提督「夏だし初雪でも溶かすか」 (18)

初雪の季節は冬。今、夏。

初雪「」グデー

初雪、当然溶ける。

初雪、太陽を睨む。

初雪、やめた。

初雪が太陽を睨むとき、太陽も初雪をまた睨んでいた。

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初雪、ころがる。日影に向かって。

初雪「」グデー

初雪、束の間の涼しさをえる。

初雪、暑さを感じ出す。なれたのだ。

初雪、現状に不満を持つ。どうして屋外に太陽があるのかと。

初雪が今は屋外にいるのだから、太陽が屋内にいけばいい。

初雪、流れ入る。部屋の中へと。

初雪「」グデー

初雪、アイスを食べる。

初雪、その冷たさに感心する。

初雪、アイスになりたいと願う。

初雪がアイスを食べまくれば、そのうち体が氷になるかもしれない。

初雪、気づく。太陽が追いかけてきたことに。

初雪「」グデー

初雪、当然溶ける。アイスも溶ける。

初雪、アイスじゃなくて良かったと感謝する。

初雪、クーラーのスイッチを入れる。文明開化の音がした。

初雪はやっぱり自然じゃなくて文明だなと思った。

初雪、へばりつく。送風口に。

初雪「」グデー

初雪、だらける。いつものように。

初雪、太陽に引っペがされようとする。

初雪、強固に拒絶。暑いのは嫌だった。

初雪の頑なな態度に太陽は肩をすくめた。

初雪、勝利に酔う。ますます送風口にへばりつく。

初雪「」グデー

初雪、依存するコツを覚える。文明万歳。

初雪、静かなひと時を過ごす。太陽は構ってられないとばかりに仕事に没頭していた。

初雪、満足であった。

初雪は酷暑から逃れ安寧の地に至ったので、疲れの睡魔に襲われる。

初雪、無抵抗。睡魔は熱くない。

初雪「」グデー

初雪、瞼を下ろす。力を抜いても送風口から離れる心配はない。

初雪、寝息をたてる。

初雪、夢を見る。

初雪が悪い人に騙される夢、悪夢である。

初雪、身震いする。目を覚ます。

初雪「」グデー

初雪、焦る。だらけすぎていた。

初雪、動けない。四肢が怠惰でいうことをきかない。

初雪、再び身震いする。悪夢のせいじゃない。

初雪はクーラーに芯まで冷たくされようとしていた。

初雪、身震いする。寒さのために。

初雪「」グデー

初雪、どうしようもない。

初雪、身震いする。恐怖のために。

初雪、悪い予感に悪寒が走る。

初雪は冷たく横たわる様を想像し、冷やされていくのに恐怖した。

初雪、もがく。意志を強くして。

初雪「」グデー

初雪、動けず。自由がない。

初雪、文明の冷徹さを呪う。

初雪、あきらめる。

初雪は冷えて溶けきるというのも悪くないと思い直した。

初雪、浮遊感を味わう。太陽が持ち上げたのだ。

初雪「」グデー

初雪、呆然。けれど、涙はでた。

初雪、太陽に抱きつく。太陽は驚くのに少し、初雪の頭を優しく撫でた。

初雪、太陽にへばりついた。太陽は困ったように肩をすくめる。

初雪はやっぱりこの暖かさが一番好きだなと思った。

初雪、一夏の思い出。溶けそうになる記憶。


おわり

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