【モバマス】まゆってる (20)

P「おはようございます」

ちひろ「あ、おはようございますプロデューサーさん」

P「今日も一段と綺麗ですね」

ちひろ「機嫌をとっても課金額は下げませんよ?」

P(鋭い)

P「やだなあ! 本当のこと言っただけですよ!」ハハハ

ちひろ「それはそれは、ありがとうございます♪」

ちひろ「……あら? ダメじゃないですかプロデューサーさん」

P「え」

ちひろ「ネクタイがまゆってますよ」

P「おお、気づかなかった。指摘感謝しま……」


P「は?」

ちひろ「直してあげますね」クイクイ


ちひろ「はい、綺麗になりました」ニコッ

P「……」

ちひろ「ポカーンとして、どうしました?」

P「あの……聞き間違いかもしれないんですけど」

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P(いや待てよ。噛んだのを何事も無かったかのようにやり過ごしただけかもしれない)

P(それをわざわざ掘り返すのは野暮だ。下手すれば怒りを買う可能性も)


卯月「おはようございますっ!」

P「!」

ちひろ「卯月ちゃん、それに凛ちゃん未央ちゃん。おはようございます」

未央「おはようございます! いやー、ちひろさん」


未央「今日もまゆってるね!」

P「!?」

ちひろ「ふふ、ありがとうございます」

P「!?!?」

P(あれ? 未央も今まゆってるって……)

P(どういうことだ。まゆってるは曲がってるを噛んだだけじゃないのか)

凛「おはようプロデューサー」

P「あ、ああ……おはよう」

未央「聞いてよプロデューサー! さっきそこの角で、しまむーがまゆってさ」

P「え?」

卯月「ちょ、ちょっと未央ちゃん! 恥ずかしいですから!」カァァ

未央「あはは、ごめんね。でもまゆったしまむーが可愛くて」

凛「分かる。あれは可愛かった」

卯月「もー」

P「なあ」

未央「?」

P「まゆってるって、どういうこと?」

凛「えっ」

未央「どういうことって言われても」

ちひろ「分からないんですか?」

P「はい。ちひろさんもさっき言いましたよね」

ちひろ「だって、ネクタイがまゆってたので」

P「曲がってるの間違いですよね」

ちひろ「曲がってるでもいいですけど、私はまゆってると言いました」

P「意味が分からないんですけど……」

凛「まゆってるはまゆってるだよ」

P「まゆと関係あるのか?」

卯月「あるも何も、まゆちゃんが産みの親ですから」

P(マジかよ、全然知らなかった。アイドルをプロデュースする仕事をしているのに情けない)

凛「まゆってるを知らないなんて、驚きだね」

未央「ねー」

P「そんなに多くの人が使ってるんだな」

ちひろ「少なくとも346のアイドルは全員使ってる言葉です」

P「ものすごい衝撃ですよ。どんな時に使うか、ぜひ教えてもらえませんか?」

ちひろ「どんな時にって……色んな場面で使いますからねぇ」

凛「うーん、例えばだよ」

凛「さっきかな子がケーキを1ホール、ペロリと平らげてたんだけどさ」

P(朝っぱらから?)

凛「それをまゆってるって言うよ」

未央「あー、確かにまゆってるね」

卯月「あとは、大人組が談笑してる時に楓さんが寒いダジャレを呟いて、場が静まり返る時ありますよね」

卯月「それもまゆってます」

P「……」

P(さっぱり分からん)

P「あれか、女性が使う『ヤバい』みたいな汎用性のある言葉か」

未央「そうそう! そんな感じだよ!」

P「だとしたら、さっき卯月がまゆってるって話してたけど、どういうことだ?」

凛「3人で楽しく話してたら、途中で噛んだんだよ」

未央「可愛かったよね。がんばりましゅ! って」

卯月「ほ、掘り返さないでください」カァァ

P「噛んだことをまゆってると表現するのか」

ちひろ「というより、もう何でもまゆってるで通りますよ」

ちひろ「プロデューサーさんの顔もまゆってます」

P「訳が分かりません」

ちひろ「どこにでもいるような普通の顔ってことですよ♪」

P「酷くないですか!」

未央「あれー? ちひろさん」ニヤニヤ

凛「今のまゆってるの言い方だと、カッコいいって意味になるんじゃない?」フフ

ちひろ「う……」カァァ

P「言い方で意味が変わるのか!?」

卯月「はい、かなり変わってきますね」

ちひろ「あ! そろそろ仕事しなきゃ! 私はこれで!」スタタタッ

凛「逃げた」

未央「ちひろさんも可愛いとこあるよね」

P「……」

P(まゆってる、か。俺も流行に乗った方がいいのかな)


――――

P(とはいえ、言い方1つで意味が変わるとなると使うのが怖いな)

P(試しに誰かと会話して練習してみるか)

P(お! 向こうに加蓮と奈緒がいる。ちょうどいい)


P「おはよう」

加蓮「あ、プロデューサーおはよう」

奈緒「おはようプロデューサーさん」

P「何してたんだ?」

奈緒「他愛もない話だよ。加蓮が昨日ポテトをまゆったんだって」

加蓮「いいじゃん別に。奈緒だってまゆってたじゃん」

P(この2人もまゆってるを使ってるか)

P(よし、じゃあ俺も……まずは加蓮に『可愛い』と言うつもりで)

P「ところでさ」

加蓮・奈緒「?」

P「加蓮、今日もまゆってるな」

加蓮・奈緒「!?」

P(あれ? すごく驚いてる)

奈緒「ちょっ……いきなり何言ってるんだよ!?」

P「え」

奈緒「そ、そんなこと大声で……!」

加蓮「……っ」カァァ

スタタタッ

奈緒「あ! おい加蓮!」

P(おかしいな。可愛いなって表現するつもりだったのに)

P「奈緒、俺今なんて言ったんだ」

奈緒「は? まゆってるって…」

P「そのまゆってるの意味を教えてくれ。何も分からず言っちゃったんだ」

奈緒「なっ!? ホントかよ!」

奈緒「プロデューサーさんが言った『まゆってる』。あれは『エッチな体してる』って意味だ」

P「!?!?」

P「マジか……」

奈緒「マジだ。とりあえず説明してくるよ、プロデューサーさんは何も知らずに言ったんだって」

P「ごめん奈緒。ありがとう」

スタタタッ

P(恐ろしいな、まゆってる。ニュアンスをしっかり理解しないと)

P(誰かに教えてもらってから使うことにしよう)


――――

P「おかしいなぁ。どこにもいない」キョロキョロ

P(まゆってるの産みの親、まゆに聞こうと思ったのに見当たらないぞ)

P(今日は事務所でレッスンのはずなのに)

文香「おはようございます……」

P「文香! それにありすと茜、おはよう」

ありす「橘と呼んでください」

茜「おはようございます! 視線をあちこちに向けて、探し物ですか?」

P「まゆを探してたんだよ。見てないか?」

ありす「会ってないですね」

P「そうか……」

茜「お困りのようですね!」

P「うん。まゆってるの使い方を学ぼうと思ったんだ」

文香「まゆってる、ですか……」

P「流行ってること知らなくてさ。さっき不用意に使ったら失敗したんだよ」

P「そうだ! 文香はまゆってるについてどのくらい理解できてる?」

P「よければ教えてくれないか。ありすでも茜でもいい!」

文香「すみません……私もまだ習得中の身でして……」

茜「同じく!」

ありす「まゆってるは奥が深いですからね。日々新たな意味がプラスされますし」

ありす「全て把握できてるのはまゆさんくらいじゃないですか?」

P「凄いなまゆ。まあ流行りの中心だもんな」

P「じゃあさ、3人が知ってる範囲でいいから教えてもらえないかな」

茜「いいですよ! まずは基本的なまゆってるを」

茜「例その1。文香さん、今日の調子はどうですか?」

文香「まゆってます」

ありす「さて、このまゆってるはどういう意味でしょう」

P「えっと……元気だよってこと?」

茜「ピンポーン! 正解です! プロデューサーもレッツトライ!」

文香「プロデューサーさん……お元気ですか……?」

P(加蓮の時と同じ間違いをしないように)

P「まゆってるよ!」ニコッ

文香・ありす・茜「!?」

ありす「ぷ、プロデューサーさん! 何を言ってるんですか!」カァァ

P「えっ。なんて言ったの俺」

茜「今の言い方だと、『撫でたいお尻をしてるな』という意味になってしまいますね」

P「尻!?」

P「ご、ごめん文香! そんなつもりは…」

文香「分かっています……しかし、イントネーションを直さなければ大変なことに……」

P「そうだな。どこがおかしかった?」

茜「まゆってるの『まゆ』と『ってる』の部分を分けて考えるのがポイントですね!」

茜「それぞれ強弱に気をつけなければいけません! リピートアフターミー、『まゆってる』」

P「まゆってる」

文香「違います……」

ありす「今のだと『柔らかそうなおっぱいだ』という意味になってしまいます」

P「俺のまゆってるはどうしてセクハラ方面にいってしまうんだ!?」

ありす「本質的に変態だからじゃないですか」

P「心外だな!」

文香「習得するまでお付き合いしますよ」

P「ありがとう……」

――――

P(くそ、あれから30分くらい練習したけど直らなかった)

P(文香たちもずっと拘束するわけにはいかないからレッスンに行ってもらった)

P(仕方ない。俺だけ流行に乗れないのは心苦しいけど、まゆってるを封印しよう)


幸子「フフーン!」

P(あ、この声は幸子)

幸子「今日もボクはまゆってますねぇ!」

小梅「まゆってるね……」

輝子「まゆってるを通り越して、まゆりまくってるな……」

幸子「褒め過ぎですよ輝子さん」エヘヘ

P(142'sのみんなも使ってるんだな)

P(しかし、幸子のカワイイまでまゆってるに変換されているとは)


薫「それでね! その時……」

P(む、今度は薫か)


桃華「まあ! 本当の話ですの?」

薫「ホントだよ! まゆってたの!」

千枝「すごい」

P(桃華に千枝も一緒。さりげなく使ってるな)

P(マジで流行ってるんだな、まゆってる)


友紀「昨日はキャッツがまゆりまくってさー」

キャッ キャッ

P「……」

唯「あはは☆ すっごいまゆってる~!」

ワイワイ

P「……」

P(聞こえてくる会話の全てから、まゆってるを聞く)

P(何だろう。得も言われぬ奇妙な感覚が俺の中に……)

P(アイドルたちの言葉が、どんどんまゆってるという言葉に支配されているような)

P(気のせいならいいんだが……)


早苗「それはまゆってるわね!」

P(ん? この声は早苗さんか)


瑞樹「でしょ?」

楓「まゆりまくりですね」

P(瑞樹さんと楓さん、美優さんもいる)

P(まゆりまくりって確か輝子も言ってたな)

美優「まゆまゆしてますね」

楓「ええ、まゆまゆです」

P(まゆまゆ!?)

早苗「もうまゆってまゆればいいのにねー」

瑞樹「わかるわ! まゆまゆしさが足りないわよね」

P「……」

P(ど、どういうことだ。まゆってるが派生したのか?)

P(これは一体……)

美優「まゆまゆ」

楓「まーゆまゆ、まゆ?」

早苗「まゆまゆ!」

P(ええ!? まゆしか言わなくなった!? 何なんだこれ!!)

P(俺の頭がおかしくなったのか? 今年も一段と暑いし、きっと気温のせいで…)

ツンツン

P「!?」ビクッ

ちひろ「……」

P「な、なんだちひろさんか……驚かさないでくださいよ」


ちひろ「まゆ?」

P「は?」


ちひろ「まゆまーゆ、まゆんまゆ」

P「ちひろさん? どうしたんですか、まゆまゆ言って」


卯月「まゆ!」

P「!!」

凛「まゆーま」

未央「まゆまゆま?」

P(ニュージェネの3人も!?)

卯月「まゆ!」

P「み、みんなで俺をからかってるのか!」

凛「まゆまっゆ?」

未央「まゆーん」

P「いい加減にしろ! そうだ分かったぞ、これはアイドル全員が絡んだドッキリだな!?」

P「まゆってるが流行りなんてのも嘘だ。全ては俺をからかうために仕掛けた作戦だ」

P「まさかこんなことで騙されるなんて、俺もまだまだだな」ハハハ


早苗「まゆま?」スタスタ

P(早苗さん! 大人組もこっちに来た)

瑞樹「まゆゆま?」

ちひろ「まーゆん、まゆゆんま」

卯月「ままゆーま」

楓「まゆまゆ」

P「もういいって、ドッキリは大成功だよ。普通に喋ってくれ」

美優「まゆま」

早苗「まゆんまゆん、まゆままーゆまん」

P「……」

卯月「ままゆ」

凛「ままゆ」

P「お、おい……冗談だよな? もうやめてくれ」

瑞樹「ままゆ」

未央「ままゆ、ままゆ」

ジリジリ

P「なんで俺を追い詰めるんだ。なあ、冗談なんだろ?」

楓「ままゆ」ジリジリ

P「や、やめてくれ……怖いって……!」

美優「まままま」

ちひろ「ままままままま」

P「う……」

――――

P「うわああああああああああ!?!?」ガバッ


ミーンミンミンミン


P「はぁ……はぁ……はぁ……!」

P「……はぁ……ゆ、夢……?」

P「……」

P「……なるほどな……」



まゆ「すぅ……すぅ……」zzz


P(俺に気づかれないように添い寝してたのか)

P(やっぱり事務所の仮眠室では寝ない方がいいな)

まゆ「んふふ……ぷろでゅーさーさぁん……」ムニャムニャ

P「お前のせいで恐ろしい夢を見たぞ」ツンツン

まゆ「ふへ、そこはらめぇ……」

P(おでこが?)

ガチャ

ちひろ「プロデューサーさん、起こしに来ましたよ」

P「ちひろさん」

ちひろ「あら? まゆちゃんも一緒でしたか」

P「はい。俺が眠りに入ったのを確認して布団に潜り込んだみたいです」

ちひろ「困った子ですね」フフ

ちひろ「あら、よく見るとすごい汗。どうしたんです?」

P「悪夢を見たんですよ……さて、仕事するか」

ちひろ「最近無理してるからですよ」

ちひろ「デスクに栄養ドリンク置いときましたから、よかったら飲んでくださいね」

P「いくらですか?」

ちひろ「私のおごりでいいですよ」フフ

P「とか言ってあとで要求する気でしょう」

ちひろ「あたりです」

P「うわ……」

ちひろ「冗談ですってば! 無料ですから飲んじゃってください」

P「ありがとうございます」

ちひろ「では、私はちょっと出てきますので。りんりんー」スタスタ

P「はい。……え?」

P「ちょっと待ってください!」

ちひろ「何ですか?」

P「今りんりんって言いましたか?」

ちひろ「ええ」

P「何ですかそれ」

ちひろ「何って、知らないんですかプロデューサーさん」

ちひろ「今346アイドルの間で流行ってるんですよ。りんりん=また後でって意味です」

P「……」

ちひろ「他にもりりん=おはよう、とか。りーりん=ありがとうとか」

P「……」

ちひろ「凛ちゃんが流行らせたらしいですよ。語感が可愛いですよね」クスッ

ちひろ「それじゃ、りんりん」

ガチャ パタン

P「……」


P「……まさか、これも夢……?」ガタガタ


おわり

夢落ちすみません
読んでくだってありがとうございました

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