【多重クロス・安価】色々なキャラで人理修復【FGO】 (168)

注意!



※当SSは、fgoの皮を被った多重クロスオーバーSSです。

※様々な漫画・アニメキャラから独断と偏見で選んだキャラクター達で人理修復を行っていきます。

※たまにコンマや安価があるかも?

※キャラ崩壊などがあるかもしれません。苦手な方はブラウザバックを推奨します。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1507644767




 気付けば、世界は一変していた。


 真紅に染まった世界。


 凄まじい熱が皮膚を焦がし、気管を焦がす。


 息を吸うのですら難しい。



「逃げて……逃げて、ください」



 声が、聞こえる。


 震える声。弱々しい声。


 眼前には、身体を瓦礫に挟まれた少女が―――身体の半分を瓦礫に磨り潰された少女が―――いる。


 到底助からないだろう。


 今自分がここにいても、彼女を救うことなんて出来ないだろう。


 分かってる。分かっている。


 でも、


 だというのに、


 身体はその場から動こうとしない。


 その震える右手を握り、彼女に笑いかける。


 これは何の意味もない行為だ。


 今まさに死へと落ちている少女を、数分後には何も感じなくなる少女を、安心させようとしている。


 どうせ、死ぬというのに。


 自分は彼女に笑みを送る。

 

『―――全工程 完了。  ファーストオーダー 実証を 開始します』


 何かが聞こえた気がした。


 その瞬間に、全てが光に包まれていく。



 白色の世界。



 突き刺すような灼熱も、掌にあった感触も、もう何も感じない。





 ああ、とふと思う。


 これが死というものなのか、と。


 あっけないものだった。


 誰かを救う事もできず、何かを成し遂げる事もできず。


 こうして、死んでいく。


 現実は漫画やアニメのように甘くはない。


 何かを成したくて、誰かの役に立ちたくて。


 でも、世界は、まるで甘くはなくて。


 世界が白に包まれる。


 僕は、その世界を漂っていき、そして―――






 【―――汝は、何を望む―――】






 声を聞いた。


 地の底から響くような声。



 何を、望むか。



 分かっている。



 僕は、憧れていただけだ。



 その憧れに近付きたくて、僕は特別なことを学び続けた。



 その末に魔術を学び、その末にカルデアへと辿り着いた。



 だから、答えは決まっている。



 彼等のような『正義の味方』―――いや、『ヒーロー』になりたい。







 【―――汝、如何な剣の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うてきた。





【運命に翻弄され、尚も運命を打ち破らんと、愛と憎しみの狭間で足掻く黒衣の騎士】


【愛を知り、別れを知り、ようやくにして己が一歩を踏みだし始めた無刀の剣士】





 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、




1.【運命に翻弄され、尚も運命を打ち破らんと、愛と憎しみの狭間で足掻く黒衣の騎士】


2.【愛を知り、別れを知り、ようやくにして己が一歩を踏みだし始めた無刀の剣士】





↓3で多数決







 【―――汝、如何な弓の英霊を望む―――】



 次いで声は、問うてくる。



 【守るため血に染まり、理想と現実の合間で苦悩しながらも、贖罪の如く十字架を背負い続けた者】


 【誰かの為に力を付け、誰かの為に戦い続け、果てに幾度と世界を救った白衣の魔導士】




 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、





1.【守るため血に染まり、理想と現実の合間で苦悩しながらも、贖罪の如く十字架を背負い続けた者】


2.【誰かの為に力を付け、誰かの為に戦い続け、果てに幾度と世界を救った白衣の魔導士】



↓3から多数決




 【―――汝、如何な槍の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うた。





 【真っ直ぐに、真っ直ぐに、己が想いに従って突き進む陽光の戦士】



 【最速を信条とし、最速で駆け抜け、最速で世界に生きざまを刻み込んだ、最速の男】





 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、





1.【真っ直ぐに、真っ直ぐに、己が想いに従って突き進む陽光の戦士】


2.【最速を信条とし、最速で駆け抜け、最速で世界に生きざまを刻み込んだ、最速の男】



↓3から多数決








 【―――汝、如何な騎の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うてきた。



 【歴史に翻弄され、それでも尚一人の人間として戦い続けた新たなる人類の可能性】


 【大海原の王を目指し、数多の海と冒険の日々を越えていった大海賊】
 




 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、



1.【歴史に翻弄され、それでも尚一人の人間として戦い続けた新たなる人類の可能性】


2.【大海原の王を目指し、数多の海と冒険の日々を越えていった大海賊】






↓3から多数決









 【―――汝、如何な術の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うてきた。






 【偶像として輝き続け、観客だけでなく周囲の人間をも魅了し、更なる輝きを目指す少女】


 【スリルを求め、欲するもの全てをギャンブルで手に入れた稀代の賭博者】






 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、




1.【偶像として輝き続け、観客だけでなく周囲の人間をも魅了し、更なる輝きを目指す少女】


2.【スリルを求め、欲するもの全てをギャンブルで手に入れた稀代の賭博者】




↓3から多数決










 【―――汝、如何な殺の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うてきた。




 【生きるために、死なぬために、寄り添い生きる獣と少年】


 【父を救う為に次元を渡り、世界を変える引き金となった少年】






 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、



1.【生きるために、死なぬために、寄り添い生きる獣と少年】


2.【父を救う為に次元を渡り、世界を変える引き金となった少年】



↓3から多数決









 【―――汝、如何な狂の英霊を望む―――】



 声は次いで、問うてきた。





 【命を糧とし、命を弄び、闘争の果ての敗北を望む不死の王】


 【人の残虐性を知り、人情を知り、人の全てを理解し尚も愛と平和を掲げるガンマン】



 どちらの英霊を望むか。




 僕は―――、




1.【命を糧とし、命を弄び、闘争の果ての敗北を望む狂気の不死王】


2.【人の残虐性を知り、人情を知り、人の全てを理解し尚も愛と平和を掲げる狂気のガンマン】




↓3から多数決






 それきり白色の世界はまた痛いほどの静寂に包まれる。



 脳裏に浮かんだ7人の英雄。



 現実の存在ではない。



 だが、確かに彼等は僕の思う英雄で、『ヒーロー』だ。




「―――先輩。起きてください、先輩」



 今度の声は、明瞭だった。


 少し前に初対面の僕を先輩と慕ってくれた少女。


 少し前に炎に包まれていた世界で死に掛けていた少女。


 何だ、元気そうじゃないか。


 そう安堵しながら、僕は声のする方へ意識を向ける。


 すると、まるで引っ張られるような感覚が身体を包み――――、






「良かった。目が覚めましたね、先輩」





 ―――目の前に、彼女がいた。



 先程と違う衣服に身を包んだ―――怪我どころか傷の一つとしてない五体満足の少女が―――そこに、いた。


 思わず、無事だったのかと、声が零れる。


 自分でも驚く程に気の抜けた口調だった。


 それ程にビックリしたし、信じられない光景だったからだ。


 命に至る傷を負った彼女が、まるでピンピンした様子で立っていて、あまつさえ僕の身を案じさえしているのだ。


 いや、まずは自分の無事を喜ぶべきだろうと思ってしまう。



「……それについては後ほど説明します。その前に、今は周りをご覧ください」


 促され、周囲を見る。


 さっきまでと似たようで似つかない光景だった。


 所々が炎で燃え盛った廃墟群。


 先程の灼熱と比べれば温く、脅威は感じず、だがそれでも異質な光景だ。


 加えて―――



『―――GiGAAAAAAAAAAAAAAAA!!』



 獣じみた絶叫を上げる、骸骨の群れ。


 傀儡兵―――と察すると同時に、それらは襲い掛かってきた。




「マスター、指示を。わたしと先輩の二人で、この事態を切り抜けます!!」



 果敢に、怯むことなく、少女は骸骨兵に立ち向かっていく。


 単純な戦闘力は、比べるまでもなく少女の方が上。


 だが、絶対的な数の差は、実力差を埋めるには充分すぎた。


 骸骨兵の無機質な攻撃が時折少女を捉え、傷付ける。


 何とかしなくちゃいけない。何かをしなくちゃいけない。


 そうでなければ、折角助かった彼女がまた死んでしまう。


 ふざけるな、ふざけるな。


 そんな事があってたまるか。


 あんな目にあって、でも何故か助かって。


 だとういうのに、また傷付かなくてはいけないのか。


 何で彼女ばかりが、そんなに傷付かなければいけないのか。


 守るんだ、助けるんだ―――今度こそ!!


 右手が灼熱に疼く。


 沸騰する感情が、そのまま体温になったかのよう。


 脳裏に過るは、7人の英霊の姿。


 その中でも、最も早く、最も強く、脳裏を過ぎった彼/彼女の姿。


 僕は、その姿を思い描きつつ、渾身を込めて叫んだ。


 そうすれば、そうなると。


 まるで、分かっていたかのように、叫ぶ。







「現れろ――――」







 僕が思い描いた英霊のクラス、それは―――



↓5多数決



上記7クラスの内の一つを記入。
同数の場合は再安価




 ―――剣。





「―――セイバー!」





 灼熱が解放される。



 膨大な魔力が閃光となって世界を染め上げ、それを発現させた。




 現れたのは、一人の剣士。



 上半身に衣服は纏わず、紺色の袴のみを履いている。



 一つに結わえられた髪は、地面に摺りつきそうな程に長い。



 男は、ぐるりと周囲を見回した後に、真っ直ぐに僕を見詰めて告げた。




「―――あんたが、おれのマスターか」




 その姿を、知っていた。



 剣を持たない剣の英霊。



 己の身体こそを一振りの刀とする、一子相伝の剣術使い。



 彼の名は―――、






「―――鑢七花」






 刀を語る物語。


 その主人公が、そこにいた。



一旦終了とします。
書き溜めをしてからの更新となるので、少し遅くなります。
安価の英霊が誰なのか、皆分かりますかね?

乙です。多分ですが分かる範囲で…

剣:『黒衣の騎士』? 『無刀の剣士』鑢七花(刀語)
弓:『十字架を背負う者』? 『白衣の魔導士』?
槍:『陽光の戦士』武藤カズキ(武装錬金) 『最速の男』ストレイト=クーガー(スクライド)
騎:『可能性』バナージ・リンクス(ガンダムUC) 『大海賊』ルフィ(ONEPIECE)
術:『偶像の少女』島村卯月(アイドルマスターシンデレラガールズ) 『稀代の賭博者』赤木しげる(アカギ)
殺:『獣と少年』? 『次元を渡った少年』?
狂:『不死の王』? 『狂気のガンマン』ヴァッシュ=ザ=スタンピード(TRIGUN)


剣:『黒衣の騎士』がガッツ(ベルセルク)で
狂:『不死の王』がアーカード(HELLSING)かな?

更新します。
鯖は大体皆さまの答えであってますね。
選考外の鯖だけ回答していくと、


剣:『黒衣の騎士』ガッツ(ベルセルク)
弓:『十字架を背負う者』ニコラス・D・ウルフウッド(トライガン)
槍:『最速の男』ストレイト・クーガー(スクライド)
騎:『大海賊』ルフィ(ONEPIECE)
術:『偶像の少女』天海春香(アイドルマスター)
殺:『次元を渡った少年』空閑遊真(ワールドトリガー)
狂:『狂気のガンマン』ヴァッシュ・ザ・スタンピード(トライガン)



となります。
空閑は確かに無理があるなと思ったので、分からなくて当然ですね。
他の鯖は本編内で描いていきたいと思います。

では続けていきます。





 ―――鑢七花



 その名前を知っている。



 日本の、とある物語にあった主人公。



 それは神話でもなければ、英雄譚でもない。



 ただの小説であり、それを元にしたアニメーション。



 その主人公という、ただそれだけの存在。



 だが、鑢七花は確かに実体としてそこにいて、冷めた瞳を僕に向けている。



 英霊とは、信仰の存在だ。


 
 真偽は関係なく、知名度と信仰心さえ集まれば虚構の存在だろうと構わないとのことだ。



 確かにその物語は人気があるし、一定のファンがいるのは(もちろん自分もその一人だが)間違いないだろう。


 ならばこそ、鑢七花が英霊として召喚される事もおかしくはないのか。


 それとも手順も準備もへったくれもない召喚だからこそ発生した、一種のバグのようなものなのか。


 分からない。


 分からないが、彼がそこにいるのは間違いなかった。


 魔力のパスは通っており、確かな力を感じる。



「こいつらが、敵か」



 言葉を失う僕を尻目に、セイバー―――鑢七花は動き始めていた。





 わらわらと蠢く骸骨兵たち。



 疾風の如く速度で接近し、その腕(かいな)を振るう。



 それだけで数体の骸骨兵がまとめて吹き飛んでいく。



 強い。



 あの姿になったマシュも凄まじいが、七花は確実にその上をいっていた。



 眼にも止まらぬ速さ。細身からは考えられぬ程の剛力。



 その姿は、まさにあの物語の渦中にあった『鑢七花』その人だった。



 戦闘は、数分と掛からなかった。



 一際大きい轟音の直後にあったのは、躯の成れの果てと、立ち尽くすセイバーだけだった。



「先輩、この方は……!?」



 驚愕に目を見開いて、マシュが問い掛ける。


 七花の参戦のお蔭か、怪我はそう大したものではなさそうだった。


 だが、と疑問が残る。


 まずはこの空間。


 あの窮地を脱したのは良いが、ここは一体どこなのか。


 次にマシュ。


 あの死に行くだけの身体が元通りになっているのは幸いだが、果たして彼女は一体どうなっているのか。


 先程見せた戦闘も、普通の人のそれではない。マシュってあんなに強かったのか…。


 最後に『鑢七花』。


 彼は一体何者なのか。


 疑問は次から次へと湧き上がり、尽きる事はない。







『―――ああ、やっと繋がった! もしもし、こちらカルデア管制室だ、聞こえるかい!?』



 溢れる疑問で混乱真っ只中にある中、突然に声が響いた。


 慌てふためいた、ゆるっと、ふわっとした何とも頼りのなさそうな声。


 ドクターロマン、その人だ。


 彼とマシュの会話により、彼女の謎は解明された。


 マシュはサーヴァントと融合し、デミ・サーヴァントとなった事。


 自分はマシュとマスターとなり、彼女は僕のサーヴァントとなった事。


 あちらの状況も芳しくないのか、途中で通信が途切れてしまったが、上の二つは理解できた。



「……こちら方の事、報告できませんでしたね」



 マシュは戸惑った表情で、七花を見詰める。


 七花の方はというと何処吹く風。


 こちらの話も、ロマンの事にも興味を示さず、燃え盛る市街地を眺めるだけだ。



「まさか召喚サークルも使わず、サーヴァントを召喚するなんて……スゴイです、先輩! 流石は私のマスターです!!」 



 マシュのキラキラと輝いた視線が痛かった。


 こちらとしても何がどうなってサーヴァント―――しかも『鑢七花』なんていう特例中の特例を―――召喚できたのか分からないのだ。


 彼女の期待が怒涛の勢いで上昇しているのが、何とも心苦しい。






「それで、この方は何時の時代の英霊なのでしょうか?」



 何て説明したら良いのか、返答に困る。



 やはり創作物からの英霊などというのは、珍しい事の筈だ。



 どう返答すべきか、迷っていると……。




「鑢七花、セイバーだ」



 唐突に、不愛想に、それだけ告げた。


 マシュも突然の一言に驚いた様子で、眼を丸くしていた。



「は、はぁ……。マシュ・キリエライトです、よろしくお願いします」



 返礼にも視線すら向けない。



 またもや七花は何処へともなく視線を巡らせる。



「……私、嫌われてしまったのでしょうか……」




 そんな事はない、と。



 伏し目がちに言うマシュを元気付ける。



 というか、何となく分かる。



 英霊とは全盛期の姿で現界するとのこと。



 つまり、あの『鑢七花』は―――、




「先を急がなくていいのか。そんな悠長にしている場合じゃないんだろ」




 ……七花が告げる。



 その瞳は何も映してはいない。



 マシュも、燃え盛る市街地も、僕のことも。



 何にも興味を示さず、ただそこに在る。



 彼の求めるものが、何となく分かる。



 彼は多分……多分だけど―――、





「そ、そうですね、先輩! まずはDr.ロマンの指示通り霊脈の強いポイントまで急ぎましょう!!」




  
 ―――『死』を望んでいるんだと、思う。








 ―――それからほんの少し騒動があった。



 指定されたポイントに行くと一人の女性が骸骨兵に襲われていて、その女性はオルガマリー所長で。



 七花はというと、僕が指示を出すよりも早く、マシュが駆けだすよりも早く、骸骨兵へ突撃していって。



 それで騒動はあっという間に解決した。



 所長と合流を果たし―――僕がマスターになっていることや、空手で召喚を成功させたことに驚いたり、怒ったりと色々した後に―――本題へと入る。



 召喚サークルの設立。



 そうしてカルデアとの通信も回復した。



 カルデアの現状、僕達の置かれた状況……。 
 


 本来の歴史とは大きくかけ離れた冬木市。



 僕等はその原因を解明するため、探索を続行することとなった。




「……それにしても自力でのサーヴァント召喚かぁ。やるねえ、君も」



 次いで、話は『鑢七花』の件へ。


 召喚サークルも使用せず、カルデアの補助も受けずに召喚された英霊。



「それにフィクションの世界の住人かぁ。神話や伝説でもない、ただのアニメーションからねえ……。うーーん、何がどうなっているのかなあ。
 今回の特異点の影響? それとも単純にマスターの影響かなぁ? 君、アニメとか漫画とか好きなの?」



 カルデアでその名前について調べられたのだろう。


 ロマンは七花が、創作物の存在だと把握していた。 

 

 やっぱり特別な現象ではあるらしく、ロマンも首を捻っている様子だった。


 だが、異常事態が連発しているこの現状。


 時間も労力もギリギリのところにある状態では、『鑢七花』の件に対しての優先順位は低いのだろう。


 むしろ何だか強そうな戦力がゲットできてラッキーだね、といった風にすら見える。


 楽観的なのか、大物なのか……何とも言えないが、現在の指揮官がそう言うのならそれで良いのだろう。



「―――とにかくよろしく頼むよ、七花! マシュもサーヴァントに成りたての身だ、君がフォローしてくれると助かるよ!」



 無視。



 やはり七花は何にも興味を示さずに、虚無を見る。




「あ、あれー、聞こえてないのかなー……」




 しょぼくれたロマンの声にすら、視線を動かそうとしない。



 ……中々酷な反応である。


 ―――その時、だった。



 右手にふと熱い感触があった。



 令呪。


 それがまた魔力と共に、熱を帯びている。



 召喚サークルが設立した事で、何かしらの条件が整ったのか。


 それとも魔力の集まる場所だからこそ、可能なのか。


 ともかく、意思よりも先に身体が理解していた。


 もう一度、召喚ができる、と。




「……先輩?」




 ―――行ける。



 確信を持ちつつ、右手を掲げる。



 脳裏に過るは、6体の英雄の姿。



 その中で、最も強く浮かび上がった姿。



 それは―――、









↓5多数決



残る6クラスの内の一つを記入。
同数の場合は再安価








 ―――騎兵の姿。



 宇宙(そら)を駆け、戦場を駆け、最後に正真正銘の奇跡を起こして消えた男。



 伝説のパイロットとして、宇宙の世紀の中で後年まで語られた男。



 その名は―――、





「―――現れろ、ライダー!」





 魔力が閃光となり、世界を照らす。


 光の直後に、そこに居たのは青色の軍服に身を包んだ一人の青年。


 やはり、その姿は見覚えのあるもので、画面の中で羨望を向け続けた存在だ。





「―――ライダー、アムロ・レイ。召喚に従い参上した」





 アムロ・レイ。



 新たなる人類の姿として歴史に翻弄され続けた英雄が、そこにいた。







一旦終了します。
また書き溜めができたら、再開していきます。


アムロの全盛期ってどのあたりだろう?

更新していきます。


>>75
一応、逆シャア時と考えています。
なので、本作中での姿は逆シャア時のものとなっています。







「人理を継続させ、保障するか―――これはまた、とんでもない事に巻き込まれたものだな」





 ―――アムロ・レイは冷静だった。



 ロマン達の途方もない話を聞きながら、取り乱す事もなく、静かに考え込む。



 その様子、落ち着きぶりは歴戦の軍人そのものだった。



 宇宙世紀での戦争を生き抜いた伝説のエースが、まさに目の前にいた。





「観測できなくなった未来……その原因たる特異点か……。俄かには信じられないが、こうして実際にその場にいるんだ。信じるしかないだろう」
「話が早くて助かるよ、アムロ・レイ。データによると君もまた凄まじい力の持ち主らしいからね。皆をフォローしてくれると助かる」
「ああ、任せてくれ。Dr.ロマン」





 確かにアムロ・レイの戦闘力は凄まじいものだ。



 ガンダムと呼ばれる機動兵器を駆り、何十・何百もの敵機を屠ってきた。



 常人であれば触れる事すら叶わず、例えエースパイロットであろうと、彼を正面から討ち破るのは困難極まる。



 アムロ同様に伝説のエースとされたシャア・アズナブルでさえ、彼との一騎討ちでは敗北を喫したのだ。



 その実力は、サーヴァントとして召喚された今も健在だろう。







「―――よろしく頼む、マスター。こうして召喚されたのも何かの縁だ。君達の為に、存分に力を振るわせてくれ」




 ……何という頼もしさだろう。



 いや、決してマシュや七花が頼りないという訳ではない。



 ただ『アムロ・レイ』には、何というか……安心感があるのだ。



 どんな窮地にあろうと、何とかしてくれるという安心感が。



 どんな絶望的な状況であろうと、活路を見出してくれるという安心感が。


 
 アムロ・レイにはある。



 事実、それだけの実績を彼は有する。



 一年戦争の時も、シャアの反乱の時も、彼はそうだった。



 だからこその英雄―――だからこその、伝説だ。



「君もマスターとの契約者だな。アムロ・レイだ、よろしく頼む」
「マ、マシュ・キリエライトです。こちらこそよろしくお願いします」
「俺もサーヴァントとしては成りたてのようなものだ。頼りにならないだろうが、共に何とかしていこう」
「は、はい、一緒に頑張りましょう!」




 どうやらマシュもアムロの雰囲気に飲まれているようだった。



 傍若無人感のある所長ですら、既に一目を置いているようにすら見える。



 ただ唯一、アムロの強烈な存在感にもまるで揺らがない者がいた。






「そして、君もマスターと契約したサーヴァントのようだが―――」





 ―――鑢七花だ。




 七花は、アムロにさえ興味を抱いていないようだった。



 差し出された右手を一瞥しただけで、応える様子はまるでない。



 同様の境遇たるサーヴァントだというのに、やはり協力的な雰囲気はなかった。




「……君は……」




 対するアムロは困惑した表情で、七花を見詰めていた。



 おそらくは、彼も理解してしまったのだろう。



 その鋭敏なニュータイプとしての力で、『鑢七花』の心中を。



 いや、それだけではない。



 『鑢七花』の過去を、『鑢七花』の望みをも―――理解してしまったに違いない。



 だがしかし、当の七花は揺らがない。



 沈黙をもって、アムロの視線を無視する。



「―――さぁ、自己紹介はそれまでよ。今は一刻だって時間が惜しいの。調査を開始するわよ」


「……了解した。先を急ごう」




 割り込むように所長が告げ、その場はうやむやとなった。


 そう、確かに今は前に進まなければいけない状況だ。


 謎の特異点・冬木。この特異点の原因を解明しなければならない。



 5人に増えたパーティで、先を行く。


 先程と同様に市街地を進んでいくが、身の危険は殆ど感じなかった。


 マシュに七花にアムロ。


 充分すぎる戦力が揃っていたし、骸骨兵以外の敵も現れる様子もない



 この特異点を探索するには、充分すぎる戦力なのだろう。



 探索自体は滞りなく進んでいく。



 とはいえ、新しい発見がある訳でもなく。


 ひたすらに歩き続け、散発的な戦闘を繰り返していくだけだった。


 疲労と、変わり映えしない状況に、気が緩み始める。



 ―――その時だった。




『―――これは……!?』 





 声が、響いた。





『皆、今すぐそこから逃げるんだ! この反応は―――』





 Dr.ロマンのこれまでになく切羽詰まった声。


 全員の視線が、宙に光るモニターへと移る。




『―――サーヴァントだ!!』




 七花とアムロが動き出したのは、言葉と殆ど同時だった。



 アムロは列の最前へ行き、僕達を守る様に立ち塞がる。



 七花は、更に更にと、その先へ。




「っ、待て、七花……!」




 アムロの制止も聞かず、彼は突撃していく。



 七花の先にいたのは―――『影』だった。



 人型に形をなして蠢く闇。



 視線に捉えて、同時に肌が総毛立った。



 ありえない、ありえない、ありえない。



 人型の姿をしたそれから感じる魔力は、人智の範疇を遥かに越えている。



 これに比べれば、先までの骸骨兵なんて赤子も同然だ。



 あれが、サーヴァント……!





『君達にサーヴァント戦はまだ早い、逃げるんだ!!』





 一拍遅れて、Dr.ロマンの警告。



 そんな事は、それを見たと同時に理解していた。



 だが、身体は動かない。 



 人外のものから向けられる敵意に、身体は芯から凍り付いていた。





「―――指示を、マスター」




 
 ―――声は、震えていた。



 それを言ったのは、アムロでも七花でもなかった。



 震えた声で、震える身体で、それでも前に一歩進み出た者がいた。



 つい数時間前まで、ただの人間でしかなかった少女が。



 ほんの成り行きのようなもので力を手にしてしまっただけの少女が。



 隠しきれぬ恐怖に震えながら、それでも呟いた一言。



 呪縛が、解ける。



 ふざけるな。



 こんな女の子が勇気を振り絞っているのに、僕はただ固まっているだけなのか―――!




「―――っ、行くぞ、マシュ、アムロ! 七花を援護するんだ!!」





 湧き上がる感情と共に、叫ぶ。



 眼前では既に七花と敵サーヴァントが目にも止まらぬ戦闘を繰り広げている。



 一振りで数騎の骸骨兵を吹き飛ばす一撃を、容易く受け止め、容易くいなし、同等の一撃を見舞う。



 強い。



 僕が七花の力を引きだせていない事実もあるのだろうが、それでも強い。



 だからこそ、指示を飛ばす。



 考えなしでは勝てない。



 なら―――、








主人公はどんな指示を出す?


↓3までで自由記載。その中から一つを選択(適当な内容でない場合は再安価)

すみません、確かに考えなしでした…。
次からは答え易い形で安価を出していきたいと思います。


―――――――




「マシュは僕達を守ってくれ、アムロは七花を援護して―――!」
「了解しました、先輩!」
「任せろ!」



 言うや否や、マシュは盾を掲げて僕達の前に立つ。


 アムロは更にその前に躍り出て、七花とサーヴァントを睨む。




「―――マスター。宝具を使用するぞ―――」



 そして、迷う事無く、告げた。


 己が切り札の使用を。







 ―――アムロのステータスは既に見えている。


 【筋力D 魔力D 耐久D 幸運C 敏捷D 宝具A+】


 殆どの項目がC~Dで、とてもじゃないが強い数値とは言えない。


 だが、唯一宝具のみがA+と輝いている。


 知っている。


 アムロ・レイは軍人であるが、生身で戦う者ではない。


 彼はそれに乗るからこそ、伝説の存在と成り得たのだ。


 それ即ち―――『ガンダム』に。





「いくぞ―――『連邦の白い悪魔(ガンダム)』―――!!」





 膨大な魔力が溢れ出る。


 瞼を開けられぬ程の光と共に、アムロの姿が変わっていく。


 発現するは、伝説の機動戦士。


 アムロ・レイが初めて搭乗したモビルスーツにして、彼を伝説たらしめた原初の機体。


 それが【人間と同サイズ】で、そこにあった。




「アムロ・レイ―――行くぞ!」




 通信機器を介したような声と共に、ガンダムが―――アムロが動き出す。


 矢継ぎ早に連射される桜色のビームライフル。


 それは寸分違わずに、疾走する影のサーヴァントへと命中する。


 勿論、敵サーヴァントは棒立ちなどしていた訳ではない。


 知覚すら難しい程の速さで七花とぶつかり合い、交錯しながら、目まぐるしく位置を変える。


 その中で、アムロはさも当然のように射撃を命中させたのだ。


 人間業ではない。


 まさに神業だ。


 サーヴァントも手に持った得物で何とか防ぐものの、体勢は崩れる。



「―――そこっ!」



 そこに、息も吐かせぬ連射が繰り出される。


 機械の如く精密性で、射撃はサーヴァントへと襲い掛かる。


 たまらずサーヴァントも地面を蹴り、回避行動に移る。


 やはり、早い。


 的を絞らせないよう右に左に動き回り、アムロを翻弄する。


 だが、



「甘いっ!」



 回避先すら予見して、偏差射撃がサーヴァントへと放たれる。



 直撃はしない。



 だが、再び防御の体勢に。



 その隙を―――もう一人の英霊は見逃さない。





「虚刀流―――」



 一瞬で間合いを詰め、鑢七花が己が奥義の態勢に入っていた。


 宙で身体を回し、その右足を高々と掲げる。



「―――落花狼藉!」



 繰り出されるは、必殺の一撃。


 振り下ろされた右足が、刃となり影のサーヴァントを切り裂く。


 断末魔もなく、遺言もなく。


 地面に叩きつけられたサーヴァントは、霞のように消えていった。

 

「すごい……」



 感嘆の声が、マシュの口から漏れる。


 僕も同じ気持ちだった。


 例え宝具を使用したと言えど、例え数の上で有利であったと言えど、あれだけの魔力を有した怪物を容易く倒してしまったのだ。


 驚くなという方が無理のある話だ。



「そうでもないさ。僕や七花一人ならば苦戦していただろう。2人がかり―――加えてマスターの心配をする必要がなかったのは大きい。助かったよ、マシュ」
「い、いえ、私なんて何も……!」
「七花もだ。良いタイミングでカバーに入ってくれたな」
「…………」



 七花の方も、軽い傷だけで済んでいる。


 少し治癒魔術を使えば、直ぐに回復するだろう。


 何はともあれ、危機は無事に脱したらしい。


 そうとなれば気になるのは―――、





1.アムロの宝具について


2.七花の行動について



↓1





 アムロの宝具についてだ。


 『ガンダム』の姿形を取る宝具。


 まさにアムロ・レイを象徴とする宝具と思えるが、あれは一体―――。




「ああ、あれが僕の宝具―――『連邦の白い悪魔(ガンダム)』だ」




 アムロの説明は、彼の世界のモビルスーツについてから始まり、一年戦争での戦いについてまで語られた。



 曰く、宝具の発現と共にアムロはコクピットの中に転移するらしい。


 そこで本当にモビルスーツに乗っているかのように操縦ができるとのこと。





「勿論、元のサイズでの発現も可能だが―――それには相当な魔力を消費する。ともすれば致命的な程にな」




 本物のガンダムは全長18メートルはある機動兵器だ。


 確かに本来のサイズで発現できたのならば、それは凄まじい戦闘力を発揮するだろう。


 何せ歩行するだけで地面を揺らし、腕を振るうだけでビルの一つや二つは破壊する。


 人間を相手にするには大袈裟すぎる程の力と言っていい。




「人間サイズなら、そこまでの魔力消費量ではない筈だ。『連邦の白い悪魔(ガンダム)』であれば、日に何度使用しても問題ないだろう」




 『連邦の白い悪魔(ガンダム)』であれば。



 その言葉に少し引っ掛かるものを感じた。



 まるで、もう一つ宝具があるような言い方だけど……。




「君の言う通りだ。僕はもう一つ宝具を持っている。これは『連邦の白い悪魔(ガンダム)』とはまた違っていてね」



 何となく察しが付いた。


 アムロ・レイが駆るモビルスーツで、宝具となりそうなものといえば―――、




「―――『連邦の白い流星(νガンダム)』と言うんだ」




 νガンダム。



 それしかなかった。



 アムロ・レイが最後に搭乗した機体にして、彼が搭乗した機体の中で最強の機体。



 アムロはこの機体に乗り、シャア・アズナブルと激戦を繰り広げ、そして―――歴史から姿を消す。




「こちらは、それなりに魔力消費が激くてね。その分、強力ではあるが……まぁ、本当の切り札とでも思ってくれれば良い」




 そうして、アムロは宝具について語り終えた。


 機動兵器に騎乗し、戦うサーヴァント。


 まさにライダーのクラスに相応しい、サーヴァントであった。






「すごいですね。先程のもの以上の宝具を有しているなんて……」



 そう言うマシュの顔は何処か暗かった。


 マシュだってサーヴァントであるなら、宝具を持っている筈だ。


 確かに多少の強弱はあるかもしれないが、それでも一騎当千のサーヴァントが有する切り札。


 加えて宝具の有用性は時と場合によって大きく変化する。


 マシュがどんな宝具をもっていようと気にする必要はないと思うけど……。


 そう、励ましの声を掛けようとしたその時―――、




『―――っと、悠長にしているところ申し訳ない。またサーヴァントの反応だ!』




 再び、Drの声が響いた。


 またも悪い知らせと共に、だ。





『っ―――しかもマズイぞ! 今度は1体だけじゃない……2体分の反応がある!!』




 しかも、知らせには先があり、更なる窮地が待っている事を告げた―――。

一旦終了します。
また書き溜めができたら再開していきます。

少し更新します。
リンボはくそざこなめくじでしたね…。




「―――七花さん!?」



 ドクターが告げた二体のサーヴァント。


 言葉と同時に動いたのは、やはり鑢七花だった。


 ダンと地面を蹴り、走り出す。


 サーヴァントはお互いの存在を知覚しあえるとのこと。


 七花は既に敵対サーヴァントの位置を把握しているのであろう。


 だから、向かう。


 だから、戦う。


 分かっている。分かっていた。


 今の彼ならば、真っ先にそうするのだという事を。
 


「マズイぞ、マスター。彼は一人で戦うつもりだ!」
「なっ……一体何でそんな危険な事を……!?」



 マシュは困惑しながら、問い掛けてくる。



「……先輩、どういう事なんですか? 七花さんの戦い方は余りに無謀です。何で、彼はあんな―――自分の身を傷付けるような戦いを?」



 それは、おそらく核心に迫る問いであった。


 虚刀流・七代目当主 鑢七花。


 彼の核心に。


 僕は、その答えを知っている。


 知っているが―――、



「ごめん、それは言えないよ……」



 それを口にする事はできない。




 これは彼の過去だ。


 彼だけが有する、彼だけの過去。


 それが例え虚構(フィクション)に過ぎないとしても、アニメを観てしまえば全て分かってしまう事だとしても。


 此処に彼が実在する以上、簡単に他人が口にしていいものではない。



「マスター、君は……」



 そう、彼等は虚構の存在なのかもしれない。


 万人が知り、万人に知られる、虚構の産物。


 だが、今ここに―――彼等は確かに存在する。


 それは決して虚構などではない。


 件然たる事実だ。


 だからこそ、そう簡単に彼等の歴史を口にする事なんて出来ない。


 彼等には彼等の悲劇があり、喜劇があり、そうして―――僕のもとに来てくれたのだから。



「そう、ですね。すみません、私の問いが軽率でした……」
「いや、良いんだ。七花の行動が危険なのは確かだ。マシュの疑問も当然だよ」



 破滅に自ら足を踏み入れようとする行為。 


 相手が骸骨兵だろうと、サーヴァントだろうと変わらない。


 彼は戦場に足を踏み入れ、危機を一身に受ける。


 その末に待つのは―――おそらく、本来の物語とは違う結末だろう。



「確かに七花の過去は言えない。その結果、皆に沢山迷惑がかかると思う―――」



 あの物語とは違い、この戦いにはサーヴァントと呼ばれる敵対者がいる。


 過去の歴史にて人類史に大きく名を残した偉人・英傑。


 フィクションをも超え得る超人たち。


 例え、完成された『完了形変体刀』であろうと、あの無謀な戦い方を続ければいつかは折れてしまうだろう。









 だからこそ―――、



「―――でも、だからこそ、七花をフォローしたいんだ」



 支える。


 そうしなくてはいけないと、そうしたいと。


 思うから。


 そして、それが、それこそが、



「―――それが、マスターの役割と思うから」



 マスターの―――『鑢七花』という刀を受け継いだ僕の―――役割なのだろう。










 僕に、力はない。


 サーヴァントと戦う事も、戦場で彼の横に立つことも、出来ない。


 僕に出来るのは後方で彼を支援することだけだ。


 でも、それだけじゃ、駄目だ。


 必要なんだ。


 戦場で彼の傍に立ってくれる存在が、刀としてでなく戦友として共に戦ってくれる存在が。


 いなければ、ならない。



「マシュ、アムロ、お願いだ。僕に、力を貸してくれ。彼を死なせないために―――」



 頭を下げる僕に、2人は直ぐに返事をしてくれた・




「―――はい! 任せてください、マシュ・キリエライト精一杯がんばります!」


「―――ああ、任せてくれ。そう言ってくれる君になら、全力で力を貸すさ」




 二人は笑っていた。


 こんな頼りないお願いをしたというのに、何故だかとても嬉しそうに。


 優しく微笑んでくれていた。


 彼等が何で嬉しそうなのか分からないけど、僕は恵まれているんだと思う。


 こんなに優しく、頼もしいサーヴァント達と契約が出来た。


 本当に、本当に、ありがたかった。






 ―――行動は、決まった。


 独断専行する七花のフォロー。


 その為に、僕達も戦場へ向かう。


 燃える市街地を進むにつれ、音が聞こえてくる。


 金属と金属がぶつかり合うような、地面が抉れ飛ぶような、凄まじい戦闘音。


 見つけた。


 そこには二体の影と相対する鑢七花がいた。


 相手は右手を異形とするサーヴァントと、薙刀を擁するサーヴァント。


 数の差が響いてか、その自身を顧みぬ戦い方のせいか、七花は既に傷を追っているようだった。




「―――アムロ―――」


「任せろ! 宝具展開・『連邦の白い悪魔(ガンダム)』―――!!」





 白い悪魔と化したアムロが2人の影と七花の間に割って入る。


 マシュもまた、七花を守るように立ち尽くす。




「……あんたら……」




 まるで自分をフォローするかのような立ち回りに驚いたのか、少し眼を見開いて七花は2人を見る。


「―――七花!」


 叫ぶ。


 回復魔術を施しながら、七花に魔力を流しながら。


 渾身でもって、叫ぶ。






「君の事は知っている! 君にあった事も、今の君の気持ちも! だから―――止めない! ただ偶然、マスターになっただけの僕にそんな資格はないから―――」





「―――だけど、一緒に戦う! 君が納得いくまで、君が新しい君を見つけられるまで、僕も、僕達も、戦う!!」





「それが、僕の―――マスターとしての、役割だ!!」





「行け、虚刀流七代目当主・鑢七花! いや―――完了形変体刀『虚刀・鑢』!! 彼女の代わりになれはしないけど……それでも、僕が見届ける!」






 今度こそ、本当に目を丸くして、七花は僕を見詰めていた。


 ほんの少し―――僕の錯覚かもしれないけど―――その口元が緩まった気がした。


 それきり、七花はまた僕から視線を逸らし、相対する二つの影を見る。



「一緒に戦わせてもらうぞ、七花」


「私もです、七花さん!」


「……勝手にしろ」



 横に立つ二人のサーヴァント。



 七花は、ぶっきらぼうに言葉を飛ばし、瞳を閉じた。




「虚刀流七代目当主・鑢七花、いや―――完了形変体刀『虚刀・鑢』―――推してまいる」




 地面が砕け、七花の身体が掻き消える。


 同時に二体の影と、白い悪魔が動き出す。


 二度目のサーヴァント戦の幕が、切って落とされた―――。 


今日のところは以上となります。
また書き溜めができたら、更新していきます。



あと今後の展開を見据えて、主人公の名前を決めたいと思います。

↓5の中から気に入ったものを選択。(一応主人公の性別は男という事でお願いします)

あー、オリ主がどうとか、そこまで深く考えての安価ではなかったです。
マスター呼びだと味気ないので、適当に名前募集してみようかな的な感じでした。考えが至らず申し訳ありません。

そういう風に捉えてしまうという方もいるようなので、名前はデフォルトで『藤丸立香』にしようと思います。
候補を出して頂いた方も、申し訳ありませんでした。
また書き溜めができたら、更新していきます。

更新します。

 四つの影がぶつかり合っては離れていく。



 アムロは盾とビームライフルを、七花は両の手を掲げて、それぞれの対峙するサーヴァントと戦闘を繰り広げる。



 比較的有利に戦況を進めているのはアムロだった。



 俊敏に周囲を動き回る相手へ、的確な射撃を繰り出していく。



 相手が接近しようとすれば弾幕を張り、近付けさせず。



 かと思えば、唐突に急接近してビームサーベルを振るう。



 意表を突かれた相手が退こうとすれば、今度は針穴を通す如く狙撃で、その脚を縫い付ける。



 変幻自在の戦闘。



 それはサーヴァントを相手としても変わらずに。



 伝説のエースの力を見せ付けていた。



 対する七花はというと、一言で現すならば膠着状態。



 振るわれる長槍と、振るわれる両腕が、二人の間に数え切れぬ程の火花を散らす。



 鳴り響く金属音。



 生身と刃物とがぶつかり合うでは、断じてない。



 一撃一撃がおおよそ必殺の打ち合いなのだろう。



 まともに喰らえば、数百もの命があろうと足りない筈だ。



 それを互いに紙一重の所で躱し、逸らし、防ぎ合う。



 とはいえ、均衡は完全ではなく、両者共に僅かずつではあるものの傷が増えていく。



 僕に出来るのは、回復魔術を繰り返し唱えるだけだった。



 微々たる回復量ではあるけど、殆ど意味のない行為なのかもしれないけど、それでも僕に出来る事は何でもやるつもりだった。



 ―――勝ってくれ。



 その想いと共に、魔力を七花へと流し続ける。



 長く長く―――まるで永劫と続くかと思われた均衡。



 不意に、それが終わる。



 まるで、前触れもなく、相手の戦い方が変化したのだ。



 速度を重視した突きから一転、渾身を籠めた突きへと。



 瞬時に、予兆もなく、戦法が変わる。



 その変化に、七花は対応することが出来なかった。



 七花も両腕を振るうが、速度を重視したそれでは相手の渾身を受け止めきれない。




 防ぎ、いなしきれなかった刃が、七花の肉を裂いた。



 宙を舞う鮮血。



 その細身の体が、この世界に来て初めて傾いだ。




「―――七花!」




 思わず叫んだ時には、既に追撃が振るわれていて。



 七花の身体が、まるで弾丸のような勢いで吹き飛ばされていた。





 ―――驚くべきは、相手の技術、なのだろう。



 唐突に変化した戦法。



 ほんの一瞬を境とした緩急。



 経験の差、とでも言えば良いのか。



 相手の方が、七花よりも戦上手であった。 



 七花は、戦いの経験がそう多い方ではない。



 刀集めの旅を続けた一年―――それが、彼の経験値の全てだ。



 例え、その後の『描かれぬ物語』で旅を続けていたとしても、それがあの刀集めの経験を上回るとは思えない。




 凄まじい力を有する七花であるが、経験という点に於いて、彼は未熟と言えた。



 その差が、今この瞬間に現れたのだ。



 

「七花、無事か……!?」
「七花さん……!」




 焦燥が口から漏れた。



 それは、自分を盾で守り続けているマシュもまた同様だった。



 七花は、強い。



 しかし、相手もまたサーヴァントなのだ。



 最悪の考えが、頭を過ぎる―――。









「―――キーキー騒ぐなよ。耳に障る」





 が、



 僕の心配をよそに、七花は割と平然とした様子で立ちあがっていた。



 ダメージがない訳ではないだろう。



 今も一滴、また一滴と血が滴となり、地面を濡らしている。




「…………ああ、面倒だ」




 僕を見て、マシュを見て、流れ落ちる己が鮮血を見て、相手を見て。



 七花は、一言だけ呟いた。



 同時に、疾走。



 まるで姿が掻き消えたかのような加速で、サーヴァントへと突撃する。






「宝具解放――――」






 七花に吸い取られる魔力量が、僅かに増大した。



 理解する。



 七花は宝具を使うつもりなのだ。



 その選択を、止めはしない。



 自分は彼を支えると決めた。



 だから、止めない。




 全力でサポートしてみせる―――!





(行け、七花――――!!)




 治癒魔術を止め、七花への魔力供給に意識を集中させる。



 彼の宝具がどのようなものなのかは、予想できない。



 彼そのものが一本の刀としてある存在。



 『刀(ぶき)』である筈の彼が使用する『宝具(ぶき)』。




 一体、鑢七花の宝具はとは―――、











「――――――――『刀語』―――――――――」










 ―――その名を聞いた瞬間、全てを察した。


 そうだ。


 彼の宝具とは、彼の逸話とは。


 彼等が辿った軌跡そのもの―――。






「――――『斬刀・「鈍」』!!」




 



 


 ―――勝負は、一瞬だった。



 直進する七花へ、神速の突きを見舞った影のサーヴァント。



 七花は己が右腕を掲げただけ。



 たったそれだけで、勝負はついた。



 相手の槍ごとに、相手の身体を。



 七花は、全て両断した。



 まるで七花の身体が『全てを斬り裂く刀』となったかのようだった。


 
 二つに分かれた影が、光となって消滅する。



 あとに残るは、鑢七花ただ一人。



 完成形変体刀とサーヴァントとの一戦は、こうして勝負がついた。



一旦終了します。
何だか安価が出せないですね…。

更新していきます。



 七花の戦闘が終わるのと殆ど同時に、アムロもまた敵サーヴァントを倒していた。


 アムロはほぼ無傷。七花の戦闘に集中してしまっていたけど、やっぱりさすがだ。



「二人ともお疲れさま」
「お疲れさまでした。七花さん、アムロさん」
「ああ、何とかなって良かったよ。七花も良くやってくれた」
「……ああ」



 七花の傷は、そう深いものではなかった。


 治癒に専念すれば、直ぐに回復するだろう。


 


「七花はそこに座って! 今すぐ治癒魔術をかけるから!」
「……心配ねぇよ、これくらい」
「これくらいじゃないよ! 冷や冷やする戦い方するんだから、ホントに……」
「ははは、大人しくマスターの指示に従った方が良いな。君を治癒しない限り梃子でも動かないつもりだぞ、マスターは」
「……はぁ、面倒くせえ」





 嫌がる七花に無理矢理治癒魔術を行使する。


 少しばかりの足止めにはなるが、休憩も兼ねてと考えれば、まあ良いだろう。



「私も手伝うわ、藤丸」

「ありがとうございます、所長」




 所長もサーヴァントを撃退した事を買ってくれてか、意義を唱える様子もない。


 それどころか七花の治癒を手伝ってくれた程だ。しかも、自分よりも遥かに手際よく、良質な魔術で、だ。




「すげぇな、あんた」




 見る見るうちに治っていく傷に、さすがの七花も目を丸くしていた。


 自分のサーヴァントが他の魔術師を褒めているところを見ると、マスターとしては悔しいというか、何とも複雑な気持ちになる。




「別に、これくらい普通よ。この新米がへっぽこ過ぎるだけよ」

「そんなもんか」

「そんなもんね。あんたもマスターになったんだから、精進しなさいよ」

「は、はい!」



 ……ここまで言われると、正直立場がない。


 事実だけに言い返せないのが悲しいところだ。


 ともかく。



 窮地は何とか乗り越えたらしい。



 マスターとして、七花に言いたい事も伝えられた。



 彼がそれにどう思っているかは分からないけど、先程までよりは距離が縮まったような気がしないでもない。



 何やかんやでこうして大人しく治癒だって、受けてくれている。



 治癒が終わるまではもう少し時間がある。



 折角の機会だし、もう少し七花と親睦を深めたい。



 そうだな―――



1.宝具のことを聞いてみる。


2.サーヴァントになった理由を聞いてみる。


3.その他(自由記載・内容によっては再安価)



↓1



 宝具のことを聞いてみよう。



「七花、あの宝具のことなんだけど―――」



 と、口を開いたは良いけど……。


 その瞳に真っ直ぐと見透かされ、思わず言葉に詰まった。


 確かにあれは七花と彼女の、大切な物語の末の宝具。


 そう簡単に他人に話したい内容ではないのかもしれない。



「ご、ごめん……あまり話したくないよね」



 謝罪し、口を紡ぐ。


 それきり会話は続かず、気まずい沈黙が流れていく。



「……あの宝具は、俺ととがめの物語が武器となったもんだ」



 だが、不意に。


 七花が口を開いた。


 多分、初めて七花の方から声をかけてくれた。



「あんたは知ってるだろうが、俺達は『完成形変体刀十二本』を集める旅をしていた」





 『完成形変体刀十二本』。



 それは彼の物語に存在する、日本で最も価値のある十二本の刀のことだ。



 四季崎記紀という天才刀鍛冶が創り出したという十二本の刀。



 それらは一本一本に特別な性質を有しており、天下を傾けうる力すらあるとされていた。


 鑢七花、そして彼の持ち主たるとがめという名の女性。



 二人は 『完成形変体刀十二本』を集めるために旅を続け、遂には十一本もの刀を収集する事に成功する。



 そして、その末に―――……。




「その中で収集に成功した『十一本の完成形変体刀』―――その『特性』を俺という刀に付与する事ができる」




 例えば、『絶刀「鉋」』であれば『絶対の頑丈さ』を。



 例えば、『斬刀「鈍」』であれば『絶対の切れ味』を。



 『鑢七花』という刀に付与できるということだ。



 


「『特性』の付与は重ね掛けも可能だ。だが、重ね掛けをすればする程、魔力の消費は桁違いに増えていく。まぁ、逆を言えば一つだけなら、そう魔力消費はしないってことだ」





 七花自体が完成された一本の刀。



 その七花へ更に『完成形変体刀』の力を上乗せられるというのなら、それは凄まじい力になるだろう。



 強力な宝具だ。



 何より―――、




 
「これが俺の宝具―――『刀語』だ」





 ―――これ以上なく、七花にぴったりな宝具だと思う。




「……何笑ってんだよ、気色悪い」

「え、笑ってた?」

「ああ、にやにやとな」




 笑っていた自覚は一つもなかった。


 ただ、そうだ。


 すごくうれしい気持ちは心の中にある。



 彼ととがめとの旅の結晶。



 それについて、彼自ら話してくれたことが、とてもうれしい。




「ありがとう、七花」

「? 礼を言われる事はしちゃいないぞ」

「それでもだよ。それでも今は礼を言いたいんだ」

「……訳の分かんねえ奴だな、お前」




 一本の刀と、マスターの自分。



 まだまだ壁はあるし、七花の行動も考え方も変わらないと思う。



 それでも、少しずつ共に戦う者として関係が深くなっていけば、それはとてもうれしい事に思える。


一旦終了します。
ありがとうございました。

特異点Fではサーヴァントの追加召喚はしない予定です。戦力が増えすぎてしまうので…。
少し更新していきます。





「そろそろ出発しましょうか、先輩」



 それから少しばかりの時間が経った。


 七花の治癒も終わり、僕達も身体を休めることができた。


 状態は万全。


 三体ものサーヴァントを撃退した事で精神的にも余裕が生まれてきた。



「そうだね。そろそろ探索を続けようか」



 身支度を整え、歩き始める。


 周囲の様子は変わらぬ様子で、やはり新たな発見は見当たらない。


 早くも行き詰まりを感じたその時だった。



「……マスター、誰かが見ている」

「えっ……!?」




 唐突に、アムロが囁いた。


 表情は険しい。既に気配の主を探っているようだった。



『まさかぁ。こっちではサーヴァントの反応なんて観測されてないよ』

「いや、確かに見ている。影のサーヴァントは意思らしきものが殆どなくて分からなかったが、今は確かに気配を感じる」

「マスター、どうしますか? 再び敵性サーヴァントの可能性がありますが」

「そ、そうだな。ここは―――」




1.気付いていない振りをして、相手をおびき出す


2.先手必勝! 攻撃を仕掛ける


3.対話を試みる。
 

 
↓1





「ひとまず気付かない振りをして様子を見よう。おびき出すんだ」

「了解しました……!」

「了解した」

「七花も。今は動かないでね」

「……分かった」



 方針は固まった。


 とにかく意識しないよう、自然体を装って歩いていく。



『―――アンサズ』



 その時だった。


 不意に声が響く。


 同時に飛んできたのは炎の塊。



「先輩!」
「藤丸!」



 マシュとアムロが、ほぼ同時に前に出る。 


 アムロはガンダムに変身してシールドを。


 マシュは盾を掲げて炎を防ぐ。





「おうおう、やるもんだ」
「あなたは―――」



 飄々とした様子で現れたのは青髪の男だった。


 木製の杖を掲げて、こちらを見据える。



「そう構えるなよ、軽いご挨拶ってやつだ。お前達の力が見たくてな」
「何をふざけたことを……!」
「ふざけちゃいねえさ。あの影のサーヴァントを倒したのはあんた達だろう? おれはアイツ等と敵対していた者だ。
 敵の敵は味方―――とも思ったが、正直有象無象と手を組んだところで、聖杯の泥に取り込まれるのがオチだからな。実力を見ておきたいんだわ」



 口は微笑んでいるものの、その瞳は全く笑っていない。


 まるで獣のように鋭い眼光だった。


 膨れ上がる魔力を感じる。


 事態は呑み込めないが、戦いを避けることは難しいらしい。



「先輩……!」
「ああ、あっちがやる気なら、やるしかない!」
「来な、本気で来ねえと殺しちまうぞ!」




 相手は一人。


 マシュは防御に回ってもらうにして、戦力はアムロと七花の二人。


 ここは―――




藤丸たちはどう戦う?


↓1 自由記載(内容によっては再安価)




「アムロは牽制、七花はその隙に攻撃して!」

「了解だ。行くぞ、七花」

「……ああ」



 ガンダムの姿を取ったアムロがビームライフルを連射する。


 それと同時に七花が駆けだし、接近する。


 正確無比な射撃が男に迫る。


 回避か防御、その隙に七花が攻撃を叩き込む算段だろう。



「―――悪いな」

「何っ……!?」



 射撃は、ほんの僅かな動作で回避された。


 それこそ微塵の隙すら発生しない程の、小さな動作で。



「飛び道具は効かねえんだわ」



 ならば、とでも言うように七花が踏み込んだ。


 装備や先程の攻撃を見るに、相手は魔術師のようだ。


 剣も槍も弓も装備していないのだ。少なくとも三騎士という訳ではないだろう。


 それなら、接近戦は七花に分がある。


 近接の間合いで、七花が両腕を振るった。





「っ……!」



 轟音。


 七花の腕は、しかしながら相手を切り裂いていない。




「接近戦はないと見たか? 甘ぇえよ、ガキ」




 相手は、杖で受けていた。


 『槍兵のような構えでもって』、七花の突きを正面から受ける。


 まさか受け止められるとは思っていなかったのだろう。


 七花の眼が見開かれる。



「言ったよな。本気で来ねえと殺す―――ってよ」



 ゾッ、と肌が粟立った。


 殺意。


 先の影のサーヴァントような、狂気のそれじゃない。


 正真正銘の、理性から来る殺意。


 冷や水を浴びせられたように、身体が強張った。





「ほうら、避けてみな―――!!」



 杖の切っ先から、魔術が迸る。


 炎、雷、氷……五大属性を無視するかのような、多彩な魔術が杖から噴出する。


 大きく後退しながら回避行動に入る七花。


 だが、とても避けきれない。


 遂には炎魔術が七花を燃やし尽くさんと迫る。



「―――『刀語 薄刀・「針」』」



 が、炎が七花に届く事はなかった。


 まるで風に巻かれる一枚の紙ように、七花の身体が熱風に押される。


 薄刀・「針」―――その特性は「薄さ」と「軽さ」。


 羽毛の如く軽さで、炎の勢いに逆らわず、熱風に流されることで回避したのだ。




「はっ、面白れぇな! なら―――」

「―――させるか!」

「―――っ!」



 追撃の構えを取った瞬間、男にアムロが斬りかかる。


 鋭い踏み込みと共にビームサーベルを一閃。


 男は虚を突かれたものの、槍の構えで迎え撃つ。


 サーベルを避け、返しの突きを放つ。


 が、アムロはそれすらも易々と回避し、再びサーベルを振るった。



「ちぃっ―――!」



 たまらず距離を取る青髪の男。


 アムロは隙なく構えながら、男を見る。




「近接戦の心得はあるようだが、飽くまで『戦える』といった程度らしいな」

「抜かせ。本来のクラスで召喚されてりゃ、今頃お前は立っちゃいねえよ」

「そうなのかもしれないな。だが―――」



 挑発するような口調の途中、突然アムロの身体が宙に浮いた。


 背中と足裏のバーニアを吹かして、まるで宙返りをするように浮き上がる。


 人間にはできない、モビルスーツだからできる、ノーモーションからの動作。


 その背後から現れたのは―――鑢七花だった。


 七花の突撃を、アムロは自らの姿でギリギリまで隠していた。


 その上でノーモーションで動き、男の不意をついたのだ。



「ちぃっ―――!!」



 男の反応は目に見えて鈍い。


 それでも杖を横薙ぎに振るったのは流石と言えるだろう。


 苦し紛れだが、正確な一振りが七花を迎撃する。



 だが―――、




(残像―――!)



 七花の姿が掻き消える。


 虚刀流七の構えから繰り出される、前後方向自在の足捌き。


 特殊な歩法により緩急をつけ、男の一撃を避けたのだ。



「虚刀流奥義―――落下狼藉!!」

「ぐっ―――!!」



 空振りを見据えての、踵落し。


 男は何とか身を捩って直撃を避ける。


 だが、完全に躱し切るには至らず。


 衝撃をそのままに受け、後方へ吹き飛ぶ。




「―――やるじゃねえか。どうやらあんた等の事、見くびってたみたいだな」



 左腕より血を滴らせながら、それでも男は軽口を零した。


 最初は押されたものの、数の差もあってか戦況は有利と言えた。


 冷静に立ち回れば、七花もアムロも決して相手に劣ってはいない。



「……力を見る、というのが目的ならば、もう十分だと思うが」

「そうさな。あんた達二人の力はそれなりに分かった。確かに充分だろう」



 男は降参の意を示すように、両手をあげた。


 安堵の息が漏れる。


 どうやら戦いは終わったようだ。





「だが―――そこの嬢ちゃんの力はまだ見てねえな」



 直後、その考えが誤りだったと理解する。


 凄まじい魔力が肌を突き刺す。


 これまでのより更に強大で、凶暴な、魔力の奔流。


 これは、まさか―――




「そぅら、防がねえとマスターが死んじまうぞ!!」





 ―――宝具。
 




「焼き尽くせ木々の巨人―――――『 灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!! 」








 アムロと七花が、動く。


 僕とマシュの前に立ち塞がり、共に防御の構えを取る。


 だが、無理だ。


 例えガンダムの盾だろうと、例え完成形変体刀の肉体であろうと、あれを受け止めるには至らない。


 どうする。どうする。どうする。


 焦燥の中で、だが答えはでず。


 燃え盛る藁の巨人が近付いてくる。


 アムロも、七花も、僕も。


 ただ身を固くして、次に来るであろう衝撃に備えるだけだった。


 そんな中で。


 唯一動いた者がいる。





「―――マシュ―――」




 円と十字架を模った巨大な盾を手に、少女は一歩前に出る。


 そして、





「宝具、展開します――――!!」





 全てを守る盾が、顕現した―――。


一旦終了します。
ありがとうございました。

少し更新していきます。






 私は、ずっと考えていた。


 何のためにここにいるのだろうと。


 何のために、サーヴァントとなったのだろうと。


 既にマスターは二人のサーヴァントを召喚している。


 御伽話の世界からの、凄腕の英霊達。


 二人は私なんかよりもずっと強くて、ずっと逞しくて。


 マスターを危険に晒す事なんて、そもそもなくて。


 私がいる意味なんてないんじゃないかと、ずっと思っていた。


 守ることしか―――いや、宝具も使えず、守ることすら出来ないサーヴァント。


 真名も知らず、己が力を発揮することもできないサーヴァント。


 役立たずの、サーヴァント。


 ずっとずっと、そう思っていた。


 それは今回の戦いでもそう。


 突然現れた青髪の魔術師。


 先程の影のサーヴァントよりも遥かに強い彼を相手にしても、二人は互角以上に戦っていて。


 私はマスターの側で、それを見ているだけだった。


 加勢することも、サポートすることも、できずにただ見ているだけ。


 とても情けなく、不甲斐ない気持ちで一杯だった。



 この人の―――あの朝に出会い、ただそれだけの関係なのに、死の間際まで共にいてくれた人の―――力となりたかったのに、


 なのに、なのに。








「焼き尽くせ木々の巨人―――――『 灼き尽くす炎の檻(ウィッカーマン)』!! 」






 我に返ると、視界は真紅に染まっていた。


 凄まじい魔力。凄まじい熱量。


 炎を纏う藁の巨人が、ゆっくりと近付いてきている。


 アムロさんと七花さんが私達を庇うように立つが―――無理だ。


 例え二人でも、あれとぶつかってただで済む訳がない。


 いや、後ろにいるマスターだって―――死んでしまう。




(守らないと、使わないと、みんな消える―――。仮初めでもいい、未熟でもいい、今だけでもいい。私が、私がやらないと、みんな無くなってしまう―――)





 前にでる。


 アムロさんよりも、七花さんよりも、前に。


 そう、今は私が、私がやらなくちゃ―――








「宝具、展開します――――!!」




 
 
 藁の巨人が放つ真紅すら染め変えて、白が全てを包み込んだ―――。









 世界に色が戻っていく。


 直前まであった灼熱は、もうどこにもない。


 自分の身体を見る。


 宝具をくらったというのに、傷の一つもない。


 前に立つアムロも七花も同じだ。


 傷一つなく―――そして、僕と同じ様に驚いた様子で―――立っている。



「―――マシュ」



 そう、全てはマシュが起こした。


 自らの宝具を展開して、男の宝具を正面から受け切ったのだ。



「やった……私、宝具を展開、できた……」



 マシュ自身も信じられないような様子だった。



「驚いたな。まさかこんな力が……」


 アムロが小さく呟いた。


 七花もまた目を丸くしていた。


 彼等ですら死を覚悟したんだと思う。


 そんな必死の状況を打破したのだ。



「すごい……すごいよ、マシュ!」



 駆け寄り、その手を握る。


 あの時と同じ、小さく、でも暖かな手。


 こんな小さな手が、それでも僕達を守ってくれた―――、



「……なんとか一命だけはとりとめると思ったが、まさかマスターともども無傷とはね」



 青髪の魔術師も、驚きを表情に滲ませていた。


 その表情に既に殺意はない。


 攻撃する様子がないという事は、『実力を見る』のは終わったのだろう。



「……こちらの実力は分かってくれたようだな」
「ああ、十分に分かったよ」
「それは何よりだ。こちらも死ぬ思いをした甲斐があったよ」
「悪かったな。こっちも命がかかってるもんでよ。少しは手ぇ抜いたんだぜ、あれでも」



 アムロの皮肉めいた言い回しもどこ吹く風。


 青髪の男は口笛を吹いて、僕とマシュを見詰める。



「あんたにも謝っておかねえとな。悪かったな、何処ぞのマスターさん」



 ニヤリと笑いながら、男は続けた。
 


「―――喜べよ。あんたのサーヴァント達はどれも一級品だ」



 どこの時代の、どの英霊かは分からない。


 それでも、サーヴァント自身からそういわれると、何故だか自分のことのようにうれしくなる。


 そう、アムロも、七花も、マシュも、皆すごいサーヴァントなんだ。


 例え虚構の世界からの英霊だとしても、例え真名も宝具も分からない英霊だとしても、みんな―――。







「さて、本題に入らせて貰おうか―――」



 魔術師は語る。


 この冬木という街であった聖杯戦争。


 彼はそれにキャスターとして召喚され、戦っていたという。


 だが、街は一夜の内に姿を変えた。


 人という人が消え、残ったのは7体のサーヴァントと、無尽蔵に湧き出てくる怪物達のみ。


 初めに、聖杯戦争を再開したのはセイバーだったという。


 キャスター以外のサーヴァントはセイバーに敗北し、あのような影のサーヴァントに姿を変えた。

 
 そして、最後に残ったキャスターを倒すべく、活動を始めたとのことだ。




「つまり一人では太刀打ちできないから、力を貸してほしいと」

「まぁ、そういうこったな。この世界で唯一マトモ、そんでもって腕もあるってんなら、手を組まない選択肢はないだろう」

「そうだがな……。もう少しやり方っていうものは無かったのか?」

「細かい事を気にすんな。こんなふざけた状況で出会っちまったんだ。一蓮托生と行こうぜ」




 セイバーは強力なサーヴァントだという。


 キャスターですら勝利は難しいという程に。


 異変の原因がセイバーにあるとするのなら、激突は避けられない。

 歴史の保障を否定した事象。


 その原因。


 セイバーが何をしたのかは、分からない。


 何をどうすれば、こんな風に世界を創りかえられるのか。


 何をどうすれば、人の歴史を消滅させることができるのか。


 僕の小さな思考じゃ、とても理解しきれない。


 それ程までに強大な力を、セイバーは有しているのかもしれない。


 とても太刀打ちできる相手ではないのかもしれない。


 でも。


 それでも。




「―――戦おう」




 気付けば言葉が出ていた。


 みんなの視線が一斉に向けられる。


 そう、戦わなくてはいけないんだ。


 カルデアの一員として、みんなのマスターとして―――戦う。





「そうでなくてはな」



 アムロは珍しく笑みを浮かべていた。



「分かった」



 七花は小さく―――だが、力強く頷いた。



「やりましょう、マスター」



 少女は真っ直ぐに僕を見る。


 どこまでも付いていくと、その瞳が語っているような気がした。




「いい心意気じゃねえか。面白いぜ、カルデアのマスターさんよ」



 話は決まった。


 目指すは異変の根源。


 そこに待ち受けるセイバーの元へ。


 僕達は進む事となった。




今日は以上となります。
また書きダメができたら更新します。

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