと……蘭の誉れ」カチャッ

P「えぇっ、らですぐ出るのか……れ……れ……」

凛(……あの二人、何を言い合ってるんだろう。将棋の試合とかで見るタイマー使ってるけど……)

凛「……何してるの」

P「……ん、凛か。あぁ……なぁ凛」

凛「何?」

P「れで始まるお酒無い? あの、つまみでも良いから。お酒に関係あるもので、れで始まるやつ」

凛「……は?」


P「今楓さんと次の飲み会の幹事賭けてしりとりしてんだ」

凛「……」

楓「プロデューサー、残り時間少ないですよ」

P「ぐ……ぐぐっ……うーん凛、ヒントヒント」

凛「未成年の私に聞く事じゃないでしょ……」

楓「はい、時間切れです」

P「いーやーあー……」

楓「それでは良いお店、期待してますね」ペコリ

P「はい……」

楓「ふふっ、この前のお店は中々良い所でしたから、今回も期待しちゃいます」

P「御期待に沿えるように頑張ります」

楓「はいっ」

凛「……」


P「いやー、やっぱり強いなー楓さんは。ちひろさんには勝てるんだけどな」

凛「ちひろさんともやってるんだ、あれ……」

P「やってるやってる。志乃さんと早苗さんと……あとレナさんとかともやってるよ」

凛(いい大人ばかり……)

P「大概俺かちひろさんか早苗さんが負けるんだけどね。最初のうちはレナさんにも勝ててたけど、今はもう全然」

凛「そう……」

楓「しりとりに負けて幹事さんになると、皆の介抱役にも同時になっちゃいますから必死ですよね。
  お酒抜きでいないといけないですから」

P「早苗さんが負けた時は若干荒みますからね……結局俺が肩代わりをしょっちゅうしてますけど」

凛「早苗さんミソ扱いか……」

楓「……幹事になるとおいしいところをつかみそこねますからね」

P「そうですよねー……」

凛「幹事ってそんなに面倒なの?」

P「難しいよそりゃあ。値段とか、あとうちは参加する人がアイドルばかりだしそういう所も気にしないといけないしさ」

凛「ふーん」

楓(二人ともダジャレに気付いてくれない……)シュンッ


P「はぁ……楓さん」

楓「……あ、何ですか?」

P「どういう感じのお店が良いですか?」

楓「そうですね……料亭みたいな所が良いです。久しぶりにゆっくりと飲んでみたいので」

P「わかりました。楓さんの意見を優先的に取り入れてみます」

楓「ありがとうございます」

P「じゃあそろそろ帰りますか。もうちひろさんがお店に着いてる頃でしょうから」

楓「そうですね」

凛「今から飲み会?」

P「あぁ」

楓「今日は久しぶりに全員参加しますからね」

P「そうですね。今日はまた一段とにぎやかになりそうです」

楓「ふふっ、今日は酔い潰れないようにお願いしますね」

P「これでも九州出身なんです。そう簡単に酔い潰れませんよ」

凛(九州出身だからって別に強いわけじゃないでしょ……)


楓「なんでも今日は北海道のおいしい料理が出る所だそうですよ」

P「北海道かぁ、良いですね」

楓「ホッケとか……あと白子とか。お酒に合いそうなのばかりですね」

P「ご飯に合うものもあると良いんですけど」

楓「プロデューサーはいつも最初はご飯もの頼みますものね。海鮮丼なんかもあるんじゃないですか」

P「あぁ、それ良いですね。イクラとかも随分食べてない気がするしなぁ……あ、横から取らないで下さいね」

楓「ふふっ、油断してるとイクラ、無くなっちゃいますよ?」

P「食べたら怒っちゃいますよ」

楓「怒ったらどうするんですか?」

P「ヤケ酒して楓さんに絡んで絡んで絡みまくってやります」

楓「じゃあ問題無いですね。イクラ楽しみです」

P「えーそんな」

凛「……」


P「……おっと、時間が。じゃあ行きましょう」

楓「えぇ」

凛「……」

P「凛ももう帰るだろ?」

凛「……うん」

P「もう遅いし、気をつけて……うーんと、いや……」

凛「……何?」

P「楓さん」

楓「はい」

P「もう結構遅いので凛を駅まで送って行きます。ですから先にお店の方に行ってて下さい」

楓「あ、はい。わかりました」

凛「……」

楓「ふふっ、凛ちゃんは大事にされてますね」

P「すみません。じゃあ行こうか凛」

凛「……うん」



……



凛「……」

P「もう日が落ちるのも早くなったよなー。夏だったらまだ薄闇って感じだったのに」

凛「……ねぇ、プロデューサー」

P「なに?」

凛「寒いね」

P「え? うん……まぁ、寒いね」

凛「……ふふっ」

P「どうした?」

凛「ううん、ただ、何となく期待してた返事が返ってきたからちょっと面白くて」

P「はぁ……」

凛「……プロデューサー見てるとさ、楽しいんだ私」

P「……え、何いきなり。どうしたの感慨深い事言って」

凛「……何となくだよ」

P「はぁ……そう」


凛「他のアイドルの子達と仕事してる所とか、話してる所とか……見てて楽しい」

P「……そうかな。俺を見ててそんなに楽しいか?」

凛「楽しいよ、とっても」

P「そうか」

凛「でも、プロデューサーと二人で喋ってる方がもっと楽しいかな」

P「ははっ、そうかそうか。そりゃ何より」

凛「……プロデューサーってさ」

P「何?」

凛「アイドルの事、好きになったりとかしないの」

P「好き? ……うーん、俺基本的に凛みたいな年頃の子ばっかり担当してるからそういう事は無いかな」

凛「……」

P「俺妹いてさ、あぁ妹はお前と同じ学年なんだけど……だからあんまり年下の子とかそういう目で見れないっていうか。
  なんだろうなぁ……琴線に触れないって言うんだっけこういう時」

凛「……ふーん」

P「うちの妹は最近全然構ってくれなくてさ……まぁその分幸子とか、奈緒、それに凛もいるから別に良いんだけど。
  代わりって言っちゃなんだけどなぁ」

凛「そう……」


P「だから、うーんどうなんだろうな。あぁでもお姉さん方には時々ドキッとする事はあるかなぁ」

凛「……」

P「年上好き? なのかな。うん、姉はいないし憧れてるのかも」

凛「……そっか。まぁ何となくそうなのかなとは思ってたけど」

P「え、わかるもんか?」

凛「楓さんとかと喋ってる時と私達と喋ってる時の空気が違うもん、なんか」

凛(私達相手にはすっごい優しい笑顔するけど、年上とかにはそういう顔しないもんね)

P「はぁ、そうか……やっぱり女の子はそういうの鋭いなぁ」

凛「楓さんとかはそういうの気付いてるかもね」

P「え、うわ、恥ずかしい」

凛「まぁ間違いとか起こさないようにね。今からそのお姉さん方と飲みに行くんでしょ」

P「はははっ、それは大丈夫だよ。ただ飲むだけだもん。別にそういう事期待なんてしないし」

凛「……そう」


P「ところで凛はどういう人好きなんだ?」

凛「え?」

P「やっぱり同年代とか?」

凛「……さぁね。よく、わかんないよ。好きな人も……別にって感じだし」

P「そうか……まぁまだその歳ならハッキリしない事もあるかもなー」

凛「……うん」

P「あぁでも、アイドルやってるうちはやめてくれな。スキャンダルになっちゃうから」

凛「わかってるよ」

P「あ、でもでも、結婚式には呼んでくれよ」

凛「わかってる。スピーチしたいんでしょ」

P「そうそう」

凛「……プロデューサーは絶対泣くよね」

P「うーん、泣くだろうなぁ……凛がお嫁に行ったら泣くな絶対」

凛「……そっか。まぁ、それはそれで嬉しいかも」


P「凛は一体どんな人と結婚するんだろうなぁ……。
  あ、ほら、駅着いた。じゃあまた明日な。風呂入れよ、歯磨けよ、顔洗えよ」

凛「言われなくてもするって」

P「今のはネタだったんだけどな……まぁ、いいや。じゃあな凛、おやすみ」

凛「うん、おやすみ」

凛「……」

凛「……馬鹿」





前回同様オチ弱いですがこれで終わりです
ありがとうございました

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