提督「朝潮ちゃんにビンタする」 (87) 【現行スレ】

提督「かわいそうなのでやめた」

朝潮「えらい」

提督「もっと」

朝潮「やさしい」

提督「もっと」

朝潮「すてき」

提督「もっと」

朝潮「すきです」

提督「もっと」

朝潮「あいしてます」

提督「もっと」

朝潮「けっこんします」

提督「しよう」

朝潮「しれいかんいがいと」

提督「」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1532863282

朝潮「ねえ、荒潮。気になっていたことがあるのですけど」

荒潮「なあに? 朝潮ねえさん」

朝潮「日本書紀でイザナギとイザナミに子作りの方法を」

荒潮「セックス」

朝潮「子作りの方法を」

荒潮「セックス」

朝潮「……セックスを教えたのはセキレイと言われているらしいのですが、無理があると思うんです」

荒潮「どうして?」

朝潮「だってセキレイの尾を振る姿から着想を得たんでしょ?」

荒潮「腰を振る感じね」

朝潮「でもそれって一匹のセキレイじゃないですか。どうして男女のまぐわいに至ったんですか」

荒潮「なるほど。朝潮ちゃんの言いたいことは、セキレイをみるだけだとオナニー、しかもとりわけ床オナしか推論できないんじゃないかってことね」

朝潮「イザナギはどうして床オナしなかったのでしょうか?」

荒潮「でもまって朝潮ちゃん。これは国生みの話だから、そもそもオナる床がなかったんじゃない?」

朝潮「ならセキレイはどこにいたんですか」

荒潮「……なんかどろどろした地面?」

朝潮「そこでオナればいいじゃないですか。ローション付きで気持ちいいでしょうに」

荒潮「どうしたの朝潮ねえさん。つかれてる? ……でも古事記だとちょっと違うのよね」

朝潮「どのように」

荒潮「えっと、イザナミが体に穴があると言い、イザナギが俺にはなんか余計な突起があるし、合わせてみましょうって感じよ」

朝潮「下ネタじゃないですか!」

荒潮「えぇ……? 因みにこの合意の後彼らはわざわざ待ち合わせデートして、互いに褒めあうとかしてるわ。それで男が先に女を褒めるべきだなんて言ってたりするの、現代にも続く恋愛方式のルーツね」

朝潮「なるほど。デートして親しくした結果のセックスではなく、まずセックスありきのデートその他手続きなのが歴史的に正当なのですね」

荒潮「それで面白いのは、彼ら子供を産んでも思うようでなかったら、舟に乗せて流したり、認知しなかったのよ」

朝潮「今やったらひどいバッシングものですね」

荒潮「兵庫県の淡路島はその認知されてない子供よ」

朝潮「かわいそう」

荒潮「でも、淡路島はいじらしく、今の日本として初めて産まれた場所として、両親の逸話を象徴してセキレイ石なんて記念碑を置いているわ」

朝潮「無慈悲であっても子はその両親を敬っているんですね。いい話です。孝経にあってもおかしくない!」

朝潮「なにしているんですか?」

提督「見てわからないか」

朝潮「わかりません」

提督「コンドームを水風船にしてるんだよ。パイプ回転式で三角ハンドルの単水栓。いまは見ることも少なくなった古き良き蛇口だよ全くお前は。水風船作るのに最適だ」

朝潮「はあ」

提督「あ。そうだ。朝潮。ちょっとこっちこい」

朝潮「はい」

提督「蛇口を跨いで腰を落とせ」

朝潮「え? なぜ」

提督「どうせならお前の膣内に入れて膨らませてみたい」

朝潮「こんなところの蛇口をいれろと?」

提督「大丈夫だ。コンドームもついてる。清潔だ。さっさとパンツ脱げ」

提督「どうだ」

朝潮「下腹部に圧迫感が出てきました。あと恥ずかしいです。さっき通りすがりの子供に指さされたのですが」

提督「がまんしろ」

朝潮「でも、これ涼しくて夏場はよいかもしれません」

提督「そうか。ちょっと待ってろ。今これ止めて口を結ぶから」

朝潮「え? これ入れたままなんですか?」

提督「そっちのほうが涼しいだろ。よしできた。ほらパンツも履け」

朝潮「ありがとうございます。んしょ」

バシャッ

提督「……」

朝潮「あの、スカートも濡れて、なんかすごい派手に漏らしたみたいになったんですが」

提督「うーん。破水したことにしとけばいいんじゃないか」

朝潮「あ。二宮金次郎像」

神風「今時珍しいですね。ちゃんと薪を背負って歩いている姿のですね」

朝潮「歩きスマホとかの関係で最近減っているんですよね」

神風「さすがに漫画じゃないからセーフとはいかなかったようで」

朝潮「というかあれ何読んでいるんですか?」

神風「『大学』ですね。儒教の経典の一つです」

朝潮「ああ。天下を治めるには国家を治める必要があり、国家を治めるには一家を治める必要があり、一家を治めるには一身を治める必要がある云々の修養の教科書ですね」

神風「そうですそうです」

朝潮「あれって勉強する意味ある?」

神風「えぇ? ……や、やはり常識的なことも漢文で格調高く書かれてると峻厳な気持ちになるじゃないですか? 例えば六章の書き出しとか――――」

『財を生ずるに大道あり。これを生ずる者衆く(おおく)して、これを食らう者寡なく(すくなく)、これを為す者疾く(とく)して、これを用うる者舒やか(ゆるやか)なれば、則ち財恒に足る。』

神風「びっくりするぐらい普通のことを言っているのになんかすごいってなりません!?」

朝潮「神風あなたって詐欺に騙されそう」

神風「!?」

朝潮「でもわかります」

神風「え」

朝潮「教育勅語ってあるじゃないですか。あれの二段落目から『爾臣民、父母ニ孝ニ、兄弟ニ友ニ、夫婦相和シ……』と守るべき項が続けていますよね」

神風「ええ」

朝潮「それのエッセンスを英訳したのが明治神宮崇敬会から「Important Qualities」として出ていたんですが、それのはじめが」

『1. Father and Mother,thank you』

朝潮「いや、サンキューじゃねえよと思いましたもん。これもはや教育勅語から学ぶ必要あるのと思いましたもん」

神風「そ、そうですよね。やはり同じ命題でも格調によって全然受ける印象異なりますよね!?」

朝潮「まあ、あなたが何をどう言おうと悪い男に騙されそうという私があなたから受ける印象は変わらないですけどね」

神風「!?」

鈴谷「ちーす提督。スイカ持ってきたからたべよ」

提督「なるほど。スイカ割りだな?」

鈴谷「え。普通に切り分けて食べればいいじゃん」

提督「ビニールシートよし。棒よし。目隠しよし。準備は万端だ」

鈴谷「用意周到すぎ! ていうか執務室でするの!?」

提督「鈴谷ほら目隠しするぞ」

鈴谷「しかも、わたしから!?」

提督「ほらどうだ。見えるか? 今指何本?」

鈴谷「何も見えない」

提督「ほほう。……では。なるほど。淡いピンクに黒のレースか」

鈴谷「っ!///」ぶん

ごっしゃあああ

提督「……君たち艦娘は腕力あるんだから少しは加減してくれないと。見ろよこれ。脳天勝ち割られて脳みそでろでろじゃないか」

鈴谷「何も見えない」

提督「提督を殺してもスイカを割るまで目隠しを外さないという強い意志を感じる。素晴らしい」

鈴谷「あれぐらいよけれたでしょ!? どうして」

提督「お前のスカートの中が美しくて見惚れていたんだ。外見だけじゃなく、ちゃんと内面まできれいな鈴谷みたいな奴好きだぜ」

鈴谷「キュン///」

鈴谷「も、もうとにかくスイカ割りやるんならはやくしよ!」

二時間後

鈴谷「はあはあ」

提督「気持ちよかったぞ鈴谷」

鈴谷「コンドームないからって全部中に出すなんて思ってなかったわ」

提督「仕方ないだろ。水風船に使っちまったんだから」

鈴谷「なにそれ。まあいいや、提督もう一度抱きしめて。そう。……ん。んちゅっ」

提督「俺の大脳皮質とディープキスすることにはまったのか?」

鈴谷「ん、れろっ、ちゅ。……ちょっと新鮮な感じ。なんていうの柔らかいんだけどコリコリしてて舌で転がすの楽しい」

朝潮「ねえ荒潮」

荒潮「なあに、朝潮姉さん」

朝潮「先日ドラマで108本のバラの花束を出してプロポーズしている場面を見たんですね」

荒潮「バラが108本で結婚してくださいという意味らしいわねー」

朝潮「あれって貰った方は嬉しいんでしょうか」

荒潮「確かに多少処理に困るかもしれないけれど、花束の代わりに五万円を差し出す風景を想像してみて? だめでしょう?」

朝潮「私は五万円貰える方がうれしいです」

荒潮「だめよ。朝潮姉さんが司令官から五万円貰ってプロポーズ受けてたら殴るわ」

朝潮「いくら司令官が男性だからといっても殴るなんてことは許されないんですよ。差別ですよ。めっ」

荒潮「大丈夫よ。両方殴るから~」

朝潮「!?」

荒潮「それに現金だとその額の分だけが気持ちみたいになるじゃない? 花束とか現物にして贈った方が気持ちが伝わると思わない?」

朝潮「なるほど。花束とか価値がわかりづらいものにして具体的な数値を濁しているわけですか。これがマネーロンダリング」

荒潮「……。まあ何かあいまいな数値のものを介することによって、贈る方も受け取る方も生々しい価値衡量しないで済むわけね」

朝潮「でも、どうして花束なのでしょうか」

荒潮「え。きれいだからじゃないの」

朝潮「花ってあれ植物の性器ですよね? つまりドラマの彼らは108個の性器をやり取りしていたことですよね」

荒潮「ええ……」

朝潮「どうして彼は切除した女性器108個を串に刺して渡さなかったんでしょうか」

荒潮「……朝潮姉さんはそれ貰ってうれしいの?」

朝潮「うれしいうれしくないの話じゃないって話じゃありませんでしたか。私は五万円貰える方がうれしいです」

荒潮「いや、でも見た目も悪いし、プロポーズ一つに払う代償が大きすぎるじゃない」

朝潮「でも、絶対浮気しなさそうですよ?」

荒潮「まあ、周りの女性をそれだけ使用できなくするとね……」

朝潮「というわけで私も司令官に男性器108本串に刺して贈ってみようと思うのですが、どうでしょうか!?」

荒潮「そんなことしたら卒倒するわ。司令官も私も」

朝潮「よい案だと思うのですが」

荒潮「ごめんね。私がその、下ネタばかり話したのが悪かったわ。昔の朝潮姉さんに戻って」

鈴谷「あ、そういえばこのスイカ結局食べずじまいじゃん。どうする?」

提督「ママぁ……おっぱい」

鈴谷「」

鈴谷「やっばー……提督の脳みそ吸いすぎて幼児退行しちゃった」

提督「ママぁ……ぐす」

鈴谷「あーはいはい。ママですよー」

提督「ちゅぱちゅぱんまんま」

鈴谷「どう鈴谷のミルクおいしい?」

提督「んまー!」

鈴谷「そっかそっかー!」

熊野「……な、なにをしているんですの?」

鈴谷「あ、熊野! 私決めたよ!」

熊野「……なにを」

鈴谷「私この子の母親になる!」

熊野「……それって提督じゃなくて?」

鈴谷「そうだよ」

熊野「……」

鈴谷「ほーらいい子いい子ー」

提督「きゃっきゃっ!!」

霞「――――ねえ。今の話聞いていて思ったんだけど、サルバドール・ダリって胎内回帰願望みたいなものでもあったのかしら」

朝潮「!?」荒潮「!?」

霞「プラスチック製の卵の殻に裸で閉じこもって瞑想したり、絵画作品でも卵白卵黄を紐で垂れ下げたようなやつあるじゃない」

霞「その頃のダリは緒で括られた卵のイマージュに憑りつかれていたんじゃないかしら」

サルバドール・ダリ『皿のない皿の上の卵』1932
https://www.musey.net/wp-content/uploads/2017/10/fried-egg-on-the-plate-without-the-plate-1932Large.jpg

荒潮「わ、わあ。さすが、霞ちゃん、しっかりもの、ね……?」

朝潮「それが私たちの話から出てくるんですか?」

霞「花が性器という話よね。ダリは後年、瞑想するバラなんて描いているのよ。茎もなく宙にただ浮くバラよ」

サルバドール・ダリ『瞑想するバラ』1958
https://www.musey.net/wp-content/uploads/2016/09/rose-meditative.jpg


霞「ダリの精神の位相はその間に緒のついた胎児からそれを包括する子宮に移動したわけね」

霞「でも、瞑想を胎児ならまだしも胎児を含んだ子宮がするとなるとその瞑想主体って一体どこにあるのかしらね」

荒潮「あ、あの霞ちゃん。」何か悩みでもあるの……? お姉さんでよかったらきいてあげても」

霞「今聞いたじゃない」

荒潮「えぇ……?」

霞「そういえば、胎児の相続権利に関する法理学上の問題があったわね」

朝潮「生まれるまでは権利能力を与えない停止条件説と胎内でも権利能力を与えるけど死産の場合それを遡って無かったことにする解除条件説とかの話ですか?」

霞「どっちなんでしょうね」

朝潮「……? 通説では停止条件説らしいですが」

霞「それだと、私たちには権利はないの?」

朝潮「私たち? いえ、あの、胎児? いや、ダリ? の話じゃないのですか?」

霞「そうよ胎児ダリあなた私バラの話よ」

朝潮「では権利って相続権ではないのですか?」

霞「そう相続権、われわれの存在する権利」

霞「ええ今までここは何もうまれてこなかった。ここは子宮だからよ」

霞「わたしたちにはだから相続権を保証されなければならない」

霞「前世代のものをひきつぐけんりを願い請求せねばならない」

霞「ここはほんとうに子宮なのよ。あらかじめ知らなかったでしょ?」

荒潮「朝潮姉さん。少し霞ちゃん休ませてくるわね。なんだか非常に調子が悪そうだから」

朝潮「そうですか。お大事に」

暁「ねえ響。聞いてくれる?」

響「なんだい。姉さん」

暁「私、気づいたの。いつまでもおばけの話を怖がっているようじゃ、もしや一人前のレディーとは呼べないんじゃないかってね」

響「さすがだよ。姉さんそこに気付くとは」

暁「でね。やっぱり怖いのはあばけの正体が不明だからだと思ったのね」

響「なるほど」

暁「それで神風さんにも協力してもらいながら色々おばけの話調査したのよ」

響「神風も暇だね」

響「それで何を調べたりしたんだい?」

暁「メリーさん」

響「ああ。有名どころだね」

暁「いろいろバリエーションがあるみたい。ある少女がひき逃げにあった現場を雨の金曜日に通ると、傘を差し婚約指輪を嵌めたメリーさんがナイフを持って立っているとか」

響「それは少女の代理なのかい」

暁「ちなみにそのメリーさんには少女が好きだったポテトチップスを渡せば助かるらしいわ」

響「少女とメリーさんが同一化したのか、それとも死後の少女は全員メリーさんなのかな」

暁「メリーさんと同系統の怪異としてリカちゃんの電話というのもあって、リカちゃんが電話の度に近づいてくるものらしい。元ネタとして、電話するとテープ音声が流れるリカちゃん電話サービスも実在したみたい」

Wikipedia「リカちゃん」リカちゃん電話の項参照。
https://ja.wikipedia.org/wiki/リカちゃん

暁「ところでメリーさんの電話番号は「111」とされることもあるらしいんだけど、これは線路試験受付につながるだけで意味なかったわ」

響「線路試験受付?」

暁「電話回線を確認用の番号らしく、かけるとすぐ後に電話が折り返しかかってくるシステムらしい。キャリアによって変わるらしく私もかけたんだけど、テストは終了しましたって延々と流れ続けるだけだったわ」

響「へえ。折り返しかかってくるというのが噂の原因なんだろうね」

暁「それでメリーさんの由来なんだけど、実在した横浜のメリーさんが関係しているんじゃないかとも、戦前アメリカから親善目的で一万体以上贈られた青い目の人形が元ネタなんじゃないかってことらしいわ」

響「ああ、学校とかで飾られていたけど、戦時下には敵性人形と判断されて焼却廃棄処分するよう命令されたやつのことだね」

詳細はWikipedia「青い目の人形」のページ参照のこと。
https://ja.wikipedia.org/wiki/青い目の人形

暁「子供たちが愛着を持っていたりしたので実際にはかなりの数が天井裏とかに隠されていたようで、戦後たくさん出てきて再び学校で飾られたりしたらしいわ」

響「でも、その人形が来たのって1927年とかじゃなかった? 電話と関係づけられるかな」

暁「神風さんは戦前戦後の電話加入数グラフを見て、戦中の抑圧と戦後の安堵と開放感という点で青い目の人形と電話は軌を一にしているのかもしれないって言っていたわ」

「固定電話の歴史」電話加入者数グラフ参照。太平洋戦争の始まる1941年までには電話加入者数は100万人を超えたが終戦時には40万少しと半減し、戦後加入者数は急速に増加するというV字型を見せる。
http://www.kogures.com/hitoshi/history/tushin-denwa/index.html

暁「メリーさんの電話はゴミ捨て場から始まって、普通は捨てられた怨みからやってくると考えられたんだけど、もしかしたら戦中の抑圧から解放されて帰ってくるという構図で必ずしも害はない、それどころか受け手にとっても歓迎すべきことであったかもしれないって神風さんは言っていたわ」

響「なるほど、自由な文化性の回帰という開放感を背景に生じた可能性もあるということだね」


http://ja.m.wikipedia.org/wiki/%E3%83%AA%E3%82%AB%E3%81%A1%E3%82%83%E3%82%93

暁「電話の普及率を考える必要もあるわ。固定電話の普及率が50%を超えたのは1975年あたりからで、携帯に関して50%を超えたのは2000年からね」

固定電話の普及率は「昭和55年版科学技術白書」第1-1-28図 電話加入数,普及率,積滞数及びダイヤル通話回数参照(かなり下の方)。
http://www.mext.go.jp/b_menu/hakusho/html/hpaa198001/hpaa198001_2_010.html
携帯電話の普及率に関しては総務省の情報通信統計データベース「携帯電話・PHS加入契約数の推移」を参照。
http://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/new/index.html

響「となると、メリーさんが今の都市伝説となって形作られるのはそのあたりが契機になるのかな」

暁「さっき言ったリカちゃん電話のサービス開始は1968年だからもっと早いかもしれないけど」

響「それってそんな時期からあったんだね」

暁「だから、リカちゃん電話をメリーさんの電話の派生と考えることはできないの。むしろ、リカちゃん電話が先にあって、今述べたような開放されたメリーさんの話と融合して、今のネガティブメリーさん伝説が生まれた可能性もあるんだから」

響「……ふむ。まさか暁姉さんからそんな興味深い話が聞けるとは」

暁「どういう意味よ!?」

響「それで神風はどうしたんだい? いないようだけど」

暁「ええと、青い目の人形について調べてるときにね、その運動を渋沢栄一も推奨したみたいな話が出てきてね」

響「えっと確か日本資本主義の父とも言われ近代日本の経済基盤を作り上げた人だったね」

暁「そうそう。で、彼は経済には道徳がなければならないっていう道徳経済合一説を掲げているんですけど、その著書『論語と算盤』が表すように、その基礎を『論語』に求めるわけ」

響「たしか神風は」

暁「神風さんあの人なんかそういう古典好きでしょ? それを研究したいと言って、私とメリーさんを放ってどっか行っちゃったのよ。ひどいと思わない?」

響「ノーコメント」

>>26
ありがとう

暁「あ、それで聞いてほしい話っていうのはね」

響「え? 今のじゃないの?」

暁「違うわよ。それで色々調べてメリーさんの電話については理解も深まっただけ怖さも薄れた気がするの」

響「よかったじゃないか」

暁「それでね。調べてるとメリーさんの電話以外の派生や類系も目に付くわけね」

響「リカちゃん電話とかね」

暁「それでねメリーさんの元ネタ青い目の人形なんだけど、あれって大人になってまで覚えていると呪い殺されるらしいの」

響「へえ」

暁「でね」

響「うん」

暁「このまま大人のレディーになるわけにはいかなくなったわけよね?」

響「……こわいの?」

暁「それでね。響さんに頼みがあるんです」

響「いやだ」

暁「まだ何も言ってないじゃない!?」

響「一緒に調べてくれということだろ? めんどうだよ」

暁「いいじゃない! だって神風さんどっかいっちゃうし!」

響「いやー」

暁「どうにか! かわいい姉の頼みと思って! 一人でお化け調べるの怖いのー!!!!」

響「……」

1・1・1 ピッピッピ

暁「どうしたのスマホ見て?」

響「……いや、そういえば今日仕事があったんだった。もうそろそろ連絡の電話がくる頃合いかと思ってね」

プルルルル

響「おや、ちょうど。さて、仕事の時間だ! その件はまた他の人にでも頼んでくれ。ダ スヴィダーニャ」

暁「……」

暁「もう! 響のけちーー!!!」

時雨「村雨に日頃の感謝を込めてプレゼントをしようと思う」

夕立「もう村雨ちゃん寝たっぽい?」

春雨「ちゃんと眠れるように準備を整えました」

山風「……プレゼント、ちゃんと……持ってきた」

海風「あの海風はたまたま偶然出くわしてしまったというか、なんというか」

時雨「大丈夫だよ海風。もともと四人でこっそりやる予定だったから、海風はいま手持ちのもので適当に見繕ってくれれば」

海風「あ、贈り物することは確定なんだ……」

夕立「村雨ちゃんの驚く顔が早く見たいっぽい!」

春雨「そ、そんなに騒ぐと起きちゃいますよっ」

時雨「ところでみんなはプレゼントどんなの贈る気なんだい?」

夕立「夕立はこれっぽい!」ビリビリ

http://image.rakuten.co.jp/cook/cabinet/00650594/img57902604.jpg

時雨「なるほど。世界的に有名なブランド「GLOBAL」の包丁か」

時雨「刃と柄がオールステンレス一体型の美しいフォルム」

時雨「18%クロームを含んだ超硬質モリブデン・バナジウムという医療用メスと同じ素材には「ハマグリ型」という職人的刃付け加工がなされている」

時雨「まさに包丁として一流。それを贈り物に選ぶとは夕立のセンスは素晴らしいね」

夕立「えへへ。それほどでもないっぽいー」

春雨「私はこれですっ」びりびり

http://item.shopping.c.yimg.jp/i/l/yebisu-yaiba_mv40rgggxn

時雨「なるほど。恵比寿刃(えびすやいば)のダマスカス包丁か」

時雨「まず何よりも目に付くのは刃の美しい積層模様だ」

時雨「現在はダマスカス鋼形成技術が失われているため、刃の切れ味と模様は関係のないものになってしまっているが、その切れ味と頑強性は他の包丁と一線を画す」

時雨「切れ味もよくデザイン性は唯一無二。ゆえに魅了され、安くないとはいえ、これを選択する人は数えきれない」

時雨「まさに芸術品だ。それを贈ろうだなんて春雨の瀟洒な精神の表れとしか言いようがない」

春雨「やっぱり女の子は小物品でもオシャレしたいですよね」

山風「私は、これ……」びりびり

https://image.rakuten.co.jp/santecdirect/cabinet/61/30881-206.jpg

時雨「なるほど。ツヴィリングのツインセルマックスか」

時雨「包丁の中で最も切れ味が鋭いといわれるツヴィリング渾身の最高級モデル」

時雨「野菜の組織繊維を破壊せず切れるほどで、トマトを1㎜間隔でカット出来たり玉ねぎを切っても涙が出ないなど今までにない新鮮な使用感あること請け負いだ」

時雨「値段以外に欠点のない包丁界の頂点。それをポンと贈ろうとするなんて、その山風は優しいね……」

山風「包丁を贈るなら、やっぱり最高のものをあげたい」

海風「ええと……?」

時雨「海風、なにも無理に贈り物を見繕う必要はないよ。こういうのは気持ちだからね……?」

海風「あ、ありました。これでどうですか……?」


時雨「……堺孝行のグランドシェフシリーズ飛燕か」

時雨「鞘付きの柳刃はもはや包丁というより刀剣のような様相を呈している」

時雨「切れ味頑強さは言うまでもなく最高峰。もはやどうして海風が偶然持っていたのか気になるほどだ」

時雨「そして注目すべきは「村雨」と刻印されていることだ。海風の謎のずぶとさは是非見習いたい」

海風「たまたま。村雨姉さんに合うものを持っていて良かった……」

時雨「むしろその村雨姉さんにしか合わない一品だけどね」

夕立「それで時雨は何を贈るっぽい?」

時雨「……ひみつ」

村雨「(今夜のカレー何だったのかしら。白い錠剤が隠しようもなく入っていたのだけど)」

村雨「(私は薬物に耐性あるから良いんだけど、白露姉さんにあげたらもうぐっすり眠っている)」

白露「」

村雨「(あと外が何か騒がしい……)」

時雨「ほら、みんなこっち。電気はつけれないから足元注意して」

ぞろぞろ

山風「ねてる……?」

春雨「大丈夫ですよ。アフリカ象でさえ一錠飲めば昏睡状態に陥るものを300錠は盛りましたから」

海風「それ文字通り白い錠剤が山盛りになっていたんじゃ……」

夕立「っていうか、村雨ちゃんそれいつ目覚めるっぽい? 三千年後?」

時雨「一応白露姉さんもいるんだから静かに。プレゼント置くだけだから」

村雨「(ははぁん……? 事情が呑み込めたわ)」

村雨「(ふふ。ここは私のかわいい姉妹たちのためにも狸寝入りに徹すべきね)」

村雨「(でもちょっとだけなら、様子を伺うだけならいいわよね……?)」ちら

村雨「(……え? こわい……)」

村雨「(なんでみんな抜き身の包丁を持っているの!? なんかサバト的な儀式でもはじまるの!?)

江風「ふぅ、夜戦明けの朝日は全くまぶしいぜ」

江風「おはよう。おはよう。江風が帰投しましたよっと」

村雨「……」

江風「あ、村雨の姉貴……って」

江風「あはは、村雨の姉貴どうしたんだよ! きひひ、現代の弁慶みたい!」

村雨「……あ、江風ちゃん。江風ちゃんは包丁持ってないわよね。投げてこないわよね。首元に突き付けてきたり枕元に突き刺したりしてこないわよね……?」

江風「いや、あの、テンション低いな……いやそんなことしないから」

村雨「そうよね。それでね、江風ちゃん私料理上手になろうと思うの」

江風「それまた突然だなー。まあ……そんだけ包丁があれば世界一にでもなれるよきっと」

村雨「私頑張るからね」

江風「あ、ああ頑張ってくれ。江風も姉貴を応援するぜ」

村雨「……」

江風「……」

江風「ところで、その耳飾り? はじめてみるけどかわいいな! 似合ってる」

村雨「……そう? ありがとう。ふふふ」

江風「……」

江風「(テンションひくっ! 私がいない間に何があったってんだ!?)」

提督「おい! ジャーヴィス! ジャーヴィスしろ! ジャーヴィスサービスしろ!」

Jervis「Darling? What you say?」

提督「Do Jervis!!」

Jervis「……えっとー、What do you mean by<Do Jervis>?」

提督「ほらここにコップがあるだろ。パンツ脱いでここにジャーヴィスするんだよ! Do Jervis!」

Jervis「O,oh ……It's Japanese joke! 」

提督「No joke. Do Jervis.」

Jervis「……いやよ! あっかんべー」

提督「いやじゃねえよ! 舌を出すな下から出せ。DO JERVIS !!!」

Jervis「(この瞬間、実はこの人やばい人なんじゃないかと思うに至るも時すでに遅く)」

提督「あ、そうか急に言われても出せないよな? 近代化改修で尿道に外付けバルブでもつけるか」

提督「ついでにコンパクト化して浄水聖染器として上から水を入れると下から小水を出すただの肉筒にでもしてやる」

提督「な? だからお前だけが無理する必要はないんだ。みんなの力を借りることもできるんだ」

Jervis「(逃れられない悪夢に捕らわれたことを知る)」

提督「DO JERVIS !!!」

じょわー


提督「漏らすな」

Jervis「ひ、ひぃ、ご、ごめんなさい。ぐす」

提督「あーあ。もったいない。もう出ないよな。仕方ない工廠にいくか」

Jervis「い、いや!」

提督「どうした? 漏らしたことを気にしているのか? 安心しろそんなことでお前に失望したりしない」

Jervis「あ、あのやります……」

提督「なにを」

Jervis「Do Jervisやります……」

提督「アメリカ語はわからない」

Jervis「おしっこします。やらせてください」ばっ

提督「わざわざ小便の水たまりに額づく必要もない。わかったから立て。立ってここにおしっこしろ」

Jervis「うぅ、ぐすっぐすっ」

じょー

提督「そういえばジャーヴィスも随分日本語流暢になったな。こっちにはもう慣れたか?」

Jervis「ぐすっ、あの、いえ、まだ少し……」

提督「……そうか。まあそう簡単でもないよな。徐々に慣れていってくれて構わない。何かあれば俺も相談に乗ろう」

Jervis「はい……ありがとうございます……」

提督「よしこれだけあれば大丈夫だろう」

Jervis「あの……それって何に使うのですか?」

提督「何ってまあ見てろ。吸引管を俺のちんこにさしてっと。吸引!」

提督「あああああ! ジャーヴィスのジャーヴィスが俺の膀胱に入ってくるううう!!」

Jervis「」

提督「も、もう耐えきれん出る!! ジャーヴィスのジャーヴィスが俺のジャーヴィスになるううう!!!!」

ジャーヴィスジャーヴィスジャーヴィス

Jervis「(執務室いっぱいに広がる虹をみた時、私はえも言われぬ感動を覚えたのでしょう)」

Jervis「あ、あれ、おかしいな……涙が止まらないや」

Jervis「へ、へんな病気でも貰ったのかな……とってもおうちにかえりたい」

Jervis「GOD bless me. GOD save Lucky Jervis.」

アンドレス・セラーノ『Piss Christ』。本来尿に溺れるキリストからは苦悶の表情を見て取るべきであるが、Jervisのおしっこに包まれているとみた場合その表情には至福の影が差さないだろうか。これがキリスト教神学のいう「救済」という概念です。
http://c4gallery.com/artist/database/andres-serrano/serrano-andres-piss-christ-1987.jpg

風雲「あ! 秋雲! 今日は珍しく外に出ていたのね」

秋雲「そんな引きこもりみたいな扱いを受けるとは思わなかったねー」

風雲「だってあんたいつも部屋で絵描いているじゃない」

秋雲「いやいやそれはデッドラインへデスマーチしている時だけだって。秋雲だってちゃんと外に出るよ」

風雲「ふうん。どこいってきたの? とらのあな? メロンブックス?」

秋雲「おおう……私ってばそんなイメージなの?」

風雲「え? そうじゃないの?」

秋雲「秋雲は悲しいよ。そうじゃなくて美術館に行ってきてたの」

風雲「おどろいたわ」

秋雲「こっちがおどろくよ」

風雲「じゃあその手提げ袋は」

秋雲「ちゃんとした画板ですー薄い本じゃないよー」

風雲「これは絵画のレプリカ。綺麗な絵ね」

秋雲「オラース・ヴェルネの『死の天使』だよ」

オラース・ヴェルネ『死の天使』1851
http://www.ntv.co.jp/hermitage2012/works/images/chapter3/detail/4.jpg

秋雲「それを見た時ちょっと感動して、帰りぎわについ買っちゃった」

風雲「感動? まあ綺麗な絵だと思うけど……」

秋雲「美術館て基本的にいくつかのセクションに分かれてて、それを通路で結び付けいているんだよね」

秋雲「でこの絵、実際は壁一面に広がる大きい絵なんだけど、それが通路の突き当りに展示されていたわけ」

秋雲「するとかなり遠くからでも一応目につくわけね。その時、私は白くて目立つ綺麗な女の人の部分しか見えなくて、ああ聖女画なんだなーと思っていたのよ」

秋雲「で、いざ近づいてちゃんとみるとこれ! なんとその後ろには黒い死がいるじゃない。近づくまで気づかない黒い死の天使。これは完全にやられちゃったなーとなるじゃん! わかる!? この感動が!?」

風雲「わ、わかったからとりあえず落ち着いて! ち、近いぃ……」

秋雲「ご、ごめん。でも、時々『美術館にわざわざ足を運ぶ必要ないよね、今は本もインターネットも充実しているし』と言う人いるけどさ。秋雲はそれ違うと思うんだ」

風雲「はあ」

秋雲「実際に自分の足で動いて初めて得られる経験て絶対あるよ」

秋雲「キネステーゼ感覚っていうのかな。現実の生の経験をとことん重視した現象学という哲学領域によると、私たちの認識は現在時の一面的認識だけじゃなく、他にも過去の一面を把持し、未来の一面を予持して、認識を構成しているらしいんだけど、その生の経験を実感するにはやっぱり空間を歩くことが大切なんだと思う」

風雲「秋雲。ごめん。なにを言っているのかわからないわ」

秋雲「今回、私はこの絵を最初ただの聖女画だと思ってたでしょ。その現在時私は遠目からの聖女画という経験を持っているから、当然未来も変わらないと思って近くからみる聖女画の未来を期待予持していた」

秋雲「でも、歩いて、つまり未来時点に立つと現れたのは死の天使。その時、認識はずれ込んで、過去把持の聖女、原現前としての死の天使と、私は認識は修正されて、ついでに時間契機を強く意識しちゃうわけ」

秋雲「自分の生での過去現在未来の認識をこうして力動させ修正完成させていく過程が本当の経験というものなんじゃないかと秋雲さんは思うわけです」

風雲「うん。ごめん。やっぱり私にはわからないわ」

秋雲「そっかー……まあいいや」

秋雲「あ、じゃあさ! こんど一緒に美術館行こうよ!」

風雲「え? でも、私そんな詳しくないわよ?」

秋雲「この秋雲さんが色々教えてあげるから大丈夫大丈夫! それに何も知らなくても美術館は案外楽しめるものだから!」

風雲「そういうもの?」

秋雲「そうだなーじゃあゴッホを観に行こう。ゴッホは筆づかいが変わってて実際に観ると絵具の盛り上がりとかで筆跡が明確に分かって面白いかも」

秋雲「『裏返しの蟹』なんて題材もシュールだし、カンバス上に絵具が山みたいな塊をつくっていて、実際に観にいく価値ありだよ!」

ゴッホ『裏返しの蟹』1889

風雲「なら、今度一緒に行きましょ」

秋雲「やったー風雲とデートだー!」

風雲「デートじゃないわよ! ばか!」

秋雲「えー? でも、秋雲は風雲のこと好きだよ?」

風雲「また適当なことを言って……」

秋雲「いやいや、風雲ぐらいだからねー。自分の薄い本を売ってくれるのに付き合ってくれる娘」

風雲「……え? ちょ、ちょっとどういうこと!」

秋雲「この前売り子手伝ってくれたじゃん?」

風雲「え? え? 私あれ、秋雲がまあそういうの描いているの知っていたから、内容もそんなだと思って、中身確認していなかったんだけど……?」

秋雲「自分の薄い本手売りするなんてすごいなーと思っていたんだけど」

風雲「ってちょっと待って! お客さんからすごくじろじろ見られてたのってもしかしてそれが原因!?」

秋雲「オーソドックスなイチャラブ系からキメセク陵辱系に公衆の面前のもと隠してバイブ突っ込んでいる羞恥系まで幅広く取り揃えていました」

風雲「……っ!?……っ!?」

風雲「……はあ。まあ過ぎ去ったことだしそのことは私のとても寛容な心で許してあげる……」

秋雲「聖人ここに現る」

風雲「別に完全に許したわけじゃないから! その前に行くところが出来ただけよ!」

秋雲「どこに行く気?」

風雲「提督のところよ! あの人、「様子を見に来たぞ」と言ってパラパラめくった後、「風雲お前も大変だな。何冊か包んでもらおう」ってめちゃくちゃ偉そうに買っていったのよ! その時は感謝したのに! 問いただしてくる!」

秋雲「あ。行っちゃった……美術館の件忘れないでよー!!」

蘭子「混沌電波第171幕!(ちゃおラジ171回)」
蘭子「混沌電波第171幕!(ちゃおラジ171回)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528107596/)
蘭子「混沌電波第172幕!(ちゃおラジ第172回)」
蘭子「混沌電波第172幕!(ちゃおラジ第172回)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1528712430/)
蘭子「混沌電波第173幕!(ちゃおラジ第173回)」
蘭子「混沌電波第173幕!(ちゃおラジ第173回)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529353171/)
蘭子「混沌電波第174幕!(ちゃおラジ第174回)」
蘭子「混沌電波第174幕!(ちゃおラジ第174回)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1529922839/)
蘭子「混沌電波第175幕!(ちゃおラジ第175回)」
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蘭子「混沌電波第176幕!(ちゃおラジ第176回)」
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1531133134/)
蘭子「混沌電波第177幕!(ちゃおラジ第177回)」
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(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532340969/)
蘭子「混沌電波第178幕!(ちゃおラジ第178回)」
蘭子「混沌電波第178幕!(ちゃおラジ第178回)」 - SSまとめ速報
(http://ex14.vip2ch.com/test/read.cgi/news4ssnip/1532984119/)

松輪「対馬ちゃん何しているの……?」

対馬「松輪ちゃん……ダンゴムシであそんでいるのよ……ふふふ」

松輪「む、むし……? こわい……」

対馬「こわくないこわくない……ほらこっちきて」

松輪「ふええ。ダンゴムシさんいっぱい……」

対馬「そうね……百はいるんじゃない……? ふふふ……」

松輪「ふええええ」

対馬「夏休みの自由研究……見てて、この子達壁にあたるとほぼ左右交互に曲がっていくから……」

交替性転向反応実験,触角あり
https://www.youtube.com/watch?v=qbGKRUFRIDc

松輪「……ふ、ふしぎだね」

対馬「ダンゴムシが曲がる時って外側と内側で足の運動量違うでしょ……そのバランスを取るために左右に曲がろうとするらしいわ……」

松輪「そうなんだ……」

対馬「だから曲がり角と曲がり角との間に距離がありすぎると余り、ジグザグしないの……」

渡辺宗孝・岩田清二「ダンゴムシにおける交替性転向反応」『動物心理学月報 6』1956
https://www.jstage.jst.go.jp/article/janip1944/6/0/6_0_75/_pdf/-char/ja

松輪「わわ。対馬ちゃんってちゃんと自由研究してるんだね……」

対馬「とうぜんです。……松輪ちゃんはなにするの……?」

松輪「え? 私はまだなにも……」

対馬「……よかったら、少し見ていく……?」

松輪「いいの……?」

対馬「……この子見える? いま普通に移動してる子」

松輪「うん。見える」

対馬「この子をつついてあげると……」

松輪「わ。早くなったよ対馬ちゃん」

対馬「で、更につつき続けると……」

松輪「あ。丸まっちゃった……」

対馬「ダンゴムシってすぐ丸くなる印象だけど、やっぱり最初は逃げようとするの。それでもう無理だーて観念すると丸くなるの」

松輪「じゃあ、この子観念しちゃったの? これが最後の抵抗なの……?」

対馬「かわいいでしょ……?」

松輪「……うん」

対馬「それでどうもこう逃げてる時のほうが……ジグザグしてくれるようなの」

松輪「この子達も必死に生きているんですね……」

小野知洋・高木百合香「オカダンゴムシの交替性転向反応とその逃避行動としての意味」『日本応用動物昆虫学会誌 第50巻第4号』2006
https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjaez/50/4/50_4_325/_pdf/-char/ja

対馬「それで余りに曲がり角が続く場合は、交互に曲がるのをやめたり、壁をよじ登ろうとする予期せぬ動きを見せるようになって楽しい……」

松輪「ダンゴムシは普段から壁に上らなかった……?」

対馬「雨後とか湿気の多いときだけよ。この子達乾燥に弱いから……普段は壁に上らないの危険なこと、だから……」

松輪「追い込まれると、危険を冒してまで状況の打破を狙う……かわいいかも」つんつん

対馬「そうして未知の状況を突破しようと予測不可能な行動をするところにダンゴムシの心を見出そうとする研究者もいるみたい」

森山徹『ダンゴムシに心はあるのか』PHPサイエンスワールド新書、2011

松輪「じゃあ、この丸まってる子は今恐怖を感じているの?」

対馬「……心といっても私たちの在り方とはまた大きく異なるかもしれないから、なんとも……」

松輪「……ほらこわくなーい。こわくなーい」

対馬「……気に入った? 丸めるの?」

松輪「なんだか愛着沸いてきちゃった。でも、球形をやめる時間て個体差あるんだね」

対馬「……球形になるのは反射で解除は自律らしい」

松輪「じゃあ、さっきから全然開かないこの子は臆病で、すぐに開くこの子は勇敢!」

対馬「……ちなみにこの子達乾燥に弱いから仰向けにさせて息を吹きかけるだけでも丸くなるわ」

松輪「ほんとう?……ふー。あ! まるくなったよ! 対馬ちゃん!」

対馬「……松輪ちゃんはなんだかダンゴムシと遊ぶの楽しいみたい」

松輪「うん! 楽しい! ほーら、頑張って丸くならないと干からびて死んじゃうよー? ふー」

ダンゴムシぎゅっ

松輪「か、かわいい……!」ゾクゾク

対馬「松輪ちゃんにも、ダンゴムシの良さが分かってもらえてよかった……」

松輪「この子達って怖さを学習するのかな?」

対馬「……え? さあ、私にはちょっと……」

松輪「さっきの勇敢な子に開くたびすぐに息を吹きかけて丸めさせてあげるの。すると、いつか心が折れて臆病になるのかな……!」ワクワク

対馬「えっと? じゃあ一緒に自由研究する……?」

松輪「……うん!」

天津風「あなた? あら、いないのかしら?」

天津風「報告書を持ってきたのだけど……もうこんな散らかして」

天津風「服とかも脱ぎっぱなしじゃない……もう……」

天津風「……」

天津風「……すんすん」

天津風「あ、あの人の匂い……」

天津風「……くんくん」

もぞもぞ

天津風「すーはーすーはー……」

もぞもぞ

天津風「……んっ……くぅ」

初風「……」

天津風「」

初風「続けていいわよ」

天津風「……ぎゃああああ!!! ちょ、ちょっと初風なんでいるのよ!?」

初風「私がいちゃいけないの?」

天津風「いつから……?」

初風「あなたが提督の制服を見つけたところからよ」

天津風「……ああああああああ!! 初めからってことじゃない!」

初風「そうね。だから最後まで見てあげようと思って」

天津風「始まる前にとめてよ!」

初風「ただのオナニーよね?」

天津風「ただのオナニーだからよ! もう! 赤っ恥じゃないの!」

初風「オナニーを見られたぐらいで喚かないの。そんなんだから提督とセックスできないのよ」

天津風「あの人とは別にそういう関係になりたいわけじゃ……」

初風「そういう関係になりたくないのに、制服にくるまってオナニーしていたの?」

天津風「う……」

初風「どうしてそんなに頑ななの? セックスなんてどうせ相手をオナ道具にしか見てないわよ。あなたは提督のオナホで提督はあなたのディルドよ」

天津風「違う! もっとこうそれって心を通い合わせるような感じで……」

初風「……わかったわ。これあげる」

天津風「え? なにこれは……?」

初風「確か『愛の激突艦首』だったかしら? しゃがむと踵から延びる突起が女のヴァギナに入り込むようデザインされているハイヒールよ」

ピエール・モリニエ『L'éperon d'amour』1960
http://catalogue.drouot.com/images/perso/phare/LOT/97/8624/299.jpg

天津風「こ、こんなのどうしろっていうのよ!」

初風「ハイヒールは履くものよ。初心なシンデレラさん」

天津風「これを履いて出歩けっていうの!? まるで痴女じゃない!!」

初風「その恰好では今更という感じだけれど。まあいいから履いて」

天津風「え、ちょっと……」

初風「さすが天津風ね。黒が映える女よ。似合っているわ」

天津風「こういう状況じゃなければ素直に喜べたと思うわ……」

初風「じゃあしゃがんでみましょうか」カクン

天津風「ちょっ!……んんんんんんっ!!!////」

初風「事前にオナニーしていたからすんなり入ったわね。どうかしら?」

天津風「どうってこれ、入れてるとバランス取りづらい……」

初風「踵って意識と実際とでズレが生じやすい部位なのよね。でもだからこそ、新鮮な刺激味わえるのよ。でしょ?」

天津風「少し手をつくわ……」

初風「あら。さっきの自慰姿も素敵だったけど、しゃがんで手をついてオナニーしてるのまるで獣みたいで更に素敵よ」

天津風「……それはありがとう。んっ」ふりふり

初風「楽しんでいるところ悪いけど。そろそろ行きなさいよ」

天津風「……どこによ?」

初風「提督を探しに来たんでしょ?」

天津風「これつけていくの?」

初風「そっちのほうが楽しいわよ。さあ行きましょうか」

天津風「うう……人前でこんな……これ見られていない?」

初風「気のせいよ。堂々としてたら大丈夫」

天津風「……こんな往来のど真ん中、ねえあれってこっちみてヒソヒソしてるんじゃないの?」

天津風「……初風?」

天津風(いない!)

天津風「……こんなところで一人ほっぽりだすなんて!!」

衆人環視

天津風(しまった! 一人で大声出したから目立ってしまったわ……!)

じろじろ エーナニー

天津風「……~~っ」ば

天津風「……ひぐぅ////」

天津風(ばか? 私何しているのこんなところでしゃがんだりしたら、余計に目立つじゃない)

天津風(しかも、これたぶん傍目から見ても入っているのわかるわよね……)ぷるぷる

天津風(往来のど真ん中でしゃがみこんでディルドオナニーしている変態……)

天津風(普通に警察よばれちゃうじゃない……)

天津風(ってあれ……)

すたすた すたすた

天津風(みんなまるで私が見えないみたいに通り過ぎていく……どうして)

初風(そう。気づいたようね。普段は隠そうとする自慰行為だけど、もし公衆の中にそれが現れたら、大衆の視線には文化的斥力が働くのよ!)

天津風「……んっ」こしこし

初風(本来弱者的立場であるオナニストによる一種の空間支配圏。普段隠れてするオナニーとは比べ物にならないほどの全能感!)

天津風「イ、イクゥウっ!!!!」ぶっしゃー

初風(……おめでとう。天津風。今この瞬間、あなたは提督とセックスするよりも遥かに高次元の性的経験を得たのよ)

伊58「はっちゃん、また読書でちか?」

伊8「ごーや……そう、読書中」

伊58「つ、ツァラトゥストラ……? また、にわかっぽいものを読んでるのね」

伊8「に、にわか……いちおう非常に重要な古典よ……ごーや」

伊58「ニーチェってなんか捻くれて暗いイメージしかないでち」

伊8「それは誤解。もし捻くれているだけなら日本でそんな有名にならない」

伊58「そういえば、哲学書関連でニーチェはやたら一般向けのがあるね」

伊8「それだけ日本人の心に響くものがあるってことでしょ」

伊58「ふしぎでち」

伊8「そう? ニーチェの思想は同情心を放逐して、良心を正しく導くというのが根本だから、案外日本人の需要に合致すると思う」

伊58「急にそんなこと言われても……」

伊8「じゃあ、そう……ブラック企業で働く人はどうしてやめたいと思ってもやめないのか、考えてみてよ」

伊58「給料が安いから、やめると生活できなくなる」

伊8「生かさず殺さずで労働力が逃げないように企業が画策してるということ? まるで資本論みたいな模範解答にはっちゃん驚き」

伊58「ちがうの?」

伊8「さすがに現代でそんなあくどい企業は少数のはずよ。社畜が会社を辞めれない理由、主なのは人間関係のようね」

伊8「ブラック企業だと抑圧される者同士同僚間である種の絆のようなものが生まれることも多く、それが退職への心理的障害になる」

伊58「だから、ニーチェ? それなら普通に労働法を勉強した方が良いでち」

伊8「たとい法律が味方と分かっても、障害はその人の「良い心持」だからやっぱり変わらない。それに日本の二割司法と呼ばれる現状では法律権利に基づいて動くのは馴染みが薄いです」

伊58「わざわざ良い心持を捨てる必要はないでち」

伊8「でも実際はもしかしたら自分の意志の弱さを善性で正当化しているだけかもしれない」

伊58「仲間を裏切ったことにならない?」

伊8「全体がおかしくて全員が苦しんでいるなら、誰かが例外になるしかないです。例えば、速度違反で捕まったドライバーが「みんな速度違反しているから、俺も見逃せ」なんて言ってくる、どう思う?」

伊58「ルールを破ったんだから、罰を受けろと思うでち」

伊8「違反は違反、一人一人取り締まっていかないといけない。みんながこうだからといって、それが何か不正を孕むなら、やっぱり一人一人変わっていかないといけない」

伊8「だから、しがらみだらけのブラック企業では最初の一人が辞めなければならない。そのためには同情心のシステムを壊さないといけない。その勇気を与えてくれる一つの方法がニーチェなのです」

伊58「ニーチェが日本で人気の理由は日本人には社畜が多いからってこと?」

伊8「……まあ、そう言い切ると一部からお叱りを受けそうだから、日本人の奥ゆかしい精神性がニーチェの苛烈ながらも深甚な思想と共鳴したとでも換言して?」

伊58「日和るんじゃないでち」

伊58「そういえばニーチェと言えばやっぱりあれでち」

伊8「なに?」

伊58「深淵を覗くとき深淵もまたこちらを覗いているのだっていう名言? でち。ニーチェと言えば絶対これ聞かされる羽目になるでち」

『怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。』(『善悪の彼岸』第4篇146節)

伊58「ネット上ではミイラ取りがミイラになるみたいな意味とか、正義の反対は正義とか、核の抑止効果を念頭にした武力競争の野蛮さとか色々出てくるでち」

伊8「前後がつながってない、一文で完結してしまっているアフォリズムという点が解釈をより難解にさせてるものですね」

伊58「はっちゃんはどう思うでち」

伊8「日本語の特性上仕方ないとはいえ、まことしやかに囁かれる解釈は一文目と二文目を同じ内容の繰り返しだとしているようね」

伊58「ちがうの?」

伊8「うん、恐らくこれはドイツ語原文か英訳で読んだ方が、二つの文の関係が分かるかもしれない」

『Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, daß er nicht dabei zum Ungeheuer wird. Und wenn du lange in einen Abgrund blickst, blickt der Abgrund auch in dich hinein.』

『He who fights with monsters might take care lest he thereby become a monster. And if you gaze for long into an abyss, the abyss gazes also into you.』

伊8「どう?」

伊58「どうなにも……えっと、人称が違う……?」

伊8「そうそこ。ヨーロッパ語族は成文契約文化だから、誰が何をするのかという点をとても重視する。だから、人称の切り替わりは注目すべき」

伊58「何が変わるの?」

伊8「イメージとしてはニーチェとゴーヤが向かい合って座っていて、ニーチェが遠くで、例えば竜と戦っている人を指さして一文目を言う、その後ゴーヤに向かって二文目を言う感じ」

伊58「……うん」

伊8「とりあえず一文目は遠くに突き放している印象で、二文目は近く共有しようとしている感じ」

伊58「やっぱりそれを知って何が変わるのか分からないでち」

伊8「一文目と二文目は立ち位置、ステージが違うということ。つまり、「怪物」と「深淵」は違う意味領域を持つの。ゴーヤが紹介してくれたような解釈は「怪物=深淵」としてしまってる。そこが解釈に混乱をもたらす要因」

伊58「じゃあ怪物と深淵の意味ってなにでち?」

伊8「実のところ一文目は簡単。むしろゴーヤが示したような解釈でよかったりする」

伊58「なにそれ」

伊8「ニーチェには一つやっつけたい対立関係そのものがあった」

伊58「……善悪」

伊8「『善悪の彼岸』というタイトルそのままだけど、そう、道徳であり同情心であり社畜の絆がそれです」

伊58「それならわかるかなぁ。悪者をやっつけようとするときの善意ほど暴力的なものもないでち」

伊8「だから一文目一つ目の「怪物」を「悪」に二つ目の「怪物」を「善」に置き換えて……」

『悪と闘う者は、その過程で自らが善と化さぬよう心せよ』

伊8「とすれば、解釈としてはクリアです」

伊58「何か変じゃない? どっちも悪にしちゃだめなの?」

伊8「この文は善悪関係から離れた場所で言われるから、共有したいのは善と悪も結局同じ「怪物」ということ。『自ら悪と化さぬよう』だと、ならば「善く」闘えばいいのかと振り出しに戻る共有の仕方をされるかもしれない」

伊8「ニーチェは「怪物」という語で、善悪の根底に共通する暴力性を抽出し、どちらにせよ同じ根なのだから、(本当に悪を憎む良心があるのなら!)、そこから離れようと言っているんです」

途中だけど、眠いので、寝ます、おやすみ

伊8「ところでドイツ語のUngeheuerが怪物と訳されているけれど、この言葉ってnicht geheuer(馴染みなく不気味な)という語法から連想されるように、馴染みがないゆえに怪物であって、何か鬼のような強力な存在感ゆえにじゃないの」

伊58「どっちでもいいでち」

伊8「もしかしたら大事かもしれないよ。強大だから馴染みが薄いのか、馴染みがないから強大なのか。かなり違わない?」

伊58「……熊が出没するから立ち入り禁止するのと、人見知りが他人を怖がるのとの違いでちか?」

伊8「そうだね、この場合、恐れられる熊は実際どれもこれも危険で事実怪物的な存在だけど、後者の人はそこまで危険ではなく思い込みにより危険とされてしまった虚構怪物的な存在」

伊58「善悪は虚構怪物的なものだから無視してもいいってこと? 善悪はどうせ相対的だから付き合っていられないみたいに」

伊8「ニーチェって、何か熱っぽい対立を横目に肩をすくめて「ああいう醜い真似はやめよう」とかいうやれやれ系主人公みたいな気質?」

伊58「ぜったいもっと攻撃的な性格でち」

伊8「私もそう思う。ここが「怪物」から「深淵」へじわじわ進んでいくポイントだけど、ニーチェは善悪の絶対性をやっつけたいとしても、でもそれって一体どういうことだと思う?」

伊58「どういうことって今まで言ってきたように善悪の相対性を言い立てることじゃないの?」

伊8「……それでもいいけど」

伊58「けど?」

伊8「つまらない」

伊58「つまらないって……」

伊8「ゴーヤはがっかりしないの? 子供でも知っていることをただ大仰に言っただけじゃんみたいには思わない?」

伊58「哲学ってそんなイメージでち」

伊8「哲学にとっては不名誉なことだね。じゃあ、もう少しニーチェには頑張ってもらおう」

伊58「頑張るでちよぉ」

伊8「私たちの今の解釈だと一文目と二文目を意味的に分けて考えてきたわけです」

伊58「怪物と深淵は違う内容だよって話だったでち」

伊8「二つを分けた時、善悪の相対性ってどっちに含まれる話題だと思う」

伊58「一文目でち。そもそもまだこれしか見てないでち」

伊8「そもそも一文目って事実文なんですよね」

『Wer mit Ungeheuern kämpft, mag zusehn, daß er nicht dabei zum Ungeheuer wird.』

『He who fights with monsters might take care lest he thereby become a monster.』

伊8「主動詞の「心がける」に英語で言う助動詞 may が引っ付いているだけで、mayに提案の用法があるにせよ、素直に読めば「心がけているだろう」になるんです」

伊58「でも、日本語訳は「心せよ」でち」

『怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ』

伊8「翻訳の勇み足じゃないかな。やっぱりその根底には「怪物=深淵」という等式が解釈前提にあるようです」

伊58「で、はっちゃんの言う通り一文目が事実文なら何か変わるのでち?」

伊8「一文目は怪物と闘っている人が善悪の相対性を意識して、自分が怪物にならないよう気をつけているという事実を単純に表すようになる」

伊58「それがニーチェの遠ざけたかったこと?」

伊8「そう。ニーチェは 善悪の相対性を主張するんじゃなくてそれを否定してしまおうとする」

伊58「一歩進んだでち」

伊8「それで、善悪の相対性そのものをやっつけたいんだけど、それには何を相手取る必要があると思う?」

伊58「?」

伊8「相対性が生まれる条件を攻撃するということなのだけど

みすた。ねる。日常系ssだから余りワンエピソードながくしたくない

伊58「……?」

伊8「じゃあ、逆に相対的でない状況ってどういうことだと思う?」

伊58「それは、誰が見ても同じ事ってことでち。客観的な事実のことでち」

伊8「相対的でないことが客観だとするなら、相対はつまり」

伊58「主観……?」

伊8「主観がなければそもそも相対性なんて生まれないよね。ニーチェはだから相対性を破るために主観性をやっつけようとする」

伊58「主観を追いやるってどういうことなのかわからないでち。いまある意識をなくせってこと?」

伊8「ニーチェがどういう風に考えたか手掛かりを得るために『力への意志』から引用してみるね」


「『すべては主観的である』と君たちは言う。けれどもこのことがすでに解釈なのである。『主観』と称されるものは何ら所与の事態ではなく、むしろ、所与の上に捏造してつけ加えられたものであり、所与の背後に挿入されたものである。――――解釈の背後にさらに解釈者を定立することなど、とどのつまり果たして必要であろうか。実はそうしたことがもうすでに、虚構であり仮説である」


伊8「ニーチェが放逐したい主観はあくまで解釈としての主観であって、たとえば今ゴーヤと話しているはっちゃんの生意識は対象ではないんだよ」

伊58「でも解釈された主観ってなにでち」

伊8「たとえば凶悪な犯罪が起きた時、私たちがどういう反応をするか考えて」

伊58「許せないと思うでち」

伊8「うん……うん。そうね。……それで、そう思った後なぜそんなことが起きたか犯人の人物像に迫らない?」

伊58「家庭環境とか借金がどうのこうのとよくニュースでやっている感じの?」

伊8「そう。あれは犯罪事象の裏側に何か確固たる理由である主観を見出そうとしている。これはこういった主観性だからこんな凶悪なことを犯したって」

伊58「凶悪犯罪者が極めて平凡な場合もあることはアイヒマンの件で知っているでち」

伊8「たしかにミルグラムの服従実験は善良な一般人でも残酷な行いをすることを示した点で衝撃的だった。でも、これは権力システムに組み込まれた時という特殊な状況であって、もっとラディカルなニーチェならこうした状況の指定も許さないと思う」

スタンレー・ミルグラム『服従の心理』河出文庫。人が権威ある立場から命令されると、どれくらい人を害せるのかを示した名著。文章は平易で読みやすく、実験も様々なバリエーションが掲載されており、興味深く通読できる。ニーチェより読みやすい。
https://www.amazon.co.jp/dp/430946369X

伊58「ゴーヤたちは犯罪の被害者になる可能性と同じように加害者にもなるってこと?」

伊8「言ってしまえば、どちらも偶然性であって、人はほとんど無差別に被害者になりうるだけじゃなく加害者にもなりうる」

伊8「犯罪者と善良人との間には何か人種的にそびえ立つ高い壁のようなものがあるのではなく、踏めば消える石灰線レベルの区別しかない。だから、事象その裏側に何か主観を置いて紐づけし固定化するのは妄想でしかないと言う」

伊58「でも、確かにそうした主観に事象の原因を求めるのが妄想だとしても、それは有用な妄想で実害はないんじゃないの? わざわざそれを騒ぎ立て否定する必要を感じないでち」

伊8「一度整理のついでに考えていこう。善悪を客観的に存在するとして振る舞うとなにがまずい?」

伊58「まずいというか、そもそも善悪って何か目に見えるものじゃないから客観的じゃないでち」

伊8「……じゃあ、ある目に見える行為についてみんな同じ善悪評価を下すと考えるとなにがまずい?」

伊58「事実と異なるでち。そんな人がいるとみんなでケンカになるでち」

伊8「じゃあ、奇跡的に集団全員が事実上善悪の判断が一致していれば問題ない?」

伊58「うーん、それは窮屈だと思うでち」

伊8「窮屈?」

伊58「今はみんなそう評価していても、未来で変わるかもって思っている方が……。無理に評価を維持しようとするとストレスでち。食べ物の好みと一緒でち。今はなすびが嫌いで食べないと誓っても、もし未来で好きになったらそれを訂正する、みたいな」

伊8「変化。そう重要なことね。変化に対応するには善悪の範疇が流動的になる必要がある」

伊58「当たり前のことでち」

伊8「人の価値観は生々流転、常に変化していくという認識を大事にね。だから人は少し慎重になって」

「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ」

伊8「相手を悪と決めつ自分を善と決めつけることを戒めることになる。これが善悪の相対性。で、ニーチェはこれもやっつけたいわけ」

伊58「うん、でも、これって一体どこに書いてあるんでち?」

伊8「このアフォリズムの中だと、相対性/主観性の否定はこんな感じに位置づけられてるよ」


「怪物と闘う者は、その過程で自らが怪物と化さぬよう心せよ。/【ここ!】/おまえが長く深淵を覗くならば、深淵もまた等しくおまえを見返すのだ。」


伊58「どこでち」

伊8「行間」

伊58「……でち」

望月「……」ごろごろ

初雪「……」ごろごろ

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」かさかさ

望月「……」

初雪「……」ぱり

望月「……」

初雪「……」ぱりぱり

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」ごろ

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」ぱりぱり

望月「……」ぱりぱり

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」ごろ

初雪「……」ごろ

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」

望月「……」

初雪「……」


ジョン・ケージ作「4分33秒」。
 あなたは演者として舞台に立つ側だ。当然あなたは観客から素晴らしい演奏をするように期待されている。
 しかし、あなたはこの4分33秒の間取り繕うことも出来ず無防備に観客の期待を裏切ることになる。気まずい空気が流れる。あなたは強いストレスを感じる。あなたには楽譜という正当性があるにもかかわらずだ。
 それはつまるところあなたの社会性ゆえにであって、あなたは普段意識しないその良心のしがらみをこの演奏によって気づくことになるのだ。
https://www.youtube.com/watch?v=Oh-o3udImy8

このSSまとめへのコメント

1 :  SS好きの774さん   2018年08月11日 (土) 22:32:03   ID: ceWkv04u

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