男「ライバルに禁止薬物飲ませて、競技を失格させてやる……!」 (29)


タッタッタ…

男「くっ……!」

ライバル「よし、一着だ!」

男(くそっ……また負けた!)

男(どうして俺はあいつに勝てないんだ……!)


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男「おい! 俺はあんたの指示通り走ってるのに、なんであいつに勝てないんだ!」

監督「お前があいつに勝てないのは、練習不足だからだ!」

男「練習不足!? 俺はたくさん練習してるぞ! あんたの指示が悪いんだろう!」

監督「バカいえ、しょっちゅうサボってるじゃないか!」

監督「お前のバネは明らかに日本人離れしてるんだ! 本気で練習すれば世界とも戦える!」

男「もういい! あんたの指図は受けないぜ!」スタスタ

監督「まったく……!」


男(俺が練習してないだと? あの無能監督は分かっちゃいない)

男(オーバーワークを避けてるだけだ! 練習なんて三日に一度やればいい!)

男(とにかく……このままやってても俺はライバルに勝てない)

男(こうなったら、どうにかして奴を引きずり下ろす方法を考えるしかないな)

男「……そうだ」ニヤ…


男(今度の競技会で、ライバルに禁止薬物を飲ませて失格させれば……)

男(あいつは競技から永久追放、自動的に俺が日本一になる!)

男(薬物は……無味無臭のこの薬物でいいか!)

男(待ってろよライバル……お前の競技人生は残りあとわずかだ!)


競技会当日――

ライバル「今日はお互い正々堂々走ろうな!」

男「おう!」

男(バカめ……お前のスプリンターとしての人生は、今日終わるんだよ)

男(卑怯者としてな!)

男(あいつがトイレに行った時がチャンスだ! この薬物を水筒に入れてやる!)


ライバル「ちょっとトイレ行ってこようかな」スッ





男(――今だッ!!!)シュタタタタタッ


選手「おう、こんなとこでも走ってるなんて、ウォームアップか?」

男(うおっ!?)

男「ハ、ハハハ……まぁな」

男(ちっ、邪魔すんじゃねえよ!)

選手「俺もストレッチしてくるかな……」

男「そうしろ、そうしろ(早くどこか行け!)」

男(よし、今度こそ!)サササッ


ライバル「あ~……スッキリした」スタスタ

男「きゃうっ!?」

ライバル「おお、驚かせて悪かった」

男(くそぉ~……戻ってくるのが早いんだよ!)


男(あいつがいない! タイミング的にこれがラストチャンスだ!)

男「うおおおおおおおっ!」シュタタタタッ

男(よし……間に合う! この中に薬物を入れれば……)

記者「すみませーん! 取材よろしいですかー!?」

男「!」ドキッ

男「はい、どうぞどうぞ!」

男(ちくしょおおおおおおおおおお!!!)


男(こうして俺の計画は失敗に終わり、競技会では相変わらずの二位だった)

男(なぜ失敗したのか? それは俺のスピードが遅かったからだ)

男(特に三度目のチャンス、もう少し速く走れてれば、薬物入れることはできた!)

男(こうなったら……一から鍛え直すしかない!)


男「監督!」

監督「なんだ?」

男「俺を一から……一から鍛え直して下さい!」

監督「おお……やっとその気になってくれたか!」

監督「お前がその気になれば、今からでも世界トップクラスになれる!」

監督「さぁ、やるぞ!」

男「はいっ!」

男(全てはあいつに薬物を飲ませるために!)


男「はぁっ、はぁっ、はぁっ」タタタタタッ

監督「今日はここまでにしよう! オーバーワークになってしまう!」

男「いえ……もっと走らなきゃ……目標は達成できない……」

監督「分かった! お前がその気ならば、どんどんメニューを追加してやろう!」



ライオン「ガルルルッ!」タタタタタッ

男(これだ……これくらいの緊張感がなきゃ、あいつに禁止薬物は入れられない!)タタタタタッ

監督「うわああああ……!」



次の競技会――

男(今だッ! この水筒に……)シュタタタタタッ

ライバル「何してんだ?」

男(またダメだった!)キキッ


やがて――

男「だあああああああああああああああっ!」タタタタタッ

ライバル「くっ……!」タタタタタッ



監督「やったぞ! ついにライバルに勝った!」

男「……」

監督「嬉しくないのか?」

男「監督、俺はこんな勝敗はどうでもいいんです」

監督「なんと……! 陸上選手としてそんな域まで達していたとは……!」

男(俺に勝ちがあるとすれば、それはあいつに禁止薬物を飲ませた時だ!)


しかし――

シュタタタタタッ

男(入れてやるぅぅぅぅぅ!)

監督「お、走りすぎてケガするなよ!」

男(邪魔すんな、クソ監督ゥゥゥゥゥ!)


ある日――

ライバル「やぁ」

男「おお、お前か」

ライバル「昔はオレとお前は好敵手だなんていわれたけど、すっかり差がついちゃったな」

男「そんなことはないだろ」

ライバル「いや……オレにはもう分かってるんだ、自分の限界が」

ライバル「だからオレ……今度の競技会でドーピングしようと思うんだ。失格覚悟で」

男「!?」


ライバル「競技人生の最後に、禁止薬物の力を借りてでも最高の走りをしたいと思ってね」

ライバル「ただ、お前だけには打ち明けときたかった。止めないでくれよ」

男「バカヤロウ!!!」

バチンッ!

ライバル「ぐふっ!」


男「お前……自分で禁止薬物飲むなんてふざけるなよ……」

男「そんなことしたら……今までの俺の努力はどうなる!?」

ライバル「え……」

男「いいか、もしお前が自分でドーピングなんかやってみろ……」

男「俺はお前を絶対許さん! いや……ブッ殺してやる!!!」

ライバル「……」

ライバル「まさか、止められるとはね……」

男「当たり前だ!」

ライバル(オレはもうお前から相手にされてないと思ってたけど、精一杯やってみるよ……)


それからしばらくして――

実況『オリンピック100m決勝! なんと今大会では日本人選手が二人も残っています!』

実況『人種という絶対的な壁を突き破った二選手、果たして奇跡を起こせるか!?』



男(クソが……また禁止薬物入れるのに失敗した……!)

男(もうこうなりゃ、全力で走るだけだ!)

黒人選手「OH、ジャパニーズカミカゼ! キミと戦えることを楽しみにしてたよー!」

男(うるせえ……俺はこんなレースどうでもいいんだよ! 消化試合だ!)

ライバル「ここまでこれたのはお前のおかげだ……正々堂々勝負だ!」

男(そうだよ! 俺が禁止薬物を入れられなかったから、お前は失格しなかったんだ!)



セット… パァンッ!!!


タタタタタッ

黒人選手(どうやらボクの勝ちだね!)

男「ぐっ……!」

男(ライオンに追われた、あの緊張感を思い出せえっ!)

男(いつもいつも禁止薬物入れるのに失敗した、あの悔しさを思い出せえっ!)

男「怖いよおおおおおおおおおお! ちくしょおおおおおおおお!!!」ズドドドドドッ

黒人選手「!?」

黒人選手(これが……ジャパニーズ、カミカゼ……!)


男「はぁっ、はぁっ、はぁっ……」

記者「歴史に残る大快挙です! 100メートル走での金メダルおめでとうございます!」

記者「金メダルを獲得できた秘訣は、なんでしょうか?」

男「禁止……ゲホッ(薬物を水筒に入れることし)か……眼中に、なかった……」

記者「なるほど~! 金しか眼中になかったと!」

記者「ライバル選手も銅メダルと大健闘しましたが?」

男「(知らねえ、疲れてるんだ。ライバルなんか……)どうでもいい」

記者「銅でも素晴らしい、と! さすがです!」

記者「今後の目標は?」

男「そりゃもちろん、禁……(止薬物をライバルに飲ませることだ!)」ハァハァ…

記者「連覇というわけですね!」

記者「ありがとうございました! これからも頑張って下さい!」

男(ああ、頑張るさ……いつか必ずライバルの水筒に禁止薬物入れてやる!)





― 完 ―

このSSまとめへのコメント

1 :  わるわる   2018年02月06日 (火) 07:32:19   ID: KmlzN_FQ

クソいい話やん

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