【安価】冒険者「マトモなのは俺だけか」 (78)

巷に溢るる安価スレといふものを、俺もしてみむとてするなり。

多分かなり牛歩。安価分岐の先まで書き溜めするほどの気力はなかった。
それでもお付き合い頂けるんならよろしくどうぞ。

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1518564055

酒場 夜


冒険者「勇者が現れたとの触れが出回ったのが数日前」

冒「どいつもこいつも一山当てようってんで王都の酒場に行きやがった」

冒「随分寂しくなっちまったな、マスター」

マスター「飲みすぎだぜ、冒険者」

冒「ケッ、最後ぐらい好きに飲ませろィ」

マ「……やっぱり、お前も出ていくのか」

冒「寂しいか?」

マ「抜かせ」

冒「まっ、俺は勇者サマなんぞに用はねぇ」

冒「この街にゃ長居しすぎた。そろそろ根無し草に戻ろうってだけの話さ」

マ「そうか」

冒「おうよ」

マ「……ほらよ」コトッ

冒「おっ、こりゃ秘蔵の……いいのかよ?」

マ「餞別だ。また顔見せろよ」

冒「……あぁ、勿論。ところでマスター」

マ「なんだ?」

冒「仲間を募りたいんだが……宛てはないか? なんせここにゃあ俺しか客がいない」

マ「うるせぇ、やっぱ金取んぞ」

冒「いやいや悪い、からかってるわけじゃない」

マ「そうだな……」

1.自警団の問題児
2.旅の僧侶
3.薬師の弟子
4.預かり所の看板娘
5.ジプシー一座のメンバー

下3まで、多数決。同票なら下4以降で票数が勝った側を採用

マ「自警団は分かるか?」

冒「あぁ、この街に流れ着いたとき世話になったからな」ギリィ

マ「ハハハ、団長は仕事熱心と聞く。災難だったな」

冒「笑いごとじゃねぇよ。んで?」

マ「あぁ、度々問題を起こして爪弾きになってるやつがいるんだってよ」

冒「問題、ね……具体的な話は?」

マ「さて、そこまでは」

冒「だよな。まぁ爪弾きってんなら引き込みやすいだろ。早速明日当たってみるよ」

マ「おぅ、まぁ上手くやんな」

ひとまずここまで。
昼に余裕があれば出てくるけど、続きは多分晩になる。

自警団屯所 朝


冒「すまん、ちょいと聞きたいことがあるんだが」

自警団員「アンタは……なんだ、何か用か?」

冒「いやなに、お前らんとこの問題児。引き取らせてもらえねぇか」

自「はぁ?」

冒「また旅に出ることにしたんだが、連れが欲しくてな」

自「そういうことか。俺の一存じゃなんとも。本人と団長に聞いてみな」

冒「どこにいきゃ会える?」

自「団長は領主に決算報告してるはずだ。時間がかかるだろうし先に東門に行くといい」

冒「そっちに例の問題児がいるってわけか」

自「大人しくしてればな……まぁ最悪昼までには会えるだろうぜ。あっちが首を縦に振ったらここに戻ってこい。団長は引き留めとくから」

冒「悪いな、頼むわ」

東門 昼前


冒「影も形もないぞ……門番やってるわけじゃねぇのか」

目付きの悪い男「なんだお前、こんな辺鄙なところに何の用だ」ガサッ

冒「うぉ……お前が『自警団の問題児』か?」

問「そう呼ばれてるな。酷い話だ」

冒「仕事サボってぶらついてるんじゃしょうがない呼び名だろ」

問「馬鹿言え、魔物狩ってたんだ。こんな仕事熱心な自警団員もそうはいまいに」

冒「門番の仕事ほっぽりだしてか?」

問「俺がいなくても問題ねぇよ」クイッ

冒(あん? ……なるほど、櫓の上に守兵が二人、か)

冒「……あてにされてない、と」

問「うるせぇな、喧嘩売りに来たのか?」

冒「いいや、スカウトに来たのさ」

問「なんだそりゃあ」

冒「旅の道連れが欲しくてな。どうだ、一緒に」

問「……目的は」

冒「ん?」

問「目的を聞いてる。一口に旅つっても色々あるだろう。何を目指すんだ」

冒「そうだなぁ……」

1.武者修行
2.まだ見ぬ財宝を求めて
3.勇者を出し抜く

下3まで、多数決。同票なら下4以降で票数が勝った側を採用

冒「武者修行、なんてのはどうだ?」ニッ

問「くだらん、帰ってくれ」

冒「お、おいおい! 仮にも剣士だろ? 強さへの憧れとかないのかよ」

問「全く興味がないと言えば嘘になる、が……そうだな。だったら今ここで立ち会え」

冒「お、俺が? お前と?」

問「そうだ。勝てたら、とは言うまい。俺を認めさせてみろ」

冒(腕に自信がないわけじゃない。問題児も見た感じ並みの剣士だ。上手くすれば勝てる、か?)



1.正々堂々やる
2.卑怯上等、とにかくぶちのめす
3.延期を申し出る(先に自警団長に話を聞く)
4.諦めて別の面子を探す

下3まで、多数決。同票なら下4以降で票数の勝った側を採用

冒(……いや。『問題児』の所以が分からない。念には念を、だ)

冒「分かった、だがちょっと待ってくれるか」

問「敵に待ったを言うのか?」

冒「そう逸るなって! 勝負はする。だが後で、だ」

問「……ふん。まぁいいだろう。慎重さは評価する」

冒(何様だこいつ……)

冒「準備をしてくる。日が暮れるまでにゃ戻るさ」

問「精々『仕込んで』おくことだ。死にたくなければな」

冒「言ってろ。吠え面かかせてやっからな」

自警団屯所 昼


冒「団長はいるか?」

自警団長「早かったな。アイツは何と?」

冒「勝負しろってさ」

団長「なに? それで、勝ったのか?」

冒「勿論」

団長「……お前の力を見誤っていたかも知れんな」

冒「相変わらず冗談が通じないな、アンタ……」

団長「では逃げてきたのか?」

冒「情報収集だよ、じょーほーしゅーしゅー。冒険の基本だぜ?」

団長「そういうことにしておくか」ハァ

冒「見た限り、話した限りでは平凡な剣士だ。問題児と言われるような破天荒な印象も受けない」

冒「何があったんだ。『問題児』の所以は?」

団長「平時は落ち着いているように見えるだろうがな。アイツは『殺したがり』だ」

冒「おいおい、いきなり血腥いな」

団長「お前がこの街に訪れるより前の話になる。野盗の集団を迎え撃ったときの話だ」

団長「斥候を捕らえ、本隊の話を聞き出すため尋問していたんだが」

団長「なかなか口の固いやつだった。だが、アイツが尋問役になったときのことだ。尋問室にアイツと捕虜二人だけになって、どれほども経っていなかった」

団長「悲鳴を聞き付け駆けこんだときには捕虜は死んでいた。『情報は引き出せた、もういらんだろう』なんぞと抜かしおった」

団長「しばらく謹慎室に押し込めていたが、まるで悪びれる様子を見せん。敵味方の線引きは出来ているようだが、敵に対してまるで容赦を見せない」

団長「門番を任せれば付近の魔物を尽く殺してみせる。持ち場を離れ、追い縋り、とにかく[ピーーー]」

団長「傭兵や兵士としてなら良いのかも知れんがな。こんな片田舎の自警団では、扱いきれんというのが本音だ」

団長「……アイツを連れていきたいのであれば好きにしろ、と言いたいが。『勝負』で済むとは思えん」

団長「見た目以上に腕も立つ。あの細身でコボルドやオーク程度ならものともせんぞ」

団長「自信がないなら諦めろ。あの剣の腕を飼い殺しにするのは忍びないと思わなくもないが……まぁ、なんとか抑え込めてはいるからな」

冒(さて、どうしたものか。単純に強い、容赦なし、最悪殺されかねないときた)

冒(本人もああ言ってたし、汚い手を使う……いや、まだ打つ手はあるか)

1.卑怯上等、『仕込んで』いく
2.更に情報収集
3.諦めて別の面子を探す

下3まで、多数決。同票なら下4以降で票数が勝った側を採用

今日はここまで。

腱鞘炎になるゥ……
筆の早い連中は多分利き腕めっちゃマッチョなんだ、そうに違いない

魔具店 昼下がり


冒「婆さん、邪魔すんぜ」

婆「おや、冒険者かい。また旅に出るんだって?」

冒「耳が早いな。その準備ってわけじゃないが、見破りの手鏡が一つ欲しい」

婆「あいよ、200gだ」

冒「高いよなぁ、これ。使い捨てだってのに」

婆「湯水のように使わなけりゃあ便利な代物さね。一つだけってことは、使うべき場面なんだろう?」

冒「違いない」

東門近辺 夕方


冒(さて、仕込みは済ませてきた。ある程度、アイツの力の当たりもついてる)コソッ

冒(見破りの手鏡。外見じゃ分からない、スキルを看破する魔具)

冒(スキルが知れれば自ずと戦法も見えてくるってなもんよ)ピカッ

冒(どれどれ……)

冒(やはり剣士が修練で得る系統のスキルは軒並み及第点に届くかどうか、だな)

冒(反面、対人、対亜人スキルが異常に豊富だ。才能に依るものか、性情によるものか……)

冒(なんにせよ、これなら付け入る隙はある。ギャフンと言わせてやんぜ)

東門 夕方


冒「悪いな、待たせた」

問「戻ったか。そのまま行方を眩ますと思っていたが」

冒「いいや、お言葉に甘えてしっかり仕込んでたんだ。降参するなら今のうちだぞ?」

問「抜かせ」チャキッ

冒(懐に入られたら比喩抜きで死ぬ。足と目を奪って拘束する)スッ

問「フッ!」ダッ

冒「ほっ」ブンッ

パリン

問「むっ!?」

問(何を投げた?)

問(構わん、突っ切る!)

ズグッ

問「うぉ……っ」

冒「水精の結晶石。投げ当てれば僅かな間、水の相を加える。剥き出しの地べたに投げればぬかるむって寸法さ」

問「クソ!」グッグッ

冒「おっと、のんびり待ってやるつもりはないぜ」ブンッ

問(また何かを! くっ、足が取られて切り払えん!)

問「ぶっ!?」ボンッ

問「がぁあ!?」ブンブン

冒「赤唐辛子の粉末だ。滲みるだろぉ?」ニヤッ

問「おのれ卑怯なぁ!」

冒「仕込んでこいつったのお前だろ……」

冒「でもって大蜘蛛の糸で簀巻きにしてみたわけだけどさ」

問「……」ムスッ

冒「認めてもらえたのかねぇ、俺は」ニヤッ

問「こうまで一方的にやられては仕方あるまい。好きに使え」

冒「聞き分けがいいやつは好きだぜ。これからよろしくな」

続きはまた晩に、余裕があれば。
この街ではあと一人仲間に出来ますん。

自警団屯所前 夜


冒「出発は明後日、明日は準備にあててくれ」

問「あぁ」

冒「もう一人ぐらい連れを探してみるつもりだが、何か要望はあるかい?」

問「別に……強いて言えば、五月蝿くないやつがいい」

冒「旅歩きは賑やかなほうが楽しいぞ?」

問「武者修行に楽しさを求めるつもりはない」

冒「堅物め。しゃーない、考慮するよ」

酒場 夜


冒「そんなわけで、飛び掛かってくるアイツを華麗にいなした俺は」

マ「ま、上手くやったようで何よりだ」

冒「ンだよ、こっからいいとこだろ?」

マ「分かった分かった」

冒「で、だ。もう一人ぐらい欲しいんだが。何か情報ないかい?」

マ「一品頼まれたら口が滑るかもなぁ」

冒「昨日の気前の良さはどこいったんだよ」

マ「今日発つもんだと思ってたんだ。早速シケたツラ見せやがって」

冒「また顔見せろよ」キリッ

マ「どうやら死にたいらしいな」ビキビキィ

冒「じょ、冗談だって!」

冒「ま、そんじゃ川魚の塩焼き頼む」

マ「もうちょい高いの頼め」

冒「仕方ないだろ。魔具の大盤振る舞いで懐がお寒いの」

マ「華麗にいなしたんじゃないのか」

冒「う、うっせー!」



1.旅の僧侶
2.預かり所の看板娘(騒がしいです)
3.薬師の弟子
4.ジプシー一座のメンバー(楽器を使います)

旅の目的が武者修行に定められたことで一部の交渉にコンマ判定が必要になります

下3まで、多数決。同票の場合、下4以降で票数が勝った側を採用

多分今日はここまで

しばらく読む側だったから、無意識にsageチェック入れるわ名前入れ忘れるわsaga入れ忘れるわでイヤン

マ「北区の教会に旅の僧侶が訪ねてきてるって話だ」

冒「おっ、そりゃいい。ヒーラーがいれば随分楽になる」

マ「だといいんだがな」

冒「ん?」

マ「僧侶を名乗ってはいるらしいが、得体が知れない風体だとも聞いたんだ」

冒「んー? まぁまずは話してみるさ。連れも出来たし、俺の一存じゃ決められないしな」

教会 朝


神官「おや、礼拝ですか?」

冒「いや、すまんが人探しだ。旅の僧侶が訪ねてきてると聞いてな」

神「あぁ、彼なら裏庭にいるはずですよ」

冒「ありがとよ」

教会裏庭 朝


ハゲ「……」

冒(……)キョロキョロ

ハゲ「……」

冒(おかしな格好したハゲが瞑想しながら浮かんでる)

ハゲ「……」

冒(他に人影は見当たらない……嘘だろ、こいつが旅の僧侶かよ……)

ハゲ「何者ぞ」カッ

冒「ひぃ!?」

冒「あ、あーっと。この教会に世話になってる僧侶ってのは、アンタか?」

僧侶?「如何にも」スーッ

冒(浮かんだまま近付いてくる、怖い)

冒「あぁ、いや! ちょっとどんなやつか見てみたかっただけでな!」

冒(ど、どうする……本気で得体が知れんが、勧誘していいのかこれ)



1.勧誘する
2.用事を思い出す(諦めて別の面子を探す)
3.仲間と相談する

下3まで、多数決。同票の場合、下4以降で票数が勝った側を採用

なんという色気のないPT、完全に予定外である

続きは晩に

一応聞くけど仲間にならなかった他の3人はどういう人間だったの

>>54
看板娘
元気っ子。問答無用で敵の装備やドロップアイテムを奪い去る「お預かり」が使用可能。
心臓抜きとか出来る一番のチート。

弟子
男の娘。無難なヒーラー、成長すれば香スキル等を習得してバフデバフ完備のサポーターになった。

ジプシー
斥候職兼バッファーの少女。各地のジプシーから協力を得られる。

僧「ほぅ……」グールグール

冒(浮かんだまま人の周りを周回すんじゃねぇ、衛星かお前)

冒「あ、あぁ……ところで話は変わるが、俺も旅歩きをしていてな」

冒「また旅に出ようと思ってるんだが、旅は道連れっつうだろ?」

冒「アンタも一緒にどうかなって、だな……」

僧「よかろう」

冒「はっ? いやいや、誘っといてなんだが、そんな即決しちまっていいのか?」

僧「救いを求める者あらば否はない。御仏の御心にもかなうであろうよ」

冒「みほ……なんて?」

僧「して、出立はいつをご予定か」

冒「あ、あぁ……明日を予定してる。でもアンタにゃ
急な話だろうし、多少延期しても」

僧「構わぬ。明日までに身支度を整えておこう」

冒「そう……」

中央広場 昼


冒(さて面子は十分だろう。あとは準備にあてるか……)

冒(魔具のストックがありゃあ道中のアレコレはまず問題ないが、如何せん値がはる。今の手持ちを考えるとちと厳しいか)

冒(装備を整えれば戦闘は楽になるが、ここらの装備は質がいいとは言い難いんだよな)

冒(道具や食料もタダじゃねぇし、あまり使い込むのも考えものだ。貯蓄に回して世情の聞き込みも一つの手ではある)

冒(さて、どうする)



1.魔具を買い足す
2.装備を整える
3.貯蓄に回す(時間が余るため聞き込みを行います)

下3まで、多数決。同票の場合、下4以降で票数が勝った側を採用

武具屋 昼


冒「剣士と僧侶の装備を見繕ってもらえるか」

店「はいはい、一式でいいですか?」

冒「そこまでの金はないなぁ……小盾と装身具に絞ってくれ」

店「武器はよろしいので?」

冒「それは自前のでなんとでもなるさ」

店「へい、それじゃちょっと待っててください」

酒場 夜


冒「今日も閑古鳥が鳴いてるなぁ」

マ「ほっとけ。出立は明日だったか」

冒「そうだな。今日は一杯引っかけるだけにしとくよ」

マ「お前なら大丈夫だとは思うが……くたばるんじゃないぞ」

冒「剣士と僧侶、田舎街で見繕ったにしちゃ上等な面子さ。ちと癖が強いのは認めざるを得ないけど」

マ「ほらよ」スッ

冒「ん? ナッツか?」

マ「ここいらで旅先の幸運が得られるっつうおまじないで贈られるもんさ」

冒「へぇ? おまじない、ね。意外と可愛い真似するんだなぁ」ケタケタ

マ「美味いぞ」コリコリ

冒「おっ、マジだ」コリコリ

正門前 朝


冒「おっし揃ったな。そんじゃまずは王都を目指すぞ!」

問題児改め剣士「待て」

冒「なんだ、出鼻を挫かんでくれよ」

剣「そいつは何だ」

僧「む?」フワーッ

冒「僧侶だが?」

剣「俺の知る僧侶と随分異なるが?」

冒「自己申告だ、間違いない」

剣「本当かよ……」

冒「さておき出発だ。武者修行の本場つったら北の剣ヶ峰か西の無法の都だが、ひとまず王都で情勢を探るぞ」

剣「遠回りする必要があるのか」

冒「勇者サマが旅立ったそうだからな。あれこれ動きもあるだろうし」

剣「分かった、それでいい」

冒「僧侶もそれでいいか?」

僧「元々漂泊の身ゆえ、どこへなりとも」

冒「さて、そんじゃ旅の方針だが……」


1.いのちをだいじに(ほぼ確定成功。実入りもほぼ無い)
2.小物狙い(判定は緩いが実入りが少ない)
3.大物狙い(判定は厳しいが実入りはいい)


下3まで、多数決。同票なら下4以降で票数が勝った側を採用。
また、下3までのコンマから最も高いものが成功判定に使われる。ゾロ目は大成功。
※装備を買いそろえたことで全体的な判定が甘くなります

林道 昼


冒(とりあえずマトモに連携取れるか確認するためにも、ろくな敵のいない街道は避けたが……)

剣「ハッ」ザシュ

ウルフ「ギャン!」

冒(剣士だけで危なげなく片付けてるな……ちょいと寄り道してみるか)

冒「皆、ちょっと付いてきてくれるか」

剣「どうした」

冒「小銭稼ぎさ」

洞窟 昼


剣「なんだってまたこんな場所に?」

冒「こないだ街道沿いにウルフの親玉が出たっつう話があったんだ」

剣「それで?」

冒「巡回兵が仕留めきれずに、この林に逃げ込まれたらしい」

剣「ここにいるのか? 一口に林といっても、かなり広いぞ」

冒「いる。幾ら林が広くても身を隠せる場所は限られるし、大きな獣が移動した痕跡も数ヵ所確認出来たしな」

剣「……」パチクリ

冒「ん、どうした?」

剣「いや……意外でな」

冒「あん? 意外だって?」

剣「あぁ、セコい戦い方しか出来ないやつだと思っていたからな」

冒「お前……伊達に旅歩きしてないんだぞ。夜営のときに感動して漏らすなよ」

剣「誰が漏らすか」

洞窟深部 昼過ぎ


冒「……いるな」コソッ

剣「寝てるのか?」コソッ

冒「いや、近付けば跳ね起きるだろう。準備はいいか?」

剣「正直なところ自信は……」

僧「待たれよ」スッ

剣「うぉ」

冒「どうした僧侶?」

僧「手負いのようだ。見過ごせぬ」

剣「どういう意味だ。まさか回復しようとでも?」

僧「救うのだ」フワッ スタッ

真意を問おうと口を開くより早く、地が爆ぜた。
それが僧侶の踏み込みによるものだと気付くより早く、角張った鉄棒が巨狼の顎をかちあげる。
長く野生で生きてきた獣がその身を起こすより尚早い、まさに一瞬の出来事。
ここに来てようやく、身構えていた剣士が混乱しつつも一歩を踏み出したが、二歩目が地につくよりも早く勝敗は決した。
勢いそのまま中空に舞った僧侶は、同じく放りあげられた獣の頭部に鉄棒を降り下ろす。
流れるような連携は美しさすら感じたが、頭蓋の砕ける……否。岩をも巻き込み爆裂する様は、その一撃に込められた途方もない力を物語っていた。

洞窟深部 昼過ぎ


冒「……」

剣「……」

僧「南無」

冒「なんだあれ」

剣「最近の僧侶って凄いんだなぁ」ボー

冒「いやいやいやいや」

僧「墓を拵えてやらねば」スッ

冒「救いはどうした」

僧「傷の痛み、この苦界。彼はようやく解き放たれたのだ」

冒(やべぇの仲間にしちまった)

剣(俺より余程強いんだが)



巨狼の牙を入手
※戦闘選択時、コンマが規定値を超えるとPTの地力を僅かに強化するアイテムを入手します。

余裕があれば、晩にまた。
寒いぜ寒いぜ寒くて死ぬぜぇ

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