【オリジナル】安価とコンマでギャルゲーっぽいの【片思い】 (843)


片思いから始まるギャルゲーっぽいお話で遊ぼうという感じの奴です

人がいらっしゃれば早速始めます


SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1479210148


それでは主人公の設定を決めます

決める物
・名前と性別と年齢
・各種素質
・外面と内面
・兄弟姉妹
・詳細設定


今回は取り敢えず性別は男固定とします


まずは素質について


運動素質…体力などの運動神経の良さ。数値が高いほどその素質が高い
勉強素質…知識や計算などの頭の良さ。数値が高いほどその素質が高い
感性素質…他者への共感や自らの感情表現などの能力。数値が高いほどその素質が高い
精神素質…低いほど従順で尽くすタイプ(1-4)、高いほど強情で支配的(6-9)、それ以外で無垢(0,5)
異常素質…異常な事に順応する素質。数値が高いほどその素質が高い


コンマ↓1:運動素質

コンマ↓2:勉強素質

コンマ↓3:感性素質

コンマ↓4:精神素質

コンマ↓5:異常素質


コンマ結果


貴方は

運動素質:抜群の運動神経を持ち、トップアスリートレベル
勉強素質:頭の回転が悪く、全く勉強が得意じゃない
感性素質:人の機微に敏感であり、気持ちを伝え汲み取るのがのが非常に得意
精神素質:自信家で強情。かなりドS
異常素質:良くも悪くも常識的であり、オカルトに全く順応できない

となりました



次に名前と年齢


安価↓1が年齢

安価↓3が名前(苗字含む)

14


>>13,15採用


名前:戸倉 剣(トグラ ツルギ)
年齢:14
性別:男性

となります


次は外面と内面について
外面とは家族や友人などの人にどういう振る舞いをしているかの設定
内面とは自らの心や感情などの設定
他者の内面は感性素質が高いほど、正確な情報が得られます

)例1
【外面】
明るく素直。言葉遣いが良く人から慕われている
【内面】
他人からの評価を常に気にしている。目上に対して敬語を使わない人間に強い嫌悪感を持つ

)例2
【外面】
無口で陰気。目つきが悪く近寄りがたい
【内面】
困っている人を助けずにはいられない強い正義感を持つ。誰かに弱音を聞いてもらいたいと思っている


まずは外面を決めます

安価↓3までの要素を合体

厨二病


>>18-20を合体



【外面】
厨二病を発症しており自分を特別な存在と信じてやまない傲岸不遜な少年。右目が義眼であることを気にしている



次は内面を決めます


安価↓3までの要素を合体

なんだかんだで他人に世話をやいてしまうお人好し


>>23-25を合体


【内面】
強い支配欲求を持っているが、つい他人の世話を焼いてしまうお人よし。純情でロマンチストな一面がある


では次は兄弟の設定です
2回のコンマ判定で決定します
一度目の判定で偶数なら年上、奇数なら年下。数値に関係なくゾロ目で双子
二度目の判定で偶数なら女、奇数なら男


コンマ↓1

コンマ↓2


コンマ判定:妹



では次に詳細な設定を決めます


詳細設定
外見的な特徴や、好き嫌いなどの性質的な特徴、過去や経験、現在置かれている状況、特技と言ったモノの設定
性格なども含むが外面と内面の設定と矛盾し過ぎないモノ(多少はおk)


安価↓3までの要素を合体

男の娘


>>31-33を合体



完成した情報



名前:戸倉 剣(トグラ ツルギ)
年齢:14
性別:男性

運動素質:抜群の運動神経を持ち、トップアスリートレベル
勉強素質:頭の回転が悪く、全く勉強が得意じゃない
感性素質:人の機微に敏感であり、気持ちを伝え汲み取るのがのが非常に得意
精神素質:自信家で強情。かなりドS
異常素質:良くも悪くも常識的であり、オカルトに全く順応できない

【外面】
厨二病を発症しており自分を特別な存在と信じてやまない傲岸不遜な少年。右目が義眼であることを気にしている
【内面】
強い支配欲求を持っているが、つい他人の世話を焼いてしまうお人よし。純情でロマンチストな一面がある


【詳細設定】
身長は154cm
長く柔らかな金髪を持ち、金と銀の大きなオッドアイの瞳が特徴の少年
しかし金色の右目は凄惨ないじめにより義眼を嵌めなければならなくなってしまっている
その為か義眼を嵌めていながら義眼側の眼には常に眼帯をしている
母親の趣味の為女性的な私服ばかり持っている
中性的で愛らしい容姿を持つため、しばしば本当に女性と間違われる
某大物政治家とその愛人の間に生まれた子供であり、現在は妹と共に母と暮らしている
その出生が過去のいじめと深くかかわっている


書き終わった後のレスで、妹の詳細設定と勘違いさせていたことに気付く
すまん…マジですまん!!

説明が非力な私を許して欲しい

このまま進んでもいいですかね?


と、取り敢えず否定意見は無いので今回はこれで行かせていただきます
次回からはちゃんと書きますんで許してください!!


では、プロローグ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


くだらない話だが、社会というモノには常に階級と言ったモノが敷かれているようだ
意識的にも、無意識的にもだ

この学校という箱庭の、小さなクラスを一つとってもそうだ
必ず中心となっている人間が居る

ボクは実感している
ボクはこの中で、間違いなく王様だ
この中で最も優れた人間だ

男も女も例外なく、ボクに媚びる

本心からの法悦で媚びを売る人間もいる
内心では毒づきながらも媚びを売っている者もいる

まあボクにしてみれば、それら全てが同価値だ

全員同じ、ボクの奴隷


奴隷1「ねえ戸倉君、これ運んでくれない?重くって…」

剣「全く、仕方のない奴だな。この程度でボクを頼るんじゃないよ」

奴隷2「おーい戸倉!バスケ部の助っ人してくれよ!な?頼むよ?お前が居たら絶対勝てるからさ!」

剣「ふんっ、下らない。キチンと報酬は払えよ」

奴隷2「お前が入ってくれるなら一週間だって昼飯奢ってやるっての!」

奴隷3「あ、あの戸倉君…これ……う、受け取って」

剣「ほう貢物か?殊勝な事だな、いいぞ褒めてやる」


今日もまた、奴隷共がボクに媚びを売ってくる
面倒だけど、それに応えてやるのも王たるボクの役目だろう



こうやってボクに媚びを売る人間に、ボクの右目を奪った奴らも混ざっていると思うと心底吐き気がする

しかし、既に粛清は行った
だからこそ、奴らはこうしてボクに媚びているのだから、それ以上の弾圧は不要だろう

無意識に、手が眼帯を撫でていた

ズクリズクリと、あるはずの無い右目が疼く感覚をジッと待った


毎日のようにこうして過ごしている


奴隷共の声に応え、偶に一人になって蹲る

ずっとずっと同じ毎日だった


そう、『だった』のだ


ボクは見た
彼女を見た
彼女だけは、他の奴隷と違って見えた


ボクは間違いなく………恋をした


戸倉剣が見た彼女の設定


の前に通う学校の設定
小・中・高と連なり大学まであるエレベーター式の学校
それなりに都心にあり、財政的に裕福な人間が多く通う

なのでヒロインの年齢はその範囲内
理想は13-18


彼女の年齢
安価↓1

彼女の名前
安価↓3

16

鹿島 弥生(かしま やよい)


>>47,49採用


名前:鹿島弥生
年齢:16
性別:女性



鹿島弥生の外面

安価↓3までの要素を合体

普段は1人でいる


>>51-53



【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない


詳細な設定

安価↓3までの要素を合体

とても気弱で臆病

コミュニケーションが苦手


>>55-57採用


名前:鹿島弥生
年齢:16
性別:女性

【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない
【内面】
未明


【詳細設定】
身長161cm
黒髪黒目で、重ためな前髪が印象的な純日本人
とても気弱で臆病な性格で、自分からコミュニケーションをとるのが苦手
人と話すこと自体は嫌いではないらしく、会話もできる
しかしフレンドリーな、精神的にも肉体的にも距離感が近い人は苦手
猜疑心の塊で有り、心を許せる友人などいないと思っている


彼女に限らず、他者の内面は徐々に分かっていく感じです

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あの時…確か、右目の疼きに蹲っていた時だ

「……あ、あの…大丈夫?」

無遠慮に声をかけてきた
おずおずとした、聞き覚えの無い声

剣「煩い黙れ、右目が疼くんだ」

どうでもいい奴隷に、構うなと言ったつもりだった

しかしその奴隷――彼女は

「…………」

無言でボクの背中を撫でた

突然の事に驚いたが、不思議と不快感は無かった
ボクの背中を撫でるその彼女の顔は、真剣に真摯にボクを見つめていた


その光景に、ボクは息を飲んだ

眼の疼きはいつの間にか治まっており、代わりに胸が疼き始めていた


剣「も、もういい」

振り払うように立ち上がった
それに一拍遅れて彼女も立ち上がった

ボクより背が高く、制服から高校生だと言うのが判明した

奴隷?「もう…平気?保健室、行かなくていい?」

剣「ふっ、ただの発作だ。もう慣れた」

奴隷?「…………そう」

それ以上は何も言わず彼女は背を向けたのだ
ボクに媚びを売るでもなく、無言で、その場を立ち去った

このボクの弱みを見たというのに、何を気にも留めずにだ


ボクは思わず声をかけていた

剣「お、おい!」

奴隷?「なに?」

剣「な、名前を聞いてやる。言え」

奴隷?「……鹿島弥生」

剣「鹿島…弥生……あ、ありがとう」

剣「ボクの名前は言わなくても分かるだろうが―――」

弥生「戸倉君でしょ?有名人だもの、知ってるよ」

またしてもそれだけ
ボクをボクと知っていてなお、彼女――鹿島弥生はクールにボクに背を向けた


ボクは彼女の背中を無意識に目で追っていた
ズクリズクリと跳ねまわる胸を押さえながら…


正に鮮烈な出会いであった

今思い返してみても、胸が高鳴る
ボクの勘違いでなければ、きっとこれが恋なのだろう

彼女の事をもっと知ろうと、奴隷共に情報を聞き出したところによると
普段はもっぱら旧実習棟の空き教室に居るとのことだ


しかし、それと同時に不穏な噂も耳に入る


鹿島弥生には、思い人が居るらしい…と


ボクの初恋には、早くも暗雲が立ち込めようとしていた………


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
プロローグ 終わり


というわけで、ここからが本編です

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

昼休み


しかししかししかし、だ

だからと言ってなんだと言うのだろう?
あの鹿島弥生に思い人が居るのかもしれない
真偽のほどは、この際どうだって構わない

この学校にボクよりも魅力的な男がいるだろうか?いや居ない!!

寧ろ好都合ではなかろうか?

媚びてくる奴隷を相手にするより、自分に関心を向けるというこの攻めの姿勢
そちらの方が、ずっとボクらしい

うんうん、と勝手に一人で納得していた

奴隷1「戸倉君、鹿島先輩と知り合いなの?」

剣「お前には関係ないだろう」

奴隷1「あ~あ、酷いんだ~。折角教えたのに」

目の前の奴隷は怒ってますと言わんばかりに、ワザとらしく頬を膨らませている


1、ムカついたので制裁を加える
2、無視して旧実習棟に向かう
3、ムカつくが、感謝を述べてやる

安価↓1


>>64採用:3


非常に腹だしいことこの上ない不愉快な姿だが、ここで手をあげては王の器が知れた物

剣「ウザいなお前、調子に乗るなよ?ったく、いい仕事をした。さっさと行け」

奴隷1「へへっ、戸倉君に褒めて貰っちゃった」

たった一言で表情を一変させ、コロコロと笑う


奴隷4「葉月ー!まだなのー?」

奴隷1「ゴメン今行く!それじゃあね戸倉君。お役に立てて光栄でしたっ♪」

奴隷4「剣様と話してたの!ねえねえ!剣様もうちらとご飯食べない!?」

剣「興味ない。ボクを巻き込むな」

奴隷4「お~怖。じゃ、行くよ葉月」

そうして姦しい奴隷共は去って行った
あの情報通でやたらボクに馴れ馴れしい奴隷、『葉月』という名前だったのか

ま、どうでもいいか



情報追加


名前:庄内葉月(奴隷1)
年齢:14
性別:女性

【外面】
人懐っこく喜怒哀楽の表現が豊か。噂好きで情報通
【内面】
剣に構ってもらうのが好き

【詳細設定】
155cm
ぼさぼさで癖の強いこげ茶色の髪、それをポニーテールにした姿が印象的な少女


そういえば、まだ昼ご飯を食べていないことを思い出した

ボクは………


1、お弁当
2、食堂
3、貢物
4、それ以外

安価↓1

1


>>68採用:1、お弁当


因みに……

1、母親が作った
2、妹が作った
3、手作り
4、それ以外

安価↓1


>>70採用:2、妹


妹の設定

年齢安価↓1

名前安価↓3

10才

戸倉 卯月(とぐら うづき)

既に双子ではないという判定が出ているので残念ですが安価↓にずらして
>>74,75採用

名前:戸倉 卯月(トグラ ウヅキ)
年齢:10
性別:女性


外面の設定

安価↓3までの要素を合体

自分がかわいいことを理解していてそれを最大限に利用している


>>78-80採用

【外面】
自分が可愛い事を理解している魔性の少女。愛想がよく可愛がられやすい


妹への理解度
0ほど低く、9ほど高い
お弁当 +1

直下コンマ


コンマ判定:8 かなり良好な関係を築いている


理解度により情報追加


【内面】
自分にはない魅力に溢れた兄に憧れている。大人と男を心底嫌悪している。身持ちがかなり硬い


【詳細設定】
身長139cm
長く柔らかな金髪を二つに振り分けた姿が印象的な、金色の瞳の幼い少女
溌剌とした性格の小悪魔な女の子
兄である戸倉剣と仲が良く、よく真似をしている
父親の事を嫌悪しており、その影響か浮気や不貞を絶対に許さない
自信の身持ちもとても硬い


ボクには妹の作ってくれた弁当があったのだった

自分の席に座り、手を合わせる

弁当の中身は不格好なサンドイッチ、ガタガタなウサギリンゴ
如何にもな子供が作った可愛らしいお弁当だった

ボクたちはお互いの弁当を作りあうほど仲がいい
妹の完成度は御覧の通りだが、ボクのお弁当の見た目には自信がある
ボクの天性の感性にちからがあれば、味にだって自信はある


ともあれ、ボクは食事を始めた…



イベント判定
5以上で発生
人気者 +2

直下コンマ


コンマ判定:3+2 イベント発生


奴隷の誰かが、ボクの机に机をくっつけてきた

その人物は……


1、奴隷2
2、奴隷3
3、それ以外(安価でキャラ付け)

安価↓1

2


>>90採用:2


奴隷3「あ、あの…一緒にご飯…いいですか?」

剣「そう言いながら包みを広げるな。ふんっ…好きにしろ」

この女、奴隷3はこの学校内でも特にボクに媚びを売ってくる女だ
いや、この奴隷の場合は奉仕のつもりもあるだろうか?
どういうわけか、やたらとボクに傾倒している

まあ、ボクにはそれだけの魅力があるからおかしくもない

奴隷3「あ、あのね。私もお弁当なんだ。えへへ…」

剣「そうか」

奴隷3「きょ、今日は頑張って私が作ったの」

剣「そうか」

手を広げて、お弁当を見て欲しいと訴えかける奴隷の行為に溜息を吐きながら中身を見てみる
ミートボール、プチトマト、ポテトサラダ、小さなおにぎりが三つと素朴な可愛らしいお弁当だった

つまらないなと見ているボクの姿に、目の前の奴隷は頬を染めて悦に浸っていた

奴隷3「あ、あの…好きなもの食べて?」

剣「ほう?ボクにお前のそれを食えと?命令するのか?」

奴隷3「ち、ちがっ!私…そんなつもりじゃなくって……」

しゅんと項垂れる奴隷
ボクは……


1、無視して食事を終えた
2、仕方なく、適当に摘まんだ
3、なんとなく頬を抓った

安価↓1

2


>>93採用:2


剣「………あむ、んぐんぐ」

仕方なく、ミートボールを口に運んだ
特筆すべきことも無い、普通としか言いようのない味だ

ボクの姿を見て、奴隷はパァっと顔を輝かせた

躁鬱の差が激しい女だ

奴隷3「お、おいしい…かな?」

剣「この程度で感想を求めるな。食べて欲しければ、もっと上手いものを寄越すんだな。…気分が乗れば、付き合ってやる」

奴隷3「えへ、えへへへ…うん!頑張るね!」

でへでへと気持ちの悪い惚けた顔で、目の前の奴隷は食事を勧めていた
その後も興味の無い自分の事をべらべらとしゃべり続けられた

この奴隷が話している間、周りの声が耳に届いた


 「ほら、柘榴花先輩また来てるよ」
                       「うわっホントだ。しかも戸倉君にベタベタしてるし。迷惑そうよね」

 「いい加減出て行って欲しいよね、上級生いるとウチら気まずいし…」


どうやらこの目の前の奴隷は、柘榴花という名前らしい
クラスの奴隷からボクを独占することで鬱陶しがられているようだ

………というか、この奴隷…先輩だったのか
まあ、どうだっていいか

そんな噂をされている間も、目の前の奴隷はボクの事しか目に入っていないようだった


情報が追加されました


名前:柘榴花 あや(ザクロバナ アヤ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
無口でそっけない。友達は非常に少なく、交流を持とうともしない
【内面】
強い依存心を持っている?戸倉剣に傾倒している


【詳細設定】
身長163cm
肩口辺りまでの桃色の髪の毛と、甘ったるいタレ目が特徴的な女性
内向的な性格で、他者との繋がりに意味を感じていない
しかし、夢中になるとどこまでも傾倒する癖があり、戸倉剣がその犠牲者となっている
興奮するとどもる。躁鬱が激しい気性を持つ
目に見えて分かるほどの巨乳



放課後


奴隷の話に付き合っていると、いつの間にか昼休みは終わっていた

そうして現在放課後
今度こそ、鹿島弥生と接触を果たそう

あの奴隷から、クラスの情報も得ているが……



1、鹿島弥生のクラスを訪ねてみる
2、旧実習棟を覗いてみる
3、鹿島弥生の情報を集める
4、自由安価

安価↓1



>>99採用:1、鹿島弥生のクラスを訪ねる


鹿島弥生のクラスを訊ねた

確か…高等部の1-Bだったはずだ

早速、その教室の扉を開いた


ボクに一斉に視線が集まる

「うん?下級生?」
                    「うわっ!あれ戸倉じゃね?」
「うそ!?生の戸倉君!?」
                    「バッカお前戸倉様だろ!」

嘲笑と驚きの混じった上からの視線を感じる酷く頭痛のする空間
やはり高等部のクラスは嫌いだ

堪らない吐き気を堪えながら、目的の人物を探す……


イベント判定
5以上で成功
1-B +3

直下コンマ


コンマ判定:5+3 成功


剣「か――」

奴隷3「と、とと戸倉君!?私に会いに来てくれたの…か…な?」

ボクが言葉をつげるよりも早く、足早に此方に向かってくる見飽きた奴隷
この女…これも鹿島と同じクラスだったのか

頭痛と右目の疼きを感じながら、向かってくる奴隷を振り払う

剣「煩い黙れ。お前なんかどうでもいい、鹿島弥生を出せ」

ボクの言葉にクラスが騒然とする

 「鹿島さん?あの子なんかしたの?」
                             「わかんない」
「ってか居ないじゃん鹿島さん。もう帰った?」
                             「いつも通りフラフラ出てったよあの子。一人が好きだし」

どうやら鹿島弥生は、ここには居ないらしい

ボクは……

1、実習棟に向かった
2、慌てて玄関に向かった
3、今日は諦めることにした

安価↓1

2


>>102採用:2

頭痛と疼きが収まらない
急いでこの場を去ろう

ボクは全速力で正面に駆ける
机を踏み台にし、開いている窓から体を外へと飛び出させる
ベランダの手すりを掴んで衝撃を軽くして真下へと飛び降りた

無論、下駄箱へのショートカットんためだ

上階から黄色い歓声が飛んできているがいつもの事だ

ボクは何も気にせずに下駄箱へと向かった


と、言う所で今日の更新はここまでです
楽しんでいただけたのならそれ以上に嬉しいことはございません

ちょっとだけ聞きます
ヒロインについてですが、現在殆どが此方で設定を決めていますが全安価の方がいいでしょうか?
一言でも喋ったキャラは、テンポ重視のつもりでこの方針を取ったのですが皆さんの意見も聞きたいです

1、現在進んでいる通り、殆どが私が設定を練ったヒロインで進める
2、これからは常に安価で決める
3、安価でつくるのと、私が設定を練ったヒロイン半々くらいの割合がいい

この三つの中からどれがいいか、意見をお聞かせください


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


お答えいただきありがとうございます!!

半々にという声が多いようなので、そのように進行していきます


感性素質についての補足
感情に関すること以外に、センスを問われる行動がとても上手になります
芸術面や、料理などの行動も非常に得意という事です


では、そろそろ再開です


下駄箱に向かうと情報通り彼女が居た

彼女の姿を眼にとらえた瞬間、頭痛も疼きもパタッと止んだ

上履きのまま玄関口から現れたボクを見ても、彼女は何の反応も示さない
いや、気づいていないのかもしれない


さて、見つけたはいいがどうする…



1、直球に自分が感じたことを伝える
2、日常会話を試みる
3、こっそりと隠れ、動向を視察する
4、自由安価

安価↓1


>>113採用:1


……尻込みをするなんてボクらしくない
制圧前進こそ、ボクの信条だ

剣「おい、鹿島弥生…だな」

弥生「……私に用事?」

剣「ボクはお前の姿を見ると、不思議と痛みが遠のく」

弥生「…そっか。よかった…ね?」

何を言っているんだろうと、彼女は困惑している
やはり、回りくどい言い方では駄目らしい

剣「ボクはお前の事が好きになった。それをお前にどうしても伝えたかった」

弥生「え?…………は?」

鹿島弥生は冷汗をかきながら困惑の表情を浮かべている
ボクはただ、彼女の言葉を待つ……


イベント判定
8以上で………

直下コンマ


コンマ判定:4 拒否


弥生「ごめん、意味が分からない。でも、ごめんね?その…気持ちに答えられないよ」

彼女は戸惑いながらも、明確に拒絶の意を示した

残念ではあるが、予想の範疇だ
決して、決して悔しくなんかないのだ

しかし、ボクの行為を無下にする人間なんてこの学校ではとても珍しい

剣「理由を聞こうか」

弥生「寧ろ私が聞きたいんだけど………理由なんて…無いよ。ただ、私は別に君の事が好きじゃないだけ」

剣「……他に好きな奴が居る」

弥生「……!…別に、そんな」

彼女は、変わらぬ口調でそう言った
しかし、明らかに反応を示していたことをボクは見逃していない

どうやら噂は事実だと思った方がよさそうだ

ボクは……


1、今日の所は出直すことにした
2、満足してその場を去った
3、探りを入れてみる

安価↓1

2


>>118採用:1


剣「そうか、ではな」

言いたい事を言って、確かめたいことも確かめられた
今日の所はこれで十分だろう

ボクは上履きの泥を払い、その場を去ろうとした

弥生「あ、待ってもらっていい?私の質問にも答えて」

剣「なんだ?」

弥生「どうして、私なんかに好きなんて言ったの?」

剣「お前が他の奴隷共とは違うからだ」

弥生「ど、奴隷?」

剣「自己評価が低いな。お前は、他の誰よりも素敵な人だとボクは思う」

そう言い残し、今度こそその場を去った

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


あまりの事に、私は夢を見ているんじゃないかと思った

美しい金髪を揺らす少年の背中を見送りながら、呆然と考える

あの、学園一の有名人『戸倉剣』
『傍若無人の美姫』とか『学園の支配者』とかいろいろ大層な呼び名で噂される彼

そんな人物から、私は好きだと言われてしまった

私はもしかして、いつの間にか少女漫画の主人公にでもなったのかしら?
などと嘯いてみるが、強ち冗談でもない状況に苦笑してしまう

しかし、なんだか私に話しかける彼は周囲から聞く印象と少し違っていた

口が悪いけど優しいとか、上から目線な世話焼きとか、罵倒しながら甘やかしてくれるとか、そんな感じじゃなかった

もっと穏やかだった
上から目線ではあったけど、優しげで魅惑的で、それでいて胸中を突き刺す鋭い目だった


何処までが、本気だったんだろう?
まさか全部なんて言わないだろう

私はからかわれたんだろう

そういう事にしておいた

私は頭を振って気持ちを切り替えたのだった

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


新たな情報を所得しました



名前:鹿島弥生(カシマ ヤヨイ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない
【内面】
好きな人が居るようだ。あまり自己評価が高くは無いようだ







鹿島弥生と別れた後、ボクは真っ直ぐ自宅に帰っていた

学校から電車で30分
閑静な住宅街にある、小奇麗なマンションの一室
そこがボクの住む場所だった

片親ではあるが、それほどお金には困っていない
母はあの男から袖の下を貰っていたからだ
自分との子供であることを口止めするためだったのだろう

残念ながら、静かにしていてもスキャンダルというのは簡単に明るみに出てしまうモノだったが

とにかく、ボクはそれなりに良い暮らしをさせてもらっている
両親が居る一般家庭とそれほど変わらないような、そんな生活だ

卯月「お帰りなさいお兄ちゃん!」

剣「ああ、ただいま卯月」

いつものように、妹に出迎えられる
どうやら母は、仕事でまだ帰ってきていないようだ

ボクは妹に夕食を作ってあげることにした


夕食を終えて、妹はテレビにかじりついている

さて、ボクは何をしよう?



1、妹に付き合う
2、適当に外に出る
3、早く寝る準備をしよう
4、自由安価

安価↓1

1


>>124採用:1


特に何かする予定も無い、ボクは妹に付き合う事にした

卯月「お兄ちゃん、お兄様、兄上…う~ん…」

卯月「あ、お姉さま!」

剣「……せめて兄と呼べ、ただでさえ女と間違われて鬱陶しいんだ」

卯月はボクの呼び方でどれがしっくりくるだろうかと、下らない事を考えていた
ボクは部屋着に着替えて、楽な姿勢で卯月の話に付き合っていた

ボクの部屋着は薄水色の柔らかい生地のパーカーとやたらと丈の短いパンツ
女性物だと知ってはいるが、母が喜ぶので仕方なく着ている

卯月「ねえねえお兄様、お風呂入りましょう?」

剣「…………」

当たり前のように妹はそう提案してきた


1、そろそろ一人で入れと言う
2、仕方なく付き合う
3、適当にあしらう

安価↓1

1


>>126採用:1


剣「そろそろ一人で入れ」

卯月「ええー!いいじゃない、お兄ちゃんだって卯月と入りたいよね?」

剣「全く思っていない」

『なんでなんで』と卯月は頬を膨らませて抗議する
相変わらず、甘えたがりな気質は全く収まる気配がない

卯月「だってだって、卯月一人じゃお兄様の髪の毛で遊べないでしょ?」

剣「どうしても必要な事じゃないだろう」

卯月「必要なの!卯月お兄様の髪の毛で遊びたいの!!だから…ね?」

上目遣いでボクに甘えた目を向ける
並の兄ならここで折れてしまうかもしれないが、ボクは並の兄じゃない

剣「言っておくが、ボクがそう簡単に折れると思うなよ」

卯月「む~…こうやってお願いすれば、大抵の人はなんでもくれるのに」

不満げな妹の言葉を頑として拒絶し続け、何とか一緒に入ることを諦めさせた
しかし、卯月は帰ってきた母と一緒にお風呂に入っていた

そろそろ何とかした方がいいのだろうか?
そんな事を考えながら、夜は更けていった………


一日目終了


二日目・朝


テレビを見ながら、朝食を食べる

 「そろそろ梅雨の季節の到来ですね」
                         「はい。皆さんも雨に備えて、きちんと天気予報を確認しましょう」

もうそんな季節か
適当にニュースを聞き流しながら、朝食を終えて学校に向かった



通学路
いつものように学生で溢れかえる道
普段通りの騒がしさに、何処かいつもと違う興奮の眼差しが混ざっているような気がした


1、奴隷に声をかけられる
2、噂に耳を傾ける
3、何となく寄り道をする
4、自由安価

安価↓1


>>130採用:2


周りの噂に耳を傾ける

 「おい聞いたか、戸倉剣が女子に告白してたってよ」
                                  「は?マジ?されてたの間違いじゃないの?」
 「如何にもマジらしい。しかもフラれたって」
                               「おいおいおい!流石にデマでしょ?」
 「なんか先輩らしいけど、全然誰か分かんない」

他の奴隷共も同じ噂をしていた
流石にボクの事となると、噂が広まるのも早い

あまり彼女の事は話題に上がっていないが、もし彼女に入らぬ手を出そうという輩が居るようならば
それ相応の処罰を加えなければならないだろう

一応は、気を回しておこう


教室に入ると、一斉にボクに視線が向いた

剣「おはよう奴隷共。ほら、お前たちも言え」

普段通りのボクに、口々に奴隷共は挨拶を返してくる
奴隷共は普段のように群がってくることは無く、遠巻きにひそひそと話している

あの噂の事だろう
フラれたとの話だったので、ボクの様子が普段通りな事に戸惑っているのだろう

噂の真偽を吟味している最中

ボクに話しかけてくる人物が居た


1、奴隷1
2、奴隷3
3、何かと張り合ってくる惨めな女
4、自由安価

安価↓1

1


>>133採用:1、奴隷1


奴隷1「ちょっとちょっと!聞いたよ戸倉君!フラれたんだって?」

奴隷4「ちょっ葉月!あんた無神経過ぎ!ゴメンね剣様この子馬鹿で」

やたらとボクに馴れ馴れしいあの情報通な奴隷と、それを諌める派手な容姿の奴隷

剣「無礼ではあるが、特別に許そう。何せ、事実だからな」

ボクの発言に、大きなどよめきが走る
噂が真実であった事に、衝撃を受けているらしい

奴隷1「えっ?ほ、本当だったの?」

剣「ああ」

奴隷1「ち、因みに…その相手って…鹿島先輩?」

恐る恐ると言った様子で奴隷はボクの様子を窺う

ここは……


1、名前を伏せる
2、認めるが、釘もさしておく
3、適当にあしらう

安価↓1


>>137採用:2


余計な騒ぎにならない内に、釘をさしておくか

剣「ああ、その通りだ」

奴隷1「うえええ!?そうだったの!?ああいうのが好きなんだ~…はえ~」

更にどよめきは広がっていく
いつの間にか、教室の外にも盗み聞きをしているギャラリー共が控えていた

寧ろ都合がいい

剣「初めに言っておく、ボクは彼女が好きだ」

剣「もし、もし今回の事が原因で彼女に迷惑をかけようと思っている奴が居るかもしれない。いや、確実に居るだろう」

剣「余計な気を起こすな。余計な詮索もするな」

剣「ボクは決して許さないだろう。決してな」

どよめきが一瞬鎮まる
そして再び人の声が聞えて来た時には、もう誰もその噂の話をしていなかった

盗み聞きに興じていた者共も、いつの間にか解散していた

今のこの言葉も、じきに広がる事だろう

剣「お前もどこかへ行け。聞かれたことには答えてやったのだからな」

奴隷1「あ、う…うん」

あの騒がしい奴隷も、ボクの剣幕に体が強張っていた


昼休み


すっかり普段通りの空気に戻りつつある校内

今日も弁当を持参している
そういえば、鹿島弥生は何処で食事をとっているだろう?

探してみてもいいかもしれない……



1、他の教室を訪ねる
2、教室で食べる
3、食堂に向かってみる
4、自由安価

安価↓1

3


>>140採用:3


食堂に向かうと、相当な人数の人間ががやがやと犇めいていた
滅多に食堂に来ないボクにとってはかなり喧しい空間のように思えた

こんな人数の中から彼女を見つけられるのだろうか?

ボクは忙しなく動く人々の中から、見知った顔を見つける……


1、探索判定
2、奴隷4に声をかけられる
3、一際目立つ喧しい声
4、自由安価

安価↓1


>>142採用:1


探索判定
5以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:5 成功


周りを見渡していると、鹿島弥生を見つけることができた
友人と思われる人と会話をしながら、食事をしていた

ボクは彼女に近づいていった

剣「隣、座るぞ」

鹿島「…!…どうぞ」

彼女は驚いたような反応を見せるが、少なくとも拒絶はしなかった

ボクの行動に、一緒に会話をしていた友人と思われる人が唖然としていた
フラれたという噂はもう学校中に広まっている
ならば、この行動に驚くのも当然か

ボクは弁当を開いて、気にせず食事を勧めた

鹿島弥生はなんだか落ち着かない様子で、そわそわとしていた



1、鹿島弥生に話しかける
2、話しかけられた

安価↓1

2


>>147採用:2


弥生「……」

彼女は何かを言いたげに、此方を何度もチラチラと見ている

剣「言いたい事でもあるのか?聞いてやるぞ」

弥生「あ、えっと……じゃあ遠慮なく」

弥生「ありがとう。何か、気を回してもらったって聞いたから」

剣「…ふっ、礼を言われることではない。ボクがただ、下らないちょっかいを出す人間が嫌いなだけだ」

弥生「……やっぱり、印象と違うね。戸倉君、いい人だ」

そう言って彼女は、小さくふっと微笑みを向けた

そうの光景に目を奪われる
冗談でも誇張でもなく、背景に花が咲いた

それほどまでに心奪われる光景だった

ドクンドクンと胸が疼き
体の熱が、頬に集まる

ボクは顔を背け、弁当を勢いよく口に放り込んだ


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

剣「ご馳走様。じゃあな」

突然顔を背けた戸倉君は、凄い勢いでご飯をかきこみ席を立った

弥生「うん、じゃあね」

私は彼に手を振った
その光景を友人は、大きな口を開けて呆然と見ていた

弥生「…?どうかした?」

友人「どうかした…って、どうかしてるでしょ?」

友人「弥生あなた、振ったの…よね?仲良さげだったじゃん」

弥生「そう?話すの2回…ああいや3回目だけど。戸倉君いい人だからかな、思ったより喋れる」

友人「いや、戸倉君も変だったわよ。赤面よ赤面!めっちゃレア」

友人「それになんか声も優しいし……まあ、私は眼中にないみたいだったけど」

弥生「そう?」

友人「私から話しかけても平気かな?あなたの友達っていうのをダシにお近づきに……」

弥生「あはは…うん、いいんじゃない?戸倉君、ちょっと怖いけどいい人だから無下にはしないと思う」

友人「………羨ましい限りね。あなたってば、愛しの彼が居ながらね」

弥生「か、彼って…そんなんじゃないからやめてよ」

そんなふうに友人にからかわれながら、食事を終えた

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


鹿島弥生の思い人の設定


1、憧れの先輩
2、同級生の幼馴染
3、学校の先生
4、自由安価

安価↓1


>>151採用:2、幼馴染


安価↓1:思い人の性別

安価↓2:思い人の名前

女の子


一個ずらして>>153,155採用


名前:日比乃 明日香(ヒビノ アスカ)
年齢:16
性別:女性


>>149で彼とか言っていますが、細かい事は気にしない方向で行きましょう



次は外面の設定
安価↓3までの要素を合体

とにかく面倒見がよい


>>157-159を合体


【外面】
柔和で大人しく面倒見が良い。ややヒステリックな一面がある
【内面】
未明



詳細な設定
安価↓3までの要素を合体

ボクっ娘


>>161-163を合体


名前:日比乃 明日香(ヒビノ アスカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
柔和で大人しく面倒見が良い。ややヒステリックな一面がある
【内面】
未明

【詳細設定】
身長151cm
ペタッとした艶やかな短い黒髪と、大きめな黒い瞳が特徴的なボーイッシュな少女
自分の事をボクと呼ぶ所謂ボクっ娘
何かを考えて行動しているようで全くそんな事の無いアホの子
普段は柔和で大人しいが、極偶にヒステリックに怒りをあらわにすることがある


お次は鹿島弥生の友人の設定
性別は女性となります


安価↓1:年齢

安価↓2:名前

16


>>166,167採用


名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性



近衛鈴鹿の外面

安価↓3までの要素を合体

友達想い


>>169-171を合体


【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
未明



近衛鈴鹿の詳細設定

安価↓3までの要素を合体

かわいいものが大好きなレズ

>>174
すみません、安価連取でした。
下にずらしてください

安価下


>>176
範囲安価の時は連取しても構いませんよ
しかし、今回はもう新たな安価が来ていたようなので希望通りずらします

>>173-174,177を合体



名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
未明

【詳細設定】
身長173cm
癖の無い腰辺りまである緑色の髪と、緑がかった瞳。すらりと伸びた長い脚が特徴的な女性
友達想いで照れ屋な性格
しかし、異性よりも同性を性的にこのむレズビアン
可愛いものに目が無く、特に可愛い少女が大好き
コスプレの趣味を持ち、衣裳を自作するほど
実は頭が良く、学園で一番の才女と実しやかに囁かれている


と、言う所で今日の更新はここまでです

安価の連取についてですが基本的にあまり規制はありません
しかし、安価スレ全体のマナーとして連取は控えてもらえるととても助かります

規制は無いとは言いましたが、流石に駄目だと思ったときには相応の対処をします


しかし、鹿島さん含めて彼女の周りはレズ塗れですな………


ではでは、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました


遅くなりましたがそろそろ再開です


放課後
※強制イベント



全ての授業が終わり、これからどうしようかと思案を巡らせていると――

バーン!

と、けたたましい音を立てて教室の扉が開かれた
クラス中の視線が音の方向を向き、そして何事かを即座に把握した

女「やっと捕まえましたわよ戸倉剣!全く、昼休みは何処に行ってましたの?余計な手間をかけさせないで下さる?」

如何にもと言った口調と、高圧的な態度
対峙するのもうんざりする

剣「出たな、惨めな女。ボクに用事があるのなら、相応の態度で声をかけろ」

女「ま、また私の事を惨めな女などと…!貴方こそ私に対して偉そうなんじゃありません事?私、上級生ですのよ」

剣「生憎だが、ボクに敬われるべき尊き人物などどこにもいない。ボクこそが一番上だ」

女「減らず口を…!と、とにかく!惨めな女は止めなさい!!私の名前はシンシア・パーシヴァルです。いい加減覚えたらどうかしら?」

シンシア・パーシヴァル
奴隷以下の人間の名前など覚えたくもないが、この女の名前は嫌というほど耳にしてきた
主に、こうしてこの女の口から
流石に無視し続けていても、名前は覚えてしまっていた

それはそれとして、コイツは惨めな女だが


シンシア「それとも人の名前すら覚えられない頭の持ち主なのかしら?あら?確か貴方、座学の成績がよろしくありませんでしたわね」

その物言いにはさすがのボクも無視できない
が、勉強が全くできないことは事実だ
事実だからこそ、腹が立つ

剣「チッ…シンシア。ボクに何の用だ」

シンシア「ふふふっ、その苦虫を噛んだような顔。いつもそうしていれば可愛らしいですのに」

うっとりとした上から目線を一頻り向け、ハッとしたように表情を変える
どうやら本題を忘れかけていたらしい

シンシア「貴方、聞きましたわよ。女生徒と一悶着あったそうですわね?」

ニヤニヤと性格の悪い笑みを浮かべる
やはり、この女はボクを馬鹿にせずにはいられない性分らしい

シンシア「…何故ですの!?何故学園一の美少女の私ではなく、あのような方に告白したんですの!?」

フラれたことをダシにからかってくるかと思ったが、微妙に予想を外す

シンシア「私に言ってくだされば、それはもう盛大に期待させて断って差し上げましたのに…」

訂正、やはり目的は予想と同じようだ


堪らない面倒くささに止めどなくため息が漏れる

この女には浅はかならぬ因縁があった
因縁というよりは、一方的な逆恨みだが

この女は学園の理事長と親族
こんな大きな学園の権力を握る人物の家ともなれば、当然お嬢様という分類になるだろう
加えてこの容姿と名前は一際注目を浴びることだろう

ともなれば、この女に媚びる人間は山のようにいることだっただろう
そう、ボクが来るまでは

この学園という箱の王様になりたかった女なのだ、この女は

だからこそ、惨めな女という名称に相応しい

剣「……はぁ…お前はとことん惨めな女だな。同情すら湧かない」

シンシア「な!?」

剣「ボクがお前に愛を囁くなど、天地がひっくり返ってもあり得ない。お前には魅力など微塵も感じられない」

剣「奴隷以下の惨めな女め、ここを去れ。ボクとこれ以上話がしたいのなら、その態度を改めてくるんだな」

シンシアは怒りで顔を真っ赤にしている
手袋をした手をギリギリときつく握りしめ、屈辱に耐えている

シンシア「…相変わらず、不愉快な方ですわ」

そう捨て台詞を吐き、去って行った


予定に無かった心労により、どっと疲れが襲い掛かる

あの女の相手は非常に疲れる
そこいらの奴隷のように、ボクに媚びていればもっと楽なものを

あの女が去った後、ヒソヒソとしたクラスの奴隷の声が聞こえてきた
そのどれもが、ボクに同情する声とあの女を鬱陶しがる言葉ばかり

ボクを目の敵にするあまり、あの女は孤立しかかっていた
味方など殆どいないのだろう

しかし何故そうまでしてボクに噛みついて来るのか?
噛みつけば噛みつくほど、自分の立場は悪くなる一方だろうに

まあ、ボクにはどうでもいいことだ


放課後を、どう過ごそうか?


1、鹿島弥生を探す
2、あても無く校内をうろつく
3、誰かに声をかけられる
4、学園の外をうろつく
5、自由安価

安価↓1


>>187採用:1



鹿島弥生を探すことにした
教室か、もしくは噂の実習棟に居るだろうか?


探索判定
5以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:1 失敗


鹿島弥生のクラスに話を聞くと、彼女は幼馴染とやらと先に帰ったらしい
この学園内に居ないとなると仕方がない、ボクは帰ることにした

その道中、声をかけられる……



1、奴隷2(バスケ部の男)
2、奴隷3(柘榴花 あや)
3、奴隷4(同じクラスの派手な容姿の女)
5、見覚えの無い長身の女(近衛鈴鹿)

安価↓1

5


>>191採用:5
※4つ目の選択肢なのに5という番号が振られているのはただのミスです


教室を出てすぐに、ボクを追いかけてくる者が居た
あの何かと付きまとってくる奴隷化と思い身構えたが、見覚えの無い長身の女だった

身長は170cmを超えている
正面に立たれるとかなりの威圧感があった

鈴鹿「待って待って!」

剣「…何の用だ?」

鈴鹿「今日のお昼、弥生とご飯食べてたんだけど覚えてない?」

剣「無いな」

鈴鹿「そ、そうよね~…まるっきり眼中にないみたいだったし…」

剣「もういいな。これ以上手間を取らせるな」

鈴鹿「まあまあまあまあまあ!私と仲良くしてるといいことあるのよ!」

こういう媚びを売ってくる奴隷などいくらでもいた
困っているわけでもなさそうだと、ボクは無視して背中を向けた


鈴鹿「私、弥生の親友なのよ?」

その言葉に、ボクは歩みを止めた
振り返ると女は安堵の息を吐きながら、眼鏡の位置を直していた

鈴鹿「私、あの子と付き合い長いのよね。あんな事やこんな事、戸倉君になら教えてあげるのにな~……チラッチラッ」

露骨に期待を寄せる視線を向けてくる
しかし、ボクとしてもあまり無視できない話でもあった

現に今のボクは鹿島弥生との接触に失敗しているからだ

剣「いいだろう、話を聞いてやるぞ。要求はなんだ?」

鈴鹿「やった!じゃあ、ちょっとついてきてもらってもい~い?」

ボクは女に手を引かれるままにどこかに連れて行かれる
…ボクの手を執拗に指で撫でまわしてくるのは確実に下心だろう

連れてこられた先は実習棟のある一室
電気が付けられると、その部屋の全容が明らかになった

鈴鹿「ようこそ我が服飾研究部へ!申し遅れたけど、私の名前は近衛鈴鹿。よろしくね」

服飾研究部という名の通り、部室内にはいくつものドレスのような豪奢な服が飾られていた
こんな部があったのかと、室内の服に目を奪われる


鈴鹿「私はね…ずっっっと待ってたの。戸倉君のような逸材を!!」

剣「そうか」

鈴鹿「戸倉君…キミにはこれを着て欲しいの!!」

そう言って部屋の奥に飾られているマネキンを見せる
そのマネキンには、何だかやたらとフリフリとした装飾激しい肌のラインを見せつけるぴっちりとした生地の、下半身の露出の激しい服だった

鈴鹿「何を隠そうこの部活!別名コスプレ同好会!!戸倉君には私の服を着て欲しいのよ!!」

鈴鹿「特にっ!特にこのっ!!『プリラブ』の衣裳を着て欲しいのよ!!」

興奮した様子で、その衣装の元となっている作品の説明をされる
全く内容は頭の中に入ってこなかったが、服自体には見おぼえがった
日曜の朝、妹が毎週見ているアニメのヒロインの服だ

所謂…そう、女児向けアニメの衣裳だ

鈴鹿「私じゃあ色々と大きすぎて様にならないのよ…」

剣「ボクに…それを着ろと?」

鈴鹿「うんうん!これからも着てくれるなら、いくらでも色んな事教えちゃう!」

剣「………」


正直な話、全く抵抗はない
普段着がちょっと派手になったくらいだ
さて……

1、堂々と着こなして見せる
2、適当なドレスを指さし、お前も着ろと命じる
3、あの女に主導を握られているのは腹が立つので、反抗してみる

安価↓1

2


>>195採用:2

剣「その服を着るのはやぶさかではない。お前が約束を守るというのなら、これからも付き合ってやらなくも無い」

鈴鹿「本当に!?お姉さん感激!!」

剣「しかし…だ。ただお前のお願いを聞くだけというのも芸がない」

適当に部屋を見回し、その中で一際目立つ純白のドレスを指さした

剣「あれを着ろ」

鈴鹿「…あら、あらあら。それにを眼につけたのね。でも残念、あれは着れないわ」

剣「理由は?」

鈴鹿「秘密よ。ヒ・ミ・ツ」

人差し指を唇に当てウィンクをしてきた
この女、あのドレスには何やら思い入れがあるようだ

鈴鹿「…どうしても着ないとダメかしら?それなら、交渉は決裂になってしまうけど」

剣「………いや、いいだろう。少し、興味が湧いた」

ボクは鈴鹿に手伝ってもらいながら、鈴鹿に差し出された衣裳を着た
やたらとボクのお腹や首筋を撫でまわしてくるのは、流石に不愉快だったので止めさせた


剣「…………」

鈴鹿「きゃああ!!可愛い可愛い!!もう最高よ!!」

衣装を着終わり、鏡の前に立つ
自らの姿とハイテンションな隣の女にげんなりとしてしまう

着るまで気が付かなかったがこの衣装、スカートが短すぎる
今にも下着が見えてしまいそうな感覚に、背筋がゾワゾワと気持ち悪い

剣「こんな服をボクに着せて喜ぶか、変態女め」

鈴鹿「もっと言って!!!」

今のこの女には、あらゆる罵倒文句は意味をなさないらしい
何十枚と写真を撮らせた後、漸くボクは解放された

剣「……はぁ、お前約束は覚えているな?」

鈴鹿「うんうん♪弥生の事よね。教えてあげる」

そうして、ボクは鈴鹿から弥生の情報を得た

どうやら昼ご飯を食べ終わると、一人で屋上に繋がる階段の下の物置で過ごしているという事を聞いた
そして、鹿島弥生の思い人の名前を聞いた


夕方
※強制イベント


あの変態に付き合ってすっかり遅くなっていたボクは、いつもより遅い時間で電車に乗った
その時ふと、見知った顔と目があった

奴隷4「あれ?剣様、一緒の電車だったん?」

剣「お前は確か…奴隷その4」

奴隷4「ど、奴隷その4って……ウチは山田千紗(ヤマダ チサ)。剣様、人の名前全然覚えてないよね」

剣「必要無いからな」

千紗「アハハッ、剣様以外が言ってたら笑うわ」

と言いながらも既に笑っているではないか
この女、特に何も考えずにモノを言っているようだ

千紗「隣、座らない?剣様のお暇をつぶすお手伝いをしてあげまーす」

剣「……」

暇な事は事実だったので、仕方なく付き合ってやることにした


千紗「へーマジ?剣様の家ってうちの近くじゃん。家ってかマンションだから部屋?」

千紗「つかさぁ、そんな家近くなのになんでウチら電車で一緒になったこと無かったんだろ?」

千紗「ああ!そっかそっか、剣様部活とか入って無いから直帰なんだ。じゃあ今日は?」

千紗「あ~あの先輩ね。割と有名じゃん?え、見覚えが無かった?剣様マジ剣様だわ…」

この女と話していると、つらつらと言葉が滑り出てくる
言うつもりの無かった変態女の愚痴なんてものを言ってしまった

この女、聞き上手というのだろうか?
自然と喋りやすい雰囲気があった

千紗「剣様もさー、人がいいって言うかさ。おかん的な?包容力?バリ感じるわー」

千紗「っと着いた着いた。ここっしょ?」

この女の言う通り、自分のマンションの前までついていた
普段ならば退屈に感じるこの時間も、今日は一瞬のように感じられた

千紗「ウチ、あっちだからさ。バイバーイ」

そういうと、あの女は手を振りながら帰っていった

全く存在を意識したことなどなかったが、アイツと話していると退屈しないな
名前は……山田…山下?どっちだったか…

如何にも思い出せない名前を思い出そうとして

まあ、どうでいい

と諦めたのだった


情報追加

名前:山田千紗(奴隷4)
年齢:14
性別:女性

【外面】
話し好きの聞き上手。ノリが軽く友達も多い
【内面】
未明

【詳細設定】
身長152cm
癖の無い短めの茶髪と三白眼が特徴的な少女
ヘアピンやピアスなどの装飾が多く、制服も盛大に着崩しておりとても目立つ容姿をしている
性格は明るく人と話をするのが好き
交友関係も広く、庄内葉月と特に仲がいい
人の輪に加わっていないと退屈を感じる性質


出し忘れていた情報も追加


名前:シンシア・パーシヴァル(惨めな女)
年齢:15
性別:女性

【外面】
高圧的で非常に勝気。胃もたれするようなコテコテなお嬢様
【内面】
過剰なまでに戸倉剣を目の敵にしている

【詳細設定】
身長は159cm
軽いウェーブがかかった金髪と、澄み渡る青い瞳が特徴的な少女
外見、口調、雰囲気、態度、どれか一つを取ってみても誰もが口を揃えてお嬢様と称するほどにお嬢様な気質を持つ
性格もお嬢様然とした上から目線の支配者気質
学校の権力者の親族であり、戸倉剣がある事件を起こすまでは間違いなく学園の女王であった
友達が全くいない
花を愛でる趣味がある




いつもより遅く帰ったためか、母に心配されながらも家族全員で夕飯を共にした


呆然とテレビを眺めながら、ふと自分のスマホを確認する
そういえば今日、あの変態女と奴隷4と連絡先を交換した
他にも奴隷1と奴隷2と奴隷3が勝手に登録した番号がある

誰かに連絡を取ったことなど一度も無いが、暇つぶしくらいにはなるだろうか?


しかし、今日は色々あって疲れたな
外に出るのは止めておこう


1、妹と過ごす
2、母親と過ごす
3、誰かと連絡を取る
4、自由安価

安価↓1

2


>>205採用:2


母親の設定を決めます



安価↓1年齢(最低でも29より上)

安価↓2名前

32


>>207,208採用


名前:戸倉 美紗綾(トグラ ミサヤ)
年齢:32
性別:女性



外面の設定

安価↓3までの要素を合体

子供たちの為なら世界を敵に回す母性愛の権化


時間も時間なので>>210-211で締切りとします


【外面】
退廃的な色気を放つ。子供たちの為なら全てを敵に回しても構わないほどの子煩悩



戸倉剣の母親への理解度
0ほど低く、9ほど高い

直下コンマ

奥ゆかしくも無邪気で人懐っこい


折角ですので>>213の安価も採用します


コンマ判定:1 あまり理解していない


【外面】
退廃的な色気を放つ。子供たちの為なら全てを敵に回しても構わないほどの子煩悩
性格としては奥ゆかしくも無邪気な面を覗かせる
【内面】
深く愛されていることだけは理解している


詳細な設定
安価↓2までの要素を合体

実はとある巨大財閥の令嬢だったが幼き日家を飛び出しそれっきり


>>215-216を合体


名前:戸倉 美紗綾(トグラ ミサヤ)
年齢:32
性別:女性

【外面】
退廃的な色気を放つ。子供たちの為なら全てを敵に回しても構わないほどの子煩悩
性格としては奥ゆかしくも無邪気な面を覗かせる
【内面】
深く子供を愛している


【詳細設定】
身長166cm
尻辺りまで伸びる長い黒髪と、とろんとしたタレ目で紫色の瞳が特徴的な女性
退廃的な色気を放つが、性格は非常に女性的で奥ゆかしい
永遠の17歳を自称するほど若々しい感性を持つ
実はある有数な巨大財閥の令嬢であったが、幼き日に家を飛び出して以来お家との関係を断絶されている


美紗綾「ねえ剣ちゃん、肩…揉んでくれる?」

母はお酒の匂いを放ちながら、淫蕩とした雰囲気でしな垂れかかってくる
普通の男ならば色香に惑わされ骨抜きにされている事だろうが、ボクは普通の男ではなかった

剣「ボクじゃなくて卯月に頼め」

美紗綾「あらあら、冷たいのね。反抗期かしら?」

何が楽しいのか、ボクの素っ気ない態度にも笑っている

美紗綾「学校は楽しい?酷い事されてな~い?なんでもママに言うのよ?」

剣「楽しいも何もないけど、一つ…楽しみはできたかな」

美紗綾「あら、あらあらあら。もしかして好きな人でも出来た?」

剣「そんなところだ」

美紗綾「まあまあまあ!聞かせて聞かせて?剣ちゃんの恋のお話聞きたいなー」

剣「まだ話せるようなことは無い」

美紗綾「そうなの?残念だわ~…」

それから肩をもんであげながら、母の話に適当に相槌を打った
生まれは相当なお嬢様だったそうだが、どうせ適当なデマだろう

母が眠るまで、話に付き合ったのだった……


※二日目終了


という所で今日の更新はお終いです
全てのヒロインの情報が出そろったのでもう一度おさらい


【鹿島弥生】
言わずと知れたメインヒロイン
ギャルゲーで言う所のパッケージヒロインとも言うべき存在
戸倉剣が名前を呼ぶ数少ない存在

【柘榴花あや】
メインヒロインの一人
ポンコツヤンデレ枠。別名、見えてる地雷
戸倉剣の認識で言うところの『奴隷3』

【シンシア・パーシヴァル】
メインヒロインの一人
今時珍しいほどのテンプレなお嬢様。私の趣味で出来ている
戸倉剣の認識で言うところの『惨めな女』

【近衛鈴鹿】
これでもメインヒロインの一人
お姉さん枠でありお色気担当
戸倉剣の認識で言うところの『変態女』

【山田千紗】
一応メインヒロインの一人
同級生であり、非常にチャラい
戸倉剣の認識で言うところの『奴隷4』

【日比乃明日香】
まだ喋っても居ないがメインヒロイン兼ライバル
恋敵であり恋愛対象という一粒で二度おいしい存在
戸倉剣の認識で言うところの『鹿島弥生の思い人』


その他の人物

【庄内葉月】
メインヒロインのようでそうじゃないサブヒロイン
ギャルゲーによくある情報通な友人枠
戸倉剣の認識で言うところの『奴隷1』

【戸倉卯月】
よくあるタイプのサブヒロイン
妹そのもの。私があんまり書いたことの無い珍しいポジション
戸倉剣の血の繋がった妹

【戸倉美紗綾】
これまたよくあるタイプの人物
主人公のエロい母親。普通に攻略できる
戸倉剣の実の母親


これらの人物に加えてまだ名前の出ていない奴隷2(男)と隠しヒロイン一人が攻略対象です
もう一度言います、全ての人物が攻略対象です
サブヒロインとメインヒロインの間にある壁はシナリオの濃さって所ですね

隠しヒロインはある特定の行動をすると発見できます


質問や感想なんかがあれば、何でも言って貰えると大変うれしいです


ではでは、遅くまでお付き合いいただきありがとうございました

乙です
もし誰か1人を攻略したらどうなるのでしょうか?
そのまま終了なのか、時間を巻き戻して別のキャラを攻略するのでしょうか?
もし終了なら攻略しなかった他のキャラのルートもダイジェスト気味でもいいから知りたいと思います。


>>221
一人のルートが終わったら、二人目に行ってから主人公を変えようかなと思ってました
多分安価でどうするか決めます
因みに二人目以降の主人公でも、同じ学校設定を使うつもりなので剣君がヒロインなんてのもあるやもしれません

それでは、そろそろ再開です


メインヒロインの戦闘力(胸囲)

二桁コンマ判定で査定し、00が最低値で99が最高値とします
予め大きい設定な柘榴花あやは80~90位の爆乳ですね


↓1鹿島弥生

↓2シンシア・パーシヴァル

↓3近衛鈴鹿

↓4山田千紗

↓5日比乃明日香


コンマ結果




鹿島弥生
服では隠し切れない膨らみ

シンシア・パーシヴァル
年相応でたおやかな曲線

近衛鈴鹿
大きすぎない理想的な大きさ

山田千紗
年齢と体格にしては大きい。将来有望

日比乃明日香
少年のような胸板。未来すら見えない



では、本編再開です


三日目・朝



空模様が怪しい
今にもというわけではなさそうだが、近々雨が降りそうだ

今日は……



1、早めに家を出た
2、普段通りに出た
3、かなり遅めに出た

安価↓1


>>231採用:1


かなり早い段階で家を出た
具体的に言えば普段よりも40分ほど早く学校についた

流石にこの時間ともなれば、運動部系の朝練に励む人間を除けば殆どいない

開放的とでもいうのだろうか?
人がひっきりなしに犇めいている場所がこんなにも静かだと、違う場所に居るように感じられた

気分よく散歩をしていると、ある女が視界に入った


あの惨めな女がジャージ姿で花壇の世話をしていた

ふむ、珍しいな
何か罰でも受けているのだろうか?


1、普通に挨拶をしてやる
2、煽ってみる
3、遠巻きに観察する

安価↓1


>>234採用:3


遠巻きに観察することにした

普段と全く違う印象だ
真っ赤な芋ジャージのせいだけではないな、何か違和感が……

よくよく観察し、日ごろの姿との違いを考えて得心がいった
そうか、髪を縛っているのか

肌の露出度で言えば普段と殆ど変わらないが、妙にあの近寄りがたさが抜けているように見える
恐らくだが、あのうなじが見えているというのが理由のような気がする

と、そんな事を考えていると
振り返ったあの女とバッチリと目が合ってしまった

女は明らかにキツイ目つきになり此方に近づいて来るが、自らの服装を見回すと
何故か慌てたようにその場を去って行った

余程見られたくない姿だったのだろう
あの女、もしかして毎朝こうしているのだろうか?


帰ってきて何か小言を貰う前に、ボクはその場を退散した


昼休み


さて、今日の昼はどうするか……


1、教室で食べる
2、食堂に向かう
3、誰かが話しかけてくる
4、即座に食べ終わり、どこかへ向かう

安価↓1


>>237採用:2


昨日に引き続き食堂に向かった
鹿島弥生は居るだろうか?

多くの人でごった返す食堂を見渡す……


イベント判定
5以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:7 成功


イベント選択

1、にんまりと笑いながら手を振る変態女
2、大声で呼びかけてくる奴隷
3、人の津波に流されて……

安価↓1

1


>>241採用:1


ふと見知った顔と目が合う
何かを企んでますと顔に書いてある変態女がボクに手を振っていた

溜息を吐きながらも近づいていくが、鹿島弥生が一緒に居るわけでは無かった

剣「…お前一人なのか?」

鈴鹿「お嫌かしら?」

剣「ああ。ではな」

鈴鹿「ああ待って待って!お願い!一緒にご飯食べましょ?」

ボクの肩を掴み、必死で頼んでくる
振り払う事は簡単だが……仕方なく付き合ってやることにした

鈴鹿「うふふ。戸倉君ってやっぱり押しに弱いのね」

剣「ふん。別にお前に従ったわけではない。ただ哀れだったから付き合ってやるだけだ」

終始ニコニコとした笑顔を向けてくる変態女の前の席に座り、弁当を広げた


鈴鹿「ねえ、戸倉君。剣ちゃんって呼んじゃダメ?」

剣「ハッ…勝手にしろ」

鈴鹿「あら、意外だわ。それじゃあお姉さんの事も鈴鹿姉さんって呼んでもいいのよ?」

剣「ほざくな変態が」

鈴鹿「あ、あら?剣ちゃんの中で私の事はそう呼ばれてるのね…」

『心外だわ』と眉を下げる
どの口が言うか

鈴鹿「剣ちゃんって毎日お弁当なの?手作り?何だか可愛らしいけど」

剣「……妹が作っている」

鈴鹿「妹ちゃん…卯月ちゃんよね?うふふ…可愛いわよねぇ…本当に…」

恍惚とした表情でうっとりと妹の名前を呼ぶ変態
コイツ、ボクの妹にすら目をつけていたのか

剣「言っておくが、ボクの妹に声をかけてみろ。忽ちお前は自分で歩く事すらままならない体になるぞ」

鈴鹿「あらあら、怖いのね」

口ではそういうが表情は余裕たっぷりと言った様子だ
まるでボクの事は御見通しとでもいうようだ


1、ボクの事をどれだけ知っているか聞いてみる
2、特に気にせず、鹿島弥生の事を聞く
3、余裕を崩させる

安価↓1

1


>>245採用:1


剣「…お前はボクの事をどれだけ知っているんだ?」

鈴鹿「ふ~ん…剣ちゃんでも、そういう人気とか気になるの?」

剣「どうでもいいだろう?聞かれたら答えろ」

鈴鹿「……と、言われてもね。特別詳しいわけでもないわよ」

鈴鹿「愛らしい容姿と傲岸不遜な性格。類い稀なる運動神経の持ち主で、陸上を始め水泳などの個人競技で華々しい記録をあげ続けた」

鈴鹿「そして、去年起こった事件の事。それくらいよ」

剣「……それだけか?」

鈴鹿「ええ、それだけよ」

本音の掴めない目で笑いかける
人の考えている事なんて容易に当てられるボクだが、この女は妙に読みづらいところがあった

何か演技をしていることと、何かを隠している事
その事だけは察することができた


新たな情報の追加


名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
何やら秘密を抱えているようだ


放課後


結局昼休みの間は、ずっとあの女に付き合ってるだけで終わってしまった

さて、これからどうするか………



1、鹿島弥生を探す
2、校内探索
3、誰かに話しかけられる
4、町を探索
5、自由安価

安価↓1


>>249採用:1


探索判定
5以上で成功
情報 +1

直下コンマ


コンマ判定:7+1


あの変態女に言われた通りの場所に向かうと、彼女は居た

旧実習棟の2階
旧音楽室

楽器などのその部屋の本来の目的を示すような道具は全て取り払われているその場所
埃の目立つ絨毯と、無造作に室内の後ろに詰められた椅子と机

そんな部屋の真ん中で、一つだけポツンと取り残された様に彼女は椅子に座って外を眺めていた

扉に手をかけると、彼女が驚いたように肩を震わせる

弥生「ごめんなさい、すぐ移動します」

剣「その必要はない」

弥生「…戸倉君?どうしたの?」

剣「ただお前に会いに来ただけだ」

ボクは彼女の隣に立って、彼女の見ていた外を眺める


その窓から見える風景は、何もない校庭だった
時折走っている陸上部員と思われる人が横切るだけ

弥生「あの…此処に居るって知ってたの?」

剣「ああ、あの…身長の高い眼鏡の変態コスプレ女から聞いた」

弥生「変態…?コスプレ…?ああ、鈴鹿か」

あの語群からアイツが連想されるところを考えると、友人からも似たような評価らしい

弥生「ちょっと変わってるけど、仲良くしてあげてね。とってもいい子だから」

剣「ちょっとどころの話ではないと思うがな。お前が言うなら、仲良くしてやってもいい」

此方からは特に語り掛けることなくただ隣りに居る
鹿島弥生はほんの少し、居心地が悪そうだ

剣「迷惑なら言った方がいい。でなければ何度も訪ねてくるぞ」

弥生「あ、ううん。迷惑とかではないから大丈夫だよ」

彼女はボクが部屋に来る前と同じように、外に視線を向け直した


1、何故こんなところに居るのか聞く
2、話しかけられる
3、日比乃明日香について聞く
4、自由安価

安価↓1


>>254採用:1


剣「何故、こんなところに居るんだ?」

弥生「ん~?う~ん……陸上部の練習が見れるでしょ?」

答えるか少し迷っていたようだったが、彼女は話してくれた

弥生「その中にね幼馴染…明日香っていうんだけど、あの子が練習してるのが見えるんだ」

弥生「此処から見える校庭の端っこは高跳びの練習によく使われてるから」

弥生「それでね、此処に居るとね…私を見つけてくれるんだ。『お、今日も居るな』って嬉しそうに手を振ってくれる」

弥生「だからかな」

そう言った彼女は校庭を見つめながら、そこにはない別のモノを見ていた
照れくさそうに頬を染めるその横顔は、今まで見てきた彼女のどの表情よりも可愛いと感じられた
その顔をボクに向けられたらと強く思った

恋をしている表情とでもいうのだろうか?
もし、この姿が絵だとして題名をつけるのならきっと『焦がれる君』とでもつけられるだろう
それほどまでに純粋に、幼馴染に思いを寄せる鹿島弥生の声と表情は、堪らない魅力に溢れていた


剣「ボクも、君に対してそんな顔をしていたか?」

弥生「…?私どんな顔してる?」

剣「熱に浮かれて惚けた顔だ」

弥生「ええっ!そんな…そう…かな?分かんないや…恥ずかしいな」

彼女は更に顔を赤く染め、両手で顔を隠す
こんな表情もするのかと感心してしまう
表情に乏しいという印象の彼女だったが、事幼馴染の事となるとコロコロと違う表情を見せる

ボクはまだ彼女を揺さぶれるほど、彼女にとって大きい存在ではないだろう

暫く外を眺めていると、ポツリポツリと音を立てて雨が降って来た

弥生「…この様子だと、陸上部の練習は体育館かな」

少し、残念そうなトーンで彼女は言う

剣「まだそれでも、此処に居るか?」

弥生「ううん。帰るつもり」

剣「傘はあるか?無いならやるぞ」

弥生「大丈夫。折り畳み持ってるから。……えっと、じゃあね」


彼女はそう言ってボクに背を向けた
ボクは……

1、一緒に帰ろうと誘った
2、『またな』とその背を見送った

安価↓1

1


>>257採用:1


コンマ判定
5以上で成功

直下コンマ


コンマ判定:6 成功


剣「一緒に帰ってもいいか?途中までで構わない」

弥生「え?……えっと…○○駅の方だけど戸倉君も同じ方向なら」

剣「ボクも同じだ」

本当は真逆の方向だったが嘘をついた
自分から誘っておいてそのチャンスをふいにしたくなかったからだ
この場面でやっぱり無理はあまりにも格好がつかない

弥生「そうだったんだね、じゃあ…行こっか」

剣「ああ」

そうしてボクは彼女と帰ることになった


二人で傘を並べて歩く

ボクも彼女と同じく折り畳み傘
普段から鞄の中には常に折り畳み傘が入っている
母が服を汚すと怒るからだ

しばらく無言だったが、彼女の方からボクに質問をした

弥生「あのさ、戸倉君って私の事…本気なんだね」

剣「今更気づいたのか?」

弥生「う~ん…うん。実を言うとずっとからかわれてるんだって思ってた」

弥生「それだけでも無くて、何か怖い事されるのかな~とか思ってた。なんて、本人に言っちゃ失礼だよね」

弥生「でも、戸倉君の事って噂でしか知らなかったからさ。何だか怖いイメージだった」

そう言いながら彼女は口元に笑みを携える


弥生「あの時は何も知らないからああ答えたけど、今ならもっと真剣に答えられる気がする」

弥生「偉そうかもしれないけど、聞いてもらえる?」

剣「いいぞ」

ボクは迷いなく言葉を返した
彼女は少し間を置いて、ボクの顔を見ながら言った

弥生「お付き合いはできないけど。私と、お友達になってくれませんか?」

弥生「戸倉君が嫌じゃなければだけど…」

彼女の瞳がほんの少し不安で揺れている


さて、なんと答えようか?


1、『ボクの事をこれからは名前で呼べ』
2、『答えてくれてありがとう。だが、遠慮する』
3、『今はそれでもいい。だけど、すぐにその関係も終わらせて見せよう』

安価↓1

1


>>264採用:1


剣「ボクの事をこれからは名前で呼べ。ボクもそうする」

弥生「…それじゃあ宜しくね、剣君」

剣「よろしく、弥生」

弥生「むっ、呼び捨てなんだ」

剣「不服か?」

弥生「私の方がお姉さんなんだし、先輩って呼んで欲しいな。それとも戸倉君はそんなこと出来ない?」

彼女は意地悪な試すような目をボクに向ける
誰か敬称をつけて呼ぶなんてここ最近では一人もいないのだが……

剣「弥生…先輩」

彼女の為と、折れてあげることにした

弥生「うむうむ。素直ないい子だね後輩君」

彼女は満足そうに笑ってくれた
その報酬だけでも、我慢したかいがあったと思えた




食事を終えて、自らのスマホを開く
連絡先には『鹿島弥生』の名前が追加されていた

思わず頬が緩む

卯月「お兄様、嬉しそうね」

剣「ん?ああ…とてもいい事があったんだ」

卯月の頭をなでてやると、嬉しそうに目を細めた
普段なら滅多にやらない事だが、ボクは浮かれているのだろう

自室に戻り彼女に連絡を入れようとして、指が止まる

そういえばボクはこういった交流を全くしたことが無い
そもそも、電話をしてどうする?メールを送るにしても文面はどうする?
それ以前に、このツールは友達とどういった連絡を取り合えばいいのだろうか?

母親意外とは滅多に連絡を取り合わない身では、そう言った学生らしい交流の仕方がさっぱり思い当たらなかった

そんな時誰かから着信が入った
差し出し人は『近衛鈴鹿』
その内容は好きに使ってねという文章と共に、制服をまくり上げ下着を見せつけている写真だ

ボクは即座に履歴を消そうとして、指を止めた
………もしや、こういったやり取りが普通なのでは?

いや、そんな馬鹿なことは無いだろう
しかし、一応消さずにそのままにしておいた


1、妹と過ごす
2、夜の町に顔を出す
3、自撮り写真を撮って、誰かに送る
4、自由安価

安価↓1


>>267採用:2


部屋着から着替えてボクは外の町に顔を出した

雨が降っていないと思い鞄も何も持たずに外に出たが、しとしととほんの少しだけ雨粒が落ちてきていた
仕方なくパーカーのフードを被りながら外を歩く

夜の町は昼までと大きく顔を変える
人々の行きかう声が明らかに変わり、人々の視線が鋭いものに変わりゆく


特に目的があるわけではない
ボクはふらふらと散歩を始めた


イベント判定
1-3 何もなし
4-6 声をかけられる
7-9 同じ学校の制服
0   ???

直下コンマ


コンマ判定:6


目の前を二人組の男が道を塞ぐ
舌打ちをしながら道を開けるが、男たちはその開けられた空間を通るわけでもなくボクを囲むように近寄って来た

男1「ねえねえ夜遊び?一人じゃ寂しいっしょ」

男2「そうそう俺らが一緒に居てあげるよ。暇なんでしょ?いい場所知ってるからさ」

馴れ馴れしく手を伸ばす男の手を払いのけ、フードを脱いで顔を見せてやる
大方女と勘違いした輩だろう

男1「うっわ外人さん?日本語平気?こんな時間に一人は危ないよ」

男2「そうそう、いやぁ声かけたのが俺らでよかったね。他の奴らほっとかないよ……えっと英語でなんて言うんだ…」

男たちは顔を見合わせながら拙い英単語で話しかけてくる
どうやら顔を見せることにまったく意味は無かったらしい


深く溜息を吐き、蹴りでも喰らわせてどかせようと思ったその時

「ハイハーイ、ちょっとゴメンよー通らせてねー」

強引に男たちの間に割って入り、ボクの腕を掴んで引っ張る男…いや女か?
赤いジャージ姿の健康的な容姿の女がボクに親し気に話しかけてくる

男2「あ?んだよお前、その子俺らの連れなんだけど」

女?「う~ん。そうなの?そう見えなかったんだけどな~」

とぼけたようにそう言いながら女はボクを背中に隠すようにし、アイコンタクトをしてくる
もしかしてボクを逃がそうとしてくれてるんだろうか

男1「お前も知り合いじゃねーだろ。痛い目見たくないならどけ」

女?「ダメダメ、暴力なんてよくないよ。ボクだって女の子なんだから」

男2「女ぁ?カマ野郎の間違いじゃねーの?」

そう言って男どもは下品に笑い合う
女はあくまでも柔和な笑みで、じりじりと距離をとろうとしている

このままこの女に任せてやってもいいが……


1、成り行きに任せる
2、男共に容赦なく制裁を加える
3、女を担ぎ、走って逃げる

安価↓1

3


>>272採用:3


女の身体に腕を回すと、ボクが不安に思っていると勘違いしたのか

女「大丈夫だよ…絶対に酷いことはさせないからね」

そう小声で言ってきた
どうやら相当なお人好しらしい

ボクは女の括れの辺りと足の裏に腕を添えて、軽々と持ち上げた

「「「へ?」」」

間抜けな声が三つ重なる
誰もが状況を理解できていないことをいいことに、ボクは全速力で駆けた

女「え?なに?何が起こってるの?」

女は突然抱き上げられて困惑していたが、バランスをとるために自然と首に腕を回してきた
所謂お姫様抱っこという奴だ

あらゆるものを踏み台にしてとび越え、一瞬で男共を撒いた


周囲に人が居ない事を確認し、女を地面に立たせる
女は少しバランスを崩しながらも、すぐに此方に向き直る

女「あ、えっと…ありが…とう?逃がしてくれたんだよね?」

剣「お互い様だ。いや、お前の場合は無茶するなというべきか」

女「あはは…それ言われると弱っちゃうけど。勝手に体が動くんだよ」

分かってはいたがこの女どうやら馬鹿らしい
そうでもなければ、あんな場面に関わろうとはしないだろう

女「それにしても君凄いね!ボク、これでも結構体重あるんだけどあんなに走れるなんて…しかもあんなに飛ぶし…本当に人間?」

剣「人間以外に見えるのなら、眼鏡の購入を検討しておくんだな」

女「結構キツイこと言うんだね…」

女はバツが悪そうにしながらも能天気な笑みを見せる

剣「お前もああいう面倒な輩に捕まるなよ?じゃあな」

女「ああ!ちょっと待って!名前、聞いてもいい?ボクは日比乃明日香っていうんだ」

剣「………」

日比乃明日香、何処か聞き覚えがある名前だな
取り敢えずここは……


1、素直に名乗っておく
2、無視して帰る
3、適当な名前を名乗っておく

安価↓1

1


>>275採用:1


日比乃明日香…そうか、思い出した
鹿島弥生の思い人の名前だったな

これも何かの縁だ、ここで宣戦布告しておくのも面白いかもしれない


剣「ボクの名前は戸倉剣」

明日香「戸倉剣ちゃんかぁ……ん?え?もしかしてあの!?」

剣「きっとお前にとって忘れられない名前になるだろう」

剣「ボクは必ず、お前から大切なモノを奪う」

剣「また会おう、日比乃明日香」

ボクは挑発の意味を込めて笑い、その場から去ったのだった

もう少し不安を煽ってやってもよかったかもしれない
そんな事を考えながら、家路についた


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

剣「ボクは必ず、君から大切なモノを奪う」

剣「また会おう、日比乃明日香」

そう言って彼女…戸倉剣は颯爽と去って行くのだった

ボクはただ呆気に取られてしまっていた
助けたと思った女の子は女の子じゃなくって、男の子だった挙句に、あの学校一の暴君と噂の有名人だった

ボクの胸がざわついていた
今までこんな経験をしたことが無い
感じた事の無い騒めきに、ボクは体が温まっていくのを感じる

思い出させるのはボクを抱き上げる彼の横顔
息一つ切らさず、涼しい顔で走り続ける彼の横顔

思い起こすと更に体が騒めいた

明日香「ボクの大切なモノを奪う…?どういう事なんだろう?」

明日香「それにこの騒めきも何なんだろう?もしかして既に何かボクの身に起こってるのか?」

でも、確かな事が一つだけあった

明日香「カッコよかったな」

日比乃明日香は抱き上げられている感覚を、じんわりと思い出していた

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


新たな情報の追加と、情報の修正


名前:日比乃 明日香(ヒビノ アスカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
柔和で大人しく面倒見が良い。ややヒステリックな一面を覗かせることがある
【内面】
正義感が強いようだ

【詳細設定】
身長166cm


と、言うわけで今日の更新はここまでです


毎度ながら夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました


あまり進められないと思いますがそろそろ再開です


四日目・朝


昨日と打って変わっての快晴
今日は雨が降る心配もなさそうだ

さて……


1、早めに学校に行く
2、いつも通りの時間帯で行く
3、家でゆっくりしてから行こう

安価↓1

2


>>283採用:2



いつも通りの時間帯で登校する

通学路では多くの学生が各々、仲のいい人物と固まって移動している

そんな最中でもボクの姿があれば、皆一様に道を開ける
やはりこの感覚というのは代えがたいほどに気持ちがいいものだ

そんなボクの背中に声をかけてくる人物が居た…


1、奴隷2
2、奴隷3
3、変態女

安価↓1

3


>>285採用:3


右側から忍び寄る気配に気づき、其方から伸ばされていた手を掴み捻りあげる

鈴鹿「痛っいたたたた!」

不用意にもボクの右側から近寄って来たのはあの変態だった
悪意はないと分かり、手を離してやる

剣「お前か。二度とボクの右側から近寄るなよ」

鈴鹿「ちょっとびっくりさせようと思ったのよ、ごめんなさいね」

『分かればいい』とボクはそのまま歩き出す
変態女はまるで僕の友人であるかのように、隣から話しかけてくる

鈴鹿「昨日の写真、気に入ってくれたかしら?」

剣「……ああ、あれか」

そう言えば昨日この女から下着写真が送られてきたのだった
また下らない事を言っているな、と適当に聞き流す

鈴鹿「――――――て―――わよね?」

剣「は?」

鈴鹿「あら、お嫌かしら?」

完全に聞いていなかった
何か提案されていたらしい


1、適当に相槌を打っておく
2、取り敢えずNOと言っておく

安価↓1


>>287採用:2


剣「バカな事を言うな」

何が何だかわからなかったが、取り敢えず拒否しておいた
この女の事だ、絶対碌なことにならない

鈴鹿「残念ね。引き受けてくれたら、弥生の特選プライベート写真をあげてもよかったのに」

剣「ふんっ、言っていろ」

変態女は残念そうに頬に指を立てている

少し惜しい事をしたなとか、全然思っていなかった
もう全然欲しく…はあるけれど、この女から貰う必要なんてないのだ

何時か、自分の力で見ればいいだけの事だ


変態女の下らない戯言に付き合いながら歩いた


昼休み


さて、今日はどこで食べようか?
と思案を始めた時

奴隷3「戸倉く゛ーん゛!!!!」

獣のような咆哮と共にボクに向かって走ってくる化け物…基奴隷が一人
涙や涎を垂れ流し大変汚い様相であった

剣「ち、近寄るな!クッソ!貴様はバカか!!」

奴隷3「会いたがっだよおおおおお!!」

女の顔をハンカチで拭ってやり何とか宥める

奴隷3「お、一昨日からずっと昼休み教室に居ないから…わ、私が訊ねてくるのが嫌でどっか行っちゃったのかと…」

奴隷3「私の事、き…きき嫌いになったりしてないよね?」

剣「今まさに嫌いになったところだ」

奴隷3「ええええ!?そ、そっか…私…気持ち悪いよね……」

奴隷はまさにこの世の終わりと言わんばかりに意気消沈している
なんとも面倒な奴隷に目をつけられてしまったものだ

しかしこの奴隷が持っている弁当の包みと思われる物
妙に大きいような気がするが、どうするか……


1、仕方ないので付き合ってやる
2、丁度良く助け船がやってくる

安価↓1

2

※名前判明しているのに奴隷3の表記のままにしてしまった。次から気を付けます
>>290採用:2


どうしたものかと考えている間にも

あや「あ、あの…今日はね、と戸倉君の為にね作ってきた物があるんだよ?いっぱい勉強したんだ」

と、勝手に話を進め始めている

あや「この―――」

包みから何かを取り出そうとしていた丁度その時

千紗「剣様!ウチらとご飯食べいこーよ!」

何かを言おうとしていた言葉の上から覆いかぶさるように、大きな快活な声が此方に向けられる
ボクからしてみれば都合がいい助け舟

剣「ああ分かった。というわけだ、先約がある。お前も適当にボク以外と飯をすませるんだな」

あや「あ…うん。突然、ごめんね。私なんかが戸倉君の時間を取らせて…」

流石にこの女が相手とはいえ罪悪感が湧いてきたが、ボクは弁当を持ってボクを呼んだ女の後を追った


食堂の適当な席に座り、弁当の包みを開く
目の前の席に座るのはあの話上手な奴隷
後ろや隣を確認するが、大きな違和感があった

剣「…お前一人なのか?」

千紗「ああうん。剣様、あの先輩に絡まれて迷惑そうにしてたからさ。…もしかして、出過ぎた真似って奴だった?」

剣「…いやいい」

思う所がないわけではないが、特に優しくしてやる理由も無い

千紗「……あの先輩と仲良くするの、止めといた方がいいよ」

そう言った奴隷の顔はいつになく真剣な表情だった
ボクは思わず食事の手を止めて話を聞く


千紗「剣様は中学からこの学園に来たから知らないと思うけど、ウチとあの先輩は小学校も此処の付属だったんよ」

千紗「あの先輩、昔から友達に囲まれてるってタイプじゃなかったけど今ほどじゃなかった。昔は普通に友達もいた」

千紗「今はもうないんだけど、昔は小学校の裏手に飼育小屋があってウサギを飼ってた」

千紗「あの先輩は飼育委員で『ウサギさん』って皆から呼ばれてたくらい、熱心にお世話をしてたの」

千紗「その頃の先輩と話したことあるけど、本当に普通な控えめな子だった」

千紗「でもある日、事件が起こった。飼われていたウサギが全滅、しかも病気とかでは絶対にない。檻が破られてた形跡も無くって野犬とかでもない」

千紗「明らかに人間の手で解体されたて磔になったウサギ」

千紗「もうみんな大騒ぎでさ、警察沙汰になるかもって時、皆あの先輩の事心配してた」

千紗「あんなに大切にお世話してたんだもん、絶対悲しむだろうからって。そんな中、先輩はいつものようにやって来た」

千紗「それでウサギを見てね―――――溜息を吐いたの」

千紗「そのまま無言でウサギを掴んで『私が埋めておきますね』って」

千紗「あの時の冷え切った声と眼。空気が凍ったみたいだった」

千紗「あの事件、そのまま飼育小屋と一緒に無かったことのように扱われてる。あれ以来誰もあの先輩と距離をとるようになったんだ」

千紗「ウチもさ、人を見る目がある方じゃないけど何か『怖い』ものがあの先輩にはあったと思う」

そう締めくくり、長い話を終えた


千紗「別にあれから先輩の周りで怪事件があったとかじゃないんだけど……ちょっとさ…」

そう言ってボクを見る
流石にこの話を聞いた後では、言わんとすることは分かる

剣「ボクがあのウサギになるんじゃないかという事か?」

千紗「あはは…うん、そゆ事。心配し過ぎって分かってるんだけどね」

千紗「先輩ってどっちかと言えばクール系じゃん?あんな風に熱をあげて誰かに構ってるのなんて、それこそあのウサギ以来だったからさ」

剣「そういうモノか」

ボクは食事を再開する
その姿を見て、目の前の奴隷も食事を再開した

そう言ったオカルトの類は一切信用していないから恐怖などはない
しかし、薄々感じていたがあの女は相当な闇を心に飼っているようだ

本当に、面倒くさい奴に目をかけられてしまった


情報追加


名前:柘榴花 あや(ザクロバナ アヤ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
無口でそっけない。友達は非常に少なく、交流を持とうともしない
【内面】
強い依存心を持っている?戸倉剣に傾倒している。何かどす黒いモノを感じる時がある


放課後


昼休みはあのままずっとあの奴隷と話していた
やはりあの奴隷の会話の能力、中々に侮れない
会話を途切れさせないという、ある種の才能を持っている気がする


さて、これからどこに行くか…



1、旧実習棟の音楽室に行く
2、服飾研究部の部室に行く
3、中庭に行ってみる
4、高等部の1-Bを訪ねる
5、帰る準備をする
6、視線を感じる気がする……
7、自由安価

安価↓1

2


>>297採用:2、服飾研究部の部室を訪ねる


と、言う所で今日は短いですがここまでです

それではまた、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開でござんす


すみません、今日は更新するつもりだったんですがちょっと出来そうにありません
本当に申し訳ありません

更新再開は明日に延期します


そろそろ再開です


服飾研究部の部室を訪ねる

鈴鹿「あら、私に会いに来てくれたの?」

剣「勘違いするなよ。ボクはボクの為にお前に付き合ってやるだけだ」

鈴鹿「ふふっ、そうね。じゃあ今日はこの服を着てもらおうかしら」

変態女の提案を渋々と受け入れる
服を脱がせようとしてきた女の手を払いのけ、自分で服を脱ぐ

鈴鹿「脱がされるのは嫌なのに、裸を晒すのは平気なの?」

剣「お前の着せてくる服よりはな」

変態女の手を借りつつ服を着る
流石に着る作業はこの女がいなければ手順が分からない

鈴鹿「じゃあ今日は、お化粧もしてみましょうか」

剣「…はぁ、勝手にしろ」

もうどうでも好きにしろと、ボクは導かれるように鏡の前に座る
女は楽しそうに大きな化粧箱を取り出してきた


化粧を施される自分の姿に妙な感覚に陥る

化粧の事なんて欠片も知らないが、化粧には二種類あるように思える
一つは足りないモノを補うための『美化』の化粧
そしてもう一つは別人に成りすます『変身』の化粧

今、ボクに施されているのは前者の方だ

まあ、どちらにせよ
ボクにとっては顔に絵を塗られているという感覚が、正直な所だった

鈴鹿「そう言えば聞いたわよ、明日香の事」

剣「ほう?そうかそうか。今頃焦っている事だろう、宣戦布告をかましてやったからな」

鈴鹿「…そうね、ある意味ね。剣ちゃんの想定外な方向だと思うけど」

ある意味とはどういう意味だろうか?
…妙な含みを感じるが

鈴鹿「そうそう、弥生と友達になったんですってね」

剣「ああ」

鈴鹿「手が早いわね。あの子はそう簡単に心を開く子じゃないんだけど」

剣「ふふん、一重にボクの魅力だな」

ボクは得意げに鼻を鳴らした


1、この女の事を聞いてみる
2、触れてほしくない場所

安価↓1

1


>>305採用:1


剣「……しかし、お前はそれでいいのか?」

鈴鹿「ん?何の事かしら?」

剣「こんな事をしてボクに協力をして、友の情報を売る。それでいいのかという意味だ」

鈴鹿「ふふふ、これでいいのよこれで」

女は含みのある笑顔で余裕たっぷりに言う
あまり見くびられるのは癪に障る
ボクを好きに玩具にしたいのかもしれないが、そう簡単にはいかないことを教えてやろう

剣「…そうだな、一つボクの予想を話そう」

鈴鹿「あら、なぁに?」

剣「お前はどうやら事を思い通りに進めるのが好きだ。裏で手を引く黒幕と言ったような仕事だ」

剣「ボクとのやり取りにおいてもそう、お前はボクに鹿島弥生と日比乃明日香の関係を知ってほしいんだ」

剣「敢えてボクが強く踏み込むことを幇助している。その理由は踏み込むことで、ボクが自らの意思で手を引くだろうと思っているから」

剣「違うか?」

鈴鹿「…!…意外ね、そういう人の心を読めない人だと思ってた」

どうやら図星だったようだ
女は思わず化粧をする手を止めていた


剣「更に加えるなら、お前も鹿島弥生と同類。同性に愛を抱く性質なんじゃないか?」

鈴鹿「それは別に隠していないわよ」

女は含みの無いさわやかな笑顔でそう言った
わざわざ指摘されるまでも無いと言わんばかりだ

鈴鹿「あの子…弥生の恋は本物よ。その純情で健気な想いを知ればきっと応援したくなるわ」

剣「ハハハ!馬鹿なことを言う。ボクは端からその恋心を蹂躙するつもりで近づいてる」

鈴鹿「残酷ね」

剣「もう遅い。ボクに目をつけられた時点で手遅れだ」

そう会話しながらも化粧は続けられ、ようやく完成したようだ
ボクの眼帯が邪魔をして中々作業が捗らなかったらしい

完成した自分の顔に対した違和は感じない
こんなものかと思うだけだ

剣「しかし、お前について疑念が一つだけ残る」

鈴鹿「あら、これ以上何を暴こうというの?」

剣「お前は男に近づく事すら憚れるタイプに見える。なのに、こうしてボクにベタベタと寄ってくるところだ」

剣「単純にボクの容姿が女性的だからか?」

鈴鹿「んふふっ、ええそんなところよ」

女はまた、笑顔で心を覆い隠す
悟らせまいと本音を隠す笑顔の厚化粧

笑ってごまかすのがこの女の癖らしい

………まあ、ボクにはどうでもいいことだ

女に好きに写真を撮らせ、ボクはキッチリ報酬を頂いた
日比乃明日香の情報という要らないおまけもついてきたが


※鹿島弥生と日比乃明日香の情報を入手しました。探索判定時に補正が入ります


情報追加


名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
真性の同性愛者。笑顔で本音を隠している





風呂から上がり、リラックスした気分で床につく

早すぎるがこのまま眠ってしまってもいいかもしれない
ボクはどう夜を過ごすか思案した…


1、妹と過ごす
2、母と過ごす
3、誰かと連絡を取る
4、外を徘徊する
5、自由安価

安価↓1

2


>>310採用:2


夜遅くに母が帰って来た
ボクは布団から起き出し、母に夜食を作ってやることにした

美紗綾「わざわざありがとう剣ちゃん」

母は無邪気な笑顔を見せる

剣「養ってもらっている身だ。これくらいはしよう」

美紗綾「あらまぁ、剣ちゃんも大人になったのね…」

母はニコニコとした表情で夜食を食べていた
しかし、不意にその表情を曇らせる

美紗綾「……お母さん、剣ちゃんに無理をさせてないかしら?」

美紗綾「服の事だって、未だに私が買ってきたものを着ているでしょう?」

美紗綾「そろそろ自立させてあげるべきなのかしら」

ふむ、酒が入っているからか妙に悲観的な様子だ
なんと答えようか?


1、服に執着はないし平気
2、自分で服を選んでいいのなら有り難い
3、寧ろ気に入っている

安価↓1

3


>>313採用:3


剣「いや、寧ろ気に入っている」

美紗綾「本当に?」

剣「ああ、嘘じゃない」

実際その言葉に嘘は無かった
今の今まで生きて来て慣れ親しんだ服だ
今では周りの眼にも慣れきってしまった

あの変態女が好むような、夢の中の世界のような衣装は流石に普段は着れないが
母が買ってくるような服であれば何ら抵抗はない

体格が大きくなって着れなくなるまでは、母の趣味を楽しむとしよう
……大きくなるよな?

美紗綾「お母さんそんな事言われたら調子に乗っちゃうわよ?」

剣「好きなだけ調子に乗れ」

美紗綾「きゃあああ!剣ちゃん大好きいい!!」

キツク首に腕を回される
まあ、無意味に落ち込んでいるよりよっぽどいい

ボクは溜息を吐きながらも、母の話に付き合った


五日目・朝


今日も昨日に続いて快晴だ
雨は降らないだろう

さて、学校に行こうか……


1、早めに学校に行く
2、いつも通りの時間帯で行く
3、家でゆっくりしてから行こう

安価↓1

3


>>316採用:3


ゆっくり行こうと考えていたが電車の足止めを喰らってしまい、予想より遥かに遅れてしまった
このままでは遅刻の瀬戸際だな

そう考えながらも特に走ったりしないのがボクだった
走れば余裕で間に合うし

千紗「はぁ…はぁ…はぁ…!ヤバい…遅刻かも」

そんなボクと相反し何とか間に合おうとする奴隷が一人
息を切らせて体がブレブレだ

千紗「ん?あれ?剣様じゃん。こんな時間で会うなんて珍しい」

剣「たまたまな」

千紗「ってか走った方がいいんじゃない?遅刻するよ?」

剣「別にどうでもいい」

千紗「……な~んかウチだけバカみたいじゃん。歩こ~っと」

その奴隷は走るのをやめてボクの隣を歩く
ボクの事などほっとけばいいのに、損な気質だな

歩きながら話すことにした


1、普段からこんな時間なのか?
2、昨日聞いた柘榴花あやについての続き
3、謎の噂

安価↓1


>>318採用:3


千紗「そうだ剣様『逃げ惑う美少女』の噂知ってる?」

剣「…なんだその頭の悪そうな噂は」

千紗「ウチらが住んでる方の町でさ、そんな噂が立ってんの」

千紗「夜は確かにそんなに治安良くないけどさ、その逃げてる女の子の目撃情報が結構上がってんの」

千紗「色々あるけど共通しているのは『凄い身体能力』そんで『しきりに後ろを気にしている姿』」

千紗「何かに怯えてる様な、何かから逃げてるみたいな様子なんだって」

剣「そうか…」

どうでもいいな、というのがボクの感想だった
『凄い身体能力』というのが気になるが、まさかボクの事じゃないだろうな?
怯えた様子など見せたことが無いから、十中八九思い過ごしだろう

剣「しかしお前、昨日の話と言いオカルトが好きなんだな」

千紗「うええ!?ウチが!?無理無理無理!ホラーとかマジキツイんだから!夜出歩くのだって命懸けだかんね!」

剣「なら夜に出歩くな…」

そんな事を話しながら、ボクたちは仲良く遅刻した


昼休み


午前の授業も終わり、長い休み時間がやって来た
今日も弁当を持参している

さて、何処で食べるか…


1、教室で食べる
2、食堂に向かう
3、偶には中庭にでも行ってみようか
4、誰かが話しかけて来た
5、自由安価

安価↓1

1


>>322採用:1


教室でいいか

ボクは自分の机に弁当の包みを広げた
食事を始めようとして、誰かが近づいてくるのを感じた

其方に目を向けると……



1、柘榴花あや
2、日比乃明日香
3、まさかの展開

安価↓1


>>324採用:3


あや「と、とと戸倉君。ご飯一緒に…」
明日香「おーい!剣君!ボクこの前のお礼に…」

あや「ふえ?」
明日香「うん?」

流石にこれは予想していない展開であった
同時に二人、ボクを訪ねて来ていた

一人はいつもすり寄ってくる奴隷3
もう一人はなんとボクの恋敵

ボクとはかかわりがあっても、全く縁の無かった二人が顔を合わせる事態となった

明日香「あ~えっと…君は確か、弥生と同じクラスの子だ」

あや「と、戸倉君。ご飯一緒してもいいよね?」

明日香の事は眼中にないのか用件を言い直す

明日香「あ、ボクも同席してもいいかい?ゴメンね君、机借りてもいいかな?」

明日香は席を立とうとしていた者に許可を得てから机をくっつけてきた
いつも無断で空いてる席を持ってくるやつとは大違いだ

しかし、ボクの許可なく一緒にご飯を食べようとする姿勢はどちらも同じだった


明日香「二人は友達なのかい?高等部と中等部の生徒が部活動以外で関わりを持つなんて珍しいよね」

明日香は気兼ねなくボク達の事を聞いて来る
しかし友達かと問われれば返答に迷う、無難に奴隷と言っておくか

あや「戸倉君は私の大切な人です」

明日香「ふ~ん…特別な関係って所なのかい?」

あや「当然です」

剣「嘘を吐くな嘘を。お前はボクに付きまとってくるだけの女だ」

やれやれとため息が出てしまう
この、妙に剣呑とした空気が鬱陶しい

しかしこの奴隷、ボク以外と話すときは敬語なのか。しかもやけに冷たい雰囲気だ
これならクール系と評されていたのも納得できるな

明日香の方も何故かボクと奴隷との関係に探りを入れてる様子だ
何が目的だ?弱みでも握るつもりだろうか?

ボクは落ち着かない空気の中、妹の弁当を食べ進めた


早々に先に食事を終えて弁当箱を包み始める
その様子を見て、奴隷は慌てて小さな包みを広げ始める

あや「そ、そうだ。これ…戸倉君に食べてもらいたくって」

あや「あ、あのあの…嫌じゃなければだけど」

そう言って取り出したのは小さなタッパー
その中にはマドレーヌだろうか?小さな焼き菓子が入っていた

剣「ほう、気が利くな。褒めてやるぞ」

あや「え、えへへ…良かった、昨日は受け取って貰えなかったから、ずっと緊張してたんだよ」

そんなボク達の会話にバツが悪そうにしている明日香

明日香「いやぁ…まさかこんな事もあるとはね。剣君は人気者だね、うんうん」

剣「何が言いたい?」

何かを躊躇っている様子だったが、明日香も何かを取り出した

明日香「あはは……このタイミングで渡し辛いんだけど、ボクからもお菓子なんだ。助けてもらったお礼にね」

明日香が取り出したのは可愛く包装されたチョコレートのお菓子
身てくれと口ぶりから分かる通り、どちらも手作りなのだろう

明日香「良かったら貰って欲しい」

あや「わ、わ私の方が絶対に美味しいから!!」

謙虚な明日香に反して、珍しく自分をアピールする奴隷
さて……どうするか…


1、食べずにどちらも貰っておく
2、その場で食べて感想を伝える

安価↓1

2


>>330採用:2


後で感想を聞かれに来ると面倒だ
わざわざボクに会いに来る口実をくれてやる理由も無い

ボクはその場で食べて感想を伝えることにした

「「………」」

二人は興味津々と言った面持ちで、真剣にボクの行動を見ている

昨日の負い目もあってか先に手を出したのは奴隷の焼き菓子
その次に明日香のチョコを口にした


二人の料理の腕前
0ほど低く、9ほど高い


直下コンマ:あや判定
練習 +1

↓2コンマ:明日香判定

あや:8  非常に上手い、商品に出しても全く見劣りしないだろう
明日香:9 天性の才能。今すぐにでもお店を開くべき


なんでボクはこんな事をしているんだとふと我に返る
あまりにも面倒になったので直球の言葉を返してやる

剣「ボクが作った方が美味いな」

バッサリとそう言ってやった
これだけ言っておけば、そうそうボクに何かを贈ろうという気分にはならないだろう

正直な話、二人の作ったお菓子は相当に美味しかった
特に明日香はこのボクが手放しで絶賛してやりたくなるくらいにはだ

明日香「へえ、ボク結構自信あったんだけどなぁ。それだけ言うなら剣君の作ったものも食べてみたいかな」

あや「…!あ、あのわわ私もいいですか?べ、勉強させてほしいです」

期待の眼差しを一身に受ける
どうやらボクは墓穴を掘ったらしい
普通の男ならばプレッシャーに負けてしまうのだろうが、生憎ボクは普通では無かった

剣「調子に乗るなよ。ボクが手料理を振る舞うなんて家族以外ではありえない。お前らがボクをその気にさせてみろ」

と言い放つ
それが、二人を焚き付けることになったのは完全にボクの誤算であった


と、言うわけで今日の更新はここまでです

それでは、お付き合いいただきありがとうございました


それではそろそろ再開でございます


放課後


昼休みは休み時間だったはずだが、大変な疲労を背負い込んだような気がする

柘榴花あやは分かる
アイツはボクに心酔している
行動の理由に何ら疑問は無い

しかし日比野明日香はどうだ?
恋敵である僕にあそこまでする理由はなんだ?
ただ義理堅いというだけでは済まないような、ボクに探りを入れている様だったが
かといってあまり他人を詮索するような人間とも思えない

あの女、イマイチ行動が読めないな


まあ考えすぎても仕方がない
これからどうするか……


1、旧実習棟の音楽室に行く
2、服飾研究部の部室に行く
3、中庭に行ってみる
4、高等部の1-Bを訪ねる
5、帰る準備をする
6、声をかけられる
7、自由安価

安価↓1

1


>>339採用:1


鹿島弥生に会いに音楽実習室に向かった
事前に『今から行く』と伝えると『待ってるね』と返って来たのですれ違う心配も無い

音楽室にはやはり、彼女が一人で居た

弥生「いらっしゃい、剣君」

初めてここで顔を合わせた時と違い、彼女はボクを笑顔で招き入れる
彼女が座っている隣には椅子が一つ置かれており、ここにおいでと誘われる

本当に不思議だ、彼女と居ると自然と心が安らぐ
浮足立つとよく言うが、正にそんな感覚だ

はねるような心持でボクは彼女の隣に座った

剣「弥生は…あぁ……弥生…先輩」

弥生「ふふふっ、何だか慣れないって感じだね」

剣「ああ、人を敬称で呼ぶことに全く慣れていない。やはり弥生先輩も上下関係を気にする方なのか?」

弥生「そういうわけでもないんだけどね。ちょっとした夢っていうか、先輩って慕ってくれる子に憧れてたんだ」

剣「まあお前が喜ぶならそれでいい」

弥生「あんまり窮屈なようなら呼びやすい方でいいよ。友達に気を遣わせるのもよくないから」

剣「なら、遠慮なく」

そういうと、少し肩の荷が下りたような気分になる
やはりあの呼び方はボクの性に合わないからな
弥生の方も、先輩と二三度呼んでもらえてもう満足したようだ


弥生「そうだ、明日香から聞いたよ知り合いになったって」

剣「ほう!そうかそうか、なんと言っていた?」

やはり明日香から弥生に一昨日の事が伝わっていたらしい
宣戦布告の効果を知ろうと身を乗り出して聞いてみたが…

弥生「う~ん…カッコよかったって」

と、何とも的外れな答えが返って来た

剣「訳が分からんなアイツは」

弥生「そうかな?素直でまっすぐだと思うけど」

そんな会話を続けながら窓の外を見る
窓の外では、陸上部が練習を始めていた

弥生のお目当ての高跳びの練習も始まっていた
明日香の姿も確認できた

明日香はこちらを見ると大きく手を振ってくる

弥生「ふふっ、ちゃんと見てるよ」

弥生は薄らと頬を桃色に染めながら、控えめに手を振っていた

一拍遅れて隣りに居るボクの存在に気付いた明日香と目が合うが、此方から視線を切ってやった
恋敵が思い人と仲良くしている姿を見て、気分がいい筈がない


練習を始めた明日香の様子を眺めながら会話に戻る


剣「なあ、友達とはどんな会話をすればいいんだ?」

弥生「どんなって……普段は他の人とどんなこと話てるの?」

剣「普段は一方的に話を聞かされているだけだ」

弥生「そうなんだ。結構聞き上手なタイプなんだね」

剣「そういうわけでもないと思うがな…」

ボクが聞き上手だとは思えない
本当にただ、すり寄ってくる奴隷の相手をしているだけだ

弥生「まあ深く考えなくっていいと思う。私も話し上手ではないから」

そう言って弥生は照れたようにはにかんだ


1、鈴鹿の事
2、明日香の事
3、右目の話
4、自由安価

安価↓1

3


>>343採用:3


弥生「そういえば最近体調は平気?」

剣「?特に変わったことは無い」

弥生「そっか、初めて会ったときは蹲ってて震えてたから…心配してた」

そう言われ初めて会ったときの事を思い出す
もう一週間近く前になるあの出会い
ボクは定期的に襲い来る発作に膝をついていた

しかし、最近は全くあの発作に悩まされていないことに気付いた

弥生「発作って言ってたよね?持病の類なの?」

剣「…いや、後天的なものだ」

意識をし始めると右目が熱く脈打つような感覚が走った
忘れられない、忘れられるはずもない
あの痛みだけは永遠に体に刻まれている


右目を押さえる仕草に弥生は何かを察したように目を伏せる

弥生「…ゴメンね、嫌なこと思い出させたかな?」

剣「いや平気だ。弥生と居ると気分が良くなる。嘘じゃないぞ?」

弥生「…うん」

ボクに気を遣わせたと思っているようだ
まあ確かに俄かに信じがたい話だから仕方がない

弥生「…その右目の事。この学校で一躍あなたが有名になった事件の事。実はよく知らないんだ」

弥生「もし、もしだけど…良かったら聞かせてもらえないかな?」

弥生「あなたの事、もっとちゃんと知っておきたいから」

剣「……ああ、構わない。いずれ嫌でも知る事だろうしな」

そうしてボクはあの事件の事を思い返す
あの、秋の出来事を…

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


そもそも、ボクは中学校に上がる前に既にスポーツの世界で名前を知られていた
『神童』『天才』様々な呼ばれ方で世間はボクをもてはやした

当然、この学校への入学もスポーツ推薦でやって来た
試験の内容などあってもないような、形式上なもの
その頃のボクは自分を抑圧して生きていたし、大人たちからの評判も良かった

今では想像もできないような生活
ボクはなるべく、目立たち過ぎないように生きようと思っていた

己の出自があまりにも汚れていたからだ
汚職、収賄、横領、様々な悪行を重ねた大物政治家がボクの父親であることを、ボクは知っていた
あまり頭が良くないが、あの男の息子と知られればただでは済まないだろうと、あの頃のボクでも容易に想像できていた

しかし、スポーツ特待生である以上どうしても目立たないわけにはいかなかった
陸上部と水泳部の兼部
ボクはその両方で、同年代をはるかにしのぐ力を見せつけていた
高校生に交じっても遜色ないどころか、それすらも容易に凌ぎうる記録を持っていた

今思えば、夏の大会の時点で多くのヘイトを集めていたのだろう

ひっきりなしに来るマスコミ関係各社
ありとあらゆる人々が、ボクを持ち上げてくれていた

その時のボクはまさにヒーローだっただろう


しかし世間の人気に反し、学校での扱いは報じられる華々しさとは違った面があった
確かにその時にはすでにボクにすり寄って来る者もいた
それと同時に、所属していた部内の人間と強い亀裂が生まれていた

それも当然だろう、自分たちより練習時間が少ない人間が誰よりも大きな記録を打ち立てるのだ
学校にとって益となる存在だからと、明かな学力の遅れが許されている
自由な振る舞いが許され、先生から持て囃される存在

それがボクだった

特にボクと同期の他のスポーツ特待生の嫉妬はすさまじいものがあった
狂気や怖気を感じさせるほど、真っ黒な意思を宿してた

それでもまだ、彼らの意思は限界ギリギリで理性を保たれていた

だがそれも容易く決壊する
あの忌々しい父親の存在によって

世間はボクの活躍と同時に、ボクのプライベートすらも強く欲していた
有名税とでもいうのだろう、ボクの周りにはストーカーまがいの取材も数多くいた

そんな奴らがついに嗅ぎつけたのだ
とっておきの大スクープ

世間をにぎわすヒーローの真っ黒な過去だ
どうあがこうとも変えられない血の繋がりという現実だ


世間とは面白いもので、潔白なものから汚いものを見つけた時ほど執拗にその汚れを嫌悪する
波風を立たせないようにしたいと思っていたボクの謙虚な振る舞いこそ、津波を生む原因になるとはついぞ思いもしなかった

あの男の息子というだけで、世間の評価は一変した
ボクの全てが疑われた

『記録は八百長だった』『裏で弱みを握っていた』『裏金を渡して大会に出ていた』
様々な噂がたてられた
そのどれもが真偽を疑うようなものだったが

『あの男の息子なら有り得る』

その評価こそが、まさにあの男の息子であるボクへの共通認識だった

当然、学校内の評価も変わっていった
持ち上げておかねばならない存在から、叩いてもいい奴へとボクは変わったのだ

それからは凄惨ないじめの日々
机には汚物が撒き散らされ、ロッカーや靴箱はその仕事を果たすことができなくなっていた
そんな現状からも、教師陣はボクを守ろうと取り計らってくれていたが、それが更に鬱憤を溜めていた生徒の反感を買った


母に学校に行かなくていいと泣いて謝られた
その事があまりにも辛くて、ボクは全てに耐えてほとぼりが冷めるのを待った
ボクはただ、静かにしていれば収まると思っていた

そしてついに来る運命の10月

理由はあまりにも下らないものだったと思う
確かそう『まだボクの事を慕う奴が居るから』とそれだけだった
たったそれだけの理由で、ボクを擁護しようとした人すらもいじめの対象になった

ボクはそれを見過ごせなかった
庇った相手が誰だったか思い出せないが、きっとあまり話したことも無い人だ
女の人だったように思い出せる

その人に詰め寄る輩をボクは咎めた
暴力を訴えてきたが、ボクは反射的に反撃し撃退してしまったのだ

その二日後
中等部のスポーツ特待生を含む、総勢20名
ボクは奴らにリンチを受けた

必死で抵抗はしたものの、数の暴力には勝てなかった
何よりも妹を盾に迫られた事がボクから抵抗を奪った

今でも覚えている、この右目に残る感触を
醜悪な目つきと、下劣な笑みを、汚臭を撒き散らす奴らの欲望も
右目を犯す激痛と、吐き出された生臭い匂いを

そして人生で初めて味わった、尊厳を破壊される屈辱を

ボクは絶対に忘れられないだろう


奴らの報復が収まり、意識が遠ざかる中でボクの耳に届いてきた奴らの言葉

『次はアイツの妹だ』

気が付くとボクは悠然と立ち上がっていた
感覚的に本能的に理解した、ボクの何かが壊れたと
あの言葉が抑圧されていたボクの全てを破壊した

そこから先はボクの記憶よりも、当時の担任教師の方が良く知っているだろう
死屍累々の惨状の中、右目の潰れた少年が血の涙を流しながら叫んでいたと

『許さない赦さないユルサナイ!!!』

そう、悪魔に取りつかれたかのように叫んでいたと

幸いボクを含めてすべての負傷者に、死者は居なかった
寧ろ怪我の度合いで言えば、後遺症を残したボクが最も悲惨だったようだ
肉体的ではなく、精神的な後遺症を残したものは幾らかいたが

数週間の入院生活の後、ボクは学校に登校した
その時にはすでに、ボクはもう今のボクになっていた
あらゆる抑圧から解放された、今のボクだ

学校での扱いも変わっていた

いじめの事を認知していたからか、ボクの罪は軽く数週間の謹慎処分
いじめの主犯格となった少年ら数名は退学処分となった
それ以外のあの騒動に参加した生徒全ても、長期停学処分となった

そんな事もあったからか、いじめはすっぱりと無くなっていた
それどころか、ボクに媚びを売ってくる生徒が増えていた
それは一重に退学者がでたというよりも、ボクがもう加減をするような人間じゃないと誰もが知ってしまったからだ

あの騒動の動画が密かに出回っており、ボクに逆らおうとするものは誰も居なくなっていた

それ以降、現在に戻る
部活も全て辞め、自由に振る舞い、奴隷共からすり寄られる今の日々に…

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


剣「…とまあ、そんなところだ」

剣「それ以来、時折ボクの右目が疼く。激しい頭痛と吐き気に襲われる」

剣「ふっ…右目など、無い筈なんだがな」

それがあの事件の顛末だ
いじめを行っていた生徒の大半は中等部の生徒、退学者は全て中等部の生徒だ
それ故か、高等部の生徒は無関係だと考えている者も多い
実際あまり関係は無かったのだろうし、こうして鹿島弥生も詳しく知らなかったのだ

弥生「………」

ボクの話を彼女は沈痛な面持ちで聞いていた
暫くして顔をあげると、彼女はボクの顔に手を伸ばし…

右頬にそっと手が添えられた

剣「な、ななな何をする!」

突然のスキンシップに思わず情けない声をあげてしまう
それでも鹿島弥生はボクの頬を親指で撫で続ける


弥生「……触るよ」

剣「えっ!あっ!やめっ…」

彼女指がボクの右目を眼帯の上からなぞる
ボクは恐怖と驚きに両目を瞑って体を強張らせる

あの日から誰にも触らせたことの無い右目
右側から人が近づいてきただけで防衛反応が出てしまうほどに染みついたトラウマ

その筈なのに、彼女の手は払いのけられなかった

不思議なほどに嫌な気持ちが湧いてこない
いっそ気持ちがいいくらいだった

弥生「嫌じゃない?」

剣「あ、ああ……しかし、な、何故?」

弥生「右目の疼き、私と居ると納まるって言ってたから。こうしてあげれば、ちょっとでも剣君の苦痛を取り除けるかもって…」

弥生「ゴメンね、こんな事しかしてあげられないよ。私には、あなたを慰める術が何もないから…」

剣「いや…いや、そんな事はない。…お前の手はとても温かい」

ボクはただ、目の前の光景に目を奪われていた
あまりにも美しいと思ったから

鹿島弥生は他人の痛みに共感し涙をこぼしていた

彼女はそれに気づいていない
純粋で純情で、清らかさに満ちたその精神性
そのあまりにも美しい光景に、ボクは目を放せなかった

人を傷つけることをいとわない、傍若無人なボクでは、他人の為に涙を流せない
ああ、きっとボクにはこうして涙を流せないから…こんなにも彼女に焦がれてしまうんだろう


名前:鹿島弥生(カシマ ヤヨイ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない
【内面】
根が非常に純で有り、人の痛みに涙を流してしまうほど精細な感性を持つ
自己評価が高くないようだ




あれから長い間、ボクは鹿島弥生と居た
時間忘れてしまうほど、抗いがたい快楽だった
しかし、どれほど祈ったところで時間は無情にも過ぎ去っていく

彼女は日比野明日香と下校していった
ボクも誘われたけれど、断ってしまった
あれ以上傍に居れば、あの明日香の前ですらも情けない姿を見せてしまいそうだったからだ

夕飯を食べ終え、改めて考えてしまう

彼女の事というよりも、自分の事だ

ボクは今のボクの振る舞いがボクの本性だと思っていた
しかし彼女に触れられるとどうだ?
まるで年頃の少年のように恥ずかしがり、人の優しさに感動してしまっていた

ボクはそんな人間じゃないだろう?
自らの我儘で他人の行為を無下にしてもいいのがボクの筈だ
そういう振る舞いこそが、ボクにとって最も気分のいいものな筈なんだ

恋をすると人は変わると言うが、まさかボクも彼女に感化されているとでもいうのだろうか?
それとも、ボクにもまだあんな感情が残っていたのか?

そんな馬鹿なと首を振る
彼女の心支配するはずなのに、彼女に染められてどうするんだ


悶々と悩みながらも、明日の事も考える
明日明後日は学校は休み、つまりは休日だ

特に予定は入っていない

何か予定を考えておくか……



1、誰かに連絡を取る
2、妹と過ごす
3、明日の予定を考える
4、自由安価

安価↓1


2


>>356採用:2


まあ、いいか
休日の予定が埋まっている事なんて、ここ最近無いからな

いつも通り適当に過ごすとしよう

そう決めたボクは妹の宿題を手伝ってやることにした

卯月「お兄様、ここ分かる?」

剣「ん?…分数か、難敵だな」

卯月「…これ小学5年生の問題なのよ?」

剣「ぼ、ボクは算数だけ苦手なだけだ!」

卯月「卯月、一人でやるから。お兄ちゃんもお勉強した方がいいんじゃないかな?」

剣「…否定はできんな。自分でやった方が力になる」

そういうわけで二人で宿題を片付けた
シンシアに馬鹿にされたし、汚名は雪がなければな

しかし、集中がそう長く続くわけでもなく
卯月と会話をし始める

1、卯月の学校での様子
2、明日の話
3、雨は好き?

安価↓1


>>358採用:1


剣「卯月、学校はどうだ?」

卯月「楽しいよ。皆優しいし」

剣「そうか。なら、いいんだがな」

ボクの小学校の頃の思い出は何もない
必死に模範的に、人に褒められるために躍起になっていたはずだ

卯月にはあんな下らない思いはさせたくない
卯月は思うままに振る舞う事が、そのまま魅力につながっていると思う

卯月「男の子って単純よね、ちょっと褒めてあげればいくらでもすり寄って来るんだもの」

卯月「疎ましく思ってる女の子も居るけど、私のグループじゃない子なんてはみ出し者の可哀想な人だし」

卯月「正に卯月が王様って感じ」

剣「……そうか」

卯月もまたボクに負けず劣らずの支配者気質らしい
女の子の分、妙に生々しいのが不安だが派閥とはどこにでもある
小学校の人間関係でもそれは変わらないのだろうな

小学生の頃には全く考えたことも無かった、派閥抗争を楽しんでる卯月に一抹の不安を覚えたボクだった


六日目・朝


朝、目を覚ます

そう言えば今日は休日だった
どうするか……


1、自堕落に二度寝
2、起きて今日の予定を立てる
3、自由安価

安価↓1

2


>>361採用:2


もそもそと起き出し、朝食の用意する
匂いにつられたのか妹と母親も起きだしてきたので、ついでに二人の分も用意する


朝食を食べながら今日の予定を考えた


1、誰かに連絡を取る
2、誰かから連絡が来る
3、妹と過ごす
4、母に付き合う
5、どこかに出かける
6、自由安価

安価↓1

2


>>363採用:2


スマホを確認すると、連絡が入っていた
その相手は……


1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、近衛鈴鹿

安価↓1


>>365採用:1


相手は鹿島弥生だった

『おはようございます。突然ですが、明日のご予定は如何ですか?良かったら一緒に遊びに行きませんか?』

短い文面であったがその内容は眠気を吹き飛ばす衝撃だ
なんと、デートのお誘いだったのだ

予定の入っていなかったボクは迷わず『行く』と伝えた

明日の昼前に駅に集合らしい
忘れないようにしよう


※明日の予定が決まりました





結局朝は掃除など、家事を手伝って過ごした

昼食も食べ終え丁度昼間
さて、これからどう過ごそう?


1、どこかに行く
2、妹と過ごす
3、母に付き合う
4、自由安価

安価↓1

3


>>369採用:3


ボクは母の買い物に付き合う事にした

……が、すぐにその事を後悔することとなった


剣「食材の買い出しじゃなかったのか…?」

美紗綾「これ可愛いわぁ…あ、こっちの色の方がいいわねぇ」

少し遠くの大きなデパートに連れてこられたボクは、荷物持ちだったはずなのに見事に着せ替え人形となっていた

多くのブティックが存在するこのデパート
初めからこれが目的だったのだろう

そして何より最悪だったのが

シンシア「この組み合わせなんかも素敵じゃありません?」

美紗綾「まあまあ!いいわねぇ…やっぱりシンシアさんセンスあるわぁ」

シンシア「うふふ、淑女の嗜みですわ」

あの惨めな女が母と意気投合していることだ
ボクが母に反抗しないのをいいことに、あの女はここぞとばかりにボクで遊び始めた

まあ、嫌味な意味よりも本気で楽しんでいる様子だったが


シンシア「ねえ貴方、こういうモノは興味ありませんの?」

日頃の刺々しい態度をどこに忘れてきたのか、シンシアはボクにアクセサリーを見せる
その女が見せてきたのはアイパッチだった

ボクがいつもしているのは医療用の眼帯
それはそれで気に入っているのだが、眼帯でおしゃれをするというのは面白い提案だと思った

そこそこ種類もあり、かなり興味をそそられた

シンシア「貴方、こういうの好きそうですものね」

剣「ふんっ、まあお前にしては良いセンスだと褒めてやる」

シンシア「んなっ!何ですのその言い草!」

此処から言い負かすのが普段のボクなのだが

美紗綾「こ~らっ!お友達にそんなこと言っちゃダメでしょ?ごめんなさいね、反抗期なもので」

シンシア「いえいえ、可愛らしいものですわ。ふふっ、素敵なお母様ね戸倉剣」

母の言葉によりそれ以上強く言い出せない
シンシアは優越感に浸るように余裕のある微笑みを返してくる

ああ全く…こんな事になるとはな……
片意地張るのも面倒だ、いっそ楽しむことにしよう

剣「…ボクの好みはそれだな」

美紗綾「あらそお?ならこれとか…」

シンシア「それならならばあのお店の方が……」


ボク達は時間を忘れて服やアクセサリーを物色し始めた





本当に時間を忘れて没頭してしまい、卯月から『まだ帰ってこないの?』という連絡が来て慌てて解散となった
その別れ際、母とシンシアが連絡先を交換し合っていた
そのついでとばかりに、ボクとシンシアも連絡先を交換することとなった

あの二人、どうにも感性が似通った部分があるようだ
根本的な芯というか、なんというかオーラというか、上手く言い表せないが何か似ている部分があった

食材の買い出しに来ていたはずが、買ってきたものは服飾ばかり
その中にはシンシアに選んでもらったアイパッチもあった

………まあセンスだけは、褒めてやろう
流石は良家の生まれというだけあった


ボクは買って着た物を並べ、満足感に浸っていた


1、シンシアに感謝のメールを送っておく
2、服を妹に自慢する
3、早速着て外を出歩く
4、自由安価

安価↓1

2


>>373採用:2


剣「これ!特にこれが良くないか?なんといってもこのダークな色合い、ボクの心に突き刺さる…」

卯月「…そうね、お兄ちゃんには似合うね」

ボクは早速買ってきた服を卯月に自慢していた
しかし卯月はあまり面白くなさそうだった
理由は明白

剣「あまり卯月には似合わないかもしれないな」

何故こんな事を言うかと言えば、卯月の服の8割はボクのお古だからだ
卯月にとってボクの服は将来の自分の服
ボクに似合うかどうかより、自分に似合うかどうかが重要なのだろう

剣「しかし、将来の卯月には似合うようになっているかもしれんだろう?」

卯月「そうかなぁ…お兄ちゃんみたいにカッコよくなれる?」

剣「お前次第、と言っておこう。こればかりはな」

卯月「う~ん…でもなぁ、卯月はもうちょっと明るい色合いが好きだなぁ…」

剣「しかしだな、これと組み合わせると一気に明るい印象になるだろう?」

卯月「本当だ!凄い凄い!卯月これ着たい!」

剣「ふふっ、もう少し大きくなってからだな」

そうしてボクは妹の将来のコーディネートについて熱く語り合った


※六日目終了


と、言う所で今日の更新はここまでです

次回、『初デート』です
どうぞお楽しみに!!

ではでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました


今日の更新はお休みです


そろそろ再開です


七日目・朝


昨日に引き続き、今日も朝早くから起きて活動を始めていた
しかし、今日という日はただの休日とはわけが違う

鹿島弥生とのデートの日なのだ
出会って一週間、こんなにも早くこの日が来るとは思っていなかった
しかもあちらからのお誘いだ

脈を期待するのも無理はない

ボクは約束の昼前まで、服を選ぶことにした

さて、どうするか……


1、変に気取らずパーカー、ホットパンツ、スニーカーでラフな格好
2、バッチリめかしこむ。ワンピース、編み込みサンダル、帽子でゴシック調統一
3、新しい服。革のアイパッチ、イヤーカフス、パンクファッション統一
4、自由安価

安価↓1

申し訳ありません
やっぱり2に変更できないでしょうか?


>>380採用>>382受諾:2、ゴシック調でめかしこむ


剣「うむ…うむうむ、やはりこれだな」

お気に入りの服を引っ張り出して鏡の前でポーズをとる
所謂勝負服という奴だ

黒を基調とし、挿し色は白で重たい印象になり過ぎないように意識されている

服装以外の部分でも手を抜かない
普段はバレッタで一纏めにしている髪を解き、ヘアアイロンをかけて緩いウェーブを作る
アクセサリーは殆どつけずに帽子のみ

剣「ソックスはどうする?二色ボーダー…いや、いっそタイツも……先に靴だな、靴に合わせよう」

剣「靴…靴は……ブーツ…いや、こっちのサンダルだな」

剣「となると裸足の方がいいな」

足の爪先まで細心の注意を払って手入れをする

そうこうしている内に、もうすぐ時間が迫っていた
最終確認を行い、ボクは家を出たのだった


待ち合わせの場所につくが、まだ鹿島弥生の姿は見えなかった

当然か、約束の時間よりも1時間早い
しかし待たせるよりはずっといい

行きかう人々の熱のこもった視線を感じながらも、思い人を待つ



しっとり汗ばんだ白い肌に初々しい赤色が差す
頬に張り付く金色の髪を払いのける指
ソワソワとした面持ちで何度も時計とスマホを確認している

あらゆる所作に人の目を奪う魅力が弾けていた

彼は気付いていなかったが、現実とは思えないほど愛らしいその様子はちょっとした人だかりを作っていた



時間にして30分

「おーい」

と此方に声がかけられた
ボクはその声に即座に顔をあげた
現れたのは……


コンマ判定
0-3 鹿島弥生と日比乃明日香
4-7 近衛鈴鹿
8,9 鹿島弥生

直下コンマ


ボクに大きく手を振る人物を見て、表情が固まってしまった

鹿島弥生は確かに居た
しかし、しかし明らかにおかしい

ボクに手を振っている女は忌々しき恋敵

明日香「うわっ!剣君すっごいなぁ…なんだかボク達の格好が恥ずかしくなってくるよ」

日比乃明日香その人だった
しかも、ボクに見せつけるように手を繋いでやって来たのだ
明らかなる挑発行為だった

剣「や、やってくれたな日比乃明日香」

思わず笑顔が引きつってしまう
あの鹿島弥生からのお誘いも、この女が仕組んだ罠
これを見せつけるためだったのだろう

明日香「何の事だい?」

とぼけた顔で首をかしげる
知らぬ存ぜぬで通すらしい
言動に反して腹の黒い女だ


明日香「それにしても本当に可愛いね剣君。ちょっと女の子としての自信無くしちゃうなぁ…」

お前に見せるために着てきたのではないがな、と心の中で毒づいておく
日比乃明日香の格好は白いシャツにタイトジーンズという格好だった
全く面白みのないファッションにあまり興味がなさそうなチョイスだ

弥生「本当にちょっとビックリした。こんなに綺麗な人現実に居ていいんだ……なんて逆に失礼かな」

数歩遅れて姿を見せてくれた鹿島弥生
彼女はノースリーブのブラウスにロングスカートという清楚なコーディネートだ
ギュッとウエストが絞られており、彼女の女性的なシルエットが強調されていた

ガードの硬そうなスカートと無防備なノースリーブというギャップに生唾を飲み込む
彼女が一人だったらどれほど良かったことかと、視界の端でチラチラと映る女の姿にため息が出る

明日香「折角だし皆で写真撮ろうよ!いいかな?」

剣「お前とか…」

弥生「私も皆で撮りたいな。嫌かな?」

剣「……はぁ…」

仕方なく明日香の構えるカメラに3人が収まろうと体を寄せる
ボクは2人に挟まれ、感動と嫌悪の感情の板挟みに悩まされながらも写真を撮った

明日香「鈴鹿にも自慢しよっと………返信はやっ!あ、鈴鹿も来たいって」

剣「はぁ?」

明日香「元々の集合時間より早いし、待ってあげる?」

剣「………」

ボクとしてはこれ以上じゃ間が増えないでほしいが、ここから人が増えようがそれほど変わらないというのも事実
さて……


1、仕方なく承諾
2、断固拒絶

安価↓1


>>389採用:1


剣「…もう勝手にしろ」

最早デートという空気ではなくなったため、ボクは投げやりに返事をした
あの女の事だ、ボクが嫌と言ったところで勝手に来そうな雰囲気もある

剣「こんな予定では……」

期待からの揺り戻し
あまりの虚脱感に、自分の本気のオシャレにすら腹が立ってくる
こんな事なら適当なラフな格好でよかったのでないかとも思えてくる

弥生「あの、剣君」

剣「なんだ?」

弥生「も、もしよかったらもう一枚良いかな?本当に、感動するくらい素敵だったから私用に欲しくて…」

あの鹿島弥生がふんすふんすと鼻を鳴らしスマホをいそいそと取りだしている
前言撤回、やはりお洒落には意味があった

剣「ふふんっ、仕方がないな」

弥生「ありがとうね。じゃあ…ちょっと明日香見切れてるからどいて」

明日香「ああ、ごめんごめん…」

普段から表情の乏しい彼女が珍しく興奮しているようだ
この珍しい姿が見れただけでも大収穫かもしれない


40分後、大きく髪を振り乱して変態女は現れた

ミニスカートのワンピースにウエストベルトに黒タイツと重ためな色見だ
ハイヒールを履いており、ただでさえ大きな背丈と長い脚がこれでもかと強調されている

剣「一人だけおばさんみたいだな」

と嫌味を込めて感想を述べてやった

明日香「あはは!確かに一人だけお母さんって感じ」

弥生「これでサングラスがあったら完璧だね」

と二人も年齢層が高めな鈴鹿のセンスを指摘していた
しかし鈴鹿も負けじと煽り返してくる

鈴鹿「あらそお?ならこうして並べば親子に見えるかしら?」

と、ボクの頭に手を乗せる
丁度色合い的にも黒基調のボクと変態女、白基調で爽やかな弥生と明日香、で収まりが良いのも腹立たしい
まさかそれを狙っての事かと無用な勘繰りを発揮してしまう

普通に考えて、時間が無くて慌ててやってきたのだろう


ボク達はホテルでランチを食べに向かった
元より遊びに行くよりも此方がメインだったらしい

鹿島弥生が割引券を偶然貰ったらしく、それが理由で誘われたようだ
近衛鈴鹿だけは別払いで割引を受けられないと嘆いていたが、明日香が気を利かせて全員で折半することになった

バイキング形式であり所謂食べ放題という奴だ

外食をあまりしない家庭だからか、物珍しさで色々なものを適当にとってしまう
最終的にまとまりの無い和洋中、節操のないプレートが完成してしまった

四人掛けの席を陣取り、全員が席に着くのを待った

日比乃明日香はご飯ものをメインにサラダが少しとスープが数種類という妙な構成
近衛鈴鹿は対照的にパンがメインに卵料理や魚、野菜がバランスよく彩られている

一番遅くにやって来た鹿島弥生の皿が一番予想と違っていた
山盛りに盛られた肉、肉、肉
これでもかと肉ばかり、オマケとしてポテトのマッシュが添えられているだけだ

弥生「ふふふっ、ちょっと取り過ぎちゃったかな」

鈴鹿「ちょっとってレベルかしらねこれ…」

明日香「まあまあ、たくさん食べる方が可愛いって…じゃあ揃ったことだし、いただきましょうか」

そう明日香が音頭を取り、食事が開始された


1、食事に集中する
2、弥生に話しかける
3、明日香に話しかけられる
4、鈴鹿に話しかけられる

安価↓1

3


>>393採用:3


一番初めに席に座ったのが災いし、隣は変態、正面に恋敵、一番遠い位置に鹿島弥生が居る
更には鹿島弥生の前には巨大な肉の壁すらある
これでは弥生と会話は望めそうにない

諦めて食事に集中しよう
しかしこの大きなエビ、どう食べればいいんだ?
フォークとナイフを持ったまま巨体でボクを威圧するエビに攻め手を欠いてしまっていた

明日香「あ、切り分けてあげるよ」

ボクの許可も取らずに慣れた手つきでエビを解体していく明日香
取り分けるように、別のナイフとフォークを使っており妙な所で気が利く女だった

明日香「どうぞ」

剣「…ふん、まあ良い働きだと褒めてやる」

明日香「どういたしまして」

切り分けられてエビを口に運ぼうとして、じっと見つめる視線に気が付く
何故かニコニコと目の前の女がボクを見つめ続けている

剣「……」


1、無視して食べ進める
2、何の用だと聞く
3、フォークに刺してあるエビを目の前の女の口にねじ込む

安価↓1


>>395採用:2


剣「……なんだ、食べ辛いだろう」

明日香「ああうん。全然気にしないでいいよ」

剣「気にしているから言っているんだろう…」

フォークを置き、暗に話せと会話を促す

明日香「いやぁ、話は聞いてたけど全然剣君の事を知らないからなんだか楽しくってね」

剣「そうか」

明日香「あのぅ、もっともな事を聞くんだけどさ」

剣「なんだ?」

明日香「剣君って男の子なんだよね?」

剣「何を馬鹿なことを…どこをどうみても……まあ外見はな」

流石に女性物の服を着ている状態では何処をどう見ても女だ


剣「外見はこうだが心は普通に男だ。自分の事を男と思っているし、好きな相手も女だ」

明日香「そっかそっか、因みにその服は剣君の趣味なのかな?」

剣「そうでもある。母が喜ぶんでな、服は女性物しかない」

明日香「あっお母さんの趣味なんだね。抵抗は無かったの?」

剣「特に無いな。昔からこうだったからか、ボクも好きだしな」

明日香「ふ~ん…そっかそっか…」

会話が一段落したところを見計らい食事を再開した
ちょっぴり冷めてしまっている

鈴鹿「あらあら明日香、弥生が居るのに他の子にうつつを抜かすのかしら?」

明日香「んもぅ、誤解を生む表現は止めなって。興味があるだけ」

鈴鹿「ふぅん?その心は?」

明日香「裏なんて無いってば。本当にちょっと、彼の事が知りたいだけ」

明日香がチラリとボクを見る
その視線には熱っぽいものが混ざっているような気がした

そうこうしている内にも、鹿島弥生の前にあった肉の壁が黙々と消化されている
口いっぱいに肉を頬張る彼女の新たな一面に驚かされる
どうやらかなりの健啖家らしい

ボクも採算をとろうと貧乏性な考えをしながら、黙々と食べ進めるのだった


弥生「う~ん…満足…」

彼女は大きく伸びをして体をほぐしている
無意識だろうがある一部分が非常に強調されており、釘付けになる
全く意識したことは無かったが、弥生は相当スタイルがいい

明日香「ボクはちょっと食べ過ぎたかも…」

一方明日香はベルトを緩め、苦しそうなお腹をさすっている
改めて見ると弥生と明日香の二人は随分対照的だ

地味だが女性的な女性の弥生
明るく目立つし男性的な明日香

この二人は似てるから仲がいいというのの逆で、真逆だからこそ一緒に居て楽しいと思うタイプなのだろう

鈴鹿「ふふっ、何処を見ているのかしら?」

剣「お前じゃない事だけは確かだ」

鈴鹿「ひ、日に日に私に対しての当たりが強くなってくるのを感じるわ…」

絡んでくる変態を軽くあしらいながら、何処に行こうかと話をする
候補は……


1、ゲームセンター
2、映画館
3、ウィンドウショッピング
4、自由安価

安価↓1

3


>>399採用:3


ホテルでのバイキングは割引込と言えど、中高生には中々に重い金額であった
そういうわけで、あまりお金を使わないウィンドウショッピングにすることにした

活気のある商店街を練り歩く

多くの人間の活力で溢れた空間
友人連れと思われる人間は他にもいくらでもいたが、ボクと変態女は一際視線を集めていた
ボクとこの女に対しては妙にキャッチがやってきて鬱陶しい

更にいえば、ボクと変態女、鹿島弥生とあの女というのがセットであるかのような扱いに納得がいかなかった
しかしあの二人はべったりで、中々引き剥がす隙も無い

二人きりならボクだって手を繋いだものを!
今彼女の手を繋げば、仲良し3姉妹とその保護者という構図になること請け合いだ
流石にそれはボクのプライドが許さない

そんな中でも、各々が目を奪われるお店があった…


1、古本屋
2、雑貨屋
3、ブティック
4、屋台
5、自由安価

安価↓1


>>401採用:1


鹿島弥生が古本屋に誘われるように入っていった
正直本なんて一切読まないので興味は無かったが、都合よく二人きりになれそうだった
彼女を一人きりにさせないという意味もあったが

弥生「……あった」

何かお目当てを見つけたようで顔を綻ばせている

剣「本を読むのが好きなのか?」

弥生「うん。あんまり運動とか好きじゃないから、昔っからインドア趣味」

剣「それはイメージ通りだな」

弥生「あはは…よく言われる」

剣「それは何の本なんだ?」

弥生「えっと…まあ小説だよ。青春モノ?」

剣「見せてもらっていいか?」

弥生「えっ…ひ、人を選ぶと思うよ!」

上ずった声でボクを止めようとするが、ボクは弥生の手からそれを引き抜き内容に目を向ける


適当にパラパラめくり挿絵が目に留まる
制服姿の女子同士がキスをしていた

剣「…成程、よく分かった」

弥生「あ、あわわわわ…」

弥生本人もあまりいい趣味だと思っていないんだろう、かなり照れた様子でテンパっている

思い人がアレな事を踏まえると、ヘテロの可能性もあり得たがその望みは経たれたと言ってもいい
彼女はこういった女性同士というのがやはり好きなようだ

特にショックはないが、少し気になることもある

ボクはどう思われているのだろうか?
完全に男性である意識はあるが、外見的には女性と扱われても遜色ない

剣「…一つ聞いてもいいか?」

弥生「な、何でございますか?」

本を弥生に返しながら問う
弥生は何を言われると思っているのか妙に畏まっている

剣「……」



1、『ボクの事、どう思う?』
2、『男は…嫌いか?』
3、『趣味は人それぞれだ』

安価↓1

1


>>404採用:1


剣「ボクの事、どう思う?」

弥生「それは友達だと…」

剣「それは建前だろう?嘘でもないのも分かる」

剣「だけど、ボクが知りたいのはもっと生々しい部分の事だ」

弥生「………」

剣「素直に答えてもらえると嬉しい。その方が、お互い無用な気を遣わなくてよくなるだろう」

弥生「わかった……」

彼女は決意をしたように口を開いた


1-4 女友達だと思ってる
5-7 男友達だと思ってる
8,9 もっと知りたいって思う
0   ???

直下コンマ


コンマ判定:9



弥生「…まだ、私の中でも決めかねてる」

弥生「上手く言えないけど…今まで感じた事の無いっていうか、私が知らなかった領分なのかな」

弥生「ただ、剣君の事…もっと知りたいって思う」

真っ直ぐな瞳でボクを見る
前髪に隠れがちなその瞳には、確かな輝きが秘められていた

剣「…それだけ聞ければ十分だ」

想定以上の好感触にボクは満足して大きく首を振った

まだ不確かな存在だが、ボクは確実に彼女の心の中に居る
彼女の心を揺るがす存在になり始めている

此処から先の選択が、非常に重要になってくるのだろう


夕方


ウインドウショッピングを終えて、一度最初に集まった場所に戻ってきていた
彼女はあれから二冊ほどお目当ての本を発掘して、ほくほくとしていた
他の女も何かしらを買っており、満足げだ

明日香「そろそろ解散って感じかな?」

弥生「名残惜しいけど、そろそろね。中学生をあんまり連れ回すのもよくないし」

剣「ボクは弥生と一緒なら全く構わないんだがな」

その心は本心であったが、バイキング代の影響でお財布事情は非常に寂しいものとなりつつあった

明日香「それじゃあ今日はとっても楽しかったよ。またこの面子で集まれたらいいね」

弥生「バイバイ、剣君」

鈴鹿「それじゃあ私たちはこっち方面だから。また明日学校でね」

剣「ああ、おやすみ」

3人と別れボクも家路についたのだった





色々と邪魔は入ってしまったが、概ね満足なデートから戻った
昼に食べ過ぎたので夕飯は少し残してしまったが、明日の昼のおかずになる事だろう

服は着替えて楽な格好になっている
あの勝負服、最高に気に入っているのだがやはりお気に入りの為か色々と神経を使ってしまう
家でくらいは好きに皺を作ってもいい服でゴロゴロしよう

ゴロゴロとしていた時、誰かから連絡が来る

差し出し人は日比乃明日香であった
3人で撮った写真が添付され、『今日は楽しかったね!』と文章が添えられている

非常に楽しそうな二人に相反し、ボクはジト目でカメラを睨んでいた
もう少し愛想をよくしてやってもよかったな

と、今ならばそんな事を思う余裕もできていた

どれもこれも彼女といい雰囲気になれたからだろう


さて…


1、明日香に連絡を返す
2、誰かに連絡を取る
3、妹と過ごす
4、夜の町をぶらつく
5、買ってきた本を読む
6、自由安価

安価↓1

1


>>411採用:1


気分もよかったため、戯れに返信を返してやった

『次はもっとマシな服で来い。逆にボクが浮いたみたいだった』

返信はすぐに帰って来た

『ボクの服はどれもあんな感じなんだよねぇ…(´・ω・`)』

との事らしい
ボクとは全く趣味が合わなさそうだ
体系の事もあってか、男性物の服を選びがちなのかもしれない
見た目もほとんど男と言っても過言ではないからな

『精々センスを磨くんだな』
                  『剣君は厳しいなぁ』
                  『いっそ君が選んでくれないかなぁ…|д゚)』

顔文字が非常にウザったらしいが、さて…


1、意外と楽しそうだ。承諾してやる
2、鈴鹿にでも頼めと突っぱねる
3、引き受けてもいいが、報酬を要求する

安価↓1

1


>>414採用:1


ふむ、つっぱねようかとも思ったが意外に悪くないかもしれない

自分の為にしか服を選んだことは無いが、母やシンシアの姿を思い出すと非常に楽しそうだ
偶にはそういうことをしてみても楽しいかもしれない

『いいぞ』
                      『え!?本当に言ってる?』
『ボクの気が変わらない内にな』
                      『じゃ、じゃあ明日は部活だから明後日の放課後でいい?それとも土日の方がいい?』


いつにするか…

1、明後日
2、土日

安価↓1

1


>>416採用:1


『明後日だな。楽しみにしておけ』
                    『うわああ…勢いで言ってみるもんだね…』
                    『楽しみにしてるから!!』

そんな感じで明後日の予定が決まってしまった

明後日の放課後、日比乃明日香の服を買いに行くことになった
……冷静に考えてみると制服デートと言う形になるのか

いや、アイツとはデートとは言わんな

ボクは積んでいた服の雑誌を広げ、何処に行こうかと考えている内に眠ってしまった



※七日目終了
※九日目の放課後、行動が固定されます


と、言う所で今日の更新はここまでです


鹿島さんはメインヒロインのイベントを着実にこなしつつ、一方一気に距離を詰めてきている明日香くん
安定して出番の多い鈴鹿さんもまだまだ侮れません

誰に着地するのか非常に楽しみですね


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開でございます


八日目・朝


昨日はあの雑誌を見ながら寝てしまっていた
いくつか良さそうな候補を見つけ、付箋をしておいた

さて、今日は……


1、早くに出る
2、普通に出る
3、遅めに出る

安価↓1


>>422採用:2



普段通りの時間にでる

通学路では様々な生徒とすれ違うが、一向に鹿島弥生とすれ違ったことが無い
普段はどれくらいの時間帯で家を出ているのだろうか?
いっそ迎えに行く?いや、流石に遠いな。家から逆方向なわけだしな

明日香なんかは部活で朝練をしているだろう
そういえばシンシアも朝早くに見かけたな…

この時間帯にあったことのあるやつと言えば…


1、柘榴花あや
2、近衛鈴鹿
3、庄内葉月

安価↓1

2


>>424採用:2


鈴鹿「あら、おはよう剣ちゃん」

剣「…お前が居たな」

最近よく顔を合わせている気がするこの変態女
この女は何時もこの時間帯なのだろう


鈴鹿「今日昼過ぎから雨らしいわよ」

剣「そうか」

鈴鹿「傘持ってきてるかしら?お姉さんの傘に入れてあげましょうか?」

剣「折り畳み傘を携帯しているので不要だ」

鈴鹿「あら残念」

普段の調子で会話をしていると
何やら奇妙なものを感じ、即座に後ろを振り向く

しかし、誰かが此方を見ているわけでもなく異常は見当たらない

鈴鹿「どうしたの?」

剣「………いや、何でもない」

確かに感じた不穏な気配
心に引っかかるところは会ったが、気のせいと断じて会話に戻った


鈴鹿「聞いたわよ、明日は明日香とデートですってね」

剣「…耳が早いな」

鈴鹿「ふふふっ、まあいいじゃない。それよりも気になるわね、明日香に優しい理由」

剣「特別優しくしてなどいない」

鈴鹿「あら?それじゃあ私の服も選んでくれる?皆に老けてるって言われちゃったし」

剣「…そもそもお前はそうやって制服を着ていないと、ボク達と同じ学生には見えないからな」

剣「アレはアレで似合っていると思うぞ?そんな事はお前が分かっていそうなモノなんだがな、服飾研究部」

鈴鹿「うふふ、これって褒めてくれたのかしら?」

女はころころと上品に笑う
相変わらず、飄々とした女だ
弱点とかないのだろうか?

剣「お前、嫌いなものはないか?」

鈴鹿「さぁ?何かしらね?」

あくまではぐらかすつもりらしい


1、耳に息を吹きかける
2、手首を捻りあげる
3、薄暗い路地裏に連れ込む
4、自由安価

安価↓1


>>428採用:1


描写上の問題で制服の判定
偶数でブレザー、奇数でセーラー服

直下コンマ

コンマ判定:偶数 ブレザー
※高等部の制服はブレザー、中等部はセーラー服となりました


少し脅かしてやろう
ボクは女のネクタイを掴み顔を近づけさせる

鈴鹿「きゃっ!」

女は年ごろの生娘のような可愛らしい悲鳴をあげた
そこから更に

剣「ふ~…」

鈴鹿「ひゃああ!?」

体を震わせ、お手本のような悲鳴を上げてくれた

剣「ハハハハ!お前も可愛い声が出せるじゃないか」

鈴鹿「なに?もう…お返し」

剣「なっ!?馬鹿っ!やめっ!ふわぁっ!?」

変態女に耳を舐められ、ぞわぞわと背筋に不快感が走り抜ける
女はボクの反応にくすくすと笑っている

この女の余裕を崩すには、今一歩足りなかったようだ





昼食はどこで食べようか?
いっそこちらから誰かを誘ってみてもいいかもしれないな……


1、教室で食べる
2、食堂に向かう
3、中庭で食べる
4、すぐに食べ終えて、校内を探索する
5、誰かを誘う
6、自由安価

安価↓1

2


>>433採用:2


食堂で食事をすることにした
辺りを見渡し知り合いを探していると…

千紗「およ?剣様じゃん、席探してる?」

千紗「ウチらと食べようよ!葉月も居るけどいいよね?ハイ決定!」

ぐいぐいとボクの腕を引き、コイツラの席まで案内されてしまった
本当は鹿島弥生を探していたんだが、まあいいか

千紗「剣様連れてきたよー!」

案内された席にはすでに先客が二人

葉月「ナ~イス!千紗!戸倉君私の隣ね」

あの情報通の奴隷その1と

奴隷2「おっ!戸倉と飯なんて久々だな、まあ座れよ」

やたらとボクを遊びに誘ってくる馴れ馴れしい奴隷その2
名前は確か…

千紗「ええい愚民ども、剣様はウチの隣なの!ほら、孝介そっちの席に座って」

孝介「俺が移動すんのかよぉ…」

男は千紗に強引に席を移動させられている
そうか名前は確か『浅間孝介(アサマ コウスケ)』だったな
部活はバスケ部、能天気でやたらと馴れ馴れしい男

騒がしい奴らに囲まれながら、ボクは弁当の包みを広げた


弁当はボクのみで、後は全員食堂の定食だった
まあ、わざわざ食堂に来るのだからそれが普通だろう

孝介「そういや戸倉の弁当は妹が作ってるんだっけか」

剣「まあな…」

孝介「イイよなぁ妹…俺も姉よりも妹が良かったよ」

葉月「アンタが兄貴だったら絶対弁当作らないわぁ、戸倉君なら作るけど」

孝介「バーカ、俺もお前みたいな妹要らねーっての」

千紗「マジめな話でさ、孝介の良いところってどこよ?」

孝介「うええ!?あ、あぁ…あるだろ…?あるよな…自信なくなってきたな…」

千紗「あはは!ちょい言い過ぎたね、まあ悪い奴ではないんじゃん?」

孝介「良いところは!?」

千紗「取り敢えず、ウチが妹だったとしても弁当は作ってあげないかな」

孝介「だ、誰もフォローしてくれねぇ…」

孝介はガックリと肩を落とし、女二人は笑っている
こんな騒がしい学生らしさ、久しぶりなような気がするな

食べ進めながら適当に話題を振る


1、孝介に姉について
2、葉月に噂の話
3、千紗に趣味の話
4、自由安価

安価↓1


>>437採用:1


剣「お前、姉なんて居たんだな」

孝介「ん?言ったことなかったか?三つ上、高2の姉貴が居るよ」

孝介「うちの学校に居るぜ?」

剣「ふ~ん…姉か……」

もう無理な可能性だが、自分に姉がいたらどんな存在だったのだろう?
どんな人だっただろう?
妹はボクに似たが、姉は母に似たりするんだろうか?
ボクがあんまり母に似ていないから、先に生まれたからと言って母に似るわけでもないか

葉月「何々?孝介の姉さんに興味あるの?」

剣「少しな」

葉月「コイツに全っっ然似てないよ?図書委員でいっつも図書館に居るから気になるなら会いに行ってみれば?」

孝介「姉貴人見知りだから会話してくれっかなぁ…」

剣「コイツの姉なのに人見知りだと?本当に同じ遺伝子なのか…」

孝介「…褒められてんのか貶されてるのか絶妙なラインだなぁオイ」

浅間孝介の姉の話を聞いた
図書館に行くことがあれば、会うこともあるだろう


放課後


全ての授業が終わり、放課後の時間だ
部活動があるモノは部活動に向かい、それ以外の者も思い思いに行動を始めている

ボクも行動しようと席を立つと、声をかけられた

千紗「あ!剣様剣様!暇ならウチに付き合わない?」

剣「お前にか?」

千紗「葉月は部活だしさ、他の友達も部活部活でだ~れも捕まんなかったし…」

剣「ほう?他の有象無象の代わりがボクだと?」

千紗「いいじゃんさぁ、ウチら帰宅部仲間っしょ?それとも剣様なにか部活始めたの?」

部活か
今更陸上にも水泳にも微塵も未練はないが…文化部はどんなものがあっただろう?
鹿島弥生の興味がありそうな部はあるか…?

取り敢えず先にこの女の誘いに答えておくか


1、付き合ってやる
2、断る
3、条件付きで付き合う

安価↓1

2


>>440採用:2


剣「悪いがボクも他にすることがあってな。その口振りだと学校での用事ではないんだろう?」

千紗「う~ん…そっかぁ、引き留めてゴメンね!」

こういう時にしつこくないのがこの女のいいところだな
次に何かあった時には手伝ってやるとしよう

さて、断った手前何もせずに帰るわけにはいかない

何をしようか?


1、旧実習棟の音楽室に行く
2、図書館にでも行ってみる
3、部活動探しをしてみる
4、体育館を覗いてみる
5、妙な気配を感じる…
6、自由安価

安価↓1


>>442採用:2


ボクは図書館に向かう事にした
本なんて読まないので、全く足を運んだことの無い場所

あの孝介の姉という人物の事がちょっと気になったからだ

目当ての人物はすぐに見つけることができた
受付の席で不愛想に本を読んでいる眼鏡の女がそうなのだと思われる
もし違うとなれば、今日はここには居ないのだろう

図書館に足を運んだことが無かったが、全く人が居ないかった
そう、受付に居るこの女以外は


さて…


1、受付の女に話しかける
2、本を読む
3、別の場所に行く

安価↓1


2


>>444採用:2


折角だから本を読むとしよう
昨日、弥生にお勧めされて買った本が一冊あった

小説を読むのなんて国語の授業以外では初めての経験だ

窓際の席を陣取り、気合を入れて本を読み始める

外から聞こえる雨音がとても心地いい
周囲の音をシャットアウトするその雨音は、カチコチと音を立てる時計の針を際立たせるほどに空間をシットリ沈めていた

小説の内容は大方予想がつく
弥生が好きな女性同士の恋愛ものだろう
…しかし、本当にここは気分が静かでいい場所だな

こんなところで昼食を食べられれば最高なんだが、無理な事は分かっているさ

………いかんな、目が滑る
何ページあるんだこれ?259ページ……まだ20ページだと!?
もういいんじゃないか?

………………少し、休憩するか

ボクは早々に本を読むのを投げ出し、雨音に身を任せて深く目をつぶるのだった


…………

…………………

………………………

…遠くから声が聞こえる

この体のだるさはなんだ?
何かに体を揺さぶられている

今まで何をしていたのかを思い出そうとし、直ぐに状況を理解した
ボクは本を読むことに早々に飽きて眠ってしまったらしい

となると、この声とボクの体の揺れは…

女「そろそろ閉めますから起きてください」

あの受付に座っていた不愛想な女が、ボクを起こそうと声をかけてくれていた

剣「……悪い、すぐに出る」

女「起きられましたか。では、即刻立ち去って下さい」

剣「……ああ」

機械的な冷たい声に背中を押され、ボクは直ぐにその場を去った
ボクはあまり本を読むのが向いていないのかもしれないな
しかし、彼女の為にもこの本を読破しておきたい気もする

あの場所は静かでいい場所であることは確かだ
ただでさ集中して読めないのだから、図書館の方がいくらか捗るだろう


かなり眠たいので今日の更新はここまでです
浅間孝介の情報は後日追加します

ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


名前:浅間孝介(アサマ コウスケ)
年齢:13
性別:男性


【外面】
明るく自分に正直な少年。言いたい事を言わずにはいられない性質を持ち、物怖じしない
【内面】
未明


【詳細設定】
身長167cm
さっぱりとした短い黒髪と、濃い青の瞳が印象的な少年
爽やかな性格であり、非常にキッパリとしたものの見方をしている
バスケットボールを愛するスポーツ少年
庄内葉月と山田千紗とは幼稚園以来の長い付き合いであり腐れ縁とも言える仲
意外な事に友達は少ない


因みにですが孝介のお姉さんはサブヒロイン枠です
隠しヒロインは別に居ます


では、そろそろ再開でございます


夕方


受付の女に起こされ、ボンヤリとしたままの頭で玄関口まで歩いてきた

剣「………」

ここまで来たところで、漸く何か違和感に気付く
今朝から感じていたモノと同じ違和感
振り返っても周りを見渡しても人影一つ見当たらない

何かがあるはずなのだが、何かが分からないもどかしい状態だ

周囲を警戒しながら傘を取り出して外に出た

剣「……チッ…一体なんだ?」

外へ出てみてもじっとりとした背中に感じる重みは変わらない
マスコミに追われていた時はこういった視線もよくある事だったのだが、これはマスコミの類ではないだろう

コツッ

小さな音に即座に振り向いた
音の主は意外にも近くすぐ隣に居た
図書館の受付をしていた居たあの女だ
仕事を終えて、これから帰るのだろう

傘を差そうと少し視線を下げたその瞬間―――


まるで差し出された首を両断する処刑台かの如く、女の上から鋭利な何かが降ってきていた


ボクは咄嗟に女を庇おうと手を伸ばした―――


コンマ判定
1-3 最悪は何とか免れた
4-7 何とか庇う事に成功した
8、9 華麗に救出に成功した
0   最悪の結末

運動素質 +3

直下コンマ


コンマ判定:6+3 余裕の救出


ボクは即座に女の首を胸に抱き体を引き寄せる、更に片腕を使って急所を完全に覆い隠す
もう片方の手には傘を持っているのが幸いした
そのまま傘で落下物の軌道を大きくずらした

すさまじい音を立て傘を引き裂きながら地面に落ちる落下物
こんなものが首に落ちていたらと思うとゾッとする

女「っ!?な、何をするんですか!」

剣「怪我はないな?、足元に気をつけろよ」

女は突然の事態に動揺している
暴れられると厄介なので解放してやる

女はふらつく足取りで、周囲を見回して状況を把握しようとしていた

女「これは一体…降って来たんですよね…これが……」

改めて落下物を確認する
それはガラスであった
重々しい厚みを携えた、鈍重な刃物のようなガラス

今立っている場所は玄関の庇の真下
空から降って来たとしても、その庇を突き抜けてくるなんてまずありえないだろう



剣「……下手をすれば骨ごと持っていかれていたな」

冷静に自らの無事に安堵する
このガラスの事は非常に気がかりだが、現状で全く説明がつかないのでは仕方ない
何かは分からないが、何かがあったからこうなったんだろう

取りあえずはそれで納得しておくことにした

女「…もしかして、私を庇ってくださったのですか?」

剣「もしかしなくともその通りだ。ボクが隣に居てよかったな」

女「ありがとうございました。戸倉剣、あなたに命を救われました」

女は深々と礼をする
機械的なまでにキッチリとしたその対応にやや面食らう

女「何かお礼をして差し上げたいのですが」

剣「気にするなボクが勝手にやったこと……と、言いたいところだったんだがな」

ボクの手にはかつて傘だった残骸
外は未だに降りやまぬ雨
傘の代わりとなるものが欲しいところだった

剣「本当に礼をしてくれるのなら、犠牲になったボクの傘の代わりが欲しい」

女「それでしたら…」


1、『家までお送りいたします』
2、『この傘を差し上げます』

安価↓1

1


>>455採用:1


女「家までお送りいたします」

予想の斜め上の答えが返って来た
どこかで傘を買ってきてくれるくらいでよかったのだが…

剣「正気か?ボクの家は―――の方面だぞ?」

女「それなら尚更都合がいいですね。私もその方面なので」

剣「……一つの傘に一緒に入る事になるぞ?」

女「抵抗がありますか?でしたらこれを差し上げます」

そう言って持っている傘を突き出してくる
流石にそれは貰えない

剣「…なんというか、そういう押しの強さは血のつながりを感じるな」

女「!…弟の事を知ってるんですか?」

剣「……はぁ、歩きながら話をしてやる」

ボロボロに破壊された傘を鞄にしまい直してから、孝介の姉の差す傘の中に入って歩き出した





今日初めて会った女と相合傘をするという罰ゲームのような時間を抜けて、自宅に帰り着く

あの女の名前は『浅間花月(アサマ カヅキ)』というらしい
バカ真面目で機械的と思えるくらいにお硬い性格の女だった
軟派な弟と似ていないようで、妙な既視感を感じさせる辺り流石は姉弟だ

帰り道の間、注意深く周囲を確認したがそれ以上不可解な事は起こらなかった

結局あのガラスの事は何もわからなかった
たまの偶然だったのか、はたまた仕組まれた悲劇だったのか…

そういえば帰っている時には妙な気配はなくなっていた

この気配とあの事件
無関係ではない気はするが…何をどう調べればいいのだろうか?
知ってそうな奴も、関係がありそうなやつもあまり思い浮かばないな

ボクはゴロンと布団に寝転がった


1、誰かに連絡を取る
2、誰かから連絡が来る
3、外を徘徊する
4、自由安価

安価↓1


>>458採用:1


誰と連絡を取るか…



1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、シンシア・パーシヴァル
4、近衛鈴鹿
5、日比乃明日香
6、山田千紗
7、庄内葉月
8、浅間孝介
9、浅間花月

安価↓1

1


>>461採用:1


自分の身に起こったあの事件
彼女も巻き込まれてはいないだろうか?
ボクは心配になって

『無事か?』

と送ってしまった
帰って来た返事は当然

『何の事?』

だった

ボクは自分の身に起きた事を簡潔に説明し、変わったことが無かったかを聞いた

『特に何も変わったことは無かったよ。剣君の言う妙な気配も全然感じなかった』
『私が鈍いだけかもだけど…』

そう、返答が返って来た
恐らく本当に何もなかったのだろう

『無事ならいいんだ。少し、気にかけておけ。何かあれば必ず助ける』

『剣君にそう言って貰えるなら安心だね』

そうしてやり取りを終えた
今回の件に彼女は全くの無関係らしい
その事が何よりボクの心の荷を下ろしてくれた

また何事も無ければそれでいいんだが……

ボクは不安な心持のまま眠りについたのだった


非常に短いですが今日の更新はここまでです
妙に体調が優れない……

シッカリとした更新の時間が取れなくて申し訳ないです

では、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です


九日目・朝


何事も無く朝を過ごす
そういえば昨日のあのガラス片、先生に報告とかしなかったがどう処理されたのだろう?
まあ、いいか…怪我人も出ていないしな
精々片付ける人が大変だなというだけだ


そろそろ学校に行こうか……


1、早くに出た
2、普通に出た
3、遅くに出た

安価↓1


>>466採用:3


いつもより遅くに家を出た

この前は遅刻してしまったが、今回はギリギリ遅刻せずとも済みそうだ
余裕を持ってゆっくりと歩く

歩いていると、見知った顔を見つけた


1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、山田千紗

安価↓1

1


>>468採用:1


ゆっくりと歩くボクよりもさらに歩みの遅い後ろ姿
見間違うはずもない、ボクの思い人鹿島弥生その人だった
何時も見かけないと思っていたが、こんな時間に登校しているとは

ボクはすぐに駆けよって声をかけた

剣「おはよう弥生」

弥生「ん?んぅ…つるぎくん…おはよ………はぅ……」

抑揚の無い声で噛み殺し切れていない欠伸を吐き出し、目を擦っている

剣「眠たいのか?夜更かしでもしたか?」

弥生「…………うん」

イマイチ気の入っていない返事
確実に半分くらい意識は眠っているだろう

弥生「…普段はね…もっと早いんだけど…今日は明日香の部活が無いから………こんな時間に…」

剣「そうだったのか…」

彼女はうつらうつらとした様子だが、一応はコミュニケーションをとる意思はあるらしい
フワフワとした足取りと受け答えの彼女を介護しながら、ボク達は学校へと歩みを進めた


休み時間
※強制イベント


ギリギリ遅刻せずに教室に着き、一時限目が終わった休み時間
何者かが教室に駆け込んできた

それは猛烈な勢いでボクに近づいて手を取った

あや「とととと戸倉君!!体は平気!?大丈夫!?怖い事なかった!?」

剣「なんなんだいきなり…」

またこの女かとウンザリしてしまったが、いつもと少し違う事を感じ取った
ボクに媚びを売るのではなく、真剣にボクの身を案じている様子だった

あや「け、今朝玄関でのこと知ってね、だ、大丈夫かなって。戸倉君怪我とかしてないかなって…」

剣「待て、何故あの玄関の件にボクが関わっていることを知ってる?」

あや「うえぇ!?あ、そそそれは……」

目線を泳がせ指先を遊ばせはじめる
誰の目から見ても分かる。何かを隠している

玄関の件は『ガラスが投げ込まれた』と騒ぎになっていたが、悪戯の類と判断されており、アレが原因で怪我をしそうになったという話は持ち上がっていない
ボクが関わっていたという事も全く知られていなかったことだ

それなのにこの女はボクの心配をしていた
ボクの身に何かが起こったことを知っていたのだ
実際怪我をしそうになったのはあの図書館の女なのだから尚更おかしい


あや「あ、ええと…ああ!ゴメンね戸倉君次の授業があってね!無事ならよかったの!じゃあね!!」

剣「あ!待ッ……」

引き留めようとしたが次の授業まで時間がないのも事実
次の機会に問い詰める事にしよう…


昼休み


昼食を食べる時間だ
さて、どうするか……


1、教室で食べる
2、食堂に向かう
3、中庭に向かう
4、誰かを食事に誘う
5、直ぐに食べ終えてどこかに行く
6、自由安価

安価↓1

4


>>473採用:4


誰を誘うか…


1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、シンシア・パーシヴァル
4、近衛鈴鹿
5、日比乃明日香
6、山田千紗
7、庄内葉月
8、浅間孝介
9、浅間花月

安価↓1


>>476採用:1


ボクは鹿島弥生を昼食に誘った

ボクが向かった先は屋上へと続く階段
屋上は閉鎖されているため、滅多に人が足を踏み入れない場所と聞いている
彼女は一人で食べるときはいつもここで食べるらしい

二人並んで会談に腰かけ、食事を始める
誰も足を踏み入れないと聞いていたから汚いイメージだったが、きれいに掃除されており埃も目立たない程度だ

剣「しかし意外だな、てっきり明日香も居るものだと思っていた」

弥生「明日香は部活動の友達がたくさん居るから。あの輪にはちょっと入れないかな…」

剣「そういう理由があったのか」

成程確かに彼女はそう言った体育会系の輪は苦手とするところだろう

弥生「…もしかして明日香が一緒が良かった?」

剣「バカな事を、そんなはずないだろう」

弥生「だってなんか…いきなり仲良くなってるし……明日香は駄目なんだからね」

剣「ふふっ…嫉妬しているのか?」

少し拗ねたような顔を見せる彼女に思わず笑ってしまう
こうして明確に自分の敵意を向けられたのは初めてだったが、可愛いと思ってしまった
こういう事も言ってくれるようになったのは打ち解けてきた証だろう

剣「ボクが好きなのは弥生だけだ。ずっとそう言ってるだろう?」

弥生「う、うん……改めて言われるとなんだか恥ずかしいね」

彼女は照れ隠しのように顔を逸らしてサンドイッチを頬張り始めた
ボクもそれに倣い食事を始めた


剣「今日の食事は控えめなんだな」

今日の彼女の昼食はサンドイッチ二つだけ
バイキングの時の半分以下の量だった

弥生「そうかな?いつもこれくらいだよ?」

剣「何を言うか…バイキングの時の画像を見せてやろうか?」

弥生「あ、あの時はたくさん食べないといけないときだっただけ。これくらいでも十分だよ」

剣「そういうものなのか?」

弥生「うん。食べるのは好きだけど、毎度あの量はちょっとお金の問題がね……」

そう言いながらお腹を撫でる
どうやらお小遣いの問題でその食事らしい

あれだけ食べるのだ、ちょっと物足りないのだろう

その様子を微笑ましく思いながら食事を進めた
折角だ、何か話そう


1、好きな食べ物の話
2、お弁当の話
3、日比乃明日香の話
4、自由安価

安価↓1


>>479採用:2


早々に食べ終わりちびちびとイチゴ牛乳を飲んでいる弥生が、興味深げにボクの弁当を見ている

剣「食べたいのか?」

弥生「あ、ううん。そうじゃなくて、そのお弁当もしかして剣君の手作り?」

剣「いや、妹だ。このお弁当は毎日お互いのモノを作りあってる」

弥生「へぇ…妹さん10歳くらいだっけ?えらいなぁ…」

剣「弥生は弁当を作ったりしないんだな」

弥生「う~ん…挑戦しようとは思ったんだけど私朝弱くて…」

剣「ああ…そうだろうな……」

思い出されるのは今朝の光景
あんな寝ぼけた状態で料理なんてさせたくない

剣「弥生にだったら特別に作ってやってもいいぞ」

弥生「えっ!?嬉しいけど…どうしよう……どんなお返しすればいいかな?」

剣「お返しか……」

食べてもらうことが何よりのお返しだが、何を要求しようか…


1、何でもお願いを一つ聞く権利
2、鹿島弥生の手作り料理
3、キス
4、自由安価

安価↓1

2


>>482採用:2



剣「…そうだな、じゃあ弥生も料理を作って欲しい」

弥生「え?そんなのでいいの?私大したことないよ?」

剣「それはボクが決めることだ。弥生の料理はボクの手作りお弁当と同程度以上の価値がある」

弥生「そ、そっか…じゃ、じゃあいつ作ってくれる?」

剣「明日でいいか?弥生のお返しはいつでもいい。弁当でも菓子でもなんでも好きなタイミングで渡せばいい」

弥生「うん、分かった。頑張るね」

剣「ボクの手料理なんてそうそう食べられるものじゃない。期待して待つといい」


それからアレルギーや好き嫌いの話を聞き、お弁当の構想に話を膨らませた



※明日の昼の行動が固定化されます


放課後


全ての授業が終わり自由の時間がやって来た
さて、どうするか……

と考えていたころスマホに連絡が来る

『正面玄関で待ってるよ(^◇^)』

と明日香から連絡が来る
今日は約束の日だった

あの意味深な奴隷の事も気になるが、約束を破るわけにはいかない
ボクは明日香の待つ正面玄関へと向かった

明日香「あ!おーい!こっちこっち!!」

剣「わざわざ大声で呼ぶな」

明日香「だって楽しみなんだもん!何処に行くか決めてる?」

剣「一応はな」

明日香「よ~し!じゃあ行こう!直ぐ行こう!!」

剣「なっ!手を引くな!案内するのはボクだぞ!!」

興奮気味な明日香に引きずられながら、ボク達は目的の場所へと向かった…



???判定
5以下で……

直下コンマ


コンマ判定:6 爆弾回避


電車に乗ってやってきたのは少し遠くの大型デパート
母に連れてこられ、あの惨めな女に服を選ばせた場所
かなり幅広く色々なお店があるのと、この前来たばかりなのでどんな服があったか覚えているのが理由だ

剣「よし、まずはこの店だな」

明日香「う、うん…」

明日香は生唾を飲み込み、ボクの手を握って来た

剣「……この手はなんだ、さっさと離せ」

明日香「ああ…ごめんごめん。なんだか緊張しちゃって…」

ボクの手を掴んだのは無意識だったらしい
恐らくこういった店に足を踏み入れたことも無いのだろう

コイツの私服は確実に全身ユ○クロだった
悪いとは言わないが、地味な印象は拭えない

ボクが考えてきたこの女のコーディネートは…


1、ミニスカートを主軸とした華やかな印象の女性的な装い
2、ボクの趣味に近いゴシックパンク
3、まさかのゴスロリ
4、ロングスリットのトップスが主軸の少し大人っぽい色気のある装い

安価↓1

2


>>487採用:2



明日香「…こ、こういうのって何て言うんだっけ?」

剣「ゴシックパンク。この店はどちらかと言えばパンクファッションの方が近いが…如何せん定義が曖昧だからな」

明日香を連れてきたのはボクの愛用品が多くあるゴシック・パンクファッションの店
服以外の小物が充実しており、見て楽しい店でもある

剣「ボクがこの前着てきたのはロリィタ寄りのゴシックだが、どちらかと言えばこっちの方が普段来ている趣味に近いな」

明日香「う、うん…正直用語ごとの違いが全く分かんないけど、この前着てたのとは系統が違うのはなんとなくわかる」

剣「いくつかアタリをつけている。持って来るから適当に見ていろ、気に入ったのがあったら言え」

明日香「ええ!?ボク一人にしないでよ!」

結局明日香はボクが選んでいる際も腰が引けた犬のようにビクビクとボクの傍に居た


選び終わると、早速試着させてみた

剣「……終わったか?」

明日香「お、終わったけど…」

剣「開けるぞ」

明日香「ええ!?待って――」

制止を聞かずにカーテンを開け放つ
着替えと宙なんてことは無く、しっかりと着替え終わっていた

剣「うん、いいんじゃないか?やはりボクのセンスは一級品だな」

カジュアルな黒いシャツに白いネクタイ
赤いチェックのプリーツスカートに、白と黒のボーダーのニーソックス

ベタな感じだがいい纏まりだ
アームカバーもどれか見繕ってやってもいいかもしれない
ソックスも何か別のモノを取ってこようか……

明日香「す、スカート短くないかい?み、見えてない?」

剣「見えるわけあるか。見えたとしたらどれだけ腰の上で履いているという話になるぞ」

明日香「な、何か女の子っぽく無い?ボクそっちのズボンが良いな…」

剣「それはメンズだ。女の子らしくてどんな問題がある」

明日香「う、ううぅ…」

どうやら慣れない感覚に戸惑っているようだ


明日香「ボク、スカートとか私服で履いた事ないよ?」

剣「ならこれから履け。そんな意識だからあんな男のような服装センスになるんだ」

明日香「た、頼んだのはボクだけどさ…ここまでしてくれなくたっていいんだよ?」

羞恥からか後ろ向きな発言が目立つ
ボクのセンスが否定されているようで非常に腹立たしい

剣「ボクの隣に居ても浮かない服装にすると約束してやる。大人しく着せられろ」

明日香「き、キミの隣!?」

剣「何を驚いている。そういう会話の流れで服を選びに来たんだろう?」

明日香「い、いや…確かに…そうだったけど。そ、その言い方じゃまるで……」

明日香は何事かをもごもごと口ごもる
何に照れているのか分からないが、黙って着せられる気になったようだった

剣「アームカバーどっちがいい?こういうタイプもあるが…」

明日香「その、つけるから似合ってる方教えて貰えないかな?」

着ることに対する抵抗も薄くなったらしい

剣「それでもいいが、どういう自分になるかのイメージくらいはしておけ。一人でも買いに来られるようにな」

それ以降は幾らか乗り気になった明日香を存分に着せ替え人形にしてやった
自分の服しか選んだことが無かったが、中々に楽しい時間だった


大きな袋を大事そうに抱える明日香と帰路につく

最終的にボクが見繕った全身一式と、靴を買った
この女は学校指定のローファー以外、スニーカーしか持っていなかったらしい
靴下は3種類買って、次の服を選びやすくした

明日香「全然意識したこと無かったけど、服って高いね……女子は大変だ…」

剣「お前の場合は靴も買ったからな。ただ、服に関してはそんな物だ」

明日香「あはは…今まで安さで選んでたから尚更ね…」

そう、バツの悪そうに笑う

明日香「でも、よかったの?靴下とか奢って貰っちゃったけど」

剣「まあそれくらいならな。ボクも中々楽しめたのでその礼だ」

明日香「そっか、ふふっ…どちらかと言えば君の方が本気だったしね」

剣「お前はどうだ?これで少しはお洒落に興味が持てたか?」

明日香「う~ん……うん、キミに選んでもらえて本当に良かった」

そう、微妙にずれた答えが返って来た
恐らくまたボクに付き合って欲しいから微妙に答えをぼかしたのだろう

剣「………はぁ、まあ次があったとして暇だったら付き合ってやらんことも無い」

明日香「本当に!?また、絶対だよ!!」

買い物に来る前の興奮を取り戻した明日香のテンションに振り回されながら帰ったのだった……





ゴロゴロと自室でゆったりと過ごす

思い返してみれば、今日は昨日のような妙な感覚が無かったな
あの気配の事も含めて、あの奴隷には話を聞いておかなければな

さて、寝るまでにまだ時間があるが……



1、妹と過ごす
2、母と過ごす
3、誰かに連絡を取る
4、夜の町に足を運ぶ
5、自由安価

安価↓1

1


>>493採用:1


そろそろ寝てしまおうかと電気に手を伸ばしたとき

コンコン

と控えめなノックが鳴る
母はノックなんてしないのでこれは卯月だ

剣「どうした?」

卯月「お兄様…」

パジャマに着替え、抱き枕を抱きしめて寝る準備万端と言った様子だ
にも拘らず不機嫌そうに眉をしかめている

卯月「…一緒に寝て?」

剣「はぁ…だから言っただろ。寝れなくなるから別のを見ろと…」

卯月「だってぇ……」

甘えた声でぐずる
卯月は先ほどまでテレビでやっていた心霊特集を見ていた
毎度のように、ああいった番組を見てはボクか母に添い寝をねだるのだ

母はまだ帰ってきていないので、母と寝ろとも言えない
さて……


1、仕方がないので一緒に寝てやる
2、寝るまでは一緒に居てやる
3、甘やかさない。一人で寝ろと追い払う

安価↓1

1


>>495採用:1


剣「……はぁ…分かった。ボクも今から寝る」

卯月「やったぁ!お兄ちゃん大好き!!」

ボクの首に抱き付く妹を抱きかかえながら布団をもう一式用意し、電気を消した
布団に入ったその直後、もぞもぞと何かがボクの体に縋りつく

剣「…これでは布団をもう一式敷いた意味がないだろ」

卯月「卯月はお兄ちゃんと寝たいの!」

剣「やれやれ……この調子で独り立ち出来るのか…」

卯月「どうして?ずっと一緒に居ればいいのに」

卯月は純粋な瞳で此方を見る
本当に疑問だという顔だ

剣「まだ早いが、いつかはそうなる。そうしないといけなくなる」

卯月「どうして?やだよ…卯月、お兄ちゃんもママも大好きだもん……一番大事だもん…」

目の前の温もりを離すまいと卯月は服を強くつかみ、胸に顔を埋めてきた

剣「………」

ボクは妹の髪と背中を優しく撫でた
まだ、まだこの子にはこの話は早かったかもしれないな

それでもいつか、嫌でも別れて暮らす日が来るだろう
せめてその日までは、こうやって甘えさせてもいいかもしれないな

卯月が吐息を立てるまで、ボクはずっと優しく抱きしめて安心させてあげた


※九日目終了


と、いうところで今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました


今日の更新はお休みです


そろそろ再開のお時間です


その前に張り忘れていたプロフィール公開



名前:浅間花月(アサマ カヅキ)
年齢:17
性別:女性

【外面】
バカがつくほど真面目。論理的であり合理的であり誰に対しても平等に接する
【内面】
未明


【詳細設定】
身長157cm
重みのある黒髪の三つ編み、無機質な紫色の瞳が特徴的な女性
非常に素直な受け答えをする性格で、歯に衣着せなず物怖じしない
また、非常に押しの強い一面を持つ
弟が一人いるが、普段からあまり会話もしない。仲が悪いわけではないがよくはない
図書委員であり日常の大半を図書館で過ごす

そろそろルート固定の選択肢に突入するので、色んな子にちょっかいをかけておくといいかもしれない(ダイレクトマーケティング)

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


十日目・朝



安らかな寝息をたてている卯月を起こす
卯月に抱き締められ続け、ボクの服は涎と皺でくちゃくちゃになっていた

やはり独り立ちさせる練習が必要な気がするな

そんな事を考えながら朝の準備をする…



1、早めに家を出る
2、普通に出る
3、遅めに出る

安価↓1




>>505採用:1



普段よりも数段早く家を出る

人もまばらで校庭からは部活動にいそしむ人々の声が聞こえる
……昔はボクもあの輪の中に居たな

ほんの少し滲んだ心の靄を振り払い、校内を探索した……



1、陸上部の練習を眺める
2、中庭の噴水で涼む
3、なんとなく旧音楽室に行ってみる

安価↓1


>>507採用:3


何となく旧音楽室へと足を運ぶ
昨日の朝、鹿島弥生が言っていたことを覚えていたからだ

そして予想通り、彼女は居た

剣「やっぱり居るんだな」

弥生「えっ?剣君」

彼女はボクの来訪を予想していなかったからなのか、呆けた顔をしている
ボクは適当に椅子を持ってきて彼女の隣に腰かけた

剣「また見ていたのか?」

弥生「うん。こうして居るのが好きだから」

彼女の視線の先には日比乃明日香が居た
健康的な汗を流し高く空を舞う明日香
彼女はその光景をうっとりと見つめている

ボクは彼女と話をすることにした……


1、明日香が好きな理由
2、明日香に告白はしないのか、またはしたことがあるのか聞く
3、ボクの友達の話

安価↓1

1


>>509採用:1



日比乃明日香
ボクの恋敵であるあの女

どういう因果か服を選んでやったり一緒に遊びに行ったこともあるが恋敵だ

陸上部に所属していて活動種目は高跳び
ボクが陸上部に居た時、あまり名前を聞いた覚えがないから一線級というほどの選手ではないんだろう

正確は控えめで謙虚だが、それ以上に自分の感情に素直
喜怒哀楽の感情が豊かで、感情で体を動かしているといってもいい
友達想いで気遣い上手、その上呆れるほどのお人好し

それがボクが今まであの女と接してきての印象だ
総じて悪い奴ではないが、なぜ弥生があの女の事が好きなのかは知らない事だった

なので、直接聞いてみた

弥生「ええっ!?あ、明日香が好きな理由?」

弥生「う、う~ん……色々ある気はするけど…」

彼女は少し照れていたが、嬉しそうに明日香との話をしてくれた


弥生「私と明日香が幼馴染だって話はしたかな?」

剣「ああ、知っている」

弥生「幼稚園も一緒でね、家も近くって、昔っから一緒に遊んでた」

弥生「何をするにも一緒で、居ないと寂しくて泣いちゃうくらいだった」

弥生「昔っから私は今と全然変わらなくって、誰かから話しかけてもらえないとずっと一人で居るような子だった」

弥生「明日香は私と違って自分から人の手を引っ張ってくれる人だった」

弥生「明日香はね凄いんだ。勉強も運動も私より出来るし、人に慕われる魅力があって、何より優しかった」

弥生「困ってる人に率先して話しかけて、自分から損な役回りを請け負ってた」

弥生「それに何より、誰かのために立ち向かえる人なの」

弥生「恐怖に震える誰かの手を握ってくれる」

弥生「人の痛みに…人のために、怒ってくれる人なんだ」

弥生「誰かが痛みに泣いていても、見て見ぬふりしかしなかった私とは真逆な人」

弥生「明日香はね…私の中の王子様。私の中のカッコイイっていう情景には、全部明日香が居る」

弥生「ずっとずっと好き…今も昔も……一番好き」


弥生「あはは……ゴメン、気持ち悪いよね。明日香は女の子なのに王子様って…」

彼女そう言って表情を暗くした

鹿島弥生と日比乃明日香の間には、そう簡単に超えられそうもない強い時間の繋がりがあった

弥生は人との関わりをなるべく作らない人間だ
受け答えはするけれど、友達は殆どいない
特に、人からの接触を嫌う性質を持っている

そんな中で、日比乃明日香は特別な存在だ

血のつながりの無い人間でありながら、肉親よりも濃い時間を二人は過ごしてきたのだ
少なくとも、弥生の中では

彼女にとって、彼女の思い出は明日香との思い出
彼女の中には明日香しか居ないのだ

恋は盲目とはよく言ったものだ
鹿島弥生の口から、幼少期の思い出を聞けば明日香との話しか返ってこないだろう

二人の間には、ボクでは埋められない決定的な差があることを理解した


しかし、付け入る穴が無いわけではない

まず一つは彼女自身の口から発せられた自己嫌悪
同性同士であるという壁に、彼女は今一つ踏み切れない感情を抱えている
恐らくだが、日比乃明日香には同性愛の気が全くないのだろう
だからこそ、思い人への想いを伝えるのを躊躇してしまうんだろう

もう一つは彼女の今までの経験出だ
盲目が故に明日香以外の人間に性の意識を見出したことが無い
相当に骨が折れることは承知だが、上手くいけば異性への関心を引き出せるかもしれない


その二点
上手く利用できればいいのだが……


弥生「…剣君もちょっと引いちゃったんじゃない?」

彼女はボクの顔色を窺うように訊ねた
さて、どう答えるか……


1、正直引いた
2、愛に性別は関係ない
3、人を好きになれば誰しもそんな思いを抱くモノ

安価↓1

3


>>514採用:3


剣「人を好きになれば誰しもそんな思いを抱いてしまうモノだ」

まるで熟練の恋愛相談窓口であるかのように、自信満々に答えてやる
因みにボクは一週間前、初恋を経験したばかりだ
なんと言う説得力なのだろう

弥生「そ、そうなの?」

彼女は純粋にもボクの言ったことを真に受けている

剣「ああ、きっとボクも程度の違いはあれどキミに幻想を抱いているんだと思う」

この言葉は半分本音だ
今のボクでは彼女の全てが美しく思えるから

弥生「そっか…恋って怖いなぁ…」

剣「ああ、だからそう自己を貶めるな」

弥生「ふふふっ…慰められちゃった。でも、いいの?私の背中を押してくれてるよ?」

彼女は悪戯っぽく笑って見せた
ボクはその言葉で漸く気づいたのだが、彼女の心象を悪くするよりはいいだろう

………たぶん


昼休み


朝から彼女と話が出来、とても気分よく授業を受けられた
…あまり頭の中には入っていないが気にしない


さて、昼食はどこで食べるか…


1、教室で食べる
2、食堂に向かう
3、中庭に行く
4、誰かを誘う
5、すぐに食べ終わり、別の行動を起こす
6、誰かに誘われる

安価↓1


昼の行動って固定されてなかったっけ?


>>518その通りでした!!
というわけで昼の行動は書き直しです

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


昼休み


ボクは意気揚々と階段を上っていた
理由は当然彼女に会うため

剣「待たせたな!」

弥生「いらっしゃい剣君。待ってたよ」

彼女は笑顔でボクを迎えてくれた

今日は普段よりも2時間も早く起きていたのだ
理由は当然、彼女へのお弁当を作るためだ

昨夜の時点で幾らか下準備はしていたが、それでも気がせいて早くに起きだしたのだ
その為か普段よりも早く学校に来てしまったが、それも結果を見れば正解だった

ボクは自信を持って、彼女にお弁当を手渡した


剣「ふふふ、きっと驚くに違いない。ボクの料理は一級品だからな」

弥生「ふへへぇ…楽しみだなぁ…」

彼女は蕩けた声で緩み切った笑顔を見せる

剣「開けてみろ」

弥生「それじゃあ…いただきます」

彼女は丁寧に手を合わせ、ボクのお弁当の包みを解いた
彼女の好みは完全に把握している

そう、肉だ

お弁当な事もあってか、冷めても味も見た目も問題のないモノを選んだ

弥生「お肉だぁ…!」

剣「ふふん、食べてみろ。さらに驚くぞ」

彼女は大きく口を開け、自信作のハンバーグを頬張った


弥生「うん…うん!!」

彼女は目を見開いて、瞳の奥を輝かせている
言葉にはしなくとも、全身でその喜びを表現してくれていた

弥生「美味しい…!美味しいよ剣君!!」

剣「ふふんっ…当然だな。何せこのボクの料理なんだから」

弥生「剣君って料理もできるんだね!」

剣「ボクのセンスをもってすれば当然だ」

弥生「本当にすっごく美味しい!明日香が作ってくれたハンバーグと同じくらい美味しいよ!!」

剣「そうだろうそうだろう……………ん?」

今何か、とても聞き捨てならない言葉を聞いた気がする

弥生「明日香が作る料理以上に美味しいものなんてないと思ってたけど、それに並ぶくらい美味しい」

剣「ん?んん?ボクの料理が…あの女と同格?」

弥生「うん、明日香って料理も上手なんだ。でも、本当に凄いと思うよ!」

彼女の言葉から純粋な尊敬の念を感じる
『明日香と同じ』とは彼女にとって最大級の賛辞の言葉なのだ
それは分かっているのだが…納得はできない

悪魔でボクに立ちふさがるか…日比乃明日香!!

改めてその存在の驚異を思い知ったボクだった


弥生「ご馳走様でした。本当に幸せな時間だった。ありがとう剣君」

剣「これくらい安いものだ。ボクならいつでも弥生の為に作ってやろう」

弥生「あはは、毎日は流石に悪いよ。…ちょっといいなって思うけどね」

あの明日香と同格に語られたことに不満はあるが、彼女は心の底から喜んでくれていた
それだけで収穫は十分すぎる

弥生「それでね、お礼の事なんだけど…ちょっと時間をくれないかな?」

剣「ほう?理由は?」

弥生「こんなに美味しいもの作って貰っちゃったから、私も頑張ろうと思って。その練習をしたいんだ」

弥生「此処まで上手にはできないと思うけど、剣君にお弁当を作ってあげたい」

剣「楽しみにしているぞ。ただ、作ってくるときは予め知らせてくれ、妹に言わないといけないんでな」

弥生「ああ、そうだよね。お弁当二つになっちゃったら困るもんね。分かったよ」

そう約束を交わし、彼女と時間の許す限り雑談をして過ごした


放課後


どんよりとして曇った天気だが、今すぐ雨が降ると言ったことは無さそうだ
さて、放課後をどう過ごすか……


1、旧音楽室に向かう
2、服飾研究部の部室を覗く
3、図書館に足を運ぶ
4、柘榴花あやを探す
5、陸上部に顔を出す
6、学校を出て町をぶらつく
7、自由安価

安価↓1


>>525採用:4


いい加減遅くなってしまったが、あの件について柘榴花あやを問いただすとしよう
連絡先を知っていることを思い出し『会って話がしたい』と送ると、即座に『校舎裏で待ってます』と返って来た

女は言っていた通り、校舎裏で待っていた
わざわざ人気が感じられない場所に呼び出したという事は、何か事情があるのだろう


あや「と、戸倉君!あの…」

剣「御託はいい、本題から話をさせてもらう。お前、何を知っている?」

普段ボクを見る熱っぽい眼に影が差す
視線を外しかなり躊躇っているようだが、話し始めた

あや「……私、呪いにかかってるんです」

剣「…ふざけるのは止めろ。正直に話せ」

あや「ほ、本当なんです!嘘じゃないの!私は呪いにかかってるの!!」

剣「チッ…仮にそうだとして何故ボクに被害が出る?あのガラスの事も、お前が原因なんだな?」

あや「わ、わた、私…の所為だけど…私がやったんじゃなくて呪いが原因なの!」

どうやら真実を語る気はないらしい
呪いなんて馬鹿馬鹿しいもの、あるはずもない
大方ボクへの恨みか、下らない独占欲か何かだろう
前々から病んでいるとは思っていたが、こうして行動に起こされるとボクも黙っていられない

あや「ごめんなさいごめんなさい!わ、私が悪いんです…私なんかが居たから……私なんかが…」

女は涙を浮かべ髪を振り乱している


女の様子は必死そのもので、狂ったようにも見えるが正常であるようにも見える

呪い?
普通に考えてただの方便だろう
ただ、万が一億が一にも本当に呪いだったら?

いや、信じるに値しない

少し心が揺らぎかけたが、オカルトを真に受けるボクではない


あや「あ、あのあの…えっと…」

剣「これ以上呪いを信じろだというなら、ボクから聞きたいことはもうない」

あや「ほ、本当なの…信じて……くれませんか?」

柘榴花あやは消え入りそうな声で、ボクを見上げた

これは重要な選択な気がする
慎重に言葉を選ぼう……


1、『本当に呪いでボクを…ボクの周りの人間に危害を加えるなら、二度とボクに付きまとうな』
2、『バカな話だが……一応は聞いてやる』

安価↓3までで多数決


多数決:1


剣「……分かった。信じよう」

あや「あ、ありがと―――」

剣「だから、二度とボクに付きまとうな」

ボクの言葉に光を取り戻したあやを、即座に突き放す

剣「呪いとやらがボクに迷惑をかけてるんだろう?ボクだけならまだいいが、あの時は無関係な隣人が被害にあったんだぞ」

ボクの言葉には明確な怒りが込められていた
どんな理由があったにせよ、あんな事は許されない
原因が分かっているなら尚更だ

あや「わ、私それ…知らない…」

剣「だからなんだ、知らない人ならいいのか?ボクじゃなければ死んでもいいのか?」

あや「ち、ちがっ…」

剣「お前に呪いがかかっていようが知ったことではない。ボクに関係の無いところで勝手に呪われていろ」

剣「ボクの為を想うのなら、金輪際、二度とボクに付きまとうな」

そう、言い切った


ボクの言葉に押し黙っていたあやは、突然笑い始めた

あや「あはっ!ふふっ!あはははははは!!」

涙を流しながら、吐き出すように笑っている

あや「そうだねっ…!そうだねっ…!戸倉君の言う通りだ……私なんかが夢を見ちゃってたから、『またあの時にみたいに』迷惑かけちゃった」

剣「また…?」

あや「ほんのちょっとの時間だったけど、戸倉君の事を思うと心が軽くなったの」

あや「自分の罪から、許された様な気がしてた」

あや「でも…まだ許されてなかった。私…戸倉君にだけは嫌われたくないから」

あや「こんな私と、最後に話をしてくれてありがとう」

剣「待て!その言い方はなんだ!何をする気だ―――」

あや「こう言えば呪いは私を狙ってくれるはず……」


あや「私、自分の事が『好き』」


ボクの制止の言葉に被さるように女は言った
いや、ボクにこれ以上何も言わせないために言ったのだろう

女が言葉を言った直後、巨大なガラス片が女の体を貫いていた
腹を突き破り中身が開かれていく
女の体は不自然なまでに宙に浮き、壁に叩きつけられて磔にされていた

どんな理論でも説明のつかない『異常』がそこにはあった

何一つ信じられないその光景に、ボクはただ膝をつく
ああ、あの言葉は…この女にとって最後のSOSだったのだ

磔にされた女の顔はどこか安らかで、満足げに微笑んでいるようにさえ見えた



※柘榴花あやルートが消滅しました
※戸倉剣の異常素質が成長しました。(1→3)


と、言う所で今日の更新はお終いです


この物語は『恋』の物語ですが『異常』に向き合うお話でもあります
くれぐれも、選択肢にはご用心ください


ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


今日の更新はお休みです

多数決には参加できなかったけど、もし2を選択したらあやのルートが確定すると思ったんじゃないかな?
まさかこんな事態にはなるとは思わなかったけど・・・


そろそろ再開の前に、素質について補足の説明をしたいと思います


運動素質
高ければ高いほど体を使う行動が追加され、肉体的に無茶が出来ます
体を張る選択肢で殆ど下手を打ちません(誰かを助けるなど)
逆に素質が低いほど選択肢に体を張った選択肢が減り、無茶をした時のリスクが甚大です
今回で言うと、浅賀花月を助けようとした時剣君は素質が高いので最悪の事態でも助けることができました

勉強素質
高ければ高いほど計画的な思考になり慎重な選択肢が増えます
あらゆる行動面においてリスクを減らせます
逆に素質が低いと行き当たりばったりな行動が増え、リスクを背負った選択肢が増えます
今回で言うと、明らかな異常を確認しているのにそれを明らかにしようとする選択誘導が少なかったです

感性素質
高ければ高いほど人の評価が確かなものになります
人の変化に聡くなり、会話の選択肢にはずれが少なくなります。更に他者と仲良くなりやすく、他者の心に触れる選択肢で下手を打ちにくいです
逆に素質が低いと他者の内面を察する描写が減り、気持ちのすれ違いなどが多くなります
今回で言うと、剣君は素質が高いので自分の恋心は本気であると、本来猜疑心の強い鹿島弥生に伝わっています

異常素質
高ければ高いほど異常に対処できるようになります
また下手をうっても何とかなりやすいです。所謂ご都合主義的な主人公補正の強さを表しています
逆に素質が低いほど異常を受け入れず、下手をうってしまったときに致命的なものとなりやすいです
今回で言うと、柘榴花あやの告白の件で地雷を完全に踏み抜いたときに致命的な結果となりました


素質の面で今回の主人公戸倉剣を評価するなら
『人の気持ちを理解してくれて、颯爽とピンチを助けてくれる王子様だが、致命的なまでに空気が読めず、主人公補正が殆どない』
ですね


>>539でご指摘された通り>>527の選択肢は柘榴花あやルートの固定選択肢だと勘違いさせてしまっていたかもしれません
あの選択肢はルート消滅回避の是非を問う選択肢でした

初見殺しとして設計したのは事実ですが、初死亡選択肢のチュートリアルだったと思って頂いて最安価を取りたいと思います


このまま進んでも大丈夫ではあるんですが、剣君の心には深いトラウマが残った状態での進行となります


では、多数決です

1、そのまま進行
2、ロードして【2、『バカな話だが……一応は聞いてやる』】を選択する

安価↓3まで


多数決:2、ロードして再開

では、ここから本編です
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

剣「……………」

あや「あ、うぅ……」

ボクの沈黙にあやは今にも泣きそうな顔でソワソワとしている

『呪い』…『呪い』と来たか……
正直、全く信憑性の無い話題だ
ボクとそれ以外の人間と話すときの強い二面性のある性格、病的なまでのボクへの執着
この発言と来れば役満で精神病患者だ

…が、本当にこの女が嘘を言っているようには見えない
人を見る目にはかなりの自信がある、人の嘘や誤魔化しを見抜くのは得意だ
この女の様子は『信じてもらえないことを承知の告白』
何かに追い詰められるような、ボクに追いすがってくるようなそんな声色

剣「………あまり馬鹿馬鹿しい話だ」

あや「うぅ…そう…だよね……」

剣「ああ、バカな話だ。だが……一応は聞いてやる」

ボクが折れてやることにした
オカルトなんてありえないと分かっているが、原因の何かをこの女は知っているのだろう
それは明らかにしておくべきだと思う

あや「つ、づるぎぐうぅん!!ありがとう!!!」

ボクの言葉に柘榴花あやは涙を流してボクの胸に顔をこすりつけてくる
相変わらず汚い泣き顔だが、まあ正しい選択をしたと思う


いくら経っても離れないため、強引に引き剥がしハンカチで顔を拭ってやった
そして何とか落ち着かせることに成功した

あや「さ、さささっきは勢い余って名前で呼んでご、ごめんね」

剣「それよりも人の服を汚したことを謝れ。いや謝らんでもいいからサッサと話せ」

話が脇道にそれそうなことを察し、強引にあやに話をさせる

あや「え、えっと…『呪い』の話だよね」

剣「ああ。そもそも『呪い』とは何だ?悪魔にでも憑かれているというのか」

あや「……それは、私も分からない事ばっかりだけど。確かな事があるの…えと…えっと……うぅん…」

あやは顔を赤く染め、口を尖らしてもじもじとし始めた

剣「何を口ごもっている。お前以外に誰が説明してくれる?さっさと言え」

あや「………あ、あの…わ、私の大好きなものに不幸が降りかかるの。それが『呪い』」

それが口ごもっていた原因らしい
コイツの恋心などとうに察していたから何とも思わない

あや「それと…もう一つあってね……それが、その…す、好きなモノの事を思って『好き』って口にすると……恐ろしい事が起こるの」

あや「お、一昨日の私はね…と、と戸倉君を想いながら…口に出ちゃってたみたいで…」

成程、言い淀んでいた理由の本命はこっちだな
『一昨日あなたの事を妄想していて好きって言いました』なんてことを告白をさせるとは、とんだ羞恥プレイだ


あや「本当にごめんなさい!!私なんかがおこがましい事を口にして本当にごめんなさい!!」

剣「いや、迷惑をかけたことを謝れ。ボクがいなければ死人が出ていたぞ」

あや「ボクがいなければって…アレ?戸倉君が危ない目にあったんじゃないの?」

剣「その時偶然隣りに居た女の上にあのガラス片が落ちてきた」

あや「そんな…事…別の誰かまで傷つけるなんて……今まで無かったはずなのに…」

柘榴花あやはその事実にかなりショックを受けているようだ
ふむ、どうやら本当に浅賀花月の事は知らないようだ
だからこそ、『呪い』の性質である好きなモノのボクに危害を加えたと思って謝って来たのだろう

剣「うむ、辻褄は合うな」

あや「し、信じてくれるんですね!」

剣「その話が真実だと仮定するなら、だ。『呪い』なんて証明できないモノ、信じられるか」

そう、一蹴した


しかしこの女は何かを握りしめ、決意のこもった声で言った

あや「…じゃ、じゃあ…今から証明するね。それで、信じてくれるよね?」

剣「ほう?やってみろ」

あやは握りしめていた筆箱を慈しむように撫で、大きく宙に放る

あや「今までありがとうね。『好き』だよ」

そう言った瞬間
突如、虚空からガラス片が湧き出て放られた筆箱を貫いた
明らかに不自然な軌道を描き、筆箱は中身をぶちまけながら壁に突き刺さる

あや「こ、これで信じてもらえない…かな?」

剣「……………信じたくは…無いな」

『異常』
正にその一言の光景だった
あらゆる現象が論理で説明がつかない
あの光景の全てが『呪い』の話の真実を雄弁に語っていた

ぶちまけられた筆箱の中身をせこせこと拾うあやを手伝いながら、まだ目の前で起こったことが信じきれずにいた


※柘榴花あやルートの消滅を回避しました
※異常に触れ、異常素質が変化しました(異常素質:1→2)


情報が追加されました


名前:柘榴花 あや(ザクロバナ アヤ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
無口でそっけない。友達は非常に少なく、交流を持とうともしない
【内面】
異常なまでに戸倉剣に陶酔している
愛したものが壊れてしまうという呪いに怯えて生きている


【異常】
柘榴花あやは呪いに憑かれていた
決して幸せになれない呪い
彼女が愛を囁くたびに愛する者は壊されてしまう
それに一切の悪意はなくただの現象であった
彼女に巣食う『???』の呪い




あれから『一応は信じてやる』と伝え、頭の中を整理するために別れて家に帰った

『呪い』
オカルトなんてこの世には存在しないと強く信じていたが、ああして目の前で見せられると信じないわけにもいかないだろう
あの女の様子から、何かの手品というわけでもなさそうだった
そもそも、あの女に手品なんて出来そうにも無い

しかし一つ意外だったのは、あの女は純粋な想いでボクを好いていたという事だ
確かに闇を抱えてはいたが、メンヘラやサイコパスの類では無さそうだ
その事だけは少し、見直したといってもいい

柘榴花あやの事を考えていた矢先、あの女から連絡が来る

『今はまだ決心がついていないけど、どうしても告白したいことがあります。金曜日の夜○×公園で会えませんか?』

先ほどあんな話をした後というのに、まだ何かを告白したいらしい
特に予定も無かったためボクは『分かった』と短く返信をした

…恐らく、とても大事な用事なのだろう
約束をした以上は破らないようにしよう


※十三日目の夜の行動が固定されました


インフォメーションの訂正
正しくは十二日目の夜でした


十二日目の夜はルート固定の決定日となります
それまでにあんまり絡んでいないシンシアとか千紗ちゃんとかと交流してどんな子か知って欲しいかもしれない(願望)
まあ別に二週目とかもあるので気にしなくてもいいといえばいいんですけどね


では十一日目開始です


の前に、十日目の夜の行動の続きです
さっきからガバガバ過ぎない?

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





さて、寝るには早い
何かをするとしよう………


1、夜の町に顔を出す
2、妹と過ごす
3、母親と過ごす
4、自由安価

安価↓1


>>553採用:3


夜遅くに帰ってきた母の晩酌に付き合う

美紗綾「卯月ちゃん、よく眠れてる?一人で怖がってなぁい?」

剣「よく眠っているよ。寧ろアイツには早く独り立ちさせる練習をさせたいくらいだ」

美紗綾「あらあら、冷たいのね。ママは…もうちょっと一緒に寝ててあげたかったな…」

遠い目をしながらコップの縁を指でなぞる
母はボク達二人を養うために、昔から遅くまで働いていた
昔から妹と一緒に寝てあげたり、一緒にお風呂に入ったり、世話をしてあげるのはボクだった
お弁当だって毎日ボクが作っていたし、それを真似して卯月も弁当を作ってくれるようになった

剣「そうは言っても一人で寝ると言い始めたのは卯月だぞ?」

美紗綾「きっと…ママに遠慮してるんじゃないかしら?……寂しい思いさせちゃってるわ」

剣「どうだろうな。少なくともボクの眼には母さんの方が寂しがっているように見える」

美紗綾「ダメね…私ママなのに……」

酒を飲むと昔からこんな感じではあったが、今日は一層悲観的だ

もしかすると、本当に寂しがっているのかもしれない
家族で男はボクだけだ、せめてボクだけでも母の支えになってやらないとな


1、ボクも飲み物とおつまみを新たに用意して、長話に付き合う
2、気分だけでも暗くならないように明るい話をし続ける
3、抱きしめて、甘えさせる

安価↓1


>>555採用:1


エプロンを着て台所に立つ

剣「何か食べたいものはないか?今日は暫く付き合ってやる」

美紗綾「あら、いいの?遅刻しちゃわない?」

剣「大丈夫だ。遠慮するな、愚痴くらいいくらでも付き合う」

美紗綾「……ありがとう。じゃあ…あのコールドチキンが食べたいわ」

剣「ふむ、それなら余りがあるからソースを作るだけか…ちょっと待ってろ」

冷蔵していたチキンを確認し、複数のソース作りに取り掛かった

美紗綾「…うふふっ…剣ちゃんは嫌がるかもしれないけど、剣ちゃんの背中…あの人みたい」

剣「………今はボクが居る。アイツの事はもういいだろ」

美紗綾「うん…だから、ゴメンね」

母はどこか甘えたような声でボクに謝った
『あの人』とはボクの父だった男の事
ボクの母はきっと『馬鹿な女』なのだろう

子供が出来たから捨てられたのに、あんな屑男の事を今でも愛しているのだから

もしボクがあの男に似ているというのなら、非常に不名誉だけど…母の心の隙間を埋められるなら、あの男の代わりになってやってもいいかもしれない

ボクはお茶を飲みながら母の話に付き合った
相当鬱憤を溜めていたらしく、吐き出されるままに客や上司の愚痴を喋り続けた


十一日目・朝


あれから倒れるように寝た母を寝室まで担ぎ、片付けをしようとしたのだが眠気には勝てずソファで眠てしまっていた
体勢が悪かったのか、体の節々が凝り固まっていた

軽くストレッチをしながら片づけをして、朝食の準備を始める


今日は……



1、早めに学校に行く
2、普通の時間に出る
3、遅めに出た

安価↓1


>>558採用:2


普通の時間に家を出た

少し夜更かしをしてしまったせいか大きく欠伸をする
授業中は寝てしまう事だろう

誰かに肩を叩かれる、振り返ると……


1、柘榴花あや
2、近衛鈴鹿
3、山田千紗

安価↓1

2


>>560採用:2


鈴鹿「おはよう剣ちゃん♪」

ボクの肩を叩いたのは変態女だった
この前の事を反省したのか、左側から話しかけてきた
これが右側だったら迷わず腕を捻りあげ、組み伏せていた事だろう

鈴鹿「欠伸なんかしちゃって、夜更かしでもしちゃったのかしら?」

剣「…はぁ、お前には関係ないだろう」

鈴鹿「えぇ~、私と剣ちゃんの仲じゃない!最近は部室にも足を運んでくれないし…」

剣「もう取引なんてほとんど必要ないしな」

鈴鹿「そうかしら?ちょっと弥生の事、甘く見てるんじゃない?」

剣「お前の知るところじゃない。順調も順調だ」

鈴鹿「ふふふ…それなら、いいんだけど…ね」

剣「……ふん」

いちいち発言に含みを持たせなければ気が済まない女らしい
隣に居るのだし、話くらいはしよう…


1、弥生と友達の理由を聞く
2、鈴鹿の趣味の話
3、また悪戯を仕掛けてみる

安価↓1

2


>>564採用:2

依然として見えないままの鈴鹿の内面
どこかにとっかかりは無いモノかと、少し突っ込んだ質問をしてみる

剣「…お前ってレズなんだったよな?」

鈴鹿「そうだけど、それがどうかしたの?」

剣「何か理由でもあるのか?」

鈴鹿「好きになったものに理由なんてあるかしら?好きだから好き、それだけよ」

剣「少し質問を変えるか。男は嫌いか?」

鈴鹿「…あらあら、どうしたの?今日は私に興味津々ね」

一瞬、返答に間があった
ほんの少しだが、確かな動揺を垣間見せていた

剣「はぐらかすのか?それは肯定と同意だぞ」

鈴鹿「もう、意地悪ね。男の人だからって無暗に嫌いじゃないわよ?」

剣「それが答えか?」

鈴鹿「ええ」

剣「………成程な、ボクはどうだ?お前にとって、ボクは嫌いか?」

鈴鹿「もしかして好きって言わせたいの?言ってあげるわよ、だ~い好き♪」

鈴鹿「だって剣ちゃん可愛いじゃない!可愛いは正義なの!!」

剣「ぐっ!お前、離せ!」

ほんの少し動揺を引き出せたが、最終的にいつもの通りに奴の勢いに飲まれてしまった
しかし、一つだけ収穫もあった
この女の趣味は…男が関係していそうだ

この女からは妙に鹿島弥生のそれとは違った匂いがする
どちらが本物かは、まだ判断はつかないが


情報が追加されました



名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
真性のレズビアン?
何かを隠しているような気がする…


ついでに追加し忘れていた情報も

名前:戸倉 美紗綾(トグラ ミサヤ)
年齢:32
性別:女性

【外面】
退廃的な色気を放つ。子供たちの為なら全てを敵に回しても構わないほどの子煩悩
性格としては奥ゆかしくも無邪気な面を覗かせる
【内面】
深く子供を愛している
未だに自分を捨てた男の事が心に残っている


休み時間
※強制イベント


……ふと、目を覚ます

いつの間にか授業中に眠ってしまっていたようだ
次の授業を確認すると、体育となっていた

既に教室には人が居ない
体育館の更衣室に行ったのだろう
ボクも行くとしよう……と席を立った時、人がもう一人いることに気付いた

机に突っ伏すような恰好の女
アレは確か奴隷2の方だな
自分の両耳を塞ぐという妙な格好だが、ボクと同じく寝ていたのだろう、仕方なく女を起こしてやる

剣「おい」

千紗「ひゃわぁっ!」

女は余程驚いたのか飛び上がって数歩後ずさった

千紗「つ、剣様…」

剣「更衣室に急げ、遅刻にされるぞ」

千紗「あ、あはは!ウチちょっと風邪気味だからサボりなわけよ。剣様こそ早く行った方がいいよ」

剣「む、そうか。じゃあな」

千紗「うんっ!じゃねー」

千紗はいつもより弱弱しい笑顔でボクに手を振る
確かに少し震えていたような気がしたが……風邪気味だというなら仕方ないな

ボクは廊下の窓から飛び降りて近道をしながら体育館に向かった


昼休み
※強制イベント


学校生活の中で最も長い休み時間
多くの生徒が束の間の休息を満喫するこの時間
ボクとて例外ではない……のだが―――

剣「これは……流石にまずいな…」

わなわなと震える手に握られているのは先日の小テストの用紙
なんと、10点満点のテストで1点という結果であった
中間テストもほとんど赤点、部活動をやめてスポーツ特待生では無いボクにこの成績は許されないだろう

剣「…勉強…しないと駄目だな」

シンシア「無様ですわね」

剣「……何時からいた」

いつの間にかシンシア…基、惨めな女がボクの小テストの結果を覗き込んでいた

シンシア「このような成績で私に惨めな女などとよくも言えましたわね。戸倉剣」

剣「ぐぬぬ…」

流石にこれは返す言葉も無い
シンシアはむふーと鼻を鳴らし、高飛車に笑う

シンシア「そろそろ期末テストも近づいてまいりますし、私がお勉強を教えてあげましょうか?下々の貴方に、慈悲を与えて差し上げてもよろしくってよ?」

剣「……」

非常に屈辱だが、魅力的な提案ではあった
この女、こんな態度だが勉強はできる。常に上位5名の中に名を連ねている
非常に屈辱だが、本当に勉強はしないとまずいだろう。成績をあげなければ部活に入るしかこの学校に居られないかもしれない

さて……

1、背に腹は代えられない。素直に提案を受け入れる
2、この女だけは無理だ。絶対に屈したりしない
3、与えられるだけは癪だ。取引をする

安価↓1

3


>>570採用:3


剣「部活動をやめた以上勉強はしないといけないからな…」

シンシア「でしたら――」

剣「だが、その提案に条件がある。ボクもお前の苦手を手伝ってやろう」

シンシア「―!分かりましたわ、そっちの方が対等ですわね!!」

ボクの発言に目を輝かせて興奮している
かなり調子に乗っているようだな

剣「言っておくがボクがお前に歩み寄ってやっているだけだぞ」

シンシア「ふふん、負け犬の遠吠えですわね。可愛らしい囀りですわ」

剣「チッ…で、何が欲しい?友達か?奴隷なら紹介してやるぞ」

シンシア「要りませんわ!!ごほん…では、貴方の得意な運動を教えてくださらない?」

剣「なんだ、意外に普通だな」

シンシア「私、なんでも持ってますもの。貴方から搾り取れそうなものなんてそれくらいですわ」

剣「相変わらず一言多い女だな……」

相変わらずの性格の悪さにボクは溜息を吐く
何はともあれ、シンシアと契約を結んだ


シンシア「では、一緒に食事でもしながらお勉強しましょうか?」

剣「そうだな………」


1、付き合う事にする
2、今はやめておく

安価↓1

2


>>572採用:2


剣「今はやめておく」

シンシア「そうですか。いつでも、この私シンシア・パーシヴァルを頼りになさって下さいね。私たちは対等な関係なのですから」

誘いを断られたというのにやたらと気分良さそうに去って行った
鬱陶しい女ではあるが、今のボクには必要だ

さて、何処で昼食を食べるか…



1、教室
2、食堂
3、中庭
4、屋上階段
5、誰かに誘われる

安価↓1


5


>>574採用:5


誰かから連絡が来る
食事の誘いのようだ
送ってきたのは……


1、日比乃明日香
2、山田千紗
3、浅賀孝介

安価↓1

1


>>576採用:1


と、いうところで今日の更新はここまでです

ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開でございます


連絡があったのは日比乃明日香だった
『弥生と鈴鹿と一緒に居るんだけど来ない?』との事だった
弥生が居るならばと即座に『行く』と返答した

高等部1-A
日比乃明日香の在籍する教室らしい

上級生たちの奇異の眼を感じながらも、4人で食事を始めた

明日香「こうして4人で席を囲むのはあの時以来だね」

明日香は嬉しそうに笑みを絶やさない
昼食は弁当で、恐らく自分で作ったものなのだろう
弥生がボクと同じくらい上手だと言っていたが、ボクの方が美味いに決まっている

だが少なくとも見た目だけは、中々美味しそうだと思えた

弥生はボクに向けられている他の人の視線が気になっているのか、居心地悪そうにしており口数少ない
見られているのは自分ではないと分かっていても気になるのだろう

鈴鹿「ねえ明日香、それ一口頂戴」

明日香「ええ?仕方ないなぁ…ほら、口開けて」

鈴鹿「あ~ん♪うん!やっぱり明日香のお弁当は美味しいわねぇ~」

この女は相変わらずマイペースで明日香に甘えていた

ボクも特に普段と変わらず食事を始めた…


1、明日香に話しかける
2、弥生に話しかける
3、鈴鹿に話しかける

安価↓1

3


>>583採用:3


隣で食事をしている変態女の事で少し気になっていることがあった

剣「お前、教室此処だったのか?」

鈴鹿「え?私の教室は2-Dよ?」

剣「…そう、ボクもお前は一学年弥生より上だと認識していた。だったらどうしてお前のカバンがそこにあるんだ?」

鈴鹿の足元には学校指定のいつも持ち歩いている鞄
この女の食事は弁当ではなく、購買で買ってきたと思われるサンドイッチだった
わざわざ自分のカバンをここに持ち運んでくる理由が気になっていたのだ

明日香「ああ~なんかね、鈴鹿どこ行っても自分のカバンは持ち歩いてるんだよ。癖じゃない?」

剣「…中身は何が入っている?」

鈴鹿「普通に勉強道具と化粧道具、あとお裁縫の道具だけよ」

剣「ふ~ん…」

それ以上追及することなく会話を交えながら食事をつづけた
しかし、鈴鹿がそっと自分のカバンを自分の足元に寄せて、ボクから遠ざけたことを見逃しては居なかった
どうやらあの鞄の中身は、あの女にとってよっぽど大事なものらしい


放課後


全ての授業が終わり、放課後の時間となった

風邪気味だと語っていた千紗は友人に軽く挨拶を交わしながら、足早に教室を出て行った
誰かと話をしていないと落ち着かないと語っていたあの女にしては珍しい様子が、少し気になっていた


さて……



1、千紗の後を追いかける
2、旧音楽室に向かう
3、服飾研究部に向かう
4、シンシアと勉強をする
5、陸上部に顔を出す
6、図書館に向かう
7、柘榴花あやの『呪い』が関係していると思われる事を調べる

安価↓1

3


>>586採用:3


服飾研究部の部室を訪ねる

鈴鹿「あ、いらっしゃい。ごめんなさいね、ちょっと今手が離せないの」

鈴鹿はミシンを扱っているようで、此方にチラリと視線を向けただけですぐに作業を再開していた
何だか初めて服飾研究部らしい姿を見た気がする

今まではただのコスプレ同好会だったからな
……いや、あれもコスプレ衣装だったらコスプレ同好会の延長線なだけだな

やはりというか、予想したように鈴鹿は自分のカバンを足元に隠すように置いてある

……今ならあの鞄の中身を見ることができるかもしれない
しかし、確実に強い反発を見せるはずだ

さて………


1、作業を見学する
2、服と化粧について話す
3、鞄の中身を探る

安価↓1


>>588採用:2



適当に椅子を持ってきて、女の隣に座る
こうして間近でミシンを使って何かを作っているのを見るのは、家庭科の授業以来だ

剣「…今更だが、お前は服が好きなのか?」

鈴鹿「そうね。だって無くてはならないモノでしょう?服を着ないと外を歩けないじゃない」

剣「ふふっ、そういう理由か?」

鈴鹿「あらあら、私に笑ってくれるなんて珍しい」

剣「お前がおかしな返答をするからだ。好きな理由を話せばいいだろう?それとも、外を歩けるから好きとでもいうのか?」

鈴鹿「…ふふふ、そうね。多分私は着飾るのが好きなんじゃないかしら」

鈴鹿「素敵なかわいい服と、お洒落に化粧をして外を歩く。綺麗な自分を見てもらう」

鈴鹿「それが女の子だけに許された幸せだと思うのよ」

剣「……成程な」

作業に集中しながらもボクの質問に真面目に答えた
集中をしていて気がそれていたのか、普段の鉄壁の外面ではなく、ほんの少し柔らかい内面に触れられたような気がした


情報が追加されました



名前:近衛 鈴鹿(コノエ スズカ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
友達想いで照れ屋。人懐っこく優しい
【内面】
真性のレズビアン?
着飾ることを好み、それを見てもらう事が幸せだと語る
まだまだ何かを隠しているような気がする…





夕食も食べ終え、卯月とテレビを眺めている
卯月はうつらうつらとしており、そろそろ寝かしてやったほうがよさそうだ

少し早いような気もしたが、居間で寝られると困るため布団に誘導してやった

母はまだ帰ってきていない
これからどうするか……



1、夜の街を歩く
2、誰かと連絡を取る
3、自由安価

安価↓1


>>592採用:2


誰に連絡を取ろうか……



1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、シンシア・パーシヴァル
4、近衛鈴鹿
5、日比乃明日香
6、山田千紗
7、庄内葉月
8、浅賀孝介
9、浅賀花月

安価↓1


>>594採用:1


……こんな時間に電話をしても平気だろうか?
不安になりながらも、鹿島弥生に電話をかけた

弥生『もしもし?どうしたの?』

剣「いや…今平気か?」

弥生『何か大事な用事?電話なんて初めてだよね?』

剣「ただ声を聴きたくなっただけだ。…迷惑じゃないか?」

弥生『…ううん、平気。じゃあちょっと話そうか』

弥生の返答にホッとする
我ながらこんな事をするなんて珍しい
何か用事があるわけでもなく、話しておかなければならないことがあったわけではない

ただ、彼女が恋しくなったのだ
今日の昼にあったばかりだというのにな

ボクは彼女と話をする


1、恋について
2、世間話
3、勉強の話
4、近衛鈴鹿について

安価↓1

4


>>596採用:4


学校の話をしていて、ふと気になったことを訊ねた

剣「あの変態女の事なんだが」

弥生『鈴鹿がどうしたの?』

剣「どうやって知り合ったんだ?アイツとも幼馴染か?」

弥生『ううん、幼馴染じゃあないよ。出会ったのは…中学かな』

弥生『…どうやって友達になったんだっけ…鈴鹿の方から話しかけてくれたと思う。服飾研究部に誘われたけど断ったんだよね。それが始まりかな』

剣「そこからよく友達になれたモノだ」

弥生『無理やり連れてかれたりしたけど、よく遊ぶようになってね。ちょっとずつ仲良くなれた感じかな』

弥生『……そう言えば鈴鹿何処に住んでるのか知らないなぁ。一度も遊びに行ったことない』

剣「…アイツ、そういう個人情報のガードが堅いな」

弥生『まあ、緩いよりは全然いいと思うな。最近怖いこと多いし…』

剣「それもそうだ。弥生はちょっと危なっかしいからな」

弥生『む。私だって知らない人に話しかけられたら逃げる位するからね』

剣「ふふっ、それはそれでどうなんだ」

そんな事を長い間話し合った


深夜
※強制イベント


随分と長い間鹿島弥生と話をしてしまった
日付も変わり、夜も深まったころ

遠くの方で何かの声がした

明らかに普通ではない感覚
何かが壊れるような音と、甲高い猫の悲鳴

頭のおかしい輩が暴れでもしているんだろうか?
……なにか酷く危険な予感がする



1、気になって外に出る
2、ボクには関係ない事だろう

安価↓1

1


>>599採用:1


ボクとは無関係な事なのだろう
そう分かっていても、ボクは確かめずにいられなかった

適当に上着を羽織って外に飛び出す

外では小雨が降っていた

物音が聞こえた方向に駆ける

アテがあるわけではない
勘を頼りにボクはそれを探し回った



コンマ判定
7以上で成功
運動素質 +3

直下コンマ


コンマ判定:7+3 成功


………見つけた
街灯の光さえ届かない入り組んだ路地の奥
そこに、ボクが探していた者の正体が居た

………しかし、もう遅かったのかもしれない

荒い息を吐く銀髪の少女
泥にまみれた汚らしい格好で、雨の冷たさから身を守るようにその体を縮めている

その少女が体を放りだしているのはゴミの山の上
その手の中にはピクリとも動かない猫を抱いていた

少女の足元では、血を流す大型犬が少女の足の傷を舐めていた

明らかに普通ではないその光景
まるで、何かから逃げてきたかのようなその惨状

ボクが関わってしまってもいいのだろうか…


1、少女に声をかける
2、何も見なかったことにする

安価↓1

1


>>603採用:1


きっとボクの及び知らぬ『異常』が関わっているのだろう
ボクに解決できる問題とも思えない
……だが、見なかったことには出来ない

剣「おい」

ボクは少女に声をかけた
声に反応し、少女は首をもたげてぶれる視線を寄越した
大型犬は体を震わせながらも少女を庇うように前に出て、ボクに敵意を露わにしている

少女「…だれ…ですか?」

剣「妙な音を聞いた気がして、ここにたどり着いた。怪我をしているな、何があった?」

少女「なんでも…ありませんから。早く…立ち去った方がいいです……」

少女「お願い…します……関わらないでください…」

剣「…そう言われてもだな。救急車は呼ばない方がいいか?水とか包帯は必要ないのか?」

少女「………………」

少女はぐったりとした様子で何も言わなくなってしまった
寝ているのか死んでいるのか判断がつかないが、犬がいる所為で近寄るのが難しそうだ

ボクは一度その場を引き返し、コンビニで水と缶詰を買ってきて少女たちが居る傍に置いておいた
せめてこれくらいはしておかないと、気が休まらない

ただの自己満足ではあったが、見て見ぬふりをするよりずっといい
そう自分に言い聞かせ帰ったのだった


※???ルートの消滅を回避


十二日目・朝



いつも通りの目覚めを迎えた
あれから昨日の夜に出会った少女の事が気になっていたが、少なくとも少女が路地裏のゴミの上で死んでいたというニュースは入ってきていない

生きてはいるのだと思う

ほんの少しだけ安心し、いつもの気持ちに切り替えるのだった



1、早くに家を出る
2、普通に家を出る
3、寄り道をして学校に行く

安価↓1

1


>>606採用:1、早くに家を出る



と、言う所で今日の更新はここまでです

ついに登場しました隠しヒロイン
出現条件は『山田千紗から逃げ惑う美少女の噂を聞く』でした
夜の町に出歩けば高確率で遭遇しましたが、一度も出歩かなかったので割と唐突な出会いになってしまいました
彼女のルートはルート固定の前段階で色々フラグたてとかないといけなかったのですが、全部取れてないですね
まあ、出番に恵まれなかった隠しヒロインなんてこんなものなのです

ではでは、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です


今日は早くに学校に着いた
昨日の深夜から降り続く雨がしとしとと空気を重たくしている

いつもより一段と人の少ない校内を歩く


1、何かのいい匂いがする…
2、教室に一人の人影

安価↓1


>>610採用:2


適当に校内を歩いて、自分の教室に戻って来た
そこには不自然な人影が一つ

ボクの席の隣の席で、柘榴花あやが虚空に向かって話しかけている
こういう行動をしているから、ボクに頭のおかしい奴だと思われるんだ

あや「そ、それでね……」

剣「おい」

あや「あひぃっ!?と、とと戸倉君?ど、どうしたの?」

剣「それはボクの台詞だ。一体誰に喋りかけている?呪いとお喋りができるのか?」

あや「え、えとえと……も、妄想してました」

剣「こんな朝早くから無人の教室で好きな人の机相手に妄想会話か。呆れたな、そんな奴初めて見たぞ」

あや「ご、ごめんなさいごめんなさい!気持ち悪いよね!本当にごめんね!!」

目尻に涙を蓄えブンブンと頭を振って謝罪の言葉を繰り返す
気持ちいいくらいにボクの望んだ反応を見せてくれるな
苛めがいがあるのはいい事だ

いや、気持ち悪いとも思うが


あや「で、でも…これくらいじゃないと、自分の気持ちを表面に出しちゃいけないから…」

剣「……」

好きなモノに『好き』と言ってはいけない『呪い』
好きなモノを想うだけで、それに不幸が降りかかってしまう『呪い』

好きなものを好きだと言えないというのは、どういう辛さなのだろう?
この女が今まで抱えてきた悲しみは、どれほどのモノなのだろう?
いつも、何時もこの女は『私なんかが』と謝罪の気持ちを口にする

それは恐らく、『自分が好きになったせいで壊れてしまったものがたくさんあるから』だろう

この女が引き金ではあるが、この女の所為ではない筈だ
そう思えば、この女へ慈悲の気持ちが芽生えるが…

剣「だが、それは止めろ。気持ち悪い」

あや「は、はい……」

剣「…妄想で話すより、現実で話す方がいいだろ?」

あや「と、戸倉君!!」

剣「やれやれ……」

目を輝かせて一層どもり始める女の話に付き合ってやることにした



1、妄想の話
2、過去の話
3、『呪い』の話

安価↓1

安価が来ていないようなので2


>>613採用:2


剣「お前のその『呪い』は一体何時からなんだ?」

あや「えと…多分だけど、小学校2年生の頃からだったと思う」

あや「お父さんとお母さんが死んじゃったのが、その時だから」

剣「……そうか、そんな昔からか」

あや「中学に上がるまではお婆ちゃんがお世話してくれて、今は一人で暮らしてる」

あや「お父さんもお母さんも、ウサギさんも、お婆ちゃんまで…私の呪いで死んじゃった」

あや「…いい加減、何かを好きになる事…諦めないと駄目だよね」

俯いて話していた顔が、一層暗くなる
十年近く、この女はそんな厄介な『呪い』と付き合って生きてきたのだという

『何かを好きになることを諦めるないと』とは、なんと悲しい言葉なのだろう

もしボクがこの女だったら何度鹿島弥生を殺している事だろう
…それほどまでに、好きという言葉と感情は制御の利かないモノだ

そんな『異常』に悩む女に、なんとフォローしてやればいいのか分からず、ボクは話を聞き続けた


昼休み


生徒たちは騒がしく思い思いに活動を始めている

昨日、風邪気味だと言っていた千紗は普段と変わらず快活に笑っていた
どうやら体調は良くなったらしい


さて、どこで昼食を食べようか……


1、教室
2、食堂
3、屋上階段
4、お誘いが来る

安価↓1


>>616採用:3


鹿島弥生がいつも一人で昼食を食べるという屋上階段へとやって来た


弥生「ん、剣君。いらっしゃい」

剣「隣、座るぞ」

弥生「どうぞどうぞ」

彼女の隣に座り、お弁当の包みを開いた
今日の彼女はというと、お弁当を持参していた

剣「その弁当、手作りか?」

弥生「うん!明日香が作ってくれたんだ!」

剣「………そうか」

ボクがお弁当を作って来た時よりもうれしそうな声だが、きっと気のせいだろう
おのれ明日香、ボクに対抗するつもりか

剣「また、ボクも作ってやる」

弥生「本当に?あ、でもその前に私のお礼が先だよね」

弥生と話ながら食事をする


1、特別と普通の話
2、家族の話
3、告白の話

安価↓1

1


>>618採用:1


弥生「剣君はさ、普通の友達は居ないの?」

剣「普通の友達とは何だ?」

弥生「ああえっと…私以外の友達、誰か居ないの?」

剣「居ないな」

弥生「そ、そうなんだ…」

剣「突然どうした?」

弥生「いや、えっと…私は友達全然作ろうとしてないし、コミュ症だし、居なくて当然だけど」

弥生「剣君は頼りになるし、私みたいに地味で目立たないわけでもない。だから、こうして良く私と居ることが不思議だなって」

剣「簡単な事だ。ボクにとっての一人の友達は特別な存在なだけ。普通の友達なんて居ない」

弥生「そ、そっか…」

剣「弥生にとってはどうだ?ボクは特別か?それとも、普通の友達か?」

弥生「………ちょっと、分からない。男の友達なんて一人しかいないから、そういう意味では特別かも」

色んなことをして、ともに色んな事を話してきたが、どうやらまだ彼女の中でボクは特別ではないらしい
何をすることが彼女の特別につながるんだろう?
今までとは少し別の角度から、彼女の事を知るべきなのかもしれない……


放課後


今日一日の半分が終わり、雨も上がった

さて、これからどうするか……



1、シンシアと勉強をする
2、図書館に向かう
3、昨夜、銀髪の少女が倒れていた場所に行ってみる
4、陸上部に顔を出す
5、すぐに帰ることにする
6、自由安価

安価↓1


>>621採用:1


『勉強をするから付き合え』と連絡を入れると、程なくして『教室で待っています』と返事が返って来た
さすがに電子上の文面ではアイツもお嬢様言葉ではないらしい

そういうわけで、一学年上のシンシアの教室、中等部3-Bに来ていた
シンシアの机を使い、ボクの隣でシンシアが椅子に座っているという構図だ

何故かシンシアは眼鏡をかけていた

剣「お前、目も悪くなったのか?」

シンシア「まるで元から何処かが悪いと言いたげですわね!!」

剣「性格と性根」

シンシア「そっくりそのままお返しいたしますわ!!ゴホン…眼鏡をかけていると、教えている側の雰囲気が出来るでしょう?私が上であるという雰囲気づくりの為ですわ」

剣「…お前、形から入るタイプなんだな」

シンシア「いいから始めますわよ。何から始めます?」

剣「では数学からだ」

そうして、シンシアに付きっきりで勉強を教えてもらう


……始まったのだが


シンシア「…あ、貴方…九九くらいは出来ますわよね?」

剣「バカにするな、それくらいできて当然だ」

シンシア「…7×8=?」

剣「56」

シンシア「…う~ん…どうしてそう答えられるのに、ここでは間違っていますの?」

剣「んん?ああ、本当だ…おかしいな」

シンシア「……貴方、理解力はそれなりにはあるようですけど、ニアミスが多過ぎですわ」

剣「あ、待て分かったぞ。ここ8と書いてるのではなく6と書いている。つまり、合っている」

シンシア「よく分かりました。貴方はまず字のお勉強からですわね。本人すら読み間違えるなんて丸つけすら困難ですわ」

剣「今更そんな勉強か……」

シンシア「文句を言いいませんの。私のお手本通りに真似て字を書いていってくださいね」

剣「むむむ……」


勉強の進捗は中々に困難を極めていた


剣「あー止めだ止めだ!!」

鉛筆を放り投げてぐったりと椅子の腰掛に背中を預けて仰け反る
目標の半分くらいまでは進んだが、これ以上続けるのは非常に苦痛を伴うと判断した

剣「思うに、ボクのこれからの人生に数学なんて必要ないだろう」

シンシア「テストでいい点を取るためのお勉強なんですから、関係大ありですわ」

剣「むぅ…ボクは数学関係の仕事につかないと約束してやろう。だからテストを免除してくれないか?」

シンシア「貴方の都合なんて知ったことではありませんわ。もう……ちょっと休憩を挟みますわね」

ボクはその一言を聞いて安心して大きく伸びをした
そうやってボクがうだうだとしている間も、この女は参考書を開いてボクの勉強計画を考えている

まさか、ここまで真剣にやってくれるとは思っても居なかった
我ながら相当ダメな生徒だと思うが、投げ出さずに良く教えてくれていると思う


剣「…お前…」


1、『勉強好きなのか?』
2、『誰かにモノを教えるのが好きなのか?』
3、『ボクが好きなのか?』

安価↓1

2


>>625採用:2


剣「誰かにモノを教えるのが好きなのか?」

シンシア「いえ別に、面倒くさいと思いますわ。わざわざ人の教養のために時間を割くなどと、バカらしい」

剣「…そう見えんがな」

シンシア「………きっと、貴方だからですわ」

シンシア「貴方にまた『惨めな女』と詰られない為にも、手は抜けませんわ」

真剣な顔つきで参考書の無いようにメモを張り付けながら、そう答えた
ボクが普段から呼ぶ『惨めな女』という呼称を、相当気にしているらしい
まあ、一番嫌がりそうな呼び方だと思っているからそう呼んでるんだしな

剣「…お前にとって、ボクはよっぽど特別なんだな」

シンシア「はぁ!?思いあがらないで下さいまし!だ、誰が貴方の事なんか!!」

剣「ボクはそこいらに蔓延る有象無象とは一線を画す存在だしな。意識されて当然か」

シンシア「……そんな驕り高ぶった発言は、一次方程式を完璧に解いてからにして下さいまし。再開しますわよ」

剣「よし来い。下校時間までに終わらせるぞ」


ボク達は勉強を再開した



※強制イベント


結局あれから下校時間いっぱいまで勉強は続いた
まだ完璧とは程遠いが、一通りは頭に入ったように思う

先生の授業よりもよっぽど身に着いたような気がする
ボク自身も、アイツに馬鹿にされるのが気に食わないから本気で理解しようとしたからだろう

やはり授業中に寝るのは良くないな

などと当然の事を想いながら、ある場所に向かっていた

向かった先はある公園
大事な話があると柘榴花あやに呼び出された場所だった


その公園のブランコに、あやは居た

剣「待たせたか?」

あや「あ、ううん!全然大丈夫だよ!き、来てくれてありがとうね」

取り敢えず、ボクも彼女の隣に座った
こうしてブランコに座るのなんて何時振りだろうか?

剣「で、話とは何だ?」

あや「あ、うん………」

長い沈黙の後、あやは語りだす

あや「……あのね、私…の気持ち。戸倉君は…もう気づいてる…よね?」

剣「ああ」

あや「だ、だだよね。……私の『呪い』このままだと、戸倉君にもっと迷惑かけちゃう」

あや「だから、その前に…諦めたいと思ってるの」

いつになく真剣な目で、真っ直ぐにボクを見る
人の顔色を窺うような媚も、控えめな躊躇いも見えない、決意のこもった眼だった


あや「私は、もう人を好きになったりしない」

あや「その為にも、告白したいと思ってるの」

あや「…………私を、思いっきり振ってくれませんか?」

剣「……それが、ボクに話したかった事か?」

あや「う、うん。引き受けて…貰える?」

剣「いいぞ」

ボクは快諾した
いつかはこの女にとって決着をつけないといけない事なのだ
とても辛い決断だっただろう

しかし、それしか『呪い』を終わらせる方法がないというのなら…付き合ってやるべきだろう

あや「あ、ありがとう!えへへ…変なお願い、引き受けてくれてありがとうね」

あやは何度か深呼吸をし、告白の準備を始めていた





深呼吸を終えて、漸く告白しようとしたとき何かを思いついたような顔をする

あや「……その前にさ、戸倉君には好きな人っているの?」

剣「は?」

あや「あ、えと…居るならでいいんだよ?き、き聞いておいた方が心のけじめがつけられる気がして」

剣「………」


ボクの好きな人…か

今思えば、初恋を経験して2週間ほど
色々な人と新たな交流を始めた

気にも留めていなかった奴隷同然だった他人の心を知り、ボクの中にも確かな変化が生まれてきていた


あや「気になってる人とか…」

気になっている人
そのフレーズで真っ先に思い浮かんだ人物は…………


というわけで、ルート固定選択肢でございます
今から本日の20:00までを投票受付時間といたします

一人一票まででお願いいたします
最多得票のキャラのルートに今後固定されます
選択肢に居ないキャラは、残念ですがフラグが足りずにルートへ行けないキャラです

では、投票開始です
次回更新をお待ちください


1、鹿島弥生
2、柘榴花あや
3、シンシア・パーシヴァル
4、近衛鈴鹿
5、日比乃明日香
6、山田千紗
7、銀髪の女
8、戸倉卯月
9、戸倉美紗綾

安価↓から20:00まで


ではでは、投票終了でございます

結果発表です


鹿島弥生  11票
柘榴花あや 1票
シンシア   1票
近衛鈴鹿   7票
日比乃明日香1票

計21票

と、いうわけで鹿島弥生ルートに決定となりました
予想を遥かに超える投票数、本当にありがとうございました!!

鹿島さん以外は割とばらけるだろうなと思っていたのですが、蓋を開けてみれば鈴鹿と一騎打ちでしたね
ここまで鈴鹿が人気だったのは本気で予想外でした


では、もう暫くしてから更新再開です
少々お待ちください


剣「…鹿島弥生だ」

彼女の名前が自然と思い浮かんだ
ボクにとっての初恋の人で、未だにその気持ちに変わりはない

あや「…そっか。うん、そんな気がしてたよ」

あやはそれ以上は何も言わなかった
今から恋を諦めようとする女の前で、諦めきれない恋の話をするのは、流石にキツ過ぎる


あや「…じゃあ言うね」

深く深く息を吐き、強く目をつぶって頭を下げた

あや「ずっとずっと、キミの事を想っていました。私と、付き合ってください!!」

剣「悪いがその気持ちに答えられない。ボクにも、想い人が居るんでな」

あや「に、二番目でもいいの」

剣「そういう問題か?」

返答の決まりきった茶番と思っていたが、何故かあやは食い下がって来た
やはり、そう簡単に割り切れるものでもないのだろう


ここは、心を鬼にして強く突き放してやるべきか

剣「……もう二度と顔を見せるな。会うと辛くなるだけだ」

あや「と、戸倉君…」

剣「ボクはお前の事なんて知らない。『呪い』何て言うのもボクの知らない事だ」

剣「ずっと、ボクに付きまとう鬱陶しい女だと思っていた」


剣「ボクは、お前が嫌いだ」


声もあげず柘榴花あやは大粒の涙を流し続けた
その姿に、酷く胸が痛んだ

だが、優しい言葉はもっとこの女を苦しめるだけだ
ボクにとっても決別すべき事なんだ

そう自分に言い聞かせ、痛いほどに拳を握る
そのまま背を向けて、ボクは公園を去った

あや「…ありがとう……」

ボクの背中にかけられた言葉に振り返りそうになる気持ちを抑え込み、ボクは振り切るように走った

ああ…これも恋なんだな
誰かを想う幸せだけが恋ではないんだ
自らの切なる想いが行き場を無くして消えてしまうのも、恋の一つの終わり方なんだ

ボクも一歩間違えば、あの場で涙を流す立場になるのかもしれないんだな
……それでもボクは、諦められないだろう

自らの決意を更に硬いものとし、ボクはただ前を見て走った


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

「あら、お弁当の準備?明日ピクニックでも行くの?」

「ううん、違うけど。いつかお弁当を食べてもらうから、その練習」

その夜、私は――鹿島弥生は料理の練習をしていた
剣君との約束を果たすためだ
あんなに美味しいものを貰ったんだ、私だって頑張らなきゃ

今日の明日香のお弁当だって、明日香にお手本を作ってもらったんだ
……自分で楽しみ過ぎて、あんまり勉強にはならなかったけど

「あ、もしかして言ってた男友達?弥生もやっと色を知るお年頃になったのね」

お母さんはにやにやと私を囃し立てる
どうしてこう、このお年頃の女性はそういう話が大好きなんだろう

「ち、違うって剣君はただの友達なんだから。ただの……」

そう自分で弁明して、違和感に動きが止まる
ただの友達に、普通こうしてお弁当を作ってあげたりするんだろうか?

「ま、頑張りなさいな」

オホホとお母さんは楽しそうに居間に戻っていった


母がいなくなったキッチンで、私一人立っている

何してるんだろう私

こんなに張り切って本まで買って、お弁当箱まで買って、エプロンまで用意してる
私、こんな事する子じゃなかったよね
…明日香にだって、お弁当なんて作ってあげた事ないじゃない

私…もしかして剣君の事が――――

瞬間、痛みが奔る

胸が痛む
頭が痛む
心が痛む

体が締め付けられるような切ない痛みが私を襲う
これは心の痛みだ
それは違うと否定する、心の叫びだ

だっておかしいじゃないか
私は明日香が好きなんだ

明日香とは昔からずっと一緒で
明日香から私は全てを貰って来た
私の幸せは全部、明日香から貰ったものだ

誰よりも長く明日香と一緒に居た
私の中で一番大切な人


男の子になんて興味なかった
怖くて、五月蠅くて、強引で、乱暴で
良いところなんて一つも無い

他人になんて興味なかった
平気で嘘をついて、人を傷つけて笑って、人の痛みに鈍感で
誰もが皆、自分の事ばかりだ

明日香は違う
優しくて、温和で、嘘をついて人を騙したりなんかしない
人の痛みを理解してくれて、誰かのために手を差し伸べてくれる人だ

剣君は
男の子だし、怖いところもあって、強引だ
だけど……強い痛みを抱えてて、それを悟られないように強がっている
強引だけど優しくて、男の子なのになんだか可愛いところがある
口調も怖いけど、その裏には私への気遣いが感じられる

ジクジクと何かが内から滲んでいる
何かが分からない気持ち悪さが、私の心を今までにないモノへと変えようとしていた

嫌だ嫌だ嫌だ
私は明日香が好きなんだ
あれだけの時間一緒に居て、ずっと想ってきたじゃないか
だから、明日香が一番好きであるべきなんだ


私は胸の痛みに吐き気を堪えながら、エプロンを脱いで道具を片付け始めていた

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


十三日・朝


一週間ぶりの休みの日
生活習慣の癖が抜けず、いつものように朝早く起きる

朝ごはんを用意し、寝ぼけた目で朝のニュースを眺める

どれもこれも興味の無い芸能情報ばかり
しかし、一つ興味の湧くモノもあった

剣「恋人の日…」

今日、6月12日
ヨーロッパでは恋人の日とも言うらしい
六月の花嫁なんて言葉もある通り、6月はそういう話題に事欠かない

テレビではウエディングドレスや、式場の宣伝なんかをしていた

今まで全く興味の無かったことだが、もし彼女と…なんてことを考えてしまう
何時の間にやら、すっかりボクの心は彼女に染められてしまっている

ボクはウエディングドレス姿の鹿島弥生を想像し、ニヤニヤとしながらこれからの予定を考えた…


1、適当に外を散歩する
2、家事を手伝う
3、誰かに連絡を取る

安価↓

1


>>660採用:1

特に予定も決めてなかったので、特に予定も無く外に出た

外はまさに青天で、気持ちのいい涼風が拭いていた
偶には散歩をするのもいいだろうと、ボクは当てもなく歩いた


イベント判定
5以上で誰かと会う

直下コンマ


コンマ判定:6


かれこれ一時間近く歩いていた
随分と遠いところまで来てしまったような気がする

一体ここはどの辺りなんだろうか?
河川敷としか分からないな

微妙に迷子になりかけていた時…

明日香「アレ?剣君?」

剣「ん、お前か」

赤いジャージ姿の日比乃明日香
恐らくジョギングでもしていたのだろう、となればこの女が住む辺りまで歩いて来てしまったのだろうか?

明日香「散歩かい?家ここら辺りなの?」

剣「いや――の方だ」

明日香「えっ!?もしかしてそこから歩いてきたの!?電車でも20分はかかるんじゃないかな……」

剣「随分と遠いところまで来てしまったな」

此処であったのも何かの縁と、明日香と話をすることにした


明日香「そういえば、最近よく弥生から剣君の話ばかり聞くよ」

剣「ほう?どんな事を言ってるんだ?」

明日香「う~ん…色々あるけど、お礼がしたいって張り切ってた。料理の勉強かなり頑張ってるみたい」

剣「そうなのか」

こうして他人から弥生の様子を聞くというのは中々新鮮な気持ちだった
あまり知りえない情報だからだ

明日香「それにしても弥生がねぇ…昔からだと考えられないな」

剣「昔…か」

一度、弥生から弥生の過去を聞いたことがあった
それら全て明日香との思い出だった

逆に明日香から見た弥生とはどういった存在なのだろう?
明日香から見た弥生の姿はどう映っているのだろう?

気になって訊ねてみた


明日香「昔、ね。あはは…あんまり今と変わらないけど、弥生は泣き虫なんだ。こういうと怒られるけどね」

明日香「幼稚園児くらいの年の子供でさ、誰かが怪我をしていると、それを見ただけで泣いちゃう子居なかったかな?」

剣「…思い出せないな」

明日香「そっか…えっとね、血とかを見ると『痛いだろうな』って思うよね?幼い子供っていうのはすっごく心が敏感で、その想像で泣いちゃうことがあるんだ」

明日香「人の痛みに共感して涙を流す。弥生は今でもそんな、剥き身の肌のような感性を持っているんだ」

弥生のあの純情さを明日香はそう表現していた
とても危ういという意味を含んだそれは、ボクでは見えていなかった見え方だった

明日香「君とはすぐに仲良くなれてるけど、それって凄い事なんだ」

明日香「あの子は…人の心に殊更敏感だ」

明日香「嘘をつけば直ぐに見透かされる。下心があれば決して目を合わせない。人に触れられるなんて絶対に許さない」

明日香「あの子は…今でも心は子供のままなんだと思う。でも、体と頭だけは大人になってしまった」

明日香「周りの環境もガラリと変わってきて、弥生はその中で取り残されている」

明日香「だからかな、ちょっとボクに頼りっきりなところがある」


明日香「だからね、君は弥生にとって…とっっても特別だ」

明日香「男の人とあんなに打ち解けて話してるのなんて、初めて見た。弥生ってお父さんともお話できない位なんだよ?」

明日香「臆病で怖がりで、ちょっと思い込みが激しいところもあって、妙な所で頑固だ」

明日香「そんなあの子が、キミに触れようとしている」

明日香「恐る恐るだけど、確かに君に手を伸ばしている」

明日香「だから、優しくしてあげてね。ってちょっと話がずれちゃったかな」

そう締めくくり、明日香は照れたように笑った

剣「お前は…なんだか弥生の保護者みたいだな」

明日香「あはは!よく言われる。だってあの子、一人だと危なっかしいんだもん。ボクがついてあげないと転んで泣いちゃうよ」

剣「つまり、これからボクが転ばないように手を引いてあげればいいんだろ?」

明日香「強く引っ張ると怖がっちゃうからね。あの子を泣かすと、許さないから」

冗談半分でそんな事を言い合った
本当に偶然の出会いだったが、とても重要な話が聞けた有意義な時間だった





明日香に付き合って一緒にジョギングをした
久しぶりの走り込みで少々疲れたが、懐かしい気分に浸れた

まあ、また陸上部になる気はないが

ただ運動をするというのは悪くない
勉強をするよりはよっぽど自分に向いているだろう


もう少し明日香に付き合ってもいいが……



1、明日香の練習に付き合う
2、別れて家に帰る
3、別れて静かな場所へと向かう

安価↓


>>668採用:3


明日香と別れることにした
あまり人が居ない静かな場所を求めて歩いた

辿り着いたのはとある公園
そこにある遊具はベンチと砂場とブランコだけ
小さくて寂しい場所だった

通りがけに大きな公園も見つけており、そこにはたくさんの子供がいた

人目につかないこの小さな公園は、色んな人から忘れられた場所なのだろう


ボクはベンチに座り、ふとあるモノを思い出した
読みかけの本だ

鹿島弥生から勧められた本
まだ初めの方だけで、全然読んでいない

さて……


1、本の続きを読む
2、思いっきりブランコをこいで遊ぶ
3、誰か人が居るような……

安価↓


>>670採用:1


…彼女を知るためにも、読んだ方がいいような気がするな
ボクは一応持ってきておいた本を読み始めた

本を読むのは苦手なんだがな…
そう思いながらも読み始めると、徐々に登場人物の事が分かり始め、読みやすくなったような感覚に陥る
ボクは初めて読んだときの眠気をすっかり忘れ、熱中して読み進めた

………

…………

……………

………………

剣「……ふぅ…終わった……」

いつの間にかすっかりと空が赤く染まり、夕方になっていた
一気に読み終えた疲れもあったが、これ以上此処に居ると夜までに家が帰れなくなるため帰路に着いた


帰りながら、読んだ本の内容の事を思い出す

ザックリと全容を説明するなら
『女でありながら女の子に恋をしてしまった主人公が、その事に悩みながらも、一途な恋を成就させて、その先の幸せを組み上げていく』
そんなお話だ

正に青春というような、爽やかな読了感のある内容だった
同じく片思いをする身として、中々に共感できる部分が多くあった

どこまで踏み込んでいいのか
好きという自分の想いが相手の迷惑になってないか
結ばれたその先に幸せはあるのか

色々な事を考えさせてくれた
最も印象的だったのは、初恋の相手から告白されたシーンだ
恋をされたから、私も恋をしてしまった。と語っていた

真っ直ぐで一途な、初心な想いが報われる瞬間というのは、とても美しいもののように思えた
そのような感情が芽生えたのも、ボクが恋をしたからに他ならないだろう
全く驚きだ、ボクにもこんな純情な感情が残っていたなんて

ボクの恋も彼女たちのように、美しく報われたいものだ





何とか夕飯前には間に合い、家族全員で夕食を食べた

ゆっくりだらだらとした時間を過ごす

本を読み終わったことだし、彼女に感想くらい伝えた方がいいかもしれない
それとも明日あって実際に話そうか


さて……



1、妹と過ごす
2、母親と過ごす
3、鹿島弥生に本の感想を贈る
4、鹿島弥生に明日の予定を聞く

安価↓1

3


>>675採用:3



読み終わった本の感想を文章として弥生に送った
随分と時間が経った後

『読んでくれてありがとう。他のも読みたくなった?』

と返って来たので

『おススメがあるなら』

と返した
また暫くして

『明日、一緒に本屋さんに行きませんか?』

と返って来た
ボクは即座に『行く』と返事をし、デートの約束を取り付けたのだった

こうした共通の話題が出来るというのはやはり強みだな
ほんの内容も、中々面白かったしな
それに明日は多分、明日香も鈴鹿も来ないだろう

ボクは明日を楽しみにしながら、ねむりについたのだった


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

その日、私は一歩も外に出なかった
昨日の夜の事を反省していたのだ

何を馬鹿な事を想い悩んでいたのだろうと思う
お礼なのだから好きとか好きじゃないとか関係ないじゃないか、と思い至ったのだ
ぐちぐちと悩んで、私はバカだった

剣君は大切な友達だ
あんなに美味しいお弁当も作ってもらった
お礼をしなきゃ友達じゃない

そう自らを奮起させていた時、誰かから連絡が入った
相手は剣君だった
内容は一週間前、あの古本屋さんで私がお勧めしたあの本だった

あまり本は好きじゃないと言っていたけど、ちゃんと読んでしかも感想まで送ってくれた

剣君は私と違って律儀で誠実でいい人だなぁ、と改めて実感してしまう
お礼を蔑ろにしようとしていた私とは大違いだ


『読んでくれたんだね』

と送ろうとして指が止まる
…少し淡白すぎるかな

『私もその本大好きなんだ。特に~~とか――――』

と長々と打ち始めて、気恥ずかしくなって文章を消してしまった
私みたいなオタクじゃないんだから、こんなディープな百合話は退かれる

ど、どどどうするのが普通なのかな?

普通の男友達へのメールの返信何てしたことが無い
いや、そもそも友達とこういうメールを送り合ったことが無い
私と同じくらい百合話が出来る鈴鹿になら、気兼ねなくこういう話もできるけれど

男の子も、あんな女の子の甘酸っぱい恋愛話を読んで楽しいのかな?
自分であの本を薦めておいて、こんな事まで思う始末


大いに悩んだ結果

『読んでくれてありがとう。他のも読みたくなった?』

と、探りを入れるような文章になってしまった


『おススメがあるなら』

と剣君からはすぐに返事が返って来た
剣君は毎度毎度メールの返信が早くて、悩んだ末にあの短い文章な事がちょっと申し訳ない気分になる

私は悩みながらも

『明日、一緒に本屋さんに行きませんか?』

と送ってしまった
『もしよかったら』とか相手の予定の事を聞く文字を入れ忘れたことに気付き、激しく悶絶した
何か私厚かましくないかな?無神経じゃないかな?もっと丁寧な文章にするべきだったかな…

と悩む間もなく

『行く』

と即座に返信が帰って来た
悩まずに返信をくれたという事は、喜んでくれている、剣君も乗り気だという事でいいのだろうか?

私はそのことに安堵し、同時にとても嬉しい気分になった
それから、待ち合わせの事などを剣君に連絡した


私はそわそわと落ち着きなくベットで寝返りを打っていた

やっぱり趣味の話が出来る友達が増えるのはとても嬉しい事だと思う
明日香は、女の子同士はあんまり好きじゃないみたいだったし

明日の服とかどうしようか?
どんな本をお薦めしようかなぁ
ついでにご飯とかも食べられれば――――

そんな事を考えていた時、ふとなんだか恋する乙女みたいだななんて思ってしまった
メールの返信にあれだけ苦心したり、返ってきた言葉に一喜一憂したり
こうして明日の事を楽しみにしてたり
……というか、明日のこれは…『デート』では?

私、男の子をデートに誘っちゃった?

意識した瞬間、ガーッと体内が熱くなる感覚があった

いやいやいや
私全然そんなつもりなかったし、結果的にデートみたいな構図なだけだし

私は一体誰に言い訳をしているんだろう?
友達を遊びに誘うのはおかしい事じゃない、普通の事じゃないか

でも、剣君はデートと思ってるかもしれない
………どうしよう

私は散々迷った挙句

「あ、もしもし鈴鹿?」

友達の力を借りるのだった

――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


と、言うわけで今日の更新はここまでです


いやぁ、本当に昔と比べて格段に更新速度が落ちていて申し訳ない気分になります
安価スレなのに1レス20分もかけるなんて正気じゃない

毎回安価スレ立てるたびに言ってる気もしますが、書く速度早くなりたいなぁ…(願望)



ではでは、お付き合いいただきありがとうございました

他になんか書いてたん


>>683
安価進行のオリジナル設定のファンタジーメインで、二次創作もちょろっとあります
酉で探せば簡単に見つかるかと思いますよ


今日の更新はお休みです


そろそろ再開です


十四日目・朝


ボクはいつもより数段早く起き、準備を整えていた

今日こそは鹿島弥生とデートだ
前回はボクの空回りだったが、今日こそは違うだろう

本を見て回るなんてボクには全く縁のない事だと思っていたが、奇妙な縁もあるモノだ

家事仕事は全て終わらしてある
手伝わされて遅れるなんてことをしたくなかったからだ

さて……



1、着ていく服を見繕う
2、デートのイメトレ
3、母にアドバイスをもらう

安価↓1

3


>>687採用:3


服の着脱を繰り返し、鏡の前でポーズをとる
……よし、これで行こう

美紗綾「あらあら、今日はとっても気合が入っているわね」

剣「今日はデートだからな」

美紗綾「まあまあまあ!どんな子なの?」

剣「それはもう――写真があったな。えっと…この人だ」

カメラのアルバムから先週遊びに行った時の写真を見せた
今考えてみれば、デートの経験なんてボクには無い
上手くできる自信はあるが、一応女性の意見も聞いておこう

美紗綾「えっ?デートのアドバイス…そうねぇ、ちゃんと話を聞いてあげることかしら」

剣「それは普段からできている気がする」

美紗綾「そう?聞くだけじゃダメよ。相槌もうって、ちゃんとどんなことをして欲しいか察してあげるのよ」

美紗綾「例えば、『結構歩いたね』って相手が言ったら?」

剣「…」


1、『少し疲れたな』と同意する
2、『疲れたか?どこかで休むか?』と聞く
3、『近くの喫茶店に入ろう』と誘う

安価↓1


>>689採用:3


剣「ボクなら『近くの喫茶店に入ろう』と誘うかな」

美紗綾「うん!いいわね、合格!」

パチパチと手を叩いて喜んでくれる
何がそんなに嬉しいのだろうか

美紗綾「これで相手の好みに合わせたお店選びが出来たら100点満点!でも意識し過ぎてちょっと遠くまで歩くようじゃ本末転倒だから、臨機応変に」

剣「それくらい大丈夫だ。ボクはそういうのは得意だからな」

美紗綾「うふふ、そうよね。やっぱり男の子なんだし、自分からリードしてあげてね」

美紗綾「…あ、でも相手の子年上よね。あんまり手馴れてる風だとウケが悪いかも……程々に隙を見せてね」

剣「……それは難しい注文だな」

あまり身になった気はしないが母からアドバイスをもらった
気遣い…気を付けておこう





先週と同じ駅、同じ待ち合わせ場所

今日は先週とは違ってラフな服装だった
ハーフパンツに黒のニーソックス、パーカーといった装い

先週は我ながら気合を入れ過ぎた格好だったからな、これくらいの方が地味目な印象の彼女も馴染みやすいだろう

集合時間の約30分前
少々早いが、こんなものだろう

それから程なくして、今着いたよと彼女から連絡が入った

彼女の姿を探して辺りを見回す



コンマ判定

0-2 ???
3-7 鹿島弥生…と?
8,9 鹿島弥生 

直下コンマ


コンマ判定:9


弥生「お、お待たせ」

照れの混じったか細い声がボクを呼ぶ

ボクは、目を奪われた
いやボクだけじゃない
その場にいるほとんどの人間が目を奪われたことだろう

目線を隠す重たい前髪は綺麗に整えられ、その奥に潜んでいた美しい瞳を覗かせている
長い後ろ髪もシュシュで一つに纏められ、肩口から艶めかしくウェーブを描きながら胸元に流れている

何より目を惹くのはその服装
紺色のサマードレスから覗かせる腕と足の肌色が非常に眩しい
鹿島弥生の穢れを知らない白い肌が惜しげも無く外界に晒されていた

靴はピンヒールサンダルだったが、少し歩きにくそうだった

先週見た姿とは比べ物にならない位、『気合が入ってる』そんな服装だった

愕然とする
己の要らぬ気遣いと、自らの服の選択に
これでは彼女の隣にいては浮いてしまう


剣「ボクは…なんて愚かな…」

弥生「ど、どうしたの?やっぱり変かな…色々と慣れないことしてるし…」

そう言われて改めてマジマジと見ると、その顔には薄く化粧が施されていた
慣れないという割にはとても上手だ

……いや、上手過ぎるな
これは普段からしていないと出来ない
やり方を知っていないと出来ない筈だ

つまり――

剣「あの変態女の入れ知恵か」

弥生「うん。全身、鈴鹿に貸してもらった服なんだ。お化粧も…恥ずかしながら鈴鹿に」

弥生「…鈴鹿はこっちの方がいいって言ってたけど、似合う…かな?」

弥生は自信なさげにボクに訊ねてきた
確かに、普段と大きく印象が違う装いだ
尚更ボクも先週のような気合を入れた服装で来るのだったと猛省する

さて、なんと答えるか……


1、『普段の方が好きだな』
2、『あの女、センスだけは一流だな』
3、『とても素敵だ。可愛いよ』

安価↓1


>>695採用:3


剣「とても素敵だ。可愛いよ」

なんと言うべきか迷ったが、今の気持ちを素直に伝えた

弥生「あ、ありがと…」

弥生は困ったように視線を漂わせ、髪の毛を指で弄っている

剣「ただ、あの変態女には訂正させておかねばならん事があるな」

弥生「え?」

剣「『こっちの方がいい』ではなく、『その姿も素敵だ』とな」

剣「こうして装いを新たにした弥生も素敵だが、そもそも普段から素敵だ。良い悪いなんてなく、良いしかない」

弥生「それは褒め過ぎじゃないかな」

と弥生は強張っていた表情をやんわりと崩し、くすくすと笑った
ボクと話をして、少しは緊張がほぐれたようだ

弥生「えっと、じゃあ行こうか」

剣「ああ。何処に向かうんだ?」

弥生「えっとねまずは……」

ボクは弥生に連れられ、目的の場所まで向かった


弥生に連れてこられたのは大型書店
向かったコーナーは小説ではなく、漫画の置いてある場所だった

弥生「剣君、あんまり本を読まないって言ってたし、こっちの方が読みやすいかなって」

との事らしい
漫画も全く読まないと伝えると『どうやって日常を過ごしてるの!?』と大層驚かれてしまった
そんなに珍しい事なのだろうか

最近は女性同士の恋愛物(百合というらしい)の漫画も多く世に出ているらしい
なんと百合専門の漫画雑誌もあるらしく、案外広く認知されているジャンルのようだ
世相的に、同性愛者に優しくなってきているのかもしれない

まあ、ボクにはイマイチ興味の湧かない話ではあるが
あの小説だって内容が良かったから好きなだけだ
女性同士の同性愛だから好きなわけではない

ただ、普段よりも饒舌にやや興奮気味に作品の事を語る鹿島弥生は可愛かった
彼女があまりに嬉しそうに話をするからか、ボクもちょっとだけ読んでみたいなという気になった

そんなこんなで
見事ボクは彼女のマーケティングに負け、数冊の漫画を買ってしまったのだった


時刻はおおよそ15時頃
ボク達は喫茶店で軽い食事をとっていた

弥生「ゴメンね…私の趣味に付き合わせて。私ばっかり喋ってたし…」

剣「いや、ボクも楽しかったぞ。今まで全く触れたことの無い事だからな」

弥生「そ、そう?私に言われていやいやじゃなく?」

剣「ああ。興味が無かったら買わないさ」

弥生「そっか…そっか。うん、なら安心した」

そんな会話をしていると、注文していたケーキセットが運ばれてきた

剣「肉じゃないんだな」

弥生「うふふ、流石に私もこんな時までお肉食べないよ。……気になってたけど」

相変わらず口も表情も嘘をつけない彼女だった
ボクは一口、カップに口をつけた……


1、弥生の趣味の話
2、ボクの趣味の話
3、服の話

安価↓1

1


>>699採用:1


剣「弥生は普段から、こういった漫画や本を読んでいるのか?」

弥生「うん、そうだよ。アニメ見たり漫画読んだりゲームしたり。それ以外の娯楽、知らないくらい」

剣「そうか、だからボクが漫画も本も読まないと聞いて驚いたのか」

漫画も本も世代に関係なく広く親しまれる娯楽だ
寧ろボクのような人間の方が珍しいのかもしれない

剣「昔からこういった内容の話が好きなのか?」

弥生「う~ん…意識したことないけど、そうなのかも」

弥生「少年漫画も、少女漫画もそんなに区別なく読んできたつもりだったんだけどね」

弥生「明日香は今でも少年漫画ばっかり読んでるけど」

剣「やはりそうなんだな…」

こうして話してみると、お互いに共通の趣味が全くないな
本当に…奇妙な縁で出会たモノだ

少し、踏み込んだ話も聞いてみる


1、明日香に告白しない理由
2、もう一度告白してみる
3、ボクも女の方が良かったかと聞いてみる

安価↓1

3


>>701採用:3


剣「ボクも女の方が良かったか?」

弥生「それ…は……」

彼女は困ったように眉を下げる
彼女にとって、性別はとても重要な意味を持つのだろう
趣味からも、女性に性意識が向いていることは明らかだ

明日香も言っていた、弥生は父親と話す事すらできないと
だからボクは特別なのだと

だが、だからこそこの問題は明らかにしておかなければならないだろう
彼女は『女性が好き』なのか『男性が嫌い』なのか
どちらもという線も濃厚だが



感情判定
0-3 女の子の方が良かったと思う
4-6 女の子の方がいいけど…
7-9 悩みの根元

好感度 +2

直下コンマ


コンマ判定:3+2


弥生「先に謝っておくね。ゴメン、すっごく失礼な事を言うと思う」

弥生「女の子の方が良かったなって思うよ」

ハッキリとそう告げられた
覚悟はしていたが、やはり心に来るものがる

弥生「―――そう思うんだけどね。剣君の事、男の人だと思う」

弥生「男の人だけど…嫌じゃないなって思うんだ」

彼女は苦し気にそう告げた
ボクにとっては嬉しい言葉だったが、彼女にとってはそうではないらしい
恐らくだけど、彼女は『男性が苦手』という意識が先行しているような気がする

どこか頑ななまで、ボクを好きになることを嫌がっているように見える
ボク自身を嫌っているわけではない
寧ろ逆で、ボクを魅力的に感じることに罪悪感めいたものを感じているのではないだろうか?

剣「…空気を悪くしたな。すまなかった」

弥生「ううん…私の方こそ…」

少し気まずくなりながらも、ボクは彼女の内面の大事な所に触れられた気がした


情報が追加されました



名前:鹿島弥生(カシマ ヤヨイ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない
【内面】
純粋で繊細な感性を持つ
ボクを意識することに、何か罪の意識を感じてしまっているようだ


夕方


思っていたよりも長い間、喫茶店で話をしていた
少し気まずくなっていた空気もすっかり元通りになり、駅まで話をしながら歩いたのだった

弥生「…もう、今日はお別れだね」

剣「早いな」

弥生「私もそう思う」

雑踏の中立ち止まり、夕焼けを見ながら別れを惜しむ

弥生「じゃあ…私はここで」

彼女は手を振ってボクに別れを告げようとしている
ボクは、その背中をただ見送るだけでいいのだろうか?

彼女の意思を優先させることが一番大事だろうか?
ボクの事をもっと見て欲しい
彼女の傍に寄り添っていたい

ボクは、どうするべきだろうか?

とても重要な選択のような気がする………


1、『またな』とその背中を見送った
2、ボクはもう一度、彼女に告白した
3、堪らず彼女の手を握った

安価↓3までで最も2桁コンマの数値が高いものを採用


>>707採用:3


気付けば体が動いていた
ボクは彼女の手を握っていた

弥生「えっ!?剣君…どうしたの?」

彼女は突然の事に驚き目を丸くしている
しかし、驚いているのはボクも同じだった

全く計画してない、突発的な行動だった

剣「い、いや…あの…べ…つに……」

本当に何かあったわけではないんだ

弥生「そ、そう?いきなり手を握られたから、ビックリしちゃうよ」

ただ、このまま君を見送りたくなくて
握られた手を離したくなくて

剣「ボクは…弥生が好きだ…」

理由にもなっていない理由で彼女を引き留めようとした


あまりにも幼稚な子供のような発言
母に甘えるか幼子のような言葉に、ボクは酷く赤面した

剣「ち、ちがっ!今のは違う!」

剣「えっと…お前の背中が…寂しそうだったから。そう、だから手を握ってしまった」

彼女に嘘は見抜かれるとすかに言われた矢先に、この体たらく
しかし、体面上誤魔化さずにも居られなかった

彼女にカッコ悪いところを見て欲しくなかった
だって彼女の前ではいつだってカッコよく、頼りになる男でありたかったから
彼女に頼られる存在で居たかったから

剣「大丈夫か?寂しくないか?一人で平気か?」

全ての言葉が自らに突き刺さる
ずくずくとあるはずの無い右目が疼いていた
今までで感じた事の無い疼きだ

胸が騒いでいた
恋しい愛しいと甘えた叫びを訴えていた
それでもボクは、何とか普段のボクのように彼女に振る舞った


剣「良かったら一緒に帰ってやっても―――」

そこまで言って、ボクは息を飲んだ
彼女の顔がすぐ近くにあった

チュッ

と聞き覚えの無い音が響いた

右目だった
眼帯の上だった
肌にも触れていない口づけだった

だというのに、ボクの体は茹で上がったように真っ赤に染まった

破裂しそうなほど心臓が暴れる
締め付けるような切ない疼きが絶え間なく右目を突き刺す

弥生「……またね」

彼女はそれだけ言うと、握られていた手を放して背中を向けて去って行った

何時かの時を思い出す背中
何時かの時と同じ――いや、それ以上に燃え上がる情熱を感じながら

剣「…いたい……」

ボクは温もりを思い出すように右目を撫でたのだった


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


弥生「もう、今日はお別れだね」

その時の私は、本来の目的も忘れてどこか上の空だった
剣君に楽しんでもらうための今日の書店巡りは、早々に話題のタネを吐き出し尽し、結局最後は剣君頼りで話をしていた
剣君と二人一緒に居ても恥ずかしくないようにと鈴鹿に頼み込んでもらったコーディネートも、何だか空回りだったし
だけど一応は剣君と趣味を共有しようとゆう本来の目的も、達成されたのかもしれない

本当に色々とあったんだけど、今は別の事で頭がいっぱいだった

『ボクも女の方が良かったか』

先週の時もそうだった
彼は時々、こうして私の心の弱い部分をじっと見つめる
見定めるように、観察するように、私の心を暴こうとする

どれだけ言い訳しても、私は剣君に惹かれつつあった
だけどそれは恋愛感情ではない、恋愛感情であっては『いけない』のだ

初めて接する異性だから、そのような錯覚してしまっているだけなんだ

だから私はあの時『女の子の方が良かった』と言ったのだ
彼が女の子だったら、こんな葛藤はしなくてよかっただろうから


弥生「じゃあ、私はここで…」

私はそう言って彼と別れた
そこで、別れておきたかった
これ以上傍にいると、本当にどうにかなってしまいそうだったから

だが、私の事を知ってか知らずか
彼は私を引き留めた

本当にその行動には驚かされた
人と肌を触れ合わせるなんて、意図的にずっと避けてきたことだったから

剣「い、いや…あの…べ…つに……」

伝わる、伝わってくる
彼自身の動揺が指先から伝わってきていた
私の手を掴んだ彼の両手は、震えていたから

だからだろう

剣「ボクは…弥生が好きだ…」

その言葉に一切の混じりけの無い愛を感じた

蕩けるようなその声は、甘く切なくほろ苦く
心安らぐ響でありながら、恐れの混じった音だった

あらゆる意味を孕んだ彼の真っ直ぐな『恋』がその言葉には込められていた


剣「ち、ちがっ!今のは違う!」

剣「えっと…お前の背中が…寂しそうだったから。そう、だから手を握ってしまった」

彼は赤面しながらそんな事を言う
何て、なんて卑怯なんだろうか

狡猾さや、計算高さを一切窺わせない子供の言い訳
幼さすら感じさせる彼の姿に胸が苦しくなる

剣「大丈夫か?寂しくないか?一人で平気か?」

私に言い聞かせているその言葉を、そのまま彼に言ってみたくなった
きっと彼はもっともっと顔を赤くするだろう

イケナイ気持ちが沸き上がる
今まで持ったことも無い、悪い私が目を覚ます

剣「良かったら一緒に帰ってやっても―――」

こんな事しちゃいけない
そんな事をするべきではない
それは最低の行為だ

彼に対しても、私に対しても裏切りの行為だ

だけど、止められなかった
溢れだす悪戯心のままに、私は彼の右目にキスをした


彼は動きを静止し、弾けるように一層顔を赤くした
その姿に、私の心は堪らない充足感で満たされる

なんて愛おしいのだろう?
なんて愛くるしいのだろう?
卑怯なまでに、愛らしい

もっと見て見たいと首をもたげる悪い私の心を、寸でのところで食い止めた

弥生「……またね」

何とか声を絞り出し、私はその場を逃げ出した

帰りの電車に揺られ、激しい罪悪感に襲われた
悪戯心で、彼に期待をさせてしまった
私は彼の純粋で真っ直ぐな恋心を弄んだのだ

弥生「最低だ…私…」

己を嫌悪した
なんと醜いのだろうか
己の欲望のままに、彼の恋を玩具のように扱ったのだ

彼の愛に応える気などないというのに

胸の奥で突き刺すような痛みが奔った

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――



今日の更新はここまでです

お付き合いいただきありがとうございました


今日の更新はお休みです


そろそろ再開です





その日の夜、ボクは夢心地とでも言ったような気分だった
まるで現実感が無かった

足は雲を踏みしめるように不確かで
頭の中は会話を成り立たせる余裕が無いくらいにオーバーヒートしていた

それでも流石に時間が経てば、頭も冷やされてきて冷静な判断能力も戻って来た

しかし、しかしこの場合はどう思うべきか

己の情けない行動に恥じ入るべきか
彼女からキスをしてもらったことに歓喜するべきか

複雑な心境で、ボクはうんうん唸っていた



1、妹と過ごす
2、母と過ごす
3、鹿島弥生に連絡を取る
4、鈴鹿から連絡…?
5、買ってきた漫画を読む

安価↓1


>>722採用:3


どうしても彼女と話をしたくなり、ボクは彼女に電話をした

しかし、彼女が電話に出ない
風呂でも入っているんだろうと、ボクは諦めることにした

それから程なくして、電話の呼び出し音が鳴る
発信元は鹿島弥生
ボクはすぐに電話に出た

剣「もしもし?弥生だな」

弥生「…うん、あの…なに?」

剣「なに…とは、別に用というほどのモノじゃない」

電話越しから聞こえる弥生の声には力が無い
少し気になりながらも話を続ける

剣「今日の事――」

『楽しかった』と伝えようとしたその声が遮られる

弥生「ごめんなさい。私……ゴメン、ちょっと話せる気分じゃないんだ」

剣「えっ?大丈夫か?」

弥生「………本当にゴメンね」

その言葉を最後に一方的に電話を切られた
どういう事だろうか?
ボクと別れた後に、何かあったのだろうか?

弥生のあまりに普通じゃない様子に一抹の不安を覚えながら、ボクは眠りにつくのだった


十五日目・朝



甘い一時を過ごした二人きりのデートから、たった一夜でその浮ついた心は萎んで閉まっていた

明らかに不自然な彼女の様子
やはり別れ際の出来事が問題だったんだろうか?

それとも、ボクの知らぬところで何かあったのか?

……ただの体調不良なら、それでいいんだが


ボクは普段通りに朝の支度をして…


1、早くに学校に向かった
2、普通に学校に向かった
3、遅くに家を出た

安価↓1

1


>>725採用:1



ボクは早くに学校に向かった

校庭からは運動部の元気な掛け声が聞こえてくる
…弥生はあの場所に居るだろうか?


1、旧音楽室に向かう
2、陸上部に顔を出す
3、中庭に行く

安価↓1

1


>>727採用:1


旧音楽室の扉を開く
そこにはいつも通り窓際で外を眺めている弥生の姿があった

その姿にホッと胸を撫で下ろした
此処に居なければ本格的に心配になっていたところだ

彼女はボクの姿にビクッと肩を震わせたが、直ぐに視線を外に移した

剣「おはよう、弥生」

弥生「…おはよう剣君」

ボクはいつものように彼女の隣の椅子に腰かける
彼女はどこか落ち着かない様子で、そっとボクと距離をとった

普段とどこか違う様子を感じながらも、ボクはいつものように会話を試みた



1、昨日の電話の話
2、昨日のデートの話
3、今の様子の話
4、自由安価

安価↓1

3


>>729採用:3


剣「………」

先ほどから何度話しかけてみても反応が薄い
反応はあるのだが、普段よりも素っ気無い返事だ
今まで彼女と接してきて、このような反応をされたのは初めてだった

剣「なあ弥生。体調、悪いのか?」

弥生「…そんな事ないよ」

剣「いや、明らかに普通じゃない。いつもと違う」

弥生「…いつもとって何?私達、出会ってまだ二週間くらいだよね」

やはりだ、今の弥生からは苛立ちのような感情が強く出ている
何とは分からないが、どうにも虫の居所が悪い様だ

剣「……邪魔をしたな」

これ以上居ても心証を悪くするだけだと判断したボクは、一先ずその場を去ることにした

弥生「あっ…ッ……」

ボクが立ち上がって背を向けた時、彼女の苦しげな声が聞こえた
振り返った時にはもう此方を見ておらず、外に視線を向けていた

……本当に、どうしたというのだろうか?





あれから悶々とした思いを抱えながら、授業を聞き流した
こんな状況でまともに授業なんて聞いていられない

彼女…鹿島弥生が不機嫌な理由
ボクにあるのだろうか?

だとすれば……思い当たる節は、昨日の別れ際のやり取りくらいだ

しかしあの時彼女は『またね』と言っていた
キスをしたのも彼女からだった

傷つけたようには思えなかったのだが……


一先ずボクは昼食をとることにした


1、屋上に続く階段へ行く
2、教室で食べる
3、食堂に向かう

安価↓1

3


>>732採用:3


今日は食堂で食べることにした

何処の席に座ろうかと思案していた時、誰かに声をかけられた…



1、近衛鈴鹿
2、浅賀孝介

安価↓1

1


>>734採用:1


鈴鹿「ちょっとちょっと、そこのお嬢さん。お隣りへどうぞ」

剣「………」

声をかけてきたのは変態女こと近衛鈴鹿
特に断る理由も無かったため、ボクは大人しくその席に座った

鈴鹿「今日は弥生と一緒じゃないの?」

剣「…いつも一緒に居るわけではない」

鈴鹿「あら、そうなの?」

女はニコニコと普段以上に楽しそうに笑っている
非常に不愉快極まりないが、この女は弥生の事で何かを知っていそうだ

……さて


1、今日の彼女の様子の事を話す
2、昨日、夕方以降の様子を知らないか聞く
3、彼方から話題を振って来るのを待つ

安価↓1

2


>>736採用:2


剣「……昨日、ボクと弥生がデートをしたのは知っているか?」

鈴鹿「ええ知ってるわよ」

剣「夕方の五時頃に分かれたんだが、それ以降の様子を何か知らないか?」

鈴鹿「勿論知ってるわよ。弥生に服を貸したのは私だし、弥生と会って話もしたわ」

やはりというか、予想通りこの女は何か事情を知っていそうだった

剣「何か、変わったことは無かったか?」

鈴鹿「それはもうビックリしたわ、あの子とっても落ち込んでた」

剣「落ち込んでいた……怒っていたとかではないのか?」

鈴鹿「あら?あの子を怒らせた自覚でもあるの?」

剣「いいから質問に答えろ」

鈴鹿「そうねぇ……怒っていたとも言えるわね」

剣「……ふむ…」

落ち込んでいながら、怒っていたとも取れる様子
……なんとも難しいな、彼女は何を気に病んでいるんだ




剣「何か、その…ボクの事を言っていなかったか?」

鈴鹿「例えば?」

剣「………分からん。はぁ…この際白状してやるが、ボクはどうやら彼女を傷つけてしまっているらしい」

剣「人の気持ちには聡いつもりだったが、こと恋愛においてはボクも初心者だ。イマイチ確信が持てない」

剣「なので、お前に情報を貰いたい」

そう、恥を忍んでこの女に打ち明けた
意固地になって彼女との接し方を間違う方が恐ろしいと考えた結果だ

鈴鹿「う~ん…そう言われても、私も何でも知ってるわけじゃないのよ?」

剣「昨日、何があったのかは知らないのか?」

鈴鹿「ええ全然。でも、あの子がどういう感情を抱いているか、なんとなく察してるわ」

剣「よし、教えろ」

鈴鹿「ダメよ、こういう事はアナタが理解してあげなさい。そうじゃないと、今後苦労し続けるわよ」

鈴鹿「…剣ちゃんはあまりにも簡単に弥生と仲良くなれちゃったから、『仲良くない弥生』の事何も知らないのよね。だから、今とっても困ってる」

剣「仲良くない弥生…か」

鈴鹿「ま、これが恋愛よ剣ちゃん。本当にどうしようもなくなった時だけ、私に相談しに来てね」

ボクの現状を打ち明けた甲斐なく、この女から大した情報は得られなかった
そもそもこの女はボクと弥生が親密になるのを反対しているんだった、間を取り持とうとしてくれなくて当然か

結局何も解決せず、ボクは味のしないご飯を食べ終えたのだった


放課後


この日一日、ボクはずっと彼女の事に頭を悩ませていた

仲良くない弥生の事を知らないから、なんて言われてもよく分からない
仲良くなろうと必死だったし、今までの彼女からも否定的で拒絶されるような意識をされたことも少ない

初めて会った時だって、彼女からボクに寄り添ってくれた
突然告白をした時も、真剣に答えをくれた
仲良くなってからも、正直に自分の事を話してくれていたように思える

彼女と簡単に仲良くなれた事
明日香からも凄い事なんだと言われた。だから特別だと明日香はボクに期待をしている様だった
鈴鹿からも同じ感想を抱かれたようだったけど、それが問題だと指摘された

……だから、少なくとも今まで心を通わせ合えていなかったわけではない筈だ

仲が良くなりすぎた……それが問題なのか?
しかし、もしそうだったとしたらどうするべきなんだ?

距離をとるべきなのか?
むしろ目を背けずに向き合うべきなのか?

彼女を傷つけない為にはどうするべきなんだ?

とても重要な選択のような気がする……


1、一度距離を置いて、彼女の事を遠くから知ろうとしてみる
2、ここで距離をとるのは悪手だ。正面から彼女と向き合う
3、………違うな、傷ついてでも彼女の事を知るべきだ

安価↓1

2


>>740採用:2


……ここで距離をとってしまえば、疎遠になってしまうような気がする
押して駄目ならとも言うが、ここはもっと押すべきだとボクは思う

ここで目を背けないことが、お互いが傷つかない最善手だろう

そう決めたボクは早速彼女に会いに行くことにした
彼女はいつもの通りなら、旧音楽室に居ることだろう


………きっとこれは間違った選択肢じゃない

ボクは逸る気持ちを押さえ、早足で旧音楽室に向かった



※バッドエンドが消滅しました


旧音楽室の中をそっと覗くと、彼女は変わらずそこに居た

しかし彼女は外を見ながらもその表情が暗い
その視線の先には明日香が、彼女の思い人が居るはずのなのに、その顔つきに熱が無い

それほどまでに、彼女の中にも何か変化があったのだろう
普段通りじゃなくなるくらい彼女に影響が及んでいるのだ

今までも、時折ボクをドキリとさせる仕草を自然とする人だったけど
昨日の別れ際のあの行動は、今までとは比較にならないような『好意』を示す行動だったように思う

……だから、昨日のボクの行動も今の現状も、悪い方に進んでいるとは思いたくない


ボクは軽く呼吸を整えて、扉を開いた

彼女はボクを見ると、一層その表情を暗く落として立ち上がった
鞄を提げて此方に歩いてきている

帰るつもりなのだろう
ボクが来たから

ボクは……


1、落ち着いて『帰るのか』と声をかけた
2、頭を下げて謝罪をした
3、『話をしたいんだ』と彼女の行く手を遮った

安価↓1

1


>>743採用:1


ボクは軽く息を吐き、落ち着いて声をかけた

剣「なんだ、帰るのか?」

努めて冷静に、普段通りに
彼女を安心させるようにそう言った

弥生「……うん。ゴメンね」

剣「何故ボクに謝る?謝られる理由があったか?それとも、その謝罪はボクに向けられたものではないのか?」

弥生「ッ……帰るから」

今の彼女の様子はとても苦しそうだった
何か我慢しているような、抑圧されているかのような、彼女らしくない不自由さを感じさせる

剣「ボクに何かあるのなら言うべきだ。そのままで居る方が不健康だと思うぞ」

剣「ボクは逃げない。弥生になんと言われても、ボクは弥生が好きなままだ」

剣「だから…ボクを見て。そんなに辛そうな顔をしないでほしい」

ボクなりに彼女を傷つけないような言い回しを選んだ
明日香に言われた通り、強く手を引かないようにそっと手を差し伸べた
そんな振る舞いを意識した

弥生「………」


感情判定
0-3 抑圧
4-6 暴走
7-9 ???

直下コンマ


コンマ判定:1 抑圧



弥生「……そうだよね、ゴメン。私が悪いんだ」

彼女は視線を逸らし、そう言った
彼女はまた謝罪を口にした

剣「…違う。そうじゃない」

ボクはそんな事を言って欲しかったんじゃない
ボクを気遣わなくたっていいと、そう伝えたんだ

弥生「昨日の今日で、私…変だったよね。ゴメンね」

剣「謝らなくていい…!」

彼女の逃げるような態度に苛立ち、語気を荒げてしまう

弥生「明日からは…普通になるから。今日は…ごめん」

剣「謝るな!……どうして嘘を吐くんだ。どうして、ボクから逃げる?」

怒鳴りつけそうになる気持ちを必死で抑え、彼女に問う

弥生「……嘘なんてついてないよ。私、嘘つけないし」

そうして、彼女はとうとう振り返ることなく旧音楽室を去って行った
最後の最後のまで彼女らしくない言葉で、まるで今までの交流などなかったかのように凍った表情のままだった

だけど、彼女の心情を察せないほどのボクではない
彼女は己の感情の発露を抑圧し続けていた

怒り、悲しみ、苦しみ、喜び

何かは分からないけれど、彼女はあんな言葉とは別にボクに言いたいことがあったはずだ
だけど、ボクは彼女から内面を引き出せなかった
それが全ての結果だった


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


剣「なんだ、帰るのか?」

彼は努めて冷静にそう言っていた
その直前に、深呼吸をしていたことを私は知っていた

彼は何処までも真っ直ぐだ
恐れも知らず、私に向き合おうとする

だけど、今の私が普通ではないように今の彼も無理をしている様だった

剣「ボクに何かあるのなら言うべきだ。そのままで居る方が不健康だと思うぞ」

言葉の一つ一つから、私への気遣いのような物が見える

剣「ボクは逃げない。弥生になんと言われても、ボクは弥生が好きなままだ」

言葉の一つ一つが、演技がかったような優しさだ

剣「だから…ボクを見て。そんなに辛そうな顔をしないでほしい」

彼の言葉の全てが、吟味して厳選された私を優しく包む言葉だ
彼らしくも無い、気遣いの塊の言葉

今までの純粋な優しさとは違う、私の心を探ろうとする下心の見えた優しさだった


だから私も、彼を気遣った
実際の所、彼が心を痛めているのは全て私の身勝手なわけだし

だから私は謝った

私が悪いから
私が君に無用な気を遣わせてしまっているから
私が君を君らしさから遠ざけてしまったから

私が謝るたびに、彼は言葉に屈辱を滲ませる
爆発しそうになっている彼自身の言葉を、彼は何とか飲み込んでいる様子だった

そうさせてしまっている自分に、更に罪悪感を募らせる

本当に、私は最低だ
私という存在は彼を不幸にしかしていない

彼の初恋を奪い
彼の恋心を弄び
そして、彼らしさすら捻じ曲げてしまった

やっぱり、彼の近くに居過ぎてしまったのかな

弥生「……嘘なんてついてないよ。私、嘘つけないし」

その言葉を別れとし、私は彼に背を向けた

彼を想ってのその嘘は、どうしてか私の胸を締め付けた
吐き出せない感情に圧し潰されるように、私の心は鈍痛に悲鳴を上げていた


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――





その日の夜は、晩御飯が喉を通らなかった

上手くいかないもどかしさと、優しさが彼女をより傷つける結果になってしまったことに、酷く苛立っていた


彼女と向き合う、という選択は間違いではなかったように思う
しかし、その後の選択を少し謝ってしまったのかもしれない

彼女から本音を引き出そうとしているのに、ボク自身が己の言葉を抑圧してしまっていた
もっと、自分の思いの丈を素直に吐き出すべきだった

らしくなく落ち着き払って、明日香の真似ごとをしてしまっていた
それが失敗の原因だろう

過ぎてしまったものは仕方がない、運が悪かったと諦めるしかない
必要なのは、次取り返せるかどうかだ


さて、どうするか……


1、妹に相談
2、母に相談
3、他の誰かに相談
4、考えても仕方がない、寝る
5、自由安価

安価↓1

3


>>750採用:3、他の誰かに相談


相談相手、誰がいいだろうか?

やはり鈴鹿か…それとも、一番弥生の事を知っている明日香か?

いっそ何も知らない相手に聞いてみるのもいいかもしれない
…例えば、山田千紗。あの女は色々人の話を聞くのが得意だ。こういった相談事もよく受けているだろう

他の候補と言えば……あやに聞くのは少々残酷か
シンシアも…あまり頼りになりそうもない

孝介はどうだろうか?
………こいつも微妙そうだな


さて、誰に相談する?


1、近衛鈴鹿
2、日比乃明日香
3、山田千紗
4、柘榴花あや
5、シンシア・パーシヴァル
6、浅賀孝介

安価↓1

2


>>752採用:2


悩んだ末に、明日香に相談することにした
ボクは明日香に電話をかける

明日香「電話なんて珍しいね。いや、初めてかな」

剣「そうだな、初めてだ。……実は弥生の事で話がある」

そうして放課後の出来事を話した

明日香「…そう、あの弥生が嘘を」

剣「……お前のように振る舞ったのが仇となったらしい」

明日香「う~ん…そっか、正直ボクもそんな弥生見た事ないよ。あの子は嘘を言う子じゃない」

剣「避けられている原因は、恐らく仲良くなってしまったからだ……と思う」

明日香「………」

明日香はグッと押し黙る
真剣に考えてくれているようだ


暫くして、明日香は答えを出したようだ

明日香「どういう状況かは分かったよ。でも、ボクにもアドバイスが難しい。何せそんなこと一度も無かったからね」

明日香「優しくしてあげてねって言ったけど、多分今のままだともっと弥生から引いてしまうだろうね。だから、ボクのあの時河川敷で言った言葉を撤回するよ」

明日香「弥生がそこまで自分が変わることに恐れを抱いているとは思わなかった」

明日香「もし君が本気なら、弥生を無理やりにでも引っ張り上げるしかない。……でも、確実に弥生の心は痛みに叫び声をあげると思うよ」

明日香「剣君が今向き合おうとしているのは、そういう話だ」

そう明日香はボクに伝えた
恐らく、それしかないのだろう

ボクは彼女の意識を無理やり変えようとしているのだ
今、彼女は傷つくことを恐れて逃げている。その手を無理やり引っ掴んで引っ張り上げるのだ
抵抗を受けて当然だ

自分でも言ったはずだ
ボクは弥生の恋心を蹂躙するつもりだと
まさかそれが、こんなにも難しい事だと思わなかった


明日香「…正直な話、ボクは弥生に無理して変わって欲しくないと思ってる。それだけ、弥生の心は純粋で綺麗だ」

明日香「でも、それは無粋な親心だよね。綺麗なモノに綺麗なままで居ろなんてただのエゴさ」

明日香「剣君の言う、弥生の心を振り向かせたいっていうのも酷いエゴだ」

明日香「弥生自身の頑固さもこれもエゴだと思う。彼女の心なんだけどね」

明日香「だからさ、折れた方が負けなんだよ。言い方を変えれば、惚れさせれば勝ちなんだ」

明日香「うん、つまり…頑張るしかないって感じ」

明日香「以上、恋愛初心者からの全く身にならないアドバイスでした。ちょっとは力になれたかな?」

最後の最後で茶化すような言い回しで明日香は締めくくった

結論は出た
彼女の心をへし折る気持ちで惚れさせるしかない
結局のところ、どういう状況だろうが恋愛事の決着はこれしかないらしい

剣「……大分助かった。ありがとう」

明日香「ええっ!?剣君が感謝なんて珍しいね」

剣「…ふんっ、ボクも相当気が参っていたらしい。らしくない事を言ったな」

明日香「いやいや全然。素直に感謝できるのはいい事だよ」

剣「長話に付き合わせたな。おやすみ」

明日香「うん、おやすみなさい」

そうして電話を終えたのだった


と、いうところで今日の更新はここまでです

夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です


十六日・朝


目を覚ます
いつものように朝の支度をしている

昨日の夜と比べて幾分も心が余裕を取り戻していた

日比乃明日香、アイツと話をしたおかげだろう
こればかりは素直に感謝しておこう

やることは決まった
多少強引でも、ボクの方に振り向かせる
それしか決着はつけられない


外では雨が降っていた
今日一日は降り続くらしい

ボクは……


1、早くに学校に向かった
2、普通に学校に向かった
3、遅くに家を出た

安価↓1


>>761採用:3


昨日と違い、遅くに家を出た

先週はこの時間帯で鹿島弥生を見つけたのだが、見つからない
そうそう同じ時間に出くわすわけではないらしい

少し残念に思いながらも、遅刻ギリギリの時間帯の通学路を歩く

千紗「あ、剣様!おっはよう!」

剣「…ん、お前か」

声をかけてきたのはいつもの奴隷その4
コイツは何時もこの遅刻ギリギリの時間帯らしい

二人傘を並べて同じ歩幅で歩く
…何か話そうか


1、人との上手な話し方
2、人との仲直りの仕方
3、恋愛話

安価↓1


>>763採用:3


剣「…なあ、お前は恋とかしたことあるか?」

千紗「はぇ…?は!?う、ウチ!?無い無い無い!全然ないよ!!」

そういう話に慣れていそうだと思って話を振ったのだが、予想外なまでに否定をされた
こんななりだが、結構初心なのかもしれない

千紗「あ~…でも、ちょっと撤回。今好きな人はいないって感じ」

剣「ふ~ん、恋をする予定でもあるのか?」

千紗「あはは~…いい人が居ればね~」

剣「なんだか意外だな、恋人の一人や二人いそうな感じだと思ったが、存外生娘か?」

千紗「居ても普通一人だけっしょ?ウチは結構ガード硬い感じなんで、純潔を保った乙女なんですぅ!」

剣「お前なら、寧ろ一人二人たぶらかしている方が魅力が出そうなものだが」

千紗「剣様の中でウチのイメージどうなってるん?」


少し脱線しそうになりながらも恋愛の話をする


千紗「剣様はさ、好きない人居るんだよね?高等部の…」

剣「鹿島弥生だ」

千紗「そうそう、その先輩。剣様はさ、一度告白断られたのにまだ好きなの?」

剣「おかしなことを言う。一度フラれたくらいで何故好きじゃなくなる?」

千紗「いやぁ普通はさ、遠慮とかショックとかでもうその話題に触れたくないなって感じになるじゃん」

剣「そこいらの凡百ならばな。ボクは違う」

千紗「な~る……納得だわ」

千紗はボクの返答に得心が言ったとばかりに大きく頷く


千紗「…でもさ、周りの眼とか気にならない?」

剣「気にならんな。所詮一時の話題よ、想像以上に人は他者を見てはいないさ」

千紗「そっか…そういうものか……やっぱり剣様は強いかも」

剣「ふっ…今更だな」

そんな事を話しながら、仲良く遅刻したのだった


昼休み


特に何事も無く午前の授業を終える

未だに外では雨が降り続いている
この様子だと予報通り夜まで降り続きそうだ


さて、昼食はどこで食べようか?



1、屋上階段
2、食堂
3、教室
4、誰かを誘う

安価↓1

1


>>767採用:1、屋上階段



今日はちょっと人の集まりが良くないようなので、更新はここまでとします

明日も21時頃には再開すると思います
では、お付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です



ボクは屋上階段に向かった
いつも弥生が一人でご飯を食べている場所

しかし、そこに彼女は居なかった

ボクが来ると思っていたからだろう
実際ボク自身、彼女がいるとやって来たのだから

普段通りの私に戻ると言っていたが、そう簡単に割り切れるものでもなかった
そういうことなのだろう


ボクは仕方なく一人で食事をする

ここはとても寂しい気持ちになる場所だった
いつもは彼女と喋っていて意識したことは無かったが、下からは多くの生徒たちの賑やかな声が聞こえてくる

この場所で、ボクは一人だ
あの場所にボクの居場所はない

そう感じさせるような、学校生活と切り離された空間だった

彼女は何を思ってここで一人で食べていたのだろう?
彼女は決して孤独では無い筈なのに、何故か孤独を善しとする

それほどに、他者との関わりを恐れているというのだろうか?

ボクは彼女の事を想いながら、一人で食事をとった


放課後


漸く待ちに待った時間がやって来た

彼女と…弥生と話をしよう
彼女を振り向かせるためにも絶対に今日会わないといけない

外ではまだ雨がザンザンと降り続いている…



1、旧音楽室に向かう
2、弥生の教室に向かう
3、玄関に先回りする

安価↓1

3


>>772採用:3


今日は雨で陸上部も外で練習をしない
彼女は真っ直ぐ此処に向かってくるだろう

そう思ってボクは玄関前で待ち伏せをしていた

しかし、いくら待っても彼女はやってこない

どういう事だろう?

来ていない…ということは無い筈だ
ボクはやや罪悪感を覚えながら、彼女の靴箱を確認する

そこには一組のローファー

彼女はまだ学校内に居るという証明だ

部活動もしていない彼女がまだ学校に残っているのはどうしてだろう?
何か…あったのだろうか?

ボクは……


1、もう少し待つことにした
2、旧音楽室に向かった
3、服飾研究部の部室に向かった

安価↓1

3


>>775採用:3


妙な胸騒ぎを感じ、ボクはある場所に向かった

勢いよく扉を開け放つ

鈴鹿「ひゃっ!あ、あら剣ちゃん、どうしたの?」

そこは服飾研究部の部室
突然の来訪に部内にざわめきが広がっていた

他の部員なんて居たのかという驚きもあるがそれはいいい
用があるのは鈴鹿だ

剣「お前、弥生が何処に居るのか知らないか?」

鈴鹿「そうねぇ…帰ったんじゃないかしら?」

剣「そうじゃないからお前に聞いてるんだ!」

鈴鹿「ちょっと待ちなさい!私、本当に分からないわよ?」

『嘘を吐くな』と詰め寄ろうとするが、鈴鹿の真剣なまなざしに嘘ではないと強く感じる
しかし、ならば何処に…

剣「…邪魔をしたな」

ボクは部室を出て、何処に行くべきか考える
鈴鹿ならば何か知っているはずと思っていたが、的外れだったようだ
あの鈴鹿にも把握できていない弥生の今の心の状態

何処で、何をしているんだ?
考えれば考えるほど、彼女の居そうな場所が分からない

ボクにとって、彼女との思い出の場所なんて一つしかない……

ボクは――


1、もう一度玄関に戻った
2、旧音楽室に向かった

安価↓1


>>777

旧音楽室
まさかまさかと思いながら、その場所に向かう

彼女は語っていた、その場所が好きだと
想い人の姿を時を忘れてずっと眺めているため、ただそれだけの場所

此処に居ると明日香が見つけてくれるんだと、彼女は照れくさそうに笑っていた

そう、だから彼女が今日そこに居る理由はないんだ
外は雨が降っている
日比乃明日香の姿は見えない

そこに居る理由なんて無い筈なんだ

だけど、彼女は居た

誰も居ない筈の、雨降る外を眺めていた
蛍光灯の光も無い薄暗い部屋の中で、彼女はまるでそうあることが自然体であるかのように、外をじっと眺めていた

彼女の隣には、誰も使っていない無人の椅子が一つ

どんな思いで彼女は外を見ているのだろう?
どんな思いで彼女はここに居るのだろう?

分からない
分からないけどボクは、迷わずに扉に手をかけた


剣「……どうして、此処に居るんだ」

ボクの呼びかけで漸く、彼女はボクの方を見た

弥生「分かんないや、でも…自然と此処に座ってた」

彼女は困り眉で力なく笑う

ボクは彼女の隣に座る
彼女の隣にある椅子は、ボクしか使わない、ボク専用の椅子だから

普段のように談笑を交えるわけでもなく、お互いが無言で外を見る

音を立てて地面をうつ土砂降りの雨は、薄暗い部屋の中をより深く内側へと追いやる
外には出れない、と言われている様だった

雨音以外、音も光も無い空間で二人きり

不思議と良い心地だった
それは、何度もこの空間を二人きりで過ごしたからだろう

たった数回にわたる逢瀬だった
それでも、ボクにとっては学園生活の中で最も濃い時間を過ごした場所だ

彼女はどうなのだろう?
彼女はきっと、この場所で長い時間を過ごしたはずだ
彼女だけの、彼女の為の空間だったこの場所に、ボクという異物が入り込んでしまっている
それでも彼女は、変わらずに此処に居続けている


ただの自惚れだろうとも思う

だけど、それ以外の理由も考えられなかった

彼女は言っていた
『此処に居ると見つけてくれる』と

彼女も知っているはずだ
今日、此処で待っていても明日香は見つけてくれないと

それならば、誰を待って此処に居たのだ?

迷った果てにボクが彼女をここで見つけた様に
彼女もまた、迷った果てにここでボクを待っていたように思える


きっと、これが最後のチャンスだ
此処で失敗をすると、二度とボク達の関係が発展しないだろう

とても重要な選択だ

ボクは――――


1、彼女にもう一度告白した
2、いつも話をするように、彼女に話しかけた
3、彼女の手を握った

安価↓3までで最も2桁コンマの高いものを採用


>>782採用:3


恐る恐る彼女の手に触れた
彼女の指先は震えていた
だけど、逃げようとはしなかった

ゆっくりと彼女の手を握る

ボクと同じくらい大きさの彼女の手は、困惑してしまいそうなほど柔らかい
同じ用途に使われるに身体の一部と言われても信じられないくらいに、壊れてしまいそうという印象を抱いた

彼女の手はしっとりと冷たい
しかし、こうして握っていると徐々に熱が伝わって来た

痛みを覚えるほどに人の気持ちに敏感な彼女

ボクの心はどれだけ伝わっているだろう?

言葉だけでは上手く伝えられなかった
取り繕った言葉では、彼女の内面を見ることすら叶わなかった

だからボクは――彼女の手をボクの右目に触らせた


この右目はボクの痛みの証だ
一生消えない、ボクの傷だ

体が動かなくなるほどの痛みに毎日のように襲われていた

だけど、弥生に会ってから痛みは遠のいていったんだ
今ならわかる、ボクの心はずっと此処にあった

今までは苦しみと憎しみに壊れそうだった
ずっとずっと抱え込んでいた
誰もが斉しく、ボクの敵だと思えた

弥生は違った
一目見た時から、弥生だけはそう見えなかった
ボクはあっけなく恋に落ちたんだ

恋をして、ボクは痛みから救われた

知ってほしい
ボクはこんなにも弥生が好きなんだと
弥生という存在が、ボクにとってどれほど大きいものなのかを

伝われと強く念じながら、ボクは彼女をジッと見つめた


彼女は無言でボクの眼帯を親指で撫でる

剣「…弥生…キミを想うと、時折右目が疼くんだ」

剣「だけど、それは苦しみじゃなくて。悦びだ」

剣「悦びの痛みだ」

それはきっと、キミも知らなかった心の痛み
ボクだけが抱えていた心の痛みだ

ボクの心に触れている彼女は、辛そうに眉をしかめている

剣「…弥生は…何が辛いんだ?」

剣「ボクと一緒に居ることは、キミにとって辛い事か?」

剣「ボクは…ボクはこんなにも――君といるだけで嬉しい」

右目の疼きと共に、それは形となって表れた

涙だ

悦びの涙
君といるだけで沸き起こる悦びの結晶
幼い子供のように無邪気に、ボクの右目から溢れていた


剣「こんなにもボクは狂わされてしまっている」

剣「四六時中、君の事ばかりだ」

剣「君に恋をしてしまってから、ボクはこんなにも変わってしまった」

ボクは自分から誰かのために何かをする人間ではなかった
頼られれば応えてやるだけだった

だけど、今はキミの為に何かをしたいと強く願っている

君に振り向いてもらうためには何でもしようと決意している

心を通わせられる人間なんて、母と妹だけだった
それ以外の交流なんて必要ないと思っていた

だけど、今はこんなにもキミと繋がりたいと思っている
人と心を通じ合わせたいと切に祈っている

剣「だから…だから、ボクはいつまでもキミに言おう」

剣「キミが心の底からボクを嫌いになってしまうまで」


剣「好きだ。キミをボクのモノにしたい」


これがボクの答え
一切の偽りの無い、ボクの心の内の全てだ

彼女は一層辛そうに、顔を背けた……


感情判定
5以上で心を開く

選択肢 +5

直下コンマ


コンマ判定:7+5 成功


長い長い沈黙
全ての音が雨に圧し潰されてしまったのだろうかと思ってしまうほどの静寂

不意に、音が蘇る

弥生「…私もね…剣君を想うたびに、心が痛いんだ」

彼女もまた涙を流す
ボクの痛みに響き合うように、ボクの心に呼応するように

弥生「でも…それはね、剣君の痛みとは違うんだよ」

弥生「私はもっと卑怯で、ズルくて、浅ましい…」

弥生「剣君を好きになるたび、苦しいの」

弥生「剣君を好きになればなるほど、私はその想いに答えるわけにはいかないって思うの」

吐き出す、吐き出す
今まで誰にも見せてこなかった彼女の本性を…


弥生「だって私、こんなにも剣君に惹かれているのに…明日香が好きなままなんだよ?」

それが、彼女を苦しめていた原因だった


弥生「剣君を好きになるたびに、心が痛い」

弥生「だって裏切らないといけないんだよ?」

弥生「剣君の想いが本物であるほど、純粋であるほど、私は苦しい」

弥生「ずっと心に決めてたの。剣君の事が好きだから、大切だから…酷い事なんてしたくないって」

弥生「なのに、私…剣君に期待させるような事しちゃった」

弥生「剣君の恋心を裏切るって決めたのに!答えられないなって思ってたのに!」

弥生「酷いよね…あの日の夜、剣君からの電話ね…一度は怖くて取れなかっただけなの」

弥生「勇気を出して電話返したとき、剣君の嬉しそうな声が…苦しかった」

弥生「ああ…私は酷い事をしてるって思い知った」

たったそれだけの事を、彼女は気に病んでいた


弥生「剣君の、真っ直ぐで純粋な『好き』を聞くたびに心がキュッとなってた」

弥生「初めて…男の人を好きになり始めてた」

弥生「私…知らなかったの、自分がこんなにも簡単に人を好きになってしまうなんて」

弥生「私ダメな人なんだよ。私の心には芯が無いんだよ」

弥生「ずっと一途のつもりだった。明日香だけが大事な人だった」

弥生「だけど、だけど…ほんの数週間だけの付き合いの剣君の事が、明日香と同じくらい好き…!」

弥生「こんな平気で心変わりしてしまうような私は、剣君の恋の相手に相応しくないよぅ…」

それが彼女の告白だった
ずっと溜め込んでいた、彼女の心の内側だった

その中身は驚くほどに幼稚で、生まれたての赤ん坊のように『無垢』だった

ああ、本当に彼女の根っこは純情なままだ
『恋』に『愛』に幼い夢を見ていたんだ

恋とは一途であるべきで
愛とは変わらぬものであるべき

そんな前提が、彼女の心を苦しめていた

変わってしまいそうな自分に、異常なほどの恐れを彼女は抱いていたのだ


本当の本当に、最後まで日比乃明日香という存在がボクの恋敵らしい

もし明日香がいなければ、ボク達は何の障害も無く恋に落ちていただろう
だけど、明日香がいたから弥生の幼い心は今の形を保っていたのだと思う

姿かたちは大人なのに、どこまでも幼く無垢なその心

そんな彼女にボクは恋をしたんだ
だから、恋敵には…恨み言よりも感謝をしよう

彼女は怯えている
変わってしまいそうな自分に

彼女はずっと怯えていた
変わりゆく沢山ものに

彼女はずっと子供の時と同じ時を過ごしている

だから、彼女は一人屋上に続く階段に居た
彼女は一人、この場所に居た

馴染めない世界に、彼女は一人取り残されていた

皮肉にも、明日香という存在が彼女の心の平静を保っていたが
明日香という存在が、彼女に楔を打ち込んでいたのだ

だが、だが今は違う

今際の際
今にも壊れてしまいそうな彼女の心は、寸でのところ形を保っている
明日香が一番大事だという想いが、彼女を何とか保たせている

触れれば忽ち崩れ去る
あまりにも不安定で繊細な心

ボクの行動一つで、容易にどちらにでも落ちよう

ボクは――――


1、ボクのエゴを通した
2、彼女のエゴを優先させた

安価↓1

1


>>793採用:1


剣「…そうか、そうだったんだな」

弥生「剣君も…私に失望したかな?好きになった相手が、こんな女で…」

剣「いや――――都合がいい」

弥生「――――――――――ッ!!!」

握っていた彼女の腕を強く引く
何かを言おうとした彼女の唇を、自らの唇で塞いだ

壊してしまおう、壊してしまおう
今にも落ちてしまいそうだというのなら、此方に引きずり込んでやろう

明日香ではなく
ボクを一番にしてやろう

彼女の肩を優しく掴む
彼女は抵抗するようにボクの胸を押すが、その力はあまりにも弱弱しい


長い間キスをしていた

時間なんて計っていないが、きっともう一度同じ時間が繰り返されれば夜迎えてしまうだろう
そんなバカみたいな錯覚を覚えるほど、その時間は深く濃い時間だった

弥生「んっ…あっ――」

唇を離したとき、銀色の愛の糸が伸びる
彼女の口からは切なげな、甘い声が漏れていた

彼女は羞恥に顔を真っ赤に染め上げて、狼狽するように視線を泳がせる

剣「好きだ弥生」

弥生「やっ…やめてよ…」

彼女はむずかる様に顔を逸らす
ボクはずいっと顔を近づける

剣「好き、大好きだ」

弥生「ん…やだ…」

顔を赤くしながらも、眉を八の字に顰め今にも泣いてしまいそうだ
それでも攻め手を緩めない

剣「嫌か?ボクの事…嫌いか?」

ボクの問いに彼女は深く押し黙り……


感情判定
5以上で……

直下コンマ


コンマ判定:4


彼女は力なく首を振った
それは、どちらともとれる行動

ボクを拒絶しているようでもあるし、『嫌いか』の問いに違うと言っているようでもある

剣「…ボクはキミが好きだ。き、キスなんて始めてだった」

剣「弥生は…まだ怖いか?自分の気持ちに…整理がつかないか?」

弥生はコクリと頷く

剣「…そうだな、簡単に決めきれるものでもないか」

剣「……これが、ボクに出来る全てだ」

剣「ボクは今、とてもひどい事をしたぞ。弥生が思い悩んでいた事よりもっとひどい事だ」

剣「想い人が居ると知っている女に、無理やりキスをした。嫌われたっておかしくない」

剣「それでもボクは後悔していないぞ。キミに嫌われることが何よりも恐ろしかった…だけど、それ以上にボクの事を好きになって欲しかったから」

剣「だって…ボクはどうしようも無く君に恋をしているから」

それがボクのエゴだった
弥生がどう思っていようとも変えられない、自分の気持ちだ


彼女は顔を伏せ、何も言わない

もうこれ以上は良い答えを望めないな
そう思い、ボクは立ち上がった

そう、立ち上がった時―――同時に彼女も立ち上がった

想像以上に強い力に引っ張られ、ボクは彼女に抱き締められていた
予想していなかった事態に、ボクは狼狽えてしまう

剣「ど、どどうした?」

弥生「………」

剣「な、なぜ抱きしめる?」

弥生「…分かんない」

剣「………」

弥生「……分かんないよ…全部全部」

彼女はまた苦しみながら涙を流していた
自らの痛みを表現するように、ボクを抱きしめる腕に力がこもった


弥生「剣君が私が好きな理由も…私にキスした理由も…私がどんな感情を抱いたのかも分かんないよ…!」

弥生「…でも、剣君が悲しそうな顔で立ち上がった時は…なんとかしなきゃって思った」

弥生「私…欲張りだ……あんな曖昧な答えを出しておきながら、行かないでって思った」

弥生「教えてよ剣君…私…どっちの方が大事なのかな?」

弥生「何をすれば……この気持ちに決着がつくの…?」

涙を流す彼女の目尻を指で拭う


確かに、ボクは彼女の心を壊すことには成功した
だけどその結果はボクに落ちるのではなく、もっと複雑な感情を抱かせる要因になってしまった

彼女自身にすら、最早その心の形を把握できなくなってしまっている

これはきっと、彼女自身が決めなければならない事だろう
どうしようもできないボクは、ただ抱きしめる彼女の背中を撫でるしかなかった


と、言う所で今日の更新はここまでです

まだもう少し長い放課後は続きます

では、夜遅くまでお付き合いいただきありがとうございました


そろそろ再開です


情報が追加されました


名前:鹿島弥生(カシマ ヤヨイ)
年齢:16
性別:女性

【外面】
普段は一人で居ることが多い。表情に乏しいが、話しかけると明るく人懐っこい人柄だと分かる程度に素直。嘘がつけない
【内面】
純粋で繊細な感性を持つ
人の心に敏感で、嘘や裏切りを何よりも嫌う
彼女の本性は真っ白な無垢。まるで生まれたての赤ん坊の肌のように傷つきやすく、物語の中のような甘い夢を子供のように信じている


【異常】
変わる事への恐れ
子供のままの心

彼女は幼い頃、仲の良かった男の子がいた
彼女はその男の子に嘘をつかれたことに涙した
その男の子は言った『そのくらいの事で泣くなよ、お前は嘘つかないのかよ』と
彼女は困惑した。嘘はいけない事だと言われてたから、一度も嘘なんて吐いたことが無かった
さも当然のことのように言う男の子の事が怖かった
彼女はそこで初めて自覚した。自分だけが他の人と違うんだと
裏切りに涙を流す彼女に、日比乃明日香は言った
『弥生はそのままでいいんだよ。弥生は無理に変わらなくていいんだ』
彼女はその言葉に確かに救われた
だが、その言葉がずっと彼女を縛っていたことに、本人すらも気づいていない


放課後


彼女の体は震えている
ボクは優しく宥めるように、彼女の体を撫で続けている

伝えたい自分の事は伝えきった
ボクの痛みを伝えた、悦びを伝えた、言葉だけじゃない行動で最大限の愛を示した

それでも、それでもまだ足りないのだ

彼女に残った最後の箍は、『罪悪感』だろう

ボクを好きになることに戸惑いを捨てきれない
今までとは別の人を好きになることを、裏切りだと彼女は考えている

それはまだ愛を伝えたわけでもない幼馴染の明日香に向けてのモノでもあり
今までその想いを抱き続けた自分へのモノでもある

彼女の心の綻びを解かなくては

彼女にとって、納得できる答えを
まだ気づいていないかもしれない、彼女の心のありか

そのカギは……



1、此処に居た理由
2、孤独になろうとする行動
3、明日香への想い

安価↓1


>>805採用:2


孤独になろうとする行動

それを口にしかけて、寸でのところで飲み込む

彼女は孤独になろうとしていたわけではない
彼女は孤独だったのだ

馴染めない周囲から逃げるために一人になろうとしていた

幼い子供と同じ時を過ごす彼女は、周りと同じ精神では居られなかった
変化を許容できなかった

だからこそ、彼女は一人で居ようとし続けたはずだ

そこに、彼女の心を解き明かすカギはあるのか?
本当にこの選択でいいのだろうか?



1、この選択でいい
2、旧音楽室に居た理由
3、明日香への想い

安価↓1


>>807採用:2


剣「旧音楽室…」

思わず口をついていたこの言葉

そうだ、まだ明確になっていないモノがあった
彼女の中の無意識の答えが、ここにあるんじゃないだろうか

抱きしめられていた体を離し、彼女と改めて向き合う

剣「どうして、この場所で待っていたんだ?」

弥生「えっ?それは…何時も、放課後はここに居るから」

剣「何故だ?何故ここに来た?今日は雨だろう?」

思い出す、雨の日の事を
彼女は雨が降り始め、陸上部の練習が無いと分かるとすぐに帰っていた

朝から雨が降り続いている日は、ここに来ることも無く帰っていた

それなのに彼女は、この場所に居た
それは、無意識の行動に他ならない
いや…もしくは意図的に目を逸らしている事実か


剣「どんな事を考えて、弥生はその場所で外を見ていたんだ?」

弥生「何…を……私……」

椅子に座り直し、彼女はもう一度外を見ていた
一向に降りやまない雨は、光を遮って外の様子をぼやけさせている

人一人いない、雨うつ校庭を彼女は見ていた

ポツリポツリと零れ始める

弥生「…なんで…放課後ここに居たんだっけ?」

弥生「ううん…朝だってここに来てたんだ」

弥生「朝から雨が降ってたって知ってたのに、ここに来てた」

徐々に、徐々に溢れはじめた言葉は流れ続ける

弥生「明日香が見えるわけじゃないのに、ずっとここに居た」

弥生「一人…何にも楽しくないのに、ここに居た」

弥生「…寂しかった……寂しかったけど、ここに居ないといけない気がしてた」

闇を映していた彼女の眼に、光が差す
困惑と混乱に囚われていた陰りが、消えていた


弥生「……此処に居ると、大好きな人に見つけて貰えるから」


彼女自身も、確信をもって答えを出した
それが、ここに居た理由だ


弥生「…此処に居るとね…私を見つけてくれるんだ。『お、今日も居るな』って嬉しそうに手を振ってくれる」

弥生「私はね…それに手を振り返してあげるのが好きだった」

弥生「……此処に居るとね、私に会いに来てくれるんだ。廊下の足音が聞こえて、扉の前で必ず止まる」

弥生「一息呼吸を置いて、扉を開くの。『今日も居るな』って嬉しそうに笑ってくれるの」

弥生「私ね…今日はまだ来ないかなって、何時しかそれが楽しみになってた」

じんわりと、暖かい笑みを浮かべる
話す言葉も柔らかく、一つ一つ優しさを感じさせた

弥生「私…ずっと一人だった。ずっと一人で此処に居た」

弥生「大好きな人を見ているだけで、何にも寂しくなかった」

弥生「でもいつの間にか、ここに一人で居ると退屈だった」

弥生「お昼ご飯の時もそう……」

弥生「剣君が…ううん、剣君を好きになってから…一人が寂しくなっちゃってた」

弥生「そっか…そうだったんだ……いつの間にか、私変わってたんだ」

弥生「此処に居る理由……雨の日でも此処に居た理由」


弥生「剣君が私を見つけてくれるからなんだね」


『今更だ…』と照れくさそうに彼女は微笑んだ


この答えにたどり着くまで、何だか遠回りをしてしまっていたような気がする

だけど、最後には彼女自身の口からその答えを聞かせてくれた
ボクという存在は、彼女にとってそれほどまでに大きくなっていたのだ
知らず知らずのうちに、彼女を変えていた

ボクだけじゃなかったんだ
ボクの片思いのままじゃなかったんだ

彼女に会って話をしてきた時間は、何一つ無駄じゃなかった

彼女に薦められて読んだ小説の内容を思い出す
『恋をされたから、恋をしてしまった』と語っていたな
ボク達も正に、その通りだ

好きだと思い続け、伝え続けることに大きな意味があった

ボクが弥生に恋をしたから
弥生に恋をしてもらえたんだ


もうここまで来れば、あと一押しだけだ

ボクは―――


1、彼女にもう一度告白した
2、彼女の手をもう一度握った

安価↓1


>>812採用:1


剣「…思うに、弥生は…事を深刻に構え過ぎたな」

剣「いや、とても大事な事なんだぞ?だけど、もう少し考え方を柔らかくするといい」

弥生「…?」

何を知ってるのか分からないとばかりに彼女は首をかしげる

剣「弥生の悩みは、そう難しい問題じゃない」

剣「ボクが好きな事と、明日香が好きな事は両立していいんじゃないか?」

剣「ボクを好きになることは、明日香を嫌いになる事じゃない」

剣「ボクを好きだと思う気持ちと、幼馴染を大切に思う気持ちは別のモノなんじゃないか?」

剣「つまり……欲張ってもいいって事だ。ボクが許す、誰も文句は言わない」

剣「弥生の悩みは、ただそれだけの事だと…ボクは思う」

剣「だから、その上でボクは何度でも言おう」


剣「キミが好きだ。ボクの恋人になってほしい」


ボクはもう一度、彼女に告白をした


感情判定
9以上で成功
選択肢 +9

直下コンマ


コンマ判定:8+9 成功


弥生「……いいのかな、私…今までずっと明日香が好きだった」

弥生「そんな今更…剣君が好きだなんて言っても…本当にいいの?」

剣「いいに決まってる。そんな話をすれば、ボクは一目惚れだぞ?」

剣「弥生の事、名前すら知らない時からボクは好きだった」

剣「いいじゃないか、時間なんてもの。これから作ればいい、そうするうちにボクが一番になれればいい」

弥生「…そう…なのかな…ああ、何か分かんないな。こんな気持ち、初めてだよ…」

彼女は顔を赤くし、もじもじとしながらも此方に手を差し伸べる

弥生「もしかしたら私…初めて恋したのかも」

剣「ふふっ…今更だな」

ボクは躊躇わず伸ばされた手を取った

弥生「えへへ…うん、今更…だね」


弥生「私も…好き。大好きだよ剣君…」


どちらともなく顔が近づき、ボク達の唇は重なり合った
その間も雨はザァザァと降りやまない

小説の中のように、雨が上がって虹がかかる演出なんてしてくれやしない
でも、この雨の音がボクと弥生を引きあわせてくれた
ボクは感謝しよう、恵まれたこの偶然に

今日、雨が降っていなかったらこの結末は迎えられなかっただろうから

ボク達はまるでそんな形の彫刻であるかのように、ずっと唇を重ね合わせ続けていた
甘く幼い、蕩けるような子供の口づけだ


ボク達は完全下校時刻、21時を回るまでずっと旧校舎で何度も唇を重ね合わせていた
温もりを確かめ合うように指を絡ませ合い、温かな背中に手を回した

お互いの存在を確かめるように、何度も何度も名前を呼び合いながらキスをした

未だに振り続く雨の中、ボク達は帰路につく

傘と傘がぶつかり合い、先ほどまでつながりあっていた温もりが傍に居ない事がとてももどかしい
だから、ボクを傘を畳んだ

彼女の腕に絡みつき、肩に頭を乗せた
一つの傘に二人が入る、所謂相合傘という奴だ
彼女は少し驚いた顔をして、すぐに柔らかく微笑んでくれた

ボクは少し上にある彼女の顔を見る

剣「…その…迷惑じゃないか?」

弥生「全然平気。ふふっ…でも、普通は逆じゃないかな?」

剣「…今日だけ…今日だけでいい」

弥生「ううん、いいよ。いつでも甘えて」

剣「あ、甘えてなどいない!」

弥生「そお?いいと思うな、恋人同士なんだから」


弥生からボクの指に指を絡める
ボクもその温もりを離さないように、ギュッと抱き付いた

決めた
心に決めた
ボクは一生…この温もりを離しはしない。誰にも渡したりなんかしないと

降りしきる雨の中、ボク達は甘い…甘い温もりを共有し合った


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――
エピローグへと続く


エピローグ
―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

あれから少し、時間は過ぎた

季節は8月、夏休みの真っただ中
ボク達はというと……

剣「う~ん…うぬぬぬ……」

弥生「補修お疲れさま。ほら、元気出して」

彼女との時間に浮かれたボクは、見事に赤点地獄に見舞われ夏休みだというのに学校で補修を受けていた

剣「くそぅ…ボクともあろう者が…こんな…こんな惨めな……!」

弥生「あはは…うん流石に赤点は駄目だよ。だから、こうして今から私の家で勉強するんでしょ?」

剣「…まぁな」

午前の補修を終えて、これからは午後の補修という奴だ

サンサンと照り付ける太陽の熱気の中、じっとりと手汗をかきながらも手を繋いで歩いていた
向かっているのは彼女…鹿島弥生の家だ


あれからの関係というと、何かが大きく変わったようなわけでもない気がする

朝は旧音楽室で話をして
昼は屋上階段で一緒に昼食を食べて
放課後も旧音楽室でずっと一緒に居る

寝ても覚めても、ずっと彼女と一緒だ

ただ一つ大きく変わったのは―――

弥生「ねえ剣君、こっち向いて」

剣「なん――!」

チュッ

気が付くと彼女の顔が目の前にあって、軽いリップノイズと共に離れていく
彼女は悪戯っぽく笑う

剣「飽きないな、弥生」

弥生「えへへ…うん、何だか抑えられなくって」

彼女は随分と表情が豊かになった
そして、とても積極的にスキンシップをしてくる

隙があればキスをして、隙が無くてもキスをされる
今もこうして暑い陽気の中で居ても、彼女はボクにベッタリと抱き付いてきている

擽られたり、耳を甘噛みされたり、悪戯されることも増えた


剣「暑いな―――」

そう言って空を見上げた時、不意に冷たいものを感じた

雨だ

空を覆う曇天は無く、太陽も出ているくらいの晴れた空
そう、通り雨というモノだった

夏の風物詩とも言える通り雨

ボクは慌てて彼女を抱きかかえ、近くのバス停で雨宿りをする

全く人が居ない、屋根だけはあるバス停
そんな空間で、雨に濡れた男と女

彼女の肌に張り付いた白いシャツが酷く艶めかしい


弥生「やっ…!もう…ダメだよ」

彼女はボクの視線に気づき、その大きな膨らみを隠す
まだそういうことは恥ずかしいらしい、あんなにべったりだというのに

ボクはニヤッと笑うと彼女の両手を掴み、上にあげさせた

弥生「ええっ!?も、もう!駄目だよ!こ、こんなところで嫌だからね!!」

剣「へえ、何をされると思ったんだ?こんなところでは駄目?往来でキスをする弥生が恥ずかしがるようなこと、か?」

弥生「……んんっ!」

バツが悪そうに顔を逸らす彼女があまりにも可愛くて、ボクは彼女の唇を奪った
何度も唇を愛撫をするたびに、彼女の体の力がフニャフニャと抜けていく

暑い熱に浮かされた顔、涙を湛えた瞳がボクをうっとりと見つめてくる

弥生「……も、もう…しないの?」

剣「ふふっ、欲張りだな。続きは家に着いてからにしよう」

弥生「…こんな事ばっかりしてるから、全然成績良くならないんじゃないかな」

剣「誘っておいてよく言うな。ほら、行こう」

まだぽつぽつと雨が降っていたが、ボクは彼女の手を取って屋根から体を乗り出した
この暑い日差しに負けないくらい熱いボク達には、多少濡れるくらいが丁度良い

ボクたちは走り出した
まだまだま暫くは、この熱は収まることは無いだろう

……もしかしたら、ずっと冷めない熱かもしれないけど
それはきっととても幸せな事だ

―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

HAPPYEND  『冷めない熱』


と、いうところで今日の更新はここまでです


無事にエンディングを迎えられて本当に良かったです
鹿島弥生ルート如何でしたでしょうか?
楽しんでいただけたなら幸いです

書いている私も、この二人は本当に動かし安くて楽しかったです
それとこのスレの趣旨である『好きな人にも好きな人が居る』という内容も書けて大満足です

殆ど私の趣味で構築されているような内容でしたが、ここまでお付き合いいただき本当にありがとうございました


次回更新からは二週目をしたいと思っています


ではでは、次回更新をお待ちください


返信随分遅れました!
しばらくぶりの更新です!!

感想いただき本当に嬉しいです!!
その言葉を頂いただけで書いた甲斐があるというモノ!!!



今回投下するお話は、シコシコと書き溜めていた弥生エンドのその後のお話です
それではどうぞ


弥生アフター
『甘えたさん』



季節は九月。残暑も無くなり、風景が秋の装いに変わり始めた今日この頃
鹿島弥生と恋人になってから、3ヶ月ほどの時間が経った

相変わらず、冷めない熱に浮かされているボクらは毎日のように一緒に居る
こうして付き合い始めてから見えてくるモノというのもあって、意外なほど飽きない関係を続けている

付き合うまで気づかなかったことだけど、彼女…鹿島弥生は―――


弥生「ね、剣君」

くいくいと彼女はボクの服の袖を引く
場所はボクの住むボクの部屋
彼女はボクのベッドに寝っ転がって漫画を読んでいた
ボクは、ちゃぶ台の前に座り勉強をしていた

剣「なんだ?」

弥生「ううん、呼んだだけなんだ。えへへ…」

彼女はフニャフニャと笑いながら、漫画を再び読み始めた
ボクは『そうか』とそれだけ言って勉強を再開する

それから程なくして――

弥生「ねえねえ剣君」

剣「どうした?」

弥生「ん~♪」

と口に咥えた棒状のチョコ菓子を見せられる
ボクは一瞬かたまったが、やれやれと差し出されたそれを齧る

弥生「んふふっ、美味しいね」

剣「そうだな」

それだけを言うと、また彼女は漫画を読み始めた


――――そう、彼女は『甘えた』なのだ

事あるごとに彼女はこうして甘えてくる
一緒に歩いているだけでも

弥生「剣君っ!」

とボクの頬に顔を摺り寄せてくる

一緒に話をしていても

弥生「へえ、そうなんだ」

なんて相槌を打ちながらボクの手を握ってくる

彼女のスキンシップには前振りが無い
初めの頃は戸惑い、初々しい反応を見せてしまっていたものだが今ではもう慣れてしまった


嫌というわけでも、迷惑というわけでもない
寧ろとても嬉しいのだが、ふと冷静に『弥生は年上だよな…?』と思う時がある

彼女自身、一人っ子というのも関係しているのかもしれない
今まであまり家族に甘えた経験も無かったのだと思う

その揺り戻しがこのボクに対する行動なのだろう

かくいうボクはというと、根っからの兄属性
小学生の頃から妹のお世話を一手に担ってきた男だ
妹も相当甘えたがりだったためか、それの捌き方は十分に心得ている

そういう意味では、ボク達はとても相性がいいのかもしれない


閑話休題

時は放課後、場所は旧音楽室
今しがた彼女が甘えただという話をした矢先だが、少し困ったことがある

弥生「………」

彼女はむっつりと黙り込み、チラチラとボクの顔色を窺っている
今日の彼女はずっとこんな様子だ

一言でいうのなら

甘えるのを我慢しているらしい

まあ、なんとなく予想は出来るが

剣「はぁ…それで、鈴鹿になんて言われたんだ?」

弥生「…!凄いなぁ剣君、やっぱり人って嘘はつけないね」

やはりというか想定通り
鈴鹿の入れ知恵が原因らしい
相変わらずアイツは余計な事しかしないな


彼女から事の顛末を聞いてみると、弥生がボクとの惚気話をしていた時『それってどうなの?』と言われたのが原因らしい

弥生「やっぱり、私の方がお姉さんだし剣君を甘えさせてあげるべきだよね」

剣「別に必要に思わないが…」

弥生「ダメだよ!私ばっかりは甘えさせてもらってるから、剣君も甘えないと。ほら!」

彼女は『さあ来なさい』とばかりに両手を広げる
弥生本人の母性に反し、たわわに実った母性の象徴がこれでもかと差し向けられる

抗えない魅力が……と言いたいところだが、ボクは普通に抗う

剣「別にボク達はボク達らしい付き合い方でいいんじゃないか?いつも通りで」

弥生「う~ん…私としては、剣君に甘えて欲しいんだけど……それとも、嫌?」

剣「むむむ……」

その言い方は聊か卑怯だ
ある意味彼女の甘え文句じゃないかと思うが、それをツッコむのは野暮というモノだ


無理に意地を張り続ける理由も無い
言葉に甘えようと思ったところで、体が止まる

剣「…………甘え方が分からない」

弥生「えっ?剣君も、たま~にしてくるよね?そういう感じでいいんだよ」

剣「いや確かに、言われてみれば甘えたことはあるが意識してみると…難しいな」

弥生「えっとほら……ほら…ほら………ううん、ん?確かに、難しいかも」

二人して『甘える』とはどうすれば?と頭を悩ませる

甘えるという行為はほぼほぼ無意識の行動であり、欲求を満たそうとする行動だと思う
ともすれば、そうしたいという欲求が無いボクには少し難しいものがある
彼女も、意識的に甘えるという事はあまりしてこなかったのだろう


弥生「と、取り敢えず…来てみない?」

考えている最中もずっと腕を広げたままで、すこしプルプルと震えだした彼女の腕
その中に包まれてみようという結論に至った

剣「で、では行くぞ」

いざ意識して彼女に抱き締められに行くというのは、中々に恥ずかしい
恐る恐る背中に腕を回す
彼女はニッコリと優しく微笑み、ボクの頭をギュっと抱きしめた

首元に大きな膨らみが辺り、少々息苦しい
だけど彼女の体は柔らかくて汗を拭きだしそうなほど温かい

不思議だ
いつもとやってる立場が逆になっただけで、こんなにも得られるものが違うのかと

彼女に甘えられているときに感じるのは、愛しいといったような胸が切なくなる気持ちだ
今、こうして抱きしめられているボクが感じているモノは堪らない充足感。眠ってしまいそうな安心がそこにあった


ボーっと顔が熱くなっていく

弥生「どうかな?私、甘えさせられてる?」

剣「た、多分……慣れてないから分からないな」

弥生「そっか…私達はそんな共通点もあったんだね」

剣「ん?どういうことだ?」

弥生「お互い、甘え慣れてないんだなって。私にとって心を剥き出しに出来るのは、剣君だけだから」

弥生「剣君…お兄ちゃんだもんね。きっとあんまり甘えられてなかったんじゃないかな」

剣「………そうかもしれないな」

思わず感心してしまった
彼女が甘え慣れていないのは想像がついていたが、ボク自身も甘え慣れていないとは思っていなかった
全く意識していなかったが、ボクは心のどこかでこうして甘えたいという欲求を抱えていたのかもしれない
思えば、無意識の行動で彼女に甘える瞬間がいくつかあった

弥生「今は私がお姉ちゃんだからね。これからも、甘えたくなったら言うんだよ?」

剣「…そう…だな」

弥生「言わなくっても、いつでも抱きしめてあげるからね」

剣「ふふっ…なんだかいつもと変わらないな」

弥生「…だね」

ボク達は笑い合い、暫くそのぬくもりを堪能し合った

ボク達はあらゆる意味で反対で、どこか似たモノ同士らしい
つまりは、とても相性がいいらしい

それ以来、彼女に抱き付かれることも多くなったが
抱きしめられることも多くなった


以上が、弥生アフターでした


本当はこれから二週目といきたいところだったのですが、他に書きたいものが色々できてしまったのでこのスレはここで終わりたいと思います
実験的な恋愛話オンリーの内容のスレでしたが、思ったよりうまく回せてとても楽しかったです

またいつか同じスレタイで立てる時があると思います、その時にはどうぞお付き合いくだされば幸いです


ではでは、ここまでお付き合いいただきありがとうございました

このSSまとめへのコメント

このSSまとめにはまだコメントがありません

名前:
コメント:


未完結のSSにコメントをする時は、まだSSの更新がある可能性を考慮してコメントしてください

ScrollBottom